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1952-12-22 第15回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十二日(月曜 日)    午前十時三十六分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員山田節男君及び波多野鼎君辞 任につき、その補欠として東隆君及び 田中一君を議長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            高橋進太郎君            左藤 義詮君            森 八三一君            内村 清次君            山下 義信君            駒井 藤平君            岩木 哲夫君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            石原幹市郎君            石坂 豊一君            石川 榮一君            泉山 三六君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            川村 松助君            郡  祐一君            白波瀬米吉君            杉原 荒太君            平林 太一君            山本 米治君            石黒 忠篤君            小野  哲君            片柳 眞吉君            西郷吉之助君            田村 文吉君            溝口 三郎君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            高田なほ子君            羽生 三七君            三輪 貞治君            松永 義雄君            吉川末次郎君            一松 定吉君            堀木 鎌三君            東   隆君            千田  正君   国務大臣    法 務 大 臣 犬養  健君    外 務 大 臣 岡崎 勝男君    大 蔵 大 臣 向井 忠晴君    文 部 大 臣 岡野 清豪君    厚 生 大 臣 山縣 勝見君    通商産業大臣 小笠原三九郎君    運 輸 大 臣 石井光次郎君    建 設 大 臣 佐藤 榮作君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    法制局次長   林  修三君    法制局第一部長 高辻 正己君    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    保安庁装備局長 中村  卓君    経済審議庁次長 平井富三郎君    法務大臣官房経    理部調査課長  位野木益雄君    法務省刑事局長 岡原 昌男君    外務事務官    (外務大臣官房    審議室勤務)  中村  茂君    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    農林政務次官  松浦 東介君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    通商産業大臣官    房長      永山 時雄君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    労働政務次官  福田  一君    建設省河川局長 米田 正文君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣提出衆議院送  付) ○昭和二十七年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣提出衆議院送  付) ○昭和二十七年度政府関係機関予算補  正(機第一号)(内閣提出衆議院  送付)   ―――――――――――――
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これより予算委員会をひらきます。  昨日委員長理事打合会を開きました結果、補正予算に対する衆議院附帯決議に対する質疑は、一応昨日を以て中止いたしまして本日から再び一般質疑を続行することに決定いたしましたからさよう御了承願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 一松君。
  4. 一松定吉

    一松定吉君 私は大蔵、運輸、建設、農林、こういう方面事業に関しまして関係当局に御質問を申上げたいのであります。私が当委員会に出席して同僚諸君質問趣旨を聞いておりますると、こういう事業にはどうも金の出し方が少いじやないか、もう少し金をたくさん出してもらわねば困るじやないか、こういうようなことについての支出額が足りないじやないか、これをもつと殖やさなければならんじやないかということが委員側のほうの主として質問の要趣であると思うのであります。政府のほうではそれは尤もであるけれども予算上許さないと、金がないのだと、だからしてどうもそこまで手が延びないのだというような答弁で終始しておるように思うのであります。そこでは私はそういう質疑応啓を聞くに従つて政府質問するほうももう少しく金が要るならば金の入るような方法について御検討相成るべきものではないかと考えて見たのであります。どうも政府の金の支出に関しまして政府がそれだけの支出をする費用は主として税金に依存しておることが主である、それ以外には国家のいろいろな事業から得る収入、雑収入国家の財産を売却した費用とかいうようなものをかき集めたものが国家支出の用に供せられておるように思うのであります。そこで金がたくさん要るについてその金を出資しようと思えば限られたそういう費用だけでは到底賄い切れない。これを若し本当に国家のために要求する、仕事を、思う存分に仕事をしようとするならば金をもつと出さなければならない。金を出すのには限界がある。これ以上すれば国民生活に脅威を与える。これ以上の税金はとれないというようなことでは本当の仕事はできないように私は考えるのです。何故そういうような国費を使うことについて必要な金を他の方面に考案をめぐらしてこれを集めるというようなことを何故お考えにならないのであるかということが非常に、私は実に不思議に思つておるのです。私はこれを関係大臣と一問一答をしてそうして関係大臣を困らせるというような考えを少しも持つておりませんので成るたけ時間を節約する意味において私の所信を披瀝いたしまして御批判を乞い、なおあなたがたのそれに対する御意見を承わつて将来の予算編成について、或いは国家仕事をするについてあなたがたと協力をしてそういう実現を期したいと思うので、そういう意味において一つ質問をして見たいのであります。  私はこういうことを実は考えて見ておる。我が国天然自然に与えられたところの資源がある、幾らも。それは何かというと、水だ、風光だ。こういうようなものを利用すれば何も国民から国民生活を脅かすような意味において税金をたくさんとらなくても金は集まるじやないか。なぜにこれに政府は力を入れないか、こういう実は考えを持つておるのです。先ず風光即ち日本風光というものは、皆さんも御承知の通りスイス風光よりも日本風光のほうが勝つておると私は確信する。私ども余り長い間の滞在ではありませんけれどもスイスに二、三週間滞在いたしましてスイスの到る所これを視察し、これを観賞した。成るほど景色も立派である、施設も十分である。従つて外国人がわれもわれもとスイスに旅行をしてそのスイスの国に落すところの金が随分巨額の金を落しておる。それがためにスイス一国の財政外人観光のためにスイスに入国した人々の落す金だけでスイス一カ年の財政は賄えるというくらいまでに外貨獲得ということが旺盛である。かようなことを私どもは知識を得て帰つたのであります。日本風光は私をして言わしむればスイスよりも風光は優秀である。スイスは山と川なのだ。日本は山と川の上に海がある、そうして風光は非常にいい。然らばそういうような方面に力を尽して外人を誘致して外貨獲得をするということによつて、我々国民があれもしてもらいたい、これもしてもらいたいというようないろいろな仕事を、そういう獲得した外貨によつてこれを十分に補うことができるじやないか。なぜそういう方面政府は力を用いないのであるかということを、私は厚生大臣にも大蔵大臣にも一つつて見たいのである。私の資料、これは厚生省のほうから手に入れたものですから、定めし厚生大臣は十分に御理解なすつていることであろうと思うのであります。昭和二十七年度におけるところの国立公園に対しまする国庫補助状況は一千九百八十万円、二十七年度におけるところの国庫補助は一千九百八十万円、これを公園に割当てますると、一つ公園について一年の補助が百万円、府県に割当てると五十万円、こういうようなことでは日本国立公園というものを拡大強化して施設を拡充してそうしてスイス風光以上な施設をして外人を誘致するということはこれはおぼつかない。なぜ日本観光事業スイス等に比較して振わないかというと結局施設が不完全不十分である。施設にしても旅館の設備にしても道路鋪道にしてもホテルにしてもガイドにしても使用人にしても女中にしてもスイスなどは痒い所に手の届くような、ホテルでも若しくは使用人でも、又施設は至れり尽せりであることは皆さんスイスに足を踏み入れたかたの承知せられるところであります。日本の今指定せられている十七とか、殆んど二十に近いところの国立公園等施設を見ると、突にそれが規模が狭隘である、施設は不完全である、道路は不十分である、そうしてサービスも非常に悪い、女中使用人等の教養も足りないというようなことでは、外人を誘致して外貨獲得をするということはできないと私は思うのであります。そういうような点に対しましてその当局であります厚生大臣の概括的な御意見を先ず一応承わつてそれから中に入りたいと思うのであります。
  5. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) お答え申上げます。この外貨収入点等から見ても国立公園等を整備いたしてできるだけ外客を誘致することが必要ではないかという御意見のように拝承いたしましたのですが、厚生省といたしましては国立公園令を以ちまして国立公園整備等をやつてつております。但し厚生省がやつておりますのは主としていわゆる保健、若しくはレクリエーシヨン見地からやつておりますが、併しこれは先般もこの予算委員会の席上で、例えば売春の問題が出ました際に申上げました通り、例えば売春の問題にいたしましても単に公衆衛生上のみの見地からこれは解決すべき問題ではないので、従つてこの国立公園問題につきましても単に厚生省レクリエーシヨン見地からのみ解決すべきものではないということは私は先生の御意見通りです。従つてこの昭和二十七年度の予算におきましても、只今指摘通りに僅かに千九百八十万円の予算でありますが、これでは到底この日本全国亘つて、而も只今指摘通り世界的に風光明媚な日本風光明媚なこれを活用いたしまして、只今意見のようなふうなものに持つて行くためには到底この予算では及びもつかないのであります。只今お話ございましたが、私も昨年数カ月間欧米に参りました際に一番痛感いたしましたのは、戦後において各国がいろいろな貿易の問題、勿論国内的な産業振興開発にいろいろ全力を尽くしておりますが、私が一番印象を受けましたのは、如何にして外貨をとるかということを一番重点的に考えているのです。而もその外貨をとるために一番その中心をなすものは観光であります。只今スイスお話がございましたが、私も全く同感印象を受けて帰りました。フランス然り。これは甚だ余談になつて失礼でございますが、私が一番印象を受けましたのは、私は暫らくポルトガルに滞在いたしておりましたが、例えばポルトガルリスボンのごときは、これは世界にそういうふうな例がないものと思うのでございますけれども、七年ごとにどの家もいわゆるリペイントして、そうして外客が来たときに快適な感じを以てリスボンに滞在できるように法律を作つて、そういうふうに各国とも観光に対しましては一番戦後のいわゆる政策に重点を置いておるのであります。それに対して僅かに日本におきましては昭和二十八年度の千九百八十万円の予算を以て只今先生の仰せられる事業をいたさんといたしておるのであります。これに対しましては実は私も就任以来この国立公園の問題を検討いたしました際に先生と全く同感の実は印象を受けましたのであります。今後この点に対しまして私は大蔵当局とも御相談をいたして単にこれは金を注ぎ込んでそして、無駄に金を使うにあらずして日本として一番大事な外貨獲得という点にも裨益いたしますことですから、最善の努力をいたしいたと考えているのであります。
  6. 一松定吉

    一松定吉君 厚生大臣が今私のお尋ねした趣旨と全く同感だということに対して私は厚生大臣に敬意を表します。私が厚生省をあずかつておりましたときに、丁度今あなたと同じ考えを以て、我が国の民間から吸い上げるところの、税金を取るということに依存することはこれは勿論であるが、外貨獲得国民の手によつて十分に獲得をして、そういう方面から我が国国民の福祉を増進するという費用に充てなければならん。それをするについては国立公園というものの拡大強化をしなければならん、こういうことを私は考えて実は殆んど全国国立公園を歩いて見た。今厚生省のほうから入手した資料によりますると昭和二十三年度におけるこの国立公園を利用した人の数は、一千百三十九万二千六百四十六人、これが二十三年度、二十四年度はそれより少し殖えて一千二百六十七万七千二百九人、そうして二十五年度はずつと殖えて二千七十九万四千七百五人、二十六年度、昨年度は又殖えて二千九百五十七万一千六百九十五人というように、年々歳々この観光利用者の数が殖えて参つておることは、国家のために喜ばなければならんことであります。而して外人のこの観光関係しておる人の数がこれ又年々歳々殖えておる。二十三年度は一千百四十万六千余人、二十四年度は一千三百三万四千余人、二十五年度はずつと殖えて二千百四十一万六千余人、昨年は三千四十方素人と、だんだん殖えておる。だんだん殖えて参つておりますが、そうしてそれによつて外人の落す金が、二十四年度と二十五年度と二十六年度の外人我が国に落した金が合計百十六億円というようなことになつておるようです。これを一年に平均すれば三十八億七千万円というようなことになつておる。これを外貨獲得方面で最も重点的である輸出品の、外国輸出することによつて外貨獲得した金と比べて見ますると、観光収入というものの金額が割合に多いことに関心を私は持たなければならんと思うのであります。例えば一九四九年におけるフランス観光収入は五千万、そうして輸出によつてフランスが得た外貨獲得は六千一百万、それから英本国が同じく一九四九年において観光収入が二千四百万、輸出品によつて得た収入が二千二百六十八万、こういうように外国観光によつて収入をしたものと輸出によつて収入をしたものとが、僅かに輸出をしたものの外貨獲得が上廻つておるというような状況であります。日本でも一九四九年においては、これは七十八億一千三百八万円収入がある、そして輸出によつて得ましたものが三百三十一億三千三百九十万円ということになつております。こういうように非常にこの観光収入というものは、これは、手を入れれば入れるほど外人を誘致することができる、外貨獲得ができることがきまつておる。ところが今の不完全な施設においてすでにこれでありまするから、私はこれに手を入れて、本当に国家が資本を投じて、先ずこの宣伝の普及に努める、或いは道路ホテル等施設改善使用人女中等の教育、それから外人等が自分の国に帰るときに土産物を買つて帰る土産の製造販売、及び製造研究ということに国家が力を尽くせば層一層外人を誘致し、外貨獲得ができようと、私は確信をしておる。なぜにこういうように有利な仕事であり、而して日本外国に紹介することにおいて有効であるのみならず、我が国人収入を増大ならしめ、いろいろ仕事をするについて、こういうような外貨獲得によつて得た金を、そうした方面に使うということになれば、そんなに連日この議場において伺つておるように金を出せ、金はない、金を出せ、金はないというようなことにならなくても、相当できるんじやないかと私は思うのですが、大蔵大臣のお考え如何ですか。
  7. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 観光事業世界の国々の中でも相当大事な外貨収入の根源にはなつております。日本も同様でございますが、日本にいたしましても、只今おつしやつたような、設備の足りないとか、或いは人間が十分できていないとかということのほかに地方々々に分かれて名勝があるという点で、それを拓いて行きますのに重点的に行かないと、どこでもここでも中途半端な手の入れ方となる、そういうことでは今のところはどこも十分に行かないということの結果を来たした原因ではないかと思うのであります。これから重点的に金を入れられるということを、それぞれ担当の役所で以て研究して、そこで先ずできるだけの金を入れて行くといたしましたらば、もつと効果的でありはしないかと思います。スイスあたりは国が小さいので、まあお客の行くところが日本よりは少いと私は思う。そういうところが又長年の充実した結果を見せてよくなつているので、日本が短い間にちやんとするためには、狭く重点的に行かないといけないんじやないかという考えを持つております。その他まあ私は今熱海に住んでいて、熱海を見てみますと、道は悪いし、ホテルもまあ十分でないし、それから外国の人を扱うのにやはり町の人全体が慣れていないというふうなことが、どうも来て見ても余り愉快でないかも知れないと、そういうふうに思うんですが、ですからまあ外客を歓迎するということを一つの大きな日本の看板にしまして、そうして官民協力してその方向に向うということが先ず第一で、それからまあ同時に施設を重点的にやつて行つたら効果が早く上りはしないかと、こういうふうに考えます。
  8. 一松定吉

    一松定吉君 私は大蔵大臣考えとは反対です。私の考えは先ず国立公園拡大強化をする仕事をして、施設を完全にしなければいかん。そうしなければ外人は参りません。ただホテルだとか外人待遇方法とかいうような考えだけでは、何も国立公園に限りません。成るほど日本風光は明媚だな、世界に冠たるものだな、これは一つ行つて見ようかな、友人も呼ぼうかなというようにするのには、国立公園施設が完全にならなければいかん。それをやるについては、今あなたのおつしやる重点的結構、今日本国立公園というものが丁度十七、追加されましたものが瀬戸内海等が加えられて、殆んど二十に近いだけの国立公園がある。どれから手を着けてもよろしい。ところがこれはもう多くのものが都道府県に任されておる、そうして国家はこれに対してただ補助を与えるだけというようなことでは、この重大な外貨獲得に最も効果的な事業に向つて国家が余りに冷淡だということが、私の非難するゆえんなんです。私はこういうような施設を十分に拡大強化して、施設を完全にして、外人日本の確かに風光は明媚だ、我も我もと日本に押しかけて来るようになれば、非常に外貨獲得が十分に行つて日本の富を増すことができる、それならば国家は力を入れて重点的にこういう方面に金を出さなければいかんじやないか。本年のこの補正予算を見ても、国立公園事業について一文も補助がありませんよ。そして先刻厚生大臣も慨歎されましたように、僅かに本年の二十七年度は一千九百八十万くらいの補助よりほかないというようなことでは、余りに貴重な事業というものに、政府諸君関心がないのだと、かように私は非難せざるを得ないのです。こういうような仕事に手を入れればいわゆる味噌に入れた塩なんです。だんだんその利益が向上して来て、日本の富を増し、いろいろな仕事をするについてどんどん金が集まつて来るというような重大な仕事を、なぜこんなに等閑に付しておるのか、こういう点について大蔵大臣のお考えをもう一度お伺いいたしたい。
  9. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 先ほど申しましたうちに、国立公園ということは入つておると思います。国立公園を何もしないでいいという考えではないのであります。国が国立公園を助けるということについてはよく研究いたします。
  10. 一松定吉

    一松定吉君 今頃から研究では、本当は遅いんですよ。あなたが大蔵大臣なつた当時から、どうしてこの我が国国民の要求に対する負担に堪え得るような財政を確立強化しようかということを考えれば、先ずこういうところに頭が行かなければいかんですよ。国民から税金を取立ててやる、その他国家収入だけで賄なつて行くということはきまつておるのですよ。ただ国民から金を取るということだけでは、苛敬謙求ということになるから、それでは国民負担に堪えない。だからそういうような天然我が国に与えておるような天然資源ですから、こういうものを拡大強化して行くということをしなければならない。だから私はあなたが御研究なさるということは、何も今からでも遅くはないと思いますから十分研究なさつて一つ来たるべき予算編成においては、国立公園に金を注ぎ込んで、施設拡大強化して外人を誘致して外貨を入れて、そうして我が国財政を潤おすように力を尽くすことが一番いいことですから、一つこれはあなたの御考慮を煩わしておきます。で、こういうことにつきまして、私はこれを地方に任せないで、国家はただ補助をするということではなくて、これが非常にいい仕事であるということがわかつたならば、これは国費を以てずんずんやるべきものであるというように考えますが、こういう方面に対しても御研究を進める決心がございますか。
  11. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 研究をいたします。
  12. 一松定吉

    一松定吉君 山縣厚生大臣に伺いますが、あなたが厚生大臣になつたのは極く最近であるけれども、先年厚生省で、私が厚生大臣のときに、国立公園関係が或る課の中の係であつた。それではいけないからと言うて、これを局にしてやれということでしてやつたんだが、その課の中の一つの小さい係を、直ちに局にするということは、余りに取過ぎだから、先ず部にしようということで部まで引上げた。それをこの部を廃して課にしようというようなことが、第三次吉田内閣でありましたかそういうことがありまして、私は非常にこの閣僚諸君がこういう重大な事業を閑却しておる、研究が足りないということを憤慨したのでありますが、幸いにそれは部をやめて課にすることにならなかつたことを私は喜んでおる。これは山縣厚生大臣のときにおいて、これを部では小さい、これを局に引上げて、これをますます国家のために有効に活用しなければならないと私は考えておりますが、そういう点についてあなたの御意見は如何ですか。
  13. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) お答え申上げます。今の国立公園部を局にいたして機構の拡大図つてはどうかという御質問でありますけれども、私は或いはそれも結構かも知れん、併しもつと大きな問題は現在の国際観光の問題に関しましては運輸省国際観光の局があり、厚生省におきましても国立公園部があり、或いは建設省道路等関係があるのであります。さような点についての考慮も必要じやないかと思うのであります。行政上いろいろな点において、どういいまするか、一元化されておりません。そういう点についても考慮をいたす、それからもう一つ私は先ほど一松先生お話にありました通り、本年度の予算が千九百八十万円であります。むしろ私は只今先生の御意見のごとく、この予算を、只今大蔵大臣研究されると申されましたが、これをもつと適切な整備ができますようなふうな予算にいたして、そうして実質的に国立公園従つて国際観光をもつと推進することが問題ではないか。従つて単に部を局にいたすということも結構でありましようけれども、他にもつと先に着手すべき問題があるんじやないかと、こう考えております。併し先生日本国際観光を推進するという意味においての御意見には、直ちに機構を第一に着手して、部を局にするということについてはなお検討いたしたいと考えております。
  14. 一松定吉

    一松定吉君 私は部を局にするということが国立公園施設拡大強化するという意味じやないんです。そういう大きい仕事をするにしては部では足りないから局に引上げて、そういう大きな仕事をなさつては如何か、こういう意味でありますから、誤解ないように……。今厚生大臣お話にありましたように、国立公園観光事業ということに対しては、あなたの仰せになるように運輸省関係しているのでありますが、この際運輸大臣に伺つて見たい。運輸大臣いませんか。
  15. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 今本会議に入つていますからすぐこちらへ見えます。
  16. 一松定吉

    一松定吉君 それでは運輸大臣に対する質問は後にしまして、厚生大臣に伺いたいと思います。私はこういうような重大な仕事を、運輸省観光局があつたり、厚生省国立公園部があつたり、又建設省がこれに関係しているというようなふう幾つもつも分かれて仕事をするということはよくない。これは一本化しなければならん。私は自分が在任当時それを一本化するということに努力をして、とにかくそういうふうなことに進みつつあるときに私はやめたのでありましたが、今山縣厚生大臣はこういうように三つにも二つにも分かれておつて、これだけの仕事が完成できるとお考えでありますか。若しくはやはりこれは一本化してそうして大いにそれらの仕事拡大強化してその目的に副うようにしなければならないとお考えでありまするか、その点一つつておきたい。
  17. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) この国際観光の問題、国立公園の問題につきましては行政機構を一つにいたしまして、それに適切な行政をいたしますことが必要であるかとも考えられますけれども、元来の発足は、これは厚生省国立公園を担当いたしておりますのは主としてやはり保健、レクリエーシヨン見地から、又運輸省が担当しているのは運輸を中心にいたしましてやつている、或いは建設省道路その他の、或いはこれに関する建設関係の問題をこういうふうに担当しているのであります。従つてこれは単に国際観光の問題だけでなくして、他の行政の面にもそれぞれあるのであります。いわゆる行政の一元化ということにつきましては、単に国際観光だけでなくして全体的に考えなくちやいかんのであります。これらの点につきましては今直ちに厚生大臣として責任を以て行政の一元化をいたすということは御答弁はできませんけれども、これらは他の行政の面の問題もありますし、一応検討いたして最善の措置をとりたいと考えております。
  18. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 運輸大臣見えました。
  19. 一松定吉

    一松定吉君 今あなたのお話の、行政面においていろいろな仕事関係上二つにも三つにも分ける必要がある。これは私も認める。ところが行政ということは国民の福利を増進するに便宜上こういう場合において分けたに過ぎない。これは一元化して或る省が専門的にこれを所管することが適当だと、そういうふうにできるんじやありませんか。それができないような、現行法ができないことになつておれば、国務大臣としてそういうものは改めて行くということが国務大臣仕事ですよ。そんな厚生大臣という立場上から考えるから今のような議論になる、国務大臣という建前から見れば、成るほどこれはこういうふうに二つに分かれている、三つに分かれていることは国家のためによくないということであれば一元化することが必要である。殊に今あなたの国立公園というものは厚生省が所管するというのは保健衛生の方面からだという、それはあなたは考えが小さいのですよ。保健衛生から厚生省がこれを所管するということになつたのは、これは遠き原因はそこにあることはわかるが、所管することになつた以上は、保健衛生だけでなく、国立公園というものを拡大強化して、そうしてその目的を達成するということが必要であれば、何も保健衛生だからそれ以上は厚生大臣はできんなんということはこれは見解が小さいのですから、厚生大臣としてこれは一国のこれだけ大きい仕事については一元化が必要だとすれば一元化するということに努力しなければいかんのじやないかと思いますが、それはどうですか。
  20. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 御意見拝承いたしました。私は保健衛生の見地のみで国立公園を担当いたしているとは申上げていないのであります。先ほど申上げましたのは、先生お話通り、主として当初はレクリエーシヨンという見地から厚生省が担当いたし、或いは道路その他の見地から建設省がこれに関連を持ち、なお又運輸等に関係があるのでそれに国際観光局が運輸省にあるのであります。単に公衆衛生見地のみから国立公園部において行政をいたしておるとは申上げておりません。併し只今仰せの通り、ほかと行政上一元化してやつてはどうかというお説は私も趣旨としてはさように考えておる点もございまするので、なお研究さしてもらいたいと思います。
  21. 一松定吉

