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1953-06-24 第16回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十四日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 上塚  司君    理事 今村 忠助君 理事 熊谷 憲一君    理事 福田 篤泰君 理事 並木 芳雄君    理事 田中 稔男君 理事 戸叶 里子君    理事 池田正之輔君       増田甲子七君    喜多壯一郎君       須磨彌吉郎君    帆足  計君       穗積 七郎君    西尾 末廣君       石橋 湛山君    大橋 忠一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         保安政務次官  前田 正男君         保安庁次長   増原 恵吉君         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         外務事務官         (大臣官房長) 大江  晃君         外務省参事官         (大臣官房審議         室付)     広瀬 節男君         外務事務官         (欧米局長)  土屋  隼君         外務事務官         (経済局長)  黄田多喜夫君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         外務事務官         (国際協力局         長)      伊関佑二郎君  委員外出席者         国家地方警察本         部警備部長   山口 喜雄君         運輸事務官         (航空局国際課         長)      奈良橋一郎君         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 六月二十二日  委員穗積七郎辞任につき、その補欠として佐  々木更三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として、穗積七郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員喜多壯一郎辞任につき、その補欠として  志賀健次郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員志賀健次郎辞任につき、その補欠として  喜多壯一郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二十日  旅券法の一部を改正する法律案内閣提出第五  九号) 同月二十三日  国際小麦協定を修正更新する協定の受諾につい  て承認を求めるの件(条約第一〇号) 同月十七日  妙義浅間地区駐留軍演習地等設置反対の  請願中曽根康弘紹介)(第一〇八八号) 同月二十二日  離島大島駐留軍艦砲射撃演習場使用反対  に関する請願館俊三紹介)(第一三三二  号) 同月二十三日  妙義浅間地区駐留軍演習地等設置反対の  請願武藤運十郎紹介)(第一四二三号) 同月二十四日  浅間地区駐留軍浅間演習地設置反対請願(  井出一太郎紹介)(第一四八一号) の審査を本委員会に付託された。 六月二十二日  浅間山演習地使用反対に関する陳情書  (第三五  一号)  同  (第三五二号)  同  (第三五三号)  同(  第三五四号)  妙義浅間山ろく米軍演習地設置反対陳情  書(第三五五  号)  北海道大島米軍演習地化反対に関する陳情書  (第三五六  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国際航空運送についてのある規則統一に関す  る条約批准について承認を求めるの件(条約  第一号)  航空業務に関する日本国オランダ王国との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第五号)  航空業務に関する日本国スウエーデンとの間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第六号)  航空業務に関する日本国ノールウエーとの間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第七号)  航空業務に関する日本国デンマークとの間の  協定締結について承認を求めるの件(条約第  八号)  国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官  の職務等に関する法律案内閣提出第四八号)  在外公館名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第五三号)  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 上塚司

    上塚委員長 これより会議を開きます。  まず国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官職務等に関する法律案、及び在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案一括議題といたし、政府より提案理由説明を求めます。大江官房長
  3. 大江晃

    大江政府委員 ただいまより国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官職務等に関する法律案提案理由を御説明いたします。  この法律案は、いわゆる引揚者の帰国のための臨時措置の対象となる在外国民を除き、一般領事官の駐在している地に在留する在外国民が、困窮のため帰国を余儀なくされあるいは在留する国の官憲による退去強制の処分を受ける場合におきまして、それらの者が自己の負担で帰国できないときには、領事官がその職務の一端として帰国援助する等の措置を定めるための法律案でございます。現に、平和条約発効在外国民であつて、これに対してわが政府として援助等措置をとらなければならない事例がすでに発生しており、さらにその件数は増加することが予想されます。  従いまして、これらの在外国民につき、その援助等措置をどう定めるか、また、その費用の償還をどうするか等の事項法律規定する必要が生じたのであります。  以上が、この法律案を提案いたします理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御採択あらんことをお願いいたします。  次に在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案提案理由及びその内容を御説明いたします。  去る第十三回国会におきまして、在外公館名称及び位置を定める法律昭和二十七年法律第八十五号)及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律昭和二十七年法律第九十三号)が制定せられまして、昭和二十七年度内に設置すべき在外公館についての諸規定が定められました。  今日わが国外交施策の推進、特に通商関係の発展を期するため在外公館を増設する必要はなお切なるものがありますが、政府といたしましては、昭和二十八年度において増置すべき在外公館について慎重な検討を加えました結果、在キユーバ、在コスタ・リカ、在パナマ、在ヴエネズエラ、在ボリヴイア、在イラン、在オーストリア、在ルクセンブルグの八公使館、並びに在ベレーン、在ダッカ、在ナイロビ、在ラゴスの四領事館、合計十二館を増置いたす方針を決定いたしました。なお右増置予定十二館のうち、在パナマ、在コスタ・リカ、在ボリヴイア及び在ルクセンブルグ公使は、それぞれ在メキシコ大使、在ペルー公使及び在ベルギー大使をして兼摂せしめるものであります。従つてこの四館につきましては当面、人員と予算を必要といたしません。なお、このうち在パナマ、在ボリヴイア、在ルクセンブルグの三公使館は早急に開設する必要がありましたので、国会閉会中に政令をもつてすでに設置いたしたものでありますが、このたび在コスタ・リカ公使館とあわせてあらためて法律をもつて設置するものであります。  右の十二館増設のため、第一条におきまして、在外公館名称及び位置を定める法律昭和二十七年法律第八十五号)の一部を改正いたすわけでございます。  第二条につきましては、右十二館の増置に伴いまして、これら在外公館に勤務する外務公務員に支給すべき在勤俸支給額を定める必要が生じますので、在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律昭和二十七年法律第九十三号)の一部を改正し、同法の別表に右十二館の在勤俸の額をつけ加えるわけであります。これらの在勤俸の額は既設の在外公館分について算定したのとまつたく同じ方法に基きまして、各館別及び号別に算出をしたものであります。  なお、昨年末、第十五国会において、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律昭和二十七年法律第三百二十三号)が制定され、特別職職員にも一般職職員と同様、年末手当にかえて期末手当が支給されることとなりましたので、在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律中の特別職たる大使及び公使にも期末手当を支給するため、同法中の年末手当に関する規定にかえるに期末手当規定をもつてするよう、同法をあわせて改正せんとするものであります。さらに、特別職職員給与に関する法律期末手当は、六月十五日及び十二月十五日の年二回に支給することになつておりまして、国内に勤務する特別職職員は、すでに本年度六月十五日の期末手当を受けておりますので、これとの均衡をはかるため、在外公館に勤務する特別職大使及び公使にも、本年六月十五日に支給すべき期末手当に相当するものを、この法律施行の日から五日以内に支給するよう定めんとするものであります。  第三条につきましては、日本政府在外事務所設置法昭和二十五年法律第百五号)に基いて、講和条約発効前三十の在外事務所が設置され、さらに昨年八月、日本政府在外事務所増置令昭和二十七年政令第三百六十一号)によりマニラ在外事務所が増設せられたのでありますが、マニラを除きこれら在外事務所所在地には、講和発効後それぞれわが国の大、公使館あるいは総領事館領事館が設置され、従来の在外事務所所掌事務であつた事項は、すべてこれらの在外公館が処理しておる次第でございます。従いまして、今回、右政令をもつて増置された在マニラ日本政府在外事務所法律化してこれを残置いたしますとともに、その他の在外事務所を一括廃止することが適当となりましたので日本政府在外事務所設置法中表の一部を改正いたす次第であります。なお在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律附則におきまして、在外事務所に勤務する職員当該在外事務所所在地に置かれる大、公使館(総)領事館に勤務する在外職員とみなし同法を適用することになつておりますので、日本政府在外事務所設置法給与に関する規定を廃止する必要がある次第でございます。  終りに、附則におきましては、この法律は、公布の日から施行することを定めるとともに、在マニラ在外事務所に関する日本政府在外事務所増置令及び在ルクセンブルグ、在パナマ、在ボリヴイア公使館に関する在外公館増置令は、それぞれ、この法律で設置されるのに伴い不要となりますので、これら増置令を廃止することを定めんとするものでございます。  以上が在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を提案する理由及びその内容説明であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あらんことをお願いいたします。
  4. 上塚司

    上塚委員長 これにて二法案についての提案理由説明は終了いたしました。ただいまの二法案質疑次会に譲ります。     —————————————
  5. 上塚司

    上塚委員長 次に、国際航空運送についてのある規則統一に関する条約批准について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国オランダ王国スウエーデンノールウエーデンマークとの間の協定締結について承認を求めるの件を一括議題といたします。質疑を許します。並木芳雄君。
  6. 並木芳雄

    並木委員 次々と航空協定ができて行くことはまことにけつこうであります。そこで当局に伺いたいのでありますが、二十八年度、すなわち本年度中における外国航空網の開設の計画説明願いたいと思います。
  7. 下田武三

    下田政府委員 この問題は、航空局の方からお答え願つた方が適当と思いますが、航空局奈良橋国際課長が見えておりますから……。
  8. 奈良橋一郎

    奈良橋説明員 二十八年度におきましては、アメリカ側の免許を得ました後に、ハワイを通りましてサンフランシスコまで延ばす計画と、それからアジア方面では、沖繩台湾まで参ります線と、もしできれば香港を通りましてバンコックまで行く線、これだけを二十八年度計画いたしております。
  9. 並木芳雄

    並木委員 二十八年度中の使用航空機についてのお尋ねをしておきたいと思います。大部分これは輸入の航空機にまつものと思われますが、その点どういうような計画を持つておられるか。  それから国内産飛行機を使用するという計画についてはどういうふうに話が進んでおられますか。
  10. 奈良橋一郎

    奈良橋説明員 日本航空会社が使用します機種につきましは、いろいろ検討の結果、ダグラス会社のつくりますダグラスDC六Bというのを使うことになつております。来月の上旬にその最初の一機がこちらに引渡される予定になつております。それから九月の下旬、十月の上旬にそれぞれ次の第二、第三のDC六Bが輸入される予定になつております。  第二の御質問の国内産飛行機の製造に関しましては、通産省がその所管に当つておりますが、さしあたり国際航空につきましては、国内産飛行機は使用しないということにいたしております。
  11. 並木芳雄

    並木委員 ただいま日本航空会社という話が出ましたけれども日本航空株式会社法案という法案が今上程されたところだと思います。この会社についての法案を出した目的と、これの事業内容、それからこれに対する政府援助、そういうようなものについてちよつと説明しておいていただきたい。
  12. 奈良橋一郎

    奈良橋説明員 日本航空株式会社法案は、この前の国会に提出いたしまして御審議を願いまして、衆議院本会議の方は通過いたしたのでありますが、解散のためにそのままになつておりまして、今回さらに同一の法案を提出いたしまして、ただいま御審議を願つておるわけであります。  それからこの日本航空株式会社は、国際線とそれの基盤となる国内幹線を運航することを目的といたしております。  政府のこれに対する援助といたしましては、この会社資本金二十億でございますが、そのうちの半額十億を政府出資ということにいたしたいと考えております。
  13. 並木芳雄

    並木委員 現在使用しておる飛行場についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、外国航路国内航路合せてどういうふうな使用状況であるか、羽田飛行場のごときは、非常に使用度数が頻繁であつて、整理する必要があるということで、米軍当局の方から日本政府に対して申入れがあつたとか聞いておるのですが、それはどういうような申入れがあつたのか。  それから終戦の当時と比較して、現在使つておる民間航空飛行場とどのくらいの差があるか、それを知つておきたいと思うのでする  そうして本年度中の民間航空に使われる飛行場拡張計画、それもあわせてお尋ねしておきたいと思います。
  14. 奈良橋一郎

    奈良橋説明員 現在日本側が使用いたしております飛行場は、日本航空が使つております八つの大きな飛行場、すなわち、北の方から申しますと、千歳、三沢、仙台、東京、名古屋、大阪、岩国、福岡この八つ飛行場のほかに小さい、飛行機が不定期あるいは使用事業と申しておりますが、この事業会社が使つております飛行場は小さいのが多少ございます。その詳細は追つて資料をお届けいたします。それから羽田飛行場の点につきましては、ただいま東京近郊には小型飛行機離発着場がございません。従つて全部羽田飛行場を使わざるを得たいような状態でございますので、あそこが非常に輻輳いたしまして、そのために大型の航空機離発着に支障を平すというような事態が出て参りました。そこで先般羽田飛行場米軍の方からその点について多少遠慮してもらいたいというような申出がございましたが、わが方といたしましては、それならば、ほかに小型飛行場返還してほしいという問題を提起いたしまして、目下交渉を続けております。それから終戦当時のわが方が使つておりました——終戦当時におきましてわが方は飛行機事業をやつておりませんので、特に使つた飛行場というのはないわけでございます。その後漸次アメリカ軍がいらなくなつた飛行場日本側返還しております。どの飛行場返還されて来ておるかという点につきましては、後刻資料を提出いたしたいと思います。
  15. 並木芳雄

    並木委員 朝鮮休戦が成立いたしますと、米軍が使つておる飛行場もだんだん日本側返還されて来ると思います。その場合に日本政府としてはこれを民間航空に転換をして行く計画があろうかと思いますけれども、その計画についてお尋ねをいたします。またすぐ返還にならなくても、朝鮮休戦が成立しますと、米軍飛行場使用の限度というものは低くなつて参りますから、あわせて民間航空に使うことができるようになるのではないかと思いますが、その点いかがですか。調布飛行場返還の話もあるやに聞いております。そういう点をあわせて答弁願いたいと思います。
  16. 奈良橋一郎

    奈良橋説明員 朝鮮休戦協定が成立いたしました場合に、現在アメリカ軍が使用しております飛行場のあるものを日本側返還する意向があるかどうかという点につきましては、先般来極東空軍の方と交渉いたしておりますが、特にわが方といたしまして返還してもらいたいと考えて交渉しておりますのは、福岡板付飛行場であります。これはわが方が朝鮮なり台湾に飛んで参りますときにはぜひ使用したしという計画でございますので、この点について特に強く極東空軍の方に要求をいたしております。調布飛行場返還の問題は、先ほど申しました羽中の飛行場離発着が非常に数多くなつて来ているために、少くとも小型飛行機については調布飛行場を使いたいということで先方に申し入れておりますが、これも目下話合いの途中でございます。
  17. 並木芳雄

    並木委員 もう一点、現在日本人に限らず、日本から外国飛行機で行く場合には、やはり円建払いでいいことになつていると私了解しております。将来日本航空外国に行くようになりますと、もちろん円建でありますけれども、今のようなコンヴアーテイブル円というのですか、あれと違つて、純粋の意味の円建となるのではないかと思うのです。つまり非常に楽になると思うのでありますけれども、その点の計画はどうなつておりますか。現在の運賃支出い方法との違いを説明していただきたい。
  18. 奈良橋一郎

    奈良橋説明員 ただいま日本人外国航空会社飛行機に乗りまして外国に参りますときには円で支払いますが、その円はコンヴアーティブル円と申しますか、ドルにかえられ得る円でございますが、日本航空会社国際航路を持つようになりました場合には、そういう特殊の円ではなく、ただ普通の日本の円で支払い得るようにいたしたいと考えております。
  19. 上塚司

    上塚委員長 両案に対する御質疑はほかにございませんか。——ございませんでしたら次に移ります。     —————————————
  20. 上塚司

    上塚委員長 国際情勢等に関する件について質疑を行います。外務大臣及び保定庁長官はただいま予算委員会で答弁中であります。しかし十一時半ごろには当委員会へ出席せられる予定でございます。それまで、両大臣以外の方に質問せられるお方はありませんか。——戸叶里子君。
  21. 戸叶里子

    ○戸叶委員 伊関局長がお見えになつておりますのでお伺いしたいと思います。ついおとといの新聞に出ておりましたが、赤羽にある日本製鋼所で争議中米兵が発砲したということが新聞に報道されておりましたが、その真相を伺いたいと思います。
  22. 伊関佑二郎

    伊関政府委員 あの工場には三つ違つた労務者が働いているわけでありまして、一つは日本製鋼でございますが、これがストライキをやつております。それからブリジストン・タイヤというのもあそこに働いております。これはストライキをやつておりません。それから米軍に働いている労務者がおります。これもストライキはやつておらぬわけであります。そこでこの日本製鋼の方のストライキをやりまして、門の前でピケツト・ライン張つてつたわけであります。そこへ米軍軍属米軍に働いている労務者を、五名と申しておりますが、乗せて参りまして、そのピケツト・ラインを通ろうとしましていざこざが起きたわけであります。その際に、中に乗つておりました女の子が二人泣いたとか、あるいは自動車窓ガラスがこわされたとかいうふうなことで、施設内におりました米軍の衛兵が空に向けて威嚇射撃をした、こういう事件でありまして、事件の詳細につきましては、どちらが先に手を出したか、どういう被害米軍軍属自動車にあつたか、あるいはピケツトを張つてつた労務者の方がどういう被害を受けたかというふうな点につきましては、目下検察当局が取調べをいたしております。ですから当時の状況がもう少しはつきりいたしませんと、その威嚇射撃をしたことが過度の行為であるか、あるいは正当なる行為であるかという判定は下しがたい、こう思つております。ただいま調査中でございます。
  23. 戸叶里子

    ○戸叶委員 威嚇行為について調査中というお話でございましたけれども、そのように日本側労働組合ストライキを起している場合に、米軍の側では、そういうふうな威嚇行為をすることそれ自体が法律に反する、というようなことはないのでしようか。
  24. 伊関佑二郎

    伊関政府委員 行政協定の第二十三条に、「日本国及び合衆国は、合衆国軍隊合衆国軍隊構成員及び軍属並びにそれらの家族並びにこれらのものの財産の安全を確保するため随時に必要となるべき措置を執ることについて協力するものとする。」こういう条項があるわけでありまして、結局、米軍軍属がおりましたために、その安全を確保するために必要とする措置であつたかどうかという問題になるわけであります。法的な根拠はここに求めるわけでありますが、その当時の情勢によりまして、この必要な行為であつたかどうかという判定をしなければならぬわけであります。
  25. 戸叶里子

