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1952-12-09 第15回国会 参議院 予算委員会第一小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月九日(火曜日)    午後一時四十五分開会   ————————————— 昭和二十七年十二月六日予算委員長に おいて小委員を左の通り指名した。            泉山 三六君            楠瀬 常猪君            左藤 義詮君            溝口 三郎君            羽生 三七君            山下 義信君            堀木 鎌三君   ————————————— 同日予算委員長は左の者を小委員長に 指名した。    委員長     堀木 鎌三君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀木 鎌三君    委員            左藤 義詮君            溝口 三郎君            羽生 三七君   国務大臣    国務大臣    木村篤太郎君   政府委員    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    保安庁経理局長 窪谷 直光君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君   説明員   総理府恩給局審   議室長      井下田孝一君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十七年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣送付)  (総理府関係予算自治庁を除く)に  関する件)   —————————————
  2. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 只今から予算委員会の第一小委員会を開催いたします。大体日程につきましては先ほどお話したようなことで参りたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) では、今日は只今木村保安庁長官がお見えになりまして、二時から衆議院予算委員会出席要求されておるよう状況でございますので、先ず木村保安庁長官から概略保安庁に関しての重要問題について御説明を願つた如何かと、こう思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) じや、木村保安庁長官
  5. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 詳細は上村官房長から申述べることにいたします。私の考えでは差当つて一番必要なのはいわゆる警備隊の人員であります。現在、定員が先ず来年の三月に埋まるだろうとは考えております。ところで御承知通り沿岸警備人命保護の役割をいたしまする船が日本ではなかなか調達できませんので、いずれ御審議願いますればアメリカから借入れる船が六十八隻、主としてこれに乗込ませるようになつておるのであります。そういたしますると、この定員が少し増加しなければ間に合わんという状況に差迫まられております。申すまでもなく、この乗員については連れて来てすぐ乗込んで役に立たせるということはできまん。相当の期間これを修練をさせなければなりません。従いましてこれらの増員を一日も早くやりたいと思つているのであります。定員法の改正も法律案として案はこの国会に提出しなければならんと私は考えております。いろいろ準備の都合がありまするのでこの国会には間に合いません。いずれ来春の国会に提出いたしたいと思つております。  それから私は特に関心を持つておりまするのは北海道駐屯部隊であります。これは相当強化しなければならん各種の情勢が迫られておるのであります。御承知通り北海道はなかなか僻陬の地で容易ならん。殊に冬になりますると御承知通り寒気が激甚で相当の営舎の設備もしてやらなければならん。幸い二十七年度におきまして我々の満足というところまで行きませんが、相当予算は認められておるのであります。併しこれを実際において作り上げるということは時間的の関係においれもなかなか容易ではないのです。まだ完備しておりません。これを早急に一つ何とか完備してやりたい、こういうことを考えております。殊に甚だ不幸なことでありますが、北海道において土地の応募者が少い。内地から持つて行かなければなりません。現在の実情を申しますると、大体において応募者の多いのは、鹿児島、熊本、福岡、これであります。この南方で育つた人間北海道へ持つて行つて、これをあの北海道の冬に住まさせるということは、なかなか容易じやないと考えております。それらの点を勘案いたしまして、何とか一通りの住宅を作つてやりたい、こう考えております。それから若い者でありまするし、殊に相当訓練をさすについては、普通の人間とは、特殊の栄養というものを注意してやらなければならんと考えておるのであります。これらの点についても、十分に考慮をいたしたいと私は思つております。被服の点におきましても、この間初めて私は参りまして、詳細なことはわかりませんが、大体そこらに並べさせて見たのでありますが、これも改善の余地があるのじやないかと考えております。何分にもこの逼迫した国家財政において、そう贅沢なことは参りませんが、少くともこれらの隊員相当のことだけはしてやりたいと考えております。私も実は早く各キヤンプに参りまして、実情を見たいと思つておりまするが、日にちの関係上そこまで参りませんので、詳細なことをここで申上げることはできませんが、いずれ参りましで、その結果皆さんに御報告して、御参考に供したいと思つております。詳しい内容のことにつきましては、経理局長からお聞取りを願えれば、誠に仕合せだと、こう考えております。
  6. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) まだちよつと時間があるようですから、この際保安庁長官に…、あと経理担当者から聞くにいたしましても…。
  7. 左藤義詮

    左藤義詮君 今の海上警備の現在の定員に対して、どの程度充足しておいでになるのでありますか。それから今度定員をお殖やしになる計画はどのくらいの計画でございますか。
  8. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 現在の定員は七千五百九十人でございまして、一両旦別に入隊いたしましたので少し殖えておると思いますが、現在員が六千六百七十五名でございます。これは大体今月から一月の間に定員一ぱいに充足いたす考えでございます。
  9. 左藤義詮

    左藤義詮君 明年度は……。
  10. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) まだ予算編成中でございますが、約一千五百人でございます。
  11. 左藤義詮

    左藤義詮君 それを次の国会に御要求になるのですか。
  12. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) さようでございます。
  13. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 今の官房長から定員お話を申上げましたが、千五百人は例のP・Fというものが八隻、二十七年度よりも増加いたしますことになりまして、その分でございまして、それは船一隻当り約百八十人乗ることになりますが、これはすぐ出るのでありますが、あと陸上管理要員の手不足が非常にございまして、これも併せて来春の国会には御審議願いたいと思つておりまして、そつちのほうは目下研究をいたしておるような段階でございます。
  14. 左藤義詮

    左藤義詮君 大体どのくらいなものですか。
  15. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) まだちよつといろいろな考え方がございまして、まあできるだけ切詰めたいということは考えておりますが、まだ数字が出ておりません。
  16. 左藤義詮

    左藤義詮君 これはすぐ伺えないかも知れませんが、海上の大体規模とか、御構想を伺るたのですが、陸上のほうに対してはどういうふうにお考えになつておりますか。
  17. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今十一万です。そこでこれを殖やすべきかどうかという問題があります。私長官としてどこまでも現在の定員をしつかり教育して行きたい、これが私の考え方なのです。差当つて定員増計画しておりません。
  18. 左藤義詮

    左藤義詮君 十一万の定員に対して現在の充足はどのくらいになつておりますか。
  19. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは今丁度変則的な状況にございますが、十一月の二十日現在で七万六千七百二十三名でございます。これは八月の、下旬か十月の中旬にかけまして、一番最初に入れました隊員が任期が切れたのでございます。それが退職をいたしまして、それであと十二月の中旬、もう間もなくでございますが、これで大体十一万が充足するということになつております。最近の新らしい数字は、十一月の二十日現在でございます。丁度新らしい隊員が入つて来ます前の状況でございまして、大分欠員はございますけれども、大体これは予定通り状況であります。
  20. 左藤義詮

