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1953-07-24 第16回国会 衆議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月二十四日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 理事 關内 正一君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 原   彪君    理事 楯 兼次郎君 理事 川島 金次君    理事 鈴木 仙八君       岡本 忠雄君    木村 俊夫君       高橋圓三郎君    徳安 實藏君       南條 徳男君    山崎 岩男君       有田 喜一君    臼井 莊一君       岡部 得三君    正木  清君       山口丈太郎君    熊本 虎三君       首藤 新八君    館  俊三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸政務次官  西村 英一君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (資材局長)  小林 重国君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  津田 弘孝君         日本国有鉄道理         事         (施設局長)  江藤  智君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 七月二十四日  委員森清君辞任につき、その補欠として首藤新  八君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月二十三日  鬼付女峰燈台設置請願瀬戸山三男君紹  介) (第五三〇五号)  都城市内国道十号線の鉄道橋拡張等に関する請  願(瀬戸山三男紹介)(第五三〇六号)  国営自動車路線外団体貸切輸送免許に関する  請願田中好紹介)(第五三〇七号)  同(大石ヨシエ紹介)(第五三〇八号)  東海道線草津京都間電化請願大石ヨシエ  君紹介)(第五三〇九号)  水難救済に関する法律制定請願有田喜一君  紹介)(第五三一〇号)  山香村地内に旅客及び貨物設置請願(長谷  川保紹介)(第五三一六号)  上士幌、西足寄線敷設請願本名武紹介)  (第五三一七号)  上川、十勝三股間鉄道敷設請願本名武君紹  介)(第五三一八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三七号)  外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する  法律案内閣提出第一五三号)  港湾整備促進法案内閣提出第一六三号)     —————————————
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより会議を開きます。日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。鈴木仙八君。
  3. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 昨日私が質問いたしました八重洲橋にできる鉄橋会館の左右両翼なるいろいろな建設物について、きのうは三十間堀と言いましたが、私の勘違いで、外ぼりの埋立地に関する御答弁がまだ納得ができませんので、その御答弁について、お尋ねをしたい向きもございますが、昨日の資料等あとでお手元にくださるそうでのりますから、それはあとにいたしまして、ちようど天坊さんが御出席になつておられますから、天坊さんに一言お尋ねしておきたいことがございます。  これはごく簡単な問題ですが、考え方によると、あまり簡単でもございません。ちようど昨年の九月に行われました衆議院の選挙のまつただ中におきまして、終盤戦といいますか、各候補者が当落を心配しているさ中に、天坊総裁が某候補と一緒に写真をとられまして、そうして上信越乗入れ期成同盟国鉄陳情内容はくだくだしく申し上げませんが、堂々たる記事でありまして、しかも天坊総裁と記者との一問一答もこれに載つております。もちろん地方紙でございますが、また地方紙だけに、その地区にはかなり威力があると思います。これは考え方によると、きわめて巧妙なるところの選挙運動である。これを受けました者か、いかに打撃が大きかつたかということは、選挙を少しでも考える者はよくわかると思います。幸か不幸か——私は決して泣言は申しませんが、やはり同じ選挙区で、七十八票でもつて次点になりました。これはやむを得ないことですが、しかしあの粛正選挙吉田内閣が呼号して、しかも内閣総理大臣吉田さんは、当時、もしわが党から愚挙違反を出した者があれば、ただちに除名するとまで広言せられておりました。そういうふうなさ中に、上信越乗入れ促進で大々的に宣伝をした、その最も選挙経験者であり、われわれの大先輩である某氏は、堂々たる選挙違反を犯してしまいました。ちようど終盤戦にこの新聞が出たということは考え方によつては、明らかに天坊さんが選挙運動のだめに行つたというふうにも予想されるのでございますが、ちようどおいでになりますから、この点をひとつ天坊さんから伺いたいと思います。
  4. 天坊裕彦

    天坊説明員 時期は忘れましたが昨年秋ごろでございました。おそらく選挙のときだろうと思います。池袋の踏切りの問題等陳情を受けまして、一ぺん現地をぜひ見てくれというお話が盛んにございまして、当時私ども忙しくてそういうひまがないと言つておりました。ところが、多分土曜日だつたと思います。きよう時間があいていないかというお話で、私も一時間か三十分くらいあきがありまして、池袋現地に行こうと思いまして、見に参りました。その席で踏切りの問題あるいは上信越乗入れの話を聞かれた覚えがあります。これが選挙運動になるかということは、私としては何も考えていなかつたのであります。
  5. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 もちろんさようだと思います。あなたのお立場として、あたの御人格として、たといそれがどな知己の方であろうとも、選挙運動のために行つて国鉄総裁が利用をされるほど、失礼ですが愚かではないと思います。いかにあの地区上信越乗入れに熱心であるか、またあの踏切りをあなたがしさいに視察をされまして、そうしてこれはやらなければならないというお考えが出たかどうか。その点で行かれたことと私は確信をしております。そうしてその後はどういうふうな順序をお立てになつておりますか。まさか新聞写真を出して、選挙運動の具に供させるためにおいでになつたのじやないでしようが、その点をごとつ上信越の乗入れも必ず実現できるであろうし、大踏切りで大衆がどんなにか困惑している状態目のあたりごらんになり、現地をつぶさに視察をされたので、あなたは必ず速急に実現をされるものと確信をしておりますが、選挙運動でなく、ほんとうにあなたのお立場として行つたその経過をお答え願いたいと思います。
  6. 天坊裕彦

    天坊説明員 現地を見に参りまして、踏切りの問題は、特に——私の参りましたときは自動車がひつくり返つておりまして、それを取除くことに大騒ぎをやつてつたことを記憶しております。しかしこれは非常に金のかかる問題でありまして、早急に解決のつく話ではございません。そのときにも、実情はよくわかりましたが、すぐにどう答えが出るというようなことは申しておりません。また乗入れの池袋の始発の問題につきましても、これもなかかな大問題てございまして、むしろ現地を見てきめるというような問題ではございませんで、机の上で考えることが重点の問題であります。また当時どういう記事新聞に出たかということも、全然知らなかつたのであります。
  7. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 もちろん副総裁はそういうふうな意図で行かれたのでないと私は確信します。しかし上信越の乗入れも大踏切りもかなり金がかかるとおつしやいますが、金のかかることはしかたがないのですから、くだらないところへ金をかけるよりも、大衆ほんとうに要望しておるところに金をかけるように御留意願いたいと思います。しこうしてあなたが現実にそれをごらんになつたならば、まずあの池袋の万民が苦しんでおる大踏切りに対しては、即刻善処されんことをこの機会にお願いして、この点は質問打切りたいと思います。  次に輸送力増強について若干質問を行いたいと思います。急行旅客列車に連結してある特別二等車は、どういう計画でつくつたか、また何台ございますか。わが国の国鉄は一、二、三等の三階級であるのが、特別二等によつて事実上四階級であるが、それでよろしいものであるか。特別二等車だけ座席定員を守つているが、これはどういうわけか。特別二等車には寄りかかりを調節するいすインクライニングシートを置いてあるが、あの床屋いす式な仕掛は何のためであるか。あの調節いす米国特許というが、事実か。特許料幾ら払つているか。国鉄予算のどこに計上をされているか。米国の何という人が話を持込んで来たか。特別二等車をつくる費用、かかり切りの給仕列車手などの費用を加えた運転経費特許料償却費を加えた総経費に対して、乗客料金は見合つているか。つまり特別二等車の採算は黒字赤字か、きゆうゆう詰めの三等車や電車でうんともうけて、そのもうけを特別二等車へつぎ込んで体裁をつくつているのではないか。特別二等車が赤字を出しているのに、これを三等の立ち通し乗客にしわ寄せをし、経費を転嫁しているのではないか、かように私どもは考えるのですが、この点について明確なお答えがほしいと思います。
  8. 津田弘孝

    津田説明員 ただいま鈴木委員から主として特別二等車の問題について御質問、御意見があつたのでございますが、まず第一に、現在特別二等車が何両あるかという問題につきまして、ちよつと技術的になりますが、車種をわけて申し上げたいと思います。  それぞれ座席定員が四十四人から五十四人までございまして、国鉄スロの六〇型と申しております四十四人定員のものが三十両ございます。それから四十八人定員スロの五〇型が十両、五十二人定員スロの五一型が五十二両、やはり五十二人定員スロの五二型が八両、四十八人定員スロの五三型が三十両、やはり四十八人定員スロの五四型が三十二両、合せまして百六十二両であります。これが現在保有しておりまする特別二等車の様子でございます。  それからインクライニングシート、つまり傾斜式に操作できます座席、これを鈴木委員床屋いす式だとおつしやつたのでありますが、国鉄といたしましては現在これを長距離行きの急行列車にのみ使つております。長距離旅客直立式座席では、遠途の旅行において非常に苦痛が多いことは、われわれも皆さん方経験上御承知のことと思うのであります。そこで戦後、ああいつた方式のものが外国にあるということでありましたので、国鉄といたしましては、二等車の製作費に対して若干割高になるのでございますが、あの方式を採用することになりました。大方の批評といたしましては非常に快適であるということで、国鉄旅客輸送がある程度回復したといわれる一つの象徴に、現在の特別二等車があげられているということも、現実の問題としてあるわけでございます。  それからその次にお話のございました外国パテント関係、あるいはこれを持込みました外国人が何人であるやということにつきましては、ただいま私それに関する資料も知識もございませんので、後ほど御報告を申し上げたいと思つております。  なおその次に、一般の三等旅客が非常に込んでいるにかかわらず、特別二等車が座席定員で運んでいるが、一体それが赤字になつているのか、黒字になつているのかという点について御質問がありました。これも国鉄全体の旅客貨物につきましては、詳細な原価計算をいたしておるのでございますが、この特別二等車一車につきまして、はたしてペイをしているかどうかということにつきましては、もちろん当初調査いたしたものはあるのでございますが、最近運賃値上げになりましたし、料金関係もかわつて来ておりますので、これも役所に帰れば資料があると思いますから、後にど提出さ七ていただきたいと存ずる次第であります。
  9. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 大分御懇切な御答弁ですが、御答弁のはき違えがあります。私は車両は何台かと聞いているのではありません。私の言うことをあなたは聞いていないのです。あなたは大方の予想で御答弁書をつくらせて、車両が何台々々と言われているが、そうではないので、特許料等幾ら払つているか、特別二等車があると、一、二、三等の三階級であるのか、四階級になるのか、これはどういう事情であるかということについてのお話を聞いているのです。車両のことについてはあまり触れていない。そこで詳細なことはすぐわからないというのですが、いつも国鉄の人の御答弁はそうなんだが、それでは困つてしまう。大体これは建設省の話や農林省の話や、お菓子屋の話や八百屋の話を聞いているのではないのです。みな国鉄の高級な方々がおいでになつているのですから、ある程度のことはのみ込んでいてお話くださらないと、委員会進行状態から見て、きのうあたりは質問をするななんて言われるようなことになる。われわれにとつては貴重な時間なんですから、その点どうか御留意願いたい。  そこで、長距離旅行者がくたびれるから、特別二等車をつくつたという御趣旨、まことにけつこうです。新憲法下、人権は尊重されなければならぬ。しかし二等車ばかりでなく、特別二等車に乗れない人もある。三等で三十何時間もぶつ通しで立ら続けに行かなければならない、あるいは列車に乗るのに何時間も費して立つて待たなければならないという状態に置かれていては困る。三等でも長い時間旅行するのに、体が疲れないようにして行くという方向に向つてほしいと思います。この点に対して後まど明確ま資料を出していただきたいと思いますから、それをお待ちします。  それから駅員養成について質問したいと思います。最近あちらこちらの駅で、改札係いすにすわつて切符を切つております。これは全部ではないのですが、ほかの出札や何かの駅員も、どうも昔からの国鉄官僚という言葉使つては何ですが、その弊風があるかもしれない。きわめてぶあいそうな不親切な、笑えば損をするというような出札係がいるのです。切符を買いに行つてもほうり出して、ふくれているよりな顔をしている。私らは自分でそういうことを体験している。同じ日本人で何というぶあいそうな人だと思うよりな人がかなりある。こういうふうなこともついでに聞いておきたいと思いますが、まずいすにすわつて切符を切つている改札係は、昔から起立本位でなかつたか。きようは運輸大臣がおりませんけれども、とにかく運輸大臣石井さんは、たしか新聞社の出身でしたが、新聞社では文選工植字工はみな起立本位のはずである。起立して働くのは必ずしも虐待ではない。起立して働く職業はかなりある。改札係態度鉄道末端表現といわれ、また機関車乗務員態度旅行者の信頼の源泉ともいわれる。国鉄改札係をいつ着席本位としたのでしよう。改札係が硬つているいすはどの費目でもつて計上をしてあるのか。むしろ出札係も忙しいから、英国やドイツのように起立本位に改めてはどうかと考える。操車場操車係、転轍手連結手待遇は改善をされておりますか、特に連結手待遇はどうなつておりますか。駅員労務加配米はどういう標準で支給しておりますか、駅員加配米の方が重労働の機関車乗務員より多いことはないのでしようか。制服貸与や勤務時間などが、運転士保線関係職よりも駅員へ重点的に改善されているのではないでしようか、駅員待遇を優先的にすることが輸送力増強に貢献をするのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  10. 津田弘孝

    津田説明員 国鉄従業員、なかんずく直接旅客公衆に接します現場第一線従業員訓練、しつけにつきましては、国鉄が官庁でありました時代ももちろんでございますが、ことに公共企業体になりました後におきましても、国鉄といたし、まして最も力を入れておるのでございます。何分にも何千、何万とおります職員の中でございますから、時にはただいま御指摘になりましたような、あるいは旅客公衆に対しましても不快の気持を起させるような応待、節度があつたのではないかというふうに恐縮に存ずる次第でございます。国鉄といたしましては、改札係は必ず起立して改札をしろ、あるいはすわつているままやれというようなことは、別段きめたものがないと私は思うのでございますが、これもやはり従業員待遇一つの態様でございますので、もし腰かけたまましかもぶあいそうな態度切符を切る、あるいは売るというような者に対しましては、十分に注意をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 小林重国

    小林説明員 駅員その他機関士職種別のいろいろな待遇の問題について御意見がございましたが、加配米その他の待遇につきましては、もちろん合理的な根拠から各線を出しまして、これによつてやることが妥当でございますが、この合理的な線を見出すことが非常にむずかしいのでございまして、また労働組合とこれらの点につきましてもいろいろ協議をいたしましてやつております。その間従来のいきさつその他を考慮いたしまして、適当に妥結点を見出して処置をせざるを得ない場合が多々あるのでございます。われわれといたしましては、できるだけ合理的な線に従いまして、職種間の待遇のアンバランスを調整して行きたい、こういうふうに考えております。もちろんこの点につきましても、組合にいろいろ意見がございますので、組合意見も参酌いたしまして、両者の円満な話合いの上で処置して参りたいというふうに考えております。
  12. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 そうすると、改札係はすわつていても立つていてもいいというようなことで、一貫した指導的なものはないのですか。
  13. 津田弘孝

    津田説明員 旅客公衆に対しまして、十分に応待に気をつけてやるように指示はおろしておりますが、別に特に起立のまま、あるいは座席にすわつたままやれという指令はおろしておらないというふうに私は考えております。これは主として現場そういつた訓練、指導というようなものの直接の責任者鉄道局長でございますので、それぞれの鉄道局であるいは出しておるかもしれませんが、中央といたしまして、特に起立して、あるいは特にすわつたままというこは出ししておりません。
  14. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 これはどうしても起立本位にしていただきたいと思います。そういうふうなお考えはありませんか。
  15. 津田弘孝

    津田説明員 十分研究させていただきたいと思います。
  16. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 次に品川駅は工事費四億円をかけて川田建設が最終工事行つたが、地下道を一本つくり、表玄関をつくつただけで、そのまま工事打切りになつておる。工事真野品川駅長は、NHKの「私たちの言葉」に対する答弁で、プラットホームを鼻をそろえてつくると言つております。工事打切りの現在、まだ中間プラットホームはどろの山になつて、そのまま放置をされてあります。工事契約ではどうなつているのでしようか、これを伺いたいと思います。そうして表玄関駅長室便所は総タイル張り大理石みがきのぜいたくなもので、あの部分り経費は幾らかかつているのでしようか。あのタイル張り大理石みがき駅長室便所が、輸送力増強とどんな関係があるか、この点をまず国鉄幹部の方に伺つてみたいと思う。品川工事事情を明らかにしていただきたい。
  17. 江藤智

    江藤説明員 品川研改良工事はただいま御指摘の通りに、地下道延長、これは戦前から非常に要望されておつたのでございます。その地下道延長と、それからこれまた戦前から要望され、しかも戦災を受けて仮バラツクになつておりましたものを、コンクリートの永久建造物にかえるという工事を三年ばかり前からいたしまして、たしか今年の春だつたとおもいます、完成いたしたわけでございます。一応まだ将来の潜増その他を考えまして、駅の幅はとつてございますが、ただいまのところ山手、京浜のホームも分離化しまして、品川駅の工事は一応でき上つたというかつこうになつております。  それからタイル張り便所お話でございますが、とにかく駅の設備の中で、便所というのは非常によごれがちであつて、修理その他のために一般旅客に非常に迷惑をかけておりますので、できるだけ水洗便所に改めるという方針をとつております。整備をする面におきましても、水洗便所というようなことにいたしますと、これはタイル張りにいたしますのが、設計上も妥当であるというふうに考えております。  なお経費その他につきましては、ただいま詳細には存じておりません。しかし大体坪当り、いろいろ水洗設備その他を入れまして、十万円あるいは十五万円くらいかかる見当になつております。
  18. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 便所の御説明よくわかりました。しかしそういうあなたの御答弁りつぱな御精神を、末端という言葉使つてはいませんけれども、末端の駅にまで浸透さしていただきたいと思う。これはひとり品川駅やその他の駅ばかり総タイル張り大理石みがきにして。衛生を完備してみても、どこに便所があるかわからない。便所一つないように思われる駅がうんとあるのです。そういうふうなことを徹底さしていただきたい。私の言うのは、プラットホームができないでどろの山になつていて、駅長室をつくそ前にそれからつくつたらどうかというのです。それは完了しているのですか。それから工事打切りになつたあと予算がないということを聞いておりますが、これはどうなんでしようか。その点をお尋ねしているのです。
  19. 江藤智

