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1953-02-25 第15回国会 参議院 予算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十五日(水曜日)    午後一時五十六分開会   ―――――――――――――     委員の異動 本日委員栗山良夫君辞任につき、その 補欠として佐多忠隆君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            左藤 義詮君            森 八三一君            内村 清次君            永井純一郎君            岩木 哲夫君    委員            石坂 豊一君            石原幹市郎君            川村 松助君            郡  祐一君            杉原 荒太君            鈴木 恭一君            加藤 正人君            石黒 忠篤君            岡本 愛祐君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            三輪 貞治君            加藤シヅエ君            棚橋 小虎君            西田 隆男君            堀木 鎌三君            千田  正君   政府委員    経済審議庁審議    官       渡邊 逸亀君    経済審議庁次長 平井冨三郎君    経済審議庁総務    部長      西原 直廉君    経済審議庁調整    部長      岩武 照彦君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    経済審議庁調査    部長      須賀 賢二君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    農林大臣官房会    計課長     増田  盛君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○委員長報告昭和二十八年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度政府関係機関予算  (内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これより委員会を開会いたします。  先ず御報告申上じます。去る十九日、当委員会におきまして、道路整備費財源等に関する臨時措置法に対する建設委員会申入の件は、理事会に一任せられました結果、理事会におきまして慎重審議の結果、只今手許にありますような結論を得まして、二十日に委員長名において建設委員長のほうに申入をいたしました。念のためにこの申入れた文章を一応朗読いたします。   道路整備費財源に関する臨時措置法案に対する予算委員会意見申入の件  表記法律案については既に貴委員会において篤と慎重審議中のことと存じて居りますが本案に関しましては、当委員会としましても予算審議の立場から重大な影響を有つものと認め過般来検討を進めて参つた次第であります。  これについて一応の結論を得ました。即ち  一、本法案は第三条において今後五ケ年にわたり特定税収道路整備費に充当するよう義務づけているが、右は予算編成を不当に拘束するおそれがあると認められること  二、本法案は目下国会に提出されている昭和二十八年度予算と関連なく立案されているため、本法を実施するに当りては当然道路予算の補正を必要とするものであること  三、本法案第二条にいうところの道路整備五ケ年計画については充分なる具体性を欠き、その費目別年次予算の提示がなければ右を実質的に審議することができないこと  以上諸点につき本法案は重大な不備があるものと認め、本案審議に当り貴委員会の特段の御配慮を希望致します。  右予算委員長として申入れます。  これは先ほど申上げました通りに、二十日に建設委員会のほうに申入れた案文であります。  以上御報告申上げます。  次に、本日から昭和二十八年度一般会計特別会計並びに政府関係機関予算につきましての予算審査を開始いたします。  先ず審議庁からの説明を願います。
  3. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) お手許に一枚刷の「昭和二十七、二十八年度経済見通し」と申しまする紙をお配りしてあると思いますが、これについて御説明いたします。  これは去る二月初めの当委員会におきまして、私から国民所得明年度見通しにつきまして概要説明申上げましたが、その基礎なつておりまする各種経済指標実績並びに見通しをまとめたものでございます。簡単に御説明いたしますると、最初にありまするのが生産関係指数でございます。一番上にありますのが産業活動指数、その次にありますのが鉱工業生産指数でございます。いずれも昭和九年乃至十一年の平均を基準といたしておりまするが、両者の違いは二番目にありまする鉱工業生産指数各種産業活動基盤でありまする電気並びにガス、公益事業二者を加えましたものが第一の最初指数でございます。  明年度概要を申上げますると、いろいろな国内的な需要或いは国際的な需要のほうを通観いたしまして、国内的にはこういうふうな産物に対しまする需要所得増加等関係から、二十七年度に引続き旺盛だろうというふうに考えております。消費財もそうでありますが、生産財におきましても、政府財政投資等増加に伴いまして、セメントでありますとか、或いは電線でありますとか、木材でありますとかいうふうなものの生産増加が著しいかと存じております。又消費財のほうにおきましては、繊維関係を初めとしまして、各種雑貨類といつた形のもの、或いは紙類でありますとかいうものに対しまする需要は、大観しまして二十七年度よりも若干需要としては殖えるじやないかというふうに思つております。そうしますと、現在滞貨が相当累増して悩んでおるものに対しまして、そういう需要が出て参りまして、従いまして生産もやや上昇気味になるのじやないかというふうな見通しでございます。なお電気のほうは、これはこの年度内における出力の増加等関係からいたしまして、これを水の出方が平年の、いわゆる平水というふうに考えましても、四%程度のキロワツト・アワーの増加は見込めると存じております。又石炭のほうも昨年はストの関係で余り増加いたしませんでしたが、今年は五千万トン程度の出炭を見るかというふうに見通しております。従いまして活動基盤のエネルギーのほうもそう窮屈なことには相成らんだろうというふうに存じております。指数全体といたしましては、お手許にありますように、鉱工業生産指数におきまして一四六・三、対二十七年度比一〇六・二の増加活動指数におきましては、戦前比一〇七・二、前年対比一〇四・四というふうに若干の増加は見れるかと存じております。  農林水産のほうでございまするが、この方面は御案内のように昨年は麦が非常に豊作でございまして、まあ有史以来とは申しませんが、非常な、未曾有な豊作と言われておりますが、これが本年はいろいろな関係から作付段別等が若干減少しておるようでございますから、或いは昨年程度生産を期待することはむずかしいかと存じております。米のほうは、これは一応平年作というふうに考えまして計算しておりまするが、これはいろいろな気象条件等関係もございますので、今までのいろいろな増産施策強化と、この気象条件との噛み合せで如何になりまするか、ちよつと予測も困難でございますが、一応これは平年作という前提で立てております。その他の農林方面におきましては、煙草でありますとか、或いは藺草でありますとか、菜種というふうな、いわゆる特産物系統生産増加がいろいろな奨励政策等関係もありまして、相当増産を見る予定でございます。これはそういうふうな傾向で進んで参つておりますので、そういう方面からして或る程度生産増加が伸び得るようであります。又林産のほうは、これは森林法改正の施行が昨年の初めに行われまして、いろいろその改正見通し伐採制限見越し等で、昨年初めにおきましては、いわゆる春山を大分伐つた傾向が見通されておりまして、その結果或る程度製材在庫も殖えたようで、昨年年次を通じましては伐採制限を相当予定通りやりましたが、需給関係にはそう大きな響きはなかつたようでございますが、今年はそういうふうな繰越在庫も大分減少して参つておりますので、これは恐らくは値段の関係需要関係等からしまして、或る程度伐採量増加が出来るのではないだろうかというふうに見通しております。そこでその関係から或る程度生産の伸びが期待されるようでございます。  水産のほうは、これは普通の魚類等は余り大きな違いはないと存じておりますが、いろいろな特殊な養殖関係方面の貝でありますとか、何とかいうようなものが大分殖えるのじやないかという予想でございます。従いまして生産指数に換算いたしまして、大体戦前対比一〇八・一、対前年比約一%の増加というふうな一応見通しでございます。  それから貿易関係でございますが、貿易関係は、御案内のように対外的にはイギリス連邦諸国輸入制限強化或いはガット加入問題の未解決、或いはオープンアカウント地域における貸越の残の処理問題等に絡みまして、なかなかはかばかしい増加が見れないのじやないかと見ております。なお、いろいろな対外話条件につきましては、現在その一部はすでに交渉中でございますが、一応そういうふうな好転する条件と、それから好転しなくて、まあ現状程度推移いたしまする場合と二段に分けて考えております。  お手許にありまする輸出の欄及び輸入の欄の二段構えの数字はさような数字から出ておりまして、輸出におきまして十億四千八百万ドルと言いますのは、これは現在程度ポンド地域並びにオープンアカウント地域輸出が不振であるというこの状態を基礎にいたしまして、これが余り改善されない場合というふうに想定いたした数字でございます。大きなほうの十二億三千万ドルという輸出数字は、それはそういうふうな障害が一応打開されまして、まあ何というのですか、或いはノーマルな通商関係に相成つたというよう事態を想定したわけでございます。輸入のほうもそういう関係に立ちまして、それぞれ通貨のバランス等も考えまして調整いたしておるわけでございます。  それから国際収支のほうに相成りますと、この貿易関係のほかに、受取としまして一番大きなものは駐留軍関係ドル収入でございますが、これはいろいろなことが伝えられておりまするが、現在の見通しといたしましては、現実にドル収入として見込み得まするものは、昨二十七年度に比べて余り増加しないのではないかというふうな基礎に立つております。例の合同勘定に入ります米国側負担の分、それからいわゆる朝鮮特需という朝鮮送りドルで購入されまするもの並びに駐留軍の個人的な消費というふうなもの等を合せまして、七億ドルをやや上廻つた辺の収入があるかというふうに考えております。そういたしますと、結局支払のバランスのほうは、好転いたした場合七千六百万ドル、通常の場合四千五百万ドルというふうなことになるわけでございます。ただこの数字、殊に輸出のほうで問題がございまするが、昨年の、昨年のと言いますか、二十七年度に比べまして、金額はこの堅い場合は大分減少しているように見えまするが、実は輸出の商品の単価相当下つております。従いまして、数量的に見ますると、この金額減少ほど量的には減少しないのではないかというふうに見ております。輸入のほうも大体の傾向は同様でございまするが、ただ食糧関係一は若干昨年よりも単価が上つておるようでもございまするので、まあ輸出の、何と言いますか、数量ベースとは近い関係ではないかとも存じまするが、併しいずれにしましても、この比較にありまするように、前年比にしまして一割或いは六、七%も貿易量として減少するというふうには考えておりません。  それからその次の一般会計予算、これは御審議願つている今年度予算でございまして、これはあとにありまする国民所得等町との比較上そこに書いているわけでございます。  それから物価関係でございまするが、これも実は非常に予測しにくい問題でございまして、いつも頭を悩ましておるわけでございまするが、一応この見通しを立てました根拠としましては、生産財のほうは御案内のように昨年の三月頃をピークとしましてだんだん下つて参つております。それが最近やや上廻りかけている状況でございます。これは従来申上げましたような、財政投資活発化等の点からいたしまして、或る程度これは上向くのではないかというふうに見ております。殊に先刻申上げましたセメントでありますとか、或いは木材でありますとかいうふうなものにおきましては、供給量等関係もございまして、少し強含みだけ上つて来るだろうと存じております。そうして大体年度で均しまして、一遍下つて来たのがだんだんに元の水準に近付いて参るというふうな形で年度を平均して横に辷らしますと、大体横辷り、はつきり申しますと、まあ強含み横辷りというようなことに相成るのかと存じております。  消費財のほうでございまするが、これは消費需要増加等がございまするので、これが今まで生産されておりまする増加しました滞貨のほうも考えられまするから、そう上昇というふうな強い動きは見られないものと存じておりまするが、ただ昨年末におきまして、消費者米価引上或い運賃料金、地代、家賃というふうなものの引上もございましたので、そういうふうなものが今年度におきましては平年化されますと、まあ指数的に観察しますれば微騰いたすということに相成るかと存じております。この物価関係は、そういうふうな一応の国内における需給関係を中心に考えたものでございまして、これが国際関係動き等がどうなりますかによりまして、或いはこの動きが相当違つて参るかとも存じておりまするが、貿易関係等も考じてみますると、物価の趨勢も、まあ大体こういうところではないかというふうに見ております。  それから国民所得、これは今月初めの当委員会において御説明した通りでございまして、その内容等もすでにお手許にお配りしてありまするが、大体前年対比五%程度上昇、この国民所得は以上申上げましたような経済資料から推算してたのでございます。  それからその次の人口関係でございまするが、これは自然増加等を見込みますと、やはり百十万程度増加に相成るようでございます。そうしまして、この雇用関係見通しでございまするが、この雇用数字労働力調査によりまする数字でございまして、このほかに就業者としましては、個人業種でありますとか、或いは家族就労等、いろいろございまするが、一応給与をもらつて働いておる雇用関係にありますものを考えますと、明年度約三十万の増加を見込んでおりまするが、これは財政投資関係で、公共事業或いは電源開発住宅建設等で約十五、六万程度増加が期待できるかと存じおります。これはおのおの当該予算にあたりまする人件費から推算いたしまして、新規に雇用されるものの増加というふうに見ております。その他の又十四、一五万程度のものは、いろいろ一般土建業でありますとか、或いは国内消費需要活発等もございまするから、或る程度サービス業或いは物品販売業等に吸収されることに相成るのではないかというふうに見ております。なお、そのほかに増加いたしまする人口労働力に廻りまするものは、例年いろいろ統計的に見ておりまするが、個人業種という形のほうの増加は相当例年あるようでございまするので、そのほうに吸収されるということに相成るかと存じております。  最後に消費水準でございます。これは我々が計算いたしておりまするやり方は、家計費と、それから家計費物価指数、つまり消費財物価指数関係から計算しているものでございます。これは農村におきましては、例の農家経済調査におきまする農家家計費支出標準世帯等に換算いたしまして、それに農家購入品物価指数で調製したものでございます。又都市におきましては、消費者実態調査におきまして得られました都市の家庭の家計費標準世帯に直しまして、これに都市消費財物価指数で調製したものでございまして、これに上つておりまするように、昭和二十八年の見通しとしましては、都市におきましては勤労所得増加、それから減税等関係農村におきましては、まあ農産物関係の若干の収入増、殊に特産関係等金銭収入にもなることでありますので、そういうふうな所得の増から来まする家計費支出増加等を勘案いたしまして、前年に比較いたしまして五%弱の増加を見ることに相成るのじやないかというふうに見ております。  大体以上で御説明を終ります。
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 只今説明に対して御質疑ありませんか……。又資料要求の点があれば申出を願いたいと思います。
  5. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この農林水産業生産指数、この上昇率ですが、これは戦後各年ごとにどういう上昇率を示したか、それがおわかりですか。
  6. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) ここにありまする表以外には、ちよつと今手許資料を持つておりませんので……。
  7. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじや、後ほど資料にして……。
  8. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 資料として一つ出して頂きます。
  9. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私がそれを欲しいというのは、今の御説明によると、農林水産業生産指数、本年度上昇率は一・一%という殆んど停屯の状況なつておる、これが過去においても上昇率はそんなに低かつたのかどうか、過去においては相当ノーマルな上昇に来ているにもかかわらず、本年度なつてこういう停屯の傾向を示したのか、それを疑問に思うのは、農林水産物増産対策というのは、戦後相当大規模になされたはずでありますし、それらが経済効果として大体出て、非常に顕著に出て来ていい年度にもう入つて来ていると思うのですが、それにもかかわらず、殆んど停屯的な上昇しか見通されないのはなぜなのか、そういう点が疑問になるので、過去の数字と合せて彼此検討しながら御説明を願いたい。その点は更に鉱工業生産指数についても同じような疑問を持つているので、それも一つお願いしたい。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 私のお尋ねしたいのも農林水産業関係のことですが、先ほど御説明の中に、昨年度はまれに見る麦の豊作であつたが、本年は昨年ほどには期待されないという御説明があつたわけですが、その昨年から本年にかけて作付面積が麦の場合減つたのは、まあ工場ができるとか、或いは道路土地がつぶされるとか或いは演習場の敷地に土地が取られるとか、いろいろな事情があるでしようが、そういうことを別にしても作付面積減つた部分、大部分は他の換金作物か何か作られておると思うのです。だから絶対的な面積減つたから、麦の生産が落ちたということでなしに、その面積の若干の減少ということはあるでしようが、それとは別に他の換金作物というものが作られておると思うのですが、そういうものも農林水産の場合の生産指数の中に含まれておるのか、この辺はどういうふうになつておるのですか。
  11. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 今の羽生さんのお尋ねの問題でございまするが、これは私つぶさには存じませんが、まあ或る程度よその作物との競合関係もあるように聞いております。なお詳細は取調べてお答え申上げたいと思います。  それから今佐多さんのお尋ねがございましたが、鉱工業の問題でございますが、丁度手許にございますので申上げますると、これは歴年で申上げまするから実績でございますが、歴年で申上げますると、昭和二十三年には戦前比、これは基準は同じでございますが、五八・五であつたわけでございます。これが二十四年には約四割近く殖えまして七八・二になつております。これが二十五年におきましては三割弱でございますが、二割七、八分かと思いますが、殖えまして九三・八、同じく二十六年の歴年といたしましては、これが二割五分程度殖えまして一二七・八、二十七歴年度におきましては、これは一部暫定数字もございまするが、一三六・一こういうふうになつております。この鉱工業のほうは終戦後の生産状況が非常に低かつたものでございますから、従つて上昇の率は比較的高かつたのでございますが、それがだんだんに鈍つていると見て差支えないかと思います。
  12. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 二十七年の上昇率は幾らですか。
  13. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 二十六年が一二七・八で、二十七年が一三六・一でございますから、この上昇率は一割に満たないものと御了承願いたいと思います。
  14. 羽生三七