    左藤義詮君 いろいろな変則的な特殊的なそういうことがございますが、他の役所に比べて十一万の定員に対して七万五千人というのは、それであなたがたのほうはこれくらいの覚悟をしておつた程度だとおつしやいますけれども、非常に予算の面から見まして、定員と実員との差が大き過ぎると思うのですが……。
  21. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 二十七年度の予算におきましては、十一万という定員に相成りましたけれども、十一万で前年度分の予算を計上いたしません。九カ月分を計上いたしております。それを七月の初めに七万五千から十一万に一応増員をいたしまして、それが今度は旧定員が八月の下旬から一月にかけて退職をいたしました。大体十二月の初め乃至中旬に入れますと、丁度その増員の分だけが九カ月分ということに相成りまして、ちよつと奇異にお感じになるかと思いますが、大体当初の予定通り状況で進行いたしておるような次第であります。
  22. 左藤義詮

    左藤義詮君 非常に地域的に鹿児島その他九州方面は非常に多いが、最も充足しなければならぬ北海道応募者がない。これはいろいろ止む得ん点があるかも知れませんが、これに対して何らかの措置をとつておりますか。
  23. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 手はできるだけ打つております。併しこれは御承知通り非常な何と言いますか、入隊をするなというよう宣伝相当きいておるのではないかと思います。この宣伝が非常に大きい。幸いにいたしまして、現在ではこの保安隊の性格なり、又保安隊によつて初めて日本の平和と秩序が維持されるものだというこの気持が国民の間に滲透して行つております。幸いなことだと思つております。そこで徐々にこの方面の解決もできるのではないかと、現に最近においては希望者相当殖える傾向にあります。御承知通り今度の保安隊員募集成績を見ますると、大体において一人の募集に対して三人の応募者があります。併しこれではいけないのです。少くとも本当のいい者を求めようといたしますると一に対して七なければいかんと私考えております。徐々にこれで以て今度は一対五ぐらいに行くのじやないかと考えております。保安隊員のこの募集のいわゆる通俗的に言いまする宣伝方法、これは足りません。露骨に申上げて足りません。もつと宣伝をすべきじやないかと思つております。で、現在までのところこれは東京を一つ持出して考えて見ますると、各区役所にその宣伝方を依頼しておるのであります。最近に私は品川区におつたのでありますが、品川区の情勢を見ますると、たつた一回映画をやつて、そして募集宣伝区役所でやつた。併し来た者は相当数ありまして品川区ではそれだけやつただけで約四倍ぐらいの応募者があつた、こう区長は私に申しております。正確なことはわかりません。そういうような次第であります。もう少し宣伝をすれば応募者も殖えて来るのじやないかと、こう考えております。
  24. 左藤義詮

    左藤義詮君 それではその募集方法、特に各自治体に対していろいろ連絡をして宣伝をなすつておると思いますが、そういう方面予算等が十分であるかどうか、その実情一つ…。
  25. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 非常に不足いたしておりまして、二十七年度の予算におきましては本当事務処理に必要な経費だけで、通信料でございますとか、或いは紙類等消耗品費でございますとかいう程度のものでございまして、宣伝に使い得る経費というものは非常に僅かなものでございます。従つて地方自治体といたしましては宣伝と言いますか広報活動と言いますか、そういう名に値する活動はできなかつたというふうに考えております。これは二十八年度の予算ではできますならば増額をいたして頂きたいというふうに考える次第であります。
  26. 左藤義詮

    左藤義詮君 非常に優秀な人を集めるためには一に対して七くらいにまでしたいという抱負伺つたのですが、それが現在一対三だ、もつと広報宣伝を続けなければならんということはよくわかるのですが、まあ明年度予算では御要求になるようでありますが、補正予算ではなぜそういうものを御要求にならなかつたのですか。
  27. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 募集が大体来年度に相成りますのでちよつと…。できるだけ早い機会に、しよつちゆうやつておくことが非常に必要なことではございますけれども、来年度の予算で措置すれば間に合うであろうというふうな考え方補正予算には見合せた次第であります。
  28. 左藤義詮

    左藤義詮君 十一万に対して七万五千というのは、ちよつとこれは実情と比べて見て……急速に少くとも定員を充足する必要があると思いますが、こういう広報宣伝は右から左にすぐ効果があるものじやないので、もう少し大きな見地から国民保安隊というものを徹底させるためには、明年度予算で取つてそれからぼつぼつ宣伝をするということは何か私手遅れになつておるのじやないかと思います。今の長官の非常な御抱負伺つても、内容を立派なものにしたいと言う、国民も非常に希望しておる、その実情から申しましてもこの補正予算に当然私は御要求になるべきだと、そんなにあと廻しにすべきものじやないと思いますが、長官違いますか。
  29. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは実は定員増を共に提出したいと思つてつたのでありますが、いろいろの情勢から考えて見まして遠慮したほうがよかろうというので遠慮したわけであります。
  30. 羽生三七

    羽生三七君 時間がないようでありますから一つだけお伺いしたいと思います。先頃新聞で随分保安隊問題について、木村長官談というのが、談とい系、まあ意見がいろいろ伝えられておつたようでありますが、今お話を承わると、十一万の定員を増加するよう予定はなく、むしろ現在の定員に十分な教育をする方針で進みたいという御意見の御発表があつたのですが、そうすると、あの当時の新聞記事は誤り伝えられておつて本当真意は今お話しになつたことだと、こう了解していいですか。
  31. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は初めからそう言つているのです。新聞記事は、私は余り自分に関する限り新聞を見ておりませんが、私は初めつからそう言つているのです。当初就任して以来ずつと部隊定員増よりも質的向上を図るべきだ。これは私特に記者にも言つている点なんです。新聞記者はどういうことを記事にして現わしておるかわかりませんが、その信念においては当初から私今も変つておりません。
  32. 左藤義詮