    江藤説明員 私の承知しております限りでは、一応品川駅の工事は完了しておると思います。
  20. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 プラツトホームの関係はどうなんですか。
  21. 江藤智

    江藤説明員 プラツトポームも一応今は完了して、残工事は残つておると思います。
  22. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 予算関係はそれでいいのですね。
  23. 江藤智

    江藤説明員 よろしいと思います。資料もございますから調べてみます。
  24. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 それはまたあとに譲ります。  次に、中央線高円寺駅に三階建のホールをつくることになつているというが、この点について詳細な説明を願いたい。私はよくわからないのですが、七月二十一日付の新聞に、「十一日ホール完成高円寺駅三階に着工、財団法人東京停車場社会事業協会東京都杉並区高円寺七丁目高円寺駅内)代表者久保島義道氏は、かねて新装の高円寺駅三階に建坪百八十坪、椅子席三七○名、総収容人員六〇〇名のホールを、総工費約三千万円で増築請願中であつたが、このほど東京鉄道局より許可が下りたので、七月二十日より工事に着手することになり、高円寺駅を建築した間組で施工することに決定した。ホールは特に山の手の文化人婦人子供社会教育の育成に寄与するため、貸ホールも行う。特に駅の三階という特殊の場所にあり、防音装置照明装置ともに技術の粋を集めている。協会企画部長吉田義雄氏談、高円寺駅は始めから二階建の予定つたのだが、いろいろの都合で残つていたホール(三階)は早速工事に着手し、完成は十一月十五日の予定」いろいろの都合建つていた、このいろいろの問題とか、あるいはこの契約内容とか、これも御説明を願いたいと思います。
  25. 津田弘孝

    津田説明員 ただいま高円寺駅につきましてお話がございましたが、今お話がございましたように、たしか社団法人になつていたと思うのでございますが、社会事業を行いまする協会が、高円寺の駅の、戦災でやられましたものを復興したい。その費用全額請願者が持ちたい。できました建物、もちろん駅を含めまして、それは竣工と同時に国鉄に寄付をするという条件で許可をいたしたいのでございます。もちろんあそこの中でやりまする社会事業関係以外のいろいろな構内営業につきましては、国鉄構内営業規則によりまして、構内営業料をとることに相なつております。
  26. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 この点については、ひとつ資料を出してもらいたいと思います。  それからついでに新宿にできる駅の構想と申しますか、先般私は某百貨店の社長にあつての話では、私の方で手をつけて進めておりましたけれども、これが別の某百貨店の方へ、あるいは東京急行の方へとられてしまつて、腕前の相違でなんというようなことを言つておりました。詳細なことはあとで聞いて、またほかの機会に私の知つている範囲のことはここで申し上げますけれども、いろいろうわさに聞くところによると、大阪の百貨店が鉄道会館へ来て七千七百坪の広い場面をとるために、加賀山さんにはお気の毒だけれども、加賀山さんに選挙運動資金を八百万円、またすでに決算委員会で出ているかどうか知らぬけれども、一億円の手金を鉄道会館がとつている。いろいろなことが流布されております。うわさというやつは決して私は信じたくはないのですが、火のないところに煙は立たないと思う。この点に対しては十分御調査をして、これらに対する資料も出していただきたいと思います。なお昨日の問題について、きのうの一委員会の空気はちよつと私ものみ込めませんし、きようは幹部の方がおいでになつておりますから、さらに簡単にそれを御答弁願いたい。第一鉄鋼ビルは六万円ずつでもつて何か土地の売買があつたということであるが、それは一旦国鉄のものになつていたのか、なつていないのか、それをお聞きしたい。それから第二鉄鋼ビルの問題も、国鉄のものになつていて手放したのかどうか、それを聞きたい。
  27. 江藤智

    江藤説明員 お答えいたします。第一、第二鉄鋼ビルの用地とも、これは全然国鉄の用地になつたことはございません。
  28. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 国鉄とは契約も何もないのですか。
  29. 江藤智

    江藤説明員 何もありません。
  30. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 それでは平山孝さんの方の国際観光会館、これは今基礎工事か何かやつているそうですが、これはあの土地に国鉄とどういうふうな契約ができておりますか、この点について伺います。
  31. 江藤智

    江藤説明員 契約内容は、国鉄が収得いたしました土地で、昨日御説明いたしました、おほりと申しますか、運河の埋立てで国鉄の所有の土地になつたところで、私の方で必要とする部分以外の部分と申しますか、駅前広場に設計上入らない部分を、観光会館に貸しております。これは土地の賃貸契約で用地使用を許しておるわけであります。
  32. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 きのうはあのような様相ですから、あなたにはつきり聞かなかつたわけです。聞くと、委員長もぼくの質問を待つてくれというようなことでありました。われわれはどういう経緯で国鉄東京都からとつたかということをきのう聞いたでしよう。ただ同様にとつているのですが、東京都が国鉄にその土地を一—きのうは三十間堀と言つたが、私の誤りで、外ぼりです。その土地を国鉄に与えるについて、民間人で泣いている人があるのです。これは東京都がどういうふうな形でこれを国鉄に譲つたか。やがて鉄道会館等の調査委員会で、各所から参考人を呼んでこれは聞いてみますが、ただ国鉄のものになつた土地を、どういうふうな条件で平山さんの観光会館へお貸しになつたか。言いかえれば、国鉄としては地上権はとれないかしれないけれども、あの辺は、あなた方は東京都からただでとつちやつている。現在ではどんなことをしても、地上権利といえば、四、五十万円のものが坪当りある。そういうふうなものを、すでに名店街あたりでは、三年間の家賃の前払いをして、ぼくらは権利はとつていないのだというようなりつぱなことを立花君が言つているけれども、これもわれわれの考え方では、株式会社はとにかく民間の会社ですから、権利金をとれば税金がかかつてしまうものだから、三年間前払いの家賃なんというのは珍しいでしよう。ただもうけているようなものだ。これが今問題になつている。そういうふうなこともあるのですから、平山さんの方に貸した。しかも鉄道官僚の平山さんなんだから、どういうふうな条件で貸したかということをお尋ねしている。幾らとつているのか。ただのようにやつているのですか。坪当り二十万円とか十五万円とか、寄付でもさしてやつているのですか。地代は幾らとつているのか。それを聞きたい。
  33. 江藤智

    江藤説明員 まず東京都から埋立権を取得いたしましたのは、これは埋立ての費用、その他下水などをこしらえる費用、一切を国鉄で持つということで、その使用目的は、東京駅本屋並びに付属の建物、それから駅前広場あるいは道路敷等に使うということで、昭和二十三年の六月十八日に、正式に当時の都知事と話合いがきまつたのであります。その後いろいろ駅前広場その他の計画をいたしまして、その当時は御承知のようにまだ瓦礫を埋めましたあとで、あの付近のマル公がついておらないときでございます。たまたま国際観光会館が、観光事業の本拠としてそういうビルを駅の付近に置きたいという請願がございまして、これは国鉄といたしましても密接不可分の事業でございますし、そういう建物を駅付近につくるということは適当であろうということになりまして、これに敷地を貸したわけであります。これは当時から地代などもだんだんと上つて参りましたので、順次地代の改訂を行つておるわけでございますが、ただいまは約千坪の面積を貸しており、その地代は年に坪当り千八百四十円というものを徴収いたしております。その徴収の時期は、会館の設計承認と同町に徴収いたしておるわけであります。
  34. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 そうすると権利金というものは一銭もとつていないで、坪当り千幾らを一年にとつて、おるのですか。
  35. 江藤智

    江藤説明員 権利金は一切とつておりません。それから地代は、ただいまお話いたしましたように、年坪当り千八百四十円であります。
  36. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 千八百四十円というと、一箇月坪当り百五十円ばかりですね。今言う通り、あそこは権利金がたいへんですよ。三十万円、四十万円もする。あるいは五十万円、百万円は優にする。それを国鉄赤字で苦しんでいてなぜおとりにならない。あなた方は一つ穴のむじなみたいなものだからこれなんだ。こういう点に疑惑がある。どんな形式でもとれるではありませんか。寄付の形でも何でもとれる。前に運輸省に関係があるからというようないもづる式、縁づる式のことで、ただ厖大なる一千坪の土地を、一年に坪当り千八百幾円の地代をとるというような、そんなばかなことがありますか。どうしてとらない。
  37. 江藤智

    江藤説明員 国鉄の土地に対しまして権利金がとれるかどうか、また寄付金をとるかどうかというようなことは、非常に問題があるのでございまして、われわれといたしましては、できるだけ一般社会の情勢に合うように持つて行かなければいけな’というふうに考えておるのでございますが、御承知の通り、そのころはまだ土地価格に対しましての公定がございました。その限度において、とれるだけの金というわけできめたのでございまして、その後この統制もたしか二十五年か六年にはすれましたので、これを妥当なものに改正しなければいけないということは、ただいま十分に研究しておるのでございますが、何分にもこの付近は月々に地代がかわつておるような状態でございますので、至急にひとつ十分調査いたしまして、改訂しなければいけないというふうに考えております。
  38. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 そういうふうな御答弁はあいまいなんですよ。権利金は確かにとれないでしよう。しかしながら国鉄が自分の権利地を他へ貸すというときには、相当の条件がつかなくてはならぬ。鉄道会館が問題になつて来たが、すでにあなた方はあの名店街では一坪一万五千円、三年分のものを前取りしておるじやありませんか。そのくらい地ぐらいが今では上つおる。寄付とか何とかいうことを今おつしやいますが、私ども自分の身近なことから考えまして、板橋の駅の東品をこしらえてくれろ、お願いしますと、一年半もわれわれ陳情しました。その前には十三年も陳情しておるわけです。それで大衆の要望で現在できておりますが、できるまでには、この小さな品をあけるのに五百万円かかる。国鉄には金がないから、民間から半額寄付しろといつて、二百五十万円とつておるじやありませんか。本来国鉄になくてはならない駅の品をあける際に、民間から寄付を集めて、あつちの町会、こつちの町会、何千へという人から零細な金を集めてとつておるじやありませんか。なぜとれるようなところにこれを利用しないか。それが疑惑のもとになる。あなたのはあいまいな答弁ですよ。  それからもう一点聞きますけれども、しようがない、実に困つたものだ。今度は左側に、これは平山さんが事務官系統の大将で、まるで観音様の仁王門みたいに右左に、その左に八田嘉明氏の科学技術者連盟1これに江藤施設局長がたいへん共鳴しておるそうですが、それとバス。ターミナル、国際興業の小佐野賢治さん、これで四百坪の土地、加うるにこの隣に百八十坪、まだ国鉄ほんとうの権利になつていない土地があるそうです。これもこつちへよこせというようなことで、ここに高層な建物を立てて、これは牛島次官が、たいへん小佐野さんと切つても切れない仲だそうで、ここにまたりつぱな建物ができるというのですが、これは一体どういうふうな形でもつてお貸しになつたか、契約したか、あなたの方には関係があるのかないのか、この点を聞きたい。
  39. 江藤智

    江藤説明員 駅に向いまして右側の、ただいまお話の土地でございますが、この分につきましては、ただいまお話のございました科学技術者会館は、わが国の新式な機械その他科学技術に関するものをそこに置きたいというような趣旨で請願が出ております。それから同様にバスのターミナルとして、そこにバスのセンターをこしらえて、駅本屋との連絡を密にして、大いに便利にやろうというような趣旨のバス・ターミナルの請願も参つております。しかしこれらにつきましては、まだ国鉄としましてば快走したものは何もございません。従いまして何の契約もいたしておりません。
  40. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 あなたがそれだけ御説明になるのですから、もう交渉の過程には入つていると思いますが、これも国鉄のものなりといつて、まだ国鉄の権利でないものを、あたかも自分の方で左右できるよう言辞を責任のある人が吐いている。これは問題なんです。それからこのバス・ターミナルなるものもできるそうである。きのうは官庁バスの問題を何か運営委員会で、小委員会とかで決議したそうだが、とにかくこれはやはり疑惑がある。小佐野賢治さん、これはなかなかやり手なんだ。これが今東京都が抗争しておる自動車の問題で、いわば一般人を官庁バスに乗せる。これがやはり法律に違反をして、東京都から取締りを要請したところが、当局はやつと警告を発したのが昭和二十七年の五月、取締りを要請したのは二十五年、二年間もほつてある。二年間も違法であるのに、さらにこれをとめようとしない。これはこの間中た村自動車局長が答弁して、交通調整法というものはりつぱに生きている。生きているのに違法をそのまま放置して、二年間も乗車ぐせをつけてしまつた。そうして今になつて抜き差しのならないような状態に追い込んでおる。これが国鉄の人方のやることなんだ。バス・ターミナルなんという問題にしたつて、これはいろいろ考えなければならぬ。あなた方今言うたように、これはいろいろな関係があると思う。  それから次に、日本石油カルテツクスの問題、この契約はもう一ぺん聞かしてもらいたい。どうなつているんですか。
  41. 江藤智

    江藤説明員 カルテツクスに貸しております土地は二百十四坪でございます。これはまだ埋立て工事の途中でございましたので、埋立ての分担金といたしまして五百二十万円ばかり徴収をいたしまして、そのほかにただいま年千九百五十円地代をとつております。
  42. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 五百二十万円とれれば、五千万円でもとれるでしよう。どこでもそういうふうに同じ考えでとつたらいいじやないか。大体東京都の埋立ての費用つて、そんなにかかりつこない。下水をこしらえてやつてみたつて坪当り二千五百円しかかからない。ただとつてしまつたようなものた。何も五百二十万円とれるなら、五億円だつてとれるじやありませんか。これる腕を持つておられるでしよう。こころが片一方の平山さんの方はとつおらない。そういうところに疑惑が説のる。五百二十万円ばかりの金はとつたつてしかたがない。  それから、その次の労働会館はどうたはつていますか。
  43. 江藤智

    江藤説明員 労働会館の建設敷地は百五十四坪でございます。使用料金はただいま改訂の申入れをいたしておるのでありますが、ただいまの用地使用料は坪当り年八百円であります。
  44. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 大分違いますね。
  45. 江藤智

    江藤説明員 これは今改訂の申入れをいたしております。
  46. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 これも大分違いますね。あなた方どうもまちまちですね。一貫したものがありませんね。それじや国鉄赤字になりますよ。みんな国民が困りますよ。それでは幾らやつたつてすつこ抜けですよ。これは実に重大な問題です。  それから、その次の国有鉄道東京工事事務所、これはどういうふうなことになつていますか。これは直営ですか。
  47. 江藤智

    江藤説明員 これは私の方の事務所でございます。おもに東京駅あるいは付近の工事を施工する事務所でございますので、何と申しますか、こちらの土地につくつておるわけでございます。  それからまちまちのようでごまますが、労働会館につきましては、多少八重洲の本屋から離れておりますから、地価としては下るかもしれませんが、同じような割合で徴収するように、事務的には進めておるわけであります。
  48. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 最後にこの問題に関連して、東京操機工事務所の人員と機械、これは国鉄の機械と人によつて鉄旭会館をこしらえているということなんですが、もしそれがほんとうであつたならば、所要人員どのくらいずつ、延べにして何千人、何万人出しているか、機械はどんなところを使つているか、表面は大林組がこの工事を請負つているというふうに流布されているが、内実は国鉄がやつているという風説ですが、それはほんとうかどうか、これを聞いておきたいと思います。
  49. 江藤智

