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1953-07-03 第16回国会 衆議院 決算委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十八年七月三日(金曜日) 午後一時三十一分
開議
出席委員
委員長代理理事
天野
公義君
理事
福田
喜東
君
理事
松山 義雄君
理事
柴田 義男君
理事
熊本 虎三君 安井 大吉君 阿部
五郎
君 大矢 省三君
杉村沖治郎
君 冨吉 榮二君
吉田
賢一君
出席政府委員
建設事務官
(
大臣官房会計
課長
) 斎藤 常勝君 建 設 技 官 (
営繕局長
) 木村 恵一君
委員外
の
出席者
建設事務次官
稲浦
鹿藏
君 建 設 技 官 (
大臣官房建設
機械課長
) 藤森 謙一君
建設事務官
(
河川局次長
)
伊藤
大三君
建設事務官
田中 甲三君
会計検査院事務
官 (
検査
第三局 長)
小峰
保栄君 専 門 員
大久保忠文
君 専 門 員 岡林 清英君
—————————————
七月三日
委員山田長司
君辞任につき、その補欠として阿
部五郎
君が議長の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の会議に付した
事件
昭和
二十五
年度
一般会計歳入歳出決算
、
昭和
二 十五
年度
特別会計歳入歳出決算
及び
昭和
二十五
年度政府関係機関収入支出決算
—————————————
天野公義
1
○
天野委員長代理
これより
決算委員会
を開会いたします。引続き
委員長
がやむを得ない
事情
のため出席できかねますので、
理事
の私が
委員長
の依嘱を受けましてその職務を代行いたしますから、よろしく御了承をお願いいたします。本日は
建設省所管
について
審議
を行うことにいたします。まず
検査報告書
二百七十五ページ、
建設省一般会計
中、
予算経理
の項、
報告番号
八三三ないし八七二、
工事
の項、
報告番号
八七三ないし九八四、
不正行為
の項、
報告番号
九八五ないし九八六及び是正させた
事項
、
報告番号
九八七ないし九八九、以上の百五十七件を便宜上
一括議題
とし、
審議促進
上そのうち
報告番号
八三三ないし八六八、八七一ないし八七四、九二九ないし九二二、九八二、九八三及び九八四の右四十六件について特に詳細な
説明
を求めます。
会計検査院検査
第三
局長小峰説明員
。
小峰保栄
2
○
小峰会計検査院説明員
八三三以下の
直轄工事
の
経理
が紊乱しているという
案件
についてまず御
説明
申し上げます。
終戦
後の惰性と申しますか、
地方建設局
の第一線の
機関
である各
工事事務所
、
河川
の
改修
が主でありますが、これの担当しております
直轄工事
の
経理
が
終戦
後乱れまして、二十四
年度
あたり私
ども検査
いたしますと、
相当
に
紊乱ぶり
が目立
つて
いたのであります。具体的に申し上げますと、
幽霊人夫
あるいは買いもしない
材料代
というもので、
予算
をどんどんと
現金
化いたしまして、それを右から左へ使う、こういうような事実が、
相当
検査上目
について来たわけであります。二十五
年度
におきましては、この
架空経理
の一掃ということに
検査
の重点を置きまして、
全国
に約百四十の
事務所
がございますが、そのうち四十七
事務所
の
検査
を実施したわけであります。全体から見ますと、三分の一ばかりしか
検査
ができなか
つたの
でありますが、この四十七
事務所
の
検査
の結果によりますと、三十一という
事務所
でこの
架空経理
が見つか
つたの
であります。各
事務所別
の内容は、簡単な表にして次にずらりと並べてございますが、この総額実に四億四千七百万円という大きな
金額
が、今の
幽霊人夫
や、から
材料
というもので
現金
化されまして、
検査
当時までに四億千二百万円というものがすでに使われてお
つたの
でございます。なお
検査
当時三千五百九十三万円という大きな金が
現金
のまま
工事事務所
に残されていたのを見つけたわけであります。そのどういうものから
予算
を
現金
化し、どういうものに
使つた
かということは、
一つ一つ
の
事務所
についてここに詳細書いてございますが、大体捻出しました
名義
は大
部分
が
架空人夫賃
と
架空材料
であります。使いました
使途
は大
部分
が
工事
の
請負代金
とか
労力費
とか
材料購入費
、こういうような国の
用途
に還元されたわけでありますが、正当な国の
用途
に還元されました以外のものも
相当
に見つか
つたの
であります。この二百七十六ページの中ごろに書いてあります
予算外
の
使途
または
予算
以上に使用したもの、給料諸手当が千四百万円、
職員厚生費
が八日余万円、
食糧費
三百万円、こういうものが見つか
つたの
でありまして、
国費
の
経理
としては、はなはだおもしろくない大きな
事故
だ
つた
わけであります。それでこういう非常に不正な
経理
をしております結果、たとえば二十六牛の五月
鬼怒川工事事務所
の
氏家出張所
におきましては、宿直の
職員
が強盗に殺されて、保管中の
現金
八十万円が盗まれた、あるいは信濃川の
工事事務所
の
長岡出張所
におきましては、
職員
か四百四十数万円というものを自宅に持
つて
帰
つた
ところを、検察庁に踏み込まれて
横領容疑
で起訴された、こういうような
事故
も起したのであります。そこで私
ども
といたしましては、こういういわば
幽霊経理
というようなものはできるだけ早く一掃しなければいかぬということで、二十五
年度
、二十六
年度
最も力を入れて
検査
したのであります。
当局
もこれを一掃するということを非常に心がけて、いろいろな改善の方途をお打ちにな
つたの
であります。その結果が実を結びまして、二十六
年度
においてはこの二十五
年度
の引続きとして
全国
で約三千五百万円
会計検査
の結果見つか
つて
おるのであります。これは二十六
年度
にな
つて
新しくや
つた
という事態は少いのでありまして、ほとんど全部がこの二十五
年度
の四億四千万円というものの続きでありまして、二十六
年度
にこの
全国
的な悪い傾向としての
架空経理
というものはまず一掃された、こう申し上げられると思うのであります。大勢の人間でありますから、中には不心得な者が偶発的に出るかもしれませんが、二十五
年度
までのようにどこの
工事事務所
でも当然のこととして、あまり悪いとも思わないで、こういう
幽霊人夫
などで右から左へ
国費
を
現金
化して使うというような悪風は、二十六
年度
ですでに一掃されたと言うことができるかと思うのであります。 それからこの各
工事事務所
の
架空経理
の
案件
は八六三まで表にしてまとめてございますが、八六四以下八六八というものは
架空経理
ではありませんか、事実に沿わない
経理
をしておる、あるいは余分なたくさんの物品を
帳簿外
に持
つて
いる、こういうようなものをここに並べたのであります。 八六四、
荒川上流工事事務所
で
改修工事
の
労力費
として
経理
された二十六万円ばかりは、実際はこの
改修工事
の
労力費
には使われないで、
附帯工事
というものに使
つて
いたのでありますか、
労力費
として
経理
いたしましたばかりに、
附帯工事
の
地元
からとります
負担金
八万七千円をとることができなか
つた
、こういうのが
検査
上明らかにな
つた
わけであります。 それから八六五は、富山県の高岡の
工事事務所
で、
労力費
百三十万円、
地元
からの
借入金
で購入した
材料
五十四万円、こういうものを二十四
年度
中に使いまして、それを二十五
年度
の
予算
から払
つて
おるという
事案
であります。 それから八六六は、鳥取県の天神川の
工事事務所
の問題でありますが、これは用地の
補償費
を、
地元
の
要望
によりまして、
予算
がないのに先に払
つて
しま
つた
わけであります。その払うのも、
借入金
をいたしまして
払つたの
でありますが、翌
年度
にな
つて予算
が参りまして、元本は返せましたが、
利息
が返せない。五十一万円ほどの
利息
でありますが、この
利息
の
予算
がない。それを
架空
の
補償費
を立てまして、それで
現金
にして
払つた
、こういう
事案
であります。これは裁判所の問題になりまして、起訴されて、第一審では
責任者
は有罪の判決を受けましたが、第二審で無罪にな
つて
おります。 それから八六七、八六八、この二件はいずれも今申し上げましたようなものと類似の
案件
でありますが、それ以外に
過剰品
をたくさん
手元
に持
つて
いた。中には
帳簿外物件
を、
会計検査
のときに、トラックに乗せてほかに積み出してしま
つた
。そういうのが見つか
つた
という
案件
があります。それから先ほどお
示し
の八七一であります。これは
北海道
の
河川事業費
の
使用当
を得ない
幾つ
かの
案件
のうちの
一つ
であります。これは二十五年の七月に小型の浚渫船の
改造
を百七十万円かけていたしましたが、その
改造
のやり方がまずか
つた
ために
使いもの
にならないで、二十六年の
会計検査
当時遊んでお
つた
。こういう
案件
であります。その後、これは会社の
負担
におきましてさらに
改造
を加えたというふうに聞いております。 それから八七二でありますが、これもやはり
北海道
の旭川の
土木現業所
で、パワーシヨベルの
機械
を百八十万円で買いました。これは二十一年に
買つたの
でありますが、四十二万円をかけて、二十六年に
現地
に運んだのであります。ところが
使いもの
にならなか
つた
と見えまして、二十六年の八月、
会計検査
当時、全然
使つた実績
がない。そして大きな修理をしなければ役に立たない。こういう
案件
であります。 それから八七三の
警察予備隊
の
営繕工事
でありますが、これは九州の
福岡警察予備隊
の第四
管区本部
の
水道本管改修工事
であります。これは県の持
つて
おります古い
水道本管
を四十三万円で買収いたしました。ところが、これが古くて
使いもの
にならないのであります。そのまま置いて、新しいのを敷設すればよか
つたの
を、古い
材料
を活用するということで、千九百万円という大きな金を投じまして、わざわざ掘り上げたのであります。ところがその掘り上げましたものは、新しく
買つて
も二百三十万円ぐらいの価値しかないものだ
つた
。そのために多額の
国費
を
使つた
という
案件
であります。 次に八七四でありますが、これは
関東地方建設局利根川下流工事事務所
、これは千葉県の
佐原
にございますが、この
事務所
で、
阪神築港
に、今申し上げました
佐原
町の川の底を掘る
仕事
を請負わせまして、
有効土量
十万
立米
掘
つた
ということで、七百万円を
払つたの
であります。ところが
検査
をしてみますと、
指名競争
で
契約
したといいながら、実は
随意契約
をや
つて
いる。しかも
契約
前にすでに
仕事
をや
つて
いた。あるいは浚渫すべきところを、
設計通り
の浚渫をしないで、
請負人
が都合のいいところを深掘りしてしま
つた
。そこで十万
立米
掘
つた
ことは掘
つた
が、役に立たない分があ
つて
、実際に役に立つのは八万八千
立米
だという
案件
であります。しかもこの十万
立米
と八万八千
立米
の差、約一万二千
立米
というものは、当然
請負人
が
工事
をしなければならないわけでありますが、翌
年度
になりまして、別に
国費
を八十一万四千円を投じて、別の
契約
をして
請負人
に掘らしていた。こういう
案件
であります。 それから九二九から九二二であります。これはこの前の表に、各
県別
の
国重負担
の
災害復旧工事
というものの
一覧表
がございますが、
国庫負担災害復旧工事
というものは、
昭和
二十五
年度
から従来とかわ
つた
様相を呈して来たわけであります。と申しますのは、二十五
年度
に、これは一
年度
限りでございましたが、
全額国庫負担
で
災害復旧工事
をやるということにな
つた
わけであります。私
ども
といたしましては、非常に力が足りなか
つたの
でありますが、
全国
に手を伸ばしまして、一応四十六の都道府県全部について、日数は非常に短うございましたが、
検査
をいたしました。その結果、
全国
的にいろいろな
災害復旧工事
についての
批難事項
というものが、たくさんに上
つて
来たのであります。それをここにまとめた次第でありますが、お
示し
にな
つた
九二九から九三一と申しますのは、数多い
不当工事
の中で、最も質の悪いいわゆる
架空工事
、
災害
も受けない、そして実際に
災害復旧工事
もや
つて
いない、そういうものに対して
国庫負担金
をかけていたというのが、
会計検査
の結果わか
つたの
を、ここに三つ並べたのであります。ほかにいろいろ
便乗工事
とか、でき方が悪い
工事
とか、この
あと
にたくさんございますが、このトツプに出しました九二九以下の三件というものは、いわゆる
架空工事
というので、質が最も悪いと私
ども
は考えておる次第であります。 九二九号は、石川県で
砂防堰堤
がほんの一部こわれたのを、全部こわれたということで
補助金
をとりまして、
仕事
はこわれたところだけや
つて
いた。
あと
は全然や
つて
いなか
つた
。その結果
補助金
をよけいに
交付
したというのが百四十八万円出た。こういう
案件
であります。大体この年は最初の年でありましたので、全部
架空工事
、まるつきり
災害
を受けておらぬ、
従つて
全然
工事
もや
つて
いないというのは、まだ見つからなか
つた
。二十六
年度
となりますと、さらにこういう質の悪いのも
幾つ
か見つか
つて
おりますが、二十五
年度
としては、全体の
工事
の中で、一部は
災害
を受けたが、
残り
の
部分
は全然
被害
を受けていない。その
被害
を受けていない
部分
も含めて
国庫負担金
をもら
つて
お
つた
。こういうので、三件とも同じような種類のものであります。 次は九八二、
中小河川改良工事費国陣負担金
の
交付
に関する問題であります。これは
和歌山
県で県が直営施行しました、新宮市のところを流れておる市田川という川がありますが、この川の
国庫負担工事
の
経理
が、非常に乱れてお
つた
。私
ども検査
に参りますと、
帳簿
も何もない。そうして金の一部が
所長
の名前の
市中銀行
の
預金
にな
つて
おる。そういう
状態
だ
つたの
