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1953-08-03 第16回国会 衆議院 経済安定委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月三日(月曜日)     午後三時十二分開議  出席委員    委員長 佐伯 宗義君    理事 小笠 公韶君 理事 加藤 宗平君    理事 武田信之助君 理事 栗田 英男君    理事 菊川 忠雄君 理事 山本 勝市君       秋山 利恭君    岸  信介君       迫水 久常君    長谷川 峻君       南  好雄君    神戸  眞君       小林  進君  出席政府委員         経済審議政務次         官       深水 六郎君         総理府事務官         (経済審議庁次         長)      平井富三郎君         総理府事務官         (経済審議庁審         議官)    今井田研二郎君         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    岩武 照彦君         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         総理府事務官         (経済審議庁調         査部長)    須賀 賢二君  委員外出席者         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      森  誓夫君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本経済基本的政策に関する件  昭和二十八年度年次経済報告に関する件  国土総合開発経過並びに計画に関する件  電源開発経過並びに計画に関する件     —————————————
  2. 佐伯宗義

    佐伯委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度年次経済報告に関する件及び国土総合開発経過並びに計画に関する件、電源開発経過並びに計画に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山本勝市君。
  3. 山本勝市

    山本(勝)委員 たびたび同じことを伺つてまことに恐縮ですけれども、どうも十分に了解しがたいものですから、重ねてお伺い申したいと思うのであります。それは、第十六国会の劈頭にあたつて岡野審議庁長官が本会議において行つた経済政策の基本的な方針についての問題であります。それについて私が七月の四日の本委員会において質問をしたのでありましたが、その後答弁がなかつた。七月三十日に至りまして、文書をもつて答弁をいただいたのでありますが、それを読んでみましても、私の質問にぴつたり答えられていない点、またその答えを読んでさらに生ずる疑問、こういうようなものについて簡単にお伺い申しておきたいと思うのであります。  第一点は、かいつまんで申しますと、岡崎外務大臣日本経済復興構想は、自由経済であり、自由貿易であるということははつきりいたしておるのであります。ところが岡野通産大臣の方は、自由経済自由貿易という岡崎外務大臣構想とはかなり違つた型に属するというふうに私には受取れる。つまり輸出振興するが、輸入は押える、そうして自立経済を達成するというのであります。もちろんアウタルキーといたしましても、すべての国内必要物資国内で生産をするという意味アウタルキー理想としておられるのでないということは、私にも十分推察がつくのでありますけれども、ただ岡野通産大臣構想は、たとえば現在の輸入品で、非常にたくさんの四億ドルもの金を払つておる食糧輸入を、食糧の増産によつて減らして行こう、それから非常にたくさんの外貨を払つておる綿花輸入を、化学繊維の生産増強によつて減らして行こう、こういうのでありまして、ぜいたく品輸入を押えて減らして行くという方針とは決してとれない。われわれにとつて食糧とかあるいは綿であるとかいうようなものは、言うまでもなく奢侈品ぜいたく品ではありません。むしろ必要中の必要として輸入されておる。そういうものの輸入を減らして行くように今後の政策をとつて行こうというのであります。ですから大きく申しますと、この岡野通産大臣構想は、アウタルキーとは申し上げませんけれども自由貿易自由通商という通常の型とはおよそ違つたものであつて、むしろ国内自給度を高めて行く、そうして貿易バランス考えて行こう、俗に言う保護貿易——言葉保護貿易とは言つておりませんけれども保護貿易といつたような型に属する。どうも私は冷静に聞いておりまして、あるいは読んでみまして、岡崎構想岡野構想は違う。政府は、同じ閣議にかけて決定した本会議施政方針演説二つの間の関係をどういうふうに考えておられるのか、これが第一の質問なんです。それをまずお答え願います。ちよつと申しますが、私が聞きたいのは、岡野さんがああいう構想をするに至つた原因とか動機とかいうものを聞いておるのではありません。岡崎氏が自由貿易自由通商主張する根拠あるいは動機を聞いておるのではない。ですからそこは誤解のないように願いたい。できるだけ輸入を減らして、正常貿易バランスを合わして行きたいというためにこうしたああしたというのは、そういう政策を打出すに至る動機とか道筋であつて、そういうことを聞いておるのではない。打出されたところの岡野政策と、それから岡崎政策とはまつたく型が違うと考えるが、政府はどう考えておられるか、こういう点です。
  4. 平井富三郎

    平井政府委員 山本さんがお述べになりました点については、私ども外務大臣演説経審長官演説とは、根本的なあるいは理念的な食い違いはないと考えております。ただいま一つ政策を生み出す動機ということでなく、型として、あるいは考え方としてどうか、こういう御質問でございますが、経審長官演説の中にもやはり貿易振興を第一にうたつておるのであります。貿易振興をする上におきましては、今置かれておる日本の立場からいえば、もちろん自由貿易貿易自由化という点を強く主張しておるのでありまして、この点について岡崎外務大臣考え方食い違いはないと存ずるのであります。ただ現在の国際収支の現状から見ますると、輸出振興のみによつて国際収支のつじつまが合つて行く、こういう関係も非常にむずかしい状況にございますので、食糧であるとか綿花であるとか、非常にドル圏に依存しておる物資につきまして、自給度の向上によつてこれを減額して参りたい、こういうことでございまして、貿易振興によつて今後の経済自立をはかつて行く、こういう考え方につきましては違いはない、かように考えておる次第でございます。
  5. 山本勝市

    山本(勝)委員 貿易振興ということは両方一致しておりましようけれども岡崎さんのは輸入制限するというふうなことはよくない、しかるに各国輸入制限をする、あるいは関税を高くする、そういつたことは遺憾である、こういうのであつて輸出を奨励するだけでなしに、輸入輸出制限をしたり関税をかけたりというのではなくて、輸入も自由ということを国外に向つて打出そうとしておられる。だから私は善意に解釈してこうじやないかと思う。自由貿易自由通商ということは理想だ、岡崎さんは理想を打出した、しかし岡野さんの方は理想のことは問題にしないで、さしあたつて何とかして輸入輸出バランスをとりたい、こういうことから一応そういう点にのみ頭を費した結果、ああいう自給度を高めるということを打出されたのではないかと思う。一方は理想考え、一方は理想考えないで目先のことを考えた、出て来たものはやはり矛盾しておる、これは善意の解釈ですが、いかがでしよう。
  6. 平井富三郎

    平井政府委員 外務大臣演説理想を掲げ、経審長官演説が当面の問題を考えたということは、私どもはないと考えております。経審長官演説にいたしましても、やはり現在の貿易の趨勢なり、今後の世界経済の間に処して行く長い目で見ました長期的な観点からの所信を述べたのでございます。この問題は自由通商国内自給かという問題として取上げますれば、おつしやるような問題も出て来ると思いますが、自由通商ということを主張するとしても、現在の食糧関係輸入なり綿花の需要なりから考えまして、これの自給度を高めるということが、自由通商の原則に相反して、日本輸出貿易に非常に悪影響を及ぼすというふうには考えられないのであります。従いまして、この点は外務大臣演説としては、外務大臣の主として所管されまする事項についてお述べになつたものであり、経審長官経済全体についての所信を述べられた点でございますので、その点の広い、狭いの範囲はございますが、決して食い違つておるとは思つておりません。
  7. 山本勝市

    山本(勝)委員 もう一ぺん本会議における両方の演説をよくお読みになるがよろしいと思う。すなおにお読みになれば、どうしてもこの二つ演説の型は違う、平仄が合わないということは子供でもわかる。外務大臣世界各国に向つて自由通商自由貿易経済外交方針として打出したときに、インドタイは、日本は実際に将来米はどんどん国内で増産して、なるべく買わずに済むようにして行くんだ、綿もビニールをだんだんつくつて買わないようにするんだ、こういうことが一方でわかつたときに、岡崎外務大臣インドタイその他の国々に対する自由通商自由貿易関税に反対し、輸入制限に反対して行くという政策に対して、向うがどうとるか、そこにあらかじめあの演説についてほんとうに徹底して調整がとれてなかつたと思う。これはこれ以上は議論になりますから、ひとつ読んでごらんになればよいと思う。  第二の私の質問は、物価水準の問題でありますが、国内物価水準を維持する、上げもしない、下げもしない、そのまま維持して行くという考え方が一方では強く打出されておる、これはことに大蔵大臣が強く打出しておる。しかしながら総理大臣演説岡野国務大臣演説は、日本物価水準が高過ぎるから、国際物価水準さや寄せすることによつて国際競争力を増して行くのだと主張しておる。ところが国際物価水準日本国内物価水準に比べて現在すでに非常に低いのみならず、ますます低くなろうとする傾向にあるということも岡野大臣が指摘しておる。すでに低いもの、ますます低くなるものを追いかけてさや寄せをするという考え方は、これは日本物価水準を下げて行くのだというふうにしか私にはとれない。為替レートを動かせば別ですけれども為替レートを絶対動かさぬということを一方で主張しておられるのでありますから、為替レートを動かさぬとすると、国内物価水準を安定させるのだ、下げるのでも上げるのでもない、今のままで横ばいさせるのだという主張と、国際物価水準へ下げて行くという主張との間にはどうしても矛盾がある、こういう質問であります。これに対して文書をもつて答えられた、七月三十日付の文書答えを見ますと、こういうふうに答弁しておられる。「政府としましては経済の安定を期するため、財政金融一体的運営により通貨価値を維持し、物価の安定を期しており、いわゆるインフレ政策デフレ政策もこれをとらないのでありますが、輸出振興をはかるため、国際的に割高な重化学工業品個々価格については企業合理化を促進し、コストの低下を通じて漸次国際価格さや寄せしようとしておるのであります。」こういうのであります。そうするとここに起る疑問は、簡単に言うと、輸出振興するために輸出する品物については、個々にいろいろな方法を講じて値を下げて行く、こういうふうにとれるのでありますが、もしそうといたしますと、日本国内物価水準というものの中には、もちろん輸出商品価格も織り込まれて水準ができておるので、水準だけが独立して、一般物価個々品物価格と別に水準が立つておるわけではありません。一切の品物価格が結局物価水準となつて出て来ておるのでありますから、輸出商品個々価格を下げて、しかも物価水準を下げないようにしようと思えば、輸出商品でない品物価格を上げなければ、物価水準が安定したということにならぬのじやないか。つまり算術平均物価水準になるのではありませんけれども、とにかくいろいろな品物価格が総合されて物価水準が出ておる。その物価水準を動かさぬようにするのに、その中に織り込まれておる輸出品価格を下げるということになると、ほかのものを上げないことには水準が安定したことにならないのではないか。そういうことは実際私はできることでないと思いますが、はたしてそういうことをはつきり自覚して、輸出商品価格は、たとえば利子を補給するとか、いろいろな減税をするとか何とかいう方法で下げて行くが、それ以外の物価はむしろ上るということを予想しておられるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  8. 平井富三郎

    平井政府委員 お答え申し上げました物価の安定ということは、現在の物価水準をそのまま維持して行く、こういうことではございません。要するにインフレ政策なり、あるいはデフレ政策なり、いわゆる金融政策の面から、それを引上げる、あるいは引下げるというような方法はとらぬということを申し上げたのでございまして、輸出品価格を下げまする基礎になります石炭とか鉄鉱とか、そういうようなものにつきましては、できるだけ合理化その他の措置を講じまして、これを引下げて参る。それが引下つた場合に、全体の物価水準は自然に下つて来るわけであります。これも一つの安定の中に物価水準下つて行く、こういうふうに考えておるのでありまして、輸出品価格は下げるが、輸出品以外のものの価格引上げて、平均して現在の物価水準を維持して行くというようには考えておりません。
  9. 山本勝市

    山本(勝)委員 そうすると、物価水準を、インフレでもデフレでもなしに安定さすのだという意味は、物価水準を横ばいさすという意味ではなくて、急激に下げない。しかし二割とか三割とか、現在下向きになつておる国際物価水準に追いつくまで水準そのものを下げては行くんだけれども、自然に下るようにするんだが、しかし急激に下げるような政策はとらないというだけのことですか。
  10. 平井富三郎

