運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-02-26 第15回国会 参議院 予算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十六日(木曜日)    午後二時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            左藤 義詮君            森 八三一君            内村 清次君            永井純一郎君    委員            石坂 豊一君            石原幹市郎君           池田宇右衞門君            川村 松助君            郡  祐一君            白波瀬米吉君            杉原 荒太君            鈴木 恭一君            小野  哲君            加藤 正人君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            三輪 貞治君            加藤シヅエ君            棚橋 小虎君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君   政府委員    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    文部大臣官房会    計課長     小林 行雄君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省管理局長 近藤 直人君    通商産業大臣官    房長      石原 武夫君    通商産業大臣官    房会計課長   及川 逸平君    通商産業省通商    局長      牛場 信彦君    通商産業省重工    業局長     葦沢 大義君    通商産業省軽工    業局長     中村辰五郎君    通商産業省繊維    局長      徳永 久次君    通商産業省石炭    局長      佐久  洋君    中小企業庁長官 岡田 秀男君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公聴会開会に関する件 ○昭和二十八年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度政府関係機関予算  (内閣送付)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 只今より予算委員会開会いたします。  先ず昨日の委員長理事打合会において協議決定した事項についてお諮りをいたします。昭和二十八年度関係予算について三月十日及び十一日の両日公聴会を開くことにいたしましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 異議ないと認めます。なお公述人の人選は委員長理事に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。それでは昨日に引続き各省の説明を聞くことといたします。本日は通商産業省所管について説明を願います。先ず牛場通商局長にお願いします。
  5. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 貿易の現状とそれから協定関係などの見通しにつきまして簡単に御説明申上げます。  昨年度輸出は日銀の為替受払統計によりますと総額が十二億八千九百万ドルなつております。一昨年が十二億九千七百万ドルでございましたのに比べましてやや減退を示しておりまして、殊に上期は昨年よりも一億ドル以上多かつたのでございますが、下期に至つて縮小に転じまして、こういう状況なつて来ております。これを受払通貨別にみますと、一番減退の著しいのは昨年下半期におきますスターリング地域でありまして、上期が三億八千四百万ドルであつたのに対しまして、下半期は僅かに二億一千一百万ドルなつております。そうして月別輸出額も危く一千万ドルを割ることになりまして、一月の認証統計によりますと二千六百万ドルということでございますから、一千万ポンドを割つておる状況なつております。ドル地域は昨年は割合に好調を示しまして、一昨年に比べて約九千万ドル以上の増加となりまして、総額三億九千五百万ドルなつております。従いまして昨年の輸出不振は主としてスターリング地域輸入制限によるということが明らかな次第でありまして、今後の輸出見通しを立てます上におきましても、結局スターリング地域との貿易をどうするかということが、又どうなるかということが一番のポイントなつておる次第であります。  そこで昨年以来英国との間に支払協定に関する交渉を行なつておりまして、この交渉は始めましたときには日本ポンドが非常に溜り過ぎる。その原因スターリングの平価が不当に高いためであるからその点について支払協定の改訂を求めるというような意味もあつたのでございますが、最近ではすつかりその性格が変りまして、先方に対して輸入制限緩和を要請するというのが主な目標になつておる次第であります。これにつきましては目下イギリス側からの回答を待つておるという段階でございまして、全体としての受取方は必ずしも悲観的ではないのでありますが、更に努力をする必要があると思つておる次第であります。  そのほか協定交渉只今相当たくさん行われておりまして、そのうち一番金額も大きく、且つ日本貿易にとりまして非常に重要な市場と思われますのはアルゼンチンでございまして、これは昨年まではアルゼンチンからの物資が非常に買いにくかつたために、向う日本品輸入をとめるというような状況でございまして、極めて少い貿易しかできなかつたのであります。本年になりましてから先方小麦の収穫も非常によくなりまして、従いましてこの小麦日本相当量買付けますれば、これを見返り相当量日本の物が出る。殊に鉄鋼及び機械類、これにつきましてはアルゼンチンの方にはうまく行きますれば鋼材にしまして四、五十万トン程度需要があるようでありまして、これは日本鉄鋼業にとりましても非常に重要な市場になると思うのであります。これにつきましては来月早々外務省、通産省、大蔵省の係官を向うへ派遣いたしまして、でき得れば三月中に協定を締結いたしたいと思つておりまして、その暁には恐らく貿易総額輸出入共片道八千万ドル程度まで行けるのじやないかというふうに期待いたしておる次第であります。  それからなお目下交渉中の協定といたしましては、台湾との貿易計画が懸案になつておりまして、これも従来の貿易額片道五千万ドルくらいに比べまして台湾の方は倍増くらいを希望しておるようであります。我々の方の計算におきましても五割程度増加ができるのではないか。ただ台湾は御承知のように売る物と申しますと砂糖が主になるわけでありまして、これにつきまして値段の点でまだ意見の一致しないところがございます。これも併し近いうちに妥結に至るものと期待しておる次第であります。  それからもう一つ、日本の非常に重要なマーケットでありますインドネシアにつきまして、昨年の七月に協定を結びましたところ、その後余り運用が円滑に行つておらんという憾みもございまして、今回は協定とは別枠にしまして、或る程度ポンド建輸出を認めてはどうかということで、インドネシア側交渉をいたしておるところでございます。又インドネシアには三月に先方から使節団も参る予定なつておりまして、こちらで協定運用全般につきまして十分討議を重ねて円滑を期したいと思つておる次第であります。  そのほかフィリピンとも、これは今年の五月三十一日まで暫定的に協定ができております。これはやはり日本マーケットとして非常に重要な所でありまして、現在までのところでは賠償問題が未解決のために恒久的な取極めができない状況でありますが、賠償問題の進捗と睨合せまして、至急正式協定の締結に持つて行きまして貿易量の拡大を図りたい。現在では片道五千万ドルというような貿易計画なつておりますが、これを更にでき得れば倍増近くしたいというふうに考えておる次第であります。  そのほかヨーロッパの国々、ドイツフランススエーデン、こういうようなところとはいずれも協定更改期に達しておりまして、一部は向うの国へ行つて交渉する予定でありますし、スエーデン等とは現在東京において交渉を行なつておるところであります。フランススエーデンに対しましては、これは日本は常に出超傾向がございまして、そのバランスの受取ドルで行なつております関係上、先方日本の品物の輸入をとかく抑えがちなのでありますが、今回は少し多角決済的な思想も取入れまして、輸出がもう少し自由に出るようにいたしたいと思つております。御承知通りヨーロッパ決済同盟ができましてから非常に貿易量がふえまして、一番戦争で被害を受けましたドイツにおいてすら戦前の貿易の約四割以上もふえておるという状況で、その中の約七、八割というものが全部欧洲同盟の中で行われておる。非常に多角決済の妙味を十分利用しておるところが窺われまして、これは我々といたしましても十分参考にしなければならないところだと考えておる次第であります。  一番最初に申上げましたスターリング地域との協定交渉でございますが、現在英本国と行なつておりますのは支払協定全体に関してでございます。そのほかにスターリング地域内の各国との間に個別的に貿易協定或いは貿易計画の話をするということも現在考えておりまして、又そうしなければ個別的に輸入制限緩和を図ることが非常にむずかしいと思われますので、これを極めて重大視して大いに促進したいと思つております。それにつきましてパキスタンから二、三日内に三名よりなる使節団がこちらへ参りまして、協定交渉をいたすことになつております。パキスタン日本綿糸布輸出市場といたしまして、又綿花購入市場といたしまして非常に重要な所であります。ところが最近非常に先方外貨事情が悪化いたしました結果、日本からの綿糸布その他の輸出がとまつておるような状況でありまして、昨年の末以来先方からミツシヨンが来ることを我我は非常に要望しておつたのでありますが、今般漸く実現の運びになりまして、是非これはよい協定を作りたいと思つております。このポイントは申すまでもなくこちらがどれだけ向う綿花を買うかということ、綿花見返りにこちらの綿糸布をどれくらい向うが買う用意があるか、それから更に機械類輸出につきましては或る程度のクレジツトを出す用意日本側にあるかどうかということ、そういうような点が問題になると思うのであります。是非これは片道三、四千万ポンド協定には持つて行きたいと思つております。そのほか濠洲、それから印度などに対しましても、個別的に先方輸入制限緩和の要請を出しておりまして、いずれも好意的考慮は約しておる状況であります。何分スターリング地域につきましては、先方自体国際収支という問題もありまして、なかなか急速に効果を挙げ得ないという点も十分考えられるのでありますが、日本外貨事情につきましては十分説明をいたして、先方も了解しておると思われます。この方面について今後とも大いに努力をいたして行きたいと考えている次第であります。甚だ簡単でありますが。
  6. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御質疑はございませんか。
  7. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 いつも先ず資料要求しますが、資料として貿易の大体推移についてポンド地域ドル地域、オープン・アカウント地域との国別のやつが出るはずだと思うのですが、出ておるのですか、それを至急出して頂きたい。
  8. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 今の御要求に関連してお答えを申上げます。  実は本日これから御説明申上げます事項につきまして、十分資料が整つておりませんで甚だ恐縮でございますが、実は当委員会事務局と私の方とかねて資料についてのお打合せをいたしておりまして、明後二十八日までに以下のような資料をお出しするということにして進めておりましたので、本日間に合いませんで甚だ恐縮でございますが、明後日以下のような資料を提出いたします。なお本日それ以外に御要求がありますれば、できるだけ当日一緒に出させて頂きます。明後日二十八日に御提出をするということで準備をいたしておりますものを申上げますと、第一番目は貿易関係でございますが、二十五年、二十六年、二十七年の暦年及び年度に分けまして、年度別貿易実績、これは承認の実績為替通貨別にお出しをするということで今準備をいたしております。二番目が最近における硫安の輸出契約高、これは会社別でございますが、契約価格及び積出時期。三番目が二十八年度重要物資生産実績及び輸出見通し及び二十七年度生産実績及び見込みであります。四番目が炭鉱の合理化炭価引下に関する資料。五番目が鉄鋼合理化計画実施状況並びに今後の資金需要。六番目が二十八年度化学肥料需給計画並びに二十七年度需給実績見込、これだけのものを二十八日までに資料として出すことになつております。
  9. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 今おつしやつた資料の中で二十七年度月別に出して頂きたい。  それから一点だけお開きしておきますが、最近パキスタンとの間に相当何と申しますか貸越になつておる。向う外貨関係で支払いにくい状況だということを聞いておるが、この状態をちよつと御説明願いたい。
  10. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 只今申上げますが、パキスタンにつきましては昨年度輸出の方は総額四千七百五十万ポンドであります。輸入のほうは三千九十九万ポンドということになつておりまして、約一千四百万ポンド程度出超なつておる。これは一昨年もこういうような傾向でございまして、ずつと向うから言いますと日本からの入超がひどいために、これがパキスタン国際収支悪化の結果においてはその大きな原因なつておるという状況でございまして、そのために昨年のたしか十月だと思いますが、新しく日本輸入品ライセンスは出さないことになつております。そうして最近は綿花購入と引替えましてリンク制輸入許可を出すというシステムを始めておるようでありますが、これはいろいろな事情で円滑に行つておりません。従いまして、現在は既契約のものが少し出ておる程度で、新しく輸出契約ができないという状況なつております。これを打開するために、私たちは先ほど申上げましたような昨年末以来先方からミツシヨンが来ることを待つておつたのでございますが、今回いよいよ来ることになつたので、こういう点を打開するために交渉をいたしたいと考えております。
  11. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 まだほかにそういう事例が他国との間にありましようか。
  12. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) それ以外に一番大きな例はインドネシアでございまして、これは昨年作りました貿易協定輸出のほうは五千五百万ドル輸入のほうは四千万ドル、その差額の一千五百万ドルは第三国、殊にドル地域からのスウイツチを以て決済する大体の構想でできておるのでありますが、そうして現在のところ先方は約月額にいたしまして五百万ドル程度ライセンスは出しておる。ところがこちらからの輸入が思わしく行きませんために、とかくライセンスの出し方を渋る傾向がございます。従いまして今回は別枠を設けまして、差当り五百万ポンド程度でありますが、先方に対するポンド建輸出を認めようということを考えております。目下そのことを先方に申入れまして交渉中でございます。これは勿論インドネシア政府の同意以外に、万国イングランド為替管理所許可がいるわけでありまして、まだそこまで話は進んでおらないわけでありますが、でき得れば実現いたしたいと考えております。
  13. 岩沢忠恭

