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1953-07-14 第16回国会 衆議院 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十四日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 山下 春江君    理事 庄司 一郎君 理事 臼井 莊一君    理事 柳田 秀一君       逢澤  寛君    小平 久雄君       佐藤洋之助君    中川源一郎君       長谷川 峻君    福田 喜東君       田中 稔男君    受田 新吉君       大石ヨシエ君    辻  文雄君       有田 八郎君  出席政府委員         法務事務官         (入国管理局         長)      鈴木  一君         厚生政務次官  中山 マサ君         引揚援護庁長官 木村忠二郎君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君  委員外出席者         法務事務官         (入国管理局入         国審査課長)  田村 坂雄君         参  考  人         (日本赤十字社         外事部長)   工藤 忠夫君         参  考  人         (海外抑留同胞         救出国民運動総         本部事務局次         長)      大瀧 克巳君     ————————————— 七月十三日  委員堤ツルヨ君辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  中共地区残留胞引揚に関する件     —————————————
  2. 山下春江

    山下委員長 これより会議を開きます。  この際皆様にお諮りいたします。かねがね皆様から非常な御努力を賜わつておりましたが、今回オーストラリア政府からマヌスの戦犯を内地に送還することに御同意を得ました件につきまして、本委員会より代表を派遣いたしまして、濠州政府に対する感謝を表するとともに、なおその上、減刑の件については今回は触れられておりませんので、これらの問題も日本政府として非常に扱いにくい点もあろうかと思いますので、その点の減刑問題、あるいは長くオーストラリアに眠つておられる英霊の本国送還というような問題もございますので、それらの件をなお懇請したいと思いますが、いかがでございましよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下春江

    山下委員長 御異議がなければ、委員会の御決定を衆議院議長まで申し出る手続委員長においてとりたいと存じます。     —————————————
  4. 山下春江

    山下委員長 本日は中共地区残留胞引揚げに関する件について議事を進めます。  この際お諮りいたします。第四次引揚船興安丸に乗船せられて行かれました日本赤十字代表工藤忠夫君より、第四次引揚げについて種々問題が起りましたので、その事情を聴取いたしたいと思います。なお、第四次引揚者舞鶴援護局において予定の業務を拒否するような行動があつたことは遺憾にたえないのでありますが、この援護局における事情を、海外抑留同胞救出国民運動本部大瀧克巳君より聴取いたしたいと思いますが、本委員会参考人として両君より事情を聴取することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下春江

    山下委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  それでは、これより参考人から事情を聴取することにいたしますが、その前に一言ごあいさつを申し上げます。参考人の方には御多忙のところ御出席くださいまして、委員長より厚く御礼を申し上げます。  では、参考人の方よりその事情を伺うことにいたします。まず工藤参考人
  6. 工藤忠夫

    工藤参考人 それでは、御許可を得まして、第四次帰国船の問題並びにこれに関連いたしまして、私が中国の紅十字会本部責任者天津で会いまして懇談いたしました結果を簡単に御報告いたしたいと思います。  第四次帰国船の問題に関しましては、在日華僑帰国並びに中国人俘虜殉難者遺骨送還する問題に関連いたしまして、なかなか問題がはかどらない。特に諸種国際情勢からうまく行きませんので、非常に遅延いたしたのでありますが、どうにかこうにか解決いたしまして、これが六月の下旬に四船とも出発いたしたのでありますが、私は最後興安丸に乗りまして、在日華僑送還責任者といたしまして中国参つたのでございます。  この華僑送還赤十字船でお送りするという問題に関しましては、いろいろな困難な問題がありまして、諸種事情から安全保障を法的にとるということが困難な事情でありまして、赤十字といたしましては、自己の責任においてこの赤十字船を運営し、華僑を安全に天津まで護送する責任を負つたのでございます。そういう関係で、私がこの赤十字船責任者として参つたのでありますが、華僑の数は五百五十一名でございました。これらの華僑が七月二日に天津に到着いたしましたが、かねて手配がありましたと見えまして、天津には無慮五、六百名の中国人が駅で歓迎いたしておりまして、その後歓迎式があつたのでございます。その歓迎式の席上では、華僑事務委員会の副主席の方、天津人民政府の副主席の方がこもごも立つて華僑中国を出たときは中国は非常に貧弱な国であつたけれども毛沢東主席のもとに中国は隆々たる進歩をとげた、これは毛沢東主席のおかげであるというようなことから、諸君の帰国中国人民の名において大歓迎するというような、非常に大々的な歓迎ぶりであつたのであります。欧州諸国におきまして東欧に帰国する人が少いのに反して、中国に帰る人があつたということは、中国側としては非常に重大問題だと思われたと思うのでありまして、非常にその歓迎ぶりがはなやかであつたということを特に感じたのでございます。  それから天津に参りまして、中国紅十字会の代表者の方——かねてこの二月の北京会談先方代表者をしておられました趙安博氏外四名の方が私を迎えに来て——華僑を迎えに来たと言つておりましたが、私にお会いくださいました。私は、ちようどこの機会日本人帰国見通しについて質問いたしたいと思つて、非常にいい機会なので、面会を申し込んだのでございますが、なかなか会えない。それではひとつ書類で質問事項を出してもらいたいというようなことで、即座に私が要領を口述しまして、中国紅十字会の天津分会書記の方に書きとつてもらいまして、質問状を出したのでありますが、翌日紅十字会の代表者の方が天津市の人民政府幹部クラブで引見されまして、一時間ばかり懇談する機会を得たのでございます。この代表者趙安博という方でございまして、さきにこの委員会でも御報告いたしましたが、元一高出身の方でありまして、藩陽の日僑管理委員会の副委員長をしておられ、今北京において日本人帰国問題に関する責任者であり、かつ権威者であります。その人が、私の質問に対してこう答えられたのでございます。  それは、この六月二十日ごろ、北京から共同通信の情報といたしまして、中国から帰国を希望している日本人は大体二万人である、それで、第四次船で大体終るのではないかとも思う、もし五次船があるとしても、四隻も使うようなことはあるまいというような情報でありまして、われわれ国是及び留守家族といたしましては、多少どころか、大いに不安を持つてつたわけであります。この情報に対しまして、さきに三団体の名において、中国紅十字会に対して、あの情報の真否を確かめたのでございますが、中国紅十字会からの回答では、この共同の報道は談話の本来の意味とは違つているという回答だけであつて、その実態についての詳しい説明がなかつたのでございます。ちようどいい機会でございましたので、私はその実情についてお伺いしたのでありますが、趙安博氏は、この第四回以後の帰国者手続は目下行われておるが、確定数はわからない、自分の意見によれば第五回目があるということは確実である、それから、第五回目のあとも確かにあると思うが、何回あるかは日本人帰国申請状況のいかんによるというようなことであります。それから、第五回目は三千ないし五千である。確定数は集結後日本側に電報する、それから、帰国問題全体の締切は第四次船が遅れたため遅れるのやむなきに至つた、それから、今後秦皇島は使わない、天津と上海の二港だけにすると言われたのであります。こういう問題から推しますと、第四回あるいは第五回の一部で終るというわけではなくて、やはり五回目もありますし、それから、五回のあとが何回あるかはわからぬと言われたところを見ますと、あるいは一回ではなくて二回以上あるのではないか、そうすると予定の六回以上となるのではないかという印象を持つたのであります。それからまた、秦皇島がなくなつたというところを見ますと、秦皇島から毎回二千人乗つておるので、その二千人の数だけが五回目から減るということになりますと、大体帰国の問題は、これから細く長くなるのじやないかというような印象を得たのであります。これは私個人印象でありまして、そうならざることを希望するものであります。それから、今の日本人の二万人しか帰国を希望しないという問題に関連いたしまして、趙安博氏は、自分日本から得た消息によれば、五万五千ないし五万八千日本人がおるというような情報が飛んでおるが、これは全然根拠のないものであるということを自分責任を持つて言明する、かかることは、その目的は明らかで、アメリカと吉田政府のもとでデマを飛ばして中国を誹謗するものである、日中両国人民のためにこれを反駁しなければならないというような、非常に強い言葉があつたのでございます。大体、邦人の帰国見通しに関しましては、そういうようなぐあいで、五回も六回もあるというような印象を得たのでありますが、私の考えでは、多少少くなるのではないかというような印象でございます。そうならざることを特に希望しておる次第でございます。  それから、消息不明者戦犯者の問題に関しまして、帰国ぎわになつて出国が不能になつたという情報赤十字に持つて来られまして、何とかこれらの人が早く帰国できるようにしてもらいたいというような申入れもありました。また留守家族の方から、労働改造所に入れられたというような情報に接しておる、しかし自分のところから手紙を出しても何ら返事が来ない、何とかしてもらえないかというような申入れもありましたので、日本赤十字社としては、これらの人の最も代表的なものと思います二十一人のリストをこしらえまして、中国紅十字会に調査方を依頼したのでございます。そういたしましたら、これは確かに受取つた、紅十字会としてははつきりしていないから関係方面に渡して調査してもらう、しかし国民党反動政府時代日本人に不必要な死亡がたくさん起つた、これは中国最大戦犯者蒋介石責任であるから蒋介石責任を問うたらいいだろう、——これは北京でも先方の団長がそういう趣旨を言われたのでありますが、大体同じ趣旨のことを言われまして、国民党政府時代消息不明者については責任を負いかねるというように私は了解したのでございます。それから、戦犯者に関しまして、法律を守る日本人は紅十字会としては帰国を積極的に援助するが、中国法律に違反した者は法の制裁を受けねばならぬ、これは別問題だと、非常に強い言葉で言われたのであります。この中国法律違反者帰国に関する問題は、今回初めて趙安博氏が言われたのでありまして、やはり相当数法律違反者があるのではないかという印象を強めたのでございます。  それから、在日華僑帰国の問題、これに関しましては、私が大体千三百人くらい申込みがあるというような話をした関係から、しからば残るところは七百数十人にすぎない、この帰国の問題は実に簡単な問題である。三団体の御援助を依頼するというような懇請があつたのであります。  それから遺骨の問題に関しましては、黒潮丸で到着することになつたが、この努力につき紅十字会は三団体並びに平和愛好国民に厚く御礼申し上げる、日本軍国主義者に殺された者は今送られておる数よりもはるかに多い、中国人民はこれを中国に輸送することを重視しておる、家族は深い関心を持つておるから三団体援助を希望するというようなことを、力をこめて言われたのでございます。われわれとしても、できるだけの援助をするということを申し上げたのであります。  それから、これは個人感想でございますが、前三回の帰国に比較して私が今回北京で受けた感想を申し上げますと、北京の宿に二千人の同胞が分宿しておられましたが、その中で、——これは元の英租界で、インド人のホテルだつたと聞きましたが、今は天津国民飯店と言つております。そこで私たち団体の者が歓迎を受けたのでございます。その際に、非常にたくさんの日本人の方が、涙を流して、無言で私たち歓迎してくださいました。ところが、そのあとで私が三団体の筆頭に立つて皆さんにあいさつしたときは、多少の拍手はありましたけれども、どうも日本赤十字に対してはあまり歓迎していただけなくて、二団体に対しては割れるような拍手があつたということはどういうわけだろうか、この無言歓迎ぶりと比較して、私は非常にさびしく思つたのでございます。それから、翌日乗船代表者との懇談会がございまして、その席に列したのでございますが、前もそうかとも思いますが、大体今回の帰国者は非常に強力な班を組織して、統制されたピラミツド式の班となつておりまして、鉄の規律のもとに秩序よく行動されておつたのであります。これにより先国民飯店でお会いいたしましたときも、いろいろそういう質問があつたのでありますが、その中で、在日華僑帰国に伴う日本政府の妨害と、これに対する日本国民闘争状況、その真相を伺いたいという質問が出たのでございます。あまりに用語がはげしいので、私もびつくりしたのでありますが、るると、この帰国の遅れた理由を説明いたしたような次第でございまして、どうも質問條項なんかも非常にきつい用語で書いてあつたということを特に感じたのでございます。船内においては、今申すように非常に規律立つた行動をとられまして、班を通さなければ私たちも話すことができないような状況で、十分意思の疏通をはかる機会もなかつたのでございます。この中には日本赤十字社看護婦として応召された方も相当数つたのでございまして、興安丸に乗つていた日本赤十字医療班の方にも個人的に知つておる方もあつたのでありますが、話すこともできなかつたというようなことは非常に遺憾でございます。それからまた、船内日本共産党、それから日本労農党ですか、メーデー事件被告メツセージ乗船者一同に朗読されたような関係もありまして、私も、それでは日本赤十字メツセージも読んでいただきたいというわけで、皆さんは故国を遠く離れておられたのだから、日本帰つて、一方的な情報だけに頼ることなく、広く各方面から情報を入手されて、正しい日本実情を把握されるよう善処されんことを希望するというようなメツセージを出したのでございます。ところが、そのあと中国のある団体からの二、三十分にわたるメツセージが続けられまして、日赤のミツセージはあまり徹底しなかつたような感じを受けたのであります。  従来の帰国船とは多小趣を異にしたという点を、特に感じたことを申し上げて、私の御報告といたします。
  7. 山下春江