    平井政府委員 おつしやるような考え方でございます。
  11. 山本勝市

    山本(勝)委員 そうすると、物価水準は将来二割、三割と下るという見通しですか。
  12. 平井富三郎

    平井政府委員 できるだけ物価水準は安定の中に引下げて参りたい、かように考えておりますが、二割、三割今ただちに下るというふうには見通しておりません。二十八年度の物価見通しにおきましても、大体本年度に関する限りにおいてはおそらく横ばいを続けるだろう、こういう見通しを持つております。
  13. 山本勝市

    山本(勝)委員 この点もよく御研究願いたい。いかに希望されようとも、実際問題としては、急激なる物価騰貴を金融操作によつてどうにか防ぐということが、結果において精一ぱいだと思います。二割も三割も下るとは思いませんから、結局その点は実際問題としては下ることを心配しておりません。しかし政府としてその点自分たちは一体何を目標としているかということをはつきりさせる必要がある。これをやはりどうもあまり綿密に考えていないんじやないかというふうに私は思うのですが、そうでない、よく考えた末だと言われればそれまでですから、それはそれでけつこうです。  あとこの質問については二点ありますけれども、第三問につきましては「電源開発食糧増産等が重点で、治山治水道路等に二義的なウエートを置いているように見受けられるが、これは逆ではないか、九州水害等の実例を見ても治山治水こそ立国の第一要請ではないか。」という質問に対して「政府としましては、治山治水等についても、電源開発食糧増産と同様にこれを重視しており、このため本年度予算においても治山治水等のため約一千億の公共事業費が計上されております。」とあるので、一応これでけつこうであります。  その次に、中小企業に対する財政投資として百億円を投資することになつているが、私は中小企業に対して公庫を設けて金を貸すということそのものに反対するわけでないけれども、それよりも前に、それらの人々が重い税金で苦しんでいるのだから、中小企業者税金をまず軽くしてやるという方が先決ではないか。苦しい中に泣いているのに税金を取上げておいて、それに対して今度は利子をとつて金を貸す。借りられる人間は少数の人に限られるということは、どうも順序を誤つておりはせぬかという質問であります。これについて少し答えが不満なんですが、お答え願いたい。
  14. 平井富三郎

    平井政府委員 ここに御答弁申し上げました点は、税制一般との均衡につきましては、現在の税制全体の問題として検討して参りたいということで、御趣旨のような点に今後十分慎重に検討して参りたいというふうにお答え申し上げているわけです。ただ財政投資という点は、税制の改正にかかわらず、今後も中小企業につきまして必要である、こういう趣旨を御説明申し上げたのであります。
  15. 山本勝市

    山本(勝)委員 もう一つでありますが、これはこの答弁けつこうであります。  この前の質問にありませんでしたが、ついでに簡単な質問一ついたしてみたいと思うのでありますが、朝鮮特需を加えて日本国際収支バランスをとるということでは困る。正常貿易によつて国際収支バランスをとりたいというのが、いわゆる経済自立の要求として強く主張されておりますが、私は朝鮮特需というものの収入日本国内一般会計の中に繰込んで、そうして国の支出をまかなつて行くということを続けておつたのでは、いつまでたつて特需にたよるということになつて自立はむずかしいと思う。俗な例を引きますが、学校を卒業して細君をもらつた子供に、親から仕送りを続けておると、いつまでたつて自分の月給だけで食つて行くようにならない。私はほんとう貿易及び貿易以外の、たとえば船の収入とか、昔のような健全な貿易外収入、正常な貿易ないし貿易外収入というもので国際収支バランスをとつて行こう、特需にたよらぬようにしようということで、実際にそういうことを実現するためには、特需収入というものを別会計にして、そうして賠償の支払いとか、あるいは異常なる災害に対する支出とか、要するに臨時収入考えるのですから、臨時的な支出にだけ使う。正常な支出には充てないというふうに、別会計にしてしまう方が適当でもあるし、またそうしない限りは、いつまでたつてもたよつて、なかなか自立ができない。しかもそれがだんだん日本国民経済の循環の中へ深くしみ込んで参りまして、なかなか抜けない、こういうふうに思うのであります。そこで先般来実は調査部長にしつこく質問いたしたことに関連するのですけれども経済審議庁経済報告を読むと、非常によくできておりますけれども、どうしても私が間違いだと思うのは、日本人消費水準というものが戦前の九十何パーセントにとどまるという、この結論だけは私は事実と相違しておると思う。実際は昭和九年ないし十一年の水準に比べて、私ははるかに日本人消費水準というものは上つておるということをしつこくお尋ねしたのであります。それはいろいろこの経済白書そのものの数字に基いて、たとえば民営バスやあるいは私営鉄道の一人当り乗車キロ数であるとか、あるいは映画やラジオの使用状況、あるいはパン食普及、肉、卵、魚介類の一人当り消費量、その他万般のものを材料として、どうしても上つておる。ことにこの報告では、個人家計簿から支出されたものによつて物価との関係で割出したということでありますけれども戦前に比べて、個人のふところから出た金でなしに、国とか地方とか、公の団体あるいは会社、そういうふうに家計から出たのでない金によつて消費生活というものは相当高まつておる。そういうことを考えますと、生活程度は上つておる。そう考えるから、私はこの特需収入を別会計といたしまして、賠償とかあるいは異常なる災害に対する支出とか、ないしは災害予防のための治山治水とかいつた方面に使う。今日の消費生活というものは、先ほど来の考えで、ここで二割や三割下つても、何ら特需収入によつて日本人生活水準を下げぬようにしよう、現在の程度をあくまで維持しようという前提の上に自立計画を立てておる。従つて生活水準というものを、特需によつて支えて行くという行き方ではむずかしいと思う。これに対してどういうふうにお考えになりましようか、簡単でけつこうでありますから、お考えを伺いたい。
  16. 平井富三郎

    平井政府委員 生活水準と申しますか、消費水準言つた方がいいかと思いますが、消費水準につきましては、白書に盛られておりますように、物資普及の面、あるいは家計支出の面、あるいは国民所得全体の分析からして、大体戦前程度というふうに私ども考えておるわけであります。もちろんこれは平均点でございますから、戦前消費水準を上まわる階層もございましようし、それ以下にあるものもあるわけでございますが、大体大観いたしまして、二十七年において戦前生活水準に到達した、かように考えておるわけであります。  それから特需の点でございますが、これにつきましてはいろいろな見方があると存じますが、特需というもの自体が臨時収入であることはいまさら申し上げるまでもございません。従つて特需に依存して安定をしているような経済は、ほんとうの安定を来しているものとは考えておりません。しかし特需収入というものは、二十五年以降ここ両三年続いておりますし、今後もただちにこの特需が消滅するということでもありませんので、この特需収入日本経済の安定と合理化のために使用して参りたい、かように考えておるわけであります。一般消費水準戦前程度に到達いたしました段階におきましては、できるだけ今後の蓄積日本産業合理化なり、要するに自立経済基礎に振り向けて参りたい、かように考えておるわけであります。従いまして、現在の特需収入というものが、ぜいたく品輸入なりそれらに使用されることがなくて、国民生活に必要な物資なり、合理化に必要な機械その他の原材料に使用いたしまして、日本経済力をこの際強めて参りたいということの方が、むしろスムースに移行ができるのではないか、かように考えておる次第であります。
  17. 山本勝市

    山本(勝)委員 もう一言でおきますが、その使い道についてはよくわかりました。けつこうと思います。ただそのために別会計を設ける必要がないか、あるいは意思はないかということを伺いたいのであります。ただ消費水準戦前水準にほぼ達したということは、これはひとつよく御研究願いたい。これは私この間も調査部長と盛んに、材料もいただき、質疑応答をやつたんです。高等学校生徒の数もふえておる、中学生徒の数などは、これで見るとわずかしかふえておりません、二割何ぼしかふえておりませんが、私はこの統計は間違つておると思う。実際は中学に行く生徒の数は二割五分くらいのふえ方じやない、もつとふえておる。酒の消費量ども、この統計では清酒とビールとそれから合成酒の三品目をとつたといいますが、その当時はあまり使つていなかつたしようちゆうというものが今日はたくさん生産され、消費されておるのであります。酒類の消費を比較する場合に、戦前における合成酒ビールと酒と、この三種類だけをとつて、しようちゆうを抜きにして計算したのでは、実際に当らない。これは必ず私の結論が当つている。消費生活水準は上りましたが、蓄積は減つております。われわれ自分のことを考えましても、洋服であるとか帽子であるとか、たくわえは減つておりますけれども、日々の消費生活は、これは自分のさいふから出たものと、公のさいふから出たものとございましようが、それらを全部込めて、日本人消費は、例外はありましようけれども水準としてはようやく二十七年度で昭和九年ないし十一年の水準に達したという審議庁結論は、絶対間違いだと思う。これは御研究を願うことにして、私の質問はこれで終ります。
  18. 佐伯宗義

    佐伯委員長 ただいまから委員長栗田君にかわつてもらいます。     〔委員長退席栗田委員長代理着席
  19. 栗田英男

  20. 佐伯宗義

    佐伯委員 今期国会はまさに終了せんとするのでありまして、私は過去一箇月有余の間、委員長といたしまして本委員会を運営いたして参りました関係上、二、三の質問政府当局に試みたいと存ずるのであります。電源開発問題並びに国土総合開発、及び経審の経済白書に対しまして、実は大臣にお尋ね申したいのでありますが、御不快でありまするので、次官ないし次長からお答えいただきたいと思います。  第一番に電源の問題でございますが、政府からお出しになりました電気事業再編成の功罪についてというお答えの中に、再編成後の電気事業は、非常に順調に開発も進行しておるのみならず、特に昔の日発並びに配電当時は、業者間で機構と人員配置の点で重複していたが、これがなくなつたから非情によくなつたというところに力を入れておられるのであります。しかしこの点に対してお伺い申し上げたいのは、なるほど昔は九つの配電会社と日本発送電会社と二重機構になつておつたのであります。しかるに日発が解体せられまして配電会社の単独な事業となつたので、二重機構の煩を避けておるようにちよつと考えられますが、私から見ますると、北海道、中国、四国——四国は確かにこの文書の通りでありましようが、日本の電源の最も中心であります本州、特に東北、中部並びに北陸におきましては、御承知の通り関東、関西が、北陸、中部、東北に依然として日発のごとき二重機構を備えておるのであります。しかも日発のときには地方と利害関係が一致しておつたのでありますが、潮流主義の電力の再編成は、ここにきわめて大きな矛盾を来しております。この点に対して御所見を伺つてみたいと思います。
  21. 平井富三郎

    平井政府委員 電気事業の再編成につきましては、当時の再編成を決定いたしました状況から現在約二年を過ぎた程度でございます。従いましてこの点についていろいろ批判することにつきましても問題があるかと存ずるのでありますが、現在の九分割というものが今後これをどうするかという問題にあたりまして、よほどの利益がない限りにおきまして、またこれを再編成いたすということは、さらに再編成自体に非常な大きなトラブルが起きて来るわけでありまして、電気問題の解決は、要するに電源の開発、電気量をふやすということが先決であると考えるのでありまして、これを補完いたしますために、昨年度電源開発株式会社に関する法制も整備せられまして、しばらく現態勢をもちまして電源開発を促進して参ることが適当であろう。これに伴いまするいろいろな問題の点につきましては、むしろ運用面で補つて参ることが実際的ではなかろうかと考えておる次第であります。
  22. 佐伯宗義

