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1952-12-04 第15回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月四日(木曜日)    午後一時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            高橋進太郎君            森 八三一君            内村 清次君            山下 義信君    委員            石原幹市郎君            石坂 豊一君           池田宇右衞門君            川村 松助君            楠瀬 常猪君            郡  祐一君            白波瀬米吉君            杉原 荒太君            平林 太一君            山本 米治君            石黒 忠篤君            小野  哲君            加藤 正人君            片柳 眞吉君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            田村 文吉君            溝口 三郎君            佐多 忠隆君            三輪 貞治君            波多野 鼎君            松永 義雄君            吉川末次郎君            堀木 鎌三君            千田  正君   政府委員    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    大蔵省理財局長 石田  正君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    中小企業庁長官 岡田 秀男君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    国民金融公庫総    裁       櫛田 光男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度一般会計予算補正  (第一号)(内閣送付) ○昭和二十七年度特別会計予算補正  (特第一号)(内閣送付) ○昭和二十七年度政府関係機関予算補  正(機第一号)(内閣送付)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 只今より予算委員会を開会いたします。  本日は中小企業問題につきまして、通産省中小企業庁長官岡田秀男君の説明を聞くことにいたします。
  3. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 中小企業庁といたしまして、現在のところ中小企業の問題の対策といたしましていろいろやつておりますことを概略申述べさして頂きます。  昨年一時朝鮮ブームによりまして一時景気が好くなつておりましたが、去年以来の景気の沈滞によりまして、中小企業が非常に困つていることは申すまでもないことであります。その関連におきまして、中小企業問題が最近非常に重大に成相つて来ているのであります。その当面の問題もさることでございますが、中小企業庁といたしまして、過去並びに現在において、ずつとやつて来て参りますことも合せて申述べさして頂きたいと存ずるのであります。  私どもといたしまして、中小企業対策の大きな旗印といたしておりますものが、先ず第一には組織化の問題、第二といたしましては中小企業合理化内部を健全にする問題、第三といたしましては中小企業金融信用力の確保の問題を合せました金融の問題、その他一般問題といたしまして税の関係をどうするかという問題、或いは中小企業の人々は経済情勢資料が入手しにくいから、その点を我々のほうで極カニュースを流すという問題、或いは見本市をやりますとか、その他市場開拓の問題を坂上げるというふうな、いろいろの一連のその他の問題、四つに分け得るかと存ずるのであります。  中小企業組織化の問題といたしましてまは、中小企業はそれ自体として中小企業者が全身、全財産を投げ打つて仕事をされておりまする関係上、いわゆる会社経営よりは身が入つた仕事をされているという特徴もございまするけれども、その財力が非常に弱く、販売力も弱いというふうな関係から、どうしても経済変動が参りますと、そのあふりを直接に受けやすい、さような意味合から、特に又戦後親工場の力が弱つており、或いは問屋の力が弱つているというふうな関係も併せまして、我々といたしましては相互扶助の精神に基きまするところの協同組合結成ということを強く推進して参つているのであります。丁度中小企業等協同組合法が制定されまして、すでに三年を経過いたしているのでございまするが、その間、組合結成数から申上げますと、概ね二万八千組合ができているのでございます。それによりまして関係しておりますところの中小企業の数は、大体全中小企業の数をどう抑えるかによつて多少違うかとも存じまするが、概ね六割見当のかたがたが中小企業協同組合関係しておられるようにまあ推測いたしておるのであります。ところがこの組織化の問題で一番我々が今後努力いたさねばならんと考えておりますのは、数の点では月に二百くらいの組合が今でも増加しつつあるのでございますけれども、その中身におきまして、本当に組合員のために役に立つような活動を堅実にやつておりますところの組合が何ぼあるか。過去の統制時代におきまして設立されましたところの統制組合の看板を掛け直しただけで、ただ名前は協同組合でございますけれども、殆んど休眠しているような組合がどのくらいあるか、その点を把握いたしまして、若し組合員の数が余りに大き過ぎて、活動がしにくいというふうなことがございますれば、むしろこれを分断いたしまして、同志的な結合にふさわしい姿に改組するというようなことも考えられる次第でありまして、最近大阪等におきましてもさような事例が多々ありまして、改組いたしました結果、中金の金融ベースにも乗つたというような事例もございます。そういうような意味合におきまして、今後は組合内部を強化いたしまして、組合員のために役に立つ組合に育つて行くという方向努力を傾注いたしたいと存じまして、新たに組合診断制度というものを設けまして、従来一企業診断でありますとか或いは産地の診断でありますとか、又縦の系列診断等をやつておりましたのと加えまして、組合内部診断制度というものを強力に推進いたしまして、そうして先ほど申しましたように、中小企業のために本当に役に立つ組合を育つて行くという方向努力いたしたいと存ずるのであります。そうして協同組合が本当にその組合のために役に立つ活動をするところの一つのよすがといたしまして、共同施設を作るということが考えられるのであります。一人一人の組合員によりましては買うことができない機械設備或いは運送機関というようなものを備えることによりまして、非常に利益を受けるということが考えられるのでありまして、私どもといたしましては、過去二十二年以来共同施設に対する補助金制度を設けまして、本年度までにおおむね五百数千万円の補助金を約七百八十ぐらいの組合に出しておるのであります。本年度予算が二億円でございます。これは甚だ御自慢にならん数字  でありまして、私どもといたしましては来年度におきましてはこれを相当増額いたしたいという気持を持ちまして大蔵省等目下交渉中でございます。  