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1953-07-27 第16回国会 衆議院 運輸委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十七日(月曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 川島 金次君 理事 鈴木 仙八君       岡本 忠雄君    尾関 義一君       高橋圓三郎君    徳安 實藏君       南條 徳男君    山崎 岩男君       有田 喜一君    臼井 莊一君       岡部 得三君    赤路 友藏君       正木  清君    三鍋 義三君       山口丈太郎君    熊本 虎三君       館  俊三君  出席政府委員         運輸政務次官  西村 英一君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君  委員外出席者         運輸事務官         (港湾局港政課         長)      町田  直君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 七月二十七日  委員青木正君、木原津與志君及び松原喜之次君  辞任につき、その補欠として尾関義一君、三鍋  義三君及び赤路友藏君が議長の指名で委員に選  任された。     ————————————— 七月二十五日  向井地内に駅設置請願田中幾三郎紹介)  (第五五一七号)  磐田、天竜川間に駅設置請願竹山祐太郎君  紹介)(第五五一八号)  文化町地内踏切自動警報機設置請願荒舩  清十郎紹介)(第五五一九号)  小本線の延長工事施行に関する請願田子一民  君紹介)(第五五五八号)  古江線にガソリンカー運転等請願永田良吉  君紹介)(第五五五九号)  大山塚踏切存置請願八木一郎紹介)(第  五七五六号)  常磐線電化請願原彪君(改)紹介)(第五  七五七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する  法律案内閣提出第一五三号)  港湾運送事業法の一部を改正する法律案岡本  忠雄君外七名提出衆法第三三号)  地方鉄道軌道業等に対する災害復旧特別措  置に関する申入れの件     —————————————
  2. 關内正一

    關内委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。地方鉄道軌道業等に対する災害復旧特別措置に関し、   西日本及び南近畿地方における水害による地方鉄道軌道業道路運送事業通運事業自動車整備事業並びに船舶製造及び修理業船舶機関及び同部分品製造業の被害はきわめて甚大である。よつてこの際これら事業の急速なる復旧をはかるため、かつて地方鉄道軌道業に対し、災害復旧費の五割に相当する額を補助した前例にならい、これら事業に対し補助金の交付、復旧資金の融通、利子補給等につき特別の措置を講ぜられんことを要望する。  以上の趣旨政府並びに水害対策特別委員会申入れを行いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 關内正一

    關内委員長 御異議なければさよう決します〕
  4. 關内正一

    關内委員長 外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案議題といたします。三派共同修正案及び本案を一括して討論に入ります。通告があります。山口丈太郎君。
  5. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は日本社会賞を代表いたしまして、ただいま議題となりました外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案政府原案賛成の意を表し、自由党両派及び改進党の三派によりまする共同修正案に対して反対の意を表明するものでございます。  この政府原案と三派共同修正になりまする修正案とを比較いたしますると、第一に私どもの問題といたしまする点は、日本経済自立に一番重要な役割を果しまする外航船につきましてのわが党としての態度は、保護助成を必要とすることは、基本的には当然のことと考えるのでございまして、その基本の問題については賛意を表するのでございます。しかしこの重要な産業でありましても、やはりこれは私企業でございます。そこで政府の説明を聴取いたしましても、いわゆる船会社朝鮮動乱以後におきましては、相当の収益を上げ、かつまた政府努力によりまして、その後造船に対しまする諸施設の近代化等に多額の金額をつぎ込んで、それが結果におきましては船価の低下を目的とするものでございまして、これにつきましては、相当成果を得ておる報告がされておるのでございます従つて政府原案で参りますると、その利子補給は現在の海運界不況にかんがみまして、今後における造船についての利子補給規定いたしておるのでありまして、私どもはこの点に対してはやはり現在の外航船舶建造に対する実情にかんがみて当然の措置と思うのであります。しかし修正案によりますると、今申しましたように政府が今まで非常な努力払つて船価引下げのために大きな資金をつぎ込み、そうしてその成果を上げるとともに、朝鮮ブームによりまして非常な利益を得、大きな配当をいたして参つたのでございます。しかるにその配当を行い得るような時代にまでさかのぼつて、すなわち貨物船におきましては、昭和二十五年の十二月一日から、油槽船につきましては昭和二十六年の十二月一日からというふうに、最も好景気にありました時代にまでさかのぼつて利子補給をいたすということは、まつたくこれは筋の通らない話であります。むしろ政府原案によれまして、昭和二十八年度からの利子補給については、それで足りなければそれに対する利子補給を増額する等の措置を講ずることは、これは筋の通つたこととして私は賛成をするのでございますけれども、そういうような、この修正案の持つておりますような性格において、この補給をいたすことに対しては、私ども絶対に反対を唱えるものでございます。  またこの外航船舶を建造いたしまするには、この政府原案をもつてしましても、政府政策の根底をなすものは、やはり自由主義の思想に貫かれておりまするために、この利子補給に対しては、船会社に対して何らの政府機関監督権規定しておらないのでございます。この点は非常に政府原案はいけない点でございまして、私どもはこれにはよほどの考慮を払わなければならぬと思つておるのでございます従つて無条件に、ただ政府原案賛成するわけには参らないのでございまするけれども修正案につきましても、その点については当然これは厳密に運輸大臣監査監督の条項を挿入して規定いたしておりますので、そのこと自体政府原案よりもよほど進歩しているものと思うのでございます。しかし今申しましたように、筋が通つていない。いわゆるこの支給制度に対して反対意思を表明するのでございます。  また私どもが最も遺憾といたしまする点は、ただ外航船に対してのみ利子補給をいたしますけれども、しかし事はただ単に外航船のみに限るのではないのでございまして、内航船すべてがやはり同一の苦しみにあるのでございます。そういう点から申しますると、同じ船会社、同じ事業の性質を持つて運航をし、しかも日本経済の再興に同じ努力をしておりながら、内航船に対しては何らの考慮も払われないというところに、私どもは非常な片手落ちを感ずるのでございます。しかも内航船業者なるものは、外航船船会社に比べて資本がきわめて薄弱であります。そしてこれらは数は多いのでありまするけれどもまつたく中小企業に属する事業でございまして、むしろこれらに対しまする利子補給の要請は、大会社と同様、それ以上に強いのであります。しかしこれに対しては何らの考慮も払われていない、これは私は大企業に対する育成強化のみを主体とする考え方であるといわねばならぬのでございます船価引下げの問題につきましても、ただ単にこういう小手先の措置だけをもつて満足するわけには参らないのでありまして、それに見合います鉄鋼あるいは造機等関連産業においてもやはり大きな赤字を出しておるのでございましてそれらについてもよほどの助成を必要といたすのでございますただ船会社だけにこういう一方的なことをし、しかも大会社のみにこういうような措置をするといたしましても、私はそれでもつて日本船会社が健全な発展をするとは考え得ない。また日本産業に対して大きな全面的な貢献をするというわけには行かないのであります。要は、これは政府の総合的な長期年次計画というような確固たる方針を打立てることの欠如に基くものであります。これにつきましては、わが党といたしましては長期年次計画を立て、しかもそれは、単に行き当りばつたりの、そのときに行き当つておるからそこだけを修繕するというような、さような浮薄な政策ではなくして、根本的にあらゆる産業総合計画に基きまする計画を樹立いたしまして、日本経済再建をはかろうとしておるのでございまして、そういう意味から申しまするとこれはきわめてその場当りの施策と申さねばならぬのであります。  以上申し上げましたように修正案性格はその場当り政策にさらに大きな輪をわけた矛盾したものであるということが言い得るのであります。でありまするから、私は政府原案に対しても、単に無条件賛成をするのではなくて、補償するのであるならば、それに対して修正案にいうような、いわゆる国家監督が必要である。それらについては、この私ども意見通つたとするならば適当な修正を加えることにいたしたいと思うのでございますけれども、しかしこの三派修正案におきましてはそのこと自体規定しておりまするけれども、以上申しましたような理由で私ども賛成を上かねる点が多いのであります。従つて以上申し上げました理由によつて、私は政府原案にはある程度修正意見を付して賛成をする。しかしこの三派の提出にかかりまする修正案は、政府原案に対する修正案とは認めがたい。政府原案に対して対抗案として認めるのであります。こういう意味におきまして、対抗案としての三派共同提案は、今申し上げましたような大きな矛盾を内蔵いたしておりまするので、反対意思を表明するものであります。以上をもつて討論を終ります。
  6. 關内正一