    佐伯委員 ただいまお尋ね申し上げたのは電力再編成をもう一ぺん再々編成するかという問題ではないので、この電気事業再編成の功罪についてというお答えの中に、昔日発と配電会社とが二重機構を備えて、人員、機構の上においても複雑であつた。こういう二重機構がなくなつて非常によくなつたとお誇りになつておるのでありますが、私がお尋ねせんとするのは、二重機構は現在の中央政府と地方自治体の二重機構があるような関係にあつたので、そう国民には迷惑でなかつた。しかるに今度は日本の国の消費、生産の中枢である本州区域においては、関東、関西電力が東北、北陸、中部地域において日発の役目を持つて、その三地方は昔の日本発送電より以上な無関係な会社によつて二重機構を備えられておる。御承知の通り関西におきましては北陸に、関東においては東北あるいは中部に、それぞれ支社を設けております。しかも潮流主義の電力再編成は、電源地帯に対しては日発のごとき矛盾と異なる大きな矛盾を持つておる。この功罪の御報告の中にある、日本発送電と配電の二つの機構がなくなつて非常によくなつたという点に対しての矛盾をお尋ねしておるのであります。この点はどういうようにお考えになつておりますか。
  23. 平井富三郎

    平井政府委員 ここに書いてありまするのは日発、配電等の当時の機構と現在の機構を比較いたしまして相当是正されている、こういうふうに言つておるわけであります。九分割の趣旨は、それぞれの発電あるいは電気の供給の面から見まして、いわゆる適正な規模を想定いたしまして九分割するということが行われておると思われるのでありまして、この面から見まして、現在電源地帯と電気を需用する地帯との電力会社が違う、独立の電力会社になつておるというような点につきましては、業務の運営の面におきまして十分カバーできるのではなかろうかと思います。
  24. 佐伯宗義

    佐伯委員 さらにお尋ね申し上げたいのは、現在の電力会社は御承知の通り政府が株式を持つことのできない私的企業でありまして、しかも政府はこれに対して厖大なる資金を投下しておる、まつたく日本全国を消費、生産ともに九つの会社で独占しておる企業であります。単純な株式資本主義のもとにおいて、他にこれと類似するがごとき独占企業日本の国にあるであろうか。ことに敗戦後の日本の国には、もはや水利以外に富というものはほとんどないと思う。しかしこの水利は、この独占企業体の独占するもの以外にはこれまたないのじやないか。なるほど電源開発会社が生れておりまするけれども、この電源開発会社は、将来においてはこれらの企業に譲渡するというがごとき性格を多分に持つておる。私の伺わんとするのは、かくのごとき国民生活に最も重要なる電力会社を単純なる私的独占企業にまかしておくということは妥当であるかどうか、政府の見解を承りたいのであります。
  25. 栗田英男

    栗田委員長代理 深水政府委員。深水政府委員に御注意を申し上げますが、かくのごとき重大なる問題に対して、経済審議庁政務次官として御所見はないのでありますか。
  26. 深水六郎

    ○深水政府委員 お答え申し上げます。公共事業令でいろいろ取扱いをいたすについて規定いたしておりますが、必ずしも公共企業体にした方がいいというふうに一概には考えておりません。
  27. 佐伯宗義

    佐伯委員 ただいまの政務次官の御答弁は、電力再編成が行われた当時のいきさつに責任を帰せられておるようであります。しかしその後公益事業委員会は解体せられ、通産省に接収せられておる。私はここに新たに御質問申し上げたいのは、この日本の国の電力再編成は、御承知の通り占領政策の一環として、わが国民主化の最も重要な根幹とせられたものであります。あらゆる面において民主化制度を行いましたけれども、最後に残つたのは電力再編成であります。しかもこの電力再編成にあたりましては、日本の国の政変というがごとき重要問題までも巻き起しまして、遂に政令をもつてこれが行われたのであります。  そこで私は政府に伺いたいのは、特に当時司令部におきましては九つの分割とこれが監督機関であるところの公益事業委員会とは不可分である。私も当時電力委員をいたしておりましていろいろ司令部にも交渉したことがありますが、電力再編成の民主化は九つに分割することではなくして、公益事業委員会とは不可分であるという強い意思表示がされております。しかるに独立して間もなく公益事業委員会は通産の国家権力行政にこれを接収すというごとき大改革が行われたのでありまして、元来かような大問題は国民の輿論に訴えて法律をもつてなすべきものであつて、単なる政令をもつてこれが実行せらるべきものではなかろうと考えられます。しかるがゆえに、政府はわが国の独立と同時にこの政令を法律にかえられ、根本的にもう一度国民の前に再編成の輿論に訴えられることが私は妥当であろうと今日まで考えて参つたのであります。しかるに不必要なところの公益事業委員会だけを解体せられた。かようなことはただいまの深水次官の御説明では私は十二分に納得いたしがたいものがあるのであります。この九つの電力会社ほどの生産と消費の独占企業は私はおそらく日本の国においてないと思う。しかも国家は株式資本に参与すべからずというがごとき大きな制約を加えて、ただ料金その他が認可制であるということであるが、おそらく認可制のものはガス事業、交通事業等あらゆる方面にございますが、しかも残つておるところの唯一のわが国の水利権を私的独占に帰してはたして妥当であるかどうか。そうしてこの電力再編成は政令によつて行われたものであつて、国民の輿論に訴えておらぬのである。かようなものこそ第一に国民に尋ねなければならぬものであろうと私は考えます。政府の御見解をもう一度お伺いいたします。
  28. 深水六郎

    ○深水政府委員 電気事業法の改正ということにつきましては、ただいま供給独占の点につきましても小委員会で検討中でございまして、将来の懸案として御意見をいろいろ承つて善処して参りたい。かように考えております。
  29. 佐伯宗義

    佐伯委員 これ以上御答弁は無理かと存じますので、差控えまして、次に国土総合開発について二、三質問をしたいと存じます。この国土総合開発計画が発生いたしました当時のわが国の政治情勢から考えてみますと、独立後における日本経済自立をどうするか、小さい四つの島国に八千五百万が生き抜く道はどうあるべきかというがごとき考え方のもとに生れ出たものでなかろうかと考えるのであります。従つて国土総合開発計画の内容は四つにわかれておる。国土総合開発、特定地域の開発、府県の開発、地方開発、こういうように区分をされておるのであります。この中で特に重点を置かるるのは、この特定地域の地域を認定すること、並びに事業の種類を定めることかような問題は、どうしてもこの国土総合開発計画というものを立てる主たる政治的目的、主たる政治的目標、これがなくては一定の尺度というものは私は求められ得ないと考えます。この点において最近国土総合開発計画の十九の指定をしておられまして、さらに十の調査区域を定めておられる。私はここにお尋ねせんとすることは、少くとも特定地域というものを日本の全国に一体幾つくらい置かるるところの目的であるのか。それは今後調査をなさいまして、幾つかということが生れて来るであろうとの答えであるならば、私は満足できないのでありまして、そこに日本の国の国土総合開発に一種の政治的目標があるといたしますならば、最初から特定地域というものの概念が幾つくらいのものであるかということが浮んで来なければならないと私は思います。これは少しくむずかしいことに御解釈になるかもしれませんけれども、今次の国土総合開発計画は、現在のままでは、立案をされましても、生れ出たときの日本経済自立政策の根幹というがごとき性格ではなくなつておるというように考えるのでありますが、これに対する政府の所見はいかがでございましようか。
  30. 深水六郎

    ○深水政府委員 将来特定地域のいろいろな開発すべき地点その他につきましては、御承知のような総合開発審議会というものがありまして、これに諮問いたしまして、この総合開発の法が置かれました趣旨にのつとつて、将来この地域をきめて行きたい、かように考えておりますので、私としてはこの審議会を十分活用して参りたいと考えております。
  31. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいまの政務次官の御答弁に私から補足して申し上げます。  ただいま政務次官からお答えがございましたように、現在指定してございます十九の特定地域は、総合開発審議会におきまして、数回十分検討になりました上で選定された次第でございます。将来これを幾つにするか。ただいま御指摘のごとく調査区域は十箇所あるのでございますが、この調査区域も必ず特定地域にいたすということが前提ではないのでございまして、調査いたしまして特定地域にいたすことが適当であると認められるものは特定地域にいたしますが、さようでないものは特定地域には必ずしもいたさないというつもりでおります。これらのことはすべて審議会の認定によつて行う次第であります。
  32. 佐伯宗義

    佐伯委員 国土総合開発事業は四つにわかれておるのでありますが、四つにわかれておる限界というものには、やつぱり一定の尺度がなければならぬと思うのであります。今のお答えでございますと、これは四つともに含まれておるのであつて、特定地域というものの持つておる特殊の条件ではない。府県の開発並びに地方の開発がある上に、特定地域というものは数県にまたがることが生ずるのであり一ましようが、しかし数県にまたがつたからと申しましても、規模の上においては府県より小さいものもありましよう。そこに私はこの国土総合開発計画の政治目標が失われておるということを申し上げたいのであります。元来この国土総合開発計画が立り上りましたのは、まだ電力の再編成が行われておらなかつたときに考えられた。従つて国土総合開発計画のその当時われわれ聞き伝えるところの構想というものは、おそらく日本の国の自立経済政策に対する大きなものであつて、電力再編成というごときものも含まれておるのである、かように私は考える。しかるに電力事業はまつたく完全なるところの私的企業なつた。当時日本発送電が存在するといたしますれば、これはそこに社会性も公益性もあつたと私は考えるが、そういうものは逃げてしまつておる。かような見地から私は国土総合開発というものは、もぬけのからであるという観点に立たんとするものであります。それで特定地域というものが他の地域と違う性格、それはいろいう性格がございましよう、私はそういう小さいものじやなくして、むしろこの区域というのは政治目標と非常に一致するものでなければ特殊のものとはならない、かように考えるのであります。しかしこのことは今お尋ね申し上げましても非常にむずかしいところに到達するごとく考えられますので、御参考までに、今回十九の指定区域を認定されますと、民衆の輿論がこれの実行を迫つてつておる。当委員会に対しても陳情書が出ておるのでありますが、これを決議案に上程せよということであります。せんだつて説明を聞いてみますと特定地域に対して約四千億、そのうち約二千億は十箇年計画といたしまして、現在の一般財政の中の公共事業費として目せられるものもある。あと二千億であるというお答えがありました。私は二千億くらいのものをかけて十箇年に、国民が要望するところの国土総合開発計画が立ち上つて日本の再建はこれであるというがごときものにはなり得ないというがごとき考えを持つのであります。これはむしろその程度でありますと、国土総合開発という大きな名称のもとに立ち上るべき性格のものではないというふうに思われまするし、単に国土総合開発審議会の議を経たるがためということではなくして、まつたく日本の長期自立経済計画の一端、実践母体として現われて参るのが国土総合開発であろうと私は考えます。こういう点からお尋ね申し上げた次第でありまするが、これはさらに経済白書に対してお尋ね申し上げるのと関連して、二、三この点をお伺い申し上げたいと思います。  経済白書はまつたく現状の分析が非常によくできておるということを長谷川君もおつしやいましたが、私どもも同感でございます。片山内閣のときかと考えますが、初めて経済白書というようなものが出まして、われわれは当時非常に感激に打たれたのであります。年々歳々その機構が非常によくなつてつております。特に本年度経済白書の分析はわれわれは遺憾のない点まで突いてあるように感服をしておるような次第でありまするが、経済白書の中の経済分析の必要は、これは将来日本の国の経済をどうして行くかということに必要であるというように私は考えます。従つて経済白書の最後に出て参つたのは五箇年計画であります。調査部長さんがこのことを非常に御遠慮なさつて御説明しておられる。まあ経済白書を書く者の身分から考えると、やはりある一種の将来の見通しというものを書かなければならぬ、これはそういうおつもりで読んでもらいたいという御遠慮をなさつておられるということは、事務として立たれる方としては当然でございましようが、しかし政治の面から申しますると、現状分析よりも将来どうあるべきものかということの断定を下すことが政治上最も必要であろうと考えます。そこで伺いたいと考えますのは、将来どうあるべきものかということを断定いたします上においては、どうしても五箇年計画というものでは政治の満足を得せしめることはだれしもできないと考えております。この点に関して次長から所見を伺つてみたい。
  33. 平井富三郎

