運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-07-31 第16回国会 衆議院 外務委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月三十一日(金曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 上塚  司君    理事 福田 篤泰君 理事 富田 健治君    理事 並木 芳雄君 理事 田中 稔男君    理事 戸叶 里子君       麻生太賀吉君    岡田 勢一君       須磨彌吉郎君    帆足  計君       穗積 七郎君    岡  良一君       中村 高一君    川上 貫一君  出席政府委員         法制局参事官         (法制局第一部         長)      高辻 正己君         外務政務次官  小滝  彬君         外務事務官         (国際協力局         長)      伊関佑二郎君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         入植課長)   和栗  博君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 七月三十日  委員中川源一郎君、藤枝泉介君及び三和精一君  辞任につき、その補欠として福井勇君、増田甲  子七君及び中山マサ君が議長の指名で委員に選  任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会審査申出に関する件  委員派遣に関する件  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 上塚司

    上塚委員長 ただいまより会議を開きます。  委員長委員長会議出席いたしておりましたために、たいへんお待たせをいたしまして恐縮に存じます。  まず閉会審査に関する件についてお諮りをいたします。本委員会といたしましては、国際情勢に関する件、日米行政協定実施状況に関する件等につきまして、閉会中もなお継続して審議いたしたいと存じますので、ただいまの二項目につきましての閉会審査議長に申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上塚司

    上塚委員長 御異議がなければさよう決定いたします。
  4. 上塚司

    上塚委員長 次に、委員派遣承認申請についてお諮りいたします。ただいまの閉会由審査の件が議院の議決で本委員会に付託されました場合には、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上塚司

    上塚委員長 御異議なければさよう決定いたします。  なお委員派遣についての期日、人選及び派遣地等決定につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 上塚司

    上塚委員長 御異議がなければさようにとりはからいます。
  7. 上塚司

    上塚委員長 これより国際情勢等について質疑を許します。田中稔男君。
  8. 田中稔男

    田中(稔)委員 昨日外務大臣にお尋ねした件でありますが、八月の二日から十六日までブカレストで開かれます第四回世界青年学生平和友好祭に、日本学生青年労働者諸君多数の者がぜひ参加したいということで、旅券交付申請しておるのであります。外務大臣は私の質問に対して、その交付の件については目下研究中であるということでありました。それで私は、ぜひひとつ出していただくようにお願いしたのでありますが、その後どうなつておりますか。大臣がおられませんから、政務次官からお答え願いたいと思います。
  9. 小滝彬

    小滝政府委員 ブカレスト学生大会へ行く諸君旅券下付問題につきましては、これまで調査を進めており、また学生諸君の非常な熱望かあることも、毎日のよう外務省へ多数押しかけて来ておりましたので、よく承知いたしております。非常に多数で、二百人と考えておりましたが、八百人にも上る状態であります。これにつきましては、できるだけすみやかに決定をいたしたいと考えますので、一両目中にも法務省協議いたしまして、はつきり外務省決定をいたす取運びになつておる次第であります。
  10. 田中稔男

    田中(稔)委員 今法務省相談をしてというお話がありましたが、これは旅券法の第十三条の第一項第五号に、外務大臣旅券を発給しない場合の事由として規定してあることがあるのであります。すなわち「外務大臣において、著しく且つ直接に日本国利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当理由がある者」、そしてこれを受けまして第二項で「外務大臣は、前項第五号の認定をしようとするときは、あらかじめ法務大臣協議しなければならない。」こういうことになつております。そうすると、今法務省と御相談になつておるということを承りましたが、それは、発給しない建前でその認定について法務大臣と御相談になつておるのでありますか。
  11. 小滝彬

    小滝政府委員 外務省では、この第十三条第一項第五号にひつかかるおそれはないかということを懸念いたしておるのでありまして、一両日中に法務大臣協議しなければならぬ必要があるというように目下考えておるところでございます。これはまだ最終的なことではありませんが、二両日中には、はつきりきめたいと思つております。
  12. 田中稔男

    田中(稔)委員 そうすると、外務省として、まず第五号に該当すると、こういうふうに一応お考えになつておると解釈してよろしゆうございますか。
  13. 小滝彬

    小滝政府委員 これに該当する相当理由があるように、今考えております。
  14. 田中稔男

    田中(稔)委員 それはどういう点について、そういうふうにお考えになつておるのでありましようか。旅券交付についての申請書類は出ておると思いますが、学生であるとか、青年労働者諸君、その人々の携わつている職業であるとか、あるいはまたその人のいろいろな職業であるとか、いろいろなことについて詳細に検討された結果、そういう判断をされておるのでありましようか。その点をひとつ……。
  15. 小滝彬

    小滝政府委員 何分非常に多数の方が申し出ておられますので、審査に非常に時間を要しまして、その点申訳ないと思つておりますが、しかし、非常に多数が、ここへ出て行かれようとしておるし、開催地も今日本国交関係もないところであり、開催の場所、またそれを主催しておる団体、あるいは行く個々人の身元というようなものを総合して考えまして、慎重に考慮しなければならないというので、これまで考慮して参つたのでありますが、今審査中でありますので、その内容を一々ここで御報告するわけに参らないのであります。しかし、どうもこの第五号に抵触するおそれがあるように、現在のところ考えておる次第であります。
  16. 田中稔男

    田中(稔)委員 渡航を希望しておる学生青年労働者のうちの若干の諸君と、私会つたのでありますが、その話によりますと、上屋欧米局長が、昨日こういうことを言われた。外務省としてはどうということはないが、どうも吉田首相や緒方副総理や、あるいは自由党の佐藤幹事長、こういうよう吉田内閣最高首脳部が、これを拒否するような大方針をとつている。それで外務省としては、その方さえ解決すれば、まあ問題ないのだが、どうもそつちの方の政治的な方面がなかなかむずかしいから困つているというようなことで、どうも責任を転嫁するような話があつたということであります。今政務次官は、旅券発給についての申請書が数が多くて、その審査に手間取つているというお話でありますが、私はどうもそれはうそであつて、むしろ何かしらん、ブカレストというのは、あれは共産圏の国の都市であり、そうしてこれは西欧諸国代表も加わるのでありますが、ソ連圏諸国代表も多数参加するから、どうもその色彩が好ましくないというような、何かそういうふうな恣意的な判断で、ほんとうに旅券法というよう法律根拠を持つた公正な判断でなく事柄が処理されているのではないかと私は思う。これは最近の一般的な傾向でありますけれども、どうも政府のやることは、合理主義というものを無視している。われわれは、国民の一切の生活や行動が憲法並びに法律によつて規制されるということなら、その法律がたとい悪法であつてもしかたがないと思うのでありますけれども、しつかりした法的な根拠もなく、ただ時の政府の主観的な判断によりまして、国民基本的人権――世界旅行する、外国に渡航するというのは、やはりこれは基本的人権の中の最も重要なものであります。そういう権利をかつてに破壊する、あるいは奪うというようなことは、どうも私は民主主義原則に反することだと思う。政務次官は、えらい慎重審議している、事務的に非常に審査に時間がかかるということを言われますが、それはうそじやないでしようか、言いのがれだと私は思いますが、そうでありませんか。
  17. 小滝彬

    小滝政府委員 土屋局長がいかなるお話を申し上げたか、私存じませんが、私の承知しておりまする限り、旅券法に基きまして、できるだけ合理的によく審査して、もしこの五号にひつかかるおそれがあれば、あらかじめ法務大臣協議をするというやり方をとつておるものと承知しております。あるいは、解釈は、田中さんとは異なる場合があるかもしれませんが、決してそうした感じとか、あるいは特殊の人のインフルエンスによつて動いているものではないと私は考えております。
  18. 田中稔男

