○土屋
政府委員 現在保安隊が在日
米軍から借用しております武器、それから今使用をしております弾丸などにつきましては、私ひとつはつきりと性格を御承知置きいただきたいと思いますのは、あれは在日
米軍の係官の責任において、係官が全責任を持
つているものでありまして、
日本側に現実使用させているというのは、使用させている部面についてだけであります。
従つて所有権が移
つたわけでもなければ、占有権が移
つたわけでもなければ、いわんや費用が
日本に移
つたわけでもないわけであります。こういう点から今
並木さんから御質問がございましたように、七月一日以降
アメリカ軍の軍事
予算も削減されるということを想定いたしますと、そういう費目が在日
米軍に出所がなくなるだろう、そういう前提に立てば、今まで保安隊に貸し付けてお
つたそうい
つた武器などについても、アメリカはどこかにそのはけ口を見出さなければならなくなるだろう、そういうことになりますと、かりに
日本が
援助を受けるということになるとMSAに切りかわるだろう、こういう前提に立
つたお話でありますと、今言
つたように今まで保安隊で使
つていた武器が七月一日から急に使えなくなる、そこでそれがMSAの
計画による
援助によらなければならないということになるわけであります。ただ私はその前提が、われわれが今
考えておりますように行くかどうかということについては少し疑点もありますので、アメリカの軍事
予算がかりに削減されたにいたしましても、
日本の保安隊に対しまして貸し付けました武器を全部引揚げなければならないほど、切り詰めた
予算になるだろうかという点も
考えてみなければならぬ点であります。
従つて将来
日本がMSAの話をしますときに一応話題に上りましようが、かとい
つてMSAを
日本が受けなければ、保安隊にある武器が六月三十日以降引揚げられてしま
つて、
日本はもはや使用させてもらえないのだというふうにも解釈しておりません。ただアメリカの方だけの都合を研究してみますと、アメリカの方の都合で
日本がMSAを受けるということになれば、MSAの中にそういう
援助は七月一日以降は盛るのが当然だ、こういうふうに
考えておるのではないかと今のところ思
つております。いかんせんこの問題は、
大臣がここで屡次お話のように、話を始めておりませんから、アメリカがどういう意図を持
つておるかということについて、われわれもここ断定的にアメリカの意向というものをお伝えすることのできないのははなはだ遺憾でありますが、今のところわからないのが実際であります。
従つて将来
日本がかりにMSAの
協定なり、あるいは話合いをするということになりますと、当然話題に上
つて来ますので、その節になりますと、皆様の御納得の行くようにアメリカの意向というものがお伝えできるのではないかと思います
先ほど経済面に対してどういう潤いがあるかという御質問がございました。これは見方によ
つていろいろな見方ができるのではないかと思いますし、
大臣の御口吻をお借りするわけではありませんが、何が来るかわからないから、経済面に対する
援助というものは
内容をあけてみなければわからないことになりまし。しかしわれわれはその点についても事務的に
考えなか
つたわけではありませんので、ついでに事務的に
考えた点を申し上げますと、MSAの
援助を今
日本がアメリカで予想しておられますいわゆる防衛
援助というものによ
つて受けました際に、兵器なり何なりの形で来ますが、同時に
日本の兵器産業あるいはそういうような装備の産業に必要なたとえば工作機械とか、あるいは技術とかいうもので来るという面も多少あろうと思います。これはアメリカがほかの国に対するMSAの
援助と同じような項目でしておる
内容、もちろん全貌がわか
つておるわけではありませんが、それを
調べた結果によりましても、そうい
つた趣旨の
援助をしている国もあるようであります。
従つてかりに
日本がMSAの
援助を受けるということになりまして、防衛
計画による
援助を受けましても、完成兵器だけが来るのではなしに、
日本の生産に、あるいは
日本の産業に必要な機械とか技術というものが来るということが一応
考えられます。しかしながらこれも経済面に非常に大きな影響を及ぼす部分だというふうに
考えることが、できるかどうかも一つの疑問にな
つております。そこで私
どもはMSAをもし
日本が受けるということになれば、
日本の経済に対してやはり大きく響くだろうと予想される面は、
日本がMSAの被
援助国になる、
従つてその点でほかのMSAの
援助を受けておる各国といろいろ共通な問題を持
つて参ります。これはアメリカから見ますと、同じふところから出ます五十何箇国に及ぶ
援助を受ける国同士の問題でありますから、かりに
日本以外のどこかの国に軍事
援助によ
つて完成兵器を渡そうという場合に、アメリカから持
つて来るよりは
日本で買い付けて、その買い付けたものを現品としてほかの被
援助国に与えるということの方が、経済的に見ましても、また時間の点から見ましても、より合理的な部面があるだろうと思います。そういう点から
日本に対する域外買付と普通称するようなものが活発にな
つて来るだろうということも
考えられます。また在日
米軍は従来
日本でいわゆる域外調達というものをいたしまして、自分の必要なもので
日本から買付のできるものを調達という形で買
つております。そういう
関係から今後
日本がMSAの
援助を受けるということになりますと、
日本の産業の育成ということも
考えて、アメリカの必要なそうした装備もしくは兵器について、
日本で生産し得るものを
日本に注文することが従来よりはより活発になるだろうということは普通想像されるわけであります。そうい
つた心理的な影響から参ります
日本経済に対する動きということは
考えられますが、金銭に見積
つてそれが幾らになるか、あるいはどういう形で来るかということを今明言することはちよつと困難ではないかと思います。