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1953-07-02 第16回国会 衆議院 経済安定委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二日(木曜日)     午後一時五十三分開議  出席委員    委員長 佐伯 宗義君    理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君    理事 菊川 忠雄君       秋山 利恭君    遠藤 三郎君       岸  信介君    迫水 久常君       長谷川 峻君    神戸  眞君       楠美 省吾君    石村 英雄君       小林  進君    杉村沖治郎君       中村 時雄君    山本 勝市君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         経済審議政務次         官       深水 六郎君         総理府事務官         (経済審議庁次         長)      平井富三郎君  委員外出席者         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 七月二日  委員高橋圓三郎君、白浜仁吉君及び櫻井奎夫君  辞任につき、その補欠として永田良吉君、楠美  省吾君及び石村英雄君が議長の指名で委員に選  任された。     ――――――――――――― 七月一日  私的独占禁止法改正案に関する陳情書  (第五一二号)  私的独占禁止法改正に関する陳情書  (  第五三二号)  公正取引確保のため独占禁止法改正に関する陳  情書  (第五五九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本経済基本的政策に関する件     ―――――――――――――
  2. 佐伯宗義

    佐伯委員長 これより会議を開きます。  本日は日本経済基本的政策に関する件について調査を進めます。  岡野長官に対する質疑に入ります前に、お諮りいたします。わが国経済自立の問題は、現在最も重要なる課題であり、吉田総理施政演説において、これが解決案として、内、国内自給度向上し、外、輸出振興をはかると述べられ、また岡野経審長官も、去る六月十九日本委員会において、日本経済基本政策に関する説明に際し、約八億ドルに達する特需は、もともと臨時的なものであり、長く続くとは思つていない、東洋において平和をもたらせば、この特需は漸減して行くことは当然の帰結であるから、この特需なくして、正常貿易によつて日本経済自立をはかつて行きたいと考え、いろいろ工作をはかつていると述べられたのでありますが、現在経済審議庁において、自立経済五箇年計画策定せられたと聞いております。もともと閣議決定とまでは行かなくとも、かつ試案でありましても、わが国自立経済計画策定は、国民のひとしく望むところであります。かつ経済審議庁設置法に定められたその所管事務として、まず第一に長期経済計画策定をつかさどるとあることから見ても、これは当然であります。ここにおいて本委員会は、次会よりこの計画案に関する調査を進めることとし、その計画案の提示を求め、その内容説明を要求し、本委員会はこれを審査して、真にわが国再建基本的政策を確立せしめて、政府にこれが断行を要求したいと存じます。つきましては、岡野審議庁長官経済演説において、わが国経済自立についての構想を述べられたが、経済自立達成の大まかな目標、つまり国際収支生産消費国民所得などについて、大体の見通しを御説明願いたいと存じます。岡野経済審議庁長官
  3. 菊川忠雄