    羽生三七君 輸出の場合、二十六年度実績の十四億万ドル余に対して昨年度が十一億五千七百万ドルとずつと下廻つているわけですが、この場合国際的コスト制約と実際の輸出の丘との関係はどういうふうになつておるのですか。コストからこういうことになつておるのか、或いは量的な制約からか、その点の具体的説明ちよつとお願いいたします。
  15. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは内外両方の理由があると存じております。これは見通しのほうの問題でございますが、外の状況としましては、やはり海外食糧におきまする輸入制限的な措置、これは明白に輸入制限の形をとつておりますのも、これは英連邦が主でございますが、或いはオープンアカウント地域等におきましては、この日本からの、向うから申しますれば借りですが、借越残を減らしたいという気持があるようでございます。もう一つは、ガットにまだ加入してございませんので、関税上加入国に比べて比較的平等な待遇を与えられておらないというふうな事情もあるわけでございますが、これがまあ対外的な現状でございます。対内的には国際物価とのさやというようなことをいろいろ言われておりますが。これは物によることでございまして、繊維関係、殊に綿製品関係等は、これは国際的には十分競争でき得るコストにあるものであると存じております。その他のものにおきましては、これは比較の仕方がいろいろございますが、特定競争国特定マーケットで争う場合におきまして、いろいろこちらが割高な関係で破れておるという状況もこれはございます。又別のマーケットでは案外成功しているというものもございまして、一概には申せませんが、概してこの重化学工業方面は、まあ比較的軽工業に比べまして割高のような現状にあるようでありまして、各コスト乃至価格の関係輸出の伸びない一つの原因と見られるかと存じます。
  16. 羽生三七