    山下委員長 御苦労さまでした。次に大瀧参考人
  8. 大瀧克巳

    大瀧参考人 それでは、私から、舞鶴援護局内状況について多少御報告をいたします。今度の第四次帰国船の入りました当時は、当委員会先生方国会代表としてお迎えにおいでになつておられましたので、その間の事情は、私から申し上げるまでもなく、明らかなことでございますし、また時間等の関係もございますので、特に私ども終戦引揚げ促進及び援護に挺身しておる者並びに肉親の帰りを一日千秋の思いで待ちこがれておる留守家族立場等から見ました舞鶴風景と申しましようか、局内状況について、御報告を兼ね、そして慎重な御審議によつて今後の問題の打開をはかつていただきたいというふうな意味で、簡単に申し上げてみたいと思うのであります。  まず最初に、今度の第四次船については、船が入ります前からいろいろの情報が流されておりまして、私ども初め留守家族一同も心を安んずることができない、——帰るという非常にうれしいニユースではありますけれども、そこに内心一抹の不安を持つてこの船を迎えたのでございます。ところが、白山白龍丸が六日に入りますやいなや、白龍丸の三団体乗船代表から正式に声明文が発表されまして、この船団出港が遅れたのは三団体の独自の見解によつて政府の蒙を開くためにやつた措置のためであるというのには、私ども非常に大きな驚きを喫したのであります。帰つて来る方々をお迎えし、そゐお世話を願えると考えておりました乗船代表が、あえてその船の出港なりあるいはまたその運航についてまでこういう大きな規制をされ、国民の期待を裏切るような行為をされておるということに対しては、私どもは驚かざるを得ないのであります。ちようど日赤工藤代表もおられることでございますので、その所見も伺つていただいて、この点についてはぜひ糾明していただきたいと考えるのであります。  六日に白山白龍丸が入りましてから、その晩ただちに大会が持たれたのも、今まで一次、二次、三次の船団にはなかつた事態でございました。そして七日からただちに援護局側に対する折衝が始められまして、その際、当委員会からの第二班の先生方おいでになつて、この状況にお立会いになりましたので、御承知であろうと思うのでございますが、とにかく、そのまま局内で、いわゆるあの人たちの言われる闘争体形に入られたのであります。そして、留守家族といたしましては一日も早く自分肉親にも会いたければ話も聞きたいと考えますにかかわらず、厳重なピケラインが引かれまして、家族との面会さえ帰国者みずからの手によつて拒否されるような事態が発生したのであります。しかも、八日に次の高砂丸及び輿安丸が入港した際におきましては、白山白龍帰国者代表と申しますか、帰国者の一部が波止場に出張りまして、留守家族が待つておるその一番先端に出迎えまして、赤旗を振り、団結の歌を歌い、またさらにインターナシヨナル、最後には、私はその歌を知りませんが、われらの盟主徳田書記長というような歌を歌つて帰つて来る人々を迎え、鼓舞激励してをるという、非常に異様な風景にぶつかつたのであります。留守家族一同といたしましても、帰る人間が全部赤と考えることはとうてい忍びないことであります。自分のむすこでもございますし、とにかく全部が全部、赤旗を持つて共産党の歌を歌つて迎えられなければならないということに対しましては、長い間待ちこがれました肉親立場としては断腸の思いがして、涙を流して迎えた留守家族がたくさんあるのであります。何といたしましても、局内におけるかかる秩序問題等については、もつと積極的に政府は統制していただかなければならない。今日日本法律の中でいかなる條項が、肉親肉親を呼ぶその気持を拒否できるかということに対しましては、留守家族全般が深い憤懣を持つておるのであります。従いまして、援護局のやり方に対しましてはどうしても納得ができない。もつと強硬言つてわれわれに面会をさせてもらいたいと言いましても一、現実にはピケラインが引かれ、結局拒否されて入ることもできないということから、留守家族みずからが会合を持たれ、そしてそれぞれの寮に強行して入るというふうな状態さえ出現をいたしました。ところがそういう事態が発生いたしますと、今度は後に帰りました高砂丸あるいは興安丸方々がスクラムを組んで押しかけて、入口を封鎖して退路を断つということで、百人余りの留守家族を第五寮の中に軟禁するような、まるでつるし上げをするような状況が出て参つたのであります。こういう問題に対しましても、舞鶴援護局としては何らの手を施してもくれなかつたのであります。従いまして、各都道府県から出張つて帰国される方々留守家族方々お世話をする駐在員といわれる方々も、これを見るに忍びず、遂に全国都道府県駐在員が集まられまして、そして引揚者代表に厳重に申入れをしますとともに、援護局側に対しましては、こういう威嚇態勢を解かせてぜひとも家族との面会を自由にしてもらいたいということで強硬に話合いいたしたのでございます。ところが。援護局におきましても、現実の問題としては何らの手を打つこともできない。従つて駐在員は自身で帰国者代表に申込みをいたしまして、前後二時間半にわたる会談の結果、一応帰国者も了解されまして、家族との面会だけは許す。——許可という言葉をあえてあの方々が使つておられることも、私どもには非常に不可解な事実ではございますけれども、とにかく、そういう事態になりました。爾後一々入口においてその目的を聞かれた後、寮に入ることが許されるに至つたのでございます。その問いろいろな事態が発生いたしましたが、援護局側帰国者代表との交渉が続けられておる最中に、しかもまた、こちら側では今申しました駐在員代表帰国者側とが話をしておりました最中に、一部で大会が持たれ、そして帰国者代表と称される方々数名が舞鶴援護局を脱出して上京せられたような事態が発生いたしたことは、これまた先生方のよく御存じのことであろうと思うのであります。  このように、実際問題といたしましては、局内における秩序が何ら保たれていないというところに問題があるのではないかと私どもは考えざるを得ないのであります。もちろん、今般帰国されました全部の方々が全部自発的にこういう態勢にお入りになつているものとは考えられません。現実には、多数の方々が、何とかして帰してもらいたい、自分たち自体として踏み出すだけの勇気はないから、何とかしてもつと早くわれわれを帰すことができるようにしてもらいたいということは、日々時々、私どもが接する帰国者から訴えられる言葉でございます。しかしながら、長い慣習と一つの特異な環境の中に、国内状況も知らずして帰られたこの方々のいわゆる生活上の惰性と申しますか、国内に対する正当な判断もつけられぬままにいわゆる集団行動に参加せしめられておるこの現実につきましては、深甚な御考慮をお願いいたしたいのであります。今度帰りました人たちの最も大きな問題であり、また留守家族が最も心配をしております国内におけるところの生活の再建という問題は、かかる事態によつて大きな暗影を投じられておるのであります。事このままにいたしますならば、おそらくシベリアから帰りましたあの数年前の事態と同じように、国民大衆の目からは、第四次の帰国者は雇うことはできないというような反対の機運が出るのではなかろうか、いなすでにこれが出つつあるということに、私どもは大きな不安、大きな焦躁を感じておるのであります。こういうふうに、一部の人々——これは、あの方々は明らかに否定してはおられますけれども現実にその中で中心となつて、あえて策動と申し上げますけれども策動をし、指示をしておる人たちの一部は、決して帰国者のみではございません。むしろ帰国者は、私どもの目から見れば、身びいきかもしれませんけれども、踊らされておるにすぎない。踊らしておる者はだれかという問題が、この中国からの引揚問題の特殊な事態であろうと考えざるを得ないのであります。それのみならず、私どもは決して思想にこだわるわけではございません。中国政府があえて多数の日本人をやはり相当な経費をもつて帰してくれるこの事態に対しましては、人数の問題とかいろいろな問題はございましようけれども、私どもといたしましても、中国好意好意として受けるにやぶさかではございませんし、また受けるべきであると私どもは信じております。しかしながら、かかる事態が派生いたしまするならば、われわれのいかなる説得にもかかわらず、国民大衆の感覚はむしろ中国を憎む気持にかり立てられるのではなかろうかとさえ考えざるを得ないのであります。かかる事態では、中国好意にもかかわらず、日中の友好はむしろ期するにあまりにも遠い事態になるおそれがあるとさえ、私どもは考えるのであります。善隣友好の精神をもつと徹底いたしますためには、中国好意はあくまでも中国好意として、待ち望む留守家族に、帰国を待ち望む人たちを一日も早く一時間でも早く会わせてお渡しをしていただくことこそ、三団体の真の任務であり、また中国の精神を遵奉される団体方々の精神でなければならないことを強調いたしまして、ぜひとも舞鶴援護局内秩序の維持について、国会において決定的な御糾明を願い、適当な御措置を願いたいと存ずる次第であります。  はなはだ簡単ではございまするけれども、時間の関係で以上で終ります。
  9. 工藤忠夫