    菊川委員 今の委員長の動議にはもちろん賛成でございますけれども、これに関連して緊急の質問をさしていただきたい。それは経審長官から経済五箇年計画について、これから具体的なことを伺いたいと思いますが、これをお伺いする前に、お聞きしたいのであります。それはきのう読売新聞に「経審防衛六カ年計画」という見出しで、一つ記事が発表されております。もちろんこれは新聞記事でありますから、どの程度経審庁として責任をお持ちになる内容のものであるかはわからないので、このことを初め伺つておいて、そうして長官の話を聞きたい、こう思うのであります。と申しますのは、現内閣は今までもたびたび、こういう防衛計画に関する問題につきましては、あるいはその他の問題につきましても、あるときは新聞記事は当てにならぬと言い、あるときにはまた新聞に発表されますからごらんくださいとも言うし、われわれは一体新聞政府の発表というものは、どの程度にこれを考えていいかということについて迷うておるのであります。そこでこういう問題が、木村長官の言う防衛五箇年計画というふうなことに関連して、今また輿論を刺激しておるのが現実でございますから、このことは、はたして経済審議庁としてはこれにどの程度関連があるのか、ないのか。あるとすれば、どの程度関連があるのか、これが第一点でございます。  それからこの中には、「経済審議庁では祕かに軍備計画諸案の検討装備単位算定などを進めてきたが、」とありますが、こういうふうなことを具体的に今までどこかで調査しておやりになつておる事実があるかどうか。それから「卅二年度経済見通し策定関連して防衛六カ年計画私案をまとめあげた模様である。」——これは模様とあるから、お伺いするのでありますが、こういう模様があるのか、ないのか。それからなお、経審庁計画部員私案にすぎないということを経審庁では表面では出しておるが、しかし昨年末には第一次試案算定しているというふうなことも書いてございますので、これらの具体的な事柄について、そういう事実があるやいなやを長官にお伺いしたいと思います。長官でおわかりにならなければ、それらの当該部長において一応お答えを願つてから、経審長官からお話を伺いたいと思います。
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。読売新聞に出ましたものはまつたくわれわれは関知しないことでありまして、むしろ私どもはびつくりしておるので、そういうことが部内にあるのかと思つていろいろ調べてみましたが、一向そういうことはございませんで、この点に関する限りは新聞報道は私は誤伝と断定いたします。それから装備単位なんかをいろいろ調べたかどうかということでございますが、御承知の通りにわれわれとしましては、やはり物の値段というものはしようつちゆう見ておきませんと、内外経済情勢を分析しますにつきまして間違つた観測をいたしますので、あらゆるすべてのものの物価というものに非常な関心を持つております。従つて武器とかなんとかいうものにつきましても、飛行機が一台幾らぐらいするであろうかとか、もしアメリカから借りている船をみんなつつたらどのくらいになるだろうか、そういうことはしようつちゆう気をつけて研究しておるわけでございます。それかと申しまして、何か目的のあるためじやなくて、内外情勢を十分正確に認識して、そうして経済政策を立てる。こういう意味のためにそういうことを調べておることは事実でございます。新聞に出ましたことは個人の資格でも調べておりませんから御了承願います。
  5. 菊川忠雄

    菊川委員 それでは念のためにお尋ねしますが、個々の装備についての原単位算定、これは当然おやりになることと思いますが、そういうような総合としての、幾つかのある特定の軍備計画案件についての検討というようなことはおやりになつておらないのですか。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 やつておりません。
  7. 菊川忠雄

    菊川委員 それから従つてもう一つ経審庁の内部の計画部員とありますが、これはどういうものかわかりませんが、そういうところでもこういう防衛六箇年計画というふうなものには部員はおよそだれも触れてはおらぬ、こういうことでございますね。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 そういうことは絶対にありません。
  9. 石村英雄

    石村委員 関連して。ただいまそうしたものはないという御説明でございましたが、吉田内閣はたえず自衛力漸増ということをおつしやつておられますが、五箇年先の自衛力漸増した結果というものを予想せられておるのではないかと思いますが、それは軍事的ではなくて、保安隊的かもしれませんが、保安隊的でもかまいませんが、自衛力漸増した形を何かお考えになつておる、このように推察いたしますが、いかがでございましよう。
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えいたします。われわれといたしましてはただいまのところ純経済的に日本国力がどのくらいになつているかということを主眼といたしまして、経済面から将来の見通しをしておるわけでありまして、吉田総理がいつも申し上げております通り日本国力が十分になつて行かなければ自衛力漸増もできないじやないか、こういうことであります。そこでわれわれといたしましては、経済力がどんなに伸びて行くかということをしよつちゆう注意をしておるわけでありまして、そのために防衛力をどうして行つた経済力がどうなるのではなくて、われわれの方といたしましては、経済力がどのようになつて行くかということを主として研究いたしておるわけであります。それから次に自衛力でもつけようという問題が起きたときに初めてその経済をいかに始末して行くかにかかつて来ると思いますが、ただいまのところはそれと関連ございません。
  11. 佐伯宗義

    佐伯委員長 経審長官通産委員会への御出席の時間もございますので、一応基本政策について御説明を求めて、その後に質問していただきたいと思います。岡野経済審議庁長官
  12. 岡野清豪

