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1953-06-27 第16回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十七日(土曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 原   彪君    理事 楯 兼次郎君 理事 鈴木 仙八君       大久保武雄君    岡本 忠雄君       木村 俊夫君    徳安 實藏君       南條 徳男君    山崎 岩男君       臼井 莊一君    岡部 得三君       松原喜之次君    竹谷源太郎君       館  俊三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豐君         運輸事務官         (航空局監理部         長)      粟澤 一男君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  高井 軍一君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  津田 弘孝君         日本国有鉄道理         事         (施設局長)  江藤  智君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 六月二十六日  地方鉄道軌道整備法案關谷勝利君外三十九名  提出衆法第九号)  米坂線デイゼルカー運転の請願(牧野寛索君  紹介)(第一七七四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  水先法の一部を改正する法律案内閣提出第七  五号)  臨時船質等改善助成利子補給法案内閣提出第  一〇一号)  地方鉄道軌道整備法案關谷勝利君外三十九名  提出衆法第九号)  運輸行政に関する件  運輸関係機関に対する税制に関する件     —————————————
  2. 關内正一

    關内委員長 これより会議を開きます。  水先法の一部を改正する法律案及び臨時船質等改善助成利子補給法案議題とし、まず政府より提案理由説明を求めます。石井運輸大臣
  3. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいま提案されました水先法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  この法律案によつて改正しようとする要点は、次の二つの点であります。一、水先強制される船舶範囲を改めること。二、一部の水先区について、その区域を改めること。右の改正について以下順を追つて申し上げます。  第一は、水先強制される船舶範囲に関する改正であります。強制水先制度昭和二十五年三月一日以降、横浜、神戸、関門、横須賀及び佐世保の五港において実施されておりますが、現在外国船舶についてはすべてが、日本船舶については外航船舶はすべて、内航船舶総トン数五百トン以上のものが強制水先対象とされているのであります。しかしこれらの船舶のうちには、強制水先制度実施後の実情にかんがみ、必ずしも水先強制する必要がないと認められる比較的小型船舶も含まれており、また水先業務に使用する水先艇その他の施設も、現在の業務量に比べいまだ十分とは申されない状況にありますので、実情に即するように水先強制される船舶範囲を改めることにより、船舶運航能率の増進と水先業務の円滑な遂行をはかる必要が認められるのであります。  すなわち右のような現状に即応する措置といたしましては、外国船舶については、実際上水先を必要としないと認められる総トン数三百トン未満のものを、日本船舶については、外航船舶外国船舶同様総トン数三百トン未満のものを、その他の船舶は常時国内航海に従事している改E型船舶等を除くこととして総トン数トン未満のものを、それぞれ強制水先対象としないことといたしました。なお日本船舶について水先強制免除の資格を有する船長が運航することにより強制を免除される場合は、現在内航船舶のみに限られているのでありますが、これを外航船舶にも及ぼすことといたしたのであります。  第二は、一部の水先区の区域について、実情に沿わない点があるのを是正しようとするものであります。すなわち留萌及び新潟水先区についての改正は、港域の変更に伴い、水先区の区域港域のそれと一致させるためのものであり、佐世保水先区については、水先人の乗下船が現在の水先区の区域外で行われている事実にかんがみまして、水先区の区域を拡大しようといたすものであります。  以上簡単でありますが、この法律案提案理由を御説明いたしました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に臨時船質等改善助成利子補給法案について御説明申し上げます。  現在わが国海運現状を見まするに、一方においてわが国経済の自立に資するため、優秀なる外航船舶建造を促進する必要がありますることは周知の事柄でありますが、他方わが国海運は、戦時中に急造いたしました戦時標準船といわれる粗悪な船舶を大量かかえておりまして、このうち大型船外航に就航し得るものはほとんどこれを改造して、外国航路に就航させておりますが、なお国内航路だけにしか就航できない小型戦標船、その他これに準ずる低性能船舶相当大量残しているのであります、これらの船舶はきわめて性能が悪く、船主経済的にはほとんど価値のないものであり、しかも国内航路就航船腹量国内沿岸荷動き量と比較いたしまして、二十五万重量トン程度が絶対過剰の現状であります。これら低性能船舶の整理は、わが国海運再建上喫緊の要務であると申さねばなりません。  かかる事情からいたしまして、これら小型戦時標準船解撤を促進すると同時に、外航船舶建造をはかるという、いわゆる船質改善助成を行い、もつて日本海運を健全化せんとするのが、この法律案提出されるゆえんであります。  次にこの法律案による船質改善助成のあらましを申し上げますと、昭和二十八年度外航造船建造する船主が、これに関連して戦時標準型E型船舶及びこれに準ずる低性能船舶解撤する場合には、当該外航船舶建造資金の融通を行う市中金融機関に対して、その資金の融資について年二分ないし五厘の利子補給政府が行うことができることとし、これによりE型その他の低性能船解撤を促進することをその骨子といたしております。  なお本法案を実施するため予算措置としては、昭和二十八年度以降八箇年度を通じ、総額一億八千五百二十二万円の利子補給金予算が支出されるはずであり、うち二十八年度予算としては、三千四百万円が計上される見込みであります。またこれによつて昭和二十八年度内に外航造船三十万総トン建造に伴い、戦時標準型E型船舶その他これに準ずる低性能船舶を約七十隻、十万重量トン解撤することが可能となるものてあります、  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。     —————————————
  4. 關内正一

    關内委員長 次に地方鉄道軌道整備法案議題とし、まど提出者より提案理由説明を求めます。關谷勝利君。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 ただいま議題となりました地方鉄道軌道整備法案につきまして、提案者を代表いたしまして提案理由並びにその概要を御説明申し上げます。  第一に、鉄道新線建設を促進することによりまして、天然資源開発、電源の開発、国土の総合開発、その他産業発達をはかることができるのであります。また既設線の大改良を促進することによりまして、生産コストを引下げ、旅客輸送の混雑を緩和して産業維持振興をはかることができるのであります。さらに他に適当な交通機関がない等の、いわゆる陸上の離島航路のような既設線維持をはかることによりまして、その沿線住民生活を確保するのほか、特に山間地帯降雪地帯におきましては、唯一の交通機関になつておりますので、僻陬地発達に寄与するところも大であります。従いまして、産業振興上特に重要な鉄道新線建設並びに産業上重要な既設線の大規模改良を促進いたしますとともに、国民生活上存続を必要といたします地方鉄道軌道維持をはかるために、国家におきまして適当な助成措置を講ずる必要があります。  第二に、地方鉄道軌道公益性維持するためには、日本国有鉄道新線建設に伴いまして生ずる地方鉄道軌道損失補償することが必要であります。  以上述べましたような事情と現在の国家財政実情とを勘案いたしまして、慎重検討を重ねました結果、成案を得ましたので、ここに法律案として御審議を願うことにいたした次第であります。以下法案の大要を申し上げます。  第一点は、助成する地方鉄道軌道の決定とこれに伴う監督及び助成であります。産業上重要な地方鉄道軌道のうち、建設または大規模改良を行うもの並びに国民生活上不可欠な既設線運輸大臣が定めることになつております。  監督といたしましては、これらの地方鉄道軌道につきまして適切な経営をはからせるため、財産の運用、兼業、投資等につきまして、必要ある場合には、運輸大臣が適当な指示をいたすことができることにいたしました。  助成措置といたしましては、次の諸点を考慮いたしました。その一は、建設または大規模改良を行う地方鉄道軌道の場合におきましては、その完了後十年を限り、投下資本の六分の範囲国庫補助を行い、また営業維持が困難な地方鉄道軌道の場合におきましては、欠損額以内を国庫において補填することにいたしました。なお右の地方鉄道軌道相当程度利益を上げましたときは、補助を停止いたしますとともに利益の一部を、受けた補助金額範囲国庫に納付させることといたしました。その二は、地方鉄道業者並びに軌道業者が、運輸大臣の指示する改良に要する資金の借入れを行いましたときは、その利子の一部を補給することにいたしました。この改良は前述しました大規模改良計画に基くもの以外におきまして、特に必要あるものに限定されることになつております。その三は、地方税固定資産税及び事業税の減免を行い得る原則を明文化することにいたしました。  第二点は、地方鉄道軌道に対する損失補償であります。現行地方鉄道法及び軌道法規定する補償に関する規定廃止いたしまして、日本国有鉄道新線建設に伴いこうむる地方鉄道軌道損失日本国有鉄道補償することを規定いたしました。損失補償は、地方鉄道軌道営業廃止による損失または営業の継続が可能なるも収益の減少による損失のいずれかを補償することにいたしました。なお日本国有鉄道新線建設政府の命令に基く場合には、政府日本国有鉄道補償金額を交付することにいたしました。  第三点は、地方鉄道補助法及び北海道拓殖鉄道補助二関スル法律廃止であります。地方鉄道軌道補助に関しましては、一元的にこの法律によるのが望ましいと考えましたので、地方鉄道補助法及び北海道拓殖鉄道補助二関スル法律廃止いたしますとともに、現在北海道拓殖鉄道補助二関スル法律によつて補助を受けている者の既得権は、十分に尊重するようにいたしました。  第四点は、最近に建設を完了いたしました地方鉄道軌道に対する特例であります。この法律施行のときまでに運輸開始後十年を経過しない地方鉄道軌道につきましては、新線とみなしてこの法律による助成対象とすることにいたしました。  以上がこの法律案概要でございまして、これらの措置を講じて地方鉄道軌道建設及び改良の促進並びに公益性の発揮をはかることにより、産業発達及び民生の安定に貢献いたしいた所存でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第でございます。     —————————————
  6. 關内正一

    關内委員長 次に前会に引続き運輸行政に関する質疑を行います。通告順にこれを許します。
  7. 楯兼次郎

    楯委員 その前に議事進行について……。
  8. 關内正一

    關内委員長 楯君。
  9. 楯兼次郎

    楯委員 私は冒頭にあたつてつまらぬことを言つてせつかくの空気をこわしたくなかつたので、黙つておつたのですが、昨日散会のときに速記録にもはつきり載つておりますが、本日は十時から質問を続行するということを委員長が宣言をされて散会をしたはずです。ところが今日来て見ますと、われわれに一言の話もなく、かつてにこういうふうに議事進行を変更されることはいけないと思うのです。今後はそういうことのないように、みんなに諮つてつていただきたいと思います。
  10. 關内正一