    工藤参考人 先ほど大瀧さんから、三団体の声明といたしまして、日本政府の誤つた措置を糾明し日本政府に反省を促すために、第四次帰国船日本乗船代表が一致して共同措置をとつたという声明があつたということでありましたが、これはおそらく第四次帰国船の出帆を遅らせた行動だと思いますが、日本赤十字といたしましては、第四次帰国船の出帆については、遺骨の問題とか華僑帰国の問題とは全然関係のない事項であり、中国におる日本人帰国の問題が本来の筋でありますし、また同時に、華僑帰国問題もきまりましたし、遺骨の問題も事実上解決しておりました関係から、船に乗船して早く出帆する手続をとるようにという指令を出しておりますので、三団体の名においてこういう声明が出ておるということは事案に反すると思いますから、その点特につけ加えておきます。
  10. 山下春江

    山下委員長 これより質疑を許します。辻文雄君。
  11. 辻文雄

    ○辻(文)委員 私どもは、間違つた軍国主義に基因がありますけれども、こちらの方々家族人たちの御苦労に対して、またわれわれの同胞をどうしてお迎えするかということで、かように特別委員会までもつくつて苦労しておるのであります。最初工藤さんにお尋ねしたいのは、三団体で前に迎えたことがおありと思いますが、その時分から三団体がうまく行つておるかということに私疑問を持つのであります。というのは、今のお話の中にも、あなたが歓迎会に臨まれたときの御様子、その一言からも、そのような疑問を持たざるを得ないのであります。以前工藤さんはおいでになつた思いますが、そのときにはどのような待遇であつたか、それから今度は他の二団体と日赤さんに対して中共の方の扱いにどういう隔たりが現われたかということを、工藤さんとしてはおつしやりにくいことがあるかもしれませんが、われわれとしては、今後の問題もありますので、さようなことを忌憚なく聞かせていただきたい。
  12. 工藤忠夫

    工藤参考人 お答えいたします。前回北京に参りましたときは、中国紅十字の幹部の方と接触しただけでありまして、在華同胞と接触する機会はなかつたのであります。今回は、中国紅十字会の北京会談のときの代表者お二人と会見すると同時に、天津に集合しておりました二千の同胞とも会見したのでございます。紅十字会との関係におきましては、きわめて礼儀正しく、友好的な態度でありまして、中国紅十字会の態度がどうごうあつたということは私は思いません。きわめて親切であり、紳士的に待遇してくださつたのであります。ただ、天津分会の副会長の方から、遺骨送還問題に関しては特に二団体に感謝するというような言葉ちよつと漏れただけでありまして、これは中国として感ぜられたことでありまして、それ以外において私たちに対してへんぱ的な態度があつたとか、あるいは多少感情が違つた態度があつたということは毛頭感じないどころか、本部の方の態度はきわめてりつぱであつたということを申し上げざるを得ないのであります。これは私の偽らざる告白でありまして、きわめてりつぱな態度でありました。ただ、天津同胞と会見したとき、今のような感じを持つたということは、私の期待に反しておつたということを申し上げただけであります。
  13. 辻文雄

    ○辻(文)委員 その点はよくわかりましたが、さつきのあなたのお話の中に、直接に面会をするのでなくして、文書でお互いの意思の疏通をしたというお話がありましたが、それは日赤だけの話ですか、他の二団体に対しても文書でそういうやり方をいたしたのでありますか。あるいは二団体は直接にお会いになつたりいろいろされたか、そういう点をひとつ伺いたい。
  14. 工藤忠夫

    工藤参考人 この問題は、前回北京会議でも同じことでありまして、今回私が行つてすぐ直接に会つてくれなかつたということで不満を申し上げたわけではありません。これは中国の方式と日本の方式と異なるところ、制度の異なるところから来るのではないかという感じであります。前回北京に参りましたときも、行けばすぐラウンド・テーブルで懇談で議事が進むものと思つておりましたところ、なかなか議事が運ばない。そこで、われわれがいろいろ資料を書きものにして出し、出尽したところで、向うはその議事を内部において慎重に討議しまして、それに対する回答を与えられる、それに対してまたわれわれはいろいろ口で意見を言うし、あるいは書きものを出して向うに申し上げると、向うはまたわれわれの議論を集めて、そうして向うで討議して回答する、しかもそれは団体代表者が言うだけであつて、他の人は言わない、こういうような組織になつておる。こういうわけで、今回も、ただ私に面会に来てくださつた、これはありがたいことだというわけで、すぐ面会できると思つたのが私の間違いでございまして、何とかお会いできないかと申しましたら、あれは華僑を迎えに来ておるので、あなた方のために来ておるのではないというようなお話でございました。しかし私は、お会いしてとくと懇談したいことがあるのですがと言いましたら、それでは書きもので出していただきたいということで、出しましたところ、六、七項目出したのですが、すぐ翌日会つてくだすつた。これは北京会議の方式と大体同じであるということであります。
  15. 辻文雄

    ○辻(文)委員 そこで、私は、声明文のことに立ち入つて伺いたいと思います。この人道と友好に基く在日華僑帰国並びに遺骨送還についてという声明文は、向うの方で出されたものですか。
  16. 工藤忠夫

    工藤参考人 私は今大瀧さんから聞いたのでありまして、どうも詳しいことは存じませんから、そういう趣旨赤十字としては参加するはずがないということを申し上げただけです。これがいつ出たかということは私は存じません。
  17. 辻文雄

    ○辻(文)委員 そうすると、三団体代表ということの声明文になつておるのですが、これはあなた方三団体声明文ではないのですか。
  18. 工藤忠夫

    工藤参考人 これは、今ここで見ますと、白龍丸団体代表の声明になつております。私は興安丸参つたのでございまして、この経緯は存じませんが、今の大瀧さんのお話、それから今ここで声明文を見ますと、在日華僑帰国並びに遺骨送還について日本政府の頑迷なる態度は中国人民と紅十字団に非常なる失望を与えた、日本政府の反省を促すために三団体がこういう措置をとつたということが書いてありますから、これは出港に関するものだと思いまして、その点につきましては、赤十字としてはそういうようなことに出ていないから、白龍丸責任者ではありませんが、私が本社におりますころ、白龍丸の乗船者に対しまして、赤十字は独自の立場で進まれたいということを明白に訓令しております関係から、私が今責任を持つて、三団体代表者というのは、赤十字に関する限りそうではないということを申し上げたのであります。
  19. 辻文雄

    ○辻(文)委員 私どもも舞鶴に参りましたが、そういう観点から慎重に思考してみますと、今工藤さんからおつしやられたように、たとい工藤さんが白龍丸に乗り込んでおられなくても、赤十字自体がこういう声明をするはずはないというように思いますし、今のお言葉もそうなんです。それが、一方的に、三団体代表者だということでこのような声明がされている。しかも、私の仄聞するところによつても、こういう声明が中共とこちらとの間に将来非常な溝をつくるようなことに逆になりはしないかということも考えられるような節がありますし、これは、二団体引揚げに関するその他の方に参考人に来ていただいて、またよく聞いた上でなければ、一方的に申し上げられませんが、そこに将来何か引揚げに対して隘路があるのではないかというような気持が最近しきりにいたしております。そこで、御一緒でないので、工藤さんにそういうはなはだつつ込んだお話を承ることは、あるいは工藤さんも御遠慮がちかとも思いますけれども、私どもは、たとい工藤さんからお聞きしても、また他の二団体からお聞きしても、先ほど申し上げたように、そのお話を参考にしておくだけでありまして、お互いに引揚げの問題をうまくして、そしてさらに中共と私ども日本との外交の面にも側面からでも将来友好を進めて行くという効果まであげなければならぬというような考えをいたしておりますので、日赤の代表でここに来ていただいている工藤さんから少々お話しにくいところもあるでしようが、お伺いしたいのです。重ねて申し上げますが、あなたがおつしやつたからといつて、あなたの言うことだけをわれわれがとるという意味もないのでありますから、忌憚のないようにひとつお話をしていただきたいと私はお願いいたします。何にもなければけつこうなんですが、どうもそういうふうに感ぜられるところがあると私は思うのです。
  20. 工藤忠夫

