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犬養国務
大臣 お答えを申し上げます。御
質問の御
趣旨に十分沿う
答弁になるかどうかわかりませんが、一
通り承知していることを率直に申し上げたいと思います。
ただいま
須磨さんに申し上げましたように、
朝鮮の
休戦以来、一応国際的な外交手段としては平穏な手段がとられて来ておるようでございます。私は専門家でございませんが、ことにスターリンが死にまして、マレンコフが新しく
政府の首座についた直後には、ことにそれが著しいように思います。水素爆弾があるとか、優秀な原子爆弾があるという発表にしても、やはり一部平和手段に訴える間接の表現のような部分も感ぜられるのでございますが、これと同様に間接侵略、地下活動というものは、決して穏やかにな
つていないのでございまして、
並木君よく御
承知のように、この国際的共産主義の表明しますテーゼとか、綱領とかいうものはやはり一種の
憲法の本文のようなものでありまして、これからはずれることは、数年後跡をたど
つてみると決してないのでありまして、私
どもはその
意味におきまして、
日本共産党の発表します綱領などについても、周到の注意を払わなければならぬ、また払う努力をいたしているわけであります。そこで昨年十月総選挙のすぐあとでございましたが、
日本共産党の第二十二回でありましたか、二十二回の
中共委員会におきまして「武装闘争の思想と行動の統一のために」こういう論文が出ました。これは機関紙にも掲載されなかつたのでありますが、相当流布されたものでありますから、
並木君もすでに一部をお読みにな
つておると思いますが、それにおつかけるように本年の四月に、今度は武装闘争を強化するための
武器活動を組織せよという中央の通達か行われているのでございます。これを私
どもは非常に注意をして見ているのであります。この前の
国会の
委員会で私が申しましたような各地における軍事訓練な
ども、この根本の
方針にのつとつた現われにすぎないのでございます。そこで今申し上げましたように、水害の救助
一つでも建軍のための闘争だ、こういうようなスローガンを掲げて、彼らから言えば志気を鼓舞しておる、こういうふうにわれわれは感ぜられるのでありますが、
武器の活動を活発にしろ、組織を強化しろというやり方は、結局その人たちの
言葉で言えば、敵の
武器をとる入手方法とする、敵と申しますのは警察であり、
保安隊であり、
米軍であるのでございます。この前の前の
国会で申し上げましたように、各県における機密の地図を見てみますと、攻撃目標にそういう
武器の倉庫などが書き入れてあるというようなことでございます。その
武器のとり方が、ことしの春と春以後とかわ
つておるように思う、それはこの春以前はもう暴力でも何でもぶんど
つてよろしいというのが、春以後はそつとなるべく盗んで来いというようなケースが多いように思われるのであります。また指令もそれらしく感ぜられるのであります。それは要するに穏やかの方法であるけれ
ども、日一日と武装闘争の根本的の体形を整備することには一歩も後退していないと思うのであります。これに関しては私
どもずいぶん至らないところもありますけれ
ども、全力をあげて情報を入手て、また大きな
方針をしさいに分析して、その裏に流れておる実際行動の次の段階というようなことを注目いたしておるのでありますが、さしあたり当局として十分責任を持
つて注心なければならないのは、先ほど
須磨さんに申し上げましたように、この秋におけるスト攻勢とそれから米の凶作に関連をして、何か武装的な行動が起るのではないか、起らなければまことにけつこうでありますが、起る場合を予想するということが、当局としての務めを国民に対して果すことになるのではないか、しかもそれはしばしば申し上げますように、一箇所である場合もあり、同時多数的である場合も予想してかからなければならないと思うのでございます。
それから今第二にお尋ねがありましたが、破防法の
関係でございます。破防法違反の刑事事件というものは、御
承知のように四件ございます。その
一つを除いてはみな武装綱領の秘密文書を領布した、こういう事件でございます。
一つは記憶が誤りでなければ、北京の自由
日本放送の
内容を配つたという事件であつたのであります。それに関する裁判はどうな
つておるかと申しますと、内乱
目的の立証ということが、なかなか一日や二日で行きませんので、いまなお第一審に係属中でございます。全部がそうでございます。破防法の適用される団体に対してどういう注意をしておるかと申しますと、今申し上げましたような大綱の動きを、その都度のテーゼやなどから読みとりまして、次に起るべき段階を幾つか分析して予想して、その予想のもとにあるいは情報と照し合せて注意をして行く、こういうふうにや
つておるわけであります。
それからスパイの問題でありますか、これは先ほど
須磨さんに申し上げましたように、関三次郎が初めてのそういう任務の人物とは思われない節がありまして、今後もまた第二、第三の関があり得るということで対策を練
つているのでございます。