    關内委員長 了承いたしました。臼井君。
  11. 臼井莊一

    臼井委員 鉄道当局に一、二新線建設のことでお尋ねしたいのですが、もとより資源開発地方文化の発展のためにも、新線建設を進行さすことはけつこうでありますが、一方において一応計画を立てられている改良事業が一向に進んでいない面がたくさんある。これがため地方において非常に迷惑をしておるということは、昨日のどなたかの委員質問にもあつたのであります。従つてたとえば千葉の房総方面においては、新線はもとより改良工事が非常に遅れておる。最近ディーゼル・カーがこれを補うため相当数配置せられておるということでありまして、これは非常にけつこうなことでありますが、事実それがために都市の復興事業が非常に遅れている面があるのであります。これらについて十分お考えいただけていると思うのでありますが、ところが一方において鉄道が公社として一つ独立採算をとつておるというために、前回のように運賃の値上げというような問題が出て来て、国民生活の安定の面において遺憾な点が多分に出て来るのであります。そこで新線建設は非常にけつこうでありますが、あまりこれの方に力を入れて——もちろん重要な面においてこれをつくることは必要でありまするし、その面でやつておられるのであろうと思いますが、これがもし何か政治的な面に利用せられて行われるような面があると、非常に遺憾なことであります。この点、大臣諮問による鉄道建設審議会、これの答申によつて慎重にやられておるとは思うのでありますが、その新線建設の場合に、大体何箇年くらいたてば収支償うというような一応の目安を立てておるのであるか、その点をお伺いいたしたい。これがどうしてもやむを得ない面については、当然政府一般会計あるいは財政資金によつてこれに投資をして、独立採算の面にあまり影響を及ぼさないようにすべきであると考えておるのであります。本年も八十五億でございますかの鉄道債券が発行せられて、これがその面に充てられるようでありますけれども、このただいま申し上げた点についてお伺いいたしたいことと、従来鉄道計画を立てられておる改良工事についてどういうお考えを持つておられるか、その二点をちよつとお尋ねいたしたい。
  12. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの御質問お答え申し上げます。第一点の、新しい建設線は何年くらいたつたら採算がとれるかという御質問でございますが、現在運営いたしておりまする線の中において、採算のとれておるものは大体三割程度であります。既設線がさような程度であります。従いまして新しい建設線で、昔は十年たてば大体採算がとれるのだというのが定説でありましたけれども、今日ではおそらく十年では採算がとれるような線はないと思います。  第二点の改良についてどういう考えを持つておるかという御質問でございますが、この点は何分にも長い間、戦争中と戦後の五箇年間、前後を通じまして約十年間は非常に改良改善に手を抜いておりますので、その点で危険の一歩手前というようなものが非常に多いのであります。従いまして今日この程度改良ではなかなか早急には復興して参りません。なおお説にありましたように、そういう採算がとれない線路に対しましては、政府が出資すべきではないかという御意見、私は大賛成であります。
  13. 臼井莊一

    臼井委員 これは大臣がいらつしやらないから、新線建設についての資金投資ということについてお尋ねしてもだめでしようし、予算関係もございましようから、これは保留いたしておきますが、今お話を伺つても非常に採算は現在の線さえとれない、従つて新線建設については当分とれないという点で、ほとんど国家的な見地から犠牲をもつてやるということになりますので、その点について将来私ども大いに政府意見を申し上げたいと思います。  次に今年の建設公債八十五億でございますか、これが消化ははたしてどういうお見込みでありますか、楽にできるのであるか、あるいはまた何か特別な方法をもつて消化をする方法をお立てになつておるか、その点をちよつとお尋ねいたします。
  14. 長崎惣之助

    長崎説明員 資金の面につきましては、今度の予算では百四十五億が政府資金運用部資金から借りることになつております。解散前の国会に出しました場合には、百二十億鉄道債券を発行するということになつておりましたが、ここに何箇月かのずれがありますので、この分だけを資金運用部の方から融通していただく、残り八十五億を債券をもつて発行する。大体一箇月十億程度発行額になります。これは私どもそういう面について経験がありませんけれども金融機関その他の方方に伺つてみますと、まあ今年はどうやらその程度には行きそうであります。
  15. 臼井莊一

    臼井委員 それからもう一つこれはこまかい点ですが、昨日御説明いただいた参考資料によつて石炭の費用が大分節約になつておるようであります。約二十六億三千六百万ばかりこれが節約になつておる。これは電化伴つて使用がそれだけ減じておるのですか、何かほかの原因ですか、その点ちよつと伺います。
  16. 長崎惣之助

    長崎説明員 それは石炭の買入れ器価の値段を下げた結果でございます。
  17. 松原喜之次

    松原委員 ちよつと関連して一、二お伺いしたいのですが、まず第一番に国鉄の当事者が常に強調しておられますように、デイーゼル・カーを広く使用する、あるいは電化を行うということによつて採算改善することができるということでありますが、ただいま東海道線を初め電化計画相当になされておるにもかかわらず、その進捗状態はきわめて遅々としておるように思うのであります。一方において、ただいま臼井委員からの質問に対するお答えがありましたように、採算のとれないような新線がどんどん建設される。そうして一般採算を悪くする。しかも一方において採算改善すべき方途の方は遅々として進まない。こういうことでは国鉄経営ために非常におもしろくない結果を来すと思うのであります。そこでそれについて考えられることは、鉄道建設審議会権限の問題であるのであります。すなわち鉄道建設審議会は、単に新線建設審議する機関となつておるように——私は詳しくは知りませんが、さように考えておるのでありますが、はたしてそうであるとするならば、審議会が開かれるごとに新線審議する以外の仕事がないというのであるから、どうしても新線建設に走るというふうなことになるというのが自然であろうかと思うのであります。そこで鉄道建設審議会に、その権限といたしまして、あるいは電化の問題、その他改善工事の大きなものに関しては、これを加えるというように何らかの措置をとられるならば、多少その弊害を緩和し得ることになるのではないか、やりやすいのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。この点に対する実は大臣の御意見を承りたいのですが、さしずめ総裁の御意見を承りたいと思います。
  18. 長崎惣之助

    長崎説明員 これは私も建設審議会委員の一人でございますが、建設審議会運輸大臣諮問機関でございまして、私からお答えするのはむしろ不適当ではないかと思うのであります。しかし御説のような考え方一つ考え方ではないか、これはまつたくの私見でございまして、大臣はどういうふうにお考えになつておるかはわかりません。そういう点で建設線改良というものは、昔から建主改従改主建従といつて、長い間の懸案でございまして、いろいろの議論がございますが、私としては現在の線路改善も重要ではございますが、そればかりではなしに、今の日本再建という面では、やはりまた新しい開発もやらなければならぬ。多少の犠牲がございましても、その間に別途に救済する方法を講じつつ、また現在線の運営のやり方その他も改善して行つて、そこに両方歩み寄る線があるのではないかというような考え方で、大体私はやつておるつもりでございます。
  19. 松原喜之次

    松原委員 はなはだ当りさわりのない抽象的なお答えでございましたが、もとより建設を先にするか、改良を先にするかという問題については、いろいろ議論の沿革もあり、かつ実際にそのときどきに応じてかえて行かなければならないこともあろうかと思いますが、現在の事情のもとにおきましては、私どもはやはり改良を主として、建設をあとにするというのが、この苦しい国鉄経営実情から見て当然であろうかと思うがゆえに、私はかようなことを申すのであつて建設の方をむしろ犠牲にしても、その危険なる設備の改善とか、あるいは採算改善するというような電化問題等にもつと力を入れるべきではないか、その一方法として先ほどのようなことを申し上げたのでありますが、これは国鉄当局から、建設審議会の問題についてはそういうおつもりがあるかないか、多少議論があつたかどうか、あるいは今後どういうふうにそれについて考えられるか、お答え願えれば幸いだと思います。
  20. 植田純一

    植田政府委員 非常な改善の御意見を承りましたが、建設審議会に対する根本的な考え方につきましては、実はその点について検討しておりませんので、ただちに運輸省の公的な意見として申し上げることはできないのでありますが、事実今までの建前といたしましては、実は改良工事はなるほど実質的には重要でございますが、改良工事は行政的に申しますと、国鉄総裁の判断にまかしてあるわけであります。国有鉄道法規定によりまして、新線建設の場合には運輸大臣認可がいる、こういう建前になつております。しかも新線建設という場合におきましては、運輸大臣認可します場合には、鉄道建設審議会諮問しなければならない、その答申をまつて認可するかどうかということをきめなければならぬ、こういう建前になつておるわけであります。従いまして実際の順序から申しますると、新線建設申請がございまして、運輸大臣がこれを認可するかどうかという場合に、法律の定めによりまして、建設審議会諮問しなければならない。実際問題といたしましては、御承知の通り運輸大臣建設審議会意見をあらかじめ聞きまして、認可申請が出て参りましたときには、あらため建設審議会諮問するという手続を実は省略しておるのが現在のやり方であります。これにつきましてはいろいろと御批判もございますし、今後どうするかということもいろいろ議論があろうかと思いますが、重要な改良工事については諮問しないで、新線建設について建設審議会諮問を必要としておるというのは、そういう建前からなつておるわけであります。その改善意見につきましては、よく検討してみたいと思います。
  21. 臼井莊一

    臼井委員 今の審議会の問題で、新線建設申請が出た場合に、国鉄当局においてこれはぜひ必要だ、やりたいということが大体きまつて、そうして大臣から審議会の方へ諮問が出るのか、おそらくそうだろうと思うのですが、従つてその審議会答申されたものは、無条件でどんどん新設にかかる、こういうのが建前でございますか。それとも審議会できまつても、鉄道当局において採算上むずかしい、こういうのでけることができるのかどうか、その点をお伺いしたいのであります。
  22. 植田純一

