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1952-12-12 第15回国会 参議院 予算委員会第四小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十二日(金曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員岡田宗司君及び三輪貞治君辞 任につき、その補欠として千葉信君及 び中田吉雄君を予算委員長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    委員            石川 榮一君            石坂 豊一君            杉原 荒太君            高橋進太郎君            石黒 忠篤君            西郷吉之助君            中田 吉雄君            吉川末次郎君            一松 定吉君            千葉  信君   委員外議員            三輪 貞治君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁財政部長 武岡 憲一君    自治庁税務部長 後藤  博君   説明員    地方財政審議会    委員      荻田  保君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣送付)  (自治庁関係予算に関する件)   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今から予算委員会第四小委員会の第四回を開きます。  本日の議事は自治庁関係審議であります。只今政府委員として出席されておりますのは、鈴木次長武岡財政部長後藤税務部長であります。御質疑をお願いいたします。
  3. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 次長に伺いますが、この間も触れておきましたが、現在のストライキ影響地方税収入その他に影響する分についての問題ですが、この間もちよつと質問したのですが、その後こういう問題については、或いは炭鉱地帯は二十億の赤字であるとか、その他いろいろ事業その他にも影響を確かに与えておりまするが、そういう最近の状況による税収入に対する影響、その増減については、どういうふうに考えておられるかお答え願いたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今西郷委員のお尋ねの点でございますが、今回の地方財政修正計画を策定をいたしまする際におきまして、予測し得る限りのことは予測をいたしたのでございまするけれども只今指摘のごとく、炭労或いは電産のストライキがかように長期に亘つて深刻な影響を与えるという事態までは、当時といたしましては予想できなかつた次第であります。その結果地方税収にどのような移動を生ずるかということでございますが、これに関しましては未だ何分各地方団体に及びます問題でございまするから、的確な数字資料等は遺憾ながらまだ調製できておらんのでございまするけれども、例えば先般御指摘のございましたような鉱産税というような、出炭の、鉱産物の価額に応じまして取りまするような税収というものにつきましては一番その結果が現われて来るのであろうということは私どもも想像いたしておるのでございます。又電気、ガス等使用量減少に伴いましても、これも若干減収もあろうかとも存じまするし、又法人税割につきましては、これは法人税減少いたすと思いまするが、さような関係でやはり法人税割も若干の減収が或いはあろうかと思つております。これらにつきましては、政府といたしましては、特別平衡交付金におきまして、基準財政収入額算定過大というようなことからいたしまして、或る程度の調整は可能であろうと思つておりまするけれども、これが非常な重大深刻なる事態となつて地方財政全体につきまして非常な結果を及ぼすというようなことに相成りますといたしますならば、これは又そのときに何らか考えなければならんというふうな考えを持つております。
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今鈴木次長の御説明は一応分りますが、あらゆる場合を想定されて考えたと言われるけれども、神様でない限り長期に亘るかような深刻なストライキをまさか予想はされなかつたと思うので、現に炭鉱地帯だけを見ましても、あんなふうな深刻な陳情を受けておりますので、現在政府交付金と起債で三百二十億の線を固守しておられる限りにおいては、そういう説明になると思いまするが、そこは大蔵省との折衝でこうなつた事情はよく承知しておりますが、国家財政の許す範囲内においてやはり修正等も衆議院でも考えておるようでありますが、率直に御意見を承わりたいので、こういうふうな、実際面においてこういうふうなことが起りますれば、全国的に事業打撃を受けますし、国民個人個人の家計にも相当打撃を与えておる。こういうふうな事情は賢明なる鈴木次長においてはよく分つておられるとは思うので、そういう場合においても実際にはどのくらいの影響を与えておるということは明言されても一向差支えない問題であつて、三百二十億を固守する限りにおいてそういうことを言われないというより、むしろ率直に国民代表たる議会においては、こういうように見込んでおつたが、こういう結果になつたのだから、こういう点はこのくらいの減少になるということぐらいは、税務部長もおるのですから、そういうことは当然考えて然るべきものであつて、なお且つ現在のいろいろ社会情勢が起きたにかかわらず、やはりそれを見込んであるというふうにお答えになることは、いささか実際とかけ離れた議論ではないかと思うのでありますが、今大臣も見えましたから重ねて大臣に伺いますが、現在の炭労スト、電産スト、そういうふうな烈しい而も長期に亘るストライキのため、一般国民生活に及ぼす影響は甚大なものが現在あると思うのです。列車の輸送なんかについても非常なる変化を来しましたから、歳末を控えて今後の徴税関係影響するところが甚大だと思いますが、今日本多さんは三百二十億を厳守されておるけれども、やはりこういうふうな不測の相当大きいストライキが起きて影響を与えておる事実を無視することは、私はできないのではないかと思うので、その点は三百二十億とかけ離れてでもやはり地方に与えた税収入については予測せらるべきものであると思うので、その点を先ほど来鈴木次長に聞いておるのですが、大臣はその点は如何に考えておられるか、改めて御所見を質したいと思います。
  6. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) お話通りストライキの前途には非常に憂慮いたしておるのでございますが、これが自治団体徴税影響を及ぼすことは勿論だろうと思います。殊に直接鉱産税等財源といたしておりまする町村においては、非常な影響を受けておるのでございます。これらについては特別平衡交付金等でできることは措置して行かなければならんと存じますが、全般的な問題といたしましては、これが長期に続くということになりますと、重大な影響を及ぼして来ることと存じますので、その経緯も考えまして研究しなければならないと存じますが、今の段階におきましてはまだそこまで調査もできておらないことでございますから、この結果を見て研究いたしたいと存じます。
  7. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の大臣の御答弁ですが、勿論今すぐさま詳細なそれによる資料を出すことは、私もできないだろうということは分りますが、とにかく自治庁考え方では現在は地方税収入におきましても、我々が最も地方団体として財政的には基盤のできていない町村において四十四億の増収を見ておられるのですから、これは昨日も分科会でも団体側代表者意見を聞きましたが、なかなかさような結果にならんし、又昨日全国知事会代表者が多数来られての御意見を承わつても、その場合にも自治庁地方税収入が、府県については七億程度減収であるということで、それを知事会にも質したのでありますが、以ての外だ、非常な打撃を受けておるということで話を伺つたのですが、市町村代表者は昨日同じくそういう御意見でしたが、私は地方団体が、市長なり町村長なりが一番困るのは、政府側税収入を過大に見積ること、これは本多さんが一番よく知つておるのですが、三百二十億に切つたから、その穴埋め的に技術的にはこの数字を出されなければならないことは、私はあなたがたの立場としては分りますが、それは無理であつて、いろいろ裏付けした数字をここに出しておられる。その理窟はよく分りますが、三百二十億を基礎として穴を埋めたに過ぎないのであつて、そこにその苦心は分りますけれども、実際とかけ離れた数字がここに出ておるわけで、それは先般申上げましたが、又今回、昨日の代表者も申されましたが、市町村においては住民税法人税割とか、そういうようなものが、私この間静岡の実情調査したのでありますが、そんなことはあり得ないのに、自治庁では過大な見積りをしているために予算も立たないというふうで、深刻な表情で市町村の人から承わつたのでありますが、ああいうことはやはり事実であつて、決して嘘を言つているのじやないことは明白なのでありますが、町村におきましても自治庁の見込んでおられる四十四億の増収ということは非常に困難であつて、部分的には、そういう町村もあるかも知れませんが、全体としては今日の経済情勢から言つて増収があり得ないと思うのですが、その点大臣所見並びに税務部長がおられますから、その所見を質したいと思うのであります。
  8. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) お話通り個々市町村に亘りましては、これは相当減収になるものも出て来ることと存じます。それに対しては、それに対応する平衡交付金の配分を適正に行いまして、調整して行かなければならないと存じます。併し全体的な財政計画見積りといたしましては、年度も約四分の三まで進行しておることでございますので、見通しもやや的確なものが立つのでございまして、この程度収入を上げることは今の段階では必ずできると信じております。併し最前からお話のありましたこの社会情勢の非常な深刻化ということにでもなりますと、又それはそういう新事実に対応して研究しなければならないと存じますけれども、この程度収入は今の状態といたしましては全体的にはあり得ないものと考えております。
  9. 後藤博

    政府委員後藤博君) 只今の税の過大見積りにつきましての点についてお答えいたします。私ども見込みをつけます場合には、できるだけ近い数字で、実績基礎にして、近い数字基礎にして行きたいと考えております。勿論市町村実情もいろいろ調査しておりますが、市町村の集計はただ各市町村実収見積りを集計したものに相成つておるのでありまして、その点で私ども数字基礎にしたものとは多少異つておる点があるかと思います。ただ全体としては増収になるが、個々市町村についてはお話のようなところも多分たくさんあると私ども考えております。特に法人税割等についておつしやるような事態があると私ども考えております。それは昨年は非常に好況であつたが、本年非常に落ちておる。例えば紙、パルプの関係であるとか、繊維関係工場でありますとかいうところは、さような点があろうかと思います。そういうところにつきましては、当初の財政計画では一応余り減収にならないという数字で弾いておつたのでありますが、補正計画では相当減収が見積られまするので、平衡交付金基準になるところの基準収入につきましては補正をいたして頂きたい、こういうように考えておる次第であります。特に五千万円以上の資本金工場について個々別々に私どもは考慮をいたしたいと考えておるのでありますが、的確な数字が掴めなかつた場合には一億円以上の工場だけにつきましてもそういう措置を講じて、実情に合して行きたい、かように考えておる次第であります。
  10. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 町村の四十四億増収というものの中には、旧法による二十数億の分も入つておるのですか。
  11. 後藤博

    政府委員後藤博君) お答えいたします。入つております。これは昨年非常に旧法収入が伸びまして、昨年の実績では五十五億旧法収入があつたのでございます。本年は大体八十二、三億のものが残つておると思いますので、その三〇%の二十四億を見込んだわけでございます。
  12. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今税務部長説明がありましたが、昨日町村の会長の御意見でも、これは旧法によるものであつて、それを新たに今日の過年度的に滞納になつて来て、そして非常に苦しい徴収状況にあるのに、それを二十七年度に新たなる増収と見てもらうことは非常に迷惑だという意見つたのですが、私もそれは大いに同情をしたのですか、これは、あなたはそう言われるけれども、二十四、五年から過年度的にずつと来ているものが、去年非常な努力払つて徴税ができたから、本年も又同じ成績が上げ得るのだということは非常な独断であつて地方状況考えなければただ数字的にはそうなるかも知れませんけれども代表者が非常に困難だと思う。非常な努力をしてそれだけ前年は上げたのでありましようが、それだからまだ全部残つておるものはとれるのだということから、今日の非常に困つた経済状態にもかかわらず、それを見込まれるということは、非常に実情を無視したことではないでしようか。
  13. 後藤博

    政府委員後藤博君) 旧法収入財政計画の中に入れましたのは、昨年度から入れたのであります。昨年度は今はつきりした数字を忘れましたが、大した額を入れなかつたのでありますが、実収が非常に伸びましたので、その実績が大体三〇%以上になつておりまするので、まあ最小限三〇%くらいのものは取れるのじやないか、こういう見通しで本年度は加えたわけでございます。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その点は府県についてはどうされたのですか。
  15. 後藤博

    政府委員後藤博君) 府県につきましても本年は九億九千万円だけ入れております。これは昨年は十三億の実収がございました。本年度に残つておりますものが大体二十四、五億残つておると思いますので、その四〇%を府県のほうでは見込んでおります。これも大体府県の従来の実績基礎にして弾いたわけでございます。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 これは滞納している分を徴収しなければならんという努力は勿論いいことですが、これは国税の場合においても随分莫大な滞納があると思うので、そういうふうな点と、地方税における残つた分は飽くまで取るのだというふうな観念で行けば、その四〇%と言われるけれども、全然最後まで取れない分をどのくらいに考えてやられたのですか。
  17. 後藤博

    政府委員後藤博君) 府県の場合には四〇%、市町村の場合には三〇%と考えて、つまり三〇%乃至四〇%しか実収はないというふうに考えて、あとは非常に徴収のむずかしいものがあるだろう、普通の場合には滞納の五割とか、六割とかいうのが普通かも知れませんが、非常にむずかしい点がありますので、徴収率を非常に下げまして、三〇%乃至四〇%にしておるわけであります。最後にどのくらい残るか、不納欠損というのはどのくらい出るかは分りませんが、四〇%乃至三〇%程度は取れるのではないか、こういう見込みを立てたのであります。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 過年度的に何年幾らというふうな数字はすぐ大約分りますか。
  19. 後藤博

    政府委員後藤博君) 昨年は滞納府県の場合三十七億ありまして、旧法収入が三十七億一応予定をしておりまして、取れましたものが十三億五千万円、本年はその残りが二十四億ございまするので、その四〇%ということであります。市町村のほうは昨年はたしか百四十億ばかりあつたと思います。そのうちで五十五億五千万円入つております。それで残りが本年は八十二億幾らございますので、それの三〇%見込んでおるわけでございます。
  20. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうしてあなたがその残つておる分から最後にはどの程度が困難だという見込みをどう立てておられますか、現在の残に対して。
  21. 後藤博

    政府委員後藤博君) はつきりしたことは分らないのでありますけれども、このうちから勿論何%かは落ちることになると思いますが、落ちる前に時効の問題もございますし、もう旧法収入と申しますのは大体二十五年以前に収入すべかりしものでございますので、もう余り見込むことはむずかしいのじやないか。二十八年度くらいまでしか余り見込めないので、あとは大した額は財政計画として残すことはできないのじやないかと、かように考えております。
  22. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今あなたが言われる通り、二十五年以前のもう二、三年前のやつを取ろうとするのだから非常にむずかしいのであつて、然るにあなたは昨年度徴収分を差引いた分、その残り全部の何%ということを考えておられるけれども、それは無理じやないか。今あなたが言われる通り、その中のうちの或る程度については最後まで取れないということはもう分つておる。それを差引いた分についての四〇%なり三〇%というのなら、まだ話が分るけれども、それを差引かない残り全体に対する。パーセンテージですか、あなたの言われたのは……。
  23. 後藤博