    岡野国務大臣 わが国経済自立につきまして、本会議などにおいていろいろ申しました大体の構想に基きまして、おおむね五年後の昭和三十二年度におけるわが国経済の姿が大体どうなるであろうかと考えまして研究を進めておつたのでございますが、このほど研究途中の一応の中間的数字ができましたので、その概要を申し上げたいと存じます。もちろんこれは一応の中間的なものでございまして、今後の経済情勢の変化及び変動に応じまして当然変更して来るものと思いますが、また関係各省とも今後さらに十分連絡いたしまして検討を加えなければならぬ必要もありますし、経済審議庁においても十分検討されているということだけを御了承願いたいと思います。さらに経済界その他各界の意見も十分聴取いたしまして今後一層の検討をし、同時に皆様方の御批判も仰ぎたいと存じております。  次に右中間的研究概要について申し上げます。これは大体この前私の考えを申し上げましたことや、それから本会議において申し上げたことなんかとももちろん重複することでございますし、私が五年先の経済また五箇年間どういうふうに経済を運行させて行つたらよいだろうかということをいろいろ事務当局に頼んでまとめさせたものでございますから、重複の点は御了承願いたいと思います。  まず一番に、基本構想といたしまして、世界情勢現状及び将来に対応し、国民消費水準維持充実に努めつ、極力正常な貿易による国際収支均衡をはかる、これが一番であります。  第二番に、右の目標を相当高水準の特別外貨収入を期待し得る間に実現して行きたい。これが二番であります。  第三番目には、これがため輸出増大国内自給度向上を通じて、国際収支の改善をはかりつ経済規模拡大をはかつて行きたい。なおこれとともに消費を抑制し、所得増加はなるべく蓄積に振り向けるよう措置し、経済場立のすみやかな達成をはかりたいと存じます。  次に第二の施策重点でありますが、右の基本構想に基きまして、次に述べます諸施策重点的な実施をはかつて行きたいと存じます。  一、輸出増大経済外交の推進、東南アジア諸国との経済提携強化等輸出市場拡大をはかるとともに、左により割高物資コスト低減をはかり、その他金利の引下げ、税制の合理的改正に努め、その国際競争力強化を期したいと存じます。その一といたしまして、石炭鉱業、これは縦坑開発促進する等その合理化を推進し、おおむね五年以内に二〇%程度の炭価の引下げをはかりたい。二として、鉄鋼業でありますが、既定合理化三箇年計画による製鉄設備近代化促進し、銑鉄四%、棒鋼一二%、厚板二〇%、薄板二七%程度コスト引下げをはかりたいと存じます。三に、硫安工業設備近代化促進操業度向上等によりおおむね三年以内に二〇%程度コスト引下げをはかりたいと存じます。四に、機械工業、これは造船工業も含みますが、設備近代化促進し、極力そのコスト低減をはかります。  二、国内自給度向上、現在輸入総額の五割は食糧及び繊維原料であり、今後の人口増加と農地の荒廃により、このままで行きましたならばさらにこの輸入増加するのでございますから、食糧及び合成繊維増産重点を置いて国内自給度向上せしめ、外貨払い節約をはかるほか、外航船腹増強等により、外貨払い節約及び外貨の獲得に資する。一、食糧増産昭和三十二年度において米麦千七百万石の増産を行うことを目標として食糧増産をはかるとともに、米食偏重の是正をはかる。二、合成繊維増産昭和三十二年度において合成繊維一億五千万ポンドの生産目標として設備増加をはかる。三、外航船腹増強昭和三十二年度当初において百二十万総トンの外航船腹増加目標としてその増強をはかる。四、電源開発促進既定計画通り昭和三十二年度までに五百五十万キロワツトの出力増加目標として電源開発促進する。  次に舎後的輸入及び輸出適格品消費の抑制。奢侈的物資輸入を極力抑制いたしまして、外貨払い節約するとともに輸出適格品消費を規制して輸出増大に資する。  第三、五年後における経済構図、以上の構想によりまして、おおむね五年後すなわち昭和三十二年度のわが国経済構図を想定いたしますと、次の通りであります。  一、国際収支。一、輸出昭和二十八年度の十一億八千万ドルに比して、約三億ドル増加で、十四億六千万ドル程度となる。二、輸入昭和二十八年度の十七億八千万ドルに比し、約一億ドルを減少して十六億五千万ドル程度となる。三、次に正常の貿易外収支においては、外貨払い節約とともに、船腹増加、三国間の輸送による運賃収入増加が期待されるので、昭和二十八年度約一億ドルの赤字勘定に対し、収支均衡を得ることとなる。四、特別外貨収入朝鮮経済復興東南アジアに対するMSA援助等によるドル収入として、一応約二億ドルを期待する。  二、生産鉱工業生産指数昭和二十八年度の一五四に対し一七〇(約一割増)となる。二、農林水産生産指数は、昭和二十八年度の一〇八に対しまして一二一、約一割増しとなる。  次に国民所得でございます。国民所得昭和二十八年度の五兆八千二百億円に対し、六兆五千五百億円、これも約一割増であります。  消費水準、主食の一人当り消費量は二千十七カロリー、二十七年度とひとしい。すなわち昭和九—十年は二千八十二カロリーとなつております。砂糖の一人当り消費量、二十七年度の九・七キログラムに対して一〇・七キログラム、これは昭和九—十一年は一二・三キログラムであります。食用油の一人一日当り消費量は二十七年度の三・五グラムに対しまして四・五グラム、これは昭和九—十一年は二・四グラムでございます。繊維の一人当り消費量昭和二十七年度の一二・八四ポンドに対して一二・四ポンドでありますが、合成繊維耐久力を加味した実質の消費量は一四・四ポンドになります。これは昭和九—十一年は一一・五七ポンドでありました。  雇用量でありますが、昭和二十八年度に比し、国民所得は一二%増加するのに対し、人口は五%増加するのでございますから、総人口に対する労働力人口割合現状通りといたしますれば、労働力人口増加は右の経済規模拡大によつて吸収し得ると考えております。六、資金。右の電力、食糧合成繊維及び外航船腹増加並びに石炭鉄鋼硫安及び機械合理化に必要な資金として要望されている昭和二十八年度ないし三十二年度の所要金額は、約二兆九百億円でございます。そのうち財政資金からまかなわれることが要望されておるのは、約一兆九百億円であります。今後における財政資金の需要の増加等が予想されますが、右の財政投資要望額もその効率的な使用をはかることによつて、これを減額し得るであろうとも存じます。今後経済規模拡大によつて自然増収もありましようから、民間金融機関の一層の協力と、外資導入促進とも相まちまして、これから経済自立に必要な資金優先的確保をはかれば、所要財政資金は供給できると考えておる次第であります。  以上申し上げましたが、これはどこまでも私が試案といたしまして、事務当局に依頼いたしましてまとめ上げました数字であります。なお詳しい点については政府委員から御説明申し上げます。
  13. 佐伯宗義