    植田政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、実際問題といたしましては、運輸大臣があらかじめ建設審議会の意向を聞いておるわけであります。従来の現実のやり方としましては、国鉄総裁から新線建設運輸大臣に対する許可申請が出て参るわけであります。それに対しまして運輸大臣がさらに建設審議会諮問をすべきが法律建前であります。しかしあらかじめ建設審議会の意向を承つておりまして、この線で申請が出て参りました場合には、重ねての諮問を省略することをあらかじめ了解を得ておるわけなんです。実際問題といたしましては、従いましてその建設審議会のあらかじめ承つた意向の線に沿うておる限り、運輸大臣はその許可の処分をしておるわけであります。これに対しまして実質的には国鉄総裁の側におきましては、本年度どういう新線に着手するかということは、法律的にはきまりませんが、実際にはそういうことできまるのが現状でございます。
  23. 臼井莊一

    臼井委員 そうしますと、新線に対しては、まず第一に国鉄総裁の意向といいますか、もちろん一人ではないでしようが、鉄道当局の意向によつて、内交渉を審議会にして、そうして今度は大臣から認可が来た場合に、それを正式に審議会へかくべきであるけれども、それは再びかけないで、その前に要するに運輸大臣から審議会の方に諮問があるから、それによつて当局としては、大臣認可だけでよろしい、こういうように解釈してよろしゆうございますか。
  24. 植田純一

    植田政府委員 実際の手続はそうでございます。ただ法律的に申しますると、建設審議会諮問を経た——これは事前に諮問を経て、正式に認可の手続が出て来た場合には、重ねての諮問を省略させていただくということを、あらかじめ了承を得ておるわけであります。法律的には諮問を経て、認可が出て来まして、諮問を経たということになつて参りましようが、実際問題としては、そういうふうに二度の諮問を省略しておるわけであります。
  25. 臼井莊一

    臼井委員 実際問題として、審議会でこれは適当でないというので、反対の意見答申したというのはほとんどないわけでございましような。
  26. 植田純一

    植田政府委員 これは御承知の通り、新線建設の要望は非常にたくさんございまして、あらかじめ諮問いたします場合におきましては、おおむねどの線に着手するか、どの線をたくさんの要望の中から着手するかということにつきましては、予算の見地からはもちろんのこと、各線の重要性等につきまして、相当いろいろと慎重審議を重ねます。その結果、この程度のものをまずやるべきである、やるのに適当な線であるということに、審議会で慎重審議されまして、多くの中から選び出されて答申が出される、こういう段階を経ております。その事前の諮問のときに、十分その点は検討されるのが、実際の例でございます。
  27. 臼井莊一

    臼井委員 政府から、この線は必要だから絶対やれ、こういう半命令といいますか、それによつて法律的にやるということは、現在できないのでございましようか、どうですか、その点ちよつと伺いたいと思います。
  28. 植田純一

    植田政府委員 純粋に法理的に申しますと、新線建設の命令は出し得る、かような解釈をとつております。実際問題といたしまして、どういう場合に新線建設の命令を出すかということにつきましては、いろいろと問題もございましようが、法理的には可能である、かように考えております。
  29. 臼井莊一

    臼井委員 そうすると、国家的に必要だという見地、これは国鉄当局国家ために大いに貢献しようというのでやられることはけつこうですが、ある程度当局において強くはねれば、国家的な見地で必要だということになつて政府がそこに強く要望する、こうなれば勢い資金の面も考えざるを得ないじやないかというように考えるのですが、予算がなくてできないということを建前とすると、そういう面については、いずれひとつ運輸大臣にまたお伺いすることにいたしまして、あまり長くなりますから、この程度にいたして、あらためての機会に御質問いたします。  もう一つ、これはあるいは小さな問題かもしれませんが、実行できていないというので、大分要望のある問題は、身体障害者に対して、福祉法によつて手帳が出ていて、その手帳の出ている者には運賃の割引があるのでございます。ところがこれが百キロ以上の旅行者でなくては適用されない、実際には百キロ以内の方が非常に多いのだ、せつかく特典を与えられても、利用する度数が非常に少いので、従つて百キロ以下に対しても、五割の運賃の割引をしてもらいたいという、身体障害者からの非常に強い要望があるのでございますが、この点について将来そういうふうにするお考えがあるかどうか、その点ちよつとお伺いしたい。
  30. 津田弘孝

    ○津田説明員 国鉄営業局長でございますが、ただいま臼井委員からお話のございました身体障害者の旅行についての、国鉄運賃割引の点でございます。これは法律に基きまして、国鉄が運賃割引をいたしておるのでありますが、ただいまお示しがございましたように、これは身体障害の程度によりまして、差等をつけておるのであります。従来よりも、去年でありましたか、おととしでありましたか、相当その範囲を拡張いたしまして、つまり身体障害の程度が割合に低い者に対しましても、鉄道の運賃割引をするというようなとりはからいをいたしたのであります。その際に、厚生省とも十分にお打合せいたしました結果、日常のきわめて近距離の旅行につきましては、なるほど機会は多いと思いまするが、運賃の絶対額にいたしましてもさほどの額に上らないというような関係から、まず長距離の旅行、まあ区切りのいい百キロ以上の旅行をされる場合に、運賃の五割の割引をする、なおこれに対しまして、身体障害の程度の強い方に対しましては、付添人に対しましても、同様の割引をいたしております。つまり二人で一人分の運賃をお払いになればいいというような取扱いを現在いたしております。当時厚生省とも十分お打合せいたしました結果でございますので、ただいまのところ、その範囲をさらこ広げる、たとえば距離等の面におきまして広げるというような点は、考えておらないのでございますが、御意見としては十分拝聴しておきたい、かように存ずる次第でございます。
  31. 臼井莊一

    臼井委員 今のお話で、近距離は金高も大したものでないというようなお話でございますが、障害者の方から言わせると、金高のいかんにかかわらず、そういう優遇されているということそれ自体が、障害者の暗い気持を非常に明るくする面に役立つのではなかろうかと考えますので、その点について、将来ともお考えいただきたいということを要望いたしまして、私の質問はこれで打切ります。
  32. 關内正一

    關内委員長 楯兼次郎君。
  33. 楯兼次郎

    楯委員 自動車局長にお伺いいたしたいと思います。これは全国にも例があると思いますが、たしかこれは四国の高松であつたかと思いますが、国鉄と民間の路線の申請が競合した場合に、公聴会を開いてきめよう——きめるというわけじやないですが、公聴会を開くことになつたわけです。国鉄側の地元の申請者が公聴会に出る用意をしておつたところが、その日になつて公聴会はとりやめ、そうして民間の力にその路線使用といいますか、許可が出て来た、こういう事例があるというので非常に地元民は憤慨をしておるわけです。従つて私は自動車局長にお伺いしたいのは、そういう公聴会をやるといつて、その日になつて取消すというようなことができ得るのかどうか。そういうことはいかなる原因によつてそのような取扱いをしなければならなかつたかという点について、お伺いをしたいと思います。
  34. 中村豐

    ○中村(豐)政府委員 私具体的な例はちよつと存じておりませんが、そのような場合は当然公聴会をやるべきだと思うのです。ある申請があつた場合に、その事案が重要であると運輸大臣または運輸審議会が認めた場合とか、利害関係人が公聴会の開催の申入れをした場合には、必ず公聴会を開かなければいけないのであります。そのような国鉄と民営バスとの競願がある場合には、きわめて重要と認められますから、必ず運輸大臣並びに運輸審議会では公聴会を開催しておるのであります。あるいはそのような場合に公聴会がとりやめになつたのは、どちらかの競願者が他に譲つて、自分の方があきらめるということをした場合においては、同意があつたものですから公聴会を開かなくて済ましておることがあります。しかし今のようなお話では、別に同意しておるような事実もないようでありますから、公聴会を開かなければいけないと思います。現にそういう事実があつたかどうか調べてみたいと思います。
  35. 楯兼次郎

    楯委員 この問題は私は四国の一例を引いたのでありますが、往々にしてあるということを聞いております。しかも自動車局長の答弁によりますと、不当であるということを言われるのでありますから、ひとつ私の方も具体的にその問題を聞きたいと思いますので、あなたの方でもひとつ四国に関して、そういう事例があつたかどうかということをお調べになつて、適当な処置をしていただきたいと思います。  それからいま一つ、自動車の問題についてお伺いをいたしたいのは、この前の国会でも私、やかましいことを申し上げましたので繰返しはいたしませんが、この国鉄自動車の運転をいたしておりまする地元から、いわゆる団貸の要請がきわめて強いわけであります。この団貸の要請についてあなたの方では、いかなる方針を持つておられるのか、今後この地元民の強い要請をいかにして調節をして行かれようとするのか、二点についてお答えを願いたいと思います。
  36. 中村豐

    ○中村(豐)政府委員 団体貸切、いわゆる観光バスを国鉄自動車でやれるかどうかということについては、厳格に言うと法律上疑義があるわけであります。それは日本国有鉄道法によつて国鉄自動車は日本国有鉄道に関連する事業ということになつておりますので、その関連するという解釈について多少疑義があるわけであります。しかしそのような形式的な議論は別にしましても、もう一つ実質的に国有鉄道経営のバスが、観光バスをやつていいものかどうかということについて、これまた疑問がありまして、そのような観光的なことをやらなくて、実際どうしても住民に必要な定期路線だけやればいいじやないかという議論さえあるわけでございます。しかしながら今お話のように、実際沿線の住民が他に利用するバスがなかつた場合に、やむを得ず国鉄バスに依頼するという場合に、それをしかもあえて不可とすることも実情に沿いませんので、民間自動車がその付近になくて、どうしても住民の要望を満たし切れない場合に、これは例外的に国鉄バスにこのような団体貸切をやらしていいじやないか、かように思います。従つてそのような観点から、付近に民営バスの営業所がなく、あるいは配置車両がなくて、国鉄バスしかない。また付近の民営バスがそのような車で迎えに行く場合において回送料と言いますが、それをとらなければならない場合にはそれだけ負担が高くなりますから、そのような地区には国鉄バスを例外的に認めよう。しかしそれはあくまで予備車の許される限度であるからというので、台数を限つて許そうということで、現に今北海道、東北方面初め、必要なる場所については許可をして行きつつあります。各地にまだ要望がありますので、残つた問題としてまだ検討しつつある問題があるので、必ずしも現在までに許可されただけが全部ではない。今後も必要やむを得ないところには、そういうような許可がされるであろうということでございます。
  37. 楯兼次郎