  7. 關谷勝利

    關谷委員 私はこの外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法案に対しまして、自由党を代表いたしまして、政府原案並びに三派の共同提案にかかりまする修正案に対しましても、賛成の意を表するものであります。  経済自立達成のためにはその基盤となります海運復興が第一でありますことは、これは何人もいなめないことであろうと存じます。なお現在の海運業界をながめますると非常な悲況——窮況と申しまするか悲しい状態になつておりますることも、もう皆さん方承知通りであります。諸外国におきましても、あらゆる部面におきまして徹底した助成等が行われておりますることは、これまた政府の答弁、その他資料においても明瞭に相なつておるのであります。わが国海運界には、以前はこの助成相当大幅に行われておつたのでありまするけれども終戦後におきましてはこれが打切られておつたのでありまして、国際的に競争をしなければならない海運事業といたしましては、現在のまま放任をいたしましたのではとうてい成り立たないことは、これ万人の認むるところであります。いろいろと反対理由を申されておりまするけれども、その助成策としての利子補給その他については、また海運界が非常に景気がよくなつて参りました際には、助成をいたしました額の範囲内におきまして、これは返還せしめることに相なつておるのでありまするし、ある程度の場合にはは助成の打切りもするのでありまして、これはいわば一時これを貸し付けておるだけでありまして、この不況なときの切抜けのためのこれは貸付というふうな形で、やがて返つて来るものでありますので、渡し切りになるものではないのであります。なおまたこれに監督規定というようなものが全然ないようなことを山口君は言つておりまするが、監督規定もあるのであります。なおまたこの関連産業等をやらずして、大資本家大会社だけにやる、こう申しまするけれども大会社助成することによつて関係機関が潤うて参りますることは、海運界実情が少しわかる者でありましたならばはつきりとこれはわかるのであります。これが関連産業等には何も助成にならないということは、海運界情勢を知らざる人の言と、こう申すほかはないのであります。私は国際競争力海運業者に付与するためには、どうしても最小限度この政府原案並びに修正案程度まで必要である、このように考えておるのでありましてこの原案並びに修正案に対しまして賛成の意を表するものであります。  なおまたこれにつきまして附帯決議を付したい、このように考えておりまするので、動議を提出いたしておきます。自由党両派並びに改進党三派を代表いたしまして附帯決議を付したいと思つております。まず案文を朗読いたします。  一、政府は、本法目的達成を期するため、外航造船及び外国よりの購入船に関する開発銀行並びに日本銀行別口外貨貸金利引下げを図ると共に、鉄鋼業者に対する開発銀行及び外貨貸金利引下げ造船用特殊規格鋼材価格引下げにつき遺憾なき措置を講ずること。  二、利子補給制度強化により、海運会社は多大の助成国家より受けることに鑑み、海運会社の自粛を図り、その企業努力を更に強化せしめるよう政府においてこれが指導監督の遺憾なきを期すこと。  三、造船業及びこの関連工業合理化及び近代化を促進し、船価の低減に関し一層の企業努力を徹底しめるよう政府において適切なる指導を行うこと。  四、本法による助成を円滑に実施するため、政府は可及的速かに助成の均衡を図るよう適宜の措置を講ずること。  以下その理由を御説明申し上げます。この法案によりまして、わが国海運業者並びに造船業者は、政府より多大な保護助成を受けるわけでありまするが、現在の国際情勢にかんがみまして、海運業及び造船業飛躍的発展をはかることは、わが国としてまことに喫緊を要務と申すべく、政府としては当然何らかの措置をとらねばならぬ事柄であると考えます。しかしかかる保護助成政策は、これら産業国家的重要性を重視するためにこそとられる措置でありまするから、これら産業に携わる人々が、よく本法の意図するところに徹底し、常に国家的立場に立つて業務に専念することにおいてのみ、本法目的が十分に達成されるものであると考えるのであります。なお本法においてその眼目となつておりますところは、金利引下げでありまするが、この点は金融機関協力を特に強調する必要を感ずるものであります。政府は以上の諸点につき今後万全の処置を講じ、本法目的達成につき遺憾なきを期せられたい、このような趣旨から、ただいま朗読いたしました附帯決議案を付したいと存じまするので、御賛成を願います。
  8. 關内正一