    田中(稔)委員 そうすると、もう一ぺん確認をお願いするのでありますが、渡航課長なり、欧米局長のもとに提出されております申請書類が、非常に事務的に慎重に検討されておるということと、それから、この件について、法務大臣の方と御協議が行われておるということ、この二つのことは事実として御確認願えますね。
  19. 小滝彬

    小滝政府委員 速記録ごらんになつてもわかりますが、私は協議しておると申し上げたのではなくて、一両日中にこれを決定するために、法務大臣協議する考えであるということを申し上げたのであります。これは速記録にもはつきり出ておるはずであります。それから、事務的にいろいろ審査していることは事実であります。
  20. 田中稔男

    田中(稔)委員 それで、実は私はこの席に土屋欧米局長松尾渡航課長をお呼びしておるのでありますが、二人ともおいでにならない。私は、これはどうもやはり言葉は悪いけれども、逃げておられるのではないかと思うのでありますが、この問題は、やはり国民基本的人権に関することでありますし、非常に重要なことでありますから、ぜひひとつ局長課長の御出席を願いたいと思いますので、委員長にこれをぜひ要求していただくことをお願いします。そうして、私の質問はこれで一応終ります、局長課長が見えてから、さらにまたお願いします。
  21. 上塚司

    上塚委員長 帆足君、関連質問でしたら簡単にお願いします。
  22. 帆足計

    帆足委員 旅券法の問題は、委員長から簡単にと仰せられましたから、御趣旨には沿いますけれども外務委員会としては権威に関する問題であります。海外渡航の問題というものは、外務委員世界情勢を知るために、また国民をして知らしめるため、また知る権利のため、これは、はとにすら、つばめにすら許されておる権利が、人間に許されないはずはないのである。マルコポーロの昔から、旅券というものはないでありまして……(「はと旅券を出すのか」と呼び、その他発言する者あり)私は、今あなたに質問しているのではない。ユーモアを解さないというのでは困る。そこで伺いますが、ただいま田中君から言われた、日本は法治国であるから、法理従つて処理してもらいたいという発言は、これは与党野党の別なく、皆さんが心から賛成するところであろうと思います。そこで先日南君のことについてもお願いいたしましたところが、さすがに次官は、法理従つて問題を着々進める態勢をとられましたことは、大いに敬意を表するところであります。そこで私は、法理従つてお尋ねしたいのですが、鉄のカーテンのかなたへの旅行については、従来二つ根拠なき理由があげられました。一つ生命の危険がある。一つ国益を阻害する、そこで第一のことについてお尋ねします。生命の危険というものは、たとえばある地域に甲が参つて危険であつて、それとほとんど同じような教養、健康状況性別の者が参つて、今度は危険でないというような突然変異が起るべきものでしようか。これは生物学的、地理学的に共通のものではないのでしようか。また同じ健康状況の者でも、人によつて違うものでございましようか。その点をお尋ねしたいと思います。
  23. 小滝彬

    小滝政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、外務省考えておりますのは、第十三条の第一項五号であります。日本利益または公安を害するおそれがあると認められる相当理由のあるものという点が問題になつております。従来生命保障がないという点がいわれたことを御指摘になりましたが、これは、何といたしましても国交もありませんし、お互い代表者を交換もしてない。はつきりした保障をこちらからとりつけることができない。ところが今行つている人は、自分自身危険負担において行つておられるのであつて政府がその旅券を出す場合と、その点において非常な相違があるというように、私は考えております。
  24. 帆足計

    帆足委員 ただいまの次官お答えは、まことにお気の毒ながら混乱されたようですが、旅行というものは、全部自分生命危険負担で参るものでありまして、あとは、保険に入ると保険会社が多少支払つてくれます。政府がどうしてもくださらないのは、普通の私用の旅券の場合でございますが、私が今お尋ねをいたしましたのは、ある地域旅行をいたしまして、甲は危険があり、乙は危険がないということが、地理学的、人種学的にあるかということで、これについてひとつ簡単にお答えを願います。
  25. 小滝彬

    小滝政府委員 ただいまその点は問題になつておりません。但し旅券の最初をごらんになれば、関係国に対して、なるべく安全に一般旅行ができるようにということを依頼している文句があります。その点から考えましても、全然外交関係のないところへは、そうしたものをさし向けてもそれに対する保障を得られないと考えます。
  26. 帆足計

    帆足委員 次官は、私がお尋ねしたことにお答えにならぬのですが、今のよう条約、無条約、いろいろな問題があつて生命の危険があるとかないとかいう地域がある。その同じ地域に、甲が行つては危険があるが、乙が行つては危険がないということが、同じ性別、同じ健康状態人間で、社会的、地理的、物理的にあり得るかということをお尋ねしたわけです。それは、そういうことはないというお答えをあなたはなさればいいわけです。ほかのことをおつしやらなくても、私のお尋ねしたいのはその点だけです。
  27. 小滝彬

    小滝政府委員 それは場合による。旅行の目的にもよりましようし、その人の思想傾向というようなものによつて違う場合も相当あろうと考えます。
  28. 帆足計

    帆足委員 私が申し上げたのはそういうことでなくて、同じ条件と申しました。たとえば島津さんは先日中国に参りました。条約はないにかかわらず、多くの人が、思想傾向も、政府から考えてあまりよくない人や、またよい人や、それから私どもように公正妥当な中庸の道を歩いている者、いろいろとりまぜてかの地に参りました。しかし、いずれも生命の危険なきものとして公用旅券を発したのであります。しかるに今度また別な目に行きますと、特に生命の危険があると政府は言われますが、法は常に普遍妥当でなくてはならぬ。これは大学時代にお習いになつたことであろうと思いますが、その原則を破るものである。政府の主観によつて法をかえてはならぬという原則と私は反するものであると思います。時間をとりますから、この問題については御注意を願うことにいたします。  第二に、法務省協議をしようとしておると言われましたが、一体今何人旅券申請しておりますか。また個々人物に対して調査をなさいましたか。また個々人物の、あの普通の一般学生諸君のどこにそういう障害がありますか。実は旅券法審議のときに、その事の是非は別としまして、かりに合法的な共産党員でも、海外旅行はさしつかえないと速記録に書いてある政府委員の答弁がございます。そして好ましからぬ人物とは、ギヤング、密輸出入をする者、淫売婦仲介業者、フイリピンから来たカポネの子分というような手合いをさすのでありまして、思想傾向や、当時の政府見解によつて左右されるものではないということを明記してあるのであります。もし当時の政府趣味によつて、たとえばアメリカと少し調和の悪い男であれば行かせないということであれば、今度社会党内閣ができたときに、ちよつとあれはフランスとぐあいが悪い男だから行かせないということになつて次官がハリに旅行されるのも、次官はストリツプシヨウを見に行くおそれがある、あるいは資本家団体の会合に出るおそれがあるから好ましくないということを言い合つたら、基本的人権というものはなくなつてしまう。法は普遍妥当であつて国民の八割、九割の人が認める社会共通の通念というのが常識でございます。輿論の大部分、新聞、雑誌の大部分議会においては少くとも三分の二くらいの人がこれを妥当と認めたときは、政府は許さなければならぬ。ところが中国へ貿易その他の用件で旅行することについては、昨日また一昨日の衆参両院においては満場一致これを認めた。これが今日の一般常識でございます。これこそがむしろ今国益になつておるのでございまして、鉄のカーテンなどという一般論によつてこの問題を律しようとする政府見解は、法を無視しておるものといわなければならぬ。従つて、いずれ与党野党を問わず、旅券法法理従つて公正妥当に運用するための調査を共同でいたしまして、政府に申入れをいたさねばならぬと存じております。もちろん公共福祉のために、多少個人の自由が制限されねばならぬ条項はあるのでありまして、それは好ましからざる人物についての定義が旅券法に正確に書いてあるわけでございます。そこでさらにお尋ねいたしたいのは……。
  29. 上塚司

