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1953-07-10 第16回国会 衆議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十日(金曜日)     午後一時五十二分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 柴田 義男君       有田 二郎君    大久保武雄君       田中 角榮君    坪川 信三君       坊  秀男君    安井 大吉君       大矢 省三君    杉村沖治郎君       吉田 賢一君  出席国務大臣         通商産業大臣  岡野 清豪君  出席政府委員         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君  委員外出席者         会計検査院事務         総長      池田  直君         会計検査院事務         官         (検査第四局         長)      大沢  実君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道経         理局長理事   高井 軍一君         日本国有鉄道営         業局長理事   津田 弘孝君         日本国有鉄道施         設局長     江藤  智君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 七月九日  委員青木正君、福田喜東君及び安井大吉君辞任  につき、その補欠として大久保武雄君、福田篤  泰君及び塚原俊郎君が議長指名委員選任  された。 七月十日  委員鈴木正文君、塚原俊郎君及び福田篤泰君辞  任につき、その補欠として有田二郎君、坪川信  三君及び安井大吉君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算  朝鮮輸出に対する対米債権に関する件     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  本日の審議予定を申し上げます。まず前会において審議継続となりました対米債権に関する件、次に日本国有鉄道の所管について、審議いたします。  それでは前会会計検査院当局から説明を聴取いたしました対米債権に関する件を議題として、通商産業省当局から説明を伺います。中野企業局長
  3. 中野哲夫

    中野政府委員 御説明申し上げます。いわゆる対米債権四千七百万ドル余の問題につきましては、これは終戦後、昭和二十年十月ごろから二十五年三月ごろまでの間におきまして、朝鮮向けに、石炭とか化学肥料とか機械類というようなものの輸出を、六千五百四十万ドル余りいたしたのでございます。なお石炭化学肥料等は、昭和二十四年中に入つております。二十五年度に入りましては、金額のわずかな雑貨品が多かつたことを申し加えたいと思います。これに対して朝鮮からは、のり等輸入せられました。またもう一つ正確に申し上げますと、のり等のものの輸入以外に、司令部ドル勘定から現金でこちらに受取つた部分も含んでおりますが、これは私用でございます。要するにそれらの輸入関係の千八百三十四万ドルあまりでございまして、このバランスが四千七百五万ドル余と相なつておるのでございます。これは当時朝鮮貿易オープンアカウントなつておりましたので、そのバランスとしてこれだけが出て来た、こういうことになつております。通産省におきましては、昭和二十七年四月十八日に、右金額がわが国の受取債権であるということを、幾多の折衡を経まして、また関係方面とも協議いたしまして、当時の司令部にこれが確認を求めたのでございます。これに対して翌十九日、先方から、日本側によつて主張されておる四千七百五万六千二十七ドル五十七セントのバランスは、次の条件が満たされるならば、実質的に正確であると思われる。その条件といたしましては、第一には、荷物の船積みを証明する書類日本側に整備されておること、第二には、日本側記録に二重記帳、二重記録がないこと、第三には、一ドル百二十五円という交換レートが当時の情勢下においては適当であること、こういう内容のものでございます。これは先方公文書として通産省受取つておるのでございます。その三つの条件につきましては、通産省といたしましては、第一点につきましては、船積みを証明する書類は非常に厖大でございますが、これを約一箇年にわたつて、両者がこもごも検討を加えました結果でございまして、当時先方の了解を得ておるのでございますので、実質上この帳簿書類の整備ということは、あまり問題がないものと確信いたしておるのでございます。それからレートの問題、二重記帳がないかという問題につきましても、実質的に条件が充足されておると考えております。十九日に、同日でございますが、マーケツト経済科学局長新聞声明がございまして一そのうちに、本件債権ガリオア債務を最終的に清算する際に処理されるであろうというような新聞声明でございました。そこでその翌日に至りまして、さらに通産省の係官が先方え参りまして、右の声明が、本件四千七百万ドル日本側債権であるということを向うが認めたものである旨の、口頭ではございますが、コンフアームをいたしておるのでございます。  以上の経過概要説明でおわかりの通り、当省としましては、本件債権確認手段を講じた次第でございまして、これに基き当時の外国為替管理委員会、大蔵省、外務省及び日本銀行に対し、七月八日付公文書をもつて債権確認の、以上申し上げましたような経緯を連絡いたしたのでございます。概要以上のような経過に相なつております。
  4. 田中彰治

    田中委員長 ただいまの説明に対し会計検査院側において補足的説明はありませんか。あればこれを許します。
  5. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま通産省の方から御説明がありましたことにつきましては、会計検査院といたしましては事実その通りということに承知しております。
  6. 田中彰治

    田中委員長 では本問題に対し質疑を許します。吉田賢一君。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 先刻会計検査院から配付された資料でありますが、この資料によりますと、朝鮮向け石炭金額にして合計三千二百八万四千余ドル、それから石炭以外の物資輸出、これも金額にして三千五百六十七万余ドル、これを合計いたしますと六千七百七十万余ドル、それから輸入総括表でありますが、日本向け朝鮮からの輸入はのりその他でありまするが、これは九百八十三万余ドルなつておりまするが、差引きしますると五千七百八十万余ドルになるのではないかと思います。ただいま通産省中野政府委員の御説明では差引き四千七百五万余ドルということになりまして、数字の食い違いがありまするが、これはどういうのですか。
  8. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま吉田委員からの御質問でございますが、その点の数字通産省の方から御説明になりました通り数字でございますが、私の方で書類を整えますのを非常に急ぎまして、とりあえず輸入総括表輸出総括表だけが刷り上りまして、その差引き関係その他補正を要する関係の分を整えておりましたのが間に合いませんので刷つて来なかつた状況で、その点を今私の方から口頭でここで説明させていただきます。  お話の通わ輸出総括石炭関係が今お読み上げになりましたように三千二百八万四千余ドル、それから石炭以外のものが三千五百六十七万七千余ドル、これを合せますと六千七百七十六万千余ドルになります。それから輸入関係が九百八十三万千余ドルになります。ほかに先ほど通産省からもお話がありましたが、現金受取分がございます。これが八百五十一万三千余ドル、従いまして輸入の九百八十三万千余ドル現金受取分の八百五十一万三千余ドル、これを合計いたしますと千八百三十四万五千余ドルになるわけでございます。輸出の総計の六千七百七十六万千余ドルから今申し上げました輸入の額と平均受取額を合せました千八百三十四万五千余ドルを引きますと四千九百四十一万五千余ドルになります。これからレート関係差額分を二百三十五万九千余ドル差引かなければいけないのでございまして、その関係差引きますと通産省から御説明のありました通り請求額が四千七百五万六千二十七ドル五十七セント、こうなります。私の方の書類不備関係ではなはだ申訳ありませんでした。
  9. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと池田説明員委員長としてお聞きしますが、今出されたこれの根拠を——これは終戦処理費でまかなつておりますから、伸縮で使つたものもあれば、国内で使つたものもあれば、朝鮮へ行つたものもあるのだが、そういうものをあらかじめお調べになつた上でその数字は出たのですか。それとも通産省から報告されたものを取上げての数字ですか。それを吉田委員説明してやつてください。
  10. 池田直

    池田会計検査院説明員 この関係韓国向け関係輸出だけでございまして、沖縄とは関係ありません。なお書類は、通産省につきましていろいろ書類をこちらの方で調査いたしまして……。
  11. 田中彰治

    田中委員長 これは終戦処理費から買つておりますから、向うの方から調べたこちらの材料によると、そこら中へ品物が行つているのがありますけれども、そういうのをあらかじめどういうふうにやられたか……。
  12. 池田直

    池田会計検査院説明員 これは終戦処理費とは出してないと思います。
  13. 田中彰治

    田中委員長 いや終戦処理費から支払いしてあります。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、ただいまの御説明によりまして、この資料以外に現金をもつて受取つたものがあるというので、従つて検査院説明が補足されたので一致したらしいのでありますが、そこでただいま委員長から出ました問題にちよつと関連しますが、私から伺つてみたいと思います。当時、つまり昭和二十四年の三月まで、但し若干のものは二十五年までまたがつたという御説明でありましたが、その間内地メーカーなどへの支払い差金勘定は、どこの会計をもつてなさつたのでありますか。
  15. 中野哲夫

    中野政府委員 貿易特別会計から円を支払つておるのでございます。
  16. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと吉田委員に申し上げますが、通産大臣が二時四十五分までしかここにおれないのだそうです。それで大臣に対する質問を先にまわしていただいて、どうかその間に大臣にどんどん質問してください。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 貿易特別会計から支払いをしたということになつておりますが、終戦直後のこれらの内地の円の支払いについてもさようになさつておつたのですか。
  18. 中野哲夫

    中野政府委員 終戦直後には、御承知の通り輸出入貿易というのがまつたく遮断されておつたのでございます。それで初めは国営貿易で発足をいたしました。その際は円関係日本政府においてこれの出し入れを処理いたしましたが、ドル関係はまつた司令部アカウントにおいてその内容処理ぶりについてわれわれの窺知すら許されなかつたという一般的な情勢を御存じだと思いますが、念のため申し上げたいと思います。そこでただいまの御質問終戦直後には為替交易資金特別会計という戦時中から引続いておりました特別会計がございましたし、それが翌昭和二十一年四月一日からは貿易資金特別会計という法律ができましたので、それに勘定移つたのであります。この貿易資金特別会計という制度昭和二十四年三月末日まで継続いたしまして、二十四年四月一日からは貿易特別会計という中に移りかわつております。いずれにせよこれらの特別会計から円を払つたのでございますが、その円は国内業者に直接は払いませんで、当時石炭につきましては配給統制あるいはマル公制度がごいましたので、貿易公団配炭公団というような国営貿易実務機関を通じて支払つたというような関係に相なつております。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではひとつ大臣に根本に触れます各般の問題について少しお尋ねしておきますが、この問題になつておりまする四千七百余万ドル債権が確定いたしましたのは、昨年の四月十八日か九日だということであります。ところがこれはその以前におきましてはかなり少額の債権であるというように言われておつたので、司令部通産省との間に諸般の交渉が重ねられておる、こういう経緯をたどつておるのではないでしようか。そうするならば最初どれほどの債権が現われて、それが逐次なぜこんなに大きくなつたのかその間の経緯を御説明願いたい。
  20. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいま局長から申し上げました通りに、ドル勘定はみな向うで握つてしまつておりまして、朝鮮日本との間ではオープンアカウント勘定でやつておりますもので、バランスだけをいつも見ておるということになります。そして大きいのもございますが小いのもございまして、結局こちらで出したものはこちらへ円で支払いまして、そうして売掛金の勘定なつているわけです。また向うから入りましたものをとりますと、これもやはり買入れ勘定になる。そのバランスをときどき整理する勘定オープンアカウントでございます。それでいよいよ独立しましてその勘定を閉鎖する、すなわち為替勘定を閉鎖するというときになりまして、あと残つているものが幾らあるかということを計算して、今日申し上げておりますような、四千七百万ドルの貸勘定なつておつた、こういうことでございます。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が伺いたいのは、一年あまり交渉されて、ようやくこの債権が四千七百万ドル確認されたということに政府委員説明されておる。一年あまり交渉を要したのですから、最初何ほどの数字上つてつたのか、なぜこんなに大きい数字にかわつたのか。
  22. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は詳しいことは存じませんから政府委員から……。
  23. 中野哲夫

    中野政府委員 お答え申し上げます。本年四千七百万ドル余の対米債権確認されるまでにはいろいろのいきさつがあつたのでございますが、その点を少し冗長をいとわず詳しく御説明申し上げますと、昭和二十五年の政令第四〇号というので、連合国最高司令官司令部勘定に属する外国為替等に係る権利義務の所属に関する政令というのが公布施行されたのでございまして、二十四年十一月三十日におけるスキヤツプ勘定に属する権利義務は、同年十二月一日に日本側外国為替特別会計に属することになつたのであります。そこでただいま問題になつておりまする朝鮮オープンアカウントにつきましては、外国為替管理委員会スキヤツプから不確定な債権として、すなわち外国為替特別会計外貨の借受金として引継ぎ、整理をしたのでございますが、昭和二十六年の一月に至り、司令部のメモによりまして、当時のバランス一千六百八十万四千ドル余不確定債権として書いてあつたのですか、それを引落すべき旨の指令が発せられたのであります。右に対しまして通産省といたしましては、朝鮮向け輸出超過額受取りの分については、外貨をもつてスキヤツプ勘定から日本政府に引継がれるべきことを指摘しました。この点をなお詳しく申しますと、口頭による指摘は昭和二十六年の四月ごろでございます。それから当時の高橋大臣からマーケツト経済科学局長に対する正式の覚書は、同年七月十八日付をもつて提出いたしたのでございますが、そういう数次にわたる先方通産省担当官との折衝を経まして、朝鮮向け石炭化学肥料等輸出六千五百四十万ドル余と、のり等朝鮮よりの輸入、こまかく申しますと、それには現金の受入れも入りますが、先ほど申し上げた千八百万ドルとの差額四千七百万ドルを二十七年四月十九日に司令部から確認されるに至つたような次第であります。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しからばこう尋ねましよう。昭和二十四年の三月末現在におきまして、受取勘定債権に属するものは何ぼあつたというあなた方の認定だつたのですか。
  25. 中野哲夫

    中野政府委員 先ほど申し上げました一千六百八十万四千ドル余でございます。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の説明外為特別会計における外貨受入金として引継いだ数字だというのですね。外為特別会計における数字数字といたしまして、私の伺つたのは、通産省としては何ぼの数字確認したのですか。それとも通産省においての数字は全然出ておらなかつたのであるかどうか。ここを聞いておるのです。
  27. 中野哲夫

    中野政府委員 外貨バランスは知り得ない状態にありましたので、通産省として知つた数字はただいま申し上げた数字のみでございます。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そんならこういうように伺つてみましよう。貿易特別会計資金メーカーその他に円で支払上れた、こういうことになつておりますが、その各年度帳じりは当然あるべきだと思いますが、これはいずれバランスシートに出したものと思いますが、何年度に何ぼ、何年度に何ぼ、かくして昭和二十四年三月末現在では何ぼ出たのでしようか。
  29. 中野哲夫

    中野政府委員 貿易特別会計年度別収支につきましては、全体の収入支出数字はわかつておるのでありまして、そのうち朝鮮向け幾らかということは、これから調査しなければわかりませんが……。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 朝鮮向け数字がまだ調査ができておらぬということであれば、それは内地向けの円の支払い数額もまだはつきりしないという反面の理由にもなる。もうすでに日本の国の外国政府に対する債権として四千七百万ドルというものが向う政府代表者確認されている。両国間の政府の間に固まつている。にもかかわらず通産省貿易特別会計におけるそのバランスシート朝鮮向け内訳がまだこれから調査しなければわからぬというのは、われわれ納得しがたいのですが、どうですか。
  31. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいまわからぬと申し上げたのは私の説明がまずいと思いますが、帳簿には整理いたしております。ただいまここで各年度別数字をまとめて持つておりません。こういつた意味でございまして、整理はちやんとしてあるわけでございます。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはきよう間に合いませなんだら、一番近い機会に本委員会提出方委員長おとりはからいを願います。
  33. 田中彰治