  9. 熊本虎三

    熊本委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま審議に相なつておりまする政府提出原案賛成し、三派共同提案になる修正案に対し反対意見を申し述べたいと思います。  造船業界振興界というものは、何人も否定することのできない重要な案件であることはいまさら言うま百でもございません。従つてわが党といたしましては、前々国会以来この問題についていろいろと熱意を傾けて参りたのでございまするが、しかしながら根本的に現在の業界不振の原因を検討しまするならば、三つあろうかと思う。その第一は経営者努力熱意欠除、第二にいわれておりまするところの造船資、財の物価高、第三は高金利現状が、そのおもなる原因であることは皆さんの御承知通りであります。  ところが第一の経営者努力等につきましては、ひとり造船業界のみを言うのではありませんが、かつて終戦直後におきまして、日本産業開発のために、国民的犠牲の上に立つて、あるいは産業復興金融金庫等による国家的金融を行い、あるいは生産補給金等をもつてこれが育成に当つたのでありますが、これがドツジ、プランに基きまして一切を排除されるに至つたのでございます。その理由は言うまでもなく、日本経営者国民犠牲による国家的重要産業保護育成に対してあまりにも放漫的であつて、借りた金はもらつたつもりでこれを濫費し、補給金は単にその増額のみに狂奔して、何ら国家的視野に立つた経営努力、あるいは熱意というようなものを欠いておつたところに、インフレは高進して、もつて国民生活を圧迫するという結果に陥つたところにこそ、竹馬経済の排除という形においてこそを一切排除されるということに相なつた次第でございます。  造船業界はその後いろいろの変遷を経て来たのでござ’ますが、最近に至りましてどうしてもこれの重要性緊急性が輿論化して参りますると、業者は再びこれに便乗して、他力本願的な、国家国民補助と機軸とに依存して安易な経営をしようという点がないという点がないといたさないのでありまして、これらの点に十分根本的な考え方をいたさなければ、とうていこれが復旧発展はできないと考えるのでございます。資材の高価の問題につきましても、やはり政策貧困あるいは貿易対策欠如、こういうことが原因となつておるのでありまして、単に国の補助によつてこれが根本的に改善されるものではございません。アメリカ一辺倒外交政策貿易政策を打破いたしまして、そうして真に日本貿易上の問題においても、あるいは外交上の問題におきましても独自性を発揮して、そうしてアジア貿易開発等を志さなければ、これができようとは考えられないのでございます。特に高金利の問題にいたしますならば、この前の質問で申し上げましたように、何かこういう政策をもつて金利政策であるというふうに口をそろえて答弁されたのでありますが、これは大なる欺瞞であります。いわゆる低金利政策とは金融機関融資に対します根本的な利子引下げであります。こういう政策は逆に営利資本金融独占による彼らの暴利を、国の補助によつて維持育成することになるのであつて、結果としては金利政策反対のコースをたどるのである。こういうようなことでそのことごとくが従来の政策貧困及び経営者努力欠如、こういうところにあるのでございまして、ここを矯めなければならない、かように考えておるわけでございます。しかしながら事今日に及びましてわれわれはそういうような根本的な問題を議論し、あるいはこれを改革するということに対しましては時をかすことができないかと考えますので、従つてわれわれは冒頭申し上げますように、政府提出原案賛成して、あの範疇において最大最高努力をもつて所期の目的が貫徹されるようにして行きたい、かように考えておるわけでございます。  そこで私は三党提案に対します私の反対理由を二、三申し述べて、御了解を得たいと存じます。その第一は、いかに船舶事業が緊要であり、重大であるかは、私も反対するものでないのでございますけれども、しかしながら日本現状から見まして、ほんとうの重要産業にして国家国民がこれに対するところの処置振興策に対して考えなければならないものは、ひとり本事業だけではないということであります。そこから考えますならば、今度の抜本的な、偏重的な厖大なる育成策というものは、多くの他の産業にいかなる影響を及ぼすのであるか、この影響に対して私質問をいたしましたが、そういう重要産業にもこれを育成するのだというお答えはどなたからも聞くことができません。従つてこれは偏重ともいうべき行き過ぎであろうかと考えまして、総合的に日本経済再建立場からはなはだ賛成しがたいということでございます。  その次は利益配当処分改正案では利潤ということに相なつておるようでございますが、これに対して政令によつて規制するということのなつております。しかしその政令の内容がこれからのことでございますから、私質問をいたしましたところ、たとえば一割程度配当があれば補給金を停止し、あるいは一割五分以上の配当があるならば、その差額を国家に納入せしめるというような案のようでございますが、しかしながらその政令はあとのことでございますから、明確でございません。ただそうはいたしてありまするけれども、次に問題となりまするのは、経営者の、あるいは再評価によるところの資本の増大、あるいは増資その他等々の行為が行われまするならば、こういうような条文がありましても、これは矢文化するおそれがある、従つてせつかくの真意が、そのまま実行に移されないという危険性があるのでございまして、この点まことに重大だと考えておるのでございます。  なおその次には保護育成さるべき現象は法律をもつてきめられておるのでありまして、従つて外国人会社重役等は排除されておるのであります。しかしながら投資に対する制限がございませんので、だんだんと国の補助によつて造船界が健全化しますると、それに並行して、外国資本投資はますよす増大するかとも考えられます。そうなつて参りまするならば、実質上の役員の有無にかかわらず、その会社経営権というものがこれらに移行しないとはだれも保障できないのであつて、これらに重大なる不備のあることを指摘しなければならない。  それから第四には、政府監督監査の権でございますが、これはなるほど關谷君仰せの通り条文にも入つておるのでありまして、まんざらそれがないということではございません。しかしながらこれだけの思い切つた保護育成をするならば、もつともつと政府において、国民のための監督監査命令等強化されなければならない、この点に薄弱性があるところに私は不安があるのでございます。  その第五には、この造船業界船舶だ対しまするところの労働者協力態勢は、まことに涙ぐましいほどでざいます従つてこれらの労働者熱意あふるるがごとき意見は十分にしんしやくし、そうしてこれが業界に反するような措置を講ぜられることがは妥当ではないかと考えられます。古くからこの日本造船界におけるころの技術あるいはその他の点は、際的にも認められておることでござまして、こういう点からいたしまして、何らかの方式をもつて、真に労働熱意企業の上に反映して、もつ国民にこたえられるごとき方途を講ていただきたいと考えておるのであまするが、その点に欠けておるといことでざいます。その次には、開発銀行融資についての補給金は八十五億四百七十三万、市中銀行のこれに対するもの百六十三億、損失補償に対しまして五十九億七千万というふうに、合計いたしまして。三百七加七千四百七十三万というような厖大な金が予算化されなければならないということに相なるのでございま旧するが、これに対しまして、業者の犯したる命令その他の任務を怠慢いたしました場合における処置としての罰金が、わずかに三万円であるというに至りましては、はなはだわれわれは片手落ちであるといわなければならない。昨日も申し上げましたが、このことは、とるのが目的ではなくて、その法例遵奉意味における処置でございますから、その金額はもつともつとふやしまして、そうして企業者のこれに対する責任感の全うを求めるべきであると考えまするが、その点に欠くるものがある。  以上のような観点からいたしまして、残念ながらこれに対して反対をいたすものでございます。もちろん政府提案原案におきましても、これらの欠如するところは相当ざいまするが、冒頭に申し上げますように、さしあたり現状打開熱意をもつて、一応原案賛成して、そうしてその最大な効果をねらおうとするものでございまして、以上申し上げて皆さん方の御賛成を求めたいと存じます。
  10. 關内正一

  11. 臼井莊一

    臼井委員 私は改進党を代表いたしまして、ただいま提案されております外航船舶融資利子補給法の一部を改正する法律案に対する改進党、並びに両派自由党三派共同提案になります修正案並びにその附帯決議、これに対して賛成をいたす次第であります。  わが国の国際収支における海運造船重要性にかんがみまして、船腹の積極的拡充をはかり、かつ日本海運の対外競争力を強化し、外貨獲得の飛躍的増加を期すべきことは、いまさら論をまたないところであります。しかるに海運企業現状を見ますると、高金利、高船価に災いされまして、その国際的進出を著しく阻害されているのが現状であります。なかんずく、最近の海連市況の悪化によりまして、著しい苦境に直面しているのであります。わが国海運のかくのごとき状況にかかわらず、従来これに対する施策は見るべきものがなかつたのはまことに遺憾とするところであります。この点にかんがみまして改進党といたしましては、海運造船政策を確立することが、何よりも急務であることを痛感いたしまして、思い切つた政策をとるべきものと考え、このために具体的法案といたしましては、第一に海運企業に対する金利を大幅に低減して、国際金利並にすること、それから第二といたしまして、船価の低減をはかるために、造船用鋼材価格の引下げ措置を講ずること、この二点を中心とした施策を提唱して来たのであります。今回昭和二十八年度予算修正に伴いまして、わが党の海運造船政策の実現を見、また今回わが党及び両派自由党共同動議によりまして、必要なる法案修正が行われますることは、まことに改進党の方策の一部を実現するものでございまして、この措置により、わが国海運経営の基礎が強化され、その国際的競争力が相当程度付与されることを期待されるのであります。さらにまた国際収支の改善、ひいては自立経済達成の上において裨益することが、非常に大なるものがあると信ずるのであります。  以上の諸点から改進党といたしましては、本案に賛成いたすものでありますが、国家補助企業努力を減退させた例は絶無といえないのでありまして、各海運会社におきましては、多額の国家助成を受けている点を反省いたしまして、本法趣旨たる海運企業の健全なる振興という国家的要請に沿うべく一層の努力をはかり、また造船会社及びその関連工業船価軽減のためにもさらに努力を傾注されんことを望むとともに、政府におきましても、海運会社及び造船会社に対し、適切な指導及び監督を行うことを要望いたす次第であります。なお山口委員からこの修正案提出にあたつて利子補給をさかのぼつて補給されるようにという御発言がありましたが、これは現在建造中、あるいはでき上つた一部を含みますけれども補給は決してさかのぼるものでなくて、今後において補給をいたすものであることを申し添えておきます。  以上の理由によりまして本修正案賛成をし、なお三派共同提出の四項目にわたる附帯決議に対しましても賛成いたす次第であります。
  12. 關内正一