第二の企業合理化の問題につきましては、従来から企業診断制度というものを設けまして、そうして今年からはその診断員登録制度も設け、有能なる診断員を動員いたしまして、それによつて企業診断をやる、そうしてその欠点の所在をはつきりと掴みまして、改善方策勧告いたすということを従来からやつてつておるのでありまして、すでに工業関係におきましては八千件程度診断をやり、商業につきましては三万件程度診断をやつて来ておるのであります。この診断制度を振返つて見ますると、やはり従来診断員の素質において不十分な点があつた。殊に東京、大阪等の大都市におきましては有能なる診断員を得ることが比較的容易でありますけれども地方府県に参りますると、これがなかなか十分でないのであります。又県庁職員等短期養成をいたしましても、養成を受けました県庁職員が短期間に他の職務に転ずるというような欠陥もございます。大都会におきますところの有能な診断員プール制度によつて地方診断員と結付けるというようなことも今後是非やりたい。それから診断の結果かようなふうにやつたらよろしいでしようという改善方策勧告いたしまするのでありますが、その勧告したあとにおけるところの指導が完璧を得ておらないように思うのであります。保健所における巡回看護婦のような制度がございまして、自宅療養しておるところの患者を巡回して看護婦が廻る。そうして医師が勧告しました療養方法を実際にやつておるかどうかというようなことを見廻り、更に親切に指導しておるわけでありまするが、私どもといたしましても、勧告をやつたあとにおいて中小企業者がその勧告如何ように採用しておるか、又その勧告に従おうとして果して順調にやつておられるかどうか、非常な困難な事態に遭遇することはないか、例えば金融の問題にいたしましても、事後の指導によりまして診断金融とを結付けるということも可能になる場合が多かろうと思うのであります。さような意味合におきまして私ども希望といたしましては、巡回指導員のごとき制度を各府県に設けまして、この勧告の結果を活かすような指導をやりたいというのが私ども希望でありまして、これもいろいろとまあ折衝中に相成つておる次第であります。  なおこの診断一つのやり方といたしまして、企業系列診断ということをいたしておるのでありまするが、これが丁度親工場下請との間におきますところの下請代金支払遅延の問題の解決にも或る程度の役に立つておるように存じまするので、今後は更にこの系列診断に大いに力を入れて参りたい、かように考えるのであります。又あとで申上げたいと存じまするが、金融の問題にいたしましても、中小企業が資力が弱いという点から金融がつきにくい面が多いことはもとよりでありますけれども、その帳簿その他の経理関係が非常に不備であるために、そのために金が動かないという場面も非常に多いと存じまするので、経理指導、簡単な帳簿によりまして経営内容がそこに記帳される、それによりまして金融改善し、税の関係も円滑に行くというふうな方向指導したい、着々やつておる次第でございます。  なお設備改善、つまり中小企業者の弱みの一つといたしましては、持つておりますところの設備が非常に古い、陳腐化した機械を非常な無理な状態で動かしている、労働強化によつて機械の悪い点を補おうというふうな苦しい状態も見受けられるのでありまして、何とかしてこの設備改善を図りたい。かような考えから先般の議会において、成立いたしました賠償指定国有財産の解除に伴いまするところの賠償機械交換制度というものを今動かしておるのであります。これは賠償指定になつておりました機械のうちから、おおむね五万弱の機械中小企業の持つておりますところの旧式な機械交換をしてやろうという制度であります。目下各府県別に枠の割当ができた状態であります。これによりまして或る程度中小企業機械近代化ということに役に立とうかと存じておるのでございます。なお全国府県の中におきましては、府県機械自分が買いまして、これを中小企業に貸しておる府県があるのであります我我といたしましてはこういうふうな点も若しできますることならば大いに促進をして行きたいというふうな希望を持つておるのであります。金融の問題が、中小企業問題と申しますと、どちらかと申しますれば、さような今概略申述べましたようなこともさることながら、金融の問題が中心であるように現在はなつております。特に年末を控えましてさような点が多いのでございまするが、私ども金融対策といたしましては、先ず第一に市中金融一般銀行金融機関に対しまして中小企業に対する金融を極力やつてもらうようにこれを進めて行く、更に中小企業専門金融機関資金源を供与いたす、それによつてこれを大いに育成して参る。更に中小企業者信用の足りません点を補充して参るために信用保険をやつて行くというふうなことが一応の中心をなしているのでありまして、最近の中小企業者が金に困つておりますという点を、私どもでも非常に心配をいたしているのでありまするが、私どもの調べましたところによりまする手形不渡状況ちよつと見ましても、昨年におまましては全国月平均が約二千五百件ぐらいでありましたのが、本年度に入りまして四月から九月までで平均三千六百件程度、四割強の増加を示しているようでありまして、而もその平均金額が約十万円程度であるということから推して見ますると、中小企業不渡が非常に多い。従つて中小企業金融状態が悪化しているというふうなことの一つの現れではないかとも考えているのであります。そうして金融機関状態を見ますると、全金融機関貸出額が本年の、これは少し古いので恐縮でございますが、七月で二兆四千六百億ぐらいでありまするが、中小企業向けが七千四百二十二億、約三%に相成つているのであります。全国銀行状態を見ますると、本年の七月貸出総額が一兆八千五百十七億、そのうち中小企業向けが四千五百五十三億あるのでありますが、昨年の、ちよつと月が食い違いますが、六月におきまして貸出額が一兆二千十二億、中小向けが三千三百九十五億、そうしますと貸出総額におきましては六千五百億、約五割四分殖えておるのに対して、中小向け貸出は千百五十八億、約三四%の増ということに相成つておりまして、全国銀行における中小向け貸出がだんだん圧縮されておる状況が分るのであります。それに対しまして中小企業専門銀行におきましては、二十六年の六月に千三百五十六億であつたものが、今年は二千八百六十九億中小企業向け貸出されまして、全金融機関残高のうち、二十六年におきましては約二七%を中小企業専門機関取扱つておりましたものが、本年の七月では約三九%に伸びておるというふうな状態でありまして、どうしてもこの全体の趨勢を考えますると、大銀行に対しまして中小企業専門店舗等の設立を慫慂する、いろいろとお願いをいたすことの努力を今後も当然継続せねばなりませんと同時に、やはりこの中小企業専門金融機関を大いに育成鞭撻することをいたしませねば、中小企業金融というものは解決できないということが、そういう数字からも分るかと思うのであります。それによりまして、又年末がいよいよ迫つて参りまして、特に年末金融という問題も別な観点から取上げて対策を講じなくちやならんというふうなことと相待ちまして、最近私どものほうで大蔵省お願いいたしましたりいたしまして打ちました手は、先ず国民金融公庫に対しまして政府出資を三十億と資金運用部からの借入を二十億この補正予算お願いをする、而もその資金運用部からの借入は、仮に予算国会通過が遅れましても別途法律お願いいたしまして、その法律が通ればすぐ見合いの借入ができるような方法も講じておられるのであります。