    田中委員長 承知しました。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで外為特別会計において引継いだ外貨の借入金として一千六百八十余万ドルになつたという御説明でございました。ところがその後結局四千七百万ドルということに数字がかわつている。このかわりました理由、何ゆえにこんなに大きくならねばならぬのか。どこを突いたのでこういうことになつたのか。この点についての御説明を願いたい。大臣に伺いたいのですけれども、この辺固まつて来ないと聞けませんので……。
  35. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 お答え申し上げます。当時の輸出円払い総額はすべて会計検査院検査を受けまして、すでに決算として御報告申し上げてある通りでございますが、朝鮮分円払い総額いかんというお話でございますが、これは私ただいま手元に資料を持ち合せてございませんけれども、できる限り近い機会に御報告いたすことができると考えております。それから司令部との千六百万ドルという帳じりの貸越しが四千数百万ドルにふえたのはどういうわけなのかという御質問でありますが、これは司令部側記録あるいは記帳等に脱落その他がございまして、わが方では朝鮮に向けまして船積みをした、輸出をした、円を払つたということの資料によりまして立証し得るにもかかわらず、それが先方帳面に載つかつていなかつた、あるいは一度買つたものが事務的に落されておつたという事情があつたためでございます。すなわち四千数百万ドルの貸越しを発見いたしましたのは、わが方の記帳支払いの証票あるいは立証すべき船積み書類その他の証拠が確定しておりましたので、先方保存しております帳面その他の不備にかかわらずこれを明認せざるを得なかつたという事情でございます。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま千六百八十万ドルが四千七百万ドルにふえた数字いきさつについて根拠を御説明願いましたが、委員長において、その総額及びその基本の数字、特に石炭につきましてメーカーその他取扱い業者払つた金額、年月日などの一覧表を当委員会提出方をおはかり願いたいと思います。
  37. 田中彰治

    田中委員長 この次出してもらえますか。
  38. 中野哲夫

    中野政府委員 石炭鉱山側、つまり石炭メーカーから買上げましたものについては、先ほど申し上げました通り、前には日本石炭あと至つて配炭公団が買いまして、それを当時特別会計で買つて輸出したというような関係でございますので、メーカーから買つた個々の計数については、当時の日本石炭株式会社、後に至つて配炭公団でしかわからないのでございます。それで今日に至りますと両配給機関もすでに閉鎖されておりますので、ただいま私どもはそれの御要求になつた書類を全部整えるということははなはだ困難ではないかと考えております。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 メーカーもしくは集荷の配給公団のいずれかの名前が、たとえば準備の輸出許可申請書などに、当時は様式として記載されてあるわけでございますから、そういうあれはあるいはメーカーでないとわかりませんけれども、しかしいやしくも数百億の対外債権確認を求めようとする際における、GHQに対する政府交渉根拠になる各般資料は、この対外債権の四千七百万ドルがいまだ支払いを受けておらぬ状態でありますから、配炭公団解散になり消滅しておりましても、さような証拠物件がなくなつてしまつているとは国会では認めがたいと思います。また常識上考えられないと思います。そういう証拠書類は当然保存をしておかなければならぬと思います。中野政府委員はなくなつたというのですか、あるいはあなた自身よくわからぬというのですか。われわれ常識から申しましても、きわめて重要な根拠を持つ証拠書類と思いますが、どうですか。
  40. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 ただいまお話証憑書類はすべてこれは円の支払い関係船積み関係一件々々にしまして、相当厖大資料として保存してございます。ただ御要求のように、そのうち石炭が何ぼか雑貨が何ぼかということになりますと、仕わけをせねばならぬわけでございます。と申しますのは、私ども司令部に提出したものは契約番号一件ごとの順序に従つて資料を整えまして、それでこの契約の分はこの通り何月何日円を払い、何月何日船積みなつている、ところがまだ入金がない、記帳がない、こういうことを契約番号別に、日付別交渉いたしたわけでありまして、それを石炭が何ぼかという仕切りをする作業をいたさなければならぬ、その仕切り作業に相当の日数がかかるということを申し上げているわけであります。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しからば、今のは私の方で提出します。そういう仕わけの作業が困難でありますれば、交渉をなさつたあなたの方の資料、あなたの方が仕わけなさつた表でいいと思いますから、お出しになつてその点を明確にしていただきたいと思います。
  42. 柴田義男

    柴田委員 配炭公団に関する関連質問をいたしたいと思います。私ども常識的に考えてみても、配炭公団という組織があつたことは知つている。しかしその配炭公団でどのメーカーのものを幾ら扱つたかということもおのずとわかつておらなければならないはずだと心得ている。そういう関係から配炭公団に一括して円払いをされたと仮定いたしましても、その配炭公団扱つた物資は甲のメーカーのもの、乙のメーカーのもの、丙のメーカーのものという内訳がわからなければならないと、常識的に考えておりますが、その点いかがでありましようか。
  43. 中野哲夫

    中野政府委員 配炭公団で各山から買いました数字はただいまお話通りわかつているべきものと思つております。ただ、先ほど私がお答え申し上げましたのは、その配炭公団がすでに解散になりまして三年以上たつているような状態でありまして、配炭公団のそれらの書類が今日完全に保存文書として残つているかどうかについては、私どもはただいま残つているということを申し上げることはきわめて困難であると思うのであります。
  44. 柴田義男

    柴田委員 この配炭公団整理機関が必ずあるはずであります。その整理機関でそういう資料が簡単に整えていただけると思いますので、通産省からその資料を急速にお届け願いたい、こう思います。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの問題について会計検査院にただしたいことがありますが、大臣質問を先にすることにして、あとにまわさしていただきます。問題は飛びますのでいかがかと思いますが、大臣に関する質疑を急ぎます関係上、次へ進めてみたいと思います。通産省におきましてのこの四千七百余万ドルの対米債権はどういう性質のもので、そしてこれは当然国の資産に属すべきものでないかと思うのですが、国の資産に属する外国の政府に対する債権として処理なさつておるかどうか、これをお聞きしておきましよう。
  46. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。通産省といたしましては、貿易業者を取扱つております関係上、そういうふうに確認せられました以上は、日本が当時の総司令部、すなわち総司令部関係部局にまわしておくということでございますから、アメリカに対する請求権として考えております。
  47. 柴田義男

    柴田委員 通産大臣が非常に時間が狭められておるようでありますので、簡単にお聞きしたい点を申してみたいと思いますが、通産省が総司令部確認要求されました場合に、総司令部から三つかの条件を付されたと、先ほど中野局長さんから御説明がございましたが、言うまでもなく、当然貨物引きかえ票が整備されていること、これはもうあたりまえのことでございますが、そのほかに、日本側の記載に二重記帳がないか、もう一つは、百二十五円前後のレートの計算ということを条件にされたようでございますが、この百二十五円の計算ということに対しまして、通産省は御承知なされたのでございましようか、これを一点。  二点は、ガリオアとイロアの問題、こは援護物資であります。この援護物資に対しまして相殺を御承知になつたのでございましようか。これは予算委員会におきましても、通産大臣の御答弁や岡崎外務大臣の御答弁に食い違いがあるようにわれわれは聞いておるのであります。この点が二点。  もう一つは、通産省関係に属することで、巷間非常に伝えられておりまして、国民の全部が迷つておることだとは存じますが、麻生鉱業に対しまして、たとえば復興金庫、あるいは商工、開発銀行等から莫大な金が融資されておる。これに対して通産大臣は非常にお骨折りをなすつたということも巷間伝えられておりますが、これに対しまして真疑のほどを明確にしていただきたいと存じます。
  48. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。第一点の百二十五円を一ドルとするということは、これは当時、御承知の通り、外人が持つております、——軍人でございますが、そのドルを五十円で引きかえておつた時代があるのでございます。そうして御承知の通りに、終戦直後以来二十四年ごろまでの間に取引されたものでございますから、為替のレートというものに対してどこに基準を置いていいかわからないということで、いろいろその当時の経済事情を双方で研究しまして、百二十五円を一ドルとするということの約束がちやんとできて、ああきめて書いてあるのでございます。  第二点のガリオア、イロアの相殺ということは、これは常識上考えますと、こちらに債権があると言えば、おれの方でもこれだけやつたじやないかということですが、しかしこれはわれわれはその当時ちようだいしたものと思つておつたものでありますから、これは比較にはならないのでございますけれども、もし交渉されるとすれば、あれが相殺でもされやせぬかという心配を持つておりました。ところが四月十八日に確認が来まして、十九日のマーカツト声明では、こういうような債権がある、向う側から言えば、債務があるということを言い、同時にこれは将来ガリオア、イロアというような問題が、貸しがあるから、それと相殺さるべきものであろうというような声明を出したわけでございます。そこでわれわれはまつたく性質が違うものだからというので、口頭ではございますが、これは確かに確認してくれたものである、これとの連絡はないものだろうねということのだめを押してあるはずであります。  それから麻生鉱業の問題につきましては、私はそういうことは一向存じておりません。もし過去において何かあつたかとでも仰せになりますのならば、私の聞き及ぶところではそういうことはございません。
  49. 柴田義男

    柴田委員 そうしますと、通産省関係分の融資の金額はおわかりでございませんか。もう一つは、金額はおわかりになつたといたしまして、各銀行別にどれくらいの金が政府機関から出ているのか、数字を、おわかりでございましたら、伺いたい。  それから次の問題でございますが、朝鮮向け輸出物資につきましては円払いをやつておりますが、直接ドルで決済を受けたというメーカーもあると聞いております。かような場合がもしあるといたしますならば、一方円払いで決済を受け、他方直接ドルで決済を受けておる、こういう業者がございましたならば、その業者は二重にとつているという結果になるのでございますが、そういう間違いはないのでございますか。
  50. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいま御質問のような、メーカーが直接ドル受取つて決済したというようなことはございませんでした。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ガリオア、イロアの物資の問題でありますが、それについて大臣にお尋ねいたします。これは第十三回国会におきましても問題になつたようであります。ただいまはその会議録を持つておりませんが、この物資がアメリカから日本に参るべきもののうち、その二七%ほどが日本にまわらずに、朝鮮並びに沖繩の方にまわつたということが言われておりますが、これについて御説明願います。
  52. 岡野清豪

    岡野国務大臣 あの当時日本向けのガリオア、イロアが来まして、あるいは各方面にまわつたかと存ずることもございますが、しかしそういう意味において向うで幾ら幾らくらい日本に対してその資金を出したということの計算はできておりますけれども、われわれはそれは承服できないわけで、そういうものはあるだろう、しかしそれがどのくらい、どういうものがどこへ行つたということがわかりませんから、もしあれに対して話が出ますれば、向うの明細書をよくこちらで見まして検討しなければならぬものと考えております。
  53. 柴田義男

    柴田委員 先ほど通産省関係で麻生鉱業に融資している分、政府機関から出ている金の額を伺つたのですが、それに対するお答えがございませんが……。
  54. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいまの御質問は、いつからいつまでのお話でございましようか。
  55. 柴田義男

    柴田委員 今一番疑惑を持たれておりますのは、昭和二十年から二十五年三月までの先ほど説明されました四千七百万ドル日本受取勘定の中に含まれて、そのうちの大きな比重を持つておる石炭が、輸出の中にまざつておる。こういう観点から非常に国民の疑惑を招いております。この期間における融資あるいはこの期間における問題をお伺いしておるのであります。
  56. 中野哲夫

    中野政府委員 当時でございますれば、金を借りておつたとしますれば復興金融金庫ではないかと思います。復金が麻生鉱業に幾ら貸したということは通産省としてはわかりかねます。
  57. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと委員長としてお聞きしますが、お金を政府から借りるのだから、通産省が決定して通産省が品をきいて借りておるのだから、通産省がそれをわからぬという道理はない、それはちよつと違つておるのじやないですか。
  58. 中野哲夫

    中野政府委員 私の申し上げようが誤解を生みましたかと思いますのでもう一回申し上げます。当時復金融資は各重要産業について通産省があつせんをいたしておりましたので、その立場から聞けばわかることと思います。ただ貸した直接の関係は金庫でございますので、最後に借りた金が幾らかということは直接責任をもつて存じません、こう申し上げた次第であります。
  59. 田中彰治

    田中委員長 あなたがそういう説明をされるから申し上げておきますが、金を借りる場合に、技術的に通産省書類を見て銀行に仲介して、きまれば幾らきまつたという通知が通産省へ行く、それを通産省も知つておるわけです。ですからそういう説明じやなしにもう少しわかりよい説明をされた方がいい。  それからもう一つさつきのことについて注意しておきますがたとえば石炭を公団に売つたら、何カロリーのどの鉱山、麻生なら麻生、何々なら何々とちやんと行つておる。朝鮮に行くにしても、麻生の何石炭というものがなければ責任を持てませんから、そういう銘柄もちやんとわかつておるはずです。そういう点をよく研究されてお答えをされないと、今はちよつと知らないでおるけれども、また理事会か何かやるとそういうことがわかつて来る。だから知らぬなら知らぬ、わからぬならわからぬ、悪いなら悪いとはつきり言つた方がいい。
  60. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 通産大臣に伺いたいのであります。先ほど四千七百万ドル日本債権であるということをお認めになつておられるのですが、これが日本債権とすれば国家の財産ですが、国家の財産の中に計上されておるかかどうか。
  61. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これはどうなりますか、私は詳しいことはよくわかりませんが、大体貿易上こういうバランスが出て来たということであります。国の債権でございますから、取立てたら大蔵省が受ける、そういうことになるのではないかと思いますが、その辺のことははつきりいたしません。
  62. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうも四千七百万ドル、二百億万円というような莫大な国の財産が、どこに計上されておるのかおらないのかわからぬということはまことに困つたことでありますが御答弁を願いたいのです。
  63. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいまお尋ねの四千七百万ドルにつきましては、外為委員会の取扱つていた、つまりスキヤツプから委譲を受けたドル・サイドのバランスにただいまは載つておりません。しかしこれはいずれ受取勘定としてバランスに載せることと私の方は存じておるのでございます。
  64. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ただいまの答弁ははなはだどうも変な答弁ですが、この四千七百万ドルというのは昭和二十六年十月にその数字が出ておつて、昭和二十七年二月にはそれが確定しておるのではありませんか。それが今なおそれに載つておるとか載つておらぬとかいうことは、はなはだどうも不都合な話と思うのですがその点いかがですか。
  65. 中野哲夫

    中野政府委員 当時通産省といたしましては、その債権額が確定したものと考えまして、これを当時の外国為替委員会に連絡をいたしておつたのでございます。その後の特別会計の取立ての際においては、先ほど申し上げたような状態であると伺つておるのであります。
  66. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 その四千七百万ドルの国の財産の、二十七年二月における管理の所属はどこなんですか。
  67. 中野哲夫

    中野政府委員 それは当時の外為委員会でございます。
  68. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 当時ではなくして昨年、昭和二十七年二月における管理庁はどこかということを聞いておるのです。一昨日の新聞でしたか、アメリカの大使館はこの四千七百万ドルについては何ら交渉を受けたことはない、こういうことが出ておりました。それから吉田首相はあの戦災救済金及び復興費は債務として承認するということを言うたということが出ておりましたが、この点を通産大臣に伺いたい。
  69. 岡野清豪

    岡野国務大臣 アメリカの方でこの交渉を受けたことはないということは、新聞に出ておつたかもしれませんけれもど、私は存じません。それからこの外交交渉は大本六月十八日に通牒を出しまして、その後は外務省がそのルートを通じて交渉いたすはずになつております。
  70. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 その外交交渉通産大臣と外務大臣がおやりになられたのですか。
  71. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私の方では債権の確保をいたしまして、残高は外為委員会に通知をし、外交交渉は外務大臣に委任し、大蔵省理財局、今これは為替局でやつておりますけれども、そういうものを取扱う官庁の部局には連絡してございます。
  72. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ただいま通産大臣は私の方では債権の確保をしてということをおつしやつた。では通産大臣が確保されたのはいつでありますか。
  73. 岡野清豪