    關内委員長 館俊三君。
  13. 館俊三

    ○館委員 私は労働省農民党を代表いたしまして、政府原案及び修正案いずれにも反対するものであります。  政府保護政策をとりながら、日本海運、ことに外航海運を伸ばして行とうということは、当然国民として考えなければならないことでありますけれども、しかしながら海運といわずどの企業でありましても、資本主義制度下において自由競争を許している態勢をそのままにいたしておいては、この保護政策によつて日本海運は窮極において救われない、私はそう考えるのであります。それと同時にその結論は、いわゆる金融資本の確立になり、金融資本を提携している大造船会社あるいは大海運業者の利得、が維持されるにすぎない結果になると思うのであります。そういう意味において、国が海運保護政策をとつて助長をして行くということには賛成であるが、現在の態勢のままではこれは不可能であり、失敗をしてその保護政策もむだになつてしまうだろうという立場において、この両案に反対の煮を表明するものでありますが、なぜむだになるかという点を、五項目くらいにわたつてお話をしておきたいと思うのであります。  現在金利の補償をやるとか損失補償をやるとかいうことの根本原因は、造船船価が非常に高いということである。しかしこの造船船価が非常に高いということは、アメリカ依存の一辺倒のために、中共貿易その他の近東貿易が非常に阻害されておるという結果から、鉄鋼及び石炭等の原料価格が非常に高いことである。これを是正しなければ追いつかないのであります。たとえば重量トンートン当りの建造費は、イギリスに比べて二割高いのであリます。金利高のために造船及び船舶経営が非常に困難であるということでありますが、この金利高の問題については、政府が低金利政策を全般的に施行するがごとく、せざるがごとく、この対処策がきわめてあやふやなために、金融業者としては高金利政策を引きおろさないためであります。そのために船舶経費としては金利が四八%を占めておる。これをイギリスに比しますと、イギリスの船舶経営における利子のパーセンテージは二五%になつておるのであります。かくのごとく建造価格の高いこと、金利の高いことがどこへ行つておるか。すなわち甲板、機関あるいは司厨等の船員の賃金の低下にしわ寄せをされておるのである。船舶経費の中に金利が四八%を占めておるのに、これらの労働者の経費は日本ではわずかに一〇%しか占めておらないのである。しかるにイギリスでは船舶経費の中の労働者の賃金の率は二七%、およそ日本の三倍近くになつておるのであります。イギリスの船員に比べれば、日本労働者の賃金はわずかに六分の一にしか達しておらない。これらの金利、高船価のしわ寄せが、船員の労働条件におびただしく押しつけられておる。しかもこれが乗組船員だけならいいけれども造船労働者及び港湾労働者にしわ寄せされているのである。従つて造船労働者の賃金が低くなり、しかもその雇用は打算的に臨時人夫を使うような状態になつて、港湾労働者においてもかくのごとき状態を現出しておるのであります。これらは、政府金利高に対する政策及び原料高を阻止する中国貿易なきために、経営に非常に困難する経営者に非常に利益を与えるばかりでなく、その自由主義経済のために、これに使われておる港湾労働者造船労働者及び船員その他に対する圧迫が非常に大きくなつているのである。これを是正しないで、いたずらに金融資本、造船業者に対する補給金あるいは利子補給のみに集中しておることは、自由主義政治のもとでは当然でありましようが、われわれはこれに納得し得ないのであります。  さらにそれでは経営者側ではどうか。大体日本の内航あるいは近海の経営をやつておる船舶業者は、船舶業者のうちの中堅的経営者であつて、最も大事な層に属する人たちである。しかるに内航船舶は今百万総トンが数えられておるのでありますが、その二三%は遊休船として遊んでおるのであります。遊んでおるということは、内航、近海をやる中堅船舶業者には非常な痛手であるが、何がゆえに遊んでおるか。いわゆる中共貿易、ソ連貿易がアメリカの阻止によつてできなくなつたがために、かくのごとく百万トンのうちの二十三万トン、三分の一が仕事ができない状態である。しかも海運における国際貿易戦が激化するに従いまして、すでに遠洋船舶が近海船舶の方に割込みをやつておる。いよいよもつて中堅船主業者の苦痛がおびただしくなつておるのが現状なのであります。そのために、これらの船主は自分が海運業者でありながら、そのみずからの海運業を捨てて、大海運業者の用船事業をやり出し、しかも用船料を割引きする。その経営をするために借入金をしなければならぬし、借入金の返却についても何とかしなければならぬという状態でありますが、さような不況にあえいでいる日本の中堅業者をどうするかという対策に、政府は触れておらないのであります。ことに同じ海運業者である機帆船の連中に至つては、実に経営が困難である。一九五一年以来の海運のもうけのときには、一般の海運業者は非常にもうけておる。しかも上半期には二六%、下半期においては九三%もの利益率を上げておる。しかも配当も非常に大きな配当をやつておるが、その間に処する労働者の賃金のベースがどういうものであつたかということを、自由党とその内閣は十分に回想してみる必要がある。そういうことが今出されたこの法案によつてどれだけ配慮されるのであるか。自由主義経済をとり、資本主義経済のもとに自由主義経営を許しておつては、労働者立場というものはいつまでたつても改善はできぬのである。  しかも政府は敗戦以来この造船事業あるいは海運事業に対してどれだけの費用を投じておるか。二十六年度までに千二百四十億円を費しておるのでありますが、そのうち三四%は見返り資金あるいは復興金融金庫、そういうところからで、四百何十億円の金を政府自身がつぎ込んでおる。そうして今こういう法律案が出る前に、すでに政府は重大なる決意をもつて海運助成に当つて来ておるにもかかわらず、現状がこの通りの状態であるどいうことは、政府の責任はきわめて重大であるといわなければならない。それにもかかわらず、さらに利子補給をやると同時に、損失補償もここにカバーしてやらなければならぬという理由はどこにあるか。しかもそれをやつて日本外航船舶が国際場裡において競争に耐え得るかどうかという問題であります。実際現実を見ますると、運賃同盟その他の関係で、日本国内の大会社のおのおのが運賃同盟に加入したり、同盟外の運航をやるというふうに、国内それ自身における主要な外航船舶業者、あるいは三井船舶とか、大阪商船、日本郵船、あるいは国際海運ですか、そういうのが国内的に外航の定期航路をとるために、いかに激烈なる競争をやつておるかということはおわかりの通りであります。そうして国内的にその競争をやりながら、さらに世界的不況の中に立つて日本が貨物を吸収しようとかかるようなことは、非常に困難なことである。もし日本がここに保護政策をとるとするならば、これらの大会社が一挙にして社会化する方向をとりながら、そこに国の費用をつぎ込んで行き、国の政策を集中して行くということであるなら私は合点が行くのであるが、せつかくの血税を集めた大融資を、今まで七百億、五百億とつぎ込んで来た。しかもそれが見返り資金であるならば、大衆に食糧を売りつけた大切な金である、それをつぎ込んで来ておりながら、今失敗をしている。  さらに朝鮮休戦がきよう行われるのであるが、朝鮮の休戦が行われることによつて軍事物資が動かない、この軍事物資が動かないということは日本ばかりでなく、世界的な情勢である。そうして貨物の収奪が、世界海運業者の間に火花を散らして闘われているこの際に、しかも日本国内が一本で行けばいいけれども、さらに日本の国内においてはこの外航船による利益をとるために、あるいは貨物をとるために、各大会社が相争つておる状態のままに捨てて置いて、そうして日本の大切な税金からする補助をこれに与えて行くという保護政策は、政府の金を単に大会社に与え、従つて大金融をつぶれないようにし、従つて造船所を維持するような方向にのみ効果があるのであつて日本の対外的な保護政策目的は、実に的はずれな結果に終るであろうということを私は危惧せざるを得ないのである。  しかも造船をする場合には、適格船主の選定ということを運輸省でやられる。この適格船主の選定ということはどういうことであるか。このために函館ドックにいたしましても、どこの小さいドックにいたしましても、船をつくるために船主と協定をするが、その船主がいわゆる大金融資本とのつながりがないために、いつも負けておる。そうして大船主に建造の命令が集中される。大船主に建造の命令が集中され、許可が集中されますと、従つてそれに資本的つながりを持つところの大造船所にその建造が注文されて、零細な画館ドツクあるいはその他の小さなものは、いつも運動費ばかり多額に食つて、時間を費して一そうも当らないという結果になる。今日の船会社に対する金融政策、ドツク会社に対する金融政策というのは、如上述べて来たことくで、経営の面においても近海航路あるいは内航の中堅船主業者をして、実にはだ寒き思いをさせておる現状である。この補給金の取上げ方、あるいは利子補給方、あるいはこの適格船主の仕方においていかなるお考えを持つか、私がここで説明するまでもなく明らかなことなのである。  こういうようなことで、この法律案がまたさらに出されることは、全体的に見て保護政策の完成を望み得るものではなく、かえつて逆効果になり、しかも国際競争における運賃のダンピングまでして、おのおの国内において相争つており、また集荷のために国内の大会社がダンピングして争つている。そういうことに対して、政府はいかなる態度を持ち、いかなる方針を持つて、大局的にこの法律案を出したかということを考えざるを得ない。私はそういう意味において、保護政策をとつて行くということには賛成であるけれども現状資本主義経済のもとにおいて船主に自由主義経営をやらせておいてこれをやつたんでは、三文の価値もないし、従つてまたそこに働いている労働者諸君、日本の中小の船舶業者及び機帆船業者、それらにまつわつて今日ようやく生活を営んでいる大衆の生活改善は、実に困難であるという意味において、賛成をするわけには行かないのであります。労働者でこれに対して賛成をしている者も中にはあります。これは何とかして自分の造船主、自分の会社に一つでも多く船を持つて来なければ、自分たちの首が危ういぞという気持で賛成しているのであります。その内情は労働者として実に苦しいのである。しかしながら労働者がそういう弱い立場から賛成しているにもかかわらず、また経営当局は労働者に手伝いをさせているにもかかわらず、労働者経営参加をさせたことがあるか。労働者の賃金要求のときにどういう態度をとつているか。労働者は純粋であります。だから、船を会社に持つて来れば労働者の首が助かる、労働者は仕事ができるという意味で、経営に対して実に良心的な応援をしているにもかかわらず、いまだかつて船会社船会社において、あるいはその他の企業において、労働者のこの純真さを買つて経営に参加させて、相ともにこの企業の進展をさせようとして、良心的な態度をとつているものがあるかどうか。事実はそうじくやなして、かえつて賃金を上げることに停止を食らわせ、ストライキにロック、アウトを食わせている現状において、私は痛憤やる方ないのである。その意味でこの法案に対しては根本的に政府は考え直すべきである。資本主義経済のもとにかかる保護政策をとることは、実に相矛盾した政策であるという点からいつて、この修正案及び政府原案に私は絶対的に反対を表明するものであります。
  14. 關内正一