    左藤義詮君 長官お急ぎのようですけれども、今非常に広報宣伝等が遅れておるということもございましようが、どうももう一つ募集状態長官抱負ように行かない。それには保安隊というものの性質をもつとはつきりして欲しいと、今新聞お話にもございましたが、誤り伝えられておるか知れませんが、どうも国民長官の御真意というか、国の方針というものが徹底しない。まあ中には閣議で長官がもつと蛙なら蛙とはつきりしてしまつたほうがいいのじやないかというお話があつたことまで新聞に伝えられておるわけでありますが、こういう何かもう一つ国民の胸に、若い人の胸にぴつたりしないところがあるために一番大事な質的向上の最大の要件である募集が思うように行かないということがあるとはお考えになりませんですか。
  33. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 現在の保安隊員士気高揚、それから今左藤委員から御指摘のありました応募する者に対する宣伝、これらについてもう少し決定的に何とか筋金を入れたらどうか、これは誠に御尤もと考えております。それらの点につきましては十分今後研究いたしまして又皆様の御意見をも拝聴いたしまして善処いたしたいと、こう考えております。
  34. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 速記をとめて。   (速記中止
  35. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 速記を始めて。只今から例の衆議院でいろいろ問題になつておりますフリゲート艦の貸与の問題に関して、木村保安庁長官から経過並びに御意見を伺うことにいたします。
  36. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 極く大筋だけ一つ申上げましよう。そこで本来なれば海岸警備海難救助に当らせる船は、私は日本で調達すべきだと思います。併しながら現在の日本財政状態で申しますると、そこまでは行かないのであります。幸い今度アメリカ好意によりまして、これは元アメリカ哨戒と船団の護送用使つておりましたいわゆるP・F、パトロールフリゲート、それを十八隻貸してくれることになりました。もう一つはL・S・S・Lと申しまして、これは向うでは上陸支援艇として使つてつたものであります。これは小さい船であります。これが五十隻、合せて六十八隻というものを向うから貸してやろうじやないかというのであります。御承知ようアメリカではこれを貸すについて一つのアクトを作りまして、そうして大統領の裁決によつて日本に貸すということにきまつたのであります。これを私はアメリカの非常な好意だと考えております。そこで私は特に申上げたいのは、一体日本海上はどういう工合になつておるのか、警備の仕様、これでございます。申すまでもなくアメリカにおきましては海岸線が約一万二千浬、日本におきましては約八千浬であります。アメリカ日本とは比較にはなりませんが、アメリカにおいていわゆるコースト・ガードです、海岸警備に当つておる船は二百トン以上の船が三百二十隻、固定配置的の船艇が約四千隻、飛行機八十機、これらのうち二千四百トン以上のものが約三十二隻あるという状態がこれは普通のコースト・ガードです。戦備でも何でもないのです。これだけアメリカでは使つておる。そこで日本においては昔どうであつたかと言いますと、旧海軍時代におきましては、これは海軍でありますが百五十トンから二千トン級の船を二百七十隻使つておりました。そういたしまするとまあ日本では勿論この海上保安庁の船もありまするが、これらの船を加えましてもまだ十分じやないというのでありまして、一方から御承知通り相当のこの漁船の拿捕事件もあるのです。これはいずれ詳しい数字は後刻又申上げることにいたしますが、相当数不法に拿捕されております。今後ますますそういう事案が出るのじやないか、こう考えて見ますると何としても急速に沿岸警備に当る船だけは整備しなければいけない、こう考えております。今日借りることになつておりまする十八隻のP・Fいわゆるパトロールフリゲート、これはどういう性能を有するものであるか、こういうことになりますると、これは大体において基準排水量は千四百二十トゾであります。速力は公称十八ノットと申しまするが、実際においてさようには出ません。平均速力は約十二ノットです。併し沿岸警備としてはこれでも十分間に合うと考えております。装備の点に行きましてもこれは三インチ砲が三門、四十ミリの機銃が二基載つております。二十ミリの機銃が九基載つております。まあこのくらいの程度の船であれば警備のみに当らせることができるだろうと思いますが、この船は今から約十年前にできた船であります。アメリカではこれは哨戒艇としても殆んどものの役に立たない、私はこう考えております。まあ日本に持つて来て沿岸警備に当らせれば何でありますが、まあこれは御覧下さればわかりますが、併しまあまだみんな使えるわけじやありませんが、この十八隻と、それからL・S・S・Lの五十隻、都合六十八隻を向うから貸してやろうというのですから、その好意は受けて然るべきだと私は考えております。これだけのものを日本で今造ろうとすればなかなか容易ならん金であります。而してこれを借受けますについての条件が甚だ寛大であるということを申上げたいのですが、無償で、而も使うのについて十分使えるよう状態にして貸してやろう、現にこの船は先ほども申しましたように古い船でありまして、相当修繕もしなければならんが、みんな向うで修繕してやろう、返すときはつまり現状のまま返してよろしいという極めて寛大な条件であります。これを借受けまして沿岸警備に従事いたしますと、漁民なんかも私は非常に喜ぶだろうと考えております。今一番の関心事は私はいわゆる漁民保護であります。密輸船の監視も必要であります。いろいろ密輸して困つております。併し私は第一次的に漁民保護してやるということが差迫つての急務であると考えます。これを使いますると相当程度間に合うと、こう考えております。
  37. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 衆議院のほうから催促が来たようですから、保安庁長官に一応これで……。又時間の余裕があつた出席して頂きたいと思います。
  38. 溝口三郎

    溝口三郎君 保安隊海上警備隊給与ですが、応募者が大分少いようですけれども一般公務員給与標準が違つているのじやないかと思うのですが、一般公務員の現在の一万六十二円というベースに対して保安隊海上警備隊のほうは何割くらい高いというようなことになつておりますか。
  39. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 保安隊及び警備隊のほうは特殊の給与の形態がございます。と申しますのは、金銭給与だけでないのでございます。幹部のほうはこれは普通の公務員と同様に全部金銭給与になつておりますが、士補以下のところは食事現物支給するということになつておりますので、比較は数学的にはできないのでございますが、均衡は一般公務員の大体それぞれの階級に応ずるところの見合をとつてつておるのでございまして、特別に低いということもございませんし、又少し高いということもないというのが状況でございます。金額で申しますならば、ちよつと誤解を生むかと思いますが、一万何千円に対して大体今のところでは八千円弱ぐらいの平均になつておるかと思いますけれども、それはただ名目的な金額が低いというだけでありまして、実質においては見合がとれておるというふうに私ども考えております。
  40. 羽生三七

    羽生三七君 それは食事給与などを貨幣に換算した場合にいつて、その他の公務員と比べてどうでありますか。大体釣合がとれておりますか。
  41. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 一応私ども給与算定の作業といたしましては、一番似かよつた職域といたしまして警察官をとつております。警察官の職務内容なり、年齢、昇進の度合等考えまして、一応この辺のところが合うだろうという想定をおきまして、一般公務員のほうは全部金銭給与になつておりますので、そこには見合をとりましてやつておりますが、現物支給いたします給与は現在九十円ということでやつております。大体それによつて訓練に堪える栄養量は与えられるだろうということで、カロリーにしますと三千二百五十という標準をおいておりますが、給与算定のときにおきましては、こちらのほうは相当野外においての演習ということでありますので、消費のカロリーが多いということ、だからそれを金銭給与として想定したものの全額を引くということは釣合がとれない、こういうことから一日九十円でございますけれども、この九十円の全額を控除いたしませんで、それの約六割二分程度のものを存置して三割程度を控除して見合をとつておるという状況でございます。
  42. 左藤義詮

    左藤義詮君 被服はどうですか。
  43. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 私ども食事現物給与と合せて大体見合がとれておるというふうに考えておりますが、ただ一般公務員のほうの階級と申しますか、級別構成度合と、保安隊警備隊におきまする階級構成度合とから申しまして、必ずしもその金額比較するということは適当でないのでございまして、大体それぞれの職域と言いますか、その責任と仕事の質に応じたところで比較をしなければならんと思います。相対的に見ましてもほぼ似通つたところに来ているのではないかと思います。それから被服はこれは現物支給をいたしております。それで幹部のほうは強制的に制服を着せますので、初めの夏服、冬服の二着分は無料で支給をいたすことに相成つております。それから士補以下は全部これは貸与の制度になつております。従つて耐用命数が来てすり切れますと、国の費用で新らしいものを調達して更新をしてやるということになつております。それから幹部のほうも一応支給はいたしますけれども、本人がそれぞれの被服の耐用命数と言いますか、耐用年限が来ないうちに退職をいたしましたというときには、返納をするという制度にいたしておりまして、幹部のほうも制服は支給したけれども、翌日やめてしまうというようなことのないようにという配慮をいたしてやつておりますので、給与の点は大体見合がとれておるのではないかと思います。ただ私どもの希望としては、少し一般公務員よりもいろいろ訓練もきついし、いざ事が起つたという場合には生命の危険もあるというふうなことから、よくしてやりたいという希望は持つておりますけれども、これはまだ実現はいたしておらないのでございます。
  44. 溝口三郎