  14. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 中小企業庁関係の二十八年度予算のうちの主なものにつきまして御説明さして頂きます。  先ず第一に申上げねばならんと思いまするのは、中小企業金融公庫に関する問題でございます。この金融公庫一般会計から五十五億円の出資資金運用部から五十億円の借入、その他日本開発銀行からの貸付債券でありますとか、或いは特別会計からの債券出資等から成立つものでございまするが、予算面から申しますれば便宜大蔵省予算の上に五十五億円の一般会計からの出資が計上されておるのであります。私どもの考えますところによりますれば、現在の中小企業金融の面から申しますれば、長期の安定した資金、例えば老朽陳腐化いたしておりまするところの設備を更新いたしますための設備資金、並びにこれに伴いまする長期設備資金中小企業に導入することが刻下の急務であると考えまして、よりよりとこの確保の方法について考究中でありましたところ、たまたま旧臘衆参両院におかれましてかような意味資金特別会計の形において確保いたし、そして中小企業に流すようにという御決議がございましたのであります。この趣旨を体しまして、大蔵省予算折衝をいたしました結果、特別会計構想を活かしつつ、より一層能率を挙げまするという意味において、公庫の形を以て出発することに話合ができました次第でございます。この公庫構想は極く卑俗な例で申しますれば、大ビルデイングの上にありますところの水を入れるタンクのようなものでありまして、いろいろのパイプを通じまして各種の蛇口から水が流れる、それと同様な意味合におきまして、この公庫に溜めました各種資金商工中金とか、或いは一般銀行相互銀行信用金庫信用組合等の窓口を通じまして、それぞれの金融機関が持つておりまする特色を活かしつつ、その骨格でありますところの中小企業者にこの資金を流そうというのが大体の構想でございます。資金の性質は大体金利は一割程度にいたしまして一年の据置、一年以上五年までの期間でございまして、現在日本開発銀行中小企業向けに見返資金を出しておりますのと大体同じような条件に相成る予定でございます。  第二に申上げたいのは、中小企業等協同組合法によつて設置されましたる協同組合共同使用をやりまする場合に出しまする補助金であります。これは昨年度と同様二億円と相成つておるのでございまして、私どもはこれを極力増額いたしたいと考えたのでございまするが、一方におきまして今申上げましたような形における公庫ができ、そうして長期の、低利な金が中小企業に確保されたということとかね合いにいたしますれば、この二億円の価値は従来以上の効果を発揮するものと確信いたしておるものであります。従来私ども協同組合補助金を出し、又それに関連いたしまして、地方公共団体が併せ補助金を出した場合におきましても、その補助金の額は五割乃至五割五、六分、よくて六割という場合も稀にあるように思いまするが、いずれにしても約半額というものは自己資金乃至借入金で賄わなければならなかつたのでございます。その場合に、今度公庫の金が補助金とうまく結び付きますれば、今金額で申しますれば前年度と同様でございますけれども、その持つ経済的威力というものは非常に力強くなつたものと確信いたしておるのでございます。  その次に従来中小企業行政第一線機関として私どもがいろいろなことをお願いしておりまする府県庁に対する補助金関係でございまするが、昨年におきましては、商工会議所その他に設置されておりますところの商工相談所関係補助金が、一千万円を除きますると、府県庁に対しまする中小企業関係補助金総額一千六百万円でございます。一府県当り平均をとつて見ますると、三十三、四万円に過ぎなかつたのでございます。私どもといたしましては、この府県庁にお願いをいたしましたところの中小企業の仕事が、いよいよ充実し、いよいよ拡張されて行きます傾向に鑑みまして、少くともこれを一億円程度に増額いたしたいと思つて、いろいろ交渉いたしたのでありまするが、先ず諸般の状況から、一府県平均百万円程度のところで先ず一段階を確立するということで、来年度予算が一千六百万円のものが四千六百万円に増額されたのであります。その主な新らしい使途といえしましては、中小企業の現在診断をいたしておるのでありまするが、診断後の爾後の指導を強化する意味合におきまして、巡回指導員を設置する関係の金とか或いは東京とか大阪等におきましては、企業診断をいたします場合の診断員として適切なる人を見出し得るのでございまするけれども地方府県に参りますと、いわゆる診断員、医者に相当いたしますところの診断員にその人を得ないという関係が多いので、中央から診断員地方に連れて行つて診断をしてもらいまする関係の費用を府県に補助するというふうなことを主な新使途といたしまして、府県に対する補助金を甚だ自慢いたしかねる程度ではございまするけれども、若干の増額をいたしまして我々の意のあるところを府県庁が汲取つてくれまして、更に府県庁そのもの予算におきましても、相当充実した予算を組んでくれますることを期待いたしておるのでございます。  大略来年度予算に関連いたしまする中小企業庁の御説明を終ります。
  15. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御質疑ございませんか。
  16. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 この中小企業に対する金庫をお作りになつたのですが、いろいろ商工中金にその機能を果させよう、こういうような説明があつたように思いますが。商工中金機能との関係はどのように運用される予定でございますか、お伺いしたいと思います。
  17. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 先ほどちよつと申上げたのでございまするが、この公庫中金も含めまして現在中小企業金融をいたしておりますところの金融機関相手といたしまして、公庫から資金を流すわけでございます。従いまして商工中金公庫から相当の金を受取りまして、法律上から申しますれば公庫中小企業者に貸すのでございまするが、その貸す過程におきましてそれぞれの金融機関審査その他実際の事務を担当いたしまするので、これもまあ俗に申しまして金融機関公庫が金を流すと申しますが、公庫から中金に対しましても相当金額を流し、その中金の手を通つて行きます場合におきましても、この公庫から流れました金に関しまする限りはやはり一割の金利であり、他の金融機関にこの公庫から流れた場合と同一の条件で流れるわけでありますから、公庫中金との関係は一応形におきましては、或いは一般銀行でありますとか或いは信用金庫でありますとか相互銀行等と同様の関係に相成るわけでございます。
  18. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 その関係はわかつたのですが、そうするとその金庫は、直接に貸付業務はしないつもりですべて各種金融機関を通じて流す、こういうふうな構想なつておるのですか。
  19. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) この公庫職員五十七名で先ず一応出発する予定でございまして、役員が七名と職員五十名でございます。併しながら法律建前から言いますと、みずから金融事務をやる建前に相成つておりまして、先ほども申上げましたように公庫中小企業者と金銭の貸借関係を結ぶわけでございます。直接その貸付事務をとり或いは審査をするということは事実上不可能でございまするし、又実際問題といたしまして金融は、金融を受けるかたと従来から密接な関係のある、又関係を結びやすいものが担当するほうが妥当だと思いまするので、建前といたしましてみずから中小企業者に直接貸すということはいたさない方針でございます。
  20. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 ではもう一遍お聞きしますが、今例を挙げられました商工中金でありますとか相互銀行でありますとか信用金庫でありますとかそういうものはわかるのですが、普通銀行で例の特殊店舗をやつているような普通銀行にもこれはお流しになる予定でありましようか。
  21. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) さようでございます。実は昨年の十一月末の貸付残高を見ますと、全金融機関の総貸付残高は二兆八千億ぐらいでございます。そのうち中小企業向けとして統計に上つておりますものが八千六百億、これは約三割でございます。この統計に現れました中小企業向け貸付残高銀行に関する限りは資本金三百万円以下に相成つておりますので、現在私ども資本金で抑えますると一千万円以下を相手にいたしておりますことから考えますると、この金額はもつと上るかと思います。仮に八千億といたしまして内訳を見ますと全国銀行が五千二百億ぐらいに上ります。これで六割強になつております。従いましてこの銀行中小企業向けに果しております役割というものを無視するわけにはいかんと思います。いろいろ銀行中小企業に対しては不熱心であるとか、又預金と見合でやるのだから大してありがた味はないとか、いろいろの非難もあるようでございますけれども、又協同組合そのものにつきましても一般銀行からだけ金融を受けておる、或いは中金銀行と両建で金融を受けておる場合もかなりあるようでございますので、あらゆる点から考えまして銀行というものも公庫の仕事を委嘱するという面におきまして、これを除外することはちよつと不適当でないかと考えております。
  22. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 もう一つお聞きしますが、例の中小企業特殊店舗を持つておる所にある枠は実際使われていない傾向がある。枠が余つておるような傾向もあるのでありますが、そういう点についてどういうふうにお考えになつておるか、或いはそういうものと地方庁の中小企業に対する診断並びに救済と申しますか、金融的な措置というものはどう結付いておるだろうか、その点についてはどうお考えになりますか。
  23. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) お答えいたします。中小企業金融特別店舗は十大銀行その他戦後ふえておりまして、最近は七十二、三店舗となつておるかと思います。枠が余つておると仰せられました意味は或いは預金残高と貸付残高関係かと思うのでありますが、二十五年の四月二十日以降残高で申しますと預金残高は三百九十七億でありますから、ざつと四百億でございます。貸付残高は百六十八億、ざつと百七十億でありますから、半分強貸出しておりますから預金は余つておる関係になります。銀行の方面に対しましては私どもは大いにこれの比率の上げ方を督促いたしておるのでありますが、向うに言わせますと貸付中小企業に限定されておるけれども、受ける預金はどなたが持つておいでになつても受付けておりますから、預金残高と貸付残高に開きがあつてもこれは止むを得んのだということを申しておるのであります。一応の言訳でありましようけれども、私どもとしてはこの差額はないように、むしろ大きいほうから来たのでも、この店舗に関する限り中小企業に流してくれればなおありがたいという意味でいろいろ話をいたしておるのでありますけれども、併しこの関係はこの関係で今後改善を願うといたしまして併し先ほども申上げましたように、銀行筋が中小企業に果しております割合というものはかなりなものでございますので、この方面にぶら下つておりまするところの中小企業者が、長期の安定した金を借りられないということは、これはどうも不公平であろうかと考えるのであります。さような意味合におきまして今後の改善を願うということと、実情をつかみまして公庫の運用を図るということと別に考えて参りたい、かように考えております。
  24. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御質問ありませんか。なければ次に佐久石炭局長
  25. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 石炭について高炭価問題とそれに関連した炭鉱の合理化の問題について、大要御説明申上げます。  現在の石炭の価格が高いことは、これはもう否定いたしようがございませんので、仮に国際競争に勝ち得るためには鉄鋼の価格、或いは硫安の価格というものを、一つの想定をいたしまして出してみますると、鉄鋼については大体五十三ドルくらいにしないと国際競争に勝てないということを申しておりますが、そういう価格にまで引下げるためには、それに使われる石炭の価格を現在よりも三割乃至三割三分程度下げなければならん。或いは硫安につきましても、国際競争に立ち向うためには、それに使う石炭の価格は、二二%程度の引下げをしなければならないというふうなことが言われておるのでありまして、これの解決策として通産省としてはいろいろの政策を考えておるわけでございます。この石炭生産費が非常に高い、従つて石炭の価格が高い、こういうことに相成るのでありますが、石炭生産費の上昇の度合というものは、実は石炭販売価格の上昇度合よりも激しいのでありまして、結局それは戦時中及び終戦後の坑内の補修なり或いは合理化なりという点について十分の措置がされていなかつたというふうな点に原因が求め得ると思うのであります。それでこの現在の石炭の最も困難な事情の一つとして、坑内の自然条件が非常に悪くなつておるということが挙げられるのでありますが、一例を申上げますと、昭和九年の当時を一〇〇といたしまして、昭和二十四年の状況を見ますると、炭層の厚さが全体として平均九一%に下つておるのであります。つまり炭層は一割薄くなつておるということでございます。それから石炭一トン当りの坑道の長さ、これがざつと九割増しておるのであります。つまり年々深い所へ掘り進んで行く関係で、昭和九年当時から比べますと、昭和二十四年においてはざつと坑道の長さはトン当りの計算で二倍近くになつておる、こういうことが言えるわけであります。それから排水量にいたしましても一トン当りで四割増しております。坑内に出ますメタンガスの量もやはり四割強増加しておる。一面労働時間は終戦後におきましては、拘束時間がございますので、従来の実労働時間と比べますと七〇%に減少いたしております。一トン当りの所要人員でありますが、これが坑内が昭和九年当時に比べると、二倍以上の人間がかかつておるというようなことでありまして、いずれを見ましても、条件は非常に悪化して参つておるのであります。従いまして一人一年の出炭の能率も昭和九年から十年、十一年というあたりは平均して二百十三トンくらい掘つておつたのでありますが、昭和二十六年におきましては百二十トン程度に下つておる状況でございます。  以上は自然条件の悪化の状況でありますが、炭鉱の経営上の難点が一つございます。それは一般地上産業と異なつた特殊な経理内容が炭鉱には附随して参つておるのでありまして、わかりやすく申しますと、炭坑の仕事というのは年々坑道を拡げて行つて、先のほうへ地中深く進んで行くというのが特徴であります。然るに坑道を掘つて行けばそれだけ金がかかる、又石炭を運び出すための余計な長いレールも要る、炭車も余計要る、或いは排水のためのパイプも長くしなくちやならん。そういういろいろな仕事をやりながら出て来る石炭は一トンもふえない、同じ量の石炭の生産を維持するためにいや応なしにそういう設備をせざるを得ないのであります。これが私どもの通常申しておる言葉で申しますと、追加投資ということで表現しておりますが、それが税法上一つの資産として扱われておるのであります。つまり潜在的にも顕在的にも全然利益、利潤を生まないものが、税法上は一つの資産として扱われている点に一つの不合理があるのではないかというので、これを損金として扱うべきじやないかという議論が一つあるわけであります。こういつた自然条件或いは経理上の難点というものが重なりまして今日の高炭価を来しており、そのほかに高炭価の原因として輸送の関係とか或いは港湾の積込の能力の関係という点もございますが、主たる原因を探究いたしますれば、やはり坑内の条件の悪化と経理上の難点、こういう二点を指摘できると思います。  これに対して現在通産省が事務的に検討いたしておりまする政策を私から御披露申上げますが、第一に年々深くなつて行く炭鉱の悪条件というものを克服するためには、どうしてもここで竪坑という採掘方式の切替を必要とするということで、竪坑の五カ年計画というものを実は検討いたしておる次第でございます。五カ年間に企業体としては二十二現在計画をいたしておりますが、七十九本の竪坑を開さくして、五カ年後には現在よりも竪坑を開さくする炭鉱だけについて言えば、価格を三割五分程度引下げる。竪坑を開さくしない全体の炭鉱もひつくるめて考えれば、二割程度の価格引下を期したいということを考えておる次第でございます。それでそれに要する資金が、竪坑開さくそのものだけの費用として一応計上されますのが、四百九十億というふうに計画をいたしております。その竪坑を開さくした結果、労働者の能率が上り、労働者の能率だけじやなしに、生産能率全体が上るのであります。現在の一人一カ月の生産能力が竪坑を開さくする予定の炭鉱だけについて申上げますと、一三・二トンでありますが、それで竪坑開さくが完了した後におきましては、一人当りの能率が一九・六トン、つまり四八%ほどの能率向上を計画しておる次第でございます。五カ年計画でございますので、逐次各年に竪坑の開さくをいたすわけでございますが、将来二十八年度におきましては三本、二十九年度に十一本、三十年度に十九本、三十一年度に二十二本、三十二年度に二十四本、計七十九本という計画をいたしておるわけであります。竪坑開さくそのものに要する経費が四百九十億ほどになりますが、それに附随する坑道の掘さくとか或いは坑外の選炭設備の移転、新設、労務者住宅の移転というようなどうしてもそれに附随した工事が出て参ります。そういうものを全部ひつくるめて申しますと、そのほかに一千百億ほどの金が要ることになるのでありますが、これの調達は自己資金なり財政投資というようなことで、或いは社債の募集とか増資とかというような方法で賄つて行くということを具体的に計画をいたしておるわけであります。  なお只今申上げましたのは、大体規模の大きな炭鉱についての話でありますが、従来中小炭鉱に対する施策というのがとかく欠けておつたうらみがございます。そこで中小炭鉱に対する施策の重点を機械化、能率化という点におきまして、それに要する資金の斡旋を行うということで、先ほど中小企業庁長官からお話のありました公庫の金をそのほうに若干廻すという話合を現在進めておるところでございます。  それから石炭の価格を下げるということは、石炭の山元の生産費を下げるということだけでは十分に達成はされませんので、結局石炭を使う最終消費者に渡るそのときの価格を下げるということでなければなりません。そこで山元から消費者の手に渡る中間過程において是正或いは増強すべき点がないかという点を検討いたしたのでありますが、港湾の積込能力において現在かなり北海道においても九州においても無理がございます。これをやはり五カ年間に積込能力の増強をやり、或いは迂回輸送をやつておる所を是正いたしまして、輸送の合理化を考えるということを並行的に実施したいというふうに考えておる次第でございます。資料に基いて御説明を申上げれば、もつと御理解を頂くのに便利かと思いますが、資料が先ほど申上げましたように、まだ十分完備しておりませんので、極く大要だけ申上げた次第でございますが、或いは十分の御理解を頂けなかつた点があるかも知れませんが、又後刻御説明する機会があると思います。
  26. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと、只今の主要条件としては竪坑の採掘、こういうことになつて四百九十億ですかこれは五カ年計画、本年度にはどれくらい入つておりますか。
  27. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 本年度におきましては、財政投資関係そのほか入れまして四百九十億のうち六十億、ちよつと記憶がはつきりいたしませんので数字が違うかも知れませんが、六十億と記憶しております。
  28. 内村清次