    江藤説明員 八重洲本屋の根掘りを施工いたしましたのは、国有鉄道の操機工事事務所であります。これは私の方の機械を使用して施工する直轄機関であります。大林組の下請をやつている事実はございません。まつたく別の工事として、操機工事事務所が自分で仕事をやつているのであります。  それから操機工事事務所が鉄道会館の仕事をやつているというお託てございますが、基礎の根掘りは契約にも明記しございますように、私の方の駅そのものの仕事と、それからその上にできる鉄道会館の方の仕事と両方がまざつておりますので、これを一括して施工しているわけであります。また鉄道工事は線路あるいは駅というような路線、あるいは列車運転に直接関係のありますところは部外の工事でありましても、その費用をあらかじめ全納させまして、国鉄の手で施工することにいたしております。そういうわけで鉄道柔館と申しますか、八重洲本屋の根掘りの工事は、国鉄の部分はもちろん国鉄費用によつて操機工事事務所にやらせますし、鉄道会館に関係のあると申しますか、鉄道会館の費用分担部分につきましてはこれを予納させまして、そうして請願工事として操機工事事務所に仕事をさせているわけであります。
  50. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 問題はここにあるのです。国鉄りつぱな機能を持ち、りつぱな機械もあり、りつぱな人手もある。私が喋々しく申すまでもなく、ビルの建設というものは基礎工事、土台がゆらいでは何にもならない。あなた方の土台がゆらいでいるから、国鉄の運輸行政というものがだめなんだ。建物は基礎に金がかかる。その金のかかるところの基礎工事をやるとすれば——地下二階の基礎工事をやるとすれば、建物の大半はできる。その能力を持つていながら国鉄は金がないから、民間の資本を導入してりつぱな駅をつくるというのが、長崎さん初めあなた方あ言うことだ、これは社会を欺瞞していることだ。それで建築基準法を相すれて三十一メートるを上越すごと五十メートルの高さの建物を建てる。その上に道路の幅員の五倍に八メートル加えたものを駅前広場にとらなければならない。これに泣かされる民間人は、坪当り何万円、何十万円、幾ら払つても手放したくないというような先祖伝来の土地も、あなた方のこの無謀な計画によつて犠牲をしいられなくちやならぬ。問題はそこにある。そうしてできた姿のものは、決して国鉄のものにならない。営利会社その他一部の人のふところに入つてしまう。これが重大な問題なのです。泣くのは国民ばかりだ。これはあとでもつて調査小委員会で關谷名委員長がやるだろうから、その点逐一申し上げませんが、もう一点伺つておきたいことは、何でも国鉄会館の取締役になつた人で太田和夫という人がいるそうですが、これは国鉄建築技術者の大将であるというが、昨年アメリカに留学して帰つて来て、間もなく国鉄をやめて、鉄道会館に入つたと聞いているが、この鉄道会館の建築をするためにアメリカに行つたというふうなうわさもある。鉄道会館の費用でこれは渡米した。国鉄退職前一年以上は、まるつきり鉄道会館の仕事に専念していたというが、いわば二十五億かかるその建築物に対して、社会通念からいつて、もう建築設計費用なんというのは五分、五分といえば一億二千五百万円ですよ。あるいはああいうふうな堅牢なものであれば七分、一割とられてもしかたがないが、これらをことごとく国鉄費用によつて設計企画をし、これをそのまま民間の株式会社鉄道会館に移したということは重大な問題であるが、とにかくこの太田某なる人は、一体これはどの費目によつてアメリカに行つて来たのか、この点を御存じならばひとつお知らせ願います。
  51. 江藤智

    江藤説明員 ただしまお話のありました太田君は、私の次長をいたしておつたのでございます。洋行いたしましたときは、私がこちらに参る前でございますが、太田君が鉄道会館に行くという話はごく最近に起つたのでございます。従いまして、私が参る前に渡米をいたしたのでございますから、鉄道会館とのつながりというものは当然ございません。従いまして経費はもちろん国鉄費用によつて行つておるわけでございます。また鉄道会館の方に参りましたのも、実は私よりも先輩でございまして、鉄道の人事の都合から、当然後進に道を譲る意味におきまして、退職をする時期になつてつたのでございます。たまたま鉄道会館というような大建築をいたしますのに、非常な有能な人でございますから、そこに参つて腕を大いに発揮されたらいいのじやないかというようなわけで、鉄道会館に行かれたものと思います。なお設計その他の仕事に国鉄の者が従事しておる。これはもちろん駅部分と密接な関係がございますから、そういう部分につきましては、こちらの建築技術者が従事しております。また現場におきましても、重要な場所でございますから、その監督その他につきまして鉄道の者が従事しております。しかしこれはすべてほかの仕事でもそういうふうにやつておるのでございまして、その人間につきましての給料あるいはその他の諸雑費一切、そういうものは国鉄請願規程によりまして、明確に鉄道会館の方から徴収いたしてわります。
  52. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ちよつと関連して私は質問を申し上げたいのでありますが、国鉄の電化事業の始まつた年度は何年からですか。
  53. 江藤智

    江藤説明員 戦後、電化の再開された時期と解釈してよろしゆうございますか。上越線及び福米電化がたしか昭和二十二年ごろであつたと思います。
  54. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 上越線は二十二年……。
  55. 江藤智

    江藤説明員 福米でございますね。上越線の方が先に着手いたしております。はつきりしたことは覚えませんが、二十二年ごろでございます。
  56. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私がここにお願いしたいのは、そういうふうに戦後電化の開始された時期もあまり明確でないようですが、ただいま聞きますと、上越線から始まつて、それは二十二年に開始されているということですが、私は昭和二十四年以降に電化事業として着手されました電化こ伴う請負の経過説明書、及び予算と実行予算との対比書とその説明書、説明書がつかぬといけませんから、その説明書をつけて資料として出していただきたい。  それからもう一つは、これは鈴木委員のお尋ねに関連をしておるのですが、ただいまいただきましたこの表でありまするが、この表だけをもつてしましては、私どもはどうもわからないので、これに対する詳細な説明書をひとつつけていただきたい。それだけ私はお願いをいたします。
  57. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 それではただいま申しました外ぼりの埋立地に対するいろいろな契約内容資料として提出していたたくことと、今最後にあなたのおつしやいました鉄道会館の設計費その他について、鉄道会館からとるべきもののいろいろな計算書いうようなものを資料として提出を願うことによつてあと鉄道会館等調査小委員会において、またわからないところを御懇切にお教えを賜わることにいたしまして、その点はこれで打切つておきます。  そこで、実は法案の問題についてちよつと質問いたします。国有鉄道法改正のうち、国鉄が関連産業に投資することを自由にしようとする趣旨は、第二条、業務の第三である。その改正案の案文は、「日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けてその業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」となつている。かような改正によつて、国家の機関が民間企業へ自由自在に投資して、巨額の金を注ぎ込むことは、国鉄の経営を、現在幾らか出て来た乱脈な状態以上こ、まつたく手のつけられない、混乱状態に落し込むことになると思います。むしろこの改正案とは逆に、国鉄の経営には秋霜烈日な大改革を行い、腐敗した国鉄官僚の私利私欲に終始している乱脈な状態を全面的に断ち切つて、本来の目的である国家国民の要求を満たす輸送力増強本位の鉄道事業、そしてはつきりした方角を与え、産業の発達に従つて増大をする旅客貨物の輸送要請量を満たして、完全に輸送することを国鉄の義務としなければならない。駅第一主義から輸送力第一主義へ方向転換をしていただきたいと思います。よつてこの改正案文を全文消除すべきであるとし、この投資行為の趣旨に私は反対をいたします。その反対の理由を説明します。  第一に、国鉄の目的は何かという点に立つての反対であります。国鉄は年間約一億六千万トンの貨物を輸送し、年間三十六億人の乗客を輸送しておるというが、その輸送状態は決して満足すべきものではありません。国鉄が復興したとか回復したとかいつても、よい気持になつているのは国鉄官僚ぐらいなもの、列車乗客で満足に座席をとつてすわれるのは、特別二等車の乗客のみである。三等乗客に至つては、きようの旅行は席をとれるかとれないかが重大な関心事である。八重洲口に醜怪な事件が発生している。東京駅においてさえ、長崎行きや鹿児島行きのような長距離列車に、東京駅から立ち離しで行く乗客が一ぱいだ。乗るための行列は依然として解消できないありさまである。およそ鉄道旅客を輸送する原則は、一人々々に座席を提供するいわゆる座席定員輸送である。この原則を目標として、旅客の完全な座席定員輸送を行うのが本来の国鉄の目的である。この目的を完成するために五年計画、十年計画を立て、夜を日に継いで努力をするのが国鉄指導層の責任であり、義務であつて、それを考えれば赤字々々と称している国鉄が、民間の関連産業に投資するようなさたではない。国鉄は国民の財産である。国民を座席定員輸送で運び、滞貨の山をつくることなく、貨車の回転率を上げ、完全に輸送をすることを目的とする全国民の公共の福祉と国家発展のための財産である。国鉄官僚が金もうけ仕事をするために、寄つてたかつて食い散らす食いものではない。この国鉄本来の目的と輸送状態の前途にかんがみ、むしろ関連している外郭団体との関係を断ち切つて、いわゆるいもづる式な関連団体との腐れ縁をこの際はつきりと清算し、心から悔い改めて真人間に立ち返つて、せつせと旅客貨物を輸送する仕事に専念すべき段階である。外郭へ投資をして、国鉄と民間との間に資本流通を生ぜしめるなどは、言語道断といわなければならない。  第二に、日本の国鉄は日本の国の中でも一般産業の復興に取残されていると同時に、世界列国の鉄道輸送力から見ても、一番どんじりに取残されております。駅の建築物だけはむちやな装飾等で塗り立て、最近品川駅ではタイル張り大理石みがき便所などもこさえておるが、全国にわたる輸送力増張に至つては、英国やフランスやアメリカにも及ばないばかりでなく、戦争によつてむちやくちやになつたあのドイツにも及ばない。そのドイツは東と西とに分割されているが、半分の西ドイツの国鉄が、わが国の三倍の車両を元気よく動かしているのを見ても、外国鉄道に対してつぎ込んでいるまじめな努力を知るのである。西ドイツの国鉄は二十二日の本委員会でも簡単に触れたが、機関車一万五千台、客車三万六千台、貨車二十七万台を動かしている。これに対してわが国の国鉄は、機関車五千四百台、客車一万一千台、貨車十万九千台でどれも西ドイツの三分の一である。西ドイツの人口は日本の半分であるから、わが国の列車、電車は西ドイツの六倍混雑しているということになる。国民をすわらせない鉄道は日本だけである。これによつて国民の不健康、国民精神の不歪曲、能率の低下は恐るべきもので、第二次大戦の敗北の原因も、輸送力を貧弱にしておいた国鉄官僚の負うべきところ大である。国民は英国の十分の一の貨車やフランスの三分の一しかない客車に満足することはできない。いわんや西ドイツの三分の一の車両数で永久にほつたらかしにされ、そして国鉄が外部へ投資するなどは、とうてい納得のできないゆえんである。列国の鉄道との詳細な比較論は別の機会に譲るにしても、少くとも西ドイツが発揮している鉄道輸送力と同程度の水準を回復するまでは、国鉄はわき目も振らずに輸送力増強の一遂に邁進すべきである。  第三に、国鉄会計が外部投資によつて混乱して来ることを取上げたい。関連産業へ投資をすることにより、その持株の保管、市況の変動に応ずる操作、経営主体の移動、投資客体の盛衰、投資関係の会計監査、投資を受けた産業の利益の分配など、引続いて起つ乗るいろいろな事態は、遂にはとめどがなくなつて大混乱を招くことは火を見るよりも明らかである。国鉄か投資をしても、その産業に対する拘束関係がはつきりしていないから、別な事業を始められても拘束して監督するわけには行かない。わずか八%と称して二億円を投資をした鉄道会館さえ、決算委員会であれほど大問題になつている。これを改正案を通じて自由に投資する仕組みにしたら、何をしでかすかわかりません。以上の理由によつて私は本案に対して反対をしたいと思います。  それから第三条の改正案に反対をし、別に第五十三条運輸大臣の監督事項に一項追加するように修正をしていただきたいと思います。国鉄が今日のような乱脈な状態となつたのは、いろいろな原因があるにしても、その一つ運輸大臣の監督事項が、現行法第五十三条に掲げられた三号だけで、鉄道の内部では車両を買わずに、ホテルを建てても、駅に金をかけても何をしても、かつてになつていたからであります。よつて列車、電車を運転するために、資材設備、すなわち車両を買うとか、電化工事を行うとか、機関庫、電車庫、零車庫を建てるとか、どうしても必要な予算は一々運輸大臣の認可を受けなくてもよいが、それ以外の、つまり列車運転に要する不可欠の経費のほかの資材施設を購入する経費は、運輸大臣の監督下に置かなければならない。これを第四号として追加するようにお願いしたい。修正案としてこれを追加したいと思います。列車運転に要する不可欠の資材施設以外の一切の貸材施設の購入、建設の経費運輸大臣の監督下に置く、これを委員長にお願いしたいと思う。  さらに本法を修正したいと思う。現行法第三条の次に新たに輸送完遂の義務の条項を加える修正案を提案したいと思います。わが国の国鉄旅客定員を超過して輸送しながら、駅舎や鉄道会館に巨額の金をかけておる。そこに何の義務も責任もない。また輸送力に関する基準もなければ目標もない。国家は時々刻々に発展をしているのだから、国鉄も増大をする旅客貨物に応じ輸送力増強して、これを完全に輸送をする義務を負うべきである。完全に輸送をするとは、旅客と通学通勤客を完全に着席をさせ、貨物を遅滞なく輸送することをいうのであります。戦中戦後にわたつて国鉄が国民を支配して、権力者のためには乗車制限をしたり、貨物受託を停止したりしたが、乗車制限は憲法の移動の自由に違反をし、貨物受託停止は憲法の経済活動の自由に違反をし、また客車、電車で座席を提供しないことは、憲法の文化生活を営む自由に違反しておる。つまり国鉄は憲法にも違反をし、鉄道営業法にも違反をしておるわけである。よつて私は本法を修正したいと思う。輸送完遂の義務を第四条として挿入すべきことをこの際申し上げたい。  第四条 日本国有鉄道は前条に掲げる鉄道事業及び附帯事業において、常に総合的輸送能力を増進し、旅客に対しては必ず座席または寝台を提供して、車両及び船舶の座席定員以内をもつて輸送しなければならない。貨物輸送については、輸送力の不備不足を理由として、貨物の受託を制限及び停止してはならない。かような意見をこの際申し述べまして、討論のときに反対並びに修正を私はしたいと思います。  以上をもつて、私は残余は調査小委員会においていろいろお教え願いたいと思う。私の質問はこれで打切ります。
  58. 熊本虎三

    ○熊本委員 関連して……。先ほど鈴木君からいろいろ具体的な事例を引いて、最も適切な御質問がございましたが、その答弁を承つておりますと、まことに不誠意きわまるもので、われわれが聞いておりましても、まことに遺憾千万だといわざるを得ないのでございます。そこで調査委員会設置されておりますから、先ほどの鈴木君の質問要旨についても、いずれ調査委員会において精密なる調査があろうかと考えますから、重複することは避けたいと存じますか、まず一つ二つお尋ねしておきたい。  それは、たとえば太田技師の問題についての答弁であります。有能なる技師であるから、国鉄費用をもつて海外に派遣して、技術の練磨と、それから幾多の見識を広めるという形において、派遣されたものと思うのでありますが、国鉄費用でそういう洋行をせしめて、帰つて来たとたんに私営会社にこれを渡してしまう。こういうことを、先ほどの答弁では当然のことのように答弁されておりまするが、まことに私ども遺憾千万だと思う。こういうような事例が他にもたくさんあるのではないかと思うのでありますが、国鉄の最高幹部の信念のほどが疑わしいのでございます。なお鈴木君からいろいろお話がございまして、あらゆる問題の中に、少数特定人の利害の前に、そのお先棒となつて働いておる現状から行きまするならば、まことに国鉄の将来思い半ばに過ぎるものがあるといわなければなりません。重複を避けて一つ聞きたいのは、交通公社における乗車券売払代が、非常にたくさん未収になつておるというのでありますが、はたしてその内容は現在どういうふうになつておるか、数字をもつて御指示を賜わりたい、かように考えます。
  59. 津田弘孝

    津田説明員 ただいま数字につきましてというお話でございましたが、数字に関する資料は、私現在手元にございませんので、その点は除きまして、代売手数料の問題について申し上げたいと思います。交通公社とは、戦前長くから国鉄との間に、いわゆる国鉄乗車券の代売契約を結んでおるのでございますが、その当時の率は、いろいろ切符の種類によつて違うのでございますが、一般乗車券については、いろいろな経過はございますが、大体戦前は五分をやつてつたのでございます。それが、昭和二十四年だつたと記憶いたしますが、当時の進駐軍の命令によりまして、交通公社の発売する国鉄の乗車券に対しては、代売手数料を出してはいかぬ、こういうことになりまして、交通公社の会計経理の内容というものの中で、国鉄から受取るところの代売手数料の持つ比重というものが非常に多うございましたので、これは会社の経営上非常に重大な影響をその当時来したのであります。何とかしてこの公社の危機を乗り切りますために、いろいろと代売以外の事業、たとえば雑誌を刊行することとか、あるいは観光関係の施設方面に手を出すとか……。
  60. 熊本虎三

    ○熊本委員 そういう交通公社の経営の内容を私は聞いているのじやないのです。あなたは交通公社の代表者ではないはずなんで、そえなことを私は聞いているのではない。一体その売払い代の未収は幾らあるかということを聞いている。
  61. 津田弘孝

    津田説明員 それが関連がございますので、若干前置きを申し上げているわけなんでございます。そのようなわけで、当時国鉄に対するそういつたような財政の事情から申しまして、当然国鉄に返つて参りまする運賃の納入が円滑に参らないというような事態に相なりましたので、その当時いろいろと相談をいたしました結果、大体交通公社から受取ります国鉄の代売の運賃でございますが、それは当月売りましたものは翌月の末までに国鉄に納入するというのが、在来の慣例になつておりましたのを、当時そのような事情でございましたので、一月ないし二月程度納期を延期いたした、そういつたような事情はございました。現在におきましては、その延ばしました納期をだんだんとまた元にもどして参りまして、東京鉄道局関係におきまして、慣例でありまするところの翌月納めというか、一月遅れ、つまり翌々月納めになつているという以外を除きましては、全部従来の慣例でありまするところの翌月納めということにもどつて来ております。従いまして、いわゆる未納の代売の代金というものはございません。
  62. 熊本虎三