    羽生三七君 ちよつと私のお尋ねの仕方が悪かつたのでありますが、六年度実績と七年度見通し、七年度も大体まあ年度末に来たわけですが、これと比較して実際の輸出量が減つておるのは、これは物量が減つたのか、コスト制約から来たのか、それとも輸出量減つたと解釈してよろしいのですか。
  17. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは見通し基礎数字でございます、量的に申上げますると、繊維関係は大体量的には前年度と余り違わないだろうという見通しでございます。それから、これはちよつと註釈を要しますが、繊維関係もいろいろ綿関係、それから絹関係或いは人絹関係等ございますので、まあ大観しまして繊維は前年程度は行き得る、或いは若干ものによりましては伸びるかも知れないという見通しでございます。  それから鉄の関係でございまするが、これはもう御案内のように、鉄は世界的には供給過剰でございますし、昨年見られましたような輸出のいわば好況といつた形は到底見れないので、これは極端に言いますれば、大幅に減るのじやないかという見通しを立てております。あと機械類等でございまするが、これはまあ横辷り乃至若干上向くかも知れないという見通しでございまして、これはなかなかむずかしい問題で、或いは見通しが外れるかも知れませんが、まあ最近いろいろ引合もあるようでございますし、又プラント物契約等も若干あるようでございますから、まあ概して横辷りには少くとも行くだろう。こういう見通しでございます。
  18. 羽生三七

    羽生三七君 もう一度重ねてお尋ねしますが、要するに量的に減つて来ておると解釈してよろしいのですね。全体として量的に減つて来ておるものが前年度数字に現われておると解釈してよろしいのですか。
  19. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは細かに……。
  20. 羽生三七

    羽生三七君 実は量的に減つて来ておる……。
  21. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 全体としては若干減つて参るというふうに存じております。ただ金額が減つておりますほど一割も減ることは勿論ない。こういうことです。
  22. 羽生三七

    羽生三七君 有難うございました。
  23. 永井純一郎

    永井純一郎君 この対外収支のところですが、これを特に受取のところで駐留軍が落すドルが幾ら、特需が幾ら、運賃が幾らという、もう少し細かい数字が欲しい。支払のほうもそうですね。
  24. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 各アイテムでそう細かく詰めてやつてはおりませんが、概要を申上げますると、貿易外の受取りといたしまして、駐留軍関係から生じて参りまするものが七億二、三千万ドル見当、こういうふうに見ております。あとのアイテムは一々運賃、保険というふうに細かくは詰めておりませんので、まあ概数でトータルしまして昨年の関係比較して見ておりまするので、ちよつと御要望のほど細かく詰めておりません。
  25. 永井純一郎

    永井純一郎君 昨年は幾らですか。駐留軍が落したやつは……。二十六年度は……。
  26. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 永井君どうです。資料として要求なさつたらどうですか。
  27. 永井純一郎

    永井純一郎君 あとでもいいです。
  28. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) ありますから……。二十六年の実績を申上げますると、外貨の受取のほうは、輸出関係が十四億五百万ドル貿易外の収入が十億三百万ドルございますが、そのうち駐留軍関係が、これは当時は占領軍関係と申すのが正当かも知れませんが、六億七千八百万ドル、これはその後いろいろやり方も変つて参つておりますから、現に昨年あたりはたしか八億ドル近いものじやなかつたかと一応頭に残つております。それから運輸、保険関係が二千三百万ドル、その他三億二百万ドル。それから支出のほうは、輸入関係が十六億五千九百万ドル貿易外支払が一億八千五百万ドル、そのうち運輸、保険の関係が四千万ドルで、そのほかが一億四千五百万ドル
  29. 永井純一郎

    永井純一郎君 二十八年度見通しなんだが、駐留軍ドルが七億二千万ドルくらいね、特需は幾らになりますか。
  30. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) いわゆる特需というお話のものはこの中に入つております。
  31. 永井純一郎

    永井純一郎君 この中に入つているのですか。
  32. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) ええ。
  33. 永井純一郎

    永井純一郎君 全部で七億二千万ドル……。
  34. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) ええ。
  35. 永井純一郎

