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1953-07-24 第16回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)     午後二時二十六分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 三和 精一君 理事 町村 金五君    理事 柴田 義男君 理事 吉田 賢一君       安井 大吉君    池田 清志君       藤田 義光君    細迫 兼光君       山田 長司君    大矢 省三君       熊本 虎三君    杉村沖治郎君       冨吉 榮二君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君  出席政府委員         外務事務官         (経済局長)  黄田多喜夫君         大蔵事務官         (為替局長)  東條 猛猪君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君  委員外出席者         会計検査院事務         総長      池田  直君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 七月二十四日  委員飯塚定輔君、山中貞則君及び今井耕君辞任  につき、その補欠として三和精一君、内田信也  君及び藤田義光君が議長の指名で委員選任さ  れた。 同日  三和精一君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  朝鮮輸出に対する対米債権に関する件     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  審議に入るに先立ちまして、理事補欠選任につきお諮りいたします。去る二十日理事三和精一君が委員を辞任いたされましたので、その補欠選任をいたしたいと存じます。先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議ないものと認めます。よつて本日再び委員に再選せられた三和精一君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 田中彰治

    田中委員長 それでは、本日は対米債権に関する問題を議題とし、その審議を継続いたします。本問題に対しましては、すでに数次に及び本委員会を開いて来ました。従いまして、本日は一応の締めくくりをつけるため、関係大臣出席を要求いたしましたが、その結果、外務大臣参議院外務委員会に、大蔵大臣参議院予算委員会に、通産大臣参議院通産委員会にそれぞれ出席されておりますので、あき時間を見て出席いたすように努力するとのことであります。従いまして、各大臣に対する質疑は、出席あり次第これを行うこととし、資料解明等に関して事務当局に対する質疑から行いたいと思います。それでは質疑を願います。柴田義男君。
  5. 柴田義男

    柴田委員 本員から去る七月十三日の当委員会におきまして要求いたしておりました、貿易特別会計処理が非常に不明朗な点がございましたので、これらに関する前の総司令部特別勘定から日本政府外為委員会移つた書類の御提出をお願いしておつたのでございましたが、その書類が、本日仄聞するところによりますと、日本銀行にあるということで、ありかだけがおわかりになつたようでありますが、これに対しまして、通産当局からお答えを願いたいと思います。
  6. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいま御請求にかかります書類は、なお調査中でございますので、しばらく御猶予願いたいと思います。
  7. 柴田義男

    柴田委員 先ほど委員部の方に、日銀にその書類があるということを御通知を受けたと聞いておつたのでございますが、どこからその御返事が来たのであるか承りたいと思います。——事務的におそいものでございますから、大蔵省に連絡をいたしましたところが、大蔵当局では日銀にあるということを報じて来たそうでありますが、大蔵省政府委員の方お見えになつておりませんか。——それでは大蔵省政府委員出席の上でこの問題についてなお伺いたい点がたくさんございますので、保留いたします。  次にお伺いいたしたいことは、前に田中委員長からも御質問がございまして、石炭クレームがついた問題がたくさんあつたと聞いておるのであります。そこで朝鮮輸出した場合にクレームのついた石炭処理、大体の方針は承つたのでありますけれども、私ども今日までの通産当局の御答弁では納得のいかない点がたくさんあつたのであります。たとえば、同僚の吉田委員からも御質問があつたように記憶しておりますが、クレームがついた場合には、石炭に限らず、保険料運賃というものを、政府特別会計国民血税から簡単に支払つておる。こういう事実があつたようでありますが、そういう処理がはたして妥当かどうか。  もう一つは、そういうクレームのついた商品に対して、生産者との契約はどういう条項にあつたのか。どんな品物を出してもよろしいというような契約であつたのか。悪い品物を出した場合には、その諸費用は当然生産者支払うという約束を政府は結んでおつたかどうか。  もう一つは、保険会社に対して、これらに対する保険処理はどうなさつてつたのであるか、通産当局から伺いたい。
  8. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいまの石炭及びクレームについての詳細の資料は、間もなく刷り上りまして、本委員会に持つて参りますから、もうしばらくお待ち願いたいと存じます。  それから第二点の、買い上げて輸出する商品検査等についてどういう仕組みでやつてつたか、あるいはどういう契約でやつてつたか、こういう点のお問合せでございますが、毎々御説明申し上げる通り貿易特別会計としては、各種の公団、さらに公団実務代行機関等使つて買い上げをやつておりましたので、それらの機関最終商品販売業者メーカーとの間において買上げの際に品質等について一定の保証をするというような契約、あるいはクレームがついた場合の処理運賃の持ち方というものが規定されておつたことと思うのであります。
  9. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、貿易特別会計では、クレームがついた場合、運賃保険料の問題はどういうような方法をもつてつたのでございましようか。あとでこれが生産者から回収のつく性質において政府すなわち特別会計から代払いをしたと心得てよろしうございましようか、それとも支払つたものはすべて日本政府損失をしたと心得べきでございましようか。その点もう一つ伺います。
  10. 中野哲夫

    中野政府委員 前回決算委員会において、石炭千二百トンを積み出しました場合に、向うに到着して向うが受入れたものについて五十万円余のものは貿易特別会計において処置したということを申し上げたのでございますが、その他のかような場合についての点は、古いことでもございますので、ただいま私どもはつきりここでつかんでおらぬのでございます。当時の商慣習等から申しまして、あるいはそれについてのはつきりした約款契約の中になかつたのではないかという気もいたすのでございます。
  11. 柴田義男

    柴田委員 当時の貿易関係は、やはり通産省に属しておつたのでございますか。
  12. 中野哲夫

    中野政府委員 戦後まつた貿易関係が遮断されておりました占領中のことでございます。そこで、貿易庁は、司令部指令に基いて、日本の唯一の国内における貿易機関として設立されたわけでございまして、国営貿易をやつてつたような次第でございます。
  13. 柴田義男

    柴田委員 そのことは再三再四御説明を承つてつておるのでございますが、その特別会計あるいは総司令部勘定以外に、それらの問題を処理する官庁はどこにあつたのでございますか。
  14. 中野哲夫

    中野政府委員 クレームの解決に関する責任は、当時貿易庁が持つておりました。
  15. 柴田義男

    柴田委員 しからば一九四七年前後も、貿易庁が現にあつたのでございますか。
  16. 中野哲夫

    中野政府委員 当時貿易庁が存在いたしました。
  17. 柴田義男

    柴田委員 同時に貿易公団も一九四七年当時はございましたろうか。
  18. 中野哲夫

    中野政府委員 貿易公団は二十二年七月から発足いたしました。
  19. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、先ほどの問題にまたもどるのでありますが、クレームのついた諸物資の問題、あるいは船賃の問題、あるいは保険料の問題というようなものは、貿易公団との関係がさらになかつたのでございますか。
  20. 中野哲夫

    中野政府委員 前回答弁申し上げました石炭クレームの問題については、貿易公団時代の話でございます。
  21. 柴田義男

    柴田委員 ただいままでの御答弁を承つておりますと、どうもその当時の契約は非常に不正確のようにわれわれは考えます。たとえばクレームのついた諸物資に対しても、出荷荷主責任を負担せしめないで、特別会計で負担しておる。このような常識判断のできないような処理を当時はやつてつたのでございましようか。もう一度承りたいと思います。
  22. 中野哲夫

    中野政府委員 先ほども申しました通り前回説明申し上げた石炭クレームにつきましては、あのように処理いたしましたが、当時の商慣習は古いことで、はつきり手元につかんでおりませんが、契約条項において御指摘の点ごもつともに思います。そういう点をメーカー側で持つというはつきりした約款がなかつたのではないか、かように考えております。
  23. 柴田義男

    柴田委員 古いことを今追究するのも何ですが、単なる商行為を考えましても、こういうことはあり得ないと存ずるのであります。しかも、もどつて来た分につきまして、貿易特別会計が、単純にこれらの運賃あるいは保険料等まで含ませてその損失支払い、そしてその出荷荷主に対しましては、その損失請求をしておらぬということは常識では判断がつきません。しからば、こういう問題に関して支払つた金額は、どのくらいございましようか。
  24. 中野哲夫

    中野政府委員 先般の委員会で申し上げました五十数万円以外につきましては、目下調査中でございますので、ただちにお答えできないのを遺憾に存じます。
  25. 柴田義男

    柴田委員 五十数万という漠然とした数字でございますが、少くもわれわれは、対米債権が四千七百万ドルであるが——われわれの計算ではもつと多い、五千万ドルを越えておる。私どもいろいろな資料を持つておりますが、そういう点にすらも非常な疑義があります場合に、なお今度は損失した面におきましても、正確な数字のお調べがつかないのでございますか。
  26. 中野哲夫

    中野政府委員 先ほど申し上げました通り、その資料を間もなくここに持つて参ります。その資料の中にはつきり書いておりますので、その際、資料について御説明いたさせていただきたいと思います。
  27. 柴田義男

    柴田委員 きようは会計検査院が御出席ございませんか。
  28. 田中彰治

    田中委員長 来ております。
  29. 柴田義男

    柴田委員 それでは会計検査院にお伺いをいたします。ただいま私は通産当局質疑応答をやつたのでございますが、こういう場合に、会計検査院はどのようにお考えでございますか。
  30. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 事態の詳細はわからぬ点もありますが、石炭を買いますのは、公団で買うわけであります。輸出する場合には、輸出の方がまた別のものでやるわけでありますが、石炭を買う場合には石炭買つた段階で、一応切れるというのが、普通の場合の考え方ではなかろうか、と思います。それで、その場合に、責任を負う事項がどういうふうに明示してあつたかということは、私がここで資料関係から、ちよつと申し上げかねますけれども、そういう石炭買つて輸出した場合に、輸出諸掛りを、今の五十三万円の問題でありますが、政府が負担したという場合には、一応それを業者に持たせる。そこまで因果関係を持たせることが、いいことかどうかという点については、多大の疑問があるのではないかと思います。そこまで業者に持たせるのは、話合いの上でやれば別でありますけれども、法律的にすぐその業者責任を持たしてやるということは、困難な問題があるのではないかと思います。初めの段階においては、石炭カロリーが幾らあるということで、一応とつておるのだと思います。そういうことになりますと——一応そういう前提で申し上げましたので、あるいはどういうことになるかもしれませんが、そこまで因果関係を持たせることは困難ではないか、法律行為段階がありますので、最後の段階の分を前の分まで持つて行く、そこまでも因果関係は持ちにくいのではないか、こういうふうに考えております。
  31. 柴田義男