    關内委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。まず三派共同修正案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  15. 關内正一

    關内委員長 起立多数。よつて修正案は可決いたしました。  次に、修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  16. 關内正一

    關内委員長 起立多数。よつて修正部分を除く原案は可決いたしました。よつて本案は修正議決すべきものと決しました。  先ほど本案に対し附帯決議をなすべしとの動議が關谷君より提出されておりますので、本動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  17. 關内正一

    關内委員長 起立多数。よつて本動議のごとく決しました。  なお本案に関する委員会報告書の作成については、委員長に一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。         一     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 關内正一

    關内委員長 なければさよう決します。
  19. 關内正一

    關内委員長 次に、港湾運送事業法の一部を改正する法律案議題とし、これより質疑を続けます。山口丈太郎君。
  20. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は一昨日の質問に引続きまして、ただいま議題となりました港湾運送事業法の一部を改正する法律案について、質問を続行いたしたいと存じます。  今までの質疑の中で最も私の疑念を抱いております点は、法案の第三十三条にあることを、一昨日も申し上げておいたのでございます。これには私の誤解あるいはあるかもわかりませんので、ひとつ懇切の御説明をいただきたいと思うのでございます。今日の港の状態におきましては、港の混乱の原因としてあげらるべきものは、大まかにわけて二つに集約することができると私は思うのでございます。そのまず第一点は、ある一定の荷役を行います場合において、請負いました業者が、一部の荷役を行つたあとの分について他の業者にこれ一を下請させるというところから、その下請は勢い公示料金を割つて請負うような状態になり、そこから大きな混乱を生ずるのではないかという点が一点と、もう一点は、木船業者がいわゆる木船運送法によつて運送をいたしておるのでありますが、これが港の一地点から一地点に対しましての港湾内における純然たる港湾運送に割込みをいたす。ところが現在の法によつては、木船運送法に従つてその運送を行います場合にも、取締りができない状態に置かれておるというようなところから、港の公示料金の引下げ等の問題が起きて混乱をする、こういう二つの原因が存しておるのではないか、私はこのように考えるのでございますが、これについて私の思い違いであれば、思い違いとして御説明をいただいてけつこうでありますし、もしそうであるといたしますならば、その点についての御説明をいただきたい、かように考えるのでございます
  21. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 港湾の中におきます荷役の業を考えますときに、はしけによる荷役と、それから機帆船にる荷役があるのでございます。なおはしけによる荷役につきましても、一般の港湾運送事業は、船内荷役とはしけ輸送と沿岸荷役、この三種類からなつておりまして、この三つを一貫してやつている事業者もあります。また船内荷役のみを事業としてやつているものもあります。はしけ輸送を単独でやつておるものもございますし、沿岸だけを単独でやつておる業者もおるのでございます。この港湾運送事業が現在港湾の中で行われておるのでございますが、木船運送法によつて登録した機帆船業者がこれらの港運業者の中に入つて参りまして、港湾の中で陸のA地点からB地点に機帆船による輸送をやつておるのでございます。また一部は本船から機帆船によつて港内の沿岸地点に輸送をやつておるのでございます。しかもこれらの機帆船業者も、荷役の点につきましては港湾運送事業法の適用を受けないのでございます。そのために、料金その他は港湾運送事業法で告示した料金によつておらないので、ダンピングの危険等があるわけでございます。それで今度の三十三条におきまして、は、これらの木船運送法に登録した業者が港湾運送事業をやる場合には、登録は必要ないけれども、登録以外のその他の一切の業務関係は、港湾運送事業法の適用を受けるようにしたのでございます。このために違反等がありました場合には、運送事業法によるいろいろな措置なり罰則を受 けるのでございます。それで木船運送業者は一ばい船主の機帆船が多いのでございますが、これらにつきましては、港湾運送法の改正の場合にいろいろと協議をいたしまして、おおむね港湾内における木船運送は、陸・陸の間と、それから一部本船から沿岸に行く場合のみにいたしまして、この場合は港湾運送事業法の適用を受けるように今回の改正をいたしたのでございます。  次にお話のございました下請の点でございますが、下請は、部分下話のみを港湾運送事業法によつて認められておるのでございまして、全部下請は許されておらないのでございます。これは御承知のように港湾運送事業は非常に波の多いものでございまして、輻湊して参りました場合には、能力をオーバーするような場合には、どうしても一部下請にせざるを得ない場合が生じておるのでございますが、この場合の料金につきましては、港湾運送事業法で告示した料金を元請は遵守することになつておるのでございます。下請につきましては、下請と元請の間で紳士的な協議が行われておることになりますので、ダンピング等の不当な競争は起きないと思うのでございます
  22. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 大体適切な御答弁を伺えたと思いますが、それではお尋ねをいたしますが、この機帆船によります一地点から一地点の、たといそれが港内であつても、いわゆる陸、陸運送といいますか、陸からか陸への差渡の運送のような形になるわけでありますけれども、そういうものは純然たる機帆船の運送業務に入るものとしてこれを認めて行く、こういう立場に立たれるのですか。
  23. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 今の御質問が私よくわからないのでございますが、他の港から他の港へ機帆船で輸送する場合は、これは木造船運送法によるのでございます。例をあげて申しますと、神戸なら神戸港のような場合、兵庫の突堤から葺合の方に輸送する場合は、たとい機帆船で輸送いたしましても、これは港湾運送事業法の適用を受けるのでございます
  24. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 わかりました。そこで私はもう一つお尋ねいたしたい点は、この下請によります料金、これはやはり港内における運送でありますから、公示料金を割るということは、これは下請でもできないのではないかと私は思いますが、下請である場合に、下請業者と元請業者との関係において、その公示料金の適用はどういうことになりますか。
  25. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 元請業者に対しましては、定まつた告示料金があるのでございまして、その元請業者と下請業者か契約によりまして下請を一部やります場合の料金は、その両者の協議によつてきまるのでございます
  26. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そういたしますと三十三条の三の二項についてでありますしまう。もうかつても責任を負わない。私の陳情を受けているわくの中では、これが港湾のがんになつておる。私はこういう陳情をまじめな業界の諸君から受けておるのです。この木船運送法と港湾運送事業法との関係は一体どうなつているのか、この点をひとつ親切に御答弁を願いたいと思います。
  27. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 木船運送法は機帆船によつて港の間の輸送をいたします場合のいろいろ適用の法律でございます。機帆船はおおむね一ぱい船主が多いのが現在の実情でございます。そうしてこの木船運送法では下請はできるのでございますが、これらの木船運送業者が港湾内に入つて参りまして荷役をする場合が問題なのでございます。港湾内に入つて来まして荷役をいたします場合は、これは木船運送法の方でそれらの業者を登録いたしておりますので、登録が二重になりますので、港湾運送事業法では登録をしなくてもよいことになつておりますけれども、どういう木船運送業者であるるかということは、これは海運局の出先の方でわかるわけでございます。これらの木船運送業者事業をやろうといたします場合には、港湾運送事業法によつて届出をすることになつております。届出をいたします場合には、いろいろ運送事業法の適用を受けるのでございまして、この場合には一部の下請しかできないのでございます。一部の下請とは今申しましたように省令で、今回の改正に伴つてきめるつもりでおりますが、それは一単位の作業量でございます。各港により、また貨物の扱い方、船型等によつていろいろ違いますけれども、おおむね一ハツチで荷役される量を一作業量と考えておるのでございます
  28. 正木清

