○荒木政府
委員 新聞の記事がいかようでございましようとも、航空協会と運輸省との間に
意思の疏通を欠き、あるいは対立があるという事実は全然ございません。あたかも航空協会と私の方とが
意見の対立があるかのごとく吹聴されることは、私の最も心外とするところであります。御存じのように、航空協会は、戦前に大日本飛行協会がございまして、その後航空活動が禁止されておりましたために、解散をいたしてお
つたわけでありますが、航空活動が起るというわけで、
国民に対しまして航空思想の普及及び航空事業の
援助という目的のために、朝日、読売、毎日が中心になりまして、新たに航空協会が設立されまして、航空協会の会長は郷古潔氏、私も
理事の一人をいたしているわけでありますが、航空協会と航空局との間に
意見の対立があるというようなことはございません。その点
はつきり自信を持
つて申し上げられると思う次第でございます。
なお
予算の問題でございますが、当時
工事になかなか着手できないということは、すでに予想してお
つたところであります。御存じのように羽田の空港が非常に狭くて、混雑して、きたなくて、日本の玄関といたしまして、極束においても重要な空港であります羽田のターミナル・ビルディングの状態が、ああいうことではいけない、こういうような非難が内外を通じていろいろ多いものでありますから、これを
りつぱなものにいたしたいということを考えたわけであります。ことに接客面でありますところの税関と、出入国管理庁の入
つておりますところが、きわめて狭隘でございまして入
つて来るお客さんに非常に悪い印象を与える、こうい
つた点から諸官庁からも、これの拡大の要求が大蔵省にございます。私の方自体もあるいは気象台の問題、あるいは植物検査、検波の問題、こうい
つた関係官庁がたくさん入
つているので、これらの諸官庁からもスペースの拡大要求があります。ところが御存じのように、現在の建物をいじくりましても何ともする余地がございませんので、
構想を新たにいたしまして、別な地点、といいますと、今入
つて行くと左の方へまわりまして、ちよつと右へまわ
つて行くところでありますが、その新たなところへターミナル・ビルデイグを建てたい。これは各国の例によりますと、国なり公共団体なりがこれをつくりまして、国みずからが使う部分が相当あるわけでありますが、また各外国航空
会社、自国の航空
会社が使用する部分もあるわけでありまして、その官庁みずから使わない部分であ
つて、航空
会社等の使いますものにつきましては、政府なり公共団体からこれを賃借させていただいているというのが実情でございます。そこでそうい
つた建前で
予算の要求をいたしましたけれども、戦前からもそうであるが、
民間の使用部分については政府は出さないということであります。そこで政府
関係のものが非常にたくさんありまして、気象台を初め、税関
——税関が一番重要な部分にな
つておりますが、出入国管理庁というようなものが入る部分についてだけは大蔵省が査定しまして、これは改訂をいたしまして、実は二億円ちよつとにな
つております。それだけの経費は大蔵省が
予算を出す、但しいわゆる
民間航空
会社の使用部分については出せない、こういうことになりました。しかし御存じのようにターミナル・ビルディングというのは、まずお客さんが出る場合なら、お客さんが入
つて行きますと、待合室にお
つて、そして航空
会社の看貫へ載せるカードをもらいまして、荷物を看貫へかける、それからその荷物が税関の検査台えまわり、そこで税関の検査を受ける、それから出入国管理庁の
関係で
調査を受けて、パスポートに判を押してもらう、それから飛行機に乗を間待
つて、飛行機に乗るというわけであります。入
つて来る場合には入
つて来たらそういう事務がとんとんと迅速に行くというふうにならなければなりませんので、
民間使用部分と官庁使用部分とは一体で動かなければなりませんので、これは別建物にするということができないわけでございます。ところがこの設計は日本では経験者はございません。その話を聞き及びまして、オランダの
会社からもアメリカの
会社からも申入れがあ
つたわけであります。しかし日本の優秀なる
建築家がお
つて、日本としてつくりたい、しかしその設計は非常に困難でごいまいまして、そうい
つた事務を航空協会長の郷古さんと秋山さんとにお願いいたしまして、今この設計を準備いたしてしておりますし、懸賞募集をいたしましても十分なものは出ないと思いますが、今懸賞募集をいたしまして、今月の五、六日にかけてその展示会をして、外国航空会在の
意見を徴して行くということでありまして、この
工事が進まないということは、もとより予期してお
つたところでございますが、もつばら設計部面に時聞を要しておるわけでございまして、それは決して航空協会との対立があるとかなんとかいう問題ではないわけでございます。