    ○戸叶委員 伊関局長のお考えは、それが、米軍軍属が自分の身を守るために安全な行為としてとつたとお考えになるわけでしようか。
  26. 伊関佑二郎

    伊関政府委員 それは目下検察庁において取調中でありますから、その調べの結果を待たなければ、判定は下し得ないと思います。
  27. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この日鋼のストライキが起きた理由というのは、米軍に使用されている労働者日本側労務者との間の賃金の差が四千円くらいある。そこで、仕事は同じであるから賃金を同じにしてほしいという要求から起きたということを聞いております。そういうような場合に、私どもの常識から考えますならば、米軍ガードが来まして、そして日本労働組合争議を起していることに対して、発砲して威嚇行為をしたということは、明らかにこれは一方的行為だということを私ども考えますけれども、その点に対しての伊関局長の個人的なお考えはどうであるかを、もう一度伺いたいと思います。
  28. 伊関佑二郎

    伊関政府委員 当時威嚇発砲いたしましたのは、争議原因とは直接に関係ないと思います。要するに、米軍軍属の安全という問題からして、そういう必要があつたかどうかどいう問題でありまして、争議原因いかんとは関係はなかろうと思います。
  29. 戸叶里子

    ○戸叶委員 安全か安全でないかということは、お調べにならなければわからないとおつしやいますけれども、何か労働組合の方でこのガードに対して安全を妨げるような行為をしたという情報が、いくらかでも入つてつたのでしようか。
  30. 伊関佑二郎

    伊関政府委員 目下調査中でありますから確報ではありませんが、自動車のフェンダーが曲つてつたとか、あるいはナンバー・プレートが曲つてつたとか、それから右でしたか左でしたか、窓ガラスが二枚きずが入つておる。それから軍属のアロハシャツを着ておつた、その二つ目三つ目のボタンがちぎれておつた、あるいは手にかすりきずを受けておつたということが、今までの調べでわかつております。
  31. 戸叶里子

    ○戸叶委員 局長が今調査中でおありになりますと、これからそのガードに対してどういう処置をおとりになるかということもこれ以上追究できないと思うのですが、もう一点その問題で伺いたいのは、今ピケ・ラインが引かれておるために、アメリカ側に雇われております人たちが、その中に入つて仕事に行くのに、どうしても行列していで四時間くらい遅れるのだそうです。ところがアメリカ側の方では、その遅れた時間のうち二時間しか換算しておらないために、あとの二時間分の給料は払わないでもいいと言つているそうですけれども、そういうことを言い得る権利があるかどうか、あるとするならば、どういう法律によつてあるかということを伺いたいと思います。
  32. 伊関佑二郎

    伊関政府委員 私が存じておりますのは、TOD労務者が入るのに時間がかかつて困るので、なるべく早く入るようにしてほしいということを米軍側から申して来ておりますが、遅れたために労賃を差引くというふうな話は、私の方はまだ存じません。もしそういうことが事実としました場合に、それが労働法規のどこに反するか。これは、私は専門でございませんので、労働省と相談をいたさなければ、ちよつとお答えいたしかねます。
  33. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは局長の方としては、こういう問題は、米軍がその二時間分を支払うべきだとも支払うべきでないとも決定しかねるわけでありましようか。あるいはまたそういう法律は全然ないというわけですか。
  34. 伊関佑二郎

    伊関政府委員 常識的に申しましたらそういうことはおかしいと思いますが、私はその詳しい法規を存じませんので、ちよつとお答えいたしかねるわけであります。
  35. 戸叶里子

    ○戸叶委員 その問題はもう少しよくお調べいただきまして、日本労働者人たちに、卑屈にならないような解決法をなるべく早く与えていただきたいと思いますが、これはやはり日米行政協定の問題とも関連性が非常にあると思いますので、もう一点の問題と関連して、行政協定のその後のアメリカ上院の成行きについて伺いたいと思います。局長は、五月二十五日に香椎線海ノ中道駅でもつて勤務中の機関車乗務員に対して米軍人が傷害事件を起した、つまり機関士と機関士の助手を首を締めたり毆つたりした、しかもその行為原因不明であるという事件を御存じであるかどうか、伺いたいと思います。
  36. 伊関佑二郎

    伊関政府委員 私は聞いておりませんので存じません。
  37. 戸叶里子

    ○戸叶委員 これは先ごろ国鉄の機関車労働組合の大会がございましたときに、こういう問題をそのままやみのうちに葬られるようなことがあつては困るから、ぜひともそうした犯人の逮捕を早くして、しかるべき措置をとつていただきたいということが大会の決議で決定しております。そういう点がまだおわかりになつておらないといたしましたならば、これは行政協定の十八条その他に関係した重大な問題でございますから、一日も早くお調べいただきたいと思いますし、私もあとからこの申入書を参考までに差上げたいと思います。  そこで行政協定改訂の問題でございますが、日米安全保障条約が施行されて一箇月、すでにNATOの条約——つまり一年以上たつたときにはこれの改訂を日本側から要求するということが昨年言われておりましたが、先ごろの外務委員会におきまして、条約局長が、アメリカの国会においてNATO協定が効を発しないうちには、日本側の方としてはそういう問題を控えておいた方がいいというような御答弁がございました。その後、岡崎外相の外交問題の演説におきまして、NATOの見通しもややついたような御発言がございましたので、この前の委員会条約局長に、何かこのNATO協定に対して今国会中に解決するような見通しがあつたかどうかということを御質問いたしましたところが、そういう通知があつたというように御答弁になつたと思います。その通知というものが、一体どういう内容を持つたものであるかを、ここで公表していただきたいと思います。
  38. 下田武三

    下田政府委員 この前、通知とは申さなかつたのでございますが、戸叶さんの、何かそういう情報があるのかというお尋ねに対しまして、そういう情報を入手しておりますとお答えいたした次第でございますが、これはだれがどう言つたということは、ちよつと公表をはばかるのでございますが、要するに日本の在米大使館が、アメリカ政府側の責任ある人の見解を求めましたところ、米国政府の見通しとしては、その可能性があるということを申したのでございます。しかしながらこれはやはり政府の見通しでございまして、可否を決定するのはアメリカの上院の権限でございますから、この政府の見通しが絶対確実ということは言えないかもしれません。しかしながら、アメリカの上院がNATO協定批准について承認を与えるかどうかという可能性の見通しにつきまして、政府の見通しを私どもは入手しておるわけでございます。絶対確実という百パーセントの保証は、政府の見通しでございますから、その点は御了承願いたいと思います。
  39. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、岡崎外務大臣の外交演説の中にも、今国会において何らかの決定を見そうだというお話も、結局政府の見通しを根拠として言われたものでありましようか。
  40. 下田武三

    下田政府委員 その通りだと思います。今日まだ上院が採決をしておらないのでありますから、上院自身の意向というものはわかりませんで、大臣のおつしやいましたのも、やはり政府の見通しを根拠として言われたものと思います。
  41. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは私は非常に危険だと思うのです。決定権が国会にあるといたしますならば、その国会がこれを通さないうちに、政府がどういう情報を持つても、日本政府がかつてにそういうようないい情報が入るだろうというような見通しをつけて、いつまでも日本政府として何らそれに対する手を打たずに、向うからの通知を待つているというような、そういつた卑屈なあり方というものは、事ここに至つては、もう許さるべきではないと思うのです。こういうような裁判事件などが起りましても、そのまま泣寝入りにならなければならないケースがどんどん起きて来ると思います。ですから日本政府としては、もはや正当な理由をつけて行政協定の改訂を要求することができるのですから、一日も早くそういう点をすべきではないかと思うのでありますが、その点に対するお考えのほどを伺いたいと思います。
  42. 下田武三

    下田政府委員 実は何も卑屈な態度をとつておるわけではございません。大臣も私も申し上げました通り、政府行政協定上の権利を行使いたしまして、つまり二段構えの措置をすでにとつておるのであります。第一は、第十七条第一項の規定に基きまして、行政協定発効後一年たつたらNATO協定を選択するかいなかを行使することができるという権利を、日本は持つております。その権利を行使いたしまして、NATO協定を選択するぞという意思表示を、すでにしておるのであります。ところがNATO協定そのものが、アメリカの上院で採択されるかどうかわからないのでありますから、もしNATO協定が採択されない、あるいは採択が非常に遅延するというような場合には、第十七条第五項の権利を行使いたしまして、リコンシダー、つまりアメリカの再考慮を要請するぞということも申し入れておるのであります。それでは何が残つておるかというと、どういうように再考慮しろと言うかということだけが残つておるのであります。そこで、どういうように再考慮しろということを今具体的に言うのが、得策かどうかという点だけが問題なのであります。私どもの見通しでは、上院はむしろ採択する可能性の方が多いというのでございますから、この日本側の見解によりましても、べストだと思いますところのNATO協定が選択されるならば、何も今あわててNATO協定以下のものを申し出る必要はないではないかというのが、私どもの見解なのであります。
  43. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私はその点の意見は少し違うのです。NATO協定が最高のものであるならば、最高のものであるものを日本側から先に申し出るべきだと思うのです。それをNATO協定が最高のものだからといつて、最高のものが採択されるのを待つているというようなやり方は、非常になまぬるいやり方だと私どもなどは考えるわけです。しかもこのNATO協定が採択されるかされないかということは、まだはつきりきまつておらないと思います。もしもそれではこの国会中に採択されなかつた場合にはどうなさいますか。されると思つて今まで待つてつたけれども、されないからしかたがない、それでは改訂してもらいたい、そういうような態度にお出になるのでしようか。
  44. 下田武三

    下田政府委員 幸いにしてアメリカの上院の会期も、ちようど日本国会の会期と同じように、大体八月前に終るようなぐあいになるのじやないかと思います。従いまして国会の会期中に米国の態度というものははつきりすると思うのであります。でございますからその際には、はつきりしたことが申し上げられると思います。もし万一不幸にして米国の上院がNATO協定批准をいたしません場合には、もちろん先ほど申しましたリコンシダーの要求はすでにいたしておるのでありまして、それに対して話に応じますという回答も得ておるのでありますから、リコンシダーの内容をその際はつきり申し出たいと思います。ただ今日の段階におきまして、NATO協定あるいはそれに近いものを採択しろと申しましても、アメリカの政府としては、まだ上院が承認をしていないものと同じようなものをのめと言つたつて、それは無理ではないかということを言うにきまつておると思います。その点先ほど来申し上げましたアメリカ側の見通しと関連いたしまして、万全の措置をとるようにいたしたいと思います。
  45. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私どもはなるべく早くそういう問題は改訂していただきたいと思いますが、この問題をさらに追究するのはこのくらいでやめておきます。  もう一点伺いたいことは、ヨーロツパでNATOをすでに国会で認めている国はドイツだけではないかと思うのですけれども、そのほかにどういう国があるか、また認めておらない国は、どういうことが原因となつて認めておらないかというような点を、伺いたいと思います。
  46. 下田武三

    下田政府委員 私どもの覚えておりますのは、フランスが批准しております。ベルギーも批准しております。デンマーク批准しております。イギリスはどうなつたか、まだ情報を入手しておりませんが、大体アメリカの上院の批准時期を見はからつて一齊に批准ずると思つております。カナダもすでに批准しております。それでアメリカの上院が批准したら、すぐに批准書を寄託するというばかりに待ち構えておると思います。日本と同じように、NATO協定の発効をヨーロツパ各国も希望しておりますので、もつぱらアメリカの成行きを見て、批准に必要なそれぞれの手続を了して、待機しておるという形であろうと思います。
  47. 上塚司

  48. 並木芳雄

    並木委員 伊関局長と国警当局に伺いたいのですが、この前、グローブマスター号の墜落について伊関さんにお尋ねしたら、よく調査してお答えするということでございました。ところがあるとき、伊関さんは、行政協定に機密保持の条項があるから、それでカバーできるのではないかというお答えだつたのです。つまり小平町に落ちましたグローブマスター号の立入り禁止その他について、新聞記者や放送記者、あるいはカメラマンなどの報道人が非常な制限を受けたということなんです。ところがあれは国連の飛行機ではなかつたかと思う。そうすると、日米安全保障条約に基く行政協定というものは適用されないで、対国連軍関係ということになりますから、問題はもつと微妙なのではないかと思います。その点をきようは確かめたいのですが、その前に、実際の事故について、国警当局調査が済んでおられると思いますから、その点をまずお尋ねをいたします。
  49. 山口喜雄

    ○山口説明員 事故の模様でございますが、これは十八日の四時半過ぎでありますが、場所は青梅街道を通つて行きますと、国分寺から村山の方に行く電車の線路があります。それを通りましてすぐ街道の北側約百メートルのところであります。米軍側の被害につきましては省略いたしますが、日本側被害を申し上げます。人が一人やけどをいたしております。全治約三、四週間くらいのやけどをいたしております。それから付近にありました十坪ばかりの小屋が一軒焼けております。それからその事故の際に、救助その他死体の搬出等に関連しまして自動車が相当出入りしましたので、付近の農作物に相当の被害を及ぼしておるのであります。私の方で調べましたところによりますと、被害を受けましたものが約二十人、三町四反くらいにわたつておりますが、これは被害者が減税の申請のために町役場に申請書を提出したものによつて調べたのであります。どのくらいの損害があるかは、これは特別調達庁の方で最後的に認定をされるものと思うのであります。被害状況につきましては大体以上であります。
  50. 並木芳雄

    並木委員 今被害はわかつたのですけれども米軍飛行機の方の被害については、日本の官憲は立ち会つてないはずなんです。こういうことが施設の中あるいは区域の中で行われたのならばまだしも、施設の外で行われているのです。普通の農地で、それに日本の官憲が一人も立ち会わないで行われるということがあり得るか、これは治外法権になるのじやないかと思う。昼間の事故で一目してどこどこの飛行機だということがわかるからいいのですけれども、これが夜分なんかに落ちて来た飛行機だとするならば、一体どこの国籍を持つた飛行機だかわからないということも極端に考ればあり得る。いきなりなわ張りをつくつてしまつて日本の警察官を入れないで、何かそこでさつと引揚げてしまうということが行われて、日本の官憲としてはどういうことがその中で行われているかということを確かめるよすががないとすれば、これは主権の侵害になる、こういうふうに考えるのです。それも行政協定で日米安全保障条約の関する限りならば、まだこの前の伊関さんの答弁はあるいは当つているかもしれないのです。しかしこれは国連の作戦に従事している国連軍の飛行機でありますから、国連軍との協定ができておらない今日、とれをどういうふうに扱つて行かれるか、この点なんです。
  51. 伊関佑二郎

    伊関政府委員 この前御質問がございましたので、警察の方に連絡をいたしました。これはむしろ警察からお答えすべき問題かもしれませんが、私どものとりました情報によりますと、墜落後現場に直径約三百メートルの非常線を米軍の要請によつて日本側の警察の手でもつて引いた、こういうのが私の方の受けておる情報であります。それから行政協定か国連軍協定かという問題でありますが、これはこうした場合に、この飛行機が国連軍の飛行機であつたか、米軍飛行機であつたかという点も問題でございます。乗つておりましたのは主として朝鮮におる軍人でありますが、政府といたしましては国連軍協定の交渉の際にも、米軍であつても国連軍の軍人、主として朝鮮におります軍人については国連軍の協定を適用したいという考えでおりますが、この協定は今のところできておりません。それに対しましてアメリカ側は、日本におる以上は在日米軍として取扱つてもらいたいということを主張いたしております。と申しますのは、なかなか区別することもむずかしいし、それから日本におる間に日本で問題が起きれば、当然在日米軍として日本の防衛に当るのであつて、その間の区別はしにくかろうというような点も申しておりました。これは今のところ懸案になつております。国連軍協定の交渉が一時ストップしております。しかしその間におきましては、日本におります米軍につきましては今のところは行政協定を適用いたしております。
  52. 並木芳雄

    並木委員 そうすると損害賠償はどういうふうに行われるのですか。それと、実際にその被害については日本の官憲が立ち会つておらなかつたというのですが、先方の被害内容は全然わかりませんか。そうだとすれば私はこの際特に確かめておきたいと思うのですけれども、ある区域、施設の外でそういうことが起つたということで、内容にタッチできなかつたのだとすればたいへんなことになると思うのですが、そのことについての御答弁とあわせて御答弁願いたいと思います。
  53. 伊関佑二郎

    伊関政府委員 日本の警察はもちろん立ち会つております。ですから日本側被害はわかつておるわけであります。それから向うの被害につきましては、これは日本側が補償するというような問題は起りませんけれども、必要があれば問い合せれば教えてくれると思います。それから今のところ行政協定を適用しますから、補償の際は七五%が向う持ちで二五%がこつち持ちというふうになつております。
  54. 上塚司