    工藤参考人 皆様も御存じのように、この三団体は在外同胞を円満に帰国させるために中国紅十字会の指定によりまして共同行動をとつているような次第であります。赤十字の使命は、政府に独立し、すべての諸団体に独立いたしまして、赤十字社法の精神により、国際赤十字の精神によりまして、人道的行動を行い、何ら政治的な行動を行わないという鉄則のもとに行動しておるような次第でありまして、他の二団体の定款がどういうようになつておるか存じませんけれども、そういう点において、なかなか共同措置のとれない、協力に限度があるということは、皆さんもすでに御存じのことと思います。たとえば、興安丸船内日本共産党メツセージを出されて、家を与えられない、就職のポシビリテイは全然ない、一割ぐらいしかないというような、非常に激烈な政府の攻撃をおやりになつております。こういうような問題に対しましてもわれわれは同調することができない。帰国者の円満帰還という観点からいたしますれば、われわれはそういう問題について介入すべきではないというようなことから、積極的な措置をとる面においてどうしても共同措置がとれないのであります。たとえば、先ほどの第四次船の乗船代表者の船に乗る問題につきましても、われわれは、乗船を拒否して遺骨送還の早期実現をはかるというようなことはできないということもございます。その他、今具体的に一々申し上げられませんけれども、いろいろな面におきまして、政治的な行動にわたる部面については、どうしてもわれわれは一線を画しまして、参加することができないということを申し上げるほかないのであります。
  21. 辻文雄

    ○辻(文)委員 はつきり申し上げると、どうもわかつたようなわからぬようなことでして、工藤さんもいろいろお困りのところもあるように思いますので、これ以上工藤さんにはお尋ねせぬことに一応いたしますが、私がなぜそういうことをお聞きするかというと、この声明というようなものは、たとえば乗船が非常に遅れて、早く出港できないようになつたのも、何かそこに原因があるのではないかというようなこともちよつと考えられる。あとでこれは工藤さんからまたお答えを願いたいと思いますが、こういうことも考えられるからしてお尋ねしている。帰還手当の一万円というものも、今までないようなものをお互いが協力して出せるようになつたはずですが、今度三万円の要求を十三箇條の要求の中の第一にしております。帰還手当、一時金というものを要求しておりますけれども実情をあの人たちに聞きますと、向うで早く乗船できたら、向うで金も使わずによかつた、しかし向うで長くひつぱられておつたので、経費もかかつたという。私どもから考えると、なるほど日本帰つて来て、就職のこと、その他のこともありますけれども、向うでいらない金を、何らかの隘路で出港が遅れたので使つたというような場合に、たくさんの金を持つておいでになる方は別ですけれども、その日暮しであつた方々、またその中でも、受入れ態勢が、家族やなんかおられないでほんとうに困つているというような方々には、あるいは今日の貨幣価値から言つたら、一万円ではどうだろうかという私どもには親心があるのであります。そういう場合は、やはり何らかそういう方々に特殊にされるようなことでも考えなければならぬと思いますが、そういう隘路、たとえば三団体がうまく行かないので乗船が遅れるとか、そういうことがなかつたか、そういう隘路をなくして、将来間違わないようにするためにも、何らか措置できないか、——実はそれのみではないのです。これはお尋ねする中の一部でございますけれども、そういうことも考えられましたので、工藤さんにくどくお尋ねしたわけですから、何かあなたのおつしやつていい範囲でお気づきの点がありましたら、今私が申し上げるような気持がありますので、参考までにお話し願いたいと思うのであります。
  22. 受田新吉

    ○受田委員 関連して、一緒にお尋ねしたいのですが、辻さんのお尋ねの中にありましたように、このたびの帰還について、向うからこつちへ帰る際に、乗船が若干遅れたわけですが、その乗船が遅れた期間中の経費負担をどちらがしているのか。帰国者が負担しておるのか、その期間を待機しておる間はあちらで負担したのか。そういうところへ相当の経費を使つて、持帰り金までそれにつぎ込んだとしたならば、それはまた大きな責任が起つて来ると思うのですが、その点はどういう情勢であつたのでしようか。それを辻さんの質問につけ加えてお尋ねします。
  23. 工藤忠夫

    工藤参考人 大体一月ばかり帰国が遅延したようでございます。その間において中国紅十字会は、帰国が遅延したから気の毒だというわけで、特に滞在中に、幾らの額かは存じませんが、相当額の補助費を出されたということを聞いております。しかし、あるいは特殊の事情でそれ以上に出された方があるかとも思います。その辺は私も詳しいことは存じませんが、紅十字会が、非常に滞在が長かつたにもかかわらず日本人を厚遇したということは、帰国者も認めておりますし、私も特に感謝しておるのでございます。その実際の状況については、正式の代表者からも何ら伺わなかつたような実情でございまして、今何ともお答えいたしかねます。
  24. 受田新吉

    ○受田委員 向うから帰られるのが遅れたために帰国たちが持金を使い込んだとするならば、これは国内問題としても責任があると思うし、援護庁としてもさらに考えなければならぬ問題です。今度の帰国者たちが十三項目の要求をしているというように、今までの帰国者になかつたことが突如としてなされたわけですが、これが、帰還が遅れてそのために経費が多くかかつたというような要素が含まれたとしたならば、十三項目の要求中の帰還手当の増額についても耳を傾ける必要がある。それは今までもどつた第三次船までの人とは事情が違うという点で耳を傾ける必要があると思うのですが、その点の御判断はいかがでしようか。過去三回の帰還船と今度の帰還船との、そうした経済的な負担の割合をちよつとお伺いしたいのであります。
  25. 工藤忠夫

    工藤参考人 お答えいたしますが、この三団体行動並びに三団体が乗船することにつきましての経緯は、皆さんもすでに御存じのことと思います。三団体は船に乗つて帰国者の乗船中のお世話をするということだけが限度でございまして、それ以後国内においての生活資金とか、帰還手当の問題とか、そういう問題についてまで三団体がやるということにはなつていないのでございます。もちろん、精神的には、赤十字としては独自の立場で、何とか皆さんの困難を解決するために努力したいとは思つておりますが、国内においては、これは政府責任であるというような立場をとつておるような次第でございます。
  26. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 このたびの引揚げが、時間はかかりましたが、大体無事に国に帰ることになつたことは、その間の関係者の御苦労に対しまして非常に感謝いたします。私がお尋ねしたいことは、先ほどの両参考人の話を演繹いたしまして、第一に、三つの団体引揚げについて帰国協力会をつくつて検討されている、しかしながら、ただいまの工藤参考人のお話によりますと、この二団体赤十字との関係におきまして、引揚げを円満に遂行する関係からして、思つていることそのものを言えないような面があるのじやないか思います。われわれ一同の念願するところは、たといどんな小さい団体間の摩擦があろうとも、これをスムーズにしながら中国にいる引揚者を一日も早く日本に迎え来ること、その間において関係者の御苦労があるわけであります。しかしながら、それをスムーズにする意味においては、政治的な摩擦はさることながら、それを最小限度にとどめて行つて、一日も早く引揚げを促進しなければならない、そこに私は現実的な政治問題が起つて来る、こう思います。そうなりますと、先日来現地に行つて視察しまして、第一に現実的な処理として考えなければならぬことは、大瀧工藤参考人の言われるように、援護局内の秩序の確立が第一だろうと思いますが、引揚げて来る船の中においてすでに、参考人がお話になつているように、インターナシヨナルを歌い、一方的な革命歌の高唱が行われている。そうすれば、すでにその船の中において組織されつつあるということになる。マイクロフオンなども、船中において三団体が平等なる権利において使つているのかどうか。あるいはまた、赤十字関係方々が無力であるがゆえに他の二団体をしてそれだけ跳梁させ日本帰つて来てから帰国者をよけい迷わせる結果になつておるのではないか。ですから、まず船の中におけるマイク、宣伝その他の秩序の問題についての解決が第一じやないかと思います。さらにまた、埠頭に降りました瞬間に、大瀧参考人の御説明にもありましたように、赤旗を振つて迎えに出て来ている諸君が多い。そこのところで革命歌を高唱しながら、母船からの上陸第一歩が赤旗と革命歌で迎えられた。一体局の中にそういう旗を持ち込むようなことを許しているのかどうか。これをお伺いしたい。  もう一つ具体的にお伺いしたいことは、どういう団体に入局の許可をされておるかということです。私、ここに手に入つておりますのを見ますと、帰国速報というのが出ておる。これを一体長官は御存じであるかどうか。今度の問題について非常にアジつたビラがあの中において配られておる。これは明らかに政治活動であります。そういうことで、国内政治運動があの中において行われているということについて、一体長官などは御存じかどうか。そういう問題をそこに許しているということ自体が、遠く何年間か苦労されて引揚げて、日本のことがわからない人々に、一方的に早く印象づけるがゆえに、これをもみほぐすために非常に時間がかかると思うのでございます。こういうふうに具体的なる問題を片づけて行つて、三団体関係の摩擦を最小限度にとどめて行きたいという気持から私は御質問するのでありまして、まずその点について、一つ一つ関係の方方からの御説明をお願いしたいと思います。
  27. 工藤忠夫