    ○内村清次君 只今年度ですか、これは四千五百万トンですか、今の目標は。そうしますと、現在の情勢でこの目標まで達する見込があるかどうかということが一つ。それからただ差当つての高炭価に対して、もう本年度から幾らか炭価を安く引下げるというような良案があるかどうか、先ずこの二点について。
  29. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 本年度の生産計画というのは二十七年度のことでございますが、目標は四千九百万トンでございます。現在までの推定から申しますと、四千四百万トン程度じやないかと思います。と申しますのは、昨年の暮に行われましたストによりまして五百八十万トンほど減産をいたしております。ただ五百八十万トンそのものが四千九百万トンのうちの生産減ということではございませんので、と申しますのは、一月以降非常な馬力をかけておりまして、二割乃至三割の計画以上の増産をいたしております。従いまして推定いたしますに、四千四百万トンぐらいの出炭で今年度は終ると考えております。  それからもう一つの御質問の目先炭価を下げる名案はないかというお尋ねでありますが、実は石炭の価格が高いという原因の根ざすところが非常に深いだけに、目先の即効的な名案というのは実はございません。炭鉱そのものの将来の政策、或いは将来のことはどうでもいいから差当り下げるということだけを考えれば、或いは大量の輸入ということが一つの効果的な方法かとも思いますが、ただそれをやりますと、大量の輸入をやつてつまり石炭の価格に大きく響くほどの輸入をいたしますと、只今各会社とも恐らくそれに合すだけの価格の引下げはいたしましようが、そういたしますと、各会社としても本気になつ合理化をやらなければならんという条件の悪い山は、おのずから捨てて参ります。そうしますと、そういう山について基礎的に、根本的にメスを入れて合理化をやらなくちやならんという政策そのものが、若干でもあとにずれるということになりまして、日本の石炭の長い目で見た政策から言うと、決して得策ではない、かように思うのであります。
  30. 内村清次

    ○内村清次君 それからこれは先国会でしたが、企業合理化等の法案が出まして、そうして減免の問題がありますね。これはこの炭鉱鉱業に対しましての設備合理化の問題に対しましても、内容的に適用する面があつたかどうか。それとそれからヂーゼル化が最近叫ばれた。このヂーゼル・エンジン関係で、重油の転換の問題で、先行き通産省としては、この価格の問題にどう影響して来るか、この炭価の問題。
  31. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 合理化促進法に基く坑道の償却の問題、御質問はそういう意味に。あれは適用されまして、大分企業としては有利な条件なつております。  それからもう一つのお尋ねの重油転換について通産省の政策はどうだというお尋ね。
  32. 内村清次

    ○内村清次君 見通し、これに対する炭価の見通し需要関係
  33. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) これは大阪或いは名古屋地区のいわゆるガス発生炉炭を使う工場について、相当の重油転換がすでに行われております。詳細な調査がいろいろありまして、数字が大分違つておりますからどれを一番信憑していいかよくわかりませんが、大体推定いたしまして、今日までに石炭に換算して二百五十万トン前後の重油転換が行われておるのじやないかと思います。なお今後も今までのようなカーブで以て重油転換が行われるかどうかということにつきましては、今までのようなスピードで以て重油転換は行われないだろうというふうに想像されます。大体転換しなくちやならんというほど急迫した工場については、一応もう転換が済んでおるのじやないかというふうには思いますが、ただ石炭と重油と両方を使えるような設備に、大工場においても徐々にして行く傾向にはあるように認められます。この重油転換によつて大きな影響を直接に受けますのは、むしろ大企業よりも中或いは小の炭鉱じやないかと思いますが、と言つて重油が現実に安い、而も使うのに非常に便利だという場合に、これを使つてはいかんという政策もちよつととれかねますので、まあ私どもとしては、石炭局長としては、できるだけ早い機会に炭価を引下げる政策をずんずん進めて、そういう方面の石炭に対する代替というようなことを徐々に防いで行きたい、こういうように考えております。
  34. 西田隆男

    ○西田隆男君 佐久さんにちよつとお尋ねしますが、今のお話を聞いておると結構なことであります。大体日本の石炭の国内消費といいますか、この総量が五千万トンか五千二百万トンと計画されておるのでありますが、今あなたのお話を聞いておると、現在十三トン、二、三のものが五カ年後には十九トンで、六トン四割七、八分の生産能率が上る。そうしますと、竪坑を開さくする、大手十八社とか二十二社とか言つておりますが、七十数本の竪坑を掘ることによつて、現在の稼働人員のまま大手二十二社の出炭がふえたら、中小炭鉱の石炭は要らなくなるという結論が出るのです、私が聞くと。そうしてあなたのお話を聞いておると、竪坑を掘るために四百九十億、そうして千百億、千六百億に近い財政投資その他をする、中小炭鉱は中小企業庁のお母さんを頼りに機械の改善をやつて能率を上げる、こういうふうに言つておる。もう一つの点を言うと、大手筋で三割五分、併しこれは全国平均にすると二割か二割五分になる。中小炭鉱の生産費と大手筋炭鉱の生産費との間には一割五分弱の開きがある。あなたの言われる通りにしても、市場で販売する場合、石炭の生産総量は大手筋だけで約五千万トンくらい出る。現在の出炭は大手六五%、中小三五%、これは現在のパーセントだから、あなたの言うように出炭が進むと、少くとも中小炭鉱は一千数百万トン出る。その価格のバランスは大手が一割か一割五分安い。これでは市場で競争ができないということになれば、中小炭鉱は潰れてしまう。結局今あなたのお考えになつている施策を実行して効果が上れば、中小炭鉱は壊滅するのだという結論に達せざるを得んのですが、そういう点はどうです。そういうことですか。何かはかに策を考えておられますか。
  35. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 能率が非常に竪坑を実施した炭鉱について上りまして、そうしますと、竪坑を実施した炭鉱だけで大体国内の需要を賄う、従つて中小なんか要らんのじやないかというお説でありますが、能率は上りますが、実際の労働者の数というものは、現在ざつと三十五万おりますが、五年後におきましては、ちよつと数字を後ほど調査して申上げますが、たしか二十八万くらいに見ております。従いまして、勿論この国内の需要を賄うためには、そういう大きな炭鉱だけで十分だということには参らんのであります。  それからもう一つは生産費が大手筋について非常に下がる。そうすると、生産原価或いは販売価格の点で中小が潰れやしないかといふことでございますが、私どもの調査によりますと、中小炭鉱の生産費のほうが大分大手筋よりも現在低いのでございまして、その懸念はないと、こういうふうに見ております。
  36. 西田隆男