    岡野国務大臣 確保いたしましたのがちようど四月十九日でございます。
  74. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 何年のですか。
  75. 岡野清豪

    岡野国務大臣 昨年四月十八日に確認書を得まして、翌日マーカツトが新聞声明しました。そしてもう一度だめを押したということです。
  76. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 昨年四月十九日に通産大臣確認したということであれば、その四月十九日以降のその債権の管理庁はどこでありますか。
  77. 中野哲夫

    中野政府委員 外為委員会と心得ております。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 議事進行について……。大臣もあちこち委員会に走りまわつているようでありますが、この重要な債権の性格なり、経緯なり、今後の見通しなり、各般の問題について、外務大臣よりも、大蔵大臣よりも、通産大臣は、ぜひとも直接答弁に当るぐらいのつもりで心得ていただかなければならぬ。なお今後も継続すると思いますから、そのようにお諮り願いたいと思います。
  79. 田中彰治

    田中委員長 何回でも呼びます。国民の血税がこういうぐあいにむだにされておるのですから、徹底的にやります。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 では会計検査院にお尋ねいたします。先ほど政府委員説明によりますと、外為に引継ぎましたもの、並びにその以前におきましても、貿易特別会計における円払い支払い等につきましては、それぞれ会計検査院検査を受けておるということでありますが、検査院は検査をされたのかどうか。それとともに、すでに検査院の検査を通過しておつたならば、第何回かの決算委員会に当然現われなければならぬと思うが、不幸にしてどの検査院の決算報告書を見ましても、いまだ本件の四千七百万ドル、もしくはそれに該当すべき内容円払い勘定じり、こういうものは見当らないのですが、どうしたのですか。
  81. 池田直

    池田会計検査院説明員 円払い関係は、石炭とかあるいは雑貨とか、こうした品物によりまして、公団の取扱い関係が違つておりますので、その関係各公団につきまして、円払い関係は、会計検査院といたしましてはよく検査をやつて来たつもりであります。そしてその点で不当事項がありました関係は、既往の検査報告に載せております。  なお、本件の問題になつておりますドル関係のものは、この前の委員会におきましても御説明申し上げました通り、まつたくアメリカの方で一手に処理しておりまして、その関係政府におきましてもタツチできません。従つて詳細はわかりません。会計検査院といたしましても、これが検査の対象となり得なかつたのであります。そうした関係から、円の支払い関係の方とドルとの収支関係は、まつたく切離された仕組みになつております関係上、いろいろ御疑問をお持ちになることはごもつともと存じますけれども、大体取扱い機構等がそういうふうになつておりましたので……。
  82. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 この間その点を伺つたのですが、この間は、私がお話したことを池田説明員はお認めになつておつたのでしよう。貿易特会計の円貨の支払いは、日本政府が支払つておるのですね。それですから、だれが幾ら石炭を納めたとかいうことは、司令部との関係におてはわからないかもしれないが、円貨を支払うときには、お前はどれだけの石炭を出したから、お前にこれこれの円貨を支払つてやるのだということは、わからないはずはないと私は思うのです。ことにここに石炭をどれだけ出したか、年次によつてずつと出ておれば、これはだれそれに幾ら払つたということがわからないはずはないと思う。麻生太賀吉の経営する麻生鉱業に、五十億円を支払つたとかどうとかいうことが、この間あるところに報道されておつたのですが、そういうようなことが事実であるかどうか、そういうことを文書で出してもらいたいということを、この間お願いしておいたのですが……。
  83. 池田直

    池田会計検査院説明員 お答えします。この前も、ちよつと配炭公団の仕組みと、貿易公団の仕組みと、貿易会計の仕組みと、ドル会計の仕組みについて、一応お話して、検査の困難な事情を御説明申し上げた次第であります。本件石炭問題は、先ほども通産省から御説明がありました通り、あらゆる石炭配炭公団で一手に買い取つたわけであります。当時、買取り先は非常な数に上つておりまして、場合によつては、洞海湾の海の底から引上げた石炭まで買い取つたような状況でございます。そして買い取る場合は、配炭公団は、各山元別に、ちやんと何級炭を買つた、何カロリーのものを幾ら支払つたということは、証拠書類が全部あります。従つてそういう関係について、会計検査院はよく調査をいたしました。なお配炭公団の売払いにあたりましては、大体どこどこの中魂炭は何級は幾らという相場がきまつております。そこで、各業者石炭を売り渡します場合は、その売渡し先別は、会計検査院としても、収入金の関係でございますから、よく承知いたしておりました。そのうち石炭が山のように集まつて参りまして、初めのうちは貯炭場の整理もよく、どこの山の石炭ということが大体わかつておりましたが、しまいにはだんだん混乱いたしまして、これがわからなくなりまして、私どもといたしましても、検査上はなはだ困つた次第であります。なお本件のものは、そうした山のものを司令部の命によりまして、韓国の方に渡しております。従いまして、私どもが知り得まする証拠書類は一大体インヴオイスによりまして、どこの業者が取扱つたとか、どの程度の数量をいつ積み出したということは、証拠書類についてよく調べておりました。主として荷扱い業者の取扱い費等につきまして、検査をよく進めたような次第であります。ものによつては、大体三菱鉱業なら三菱鉱業の代理店がこの荷扱いを取扱つたから、これは三菱鉱業の石炭であろうということは、推測はつくのであります。しかしそうでない石炭も相当ございまして、朝鮮輸出されました三千二百万ドルに相当する石炭が、一つ一つどこの山のものか、いつ積み出されたかということにつきましては、会計検査院としてはわかりません。なお大体石炭の出ております関係につきましては一検査院といたしましても、今の諸取扱い費、荷扱い費の検査をよくしましたから、今までできるだけの検査はやつて参つたような次第であります。
  84. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どこの山の石炭だかおわかりにならないことは、そうかもしれませんが、金の支払い先はおわかりになつているはずだろうと思います。ここに年次ごとにちやんと数量も出て、これを支払つておるわけですから、支払い先はおわかりになるでしよう。
  85. 池田直

    池田会計検査院説明員 支払い先は、公団が取扱いました関係の分は、全部調べました。ただどの炭が国内でどこの業者に売り渡され、またこれが外国へ行つたというような、一々ひもがついての検査は、実は困難であつた状態でございます。
  86. 田中彰治

    田中委員長 ちよつとあなたに石炭の知識を申し上げますが、石炭を公団が引受けて売るにしても、銘柄がないと売れないのですよ。たとえば山がごたごたになれば、麻生さんのものと池田さんのものとまじつているかも知れないが、売るときには、配炭公団石炭としては売らないで、麻生さんなら麻生さんの石炭として売るから、その銘柄をお調べになれば、概略わかるのです。そういう知識があなたはない。
  87. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それは、今委員長が言われた通り、銘柄を調べてもわかる。あるいは一人の人が幾つかの銘柄のものを出しているかもしれないけれども、どういう銘柄のものを出しておりましても、金を受取る人はわかつていなくちやならぬはずです。その点が聞きたい。
  88. 池田直

    池田会計検査院説明員 国内関係から買取ります場合……。
  89. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ちよつと待つてください。国内関係ということではなく、この三千二百万ドルの円貨をどこえ支払つたか、それを聞きたい。
  90. 池田直

    池田会計検査院説明員 その関係は、先ほど申しましたように、国内のそれぞれの石炭を出した業者には支払つてあります。それはわかつておりますが、今問題になつております石炭朝鮮輸出されまして、そしてその代金関係は、結局アメリカさんがドル勘定でこれを操作してくれましたから、るとは考えられません。無関係のものと思います。
  91. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それはあなたのこの間のお答えとたいへん違うじやありませんか。国内輸出業者輸出した。それに対するところの円貨は、日本政府が支払つているということを、この間あなたはお認めになつたでしよう。ですからその支払つた金がわからぬというはずはないでしよう。日本政府が支払つているのだから、支払い先がわからないということはない。つまりこれだけのものは輸出されていて、それはアメリカから来るところのドルですけれども日本輸出業者に対しては、これだけの円貨をすでに支払つているのだから、その支払い先がわからないというはずはない。それを聞くのです。あまり多くのことを言つてくれなくてもいいのです。
  92. 池田直

    池田会計検査院説明員 その数量に見合うところの円貨は、ちやんと支払つてあります。ただ輸出されましてそのドル関係は、アメリカさんの勘定に一緒になつて操作されておつたから、従つてこの石炭が、Aという山の石炭かどうか、山ごと別にはこれがはつきりわからなくなつているということを申し上げたのであります。
  93. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうも私の聞いていることを、いろいろにおつしやられるからわからなくなつてしまうが、そうでなく、いま少し簡潔におつしやつていただきたい。ドル司令部の方で操作したかもしれないけれども貿易特別会計におけるところの円貨の支払いは、すでに日本政府がしているのでしよう。だからその支払い先がどこかと言うのですよ。これだけのものは、貿易特別会計においてもうすでに円貨は政府が支払つているのだから、その支払い先が聞きたい、こういうことです。Aという炭がどうだとか、Bという炭がどうだとか、そんなことは聞かなくてもいい。要するにここに三千二百万ドル相当の円貨をだれに支払つたか、これを聞たいのですよ。いろいろなことをあまり言わないようにしてください。
  94. 池田直

    池田会計検査院説明員 それは全石炭業者ということになりまして、その一部分がこういうことになつておるということにならざるを得ないと思います。
  95. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうもきわめてお答えが無責任であります。全石炭業者受取人で政府は支払つているのですか。全石炭業者受取人というようなことはないでしよう。かりに全石炭業者であつたならば、それは会社であるか、組合であるか、代表者であるか、責任者がなくちやならぬでしよう。
  96. 池田直

    池田会計検査院説明員 今のはちよつと説明が悪うございましたが、とにかく配炭公団は、これは各業者別に支払つておりまして、その関係は全部わかつております。本件のものもわかつております。そして貿易公団貿易特別会計を通じて代行業務をやつたわけですが、その関係で一貿易公団貿易特別会計を通じてこのものが動いております。それで貿易特別会計から配給公団の方に金が行つて、その金が各業者に支払われている、こういうような仕組みであります。
  97. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 あなたが答えるときに、いつでもいろいろのことおつしやられて、へんなふうになつてしまうのですが、その払つた先が、今そこでお答えができなければ、追つてでもよろしいから、文書でひとつはつきり出してもらいたい。
  98. 池田直

    池田会計検査院説明員 実はこれは複雑になつておりますので、文書によりまして図解にでもして、わかりやすいようにして差上げたいと思います。
  99. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうも金の支払い先を、図解なんてそんな無責任なことでなく、何のたれ兵衛に幾ら渡したということを明確にしてもらわなければ困る。二百億円という莫大な金でしよう。それをだれに払つたかはつきりしてもらいたいが、その二百億円の管理はどこであるかすらもはつきりわからない。またその二百億円の支払い先もわからない。それから国の財産であるにもかかわらず、国の財産がどこに計上してあるかすらもはつきりしていない。これははなはだ無責任きわまるものじやありませんか。
  100. 田中角榮

    田中(角)委員 関連してちよつとお聞きしたいのでありますが、ただいままでの質疑応答で、債権が確定しているのでありますから、その支払い先がわかるのがあたりまえであろうということ持して、なかなか支払い先がおわかりにならないような答弁であるから、どこまで行つても二本の並行線だと思います。そこで伺いたいのでありますが、まず当時の進駐軍の物資に対しては、二つの方法があつたわけであります。それは特別調達庁を通じて一終戦処理費でもつてまかなうものと、もう一つは直接ドル調達というものであつたわけですが、このうちのいずれによつてこの債権確定のものはまかなわれておるかということに、集約すればなると思います。前者の調達庁を通じてやつたものの中には、朝鮮向けの特需と、それから当然終戦処理費でもつて払わなければならないものとあつたわけでありますが、これはあとから清算勘定を起して、返すものは返す、それから終戦処理費でもつて支弁に応ずるものは支弁に応ずるということで、はつきりわかつたのでありますから、間接調達が行われたとすれば、支払い先は明らかになるわけであります。しかし直接ドル調達をやつておるとすれば、これは総括的な数字は出るとしても、内容を調べることは、当時の司令部及び調達官から書類の提示を受けなければわからないのでありますから、この債権確定額のもの、すなわち石炭だけではなく、別なものもひつくるめた四千七百万ドルに対する調達は、どういうふうな形式において行われたのかということをひとつ聞いておきたい。
  101. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 ただいま御質問国内調達は、いかなる形式をもつて行われたかという御質問でございますが、これは駐留軍の国内需要に向けるものではございませんで、朝鮮に対する輸出として行われた関係上、先ほども説明にありましたように、当初は為替交易資金特別会計、それから後に貿易資金特別会計、さらに貿易特別会計、この三つの特別会計によつて日本政府が調達いたしまして、品物は船積みにして海外に出すということになつておりました。従つて円の支払いは、これらの三つの特別会計からそれぞれの供給者、石炭でありますれば、初めは日本石炭株式会社、後には配炭公団、この両機関支払いが行われているわけでございます。また雑貨その他も、それぞれのメーカー貿易公団を通じて支払つている、このような関係なつておりました。
  102. 田中角榮

    田中(角)委員 私の質問に対して、ちよつと説明が不十分だと思いますが、あの当時は特別調達庁を通じてやるものと、それから軍で直接ドル調達を行つておつたものの整理は、あなたが今言われたような機関一で整理をされたというだけであつて、当時は直接に担当官が調達をしたはずでありますが、そのいずれに属しておるかということを聞いておるわけであります。
  103. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 当時朝鮮輸出はすべて司令部の指令に基いて行われておつたのでございまして、その指令に基きまして、当時の貿易庁が貿易公団その他を通じまして、国内から調達し、船積みし、輸出いたしておつたわけでございます。先ほど政府の特別調達庁による間接調達が、ドル払いによる直接調達か、この二方式以外の調達はないというお話でございますが、これは米軍が国内において直接需要いたしますものに主として当てはまる様式でございます。輸出関係においてはやや異なつた関係があつたかと存じます。
  104. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 会計検査院に伺いたいのですが、本件について最初検査に着手されたのはいつでございますか。
  105. 池田直

    池田会計検査院説明員 本件につきまして、結局貿易特別会計も廃止されましたし、先ほど通産省から御説明がありました通りドル関係勘定じりが為替特別会計等に引継がれる建前等でございましたので、これを調べましたのは二十六年十月の検査のときに、従来までは外貨関係検査できなかつたのでありますが、十二月にいよいよこの関係を見なければいけないという関係で、話になりまして、通産省書類等につきまして検討を始めたわけでございます。二十六年十月でございます。
  106. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 二十六年に検査に着手されたのは、通産省の所管として検査されたのですか。
  107. 池田直

    池田会計検査院説明員 本件は当時は通産省の所管でございますので、通産省について調べたわけでございます。
  108. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ところが調べられたときに、この四千七百万ドルの国の債権は国の財産として計上されておりましたか、おりませんでしたか
  109. 池田直

    池田会計検査院説明員 当時は国の一財産として計上されておりません。この関係につきまして調査を進めておられまして、まだ国の財産として掲げるまでの状態なつていなかつたようであります。
  110. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 会計検査院は、それがどうして国の財産として計上されておる状態なつておらないというふうに、お考えになつたのですか。
  111. 池田直