    溝口三郎君 補正予算でもやはり今大体同じスライドでやつていられるのですか。もう少し上げてやるというようなあれはないのですか。
  45. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 大体従来通り標準で計上いたしております。別に上げる、或いは下げるという措置は講じてございません。
  46. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうすると今のベースアップの計算をなさるときに、大体同じ程度でスライドする。例えば金銭についてはそれでよくわかりますが、被服或いは食糧等を勘案しておられるわけですがこれはベース・アップについてどういうふうに処置しておいでになりますか。
  47. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 制服の点は従来ともに給与算定の中には考慮をいたしておりません。これは若干義務的に着せるという面がございますので、細かく議論しますと一般公務員でも背広を着ておりますわけですから、その制服を着ております間は、その背広、自弁をした着物の傷み方は少いという面はございますけれども、これは義務的に着せるものだということから、別に考慮をいたしておりません。と申しますのは、一般警察官を一応基準にとつておるのでありますが、警察官のほうも制服は大部分の者が貸与の制度になつておりますので、見合をとつてつております。それから食糧費の点は現在九十円ということでやつておりますが、これは従来通りの九十円ということで一応計算をいたしております。それで若干の物価の変動もございますので、二十八年度九十円ではやつて行けないのじやなかろうかということで、いろいろな資料を集めて目下研究はいたしておりますが、最後的に幾らが適当だという数字まで出し得る段階に来ておらなかつたというふうなことから、大体従来通り九十円ということにおきまして計算を従来通りの方式でいたしたというような恰好になつております。
  48. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうすると一般公務員は一万何がしの二割であるが、あなたのほうは八千円何がしの二割、(「大分大きな開きがある」と呼ぶ者あり)食糧のほうについては、今度の補正予算にはベース・アップは考えておられないとしますと、アツプする程度が非常に一般公務員に比べて不利になりはしませんか。
  49. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) その点は逆に一般公務員よりも心もちよくなるということかと思います。と申しますのは、食糧を自弁いたしますと言いますか、営外に居住をいたしております幹部につきましてはその食事代の考慮ということは全然いたしておらないわけであります。一般公務員と同様の計算をやつておりますので、関係ございません。ところが士補以下のものにつきましては、九十円を基礎にしてそれの約三割程度をかけたものを控除するということになりますので、約七割というものが金銭給与として想定されたものから引かれたものが現実の給与になりますから、食糧費のほうで殖やしますと、結局かけられた結果が極く僅かの差ではございますけれども、多くなるという恰好でございまして、これは今のところまだ見当はつかないのでありますが、百円を越すことは先ずなかろうというふうに計算をし直しましても、考えておりますので、給与算定の経過的な数字としては、従来通り数字を置いて支障なかろうというふうな考えをいたしております。
  50. 左藤義詮

    左藤義詮君 官房長一つ。先ほど長官の御説明に、非常に漁船などの不法拿捕が多い、それに対してガードをやるのだ、随分外国人の手で拿捕せられようとするときに、このフリゲートその他がそこへ行つてどういうふうな方法でこれを守られるのか。武器を備えておるフリゲート艦が行つてどういうような具体的に措置をされるのでありますか。
  51. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) まだ現在訓練中でありますので、正式に船に乗つておりません関係で、漁船等の保護についてどういうような行動がとれるかということについてはまだ部内で意見が一致しておりませんのでありますけれども、概略を申しますと、外国の正式の軍艦が国際公法に基きまして正当な権限を行使して来る場合にはこちらの船は軍艦でございませんので如何ともいたしがたい、外交交渉に待つほかはないと考えております。併しながら急迫不正な攻撃が行われましたりする場合には、当然正当防衛或いは緊急避難というような意味で行動することはあり得ると思うのでございます。又漁船等が外国の領海に侵入する虞れがありましたりするような場合には、注意をしてそういう物議を起すことを避けさせるというようなことは当然すべきであろうと思うのでございますが、先ほど申上げました通り、外国の軍艦等が正当な権限を行使して拿捕いたしますというような場合には、外交交渉に待つほかはないと考えておる次第であります。
  52. 左藤義詮

    左藤義詮君 海賊船その他の場合は無論よくわかりますが、外国の軍艦であつて而も国際公法によらずに急迫不正の行為をなすということは考えられませんですか。そういう場合には非常に国際公法によつておるかどうかということはなかなか現場では微妙だろうと思いますが、明らかにこれは国際公法の上から見ても向うの領海へ入つたわけでもないのだし、明らかに急迫不正な侵害を我が漁船に加えておるというような場合には、やはり自分の持つておる武器を使つてこれを守るということは考えのうちに入つておるのでございますか。
  53. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) どの程度が正当かどうかという点極めて微妙でございまして、具体的の場合でないとわからないのでございますが、先方がまあいろいろな犯罪の嫌疑或いは領海侵犯というような疑いを持つて停船を命ずるというような場合にはいたし方ないと思うのでございますが、ただそういうような普通の国際公法上の手続に違反いたしまして急に攻撃をして来るというような場合には当然正当防衛の立場から行動することはあり得ると思つております。
  54. 左藤義詮

    左藤義詮君 今度六十八隻の、先ほど長官お話によるとアメリカが非常な好意で貸してくれるから、それだけ警備が十分になるから喜んで受けるのだと、こういうお話でございますが、そうすると今まで、終戦以来今日までいろいとやつておられるパトロールは甚だ不十分であつて、これをどうしても借受けなければ海上警備ができない。今までのは全くこれは不完全なものであつたというふうにお考えになつておられますか。
  55. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 海上警備につきましては、第一次的には運輸省に属しまする海上保安庁の船が当るわけでございまして、保安庁の警備隊に属します船はその補完的の意味において行動するわけでございます。まだ正式に引渡しを受けておりませんので、こういうような具体的な場合につきましては外務省その他と打合せをしておりまして、いろいろな場合を想定いたしまして研究せねばならんと思つておる次第でございます。
  56. 左藤義詮

    左藤義詮君 とにかく海上保安庁で不十分ではあるかも知れませんが、海難の救護その他においてとにかく間に合つておると、それがたまたまアメリカのほうからこういう話があつたので、一遍に六十八隻というものを補完的な意味で殖やされるというので、何かこれが海軍の卵じやないかというようないろいろなことを言われるだけでございますが、今までの海上保安庁でやつている警備だけではどうしてもいけないのだということをはつきり国民に納得させるような資料をお示し頂けるかどうか。
  57. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 戦争前におきましても日本海軍は平時的な沿海警備の任務をつておりまして、その際に保有しておりました沿海警備用の船のトン数と我国の沿岸海岸線の長さ、これらの比率及びアメリカにおきまするいわゆるコースト・ガードという沿岸警備の船のトン数及びアメリカ海岸線の長さというようなものを比較いたしますると、今回の六十八隻を引渡しを受けましても遙かにトン数といたしましては少いわけでございます。
  58. 左藤義詮