    一松定吉君 研究するということはいいのですが、今にわかに即答することは御迷惑でしよう。委員長に申上げますが、改進党の持ち時間は六十分間で、私のほうは岩木君と私と何と三人ですが、私が三十分くらいやれば残り三十分は両君で分担してやつてくれという約束ですから……。もう五分間ですか。
  22. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 六十分あるのですが、今まであなたのお使いになつたのは二十五分ですから残りは五分間です。
  23. 一松定吉

    一松定吉君 それは改進党の持ち時間内でやればいいのでしよう。
  24. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それはやはり改進党の中で……。
  25. 一松定吉

    一松定吉君 成るべく早くやります。そこで運輸大臣お見えになりましたので運輸大臣に一つお尋ねします問題は、あなたのほうに観光局というものが設けられた。そうしてこれは国立公園部仕事と同じような仕事をする。あなたのほうは運輸省ですから旅客を国立公園に運ぶ、或いはその運んだ旅客がそこに滞在するホテルの経営について管理するというようなことがあなたのほうの仕事であるが、それをやるところの道路については、道路の建設ということになつて、これは又建設省といつ問題になる。私の考えでは非常にこれは外貨獲得及び日本財政を豊かにする建前から重要な国家仕事であるから、こういうものは二つや三つに分けんで一元化することが最もよろしいのであるがどうですかということを今厚生大臣に伺つた。厚生大臣は自分もあなたと同じような意見を持つておりますから研究いたしますという返事でしたが、あなたの運輸大臣としての御意見を伺いたい。
  26. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お答えいたします。観光事業の行政が一本化されまして日本外貨獲得問題に力強く出ることができれば、大変これは趣旨としては誠に賛成だと思います。日本観光地は、もうあなたに御説明するのはおかしいくらいでありますが、アメリカの国立公園などと様子が違つておりまして、いろいろな仕事がその中にあり、又これが皆行政所管が違つておりますので、これを一本にするということは実際上はなかなか皆さんに御研究頂いた行政機構の改革等についても話合いがあつたけれども何ともできなかつたというのが今日の悩みだと思うのであります。で、どうしたらよいか、一本にすることはなかなか困難であるが、ふん切つてやればどんなことでもできるのではないかと思います。私どもの今考えておりますることは、内閣におけるこの観光事業の審議会もありまするし、こういうことは各省の間の連繋をうまくとつて運び得るように努力をしてもらう、それから行政の内容に入りまして、どちらか譲り合つて一つになることのできるようなものは、これはできるだけその線に沿つて行くようにすべきだ、こういうふうに私は思つております。
  27. 一松定吉

    一松定吉君 つまり今あなたのお考えは、これを幾つかに分けてあるのは、どうも今日までの歴史からいつても一本化は困難だ、それは私も承知しております。併しそういうときにお互いに話合いをすることが国家のためによくはないか。ですから、これを一本化する、この事業拡大強化の目的のために奉仕しなければならん、こういうふうに分けておくということは国政の運用の上においてよくないことでありますから、国務大臣として、そういうことに力を尽さなければならんのじやないか。その覚悟はありますか。
  28. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お答えいたします。今日よりは明日と、少しずつでもいい状態に政治の面を持つて行くことは当然であります。最初に私が申上げましたように、その観光事業というものは重大であり、又できれば一本化するような方向に進め得ればということを念じておる一人であります。その方面研究することにいたします。
  29. 一松定吉

    一松定吉君 我が意を得たりということで非常に私は愉快に思います。そうなければならん。重大なことですから、これを今まで政府がおろそかにしておるということが、各委員から申上げても金がありません、金がありませんということの一つの原因になつておるんですから、そういう点を本当に各省を受持つ大臣という立場よりも国務大臣という立場からこれをお考えになつて、一日も早くこれを実施して、そうして国家収入を図るということに御尽力を願えれば、大蔵大臣が毎日毎日吊し上げになつておるというようなこともなくなると思います。  その次は水利の問題について建設大臣にお伺いいたします。私は国家駐政を豊かにするということについて、国民から税金を取るとか、或いは国の資材を処分してそれで雑収入にするとか、或いは今私の希望したような国立公園等仕事拡大強化して外貨獲得をするとかいうようなこと以外に、政府の手に集まつた金を成るたけ無駄をしないで有効適切に使うというようなことを政府当局としては考えなければならん。そういうことを考えているでしよう。だからしてどうも行政整理をして人の頭数を減らして国費支出を少くし、税金を成るたけ軽くしようというようなことはそういうことから出た手段であると思う。併しながら私は政府当局はこういうことを考えて頂かなければならん。年々歳々水害のために洗い流される土手、橋梁、美田、家屋、人命、こういうようなものが非常に年々歳々我が国においてはその数が多い。それらを今表によつてこれを見ますると、昭和二十三年から二十七年までの間における水害、それらのものが五カ年間に二千百十三億五千二百五十六万というものが表の上に現われておる。これに都道府県の損害を合計いたしますると、これ又都道府県でこれらの仕事をやつておりますものが九千三百七十八億六千二百万というたくさんになつておる。これを一年に割当てますると、一年平均千五百八十三億幾らというものが毎年々々水害のために水に流されておる。こういうようなことを流されないような工面をするということによつてこれだけの国費というものがいわゆる水に流されないで済むことになるのだが、そういうようなことについて私の考え一つ申上げて建設大臣並びに大蔵大臣その他の国務大臣諸公の御参考に供してみたいと思うのであります。そういうようなたくさんの水害がなぜ起るかというと、私をして言わしめれば雨を少し降らせればいいじやないか、併しこれは天に対してできないことで、そんならどうすればいいかというと、その流れる水を、害を及ぼさないようにその水を処理するということが必要なんだ。それにはどうすればいいか、今までのやり方はいわゆる堤防を強化するということに力を入れた。堤防を強化するということに力を入れるが、その力の入れ方が、何年間の水力を平均して、これだけの力があつたのだから、これに堪えるだけの堤防を築けばいいというので堤防をこしらえた。ところがそれだけの平均の水圧よりももつと大きい力が加われば、それに堪えられなくて流れてしまう。毎年そうなんです。我が国のように、全国に大小の河川が数千もあるような国土においては、その水害が毎年何千億円という水害があるので、それを防止するという方法を講じなければならん。それは何であるかというと、いわゆる砂防工事であります。砂防工事ということをしなければならない。これは私が丁度建設省をあずかつておりますときに、全国の土木課長、それらの関係者を集めて意見を尋ねましたときに、最もいいことだ、砂防工事をやれ、砂防工事をやるということによつて被害が少くなることは、建設大臣もすでに御検討相成つたでありましようけれども、一番手近なところでは甲府に行つて見るとすぐわかる。山梨県に、一郡に二つの川がある。年々歳々二つの川が同じように水害がある。ところが今から二十年ほど前に一つの河川に対して砂防工事をした。ところが他の河川は村民や郷土のものが反対したためにできなかつた。ところが砂防工事をした河川はその翌年からぴたつと水害がなくなつてしまつた。他の砂防工事を阻害したところの村は毎年々々水害だというので、私が向うを視察したときに私に向つて、今までの考えは間違つておつたからどうぞ一つ砂防工事をやつてくれということで請願に来た事実があります。これは当委員の赤木博士が最も堪能なかたでありますから、こういう人の意見を十分に一つお取入れになつて、そうして砂防工事を全国の河川に、やはり一時にはできますまい、だからして一つ重点的に、例えば今年は利根川、その次は何川というふうに、水害の多いところの実例が内務省の土木局に保管しておつたものが、ずつと今日まで建設省に保管してありますから、そういう材料によつて、重点的にそういう水害を除去するためにこの砂防工事を施すということになれば、だんだん水害が少くなる。堤防、橋梁、美田、人家というようなものの流失がなくなるということによつて我が国のそれだけの貴重な金が、数千億円というものが年々残ることになる。それが即ち国民負担を軽からしめ、そういうふうな水に流れる金を以て公共事業のために尽くすことができるのですから、こういう点に重きを置いて頂きたいのですが、建設大臣の御所見は如何ですか。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) お説のように、洪水を防ぐ、これが国費を費やさない途だというお説につきましては、私も先ほど来傾聴いたしておるわけでございます。その際に特に山を治めるということ、それは至極御尤もなお話だと思います。今までも砂防につきましては格段の努力をして参つておるのでありますが、今後も一層この砂防の点につきましては努力をいたして参りたいと思うのであります。過去の予算趣旨から見ましても、やや砂防に力の入れ方が足らないのではないか、こういうお感じがあるだろうと思います。これも今後一層工夫をいたしたい、かように考えております。なお河川の改修の問題につきましても、堤防について特別な強化方策を立てる。これは御指摘になりました通りの十分効果を発揮するものではないのでありますので、砂防工事に併せて河川を管理するという意味から、多数目的のダムを建設する、かような方法をも併せて防水方策を立てているような次第であります。
  31. 一松定吉

    一松定吉君 大変よいお考えで私も喜んでおりますが、その砂防工事をするに従つてダムの建設をやる、ダムを建設することによつて水力電気の開発をやる、こういうようなことに利用すれば生産を拡大強化して輸出を増大ならしめるといういわゆる一石二鳥の効果があるのですからして、そういう方面一つお力を尽くして頂きたいのであります。  農林省見えておりますか。
  32. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 今本会議に行つております。
  33. 一松定吉

    一松定吉君 政務次官でもよろしい、見えておりますか、見えていなければ建設大臣に……。
  34. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 官房長が見えております。
  35. 一松定吉

    一松定吉君 官房長国務大臣として1答弁ができるか。
  36. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 農林省の官房長です。
  37. 一松定吉

    一松定吉君 官房長で結構です。そこでさつきの国立公園に対して厚生省運輸省について申上げたと同じように、いわゆる水害とかという水利のことについて、これは又やはり農林省と建設省と共管になつている。山から水が出て、それが川の上流まで流れ出るときにはその水は農林省で、それから先は建設省だというようなやり方はよくないのです。やはりこれは水利は一本化して、そうして水害をなからしめるようにしてやらなければならんのに、今までやはりこれが、先刻石井運輸大臣の言われたように、行政面で研究はしたけれども、なかなか一本にすることはむずかしかつたと同じような歴史を持つている。これは是非一つ一本化して、水利は水利ということにしてやるということにすることが、国家のために利益であると、私は思うのでありますから、その点について官房長の御意見を承わりましよう。
  38. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) お答えします。水利の行政の統一につきましては、お話通り長年関係省で検討を加えておるのであります。今後とも更にうまく行くようにやつて行きたいと思つております。それで具体的の問題としましては農林省としましては、食糧増産法をこの次の国会に用意しております。これにつきまして、何と申しましても災害による耕地の潰滅というのが非常に大きいのでありますから、水を治めることについて重点を置いて行きたい。なおこの点は先ほど来お話にありますように、関係するところが山の林野庁、それから河川の建設省、それから更に農業水利で又農林省とこういうふうになつておりますので、今後ますますうまく行くように善処いたしたいと思います。
  39. 一松定吉

    一松定吉君 もう時間もありませんから……もうあとどのくらいありましようか。
  40. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 残り少いのですが……。
  41. 一松定吉

    一松定吉君 もうやめましよう。もう幾ら聞いても将があかないから、今私がお願いしましたこの観光事業だとか水利の問題だとかということについては、関係大臣諸君も本当に、十分に一つ御検討賜わりまして、この次の予算には考慮の中に入れて頂きたいということが、私の今日の質問の要旨ですから、どうぞお願いいたします。それでよろしうございます。
  42. 千田正

    ○千田正君 私は厚生大臣に特にお尋ねいたしたいと思うのであります。健康にして明朗な文化国家を建設するということが、憲法の明文にもあります通り、戦後の日本のやる大きな基礎的な力とするところの国民の健康、この問題につきましては、厚生省といたしましても非常に長い間かかつていろいろな施策を講じておりますが、特に国民健康保険に対しまするところの医療給付費の国庫負担、この問題は最近非常に国民のうちから、重大な問題として盛り上つて来て政府に要求して来ておるのでありますが、先般厚生省として考えておられたように、いわゆる百三十七億という二割国庫負担のこの当初の理想の通り、果してこれが実行できるかどうか、この点につきまして山縣厚生大臣の御所見を承わりたいと思うのであります。
  43. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) お答え申上げます。この問題につきましては、先日の当委員会において山下委員の御質問に対しまして私は誠意を以てお答えいたしましたつもりであります。従つて同じお答えをいたすことに相成りまするが、国民健康保険の問題につきましては、国民医療という問題が戦後の日本にとりまして、殊に戦後の日本の再建という点から見ましても、非常に重要な問題でありますことはよく承知をいたしておるのであります。単にいわゆる、どういいまするか、非生産的な社会保障にあらずして、むしろ生産的な社会保障のうちでも最も重要なものとして取上げたいと努力して参つておるのであります。但し従来国家財政が許しませんために、この国民健康保険の面におきまして、保険財政が非常に困窮に陥つておる。例えば昭和二十六年度末においては二十一億の赤字であつて、二十七年度末におきましては大体三十一億の赤字が出ておるのであります。従つて昨年の、即ち昨年度の予算編成に当つては、即ち昭和二十七年度予算におきましては、すでに御承知の通り昭和二十六年度までの赤字を補填いたしまするための補給金制度、或いは又収納率が非常に十分でありませんので、たしか昭和二十六年度におきましては八一%、昭和二十七年度においては八六%、こういうふうに収納率が非常に悪いために、保険財政が悪いために、市町村などは困つておるという点から見まして、いわゆる奨励金ができておりますことも御承知の通り、併しそれでは到底国民健康保険の面の赤字を補填することができないので、結局今お話通り根本的に給付に対する国庫負担考える段階に立ち至つておると承知いたしておるのでありますが、例えば只今お話の数字がございましたが、私は昭和二十七年においては大体保険の給付は百八十八億程度になると思うのであります。なお昭和二十八年度においては、これは被保険者がどういうような数字になりまするかによつて変更がありまするが、大体国民健康保険は百万人ずつ被保険者が殖えております。昭和二十七年度末においては大体、これは締切つてありませんのでわかりませんけれども、二千六百五十万程度になるのではないか。さようにいたしますと、大体ここ一両年の間に百万人ほど殖えております。さようにいたしますと、大体本年度の、昭和二十七年度のいわゆる保険料、いわゆる調定額、これが大体一世帯千八百五十円くらいに相成ると思います。一人当りにいたしますと三百五十円であります。これに市町村は一般会計から繰入れておりますから、昭和二十七年度においては千九百八十円くらいの保険料に相成るのであります、一般会計を入れて……。そういたしますと大体二千円というものを、国民健康保険の対象は、農山漁村の比較的困窮をいたしておる人を対象にいたしておりますから、そういう人が一世帯当り二千円の保険料を負担するということは到底大変である。而もそれでも昭和二十七年度末において三十一億の赤字がある。なお又今後は実にだんだん上つて行きまするし、一点単価も御承知の通りつてつておるのであります。一方収納率がなかなか思うように行かないという点から、昭和二十八年度においては何とか根本的な措置を考えて行きたい、こう思つておるような次第であります。この点につきましては、先般詳細に山下委員の御質問に対してお答えいたしました通り、この一点につきましては、大蔵当局と慎重に協議をいたしまして善処を期しておりまする次第であります。
  44. 千田正

    ○千田正君 只今厚生大臣お話でありますが、被保険者の数は、本年の三月に調べた様子では、厚生省考え方というものは二千九百万を対象としておるように考えられますが、そうでありますか。  もう一つは点数ですけれども、一件当り点数の上におきましては五六・五五、これが厚生省の当初の考え方であると思うのでありますが、これに対しては大蔵省あたりでは減点を主張しておるようでありますが、その点はどうでありましようか。
  45. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今被保険者の数の想定につきましては、厚生省といたしましては二千九百万何がしと申しております。只今私が申上げておりますのは、従来の被保険者の増加がここ一両年大体百万ぐらいでありますので、本当を申上げますると、二千九百万乃至三千万を対象にいたして予算編成をいたしたいと考えておりますけれども、何分にも国家財政が従来許さない、し、今後ともこの点につきましてはなかなか大変である思いますので、ぎりぎり結着、最小限度の予算を要求いたしたいという意味で、私の心組を申上げたのであつて厚生省の数字は二千九百八十万でしたか、さような数字になつております。  なお一点単価の減点の問題につきましては、厚生省といたしましては、只今お話のように五六・三三でありましたか、私ども一応その数をとつております。それに対する大蔵省の見解は大蔵当局から御答弁があると思います。
  46. 千田正

    ○千田正君 只今厚生大臣からも、国民健康保険は日本のいわゆる国民の力の最も重大な基礎であるということを主張されておりますし、大砲かバターかという問題も出ておりますが、バターに重点を置かなければ大砲もいじりまわせない現状でありますが、厚生省の要求に対しまして大蔵省としては、二割国庫負担の医療費の給付に対するところの要求に対しまして、大蔵省としてはどういうようにお考えになつておりますか、御答弁をお願いいたします。
  47. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) ほかの社会保険の関係もございまして、今直ちにお考えに対してそれを実行するというような御返事はできません。十分検討いたしまして、できるだけのことをいたしたいと存じます。
  48. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) ちよつと誤解がありましてはいけませんので、先ほどの答弁に追加いたしたいと思います。先ほど数字で二千六百五十万と申しましたのは、年度末でございまして、先生の仰せられましたのは本年三月でありますが、二千九百何万というのは、昭和二十八年度の予算編成に際して予想いたしました昭和二十八年度に想定される被保険者の数でありますから、その点誤解のないように……。
  49. 千田正