    上塚委員長 木村保安庁長官が見えましたから、通告順によつて質疑を許します。西尾末廣君。
  55. 西尾末廣

    ○西尾委員 私は木村保安庁長官にお尋ねいたしたいのでありますが、日米安全保障条約の前文におきましては、米国は日本が直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的にみずからの責任を負うことを期待しつ云々と、こういうふうに定めておるのでありますし、私の承知するところでは、一九五五年を一応の目途として考えておるように思うのでありますが、当然日本政府といたしましても、この精神にのつとりましてできるだけ早くアメリカの軍隊は帰つてもらつて日本の国は日本人で守るということについてのいろいろ考慮なり計画なりがなくてはならないと思うのであります。大体そういう情勢のもとに、日ごろから日本の国は日本人で守らなければならぬという信念を持つておられる木村長官が、かつて九州において発言せられたということは、木村長官の立場からしますならばしごくもつともなことだと思うのであります。しかもそのときはあたかも国会が開かれる直前であります。さもなくてさえ国会では、この問題が非常なウエートを持つて論ぜられるであろうということがわかつておるわけであります。しかも木村長官は、それを単にこれは自分の個人的な試案であるということを前提としないで談話をせられたのであります。聞くところによりますと、吉田総理にもこの案が提出せられておるというのであります。単に自分が胸のうちで考えておるというのではなくて、文章にせられて、それが自分の案にもせよ、総理大臣に出されたということは、これはやや表面的ではないまでも、相当公の性質を帯びて来ているのであります。後にはこれはそうではなかつたのだという取消しのようなことがありましたが、私の伺いたいのは、この国会を前にして、吉田総理の手元に出した案を談話として発表せられたということの、その政治的感覚、いかなる政治的意図をもつてそういうことをせられたのか、あるいは政治的感覚がまつたくゼロであつたのか、その点を伺いたいのであります。
  56. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。私は九州へ出張の途次、随行の記者の諸君、これは平素親しくしておるのであります。その人たちからいろいろの話があつたのであります。そのときに、現在の保安庁、保安隊、これらの行き方、それから計画いかんという質問があつたのであります。そこで私は、大前提としてただいま日本の置かれた財政力をもつてしては、現在のところ十一万を増員することは不可能である。但しこれは訓練の強化と、あるいは装備、施設の改善、拡充によつて十分にこれを強化して行きたい、これが大前提であります。  次に計画の点については、およそ計画を立てるについては、あらゆる面から考察しなければならぬ、特に経済審議庁あろいは大蔵省あるいは通産省、運輸省その他の面と十分なる協力態勢を整えて、これを計画するのが当然である。しかしその程度に今至つていない。ただこういう方針でもつて自分は案を立てさせておる。これは一部局であります。この案はまだ省議を経ていなのであります。これは発表してもらいたいということであるから、それは省議を経ていないから発表できない、これが事の真相であります。総理の手元に出したというのは、これは私は九州一の出張の途次、たまたま他に要件があつたのでありますから、自分の心構えとして、いわゆる将来の日本の治安情勢によつて警備力を増加する必要のある場合に、どれくらいの点まで増加すべきであるかという一応の試案であるからということで、これはもとより総理は私の直属長官でありますから、これを何したところが、総理は、まだ不確定の案ならば、さらに確定の案ができた上にしてもらいたいということで私は引下つたのであります。これが事の真相であります。
  57. 西尾末廣

    ○西尾委員 そういう話をするということは、大体それが商売でついて行つている新聞記者があのような発表をするだろう、ああいう新聞記事にするだろうということもおよそ常識的には理解できるのであります。それを国会直前に発表したというからには、われわれの受けるところでは、すでに総理の手元にも出しておるし、相当自信を持つたものであるとしか考えられぬのであります。私が最初に伺いましたような、そういう扱い方をした、それは政治的に一体どういう意図があつたのか、まつたく政治的な考慮は払わなかつたのであるか、これを伺いたい。
  58. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。さような政治的考慮は毛頭もありません。ただただ新聞記者諸君——これは私はあえて言います。保安庁の新聞記者とは常に会談をいたしておるのであります。これは談話でありまして、私は発表する意図なんか毛頭もないのであります。つまり自分の心構えはこうだということを申したにすぎないのであります。
  59. 西尾末廣

    ○西尾委員 私は木村長官の立場もよくわかるのでありますから、いたずらに追究するようなことはしないつもりであります。それでもつとほかのことを伺いますが、一体政府はしばしば現在の状態では再軍備はしないんだ、こう言つておりますが、しからばプリンシプルとしては軍備をしたいと考えておられるのであるかどうか伺いたい。
  60. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 しばしばその点については申し上げておるのでありますが、およそ独立国家として、みずからの手によつてみずから守るべき態勢を整えるのは、私は当然だと思います。ただいかんせん、日本の国情、ことに財政的面からして、やむを得ずアメリカ駐留軍の手によつて直接侵略を防止し、内地の治安は保安隊でやつて行く、両々相まつて日本の平和と秩序を維持して行こう、この建前になつておるのであります。もとより私は日本の財政力が増進し、しかも国民の意気がそこまで上るのであれば、私は当然いわゆる再軍備と申しましようか、みずからの国をみずからの手によつて守るべき態勢を整えるのは当然なことであろうと私はこう考えるのであります。
  61. 西尾末廣

    ○西尾委員 木村長官はそうお考えになつておるということは伺うまでもなく大体わかつておるのでありますが、政府はそう考えておるのでしようか。そういうことについて閣議等においていろいろ御協議なさつたことがありましようか。
  62. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 閣議の問題とはまだなつておりませんが、およそ日本の国民である限り、さような考えは、発表することは別問題であろうと考えますが、私はみな持つておるのじやないかと思います。
  63. 西尾末廣

    ○西尾委員 私はみんなのことを聞いておるのじやないのであります。吉田総理は、今まで諸条件のために軍備はしないのだということを言つてつて、プリンシプルとしても軍備はしないのだと、とればとれるような意見を吐いておるようであります。原則として木村さんの言われるように、日本の国は日本の国民の武装によつて守らなければならぬのだということは、いまだ一言も言つていないのであります。そこに吉田総理と木村保安庁長官との間のニユアンスの違いがあるのであります。そこで政府として、建前としては軍備を持つべきである、しかしながらその条件が整わないために、今のところは軍備は持たぬと政府考えておる、こう了解していいのかどうか伺つておるのであります。
  64. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 さようなことは、まだ閣議では問題になつておりません。従つて政府の意図としては私は申し上げることはできません。
  65. 西尾末廣

    ○西尾委員 閣議にそういうことがかからぬまでも、日米安全保障条約の前文に書かれておるように、防衛力を漸増して、しまいにはアメリカの軍隊に帰つてもらうということをアメリカが期待しているということをこちらも了承してあの条約を結んだのでありますから、私は、日本政府としては軍備を持つべきであるという考え方を持つておるものと理解するのが当然だと思うのであります。この重要なことを、政府の方針が何であるかということを確定しないままで、自分の個人的な意見ばかりを今まで木村長官が言われておつたとは少々受取りがたいのであります。政府の方針もやはりあなたの言われる通りじやありませんか、もう一度伺いたい。
  66. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 前言を繰返すようでありますが、政府の意図としては私は断言はできないのであります。ただここで西尾君にお考えを願いたいのは、御承知の通り、憲法第九条第二項によつて戦力の保持を禁止されておるのであります。従つて戦力を持つということになれば、ここに初めて憲法改正問題が出て来るのであります。その点についての考慮も十分に払わなければ、これは決定することはできないのであります。そこで繰返して申しますが、要するに独立国家となつた以上は、みずからの手によつてみずからの国を守るべき態勢を整えることは当然であるが、われわれはその日の一日もすむやかならんことを期待いたします。そこで問題は、日本の財政力と、ほんとうに戦力を持たなければならぬという日本国民の自覚がどこまで出て来るか、この問題であるのであります。われわれは軽々しくここでそういうことの断定はしかねるのであります。
  67. 西尾末廣

    ○西尾委員 そこには二つの問題があると思うのであります。憲法で戦力を持つことは禁止せられておるのでありますから、持つことはできません。しかし政府は、日本日本の国民によつて軍備を持たなければならぬのであるから、将来軍備を持ちたいと考えておるのだということは、決して憲法に禁止するところではないのでありますから、そういうことは言えるのであります。言えないから言わないのでおるならわかるのでありますけれども、言えるのにかかわらず、木村長官と吉田総理の意見の間にはニユアンスの非常な違いがある。そういう意味で私は伺つたのでありますから、この一点で答弁にならぬのであります。私の質問に満足な答弁をいただいたとは言えないのであります。  もう一点は、国民の間から軍備を持つということが盛り上つて来なければならぬと言われましたが、これは吉田総理がしばしば使うところのきわめて議会的な巧妙な答弁の一つであります。およそ民主主義というものは、民主主義が完成した時分に、国民のすべてが、主権者である有権者のすべてが、世界の情勢に対する的確なる認識を持ち、ものの判断においてすぐれた判断ができるようになつたときにおいては、その責任の地位にある行政府は、ただ民意を聞けばよいのであります。しかしそういうような完成された民主主義というものは、世界のどこにも存在しないのであります。日本もまた、その中でも文明の割合には最も民主主義の遅れた国というのでありますから、この軍備を持つべきかどうかという問題を、単に国民の輿論の盛り上りを拱手傍観して待つということは、今日の政治家のとるべき態度ではないと思うのであります。専制政治のもとにおいては、権力者の持つておる考え方を民衆に押しつけるのであります。民主主義においては、押しつけることはできないけれども、その責任の地位にある者が、将来への政治の見通しをもつて、一個の見解として自分の計画的な考え方を世間に発表する、そうして民衆の判断に訴える、そこには賛否両論が起つて来るということによつて、民衆の意思がだんだん輿論となつて形成されて行くのであります。でありますから、吉田さんの言われるように、ただ単に民主主義の政治であるからといつて、軍備を持つか持たぬかという問題を、国民の盛り上りを待つということは、私は遁辞でしかないと思うのであります。ちようどそれと同じようなことを今あなたは言われたのでありますが、おそらくあなたはそういう考えではない、少しあせつておるのではないか、これではいかぬではないか、そこにあなたと吉田さんとの間に感覚の違いがあるのではないか。私はその点について、あなたは閣議においては政府部内においても、あなたの考えを堂々と主張されていいのではないか。そしてよきにせよ悪しきにせよ、問題に対して常に政府考え方を国民に述べて行くということがなければならぬのではないかと思う。
  68. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は逆の考え方を持つております。政府が自分の考えを国民にしいるような形で持つて行くことは、民主主義に反すると思うのであります。とかくそれがあやまちのもとで、国民に対して政府がある行き方をしいるような形式になりますと、これはたいへんなことになると思う。われわれといたしましてはどこまでも国民の盛り上る考え方をよく把握して、向うところを誤らしめぬようにするのが政治の要諦であろうと存じます。従つて私は、民間において日本が戦力を持たなくてはならぬのであるというような気持の盛り上りの一日もすみやかならんことを期待しておる次第であります。西尾君においても、その点について御同感であれば、大いに力を注いでいただきたい、こう考えます。
  69. 西尾末廣

    ○西尾委員 少し議論が荒つぽいように思うのでありますが、もちろん政府考え方を国民にしいるということはよくないことであります。またしいることなんかできやしません。しいるとかしいないとかいうのではなくて、これはいろいろな問題が出て来るのでありますが、たとえばMSAの問題について見ますと、内交渉があつたかどうかという問題も後に論議いたしたいと思いますけれども、そういう一つの問題について、政府政府としてこういう考えを持つておるのだという一つの大衆が考える材料を提供する、また政府考えはこういうものだということをやはり出されて、国民の批判と判断にまつという態度が必要じやないか。それをただ臭いものにふたをするようにして外交辞令で逃げてまわつているのが、今日の政府の態度じやないかという意味で私は申し上げておるわけであります。これは見解の相違ということにもなりましようが、私は決して政府の意見を国民にしいるのだ、それが民主主義だ、そうしなければいかぬのだというふうには考えていないのであります。  次に、あなたはやはり九州談話の中で、憲法第九条を改正せずとも軍備を持ち得るとの説は傾聴に値する、こう言われたそうであります。初めてあなたはこれを言われた。この問題については、あなたはおそらく内心軍備を早く持ちたいということをお考えになつておられて、従つて憲法の問題等につきましては、相当御研究があつただろうと思う。それがこの国会を前にして、憲法を改正せずとも軍備を持てるということは傾聴に値すると言つたことは、政治的に見ると非常に重要なる性質を持つのであります。どういう意味であなたは傾聴に値するとおつしやつたのでしようか。
  70. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私も憲法第九条の解釈については非常に興味を持つております。そこで、一体自衛のためなら戦力を持つことができるか、これは議論の焦点であるのであります。最近に私はある雑誌を読んだのでありますが、きわめて厳密に、分析的に戦力を持ち得るのであるという議論が出ておるのであります。そこで私はかような意見をもつて傾聴に値するといつた次第であります。およそ傾聴に値するといえばすぐそれが賛成であるかのごとくとられますが、反対論を聞いておつても、その反対論がきわめて巧妙になつておればわれわれはこれを傾聴に値するということは当然です。傾聴に値するからといつて必ずしもそれに賛成するという意味では毛頭ないのであります。
  71. 西尾末廣

    ○西尾委員 それはほかの人が言つたのならあなたの言う通りで、われわれそういう言葉は傾聴するに値しないのであります。元来あなたは閣内においても、所管の関係もありましようが、最も率直に、日本の国は日本の国民によつて守らなければならぬということを常に言うておられる。しかも軍備を持つということになりますと、今の憲法の改正ということが大きな障害になつて来る。その障害が実は障害でないということを、あなたもそうかもしれぬと言うところに実は政治的な意味があるのであります。だからあなたの言われるように、単に傾聴に値するということはもちろん賛成したことではないことはわかつておりますが、傾聴に値するという言葉は非常に意味深長な言葉です。非常にあなたは触手が動いたのじやないかという気持がするのですが、そうじやないのでしようか。
  72. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私の考え方は、もうすでに前国会においても憲法九条の解釈についてはしばしば言つておる通りであります。しかしながら最近にもさような説をなす者があり、その論文たるや詳細微妙をきわめておる、まことによく分析的に研究しておるから、これは傾聴に値するということを談話の中でたまたま言つたのであります。私はこれを発表したわけでも何でもない、談話の一節なのです。
  73. 西尾末廣

    ○西尾委員 私は実は警察予備隊令が保安庁法にかわつたときには議席を持つていなかつたので、その理由をしつかりと把握していないのであります。他の議員諸君にははなはだ御迷惑でありますけれども、警察予備隊令では寸法が合わなくなつて、保安庁法に改正したときの理由、事情というものをもう少しく伺いたい。
  74. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 詳細は政府委員から申しますが、概略だけ私から申し上げておきます。  御承知の通り警察予備隊は、当時の国内の治安情勢の必要からポツダム政令として急遽制定されたものであります。警察予備隊の組織及び権限については、きわめて抽象的に規定されておるにすぎないのであります七ところで昨年の八月に機構改革の問題が起つたのであります。そこで行政機構改革の一環といたしまして、簡素にして能率的な機構のもとに警察予備隊と海上警備隊と統合して、その一体的運用をはかるために、保安庁というものが創設されたのであります。この保安庁のもとに保安隊と警備隊、この二つのものが相関的に互いに関連して、日本の治安維持のための全きを期するということになつたのであります。これが大体の構造であります。
  75. 西尾末廣

    ○西尾委員 それでは、政府委員の詳しい説明を聞くほどの必要もないと考えますが、今言われたように、二つの法律を統合するという、いわゆる法律行使上の便宜から統合したというものとは事情が違うのじやないか。たとえば警察予備隊というときには、まことに警察予備隊らしくはつきりしておつたのです。あなたは抽象的と言われましたけれども、その方がはつきりしておるのであります。保安庁法になつてから、実は何が何だかわからないようになつた。だからもつとほかに事情があつたのではなかろうかと思いますが、いかがでしよう。
  76. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 別にほかに事情があつたわけではありません。今申した通りであります。
  77. 西尾末廣

    ○西尾委員 それでは重ねてお伺いしますが、私は保安庁法と警察予備隊令とを比較してみたのでありますが、保安庁法は第四条において「保安庁は、わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し、運営し、」云々こうなつておるのであります。警察予備隊令の第一条においては「この政令は、わが国の平和と秩序を維持と、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うため警察予備隊を設け、その組織等に関し」云々となつておる。これを四つにわけてみると、保安庁法の「わが国の平和と秩序を維持し、」というこの言葉は、警察予備隊令の「わが国の平和と秩序を維持し、」と同じような文句がそのまま残つておるわけです。警察予備隊の方においては、その次に「公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、」こういうことになつておるが、保安庁法では、それに該当するものが「人命及び財産を保護するため、」これは公共の福祉を保障するという中には、人命及び財産を保護するためという意味も含まつておりましようが、しかし公共の福祉を保障するという方が、元来政府がしばしば説明しておるような内乱に備えるという、いわゆる間接侵略に備えるというためには、この方がむしろ抽象的でなくて具体的にはつきりしておる。人命及び財産を保護するためというよりは、公共の福祉を保障するという方がはつきりしておるように思う。もう一つ、保安庁法には「特別の必要がある場合」こんな抽象的なことでは何のことかわからぬ。ところが警察予備隊の方では「国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うため」とまことに明瞭に具体的になつておるのでありますが、保安庁法では「特別の必要がある場合」何の特別の必要がある場合か、抽象的でちつともわからぬ。あなたは警察法の方が抽象的であつたというけれども、保安庁法の方が抽象的である。その次は警察予備隊令では、「補うため警察予備隊を設け、」警察予備隊といえば、明らかに警察の予備の部隊である、普通警察で、内乱等を鎮圧することができない場合に、そのために予備につくつてあるのだというので、この点でも警察予備隊というのははなはだ具体的によくわかつておるのでありますが、保安庁法においては「部隊を管理し」部隊という抽象的のものでは何のことかわらぬ。こういうふうに見てみますと、やはりこれは警察予備隊令のごとく、政府がしばしば現在でも説明しておるように、まつたく間接侵略、国内の治安維持のために起つたものであるということが明瞭なのです。この場合においても、もしかりに外国から日本を侵すというような場合がありますならば、われわれ武器を持たない人民でも、ときには竹やりを持つてでも防衛に当らなければならぬ場合があり得るのですから、ましてやこういう警察予備隊がその衝に当ることは当然であります。それなら、今までの政府説明だけなら、警察予備隊令を警察予備隊法にすればよかつたのではないかと思うのに、保安庁法ということになつて来ると、特別の必要がある場合に、そういうふうに部隊だとかいつて抽身的なことにしておるのです。ここにいろいろ政治的なねらいがあるのじやないかと思うのでありますが、こういう点はもつとはつきりなさつたらいかがです。
  78. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私が抽象的だと申し上げたのは、警察予備隊の組織及び権限についての規定がきわめて抽象的だ、それを詳細にしたのが保安庁法であるのであります。これは警察予備隊令と保安庁法と対照して御研究くださいますれば、いかに保安庁法が権限組織について詳細をきわめてあるかということは一目瞭然であります。ただ申し上げたいのは、警察予備隊にいたしましても保安隊にいたしましても、国内の平和と秩序を維持するということを任務としておるということは、かわりはないのであります。
  79. 上塚司