    ○正木委員 そこで重ねて、答弁がなかつたからお尋ねするのですが、先ほど私申し上げたように、この法律案についてはまつたく私はしろうとでございますが、常識的に考えるとこういう感じを受けてならぬのです。たとえば陸では自動車交通事業に対しては、既設業界の諸君があまりに強い権益を持ち過ぎている。だからわれわれ中小企業者にも自動車の営業を自由にやらしてもらいたいと、こういう免廃運動が全国に火の手のように上つているのが、陸の現在の交通事業の姿なのです。これが当委員会においても非常に大きな問題になつて、これが道路運送法の改正にまで実は発展したわけです。この港湾の運送事業法を見ますと、陸とは逆でございまして、むしろ思い切つて従来の戦時中の統制を解体してしまつて、いわゆる野放しにしたという感じを受けてならないのです。ということは、一方においてはこの事業法に基いて許可をとつている資本を十分持つた業者が一貫作業をやつている。しかも一貫作業をやつているこの業界に対しては、全体としても下請は禁止する、こういう法律が一方で明確になつている。ところがこの木船運送法から見ますと、特に私の問題にしたい点は、機帆船の一ぱいの業者の諸君の下請限度は、今度通過するであろうこの法律によつて省令で決定する。しかもあなたが今明瞭に御答弁くださつて、その省令の内容についても今明確になつたので、これは私は大体了承できる気がするのでありますが、その次に問題になつている木船回漕業というものについて、再三私がここで申し上げているように、信用度がある者はそれでけつこうでありましようけれども、今言う通り人の店先を借りて、一つテーブルを置いて、電話を一つ持つて、はなはだしいのは帳場も置かないで、目分自身が下請負をやる、こういうことが現実に一体、他人の大切な品物の取扱いをするこの港湾の運送事業で、はたして適切な行政処置であるかどうか、この点に非常に私は疑問を感ずるわけです。同じ運輸省の行政監督のもとにありながら、陸の方においては自動車事業というものは、タクシーであろうとトラックであろうと、資本が少くて信用ができないものには絶対に計可はできないのだ。その計可ができないということは、生命と財産を預かる公共的な大切な仕事であるからして許可はできないのだ、こういうことですね。ところが一方海の方では、人の店先にテーブルを置いて、電話を一本置いて、帳場を置かないものが全体として——一部ではないのです。全体としてかつてに下請負ができるのだ。そうすると一体責任の所在はどういうことになるのですか。これは常識からお伺いしているのですよ。大切な人の財産ですから、その大切な人の財産をかつてに下請負をして、この下請行為がいろいろな間違いを起したときに、一体その責任の所在というものは、この法律の中で第何条の第何項によつてその責任の所在が明瞭になるように規定されてあるのか、ひとつ親切に、詳細に御答弁を願いたいと思います。
  29. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 先ほどの正木委員の御質疑に対しまして御説明申し上げますが、港湾運送事業法はお説のように、戦争前は野放しの状態で、まつたくの自由企業でありました。戦争中に海運運送事業法等に関する勅令がございまして、その勅令によりまして、ある程度の規制があつたのでございますが、その勅令が占領後、占領政策によつて廃止されまして、港湾の中におきまする港湾運送事業法は、もう濫立、野放しの状態になつたのでございます。それでその状態では港湾運送事業は健全な発達をいたしますのに非常にぐあいが悪いので、一昨年この港湾運送事業法の成立を見たのでございます。この港湾運送事業法によりますと、登録することが建前になつております。自由企業であります関係上、全部野放しではなくて、許可はいたしませんが、登録をして、この登録に対しましてはいろいろな基準を設けておつて、基準に適格でない者は、登録を拒否しておりますから、港湾運送事業はできないわけでございます。ですから先ほど御質問のありましたように、機帆船業者が港湾の中で、諸種の港運事業をやろうといたしますときには、港湾運送事業法つて、いろいろな制約なりを受けるのでございます。この点で港湾内におきまする木船運送業者は、営業なりあるいは事業の内容につきまして運送事業法でいろいろ縛られている、というと表現がちよつと適切でないかもしれませんが、いろいろの制約を受けておるのでございます
  30. 正木清

    ○正木委員 私の申し上げることがしろうとであるために、どうも局長にはおわかりにくいようでございますから、今度は条文でお伺いしたいと思うのです。この第三十三条の三、「第四条の規定は、木船運送法の規定により木船運航業又は木船回漕業の登録を受けた者(以下「木船運送事業者」という。)が営むはしけ以外の木製船舶による貨物の港湾における運送(海上運送に直接に接続する運送であつて、港湾運送事業者から請け負つたものでないものを除く。)の事業については、適用しない。」この条文をひとつ親切に詳細に御答弁願いたいと思います。
  31. 町田直

    ○町田説明員 三十三条の三の規定を置きました趣旨からまず御説明申し上げますと、先ほど来御説明がありましたように、現行港湾運送事業法における港湾運送事業というのは、本船に直接に接続する運送だけを対象としております。従つて一つの地点から別の地点に行く本船に接続しないような運送であります。こういうものは港湾運送事業とはなつていなかつたのであります。従つてそれは機帆船であろうが、はしけであろうが、自由であります。木船運送法ができまして、そういうものは木船運送業の範囲に入ることになつたわけでございます。ところが港湾運送事業というものは必ずしも本船に直接接続する運送のみならず、港湾内における運送も港湾運送事業とする方が実態に適しているというので、今度の第二条の改正によりまして、港湾内における船舶による運送は、すべて港湾運送事業ということにいたしたのであります。従いまして、指定区間におけるはしけによる運送も、港湾運送事業であるというように拡張いたしたのであります。そこで港湾内における運送業者、機帆船運送業者、これは回漕業者も含まれております。こういう者がやる場合には、当然港湾運送事業法によりまして登録を受けなければなりしまう。もうかつても責任を負わない。私の陳情を受けているわくの中では、これが港湾のがんになつておる。私はこういう陳情をまじめな業界の諸君から受けておるのです。この木船運送法と港湾運送事業法との関係は一体どうなつているのか、この点をひとつ親切に御答弁を願いたいと思います。
  32. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 木船運送法は機帆船によつて港の間の輸送をいたします場合のいろいろ適用の法律でございます。機帆船はおおむね一ぱい船主が多いのが現在の実情でございます。そうしてこの木船運送法では下請はできるのでございますが、これらの木船運送業者が港湾内に入つて参りまして荷役をする場合が問題なのでございます。港湾内に入つて来まして荷役をいたします場合は、これは木船運送法の方でそれらの業者を登録いたしておりますので、登録が二重になりますので、港湾運送事業法では登録をしなくてもよいことになつておりますけれども、どういう木船運送業者であるるかということは、これは海運局の出先の方でわかるわけでございます。これらの木船運送業者事業をやろうといたします場合には、港湾運送事業法によつて届出をすることになつております。届出をいたします場合には、いろいろ運送事業法の適用を受けるのでございまして、この場合には一部の下請しかできないのでございます。一部の下請とは今申しましたように省令で、今回の改正に伴つてきめるつもりでおりますが、それは一単位の作業量でございます。各港により、また貨物の扱い方、船型等によつていろいろ違いますけれども、おおむね一ハツチで荷役される量を一作業量と考えておるのでございます
  33. 正木清