    ○熊本委員 まことにどうも、交通公社の代弁をやつていただきまして、感謝にたえません。私は交通公社という私営会社の問題を弁明してもらうつもりじやない。交通公社に代売りをさせるということ自体も、われわれは必要がないと思う。だから、そういうようにいろいろの関係において事務費等の支払いができないとするなら、取上げてしまつて国鉄が直接販売すればいい。それを私営会社のお先棒となつて、いろいろと苦労をして、そうして多くの未収金を持つておる、こういうようなことは、公営企業としてなすべき行為ではない。それはいずれ資料提出してもらつて、現状をさらに検討したいと考えますから、至急に資料提出方をお願いいたします。  それから先ほど鈴木君の一々の質問については、私静かに考えてみまして、今回国鉄法の一部改正に基き、大蔵大臣の干渉権を緩和しようというふうにみんなが努力をしておりますが、先ほどの質疑の中から見ますならば、こういうまことに乱脈な、そうして特定資本閥の傀儡となつて、そうして一般国民の需要に対してのみ犠牲的な負担をかけておる国鉄内容であるからこそ、大蔵大臣の干渉が強くなる。だから、そういうふうなあいまいな、不都合な経営の内容こそが、国鉄の独立性に干渉を受けて行かなければならないということになる。だから私は国鉄公共企業体としての独立採算制に少しでも早く行つて、あれほどに能率を上げておる一般国鉄従業員諸君の努力に対して、そして少しでも予算面から行きましても、あるいは予算の経理、運営についても、これらの諸君の努力に報いるために、経理方針に同調したいと考えて今日まで臨んでおつたのでありますが、しかし先ほどのような質疑応答の内容を見ますれば、われわれは考え方をかえなければならぬのじやないかと思う。建前から行けば当然、国鉄が権利金をとるわけには行かない。それは理論上、法制上そうでありましよう。しかしながらそういうように公共事業として民間に譲り得るものがあるならば、特定官僚や特定資本にのみ追随してこれらに利用せしめるより、なぜ公開して国民全体の要望にこたえるという態度をとらないのか。そうして一つの事業を考えても、ことごとくは国鉄関係者以外には使用の禁止と同様である。ガード下一つ使用しようと思つても、それには何万円という権利金をとられる。小さい話でありますけれども、われわれが地方へ出て特急券を求めようとしても、切符がないといつて断わられる。そうするとブローカーがやつて来て、あなた方が求めてもありませんよ、ここにあるからお買いなさいと、駅員の前で大つぴらに売つておる。私はけさ神戸から帰つて来たのでありますが、きのうの朝着いてすぐに特別二等の申請をしたところ、一枚もないと言う。そうしたところが行先で心配して、それでは私の方でとりましようといつたら二枚あつた。こういうようなことで、ことごとく特定資本と結託して、そうしてかつて気ままな濫用をやつている。私が売場に同じ顔をさらしたので、非常に恐縮したような形であいそ笑いをしておつたのでありますが、ブローカーに売る切符はあつても、われわれに売る切符はないのであります。上がこういうような上であるから、下までこれをならうのであります。でありますから鈴木君からさつき質問のありました数々の問題は、しろうとでもただちにわかるような資料整備をして、ことごとく提示してもらいたい。そうして本案の審議決定については、いささか期間を与えてもらいたい。われわれとしては十分国鉄の現状をしんしやくし、そうして国鉄の総合一致の態勢によつて、国民の利益と文化向上のために資してもらいたいという考え方で、言葉は悪いかもしれませんが、今日の国鉄の経営の困難なところから、でき得るならば戦争当時に負つた負債にひとしきものは、一般会計からでも出さしめながら、国鉄の健全な発展をさせたいと考えておる。それなのにこういう実情でありこういう質疑応答の内容を見れば、まことに考えさせられざるを得ないのであります。幸い運輸大臣が見えましたので、監督長としての運輸大臣が、現在の国鉄運営の内容についてどういうふうな御見解を持つていられて、将来これを一体どういうようにしたならば、国鉄官僚のいわゆるだらしない今日の利権あさりを食いとめることができるかどうかについて、お考え方がありましたならば御答弁を願つておきたいと思います。
  63. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 国鉄の経営面についていろいろお話が出ておりますことは承知いたしておりますが、私は本来の考え方が、さつき熊本君もおつしやつたように、独立企業体としてやつて行けるには、この独立採算制を十分でなくとも、少しずつでもその線に近づいて行くようにしたいということを念願しておるものでありますから、私だけの気持としては、あまり差出がましいことをしないで、自由に力を振わしたいという、のが全体の心持でありまして、今までもそういう心持でずつと参つております。しかし今度の改正の精神もその心持は含んでおるのでありますが、私どもといたしましてもこの間から話し合つておることは、今までも国鉄幹部と運輸省との間の連絡をとるために、前の大臣の時分ですか、そのころから一週に一ぺんくらい幹部が寄り合つて、いろいろ両方から聞いたり、尋ねたり答えたりしておつたらしいのであります。私は昨年の十一月にそのことを聞きましたが、議会々々で忙しかつたものでありますから、その後回数も少く、連絡もまれになつてつた。特別問題点でもない限りはそうレう機会かなかつたのてありますが、どうも少しくいろいろの事情を知るのにうとくなつてつたことも事実であります。私どもといたしましては今お話のように、みな一生懸命やつておることは事実でありますし、これがうまく運営されることが望ましいのは当然でありますから、その線に沿いまして、監督という線をここにぎようようしく出すことはどうかと思いますが、規定には出てないでも、いろいろな問題について、こういうようなものはもう少しわれわれの方と連絡をしてやるというようなものを、ひとつ相談しようじやないかということで、ちようど話をしておつたときであります。そんな問題、平たくいえば、こういうものは監督の線につてわれわれも承知しておく、相談にもあずかるというようなものをこさえて、いろいろ話し合つて協力して行くということにして、誤りを少くする。また能率を上げるような線に向つて行くようにしたいということを念願しておるものであります。今いろいろの問題がありまして、非常に御心配をかけて恐縮でありますが、私どもどういう問題か、内容を一々調べてみなければどういうことかよくわからないのでありますが、もう少し注意すればよかつたというような問題等があれば、そういう問題について万全を期するように、なお私の方からもこの後においていろいろ注意いたして参りたいと思つております。
  64. 關内正一

    ○關内委員長 熊本君に申し上げますが、関連質問でありまするから、関連質問の要点を簡潔にお述べを願いたい。
  65. 熊本虎三

    ○熊本委員 御注意までもございません、関連せざるものは申し上げません。運輸大臣の人柄から行きましても、まことに公社は公社らしく監督権を融和して、そしてその本義にもとらぬような運営をさせたいということは、基本的には私も同感であります。しかしあと鈴木君の質疑応答について速記録をごらんになつていただきたいと思うのでありますが、あげて参りますれば、まことに乱脈その限りを尽しておるような実情でございまして、こういう場合においてほんとう運輸大臣の人柄とその御精神に基いて、真に国鉄の改善と、公社としての運営がつきますることのためには、泣いて馬謖を切るということも必要であります。そうしてものは昔の人の言つておるように、単にあわれみや同情や慈愛のみではいけない。すなわち監督の長にある者は、恩威あわせ行うというところの度胸がなくてはならない。ここに国鉄の幹部諸君が並んでおられるが、先ほどの鈴木君の質疑に関連して、直接その衝にある人は一人か二人である。一人か二人のルーズのために、何かの取引のために、孜々営営として働く国鉄の全体的な面に、国民の疑惑を招いておる。こういうことは即時断をもつて処断すべきである、私はかように考えております。運輸大臣は今来られたばかりで、質疑の内容等についてもよく御存じないかもしれませんので、私どもは資料の提示を求めまするし、大臣には速記録をごらんになつて、十分この際ひとつ英断を振つていただきたい。かように考えますので、その点御希望を申し上げて、私の関連質問を終りたいと思います。
  66. 臼井莊一

    ○臼井委員 先ほど鈴木委員から第三条の問題に関連して、削除した方がいいという御意見も出たようですが、この問題につきましては冒頭に私から伺つて、その後においても他の委員からもいろいろ御質問が出たのですが、どうもはつきり具体的に、こういう問題のためにこうしたいというような意図がはつきりうかがえないのですが、どうも漫然ただわれわれ考えられるのは、さしあたりたとえば鉄道会館とか、あるいはその他のステーシヨン会社、それぐらいしか大きな問題としては考えられませんが、しかし、これはやりようによつては広く運用もできるわけで、言なると、またいろいろ疑惑を持たれるような問題も起つて来るのではないかと心配をするのであります。その点について実際何もなくて、漫然とこういう条項を出すということは考えられないのですが、どうなんですか。その点もう一度お伺いしたい。
  67. 植田純一

    ○植田政府委員 この点につきましては、昨日来申し上げておりますように、国鉄の業務、すなわち旅客貨物の輸送という面に関連しているということだげでありますと、ずいぶん範囲が広いわけであります。お説の通り関連している事業にみな投資できるということでありますと、非常に範囲が広くて、これはむしろ弊害というものが考えられるのであります。従いまして、そういう意味では毛頭ございませんので、直接旅客輸送あるいは貨物輸送に関連し、かつ必要な制限を加えまして、非常に局限いたしたのであります。これはどういうことを目的としておるかというお話でございますが、少くとも私ども認可をいたします運輸省の考え方といたしましては、さつき申しましたように、きわめて限られた事業てあつて、その事業に投資することによりまして、国鉄の事業そのものかうまく行く、また公共の福祉になる、かようなことでなければならぬ。投資する相手の事業がそのためにうまく行くということが主眼ではなくて、そうすることによりまして、国鉄の事業がうまく行く、ひいては国鉄が公共の福祉に寄与するという観点から、私こもは認可にあたりましては考えて行くべき問題であろうと思つております。ただこれを入れました趣旨は、大臣からもお話がありましたように、国鉄ができるだけ能率的な運営をやつて、その自主的な活動をやるにつきましては、きわめて局限された場合でありますが、投資することによつて国鉄の事業がうまく行くという場合が、非常に抽象的な話ですが考えられますので、投資の道を開くことが適当であろう、かように実は私ども考えておるわけであります。もちろん先ほども申し上げましたように、どういう事業に投資するか、その目的及び金額も従い出して予算総則に載せまして、広く国会の御審議を受けるということにいたしております。具体的にどういうことを考えておるかということにつきましては、ターミナル・ステーシヨンの例をあげましたが、そういう場合に私どもは考えまして、これは一応適当であろう。たとえば私鉄、国鉄が資本をそれぞれ出し合つて、合同の終点駅をつくるというような場合なんかは、一つの適当な事例として考えられると申し上げましたが、具体的にそういう計画があるかどうかということとは別の問題であります。具体的にあるいは何か国鉄としての御意図があるかどうか、これはまた別でございます。運輸省といたしましては、そういう意味におきまして、できるだけ自主的な活動をはかるという全般的な改正の一環といたしまして、この規定の改正は適当であろう、こう考えておるのでありまして、運用はお説の通りあくまで慎重にやらなければならないと考えております。
  68. 臼井莊一

    ○臼井委員 この条項は、国鉄でぜひやりたい事業の一部であるけれども、金がなくてできない。従つて民間から資金を集める意味において会社をつくらせて、その一部に投資する。こういうふうにも考えられるのですが、しかし逆に民間会社が鉄道をうまく利用していい仕事がある。しかも資金が逆に会社の方では集まらぬから、鉄道の方から出させようという場合も考えられるのであります。しかも会社でありますと、資本金の少くとも半数以上を押えてないと発言力が弱い。ただ一部を出資しただけでは、資本的に応援しただけで、しかもその会社が相当有利にまわつて配当でも来れば、鉄道の一助になるでしようけれども、そうでないと結局資金を出して出し損ということも考えられないではない。従つてこれを運用する上においては、よほど慎重にしなければならぬ思うので、われわれはいろいろお伺いするわけであります。これは水かけ論になりますから、私は一応この程度にいたしておきます。  それからいろいろうわさをくのですが、たとえばくず鉄等を払い下げる場合、表面は入札であるから価格の高いものに入れるけれども、実際には目方をごまかして、どんどん安く払い下げてやるというのです。これはうわさでありますから、私は必ずしも信じませんけれども、とにかく鉄道の事業は大きいだけに、いろいろな目をもつて見られるので、監督する上において運輸省はよほどその点実情に即したことをやつていただかないと、いろいろそこに疑問が出て来ますから、その点お願いいたしまして、私は質問を終ります。
  69. 川島金次

    ○川島(金)委員 法案の質問に入ります前提として、一、二重要な当面のことで総裁と大臣に伺つておきたいと思います。  まず第一に、昨日の読売新聞の夕刊を見ますると、「鉄道会館どうなるか」という見出しのもとに、長崎総裁の記者団に対する回答が詳細に報道されております。その中で、私が国民の一人として最も注目をいたしましたのは、鉄道会館の問題に関する是非の事柄は別といたしまして、基本的に国有鉄道の最高責任者考えておりまする考え方について若干疑念がありますので、お尋ねを申し上げるわけであります。総裁は何か腹痛の由で寝ておられるそうでありまして残念でありますが、副総裁天坊さんからでもけつこうでございますが、お答え願いたい。総裁は昨日記者に対して、こういうことを言つておられる。国鉄の所有地は国有財産ではない。従つてこの運営管理は政府に干渉されることはない。たとえば総裁の権限で列車の運行を一切停止することはできるが、政府にはできないではないか。もちろん慎重な運営をすることは当然だ、こういう意味のことであります。これは非常に重大な発言だと思うのであります。そこで天坊総裁にお伺いいたしますが、この国鉄総裁の言われたことが真実かどうかは別といたしまして、かりにこの新聞に報道された通りのことを総裁か発言いたされたといたしますれば、この考え方国鉄総裁として正しい考え方であるかどうか、その点は副総裁として、代理者のあなたはいかようにお考えになられるか、その御見解をまずお尋ねしておきたい。
  70. 天坊裕彦

    天坊説明員 きのうも私は途中で決算委員会に行つたのですが、新聞記事についてはいろいろ解釈等があつたようであります。ただ仮定の問題としてそういうふうな言い方について、国有鉄道の副総裁としてどう考えるかという質問としてお答えいたします。  国有鉄道は、国有鉄道法の精神を守つて運輸大臣の監督を受けて仕事をやつて行く性格のものでありまして、ただいま御説の通りに、国有財産という意味の鉄道の財産ということになつております。その鉄道の財産として、国有鉄道法に違反しない限り、総裁としているく運用はして行きますけれども、十分公共の福祉増進という第一義的な目的を達成するようにして行かなければならぬことはもちろんでありまするし、また汽車の運行をとめるとかとめないとかいうことも、そういうことは軽率な言い方であると思います。
  71. 川島金次

    ○川島(金)委員 これはきわめて重大な基本的な問題であると私は理解いたしますので、いずれ総裁出席しましたときに、あらためて総裁から直接御見解を明確に承ることにして、保留いたしておきます。  そこで運輸大臣にお尋ねいたしますが、今お聞きの通り総裁は、国鉄の所有地は国有財産ではない、こういうはつきりした見解を持たれております。運輸大臣は国有財産でないと、こういう見解を持たれておるかどうか。これはきわめて重要な事柄でございますので、あとで訂正のない立場で御見解を明確にしておいてもらいたいと思います。
  72. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 法律上の問題でありますから、正確を期するために一応局長からまず申し上げます。
  73. 植田純一

    ○植田政府委員 国有鉄道の財産は、国有財産法の適用はございません。従いまして、その意味の国有財産ではございません。しかし公共企業体というものの性質から見まして、全額政府出資の国有鉄道という公共企業体の財産であります。従いまして、十分慎重に管理運営しなければならぬ、かように考えております。
  74. 川島金次

    ○川島(金)委員 局長の事務的な立場で平素研究された結果のお答えであるから、よもや間違いがないと思いますが、さらにひとつ研究をしていただきたいと思うのです。と申しますのは、国有鉄道の土地その他の財産が、国有ではなくて、法人である国有鉄道の財産であるといたしますれば、その法人の決議いかんによつては、随意に管理処分ができるかどうか。もし国有財産でないとすれば、その法人が随意にそれができる形になるのではないか。私は法律家ではないのではつきりいたしませんが、そういう考えも生じて参りますが、その点はどうなりますか。
  75. 植田純一

    ○植田政府委員 法律上の問題といたしましては、国有鉄道の財産処分の制限の規定が、国有鉄道法第四十六条にございます。法律的な問題といたしましてはそれだけでございますが、だから自由にどうやつてもよいかとしう問題になりますと、国有鉄道法第一条の目的、その他国有鉄道法全体の精神に基いて運用すべきものである、かように考えております。
  76. 川島金次

    ○川島(金)委員 私はちよつとまだすなおに納得ができないのであります。元来この法人自体の名称からいたしまして、日本国有鉄道と「国有」という文字をことさら使つておる。なるほど伝理論的な平面的な解釈から言えば、これは別個の法人だから国有の財産ではない、こう規定することも不可能ではないと思います。しかしながら、だからといつてこの財産は、純粋な意味しおいて絶対に国有でないということは言えないではないかと思うが、その点はいかがでありますか。
  77. 植田純一

    ○植田政府委員 国鉄の財産が国有財産法の適用を受けないということは六十三条にございます。なお日本国有鉄道法施行法の第四条によりまして、「日本国有鉄道法施行の際現に国が有する権利義務は、別に定めるものを除く外、その時において日本国有鉄道が承継する。」ということになつておりまして、いわゆる国有財産はこの日本国有鉄道法施行のときにおきまして、日本国有鉄道が承継しておるわけでございます。そういう意味におきまして、いわゆる国有財産法にいいますところの国の財産ではない、こう申し上げたのでございます。
  78. 川島金次