    ○西田隆男君 それは今はそうである務と言つても、五年後も今の状態が続くとは考えられるかどうか。労務者が三十五万から二十八万に減るとしても、これが按分して平等に減るのじやなくて、結局生産費の償わないところはやめる。しわ寄せは中小炭鉱のほうに無論寄つて行く。大手筋のほうの労務者三十五万としても、七万か八方を減らす、だから大手筋の出炭は減るというなら、これはわかるが、結局しわ寄せは能率の低いところに行つて淘汰される。能率の上るところの労務者のほうはどうだか知らないが……。それをあなたが今のように強弁されるのなら、大手筋が十三トンから十九トンに上つた場合、大手筋の労務者の数は幾らしか要らない、これは減るのであつて、中小炭鉱の数は減らないという説明でもあるのなら別ですが、私は結果としては、あなたが言うようにならんと思う。私が言うようになると思う。(笑声)従つて石炭局として石炭の総合施策を立てるならば、そうなつた場合のことも勘案して、決してそういうことが悪いというのじやないが、もつと総合的な計画が予算委員会説明されなければ困ると思うのです。
  37. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 只今の労務者の減少の度合、これはたしか数字的に非常に詳細な計算をしたものがございますから、後刻調査して申上げます。  それから中小炭鉱に結局最後のしわ寄せが来るのじやないだろうかというお話がございましたが、これはしわ寄せという点から申しますれば、必ずしも中小炭鉱そのものに限りませんので、結局機械化或いは合理化という方面を進めて参つても、なお且つ或る一定水準以上の生産費までにしか下げられないというものについては、大小にかかわらず、その影響は出て来ると思います。
  38. 西田隆男

    ○西田隆男君 それじや資料としてさつき言われた資料、あなたが説明された大手筋二十二社だけじやないのだというけれども、中小炭鉱でなくて、大手二十二社のうちで非能率の炭鉱で、当然廃止されると考えられている炭鉱についての説明資料を当委員会に出してもらいたい。  それから岡田中小企業庁長官にお尋ねいたします。今佐久石炭局長は御説明をされて、中小炭鉱の改善に要する資金は、中小企業庁の今度できた公庫にお願いしてあるというのですが、あの規定を見ますと、個人は一千万円、法人は三千万円、こうなつております。これは佐久さんの御答弁でございますが、中小企業庁長官としては中小炭鉱の設備改善のためにどれだけの金額を大体五カ年間に出してやる、貸出してやらねばならんというお考えを持つておられるのか。この問題について石炭局長との間に詳細に打合せができておるのかどうか。それを一つ伺いたい。
  39. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 先ほど公庫構想について御説明申上げたのでありまするが、来年度予算が通過いたしました場合、この公庫の使い得る金が先ほども申上げましたように、出資で五十五億、資金運用部からの借入で五十億、それから開発銀行がいろんな形で、或いは復金から引継いだもの或いは見返資金から引継いだもの、或いは自分で昨年の九月十六日以来貸付けた債権といろいろなものを引継ぎました、その回収金などが若干見込めるわけでありますが、それらを合せましても、百二、三十億程度の金を来年度一切の中小企業に使うわけでございます。従つて或る特定の部門に対して特殊の重点をかけた貸出し方というものは、ちよつといたしかねるのであります。と同時に又現在の国家資金の流れ方を見ますれば、重点産業向けの投資は開発銀行で御担当になつておる。極く零細な部面につきましては国民金融公庫が御担当になり、その間を丁度新設さるべき公庫の金が潤おす、こういう恰好になろうかと思うのであります。そこでそれらの点を勘案いたしまして、一応中小企業者の定義をきめます場合に、地下産業の鉱業、マイニングに関しましては、資本金は一千万円又は従業員が千人までは、これを中小企業者と見るということにいたしまして、この新設さるべき公庫に鉱山向けの窓口を明けるということにいたしたのであります。ところが一件当りの金額を非常に増額するという要望が、鉱山等には特に多いのでありますが、これをいたしますると、総額が余り多くないときに、一口当りの金額を増大いたしますることは、中小企業向け資金として広く中小企業者を潤おすべき建前から、やや困る点ができて来るのでありまして、それらを調和する意味合いにおきまして、今回は資金の枠といたしましては、特に鉱山として区別いたしませずに、一人でありますれば一千万円、協同組合でありますれば三千万円という予算の範囲内で、鉱山へもこの公庫の金を銀行審査がパスする限度において貸出をしようということにいたしたわけでございまして、今後五カ年間にどうこうという点につきましては、まだ公庫の将来の資金計画ができておりませんので、それはございません、又来年度百二、三十億のうち鉱山へなんぼを出すかという枠は別にないのでございます。それはそれぞれ金融機関に割当てました金額のうちから、金融機関が妥当なりとして貸出しまする累計が、結局鉱山向けの累計ということに相成ろうかと思うのであります。
  40. 西田隆男

    ○西田隆男君 お話を聞いていると甚だ心細いことで、大手二十二社に対して千六百億かの五カ年間の資金をやつているというのに、中小炭鉱に廻る資金は今のところは見当がついていない。そういうことでは、佐久さん、自由競争の原則に基いて、せめて出発点だけは平等、公平に一つやつて貰わんというと中小炭鉱はますますその存立が困難になる。従つて大手二十二社、二十二企業体に対して出される金があるならば、やはり中小炭鉱にも公平に財政資金の散布をするようなことを、当局としては当然これはお考えにならなければならん。この前の通産委員会で通産大臣に質問したところが、三十億という。三十億だけでは少ないじやないかと言つたら、いやそれは初年度では三十億だという。三十億にしても五カ年間なら百五十億やらなければならない。而も現在の出炭量は六五%が二十二社、三五%が中小炭鉱、こうなつております。あなたのお考え通りにやつて行けば、結局この出炭のパーセンテージは中小炭鉱のほうにぐつとしわ寄せになつて、そうして大手筋のほうは八十か九十にもなつて、中小炭鉱は十になつて、それ以下のものは潰れるということは、結論的に誰でも考えられることであります。借りる借りないは別問題として、当局が考える場合は、ただ大手筋だけのことを考えないで、やはり中小炭鉱にも計画書を出させて、そうして資金の総量を調べて、せめてその資金の総量だけは大手筋と公平な立場において財政投資ができるという途をお開きにならなければ、私は不公平だと思います。石炭局長の御答弁を求めます。
  41. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 只今岡田長官のお話はいわゆる千人未満の企業体ということでございまして、それ以上のものにつきましては、復金のほうの窓口を……私どもは開銀のほうの窓口を考えまして、そのほうの融資の対象として考えて行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。  なおこの中小炭鉱に対する施策が十分でないという点については全く仰せの通りでありまして、私ども努力の足りない点はお詫びを申さなくちやならないと思います。(笑声)今後十分の努力をいたしたいとこういうふうに考えておるわけであります。
  42. 西田隆男

    ○西田隆男君 それは笑いごとじやないので、日本の石炭生産の実態は、石炭鉱業始つて以来のずつと歴史をお調べになるとわかると思うのですが、戦時中も中小炭鉱百数十万トンの出炭をしていたものを無理に整理をした。これは岡田さんも御存じでしようが、そのため出炭減の回復ができないために日本の産業が非常に困つた。今度のような施策をやられると、その二の舞をやられる虞れが多分にある。従つて日本の石炭の生産の炭価というものはべら棒に下つて行く、これは当然石炭の生産を抑えて海外の市場を求めるということに考え方を変えなければならん。従来は中小炭鉱でも大手筋でも中国の市場に持つて行つた。上海とか青島とか天津とかいうところへ持つて行つて売つておつた。それが現在はなくなつておる。若しあなたのお考えになつておるような石炭企業の合理化と能率促進をやられるなら、日本の石炭の生産高は五千万トン、五千二百万トンでなくなると思う、もつと殖えるかも知れない。そういうことを想定されると、当然石炭を海外の市場に出すということも考えなければならない。今あなたがたのお考えになつておることは、炭価が高いからアメリカから石炭を持つて来る。輸入することばかり考えておる。併し五年も経つて千数百億或いは二千億になるでしよう。そういう財政資金を投資して石炭の生産が殖え価格が下つた場合は、当然海外市場の開拓ということもお考えにならなくちやならん。それを絶対に考えないというならば、さつき私が申上げたように、もう少し計画を総合的にお組替えにならんと、石炭産業は中小炭鉱に限るかも知れませんが、混乱を来たす。こういう点を十分お考えになつて、もう少し総合的な見地から計画を練り直されて、いろいろな障害が起らないように一つ計画を進められることを希望しておきます。
  43. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私少し遅れて参りましたので、或いはすでにお話があつたかも知れませんが、若しお話があつたらあとで速記録を拝見しますから、それに基いてその旨御答弁願つてもいいのですが、今の御意見と関連して輸入炭ですね。輸入炭は二十七年度実績はどうだつたのか。それから各市場別にどういうふうに、値段はどういう工合なのか。それから二十八年度輸入炭に対する政策をどういうふうに数量的には計画をしておられるか。その点を承わりたいと思います。
  44. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 只今の御質問の数字の点は詳細なる資料只今持ち合せておりませんので、のちほど調査してお届けいたしたいと思います。二十七年度輸入炭については、たしか三月末までに入る数量が三百万トンちよつとぐらいのように考えております。と申しますのは、最初の、年度当初の計画はたしか二百六十万トンだつたと思います。そのあとストライキによる減産を補充する意味で、九十九万トンほどの緊急輸入をいたしまして、三月までにそのうちの半分が入りますから、全体としては三百万トンちよつとだというふうに思われます。それから価格は米炭でCIFが二十ドル前後でございます。二十八年度の計画はまだ確定はいたしておりまんが、事務的に検討をしておる数字は、新しく、つまり昨年の九十九万トンの緊急輸入のずれ込みを除きまして、三百万トンから三百十万トンぐらいの程度に落付くものと考えます。
  45. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 値段は今後どうなるのか。
  46. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 値段のところは大体やはり米炭で二十ドル見当を予定しておるわけであります。
  47. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから輸入実績市場別については資料が出ていないが……。
  48. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 実はその輸入のほうも所管が私のほうでございませんので、手許に資料がございませんが、のちほど調査いたしましてお届けいたします。
  49. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 特にそのうちにまあ工場別でアジアの市場、或いは中共から、或いは樺太炭あたりが実績としてどれくらい入つておるか。二十八年度にどういうふうにその点をお見込みになつておるか。値段はどの辺の値段をどういうふうに考えられるか。それらの点も併せて、詳しくわかるような資料に基いて改めて御説明願いたい。
  50. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 化学肥料輸出並びに価格の問題について御説明申上げます。最初に数量的な点を御説明いたします。期間は肥料年度にとりまして、昨年の八月から本年の七月までに……。
  51. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは何か資料が配つてあるのですか。
  52. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 先般官房長から一言申上げてございますが、二十八日までに肥料につきましての御要求なつております資料を提出いたすことになつております。その資料に基いて御説明申上げることが適当かと存じますが、資料の提出が遅れておりますので、恐縮でございますが、大綱を御説明いたしたいと思います。  昭和二十七年肥料年度におきまして窒素系肥料の需給状況を申上げますと、供給につきましては去年の八月から十二月までの実績をとりまして、一月以降本年の七月までの計画、そのままがそれを実現いたしまするものといたしまして、供給の数字を申上げます。昨年の七月末の前肥料年度の滞荷が三十八万四千トンでございまして、その後の生産見込みの硫安が百九十八万五千トン、石灰窒素が五十一万七千トン、合計二百五十万二千トンでございます。繰越し三十八万四千トン、合計が二百八十八万六千トン、これに対しまして、需要状況を申上げますと、内需といたしましては、硫安、石灰窒素両肥料で年間二百万トンを想定いたしております。今日までの輸出の契約の状況を申上げますと、四十四万二千トン契約いたしておる状況でございます。合計二百四十四万二千トンになりまして、本年の七月末の在庫は四十四万四千トン程度に相成ると推定いたしております。  次に輸出の価格等の問題につきまして御説明いたしますが、肥料の輸出問題が一昨年の秋、東南ア地域に対します日米経済協力と申しますか、その点で非常に強い要請を受けまして、輸出の促進ということに着手いたしたのでございます。当時の価格を申上げますと、国際的な硫安の供給不足と申しますか、そういうことも非常に影響いたしまして、トン当り大体八十五ドルから九十米ドルというのが当時の状況でございまして、その後こういつた状況相当続いたのでありまするが、昨年の四月頃から特に欧洲から東南アに対します船運賃が相当急激に下降いたしましたこと、並びに西欧の硫安生産というものが相当大きく上昇して参つたというような状況も関連いたしまして、昨年の下期、特に十一月頃から船運賃は普通の状況から見ますると、半額にもならないかと思われるような程度に下落いたしたのであります。当時国内の生産状況は以上申上げました、特に硫安系の生産が極めて良好でございまして、相当国内の在庫もございます。かたがた輸出市場の確保と申しますか、特に硫安の対価はドル払いでございまして、こういつた見地から、輸出ということについての重点的な措置をいたさねばならんというような状況に相成りまして、国内の価格というものと輸出価格との関連を、生産の操業度という点で概略申上げますると、当時国内の硫安需要がおおむね百五十万程度、生産を仮に只今申しましたような二百万トン程度に達する状況から判断いたしまして、操業度の観点からいたしますると、内需だけに生産を圧縮するというようなことが、却つて国内価格の上昇を来すというような結果にも相成ります点を考慮いたしまして、輸出を確保するということに努力いたしたのでございます。当時の輸出の価格で最も下廻りましたものは、昨年の十一月の十三日インド向けの国際入札で、数量は少かつたのでありますが、FOB四十六ドルというのがございました。その後国際市況も幾分回復いたしまして、十一月の二十六日に韓国向けのものがFOBで五十一ドル六十一セント程度で決定いたしました。他のものにつきましては、大体多少の異動がございますが、六十ドル前後でその後成約いたしております。勿論バーター取引或いはその他のいろいろの形によりまして異動がございまするが、で、この輸出価格の傾向を今日の市況から見ますると、船運賃の一応の下降ということもとまりまして、漸次上昇の傾向のようにも見受けられます。同時に硫安の国際市場日本側に有利になつて来ておりまして、昨今の輸出引合いは、韓国或いは台湾、特に日本と経済的に近接なこの地域に対します硫安の引合い価格は六十五ドル乃至六十七ドルというところに上昇いたしております。このような輸出状況からいたしまして、昨年の十一月行われました国際入札は、どちらかと申すと、非常に異例と考えていいのじやなかろうかと、こういう工合に考えております。こちらの国際価格と国内のいわゆる安定帯価格との問題が非常に問題となりまして、通産省といたしまして或いは農林省といたしまして、肥料の根本的な基本の方針を、この際再検討する必要があるのじやなかろうか。特に従来の硫安工業の国際的な立場から見ました輸出見通し、言い換えますと、硫安工業を輸出工業化することがいいか悪いか、或いはこれが可能かというような根本問題を、この際検討する必要があるという工合に考えられまして、昨年の暮、十二月の二十六日かと思いますが、閣議決定を以ちまして肥料対策委員会を設置いたしまして、一万田日銀総裁を委員長といたしまして、十六名の委員を以て構成いたし、本日まで第五回目の会合をいたしております。本委員会は肥料政策の根本を先ず検討して、的確なる方向を指導いたそうという政府の諮問に対します審議を続行しておるのでございまするが、特に差当り春肥の最盛期に向います関係もございまして、春肥対策についての一応の委員会の勧告を政府にいたす段取りに相成つたのであります。  二月の十六日第四回の肥料対策委員会におきまして、国会関係の御要望もございまして、安定帯価格引下げということに関しまする勧告をいたしたのでございます。この勧告に基きまして、政府は従来九百円を中心といたします上限、下限、それぞれ三十円開きの安定帯価格を、できるだけ引下げようというような勧告の下に、政府が斡旋いたしまして、先般上限を八百九十五円、下限を八百二十五円と、こういう工合に決定いたしたのでございます。目下この勧告に従いまして、硫安メーカー並びに全購連、関係業者との間に取引価格の折衝中でございます。なお詳細の数字につきましては御要望に副います資料を調製して明日提出いたします。
  53. 森八三一