であります。それを全部整理してもらいまして、ここに書いたのでありますが、結局使
つて
相ならぬと思うようなものが十八万五千円ぐらい出て来たわけであります。先ほど申し上げました
預金
というのは、三十六万円
預金
して、
所長名義
で持
つて
いたのであります。 それから九八三、これは同じ
和歌山
県でありますが、あそこに海岸に
沿つて
、南の方に
国道
四十一号線というものがございます。これの
改良工事
に関するものでありますが、西牟婁郡の
朝来
という村で、
国道
の千三百二十五メートルを六百十万円で
改良工事
を施行する、こういう
仕事
を
地元
の
要望
によりまして、
地元
の
朝来
村に請負わしたのであります。ところが
朝来
村がそれをさらに下請けに出まして、
国道
の
改良工事
でありますから、二割は
地元
が
負担
しなければいけないわけでありますが、この二割に
相当
する
金額
を
請負人
に
寄付金
を仰せつけまして、
請負人
から金を二割
相当額
もとりましてそれを県に納めようとしたのであります。一部はすでにと
つて県
に納めていたのでありますが、その後いろいろな
事情
がありまして
請負人
が請負い
工事
を投げ出して
しまつたの
であります。投げ出した結果、今のような事実がすつかりわかりまして、それをまとめてここに載せたのでありますが、
ちようど年度
末が来ましてもうすでに
改良工事
が全部できたというので私
ども
行
つて
みましたところが、まだできていない。しかも
請負人
は途中で投げ出してしま
つた
。そういうことがはつきりしたわけであります。 それから最後の九八四でありますが、これは
香川
県の
砂防事業費国庫負担金
の
交付
が悪か
つた
、こういう
案件
であります。これは
香川
県大川郡長尾町
地内鴨部川
の支流の切ノ川という、非常に小さい川でありますが、ここを
砂防
止必要だということで
土堰堤
を
一つ
くりまして、二百十三万円の工費に対して
国庫負担金
を三分の二ということで百四十二万千円
交付
したのであります。
現地
を
検査
してみますと、今の
土堰堤
は延長が四十二メートル、高さ十メートルという
相当
な
堰堤
でありますが、しめ切
つた
川はわずか一メートル五十程度の小さい川であります。わずか一メートル五十の川を横切
つて
四十二メートルの
土堰堤
をつくるということは
ちよ
つと例がないのであります。非常に大きな
堰堤
であります。
現地
の
状況
を見ますと、どうも
砂防堰堤
というにはふさわしくない。第一
砂防堰堤
を
土堰堤
でつくるということは、もちろん絶無ではございませんが、非常に珍しいのであります。今のようなわずか一メートル半くらいの川を四十二メートルほどの
堰堤
でしめ切
つて
、それを
砂防
に使うというのもおかしいのであります。しかも
上流
わずかのところに
ため池
がありまして、その
ため池
の下へ
砂防堰堤
をつくる。
ため池
を通して、
砂防堰堤
が必要なほど土砂が流れて来るというのは
ちよ
つとおかしいのでありまして、これは今申し上げました
上流
の小さい
ため池
では
農業用水
が不足するため、その
補足用
としてその下にさらに
ため池
をつく
つた
。現に
ため池
から水をたんぼに
ひつぱつて
、
水路
もできていたのであります。これはさすがに
国庫負担
の対象にはしてございませんでしたが、
水路
がある、こういうような
状況
でありまして、私
ども
としては、
砂防堰堤
として
高率
の
国庫負担金
を支出したのはおもしろくない。ほかに
農業改良用
の
国庫補助事業
がございますので、そういう面でこれをや
つたの
なら話はわかりますが、
砂防用
として
建設省
から
高率
の
国庫負担金
を
交付
したのはおもしろくないだろうと考える、こういう趣旨でここに載せたわけであります。
天野公義
3
○
天野委員長代理
ただいまの
説明
に対し、
建設省当局
において
補足説明
があればこの際発言を許します。
稲浦鹿藏
4
○
稲浦説明員
ただいま
会計検査院
から御
説明
になりましたことにつきましては、まことに御
指摘
の
通り
でありまして、遺憾に存じておる次第であります。こういう
経理
がどうして起
つた
かということは、
検査院
からもお話がありましたが、私から、弁解がましくなりますが、一応御報告申し上げたいと思います。 戦争後の
混乱状態
にありまして国民全体が大体弛緩いたしまして、その影響がなお引続いておりまして、私たちの
関係
しておる
建設事業
にもやはりそうした思想が流れておりました結果、ただいまのような不都合な
事件
が起
つたの
でありまして、これに対してはまことに恐縮に存じております。そこで一々御
指摘
になりました件についてはその後慎重に調査いたしまして、たとえば過払いにな
つた分
は
国庫
に返納させるとか、あるいはその他の正当な
方法
にできるだけ是正いたしまして、なお悪質なものにつきましては
行政処分
をして、今後こうした
行為
の厳正を期することにいたしております。なおこうした経験から将来再びこうしたことが起らないようにいたさなければなりませんので、
建設省
の
監察機構
を増強いたしまして、厳重な
監察
を行
つて
おります。なお
ちよ
うど戦後においていろいろな
規則
が行われ、その
規則
がわれわれの
仕事
に対して非常にやりにくい点がありますので、
会計
その他の
規則
の改正を願いまして、たとえば繰越し等のことは絶対にできなか
つた
ものが、繰越可能の
方法
をとれます等のことで、
相当
緩和せられましたので、今まで
工事
第一主義にや
つて
、何とかして
年度
末までに
工事
を仕上げなければならない、それには
現金
を持
つて
いなければ当時は現物を買うことができないという無理がありましたが、そうしたことを今後やらなくても済ますことになりまして、今のような問題を起さないような
制度
にもな
つて
参りましたので、この上とも一段の努力をいたしまして、昔の内務省の
直轄工事
で非常に世間からほめられたような形まで持
つて
行きたいという心組みで、努力しておる次第であります。
吉田賢一
5
○
吉田
(賢)
委員
報告番号
八三三ないし八六八につきましてお尋ねいたします。八四五号でありますが、これは比較的新しいのであります。私はこれと八三三号の
最上川下流
、
東北地方建設局
、これの
昭和
二十二
年度
から二十五
年度
まで
金額
におきましては二億六千三百数十万の捻出であります。
金額
におきましては非常に厖大なものなのでありますけれ
ども
、若干
案件
が日時を経過しておりますので、八四五号を中心に質疑したいと思います。この
架空労力
の費用を県から受入れて、これをさらに
労力費
として支出する、こういう
関係
にな
つて
おりますが、これをかような
工事
の実際の面から見まして、なぜこういうふうにな
つて
来たのでしようか。どこにすきがあ
つて
こういうふうにな
つたの
でしようか。この点について一応御
説明
を聞いておきたいのです。
伊藤大三
6
○
伊藤説明員
実はこの
予算
が単
年度
にな
つて
おりまして、その
年度
の繰越しということが非常に困難でありまして、
従つて
その
年度
にまたが
つて工事
がありますのが、
予算
の
経理面
からいたしまして、実はその三月で済むのを四月にかか
つた
というような場合におきまして、明許繰越しの当時におきましては、
手続
もございませんのでしたので、
工事
に忠実なるの
あまり経理
の
年度
の区分を誤りまして、実は前
年度
において
工事
を施行したかつこうにいたしまして、次の年において
工事
をしたということが大きな原因でございます。
従つて
この問題につきましては明許繰越しの
制度
を設けていただきまして、繰越し
手続
をはつきりいたしまして、こういう間違いのないようにお願いしたいわけでございます。この当時におきましては、そういう
関係
上
年度
をまたが
つて工事
をしたという点で非常に申訳ないと存じておるわけであります。
吉田賢一
7
○
吉田
(賢)
委員
この
工事
はいつの
工事
なんですか。
小峰保栄
8
○
小峰会計検査院説明員
便宜私から申し上げます。先ほどの
吉田
さんの御
質問
は、県からの
委託工事
や受入れの点が第一点だ
つた
と思うのであります。これは二十五年の三月ごろかと思いますが、県から二百三十二万九千円の金を受入れまして、これは一部であります。全部ではここにございますように、三千百六十二万であります。この中の二百三十二万円を県から受入れまして、そして十二月ごろと思いますが、二百八十六万円をその
工事
に使
つて
しま
つた
わけであります。つまり二百三十二万円受入れまして二百八十六万円
使つた
わけであります。結局国が五十数万円持ちだして
しまつたの
であります。こういうものが、今のものを含めましてほかに三千百万円という大きな
金額
があるのでありますが、これは大
部分
が
架空労力費
いわゆる
幽霊人夫
であります。これを二十五年の三月から二十六年五月までの間に捻出しております。そして
合計
三千百六十二万円になるのでありますが、それを二十五年十二月から二十六年の九月までに使
つて
おるわけであります。大
部分
の、二千六十万円というものは、これは県の
工事
ではありません、国の
工事
の
労力費
に還元されておるのでります。 次に大きいのが国の
工事
の
材料
の三百四十三万九千円、その次が先ほど申しました県の
委託工事費
の二百八十六万円にな
つて
おります。もう
一つ本局送金
の二百万円というものがあります。
合計
二千九百九万円、県が当時までに使
つて
いたわけであります。三千百六十二万円のうち二千九百九万円使い、
残り
が二百五十二万円とな
つて
おるのであります。
吉田賢一
9
○
吉田
(賢)
委員
二十五年の三月に二百三十二万円を県から
受取つて
、二十五年の十二月に二百八十六万円を支
払つた
。これは三月から十二月までの間にということになるのでしようか。大体いつごろに支
払つた
ことになるのですか。
小峰保栄
10
○
小峰会計検査院説明員
ただいまの
鬼怒川
の
架空経理
全体で三千百六十万円でございますが、この中で県からの
委託分
の二百八十六万円、それから受入れましたのは二百三十二万九千円、これがいつかということは、先ほどは、ごろと申し上げたのでありますが、全体をまとめ
経理
しておりますので、
今ちよ
つと
手元
に資料はございません。県から何月何日に受入れて何月に
使つた
かという記録はありませんので、もし御必要であれば調べてお答えいたします。
吉田賢一
11
○
吉田
(賢)
委員
詳細が知りたいのじやないのですが、ただ二十五年の三月に受入れて、その金を数箇月所持してお
つたの
か、間もなく
支払つたの
かということを知りたいのです。
小峰保栄
12
○
小峰会計検査院説明員
ただいまの御
質問
は、先に受入れまして、そして
あと
でまとめて
払つた
、その間
工事
はしておりますが、
支払い
は
あと
で
払つた
、こういうふうに承知しております。
吉田賢一
13
○
吉田
(賢)
委員
その場合は、実際は
工事
は先にし、
あと
に
支払い
をする、その
期間
は最長三月から十二月までありましたが、さような
期間
があるならば、
格別県
からあらかじめ受けなくても、待
つて
直接国の経費を使用するという
方法
は不可能であ
つたの
でしようか、どうなんですか。
小峰保栄
14
○
小峰会計検査院説明員
国の
工事
ではございませんので、県の
工事
でございますから、一応県の委託を受けてやる以上は、県から金をもらいましてその金を使うというのが正しいやり方であります。ここではたまたま
架空経理
をやつおりまして、
予算
をどんどん
現金
化して、いわばつかみ金で大金を動かしていたわけであります。県の
工事
も国の
工事
も一緒くたにいたしまして、その資金の中に県から金が来れば一緒にしてしまう、国の金と県の金とを混同して
経理
していたのでこういうような結果が出たわけであります。
吉田賢一
15
○
吉田
(賢)
委員
公共事業費でありますから、全部が県の金でないことは当然だろうと思いますが、それはそれに間違いないでしようね。今の御
説明
もそうな
つて
おりますが、前段では国の経費ではなしに県の経費だからという御
説明
でした。
小峰保栄
16
○
小峰会計検査院説明員
国の
工事事務所
でありますから、国の経費だけを使うのが原則であります。ときどき県から委託を受けまして県の
仕事
をやるということをところどころでや
つて
おりますが、これも普通は委託の
仕事
をやりまして、
支払い
は県の方へまわしまして県から払
つて
もらう、県からは
現金
をとらないというようなやり方をするのが普通なんでありますが、ここはそういう普通のやり方をいたしませんで、
現金
を先にと
つて
しま
つて
、それを
国費
の
予算
の
現金
化された資金と一緒にして使
つて
お
つた
というので、きわめて異例な取扱いということができます。
吉田賢一
17
○
吉田
(賢)
委員
現実の
状況
を私よく存じませんのと、今の
説明
が簡単でありましたのでよく
事情
がつかめないのでありますが、県から委託というのは、そうしますと、
鬼怒川
の元来の
工事
の設計の内容をなすものではなくして、県自身が別に持
つた
設計の委託を受けた、こういう
関係
になるというのですか。
小峰保栄
18
○
小峰会計検査院説明員
その
通り
でありまして、本来県が
国庫
補助を受けましてやる
災害復旧工事
であります。便宜近所で国の
直轄工事
として
工事事務所
が
仕事
をしておりますので、県から国が委託を受けた。そうしてそれは当然に県費で払う、国の金で払う性質のものではないわけであります。
吉田賢一
19
○
吉田
(賢)
委員
その場合に、国からは、当然支出する
予算
はいつごろに支出し得ることにな
つたの
でしようか。それはどうなんですか。
小峰保栄
20
○
小峰会計検査院説明員
これは県の
工事
でありますし、県の金でする
工事
でありますから、国からはこの分については
予算
はつかないはずであります。先ほど五十万円ほど
国費
の持ち出しをや
つた
と言いましたが、これは国の金と県の金を一緒くたにしてごちやごちやに
経理
をしておりましたのでこういうような結果を来したのであります。普通ならこういうことは絶対に起らないはずであります。県の金だけで
工事
が行われる性質の
工事
なのであります。
稲浦鹿藏
21
○
稲浦説明員
私からも
ちよ
つと御
説明
申し上げますが、実は
鬼怒川