    ○千田正君 私の申上げたのはこれからに対するところの問題であります。特に只今大蔵大臣からのお話によるというと、できるだけこの問題の解決をしたいという御所信のようでありますので、特に国民の健康保険に対しましては、厚生大臣といたしましては、多数の国民の要望する通り、是非とも二割給付を貫徹せられるよう要望いたしまして、一応厚生大臣に対する私の質問を打切つておきます。
  50. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 堀木君。
  51. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 余り時間もないようでありますから、極く簡単にお聞きしたいのですが、大蔵大臣はどうも引つ込み思案でなく、何とか少し先の財政政策としては、突破口を求めて足もとを固めて行きたいというふうなことを従来言つておられるので、従来ならば大体それは租税収入によつて、強制貯蓄から産業の電点的投資をやられるというふうなことが池田財政を貫いておる、一貫した一つの政策であり、そうしてそれがいわゆる超均衡予算と言われたゆえんなんでありますが、と同時に池田君も、この財政方式を幾分転換して行かなければならない時期になつて来た、こういうことから池田君は貯蓄公債案なるものを案出したわけであります。併し今度の向井大蔵大臣は、貯蓄公債については否定的な考え方に立つておられる。池田君の貯蓄公債に否定的な考えに立つておられるとすれば、いよいよ以て石橋財政の生産公債には更に否定的であるべきはずだ、こういうふうに私は考えられるのであります。私がここでくだくだいろいろ申上げるよりは、過去の予算委員会における審議を通じて十分お考えになつておることだと思いますが、来年度は生産増強のために相当の仕事をしなければならん状態になつておる。又国民生活安定のためにも相当の財政資金を、財政的なきりもりをしなくてはならんというふうになつてつて、そうして通産大臣、経済審議庁長官の見通しによれば来年はどの面から見ましても自然増収はそう期待ができない、こういうふうな情勢であり、その他いろいろな楽観を許さない情勢が多い。国際貿易も減少傾向である。そういうものを数え上げますと期待が殆んどできないわけでありますが、そうすると一体、私は大蔵大臣にお聞きしたいのは、ここで来年度の予算を一兆程度以内にとどめようとするならば、過去の財政資本の蓄積を取崩して参るか、或いは手持外貨を充当して、そうしてこのいわゆるあなたのおつしやるところの足もとを固め、そうして生産規模を拡大して参るというふうなことになるか、或いは国民の消費面に向つておるところの金融全体を生産のほうに向ける処置をとるか、それ以外私はないと思う。それ以外は余り手品の使いようはないと思いますが、大蔵大臣はどういうふうな手品をお持ちになつていろいろお考えになつておるのか、この点が私は明らかにならなければ本来言えば本年度の補正予算自身についても、関連性から見ましてどうもその点を少くとも大蔵大臣としては本国会において構想を明らかにされる責任があると思うのであります。そういう点につきまして大蔵大臣の御所信を伺いたいと思います。
  52. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 制度がいろいろございましようけれども、やはり蓄積資産を或る程度使つて行くほかには私は只今考えておりません。
  53. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そういたしますと、お聞きいたしたいことは今度の蓄積資本を取崩そうとしてお考えになつておるのですか、という問題になつて参ります。もうおつしやる通りに池田君の財政政策の上において相当多額の蓄積資本がある。一つは手持外貨が約四千億ある。そのうちで日銀の手持分が約千三百四十億円、それから政府の手持分が本年の三月ですでに、二千五百億円等が見られておるわけであります。で、池田君の財政については私どももこの手持の財政資金及び手持の外貨というものが、何と申しますか産業のほうと如何にも計画的に重点的に結び付いているようでちつとも結び付いていない。非常に非効率的に運用されておるという点を挙げて相当批判したものでありますが、その点において過去の蓄積集のポケットにはいろいろレツテルが貼つてあるわけでありますが、どれから主にお使いになるつもりでありますか。そうしてどういうふうにお使いになつて、あなたのおつしやる生産増強に向けて参られるのか、その点を明らかにして頂きたい。
  54. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 今はまだどれを使うということは勿論私の心の中でもきまつておりませんし、それから外貨を寝かしておくということについてはその点の御批判がありました結果ですか、相当外貨は寝かさずに多少稼ぎのできるようになつておるはずでございますが、それももつとよく活用して行きたいと思つております。
  55. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも大蔵大臣のおつしやることが、何といいますかもう少し具体的になりませんとわからないわけでございますが、過去の蓄積資本の取崩しという問題については、それでは一つ一つお聞きいたします。過去の財政資金の取崩しというものはどういうことを、どれを頭に入れてお考えになつておるか。
  56. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 一々それを私は申上げていないのでございますが、過去の蓄積資本のうちを適当に崩して行つて、それで以て来年度の予算の不足分は助けて行きたい、かように考えております。
  57. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 それではもう一つ今度はお聞きいたしますが、まだその点については何と申しますか、どこからどの程度の財源をどういうふうに使うかというふうな点がわかりませんが、額もわからなければ持つて来られる財源の途もよく判明いたしませんが、お使いになるほうは、今までの予算委員会に対する応答としては、あなたのおつしやつたのは生産の増強ということと、引つ込思案でなく足もとを固めたい、こういうふうなお話でありましたが、これはどういう方面にお投じになるつもりでありますかどうか、それからもう一つ、金額はおつしやる必要はございませんが、今度の補正予算で、従来の少くとも二十七年度当初の財政投資について、当初の二千五百十五億に比べて六百五十二億円をお廻しになりましたが、大体財政投資は本年度より上廻るものとお考えになつておられるのでありましようか。又我々はそう考えていいのでありましようか。
  58. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 多くなる少くなるということを私は申上げにくいのでございますが、併し常々生産増強ということは一番月掛けますので、生産増強も必ずしも生産の仕事にじかに行く金でなく、生産が増強されるのに一番助けになると思うほうに重点を置きたいと思つております。それから今までに財政設資をしましたもので、それに代るもつと有効なものがありはしないか、これも私は只今検討中でございます。従つて前の数字に更に加えるというのでなく、前の数字が減つて別に加わるものがある。その差引が、いずれ詳しく見ないとわかりませんが、ここで私が端的に申しますと、前より殖えるのだろうというふうに考えております。
  59. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私、あと通産大臣も来て頂くことになつておりますが、通産大臣に対する分は保留いたしますとして、私この点はつきり向井大蔵大臣に課せられた問題だと思うのでありますが、吉田総理が施政方針に外資導入ということを言い出してから三年たつておるのです。今どんな外資導入があるかということも私どもよく知つておる。そのときいつも問題になるのは、何と申しますか、朝鮮事変以来主としてでありますが、溜め込んだ日本の手持外貨というものがどういうふうに運用されるのかという問題が一番問題で、あなたも今ちよつとそれにお触れになつて、手持外貨の運用について従来よりも幾分変つた考えをお持ちになつておるのではないか、そうして積極的な活用をしたいと、こういうふうなお考えがあるように思うのであります。又あなたの過去の経歴からいつてそれは一番能力がおありになる方面のお仕事でもあるというふうに考えられるのですが、これらについて積極的な構想がありましたらお知らせを願いたい。
  60. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 外資の導入ということは、お説の通り余りはかが行きません。これはどうもまだまだ日本外国が余りうま味を感じない。信用のあるなしよりは、うま味を感じないというふうに私は思います。それから外貨の活用と申しましたのは、まあ銀行に預けるとか、只今までのところはしみつたれた話でございますけれども、これは通産省と相談いたしまして、外貨を一番能率的に使う方法はあちらの言い出すことは幾らでもあるでしようから、それをよく見まして活かして行きたいと思つております。
  61. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも大臣は……、大蔵大臣に申上げますが、予算の話は禅問答ではないので、どうも今度の予算委員会は私はつくづく感じておるのですが、大蔵大臣非常に禅問答がお好きなようで、どうも我々に財政経済政策全体を通じてはつまりおつしやられないので非常に困るのです。併し御就任後日が浅いことでありますから、まあこの次の国会を期待いたしまして、お聞きしたいと思うのでありますが、もう一つ生産増強についても、従来の考え方よりももう一遍考え直して見たいと、そうして従来の財政資金の取崩しなり、外貨の利用についても考えて見たいというお話でありますが、過般ガーナーが日本を退去するに当りまして、日本経済に対していろいろ所感を申述べております。殊にあなたのお考えになつておる生産増強の面については、重点的に配分されなければ問題にならないと、日本人がまるで金は幾らでも借りられるように、自分の弁済能力も考えずに、そうして而も先の経済界の見通しの悪いときにそればかり考えておると言われるので、そういう点も一つ頭にお入れになるかと思うのでありますが、ガーナーが指摘いたしましたいろいろな重点産業、そういうものとあなたのお考えの生産増強との結び付き、及びそれと同時に、そうなつて参りましたら、今までの内閣のようにその日暮しな経済のやり方では駄目なんであつて、積極的に自分で自立経済を達成する方法そのものを十分お考えにならなければならんと思いますが、如何でございましようか。
  62. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) ガーナーの意見は、私も大体において同意見でございまして、ああいうふうにやつて行きたいと思います。それにつきましては、重点的ということは私も初めからそういうふうに考えております。ところが、大きな船が海を進んで行くというときにかきが付いたり苔が付いたりして進行が非常に遅れるのと同じように、重点的でないところにお金が行きたがる傾向がありますので、それを全然なくなすのが本当でございますが、なくなすのに非常に骨が折れるということを自覚しているのでありまして、とにかく方法はいろいろございましようが、重点的に入れるということに私は全力を注ぐつもりでございます。
  63. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 それでは通産大臣丁度見えましたので、申上げたいのでありますが、むしろ通産大臣よりも、率直に申しますと経済審議庁長官であられる小笠原氏にお聞きしたいのであります。今大蔵大臣と、いわゆる手持外貨の利用、それから財政資金の従来積立てた資金蓄積を取崩してもなお且つ生産を増強するという問題に入つて来ましたときに、通産大臣の御責任は、どうして日本産業をそういう大蔵大臣のお考えに副うて、又恐らく同じお考えだと思いますが、具体的にどうするというふうな御構想がなければならん。そういうふうな点についての通産大臣のお考えを……、私は持ち時間がありませんから、案はあなたの御答弁が最初悪いと何遍も言つて行かなければならんことになると困りますから、先ほど大蔵大臣にも御注文しましたが、禅問答式な御答弁ではなしに、具体的に積極的に実質的にどういうふうなお考えを持つておられるかを御説明願いたいと思います。
  64. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 資本の効率的利用の問題についてのお尋ねかと存ずるのでありますが、私どもも、今丁度ここに入つて来たときに大蔵大臣の御説明がありました通りに、いわゆる基幹産業というものを重点的に取上げてこの方面の生産増強と価格の引下げとを図ることが一番必要であると考えて、その点から過日来たびたび申上げましたように、電源の開発であるとか、或いは造船の拡充であるとか、石炭、鉄鋼等の基幹産業をどう持つて行くかということについて、或いは一部には財政資金を投じて、或いは更に進んではワールド・バンクに外貨の借入れも申込んでおるというようなことで努力しておる次第でございます。これらにつきましては、但しその金の面ばかりでなくして、一方には新らしい技術を入れまするとか、或いは又合理化の歩を進めて参るとか、更に租税措置といたしましても、過日来も申上げましたようないろいろな租税措置をとつてつておるというような次第でございまして、各種産業がありますが、やはり当分の間はその基幹産業の拡充を重点的に進めて参りたいと、こういう考えで進んでおります。
  65. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも今言われるようなことを御答弁なさるだろうと思つてつたのですが、今の程度では実際具体的に十分御答弁になつていない。物事が進んでいないのですよ。それはもう吉田内閣が何度も四次に亘つてつて来たことであつて、而も実際進んでいないことであつて、ここで積極的に自主的によほど強力な方針をお立てになると同時に、推進の方法についても従来より違つた構想をお立てにならなければ物事が進まんはずであります。私は、こういうしたいのだという項目は、これは誰でも一致しておるのですが、率直に言えば、それを推進する能力があるかどうか、推進する方法があるかどうか、そういう問題のほうが問題だと思うのですが、そういう点について、むしろそういう方面が消極的であるために吉田内閣の政策は口頭禅に終つておる。外資の導入にしても、手持外貨の利用にしても、基幹産業の推進にしても、そういう点についても何らかの構想をお持ちになつておるか。
  66. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今お話もございましたが、この電源開発につきましても、五カ年計画を立てておつて、この五カ年計画の下に、一部今外資の点を強く申上げたのでございますけれども、或る程度の財政投資をすることにつきましても、これは今大蔵省と話を進め、或る程度の了解を得ておるのであります。更に又鉄鋼などにつきましても同様な政策を進めておるのでありまして、私どもは今お話のように、口頭禅に終らせずに、必ずこれを実行に移すという熱意を持つてつておる次第でございます。なお外貨が丁度まあかれこれ十一億近くあるかと思いますが、そのうちまあアメリカのドルそのもので持つておるのが、六億ドルくらいございましよう。併し予算関係等で、いろいろな貿易その他の関係、或いは運転資金等の関係等によりまして、現実に使い得るのがそのうち二、三億ドルあるのじやないかと思われます。こういつたものを少し又別口の考えで利用することも、一つのこういう重点産業等を進めて行く上に必要ではないかと考えて、その案を進めているような次第であります。
  67. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 もう一点だけ、もう幾ら言つても具体的な解決にならないような御答弁が多いので、まあこれも御就任早々だから……。  次に聞きたいと思いますのは、最後に私一点だけ、この一昨日、昨日の論議を通じて考えていますことは、総理大臣は国民生活の安定を図りたい、国家公務員の給与もできるならよくしたい、併し財政上これは、誰でも財政上のことは、総理大臣は一つも数学的におわかりにならないくせに、財政上制限されるのだと、こういうようなことを御答弁なさる。それから大蔵大臣は、国家公務員給与についても、それは今高いと思われないので、よくして行こうと、それで国民生活水準を上げて行くことも努力して行こう、佐多君でありましたか、木村君の御質問に対しても、どうも本年度は少し財源にゆとりがあるから、二十八年度以降を考えると、どうもべースの問題は考えにくいと、こうおつしやりながら、無駄なことには、一昨日か昨日の実は新聞その他には、国家公務員の〇・二五の財源ですら確言されることを避けられた。河野主計局長がいつもうしろから出て来て、いい加減に事務的に、事務的には実に立派なそつのない答弁をされますが、総理大臣や大蔵大臣の意図を受けた答弁でなしに事務的に挙足を坂られない答弁をする、私はこういうふうなことでは国会というものは、実際のところ非常に国会の予算審議は権威を持たれないのであつて、今〇・二五を出すか出さんか言明することによつて、そのいろいろな事務的な支障が来るというふうなお考えよりも、大蔵大臣としては国会の審議を通じて国民の知らんとするところを、本当に所信を誠実に披瀝されるような勇敢さと大胆さをお持ちにならないからというとを、一言だけ最後に申しまして、知の質問を終ります。
  68. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 昨日来私の御答弁申上げたことは、その通りでございます。今後私は成るべく勇敢、大胆にやつて行きたいと思います。
  69. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちよつと関連して一点だけ質問します。数日来からの大蔵大臣お話を聞いておりますと、来年度からの予算を組む心がまえは増産を指示して積極的にやるんだ、こういうお話であります。このことはそれが相当今後長期の対処策として、従つてそれが経済基盤の拡大というような意味であればわからないことはないのですが、併し現在の経済界の実情は長期に見ればそういうことを必要としているにもかかわらず、当今の、少くとも来年度あたりの対策は、そういう物量の増産を言うのではなくて、むしろ過剰生産のためにあらゆる方面で困つているという問題がある。例えば繊維その他については申上げるまでもなく、或いは鉄鋼や石炭についても、問題は増産をすることではなくて、如何にもつと安く作るかという問題であると思う。従つて来年度の予算編成の心がまえなり態度として、単に増産を積極政策に転換するんだということは御説明にならないのであります。実情を非常に無視していることになるのであります。もつと購買力の増大なりなんなりを予算措置としてどうお考えになつているか、むしろその点を十分にお考えになり、その対処策をお考えになりつつ予算編成の態度をきめられることが必要なんじやないかと思うのですが、大蔵大臣はどういうふうに考えておりますか。
  70. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) お説は御尤もでございまして、物によつては過剰生産もあります。そこで只今のところで過剰生産でない物もありますし、それから又過剰生産であつても、それが今おつしやるように安くできる、或いはいい品質になれば外国へも売れるだろう、それは過剰なことが必ずしも恐ろしいことではない、こういうふうに考えておりますが、私が生産増強と申しましたのは、生産が増すということもありますが、よくなる、即ちいいものができる、それから又国力全体が向上するように、直接に生産にはきかなくても間接に非常に役立つというようなものを考えまして、それに重点を置きたい。それから物によつてはそれが、或る品物が生産が殖えると、早速それが生活程度の向上になるというふうなものもあります。狭く考えませんで、国力の増進ということに力のあるものを選んで、それに重点的にいたしたい、そういうふうに考えております。
  71. 千田正

    ○千田正君 通産大臣にお伺いいたしたいと思います。戦後日本の中小企業のうちに、特に外貨獲得のために非常に貢献をして来たのが、私が申上げるまでもなく、そのうちで著るしいのがいわゆる日本におけるところの光学器械類、いわゆる写真機、或いは望遠鏡、レンズ、そういうようなものが戦後におけるところの日本外貨獲得における中小企業としては、著しい進歩をして来ており、且つ又政府も相当これに対して応援して来たはずであります。特にこの問題につきまして私が質問するのは、日本におけるところの駐留軍に対しまして、その写真機或いは望遠鏡、或いはレンズ、或いはシルヴアーウエアー等、こういうふうなものが盛んに今まで売れておつた。ところが最近非常に減少を来たしたその原因はどこにあるかというと、それは日本国内においてこれを駐留軍に販売する場合に、大蔵関係から言えば、いわゆる物品税をこれに課している、物品税を課するために、最近ドイツのいわゆるこの光学器械類がものすごい勢いを以つて世界のマーケツトに進出しております。而も最近のドイツのやり方は自国のこうした光学レンズその他のものに対しては物品税を課さない、海外にどんどん出して行く。日本が漸く戦後このマーケツトに進出したところのこの光学レンズその他の器械類に対しまして、ドイツ側としましては、今のうちに日本の進出を防がなければならないという意図の下に、あらゆる手を打つて来ている。最近著しい例を言いますというと、このクリスマスを前にしまして、アメリカ側におきましては日本におけるところのドイツ製品を輸入するために百二十万ドルという注文を発しておる。ところがこれに対抗して日本の生産品であるところの日本製のそうしたものを売ろうとしても、日本側は物品税を課せられたために到底ドイツ製品に対抗できない。こういう状況にあつては折角中小企業を育成してそうして外貨獲得のために働かしておつたところの戦後におけるところの日本の特産品であるところのこの光学レンズ、或いは望遠鏡、写真機というようなものに対してこの保護育成というものはもう挫折せざるを得なくなつて来る。こういう問題に対しまして通産大臣はどういうふうにお考えになつておられますか。特に通商関係でありまするから通産大臣の御所信を承わりたいと思います。
  72. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) お答え申上げます。写真機、或いは光学レンズ等が只今お話のような状況にあることは私どもよく承知いたしております。以前は御承知のようにP・Xへ行くものは四割まあ物品税がかかる物品税が免除されておりましたので、P・Xに売るものについては競争力を持つてつたのでありますが、まあ最近普通のところで買うようになりますと、四割の税金がかかるので、この点非常に日本の商品に不利益になつておりますところから、まあ私どもも今この物品税の撤回方について大蔵省のほうといろいろ事務的に話を進めておる次第でございます。千田さん御承知のように物品税はたしか以前三十種類だつたのがこの頃七十種くらいになつている。そしてこれは税から言つたらば百何十億と見られるでありましよう。従つてこの物品税を全廃するというようなことについてもいろいろお話がありまするが、これは容易ならん問題と思いまするけれども、この種の外国と競争するものにつきましては、これは物品税をやめてもらうことが日本の今の商品を力付ける点ですから、そんな工合に私は交渉しておる次第でございます。
  73. 千田正

    ○千田正君 この点は特に通産大臣の特段の力添えを願いまして、折角発達した日本の光学器械の産業でありますから、是非これは大蔵省に折衝して頂きたいと、こう思うのであります。この点につきまして大蔵大臣の御所信を承わりたいのでありますが、これは物品税を、全部のあれを廃止せよというのではありません。今のように外国製品が、折角日本が樺頭して来て、特殊なる日本の製品というものに対して外国製品が挑戦して来た場合に、同じマーケツトに争うような場合になつたときにおいて、日本の製品は太刀打ちができない、こういうような場合におきまして、特定のこうした商品の、而も特定の場所において販売される場合においては日本産業を守るという点において大蔵省としては十分考えて頂かなければならぬ。この点につきましての大蔵大臣の御所信を承わりたいと思います。
  74. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) そのようにいたしたいと考えておりますが、殊に今のお話のようなのは税が戻るというふうなことができないのでございましようか、ちよつと私調べて見ませんとわかりませんが、よく研究しまして特にそういうのは早く適当な方法を講じるようにいたしたいと思います。
  75. 千田正

    ○千田正君 通産大臣にお伺いします。今大蔵大臣が非常に名論をおつしやつたようでありますが、通産大臣のお考えはどういうふうにお考えになりますか。
  76. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今大蔵大臣が申された通り輸出するものについてはこれは税が戻つておるのであります。今千田さんのおつしやつたのは、国内で売つておるものが競争ができんから物品税を引けと、こういうお話と一承知いたしておりまするので、この点につきまして大蔵大臣も特別の考慮をするということをここで申されまし参で、私ども過日来いろいろ御相談しておることに大変光明を認めて喜んでおる次第でございます。(笑声)
  77. 羽生三七

    ○羽生三七君 先ほどの堀木、佐多両委員質問に関連してちよつと一言大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、これはこの日本の基幹産業を重点的に育成培養して行かなければならないということはこれは論を待たんことで我我全く賛成であります。併しそこで考えなきやならんことは、先ほどそうではあるが大海に船を浮かす場合に、かきや何かがくつついて船の進行がにぶるような場合がある、従つてその按配は適当にやらなければならないという大蔵大臣の御答弁があつたわけです。それで一般の財政投資、各産業に対する財政投資、或いは一般の国庫補助というようなものについてはこれは重点的な配分ということは考えられると思いますが、一面又ほかの角度から考えて見まするというと、例えば昭和二十七年度の最初の政府輸出入計画、日本の貿易計画、それが計画と実績と比べて今相当な差が出て来て、数億万ドルのむしろマイナスになつておる、そうして一面において鉱工業生産指数はかなり、例えば一三八%程度まで基準年度に比べて殖えて来ておるにもかかわらず、物価は決して大暴落をしなかつた、横這いの形で来たのは、これは国内における滞貨も勿論あるでしようが、一部国内需要の増加によつて物価の大暴落が阻止できたと、そういうふうに考えて見ると、やはり国民生活が或る一定の水準を保つておらなければ、例えば基幹産業の育成ということに重点的な投資が行われるということを考えても、これはバランスがとれなくなる。そこで先ほど大蔵大臣お話なつたように、基幹産業に対する重点的投資をおやりになる場合に、その邪魔になる、船の推進の邪魔になるものを若干排除するということは無駄を排除するという意味では私は全く賛成でありますが、そうして頂きたいと思いますが、その場合に社会保障制度的なもの、そういうものを削るという意味ではないと私は了解しておりますが、それは無駄な財政投資のことを言われて、まあ無駄と言うと余り……そうでないでしようが、まあそういう意味のことだと考えましたが、国民生活一般のほうのつまり耐乏生活という形でそれを抑制して、それで基幹産業財政投資の重点を置くという意味ではないだろうと思いますが、どうでありますか、その辺の御答弁を……。
  78. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 全くあなたのおつしやる通りでございまして、そういうあなたのおつしやる事業を無駄とは決して考えておりません。
  79. 千田正

    ○千田正君 私は今度質問するのはちよつと外交関係のことになるので幸い外務大臣もお見えになつておりますから関連してお答えを願いたいと思います。  それは日米間において戦後におけるところの日米貿易の一つの部門を担当しておりましたところの水産物の輸出の上で、いわゆる冷凍鮪の輸出の問題が相当日米間の問題になり、且つ又アメリカにおけるところの国会におきましてもこの冷凍鮪の関税について相当の論議がたたかわされておつたのであります。幸いこのたびこの問題は一応は解消したようでありまして、今後にも相当問題は起ると思いますが、特に小笠原通産大臣にお伺いするのは、この冷凍鮪の輸出制限、この割当制度は一体これは撤廃されるものであるかどうか。もう一つは廃止になるとするならば来年度のこの冬におけるところのぴんちよう鮪に対するところの枠は一体何トンぐらいであるかということと、現行のチエツク・プライスであるところの、いわゆるF0Bにおけるところの一トン当り三百ドルのチエツク・プライスは廃止になるのか、この問題につきまして一応御答弁を頂きたいと思います。
  80. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今年の一月、例のアメリカのほうで日本の冷凍鮪の輸入を抑制する意味で輸入関税の引上運動が起つたときに、日本としてはアメリカを刺激しないように、何といいますか、自発的に対米鮪の数量を一万二千トンに、実は自主的に制限をいたしたような次第であつたのであります。ところが一万二千トンはこの八月までに全部契約ができまして、更に今年はアメリカが鮪が不漁であつたものですからもう少し向うのほうで輸入したいということを申して参りましたので、更に今年の九月に六千トン追加して一万二千トンのほかに六千トン、都合一万八千トンを輸出する方針にいたしまして、目下それぞれ輸出中でございます。大体その一万八千トンは今年中に輸出し終ると見ておるのでありますが、そこで今お話のような、今後輸入関税の引上げ運動が更に向うで起るかどうかという問題は、これはちよつと私よく存じませんので、外務大臣御存じと思いますから、外務大臣のほうから御答弁が願えれば仕合せと思つておるのであります。チエツク・プライスの問題は、只今のところ検討中でありますが、今ずつと出ておるのでありますから、まだその問題を私どものところで真剣に協議するところまで、まだ至つておりません。これは十分考えることにいたします。
  81. 千田正

    ○千田正君 そこでこの鮪の輸入に対しましては、アメリカ側はこの日本輸出業者に対してレター・オブ・アツシユアランスというものを要求して来ております。これは日本の従来の貿易に関して、特に鮪に対してのみこういうレター・オブ・アツシユアランスをつけてやらなければ許可しないというような意味を持つておるかどうか、この点に対する御見解如何でございますか。
  82. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) その点ちよつと調べておりませんので、後刻御返事申上げたいと思います。
  83. 千田正

    ○千田正君 岡崎外務大臣にお伺いするのでありますが、これは外務大臣は、長くこの問題に対しては相当いろいろお考えになつておられた問題でありますので、この冷凍鮪の輸出の制限、或いは関税の廃止、こういう問題は一応にきりがついたようであります、併しこれは将来相当な問題になつて来るというふうに我々は考えられます。殊に最近アメリカ側の、この情報によるというと、例えば大西洋方面におけるところの、大西洋問題を中心にしましてヨーロツパに対するところの、いわゆる今後の大統領の政策が変つて来るであろう。いわゆる対外援助という問題は、援助資金じやなくて通商というものに重点を置いて行こう、というのは、ヨーロツパ政策としてすでにアメリカ内部において新しい政策の輿論として生まれつつある今日において、いわゆる極東におけるところの政策も、当然或る面において変つて来ると思います。通商というものに重点が置かれて来るというような場合におきましては、日本の貿易というものは、当然そこに大きな役割をしなければならなくなつて来る。こういう面からも考えまして、この戦後におけるところの対米輸出の重要な一つ輸出品であるところのこの冷凍鮪、こういう問題に対するところの、従来日米間の問題になりました、この問題に対しまして、只今私が通産大臣に質問いたしましたのと関連しまして、外務大臣としましては、この問題についてはどういうふうにお考えになつておられるかということをお尋ねいたしたいと思います。
  84. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これはなかなかむずかしい問題でありまして、もう私から申すまでもなく、アメリカにも鮪の業者がおりまして、又罐詰業者等もおりまして、一方では日本の鮪を安く輸入して使いたいと考えております。他方においては、そんなことをされたら漁業のほうが参つてしまうというようなことで、殊にこの太平洋岸のほうでなかなかむずかしい。これに対してはそれぞれが議会等に働きかけておりますので、いつでも問題は再燃して来る気配があると思います。従いまして我々のほうとしましても、これが非常にむずかしくならないようにするには、やはり或る程度輸出の数量を余り刺戟しない程度にするとか、或いは埴段も相当考慮するとか常にそういう点に心を配らなければならないと考えております。アメリカの政府としては、今までの日本の説明をよく理解してくれまして、いろいろ日本のドル獲得に必要な品目であるというので、大変好意的に考えてくれておりますけれども、議会ごとに太平洋方面の選出されておる議員としては選挙区の関係その他もありますから、なかなかそう簡単には行かないと思います。我々としては、日本の漁業の状況外貨獲得状況等を常に数字を以て説明いたしますと共に、余りにアメリカの漁業関係者を刺激しない方法で進めば、先ずそうむずかしく問題が発展しないであろう、こう考えて、只今その方面に努力をいたしております。
  85. 千田正

