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加藤(勘)
委員 今インドネシアの話が出ましたが、私
どもが現地で
向うの人と話をして聞いた事柄は、たとえばジヤカルタの港湾改修のために、セメント材や鉄骨材がほしいということを言
つておりました。これは商業
貿易の
関係において供給されるのか、あるいは賠償の見返りとして供給されるのか。それは話は別でありますが、そういうようなことについてもやはり具体的に話を進めて、そうして決してこのものについては
日本は政治的な反対給付を求めないのだという意思を明確に示されると同時に、実行されなければならぬと思うのであります。今おつしやるように文化の交流ということも非常にけつこうだと思います。たとえば留学生を
日本に来てもらうとしても、
向うがいやだと言えばそれを無理にひつぱ
つて来ることはできませんけれ
ども、しかしながら
向うのたとえば相当の労働組合なり
国会なり実業界なりで指導的な地位にある人を、ほんとうに友人としてこれを迎えて話合いをしたいというようなことで呼ぼうとされるならば、私は喜んで応じて来るのじやないか、こういうことも
考えられる。そういうような具体的に一歩前進した方法を、ただ
考えておられるだけではいかぬと思いますから、具体的に一歩前進してほしいと思います。こういうことについてはぜひひ
とつ、今度
委員会ができましたら、できれば先ほどおつしやるような東南アジア開発というような
言葉は、いかにも先進国が資本を投じて
向うの資源を開発するというような
感じを与えて、そのこと自身が非常に民族感情を刺激すると思いますから、そういう
言葉を用いられないで、私は
言葉等についても十分な注意を払
つていただきたいということを希望として申し上げておきます。
時間が過ぎてしま
つて恐縮でありますが、最後に
中共貿易の問題について、これは
貿易関係であるからあるいは外務省でなくて、通産省の
関係とおつしやるかもしれませんけれ
ども、先ほど
帆足君が御
質問申したときに言いました
通り、総理
大臣の
中共貿易に対する認識と岡野通産相の
中共貿易に対する認識との間には、非常に大きな隔たりがある。しかも何パーセントというような総理
大臣は数字まであげておられるが、われわれが見たところによ
つても、この数字は非常に違
つているのであります。たとい満洲、関東州を加えた当時の対
中国貿易というものと、
中国本土だけを切り離した問題を見ましても、総理
大臣のあげておられる数字は、一体どこから出て来たかということを非常に疑問に思います。そういう点で、私は今数字の末端をかれこれ言うのではありませんが、現実に総理
大臣の中共に対する認識がああいう程度では、
中共貿易というものも非常に軽んぜられるということは争われないのであります。私
どもも一部の人々が言うように、
中共貿易さえ解決するならば、何でもかでも翌日から
日本経済が一人立ちにな
つてしまうというような安価な楽観は持
つておりません。
中共貿易といえ
ども、相当前とは
形態がかわ
つている。
中国における産業構造の点からい
つても、
日本における産業構造の上から言
つても、戦争前の状態を数字の上においてそのまま求めるということは、実際上できもしなければ、そういうことを夢みて、
中共貿易ができれば何でも解決してしまうというような
考え方は、一部の共産党の宣伝ならば別でありますが、そうでない限り、われわれはそんなことは
考えておりません。しかしながら
中共貿易というものの
日本の対外
貿易の上において占める比重というものは、決して私は小さく評価してはならないと思います。こういう点からい
つて中共貿易が一日も早く回復するように、できればわれわれは、ちようど
アメリカが長い間ソビエトを
承認しないで、一九三三年にな
つて初めてソビエトを政治的に
承認したのですが、これはイデオロギーの問題とは違う。こういう点で当時
アメリカはソビエトを
承認したのであります。と同様に、われわれはイデオロギー的にはまつたく別個な立場に立つにしても、政治的な国交を回復して行くということは努めなければならないわれわれの
義務だと思います。ことに東洋の平和を確保するという点からい
つても、今の
中国に対する
日本の不安定な状態を脱するということは、
国民全体が
考えなければならぬ点であると思いますが、それが今いろいろな制約によ
つて困難であるとするならば、少くとも
貿易の点において、具体的にはいろいろな、先ほど
大臣が
お答えに
なつたように、国連との
関係等で困難な制約があるでしよう、あるでしようけれ
ども、われわれはその制約をどうすれば突き破ることができるか、どうすれば国連の了解のもとに
日本経済が成り立
つて行くように推進して行けるか。これを推進して行くためには、私は必ずしも今の
現状でしかたがないと言うてあきらめているときではないと思います。総理
大臣のようなお
考えだというと、勢いあきらめて、大したことはないから、そんなことに力を入れるのは愚かしいことだという
感じにな
つてしまうと思うのです。ところが一方岡野通産相によりますと、
中共貿易というものを非常に大きく評価されておる。私
どもは、大にしても小にしても、その見方の上において、正直にありのままをつかむことが必要だと思います。こういう点において、
政府――これは外務省ばかりではありませんが、
政府として
中共貿易に対する確固たる態度をも
つて、その態度を国連に話しまして、そうして了解を得て、また実際において私は
中国で必要とする、しかも軍需資材でないもので相当需要されるものもあると思います。また
日本においても
中国から原料資材として受入れるものが相当あると思いますが、こういうことについて具体的に話を進めるような段取りを、ただ単にやむを得ない、
バトル法の制約を受けてはおらないが、それに準ずる制約を受けておる、あるいは国連の制約を受けているというふうに何でもあきらめてしまうのではなくして、どうすればその制約を
日本自身の経済自立を助けて行くために破ることができるか、こういうことの方向へ努力されるという
考え方はお持ちでありませんかどうか、この点をひ
とつお伺いしたいと思います。