    永井純一郎君 内訳はわからんですか、駐留軍がただ落すやつは幾らという。
  36. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは推計の過程を申上げればいろいろありまして、例えばいわゆるお話にありました特需に当りますものが、まあ三億五千万ドル前後じやないかというふうな、それから個人的な消費が、これがまあ一億二、三千万ドル見当か、こういうふうには見ております。
  37. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 さつきの質問をもう少し続けますが、鉱工業生産指数は、御説明によると上昇率が二十六年度までは四〇%とか、三〇%とか、或いは二五%とか行つたのが、二十七年になると暦年で一〇%、この表の会計年度で言うと五・八%というふうに非常に上昇率が落ちて来て、そしてその落ちた上昇率のままで二十八年度も推移して行くというお見通しですが、そうすると、政府のほうでは一体こういう鉱工業生産に対する増産政策というようなものは、現在としてはもはや必要はないのだ、生産財としても、或いは消費財としても、今の購買力その他から見れば、すでにもう過剰気味なくらいなんで、これ以上生産的に伸ばす必要はないのだ、それで自然の推移としてこの程度上昇するであろうというようなお気持なのか、もつと伸ばさなければならんのだけれども、いろいろな制約上それがうまく行かないのだというお心組なのか、その辺の政策目標、心組みと言いますか、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  38. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは私から政府ということで出まして答弁するのは如何かと存じますが、現在の状況では、大多数のものにおきましては、国内と国外の需要関係からして、特に大きな増産政策乃至増産目標を立てて、これに力を注いで参るというほどのことは或いは必要はないじやないかと、こういうふうに見ております。ただこれはまあ情勢の推移によりますので、海外の輸出関係等が相当伸びて参るというふうなことがございますれば、これはそういうふうにせにやいかんかと思いますが、他方電力或いは石炭といつた形のエネルギーの供給の大体のあれもございまするので、一律に大きな増産ということはとてもむずかしいかと存じております。
  39. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、輸出を、例えば十二億三千万という障害打開の上に立たれる輸出量程度のものでも、鉱工業生産指数は一四六程度で十分であるというようなお考えですか。
  40. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 輸出の十二億ドルベース現在価格を基準といたして、十二億ドルベースということに相成りまするというと、これらは繊維関係を初めといたしまして、機械、金属或いは化学、雑貨といつた形の生産を相当伸ばすということに相成るかと思いますが、他方国内滞貨も御案内のように相当あるように存じますので、その輸出量増加生産上昇ということまでに見なくてもいいじやないかというふうに見ております。その結果として別段国内需要のほうを圧縮するということはないかと存じております。
  41. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) いいですか。
  42. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の問題にもう少し関連をするのですが、この産業設備資金等々を考えますと、まあ今年の増加は相当減つておりますけれども、これまでに相当殖えておると思うのですが、そういう設備が殖えたことに関連して、それに相応するような生産をやらすとすれば、もう少しこの一四六以上になるんだが、設備はあるにかかわらず、相当操短その他で抑えなければならないという状況なのか、それは余り意識的に抑えないで、一四六というようなことをお考えになつているのか、その辺はどうなんでしようか。
  43. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これはまあ政策当局、各省のやり方もあるかと存じておりますが、審議庁といたしましては、大体内外の需要がこういうふうな調子だというふうに判断いたしておりまして、その結果御指摘のように、或いはこの設備の稼動率等が若干下るものが出て来るかと存じております。その辺の生産調整をどういう形でやりまするか、これはまあ審議庁当局のほうからお答えするのはちようとあれかと思いまするから差控えたいと思います。
  44. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、政策の問題としては別に聞くとして、今の設備ならば、そうコントロールすることなしに、やはり一四六程度生産になるという計算で出て来ておるのか、実情の問題としてですね。一四六くらいに見通しを立てるためには今の設備、過去に、この数年間に設備増加をやつたのは、すでに相当オーバーしている。従つて新らしい性能の高いものはもつと殖やすにしても、古いものは少し整理しなければならんという状況なのか、実情はどうですか。
  45. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは個々の産業で非常に事情が違うのじやないかと存じております。それでまあこれは一例を挙げて恐縮でございまするが、例えばまあ鉄のほうの薄板の新らしい圧延装置等にございましては、これはむしろ過去の古い形の、プルオーバーと言つておりますが、手先本位の設備はこれは取替えるのが本当じやないかと思います。又業種によりましては、そういうふうに非能率だというふうな判定も比較的むずかしいものもございましようし、又そういうふうな形で積極的に設備の、まあ何と言いますか、スクラツプ化というようなことまでしなくても行けるものもあるかと存じております。
  46. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 通産省のかたは見えておりますか。
  47. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 通産省はもつと後です。
  48. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それではそつちの場合に更に今の問題をもう少し具体的にお尋ねしたいと思います。
  49. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御質疑がなければこれから農林省関係に入ります。
  50. 永井純一郎

    永井純一郎君 ちよつともう一つ。今の佐多君の質問の点は、私も関連していろいろあるわけですが、その基礎資料になるものだけを質問したいと思うのですが、鉱工業生産指数一四六と、それから輸出が十二億ドル、大体ベースを目標にしておるということになつて、その辻棲を合せるような数字として、物価は大体余り変らないというような見通しのようですが、そこで大きくなつて行つた生産量は、国内需要で相当それは捌けて行くんだという説明のようでしたが、その国内需要の主なるものは大体保安隊とか、その他の財政資金から出るもののような話でしたが、この国内需要のもう少し分析をしたものを説明をして頂くことが一つと、それから貿易関係と関連するんですが、国際物価見通しをもう少し……、やはり国際物価見通しがなければ、この生産指数も、それから輸出の十二億ドルというベースも、生産の物量は殖えて行くわけですが、これと関連してはつきり見通しが私は立たないはずだと思いますから……。国際物価見通しをやはり立てておつて初めてこの計算が出たと思う。その点と、二つをもう少し説明して頂きたい。
  51. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 初めの御質問になりましたこの国内需要の問題でございまするが、これは私最初財政投資増加と申上げましたのは、まあ保安隊とか何かというふうなものではございませんで、端的に申しますれば、公共事業関係、それから電源開発費の増加或いはこの予算に計上されておりまするが、公営住宅の建設の増加等等でございまして、保安隊のほうなんかはこの数字に入つておりません。そこで、そういうふうな財政投資の面から需要が伸びまするものは、先ほど申上げましたような生産材の殖えますること、セメントでありまするとか、木材でありまするとか、或いはまあ電線とか、或いは鉄線とかいつた形のものだろうと思います。他方なお御説明を省略いたしましたが、前回国民所得の御説明をいたしましたときに、明年度勤労所得が六%程度殖えるだろうというふうに御説明いたしましたが、この勤労所得増加、それからその次に、個人業種所得が三%強殖えるわけでございまするが、この辺からいたしまして、国内消費に廻りまするものが或る程度出て来るかと存じております。これはなかなかむずかしい試算で、十分練つておりませんが、なおこの個人所得に廻りまするものが、そういうふうな分配所得の面から出ましたもので、これに中央、地方の政府からいたしまするいろいろな追加所得、それからこれから税金を引きましての可処分所得は前年に比べて大分殖えてるようでございます。まあ一割も殖えるとは思いませんが、大分殖えるだろうと思います。それが消費と蓄積にどう廻るかというような一つ経済循環でありまするが、在来の傾向を見ておりますると、増加いたしました所得が可処分所得でございまするが、やはり傾向としましては三割弱のものが蓄積に廻りまして、残りの七割強のものが消費に廻るというふうなことが消費統計等から分析してできております。そういたしますと、そういうふうな消費資金の増加がどういうふうなものに買い向うかというような問題がございまするが、これ又いろいろ家計調査等に当つてみますると、増加いたしました所得が一番先に食いつきますのは、昨年あたりではやはり衣料でございます。その次が株関係、或いは修養文化費といつたようなものでございますので、やはりそういう株、繊維等の関係からいたしまして、国内需要を相当支えて現在の増加いたしておりまする在庫に買い向うだろうと、こういうふうに見ております。これは別途税務統計から見ましても、相当物品税の増加傾向が顕著でありまして、いろいろラジオ、写真機、或いは何々というふうな売上が非常に殖えておるようでありますので、その点とも一応照応いたしまして、やはり国内需要一般のいわゆる民需の増加というものも相当あるかと存じております。  それからお尋ねの第二点の国際物価の点でございまするが、これはなかなか我々も専門的知識も持ちませんし、又情報も貧弱でございまして、十分なる検討は加えておりませんが、まあこの見通しといたしましては、余り変化なしと、つまり逆に言いますと、急激なる上昇も下降もないのではないだろうかというふうな、いわば極めて安易な前提かも知れませんが、実はほかに的確に立てようがございませんから、実はその辺で輸出量等も考えております。
  52. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この間御説明のあつた国民所得の問題ですが、この国民所得の分配構成比と言いますか、それが最近どういうふうに変化して来つつあるか、或いは終戦直後の頃と最近との構成比がどう変化して来たか、或いはもう少し遡つて、戦前の国民所得の構成と戦後の構成とがどういうふうに変つて来たかという点を、比率を挙げながら少し御説明願いたいと思います。
  53. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) この前御説明いたしました二十八年の見通しと二十六年の実績との対比を申上げますると勤労所得は、構成比は、つまり全体を一〇〇といたしました比率は、二十六年が四四、二十八年が四五でございます。戦前は四〇、つまりこれは九年乃至十一年の平均でございます。この戦前の国民所得の推計とは若干御承知のように方法等も変つておるかと思いますから、そのままのあれで若干調べてはおりますが、まあ一応傾向といたしましては、勤労所得の比率は殖えて参つておると、こういうふうに御了承願いたいと思います。それから個人業種所得でございますが、これは二十六年の実績では四三、二十八年の見通しでは同じく四三、戦前は三二でございます。それから個人の賃貸料、利子所得等の関係でございますが、これは戦前は御案内のようにいろいろ賃貸料収入というものがございましたが、それが戦後はうんと情勢が変つております。この構成比が戦前は一七でございます。これが二十六年の実績は僅か二でございます。これはまあ端数はちよつと付きますが、二でございます。これは二十八年は見通しとしましては三、これは二十八年の見通しが殖えますのは、御説明いたしましたように、地代家賃等の引上或いは金融機関の資力の増加によりまする利子の増加等でございます。それから法人所得でございますが、これは戦前は七でございます。これが二十六年におきましては一〇、それから二十八年の見通しとしましては、七をちよつと上廻つております。これも二十六年度は、御承知のように法人所得は朝鮮動乱の関係比較的殖えた年でありますから、そういうふうになつております。
  54. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 佐多君に申上げますが、この経済審議庁に関することは根本ですから、勿論総括質問とか、或いは一般質問に対する一つ資料に御詮議なさることと思いますが、大体予備審査の期間が非常に少いから、でき得る限り事務的に、各省に財政の状況予算状況を聞きたいというのが本旨ですから、余り徴に亘り細に亘るということはこの際一つ……。
  55. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 事務にやつておるじやないですか。
  56. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それはよくわかりますが……。
  57. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 日にちがないといつたつて、そんなにしよつぱなから、この程度のことを日にちがないといつて発言を制限されては困りますね。
  58. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 発言を停止するのではありませんが、そういう気持で御発言を願いたいと、こういうことなんです。
  59. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今のを資料にしてお配り願いたいと思います。  消費水準の問題がさつき出ましたが、これについては何か配付して頂いた資料経済月報の附録に、戦前基準消費物価指数並びに実質家計費指数の改訂についてという簡単な説明がしてあるのですが、この問題は、生産水準というか、消費水準を戦後のものをどういうふうに見るかということで非常に重要な問題だと思いますので、むしろこの数字の改訂その他の作業をやつた原局としての統計局長か何かを他の機会にでも呼んで、一応説明を聞くようにお取計らいを願いたい。
  60. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 承知しました。
  61. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 経済審議庁のほうでお立てになつている五ケ年の経済見通し、それについての説明はもう聞いたのですか。私ちよつとあれしていたので……。若し説明をまだ聞いていなければ資料を整えて御説明を願いたいと思います。
  62. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 三十二年度見通し計画というものは、一応事務的に昨年の秋でございますか作りまして、その後二十七年の実績についてと申しますか、基本になつておる数字が大分明瞭になつて参りまして、その基が狂いますと自然将来の伸ばす計数等も変つて参りますので、目下いろいろ検討中でございます。前の案も審議庁全体で決定したといつたような性質のものじやなくて、計画部として一応試案を作つたという程度でございますので、若しそういう程度のものでもよろしいということでございますれば御説明申上げて結構だと思います。
  63. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その程度のものでも結構です。一応資料を明示して下さい。
  64. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 資料は今ないんでしよう。
  65. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 一部しかないんです。
  66. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 資料をもらつてから聞くことにいたしましよう。  御質疑がなければ、農林省関係に入りたいと思います。増田会計課長。
  67. 増田盛