    政府委員後藤博君) 個々市町村について調べるわけに参りませんので、大体従来の実績基礎にいたしまして、大体滞納旧法収入は三〇%乃至四〇%は毎年取つておりますので、そういう額を基礎にして弾けば大した見込み違いはないだろう、こういう意味で三割乃至四割、あと残りがこれはむずかしいものが相当あるだろう、取れないものもあるだろう、こういう意味であります。
  24. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 大臣に伺いますが、市町村の分につきましても、府県につきましてもベース・アツプの政府案が高いという点につきましては、どうも町村側資料もななかはつきりしませんので、国会側としても非常にその捕捉に苦しんでおりまするが、どうも話を聞きましても、昨日の町村代表意見によりましても、高いというけれども、殊に例えば町村のような職員の場合には、大学を出てすぐ就職する人の率は非常に少くて、会社に勤めるとか何とか、中年から入る職員が多いので、そういうふうなことから考えれば、市町村に対する勤務年限は短いけれども年をとつたり、ほかから転入したために相当給料が高いものもあるのだということは、大臣もよくお分りだと思うのですが、全般についてやはり会社国家公務員違つて途中から入る人が私は実際に随分多いと思うのです。ですから、単に学歴とか勤務年限国家公務員と比較すると、そこにおいてその人の内容、実体が違うのですから、条件の違つたものを比較しても、これは非常に無理じやないかと思うのですが、そういうような点はどうですか。
  25. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方団体職員につきましては、いろいろ沿革も違いますし、お話通り国家公務員と比較する場合、高い吏員を擁している場合も多いことと存じます。その実情はお察しできるのでありますけれども平衡交付金算定基準財政需要額としては、やはり法令の定めておりまする国家公務員に準じて算定することが適当であると考えておりますので、それに基いた次第でございます。
  26. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういうようなことで行きますと、今片方にべース・アツプの問題があり、それも勧告通りには行かなくて問題があるときに、地方公務員については大蔵省意見従つて自治庁担当大臣まで、例えば市に対しては約千円引下げてからやれというようなことを要望されても、実際にそういうことが大臣として考えられて、自治体の長ができるかどうでしようか。できないことを言うのは政治にならないと思うのですが、そういうことが実際にできると考えて確信を持つて言われるのですか。
  27. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この基準給与よりも安いところもあります。安いところも高いところもありますが、結局政府財政計画不足額補填は、只今申しました国家公務員に準じて行う以外にはないと思います。それでは高いところがその低い切下げた額の二割という財源では不可能ではないかというお話だと存じますが、その財源のみを以てしては不可能な場合もあると存じますけれども地方団体におきましてはその財政を人事に幾ら振向けるごとによつて能率を上げるか、その他にどういう割合で振向けるごとによつて市町村成績を上げるかということを自主的に運営しておるのでございますから、政府の責任に属する範囲内の補填をいたしましたあとの問題は、自治体において適当に工夫して頂くよりほかないと思つております。
  28. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 政府でやることはやるのだがと言われるけれども、その額が幾ら高いということによつて政府の見込む額が違うのであつて、現在与えておる給料片方にペース・アップもあり、国民経済の苦しいときに引下げてやることができるかということを伺うのです。そういうことが実際市長なり、町村長にできるでしようか。片方にベース・アップをやつて、その財源に苦しんでいるとき、それも十分なことが国家公務員つてできない。然るに自治体職員国家公務員に比較するとこれこれ高いから、市長なり町村長がお前のは一千円下げるのだということを言つて、そういうことが事実できるかということを伺うのです。
  29. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 基準財政需要額算定基礎国家公務員に準ずるために、実際の地方団体給与よりも低いという関係についてでございます。これは自治体につきましては自主的に運営しているつもりでございますので、私のほうといたしましては切下げをやれというようなことを全然指示する考えはございません。併し地方団体におかれましては、その人の経験或いはその人の手腕等によりまして、給与を高く支払つたほうが自治団体として効果を上げ得るというような見解の下に高いものを抱えておられる場合もあると思います。又安いところもあります。ですから国家公務員に準じた財源の確保をいたしまして、そのあとはどうしても一体的にこの算定基準は別に地方団体を拘束するものでありませんから、一体的に運営して頂くのでございますので、あと地方団体の自主的な御工夫にお委せするよりほかないと思つております。
  30. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 大臣はそう言われますけれども大臣も言われる通り市町村のものには国家公務員に比して低いものもあります。その点を大臣もよく御承知なんでありますから、その高いものと低いものと両方あるとき、その点を実際にはどのくらい正確に出しておるかということが問題であつて、それを我々も心配いたし、団体側代表者意見を承わつておりますが、どうも向うは数が多いために、我々の期待することが伺えない。それで我々も非常に困るのですが、然るに実際には自治庁大蔵省と一緒になつて、これだけ高いという数字をここに出して、そうして平衡交付金を見込まれるから、それでは不穏当ではないのか、大臣といえどもここにいくらいくら高いというのは、これはもう的確であるとは思つておらないと私は思います。高いものもあれば、低いものもある。それで国家公務員との実際の調査も十分まだできていない。然るにそういうふうな一方的に断定を下して、そうして一方的な財源しか与えない、あとはお前たちが自主的に勝手にやれと言つても、財政の余裕があればできますけれども、御承知通り、もう給与に困つて、前年度の決算でも見ますと、殆んど事業ストップして、ちよこまかしているということは、大臣が非常によく御存じだと思います。そういう現状においてまだ幾ら幾ら高いと断定するのは早い、資料から見ましてもそういうふうに一方的に断定されることは、事が給与関係することだから、私はそういうふうなことは軽卒に断定を下すべきものではないのではないかというふうに思うのです。殊に最初から地方自治として出発をして、或る場合には政府は自主的にやると言われる、或る場合には一方的にやると言われる。例えば今度の場合でも、六十億の節約ということを政府は一方的に言つておられるので、片方は都合が悪くなると自主的にやるのだ、あとの足りない分は自主的に高いものは高いなみに勝手にやるのだと言われるけれども片方節約を一方的にきめて六十億落しておるじやないか、そういう矛盾をやつておりながら、困ると、それは自主的にやるのだという。併し結論はこれだけだということを出しても、これだけでは結論が不正確だと思います。その点如何でしようか。
  31. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この給与算定については、いろいろな角度から御批判を頂いておるのでございますが、政府といたしましては関係各省と連絡いたしまして、可能な限度において最も公正な調査方法を採用いたしまして、これならば実態と決して隔りのあるものでないという確信を以て結論を出しておる次第でございます。
  32. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 大臣は確信を持つておると言われるが、その確信が甚だ不確信だと私は思う。大臣みずから、高いものもあれば低いものもあると言われるじやないか。だからあなたが、そういう的確だといわれる資料をここに拝見したい。政府資料を見ても的確だとは言えない。自治体資料も、残念ながら私どもとしても伺うけれども、この線のあれは大丈夫だというのはなかなか出て来ない。自治体の分についても、自治庁といえども、これで大丈夫だという資料が出せないじやないか。我々のほうは今出しておるのを見れば、それはなかなかこの通りには思えない。大臣みずからの心のうちには、これは不的確であるけれども、三百二十億を厳守する手前、国会では確信があると言われるけれども、甚だこれは検討しても不確定で、高いことがはつきりわかれば、その点はいいのですけれども、なかなか分からんじやありませんか。それを確信を持つていると言われるが、何ら根拠はない、確信というものは言葉の先だけで意味がないじやないかと思う。
  33. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 給与基準給与、実態給与の比較につきましては、資料をお上げしておりますので、それで御了承願いたいと思うのでございますが、なお必要がございましたならば説明をさして……。
  34. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 大臣に重ねて伺いますが、そういうふうなことを一方に言つておるけれども節約をするということは、徴税によつて仕事をやる上に必要な、無駄があつてはいけませんが、一方には六十億というものを押し付け的に落されるということは、私は今のお話だと非常に遺憾であつて、いいときにはいいが、工合が悪くなると自主的にやれと言つて六十億落している、これは決して自治体が了解しているわけじやないのですが……。
  35. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この節約額の見込みにつきましても、政府が独断的にやつたのでなく、政府がやはり自分でも節約しておりまするが、それに準じて地方にも可能な節約をやつてもらうことになつておりますので、それを算出いたしておるのでございまして、政府節約不可能であるというようなものについては、地方においてもそういう見込みは立てておらないのでございます。当初計画にも節約額は国の節約に準じて計上されておるのでございます。
  36. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 重ねて大臣に伺いますが、最初は大臣のほうの考え方も、今の三百二十億でなく、もう少し二百億くらい増した五百数十億だつたと思うのでありますが、それは自治庁説明だと大蔵省とだんだん数字を突き合わして行つて三百二十億にしたのだと言われるけれども、私はそうは思えんので、最初に大臣に伺つたときも三百二十億だけの説明はあつたが、細かい数字ができないのだという御説明もあつたけれども、これは逆で細かい数字ができておつて結果が出なくちやいかんのですが、大臣に最初に委員会で伺つたときも、結果だけはできていると言われたが、細かい数字はまだできていないということで、どうも逆算的にやられたのではないかというように思われる節がたくさんあるわけなんで、それでは私は非常に遺憾なのですが、その点はもう御承知通りどの分を見ても実態とは一致していないので、資料が揃わんために非常に我々も困難を来すのですが、この程度は私だけが質問してもいけませんから、一応ここで私の質問は……、もう少し時間をおいて後にいたします。
  37. 中田吉雄

    中田吉雄君 それではお伺いをいたしますが、国家財政地方財政との調和のとれた、発展のために調和のとれた財政収支が組まれることが、日本全体の再建なり安定にとつて極めて大切であるというふうに考えるわけでありますが、このたび政府の出されました国家予算補正額を合計いたしますると、九千三百二十五億、地方財政財政規模は七千四百三億円です。ところが国家財政におきましては、安全保障諸費五百十数億、その他合計いたしますると、計算の方法にもいろいろありますが、二千数百億の財源の余裕があるわけであります。安全保障諸費、防衛支出金、平和回復善後処理費等々、軒並に年度末に行つても繰越される額が非常にたくさんある、それだけでも一千数百億で、その他全部かき集めると、計算の仕方にもいろいろありますが、少くとも二千数百億に上るとさえ言われているわけであります。併しそれは仔細に検討いたして見ますると、国家公務員に対してはできるだけ給与アップを低くして、そういう犠牲もそこで地方財政にしわ寄せすることによつて、この国家財政の非常な財源の余裕が出ていると思うわけであります。私は中央、地方との釣合のとれた財政収支が立てられることが、国政運用上最も大切であると思うが、そういうことについて所管の大臣である本多さんはどういうお考えでありますか。
  38. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方財政算定に当りまして中央と地方との財政の調和ということは、全くそれが目標でなくてはならないと存じます。只今中田さんのお話によりますと、国家財政の面においては相当のまだ余裕金があるではないかという観点からの御質問でございますが、今回補正予算算定いたしますにつきましては、あらゆる面にバランスをとるように検討をいたしまして算定してあるのでございますが、御指摘の安全保障費等は相当使用未済のものがございますけれども、これらの今後の充当すべき使途につきましては、大蔵省予算当局からでも詳しく御説明申上げなければ御了解困難じやないかと考えております。
  39. 中田吉雄

    中田吉雄君 向井大蔵大臣が国会各派の代表質問に対して、現在どれだけ残つて、そうして年度末にどれだけ繰越されるかという概算については報告されましたので、了承しているのですが、併しともかく国家財政には、そういうふうに非常な余裕がある。安全保障諸費のごときは、どんなにしたつて二百数十億は残るということはもう明らかであります。併し地方財政におきましては、私の乏しい体験を以て見ても、昭和二十五年に参議院に出まして、爾来地方財政を担当して、かくも激しい地方財政の窮乏について訴えられることを聞いたことがないわけであります。それは大体我々の検討によると、昭和二十四年頃が国家財政のやや安定した時で、二十五年からやや下り坂になり、二十六年には窮迫の度合を加え、本年度はスロープが一層厳しくなつた。全国の知事会市長会、町村長会で共通して地方財政の赤字を訴えられているわけであります。そこで大臣はかくも地方財政が窮迫いたしましたのは、どういうところにその原因があると考えられますか、それは地方公共団体の生長や議員等が財政収支の不当或いはそのまずさというような不手際からこういうことになつたものであるかどうか、或いは平衡交付金法の規定にあるように、財政需要と財政収入との差額を補償するという国の義務を持たなかつたためにこういうふうになつたのであるか、どちらであるか。地方公共団体のそれぞれの関係者の運用よろしきを得ないことによつてこれは招かれたものであるか、政府が再軍備その他のしわ寄せを、地方財政にしわ寄せすることによつて平衡交付金法の趣旨が完全に実施されない、政府財源措置をしないというところに来ておるのであるかどうか、そういうことについて御所見はいずれであるかという点を伺いたいのであります。
  40. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 赤字団体の経過等を見ますと、お話のような経過を辿つているように存じます。その原因がどこにあるかという点につきまして、実績の計数に基ずく説明は、政府委員から申上げるごとにいたしますが、私の観察を申上げますと、御承知のごとく平衡交付金制度になつてから地方財源として確保されるものは、基準財政需要額でございまして、これはお話の国政との財政の調和という点から必要不可欠な、可能な限度という切り詰めたものになつておるのでございます。これに対して地方団体は、国も同じことでございますが、民心の復興につれまして行政規模をどうしても膨脹させるという傾向にございます。これは一日も早く荒廃した国土の復興を図りたい、自治体の発展を図りたいという一念から出て来ることでございますので、これを決して濫費であるとか、無責任であるとか言うことはできないのでございますけれども、勢い行政規模は財政力をオーバーしたものに膨脹して行くというようなことが根本原因をなしているのじやないかと考えております。
  41. 中田吉雄

    中田吉雄君 可能な限度と申されますが、平衡交付金法の第三条には、この「財政需要額と財政収入額とを測定し、財政需要額が、財政収入額をこえる場合における当該超過額を補てんするために必要且つ充分な額を、——国の予算に計上しなくてはならない。」ということになつているわけであります。我々がこのあとでも次々にお尋ねいたしたいと思いますが、かくも地方財政が窮乏いたしましたのは、私は地方公共団体の不手際或いはまずさというようなことよりかも、政府がこの平衡交付金法を悪用されまして、財政需要をできるだけ少く見、財政収入をできるだけ多く見て、その差額をできるだけ少くされるというようなことをされたためであるというふうに考えるわけであります。こういうことではもはやこの地方公共団体のそれぞれの関係者は安んじて地方自治を運営するということは極めて困難な段階に私来ていると思うわけであります。如何に政府国家財政を均衡化されるために予算の圧縮をやられたかということは、国家財政地方財政との、ここ累年の比較を見てもはつきり出ているわけであります。例えば昭和二十七年度の当初予算におきましては、歳入歳出とも地方財政の規模が国家財政に対するパーセントは八割二分一厘であつたものを、それを今度補正額を加えてとにかく計算してみますると、七割九分に圧縮されているわけであります。この点にやはり非常にはつきり現われているわけであります。当初予算においては、地方財政の規模が国家財政に対する割合は八割二分一厘であつたものが、補正額を加えてやつてみますると、七割九分で、地方財政の規模が圧縮されている。この点にやはり無理があつて、私はこういう額を、この補正額に対して知事会市長会、町村長会等のやや水増しがあるではないかというような額を調整して、それを地方財政の規模にプラスして計算しますると、大体当初予算の額にやや近くなつて行く、私はいろいろ検討してみましたが、地方公共団体の諸君の陳情は、ありがちなこの水増しをした要請であるとはとれないという点がこの国家財政地方財政との比較においてもはつきり出ていると思うのです。当初予算よりかも三%も圧縮されているところにはつきりそれが出ている。こういうことではやれないと私は思うわけでありますが、そこで水掛論になりますから、具体的な数字について、私の前提は先に申しましたように、財政需要をできるだけ少く見積つて、そうして財政上の収入を多く見積つて平衡交付金を少くするという点が随所に行われていることを、そういう立場でこの予算は組まれているという前提の下に御質問をいたしたいと思うわけであります。  先ず税収入の面についてお伺いいたしますが、私は事業税の税収入というものは、この見積られている額というものは、現在の経済状態に鑑みて少し無理があるのではないかということを考えますが、これは計数的なことですから、鈴木次長に一つお伺いしたいと思います。
  42. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 事業税の問題でございますが、これは当初計画におきましては、昨年の九月期の決算等を基礎にいたして推定をいたしたのでございますけれども、今回の補正予算におきましては、本年の三月期の決算の事態が明らかになつて参りましたので、さようなものを基礎にいたし、国税の法人税の課税見込み所得というようなものから推算いたしまして、今回十二億五千九百万円の減収になるという結論に到達いたした次第であります。
  43. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はその減額補正では十分でないんじやないか、いずれ鈴木次長のところにおかれても産業経済の収益率、所得率等について御研究になつて適正な税の見積りを出しておられると思いますが、それらとの関連において一つ御説明願いたいと思います。なおその前に御伺いいたしますが、この昭和二十七年度都道府県税収見込額調というのはこれは平衡交付金の仮算定に使われた何でしようか。
  44. 後藤博