又商工組合中央金庫、つまり従来は協同組合又は組合員だけの専門金融機関でございますが、これに対しまして国庫から二十億の貸付を行うということが補正で盛られたのであります。私どもといたしましてはこの二十億を単なる二十億ならしめず、これを最も有効に活用する方途につきまして目下大蔵省と鋭意折衝中でございます。又預託金につきましても、本年の十一月に年末金融の繁忙を予想いたしまして、特に中小企業専門機関に五十億の預託の増をやる、そうして従来の預託残中小企業金融機関、つまり商工中金、相互銀行信用金庫等に対しまして預託になつておりました百八十億のものと合計いたしまして、これでまあ中小企業金融の金の余裕をつけるということをいたしたのであります。なお信用保険特別会計におきまして、当初予算におきましては金融機関との間におきますところの保険契約の枠が七十二億、それから信用保証協会を相手といたしますところの保険の枠が二百四十億と相成つてつたのでありますが、金融機関との関係におきまする保険契約が随分伸長いたしまして、七十二億大むね使い果すような恰好になりましたので、これを倍に殖やしまして、中小企業向け金融機関関係保険の充実を図つたような次第でございます。先般の第十三国会で通過いたしました特定中小企業の安定に関しまするところの臨時措置法の、その後の状況でございまするが、現在綿、スフ織物関係で、地区別調整組合が二十六設立されておりまして、更に全国一本の連合会と、それからその他の地区調整組合四つ認可申請中でございます。なお絹、人絹織物関係におきましては石川、福井、富山、桐生の四地区において輸出向けの絹、人絹織物調整組合が設立されておるのでありますが、このほかに石川におきましては内地向け織物調整組合認可申請の準備に相成つておるのであります。その他繊維雑品につきましては五組合ができておりますほか、編みレース等全国一本の調整組合が設立されておるのであります。マツチその他全部で数十の調整組合ができておるのでありますが、実際調整規定を発動いたしまして動いておりますのはマツチ調整組合輸出入絹染織関係組合との二つのようになつております。その他につきましてはまだ本当に調整をやるという段階までは至つておらないように存ずるのであります。  以上概略を申上げたのでございまするが、足りませんところは御質問によりまして補なわせて頂きだいと思います。
  4. 田村文吉

    田村文吉君 これは統計資料の必要上からも問題になるのでありますが、中小企業者というものは全国幾らあるということになつておりますか、又中小企業定義でありますが、現在ではお扱いの上から行くというと、組合に加入しておるものだけが中小企業者ということにしてあるのか、その辺のところを一つお知らせを願いたい。
  5. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 中小企業者定義が先ず第一に問題になろうと思うのでございますが、中小企業等協同組合法によりますと、従業員三百人以下のものが組合対象になると相成つております。又開発銀行中小向け設備資金貸出をいたしておりまする関係から参りますると、資本金一千万円以下で且つ従業員三百人以下ということに相成つております。或いは又日本銀行別枠融資関係では、使用人が二百人で、資本金がそれぞれの従来過去の便宜のためにいろいろ定義が違うのでございまして、私どもといたしましては、これを少くともこの際統一したほうがよろしいのではないかと思いまして、資本金一千万円以下、或いは従業員三百人以下というふうに統一するように今いろいろと話しておるわけでございます。又私が先ほど申上げました金融残高のときに、中小企業向け残高幾らということを申上げたのでありますが、これは統計便宜上、資本金三百万円以下の会社だけがあの統計には載つておるのであります。統計の扱い方又はいろいろな従来のそのときどきの都合によりまして中小企業定義が違つておるのでございます。先ず先ほど人数の場合に約六倍程度のものが組合関係に入つておるのじやないかと申上げたのでありますが、これはまあさような意味でありまするから、どこで線を引くかということは非常に困難でございまするが、大体まあ三百万人見当と押えまして協同組合関係が六割見当まで出ておるように思われる。かように申上げたのであります。
  6. 田村文吉

    田村文吉君 その一体中小企業企業庁という庁があるのだが、その対象になる中小企業者というものの定義はつきりしていないということが、すでに非常に困る問題なんでありますのと、一体中小企業対策というものは終戦以来非常にやかましく言われているが、さつぱり実は実効が挙らない。そこでわざわざ企業庁というものを作つたらいいだろうというので、通産省の中にそういうものを作つたのでありまするが、これは金融関係税金関係以外には実は何にもお役に立たんと申しては甚だ相済みませんが、効を奏し得ない。そこで私は一体中小企業というのでお考えになつているところの、困る困るというものを自分たちが何とかして助けて行きたいという御対象は、一体どの程度までする、資本金幾らなら幾ら、それから従業員は何人にする。その場合にどうしてもつと詳しく、御統計もできているか知りませんが、あつたらば知らせて頂きたいのでありますが、商売人の人と工業家メーカーというものと、それからトレーダー、商売をする人、これの区別を一つして、メーカーの中にも例えば織物工業或いは鉄工業下請をやつている。そういうようなものによりまして、そのときどきによつて始終状況が変つている。そういうものは更にはつきりしておらんので、そういうものをもつと統計資料がありますならば一つはつきりとさして頂いて、これに対する折角二十億の金を出す、三十億金を出すもいいが、もう少しはつきりと実態を掴んでやつてもろうということにならないというと、金が活きて来ない、こう考えるのであります。そこで取りあえず伺いますが、一体中小企業者を細かく分類された統計資料をお持ちでございますかどうか、それを先ず第一にお伺いいたします。
  7. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 先ほど申し落したのでございますが、資本金一千万円とか三百人とか申上げましたのは、工業関係でございまして、商業関係につきましては協同組合中小企業等協同組合法によりましたので三十人以下に相成つておるのであります。金融の点から申しますれば先ほど申しましたように、どこまで中小企業対象として金融をいたすかという点は、例えば開発銀行ならここでやる、或いは信用保険ならどうというふうにそれぞれの法律によりまして、或いは取扱方針によりまして、中小企業の限度がきまつておるわけでございます。中小企業統計をとる場合にどうするかという統計上の立場から申しますと、金融残高統計は今のところ不幸にいたしまして資本金三百万円以下のものを中小向け貸出残高と見る以外に統計の問題はございませんし、さようなわけでございまして、本当に中小企業を或る線でぴつと或る線を引きますのも、全体の統計というものが現在のところまだ不備の状態でございます。
  8. 田村文吉