    楯委員 それではその具体的な箇所について、今後は事情を勘案して許可をして行こう、こういうことと承知をいたします。  次にこれは少しこまかい問題になると思いますが、私こういうことを聞いたのであります。それは九州の志免炭鉱でありますが、そこは国鉄の中にあるわけでありますが、何か給与関係国鉄の職員と違つている、こういうことを聞いたわけです。特に今問題となつております夏季手当につきましては、半月分、あるいは〇・七五出るか、一箇月出るか、今のところわからないのでありますが、国鉄の職員にその金額が出ましても、志免炭鉱においてはそれだけの金額が渡らない、こういうようなことを聞いておるのであります。この点について御説明を願いたいと思います。
  38. 高井軍一

    ○高井説明員 志免の給与につきましては、御承知のように非常にむずかしいのでありまして、炭鉱給与と国鉄の給与をいかなる程度に組み合して行くかということで、これは苦慮いたしておるのであります。今お話の夏季手当の問題につきましては、私それがどういうぐあいになつておりますか、はつきり責任をもつて答えることができ得ないのでありますが、あそこは請負の独立採算制をとつておりまして、民鉱からの買上げ炭価との関係をもちまして、バランスをとりながら運営をいたしておるのであります。先般ベース・アツプに伴いまして、炭鉱給与との関係で特殊にこの民間炭鉱のものとにらみ合せながら設定いたしましたので、その関連におきまして手当につきましても、別途に考えるということになつておるのじやないかと思うのであります。私詳細なことを存じませんので、いずれ責任の局長の力から御説明をさすようにいたしたいと思います。
  39. 楯兼次郎

    楯委員 こまかい御説明は必要がないといいますか、よろしいのでありますが、同じ国鉄の公社内において産業別といいますか、そういうように細分化を今後されて行きますと、非常にこの給与問題が将来取扱いにくいと思います。従つて今そういうような状態にあるならば、やはり一般国鉄職員と同じような給与体系といいますか、給与面の適用を将来して行くのが妥当であろうというふうに考えるわけでありますが、この点についてひとつ局長の御所見を伺いたいと思います。機関車あるいは車掌あるいは何というように、将来こういう考え方では細分化を重ねて行くと思いますので、ひとつ将来に対する御所見を伺いたいと思います。
  40. 長崎惣之助

    長崎説明員 私からお答え申し上げます。楯委員の御意見でございますが、炭鉱の事業と交通の事業とは非常に相違いたしております。これはほとんど比較にならないくらい違うと思います。従いまして両方同じにせよということは、むしろ非常に不公平になるのではないかという考え方を持つております。
  41. 楯兼次郎

    楯委員 それではこの問題はその程度にしておきまして、次に前国会でも問題になつたのでありますが、退職金の問題であります。これは国家公務員等に対する退職金の問題に包括されまして、現在までやつて参つたのでありますが、その不合理性につきましては、私がここで述べる必要はないと思います。私は運輸委員をやつておりますが、何とかして正常な方向にこれをもどしたいと思つて、たとえば大蔵委員会の方に提案をされておりまする公務員の退職手当に関する法律改正を行おうといたしておるわけでありまするが、伝えられるところによりますると、三月中に仲裁委員会から、当然国鉄独自の退職金制度を確立すべきである、というような裁定が出ておるということを聞いております。国鉄当局といたしましても、この点について当然尽力をされておるであろうとは考えますが、今日まで当局のとられました努力の経過といいますか、それと、将来いかように御措置されようとしておるか、この二点について御意見を承りたいと思います。
  42. 長崎惣之助

    長崎説明員 団体交渉で退職手当の問題は解決できるのではないかという仲裁裁定があつたことは、御説の通りであります。従いましてこれに対してわれわれは案を練り、いろいろと考えておるのであります。しかしながら一方、法律的にはたしてその通りであるかどうかということは、非常に大きな問題ではないかと思うのであります。この法律は、御承知のようにたしか七月で期限が切れるはずでありますが、その結果どういうことになりますか、またこの改正案が今提案されておるといたしますと、どういうことになりますか、これらもにらみ合せなければなりませんので、案は考えておりまするが、まだ実際には団体交渉の段階に入つておりません。
  43. 楯兼次郎

    楯委員 私のお伺いしておるのは、裁定では団体交渉によつて云々という結論が出ておるので、やつているかどうかということではなくて、七月まで延期をされまして、七月で失効になるので、かわりの案を政府は今上程をして参つておるわけです。退職金そのものに対する取扱いがどういうふうになるかということは別といたしまして、当然公労法に示されておりまするように、この法律のわくからはずして、あなた方独自のものを確立して行かなくてはならないというふうに考えるわけです。これも現在の政府は、御承知のように、黙つておればあえて法律違反のようなことも犯しかねないのでございまするから、当事者であるあなた方が、正常なわくにもどすべきであると言つて積極的な運動をしなければ、私はできないと思いますので、その努力をいかようにされておるかという点をもう一回御答弁願いたい。
  44. 長崎惣之助

    長崎説明員 もとより裁定がありました以上は、われわれはこの法律のわくからはずすことに大いに努力はいたしております。しかしながら、御承知のようにわれわれの方の給与は、公務員、民間その他とにらみ合すということになつておる点に、非常な問題があるわけであります。
  45. 楯兼次郎

    楯委員 どうも総裁の答弁は私の質問と違います。その内容がいかようなものになるかわかりませんけれども、当然わくからはずして、あなた方の協定によつてこれをつくつて行くというのが、私は正常なルートであろうというふうに考えておるわけです。従つてそうするためには、今あなた方が改正をされようとするこの法律のわくからはずす作業を第一にやらなければ、そういう軌道に乗せることができない。今国会に上程されておるので、機会を逸してはならない。あなた方は積極的に努力して、この法律のわくからはずすべきであると考えているというが、その努力をされておるかという点を質問申し上げたい。
  46. 長崎惣之助

    長崎説明員 その努力はいたしております。ただ先ほど申し上げましたように、公務員とのにらみ合せというところで、なかなか作業が困難であります。
  47. 楯兼次郎

    楯委員 あとの方は困難であるということは私も認めますが、あなたの前に言われた方をひとつ真剣になつて努力していただきたいと思います。一般の給与問題について国会における私の経験を申し上げますと、この国鉄職員の給与問題については、当然あなた方が先頭に立つて政府当局といろいろと交渉をして、組合あたりの要求の実現のために努力さるべきが至当であると考えておるわけであります。もちろん目に見えない努力、私たちのわからない努力はされておるでありましようが、私どもの目に映る影響というものは——国鉄労働組合あたりも運動が活発である。これは余談になりますが、先日改進党の方が、何だ、公社の給与問題についてはお前たちのみが一生懸命やつておるではないか、国鉄当局はとうしておるかというようなことを漏らしておつたことにも現われていると思う。従つて、当然あなたがされるべき問題でありますけれども、今後はひとつ積極的に関係箇所に交渉をして、これらの給与問題を解決していただきたい、かように考えるわけであります。  次にいま一つは、きのう予算書の説明をされたわけでありますが、この予算書を見ますと、悪い臆測をいたしまりと、やがて人事院の勧告も出るでありましようし、国鉄労働組合もベース・アツプの要請をいたしておりますので、また来年三月までにベース・アツプというような問題が起きて来ると思います。ところが説明されました二十八年度の予算書の中には、弾力性というものが少しもない。こういう点について、まあそういうことはあり得ない、要求をされても一銭も上げないというようなことであれば別でありますが、私はそうも行かないと思います。従つて弾力性のない予算で、あなたは今後起るであろうこれらの要求に対してどう対処されようとするのか、この点をお伺いしたいと思います。
  48. 長崎惣之助

    長崎説明員 むろん予算は将来の予測をいたしておるのでございますが、しかし仲裁裁定というような、私どもが絶対に従わなければならぬ問題、それについての考え方を、今日からきめろということは無理じやないかと思います。正常な現在の状態において、われわれが予測し得る可能性のある予算でございまして、裁定がいかように下るかわからないものにつきましては、その事態が起つたときにこれに対する処置を考えなくちやならぬと思つております。また考えるべきである、かように考えております。
  49. 楯兼次郎

    楯委員 私もこうは言つておりますものの、将来の問題は予測することができません。しかし常識的に考えまして、そういう問題が今までに起きておるわけです。従つてそういう点を考慮してこの予算は組まれるべきであつたと私は考えますが、この点についてあなたはいかなる努力をされたかということをお伺いしたいと思います。
  50. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま申し上げましたように、裁定が下つてから考えるつもりでおります。
  51. 楯兼次郎

    楯委員 それではいま一つお伺いします。先ほどわが党の松原委員からも御質問があつたように、独立採算制と公共性との間にはさまれました現在の公社では、将来これらの資金の問題に対する取扱い方がきわめてむずかしいと思います。従つてもしあなた方がベース・アツプを認めたという場合には、いかなるところからいかなる方法によつて財源の捻出といいますか、それらの資金を得られようとしておるのか、その見解を承りたいと思います。
  52. 長崎惣之助

    長崎説明員 たびたび申し上げましたように、事態が起つてから考えます。
  53. 楯兼次郎

    楯委員 どうもぼかされてしまうわけですが、公共企業体と独立採算との調整ということは、今私が質問を申し上げておる問題以外にも起つて参ります。従つてまた運賃の値上げというような、昨年の例を繰返すことになると思いまするが、運賃の値上げというようなことは、私はそうたびたびやられるものではないと思います。従つて何らかほかの方法によつて、これらの赤字を埋めて行くということを考えなくてはならないと思いまするが、将来そういう問題が起きた場合に、いかにしてこの問題を解決をされて行くか、あなたの考えておられる点をひとつここでお述べ願いたいと思います。
  54. 長崎惣之助

    長崎説明員 楯先生から教えられましたが、そういう方法もあろうかと思つておる次第であります。
  55. 楯兼次郎

    楯委員 では三役の解雇の問題ですが、私たち昨年の暮れも、このような事態で処分をするということは不当である、こういうふうに考えまして、関係箇所へ要請をいたしたのでありまするが、今日に至つても、私はこの解雇をされました原因というものに、非常に不審を持つておるものであります。この点については私が喋々と申し上げるまでもなく、総裁自体といえどもそのように考えておられるであろうと思いまするが、今日この解雇を取消す意思がないかどうか、お伺いしたいと思います。
  56. 長崎惣之助

