○
横田政府委員 あの
高等裁判所の
判決は、いわゆる第四條の
共同行為あるいは不当な
取引制限というのは、同種の
業者間においてお互いに
自分の
事業活動を拘束し合う必要がある。
生産制限を同じ
業種の人が相談をやるとか、あるいは
価格を協定するとか、そういうふうに、いわば横の
関係のみに適用があるのであ
つて、たとえば縦の
関係、この例で申しますと、
メーカーがその下位の段階にあるところの
業者に対していろいろな注文をつけて、そして下の段階の者がしかたなしにそれに応じて、ここに
一つの縦の
契約ができて、その
契約によ
つて拘束されるのは下の人だけで
つて、上の段階の
メーカーは別に拘束されない。こういうような
関係は、いわゆる第四條の
共同行為でもなければ、不当な
取引制限でもない。こういう見解でありまして、この点は実は
公正取引委員会の中でも、前から非常に議論をしておつた点でありまして、私の個人的な見解を申しますれば、
現行法の
解釈としては、それが実はいいのだというふうに、その判例がはつきりさせてくれたと思
つております。しかしこの
考え方につきましては、なおわれわれ
委員会の間にも、多少あきたらなく思
つている人もあります。しかし結果でおわかりになりますように、この判例に対しては、最高裁判所に対する上告もいたしませんで、判例に服した形にな
つております。従いましていわゆる縦の
関係を、第四條の適用除外あるいは不当な
取引制限の適用除外に、特に第二十四條の二でやる必要は全然ないので、もしその点だけが問題なら、二十四條の二はいらないのであります。ただ問題は、ただいまも出ました不公正な
取引方法の中に、今申しましたような縦の
関係において、上位の者が下の者に対して品物を卸しますときに、卸してやるがここへ売れとか、この
値段で売れとか、こういう
條件売れとか、いろいろなそこに拘束をつけまして物を供給する。この
関係は非常に危険なのでありまして、これは下の人の自由な
事業活動を拘束し、かつその間にいろいろな
競争の
制限ということが行われることになりますので、この不公正な
競争方法の、いわゆる第四号の、「相手方の
事業活動を不当に拘束する
條件をも
つて取引すること。」これに該当するのでございます。ただここでそういう
定価売のような特殊のものについては、それはあるいは不当と必ずしも言えないのじやな
いかというようなことがはつきり確認されますれば、その四号を特にはずす必要もないとも言えるのでございますが、しかしその点は、先ほ
ども申しましたように、やはり一般の場合につきましては、
メーカーがそういう卸売なりあるいは小売の方に向いまして、いろいろそういう指し値をしたり
取引先を
制限したりすることはいけないことに一応な
つておるのでありまして、そういう点は、この特殊のものについては、必ず最下位の段階の
定価を
指定しても、それは不公正な
取引方法にはならないのだということをはつきりする必要はあると思いますので、むしろ今の
共同行為の点は判例によ
つて解消いたしましたが、今申しました不公正な
競争方法にならないということをはつきりいたしますために、この二十四條の二を特に設けたわけでございます。