    政府委員後藤博君) 仮算定の表は基準財政収入に使いましたものを基礎にいたしまして、その後我々のほうで全体的に弾きましたもので修正いたしました数であります。これは大体この程度のものがとれはしないかという目安の数字でありまして、別にこれを以て府県に強制する意思はありません。議会からの御注文もございましたので、大体この程度になりはしないかという見込を立てたわけであります。府県のほうにはこれは示しておりません。
  45. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この事業税につきましては、昨年度は御承知のように朝鮮ブームのあとを受けまして、相当に工合がよくございまして、二十六年の決算見込におきましては、府県は約二百六億の増収になつておりますが、これは主として事業税の増収に基くものでありまして、さような状態でございますが、国税のほうでやはり法人税の更正決定分を相当本年に廻しておるものがあるのであります。そういうような関係で、景気全体としてはだんだんと下降している状態ではございまするけれども、本年に至つて法人事業税としてさような分で入つて来る面が相当あるわけでございまして、さような点を勘案いたしまして、先ほど申し上げましたような数字になつておる次第であります。
  46. 中田吉雄

    中田吉雄君 鈴木次長に申上げますが、私が見ました通商産業省企業局編の「我が国主要産業の経営比較」という十一月五日発行の最新の資料なんです。これによると、朝鮮事変によるブームも一段落いたしまして、昨年の下半期から企業収益は軒並に低下している。そうして本年上半期はその傾向を更に強め、そうして来年の二月においては、或る程度のクライシスが予定されるではないかと言われる状態、これによると、県の財政、収益性をみますと、昨年の下半期においては、当期中の純収益は前期に比し全産業で二六%減、製造工業が三二%と大幅な減収を企業収益は来たしているわけであります。そうしてそれを見ますると、一番ひどいのが繊維産業、その次に化学工業、製造工業というふうになつて、いいのは鉱山の鉱業だけでございます。こういうふうになつて企業収益が前の半期に比べて二六%も平均で減少しているということになつております限り、私はこれだけの事業税はなかなか困難ではないか、そういう点にも非常に問題があるのではないかと思うわけであります。そこでこの内訳を見まして、頂きました法人事業税、個人事業税、当初分、補正分というようなのをみましても、非常に問題があつて、こういう点はやはり私は全国の知事会言つている府県税の減収分というものが相当耳を傾けていい資料ではないか。これは通商産業省が持つている全スタッフを動員して調査した結果、全企業が昨年の下半期においては二六%も企業収益が少くなつている。そうしてトレードとしては、動向は更にその傾向に拍車を加えつつあるという際に、どうしてもこれまでの税を納める慣習からいたしましては、国税が中心になりがちな産業に私はこれだけの税収を確保される。従つて基準財政需要をこういうふうに見られる大きな無理な点は、先ず第一に事業税にある。而も朝鮮事変の景気というものは特需産業のあるところに非常に集中されて、農業県なんかに対しては私はこの補正では到底問題にならんというふうに考えるわけであります。こういう点についてはどうでしよう。これは最も信憑性のある、とにかくもう前半期よりか、昨年の下半期に二六%も企業収益が低下して来ている。それにもかかわらず、税収がこれほど確保されるということは、国としてはやはり政府が国家の財政規模を立てられて、これくらい余るからというので平衡交付金を二百億にきめられて、それに合うようにそれぞれ背伸びされたという先ず第一点が地方税にあるというふうに思いますが、この科学的な調査に基く資料に鑑みて、新たなる考慮をされる用意はないかどうか、お伺いいたします。
  47. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の通商産業省の企業局の調査に基く資料につきましての御話でございますが、この点は恐らくその利益の見方が何といいますか、あら利益でありますか、或いは償却前の利益と申すのでございますか、さようなものでございますか。それとも例えば大蔵省のほうで調査をいたしておりまする課税の見込所得として弾き出しておりまするものでありますか、その辺がやはり基礎が違いますると、数字違つて来ると思うのでございまして、先ほど申上げましたように、前年度分の更正決定にかかりまするものが今年の課税見込所得の中に法人税として相当に入つて来ておるのであります。さような関係で、今の業績の低下がそのまま直ちに事業税の減収というふうな形で現われては来ないと思うのであります。で勿論一般的な傾向としては、御指摘通りでございまするから、そのような点は見込んでおるのでございまするし、先ほど申上げました十二億五千九百万円というのは法人事業税のほうの減でございまするが、個人事業税につきましては、これは前年度課税ですから、更に今日よりは状態がいいはずでありまするけれども、それにもかかわらず、三十四億余りの減収を見込んでいるわけでございまして、さような意味で、少くともこの地方財政修正計画を策定いたしまする当時におきまする状況におきましては、可能なる限りの状況判断をいたしまして、かような数字をきめた次第でございます。
  48. 中田吉雄

    中田吉雄君 大蔵省が税を取立てる場合の問題と収益性の問題との関係においては、御指摘のような点があると思います。併し大体の傾向としてはやはり明らかにこの半期ごとに悪くなつているという趨勢は出ているわけですから、私はやはりこの知事会議が我々のところに提出しました事業税の減収というものは、若干の含みはあるにいたしましても、私は尊重しなくてはならんものを持つているというふうに考えるわけであります。  その次に税の見積りが過大であるというのは、遊興飲食税と入場税についてこれが非常に問題である。その点について第十三国会に私たちが修正を考えました際には、ああいう修正をやると入場税、遊興飲食税はこれだけ減税する、大変な財政欠陥になるといつて指摘されたものを換算して出して見ると、全然そのときとは違うわけであります。議員は計数にうといと思つているとは言いませんが、恐怖心を起さして、この税率を改めるのに利用されたとは申しませんが、そのときに我々に出された資料によると、参議院でああいう修正をすると、大体二十億九千九百万の遊興飲食税が減になり、入場税が二十四億の減収になる、こういう説明がされたのですが、ところがそれをずつと今度の政府の計算された額と、これは十月分から実施ですから、六カ月ああいうふうにすると、これだけになるといつても、それが一月から実施なんですから、それとは非常に開きがあるが、その間の説明について、議会運営のためにああいう数字を使われたのか、甚だ信憑性がないと思うのですが、その点一つお伺いいたしたいと思います。
  49. 後藤博

    政府委員後藤博君) 入場税の減収につきまして申上げますが、修正の際はたしか十月から実施しますれば、入場税は本年度は二十四億減る、遊興飲食税は約三十億減るという数字なつたと思います。これを月にいたしますと、一月分だけは特に増収になる月でありまして、従来の実績から申しますと、一月は大体一、八月分の収入がある月であります。それからついでに申上げますが、遊興飲食税は一・二くらいであります。そういう計算を基礎にして減収分を弾いておるのでありまして、もとの数字はそんなに違つていないと考えております。ただ一年分の当初計画ではこの二十五年度実績基礎にいたしまして、二十五年の推定を基礎にいたしまして、遊興税、入場税の当初見込を立てたのであります。ところが本年の大体九月頃からの実績はわかつて参りましたし、それから所得税のほうの遊興税につきましては、所得税のほうの基準になつておりますところの遊興飲食業者の売上も大体捕捉ができる状態になつておりますので、そういうものと合せ考えまして、全体の数字を変えております。併し内容の差引数字はそんなに変えていないと思つております。
  50. 中田吉雄

    中田吉雄君 大抵私も正月は書入れどきだからという形で逃げられると思つたのですが、少くとも我々に説明されたときの遊興飲食税の当初予算は百七十八億で、十月から実施すれば、二十九億九千八百万の減収になる、それをその通りに計算して見ると、政府の出された本年度の遊興飲食税は百七十七億ですから、幾らになりますか、十二億も違うわけであります。入場税のほうは幾らですか十九億ですか、そういうふうに非常にその一・八や一・二を掛けてもなかなか合わない数字なんです、これは合わない数字なんです。併し特にそういうプラスも、正月のプラスもあるかも知れませんが、岡野国務大臣は、これはあらゆる努力を払つて十月から実施するということを声明されておる、このためにこの遊興飲食税の徴収は非常に困難を極めている、マイナスもあるわけであります。これは非常に大きな額、少なからん額だと思うわけであります。そういう点で私は甚だ遺憾だと思うわけであります。我々が修正をいたしますときには、二十九億九千万円の遊興飲食税、入場税が二十四億も減収になつて大変だからというので詳しい計数を出されて来たのです。それが今度修正された財政規模においては、あの当時の説明から換算したのよりか、それぞれ非常な差がある。十九億と十二億も違う、ここですでに三十億の差があるわけであります。そういう点で私は知事会議がやはり大体入場税、遊興飲食税の一月実施に関する減収額を三十億と見積つているのは、そういう計算からしても大体誤りのない数字だと思うのです。企業収益が二六%減つているのに、その点更に遊興飲食税がそういうふうに三十億も実際よりか余計見られている点に先ず非常に問題があると思います。更にこれはその内訳の各府県別の数字を見ても、非常に私は矛盾があると思うわけであります。一つこれは後藤さんに説明を受けたいと思うが、ずつと見て来ても、例えば入場税についてこれは一体どういうものを基準にして割られたか、例えば鳥取県と島根県について一例を挙げてみれば、どういう基準でこういうことになつているか、例えば鳥取県においては人口は六十万だが、入場税の補正分は六千八百万、島根県は九十万、百万近いが入場税は五千六百万、これは一体どういうところからこういう数字が出て来たか、これは私がちよつと気のついたところを拾つてみても、人口六十万のところが六千八百万で、人口九十万の島根がこれによると五千六百万というような、逆になつ補正があり、この補正されたものを見ても非常に問題があると思うのですが、一体入場税の課税基準はどうなるんですか、私はこの地方税法を出してみてもなかなかこれは納得できない。
  51. 後藤博

    政府委員後藤博君) 入場税の県別の大体の見積りにつきましてお答えいたしますが、その見積りは従来の実績基礎にいたしまして、それに本年の伸びを大体私どものほうで見込んでおります。まあこれを以て県に押付ける意思はないのでありますが、鳥取と島根との間では、従来入場税につきまして、たしか一人当りの入場税額に非常な隔たりがあつたと思います。これは説明を両方の県で聞きますると、島根県のほうでは一人当りが従来非常に少いんだということを崩しておるのであります。全国でたしかおしまいから二番目ぐらいになつてつたと思います。一人当りの入場税、料金ですね。鳥取県は相当上のほうにおります。これは県の財政から非常に徴収を強化しておるということもあろうかと思います。併し一応従来の実績基礎にして本年の伸びを考えておりますので、そういう数字なつたかと思つております。
  52. 中田吉雄

    中田吉雄君 先に申上げましたように、とにかく我々が第十三回国会で審議した際には、ああいう修正をすればそれぞれ二十九億、二十四億減ると言われたのが、まあ殆んど符合さしたように知事会のと合つて、結局政府からお出しになるのは議員の説明用と実際この税の徴収に使われるのとが非常に先ず一致しない。これは私は国政の判断を誤らしめるところの重要な問題だと思うので、今後一つそういうことのないようにして頂きたいということをお願いしたいのですが、私はこの国民経済研究協会から出ている「府県別現況分析総合図表」によつて県民所得を見ても、島根県のほうが遥かに高い、鳥取県のほうが低い、人口は六十万と九十万、それにもかかわらず非常に逆になつておるというような点は、鳥取県が特別この映画、演劇の愛好者だというような特殊事情考えられないわけで、それは結局全国の地方財政に対するしわ寄せが最も弱い県にしわ寄せされて、そうしてそういう所が余儀なく徴収を強化しているということがあるのではないかということを私は言つておるわけであります。これは非常に私は人口と国民所得というようなことと、県民所得というようなことと関係があると思うのです。こういうことは単に実績というようなことでなしに、どんなに考えて見てもこれを人口にしますならば、逆にならねば甚だ妥当でないと思うのです。それが更に遊興飲食税においても我々としては非常に財政窮乏な鳥取県が、遊興飲食を盛んにやるというようなことはこれはどうしても考えられない、私が特に鳥取県と島根を挙げて言うのは、そういうふうなものが積み重なつて遊興飲食税や入場税ができている、それが非常に例えば遊興飲食税と入場税も鳥取県が七千四百万、島根県が六千九百万で、人口が六対九なんです、これはどんなに考えても、こういう補正平衡交付金の計算をやり、それが積み重つて全体の入場税や遊興飲食税が出ては、私は信憑性が十分でない、勿論一万近いところの地方公共団体を集計されるのですから、なかなか多くの困難はあると思うのですが、特に鳥取は火災で、遊興飲食税の三分の一を持つ鳥取が壊滅しているのに、島根県と鳥取県の補正が七百万ずつで同額であるというようなことでは、てんで我々をして、全然数字を見ない議員ならともかくも、頂きました資料を丹念に検討してみると、そういうふうなしわ寄せが地方財政にあり、税の見積りは極めて厳重にし、そして財政需要のほうから非常にプレシアーがかけられているということに私はなつていると思うわけで、ですから先に申しましたように、知事会が申しています百七十億、地方自治庁が八億の調整をやられたのを見て、私たちは若干の考慮を払いながらも知事会の要請は十分考えていいのではないか、それは先に申しましたように、主要産業の経営収益の動向と、遊興飲食税等を見て私はそういうふうに思わざるを得ないわけであります。この点は各県別のアンバランスについては一つ十分考慮して妥当な線を打出してもらいたいわけであります。  荻田さんがおいでになつたのでお伺いいたしますが、我々国家財政地方財政との調和のとれた発展を希うものとしまして、地方財政委員会のなくなつたことを非常に今更のように思うわけであります。例えば労使双方が相対立しておる際に、中労委というものが中立的な立場に立つて、そうして或る線を打出して、それによつて労使双方の要求をそれを鏡として比較検討して妥当な線を出すということがとられると同様に、国家財政地方財政との両者からと、中立的な立場から、地方財政の規模はどうあるべきかということの勧告ができた地方財政委員会がありますならば、私は問題の所在は非常にはつきり出て来ると思う。それが現在におきましては自治庁設置法によつてその中の地方財政審議会ということになつてしまいましたために、問題の所在が捕捉できない、よほど気をつけて見んと、どこに問題があるかわからんということになつて、結局それが地方財政が防衛できないという結果に私はなると思うのです。そこでお伺いいたしますが、荻田委員は、九月四日の産業経済新聞には、今年度地方財政計画を修正して、先ず自治庁で案をお立てになつて、そして地方財政審議会の承認を得て閣議と折衝をする態度を御決定になつた、こういうふうに出て、その際の赤字は四百三十億である、而もこれは地方公務員給与改訂費、及び改正地方税法実施後における減税というものは全く見込んでいないのに、四百三十億の赤であると、こういうふうになつておるわけであります。新聞の記事ですから信憑性の点についてはどうかと思いますが、そういうふうになつておるにもかかわりませず、最終決定におきましては、地方財政の赤は三百二十億である、平衡交付金二百億、起債が百二十億ということが地方財政審議会の承認を得てなつたというふうにありますが、地方財政審議会がどういう機能を果されるかということは、今後の動向に関しても非常に重大なるときだと思つたわけでありますが、荻田委員は、これに対して自治庁設置法の十八条には、自治庁の長官に勧告したりする権限もありますが、そういうことをせんでも大体この額は了承できる額であるというふうに結論が達したのでしようか。当初四百三十億、ベース・アツプと。改正地方税法による減収を見込まんでも四百三十億だというのに、そういう結果になつたことに対して、財政審議会の持つ重要性からどういう態度をおとりになつたでしようか。この点をお伺いいたします。
  53. 荻田保