    平井政府委員 経済白書の性格につきましては、調査部長から申し上げましたように、これは現状の分析を目的とするものでございます。従つて毎年出します経済白書はいずれも現状の分析をできるだけ忠実に行つて行くということを使命にいたしておるものであります。もちろんこういうことがただちに政府にとりましては政策の立案の参考になりましよう。あるいは各政党から見ましても同様でございまして、政策一つの目途をつける重要な参考書類であるようにも考えられております。しかしながら経済白書は本質が現状の分析であり、これを国民に報告する、こういう建前をとつておりますので、政策に関しまする事項はこれを記載してございません。政策はそれぞれの機関において立てるべきものであります。政策まで白書に詳しく書くという意図は現在持つておりません。別途それに並行いたしまして、政府といたしましては、大体経済白書に書かれました現状分析を基礎にいたしまして、一応おおむね五箇年ということを目標にいたしました一つの長期政策ということを国会にも中間的の案ではございますが、御報告申し上げておる次第でありまして、今後経済審議庁といたしましては、現状分析、長期的観点から持つ政策の立案、この二つに重点を置いて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  34. 佐伯宗義

    佐伯委員 事務次長といたしましては、当然のお答え考えるのでありますが、経済白書の出ました当書は占領治下で、さしあたりどうしたらよいかということが政治目標であつた。真の政治は占領軍にあつたので、政府にはなかつたと思う。従つて当時の政府経済分析を主としてあとは占領中目先のものがどうであろうかという程度にとどめたと思いますが、私はこの経済白書はおつしやる通り、ただ現状分析だけでは国民が満足いたしません。またときの政府の発表するものでありますから、そこに現状と政治とが常に両立しておらなければなりません。国民の指導目標、ことに経済審議庁が元経済安定本部と言つていたその当時の性格はどうであつたかというと、今次長がお答えなつたような性格ではないのである。これはもう各種の百般の政策を基本的に調整し、かつまた計画をして、ほんとう日本自立政策を立てるがごとき機構を備えておつたものと考えます。また敗戦のわが国においてはさようなことも必要であろうと考えます。この五箇年計画というのは、これは当時の目標ではないと思う。ほんとうに目先をどうするかというような占領中だけの考え方であつたと思います。従つて経済安定本部が解体せられ、経済審議庁とかわつたのでありますが、しかし経済審議庁の機構を見ますと、各種所管のものが、たとい数が減つたとしても、そのまま頭脳的なものは備えている機構になつている。そこで伺いたいのは、経済白書の生れた当時の考え方と、現在また今後書こうとする経済白書考え方には何ら差別がないのであるか、今次長がおつしやつたような経済分析のみでなく、そこに時の政府の所見を盛つて、そうして将来におけるところの見通しを国民に示すお考えであるかということをお伺いいたしたいと思います。
  35. 深水六郎

    ○深水政府委員 先ほど平井次長からお答えしましたように、大体経済白書は御承知のように現状分析というのが主でございまして、いろいろな将来の見通しということにつきましては、私たちおのおの別途に考えているような次第であります。大体経済白書は現状分析を主として、それにのつとつて別途に考えて行きたいと考えております。
  36. 佐伯宗義

    佐伯委員 わかりました。それではあらためて伺いたいのでありますが、この経済白書は重点をどこに置いているかというと、このままでほうつておいてはいかぬ矛盾が、各所に数字の上において科学的に説明されている。まつたくわが国は特需による依存経済であることは申すまでもありません。従つて経済白書結論は、特需のある間に自立経済政策を立てなければならない。これはひとり経済白書を書かれた方だけではない。全国民がさように感じていると思う。しかも朝鮮の休戦はすでに成立しておる。かような場合において、今おつしやつたように、経済白書を書くのは現状分析であつて、別に何かお考えになるというのであるが、お考えになる場合は、経済審議庁というものが存在している限りは、この経済審議庁が政治目的を受けて立案される以外にはない。わが国は独立いたしましてすでに一年有半を経ておるのでありますが、この間において自立経済政策というある程度の長期計画——長期評画と申しますと、自由党政府は何か社会主義経済原則のごとくお考えになるが、およそ自由主義、資本主義におきましても、計画性のないものはありません。この点誤解のないようにお考え願いたい。今日国家が独立したにかかわらず、こういう日本の底の浅い経済でありながら、なお今お答えなつたように、経済白書は現状分析のみであるとするならば、この経済情勢を基盤にして日本自立をして行く見通しを国民に示される必要があると思うのであるが、その点は今どこでどうしておつくりになつておるのであるか、政務次官でなく次長でもけつこうですから、お答え願いたい。
  37. 深水六郎

    ○深水政府委員 ただいま佐伯さんからいろいろ仰せになりましたように、大体経済白書は現状分析が主でございますけれども、若干それによつて示唆を与えるという点もあるかと考えております。それから個々のいろいろ具体的な計画につきましては各省で考えることになつておりますけれども、総合的な問題につきましては、審議庁で私たち総合的な見地から経済政策考えておるような次第であります。なおいろいろこまかいことにつきましては、次長から補足して説明いたさせます。
  38. 平井富三郎

    平井政府委員 経済白書が現状分析であると、これの結論をどう読みとるか、こういう問題でございます。それを読みとりましてどういう対策を立てるかということは、それぞれの、たとえば政党の間の対策はそれぞれの立場立場によつて、目的は同じでありましても違つた方法論が出て参るではないか、かように思われる次第であります。従いまして、白書は現状分析の範囲にとどめまして、その現状分析の上に立つていかなる政策を盛るか、いかなるそこに方法論をとるかということはそれぞれの立場において検討して参る、こういう建前をとつておるわけであります。  次に審議庁といたしましては、総合的な立場から政策を立てるという観点からいたしまして、長期的な見通し——これはいわゆる復興五箇年計画というものとは性格が違つて参ると思いますが、長期的な観点から政策を立てまする際に、一応数字的な目途も必要になつて来るわけであります。御承知のように、現在のような状況におきまして、五年後における貿易の数字あるいは生産の数字を見通すには、いろいろな仮の前提——仮と申しますか、いろいろな前提を置くわけであります。的確にその数字をつかむことはなかなか至難であろうと思いますが、一応数字的な検討を行いまして、これから大きな政策を引出す一つ材料にしておるわけであります。本国会におきます経済審議庁長官の演説の中にも、大体その腹案が盛られておりますし、中間的試案として御説明申し上げました趣旨もそこにあるのでありまして、今後審議庁といたしましては、現状分析を基礎にいたしまして一つの総合的な政策を立案して参りたい、かように考えている次第であります。
  39. 佐伯宗義

    佐伯委員 ただいまのお答えは、おそらく私一人でなくして、国民が要望していることとそれているのではないかと考えるのでありまして、御参考に願いたいのでありますが、かつて日本が誤つた大東亜戦争を遂行いたしましたときには、社会主義的な計画経済でなくても、すべて一つの目標を持つて進んでおります。敗戦直後におきましては御承知の通り、何といたしましても食糧を自給し、国内資源において生活の基本を定めなければならないという一つの目標がきまつておつたのであります。当時輿論は、生産コストの非常に高いような農地を開拓する必要はない、能率の高いものを輸出して食糧のごとき原始生産のものは輸入すべしということも盛んに言われました。しかしそういうことこそ将来の見通し困難であつて、われわれ日本国民がこの四つの島国の中に生きて行くという道を講ずることの見通し困難などということは考えるべきものではないと思う。しかるに占領政策が進んで参りますと、アメリカの自由主義国家としての世界政策から、そのような自給圏をつくる必要はない、こういうことが土台になり、つまりアメリカの占領司令官が日本の統治者で、その権力と支配権のもとにおいて日本はこの五箇年計画というような目先のことが考えさせられたということを先ほど申し上げたのであります。経済白書の現状分析は満足するけれども、先ほどの国土総合開発審議会が生れ出たときと同じように、その性格は全然かわつていない。それをまた踏襲しておる。つまり経済白書の現状分析は政府に何を提供するか。これは日本自立経済を確立する基礎を提供するものである。政府はそれに基いて日本の独立後の経済を国民にはつきり明示すべきである。これが私は政治責任であると思う。しかるに占領治下の考え方をそのまま独立後にも及ぼして、国土総合開発と同じようなぐあいになつているということを私は申し上げんとするのであります。ここでわれわれが長期経済計画ということを申し上げますと、そういう見通しがうまく行くか行かぬかということを言われるが、長期経済計画を立てないような資本主義、自由主義はございません。ただそれを実行する方法において、強制的なものであるといたしますならばこれは社会主義的なものに考えられる。長期計画というがごときもの、また自立計画というがごときものは、単に自由主義や資本主義と縁の遠いものではない。現下の政治の論争の上におきまして、計画とか長期とか申しますると、何か社会党の領域のように考えられますけれども、よりよく日本が独立して、自由な資本主義を建設いたさんとするには綿密な、詳細なるところの長期経済計画を立てなければならない。しかしそれは強制的な、そしてその実行方法が社会主義方法であつてはいかぬということは申し上げたいのでありますけれども、この特需を失うこと、いわゆる今日においてMSAを反対し、あるいはまた駐留軍をこいねがつておるものはだれもございません。しかしながら今日駐留軍が退去したらたいへんです。われわれは進んで駐留軍の駐留を欲求しなければならぬような情勢にあると考えるのであります。従つて政府が独立後まず第一声として、経済白書と同じようなわが国独立経済政策見通しというものをつけなかつたならば、あの講和条約を引受けるわけにはいかないと私は思う。独立とは申しながらなお依然として占領治下のごとく、アメリカに一際抱かれておるというがごときことでは、前途の独立というものは絶対得られない。要するに政治上の独立は経済上の自立なくしては得られないということは原則でありまするから、われわれは一日も早く経済自立政策というものを政府当局が国民に高く示して、それを輿論に訴え、それを修正し、それを研究調査して行くところに光明を見られるがごとく考えるのでありますが、政府はなおこの長期経済政策というものをお立てになるお考えはないのであるかどうか、しかしもし立てられるとするならば、いつごろそれはできるのであるか、国民にどうそれを示されるのであるか、またそういうことが必要でないとおつしやるのであるかということの所見を伺いたいのであります。
  40. 深水六郎

    ○深水政府委員 ただいままことにごもつともな御質疑をいただきましたが、私たちも自立経済ということが必ずしも国内で自給自足するアウタルキー的な考え方は持つていないのでございます。できるだけ自給度を高めて、そうしてまた正常な貿易によつて国の経済バランスがとれるようにして行く。そうして両々相まつて日給の線に持つて行きたいと思つております。また計画というお言葉の中にいろいろ御意見がございましたけれども、私どもも、計画といいますか、見通しといいますか、そういうことのない経済ということについては、いわゆる旧時代のほんとうの自由管理ということは考えていないのでございます。そういう見通しというものもつけて行かなければならぬということで先刻大臣からお示しをして御批判もいただきました、五箇年計画の試案というようなものを御参考にごひろう申し上げたのでございますが、この点も私たちはもつと掘り下げて研究いたしまして、そして国会にもまた国民にも訴えて御批判を仰いで行きたい、かように考えておる次第でございます。
  41. 佐伯宗義