    長崎説明員 その問題はただいま裁判にかかつておりますから、これは法的さばきがあるものと考えております。
  57. 楯兼次郎

    楯委員 それでは、日にちははつきり記憶いたしておりませんが、あの当時労働委員会において解雇反対の満場一致の決議をしたと私は記憶いたしておりまするが、この問題について、あなたはどうこれを取扱つて行かれたか、対処されたか、その御心中をお伺いしたいと思います。
  58. 長崎惣之助

    長崎説明員 当時私ども考えておりました解雇は、もつともつと範囲の大きなものであつたのでありますが、労働委員会の御意見もあり、これをきわめて小範囲にとどめた次第であります。
  59. 楯兼次郎

    楯委員 それでは、当局が解雇通告をした理由というものが、現実に当てはまらないと私は今でも考えております。そこでひとつお伺いしたいのは、一体あのときに休んだ人たちは、どういう取扱いをされておるのか。無断欠勤であるとか、あるいはその他の方法によつて取扱いをされておるのか。現在休暇をとつて、帳面上は全部休んだということで、休暇の消化で処理されておるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  60. 長崎惣之助

    長崎説明員 それは調べましてお答えいたします。どういうことになつておりますか、ちよつと今記憶いたしておりません。
  61. 楯兼次郎

    楯委員 それからいま一つは、私は国鉄の目標でありまする列車の運行については、何ら支障しないという方法を組合はとつておつたと思います。たとえば現業におきましては、列車運転に要するところの保安要員等の当日の勤務はそのまま認めておりましたし、何ら列車の運行には支障しない、まあおつてもおらなくてもよいといつてはどうかと思いますが、事務が翌日に繰延べられても、何ら国鉄の作業に影響のないところの人たちが、しかも今答弁がなかつたのでありまするが、正常なる休暇の処理によつて当日休んでおつた、こういうような点を勘案いたしてみますると、何ら解雇をされるような理由がないというふうに私は考えております。この点について、そういう列車運行上の保安上の取扱いについて、当時わかつておつた点をひとつお答え願いたいと思います。
  62. 長崎惣之助

    長崎説明員 それは楯委員と私との見解の相違でありまして、私のところでは事務に支障のないような人を使つてはおりません
  63. 楯兼次郎

    楯委員 そういう答弁は私は非常に不当であると思います。私が先ほど質問を申し上げましたのは、不要ではないのだが、事務を翌日に、後日に繰延べてもさしつかえない人たちが、正常な与えられた休暇をとつて、当日休んだという点を申し上げておるわけです。そういう点でもう少しまじめに御答弁をお願いいたします。
  64. 關内正一

    關内委員長 答弁はないようです。
  65. 楯兼次郎

    楯委員 それでは具体的にいろいろな問題が出て参りましたときに、あとで御質問申し上げることといたしまして、私の質問はこれにてとめておきます。
  66. 關内正一

  67. 大久保武雄

    ○大久保委員 私は緊急問題としまして、昨日来九州に起つております一大水害対策に対して、政府並びに国鉄当局に御質問申し上げたいと思います。被害状況は新聞に一部伝えられておりますけれども、昨日の深夜以来の状況はまことに恐るべきものがございます。私の国であります熊本県の状況を申し上げますと、阿蘇一帯に降りました水量が逐次熊本市内に浸水を増して参りまして、堤防が至るところ決壊いたしまして、ただいままで判明しました県下の状況を申し上げますと、死者が二十八名、負傷者が十八名、行方不明七十一名、家屋全壊四十二、床上浸水二千六百二、床下浸水三万四千六百五十二、これは五時現在でありますが、水田の流失九百三十町歩、水田の冠水四千二百二十町歩、畑地の冠水百五十町歩、道路の崩壊百二十三箇所、橋梁流失八十四、がけくずれ四百六十五、なお熊本市付近におきましては、白川堤防が二十メートル決壊いたしまして、昨夜の九時ごろから熊本市内一体に浸水をいたしまして、三メートルないし深いところは五メートルの深さに達する浸水がございまして、市内は多数の負傷者が予想されております。まに阿蘇郡小国町方面におきましては、最も被害がはなはだしいようであります。雨量は熊本市で四百三十五ミリ、阿蘇で五百十ミリといつたような、熊本方面におきましては六十年以来かつてない一大災害を受けております。ただいま入りましたばかりの速報によりますと、急激な浸水をいたして参りましたので、阿蘇山一帯の泥土を非常にたくさん運んで参りまして、水が幾分減水はいたしておりますけれども、市内には一メートルないし二メートルの泥土がたまつておるということであります。市内の交通は杜絶をいたしておりまして、一大混乱をいたしておる様子であります。食糧と飲料水を市民並びに県民に供給することは喫緊の問題と相なつておりまするし、農村方面におきましても、県下全域にわたる冠水、流失等によつて、苗、あるいは阿蘇方面におきましては植えつけた稲の流失といつたような、まことにさんたんたる災害でありまして、熊本県だけでも、商品損失を除いて百億円を下らない、こういつたような一大災害が起つておる次第であります。現在鉄道は、聞くところによりますと、九州の北部は不通であると聞いております。電信、電話も昨夜以来不通であります。私がとりました情報は、海上保安庁並びに国警の警備通信によつて得ました情報でございます。かような状況に対しまして、現在国鉄でわかつておりまする交通の被害状況並びにこれが復旧見通しを、まず御質問申し上げたいと思います。
  68. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの御質問に対しましては、江藤施設局長をして説明いたさせます。
  69. 江藤智

    ○江藤説明員 私は国鉄施設局長江藤でございます。ただいまお話がございましたように、六月二十五日、二十六日に九州地区に参りました災害は、非常に大きなものでございます。六十五年目というような大雨でございまして、私の方の調査によりました主要地の降雨量は、門司におきまして三百五十八ミリ、直方におきまして三百三十七ミリ、博多におきまして実に六百二十四ミリ、佐伯におきまして三百三十九ミリ、またこれは矢部線の途中にあるのでございますが、筑後福島におきましては五百五十六ミリ、また阿蘇の付近の宮地におきまして四百六十七ミリ、別府におきまして四百八十九ミリ、こういうような大雨になつております。これはどういう程度であるかと申しますと、東京の六月におきます月の平均の降雨量が百六十八ミリでございますから、わずか一日余りにおいて東京の六月の一月分の雨の倍あるいは三倍以上のものが降つたというような結果に相なつておるのでございまして、しかも門鉄局長からの報告によりますと、一週間以上も梅雨が降り続いておりまして、もともと土地がすつかり雨に満たされておつたところにこういう雨が参りましたために、各河川に非常な水が出て参つたのであります。ことに遠賀川、筑後川、矢部川、白川、大分川というような大きい河川が堤防の決壊を来しまして、そのために北九州、主として熊本以北の線路が寸断されたような状態に相なつておるのでございます。いま少しく詳しく申し上げますと、門司におきまして災害を受けました箇所は、ただいままで判明いたしましたところでは四百八十箇所、熊本管理局管内におきまして百四箇所、大分管理局管内におきまして二百二十三箇所、そのほか中国地方にごくわずかございますが、総計いたしまして、ただいままでわかりましたところ八百四十一箇所に災害を来しております。  列車の不通状態は、鹿児島本線におきましては、遠賀川付近、久留米のそばを通つております筑後川のために久留米付近、矢部川のために船小屋付近、それから緑川、加勢川あるいは白川という関係で熊本付近が、最も大きい災害を受けて不通になつております。また長崎本線におきましては、佐賀の先の方に牛津川という川がございますが、これのためにここが大きい冠水を来しており、また久大線、豊肥線は全線ただいま不通の状態であります。また松浦線、唐津線等も不通でありまして、門司鉄道管理局一日の列車キロは約四万数千キロでございますが、ただいまは二万キロを切つておるというような運転状態を来しておるわけでございます。なお日豊線は大分の南の方が不通になつておつたのでございますが、これはきようの正午ごろに開通見込みでありまして、ここが開通すれば、日豊線は一応全線運転し得るという見通しになつております。これが災害につきましての概略の状態でございます。  これに対しまして、これの復旧対策は、けさまで私の方に参りました情報では、もちろんできるだけ早く復旧するために全力を注いでおりますけれども、何分にも築堤と申しますか、堤防が決壊いたしまして水が氾濫いたしておりますので、水の引くのを待たなければ被害状態もはつきりいたしませんし、なかなか手もつけにくいというような状態でございます。こまかいところで手の加え得るところは、ただいま現地で順次手をつけておりますけれども、大きいところは水の引くのを待たなければ手がつかないというのが実情でございます。なお本庁といたしましては、災害の関係者を選びまして、今朝ただちに現地に出発いたしました。そして現地の局と十分連絡をとつて対策をとることにいたしております。
  70. 大久保武雄

    ○大久保委員 九川本線の復旧も急を要すると思いますが、九州本線の復旧は大体いつごろの御予定か、見通しを伺つておきたいと思います。
  71. 江藤智

    ○江藤説明員 本日門司管理局と私と連絡いたしました結果では、大体水が一両日中に引くといたしますと、来月の早々には開通し得るのではないかということを言つておりますが、しかしこれは何分御承知のように水が引かなければ、こういう水害というものはどういうところから手をつけていいかわかりませんので、ただいまはつきりとお答えすることができない状態であります。
  72. 大久保武雄

    ○大久保委員 かくのごとき鉄道の大動脈の混乱にあたつて、運輸当局はいかなる災害交通復旧の総合対策を持つておりますか、承りたい。
  73. 石井光次郎

    石井国務大臣 今情報がどんどん入りつつある状態でありますが、これに対しまして政府といたしましては、一運輸関係だけでなく、全体の救援等、これに対するすべての処置をとらなくてはなりませんので、この水害対策の委員会みたいなものを本日こしらえることになつております。それから午後の飛行機で、建設大臣、農林政務次官その他関係各省の者を出すことにいたしております。運輸省からは出先国鉄当局その他いろいろございますけれども、だれか出したいと思いまして、今話をいたしている最中でございます。
  74. 大久保武雄