    ○森八三一君 今の御説明に関連しまして資料要求しておきます。肥料の生産方法によつて勿論違うと思いますが、その生産方法別に安定帯価格等について指示をされました基本的な調査として、当然生産費の御調査があると思いますので、生産費の調査の資料、結果を御提出頂きたいと思います。
  54. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 硫安コストの調査でございますが、昭和二十五年、公定価格制度を廃止いたして以来、強権的な調査をいたしておりません。で、今度の問題が起りまして、このコストの調査ということに関します一つの行き方といたしまして、従来はいわゆる自由競争、自由主義的な操作ということで安定帯価格の調整ということを政府斡旋の下にやつて参つたのであります。併し先般申上げましたように、輸出価格、或いは国内価格というものにつきまして、特に今後の化学肥料の将来を決定する問題として、どうしてもこのコストの検討をやらなければいかんということで、肥料対策委員会の第二回目の委員会で小委員会を結成いたしまして、学界或いは特に経理という方面におきます学識経験者を依嘱いたしまして、各会社その他の資料を元にいたしまして、目下精紙検討中でございまして、これが政府が取上げましたコストの今日におきます権威ある調査ということが言えるのではなかろうかと思います。で、目下専門家がそれぞれ検討中でございまして、肥料対策委員会におきまして明らかにされることと考てえおるのであります。若しこの結論が出ますならば、これを御報告申上げることが妥当かと思います。
  55. 森八三一

    ○森八三一君 十二月十九日のこの委員会で、通産大臣に対する他の委員からの御質問に関連して、大臣は、速かに生産費の調査をするという答弁をされておるように記憶をいたしておりますが、その答弁に関連をして、その後どういうように進捗されたのか、今委員会を作つて、そつちのほうでやるんだということでは、この席で大臣から言明のありましたことと非常に食違つておるように思いますが、それはどういうふうに事務当局は進行されたか。もう一つは、少くとも安定帯価格というものを作るについて、一定の具体的なものを示して協議をされるという限りにおいて、やはり生産費というものが何らかの方法で勘案されておらなければ、つかみで幾らの生産費というわけには行かん筋合のものだと思います。としますれば何らかよるべき基準があるように思うのでございますが、そういうものがありますれば、そういうものを出して頂きたい。
  56. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 先般の肥料対業委員会におきまして、政府に安定帯価格の再検討を勧告いたしましたが、これにつきましての、いわゆる御質問の問題でございまするが、肥料対策委員会といたしまして、専門家を以ちまして慎重に検討いたしておりますので、この検討の結果を待ちたいというのが政府の気持と思います。なおこの検討が出ましても、更に政府が必要がありまするならば、政府といたしましては、政府の権限で更に公権的な調査をいたすという工合に考えておるのでございます。政府といたしましては強権的な調査をいたした資料は目下持合せてございません。
  57. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、安定帯価格ということについて協議をされるについては、どういうことが基礎になつて、今お話の八百九十五円というようなことが策定されたのか了解に苦しむようなことになるのですが、その関係に関する限りにおいては、少くとも何かその生産費等についての目安がなくちやならんと思うのですが、それは如何でしようか。
  58. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 肥料対策委員会の第二回目に、一応藤山委員から肥料の生産状況、或いはコストの状況説明がございまして、それに対しまして、先ほど申上げましたような専門委員会を作るという決定をいたしました。その後調査検討をしておりましたが、なかなか最終的な結論が出ませんので、委員会委員長でございます一萬田委員長並びに関係大臣が、諸般の情勢を考慮いたしまして、安定帯価格の適当な引下げということについて業界を指導されたというのが実情だと考えます。
  59. 森八三一

    ○森八三一君 適当な社会的情勢を勘案してこう指導をされた。どうもそこに、私はやはり科学的な具体的な生産費というものが基礎になつておらなければ、それにプラス一般的な社会情勢とか経済情勢というものはあり得ると思いますけれども、やはりよるべきものは、具体的な生産費というものが基準にならなければ、業界、メーカー諸君に納得を与えるというわけにも行かんように思うのでありますが、そういうものが全然なしに安定帯価格の協議指導をされたというように理解していいのかどうか。もう一つは最初の十二月十九日の大臣答弁は、私は速記録を見ておりませんが、速かに生産費の調査をいたしますということを政府は言明されたように思いますが、その言明に基いての作業というものは委員会に委ねられておるという現状であつて、政府みずからは更に手を着けておられないというように理解していいかどうか、お伺いします。
  60. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 先般の安定帯価格の引下げに関します斡旋につきましては、肥料委員会におきまして専門委員が諸般の調査をいたしております。この内容につきましては勿論最終的な結論は出ておりませんが、これらの調査と並行いたしまして、この委員会を主宰されております委員長関係大臣と緊密なる接触をいたしまして、安定帯価格の引下げという線を斡旋して参つた、こう申上げられるのでございます。昨年の暮、コストの計算に関します政府の強権的な調査というものにつきましては、目下着手はいたしておりませんが、この肥料対策委員会の小委員会の調査等の関連を見まして、必要がありますならば、これをいたすものと考えます。
  61. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 極く簡単でありますが、今森さんの質問に対する答えを聞いておつて非常に奇異に感ずる。というのは、一体硫安に限らず、物の値段をきめるには、コストによるかパリテイー指数によるか、いずれかだと思います。今そのコストがわかつていない、而もここに八百九十五円とか八百二十五円という一つの価格が具体的に出ておる。これは一体何によつて出されたかということを森さんは聞いておられるけれども、どうもその焦点がぼやけて一向にはつきりしない。一体コストによらなかつたならば、何によつたんだか、ほかのことは要りません。簡単に一つ言つて頂きたい。何によつて八百二十五円と八百九十五円という安定帯価格がきめられたか。
  62. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 肥料対策委員会の第二回に、藤山委員から提出いたしました肥料の生産コストということに対します一つの資料が出たわけであります。これにつきまして、それぞれいろいろの御意見が出ましたが、最終的な専門的な検討をする必要があるということで、小委員会を設置いたしました。その審議の最終的結論はなかなか出ませんので、その途中において春肥対策といたしまして、藤山委員と緊密な連絡を取りつつ、この安定帯価格の引下を斡旋決定いたしたという次第でございまして、私は勿論この安定帯価格の決定が、何らコストという点に触れずにきめられるものとは考えませんが、肥料対策委員会で審議しておる諸般の情勢等を勘案いたしまして、一萬田委員長、両大臣が斡旋の労を取られて、こういうことになつたんだと思います。
  63. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 肥料のメーカーのほうに、何かコストによつてきめられるということを厭う、嫌うと言いますか、そういう傾向があるようにちよつと私は思う筋があるんですが、そういうことはございましようか。
  64. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 肥料メーカーが、いわゆる生産コストに関係なしに、需要関係によつて価格を決定いたしたいというようなことがあるかどうかという問題でございますが、従来の肥料の価格統制の撤廃された後におきます価格の推移というものを見ますると、他の生産資材の値上りというようなことから見まして、むしろどちらかと申すと、自主的に価格を調整して参つたという傾向が数字的に明らかでございます。これは肥料メーカーと申しますものが、農村との非常に重要な関連がございますので、できるだけ安い肥料を供給する、生産コストというものを基にして供給するという考え方に変りはないと思います。
  65. 羽生三七