    工藤参考人 私の関係事項でお答えいたします。  この三団体帰国協力会をつくつておると先ほど御質問がありましたが、帰国協力会は、日中友好協会と平和連絡会の主催のもとに帰国者家族が集合している団体というようなお話でございまして、日本赤十字社は全然関係しておらないのでございます。ところが、この団体日本赤十字社許可なくして日本赤十字社の中に一室を占拠され、赤十字の数回の要望にもかかわらず、いまなお出て行かない。しかも、日本赤十字社帰国協力会と電話番号までお書きになつて、あたかも赤十字社が、今言われたように協力しているというような印象を与えるのは、非常に遺憾だと思つておるのでございます。そうして、その内容は、日本政府を攻撃し、あらゆる方法で日本赤十字社趣旨とは非常に反する行動をとつておられるのでございまして、実はわれわれといたしましても非常に苦しい立場でございまして、再三撤去していただきたいということを申し入れているのでありますが、この五月の一日を期して必ず出ると言われたのですが、今もつて赤十字におられ、夜おそくまで非常に働かれる。そうすると、またそれの方で守衛なんかでも夜の管理で困るということもあるのですが、非常に遺憾なことだということをお伝えしておきます。  それから、船内におけるマイクロフオンは、私の知つておる興安丸に関する限りは、これは船が輸送業務を執行するにあたつて使うものでございまして、乗客が使うものではございません。ところが、日本共産党メツセージその他あるいは中国の革命歌その他ばかりに使われまして、故国をなつかしむるために船内で準備したレコードが使つていただけないというような状況があつたのでありまして、この点は、船の経営者として、もう少し確立した規律を立てられるということが、私は特に必要ではないかということを感ずるのでございます。  以上二点についてお答えを申し上げました。
  28. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 局内秩序の問題について御質問がございました。先ほど大瀧参考人からもその点についてのお話がありました。われわれといたしましては、局内秩序の問題は非常に厳重に考えておるのであります。普通ならば、引揚者帰つて来られまして、あの局内において入国について必要なる手続をされる、あるいは援護を受けられるについて必要なる手続をとられる、その間におきましてできるだけの自由な時間を持たれるようにいたしたい、そうして、これを出迎える方方につきましては、できるだけ自由にお出迎えのできるようにいたしたいというのが、国民といたしましては本来の気持でございます。ただ、まことに遺憾なことでございますけれども、その間におきまして、他の意図をもつて政治的なる活動をするがためにこれに出入をする傾向がなきにしもあらずというような状況でございますので、援護庁といたしましては、第一次から、この局内に出入することにつきまして相当厳重なる態度をとることにいたしたのでございます。第一次の場合におきましては、それでも、ここに入る者につきましては、ある程度のゆるやかな考えを持つておりました。大体のそういう制限を設けておきますれば、これを守るものという立場をとりまして、入局いたします者につきましては、従来から引揚援護について協力をいたして来られた各種の団体並びに今次の引揚げにつきまして協力せられました団体、これだけの団体につきまして、出迎えといたしまして各団体二名ずつの入局を認めるということにいたしました。その他の者の入局はお断りいたしたのであります。そのために一般の出迎えをいたしまする方々の気持を阻害してはならないというふうに考えましたので、一般出迎えのためには、従来はそういう場所を設けてなかつたのでありまするけれども、一般の出迎えのために、従来局内でありました場所を囲いをいたしまして、これを局外扱いにいたしまして、そこにおいて一般の出迎えができるようにいたしました。入局者の制限をいたしますると同時に、一般の出迎えも、局内秩序を乱さない限りできるような措置をとつたのであります。第一次の状況によりますると、局内におきまして相当多数の人がここに許可を受けずに入りまして、これがどういう方法で入つたかということにつきましては、いろいろな方法をもつてつて参つたのでありまするけれども、たとえば、船に乗りまして、船からただちに帰国者と一緒に上陸のランチでもつてつて来るというような方法をとつた人もあるようでありまするし、あるいは、入局の許可の腕章をたらいまわしにして入つた人もあつたように聞いております。そういういろいろな方法で入つて参りまして、局内におきまして各種の文書を散布いたしました。散布いたしておりまする現場を見つけました場合におきましては、これに対して相当の処置をとることができるのでありまするけれども、何人がこれを散布したものであるかという証拠が全然ない。御承知の通りに、舞鶴援護局におきましては、従来あの施設におきまして千人以上の職員がおりまして、あれを維持しておつたのであります。現在は正規の職員が百八十四人、それに臨時職員が約二百人、合計四百人ばかりの者で、あの施設を維持、経営いたしておるのでございます。従いまして、帰国者引揚者お世話をいたすだけで手一ぱいでありまして、これに対しましてはそういう取締りをいたしまするのには、きわめて手薄であります。その手薄なのに乗じまして、各種の政治活動が行われる。はなはだしきに至りましては、資金カンパまでやつた者があるようでございます。これは、現実にそれをやつておりまする現場を見たと言う者もあるようでございまするが、これは、はつきりいたしておりません。しかし、明らかに文書をもちまして資金カンパをいたしておることは、配布されておりました文書によつて明らかでございます。そういうような状態でありましたので、さらに第二次以降におきましては、これが取締りにつきまして相当強硬な態度をとらなければならぬということになりまして、第一次に出しました入局許可証を全部やめまして、新たに入局の許可の方法をかえたのでございます。そして、それとともに、入局につきまして、門の守衛のやり方を厳重にいたしました。なお、局内におきまして巡視をさせまして、そしていろいろな非違のないようにするということをはかつたのであります。その後におきましてとられました方法というのは、私たちにはよくわからぬのでありますが、外から文書を持ち込んだ者がございまして、これを、取上げたこともございます。現実に取上げましたものは、これは中でまくのではないのだというので、これを外へ持ち帰つたという者もございます。それから、中にはだれも持ち込まないのに、いつの間にか文書が中に入つて来ておるという妙な状態が現われて来たのであります。これにつきましては、いろいろな想像ができるのでありまするけれども、ともかくも、外から入つて来た人は、何ら物を持つて来ないのでありまするけれども、いつの間にか文書が中へ入つて来ておるというような妙な状態がございまして、第二次以降におきましては、相当外の文書が局内において配布されております。なお、船内におきましては、相当多数の各種の文書が配布されております。これらの文言つきましては、われわれといたしまして、はなはだ適当でないというふうに考えますので、二団体等には直接口頭をもつて申入れをいたしましたところ、そういうことはしないというふうに言明されるのであります。そういうようなことでもつて、はつきりと、だれがまいたか、まいた現場をとらえてないというようなことで、現在まで逐次取締りは強化いたしておりまするけれども、なおこれが全然跡を絶つに至つていない。ただ、第一次、第二次、第三次と逐次これが取締りは徹底されて来ておる。第四次に至りまして、先ほどお話いたしましたように、これがまた新たなる事態が出て参つたのでありまして、これに対しましてどういうふうな対策をとるかということにつきまして、私といたしましては今後考えなければならぬというふうに考えております。なお、局内におきまする旗、のぼり等の取扱いでございまするが、旗、のぼり等は、局内に持ち入りますことは、各府県の名称をしるしました旗、のぼり、それから帰国者の名前を書きました旗、のぼり、これは持ち込みを許しております。それから、日本の国旗はこれを持ち込むことを許しております。その他の旗、のぼりは、一切外部から中へ持込みますることは認めておりません。従来も、中共からの引揚、げがございましてからは、そういう事実は全然ないのであります。ただ、第一次の際に、北鮮系の朝鮮人と思われまする者が、船でもつて侵入して来まして、しばらく旗を振つてつたという事実がございます。旗を三旒か四旒持つて来まして振つてつた。その後警察官等に依頼いたしまして退去させまして、その後は中に入れませんので、船の上で旗を振つてつたというような実情でございます。その後は、二次も三次もそういう事実が全然ないようでございます。今次は、帰国いたしました人々赤旗を三本持つてつてつたのであります。従来援護庁といたしまして、引揚者自身に対しましては、国内事情もあまりよくおわかりになりませんのでございますので、できるだけこれに対しましては口頭でもつて説得をいたしまするように努めておるのでございます。先般の白山白龍が入りまして、高砂を迎えましたときの状況でございまするが、これは、一応拒否したのでございまするけれども、強行して中へ入り、しかも入りましてじやまをしない、秩序を守るというようなことでもつてつて参つたのであります。あそこまで入つてしまいますると、局といたしましては、これを、どうするという強制力が、口頭による以外にないのでありまして、結局黙認の形になつてしまつたということに相なるのであります。われわれといたしましては、ああいうような状況をはなはだ遺憾であると思うのでありますが、帰国者に対しまして、従来非常に手ぬるいと申しまするか、取扱いといたしましては、引揚者本人の問題でございまするので、援護局といたしましては非常に遠慮いたしておるというような現状であります。これが今後、どういうふうにしたらいいかということにつきましては、十分検討しなければならぬというふうに考えております。
  29. 大瀧克巳