    政府委員(増田盛君) 昭和二十八年度、農林関係予算について、その大要を御説明申上げます。  終戦直後、戦前の七割以下に減じた農林生産は、最近に至りすでに戦前の水準に回復しておりますが、戦後の人口増加と、国土の縮小とによりまして、依然として食糧は不足であり、年間三百数十万トンの輸入を行わなければならない状態でありまして、このために貴重な外貨が食糧輸入のために費やされ、経済の自立が未だ十分に達成されていないことを明らかに物語つております。  従いまして当面の経済施策の基本方向としましては、食糧の国内自給度を急速に高め、これによりまして節約のできます外貨を経済再建に欠くことのできない基礎物資の輸入に振り向けまして、日本経済自立の基盤を培うと共に、国民生活の安定向上を図ることにあるのでありまして、日本の農業及び農民も、この基本的な方向に副いつつ、我が国経済再建のため、今後ともその責任と負担を負わねばならないと考えるのであります。このときに経済自立の基盤として農業生産力を急速に高めて、食糧の総合的な自給強化の促進と農業経済の安定向上を図ることを以て今後の農政の基調といたしまして、主要食糧の増産、農産物価格の調整、畜産の振興、養蚕の合理化、農業団体等の強化、森林資源の維持培養、海洋漁業の振興、農林漁業資金の拡充等を当面の目標とし、施策の重点を置いて参る所存であります。  以上申述べました基本方針に基きまして、二十八年度の農林省所管予算を編成いたしましたが、これを前年度予算比較して申上げますと、総額におきまして、二十七年度千三百五十九億七千九百万円に対し、二十八年度は千二百二十億一千九百万円でありますから、差引き百三十九億六千万円の減となるのであります。これは所管といたしましての農林省の予算でございますが、併し農林関係予算といたしましては、御承知のごとく北海道における公共事業費これが北海道開発庁にありますし、更に今回新たに設立される農林漁業金融公庫への政府出資百億円というものが大蔵省に計上されておりますので、これらの経費を加えますと、農林関係予算といたしましては、二十八年度は千三百八十四億三千五百万円となり、二十七年度の千四百七億八千七百万円に比べますと、三十三億五千二百万円の減となるのであります。こういう減になつております原因を考えますと、後に述べますところの食糧管理特別会計輸入食糧価格調整補給金が、二十七年度三百八十億円に対し、二十八年度は三百二十億円になりまして、これで六十億円の減、それから二十七年度に計上されておりました歳入不足補慎金百億が二十八年度は全然計上されておりません。こういう点を考え合わせますと、二十八年度の農林関係予算といたしましては、実質的にはおおむね百二十億円の増となつているのであります。  次に目的別に重要なものから順次御説明いたします。先ず一般会計から御説明申上げます。最初に食糧増産関係の経費でございます。  この経費中には、第一に農地の拡張及び改良、第二に耕種改善の経費がございます。先ず農地の拡張及び改良の経費でございますが、これは総額におきまして二百八十三億三千八百万円でありまして、三十七年度の二百二十二二億七百万円に比しまして、六十一億三千百万円の増加なつております。このうち土地改良事業といたしましては、国営灌漑排水事業五十七億九千三百万金、前年度四十二億五千六百万円でございます。土地改良事業補助九十二億三千九百万円、前年度七十三億七千百万円、こういうものを含み百六十三億二百万円計上いたしております。なお開拓事業としましては、百十四億二千万円、前年度九十億五千四百万円を計上いたしておりますが、このうちには開拓建設事業五十一億五千二百万円、干拓事業二十九億四千万円、開拓事業補助三十億八千六百万円、こういうものが計上されております。これに伴う新規入植は八千戸を予定いたしております。なおこのほかに、耕地を含む農業災害復旧の経費といたしまして百三十六億八千六百万円を計上いたしました。  次に、食糧増産関係の経費の第二として耕種改善の経費でございますが、予算事項としましては、主要農作物種子対策費、低位生産地改良事業費、耕土培養、対策費、特殊土じよう対策費、北海道農業振興費、西南暖地等水田生産力増強費、病害虫発生予察事業費及び植物防疫費として要求いたしております。  この経費につきまして簡単に御説明申上げます。  先ず第一の主要農作物種子対策費でございますが、この経費は、米麦、大豆等の原々種圃、原種圃、圃採種の設置補助、緑地作物の原、採種圃の設置補助、寒冷地帯の健苗育成のための保温折衷前代設置に対する補助、災害対策用の種馬鈴薯の予備貯蔵等の目的に供するものでありまして、八億四千三百万円を要求いたしております。  次に低位生産地改良事業につき御説明申上げます。  これは次に述べる耕土培養対策費及び特殊土壌対策費の事業内容となつている酸性土壌、秋落水田及びアカホや地帯についての事業実施の前提としての対策調査の経費でありまして五千四百万円を計上いたしております。  次に耕土培養対策費及び特殊土壌対策費につき御説明いたします。これは酸性土壌、秋落水田及びアカホや地帯に対して、炭酸カルシユーム、含鉄物資等を施用することによりまして、これら低位生産地の土壌を改良し、食糧増産の一助としようとするものでありまして、このための経費として、耕土培養対策費として一億八千三百万円特殊土壌対策費として三千八百万円を計上いたしております。  次は北海道農業振興費でございますが、これは、北海道における心土耕、混層耕用の機械整備のための経費でありまして、一億八百万円を要求いたしております。  次に西南暖地等水田生産力増強費について御説明申上げます。これは新規事項でありまして、最近の農業技術の進歩によりまして、暖地における水稲の早植栽培が可能となりましたので、群馬県以西南の、暖地帯において常習的風水害地帯の三千町歩の水田に新しく科学技術を裏付けされた特殊早植栽培を実施するとともに、これと並行して水田の二期作三毛作を可能ならしめるための試験を行うこととし、新作付体系における栽培法及び品種選抜に関する試験を行う経費として新規に三千七百万円を計上いたしております。  次に植物防疫関係の経費につき御説明申上げます。この経費は、特に食糧増産対策費の中でも毎年厖大な数量に上りますところの食糧の減産を防止しようとするものでありしまて、一つは病害虫の発生予察事業の経費、今一つは米麦の種子消毒、米麦の病害虫防除のための農薬購入補助、病害虫の異常発生に備える農薬の購入等を目的として十三億八千八百万円を要求いたしております。  第二に、農業経営の改善のための経費について御説明いたします。この経費は、農家に家畜を導入させることを目的として融資の便を図り、これに利子補給を行うためのものでありまして、昭和二十七年度から三カ年計画を以て実施することといたしていたのでありますが、二十八年度は、これを畜産振興十カ年計画に切り替え、特に乳牛の導入に重点を置いて、二十七年度に引続き有畜農家のための利子補給を行うこととし、二十八年度導入家畜についての利補給子と二十七年度導入家畜についての利子補給と合せて一億九千四百万円の経費を要求いたしております。なお、有畜営農確立のためには右の導入資金の確保と合せて飼料を確保することが最も緊要でありまして、牧野の造成改良には特に力を注ぎ、二十八年度にはこのための経費として一億一千八百万円前年度より相当殖えております。更に飼料の優良品種の普及を図るため、飼料の原採種圃を設けることとし、飼料作物種子対策費千八百万円、なお自給飼料増産費千九百万円を要求しております。  このほかに変つた施設といたしまして、酪農振興のための新規事業として集約酪農地区の設定に必要な経費八千八百万円を要求いたしておりますが、これは濠洲、ニユージーランド及び米国からジヤージー種の乳牛を導入し、集中的な酪農地帯を建設して行く。こういうことで、二十八年度は全国で二ケ所を選びまして、これに三百頭ずつ、計六百頭の乳牛を国有で貸付して行く、こういう施策をとるわけでございます。これは明年以降も引続きこの事業を実施して行く所存であります。  農業経営改善のための第二の経費として養蚕振興対策があります。これは前年度に引続き優良桑苗を確保し、老桑園を改植するとともに、稚蚕共同飼育を奨励し、更に蚕桑病害虫の防除、こういつた一連の養蚕振興対策費として一億七千百万円を要求いたしております。  第三に農業団体の再編成のための経費につき御説明申上げます。農業団体の再編成につきましては、次のような根本方針が確立されました。即ち第一点は、農業技術の生産指導については、現行の農業改良普及制度を整備強化するとともに、市町村農業委員会の職員として技術員を設置し、改良普及員の普及事業に協力せしめることであります。第二点は農業と農民の一般的利益代表機能を行わしめるために中央並びにおきまして新しい構想を持ちました農業委員会議所を創設することであります。第三番目は、農業協同組合の事業の刷新強化を図るため、全国及び都道府県に、農業協同組合の総合指導組織として農業協合組合中央会を創設すること、この三つの根本方針に基きまして農業委員会の経費といたしましては、全国農業委員会費六百万円、市町村農業委員会技術研修会費千二百万円を含めまして三十億一千万円、更に、農業協同組合の経費といたしまし  ては、農業協同組合中央会への補助金八千万円を含めまして、一億七千二百  万円を要求いたし、更に、再建整備事業に必要な経費として六億七千八百万円を要求いたしております。  第四に、農業改良普及のための経費でございます。この経費に関しましては、特に変つた点はないのでございまして、従来継続的な施設を更に要所要所を強化いたしておりますが、ただ特に申上げたいと思いますことは、都道府県農業試験場の拡充強化のために農業改良研究員の設置及び試験用機購入補助関係の経費といたしまして、新規に若干を、蚕糸技術の改良普及のための経費として蚕業技術指導所設置及び蚕糸技術員の設置等の補助関係費として若干の予算額の増加を要求いたしております。  第五に農産物の価格調整について御説明いたします。