    池田会計検査院説明員 いろいろ資料を拝見しまして、数字その他がまだはつきり固まつていない、通産省といたしましても疑問をもつて調査を進めておられます状況であつたような関係から、まだ幾らくを帳籍上国の財産として掲ぐべきかどうかという検討をいたすのに、まだ熟していなかつたわけであります。
  112. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 その後いつ検査されましたか。
  113. 池田直

    池田会計検査院説明員 二十七年三月ごろもちよつとやつております。
  114. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 二十七年三月に検査をされたときに、国の財産として計上されてありましたか、ありませんでしたか。
  115. 池田直

    池田会計検査院説明員 当時も、先ほど通産省から御説明がありましたような大体の経過なつておりまして、折衝中でございました。
  116. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そのときでもまだそれを国の財産としていいのか悪いのかというようなことは、会計検査院でもわからなかつたのですか。
  117. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいま申し上げましたような次第でございまして、会計検査院といたしましても、調査をずつと進めて行く以外に、当時の実情ではやむを得なかつた、こう考えております。
  118. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 会計検査院ではこの四千七百万ドルの取り分があるということを知つたのはいつでありますか。
  119. 池田直

    池田会計検査院説明員 大体そうした経過をたどりまして、四千七百万ドル程度だということを知り得ましたのは昨年の七月ごろでございます。
  120. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 会計検査院はこの四千七百万ドル債権の取り分があるということを知つたということになれば、四千七百万ドルの円貨が政府から業者に支払われておるということはおわかりになつただろうと思いますが、その点一いかがでありますか。
  121. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいまの点になりますと、また先ほどの議論が繰返されることになりますが、このものがどのものを、石炭を買つてすぐこれを朝鮮に出したということになりますと、今の関係はわかりましたですが、会計検査院といたしましては、国内関係円払い関係をよく見ておりましたわけです。そのうち石炭配炭公団貿易公団貿易特別会計を通じまして、物がともかく朝鮮に積み出されたわけでございます。従いまして円払い関係とそれからドル関係は、結局先ほども申し上げました通り、アメリカの方でこれを一手に処理しておりました関係上、政府としても知り得ない状況にあつたので、会計検査院としてもいたしかたがなかつた、その関係は切り離された状況にあつたわけでございます。
  122. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 今あなたのおつしやられることは、この間おつしやられたこととたいへん状況が違つて来たわけです。四千七百万ドル債権の取り分のあることがわかつたならば、それだけの円貨が払われておらなくてはならぬじやありませんか。今でもそういうことをおつしやられるのですか。
  123. 池田直

    池田会計検査院説明員 四千七百万ドルに相当する日本の国の金が民間に支払われておるということは、この前申し上げました。
  124. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 その四千七百万ドルに相当するところの国家の金を民間の業者支払つたならば、その円貨の穴埋めにそれだけのドルが入つて来るということは当然じやありませんか。それでもまだ会計検査院はそれを国の財産とするということについて躊躇することは、どうも私はおかしいと思うが、いかがでありますか。
  125. 池田直

    池田会計検査院説明員 その関係は、この前も申し上げたと思いますが、ドル関係は受払いを実際司令部でやつておりまして一日本政府もタッチできなかつた。そうした関係から、会計検査院といたしましても、しようがなかつたような次第でございまして、その関係はまつたく何といいますか、遮断されたような関係なつております。
  126. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの問題は、さつき石井政府委員の御説明があつたのに端緒しまして、こんがらがつて、どうも明らかにならぬのであります。でありますから、通産省の方と、それから会計検査院の方におきまして、今ただちに御答弁ができなければ、次の機会までに日本の金で二百億円相当のものを日本の何がしに支払つたということを、それは配炭公団等に支払つたのである、あるいは個々の業者、個個のメーカーなどに払つておるかわからぬというような議論がまた出るかわかりませんけれども、しかし千六百万ドルが四千七百万ドルまで引上げる内容をなすその根拠証拠というものは、相当詳細な資料がとりそろえられて交渉の結果確認されるに至つた次第でありますから、それは作業としては若干困難だと思いますけれども、しかしこれはどこへ払つたかということをできるだけ明確にして、それは数百億万点になるならばやむを得ないけれども、そうでもないと思いますから、できるだけ明確にしまして、次の委員会に両方から御説明をしてもらうように、ぜひお願いしておきたいと思います。それが一つ。それをお諮り願いたいと思いますが……。
  127. 田中彰治

    田中委員長 承知いたしました。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういうふうに通産省検査院にお願いできますか。
  129. 田中彰治

    田中委員長 できると思います。政府側に申し上げますが、結論をあなた方は誤解されている。国内でもつて業者払つたことはわかるとおつしやるのでしよう。業者へ払つて、公団から石炭朝鮮へ売つているから、今度は公団に払つたことはわかるけれども、その公団が朝鮮なら朝鮮へどこの石炭をどれだけ売つたかわからぬのだとあなた方はおつしやるのでしよう。ところがこれは一トン、二トンまでわからなくてもいい、百トンや二百トン積むのではない、千トンとか大きくつむのですから、どこの山のどういう銘柄の石炭をどれだけ積んだ、これは麻生さんの石炭か、池田さんの石炭か、三井の石炭か概略わかる。ただ混んでいますから少しくらいまじるかもしれませんが、その程度のことははつきりわかると私は思うのです。そこをあなた方——はわかつているけれども言いにくいのだと私は察しているのですが、そんなことは心配する必要はありません。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは可能な範囲で一ぺん説明資料にして出してもらう、そしてなおわれわれが納得しかねればまた次へ進めて行く、こういうことにしたらいかがでしよう。ここで押問答しておつてもしようがない。
  131. 柴田義男

    柴田委員 ちよつと関連して会計検査院にこの間もお尋ねをいたしましたが、会計検査院の基本的な態度につきまして池田さんの御答弁を承つておりますと、どうも非常に暗いかげがあるような印象を受けるのです。こういうことは非常によくないと私どもは思う。会計検査院法というのは、私も今初めてこれを見ておるのですが、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」ということが規定されております。それから第二十条には「会計検査院は、日本国憲法第九十条の規定により国の収入支出決算検査を行う外、法律に定める会計検査を行う。」以下いろいろな委がございますが、こういうように厳然として内閣から独立をしておつて、検査した結果を内閣に報告なさる義務を持つておられるはずであります。会計検査院はこういうような厳正中立のしかも公平な立場にある。日本の国民から集めた血税をもつて、業者に対してはすでに円貨で払つておつて、ただ残された問題は、アメリカのドル日本に入つて来ない、しかもそのドルがりつぱな債権であるということが確認されておる今日、これがほんとうに日本の国の財産として画然と立つていないということはどういうことですか。会計検査院というその公平な立場ではつきりしたお答えを願いたいと思います。
  132. 池田直

    池田会計検査院説明員 私の方の説明がまずい関係でいろいろ御心配薫かけいたしまして申訳ないと思います。会計検査院といたしましては、常に今の御意見のように厳正公正にやつておるつもりでございます。本件につきましても、今までの検査経過は申し上げた通りでありますが、特に今日問題にもなつておりますから、今まで調査の足りなかつた部分もなお反省いたしまして、まだ現在の問題でありますので、研究を十二分に尽しまして、また御報告いたす機会があると存じます。
  133. 柴田義男

    柴田委員 二十年の十月から二十五牛の三月までにおける事件なのでありますから、二十五年度決算においてこの問題が論議されるというのはすで  に遅きに失しておると思う。それが二十八年の、今日は七月十日でございます。こういう経過を経てまだこれが判然としないということはどういう関係であるか、まつたく疑問にたえないのであります。あるいはドル日本に入つて来ない大きな原因というものは、たとえば巷間伝えられておるように、輸出された物資に粗悪品があつた、そのうちでも石炭は燃えないものが大部分であつた、こういうこともわれわれ聞いておるのでありますが、そういう関係でこのドル日本に入つて来ないのかどうか、こういう根本的な原因まで会計検査院はお調べて進められておるのかどうか承りたいと思います。
  134. 池田直

    池田会計検査院説明員 ただいまお話輸出石炭関係のクレームの問題につきましては、この事実はございません。私どもが目下調査をいたしております段階におきましては、なお雑貨輸出関係輸入関係のもので、ちよつと忘れましたが、小さい肥料関係のものであります。これも輸出でしたか輸入でしたか忘れましたが、ちよつと問題になりましたけれども「その問題も解決しまして、特に粗悪品としての取扱いをしなくても済むようになつております。
  135. 天野公義

    ○天野委員 今柴田委員質問の最後のところで、朝鮮に対して石炭輸出した、その中に粗悪品があつて返されたものがあるのじやないか、それでその返されたものがあるから決済がつかないのだというようなお話がありましたが、これはきわめて重大な点でございますから、関係当局の明確な答弁をお願いいたします。
  136. 中野哲夫

    中野政府委員 対朝鮮向け輸出のクレームの問題につきましては、これは相当厖大なものでございますが、私どもの方の台帳で一々チェックしましたけれども、三件ございました。それはラジオの受信機概算三十五万ドル、綿花が二万ドル、それからカン語用の空カン八百ドル、これだけがクレーム台帳の三件でございまして、これは会計検査院からただいまお話のありました通り、全部解決済みであります。それから石炭については、これは正確な意味のクレームではございませんで、やはり品質等のことでございましよう、積みもどしでもどつて来たものがございます。そしてそれについてはその前に国内支払い代金を払つておるわけでございますので、貿易特別会計といたしましては、先ほどの配炭公団からその支払い代金を回収し、またこれに見会うと申しますか、司令部の保管しておつた外貨計算の際にはこれを完全に削除しております。
  137. 柴田義男

    柴田委員 ただいまラジオの受信機が三十五万ドル、その他何が何ドルという正確な数字の御説明がございましたが、石炭のそういう問題に関しての金額については御説明がありませんでしたが、どのくらいの金額であつたでしようか。
  138. 中野哲夫

    中野政府委員 石炭につきましては、当時司令部からクレームなりとしての通告が何らございませんでしたのが、先ほど申し上げたような処置をとりまして、クレームとしての扱いをいたしております。
  139. 柴田義男

    柴田委員 石炭の問題だけ金額がわからないのでございましようか。その他の諸物資金額がはつきりわかつて。石炭の問題だけがわからないというのは、また疑惑を生む原因だと思うので、これはやはりはつきりとお答え願いたいと思います。
  140. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 当時扱つておりました関係上私から御説明申し上げます。ただいまの御質問でありますが、石炭につきましては、朝鮮でございますから、二晩で行つて帰つて来るわけでありまして、配炭公団に対してまだ貿易特別会計から支払いをしていなかつた間でございますから、これは輸出の送金をしなかつたという関係に相なつております。なお申し上げますと、先ほどラジオの受信機に三十五万ドルというやや大きなクレームがあつたということを申しましたが、これはラジオの受信機を積みました船が途中で火災を起しまして、共同海損を起しましたので、その保険金をこちらは受領いたしたのであります。それに対しまして司令部から再出荷命令が出まして、再度出荷をしたのであります。ところがこの場合、出帆と同時に船積み書類上つて参ります。それから二回目の再輸出の分の船積み書類もこれはきわめて機械的に上つて参る。そして前の共同海損を起した分を引落せというクレームでございまして、これはクレームとは申し条、事実上は共同海損による保険金でまかなわれておりますために、実質的な問題ではなかつたわけであります。
  141. 柴田義男

    柴田委員 先ほど中野局長さんの御答弁では、配炭公団へ一旦払つて、そしてそれがクレームというような一はつきりしたクレームではなくても、問題が起きたので、その分の回収をつけた、こういうお話であります。今の石井政府委員の御説明であると、まだ金は払つていなかつたということですが、これはどちらがほんとうであるか、はつきりした、御答弁を願いたい。同じ政府委員で、しかもお二人並んでおつて、御答弁が別々であるというようなことは、まつたくわれわれは奇怪至極に存ずるものであります。
  142. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいま御質問の点については、石井政府委員の答弁が正しいものと御承知を願います。(「都合のいい方がいいのか」と呼ぶ者あり)それと矛盾いたしました私の御回答は取消しさせていただきます。
  143. 柴田義男

    柴田委員 もう一つ伺いますが、伊東さんという元代議士が朝鮮に向けて石炭を送つたそれにクレームがついて破産したということを聞いておりますが、そういう事実がございましたろうか。
  144. 中野哲夫

    中野政府委員 全然存じません。
  145. 柴田義男

    柴田委員 今の石炭のクレームの問題は伊藤さんに関係がございましたろうか、全然ないのでございましようか。
  146. 中野哲夫

    中野政府委員 その点も全然存じません。
  147. 天野公義

    ○天野委員 議事進行について。石炭の問題の決済はついておるようでございますから、その資料を取寄せた上で理事会を開いてこの問題の取扱いをすることにいたしまして、本日は次の国鉄の問題に移るようにおとりはからいを願います。     〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  148. 田中彰治

    田中委員長 これに対して御異議がある方の発言を許します。
  149. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題はまだ序の品でありますし、それからまだ聞かなければならぬ問題もあり、石炭の問題、メーカーの問題、また二百億円の喜軽い垂にきましては、これは困難といわけで、必ずしも資料提出不可能としうのではないのでありますから、もつとこれは明らかにいたしまして、今ごろ一々石炭問題の結末についての理事会を開くということは絶対反対であります。
  150. 柴田義男

    柴田委員 ただ私どもは、会計検査院にもしばく伺いましたように、邦貨にして二百億円になろうとするような莫大なものが、これははつきりした国の財産ということがわかり、そしてアメリカから来ないその債権がどういう理由で来ないのか。こういう点が明らかになれば納得が行くのであります。われわれは何も政府委員会計検査院の方を御追究申し上げる意図は決してないのであります。それがはつきりした国の財産であつて、いつごろこれが回収になるものか。こういう点を伺つておるのでありますから、その点をよく御了承くださいまして、今までの政府がとつた態度がいけなかつたならいけない、怠慢であつたなら怠慢であつたということを率直に御披瀝を願いますれば、これで何をか言わんやであるのであります。それを、いろいろに説明伺つておりますと、違つて来る。会計検査院の厳正公平な立場というものがゆがめられているような感じを抱きますので、強調しているのでありますが、どうかその点を明らかにしていただきたいと思います。
  151. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結局二百億円になりますが、さきに大臣も、昨年の四月十八日に通産省としてアメリカに対する債権があることを確認したということ。ありました。そこで尋ねるのですか、この国の資産である債権なるものは、どこの会計に属するものとして大蔵省へ決算報告をなさつたでしようか。その点、通産省の方に伺いたい。
  152. 中野哲夫

    中野政府委員 通産省といたしましては、外国為替特別会計バランスに載るべきものと考えておりました。
  153. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 昨年の四月十八日にすでに債権があることは確認したということでありますから、これは会計法によつて当然大蔵省に報告をせねばならぬ、また大蔵省へ決算報告をしたはずであります。まずそれをしたかどうか。通産省はしなければならぬ法律上の義務があるのです。したならばどこの会計としてしたのか。こういうことを聞いておるのです。
  154. 中野哲夫