    大瀧参考人 お尋ねでございまするので、多少私どもの所見も述べてみたいと思います。今、局内秩序につきましては長官がみずから述べられましたように、実際現状としては、舞鶴援護局自体が何ら手を触れることができない。要するに、暴力がとにかく通るというのが現状であろうと思います。その端的な例といたしましては各新聞社の記者諸君が、舞鶴中共租界という言葉であそこを呼んでおることから見ましても明らかでございます。要するに、私ども並びに留守家族の出迎えに参ります方々の気持から申しましても、一日も早く会いたうございますし、国内事情等につきましても十分説明をしたい、ことに今度の九州等の水害の問題等につきましては、御自身も、また帰つて来られる人々も、非常な関心があろうということで、できるだけのことをいたし、十分に話したい、——もう話はいくらもあります。従つて、そういう措置が希望されるわけでありまするけれども、私どもに対しましては、要するに厳重な申し渡しがあつて、一定のわく内で出入を許され、面会が許されております。ともに夜を明かして話したくても、それはできないということになつております。要するに、諸種の業務があるから、業務遂行上それができないのだ、それをやらなければ帰れないということで、われわれも了承しおるのでございます。ところが、現実の問題といたしましては、今長官みずからも言われましたように、他の団体、要するに強行してやられる方々は、いかなる方法もとれる。とにかく、あそこへ泊り込みをして扇動をしておつた事実も、これは援護局自体が確認をしておるわけであります。そういうことを確認をしておきながら、どうにも措置ができない。たとえば、小松勝子氏の問題にいたしましても、局側としては入局を拒否されたと聞きました。しかし、現実の問題としてはこれは形の上では引揚者の手で局内に連れ込まれたと言われますけれども、とにかく最後までおられたのであります。しかも、入局を拒否したと言われる援護局が女史を門内の面会所に入れておる。その点は、御視察に参られました本委員会先生方現実にまのあたり見ておいでになられたと思います。現実には、一歩門内に入ることも、百歩門内に入れることも、私は同じであろうと考えるのでありまして、一方において強硬に拒否したと言われておりましても、それの実行ができない。また現実の問題として、諸業務等の遂行にあたりましても、あそこの中では、御承知のように、援護庁の下部出先機関だけではございません。出入国管理庁につきましてもその出先がおります。外務省の出先もおられます。また税関の出先もおられるのであります。しかしながら、そういう全般的な指揮命令系統と相なりますると、まつたくあそこはてんでんばらばらでありまして、何ら一度に出るところの方策もとりようがないということに相なるわけであります。そこに問題は伏在するわけでありまして、そういう盲点をつかれて今度の混乱が起きたと私は断言してもいいのではないかと思うのであります。従つて、今後の問題といたしまして、留守家族自体の気持から申しますれば、むしろあそこでやらなくても、帰つて来たら一日も早く留守家族の手に渡して帰させていただきたいという強い要望が多いのであります。自分の息子を利用されて、赤だというレツテルを張られたときの親の立場になつていただきたいと思います。また本人のくやしさも考えていただきたい。そういうことを考えますと、いたずらに三泊四日とか、四泊五日あそこに置いておくことがいいのかどうか。秩序が保ち得ないのであるならば、いち早く親御さんの手に帰していただくべく、政府としても考えていただかなければならないことであろうと私は考えます。それがまた、今度出向えに参りましてあの現場に巻き込まれた留守家族のほんとうの気持であり、従いまして、今後たとえば入国管理業務、あるいはまた税関法、検疫法等いろいろな国内の措置がありますけれども、入国管理の問題にいたしましても、先生方もよく御存じの通り、入国管理令には引揚者の問題は一つも触れておりません。第七章の第六十條以下、つまり手続をもつて旅券を持つて出て行つた日本人帰つて来る場合の措置しかきめられておらないのであります。しかし現実の問題として、これは日本人が帰るのだからという行為で、すべての問題が進められておると私は考えますし、また私ども、その点において政府の特段の措置について感謝をするのでありますけれども、そこの盲点をつかれた場合に、はたしてどうするかということが、私どもとしては一番大きな心配なのであります。従いまして、漫然とでなくて、今後起り得べき問題から考えましても、ぜひとも諸種の混乱を防ぐためには、はつきりした秩序の維持を立てていただきたい。具体的に要望すべき問題はたくさんございますけれども、今申し上げたような事態から考えまして、御善処をお願いしたいと考えるわけであります。
  30. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 ただいまの御説明によつて非常に大事なことが出て来たと思います。それは、新聞社の諸君があそこの地帯を中共舞鶴租界と公然と言われておるということなどは、全国民が聞いた場合に非常に唖然とすることだろうと思うのであります。それにつけても、対策がこの委員会で十二分に立てられて、引揚げがうまく行くと同時に、帰つて来られた方々が一日も早く故郷に帰り、そしてまた、扇動され、心にもなきことをやつている人々が、そういうことから早く脱却するような方策が講じられなければならぬと思います。ただいま御説明の中において、今まで大体空気においてわかつてつたことでありますが、帰国協力会の組織を通じてさえも三団体の政治的な関係がここに明白にされたことについて、工藤参考人の説明について感謝します。長官のお話の中にありました、この混乱を最小限度に防いで行く関係からいたしまして船の経営者の問題という話が出ましたけれども、マイクロフオンなどをやはり一方的な団体に十二分に使わせることによつて、思想を混乱させ、よけい摩擦を起すということは、具体的にこれを処置するように、お互いに研究する必要がある。これは具体的にひとつきめていただきたい。  それから、今の帰国速報という、共産党とか外部の政治団体が出しているようなもの、これを援護局は現地において認めているのですか。その点、もう一ぺん伺いたい。
  31. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 局内におきまするそういう文書の配付は、一切認めておりません。従いまして、局への出入りの際には、そういうものを持つて入らせないようにいたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、いつの間にか文書が中に入り込んでいるという奇妙なる状態があるのであります。いつそれをまいているのかという現場を見届けた者は今までないのでありまして、われわれといたしましては、それらの行動はすべて不法なる方法によつてつているというふうに認められます。  それから、船内におきまするマイクの問題でございまするが、われわれとしては船内におきまする秩序の問題について、こちらの所管でないのでございますので、私の方ではいろいろと心配いたしておりますが、ただ何らその効果があがつておりません。例をあげて申しますれば、先ほど申しましたように、船内から局内に入つて来るその道が一番ふさぎにくいのであります。船内に自由に入つて行きまして、それらの人々引揚者と一緒に船からおりて来る。これを拒否いたしますると、船の上あるいはランチの上でこれを阻止する行為になりますので、非常に危険であります。特に、引揚者がだんだんおりて来る中にまじつておりて来ると、従つて人命の危険等もございますので、やはりこれは遠慮するということになりますから、船の上に上ることを阻止してもらう以外に手はないのであります。これにつきましては、われわれといたしまして、その関係の方にも申入れをいたしまして、また船の方にもその申入れをいたしたのでありまするけれども、現在のところ、何ともいたし方ないという状況なのでありまして、船にどんどん上つて行きまして、船から入つて来るものが相当あるようでございます。その中には、船の中に正式に入ることのできる資格のある人が乗つてつてつて来る場合もありますし、そうでない場合もなきにしもあらずと私は考えております。これにつきましては、もう少し船の方の秩序の維持ということが重要ではないかと考えております。
  32. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 今の答弁の中に、盲点をつかれているために、自分たちとしてはこういうこともしたいのだけれども取締りができないというお話がありましたが、船からおりた瞬間に、——のぼりなどは、日本の旗、各府県の旗、さらにまた迎えられる引揚者の名前をかいた旗などしか許されてないにかかわらず、前に上陸したからといつて、その人々赤旗を振り、しかも一番とつぱなに出て引揚者を迎える。一方、長いこと待ちこがれておつたところの家族は、遠く離れて、一ぺんしつかり彼らにつかまえられて、上陸第一歩をさらにあおられたところを迎えなければならぬということなどは、ただ盲点だと言つて放置しておくにはあまりにも重大だ。非常に勢い込んだところを冷却して行くには、物理学的にも二倍、三倍の力がいるのです。この点などは、あそこの直接の権力的な責任者としての長官の一段の勇断をお願いしたいと思うのです。これについては、第五次、第六次もあることですから、今から腹の中を聞かしていただきたい。
  33. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 先ほど申しましたように、従来の舞鶴引揚援護局の態度というものは、外部からいろいろと策動いたします者につきましては、極力これを押える方針で、強く出ております。帰りました引揚者に対しては、従来から非常に穏やかな方法をとつているのでありまして、できるだけいろいろなごたごたを起さないようにしたいというつもりで折衝いたしておるわけでございます。彼らのいたしますことにつきましても、なるべくさからわないようにいたしておるのでございます。そういうようなところから、——従来そういうようなことはなかつたのでありますけれども、今次初めてああいうような事態になりまして、これに対しましては相当考えなければならぬのじやないかと思つております。われわれとしましては、これに対しまする第五次以降の問題もございまするので、ああいうような事態の際にどういうようにするかということについて、至急に対策を立てるようにいたしたいと考えております。
  34. 臼井莊一

    ○臼井委員 ただいま長谷川委員から、局内秩序の問題が出たのでありますが、もう一つ船の中の問題ですが、これは要するに、上に上つてから、いつからが援護局責任ができる限界になるか、要するに、ランチからあの埠頭に上つてからの瞬間にできるのか、ランチに乗つたときに、そこから舞鶴援護局責任になるのか、その点を一応お伺いしてみたいのです。
  35. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 ランチは舞鶴援護局でもつて向うへ出して連れて来るのでありますから、ランチに乗るところから舞鶴援護局責任になるわけでございます。そこに入つて来まする場合に、先ほど申しましたように、船の上でもつていろいろとごたごたいたしますことは、非常に危険が伴いますので、大体従来はあそこではあまりごたごたいたしておらないというのが実情でございます。
  36. 臼井莊一

    ○臼井委員 船の中のことは、結局船長が責任があると思うのですが、これは船長としても大体運べばよろしいというふうに考えているから、そういうことになると思うのでして、この点にはこの機会には触れませんが、局内秩序で、結局小松勝子女史にいたしましても、入局を拒否しているという一つの表現の発表とか声明だけではだめで、結局奪取されてしまうといいますか、実力をもつて連れて行かれてしまう。これに対してどう取締るかということが問題になりますが、やはり一応秩序を守るためには、守衛がおるのでございましようが、守衛がただ名前だけの守衛ではやはりだめで、一応実力というものもある程度は持つていないと、幸いあの程度で済んだからよろしいのですが、あれ以上にもしも外部からもう少し実力をもつて潜入して来るとか、ひとつの暴動的な行為に万一出るということになつたときに、これをどうしずめるかという問題、これは警察が取締ることになるでありましようが、警察も予算がないので出られないというようなことを、舞鶴の市署の方で何かこぼしているということも現地において聞いたのでありますが、一体守衛が何名くらいいて、手当等がどういう現状であるか、その点ちよつとお伺いしてみたいのです。
  37. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 署員の数はただいまどういうふうな配置になつておりますか、はつきり覚えておりませんが、現在の守衛は、普通の状態であそこに入つて来ようとする者につきましては、一応とめるだけの人数は持つているわけです。しかしながら、門以外のところからもぐり込んで来ますると、非常に広い地域でございますので、見つけますればそれは処置いたしますが、なかなか困難じやなかろうかと思います。ただ、門におきましては、現在は相当厳重にいたしておりまして、門から入りまする場合には暴力を振わない限り、現在は入つて来ることはできないわけです。先ほど指摘があつたのでありますが、小松勝子が入つて来ました際の措置につきましては、確かに局内面会所に入れておつて、これを拉致されたというようなことでありまして、これは、われわれとしましては非常に遺憾であつた思つております。少くとも入局を拒否している者を門内に入れたということは、はなはだよろしくない。とにかく、暴力を振いませんと、これに対しましては一応入れないことになつております。ただ問題は、暴力を振つてつて来た場合にどうするかということでございますが、われわれとしましては、そういう事態が起らないうちにあらかじめそういうことを考えるのはどうかというふうに考えまして、従来はあそこには警察官はわずかしか配置させておりません。大体局内の警備のために入つおる警察官は、局内でいろいろ現金を扱いまするし、銀行も入つておりまするし、そういうような関係であそここ警察官を配置させております。そのような程度のことで、普通の状態ならばそうたくさん警察官はあそこにはおりません。五、六名程度じやないかと思います。ただ、今回の経験によつて、第一日目に強行突破した者が四、五名ございます。第二日目には相当数の警官を配置いたしまして、強行突破ができないように処置してあつたのでございます。今後も、やはり同じような状態であれば同様な措置をとつて行かなければならぬと考えております。  さらに、舞鶴市警の方でこれに対する協力があまりないようなお話でございますが、これはそうではありませんで、舞鶴市警としては、金の問題は金の問題、協力は協力で、別にやつておる次第でございまして、金の問題についていろいろお話を承つておりますが、金がないからというのであそこに派遣をしないということはないようでございます。いろいろ事件がありました場合には、ただちに出動してくれるという実情になつております。
  38. 臼井莊一