    左藤義詮君 まああり余つた国のアメリカがよそにまで貸そうというくらいですから、それと同じようにはなかなか行かないわけなんですが、世界各国の海上警備のいろいろな数字、それから海軍が持つてつたいわゆる沿海警備をやつてつた時代の数字、それからそれがなくなつてしまつて、現在まで終戦以来海上保安庁だけでは不十分で、不自由をして来て、海難のときには間に合わなかつたとか、こういう問題があつた、そういうような資料を国民にお示し頂くと、海軍の卵というような疑いを受けなくて済むのだと思いますが、その点が、相当私は国民によく理解されるよう広報をなさることが非常に親切だと思うのであります。今までとにかく海上保安庁で不十分ながらもやつておる、そこへいきなり六十八隻というものを殖やされる。而も海上保安庁ではなしに別に新らしい組織をお持ちになるという必然の、どうしてもそうなければならんという理由を世界各国の、アメリカだけではなしに世界各国の実情等、或いは日本の戦前、それから戦後、それから今度おやりになるそういうものを一つ資料にしてこの委員会に御提出頂ければ、又国民にもお差支えなければお示し下さることが御親切と思いますが…。
  59. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 申し落しましたが、現在日本沿岸警備には海上保安庁の船のほかに、アメリカ関係海軍が当つてくれておるわけでございまして、なお御要求のございました資料につきましては、今手許にございませんので、調べてはございますけれども、後ほど御提出申上げたいと思います。
  60. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) すぐ出ますね。
  61. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) はあ。
  62. 羽生三七

    羽生三七君 この保安庁関係の全体の経費のことですが、先日来、大体予算の執行状況を発表されたわけでありますが、この二十七年度当初予算、約五百七十七億、それから前年度の繰越が百五十一億で予算現額が七百二十九億余というのに対して、十一月三十一日現在の予算の支出未済額が約五百億余ということになつておりますが、その予算残額は結局年度末までに支出負担行為を完了する予定としてこの資料を発表されたようでありますけれども、どうしてこういうふうに片寄るのか。例えばこのあとは十二月、一月、二月、三月と四カ月に、この年度内に、期間はそれだけしかないのですが、その間に五百億が予定されて、あとの八カ月間にほんの僅かしか使われないと、そうするとそういうことを予定して予算を組まれたのか、何か内部的な他の事情によつてそういう執行上の何と言いますか、アン・バランスというものが出て来たのか、或いは又更にこの残額五百億を使用する場合に、定員も殖やさず、又質の強化というようなことを言われておるのですが、そういうようなことは、一体どういうことに利用されておるのか、それをもうちよつとわかるように御説明して頂きたい。
  63. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 御不審御尤もだと存じます。一般のこの官庁におきましても、施設でありますとか、或いは初度のいろいろな調達でありますとかというものは、得てして望ましいことではございませんが、下半期のほうにどうも片寄るという一般的な傾向がございまして、そういう一般的な傾向では保安庁の経費説明はできないのでございまして、これにはいろいろ原因が考えられるのでありますが、一つはこの定員の充足が思ううよに参らなかつたということでございます。この経費の中で、普通の経営的な経費につきましては大体これは順調にと申しますか、むしろ経費は窮屈くらいな状況でございますので、大体月割でずつと出て行つておるのでございますが、こういうように片寄つております主な原因となつておりまする費目は、主として陸のほうが金が多いのでありますが、初度のいろいろな装備類でございますが、この系統の費目と、それからもう一つは営舎の建設をいたしましたりする施設の系統の経費でございます。この二つの経費が非常に実行が遅延をいたしておるという状況でございますが、先ず物件費のほうを考えて見ますと、今年の二十七年度の予算におきまして制服の隊員の増加を御承認を願いましたほかに、約百名の背広の職員の調達要員を増加いたしたのであります。ところがこの職員を充足いたしますのに、想わざる費用をとつたということがございます。これは本人の能力と同時に、いろいろな性格と申しますか、得てして不正とか汚職とかいうふうなものを伴いやすい職域でございますので、そういう傾向のない大丈夫な人間を選定をして行かなければならんというふうなことから、調達要員の充足が思うように最近まで参らなかつたという点が一点でございます。それからもう一つは普通の日常で使いますもののほかに、保安隊の特有の初度の装備が車両にいたしましても、通信機にいたしましても、一般日本で従来製造いたしておりますものでも非常に性能が不足いたしますので、特別の規格なり仕様書なりを調製をして行かなければならんということでありますが、その規格の決定なり仕様書の調製に相当の日子を要したということがございます。それから又日本で余り作つたことがないというものにつきましては、幾ら仕様書を厳密にやりましても、実際に作つて見なければわからんというふうなことから、仕様書ができまして、予算予定をいたしました全数量の発注をすることを見合せまして極く優秀な製造業者を選んで極く僅かな台数を試作をさせております。試作をさせまして、それで使用大丈夫だという段階において全数量の発注をいたすという方式をとつております。このために相当の遅れが参つておるのでありますが、私どもといたしましては、若干訓練に支障があるにいたしましても、むしろ大きな眼で見れば大丈夫なものを調達したほうがいいというふうな考え方からその手続を踏んでおりますので、これが相当大きな原因になつておるかと思います。  それから施設のほうにおきましては当初の二十八年度の予算を事務的に準備をいたしました時代には七万五千ということで準備をいたしたのでございますが、その後増員ということになつて、二十八年度予算ができ上つたわけでありまして、そのために七万五千の当時考えておりました配備計画では工合が悪いということから警備上の観点その他を考慮いたしまして、警備計画を再検討をして、適当な地域に部隊を設置しなければならんというふうなことからその位置の決定、大体この地方がいいというふうなことがありましても、地元のほうで非常にお反対があるとかいうふうな面もございまするし、又どうもその地方に行くということになると、余りにも田畑を潰してしまうということもあるのでというふうなことから位置選定に相当の日子を要したというふうなこともございます。それからいよいよ土地がきまりまして設計、現場における詳細の設計をして契約をするという段取りに参りますので、まあそういうふうなことから施設維持のほうが相当遅れて参りまして、なお仕事のやり方としては必ずしも定員がそう十分にはございませんので、集中的な仕事のやり方をいたしたのでございまして、先ず第一に北海道は冬になりますと工事ができないということから、年度の当初においては北海道の施設に相当の勢力を注入いたしました。従つて内地におきます施設の実際の取運びというものは若干遅れて参つたのだというふうなことからこういうふうな施設費についても相当の残額が出て参つたのでありますが、大体内地におきましても土地の選定も先ず完了いたしましたし、それから地元の市町村なり、府県の当局及び又地元の関係のかたがたの御納得も得た段階に参りまして、目下詳細の設計をいたしております。従つて詳細設計ができますといよいよ工事請負をやれるというふうな段階になるております。それから物品費のほうにつきましても調達の要員が相当充足して参りましたしいたしますので、大体仕様書等を一月一ぱいで先ず先ず完了するような運びになつておりますので、どうも的確のことはまだ申上げかねますが、大体のところは契約と申しますか発注は年度内にできるのではなかろうかというまあ観測をいたしておる次第でございます。ただまあ年度内にやらなければならんというふうなことでやりますと、得てしてまずい調達が行われますので、むしろそういう場合には、予算が翌年度に繰越されるというふうなことになつても慎重に発注をやつてくれということを大体方針にして仕事を取運んでおるという次第であります。
  64. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、こういうふうに理解していいのでありますか。つまりこの残つておる五百億は、年度末までに大体今お話の営舎の建築、或いは土地の交渉の遅延、或いは定員の問題等でいろいろ齟齬を来たしておるが、それが予定通り進めば、五百億は七年度末までに大体使い切る経費と、こう理解していいのでありますか。それとも、まあこれは、ちよつと悪い、悪意ある解釈かも知れんけれども、最初からヤマをかけて予算を組んであつたのじやないかという気がするのですが、その辺はどうですか。
  65. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) ヤマをかけて予算を組んでおることは絶対にございませんで、まあ経過を申しますと、当初の予備隊が創設されましたときは二百億ということでありました。これは国債費からポツダム政令で移用をいたしたのであります。そのうちで、六十七億ばかりを翌年度に繰越しました。それから二十六年度の予算は、当初百六十億ということでございましたが、補正予算で百五十億を追加いたしました。ところが、百五十億を追加いたしましたときには、相当時期が遅れておりましたので、ここにございますように、大体補正予算の額が繰越しになつたというふうな恰好に相成つて来ておるのであります。従いまして、この必要の度合から申しますと、決してヤマをかけておるということではないのでございます。従いまして、今年の二十七年度の定員等におきまして、まあ調達要員の増加も御審議願うというふうな措置を講じて参つたのでありますが、大体先ほど申しましたような事情で遅れをとつてつたと、こういうふな次第でございます。
  66. 羽生三七