    ○川島(金)委員 私の言うのは、国有財産法の適用を受けるか受けないかというのではなくして、一体実質的にも観念的にも、鉄道の財産は国有ではないのか、どうなんだ。そこなんです。単に私は、この国有財産は国有ではな産は、別個の法人格で設立されたその法人格に譲渡してある。しかも政府が全額出資してある。従つてそれは国有財産法の適用を受けないから、国有財産ではないという簡単な割切り方では済まされない問題ではないか、その点はいかがですか。
  79. 植田純一

    ○植田政府委員 純粋な法律上の見解を申し上げておつたわけでありますが、国有鉄道というものが全額国の出資であり、またその法律第一条の目的をもつた公法人である。従いましてこの国有鉄道の所有しておりますところの財産も、実質的には国民の信託を受けている財産である。実質的にはそういう性質のものである、かように考えて、その管理運用というものは、そういう観点から慎重にやらなければならぬ、かように考えております。
  80. 川島金次

    ○川島(金)委員 それでやや明確になつて参りましたが、国有鉄道の財産というものは、国有鉄道法による別箇の法人格ができて、そこに政府が全額を投資してしまつたのだから、なるほど国有財産法の適用は受けないから、一応国有財産ではないという一つの言い方も、私は絶対に成り立たないとは申されないと思う。がしかし、少くとも国有鉄道の法によつて今所有されておりまする財産は、今申し上げましたように国民のものだ。これはまぎれもない国民のものだ。国民のものが別途の設立された法人に、その財産を贈与したのか、あるいは有償で払い下げてしまつたのか、こういうことならば国有財産とは言えないということも成り立つかもしれない。しかしそういうことではない。政府が全額出資して、そのままこなつておる。その法人格に無償で譲渡したのでも何でもない。従つて私は、国有財産といえども、国有財産法の適用は受けないけれども、精神的にも実質的にも、やはり国の財産であるということには間違いないという考え方を若干持つておりましたので、お尋ねいたしたのです。そこで、そういうことになりますと、長崎総裁のこの国有財産ではないという表現の仕方というものは、私はまことに不謹慎だと思う。あるいは軽卒ではないかと思う。いわんやここには今鉄道会館を中心として、いろいろの技論が高登つて来ている最中に、記者にどう問い詰められた答えではあるにいたしましても、こういう表現の仕方をするということは、きわめて時宜も得ないし、軽卒、不謹慎ではなかろうか。いやしくも国民の血税によつてでつち上げた財産、その財産をこれは国民のものではないと言つたのと同じ形である。これはおれが総裁をしている国有鉄道の財産だと言つても同じことでございます。そこで私は、ここで皆さんに申し上げましても、本人がおりませんのでしかたがありませんが、こういう考え方というものはむしろ非常に間違つた考え方だ。従つていずれ総裁に副総裁からこの旨を御伝達願いまして、この問題に対して、明確な一つの国民に一点の疑いのない形においての見解の表明を誤つておるとすれば直して、ここであらためて表明してもらいたい、こういうふうに思います。従つて総裁は、そういう考え方でおるから この運営管理は政府に干渉されることはない、こういうばかげたことが結論になつている。これは私は重大な発言だと思うのです。一体国有鉄道の財産だいらといつて総裁がかつてに処分したり、売つてしまつたり、あるいは管理しているというようなことになつては、これはわれわれ国民としては総裁にこの財産を預けておかれないということにも、極端に言えば言えることであります。ですからこの点をひとつ、重大なことでありますので、運輸省の立場からしての見解は明確になりました。但し総裁考え方というものは非常に疑問が持たれる形になつて参りますので、いずれ総裁からそのうち、繰返すようで恐縮ですが、明確にひとつ委員会を通じて見解を明らかにしてもらいたいと思います。こういうことであるから、総裁の権限で列車の運行を一切禁止することができるなどという、実に乱暴きわまる、非常識きわまる……。総裁としては非常識きわまると私は思う。そういう言葉をかりそめにも、国民の前に報道される新聞記者の前で語るに至りましては、私は個人的には総裁とは若干の知合いではございますが、これはもう言語道断だと私は思います。  そこでさらに、私はついでですからお伺いいたすのでありますが、先ほど鈴木委員からも言われましたし、さらにまた熊本委員からも若干の追究があつたのでありまするけれども、交通交社に対して、国鉄切符の売りさばきを委託しておる。この切符の売りさばきを委託して若干の手数料を出しておる。一体今日の国鉄の営業の実情から申して、交通公社のような機関を利用しなければ、はたして国鉄切符売りさばきに重大な支障があるのかないのか。これは私は交通公社に対して国鉄が特別の契約をされておりまする本質の問題と考えるのであります。はたして交通公社がなかつたならは切符は売りさばけない状態にあるのか。そうして一般旅客に対して重大な迷惑を及ぼすようなことになるのか。その点の実情というものは現状においてどうなつておるか。その点に対する見解をひとつ国有鉄道関係者から承つておきない。
  81. 津田弘孝

    津田説明員 交通公社は、創立の当初におきましては、主として外人の日本国内の旅行のあつせんを目的として設立せられたものでございまするが、その後国内の日本人の旅行のあつせんもするというようなことに、事業の目的もかえ、また組織も改めまして、今日に至つておるような次第でございます。交通公社が扱つておりまする業務量の中で、国鉄の乗車券の代売をしておりまする量というものは、非常に大きな比重を占めておりますが、先ほど川島委員からお話がございました一体国鉄は、交通公社がなければそういつた旅客関係のサービスを十分にやつて行けないかどうか、はたして交通公社というようなものが必要なものかどうか、というような点につきましての国鉄当局の見解をと、こういうようなお話であつたように私承知いたすのでございますが、その点におきましては、公社が扱つておりまするところの国鉄の乗車券に関しましては、もちろん別段に旅行についての知識なり、あるいは情報なり、あるいはあつせんなりを伴わなくてもいいようなものも現実にはございます。窓口で東京、神戸、はい一枚といつて売るような場合には、何らの情報も伴わないのでございますが、しかしながら大部分の公社で発行いたしておりまする乗車券の発売の場合におきましては、いろいろと旅行に関するただいま申し上げましたような資料の提供、あるいは案内、その他情報の提供あるいは旅館、私設その他観光施設の利用というようなことにつきましての、いろいろな手配を伴つておる場合が非常に多いのでございます。従いまして、もしそういつたようなものを全部国鉄の職員及び国鉄出札係が引受けるということに相なりますと、現在国鉄旅客関係定員も非常に切り詰められておりますので、これを十分にやつて行くことは困難である。現実に一枚の切符を売りさばきまず時間を先日はかつてみたのでありますが、かりにもしそれを鉄道の職員がただ切符を売るだけだつたら、たとえば一分で済むものが、いろいろな情報を提供をいたしましたり、あつせんをしますために、それの一・八倍かかつておるというような実績も現われております。従いまして、こういつたような旅行あつせんの機関といたしまして交通公社が存在するということは、従来も意義がございましたし、今後もこの公社を育成して参りたい、また指導して参りたいというふうに考えております。
  82. 川島金次

    ○川島(金)委員 私は内部の真相はよく知つておるものではございませんが、われわれが外からながめてみますと、交通公社に限つたものではございませんが、国民の立場から申しても、どうもすつきりと割切つた了解ができない点が多いのであります。今の交通公社の問題にいたしましても、なるほど切符の売りさばきについてのサービス、それと相兼ねて手数料をもらつておるわけですから、旅客のいろいろな情報の提供やら、観光地の案内、あるいは集団旅客のあつせん、これは切符の手数料をもらつている以上は、当然なサービスとして交通公社がやらなければならぬ問題だとさえ私は思う。交通公社が何らか自主的な企業をやりながら、国鉄のためにまた積極的な別な形において協力をしておる、こういう建前なら別でありますが、昨日来問題になつておるように、売りさばきの料金の滞納が、莫大な額に上つておるというような事柄が事実となつて参りますと、私は国民の目から見まして、ますます一層の疑惑をめるような形になるのではないかと考えまして、この点国鉄を非常に愛する一人といたしましても、実に衷心から残念に考えておるのであります。いずれそういつた問題については、ここに調査委員会ができておりますので、調査委員会の席上で調査し、また当局の見解なども詳しく承りたいと思いますのでこの点はその程度にとどめておきます。  そこで第二にお伺いいたしたいことは、これは天坊総裁にお伺いしたいのでありますが、先般来決算委員会では鉄道会館を取上げて、その一つの結論のような形で、鉄道会館の工事の中止を申し入れるか、あるいはまた仮処分の手続をするというようなことが、新聞の紙面で報道されております。この問題のよしあしはどうあろうと、そのことが実際に実行された場合には、その影響するところの事態はきわめて重大な波紋を描くであろうと私は想像をいたしておるのであります。そこで私がお伺いするのは、今御承知の通り決算委員会でもこれを取上げており、この委員会でも法案の片がつき次第、専門的に種々の問題について詳細調査をいたすことに予定はなつておりますので、ひとつこういう考え方はできないかと私は考えておるのです。いろいろと世上問題になつておる折からでもございますし、ある一定の期間を限つて——鉄道会館自体が天下の疑惑を買つておることは事実でありますから、その疑惑を明らかにいたします最小限の時期を置いて、みずから率先してひとつ当局と話合いの上で一時工事を中止して、そうして一切の疑惑を晴らしてもらうように、積極的な態度をもつて先方から明らかにして出て来る、こういう方法もあるのではないかと私は思うのであります。  それからもう一つついでに申し上げますが、うわさに聞きますと、上野駅あるいは渋谷駅を中心とする停車場のデパートというようなものの計画ではないかと思うのですが、そういうものがある。あるいはその他全国の主要なところにおいて、この種の計画があるやに私は承つているのでありますが、これらの問題も、せつかく準備はされているのでありますが、一時具体的な表面に現われる面としての準備は差控える、そして一切の事柄を国会を通じて明らかにされ、国民が納得した、明朗な姿に立ちもどつた形において、国民が納得したものであれば、その計画を立て直して進めて行く、こういつたような考え方も、いろいろな意味で必要ではなかい、今日はそういう段階ではないかとさえ実は感ずるのでございますが、その点当局はどのような考え方と感じ方を持つておりますか。まことに変なものの言いまわしでお尋ねをしている形でありますが、その点こついての御感想なりを承つておきたいというふうに思うわけであります。
  83. 天坊裕彦

    天坊説明員 いろいろ問題が起りまして、こういうようなかつこうで大きく取上げられましたことは、私どもの至らなかつた点、不注意、軽卒の点がないでもないというように感じて、はなはだ遺憾に存じておりますが、しかし、私どもの考えとして、筋としては通つてできていると思つております。これはいずれ調査委員会なりで御決定願うわけでありまして、そこへ持ち越さなければなりませんが、と同時に、問題になつております料金の取立てというような問題も、早急にきめて行かなければならぬというふうに私も考えております。ただ今お話工事を一時遠慮したらどうかというようなお話は、これは影響するところ非常に大きな問題でございまして、鉄道会館の当事者の考え方もございましようし、簡単に中止できるかどうか、技術的な問題、それに伴う経済的な問題もありますので、ちよつと困難が多いじやないかというふうに考えます。しかしこれはそういうような空気を一応相談してみたいと思います。  それからその他の渋谷、新宿等に関して同じような問題があるらしいが、その問題についてはしばらく話の進むのをとめたらどうかというお話でありますが、これはただいまどちらも出願がございまして、それを詮議中でございます。従いまして、この鉄道会館の問題等がもう少しずつきりするくらいまでは、延ばして行つた方が妥当と考えます。
  84. 川島金次

    ○川島(金)委員 副総裁の明快な御答弁を得わわけでありますが、後段の新宿、渋谷、上野等、その他全国の主要なところにもあるやに承つておりますが、もしその他の方面にもそういう準備あるいは構想があつたといたしましても、この際は今の副総裁お話のごとく、一応中止して行つてもらいたい。その方がまた問題のすみやかな解決の上にも得策ではないかと思いますので、その事柄はぜひ実行していただきたい。私からも強く希望しておきます。  それから前段の鉄道会館の問題は、この重大な事柄について副総裁としてのかつてな勝手な見解を表明することは、ちよつと差控えなければならぬ事情があろうと思います。従つてしかるべく御協議を願いまして何らか——天下に一抹の疑惑を与えている問題であるということだけは、まぎれもない事柄になつておりますので、その疑惑を除かれる方法として、あらゆる最善の方法を尽すということも必要ではないか。ただいたずらに国会の追究にあつては逃げまわり、あるいはまたりくつをこねてそれに応戦して来るということだけでは問題は解決しない、そういう意味でこういうことを申し上げておるのでありまして、そういう相談の余地があるといたしますれば、私は望ましい一つの方法ではないかと思いますので、ぜひとも早急に御協議願いたい、かように思います。  そこで、もう時間も一時に迫りましたから、次に法案自体に対する質問を申し上げまして、私の質問を一応終りたいと思います。先般も私は運輸省当局にお尋ねいたしたのでありますが、職員の地方議員兼職の問題でございます。これは今日町村会議員は別でありますが、市会議員を職員が兼ねることは禁止されておるようなわけであります。しかしこの職員の地方議員兼職の問題は、遠くさかのぼればすでに明治年代から実行されて来ておつた長い伝統的なものでもあるわけであります。なぜこれを禁止したかという理由には、いろいろありましたが、その零最も重要な禁止理由として盛んに言われた点は、国鉄職員が地方議員、ことに市会議員の職を兼職するということは、現場鉄道の事業の運営上非常な障害を及ぼすのではないか、こういう考え方で、しきりと兼職の問題についての禁止の理由のあることを強調されて来たことは、まぎれもない事実であります。そこで明治年代からの兼職の実情を、私の狭い範囲においてずつとながめて参りました実感から申し上げますれば、鉄道現場の職員が市会議員を兼職しておつたがために、その現場の事務の運行上、あるいは営業の運営の上において著しい障害を来すなどという事例は、私は今日までのところ寡聞にして見ておりません。その土地の在住者の鉄道の職員及び家族が多くて、そうした公職を兼任しておらない土地においては、その職場と市役所との関係、あるいはその職場と市全体との関係、あるいはまた職場から帰つた多数の家族の市民としての生活の利害の関係、こういつた関係を訴えまするものの必要が、どうしても自然的に発生して参る。いわんや職場と一般市民との渉外関係と申しますか、そういう事項についても、公職者の兼任者がいないのといるのとでは非常な違いでありまして、公職兼職者かありませんときには、結局はだれか職場からそういうものの適任者を選んで、そういう事項に当らせておるという事柄がむしろ今日までの実情である。しかも職員が市会議員を兼職することによつて、多数の家族の市民としての生活上の文化的な、経済的な一切の利害関係を代弁してもらう機関があることによつて、かえつて職員の市民的な生活を文化的にも経済的にも守るという、非常な大きな役割を果せばこそ、私は鉄道の運営の面に重大な支障があつたなどという実例は寡聞にして知らないので、そこでお伺いするのでありますが、鉄道の実際的な事業の責任者であられます天坊総裁においては、はたして職員が市会議員を兼任することは、鉄道の事務並びに業務の運営において非常な障害を来すと強く考えられておるかどうか。この点は地方議員兼職の問題を論じますきわめて根本の問題でありますので、この機会にお伺いをしておきたいと思うのであります。
  85. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道職員が市町村——特に町村の問題は解決しておりますから、市会議員などを兼職した場合に、それが鉄道の業務に著しい支障になるどうかという御質問でございますが、れもなかなか一様に申せませんので、推薦されて市会議長になられるというような人もありまして、そういうふうなことで忙しくなつて参りますと、直接には鉄道の業務の方には、そのままの職に置いておけば支障があるというような場合もないではないというような実例もあります。しかし一方で加配米とか、いろいろ統制の時代、あるいは鉄道の職員がたくさん住んでおる場所で、鉄道関係者が市会議員に出ておるために、全体としていろいろと便益を得ておるということも一例としてはございます。但しそれが全体としてのそういう利益が、すぐ鉄道の業務に支障があるかないかということとは関連をつけてやることは、別の問題であります。従いまして具体的に大きな支障があつたとは言えませんが、またそれだけほかの仕事に忙しい、市会もこのごろは忙しいようであります。忙しければ忙しいだけ、一方でやはり影響がないとは言えない、こういう御返事しか申し上げられないのであります。
  86. 川島金次

    ○川島(金)委員 副総裁のこの問題についての答弁は、きわめて微妙であります。その微妙である心中は察するに余りあるわけでありますが、この問題も本委員会でいずれ正式に議題になる機会があろうと思いますので、そのときにお尋ねをする場合があろうと思いますので、時間がありませんから切り上げます。  そこでこまかい話でございますが、この国鉄法によりますと、刑事事件で起訴された者は休職その他の処分を受ける、一体国鉄当局は起訴という問題をどう考えておられるかという事柄につながるのでありますが、言うまでもなく起訴というものは、刑事被疑事件が別に決定をしたわけではなく、ただ起訴にとどまるわけで、その罪状が法律的に最終的に決定したわけではないにもかかわらず、一片の被疑事件被疑者として扱われるということになつただけで、ただちに国鉄法の適用を受けて、休職もしくはその他の処分を受けるということは、まことに当を得たものではないと、かように私は考えるのでございますが、当局はこの起訴の問題についてどう考えられておりますか、明確な見解を尋ねておきたいと思います。
  87. 天坊裕彦