    上塚委員長 帆足君、少し時間が長過ぎるようであります。
  30. 帆足計

    帆足委員 簡単にとどめますが、渡航課長おいでにならない。先日渡航課長は、鉄のカーテンのかなたに一ぺんでも旅行したような経験のあるやつは、以後二度と外に出さないと大みえを切つて帰られましたが、その後通産次官にたしなめられまして、謹慎の意を表したのか、出て来ない。真に自粛自戒の気持があるならば、外務委員会に出て来て、以後は事務を迅速にし、法理の許す範囲において良心的にやります、また上司との間において、緊密な連絡をとつてやりますという陳謝の意を表すべきであると思いますが、一課長などいじめることは私の趣味にかないませんから、さようひどくは追究いたしませんけれども、しかし多くの人々が困つておる。従つて私に対してでなしに、多くの国民利益のために、やはり法理従つてもつと親切にやるということだけは、次官から御注意していただきたいと思います。この問題について、法理従つて追究しなければならぬことが多々あるのでありますけれども委員長の御注意もありますし、関連質問の声もありますし、また本日は緊急質問の問題もありますから、これでとどめておきます。
  31. 川上貫一

    川上委員 関連質問でありますし、同僚委員の方々の発言要求もありますから、簡単にお尋ねしたいと思います。  第一点は、このブカレストへの旅券交付について、いろいろ研究しておると言われますが、具体的にどういうぐあいにやつておられるのか。ただいろいろ考慮しておくというようなことでごまかされては、実際旅券申請をしておる人は困る。これはいろいろ理由があるのか、これが第一点。  第二点は、旅券申請をした人がいろいろ事情を聞きたい、実際の状況を聞きたいがために、あらゆるところに面会を頼んでおるが、政府はほとんど面会しておらぬ。なぜこのようなことをするのか。なぜ政府は親切に会つて、そうして事情を話して国民要求にこたえることをしないのか、なぜ逃げまわつたりなんかするのか、これが第二点。  第三点は、大山郁夫さんが今ソ連行つてモロトフ外相に会うて、重大な話合いをしておられる。こういうことは政府はよいことだと思うか、けしからぬことだと思うか、これをひつとはつきり考え方を述べてもらいたい。それについてもう一ぺん私は質問を繰返したいから、この点も委員長にお含みおきを願いたい。
  32. 小滝彬

    小滝政府委員 まず具体的にどういうことをしているかという問題でありまするが、この点は、関係の係官が参ることになつておりまするから、そのときに御説明申し上げると思います。  それから第二は、なぜ面会せぬかということでございまするが、もう相当回数にわたつて面会いたしております。ずいぶん大勢の方が見えまして、相当威嚇的に面会を求められまして、相当会つておりまするし、たしか松友という方とも会うようにということでございまして、昨日自由労連代表として、土屋欧米局長に会われたはずであります。私、紹介いたしました。ただ朝から晩までしよつちゆう同じ問題でお会いしておりますると、執務もできない。せつかく迅速に片つけようというものが片づかないというよう関係もございますので、こういう場合には、代表者が見えまして、そうしてお互いに打解けて話し合うというようにした方が、ああいう大勢で威嚇的にやられるよりももつと効果的じやなかろうかと考えます。  それから大山さんがソ連の方へ入られましたのは、これは私ども旅券法の立場からいえば、非常に好ましくないことであるというふうに考えております。こういうふうに申し上げますと、それによつて戦犯者の帰国が促進されておるじやないかというようなことをおつしやるかもしれませんけれども、これは何も、大山さんの人柄にほれて国策をかえるようなことをするソ連ではなかろうと思いますので、私どもは、こういう旅券法に反したよう渡航というようなものは好ましくないものと考えております。
  33. 川上貫一

    川上委員 いろいろな人が朝から晩まで行つて、仕事ができぬということを言うけれどもはつきり早く解決しないから、こんなことになる。何もろくなことをせずにおいて、研究とかなんとか言つてぐずぐずしておれば、それは何ぼでも朝から晩まで行くのはあたりまえだ。それをせぬようじや国民の根性がない。そこで私は言うが、本日政務次官に、ブカレストに行く学生諸君がおそらく面会を求めるだろうと思うが、きようお会いなさるかどうか、これをお聞きしておきたい。  それから第二点は、大山さんが向うに行つたということは、私は旅券法を聞いておるのと違う。外務当局に対して、大山郁夫氏がモロトフ外相会つて国交上に重大な関係のある話をしておる、こういうことははなはだ日本としては困るというのか、これはよろしいというのか、これを聞いておるのです。何も旅券法を聞いておるのではない。しかしこの問題は、旅券法関係するから関連質問で聞いておる。重ねてはつきりこれは聞いておきたい。こんなことをしたらどうも困るというのか、これはまことに喜ばしいと思うというのか、この返答は重大でありますから、ぜひひとつはつきりとしたことを言うてもらいたい。
  34. 小滝彬

    小滝政府委員 早く解決したいから、たくさん会いに来るとおつしやいましたが、先ほどすでに申し上げました通り、一両日中に決定いたしまして、この旅券法従つて各人に通知する取運びにいたしたいと考えております。  それから会うことにつきましては、私は今議会におりまするが、時間があれば、威嚇的に大勢来られるのでなしに、代表者の方が会われるというのならば、あと院内ででもお会いいたします。今日はおそくまで本会議もあると存じまするので、院内ででもお会いいたします。  大山さんの場合のような、ああいうやり方は困るかということでございまするが、やはり国家国家の話は、その国民の多数の支持を受けたところの政府が行うのが常道でありまして、今日本代表していろいろな話会いをするということになれば、政府がこれを行うべきであると考えます。但し不幸にしてソ連との間には国交がありませんので、現に、たとえば戦犯問題につきましては、国際赤十字を通じましてソ連側へ申入れをしておるのであります。また八月二十四日からジユネーヴで開かれる俘虜特別委員会には、日本、ドイツ、イタリア等も代表者を出してこれに加わることになつておりまするが、これまではソ連代表も来なかつたけれども、できるだけソ連代表出席も得て、ここで俘虜の送還の促進をいたしたいということを考えておる次第でありまするし、かつまた国際連合の総会も近づいて参りまするので、この世界の輿論を喚起するがために、国際連合総会においてもこの問題が提起せられるように、現に諸外国に駐在しております日本の大公使を通じて、そうしたとりはからいがせられるように、各国に要請しておるという次第でありまして、決して政府は、こうした問題をないがしろにしている次第ではないという点を御了承願いたいと思います。
  35. 川上貫一

    川上委員 もう一点だけ……。時間をとりません。私の聞いたのは違う。それは、国と国との交渉は政府政府とするということは、あたりまえなんだ。それはわかりきつておる。国会の参議院議員が国民代表する、こういう立場でモロトフ外相と話をしておる、そういうことが困つたことと思うのか、よいことと思うのかということを聞いておる。これをはつきり聞きたい。
  36. 小滝彬

    小滝政府委員 大山さんが一人で自分の立場で話をしておられる際に、それが日本全体を代表しておるものであるいうような印象をかりに向うに与えましたならば、それは非常に好ましからざるものであろうと思います。
  37. 上塚司