    上塚委員長 西尾君に申し上げますが、保安庁長官及び外務大臣に対する質疑者が他にもありますので、なるべく簡潔にお願いいたします。
  80. 西尾末廣

    ○西尾委員 それでは、今の点は説明を伺つただけでは、予備隊令がいけないならば予備隊法にすればいいのを、何かわからないようなことにしたということの説明は私に了解できないだけでなく、国民が了解しないところだろうと思うのです。  それからこの保安庁法をつくつた時分には、現在の保安隊の実体、富士山麓であたかも軍隊が野戦の遭遇戦をするがごとき演習を試みるような保安隊ができるということを予想しておつたのでしようか、いかがでしようか。
  81. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 予想も何もありません。富士山麓における演習は装備編成の点からわれわれは一体どういうことができるかということを試験的にやつたにすぎないのであります。往々にしてこれを軍隊がやつておるようなことだと申されますが、御承知の通り大きな内乱、大擾乱があつた場合には、相当の手当はいたさなければならぬ。私は次のように考えております。率直に申し上げますれば、内地で大反乱、擾乱が起つたときには、必ずや集団暴徒が外部から侵入することが多く見られるところであります。こういうときにあたつてどうするかということについてふだんから研究する必要が私はある、こう考えておるのであります。さような次第で、われわれはふだん訓練をするときにも、どういう状態に置かれるかということを考えてみまして、やはり一応の試験的なことをやつてみる必要があると考えております。
  82. 西尾末廣

    ○西尾委員 こまかいことももつと突き進んで掘り下げていろいろ伺いたい点があるのですが、他の委員諸君の質問の時間を考えまして端折つて申し上げますが、この法律で特別の必要がある場合ということがあるのでありますが、この特別の必要がある場合ということは、一体どういう場合が予想せられるのでしようか。たとえば外国の軍隊の落下傘部隊が日本に上陸して来たという場合とか、あるいは海岸に敵の軍隊が上陸して来た場合、あるいはアメリカの駐留軍から外敵に対する予防あるいはまた直接に外敵と戦う場合に保安隊が協力を求められればそれにも協力するという場合をも、この特別の必要のある場合の中に含まれておるのでしようか。
  83. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 特別の必要のある場合というのは、大体において警察力をもつてはとうてい処置をし得ない場合をさしておるのであります。
  84. 西尾末廣

    ○西尾委員 私が今三点あげましたが、そういう場合には使わないのですか。
  85. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 初めから使う目的でやつておるわけじやありません。しかし今西尾君仰せになりましたように、そういう万一の場合に遭遇いたしますと、国民は大多数おそらくこれに向つて立ち向つて行くことであろうと思います。その場合には当然保安隊も警備隊も日本を防衛するためには働くことであろうと私は考えております。
  86. 西尾末廣

    ○西尾委員 あなたは正直に言われました。それで富士山麓の演習とかいろいろなことが大体わかつて来るのであります。しかしながらこれは一兎を追う者は二兎を得ずで、今の保安隊では、治安の維持のためにも、ましてや外敵の侵入を防ぐということ、もちろんこれは防衛協定関係米軍と協力してやる場合においても、両方とも半可通なものになつて役に立たぬではないかと思うのであります。私は軍隊としての任務をするに役に立たぬということは、多くを論ずるまでもないと思いますから省略をいたしますが、これが主として内乱に備えるということでありますならば、内乱に備えるところの訓練がなくちやならぬ。私は先般新町の保安隊のところに行つて、内乱鎮圧のための演習、訓練をやつたことがあるかといつて聞いてみたところが、メーデー前に二日ほどちよつとやりました、それ以外にやつたことがありません、こう言つておるのでありますが、一体内乱鎮圧のための訓練あるいは演習というものをほかでやつておりますか。
  87. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 やつております。
  88. 西尾末廣

    ○西尾委員 どういうことですか、具体的にひとつ……。
  89. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 一度おいでになれば私はそれをごらんに入れます。
  90. 西尾末廣

    ○西尾委員 私が見るだけでなしに、これは国会の討論を通じて国民に理解してもらうということが非常に重要な職務でありまして、私の聞いたところでは、メーデー前に二日間ちよつと訓練しただけだ、これを暴鎮訓練と言つておりましたが、ほかではやつたことはありませんと言つておる。具体的にはどこの場所でやつたのですか。
  91. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 具体的にどういうことをやつておるかといつても、そういうものを持つて来なければわからぬから言えませんね。それはいろいろな方法はあります。そういうものに使うべきものもありますから……。
  92. 西尾末廣

    ○西尾委員 たとえば内乱の場合は、よし内乱を起そうともそれはわれわれの同胞であります。軍隊の場合は相手の戦闘力を失わせるために殺すということが主たる目的であります。内乱の鎮圧は相手を殺すことではなくて、一応しずめるということでありますから、当然そこには重戦車や大砲でなくて消防のホースで一応追い払う、あるいは催涙弾その他ガス弾を発射するとか、富士山麓の演習でなくて市街戦もしくは市街の近くでいろいろな場合を想定して演習するということでなければならぬと思うのであります。およそそういうことはやつてないのであります。つまり軍隊らしい演習だけはやつておりますけれども国内治安のための演習訓練というものはやつてない。それで私は伺うのでありますが、説明ができないということで、やつてないという事実をもし隠蔽するという疑いを受けられることは政府の損ではないかと思うのです。しいてとは言いませんが、御答弁になりますか。
  93. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 事実やつておるのです。はつきり申し上げますが、普通のメーデー事件というようなことであれば、これは国警が担当して処理ができると思つております。しかしおよそ大反乱、大擾乱というものはあんなものではいかぬと思う。われわれは各国の例を見ましても、必ずしもそういうことを聞いてないのであります。そういうときにどうするかということを頭に置いていただきたい。この間の東独の暴動事件も大したものではなかろうと思つておりますが、あれでも普通の警察力では鎮圧できない。あれより大きいものが起つたときにどうするかということを、われわれは不断に頭に置いて行かなければならぬ。今はきわめて平静でありますが、その奥に何がひそんでおるかということを、国家の平和と治安を維持する上においてわれわれは考えざるを得ないのであります。どうぞ御了承願います。
  94. 西尾末廣

    ○西尾委員 まだ了承できないのですが、単に警察力だけではいけない程度のもので、しかも間接侵略、内乱という程度のものであれば、重戦車を使つてあなたの御希望のように飛行機を百台も買い入れてやるという程度のものではないのです。今富士山麓で演習をしておるような状態、これに飛行機も加えるという状態、それが活動するという想定が行われる場合には、それは間接侵略があるとともに直接侵略もあるわけであります。そういう時分には日本の保安隊だけでは防衛できないのであります。むしろそのときには米軍と協力ということがなくてはどうにもならないような状態になるのでありまして、私は保安庁法が、主として国内の治安維持のために、間接侵略のために主として存在するというのでありますから、それならば主としてそのことのための演習なり訓練をすべきではないかというのです。どうもそこが私のみならず、国民も納得しないところではないかと思うのであります。しかしこれはそのままにしておきます。  もう一つは間接侵略の場合には、おおむね今日の国際情勢から見ますならば、共産党が、あるいは陰に陽に指導するということになりましようから、従つてそれは反米感情をあおるということが伴うのであります。そういう場合に、今の保安隊の様子を見ておりますと、服装はアメリカの兵隊さんのような服装で、日本の昔のおまわりさんのような服装ではない。それからこれの創設当初の指導者も、アメリカの兵隊さんである。ごく最近まではいろいろの演習までもアメリカの兵隊さんの顧問がおつて、これを指導しておつた、そうしてその保安隊が持つて使う——たとえば日本の国民の一部の者が暴動でもした場合に、それに向うところの武器は、すべてアメリカ製のものであります。そうするとこれはまつたく共産党によき口実を与えるのではないか。あれは日本人ではないのだ、アメリカ軍の手先なのだ。こういうことになれば、むしろそういう内乱を起すものに、かえつて好餌を与え、火に油を注ぐようなことになるのではないか。そういう点から見ても、現在の保安隊というものは、内心ではむしろ対外の侵略に備えるという、憲法によつて行うことができないのを、憲法を目隠しして、軍事的な言練をやろうというところに、むしろ重点が移つておるからこういうことになつておるのではないかと思うのであります。ほんとうに内乱を鎮圧することに重点を置くならば、やはりあまりアメリカの手先のような感覚を持たせないようなくふうが必要ではないかと思いますが、いかがでしようか。
  95. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 御説ごもつともです。どこまでも保安隊は国民の信頼を得ろ、また親しみを持たれる保安隊でなければならぬ。今服装の点のお話が出ましたが、しかしあの服装は必ずしもアメリカそのものではありません。いろいろ苦心して活動しよいようにしておるのであります。顧問団のお話も出ましたが、私就任以来顧問団はほんとうに必要である限りのものはいたし方がありません、向うから一部借りておるものもありますから、それらの取扱い方についての指導を受ける場合には、やむを得ず助言を受けるのでありますが、その他の点においては現在アメリカ駐留軍関係は全然ないことであります。
  96. 西尾末廣

    ○西尾委員 もう一点だけ伺いますが、今の保安隊をわれわれは、あれは保安隊という名の軍隊だと解釈をしているのでありますが、おそらく国民の大多数も保安隊という名の軍隊だと考えていると思うのであります。いな国民だけでなくて、今後MSAの援助日本に与えようとしているアメリカの当局も、アメリカの人民も、それを保安隊という名の軍隊だと考えて、これを増強するために軍事援助を与えようということだろうとわれわれは考えているのであります。御承知のごとく、MSAの援助内容を見ますと、軍事援助と経済援助と技術援助と、大体大別して三種類ありますが、日本に与えようとするところの援助は中国その他アジア向けの項目の中のいわゆる十億ドルほどの中から日本にわけるということになつている。その十億ドルは最初予算を組んだときは五十八億ドルでありましたが、その後四十八億ドルに十億ほど削られたかと思いますが、その四十八億ドルのうちの十億ドルというので、明らかに経済援助、軍事援助はごくわずかなんです。その軍事援助の中から日本援助するものの予算がその中に組まれていること等から見ましても、これは保安隊という名の軍隊を強化するためにMSAによる援助を与えようとしているものだと私ども考えているのであります。政府は今の保安隊を軍隊でない、軍隊でない、こういうことを言われている、吉田総理も千四百億ほどの予算を持つているものを軍隊などと言えば、世間に笑われるということを言われましたが、試みに私の調べたところによりますと、レフアレンスのナンバー二十の中に五十九箇国の軍備に対する概況が書かれているのであります。この中でアイスランドのごとく全然軍備を持つ必要もなく軍備を持つていないところを除きまして、レフアレンスの中に載つている五十八箇国の中で現在の日本の保安隊、警備隊、これに近く購入されるところの航空機百機を加えたものをかりに基準として比較をしてみますと、これよりも上まわつているものとしてもちろんアメリカやイギリス、フランス、ソ連、中国は当然でありますが、そのほかやや日本によく似ているスイス、スウエーデン、ブラジル、ポーランド、ブルガリア、東ドイツというような劣勢な軍備を持つている国でありましても、日本の今の防衛体制よりも上まわつているものが二十三箇国、それから大体日本と同じくらいなものと判断できるものは西ドイツ、オーストラリア、ギリシャ、オランダなど大体四箇国、日本の今の保安隊よりも劣勢なものはベルギー、ポルトガル、ノールウエーなどを含む三十一箇国ということになつております。これら日本の今の保安隊よりももつと劣勢である軍隊も言うまでもなくその国民の主観的な認識から申しましてもこれを軍隊だと考えている。国際的にこれを客観的に見るものも軍隊だと容認しているのであります。もし吉田さんの言うがごとく千四百億くらいな、今の日本の保安隊のごときものが軍隊というならば世間で笑われるということなら、この三十数箇国の国はみな笑われるということになるのです。およそそれが軍隊であるかないかということは、いろいろな判断の仕方がありますけれども、これはやはり主観的に軍隊でないのだということでなく一般の普遍性というものがなければならぬ。一般的に客観的にそれは軍隊でないといつて了解できるようなものでなければならぬのではないかと思うのです。日本だけが憲法の都合上軍隊でないのだと言つていることは、いわゆるさぎをからすと言いくるめることであつて、国際的に通用しないのではないか。あなたは政府の言い方によりますればこれらの軍隊も軍隊でないと言わなければならぬと思いますが、この矛盾に対してひとつ国民の納得するような御説明をいただきたい。
  97. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 一体軍隊とは何ぞやということです。そこで軍隊とはまず第一に対外戦争を目的として創設されたもの、そしてわれわれの解釈によりますれば、これは戦力に関係して来る。つまりその編成装備から申しまして、近代戦を有効に遂行し得る総合実力組織である、こう解釈いたしております。そこで保安隊は対外戦争を目的としてつくられたものではありません。しかもその装備編成からいつて、とうてい近代戦を遂行する能力がないのであります。これを軍隊と言おうと言うまいとそれはごかつてであります。しかし法律的解釈から申しますと、私は軍隊にあらずという解釈が適当であろうと考えております。
  98. 西尾末廣

    ○西尾委員 そういう議論を政府は、吉田さんもいろいろ言われておるのでありますが、それではどうもおかしいのであります。今日の軍隊というのは、昔の軍隊のように一国の軍備、一国の戦力というものでその国の防衛をするものではなくて、集団安全保障の時代であります。集団安全保障の時代でありますから、これはある国が、たとえば極端なことを言えば、日本が今の半分の軍隊を持つておる。しかしこの軍隊だけではもちろん日本の国は守れないから、アメリカと安保条約を結び、あるいは防衛協定を結んだということになります場合には、日本一国の兵力だけでは日本の国は守れないけれども、これは軍隊である。これは他の国と協力することによつて、軍隊の役目を果すことができるのであります。すなわち日本の今の保安隊程度のものは、はなはだどうも不完全で不十分でありますけれども、これはアメリカと防衛協定をするという限りにおいては、十分に戦い得る能力があるのであります。だから近代的戦争に耐えるか耐えないかということは、それならばどこの国でも原爆を持つていなければならぬかどうか。どこの国でも爆撃隊を持つていなければならぬかどうか。そういうようなことは定義にならぬのであります。一国の軍隊だけを考えるのでなくて、それが軍隊としての範疇に入るか入らぬかということは、その防衛協定をやつておる国の電力と総合的に考えるべき性質であつて、ただ日本の軍を切り離して、こういう千四百億程度のものは軍隊と言えないとかなんとかいうことは、近代的軍備というものを語る資格なしということではないかと思うのです。いかがですか。
  99. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私は、保安隊は憲法第九条第二項にいう戦力ではないと思います。およそ憲法第九条は何を規定しているか。いわゆる「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」ということが書いてある。そこで自衛力は持つてよろしいということは、これは当然なことであります。ところがこの戦力、いわゆる近代戦を遂行し得るに足るべき、そういう陸海空軍に相当するようなものであれば、これは往々にして侵略戦争に使われるおそれがあるから、それをつまり禁止するということになつておるのであります。ここをはつきり皆さんに頭に置いていただきたいと思います。そこで今の保安隊は、装備編成の点からいつてきわめて貧弱で、さような戦力に至らないものである、こう言つておるのでありまして、たまたま集団的に侵入して来た場合にどうするか、これはやはり日本の平和、治安を乱されるのでありますから、その場合には当然出動することがあり得ると、私はこう考えておるのであります。
  100. 上塚司

    上塚委員長 西尾君に重ねて申し上げますが、保安庁長官と外務大臣は、予算委員会の都合で、午後一時半近くまでしか都合ができません。しかるに質疑者はなお七名の通告があります。どうか簡略に願います。
  101. 西尾末廣

    ○西尾委員 わかりました。私は今の長官の説明になつていないと思います。また憲法問題を出しましたが、私はこの憲法の制定時代に、その特別委員でもありましたので、あの憲法がいかなる精神によつてつくられたか、つまり第九条一項の精神が何であるか、あるいは第二項の戦力とは一体何を意味しておるかということについては、政府考えているのとは私は違つた考え方を持つておるのであります。こういうことにつきましてもなお質疑を重ねたいと思いますが、他の委員の質問もありますので、一応私はあとの質問を留保いたしまして、きようはこれで終つておきます。
  102. 上塚司

    上塚委員長 西尾君の質問の留保は、次の機会にとりはからいます。
  103. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 議事進行について。簡単に申し上げますが、この時間とそれから質疑者の数から行くと、どうしても押し押しになつて十分なことはできません。ひとつ委員長の手元で至急理事をお集めくださつて——問題から行けば、予算総会でやられていることでも、ここで十二分常任委員会の特徴を生かして論議して行つてこそ、私はためになることであると思いますから、水曜日、土曜日の定例委員会ということにとらわれず、予算委員会の都合を見——予算委員会は、きようは第二陣、第三陣が九人ありますが、まだ二人か三人しか行きますまい。従つて大臣の出席を求めておつても十分行かぬのでありますから、あすでもあさつてでも、定例委員会以外に適当に開いて、こういつた両方で論議した方が十二分の効果が得られるということについて、ひとつごくふう願いたいと思います。
  104. 上塚司

    上塚委員長 喜多君の御要求に対しましては、いずれ理事会に相談いたしまして決定いたします。
  105. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 さよう願います。
  106. 上塚司

    上塚委員長 両大臣に対する質疑は、通告順によつて発言をさらに継続いたします。穗積七郎君。
  107. 穗積七郎

    穗積委員 私は木村長官と岡崎外務大臣お尋ねしたいと思いますが、先におもに木村長官にお尋ねいたしまして、後に時間がありましたら岡崎外相にお尋ねしたいと思います。なお質問に入ります前に、長官にお願いいたしておきたいと思いますのは、私は学生時代から長官に交誼をいただいておりまして、長官の高潔なる人格と愛国心に対しては、大いに敬意を表しておるのであります。そこで私は、どういうことをするのが日本民族の将来のためになるかということについて、一閣僚の立場にとらわれて、官僚的な逃げ品上を言われないように、男らしく国を愛する精神を吐露していただきたいことを、最初にお願いいたしておきます。  そこで第一にお尋ねいたしたいと思いますのは、講和発効後におきます保安隊に、アメリカの軍隊から武器を借りたりもらつたりしているようですが、それは一体どういう武器を、どういう条件で、金額に直してどれだけ借りておるか、最初に明らかにしていただきたいと思います。
  108. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 アメリカ駐留軍から借りております武器につきましては、各部隊でその土地駐屯のアメリカ駐留軍の武器保管者から事実上の使用を受けておるのであります。しかしこれについてはいろいろの不便もありますので、ただいま保安庁中央部と駐留軍中央部との間に、いかようにこれを処置すべきかということについてせつかく交渉中であります。まだ結論には達しておりません。その使つております武器につきましては、事務当局から答弁いたさせます。
  109. 穗積七郎