政府は従来からこの面に思いをいたして二、三の施策を講じて参つたのでありますが、二十八年度におきましても甜菜生産振興臨時措置法成立の経緯にも鑑みまして甜菜糖三万六千屯の政府買上げを行いますとともに、統制撤廃後軟調を続けております甘藷、馬鈴薯の価格安定を図り生産農家の経営安定を意図しまして甘藷、馬鈴薯、でん粉千百万貫の買上げを行うことといたしました。  なお農生物ではございませんが、飼料の価格安定につきここで附言いたします。先に飼料需給安定法の成立をみましたので、二十八年度におきましては輸入の「ふすま」、マニトバ五号、「とうもろこし」等を買入れまして、飼料価格の安定を図つて参る所存でございます。なおその他の農産物に関しましても、現在食糧管理特別会計におきまして実施いたしたいと思いまして種々検討中でございます。  第六といたしまして、農業災害補償のための経費につきまして御説明申上げます。農業共済再保険特別会計におきまして、農家の共済保険につきまして政府が再保険を実施する、そしてこの際保険料の一部を国庫負担をする、こういう制度をとつて参つたのでございますが、二十八年度におきましても、この経費といたしまして百八億五千八百万円を計上いたしております。このうち特に変りました点は、この特別会計へ国庫負担分として繰入れております水稲、陸稲、麦、蚕繭の中で、水稲と麦に関しましては、従来の被害に鑑みまして料率改訂をしたのでありますが、この場合併せまして農家負担の軽減の措置をとりまして、新たにこの共済掛金の負担区分に関しまして、新らしい構想を以ちましてこの負担区分を決定いたしておる次第であります。なお更にこういう点に併せまして、家畜保険に関しましても保険料の国庫負担をいたしておりまして、これを全部合せますと、国庫負担分が八十三億千六百万円計上いたしておるのであります。なお御承知の通り、本事業に伴います都道府県或いは共済組合の事務費の補助金といたしまして相当額の経費を計上いたしておる次第であります。更に問題となつておりました家畜共済に関します死亡廃用と疾病傷害の一元化の問題でございますが、二十八年度におきましては、これを直ちに実施いたしますことを見合せまして、先ず試験的にやつて見る、この実験の経費といたしまして、一般会計に一千三百万円、特別会計に五千三百万円を計上いたしております。  第七に、農林漁業金融円滑化のための経費につきお話申上げます。先ずこの目的の下に農林漁業資金融通特別会計、開拓者資金融通特別会計、中小漁業融資保証保険特別会計、これがありまして、それぞれ目的を達成いたしておつたのでありますが、先ず二十八年度におきましては、先ほど申上げました通り、農林漁業資金融通特別会計を廃止することにいたしまして、新たに農林漁業金融公庫を設立いたすこととなつたのであります。従来の特別会計の資金を全部公庫に引継ぐことに相成つております。この公庫の新規貸出財源といたしましては、一般会計から百億円の出資、資金運用部から百三十億円の借入を行い、更に償還金十億円を加えまして二百四十億円を以ちまして運用を図つて行く。又開拓者資金融通特別会計でございますが、これは二十八年度は入植予定者が八千戸、更に役畜導入八千頭を目標として計画いたしております。  中小漁業融資保証保険特別会計でございますが、これは二十七年度の補正予算におきまして成立いたしたものでございまして、補正予算におきます五億円の繰入れによりまして引続き事業を運営いたして参ることになつております。  なお、以上のほかに農地担保金融と申しておるものがあるのでありまして、御存じの通り自作農創設維持特別会計におきます余裕金を運用いたしましてやつて参つておるのでありますが、二十八年度におきましても引続きまして、おおむね八億五千万円の余裕金を以ちまして、これが運営に当りたいと考えておる次第でございます。  第八の林産振興のための経費につきまして御説明いたします。先ず第一に、山林事業費であります。これは公共事業費というふうに呼ばれておるのでありますが、前年度に引続きまして、治山事業、林道事業、造林事業等にそれぞれ五十一億、二十二億、三十三億を計上いたしております。このほかに災害復旧費といたしまして八億計上いたしております。第二に、民有林森林計画の樹立に必要な経費でございますが、これは二十七年度に引続きまして五億四百万円を計上いたしております。特に変つております点は、森林計画樹立実行のための末端におきます活動の十全を期するために、従来ありました経営指導員の活動費の増額に合せまして、新たに一億二千九百万円というものを森林組合等に補助いたしまして、森林計画の樹立実行に協力させるというふうに考えておる次第でございます。なお林業振興のためには、森林病害虫駆除、保安林の整備、林業改良普及、優良種苗普及ということを引続きまして予算に計上いたしておる次第でございます。  第九に、水産振興対策の経費でございます。特にこの経費は講和条約締結後におきまして、従来の漁区制限が撤廃せられ、新らしい漁場の開拓なり開発、これが考え得られますので、こういう情勢に対応いたしまして、引続き従来の過剰漁船の整理或いは水産資源の増殖、技術改良、水産金融、漁業協同組合の育成、こういう施策の強化を図りますと共に、新漁場の開発、海外諸海域におきます漁撈の保護及び国際条約の遵守ための漁撈取締等の対策を講ずる所存でございます。  先ず第一に、減船整理関係であります。このための経費は二億五千万円、小型機船底曳網漁業の減船整理に引続きまして、二十八年度におきましては、新たに中型機船底曳網の減船整理をいたすことにいたしております。  次に、水産資源の増殖でありますが、二十七年度に引続きまして所要の経費を計上いたしております。第三に、新漁場の開発及び海洋の漁場取締関係の経費でございますが、北洋漁業につきましては、二十八年度におきましても北洋の鮭鱒漁業に出漁いたすことになつておりますので、この新漁場の開発調査のために調査船を派遣いたすことといたしまして五千九百万円、更に新たに出漁する「かに」漁と併せまして、保護取締を行うために官船一隻の建造をいたすことになりまして、三隻の用船料と合せますと、四億五千百万円、官船の建造費は四億円でございますが、一千トンの船を計画いたしております。このほかに小型漁船の取締の経費或いは沖合漁業の取締の経費につきましては、従来に引続きまして所要の経費を計上いたしております。水産技術の改良普及の関係でございますが、これは新らしい事業といたしまして、都道府県に養殖技術或いは新らしい漁撈技術等の指導の職員を設置いたすことといたしまして、これによりまして、初めて水産関係におきましても、零細漁業を対象にいたしまして、改良普及の技術の体制ができ上つたわけでございます。  以上のほかに、水産振興の経費といたしましては、目ぼしいものといたしまして、対馬暖流海域の開発のための調査の費用があるのでございます。こういう経費を中心といたしまして、水産関係の研究管理の費用が四千四百万円、更に水産業協同組合関係の経費がそれぞれ所要額を計上いたしておる次第であります。  最後に漁港施設でございますが、これは従来とも公共事業費と呼ばれておるものでございまして、二十八年度におきましては、漁港の整備に二十三億、災害復旧に十三億を計上いたしております。なおこのほかに、北海道魚田開発のための経費といたしまして四千百万円を計上いたしておりますが、二十八年度からは、これは公共事業費から落しまして、一般の経費のほうに繰入れることになつております。  最後に、特殊立法地帯の対策のための経費でございますが、これに対しましては、或いは積雪寒冷単作地帯、或いは急傾斜地帯、特殊土壌地帯、それから湿田単作地帯、こういう特殊地帯の農業振興のための経費をそれぞれ計上いたしておりますが、特に目ぼしいものといたしまして、農業振興計画に取上げられた総合事業推進のための雪寒地帯対策といたしまして、総合助成施設といたしまして一億四百万円を計上いたしておる点でございます。なお、細かい経費に関しましては省略いたしますが、こういう特殊地帯に関しましては、食糧増産対策経費の農地の拡張、改良の経費がそれぞれの地帯の特性に応じまして、相当の経費を計上いたしておる次第でございます。  以上を以ちまして、一般会計を終りまして、次に、特別会計に関しまして簡単に申上げます。  先ず食糧管理特別会計でございますが、二十八年度におきましては、米は二十七年度に引続きまして統制を継続して参ります。麦につきましては、前年度同様配給統制は行わないが、生産者の要望によりまして無制限の買付けをやつて参る。第三点といたしましては、前年度に引続きまして、澱粉、甜菜糖の買入を行うほか、新たに飼料の買入、売渡を行うことになつております。更に食糧の買入数量は国内産米二千八百二十五万石、麦三百七十三万石、外国食糧は三百三十五万四千トンを予定いたしておりまして、国内食糧買入は米麦共前年度同様でございます。  次に消費者価格でありますが、米につきましては現行通り十キロ当り六百八十円、早場米の奨励金は八十一億一千九百万円、輸入食糧の価格補給金は三百二十億円でございます。以上の方針に基きまして、歳入歳出共六千百九十九億六千三百万円を計上いたしております。  第二に、農業共済再保険特別会計につきまして申述べます。先ず農業勘定でありますが、これは先ほど一端を申上げました通り、水稲の共済金額を若干増額し、なお水稲及び麦の保険料率を高めた。但も水稲及び麦の最低通常被害部分につきましては、新たに三分の一を国庫負担するということによりまして、一般会計から保険料国庫負担分といたしまして、七十五億七千九百万円を受入れております。更に家畜勘定におきましては、二十六億八千百万円でございまして、これは家畜の最低共済金額を引上げる、それから加入頭数も増加いたしまして、保険料の国庫負担分といたしましては、六億を一般会計から繰入れております。  なお第三に、森林火災保険の特別会計でございますが、特に申上げることもないので省略いたします。  第四に、漁船再保険特別会計につきまして申上げます。先ず普通保険勘定でありますが、この点に関しまして、二十八年度から新らしい制度として出て参りましたのが、満期保険というものを新らしく作りまして、この普通保険勘定の中で漁船建造の円滑化を図るため新らしい保険を作りました次第でございます。この満期保険を作りましたのに伴いまして、保険加入の新造船舶につきましては、加入奨励金を支払うことにいたしまして、一千万円を計上いたしております。なお特殊保険に関しましては、二十八年度におきましては、二十七年度分の赤字補填といたしまして五千万円を一般会計から繰入れることにいたしております。  第五に、自作農特別会計に関しましては、先ほど触れましたので省略いたします。開拓者資金特別会計に関しましても同様でございます。  第七に、国有林野の特別会計に関して申上げますが、この会計に関しましては、特にお話し申上げておきたいと思いますのは、二十八年度におきまして、新たに国の一般会計財源といたしまして、官有林の特別会計から一般会計のほうに繰入れを行つたのでありますが、この金額が二十二億円でございます。なお、更に特別会計に関しましては、国営競馬、糸価安定、中小漁業融資保証等の保険があるのでございますが、これに関しましては、前年度と特に大差がないし、先ほどの説明に関連しましてお話し申上げておりますので、全部省略いたすことといたします。御了承をお願いいたしたいと思います。  以上を以ちまして、二十八年度の農林関係予算概要でございますが、御説明を終ることにします。