    上塚委員長 福田篤泰君。
  38. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 私は、この際外務当局に対しまして質疑を試み、またその決意と実際の具体的な方法をぜひとも明らかにしてもらいたいことがあります。これは、ほつときますと将来必ず日米間に重大な紛争、係争の問題に発展する可能性がある。また必ずそうなると私は信じておりますので、日米間の今後の友好を切に願つておるわれわれといたしまして、問題が大きくならないうちに、またこじれないうちに善処して、具体的に解決していただきたいという問題があるわけであります。それは、小笠原島民の帰島問題、いわゆる引揚げられた島民の七千余名の帰島問題であります。まず私は政府にお伺いしたいことは、この北緯二十九度以南の小笠原諸島が、平和条約によりましていかなる国際的地位、たとえば立法、司法、行政の三権の上において、いかなる立場に置かれたか、まずこれをお伺いしたいと思います。
  39. 小滝彬

    小滝政府委員 この点は、福田委員御承知の通り、平和条約の第三条によりまして、アメリカ側が立法、司法、行政権の全部または一部を行使する権利を有するということになつておるのであります。
  40. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 この平和条約によりまして、軍事的理由からアメリカがそういう手を打つたことは、よくわかります。しかし私は、この問題とにらみ合せながら、国際的地位において考えながら、特に確かみたいことは、御承知の通り昭和十九年に軍の要請によりまして、当時小笠原島に住んでおりました千三百七十三世帯、人口七千七百十一名でありますが、これが生命の安全をはかるために、空襲下を着のみ着のまま日本内地に引揚げを強制された。それ以来すでにまる九年になります。この間引揚げた島民の諸君、われわれの同胞は、まことに苦しい生活のどん底に突き落されている。本年の五月十七日の読売新聞にも、非常に詳しく、その悲しい境遇を報ぜられておりますが、引揚げられて以来まる九年の間、約三割以上の島民があるいは親子心中、あるいは結核、あるいは生活のために死んでおります。このようなきわめて悲惨な引揚者の実情について、外務当局はこれを知つているかどうか、これをまずお伺いいたします。
  41. 小滝彬

    小滝政府委員 ただいま福田委員の申されました小笠原からの引揚者の窮状ということは、私どももよく承知いたしているのでありまして、これまでも何とかして小笠原島の方へ復帰できるようにと、再三大使館を通じて申入れをして参つたのでありますが、不幸にしてこれまでのところ、アメリカの海軍は、軍事的理由によつて日本人の小笠原帰島というものを認めてくれなかつたのであります。私どもとしては、今後もこの努力を続けて、ぜひこうした引揚者の帰島に関して万全を尽したいと考えております。
  42. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 この問題は、国会におきましても非常に重要視されまして、過去において、衆参両院において三回ずつ合計六回の請願も取上げられており、また国会を初め、国務省でありますとか、国連その他各方面に対しまして、五十八回にわたるところの陳情が熱心に続けられておる。横田君を委員長にした復帰連盟が非常に熱心に、しかも金もなく、資金カンパもできず、じみではありますが、同胞七千名のために必死に今努力されておることは、あなたの今の御答弁のように、私はあなた自身もおわかりであろうと思います。この問題について、私は特に外務当局に、今まで努力して来たというだけでは満足できない点を申し上げたいと思います。これは、御承知の通りに平和条約で一応軍事的理由によつてアメリカが困ると言えば、今のところなかなかあなたの方も交渉しにくいと思いますが、私はなぜもう一歩つ込んで――かつて日本軍が軍事的理由という名のもとに相当非人道的な横暴な処置をとつて来て、また国民も泣寝入りをしたあの事実をわれわれが想起いたしますときに、今のアメリカ側のこれに対する回答の仕方が、単なる軍事的理由という名前で拒否するとかいうことは、日米関係のためにきわめて遺憾でありまして、私はこの軍事的理由ということを具体的に強制する権利も持ちませんが、この問題について、外務当局はもう少しつつ込んで先方に回答を確かめる同胞としての責任があると思うのであります。一応今言われていることは、アメリカの海軍が日本本土防衛の責任を負つているから、この島は将来日本の重大な軍事的根拠地であつて、これを確保する必要がある。また島民を帰すと、いろいろ防諜その他食糧も支給をしなければならぬし、うるさい、あるいは作戦の都合上困るとか、いろいろ理由も伝えられておりますが、私はこの問題については、昨年の春友人であるダレス並びに現大使であるアリソン氏に対しまして私信を送りまして、日米間の今後の友好関係のためにも、軍事上の理由をわれわれ十分了解し、またこれを許す義務もありますので、その範囲はあくまでわれわれは日本人として認めますが、同時にまたこれと並行して当然許さるべき島民の復帰なり、生活の保障ということを考慮せらるべきであるということをお願いしたことがあります。また野村吉三郎元大将も、非常に熱心に、当時の海軍省に陳情したことがあるのでありますが、しかも非常に不誠意な、何ら具体的な回答をわれわれは得ておらないのであります。しかもはなはだ奇怪なことには、昨年の春海軍省が発表した公文書によりますと、昨年の七月一日を期しまして、小笠原諸島の中における沈船の引揚げ、または日本旧陸軍のいろいろなスクラツプその他の関係につきましては、アメリカ人だけに入札、ビツドを許すということを発表した。私どもは非常に憤慨いたしまして、これはアメリカの資産でもなければ、またアメリカの商人がもうける対象でも何ものでもない。しかも七千人が国内に引揚げて、三割以上の者がすでに死亡している。しかも帰すことに対して許さないアメリカの理由もきわめてあいまいであり、しかも軍事的理由というきわめてそつけない、極端にいいますと、回答が一方的であり、われわれ納得できないものである。この点について、強硬な抗議を国務省に申し入れていただきたい。実際この海軍省の公表は、昨年以来一年に至る間、いまだ実施されないというのが実情でありまして、この点は、アメリカ人の良識によつて、こういうばかばかしい一種の利権行為が停止されていることは、まことによろこばしいと思いますが、この点について外務省は、海軍省の公表を御存じかどうか。これをお伺いしたい。
  43. 小滝彬

    小滝政府委員 一番最後の点の文章の公表は、私どもよく承知しております。この点については、外務省から申入れをした次第であるのであります。これまで米国側の回答がはなはだ満足でなかつた点は、同感でありまして、私どもといたしましては、何としても島民が困つているのだから、作戦上多少の不便はあつても、比較的作戦にさしつかえのない所に日本人を帰島せしめて、そして相互の関係をよくするということが、かえつてアメリカのためにもいいのじやないかということを常に繰返している次第であります。向う側の内部のことを申し上げますのはいかがかと存じますが、これまでの海軍の司令官であつたラドフオードは、相当厳格な考えを持つておりまして、この小笠原の問題のみならず、他の点につきましても、私自身といたしましても苦労して参つた次第でありますが、ラドフオードもかわられましたし、朝鮮の休戦は、今ただちに同方面に平和をもたらすことを意味するものではないにいたしましても、最近の平和的な動きという点からも見まして、多少これまでよりもかわつた態度で、小笠原の復帰ということを了とせられる余地もあるのじやないかというよう考えられますので、島民の非常な熱望もありますからして、今後さらに積極的に厳重な申入れをいたしまして、もつとはつきりした回答を得るように、最善を尽したいと考えております。またその回答が参りました上は、当委員会の方にも報告いたしまして、さらに皆様の御後援を得て、何としてもこの目的を貫徹いたしたいと考えております。
  44. 福田篤泰

