○福田(篤)
委員 今御熱意のある、抽象的ではありますが、御答弁に対しまして、一応の満足の意を表しますが、それでは私
どもは心配にたえない。御知承の通り、現在の小笠原島の
状況は、小笠原群島の中におきまして、硫黄島だけが軍事施設があり、それ以外は何ら施設がなく、母島のごときは無人島であります。この前に帰島を許したのはどういう
理由かわかりませんが、混血児の者を百三十五名だけ島に帰した。それでわれわれ
日本人同胞については、今まで申し上げた通り、単なる軍事的
理由というきわめて一方的な理解のできない回答によ
つて、拒否され続けている。しかも
政府は、この引揚者に対しましては何ら手を打
つてない。みな血みどろな生活と闘いながら今陳情を続け、また彼らはまじめな気持から申しますと、先ほど申し上げました
ように、アメリカ人によ
つて独占されることにな
つておりますところの旧
日本軍の資産、あるいは沈船等によりまして、彼らみずからの努力と汗によ
つて引揚げ費用も稼ぎ、また島の復興にも役立たせ
ようという、きわめてまじめな、また筋道の通つた要請をし、熱望を持
つておるわけであります。この
ような現地の実情を見、またアメリカ側の今までの態度を見ますときに、私は日米間の友好
関係を熱望するあまり、アメリカの態度に対してきわめて不満の意を表せざるを得ないのであります。たとえば千島、あるいは南樺太、あるいはその他の領土問題について、アメリカ側は国連においてもよく
発言をし、この問題を取上げておりますが、アメリカがそういう
発言をするときに、やはりアメリカが南方
地域にお
つて、わが旧領土を現在占拠し、あるいは立法、司法、行政の三権を掌握しているこの矛盾というものを解決しなければならぬ。やはり
自分は
自分として必要なものを保有し、他国に対しては、
日本に返せという
ような理論は、筋が通らないのでありまして、アメリカ側が、この
ような単に軍事的
理由というだけで、七千の同胞をこういう
ような苦しみに放置して置く
ようなことがありますならば、今盛んに行われておりますところの反米闘争、あるいは一部人民戦線派によるところのアメリカの
世界制覇に対するところのいろいろな反撃のいい材料を提供するのであります。私は、あくまでもアメリカに対する友人といたしまして、彼らの誤つた点、また間違つた点は、彼らの立場を
考えれば
考えるほど、率直にもつと強く指摘する勇気がなければならない。独立国として
お互いにや
つて行く以上は、われわれは、アメリカの
世界政策も十分理解し、また安全
保障条約によるところの
日本の防衛について、アメリカに深い感謝の意を心から表するものでありますが、同時に、この軍事的
理由と併存して何らさしつかえない平和的なわが同胞について、また島の復興について、またその手段について、アメリカ側が今までの
ような態度をと
つて行きますならば、これが先ほど申した反米闘争の大きな材料を提供するであろうし、私
どもも、日米間の将来について懸念を持
つております。
従つて今申し上げた説から申しましても、今
次官が答弁をされた御答弁を百尺竿頭一歩を進めまして、それでは一体、どことどこの島を向うが必要であるか、どことどこは軍事上必要がないから返そう、その時期はいろいろである、なおまた先ほど申しました、島の復興について、そういう連盟その他島民の
要求があれば、こういう考慮をし
ようという
ような具体的な時期並びに内容について、至急に、本日でもあなたがアリソン大使並びに
関係の
諸君に
会つていただきまして、十分具体的な回答をいただいてほしいのであります。またこれは、伊関
局長もおられますが、日米合同
委員会においても取上げるべき国際紛争問題の要素がありますので、この点は、厳重にアメリカ側に
注意を喚起して、具体的に回答をいただいて、それを至急に島民の
諸君にお伝え願いたいと思います。その点について重ねて御答弁を
要求いたしたいと思います。