    説明員(荻田保君) お尋ねの点でございますが、この補正予算に関しまする平衡交付金なり或いは起債等につきまして、当初より、お示しになりました新聞記事等の原案等もだと思いますが、そういうものも密接に我々に御相談がありました。それにつきまして我我としましてもいろいろ検討したのであります。その後いろいろ自治庁におかれまして大蔵省との折衝等もありまして、逐一報告を受けておつたのでありますが、結果におきましては相当原案より減つておりまするけれども、それぞれ減ることについては止むを得ないと申しますか、逆に申しますれば、それでもとにかく苦しいながらもやつて行けるという大体の見通しを得たという考え委員一同持ちましたので、別にこの政府原案と違いました意見自治庁長官に勧告するというような必要もありませんでしたので、そのままになつております。
  54. 中田吉雄

    中田吉雄君 只今の御答弁で、自治庁設置法内に置かれた財政審議会の立場からいたしましては、事情止むを得んものとして了承しますが、やはりこれは中労委なんかがとつておるように、私はその重要性を認識して、そして地方財政審議会の今後の活躍を期待するためにも、やはり問題の所在は財政委員会の当時のようにやはりはつきりされて、そして国会議員をして誤りのない判断をさせるという立場からも必要ではなかつたかと思うのですが、まあこれは希望として申上げます。いろいろこの発表されたのが、ずつと政府大蔵省自治庁と完全に一致した過程を追及してももうしようがないと思いますから、やめましよう。それでは荻田さんがおられる際に長官にお尋ねいたしますが、今度地方財政審議会委員がおやめになつて、新たなる委員の承認を求められている次第でありますが、我としては地方財政審議会が出発してから余り間もないのに、こういうようなことで相当高度な地方財政に関する知識なしには財政審議会の機能が果されないのに、極めて短日月の間に人を替えるようなことをやられました点については、非常に遺憾に思うわけであります。今後は新たに承認を求められておるかたについて、本多大臣はそういうことはないという確信をお持ちですか。一つ提案されました大臣としてお尋ねいたします。
  55. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 重要な職務でありまするし、又経験と知識が必要な立場の地位でございますので、これをすぐ変更しなければならんというような人をここへ就任して頂くことは誠に不適当だと存じますので、今度は適当なかたで、而も安定してやつてもらうという期待を持つて本日御承認を頂いたような次第でございます。
  56. 中田吉雄

    中田吉雄君 まだたくさんありますが、次のかたもあると思いますので、経費の節約による縮小額が六十億ということになつていますが、私は先ずその額を、きめられた基準を一つお伺いいたしたいと思います。
  57. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはお手許に提出いたしました資料の中に節約基礎を書いてございますが、基準財政需要額から逆算をいたしまして、旅費一割、物件費五%という節約見込みました数字が今の六十億でございまして、基準財政需要額の中から投資的経費でありますとか、給与費でございますとかいうものを抜きまして物件費を出し、旅費は旅費として別に出しておるわけであります。それは修正地方財政計画の八頁のところにございますが、旅費、物件費等の節約額に関する調、イ旅費、これは基準財政需要額が百九億、それを備考にございますように一・二九一という基準財政需要額を標準財政需要に引直すためのパーセンテージをそれに掛けまして、旅費を推定いたしたわけでございます。そういたしますと、旅費が十四億九千万円、それに対する一割、それからその次の物件費でありますが、これは今の基準財政需要額から旅費と給与関係の経費及び事業費等の投資的経費を抜きましたものでありまして、残りを物件費と考えまして、それの五%を出したわけであります。それがここにございますように四十五億ということになつておるわけでありまして、十四億と四十五億で六十億という計算でございます。
  58. 中田吉雄

    中田吉雄君 併し今もう年末になつてから旅費と事務費の一〇%、五%を節約するということは、これは実際なかなか困難であります。そこで本多大臣にお伺いいたしますが、財政規模から言えば、それは投資的なものと、いろいろな内容は別にして、国家予算においては九三二百二十五億、それに対していろいろ調べてみますると、経費の節約は三十五億五千万一地方財政は七千四百三億で六十億、国家予算の倍額の節約が要請されておるわけなんですが、国家予算の三十五億五千万という半額の額ですが、どういう基準でその節約は出されていますか、その点を伺いたい。
  59. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 国家予算地方予算の総体の絶体額からだけ比較いたしますと、若干御指摘のような疑念も生ずるのは無理もないと存じまするが、地方におきましては、一般会計の国家公務員に比較いたしまして、地方公務員は百三十五万人余りでございまして、国家公務員の一般会計はたしか五十万以下だと思いますが、さような数に比較いたしますと非常に多いわけでございまして、従つて今の旅費でありますとか、それに伴います物件費というようなものは、やはり実体額におきましては国家公務員より多いというように考えておる次第であります。
  60. 中田吉雄

    中田吉雄君 その数字は、地方公務員が百三十五万で国家公務員幾らということは私も承知しておりますが、同じ基準で、国家予算においても旅費と専務費について同じ比率でやつたものであるかどうか、それが二十五億五千万になつておるのであるかどうかということを伺いたいのです。
  61. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) さように承知いたしております。
  62. 中田吉雄

    中田吉雄君 承知しておるということで絶対間違いありませんか。
  63. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この旅費、物件費の節減は、閣議におきまして、やはり一〇%、五%それぞれの減をきめて、政府としても実行しておるわけでありまして、同じような方針で考えております。
  64. 千葉信

    千葉信君 本多国務大臣にお尋ねいたします。先ほど大臣西郷委員の質問に答えて、地方公務員給与の法律の建前から行けば国家公務員に準ずることになつておると、こういう御答弁でありましたが、これは私は全くその通りだと思います。ただその場合に、国家公務員とそれから地方公務員との今度の給与の改訂に際して、政府のほうから交付される平衡交付金の交付額、或いは起債等に関連して計上されておる二百八十五億六百万円の金額の問題でありまするが、これがお話のように、地方公務員とそれから国家公務員との給与の水準がお話のように果して三百四十八円違つておるのかどうかという問題が当然出て来るのです。先ほど大臣の御答弁では、自治庁のほうから出されておる資料は間違いないものだという確信を披瀝されたようですが、今私どもこの点が非常に大きな問題になつておるわけでありまして、以下私が御質問申上げて、若しも自治庁長官として、政府のほうでよりどころとして持つておられるこの資料が不備な点があつたり、若しくは又或る程度齟齬を来たしておる点があつたり、又正確なものでないという点が明らかになつた場合には、長官としてはどういう用意をお持ちになつておるか、あらかじめそれからお伺いしておきたいと思います。
  65. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今のところ政府といたしまして、最も適当な方法で調査し、更に正確な数字と信じておりますが、これが全く誤りであると、而もこれを更に補正をしなければならないほどの開きがあるということが明らかになりました際には、これは勿論直さなければならんと思います。
  66. 千葉信

    千葉信君 そこで、これはあえて大臣でなくてもどなたからでも結構ですがお答え願いたいのですが、自治庁のほうで、大蔵省であるとか、或いは地方財政審議会、文部省等と持たれた給与連絡協議会で一応御調査の上に政府として国会にこういう給与水準であるということをお出しになつておるので、この給与水準の調査はどういう範囲で、それから又どういう方法で行われたか、一応この点を先ず承わつておきたいと思うのです。
  67. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 次長から説明いたします。
  68. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方公務員給与調査でございますが、これは都道府県職員のうち、平衡交付金の参りません只今若干違います東京都或いは大阪府の職員を除きまして、残り四十四の府県について府県職員としては調査をいたしたのでありますが、それを大体事務系統、技術系統、労務系統というふうに三通りの種類に分けまして、それぞれアトランダムで対象を選びまして、たしか二割から五%段階を付けておりますが、その程度の数を抽出をいたしまして、それを以て調査の対象といたしたのであります。調査いたします場合には、それぞれの個人の学歴、勤続年数、その他所要事項を記載したカードを徴しまして、それを基礎にしたわけであります。それで調査をいたします物差といたしましては、昭和二十二年のでこぼこ調整の際に調整をされましたベースを基礎にいたしまして、爾後のベース・アップ等によりまする増加額、或いは昇給期間等を見込みまして、基準の級号表というものを出したわけであります。又これに関しましては、勤続年数、或いは学歴というものを無論法令の規定に従いまして国家公務員基準に従つてきめたわけでございまして、さようなものによりまして個々のカードを対照いたしまして見て行つたわけでございます。言い換えれば、従つてこの方法は、若しもその者が国家公務員として勤務いたしたならばどういうような俸給を現在もらつておるか、こういう一つの理論的な額と現実に支給されている額とを、その者に対して支給されている額とを比較いたしたわけであります。その結果の数字が最初の大蔵省調査では、府県につきましては四百六十二円高いというのが、今回の調査では三百四十八円高い、こういうことになつたわけであります。市や町村に関しましても抽出の方法その他は若干異なりますが、さような方法で調査をいたして結果を得た次第であります。従いまして、これは絶対額が高い低いということではなくて、若しもその地方公務員国家公務員として給与を受取つたならばどうなるか、こういう数字と比較して高いか低いか、こういうことになるわけでございます。
  69. 千葉信

    千葉信君 その場合に比較をされた国家公務員はどういうかたがたを比較されましたか。
  70. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点、さつきちよつと申し落しましたが、要するに役付の職員、即ち係長以上の者とか、或いは医師でございますとか薬剤師といつたような特殊な技能を要する職員、これを全部除きまして、いわゆる平職員と申しますか、さようなものにつきましてそれぞれ調査いたしたわけであります。
  71. 千葉信

    千葉信君 一体自治庁としては、公務員の言われておるところの平均給与、まあここでは給与水準という言葉を使つていますが、その平均給与というものをどういう考え考えられておられるか、その点をこの際承わりたいと思います。
  72. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 給与の実態を把握し、科学的な給与政策をとるということにいたしまする場合に如何なる方法でするかという問題があると思うのでございまするが、この今回、或いは前に大蔵省調査をいたしました方式は、要するに地方財政平衡交付金算定基礎となりますものといたしまして、どういう給与に対する財源措置をするかという目的にかなうような調査方法をとつたわけでございまして、政府といたしましては、やはり地方公務員給与に対する財源措置としては国家公務員に準じて給与の手当をする、かようなまあ考え方に立つておりまするので、今申上げましたような調査をいたしたわけでございます。これに対しましては、地方公務員それ自体の見地からの問題というようなものも確かにあると存じますが、一財政措置の観点からの調査方法としてかような方法をとつた次第でございます。
  73. 千葉信

    千葉信君 それはわかつておるのですが、私のお尋ねしておるのは、地方公務員国家公務員とを比較して高い、安いということを言われておる。いわゆる平均給与、その平均給与というものをどういうふうにお考えになつておられるか、この点を承わりたい。例えば具体的に申上げますと、国家公務員の場合に一万七十二円に改訂されたり、今度は人事院の勧告はこれは一万三千五百十五円の勧告が出ていますが、これは平均給与額で勧告をされ、又現行もそういう形で扱われておるが、地方公務員がこの国家公務員に対して高いということを言われているのは、この数字と比較検討して高いということを言われていると思うのですが、従つてその限りでは、あなたがたのおつしやつておられる地方公務員給与水準というものは、国家公務員給与水準の場合と同じ範囲の上に立つて考えになつておられるかどうか、その点をお伺いいたします。
  74. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それはこの見方の範囲といたしましては、国家公務員の場合と同じ種類でございます。
  75. 千葉信

    千葉信君 そういうことになりますと、これはあなたがたも御承知のように、今の平均給与であるとか或いは今の給与水準というものの把握の仕方は、例えば国家公務員全体の給与金額を公務員の頭割りにして、そうして初めて給与水準とか或いは平均給与という形で扱つておるのですが、こういう形で一方は扱つておることもあなたがたは御承知でしようね。
  76. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 平均給与の出し方は千葉さんの仰せになる通りでございますが、私どもさように承知しておりますが、今の地方公務員給与調査の仕方は、さつき申上げましたような趣旨で、いわゆる基準給与と申しますか、そういういわゆる個々職員につきましてどうであるかということを見たわけであります。
  77. 千葉信

    千葉信君 ですから、そういうふうに地方公務員基準給与国家公務員に比較して高いか安いかという場合には、国家公務員基準給与というものを地方公務員と比較する場合には、同じ条件の下に比較されなければならない、こういうことになると思うのです。そういたしますと、国家公務員の場合には平均給与の対象として考えられておるのは本俸と家族手当と、それから勤務地手当、それから特殊勤務手当、こういう四つの要素からなつておるものを現在の公務員の平均給与若しくは基準給与考えておるわけです。そうして又これが全体の給与の総平均であるという考え方ですから、これは比較検討するということになりますと、当然これは地方公務員の場合にもそれと同じ条件の下でなければ高いとか低いとかいう結論は出て来ないと思うのですが、この点はどうですか。
  78. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今千葉さんの仰せになりましたことは、要するに給与の絶対額を比較いたしまして、国家公務員と高いか低いかというような調査の仕方の問題になると思うのでありますが、さような調査の方法で先ほど申上げましたような数字が出たのではありません。これはたしか全国町村会等で御調査になりましたものはさような絶対額を比較いたしておると思いますが、絶対額を比較いたしますと、町村職員給与というものは九千円台でありまするし、府県のほうも一万一千円ということで低いのであります。まあ大都市等は昔から高くありまして、絶対額も高いのでありますが、さように絶対額それ自体から申しますと、国家公務員の平均給与に比較いたしまして、大分でこぼこがありまするが、ただ私どもの申しておりまするのは、個々職員について抽出調査をいたしましたその本俸の差額というものを延ばして参りまして、平均をいたしまして、全国のさような学歴、勤続年数の者で構成をされておる町村職員の平均給与額が幾らだ、こういうふうに出しておるわけでございます。
  79. 千葉信

    千葉信君 そうなりますと、あなたがたの調査された結論というのは、決して比較することのできない要素の上に立つて調査をされたものを比較して高いとか安いとかいうことを言われておることになる、そうなりませんか。
  80. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは国家公務員につきましての現在の給与は、予算の額が一つのめどではございまするけれども、現実の個々職員に対しまする給与といたしましては、やはり法令等の基礎によりまして給与額がきまつて来るわけでございまして、さようなものと地方公務員関係を比較いたして計算をいたしておるわけでございます。
  81. 千葉信

    千葉信君 そういう調査の仕方では全体の地方公務員が、例えば四百六十二円高いとか或いは三百四十八円高いという結論は出て来ないはずですが……。
  82. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはやはり国家公務員地方公務員におきましては、例えば地方公務員のほうが若干扶養家族も多くございますとか、或いは学歴が若干低くありますとか、殊に町村の場合はさような形であるとかいうようなことで、絶対的な条件が異つておるわけであります。ですから、さようなものでただ平均の給与額が幾らであるということを比較いたしましても、成るほどそれは総体としての給与額にはなりまするが、併し個々職員に対しては、若し仮に学歴が低いような地方の公務員に対して高いほうの公務員に対しまするものと同じベースで予算を計上する、こういうことに相成りますというと、学歴の低い場合の公務員のほうが有利な条件になるわけでございまして、やはり国家公務員に準じて地方公務員給与財源措置として考えるという場合におきましては、国家公務員について当てはめられますところの一つのスタンダードをやはり地方公務員に当てはめて合計を見るというのがいいと思うのであります。併しこれは飽くまでも財源措置だけの問題でありまして、具体的には各地方自治庁におきまして、仮に勤続年数が少くても比較的年齢が多いから高いものを支給するというようなことが出て来るということは、財政運営の全体のやり繰りの上からあつても一向差支えないというふうに考えております。
  83. 千葉信