    羽生三七君 それで、最後に申上げておきたいことは、私が今のようなお尋ねをしたからといつて、何も要らんものを年度末に使わなければならんということを言うわけではないので、翌年度に繰越せるものがあるならば、繰越すことは結構だけれども予算編成の技術として、どうもちよつと少し杜撰というのですか、実際の計画予算との食い違いがひど過ぎるということを感じたものですからお尋ねしたわけです。
  67. 溝口三郎

    溝口三郎君 予備隊の施設のうちで百四十八億ですか、そのうちで土地費というものは大体どんな工合になつておりますか。それから土地のおよその面積ですが、山林と耕地…。
  68. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 二十七年度の予算におきまする土地の購入費が約十三億六千八百万円程度に相成つております。それで、土地の坪数にいたしますと、約千四百九十万坪ということに相成つております。その中で、大部分の面積を占めておりますのは、北海道に一カ所、千二百万坪程度の演習場を取得いたしたいということから、それの面積が上つておりますので、それをのけますと、千二百万坪程度のものに相成つております。
  69. 左藤義詮

    左藤義詮君 毎年繰越しておいでになるのですが、今五百億幾らの支出未済がございますが、このうちで、三月までにお使いになつて、どれくらい二十八年度に繰越されるお見込でございますか。
  70. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 予算の残額の中に分けて御報告いたしてあると思いますが、支出負担行為と申します契約でございますが、契約をいたしますためには、予算権が勿論なければ契約ができないのでございますので、これのほうは若干の未済は出るかと思いますが、おおむねやつて行けるのではないかと思つております。ところが、金の現実の支払のほうは、物品が納入になりまして、金銭の支出をするということになりますので、これが相当額の繰越が出て来るのであろうというふうに考えております。
  71. 左藤義詮

    左藤義詮君 二十七年度が百五十億ですが、それに対してどれくらい今度お見込ですか、繰越額がどれくらいになります。
  72. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) それがちよつと今のところ見当がつきかねておるよう状況でございます。契約だけはおおむねやつて行きたいというふうに考えております。
  73. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 私からそれに関連して一言お聞きすると、繰越明許費要求書として出ておるのは、海上警備救難費と海上保安施設費だけですね。
  74. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 保安隊のほうは二十七年度は、まだ保安隊という名称ではございませんが、警察予備隊費と警察予備隊施設費と二つの項に相成つております。それの繰越明許の御承認が当初予算で御承認済みでございまして、海のほうのものが御承認を頂くことが漏れましたので、その分だけを本国会で御審議を願う次第であります。
  75. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 併し今の左藤さんの御質問の繰越がどれくらいになるだろうということはもう第三四半期も済むのだから、役所としては当然計算していなければおかしいですね。
  76. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 発注のほうは大体こちらの仕事の状況で目安がついて参るのでございますが、現実の納期をどういうふうにするかということになりますと、大体民間のほうの工場の仕事の按配も勘案をしなければちよつと見通しが立てにくいものでございまして、製品が納まつて来ないと金の支出はしないということにいたしておりますので、今のところは、ちよつと的確と申しますか、はつきりした見通しが立てがたいよう状況でございます。
  77. 左藤義詮

    左藤義詮君 そのお見通しが立ちがたいということの中には、特需が非常に入つて来るので、それと競合するとか、そういうこともお考えに入つているのですか。
  78. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 特需の点もございますが、特需の将来の状況も私まだ的確には掴んでおりません。車両等につきましては、製造会社というのが日本においては限られておるものでございまして、それを短期間に精力を集中さしますれば相当早く行けると思うのでございますが、それがために産業用の車両の製造を余りに圧迫するということでは都合が悪かろうというふうなことで、それは今のところまだつきかねておるというふうな状況でございます。
  79. 左藤義詮

    左藤義詮君 二十五年度にも二十六年度にも、こうして相当の繰越で、而も額がだんだん殖え来ておるのですが、そういう点から、私ども来年度予算を、いずれ二十八年度予算を審議する参考に要りますので、いろいろ今申上げたような勘案はなさるでしようが、大体どれくらいこの中で繰越されるお見込であるか、詳細の数字は間違つても構いません、それらの見当はおつけになつていなければならんと思うのですね。
  80. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 私どもつけたいと思つておるのでございますが、もう暫らく時間をおかし願いたいと思います。
  81. 羽生三七

    羽生三七君 先ほどお話の、フリゲート艦その他の船舶貸借協定に基く船舶借入れ並びにその要員その他の必要経費、そういうようなものは一体どの程度のものか、又それが具体的になつた場合には、この七年度の経費の中で賄えるものかどうか、そういう点ちよつと……。
  82. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 二十七年度の予算はP・Fが十隻分、それからL・S・S・Lと申しますものが五十隻分、合せて六十隻ということで予算の計上がいたしてあるのでございます。予算のほうもそうでございますと同時に定員のほうもやはりそれでできております。従いまして今アメリカで貸そうと費つておりますP・Fの十八隻のうち八隻分については定員予算も措置がしてないということになつておるのでございます。それは先ほど長官から申上げましたよう定員法のほうはできるだけ早く、次の国会において御承認を頂きまして、募集の仕事を年度内に始めたい、採用は来年度に、その分は二十八年度の予算に計上して措置をして頂くというふうに考えております。
  83. 羽生三七