の
改修工事
をそこでや
つて
おりまして、その近くでたまたま
災害
があ
つた
わけであります。そこで
災害
は県の
工事
でございまして、本来なら県自体がやるべきものですが、
ちよ
うど
建設省
の
工事事務所
がそこにありまして
工事
をや
つて
おりますので、
建設省
に委託した方が非常に便利だというので委託して来たわけであります。その
経理
の
方法
は、さつき
小峰
さんからお話のあ
つた
ように、金自体は県が払うべきものを
現金
で
受取つて
しま
つた
というところに間違いが起るもとにな
つたの
でありまして、
仕事
が本
工事
の近くで非常に便利たというので合併してや
つた
——合併と申しますか、便宜上そういうことをや
つたの
でありまして、本体は別にあるのであります。
災害
復旧だけを取上げますと妙に聞えますが、さような
関係
にな
つて
おりますのでひとつ……。
吉田賢一
22
○
吉田
(賢)
委員
そうしますと、この
案件
は、県の
災害
復旧の別の
工事
の委託を受けた経費をあらかじめ前受けをして、それを本来の国の
工事
の方へ振り向けた、こういうことになるのですか。
稲浦鹿藏
23
○
稲浦説明員
大体そういうことになります。
吉田賢一
24
○
吉田
(賢)
委員
そうしますと、本来の国の
工事
の経費は、いつ入手して使用し得る
状態
にあ
つたの
でしようか。
稲浦鹿藏
25
○
稲浦説明員
元来公共事業で
河川
の
改修
をや
つて
おりますので、国会を
通り
年度
がかわれば、すぐ令達することにな
つて
おるのですが、この当時はいろいろな
関係
で、おそらく
現地
へ配付するまでには、
相当
期間
があ
つたの
だろうと思います。それはその当時から、早く
予算
を配付してもらいたいという要求が盛んにありますので、最近は
手続
上できるだけ早く進めまして、
年度
初めに
仕事
に支障のないようにや
つて
おりますが、おそらくこの当時は、一箇月以上も遅れたのではないかというように覚えております。はつきりした日数がいつだということ、は
ちよ
つと
材料
を持
つて
おりませんので……。
吉田賢一
26
○
吉田
(賢)
委員
それで県から受取りました金は、何
年度
の
鬼怒川
の
改修工事
に使用したことにな
つて
おりますか。これを私が聞きたいのは、県から委託を受けた
工事
費を前受けしておるのは別にある。国は一定の
工事
予算
を作成し、設計をして、それからその
工事
費を配付して来るのでありますから、それがどのくらい遅れて、どういう
状態
にな
つたの
で、この県のものをこちらへ流用しなければならぬことにな
つたの
かということを聞きたいのです。それで何
年度
の分についてそれを流用したのか、二十五
年度
であれば、二十五
年度
の
予算
はいつ来たのか、ま
つた
く来なか
つたの
か、来なか
つた
ということであれば、ことに二十五年の四月に
年度
が始ま
つて
、二十五
年度
の十二月までその県の金を使
つて
おるということにな
つて
おりますので、そんなに十二月まで国の
予算
は使い得るよりに配付して来ないのか、その辺を知りたい。
稲浦鹿藏
27
○
稲浦説明員
年度
は四月に始まりまして、それからいろいろ
手続
をやりまして、
現地
へ金を配付するのですが、十二月までも遅れたということはありません。これは大体ここで申し上げてもいいと思います。何箇月遅れたということは、
ちよ
つと
材料
を持
つて
おりませんのでわかりませんが、おそらく一箇月ないし二箇月くらいは、事によ
つた
ら遅れたのではないか。二箇月以上も遅れたということは、今までの例かないのですが、それが遅れるので非常に
仕事
がやりにくいというのでやかましい要求が出ますので、
年度
がかわればすぐ送ることにな
つて
おりますが、その当時はやはりいろいろな
関係
で、一、二箇月は遅れてお
つたの
ではないかと心得ております。
吉田賢一
28
○
吉田
(賢)
委員
もし一、二箇月くらい遅れるということであるのでしたら、県から前受けですか、受入れてお
つた
委託工事費
というものは、本来の
委託工事費
に使い、それから国本来の
鬼怒川
の
工事
については、国の金が一、二箇月後には来るのですから、それを使えばいいのじやないかと私は思うのですが、それを十二月までもこれを使わなければならぬというのは、どういう
事情
があるのだろうということを聞いておるのです。
小峰保栄
29
○
小峰会計検査院説明員
先ほど私二十五年の十二月と申し上げましたが、これは資料のミスプリントでありまして、はなはだ失礼いたしました。そんなに遅ておりません。国が委託を受けて県から金をもら
つたの
は、二十五年の三月ごろのようでありますが、これはいずれはつきりさせて御
説明
申し上げますが、これを使いましたのは、先ほど間違
つた
資料を見て十二月と申し上げましたが、これは十二月ではございません。
検査
報告八四五号をごらんになるとわかりますが、捻出しました
期間
が、二十五年三月から二十六年五月までであります。それからそれを使いましたのが、二十五年三月から二十六年の九月であります。結局三月から五月までに
予算
を
現金
化いたしまして、それに県から委託を受けた
工事
費として二百三十万円一緒にしまして、その一緒にな
つた
全体を、二十五年の三月から二十六年の九月まで
使つた
わけでありまして、十二月と申し上げましたのは誤りであります。その点悪しからず御了承願います。
従つて
吉田
さんの御懸念になるほど遅れていることはないわけでありまして、三月から五月まで捻出しましたものを、三月から九月まで
使つた
わけでありますから、あまり遅れておらぬのであります。国の
予算
の方は、
年度
初めから
工事事務所
へやりまして、それは普通に使われておるのであります。どうぞその点御了承願います。
吉田賢一
30
○
吉田
(賢)
委員
そこで、県から受取
つた
委託工事費
と、それから国から渡
つて
来た
予算
を、
一つ
会計
にこみにして使
つて
お
つた
という
事情
があるのでしようか。
稲浦鹿藏
31
○
稲浦説明員
この問題につきましては、問題とな
つて
いろいろ処分を受けたのでありますが、
経理
の仕方はま
つた
く紊乱をきわておりました。実際は別々に
経理
いたしまして、ことに
委託工事
のごときは、正式な
手続
をと
つて
やらなければならぬのですが、それもやらず、ま
つた
く紊乱した
経理
です。それがために
不正行為
の問題を起しまして、そして引責辞職をしなければならないというようなことにな
つた
ものでありまして、こういうことが普通の
方法
ではない、非常に間違
つた
方法
をと
つて
いるということを申し上げます。
吉田賢一
32
○
吉田
(賢)
委員
先ほどの御
説明
によりますと、戦後思想が非常に悪化して、乱れてお
つた
ということやら、ないしは現実の
工事
の場面において、
工事
第一主義で
工事
に忠実であ
つた
からというような御
説明
がありましたけれ
ども
、必ずしもそうではなくして、現実の
工事
の現場の
会計
そのものが、あれとこれとの区別をま
つた
くしないというところにあるので、
ちよ
つとわれわれの想像しがたい
事情
にあると思うのです。捻出
期間
並びに使用
期間
は、一年と六箇月にわた
つて
いるようでありますが、こういうことは、毎月とかあるいは二月とかいうような、何かわかる機会はないものでしようか。国の
会計
の実情から見て、
ちよ
つと想像外なんですが、格別に作為をも
つて
こういう紊乱をさせている場合のみにある現象のように考えられるのですが、その辺はどうでしようか。
稲浦鹿藏
33
○
稲浦説明員
特に八四五号を取上げられましたのは、そうしたことが顕著に現われているものでございまして、全部がそういうことではありません。これは特別こういうことがありまして殺人な
ども
起り、あるいは文書偽造とかいろいろな問題になりまして、
不正行為
として取上げられたものでございます。ここに
会計検査院
から
指摘
されましたこの
事件
がすべてこういう問題ではありませんので、その辺はひとつ御了承願いたいと思います。
吉田賢一
34
○
吉田
(賢)
委員
この
事件
は特別にそういう
事情
が伴
つて
おるとしますれば、それは
事件
としては了とされるのであります。そこで、この場合に、
検査院
の報告書によりますと、本局へ送金のうち二百万円については株式会社松崎商会から銅線を購入してその会社に保管させたことに整理がされておる。なお十三トンは他から購入し等々の記載がありますが、これは明らかにどちらかの不正か、あるいは共謀かも存じませんが、これらの会社とないしは建設事務
当局
とのなれ合いの支出であ
つたの
ですか、どうなんですか。
稲浦鹿藏
35
○
稲浦説明員
これも
不正行為
として取上げられまして、そして検察
当局
のお調べを受けて処分をされた特別な問題と伺
つて
おるのでありまして、この
鬼怒川
というのはそうしたことに非常に
関係
を持
つて
お
つた
ようであります。
吉田賢一
36
○
吉田
(賢)
委員
結局この
鬼怒川
の八百四十五号は、国としましては
相当
な損害をこうむ
つた
ことになるのでしようか。もしそうであれば、その
金額
について結末はついてお
つたの
かどうか。この点について。
斎藤常勝
37
○斎藤(常)政府
委員
本局送金の問題につきまして
ちよ
つと御
説明
申し上げます。これは関東
地方建設局
におきまして、前に松崎商会から銅線を
買つたの
でありますが、その中に不合格品がありまして、それを一旦返したわけであります。返すその前に金を払
つて
お
つたの
でありますが、その
あと
で物を返したために前の代金を回収することができなくな
つた
。そこでその後にやはり銅線が必要になりましたために、この本局送金の
金額
の中から結局未納になりました十三トンばかりの電線を購入したのであります。従いましてこの本局送金によ
つて
買いました電線はそのまま
工事
に使用したわけでありますけれ
ども
、松崎商会から返還をせしむべき
金額
は回収ができなくなりまして、その点について松崎商会の主人である松崎某から弁償させるように
手続
中でございますが、何分にも商会が解をいたしましたために、現在は個人に対する請求権として、できるだけ早くこれを返させるように努力している次第であります。
吉田賢一
38
○
吉田
(賢)
委員
この報告書によりますと、松崎商会に保管させたことに整理したものとありますが、保管させたことに整理というその整理は、これはどこがや
つたの
ですか。帳面の整理だと思いますが。
斎藤常勝
39
○斎藤(常)政府
委員
保管させたことに整理したものと書いてありますが、私の了解しておる点を申し上げますと、電線を購入いたしまして、本来ならばそれを関東
地方建設局
の倉庫に納入せしめる。そこで検収をして代金を
支払
うという段階になるわけでありますが、たまたま倉庫に余裕がありませんでしたので、一応松崎商会の持
つて
おる倉庫に保管をさせた、こういう
事情
であります。
吉田賢一
40
○
吉田
(賢)
委員
そういう場合に、一般によく行われる事例としましては、解散をするような会社、あるいは信用がま
つた
くなくな
つて
おるような商人に保管をさせておくという形式では、その商人はこれを他に転売しあるいは換金に利用するということがよくあるのですが、これもその後十三トンあまりに結局未納にな
つた
かのように数字が出ておりますので、それらについてはやはりさような
架空
な事実でも伏在してお
つたの
ではないでしようか。お確かめになりませんでしたか。
斎藤常勝
41
○斎藤(常)政府
委員
この点につきましては、そのような信用のない会社から買
つた
、あるいはまた検収において不十分であ
つて
、たとい商会の倉庫に保管させるにしましても、検収が十分であるならばそのような不合格品が
あと
にな
つて
発見されることはないという点から考えまして、まことに申訳ない
案件
であると思
つて
おるわけですが、今御
質問
になられました不正の事実ということはわれわれは聞いておりません。
吉田賢一
42
○
吉田
(賢)
委員
ただいまの問題はやはりこの
案件
の結末をつける上においても、地方建設
当局
をそれぞれ処分する上においても、また損害を回収する相手方を決定する上においても、非常に重要な確認にならねばならぬはずでありますが、その辺について今日なお松崎商会から回収もできないような実情にあり、すでにとつくに解散してしま
つて
存在しない会社でありますので、やはり現実の実情がどうであ
つた
かということは突きとめて確認をしておかねばならぬはずであると思うのですが、いかがでしよう。
稲浦鹿藏
43
○
稲浦説明員
この問題は大分前の問題でございまして、これにつきましていろいろその当時調査いたしまして、
責任者
に対しましては
行政処分
をや
つて
おります。たとえば局長は懲戒処分、
工事事務所
長外二名に解職いたしておるというような次第であります。
吉田賢一
44
○
吉田
(賢)
委員
私か聞きたいのは、
責任者
を処分なさ
つた
方法
、趣旨を聞くのではなくして、やはりかような
案件
につきましては、そこが
一つ
の重点にな
つて
おるように思いますので、結局その処分をされた
責任者
とか局長が、事実は保管をさせておらなか
つた
けれ
ども
、させたごとくにしたような事実があ
つたの
であるかどうか。そうでなくて、現実に保管をさせてお
つたの
だが、松崎商会が悪いのでこれが未納にな
つたの
か、いずれであ
つた
かということについての確認は、監督なさる人でしなければならぬのでなか
つた
か、こういうのです。古いことを一々今の方に伺うのもどうかと思いますけれ
ども
、わかる範囲で答えてもらえばよろしいのです。
伊藤大三
45
○
伊藤説明員
私の方で聞いておるところによりますと、松崎商会というのに実は倉庫がなか
つた
ために電線の保管を頼んだ。この会社の信用
状態
とか、その資力という問題についての十分なる調査がされなか
つた
ということはございましようが、なれ合
つて
そこに保管したというような悪質な考えは全然ない。結局注意が足らなくてそういうようなところに保管させた、そのために結局未納品が出た、こういうようにわれわれは聞いております。
吉田賢一
46
○
吉田
(賢)
委員
御承知でなければ御承知でないとしていただきたいのです。なるべく監督の方の有利なような
説明
や弁解は聞きたくないのであります。もしお説の
通り
とするならば、松崎商会は国家の物資を横領したことになりますが、それについて刑事訴追その他の