    佐伯委員 わが国の各種の行政部門における見通しというがごときものは、多くは十年を限界にしておることは皆さんも御承知の通りである。かりに食糧にいたしましても、あるいは道路にいたしましても、あるいは河川の改修、治山治水その他すべてのことは、一通り人間の常識というものは、何か題目を与えられますと、ある程度の限界というものがありまして、その目標を定めて、この程度ならば十年計画でやりたいというのが今日の官庁業務の一つ理想であり、目標であると思うものであります。これは私が申し上げるまでもなく皆様よく御承知と思う。しかし経済白書は御承知の通り現在分析だとおつしやればそれまででありますが、さて五箇年計画というものを立てられたということでなくても、見通しにいたしましても非常に隔靴掻痒の感がある。われわれの言うところの経済自立政策というものは、ただこれは鉱工業生産というところに重点を置いているのである。その基礎となるものはどうかと申しますと、やはり道路であるとか、治山治水あるいは植林事業、港湾、漁港というがごとき五大公共的な事項、それに鉄道、通信、電力、船舶、国有森林というがごとき五つの公益的性格を持つておる企業というようなものがやはり経済白書に書かれたと同じ性格のもとに分析をされて、横の系統のもとに一つ国際収支関係を生み出して参らないと、ほんとうのものに私はならないと考えられるのであります。経済審議庁はその意味において、われわれが聞くところによると、交通あるいは河川その他国の政策の百般を備えておるという機構のごとく考えるのです。同じ経済白書でありましても、それら全体に対するところの計画を立てられて、それを帰納されるという方法と、多くは生産部門でありますところの鉱工業に重点を置いて行くという場合とあるように考えるのでありますが、これは今日までの経済白書がさようでよかつたかもしれぬが、経済白書を土台といたしまして、日本の独立後の自立経済見通しというものを政府が立てられるならば、それらのものを全部含まれておることと私は考える。そこでただいまの政務次官のお答えがあいまいであるようでありますが、政府はそれらの計画を立てられるのであるか、立てる考えはないのであるか。それから今の五箇年計画という程度のものなのであるか。そういたしますと、あの経済白書に五箇年計画というものは事務当局が書いただけではない、政府の意思を受けているというのであるか、受けておらない、事務当局が書いたというのであるか。政府にはそういう考え方がないというのであるか、あるというのであるか、そのことをいま一度明確にお答え願いたい。
  42. 深水六郎

    ○深水政府委員 ただいまおつしやいましたように、いろいろな点、たとえば国土総合開発その他いろいろな点を含んで、ただいま申し上げました構想と申しますか、それを含めて進んで行きたい、かように考えております。
  43. 佐伯宗義

    佐伯委員 ただいまのお答えでは私は満足いたしませんが、ここでもう一つお伺いしたいのは、五箇年計画に触れますと満足なさらぬかもしれませんが、五箇年計画の骨子となるものは何であるか、食糧の自給と合成繊維の増産において輸入を減じ、そして重化学機械工業の輸出輸入バランスを合せるということに重点を置いておられることは言うまでもありません。そこでそういう結果を結ぶには、いろいろの日本輸出に対しては条件が幾多あるように思われるが、特にコストが高いということに書いてあります。そこでコストの引下げはどうするか、よく経営の合理化とか設備の改善ということを言われるのでありまするが、私の見たところでは、コストの引下げはなるほど経営の合理化とかあるいは設備の改善とかいうことを申しますが、経営の合理化の中に、もし労働能率の向上ということがあるといたしますならば、すべての合理化のコストの引下げ、合理化の上において労働能率の向上ということが、どれくらいの割合を占めておるのであるかということを伺いたい、これは政務次官でなくても調査部長でもよろしゆうございます。
  44. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 人件費がどの程度を占めておるかということでございますが、これは各種の企業によりまして、非常に違つておることはもちろんであります詳しい数字は、それぞれのデータを調べませんと、正確に申し上げかねますが、人件費の割合は比較的低いのでありまして、大体十数パーセントくらいの見当になつておるかと考えております。
  45. 佐伯宗義

    佐伯委員 この点はきわめて重要なことと存じまするので、御参考によくお聞きになつてこれから御研究を願いたい。わが国において、繊維工業は御承知の通り世界のコストよりもまだ低い位置を保つておるように思うが、これは御承知の通り機械設備は世界水準に達しておる。そしてその原料は外国のコストと均衡した輸入にまつておる。動力源たる電力は世界よりも安い。こういう結果から労働賃金というものはあまり重要視されておらない。この点をお考えを願いたい。その他のものはどうか。なるほど化学工業あるいは肥料にいたしましても、コストが高いというのは、これは設備とか動力とかいうよりも、むしろ石炭の値が非常に高い。その他原料も高い。原料と石炭はどうかといつて調べてみますると、結局は労働能率が低い。これはいかに美辞麗句をもつて、今日の社会不安を助長するがために労働はどうかと申しましても、私はその点が一番大きな問題であると考えます。まわりまわつて矛盾が矛盾を生んで、労働能率が今日低いということが、もう一番大きな悩みであつて、これが日本の独立経済を持つて行くことの最も困難なゆえんだろうと私は強く思う。この点は政治上において現われて来る現象であります。ここでお尋ねしておきたいのは、日本は御承知の通り、われわれの記憶する過去三十年の経済歴史の上におきましては、今日ほど失業群が少ないことはない。ほとんど完全雇用といつては語弊があるかもしれませんが、これくらいの程度はどの時代でもあつた。現在の生産状況のもとにおいて、八千五百万の全能力を発揮しておるとはわれわれは見られない。各企業会社というものは、御承知の通り、国家が持つべきところの社会保障制度をほとんど、企業会社は持つておる。つまり共食いをしておる。共食いをしておるという関係がコストが高くなる原因です。つまり企業が目的とするものは、能率本位でなくちやならない。生活給でなくて、能率給でなければならない。生活給はこれはもう国家が社会保障という性格のもとに支給しなければ、企業の能率というものは上らない。こういうところに非常な日本経済の弱点が存在するのであつて、今もし日本のコストを世界水準に達せんと欲するならば、二割の過剰人員を出す以外にないということを私は強く信じます。私はこの点に対して、いずれ経済審議庁の方々に数字の上においてお尋ねもし、また私の意見をも申し上げてみたいと思うのでありますが、またそうでなかつたならば、日本の将来において何らの希望もない。日本においてはただ一つ労働能力というものがあり余つておるということが日本の富である。その出が現在の生産程度、現在の生活程度において、全部過剰労働がないということになつたら、それは喜ぶべき現象でなくて、悲観すべき現象であると私は強く思う。かような見地に立つて政府当局におかれましても、あるいはまたかような経済調査をおやりになる方におかれましても、コストの世界水準は、要するに労働能率の水準に帰するものであるという一点を強くつかまねばならないと思います。御承知の通り、金利の上におきましても高いということは、金融資本の一切の労働賃金が高いということに結論づけられる。すべてのものはそういうことに表現されまして、物価に現われておるのは賃金です。賃金のことは要するに能率であるというところに結論づけられるのでありまして、そこに日本経済の困難さがある。政治の大きなる眼目も、今日憲法に保障せられたるところの労働の基本権を侵して、スト禁止法案を濫用して行くというがごときことは、要するにそういう方面から出ておるのじやないかというように私は考えられるのであります。従つて先ほどから申し上げたのは、資本主義の自由党が今こそ長期経済計画を確立して国民に示さなければならない。それはどうかというたならば、今申し上げたような過剰な労働がすべて企業にのまれておるものを吐き出して、完全雇用に持つて行かなければならないということは、御承知の通り、第一次世界大戦後における一九三二年のアメリカのニュー・デイール政策の実効をながめてもよくおかわりになることと考えるのであります。これはそもそも日本自立経済を確立する場合には、好むと好まざるとにかかわらずその真相を発表しなければならない、今度の経済白書の中には、この点はある程度きわめて大胆率直に書いておる。それがためにそれを書かれた人は労働界から攻撃をくらつておる、私はこれを労働のみとは申しません。すべてわれわれは国会議員が今日のごとき非能率的な国会というものは、私はいまだかつて覚えがない。国会が要するに生活の保障される機関である。われわれは歳費を受けておるものであつて、国家は悠久不滅の存在である限りにおきましては、われわれは当選をしてから改選せられるまでの間は、四六時中国家に奉仕しておるものであつて、日給や月給をもらうところの存在ではないのであるにかかわらず、あらゆる点においてわれわれの給与政策がそういう政策になりつつある。慨嘆すべきことだとわれわれは考えられる。ひとりこの面だけではありません。九つの電力会社が国家のあらゆる資本を背景にして、しかして自由な独占私的企業である彼らの実際の力と、国家の権力を力にしておるのが多いということに対しても、疑問が多々あるとわれわれは考えるのであります。それらの非能率的なものが全部一切現われておるのであつて、現実に働いておるところの今日の労働組合の労働者を言うのではないのです。こういう点において、日本の国のコストの引下げというものは、恐るべき政治の大眼目を要する、また経済構造の大きな革命を要するということが考えられる点が多々あるのであります。従つてそういう見解は見解の相違でありましようが、輸出をして輸入バランスをとるというときには二つ方法がある。コストの引下げによつて労働能率の水準世界並に保つということになると、二割ぐらいの過剰労働が出るということは明らかである。しかしどうしてもそこまで持つて行かなければならぬが、日本の国の独立は、輸出を旺盛にすることなくして困難であるという禍根をいかにして切抜くかということを、今日の経済白書に対して期待するのは無理であるかもしれませんが、これがあまり織り込まれておらないということを私は申し上げたのであります。  いま一つ非常に大きな問題は、もはや後進国においては、繊維はだれしも自給をこいねがつてインドのごときにおきましてもすでに輸出国にかわつておる。日本のかつての軽工業貿易政策というものはもうすでに夢である。そこで今度の経済白書を見ますと、重化学工業の生産によつて欲するところの輸入を求めんとしておりますけれども、これは五箇年計画ぐらいのものでありますから、それでほぼ案の見通しが立つようでありますが、ほんとう日本自立経済をわれわれが立ててみますと、つまり重化学機械工業というものは、外国に輸出するところのものは外国の資源です。しかるに日本はその外国の資源を輸出するための交換として何を輸入したいか。これは要するに日本の加工労働であつて、これが労働ダンピングとなり、消費購買先たるところの後進諸国を軍国主義をもつて侵略した原因である、なぜそうなつたか。つまり日本は他国から輸入する資源に対して輸出する資源がなかつたということが、そういう結果をもたらしておるのであります。経済白書はどこに重点を置いたかというと、その点を力説している。われわれも同感である。そこで資源の輸入に対しては資源を輸出すべしということになるのでありますが、さて日本は将来、貿易バランスをそのようにして、平和にわれわれの欲するものと彼の欲するものとを交易するという条件のもとに置かれるといたしますならば、この乏しい四つの島国にはたして八千五百万が満足し得るがごとき資源を創造し得るやいなやということに問題がかかつておると考える。それがあの経済白書においてはきわめて薄弱な根拠しかございません。一にかかつて電力の増産ということに置いているようでありますが、五箇年計画も、電力会社の電力再編成のときに、五箇年ぐらいで五百五十万キロになるというものに右へならえしたようなものであつて、何ら政治的な目的はありません。つまりあの五箇年計画は、電力は五箇年の開発で五百五十万キロになる、これはちようど日本の需給バランスと合うだろうということから、電力会社が再出発したときの目標として掲げられておるのである。そのほかに政治目的とか、政治の性格というものは遺憾ながら見当らない。時の政府はこういう点に対してはやはり明確に国民に示すべきものであると考えるのでありますが、この点に対して、今回の五箇年計画でもつてなお満足すべきものではない。次に、来るべき特需を全部失つた場合、いかなる資源をもつて日本は資源の輸入にこたえられるかということに対して、政府は何か見通しがありますか、承つてみたいと思います。
  46. 深水六郎

    ○深水政府委員 いろいろ電気の開発計画五百五十万キロその他、また資源があるかどうかというようないろいろな問題でありますが、非常に私たちもこの点は考えておるところでありますが、私たちがさしあたつて考えておりますのは、技術の輸出というような点も考えておるような次第でございます。
  47. 佐伯宗義