    羽生三七君 どうもさつきのことを繰返すことになるのですが、この保安隊の原則問題の議論はここでやる気は少しもないのですが、そういうことは別にして考えた場合に、どうも他の官庁の予算の組み方と比較して確かに予測しがたいいろいろな条件があるし、非常にむずかしいことがあると思うが、どうも各四半期別の実際の支出額と予算との不均衡ですね、これが非常に甚だし過ぎるという形で、これだと予算というよりも何か余りにちよつとイージー・ゴーイソグというような気がするのですがね。
  84. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 御批判誠に御尤もだと存じますが、まだ創設日も浅いというよう状況でございまして、万事どうも的確な見通しを立て予算の編成をするということができかねておる状況で、大体この程度のものが必要であろうということからやつておるよう状況でございます。まあ個人のことを申しましては甚だ恐縮でございますが、昔私大蔵省の主計局におりますときに海軍予算を三年ばかり持つてつたのでございますが、海軍におきましては大体来年度の予算を組むときには来々年度の構想を持つておりまして、その中で確定と申しますか、海軍として確定したものを大蔵省に要求するということになつておりまして、予算要求を審査しておりましても非常に気持よかつたのであります。保安隊なり警備隊もできるだけまあそういうよう状況に持つて行くということは当初から念願はしておりましたが、なにさま微力でありまして甚だ恐縮な状況になつております。
  85. 羽生三七

    羽生三君 これは政府委員に言うべきことじやない、これは大臣に言うべきことだと思うのですが、ちよつと私感想を申述べると、どうも二十六年度の終戦処理費を二十七年度でいろいろなこういう関係経費を組み替えてそれに残ができて、それを二十八年度に持越してそれでそのままずつと行くと国民の眼には余りそう目立たぬように自衛力漸増が行くわけです。そこはまあ前の池田さんか何か知らんが、とにかく僕は非常に巧妙な予算編成計画だと思うのですが、これはあなたに申すのではありませんが……。
  86. 左藤義詮

    左藤義詮君 私も感想を述べますが、海軍の御経験があるということですが、これが戦争中になつてだんだん戦争がひどくなつて来ますと臨時軍事費というものを一括取つてしまつて、そうして一体どれだけ残るか……残つた分を翌年に繰越して足らんときには臨時国会を開いてやるというような、海軍が長い間計画を立てて来々年度までやつたのと違つた戦争中の翼賛議会の陸海軍予算ようになりつつありはしないか、まあ私与党ですから、そういう今羽生さんの言われた感想を国民に持たしちやいけないと思うので、そういう点については、これは勿論大臣に申すべきことでありますが、事務当局としても一つ十分今のお見通しについても、国民の大事な税金ですから、成るべく四半期ごとにはつきりして、繰越等も見通しがつくように、いろいろ創設の困難な御事情がございますが、一日も早くそういうふうに国民の疑いを挾ませないように御努力を頂きたいと思うのです。
  87. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 先ほど元の海軍の話をいたしましたが、海軍もやはり戦争が激しくなりますとなかなか計画は立ちません。当初に立てた計画では、その当時は追付かない状況でありまして、まあ今の保安隊状況がそうではないかということでございますが、それほどでは私は現在においてはないと考えております。ただ、戒心をいたしておりますのは、予算の執行の衝に当ります制服の職員等でございますが、これは昔の一般会計のしつかりした予算制度の下において教育されたという年配の人はどちらかというと少い。むしろ臨時軍事費になつてから経験がとにかく大部分だという人が相当おるのでございます。その辺には昔の臨時軍事費と同じよう考え方でやつちや相成らんということを私は人の顔を見れば口を酸つぱくするぐらいにして言つておりまして、そういう気分ではなしに、相当計画的に物事を考え、一銭たりとも無駄にしないようにというふうな心がまえでみんながやつてくれておるものと私は現在は考えておる次第でございます。
  88. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) じやあ保安庁のほうはこれで……、有難うございました。ただ、今の御質問のうちで、最後にお願いしておきたいことは、まあ大体何回も募集されたのですが、その経過から見て応募者と採用者との数がどういうふうになつて来ておるか。推移が見たいと思うのですが…。きつき木村長官が言つた点もございますので……。
  89. 上村健太郎

    政府委員上村健太郎君) 今書いたのがございますが、お話申上げましようか。
  90. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 資料としてもらいましよう。  それから応募宣伝についての予算がないようでありますが、そういうようなことについて来年度予算では見込むのだと言われたが、本当に見込まれるか。
  91. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 私のほうの希望でございまして、財政当局には又別な考え方があるようでありまして、政府全体としてどういう御決定になりますかもう暫らくいたしませんと……。
  92. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 応募宣伝だけの表を出して下さい。井下田政府委員から……只今総理府の恩給局の関係予算について質疑を重ねたいと思いますが、その前にちよつと井下田審議室長が来ておりますから、特に中心を、軍人恩給審議会の答申も出たのでありますからその経過及び内容について御報告を願います。
  93. 井下田孝一