    中野政府委員 その点ただいま申し上げました通り外貨収入外国為替特別会計において、所定の法規に基いてこれを繰入れるべきものと考えておりましたので、当時公文をもつて外為委員会へもその旨を連絡したのであります。
  155. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 質疑の趣旨は、会計法第一条によりまして、各省とも予算決算については大蔵省へ決算書を送一付しなければならぬはずであります。それに基いて当然、国の債権として二百億円が通産省所管に属することに確認された、債務者もこれを確認した。  しからばこれは当然決算書として報告されておらねばならぬと思う。なぜそれをしなかつたか。
  156. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 政府収入支出は、お説の通りすべてこれを決算報告いたすことになつております。従いまして当時の貿易特別会計におきましても、これはすでに一般会計に相なつておりましたが、各年度収入支出会計検査院にこれを明らかにしますと同時に、大蔵省に報告いたしております。ただ本件債権外貨債権でございまして、その年度収入支出と直接関連をいたしたものではないわけでございます。過去のある年度における政府支出に基きまして、こういう債権があつたということを発見いたしたわけでございまして、会計法の意味におきましてこれを政府収入支出決算書に上掲すべきものではないと考えられるのでございます。従いましてこれは大蔵省あるいは外国為替管理委員会に報告をいたしまして、それぞれの所管庁でこの債権をあるいは資産として、あるいは簿外債権といたしまして、整理いたすということに相なるものと考えておつたわけであります。なお念のために申し上げますが、債権はすべてこれは政府支出に基いて生ずるものではありますけれども、明らかに収入支出バランスシートをつくります特別会計でありますと、これは借方の方に必ず上つて参ります。しかしながら一般会計債権等でありますと、これを決算報告にはどこそこへの貸付金その他として上掲はされますけれども債権の形として別に引継がれる等のことはないわけでございます。たとえば私ども昨年の十二月、商工中金に対しまして一般会計において二十億の貸付金をしておりますが、昨年度通産省決算報告の中に商工中金への貸付金として二十億円の金を出したということが記録されておるし、かつ二十億円という証文をとつてあるということだけでありまして、それを債権としてこつちが持ちまわるという支出計算の形式には相なつておらないということを申し上げておきたいと思います。
  157. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはどの資格において今の御説明をなさつたのですか。これは一種の外国に対する国の財産として、通産大臣債権が二百億円あることを確認したという答弁がありましたので、私は昨年の四月にその会計はいずれに属するものか、これは大蔵省へ当然報告しなければならぬものじやないか、こういうことを質問したのです。私は昨年のことを質疑したので、あなたは昨年当時そういうことを所掌する官庁の職員としての御説明になるのですか。それともただいま政府委員としてそういう所見だというようか、どつちなんです。
  158. 石井由太郎

    石井(由)政府委員 まことに失礼いたしました。私はその当時この仕事を処理いたしました一員といたしまして説明を申し上げておるわけでございます。なお後段の点は直接関連のないところと存じますので、先ほどの説明から取消したいと存じます。
  159. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通産大臣が不在でありますから、政府委員からこの点については明確に御答弁願わなければならぬと思います。ただいまいろいろと政府委員から御所見がありました。議論はともかくといたしまして、通産大臣は昨年四月十八日国の債権として四千七百万ドルあるということを確認しましたということなんですが、この債権があることを確認した通産省は、大蔵省へ通知をしなかつたか、予算決算につきましては、会計法によつて当然通知しなければならぬと思うのであります。今政府委員は簿外の債権だと言いましたが、われわれは国の財産の簿外のそんなものはおよそ想像しておりません。ことに財政法四十六条によりましても、国の財産等につきましては、国会に一年に四回は報告しなければならぬということすら明記してある。大蔵省の方へ通知をしなかつたのですか、しなかつたとすればどういう理由ですか。
  160. 中野哲夫

    中野政府委員 お答え申し上げます。政府委員としてお答え申し上げます。ただいま御質問の点は、昨年の四月十九日質権を確認いたしましたので、これを当時の外国為替委員会に通知をいたしております。なお予算決算の法規の点に触れての御質問でございますが、それは円としての規定でございまして、ドル外貨の問題につきましては、当時外為委員会特別会計法のもとにこれを運用しておつたので、そちらへ連絡をいたしたのでございます。
  161. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 外為委員会会計はやはり通産大臣の所管に属するものと思います。あなたがそれらの答弁をするのは的確でないかもわかりませんが、しからば、二百億円の対アメリカ債権が確定したということになつたのならば、その会計の財産の変化でありますから、当然大蔵省に通知をしなければならぬと思うのです。
  162. 中野哲夫

    中野政府委員 当時外為委員会通産省の監督下にはございません。総理府にございました。大蔵省へもこの外貨債権のあることは当時通知をいたしました。
  163. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しからば最後にはどこの所管に属する債権確認したのですか。
  164. 中野哲夫

    中野政府委員 ドル債権でございますから、所管は外為に属する債権なりと存じました。それで通知をいたしたような次第でございます。
  165. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通産大臣は、その所掌主管省としてこれを確認したという答弁もさつきあつたのであります。そうでないというのですか。
  166. 中野哲夫

    中野政府委員 その債権が発生しました経緯輸出入でございます。またこれを確認しますためには、各種の折衝及び証拠書類整理を必要といたします。さような関係におきましては通産省において仕事をやつたという意味のことを一大臣が申されたのでございまして、先方外貨債権として確認いたしました以上は、先ほど申し上げました通り外為特別会計法によつて外為委員会がこれを処理せらるべきものと考えたので連絡いたしたような次第であります。
  167. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 検査院にお尋ねしますが、今の御説明通りであるとすれば、この四千七百万ドルの外国に対する日本の国の資産が確認されて確定いたしましたのは、総理府に属するということでありますが、しからば総理大臣においてこの資産を一応所管すべきことになるのですか。
  168. 池田直

    池田会計検査院説明員 本件は結局清算勘定債権でございまして、この償権は、先ほど通産省の方から御説明かありました通り外国為替特別会計に引継ぐことになつておるわけでございます。従いまして、外国為替特別会計の主管省は、昨年の七月当時は、どこの所管になつておりますか、今ちよつとお答えいたしかねますが、現在では大蔵省ではないかと考えております。従いまして、最近は大蔵省の所管に外為特別会計なつております。当時四月ごろ総理府であつたか大蔵省であつたが、今すぐお答えいたしかねます。
  169. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通産省は、外為委員会の方へ四千七百万ドルの外国への債権があるということを通知したということでありますが、通産省といたしましては、その以後におきまして、この資産を処理するという権限、義務、そういうものはないわけでありますか。少くとも円払いにつきましては、通産省各般関係においてこれが国内に支払われておる。外国に対する債権は、今度は大蔵大臣の所管に属してしまつたということになつておる。国内の円はあなたの方で支払つておるのですが、それでもあなたの方においてこれは処理するという義務も責任もないわけでしようか。
  170. 中野哲夫

    中野政府委員 責任と義務がなかつたかという法律的な点を申しますれば、先ほど申し上げました通り、私の方で責任と義務、従つて権限はなかつた、かように考えております。
  171. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはさつきの御答弁で、司令部の方から一千六百万余ドルしかドルがないと言つて来たのを、一年間折衝を重ね、ようやくにして四千七百万ドルということに確認さしたということを言つたのじやないですか。そこまで努力したということはいいとして、それほどまでにしなければならぬあなたの方の行政上の立場は、とりも直さず二百億円という国内における円を支払つて来た責任がある「からなんです。それとマッチしないから、あなたの方の努力が行政上あつたわけで、当然しなくちやならぬ。それであるのに、もう四千七百万ドルが確定したら、そのあとは大蔵省でやるだろうと言わんばかりのことは、まああなたは事務当局としてそれでいいかもわからぬけれども通産省としては行政の責任上それでは済まない。国民は納得しませんよ。いかがですか。
  172. 中野哲夫

    中野政府委員 本件債権は、るる申し上げました通り昭和二十五年政令第四十号に基きまして、外国為替管理委員会外為特別会計外貨借受金としてスキャップ勘定から引継いだものでございまして、それは旧朝鮮オープンアカウントバランスにかかるも)のでございます。通産省は右バランス金額について司令部に対して異議を申立て、数次にわたる折衝の結果、四千七百万ドル金額確認させたのでございます。その結果今後右金額ドル日本側に入金する場合も、それは外為会計外貨資本の増となるわけでございまして、右外貨額に相当する円貨が貿易特別会計外為会計から繰入れられるものではないのでございます。従いまして本対米債権の帰属は外国為替管理委員会及び今日においてはそれを所管しておりまする大蔵省にあるものと考えている次第であります。
  173. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 どうもわれわれの質問と非常にピントのはずれたいろいろなこと言つて、われわれの聞くことをそらしてしまうような感があるのですが、なるべく簡潔に答えてもらいたい。昭和二十七年の四月十八日にその債権が確定したといたしましたなれば、その後においてその債権の執行をいたしたことがありますか、ありませんか。あまりむずかしいことを言わないで、遠まわしのことを言わないで、……。あるかないか、イエスかノーでいい。
  174. 中野哲夫

    中野政府委員 通産省におきましては、直接アメリカに要求すべきものでもないと思いまして、それぞれの所管に応じて適宜処理されているものと考えております。
  175. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 通産省において処理すべきものでないとするなれば、どこで処理すべきものだと思いますか。
  176. 田中彰治

    田中委員長 どうです、君。ここであやまつて、この次までに勉強して来ることにしたらどうかな。だんだんと元へもどつて来るじやないか。
  177. 柴田義男

    柴田委員 ちよつと関連して………。今の御答弁では、円払いをやるときはいろいろと苦労しお払いになつた外貨を、今度は債権をとる場合は所管がまた別の方へ移つている。どうもわれわれはそれを伺つておつて、ますます奇怪しごくに感ずるのでございますが、はたして外為委員会がこれをはつきりとりつぱな債権として受理されておりましようか、まずその点を一点伺いたいと思います。そして外為委員会はそれを受理された結果、帳面の上に確実に債権として持つておるのかどうか、これは外為委員会の方の御出席があればなお幸いでありますが、あなた方に関連のある問題でもあり、非常に大きな問題でもあるから、外為委員会はどういう処理をやつて、どういう交渉をやつておるかということを、御存じでございましたならば、御存じの範囲でお答え願いたいと思います。
  178. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいまの点は外為委員会及びその引継ぎ官庁にお聞き願いたいと思います。
  179. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 通産大臣に聞いても、その本件の二百億円の国の財産の所在はどこにあるのやらわからないし、本日ここに来ておる通産省政府委員に聞いてもはつきりしたことがわからない。しかもその後交渉があつたのかないのかもわからない。こうなつて来ると各省の所管がわかりませんから、本件吉田総理大臣の出頭を求めて、そうしてわれわれはこれを確かめたいと思いますが、そういうふうにして一方は吉田総理の答弁を求め、また一方は会計検査院並びに通産省政府委員におかれましても、でき得る限り詳細に調べて文書をもつてひとつ出してもらつて、その上でわれわれはこれをさらに進めて行きたいと思います。
  180. 柴田義男

    柴田委員 通産省に伺いますが、円払いの場合に画然とした証拠があつて円払いをおやりになつたのでございますか。この一点を伺いたいと思います。
  181. 中野哲夫

    中野政府委員 その点はお話通り、確実な証拠を徴して円を払つておるのでございます。
  182. 柴田義男

    柴田委員 確実な証拠をもつてお払いになつたという御答弁でございますが、少くとも二百億円にならんとする金額を国民から集めた血税の中から特別会計をもつて払つたのでございますから、その証拠がございますならば、本委員会に御提示を願いたいと思います。
  183. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今柴田委員要求せられましたことは非常に重大であります。アメリカが三つの条件を付して、四千七百万ドルについてはガリオア、イロアの債権——こちら側で言えば債務の支払いに関連せしめてというような声明をいたしまして、今日まで未解決になり、また吉田内閣におきましても、この問題につきまして従来しかるべき手を打つておらないと見えまするゆえんのものは、私はやはりそういう内地における支払いにつきましても、いろいろな資料につきましてなおはつきりしないものがある弱みが、事ここに至らしめておるのではないかとも思います。でありますから、それはやはりこの債権事情を明らかにするのみならず、今後の対米交渉の上におきましても、政府当局の各般の措置をとる上におきましても、非常に重要であると思いますので、ぜひとも今柴田委員要求いたしました資料については、ひとつ政府ははつきりと出すようにおはからいを願いたい。
  184. 中野哲夫

    中野政府委員 お答えいたします。ただいま弱みがあるから云々のお話がございましたが、かかることは絶対にございません。  書類を出せという点は、相当厖大なものの中から朝鮮向け石炭書類を集めまして整理をいたしますので、相当の期間の余裕をいただければお出しできると思います。
  185. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ただいまのお答えのうちで、弱みがあるからどうとかというようなことはないとおつしやられたが、われわれは政府委員をいじめるとかなんとかいう意思はないのです。いやしても国の財産、国民の血税を取上げたその二百億円を輸出業者に払つてやつて、そうして今度は、そのあとのとるべき債権がどうなつておるのかわからない。しかもそれがどこの所管やら、あるいはその催促をしたのやらしないりやら、今日、大臣に聞いてもあなた方政府委員に聞いてもそういうことがさつぱりわからないというようなことでありますと、将来国民はばかばかしくて税金なんぞ納められないということになるだろうと思います。これは単にアメリカに対する四千七百万ドル債権だけの問題じやないのです。予算の編成については非常に大騒ぎをやりましたけれども、あれだけ大騒ぎして組んだところの予算の執行がこんなでたらめになつてしまつたのでは、これは将来どうなるかということを私は憂えるのであります。そういうことのないようにわれわれはこれをはつきりしたいのです。あなた方を責めてどうこうしようということは決してないのであつて、これを明らかにして国民の前にはつきりしたいのがわれわれ決算委員の目的ですから、どうかあなた方は変にお考えにならないで、ぜひこの決算委員会に協力していただきたいのです。
  186. 田中彰治

    田中委員長 それでは委員諸君にお諮りいたしますが、今日国民は税金を納めるために非常に苦しんでおるのでございまして、その税金を納めなければ競売に付されたり差押えをされる、あるいは脱税をすれば刑務所に入れられる。こういうふうにして泣いて納めた国民の血税を、二百億もこの決算委員会ではつきりさすことができないということは重大問題でありますから、一応総理大臣を呼んで総理に対する質問委員諸君にしていただきたいと思いますがいかがですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 田中彰治

    田中委員長 異議なきものと認めまして、総理大臣を呼び出して、総理大臣に対する質問を許すことにいたします。
  188. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから資料についてのお願いですが、前の高橋通産大臣が、債権確認の後ですか前ですかに手紙を出しておるようでありますが、その手紙は公文書でありますから、写しが通産省保存されておるかと思いますので、ありましたらひとつぜひ次会までに提出をするようにおはからいを願いたい。それからきまりをつけておきたいのですが、対韓の輸出二百億円の支払い先につきまして、今非常に問題になつている石炭の分を抜き出すことが困難でしたら、石炭の分もまぜていいと思いますから、可能な範囲で至急に資料として提出いたすことをおはからいを願いたい。それから中野政府委員及び通産大臣より、債権確認せられた直後、外国為替管理委員会へ、大蔵大臣へ、会計検査院へ、それぞれその確認された趣旨内容について通達したという御説明がありましたが、その文書があろうと思いますから、それもひとつ提出をするようにおはからいを願いたい。それから、マーケット局長から債務承認について公文書受取つたという御答弁がありましたが、その受取つた公文書を本委員会に提出す、ること。以上至急取寄せるようにおはからいを願いたいと思います。  それからなお、総理大臣をお呼びになるときは、外国為替管理委員長を一緒にお呼び願うように申し添えておきます。
  189. 田中彰治

    田中委員長 御趣旨に沿うようにいたします。  そこで、総理大臣においでを願うときに通産大臣はどうですか。     〔「呼んでいただきたい、一緒に来ていただきたい」と呼ぶ者あり〕
  190. 田中彰治