    佐伯委員 まさに技術の輸出ということは、決して世界の平和を乱すものではございません。私が先ほど申し上げたのは技術を除いたものでありまして、資本主義といえども、技術と発明、創造のない資本主義なんてものは、絶対滅びる運命を持つています。ですから資本主義も、技術と創造、発明が伴うところの資本主義であるならば、決して社会主義とは衝突すべきものではないと強く信じます。従つて技術の輸出ということは、わが国におけるところの唯一の資源と考えられますので、その点は私どもと同感でございますが、さてここでいささか結論をつけたいと思うのであります。  実は私は何ら能力もなく本委員会委員長をお引受け申した。われわれは無冠の大夫で暮すことを理想として参つたのでありますが、やむを得ざることからお引受け申しまして、委員長としてやつて参つたのでありますが、ここで委員長の職責に対してきわめて自信のない点があるのであります。これはここで申し上げるのは異なことでありますが、第一に経済安定委員会というものの必要があるのかということでございます。今回法案が三つ続いて参りまして、幸いにして独占禁止法というようなものが出ましたから、幾らかそれによつて仕事もあつたようでございます。しかしながら独占禁止法というものも、公正取引委員会は、経済安定委員会というようなものでもあれば、それに帰属せしめておくということが妥当であるかもしれないということで、必ずしも経済安定委員会に帰属しなくてもよろしいということは、今度の独占禁止法案の改正案におきましては通産省に認可権が持つてつてある。独占禁止法の精神は、行政事務以外に多分に司法、立法というようなものも含まれておりますから、これは法務委員会に持つてつて所属させるということも考えられる。必ずしも経済安定委員会でなければならぬということは、私には考えられません。それからここの仕事の国土総合開発も、これは私はまだ御答弁は満足せられませんが、その程度の政治性格であるとするならば、これは建設委員会に所属するということも考えられるのであります。むしろ建設委員会がいいのじやないかというように考えられる。それからまた電源開発会社、これとてもどうまごついて経済安定委員会に所属いたしたものでありましようか。これはもう公益事業委員会が通産省に吸収せられました限りにおいては、そこに帰属しても何らさしつかえがない。それからただいま私が御質問申し上げました要点において非常に自信を失つたのは、経済審議庁は現状分析である、政府の意図を受けて将来の見通しを確立するがごとき責任がある政策を立てるところではないのだ。もちろん政策と言つたら語弊がありますが、政策から生れて来るところの長期経済政策、そういうものもやるのではない、こういうようにおつしやいますと、一体経済安定委員会というものの必要があるのであろうか。また経済審議庁というものの必要があるのであろうかというわれわれは観点に立つのであります。また国土総合開発審議会というものも、これは非常に大規模のものでありますが、私の見たところでは、国土総合開発計画というものは、日本の国の現状分析というものから起つて来るのではなくして、少くとも当時の政府の政治目標がきまつて初めてその実践部隊としての国土総合開発というものが生れて来る。決して事務官の筆の先で生れてくる政策ではないのである。ですから、政府によつては常にその姿がかわつて行く、現政府でなくして他の政府とつたならば、国土開発計画というものは一挙にしてかわつて参りましよう。そうして国土総合開発計画はいかなる場合においても、当時の政府にして自立の目標がきまらなかつたならば、その計画というものは生れて来ない、かように私は考える。ところでここにそういつた結果から三十一日に、これは委員会の常例だそうでありますが、一体何を決議したかと申しますと、国会終了後調査をする、あるいは審査をする閉会中のいろいろな仕事を決議されておるのであります。私は日本の国の行政機構の改革、整理ということは非常に必要なことである、必要のないものは一刻も早く廃止をして行つた方がよいとわれわれは考えるのでありまして、今日政府当局がこの経済審議庁の職務、これはまとまつたものを独裁的にまた強制的な法律をもつてやるというのではなくして、独立後の日本自立経済政策、それは少くても十年なければいかぬと私は思う。どんなものでも十年たたなかつたならば、何の案も見通しがつかないと私は思う。各省の一切のものは十年先を見通しております。私は各省の担当課長や局長をずつとたずねていろいろの話を聞いてまわりましても、彼らはそんなに実行力も持ちませんけれども、しかしながら一通りそういう理想見通しを持たなければ何ものも生れて来ない。ですから、そういうところの政策が今確立されつあるのは経済審議庁である、そういうことに対してわれわれは輿論に訴え、衆知を集めて行くのが経済安定委員会である、こういうのでありますれば、まとまつた法案が出て来なくても、この委員会の性格も明らかでありましよう。また今後われわれがやつて行くところの目標がきまりましよう。しかし今のお答えのごとく、経済審議庁経済白書を書いておる。白書を分析してどうのこうのというのはこういう委員会だけではございません。これは各省それぞれの角度から見るのであつて白書はこの委員会の意見を聞いたり、知識を参考にしたりしてつくり上げるものではないのでありますからして、修正の余地もございません。そういうものを委員会が専門に考えて行くことはないのである、そうでなくして、それらの見通しをどうつけるかということがやはり政治の眼目である。委員会などはそういうことに常にかかつて討議し、審査し、審議して行くというのが委員会の性質だと思う。そうすれば、この委員会の必要はどこにあるか。今後おそらく法案は出て来ないであろう。法案がないとするならば、これから只見川の電源開発問題でも調査したらどうかというような意見もないではありませんが、私はそんな必要はないと思う。あるいは国土総合開発はどうかと申しましても、これに対する政治性格がはつきりしておらない。われわれ経済安定委員会の唯一の性格であるところの、経済分析をしたことを土台にして将来の見通しをつけて行くということが経済審議庁の大なる役割と考えているが、それすらも明らかでないとすると、はたして経済審議庁の必要があるかどうか、あるいは経済安定委員会の必要性があるかということに迷わざるを得ないのであります。この点に対して政府当局の所見というとおかしいが、お教えを受けてみたいと思うのであります。
  48. 深水六郎

    ○深水政府委員 たいへんむずかしい問題でありますが、さつき申し上げましたように、経済審議庁経済白書の現状分析という問題を申し上げましたが、これは現状分析といいましても、われわれの向うべき方向も若干入れているのでございますが、その現状分析に基きまして、いろいろな長期の計画、あるいはさしあたつて計画というものも入れて行きたい、かように考えておりますし、審議庁の設置法にも長期経済計画の策定という項目がございますので、そういう方向に持つて行くつもりでございます。さつき申し上げました大臣の試案と申しますか、長期五箇年計画を申し上げましたときにも、とにかく大臣就任早々こういうふうに持つてつてはどうかという構想を持つておられまして、一通り私た偽も加わり、また事務的にもいろいろな資料も集めまして、五箇年計画と申しますか、その見通しと申しますか、そういう長期の——これは五年がいいか十年がいいか、私はつきりわかりませんけれども、とにかく一応の計画というものを立ててみたわけでありまして、これをいろいろ掘り序で、なお私たち深く検討して参りたいと思います。各省は各省なりにやつておりますけれども、私たちはこれを総合しまして、その各省の立場々々にとらわれずして、独自の立場からあらゆる点を考えて参りたいと思つております。また総合計画につきましても、御趣旨のように、この総合計画は現在四つの島に限られた日本としては非常に基本的な政策でなければならぬ、これをまた長期計画とも合せまして、ほんとう自立経済と申しますか、あるいは国土保全といつたいろいろな面から総合開発という点を十分に考えて行きたいというふうに私たちは考えておりますし、また私も審議庁へ参りまして日も浅いのでありますが、審議庁の現在のあり方という点については私も若干自分考えているようなこともございますので、まだ日が浅くして大臣にもその点は申し上げてありませんけれども、将来の審議庁のあり方、そして日本のこれからのほんとう経済自立と申しますか、国のあり方というものについて、これは非常に口はばつたいようでありますけれども、できますならば、審議庁が中心となつて努めて行つたらどうかというように考えているような次第であります。この経済安定委員会におきましてもそういう観点から、皆さんのお教えをいただきまして、なお強力に御指導御鞭韃を賜わりますれば、私たちもますますやりよくなつて参ると思います。どうかこの点もあわせてよろしくお願いいたします。
  49. 佐伯宗義

    佐伯委員 たいへん長くなりましたが、いま一つ申し上げてみたいと思います。  政府経済安定委員会に、政治の項目を示して、五箇年計画のようなものを立ててみろと言われて、あれができたのか。それからもう一つ、独立後の今日、重ねて自立経済の確立について、やはり十箇年計画くらい立ててみようという考え方を持つておられないのか、このことを重ねてお伺いしてみたいのであります。
  50. 深水六郎

    ○深水政府委員 五箇年計画と申しますか、経審の岡野構想は、大臣がみずから国としてどういう考え方でやつて行きたいかという、その線に沿うて私たちが策定したような次第でございます。  なお五箇年計画を十年計画にする考えはないかというようなお話でございますが、とにかく五箇年計画であれが達成されるとも私たちは考えておりませんし、また一応五箇年の目標を立てて考えてみたような次第でございますので、あるいは場合によれば引続き十年になるかどうかわかりません。一応の目途として五箇年でこういう点まで進んで行きたい、こういう私たちの考え方を御批判いただくために出したような次第でございます。
  51. 佐伯宗義

    佐伯委員 最後に、これは電力問題でありますが、別に通産省の関係になるかもしれませんが、近時新聞紙上を見ましても、電力の復元問題が再び台頭しております。この復元問題はかつては自家用、公営電力並びに配電という面からであつたのでありますが、今回はそれが修正されて、多く地方自治体、要するに県が経営しておつた電力事業のみに限る、こういうことで復元が要望せられておる。それは御承知の通り、かつて日本発送電に対して出資をした、その現資株を依然として県が所有しておる。電力再編成の際に当然旧所有者に返還をすべきものであるという主張を立てて参つておるのであります。当時、配電は御承知の通り戦災にかかりまして、影も形もない。ただ県、市のみであるということから、今回は配電は除かれておる。自家用というのは別個に取扱つて、ただ単純に地方自治体、公共体が持つておるところのかつての電力開発だけを還元しようとするのであります。それはただいま申し上げました通り、当時出資の目的は、日本発送電、今のような九つの私的企業でなかつた。それに出資をして、その代償というものは、現金でちつとももらつていない。現資しておる株をもらつておる。その電力の再編成されたときに、当然旧所有者に返還をするのが民法その他の建前である。そういうことから今回さらにそういう要請が行われておるのでありますが、これに対する経審のお考え方はどうであるかということを一応お伺いしてみたい。
  52. 栗田英男

    栗田委員長代理 佐伯委員にお尋ねいたしますが、通産省の公益事業局からも来ておりますが、だれにしますか。
  53. 佐伯宗義

    佐伯委員 通産省の公益事業局と、それから経審から伺いましよう。
  54. 深水六郎

    ○深水政府委員 いろいろ新聞で私たちも拝見いたしたのでありますが、まだ法案の内容等については聞いておりません。そうして、議員提案のように伺つておりますし、若干現在の電力需給状況から見て、考えなければならぬ点があるのではないかというふうに考えておりますし、関係の向きにその考え方がもう少しはつきりいたしますれば聞いて、いろいろ意見をきめたい、かように考えております。私の方ではその程度でございますので、詳細な点は通産省の公益事業局の方からお答えしていただきたいと思います。
  55. 森誓夫

    ○森説明員 戦時中に統合されました発送配電設備の復元につきましては、終戦後たびたびそれらの関係の方面から要求があつたのでございまして、政府としてもその研究を続けて参つております。配電設備はただいまお話のありましたように、これは現在ほとんど跡形もなくなつておつたり、あるいは更新されておりまして、この取扱いは特にむずかしいのでございます。発電設備につきましては、現在形がほとんど残つておりますので、これらについてどういうふうな形で復元するかということが問題になつて来るのでありますが、それも従来の考えとしましては、公益のために復元をするということでなければならないのでありますが、復元した結果、これがはたして現在の需給状況から見て、また現在の料金の動向から見まして、はたして公益に適合するものであるかどうかという点につきまして、なおもつと研究をして行かなければならないものであるというふうに考えておるのであります。特に最近議員提案で、従来言われておりますよりはやや簡素な姿の復元法案が提案されたやに承つておりますが、私の方の公益事業局でもその研究をまだ終了いたしておりません。実は写しをいただきまして、ただいま研究をやつておるところでございまして、この復元の法案につきまして、ただいま通産省としても明確な意見を申し上げる段階に立ち至つておりません。以上のような状態でございます。
  56. 佐伯宗義