    ○福田(篤)委員 今御熱意のある、抽象的ではありますが、御答弁に対しまして、一応の満足の意を表しますが、それでは私どもは心配にたえない。御知承の通り、現在の小笠原島の状況は、小笠原群島の中におきまして、硫黄島だけが軍事施設があり、それ以外は何ら施設がなく、母島のごときは無人島であります。この前に帰島を許したのはどういう理由かわかりませんが、混血児の者を百三十五名だけ島に帰した。それでわれわれ日本人同胞については、今まで申し上げた通り、単なる軍事的理由というきわめて一方的な理解のできない回答によつて、拒否され続けている。しかも政府は、この引揚者に対しましては何ら手を打つてない。みな血みどろな生活と闘いながら今陳情を続け、また彼らはまじめな気持から申しますと、先ほど申し上げましたように、アメリカ人によつて独占されることになつておりますところの旧日本軍の資産、あるいは沈船等によりまして、彼らみずからの努力と汗によつて引揚げ費用も稼ぎ、また島の復興にも役立たせようという、きわめてまじめな、また筋道の通つた要請をし、熱望を持つておるわけであります。このような現地の実情を見、またアメリカ側の今までの態度を見ますときに、私は日米間の友好関係を熱望するあまり、アメリカの態度に対してきわめて不満の意を表せざるを得ないのであります。たとえば千島、あるいは南樺太、あるいはその他の領土問題について、アメリカ側は国連においてもよく発言をし、この問題を取上げておりますが、アメリカがそういう発言をするときに、やはりアメリカが南方地域におつて、わが旧領土を現在占拠し、あるいは立法、司法、行政の三権を掌握しているこの矛盾というものを解決しなければならぬ。やはり自分自分として必要なものを保有し、他国に対しては、日本に返せというような理論は、筋が通らないのでありまして、アメリカ側が、このような単に軍事的理由というだけで、七千の同胞をこういうような苦しみに放置して置くようなことがありますならば、今盛んに行われておりますところの反米闘争、あるいは一部人民戦線派によるところのアメリカの世界制覇に対するところのいろいろな反撃のいい材料を提供するのであります。私は、あくまでもアメリカに対する友人といたしまして、彼らの誤つた点、また間違つた点は、彼らの立場を考えれば考えるほど、率直にもつと強く指摘する勇気がなければならない。独立国としてお互いにやつて行く以上は、われわれは、アメリカの世界政策も十分理解し、また安全保障条約によるところの日本の防衛について、アメリカに深い感謝の意を心から表するものでありますが、同時に、この軍事的理由と併存して何らさしつかえない平和的なわが同胞について、また島の復興について、またその手段について、アメリカ側が今までのような態度をとつて行きますならば、これが先ほど申した反米闘争の大きな材料を提供するであろうし、私どもも、日米間の将来について懸念を持つております。従つて今申し上げた説から申しましても、今次官が答弁をされた御答弁を百尺竿頭一歩を進めまして、それでは一体、どことどこの島を向うが必要であるか、どことどこは軍事上必要がないから返そう、その時期はいろいろである、なおまた先ほど申しました、島の復興について、そういう連盟その他島民の要求があれば、こういう考慮をしようというような具体的な時期並びに内容について、至急に、本日でもあなたがアリソン大使並びに関係諸君会つていただきまして、十分具体的な回答をいただいてほしいのであります。またこれは、伊関局長もおられますが、日米合同委員会においても取上げるべき国際紛争問題の要素がありますので、この点は、厳重にアメリカ側に注意を喚起して、具体的に回答をいただいて、それを至急に島民の諸君にお伝え願いたいと思います。その点について重ねて御答弁を要求いたしたいと思います。
  45. 小滝彬

    小滝政府委員 ただいま福田委員の申されましたことは、重々ごもつともでありまして、私どもも、ぜひもつと具体的に交渉をいたしたいと存じます。そして、幸いにしてこれだけ強い議会の方からのお申出があるということになりますれば、私どもの交渉も一層力強く推進することができる次第でありますから、先ほどの趣旨によりまして、早急にこの問題をテーク・アツプして折衝し、そしてその結果はまた皆様に御報告申し上げて、不満足な点があれば、さらにそれを一つ一つ解決して行くという決意で進みたいと考えております。
  46. 上塚司

    上塚委員長 岡良一君。
  47. 岡良一

    ○岡委員 伊関局長にお伺いをいたしたいのでありますが、実はけさ参りました内灘の地元である石川県の新聞に、こういう記事が出ておるのです。それは「国警石川県本部では、二十九日午前六時を期して、三個小隊の武装警官隊を現地に派遣、たまたま漁中の二艘の地びき網に対し退去を勧告、漁夫らはこれを拒否して漁を強行、一時険悪な場を呈した。」こういう記事があるのであります。私どもはこの委員会において、いわゆる軍事基地の問題については、この紛争の公正な解決をはからんとして、関係人の意見の陳述を求め、その方向に努力をしようという考え方で進めておることは、御存知の通りでありますが、なかんずく内外の注目を浴びている内灘において、再びこのような紛争が起つて来ておることは、非常に遺憾にたえないのでありますが、この間の事情については、局長としていかなる情報を持つておられるか、なぜこういう事態が起つたのであるかというような点について伺いたいと思います。
  48. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 ただいまの問題につきまして、私の方は、まだ詳細なる経緯は国警の方から聞いておりませんが、海面の方も、約八百ヤードにわたりまして立入りを禁止いたしております。その禁止区域に今までは入つておらなかつたものが、新たに入つて来たというふうな事態が起きたのであります。今までは、入りましても、そう大つぴらに入つたのじやなかろうと思いますが、何かお盆を控えて、地びき網をやるというようなことで入つて来た。これは禁止区域でありますから、入つては困るというので、警察が出るようなつたということを申しておるわけでありますが、ただやり方としましては、円満にやるようにということは申しております。
  49. 岡良一

    ○岡委員 この問題について、県会議員の両三名の者が、県の総務部長と昨日面会をいたしておるのでありますが、総務部長の答弁によりますと、こう申しておるのです。これは三十日のことでありますが、「しかし今朝七時ごろ伊関外務省国際協力局長に対し私から射程距離を延ばすことを一時中止できないかと要請した。」「伊関氏はどう言つていたか」という質問に答えて「伊関氏は射程の延長を中止することはむずかしいと言つていた。」こういう一問一答があるのでありますが、御存じでありますか。
  50. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 それは、今の海面に立入りしております件と直接関係があるかどうか私にははつきりいたしませんが、県の方から昨日の朝でありましたか、言つて参りまして、米車の方で今までは、御存じと思いますが、権現の森の手前まで撃つておるわけでありますが、権現の森の西側になりますか、海面の方にも撃ちたいということを現地の米軍が言つておるが、すぐとめてほしいということを言つて参りましたので、私の方は、研究してみないとわからぬと申しました、それから米軍の方に確めてみましたところ、今のところ新しく射程距離を延ばすというふうなことは、中央では何ら承知しておらぬ、こう申しております。現地の方にも、中央からそういうことはしないようにということを米軍から申しておりまして、昨日の夕方の情報では、そういうような撃ち方をしておりません。おそらく何かの誤解じやなかつたかと私は思つております。
  51. 岡良一