    天坊説明員 起訴された者が休職になるというようなやり方をやつておるが、単に起訴されただけでそういう処置をするのは、行き過ぎではないかというような質問でありますが、大体問題の、起訴になります内容ということがやはり重要でございまして、いろいろと涜職と申しますか、破廉恥的な問題で起訴されたというようなことになりますれば、これはやはりそういう疑惑を受けるだけでも、相当慎重に考えなければならないということはもちろんであります。また、たとえば機関士等が業務上の過失があるというような問題で、鉄道全体が責任を問われ、また同時に機関士のあやまちというようなことが問題になつて起訴される場合がございますが、そういう場合にはすぐには休職にはいたしておりません。ここら辺は実情をにらんで処置いたしております。
  88. 川島金次

    ○川島(金)委員 副総裁の言われた前段の、破廉恥的な問題についての被疑者に対する扱い方は、そういうこともあり得るかと思います。但し後段の、今申されましたように鉄道自体の現状において、むしろ鉄道全体がその責任を負わなければならぬような事故というものが、今日では大多数を占めておるような実情ではないかと私は理解しておるので、そういう事柄の事故を惹起いたしました者に対して、起訴をされたからといつて、ただちに停職、休職その他の処分を強行するということは、若干どころかきわめて行き過ぎの感があるのではないかと思うのでありまして、こういう鉄道の事故に対しては、もちろんだれが見ても、客観的にも実に重大なる過失だ、そのための事故で、しかも旅客あるいは国鉄の財産に重大な被害と損害を与えた、こういう問題でありますれば、またそのときの実情によつては、別な考え方も起ろうと思うのでありますが、普通のいわゆる小事故程度のもの、あるいは中事故程度のものであつて、なおかつ客観的にもその責任が、一体その本人の責任であるか、国鉄全体の施設の問題、あるいはその他のいろいろな条件の問題が事故を発生せしめた一つの大きな要因でもある、こういつたふうに、客観的にも考察できまするような事故の取扱いに対しましては、十分な考慮を払い、いやな言葉で申し上げますれば、十分な親心をもつてこれに対処する、こういう心構えはぜひ必要ではないかと思うのでありまして、むしろ私はこの起訴の条項についても、若干の修正を施して、ある程度の限界をとつて、この国鉄法の中に明確に制定しておく方が好ましいのではないかとさえ考えられるのでございますが、その事柄は非常に煩瑣な手続を要しますし、時間もございませんから、私はあえて今日それを行おうと考えてはおりません。どうぞ今後国鉄当局におかれましては、現場における事故の問題、その事故の責任の追究の仕方については、十分に深甚なる考慮を払つて、適当な対処をすることに心がけてほしいということを強く希望しておくわけであります。あわせて、起訴になつて参りますと、当然にいろいろな出費がかさんで参りまして、とうていそのまわりの小さな組合あるいはその本人の経済力、そういうものだけではとても耐えられるものではないことが、往々にして多いことであります。そういう問題が起りましたときにも、国鉄は当局として十分な考慮を払つて、客観的に見てどうしても本人の重大な責任があると考えられる事案を除いては、そういつた面についても、当局は十分な考慮を払つて善処されるように努められんことを、この機会に強く私は要望しておくのであります。  それから、まことに時間がたつて恐縮なのでありますが、もう二点でありますので御了承を願いたいのであります。これはわれわれ運輸委員会の者といたしましては、申し上げることは若干どうかという気もしないわけではございませんが、一昨年来、全国の主要なる鉄道の所在地の市町村から、鉄道の財産、施設に対しまして、市町村課税ができるようにとりはからつてもらいたい、ことに鉄道の用地、建設物が、その市内あるいは町の中の大部分の地域を占めておるがために、その市あるいは町の歳入の上に、目の前にその厖大な施設を見ながら、一銭の町村税も徴収することができないで、全体的に見てもきわめて不均衡な現象を見ておる上に、市町村の財政も今日一層に窮迫を告げている以上、これらの問題について、何らか鉄道考えてほしいものである、こういう要望が出ております。地方鉄道のごときにおいては、現にそれぞれの方法において、地方税が課せられておる。ひとり国鉄は、国有という名のために、その問題に対して町村は何らすることができないというような状態であるのではないか、こういつた事柄を並べ立てまして、地方自治体から強力にこれに対するところの課税を実現してほしいということが要請されておることは、当局もよく御承知の通りでありますが、私はこの問題について、国と地方との一貫した、大局的な税制体系をいかにして確立すべきかという問題を考えましたときには、また別な、私は私なりの考え方があるのでありますが、現実の事態といたしましては、なるほどいろいろの実例から見ましても、ある一つの市街地において、その三分の一あるいは四分の一にも匹敵するような広大な地域に、鉄道の施設があり、財産がそこに施設されております町村が、かなりあるようであります。そういう町といたしましては、目の前にそういう現実の姿を見て、しかもそういう所に限つて鉄道の職員が多い、従つて家族も多い、従つて教育費もかさんで行く、あるいはその他の施設についても、それだけ積極的にやらなければならぬ、しかし収入は少い、こういつた町村が悩んでおるということだけはまぎれもない現実の姿でありますので、こういつた問題に対して何か鉄道当局は、税金を課せられるということがよろしいと言えるわけのものではないことはよくわかりますが、別な観点に立つて、それらの町村にそれぞれ何かの政治的な考慮を払つて、そういつた要求の一半にこたえるような方法も、考えようによつてはないわけではないのではないか、こういうように私は私個人なりに考えておるのでありますが、この問題についても、せつかくすでに研究を重ねておられる事柄であろうと思いますので、この問題について、この機会に当局の見解なり、感じなりを承つておきたいと思うのであります。
  89. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま御説にございました通り、市町村でそういう御要求が非常に強いのであります。またその問題については、結局固定資産税をどうするかということが本式に議論されたわけでありまして、私どもとして、ある場所に特別な措置を考えれば、そのほかの関係をどうするかというこで、非常に判断に困つてしまう。どの町といたしましても相当もらえるものならもらいたい、財源としてほしいというのがほんとうでありましようから、結局全体の問題として出すべきものかどうかということで、ただいまきめていただくより実際問題として方法はないというふうに私は考えております。
  90. 川島金次

    ○川島(金)委員 この問題の税法をきめてしまえば、一番問題はないでありましよう。鉄道はいやおうなしに納めなければならぬという形になるわけでありますが、私はそういうことも一つの方法だと思う。しかし現実の問題として、そういうことを急に実現するということも容易ではなかろうと、私は私なりに観察をいたしております。そこで、あるがままの現実の姿において、困つておる市町村が実在することもこれまた事実であります。従つてそういう諸般の事柄をにらみ合せて、何らか特段の措置を講ずるということも、私は現実の問題を厳正に処理するという立場から見ますれば、きわめて必要な一つ考え方ではないか、こういうふうに思いますので、本日申し上げておるようなわけであります。この問題につきましてはこれ以上論議はいたしませんが、またいずれかの機会においてわれわれは他の委員会、あるいはこの委員会なりで、具体的な問題として取上げて、いろいろと質疑を重ねてみたい点もあるわけでありますが、もし当局において何らか考慮をしておるという若干の点がありといたしますならば、どうぞ一層の熱意をもちまして、この問題に正面から取組んで、何らかひとつこれに対する解答を導き出すことに努力をされたいということを、この機会に私は強く希望をしておくわけであります。  それから最後に、これは鉄道全般の大きな問題でございますが、過般の委員会においてわれわれのところに若干の資料も配付され、若干の説明も加えられたのでありますが、今全国民から国鉄というものの姿に対して、いろいろの角度から凝視の眼が注がれておることは、否定できないのではないかと私は考えておる一人でございます。そういう機会を十分な国鉄再建の機会といたしまして、国鉄が積極的な面に向つて立ち上る用意をする必要があるのではないか。そして全国民から期待されておるところの一つの要求に、まともにこたえて行くという熱意と至誠とを表明する必要が、今日の段階におきましては一層に痛感されるのではないかと私は思うのであります。私は先般も若干は承つたのでありますが、日本の陸海空三位に通ずる輸送計画、あるいはその輸送計画を通じて日本経済自立達成の道につながるところの、しかも単なる机上プフンではない、単なる夢のプランではなくして、現実に資材的にあるいは資金的にも、最も可能なりという裏づけの上に立つての、国鉄再建の重大な構想を再検討する必要があるのではないかと思うのであります。従来の国鉄のいろいろの計画を見ますると、それは単なる希望にすぎない。あるいは各地方から集まつて来るところの要案ばらばらに並べたという感じがあるのではないかと私には考えられておるのであります。そういうことではなくいたしまして、この困難な国際政局の中に立ち上つた独立日本の真の独立を守りますためには、何といつても経済の自立性という大道を打立てることに、政治家は全精力を傾けなければならない。いわんや局にある者の責任は、それらのことに関してきわめて重大ではなかろうかと思うのであります。鈴木委員の言われるように、停車場のデパートをどうするの、あるいは駅舎をどう改造するのという、そういうつまらない小手先の問題ではなくして、国鉄は日本の経済自立の一環をになつておるのでありますから、海と陸と空にわたつていかなる構想を立て、いかなる資金的、資材的な裏づけを持つて国民の要望にこたえるか、こういうことど国鉄の全体制を再検討した上に立つての具体的な構想をひつさげて、国民にまみえるくらいな積極的な熱意を打出すべき時期ではないか、私はかように考えておりますので、その事柄に対して当局は、一体どういう見解を持つて今後の国鉄をささえて行こうとされておるのか。そしてまたそれを通じていかにして日本の経済自立達成の一翼としての使命と任務を果そうとしておるかという、その心構え等について、また何らか具体的な計画などが準備されておりますならば、それについてこの機会に、最後に私の質問として承つておきたいと思うのであります。
  91. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま国鉄に対して非常に御好意のあるお話でございまして、またいろいろ御示唆に富んだお話、私ども非常にありがたく承つた次第でございます。御承知の通り国鉄の占めております日本経済上の地位というものは、非常に重大であります。飛行機、自動車、いろいろな問題がずいぶん盛んになつて参りましたけれども、まだまだ国鉄輸送力というものが、大きな地位を占めておることは、申すまでもないのであります。御指摘の通り、今までいろいろ大きなプランもないではなかつたのでありますが、まつたくその年々の予算というようなものに比べますと、やはり足が地についてないという感じが非常に強かつたのであります。こうした機会に運輸省御当局等の御指導も得て、はつきりした五箇年計画というようなものもつくつて、ぜひ皆さん方の御批判も仰ぎたいというふうに感じております。ただ短時間に、提示されました問題が非常に大きいのでありまして、ここでくどくどしく申し上げるのはいかがかと思いますので、ただいい機会にいい問題を御示唆くださしましたことを厚く御礼申し上げます。
  92. 關内正一

    ○關内委員長 原彪君。
  93. 原彪

    ○原彪委員(改) 大分時間がおそくなりまして、どうも答弁される当局にもお気の毒ですが、暫時御了承いただきたい。私は歴代の運輸大臣にお尋ねして参つたのでありますが、それは国鉄に対する運輸大臣の監督権の問題であります。国鉄法第五十四条に、公共の福祉のために関連のあることについては運輸大臣は命令を発することができ、また報告をさせることができるということがありますが、先般どなたかの御質問に対して大臣の御答弁は、非常に弱い御答弁のように私は拝聴したのであります。またきようの御答弁でも、国鉄に対してはあまり差出がましいことをしないので、自由に奔放にこれをやらせるというように私には受取れたのであります。お聞きしたい点は、運輸大臣が公共の福祉のために監督をする、命令を出す。常時運輸省というものはでんと腰をすえて、国鉄に対してどういう仕事をするか、どういう監督をするか、どういう報告をなさしめるかという、その範囲の問題なんですが、これが大臣によつては強い人もあり、薄い人もあり、公共企業体というものが山崎運輸大臣が言われたような、中二階的存在であるというようなことからして、大臣の命令権というものが非常にむずかしい段階にあるということは、私も了承するにやぶさかでないのですが、運輸省がある以上、国鉄をどういう程度監督するかという問題ですが、どのようにして国鉄を監督し、あるいはどの程度の報告を求め、予算作成にあたつてはどの程度の監督権をお出しになるか、大臣のお気持をひとつ、どなたかの御質問に御答弁されたようですが、私どうも満足できないものですから、はつきりお話し願いたいと思います。
  94. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 私の根本の考え方は、さつきも申しましたように、せつかく公共企業体として出発し、独立採算の線に沿うて、いろいろなことをやらせておるのですから、できるだけ国鉄が自主的にどんどんやつて行く。馬が道からそれるような場合には中に入れるが、まつすぐ走つておる分には、どんどん自由に走らせて行くという心持の監督権の程度でいいのではないかという考え方なんです。しかし、それでは何もかもやらせつぱなしで、予算、経理の問題は大蔵大臣が大きい力を入れることになつておるから、それにまかせる。そのほかの仕事は国鉄に自由にやりつぱなしにさせておいてもかまわないという問題ではないと思います。日本の大きな交通政策の面から見まして、今ちよつと川島君の話の中にも出ましたが、航空、海運、陸運、鉄道というようなものにすべて関連した交通政策を、いつも考えておかなくてはならないのが運輸省であるわけであります。その点からいたしましても、この大事な陸の上の国鉄というものをいい加減にして行くことは、もちろんいけないと思つております。私どもが今年は何を国鉄の一番大きい問題として考えておるかと申しますと、今の日本の国鉄は戦争中に破壊され、またいためつけられて回復が遅れお三ので、これを元にもどすということを一番大きな眼目として選んでおる。しかし思う存分の国費が出せないので、急を要するものから順次やつておるのですが、なるべくこれを多くするようにしておる。それから新規の問題としては、電化の問題とか、ディーゼル化の問題であるとか、これに伴う予算をできるだけ多く獲得する努力をするというよなこと、それから新しい線を引くべしということが国会の方においてきめられ、予定線ができ、これがまた審議会の方の議を経て、実行しようということになりましたならば、その面における予算の獲得に積極的に努力する。同時にそういうものがうまく行つておるかどうかということについて、ときどき話を聞いて、あるいはこれの方がいいじやないか、あるいはもう少しこの辺に力を入れたらというようなことを注意したりしておりまして、何でもただ報告を聞いて、ごもつともだという立場におるだけではなく、やつておりますが、今申しました通りに非常におおまかな線で網を張つておる。そして前へ前へと鉄道の仕事が進むようにしておる。お言葉のように非常にひよわな点も多少そういう点から見られるかもしれませんが、決してほつたらかしておるという意味ではないのであります。
  95. 原彪

    ○原彪委員(改) いろいろ押問答してもしようがないのでありますが、日ごろ抱懐するところの運輸政策を、強く公共の福祉のために推し進めていただきたい。たとえば今の国鉄の行き方ですと、鉄道会館の問題にしても、二十致億のあれだけの金を出して、あれだけのものを建て、そしてその裏面にどういういまわしい事件があるかどうか、それは次の問題としても、いまだに戦災を受けた駅が復旧していない。本建築になつていないのは、全国にたくさんあります。そういうものをほつたらかしておいて、十二階建というようなあんな大きなものを建てる必要がどこにあるかという問題であります。あるいはまた大勢の県民が要望してやまない電化の問題にしても、ただ単に財政が容易でないからできないのだというような態度をとらずに、鉄道が国民のものであるならば、大勢の県民の声を聞いて電化すべきところは、熱意をもつて取上げてやるべきだと思うのです。財政がどうだこうだというようなことは、これはもう今まで耳にたこができるほど、われわれが陳情行つたりして聞きあきておるのであります。少くとも公共の福祉ということは、民主主義が多数政治であり、多数の声を聞いて、ただそろばんのみの独立採算に走らずにひとつつていただきたい。ましてや電化とかあるいはディーゼル化とかガソリン化の問題は、採算のとれる問題ですし、一時は金がかかつても、早急にこういう方を推進していただきたいと思うのであります。そういう点についてやはり何としても運輸行政を担当される大臣が監督される立場にあつて、公共の福祉を具剣にお考えいただいて、強力に諸般の諸政策を推進せられることを熱願するものであります。そのほか国鉄運営工の問題について、先ほども御質問がありましたが、交通公社の問題にしても、あるいは鉄道弘済会の問題にして一、これはわれわれの納得のいかぬ問題がたくさんあります。これは今御質問申し上げますれば非常に時間がかかりますので、これは次の機会に譲ることにいたしまするが、この法案を中心に二点ばかり簡単にひとつ質問申し上げます。  先ほどの臼井委員質問に対して、日本国有鉄道の投資の目的及び金額、つまり国有鉄道の投資ができる規定に今度は修正されるのでありますが、その投資の面については、先ほどの御答弁ではどうも納得行かないのであります。投資をすれば投資をしただけの——これが民間であるならば、たとえば私がある会社に巨額の投資をすれば、投資した反対給付として、当然その会社の役員になるなり、あるいはその会社の事業の面のめんどうをを見るなり、何かそこに反対給付が起きて来るのであります。そこで国鉄が投資した場甘に、国鉄からはたしてその投資した書役皇どんどん出してまで、事業の面をずつと監督すべきかどうか、こういう問題も起きて参りますので、私はこの投資の目的の問題について、どうも御答弁がしつくり行かないのでありますが、もう少し掘り下げて御答弁いただきたい。
  96. 植田純一