    佐伯委員長 以上をもちまして長官説明は終りました。質疑は通告の順に従つてこれを許します。なおこの際お諮り申し上げたいのは、岡野長官は昨日、本日は出席しかねるというようなお申出もあつたのでございますが、押して御出席になりましたので、通産委員会とかねておりますから、三十分ぐらいというお話がございまして、あらかじめこれを了承したような次第であります。ゆえに本日の御質問はなるべく一括して簡素にお願い申し上げたいと思います。菊川忠雄君。
  14. 菊川忠雄

    菊川委員 今委員長お話もありましたが、私はまた次の機会に私の予定の質問をさせていただきます。従つて私の発言に関連のあることは、各委員になるべく公平に関連質問をさせていただくようにお扱いを願えれば幸いであります。  私はこの前の長官に対する御質問の途中でございました。そこで今日経済自立計画試案を伺いまして、大体構想だけはわかつたのですが、実は私どもから言うと、この過程に至る各年度の段階的な見通しをお伺いしなければ、どうもその構想は夢物語りのような感じがしないわけでもないのであります。ことに現内閣が五年も持つとはだれも考えませんので、また内閣政治的性格によつてはやり方がかわつて来る。そこで差迫つたところ、一体この五箇年後、三十二年度において達成されるところの年次的な計画はおありでございましようが、もしそれを御発表できるものならば、今御発表願いたい。いかがでありますか。
  15. 平井富三郎

    平井政府委員 ただいま長官から御説明申し上げました五箇年後の構想につきましては、食糧増産計画、あるいは合成繊維計画、あるいはその他の産業合理化計画におきまする大体の見通しから五年後の姿をまず描いたわけであります。従つて期間につきましてもおおむね五年後というふうに申し上げたわけでありまして、一応現在考えられております貿易振興及び国内自給度の回転によりましてそれを中心とする国際収支がどうなるだろうかという点をまず姿を描きまして、以後各年別の年次計画に移つて参りたいと考えておりまして、現在の段階におきましては、おおむね五年後の姿につきましての数字的な調整が一応できた段階でありまして、各年次別についてお示しのできる段階にはまだ入つておらないのであります。
  16. 菊川忠雄