手続
はしましたか。
斎藤常勝
47
○斎藤(常)政府
委員
本件につきましては、現在極力その回収について督促をしておりまして、月々若干ずつではありますが、金が返
つて
来ております。これによ
つて
松崎商会から国は弁済をさせようということで、
手続
をいたしております。
吉田賢一
48
○
吉田
(賢)
委員
私の明らかにしたいのは、もし国の側において過失があ
つた
といたしましても、善意である民間の会社にかなり大きな
金額
の物資を預けておいた。この預
つた
ものをか
つて
に処分して納入不能なことにしてしま
つた
というようなことは、見のがすべきではないと思います。これは農林省の決算を審査する際にも、しばしばいろいろな食糧等について出て来た事例の
一つ
とも類似しておりますので、伺
つた
わけであります。それでもし国が善意であるのに、会社が不法に国のものを処分したような形跡があ
つた
ら、その点は断固追究してしかるべきだと思います。単に金銭的損害を回収するというようなことのみにとどまらず、やはりこれは適当な
方法
で刑事的手段に訴えてでもこらしめるということが、一方では局長で引責辞職した人も出ているのですから、公平でなか
つた
かと思いますので、尋ねているわけです。こういうことを今の方に追究するつもりはありませんが、
会計
が紊乱しておるときには、
会計
を扱
つて
おる建設
当局
の側が甘く見られて、悪意のある商人にばかにされる結果、こういうことになりやしないかと思います。一応次官からこれについてのお考えを伺
つて
おきます。
稲浦鹿藏
49
○
稲浦説明員
お説ごもつともでありまして、ひとつ大いに戒め合
つて
、将来こういう過失のないように努力いたす考えであります。もちろん先ほど申しましたように、わからないで見のがすということもありますし、これには
監察
官を非常に強化して内部
監察
を
相当
厳重に、また頻繁にや
つて
おりますので、その報告によ
つて
いろいろ検討し、間違いのないようにせつかく努力中であります。
吉田賢一
50
○
吉田
(賢)
委員
これに関連して
ちよ
つと伺
つて
おきたいのですが、今次九州の大
災害
の結果、幾多
河川
の決壊によりまして、
災害
復旧その他
工事
が設計準備され、進められておると思いますが、聞くところによると、すでにどろぼうが横行しておるような報道も受けております。こうして人心、思想、社会秩序がかなり混乱する危険がありますので、やはりいろいろな業者と接触面が多くなり、金の出入りがとても厖大になるのですが、今の
案件
に現われたようなことを通して、何か特別に御準備がありますか。
稲浦鹿藏
51
○
稲浦説明員
今度の
災害
はいつもと違
つて
大分大きく、範囲も広範囲でありますので、
建設省
といたしましては、現在は
河川
局長また係官が
現地
に出まして
地方建設局
と協力して、いろいろ計画を準備しております。それから各県の
災害
が
相当
ございますが、これにつきましては、まだ水につか
つて
おるような
状態
でございますので、いろいろ調査ができるようになれば、さつそく本省から査定官が参
つて
それを調査し、ことに本省だけでは足りませんので、
災害
のない地方の建設局から協力させまして、数班にわけて各県の
現地
で査定をや
つて
、その計画をしつかりと決定したい。そしてできれば
相当
の者が班長とな
つて
急速にこの計画をきめて、それに対する監督をや
つて
行きたい、かように思
つて
おります。具体的な計画につきましては今
建設省
で立案中でございますが、近いうちにきまるだろうと思います。
吉田賢一
52
○
吉田
(賢)
委員
新たな
災害
対策について、
現地
の
災害
状況
を査定するとか、あるいは建設局、各地方の知事等に連絡することはよくわかります。私の尋ねたいのは、かような
案件
が出て来るようなことも絶無ではないと思いますので、行政
監察
というか、綱紀粛正というか、そうい
つた
方面について何か新しいお考え、準備があるかいなやを聞いておるのです。
稲浦鹿藏
53
○
稲浦説明員
先ほ
ども
申し上げましたように、
監察
官というのが
相当
強化されておりますが、主席
監察
官というのがおりまして、その下に技術及び事務両方の
監察
官がおり、それがずつと見ております。それから各地建ではやはりその他の
検査
をするのがございまして、それによ
つて
適当な
方法
で二重監督をや
つて
行きたいと考えております。現状で大体そういうことはや
つて
行けるだろうと思
つて
おります。今は大分引締
つて
参りましたが、二十五年当時は大分やりやすか
つた
、と言
つて
は語弊がありますが、今はみな緊張いたしましたので特別な方策をさらに立ないでも、現在の
監察
官あるいは
検査
制度
を厳重にや
つて
行けば、大体間違いないだろうと思
つて
おります。ただ初めの計画をしつかりとしておきたいので、数もたくさんありますし、
現地
で計画をしつかりきめて、それによ
つて
監督をや
つて
行くというようなことで、大体間違いなしにやれるのだ、かように思
つて
おります。
吉田賢一
54
○
吉田
(賢)
委員
私聞くところでは、一昨日の本会議の大臣の
説明
等に徴しましても、今度の筑後川提防は四十数箇所も決壊しているというお話でありましたが、さような四十数箇所というようなのが当然なのか、あるいは異常なのか、私は専門家ではありませんから、そういうことはわかりませんが、やはりこういう弛緩というか、綱紀の頽廃というものから、そういうことになることがずいぶんあろうと思いますので、せつかく
監察
制度
が強化されておるということであればそれの一層の活用を望んでおきたいと思います。 なおもう一点八三三号について、ま
つた
く
事情
は違うと思いますけれ
ども
、伺
つて
おきたいのは、あるいはこれも事実の詳細を聞いた上でないと
質問
がむだになるのかもしれませんが、一方捻出については
架空材料
費、
借入金
、
労力費
、一方使い道についても、
材料
費、
借入金
の返済、
労力費
、こういう同じ種目の金が出るということになるのですが、こういう
関係
はどういうことになるのでしようか。
稲浦鹿藏
55
○
稲浦説明員
私から御
説明
いたします。詳しいことはまた係の者から御
説明
いたします。 この当時は単
年度
の
仕事
でありまして繰越しを認めてもらえなか
つた
。それで
架空
の金の捻出をしておきまして、それを今度は実際に
材料
を買
つた
り、あるいは
労力費
に充てる、こういようなことでありまして、元には帰
つて
おるのですが、使い方が悪か
つた
。かように解釈できるかと思います。
吉田賢一
56
○
吉田
(賢)
委員
捻出というのは、
予算
はもうすでに配付済みにな
つて
おる。それをない人夫等をあるごとくに記載して、金を出す。それから今度は現実に
労力費
や借金にまた
支払
う。こういうことにな
つて
おるようでありますが、そういうことは
労力費
に
支払
うなら
労力費
に
支払
うとして、
予算
の範囲内で処理はできないものなんですか。
稲浦鹿藏
57
○
稲浦説明員
私の御
説明
が悪か
つたの
ですが、
ちよ
うど三月三十一日でその
年度
の金が使えなくなります。すると使えなくな
つた
ものは返さなければならない。それで
労力費
に
使つた
ような形で出した。あるいは買わない
材料
を買
つた
ということにして、金を捻出して、それを持
つて
おる、それで
年度
がかわれば、その持
つて
おる金で
支払
つて
行く、こういう意味であります。
吉田賢一
58
○
吉田
(賢)
委員
それでは八七一号についてお尋ねいたします。 これは
金額
はさほど大きなものとは思われません。この報告によりますと、この船は二十五年の七月に百七十万使
つて
函館船渠で
改造
している。それより前二十三
年度
に九百十五万円でこれををつく
つて
る。こういうふうにな
つて
いるのでまだ新しいもののように思われます。ところが二十四年の三月に検収して、二十五年の七月に使うことができなくな
つて
、すでにすぐ補修しなければならぬということにな
つて
おります。函館船渠とい
つた
ら
相当
有名な信用のある会社ではないかと私聞き及んでいるのですが、これはま
つた
く会社側の何か不正、手落ちが伏在しているのか、あるいは両方の
関係
にまたがるのか、その点について原因はどこにあ
つたの
でしようか。
藤森謙一
59
○藤森
説明
員 ただいまの御
質問
でございますが、函館船渠という会社は船としては有名な会社であります。ただこの浚渫船をやりましたのは戦後初めてや
つたの
でありまして、実は会社の製作技術におきましても、非常にぐあいの悪か
つた
点があ
つた
ということは残念に思
つて
おります。これは百七十万円で
改修
させました結果また悪くて、さらに会社の
負担
において最近
改造
を終りまして、石炭のものをディーゼルにかえさせまして、六月に検収を終
つて
現在現場に配置せられるようにな
つて
おります。
吉田賢一
60
○
吉田
(賢)
委員
会社の技術がまずくて会社の経費でさらに
改造
の
改造
ですか、修理をしたというなら一応筋は通るようでありますが、二十四年の三月に検収した浚渫船が六月に浚渫には役に立たぬということで
改造
されたというのは、やはり検収にも手落ちがあ
つたの
ではないかと思いますが、そういう点はいかがですか。
藤森謙一
61
○藤森
説明
員 検収におきましても多少の手落ちがあ
つた
ことは遺憾と思います。
吉田賢一
62
○
吉田
(賢)
委員
そういうような場合には、百七、八十万円を投じて
改造
をするということはま
つた
く国家の損害に帰するということになりますが、やはり
昭和
二十三年の九百十五万円と申しましたら、現在の貨幣価値からみますと、
相当
大きな
金額
になります。これも
相当
乱暴な使い方だと思うのですが、こうい場合に百七十万円がいらざる
改造
の経費であ
つた
、実にむだであ
つた
という結論が出るようですが、会社側が悪ければ会社に全額
負担
さすべきであ
つて
、百七十万円も
支払
うべきでないかとも思うのですが、なお百七十万円は函館船染にお払いにな
つたの
でありましようか。
藤森謙一
63
○藤森
説明
員 当初設計いたしましたときの対象の箇所と、新しく現場に配置いたしましたところが、現場がかわりまして土質がかわ
つて
お
つた
ということも
改造
する
一つ
の原因にな
つた
わけでございます。
吉田賢一
64
○
吉田
(賢)
委員
私の伺いたいのは、全額百七十万円でなくとも、ともかく浚渫船を三月に検収して六月に浚渫船の用をなさぬということが発見されて、百七十万円支出して
改造
したのでありますから、
改造
部分
が拡大されたり、予期しなか
つた
ものがあ
つた
といたしましても、いずれにしても
相当
会社に対しては責任を問うべきであるが、どこかへ
相当
責任を問うことが国の立場として当然と思うのですが、かりに三百万円
改造
に要するんだが、会社の手落ちのために減額して百七十万円にしましたとかなんとかいう意味なのか、その辺については少し国として金を
支払
うのにお人がよ過ぎるようにも思うのですが、どうですか。
藤森謙一
65
○藤森
説明
員 御
指摘
の
通り
、当時検収いたしました結果、さらに運転しまして、当然会社の
負担
によ
つて
改造
させる分については、会社の
負担
として、
改造
に要する経費が百七十万円、こういうことでございます。
吉田賢一
66
○
吉田
(賢)
委員
そうしますと、この百七十万円というのは、検収をして、それ以外に浚渫船として使用することができなか
つた
、その原因を除去して浚渫船の用をなすようにするために無償で補修をや
つた
わけですか。
藤森謙一
67
○藤森
説明
員 御
指摘
の
通り
でございます。
吉田賢一
68
○
吉田
(賢)
委員
それはどのくらいの
金額
ですか。
藤森謙一
69
○藤森
説明
員 現在ここにはつきりした数字を持
つて
おりませんので、後ほど御報告いたします。
吉田賢一
70
○
吉田
(賢)
委員
これもおわかりでなか
つた
ら、やはりおわかりであるかのごとき答弁は
ちよ
つと迷惑するのですが、私の尋ねたいのは二点で、一点は検収が少し粗漏でなか
つた
かという点、そういうことについてどうしたかという点と、二点は、間もなく使用不能が発見されたものは、本来ならば、数百万円の損害賠償でも請求すべき場合があるくらいなんですから、それをしも百七十万円を投じて
改造
をさしたというようなことは——当然
改造
補修をさすべきものは無償でして、それ以外になお
改造
すべきものがあ
つて
、こちらの国の必要上約百七十万円を投じた、こういうふうに区わけがされたのかどうか、こういうことであ
つて
、もしそういうことであるとするならば、百七十万円で
改造
をさしたからとい
つて
、これは批難すベき筋じやないと思う。何となれば、百七十万円で
改造
するということは、検収してそして浚渫使用不能ということに
関係
がないことです。か
つて
に
改造
したのであるから、船をよくするために、また国の便益のためにか
つて
に
改造
した、そういうことにな
つて
来ますので、そこをはつきりしておきたい、こういうことです。
藤森謙一
71
○藤森
説明
員 最初
改造
いたしますときには、さらに大規模な
改造
が必要だ
つたの
でございますが、
予算
の
関係
で百七十万円にとめたということは、さらにその
改造
で機能が発揮できなか
つた
一つ
の原因にな
つて
おります、それから検収の点につきましては、当時
機械
の技術者がまだなれなか
つた
せいもありましたので、最近におきましては教育をいたしまして、十分な検収ができるように努力しております。
吉田賢一
72
○
吉田
(賢)
委員
これは浚渫船として製作をして、そうして検収をして三月目に浚渫の用をなさぬというので翌年に至
つて
改造
した、こういうことにな
つて
おりますので、その
改造
は、浚渫のための船で浚渫の用をなさぬという場合は、私
ども
は、論理的に考えますと、それは設計が間違
つて
お
つた
か、製作が間違
つて
お
つた
か、何か間違
つて
お
つたの
であろうと思いますので、本来あるべきものがないので補修したのが百七十万円なのか、そうでなくして、百七十万円で
改造
したのは、本来あるべきものを本来の浚渫船の用をなし得るような補修の
部分
は無償で会社にはさして、それ以外にまた必要があるので
改造
をした、こういうことになるのかどうかというふうに、区別して考えておりますので、これに当るようにひとつお答え願いたいのです。