    ○千田正君 丁度松浦農林次官が見えておりますから、一つお伺いしておきますが、只今通産大臣並びに外務大臣からこの冷凍鮪の輸出に対するいろいろの御所信を承わりました。農林省といたしましては、この水産の、殊に対米輸出におけるところの最も大きな役割をなしておるところの冷凍鮪に対しまして、いろいろの制限が加えられ、或いは将来の見通しというものに対して必ずしも暗い見通しではない、併しながら一席水産部門を担当するところの農林省といたしましては、今後こうした問題に対してどういうふうな方法をとるかという所信を承わりたい。
  86. 松浦東介

    政府委員(松浦東介君) その問題につきましては相手もあることでございまするから、相手を成るべく刺激しない程度におきましていろいろ調節を図り、輸出の増進を図つて参りたい、かように考えております。
  87. 千田正

    ○千田正君 最後に通産大臣にお願いいたしますが、先ほど通産大臣からは、このレター・オブ・アツシユアラソスの問題につきましては御検討中のようでございますので、でき得ればそうむずかしいような書類が揃わなくてもこの問題に関しては楽に取引ができるような方途に一段の御努力をお願いすることを要望いたしまして、私の質問をこれで終りといたします。
  88. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これで暫時休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。    午後零時二十八分休憩    ―――――・―――――    午後一時五十九分開会
  89. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 休憩前に引続き質疑を続行いたします。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣に最初に御質問いたします。大蔵大臣は、今度新らしく大蔵大臣に就任するに際しまして、新聞記者諸君に、国の苦しみを見るに堪えない、見ていられないから大蔵大臣に自分は就任……これを引受けたのであるということを言われた。で、私はそのときに、ほかのいろいろな大臣も就任の言葉を新聞記者諸君に述べておられましたが、何のために大臣になつたかと、こういう質問に対して、そう問われればどうもそれまでで、答弁のしようがないというようなことを言つていた大臣もありました。併し私は、向井大蔵大臣が、国の苦しみを見ているわけにいかないと、こういう心境で大蔵大臣を引受けられたことに対して、私は非常に敬意を表します。私はその心がまえだけでも、これは実に私は立派なものだと思う。我々もそういう同じ気持でおるのです。そこでお伺いいたしたいことは、私は率直に民間人として向井蔵相は長い間やつて来られたのですから、日本のこの講和後の今の苦しみというものは一体どういところにあるか、向井大蔵大臣はこれはどういう工合に御覧になつているのか、そうしてその原因です、苦しみの原因はどこにあるのか、これに対してどういう方策をとつたらいいか、今後の日本財政経済というものをどういう方向に持つて行つたらよろしいのか、こういう点について先ず私は大蔵大臣に対してお伺いいたしたいのであります。
  91. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 一番初めにお断りしておきたいのですが、国の苦しみを見るに忍びないという大きなことを言つたかどうですか、これは記憶にございませんが、多少頭の中にあつたことは否めないと思つております。そこで日本がこう苦しんでおるのは、一番主なる原因は、やはり戦争の災にほかならないと思う。それが相当になおつたのはむしろ仕合せと思う。適当な外国の援助があつたことと、或いは自分で勉強をして回復して行つたとかいうことはございましようが、それをもつとよくするためには、前にも申しました一番のことは、みんなが勉強するより仕方がない。併しそういうことを申しますと、人は勉強のできるようにしてくれるがいい、そう言うのですが、無論できるようにする必要もありましようが、みんなが自分々々で勉強しなければいけない。それで勉強をしていいものを作り、それを皆が使つて行く、或いは外国へも出す、そして食い物を買つて来る、それは活動が積り積つて何年かのうちにむしろ正常な形になつて行く、それを望むよりしようがないというふうに考えております。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 決して、今更私が大蔵大臣に申上るまでもなく、国の財政というものは国の全体の政策を総合的に反映するものでございますから、国の苦しみであるとすれば、それは総合的には財政に現われておると思うのです。そこで具体的にこの財政にどういうふうに国の苦しみが現われていると考えるか、この点具体的にお伺いしたい。
  93. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) やはり国の国民経済をよくし、又国民生活水準を上げて行くというふうな点は、やりたいことがたくさんあつてもそれができないということが今の我々だろうと思うのですが、やりたいことをやつて行くためには、どうしても今税金が殖えて行く、税金を殖やすということはみんなが苦しむからこれはできない。そうすると限りある財源を一番能率的に使つて、そうして国の進歩を図つて行くということよりないので、資源の足りない、財源の足りないということが、今の日本財政の一番苦しいところだろうと思います。
  94. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その財源……資源或いは国民所得というものが十分でない、そこに大きな予算を組んでいる、従つて税金は高い、国民生活も向上しない、そこにあるということは大蔵大臣もお認めになつておるのですが、この最も具体的には財政規模が私は大きい、国民所得に比較して……。そういう点に現われておると思うのです。この点は大蔵大臣、どういうふうに……、財政規模が国民所得に比較して私は絶対的に大きいと思うのです。御所見は如何ですか。
  95. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) それもございましようけれども、どうも今割合を見ましても、これが不要だというものは私はないと思うのですが、つぎ込み方が或いは当を得ていない、収入支出に割当てる点において或いは当を得てないところがあるのじやないかということを考えております。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体どの程度を以て適当な財政規模とお考えですか。何%ぐらい、この前お答えになつた大体一七%ぐらいが本年度の枠だというのですか。その程度が適当とお考えか。
  97. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 今は一七%ですが、それが多くなるのがいいのか、少くなるのがいいのか、そのときによつて違うのですが、殖やさないほうが私はいいだろう、この程度で少くてもとめておくのが本当だと思います。
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ところで実際にそろばんをはじいて見ますと、大蔵大臣は一七%程度とお考えですけれども、実はそうじやないのです。一八%以上になつているのです、実際は。なぜならば二十七年度の予算編成するときに、大体国民所得五兆三百四十億と押えている。それで大体一七%になつているのです。ところがその後補正予算が出て参りまして、そうしますとそれは一八%を超えています。ところで政府は今度は国民所得を又三%殖やしまして、五兆三千二百六十億に殖やしているのです。従つてそういう意味からしてでも、実際は一七%程度が適当と大蔵大臣はお答えになつているのですが、それより殖えているのです。更にこの地方財政もお考えにならなければならんと思います。この財政国民負担考える場合には、当然これは含まなければならん。大蔵大臣はこれを地方財政と一般会計と分けて考えるべきだというふうにお考えですか。
  99. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 無論国の財政は一般会計と地方財政と両方を見て行かなくちやならんものでございます。
  100. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 地方財政を入れますと、大体本年度の、二十七年度のこの補正を含めて、国民所得に対して二八%ぐらいになります。二十六年度は二二%、だんだん一応この財政規模は縮小の傾向にあつたのですが、又本年度から財政規模は拡大の方向に向いております。これは重大な問題です。そこで財政負担でも、今度租税を軽減すると言いましても、実際は中央の税金、或いは地方税金、両方とも殖えて来ているのです、減税をしてもです。ですから大蔵大臣考えておられる適当という財政規模を超えてるんですよ。二十八年度においては大体一七%程度で押えて行くお考えかどうか、これを一つ
  101. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 押えて行きたいと考えております。
  102. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は国の苦しみを何とかして救わんという非常な意欲を以て大蔵大臣になられたその大蔵大臣の言明であるから、私はここでそれを一応了承いたします。今後の予算の折衝過程において、相当私は難関が現れて来ると思いますが、財政規模を実体的に多くしたんでは、もう日本の経済は成立つて行きません。どうかその点は十分堅持して頂きたい。  第二にお伺いしたいのは、大蔵大臣は均衡財政というものをやはり主張しでおられます。そうしてこれを弾力性を一応持たしているわけです。その大蔵大臣の言われる均衡財政、弾力性を持たせて行くことを具体的に、これは国民一般素人にもわかるように一つ説明して頂きたいと思います。
  103. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) これは只今申しましたような一割七分、一七%に財政規模を縮めておいて、而もどうにも使わなくちやならないというふうなものを財政投資というふうなものに使つて行つて、そしてそれがどうしても一七%を超えるというふうなことがあるかも知れませんが、これがいわゆる弾力性ということで、止むを得ず又国のために要るものに、大体主として投資だと思うのでありますが、資金を活用して行くということを大体考えております。
  104. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体わかりました。弾力性というのは、今後やはり財政投資が相当重要になつて来る。財政投資についてはこれまでいわゆるドツジ・ラインで蓄積された過去の蓄積資金というものをこれまでのように窮窟にしまつておかないで、実情に応じてこれをだんだんに当て行く、こういうふうに私は聞き取れたのであります。ところで大蔵大臣はなぜ均衡財政と言われて健全財政ということを言われないか。大蔵大臣の均衡財政という意味は健全財政という意味で言われているのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  105. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 均衡財政と申しませんと、とかく弛んで来やしないかというふうな気持がいたしまするので均衡財政と申しましたのですが、均衡財政で窮窟で困るのでそれに弾力を持たせる。持たせたら何になるかというと、それが健全財政であるというような気持でおります。
  106. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は均衡財政は健全財政の一要素である、如何に均衡がとれても中身が不健全であつては私は健全財政と言えないと思う。そこで大蔵大臣は先ず健全財政の中で一番重要な均衡主義をとられるということは、私はこれは賛成であります。併し二十七年度予算は均衡財政でありますが、又補正もその主義で通つているのでしようが、中身は私は決して健全と言えないと思うのです。中身が健全であることはやはり民生安定に資する予算、それから国の経済を拡大発展させるというそういう意味予算、こういうものが多額に盛られておるということが私は健全であると思うのであります。この意味では、二十七年度予算は二一%も不生産的な防衛関係費その他があるのです。これを健全とお考えかどうか、この点を一つ伺いたい。
  107. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 防衛の金が二一%あるようですが、これはいろいろの意味においてやはり国の健全に保たれるための必要なものと私は思うのですが、これは見解の相違で或いは禧議論があるかと思いますが、これをなくなしてしまうとやはり治安が悪いとか、或いは民生の安定を欠くとかというふうなことが起つて国のために悪い。但しこれを大きくして行けば、あなたのおつしやる不生産的ということにまでなつて健全な財政でないということが言えるかと思います。
  108. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣はもう少し率直に御答弁願いたいのです。成るほど国内治安のための費用はどこの国でもございます。併しながら国内治安に必要な以上の費用がある。そのところに問題があるのです。先ほど大蔵大臣も言われた敗戦後の日本の経済は二一%も不生産的費用負担するに堪えないのです、実際は。そこで吉田総理大臣は二一%の防衛費を負担する代りに外資導入ということを考えておられたのです。それによつて負担を緩和しようと思つた。ところが外資導入は未だに実現されていない。ですから、敗戦後の日本の経済の実態としてはこの二一%のいわゆる防衛的なものを負担するということは、戦前の財政から考えても非常に大きな不生産的な負担でございます。従つて国内治安に必要な以上、これはアメリカの対ソ防衛の一環としての費用が含まれておるのです。こういうものをそれだけ日本国民負担させるのなら、これは実情から言つて負担は無理です。この上に再軍備するなんてとんでもない話です。もう少しそうさせるならば、なぜ中共との貿易とかそういう方面を遮断するのです。なぜアメリカは援助を与えないのです。援助を与えない、中共貿易も遮断する、そうし三二%のアメリカの対ソ防衛の一環としての費用を全部とは言いません、大部分をそれに負担させるということは、日本国民経済はこれでは成立つて行かないじやありませんか。ですから日本国民生活水準はいつまでたつても戦前に回復しない。未だ七〇%程度です。この点大蔵大臣、今後この不生産的な防衛費を削減する、或いはこれを削減できなくとも飽くまでもこれを減少させる方向に持つて行かなければ健全財政にはならんと思いますが、この点私は一番重要なポイントだと思いますが、どうですか
  109. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) これは成るたけ少くなることを私は希望しておるのであります。それに私は努めるつもりでございます。
  110. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 便に国の苦しみの原因といたしまして、今当面迫つておる問題は、最近の不景気の直接の原因としての貿易の激減です。これは向井大蔵大臣は前に物産時代貿易の御経験がある。今の直接の不景気の原因はそれ以外にいろいろあるでしようが、やはり貿易が昨年より減つて来ておるということですね、而も来年度は本年より減るであろうという見通しです。これは重大な問題なんです。政府は貿易振興、経済外交といろいろ言つておりますが、そういう政府が今考えておる貿易政策を一応織込んでも、来年度は減るであろうと言われておる。これは御専門家であるからよくわかると思う。今の不景気の実態、これをどう考えるか。そうしてその根本原因は何であるか、これを打開する方法はどういうところにあるか、この点を伺いたい。
  111. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 貿易をよくしますためには各方面に向つて力を用いなければならない。今まで大体商売のやり方が繊維製品とかいうふうなものに一番仕事も多うございましたし、力も入れてありましたが、このほかの商品につきまして、又アメリカといわず今までに行つておつた地方以外の所に販路を求めるということによつて努力を重ねて行けば、或いは減少を食いとめられるか或いは多少殖えることがある。そういうふうに努力の結晶で行くより方法はないと思います。
  112. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この貿易が激減しておることは、世界的な不景気の影響があることはこれは勿論でありますが、やはり何といつても今度の講和の結果、日本の経済が非常に不自然な立場に置かれた、アンナチユラルな立場に置かれたということが非常に大きいのじやないか。即ちアジアとの貿易が遮断された。特に中国との貿易が遮断された。これはアンナチュラルですよ。自然じやございません。経済人ですから蔵相は御存じでしよう。運賃関係一つ考えても、遠い所から原材料を持つて来てどうして産業合理化して海外との競争ができましようか。このアンナチユラルな不自然な経済に追込まれておるのです、日本は……。この点をどうお考えか。これまでの基本のいろいろな政府の貿易振興策では、ドル地域に対しての輸出を殖やして輸入を減らす、ポンド地域に対しては輸出を減らして輸入を殖やすといつたつて皆逆になつて行つて、現状はですからどうしてもアンナチュラルな、不自然な方角に置かれておる日本の経済の位置、これも日本の苦しみの一つの大きな原因です。従つて中共貿易というものに対して大蔵大臣……これは通産大臣にお聞きしたいのですけれども向井大蔵大臣は貿易の御専門家でありましたから、この点についてどういうふうに将来お考えか。
  113. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 中共貿易は過去において非常に重要なものでございましたが、今はその重要性が或る点までは減つておるというふうに私は考えるのですが、無論それにしましても重要なもので、この方面に商売のできて行きますことは日本のためにはいいことと思うのでございます。それがいろいろの事情で阻害されておるとすれば、それをいろいろの方法で以て阻害されておる点を除去して行く必要があるだろうと考えております。
  114. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだ国の経済の苦しみを深くしておる原因についてはたくさんございますが、時間がございませんので、あと一、二簡単に御質問申上げますが、アメリカと日本とのいわゆる日米経済の提携の仕方、これも非常に日本に不利になつておるのじやございませんか。即ちよく価値の不等価交換ということが言われますが、アメリカの軍需品の受注の仕方なんかでも非常な不利になつておるわけです。原材料の輸入の仕方もそうであります。この意があると同時に、アメリカの防衛のために日本はたくさんの費用負担させられておる。最近日本の軍需会社に発注がありますが、円ベースの発注は、我々の税金をアメリカさんに納めて、その税金でアメリカさんが日本に発注するわけでありまして、これは一種の現地調弁或いは一種の現地徴発的性格を持つたものです。その影響も相当大きいのです。こういうことは過去において日本が例えば満洲を占領した、そういうときに現地徴発をやりました。この防衛分担金六百五十億円による日本の国内における発注といものは、それと性格の似たものだ。こういう経済が日本の敗戦後の非常に貧弱になつた経済の上に重つて来るのですから、日本経済の苦しみは深くなるわけです。こういう点についてどういうふうにお考えですか。
  115. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 防衛費その他につきましても日本が不当なる不利益をこうむらないように考慮いたしたいと思います。
  116. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その他日米経済……。
  117. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 日米経済はこれはやはり商売が久しく絶えていたために、日本の商社が向うの事情を知らないということがありますし、それから又いろいろの点で日本が敗けたということで不利益な位置に、これはどこがどうということなしに、不利益な地位に立つておるために、物を買えば割に高いものを買う、売れば安く売るというふうなことが起つておるのでございますが、これはやはり講和後日本の商社が向うへ行つて実情を見ることもできますし、又銀行、保険その他のものもだんだんと活動を増して参るので、その情勢は割合に早いとは言えないか知れませんが、漸次改善されて行くものと思つております。
  118. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に外資導入について率直な御意見を伺いたいと思います。吉田首相は第十三回国会の施政方針演説の冒頭で、今度の講和が発効して日本は一応独立するが、経済的に自立は困難で、経済的に自立するにはただ外資導入、急速に日本が経済的に自立するとすれば外資導入あるのみである、こういう意味のことを言われているのです。先ほども私は申上げましたが、日本の実情として予算の二一%も非生産的支出をさせられたのでは、外資導入という裏付がなければ自立ができないだろうということは、これは当然予想されるところなんです。ところが外資導入が未だにない。而も外資導入を前提として電力開発計画が行われている。電源開発促進法というのは外資導入を前提としたものです、あれは。そこで外資導入というものは実現しないで、一方外資導入を前提とした日本の経済計画が進んで行く場合、これは非常な齟齬が来ると思う。それがインフレ的な要素を相当私は加えていると思います。この外資導入と、それから政府のいろいろな経済施策との関連ですね、一応外資導入が裏付になつているのです。なつていながら現実には来ない。弾丸道路にしても半分外資、導入を仰ぐ、或いは愛知用水の問題、或いは電源開発の問題、この間開発銀行の副総裁ガーナー氏が来られたときも、外資導入について御懇談があつたと思う。ガーナー氏とどういうようなお話合いがあつたか。外資導入の見通しについてはどうか。それから日本のこれからの経済政策との裏付としての外資というものをどう考えるか。もう見込がないなら、外資依存の政策をやめて、日本経済自体で自立して行く政策をここではつきり切替えて立てなければならんと思う。そうでなければ日本の経済は常に不安である。外資が入るのを待つてやる、而も又アメリカの特需によつて依存する、そうすると特需が少いなら日本経済は成立つて行かない。非常に不安定です。それでそういう形ですから、結局独立国であるがごとくないがごとく、植民地であるがごとくないがごとく、こういう変態的な基地経済みたいな妙な経済になつている。それの一番の特徴は不安定ということです。日本の経済が不安定ということ。非常に乏しいというだけならまだいいのです。而も不安定なんです。外資に依存してそれが来ない。特需に依存するが、いつ削られるかわからない。こういう根本的な問題があると思うのですが、どういうふうに大蔵大臣はお考えか。ガーナー氏との御交渉の内容も差支えなければお話願いたい。
  119. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) ガーナ一世界銀行副総裁との話は、別に秘密なことは何もございません。向うは当り前のことを言つておりまして、金を貸すのならそれが返つて来るようでなければ金は貸したくない、それから貸した金が有効に活用されるものでなければ貸したくない、従つてその使う目的が有利なものであることを条件とする、そういうふうなことを主として言いまして、そうしてやはり日本が割合に金使いが荒いように思うとか、それから事業の重要性を考えて重点的に一つ一つ事業で実行に移すのがいい、皆一どきにやつたらばどれもこれもできないで、どれもこれも国がインフレーシヨンを起すに違いないから、それはいけない、そういうようなことを言いまして、金を出す、出さないとも申しませんが、出すということも確言せずに帰つてつたのであります。考え方は非常に好意的に私は考えて別れました。それからほかの問題は何でございましたか。
  120. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外資導入が前提になつている……、
  121. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 外資導入が全然ないということは無論私は考えていませんが、併しこれは多くを望めないだけは確かだろうと思います。なぜといいますと、国家的に政治上金を出すなら別ですが、銀行にしても会社にしても、金を入れる以上は、アメリカで金を入れるよりは割合にいい条件でなければ外国へ出るのはいやだ。それは申すまでもなく資本というものは臆病なものだそうです。なかなか大胆に出て来ない。そうしますと、今あなたのおつしやるように、国が不安である、そういう国へ金を入れる以上はやつぱりそういう有利な条件でなければ入りにくいのは止むを得ないと思いますが、さてこちらで以てこれが有利という事業を捜して、そうして向うに金を貸さないかと言うとしますと、今これが有利という業態を捜すのにも相当困難を感ずる。そうしますと相当先のことを考えて有利か有利でないかを判断するとしますと、今いい仕事でも数年後にはどうかというふうな不安を持つて来る。ですから大きな命は望めないと思うが、或る程度までは金を入れてくれるというふうに私は思います。そこで裏付けの点ですが、そういうのを裏付けにして大きな仕事を起すということは、これはむしろ無謀なことで、やはり入るものが確実なものであつて、その裏付けがあつて仕事を始めるべきもので、入るかも知れないからといつて大きな仕事を始めることは禁物だと存じております。
  122. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一番最初に御質問したんですが、まだお答えがないんですが、今の日本の景気の実態ですね。私はこの不景気は一時的なものではないと思います。その原因がやはり貿易の減少ということも非常に基本になつて、簡単にこれは解決つかないというわけですが、最近では非常に深刻になつて来ております。それで大体今年の上半期はこの操業短縮とか、或いは融資とか、そういうので一応この下降を食いとめて来ましたが、下期においてはそういう支柱がなくなつたので相当深刻になる。或いは来年三月危機があるということを又言出す向も現われた。小笠原通産大臣にこの前貿易の前途を伺つたときに、来年の下期には輸出が殖えるであろう、こういう見通しを言われましたが、世界的な常識では、来年の下期においてはアメリカの景気が悪くなるだろうと言われる。アメリカの景気は来年下期は、最高とは言いません、一九二九年の恐慌よりはひどくはないであろうけれども、一九四九年ぐらいの恐慌みたいな不景気が来るであろうというわけで、それならば輸出が殖えるどころではありません。従つて今の景気をどうお考えになるか。そうして今後の景気の見通しです。見通し見通しと言いますけれども、占いじやないから私はこれは答えられないと総理は言われましたけれども、経済を考えられるこの民間人の向井大蔵大臣は、当然見通しを立てなければ商売はできないのですから、そういう意味でこの景気の問題について根本的にどういうふうに考え、どうしたらいいか、この構想を一つ伺いたい。
  123. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 景気をよくしようということを、人為的にやりますことはむしろ害のあることでございますが、景気の悪い、その悪いために起る現象のうちの一部を、金融とか、或いはその他の方法で被害を少くし、或いは苦しみを軽くして行くということは必要と存じます。これはそれぞれの事ごとに、事実によつて施策を講じるべきものと存じます。明年になりまして景気が果してよくなりますかということは、私は自信を持たないんでございますが、それを救う途をあらかじめ考えておくことも必要でしようが、これは業態々々で見て行かなければいけない。それで実際に即したことを余り時をとらないように手を打つということが不景気対策としては必要だろうと思います。
  124. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 不景気対策としては、基本的には第一に、できれば貿易規模の拡大、それから第二には、国内における国内市場の拡大といいますか、いわゆる有効需要を喚起する、それと関連して来年度も大蔵大臣は減税ということをお考えかどうか、来年度も。
  125. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 来年度はこの所得税の減税ということは或いはできないかと思つておりますが、そのほかのところで税を減らして、仕事のしいいようにするということは考慮いたしたいと思います。
  126. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どういう税ですか。
  127. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 税収が減つて仕事がうまく行くというふうな税ですね。
  128. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 法人税でしよう、それは。
  129. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 法人税は無理かと思うんですが、法人税、所得税の減税ということは今ちよつとむずかしいと思います。そのほかの税です。