    穗積委員 これは委員長にもお願いいたしておきますが、委員長からも注文していただきたいが、何月幾日からどういう種類の武器をどこへ借りたのか、もらつたのか、——そのこまかい報告をきようお尋ねしておりますと、時間がかかりますから、書類をもつて事務当局から各委員に配付願いたいと思つておりますが、御了承願えますか、長官にお尋ねいたします。
  110. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 現在数はあとで報告いたしましよう。
  111. 穗積七郎

    穗積委員 それは一体アメリカ政府としてでありますか、駐留軍の部隊長の権限においてでありますか。それからまた、これを受けます日本側政府の責任においてお話になつたのか。こちらの保安隊の部隊長がその権限内で受けられたのか。そのことを明らかにしていただきたい。
  112. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これはただいま申し上げましたように、部隊長がその保管者から借りておるのであります。それでは不便を生ずるから、中央部で一括してやろうと今せつかく交渉中であるということであります。
  113. 穗積七郎

    穗積委員 これはしかし外電の報ずるところによりますと、部隊長は大体アメリカ本国の許可または承認を一々得ておるようでありますが、その事実はございませんか。
  114. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 その事実は私はわかりません。
  115. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、部隊長同士で話をされたようでありますが、どういう条件でそういうことをされたのか、伺いたいのであります。
  116. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 別にこちらに附帯条件はありません。事実上の使用をしておるだけにすぎません。
  117. 穗積七郎

    穗積委員 それからこれを借りますのは、一体文書の交換によつておりますか。あるいはただ口頭での話合いでございますか。さらにもう一つ続いてお伺いしたいのは、一体こういう重大な問題を、部隊長が独断でもつて決定する権限は、法律上どこに根拠がございましようか、ちよつとお尋ねいたします。
  118. 増原恵吉

    ○増原政府委員 長官からお答えを申したように、ただいま保安隊が使つております武器は、米軍が持つております武器を、事実上われわれに使用さしてもらうという形で使つております。ですから、保安隊の部隊長が受取りを出して借りておるという形式はまだとつておりません。現在はまだ米軍顧問将校が部隊におりますから、一応これが管理をしておるという建前で、現在は事実上部隊が使うということになつておるわけでありますが、今長官が申しましたように、それでは向う側もいろいろ不便があるということでありますので、中央で一括して借りるということにしてはどうかという話合いを、進行中であるという段階であります。
  119. 穗積七郎

    穗積委員 私のお尋ねしておるのは、これわわれわれの判断、または外国情報によりますと、非常に重大なひもつきの、最初のたいをつるためのえさのえびになるとわれわれは危惧するから、くどくお尋ねしておるのであります。額が少額であり、または口頭によつて何らの条件もなしに向うがくれるということに対して、非常に軽く答弁をしておられるようでありますが、われわれはそうは理解できない。近い将来において、必ずこの問題がひもつき、またはわれわれがより多くものを返さなければならないようなはめに陥る危険が政治的に生じて来ると思います。そしてこれに対する今後のわれわれの返済の責任、またはそれに伴うところの代償、あるいは返済でなければ軍事的または条約上のオブリゲーシヨンを生ずる危険をわれわれは感ずるのであります。そういう意味におきまして、これはもらいつぱなしで、あとはかつてに断ることができるのか。あるいは棒引にすることができるのか。どういうように理解していらつしやるのか、ちよつとお伺いいたします。法律的な根拠はどうであるか。さらに今後統一して向うの政府または軍の代表者と、こちらの政府または部隊長のヘツドコーターとの間において、総合的かつ統一的におやりになるということであるが、今後もこういうことを継続されるつもりであるのか。私は六箇年間議会から遠ざかつておりましたので、今までの議会に対する御報告または御答弁がどうなつておるか存じませんが、これは今まで議会で承認を得られたのでありましようか。またそういうように今後も継続されるつもりであるのならば、MSAの問題も出て参つておりますので、重大でありますから、これを今後議会にお諮りになるつもりであるか。この三点について、ひとつ正確に逐次お尋ねいたします。
  120. 増原恵吉

    ○増原政府委員 現在借りておりますのは、申し上げたような事実上の使用という形でありまして、そうした使用をする根拠は、保安庁法に基きまして、保安庁で必要なるものを調達するという規定に基くわけであります。これに対してどういう責任を持つか等のことに関しましては、現在は事実上これを使用するということで、これに対して義務というものを何ら約束をいたしておりません。もし米国側で何らかこれについての代償を要求したいということにかりになりますならば、これはあらためて話合いとなるべきものであろうと私は推察をいたしております。
  121. 穗積七郎

    穗積委員 もう一つ議会との関係を……。
  122. 増原恵吉

    ○増原政府委員 議会に対しましては、現在の事実上借用という形の、借用の数を報告いたしたことがあります。
  123. 穗積七郎

    穗積委員 これは同時に外務大臣にもちよつとお尋ねいたしますが、私は今までのアメリカ政府の対日政策、特に再軍備強化政策、ことに五月以後急速に表面に現われて参りましたMSA問題に対する向う側の態度等を見ておりますと、岡崎外務大臣が、MSAの五百十一条に規定されたようなミリタリー・オブリゲーシヨンをやらないであろう、あるいはまた軍隊の要求をしないであろうというようなことを言つておられますが、それは向うの言葉にまつたくうらはらが合うのです。意識的にそういうふうなしめし合せをされたか、あるいは下打合せをされた結果であるか知らぬが、事実合うのです。それはどういうことかというと、こちらはいまだ輿論の上においても憲法上もさしつかえがあるので、それを表面に出されては困るという苦衷をこちらからもおそらく伝えてあり、向うもそれを了として、そこで日本に対する再軍備政策あるいは国際条約によりまする共同防衛の義務規定等につきましては、経済援助または続いてMSAによる援助を表面に出しますときに一挙に解決しようとしていない。これは保安庁の当局とされましても、過去幾ばくの金額になるかしれませんが、これを借ります以上は、そんなことに対する無責任というか無知、または見通しのないままに借りるということは、まつたく手落ちだと私は思うのです。アメリカの大体の方針というものは、日本の今の経済が朝鮮問題以来急速に行き詰まつておる、そこで日本の経済や国民生活をアメリカの軍事予算——MSAも性格的には軍事予算でありますが、その軍事予算に癒着せしめまして、そうしてわれわれが今日生きるためには背に腹はかえられないという事実をつくつておいて、しかる後に憲法改正なり、あるいは共同防衛の義務規定を打出して来る、あるいはまた軍隊の増強を要求して来る、こういうことは、国際政治に直面されて、日本の再軍備問題に対する当局におられる方々は、当然察知さるべきである。われわれは浪人いたしまして寝ておつてすらそれを感ずるのでありますから、そういう見通しにお立ちになるのが当然だと思う。従つて悪く言いますならば、親であります国民がまだ承知しないので、野合によつて事実関係をつくつてしまつて私生児をつくつて、できてしまつた子供に対しては親は遂に認知せざるを得ないというような事実をつくつて行こうとする政治政略がもう明瞭でございます。そういう意味におきまして、第一に最近のアメリカ下院の外交委員会における聴聞会の議事録が外電によつて報道されておりますが、その中では、これまでの日本の保安隊への援助をMSA援助に切りかえて、日本の自衛体制を促進するということが報道されております。このことは、われわれがこの報道なくしてアメリカの今までの政策をながめますれば、当然予期したところでございます。外務大臣あるいは保安庁長官におかれて、この借りました武器が一体どういう結果を生むかということに対して、どういう認識を持つておられるか、あるいはまた今後これをどういうふうに切りかえて行かれるつもりか、MSAとの関連において御所信を明らかにしていただきたいと思います。
  124. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 たびたび言うようでありますが、MSAの交渉はまだいたしておりませんから、具体的にこうなるということは言えませんが、お話のように、一般的には、今までの援助がMSAに切りかわるであろうという予想は立つわけであります。それにつきましては、ただいま穗積委員のお話では、自衛ということはいけないような御口吻のようにも聞えましたが、われわれは自衛を強化することは一向さしつかえないと考えておりまして、私も演説の中で、これが日本の自衛のためになるならば、かつ経済面に寄与するならば、受けることが望ましいということを申しておるのであります。
  125. 穗積七郎

    穗積委員 語るに落ちるとはそのことでありまして、今まで木村保安庁長官または増原次長のお答えになりましたところによると、まつたく無条件であつて、何らの義務も責任も今まで話合いがなかつたということですが、国の自衛の強化になるものであるならば、MSAに切りかえられてもけつこうだというのですから、今まで借りたことがえさになりまして、MSAに切りかえられますならば、MSAによる義務規定が問題になる。条件が問題になる、今まで岡崎外務大臣はわれわれの質問に対しまして、外電ではすでに予備交渉があるということが報ぜられ、あるいはまたアメリカ側の正式な発表、談話等においても、そのことを口にしているにかかわらず、何らやつていないと言われる。やつていないのはなぜかというと、条件次第であると言われる。受けるか受けないかは条件次第である。相手の条件を見てと言われる。条件が問題でございます。すなわちわれわれが杞憂したことく、今まで借りて参りました武器の貸与というものが、すなわちMSAを受けなければならなくなるような結果を事実上つくつて来ておる。それを承認せんとしておられるのであります。MSAによりまして、これが切りかえられることが日本の自衛の強化になるならばかまわぬというような御口吻でございますが、とんでもないことでありまして、MSAの問題というのは、条件次第であります。あなたのおつしやつた通りでございまして、従つてこの問題は切り離して処理すべき問題であるということを私は当然お答えになるだろうと思つたのでありますが、意外な御答弁であります。一体今までの御答弁と——それからMSAに対しまして外相はこれを含んで受けてもいい、これは事実受けておる、それをMSAに切りかえるというふうに暗々裡に向うの意図を了承されておるわけでありますが、MSAを受けることになれば、これを条約的に切りかえるのじやなくて、MSA自身についての重大な条件あるいは義務規定を予想しなければならない、その問題をどういうふうにお考えになつておるか、お答えを願いたいのであります。
  126. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 たびたび申すように、そういういろいろの義務規定もありますし、日本国内のいろいろの見解もありますから、まだ受けるとも、受けないともきめてないのであつて、受けるという交渉をいたしておらない、それは今後の問題であります。
  127. 穗積七郎

    穗積委員 それでは重ねてお尋ねいたしますが、今まで借りましたものも、今申しました通り、最近の状況ではMSAに結びつけて向うは処理しようとしておる空気があることは事実であります。岡崎外相もそれを認めておられる。従つてこの問題は非常に重要な意義を持つ種子でございますから、枝葉が出て来る結果になりますので、これを今後どういうふうに処理されるつもりであるか、それをお尋ねいたしたいのであります。保安庁長官にお願いいたします。
  128. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 私はまだMSAの問題は何ら聞き及んでおりません。内容もわかりません。ただいま使つております武器につきましては、私はMSAに関係なく将来も使い得るようにいたしたい、こう考えております。
  129. 穗積七郎

    穗積委員 何らのとりきめもなく、あるいは正式な決定もなく、だらだらとくれるものは借りておくということは、将来のために禍根を残すものだと私は思うのであります。従つてこれはぜひ早く何らかの形において——私は今までの責任を追究するのではない、将来必ずこれが問題になります。しかも保安庁長官のお答えによると、今後も継続してこれを受けることを予期しておられる、そういうわけでありますから、これが莫大な量になつたとき、そうして時日が長くなりましたならば、必ずこれは日本外交に対します、あるいは保安隊に対しますアメリカの発言権の一つの基礎になるのでありまして、長官も言われる得意の自衛というか独立自衛という条件にはなはだしくもとつて参りますので、従つてどういう理解でそういうことを言つておられるのか。それをお尋ねして、同時にこれを処理されるためには、あとで問題が起きないように明確にきまりをつけていただきたいと思いますが、それに対する所信をお尋ねいたします。
  130. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 ただいま申し上げましたように、MSAの関係は私はわかりませんが、万一そういう問題でこれとひもつきというようなことになるおそれのないように、われわれは十分考慮して処置いたしたいと考えております。
  131. 穗積七郎

    穗積委員 時間があまり長くなつてもいけませんので、またあらためてもう少し進んでからお尋ねいたしたいと思つております。
  132. 上塚司

    上塚委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕
  133. 上塚司

    上塚委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後一時十一分休憩      ————◇—————     午後二時四十六分開議
  134. 上塚司

    上塚委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。帆足計君。
  135. 帆足計

    ○帆足委員 中国との貿易の問題につきまして、引続き要望をいたし御質問をいたしたいのですが、外務大臣の御出席がありませんので、外務大臣への質疑次会に確保していただきますことを委員長にお許しを得まして、黄田経済局長お尋ねしたいと思います。  第一には、先日バトル法とココムの輸出制限の品目リストをいただきたいとお願いいたしておきましたが、まだいただいていないのでございますが、おとりはからいくたさいますようにお願いしたいのですが、黄田さんいかがですか。
  136. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 バトル法の品目のリストはただいま差上げるように準備いたしておるのでございますが、これは公表できない部分とできる部分とございまして、できる部分だけ差上げるようにいたしております。ただ、帆足さん御存じのように、世界週報にも出ておりますので、それとダブることになりますが、それを御承知おき願いたいと思います。
  137. 帆足計

    ○帆足委員 それからバトル法で発表なさらない方のリストとココムのリスト、これはどういう現状ですか。発表なさらないというのは、やむを得ない場合はもちろんしかたがありませんが、どういうことで発表できないことになつておるのですか。
  138. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 バトル法の方は、これはA類の方は出してもよろしい。B類の方は向うの秘密でございますから、従つてどもの方ではこれは発表することはできません。それからパリにありますココムの方のリストは、これは発表しない約束ゆえ発表できません。
  139. 帆足計

    ○帆足委員 外国が自分でつくりましたリストですから、発表なさらないのは外国の自由でありますけれども、われわれがそれによつて輸出をかりに制限されるとするならば、せめて、国の最高の主権を握つている私ども国会議員が知つていなければ、これは不合理だと思うのですが、それはどういうふうに理解すればよいのでございましようか。
  140. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 わが国は、朝鮮事変勃発後の状況にかんがみまして、毎回繰返し申し上げますように、独自の立場でどういう品目を記入するかということをきめておるのでありまして、従いまして、パリの方で非公式の委員会会議に出席いたしまして品目の討議をいたしますけれども、その結果に基きまして独自の立場でやるということになつておりますので、わが国の方といたしましては、輸出貿易関係は全部わが国の立場を示しているものであります。こういうふうに考えているのであります。
  141. 帆足計

    ○帆足委員 そういたしますと、お伺いしたいのですが、ヨーロツパ諸国が鉄のカーテンのかなた、すなわちソ連邦並びにその衛星国といわれている諸国と、それから中国に輸出しておる商品品目の実は詳細を知りたいのです。と申しますのは、同時にヨーロツパ諸国が輸出しておつて、そうして日本は禁止されておるという品目はどういう品目であるかということを至急知りたいのですが、それはいずれ一両日中にいただけるでございましようか。
  142. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 おそらく御質問は、ヨーロッパ諸国が中共に対してのことが主であろうと思います。と申しますのは、ソ連に対しましてやつておりますことには、ほとんど差異はございません。中共に対しまして輸出の禁止をいたしております品目に、わが国と西欧諸国とが立場を異にすると申しますか、品目に差がございますので、そのことだろうと存じますが、その品目の大体大きなもの、目ぼしいものといたしましては二、三います。そのほかのものは、実はあまり大したものはないのでございますけれども、品目の数にいたしますと少し多数に上るかもしれません。しかしその目ぼしいものは二、三でございます。それの差異をよこすかどうかという御質問でございますと、これは向うのリストを秘密にしなければならないと先ほど申し上げましたのでありますけれども、それとの関連がございますので、どういたしますか、ちよつと考えさしていただきたいと思います。
  143. 帆足計

    ○帆足委員 私がお願い申し上げましたのは、アメリカないしヨーロツパ諸国の内部の規定でなくて、実際にヨーロッパ諸国が中国へ輸出しておる品目ですね、これは世界の貿易統計でわかるわけでしよう。しかるに日本が同じ品目で中国に輸出を許されていない品目をお示し願いたいというのですから、国際条約とも何とも関係ないことです。ただこれは地理学的、商品学的問題でございますから、ただいまの局長の御答弁はちよつとどうかと思いますが、どうですか。そうしてまた局長の方で、こういう問題の折衝をなさつておられるのでしようから、どういう品目は不幸にしてヨーロツパでは輸出しておるけれども日本だけは許されていないという非常に差別待遇を受けておるわけですから、そういう品目は当局としては当然調査いたしておかねばならず、われわれが心得ておかなければならない品目でございますから、ぜひいただきたいと思うのでございますが、いかがでございましようか。
  144. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 先ほども申し上げましたように、大してございません。できるだけ貴意に沿い得るようにいたしましよう。せんだつて差上げましたリストによつても大体おわかりかと思うのでありますけれども、西欧諸国——イギリス、ドイツその他ベルギー、オランダ等が出しております品目でも、大体日本で出しておりますものと大して差異はないということがおわかりだろうと思います。
  145. 帆足計

    ○帆足委員 先日いただきましたのは大分類で、機械とか金属製品とかいうふうに書いておりましたから、具体的な品目をいただきたいのです。それからただいま大きな違いというのは硫安とか苛性ソーダとか亜鉛引き鉄板だとかいうのは、ヨーロツパでは許されているように聞いておりましたが、さようでございましようか。局長の御記憶だけでも、どういうものが差別を受けておるかお漏らし願いたいと思います。
  146. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 御指摘の硫安は、これは西欧各国は出していると思います。亜鉛引き鉄板は出している国と出さない国とあります。
  147. 帆足計