  68. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちよつと審議の仕方に  ついて委員長お尋ねいたしますが、我々が理事から報告を受けたのでは、審議は先ず例えば農林関係なり、通産関係なりのその年における重点的な施策そのものについて、従つて予算そのものでなくて、予算の背景をなす重点的な施策そのものについて一応詳しい事務当局の御説明を伺うと、先ず予備審査のときにはそれを主にしてやつてそして各会計課長から御説明になるような予算そのものの網羅的な説明なり、それの審議は分科会でやるというような段取になつているんじやないかと思うのです。従いまして今御報告なつたようなことは分科会に入つたときにお願いをすべき性質のもので、今はもう少しその予算の背景をなしておるところの施策そのものについて特に重点的な二十八年度の農林関係の施策が何であるかと、それについて特別にこの原局の局長なり、何なりにもう少し詳しい御説明を願うというふうにお取扱いになると聞いていたんですが、その辺のことはどういうふうにお考えになつているのか。
  69. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) お答えします。今佐多君のお話の通りに、やはりこの分科会で大体そのすべての省庁の予算を細密にやると、併しながらこの本審査に入るまでに各省庁の大体の予算概要を一応各委員諸公が頭に入れる必要があるというので、勿論今あなたのお話の各省の二十八年度における新らしい施策ということについても当然触れてもらわなければなりませんけれども、又従来の関連のある予算も一応説明を願いたいと、こういうようにこの間の理事会ではきまつたんですが、従つてそれに関連して当然そのいろいろの参考資料の必要起れば、それによつて各省庁に参考資料をお願いする、但し私のほうで専門員をして先ず各省庁でこういつたようなものが必要じやないかというので、皆様にはお諮らいをせずに、一応の参考資料を、今お手許にありますようなものを  一応要求はいたしております。これ以外に委員諸君の中で、この予算説明の過程において必要なものがあらばどしどしお申出を願いたい、こういうふうに考えておるのです。
  70. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、大体審議をやつて行く過程において、先ず各予算そのものについて会計課長から一通りずつと予備審査のときには御説明を願つて、その上で更に重点施策について特別なものだけピツク・アツプしてもう一遍御説明を願つて、そうして分科会のときには更にもう一遍会計課長なりの御説明を聞くというようなことになるのですか。
  71. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) そういうことにしたいと思うのですが、如何ですか。
  72. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 何か会計課長の説明というのが分科会のときとダブつちやうような感じがするのです。
  73. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) そこでたまたま今日農林省のほうでは、衆議院のほうの分科会のほうに関係の局長なり或いは又次官が行つておつて見えられんので、次官なり或いは局長が見えれば、今あなたのお話の通りに割合に重点的な局々における施策が説明できると思いますけれども、会計課長の職務上、先ず予算をざらつとというような形になつて、あなたの今お話のような疑問が生じて来ると思いますが、今後明日からやはり関係各省庁の局長なり或いは次官、政府委員に来もらつてて、そういつたものと並行的に審議を進めて行きたいと、こう思つております。
  74. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 特に希望いたしますが、参その場合に、特に農林省なら農林省、通産省なら通産省、本年度のどの政策を重点的に説明さすかというようなことも一応理事会で御検討になつて、見当を付けて、又特にこれこれにはこの問題をやらすというようなふうにお運びを願いたいと思うのです。
  75. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) お答えいしますが、そういうふうに各省の重点的な二十八年度の施策はどれだ、これだということを理事会で詮索するということはなかなか困難じやないかと思いますから、そういつた今のお話は各省庁に通じまして、そこでこの席で発表してもらおう、こういうふうに考えるのですが、それでいいでしよう。
  76. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それでもいいと思いますが、大体の見当は付くのじやないですか、理事会あたりで……。
  77. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 専門員のかたがおりますから、そのほうでも一応検討しておりますから……。
  78. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その見当を付けてもらわないと、向うで説明をするのにも何を一体、どういう点を説明するのか見当が付かないし、来る人もやりにくいのじやないか。
  79. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 今佐多君の御注意の通り、専門員のほうで一応検討しまして、それに適合するようにものを一つ今後進めて行きたいと思います。今衆議院のほうが通産省のほうは全部分科会を終つたそうですが……。
  80. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今直ぐでなくていいのですが、農林関係のものとして、特に今お述べになつた食糧増産関係をもう少し詳しく、食糧増産五カ年計画そのものがどういうふうになつておるのか、それからそれに照応さして初年度予算をどれくらい必要とするのか、それから、併し今度査定された予算によると、当初の五カ年計画が相当変つて来やしないか、それらをどう改編されようとしておるのか、それらの点の少し詳しい御説明一つ願いたい。それから畜産十カ年計画、これも同じような要領で御説明を願いたい、これだけをお願いしておきます。
  81. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私もちよつとお調べ願いたいことがあるのですが、それは日米漁業条約及び李承晩ライン、それから漁船網その他行政協定による漁業上における日本漁業界の実害、こういつたものは、例えば戦前と申しますか、或いはその後、占領政策中と申しますか、そういつたものに対して、日本が独立になつて却つて相当減耗しておるところが甚大であろうと思うのです。これを食糧政策上から、或いはそれによる金銭上の減収、こうしたことによつて罹災漁民の総数はどのようなことになつておるかというようなことを一つお調べ願つて回答を願いたいということが一点と、それから行政協定による接収農林地区の、先の国会で開きましてから以後においても殖えておると思うのですが、その接収農林地区の総坪数、それからこれらに対する日本とアメリカとの補償額というものはどんな進捗状態であつて、それは時価と対比して安いのか高いのか、時価と対比したその状況、これらによつて日本の米麦その他の減収総額がどのくらいな額になるか、これらによる犠牲農民と言いますか、罹災農民の員数、これが第二点。それから外米及び麦類等の買入を委嘱しておる外米指定商があるようでありますが、これが各情報によりますと、無秩序な買入方法をして、さなきだに日本の足下を見ておる外商が値段を吊上げて、或いは不良外米を良心なくして買入れておる実情がある。これは今般の黄変米の実情その他においてもあるのですが、一体この指定商の基準とか、そういつたようなものはどんなことに大体やつておるのか。それから最近日本政府及びこの指定商が買入れる麦類及び米は、全世界の最高の価格で全部日本が買うておるそうです。そういうことは新聞紙上でも報ぜられておる。而もその米質は極めて劣悪なものを買入れておる。それを一点と、これに附随して、将来こうした外国から三百三十五万トンも買わねばならん米麦の価格の将来の見通し、現在の予算対比してどのような見通しを持つておるか、それからこれらの買入の輸送は外国船によつておるのか、日本船によつておるのか、日本船によるのと外国船によるのとの割合と、その運賃の差額、外国船による運賃が幾ら、日本船による運賃が幾ら、及び保険等の事情対比を  一つ御回答を願いたい。本日できなかつたら次の機会に願いたいと思います。以上であります。
  82. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 増田君どうですか、後日にしますか。
  83. 増田盛