  130. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣に最後の質問ですが、今後の財政投資ですね、二十七年度補正予算一つの特徴は、財政投資が非常に殖えた、過去のやはり蓄積を使い尽した、八百八十億の一応散超という計算になつておる。私は二十八年度予算においても、この財政投資が相当大きなウエイトになり、これは二十八年度予算の大きな特徴になつて行くと思うのです。ところがこの財政資金ですね、資金のほうは相当枯渇して来ていると思います。そこで開発銀行、或いは資金運用部等で持つておる国債を販売して、そうして資金を捻出しなければならない状態になつて来ると思います。インベントリーも、食管会計に過去にやつたものも、これも使い始めるということになつて来るのじやないかと思います。そうすると不景気はまあ一応続いて行く。或いはひどくなるかも知れない、他方においてこの財政投資の上からそのインフレ的な傾向が出て来るのじやないか、かように私には思われる。その財政投資も長期間固定資本のほうに投入される、そういう点はインフレ要因になつて行く傾向が私は出て来るのじやないかと思うんですが、大蔵大臣はどうお考えですか。
  131. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 今後の予算においてインフレ要因は相当にあると思いますが、これを厳重に警戒して行きたいと考えております。
  132. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだ大蔵大臣にはお伺いしたいことがあるのですが、時間がございませんので、次に通産大臣にお伺いいたしたいと思います。政府は今後の五カ年の見通し作業というものをやられ額して、一応資料を我々に配付して頂きましたが、この五カ年の見通し作業、これを小笠原通産大臣は生産拡充計画というようなふうにも言われましたが、これはどういう前提に基いてこういう作業をされたか、この前提条件がいろいろあるはずでしよう。三十二年までの見通し作業を行うその重要な前提条件についてお伺いいたしたいと思います。
  133. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) あの三十二年度に対する見通しは、御承知のように電源開発に関してガーナー氏のほうで、一応こちらの大体のラフな考えでいいから聞きたいということでありましたので、まあ一現在におけるいろいろな諸情勢を勘案しまして、大体電源を開発して、そうして基幹産業その他に対する影響等を考慮し、そうしてまあ経済界の一般状況は来年は、たとえ今お話のように下期が木村さんのお話では悪くなると言われ、又私どもそういう説を聞くが、同様に又よくなるという説も聞くのであつて、これは見解の相違ですが、大体同じような情勢で、それから日本の鉱工業生産なり、その他のものが同様に行われて行くというふうに見ており、それから物価などについても同様な考え方をし、又日本国民所得等についてはベースアツプその他によつて多少増加しておるもの等を織込み、そうしたいろいろなものを織込んで一応考慮したのが三十二年までの五カ年の見通しであります。主としては動力の関係、電源開発でどういう影響があろうかということを主たる狙いとしたものであります。
  134. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この動力関係五百三十億キロワツトですか、これは電源開発促進法を出されるときの計画よりも大きくなつているようですが、それとの比較は如何ですか。
  135. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 実は私は前の数字をよく存じませんが、あの数字は只今五カ年間にあれだけを投資すればこれだけの動力ができる、それをこういう産業に向ければというような工合から出したものであります。或いはそれ以前の数字は私たちは記憶しておりませんから、多少殖えているか、減つているかその辺はここでちよつとお答えいたしかねます。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この五カ年の見通し作業は大体動力を中心にしての作業と言われましたが、そんな簡単なものでガーナー氏が金を貸すはずがないと思います。もつと基本的な操作があるはずです。基本的な前提条件があると思う、三十二年までの……。例えば貿易についても問題があると思います。一体東南アジアとの貿易はどうか、中共貿易の見通しはどうなつておるか、三十二年までにこのままのような中共貿易が続いて行くと見ておるのか。或いは朝鮮動乱の成り行き、或いは又防衛生産態勢をどういうふうに考えるか、こういう主要な前提条件があるはずです。そういうことを私は伺つているのであります。もう少し詳細にここで承わりたい。
  137. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) お話としてはそういうことが言えますが、それでは朝鮮動乱の見通しはどうかということは何人も、ここに神様以外に私は即答し得る者はないと思います。それから貿易の趨勢はどうなるか、五年間先を見通し得る人は、現在日本には余りたくさんないと思います。従いまして大体の現状を基礎としつつ、併し電源がこういうふうに開発すればこうなるだろう、従つて国民所得もこうなつて行くだろう、何もこうなつて行くだろうということで、お手許に差上げましたものでも、それは鉱工業生産は大体一二〇ぐらいになる、国民所得も二割ぐらい増加する、或いは貿易関係もそれで大体五カ年後にオリジナリー・ビジネスと言いますか、普通の貿易で収支はとんとんまで行く、こういうような見通しを立てておるのでありまして、今木村さんが言われたように、木村さんでも……、一つ一つこれに明確な判断を下し得る人は、私は率直に言つて余りたくさんはあるまいと、私は正直に言うとそう考えております。
  138. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私が実は明らかにしたい点は、この貿易規模を見ますと、三十二年に大体輸出が十四億ドルぐらいと見ておるのです。輸出十四億ドルぐらいというと、昨年度の輸出と同じぐらいです。一これは物価の下落も勿論ありますが、併し三十二年までのことを見れば、世界物価にも影響があるでしよう。それからすると貿易規模は昨年度と大体同じ、ところが生産規模は非常に大きくなつているのです。而もその中で機械、化学、金属、こういう点が非常に拡大されることになつているのです。それでどうもこの見通し作業を見ますと、この中では軍需生産というものは、相当なウエイトを持つような見通しになつている。ここを私は伺いたい。それで防衛生産、兵器生産、そういうものをどの程度までに織込んでおるのか。それから物価騰貴というものを一体どう見ておるのか、これは又むずかしい問題になりますから、それは一応外してよろしうございます。その点どういうふうに織込んでおりますか、防衛生産は……。
  139. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 防衛生産につきましては、今後の日米協力の線がどうなるかということによりまして額も違うでございましよう。従つて将来の見通しとしては、一応これまで受けておる注文を主としたもので、まあ今日のごとき防衛生産の九割九分は外国の注文であります。従いましてそれを基礎として計算をいたしておる次第であります。
  140. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、この見通し作業に現れた生産計画は私大き過ぎると思う。この金属、機械その他特需を大体現状程度に見てこの作業をしたとすれば、日本の国内の再軍備のために兵器生産というものが織込まれていなければ、これだけ多くする必要はないのです。ですから政府が如何に再軍備しないないと言つても、この五カ年作業に現れたところには、日本の再軍備を前提とする兵器生産というものがここに織込まれている。これは数字的に出て来る。而もその前提としてはいろいろありますが、産業設備投資は、電力、船舶、兵器、航空機、チタン、マグネシユーム等、兵器資材産業及び合成繊維等の拡充と鉄鋼業、機械工業等の設備の近代化に重点を置く、こういう前提になつているというふうに一流新聞には出ております。従つてアメリカの特需だけの兵器生産ではない。プラス今後の日本の再軍備のための基礎としての兵器生産、そのための基礎産業の育成ということがここに出ておる。大蔵大臣の言われる今後の財政投資というものも、全部がそうではないでありましようが、そういうところに私は重点が置かれているのではないか。兵器生産の基礎となる基礎産業の育成、それに対する財政投資、全部とは言いませんが、相当大きなウエイトを持つて来る。そうしますと、如何に総理が再軍備はやらんらんと言つても、日本の大きな政策の方向は、再軍備の方向に向いていると言わざるを得ません。日本の経済の一番の基礎になる日本の経済の軍需的再編成がこの五カ年見通し作業の中に出ている、こういうふうに私は言わざるを得ない。その点若しそうじやないと言うのなら、それを具体的に私は反撥して頂きたいのですけれども、この点如何ですか。
  141. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今受けておる特需を基礎としておりますが、国内においての兵器生産等は一切見込んでありません。
  142. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは特需がなくなつたら、それを振替えるという形でも又問題がありますが、それにしても今私は時間がありませんからくどく申しませんが、その前提になつた基礎数字をちやんと御覧になればそうなるのです。若しそうでなければ、経済審議庁長官として私は御覧になつておらないのじやないか、数字をちやんと……。そんなはずはありません。電力計画でも、今度は非常に多くなつている。それは将来の再軍備のための基礎としての基礎産業を育成するという点が織込まれている。なぜ公務員の給与ベースを人事院勧告通り上げないか。なぜ裁定を裁定通り呑まないか。なぜ減税を徹底的にやらないのか。それは将来そういうふうなことのための諸経費をここに取つて行く、そういう政策が五カ年見通し作業に出ている。若しそういう政策をとらないとすれば、私は政府はおかしいと思う。今後の政府の政策如何と質問したけれども、はつきり答弁しませんが、ちやんと五カ年作業に政府の政策の方向というものが出ているのであつて、今後はそれの応用問題です。原則は出ている。それと政府が再軍備しないないということとは矛盾している。なぜ平和産業に切換えるような政策をとつていかないか、これを私は問題にしているのですが、これはもう水掛論になりますから……。ただ私はこの計画の中に非常に気にかかりますのは、雇用計画です。雇用計画において見ますと、三十二年には約百八十万くらい失業者が出るということです。それから炭鉱においては、中小炭鉱が整理されている、こういう方向になつている、中小関係は……。こういう重要な問題が出て来るのです。併し一応これはこの通りに行くのではないでありましようから、大体の目標でありますけれども、これをこの通りつて行くのにはいろいろな重大な問題が起つて来る。この雇用計画と炭鉱における中小炭鉱の整理の問題、この点をどういうように御解釈なさつておられますか。
  143. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) どこで御入手になつ資料か存じませんが、私どもはさような案を立てたことはありません。
  144. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは断片的には新聞に出ております。私は断片的にそういう数学をいろいろ新聞などを整理して……、政府の五カ年作業というものがこれは相当出ているのですよ、新聞などにも、或いは業界誌とか或いは又レポートみたいなものに出ているところがある。ですから、その点は如何に通産大臣は、或いは審議庁長官としてお知りにならんと言つても、世間に出ているのですから私は心配するわけです。これはお見にならないのならいたし方ありませんが、併し大体の政策の方向は、小笠原通産大臣が知ると知らずとにかかわらず、そういう方向に向いている。それで小笠原通産大臣もそういう方向に引つ張つて行かれるであろう、こういうふうにどうも思わざるを得ません。甚だ通産大臣の御答弁が、内容をよく御存じないようですから、御質問しても無理でありますから、この程度にとどめますが、ただ最後に通産大臣にお伺いしたいのは独占禁止法の緩和の問題、それから武器等製造法、それから艦艇、軍艦、こういうものの製造法というものをこの国会にお出しになるように新聞に出ております。今のこの実情はどうなつておりますか、お伺いいたします。
  145. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今の武器等製造法はこの国会へ出してございまして、これらが今全然政府の監督或いは統制等ができる面に至つておりません。然るところいわゆる海外からの注文に対して無用な競争、出血等もありますので、こういつたこと等、又各種のことを考慮しまして、相当無用な競争を防ぎ、又国内保安のためにもそういつたことを或る程度監督することが必要であろうということで、今国会に武器等製造法というものをお出しいたしております。  艦艇については全然承知いたしておりません。  それから独禁法につきましては現在の独禁法中実情に合わん分も相当あるかと思われますので、目下関係当局のほうで何らかの改正をすべきかどうかという事柄について、又改正するとすればどういう方向へ持つて行くかということにつきまして検討中でございます。
  146. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうもこれから出て参る独禁法の緩和とか、兵器製造に関する法律とか、そういうものをだんだん見ますと、私のひがみかも知れませんが、やはりこれからの日本の兵器生産をやる上にこういうものを緩和しなければ都合が悪いと、こういうふうに解釈される、それは一応別といたしまして、最後に通産大臣は中共貿易をどういうふうにお考えですか、その点を伺いたい。
  147. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 木村さんも御承知のように戦前に輸出入でたしか一九%、二〇%くらいを占めておつて相当重要な位置を占めております。ところが昨今それが一%をいずれも割つておるような状況で、従つてこれが日本の貿易に相当影響しておることはこれは仰せの通りだと思います。併しながら日本としては、過日来外務大臣がしばしば答弁された通り、朝鮮でああいう事件が起つておるときに、国連協力の線に沿つて日本がやつて行くということは、これは当然のことでございまするし、且つ又例えば船舶の問題とか、向うへ出入りする問題とか、こういつた問題も甚だ不自由でありますることは、これは木村さん御承知の通り、更に又向うとしては今日決済すべきドルもポンドも持つておりませんので、それらのことがひいてイギリスの商社が、中共政府を認めながらも全部引揚げたのは、そういうところから来ておるのでありますので、かたがた私のほうとしては、現在なし得るところとしては、外務大臣の言葉でいえば足並を揃えてと、つまり少しこちらのほうが足並が揃わん、バトル法よりも何といいますか、日本が不利なものを受取る危険があるとすれば、そういう不利な取扱を受けんように持つて参りたいと考えております。私どもは率直に申しますと、現在の段階ではそう中共貿易に多くを期待していないのじやないか、従つて今後日本が一番手近かなところにあつて、そういう方面によその国よりも深い関係を持つてつたのだから、だんだんとそれらの理解を求めつつ中共貿易を進めて行くことはよろしいと考えますけれども、決済方法その他についての十分な見通しが立たないし又いわゆる国連のほうの各国の了解を得ませんと、ひとりではやりにくいことでございまするので、こういつたことはやはりよその国と足並を揃えてやつて参る、こういうこと以外に差当りのところはいたし方がないかと考えておる次第でございます。
  148. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外務大臣がお見えですが、ココムの活動については、これから日本の大使も向うへ行くのでしようが、これはどういうふうに御努力されるおつもりですか、中共貿易とココムとの関係について。
  149. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) おつしやるのは欧洲における各国との間の輸出に関する協定の会議だと思いますが、これは日本も入つております。そこでパリでも話合いをいたしまするし、又主なる国の首都でも個別の話合いをいたす、というのは各国においていろいろやり方の違う点もありまするので、そういう点はその国に行つて調べないと私はつきりわからないと思いますが、要するに今通産大臣が言われましたように足並を揃えるという意味でずつと話はしておりますが、今後もやるつもりでおります。これは相当仕事としては忙がしいことでありまして、非常に詳細なことまで話合いをして行かなければならんし、時間もなかなかかかるように考えます。
  150. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでやはり枠が拡大するという点について努力されるのですか。
  151. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 必ずしもそうではありません。ただ何といいますか、軍需品と一口にいいますけれども、こういう総力戦のような形になりますと、範囲が非常に明確を欠いて来ております。例えば食糧などはどうかということになると、これも考えようによつてどつちにもとれる、或いは或る工場のものを、その工場自体の生産品は何も戦略物資でないから、その機械類を送るということは差支えないようでありますが、その機械類を送るとそれを今までそこに使つておつた工場が他の軍需生産に転換できるというような恰好のこともありますから、なかなかこれは複雑でありまして、各国でも見方が違うと思います。縮小されるものもあり、場合によつて拡大されるものもある。要するに凸凹を調節するということになりますから、これは必ずしも拡大というわけでもないと思います。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に木村保安庁長官にお伺いいたしたいのでありますが、私はこういう観点から一つお尋ねいたしたいのです。それは最近駐留軍のほうの農地の接収とかそういうものがあるわけです。それと並んでやはり保安隊の農地の接収等もあるわけです。それでこれは農林省のいろんな食糧政策、開拓計画とも一つの矛盾が出て来るのじやないかと私は思うのですが、それと関連して一体保安隊はどうして今提案になつておるような大演習場、ああいうものを必要とするか、その根拠が私は先ずお伺いいたしたいのです。具体的には例えば今提案になつておりますのは、北海道の上富良野の千二百万坪、それから白河の布引山の千五百万坪、福島県の信夫惣八郎原の六百万坪、それから同じく福島県の安達郡の赤木平の三百六十万坪、更に福岡で久留米の高良台の二百十万坪、どうしてこんなに大きな演習場が必要なのであるか、この点について先ずお伺いしたいと思います。
  153. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今木村君の御質問、誠に御尤もだと思います。差当りの点といたしまして、我々は大きな騒擾事件その他叛乱事件は今すぐには起るとは考えておりません。併し各国にも例のあることであります。そういうようなときを予想いたしまして、ふだんから隊員に相当の訓練をすることが必要であるのであります。その意味において各地に分散的に訓練をすべき場所を我々は設定いたしたい、こう考えております。
  154. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これだけの大きな坪数の演習場を必要とする場合には、一体どういうような武器をお使いになつて演習するのですか。
  155. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 大体においてそういう大きな演習地を以て訓練するには、いわゆるトラツク或いは特車、平たく申しますれば軽戦車であります。そういうようなものの訓練には是非相当な地域を必要とするのであります。
  156. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうも私どもはつきりしない点があるのですが、保安隊は国内治安に当る、国内治安に当るそういう組織として二つあるわけです、警察というものと保安隊。それで私はこれは木村長官は法律家でございますから法律的に一つ伺いたいのですが、法律的に警察の任務とする国内治安というものと、それから保安庁法に現れておる国内治安というものは、法律的にどういうように違うのか、それを御説明願いたい。
  157. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 申上げます。普通の警察は、これ又国内の平和及び秩序の維持に当ることはもとよりであります。併し御承知の通り警察法にも規定されておりまするごとく主として刑事警察であります。被疑者の捜査逮捕というようなことを主としてやるのであります。ところが保安隊におきましては、保安庁法によつて規定されておるごとく、要するに日本の国内の平和と秩序を維持し、人命財産を保護するために、特に必要ある場合これは出動するのであります。警察の力の及ばざる大きな事態が生じた場合に、これは初めて出動するのであります。そこにはつきりと区別がされるのであります。
  158. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今そういう御説明がありましたけれども、条文によつて見ますと、そういうふうなはつきりした区別がどうもできない。例えば警察法の第一条によりますと、「警察は、国民の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ることを以てその責務とする。」、保安庁法のほうを見ますと、第四条、「保安庁は、わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動する部隊を管理し、運営し、及びこれに関する事務を行い、あわせて海上における警備救難の事務を行うことを任務とする。」とございます。併し本質的にはやはり日本の治安の維持、人命、財産の保護というところにあると思います。特別の必要あるという場合にはその人命、財産の保護の方法が異なつて来るのであつて、その任務自体は同じじやないか、任務自体は私は異ならないと思うのですが、その点如何ですか。
  159. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今仰せの通り、もとよりそうであります。警察も国内の治安を維持することを主とした目的としております。保安隊においてもそうであります。併しそこに警察力を以てすることは到底及ばざる事態が生じた場合に初めて保安隊が出動するということは保安庁法六十一条或いは六十四条でありますか、これを御覧下されば極めて明瞭であります。その使命はおのずから異なつておるのであります。
  160. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その根本の目的はまあ同じである。ただそれを治安の内容治安が乱れた場合にその内容如何、そういうものによつてつて来ますが、保安隊の持つ武器、或いはその装備というものは、やはり人命財産を保護する、そういう目的のために持つべきものではないでしようか。
  161. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 仰せの通りもとよりそうであります。ただ今申上げまする通り、警察は日常のいわゆる刑事事犯、主として国内の治安及び人命財産を保護することを主たる目的としておるのであります。保安隊はしばしば申上げます通り、警察力を以てしては到底それを制禦することのできないような大きな事態のときに発動するのであります。おのずからそこに持つべき武器の性質も異なつて来るのであります。
  162. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 人命財産を保護する目的は同じであるが、任務の遂行に必要な武器が違つて来るということを伺つたのですが、ところで保安庁法六十九条を見ますと、大体武器の使用については警察官等職務執行法によつてその規定を準用する、そういうことになつておる、それでよろしいのですか。
  163. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そうであります。
  164. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、警察的なやはり任務ということが主であるのに、どうして任務の遂行上に必要な武器として警察官が持つている以上の高度の武器を持たなければならんのか、そのためにそういう武器を持つて訓練するためにどうしてそんなに大きな土地を用いなければならんのか、その点を伺いたい。
  165. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今申上げました通り、警察力を以てしては到底制圧することができないような大きな非常事態に備えるために保安隊が出動するのであります。この間において所持すべき武器はおのずから差異があるのであります。
  166. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大きな非常事態のときもやはり人命財産を保護するということが建前であれば、相手の使用する武器によつて大体規制されるのではないか。大体国内治安のために必要な限度を越えた高度の武器を持つことは不経済でもあるし、併しそれは又非常に何となく国民に威圧を加えてよくないと思うのです。大体予想される場合、どうしてバズーカ砲とか或いは軽戦車とか、そういうものを用いなければ鎮圧できないような国内の治安の乱れというものは具体的にどうして考えられますか。どういうことが予想されてそんなに高度の警察官以上の武器を持たなければならないか。具体的にその点を伺いたい。
  167. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは木村君も最近の国際情勢なんかを十分御承知の通りと思うのであります。普通の内地の治安を維持するためには今の警察力を以つても或いは十分と言えるかも知れません。御承知の通り外国の教唆扇動によつて何どき大きな事態が生ずるかわかりません。朝鮮事変のごとき或いはスペインにおいても、各国においていろいろ例があるのであります。我々といたしましては万一の事態を予想いたしまして国民の不安を一掃する、又将来さような事態があつたときに対処するために平素から措置をとることは当然のことと考えております。
  168. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外国の軍隊が日本に入つて来る以外に国内自体においてそんなに高度の武器を必要とするような国内治安が一体予想できましようか。只今の木村長官のお答えは恐らく外国軍隊が侵入することを言われるのではないかと思いますが、そうではないのですか。
  169. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私の申したのはさようではありません。必ずしも外国から侵入したことを予想しておるのではありません。外国のいわゆる教唆扇動によりまして内地において大きな騒擾事件或いは叛乱事件が生じた場合がないとも考えられません。我々はさような場合を予想してこれに対処する必要があると考えます。
  170. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが非常に重要でして、ただ徒らに神経質になつて、実際に必要である以上の武器を持つことは、そうして又その武器を持つて訓練をするために、広汎な土地を接収しなければならんということは、国家経済上にも非常に不経済ですし、なんか妄想にかられて、恐怖心にかられて、国内の実際問題としてはそんなことは起り得ない。国内で大砲を持つている暴徒がいると言うなら別問題ですが、そういうことが一体想像がつきましようか。この点具体的に私は外国の軍隊が入つて来る以外に、国内にそういうことをどうして想像されるのか、どうも理解に苦しむのです。
  171. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はさようには考えておりません。外国の軍人が不法に侵入して来るということもありましようし、そういう場合を考えていないのです。この武器の輸送ということは、ひそかにやられるのであります。これは、御承知の通り日本の海岸線は八千カイリくらいあります。而も私は常に言つているのでありますが、終戦以来この海岸線は空白状態になつているのです。戦前、戦時中におきましては二百五十隻乃至二百隻の艦艇を以てこの海岸を警備しておるのであります。現在においては全く空白状態になつております。たくさんの密輸入がないとも限らない。これは私はそういう場合を考えてみますると、相当日本も私は考えなくちやならんときじやないか、こう考えておる次第でございます。
  172. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 具体的には私どうも納得行かないのですが、これ以上同じ問題を質問しましても堂々めぐりになりますから、質問することをとどめることにいたします。併しどうも、私は警察と保安隊と二つの国内治安の機構があつて、それでどちらも実は大綱においては同じ任務を目的としているのですが、同じ任務なんです。国内治安に非常な高度の兵器を使うということを、それだけならまだしも、それがために不当な、多くの農地を接収しなければならん。この農地の数なんかは、これは私農林省のほうから資料を提供してもらいましたけれども農林省は開拓政策とか、食糧政策の見地から、一体この問題をどういうふうにお考えですか。具体的にもつと研究すべきです。現在こんなに必要でないのに、こんな高度の兵器が必要でないのに、非常にたくさんの農地を現在接収してしまうことは、これは、非常に不生産的だと思う。従つて、今具体的に明渡し中であるというものをもつとはつきり検討して、今そんなに必要でないのに、将来、非常に将来だと思う。それを今耕地をたくさん接収して、開拓者が、折角入つた開拓地を今接収してしまうということは、必要以上に接収するということは、国家経済上不利だと思うのですが、農林省の関係のかたおりましたら、どうぞその点どうお考えになるか。
  173. 松浦東介