    ○帆足委員 先ほど局長は極力差上げようとおつしやいましたが、極力という言葉は省いていただいて、必ず差上げるというふうにこの問題は取扱わなければならぬ問題であろうと存じます。それから今御当局はせめて第一期はヨーロツパ並にするということで、アメリカの当局とせつかく交渉してくださつているというふうにお伺いいたしましたが、どういう品目について交渉が進んでおりましようか。ひとつその内容をお漏らし願いたいと思います。
  148. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 アメリカ当局と交渉が進んでおるというお言葉でございますが、これは事実の正確な表現ではないと私は思つております。先ほど申し上げましたように、わが国は独自の立場でやつておるのでございますから、それをまたどうきめようかということも、これはむろん独自の立場でやらなければならない筋合いのものでございまして、ただいろいろな関係がございます。と申しますのは、コツトン・クレジットとかその他の関係もございますので、相談をするという言葉の意味になるかもしれませんが、決定するのはあくまで日本がやるのでありまして、そういう品目をどういうものを考えているのかという御質問でございますならば、ただいまおつしやいましたような不平等な範疇に属するような品目ということでございます。
  149. 帆足計

    ○帆足委員 私は今までアメリカの一々御許可を仰ぐのが風俗習慣になつているように承つていたのですが、これは確かに日本政府が本来独自的にきめるべきことであるのに、いつもアメリカ当局と御折衝して、辛うじてお許しを得たというふうに新聞に伝えられておりますし、自他ともに国民はそういうふうに信じておりましたところが、局長のお話では一応自主的にきめるということを伺つて急に元気が出たように思うのでありますが、それならば一つ国会あたりでどういう品目は常識的に考えて適当であろうということをみずから独自の立場で審議いたしまして、幸いに野党は多数でございますし、また与党の自由党の中にも経済の実情に詳しい方がたくさんございますから、これは超党派的に相談いたせば、どういうものは解除してしかるべきものであるということは、私は常識的に判断できると思うのでありますが、これは局長何ですか、日本政府の自主的判断で輸出入制限は動かせるような実情に実際なつているのでございましようか。
  150. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 さようでございます。私が先ほど申し上げました通り、わが方がこれをきめるのであります。
  151. 帆足計

    ○帆足委員 あとは外務大臣お尋ねいたしますので、もう一、二点だけでございますが、MSAに基く協定をアメリカと結びますと、中国との貿易に対して制限規定を設けねばならぬということを新聞、雑誌あたりで盛んに警告いたしておりますが、ただいまのところこの問題の解釈はどういうふうになつておりましようか。いずれあらためて外務大臣お尋ねいたしますが、経済局長のお手元でただいま理解しておる範囲ではどういうことになつておりましようか。
  152. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 MSAと中共との貿易に関連いたしまして、何ら新しい要素が加わるものとは考えておりません。何もそういうことは無関係であると考えております。
  153. 帆足計

    ○帆足委員 私はただいまの御答弁は、多少従来の新聞報道などから考えますと、意外の御答弁のように思いますが、バドル法の適用もMSAから起つたことじやなかつたのですか。MSAの協定を結んでおる国にパドル法が適用になるということであつたとわれわれは理解していたのですけれども、MSAと鉄のカーテンのかなたとの貿易制限とは関係がないと今伺いまして、私どもの従来の理解の仕方と非常に違つておるように思いますが、いかがでござしましようか。
  154. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 MSAの中には、もし戦略物資を中共の方に輸出したならば、援助をとめる、つまりバトル法の適用があるというふうに規定してあるのだと思います。ただしかしながら現在におきましても、もし中共の方に戦略物資を出すという国があつたならば、一切の軍事的、経済的援助をとめるということは、バトル法に明記してあるのでございまして、しかもわが国は先ほど申し上げましたような綿花借款とか、あるいはただいま交渉しております電力借款とかいう一種の援助を受けておりますので、もしわが国が戦略物資を中共に輸出するようなことがございましたならば、今でもそれらの援助を停止されるということは現在でもかわりはないのでございます。従いましてMSAがわが国に適用があるという場合に、バトル法の適用を受けるようになりましても、現在とは何らの差異がない、こういうふうに考えております。
  155. 帆足計

    ○帆足委員 それでたいへんよくわかりましたが、ただ私どもの心配いたしますのは、MSAの協定を結びますときに、ただいまのバトル法の問題などがもつと具体的に出て参りますので、協定の中に今までは自主的判断でそうして国際情勢や、今の綿花借款、電力借款等、その他アメリカから援助を受けておる事実を基礎として独自的に交渉し、判断しておりましたものが、今度はもう少し明確な条約的形態になりますので、関係はないかとお尋ねしたのですが、ただいまの局長の御答弁の結論から見ますと、やはり大いに関係があるということになつて、大いにこの問題はわれわれ研究せなけれるならぬと存じております。  最後にもう一つ欧米局長お尋ねしたいのですが、MSAの問題と日本との関係をめぐりましてアメリカ国会で論議がありまして、日本関係の部分が同盟通信の記者の報道として一部が抄録して新聞に出ておりますが、この速記録の中には、次会外務大臣お尋ね申し上げねばならぬ非常に重大な問題が多々入つておりますので、この速記録を最初は英文のままでけつこうですから至急いただきたいのですが、そういうようなおはからいはできないものでしようか。場合によりましては、委員長にお願いしてこの委員会の議をもつて全員にいただくのが至当であつて、この速記録を見ますと、大体要点はアメリカの意向はほとんどここに出ておるようでございますから、ぜひともこの速記録をいただきたいと思いますが、いかがなものでしようか。
  156. 土屋隼

    ○土屋政府委員 速記録は、実は同盟が送つて来ておりますもの以外に、まだワシントンの方から速記録の原文は送つて来ておりませんが、送るという電報だけが先に来ておりますので、おつけこちらへ入手できるだろうと思つております。その上で皆様にお配りできるような手はずになると思いますので、これは原文が来ましてからよくその点を考慮に入れまして御希望に沿うよう善処いたしたいと思つております。
  157. 帆足計

    ○帆足委員 それから経済局長にもう一つお尋ねしたいのですが、一部の雑誌でございましたが、やはりMSAの交渉が進むと鉄のカーテンのかなたへの輸出制限についてアジア諸国の共通のリストができやしないか、アジア・リストというようなことが書いてございます。私はこれは非常に危険なことで、日本以外の国は李承晩にしろ、バオダイにしろ、蒋介石政権にしろ、もうとるに足らぬ、あるやなきやの小さな政権でありますが、日本はアジアにおけるただ一つの機械工業国でございますから、こういう同類とごつちやにされてはたいへん困りますので、こういうばかなことは風評だけだと思いますけれども、念のためにお尋ねしたわけでございますが、多少なりともアジアだけ特別にリストをつくるような動きでもお聞き及びでございましようか。
  158. 黄田多喜夫

    ○黄田政府委員 パリにございます御承知の委員会がそういう仕事をいたしておりまして、それに日本も加わつておるということでございますので、しかもそこの委員会でやつております仕事は、どういう品目をつくろう、あるいはどういうものをやめるとかいうようなことをやろうという目的でやつておりますので、お聞きのことはどういうふうに進展しておりますか、それはただいまのところまだ私存じませんけれども、そういうことが可能性はないわけではないと考えております。
  159. 帆足計

    ○帆足委員 それからただいま英国からの経済使節がすでに二十数名北京に着いておりまして、欧米局長あたりは生命財産に危険があるといつてわれわれの旅行に大いに反対されましたが、今や英国からも、西ドイツからも、パリからも、ベルギーからも、ブラジルからもそれぞれ相談に詰めかけているような状況で、一昨日いただきました資料によりますと、西ヨーロツパの小さな国々がすべて五、六百万ドルの貿易をわずか三箇月の間に中国としている。しかるにわれはわずか三十万ドルというようなことで、まことに寒心にたえない実情であると思つております。世の中は公式主義で動くものでなくて、さらに世の中の実態を見てやらねばならぬ。やはり多少この国の財界や保守勢力の方々は、一挙に日本が戦時体制に進むかのごとき錯覚を持たれて、原爆と超音航空機の時代でありますから、戦争と平和、明暗二つの中に日本の外交が進まねばなりませんのに、多少行き過ぎた考えを持たれたのではないか。今日「世界と日本」とかいうパンフレツトをいただきましたが、これなどは事務当局に苦言を申し上げて恐縮ですけれども、これに特審局というマークを入れれば特審局からお出しになつたのではないかと思われるほど、非常に片寄つた見解が残つているのではないかと思うのです。私は外務省当局としてはアメリカは必要に従つてこういう合理的要求をしておる、これに対して西ヨー口パ諸国は自存自衛のために、英国でもこういう点はアメリカと意見の多少の食い違いがある、インドはまた独特の東南アジアの大国としてこういう道を進もうとしておる、またアメリカの国内にも三つばかりの意見の流れがあつて、こういうふうになつているということを懇切丁寧に知らせるのが外務省情報部の役割であつて、実にちんぴらの頭の悪い方々がまるで右翼機関の機関紙と間違えられるような主観的な独断論を並べ立てられまして、こういうものをくださるということは非常に遺憾なことと思いますが、これは大臣の見えたときにお話いたさねばなりません。そこで結局、今日の事態で中国との貿易はもう西ヨーロツパの方はずつと先に進んでおりますので、北京にどういうような使節団が今参つておるか。それから大部分が民間協定ですけれども、イギリスも、フランスも、西ドイツも、ベルギーも、たしかブラジルもだつたと思います。大部分の国が貿易協定を結んだようでございますので、大至急貿易協定内容を知りたいのですが、ひとつお手元にありますものから逐次委員に御配付を願いたいと存じます。申し上げたいことはこれだけで、重要な問題は外務大臣の出席のときに申し上げなければなりませんので、私の質問は打切りますが、ただいまの資料の収集に対しまして、黄田局長さんがお忙しいときですけれども、これは重要な貿易の一つの転換期でございますから、ひとつ虚心坦懐に鉄のカーテンのかなたのことも御研究くださいまして、何とぞ西ヨーロツパ諸国にひけをとらないようにお願いしたいと思います。
  160. 上塚司

  161. 並木芳雄

    並木委員 MSAの問題で質問をいたします。土屋さん、MSAに関する質問書はもう出しましたか。
  162. 土屋隼

    ○土屋政府委員 私の承知いたしております限りまだ出ないと思います。
  163. 並木芳雄

    並木委員 さつき岡崎大臣からMSAを受けた場合に負う義務などについて疑問があるから、なお検討中だというお話がありましたけれども、質問書が出されていない理由はどこにございますか。もう十分検討は済んで、質問書を出す必要がたくなつて来ているのですか。
  164. 土屋隼

    ○土屋政府委員 大臣はまた大臣でお考えがおありになろうと存じますが、私の見ましたところでは、このMSA援助日本が受けるという話合いをする前に、やはり日本の経済に対する問題あるいは国内法との関係、また問題になつております保安隊との関係、いろいろな関係を見なければならないと思いますので、そういう点につきまして事務当局といたしましては交渉を開始する前に、アメリカ側に一応意向を打診した方がよいのではないかという表を連ねまして、これを大臣の手元に差上げてございます。そこで大臣がそれをごらんになつて質問をする必要がもはやないというお考えの点もありましよう。またこの点は特に自分が強調してみたいという点もございましよし、またわれわれが考えました以外の点について大臣自身に御不審があるかもしれません。その点についてはまだ大臣から御指示をいただいておりませんが、そういう点がおそらく大臣が質問書を出すにあたつて考えになつている点だと考えるのであります。
  165. 並木芳雄

    並木委員 午前の委員会下田条約局長は、アメリカの議会は多分七月の末ごろまで開かれているであろうという答弁でございました。そうするとMSAの問題もやはり最終的に決定するのはそのころになる予定ですかどうか。つまり会計年度が七月一日から始まりますから、あと四、五日余すところの六月一ぱいでアメリカの国会を通過しなければならないのではないかと思つておりましたけれども、そうではないのですか。
  166. 土屋隼

    ○土屋政府委員 アメリカの予算審議につきましては、いろいろ違つた先例もあるようでありますが、常識的に申しますと六月三十日までに通過をいたしまして、七月一日からの新会計年度に実施されるというのが当然でありますから、六月三十日までにアメリカにおける国会予算に対する審議は済むのが普通の手順のようであります。本年はMSAの問題も含めました予算につきましては、下院の方はすでに通つているようでありますが、上院の方はまだ通過したという情報がないのであります。そこでMSAの問題と関連いたしまして、それでは六月一ぱいにどうしても成立しなければいけないという御質問と、それからもしそういうことが前提とされるならば、日本側で受ける受けないということは、少くとも六月中にきめなければいけないという二つの疑問が、今の御質問の中に含まれておると考えられますが、最初の点に答えますと、おそらくアメリカとすれば、日本援助をするという費目も含めた予算を六月三十日までに通すという心構えで、今審議をしておるものと考えられます。従いまして大体は六月三十日ぎりぎり一ぱいのところでしようが通過するものだろうというふうに想像いたしております。  さて日本をかりに援助の対象とする、被援助国とすれば、予算が通つたにいたしましても、実際の援助をいたしますには、いつもお話にございましたように日本との協定をつくることも必要になりましようし、その協定はここ一箇月や二箇月で、話を始めたからすぐできるものだというふうにも考えられない点もございます。従つて七月一日新会計年度が始まつたあとでも、日本側と話をしまして、日本を被援助国とすることはできるわけでありますから、日本が受ける受けないということを六月三十日までにはつきりとアメリカ側に回答しなければならないということは、実際上の理論の点から申しますと、そういうことは疑義がございます。
  167. 並木芳雄

    並木委員 質問書を出すということは、むろんMSAを受諾することに傾きつつある、少くとも受諾することを前提として今取扱つておると聞いておりますけれども、その通りですか。またその通りでいいと私は思う。
  168. 土屋隼

    ○土屋政府委員 これは先週の土曜日にこの委員会の席上で外務大臣がお答えになつていたようでありますが、あの大臣のお言葉から私どもが承知いたしておりますところでは、一応研究した結果受けないことがきまつてしまえば質問書を出す必要はもちろんない。これがまず第一であります。それから受けるか受けないか、気持はこれからきめるにして、一応受けるか受けないかということは内容を聞いてみないとわからないが、向うの内容を見て話をするという段階、こういう点は少くとも確かめた上でもしくは疑点があればその疑点をただした上で、その内容を伺つてみようという段階があると思います。現在私どもが直面しておりますのは今申し上げた一段階で、これから先話をするかしないかということについては、もう少し確かめて、疑点があればこれをただしてから行こうという方であります。
  169. 並木芳雄

    並木委員 その場合、質問はもちろん書いたものであつて先はアリソン大使だと思いますけれども、そうですが。
  170. 土屋隼

    ○土屋政府委員 これは大臣がおきめになつていろいろな形がとり得ます。お話のように公文書をもちまして外務大臣からアリソン大使にというのが一番普通の形になります。しかしながらかりに大臣が便宜だとお考えになれば、ワシントンにいる新木大使から国務省あての手紙を出すことも考えられます。また場合によつては手紙も何もたくて口答で確かめて参るということになるかもしれません。そうなりますと大臣は口答でアリソン大使に相談をしてみるということも可能ではあります。
  171. 並木芳雄

    並木委員大臣 大臣の答弁を聞いておりますと、MSAを受けるときの二大眼目として、一つは自衛力のために役立てば、もう一つは経済のために役立てばという点がございますが、自衛力のために役立てばということは、主として保安隊関係になりますので、その点は上村官房長に聞いてみたいと思います。それから経済的のことはあとで土屋さんに伺いますから用意をしておいていただきたいのですが、今度のMSAの援助を受けますと経済的にどういうふうに潤つて来るか、これはもう大分専門的に研究が進んでいると思いますからあとで答弁願います。  MSAの援助の中に、たとえば小艦艇をMSAの費用から日本に貸与するということが報道されておりますが、これは現に今五箇年約束で日本が借りているフリゲート艦や上陸支援艇等別物のものが、新たに一九五四新会計年度において日本に来るように受取れるわけです。つまり言いかえれば、現在の海上警備隊の装備プラスMSAによるところの小艦艇というふうに解釈できますけれども、そう解釈してよいか、それとも今のフリゲート艦と上陸支援艇というものをリプレースする、いつまでも使えるものではないから、あとのものにリプレースするための費用であるかどうか、そこをまずお伺いしたいのであります。
  172. 上村健太郎

    ○上村政府委員 お答え申し上げます。新聞紙上で小艦艇を貸与するというような記事は見たのでございますが、MSAの関係がはたしてどういうふうになるか私も承知いたしておりません。またフリゲートと別個のものになるのかあるいはフリゲートを含んだものに相なるかということは、私にははつきりしないわけであります。なお前の方の御質問の自衛力のためにという外務大臣のお言葉の中にありますのは、大臣が始終言つておられますように、自衛力という解釈を単に保安隊、警備隊というものだけでなく、あらゆるものを総合した力であるというふうに解釈いたしておりますので、保安隊、警備隊のみとは限りませんけれども、保安隊、警備隊がこれに当るのではないかと私どもは解釈いたしております。
  173. 並木芳雄

    並木委員 とにかく保安隊、警備隊が主力であることは事実なんです。そこで今の海上警備隊の問題と同じような性質なんですけれども、保安隊の現在の武器もいつまでも同じものを使えるはずはないと思います。先ほど木村長官は、現在貸与されておる武器についてはMSAの問題と関係がないだろう、こういう答弁でした。しかしいつまでも使つておると古くなつてしまつてこれを新たにして行く必要があります。その場合にMSAの援助が来なければできないのじやないかと思うのです。そういう点について何か話合いがあつたと思いますが、いかがですか。
  174. 上村健太郎

    ○上村政府委員 現在保安隊で借りでおります武器が、MSAとどういうような関係になるのかまだ私ども承知しておりません。しかしながら現在米軍とのいろいろな話におきましては、一応MSAと関係なしに、たとえば弾丸等についてはくれるような話が進んでおりますし、さしあたりのところは支障はないと思うのでありますが、しかしお話のように将来の問題になりますと、MSAを受けなかつた場合にどうかということになりますれば、その点については私どももはつきりした見通しも持つておりませんし、また先方からまだ何の話も聞いておりませんのであります。
  175. 並木芳雄