    ○植田政府委員 投資の問題に対しまして、どういうふうな方針をもつて認可をするかということにつきまして、先ほど来いろいろ御説明申し上げておるわけでありますが、ちようど具体的は例が出て参つておりませんので、的確な御説明を申し上げられないのでありますが、たとえば現在問題になつております鉄道会館のようなもの、あれに対しまして、かりに投資をするかどうかというような問題が起きたと想定しますと、私どもの考えでは、この鉄道会館の計画全体から考えますと、鉄道旅客あるいは貨物の輸送に直接関連し、かつ業務の運営に必要な部分というものの占めている割合から見まして、投資の対象としては適当でない、われわれはこう考えているわけであります。具体的の事例としまして、かりにそういう場合どうかということになりますと、あの場合においては投資の対象として適当でないと私どもは考えております。そういうふうに、祖後関連し、かつ業務の運営に必要な部分が大きな部分を占めておつて、その部分を主としてできている事業、こういうふうに、どうしても非常に抽象的にならざるを得ないのであります。そういうように考えているわけであります。
  97. 原彪

    ○原彪委員(改) 投資というのは現物出資の場合もあるし、金を投資する場合もあり、権利を貸すというか、そういうことも投資になる場合があります。あるいは地上権を使わせることも、相手との話合いによつてはそれが株券になる場合もあります。それほどに範囲が広いのであります。どうもただいまの御答弁でも納得行かないのですが……。鉄道会館の場合は、投資の対象になるのは思わしくないというお話ですが、しかしこれだつてでつち上げれば投資の対象になりますし、どうも納得が行かないので、もう少し明確に御答弁いただきたいと思います。
  98. 植田純一

    ○植田政府委員 この「業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業」ということの解釈の問題でございますが、私ども認可するにあたりましては、この投資の対象を直接関連、あるいはまた業務の運営ということにつきまして、非常に厳格に解釈すべきである。もちろんそれにつきましては国会の御審議を受けるわけでございますが、運輸大臣が認可するにあたりましては、この点につきまして厳格に解釈する、かような意味におきましては申し上げたわけであります。
  99. 原彪

    ○原彪委員(改) 私が投資することを非常におそれている原因は、たとえば非常に危険な箇所があつて、その危険な箇所へ踏切りをつくるのに百万円かかるとする。それを金がないといつてなかなかつくらない。そういう場合がもしあつたとします。そうすると、百万円くらいの金で大事な人の命を救えるのですから、われわれとしてはぜひその踏切りをつくつてもらいたい。ところがそういう「投資」という字句があるために、一千万円でも二千万円でも、はたしてそれが公共の福祉になるかどうかわからないところに投資されることを私はおそれる。それでこの「投資」という字句のあることについて、もう少し納得の行く御答弁をいただきたいのです。どういう範囲に投資されるかという問題です。
  100. 植田純一

    ○植田政府委員 どういう範囲、に投資するかという将来の計画につきましては、国鉄当局で何かお考えがおるかと思いますが、私ども運輸大臣の認可をするという立場から申しますと、御説の通りあまり範囲を広げてやるということは、かえつていろいろな問題もあろうと思いまして、極力限定して考えるべきものである、かような立場から御説明申し上げたわけであります。これも適当な例であるかどうかわかりません、たとえば鉄道車両というようなものは、業務の運営に必要でもあり、また関連もある。しかしここにいいます「業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業」であるが、車両製造事業というものを考えますと、必ずしもそうは言えない。そこまで関連はあります。ありますが、そういう事業に投資するというようなことを認めるとなると、非常に範囲が広くなる。そういう意味におきまして、たとえば通運会社の例も先般質問が出ておりましたが、これも関連がありますが、そういうところに投資する必要があるかどうかということを考えますと、この条項に当てはまらない、投資の対象として適当ではない。もつと的確な場合はどうかということになりますと、具体的の問題がないのでわかりませんが、そういう通運会社だとか、あるいは車両会社だとかいうものは、関連はありますが、ここに言つております投資の対象とはならぬ、適当でない、そういうふうに厳格に考えているわけであります。
  101. 原彪

    ○原彪委員(改) 私のお聞きしているのは、投資する範疇というか、範囲というか、それに対する当局の考え方です。どうもしつくりしないのです。それならば、もし投資した場合、その投資したことに対する反対給付というか、投資した権利として、その会社なら会社に国鉄は重役が出せますか。また出しますか。
  102. 植田純一

    ○植田政府委員 国鉄の現職の職員は、重役に入ることはできません。
  103. 正木清

    ○正木委員 ちよつと関連して……。私は監督局長に今の問題でお伺いしたいのですが、この第三条第三項「その業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」できるというこの投資の性格です。その裏づけは、この第三条の一から五、さらに二項の「その業務の円滑な遂行に妨げのない限り、一般の委託により、」云々、これが裏づけになると思うのです。あなたの答弁を聞いていると、もう答弁技術としても私は体裁を整えておらないという感じを受けるわけです。そこで私は重ねてあなたにお聞きしたいのですが、この第三条の一の「鉄道事業及びその附帯事業の経営、」これは納得できます。二の「鉄道事業に関連する連絡船事業及びその附帯事業の経営、」これも納得できます。ということは、一も二も現にやつている事業であるからであります。従つて第三においても、この点が納得できます。第四においても現にやつていることであるから納得ができるわけです。最後に私がお聞きしたいことは、現在これをやつているかどうかということなんです。「一般の委託により、陸運に関する機械、器具その他の物品の製造、修繕もしくは調達、工事の施行、業務の管理又は技術上の試験研究を行うことができる。」これを現実に一体今の国鉄は、運輸大臣許可を受けてやつておるのか、やつていないのかやつておるとすればどのようなことを現実にやつておるのであるか、この点を詳細かつ明確にしていただくことによつて、私としてはこの三項の投資という性格が明瞭になつて来るのではないか、こういうようにも考えられるわけであります。この点明確に御答弁を願います。
  104. 植田純一

    ○植田政府委員 この第二項の関係でございますが、この運輸大臣の認可は、必ずしもその点につきましては必要でないわけでありまして、国鉄の業務の中に、自分のところの業務のほかにたまたまそういう設備がある、そういう施設があるということで、民間の、たとえば車の修繕だとか、そういうようなことをやつておる。具体的の事例につきましては、必要なれば国鉄から御説明があるのじやないかと思いますが、そういうようなことであります。そういう、自分の仕事だけしかやれないということが第一項でありまして、第二項は自分のところの特別な設備がある。それによつて民間のそういうものも必要があれば行うことも、必ずしも日本国有鉄道の業務の範囲を逸脱するものでない、こういう意味の言葉であります。実際の事例はございまするが、具体的には、必要なれば国鉄から御説明つてよろしゆうございます。
  105. 正木清

    ○正木委員 そういたしますと、この二項と三項とは、関連性がないように聞きとれるのですが、さようでございましようか。だとするならば、私は重ねて三項についてお伺いしたいのですが、必要な事業に投資することができるのですから、必要な事業とは、しからば具体的にどういう事業を現にあなた方は考えておられるのか。考えなくしてこの法律を特につけ加える必要がないのですから、現に考えておられなければならない。従つて少くとも国有鉄道としては、すでにこのことについて事業計画ができておらなければならぬ。ないものを偶然に改正案の中に出して来るはずはないのですから、あなたの答弁と関連して、国鉄の副総裁からも御答弁を願いたい。
  106. 植田純一

    ○植田政府委員 その第三条は、国鉄の業務を書いておるわけでありますが、御承知の通り、現に国鉄東京の地下鉄に投資いたしております。これは別の法律がございまして、その根拠によつて投資しておるわけであります。ところが国有鉄道の業務ということを書きましたこの点の第三条に、投資のことができるかできぬかということが従来はつきりしておりません。地下鉄に現に投資しておりますいわゆる国鉄の投資というものは、国鉄の業務であるということを少くともはつきりする点の一つの効果はあるわけでございます。将来の問題としましては、ただいま具体的な事例の問題に当面いたしておりませんが、少くとも国鉄が現にその業務として投資している事例があるわけでありまして、それはほかに法律の根拠があるとしましても、国鉄の業務として一つの投資ということができるかできぬかということだけは、少くともはつきりしておく必要があると、こういう点が現状から申しまして、投資の必要な条項を入れるということを考えた点でございます。今後の投資につきましては、先ほども申上げますように、現実には当面しておる問題にぶつかつておりません。
  107. 天坊裕彦

    天坊説明員 具体的な投資の例として、何を考えておるかという問題であ題として羅がまだいろいろございますので、たとえばということでお聞きを願いたいのでありますが、志免鉱業所というものを国有鉄道でやつております。ああいうものを国有鉄道のままでやることがいいかどうか、場合によれば石炭も、ほかの事業と同じようなかつこうではつきり独立して、しかも出資したかつこうでやつたらどうかというようなことも考えられないことはないのであります。さらにまた、先ほど監督局長のお話の、投資の問題はすべて政府の御許可がいるわけでありますから、その点で御方針がはつきりしてから、いろいろ問題になるわけでありますが、しかしたとえば鉄道会館というような場合には、私は投資ができるというかつこうにしていただければ、もつとわかりやすいかつこうでできたのじやないかというふうに考えます。そうして将来そういう問題も私は考慮に入れていただきたい。ああいう停車場の改築とか、ことに貨物の倉庫というような問題は、ほんとうはもつと大きくりつぱに整備して行かなければ荷役力が上らない。それを運送店なら運送店に貸してやりたいというような考えだけで、こつちも手がまわらぬというような姿のままではよくないのではないか、むしろ一緒になつて、こちらの土地を地上権として評価して、出資するなら出資して、一緒に全体の能率が上る方向へ持つて行きたいというふうに考えるわけであります。ぜひこれはひとつお賛成願いたいと思います。
  108. 正木清

    ○正木委員 重ねてお伺いいたしますが、監督局長にお伺いいたします。私は天坊総裁答弁と監督局長の答弁と、こう二つ合せて見ますと、この参考資料は非常に大きな含みを持つたものだというようなものが、だんそれ明瞭になつて参りました。たとえば一これも私はたとえばと申しましよう。たとえば現在の国有鉄道の財産の一部を民間会社に払下げをする。その場合は、この項が完全に適用されることになる、こういうように私は想像いたしますが、これに対する局長の答弁を願います。
  109. 植田純一

    ○植田政府委員 このいわゆる重要なる財産の処分はかつてにできないことは、これはもう法規の明記するところでございます。従いましてその点はできないと思います。ただそうでない面の出資ということは、現実的には1現実的と申しますか、法律的にはできると思いますが、それは要するにこの出資が適当であるかどうかを、さつき申しましたような観点から、十分慎重に検討する必要があろう、かように考えておるわけであります。
  110. 正木清

    ○正木委員 重要な財産が、あなたはできないとおつしやるが、たとえば——これもどこまでもたとえばですが、たとえば現に国有鉄道がやつておりまする自動車事業の一部を、私の会社に払下げをやる。それから鉄道の一部を私の会社に払下げをやるという別個の法律が出て来たときに、それが議会の承認を受けたときに、この国有鉄道のこの法律から見た場合には、この三項が完全に当てはまつて来るのではないか、すなわち投資という形に肩がわりをして来るのではないか、こういうように考えられるが、この点の解釈を御答弁願います。
  111. 植田純一

    ○植田政府委員 法律によりまして、鉄道の線はもちろんのことでありまして、自動車線におきましても払下げが定められました場合には、もちろんこの法律によりますところの制限の解除になります。この場合には投資ということよりも、むしろ一段飛躍的に払い下げるということになつてしまうと思います。法律によつて財産の処分というものがきまりました場合には、払下げがきまりましたならば、国鉄の財産でなくなつてしまうわけでありまして、投資とは関連がないわけでございます。
  112. 正木清

    ○正木委員 その場合、たとえばこの二項によつて、その払下げ金額を全額出資するということもやり得るのではないかと考えられるし、あるいは一部を投資するという形で、この項が生きるようにも考えられるが、その点を明確にしておいてもらいたい。
  113. 植田純一

    ○植田政府委員 この国鉄法の精神と申しますか、法律一をもつてしなければ、こういう重要財産の処分はできないというこの精神から行きまして、これを処分ではなくして、そういう重要財産を投資するというような場合におきましては、当然これは法の精神から見まして認可することはできない、かように考えます。
  114. 正木清

    ○正木委員 重ねてお尋ねするのですが、そうすると、この必要な事業という必要な事業とは、しからば具体的にはどうか。あなたは地下鉄の例を引用されたが、これは私も納得できないわけではありませんが、地下鉄の例を持つて来てこの必要な事業に投資云々とは、さらに掘り下げて、何か具体的に必要なことが起きて、この項が入つて来た、こういうように考えられますが、その点いかがでしようか。
  115. 植田純一

    ○植田政府委員 この必要な事業というのは、たとえば今かりにデパートであるとか映画館であるとかいうようなものは、鉄道の業務運営に必要な事業とはとうてい考えられないのではないか、かように思います。
  116. 正木清

    ○正木委員 あなたの御答弁のように、映画館やデパートがこの法律の三項の必要な投資だとは、常識上どなたも考えられないではありませんか。そうではなくして、この必要な投資の裏づけは、少くともこの三条の一から五までに掲げられているこのわくの範囲の中に、私は当然該当するのではないかと思う。だとするならば、旧法でたくさんではなしか。何を苦しんでこの改正案の中に三項を加えたのか。加える限りにおいては、すでに国鉄なり監督官庁の立場にある運輸省のあなた方に事業計画というものがあつて、この一項を加えなければ、あなた方が計画されておることに投資ができないのだこいう前提に立つて、事務当局はこの一項を入れたものと私は考える。あなた方は何もそうした抽象論をこの委員会で振りまわすことなく、率直大胆にあなた方の意図しておる事業計画を明瞭に——こういう事業を計画して、こり事業に投資することが、国鉄の本来の使命の上にとつて絶対必要であるかりして承認をしてもらいたい、こう明脈におつしやつてはいかがです。もしあなたの答弁のように、必要な事業に投資することができるというこの項に対して、映画館であるとかデパートであるとかいうことで、抽象論を繰返す限りにおいては、われわれこの項に対しては相当真剣に考えなければならなのですが、重ねて答弁を願います。
  117. 植田純一

    ○植田政府委員 根本の趣旨は、この全体の趣旨でございますが、国鉄がきるだけ自主性を持つて能率的な運をやるという趣旨から見まして、この投資の選を扉いたというのが私とものほんとう考えであります。現実に法案が通りました場合に、ただちにこの事業を投資の対象とする、あるいは国鉄にはお考えがあるかも存じませんが、私どものところはまだその問題に当面いたしておりません。ただ非常に限られた範囲におきまして投資の道を開くということが、国鉄の能率的な運営十七当である、かように考えておるわけであります。
  118. 正木清

    ○正木委員 私は今の局長の答弁を承つて、大臣に当然質問しなければならぬのですが、局長は大臣を補佐する役でございますから、私はそういう御答弁はお慎みなさつたらよかろうと思う。少くともこうした重要な法律案を出して来る場合に、将来起るであろうということの予想の上に立つて法律案を出して来る。しかもあなたのような将来起るであろうということを前提にしてこの項を挿入した、あるいは国鉄ではお考えになつておるかもしれぬという答弁では、私どもは納得できない。  そこで私は重ねて天坊総裁にお尋ねをするのですが、この改正案を監督官庁である運輸省とおそらく協議をされたに相違ない、されないはずはない。従つて国鉄当局としてあなたの方では、この必要な事業に投資することができるというこのことについて、具体的に何か事業計画をお立てになつておると思う。私はいずれ鉄道会館のことについては小委員会が設けられてあるから、ここではこのことについては私は発言をいたしませんけれども、少くともなければならない。ないというのであるならば、私の方から逆に言います。御答弁を願います。
  119. 天坊裕彦

    天坊説明員 私どもももちろんこの法案について、こういうふうに御提出願いたいという意見を十分申し上げましたし、また投資の項目につきましは、主として私どもの方がむしろお願いをしておつた次第でありまして、具体的の問題につきましてはいろいろ議論がございまして、結局先ほども私と担当局長の御意見とは、免許の方針の幅において若干食い違いが出ておると思うのであります。私どもとしては先ほど事例をあげましたように、地方の相当大きな町の停車場の復興というような問題もございます。そういうようなところででも、現在やはり地方から寄附をしていたたくということをやつておるのですが、結局あの町としては表の玄関だから、大きなものにしたいという要望は相当あるのです。先ほど申しましたように、私どもとしても停車場ばかりをこしらえるということは、これは避けなければならぬということを考えておりますが、地方としては都市計画は全部できたのに、駅だけはできない、こういう御要望もある。市から寄付していただいたかつこうは非常にすなおなようですけれども、やはり寄付された町の方の中でいろいろやられる事業がいろいろな姿で——必ずしもこちらの思つた通りの姿で続いておるということではなくて、中身がかわつておるのであります。そういうこともありまして、駅舎の整備促進されるということにも使いたい、あるいは先ほど申し上げましたように、貨物駅の整備です。これは倉庫に利用するというようなことも考えられるでありましよう。これはこの法案をお通しいただきましたら、すぐ追いかけて次の予算の機会に、皆さんの御審議を願いたいと思います。
  120. 臼井莊一