    ○大久保委員 緊急な輸送ルート復活のために、適当な航空的な措置で対策があるかどうか。もちろんこれは物資の輸送は困難かと思いますが、人の調査その他のために、九州の災害地に対して、日本航空その他において何らかそういう手が打ち得るものであろうか、これを伺つておきたいと思います。
  75. 石井光次郎

    石井国務大臣 すぐその問題が考えられるのでありますが、日本航空の定期航空以外には、あまり余裕を持たないのでありますが、小さい飛行機だといろいろありますけれども、これでは輸送はとてもできない。ただ視察その他くらいに当つていると思います。きよう行きます連中も、今晩着いて、あすの朝から見てまわるといたしましても、おそらく陸上は動けないだろう、アメリカ側から日本に対して、あらゆる協力を惜しまないと言つて来ておりますので、それにお願いいたしまして、あすの視察は飛行機でやることになつております。そういうような方法は、できるだけの方法を講じたいと思つております。
  76. 大久保武雄

    ○大久保委員 緊急対策をアメリカの方とも連絡の上おとりになつておることは、まことに喜ばしいと考えるのでありますが、こういう緊急事態でございますから、日本の輸送機関並びに米軍の施設全部をあげて、この上とも対策のお講じをお願いしたいと思います。  なおちようど時期的に考えまして、午後における疫病の発生、あるいは農村におきましては苗の流失等、いろいろな面においてこの復旧資材の輸送は、きわめて緊急かつ重大な問題であろうと思うのであります。目下の罹災者に対する食糧の補給問題も当然起つて参りますから、これらはまず情報を収集せられるとともに、どうか万遺憾なき手をお打ちいただきたいということを希望します。とともに災害対策の一般問題ではございますが、運輸大臣に対しまして特にお願い申し上げたいことは、かような百年に一ぺん起るような災害でございますから、調査の上財政的措置をするということでなくて、何らか予算上、しやくし定規でない緊急な措置をお講じを願いたいと考えますが、さようなお考えがおありになりますかどうか、国務大臣として御答弁を願いたいと思います。
  77. 石井光次郎

    石井国務大臣 さつきの航空の問題でちよつとつけ足しておきますが、日本航空は定期航空で手一ぱいのような状態ではありまするが、その中から融通できる限り、この方面の輸送関係に充てたいという相談をして、スケジユールもかえられるならかえるということをいたしております。これをつけ加えておきます。  それから、ただいまのお話はまことにごもつともなお話で、時間的に非常に早くやらなくちやならぬものがあるだろう、特に九州の方面では、苗しろがようやくこの間の雨の後に整頓したばかりであつて、これから田植をしようという際でありますが、熊本、佐賀、福岡という大きな農業地帯がもしひどくやられていれば、これの復活は非常な大きな問題だと思います。こういうようなことを処理するために、中央で話を進めておるというだけでなくて、現地に政府側の意向を決し得るような機関を各省関係で置いて、地方からこちらへ来ないで、こちらから現場へ出かけて行つて、こういうところはこうなつているから見てくれと言えば、すぐ見て行くという式で、九州のどこか一箇所でそういうような方法で迅速にいろいろな情勢を知つて、それに対処するような行き方をしたらどうであろうかということを、さつきお話をしております。そういう問題については、できるだけの手順を講じたいと考えております。
  78. 大久保武雄

    ○大久保委員 運輸大臣は私と同じ九州の被害地を郷里に持つておられまして、なかなか適切なお考えをおとりになつて、私はまことに感謝にたえないのでありますが、ただいま運輸大臣からお話のございましたように、この際人が陳情に来るにも来られないのでありまして、できるだけ現地で権限を持つた機関が現地処理の緊急処分をする、こういう——語弊がありますが、戦時中にとられました行政協議会式の、九州の問題は九州だけで権限を持つて解決する、そういうような対策本部ができますことは、きわめて機宜を得た措置でございまして、どうか大臣のお考えによつて、ぜひ御推進を願いたいと考えるわけであります。なお予算としまして、こういう災害に対してとりあえず手を打てる金が政府にありますかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  79. 石井光次郎

    石井国務大臣 この間の九州北部、特に福岡県、山口県にかけて主だつたと思いますが、そのほかにまだありましたが、雨のために大分困りました。それの処理問題もありますし、金額的に私はつきり覚えておりませんが、十億か十五億七月分の予備金の増額をしておるということを大蔵大臣から聞いております。それでその処理をするつもりでありましたが、今度の問題を処理するには、おそらくそういうもので足りないかもわかりません。これについてはどういたしますか、大蔵大臣とよく折衝いたしたいと思つております。
  80. 大久保武雄

    ○大久保委員 ただいま十五億の資金をもつて応急措置を講じたいという御答弁、まことに私も感謝いたしますが、とりあえず十五億で手を打つていただいて、その後の被害対策は、全貌が判明するにつれて機宜の処置をおとり願いたいと考えております。大臣の御答弁によつて、私の九州地帯の水害に対する緊急質問のほとんど要旨を納得いたしました。  ただ最後に、私は原子爆弾の直後広島におりまして、原子爆弾の直後襲つて来ました広島一帯の大水害に遭遇したのであります。あの際もほとんど中国全域の鉄道が寸断されました。あの際は私が緊急処分をいたしまして、機帆船を動員してあの広島の島嶼並びに沿岸の救済をいたしたのであります。もちろん九州は広島と地勢的には違つておりますけれども、こいねがわくば運輸省としては陸運、航空並びに海上輸送力を総動員をいたしまして、このまことに稀代の大災害に対しまして、全力をあげてその対策を講ぜられんことをこの上とも切望いたしまして、私の緊急質問を終る次第であります。
  81. 關内正一

    關内委員長 岡田五郎君。
  82. 岡田五郎

    岡田(五)委員 ごく簡単に一問だけ御質問申し上げたいのでありますが、先ほど臼井委員から鉄道債券消化の見通しにつきまして質問をせられましたところ、国鉄総裁からは大体八十五億程度債券なら何とか消化できるのではないか、こういうようなお話がありましたので、この鉄道債券消化の見通しについての質問はやめまして、ただ本日のある新聞に鉄道債券発行の条件が発表されておるのであります。すなわち利率については年七分にするとか、あるいは発行価格は額面百円のものを九十八円にするとか、あるいはは期限を七箇年にするとか、いろいろ国有鉄道法施行令できめられました抽象的な条件が、具体的にきまつたかのごとくに発表されておるのでありますが、はたしてかような条件で発行せられる御予定であるのかどうか上げたいのであります。
  83. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま岡田委員の触れられましたいろいろな点は、これは何分にもわれわれ未熟でございますので、いろいろそういう専門の銀行もしくは大蔵省というようなところと研究をしておる過程のものが漏れまして出たものと思います。確定をいたしておるわけではございません。
  84. 岡田五郎

    岡田(五)委員 それでは一応新聞の発表は、目下研究中の素案が一部漏れた、かように了解をいたしまして、次にお尋ね申し上げますのは、国有鉄道法施行令の二十二条で、鉄道債券政府が引受けるというような場合もあり、またある会社で委託して募集をさせるというような二つの場合を考えておられるのでありますが、このたびの八十五億の鉄道債券の引受といいますか、募集方法はどういう形をお考えになつておるのか、参考にお聞かせ願いたいのであります。
  85. 長崎惣之助

    長崎説明員 その点はなるほど二つございます。そのほかにもまだあると思いますが、現在のところ、まだこれも政府引受で行くか、あるいは一部政府引受で行くか、あるいは全額を請負で行くかというような点についても研究中でございまして、まだ確定したる案がございません。
  86. 岡田五郎

    岡田(五)委員 せつかく御研究中でございますので、あまり多弁を弄しませんが、おそらく予算も七月中に通りまして、八月から実施の運びに相なることと私は存ずるのであります。そういたしますと、余すところ一箇月そこそこで、八十五億の尨大な資金を募集せられると思うのであります。いろいう経済界の状況を見ますると、必ずしも好景気にはなつていないようにも考えられる。金融関係相当逼迫しているがごとく、私少し心配し過ぎるのかもしれませんが、懸念いたすのであります。従いましてできるだけかような重大な案件につきましては、早急におきめいただきまして、一銭でも多くこれが現金化し、一銭でも多く、一日も早くこれが施設関係に投ぜられまして、鉄道施設の完全整備を一日も早くせられんことを実は切望いたすのでございます。そこで、まだ御研究中と御返事があるかもしれませんが、一つお尋ね申し上げたいのであります。たとえば政府が引受けない場合、その募集を委託される会社、こういうものについては、どの程度のことをお考えになつておられるのか。すべての銀行に、また証券会社におまかせになるのか、あるいは数社をきめておまかせになるのか、あるいは数社の証券会社あるいは銀行にこの債券を引受けさせられるつもりなのか、その辺のところを、まだ御研究中で御発表できないかもしれませんが、大体の構想がございましたら、お漏らしいただけまするならばけつこうだ、かように存ずるのであります。
  87. 長崎惣之助

    長崎説明員 何分にも初めてのことでございまして、正確なことは申し上げられませんが、目下いろいろ銀行局、あるいは大蔵省の当局、あるいは民間のその専門の方々、そういうような方々の意見を伺いますと、全国の全部の銀行に引受けさすというようなことはまだむずかしいのじやないか、やはり一定の、ある二、三の有力なる銀行を中心にしてやるべきじやないかというような意見もございます。また政府に一部引受けて持つてもらうということも考えなければならぬのではないか、いろいろな意見がございますので、これらをとくと勘案いたしまして、決定いたして参りたいと存じております。
  88. 岡田五郎