    ○岡委員 この新聞の報道を見ますると、射程距離を現地の米軍の方が独断的に延長する。それについて、これはすでに使用することになつておる砂丘地帯、あるいは海岸線の方面に出漁しておるものに対する立入りを禁止するような措置を講ずるように申入れをしておるというようなことも出ておるわけです。今お話を聞いて私ども了解いたしましたが、御存じのように、この内灘の問題については、四月いよいよ試射が開始されてからは、隣接の町村、ことに着弾距離に近い町村が非常に反対の気勢をあげて来ておるのは、一つには現実に撃たれてみて、自分の働く場所、自分の家のすぐ近くで爆発をするということから、その被害を物心二面にわたつて大きく受けたという体験から反対して来たということと、さらには、射程を延ばされてはいよいよもつてその被害が甚大になろうという判断から反対をして来たことは、これはお察しの通りだと思います。そこで現地の米軍がかつてに射程を延ばす、そうして県にそういう申入れをする、そういう形で、かつてに射程が延ばされるということになりますれば、おそらく日米合同委員会として日米の間でいろいろとりきめられたそのとりきめさえもが、空文に化さんとするおそれもありますので、その点さらに確めておきたいのでありまするが、米軍の方、特に東京に駐在する米軍の方では、射程を一存で独断的に延長するがごとき措置はとつてはならないということを、現地の方に向つて伝えていただいたのでしようか。
  52. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 ただいまのお話で、射程の延長という問題でありますが、八千五百ヤードというのが今の射程でありまして、八千五百ヤードのうちは従来ともたまを撃つておつたわけであります。ただいま権現の森にすわり込みが行われておりますので、特殊の情勢下にございますから、この権現の森にすわつておる人たちにもしも危険があつては困るというので、その手前に撃つ、あるいはそれを避けて一時海面に撃つというふうな臨時の措置をやつておるわけでありますが、問題が円満に解決いたしますれば、昔のように八千五百フルに使うわけであります。ですから、この点については射程の延長と申しますのは、八千五百を越して延長するという意味ではございません。今やつているのは、八千五百の従来のわく内であつて、ただ権現の森の手前に撃つてつたのを、この権現の森を避けて、左の方の海に撃つかどうかという問題でございますが、それにつきましても、この問題は非常にデリケートであるので、現在向うでやつておりますのは、森の手前に撃つておりますが、それを変更する際は、すべて東京で話合う、それからまた同時に現地におきまして、初めのうちは毎朝やつておつたわけでありますが、警察の隊長と現地の部隊長の間で毎朝打合せをしまして、撃つても人がいない、危険がないということを確めて撃つておつたわけでありますが、最近は、あるいはその必要がなくてやつておらないかもしれませんが、現在におきましても、何かちよつと変つたことをやる場合には、必ず警察隊長と連絡をとる。それからまたうんとかわつたことをやる、射程を延ばすというようなことをする場合は、中央の意見を聞いてやる。もちろん技術的ないろいろな問題がございますから、全部一々中央ということには参らぬかもしれませんが、射程を延ばす場合には中央、それからその他のこまかい問題については、現地限りで、警察隊長と打合せるということになつております。
  53. 岡良一

    ○岡委員 それでその点は、新聞の報道によれば、総務部長の方からあなたの方へ電話で照会をしたところが、射程を延ばすことを、ある程度距離を延ばすことを、一時中止できないかということを交渉したが、射程を延長することを中止するのはむずかしいということを言つてつたのは間違いなんですね。
  54. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 間違いと申しますよりも、技術的に、私どもの方ではよくわからなかつたわけです。射程を延ばすのか、あるいは射程は短かくても、たまがはねるというような、たまの性質によつて、方向を海の方にかえようとしておるのか、その辺の非常にこまかい技術的な点があるわけです。権現の森を越して撃つことは絶対に認めておらぬわけです。権現の森の手前に撃つにしても、今までは陸へ撃つておつたわけですが、多少海の方に向けて撃つた方が安全度が増すということがありますから、そういうことを研究しないと、あの電話は朝早くでしたが、いきなりそれをすぐやめさせるというわけに行かない、こういうわけであります。
  55. 岡良一

    ○岡委員 そこでこの際私は善処を要求したいのですが、こういうふうに、これは二十三万の発行部数を持つておる新聞ですが、伊関局長か射程距離を延ばすことを中止することはむずかしいと言つておるということになれば、非常な誤解が地元の民衆の輿論の中に生れて来ておるわけです。この際その間の事情いついて、できるだけすみやかに、あなたの誤解をされない気持を、あるいは外務省としての態度を、地元民に通達をせられるというか、周知させる方法が必要だと思いますが、その御用意がおありでしようか。
  56. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 その点につきまして、東京におきまして米軍側と、どういう点が問題になつておるのか、何かごまかい技術的な点があるかどうかを調べておりましたが、その結果がわかりましたので、きよう中にでも県に詳しく知らせてやるつもりでおります。
  57. 岡良一

    ○岡委員 あと三点ほど伺いたいのですが、実はこの間内灘の村長その他が出て参りましたときにも、外務省にお尋ねしたい点を保留しておりましたので、お伺いしたいと思います。  先般私と局長との話のやりとりでは、結局三月中に政府の方として、村長や村会議長を呼んで、再使用についての申入れした条件を提示した。ところがそのときには、返答はいたしかねるといつて、村長と村会議長とが村に持ち返つて検討した結果、村議会の決議、また村民大会の決議として、これをお断りをしたというところまで――要するに二月、三月、四月の月末には、これも参考人が申しておりましたが、各関係行政機関の係が現地に参りましたけれども、このときにも話合いがつかなかつた。要するに政府は、三月、四月は、再使用についての地元の了解を得ることはできなかつた。この点までは一応はつきりしたと私は思つております。そこで問題は、一箇月月延ばして、この間にさらに地元の了解を得るように努力したい、こういうことで一箇月延ばした。この五月の間に、政府の方としては地元の了解を得べくいかなる積極的な措置を講じられたか、それに対する地元側の意向はどうであつたか、この点をお伺いをいたします。
  58. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 表に現われました措置といたしましては、一応約束に従つて、五月一日から試射を中止してほしいという点がございましたから、試射を中止をいたしました。そうしたら、今度は試射の中止だけでなくて漁業ができるように立入りを認めてほしいということでございましたから、立入りを認めました。この間は、五月中には何回となく各方面から陳情にお見えになりましたので、これに対して、政府の立場を十分説明いたしました。そのほかあらゆる筋を使いまして、現地の了解を得べく交渉しました。しかし、だれがどなたにどういうふうにお願いしたということは、一々申し上げかねます。
  59. 岡良一

    ○岡委員 その期間には、この問題は国会においても、緊急質問とかいろいろ取上げられて来たことは御承知の通りでありますが、このことには触れますまい。そこで今お話ように、五月一箇月間延長の上、この期間内に地元民との間に何とか納得の道を講じたいという努力は、結局無効であつた。そこで六月二日には、使用の方針とそれに伴ういろいろな条件などについては、閣議の了解事項として記録にとどめられておる。これもその通りだと私は思う。ところがたしか五月の十日前後に、田中副長官その他あなたの方の平川農地局長等が金沢へ参られた。しかしこのときには、村議会どころか、県議会を中心とする大きな規模における強硬な反対なる申入れを文書をもつて皆さんに手渡しをしておるわけです。そこで、このように一箇月延長するその五月一日の間にも、地元の納得はできなかつた。そこでせつかく、ある意味において政府の閣議の了解事項に基く政府の正式な代表として、官房副長官の田中さんを初め、両関係局長も帯同して来られたが、さらに強固な反対の意思に遭遇せられて、そうしてそのままお帰りになつた。ところが六月の十二日には再使用についての閣議決定があつた。それについて、私はこの際お尋ねをいたしたいのですが、これについてあなたは、こういうことを答弁をしておられる。これは六月の二十二日の参議院水産委員会で「我々が参りまして話をしようとしましても、話に応じないというふうな態度でありましたので、」これはおそらく六月の七、八日ごろ現地に来られたときの話であろうと思います。「事務当局としましては、これ以上努力して見ても事態はよくならん、そう見ましたので、我々事務当局としてはもうこの辺がいいところだろう、もうこの辺で決定されてはどうかというふうに大臣には申しました。」、こうあなたは言つておられる。一体あなた方は、地元の納得を得るという使命のもとに行かれたのでありましようが、そこで、この辺でもういいところであろうということで、この辺で決定されてはどうか。おそらくそのときあなたは、十五日あたりが試射再開に適当であろうという言葉をあわせて申されたように察せられるのですが、こういう判断をあなたがなさつたという根拠を私は承りたい。
  60. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 その答弁の前後の関係をちよつと今覚えておりませんが、いずれにいたしましても、五月一ぱい交渉をした、六月になりましても、また交渉を続けようといたしましたが、理由のいかんを問わず、絶対反対、われわれが参りましても、決議文を突きつけて、そのまま帰るというような態度であります。これは、いかにそういうふうな状態を繰返しましても、何ら事態は改善されるものと考えられませんので、かつ一面試射の開始ということが急がれましたから、私はこの辺で決定をすべき時期だ、こう考えたのであります。
  61. 上塚司