藤森謙一
73
○藤森
説明
員 最初のこの船の設計は、石狩川の支流の諸
河川
の浚渫のために設計をいたしまして、これは泥炭のみを対象といたしたのであります。その対象において一応検収をいたしたのでございます。その後この船の使用が、本流の
水路
切りかえによりまして土砂が堆積いたしましたために、浚渫する対象が泥炭のみでなく、土砂浚渫のために使用上ぐあいが悪いことが起りましたので、
改造
を計画したわけであります。
吉田賢一
74
○
吉田
(賢)
委員
そういう御
説明
の
通り
であるとするならば、最初は石狩川の支流、それから場所が違
つて
土砂な
ども
浚渫しなければならぬというので、機能を大きくしなければならぬという国の必要上
改造
の必要が起
つた
、こういうことであるならば、あたりまえのことをしているんじやないかというふうにも聞えるのですが、その点はどうなんでしようか。
検査院
の方で御
説明
願
つて
おきたいのです。
小峰保栄
75
○
小峰会計検査院説明員
吉田
さんの御
質問
にお答えいたします。この浚渫船は、先ほ
ども
ちよ
つと御紹介がありましたように、大体泥炭層地帯を浚渫する。そうしてシヨート・カツト——今まで陸地だ
つた
ところを川をつけかえたり、いろいろするために、敏速に行動ができるように——浚渫船は、普通御承知の
通り
、水の上を移動するわけでありますが、これは陸上を移動できるようにというので解体式とし、簡単にばらばらにいたしまして陸上をほかのところへ持
つて
行
つて
、また
水路
をつける、そういうようなことをねらいとして設計した、いわば新しい浚渫船であります。これは初め泥炭層をねらいとしたのでありますが、一応これでよかろうということで設計してや
つて
みますと、エンジンが小さ過ぎて蒸気が上らない、こういうので泥炭層にも使えない。もちろん土砂のところにも、蒸気の上り方が少いわけでありますから、これはどこへ持
つて
行
つて
も使えない、それで
改造
をしたわけであります。大体七十何馬力かだ
つた
と思いますが、これを三〇%ほどエンジンの馬力を大きくしたわけであります。そこでエンジンの馬力を大きくして蒸気が上るようになりましたが、今度は重くな
つて
しま
つて
バラストウオーターなどが使えない。前に使えなか
つたの
は蒸気が弱か
つた
。今度は蒸気は強くな
つた
が、深く沈んでつかえてしま
つて
使えない。こういう事態にな
つて
しま
つた
わけであります。そうしてほう
つて
あるところへ
会計検査院
で参りまして、やかましく取上げて文句を言
つた
わけであります。その結果、先ほど御紹介がありましたように、一番問題のエンジンを蒸気エンジンからディーゼルにかえたようであります。私
ども
がこの批難を出しますときにはかえるというお話は伺
つたの
でありますが、まだかえる段階にはな
つて
いなか
つたの
であります。先ほどの御報告によりますと、最近それが全部
改造
を終えたというふうに伺いましたが、当時の函館ドック、これは先ほど
吉田
さんも御
指摘
の
通り
、一流の信用のある会社でありまして、それがこういうようなものをつくりましたが、これは会社に責任があ
つた
ということは、実は私はそうは思えないのであります。先ほど申したように、陸上を運搬するというような浚渫船はそうざらにあるものではないのでありまして、これは
相当
珍しい船であります。そういうものを計画されるときにあた
つて
、あまり前例もないことなので、むしろ計画上の瑕疵、齟齬だ
つたの
じやないだろうか、こう私
ども
は考えておる次第でありまして、会社は自分の信用にもかかわりますので、そういう辺はすつかり別にいたしまして、自分の費用で今度蒸気
機関
をディーゼル
機関
にかえるということをや
つた
わけであります。今度はディーゼルにかえますと、船足も軽くなりますし、馬力も出ますので、無事に使えるのではないだろうか、こう考えております。
吉田賢一
76
○
吉田
(賢)
委員
建設省
の
説明
員の方は、ただいまの
検査院
の御主張は承認されるのですか、どうなんですか。
藤森謙一
77
○藤森
説明
員
検査院
の御
説明
の
通り
と思います。間違
つて
おりました点は、私の思い違いでございます。
吉田賢一
78
○
吉田
(賢)
委員
次官に伺
つて
おきますが、やはり九州のような大きな
災害
等に際しましては、幾多の新しい企画もされると思いますが、こういうことにつきましては、
相当
慎重を期するということが大事な要件だろうと私は思います。やはり新しいこういう計画なり設計をするというような場合には、特に責任のある、また権威のある設計をなし得るような用意がなければなるまいと思います。もつとも九州の問題は、私も全然計画を存じておりませんし、また将来に属することですから、そういうことは今仮定的に申すわけには行きませんけれ
ども
、やはりこういうことにかんがみまして、かような新しい企画についてはいずれにしても
相当
慎重でなければこういうむだなことが起る。
検査院
が
指摘
せられたからよか
つた
けれ
ども
、もし
指摘
されなか
つた
ら、放置のままで、千万円以上のものがむだになるというような危険もあ
つたの
でありますが、それに対していかにお考えになりますか。
稲浦鹿藏
79
○
稲浦説明員
まことに申訳ないのですが、この当時戦後でございまして、ことに
機械
の技術者というものが
建設省
ではきわめて貧弱な
状態
でございました。しかしそれ以来
機械
課な
ども
設置しまして、
機械
の技術者の整備をや
つて
おります。今後はこういう間違いのないように十分注意いたします。 また九州の
災害
復旧につきましても、もちろんこれは
機械
力でやらなければなりませんが、現在としましては、まだ新しい
機械
を計画するところまでは行
つて
おりません。しかし、現在堤防の切れておるところなどは手早く締め切らなければなりませんので、そういうものに対しては、
地方建設局
の現在持
つて
いる
機械
を動員しまして一時これを応援するというような計画はつく
つて
おります。新しいこういう特別なものを製作するときには入念にやりまして、ことに権威者等の意見も十分聞きまして、間違いのないようにや
つて
行きたいと存じます。
阿部五郎
80
○阿部
委員
さきの国会以来引続いて虎ノ門公園
事件
を検討していることは御存じの
通り
でありますが、私昨日これに似たような話を
一つ
聞き込んでおるのであります。すなわち、芝公園の中で
相当
広大な面積のものを自活という映画会社に貸し付けて、その会社はそれをも
つて
広大な遊戯場をつく
つて
いる。そうしてそれを、都合が悪いから立ちのけという要求をしたところが、向うでは永久建築をしておるので簡単に立ちのくことはできないということで、それでその会社から
建設省
へ百万円を寄付して事が落着したというような話を聞いたのであります。もちろん真相は私は知りませんが、聞いたところによると、行政事務の執行のしぶりがはなはだルーズといいますか、でたらめといいますか、どうも不快の念を禁ずるあたわざるものがあ
つたの
でありますから、ついては、この際一応てん
まつ
を御
説明
願いたいと思います。
天野公義
81
○
天野委員長代理
ちよ
つと速記をやめてください。 〔速記中止〕
天野公義
82
○
天野委員長代理
速記を始めてください。 ただいま阿部
委員
よりの御質疑に関しては、
関係
当局
者が出席いたしておりませんので、
建設省当局
よりその資料を本
委員
会に御提出してくださるようにお願いをいたします。
吉田賢一
83
○
吉田
(賢)
委員
続いて八七三号に移ります。これは「
工事
」の「
警察予備隊
営繕工事
の施行に当り処置当を得ないもの」という問題であります。これは予備隊の
工事
につきまして、旧
水道本管
撤去などの
工事
費二百九十余万円は、別途
警察予備隊
本部で福岡県から四十三万金円で購入した旧
水道本管
撤去のための掘鑿、埋めもどし及び道路復旧を施工したものに対する
工事
費であり、発掘により発生するヒューム管及びエタニツト管を他の排水
工事
に使用する計画のもとに実施した、経済的にはま
つた
く不経済きわまる
工事
が施された、こういうことのようであります。やはりこの
仕事
に関与した者の特別な不当な
工事
に原因するらしいのでございますから、この場合に一ぺん聞いてみたいことは、やはり東亜工業という会社が悪いのでかような結果にな
つたの
か、それとも、
工事
を施工する側に手落ちがありましたのか、建設局側の手落ちなのか、この点について一応はつきりと聞いておきましよう。
木村恵一
84
○木村(恵)政府
委員
簡単に御
説明
申し上げます。実はこの問題は、御承知だと思いますが、二十五
年度
の終りに
警察予備隊
の
工事
が非常にたくさん出まして、どうしても
年度
内に予備隊員を収容をしなければならない、そういう非常に
仕事
を急がれたことが
一つ
と、もう
一つ
は国有財産、福岡県から予備隊が買
つた
埋設してある国有財産をそのままほう
つて
おくのはも
つた
いないじやないか、何とかしてこれを活用しようじやないか、この二つの観点で、至急に
仕事
をしなければなりませんので両方——掘り起した方が安いのか、新しく買
つた
方が安いのか、それの計算を比較するひまが実はなか
つたの
で、まあ国有財産を使おうじやないか、発生材を使おうじやないかという趣旨で、その方に重きを置きまして
工事
に着手したわけでございます。
検査院
からの御
指摘
の
通り
、
あと
から考えてみますと買
つた
方が得だ
つた
という結果が出たわけで、はなはだ申訳ないと思
つて
おりますが、昔の言葉で言いますと、一銭の金を使うために十銭のたきぎをたいたという青砥藤綱式の結果が出て参りました。何とも申訳なく思
つて
おりますが、それに対しましてもう少し
説明
いたしますと、この延長が約四キロございます。そのうちヒユーム管という管と、エタニツトという管と、それから鉄管と、この三種類の管が、掘り起してみたら出て参
つた
わけです。当時調査を十分にやればこういうことがなか
つたの
かもしれませんが、何分全長四キロにわた
つて
とても調査できないものですから、そういうものが出て参りました。そのうち約三千三百五十メーター、四キロのうちかなり大
部分
を使用したわけであります。それを今言
つた
ように、一番安いヒユーム管で全部やると、なるほどこれは損になります。新しい
材料
を
使つた
方がいい。掘り起し手間を加えると損になりますか、今言
つた
ように、鉄管とかエタニツト管、これを時価に換算いたしますとあまり損にはならない、そういう結果にな
つて
おりまして、これは
請負人
には責任がないと私
ども
考えております。
吉田賢一
85
○
吉田
(賢)
委員
わかりました。 次に進みまして九二九号ないし九三一号にわたりますが、ま
つた
く
工事
のないのに
工事
があるがごとくに装
つた
ような
状況
らしく見られるのであります。これはどこの過誤からこういう事実が生じたのか。石川、島根、山口、三つあるようですが、
金額
の一番大きい石川県については、その原因はどこにあるかについて、ひとつ
当局
の御
説明
を伺
つて
みましよう。
伊藤大三
86
○
伊藤説明員
県の
災害
でありまするが、実は最近、毎年台風の来襲もございますし、豪雨も比較的多いのでございます。
従つて
戦前からの手当も怠
つて
お
つた
ということもございましようが、各県におきまして
被害
箇所が非常に多いということは、実は
検査
にあたりましても非常に支障を来しておるわけであります。本来ならば、これは実地に参りまして各係官が精査いたすわけでございますが、場合によりましては一日に二百件も、なおそれ以上も見なければならないというようなことになりますので、
従つて
遂にはこの全部を見るというわけには参らない。そこであるものにつきましては、県の写真なりをもとといたしまして、その設計を、机上におきまして査定いたすということがどうしても出て来るのでございます。
従つて
この机上の査定によります場合に、こういうような問題が特に多く出て来るように存ずるわけでございます。
吉田賢一
87
○
吉田
(賢)
委員
架空
の
部分
に属するというのは、元来は査定で、これも
工事
をせしむるということが、石川県の立場においては必要であ
つた
というのではないのでしようか。
伊藤大三
88
○
伊藤説明員
元来
災害
箇所を調べるにあたりましては、
現地
について査定するのがあたりまえでございますが、箇所的に非常に多いときには、その査定をある何割かに限りまして、
残り
を机上におきまして、向うの設計、写真などを対象にいたして、そうして査定いたしておるわけでございます。
従つて
この場合のこれも、おそらく机上の査定によ
つた
部分
が多いのでこうな
つた
と存ずるわけでございます。
吉田賢一
89
○
吉田
(賢)
委員
これはある一定の長さの
砂防堰堤
ですが、一定の長さのものの一部を復旧して、そうしてその一定の長さの全部を復旧すべきものをせずに、したごとくに装
つた
、こういう事実なんですか。
田中甲三
90
○田中
説明
員 それでは私から、かわりまして申し上げます。本箇所は、
昭和
二十三年の七月の降雨出水によりまして被災した
砂防堰堤
を復旧するものでございます。査定工部としましては延長五十三メーター、上部直高四メーターを原形に復旧するものといたしまして査定を決定したものなのでございます。これにつきまして
検査院
の御
指摘
事項
といたしましては、
堰堤
の水通し
部分
の二十五メーターだけを復旧した、そうして両袖部の二十八メーター——左岸の二十五メーター、右岸の三メーターは、被災した形跡がないのに、それを採択してあるという御
指摘
なのでございまして、当時この査定にあたりましては、
現地
の写真、それから設計書というような資料に基きまして机上で査定をしたわけでございます。何分にも大きな
災害
でござまいした
関係
上、写真判定の上では、
堰堤
に入
つて
おりますクラツク——割れ目から判断いたしまして、内部もすつかりやられておるものだという仮定のもとに査定をしたわけでございますが、いよいよ実施の段階に入りまして内容を精査してみましたところが、これは内部まで影響がなくて、一部亀裂の程度で事が足りたという結果で終
つた
わけでございまして、県の方では、その後内容を精査いたしましたその結果に基きまして
工事
を実施いたしました。
従つて
それによります超過
国庫負担
交付