    岡田(五)委員 この質問で打切りますが、鉄道債券の引受者に対しまして、鉄道パスを与えたらどうかというような意見もあるようであります。と申しますのは、地方鉄道でいろいろ社債を募集いたしまして、相当の額を引受けた者に対しましては、地方鉄道は優待パスを発行いたしまして、社債の応募意欲を高揚いたしておるようでございます。国鉄も公共企業体になり、会社方式をもつてどんどん経営せられることになつて鉄道債券発行額というものは、年を経るに従つて、おそらく厖大になつて来ると言うと、言葉が悪いのでございますが、高がふえて行く。かように考えますと、鉄道債券のいわゆる消化力をよくする意味においては、かような優遇方法も一案ではないか、かようにも考えるのでありますが、かような巷間流布せらるる要望というか、説というか、これに対しまして、国鉄総裁はどのようにお考えになつておりますか。簡単でもけつこうでございますから、御答弁願いたい。
  89. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま岡田委員が申し述べられましたような債券の発行方法というものは、フランスの国有鉄道が若干やつております。それの資料も集めて参りましたから、それらもともとと考えまして、これはまた非常に影響の大きいことでありますから、早急には参らぬかとも存じますし、また法律上の疑問もあるのではないかと思いますので、それらをとくと考えまして、そういうこともあるいはやらなければならぬことになるかもしれません。
  90. 大久保武雄

    ○大久保委員 先ほどの九州水害の緊急対策に関しまして、もう一点お尋ね申し上げておきたいと存じます。  今回の災害にあたりましては、福岡市や熊本市には、緊急避難命令が出ましたようなありさまでありまして、罹災者はおそらく避難のために災害地を相当往復をいたしましようし、また被害物資あるいは救済物資の移動等につきまして、何らかこれが輸送上の罹災者に対する適当なる援助処分、そういつたことがおできになりますかどうか、この点をひとつ御質問申し上げておきたいと思います。
  91. 植田純一

    植田政府委員 鉄道といたしましては、災害関係の物資を優先的に取扱うということはもちろんでございますが、さらに運賃の面におきましても、救恤物資は無賃、また復興物資は減免をして、遺憾なきを期して参りたい、かように存じておる次第でございます。
  92. 大久保武雄

    ○大久保委員 物資につきましては了承いたしましたが、罹災者に対しましてはどういうことになりますか。
  93. 植田純一

    植田政府委員 罹災者の輸送につきましても、今までも前例もあるようでございますから、必要と認めました場合には割引その他の処置をしたい、かように考えております。いずれその点につきまして、さらに研究させていただきたいと存じております。
  94. 大久保武雄

    ○大久保委員 御答弁で一応了承いたしますが、こういうまことに類例の少い大災害でございますから、常軌を越えて、ひとつ大岡式に難民の救済に当られたい、かような希望を申し上げまして終ります。
  95. 關内正一

    關内委員長 質疑通告がまだありますが、出席政府側などの都合によつて留保されておりますので、後日適当な機会に譲ることといたし、運輸行政に関する質疑は一応これにて終ります。     —————————————
  96. 關内正一

    關内委員長 次に、運輸機関関係の税制問題に対する説明政府より求めます。岡田政府委員
  97. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 まず海運といたしまして、税制上問題となつております点について御説明申し上げまして、御配慮をいただきたいと思います。海運に関しまして問題になつております点は、二点ございます。いずれも地方税法に含まれておる問題でございます。その一つ固定資産税、他は事業税でございます。固定資産税は御承知の通り、固定資産がその土地にあつて、警察、消防その他のごやつかいになる、そういう意味で固定資産の所得者が、その地方に対して税を払う、こういう建前と承知しておるのでございます。しかるに船舶はほとんどの関係の市町村に所在いたしておりません。特に外国航路に従事する船舶のごときは、その港におる期間はきわめて短期間でございまして、たとえば貨物船にいたしますと、私どもの推定では四十日くらい、油槽船にいたしますと三十三日くらい、このような状況でございます。にもかかわりませず、この船舶に対しましては一般の不動産と同様に千分の十六、こういうものがかけられております。実際上地方庁においては船舶にこういう普通の税率を課するのは酷であるというので、外航船だけに限りまして一般の税額の四割というところに減額をいたしております。しかし最近つくりまする船舶は一隻いずれも十億、高いものは十五億もいたすわけでありまして、従いまして千分の十六の四割、千分の六・四にいたしましても、その額は非常に多額に上るわけでございます。簡単に例を申し上げさせていただきますと、昨年度つくりました船のごときは、昔の船舶令に比べて四十八倍、軽減してもらいましても十九倍というような状況でございます。これを昔の船舶令で今の保有船舶に税率をかけました場合と、現在の四割にされたものでとりました税額とを比較いたしますると、昔の船舶令によりまする場合には一億八千万円程度です。それが今日では十四億、約八倍になります。こういうべらぼうな増加状況でございます。これはちようど船員の給料が大体年間千百万円から二百万円くらいです。ところがかりに十一億の船にとりますると、この固定資産税が減額されましても八百万円くらいになる。さらに今ニユーヨーク航路についております優秀船のごときは十五億、こういうものは年間の税額がやはり千万円以上に相なるのでございます。これはお手元に資料を配つておりますので、その中に書いておりますが、従つて常時乗り組んで一生懸命働いている船員に払うべき給料と、先ほど申し上げましたように、年間のうち九分の一あるいは十分の一しか関係をしていない市町村に払うものとは、ほとんど同一であります、こういうような状況であります。しかもこのとり方が先ほど申し上げましたような応益主義に基きますがために、その船が港に入つた回数と、それから日数で按分してかけている。従つて一つの船に対して四つも五つもの市町村から税の徴収に来る。船主はその煩雑さに悩んでおるというような状況であります。今日日本海運が非常な不況にあえいでおりまして、当面において外貨獲得という面において日本経済に対する非常な貢献をしておりながら、海運会社は一社も残らず、郵、商、三井以下すべての会社が、まつたく破産の状態に瀕しているというような状況にある。船員の給料すらはたして十分に払えるかどうかという懸念もあります場合に、こういうような税額をかける、しかもこういう税は、外国では全然例を見ないというものでございますので、これが廃止もしくは減額が切に望まれておるのであります。私ども地方自治庁と交渉いたしましたが、現在の地方税法がある限り、私どもは交渉をした限度以上にはどうしても減額できないというのが実情でございます。地方税法を改正する機会に、一刻も早くこの点の改正が望まれておる。特に現下の海運不況の状態からいたしまして、緊急を要する問題である、かように考えておる次第であります。  もう一点の事業税につきましても、すでに御承知と存じますが、海運はいわゆる交通企業であつて、交通企業は一般的にいつて独占性を持つておる。従つて電気、ガスと同様にこれは外形標準課税、水揚高に対して課税すべきものである、こういう単純なる理論からいたしまして、一般の自由産業が収益課税でありますにもかかわらず、海運はこれが収入課税、こういう不合理なことになつております。この点につきましてもこの不合理を強調いたしましたが、占領軍当時で、これが改正の機会がなかつた。地方自治庁になりましても、その不合理を十分認めまして、実際の運用においては非常に手心を加えてはおりますが、しかし法律上、そういう水揚げ課税になつております関係上、これを収益課税の場合と同様に取扱うことができないといううらみがあるわけであります。地方自治庁においてもその不合理性を十分認めておるわけでございますが、今日これも地方税法の根本的な改正のときに譲るということで、遂に機会を得ず今日まで来たのであります。これも同様今日の海運界の危機ということに関連しまして、これが改正は緊急の事態になつておるということを御説明申し上げた次第でございます。
  98. 關内正一