    田村文吉君 必ずしも資本金を三百万円と切るとか、切らんとかいうふうな問題でなくても、実際中小企業或いは商工業家一般考えられる、これに対しては金融なり或いは税の問題なり、その他先ほどお話があつたような問題の点で施策考えてやるということになりますると、それによつておのずから方法が変つて行くのでありまするが、甚だ定義自体が漠としておりまして、内容自体がわからん、こういうことでありますというと漠然とした金を融通してやれとか、漠然とした税金をまけてやれとかいう以外に方策が立たない。折角企業庁というものがあるのですから、それならばもつと適切なはつきりしたデーターを掴んで、このデーターによつて或いは下請工業は今日特需関係の上から言つてこうなつておる、或いは織物関係では絹織物はこうであるし、綿織物はこうである、こういうようなものでおのずから事情が皆違つておる、それに適応するような施策というものは当然持つて行かなければならない。それをただ漠然として、失礼な申分でありまするけれども共同施設をしてやるとか、或いは診断をやるなんというのは、実は本当を言うと製造家としては迷惑で、診断をやつてもらうよりは実は金を廻してもらつて、俺が一生懸命やるほうがよほどいいと言うような人が多いのであります。そこでただ形式だけにならないで、もう少し実態をお掴みになつて行くべきである、こう私は考えますので、もう少し細かい中小企業者の内訳の何か統計資料はありませんか、こういうことをお願いする次第であります。ないとおつしやれば、これは止むを得ない。若し企業庁が真に中小企業のために尽してやりたいというお考えがあるならば、こういう点を細かく突込んで、そうしてこれを分析して、これを活かしてやる方法をとる。決して中小企業だけがよくつて、大企業が悪いということはあり得ないのですから、無論皆関係はしておりますが、それにいたしましても、それぞれの事業の内容を分析して、そうしておやりになる必要があると思うのですが、これは意見でありますが、取りあえずそういうような何か分類された資料がございますか、ございませんか、あつたならば一つ頂きたい、こう申上げておるのです。
  9. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 分類した資料。私ここに手許に持つておりませんですが、帰りまして調査の上後刻お知らせいたしたいと思います。
  10. 田村文吉

    田村文吉君 結構です。
  11. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 私ども考えといたしましては工業といたしましては三百人、商業としては三十人という一つの目安によりまして、中小企業を理論的には三百人でどうだということは非常に疑問があるのでございますけれども、三百人と三十人ということを一応の目安として区切つて取扱つて行きたい。但しマイニングなんかになりますと、その三百人なんというのが非常に都合の悪い点もございますから、若干色合いは付けなければなりませんが、大筋につきましては工業につきましては三百人、商業につきましては三十人というのを一つの基準として扱いたいというのが、まあ現在の段階でございます。なお先ほど申しましたように分類別の統計につきましては後刻調べました上で又お知らせいたしたいと思います。
  12. 田村文吉

    田村文吉君 もう一つ、それで結構でありますが、先刻組合の数が二方八千とかいうお話でありましたが、大体中小企業庁としては中小企業者と目すべきものは大よそどのくらいの数とお掴みになつておりますか、これは定義のきめ方できまる問題ですが、いわゆる一般の観念の上から言つて中小企業者と称するものは一体日本にどのくらい数があるか、どのくらいの数を見込んでおられるか。
  13. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) お答えいたします。いろいろな統計書等によりまして、まあむずかしい定義の点は抜きにしまして、事業所の数とかいろいろ押えてみて、大体三百万前後の事業所があるように考えております。
  14. 山下義信

    ○山下義信君 今の企業診断というものをやつたというのですが、工業が八千件で商業が三万件でしたか、そういう企業診断をやつたという、それに関連した資料を頂きたいと思いますが、どうでしよう。診断した結果、そうしてその診断したそれらの企業の利潤状況はどういうふうになつておるかということを併せて、資料がありましたら頂戴したいと思います。
  15. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 中小企業庁といたしまして企業診断をやりますのは診断の方針、要領、各業種別に対する業種につきましては、かような点を特に注目して、企業診断をやつて下さいというふうな根本方針をきめまして、それを各府県に流すわけでございます。府県庁が各企業からの申入れを受けまして診断をいたしまして、それを私どものほうへ報告して参るわけであります。私どものほうでは診断をいたしました相手方に対しまして、診断の結果、あなたはこの点についてどういうふうに思われますかということをあの丸ちよん式の様式によりまして世論調査をいたしておるのであります。その世論調査によりまする資料は、まあ回答率が四割八分くらいでございますが、府県から参りますその資料は、余り件数その他報告の形がはつきりいたしてない点もあるのでありますが、帰りましてその点をよく整理いたしまして、或いは全部が全部の資料がございませんかも知れませんけれども、相当整理できます限りのものをお届けいたしたい。実施機関は私どものほうで直接いたしておりません関係から、若干の御満足の行かん点があるかも知れませんことをお断わりいたしておきます。
  16. 松永義雄

    ○松永義雄君 企業庁のかたに伺いたいのですが、銀行局長が見えておるから差障りになるかも知れませんが、預託という金がありますが、これは銀行なり或いは信用金庫なりに中小企業融資のためとして指定されて、そして廻されている金があるのかどうか。先ずそれから先に企業庁のかたに伺いたい。
  17. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) お答えいたします。一般市中銀行預託されました場合に、往々にして日本銀行から借りとつた金を返すという方向へ廻される場合もあるやに拝聴いたしておりますが、最近の預託において、私ども大蔵省お願いいたしておりまするのは、中小企業専門金融機関へ主力をおいて、その貸出状況を睨んで預託をして頂きたい。かようにまあお願いしているわけでございまして、大蔵省におかれましても、預託の場合に私どもお願いしてあります点を十分考えておやり下さつておりまするから、かなりの効果が挙つておるものと確信いたします。
  18. 松永義雄

    ○松永義雄君 今まではないということになるのですか。そういう金は出ておらないのですか。中小企業の融資のための預託というものはないのですか。
  19. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 例えば商工中金でありますとか、相互銀行とか信用金庫等預託されますれば、これはもう中小企業に貸すことを使命とする銀行でございますから、自然中小企業へ向けての短期資金になりますけれども金融はつくものと考えるわけであります。
  20. 松永義雄

    ○松永義雄君 そこでお聞きしたいのは、信用金庫なり相互銀行は大体中小企業が相手ですから、同じ中小企業のほうに廻されると考えられるのですが、実際その通りに中小企業の融資のために使われているのでしようか、どうでしようか。各信用金庫なり或いは各相互銀行なりが預託として廻つて来た金を中小企業のために廻しているのですか。
