○石井国務
大臣 国際線と
国内幹線とを一本にしたのが、今度の
日本航空会社法案であります。
国内の
幹線は一本か複数かという問題は、
航空審議会においてもいろいろと論議されたのでありましたが、その問題に対しては、
国内の
ローカル線に二
会社以上を許してはおもしろくないであろうという答申でありましたが、
国内幹線に対しては非常にそこがぼやけておりまして、一本でなくちやならぬ、複数でなくちやならぬという答申にな
つていないのであります。これは非常にデリケートな点であつたから、そういう結論が出て私
どもに答申されたのだと思うのでありますが、この
会社をこしらえて、
国際線、
国内幹線とを合せて一本の
会社にするということをきめました私の
考えは、
日本の、
国際線はもちろんでございますが、
国内幹線におきましても、まだまだスタートを切つたばかりの状態でありまして、占領治下において約一年間、昨年の秋から初めて自主的な
会社に
なつたのが現在の
日本航空であります。それに対しては、サービスの点その他いろいろの点において非難の声を聞くのでありますが、ものは始ま
つて二、三年というものは、わかり切つたほどりつぱな品物であるはずのものが、使
つてみるとうまくいかぬという場合がいろいろございまして、二、三年見なければほんとうの批判はできないと思
つておるのであります。これに対しましては、もう一本
国内の
幹線を許したらどうだという説もある。というのは、独占にしておるからうまくいかないのであ
つて、複数にしておいたならば、必ず
日本の
航空輸送はよくなるであろうという見方であります。これも議論としてはその
通りであると思
つております。ところが、それでは
日本の
国内に
幹線二本を許すだけの、ほんとうにそれをこなし切れるだけの力があるかどうかという問題であります。さつき話に出ました
飛行機を外国から買
つて日本で運営して行く、やがては外国人の操縦士が
日本人にかわるという便宜はありますが、原価が相当高くつくわけであります。同じような状態においてもう
一つの
会社が出て来れば、あとから出て来るものがなかなか困難であ
つて、二つが競争すれば共倒れになるくらいの今の輸送状態だと私は思
つております。ようやく本年の四月に入
つて黒字を出しましたが、これはおそらく選挙の
関係だつたろうと私は思うのであります。五月も大体同じような
状況であります。だんだん回数がふえましたために——御
承知のように
交通は頻度数が増せばお客もふえるということは一方にあるのでありまして、大井行きか一回線たつたのが二回線になり、北海道行きが一回線が二回線にな
つており、大阪線が四回線にな
つておるということで、使いやすく
なつたということが、また一方大きくあると思います。今の状態でありますと、
日本航空は
国際線をやらずに
国内線だけやれば、だんだん黒字にな
つて行く状態だと見ております。それではこれにもう
一つ許したらどうかといいますと、これは
一つの出願が現実にあつたのをそのまま持
つておるのであります。その
一つの出願はやはり
国内の
幹線を、
ちようど今の
日本航空がやるようなふうにやりたいのでありますが、これは外国からあるいは償却が大分済んだような、割合に
飛行機の使
つて安くな
つておるものを、安い料金で借りて行こうというのであります。そういたしますとおそらく原価は安くつくのでありましようから、今の
日本航空のより二割引とか三割引とか安くできるかもしれません。そうすれば
日本航空はおそらくつぶれるでありましよう。そうしたらその次にそれだけが残る。外国の
航空会社がそうい う
飛行機等も貸しておるのでありますから、これが数において延びますと、
アメリカヘの一環のラインとして切符を売ることになりましようし、その
国際路線を持
つておるものは、非常に有利な
状況に
日本の
国際路線を確保する、同時に
国内路線を確保するということになるおそれがあるのでありますから、この際は私はそういうのを押えて、まず公認
会社をこしらえて、
国内幹線は一本にしたものにして、これがしつかり経営ができるようなものに持
つて行きたい。お客に非常な下自由を及ほすようなことのないように、たとえば昨年からやりました大阪までの二割引等によ
つて逆にお客をふやしたこと等は、こういうことが経営の行き方であるべきだ、サービスをよくしてお客を多くするという線にすベきである、独占なるがために高いままにほつたらかしておくというようなことをしないように、今の
航空会社に絶えず注意をしており、またその線で動いておるようでありますから、今しぼらくのところ
国内は一本でや
つて行きたいと思います。