    田中委員長 通産大臣も来ていただきます。  それから委員にお諮りしておきますが、非常に政治に不熱心な総理大臣だから、委員会に呼ばれても出て来ないような場合があります。こういう場合は委員会を何回流しても総理大臣に来ていただくことにして、もしおいで願えなければ、総理が国民の血税をむだにして行方不明にしているやつを決算委員会が調べるときに出て来ないのだから、国民はあと税金を納めないでも責任がないということを決算委員会が決議して、国民に訴えるというような方法に出たいと思いますが、いかがですか。     〔「賛成と呼ぶ者あり〕
  191. 田中彰治

    田中委員長 では、そういうようにいたします。
  192. 天野公義

    ○天野委員 そういう問題は、総理が出て来ない後の問題にしていただきたいと思います。
  193. 田中彰治

    田中委員長 たいがい出て来ないように思いますが、出ていただければむろんけつこうです。出てこられない場合は、そういう重大な問題が起きても予算委員会は敢然としてやります。それでは、皆さんお疲れになりましんでしようから休憩を十分間いたしまして国鉄の所管に関する問題を審議いたしたいと思います。  休憩をいたします。     午後四時八分休憩      ————◇—————     午後四時二十三分開議
  194. 田中彰治

    田中委員長 それでは休憩前に引続いて再開いたします。日本国有鉄道について審議をいたします。時間も相当経過しておりますのでが、審議案件がなお累積いたしておりますので、本日の日程を予定通り進めたいと思いますから、よろしくお願いいたします。  それでは、昭和二十五年度決算検査報告書三百三十八ページ以下日本国有鉄道批難事項三十五件を一括議題とし、審議促進上、そのうち三百四十六ページ、報告番号一〇二四、同じく一〇二五、三百四十七ページ、報告番号一〇二六、三百四十八ページ、報告番号〇二七、三百四十九ページ、報告山号一〇二八、三百五十二ページ、報告番号一〇二九、三百五十三ページ、報告番号一〇三〇、三百五十四ページ、報告番号一〇三一、三百五十五ページ、報告番号一〇三二、同じく一〇三三、三百五十六ページ、報告番号一〇三四、三百五十七ページ、報告番号三一三五、三百五十八ページ、報告番号〇三六ないし一〇四一の十八件につき詳細な説明を求めます。大沢会計検査説明
  195. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 ただいま委員長から御指示のあつた件について、説明申し上げます。三百四十六ページの一〇二四号の間でありますが、これは青森の建築区やりもしない工事をやつたことにし、金を約百六万円ほど捻出いたしまた。そしてそのうちの約六十万円というものは、過去において行つた工事手直しまたは追加工事を行いまし。それから約十五万円のものは、建区で修繕工事をする場合の資材を購入いたしました。それから残りの三十ほどを会議費その他に使用した、こういう事態であります。なぜこういうことをしたかといいますと、まず第一に過去において行つた工事の手直しとかあるいは追加工事というものを表面に出すということは、当時の建築区の技術所としては、何か自分がへまをやつたように思われるので、それが心苦しかつたというような事情があつたようでありますが、とにかくそうした事情によりまして、成規の工事名称でない、ほかの工事をやつたようにして金を出して、その追加工事を行つた。それから資材の購入は建築区の権限ではなくて、それぞれ資材事務所の方で購入して配給することになつておりますが、手元に資材があつた方がすべてにおいて都合がいいというような理由もありまして、工事を行つたことにして資材を購入して待つておつたというのが六十万円と約十五万円、そのほか残りの三十万円程度は会議費、接待費での他に使用した、こういう事態であります。こうした架空名義で金を使うということに関しましては、絶対にこれを慎まなければ、明朗な経理ということとはできないのであります。事情の一部には困つてやつたというようなこともありましようが、全体としてきわめて不当な経理である、こう見ている次第であります。  次に一〇二五号の問題でありますが、これは松山から八幡浜の方へ参り心す予讃線の下灘、喜多灘という駅の刑ののりの切取工事でありますが、これは断層帯に沿つておりますために、旭盤が非常に悪くて線路の片側ののり宏、ときどき崩壊して線路に故障を生ずるというので、そののり面の土砂一約三万立米、その前にもたしか一万一米ほど切つておりますが、合せて四万立米ほどの土砂を切りとつたわけですが、現地の情勢から見て、それだけ切りとつてもまた地下水が押して棄て、そののり面がはらみ出して、また危険な状態なつておるというような状態でありますので、こうした場合には、むしろ何とかここへ押して来るところの水をどこかで抜くような工法をとつた方がよかつたのではなかろうか。現に鉄道部内におきましても、工事のあとにこうした方面の専門の研究がされております鉄道技術研究所の方の調査によりましても、この点は切取でなくて水抜きの工法をとつた方が適当でなかつたか、こういう結論が、爾後ではありますが出ております。事実その後の工事におきましては、この水抜きの工法で工事をされている。こういう状態でありますので、当時の計画においてそうした工法がとられた方が適当でなかつたかと考えられる次第であります。  次の一〇二六号の問題は一浜名湖の例の弁天島から向うに参ります橋梁でありますが、この浜名橋梁が明治年間の建造で相当老朽して、補強をしなければならないというので、八橋脚あるのですが、それをそれぞれ補強したのでありますが、そのうちの四つの橋脚に対しましては、根元に捨石をやつて補強しようとした工法をとつたのでありますが、橋脚の根元はすでにピラミット型に相当土砂がたまつておりますので、そこへ捨石しても、直接の橋脚そのものの洗掘防止には役立つでありましようが、振動防止にはあまり役立たぬのではなかろうか、むしろ固めるならば、周囲に杭でも打つて、そしてその中の石が動かないようにして、そして振動防止に役立たせるというような工法をとつた方がよかつたのではなかろうか、その工事費を計算しましても、捨石をするのとほぼ同じくらいな経費を使いますれば、杭打ちで相当な補強ができたのではなかろうかと考えられる次第であります。これも爾後ではありますが、鉄道技術研究所で補強した結果を調べましたところが、この捨石だけを行つた部分については、補強の振動防止の効果が現われていないというような結果が出ております。なおこの橋梁はその後全部新規の橋梁につけかえまして、現在はもうこれ以上の補強は必要ないというような状態なつておると承知しております。  次の一〇二七号、これは例の瀬田の鉄橋の両側、これを線路のつけかえで工事を行つたうちの、こちら側といいますか、草津方面の方の工事の仕方が少し妥当でなかつたのではないかと思われる事態であります。この瀬田川の瀬田橋梁の大津側の工事を施行いたしまするときには、まず最初に、鉄道部内の東京操機工事事務所という、主として機械力を利用しての工事事務所があるのでありますが、そこの工事事務所で付近の配線敷等から土砂をとりまして、それを大体築堤の線に沿うて土砂をまず積んで置いた。そしてその後請負に出しまして、これをもとにしまして築堤を行つたのでありますが、操機工事事務所が積んで置いた土砂そのものを、築堤に直す場合に土がよく混和してなじんでいるように築堤すればよかつたのでありますが、それをただ形を整えて、土と士との間をまくこねまわすといいますか、なじませましてだんだんと築堤して行く、こういう工法をとるべきであつたのが、その点が不十分だつたのではなかろうかと思われる点と、その上の芝植え、それから土羽打ち、こうした工事が十分に行われていなかつたのではなかろうかと思われますのは、工事ができ上たつころに現場を見ましても、方々に亀裂がありまして、そしてみぞのようなものが相当できておつた。これはもちろんその後手直しをしたのでありますが、そういうような状況でありますので、工事の施行方法に少し欠けるところがあつたのではなかろうか、その結果一昨年の七月の台風の場合に、この草津寄りの方の築堤は相当の崩壊を来しまして一時列車も不通になりました。これをその後応急工事を行つて改修し、なお本復旧工事をやつておるというような状態でありまして、当初の工事の施行が妥当でなかつたのではないかと思われる案件であります。もちろんよくなじませて築堤をし、筋芝、土羽打ちを十分やつておつても、あの災害でありますから、あるいは崩壊したかもしれませんが、こうしたことをしておけばあるいはまた崩壊を免れたのではなかろうかと思われる次第であります。  次の一〇二八号、これは図面入りで詳しく書いてありますが、ちよつとおわかりにくいかと思いますので簡単に申しますれば、志免炭鉱の下層の炭を採掘する場合に、三本の坑道で十分であろうと思われるのを、四本の坑道を掘つた。その一本はもちろんあつた方がいいが、なくても済んだのではないかと思われる事態であります。御承知の通り、炭を掘ります場合に、運搬坑道と連れになりますところの排気坑道、この二つで行つておるのでありますが一本件の場合は、その採炭のための運搬坑道のほかに探炭坑道を一つ掘りまして、そしてそれにまた連れとし  て排気坑道を一つけた、こういう事態でありまして、検査院が考えますのは、探炭坑道が必要であるとしますれば、それを掘るのはいいが、それに応じた連れの排気坑道は、むしろ運搬坑道の排気坑道として、利用しようとする坑道を同じように掘り進めて行けば、それが探炭坑道の排気坑道の役もなすのであるから、三本で間に合つたのではなかろうか、そうして施設費も相当節約できたのではなかろうか、こう考える次第であります。鉱山保安の場方の監督官庁である福岡の通産局へ当初提出しました施業集を見ましても、三本の坑道を掘鑿することに計画しまして、通産局の方の承認も得ておるような次第であります。四本をつくられたのは、非常にガスの多い炭鉱であるので、その点の鉱山保安を非常に考慮された次第ではありますが、三本で間に合つたのではなかろうかという考えでここに掲げた次第であります。  次の一〇二九号は、やはり志免の炭鉱のエアコンプレッサーの問題でありますが、この志免の炭鉱には、坑内の通気用としましてエア・コンプレッサーが中小合せまして十三台、約二千百五十馬力を現在備えつけてあるのでありますが、それでは不時の場合にあぶない、予備が必要であるというので、予備のエア・コンプレッサーを備えつけるという場合に、元の海軍時代に購入してそのまま使つていなかつた四千馬力の大きなエア・コンプレッサーが二台あつたのでありますが、これを約二百九十三万円を費しまして改造いたしまして、予備としまして二千馬力のエア・コンプレッサー二基を装備したのであります。しかしながら、この炭鉱全体で現在二千百五十馬力で大体動いておるので、予備が必要だとしますれば、小型のエア・コンプレッサーを備えつければよかつたのではなかろうか。この大型に改造するために約三百万円を使うよりも、小型のコンプレッサーの百馬力、百五十馬力というようなものを調達されれば、あるいは他に鉄道部内でそういうものがあつたかもしれないし、よしやなくて購入しても、その金は百万円以内で足りたのではないかと考えます。こういう大型の一ア・一ンプレツサ三雲く改造したこの改造工事は、不経済な改造工事ではなかつたか、こう考える次第であります。その後の使用状況を見ましても、この改造しました二基のうち一基は、二十七年度中に全部で十二時間ほど稼動しておりますが、一基は全然稼動していないような状態でありまして、その程度のものならば、小型の予備を購入しておいた方がよかつたのではないかということが結果的にも考えられる次第であります。  次に三百五十五ページの一〇三二号でありますが、これもまた志免炭鉱の問題でありますが、これは志免炭鉱で採炭いたしまして、普通の石炭はそれぞれ国鉄部内の用途に充てるわけでありますが、沈澱微粉炭は国鉄プロ。ハーの用途には使用できないので、沈澱微粉炭を共済組合物資部あるいはその他のものに売つておるわけでありますか、この売る場合の引渡し方法が、坑内から巻上炭車で貯炭場まで上げて、そのときにその数量で引渡すということになつていて、その数量はあけた炭車の数で計算するということになつておるのでありますが、記録をたどつてみますと、人夫賃の払う方の炭車の巻上げ数量というものから向うに引渡したと推定される数量を計算しますと、一万一千九百四トンになるのに、この微粉炭を売つて代金を収納した方の数量は一万一千四百三トン相当分ということになつておりまして、その間に五百一トンというものの養い違いがあるというような状態でありまして、これはその引渡しのときの確認ということが十分行われていなかつたのじやないか、こう考える次第であります。  次の三百五十六ページの一〇三四号でありますが、これは同種類のものを購入されるのに随意契約によつたために非常に割高のものを購入しているという事能でありまして、そこの表の上下に対照的に掲げてありますのでよくおわかりのことと思いますが、たとえばこの表の最初にあります補充券発売日報というのを見ますと、一般競争契約で買つたときには、ウス二号上質の紙を使つて一冊当り六十八円で上つている。ところがこれを随意契約で購入した分はウス二号中質の紙を使つて一冊当り百四十円に当つている。随意契約によつたために非常に高価なものを購入している、こういう事態であります。そのほか表に掲げてあるのを上下対照していただけばおわかりくださることと思いますが、随意契約によつたために非常に高くなつている。何も随意契約によるほど緊要な必要その他はなかつたのではないかという点で、購入方法が妥当でなかつたと考える次第でございます。  次の一〇三五号から一〇四一号まで掲げてありますのは、国鉄部内の資材の管理が非常に乱れているという点を掲げてあるのでありまして、一〇三五号は、新小岩の工場用品庫で、部内の職員が部外者と結託いたしまして、ガラスとかパイプその他約二百万円のものを横領して部外者に引渡してしまつた、こういう事態であります。  一〇三六号は、同じような事態で、横浜用品庫で、鋼材、鋼板、空ドラムカン等約百万円のものを引渡してしまつたという事態であります。  一〇三七号は、大宮工場用品庫で、一電気銅とか、黄銅棒とか、パイプとか、総額約百五万円のものを同じく引渡してしまつたという事態であります。  それから一〇三八号は、汐留用品庫で、これもうつかりした話でありますが、部外者にすず二トン、約三百三十万円のものを詐取されてしまつたという事態であります。  一〇三九号は、隅田川用品庫で鋼くず四トン、約二万円のものを部外者に不正に引渡してそれが処分されているという事態であります。  一〇四〇号は、大宮工場で鋼材、銑鉄、鉄くず等約三百五十万円のものが同じように部外者に引渡されている。それからまた鋼くず、鉄くず約六十トン、三十万円のものが部外者に詐取されているという事態であります。  それから一〇四一号は、これは交換した問題でありまして、大宮の工場用。品庫で、絶縁電線八千五百メートルをボイル油七百二十リットルと交換してしまつている。これは評価を見ますと、大体引渡した方は十五万円ほど、受取つた方は十二万円ほどで、こちらの国鉄としては不利な交換になつています。それから大井工場でアルミ線をボイル油と交換しておるのでありますが、これも引渡したアルミ線は約八十万円で、ボイル油の方は十二万円ほどで、相当不利な交換をやつています。それから橋本の自動車工場で、同じように電線一万メートル、これは十八万円ほどのものでありますが、これをボイル油二本、約六万円のものと交換しています。もともと交換いうこと自体は国の物品会計においては原則として禁ぜられておるのでありますが、国有鉄道の場合はその法規の制約は多少ゆるくなつているので、別に法規上禁ぜられておるわけではありませんが、こういう非常な不利な交換処分を行つているということはきわめて妥当でない方法と考える次第であります。  以上のように、国鉄の資材の管理というものが乱れているということをここに検査報告に掲げておる次第でありまして、少し簡単過ぎたかとも思いますが、一応御指示の案件の概略の説明を終ります。
  196. 田中彰治