    政府委員(増田盛君) これは詳細な資料を整えましてから。
  84. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは資料を整えてから説明するそうですから……。
  85. 左藤義詮

    左藤義詮君 では農林省に、いろいろな林産物ですが、特に松脂を国産で輸入防止したいということを努力して来たのですが、最近中共から非常に安いものが入つて来て、折角多年技術的にも経済的にも苦心していたことが駄目になつてしまつた。一遍駄目になるとなかなか今度建直しができない。ただ値段だけで折角の国産の努力がつぶれて、又一応やり直さなければならんというような実情にあるのですが、これに対して農林省としては何らかの輸入制限或いは国産をもう少し計画的に、或いは相当の援助をして育成して行く意思があるかどうか。これは林野庁の関係ですが、これも一つ資料を整えて頂きたいと思います。
  86. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 もう一つ申し忘れたのですが、それはこの間日本の醤油会社が、醤油組合かもわかりませんが、アメリカに日本の醤油を二千七百ドルほど輸出をしたところが、サンフランシスコで、この醤油の原料の中には中共から買うておる大豆も入つておるはずであるから陸揚げを認めないと言つて、すつたもんだをしておる事実があると思うのです。それに対して外務省は、その中には中共から買うた大豆はないと言つておるのだが、向うは報復的にそれをまだ肯んじないとか言つてておるのだが、一体そういうようなことは事実あつたのかどうか、その結末はどういうことになつたのかということが一つ。それから今回さなきだにお米が足らんと言つておるのに、内地米を二十万石酒造に廻した、それは随分酒の組合は自由党に御奉公した結果で、酒の税金は下げるし、随分最近酒の醸造会社の株も上つておるようですが、一体それは税金を下げさして増税を図つたと言つておるのだが、税金を余計とるためにやつたのか、二十万石使うたという大体政治的解釈はどこにあるか、これは農林大臣から又お答えをしてもらわなければなならんと思いますが、この辺をよく研究の上でどうぞ御答弁願いたい。
  87. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) では本日はこれで散会いたします。    午後三時五十七分散会