    説明員井下田孝一君) 旧軍人恩給は文官の恩給と一体を成して終戦当時まで参つたのでございます。ところが昭和二十年十一月二十四日に連合国最高司令官から恩給及び恵与と題せられる覚書が発せられまして、それに基いて恩給法の特例に関する件、これは昭和二十一年勅令第六十八号でございますが、そういう勅令が出まして、昭和二十一年二月一日以後はいわゆる軍人恩給というものが給せられなくなつたのでございます。ただ一部の公務傷病を受けた旧軍人、軍属に対してのみ僅かな恩給が制限された条件の下に給せられておつたのでございます。そこで平和条約が発効いたしましてこの覚書に基いた勅令によつて給せられなくなつてつた軍人、軍属の恩給をどういうふうにしたらいいかということが問題になりまして、恩給法の特例に関する件の措置に関する法律が前の国会で議決になつて、それに基いていわゆる軍人恩給について調査研究をするため恩給法特例審議会というものが設けられたのでございます。この審議会の権限は調査、研究をしました結果政府の諮問に答申をしたり、或いは進んで建議をすることができる。こういうふうにいたしておるのでございます。そしてこの審議会は今年の六月に構成されまして、委員は十五人でございますが、先日まで数十回に亘つていわゆる軍人恩給についての審議を進めて参つたのでございます。そして一応の審議会としての結論が出ましたので、それを建議の形で政府に対して提出せられたのでございます。大体の建議がなされるに至つたいきさつは只今まで申上げた通りでございます。  その建議の主な内容を極く簡単に御説明申上げますと、昔、昔と言つても旧軍人軍属の恩給廃止制限当時、つまり先ほど申しました昭和二十一年二月一日前までに行われていた恩給法と違う点をわかりやすく御説明いたしたいと思つております。先ず在職年についてでございますが、原則として加算をとるということになつておるのでございます。加算と申しますと、戦地に従軍しますと、実際に一年勤めましても加算を三年として合計四年に計算するというような制度でございますが、そういうことを原則としてやめる、但し前に恩給をもらつてつたかたに対しては或る一定の措置をとるようになつておるのでございます。例えば前に実際に十年勤めまして、そして加算が三年加わつて、十三年勤めたことになつて、年金恩給を前にもらつてつた人があると仮定いたします。そういたしますと、原則として加算をとりますと、その人は実際には十年しか勤めてない、そうすると年金がもらえなくなつてしまう。そういう人は気の毒でありますからしてやはり加算の三年も一応認めて年金を与える、権利だけを与える、但しその三年につきましては実際に勤めておりませんので、一定の額だけ減額して支給する、こういうよう考え方をとつたのでございます。それからその加算の問題でございますが、今度は通算の問題でございます。通算とは初め文官をやつてつてあとで軍人をやつて、そしてやめた、その文官と軍人を通算するかしないか、こういう問題でございます。それにつきましては前に恩給をもらつてつたもの、すでに裁定されたもの、既裁定者と申しますか、既裁定者の恩給については軍人として在職しておつた年数は通算する、併し未裁定着、まだ恩給をもらつてなかつた人、そういう人については軍人としての在職年は最後にやめた日から遡つて七年間続いて勤めたその年数、七年間、七年以上勤めた年数だけ、もう少し正確に言いますと、最後にやめた時から遡つて引続いて七年間、引続かなければいけない、引続いて七年間勤めたその年数だけ通算してやろう。こういう考え方になつておるのでございます。従つて文官をやつてつて、次に軍人を三年やり、そうしてやめて今度又応召かなんかして又三年やり、四年やつたというようなときには、続いておりませんからして合計して七年おつてもこれは通算しない、というふうになつておるのでございます。  それから次が若年停止についてであります。これは年金をもらう権利のある人が若いときには、一定の年齢まで年金をやることを停止する制度でございまして、軍人恩給については、その人が四十五歳未満のときには全部停止する。それから四十五歳を超えて五十歳未満の場合には半額だけ停止する。五十歳以上五十五歳未満の場合には、十分の三だけ停止するというふうに審議会の建議ではなつておるのでございます。現在の文官におきましては、只今申しましたよりもそれぞれ五歳ずつ若くなつております。  それから次が多額所得についてでございますが、これは現在の公務員の恩給停止の例によつて一部を停止すること、こういうふうになつておるのであります。これは恩給のほかに一定以上の所得がありますときには、その恩給の額の一部を停止する制度でございますが、それは現在の公務員並みということになつております。公務員の恩給停止の例によつて一部を停止すること、こういうことになつております。  それから傷病者についてでありますが、傷病者のうち大ざつぱに申しまして不具廃疾の者、片輪になつた者、そういう人には原則として年金をやる。但し拇指一本をなくした程度以下の軽いもの、これを専門的に申しますと第七項症と申しますが、七項症より軽いものは一時金にする、そうして第六項症よりも重いものについては年金をやる、こういうことにしてあるのでございます。なお従来の軍人恩給については、戦争によつて傷病を受けた者と、戦争外の公務によつて受けたものを特殊公務と普通公務というふうに分けてそれぞれ金額等も考えておつたんでございますが、審議会の案ではそれを一本にしておる。それから金額等につきましては、軍傷者に比較的厚く、それから階級の下のほうに比較的今までよりも厚くするように案が考えられてあるのであります。建議の内容がそういうふうになつております。  それから扶助料についてでございますが、扶助料は普通扶助料と公務扶助料に分かれます。普通扶助料というのは軍人について言えば、病気で亡くなつた軍人の遺族に給付される扶助料ということになつておりますが、大体従前通りでございます。ただ普通扶助料は普通恩給の半額ということになつておりますが、普通恩給については、先ほど申上げましたように加算をとつたり、通算の関係で変つて来た点がありますので、それに応じて普通扶助料も変つて来るのでございます。それから公務扶助料、これは公務のために亡くなつた受給者の遺族に対するものでございまして、公務扶助料につきましても先ほど申した傷病者についてと同様に、特殊公務と普通公務によつて亡くなつたかたの遺族について従来は行われていたのを、これをその区別を撤廃すると共に、階級の低いものほど従来よりも割高になるように審議会ではそういう内容の建議を出しておるのでございます。  次が一時恩給についてでございますが、一時恩給というのは、御承知ように年金に達しないでやめた人に給付する恩給でございます。従来は加算も入れて三年以上勤めてやめた人に一時恩給を給付しておつたのでございますが、審議会では引続き七年以上勤めてやめた軍人に一時恩給を給付するというふうに条件を辛くしてあります。それから一時恩給というのは、従来は兵には出さないことになつておりましたのですが、今度は兵にも七年以上勤めてやめた人に出す。それから追放者が追放解除になつて一時恩給をもらいますときには、ベース・アップしない額でもらうことになつてつたのでございますが、この軍人恩給については、ベース・アップして一時恩給を給付するというふうに審議会の建議ではなつております。  大体審議会の建議の内容を、これは非常に技術的でございましたが、大ざつぱに説明すると只今申上げたようなことでございます。  次に審議会の案によつて計算をしますと、その人員と金額がどういうふうになるかということを一応申上げたいと思います。先ず普通恩給についてでございますが、先ほど申しました若干停止をしたものと仮定しての人員と金額を申しますと、普通恩給は十九万五千人、金額にして四十七億一千万円、それから増加恩給、増加恩給というのは先ほど申した六項症以上の重い傷病者に対して給される年金恩給ことでございますが、増加恩給は人員が四万五千人で、金額が三十億九千二百万、それから公務扶助料、公務のために亡くなつた人の遺族に給される扶助料でございますが、それは人員が百四十三万三千人で、金額にして五百五十六億七百万、それから普通扶助料が、人員が十六万一千人で、金額が十七億六千四百万円、合計しますと、人員が百八十三万四千人で、金額にして六百五十一億七千三百万円、そういうふうになつております。なお御参考までに若年停止、若い年の人を停止しなかつたと仮定したときには大体先ほど一番先に申しました普通恩給でございますが、若年停止というのは普通恩給しかありませんが、普通恩給は、人員は五十七万二千人、金額にして百十三億四千五百万円、こういうふうになります。そうしますと、恩給の受給者総人員、つまり若年停止をしなかつたとしたときの、今までいろいろ申上げた各種恩給の全部の合計の人員は二百二十一万一千人、金額にして七百十八億八百万円、こういうふうになります。但し只今申上げました金額は、これはいずれも現在の国家公務員給与水準までベース・アップしての金額でございます。それから一時金について申上げますと、傷病資金、軽いほうの傷病者でございますが、傷病資金は人員が三千人で金額が一億八千八百万円、それから一時恩給が、人員が十七万八千人で、金額が百十五億六千八百万円、で、合計が人員が十八万一千人で、それから金額が百十七億五千六百万円、こういうふうになります。以上の人員と金額が審議会が政府に対してなされた建議を元にして計算しますと大体そんなふうな数字になるのでございます。大体以上であります。
  94. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) どうですか、お諮りしますが、これはまあ来年度の予算に入つて来る問題だと思うのでありまして、別に委員会もできて恩給関係は調べる。議院としても見ていることだから説明聴取程度にとどめましようか、その点は……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会