    柴田委員 私どもはしろうとで、常識だけでこれを判断いたしましても、石炭をたとえば朝鮮輸出いたしますのに、朝鮮との契約は、単に石炭、こういう契約ではないと思います。石炭は、どれだけのカロリーのもので、どういう規格のものである、こういう一応の契約はある。その契約以外のものが発送になつたから、クレームがついてもどつて来て、船賃が二重にかかり、保険料が二重にかかる、こういう問題が生じて来る。少くもそういう場合には生産者責任は当然なことである。そういう問題であればこそ、莫大な損失が負担されたのであります。その損失の帰属が、貿易特別会計という会計があるから、簡単に政府払つてつた。われわれの金だつたら、五十銭も一円もよけい払いません。政府国民の金を預かつてつて、大切な金だと思わないで、不用意に払つてつた。それに対しまして、検査院はどういうお考えであるか、われわれは検査院はもつと公平な、政府に独立した機関であるということは、再三申し上げておるし、御承知のはずである。だから検査院が見た場合は、それをどうお考えになるかと御質問しておるのであります。
  32. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 常識上不合理だとおつしやる点は、実はわかるわけでありますが、石炭を買つた以外のとおつしやつておるわけでありますが、私の方ではそういう事実は、実はちよつと考えないわけでありまして、石炭を買う場合には、輸出するもの、それから国内で消費するものを一体として買つておるわけであります。その中から輸出する。輸出行為は買つたときに輸出するのだから、輸出するのまで責任を持てということで、おそらく買われたものではないと思うのです。国内で消費するものと、国外に輸出するものとが、一緒に買われているものだと思います。
  33. 柴田義男

    柴田委員 それはまた通産当局に伺わなければわかりませんが、おそらく朝鮮からの注文で朝鮮に送る石炭だ、あるいは内地の需要の石炭だと区分して——通産省があつせんしたのか、あるいは貿易庁が当時あつせんしたのかわかりませんが、そうわれわれは心得ておるのでありますが、いかがでございましようか。通産当局からその点を承りたいと思います。
  34. 中野哲夫

    中野政府委員 当時の石炭の配給につきましては、御承知通り終戦直後には、戦時中からの日本石炭株式会社が、一手買取り機関になつてつたわけでございます。それが先ほどお話のありました通り、二十二年の七月から配炭公団というのに組織がえせられたわけでございます。その当時、輸出物にせよ、あるいは内地の物にせよ、石炭山元から買います場合には、配炭公団なり、日本石炭株式会社なりが、実務代行機関を使いまして、一緒にこれを買い上げておつたんじやないかと思います。そうすると、石炭の置場は、申すまでもなく、どこにでも置くわけには参りませんので、おそらく若松なら若松唐津なら唐津に、港頭貯炭場を設けるわけでございますから、そこへ集積されてあつた。そして輸出命令司令部から参りました際に、そのうちから輸出分として、配炭公団実務代行機関から買つて、これを積荷をしたと、こういうことに相なつてつたように記憶しておるのでございます。これは逆に申しますと、ただいまのように山元で、坑口から出ますときに、これは朝鮮行きの石炭だ、これは内地の工場に行く石炭だ、かように石炭そのものには区わけはつけておらなかつたものとわれわれは記憶しておるのであります。
  35. 田中彰治

    田中委員長 中野政府委員に申し上げますが、あなたは、石炭のことはあまりよくお知りにならないようであります。輸出石炭は、カロリーの場合は、規格が非常にむずかしいのです。日本の場合とは、ボイラーの機械の関係で違うのです。それでそういうことをやるときに、これは山に朝鮮向け輸出石炭だからという特命が来るのです。そこで納めるのだから、そのあなたの議論はちよつと立たない。柴田委員が聞いておられるのは、向うへ悪い品物をどんどん送つて、それが返されたとき、船賃とか、そういうものは、たといどこから出ようとも、国民血税から払つておいて、それを、公団が取扱えば公団輸出商が取扱えば輸出商にその損害を負わしているのかということの根本を聞いておられるのだから、あなたも考え直して答弁したらどうですか。もう少しお調べになつてください。
  36. 柴田義男

    柴田委員 大蔵省東條為替局長がお見えになつたようでありますので、一点を伺いますが、私は前の委員会におきまして、総司令部特別勘定であつたものが、日本政府外為委員会に引継ぎになつて来た、こういうことの説明を再三承つてつたのですが、そういたしますと、その引継ぎは、単に言葉の上だけでなしに、書類もそれに伴つて引継いで来たと思います。そうしますと、その書類のありかはどこか、こう伺つてつたのですが、その書類が何か日本銀行にあるというふうに聞いたのでございますが、確かでございますか。
  37. 東條猛猪

    東條政府委員 柴田委員お尋ねでございますが、当時総司令部の一々の指令によりまして、実務日本銀行帳簿整理記帳に当つてつたわけであります。それの記帳をいたすにあたつて向う指令が一々ありまして、たとえば問題になつております一千六百万ドルにいたしますれば、それを第一勘定記帳せよという向うから書類が参つております。これはメモ程度のものでございますが、とにかく書類がございます。その書類に基きまして日本銀行帳簿整理をいたすわけであります。従いまして日本銀行には帳簿自体もございます。また司令部から参りました約一千六百万ドルを記帳しろということでございますれば、そのメモもあるわけでございます。
  38. 柴田義男

    柴田委員 想像いたしまするに相当莫大な量だと思います。たとえばトラツクに満載しまして何台くらいございましようか。
  39. 東條猛猪

    東條政府委員 まことに恐縮でありますが、責任のある答弁を私ちよつと申し上げかねます。しかしながら御指摘通り帳簿、それらの関係書類は相当莫大な数量に上るということだけは間違いないと思います。
  40. 柴田義男

    柴田委員 速記録にもございまするが、その諸帳簿が間違いなくあるならば当委員会に提示してもらいたい、前の委員会でこう私は要求しておるのでありまするが、そういう莫大なものであればとても当委員会に持つて来るわけにも行きません。要するに私の望んでおりまするのは、その書類によつてガリオアイロア輸入物資関係もございましようし、あるいは日本から輸出いたしました対米債権処理もその中にあるであろう、あるいはまたその中には朝鮮輸出いたしました場合に向う米軍がそれを受領いたしました受領書等もあるであろうと思うのであります。そういう書類の結局最終状況判断がつけばいいのでありまするから、その点をおとりはからい願いたいと思います。
  41. 東條猛猪

    東條政府委員 お答えをあまり走り過ぎましたので、あるいは申し上げ方が足りなかつたかと思いまするが、私が今日本銀行にございますと申し上げましたのは、この司令部指示によりまして日本銀行外貨面記帳をいたしておりますその外貨帳簿はある。またその外貨にこういうふうに記載しろ、ああいうふうに記載しろという司令部管理当時のメモがあるということを申し上げたのでございます。従いましてその言葉をあるいは誤解しているかも存じませんが、一件々々の取引に伴います実態的な取引の部門の関係書類でありまするとか、商用書類というものは日本銀行にあるわけではございませんので、その実態面貿易取引の方は通産省政府委員の御答弁があると思いますが、これは通産省の方は実態面取引関係書類があるというふうにお答え申し上げます。
  42. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、われわれが要望いたしておるようなこの対米債券が幾らが正確であるか、ガリオアイロア物資状況、たとえば一億五千ドルあるいは二億ドルというようにどうも金額は明らかにされておりません。こういう明らかな方法を見出すための書類というものは、しからばどこにあるのでございましようか。
  43. 東條猛猪

    東條政府委員 私の考えますところでは、それは日本銀行ではわかりません。たびたび申し上げている通りに、日本銀行は、コリヤー・アカウントの第一勘定に当初司令部命令で千六百万ドル記帳いたしたわけであります。ところがその後さらに指令がありまして、あの千六百万ドルは落せということで、ただいま日本銀行帳簿から落ちているわけであります。その日本銀行外貨面経理を表わしている帳簿がおかしいのではないか、実際の対韓国関係貿易関係を反映した数字ではないのではないかということで、通産当局が非常に苦慮せられまして、円貨面のこの貿易実態を表わすところの商用書類を全部洗いました結果、司令部指示によるところの日本銀行帳簿は正確な外貨の収支を示しておらない。それが交渉いたしました結果約四千七百万ドルがあるのだということは、つまり司令部管理あるいは指示のもとにつけました日本銀行帳簿が不完全であつたということに相なるわけであります。
  44. 柴田義男

