○加藤(清)
委員 私も実は具体的な実例を皆様の前に披瀝いしまして、これでもなおあえてこういう
法律をつくり、これを強行しなければならないのかということをお尋ねしたいのでございます。ほかでもございませんが、先ほど来綿糸の話が出てお
つたようでございます。綿糸の例をとりましてもけつこうでありますが、原綿の話も出たそうでございますので、現在の毛に例をと
つてみましよう。
今日の原毛の
価格は濠州
価格にして百十一ペンスから百四十ペンスでありまして、せいそれ高値にしても百五十ペンスを出ておるものはございません。今日の新聞でもごらんの
通りでございます。これを輸入いたしまして、工賃が高い高いと言われておるようでございますが、その高い工賃を払
つて糸にしたとしても、日本金に直してみてポンド当りどうそろばんをはじき直してみても、これは七百円前後どまりというところがだれしも見る相場でございます。大体三十六の双糸にしても四十二の双糸にしても同じでありますが、大体七百円台、これにその他金利、諸掛、いろいろ加えてみても、九百円と見積れば決して損は行かないし、先ほど大臣の言われましたように、大
企業経済には決して危機を感ずるようなことはありません。そろばんをはじいてみてください。にもかかわりませず、これが何ゆえに千四百円台を上まわらなければならないのか。これが千三百円、千二百円という声を聞きますと、もうたいへんな
業界の騒ぎ方なんです。今日何がゆえに千四百円というふうに値をあふり上げられなければならないのか。この点をまずお尋ねしたいのであります。
ところがここに考えなければならないことは、これが外貨割当に端を発し、その割当てられまする相手方が限られておるという問題、それから紡績が操短するという問題、金融
カルテルが今日行われちやいけないというときに、すでに行われてお
つて、この金が三品市場へ、三品市場へと流れておる。証券界の金までも、つなぎとして生れたところの、つなぎとして許可されたあの三品市場へ流れ込む。そういうわけで、機場のために、紡績のために設けられた三品市場なるものが、今日では金融投資家の独占
企業の場とな
つておる。いえば紡績の横暴と金融資本家のこれに対する協力、利潤の分配とによ
つても糸値がどんどん上げられておる。糸値が上ることはけつこうなんです。高く売れて行くということならばこんなけつこうなことはありません。人がもうけようとだれがもうけようと、日本の方々のふところに入るのならばけつこうです。ところがこうや
つてつり上げたおかげで、日本の糸は一筋も外国へ買われて行きません。毛についていうならば、一筋も外国に買われて行きません。行く場合にはどういうことが行われておるかというと、商社の
出血輸出によ
つて行われておる。
肥料はお百姓の出血によ
つて輸出が行われておるということに相な
つておるようでございますが、商社が別なものを
輸出した
利益をここへ投入することによ
つて、
輸出が辛うじて保たれておるという現状なんです。この現状をよく御認識でございましようか。そのおかげでこの高値の糸を買わされた機場は、いわゆる原料高、ところができ上
つたものは国際
価格に押えられますので製品安、
従つて先ほど私が申し上げましたように、日本の毛製品なるものは、日本でつく
つたものでありながらメイド・イン・イングランドの名前をつけると売れて行くけれ
ども、それでないと売れないという現状なんです。一切れも売れて行きません。マス見本をどれだけ見せても売れて行きません。なぜか。それはコストが高いからということ、糸値が高いからということなんです。そこで困
つておるのは機屋であり、整理屋である。買
つた糸とでき上
つた製品の生地と比べてみて、加工して、技術と叡知と資本を投入してなお目方についてみて、同じくらいにしか売れて行かぬというのが現状なんです。こういうやさきにあ
つて輸出振興とおつしやいますが、片方で口に
輸出振興を唱え、片方独禁法の解除をや
つて、どうして
輸出振興ができますか。私は具体的な
輸出振興の方途をここにはつきりとさしていただきたいと思います。こういう現状下にあ
つてどう
輸出振興をはかるかということを、この際その道の専門家でいらつしやる皆様から、はつきりとお教え願いたいと存じます。しかもこの上なお
カルテルが行われれば、金融暴利は一層今日のこの
状態に拍車をかける結果と相な
つて来るでございましよう。ただいまでも機場はば
つたば
つたと倒れて行
つておる。今日の不渡り手形の数量をお調べなさ
つたことがございますか。三万枚に及ぶところの不渡り手形は、ほとんどこれ中小
企業であり機場が多いのです。
輸出の総額の四〇%から五〇%を占めておる繊維がこんな
状態でどうしますか。こういう
状態が繰返されたおかげで一六〇%であ
つたものがどんどん下
つて来て、ことしは三六%に下
つて来ておる。これで
輸出振興ということが言えますか。この点はつきりしていただきたいと思います。お題目でなくてほんとうの具体策を……。片や独禁法を解きながら、片や
輸出振興が糸へんの
業界において行われるというところのりつぱを具体策があ
つての
仕事でございましよう。もしなか
つたとするならば、池田さんは、首を
つて死んでもいいということを正直におつしや
つたけれ
ども、今度の方々は、口に先ほどのように国家経済の存立を危くするといかぬからやると言いながら、国家経済というものは中小
企業をオミットして、紡績だけの国家経済であるというのか、あるいは国家経済という美名のもとに、あえて機場を一層痛めつけようとしていらつしやるのか、
輸出業者を痛めつけようとしていらつしやるか、この点もはつきりしていただきたいと存じます。やれば切りのないことでございまするが、ただこの際は私は、
消費者がどのような迷惑をこうむ
つておるかということを、実は時間をいただいて申し上げたいのです。これはもうあなた自身、
委員長自身が困
つておる。あなたの着ていらつしやるワイシャツに例をと
つてもけつこうです、服にと
つてもけつこうですが、ここにいらつしやる皆さんがお困りなんです。お困りにな
つていることに気がついていないだけです。そしてこれははつきり私は数字をあげて、いずれかのときに申し上げるが、
消費者のことは別にして、今日は
業界同士で因
つておる。
政府のいうところの
輸出振興に矛盾を来しているじやないか。これを一体どうしてくれるかという点についてだけ、お答えが願いたいと存じます。