    ○羽生三七君 資料を一つお願いしたいのですが、簡単なことですが、その肥料対策委員会のメンバー、或いは小委員会のメンバーは、新聞でちよつと見たことがありますが、その氏名地位等を明記して、一覧表にして出して頂きたい。先ほどから伺つておりますと、この対策委員という方が、一万田氏とか藤山氏とか、一方的に余り偏しすぎておるということを非常に私感ずるんです。いろいろな参考のために今の資料をお願いいたします。
  66. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 さつきの続きですが、更に今から専門家によつてコストの研究、計算がされるといたしますと、その結論が出た場合に、この安定帯価格に変更が来される可能性があるかどうか、この点をお伺いしたい。
  67. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 肥料対策委員会の小委員会で検討しております生産コストの最終的な結論というものが出なければ、この問題につきましては御意見を申上げかねる次第でございます。
  68. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 これも先ず資料の請求ですが、肥料対策委員会に提出された一切の資料のリストを一つお願いしたい。そのものでなくてもいいですから、リストだけ……。そのうちに更にそのリストを見ながらお願いをいたします。それから特に今問題になりました安定帯価格をおきめになる一つの基礎資料なつたと称せられる藤山委員かがお出しになつ資料、それを一つ提出して頂きたい。それから資料は、さつきの輸出計画四十四万二千トンという数字が出ておりましたが、これを市場別に、どういうふうに……。それからそのおのおのの価格がどういうふうなものであるかということをお示し願いたいと思います。  それからこれはあとで資料を頂いて更に詳しく御説明を聞きますが、今も簡単に御説明を聞いて置きたいのは、本年度の需給推算と、特にその中において輸出をどういうふうにする、或いは価格としてどれくらいで出せるというような数字をお見込になつているか、その点を御説明願います。
  69. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の御要請の資料につきましてはできるだけ提出するように努力いたしますが、なお肥料対策委員会に提出された資料につきましては、経済審議庁が中心でやつており、責任官庁となつておりますので、そういうようなものにつきましては、経済審議庁と打合せた上で出したいと思います。
  70. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 輸出の数量の見込。
  71. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 本肥料年度輸出数量につきまして、先ほど四十四万トン程度のお話を申上げましたが、本年の七月末におきます在庫の数量は、窒素肥料全体といたしまして大体四十数万トンになるのじやなかろうかと想定をいたしておりますが、この後の輸出の数量につきましては、目下農林省或いは経済審議庁と十分需給の見通しにつきまして検討をいたしませんと、輸出の数量につきまして政府としての考え方を申上げられない段階でございます。
  72. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私が資料その他頂いてから詳しくお願いしたいというのは、あとでもいいのですが、問題はすでに硫安協会は建値を一方的に発表している。この建値の問題は、むしろ輸出肥料をどう見るべきかということと関連する問題じやないかと思います。そちらのほうはまだ審議中だとか、きめないとかということを言つて、さつさと一方のほうは一方的に値段を発表しているというような状態なんです。それじや困るので、もつとそれらの時期を合わせ勘案して、早くお見通しを立てて発表される筋合いだと思うので、特に急いで発表されることを要求しているのですが、それはどうですか。
  73. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 春肥の安定帯価格につきましては先般決定いたしましたが、これに基くと申しますか、個々の取引価格を如何にするかということにつきましては、メーカー並びに全購連或いはその他のデイラー間に折衝している段階でございます。  輸出の数量の見通しにつきましては、これらの春肥の価格というもののできるだけ早い決定を我々も考えているのでございますが、これらの価格決定というものと相当関連をいたしますことは、御質問の御趣旨の通りでございまして、そういつたものを見合いつつ、農林省とも十分需給の推算その他をいたしまして、輸出の数量をきめて参りたいと考えるのでございます。ただ一言最後に申上げますが、今日、先ほども輸出引合の価格の点につきましては申上げましたが、只今輸出引合のうち、やや量の多いというものにつきまして、その輸出の時期等を見ますると、例えばインドの国際入札を近くいたすと考えられておるものにつきましては、大体六月から十一月というような、どちらかと申しますと、日本の春肥の需要期のあとに積出しを必要とするというような引合もございますので、そういつたいろいろな諸条件を総合的に判断いたしまして、関係各省と十分審議した上決定いたしたいと思います。
  74. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それではその点について、もう少しほかの角度からお尋ねしますが、さつき局長の御説明では、輸出を若干やることが、国内の価格引下げになるのだ、そういう意味から輸出をばやつたという御説明だつたと思うのですが、業者諸君もよくそういうことを、たびたび輸出要求をする場合に言うのですが、これまでの経験によると、むしろ輸出するときには、さつきおつしやつたようなダンピングに等しいような値段でやつてしまつて、その負担を国内市場にかけて、国内市場を釣上げるとか、或いはもつと下げられるはずのものを下げしぶつているとかいうようなものが、これまでの経験だつたと思うのですが、局長は併しそうでなくて、輸出をするには同時に値下げになるというお話があつたので、それじや具体的にこれまでの、輸出をしたために価格の引下げが行われたのかどうか、その辺の原因関係がはつきり実証されるのかどうか。更には今後この次の年度において輸出する場合に、それに関連して必ず値下げをば総括的にお考えになつているかどうか。その辺のことを御説明願いたいと思う。
  75. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 輸出価格の問題でございますが、一昨年の秋は先般も御説明いたしましたように、八十ドルをも上廻るというような状況でもございます。又昨今は六十五ドル或いは六十七ドルという線の輸出引合もある状況でございます。昨年の十一月と申しますものは、これは日本の硫安工業の輸出の問題といたしましては、どちらかと申せば、初めての試煉というようなこともございまして、海外の情勢をつかむという点から行きまして、或いは商売上どちらかと申せば、へたであつたというような点も考えられるのでございますが、生産の規模ということから考えますると、やはり操業度の上昇ということが一面比例費というものの低下を来たす重要な問題点でもございます。又一面操業度を相当大幅に維持するということが合理化を推進する基礎とも相成りますので、私はやはり相当長い期間を頭において考えますると、やはり輸出相当広幅に安定して出すということを実現いたしますことが、やはり国内に対する価格の低下、安定ということを図る途じやないかと考えます。
  76. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その目途なり、心構えは非常にいいのですがね。そういう心構えなり目途でやられておるにかかわらず、結果においてはいつもそうでないようになつておるのが、これまでの経験なんで。いや、そうでなかつたんだ、今度の輸出その他に関連してこれだけ価格の引下げが可能になつたんだ、或いは輸出しなければこれだけ価格引上げになるべかりしものを、これだけにとめたんだ、或いは近い将来においては、これだけ輸出を見込むために、これだけ引下げられるというようなことを、もう少し具体的にお示しを願つて、今の目途なり、何なりが正しいかどうかということの納得を得たいので、特に御説明を願つておるのです。
  77. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の操業度との関連を考えまして、コストに対する影響を検討いたしますると、大体百五十万トンの内需に限定いたしますると、比例費の関係からいたしまして、大体百円程度の上昇を来たすのでございます。なお今日のこの二百万トンの生産ベースを、勿論電力或いは石炭いろいろな問題も考えられますが、二百二十九万トン、大体二百三十万トン程度に引上げるということを考えますると、コストにおいて四十円程度の引下げが可能でございます。勿論二百三十万トンにいたします際のコークスを、ガスを或いは電解法に対しまする割合は、重点を電解法におくという建前を織り込んで考えておるのです。
  78. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、今後輸出数量をおきめになるときは、必ず価格はその結果として上らないのみならず、それに相関的に引下げ得るという結果が得られるような形で輸出もおきめになるし、従つて又価格もきめるということははつきりした確信なり、自信がおありですか。
  79. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 本肥料年度の特に硫安につきましては、前肥料年度に対しまして生産は相当上昇しております。その企業合理化という点につきましても、勿論特に弱体企業に対しましては、開発銀行の融資というようなことをいたしまして、硫安のみの生産でなく、有機合成化学工業というようなものをやらせるというような指導をいたして、できるだけ弱体企業の合理化という線をも考え進めて来ておるわけでありますが、これらの操業度或いは企業の合理化という線で、安定帯価格のできるだけ引下げを図るというのが私たちの方針でございます。昨年の三月と記憶いたしまするが、当時はこの前年の秋から非常な渇水でございまして、どちらかと申すと、硫安工業というものが生産量は非常に思うように進んでおりませんでした。併し昨年の三月から以降非常に順調になりまして、生産もほぼ軌道に乗りまして、当時硫安価格が市場で千円を上廻わるか上廻わらないかという情勢でございましたが、これに対しましては昨年の春肥のときでございましたか、この千円の価格ベースを実現させないように、むしろ低目に抑えるという努力をいたしまして、九百円程度に調整したという記憶がございます。又今日硫安工業の生産状況からいたしますると、昨年の夏秋のいわゆる普通の渇水期の関係相当考えられるときでありまするが、幸いに硫安工業はほぼ計画を維持し得るような状況でございました。なお、その後肥料の生産全般といたしまして、先ほど申しましたように、生産計画を相当上廻るというような情勢にもございまするので、これらの生産規模を考えますると、具体的にこの程度がこうだということは申上げにくいんでございますが、やはり国内の安定帯価格につきましては、できるだけ引下げて、硫安工業というもののいわゆる国際的な競争力と同時に、国内の価格を低下安定させる、この問題をできるだけ調整して参るということを心がけて参りたく、又そういつた方向に歩んでおるものと思うておるのでございます。
  80. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ではその問題は詳しい資料ができたら、改めてもう一遍お聞きしたいと思いますが、問題を次に移しまして、数日前でしたか、硫安協会は建値を一方的に発表して、八百九十円から八百九十五円というように発表したと思うのです。現在の市況は、大体八百七十円から八百八十円程度ではないかと思うのです。従つて全購連あたりとしては、この価格を非常に希望していて、話合いによつてきめたらというふうな気持も持つていたんじやないかと思います。それにもかかわらず硫安協会は一方的に八百九十円から八百九十五円とした。そうすると、現在の市況よりも若干値上げされることになるわけですが、春肥対策として安定帯価格は引下げるという方向で措置をされ、今後も更に下げる方向に持つて行きたいと言つておられるにかかわらず、硫安協会はこういう態度をとつているのですが、これに対して政府当局としてはどういうふうに対処されるおつもりであるかお伺いしたい。
  81. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の春肥の、メーカー側から一方的に建値の発表をいたしたというような御質問でございますが、この価格の問題につきましては、一方的に建値を発表したということではなくて、政府の斡旋によりまして安定帯価格の決定を見た。春肥を前にして早急に取引価格をきめたいという意味合いにおきまして、メーカー側から全購連でございますか、一つの価格を相談する意味合いにおきまして、提案いたしたことと思います。新聞紙上には「一方的に建値を発表」というようなことが報ぜられておりますが、私はさようには考えてはおりません。
  82. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると更に今後全購連との間に話合いをつけて、もつと適当な価格に落ちつけるのだ、政府としてもそういうふうに指導するのだというふうな御意見でございますか。
  83. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の安定帯価格の決定に伴いまして、肥料の現実の価格を、取引きをきめるということは、これは業者の話合いということを進めるべきが筋合いと考えます。勿論政府が更にこれを斡旋すべきかどうかということになりますと、その折衝の経緯或いは諸般の情勢等を判断いたしまして決定いたしたいと考えるのでございます。一方的に建値の発表という事実は、これはちよつと新聞の記事の行き過ぎではないかという工合に考えております。
  84. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからもう一つお尋ねしておきたいのですが、硫安協会で建値を相談して発表したのですか、相談したのでしようが、これは独占禁止との関係はどういうふうにお考えになりますか。
  85. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 私は只今の御質問の点につきましては、どういう形でこの建値を決定いたしたかというようなことでございますが、これは恐らく硫安協会として決定したものじやないと考えます。ただ従来全購連の買付けに関連しまして、個々のメーカーの折衝の段階にまあ斡旋というようなことをいたした。例えば政府がこの前の安定帯価格をきめます際にも相当強力に斡旋の労をとりました。今度も関係大臣等が相当積極的に斡旋の労をとつた経緯もございまするし、ただ具体的にどういつたようなことがなされたかという点につきましては、更に検討いたさねば明白でございません。この点につきましては公正取引委員会等において、法規上の関連というものについて御検討相成るものと考えます。私は硫安協会が一方的に建値を決定したというような工合には考えておりません。
  86. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 肥料金利の問題ですが、何か日銀の政策委員会では、肥料価格を引下げるために、肥料工業に対する日本開発銀行の肥料の貸出しの金利の引下げを検討しているというようなことが伝つておりますが、この肥料金利の問題に対して政府はどういうふうにお考えになつているか。
  87. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 肥料工業に対します財政投資の金参利の引下げの問題につきまして、先般申上げました肥料対策委員会の中間的な政府に対します勧告の中に一部織込まれております。この金利の引下げにつきましては、勿論通産省だけで決定し得る問題ではございませんので、関係方面とも具体的に折衝中でございます。最終的の政府の考え方というものは、いずれ関係各方面の協議の結果きまるものと思います。
  88. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ではその肥料金利が一体肥料のコストの中で占める割合はどのくらいになつておりますか。それから金利を引下げる場合には、日本開発銀行の貸出の金利が問題になると思いますが、従つて日本開発銀行から出している資金はどこどこの業者にどの程度出しているかということも一つこれは後ほどでいいんです、資料としてお出しを願いたい。それからこの問題に対して大蔵省はどういう意見をお持ちになつているか。……大蔵省は来ていないね。それではこれは他の機会に質問します。機会を別にお作り願いたいと思います。
  89. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に徳永繊維局長
  90. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 繊維局関係といたしましては、予算に関連します事項はさしてございませんですが、最近の繊維の概況をかいつまんで御説明申上げまして御参考に供したいと思うわけであります。  繊維も御承知のようにいろいろございまして、綿関係なり生糸、絹関係なり、或いは人絹、スフ関係、或いは毛糸関係、まあめぼしいものを拾いましてさようなことに相成つているわけでありまするが、まあ一口に申しまして、繊維関係は一、二の例外もございますけれども相当輸出に対する依存度が大きいという事情と、それからそれのうらはらになりますけれども、さような関係から輸出が思うように伸びない場合には、最終的な安定がないというようなまあ性格を持つている産業でございます。又同時に半面から繊維産業は、我が国の産業の中で比較的国際的な競争力というものを兼ね備えている産業でございまして、業界内部の問題には輸出振興のために打つべき手は比較的少い。が併しむしろ輸出振興のために、いわゆる通商外交とか、或いは相手国の為替事情とか、或いは日本貿易商社の力を強めるとか、さようなふうの問題が問題になるような品物でございます。  そこで品目ごとに最近の輸出なり生産の概況を申上げますと、綿関係につきましては、御承知のように、昨年の三月に大きな暴落があつたのであります。爾来通産省といたしましては、生産調節を業者に勧告いたして参つているわけであります。この数字は月によつてその需要の時期等によりまして若干の変化がございますが、最近の数字といたしましては、この二月十五万梱、それから三月以降三カ月に亙りまして十六万梱というようなことにいたしているわけであります。そのうち輸出は、これは昨年の一カ年の数字を見て参りますと、一カ年に綿織物の総生産量が二十二億ヤールほどになつておりますが、その約三分の一の七億五千万ヤールが輸出だということに相成つているわけでございます。私どもとしましてはこの約三割の輸出をもつと引上げたいということを考えているわけでございます。滞貨の数字につきましては、現実には最近横這いの状況を呈しておりまして、そう殖えるという現象は現われているわけじやありません。併しながら昨年の三月なり十一月のような暴落というものは、或る程度の滞貨を前提といたしまして、何らかのきつかけでさような事態というものも起つて参りまするので、そういうことを或る程度予防し、そういう場合に対処しますために調節する機関というものを考えたほうがよろしいのではなかろうかと考えまして、関係業者と相談の上、公取とも御相談いたしまして、綿製品につきましては輸出価格の不当な暴騰、暴落の場合、いわば昨年の三月とか十一月とかいうような事態には必要に応じて綿製品を買上げる機関というようなものを作るということにきまりまして、近くその設立の準備に入るということに相成つているわけでございます。まあこれによりまして今後は三月、十一月のような事態が少しは緩和できるのではなかろうかというふうに考えているわけであります。  その次に生糸、絹織物関係でございますが、これは御承知のように、戦後の日本の桑園の復旧というものが、復元がまだ十分に行われておりません。かような結果といたしまして、昨年の生産で申しまして、生糸が二十五万俵程度にとどまつているわけでございますが、その数字は、戦後の国民生活の或る程度の安定に関連して起りました内需の旺盛ということから見ますると、供給不足というような現象を呈しておりまして、その結果国内の生糸というものは、相当の高値になつておりまして、これを或る程度抑制するような意味におきまして、蚕糸価格の最高価格が決定されたことは皆様も御承知通りでございますが、そういう環境でございまするので、輸出は数量的に十分に出て参つておりませんが、昨年一カ年で七万俵、二十五万の生産のうちに七万俵が輸出というような状況に相成つているわけであります。併しながら生糸の増産は逐次行われているわけでございまして、今後の増加分は、相当部分が輸出に向くんではなかろうかということを私ども推測いたしておりますし、又他面海外の生糸の需要というものも順調に回復いたして参つておりますし、又外国におきます合成繊維の発達等から、それとの混織用としても生糸の需要が喚起されているというようなことを考えますと、今後生糸はまだまだ伸ばせば伸ばせるし、日本の増産が十分にそれに応え得ないというのが一口に言えば今の段階、が併し今海外の需要に対しまして相当の宣伝啓蒙というものを怠たらずに繋いでおくならば、今後の増産分が比較的容易に順調にはけて行く希望が持てるというふうなふうに私どもは考えているわけでございます。  それからスフ人絹関係の、いわゆる再生繊維と申しておりますが、これにつきましては、昨年の秋に或る程度の価格暴落がございまして、それが一つの業界にシヨツクを与えたわけでございますが、その後比較的落着を示しておりまして、むしろ若干の増産、少しづつではございますけれども、増産傾向を辿つておりますし、滞貨につきましても格別の増加というものは認められない。むしろ月別に見ますと、若干の数字の上下はございますけれども、正常な在庫で推移いたしているというふうに判断して差支えないんではなかろうかと考えるわけであります。而してその中の輸出の割合でございまするが、人絹につきましては、この半額以上というものが輸出でございます。それからスフにつきましては、輸出の割合がやや劣りまして、全生産量の約二割が輸出であるというふうに御了解頂ければ大過ない数字になつているわけでございます。スフにつきましては、人絹よりも若干の国内需要等の好調を呈しているような状況でございます。人絹は或る意味におきましては、輸出としても半分以上を実は輸出にしているということでもあり、又相当程度発達をした品物でございまするが、今度若干の品質改良というようなことを考えて行かなければ繊維の種類も新らしい繊維というか、或いは繊維の加工というものが技術的に進歩いたしました関係から見まして、再び将来の発展のためにはさようなこの事態としても技術の改善、それによる品質的な工夫というものを必要とする要因が残されておるかと考えるわけであります。又輸出につきましても、これは私ども詳細な事情というものを調査中でございますが、イタリア、日本の大きな競争国といたしましてのイタリアにおきまする海外市場に対する進出ぶりというものが、この価格の競争状況というものが、通常想像し得るよりもはるかに低い値段で出されているような事例がございまして、業界といたしましてもこの問題に非常な注意を払つておりますし、又私どももその正確な実情の調査に、在外公館に調査を依頼し、或いは海外渡航者に依頼し、或いは通産省の官吏で海外に参ります者にその調査を依嘱しているというような状況で、目下まだ正確な実態というものを把握いたしていないのでありますが、一口に申しますると、国内価格を非常に高くして輸出を一手販売でダンピング的に割安の価格を出していると認められるふしが濃厚に感ぜられますので、さような意味において私ども非常に問題にいたしているわけでありますが、併しイタリア人絹と日本の人絹とは、品質的には従来日本の品物のほうがすぐれているということで、主要な市場でございまするインドにおきましても、過去の好評は依然として未だ残つておりまして、その魅力は相当にあるわけでございますが、先ほど来申上げました意想外の割安価格というものが一つの脅威になつているわけでございます。  なお、毛織関係につきましては、これは繊維産業の中におきまして或る意味の例外、と申すとさしさわりがあると思いますけれども輸出に対する競争力の弱いという意味におきましては例外をなすものでございますが、殆んど大部分というものが内需に依存して発達しているという状況でございまして、この原料も同じく輸入品でございまするので、その面からも極力輸出振興ということに私ども努力をいたしたいと考えているわけであります。内需の戦後の国民生活の回復に伴いまする順調な成長から業界は比較的安定もし、又海外の原料価格もやや強目でございますので、その面からも順調に推移いたしているわけでございますけれども、国民経済的な立場から見ますると、もつと輸出を伸ばさなければならないという事情がございまして、私ども只今この輸出振興のために昨年から大幅のリンクというものをいたしておりまするが、その効果が最近になりまして着々と増加いたしているというふうに見られるのでございますけれども、まだまだ数量的には非常に少い状況に停滞いたしているわけでございます。  この本日繊維の輸出と生産及び滞貨処理という見出しにつきまして、主な繊維につきまして概況を申上げたわけでございますが、なお繊維のうち一つ補足して申上げますると、御承知のように合成繊維が戦後の新らしいその利用価格の高さ、或いはその原料的な日本としてのすぐれた事情ということ、それから日本の繊維全般が輸入に原料を依存しているというような状況から見まして、それを少しでも改善する意味合等から考えまして伸ばすべき産業であるということで、従来税制、国家資金の投資その他あらゆる面におきまして最大限の努力を払つて来ている次第でございますが、着々その実を結びつつありまして、まあ私ども本年、来年度が一つの山と申しますか、来年度を順調に越しますならば、それなりに自己の力、これまでに築き上げました力で順調に成長して行くというところまで来たのではなかろうかというふうに判断して、まあ本年がいわば国家の力を貸します、大きく力を貸す最後の年であるというようなつもりで援助いたしているわけでございます。  以上簡単でございますが概況を申上げまして御参考に供します。
  91. 森八三一