    佐伯委員 今私が伺つたのとは焦点がはずれておるようです。仰せの通り、復元をして料金も安いし公益に沿うかというお話ですが、それは第二義といたしまして、私の伺わんとするのは、電力再編成の当時は、日本発送電に対して出資し、日本発送電が九つの会社に譲るということが政令によつて行われたのであるが、その場合は慣例によつて旧所有者に返す、旧所有者に返さずして、しかも旧所有者は御承知の通り当時の現資株式を持つておる。しかも自家用とか配電は戦災のために影も形もなくなつておる。前の県営電気というものは電気をそこで売つておつたわけじやない。配電区域を持つておるわけでもない。何もその電気を県に返しても、それから発生するところの電気というものに対しては、調整上少しも問題は起つて参りません。その資本の所有を旧所有者に返すというのは妥当なんです。土地などが鉄道に買収されて、その鉄道が廃止になつた場合には、それは旧所有者に返還するというのが民法の法則なんです。政令によつて九つの会社に譲つた、これが妥当でないとするならば、今日独立後においては政令を改正してでも、当然旧所有者に返すべきものじやないかというこの一点なんです。これは経審の佐々木さんと通産と両方から伺つておきたい。
  57. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 復元法あるいは復元に対する精神の問題でございますが、先ほど政務次官からお話がございましたように、経済審議庁といたしましても、ただいま研究中でございまして、明確な結論が出ておりませんので、研究が済みましたら、はつきりお答えいたしたいと考えております。
  58. 森誓夫

    ○森説明員 復元の問題は、ただいま御指摘のありましたような公営団体の発電設備の問題もありましようし、あわせて自家発電の問題も同様に考えなければならないのでございまして、そういうふうなものについて、できるだけ統一した方針で処理する、しかもただいまもちよつとお話にありましたような需給関係に大きい影響を与えないようにして行くというためには、これはよほど慎重に考えなければいけないものであると存ずるのでございまして、ここですぐ結論的なお答えを申し上げることは少し軽率かと存じます。もう少し研究さしていただきたいと思います。
  59. 佐伯宗義

    佐伯委員 終りに臨み二言申し上げて、この質問を終りたいと思います。  経済白書は力点をどこに置いておるかと申しますと、生活水準がすでに農家においては一二〇%を越しておる、一般平均九六%に達しておるというのでありますが、国民の持つておる所得というものよりも、はるかに高い消費経済が行われておるのでありまして、ここに非常な危殆が存在しておることは明白であります。インフレあるいは生活の水準が向上するときはよろしいけれども、一朝切下げを行えば——少くとも特需において二割以上は日本は恵まれた生活をしております。そこに政治の危機が来るのでありまして、一種の革命ということもそういうところから起ることは、世界の歴史がこれを示しておるのであります。ここで自由党政府に大いにお考え願わなければならぬのは、どうも計画といつたり長期政策というとおきらいになるように聞く。私はいかなる場合においても、政治は国民に知らしむべきものであると思う。国民に信念を抱かすものでございますから、政党が幾つもあつて異なる政策を立てるのは当然で、万人共通のものは立てられません。多数の賛成を得ればよろしいのです。一番国民のこいねがうのは何か、明日の生活なんです、その目標を明らかに示されなければならない。それが現在の五箇年計画というがごときもので満足することは、おそらくだれもできないことと私は信じます。先ほどのお話の通り、電力問題にいたしましても、国土総合開発にいたしましても、あるいは日本の国の長期政策にいたしましても、いろいろの面において経済審議庁というものを生かして使うということのみが、日本再建の大きな目標と思う。これをどんどん縮小して行つて小さくしろということは、政治の貧困を示しておるとわれわれは強意う。昔のごとく強力な統制機関ということは、われわれの欲するところではございませんけれども、この意味において経済審議庁の皆様方が経済安定委員会——この経済安定委員会という性格は、政府当局から法案が出て来るのを見て審議するという各委員会と異なつて、進んでお互いの創意くふうを経済審議庁とともに加えて、新たなるものを生み出して行くものではなかろうかと思う。それが各委員会と性格を異にしておるのであつて一つの法案が出なくても、それによつて委員会は生きて行くと思う。それには少くとも経済審議庁を、日本自立経済を確立するのは経済審議庁の使命であるというような高い段階にまで持つてつてもらわないと、この委員会の性格も明らかにならぬと考えるのであります。ただいまいろいろの質問の上においてそれが不明確であるということは、きわめて遺憾な点でありまするが、この点を再考せられまして、少くとも来るべき二十九年度の通常国会までには、わが国の自立経済政策を確立せられんことを要望いたしまして、私の質疑を終ります。
  60. 栗田英男

    栗田委員長代理 佐伯宗義君の質疑に関連をして他の委員から質問の申入れがあり、また私も二、三政府にただしたいことがありますので、委員長を交代いたします。     〔栗田委員長代理退席、委員長着席〕
  61. 佐伯宗義

  62. 山本勝市

    山本(勝)委員 ただいまの質問に関連して質問をいたしますが、ただいま佐伯委員から、まことに深刻な質問がありました。安定委員会というものはなくてもいいと思うというほどの質問がありましたが、私はやはり安定委員会及び経済審議庁というものは、非常に大きな役割を果しておると実は思つております。委員会ごとにまことにぶしつけな質問もいたしましたけれども、私は正直に申しまして、これだけの経済白書をまとめ上げて出されるということだけでも、ほかの官庁に劣らぬだけの仕事をしておられるように思います。この白書は過去及び現状に至る分析でありますが、それでこそ科学的な分析が可能になつたと私は思う。あまりに策を急いで、ああしたい、こうしたいということが主になつて調査をされたのでありますと、かえつてどもとしてはその分析に信頼を置けない、むしろ私はこういう分析は、もう少し政治性を抜いてやつてもらいたいとすら思うのであります。たとえば国民所得の算定にいたしましても、いろいろ大蔵大臣なんかの説明の材料になる、財政規模と国民所得との関係というような場合でも、財政規模は国民所得に比べると昨年よりも小さくなつたというようなことを言つて、国民に安心をさせようとするのでありますが、そういう場合に、もし国民所得の計算にいささかでも水増しのようなものがあつたとしたら、それこそ国の財政経済を誤ることになる。ですから私は、経済審議庁というものは厳然たる経済の審判官の立場に立つて、時の政府などというものに動かされないで、正直に過去及び現在の分析をやつてもらいたい。この分析自身が正確で完全なものとは私はまだ思いません。その点も二、三申し上げましたけれども、しかしとにかくことまでまとめ上げたのであります。もう一息正確にやつていただければ非常にありがたいと思うのであります。この中に過去分析のほかに、将来の自立経済に対する諸条件というふうなものを出しておりますが、これは私から見ると、いらざることで、かえつてこの分析を傷つけておるとすら思うのです。話は多少順序を欠きますけれども、この四十五ページに、まことに文学的な表現で、「当面病状が覆いかくされ、痛みの少い時においては、苦痛を伴う手術を納得させることは困難である。けれども特別の外貨収入がなくなつて、手術をするより仕方がなくなつてからでは手遅れである。手術をうける体力がある時には、受ける決心がつかない。病勢が悪化して手術をうけるより仕方がなくなつた時には体力がない。これがわが国の経済の当面する最も深刻な矛盾である。」というような表現までありますが、私はこの自立経済ということについてはこういうふうに考えておるのです。御参考にそういう考え方もあるという意味でお聞き取り願いたいのですが、もちろん自立経済というものが、自給自足、アウタルキー意味する人もありますけれども、そうでないことは、次官からも先ほど申されました。結局自立経済というのは、正常の貿易収入ないしは正常なる貿易外収入というもので、つまり特需のような一時的なものでなしに、そういう収入国際収支の均衡をとるというだけのことだろうと思うのです。何ゆえに今日輸出入のバランスがあのように大きく離れておるか、それが回復しないかということの一番大きな原因は、特需があるということなのです。特需があるから、つまり親からの仕送りがあるから、むすこがほんとう自分の月給で食つて行かない。自立しないのです。これがなかつたら日本民族は手遅れとは私は決して申しません。これで見ると、体力がなくなつて死んでしまうようにちよつと思いますけれども、決してそういうものではない。なかつたらなかつたで必ず切り抜けている。これは戦争の末期あるいは終戦直後のあの状況でも日本人は切り抜けて来たのでありますから、先ほど来佐伯委員長も申されました通り、生活程度は国力以上に高まつておる。この国力以上に高まつておる生活程度が、二割や三割下りましても、それは政治的にやり方を間違えたりいたしますと、社会的混乱も免れぬかもしれませんが、しかし方法よろしきを得れば、生活水準と申しますか、正確に言うと消費水準が実力相当、つまり正常の貿易収入もしくは正常なる貿易外収入程度において生活して行く。あるべき程度に下つたために、もう手遅れで参つてしまうなどとは私は思いません。それで私は先ほども申したように、ほんとう貿易外収入があるものを断るという理由もありませんから、特別会計でもつくつて、これはわれわれの日常生活にはまわさぬ。経常的な支出に向けないので、賠償の支払い、それから異常なる災害の復旧、ないしは今日の災害予防のための差迫つた治山治水というようなことにのみ使う。こういうふうに別会計にした方がいいのじやないかと思うのであります。そのことは先ほど申したのでありますけれども、そういうことが何もかもできなくても、さてそれがなくなつたらなくなつたときで必ず切り抜けて行きますから、それを心配していろいろと間違つた計画などを立てて、そうして途中でやめねばならぬというような計画などは立てぬようにしてもらいたい。先ほど佐伯委員長と私との考えが非常に違うように佐伯委員長は思つておられるかもしれませんが、私はじつと佐伯委員長のお話を聞いておりまして、独占禁止法の場合における価格カルテルの問題で感じたと同じように、幾多の傾聴すべき点を実は了解しているつもりでありまして、そう隔たりはないと思うのでありますが、佐伯委員長が長期計画々々々々と言うのも、私が憂えているような長期計画でなしに、むしろ治山治水とか、道路とか、その他のそういうことにおいて百年の大計を立ててほしいということを言つておられるらしい。あの五箇年計画のように、ビニールを何万ポンドかつくつて、そうして綿の輸入代金を減らすなどということは、私から言うと、絵に描いたもちみたいなものだ。こんなことをやつてビニールをつくつてみても、国民が買わなかつたらどうしますか。綿以上のりつぱなものができればけつこうですけれども、非常に金をかけて——あれはほんの議会で説明する材料としてこうも考えているという程度ならいいですけれども、もし真剣になつてあれをやつて、予算の裏づけをして実行するということになつて、五億ドルの節約をするためにしやにむに押して行くということになつたときの状況を私は考えてみますと、これはゆゆしい問題にぶつかるだろう。外交上だつて、これまで買つておつた綿が買われなくなつた国々との間にも起るだろうし、日本内地でも、ビニールを国内でつくつたから、いやだと言つたつて何と言つたつて、みな配給で割りつけてやるというようなことでもやらぬことには、こなせぬような場合も起り得るのでありますから、やはりもう少し状況を見ながら推進して行く。治山治水とか、要するに提防が切れかけている、これが切れると何万町歩の田畑がどろの中に入つてしまう、人間も死ぬというような場合に、そういうことは先般来の風水害でもはつきりわかつている、こういうことに対して、幾ら一方で生産をやつてつても、一度に水が切れて参つてしまうようなことでは復興などできませんから、今度できる治山治水委員会というものはどこに属するか知りませんけれども、ぜひとも経済審議庁において——これからつくるのも大事ですけれども、すでにあるものが破壊されて行くのを防止する計画、これもなかなか治水なんということになりますと、応急措置は別といたしまして、少くとも五年、十年の、あるいはもつと長い計画を立てなければ、とてもやつて行けません。ですからそういうことにはうんと力を入れてもらいたい。山本は古典的な自由主義者だというようなことを、二言目にはみんな言いますけれども、私は決してそういう、国は手ぶらで見ておいたらいいなんということを考えておりません。石炭でも、石炭は基本的な産業だから、これはぜひとも増産せなければならぬなんというのは、うそなんです。電気は基本的だなんということもそうだ。およそ世の中に基本的なんというものがあるわけのものではないので、たまたまバランスの上において立ち遅れておるものを、人間が基本的と意識するだけです。ですから交通輸送機関はそろつておるのに、石炭がないというときならば、それは石炭が足らぬから石炭々々と言いますが、今度は石炭を山のごとく積み上げて、輸送の機関がないためにどうにも運べぬということになりますと、今度は輸送機関こそ基本的だといつたようなことを言い出す。今度は輸送機関もできましたけれども、その荷揚げ人足が欠乏しておつてどうにもならぬということになつたら、人足が大事だということになるにきまつておる。要するにバランスの問題でありますから、今の治山治水とか、あるいは道路をよくする、あるいは病気をなくする、そういうふうなことですと、いくら努力いたしましても、その努力が過ぎるということはありませんけれども、ある具体的に現われた品物を増産したら、必ずほかのものとのつり合いがくずれて来て、過ぎたるはなお及ばざるがごとしということになつて来ますから、そのバランスを絶えず考えて行かなければならぬから、あまり先の計画を立てておつても、必ず行き過ぎて来たときにはとめねばならぬ。予算にありましても、ほかのものより行き過ぎたときには必ずそれをとめて、足らぬ分を今度は進めなければ、全体のバランスがくずれて来る。たとえ話にありますけれども、汽車ができた、機関車もできた、それに運転手もできた。しかしながら、石炭をくべるスコップがないために、その汽車がシベリヤの曠野で古鉄のかたまりと同じような状況で横たわつておつたということを報告しておるものがありますが、一つ足らぬでも、残りのせつかくつくつたものが、全部古鉄のかたまりと同じようなことになる。もう苦い経験がある。戦争中物動計画というものを立てて、それから今度は生産拡充四箇年計画、五箇年計画というものを立てて、そうして経済安定本部の前の企画院——御承知でありましようが、企画院の発表を聞きますと、予定計画には及ばなかつたけれども、しかし昨年よりはいい、こういうふうな報告を毎年やられた。そのときに私どもが痛切に感じたのは、バランスがとれておるのかとれてないかということを無視して、算術平均を出して、そうして生産はここまで来たというようなことを言つても何もならぬ。極端な例を申し上げれば、ずいぶんにくまれ口もたたきましたが、左のくつを百倍にしても、右のくつが元のままであつたとしたら、結局それはけない。平均してみると五十倍になつたとか四十倍になつたとかという数字は出るかもしれぬけれども、両方のバランスがとれていなければ、つくり過ぎたものは、将来は役に立ちますけれども、そこに至るまでの間は、結局倉へ入れて保管する、その倉までつくらなければならぬということになる。ですから、私は長期の計画に反対するのではありませんけれども、そういうバランスをくずさぬような計画でなければならぬ。そのバランスをくずさぬところの計画と申しますと、今申しましたような治山治水、道路、通信とかいつたような、アダム・スミス以来国家がなすべき仕事としてはつきりしておるような仕事をおろそかにしておいて、そうして政府がやらなくても、自由にまかしておいてもやれるようなことに力こぶを入れておる現状である。むしろ経済審議庁などは全体を見渡しておつて、そうして全体の総合調整に当る。経済審議庁が企画院のような役割で立てた計画にのつて各官庁が動くというふうなことになりますと、まことにけつこうのようですけれども、そういうことをしたら、各官庁が死んでしまいます。各官庁が人に立ててもらつた計画ができ上つて来るまでじつとしておつて、ただでき上つたらそれだけで押して行くということでは、それではどこの官庁も死んでしまう。ですから、やつぱり官庁は官庁で動いて行くのを、ずつと全体を見渡すのが、審議庁の役割である全体を見渡しておつて、お前のところは行き過ぎた、そつちへ行くとどぶがある、こつちに行けば橋があるというふうなことを、全体のバランスから考えて調整して行く。過去及び現在の科学的な分析と、それから行政官庁の活動に対する総合調整ということの役割を果して行かなければ、私はその存在の価値がないと思うのであります。ことに計画を立てろ立てろ、何しているのだと攻め立てられますと、各省ともそうでありますが、作文みたいなものをすぐつくりたがりますけれども、有機的総合的計画なんという、言葉としては有機的ということは一言で申しますが、なかなか有機的ということはむずかしい。総合的というようなこことも、神様なら別ですけれども、真の意味の総合というようなことはできるものではない。結局は全体の経済というものは、原則として自然の調節によつて動いて行くという大前提の上に、何かのものを選んで、そこに国家が力を入れて行く、自動的に動いて方く、生産消費バランスがとれて行く、その大原則の上に、それでもなお足らぬところを国家の力で補つて行く。あるいは自然にまかしておいてはどうしてもできぬものがあるのです。国家でなればなやれぬものがある。御承知かもしれませんが、城崎で大地震があつたときに、京都府の府庁ではみんな集まつて、何を持つて行つたらいいかということで、最も大事なのは食い物だというので、米を用意して持つて行つた。ところがその時分は自由経済でありまして、配給じやございませんから、城崎に米がないとなると、米の値が上るから隣の村からどんどん米を持つて行く、その村で米の値が上れば、またその隣から持つて行くから、米はあり余つておつた。ただ陸軍はスコップを持つて行つた。これは道路が大事だというので、スコツプを持つて行つたのでありますが、そのあとで私は友人である京都府庁の官房主事に聞いたが、陸軍の方が頭がよかつた、それは着物が大事だの何が大事だのと言つてつて行きましても、自由経済では値が上るから、日に夜を継いで入つて来るから、持つて行かなくても自然にととのう。ただ道路というものは、自分だけのものなら直しますけれども、皆が歩くものですから、なかなかだれも直さぬ、人間は欲なものでありますから、みんな歩くところだから直さない。これは一例にすぎませんけれども、そういうものこそは国家公共の力でしつかりやつてもらいたい、そういうふうに考えるのであつて、決して手ぶらで自然の成行きにまかしておいたらいいというわけではないのであります。審議庁に対しては、私は初めてこの委員会に出まして、実はいらぬどころか、私が考えておつたよりも非常に多く仕事をされておることを感謝いたします。なおこの上とも今申しましたような意味で努力を願いたいというふうに希望する次第であります。
  63. 栗田英男