    上塚委員長 岡君、一時までにまだほかに二人ありますので、できるだけ簡単にお願いいたします。
  62. 岡良一

    ○岡委員 試射の開始を急がれたとおつしやいますし、また事実試射の開始が急がれたと私も思います。試射の開始を急がれたのは、政府そのものであつたのか、政府をして試射の開始を急がしめたもの、あるいは政府でなくても、事務当局のあなた方をして試射のを開始を急がしめたものは、私どもの情報によれば、四月以降においても、なお六百万発を越える迫撃砲弾の受注を控えておる兵器メーカーが、政府に対して試射の再開を求めるというような圧力を加えられたものであるか。それとも、またアメリカ側が試射の再開を急いだものなのか、どちらでありましよう
  63. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 メーカーの方も盛んに陳情をして参りましたが、それの圧力というものは感じておりません。米軍側ももちろん急ぎました。政府といたしましても、これは重大な問題でありまして、ただいまのところ約九千万ドルくらいに上つております発注でありまして、これがある限度を越して遅れますと、アメリカの調達法規の建前から、そうした発注は全部取消さなければならぬというような事態が予想されたわけであります。もしこれを取消しますと、直接には業者に非常な影響を与えます。将来こうした発注が伸びることを期待しております日本としましては、非常に大きな将来の経済問題であり、かつまた日本政府がそれだけのものを予算の中から買わなければならぬという問題も出て参ります。これはアメリカ側といたしましても、日本政府といたしましても、もうあれ以上は待てないというような事態に来ておつたのであります。
  64. 岡良一

    ○岡委員  そういたしますると、結局、まず十五日に試射の再開をすべきであるという決定を六月十二日になした、十五日という日を区切つて試射の再開をなしたのは、ただいまの御説明によれば、別に兵器メーカーの圧力に押されたものではないけれども、米軍に対する現品の納入の条件として厳格なるものがあるので、納期が遅延するということから納入が不可能になるので、従つて日本の取得すべき九千万ドルに近いドル貨の入手においても困難になることは、政府としての本来の希望からは反対の結果ともなるという建前で、十五日に決定をした、こうおつしやるわけですが、それでは、そのことに関連してさらにお伺いをしておきたいのです。今問題になつておる、たとえばMSAによる域外調達というものについて考えられると思うのですが、その見通しをお伺いいたしたいのです。と申しますのは、大体内灘で試射されておるところの迫撃砲弾、あるいは将来予想されておる照明弾や榴弾砲というものは、保安隊が使うものであるか、使うとすれば、主として何十パーセントが保安隊で使うものなのでしようか。
  65. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 保安隊に何パーセントという数字でございますが、私が知つております最も新しい数字は約一七〇%、六〇%から七〇%までの間であります。この数字はかわり得る、これは朝鮮における砲弾の需給と申しますか、そういうものによつてもかわり得たわけでありますが、ただいまは休戦になつておりますので、朝鮮の方がふえて保安隊の方が減るということはなかろうと思います。あるいは保安隊の方がふえるという結果はあり得ると思います。私が聞きましたのは休戦前でありますが、そのときの数字では、約六〇%から七〇%が保安隊に出ておるものであります。
  66. 上塚司

    上塚委員長 まだありますか。
  67. 岡良一

    ○岡委員 もう二点、お願いいたします。外務次官にお願いいたしますが、早口で申します。ただいま伊関局長がおつしやつたように、九千万ドルに及ぶところのドル貨の入手が不可能になる危険性があるので、試射の再開を急いだ。御存じのように、迫撃砲弾を保安隊が使おうが、あるいは域外調達で向うへ持つて行うが、こういう兵器というものが結局朝鮮戦線に使われるとすれが、朝鮮の国に戦争があるときには軍需に基くドル貨の取得が多くて、日本は景気がいい。またこれが失われれば、いわゆる隣の国に平和が訪れれば、日本の国は不景気に襲われなければならぬ。こんな不安定なドル貨の取得に依存しなければ経済外交というものが推進できない、こう外務当局はお考えになるのでありましようか。
  68. 小滝彬

    小滝政府委員 今後の東亜における政治情勢がどうなるか、もちろん予断を許しませんけれども、しかし現にインドシナでも騒擾があつて、MSAによつて四億ドル近くをアメリカは援助するということを言つておるわけです。それは大部分フランスを利用するかもしれませんけれども、距離的な関係もあつて日本の方で使われる。私どもは、もちろんこういういわゆる特需にたよつた経済を打立てて行こうとするものではないのであります。もちろん平常の貿易というものを、東南アジアの諸国とももつと提携して行かなければならぬということを念願し、その方面に努力しておりまするが、しかし何といたしましても、現在の日本の貿易情勢から見れば、こうした収入というものが七億ドル、八億ドルに上つておるわけであります。そうして情勢が非常に急転しない限り、この需要というものはまだ当分続くであろうし、その後各国が自国の力だけで自衛力を備品えることになれば、結局武器生産、兵器産業というものもある程度までは保持され得るものでありまするからして、でき得ることなら、そうした一定限度の産業を維持しようというので、今般武器等製造法案を御承認願つたような次第であります。
  69. 岡良一

    ○岡委員 もう時間もありませんからこれで終りますが、技術的な問題でありますが、国有地の使用については、農地法の第八十条第一項、あるいは第七十八条を援用せられたということが質問趣意書の答弁にあります。そこでそうなれば手続をとつておられるわけでありますが、この手続というものは、一体何年間使用せられるのであるかという点、またそれについては各年産別に農林大臣等の認可を求めなければならないようなことも考えられますが、そういう手続について、どういう内容を持つておるか承りたい。  いま一つは、外務政務次官の御説に対して、別に討論をいたしたいとは思いませんが、関連してお尋ねいたしたいことは、MSAの問題で、日本において、砲弾等の完成兵器が東南アジア諸国の方に差向けられるために、アメリカの金によつて買われるということも考えられるわけであります。そういう場合に、当然試射ということも考えられますが、そういたしますと、MSA援助の受諾の期間中、日本における試射場の使用ということが考えられるが、そういう見通しがあるかどうか。またそういう場合においては、当然アメリカの国防省の予算によつて発注されるものではなく、別個のMSAの安全保障局の予算によつて海外援助費という中から支出されるものと思いますが、そうなれば、完成兵器の試射等については、別個に日米合同委員会以外の形において新しく協定されなければならないと思います。その点についての御見解を承りたい。
  70. 和栗博