    ○森八三一君 昭和二十四年の暮に繊維製品の消費税が廃止になりましたのに関連して、只今この問題をどう処理するかという法案が出ていることは御承知通りと思いますが、そのことに関する質疑は他の機会にいたしまして、その当時この問題を繊維局のほうではどういうように考えて取扱いをせられたか、そのいきさつ、それだけを簡単に御説明願いたいと思います。  それからこれに関連して、若し昭和二十八年度予算を編成するに当りまして、繊維局のほうでとられたいきさつがありますれば、そのいきさつも簡単に御説明願いたいと思います。
  92. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) お尋ねの問題は、実は昨日も参議院の大蔵通商合同委員会において議題に供せられておつたわけでございます。と申しますのは、議員立法で一案が出されてございまして、それに対する質疑応答が行われておつたわけでございます。今お尋ねのその当時におきまして、繊維局としてどのような措置をとり、又明二十八年度予算の編成に当つてどのような態度をとつたかというお尋ねの点でございますが、第一の点につきましては当時私担当いたしておりませんでした関係から詳細な事情承知いたさないのでございますが、当時も或る程度大蔵省の主税局とは折衝があつたというふうには承知しているわけでございます。なおこの二十八年度の問題、予算編成に関連しましての問題といたしましては、これは私どもといたしましては、すでに国会側におきまして、それを目的とした立法が行われ、審議もされつつあるという過程でございましたので、その成行き自体が物事を決定するというふうに考えまして、政府側としては殊に繊維局といたしましては、格別の措置をとらなかつた次第でございます。私どものほうから大蔵省に対しまして予算要求というようなことも、法案のほうに敬意を表しまして、出すのも如何かと思いまして差控えたというような状況でございます。
  93. 森八三一

    ○森八三一君 その当時の担当者でなかつたので、詳細はわからんということでございますが、これはお調べ願いまして、いずれ分科会等の際に詳細な御報告を求める機会があると思いますので、そのときに説明ができるようにお願いいたします。
  94. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 最後に葦沢重工業局長
  95. 葦沢大義