    菊川委員 それではおそらく他の委員の方も同じ感じがすると思いますが、そういうことだとすればこれはただ一つ努力目標としてお伺いするよりないのであります。たとえばこの中で私特に従来関係している問題といたしましても雇用の問題がございますが、これが現在の総人口に対する労働力人口割合現状通りとすれば人口自然増から来る労働力増加というものは経済規模拡大によつて吸収されるというふうなことでございますけれども、そういたしますと端的に言えば、現在総人口に対する労働力人口というものが一体全部就業しておるというお考えなのか、明確に登録されておる失業者並びに都市、農村を通じての半失業者潜在失業者、こういうものを入れますと、厖大なる失業労働人口があるわけでございます。一体この問題などはどういうふうに扱つて行かれるのか、こういうことが出ていない。現内閣の、あるいは岡野試案に関する限りは、日本労働者は五箇年たつて失業者失業者であつて、失業問題は永遠に解消できない。従つて自由党内閣の存在する限りは失業問題はあきらめなければならないのではないか、こう断定せざるを得なくなるのでありますが、まさかそうでもあるまいと思う。私は失礼なことでありますが、一体これはきわめてずさんなものではないか。むしろ、これはうかつな考え方かもしれませんが、ここに新聞経審防衛六箇年計画というものが出た。これはないということであります。また予算委員会におきましても、緒方副総理もこれはないのだ、こういうことを答弁しておられるようでありますけれども、これが出たので、これを差しかえて打返すために何か急に出したように思う。わざわざこういうものをここで御説明いただかなくても、こういう程度のことならば、先般の経済審議庁長官経済演説によつて、われわれも大体内容はわかつておるのであります。従つてこれだけで一体われわれにこれをどうせいとおつしやるのか、これをどういうふうに審議しろとおつしやるのか、どういうお考えで本日突如としてお出しなつたか、さつきの委員長のふれ出しによりますと、非常に重大な、そうしてわれわれ経済安定委員会としては非常に張合いのある何らかの具体的なものが出されると期待しておつたのでありますが、これではどうもわれわれの期待ははずれた。他の同僚の方はどういうふうにお考えになるかわかりませんが、これは一体どういうおつもりなのか、このことをお伺いしたい。具体的に申しますと、これをお出しになつて、これについて何か質問をせいと言われても、年次計画もまだできておりません。一体何を質問し、何を審議せいとおつしやるのか、従つて今後経済審議庁はこれをお出しなつた以上は引続いてどういうものを近日中にお出しになるのか、そのことをお伺いしたい。
  17. 山本勝市

    山本(勝)委員 議事進行について……。先ほど委員長長官のここにおられる時間が三十分だということでありましたが、その三十分は全部で三十分だという今委員会事務当局お話であります。関連質問を許すようにという菊川さんのお話で、そのままやるならば、一体ただいまのような話を菊川さんがやつておられて、途中でわれわれが立ち上つて関連質問をするのか、それでは議事は混乱に陥ることは明らかであります。そうかといつて菊川さんが済んだあとで関連質問をやつたら、そのうちに三十分はたつてしまいます。ですからもう少し議事進行を整理せられないと、今日になつてなお審議庁長官の本会議における産業経済に関する施政方針演説に対する総括質問ができない。理事会で一時間ずつやるというお話でありましたが、このままで行きますと、おそらく国会終了まで総括質問はやることができなくて済んでしまう。途中で離れ島の法案が出るとか、いろいろな法案が出て来て、基本方針に関する総括質問というものが毎日公報に載せられているのに、最後になつてしまう。三十分しかないのなら、皆さんに五分ずつあるいは十分ずつわけるとか何とかされないと、どうもこの経済安定委員会はきわめて低調だということを私は申しましたが、その低調さは直らずに行くのじやないかと心配しているのです。
  18. 佐伯宗義