    ○正木委員 そこで重ねて、答弁がなかつたからお尋ねするのですが、先ほど私申し上げたように、この法律案についてはまつたく私はしろうとでございますが、常識的に考えるとこういう感じを受けてならぬのです。たとえば陸では自動車交通事業に対しては、既設業界の諸君があまりに強い権益を持ち過ぎている。だからわれわれ中小企業者にも自動車の営業を自由にやらしてもらいたいと、こういう免廃運動が全国に火の手のように上つているのが、陸の現在の交通事業の姿なのです。これが当委員会においても非常に大きな問題になつて、これが道路運送法の改正にまで実は発展したわけです。この港湾の運送事業法を見ますと、陸とは逆でございまして、むしろ思い切つて従来の戦時中の統制を解体してしまつて、いわゆる野放しにしたという感じを受けてならないのです。ということは、一方においてはこの事業法に基いて許可をとつている資本を十分持つた業者が一貫作業をやつている。しかも一貫作業をやつているこの業界に対しては、全体としても下請は禁止する、こういう法律が一方で明確になつている。ところがこの木船運送法から見ますと、特に私の問題にしたい点は、機帆船の一ぱいの業者の諸君の下請限度は、今度通過するであろうこの法律によつて省令で決定する。しかもあなたが今明瞭に御答弁くださつて、その省令の内容についても今明確になつたので、これは私は大体了承できる気がするのでありますが、その次に問題になつている木船回漕業というものについて、再三私がここで申し上げているように、信用度がある者はそれでけつこうでありましようけれども、今言う通り人の店先を借りて、一つテーブルを置いて、電話を一つ持つて、はなはだしいのは帳場も置かないで、目分自身が下請負をやる、こういうことが現実に一体、他人の大切な品物の取扱いをするこの港湾の運送事業で、はたして適切な行政処置であるかどうか、この点に非常に私は疑問を感ずるわけです。同じ運輸省の行政監督のもとにありながら、陸の方においては自動車事業というものは、タクシーであろうとトラックであろうと、資本が少くて信用ができないものには絶対に計可はできないのだ。その計可ができないということは、生命と財産を預かる公共的な大切な仕事であるからして許可はできないのだ、こういうことですね。ところが一方海の方では、人の店先にテーブルを置いて、電話を一本置いて、帳場を置かないものが全体として——一部ではないのです。全体としてかつてに下請負ができるのだ。そうすると一体責任の所在はどういうことになるのですか。これは常識からお伺いしているのですよ。大切な人の財産ですから、その大切な人の財産をかつてに下請負をして、この下請行為がいろいろな間違いを起したときに、一体その責任の所在というものは、この法律の中で第何条の第何項によつてその責任の所在が明瞭になるように規定されてあるのか、ひとつ親切に、詳細に御答弁を願いたいと思います。
  34. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 先ほどの正木委員の御質疑に対しまして御説明申し上げますが、港湾運送事業法はお説のように、戦争前は野放しの状態で、まつたくの自由企業でありました。戦争中に海運運送事業法等に関する勅令がございまして、その勅令によりまして、ある程度の規制があつたのでございますが、その勅令が占領後、占領政策によつて廃止されまして、港湾の中におきまする港湾運送事業法は、もう濫立、野放しの状態になつたのでございます。それでその状態では港湾運送事業は健全な発達をいたしますのに非常にぐあいが悪いので、一昨年この港湾運送事業法の成立を見たのでございます。この港湾運送事業法によりますと、登録することが建前になつております。自由企業であります関係上、全部野放しではなくて、許可はいたしませんが、登録をして、この登録に対しましてはいろいろな基準を設けておつて、基準に適格でない者は、登録を拒否しておりますから、港湾運送事業はできないわけでございます。ですから先ほど御質問のありましたように、機帆船業者が港湾の中で、諸種の港運事業をやろうといたしますときには、港湾運送事業法つて、いろいろな制約なりを受けるのでございます。この点で港湾内におきまする木船運送業者は、営業なりあるいは事業の内容につきまして運送事業法でいろいろ縛られている、というと表現がちよつと適切でないかもしれませんが、いろいろの制約を受けておるのでございます
  35. 正木清

    ○正木委員 私の申し上げることがしろうとであるために、どうも局長にはおわかりにくいようでございますから、今度は条文でお伺いしたいと思うのです。この第三十三条の三、「第四条の規定は、木船運送法の規定により木船運航業又は木船回漕業の登録を受けた者(以下「木船運送事業者」という。)が営むはしけ以外の木製船舶による貨物の港湾における運送(海上運送に直接に接続する運送であつて、港湾運送事業者から請け負つたものでないものを除く。)の事業については、適用しない。」この条文をひとつ親切に詳細に御答弁願いたいと思います。
  36. 町田直

    ○町田説明員 三十三条の三の規定を置きました趣旨からまず御説明申し上げますと、先ほど来御説明がありましたように、現行港湾運送事業法における港湾運送事業というのは、本船に直接に接続する運送だけを対象としております。従つて一つの地点から別の地点に行く本船に接続しないような運送であります。こういうものは港湾運送事業とはなつていなかつたのであります。従つてそれは機帆船であろうが、はしけであろうが、自由であります。木船運送法ができまして、そういうものは木船運送業の範囲に入ることになつたわけでございます。ところが港湾運送事業というものは必ずしも本船に直接接続する運送のみならず、港湾内における運送も港湾運送事業とする方が実態に適しているというので、今度の第二条の改正によりまして、港湾内における船舶による運送は、すべて港湾運送事業ということにいたしたのであります。従いまして、指定区間におけるはしけによる運送も、港湾運送事業であるというように拡張いたしたのであります。そこで港湾内における運送業者、機帆船運送業者、これは回漕業者も含まれております。こういう者がやる場合には、当然港湾運送事業法によりまして登録を受けなければなりません。その他の規定も全部適用されるということに、今度の改正でなつたわけであります。ところがたまたま本来は港湾内の運送の場合ではございませんで、若松、阪神間の運送、そういう機帆船の本来の運送をいたしております者は、たまたまそのときの情勢によりまして、港湾内に入つて参りまして、ただいま申し上げました港湾運送事業をやろうという場合もありますが、そういう場合には当然木船運送事業でございますから、木船運送事業法の登録を受けるわけでございます。そういう者が港湾内に入つてやる場合には、二重に登録を受けさすのはむだではないか、従つて登録だけは免除しよう。しかしこの登録も、本船から直接岸壁に参ります本船に直結したものにつきましては、港湾運送事業でも最も重要な事業でありますので、これをやります場合には原則通り登録も受けなければならない。その他の規定も受けなければなりません。しかし先ほど申しました港湾内の一定地点から別の地点に行く、こういうものは本来機帆船業者がやる場合には、登録だけは免除しよう。その他の重要な規定、たとえば運賃、料金、あるいは先ほど申し上げました下請の業務、こういうものだけは免除しない。しかも直接本船に接続しない運送、そういうような意味で三十三条の三の規定は「木船運航業又は木船回漕業の登録を受けた者が営むはしけ以外の木製船舶による貨物の港湾における運送(海上運送に直接に接続する運送であつて、港湾運送事業者から請け負つたものでないものを除く。ととあつて、つまり元請は除きますけれども、それ以外は全部登録は免除しようという裁定になつたわけであります。そこで先ほど御質問がありましたいわゆる回漕業者、電話一本でやる場合でもできるじやないかという御説明でございますけれども、もちろん登録がございませんから、電話一本でやろうと思つてもできるかもしれませんけれども、十六条で全部下請が禁止してありますので、電話一本では事実上できないわけであります。少くとも自分がやらなければならない。従つて施設を持たなければやれない結果になります。先ほど局長が御説明いたしましたように、省令で規定する範囲内の運送は、どうしても自分でやらなければならないということになりますので、いわゆる電話一本の危険な企業というものは、港湾内ではできないということになつているのであります。
  37. 正木清