    千葉信君 どうも次長お話を闘いでいるとごまかされそうな気配がするのですが、私がお尋ねしているのは、あなたがたの場合には、おつしやる通り、これは地方財政の現状に照してどういう金額の平衡交付金を交付するかとか、起債はどうするかという問題に関連して、これを高いとかセーヴするとか言つておられるのであつて給与自体の問題ではないというふうにおつしやつておられますけれども、併しこれは何と言いくるめてみましても、あなたがたの今度の平衡交付金の金額なり或いは起債額を見ますと、地方公務員の場合では国の公務員に比べて三百四十八円高いからこれは一応調整するのだ、こういう考え方に立つてあなたがたは今度の平衡交付金なり起債額を考えておられるのです。ですから、従つてそういう問題に関する限りは、これは果してそういうふうに地方公務員国家公務員とに給与の開きがあるのかどうかということが検討されなくちやならないと思うのです。そしてその検討される場合に、あなたがたは今度はやつぱり給与の問題ではない、これは財政上の問題であるとか、或いは交付金関係する問題だ、給与だけの問題ではない、こういうふうに言われておりまするけれども、その財政関係の問題、平衡交付金の交付額の問題が、直接は根本に一番大事な給与の問題があつたわけです。従つてその給与が本当にあなたがたのお考えになつておられるように高いのか安いのかということがまじめに検討されなければ、そういう結論には到達しないと思うのです。三百四十八円は調整をしてもよいとか、減してもよいという結論には達しないはずなんです。ところが今のあなたの御返事から聞いてみましても、大体国家公務員に対しては国家公務員の平均給与額は人事院の勧告しているやり方、つまり四つの要素の上に立つて全体の平均給与はこういう金額である、そういう考えの上に立つてあなたがたは地方公務員給与額をこれより高いとか安いとか結論を出しておられるわけです。而もその場合に、あなたがた今おつしやつておられる地方公務員の平均給与額の出し方というのは、私から言わせれば、本当の平均給与というものは全然出て来ないやり方で調査をされたに過ぎない。そうしてあなたがたは、そういう地方公務員の本当に現在あるがままの平均給与水準というものが出ていないのに、強引に地方公務員は三百四十八円高いという結論を出して、それによつて財政上の理由か何かは知りませんけれども、この際は明らかに地方公務員給与が不利益に現われようとしているのです。ですから、やつぱり問題はそういう地方公務員給与の水準が果して国家公務員より高いのかどうかということが明確にならなくちやいけないと思うのです。ところがあなたがたの答弁、あなたがたの調査のやり方では、地方公務員の平均給与水準が高いという結論は全然出て来ないのです。そうしておつしやるように、例えば行政職に対しては二割だけ抽出して調査をした、或いは技術職においては一割、或いはその他の職員に対しては五分というふうな調査の仕方をやつておられる。それから又一方では全国の八つの都道府県に対して、大体これは悉皆調査をされておられる、例えば北海道であるとか、或いは宮城県というふうな都道府県の場合の地方公務員の平均給与は正確に出ます。ですから、そういう正確に出た地方公務員の平均給与を根拠にして高いとか安いとか言われるならわかるのです。ところがあなたがたがやられた調査というのは、おつしやる通り例えば八つの都道府県に対しては一応悉皆調査をやつておられる。それからそのほかは市町村等に対しても行政職二割とか、或いは技術職何割というふうな抽出調査をやつておられる。而もその調査の仕方が正確であるかどうか、本当に地方公務員の平均給与を正確に把握できる調査のやり方をされたかどうかということにも疑問があるし、又仮にそういう理念に立つて正しい結論を出そうとして調査をされても、やられたような調査の限りでは、地方公務員の平均給与というものは正確には出て来ないのです。而も出て来ないものをあなたがたは基礎にして、この際地方公務員国家公務員より高いということを言つておられるのです。言い換えれば、あなたがたはそういう比較することのできない要素を、今度の場合には国家公務員給与と比較をされているのです。あなたがたの平均給というものに対する考え方がこの際少し私は究明されなくちやいけないと思う。そこで平均給与というものに対するお考えをこの際はつきりしてもらいたい。あなたがたは平均給与というものをどういうふうにお考えになるか。
  84. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方公務員国家公務員との間に組織の違いもありまするし、学歴、年数等の違いもあります。これを平均給与のみを以て均衡を見ることは、一面却つて非常な不公平を生ずることと思います。そこで只今申上げました国家公務員としてあるべき給与額、この給与額の算定に当りましては、昇給等についても一定期間経過した場合には昇給をすることができるというような条文は、ことごとく昇給を認めたものとして基準を作り、この基準を更に常々国家公務員給与の実態を把握しておりまする大蔵省、更に殊に地方公務員の大多数を占める教職員については文部省、自治庁につきましても地方事務官等の実態に照し合せまして、実態と距りのないものであるということを確認して決定いたしたのでありますが、この基準給与額は、例えば三年前に同時に大学を出た者が地方と中央におる、それをあらゆるケースを作つて比較してみて、四百円なら四百円高い、三百幾ら高い、その高い額を八府県等につきましては全員について差額を調査して、平均額を出せというようなことで比較をいたしたのでございます、こういう方法によりませんと、漠然と平均給与額という、いわゆる賃金ベースで言われている平均給与額を以て比較することは、いろいろな組織が違つておるししますので、却つて妥当でないと考えております。
  85. 千葉信

    千葉信君 却つて妥当でないと言われますが、あなたがたは今私が申上げたように、比較することのできないおのおの異なつた要素の上に立つて比較をされているということになるのですが、おつしやるまでもなく、国家公務員のほうの給与というのは、これは平均給与という形で算定されていて、それがあなたがたの場合には対象として比較されているのでしよう、違いますか。
  86. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 結果においては、只今申上げましたような方法で参りますと、国家公務員の平均給与と同じことになつて来るのでございます。それは学歴、経歴等が国家公務員と同じような程度の按分になつているとすれば、平均給与においても同額になるわけでございます。給与の高い低いの比較でございますから、何年度のどういう学校を出たものは今幾らであるべきか、国家公務員幾らである、地方に勤めているものはそれよりも幾ら高い、その高い額の平均を調査の結果とつたものが差額でございまして、仮に地方に学歴の非常に高いものがおつて非常に高い月給をとつておるといたしますと、そういうものをただ一人と一人の平均給与で比較するということは物差にはならないと思います。従つて今申上げました通り、何年度の卒業生が国のほうでは今幾らである、それが地方団体におれば幾らつておる、その差額をずつと集計しまして、平均したものが差額ということに認定いたしておるのでありまして、漠然たる給与の実態を平均したものでは、全部の地方団体に、却つて比較として実情に副わないというふうに考えます。
  87. 千葉信

    千葉信君 あなたがたは国家公務員地方公務員とを、今度は平均給与ではなくて、実情に応じて比較検討したと言われておりましたけれども国家公務員の平均給与は、今のところ十一月現在で一万七百十四円になつておりますがこの一万七百十四円になつている国家公務員の平均給与額というものは、これは全体の公務員の平均給与額であつて、各省ごとの個々の公務員の平均給与額を調べると、必ずしもこの数字には達してないのです。若しくは又この数字より上廻つておる公務員もいるのです。それはどういうことかというと、これは長官も御承知でしようが、今の給与のきめ方は、例えば調整額などというものがあつて、その職務に応じて特別な給与を決定したり、若しくは又特別な給与をその省ごとに与えるという給与のやり方をしているために、十一月一日に仮に公務員諸君の平均給与が一万七百十四円になつていても、その省ごとにそれではその平均給与に合致しているかというと、これは全部違うのです。これはここに国家公務員の場合の資料がちやんと揃つておりまするから、そういうことが若しないという御懸念があれば、私はそれを全部ここではつきりしてもいいのですが、そういうふうに国家公務員自体においてさえ平均給与というものは違つております。それをあなたがたは個別に比較検討するという方法もとつたと言われておりますが、一体どういう公務員をそういう個別の比較検討されたか、その点も明らかにされなければならないと思うのです。
  88. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 一応の御疑念は御尤もかと存じますけれども、やはり高い低いはその経歴、勤務年限等、同じ条件の者について比較するということでなければ高い低いは論じられないと存じます。従つて平均給与考える場合、国家公務員のプールになつている部分、その部分と同じ経歴、勤務年限、更に成績等が同じ割合で地方公務員を組織されたならば、同じ給与別になるということを目標としては言えるのでございます。併しこれを頭から平均給与だけで行ごうというと、これは国家公務員地方公務員との間に、高いか安いかということの比較にはならないのでございます。  更にその対象として調べた範囲説明しろというお話でございますが、これは次長から説明申上げます。
  89. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この給与の問題につきましては、中央におきましては一つの法令の基準により、且つ一つの予算基礎によつてすべての国家公務員についての具体的な給与がきまつて行くわけでございますが、地方につきましては、一万有余の町村の条例で或いは府県の条例で給与基礎がきまり、且つそれが個々地方団体予算基礎がきまつているわけでございます。府県につきましては余り大きな差異はございませんけれども、市などにつきましては、やはり他の所にないような手当を給しておつたり、或いは地域給といいますか、勤務地手当等につきましても、若干固有の違つた勤務地手当をやつている所もあるわけでございます。これは決して地方自治の建前でございますから、地方公務員法の原則から申しまして、それ自体が何ら悪いということではないわけでございます。ただ先ほど来大臣が縷々御説明申上げましたように、そういうばらばらになつておりまする地方団体職員に、どれだけ給与が行つておるかという、給与予算として計上されているもの全体を集めまして、そうして一つの平均給与を出してみましても、そのこと自体はどうも余り意味がないわけでございまして、やはり先ほど来御説明申上げましたような国家公務員個々の、個人に対する給与基準というものを、地方公務員個々給与基準として当てはめてみた場合にどうであるかということを見るよりほかないのではないかというふうに考えておるわけでございます。勿論問題といたしましては、さようにあるべき給与基準を、要するに国家公務員の場合のあるべき給与基準というものを、町村のようなところの地方公務員給与基準として当てはめるのがいいか悪いかということが、議論の分れるところだと思いますが、国家財政の中から給与費として、地方財源措置にどれだけ割くべきかという場合の一つのめどとして、先ほど来申上げましたような方法によつて権衡を見たわけでありまして、そのことがいいか悪いか、言い換えればそれでは必ずしも実態に合つてないわけでありまして、その実態とさような基準給与との間に開きがあることは事実でありますが、それをどうするかというと、それは又別の問題でありまして、今の国家財政の立場といたしましては、やはり国家公務員の場合の物差と同じ物差で計つた程度給与措置しかできないのだ、こういうのが今の実情であるわけでございまして、学歴とか勤続年数という構成から申しますれば、地方公務員の中でも教員が一番高いのであります。従つて今度の新らしい公務員の俸給表というものを地方公務員に当てはめますと、恐らく一般公務員につきましては二〇%増というのが若干下廻ると思います。教員につきましては、それが二〇%を若干超えることになると思います。それは実際の給与の結果そういうことになるわけでございますが、交付金全体の財源補填といたしましては二〇%増、こういうことで計算をいたしておるわけでございます。
  90. 千葉信

    千葉信君 あなたのおつしやること反対ですよ。教員諸君の場合には平均給与は高いですよ。平均給与が高いところへ、そして実際にその本俸でも何でも高い人たちのところへ二割上げるということは、こういう平衡交付金の金額ではやろうと思つたつてできないのです。金額で縛られてしまつて、どうしても二割まで行かないで、二割以下の給与の支払が行われて、そうしてむしろ逆の、町村の公務員だとか、教員諸君よりもむしろ低い人たち、それから国家公務員諸君に比べて給与水準の低い人たちの場合には二割以上の給与引上げがとられておることになるのです。併しまあそれはいいとして、今あなたの言われたように、今度の平衡交付金なり地方起債額の問題について私ども考えていることは、今鈴木さんが非常に正直に言われたように、実際上地方公務員給与国家公務員給与に比べて高いからそれを調整するのだというやり方でこの問題が表面に出て来たのではなくて、飽くまでも今あなたのおつしやつたように、国家財政の見地から平衡交付金にはどれくらい交付できる、或いはまあ地方起債はどれくらい国家財政の見地から認めることができるという、そういう考え方の中から一定の枠が出て、その枠の中で結論として、国家公務員給与よりも地方公務員給与は高いという強引な結論の出し方をする、而もその調査の仕方が、私のほうから言わせると、実際に地方公務員国家公務員との給与のまじめな数字の比較検討はなさらないで、いきなりそういう国家の財政上の必要から地方公務員に対して不利益な取扱いが行われようとしておる。ですから私どもそういう国家財政の立場からの要請が仮にあつたにしても、明らかに地方公務員が今、国家公務員との給与の問題についての大きな不利益を、国家公務員に比べて受けようとしておるから、これはやはり国家財政の見地からの問題が仮にあるにしても、地方公務員だけがこの際不利益に扱われるということは、我々の立場からして黙認できない。そこで政府が一つの根拠として、理由として出しておられる地方公務員給与水準が高いということは、本当に高いのかどうかということは、この際正確に把握されなければならない。こういうことになつておるわけです。ですから鈴木さんのおつしやつておられる飽くまで国家財政の見地に基くところの財政措置をどうするかという点から、地方公務員給与の問題を検討したということを今あなたは答弁されておりますけれども、それはあなたがたの調査そのものが粗漏で、而も不正確極まるから、そういう不正確極まる調査なり資料基礎として、地方公務員に対してはこれだけ調整してもよろしいなんていう考え方で平衡交付金を交付されているとしたら誠に迷惑千万である。そこで我我としては、飽くまでも地方公務員は本当に国家公務員と比べて高いか安いかということがはつきりこの際正確に結論が出なければならない。ところが今あなたのおつしやつておられる答弁から聞きますと、一応そういう国家財政の見地からという政治的な理由が仮にあつたとしても、地方公務員の実際の平均給与状態の把握ということが正確になされておらない。だからあなたがたは学歴を基礎にしたり年齢を基礎にしたりして一応の調査はされております。これは私も今年の八月十八日に参議院で人事委員会の打合会を開いたときに、あなたがたのほうから山野公務員課長の御出席を願つて、あなたがたの調査のやり方なり調査範囲なりをよく伺つております。而もそのときにあなたがたのほうの山野公務員課長も、こういう調査結論だけで地方公務員給与が高いということにはならない。一応事前に、これは一昨年からですか、大蔵省のほうなんかの調査によつて地方公務員のほうが高いという調査が出たから、それは本当かどうかということを給与連絡協議会で調査したところが、今あなたがたが言われたように三百四十八円高いという結論が出たが、併しこれはその程度調査のやり方であるから、この数字だけで地方公務員給与を調整するということは自分たちとしても正しいとは思つていない。従つてこの数字はこの際我々は給与調整のために直ちに使われるべきものとは考えておらない。こういう御答弁を私ども頂いておるのです。そしてこれは全く正しい給与に対する考え方を披瀝されておるのです。そういう点から言いましても、あなたがたが今度言われている地方公務員給与が高いというのは、或る程度調査したんだけれども、本当に高いか低いかということは、国家公務員の場合と比較して検討するにはなお根拠が薄弱だし、なお調査範囲が狭過ぎるし、これは本当を言えば、平均給与額をちやんと出すためには、全体の地方公務員給与額を調査しなければいけないのです。これはあなたがたのほうの現在の自治庁の機構の状態からいつても、或いは地方自治体の状態からいつてもそういう調査を完全に行うということはこれは勿論至難でしよう。勿論至難だから、給与の高い低いという問題の結論を出して、そうして地方公務員をこういうふうに不利益に扱うような結論になるときにはもつと慎重にやらなければならない。もつとそういう調査が正確に、私どもが納得できるような調査であり、結論でなければならない、こういう点を私は主張しておるわけです。ところが、今おつしやつた抽出調査のやり方にいたしましても、或いは又八府県に対する調査のやり方に対しても、これは八府県だけは一応正確に出ております。これは、あなたがたから八府県のおのおの平均給与がどういう水準だかということの報告も聞いておりませんが、これは私どもにしてははつきり想像ができるのです。私どもとしても調査しております。その調査の結果によりますと、八都道府県の平均給与額は全部違いがあります。国家公務員でも高いところもあれば低いところもあります。高いところもあれば低いところもあるということになるはずです。それはその府県における職員構成の内容によつてその平均給与違つて来る、その違つて来る構成内容のものを、全体として地方公務員給与国家公務員給与を比べて高いとか安いとかいうことを言い立てる場合には、国家公務員の平均給与、全体の職員に対する給与のまとまつたのがこれが総平均である、こういう形で国家公務員の平均給与が出ているのですから、地方公務員の場合と比べて高いとか低いとかいう場合にはそういう同じ条件、同じ要素に立つて比較されなければならない、こういうことになるのです。
  91. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) ちよつと見解を申上げてみたいと思います。千葉さんは、同じ条件に立つて比較しなければならないと言われるのですが、全く同じ条件に立つて比較すると言いましても、今回やりました方法以外にないように思うのですが、如何でございましよう。例えば昨年度程度の大学を出た者が地方と中央で就職された、採用されたという場合に、一方は仮に公務員の場合は一万円、地方公務員は一万三百円であつた、こういうふうな場合、これは地方のほうが三百円だけ高い。こういうふうにあらゆるケースをつかまえて国家公務員としてあり得る限度の基準給与、それをこしらえまして、地方公務員の全体を把握できるような抽出方法によりまして比較いたしたのでございます。全員についてやらなければというお話でございますが、これはやはり全体を把握し得ると確信する限度において全体を把握できるように選んだつもりでございます。府県にいたしましても富裕なところ等はこれは除外いたしまして、方面的に八府県をとる、大都市等を除外いたしまして、市の平均をつかみ得るごとく抽出をいたしておりまするし、そういう方法でこれは可能な限度において最善を尽した調査であるというふうに只今考えております。併しなお費用にかまわずやるということになりますれば、それは勿論全員について比較いたしましたならばより正確なものが出て来ると存じますけれども、私どもはこの程度において実態を把握し得たと認めておるわけでございます。
  92. 千葉信