    柴田委員 不徹底でまだ伺わなければなりませんが、他の委員も非常にお待ちのようでありますから、留保いたしておきます。
  45. 田中彰治

  46. 熊本虎三

    熊本委員 先ほど柴田委員質疑の中にも関連するわけですが、資料を求めておきましたところ、ここに資料が出ております。ところが私の求めた資料とは違つておるのであつて北九州石炭株式会社というものについていろいろと出しておられますけれども、私はこういうものを求めたのではございません。私の資料を求めましたのは、構成メンバーは一体どういうことになつておるかということと、それからその構成メンバーの中で配炭公団に納入したる各個別の数量及び金額を明示しろということを要求しておりますが、それが何も出ておりません。  それからさらに返却になりました朝鮮向け石炭でありますが、これについては私二、三日前に申し上げたように、これらの三菱、貝島、古河等北九州というような四関係者があるわけでありますけれども、おそらく有名な三鉱業会社においては、カロリーの点におきましてもその他の面においても、名誉に関しても返却されるがごとき石炭を送り出そうとは考えられない。従つて私は、北九州石炭株式会社を対象として考えておる。従つてこの返却された七百五十トンは、これらの北九州石炭株式会社の納入したるものがそれであろうかと私は想像する。だからこれに積み込んだ石炭の内容を知らせてもらいたいというのであつて、こういう抽象的なあたりさわりのないものを私は求めておるのではない。こういうものを出してもらわなければ、われわれの疑惑は解けて行かない。ですからこれはもう一ぺん出し直してもらいたい。これとはちよつと関連がありませんけれども終戦処理費の問題について資料を求めておきましたが、口頭では四十八億ドルとか聞いたのですが、それの支払いの年月日等についての資料を求めておきたい、かように存じます。  そこで今度は検査院お尋ねをいたします。先ほど柴田君の質問に対しまして、やはり公団が買い上げてこれを出荷したのであるから、その返却品があつたような場合においての運賃その他を元にさかのぼつて負担せしめるということは無理ではないかという御答弁でございます。なるほど組織構成あるいは経理の面から行けば、一応検査院としては事務的にそうおつしやるかもしれない。しかしもしそうだとするならば、不合格品を積み込んで返却されるというこの損失を、当然これらの公団なりあるいは会社なりに向つて、要求する権利があるはずだとわれわれは思う。だからその点、もし輸送料保険料についての要求が経理的にも、構成的にも無理だというならば、かような不始末をやつたそれに対する損害賠償の要求ができるかどうか、これをお尋ねしたい。
  47. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 先ほどお答えした点は、実は法律的に見た場合に無理ではないかということを申し上げたわけであります。検査院といたしましては、法律的に無理であつても、実態に即した処理をしなければならぬ場合には、相手方と交渉して、なるべく国家の損失を軽くする、相手方と納得でそういうふうな方法にやつて行くということは私の方としては、前提として考えているということだけを一言申し上げます。  それから、公団が買取りました分については、損害の補償ができるかできぬかというお尋ねかと思いますが、これは実は実態が古いことでありまして、私自身わからぬ点がございますが、検収する場合には、検収したのが合格しているということで検収しているのだろうと思います。従つてそれに対する代金を払つたことだと思います。それであとにさかのぼりまして不合格であるということになつた場合には、どうなるかということになりますと、初めの検収が悪くて代金を払つたという問題が残るのでありまして、業者が、そういう事態で金を払つたものについて納得してくれるかどうか。いわば法律的に見た場合に、立証責任が、検収するときには合格品として一応検収しているわけであります。それが間違いであるということに、あるいは実態はなろうかと思いますが、そういう場合には業者と交渉して、返還させるのが妥当だと考えます。
  48. 田中彰治

    田中委員長 あなたに言つておきます。資料の提出の問題は委員長責任ですが、どうもあなた方の出す資料はあいまいなんです。そしてこれを出してずるずるやつておれば、国会の方の根気が尽きて、いいかげんに済ましてしまうだろうというような態度がこのごろ見えて来た。それならゆつくり何年かかつてもやろうじやないか。それからもう一つ、これはまだ委員の方が言わないので聞いておきますが、三菱も貝島その他北九州のいろいろな小さい炭鉱の団体までが、あのとき石炭を売つたことが出ているが、そのとき麻生鉱業だけが休んでおつたのか出ていない。麻生さんは総理大臣の娘さんのむこさんの炭鉱ですが、どうして麻生鉱業が出て来ないか。あの炭鉱は月四、五万トンは出ている。資料を出すならもう少ししつかりした資料を出しなさい。
  49. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいま北九州石炭株式会社について、どこの山が関係しておつたかということが自分の要求資料であるが、それが満たされない、こういう御指摘でございましたが、実はこの北九州石炭株式会社の、お手元にお配りしましたこの資料が、ようやく昨日の夕方間に合つたのでございますが、これはこれではいけないので、この北九州石炭株式会社の株主なり取引先を全部網羅するということはできないだろうが、できるだけ鮮明するように、私の方からも要求しているのでございますが、ただいまお手元にすぐ差上げる域に至つていないことをおわび申し上げます。  なお、委員長からいろいろ御注意がございましたことは、御趣旨はわかるのでございますが、故意に引きずるというようなことはございませんので、その点はとくと御了承をお願い申し上げます。
  50. 細迫兼光

    細迫委員 会計検査院お尋ねいたします。とにかくここに石炭クレームによつて、五十六万円という損失を国は負うたわけであります。これを法律的に見ますれば、その責任の所在は明らかでありまして、もし検収するに際して過失があつたものならば、これは検収に当つた者の過失によるものでありまして、国としてはその検収官のミスとしてその責任を追究しなければならない、こういう筋合いに相なる。なおまた検収官を何かのことでごまかして、規格に合わない石炭を積み込んだというようなことに相なりますれば、国はそのごまかしたものに対しましては、賠償を請求する権利がある、こういう筋合いに相なるのであります。そこで会計検査院といたしましては、どちらに責任があつたか、だれのミスであつたかというところまでつつ込んで行つて、そしてごまかしなら、配炭公団からでも何でも、とにかく直接納めたものから損害を取立てるなり、また検収官のミスであるならば、その責任を追究する。こういう手段に出られなければ、その責任を完遂したというわけに行かないと思うのでありますが、何ゆえにそういうところまでやられなかつたか、その理由をお尋ねいたしたいと思います。
  51. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの御質問の点は、確かにもつともなことだと考えます。率直に申し上げまして、古いことでありまして、当時その事態をはつきり認識して処理したかどうかについては、ちよつと今お答えいたしかねるわけでございます。
  52. 細迫兼光

    細迫委員 今や事態は明らかになりましたから、もう遅いのですが、将来これにつきまして責任の所在をつつ込んでもらいたいと思いますが、その気持がございますか。
  53. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 そういう意思はありますが、資料的に、そういうものが現在になつてどの程度あるかという点は、これから調べてみないとわかりませんので、確答はいたしかねます。意思がないということは申し上げません。
  54. 山田長司

    ○山田(長)委員 日本に物のないときに、アメリカの命令で隣の朝鮮にどんどん日本の重要な物資を出しておいて、それらの書類が全然日本に置いてないと言われるが、あなた方の常識考えられてみて、どこを調べたらその書類があると思われるのですか。この間の新聞を見ますと、書類が深川の農林省の倉庫の中に、六十箱のりんご箱の中に入れてあるということを書いてありますが、これもまんざら無根拠の書き方じやないと思いますけれども、その点について一応伺います。
  55. 中野哲夫

    中野政府委員 私からお答え申し上げます。対米債権四千七百万ドルの確認の資料といたしましては、先方の要求にもあります通り日本から朝鮮に積み出した荷物を向うが受取つたという証拠書類がなければいけない、こういう話合いで、これは向うとしては当然な話でございます。もつともに思いまして、司令部と当時の通産省の担当官との間でしばしば会合がございまして、その書類をつき合せたのでございます。これは門司なら門司、若松なら若松から物を積み出しました際に、船長がこちらから積み出したという書類を持つて参るわけであります。その船が釜山に着きますと、釜山の朝鮮における軍司令官の代行の人がこれを検収して受取つた、わかりやすく言えば判をつくわけであります。その書類日本の船でございますから船長が持ちもどつて公団等を通じて、貿易特別会計をやつておりました役所の手に入るわけであります。これらの根拠書類は大事なものでございますから、これを保管しておきまして、一時は大橋図書館と契約いたしまして、あそこにほぼお示しの通りの、それぐらいの数量のものを納めましたが、その後大橋図書館がやはり何か貸借の関係もございまして、立ちのきの要求がありましたので、深川倉庫に移して管理しておりました。そのあとでかような国会の御審議の問題になりましたので、ただいまではその書類通産省の中の会議室へかぎをかけてしまつておるような次第でございまして、お示しのように相当厖大な書類があるわけであります。
  56. 山田長司

    ○山田(長)委員 当時問題にしないでおつたといわれることが一応考えられることが一つと、朝鮮に物を輸出して不均衡な輸出入の問題が起ることは、大体常識的に考えてみて日本より朝鮮が物のないのはだれだつてわかることなのですが、一体どういう命令でどんどん朝鮮に出されたものですか、一応それを伺いたいと思います。
  57. 中野哲夫

    中野政府委員 当時の事情でございまして、その動機あるいは趣旨等については今日ああもあろうかこうもあろうかと、個人的に想像しても何もなりませんが、少くとも向うからは船積みのところまで持つて来い、輸出しろという個々のメモランダム、指令を受けまして積み出したような次第でございます。
  58. 山田長司

    ○山田(長)委員 一応司令部で担当官が命令はしたといつても、そのあと何らこの問題について日本政府に対して明確な処理方法とかいうことがされていないように考えられるのですが、担当官その他は今度の条約後どういうふうな方法であなた方にこれが解決策をいわれたものですか、それをちよつと伺いたいと思います。
  59. 中野哲夫

    中野政府委員 お答えいたします。ただいまの御質問はたいへん広範囲といいますか、お答えの点が御質問の趣旨と少し食い違うかと思いますが、わかりやすく申し上げますと、当時日本側がたとえば石炭千トンを命令によつてかりに若松で船積みいたします。その際にはレートがございませんので、日本におけるGHQの役人がかりに十ドルというふうにつけるようなわけなのでございます。それでは十ドルというのはいいかげんにつけたかというとそうではないので、おそらく当時の国際価格を基準にして、この石炭は十ドル分の値打があるだろうという評定に従つて、そういう外貨の記載をやつたものと思われるわけでございます。それらの外貨を記載しました書類は、私ども思いますのに、当時の司令部の中だけで持つておるのでございまして、それのいろいろ帳簿で累積いたしました勘定は、毎々申し上げます通り司令部でこれを記帳しておつた、それがだんだん日本側の自主性を回復すると申しますか、講和調印というようなことにもなりましたので、その外貨面のアカウントも日本側にやらせる、こういうような形になつたのが二十五、六年にかけてのことでございます。さよう御了解いただきたいと思います。
  60. 山田長司

    ○山田(長)委員 どういう問題でアメリカからの命令日本銀行に記入された帳面を消させたのか、それが理解できないのですが、もう一ぺんお答え願いたい。
  61. 中野哲夫