    ○臼井委員 かりに投資することが適当だとして、今お話を伺いますと、代表者も送れない。これは公務員として当然でしようが、そうするとその会社へ出資して、単なる一株主としての権利だけしか持たぬことになると思うのです。それに対する監督なり支配権というものは、もう他人まかせとなると思うのです。それから帝都高速度の方へ出してある株の出資の割合と、それからやはり同じように、何か監督のようなものを国鉄の方で出してあるのかどうか。その点をちよつとお伺いしたい、
  121. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま私どもの方では契約関係だけで、いろいろな場所を提供したり何かしておりますが、実は契約だけでは非常に弱いのであります。これは先ほどからおしかりを受けております地代が安いというようなことは、統制のままの惰性でだらだら来ている点で、時代離れがしているようなかつこうで非常に申訳ないのでありますが、できてしまいますとなかなか強いものでありまして、あとではなかなかむずかしいのです。出資の問題も加われば、内部的に方法があるのではないかと考えるのですが、ただお話の通り、現職の者をそのままやることがいいかどうかは非常に問題があります。休職とかなんとかいうことにしてやる方法はないか、これはひとつ考えてみたいと思つております。そういう息が一つ問題であります。絶対に不可能ではないのじやないか、よそへ人間を貸すということも、戦時中にもやつた例がございますので、そういう方法もあるのじやないかというふうに考えます。それから現在地下鉄に出資いたしておりますのは四対一、国鉄が地下鉄の株の五分の四を持つております。
  122. 臼井莊一

    ○臼井委員 そうなりますと、大体過半数以上を出資しようというふうに考えられるのですか。
  123. 天坊裕彦

    天坊説明員 地下鉄の場合は五分の四というかつこうにございますが、すべての態様で、全部過半数を持たなければならぬというふうには考えておりません。所によつては、地上権をただ安い地代で貸しておくよりも有利だというかつこうになればいいという所もありますから、結局その場合々々によつて、幾らでなければならぬということは、深く考えなくともいいと考えます。
  124. 臼井莊一

    ○臼井委員 過半数以上出せば、ある程度支配権が握れる。それにしても退職の職員がその会社の重役あるいは社長等に入る。それによつて間接的にある程度国鉄の意向を反映して支配して行こうということも、不可能ではないというふうにお考えのようですが、しかし一度会社へ重役として入れば、やはりその会社のために働かなければならぬということになると思う。鉄道を退職されている以上は、その会社のために忠実にやらなければならぬということは、商法上明らかです。そうすると、むしろ逆に、旧来職員であつたという地位をうまく利用して、その会社のために有利に働くという、逆の結果も考えられるわけです。もちろんその人の人柄にもよることでございますから、一概には言えぬと思いますが、そういう点もあるように思うのです。
  125. 天坊裕彦

    天坊説明員 もちろんこういつた投資ができるということにつきましては、いろいろ弊害もついて来ることを考えなければなりませんので、その点は充分考えなければならぬと思います。それともう一つは、その仕事が利害相反するようなかつこうの仕事であつたら、もちろん問題はむずかしいと思います。
  126. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 先ほどお答えを何しなかつたのですが、かりに関係産業に投資することによりまして、今臼井委員が言つたように、持株の保管、市況の変動に応ずる操作、経営主体の移動、投資関係の盛衰、投資関係の会計監査、これをどういうふうにするつもりですか。実際投資を受けた産業の利益の分配など、いろいろな事態が起つて、しまいにはとめどもなくなつて、まつたく混乱状態に陥つてしまう。今の天坊さんのおつしやり方は、非常に政治的なお言葉で、地方では非常に駅などを要望しておる所がある。そういう所にも投資したい。これは一応ごもつともですが、しかし国鉄の土地を資本にして、これを投資しただけでもずいぶんたくさんじやないか。こういう土地は東鉄管内でもまだまだたいへんですよ。十万坪というような土地が国鉄にある。一々みんなそういうふうなものを研究しておる。そういうふうなものをただみたいに貸した。八重洲口のところは一坪百万円にも今評価されておる。これはうわさですよ。今にいろいろなものが出て来ますが、そういうときに、今臼井さんの言つた通り、投資をしても、これはどういうふうにやるのですか。これは今申し上げた通り、持株の保管とか、市況の変動に応ずる操作、経営主体の移動、投資関係の盛衰、投資関係の会計監査、こういう点に対して明確にお答え願いたいと思います。
  127. 天坊裕彦

    天坊説明員 投資の仕方等につきましては、先ほど申し上げましたように、別に株をどれだけ持たなければならぬというふうには考えておりません。その場合多でいろいろ考えられると思うのであります。それと同時に投資と申しましても、どこもここもこういうかつこうでいいということはもちろん考えられません。鉄道が地代だけて収入をあけておるそよりも有利にまわるという場合もあり得るわけであります。そういう場合にそれを考えたいというのであります。
  128. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 そこで第三項の投資をするという問題ですが、これは先ほども絶対的な反対を表明していたのだが、大体運輸大臣に監督の権限が欠けておるようなものは、鉄道会館のようなものに多い。運輸大臣が監督ができない。駅やなんかにはつきりこれがあるでしよう。これは道楽息子におやじが監督なしに金を預けておくようなもので、どこに抜けてしまうかわからない。こういうようなことはなかなか問題があつて、うわさに聞いておる。この次にもいろいろな法案が出るそうだが、もうすでにこういうふうな項目を入れなければならないようなおぜん立てがあるのだと、うわさですが、世間ではいつておる。うわさというものは早いものです。そこで私はこれに対して同僚委員と同じように反対を表明しておるのだが、今のところ金もなくて駅もできない。ことに国鉄本来の目的である輸送力の拡充ということは、てんで問題になつておらない。ドイツの三分の一しか輸送力はないのだ。日本の汽車に乗ると日本の国民は国鉄のためにリューマチになつたり、神経系統の病気になつたり、脚気になつたり、三十七時間もぶつ通しで立つて行かなければならぬので、国鉄のために健康がだんだん低下して来る。頭も悪くなる。これはほんとうですよ。一例だけれども、群馬県のごとき、十五万人を収容したあの中島飛行機だつてほんとうの機能を発揮できなかつたのは、やはり輸送のためですよ。食うものがない。運ふ何ものもない。買出しに行くのにも、輸送の問題でけつまずいてしまう。能率はだんだんと低下する。戦争中の状態考えごらんなさい。いばりくさつて、あのような状態ほんとう国鉄の姿なんです。本来の目的を逸脱しておる。駅をこしらえるのに、金がないから、金がないからといつて民間の資金を導入して、ないないといつて体裁ばかりつくつておるけれども、そうじやない。自分の機械を貸したり、人間を貸したり、用地はただで貸したりして、生むべき金を生ませないで、かつてに私腹を肥している。それを今度投資するのだということはとんでもない。運輸大臣は今の状態ではそれだけの監督権がない。かりに国鉄が何かに金を使つても、監督することができない。とんでもない話だ。親が黙つてむすこに幾らでも金を使わせるような形だから、私は皆さんと同じように、今のところは金がなくて駅もできないのだから、よその事業に投資するなんというなまいきなことをおつしやらないで、ないけれども、ないさいふをたたいても、りつぱにすわらせて輸送のできるような列車を走らせるということを、皆さん方は知能をしぼつてそれに専念すべきであると思う。皆さんがこれに反対しているのだから私も反対します。
  129. 原彪

    ○原彪委員(改) それでは次に第四十四条の二項ですが、「前項後段の規定は、能率の向上により、収入が予定より増加し、又は経費予定より節減したときは、その収入の増加額又は経費の節減額の一部に相当する金額を、予算の定めるところにより、運輸大臣の認可を受けて、特別の給与として支給するときは、適用しない、」とありますが、つまりもうかつたときは特別の給与で出せるという規定ですか。国鉄がもうかつた場合には、国鉄従業員諸君にボーナスを出すことはちつともやぶさかではないのですが、どうも条文がぎごちないのです。経費の節減額の一部に相当する金額とはどういう意味ですか。
  130. 植田純一

    ○植田政府委員 「増加額又は経費の節減額の一部」と申しますのは、もちろん増加額、節減額というものは、原則的には公共企業体の性質上、公共の福祉に直接還元さるべきものであろうと私は思つております。ただ職員の能率向上によりまして、こういうものを生み出した場合には、その文字通り一部でございますが、その一部をいわゆる特別の給与として支給することができるということによりまして、能率の同上をさらにはかる、こういうような趣旨でございます。
  131. 原彪

    ○原彪委員(改) 収入の増加額と経費の節減額というのは、意味は一緒なんですが、経費の節減額があつてこそ収入の増加があるのでありまして、この条文だと収入の増加額から、また経費の節減額からの、両方からのようにとられる誤解を招く条文のように聞えるのですが、そうお思いになりませんか。
  132. 植田純一

    ○植田政府委員 確かにお説の通りでございますが、とにかく能率の向上によつて予定よりも収入を増した、あるいはまた経費を減らしたということを現わしたわけであります。ただいまおつしやるような点から、ぎごちない点もあるかと思いますが、その趣旨であります。
  133. 原彪

    ○原彪委員(改) それでは当局のお気持は、この条文は修正なさるおつもりですね。経費予定より節減したとき、つまり経費予定より節減するということは、もちろんこれは全体の収入の増加額の中に入るべきものです。収入の増加額または経費の節減額といいますと、ちよつと矛盾しておるように思うのですが、整理してもらいたい。
  134. 植田純一

    ○植田政府委員 多少おわかりにくいかと思いますが、要するに能率の向上によつて収入が予定より増加した、あるいはまた能率の向上によつて経費予定より節減した、こういう意味でございまして、多少そういう御意見があるかと思いますが、収入と経費と別個に考えられるわけであります。収入の増加あるいは経費の節減ということを、それぞれ能率の向上によつて生み出した場合であります。従いまして両方の伴う場合、あるいは個々の場合が起きる、かような気持であります。
  135. 原彪

    ○原彪委員(改) それでは条文の整理は理事会で御相談することにいたしまして、そうすると特別の給与というのは、どういう意味なんですか。年末賞与の問題ですか。また従業員の熱意によつて上つた利益の全部ではなくて、一部をベース・アップに使わないで、ただ年末賞与には使う、そういう意味ですね。
  136. 植田純一

    ○植田政府委員 法令的にきまつております期末手当というような手当ではなくして、一時限りの給与——どういう名前になりますか、とにかく法令的にきまつておる給与ではなく、それ以外の給与であるという意味でございます。
  137. 原彪

    ○原彪委員(改) 私の質問はこれで終ります。
  138. 關内正一

    ○關内委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  暫時休憩いたします。     午後二時十九分休憩      —————・—————     午後三時八分開議
  139. 關内正一

    ○關内委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対し改進党、社会党両派、自由党、小会派を代表し、原君より修正案が提出されておりますので、その趣旨説明を求めます。原彪君。     —————————————
  140. 原彪

    ○原彪委員(改) 私は、ただいま上程に相なりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対して、五派共同の修正の動議をここに提出いたします。  ただいまお手元に修正案はお配りいたしましたが、そのおもなる点は、第三条の三項の、日本国有鉄道が必要のある場合に投資することができるという条文を削つたことであります。もう一つの重要な点は、第三十九条の国鉄予算を調整する場合に、大蔵大臣が運輸大臣に諮つてこれをなす規定を、逆に運輸大臣が主体となつて大蔵大臣にこれを諮り、協議し、調整を行うというふうに改めたのが主眼点でございます。その他付随の修正は、ただいま申し上げました二項目に付随するこまかな修正点でございまするので、お手元に配りました修正案によつて御了承いただきたいと思います。  以上をもちまして動議にかえる次第でございます。
  141. 關内正一

    ○關内委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。討論の通告がありませんので、これを省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 關内正一

    ○關内委員長 御異議なければさよう決します。  これより採決いたします。原君の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  143. 關内正一

    ○關内委員長 起立総員。よつて修正案は可決いたしました。次に、修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  144. 關内正一

    ○關内委員長 起立総員。よつて修正部分を除く原案は可決いたしました。従つて本案は修正議決すべきものと決しました。  なお本案に対する委員会報告書及び条文の整理については、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 關内正一

    ○關内委員長 御異議なしと認めます。さよう決します。では暫時休憩いたします。     午後三時十四分休憩      —————・—————     午後三時五十六分開議
  146. 關内正一

    ○關内委員長 休憩前に引続き会議を開きます。外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案を議題といたします。有田喜一君。     —————————————
  147. 有田喜一

    有田(喜)委員 私は自由党両派及び改進党の三党を代表して外航船舶建造融資利子補給に一部を改正する本法律案に対する三党共同の修正動議を提出いたすものであります その修正案は、ただいま御手元に配付いたしておりますので、それをごらん願いたいと存じます。以下本修正案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  外航船舶の建造を促進するとともに、日本海運の健全な振興をはかることは、わが国の自立経済達成のため喫緊の要務でありまして、このことは政府の本法改正案の提案理由説明にもある通りであります。しかしこのためには、一方業者みずからの企業努力にまつとともに、他方強力な国家的施策を必要とするのでありまして、昨今の海運界の状況を見ますると、現在の利子補給制度並びに今回政府提案になる損失補償制度の実施のみでは、とうていその目的を達成し得ないと考えられますので、さらに外航船舶に対する建造資金の金利を大幅に低減して、国際水準並の金利に近づけることによつて、わが国海運の国際競争力を付与する措置をあわせ講ずることが必要であると存ずるのであります。そのための具体的方法といたしまして、二十八年度予算に関連し、今回自由党両派及び改進党の三党間において左の事項を協議、決定いたしたのであります。  すなわち海運の金利負担軽減方策としまして、まず第一に、新造船中、金利負担の重い第六次貨物船(昭和二十五年度着工船)以後の建造貨物船及び第七次後期油槽船(昭和二十六年度後期着工船)の建造油槽船の金利を低減するため、一、日本開発銀行の金利は二分五厘となるごとく、日本開発銀行においてその金利を五分まで引下げるとともに、さらに政府は、開発銀行に対し一分五厘の利子補給を行うこととし、二、また市中融資は五分となるごとく、一般融資利率と五分との差額を政府で利子補給をする。但し、この場合における利子補給の対象とすべき融資残高は、実際上の融資残高または十年間、半年賦均等償還の計算上の残高のうち、いずれか低い方によることとするのであります。   第二に、右の船舶以外のもののうち、金利負担の軽減をはかるため、一、日銀別品外貨貸により融資を受けているものについては、現行金利五分を二分五厘とすることとし、二、また日本開発銀行よりの貸付を受けているものについては、現行金利七分五厘を五分とすることにいたしたのであります。  なおこれと関連いたしまして、造船船価高を是正し、わが国海運の対外競争力を強化し、あわせて船舶輸出の振興をはかるため、造船用鋼材価格はトン当り約一万円の引下げを実現することが必要でありますので、製鉄業者に対する日本開発銀行よりの融資の金利は、現行一割を七分五厘とし、並びに日銀別口外貨貸に依る融資額の金利は現行五分を二分五厘とし、造船用鋼材価格にリンクし、その引下げを行わしめることを協議決定いたしているのであります。  右の三党間の協議決定事項には、行政措置でまかない得るものもありますが、法律を要する利子補給強化に関連するものを付しまして、政府提出案に対し修正をいたさんとするものであります。  すなわち本修正案は、船舶建造に対する市中金利は、現行七分五厘より五分とするごとくし、開発銀行の船舶建造融資に対する金利を三分五厘になるごとく、開銀の利子補給契約にかかる融資の金利と三分五厘の差を、政府が補給することを修正の主要点とするものであります しこうして将来海運界が相当の利益を上げ、一定の利益率を越ゆる場合には、その利益率に応じ利子補給金を停止し、あるいはさらにすでに受けた利子補給金を国庫に返還すべきものといたしております。  最後に、本修正案におきましては、政府提出の改正案第十三条に規定する損失補償の場合の補償料納付の規定を削除しております。すなわち政府改正案の第十三条は、損失補償契約にかかる海運会社が一定の限度以上の利益配当をした場合に、一定の金額を国庫に納付すべきことを規定していますが、本修正案において、さきに申し上げたことく、利益が一定の利益率を越ゆる場合は、すでに受けた補給金を返還すべき旨を規定いたしておりますので、政府改正案第十三条を削除した次第であります。  以上が本修正動議提出の理由及び修正案の内容の概略であります。何とぞ慎重審議の上、御可決あらんことを望みます。
  148. 關内正一

    ○關内委員長 本案に対する質疑は次会に譲ることにいたします。     —————————————
  149. 關内正一

    ○關内委員長 次に港湾整備促進法案を議題とし、これより質疑に入ります。關谷勝利君。
  150. 關谷勝利

    ○關谷委員 この法案は、港湾におきますところの公共施設は補助の対象となり、これを拡充強化せられておるのでありますが、その他のいわゆる上屋、倉庫あるいは起重機のような、特定港湾施設におきましては、これが補助の対象ともなるておりませんし、さらに融資の道も構ぜられておりませんたみに、港湾の利用度が非常に制約されておりますので、この際この法律によりまして、特定港湾施設の整備事業に対しまする金融を円滑にいたしまして、資金の調進をいたし、港湾整備促進をいたしまして、その利用度を高めよう、こういうふうな案であります。きわめて簡単な法案でありますので、質疑、討論を省略して、採決をせられんことを望みます。動議を提出いたします。
  151. 關内正一

    ○關内委員長 關谷君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 關内正一

    ○關内委員長 なければさよう決します。  これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員、起立
  153. 關内正一

    ○關内委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお本案に対する委員、会報告誰については、委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 關内正一

    ○關内委員長 なければさよう決します。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時八分散会