    千葉信君 おつしやるように個々の学歴若しくは年齢、家族構成等を十分見ながら地方公務員国家公務員給与の比較をすれば、その調査をした限りではそういう相違が出るのです。併しあなたがたも御承知のようにその比較の範囲を、対象範囲を拡げれば拡げるほど数字が動いて来るのです。例えば地方公務員の場合でも平均給与の低い人たちを対象にどんどん拡げて行けば、あなたがたのおつしやるように三百四十八円という数字からぐつと下廻つて来る。それから又高い人たちを中心に調査しますとこれ又この数字は動いて来る。第一あなたがたは、この前地方公務員法の制定のときに、昭和二十四年一月の地方公務員給与水準というものを国会にお出しになつております。このときには鈴木さんも私の質問に答えられておりますが、このときの地方自治庁の出された資料では、ここには持つて来ておりませんが、国家公務員はたしか六千三百七円に切替えられたので、地方公務員は六千七百円以上になつているという資料つたのですが、ところがその後大蔵省調査しましたいわゆる四百六十二円ですか、その調査も、そのときの調査から調査の対象が動いているからこういう数字の変動が起つているわけです。今度あなたがたが大蔵省のほうで調査されましたのは、さつき言われたのは行政二割、技術が一割、雇員に対して五分、こういう調査をされたときには四百六十二円という数字が出ておりますけれども、今度は全国の八都道府県をしつかり調査したものを含めて調査されて、それの多い平均の額を出されたのが今度の三百四十八円なんです。その範囲を拡げて調査すれば、この数字は高く出るか安く出るかわかりません。この数字はその調査の対象によつて動いて来る、そういうことになるのです。これは地方公務員だけでなく国家公務員の場合でもあり、例えば国家公務員の場合を申上げますと、国家公務員の現行の平均給与水準というのはこれは一万七十二円に改訂されて、十一月には一万七百十四円という平均給与になつております。ところがこういう平均給与になつているその公務員自体の中の各省ごとの、職員構成の異なる各省ごとの平均給与状態を調べてみますと、これは又その水準から高まつていたりひどく低く下つていたりする、こういうことになるわけなんです。その数字を一応申上げてみますと、特に高いと思われるところなんかは外務省の四万三千二百二十八円、これも一万七十二円という公務員の平均給与の中に入つております。文部省が一万三千百九十二円、これも文部省の職員全体の平均給与水準です。それから又国家消防庁の場合には一万二千二百五十八円、これが大体現在のところは一般会計の分ですが、その一般会計の中でも低いほうのケースを拾つて調べてみますと、国家公務員の水準より下廻つているところは厚生省の九千三百九十四円、大蔵省の九千二百十三円、こういう恰好に国家公務員自体の平均給与水準より違つているのですよ。ですから違つているのですから、こういう各省ごとの職員構成の違う方面の給与を各省ごとに調べると、こういう恰好で違つている。そこでさつき自治庁からお話があつたように、教育公務員の場合には平均給与が高いということになつておりますから、そこで教育公務員だけを抽出したところの平均給与ということになりますと、これは一万三千円よりもつと上廻つている。それから又地方公務員の場合にはそれよりもやや低いけれども国家公務員の平均給与水準より高い、こういうことになつて来るのです。ですからそういうふうに各省ごとの、或いは又地方公務員でも教育公務員とか町村職員とかいうように、そのときどきだけの平均給与というものを検討いたしますと、これは明らかに国家公務員とは違つているのです。違つているはずなんです。違うのが当然なんです。ですからそういう平均給与というものをいきなり、例えばあなたがたの場合に全部地方公務員全体に対して平角給与の水準というものをはつきり把握されても、それだけで出た金額だけで平均給与が高いとか低いとかいうことは言えないのです。これは今度地方公務員の構成内容が問題になつて来るので、地方公務員の構成内容というものを全然計算に入れないで、現われた平均給与の金額だけで高いとか低いとかいうことを言い立てることは間違いなんです。いわんやあなたがたの今言つておられる三百四十八円高いなんという数字は、そういう意味から言うと、あなたがたの調査調査不十分であるし、対象人員も非常に狭いし、そういう恰好で以て出た結論をあなたがたはいきなり、今度地方公務員給与が高いからと言つて、そうしてあなたがたは平衡交付金算定の場合、地方起債の算定の場合にはその数字を楯にとつて地方公務員に不利益を与えようとしておられる。ここに問題がある。ですからあなたがたがとつておられる、いわゆる高いと言つておられる賃金水準に対する考え方が非常に不明確ではつきりしないのです。この点はあなたがたはもつとはつきり考えてもらう必要がある。
  93. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 千葉さんは平均給与で比較論及されるのでございますけれども、最前から申上げております通りに、平均給与は直接関係がないのでございまして、個々の物差を作つて、抽出いたしました範囲内の全部に当てはめて差額を出して、その差額の平均を見たものでございますので、平均給与という点で比較したものではございません。従つて平均給与がどうなるかということになりますというと、若し地方団体国家公務員の或る範囲内の平均給与と同じ状態を想定するといたしますと、その国家公務員の或る範囲内の平均をいたしましたそれと同じような学歴、年齢、成績等の者が回し状態に構成されて、そうして平均いたしますと丁度国家公務員の場合と同じ平均給になると思います。これはそういう想像ができることではございますけれども、平均給与で比較したものではなく、人間そのものを自治体で雇つた場合と国家で雇つた場合とのその比較をいたしまして、平均して幾ら高いというのでございます。この抽出の範囲が狭いと言われますけれども相当実情を把握することができるように工夫をいたしまして把握いたしておりますので、これで実態とさしたる違いはないと思います。併しお話通りにずつと拡げて行きますというと一銭一厘狂わんかということになりますれば、必ず狂うと思いますので、財政計画としてさほど影響の及ぶような開きはなかろうと思います。
  94. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁では私納得できませんのであなたがたのほうで国家公務員地方公務員とを調査、比較検討されたというその検討の資料をお出し願わなければ、私どもそういう御答弁だけでは、果して地方公務員が高いかどうかということについてはどうしても疑念が残りますので、あなたがたが調査された資料を全部一つお出し願いたいと思います。
  95. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 資料はすでに今まで提出いたしております資料のほかの問題につきましては、なおとくと直接千葉委員お話を後刻申上げたいと思いますが、先ほど来大臣が申上げておりますることと千葉先生の言われることを伺つておりますと、どうも少し食い違つておるように思うのでございまして、平均給与額が高い低いということを調査いたしておるのではありません。先ほど来申しておりますように平均給与額から申しますると、これは府県なり市町村の平均給与額というものは、先ほどから仰せの国家公務員の一万一千七百十四円ですか、それに比較いたしますれば低いのであります。それ自体を比較いたしておるのではございませんで、先ほど大臣が申上げておるような個々の、今年卒業した学生が国に行つた場合と県に行つた場合とで同じ基準で使われるであろうということを先ず前提として、国としては地方が高く使つてもかまわないが、併しそういう場合にやはり国全体の地方公務員に対する給与基準としては、国家公務員にそれを使つたと同じ程度財源措置をしよう、こういうことから出発しておるわけであります。而して平均給与という点から申しますならば、例えば五大都市等におきましては学歴が高うございますし、又勤続年限も長うございます。従つてこの平均給与国家公務員よりは遥かに高い、それから教育公務員についても同様なことがあろうと思います。ですからそういう平均給与の比較は、これはもうその条件を同一にして考えない限りは意味がございませんので、殊に予算なり条例なりで皆個々地方団体ごとに違います。地方公務員給与としては何かよるべき客観的基準考えて行かなければならんのでありまして、そういう意味から国家公務員に使つておる物差を使つて考えたい、こういうことを思うわけであります。
  96. 森八三一

    委員長(森八三一君) 三輪君から委員外発言を求められておりますから……。
  97. 三輪貞治

    委員外議員三輪貞治君) 計算のときに勤続年数についてどういうふうにおやりになつたかということについて伺いたい、これは学校を卒業してすぐ役所に勤める場合もございましようし、ほかの所で何年か勤めて役所に入るという場合もあるだろうと思います。そういう場合にこれはどういうふうに計算をされたか、伺いたい。
  98. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは委員のかたには御配付申上げておるのでございますが、例えば官庁の経歴期間、一国家公務員地方団体に行つたような場合には、国家公務員の経歴を丸々一〇〇%、これは経験年数として通算をいたします。民間の経歴期間というのは同種、異種の如何にかかわらず、その六割六分に相当する期間を経験年数として通算します。それから在職中の兵役期間は、地方公務員で兵役に行つた場合は、その全期間を経験年数として通算いたします。それから採用前の兵役期間は、只今指摘の点はさような点だと思いますが、経歴不明の採用前の期間といつたようなものは、その四分の一に相当する期間を経験年数として加算をいたします。四分の一が三年を超える場合にはこれを三年とする、こういう一つの基準でございます。でこれは国家公務員の場合の基準を借用いたして参りまして、かような物差で経験年数の計算をいたしたわけでございます。
  99. 三輪貞治

    委員外議員三輪貞治君) 民間の会社その他の団体等に勤めた年限を六割六分に勘定されたのですね。
  100. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ええ。
  101. 三輪貞治

    委員外議員三輪貞治君) これは一つの問題になる点じやないかと思うのですね。更に地方の官庁であると、学校を卒業して任用試験を受けて官庁に勤めるという場合は、普通のいわゆる正常な途であつて、そういうことが多いと思うのです。ところが地方の公共団体、特に市町村なんかに参りますと、いろいろほかのところを渡り歩いて来て、最後に村へ帰つて来て役場に勤めるといつたようなのが多いのです。それが民間で勤めたのが六割六分ということになりますと、十年勤めたものも六年六カ月と計算をされるわけでありまするから、そこに私は非常に計算上に平等でない一つの原因が潜んでおるのじやないかというふうに感じまするが、これはなぜ六割六分と御計算にならなければならないのですか。
  102. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは国家公務員のかような経験年数の算定の方法があるわけでございまして、昭和二十一年八月の官庁職員給与制度改正実施要綱に定められた勤続年数の計算方法、それから同じく二十四年に、これは新給与実施本部だつたと思いますが、二千九百二十円ベース、新本俸切替についての場合の基準、それから六・三ベース切替の場合の俸給の決定について定められておる基準、こういうものを基準として作つたわけでございまして、これがやはり国家公務員の場合の物差になつておるわけでございますから、それを借用いたしたわけでございます。従つてこの六割六分をなぜさようなことにしたかということは、恐らくこれは平均のものをとつたかと思うのでございますが、このこと自体につきましては、成るほど御指摘のように民間の経歴の種類によつては十年を十年と見て然るべきものもあるはずでございますが、国家公務員の場合の一般の基準としての物差を借用いたしたわけでございまして、従つて国家公務員と比較する場合の基準としてはかような基準に立つても差支えないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  103. 三輪貞治