    ○正木委員 ただいまの御説明で大体明瞭になつて参りましたが、そういたしますと、この点非常に大切ですから、局長からお伺いしておきたいのですが、第十六条でございますか、「港湾運送事業者は、その引き受けた港湾運送を行う場合には、運輸省令の定めるところにより、第二条第二号、第三号又は第四号の行為の少くとも一部を自ら行わなければならない。」この「一部を自ら行わなければならない。」というこの規定に基いて、私が盛んに質問をいたしておりまする、この木船回漕業の、要するにテーブル一つ、電話一つで下請及び全体ができるのだということに対する禁止の条項がこの十六条によつて明瞭になつておるから、その心配はないのだというのが答弁の趣旨だと思うのです。そこで私は重ねてお伺いしたいのですが、現実にあるのですとあなたの方でないとおつしやるのであるならば、いつ何時でも私の方はあるという事実の資料をここに提出するだけの準備を持つております。そういう事実があるのである。そこで私は責任を持つてあなたなり局長から答弁を願いたいのですが、この十六条によつて、省令でもつて一部をみずから行わなければならないという禁止条項がある。その一部とは、その回漕業の規模の範囲内のどの程度までを一体さすものであるか。たとえば独立した事務所を持たなければいけないとか、職員は何人の範囲でなければいけないとか、資本金はどのくらいの範囲でなければいけないとか、下請をするためには下請をするだけの一切の準備行為がなくてはならないと思うのです。ただ事務所一つ、電話一本、テーブル一つ、職員二人ということではないと思うのです。港において下請行為をやるのですから、私は相当の設備が必要だろうと思うのです。その設備、要するに資本の全体はどのような範囲をもつてこれを決定するのか、この点を明瞭に御答弁を願いたいと思います。
  38. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 今御質疑がありましたのは、登録基準が該当して来るかと思うのであります。その登録基準は省令で今回きめようとする、先ほど申しました単位作業量をやるに必要な設備、それから労務者を常時持つていなくてはならないということが、一つの基準になつております。ども承認する場合に大切な事項でございまするから、重ねてお尋ねをいたしますが、この回漕業者が十六条の規定によつて登録をして、そうして営業行為をやる場合には、当然一部の下請行為であつても、やはり社会的に信用度が必要だと思うのです。従つて少くともあなたの方が許可をする場合には、やはり独立した事務所なり、電話、職員その他の設備が、少くともこの作業を請負わせてさしつかえない、従つて朝行つて職業紹介所から人夫をつれて来るというのではなくて、ある一定の常用している労務者も兼ね備えなければ、あなたの方はこの省令によつてそういうものは禁止する、こういうことでございますか、その点明確にしておいてもらいたいと思います。
  39. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 登録基準でございますが、これは港によりましてそれぞれの特殊の事情がございますので異なつております。それで登録基準が五大港のような非常に大きな港におきまして、一般港湾運送事業をやります場合には基準として考えておりますのは、船内労務者が六十人程度、はしけが二千トンから三千トン、沿岸労務者が二十人から四十人程度港湾運送事業法を行う場合の五大港におきまする登録の基準はそれくらいがいいのではないかというふうに考えております。しかしこれは五大港の場合でありまして、地方の港湾になりますと、これもいろいろな事情がありますので、この基準は相当かわつて来るべきだろうと思うのでございます
  40. 正木清

    ○正木委員 重ねてお尋ねしますが、その登録基準でございますが、局長のおつしやつたの港湾運送事業法の五大港を中心とする基準を今答弁されたわけですね。私の心配して先ぽどから繰返し質問を申し上げているのは、この木船運送法に基く木船回漕業なんです。一体この登録基準の範囲はどこに置いているのか、こういうことなんです。いわゆる店先に電話一本、テーブル一つ置いている、さような無責任の者でも、登録をすれば許可をしておるのが現状ですから、それではたしてよろしいのかということでございます
  41. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 木船運送業者でも港湾内でちやんとした港湾運送事業をやろうといたします場合には、今申しましたような基準が一応の考慮の線になるのでありますが、この木船運送業者が木船運送法によつて登録いたしておりますが、それが陸から陸への臨時的な輸送をやるとか、あるいは本船から下請をして陸にわずかの量を持つて来るという場合には、下請のいろいろな基準、先ほど申しましたような基準が適用されるわけでございます
  42. 正木清

    ○正木委員 そこで局長は第三十三条に基いて私の申し上げておる一ぱいの機帆船を持つておるその業者とこの回漕業を含めて、第三十三条では木船運送法の中に入るわけですが、私の先どからお尋ねしておるのは、その機帆船の方はわかりました。機帆船の方は一ぱい持つてどういうことをやるかということもわかつたのですが、私の最後にお尋ねしている点は、繰返して言うが、人の店先を借りてテーブル一つ置いて、電話一本を持つて、帳場もない。はなはだしいのは主人公一人、これが登録さえすれば現実に下請が全部できて、労働者の常用夫も一人も持つていないというものが、この五大港どころではない、芝浦にたくさんあるという実情を私は責任あるものから陳情を受けているのです。現実に私は陳情を受けておる。いつ何どきでも具体的に資料を提出する自信が私にはございます。そこでこの第三十三条をこの木船業法の中で規定されておるこの木船回漕業の登録の基準を、あなたは一体どこに置いて今後行政監督をなさる御意思なのか、この点をひとつ明瞭にしてもらいたい、こういうことなんです。
  43. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 木船運送業者が港湾内におきましていろいろな事業をやります場合、下請が今おつしやつたように比較的多いのではないかと思いますが、下請の場合には、先ほど申しましたように部分だけが認められておりますので、部分的には一作業単位がその基準になるわけでございまして、これをやりますのにも、やはり相当な施設、労務者は持つておらなくてはならないかと思つております。  それから港湾運送事業者として登録をいたします場合には、元請をやるのでございますから、元請に対しましては相当それよりも高い基準がそこに定められると思います。
  44. 正木清

    ○正木委員 私は高い方を質問しているのではないので、問題を極限して、質問をしている。この木船運送法に基く木船回漕業者は、全体の下請ではなくして、部分的な下請よりしかやらないのだが、それでも登録基準というものは、あなたが今答弁されたように、一定の設備を保有して、対社会的に信用を持つた者でなければいけないのだというふうに理解してよろしゆうございますか。だとすれば、その設備等は一体具体的にどの範囲までをさすものか。先ほどから私が言うように、人の店先を借り、テーブル一つ、電話一つで、帳場もなければ常用労働者もないという者でもいいのか悪いのか。一体基準の設備の常識上の限度はどこに置くのか。局長でなくてもよろしゆうございますから、これを御答弁願いたい。
  45. 町田直

    ○町田説明員 ただいまの御質問でございますが、第三十三条の三で、登録を受けなくてもいい業者、すなわち木船からの下請をする者、あるいは陸、陸間の運送をする者の登録の限度は戸のくらいにするかというお話でございますが、これもやはり各港の実情に上つて違うと思うのでございますが、大体はしけにつきましては、先ほど局長からお話がありましたように、いわゆる本船に直接接続する一般港湾運送事業よりもやや低いと見ていいというふうになつております。それから機帆船につきましては、これは今度新しく入るわけでございますから、これから受けるのでございますが、対社会的信用というような面よりも、第十六条との関連におきまして、全部下請をしてはならない範囲というものが、大体基準にならざるを得ないのではないか。そうすると、全部下請をしてはならない範囲と申しますのは、先ほど局長から申しましたように、一取引作業量ということになりますが、木船は御承知のように独航力を持つておりますから、木船機帆船一ばいというものが大体一単位作業量になるのではないかと現在考えております。従つて木船を——木船と申しましても、機帆船でございますから大きなものでございますけれども、木船一ぱいをもつて運送する程度のものをもつて、基準にせざるを得ないのではないかと思います。
  46. 關内正一

    關内委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  47. 關内正一

    關内委員長 速記を始めてください。
  48. 正木清

    ○正木委員 港湾局長にお尋ねいたしまするが、ただいま提案されておりますこの港湾運送事業法と深い関係を持つておりまする木船運送法の中で、回漕業を営んでおる業者の下請行為について、世上種々なる非難の声を聞くのでございます。一つの例を申し上げますと、人の事務所の店先を借りて、テーブル一つ、それから電話一本、はなはだしいのになりますと事務員も置かない。従つて荷主に対する迷惑、労働者に対する賃金の不払い等、種種なる弊害があるという陳情を実は私は受けておるわけでございます。そこで私のお伺いしたい点は、この木船運送法の施行後まだ一年しか経過をしておらないと聞いておりますので、運輸当局もこの法の実施がはたして完全に行われておるかどうかという点については、いずれ機会を見てお尋ねするとして、こういう非難が出ておりますこの木船回漕業に対して、具体的に何らかの形でこれを改善する御意思があるかどうか、この点を明確に御答弁を願いたいと思います。
  49. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 御質問がございましたように、港湾運送事業法と木船運送法とは非常は密接な関連がございますので、御趣旨が達成せられるように、私といたしましても協力いたしたいと考えております。
  50. 正木清

    ○正木委員 私の質問は終ります。
  51. 關内正一

    關内委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十三分散会      —————・—————