    田中委員長 ただいまの説明に対し、国鉄側において特に補足的説明があればこの際発言を許します。日本国有鉄道施局長江藤説明員。
  197. 江藤智

    ○江藤説明員 私から一二百四十六ページの一〇二四号から一〇二七号までの御説明を申し上げたいと思います。  一〇二四号の、青森建築区の工事を不正に行つておつたという件につきましては、会計検査院の御指摘の通りでございまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。将来とも監督を一層厳重にいたしまして、こういうような事故の絶滅を期したいと思う次第であります。なお、当時の関係者につきましては、全部これを処分いたしてございますのでこの際御報告をいたしておきます。  次に一〇二五号の予讃線におきまする地すべりの処理につきまして、設計上もつと他の方法を用いたならばいいのではないかという御指摘なんでございますが、この場所は地質学的に中部構造線と申しまして、わが国を走つている非常に大きい断層の地帯にちようどなつており、非常にやつかいな所でございまして、地すべりと申しましても非常に大きな地すべりをする所でございます。たまたまこれが崩壊を来しまして、線路の上に土が乗つて参りましたので、業法の関係もあり、列車をどうしても通さなければいかぬというので、応急に約一万立米の土を除きまして列車を通したのであります。その跡始末といたしまして、士をどれだけのけたらいいかということは、理論・的にはいろいろな式もございますが、安蔵さんの地すべり論を基礎といたしました理論によつて計算いたしますと、八万立米の土を除くならば一応安全であるという計算が出るのでございます。しかしながら、こういうものはいろいろな条件があるのでございまして、これをみなのけた場合は、安全ではございましようが、非常に経費もかかりますので、まず現地の事情などを検討いたしまして、このうち三万立米をのけることにいたしまして、これを実施したのでございます。しかしながら、上のの方の土が表面が少しくずれて参りますので、それを埋めますために、排水溝と一緒に十八メートルばかりの小さな擁壁を表面のとどめのためにこしらえたのでございます。これがうわべの土の動きのために崩壊いたしたのでございまして、これは結果から申しまして、もつとほかの少しくらい士が動いても、倒れたり亀裂がいつたりというようなことのないような、蛇かごであるとかあるいはしがらとかいうものでやつたらよかつたのではないかと考えられるのではございますが、この点はもつと将来考えなければいかぬというふうに考えております。しかしながら根本的な、大きい地すべりは、その後の豪雨によりましても線路が損傷されることもなく、ただいままでおちついておる状態でございますので、この切取りによつて目的は達し得たというふうにわれわれは考えておるのでございます。  なおこういう地すべりを予防いたしますためには、排水ということが最も大事なことなのでございまして、われわれといたしまして、十分にその工法は取入れておるのでございます。ただこういうふうにすでに崩壊をいたした法面にたぬき掘りと申しまして、小さいトンネルのようなものを掘つて水を抜くというようなことは、技術上非常に危険でございまして、すぐ応用することはできませんし、またくずれて来ておる土をのけないで排水だけによつてとめるということもできないのでございまして、われわれといたしましては、こういう場合には現地の情勢もにらみ合せまして、併用して行くよりしようがないじやないかというふうに考えられます。なお会計検査院の御指摘によれば、この部分につながる場所で、まだくずれてはいませんけれども、非常にどうもあぶないというところは、この水抜きの方法をとることによりまして、この場所を安定さしておるということを御報告いたしておきたいと思います。  次に一〇二六号でございますが、これは第三浜名と申しまして、浜名湖にかかつておる橋梁の中で、八つの橋脚が非常に弱くて、振動もはなはだしい、これは非常に古いものでございまして、昔の軽い列車に対して設計されておりますので、根入りも非常に少い、これはただいまのような重量高速度の一列車を走らせますためにはどうしても新しく橋脚、橋梁をつくり直さなければいけないのでございます。これをつくり直す間の過渡的な対策として、こD補強工事をいたしまして、八つのうちで四つは非常に危険の度合いが大きかつたので、相当に金も入れて工事をやつた、しかし残りの四つはそれほど程度が悪くないので、最も簡単で最も経費のかからない捨石工法によつたのであります。その結果として、振動の面におきまして、全然プラスになつておらないというお話でありますが、われわれの方では振動計と、それからもう一つガイケル変位計というのを使つて測定をしたのでありますが、振動計の方におきましては、よくなつておるという結果が出ておる、ガイケル変位計の方ではよくなつておるという結果が実は出なかつたのでありますが、この測定方法におきましても、まだまだ技術的に研究をしなければいけないのでございます。何はともあれ今申しましたように、新らしい橋梁ができ上るまでの応急的の処置として、できるだけ経費も節約して補強をしようというわけで、こういう方法をとつたのでございます。なお杭打ちをやつて石で巻くというようなことは、その附近にいろいろな石とかコンクリートというものがあるような場合には、なかなか困難がございまして、こういう場合におきまして捨石工法をとりあえずとるということは、一応橋脚補強の常識であるというふうにわれわれは考えおるわけであります。  次に一〇二七号でございますが、これは瀬田川の橋梁を、やはり強度が不足して参りましたので、新設をした場合に、その前後の盛土分を早期に工事事務所で機械力を利用して行いまして、そのあとの芝づけであるとか、土羽打ちなどということを、他の業者にさしたのでございます。ところが、ケート台風のときに、この附近に非常な豪雨が参りまして川の方の盛土分がくずれた、一方の川の方はくずれなかつた、そこで施工法において欠くるところがあつたのじやないかという御指摘でございますが、これは両側とも同じ監督員がついて行つたのでありまして一結果的に申しましてやはりその地勢であるとか、あるいは爾余の盛土の部分が長いとかいうことによつて、そういうことが起つたのだろうというふうに考えております。しかしこういう機械施行を行つてあと仕上げるということにつきましては、検査院の御指摘の通り十分に念入りにやらなければいけないことでございまして、今後とも御指摘の趣旨に沿つて十分注意をいたしたいというふうに存じております。  以上簡単でございますが、説明といたします。
  198. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 概説の方で、検査院並びに国鉄の側から説明はなかつたのでありますけれどもちよつと見のがしがたいと思いますので、御質疑をいたしたい。三百三十八ページ、日本国有鉄道の1です。これによりますと鉄道の収納状況はおおむね良好、そこで日通に対して後納運賃の延滞償金の一部を免除した、それからまた交通公社に対して乗車券の代売りによる収入金について取扱量の四〇%にあたる東京鉄迫監理局分について、二十五年の六月以降所定の納期よりも一月延納を認める、さらにこれを二十六年一月から二箇月延納を認めるという処置をしておるという問題であるが一これはやはり非常に重大なことであると考えます。日通に対しまして後納運賃の弁償金を免除、下るというようなことは、国鉄の会計ではできるものかどうか、またそれがどれほどの金額になるのか、そういうことを聞いてみたいのです。
  199. 高井軍一

    ○高井説明員 ただいまの御質問の延滞償金を免除することができるかどうかということにつきまして、御説明申し上げます。抽象的な問題としましてお答えいたしますけれども債権に関して免除をできますのは、会計基本事項によりましてきめておるのであります。その中には延滞償金のことは書いておらないのでありますが、国鉄は企業でありますので一企業の運営のためにおきましては、禁止をされておらない限りにおいては、時期によつて延滞償金の免除もでき得るというふうに考えております。但し、ここにはこういうふうに書いておりますが、延滞償金の免除をしたというよりも、納期の延長をこういうものに限つて認めたものであることを申し添えておきます。もう一度申し上げますと、延滞償金を免除したのではなくて、延滞償金の納期を、再調停によりまして延ばしたということでございます。
  200. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、一部の債権を放棄したというのではなしに、期限を延ばしてやつたという趣旨の御説明ですか。
  201. 高井軍一

    ○高井説明員 さようでございます。
  202. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、これは記載の誤りですか。
  203. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 ただいま経理局長の御説明がありましたが、これは当時においては、たしか後納運賃は一月の延納が認めてあつたわけです。つまり後納というのは、一月たつて納めてよろしいということです。それがその後において一月たつて納まらなかつたものがあつたのを、あとになりましてさらに十五日、つまり四十五日延ばしてもいいということにしたのでありまして、われわれ検査院の考えといたしましては、一月延ばしてあつたものに対しては、すでに延滞償金をとるべきである。それをあとなつて四十五日まで延ばしてもいいといつても、やはり一度発生した延滞償金を免除したことになると考えます。そこで、延滞償金を免除という言葉を使いましたのはそういう意味でございまして、誤つておるとは思つておりません。
  204. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事実が一つで、表現の方法が違つておるならそれでいいと思いますが、金額はどれほどになるのですか。やはり国が国鉄の予算を組んで国会の承認を得るという政府機関関係でありますので、金額の大小にかかわらず、事実上非常に不利な状態に陥ることは相当注意しなければならぬと思うのであります。但しこの点は、債権の放棄というふうに当然読まれるわけでありますが、債権の放棄でなく延納ということであるならば、この点は聞きません。ただ金額がこれほどかということだけ聞いておきます。
  205. 高井軍一

    ○高井説明員 二十五年度におきまして、延納によつて免除になりました額は二千九百二十一万三百六十四円、かようなことになつております。
  206. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは聞きますれば金額が大きいようで、また質疑をせねばならぬのであります。そうしますと、約二千九百万円の受取るべきもの乞、一箇月延期することを認めており、さらに四十五日——十五日ではなくて、四十五日と聞きましたが、そういうふうに了承していいですか。
  207. 大沢実

    ○大沢会計検査院説明員 いや、一箇月を四十五日に延ばしたのです。十五日間延ばしたのです。
  208. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは約三千万円の又取金になります。三千万円の受取金になつて、一箇月延ばすことが許されしおるが、さらに十五日延ばすことが許されておるとすると、会計経理上これは相当明確にしておかなければならばいと思いますが、経理局長はいかがにすか。
  209. 高井軍一

    ○高井説明員 これは当時のいわゆる後納と申しますか、専売公社とか、郵以とか、食糧営団とかその他が後払いになつておりまして、日通にたまつてわりましたものの残高が、二十五年五月末におきまして二十八億八千万円ほこに相なつておつたのであります。しかもこの事情が努力と申すよりも、取扱い手続上官庁の後納運賃の支払いの事実からやむを得ないというような判断判町をいたしまして、かように国鉄の裁量によりましてこれを延期いたしたのでありまして、私どもは、こういうような営業に基くものとしてこういう処置はあり得るというように考えております。
  210. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならば、あなたの方の国鉄の裁量によつて一月延ばし二月延ばすということが自由にできるということになりますと、極端にいえば日通の経理会計状況というようなことにも入つて、そうしてその立場において同意するということになる危険があろうと思います。政府関係機関会計といたしましては、そういうことを裁量によりましてするということは、原則として非常に無理が伴うようにか。
  211. 高井軍一

    ○高井説明員 私どもの見解といたしましては、もちろん国有鉄道総裁といたしましても、企業上やむを得ないかどうかというような制肘のもとにこれはとりはからわるべきでありまして、十五日はよい、どれだけでもよいというような問題ではなくて、各般の状況を慎重に考慮いたしまして、最小限度の減免措置をいたすべきであるというふうに考えております。これらの問題も、何がためにそういう延滞が起つておるか、これは当事者の責めに帰すべきものであるかどうか、そういうような点も考慮いたしまして、かような十五日程度のものはやむを得ないのじやないかというような判断から、かような措置をいたしたのであります。
  212. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは結論を聞いておきますが、国鉄といたしましては、この批難事項の概説に書いてある、今御説明を聞き質疑いたしました点については、あなた方としては、裁量によつて当然なし得ることをしたのであるから、格別批難されるべき事項に当らず、こういうことが根本になつておる一のですか。
  213. 高井軍一

    ○高井説明員 かような措置をする必要があるという判断からこれをいたしたのでありまして、二十六年七月分以降につきましては適用いたさないということにしております。
  214. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは国鉄において、延滞償金の内容及び当時の数額根拠というようなものを書類にして出していただいて、この点についての私の質疑は留保いたしておきます。
  215. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ちよつと関連して。先ほど免除したのじやないというようなお答えがあつたように私聞いておつたのでありますが、そうでありますか。
  216. 高井軍一

    ○高井説明員 実質的には免除ということに相なるのでありますが、会計上の手続といたしましては、期限の延期ということに相なつております。従いまして実質的には免除というようなことと同じだというように考えております。
  217. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私はそれは免除であるとかないとかいうことは別として、実は今決算委員会で提出されたところの説明書の中には、やはり会計検査院が免除をしたということを書いてあるのですが、これは間違いですか。
  218. 高井軍一

    ○高井説明員 間違いではないのでありまして、意味は実質的にはそういうことに相なると思います。一応この調停と申しますか、決定をいたしましたものは、あとの手続におきましてその差額を徴収しないことに相なるのでありますから、その意味は、かような延滞償金を免除したということに相なると思います。
  219. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 いろいろな言いまわしをされますけれども会計検査院も免除したというようにここに報告をしておるし、あなたの方からの説明書にも免除したと書いてあるのだから、それはそういうふうに言わないで、免除したのだとすなおに答えられないのでしようか。もしも免除したのでなかつたならば、これにやはりそういうふうに書けばいいのじやないでしようか。もしもあなたのおつしやるように免除したのでないとすれば、やはりそれは債権として残ることになるのだが、そういうことになると債権をうやむやにしてしまうことになる。免除することができるところの何らかの法規上の根拠があるならば、免除したら免除したでいいじやありませんか。それを説明書には免除したと書いてあるから、私が免除したのではないかと問えばそうではなくて実質においては免除したような形になるのだということを言うのだが、そうすると債権関係はどうなるのですか。そういうあやふやなことはないはずですがね。
  220. 高井軍一

    ○高井説明員 先ほど申し上げましたように、次の納期を延期することによりまして、前出しました調停は再調停ということになりまして効力がなくなりますので、債権は当然発生しないということに相なると思います。
  221. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それでは結局免除したのではないのですか。簡単に答えてもらいたい、そうでないと解決しませんよ。
  222. 高井軍一

    ○高井説明員 形式にとらわれて先ほどああいうことを手続の点から申したのでありますが、延滞償金を免除したというように考えていただきましてもさしつかえないと思います。
  223. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 延滞償金というのは、税金を納める期間に納めないとそれに延滞税がつくというようなもので、あなたが先ほど言われた二千九百万円というのは、これはその延滞償金でありますか、元金でありますか。
  224. 高井軍一

    ○高井説明員 延滞償金相当額でございます。元金ではございません。
  225. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 元金はどれくらいになるのですか。
  226. 高井軍一

    ○高井説明員 先ほど申し上げましたごとく、二十八億八千万円余というものが元金に相なつております。
  227. 柴田義男

    柴田委員 国有鉄道の方から伺いたいと思いますか、交通公社の性格はとういうものであるか。交通公社の組織の中に元鉄道に関係のあつた方々は相当おられるのかどうか。  それから公社がここに指摘されておりますように、たくさんの問題がありますが、公社自体何か監察制度を持つておるのかどうか、この点を伺います。
  228. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま交通公社の性格についてお話があつたのでありますが、交通公社は終始一貫国鉄の行います旅客運送事業の補助機関といたしまして、旅行関係のいろいろなあつせん一とか、国鉄乗車券の代売とか、旅行に関係いたします内外の情報の提供、こういつたような使命を持ちまして、現在は財団法人として運営しておる次第であります。
  229. 柴田義男

    柴田委員 公社のやつでおる仕事のことはわれわれ常識上知つおるのでございますが、財団法人として、たとえば責任者あるいはその他の幹部は一国鉄とどういう関係にあるのかということを伺つておるのであります。
  230. 津田弘孝