    ○臼井委員 どうも、守衛の素質が悪いとは申しませんが、何か微弱なふうに感じられるのであります。これはごたごたを起すということを避けるためでありましようが、たとえば、小松勝子がいて、それが奪取される、こういう場合は、ただ渡してしまうというだけのことでは、守衛の役をなさぬと思います。やはり一応秩序としてきまつておることであつたならば、これをある程度強行するだけの実力——というと少し過ぎるかもしれませんが、ある程度断固たる態度を見せないと、こういうだらしのないものかと、——帰国者の方は事情を知りませんから、大体団結の力でやれば何でも通つてしまうのだ、こういうふうに思わせることは、かえつて帰国者の方に不幸だろうと思うので、ひとつその素質をよくする上においての予算が足りなければ、これも考えていただきたいということをお願い申し上げます。  それから、やはり秩序のことに関してですが、一昨日でしたか、二十数名の方が陳情に上京されて、当委員会にも何回も面会をしたいということで来たようでありますが、これが、許可を得ずして、要するに不法にあそこから脱出をして、そうして上京せられたということを伺つたのですが、事案そういうことであるのかどうか。なお、その場合に、鉄道運賃等も無料でこちらに来たものであるかどうか、幸いここに細田国鉄部長さんが見えられておりますから、その点についてもあわせてお伺いしたいと思います。
  39. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 たびたび申し上げたことなのでございますが、局内秩序の問題で、外部からの闖入にあたつては相当の決意をもつてつております。従来から援護局は、引揚者方々はお客様という気持でおりますので、お客様にしては少し態度が冷たいじやないかということを言われる人も中にはあるようでございますが、とにかく、援護局の気持はやはりお客様という気持でございます。従いまして、よほどのことがなければお客様には手を出さないのだという習慣がついておるのでございます。まあ、相当いろいろなことがございましても、なるべく、ごたごたを起さないようにしたいという気持で従来当つておる。それが、今回のような事件になりますと、今御指摘になつたようはなはなはだ手ぬるいことになつてしまつたり、あるいは外部の人が略奪するようなことになつたり、おそらく守衛は極力これに抵抗したと思いますけれども、とにかく中に入つております引揚者人々がおやりになつたことでございますし、従来からそういうやり方で、そういう気持でものを扱うということで、ああいうことになつたのではないか。今後のことにつきましては十分気をつけるようにいたさなければならぬというふうに考えます。特に、守衛のような方々でありますから、やはり一定のきまりをつくりまして、そのきまり通りにやつてもらわなければならぬのであります。入つてはいけないというときには、こういう人は入れてはいけないということをはつきりきめておかなければならぬ。こういう場合はどうするという規則をつくつて、それを厳重に守つてもらわなければならぬのであります。今までは問題が起るたびに逐次いろいろと手を打つてつておりますが、今後もこういうような事態に対してはどうしたらいいかということについて十分考究いたしまして、次の配船までには措置をいたしたいと思います。  それから、あそこから脱出することにつきましては、割合に外へ出ることは自由なのであります。ある方面の人人は、局内で非常にみんなの行動の自由を制限して監禁でもしておるようなことを宣伝される方々が中にはあるのでございますけれども局内における行動はきわめて自由でございます。外に出るにいたしましても、理由によりましては承認を与えないことはないのであります。従つて、今回こちらに出られたと称することについても、だれが出たのか、どういう方法で出たのかということについては、非常にはつきりいたしておらないのであります。それから、それらの方々がどういうふうに帰つて来られたか、どういうふうに中に入つて来たか、はつきりしないのであります。入つて来た方法等につきましては、一応の推定はできるのでありますが、ちようどその帰つて来ました日に、外出の許可をとつて外出をした人がありますので、それらの方と連絡をとつてつたのじやないかと思います。そういうようなことでもつて、だれが出てだれが入つたかわからない。何を申しましても、ああいう広い場所であつて、大勢の人数がおりまして、そして局の中の取締りをする人間が少いものでございますから、出ようと思えば自由に出られますし、入つて行こうと思えば自由に入ることができるのであります。はなはだ遺憾でございますけれども、あの広い場所でもしやるとしますれば、現在の人員を何倍もふやさなければできないのじやないか、——もともと援護局におきましては千人以上の人がおつたのでありますが、現在は四百人、しかも半分は臨時職員という状態でございますので、そこのところがなかなかむずかしい状態であります。何とか有効な方法でもつて秩序を守るようにしなければならぬというので苦慮いたしておるようなわけでございます。
  40. 細田吉藏

    ○細田政府委員 運輸省の国有鉄道部長でございます。先般上京された引揚者の方のことでありますが、舞鶴の実情を聞いてみますと、西舞鶴駅で乗車されたようでございますが、列車の発車間ぎわに見えまして、そうしてどやどやと改札を通られてしまつた。もちろん、発車間ぎわに見えますと、一般の乗客でも無札で乗つていただくことがありますが、乗つてから途中で切符を買うから、こういうことだつたのであります。それで、無札のままで、——これは計画的であつたかとうか存じませんが、間ぎわに乗られてしまつたのでございます。さつそく駅の方から列車の方へいろいろ連絡した模様でございますが、結局京都まではすぐである関係もございましようが、つかまりませんで、そのままになつて知りました。二十二列車、急行安芸号で、京都から東京の間は車内で乗車券を発行いたしておりますが、十枚発行いたしておりまして、そのうちに入つておりまして、無札は二十二列車につきましてはないのでございます。ただ、西舞鶴、京都間につきましては証明が立ちませんので、この間が無賃でおそらく乗られたのではないかと思います。帰りにつきましては、東京からお乗りになつたのでありますので、無賃ということはないと思います。
  41. 小平久雄

    ○小平(久)委員 先ほど来皆さんのお話を伺つておるのですが、私は結論だけちよつと承りたい。  局内秩序維持の問題につきましても、今の長官のお話を承つておりますと、長官の親心あふれた気持はよくわかるのでありますが、前回この委員会におきましても、秩序の維持の点について善処をお願いしておつたのでありますが、たまたま予期に反してごたごたが起きて、そのうち小松女史の問題なんかありますが、先ほどの御説明では、小松女史は拉致されたというような言葉を長官はお使いになつておるようであります。こういう場合に、法律的な解釈はどうなるか、よく存じませんが、かりに本人の意思で入つたといたしますならば、これは来出入りを禁止されておる者が入つたのでありますから、常識的に言うと住居侵入ということになるんじやないか。かりに本人の意思に反して、長官の御説明のように拉致されたということならば、拉致したやつの暴力行為であろうと思います。そういうような点について、親心はまことにけつこうでありますし、そうしてもらわなければいかぬのでありますが、こういう明らかな事態に対しては、当局はもう少し断固たる態度に出ることが秩序維持の根本じやないかと思います。この点を長官にまず伺いたいと思います。  また、今鉄道の方の説明を聞いても、西舞鶴から京都までは無賃乗車で来ておる。これに対しては、どうするのか一向わからない。これも、国内において国内法律が明らかに無視されておるんじやないかというようなことに対しても、当局の態度は、どうも親心と規則を混同しているんじやないか、私はどうもそういう気がしてならぬのであります。これについても、無賃であつたという事実を認めるだけで、鉄道の方は何もかまわぬのかどうか、これもひとつ念を押して聞いておきたいと思います。  それから、工藤さんに承ります。白龍丸の帰還者の声明の問題ですが、第四次白龍丸団体代表という名前で出した声明文ですね。これは、工藤さんは白龍丸にお乗りにならぬから、よく事情がおわかりにならぬというようなお話もございましたが、しかし、赤十字の方の代表の方も乗つておるのは乗つてつたのでありましようから、その乗り組まれた方からお話がなかつたのかもしれませんが、はたして赤十字代表の方が知らぬうちに三団体代表という名を使われたのかどうか、この点をお確かめ願つて、もし相談も何もなくこういう名前を使われたということならば、私は、赤十字立場から、われわれは関知しないということをはつきりしてもらいたいと思う。  それから、これは大瀧さんに伺うのですが、この声明文をわれわれは大瀧さんからもらつたのですが、どういう径路でこれを入手して、はたして三団体がまいたものかどうかということも一応疑えば疑えると思うのであります。どういう径路でこういうものを入手してこの委員会にお持ちになつておるのか。  なお、声明文の中で、白山白龍丸出港遅延は政府のやり方がけしからぬからだ、こういうようなことを言つております。これは、途中で代表が下船してごたごたしたのですが、この声明文について、長官は、ごらんになつておるかどうか知りませんが、当局としての意見をこの際明らかにしていただきたい。
  42. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 小松勝子氏の中に入りました事件につきましては、われわれは非常に遺憾に存じております。最初の日に入りましたときには、数回退去の指示をいたしましたが、遂に退去いたしませんで、夕方に至りまして退去させることができたのであります。第二日目は、入局を最初から拒否いたしておりましたが、先ほど申しましたように、遺憾の点がございまして、中にひつぱり込まれてしまつたという形になつております。それがだれの責任であるかということになりますと、これは、局といたしましては、取締りの点に遺憾の点があつたと考えております。なお、この点につきましては、帰国者代表方々が交渉に見えましたときには、これをただちに退去せしめるようにということを数次にわたつて申入れいたしております。これに対して、向うは、入局の許可を求めただけでありまして、退去する処置をとつておりません。それから、もう一つは、入つておりました小松女史がどういうところにいかなる状態でおつたかといことが、全然局の者にわからないのであります。服装は確かに帰国者と同じような服装をしていたように聞いております。そこで、局の職員にも、どこにいるのか全然わかりません。従つて、本人に直接退去命令を出す方法がないというのが、その際におきまして最も処置するのに困つた点のようであります。ひつぱつて来ました者に対しては、これを強硬に言つたのでありますけれども、これは、ほかの交渉がものわかれになつておりますので、なかなか話のらちが明かないというようなことであつたようであります。なお、食事をどういうふうにしてとつてつたかということでございますが、おそらく、この小松女史は、帰国者の食事を食べたのではないかと思つております。これは、はなはだ不都合なことではないかと思つております。外部の人が国費をもつて支給しておる帰国者の食事を食べたということは断じて許すことができないと考えます。たしか局内において小松女史のために食事のカンパをしようと言つてつた声を聞いた人がおるようであります。確かにそういうことがあつたのではないかと思いますが、これにつきましては、今後どういう処置をとるかということについて十分研究いたしてみたいと思つております。  それから、最後白龍丸のことでございますが、白龍丸につきましては、先方白龍白山乗船代表から、六月二十七日の午後九時三十分に三団体連絡事務局あてに電報が来ました。「白山白龍上海到着、紅十字会と面会興安丸の出発しないことを知る、興安丸にて華僑遺骨をすみやかに送れ、乗船代表は当初の決議を実行し送るまで出発せず」、こういう電報が参つております。この電報とあの声明とは相照応するものであります。これは、留守家族に対しましても、また日本国民に対しましても、けしからぬ行動であると私は考えざるを得ないと思つております。
  43. 細田吉藏