    政府委員葦沢大義君) 兵器関係の生産状況並びにこれに対する対策の概要について御説明を申上げます。  御承知のように兵器につきましては、敗戦によりまして兵器航空機等生産制限に関する件というポツダム共同省令によりまして全面的にこれが生産を禁止されたわけでございますが、講和発効と共に、ポツダム共同省令改正がなされまして、許可があつた場合にはこれを製造してよろしいということで経過をして参つたのでありまするが、その効力が昨年の十月二十四日を以て消滅することに相成つておつたわけでございます。政府といたしましては、当時の状況から鑑みまして、無法律状態になりますことは、まだ適当でないという判断の下に、差当つての一カ年延長法案を用意いたしまして、前国会冒頭に御提案する用意万端を整えたのでございましたが、国会が劈頭に解散になりまして、十月二十四日の期日も到来いたしまして、兵器と申しますか、武器と申しますか、こういうものの生産については、現在は無法律状態になつていることは御承知通りだと思いますが、ただ銃砲刀剣類所持取締令によりまして、その所持につきましては一応の取締りが行われている状況に相成つているわけでございます。その間駐留軍の発注によりまする武器の生産が行われて参つているわけでございまするが、武器の生産につきまして、只今までのところ約二千万ドル、最近又大きな発注がありましたので、三千万ドル近くになつておりまするが、この内容は主といたしまして銃弾、榴弾、照明弾、迫撃砲弾というような銃弾関係が大部分でございまして、なおその他に追撃砲がありまするが、そういつた程度状況なつております。従いまして現在武器の生産は駐留軍の発注にかかるものが九九%と申しても過言じやないと思うのであります。輸出の引合いにつきましても、その話を商社を通じてパキスタンとかビルマとかインドネシアというようなところからの話を聞きますけれども、現実の注文としてはまだ一件もないような状態になつております。従いまして国内におけるこの保安庁関係からの発注というものにつきましても、只今までのところは全然ないような状況なつております。これは将来どういうふうになるだろうかという問題が、現在武器を生産しておるものの非常に関心するところであると共に、又そういつた設備を持つておりますもの或いはその企業をしようとするものにとつて非常に関心を持つているところだと思いますが、将来どうなるかということにつきましては、我々としても非常に関心を集中するところでありまして、駐留軍のほうにその発注計画の具体的な将来の継続性につきまして問合せをいたすのでありますが、駐留軍といたしましても、……主としては米軍になることと思いますが、米国国会の予算というような問題にもなるわけでありまして、長い将来に亙つてどうこうということは無理である。向う側においても確言できないのは理の当然かとも思いまするが、この六月までの発注見込みというものを我々の一応の想察するところによりますれば、更に三千万ドルくらいはあるんじやないかというような考え方をいたしておるわけであります。  なお、保安庁の二十八年度予算におきましては、演習弾等を中心にいたしまして、新らしく約四億円くらいの生産発注を見込んでおるようでありまするが、これは従来の駐留軍の発注に比べましたならば非常に微々たるものであることは申すまでもない次第でございます。  こういうような状況下におきまして、武器の生産について特に問題となつておりますことは、この出血受注という問題だろうと思います。併しながら果して出血なりや否やというこの正確なる資料は、まだ我々といたしましても公権的に調査をするというものも持合せておりませんので、明確なものを持つておるわけではございませんが、米軍側において一応予定いたしておりまする価格に対して、日本側がお互いに業者が競争するとか或いは米軍側におきまして低値に叩くというような事情が競合するのだと思いますが、二割、物によつては三割安いということが喧伝されておると思うのでありまするが、こういつた出血というものの具体的な内容について、遺憾ながらはつきりここにコストを計算しての我々御説明するものを持つていないのでありまするが、そういう事態は少くも好ましくない事態なのでありまするので、駐留軍側に対しまして、我々といたしましても入札制度につきまして、一応適格者として推薦をしたものの中から入札者を一つきめて頂きたい。或いは入札しまして更に向う側におきまして再入札というようなことをやつておられまするが、そういう再入札というようなことは一つとりやめてもらいたいというようなことを向う側に申入れをいたしておるような次第でございまして、一部につきましては、向う側においても実施をしてもらつておるわけでございます。ただ向う側の内部におきましても、徒らに値段を叩いて安く買い取るということが目的ではないのだと、一定の正当な価格を以て安定した納入をしてもらいたい。例えば良質の物を納期通りに検査に合格するような物を納めてもらうことがやはり目的であるというような意見も向う側の中にあることはあるようでありまするが、いろいろな関係から只今申上げましたように出血受注というような問題が提起されておるわけでございます。こういつた問題の根源は、やはり設備の乱立と申しまするか、この際注文にありついておるならば、将来何らかの形において有利に事業を営むことができるだろうというような、こちら側における徒らな競争というものもあろうかと思うのでありまして、こういうような事態に即応いたしまして、今国会、昨年末冒頭に武器等製造法案を御提案いたしまして、武器の生産につきましては許可制度を布きまして、一定の条件に適つたものでなければ武器を生産をしないように、従つてその一定の条件の中には過剰設備になりますようなことのないようにというような項目も狭みまして、従来のポツ勅が主としてこの公共の安全というような上から規定いたしました趣旨を、更にこの国民経済の健全なる運行に資するために事業活動を調整いたすという新らしい目的を盛込みまして法案を御提案申上げておる次第でありまするが、更にこの法案の第二の骨子といたしましては、契約いたしました場合にその契約を政府に届出てもらいまして、その届出に基きまして調査をいたしまして、いわゆる出血と申しますか、不当安値と申しますか、そういうものである場合には政府が戒告をするという制度をこの法案の中に盛込んでおるような次第でございまして、こういうような法案の対策を以てこの出血受注問題に対する対処をいたしたいというふうに考えておるわけであります。この法案のほかに、只今のような武器製造事業でありますると、何と申しましても受注の継続性につきまして確たる見通しがないわけでございまするので、その設備の償却につきましては、実はまだ兵器の設備につきましては耐用命数のきまつてないものもあるようでございまするが、そういうものにつきまして耐用命数の決定並びにその償却につきまして特別な措置をとれるようにということを大蔵省と折衝中でございます。  なおこういう武器を生産いたしますにつきましては、御承知のように専門機械はすべて破壊をせられましたのでありまして、そういつた設備を注文に応じて整えるという場合に相当資金を必要といたしますので、現在の受注状況等から見まして、私どもの推定するところによりますれば、約十億円くらいの資金が要るのじやないかと思いまするが、こういう資金需要につきまして必要に応じて我々のほうにおいて斡旋をするというようなことも考えておるわけでございます。武器の生産につきましては積極的に国家が指導して特別に助成をするということではございませんけれども、今申しましたような駐留軍の、輸出産業に準ずる一つの産業といたしまして、或る程度の今申上げましたようなことを考えて参つたらどうかというふうに考えておる次第でありまするが何と申しましても、今後の見通し如何ということに相当かかる問題でございまするし、又独立国日本が、武器の生産等の状況如何によりましては、私どもの分野ではないのでございまするが、海外からの外交上の観察、見方というものも配慮しなければならないいろいろな問題を蔵しているというふうに存じまするので、武器生産審議会というものを設けまして、法案の中に規定をいたしているのでございまするが、朝野の学識経験者のかたにお集まりを願いまして、この武器生産に関する重要事項につきまして、調査審議、或いは大臣の諮問に応じ、或いは建議をして頂きまして、我が国武器生産の持つて行き方につきまして、十分にその方途を誤まらないようにお願いをいたすようなふうに考えている次第でございます。  概略申上げまして終りといたします。
  96. 永井純一郎

    永井純一郎君 今の説明の中で、従来のポツ勅による武器製造関係の趣旨は、武器を禁止するという趣旨で作つておつたわけです。でそれが今日又あなたがたのほうで武器製造の法律を出しておられるようですが、それは今の説明を聞くと、やはり武器製造という事業を円満に育てて行こう、こういうことである。でそういう趣旨の閣議決定がなされて、あの法律が出たのかどうか。その辺の点が一点と、それからもう一つは、今の説明を聞いていると、そういうふうに相当武器製造を大きくして行こうという政府の考えが窺えるのですが、それでは将来輸出のどれくらいをこれで占めようと思つているか。更には日本の産業構造の中で、武器製造をどの程度の規模に持つて行こうと考えているかということ、これは事務当局に私は数字があるはずだと思う。今の説明を聞いていると、裏付の数字があるはずだと思いますから、その数字だけをここで一つ資料として提出してもらいたい。今おわかりになつていればその点を……。
  97. 葦沢大義

    政府委員葦沢大義君) この法案の提案の骨子が、輸出産業と申しますか、駐留軍の注文に応じて現実に生産が行われている事態に即しまして法案が作られているのでありまして、この武器生産事業を将来長きに亙つてどういうふうに見ているかということは、やはり現実の輸出産業の一つとして駐留軍の発注によりまして生産しました結果が結局ドルの支払いによつて行われている。この現実の事態に即して考えられているものでありまして、又長き将来については我々はどう変るかわかりませんが、この法案の趣旨とするところは飽くまでも現実の事態に即応してのものであると共に、又それ以上の何物でもないというふうに考えている次第でございまして、お尋ねの、一定の数字があるのじやないかというお尋ねでございまするが、そういう数字は将来に亙つては持つていない次第でございます。
  98. 永井純一郎

    永井純一郎君 先ほどの説明では、その駐留軍の注文に応ずるというのも一つだが、この武器製造関係法律を作つたのは、国民経済的な立場から今度は考えて、この武器製造に関する法律を立法して国会に出したということを説明をされたと思うのですが、これは非常に私は重要な、武器を作ることがいいとか悪いとかいうことは追つて政府当局の責任者と問答することとして、国民経済的な立場から武器製造というものを取上げたんだ、そういう趣旨から立法もして今国会に出したということになると、そういう国民経済的な立場から武器製造というものを考えるならば、大体どの程度の規模までこれを拡げて行こうということは、これは当然経済審議庁なり通産省はなければならない。一応の想定ぐらいはあるのじやないかと思う。その点を聞きたい。或いは何でもなくただ漫然と出したのか。
  99. 葦沢大義

    政府委員葦沢大義君) 国民経済という言葉の上からの御質疑誠に御尤もだと存ずるのでありまするが、国民経済全体の上からの観点は、主として乱立、設備の過剰等によりまして、徒らにおのおのが出血競争になるのみならず、それが全体の国民経済の上に支障を来すという考えからでございまして、従つて発注量が大体どのくらいになるか、需要がどのくらいになるかという、そのときの事態に応じまして考えられて行くべき問題だろうと思うのでございまして、あらかじめこういう何%とかいう、そういう数字的なものに準拠して考えて参れないことだというふうに考えておる次第でございます。
  100. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 大体生産の発注者が殆んど駐留軍であるという御説明がありましたが、最近の国際情勢、特にアジアにおける仏印等の戦局に関連して、フランスのビドー内閣はアイクの政府に対して相当強力な積極的な支援というものを要請をし、更にそれに対して成る程度の協力を約束しているようでもあるわけです。そうすれば恐らくこの仏印戦線に使う武器弾薬等の製造というものが日本を通じてされるのではないかというような観測もされておるわけですが、仏印からの発注或いは直接仏印からでなくても、仏印に対しての補給すべき弾薬等の発注、そういうものが現実にあるかどうか、或いは国民政府からの発注、これはどのような地位を占めているか、こういう点について……。
  101. 葦沢大義

    政府委員葦沢大義君) 先ほど武器の輸出につきましての概要につきまして御説明を申上げましたときに申上げました通りパキスタン、ビルマ等からの引合についての商社を通じての話を聞いた程度でございまして、仏印或いは御指摘のような国府からの引合については全然まだその話を聞いておりません。ただこういうものの海外の輸出につきましては、いろいろ海外に与える独立国日本としての影響と申しますか、考え方もありますので、これは慎重に取扱うべきことであるというふうに考えている次第でございます。
  102. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会