額につきましては、本省におきまして還付命令を出しまして、すでに実施済みでございます。
吉田賢一
91
○
吉田
(賢)
委員
これは私が仮説的に申しましたように、反対に査定が小
部分
であ
つて
、そうして全体の復旧
工事
をしようと思えば、それの何ほどか余分の経費が必要だという場合も、たまにはあるのではないかと思うのだが、この点はどうなりましようか。
田中甲三
92
○田中
説明
員 査定の場合に内容を精査いたしました結果、むしろ査定
金額
よりも余分に必要の場合におきましては、これは他の
工事
の剰余金等を充当いたしまして、
工事
の施行に当
つて
おります。
吉田賢一
93
○
吉田
(賢)
委員
私は
ちよ
つと仮定的なことを申して失礼なのですが、
工事
を急ぐために、金を急ぐために、若干でも復旧したいために、十分完全に全的の査定を受けない、そのうちの一部しか査定にならなか
つた
、こういうような実例は実際はないのでございますか。
伊藤大三
94
○
伊藤説明員
聞き間違えておりましたらまた御返答いたしますが、箇所的にはその箇所の査定を一部して、
あと
を査定しないということはないと存じます。なおその査定の現場におきまして、大きなものになりますと十分に決定しかねるというのは、本省に持ち帰りましてみなで相談をいたして決定をいたします。ただ一箇所において一部を査定し、一部を査定しないというここはいたしておりません。
吉田賢一
95
○
吉田
(賢)
委員
これは杞憂にすぎるかもしれませんが、非常な
災害
を受けたとき、やはり
現地
においてそれぞれ歳計をし、あるいは適当な計画を立てて
災害
復旧について各般の申請をするとしようが、その場合には、
あと
で気かつけばもつとかくすべかりしということが、
河川
、港湾等においては
災害
の場合には
相当
多いのではないかと思いますが、そういう点はないものでしようか。
伊藤大三
96
○
伊藤説明員
お説の
通り
、
災害
早々の場合でありますから、設計もどうしても平日におけるほど精査するというわけには行かず、向うにおきましても、ほんとうに精密な設計ができないという場合もございます。
従つて
査定をした後におきましても、その場所並びにいろいろ情勢判断によりまして、将来においての設計変更ということは認めております。
吉田賢一
97
○
吉田
(賢)
委員
わかりました。そこで九二九号の場合には、これは超過
交付
金ということにな
つて
おりますが、超過
交付
金ということになると、もらうべからざりし超過
交付
金は返還さすべき法律上の
関係
にあるのですか。ということになれば、そういうことの結末は国としてはどういうふうにしておるのか、また当該九二九号についてはどうな
つた
か。
伊藤大三
98
○
伊藤説明員
補助の対象になる以外の
工事
につきましては、これは
交付
を余分にや
つて
おりますれば返還させます。なお九二九号の場合においても返還をさせました。
吉田賢一
99
○
吉田
(賢)
委員
これは次官に伺
つて
おきます。
国庫
が当然なすべき補助
負担
にあらずして超過
交付
したような場合には、個々の問題もさることながら、全体として
昭和
二十五
年度
においては何千何百万円超過
交付
があ
つた
、何
年度
には何ほどあ
つた
というような、推算確認のもとに適当に処分をすべきものであろうと思いますが、こういう点はどういうふうにしておられましようか。
稲浦鹿藏
100
○
稲浦説明員
正確な数字はわかりませんが、とにかく超過
工事
をやるべかりしものをや
つた
場合には当然返還させております。またさせなければならぬと思
つて
おります。
吉田賢一
101
○
吉田
(賢)
委員
この問題は
相当
重要だと思いますので、根本方針を聞きたか
つたの
ですが、たとえば八八四号ないし九二八号、これには
国庫負担
超過
交付
額二億一千六百万円にな
つて
いる。
全国
の府県から二億一千六百万円という、これだけのものを返還をさせたということになるのでしようか。あるいは何かの
事情
によ
つて
実際にはそう行かぬということになるだろうか。どういうふうな方針を持
つて
おられて、どういうふうに扱
つて
おられるか、こういうことを聞いております。
稲浦鹿藏
102
○
稲浦説明員
先ほど申し上げたように、
工事
が進行したら精算して、もし最初の計画以外に超過したようなものがあれば当然返させております。それからここに特に取上げたものは特別なものであります。そこで一言申し上げますが、今まで非常にたくさんの
災害
箇所がありますので、全部実際を見ることができなか
つた
。それで東京に写真とか書類を持
つて
来まして、それによ
つて
机上査定をしてお
つた
結果、間間こういうことが出て来たわけでありまして、今後はできるだけそうしたことのないように
現地
査定をしつかりとやろう、ことに九州の
災害
につきましては、先般申し上げたように、査定班をつくりまして、本省だけで足りない場合には
地方建設局
からある程度応援隊を出しまして、
現地
査定をや
つて
間違いのないようにしたい、かように考えております。
吉田賢一
103
○
吉田
(賢)
委員
これは一般的な問題でありますが、関連しますから伺
つて
おきます。巷間伝わるところ、またわれわれ地方に帰りまして各地方の代議士にも共通して同じようなことを言うのですが、今日公共事業費として
災害
復旧費であるとか、あるいはその他各般の国家の経費をも
つて
補助とか
負担
をしてする地方の建設
工事
、こういうようなものが途中で
相当
金額
横へ空費されるということが一般にいわれる。たとえばこの間
予算
委員
会における公聴会の公述人の土屋という朝日の論説記者、これは公共事業費のうち二割はどこかに消えてしま
つて
いるということを
説明
したらしいのです。私は聞いておらなか
つたの
ですが、新聞に報道しております。こういうふうで、どこかに不純な、
相当
な金が消えて行くことが、この種の出し過ぎ、
交付
し過ぎ、あるいは
工事
が原形を超過するということを何か当然のごとく考え、
金額
、種目等の超過という事態を引起す原因にもなるのではないかと思います。計算はやりくりして、適当に他の項目で支出して行く。そういうことが
相当
多くあるのではないかとみな見ておるのです。
従つて
知事もあるいは村長も市長もうんと運動して、うんと金を使
つて
でも、
予算
をよけいもらわなければならないということにな
つて
、近ごろ陳情の弊害ということすら叫ばれておる実情ですが、あなたもずつと長らく技術面において
建設省
において
仕事
をしておられるのだから、そういうことはいろいろと感じ薫られるだろうが、そういうことについてはどうでございましようか。何か御
説明
が聞けましたら伺いたい。
稲浦鹿藏
104
○
稲浦説明員
途中で一割なり二割なりの事業費がどこかに逃げて行くということは私存じませんが、具体的の事例が何かございましようか。ございましたらお教えを願いたいと思います。
吉田賢一
105
○
吉田
(賢)
委員
それならば具体的の事実はまた別の機会に、お
つて
御質疑して行くことにいたします。これは一般の政界の常識にな
つて
おりますので、あえて尋ねたのですが、知事なんかを呼んでいろいろ
事情
を聞いたところの
委員
会もあるのでありますが、各種の形式でいろいろ使
つて
おるということを言
つて
おるのです。それはよろしゆうございます なお
検査院
の方に今の点を確かめておきますが、かくのごとき八八四号ないし九二八号
事件
において、
国庫負担
超過額二億一千六百余万円は、今技官の
説明
によりますと、これらは逐次返還させておるということでありますが、こうい
つた
ものはやはり次の
年度
までに、
検査院
では一々確認しておくという
手続
でもなさ
つて
おるのでしようか、いかがですか。
小峰保栄
106
○
小峰会計検査院説明員
先ほどの石川県の
架空工事
のようなものになりますと、
建設省
も事態が事態でありますので、すぐに調査の上返還を命ずるという措置をおとりにな
つて
おりますが、先ほど御
指摘
になりました原形超過の問題とい
つた
ようなことは、数も非常に多くございますし、また質も
架空工事
というようなものに比べれば、そう著しい性質のものでもないわけであります。と申しますのは、二十五
年度
において初めて法律がかわ
つたの
でありまして、
災害
復旧については、原形復旧は
全額国庫負担
、それから原形超過分は三分の二、こういうことになりまして、それまでは原形復旧と原形超過の限界というものは実際の取扱いの場合においては非常にデリケートなものだ
つたの
でありまして、あまりはつきりしなか
つたの
であります。法律が出ました
関係
で、私
ども
としてもやかましく原形復旧、原形超過あるいは便乗、こういうものを区別して取上げたのでありますが、こういうものは大体御承知かと思いますが、
災害
復旧の
工事
費の精算といいますのは、四年か五年
あと
になるのが通例でありまして、その
工事
費の精算のときに、この原形超過分の
補助金
を減らして精算する。一旦先に概算払いとして全額や
つて
おきますが、精算のときに
一つ一つ
の
工事
について減らした上で精算する、こういう措置を一般的にはおとりになります。従いましてそのたくさんの何百という
工事
について
一つ一つ
その翌年で精算するとか、あるいは返還させるという措置はおとりにな
つて
いないのであります。私
ども
としては現在のような何千という
工事
をおやりにな
つて
、毎年々々、多い年は万という数の
工事
を精算して行く、こういう段階においてはやむを得ないのではないか。
会計検査院
で原形超過の批難をここに掲げたのは、五百五十六件にな
つて
おります。
相当
の数でありましてこれを中には承服しない県もございますので、そういうものを
一つ一つ
や
つて
行くのは事実上困難ではないか。やればやれないわけでもありませんが、非常にたいへんなことではないだろうかというので、後日精算のときに結末をつけるということで見送
つて
いるわけであります。 それからこれは
会計検査院
への御
質問
であ
つた
かどうかはつきりしませんでしたが、公共事業費、ことに
災害
復旧の補助が、国から出て事業主体までに行く間に、二割くらい消えてしまうのが世の中の常識だというお話でありますが、私
ども検査
している立場の者として、一言
検査
の結果の見解というものを言わせていただきたいと思います。 これは私
ども
たとえば新聞記事も見ますし、人の話もずいぶん聞くのでありますが、実は私
ども
今は
相当
手広く
検査
をしております。
検査
報告に載りますものも
相当
数多いのでありますが、
検査
のときには町村はもちろんのこと、農林省
関係
で申しますと、土地改良とか協同組合とか、いわばいかがわしいことをやろうと思えば、比較的できやすいところまで
検査
をしております。しかしながら国を出るとき百万円の
補助金
は、あくまでも末端の事業主体まで百万円で行
つて
いることは事実であります。決して二割や一側五分というものが途中で消えてしまうというようなことは、私
ども
第一線の事業主体の内容を
相当
こまかく見ている者にとりまして、どうしても納得できないうわさとしか思えないのであります。事業主体に参りましてから
あと
のことは私
ども
わかりません。事業主体に百万円参りましたものがはたしてほんとうは七十万の
工事
にな
つて
いるか、百万円
相当
の
工事
にな
つて
いるか、これは
相当
程度こまかく
検査
しておりますか、この百万円の
工事
に
相当
する代金として
請負人
に渡しましたものが、はたして一部どこかへ行
つて
しまうということはあるかもしれません。これは私
ども
としてはわからない。しかし事業主体までは完全に
工事
費の
補助金
は行
つて
おります。その後のことはわかりません。それからたとえば町村で申しますと、雑費とかあるいは旅費とか接待費もあるかもしれませんが、そういうようなもので別に出て行く金があるかもしれませんが、これはわかりません。しかしながらそう大きな金が横へ抜けて行くとは
ちよ
つと考えられないのであります。一応必ず百万円の
補助金
はあくまで百万円の姿で事業主休まで行
つて
いるということははつきり申し上げられると思うのでありまして、世の中一般に伝えられております二割細くなるとかいうことは、
工事
費そのものの
経理
としてはまずないのではなかろうか、こう申し上げられると思います。繰返して申し上げますが、ほかの町村なりあるいは県なりの陳情なり何なりに使う旅費とか、いろいろな接待的もの、こういうものは別の経費として町村自体、県自体の経費として出るのでありまして、そういうものの財源に
工事
費の
補助金
がそのまままわるということは、私
ども
第一線まで
検査
して、書類な
ども
相当
よく見ておりますものにと
つて
は、納得し得ないうわさなのでありまして、御参考にこれだけ申し上げておきます。
吉田賢一
107
○
吉田
(賢)
委員
ただいまの
検査院
の御
説明
でありますと、たとえば今
指摘
いたしました八八四ないし九二八号
事件
といたしまして五百五十六件に上りますし、また府県においてはそれぞれ承服しないというような問題もあるらしい。原形なりや超過なりやというということも非常に問題があるようでありますが、そうすると、そういう場合には、なおさら結末としては
会計検査院
の
指摘
せられたことが、それは正しいのなら正しい、但し実情においてはいろいろとしんしやくすべき問題がある、あるいはそうでなくして、その数字自体がなお検討を要するものがあるとか、いろいろと区別すべきであろうというふうにも考えられるのですが、今次官の御
説明
では、それぞれ
国庫
に返還をさすべきものはさしておる、それはさす時期が最終の計算の時期であ
つて
も途中であ
つて
も、それはいずれにいたしましても、そう画一的にきちつととるということが、むしろ無理の場合も
相当
あるというふうにも考えられるのですが、しんしやくなしにとり切
つて
行くということを実行なさ
つて
おるならば、その点についてはまた考えるべきじやないかと思うのだが、これはいかがですか。
稲浦鹿藏
108
○
稲浦説明員
災害
復旧の場合に、原形復旧をやる、原形復旧だけではまたさらに爾後
災害
を受けるというようなこともありますので、これにある程度超過的な
工事
が行われるわけです。これは超過
工事
として認めておるわけでございまして、先ほ
堰堤
のところで御
説明
申し上げましたように、
工事
をやるとして査定を受けて置いて、そして
工事
をや
つて
いないというようなものは、
国庫