  21. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 私どものほうといたしましては、商工中金につきましてかなり監督権限も持つておりまするので、中金を例にして申上げますと、預託が相当な額が入つて参りますと、すぐはこなせませんから、一時はコールなんかに出すこともありますけれども、最近ぐつと預託をされましたのちプールして参りますると、逐次貸出しのほうに廻りまして、少くとも中金につきましては、預託金中小企業者金融に役に立つているということがその数字はつきりいたすのであります。
  22. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今預託金の問題が出ましたが、先ほどの長官のお話だと、年末預託増五十億くらいというようなお話でしたが、これは中小企業関係だけの預託増のことをお考えですか。そうすると、これは大蔵省のほうにお聞きしたいのですが、全部の年末の預託増はどのくらいというお見込ですか。
  23. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答え申上げます。これから年末にかけて指定預金を或る程度増額するということは、まだ結論的にはきめておりません。今後の情勢を見まして或いは考えなければならん場合があるかという程度であります。ただ尤もこれは御承知の通り預託金の性質は国庫の余裕金の預託でありますから、国庫の収支自体に余裕がなければできないわけであります。そこらあたりも睨み合せて考えますと、年末に若干の国庫の収支上の余裕があつても、来月になつてすぐ引揚げるのでは預託意味をなしませんので、やはり数カ月の間の一応の収支というものを考えなければなりません。それらの点から考えますと、只今のところではまだはつきり国庫としての余裕があるかということがまだきまつておりません。一般論といたしましては、先般申上げましたように、これから国庫の支払というものは相当殖えます。去年よりも相当程度殖えますわけでありますから、一般としては、私はそう窮屈な年末の金融状況ではないと思います。ただその場合に中小企業のほうにそれが潤おわないかということは、これは確かに問題がありますので、今度の補正予算等でも極力中小金融機関に対して政府資金を流す方法を今考えて御審議を願つておるわけであります。一部はすでに本日ここに国民金融公庫につきましては衆議院の大蔵委員会を通過いたしましたが、これらの資金をできるだけ活用する、中小企業に対して放出をできるだけ速かに且つ多い額に年末に出す、こういう方法を極力促進することによりまして、預託の問題はできれば国庫の支出等の関係等を見合せましてやつて参りたいと思いますけれども、もう暫く研究をしなければならんと考えております。若しやるといたしました場合に、これはまだきまりませんけれども、やるといたしました場合には、現在の金融状況から申しまして、やはり中小金融中心として考うべきだと、かように考えております。
  24. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 先ほど中小企業向け預託の増五十億と申しましたのは、去る十月十一日にすでに年末を予測して増加されたのが五十億ということでございまして、今後の問題ではないのでございます。ちよつと念のために申上げておきます。
  25. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 大蔵省の今のお答えだと、国庫収支の状況がまだ見当が付かないというようなお話ですが、もうすでに十二月に入つておるし、大体の見当は、もう正確の数字としては出るのは少し遅れるかも知れませんが、大体の見当はお付きになるのじやないかと思うのです。同時に年末金融としてどこいらに出さなければならないか、或いは少くとも需要としてはどこいらからどれくらいの需要が来ているというような予測は、一応正確にやつておられるのかどうか、その点をお伺いいたします。
  26. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答え申上げます。国庫の収支は、全体といたしましては、先般当委員会で理財局長から御説明申上げました通り、年度内八百八十億の撒布超加ということをやつてつたのであります。この数字は現在一般会計だけでなくて全体に亘つておりますから、必ずしもはつきり一般会計自体の収支とは結付かないのでありますけれども、これらの状況から見ますると、むしろ国庫の預託金というものは引揚げるべきものではないかと私ども考えております。従いまして、国庫の収支の状況だけじやなくて、やはりそういう預託金をしたほうがいいとは思いますけれども、どうしてもしなけれどならんところまで来るかどうかの判断の問題を、私どもは年末にかけてして行かなければならん、こういうように考えております。若しやるとした場合には、先ほど申上げましたように、中小企業金融機関に重点を置いて預託をする、こういう考えでございます。
  27. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、今のお答えだと、資金の供給の面から見れば、国庫に余裕はないから、ちよつと今のところ、出すよりかむしろできれば引揚げたいぐらいだというお話ですが、需要の面から見れば、必要だという面から見れば、そつちの欲しいという面から見れば、必ずしもそうでない実情なんで、非常に問題が起きていると思うのですが、そちらのほうの、需要者の側から見て、どれぐらいの需要がすでに要求されているのか、その辺はもう見当をつけておかれなければ、時期的に言つて間に合わなくなるのじやないか、若しお出しになるにしても……。というのは、よく今まで政府の預託金を、各中小の金融機関まで、これまで年末にかけてお出しになるのだけれども、年末に押詰つてお出しになるために、受取つた金融機関は、信用金庫にしても或いは相互銀行にしても、受取つたほうではそれをその時分になつてから中小企業に融資をするというような時間的な余裕がないために、自分たちの手許に保留して市中銀行あたりに預けて、単に利鞘を稼いでいるというのが今までの実情じやなかつたかと思う。これは専ら時期を、年末に切迫してお出しになるからこういうことになるので、これは中小企業のためと称しながら、単に金融機関に利鞘稼ぎをさしているに過ぎないというような結果になつている。そういうことを考えれば、やはり預託の時期という問題が非常に重要な問題になるし、従つて又どれぐらいの需要があるかというようなことは、もう今頃から一応の数字なり一応の見当はつけておかれて然るべきだと思うのですが、その点はどういう用意をされているか。
  28. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お話のように国庫収支のほうからは、なかなか預託ということが簡単に行かないような状況であるにかかわらず、需要の面ではこれは相当強く需要が起つて来ておることはお話の通りであります。需要はどの程度かというお話でございますが、これは言葉は非常に悪いので語弊があるかも知れませんが、多ければ多いほどいいという実情であろうと思います。ここらあたりはやはり財政の状況その他から見て適当なところで押えなければならない、十分であるかどうかはいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、どうしてもやはり押えて行かなければならない。こういうことに相成るわけであります。なお先ほど中小企業庁長官から説明があつたように、この十月に指定預金約百二十億でありましたか、そのうち中小金融専門機関に五十億を預託を追加いたしたのでありますが、これらはやはり年末へかけての資金需要の旺盛なところを見越して、実は年末金融対策とまでは行かないまでも、年末へかけての資金の需要が旺盛になつて来るところを見込んでの、そのうちの中小企業に対して五十億を追加いたしたのであります。これもやはり年末金融の一環としてお考え願いたいと思う。なお今後の問題につきましては、先ほどお話申上げましたようなところで御了承頂きたいと思う。