    ○細田政府委員 ただいまのお話でございますが、西舞鶴、京都間のことにつきましては、実情をさらに詳しく調査しなければ、何とも申し上げられぬと思うのであります。ただ、先ほど申し上げましたように、無札で乗車されます場合には、本人から車内の車掌にお話くださるということで普通乗つていただくのであります。これは日常どこにでもある例でございます。車掌といたしましても、——実は、これはわれわれ、平素の仕事にしましても非常に問題になつておるのでございまして、人の関係やその他で検札が十分に行かないで、今日一般に無賃乗車をやつているのがかなり多い。われわれと申しましては、特別臨時に人を出すというようなことで厳重に検札その他いろいろやつておりますが、必ずしも十分に平素参つておりません。今回のこの西舞鶴、京都間無賃であるということが、非常に車内秩序が乱れたものであるということにはただちにならないのではないかと私は考えております。西舞鶴、京都間でかなり集団的に乗られたものが、車掌にわからなかつたかどうかという点につきましては、実情をさらに調査してみなければ、何とも申し上げかねると思います。
  44. 庄司一郎

    ○庄司委員 ちよつと、鉄道の方に一問……。無賃乗車が相当あるというようなことを今おつしやいましたが、そういうことでは、政府機関の特別会計としての会計経理の上においてはなはだ遺憾であると考えます。西舞鶴から京都までの間は、汽車時間が相当長い時間を必要とします。専務車掌は、公安官とともに車内におけるところの警察権を持つているのでありますから、一応この問題のための検札でなくても、西舞鶴、京都間に一回ぐらいの検札というものを平素おやりになつているものであると私は考える。あえて追究するわけでないが、何か無札で乗る者が非常に多いから当然であるというようなことを国会において述べられるならば、われわれは鉄道会計の決算において、あるいは予算においても、この問題について考えてみなければならぬと思います。私は予算委員をやつておるが、どうか誠意をもつてお答えください。
  45. 細田吉藏

    ○細田政府委員 ただいま私が申し上げましたことで、あるいは非常に誤解を生じたところがあるじやないかと思います。私が、平素どうこうであるからこれが当然であるというように申し上げた、そういうようにおとりを願つたとしますれば、私どもは訂正しなければならぬと思います。当時の西舞鶴、京都間の実情につきましては、車掌の申出がどうであつたか、あるいは駅と車掌との連絡がどうであつたかということについては、さらに調査をいたさなければ申しかねるということを主体に申しましたので、鉄道の無賃乗車が多いというような点につきましては、私、ここで取消させていただきます。
  46. 工藤忠夫

    工藤参考人 ただいまの白龍丸乗船三団体代表の声明につきましては、先ほどもお答えいたしましたが、この白山白龍丸出港遅延は日本政府の反省を促すために三団体でとつたというようなことを声明されておりますが、先ほど申し上げましたように、日本赤十字としては、こういうような政治的行動をとつた覚えは全然ありません。ことに、第四次船の出帆につきましては、一日も早く在華同胞が帰られますように努力しております関係から、早く乗船してもらいたい、下船するようなことがあつてはならないということを強く命令しておりますから、この三団体代表の声明に日本赤十字が参加するはずがないのでございます。この点は、私が責任を持つてお答えをいたしたいと思います。
  47. 大瀧克巳

    大瀧参考人 入手の径路につきましては、これはもうすでに公表されていることでございまして、新聞記者団に対する発表があり、新聞にも一部載りました。それに対しまして、今工藤参考人から言われたと同趣旨から、白山丸の日赤の代表が、事実と相違するということで、この声明の取消し及び新しい声明を出すというような問題が出たことは、これは新聞にも出ておりますので、御存じのことと思います。いずれにいたしましても、これは半ば公然と国内に散布されたのであります。そういう経緯からいたしまして私は入手いたしました。新聞記者も持つております。
  48. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 本日の委員会におきまして、工藤参考人並びに大瀧参考人からいろいろ事情を拝聴いたしまして、その間の状況がつまびらかになつたのであります。この引揚げは、第三回までは大体においてスムーズにやつて参つたのでございますが、この華僑の帰還、遺骨送還という問題で、第四次の引揚げから俄然悪化いたしまして、最近は、最初帰つた白山白龍の帰還者は九日に送出する予定高砂、興安の帰還者は十一日、十二日に送出するという予定が、すでに数日を過ぎておるので、かなり重大な問題であります。しかも、援護局内における治安が乱れたことで、まことに憂うべきことが多々あるのでございます。今局内秩序維持に対して臼井委員あるいは小平委員からもお話がありましたが、法的根拠があるかどうか。要するに、久しく日本状況を知らずに帰つて参りました引揚者方々日本国内状況にうといだろうと思う。法治国のわが日本帰つて来て、暴力をもつてこれが通るのだ、暴で行けば何でも行けるのだというような事態を考えさせることは、まことによくないと思うのであります。すでに十名が脱出して、正式の手続をしないで議会陳情に及ばんといたしたに際して、私は過日委員会において強く反撃いたしました。従つて、この十名の方々は議会に陳情せずして舞いもどつたのであります。政府にも、これら代表者と会見すべきにあらずという強い意見を申し上げておいたのであつて政府も陳情を受けないそうであります。当然であります。しかし、秩序がかなり乱れておるやに聞くのでありまして、まことに遺憾に思います。これに対して、政府当局は十分に秩序を維持せられんことを希望いたしておきます。要するに、これは帰還された方々日本事情を知らないのだと思いますから、日本国内事情をよく知らしめる手段を講ぜられたらよいのではないかと思う。なお、船には別な意味における責任者があります。従つて、こういう事情をわれわれはつまびらかにしたいと思うのでございます。今日は工藤参考人大瀧参考人、ことに工藤参考人にはいろいろお伺いしたいことがあるのですが、時間もございませんから、この程度においてまず打切り願いたいと思う。  そこで、私はこの際御提議を申し上げます。各派から私に対して、こういうふうに言つたらよかろうという御意見でございますから、委員長においてはこれを御採用になつたらいいと思うのであります。それは、三団体が一致しておやりになつてつたが、最近三団体の情勢を見ると、必ずしも一致してない。かなりここに距離が出て来たようであります。しかも、援護局内における四船の方々は強力な外部の指導を受けておるようであります。こういう点、やはり究明する必要があるのじやなかろうかと思う。また二団体の方方が相当な程度まで指導力をお持ちになつておるようでありますから、これら二団体方々代表者をさらにここにお呼び願う、日赤の代表者もお呼びになる、いわゆる中共紅十字会と交渉せられた三団体代表者をこの委員会にお呼びを願いまして、最近における考え方、情勢について、さらにお聞きをしたらよいのじやないか、また、船内でラジオをとられたり、拡声機をこわされたり、あるいは船における日の丸の旗を強制的におろさせられたというような事実があるのでございまして、こういう点について、船内における状況をやはり承知いたしたいと思いますので、船長もお呼び願いたいと思うわけです。これら四つの船の船長は、それぞれの御用もあるでしようから、マニラ方面に行かれる方は別ですが、そうでない船長をこの際お呼び願つて、そしてさらに委員会としてこれらの問題を究明して今後の問題に善処いたしたいと思いますので、これを委員長におはかり願うように、この際私提言いたしておきます。
  49. 山下春江

    山下委員長 ただいまの佐藤委員のお申出を採択するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 山下春江

    山下委員長 それでは、委員長においてさようとりはからうことにいたします。——他に御質疑がなければ、これで参考人よりの事情聴取を終ります。  参考人方々には、御多忙中を御出席いただきまして、まことにありがとうございました。委員長より厚く御礼を申し上げます。
  51. 小平久雄

    ○小平(久)委員 先ほど委員長からの御提議によりまして、濠州に謝礼並びにあとの懇請のために本委員会より委員を派遣したいという決議をされたわけでありますが、それと同時に、フイリピンでああいう事態になつたわけでありますから、これに対しても国民的な感謝の意を表するために、議会の決議もあつたわけでありますが、でき得れば、われわれ委員としてフイリピン代表部に謝礼の意味で人を出すということを御決議願い、議長の方に御交渉願いたいと思います。
  52. 山下春江

    山下委員長 小平委員の動議についてお諮りいたします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 山下春江

    山下委員長 御異議なしと認めます。それでは、さようとりはからうことにいたします。
  54. 受田新吉

    ○受田委員 今の参考人を呼ぶ際に、海員組合の方から強力な申出もあることでありますので、海員組合の船員関係代表者を呼ぶことをつけ加えてお願いしたいと思います。
  55. 山下春江

    山下委員長 船長及び船員ですね。承知いたしました。さようとりはからいます。  本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時五十六分散会