    中野政府委員 オープン・アカウント千六百万ドルほどを借勘定として記帳させながら、あとでこれを消せというメモが参つたのでありますが、なぜそういう命令向うが出したのか、私どもいくら想像をめぐらしても想像がつかないのでございます。
  62. 山田長司

    ○山田(長)委員 そんなばかなことはない。
  63. 石井由太郎

    ○石井(由)政府委員 これは先ごろ配付申し上げました当時の通商産業大臣のマーカツトあての書簡にも書いてございます通り、千六百万ドル引落せというお話であるが、これはどういうわけであるか、われわれとして理解に苦しむ、現金ですでに払つてあるから引落せというお話であるのかどうであるかということをわれわれの方から質問いたしておるわけでございまして、各省知恵をしぼりまして表示をしてみたのでございますが、確たる根拠はわからないということに相なつておるわけでございます。
  64. 山田長司

    ○山田(長)委員 何としても私たちははなはだ理解に苦しむのですが、一体あなた方のお考えとして何のためにその帳づらを消せと言われたか、常識的な話でもいいのですが、一応それを話していただきたいと思います。
  65. 中野哲夫

    中野政府委員 当時の担当官もまことに不審に思いまして、今石井政府委員からお答え申し上げました通り、各省とも相談をいたしたようでございますし、かなり当時としてはしつこく司令部へ問い詰めた形跡もございますが、どうしても向うはあかしてくれなかつた、まことに今日から考えますと残念しごくでありますが、そういうような占領下の状態であります。
  66. 熊本虎三

    熊本委員 先ほど私は資料を求めましたが、なるべく早くということでございますけれども、国会の日限も迫つておりますので、いつごろまでに出してもらえるかということをひとつこの機会に御答弁つておきたいと思います。  それから検査院の方には、先ほど答弁で大体妥当であろうかと思いますけれども、過ぎ去つたことでもありますし、なかなか書類の収集並びにその最後の決定ということについても困難であろうと思いますが、とにかくこういうような重要な関連性を有するものでありますから、たとえばこの問題に関する五十数万円というような金額は別といたしまして、このけじめについては明瞭なるお答えができるようにお願いをいたしておきたい、かように存じます。  次にお尋ねいたしたいことは、政府の出された資料を見ますと、たとえば日本から輸出する一切の貿易品というものは何らの価格の協定なしに命令通りに積み出して、あとは向うからの指示に基く日本銀行への通知によつて記載しておる、半面向うから来る品物は、これが価格が幾らであつて、そうして日本が償還すべき貿易品であるのかあるいはガリオアイロア等によつて日本に援助すべき物資であるのかということがわからないのみならず、その価格を一体どういうふうに向う請求するかということすらわかつておらないようであります。さような、言いかえまするならば、まつたくのやみ取引であつて向うさまの仰せのままに動いたにすぎない、こういうことのように解釈されますが、はたしてそういうような解釈でよろしいのですか。
  67. 中野哲夫

    中野政府委員 少くとも二十三年度末ぐらいまでは、今お話のような結果から見まして、形はそういうことになつております。
  68. 細迫兼光

    細迫委員 先ほどクレームを受けた石炭の問題でありますが、先ほど五十三万円の損だと私申し上げましたが、これを調べてみますれば、第十三雲洋丸に積み込んだ石炭が、七百五十トン返された、それから松丸という船に乗せた石炭が、八百トン返されておる。これらの諸掛り、海上運賃、滞船料など、いろいろこうしたものを集めますと、第十三雲洋丸によるクレーム損失ちよつと百三十万円、松丸による損失が百四十三万円、ざつと二百七十万円ということになりまして、われわれ貧乏人から見ますと、ますますこれをそのままほうつておくのはもつたいない気がするのであります。先ほど会計検査院では、古いことだし、よくわからないから、調べるのがむずかしいだろうというお言葉でありましたが、当時とにかく国が買い上げたのでありますから、その代金は配炭公団に払つたのか、あるいは貿易商社に払つたのか、払い先は容易にわかるんじやないか。そして先ほど言いましたように、納める方に過失があつてこういう損害が起つたならば、国としては当然損害賠償の権利ありとして請求できるのであります。なおまた、検収官が何かまるめ込まれてこういう不都合が起つたということになれば、その責任はいよいよ重大でありまして、われわれはあくまでこれを追究しなければならぬと思う。私は思うに、そうむずかしい話ではないのじやないか。代金は払つたに違いないから、代金の払い先を調べ上げるのは、今でもそうむずかしくないのではないかと思うのでありますが、御感想はいかがでありますか。
  69. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ごもつともだと思います。配炭公団会社に払つたということはわかると思いますけれども、大分前から問題になつておるのでありますが、その買つた会社のどのものを輸出したかということは、書類上は的確につながりがないということか第一点。それから公団がなくなつておりますから、かりにそこがわかるとすれば、当時の担当者か何かをたぐつて行けば、あるいはわかるんじやないかとも思います。それから当時の検収がよかつたかどうかということになりますと、それをたぐつてつた上で、当時の担任者がどういう検収をしたかということまでやつて行かないと、出て来ないと思います。あるいは当時検査しておるかとも思いますが、今になつてみると、ちよつとわかりません。そういうことになるから、非常にむずかしいということを申し上げたわけであります。
  70. 細迫兼光

    細迫委員 私は非常にむずかしいとは思わないのであります。相当むずかしいだろうとは思います。しかし努力すればわかるだろうと思う。どこの山から納まつたかは別としまして、とにかく政府買つて、その公団に金を払つた。そこに責任があるのです。もし規格に合わないものをごまかして入れたとすれば、それからあとたどつて行くのはむずかしいでしようけれども、金を払つたところだから、そうむずかしくはないと思う。いかがでしようか。
  71. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私は当時の担任者か何かをたどつてみなければ、とうていわからないと思います。それからもう一つは、向うクレームがついて返つて来たということが、実質的に向う様はいやだからということで返つたのか、あるいはカロリーがほんとうに足りなかつたのかということを、確認をしなければならぬと思う。そうなつて来ると、非常にむずかしいと考えております。
  72. 田中彰治

    田中委員長 あなたの説明ちよつとおかしいですよ。それからも石炭がどんどん行つているのですから、石炭がいらないから返したのではない。どんどんあと行つているのですから、悪いから返つたことはわかつているでしよう。朝鮮輸出するときに、政府が金を払つた先は、公団であろうが、貿易商であろうが、日本石炭であろうが、払つたところから金をとることが、どうしてそんなにむずかしいですか。山元までとるということならばむずかしいですよ。しかし山元でもむずかしくないですよ。石炭はたとえば何の銘柄という銘柄があるから、どこの炭鉱とどこの炭鉱から出た何の銘柄のどの石炭を、どれに積んだということになつたら、銘柄を調べればわかる。山はわからないとしても、払つたところを調べるのがどうしてそんなにむずかしいですか。会計検査院はどうも頭がおかしい。
  73. 細迫兼光

    細迫委員 会計検査院、聞いてください。非常にむずかしいと思うと、出るときから勇気がくじけますから、必ずできる、そうむずかしいものではない、がんばれば飛び越えられる障害だということでもつて、ひとつ検査に馬力をかけていただきたいと思います。
  74. 柴田義男

    柴田委員 私ども考えておるには、会計検査院は非常にまじめに、厳正公平にやつておると実は想像しますけれども、地方の諸官庁なんかでは、十日ぐらい前に、何月何日にお前のところに行くのだという指令すらも出して行つておられる。こういう現実の状況なんです。そうすると、型のごとく一切の帳簿をそろえておいて、検査院が来られると、簡単にお見せができる。そういう仕組みばかりやつて、そういう習慣になれておられる。そういうことじやけしからぬと思う。この点がいけないと思うならば、どこまでも会計検査院みずからの力で徹底的に調査をなさる、そういうお考えはございませんでしようか。
  75. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま会計検査院検査方針あるいは方法について、ごもつともな御意見でございます。会計検査院といたしましても、物品あるいは現金の関係で、抜打ち的に検査をしなければ、検査の結果が十分上らないというような性質のものにつきましては、国会での御意見等もありますし、従来も抜打ち検査を努めてやつて参りましたが、一層今御意見のような御趣旨によつて検査をやつて行きたい、こういうふうに考えております。
  76. 田中彰治

    田中委員長 どろぼうをつかまえに行くとき旧、いつの何日にお前をつかまえに行くからと言つてつたのでは、みんな逃げますよ。国税庁がそうでしよう。査察に行くのに、脱税があるからいつの何日に査察に行くと言つたら、帳面は一冊もありませんよ。なるべく抜打ち的にやるようにしてください。
  77. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はガリオアイロア物資問題につきまして、できるだけ重複を避けまして、どうもはつきりしない点、及び関連事項について、まず伺つてみたいのであります。これはアメリカからの輸入物資でありますから、主管省は通産省であろうと思います。その際に、通産省ガリオア物資従つてその勘定について、どういう性格のものであるかを決定する第一次的な官省であると思うのですが、その両者はいかがですか。
  78. 中野哲夫

    中野政府委員 終戦後アメリカから舶載されて参りました物資日本で受取れというメモランダムがございまして、それを受取る機関は当時の商工省貿易庁であるというメモランダムの指令の内容でございます。従いましてただいま御質問政府機関は商工省貿易庁に間違いないのでございます。それを受取る際に、その小麦なり、その塩なり、その鉄鉱石なりがガリオア・フアンドであつたか、イロア・フアンドであつたか、あるいは直後には正常輸入ということはないわけでありますが、     〔委員長退席、柴田委員長代理着席〕  正常輸入のものであつたかというような点につききましては、援助物資特別会計ができました昭和二十四年四月一日以前のものについては、つかみ得なかつたのでございます。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の第二に尋ねましたのはそういう事柄の概況じやなしに、主管省が元の商工省下の貿易庁従つて今の通産省であるとするならば、ガリオアイロアの性格を決定するのは、最終的には行政府としては総理大臣であるかもしれませんけれども、まず主管省である通産大臣ガリオアイロアの性格を決定する第一次的な大臣であろう、こういうふうに考えるのですが、いかがですかと、こう尋ねたのです。
  80. 中野哲夫