    栗田委員 私は深水政府委員にお尋ねをいたしたいのですが、先ほどの佐伯委員長からの電力九分割のときの御質問答弁の中に、どうもふに落ちないところがあつたのですが、それは電気事業法の改正を何か小委員会でやるとか、あるいはやつておるというような御答弁のようでしたが、この点きわめて重大で、しかしどうも明確を欠いておりますので、この点もつと詳細にお答えを願いたいのです。
  64. 深水六郎

    ○深水政府委員 さつき申し上げましたのは、電気事業法の改正につきましても、供給独占というような点につきましても、ちよつと名前は忘れましたが、電気及びガスに関する臨時措置法ですか、そういう点につきましての小委員会で検討中であるということを申し上げておつたのであります。
  65. 栗田英男

    栗田委員 そうすると、今経審で電気事業法案というものを審議をしておるのです。
  66. 深水六郎

    ○深水政府委員 それは通産省でございます。経審ではやつておりませんが、そういうふうに聞いておりますから、そういうふうに聞いておりますということを申し上げた次第であります。
  67. 栗田英男

    栗田委員 それからあとで独占供給小委員会云々ということを言われましたが、それはどういうことですか。
  68. 深水六郎

    ○深水政府委員 さつき申し上げまし干た電気ガスの問題についての委員会で、供給独占に関する問題も検討して漏るということであります。
  69. 栗田英男

    栗田委員 そうすると供給独占小委員会というのは、やはり電力九分割に関連をして作業をしておるのですか。
  70. 深水六郎

    ○深水政府委員 九分割につきましては特別に関係はないということでございますが、詳細につきましては、通産省の政府委員から御聴取を願いたいと思います。
  71. 栗田英男

    栗田委員 森説明員にお尋ねいたしますが、公共事業令が昨年の多分十月だと思いましたが、失効になりまして、今日どういう状態になつておりますか。
  72. 森誓夫

    ○森説明員 公共事業令はポ勅であります関係上、昨年の十月二十四日失効いたしたのであります。政府としてはこれにかわつて電気事業及びガス事業を規制する法律の制定を急ぎまして、電気及びガスに関する臨時措置法を昨年の十二月の終りごろに制定いたしたわけであります。この臨時措置法はきわめてわずかな条文でありまして、趣旨とするところは、失効いたしました公共事業令その他一連の電気及びガスに関する規定を復活するという意味のものでございます。なおまたただいま御質問がございましたが、新しい電気事業とかガス事業を規制する法律を研究するために審議会を設置するということも、その臨時措置法の中に書いてあるのです。そういう内容の臨時措置法が昨年末に出まして、爾来電気及びガス事業はその臨時措置法の規制下にあるという状態でございます。なおついででございますが、ただいまお尋ねのございました、新しい電気事業法あるいはガス事業法等はどこで審議しておるかという問題でございますが、これは臨時措置法にうたつてありまする改正審議会におきまして、各層を代表されました委員によつて審議されておるのでございまして、その審議会は通産省はございまして、通産大臣の諮問機関として設置されております。最近では大体において通りの論議を終りまして、答申案を近く審議するということになつております。なお供給独占の問題は、その電気事業の小委員会——これは電気事業法を主として研究する部会でございますが、その電気事業法関係の小委員会で電気事業の問題を審議する場合に一番問題になりますのは、電気事業の独占を相当認めて行くか、あるいはこれをある程度くずしく行くかという問題であります。それをどの程度認めるかによつて、反面電気事業にどの程度の国家的統制を加えるかということがきまつて参ります。従つて電気事業法の内容が、その独占を認めるかどうかということによつて非常に影響を受けますので、これが冒頭において非常に論議されたのでございますけれども、別に独占を研究するための小委員会があつたというわけではございません。
  73. 栗田英男

    栗田委員 今の問題だと非常にわかりにくい点があるのです。それは公共事業令が失効になつたので、今の臨時措置法によつて旧公共事業令に準じて今日取締りなりそういうものをやつておるわけですね。そこで今電気事業法ということを言つたが、その公共事業令とは別に電気事業法というもの新たに研究しておるわけですね。そうするとその電気事業法を研究しておる程度委員会において、電気の独占をどうするかということが問題になつたわけです。しかしながら、あくまでも本来の問題というものは、先ほど佐伯委員長からの御質疑は、今の九分割というものを根本的にどうかということが質問の主体であつた。しかるに今の電気事業法の小委員は、九分割をどうするかということよりも、むしろ今の公共事業令の改正があのままでいいか、あるいは公共事業令をどのように改正するかということが主体じやないか。その点に関して御説明を願いたい。
  74. 森誓夫

    ○森説明員 これは当時の臨時措置法が国会で審議されましたときに政府側から御答弁申し上げておりますが、電気事業の企業形態の根本の問題、すなわち現在の再編成後の姿をさらに検討してやり直すかという問題、これはこの法令改正審議会では触れないようにいたして、これは応是認して、その上で最も合理的な電気事業の運営の仕方を考えて行こうどいうことで、現在の法令改正審議会は出発いたしたわけであつたのであります。
  75. 栗田英男

    栗田委員 今の御答弁で実は納得したのですが、今の公共事業令の法令を改正するのには、再編成をどうするかという根本問題に触れて参りますから、なかなか法令の改正はできません。そこで私としましては、佐伯委員長質問に関連するのですが、今の公共事業令の改正とは別に、今の電力九分割というものに対して検討を加えたかどうかということが非常に疑問でありましたので私はお尋ねしたのですが、この点に関しまして今の深水政府委員の御答弁とは大分話が違つて来ると思うのであります。従いましてこの点に関しては、経審なりあるいは通産省において、今の公共事業令とは別に何か検討を加えたことがあるかどうか、あるいはどのように考えておるかということであります。
  76. 深水六郎

    ○深水政府委員 その点につきましては、経審としてはまだ何もやつておりません。
  77. 栗田英男

    栗田委員 わかりました。
  78. 佐伯宗義

    佐伯委員長 それでは次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時十分散会