    ○和栗説明員 お答え申し上げます。試射場の貸付の問題につきまして具体的に申し上げますと、名古屋の調達局の方から、農林省の出先機関である金沢農地事務局に対しまして、国有の開拓地の借受の申込書が出ております。その申込みは一応三箇年という申込みでございましたが、農林省の方といたしましては、その期間は不定でございしますので、一年を限りまして、状況によつては更新をして行くという建前のもとに、一年限りの貸付の了承をいたしまして、その通知をいたしておるのでございます。
  71. 小滝彬

    小滝政府委員 MSAの援助が増加するであろうということは、アリソンの書簡にもありますが、しかしずつと先の将来ということを考えますと、MSAの本部も来年からなくなる、あるいはそれが国務省の所管になるというような情報もありますので、これから先のことは予断することができない次第であります。しかしそういう援助によつて域外買付がされます場合にも、その武器の種類によつて違うわけでありますから、それが全部砲弾であるとも限らないと思います。かりにそういうものを多量に注文を受けるということになれば、あるいはそのために、別個の協定をする必要が生ずるかもしれませんが、しかし現在のところは、見通しとしては何とも申し上げかねる次第でございます。
  72. 上塚司

    上塚委員長 並木芳雄君。
  73. 並木芳雄

    ○並木委員 伊関局長にお尋ねいたします。朝鮮の休戦調印をしてから今日まで、もうかなり日数がたちましたが、その間局長の所管事務の上でいろいろ変化があつただろうと思います。これは大きな特色でけつこうですから、朝鮮休戦の調印をしてから今日まで、所管事務の上においてどういうような変化が起つておるか、それをお聞きしたいと思います。
  74. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 朝鮮の休戦という事態は、大分前から予想されておりましたので、休戦後どうなるかという点につきましては、かなり前からいろいろな議論をいたしております。ただ朝鮮の休戦に伴いまして、現実に事態がすぐ動くのではないのであつて、われわれの方の立場からいたしますと、朝鮮休戦に伴いまして動きますのは、米軍が朝鮮から撤退を開始する時期に至りまして、非常に大きくいろいろな問題が動いて参ると思います。ですから休戦もいよいよできましたので、将来の見通しを、従来よりももつと具体的に立てるということで話合いはいたしておりますが、表に現われるものといたしましては、撤兵開始の、ほんとうの政治会議の結論が出ました上で現われて来るわけでございます。
  75. 並木芳雄

    ○並木委員 朝鮮における国連の防衛水域について、政府がその撤廃を申し入れたと聞いておるのですが、伊関さんの方は、それはわかつておりますか。
  76. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 私の方の所管ではありませんが、そういう書類は見ました。出たか出ないか、ちよつとそこのところはわかりませんが、私の所管ではありませんから、ただいま具体的の取扱いについては存じておりません。
  77. 並木芳雄

    ○並木委員 横浜の陸上輸送部隊の労組が七十二時間のストライキをやつて、そのあと、ストライキは済んだけれども、司令官が施設の中に入場するのを拒否したという報道があります。その点について局長御存じだろうと思いますが、そういう権限が司令官にあるのですか。あるとすればどこから来ておるか。あるいは、これに対してはこく極端な左翼分子の働きかけがあるというようにも伝えられておりますが、その真相について報告してもらいたい。
  78. 伊関佑二郎

    ○伊関政府委員 遺憾ながら、私はそういうような事実について、まだ報告を受けておりません。左翼的な傾向が強いというようなことも、ただ口頭で聞いておるだけであります。ただ司令官が施設内への出入りを禁止したかどうかという点につきましては、行政協定第三条でもつて、施設の管理のために、あるいは施設の保護のために、必要な適当な措置をとり得るということになつておりますから、そうした施設管理の必要上その処置が妥当であつたかどうかということは、もう少し現実の状況を調べてみなければわかりませんが、そういう権限は持つております。
  79. 並木芳雄

    ○並木委員 高辻さんにひとつお伺いしておきたい。それは昨日の芦田さんと吉田さんの問答でちよつと気がついた点なんです。芦田さんは、保安隊が軍隊でないといろいろな保護が受けられない、しかるに政府は、保安隊を軍隊と言わないから非常に気の毒であるというようなことを言われたことは、高辻さんも御存じだろうと思います。それに対して佐藤法制長官は、保安隊といえども軍としての適用を受けられることもあり得るというような答弁をせられたように私は聞いたのです。そこでどういう場合に保安隊であつても、つまり軍隊でなくとも、それと同様の保護、あるいは待遇を受けられるかということを、少し詳しく、かつ専門的に説明してもらいたいと思います。
  80. 高辻正己

    ○高辻政府委員 ただいまの御腰間でございますが、私昨日法制局の御答弁をそばで聞いておりましたので、私の感ずるところを申し上げたいと思います。  先般当委員会で御審議になつたと思いますが、いわゆるジユネー条約がございまして、近々その条約従つて捕虜等の関係は律せられることになると思いますが、それまでの間は、これまた御承知のように、平和条約の附属の宣言にございましたが、現在におきましては、陸戦の法規慣例に関するヘーグ条約というのがございまして、そのほかにも捕虜関係、あるいは戦争犠牲者関係の国際条約がございますが、さしあたり今並木委員のおつしやいました部分に関連して申しますれば、陸戦の法規慣例に関するヘーグ条約でございまするが、それについて条文を見ますと、そこには、その条約に基く規則でありますところの陸戦の法規慣例に関する規則というものの中に、ひとり正規の軍隊のみならず、民兵、あるいは義勇兵、あるいは群民兵と言われるようなものにつきましても、一朝事ある際に、そういう悲運に際会した者に対する保護の規定があります。そういうことがありまするから、保安隊の構成員がそういう場面にあたりましても、そういう国際法の保護を受けることは、当然であろうという趣旨のことを申し上げたわけでございます。根拠は何かと申しますれば現在は、ただいま述べた条約及びこれに基く規則、将来は先番御承認になりましたジユネーヴ条約でございます。
  81. 並木芳雄

    ○並木委員 そうすると、国際的には同様になり得るということは言えますか、ほとんど差がないということは言えますか。
  82. 高辻正己

    ○高辻政府委員 ほとんど差がないということの意味でございますが、私の推察によりますれば、保安隊の構成員が、何かの国際紛争というようなことを仮定して考えました場合に、そういう悲運に際会した場合に、ただいま申し上げたような正規兵、あるいは不正規兵、その不正規兵の中には、民兵、義勇兵、それから群民兵というものがございますが、そういうものの関連において、つまり戦争犠牲者が保護されるという意味において、差等はないというふうに考えておるわけであります
  83. 並木芳雄

    ○並木委員 今の部長の答弁ですと、戦争犠牲者だけを取上げたのですが、そのほかにもいろいろ適用されるものはあると思うのです。
  84. 高辻正己

    ○高辻政府委員 ちよつと言葉が足りなくて、御疑問を生じたと思いますが、つまり一口で戦争犠牲者と申しましたが、これはたまたま、ジユネーヴ条約にありました言葉をそのまま借りたわけでございますが、つまり戦争によつて何らかの不利益な立場に立つ者、そうした人道上保護しなければならないような立場に立つ者、そういうものとして、先ほどあげたような、一朝事ある際に戦争の犠牲に供されるような人は、保護されるという面においてまつたく同一であるといつてよかろう、こういうわけであります。
  85. 上塚司

    上塚委員長 本日は、本会議の都合もありますので、これにて散会いたします。     午後一時四分散会