    並木委員 そこのところが大事な点だと思うのです。MSAの援助が来なくなると、では日本日本のための装備をつくるか、そうすると予算の問題が出て来る、その点官房長にはまだお話がないかもしれませんが、土屋さんの方はそういう点も含めて専門的に研究されておるはずでございます。いかがですか、現在の装備というものをもつと増大して行くためのMSA援助であるか、規模を大きくして行くためのMSA援助であるか、それとも現在の装備がだんだん役に立たなくなつたときに漸次これにかえて行くためのMSAの援助であるか、今上村官房長からのお話ですと、弾丸などはといいますけれども、弾丸はやはりつくるたびにお金がかかります。これもやはりMSAの援助がなければどこかからその金を出して来ると思うのです。これを特需というか何というか、名前は別としてもそういう点について関連性を持つて参りますので、土屋さんが今まで研究した結果を示していただきたいと思います。
  176. 土屋隼

    ○土屋政府委員 現在保安隊が在日米軍から借用しております武器、それから今使用をしております弾丸などにつきましては、私ひとつはつきりと性格を御承知置きいただきたいと思いますのは、あれは在日米軍の係官の責任において、係官が全責任を持つているものでありまして、日本側に現実使用させているというのは、使用させている部面についてだけであります。従つて所有権が移つたわけでもなければ、占有権が移つたわけでもなければ、いわんや費用が日本に移つたわけでもないわけであります。こういう点から今並木さんから御質問がございましたように、七月一日以降アメリカ軍の軍事予算も削減されるということを想定いたしますと、そういう費目が在日米軍に出所がなくなるだろう、そういう前提に立てば、今まで保安隊に貸し付けておつたそういつた武器などについても、アメリカはどこかにそのはけ口を見出さなければならなくなるだろう、そういうことになりますと、かりに日本援助を受けるということになるとMSAに切りかわるだろう、こういう前提に立つたお話でありますと、今言つたように今まで保安隊で使つていた武器が七月一日から急に使えなくなる、そこでそれがMSAの計画による援助によらなければならないということになるわけであります。ただ私はその前提が、われわれが今考えておりますように行くかどうかということについては少し疑点もありますので、アメリカの軍事予算がかりに削減されたにいたしましても、日本の保安隊に対しまして貸し付けました武器を全部引揚げなければならないほど、切り詰めた予算になるだろうかという点も考えてみなければならぬ点であります。従つて将来日本がMSAの話をしますときに一応話題に上りましようが、かといつてMSAを日本が受けなければ、保安隊にある武器が六月三十日以降引揚げられてしまつて日本はもはや使用させてもらえないのだというふうにも解釈しておりません。ただアメリカの方だけの都合を研究してみますと、アメリカの方の都合で日本がMSAを受けるということになれば、MSAの中にそういう援助は七月一日以降は盛るのが当然だ、こういうふうに考えておるのではないかと今のところ思つております。いかんせんこの問題は、大臣がここで屡次お話のように、話を始めておりませんから、アメリカがどういう意図を持つておるかということについて、われわれもここ断定的にアメリカの意向というものをお伝えすることのできないのははなはだ遺憾でありますが、今のところわからないのが実際であります。従つて将来日本がかりにMSAの協定なり、あるいは話合いをするということになりますと、当然話題に上つて来ますので、その節になりますと、皆様の御納得の行くようにアメリカの意向というものがお伝えできるのではないかと思います  先ほど経済面に対してどういう潤いがあるかという御質問がございました。これは見方によつていろいろな見方ができるのではないかと思いますし、大臣の御口吻をお借りするわけではありませんが、何が来るかわからないから、経済面に対する援助というものは内容をあけてみなければわからないことになりまし。しかしわれわれはその点についても事務的に考えなかつたわけではありませんので、ついでに事務的に考えた点を申し上げますと、MSAの援助を今日本がアメリカで予想しておられますいわゆる防衛援助というものによつて受けました際に、兵器なり何なりの形で来ますが、同時に日本の兵器産業あるいはそういうような装備の産業に必要なたとえば工作機械とか、あるいは技術とかいうもので来るという面も多少あろうと思います。これはアメリカがほかの国に対するMSAの援助と同じような項目でしておる内容、もちろん全貌がわかつておるわけではありませんが、それを調べた結果によりましても、そういつた趣旨の援助をしている国もあるようであります。従つてかりに日本がMSAの援助を受けるということになりまして、防衛計画による援助を受けましても、完成兵器だけが来るのではなしに、日本の生産に、あるいは日本の産業に必要な機械とか技術というものが来るということが一応考えられます。しかしながらこれも経済面に非常に大きな影響を及ぼす部分だというふうに考えることが、できるかどうかも一つの疑問になつております。そこで私どもはMSAをもし日本が受けるということになれば、日本の経済に対してやはり大きく響くだろうと予想される面は、日本がMSAの被援助国になる、従つてその点でほかのMSAの援助を受けておる各国といろいろ共通な問題を持つて参ります。これはアメリカから見ますと、同じふところから出ます五十何箇国に及ぶ援助を受ける国同士の問題でありますから、かりに日本以外のどこかの国に軍事援助によつて完成兵器を渡そうという場合に、アメリカから持つて来るよりは日本で買い付けて、その買い付けたものを現品としてほかの被援助国に与えるということの方が、経済的に見ましても、また時間の点から見ましても、より合理的な部面があるだろうと思います。そういう点から日本に対する域外買付と普通称するようなものが活発になつて来るだろうということも考えられます。また在日米軍は従来日本でいわゆる域外調達というものをいたしまして、自分の必要なもので日本から買付のできるものを調達という形で買つております。そういう関係から今後日本がMSAの援助を受けるということになりますと、日本の産業の育成ということも考えて、アメリカの必要なそうした装備もしくは兵器について、日本で生産し得るものを日本に注文することが従来よりはより活発になるだろうということは普通想像されるわけであります。そういつた心理的な影響から参ります日本経済に対する動きということは考えられますが、金銭に見積つてそれが幾らになるか、あるいはどういう形で来るかということを今明言することはちよつと困難ではないかと思います。
  177. 並木芳雄

    並木委員 その点で対日特需を二年間保障するという国務省の声明があつたのでございますが、今度のMSAなどを予定してこういう声明を出したのじやないでしようか、それとも土屋さんが調べた結果、対日特需を二年間保障するということは別途のものであるかどうか、別途のものであるならば、どういうようなものを予定してこういう声明が出たのですか、その点ちよつと……。
  178. 土屋隼

    ○土屋政府委員 アメリカのこの声明につきましては、私どももいろいろ研究をいたしてみましたが、MSAの日本に対する援助と直接の関係があるという証拠はございません。従つてどもは、朝鮮休戦協定の進度から見まして、おそらく特需がなくなるのではないか、そういう心配から、日本、極東一般について経済面あるいは政治面に対しての憂慮があると思われろということを想定いたしまして、アメリカが日本に関しては、従来の特需が二年間は一応継続されるということになるので、その点を日本は考慮に入れていいということで声明したものだろうと思います。  少し横道にそれますが、並木さんに申し上げますと、かりにMSAの援助日本が受けるということになりましても、特需という問題はMSAと直接の関係を持つていない、これは御存じの通りであります。ただこの特需とは別に、普通域外調達といつておりますけれども日本以外の国に対するMSAの援助の必要から、日本で買い付ける域外買付というものと、それから在日米軍朝鮮であるいは日本で必要とする物資の域外調達というものと、この二つが今後出て来る、また今までも幾らかずつあるわけであります。その上に日本がもしMSAの援助を受けますと、MSAの直接援助ということになりますから、かりに将来日本がMSAの援助を受けるということになりますと、まずMSAの援助、第二が在日米軍の調達、第三がいわゆる域外調達という言葉で表現されておりますところの、アメリカが必要としてよそに持つて行く物を買い付けるいわゆる域外買付、この三本建になるということを御承知おき願いたい。そうい雪意味からいたしまして、朝鮮の動乱はまだ根本的に片づいたわけではざごいませんし、また極東方面におきましては、在日米軍の数が急に減退するというふうにも考えられません。そんな関係から、特需というものはMSAとは関係なく、これから二年間くらいは大体続く予定だというアメリカの意思表示だというふうに解釈しております。
  179. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、今まで土屋さんの調べたところでは、MSAの援助はやはり日本の経済に寄与するという結論が出ていると見てよろしゆうございますか、プラスであるという……。
  180. 土屋隼

    ○土屋政府委員 私どもが事務的な段階で研究いたしましたところでは、少くともマイナスにはならないということ。それから場合によつて、事態の動きにもよりますが、プラスになる面が出て来はしないかという大体の希望を持つております。
  181. 並木芳雄

    並木委員 日本が負うべき義務的のもので、なお事務当局として検討の結果、疑問のある点があるのですか。さつき岡崎外務大臣が、義務的のもので問題もあると言われましたが、その点示してもらいたい。このMSA援助を受けるについての日本が負う義務について、なお疑点のある点です。
  182. 土屋隼

    ○土屋政府委員 先ほど申し上げましたように、こういう点についての疑点その他というものを、総まとめにいたしまして大臣に差上げてありますから、大臣がその点のどこについて御疑問があるか、これは大臣に伺つてみないとわかりませんが、私どもとして聞いてみたいというふうに考えて、つまり疑点を持つております点は、もちろん中にはあります。それはたとえばあのMSAの援助を受ける資格の中で日本が負う軍事的義務、これは財界においてもわれわれも一応の解釈をいたしまして、別に支障がないというふうに解釈をしているわけでありますが、念のためアメリカに確かめてみるということも、一案ではないかと思います。また日本の自衛力の増強もしくは維持のために、合理的な措置をとるという条項も、あの第五百十一条の(a)項にあるのであります。こういう点につきましても、合理的という言葉にもちろん含蓄があるのでありますが、場合によつてアメリカの方の意向を確かめた上で、自分たちの方の腹をきめた方がいいということも考えられるかもしれません。またどの条項でありましたか、自由世界の安全に対して全面的な寄与をするという一項がございます。これももちろんいろいろの点について制約があるのでありますが、こういう点についてもわかれば、交渉前にアメリカの考えがはつきりした方が、交渉がしよいのではないかというふうにも考えられる点もありますし、いろいろありますが、大臣がはたしてこのうちのどの点を御疑問に思つておられますか、これは後刻伺つてみないとわからないのでありますが、私どもといたしましては、そういつた二、三点については、やはり一応確かめもしくは聞いてみる方がよかろうというふうに考えているわけであります。
  183. 並木芳雄

    並木委員 土屋さんから非常にはつきりしてもらつて、聞いているかいがあるわけですが、大体おもな点は今の数点ですか。そのほかにまだあつたら……。
  184. 土屋隼

    ○土屋政府委員 これ以外にも、実はわれわれとしていろいろ疑点はあるわけでありますが、それを聞いた方がいいか、あるいは聞かない方がいいかということは、大臣のお考えでしようし、また聞き方にもよりましよう。これらはひとつ大臣の政治的手腕でおきめいただきたいと思つております。
  185. 並木芳雄

    並木委員 ただいまの軍事的義務の点でございますが、これはこの前私から下田局長お尋ねをして、法律的にはまずさしつかえない、こういう答弁を但ておりますが、今度は事務担当の土屋さんから、もう一度あらためて、軍事的義務についてもまず支障はないものと思うけれども、念のため聞いてみたいという今のお言葉でしたから、軍事的義務について支障はないというその見解を、この際尋ねておきたい。
  186. 土屋隼

    ○土屋政府委員 私どもが虚心坦懐にこの条項を見まして、アメリカが締約国であり、そして日本も締約国でありまして、結んでいる条約として軍事的義務らしきものを予想されますものは、安保条約以外にないと思います。そこで安保条約規定してあります義務は、軍事的義務ということを普通の意味で使えるかどうか、その点私もよく専門家でないからわかりませんが、いずれにいたしましても、比較的消極的な義務だとわれわれは承知しているわけであります。それ以外にはないわけでありますから、これが日本のMSA援助を受けるという仮定のもとに立つて負うべき義務だということになると、日本はすでに安保条約でその義務を負つているわけでありますから、あらためてMSAを受けたから、新しい義務が生ずるということはないのであります。従つてこの軍事的義務は、国民も納得した義務だろうと、こう考えられるのであります。
  187. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、くどくなりますけれども、第五百十一条の第一項の三号に、「米国が一方の当事国である多辺的又は双務的の協定又は条約に基いて自国が受諮した軍事的義務を履行すること」と、これに該当する協定というものはあらためて必要がない。必要がないというか、そういうものがなくても、今ある安保条約でMSAを受ける資格が出て来るのだ、こういう結論にはかわりはないわけですか。
  188. 土屋隼

    ○土屋政府委員 さようでございます。
  189. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、いつも私たちは防衛協定とか双務協定とかいうことでわかりにくくなるのですが、それはそれで解決して、そのほかにMSAを受けるについて、アメリカと日本との間で結ぶのは、よく言われる相互安全保障条約というものなんですか。ということは、ちよつとお尋ねする点をもう少し敷衍すると、ここに米国とユーゴとの間に相互防衛援助協定というものがあります。これはおそらくMSAに基いてできた最初の相互防衛援助協定ではないかと思うのです。こういうような形でアメリカと日本とのMSA援助協定ができると了解していいわけですか。アメリカ合衆国政府とユーゴスラビア人民連邦共和国政府との間の軍事援助に関する協定(米・ユーゴ相互防衛援助協定)となつております。そういうものがMSA援助を受けるについて、これから日本とアメリカとの間に結ばれる協定でありますかどうか。
  190. 土屋隼

    ○土屋政府委員 ただいまお引きになりました例は、もちろんわれわれがひな型にすべき例の一つだと考えております。つまり私ども協定を結ぶ必要があるだろうと申しておりますのは、先ほど並木さんから御指摘になりました、第五百十一条の(a)項の第三号にあります、いわゆる軍事的義務を負うべき協定を結ぶのではなくて、こういう企画が日本にもあるということをいつて、それをアメリカが承認をするという合意の形があつて、初めて日本援助を受ける資格を持つということになりますから、資格を持つということを確認した上で初めて両者が援助を受けるというとりきめをするわけです。その援助を受けるというとりきめが、今お話になりましたような相互援助協定と普通いわれている種類のものであります。もちろんユーゴとアメリカとの問題は比較的初期の問題でございまして、その後アメリカとほかの国との間に、本質的にはかわりませんが、ややかわつた形のものもあるようであります。そういうものをひな型にいたしまして、日本はアメリカとの間の協定を協議するということになるだろうと想定いたします。
  191. 並木芳雄

    並木委員 そうすると協定の名前はどういうふうになる見込みですか。最近の例もありましようし一今まで研究した結果、やはり軍事援助に関する協定という名前がつきますか。アメリカと日本との間の相互防衛援助協定ですか、あるいは相互安全保障協定ですか、いろいろあると思うのです。この際前例もあることでしようし、その予見せられる名称というものを聞いておきたい。
  192. 土屋隼

    ○土屋政府委員 実は私は交渉を担当させられるというので、その見地から御返事を申し上げるのですが、ここに条約の専門の条約局長がおられますから、それがいけないということになるかもしれませんが、さしあたり私どもといたしましては、その名前はどうでもかまわないということにもなりますが、やはり何と申しますか、相互防衛援助協定というような実質を持つた協定を結ぶのでありますから、そういう意味の名前を付するのが最も適当であろうと思います。
  193. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、軍事援助に関する——軍事的という字は入りませんか。
  194. 土屋隼

    ○土屋政府委員 アメリカで出ました予算のこまかい内訳を見ましても、日本が当てはまる中国並びに一般地域の項目というのは、やはり向うでも、相互防衛物資並びに訓練に関する援助の項目であるわけです。そんな点から見まして、日本がしいて好まない限り、軍事という言葉を使う必要はないというふうに考えております。
  195. 並木芳雄

    並木委員 なぜ私はここでお尋ねしたかというと、軍事援助の場合の条件と、経済、技術の場合のMSA援助の場合で条件が違うのじやないかという疑問を持つておるのです。例の相互安全保障法を読んでみますと、第五百十一条の(a)のところには、「軍事、経済又は技術の援助」と書いてあります。(b)のところに行くと、軍事が抜けてしまつて、「すべての経済又は技術の援助は」と出ているのです。そうすると(a)と(b)とで条件が違うように思われるのです。ですから軍事援助であるならば、軍事という文字が入らなくちやいけないのじやないかという疑問から聞いたのです。その点研究ができていたら……。
  196. 土屋隼

    ○土屋政府委員 御説の通り、第五百十一条は(a)と(b)とございまして、(b)の方に経済的なものがございますから、これは条件が違います。従つて日本が(b)によつてアメリカとの援助を話し合うということになりますれば、当然経済的な援助ということになりますが、私どもがなぜいわゆる軍事援助と称せられるものだけを考えているかと申しますと、これは五三年から五四年度にかけてのアメリカの新規予算内容を見ますと、日本が受けます費目というものが、さつき申し上げました相互防衛資材並びに訓練というふうに盛られておるわけであります。従つて現実の問題として、アメリカが経済的な面だけを考えた経済援助日本考えているというふうに読みとれないわけであります。その意味から、私は先ほどからやはり相互防衛援助ということになるだろうというふうな想像をつけて参りました。  またもう一つ並木さんに申し上げますと、軍事援助という言葉は、やや広汎に一般的に使われているようであります。アメリカの方の予算のあれから見ますと、今申し上げました相互防衛資材並びに訓練というものと相互防衛財政というものをあわせて両方アメリカでは軍事援助と呼んでおるようであります。従つてその点につきましては、私どもはやはりこの予算面から見まして、日本は五百十一条の(a)項というところで話が始まるという公算を持つたものでございますから、そちらの方の研究から来たわけであります。
  197. 並木芳雄

    並木委員 ユーゴの協定を見ますと、これはたしか批准がなかつたと思います。いきなり調印して効力を発生したと思うのですけれども、そのほかの前例はどうなつておりますか。相互防衛援助協定の場合に、批准条項が含まれておるのを常といたしますか。それともいきなり調印して効力を発生しますか。
  198. 下田武三