  29. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ただ今後お出しにならないのならば、時期その他の見当をおつけになる必要はないと思いますけれども、若し何らかお出しにならなければならないというおつもりならば、少くとも十五日以前とか或いは二十日以前とかに出して行かなければ、今までのように二十五日とか、二十八日とかにお出しになつたのじや何にもならないという感じがする。それだけの御用意があるのかどうかという点をお聞きしたい。
  30. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 出すときめました場合には、できるだけ年末にかかつてもう折角出しても使えないというような状態にならないように考えております。
  31. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 ちよつと関連して……、今の説明聞いていますと、もう年末に対しての中小金融を緩和するために新たに政府預託をする余裕はないのだ、むしろ今までの預託金さえも或いは引揚げなければならんかも知れん情勢にある、こういう見通しだと了解していいのですか。
  32. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 先ほど申上げましたように八百八十億の撒布超過と申しまするのは、一般会計だけでなくて全体の金繰りの問題になると思います。例えば資金運用部で相当程度払超をするといつたような状態でありますから、国庫預金の対象になりまする一般会計の状況としては、必ずしもそのまま余裕自体があるかないかということは少し別の問題とお考え願いたい。主として支払超になりまする原因は、資金運用部の約五百五、六十億ですか、これが大部分を占めておるわけです。
  33. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それじや改めて聞きますが、一般会計として新らしく指定預金をするような余裕があるかないかということを一つじやあ改めて……、あるのかないのか。
  34. 河野通一

    政府委員(河野通一君) これは先ほど申上げましたように非常に余裕は少い、一般会計の収支自体から見ると、非常に出すのには困難をするという状況にあることは事実であります。その点をどの程度捻り出せるか、実はこれは私所管をいたしておりませんから、所管のほうと現在どの程度搾り出せるかということを今検討はいたしておるわけであります。そう簡単には国庫収支自体からは出て来ないということだけを申上げたいと思います。
  35. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 すでに十月に年末金融対策の一環として指定預金を殖やした。それほど準備がいいのだ、政府は……。準備のいいことをやつておるのに、今十二月の今日は四日ですか、五日ですか、になつてまだわからんということはちよつと理解しにくいので、政府の言わんとするところは、一般会計の中においては新たに指定預金する余裕はないのだということを、言つてはまずいから濁しておる、言いたいのだが言えないのだというところじやないですか。
  36. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちよつと関連しましてね、金融政策上出すべきか出すべからざるかというお答えはお願いをしません。これは改めて大蔵大臣にお願いをしますが、事務的にいつて国庫に余裕ができるのかどうか、預託する資金源になる余裕ができるのかどうか、事務的にどういうお見通しになつているか、どうですか。
  37. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この問題は先ほどちよつと申上げましたが、仮に預託をいたしました場合に、それをいつ引揚げるかという問題にかかると思いますが、一応今の私ども国庫収支の計算は年度で切つておりますから、三月末までに、若し非常に苦しい場合には三月末までに引揚げることができる、これは年度間を通ずるならば、一時出してもあと年度末においてはこれを引揚げるという措置もできるわけです。その意味においては短期ではあるけれども出せる途はないではない。併しその場合には国庫の収支の事情によつて年度内に引揚げなければならんという問題が起つて来る。これらの点で現在ではその点が余裕があるかないかということが、なかなかその引揚時期に関連いたして参りますから、むずかしいと、こういうことを申上げたい。
  38. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 政策的な判断はあとに聞きますが、政策的な判断でなくて、今お話のように国庫自体の余裕金を一体三月、年度末までにどれくらいと測定をし、それから第三四半期の年末までにどれくらいと予測をしておられるか、事務的にどれくらいと予測しておられるのか、それをお伺いしたい。
  39. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 その問題も私はまだ質問を打切つておりません。
  40. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 今理財局長が来ますから……。
  41. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからさつきお話の国民金融公庫の出資ですか、三十億、融資二十億、合せて五十億が年末対策の一環になるのだというお話で、而も法律の改正によつてその資金の操作も早目にできるようになつたという御説明だつたようですが、これは二十億の分だけについてですか。更に三十億の問題も、それを仮に予算がこの二十五日なり二十八日にきまつても、その前に出資さるべきものをすでに運用するように準備ができているのかどうか。
  42. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 今御提案申上げておりまする法律案では、資金運用部からの借入二十億について予算が通過いたしません前でも、その二十億分については法律が通れば出せると、こういうことにいたしたいと考えております。
  43. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、あとの三十億の出資分についてはそういう特別な措置をしなくたつて予算は非常にもめると思いまかすら、ぎりぎりのところまで審議を続けると思いますが、そうすると非常に予算がきまるというのは遅れて来る、そこで三十億は年末金融対策にはならんということになる公算が大なんですが、そのまま放つて置かれるのかどうか、その点を……。