    中野政府委員 ガリオアイロアの性質をとりきめると申しますのは、ただいまとりきめるとすればどこという意味でございますか。当時でございましようか。
  81. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 質疑の趣旨は、当委員会におきましては、ガリオア物資ないしはガリオア勘定なるものははたして日本の債務として考うるべきものか、あるいは日本流で言う贈りものとして考えてよいのか、この点が一応質疑の課題になつているわけであります。そこでそういうことについて、これを扱つておる政府は一応見解をきめなくちやならぬ。見解をきめるについては、大蔵省主管のものは大蔵大臣が一応考え、農林省の場合は農林大臣が、法務省の場合は法務大臣考えるごとくに、この場合の主管省が通産省であれば通産当局が、元の商工大臣、今の通産大臣がまず一応見解を明らかにするというのが順序じやないのですかと、こう聞いておるのです。——むずかしいことじやないのです。あなたにその最終見解を大臣にかわつて述べてくださいと言つておるんじやないのです。
  82. 中野哲夫

    中野政府委員 お答え申し上げます。少くともこういうことは申し上げられると思います。昭和二十三年度末までの向うから来たものがガリオアであつたか、イロアであつたか、正常物資の輸入であつたかということは、当時の貿易庁としてもぜひ知りたかつたことだと思います。同時に正常輸出もございますから、ドルによる勘定もどういうふうに減つたりふえたりしておるかという中味も見たかつたに違いないのでございます。これらは、日本側としては当然知りたいということで、当時担当官もいろいろ努力いたしたのでございまするが、ガリオアイロアはどういう性質のものであるかということも、またガリオアイロアのドルの勘定はどういう中味になつておるのかということも、遺憾ながら当時は知り得ない状態であつたわけでございます。なおついせんだつて調べたのでございますが、第五国会当時においても、予算委員会、大蔵委員会等におきまして、ガリオアイロアの性質は何ぞやということがしばしば——御記憶にもございますと思いますが、論議にのぼつておるのでございます。私ども今日その速記録調べました範囲では、なお最後的にはつきりいたしておらぬというような状態でございます。
  83. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題はよそ事のようにおつしやらずに、やはりあなたの省で主管しておる問題であり、ガリオアイロアに入るべきものか、そうでない、純商業的物資に属するものかということの区別が、具体的にある物資の、ある量について、つくかつかないか、ついたのかつかなかつたのか。個月何日に受取つた何の物資の量はどちらに属するのかということを決定するということは、確認するということは困難だつたというのが、今の御説明なんです。私はその点を聞くのではなしに、あなたの省が、内容の区別にあらずして、これがガリオアイロア物資なりということになるならば、ガリオアイロアとはそもそも何ぞやということについて政府の見解を決定するのは、最後は総理大臣であろうけれども、まず第一主管庁である通産大臣の見解が、最も権威のあるべき順序ではないかということを聞いておるのですから、その点についてお答えができなければ、次に進みます。
  84. 中野哲夫

    中野政府委員 お答え申し上げます。ただいまの御質問の点については、御指摘通りきわめて重大な問題でございますから、内閣といたしまして最終決定は、当時にせよ、ただいまにせよ、総理大臣がおきめになるごとと思います。ただガリオアイロアとは何ぞやというようなことを——今日われわれ勉強はいたすのでございまするが、アメリカが日本を援助したのでございます。従いましてアメリカの意思がどうであるかというようなことを確かめると申しますか、聞かなければならぬと思います。その面におきましてはこれは渉外事項に相なるのではないか、はなはだ常識的な申し上げようでございますが、そういうことであります。
  85. 山田長司

    ○山田(長)委員 関連して。ちよつと私頭が悪いのでわかりやすく伺います。これはちようど友達にコーヒーを一ぱいごちそうになつて、続いて二、三べんごちそうになつて飲んでいるうちに、その中に金目なウイスキーか何かちよつと入れてあつたと解釈して、そうしてそのコーヒーだけの分は大して価値はなかつたが、少しウイスキーを入れてある分は、長い間ごちそうになつたけれども、一応金に換算しい返さなければならぬじやないかというように感じておられるのか、一体政府は、戦争直後アメリカ政府日本によこした物資を、そんな解釈で今金に見積ろうとしておられるのかどうか、一応伺いたいと思います。
  86. 中野哲夫

    中野政府委員 あまり巧妙な比喩を用いられましたので、御質問の趣旨がよくわからぬのでございまするが、今の設例で申しますと、初め二はいぐらいごちそうになつたときは、これはただもらつたんだと思つてつたが、そのうちウイスキーが入つて来てから、これは少し高いものであるからまたお金でも返さなければならぬ、あるいはおごり返さなければならぬじやないかという感じがうつすらしなかつたか、こういうお尋ねでございますか。
  87. 山田長司

    ○山田(長)委員 気がつかないというのはおかしいですよ。それは国会で国民は感謝決議をしておるんですから。
  88. 中野哲夫

    中野政府委員 その点は前にも申し上げました通り、今日から考えますれば、それの区別をはつきりするというような努力が足らなかつたんじやないかということは、平和条約も発効し、独立国になりますれば、そういうことは申せると思うのでありますが、当時は、気持では担当官もやまやま思つてつたものと想像されるのでございますが、結果においてそういうことが行われなかつたということを申し上げるよりしようがないのじやないかと思います。
  89. 山田長司

    ○山田(長)委員 結果において、国会で感謝決議までしておいたアメリカの援助物資というものが、金に換算をして、日本国民の負債となつて今ここに残ろうとしている重大な問題なんですから、そういうことが起るか起らないかわからないにしても、やはりあつたことはあつたことで返さなければならないと道徳的に考えられるが、政府としては、全然それを何も考えないで今日まで過ごして来てしまつた、こういうことに解釈していいですか。
  90. 中野哲夫

    中野政府委員 重大な問題でございまして、私からお答えすべき限りでもないと思いますが、私が思いますには、これを全然うつちやらかしにしておつたということではなしに、やはり広い意味の一つの渉外——私から申し上げると、これは領分外のことでございますが、政府といたしましては、広い意味で、長い意味で、渉外的に解決すべき、交渉すべき問題と考えておられるのではないかと想像いたされるのでございます。
  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さつきの問いに対しまして、中野政府委員は、ガリオアの性格を決定すべき政府の見解としては、総理が述べることが最も代表的だというような御趣旨の御答弁がありましたから、その点はやはり最終的には総理に伺うことにし、アメリカにおいていかなる性質のものと規定しておるかということに対する日本政府の見方、見解としては、外相が適当であろうという御見解なので、この点は外相に伺うこかにいたしましよう。  そこであなたに伺いますが、対日援助物質の数量について、およそ各般の情報からいたしまして、あなたの方の御見解をなお確かめておきたいと思うのであります。昨年の十一月アメリカの商務省において概括的な報告がされております。これによりますると、対日援助として贈与の分、これはわれわれの言ういわゆる贈りものになるのか、あるいは贈りものにならぬのかという点には問題があろうと思いますけれども、グラントとかプレゼントとかいう言葉が使われておるようでありますが、これの数量は大体二十一億五千九百余万ドルとなつておりまするが、通産省においては、この点の数字はどういうふうにつかんでおられるのかお確かめしたいのと、さらにその他に資金が日本へ送られて参りまして、日本において内地物資を収買して援助に充てた、こういうものの大体の数量、こういう点について政府の持つておられる数量を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  92. 中野哲夫