    委員外議員三輪貞治君) もう一つ、この根本的な問題ですが、国家公務員地方公務員との給料を比べる一つの方法として、今自治庁で御計算になつたような方法も一つの方法かと思います。ところがこれは国家公務員の任用の制度、その他昇給等を考え、又地方公務員のそれと比較して見ますと、これは比べ物にならないくらい非常に違つて来るのですね。まるつきり違つておるのです。例えば私は一つの小さい、一万四、五千くらいの町に住んでおりまするが、この町で役場に1任用する場合は、そんな、あれは何の学校出てどうだからというだけではその任用はしないわけです。全部についてわかつておるわけです、その人のすみずみまでどういうことか……、小学校を出たばかりでも、二十七、八歳でも非常に優秀だということになりますと、簿記も珠算も優秀だというと、そこで町会議員あたりが推薦して役場のかなりのところにぽんと上る場合がある。ところがそれが中央官庁に参りますとなかなかそうは参りません。小学校出たばかりでは、これは幾ら優秀でもとてもうだつは上らない、そういつたように、これはどちらがいいか私はわかりませんが、地方公務員についてはそういう場合が非常に多いのです。だから小学校を出たばかりで、勤続年数も非常に短くても高いという結果も現われる。非常に質が違つておるものを同じように計算されておるところに私は何か不合理があるのじやないか、それじやどういう方法が正しいかというと、それはなかなかいろいろの方法が考えられると思います。今おとりになつておる学歴、勤続年数、その他で比べる一つのやり方というものは、必ずしも私は公平な地方公務員国家公務員給与の比べには如何であろうかという気がするのであります。そこでこの際是非一つ伺つて資料として頂きたいのですが、お調べになつたこの内容、国家公務員については、大学卒業で何年々々でこうだ、中学校はこうだ、小学懐こうこうだという、地方公務員府県、市、町村別に必ずその比率というものは非常に違つて来ると思う。むしろ町村あたりに行くと、国家公務員は大学卒業生が多いが、地方公務員に行つては全く暁天の星と同じようなものであります。又大学を卒業しても必ずしも重く用いられない、子供のときから何でもかんでも知つておりますから、大学を卒業しただけではその人は役場に行つて重要視されない。力がなければ小使にもされない、そういうことから非常に質が違つておる。その資料を一つ出して頂きたい、これは一つの参考になると思いますからお願いしたいと思います。只今私が申しましたこういう本質的に違つたものを一つの基準で比べようとするやり方についてどういうふうにお考えになりますか。いろいろ方法をこう考えて見て、これしかないという結論で、こういうふうにおやりになつたのか、その点を伺います。
  104. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今指摘の点はまさに町村等の実態を衝いての御指摘でございまして、私も全くさような実情にあると考えております。そういう実態を測るのにどういう測り方をしたらよろしいかということにつきましては、そういう町村給与を科学的に一番合理的に公務員の能率が増進し、又住民の福祉に合致するようにどういう給与をとるかということは、これは今御説明申上げましたような、そういう給与の高い低いの見方とは、これは別個の観点から決定されて行かなければならん。御指摘のような町村におきましてはやはりさような事情を加味して給与を定めることが、むしろ町村自治の実情に合うと思うのでありますただその場合にさような事情が各町村ごとに皆違うわけでございまして、それを一々この平衡交付金という角度からの財源措置をいたします場合に見て行くことは非常に困難でございますので、やはり先ほど来御説明申上げましたような国家公務員の物差を一応物差の基準として使つた、こういうことであります。従いまして町村においてはむしろ学歴が低くても相当給与をやらなければならんということもあるだろう、或いは大都市等におきましては一般の基準よりも構成上当然に高くなるという場合もあると思います。これらの点につきましては、後刻今御要求の資料として、或いはまだ完全な資料もございませんので、極く研究過 の資料しかございませんけれども、さようなものを提出いたしたいと思つております。
  105. 中田吉雄

    中田吉雄君 昨年でしたか、やはりこういう問題が起りまして、今はなき池田大蔵大臣が盛名を謳われた当時、(笑声)その当時大蔵大臣が、国家公務員より地方公務員はこれだけ高いといつて出した数字は驚くべき数字であります。そういうものを自治庁がどう防衛されようかというので、こういうものを出したいきさつについては私は了解いたします。併しこの調査のいろいろな方法について先ずお伺いいたしますが、国家公務員のあるべき給与は、例えば新制高校を出て一年、二年、三年、五年、専門学校を出て一年、二年、三年、五年、大学を出て一年、二年、三年、五年はこういう給与だという基準をきめて、そして県庁なり市役所なり役場なりに行つてそれに当てはめて、こうやつてその差額を出してこうなつたと理解していいのですか。
  106. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 抽出調査でございますから全部そうやつたわけではございません。観念はその通りでございます。
  107. 中田吉雄

    中田吉雄君 そこで私としてはこれは大量観察としてはかなりたくさん過ぎるほどたくさんだと思います。八都道府県の悉皆調査、全体の二〇%の抽出調査、これほどたくさんしなければ標準が出ないということは、統計学からいつても拙劣な調査方法だと私は言いたいのであります。そんなにたくさんやらないでも私はできると思うのですが、併しその際に私は問題になるのは、大学なり専門学校なり中学なり、小学校を出て、それぞれの国家公務員のあるべき給与と比較して、その差額を出してずれを平均されたというのですが、併し国家公務員はその際にそういう立場が正しいとして、そのあるべき給与よりかそれぞれ高いとしたならば、その際には国家公務員はそのあるべき給与水準から絶対ずれていないということが条件でなくては、私はその信憑性が問題だと思う。そのやつた数字のそれぞれのものについては相当信頼していいと思う。併し国家公務員があるべき給与の、理論給与と言いますか、何かそういうものからちつともずれていない給与を出されているかどうか、同じ方法によつて国家公務員の各省の、まあ全国の都道府県の全体の八つに比例する数、全体の国家公務員の二〇%くらいのそういうあるべき給与水準とずつと合わして、そうしてそのずれを比較して見て、初めてこの数字が私は予算編成に妥当性を持ち得るものだと思う。私はこの一番の問題は国家公務員が同じような方法によつてやられていないというところにあると思う。我々の聞くところによると、やつぱり国家公務員でもそういうあるべき給与の体系からずれている者がかなりある。それは人事院がありまして、そういうことのバランスは相当とれたと思うのですが、私はそれがない限りは、むしろそれをやつてから初めてこういう調整をやられても遅くないんじやないかというふうに考えますが、本多大臣の御所見をお伺いいたします。
  108. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 誠に御尤もでございまして、最前も御説明申上げたのでございますが、この給与基準につきましては、国家公務員給与の実態を把握しておりまする大蔵省、実態とこの給与基準と比較勘案いたしまして、この面からも開きがないということを確かめ、教職員に対する給与の実態を把握しておりまする文部省、これも教職員につきまして実態と開きのないということを調査して確かめ、自治庁におきましても直接関係のある地方事務官につきまして給与の実態を調査いたしまして、この物差に当てはめて見て、そうしてそうしたことで間違いのないということを確めて、又必要な調整をこれに加えまして物差を決定し、その上で地方公務員只今指摘のありましたような範囲にこれを適用して比較いたしたのでございます。
  109. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうすると、いずれ各省別のそういうあるべき給与の標準ができて、それに対する各省のずれなりあると思うのですが、そういうものが頂けますでしようか。それなしには、要領いい答弁で、そんなことをやつたと言われても、なかなか我々としてはそれに非常に問題があると思うのですが、若しありましたならば、あるべき国家公務員給与の体系と実際に支給している現員現給のずれですね、そういうものがなくては私はちよつと……。
  110. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この給与基準の物差は、すべて許される範囲内で昇給はしたものとして最高を見ているのでございます。然るに実状は昇給の期間が参りましても、昇給がストツプしているというような者もあるのでございまして、又法令の範囲内の枠でございますから、これを計算の基礎として変更しなければならんほどの上廻つているというようなことは考えられないのでございますが、併しその給与の実態につきまして大蔵省に総括的な資料があることと存じますので、その方面に資料を相談いたしたいと存じます。
  111. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はやはりそこが一番の問題だと思うわけであります。それからなおお伺いいたしますが、昭和二十七年度の七千六億の予算編成のときに出されたそれぞれの調整額は、市町村については五百七十六円ということになつて、今度の調査でも同じことに完全に一致しているという点は、これは私は非常にこの辺にも実に問題があると思う。あの当時出されたのが五百七十六円、今度のも五百七十六円と完全に一致するということは、これはいささかいろいろな力関係の弱い市町村の点では問題ではないかと思いますし、それから都道府県のほうでは四百六十二円というやつが三百四十八円で、百十四円も変つているというようなことで、更に私は正しい方法でやつて行くと、だんだんこれは信憑性のないものに変るのじやないかというふうにも思われるのですが、それは別にいたしまして、これは現在の地方公務員給与からいたしまして、そういう理論的な体系よりかそれぞれ二百四十九円なり三百四十八円なり、五百七十六円ずれているとしても、これが今度の給与ベースを改訂する際に、そういうことは事実上非常に高い給与のときであつたらできると思いますが、殆んど不可能だと思う。そういうことはどういうふうに可能であると思いますか。実際この春そういうふうな調整をするような予算を組んでおるにもかかわらず、我々が聞くと、そういうことを調整していない。殆んど一年近くたつていますのに、昭和二十七年度の当初予算ではすでにそういうふうに組んでいるのに、調整した額を平均四百円ぐらい高いというので組んであるのに、それはいずれ財政部長なんかを呼んで説明されてあると思うのですが、そういつた場合に至つても調整していない。これは職員組合の強力な運動によつて不可能だと思う。それが可能だと思われますか、不可能だと思われますか。そうして又最近定期昇給を非常にやつていないところがありますが、自治庁の指令で、これは定期昇給をできるだけずらすことによつてそういう調整をするようにという御趣旨によるものですか。その辺をお伺いいたしたい。
  112. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 高いのは金額だけ調整を私のほうから地方団体に要求しておるような建前でお話があつたように伺いますが、これは全く自主的に運営せられることでございまして、私のほうといたしましては、財源補填としては国家公務員に準じていたします。その後の実際の給与額の決定ということは何ら関与いたしませんので、その地方団体においてそれぞれ給与にこの程度支出することが自治体の運営上いいのである、適当であるという考えのところは給与相当多く出るところもありますし、又少く出るところもある。これは調整を決して私のほうから強制的に要求するというような性質のものではございません。全く自主的に考えて頂くのでございまして、実情お話通り高い給与をとつているものを、基準財政需要額算定がこうなつたからというて、その給料の引下げができるとは私のほうでも思わないのでございます。併し政府財源措置としては、平均をとつたここへとどめるほかはないという数字でございます。
  113. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 ちよつと関連して……。只今地方自治体の機構及び給与の問題について質疑応答があつたわけですが、それと少しく違いますけれども、併しそれに関連する問題について大臣所見を一つ質しておきたいと思います。どうもこの地方自治の運営につきましては、戦時中殆んど前からの特色を失つて、各地方が画一的に運営された傾きがある。例えて言うと、市長でも村長でも、私も市長をやつたんですが、市会で多数で当選して来たが、その上に内務大臣がそれを任命しておつて、而して更に市に対しては一級市は勅任で、二級市は奏任待遇というべら棒な制度をとつて、私は田舎の中流であるから奏任待遇であるというようなことになつている。それが今度は敗戦後根本的に改まつて、いわゆる与えられたる制度に今日変つておる。私はどうもつらつら地方自治の運営を考えてみますと、やはり小さな僻敵地の町村などは従来のように村長や助役などは名誉職を置いて運営さしたほうがよくはないか。今は専任制度で有給職でやつておりますから相当経費がかさむ。そういう主なところは実際事務に当つていない者には名誉職の制度を布いて、そうして本当に事務に当つている吏員に相当給与を与える、成るべく吏員の数を少くして専任のような者を用いて、給与を厚くして行くということでなかつたら、どうも何級職はどういうふうにするということでは町村はやり切れない。そうして町村合併ということも必要なことでございますが、辺鄙な所で合併できない所もある、そういう所は特色のある制度でその地方の特色に実際に適応した運営をさしたほうがよくはないか。いずれこの制度については根本的に御改正になる御意思のようでありますから、そんなことについて何かお考えになつておることがございましようか。
  114. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 誠に御尤もな御意見でありまして、この平衡交付金制度を自主的に運営してもらうために、一般財源として平衡交付金が交付されるわけでございますから、これを全くその地方々々の特色を活かして運営してもらつてよろしいのでございます。然るにだんだん地方にお要しては予算分配の基準に、この平衡交付金算定基準に依存するというような傾向がございます。その結果は中央で地方財政計画を作つたその基準が元になるということで、画一的な行政になりがちでございます。これらにつきましては平衡交付金制度の根本精神、又平衡交付金そのものが何ら使途を拘束しない一般歳入であるということを十分自覚されて、そうしてその能率的な運営を自主的に図つて頂きたいと存じます。これにつきましては自治精神の確立というようなことも必要になつて来ることと存じますが、更に機構、制度の上におきましても再検討の必要があると考えられますので、今度地方制度調査会で十分検討して、機構、制度も改め、更に一面自由にやるべきものを政府の方針に依存するというようなことのない、自主的な自治体に建直るように今後指導努力して行きたいと考えております。
  115. 中田吉雄

    中田吉雄君 本多大臣財政計画としてそういうふうに調整して組んで行くだけで、それは自治体が独自な立場で財政収支をやつたらいいと言われましたが、実際言われても単独事業でもたくさんやつておるような自治体ならそういうこともできるでしようが、実際単独事業の最近の動向なんかを見ましても、非常に少くなつて、殆んど自治体の名に値しないような傾向になりつつある。併し給与が高いわけではありませんので、これはどうしてもできない。これを調整して下げるわけに行かない。首も切ることも人員整理もなかなか困難だ。そういうときには国家公務員にしても地方公務員でもなかなか天才的な財政収支の技術を持つておる。事業を繰り延べるとか或いは地方の負担分を負担しなくて、寄付金を取るとか、土木工事を杜撰にするとかいろいろなことで給与を浮かして、それを優先的に取つて、そういうことのために公共事業なんかが十分なされず、年々災害が、本年度はまあ少なかつたわけでありますが、過年度災害が二千億も溜つておる、そういうことを節約することが、国家全体の経済からいつたら大きなマイナスに私はなつて行くと思うのです。なかなか出張旅費とか宴会費を捻出することで給料を出すようなことは庶務主任なんかにやらせれば実に勝れた手腕を持つているが、労働攻勢からして、そういうものを知事が或いは市町村長がやるということはできない。それは結局公共事業費やそういうものを食つて、そうしてそれは災害を拡大再生産して、国家経済全体から行けば大きなマイナスになると私は考えるのです。このことが若しもう少し地方財政にゆとりができますならば、かくもたくさんの人が出張して中央にいろいろな運動をする必要もありますまいし、腐敗や汚職もなくなるでしようし、私はその若干殖やすだけの限界効用というものは非常に大であつて、こういうことは実は一文惜みの百失いという結果になるのではないかというふうに憂慮するわけであります。  とにかく私の結論としましては、相当丹念に数字を検討いたしましたところが、とにかく財政支出をできるだけ抑えて、そうして収入はできるだけ見て、そうして平衡交付金が少くてもいいというふうに計算されたように思われてならないわけであります。我々として、まあ決して市町村長や知事なんかの一方的な言だけではなしに、実際事業税なんかもどれだけ取れるかというので、私自身直接十一の都道府県に対して実際本年度事業税はどれだけ取れるかというような調査もやつて見て、非常に自治庁のとはずれがありまして、大きな問題だと思います。私が特別に頼んで北海道、新潟、青森、大分、千葉、茨城、福井、和歌山、栃木、富山、神奈川、鳥取というような府県を取上げて、後半期どれだけ取れるかというような実態調査なんかをいたして見ましても、なかなかこのたび財政収支に細まれたようなほど取るにはよほど困難であろう。私はここで今日野党三派の修正案ができると思いますので、地方自治には格別に深い御理解のある本多長官は、是非党内の態勢をその野党三派の修正によつて地方自治財政を守る方向に持つてつてもらうように御努力をお願いしたいと思うわけであります。  それから武岡さんにお尋ねいたしますが、平衡交付金の全体の枠を殖やすということも必要ですが、与えられた枠内でできるだけ合理的な調整をやる、そういうふうにはいろいろ平衡交付金の測定単位なら単位費用について考慮することが必要ではないかと考えますが、そういうことについてどうお考えであるかという点と、もう一つはこの平衡交付金法の第十四条に、基準財政収入額は標準税率の百分の七十となつておるのですが、我々のほうで修正しましたので、なかなか言いにくいのですが、誤謬を改めるにはやぶさかではないのですが、これを改められるような一部改正するような用意はありませんか。地方公共団体からこういうことについてどういう最近の動きがありますかお尋ねいたします。
  116. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 平衡交付金の配分につきまして、各地方団体財政の実態に即してできる限り公平な配分をいたさなければならないということは御指摘通りでございます。本年度交付金の配分につきましても、一今回おきめ頂きます補正予算を加えまして、本年度の最終的な一般交付金の配分をいたすわけでありますが、過般行いましたいわゆる仮決定の結果等にも鑑みまして、この算定方法につきましてはいろいろ修正をいたさなければならないと考えておる点があるわけでございます。只今いろいろ現実の数字等につきまして、この配分方法の修正につきましては具体的な検討をいたしておりまして、来るべき本決定におきましてはできる限り公正妥当な配分をいたしたいと考えております。  それからいま一つ、いわゆる基準財政収入額算定を、只今の法律にきまつておりまするいわゆる七〇%方式を或いは八〇%、九〇%方式というふうに改める考えはないかというようなお尋ねと存ずるのでございますが、これにつきましては御承知のような経過もございまして、又地方団体の中でも相当そういう点について改正をすべきではないかというような御意見等も伺つております。いろいろ自治庁といたしましても、その後における情勢の推移等とも睨み合せまして研究をいたしておりまするが、なお具体的に今後の問題についてどのようなものにするかということにつきましては、なおいま暫らく研究いたしたいと存ずるのであります。  なこれに関連いたします問題でございますが、従来から比較的財政需要額の多い、或いは逆に申しますれば基準財政収入額の多いのに比較的多くの税源を持つておりまする団体と、そうでない団体との間における配分の問題の一つといたしまして、基準財政需要額収入額を上廻ります額と、平衡交付金のその額との関係におきまして、その額のほうが低い場合のいわゆる按分率に関する問題につきましては、今回更に従来の実績等に鑑みまして、只今の法律の出し方よりももつとより妥当なと言いますか、より適切な配分方法があるように考えられますので、この点につきましては近く国会の御審議を頂きたい、かように考えております。
  117. 中田吉雄