  99. 植田純一

    植田政府委員 国有鉄道並びに地方軌道についての税制の現状並びにこれにつきましての考え方につきまして御説明申し上げます。国有鉄道の税の負担はどういうふうになつておるかということにつきましての現状をまず申し上げますが、日本国有鉄道法によりまして、日本国有鉄道には、所得税及び法人税を課さない、また地方公共団体は地方税を課さないというのが原則でありますが、特別に例外といたしまして地方税を課しております。しかもこれは最近におきましては、昨年の六月地方税法の改正によりまして、直接営業用に使わない自動車、自転車、荷車に対してそれぞれ自動車税、自転車税、荷車税が附加されたのであります。かような状態で現在国鉄が課税されておるものはどういう状態かと申しますと、この第四項のイ、ロにございますように、道府県税、市町村税にとつてみますと、道府県税におきましては附加価値税、鉱百区税、事業税を除きまして、その他の税は全部課税になつております。入場税、遊興飲食税、自動車税、道府県法定外普通税は課税されておるのであります。また市町村税は固定資産税、市町村民税を除きまして、これも自転車税、荷車税、電気ガス税、鉱産税、木材引取税、入場税、市町村法定外普通税は、全部課税になつておるわけであります。以上の地方税の額は昭和二十七年度におきまして、総額におきまして約一億四千万円となつておるわけであります。  それで日本国有鉄道に対する地方の賦課ということがよく問題になるのでありますが、特に固定資産税につきまして問題になるのでございますが、別紙の「日本国有鉄道に対する地方税賦課について」ということで、意見を申し述べておりますように、国有鉄道に対する地方税の課税は妥当でないと考えておるのでございます。すなわち日本国有鉄道は、全額政府出資の公共企業体としての性格から、国と同等の取扱いであつてしかるべきではないかと考えられるのであります。また国鉄の事業の運営の面から見ましても、私企業的の立場を越えまして、公共的立場からいろいろの事業をやつておるのでありまして、先ほども総裁から話がありましたように、路線別に見ますと、採算のとれない線が過半数であるという状態であります。またいろいろの定期券の高度の割引であるとか、あるいはまた運賃の割引等によりまして、いろいろと地方の経済圏に寄与しておるところであります。さらに全国的の見地から、交通網を確立するという見地に立つておるのでありまして、国鉄に対する地方税の課税は妥当ではないと考えておる次第でございます。また国鉄の現在の財政状態等から見ましても、固定資産税をこれに賦課するといたしますと、相当大きな額に上るのであります。とうてい今日の国鉄はこのままで負担することは至難な状態でございます。こういうようないろいろの見地におきまして、国民の負託にこたえて実施しなければならないいろいろの要請が一方において控えております今日におきまして、とうてい固定資産税その他地方税の負担に耐え得ることはできないであろう。かような観点から地方税の課税の対象とすることは妥当でないと考えておる次第でございます。何とぞこの点につきまして十分御検討をお願いしたいと思います。  なお国鉄について、これは地方税ではございませんが、いわゆる通行税が現在課せられておるわけであります。この点通行税の問題については、かねて通行税の廃止ということにつきまして、政府部内においてもいろいろと折衝を重ねて参つたのでありますが、今日の国の財政の現状から見まして、通行税の廃止については、意見がまとまつておらない状況でございます。しかしながら通行税の性質から見まして、これはむしろ存続する必要がないのではないかと考えられるのであります。通行税の廃止ということにつきましても、ひとつ十分御配慮をお願いしたいと思つておるのであります。今日御承知の通り国鉄の運賃は、二等は三等の倍になつておりますが、実は二等の倍額の運賃の中に通行税が含まれておるわけであります。従つて国鉄の実際の収入といたしますと、二等の運賃収入は三等の倍額ではないわけであります。二等の倍から二割が通行税として差引かれるわけであります。それだけ引きましたものが国鉄の収入になつておるわけであります。この点通行税の廃止ということに、今後とも政府部内におきましてもいろいろ話合いをして参りたいと思つておりますので、どうかよろしくお願い申し上げる次第であります。  次に、私鉄の関係でございますが、これは地方鉄、軌道業諸税額表という資料が配付してありますので、それをごらん願いたいと思います。まず国税でありますが、国税のおもなものは法人税でございまして、昭和二十六年度の決算における法人税の負担額は十億二千六百万円余となつております。これは御承知の通り増資あるいは金融機関からの融資等、資金調達の関係上、ある程度の配当を必要とするためでありまして、法人税率四二%というのは、この私鉄におきましては相当重い税率でありまして、かなり大きな負担になつております。次に地方税でありますが、地方税現状は、実は二十四年、二十五年、二十六年と比較していただきますと明瞭であるのでありますが、昭和二十五年の七月に地方税法の改正がございまして、それ以来私鉄の税負担は著しく増加して参つております。すなわち改正前の事業税の課税標準は、一般産業と同様に所得額が課税標準であり、また鉄道用地、軌道用地等土地は免税であつたのであります。ただ電柱あるいは軌道、家屋に対してのみ、軽い課税が行われておつたのであります。それが改正後は事業税につきましては、電気事業、ガス事業と同じように収入課税、すなわち外形標準課税となつたのであります。この結果私鉄の収益力は減り、また赤字の私鉄におきましても、収入総額に対しまして課税されるということになりまして、税負担が非常に重くなつてつておるのであります。昭和二十四年度の事業税昭和二十六年度の事業税とを比較いたしますと、約二・三七倍という増加を見ておるのであります。また固定資産税につきましては、先ほど申しました鉄道用地等につきましては、全然無課税であつたのでありますが、この鉄道用地あるいは家屋、土功、隧道、橋梁、車両、その他一切の有形償却資産に課税されることになりました結果、著しい増加を示しております。改正前の昭和二十四年度には固定資産税というものはございませんでしたが、電柱、軌道、家屋等ごくわずかに課税されておりました固定資産税相当する税額に比較いたしますると、実に四・八倍というふうに税金が多くなつておるのであります。その他住民税、電気ガス税等を加えますると、昭和二十六年度中の地方税の負担額は十五億六千七百万円余になつておるのでございまして、昭和二十四年度、税法改正前の地方税の総額に比べますと、約二七倍ということになつております。かような状況で、私鉄は概して収益率が低いのでありますが、また一面におきましては厖大な固定資産を有しておる企業でございますので、こういう私鉄事業におきましてはその対策といたしまして、事業税は従前通り所得課税ということにぜひしていただきたい。また固定資産税につきましては、鉄道用地及び鉄道のいろいろな構築物は、課税の対象から除外していただきたい、かように考えておる次第でございます。非常に簡単でございますが、現状並びに意見を申し述べた次第であります。
  100. 粟澤一男

    粟澤政府委員 航空関係について申し上げます。航空事業に対しましては、国税で通行税、揮発油税、関税、地方税事業税固定資産税、これだけかかつております。  まず通行税でございますが、御承知のように運賃の二割、こういう金額でありまして、年間推定一億五千万円と資料に書いてございますが、これは前決算期の金額から推定した金額でありまして、日航のただいまの計画が完了いたしました場合には、日航の計算としましては、おそらく二億七、八千万円になるだろうということを言つております。その数字は私どもまだ確認いたしませんが、おそらく二億円は越えるのではないかと存ずるのであります。それに対しましてほかの使用事業あるいは不定期を加えますと、少くとも三億近くの金額になるのではないかと思います。これは大蔵省とも再三折衝いたしておるのでございまして、政府が現在出資をし、あるいは開銀の融資まで考えなければならぬような初期の航空事業につきまして、こういう税金は悪税ではないかというのが私どもの主張でございます。ただいま鉄道の方からも御説明がございましたが、鉄道の場合には、二等は三等の二倍という料金の中に通行税が入つておるのであります。航空の場合には、料金のほかにこれが加算されます。たとえて申しますと、東京、大阪間五千円、二割通行税を加えまして六千円というふうになるわけであります。これがほかに転嫁の方法もなく、航空機利用を妨げておる非常に大きな原因ではないかと思うのであります。私どもはすみやかにこの悪税は撤廃してもらいたいということを申したいのであります。  次に揮発油税でありますが、これは日航の分だけで年間約一億一千万円ということになつておりまして、税率は一キロリツトル当り一万一千円になつております。これは大蔵省と再三折衝いたしまして、今までは毎年一年ごとに免税の措置をとつて参りました。今回は租税特別措置法の改正案の中に、今後三年間少くとも日航の計画で赤字の出る期間くらいは、免税してもよろしいではないかという意見もありまして、特別措置法の改正案中に織り込まれるはずになつております。  次に関税でありますが、定率法によりますと、揮発油税は従価の二割、潤滑油は三割、部分品等は一割五分ということになつております。これも大蔵省と折衝いたしまして、現在は毎年毎年一年限りで、揮発油は一割、潤滑油は二割、部分品等は免税という措置をとつております。従いましてこれも二十九年の三月までは一応免税される見込みであります。  次に地方税でございますが、事業税は海運の方からもお話がありましたように、収入の百分の一・六ということになつておりまして、これは私どももぜひ利益の何パーセントということにしてもらいたいと再三折衝しておるのでございます。法律改正を見ませんために、実行措置といたしまして、ここに書いてございますように、約三割程度は、引いてもらえませんで、現在支払いをいたしておりまして、あと七割ほどが、各府県で赤字の場合には免税してやろうというので免除されております。なお使用事業者は利益について百分の十二ということになつております。  次に固定資産税でありますが、これは評価額の百分の一・六ということになつております。一例を各飛行機のセスナー、ベル、ヘリコプター、ヘリコプターの大型といたしましてDC—六の金額をここに掲げてあります。たとえば日航がこれから国際線をいたしますために買い入れるDC—六の場合でありますと、八百万円という固定資産税がかかります。これを七機そろえますと五千六百万円という金額になり、先ほど申しましたように、育成しなければならない航空事業につきましては、少くとも初期はそういう税金を免除してもらいたいというのが私どもの念願であります。
  101. 中村豐

    ○中村(豐)政府委員 自動車関係について簡単に御説明申し上げます。国税として自動車で問題になるのは、揮発油税、ガソリン税でございますが、これは各国に比べて非常に高い税率になつております。なおお断り申し上げますが、資料は間に合わなかつたので、後刻御配付申し上げますから、御了承願いたいと思います。そのガソリン税の引下げをぜひお願いしたいのでございます。ただこれは、自動車には大部分ガソリンが使われますので、自動車の利益になるような道路整備に充てるべきであるという趣旨から、道路緊急整備の財源に関する臨時措置法という法律——名前はちよつと正確ではございませんが、そういう法律で、ガソリン税で上つた税金は、五箇年を限つて全部道路の整備にまわすということになつております。これは昨日衆議院で可決していただいたそうであります。その趣旨はわれわれも全面的に賛成でございますが、ただ税率を何とか下げていただきたい。そうして下げた税率で上つた金額も、全部道路整備にまわすべきであると思つております。  地方税で問題になるのは、事業税と自動車税の二つでございます。事業税につきましては、先ほど各局長から御説明申し上げましたように、運送事業は、電気供給業、ガス供給業と同様に独占的なものであるから、税金を課してもそれを利用者に転嫁することができるという理由で、一般産業の益金に対する課税の方針とは違つて、総収入に対して課税をしておる不合理があるわけであります。これは各交通事業と同様に、自動車についてもきわめて不合理でありまして、最近のように競争がはげしくなつて参りましてからは、独占的性格もだんだんなくなつて参り、収益も非常に落ちておるのでございますから、これを一般産業並に所得、つまり益金に対する課税方法に改めていただきたいと思うのでございます。ただいまは総収入課税でございますので、所得課税の場合に比べて五倍くらい高いものを払つております。ただ現地においては、収益率の低い業者には軽減措置が講じられておりますけれども、それでも所得課税に比べては二倍ないし三倍という高いものになつておるわけであります。この点一般産業並にしていただきたいと思つております。  次に自動車税の問題でございますが、自動車税は自動車だけに限つてある税金でありまして、その趣旨は固定資産税の意味に加えるところの受益者負担というものを加味して高いものができておるわけでございます。ところが受益者負担という意味では、自動車は、ガソリン税はもちろんでございますが、道路工事受益者負担金、道路損傷負担金、道路工事寄付金というふうに、道路の改良整備に関して非常に多額の負担をしておるわけであります。それが二十六年の総計では全国で百億あまりになつておるわけでございまして、受益者としては、そのような負担をすでにしておるわけでございます。従つて残りの固定資産税という意味だけで自動車から税金をとるのはやむを得ないのでございますが、固定資産税的に計算した自動車の税金と、現在行われている自動車税との比較を見ますと、トラツクにおいて三倍、バスにおいて約二倍、自家用乗用車のごときは七倍、営業用乗用車でも五倍という高いものをとられておるわけでございます。これらにつきましても固定資産税的に正当なものに直していただきたいと思うのであります。そのような要望にかかわらず、今度の地方税改正案では、その自動車税を引下げるのみではなくて、むしろ五割引上げという案になつております。この点は今申しましたような引下げるべきことが適当であるにかかわらず、逆行するわけでございますので、ぜひその点は御検討を願いたいと思うわけでございます。簡単でございますが……。
  102. 關内正一

    關内委員長 運輸機関に対する税制問題につきましては、後刻理事の方と御相談いたすことといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後一時二分散会