    中野政府委員 アメリカ側の発表しておりまする対日援助物資日本へ送りつけた金額が、ドルで幾らになるかという点については、いろいろな数字——と申しますと語弊がありますが、二通り、三通り数字があるようでございます。ただいま吉田委員からお示しのものも、私の方の記録には載つておるのでございますが、今私どもが各種作業と申しますか、考え方を固める基準に使つております数字によりますと、昭和二十一、二十二、二十三年度までにつきましては、こまかくなつて恐れ入りますが、司令部のESS、PSD、ナンバー五一、ナンバー四六という向うの統計によつておるのでございまして、それが昭和二十一年度においては、一億九千二百八十九万三千ドルに相なつております。越えて二十二年度におきましては四億四百四十三万四千ドル、翌二十三年度は五億八千七百九万二千ドルに相なつております。昭和二十四年度からは、対日援助物資特別会計が設けられましたので、これははつきりいたしておるのでございまして、その数字を申し上げますと、二十四年が四億八千三十九万八千ドル、二十五年が二億七千四百八十九万ドル、二十六年が一億一千四百四十万二千ドル、二十一年から二十六年度までの累計が二十億五千四百十万九千ドル、かように相なつております。前半三年についてはアメリカ側の統計、後半三年間については日本側の統計で、木に竹を継いだようにも批判されるので残念でございますが、今申し上げた数字を基礎にいたしております。
  93. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この数字につきましては、終局的確認ということには、なお幾多の作業が伴わなければならないかと考えます。  そこで、このガリオア物資……。大臣見えたようでありますから……。     〔柴田委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと委員諸君に申し上げます。今参議院の予算委員会へ行つて外務大臣を強引にひつぱつて来たのですから、十五分だけで帰してください。
  95. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは私自身簡単に外務大臣に伺います。  まずガリオア物資の問題でありますが、アメリカにおきまして、日本に対して相当な好意をもちまして、占領中物資を送つて来たらしいが、しかし他面から見ますと、それは占領目的達成のために、日本国内におけるあるいけ民生、福祉、社会不安、疾病等々に対する救援の趣旨で、日本の占領目的達成のために最も重要な役割を持つたものと思われますが、このガリオア勘定に対してアメリカは何と考えておると一体政府はお考えになるでしようか。日本政府としましては、あるいは最終的な御意見はこの際御無理かもわかりませんけれども、少くともクレジツトとみなし得ないような、商業勘定でないという部分は、どういうふうな性質のものとお考えになるでしようか、われわれへのほんとうのありがたい贈りものとして受取つたというふうにお考えになるでしようか、そうでなく法律的な債務がついておるとお考えになるのでしようか、政府の意見及びアメリカにおいてどう考えておるかということについての外務省の見解、この二点をお尋ねしたい。
  96. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 この点につきましては、実は法律的には、はつきりいたしておりません。しかしながら、まずわれわれの承知しておるところでは、同様の状態はイタリアにもありましたし、ドイツにもあつたのであります。そこでそういう援助の関係については、正確には私は覚えておりませんが、イタリアとかドイツとか——ドイツなど特に六割ばかりを帳消しにして、残りの三割何分というものをたしか三十年間に支払うということにいたしておると思います。当時の状況を見ますと、終戦のときは私は終戦連絡中央事務局の長官をやつておりまして、直接司令部と交渉する立場にありましたけれども、もう実に内部は、はなはだしく混乱しておりまして、アメリカから何でも援助の物資が来ますれば、それを帳面につけるでもなければ、量目を正すでもなく、すぐ公団に渡したりなんかして、配給の遅配しておるところを埋めるということで、ほとんど右から左にという状況であつたのであります。こういう状況でございますから、その当時これはもらうものであるとか、あるいはあとで返すものであるとかいうことでなく、ともかく物をもらわなければならぬという非常にせつぱ詰まつた状況で物が来ておつた。それはだんだん直りましたけれども、初めは確かにそういう状態でありました。またこんなことを申すと、こういうちやんとした委員会の席上で、はなはだ恐縮でありますが、笑い話でありますが、こういうこともよく伝えられておるのであります。スペインでアメリカと援助の交渉をずつとやつてつた。どうしてもうまく援助が来なかつた。そのときにスペインの最も有力な人が、それはもうわけはない、アメリカから援助をもらおうと思うならば、あしたでももらえる、どうするのだと言つたところが、アメリカに宣戦を布告して、アメリカに負けて、スペインをアメリカに占領してもらう、そうすれば、日本のようにどんどん援助が来るから、それが一番いい方法だ。こういう笑い話もあるくらいで、つまりそれを申し上げたのは、占領軍として、占領地の秩序を維持し悪疫を防いでやるという、いわゆる占領行政の範囲だけであつたか、それ以上であつたかということになりますと、日本のあの当時からの回復の状況を見ましても、占領行政の必要限度以上を越えての援助が来たということは、私は否定できない事実だと思います。そこでこれに対して国民も非常に感謝しておりますが、これはただでもらつたから感謝したのだとか、返さなければならないなら何も感謝することはないのだという議論もよくありまするけれども、あの当時、かりにあとで返すにしましても、食糧その他非常に不足したときに、とにかく立てかえでも何でも日本にあれだけのことをしてくれる国は、私はほかにはなかつたと思うのです。アメリカがやつてくれたからこそともかくあの急場をしのげたのでありまして、またあの急場をしのいで今日のような一応の経済の基礎が成り立つたところまで援助が続けられたということは、これは返す返さないの問題にかかわらず、私は非常に感謝してしかるべきところがあると考えております。そこでわれわれとしましては、ドイツその他の例も考えまして——またその前に第一次欧州大戦のあとでルール等を連合軍が占領しましたが、そのときなどは占領費などを非常に強く取立てて、ルールの国民が非常に困つた事態なども考えまして、これは債務と必得てしかるべきものだとわれわれは考えておるのであります。但し、いまだ額等において何ら話合いがついておりませんから、債務として国会の承認を求めるところには行つておらないのでありますが、ともかく債務と必得ておるという立場をずつと続けております。アメリカ側としては、その点いかにするかということについては、明確な意思表示はいたしておりませんけれども、われわれの考えを了承いたしておるとは考えられるのであります。いずれにしましても、実際にガリオアその他の物資が正確にどれだけの数字で来ておるかというその数字の基礎だけははつきりしようじやないかということは、占領当時からアメリカ側もいつて来ておつたのであります。われわれもこれを返すとか、あるいは債務と認定するかどうかというような問題は別にしまして、そういうことはすべきであると思つておりましたけれども先ほど申したように、当時急場に間に合せた意味で書類等も十分ではないものもありましようし、またそれがどこに行つたか正確に跡をたどつて今からはつきりさせるということについても、よほどこれは綿密にその当時の資料を集めなければできないことであります。またよく調べると、一部はたとえば朝鮮に行つたかもしれぬとか、あるいは沖縄に行つたかもしれぬという種類のものもあるかもしれないという点もありますので、まだ帳面とつき合せて、これだけが実際日本に来たのだということをやるだけの資料が、こちらに整つておらない、これは早くやらなければ、おそくなればなるほどそういう資料が散逸する心配がありますけれども、いまだそういうところまで行つておりませんために、まだ先方の話合いに応じておりません。それが現状であります。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 たとえばドイツにおきましても、新しいマーシヤル・プランによつてドイツ自身がいろいろと援助を受けるという関係になつておる。それから朝鮮あるいはイタリアの例に見ましても、請求権といいますか、全然請求しないという、権利放棄というような措置がどうもとられているらしいのであります。あるいはまたアメリカのガリオア歳出法の説明等によりましても、使い道は書いてあるけれども、償還を受ける、返還を受けるということはどうも見当らないらしい。こういうような見地から見まして、あるいは当時日本が困つておりましたにはしろ、実際において占領目的の達成というものは、軍隊がジープで走るということよりも、その内面のただいまの物資というものが非常に大きな効果があつたと思う。占領目的達成のためには最も大きな役割を果しておるのではないか、こういうような各般の観点からいたしますと、今ただちに日本としてはこれをもらつたものでございというような意思表示をすることの可否は別問題といたしまして、どうもあからさまにこれは債務でございということは、進んでいうべき筋合いのものではなく、話合いによりましては、やはりこれはもらつたことにおちつく、こういうことになるべき外交的な余地が、まだ多分に、残されておるのじやないか。逆に今の数字の応答によつても相当明らかになつておりますが、二十億ドルを越えるというような大きな負債ということになりますれば、まさに天文学的の数字でありまして、たいへんなことにもならうと思いますので、あるいは免除をしてもらえるべき含みのある外交的余地が多分にある問題である、この程度には考え得られるものじやないか、こう思うのでありまするが、いかがでございましよう。
  98. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 政府としては、負けてもらえる余地のあるものだというようなことを申す立場にはないのでありますが、日本の経済の立ち行くようにということは、政府はもちろんでありますが、アメリカ側も考えておることでありまして、またアメリカ側が今まで払えといつて非常に強く督促しておる事実もないのでありますけれども政府としましては、やはりこういうものは、とにかく人から物をもらつたのであるからして、その力の及ぶ範囲では返したい、こういう気持を申し上げるよりいたしかたないと思います。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは次に例のいわゆる対米債権朝鮮への輸出入についての受取勘定の残り四千七百万ドルと称する問題について、少し尋ねてみたいのですが、これは通産大臣の方におきましても、明らかに商業的な債権として、法律的な性質を持つた日本のアメリカ政府に対する債券であるというような明確な御答弁があつた次第であります。もちろんこの点は政府におきましても、一致しておられるものと思います。この間あなたの方の経済局長の方からも、昨年来アメリカ大使館の方と交渉を続けておるという御答弁もありまして、この点予算委員会におきましても、あなたから御答弁があつたと私は承知いたしております。そこで問題は、この債権は債権としてアメリカに交渉する、これを独立して、そのままにそのものだけを交渉するという手を打たれるのか。それともそうでなくして、ガリオア勘定とからめた問題として、一括交渉ということになさるのか、この点は内閣の最高の方針ということに帰するわけでありますが、外務大臣としてどうぞお答えを願いたいのですが、別々になさるのか、前者のみをするのか、一括してするのか、また前者のみをするということであれば、後者のガリオア勘定については、しばらくそのまま行くのか、あるいはこれも進んでやるのか、こういう点につきまして大体どういうような御方針が政府として策定されておるだろうか、これを伺いまして、私どもといたしましては、すみやかなる交渉の結論を得るような御努力を願いたいという観点からする質問なのであります。どういうような御方針になつておりましようか、その点について具体的な御説明を伺いたい。
  100. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これにつきましては、実は昨年の四月でありましたか、までは私もこのことをよく知らなかつたのであります。というのは、これは貿易特別会計の方の話であつて、外務省としては知らなかつた話でありますが、独立直前にそういう話がありまして、しかも将来のガリオア等の支払いと、これは一緒考えるというようなことが、マーカツト経済局長から言われたというときに、初めてこちらへも通産省から連絡がありまして承知したのであります。そこでガリオア等は今申したような事情でありますが、まだ債務として確定したものではないのでありますから、もしこれがかりに債務として確定しておるものならば、こちらのものは向う支払うのだから向うのものはこつちに支払つてもらう、そうしてその間に相殺なり何かしてもらうのが支払いの形なんだから何でもないのですが、まだ片方は確定しておりませんから、これは勢い別のものとして取扱わなければならないわけであります。ただ一口に対日援助と言われますけれども、その中にはいろいろの種類のものがあるということは御承知通りであります。その一部のものはすでにやはり貿易関係として確定しておる債務もあるわけであります。また確定しなくても、はつきり数字のわかつてつて、おそらくこれは債務になることは間違いないだろうと思われるものもあるのであります。従つてそういうものについては、一向こちらはまだ手続を進めておりませんから、その間にこれだけを話してとにかく現金を支払えということは、なかなかむずかしいのであります。従つて今までも話合いはなかなか進んでおりませんけれども、これは実はごく大まかに申しましても、アメリカ側に支払うべき筋のもので、まだ支払つていないものは、おそらくこの四千七百万ドルよりは多いであろうということは、私は言えると思うのであります。従つてその間の交渉というものは、そう簡単にこちらのとるものだけはよこせというわけにはなかなか行かない事情もあるのであります。向うも、やはり向うに払うべきものは、一旦払つてくれといつてもしかるべきかと思われるものもやはりあるのでありますから、この交渉は進まないではなはだ恐縮でありますが、事情は実はそういう点が相当あると思います。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 経済局長から、アメリカの大使館とお話になつておることをこの間聞きましたが、これの内容は、言えなければもう聞かぬでよろしうございます。  それから直接アメリカへ行かれてか、日本におる米大使を通じての話か、あるいはこれも参議院で問題になつたようでありますけれども、総理の渡米ということがうわさに上つておるようであります。そういつた何か特別の方法をもつて積極的にやろうという意図が政府部内に動いておりませんでしようか。その点を伺つて私はやめておきます。
  102. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 こちらでもつて交渉しておりますのは、主としてまず第一にはガリオアイロアとは性質が違うものであるから、これは離して話すべきものである、そうしてできるだけ早く、アメリカ側からいえば債務を確定して、できれば支払方法まで行つてもらいたいと居つてつておるのでありますが、それは先ほど申しましたように、まだ申し上げる程度に進んでおりません。  それからガリオアイロア等につきましても、いつまでも不確定のままにほうつておくのもどうか、もう独立して一年以上たちますから、もうそろそろこういう問題もはつきりした方がいいではないかという議論も非常にありますが、これはよほど取扱いを慎重にしなければいけないのであつて日本として不必要ではありませんが、力に沿わないような債務を負うということもなかなかむずかしいわけでありますから、この問題はまだ慎重に研究しておるという段階であります。  総理の渡米というような説は、いろいろいわれておりまするけれども、総理自身は役に立つならば行くけれども——つても一向さしつかえないけれども、はたして役に立つものかどうか、いろいろな諸般の事情もありますので、全然まだきままつておるということにはなつておりません。
  103. 田中彰治