に当然返還させなければならぬと思います。個々の
事情
に応じまして返還さすべきものである、あるいは返還ささないで処理する、その個所個所によ
つて
判断して行かなければならぬと思
つて
おりますが、これはその
工事
を精算するときに判断してや
つて
おるわけであります。
吉田賢一
109
○
吉田
(賢)
委員
そうすると、あなたは前のやつを取消して、ただいまのように訂正なさるとこういうことになるのですか。
稲浦鹿藏
110
○
稲浦説明員
私の先ほど申し上げましたのは、返さなければならぬものは返さす、こういう意味でございますので、前にもし全体的に取返すというような意味だ
つた
ら取消します。御了承願います。
吉田賢一
111
○
吉田
(賢)
委員
それならば、やはり方針としてはどれとどれとはどうすべきで、どれとどれとはとりもどし、あるいはとりもどさないで超過する程度は認めるとかいうような、個々についてやはり具体的に結末をつけて行くということが、国の
予算
執行の結末としては正しい態度でなければならぬと思う。私から言わすならば、たとい五百であろうと八百であろうにかかわらず、
一覧表
のごときものが、もうすでに三年前のことでありますから、できて、そのうち何百何十はこういうふうにな
つた
、何百何十はこういうふうにな
つた
ということにな
つて
、結末をつけて、返還をさすべきもの、しからざるものということになるべきが
経理
上当然だと思う。そういうふうにな
つて
おるのでしようかおらぬのでしようか。
伊藤大三
112
○
伊藤説明員
先ほど
小峰会計検査院説明員
から御
説明
がありましたように、実は超過
工事
というのがなかなか微妙なものでございまして、どこまでが原形であり、どこまでが超過であるかということにつきましては、われわれの方面におきましてもある程度の標準はつく
つて
おるのでございますけれ
ども
、この決定なかなかむずかしい問題がございます。そこで二十五
年度
に非常に超過
工事
が多いということは、実は先ほ
ども
御
説明
のありましたように、二十五
年度
におきまして全額
負担
という
制度
がとられまして、法律的には超過
部分
については三分の二、原形分については全額と決定にな
つた
わけでございますが、それまでの査定の問題に入りますと、実は超過とか原形というものについてははつきりした区別がなく、
災害
復旧は、原則として原形復旧、しかしそのほか、例外的に再度
災害
を受けて困るというような場合とか、いろいろ技術的に困るとか、これは前の法規にございますが、そういうので若干原形を超過しても、
災害
復旧として三分の二を出すというわけで、
一つ
の設計といたしまして
災害
の査定をして来ておるのです。それが二十五年にわけられたというところで、すぐ簡単にこの設計の超過分と原形分にわけるということがなかなか困難であ
つたの
であります。
従つて
、この問題につきまして、実は私の方も県と折衡いたして、その分をできるだけわけて見るように、こちらも指導し県もそれによ
つて
来ておるわけです。ところがこのようにたくさんな批難が上げられたわけでございますが、
従つて
会計検査院
から御
指摘
のありましたものにつきましては、
建設省
といたしましては、その箇所につきまして県から報告をとり、われわれの方においても十分精査いたしまして、
会計検査院
とも十分連絡をとり、打合せて、これは超過分として返還すべきものであるか、あるいは超過分と見るべきでなく、原形と見るべきかという点をよく話合いまして、
一つ一つ
その問題については決定はいたして参
つて
おります。ただ返還の金をその都度取上げておるかという問題になりますと、これは原則として、全体の精算をしたときに返還させる、こういうような方針をと
つて
おります。
吉田賢一
113
○
吉田
(賢)
委員
私が筋を明らかにしておきたいというのは、超過であるか原形復旧であるかが微妙にして判定しがたい問題が多々あるというのであればあるほど、何人も最も納得できるような基準、あるいは方針、そういうものがないと困りはしないだろうかと思います。ことに集計したら二億数千万円二十五
年度
にも超過
交付
金が計上されておるのでありますから、人によ
つて
、相手によ
つて
、あるいはところによ
つて
、同一であるべきものが二、三に結果するということは、許しがたいことになりますので、そういうことはやはり綱紀を紊乱するもとになりますから、そこに
相当
方針があ
つて
、いわば正確に処置をされて行かなければならぬだろうと思うのだが、どうも今伺
つて
おりますと、
会計検査院
とも連絡したり協議したりというふうにおつしやるが、一々
会計検査院
へ協議しなければならぬ理由はなかろうと思う。あなたの方はあなたの方で最善の良識をも
つて
判断して、確信を持
つて
処理したらいいのであ
つて
、そこに目安というものはおのずからあるべきだろうと思いますが、どうもあるがごとくなきがごとくということにな
つて
来ると、そこにまたいろいろな情実が入り込んで間違いが起るおそれがある。これは表のことでありますけれ
ども
、世の中にはいろいろ裏もあるのでありますから、そこに何かの基準、方針、標準というものがあ
つて
、そうしてこの
案件
も数年たつのですから、大体方針ぐらいきま
つて
、どの問題についてはとるんだ、とらないんだというようなことも、もうきちんとできていなくてはならぬように思うのです。それを伺
つたの
ですが、どうもあなたのお
説明
を聞いてもその点納得しにくいのです。
伊藤大三
114
○
伊藤説明員
ただいまの私の申し上げたことが若干言葉が足らなか
つた
かとも思いますが、実は
建設省
においても超過という問題については一定の基準を設けて、そしてその基準を定めたものを各
検査
官全部に講習もし、県へも知らす、なおその基準については
会計検査院
とも打合せております。ただときにまま大きなものになりますと、若干その個人的な見解から、これはこの基準に入るか入らないかという問題が出て来るという場合がございます。そういう場合の問題がありますから、そういう場合については、もし問題が起ればそれは相談をして、
会計検査院
から批難がありますれば、これはこういうわけでわれわれの方は原形とみなしたというような点を打合せる、こういうことでございます。
吉田賢一
115
○
吉田
(賢)
委員
そうしますと、さつき私が言いました八八四ないし九二八の二億一千六百五十余万円というこの超過
交付
額の問題については、一応結末がついておるのですかおらぬのですか。
伊藤大三
116
○
伊藤説明員
会計検査院
と一応結末がつけてあります。
吉田賢一
117
○
吉田
(賢)
委員
つけてあるというのですが、私はその結末の内容を聞こうとしたのです。これはたくさんなことだから、種々雑多にな
つて
おるかのようにただいまの御克明から推測するのですが、多いから一口にこういうふうにという御
説明
はできないのですか。
田中甲三
118
○田中
説明
員
検査院
とも打合せをしまして了解をつけました。個々のケースについては、私の方でとりまとめた表もございますので、後刻差上げてもよろしいと思います。
吉田賢一
119
○
吉田
(賢)
委員
それではやはり資料として出していただくことをお願いしておきます。
松山義雄
120
○松山
委員
この超過分でございますが、
災害
復旧はやはり原形復旧だけでは
災害
とな
つた
とき非常に弱いのでございまして、必ず超過分を考慮しなければいけないのではないでしようか、どんなものですか。
稲浦鹿藏
121
○
稲浦説明員
もちろんさような方針でや
つて
おります。原形復旧だけではまた
災害
を繰返すということは当然のことでございまして、どうしても復旧しなければならないのは、ある程度
改造
もしなければならぬといいことで技術的に考えてこれを取上げております。ただ国の
負担
とか地方の
負担
の率が違
つて
おります。
松山義雄
122
○松山
委員
地元
でいろいろ聞くのですが、実際原形復旧ということで
会計検査院
が非常にやかましい、実にこの点は厳格だという話を聞いております。超過の
工事
をやらなければ、どうしても堤防その他の補強が十分に行かない、だからこれはどうしても超過の
工事
を認めてもらうようにならなければいけないというようなことを、しばしば耳にするのであります。超過とい
つて
もどれくらいが超過になるか知りませんが、
地元
の県あるいは市町村にしましても、非常に財政的に逼迫しておる面が多いから、つい原形復旧とか何とかいうことで出て来る面も多いと思うのでありますが、私は、あまりに
会計検査院
が締め過ぎてもかえ
つて
災害
を大きくするようなことになりはしないかと思うのですが、どうでしよう。
小峰保栄
123
○
小峰会計検査院説明員
会計検査院
が非常にやかましいといううわさは私
ども
も聞いております。しかし実はあまりやかましくないのでありまして、たとえば原形復旧では再度また
災害
を受けるというところが
全国
に
相当
多いのでございます。とにかく一旦流された程度に復旧いたしましても、また同じ程度の雨が降れば流されることは明らかであります。私の方でも決してその原形超過
部分
、原形復旧ということをやかましくい
つて
おりません。ここにありますのも、
全国
で五百五十六ありましたが、
検査院
として聞くべき分は全部聞きまして、これはやはり原形超過として扱うべきだ——御承知のように、
昭和
二十五
年度
は原形復旧分に対しましては
全額国庫負担
、原形超過分に対しましては、従来の原形復旧と同じように三分の二は
国庫
が
負担
する、こういうことになりまして、原形復旧とは何ぞやという点については十分
建設省
と打合せまして、
一つ一つ
の
案件
につきまして検討を重ねて、無理は絶対に言わぬということで掲げた
案件
ばかりであります。この中には現在でも県側でいまだに異存を唱えておるところも
幾つ
かありますが、ほとんど全部は納得されておりまして、これだけ掲げましても、私
ども
として無理なことを押しつけたとは現在でも考えておりません。
会計検査院
としてもそういうふうに扱
つて
おりますから、御了承願いたいと思います。
吉田賢一
124
○
吉田
(賢)
委員
ちよ
つとこの機会に水害のことを尋ねておきたいのですが、まだ数字は固ま
つて
いないと思いますけれ
ども
、もう大臣もそれぞれの
関係
の局長な
ども
帰
つて
来られたのでありますが、九州の
災害
並びにこの間の台風二号によ
つて
起
つた
建設省
関係
における
河川
、道路、港湾などの損害の推測の数字はありませんか。損害の推測というよりも
災害
復旧に要する経費の推測というか、そういう数字が大よそのところありませんでしようか。
稲浦鹿藏
125
○
稲浦説明員
まだはつきりしたことはわかりませんが、大体のことを申し上げますと、今度の
災害
ですが、
直轄工事
の
河川
に対する復旧が四十八億だと思います。今のは九州地区だけ、築後川外六
河川
の直轄
河川
災害
であります。それから道路
災害
六千万、地方公共団体の土木施設
災害
、これは県の道路、橋梁、
河川
ですが二百三十七億、それから都市の土木施設
災害
十億、
合計
二百九十五億六千万円これは今回の九州の
災害
の大体の推測でございます。そのほかに住宅の
災害
がございますが、これはまだ
金額
として固ま
つて
おりません。
吉田賢一
126
○
吉田
(賢)
委員
なお九州は台風二号と、台風二号による豪雨、それから今次のものと重な
つて
おりますが、この場合は、今次のものに吸収される
部分
が生ずるのでございますが、その点はどうな
つて
おるのでありましようか。
伊藤大三
127
○
伊藤説明員
先ほどの台風二号並びに冬季風浪融雪
関係
の
災害
を申し上げます。大体今回の
災害
以前のものとしましては、現在百億ございます。その中で第二号の台風の
被害
としまして、五十九億五千四百、それから冬季風浪融雪
災害
が三十四億七千、それから第二号台風の前に少し豪場雨がありました、これが十一億三千ございます。そこでわれわれとして一応おつけ加えしておかなければならぬと思うのは、台風第二号と今回の九州豪雨の
災害
が重な
つた
ものもあるかと存じますが、これは今後のいろいろ
地元
からの報告並びに調査によりまして、はつきりさせたいとは思いますが、この点は
ちよ
つとはつきりいたしません。
吉田賢一
128
○
吉田
(賢)
委員
大体の数字で、それ以上は今伺うことは無理でありますが、そこでまたその財源についてこれも次官から聞くのは無理とは思います。本部があることだから、いずれいろいろとお考えなさるでしようが、大体今のところは、たとえばこれで復旧が、二百九十五億円というものが前段の
説明
で出ておりますが、たいへんなことだと思います。これに農林省
関係
、厚生省
関係
等また多分の数額がこれにかさんで行きますが、どこに財源を求めるというような構想はただいま練られておるのでしようか、その点についてわか
つて
いれば……。
稲浦鹿藏
129
○
稲浦説明員
もちろん二百九十五億と申します
災害
は、今
年度
で全部でき上りません。
年度
を割
つて
やるわけでございますから、この約三百億近い
金額
は、現在は必要ないと思います。最も緊急を要するものから重点的にや
つて
行く、それを何年間でやるかということは、今後大蔵省なりと折衝しなければならぬ、かように思
つて
おります。今までは大体三年間という方針でや
つて
お
つたの
でありますが、三年は少し長いから、二年ぐらいで片づけなければならぬという声が
相当
起
つて
おります。しかし結局財源の問題でございます。財政
当局
とよく打合せてでなければ申し上げることはできないと思いますので、さよう御了承願いたいと思います。
杉村沖治郎
130
○杉村
委員
九七七——九八一について、
ちよ
つと
説明
していただきたい。
小峰保栄
131
○
小峰会計検査院説明員
ただいまの九七七号以下の
関係
につきまして御
説明
申し上げます。このうち宮城県の分と岡山県の分、佐賀県の分は、県で
年度
初めに、前
年度
にすでに
国庫負担金
の支出をしておりましたものをまとめて、また誤
つて
報告してしま
つた
わけであります。と申しますのは前
年度
に少しよけいに
交付
し過ぎまして、前
年度
分だけを精算いたしますと剰余が生じたわけであります。その剰余が生じたところへまた新
年度
分を余分に
交付
しました結果、さらに剰余が生じた。これは
一つ一つ
の
工事
についてではございません。まとめて
交付
した結果こういうことにな
つたの