    佐伯委員長 ただいまの山本さんの御質問に私お答え申し上げますが、先ほど御説明申し上げました通り、昨日は長官がまだ病気で、本日出がたいというお話でごさいました。あらかじめ御通知を申し上げておきましたが、もし長官の御出席がなければ、公正取引委員会事業報告だけを聞こう、こういうように御了承を得ておつたつもりなんです。ところが今朝、先ほど連絡がございまして長い間出て参らないので、御病気を無理に押しておいでになつたのかと考えますが、今日は通産委員会と両方で一時間くらいにして、さしつかえなければ出ましようというお話でありました。そこで私はそれを了承したような次第であります。今までいたずらに等閑に付しておつたのではないのでありますして、御病気関係でお出ましにならなかつたというような実情でございます。従つて本日は長官基本的政策に関する御説明を承りまして、時間の許す限り皆さん質疑を願いたいと思います。明日からはあらためてまた継続してやりたいと考えますから、今日のところは御了承願いたいと思うのであります。
  19. 山本勝市

    山本(勝)委員 委員長の御意思はよくわかりますし、私どもは決して長官に食い下つたりいろいろなことで責め立てるつもりは少しもありません。ただ今日の日本の重大な経済界の情勢にかんがみまして、ぜひとも聞いておいてほしいし、ただしておきたい、ともに日本の国をどうするかということで、責任者の長官に聞いてほしいということであるのでありますから、少くとも総括質問というものをまずやつて、それは時間は短かくてけつこうです。それからこまかないろいろな法案の審議に入つてもらう方がいいんじやないか。御病気のところを無理に出ていただいて、わずか関連質問で五分や十分聞いていただくよりも、御健康になつてから本気に研究してもらいたい、こういうふうにお願いいたします。
  20. 佐伯宗義

    佐伯委員長 山木さんのお話通り本日は基本的な御説明を承つて、明日から御質問の用意をしていただけばよいのじやないかと考えまして、あらかじめ御承諾を申し上げたような次第であります。ただいま通産の方からも要求して参つておりますので、長官の御退席をお許し申し上げ、きようはこの程度長官に対する質疑を終つていただきたいと思うのであります。     〔「せつかく申し込んであるのにそんなことはないじやないか。」「今のぼくのお尋ねに答えてもらわなければ……。」と呼び、その他発言する者あり〕
  21. 佐伯宗義

    佐伯委員長 きようは菊川さんの御了解を得まして、菊川さんは自分一人で質問するのはいかぬから、時間の許す限り関連質問でやろうとおつしやつておりましたので、まだお申込みを菊川さんだけしか受けておらない次第であります。小林さん、翌日から継続してやりますから……。
  22. 中村時雄

    ○中村(時)委員 先ほど読売の経審防衞六箇年計画に対して、全然こういう事実はないとおつしやるのですが、たとえば農林水産の生産あるいは国民所得あるいは鉱工業生産、こういうものの指数と、現実に今長官の話されましたこの指数は一致しているわけです。そういたしますと、他の方向のものもある程度の勘案がこれでつくと思います。しかも先ほどからお話のありましたように、自由党においてはこの自衛力漸増するという基礎を考えた場合、この漸増の基礎すなわち国民生活の根底がはつきりして来れば、漸増計画立案というものは当然できて来る。また同時にこの中に入つておりますMSAの問題の一億五千万ドルにいたしましても、これは少くとも予定をされている。そこで推察予定をされているという結果を考えてみますと、この自衛漸増計画の方針というものも必ずやあると思う。しかも在来このMSA問題をめぐりまして、いろいろの問題が政治的に起つておりますけれども、われわれの推察といたしましては、少くとも国内における経費を支出しない、すなわちアメリカ依存一辺倒の姿においてこれが考え得るものであるから、国内的の影響が非常に少い、よそから金をもらつて来るのだという意味において、今まで隠しておつたものを、木村長官がもう自分の国内においては経費は必要ないのだからというような意味合いからほらを吹いちやつて、それがたまたまこういうような問題を派生して来たというふうにまで関連して受取られているわけです。事実の上においてこういう数的の関係の上に、あるいは今申しましたMSAの関連の上に、あるいは今言つた木村保安長官の問題、これらを関連いたしますと、必ずや私は経審におきましてもこういう結果がありというような推定がくだされるのですが、その点について断じてないと経審庁長官はおつしやるのですか。
  23. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えを申し上げます。先ほども菊川さんに御答弁申し上げましたように、あれは絶対にないのでございまして、MSAの問題でも、われわれが考えていますのは、MSAというものは考えないで、この研究をさしたわけであります。  それから先ほど菊川さんからお話がございまして、突如としてこういう重複したつまらぬものを出してけしからぬじやないかというお話でございますが、実はこれはMSAの問題とか、おとといの読売新聞に出るとかいう以前にすでに私が事務当局に頼みまして、どうも今まで長い計画性がないのじやないか、計画をつくるのは経済審議庁じやないかというようなことで、国会で言われるような御意思がたくさんございますので、これはその通りだ、経済審議庁がある以上は、たとえば汽車の発着時間が何分何秒違わずに向うに行くというような計画はできないかもしれないけれども、およそ西に向つて行くか、東に向つて行くか、西に向つて行けばどのくらいの速度で大阪へでも到着するというくらいの目安はやはり経済審議庁がつくるべきである。同時にこの間も御鞭撻をこうむりましたように、もしできまするならばやはり各省とよく打合せまして、経済審議庁で総合的な案を立てたらそれを各省に実行してもらうというような権威を持つたものにして行きたいという考えで、いろいろ苦心して——まあこれが初歩でございまして、むろん今幼稚園とまでは行きません、お誕生でやつと歩き出し程度でございますけれども、これは研究して、経済審議庁が大いに勉強してくれれば、相当な効果ある結果が出て来やせぬかというので、非常にお粗末なものでございますけれども皆様方の御協力と御鞭撻をいただきましてやつて行きたい、こういう考え方でございますから、そのつもりでお願いいたします。
  24. 佐伯宗義