    ○津田説明員 交通公社の幹部の人というのは会長とか、理事につきましてのお話だと思います。その中には、この公社のやつております事業の性質上国鉄と非常に関係の深い仕事をしておる面が非常に多うございますので、国鉄の退職者あるいは出身者が数名はおられますが、その以外にもずつと交通公社で育つて参りました者が幹部になつておりますし、海運関係から入つておる者もございます。あるいはかつて新聞とか報道とかに従事しておつたような方も入つております。
  231. 柴田義男

    柴田委員 今の賠償金の二千九百万というのは、日通と公社の二つにわかれておりますが、日通の分は幾らで公社の分は幾らですか。
  232. 高井軍一

    ○高井説明員 日通に対して免除いたしました二十五年度中の額は二千六百四十六万三千三百六円であります。公社に対しますものは二千九百二十一万三百六十四円でございます。先ほど公社の分と日通の分と欄を間違えましたので、御訂正を願います。
  233. 柴田義男

    柴田委員 先ほど御質問申し上げた内部の監察制度についてはどうですか。
  234. 津田弘孝

    ○津田説明員 交通公社で扱つているところの国鉄関係の乗車券は相当多額なものに上りますし、また全国的にもばはらまかれました営業所で行つている関係上、国鉄としてももちろん交通公社の乗車券の発売その他経理の内容については十分監査するのでありますか、交通公社自体としても相当の審査機構をもちまして誤りのないようにやつているのでございます。
  235. 柴田義男

    柴田委員 この三百三十ページの日本国有鉄道という問題に収録しているのは、東京鉄道管理局の分で交通公社の総扱い量の四〇%、この中に延滞賠償金を免除した額が二千九百二十一万余円、こうございますが、そうすると全国に分布している交通公社の六〇%に対してはどれほどの金額を免除されておりましようか。
  236. 高井軍一

    ○高井説明員 これは全国で扱つているもののうちの東鉄の取扱い分だけを納期を延長いたしたのでございまして、その他については納期の延長を認めておりません。
  237. 柴田義男

    柴田委員 この交通公社というものは非常に便利な期間であることは、われわれも納得できるのですが、こういう二千九百万円というような莫大な延滞金を免除してしまうということが慣習になりましたならば、国有鉄道として将来非常な損失があるということをお考えになりませんか。
  238. 高井軍一

    ○高井説明員 お説の通りでありまして、できるだけ早く回収をいたすように努力いたしまして、交通公社のものについては収入金を別途口座に入れさせまして、そうして私の方で監理と申しますか十分口座を監視しながら収納をさしているような状態でございます。
  239. 柴田義男

    柴田委員 別途の参考書類を拝見すると、滝川化学工業に後払い運賃の未収があつて、滝川化学工業が破産をしたという事実があります。こうした例はもちろん交通公社にはあり得ないことでございましようけれども、一つの実例をここで示している。こういう場合やはり交通公社に対しても鉄道関係者が幹部にたくさん入つておりましようとも、厳重な監督をやはり国鉄当局としてお払いにならなければならぬと思いますが、何か別途にそういう方途を講ぜられる御意思がございましようか。総裁がお見えにならぬようですから、その点は副総裁から御説明を願いたいと思います。
  240. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 いろいろ仕事によりまして後払いというような問題が起る場合もあるのでございますが、そういう問題につきましては保証金を入れさせるというようなことをやつてもおりますし、それをもつと強化して行きたいと考えております。さらに今御指摘のございましたように、特に交通公社とか、日本通運とか、大きな金が債権として残るところにつきましては、われわれとしても十分それを監督しなければなりませんので、先ほど高井説明員が申しました通り、交通公社についてはそれ以後特に特別な口座を設けまして、それを監視しているというようなことで、それから以後は何ら事態は起つておりません。日本通運につきましても、その後厳重にやつておりまして、これはいろいろの書類整理ができるのに大体一箇月を要しますので、それ以後に延びないようにというようなことは厳重にやつております。なお最近、昨年からでございますが、私の方にも監察役というような仕事を設けまして、これらのものをしてこういう問題についても十分監視をするという方策を考えております。
  241. 柴田義男

    柴田委員 この後払い運賃に対しまして保証の制度があることはわれわれも知つておりますが、その保証制度というものは扱い量の大体どういう比率で保証金を徴収されておりましようか。
  242. 津田弘孝

    ○津田説明員 いろいろな場合に保証金をとつておりますが、一つの例を日本通運の場合で申しますと、各日通の毎日納める大体の運賃がございますが、それの五十日分を保証金としてとりまして、後払い契約をいたしているのでございます。
  243. 柴田義男

    柴田委員 そうなるとこの参考書類に対してわれわれはなおさら疑問を持つて来る。たとえば日通の全国の扱い量は一日に何千万かあると思います。そういう場合五十日分の保証金をおとりになつているといたしますれば、なぜ滝川化学工業のような問題が発生するのかという疑いを持つのでありますが、この滝川化学工業の例をとつてみますならば、この工業会社からどのくらいの保証金をおとりになつていたのでありますか。
  244. 高井軍一

    ○高井説明員 滝川化学工業からは契約担保金は三十万円とつております。当時の実績といたしましては、月平均十八万円程度でございまして、その五十日分といたしたような次第であります。
  245. 柴田義男

    柴田委員 そうしますとこの参考書の数字はどういうことでございましようか。総額この数字で見ると四千七百二万八千八百八円ではございませんか。これが未収になつて、しかも当時破産してしまつたその最後に押えた場合の金額は四千七百二万八千八百八円でございましよう。そうすると三十万そこそこの保証金をとつておつて、その滝川工業が破産にあたつて鉄道に迷惑をかけた金額は四千七百余万円だ、こういうことになると、それはどういう計算の基礎でございましようか。
  246. 高井軍一

    ○高井説明員 この後払い契約を担保金の額まで参りましたときに解除するとそういう損害はでき得ないのでありますが、やはりそこの企業の関係として見て参りますとだんだんそうした納入金が積りに積りまして、こういう最後の土壇場になりまして、こういう数字に累積して相なつたという状況でございます。
  247. 柴田義男

    柴田委員 そうすると保証制度というものもあまりにも形式的だという問題になりはしまいかとわれわれ懸念されるのです。少くとも五十日間で三十万円の保証金をとつておれば安心だ、こう思われておつたのが、そういう計算から行きますと何年分の運賃がこう溜つたのでございましよう。
  248. 高井軍一

    ○高井説明員 五十日分の算例といたしましては、先ほどお話がありましたように、日通の場合におきましても、たとえば四月分におきましては、所定の期限内で九四%というものは納入されているのでございます。そういうようなぐあいに、あるいは日通以外の新免店の方におきましては回収率が非常に悪いのでございますが、通運の得意その他のの関係から参りまして、保証金なりあるいは担保というようなものが切れた場合に、すぐそれを自動的に後納扱いを停止するかということになりますと、そこになかなかむずかしい問題があるのであります。そういうな点から、この担保につきまして確かに欠陥はあるのでありますが、ある程度の見通しをつけまして、そうして回収の促進の見込みなり、あるいは会社の更生の見込みなり、そういうところを見ながら適宜の処置というものをやつて参つておるような次第であります。
  249. 柴田義男

    柴田委員 ここに表面に出た問題だけを一つの例として申し上げておるのですが、私どもがほんとうに心配して申し上げることは、保証の制度が確立しておりまするならば、もつとりつぱな保証制度を確立してもらいたい滝川工業一つを例にとつて申しておるのですが、こういう莫大な後納金がとれなくなつて、回収には非常に努力を払つておるということは、ここにも記されておりますし、御答弁も承りましたが、こういう莫大な後納金のとれなくなるような状態に陥つたということは、どこかの貨物の扱い者に不正行為がなかつたかどうか、この滝川工業の荷物を扱つた駅の貨物の係の者に不正行為がなかつたかどうか、これを承りたいと思います。
  250. 高井軍一

    ○高井説明員 滝川工業につきましては、そうした不正というようなものは全然なかつたように考えております。
  251. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと委員長としてお尋ねするのですが、先ほどのお話を固くと、十八万円しか一箇月の取扱い炉ないというのに、四千八百万円という、まるでとんでもないようなものがたまるということは、あなた方は、何でもないように常識的に弁明されるということはどうなんですか。あまりおかしくないですか。十八万円の取扱いに対する三月分とか二月分というなら別ですが、四千八百万円もたまつたというのはおかしくないですか。
  252. 柴田義男

    柴田委員 委員長の今おつしやる通りで、この問題は、間違いであれば、間違いでいいと思います。私どもは何も国鉄の皆さんを答弁に窮させようと思つて申し上げておるのではないので四千七百万もある後払い運賃がとれなくなつたという根本原因は、そこのの扱つた駅の係の方との間に必ずや不正行為があると私どもは考える。少くとも三十万そこそこの扱いであろうというので保証金をとつておつた業者に、四千七百万もの運賃を払わないように、この長い期間後払いを認めておつた。そうしてそれに対して貨物をどんどん供給しておつた。今の至るところの駅の状況をわれわれがしろうととして見ますに、配車に対しましてはいろいろ苦労をしております。運賃をまじめに毎日々々日払いをしている貨物業者ですらも、非常に苦労しております。そうした場合に、ひとり滝川工業に対しまして、四千七百万もの後払い運賃の未徴収があるにもかかわらず、配車しておつて、そうして不正がない、こう言えるでありましようか。
  253. 田中彰治

    田中委員長 運賃の二十五年分をためて、それで不正がなかつたとか、あなた方の方で常識的にそういうことを考えられるということは、鉄道公社は何をやつているかということになりますね。十八万円の運賃しかないと見ているところで、四千八百万円というのは二十五年分だ。こういうことだと鉄道公社は何をやつているかということを言いたくなる。どうも権利だとか商売とかおつしやるけれども、こんなことが国民にでも知れたら、たいへんですよ。
  254. 高井軍一

    ○高井説明員 御批判に対して弁解の言葉もないのでありますが、昭和二十五年の三月に契約を解除いたしたのでありますが、そのときにはもう未収金の三千七百六十二万円というものがたまつておつたのであります。これまではいろいろ滝川工業の更生と申しますか、立ち直りますために鋭意再建をはかつておるときでありまして、後納運賃の契約の解除をもつと先にやれば、結果的には少くなつたのでありますが、この見切りの時期というものを、会社の更生等を考えまして、もしこれを打切つてしまいましたときには、今までの貸金の督促と納入がスムースに行かず、こげつきになつてしまわないかというような関係から、遷延をいたしておつた次第でありまして、これは御批判のように、もつとずつと先に契約の解除をやつておれば、こうした未収金はなかつたであろうということは、御説の通りでありまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。
  255. 柴田義男

    柴田委員 その滝川工業というものはどこにある会社で、その滝川工業の役員、名簿を文書で御提出願いたいと思います。もう一つは、滝川工業の荷物を扱つた駅はどことどこの駅か、こういうことを概略でもけつこうでございますから、なるべく早い機会委員会に御提出願いたいと思います。
  256. 田中彰治

    田中委員長 あなた方は平気で答弁されておりますが、たといどんなに早くやろうが何しようが、二十五年分も運賃をためられて、そうして平気でそういう答弁をされる役人というものに対して一国民は一体役所は何をしているのだと思うに違いない。こういうものがあつたら、鉄道公社を調べたら、何をやつているかわからぬと思う。何千万円ですよ。あなた方は一生この金をお持ちにならぬで、あの世に行かれるかもしれない。あなた方の給料から見ると、大分縁の遠いものですよ。それを平気で答弁しているところを見ると、あなた方はまるで決算委員会というものの委員をはかにしていらつしやると思う。答弁の余地がないじやないですか。十八万円しか運賃がないというところで、二十五年間分も運賃をためておいて、大したことはないという。そんなことが通ると思いますか。
  257. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の柴田さんの質疑については、資料を見ましてもつと……。そうしましよう。
  258. 田中彰治

    田中委員長 時間もないし、簡単にしてあげようと思つたが、あなた方は誠意がない。もうちよつとあなた方はこういうことに対して誠意を持つていただきたい。  それからさつき津田説明員が柴田義男君からただされておるのですが、一体監察制度というものは、はつきりしたものがあるのですか、ないのですか。鉄道公社の中に監察制度がりつぱに設けてあるのですか。辞令を出して、監察部長とか、そういうふうな職責を設けたものがあるのですか。あればいつごろからできたのですか。
  259. 柴田義男

    柴田委員 関連して……。その監察制度のお答えも願いたいし、もう一つは、今主として滝川化学工業を例にとつて申しておつたのですが、そのほか三百五十六ページの一〇三四の問題に対しましても、私どもは幾多の疑問をここに持つのであります。たとえば随意契約によつて物を仕入れておる場合と、一般競争契約によつて仕入れる場合との価格が、あまりにも相違がある。これはウス二号中質で百四十円、それから競争の場合には六十八円八十九銭、こうなりますと、この比較は二倍強でございます。次の定期乗車券の牛込書、この問題に至りましては四倍の状態で、その次もまた四倍、その次の定期乗車券の申込書が二・五倍、四倍ないし二倍にこれを随意契約によつて物を納めさせておる。そういたしまして、その対象の会社が山口鉄道紙工株式会社ほか四会社となつておりますが、山口鉄道紙工株式会社というものの役員は、やはり国有鉄道の方々と何か密接な関係がある人々によつて組織されておるのかどうか、こういうことを疑わざるを得ない。公社の場合と同様であります。山口鉄道紙工株式会社ほか四会社というものの会社名と、重役の名簿をやはり文書によつて御提出を願いたい、こう存じます。
  260. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 今、両委員からいろいろ書類の取寄せを委員長に申し出ておるのですが、そういうことになりますと、本日中に終えないことになりますから、本日はこの程度にして、その資料をいただいてからやることにされたらどうかと思うのですが…。
  261. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なお国鉄には監理委員会というものがあります。監理委員会は国鉄の業務につきまして重要な総裁も当然監理委員会の特別委員なつておるようでありますが、あらゆる面におきまして、監理することになつております。でありますので、この監理委員会の今のメンバー、それから監理一委員会の活動の状況についても聞きたいと思います。監理委員会は相当活動しておると思いますので、その辺についても聞きたいと思いますから、資料をひとつ出していただきたい。  それから閉会に先だちまして、記録上とどめておきたいのですが、一つは最近内地米及び外地米の水つかりなどがめちやくちやに処理されておるということをあつちこつちから陳情を受けておるわけで、この間厚生委員会でも問題になりまして、こんなに食糧がなくて困つておるときに、何とか手がないだろうか、決算委員会で何とかひとつ明らかにしていただきたいという陳情がありましたので、それに関して二十六年、二十七年、二十八年度における外米並びに内地米、麦及び麦の粉など雑穀を含めまして、事故のあるものについての管理、処理の状況、特に最近の状況について、これを売却しておるとしますれば、売却の方法、価格、数量、場所、こういうものについて至急に詳細に食糧庁から書類をお取寄せを願いまして、そうして適当な時期にこれを審議するようにおはからいを願いたいことが一つ。  もう一つは前十五国会におきまして、本委員会の審議保留となつておりました通産省所管、貿易特別会計の中の出光興産の石油が不当に処理されております。この分につきまして資料要求しておりましたが、適当な機会に審議を進められるようにおはからいを願います。お含みおき願いたいと思います。
  262. 田中彰治

    田中委員長 御趣旨に沿うようにとりはからいます。  それでは本日はこの程度として、次会は七月十三日、月曜日、午後一時から開会いたす予定であります。審議議題についてはあとからお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十五分散会