  44. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 私ども予算が成るべく早く通過いたしまして、この三十億分についても本年中に一部でも使えるようにいたすことが希望せられるのであります。併しこの三十億を年内に使つてしまうというわけには参りませんので、この金は本年度末、来年三月末までにこれを使つて行くわけですから、いずれにいたしましても本年中に使い得る金額はその三十億の極く一部であると思います。そのことは希望はいたしますけれども、どうしても予算が年末ぎりぎりまでなるという場合には、二十億と回収金その他の余裕金で以てできるだけ多額に融資をして行く、こういう方針で国民金融公庫と相談をいたしております。
  45. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、三十億の分は年末金融対策にならなくても仕様がないというようなおつもりですか、それとも今のところの予算の見通しでは、もう衆議院のほうも相当ずれて来ておるのです。参議院も予算の審議権を放棄するわけに行かんから、相当な期間をかけてやらなければならん。そうすると物理的に言つて二十五日なり二十八日というようなことになることはもう当然だと思うのです。それを見通して本当にあの三十億を全部使うということはないでしようけれども、あの三十億も年末金融対策一つだとお考えになつておるのかどうか。そうして大臣は昨日そういうふうな御説明を本会議でなさつたのですが、若しそれを文字通りにそうお考えになつておるのならば、別途予算がきまらなくたつて何とか使えるような方法なり措置なり何かをば講ぜらるべきだと思うのです。その点はどういうふうに……。
  46. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 先ほど申上げた通りでありまして、私どもはできるだけ早い時期に予算が通過いたしまして、この三十億の一部分を使えるようになることを希望はいたしますが、万一それが非常に延びるという場合におきましては、先ほど申上げました借入金の二十億と回収金その他の金額をできるだけ有効に使うことによつて年末を過して参りたい、かように考えております。
  47. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、例えばその二十億の金はこれ又年末に使い切るものではなくて、年度末までに使う予定になつておるのだから、その金を流用して三十億のうちの年度末までに使うべかりし予定のものに振り替えて使うんだ、それで何とか都合はつくんだ、金繰りはつくんだというようなお気持なんですか。
  48. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 先ほど申上げました通り、三十億の出資分についてこの年末に一部でも使えると、年末金融について非常に寄与すると思います。思いますけれども、それができなかつたら非常に支障が起るかと申しますと、今申上げましたように、大体国民金融公庫といたしましては十二月中に三十五億程度貸出考えておるのでありますが、その程度貸出につきましては、大体従来の回収金と、それからまだ従来から権限を得ておりまする借入金が若干残つておりますので、これらを活用することによりまして、何とかやつて行けるのじやないかというふうに考えられます。
  49. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 ちよつと理財局長が来られる前に聞いておきたいのですが、現在指定預金の残額は幾らになつていますか。
  50. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 先般資料を差上げてございますが、現在で残高は三百九十億。その内訳を申上げましようか。
  51. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それはいい。まあ四百億ですね。ところでこの間大蔵大臣が衆議院の予算委員会説明したところによると、例の防衛費の使い方ですねこれを見ていると随分あるですよ。防衛分担金の残つているのが二百二十一億、安全保障諸費に至つては五百十五億、合せて七百三十六億、まあこれだけが年度末に使われるかどうか、これも疑問なんだというようなあいまいな説明をしておりましたが、指定預金の残が四百億で、こちらのまだ恐らく三月末までに支出しなくてもいいと思われるものが七百億以上もあるという実情にありながら、どうしてこんなに詰まつておるのですか。一月の税収入が来なきや駄目だというような意味なんですか。
  52. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 国庫全体の問題につきましては理財局長から申上げますが、1只今お尋ねの点の一部を私のほうからお答えをいたします。波多野委員御指摘になりましたように、防衛経費と申しまするか、防衛支出金、或いは安全保障費というような面におきまして支出が遅れているのは事実でございます。そこで、これは歳入の状況その他の経費の状況とも勿論関係があるわけでございますが、それが今日まで比較的事一般会計に限つて見まして、歳入歳出の点で余裕が生じた一つの理由であるということは申せると思います。ただ今後におきましては、大蔵大臣も申上げましたように、今後引続き支出の予定がございまするので、従来そういう状況であつたから今御指摘のような経費の点につきまして、引続き大きな余裕が出るということには必ずしも参らんと思います。
  53. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 これは大蔵大臣に聞きたいのですがね。衆議院の予算委員会での説明じや実にぼんやりしていますよ。どういうところで今後例えば安全保障諸費のごときはどんな予定になつているかさつぱりわからない。これでは衆議院ではこの点突込んだ質問はなかつたので、あいまいの点が残つておるのですが、それから防衛分担金でも同じこと、七百億以上というのはどうも余るようです。これは大蔵大臣に聞きますからいいですが、国庫余裕金が今のところないと、従つて中小企業金融のための年末手当というものは新らしくは講ずる余地がないというのが政府側の答弁のようですね。そうなら理財局長の説明を聞かなくても大体見当はつくのだが、そうなら別途の方法を講ずべきじやないか。中小金融について何か別に考えるところはないか。財政国庫余裕金というものを当てにすることができないとすれば別に何か考えることはないか。考えなくてもいいかということを聞きたいのですが。
  54. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) お答えいたします。国庫余裕金の状態につきましては大蔵省側から御説明がありました通りですが、例えば中金におきましても日銀からの借入れを殖しますとか、コールを引揚げますとか、債券の発行を、これは従来通りでございますが、やりますとかによりまして、大体この年末に五十億前後の資金は貸出し得る状態になつております。それでまずまず大体年末金融を賄えるのではないかという見当がついておるわけです。その他につきましては、国民金融公庫については只今御説明があつたようなわけでございまして、或る程度の……それから日銀のいろいろな操作等は例年の通りおやりになることであろうと思いますので、いろいろな点から先ず何とかやつて行けるのではないかというのが一応の見通しでございます。
  55. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それでは我々が心配しておつた国庫余裕金の預託がなければ中小企業の年末金融というものは非常に困るのではないかと、こう予測しておつたことは間違いであつて、そういうものはなくても商工中金の操作によつて乗切れるという確信をお持ちなんですね。