    政府委員(松浦東介君) 農林省の立場としましては、今お話にありましたように、農林省では食糧増産第一主義でございますから、一坪の土地も或いは又開拓地も非常にこれは惜しいのであります。でありますから、極力これを避ける方針で参つております。ただ保安庁の関係で、やむにやまれない、例えば営舎を造るとか、或いは射撃場或いは演習地、そういうように、やむにやまれない場所の要求がありました場合には、これは申出があつた場合は保安庁と協議をして、その調査をした上で応ずると、こういうことになつておるのでありまして、先ほど申上げましたように、開拓地につきましても、又農地につきましても、これは非常に極力避ける方針であるということは申上げるまでもございません。
  174. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 管区ごとに非常に大きな大演習場を予定しておりますが、増原長官が前に仙台において出張の際発表しておるのですが一大演習場として七カ所、二万八千町歩、中演習場として十五カ所二万五千町歩、小演習場は六十カ所一万五千町歩、合計六万八千町歩、こういうような宏大な大演習場を必要とするというように談話として発表したのです。それは増原長官の……、木村長官はどういう御構想をお持ちになつておるか。
  175. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は詳細なことはわかりませんが、増原長官が言えばそれは真実であろうと思います。併しながら、今の開拓農地との関係、私は農地も大事にしなくちやなりません。農民に不便をかけては相済まんと考えております。それらの点につきましては、できるだけ農地を使用しないように迷惑をかけないように、一つ処置して行きたいと、こういう方針で私は考えております。
  176. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この根本の立場としては、私は国内治安機構に二つの、二重制度があるということには反対であります。なぜ警察力というものを拡充してそれで足りないのか、やはり再軍備との睨み合いがあるからそうなると思う、木村長官はそんなことはないと言われても、私はどうもそういうように解釈できますから、立場が違うので、この点は結論が出ないのでありましようが、併し現実の問題、実際問題としては、現在必要である以上に私はその農地を接収することについては厳重に、十分にこれは立場を離れて、一つ考慮願いたい。それでなければ農民諸君に非常に悪影響を及ぼします。根本的には我々政党は微力で、今ここで根本的な政策を変えるわけには参りません。併し現実の問題としては十分にある。  それからその次に伺いたいのですが、兵器をアメリカから貸与されておることについては、どうしてあの戦艦と同じように協定を結んで、これを国会に提出されませんか。どうして出さないのか。
  177. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この性格につきましては、アメリカの八十二議会、本年の七月八日であります、特別のアクトであります。大統領が承認されて、これを一つの契約として締結したものであります。保安隊の用いておりまする武器もアメリカでは国会の承認を経てございません。ただ一種の行政命令によつてつておるのであります。実際の取扱といたしましては、各駐屯地に駐在する極東軍のほかにおいて、これから保安隊のほうで臨時に借入れておるという形をとつておるのであります。アメリカのほうでも別にこれを契約化するというような意思はないのであります。而もこれは無償で貸してもらつておるのであります。我々としては保安庁法の第六条四号の調達行為として便宜これを借入れておるという次第であります。
  178. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 無償と言いましても、貸借関係であることは事実であります。そうしますと、やはりこれは国の貸借関係である以上、債権債務の関係が生ずるのであつて、それで而もそれを破損したような場合には補償しなければならんと思う。借りたものである以上は。そうなればどうしても予算との関係も出て来ると思う。それで行政協定なんか見ますと、アメリカでは国会の承認を必要としなくても、日本においては行政協定実施に伴う法律案が必要になつて来ておる、そういう意味で、ギフトでない以上、贈与でない以上は、やはりどうしても国会として債権債務の関係がありますから、国会にお出しにならなければこれは不合理じやないか、財政負担との問題もすぐにではなくても、これは出て来ると思う、そうしませんと、これは財政法違反にも私はなると思います。この点はどうしても私は出されるべきではないか、なぜこれが出されないのか、その点もう一度伺いたい。
  179. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今申上げましたように、アメリカのほうでもこれを一つの行政命令でやつてつて、契約とすることを別に希望いたしておりません。且つこれは無償でありますると同時に、損傷その他の補償の点については何らの条件はないのであります。国家負担行為は伴わないので、これで我々は差支えないと、こう考えておる次第であります。
  180. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますとこれまで我々聞いておつたのと非常に違うのですが、例えば損傷した場合、なくした場合、そういうような場合には全然これは賠償しなくてよろしい、こういうことになつておるのですか。
  181. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは条件は何もついておりません。
  182. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 条件がつかないということはあれですが、貸借である以上原型で返えすときは原型で返さなくちやならん……。
  183. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知の通りこの船舶貸与協定では今度国会で審議されておりますもの、これについては明白に原状において期限が到来したときには返すということになつており、本件の武器につきましては何らの条件はついていないのであります。
  184. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は法律専門家じやありませんから専門家の意見であると何ですが……、貸借関係でそういう何ら条件がない。損害を与えた場合に原型に復さなくていいという貸借関係はあるわけですか。
  185. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 確かに法律的見地からあり得ることであります。
  186. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからもう一つお尋ねしたいのですが、この保安隊の使用している武器問題ですが、あれはこの際ですね、どういう内容のものであるかお示しを願えないかどうか。それからその前に一つお伺いしておきたいことがあるのです。これは岡崎外務大臣にお伺いしたいのですが、行政協定に関連して鉄道運賃の問題です。これは運輸委員会でも我が党の鈴木委員質問しておるのです。これは鉄道運賃は国内においては運賃を変えるときは国会の承認がいるわけです。ところで駐留軍との運賃協定をやる場合、国内の運賃よりも安い運賃を向うからもらうような特別の協定がある場合には当然これは何らか特別措置が必要であると思うのです。ところが何らかの立法措置がなされていない。この点は私は明かに違法ではないかと思うのですが、この点は如何ですか。
  187. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 行政協定では大体この政府機関と同様の取扱いということに考えておりますが、この場合でも法律が要るかどうか、それは私は法律家でないので非常に正確にはここでお答えできません。更に研究して申上げます。
  188. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは行政協定の二十七条に、最後に、そういうときには立法を必要とすると書いてあるのです。ですから日本国とアメリカ合衆国との安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う特別措置法というのがたくさん出ておるわけです。それは行政協定二十七条に基いて行政協定を実施に移す場合には国の予算上の問題に関連するとき、これは特別立法を必要とする、国内立法をして国会の承認を必要とする、両方でやるということになつておるのです二十七条で。それをどうしたことか鉄道運賃については怠つておるのです。ですから電信電話料金等の法律については出ております特別措置法が……。ところが鉄道運賃については出ていない。これは明かに、私は行政協定実施に伴つてこれは違法じやないか。運賃は御承知のように改正のときには国会の承認が要るのです。それを普通運賃よりも安く国家機関と同じ性質でこれを使用を許すということになれば、どうしたつてこれは法律が必要だと思うのですが、この承認が求められておらないのです。これは私は何か手抜かりではないかと思うのですが、十分御研究を願いたいと思う。運輸大臣はどういうお考えですか。
  189. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 駐留軍の鉄道運賃でございますが、これは日本の規定によりますところの普通運賃を徴収いたしております。駐留軍との協定は価格の後払いの協定でございまして、特に貨物におきましては、いろいろ取扱い上の便宜等によりまして実際の駐留軍の輸送の実績によりましてこの平均運賃を取るということでありまして、これは全く便宜上に出ておるのでございます。三級品と四級品どの間相当高い運賃を取つておりまするが、これは実際の輸送の実態を調べまして、その実績に基きましてその平均運賃を取つておるのでございます。
  190. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはどうもおかしいですねその御答弁は……。それならなぜ行政協定においては日本の公共事業については日本政府機関と同等な取扱いをすると、こういう協定があるのです。それだのに高い運賃を取つているというのはおかしいと思うのです。実際電信電話料金についてははつきり法律案が出て来ているのですから、それで実情は私ははつきりしてもらわなければなりません。それで政府機関においてはどういう料金を徴収をしているか、これもまあ明かにして頂きたいのですが、それにしても一般民間よりも低いと思う。電力でも或いはガスとか水道その他電信、電話、それは政府は一般民間より安いと思うのです。それに準ずるということだと思う。それでなければああいう協定をやる必要はないと思う。もう少し実態をお知らせ願いたい。
  191. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 只今私の説明で若干足りなかつたようでございまするが、日本の諸官庁並みの運賃でございまして、これは日本の国鉄の例えば団体に関する料金その他日本の特別の料金をそのまま取つておるわけでございまして、只今貨物について高い運賃を取つておると申しますのは決して高い運賃じやございません。日本の貨物と同じ運賃でございまして、個々の輸送の場合に個々の貨物によりますところの運賃を坂つておるのと実際は変りないのでございまするが、実際の駅における取扱いその他いろいろ便宜上実績によりましたところの平均運賃、一本運賃を取つておる。その運賃が三級品と四級品との間、これは日本の一般の輸送に比べて、勿論駐留軍の輸送の品目から見まして平均より高くなつておりまするが、これは賃率を高く取つておるという意味ではなくして、駐留軍の輸送しておる物資が比較的高い物資を運んでおる、従いまして個々の品物を調べましたところが三級品と四級品との間の賃率が平均賃率になつておるわけでございます。その賃率によりまして便宜とつておる、かような実態でございます。
  192. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は資料を要求いたしまして終りにいたします。只今の御説明では、まだよく実情は私わかりませんから納得いたしません。そこで駐留軍から徴収して、その鉄道運賃、貨物旅客等の運賃については、実は一般民間の運賃との比較、普通の我々日本人の運賃との比較、貨物、旅客運賃、それから官庁に対して適用する旅客、貨物運賃の比較、これを具体的に何らかのケースによつてその運賃、例えば比較的高い運賃のものを運んでいるといつても、その高い運賃のものといつても、日本の民間ではどのくらいになるか、そういうふうな比較を資料として頂きまして、又別の機会に私は御質問いたしたいと思います。それはよろしうございますか。
  193. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 制度的には別に駐留軍の賃率、或いは諸官庁の賃率というのはございません。全く日本の国内の輸送と同じ賃率でございます。その賃率を、例えば十件ございました場合に、いろいろの貨物によりまして賃率が変つておりまするが、それを個々の賃率を個々の品物につきまして適用するということは、実際駅における取扱い上いろいろと困難もございますので、例えば十件なら十件の実績を平均いたしまして、平均的な賃率はこうなるということで、その平均的な一本の賃率を取つておるわけでございます。従いましてこれは個々の場合は個々の賃率を日本と同じ賃率を適用いたしましても、ただ煩雑であるというだけのことでありまして、それでもそれと同じことなんです。
  194. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 行政協定から除外されているわけですか。
  195. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 行政協定の精神によりましてやつておりまするが、これは全く国鉄と駐留軍との間の私の契約と申しまするか、輸送に伴いますところの運賃の後払い契約でございまして、その後払いの場合の運賃の計算高を便宜きめておる。その根本は飽くまで日本の貨物と同じ賃率、同じ原則でございます。若しも日本の諸官庁に対しまして何か特別の賃率を適用しております場合には、それだけの恩典を与えるべきかと思いまするが、現在私よく記憶いたしませんが、日本の諸官庁に対しまして、特別の賃率を適用しておるというものは、私今のところ記憶ございません。従いまして一般の貨物と同じ原則、同じ賃率を適用しておる。ただ計算方式或いは運賃の後払い等を便宜私の契約を以て締結いたしておるわけでありまして、勿論行政協定の精神に副わなければなりませんが、行政協定とは一つ関係と申しまするか、その価格協定におきましては、行政協定の何条に基く協定というものに必然的な関係はないわけでございます。
  196. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。
  197. 岩間正男

    ○岩間正男君 今木村君から要望されました資料について、無論これは我々としましても出して頂きたいと考えております。併し資料の前に、私の今の問題に関連しまして、先ず一、二点伺いたいのです。今大体駐留軍の貨物については駅で認定しにくい、それで大体三等と四等の間の運賃で平均ならしで幾らととつている、こういう話でありますが、この点で私は問題になると思うのは、この取扱は非常に優先的にほかのものを全部措いてもやつておるのじやないかということが第一点、それから第二点は、軍関係のものは非常に貴重品扱いにしなければならない。それで積重ねたりすることが非常に困難である。従つて当然これに対して貨車量というものが非常に多くなる、こういう事態を聞いておるのであります。こういう事実はどうでございますか、これはどなたですか、さつきから答弁されているのは、政府委員は誰ですか、ちよつとお聞きしておきたい。これは運輸大臣も当然このことは非常に重大な関心を持つておいていい問題であると思いますからして、できるだけ運輸大臣から答弁して頂きたい。技術的な面から補充されるのは差支えありませんが、これは重要だと思います。なぜかというと、これは来年度から起るところの国鉄運賃の値上げの問題と深い関連を持ち、国民生活に対して経済的に相当大きな影響を持つ問題である。従いまして今の点から先ず伺いたい。
  198. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 駐留軍の輸送につきまして、優先権を与えておるのではないか、こういうお話でございまするが、さつきも申しましたように貨物の点、或いは又輸送の面におきまして、特に行政協定の精神に沿うておる以上のことは何もいたしておりません。なおあとの点につきましてはいささかちよつと実態に深く入り過ぎますので、国鉄当局のものによく調べさせまして更に御返答申上げたいと思います。
  199. 岩間正男

    ○岩間正男君 実態に深く入りましてつて、今ぐらいのことは当然掴みになつていなければ困ると思うのです。これは運輸省の何係りのかたが出ていらつしやるのですか政府委員……。
  200. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 監督局長です。
  201. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今の問題は、これはもう直ぐに誰でも知つている問題だと思います。米軍の貨物が来ると、日本のほかの貨物はとめても優先的に扱わなければならない。何を措いてもやらなければならない。従つて日本の貨物が非常に滞貨になつておりますが、この滞貨が一つの大きな原因になつておるということは紛れもない事実である。誰も知つている。こういう事実をいやしくも監督局長さんが掴んでおられないということはおかしいと思う。紛れもない事実である。第二の点はどうですか。これは輸送行政の面から考えれば、重要な問題ですから、運輸大臣はお掴みになつていらつしやると思う。物を積重ねて行かないというと……、日本の貨物のように満載することができない、物によつては殆んどこれが貨車の中に重ねないで並べて置く、そういうふうなやり方をされるというと、貨車量というものは非常にこれで食われる。従いまして、どれだけの貨車量が駐留軍の輸送によつて使われておるかというような問題、それから事実そういうようなことが起つておると思うのですが、こういうことについて運輸大臣当然お掴みになつていらつしやらなければならないと思う。この点お聞きします。
  202. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お答えいたします。私はまだそういうことを存じておりませんのでございます。十分取調べまして何らかの機会に又お返事申上げますが、どういうことになつておりまするか、或いは貨車を貸すということでありますればどう使われても構わないわけである。それから一個一個の輸送になりますれば、それについてのいろいろな規定もあるわけでありますから、どうなつておりますか、なお詳しく調べます。
  203. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ就任日が浅い運輸大臣を責めても無理かも知れませんが、併し少くともこれはやはり運輸行政の一つの基本的な条件になつておるのです。駐留軍の輸送、それから国内輸送、民需の輸送の問題というものは非常に深い関係を持つということはくどく言う必要はない。従いましてこれは急速に調べて御返事頂きたいと思う。我々の聞いたところによれば、又場合によつてこういう話を調べてみますというと、全くこれは優先的にやられ、而もそのようなことに対しては特別取扱いをさせられておる。而も運賃のごときは三等と四等の中間、三等運賃よりももつと二%も安いという、実にこれは問題にならない運賃でやられておる、従いましてこれは皆さんは当然これは研究されておると思うのでございますが、これによつて日本の普通の運賃の適用をやればどのくらいの額になるのか。ところが駐留軍によつて現在支払われておるところの運賃、これとの差額を見ますというと一体どのくらいの日本負担になるのか、いわゆる行政協定によつてこれはどのくらいの負担が起つておるのか、普通の荷物扱いにして、貨車扱いにした場合にこれはどのくらいのものが取れ、それが駐留軍の輸送によつてどのくらいの収入減になつておるか、これは少くとも掴んでいられるだろうと思います。これは数字としては非常に重要でありますからこれは何億ぐらい大体これによる負担になつておりますか、お聞きしたいのです。
  204. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 先ほど申上げました通り運賃は内地の普通の輸送と少しも変つておりません。先ほどの三級と四級の間の運賃を坂つておるというのは貨物輸送の面で三級と四級との間を申上げたわけなんでありまして、これは平均運賃でございまして、決して安い運賃ではございません。飽くまで国内の輸送と同じで、同じ品目によりますところの普通の運賃を取つておるわけでございます。従いまして特別の運賃を取つておるわけでございませんが、大体駐留軍の輸送によりますところの運賃収入は本年度上半期におきましては旅客約十三億五千五百万円、貨物三十三億四千四百万円、合計四十六億九千九百万円の収入がございます。そうしてこれは先ほど申しましたように日本の同じ品物或いは同じ人数の人間が同じように利用しておつたとすれば、それと同じ額になるところの運賃収入額でございます。
  205. 岩間正男

    ○岩間正男君 政府委員に注意して頂きたい。我々は何も弁護するような言い方をしてもらいたくない、事実を明らかにしてもらいたい。さつきから弁護的の立場で話されておるような態度が見えるが、そうでなく実態を明らかにしてもらいたい。先ず優先的に扱うための損失があるわけです。このため日本の貨物は非常に大きな打撃を受けておることも事実なんです。それから又駐留軍の荷物は満載できない、これは並べなければならん。そういうことのために貨車量は莫大なものになる、従つてそこから起る損失というものは、今のあなたの説明では絶対見当がつかないわけです。同じ貨車に日本の物ですと十七、八トン積めるのに、向うの物は並列的に並べるので二、三トンということになつて来る、そういうことになると貨車量というものは莫大になり、当然それの経費負担というものは我々に被ぶされておる。我々の聞くところによると大体年間七十億という莫大な損失を被ぶされておる、そうして一方には大衆の旅客運賃を引上げようとして又貨物運賃を引上げようとしておる、こういうような負担というものは非常に重要な問題であると思う。これは大衆生活にのつぴきならん影響日を持つておる、こういう点を率直に明確に、計数のことを言うことができないということはおかしいのでありまして、先ほど木村さんからもそういうような資料の要求がございましたが、その資料に附加して頂きたいのは、こういうような損失の問題、額として一体どのくらいになるか、こういうような見通しはできるのでありまして、皆さんのほうで作業して頂きたいと思う。なお一つこれに関連してお聞きいたしたいのは、四月一日から役務協定が結ばれた、ところが講和発効は四月二十八日である、この間のブランクの運賃はまだ支払われていない、その額は八億以上になつておると聞いておるのであります。そういうことについてこれはどうなつておりますか、尤もこれを我々聞いたのは一カ月前の話でありますが、そういうものがきちんと払われておりますか、こういうことは明確にしてもらいたいと思いますが、これは如何がですか。
  206. 植田純一

    政府委員(植田純一君) お尋ねのその期間の運賃収入は終戦処理費で頂いております。頂いていないわけではございません。
  207. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題に関連して外務大臣に質問いたしたいのですが、外務大臣は衆議院の都合で向うに行かれるそうですから、これはまあ了承いたします。
  208. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 簡単でしたらどうぞ……。
  209. 岩間正男

    ○岩間正男君 簡単じやありませんから……、これは向うを済ませてから来て頂きたいと思います。それで大蔵大臣にお伺いいたしますが、私この財政のことについては素八なのでありまして、いろいろ知識が欠けておる、こういう点はむしろ専門家の大蔵大臣にお聞きいたしたいと思いますが、この世界の不景気はこれは非常に深刻になつております。この不景気の一体原因というものをどういうふうに大蔵大臣は掴んでおられるか、これを国際的な情勢のうちからこの大きな原因を大蔵大臣としてもこれを掴んでこれを検討されるということは非常に日本の今後の財政経済を進める上に重要な問題だと思う。そこでこれを最初に伺つておきたい。
  210. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 世界で物を持つてつて活動の非常に活溌なところは先ずアメリカ合衆国が第一でありまして、それに次ぐ国がそれぞれあるでしようが、皆割合に小さい国で、そういう国の財政経済状態というものは世界的に見てそう重要ではない。それからアメリカのような工合に、或いはその他の少数の国のように活況を呈していないが、割合人数の多いヨーロツパの一部或いはアジアの大部分、それから南米の国あたりも同様でありまして、そういうような国の活動がにぶい、従つて物を買う力もない、それからアメリカは割合に物を買わないで自分の国の生産品でやつて行けるというような点と相俟つて貿易の停滞と言いますか、活溌にならない要因になつておるのでありまして、これはもうアメリカが各国から物を買うか、或いは各国に金を貸してやつてその国の活動を助けるかしないと、いわゆる景気が直るようにはなりかねると思います。
  211. 岩間正男