  104. 柴田義男

    柴田委員 私は非常に外務大臣の御出席をお待ちしておつたのですけれども、本日おいでを願いまして、たくさん伺いたいところがございますが、また時間が制約されましたので、ごく簡略に伺いたいと思います。  最初に対米債権の問題でありますが、昭和二十年の十月から、二十五年の三月に至る間の四千七百万ドルであるか五千五百万ドルくらいになりましようか、われわれといたしましてはまだはつきりした数字を押え得ないでおるのであります。通産省当局は四千七百五万ドル余と言つておりまするが、またわれわれの集めました資料によりますると開きが相当あるように考えますが、この数字は別といたしまして、この問題に関しまして一番混乱を生じました根本的な原因は、当時占領下にありましたので、輸出関係外貨勘定は連合国総司令部に属しておつたからである、こういう今までの御説明でございました。そういたしますると、占領下におきましては日本から他の国に輸出いたしました物資に対しましても、アメリカ当局だけが一切の書類を持ち、一切の計算を立てて、日本の外務当局はこういう状態の場合にまつたく形だけの外務当局であつたのでございましようか、その一点を承りたいと思います。  第二点は、ガリオアイロアの問題でありまするが、これもしばしば承りますると、援護物資として入つて来たものであるか、貿易物資として入荷されたものであるか、その区分がつかなかつた。ただいまの外務大臣お答えによりましても、そういうことを裏づけされたようなお答えでありまするが、そういうふうに援護物資あるいは貿易物資という区分がつかない状態において入つて参りました物資が、現在になつて、それは二十億ドルである、あるいは十五億ドルである、こういう根拠はどこから出た金額的な根拠でございましようか。この二つを承りたいと思います。
  105. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 第一の点につきましては、外務省は当時は外交関係を設立しておりませんので、遺憾ながら占領下におきましては外務省の機能は発揮しておらなかつたのであります。しかしかりに外務省の機能が発揮しておりましても、こういう貿易特別会計等の問題は外務省の所管ではないのであります。外務省で対外開係で貿易等をやりますのは、通商協定を結びましたり、その他いろいろのあつせんをやつたりするので、貿易の実質につきまして外務省がタツチしておらないのは、役所の規定からいつてもその通りであります。従いまして遺憾ながら外務省としてはこれについて多くを申し上げる材料もありませんし、また実際できないのであります。  それから第二の点でありまするが、今のお話の援護物資であるとか、援助物資であるとか、貿易物資であるとか、あるいは額ということになりますれば、これも実は外務省が受取つたものではないのでありまして、その当時いろいろの役所がありましたが、あるいは貿易庁に行きあるいはその他それを所管しておりまするところに参りました。大蔵省に行つた分もあろうと思いますが、実際の物資を外務省が、とにかくトンネルでも一旦外務省の手を通してよその省へ行くというような形になつておりません。従いまして数字等につきましてはわれわれの方には資料がないのであります。これはそれぞれの主管庁でまとめたものを合計して見る以外に方法がないのであります。しかし私の承知しているところでは、先ほど申しましたように、まだ両方の書類を突き合せたわけではありませんから、どの額が正確だということは言えないのであります。
  106. 山田長司

    ○山田(長)委員 簡単に一点だけ。一体アメリカで債権と言つていないのに、日本だけで一生懸命債権だといつて大騒ぎをやるのは実はおかしいと思うのです。しかしこのことについては、たいへんな問題ですから、今ここで論争をしようとは思いません。ただ問題は、来た物資の値段はどういうふうにして一応どこでつけるのか、これを伺いたい。
  107. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これはおのおのの主管庁でやるのでありまして、それは通産省の部分もありましようし、その他の機関でやる部分もありましよう。少くとも外務省では取扱つておりません。
  108. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますると、外務省では数字的な結論が出なければ外交折衝に入り得ないという機構でございましようか。
  109. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 こういう問題につきましては、先方には数字等がそろつているのじやないかと思いますが、それを材料にしていろんな話をいたしますれば、先方の数字の材料だけになりますから、こちら側の材料がとりまとまつたときでなければ適当でない、こう考えております。
  110. 天野公義

    ○天野委員 一点だけ簡単にお伺いいたします。終戦処理費が昭和二十一年から二十六年度まで総計四千九百億円くらいございますが、これはガリオア等の援助費と関連して考えることはできないでしようか。また終戦処理費について平和条約交渉過程において、何か米国その他の占領国と交渉があつたかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  111. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私は当時平和条約の関係を担当しておりませんで、内閣官房長官をいたしておりましたものですから、突然のお話で調べて来るひまもありませんので、この点ははつきり申し上げられません。しかし国際法的に申し上げますれば、この占領費というか占領行政費というか、占領軍がその占領した土地から取上げる金というものは従来は非常に厳重なものでありました。先ほど例に引きました連合軍がドイツのライン河のこちらのルール地帯を占領いたしましたときも、その計算は、単にそこで必要とした費用ばかりでなくて、その軍人の月給であるとか、被服であるとか、装備であるとか、こういうものまで全部計算しまして、ドイツ側にこれは賠償等に優先するといつて取上げたのでありまして、従来の国際法からいいますと、これは非常に厳重なものであります。ただ今度の占領にあたりましては、だんだん考え方が違つて来まして、その国の国力をなるべくいためないようにという趣旨が大分入つて来ましたから、比較的そこのところはやわらかくなつて来ました。これに対してだんだんこちらもそれに乗じていろいろなことを言うようになつて、これもやめてくれ、あれもやめてくれなんていろいろやりましたが、実はもとは有無を言わさず占領地から取上げたというのが、普通の国際法的な観念であります。そこでガリオア等はこれは向うから持つて来る物資でありますが、実は日本軍の当時でも、御承知のように現地調弁というので、そういうものを持つて来ることはなかなかしなかつたものでありますが、だんだんこれが持つて来るようになつたのであります。そこで占領費という、終戦処理費日本では言つておりますが、この費用とこういうものとは全然別個のものでありまして、とにかく何にも先だつて終戦処理費というようなものは支払うべきものであるということになつておりました。われわれが通例国際慣例から取扱つておりますと、ガリオア等で相殺するという観念はちよつとないのじやないかと思つております。交渉がどういうふうにありましたか、あるいは全然ありませんでしたか、私は国際法から言いますと、こういう占領費をほかの債務ととりかえてくれなんていうことは、国際法的には言わないであろうと思いますけれども、実際のことは実は知らないので、はつきり申し上げることはできません。
  112. 藤田義光

    藤田委員 私は本日ただいま決算委員を拝命したばかりで、過去のいきさつを存じませんが、ただいまの外務大臣答弁は実に支離滅裂です。私たちは占領中にアメリカからイロアガリオア資金等が来たということで非常に感謝しておつた。マツカーサー元帥に対する感謝状等はこの貸金が非常に左右しているわけでありまして、もしこの資金の性格が単なる貿易として日本取引されているものであるとすれば、終戦処理費考え合せまして、私たちはアメリカに対する国民の感情にも非常に重大な関連があると思うのであります。従いまして本日の外務大臣答弁では、この点に関するはつきりした率直な答弁がない。ぜひひとつ決算委員長におきましては、近い将来にその政治力を発揮していただきまして、じつくりとひとつ外務大臣を呼びつけて、追究する機会を与えていただきたいということを、議事進行に関連してお願いする次第でありますが、どうぞよろしく……。
  113. 田中彰治

    田中委員長 さようにとりはからいます。通産大臣はもう十分たつとおいでになります。一時間半の時間があるそうですから、どうぞゆつくり質問してください。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは為替局長の所管事項かどうかがちよつと疑問でありますけれども、前々回の委員会におきまして若干質疑して、なお結末をつけておらぬ問題があるのであります。それは二十七、八年度の予算説明によりますと、二十七年度に百十億円、二十八年度に百億円の平和回復善後処理費というものが予算に組まれております。そこでこれの説明によりますと、対日援助費の返済ということになつております。対日援助費の返済というのは、はたして何を返済しようとするのであるか。私どもガリオアイロア勘定との関連をもちまして、何をこの返済に充当しようとしたのかということについてはつきりさせたいと思うのですが、あなたが御答弁できればしてもらいたい。
  115. 東條猛猪