    下田政府委員 それはもつぱらその国によるわけであります。ある国によりますと、同盟条約とかあるいは領土の変更をもたらすような条約しか批准を要しないと申しますか、国会にかける必要がないという憲法の規定を持つておるところもあります。また、ある国は、実質的に国家の義務を約する条約はすべて国会承認を経なければならぬという憲法の建前の国もあります。でございますから、後者のような国でございましたら、これは批准を要しないことには協定締結できない。でございますから、それは一般的には申し上げられない。国によるわけです。
  199. 並木芳雄

    並木委員 そうすると日本政府申出によつて批准条項をつけることは、今度の場合できるわけですか。そうすれば当然批准条項がつく予定になると了解できますが、いかがですか。
  200. 下田武三

    下田政府委員 日本はもちろん憲法第七十三条の規定によりまして、条約締結するには事前または事後において国会承認を得なければならないとなつております。従いまして日本政府限りではこの協定締結できないわけであります。しかし最近の例ですと、日本憲法の建前の方が実は国会の付議を要する条約の範囲が広いわけであります。日本では国会にかけなければならないけれども、相手国では国会にかけないで、政府限りで締結していいという事例が非常に多いのであります。そこで最近どういたしておりますかというと、批准という言葉は、両方の国が批准を必要とする場合にしか使わなない。片方だけ、つまり日本だけ国会承認を求める必要がある場合には、ひとつ承認という言葉を使おうということで、航空協定等はすべてそのおのおのの国内法に従つて承認した後に効力を生ずる、一種の批准条項の新しいタイプでありますが、最近は日本憲法と外国憲法との相違にかんがみまして、そういう方式を案出して実行しつつあるわけであります。
  201. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、今度の場合も、国会承認を経るというふうに了解していいわけですか。
  202. 下田武三

    下田政府委員 大臣も申されました通り、もちろんその通りでございます。
  203. 並木芳雄

    並木委員 そうすると問題がまだあるのですけれども、先に調印してしまつて、あとで国会承認を求めるか、それとも調印する前に国会承認を求めますか。批准であるならば、その点も割合に簡単ですけれども承認という言葉になりますと、そこに疑問が残るわけです。今度の場合どうなりますか。
  204. 下田武三

    下田政府委員 先日戸叶さんもこの点を提起なさいましたが、日本はたとい調印いたしましても、調印だけでは国家を拘束し得ないわけであります。国会承認を得まして、初めて日本国がこの協定の拘束を受けるわけであります。でございますから、当然協定は両国の国内法に従つて承認された後に効力を発生するという規定が入れられることになると思います。そうした場合に問題となるのは、調印の前後に国会にかけるかどうかということは、実は大した意味のある問題ではございません。日本国がこの協定の拘束を受ける前後に国会承認をまず受けるかどうかということが実質問題なのであります。それで政府の意向といたしましては、かりにこの協定を結ぶ場合には、日本国がこの協定の拘束を受ける前に、国会承認を求める必要がある、そういうように考えております。
  205. 並木芳雄

    並木委員 実質的にはそうでしようけれども、私は形式的にはちよつと了解が違うのです。つまり調印してすぐ効力を発生する条約と、調印してから批准を経て効力を発生する条約と、二種類ある。批准条項がついておる場合には、調印したあと国会承認を求めても、それは憲法にいう第七十三条の承認に当るのです。但し調印しただけでただちに効力を発するものについては、調印前に国会承認を経なければいけないというふうに了解しておつたのですがいかがですか。ですから今度のこの協定は、また批准条項という言葉にもどりますが、いわゆる批准条項がつくものか、政府の調印だけですぐ効力が発生してしまうものなのか、その点を尋ねているわけです。
  206. 下田武三

    下田政府委員 先ほど来申しました日本憲法の建前によりますと、調印ですぐ効力を発生するような条約は、実は日本は結べないのであります。これはよくよくの必要がありまして、国家の緊急事態に応じて、調印即時効力を発するという条約を結ぶ必要がありましたら、あるいは調印と同時に効力を発生して、事後に国会承認を求めるということになるかもしれませんけれども、それは実は憲法第七十三条の「時宜によつては事後に、」という例外の場合でありまして、原則といたしましては、もし調印で効力を生ずるなら、あくまで調印前に国会承認を経ておかなければなりません。
  207. 並木芳雄

    並木委員 あと質問者があるようでございますから、MSAに関する質問は留保いたします。私実はもう少しこのユーゴとの条約をひな型として逐条的にお尋ねしたかつたのですが、後に譲ります。  ただ、この際一点だけ条約局長お尋ねをしておきたいことがございます。それは朝鮮休戦についてであります。さつきも土屋さんの答弁の中に、特需の問題に関連して朝鮮休戦ということに触れられたのであります。私たちは朝鮮休戦については非常な関心を持つておる者として、あれがどういうふうになつて行くかということに注意しておるわけなのです。そこで李承晩大統領は今度の休戦に非常に不満で、この間は俘虜を釈放したりしたのですが、これについて双方の言い分を聞いてみますと、対立をしておる。そこでどつちの言い分が正しいのだろうということは、私たちとしても一応知つておきたいのです。条約局長お尋ねしたいのですが、李承晩大統領が主張しておるあの俘虜の釈放というものは国際法上正しい見解であるかどうか、その点を説明してもらいたい。
  208. 下田武三

    下田政府委員 李承晩大統領が韓国軍の麾下に抑留しておる捕虜を釈放したことが正しいかどうかというお尋ねでございますが、これは直接国際法の問題にはなつて参らないと思います。もし問題となり得る法律問題があるとすれば、それは李承晩大統領と申しますか、韓国軍が国連軍総司令官の麾下に入つた際に、韓国軍の行動は国連軍司令官の命令のもとに行うという約束があるというように新聞は伝えておりますが、私たちその約束の実態を見ておりませんが、もしその約束がありといたしますと、国連軍司令官の意に反して韓国軍麾下の抑留した捕虜を釈放したということは、その約束違反にはなると思います。しかし国際法違反の問題はただちに生じないと思います。
  209. 並木芳雄

    並木委員 そういう約束がなかつた場合、独自の行動ができる場合を想定して、もしああいう取扱いをしたとしたならば、これは俘虜に対する待遇の関係から見て妥当であるという結論が出るのではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  210. 下田武三

    下田政府委員 俘虜の待遇に関するジユネーヴ条約というのがございまして、後日本委員会の御審議を煩わすことになると思いますが、ジユネーヴ条約の第十八条に、敵対行為が終了したら捕虜はただちに送還しなければならぬという規定がございます。これは実は当然のことでありまして、戦争が終つたならば捕虜は祖国に帰りたいのがやまやまであることは当然の人情でありますから、従来の常識に従いましてそういう規定を設けたわけであろうと思います。しかしながら現在問題になつておるのは、いやそうでないのだ、昔は捕虜というものは戦争が済んだら喜んで祖国に帰りたいということであつたけれども、今は抑留されているうちに気がかわりまして、つくづく祖国に帰つて祖国の体制のもとに暮すのがいやになつたという捕虜もあつたということを主張する方面もあるわけであります。ですからいやがる祖国に無理に強制的に送還することは、むしろその俘虜当人の自由意思に反することではないか、であるからそういうことはすべきでないというのが国連軍側の主張になつておると思います。実はジユネーヴの捕虜の待遇に関する条約ができましたときは、そういう事態をゆめにも想像しておらなかつたのだろうと思います。強制送還を禁じた規定といたしましては、たしかジユネーヴ条約の第百九条だつたと思いますが、傷病捕虜は療養中は無理に送還してはならないという規定があつたかと思います。これはまだ病気がなおつてもいないのに無理やりに送還させられては、当人も迷惑だろうという趣旨から来たのだろうと思います。従つて捕虜を送還するにあたりまして、捕虜当人の意思を聞くべきかどうかということの判断の材料となる規定とは解せられないのであります。結局この問題について今までできております条約については、全然この問題を白紙に残しておる。今度の捕虜交換の問題にあたつて全然予想されなかつた新たな問題が起つておるというように予想されるのであります。従いましてお尋ねの李承晩政府麾下の捕虜を釈放することは、もし約束がなかつたとしたならば国際法に反するかどうかということでありますが、その点は国際法にも既存条約にも白紙として残されておつた問題なのであります。
  211. 並木芳雄

    並木委員 休戦会談の見通しを外務省ではどういうふうに見ておりますか、非常にむずかしいと思うのです。なかなか李承晩大統領もがんばつておるようでありますし、特に国連軍と共産軍とは同時に撤退しろというような注文も出しておる。これなどもずいぶんむずかしい注文であろうと思います。しかしまた一方、大韓民国から米韓防衛条約を結びたいという注文が出ております。国連軍には帰つてもらいたいが、アメリカとの間では防衛条約を結びたいというふうに、ちよつと一見して私ども矛盾を感ずるような点もあるのです。もし外務省の検討の結果、この休戦会談の見通しについて何らかの示唆を与えることができるならばこの際開陳していただきたいと思います。それと同時に朝鮮休戦が成立すれば、国連軍は引揚げるだろうということは首相も外務大臣も答弁しております。国連軍としては引揚げても、アメリカと韓国との間で防衛条約が結ばれた場合に、アメリカ軍は当然朝鮮に駐留するものであろうと思います。この点を念のために聞いておきたいのです。もはや国連軍ではありませんから、その場合には日本に駐留するのではなくて、大韓民国の領土のうちに駐留すべきものである、そういう意味での防衛協定であろうかと思います。何分にも私たちにはわからないので、今韓国が主張しておるところの米韓防衛協定はどうものをさしているのか、この際わかつていたら説明していただきたい。それはまたMSAの問題とは全然違うだろうと思いますが、MSAの問題を研究して行く上にも必要でありますから、その点について最後に質問をしておきたい。
  212. 下田武三

    下田政府委員 朝鮮休戦が成立した場合に米軍が韓国に残るかどうかという点でございますが、これは実は今韓国側が要求しておる米韓安全保障条約の問題ではないと思います。安全保障条約ということは、必ずしも当事国の軍隊が他方の当事国に駐留するということを前提といたしておりません。従いまして、アメリカと韓国の間に相互安全保障条約ができましても、アメリカの軍隊が韓国におり、あるいは逆に韓国の軍隊がアメリカにおるということは必要ではないのであります。一旦相互安全保障条約が定めておる軍隊の発動理由が発生いたしましたときに軍隊を派遣して援助すればいいわけであります。そこでアメリカ軍が韓国に残るかどうかということは、もつぱら休戦協定並びにその後に行われる恒久平和会議の決定によることだろうと思います。  それから第二の、休戦ができてアメリカ軍日本に来ることはないかどうかという点でございますが、これも直接の関係はないわけでありますが、すでに日本が結んでおります日米安全保障条約の第一条におきまして、米軍は何のために日本におるかということをはつきり規定いたしております。つまり米軍は、第一には極東における平和及び安全の維持のために、第二には、日本国に対する直接間接の侵略に対処するためにおるというわけであります。第一の目的は、日本自体の原因ではありませんが、極東の平和及び安全の維持のためということでありますから、もし休戦直後まだ韓国の情勢が不安定であるというような場合には、あるいはやはりその事態に対処するための米軍というものが日本におる、しかも、おつても安全保障条約のもとにカバーされておるという事態になるだろうと思います。
  213. 並木芳雄

    並木委員 休戦会談の見通しについてはわかりませんか。
  214. 土屋隼

    ○土屋政府委員 問題が問題だけに私どもも外務省として種々の角度から検討をいたしておりますが、朝鮮のあの事情につきましては、双方の言い分あるいは双方の主張につきましても、われわれは新聞以外に確たる情報もないわけであります。従つて、これにつきまして外務省の今の段階で見通しをつけることはちよつと困難な事情にあります。
  215. 上塚司

    上塚委員長 並木君、懇談会の時間が参りましたから……。戸叶委員から一言質疑があるそうですから、この際発言を許します。戸叶里子君。
  216. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私はMSAの問題について岡崎外務大臣に質問を保留いたしますが、一点だけ欧米局長にお伺いしたいと思います。  外務大臣並びに政府の方々は、MSAは軍事援助ではない、経済援助だということをはつきり言われておりますが、私はいろいろ考えてみまして、軍事援助ではない、経済援助であるというふうに割切られてしまうその根拠というものがまだはつきりわかつておりませんので、いずれそういう点についてはお伺いすることにいたしますが、経済援助考えて受けられた場合に、この援助の形式にいろいろあると思うのです。たとえばグラントとかあるいはローンとかいうふうにいろいろわけられると思いますが、きようはまずその形式の種類をちよつと説明していただきたいと思います。
  217. 土屋隼

    ○土屋政府委員 普通私どもが研究した結果によりますと、グラントとローンという二つの言葉は、日本でわれわれが言う有償の援助と無償の援助ということになると思います。それで、有償の援助というのは、金融的な面でめんどうを見るということ、あるいは一定の武器なら武器というものを援助しまず場合に、それに対して代価を要求するという場合がいわゆる有償援助というものであろうと思います。今後日本でMSAの問題がかりに問題になるというときになりましても、私どもは、実はその問題が日本にそう直接当てはまるだろうというふうにはこの予算面から考えていないわけであります。おそらく日本には無償の援助、つまりグラントが来るだろうというふうに考えられますが、このグラントが完成武器の形で来ますか、機械で来ますか、技術で来ますか、それともまた金銭の形で来ますか、これはいつも申し上げますように、話をしてみないとわからないというのが現在の実情であります。
  218. 戸叶里子

    ○戸叶委員 グラントというものの中に、私は、いつか問題になつたところのイロア資金が入つているのじやないかと思うのです。たとえばグラントという形で贈与しつぱなしの場合と、それからしたあとからだんだん要求して来るような場合と、そういうふうに二つ考えられますが、あのグラントとガリオア資金との関係をお伺いしておきたいと思います。
  219. 土屋隼

    ○土屋政府委員 ただいまの御質問に対しましては一つ前提があると思います。それは日本がイロア資金なり何なりを受けました際に、アメリカとどういう話合いがあつたかということが、それが有償であるか無償であるかということをわれわれが主張し得る根拠になると思うのであります。終戦直後のことでございましたので、あの問題については実は私どもいろいろ調査してみましたが、日本側は、これは有償であるかあるいは無償であるかという点についての明確な話合いはしなかつたようであります。でも現在はアメリカ側とすれば、あるいは日本に請求し得るものの一つであるというふうに考えて来るのではないかと考えます。従つて今後MSA援助か何かの問題が来ますときに、そういう性質のものであるかどうかということはよく見きわめなければなりません。後つてその点について、MSA援助を受けるということになれば、はつきりした両者の了解があつて初めてこの言葉が使い得るだろうと思いますので、今まで日本が受けました援助と、今後受けるかもしれないMSAの援助とが同じようにやはりもいまいな点を残すというようには私ども考えておりません。
  220. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは今はグラントであるかローンであるかということははつきり言い切れないで、援助を受けようとする場合には、そういう点を確かめた上で援助を受けるというふうに了承してもよろしいわけでしようか。
  221. 土屋隼

    ○土屋政府委員 さようでございます。
  222. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私が聞いた範囲内におきますと、軍事援助の場合には大体グラントであり、経済援助の場合にはグラントでないというようなことを聞いておりますが、そういう点はわからないでしようか。
  223. 土屋隼

    ○土屋政府委員 一般的に言いまして、戸叶さんの言われたような先例があると思います。しかしながら、今後日本協定を結びます際には、かりにそういう場合があるとしますとその点ははつきりする必要があると思いますけれども、今のうちからどちらにあるということを断定もできませんし、またその条件もわからないというのは申し上げた通りであります。
  224. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは一点だけ申し上げおきますが、もしも日本側が経済援助だということを主張するならば、これは向うから経済援助として受けたのだから贈与という形では行かれない、軍事援助の場合ならば贈与という形で行けるけれどもというようなことがあるいは言われるかもしれないと思うのです。そういうような場合が生じましたときには、それならば名義は軍事援助にしてもかまわないとおつじやつてお受けになるか、それともそうでなしに、あくまでも経済援助で、しかもそういう贈与という形にしてもらいたいというふうに主張なさるか、どちらの道をお選びになるかを伺いたいと思います。
  225. 土屋隼

    ○土屋政府委員 問題を非常に明確に詰めておいでになつたので私もちよつと困るわけでありますが、御参考までに申し上げますと、軍事援助を受けた国でも有償で金をとられた国もあります。いつか申し上げましたスウエーデンやスイスがそれであります。それから経済援助を受けた国でも、もらいつぱなしで何もしない国もあります。従つて、軍事援助であるから無償であるとか、経済援助であるから有償であるとかいうような区別をすることは、区別としては少し当を得ていないのではないかというように考えます。また、かりに将来日本が受けます援助が経済的な面を持つておるということがありましても、日本の経済に貢献するということを見地とするということを大臣は言つておられますので、金を非常に安く借りまして、それを返すにも何年かかつてもいいので、それが日本の経済面で非常に利益になるということになれば、もちろんこれは有償で借りるということを考えてもいいわけであります。あえて言葉が経済的なあれであるから、あるいは軍事的なあれであるからいけないということにはならないと思います。私はかえつて、受ける日本が軍事援助として受けるか、あるいは経済面にプラスとして受けるかということによつて、経済援助であるか軍事援助であるかということをきめるべきではないかと思いますので、そういう点について、私どもも名義にこだわるということはもちろんございませんし、アメリカももちろん名義にこだわるということはないだろうと見ておるわけであります。
  226. 戸叶里子

    ○戸叶委員 もう一点、そうすると結局ローンの形であつても、あるいはまたグラントの形であつても、そういうことは問題ではないというぐあいに了解してよろしゆうございますか。
  227. 土屋隼

    ○土屋政府委員 私どものレベルではそう考えております。
  228. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私はその説明でたいへんはつきりいたしました。この次に、もう少し日本予算などとの関係について追究したいと思いますので、本日はこれで質疑をとりやめます。
  229. 上塚司

    上塚委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十二分散会