    ○岩間正男君 或る程度のことを伺つたのでありますが、購買力が非常に、殊にアジア諸地域において少い、而もこれに関連してアメリカの生産力というものは非常に過剰になつておる、こういう形で物が捌けない、従つてそれに対して何らかの財政援助をする、こういうことで購買力を増進する以外解決の方法はない、こういうようなお話だと思うのですが、そういうようになつた大きな原因は個人の購買力の問題も無論あるが、個人の購買力の減少ということは、これは世界の恐慌と非常に深い関連を勿論持つておるのでありますが、これを世界的規模において見るときは市場の問題はどうなんでしようか。つまり自由主義経済の中における市場ですね、この市場は一体これは第二次大戦後非常に狭くなつたということはまぎれもない事実だと思う。少くともソ連を中心とするところの市場というものは、大体世界の四割程度のものが、殊に中国、中共政権が成立してから大きくこれは変化したわけです。社会主義経済と資本主義経済においての市場の転換というものは、大きく変つて来ておる。こういうことが原因ではないですか、この点如何でしようか。
  212. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) それも無論影響はございますが、ただ物資の生産或いは需要という点から言いまして、例えばソ連と中共という国は地面が通じておつて出る物も似ております。ほしい物も似ておる、それに対してアメリカは逆で、北米合衆国並びに南米という国を仮に一緒に見ますと、地理的にも物の産出の状況から言いましても、相対しているような形と私は思つております。そういたしますと、一番影響の深いのは、西ヨーロツパのこの狭いながら人間の大勢おり、産業の発展している土地が市場としては一番集約的に活溌であるべきところで、そこの疲弊しているその割合は私はわかりませんが、一番影響を与えたものと、こういうふうに考えております。それからアジア方面がこれはやはり日本と似たようなもので、戦いのための影響で疲弊している、それがやはり活動に悪影響を与えておると存じます。
  213. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど、社会主義圏の市場が資本主義経済の市場からこれは分れておる、そういうことも関係がある、こういうお話ですが、こういう点は非常にやはり大きな、後ほど話されました例えばヨーロツパが疲弊している、こういう原因と切つても切ることのできない関係にあると考えられます。これはここで経済論をやる必要はないと思いますけれども、つまり現在の、先ほどからお話のありましたアメリカの援助により、そうして産業経済が非常にアメリカに締められておる。而も最近のアメリカの経済の動向は、世界市場が非常に狭隘になつたために、これを平和産業で賄つて行くことができなくなつた。終戦後のアメリカの産業の構造を見るというと、この構造の姿は非常に過剰生産に陥つて来た、従つて終戦後間もなく起つたのは、どうしてもこの過剰生産、恐慌というものを回避するために、どうしても何らかの手を打たなければならない。そうしてそれで御承知のようにアメリカがそのような軍需生産の方向をとつて来たのは、朝鮮事変が始まる一九五〇年の一年前、一九四九年の秋あたりから最も顕著にこの姿が現われて来ておると思うのです。これは蔵相もはつきりお認めになるだろうと思う。そうしてこのような民需による、平和産業によるところの過剰生産、恐慌というものを軍需のほうに切替えて行く、こういう形の政策が進められている。一方においてヨーロツパではやはり北大西洋条約なんかの締結に伴つて、そうしてやはりそのような産業の構造というものは、そういうふうに兵器生産のほうに切替えられている。又アメリカの生産品を優先的に受入れなければならないという条件に押付けられている。こういうことのために、二大体ヨーロツパの民生というものが安定しない。そうして購買力も従つて上昇しない、こういうことのためにますます資本主義内部の矛盾というものが大きく展開されたのだと思うのであります。従つてその大きな原因というものは、どうしてもやはりはつきりとそこに社会主義圏が今までの自由主義経済の放縦な、そういう経済政策から毅然として分れて、そうして只今のようなブロツクが出て来た、こういうようなことによる隘路が大きく出て来た。これが大きな原因になつているのじやないかというように考えられる。従つてこの問題について議論をする気持は少しもないのでありますけれども、これは蔵相が只今世界の不況の原因というものを挙げられておるその局部的な現象面の更にもう一つ奥に隠されたところの原因というものをはつきり我々としましては、これを見なければならない。そうしてその原因に立つて問題を解決して行くのでなければ、やはり日本の不況対策というものが十全になされないのじやないかというふうに私は考える。こういう点について、これはどういうふうにお考えになつていらつしやるのでありますか、この点は少くとも今の世界の経済を眺めて行くときに、この要因というものを、社会主義圏の要因というものを見逃すことができないと思う。この点はどの程度に蔵相はお考えになつていらつしやいますか。この点日本大蔵大臣としての見解が非常に重要な点でありますから、この点改めてお伺いしたいと思います。
  214. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 社会主義の国の内部は私にはわかつておりませんので、見当の付けようがないのでございます。現状の下ではほかに方法がございませんから、社会主義でない国との間の仕事で以て解決して行くより方法がないと思います。
  215. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ政治とか、イデオロギーの問題ということがよく言われまして、それでそういうことによつて一つの軍事基地を造つて行く、こういうことで世界の自由で平等互恵の貿易状態が遮断される、こういう形になつていることは現在の客観的な姿だと思います。殊に日本においては、これはアメリカの押付けという形で以て、最も力強い中国からも遮断され、そうして強引に締められている態勢が出ているので、その被害は日本の中に大きく出ていると思う。こういうような点から考えまして、決して政治やイデオロギーの問題、こういう問題は少くとも貿易商においてもお互いの生活を向上させ、民生を安定させるというような面には、そういうものを除外して、ともかくできるだけ自由に放任する、そうして現在の遮断されたところのこの世界の矛盾というものを、平等互恵の貿易によつてこれを打開しなければならないということで、御承知のように昨年三月におきましては、これはモスクワの世界経済会議が持たれたのであります。又中国におきましては、その後アジアの平和会議が持たれた、又日本との間に貿易の協定がなされた、こういう点はこれは蔵相としてはどうお考えになりますか。つまり商売は、殊に蔵相は民間におられた立場としては、まあいわば商売の道に立つておられたのだ、そういう点から考えまして個人のイデオロギーとか、それから一つの政治的な考え方、そういうものよりも優先して、やはり民生の安定、国力を充実させる、こういう立場から考えるときには、今のような飽くまでもこういう立場に立つて民生の安定、それからお互いのために貿易を自由に放任する、こういう立場に立たれるかたのように思うのでありますが、これは蔵相はどういうふうにお考えになりますか。
  216. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 国の立場を踏まれないで行きます仕事はできて行くと思うのであります。国の立場でありますと、それは肯定できないということであります。
  217. 岩間正男

    ○岩間正男君 国の立場というのはどういう点でございますか。私は国の立場というからにはやはり日本が非常に疲弊している、そうして最近貿易が非常に不振で困つておる、その姿がもうあらゆる国民生活層に出ている。中小企業の崩壊の事実、最近では学生の就職難の問題にまではつきり出ているんです。農村の二、三男の対策問題というものは非常に日本の将来にとつては重大な問題になつて来ていると思う。こういう形で出ているんですから、国の立場から考えましても、この貿易政策というものをもつと虚心坦懐にいろいろな隘路を打破つて行く、そうしてもつと自由で平等な交易状態を確立するということが国の立場のように私は考えるのですが、蔵相の言われる国の立場というのはどういう立場でございますか。
  218. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 私が考えているのは国際的な日本の立場でございます。その立場上できることはやるがいいし、又その立場でできないことも、できるだけ国として障害を除去するのがよろしいと考えております。
  219. 岩間正男

    ○岩間正男君 商売とイデオロギーとは区別して考えなければならない、こういう考え方に立つてモスクワ経済会議も又中共の貿易会議も持たれたわけです。それから日本でもそうだと思います。現に両院を通じまして約二百五十人以上の、これは自由党のかたが大分多く入つておる、改進党のかたも随分入つている、まあ我々も入つているんですが、二百五十人以上の人たちが日中貿易促進連盟というものを作つておられる。この事実が何よりも……、今日の日本のこの国の態勢の中では、この中共との貿易をはつきり今までの制限を緩和して、そうして商売取引をやらなければならない、こういう立場に立つていられるように思うのですが、こういう事実から考えられまして、蔵相はこの点をどうお考えになりますか。
  220. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 繰返して申上げますが、国際上の日本の立場からできることはするがいいし、それから日中貿易というものは障害のあるところは成るだけどけて、できることは私も望んではいるんですが、国際上の日本の立場ということからそれが自由にはできないのが、これはイデオロギーではなく、実際上としても困難が伴つていると思います。
  221. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも国際上の日本の立場ということを解釈しますというと、やはり日本はすでに日米行政協定或いは二つの条約ですね、こういうものをはつきり結んでいる。そうしてはつきりいわゆる自由主義国家群というものに身を置いた、そういうことでありますか
  222. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) それもあるでしようが、私は条約のない国との商売というものはそう活用はできないというふうに考えております。
  223. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の御答弁は私ちよつと伺いかねたのでありますが、そういうことについて、逆に日本の日中、日ソ貿易が遮断されて、一方的に押付けられて、くどくど申上げる必要はないと思いますけれども、非常に原料は高いものを買つておる。而も隣国の近い中共をボイコツトして、そこから買えば安いところの原料を遠い所、船賃軽い、そうしていろいろな保険料を払い、金利を払い、そうしてばか高いものを買つて来ておる、而も労働賃金というものはものすごく安く占められておる。出血受注であつて、これはものすごい例が出ておるのです。アメリカの労働賃金の、場合によつては十分の一というようなひどい低賃金で強いられておる。そうして売る物はどうかと言えば、これは非常に安い。つまり物価高の製品安、こういう形でどんどん日本の経済というものは略奪されておると思うのです。こういう態勢は世界の情勢だから仕方がないと、こういうふうに吉田内閣は今まで言い切つて来たわけであります。併しそれじやもうとても問題にならないというので、御承知のように今日両院におきましても、こういう面を打開する、イデオロギーとか何とか、そういうような一辺倒のやり方ではとても問題にならないから、もつと自由な、いわゆる両世界と言われておるものの交流をやらなければならんということで、現実に動いて来ておる。そうしますというと、今までの考えのように、今蔵相が言われましたように日本の立場としてはできないのだ、こういうような形で行つたのではますますこれは破滅の道に日本は追込まれて行くのじやないか、こういう中に立つて、はつきりと若しそういう立場で依然として今までの態度を吉田内閣が進めて行かれる、こういうことになりますと、これは国民の大多数の要望、又国の真の利益のためには違反する、こういう形で行けば民族の敵として、その障害としてこれは前面を遮るということになつて来ると思うのですが、こういう点についてこれは虚心坦懐に日本の生産の状態或いは貿易の状態に対して深い関心を持つておられる立場の蔵相の見解を、もう一度伺つておきたいと思います。
  224. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 私の申上げますのは、条約のない国との商売というものは非常に制約されるものでありまして、殊に中共あたりが売りたいというものは割合に少くて、又売りたいものでこつちの買いたいものは特殊な取極めで参つておるものもありますし、又向うへ売りたいもので行つておるものもあるし、決して阻害してしまつておるというふうには私は考えておりません。それから国際上の立場ということは、いろいろの条約で或いは縛られておるものもあるかも知れません。私はこれは詳しいことは存じません。併しながら、そういうことは別に今の国際上の日本の立場で以て自由に中共との商売のできないのは、或いは船舶の出入がむずかしいとか、代金の支払いが方便が欠けておるとか、いろいろな点に障害があるのですし、これはほかの条約のある国との仕事のようにたやすくは行かないという点が遺憾なのであります。条約の問題もありますし、国際的な立場もあります。決して全面的にやつちやいけないというふうにはなつておりませんし、考えてもいないのです。
  225. 岩間正男

    ○岩間正男君 我々が全面講和を主張したのは実はそこにあるのでありまして、条約が結ばれていない中国との関係については、まだ戦時状態が形式的には続いておる、こういう立場で、これは非常に今のような問題が起つておると思う、併しそういうことは末梢問題だと思う。これは基本的にもつと日中貿易というものを推進するのだ、そうしてそういうような政策をとる以外に方法はない、ここまで来ておると思います。こういうものは吉田内閣が望むと望まないとにかかわらず、すでに国内から澎湃として起つておるわけです。こういう点から考えますときに、これは懸命にこういうものに処置されて行くということが、これは非常に重要な段階だと思うのです、それ以外に私は日本の生きる途はないと思うのでありますが、蔵相は今いろいろと障害がある、こうおつしやつたのでありますが、その点はこれは障害を作つておるのはむしろあのような片務的な、何と言いますか、多数講和、単独講和という形で進められておるところに問題があるのです。それと関連して実は日本の前途の問題になるのでありますが、東南アジアのいろいろな貿易状況或いは東南アジアの開発状態、こういうものについて伺いたいのでありますが、これは細かにやつておる時間がありませんので、大体大まかに見て、これは現在うまく行つておりますか、どうですか。この東南アジアの開発の問題並びに東南アジアとの貿易状態というものについての大まかな現在の状況についてどういうふうな見解を持つておられますか、これは蔵相にお伺いしたい。
  226. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 私の知識では、その方面の貿易も思うようには行つていないと思いますし、開発もなかなかむずかしいものと思つておりますが、これは通産大臣から……。
  227. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今向井大蔵大臣お話をされた通り、現在の段階ではそうまだ思うように進んでおりません。現にまだ通商航海条約等もできておりませず、又賠償問題等のいきさつもありまして、まだそこに進んでおりませんが、併し向うのこちらに申込んでおる各種の希望から見ますれば、又先般世界銀行のガーナー氏が来られて、特に東南アジア開発に世界銀行も努力して、それが延いて日本の貿易の助けとなるという意味のことを強く言つておられますので、私どもは前途については相当大きな希望を持つておる次第であります。
  228. 岩間正男

    ○岩間正男君 前途については希望というお話がありましたが、現在このような形になつた原因をどういうふうにおつかみになつていらつしやいますか、これは大まかに言つて結構です。
  229. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) これは現に日本が向うにおいて戦争したような問題もありまするし、それからインドネシア人の相当大きな関心事である賠償問題等もまだ決定を見ておりませんし、従つてそれに伴つて各種の条約等もできておりませんので、そういうことが一番大きな障害であると存じております。
  230. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは東南アジア市場における米英の対立というような問題が、非常に我々としましては、ここに例を挙げませんけれども一つは大きな原因になる、日本は言うまでもなくアメリカの経済のいわば下請的な体制をとらされている、こういうところで、これはそういう面に対して、これに対する東南アジア諸国の又反撃問題もありましようし、又最近日本の再軍備体制に対するところのこれは警戒心も非常に大きく動いている。更にそれは再びあの軍国主義時代の日本商品の氾濫或いはこれによる市場の攪乱、こういうようなものが非常に警戒されている。更にまあ日本製品が高いという問題、そういう点で米英の対立が非常に大きく出ていると思います。こういう点についてはどういうふうにおつかみになつておりますか。
  231. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 或いはさような面があるかも存じませんが、私どもはさように強く考えておりません。
  232. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点はやはり十分に分析をして頂く必要があると思います。東南アジアの市場の問題は非常に漠然とつかまれているんじやないかと思いますが、そういう具体策については、少くともこれは通産省並びに外務省では情報を十分におつかみになつて行かなければ問題にならないんじやないかというふうに考えられるわけでありますが、まあこういう点について細かにやつていると時間にきりがございませんから、大体まあ蔵相に対する質問はこの程度に終りたいと思うのでありますが、もう一点最後にお聞きしたいのは、今度の補正予算を見ましても、源泉課税というのが非常に大きい、これによる自然増ですね、源泉課税による自然増が非常に大きな財源の要素を占めていると思うのです。大体一千億の財源措置の中で六百六十億ということになりますと、六六%、六〇%以上のものが源泉課税の自然増に頼つているわけです。で、ここでお聞きしたいのですけれども、最近のこの源泉課税の徴収率というものは所得税の中でどのような比重を占めているか、これを最近数年の比較によればどういうようなグラフになつているか、傾向を示しているか、こういう点は大体おつかみになつていらつしやると思うのでありますから、この点お聞きしたいと思います。
  233. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 数字のことでございますから、私から先にお答え申上げたいと思いますが、お手元に配りました租税及び印紙収入補正予算の説明というものの二十二頁にその数字を実は掲げておるのでございますが、昭和二十四年以後どのようになつておるかを示しております。数字を申上げますと、二十五年度から大体均衡財政に変えたのでございます。それ以後の数字を申上げますと、二十五年度の源泉の所得税は千二百七十五億、それに対しまして申告所得が九百二十六億、今回の補正予算によりますと、源泉の所得税が千七百六十一億、申告所得税が八百三十九億このように相成つております。尤もその後源泉の中には配当その他の新たに源泉課税をいたしたものもございますので、給与の分だけでございますと、これから若干差引かなくちやなりませんが、大体の傾向はこれが物語つておると存じます。
  234. 岩間正男

    ○岩間正男君 額についての比較でありますが、それのパーセンテージの大体の傾向をお聞きしたがつたのであります。私たちの手にした資料によりますというと、最近も昭和二十二年度をとりますと、全体の所得税の中で源泉徴収の占める割合が三五・三%、これが累次激増して来まして、四〇・二%、五〇・七%、五八・八%、五六%、それから二十七年度を見ますというと、六七・八%というふうに非常に殖えておるのであります。昭和二十二年度を比べますと、約二倍も源泉徴収というものは非常に多く殖えておる。そうしてこのことは非常にやはり大きな問題を現在の税行政の中に投げかけておるのじやないかと思います。この点は今の源泉徴収でのつ引きなしにとられてしまう、俸給袋の中から差つ引かれるという形で嫌応なしにとられる、このようにここが財源としてはとりやすいのでありましようけれども、これは苛酷なものになつていると思います。そうして一方においては中小企業の非常な最近の不振或いは農家の経営の不振によつて、総体的には中小企業者や農民からの所得税というものは低下しております。従つてそれをカバーするために非常に大衆負担というものは強化されている。この点は見逃すことはできないと思う。而もこれが今度補正予算の厖大な、少くとも三分の二の財源になつているということが特徴的な姿でないかと思います。こういう点から、一方ではベース・アツプがちよつぴり、二千円というものがなされて、そうしてこれに対して何とか年末に色を付けようというので、昨日、これは日曜日を潰して蔵相とこの問題について研究し合つたけれども、何ら結論が出ない、泰山鳴動といえども甚だしいと思います。鼠一匹これは出ないというわけであります。こういうことになりますと、非常に大衆負担というものはますます強化されて行く、そうしてそれを根源として国家財政が大きく賄われている、全体の税負担の中で所得税の占める割合というものは相当な部分を占めておるわけでありますが、こういうことになりますというと、税の徴収方式というものはますます大衆に苛酷なものになつて来る。ここに大衆生活の破壊ということが当然起つて来ると思いますが、これに対して何らか、もう所得税そのものの中におきましても税負担の均衡を欠いている面があると思う。又その他の税種目でこれを考えて見ますというと、もつともつとこれは負担の均衡が破れているということは明らかだと思います。こういう点について蔵相はどういうふうに考えられ、又対策をおとりになるおつもりかお伺いしたい。
  235. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 私も今の源泉課税をこうむつて苦しんだ一人でございます。申告所得税のほうがどうも実収が本当でないような気が私はいたしますので、これも十分な方法で十分にとれるということでなくても、できるだけ今までのようなものでなくとれるようにいたしたいと、そう考えておるわけであります。所得税の組み方を根本的に変えるというような考え只今ない、こういうふうに存じております。
  236. 岩間正男

    ○岩間正男君 我々はこのような苛酷な源泉徴収は廃止すべきだ、こういうふうに思うのです。非常にこれは大衆負担の強化になつております。これを数字を挙げて今ここで論ずる必要はないのでありますけれども、戦前の所得とそれから税の割合、こういうものと最近の割合を見ますと、これは問題にならない、こういう点について、これは再検討するよりも、むしろこれは廃止すべきだ、非常な大衆負担であり、苛酷なものになつておる。併しこの点は議論に亘りますから、この点について来年十分に検討されて、これを何とか処置されるお考えはありますかどうか、この点伺つておきたい。
  237. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 処置できるものでしたら処置したいと存じております。
  238. 岩間正男

    ○岩間正男君 それと関連しまして、大衆の生活、先ほど蔵相のお話を聞きますと、蔵相も源泉徴収で苦しまれたというお話でありますが、これは大蔵大臣が苦しまれた度合と、それから大衆が苦しんでおる度合というものはこれはまるで違うのです。これは雲泥の差があるということは、こういうことを言つておるほうが滑稽だと思うのであります。こういう点から考えて大衆の生活条件というものをどういうふうに大蔵大臣はつかんでおられますか、この点やはり私はこの際一つお聞きしておきたいと思います。例えば今度炭労ストをやつた炭鉱労働者の生活条件でありますが、これはどのように大蔵大臣はつかんでおられるかということは、非常に私は日本の政治のために重要な問題だと思う。吉田総理大臣はストは贅沢だという、併し贅沢だといつておきながら、労働者の生活というものは実際御存じないのじやないかと私は考える。併し向井大蔵大臣はこれはストは贅沢だとお考えになるかどうかわかりませんが、必要でしたら念のためにこの点も伺つておきたいと思うのですが、炭鉱労働者の生活条件というものは、一体どういうふうにお考えになつていらつしやるか、賃金なんかの面からどういうふうにつかんでおられますか、お聞きしたい。
  239. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 賃金なんかの点は私は実際の収入が幾らあるというふうなことを詳しく存じておりません。ただ坑内労働というふうなことは非常に苦しく又危険なもので、これについては外て働いておる人と似たような金高で働くことは無理だということまでは存じておりますが、いろいろ複雑な計算があるようで、収入の点は実は私は十分把握していないのであります。
  240. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点は大蔵大臣として御研究を是非願いたいと思うのであります。全国の二十万以上の炭鉱労働者が日本の基幹産業の中でも最も中心的な仕事をしておるわけであります。これは今度の炭鉱ストがよく教えておる。このストによつてどういうふうな国内の動向が現われたか、どんなに国民生活に不利な問題が起つたかということは、はつきり炭鉱労働者の重要性をもの語つておる。その中でも基幹産業の最も重点的な原動力である労働者の生活状態が、一国の大蔵大臣によつてその賃金状態がつかまれていない、そうして一方では一国の総理大臣がストは贅沢であるという、これは重大な私は問題だと思うのです。由々しい問題だと考えられます。こういう点に関して是非つかんで頂きたいと思う。これは坑内夫の場合でありますが、これは比較のために坑内、坑外を挙げておるのでありますが、大体これは四人家族で八千五百円、こういう形で端的に表現できるのであります。こういつた四人家族で八千五百円で炭鉱労働者が生活できるかどうか、それは無論そこにいろいろないわゆる手当と言いましても、坑内夫の場合は少しあるようでありますけれども、これはあのようなひどい労働条件に比べれば問題にならないほどである。従つてこれらの条件を改善するというためのあのスト、それが緊急調整というようなもので一方的に抑えられてしまつた、それでやむなくあの調停案を、僅か千円そこそこの賃上をしようという調停案を呑んだ、労働者のほうはこれを何とか止むを得ず政府の一方的な緊急調整によつて呑まざるを得ない態勢になつて呑んだ、ところがまだ資本家がこれに対して依然として突つ張つている、尤も今日あたり解決したのでありますが、これは政府の原案によつて今日あたり解決したのならいいのでありますが、どうなんでありますか、こういう点は私は余りに対比が明白に過ぎると思う。一方では炭鉱の利益というものはものすごく上つておる、炭住の問題などでも二十六億の炭住の融資の利子の問題は、これは衆議院では大きく騒がれているのです。こういう事態が起つておるのに、こういう生活実態をよくつかんでいない。一体このようなスト、誰もストを好んでやる人はないと思う。止むを得ず生活を守るために労働者はやつておるのです。ところがあれが緊急調整の形で全く一方的に解決されるということになれば、全くこれが今後国民に与える影響というものは実に深刻である、これによつて日本産業面に影響するところは非常に大きいと思う。あのような形で仮に権力的な一方的なやり方であれを抑えて、これは生活条件が徹底的に改善されない限りは、石炭が自然発火するように必ず自然発火せざるを得ない状況政府は追込んでおると私は考えざるを得ない、こういう点はどういうふうに大蔵大臣はつかんでおられますか、私はこの点重要でありますから、お聞きしたいと思うのであります。
  241. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 労働と経営というものは協力して行くのが当然でありまして、どつちを抑えるというようなことは、政府としてはあるまじきことと私は考えております。又抑えるということはない考えでおりますが、今後ともこれは適当な途をとりまして、経営者側にも労働者側にも公平な妥結点が必ず見出だされるものと考えております。
  242. 岩間正男

    ○岩間正男君 今資本家側がまだ呑まないことについては、蔵相はどういうふうにお考えになつておられますか。
  243. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 今日私はまだ経営者側が呑んだか呑まないか存じておりませんが、それはいずれ経営者側もこれに同意するのだろうというふうに想像いたします。
  244. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういう苛酷な条件の中でストに追込まれている労働者に対してはどういうふうにお考えになりますか。
  245. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 苛酷な条件であるかないか、私はちよつと自分の知識を持つておりませんので、お答えができません。
  246. 岩間正男

    ○岩間正男君 蔵相は炭鉱等を視察されたことがございますか。殊に炭鉱夫の住宅、ああいうところを御覧になりましたか。
  247. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 存じております。
  248. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから坑内夫も御覧になりましたか。
  249. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) ええ、見ました。
  250. 岩間正男

    ○岩間正男君 三井は御覧になりましたか、どういう感情を持たれましたか。
  251. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 辛いものだと思いました。
  252. 岩間正男

    ○岩間正男君 大蔵大臣に対しましては以上の質問で終ります。  次にお伺いしたいのは……。
  253. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 法務大臣が見えております。
  254. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから農林大臣はどうして出られないのですか。
  255. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 農林大臣は御病気で……。
  256. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はまだこの予算委員会で一回も広川農林大臣にお目にかかつたことがない。私はこれで七回の予算委員を勤めますけれども、一回もお目にかかつたことはありません。余り出られないですね。この前にも何かそういうことで……。
  257. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 病気です。
  258. 岩間正男

    ○岩間正男君 この前病気といつて蔭のほうで政治工作をしておられたことがあつた。伝え聞くところ……(「こつちへ質問をしてもしようがない」「質疑は向うへ向いて」と呼ぶ者あり)
  259. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 質疑を早く願います。
  260. 岩間正男