    佐伯委員長 小林君、ごく簡単にお願いいたします。
  25. 小林進

    ○小林(進)委員 大臣もお急ぎのようでございますが、非常に緊急重大な問題がございますので、それだけお伺いしておきたいと思うのであります。今の審議庁長官演説の中にもありましたし、また今の自立経済についての試案の中にもありましたが、いわゆる国内自立のために、食糧増産電源開発という二点にともに非常に重点を置いておられるようであります。この二つの問題について特にお伺いしたいと思いますが、時間がないようでございますから、食糧増産の方は省略いたしまして、電源開発の点について一点お伺いしたい。というのは、実はこれも時機を失すれば重大な問題でありますので、今年度においては、相当の予算も組んで、特に電源開発重点的地点であります只見川の開発を、あらゆる意見を調整いたしまして、遅くとも六月の終りまでには着手するという方針をしばしば言明せられておつたようであります。この政府の方針に従つて三者会談というものが行われて、三者会談で一応結論が出たようでありまして、その結論を今度は電源開発調整審議会でもつてもんで行つたわけでありますが、その後の経過は一体どうなつておるか、これに対する大臣の見解はどうか。もう着手するとおつしやつた六月の時期は過ぎて、時はまさに七月に入つております。時機を失してこれを一年経過するということは、まさに国家の偉大なる再建と審議庁長官の重大なる方針である五年計画を一年間ずらすような結果になるのでありまして、そういうところから私はこれは非常に重大な問題ではないかと思いますので、お足をとどめてお伺いしたのでありますが、願わくはひとつ大臣のお考えを伺いたいと思います。
  26. 岡野清豪

    岡野国務大臣 いろいろ利害得失が錯綜しておりまして、政府といたしましても、できるだけすみやかにこれを決定したいと焦慮しておるわけでございますが、まだ最後の決断まで行つておりませんので、今しきりに幹事が集まりましてその結論を出しておるわけであります。今お説の通りに時機を失しますれば、一年遅れる、これはまことにたえ得ないところでございますから、ぜひ今年実施できるように、しかもいろいろ利害がございますから、その点でどつちにも全部満足という案には行かぬと思いますけれども、やはり互譲の精神によつていろいろお譲りお願つて、妥協点を見つけて実行に移したいと思つております。これはあなたが仰せになるよりは、私の方が毎日毎日焦慮しておる次第でございますから、しばらく時期をおかし願いたいと思います。
  27. 佐伯宗義

    佐伯委員長 この際一言申し上げます。ただいまより本会議が始まります。私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を政正する法律案が上程され、質疑者も四名あります。その間大分時間がかかる予定でございますので、本日はこれにて散会いたしたいと存じます。なお次会は明日午後一時より開会いたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十八分散会