    中田吉雄君 補正系数を法定化されるような御意思はないかという点と、もう一つは平衡交付金のこの測定単位で警察費なんですが、前には警察吏員一人当り幾らというのが、測定単位が人口になりました点で、そこで逆算してみましたところが、小さい所ほど、人口の少い所ほど不利になつて来るような結果になるわけであります。例えば昭和二十五年、六年は警察吏員一人当り幾らというので、昭和二十五年が十六万三千五百円、二十六年度は十九万円であつたものを、例えば人口十万ぐらいの所で、警察職員が自由に増減できるようになつたので、現状で置いておるところでやつて見ますと十八万二千円ということになつて、この自治体警察に対する平衡交付金が人口になつたために、測定単位が吏員一人当りのときよりか不利になつて来ておるのです。これが結局私は財政的に圧迫を加えて、もう財政負担に堪えんからというので、議会で議決して、人民投票によつて国家警察にどんどん持つて行くということになつて行くのではないか。国警でしたら幾らでしたか、一人当り二十九万くらいの費用が国家予算には計上されておる。ところが人口十万くらいの所を吏員数で割つて逆算して見ますと十八万三千くらいになつて、昨年よりか低くなつておる。こういう実情があるわけですが、これを何とか補正系数によつて、警察吏員の、人口に測定単位が変つたことによつて起きる不利を何とか調整して頂きたいと思うのですが、そういう御意思はありませんか。
  118. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 最初のお尋ねの補正系数を法定化する意思はないかというお尋ねでございますが、只今の法律によりますると、補正系数は二十九年度から法律を以て定めることになつております。併しながらこれは地方財政計画を立てまする必要等からいたしまして、単位費用並びに補正系数及び測定単位の数字のとり方というようなものは、成るべく速かに法定化するのが適当かと考えますので、できますれば二十八年度からこれを法定化のできますように只今準備をいたしております。できますればさようなことで法案として御審議願うように漕ぎつけたいと考えております。  それから警察費の需要額の算定についてのお尋ねでございますが、今年度から前年度まで警察吏員数を測定単位にいたしておりましたものを人口に改めたわけでございますが、その結果測定単位が変つたことによつて、警察費に関する財政需要額の算定相当激変を生ずるようなところがあつたのではないかというお尋ねでございます。この点につきましてはこの前仮決定でやりましたときにも、従来の警察吏員数で測定いたしましたときの需要額と、それからそれを人口に直しましたことによつてつて参りまする需要額との或る程度補正はいたしておるわけでございます。それから全体の警察費の財政需要額につきましては、絶対額を比べますると、昨年に比べまして約十億くらい減つてつたかと思いまするが、これは自治体警察の廃止等に基きまして需要額の減つて参るものを差引きますと、実質的には十億ばかり却つて増になつておる。つまり警察に関する財政需要額全体といたしましては、昨年に比べて実質的には減つておらないはずだと考えております。なお今回の補正予算におきまして給与費の改訂その他によりまして単位費用は相当改められるわけでございまして、これも近く御審議を煩わすわけでございまするが、全体の財政需要額はなお当初に比べまして相当殖えて参るものと考えております。  なお御質問の中心でございました測定単位の変更によりまして非常に激変をし、それによつて警察を持つておる地方団体財政需要に非常に圧迫を加えることになりはしないかという点につきましては、本決定の際に更に十分考慮いたしたいと思いまするし、或いは又その本決定による補正系数の操作だけで十分な調整のつきませんようなものにつきましては、特別交付金或いはその他のものによりまして考慮して参りたい、かように考えます。
  119. 中田吉雄

    中田吉雄君 定期昇給を全国的にやれない所が大分あるんじやないかと思いますが、そういうことについて一応お伺いいたしたいと思います。
  120. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 定期昇給につきましてはブロックの知事会議等で若干これを遅らせるというような申合せをいたした所があるやに聞いておりますが、それもその後の事情の変化でさような申合せを取消したというような話でございまするし、今市町村等につきましてどの程度さようなものがありますか、ちよつと私どものほうでも把握いたすべき資料を持ち合していないのでございます。
  121. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺いますが、この春できた町村職員恩給組合の問題でありますが、これに対しましては町村職員とか議会事務局の職員は加入できておりまするが、農業委員会書記の加入の問題なんですが、これはこの一月に自治庁次長の名前で平衡交付金基準財政需要額にこれを組む、さような御了承願いたいというような指令が出ておるそうですけれども、その後なお且つ現在の農業委員会の書記が農地委員会や農業調整委員会の書記になつたときに遡及してこの適用を受ける、そういうふうな通牒を出されたそうでありますけれども、今回の平衡交付金には、そのうち町村が負担する分、即ち百分の十三、約二億円になりまするが、それが平衡交付金に盛られていないのではないかと思うのですが、その点はどうなんですか。通牒は自治庁次長で、これはそういうふうなことはかまわない、そうなるから御了承願いたいという通牒が出ておるのですね。
  122. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 農業委員会の書記の問題でございますが、これは従来町村役場のいわゆる町村吏員と別建でございましたので、町村吏員恩給組合の中に入つていない恰好になつておりましたが、実際はやはり町村職員でございまして、先般の町村職員恩給組合法の施行によりまして、吏員に限らず職員も入れる、こういう建前になつてつたものでございますから、従つて農業委員会の書記もやはりこれに加入をせしめるごとにいたしたわけでございまして、その関係財政需要は、前回の当初計画におきましても、町村職員の恩給組合の基準財政需要の中に算定をいたしております。これは御承知のごとく従来府県町村の恩給組合に対する補助金といたしまして、それに必要な基準財政需要を見込んでおつたのでございますが、それを先般法律の制定によりまして、府県が一切補助をしないという建前にしまして、町村基準財政需要の中に従つて全部織込む、それに町村の負担いたします負担金と本人の掛金との二つで財源を賄つておるような形になつておるわけであります。町村の負担をいたします部分につきましては、これは今回のペース・アップに関連をいたしまして、いずれもその増を見込んでおるわけでございます。
  123. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういたしますと、今の鈴木次長お話だと、この町村の負担の分は、今回平衡交付金に織込んであると、さように了解してよろしいですね。
  124. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) さように考えております。
  125. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その金額は幾らですか。
  126. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ちよつと今ここに資料を持つておりませんので、後刻御連絡申上げます。
  127. 三輪貞治

    委員外議員三輪貞治君) 前に自治庁のほうから頂いた資料によりますと、税外収入が四十九億九千七百万増収になつておりますね、これはどういう根拠に基いて約五十億の税外収入増収を見込まれたのですか、この点一つお伺いしたい。
  128. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 税外収入として約五十億の増収を見積つておりますが、その内容は使用料、手数料の増収でございます。これは二十七年度の当初財政計画におきまして、この使用料、手数料の見積りをいたしますとき、二十六年度実績見込というものが判明いたしておりませんでしたので、止むなく昭和二十五年度の決算見込の額を基準といたしまして、それに増加の倍率を掛けて推計をいたしておつたのでございます。その金額を百九十五億ほど当初計画に算入をいたしておつたのでございますが、その後二十六年度実績が判明したところによりますと、二十六年度地方実績は、使用料、手数料におきましてこれが又たまたま百九十五億という数字に相成つておるのでございます。そこで今回の修正計画の際におきまして、結局二十七年度の当初における使用料、手数料の見積りが寡少に過ぎたということになりましたので、この二十六年度の決算見込の額をもとにいたしまして、それに増収見積りの率を掛けて今回計上いたしました。その結果が当初に比べまして約五十億ほどの増収の期待ができる、こういうことになつているのであります。これはお手許に差上げてございまする資料昭和二十七年度修正地方財政計画、これの一番最後の頁に内訳を書いてございます。
  129. 三輪貞治

    委員外議員三輪貞治君) それから今年の予算で厚生年金の積立金の中から勤労者住宅の費用として十億円が見込まれておりますね、これはその被保険者を持つておる事業主のいる市町村なり県なり、そういう地方団体がその起債ができるようになつておるのですが、この起債額はこれに入つておるのですか。
  130. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) お尋ねの厚生年金の中からの勤労者住宅建設に廻しまする十億というのは、資金運用部資金の融資計画の中にあつたと思いますが、そのお尋ねでございましようか。
  131. 三輪貞治

    委員外議員三輪貞治君) 地方公共団体が二の起債の当事者になるわけですね……。
  132. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) わかりました。それはお尋ねの件は、本年度の資金運用部資金運用計画におきまして、この八月か九月頃でございましたか、ちよつと正確に覚えませんが、当初計画の改正を行いまして、その際に約十億円を地方における勤労者の住宅の建築に充てるということでその貸出が行われておるわけでございます。これは実質的には厚生年金の特別な指定された融資ということになつておりますので、一般的な地方債の枠の外ということで運営をいたしておるわけでございます。ただ形式的にはこれを直接住宅組合等に貸出すことが現行の法律の建前でできませんので、形だけを市町村の起債、地方債という形をとることになつておるのでございまするので、実質的な負担は市町村にございませんから、計画の中には入れてございません。
  133. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一遍大臣に伺つておきますが、五大市からの陳情があるのですが、前に地方行政委員会大臣平衡交付金、起債のほかに、五大市等についてはこの前もやつたから今回も公募公債を考えているというようなお話があつたと思うのですが、その辺はどうなつておりますか。
  134. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 現在も大蔵当局と折衝中でございます。更に努力いたしたいと考えております。
  135. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 大体その金額はどういうところを目標に折衝しておられるのですか。
  136. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 額として百億を目標に折衝中でございます。
  137. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 百億とれれば五大市は非常に助かると思うのですが、大蔵省とも折衝中だからまだ確定はしないでしようが、大体はどの程度確保できるお見込でしようか。
  138. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今のところまだ額についての見通しは困難な状況でございます。一層努力するほかはないと考えております。
  139. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 まだ折衝中なら止むを得ませんが、五大市も非常な赤字を先年も出しておりますし、この公募公債の点については今後とも是非絶大な御尽力を願いたいと思います。
  140. 三輪貞治

    委員外議員三輪貞治君) 先ほどお伺いしました税外収入の点についてもう一点伺いますが、それはこういうことだつたのですね。二十六年度予算の場合におきましては、二十五年度数字しかなかつたので、それに或る率をかけて百九十五億を計上した、ところが実績においても又そうであつた、そういうわけですね。
  141. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) はあ。
  142. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そこで二十七年度においても同じ率が又増収されるであろうということでその率を掛けた、それが五十億である、こういうことですか。
  143. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 当初の計画の際に見積りましたのは、二十五年度実績見込を基礎といたしまして、これに大体その当時の、二十五年度から二十七年度への一般的な物価の騰貴率、これを二割五分と押えまして、二割五分をかけて計算をいたしたのでございます。今回は二十五年度実績と二十六年度実績の比較をとりまして、その間にどれくらい増収になつておるか、その率をお手許の資料に示してあるわけでございますが、その増加率というのはそういう意味でございます。その率をそれぞれにかけて計算をいたしたのであります。
  144. 森八三一

    委員長(森八三一君) 念のために政府委員に申上げますが、先頃三輪議員から要求の府県別、市町村地方公務員の学歴別、勤務年数別給与国家公務員の同様の資格におる者との給与の比較表、それから中田委員からお話のありました国家公務員給与の実態について調査をされておる資料西郷委員からは平衡交付金の中に見積られておる農業委員会関係の額、これは至急御提出を頂きたいと思います。
  145. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点お伺いしますが、この前大臣に自警の経費の点で伺いましたが、同じことが消防についてもあるのか、従来消防に対する起債額というものは非常に微々たるものであつて、二十七年度の現在までを見ましても、市並びに五大市は四十三億円、町村は三十二億円、合計七十五億円の申請があつたに対しまして、現在市町村に対しては三%とか五%、平均して四・三%というような極めて微々たる起債しか許されておらない状況になつておりますが、一方消防自動車なんかの必要額というものは二万台くらいを要望しておりまするが、到底十分の一もやれない状況にありまするが、現在の起債に対して今度の補正額でも非常にこれは困難だと思いますが、こういうものについて今後どういうふうにお考えになつておられるか、伺いたいと思います。
  146. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この消防の起債につきましては、現行の地方財政法の建前で、西郷委員も御承知のごとく、警察、消防につきましては例外的に「消防の強化に伴う施設の建設費」というのが地方財政法の終りのほうに謳つてあるのでございまして、地方財政法の起債につきまして規定をしてございます。第五条の基本的な所に謳われていないのであります。さようなことは地方債を充当いたしますべき対象を如何にするのが適切であるかというような問題とも関連をいたすわけでございまして、現在相当地方債につきましては地方財政法第五条に厳格な制限もございまするので、地方制度調査会におきましてこれらの点につきましても何らか解決案が見出されれば非常に結構であるというふうに考えておる次第でございます。差当つての問題といたしましては、どうしても一般の公共事業とかその他の経費のほうに廻ります起債すらも非常に窮屈な状態でございまして、消防につきましては団体ごとにそれぞれ特有の事情はあると思いまするが、現在示されておりまする消防の基準というのが相当高度のものでございまするので、なかなかそこまでは起債のほうも追付いて行き得ない実情でございます。併しできるだけは考えたいと存じておりまするが、全体の配分の上ではやはり相当窮屈に行かざるを得ない実情である次第でございます。
  147. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 これは大臣に要望するのですが、この前鳥取の大火でも、鹿児島にも大火は二度もありましたが、そういうふうな大火がありますと非常に地方財政に甚大な損害を与えまするので、今のお話はわかりまするが、やはり自治体消防というものを拡充できるように今後とも政府も一つ特段の御尽力を願いたいと思います。
  148. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 了承いたしました。
  149. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは本日はこの程度で散会いたすことにして、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 森八三一

    委員長(森八三一君) この際お諮りいたします。  これを以ちまして当第四小委員会は一応予定の日程を終了したことになるわけでありますが、小委員会における経過の予算委員会に対しまする報告につきましては、先例によりまして小委員長に御一任を頂きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 森八三一

    委員長(森八三一君) 異議ないと認めます。  本日はこれを以て散会いたします。    午後五時十六分散会