    ○岩間正男君 質疑もいいけれども、重要ですよ、質疑に関連する問題だ、農林大臣が実に重要な予算委員会をよそにして、そして何か裏面工作というようなことは、これはまさかないと思いますが、そういうことをされておるというと、これは重大な問題で、念のためにお聞きしたのであります。それじや、これは農林大臣がいらつしやいませんから、これは後廻しにいたします。  それじや文教問題について、ちよつと文部大臣に、先ず第一に……。いろいろお聞きしたいことがあるのですが、時間がございませんので簡単に伺いたいのですが、今度の予算と関連しまして老朽校舎の問題です。これは御承知のようにまあいろいろ統計によつて違いますけれども、少くとも百八十万坪ぐらい、実際は使用禁止のものはこれは八十万坪ある。今度財源措置をされておるが、併しこれが全然問題にならん。これはいろいろと統計の相違ですけれども、こういう点から、この点はどうしても日本の政治の今までの責任であるというふうに私は考える。これはいろいろ例を挙げる必要はないのでありますけれども、第一に言えば、六三制の犠牲になつて今まで小学校の校舎というものが実質的に建たなかつたという問題が一つ。それから戦争中はどうであつたかというと、戦争中はこれは軍の施設として使用された、或いは又工場施設の代用にされた。こういうことで以て非常に破朽の度がひどくなつております。そこへ持つて来て何らこれが新築されない、こういう形でですね、これに対してはどうしても何とか国家的な立場からこの問題を解決しなければ解決できないところまで追込まれている。それでまあ現在何とか起債の枠を拡げるとか、何とかいうことで、例年補正だけでもこれは相当な額を、相当な額といつても、程度、比較の問題でありますが、それを組んでも全然大蔵省の査定で切られておる、こういう形になつていると思う。大体どういうふうな策を立てておられますか。これは非常に私は日本の政治の過去の責任というものをどういうふうに果すかという点から考えても重要な問題だと思いますので、これに対する来年度の見通し、こういうものについてお聞きしたいと思います。
  261. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。危険校舎の問題は地方自治団体で今までとも実は修繕、改修をやつておるのでございます。併しほかの方面の、六三制とか、何とかいうような建築のために追われまして十分行つておりませんが、数字ではつきり申上げますれば、只今使用禁止になつておるのが約十六万坪ございます。それを私どもはできるだけ早急に改築して行きたいと考えます。来年度の予算にお願いしておるわけでございます。来年度からは若しできればそれを早急に改築して行きたい、こう考えております。    〔委員長退席、理事左藤義詮君委員長席に着く〕
  262. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは道義の高揚というようなことを口にされておる吉田内閣にとつては非常に関連の深い問題だと思う。今申したような、非常に戦争時代から大きな過去の、つまりもうこれは東條時代から続けられた失政が溜り溜つておるのです。これが集約的に来ておるのです。それについてどうも殆んど打開の途が講じられていない。今度の補正でも見事これは切られておる。来年度の見通しはどうかというと、これは勿論殆んど今のところ明らかでない、こういうふうに考えられます。そうしますと、これは地方財政に大きなしわを寄せておることは言うまでもないことです。地方財政の中で六三制の校舎の建築の問題が大きな負担になつて、そうしてこの中では全国で数百人の村長がやめた、或いは数人の村長が首をくつて死んだということさえ起つた。そういう深刻な問題でありますが、この老朽校舎、小学校の老朽校舎というものはもつともつと私は深い問題だと思うのです。しましたように、六三制の校舎の建築問題というものは、これは終戦後とにかくやろうという教育の改革に伴なつてつたのであります。そういう問題でありますが、小学校がそのために大きな犠牲になつて、そうして現在このような破壊にさらされておる。地方財政は何らこれを負担するところの力がない、こういう形で、而も明日台風が来るというと全く人命にも差支えるような校舎がそのまま残されておるというような態勢をとるというと、こういうことをやつておいて、そうして一方で道義の高揚というものを説き、愛国心を説いてもこれは了承できないのじやないかと思う。大衆の気持になつて見ると……。こういう点から考えましても、これはどういうふうにこれを果されるおつもりでありますか、この点伺います。これは大蔵大臣にもついでに伺つておきます。
  263. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。先ほども申上げました通りに、全く打つちやりつ放しになつておるわけではございません。地方公共団体がこれに手を着けて、そうして解決しつつあるのでございます。ただ問題は地方公共団体に割当てられた起債の枠が少いものでありますから、それで十分に行きません。併し使用禁止が十六万坪ほどありますから、この点はどうしても速急に直さなければならん。来年度予算におきましては、大蔵大臣にもお願いしまして、これを何とかなるように予算を提出しておる次第でございます。
  264. 岩間正男

    ○岩間正男君 大蔵大臣は如何ですか。
  265. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 文部大臣と同意見でございます。
  266. 岩間正男

    ○岩間正男君 大蔵大臣にちよつと伺つておきますが、大体今まで予算の査定、原案のときには何とかそういう案を出す。最後にばさつと切られるのです。切る一番本源はその辺にいらつしやるかたらしいのですが、(笑声)大蔵大臣は御存じないのです。何とかいたしますと、ここで公約されても、これが実現できるかできないかということは、やはり部下の督励如何にあるけれども、私は大蔵大臣はまさか……、大臣の見識においてこれははつきりとやられると思いますが、その点確信してようございますか。これは事務の方面でどうしてもやられるのです。
  267. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 元兇である主計局長に返事をさしてもよいのですが、私はできるだけのことをいたしますとはつきり申上げます。
  268. 岩間正男

    ○岩間正男君 岡野文相は今言われましたけれども、十六万坪というものは明日にも、我々の手で押しても倒れるような校舎の話なんです。実際に使用制限の中でも恐らく二十六府県だけ調ベても四十六万坪です。全国亘つて調べれば八十万坪あるだろう、そのほかにそれに近いところの耐久年数のずつと過ぎた、こういうものを算えるというと二百万坪、二百二十万坪ということが計算されると思うのです。一方でやつておる、手を入れておるとおつしやいますけれども行つて御覧なさい、全く倒れそうなところにつつかえ棒をかつておるのです。そういうのがせいぜいでして、今の地方財政ではその程度がせいぜいなんです。日本地方財政の姿を象徴的に物語つておると思うのです。こういう点は私はこの案では来年度どのくらい考えておられるのでありますか、心細いと思うのです。私どもだけではない、日本のこれはもう全父兄が心細く思つておると思う、この点どうですか。どのくらいにお考えになつておりますか、僅か十六万坪ですか。
  269. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申げます。使用制限と同時に、使用禁止と合せまして四十八万坪になるのでございます。数十年以上という、即ち非常に古くなつているというものは百六十余万坪あるようでございます。併し我我といたしまして、早急に手を付けなければならないのは使用禁止のものでございます。併し十六万坪ははつきり文部省で調べ上げておりますから、これに対して来年度予算におきまして適当な措置をとりたいと考えております。
  270. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは方針としては起債で飽くまで行くという方針ですが、我々はどうも起債の方針というのは正しくないのじやないか、飽くまでも義務教育であります。而も今春つたような長年の日本の罪禍を背負つておるようなものです。これに対して起債というようなやり方で、而も二百二十万坪の老朽校舎であるが、その中の十六万坪をやつて行くというようなことになりますと、十年かかつてもできない。一方では又殖えて来るのですから、永久にこれは解決はできないという政策を物語つておる。この点は画期的に一つの方針を出されていいと思うのです。殊に岡野文相は財政通だと思うので、そういう点から考えて画期的な政策を出されるのが、今までの文相の型をはつきり破られることだと思いますが、どうですか。
  271. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答えいたします。私は型を破るような力のある文相じやございません。(「謙遜しなくてもいいよ」と呼ぶ者あり)ただ只今はそういうような使用禁止になつているようなものは早く直さなければならんということで、それにつきましては先ほどもあなたから仰せになりましたように、軍で使つたとか、若しくは資材資金の統制によりまして直そうにも直す時期がなかつた。こういうような国家的の原因によりまして、そういうようなものが出て来たという意味におきまして、来年度予算におきましては或る程度国庫補助をし、同時に地方の起債を許して、両々相待つて速急にこれを改築して行きたい、こういうような方針を持つておるわけでございます。
  272. 岩間正男

    ○岩間正男君 文相にはいろいろお尋ねしたいことがあるのですけれども、時間の関係がありますから、この程度にしまして、法務大臣がお見えになつていらつしやるようですから、私はここで保留したいと思います。  法務大臣にお伺いいたしますが、それは鹿地問題であります。鹿地問題については、どうもこの頃非常に不明瞭なことになつたと思うのです。何か三橋何がしというものが出て来て、どうも得体の知れないことになつている。そうしてそれがまるで鹿地問題の中心問題のようにすり替えられているところが飽くまでも日本の人権擁護の立場から考えるときに、鹿地氏が米軍によつて講和発効後も不法監禁されたということは、絶対にどういうことがあろうがこの責任については何ら三橋問題と混同されるべきものでは私はないと思う。これは全く別個の問題である。然るに何かその関係を昏迷させて国民大衆の目をくらまそうとしている。これでは問題の本質がそらされていると思うのですが、その後これがどのように米軍に対しまして交渉されましたか、又どのように、この問題については飽くまでも日本の人権擁護の立場に立つて、これは毅然たる態度をおとりになるか。この点をお聞きしたいと思います。
  273. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えいたします。三橋正雄のいわゆるスパイ事件、鹿地氏が米軍によつて監禁せられた問題が不法監禁であるかどうかという問題は、全く区別して扱つております。従つて不法監禁であるかどうか、一方鹿地氏から事情を聴取しております。鹿地氏から事情を聴取いたしますということがやや遅れましたのは、非常に健康を害して、大変疲れておられるように聞いておりましたので、早速その事情を調べることを遠慮したのでありますが、最近になりまして、御本人から事情を聴取して、大体大部分事情を聞くことができたのであります。これと並行いたしまして、アメリカ当局に対しましては、鹿地氏が果して不法監禁であるかどうか、相当冷静、公平に外務省を通じて交渉をいたしておるつもりでございます。又何か御質問があれば続いてお答えいたします。
  274. 岩間正男

    ○岩間正男君 少くとも講和発効後に鹿地氏が約八カ月近くこの自分の行動の自由というものが与えられない。そうしてああいう形で突如として世論が高まろうとするときに、まあ現われて来た。こういうことについては、これは不法監禁の事実というものは、鹿地氏の告白を待つまでもなく、これははつきりした事実だと思う。その点は法務大臣はどういうふうな認識を持つておられるのか。
  275. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 鹿地氏の不法監禁の問題については、今外務省を通じてアメリカ当局と折衝しておりますので、いつどんなふうに、どんな話があつたかということはもう少し、まだ公開の席上で申上げかねますが、私のほうでは今申上げましたように、法務当局としましては、いわゆる三橋のスパイ事件とは全く切離してやつておるわけでございます。念のため申上げますならば、三橋某のスパイ事件で以て鹿地氏が不法監禁されたか否かという事実を、そちらに世間の耳目を集中させてぼや化すというような政治はしたくないと思います。
  276. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今の点の答弁は法務大臣としてはそうあるべきだと思います。三橋という者の只今まで判明したやり方、そういうものはどういうふうに法相としてはつかんでおられますか。
  277. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えいたします。そもそも三橋某という者が出て来ましたのは、岩間さん御承知のように、鹿地氏の事件が表に出ましてから、身辺の危険を感じたと称して自首して参つたのであります。そのことから新聞にいろいろ記事が非常に出まして、鹿地氏と直ちに結ばつたようなことになつたのでありますが、今申上げましたように、そのときといえども、私ども当局としましては、二つの事件をできるだけ切離して冷静に処理して参つたのであります。三橋という人について取調べました結果、どうも無電の技師であると言うが、無電の技師であるからといつて、本人が言つたことをすぐ呑み込むのは危険でありますので、私は専門家でありませんので、電波の専門家でないのでよくわかりませんが、できるだけ専門的なテストをしましたところが、相当な技術の持主である、まあ調べた者の報告によりますと、日本でも有数な技術の持主だということであります。この男が自首しまして、身辺の危険を感じたと申しました供述に関係して鹿地氏の、米軍の手許に保存されております鹿地氏の告白書なるものを是非読む必要を当局で感じまして取寄せました。その結果いろいろ鹿地氏についても臆測が行われ、新聞、雑誌にも出たのでありますが、私ども当局の立場といたしましては、できるだけこれを冷静に処理いたしまして、早まつて両者の事件を結ぼうということはできるだけ慎重に扱つております。これは人権にも関係いたしますので、慎重に扱つております。
  278. 左藤義詮

    理事左藤義詮君) 岩岡君もう時間がなくなつております。
  279. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちよつと、これで終りますが、この問題については時間がありませんので、詳しくはお聞きできないのでありますが、こういうものによつて問題がすり替えられるというやり方はよくやられる常套手段ではないかと思うのです。問題があると、本質をはぐらかして、そつちのほうに問題を持つて行くが、併し先ほど私が申しましたように、基本的なものは変るものではない。この点に関しては、もつともつと日本政府としては、当然日本国民の人権を守る立場から、はつきり毅然とした態度でやつてもらいたいと思います。私は時間がありませんので、最後にお聞きしいのは、今まで一体このような鹿地事件と同じような形の事件というものはたくさんあつたの、じやないか。これは私自身の身辺を振り返つて見てもこれはどうもたくさんある。たくさんと言つてもそんなにざらではありませんが、例えば私の現に居住しておる前の家のこれは主人でありますが、名前は特に秘めますが、その人が昨年あたりの三月頃、丸ビルで、あとで聞いてわかつたのでありますが、逮捕されたのであります。そうしてそれから八月までこれは何ら音沙汰がなかつたのであります。不明な時間が約二週間くらいはどこに行つたかわからない、そういう形で実は丸ビル事件というのがあつたのだそうであります。そういう長い間巣鴨に拘留されて、それからCICにやられた。それからカムチャツカあたりから引揚げられて来た知人でありますが、これが引揚げられて来ますと、間もなくこれは軍関係の者が参りまして、そうしてこれに対していろいろ向うの情報を知らしてくれとか、まあ軟禁同様にされまして、まあ家に帰宅は許されたようでありますが、毎日々々まあ連れて行かれて、そうして向うの様子を一々聞かれて旅費、日当のようなものをもらつてつて来た。煙草も吸わせ、待遇はいいけれども、いわばそういうような形で情報をとられるということは、これはまぎれもない事実である、そういうような問題ですね、これは私の今挙げました例だけでも、私自身の個人的な体験を通じてもそういうことが起つている。そうするというと、鹿地事件なんというものは全くこれは氷山の一角に過ぎないのじやないか、それは日本の占領時代、更に占領から講和発効後にかけて、こういう事件というものは非常に深くいろいろなところで問題が行われているのじやないか、併しこれが占領治下の立場或いは米軍に対する今までの日本の卑屈な態度から、これについて皆が話をすることができない、秘密にしておこう、成るたけ言わないほうがいい、殊に私の隣の主人の場合のごときは長い間留守にしましたので、その子供が殆んど私の家に来ておりまして面倒を見ておりました。そういうことで礼を言いに来ましたけれども、もう態度を見ますというと、非常に恐怖感を持つておる、私の家の玄関に来てもきよろよろしている、どうした、もう少し落着きなさいと言うと、いやいつ私は再び連れて行かれるかわからない、こういうような恐怖の姿をとつておる。それが相当長い間続いておる。これは相当心理的に与えた影響は私は深刻であると考える、こういう点、それからなおこれと関連して今まで起つた問題の中で、例えば帝銀の平澤事件の問題でありますが、この平澤事件の問題を見ますというと、この背後にはどうもやはり日本の細菌戦に関係したところの外国人がはつきり関係しておるというようなことが、最近これは調査によつて新聞紙に伝えられておる、又下山事件、下山事件のあの現場には、とても日本人の履くことのできないところの大きな靴跡がはつきり残つておる、これはもうはつきりしておると思う。このことはもう巷間で伝えられているのです。知らないのは案外政府だけかも知れません。或いは法務府はすでにおつかみになつていらつしやるかも知れない、更に一番大きな問題になりました松川事件でありますが、この松川事件につきましては……。
  280. 左藤義詮

    理事左藤義詮君) 岩間君、時間が大分延長しておりますから、簡単に願います。
  281. 岩間正男

    ○岩間正男君 やめます。時間がないために私は縮めて申上げておるのですから、どうぞもうちよつとだけ御了承願いたい。松川事件に対しては現場を目撃したところの渋川村、そこに住んでいた齋藤金作という人があつたのでありますが、この人がその現場を見たために、非常にあとでこれは見知らん男が彼のところにやつて来て脅迫した、それが恐ろしくなつて逃出して、それからまあオートバイの運転手になつて行方をはぐらかそうとしたけれども、結局この男は次の年の三月になつてから失踪しておる、そうして失踪後四十日になつてこれは堀から溺死体になつてつておるのであります。こういう事案ははつきりした事実であります。こういうような問題というものはざらだろうと私は思う。殊にこの松川事件のごときは、この問題は特に大きな問題じやなかつたかと思う、ところがこれは実は不明の勢いつの間にかこういう形で死体になつてつているということで、何ら現場を目撃した者はないということだ、これは人権上由々しい問題だと思う。    〔理事左藤義詮君退席、委員長着席〕  従いまして、この際日本の人権を護ろうという立場から考えられるときに、このような一体何か日本に闇黒な外国の組織があるのかどうか、そういう組織が日本のこういうような態勢を、一体陰のほうでやつておるのか、そういうようなことが出ておるのでありますから、少くとも私が今挙げましたような事実については、更にそのほかの事実について、巷間でいろいろ問題になつておる事案については、法務総裁はこれを十分に調査されまして、これを明らかにされるということが日本の人権擁護の立場から非常に重要だと考えるのであります。法務総裁はかような御用意がありますかどうか。私は日本の人権を擁護するためには決して我々は人後に落るものではございません。飽くまでも朗朗な日本を作るためには、これは法務総裁も御同感であろうと思うのでありまして、只今の私の要求に対してはどういうふうにお考えになりますが、御趣旨を承わりたいと思います。
  282. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えいたします。お話のように文化国家というものは、あらゆる角度からの恐怖のない明朗な社会を作ることだと思います。これには全力を挙げたいと存じております。今のお話でございますが、私が只今まで取調べたところでは、不法監禁で闇から闇に葬られた事件というものは今のところわかつておりません。併しこの間も法務委員会お話が出たのでありますが、終戦後失跡者が非常に多い、これについても根本的な分析をしてみたいと考えてすでに着手しております。失除者が多いということは決して国の誇りにはなりません。又人権擁護からいつても由々しいことでございますので、これは他日御報告をいたす機会があるかと思います。進んで御報告をしたいと思つております。いずれの国にせよ、不法監禁であつてもなくても、講和後一人の個人を手許に置いておいて、日本政府に通知のないことは不法行為でありまして、それがわかりましたときには抗議を申込むつもりであります。これをお答えいたします。
  283. 内村清次

    ○内村清次君 議事進行、暫時休憩の動議を出します。
  284. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ちよつとお待ち下さい。
  285. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 先刻千田委員の御質問がありましたので調べましたからお答えいたします。冷凍「まぐろ」の輸出に関するレター・オブ・アシユアランスについて、先般対米輸出の枠を増加いたします際に、アメリカ業者の感情を刺戟しないためにとつた措置でありまして、日本輸出業者が輸出するときにはアメリカの最終消費者、この場合罐詰業者でありますが、そのほうから次の内容を明示した保証状を必要とするものであります。  一、アメリカにおいて「まぐろ」が不足しておること。  一、輸出価格は米国国内価格を下廻らないこと。  一、輸入により米国市場を擬乱しないこと。  こういうのであります。なお通産省といたしましては、こういう措置は成るべくとりたくないのでありまするが、当分の間は従来のいきさつ等に考えまして止むを得ないと考えております。又現在のところはこのレター・オブ・アシユアラソスによつて、先刻申します通り一万二千トン、更に六千トン殖えて一万八千トンになつたというような状況で、成績を挙げたいというように考えております。
  286. 千田正

    ○千田正君 両方の国家の上から大切なことであるから、お互いに刺戟の少いような御趣旨で止むを得ないと思いますが、それによつて水産関係の生産が掣肘を受けるというような、国内産業に対する掣肘を外国の力によつて受けるという感情を持たしたくないと考えるのであります。その点は十分に通産大臣から農林大臣と篤と御協議の上、国内産業に相当の重圧の加わらないように貿易方針をとつて頂きたいということを特にお願いする次第であります。
  287. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 議事進行。一般質問をまだ続行されることと思うのですが、委員長にお尋ねすることは、昨日、一昨日、衆議院附帯決議に対して、本員は政府関係各省にその真意、具体策について質しましたが、結局要領を得ない、うやむやのうちに終らんとしておるままにあります。併しこれは本予算委員会で最後のときに何らかの結末を付けなければならんと思うのですが、ただ私は一般審議を続行して最後にその問題を改めて又再取上げすることになるであろうと思うのですが、それに先立つて、一体この衆議院附帯決議は、与党自由党が提出して、そうして自由党が賛成して来た問題なのであります。よつて自由党の議員といたしましては、或いは与党とされましては、この附帯決議が二日間に亘つて審議されたのが殆んどうやむやでその目的が達成されておらないというこの実情に対して、与党議員たる自由党のかたがたはこれに対してどう対処せんとするのであるか、どう対処せんとするのであるかをこの際一つ明確に当予算委員会において披瀝され、そうしてその回答を以て更によく検討もいたしますが、その間に一般質問を又続行されることはよいが、とにかくあの附帯決議に対して与党自由党の議員諸公はどういう態度を、どういう見解を持つておるか、或いはどういうふうに今後処置をせんとするのであるかを、この際一つ我々は要求をいたしますから、委員長は然るべくお計らいを願いたいと思います。
  288. 左藤義詮

    左藤義詮君 只今の問題については、非公式ではありますが、各派でお互いに極秘を以て懇談している段階でございまして、この席上においてさようなことを御要求なさるべき筋合ではないと思います。又私どもとしては、衆議院、参議院それぞれ立場は違つておりますので、ここで我々がそういうようなことについて意見を述べるべき筋合ではないと思います。
  289. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それは以てのほかであつて、私は言葉を重ねて申しますが、自由党が一体これは附帯決議を出したのです。そうして自由党が賛成した。だから昨日から我々が質問しておる、政府関係各省の答弁は自由党のかたも私は満足していないだろうと思う。あれを満足するのだつたら、何のためにあんな附帯決議を出したのか、意味をなさない。であるから、それは寄り寄りというのは、予算に対して、補正予算に対してどうあるべきかということに対して、いよいよ年末も迫つておるから、何とかスムースに処理いたしたいということの考慮に基いての協議はありますけれども、あの附帯決議に対して寄り寄り協議ではなく、この席上で明らかにされなければならん問題でありますから、どうしても自由党の議員がこれに責任を持つた態度を以て与党関係大臣に、ゆえんしたところを、附帯決議のゆえんしたところを明白にして国民にこれを公表せなければならんと私は思う。
  290. 千田正

    ○千田正君 只今の岩木委員のお説も御尤もでありますし、又いろいろな論議もあると思いますが、先ほど内村委員から休憩の動議が出ておりますので、(「賛成」と呼ぶ者あり)諸般の事情について十分討議して頂きたいと思いますが。
  291. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 休憩に賛成ですが、先ほど私は木村保安庁長官に、アメリカから借りておる兵器、武器の内容について質問したところ、木村長官は御答弁される用意をしていたようですが、この席から外されましたから、本会期中、いつかこれに対して御答弁を後日委員長のほうから求めて頂きたい。
  292. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 内村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  293. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。それでは暫時休憩いたします。    午後五時四分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた〕