    東條政府委員 平和回復善後処理費は、二十六年度に百億円、二十七年度に百十億円、それからただいま御審議を願つております二十八年度の予算にも百億円あつたと思います。これは実は本来主計局長その他国庫当局から御答弁いたすべき問題でありますが、先般来私出席しておりませんでしたが、そのような御趣旨のお尋ねがあつたということでございましたので、本日主計局関係は参議院の予算委員会関係でこちらに出席できませんでしたので、一応関係責任者としてはその予算の説明をどういう心づもりで書いたのかということを、実は尋ねて参りましたので、そのことをお答え申し上げたいのでありますが、平和回復善後処理費の予算の説明といたしまして、対日援助費の返済と書きましたのは、先ほど質疑応答がございましたように、もし、あるいは万一と申し上げた方がいいかと存じますが、外交交渉等が進みまして、ある程度の部分でも債務の返済として予算の歳出は計上すべき事態が起るかもしれない。そういう場合のことを考えまして、この平回復善後処理費の計上の一つの理由にした、こういうことが当局の考えのようであります。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは広く対日援助と申しましても、何をさそうとしているのであるか、それが一つ。  それからもう一点、将来外交交渉ががあつて、その結果支払うことを必要とすることが起つた場合に充てるというようなことは、これは具体性がないことであります。具体性がないときにかかる費目の予算を編成することは、財政法上いかがかと思います。まつたく具体性のない場合には、予備費という制度も財政法上認めておるのであります。だから具体性のない問題が将来起つたならばそのときにというような、まつたく将来の未定に属するようなものならば、ここへ記載すべきものじやないと思います。その二点を伺いたい。  もしあなたが聞いて来た話だからというのでは、それは大蔵省答弁にならぬのでありますから、それならば大蔵大臣に聞くか、主計局長に聞くかしなければならぬ。ガリオアイロア勘定問題は、日本の債務としてまだ政府は明言したことがないはずです。現に今外務大臣も、また元の通産大臣も、その点について遂にぼやつとしてしまつたのであります。副総理にしましても、この間精神的な法律的な債務というような、何か曖昧模糊たる答弁しかないのであります。しかるにもしこのガリオアイロア勘定を、日本の債務として支払うものと想定してここに書いたとするならば、その片鱗が現わ、れたことになる。氷山の一角がちよつと頭を出したことになりまして、政府の債務を認めるという大きな前提に立つたその一角の露出になりますので、これはたいへんなことでありますから、それで尋ねるのであります。でありますから、聞いて来たというのでなく、大蔵省の御意見として御答弁ができるなら、そのつもりでひとつ答えてもらいたい。
  117. 東條猛猪

    東條政府委員 念のため一点だけ申し上げておきますが、平和回復善後処理費は、今私から申し上げました、いわゆる対日援助関係の、万一起り得べき事態を想定したということのほかに、これも前日政府委員から説明があつたと思いますが、外債処理関係でございますとか、あるいは連合国財産の返還関係でございますとか、あるいは当時の司令部との——これは二十六年度に該当いたすのでありますが、特殊の話合いの定点観測とか、あるいは解除物件の関係でありますとか、そういう各種の項目にわたりますところの経費を、この平和回復善後処理費に含んでいる。決してこれが対日援助関係の経費のみ想定しているのではないということだけは、お答え申し上げておきます。  しからば対日援助費とこの経費との関係がいかに相なるかという点でございますが、御指摘のように、私は直接責任者ではありませんから、先ほど申し上げました以上の御答弁ができかねますので、これ以上のことは別途の機会に、別途の責任者から御答弁申し上げることをお許し願いたいと思います。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの今お述べになりましたその他の、平和条約発効に伴う対外債務の処理に必要な経費というものは、また別に説明があるのです。そして対日援助費の返済と堂々と書いてある。その対日援助費の返済とは何ぞや、これを聞くのであります。そうしますと、委員長、この点は大蔵大臣見えたときにはつきりとお答え願うことにいたします。
  119. 田中彰治

    田中委員長 大蔵省の方と通産省の方に申し上げておきますが、外務大臣も今参議院の予算委員会からちよつと来てくれたのですが、どうも大蔵大臣通産大臣出席が悪い。今後おいでにならなければ、委員会を流して行きまして、そしてあなたの方で時間をとれば時間をとるように、私どもも覚悟します。だからあしたのうちに、月曜がいいのか火曜がいいのかはつきりしてもらいたい。午前がいいなら午前開きます。午後がいいなら午後開きます。夜がいいなら夜開きます。月曜、火曜の間に必ず開きますからはつきりしてください。そうして総理と副総理にも来てもらつて、これを解決したい、こう考えております。私の苦衷を考えてもらいたい。私は怒るとうるさいですよ。何をやり出すかわかりません。これだけ申し上げておきます。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いわゆる終戦処理費との関連の問題でありますか、これは政府としてはどこが御答弁になれますか。
  121. 東條猛猪

    東條政府委員 ちよつと伺いますが、終戦処理費のどういう問題でしようか。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 つまり日本ガリオア勘定について債務かいなやが問題になつております。これとの関連において終戦処理費の性格を聞きたいのです。それはあなたの方で行けますか。為替局長でいいですか、それとも大蔵大臣でないといかぬのか、あるいは外務省の黄田局長は見えておられるのですか、経済局長で行けるのですか、どうも主管省でない方に答弁願うのも筋ではなし、きようはもう終りなんです。大体締めくくつてしまうという理事会の申合せでやつておりますので、それで爾余の問題の重要なものと思うものは一応全部出して聞いておきたいのであります。
  123. 田中彰治

    田中委員長 これはどうですか、吉田さん、大蔵大臣から聞いたら。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではそういたしましよう。そうすると経済局長ちよつと承りますが、平和条約十四条の(b)解釈の問題であります。この点につきましては「この条約に別段の定がある場合を除き、」云々、しこうして「占領の直接軍事費に関する連合国の請求権を放棄する。」こういうことに規定されておるのでありますが、この解釈は、一応占領の直接軍事費というのと、それからガリオア勘定などとの関係は別のような解釈も外務省あたりの発行されている書物その他ではあるように見えるのでございます。しかしながらよく考えてみますと、直接といい間接といい、要するに占領の目的を達成する上におきまして、ガリオア勘定のごときは最も重要な占領目的達成の手段をなしておることは、これは申すまでもないと思うのであります。そういうふうにいたしますと、この(b)の今の点についての解釈と、ガリオア勘定との関連におきまして、もつとこれは広く解し得る余地のある問題ではないだろうか、非常に制限された占領軍の軍事費ということに限るべきではないだろうか、こういうふうな見解が確かに生じ得ると思うのであります。でありますのでこれは外務省としてはどういうような御見解を持つておられるのだろうか、これも経済局長が適当かどうか疑問ですけれども大臣がおいでにならぬから伺うのですが、いかがです。
  125. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 ただいま御指摘になりましたように、この問題は主として条約局長の方の主管でございますので、私の方からあいまいなことを申し上げるよりも条約局長の方にまわしまして、その方から確かめたいと思います。
  126. 田中彰治

    田中委員長 条約局長を呼びましよう。
  127. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしていただきとうございます。やはり疑問となるべき関連事項は一応この委員会におきましてはすべて取上げて明らかにしておく必要があろうと思いますので、おはからい願います。
  128. 田中彰治

    田中委員長 承知いたしました。
  129. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まだありますけれども、お聞きになるのでしたらどうぞ。
  130. 柴田義男

    柴田委員 この前の委員会つたと思いますが、四千七百六万何ドルというこの金額は絶対動きませんかと念を押して伺いましたら、中野政府委員から対米債権金額は絶対動かないというお答えがあつたように存じております。速記録をお調べ願えばはつきりすると思いますが、そういたしますと、われわれが正確な資料として方々見つけ出して、もしもそこに大きな開きができたといたしましたならば、通産当局責任をお負いになりましようか。
  131. 中野哲夫

    中野政府委員 対米債権四千七百万ドルの算出の基礎については私ども確信を持つております。そこでただいま御質問になりましたのはあるいはこういう意味ではないかと思うのでございますが、この前もちよつとどなたかの御質問に出ました芝浦で火災を起しました船積みの問題との関係において、それがあるいは一部脱漏があるのではないか、こういう意味での御質問でございましようか。
  132. 柴田義男

    柴田委員 単にあの芝浦の白鐵丸の焼失の問題だけでございません。根本的にこの輸出物資の脱漏しておるものがあるとわれわれは考えておるのであります。そういう点と、もう一つは現に朝鮮の船の修理賃あるいはそれらに似通つた日本のとらなければならない対米債権がまだ残つておる、これらを詳細に計算いたしますと概算で千ドルくらいの相違が出て来るのではないか、こう存ずるのであります。
  133. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいまわれわれがなし得る限りの努力において調べましたところ、四千七百万ドルで動かないものと存じます。なおあの芝浦の点もはつきりいたさない点がございましたら詳しく御説明申し上げましようか、いかがいたしましようか。
  134. 田中彰治

    田中委員長 あれは三十五万ドルばかりでしよう、片方は千ドルと言つておるから、それはもういいです。
  135. 柴田義男

    柴田委員 私は決して中野政府委員対、あるいは石井政府委員対、何も議論しようとは考えておらぬのであります。先ほど外務大臣の御答弁を承つておりましても、結局外交折衝が積極的にできない大きな原因というものは、やはりその金額がはつきりしないというところに非常な弱体性が暴露されているのではないかと、想像されるのであります。そういう観点から私どもは一日も早くこの対米債権金額が画然と判明し、そうして積極的な掣肘が行われるように、あるいは外交折衝も円滑に行われるように望むのでございますので、その点を強く主張いたしておるのであります。それを政府当局者は最近になつてあわてふためいていろいろな資料をかき集めて、おざなりな資料をわれわれに提出しているのではないか、こういう疑いを持つがゆえに伺つておるのであります。
  136. 中野哲夫

    中野政府委員 四千七百余万ドルにつきましては、私ども確信を持つておることをお答え申し上げます。
  137. 天野公義

    ○天野委員 通産大臣は通産委員会に、大蔵大臣は参議院の予算委員会出席されて本委員会出席が困難のような状況でございますから、本日はこの程度で散会せられるよう望みます。
  138. 田中彰治

    田中委員長 それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後四時四十分散会