であります。ところが九七九の山梨の
案件
は、これは
ちよ
つと趣を異にしております。二十四
年度
に購入いたしました鉄線蛇かごの代千八百万円でありますが、これは
国庫負担金
が
交付
済みであるのに、前
年度
に使わないで二十五
年度
に繰り越して持
つて
行
つた
現品に
相当
する分、二百八十八万円に
相当
するものを誤
つて
交付
したわけであります。但しこの年は
全額国庫負担
でございますので、
交付
したものはそつくりそのまま代金になるわけでありますが、二百八十八万五千円につきましては、前
年度
に購入いたしました鉄線蛇かごの代金で、繰越高は違いましたが、
現金
は違わないで翌
年度
に繰越しした、こういう
関係
で翌
年度
に
交付
してしま
つた
案件
でありまして、ほかのと趣を異にしております。要するに二重に
交付
したという点においては同じであります。
杉村沖治郎
132
○杉村
委員
これは二重に
交付
したというけれ
ども
、これが個人の
会計
であ
つた
らこんなでたらめなことはせんだろうと私
ども
は思うのです。要するに三千六百六十五万九千二百十二円というものを、二重受領をしたことになるのですね。こういうようにきわめて
会計
がずさんきわまるものだと思うのですが、これに対する政府のお考えはどうですか。
田中甲三
133
○田中
説明
員 これは県の方の事務の整理の
関係
が、非常にずさんであ
つた
関係
から、まことに申訳のない始末をしたわけでございまして、即刻に内容を精査いたさせまして返還の
手続
を命じております。まことに事務上の不注意からこういうことが起りまして……。
杉村沖治郎
134
○杉村
委員
ただいまのお答えで大いに将来考えるということでたいへんけつこうですが、県の方の事務が不整理であるということは、いささか私はどうかと思う。県の方の事務とい
つて
も国の金でありましよう。だから御自分の本元の方にも責任があるのじやないですか。それは責任はないのですか。
田中甲三
135
○田中
説明
員 当然国の方といたしましても責任がある次第でございまして、申訳ないことと思
つて
おります。
吉田賢一
136
○
吉田
(賢)
委員
九八三の
案件
でありまするが、これは
和歌山
県の
朝来
村における
随意契約
による処置がよろしきを得なか
つた
ように思われる
案件
でありますが、
金額
は大したことでありませんけれ
ども
、
相当
たちが悪いように思います。この問題は
随意契約
によ
つて
朝来
村に請負わせたところ、
朝来
村がまたこれを株式会社有紀組に下請をさしておりまして、そしてわずかしか
工事
ができておらなか
つた
ということにな
つて
おりますが、これはどこに原因があるのでしようか。やはり
随意契約
をするときに、
随意契約
の
請負人
に対して厳格な
契約
条件を付するということをしなか
つた
ことに原因があるのでしようか。その辺はどういうものでしようか。これは
検査院
の方から一応御
説明
を伺いたいと思います。
小峰保栄
137
○
小峰会計検査院説明員
この
案件
は、仰せの
通り
実は私
ども
もこういううわさは聞きますが、現実にこういうふうに自分で
負担
すべきものを
請負人
から寄付の形でとるということを発見した最初なのでありまして、はなはだ質の悪いという印象を受けた
案件
であります。これは
和歌山
県は一帯に
地元
請負ということが当時盛んに行われていたわけであります。
地元
の町村に請負わす、そうすると町村というのは、御承知のように、土木
工事
を自分で設計したりいろいろや
つて
、監督も十分にや
つて
行くという能力は——能力の強いところもないとは申しませんが、欠けているところが
相当
多いのが現在の実情であります。これな
ども
町村請負か非常に
和歌山
県が多か
つた
ということが
一つ
の原因だと思うのでありますが、
請負人
をいわば実費的には値切
つて
おるわけであります。自分の
負担
分を値切りまして、表面は自分が百パーセント
負担
するようにして下請人との剛に
契約
をいたしますが、実は自分の
負担
分の一割を値切
つて
おるわけであります。そういたしますと、当然にこれは
工事
のでき方が悪くなるのは初めから明らかなんであります。これはたまたま国の
直轄工事
の委託とでも申しますか、県に対しましての
国道
改良工事
の
国庫負担金
でありますが、一般の
災害
復旧
国庫
補助
工事
というものにつきましても、その後たくさんこの種の
案件
が
検査
上発見されております。二十六
年度
におきましては、
建設省
は比較的少いのでありますが、農林
関係
の
工事
などにつきましては、ずいぶんたくさんの
案件
が二十六
年度
二十七
年度
に発見されております。どうも
地元
が法律上
負担
すべきものをきら
つて
請負貨を値切る。しかも表面はそれを
負担
したかのような
契約
を結んで書類だけつく
つて
置く。従いまして私
ども
あと
で
会計検査
に参りましても、なかなか真実の姿をつかむごとがむずかしいというのが実情なのでありまして、本件もたまたま
請負人
が途中で一二%程度
仕事
をしただけで投げ出してしまいましたので、こういう事実が明るみに出たのでありまして、これも無事に
年度
末までにや
つて
おりますと、私
ども検査
に参りましてもなかなかわかりにくか
つた
案件
であります。非常に質のよくない悪い
案件
と、こういうふうに了解しております。
吉田賢一
138
○
吉田
(賢)
委員
これは大切な
国道
の
改良工事
でありますので、このような情実と、悪辣な
地元
の
請負人
というよりも村、そういう村が跋こするようなことになりましたら、日本の道路
工事
というものが公正に行われることはございません。
被害
の波及するところははかることができないと思います。そこでこうい
つた
案件
は非常に不誠実で悪辣だと思いますが、こういう事態が発見されたのは、こういう事実があ
つて
からどれほどのときに、どういう機会に、
建設省
はわか
つたの
でしようか、それをひとつ御
説明
願いたいと思います。
斎藤常勝
139
○斎藤政府
委員
本件につきましては、この
工事
の
契約
の経緯においてまことに遺憾の点があ
つた
わけであります。この
工事
が進行しましたときに、
建設省
として
検査
をいたしました。ところができぐあいは
設計通り
できておるのであります。従いまして
国庫負担金
の
交付
は誤まりでなか
つた
というふうに了承しておるわけであります。ところが何分にも今
検査院
からお話がありましたように、この経緯におきまして
地元
が請負業者から寄付をさせるとかいうようなことがあり、かつまたその
工事
が翌
年度
にまたが
つて
年度
を越してしま
つた
という点がありましたので、そういうような点からこの問題が出ましたので、こういうことが再びありませんように、補修
工事
につきましても十分に監督をいたして行きたい、かように考えている次第であります。
天野公義
140
○
天野委員長代理
まだ質疑もあるようでございますが、時間も
相当
経過しておりますので、御質疑は簡単にお願いしたいと思います。
吉田賢一
141
○
吉田
(賢)
委員
これは
負担金
を
交付
したことについてもこの問題に帰するわけでありますけれ
ども
、私の知りたい、明らかにしたいと思いますことは、
朝来
村がさらに下請業者に対して六十万円の寄付を要請するというようなことで、下請業者が手を抜き、資材を抜き、従
つて工事
は疎漏になり、堅牢でなくな
つて
、いろいろと
災害
も生ずる、こういう原因をつくることになりますので、こうい
つた
ことの根が絶えなければいかんと思う観点から伺いまするので、私の聞きたい点は、こういう事実があ
つた
ことがわか
つたの
は、こういうことがあ
つて
からどれほどた
つた
ときであろうかということを知りたい。もつともかなり古いことで、あなたは当時この
責任者
でないとすれば、一々これについて記録を詳細に残しておるかどうかわかりませんからどうかと思いますけれ
ども
、その辺についてどういう経緯でいつごろ知
つたの
だろうかということを私は聞きたいと思います。
斎藤常勝
142
○斎藤政府
委員
本件につきましては
検査院
の実地
検査
を待
つて
、初めてこの事実が明確にな
つた
わけでありまして、
建設省
としては、当時この事実を知
つて
おりませんでした。
吉田賢一
143
○
吉田
(賢)
委員
私の案ぜられますことは、数百、数千、数万にわたる
建設省
の各種の事業につきまして、
国庫
の金を
交付
する
案件
があるわけでありますので、
検査院
によ
つて
かような事実が
指摘
せられるまでわからないということであると、そこに
監察
の実が上
つて
おらぬというふとを裏書きするのではないかと思うのでありますが、いかがでございましよう。
稲浦鹿藏
144
○
稲浦説明員
地元
請負をやらせますと、間々こういう
事件
が起るのでございまして、たまたまこういう
事件
が
検査院
に発見されたのですが、おそらくはかでもこういうものがあるだろうと思います。そこで道路の方は元の道路施行令で特別の
事情
のない場合は
地元
請負は許されないのであります。県が直接に請負
工事
に付するということにな
つて
おりますが、これはどうしたわけか
地元
請負に付しておるのでありまして、特別の
事情
があ
つたの
じやないかと思いますが、原則としてはやらせておりません。もちろん
河川
の方は、これは技術的な問題がさらに重要視されますので、
地元
請負はやらせておらない、県なり国が直接監督して
仕事
をや
つて
おります。もちろん町村
工事
の方は町村が責任をも
つて
や
つて
おりますが、県
工事
を
地元
に請負わすということは、特別の場合でないとやらないのであります。これはまことに申訳ないことをしたと思
つて
おります。以後注意します。
吉田賢一
145
○
吉田
(賢)
委員
この場合に下請業者の有紀組ですか、この有紀組も八十五万円
相当
の
仕事
をして、そして
工事
を放棄してしま
つて
おる。これもやはり何か一連の——村が悪くて耐えられなか
つたの
か、あるいは村がよくない村だから、よくない村が請負いさせた業者もまたでたらめであ
つたの
か、ともかく一連の
関係
がみな寄
つて
悪い事をしてお
つた
という感じが、どうもこれから印象づけられるのですが、その辺についても単に
朝来
村の下請のみならず、ひいてはさらにその下請というような次々の
関係
においても、これはやはり正当に精密にかような
案件
については調査すべきであると思います。事肩を御承知でなか
つた
かも存じませんが
監察
の面から見ましたら、末端の請負業者の放棄の原因に至りますまで
事情
を精査することが至当と思いますが、どうでしようか。
稲浦鹿藏
146
○
稲浦説明員
町村に
地元
請負をさすということは先ほど申し上げた
通り
でありまして、下請の問題でございますが、下請は現在は建設業法によりまして丸がかりの下請というものは許しておりません。建設業法が施行されまして、請負
つた
者がその全部の頭をはねて下請さすという
制度
はもうやめました。厳重にこれを取締
つて
おります。いろいろそうしたようなことをやりまして、間違いのないようにして行きたいと思います。
吉田賢一
147
○
吉田
(賢)
委員
私は以上で質疑を終ることといたします。
杉村沖治郎
148
○杉村
委員
私が先ほど伺
つた
九七七ないし九八一の二重渡しの点について、政府
委員
にその始末がどうな
つて
おるかをお伺いしたいのであります。
伊藤大三
149
○
伊藤説明員
一応
使つた
ものにつきましては、もちろん不当でありますから、その後これを訂正し、書類を作成させて、これを還付させるように
手続
中でございます。
杉村沖治郎
150
○杉村
委員
これは
昭和
二十五
年度
のことで、本年は二十八
年度
なのです。それでどうもその点がはなはだもの足りない。ここに書面はこうして出されておるのです。これによると返納させる、あるいは措置するとかいうようなことが書いてある。二十八年にな
つて
こんなことがまだ出ておるのですが、これはその後どうな
つた
か、そういうことで結局はつきりしていないのですか。 なおここで伺
つて
おきたいのは九八〇に「成功認定の際措置する。」こういうふうに書いてあるが成功認定というのはどういうことか。
伊藤大三
151
○
伊藤説明員
災害
につきましては、最近のように二十三年なら二十三年の
災害
が、二十三
年度
に全部終るというわけには行きません。
従つて
二年、三年とわたるわけでございます。
従つて
これらの成功認定というのは、二十三年なら二十三年の
災害
を成功認定を全部いたしまして、そういう場合においてこの全体を見まして、全体を精査して、その上で取上げる、還付させるということを原則といたしておるわけであります。成功認定というのはその意味であります。
杉村沖治郎
152
○杉村
委員
それから九七八に「
昭和
二十五
年度
交付
分については誤りはない。」ということがはつきり書いてあるのですが、
会計検査院
の方ではやはり二十五
年度
は誤りだと言
つて
おるのです、どうですか。
田中甲三
153
○田中
説明
員 そこの
説明
資料は、調査する以前に私の方でつく
つた
関係
から誤りがありまして、そのままにな
つて
おります。
杉村沖治郎
154
○杉村
委員
誤りがあ
つた
ということでございますか。
田中甲三
155
○田中
説明
員 そこに書いてあるのが誤りだ
つたの
であります。
杉村沖治郎
156
○杉村
委員
誤りでないものを渡してもらいたい。 まだいろいろ伺いたいことがありま9が、この中を見ますと、これを黙
つて
見てお
つた
ら、国民は税金など納めるのもいやになるだろうと思うようなことがありますが、時間の
関係
上これ以上の
質問
はいたしません。政府
当局
は十分御留意あ
つて
しかるべきだと思います。
天野公義
157
○
天野委員長代理
ほかに御質疑はございませんか。——それでは以上で
建設省所管
に対する
審議
は一応終りました。 本日はこの程度とし、次会は七月六日月曜午後一時から、さきに付託となりました予備費について承諾を求める件、国有財産増減及び現在額総計算書及び
昭和
二十七
年度
国庫
債務
負担
行為
総調書につき、政府
当局
の
説明
を聴取し、引続き専売公社所管につき
審議
いたす予定であります。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十九分散会