  56. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 大体行けるのではないかと申上げたのでありまして、先ほど銀行局長からもお話がありましたように、その状況を見ながらいよいよのときには大蔵省としても考えるということを申上げたわけでありまして、その辺のところも睨み併せまして、先ず何とか行けるのではないかとかように考えております。
  57. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 いよいよのところというのは現在来ていると、僕らから言わせればいよいよのところはもう今日来ている。十二月四日、五日において来ている。これから二十日過ぎていよいよというようなことを言つてみたところでこれはもう来年になつてしまう。だから今何か策がありそうだということを申上げておるのです。
  58. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 今日の予備審査においては具体的な事務的な数字をお調べになることが目的であろうと思いますが、こういうふうに考えておりましたし、又先ほど来も佐多君の御質疑もそういう点にあるように思いましたので、私は差控えておりましたが、政策的なお尋ねのほうに入つて参りましたので、私から便宜大臣に代つて只今の考え方をお話いたしたいと思います。  国庫の余裕金の問題につきましては、正確な数字の見通しについては理財局長から後刻お答えがあろうと思いますが、併しその国庫の預託ということをやることがいいか悪いかについては私は理論的にいろいろ問題があろうと思います。併し現在の段階におきましては、年末の金融に関する問題のみならず、中小金融或いは金融の緩和ということにつきまして、できるならばこれは一つ方法であろうというのがかねがねの大蔵省の見解であるわけでございまして、これは年末に際しても先ほど来中小企業庁長官から詳細に御説明いたしましたように、すでにこの秋頃からこういう状態を予想いたして現在のところは三百九十億円の預託金融機関に対してやつているわけであります。而もその内容の相当の部分はいわゆる庶民金融機関に重点をおいていることは資料によつて御承知の通りであります。でこれは十月頃から始めて大体この年末を越してなお相当の期間回収をしなくても大体行けるであろうということまで見込んでおりますから、この年末の預託金対策というものは勿論すでに進行中でありまして、従つて年内に回収をするなどということは全然考えておりません。それから別に国民金融公庫なり、或いは商工中金なり、或いはその他の方法によつてできるだけのことを考えているわけでございます。例えば国民金融公庫にいたしましても、これからの状態を見通しまして、且つ従来の国民金融公庫経営の実績から申上げまして、今回の補正予算と二十億円の借入金が取りあえずできれば、何とか乗り切れるであろうという目算は一応つけているわけでございます。併しながら、それからいま一つ前提条件になるが第三四半期の政府資金撒布超過がどのくらいになろうかという見込であります。これは昨日も申上げましたように、昨年度に比べれば今年度のほうが約二百億乃至三百億多いと我々は見込んでおります。従つて全体のこの金融状況というものはそう悲観する必要はないものでございます。  それから今一つ最近の状況としては農中の預金の状況一般的な預金の還流状況からみていわゆる全体としてはそう悲観をしなくてもよろしい状況にあるというのが私の見通しでありまして、大体こういうような客観的な情勢でありますが、併し何と申しましても中小金融の具体的の需要のある所に成るべく適切に金を流したいと考えております。これは申すまでもございませんが、そういつた場合において、本日以降においても常時情勢を津祝いたしまして、どうしてももう少し出すほうがいいということであれば、私は預託金を増額するということもその一つ方法であると考えておるわけでございます。でこれは何月何日にどのくらいの需要があるからそれに対してどうというようなそういう細かい点に至つてまでの計画性というものは私どもは今日持つておりませんし、又そのほうが正しいと思つております。併し今後の年末までの状況について、勿論年末の通貨の発行状況がどのくらいであることが望ましい、或いはどうなるであろうということも大いに頭に入れて、必要ならば私は預託金の増額ということも便宜の措置としては追加して行うことができるというふうに私は考えております。
  59. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 どうも予算委員会をやつてつて、この予算委員会は事務的なものをやる、この予算委員会は政策的なものをやるのだというそういう制限はないのであるから、次官は遠慮せずにいつでも答弁に立つて頂きたい。何も我々は拘束されておらない、審議の上において今の次官の説明で大体の見当がつくのですが、一つ理論的な問題として預託制度の問題について問題があると言われましたが、私も同感でございます。大体この預託制度ができたのはドツジ政策の結果なんであります。このようなものができるということは、およそ予算編成の上において歳入の過少見積か、歳出の過大見積かどつちかであるに違いない。だからその点は別の議論として議論するが、年末が迫つて各方面から中小金融についてのいろいろな訴えがある、この訴えに対して政府はどういうふうに対処するかということは、これは我々予算委員会としては当然取り上げなければならない問題であつて、今日それを取り上げたことは決して我々の行過ぎでも何でもないのであるから、その点は次官は誤解のないように願いたい。預託というものはドツジ政策の落し子みたようなもので、これは妙なものである。とにかくこの年末を乗り切るために若し預託の余裕があればやるということを政府が言うことによつて、中小金融の方面に一つの安心を与えるということは、これは政治のやり方だと私は思う。ところが先ほど聞いていると、もう何もありませんといつたような意向、答弁が多過ぎる。それはまずい感じですね。私は、で、大蔵次官がまあ情勢を刻々注視しながら、年末に向つて打つべき手が、打たなければならん事情に迫られれば手を打つのだと、どこからその預託金を引ずり出すか私知りませんが、とにかく何か預託する必要があれば預託しますというような説明をされたので、まあ一応辻褄が合うのです、政治としては。で、私はもう少し政府が中小金融の問題について真剣に考えたほうがいいという感じを述べておきます。大蔵大臣に代つてでありますが、大蔵大臣にはもう少し聞きたいことがある。どうか政務次官は今ここで答弁されたことをお忘れなく、年末に際して大活躍をされることを希望いたしておきます。
  60. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) それで、ちよつと私の申上げたことが舌足らなかつたかも知れませんから補足いたしますが、国庫の余裕金があれば必らず預託をするということではございませんで、それよりは年末の金融対策が非常に重要である。その際に若し必要があつて且つ余裕金があるならば預託をいたさなければならないと、それが適当な方策だと私は考えておるわけであります。なおこれは預託金だけの問題ではございませんで、御承知の通りに日本銀行の別枠の融資というようなものも、中小金融対策としては考えられるわけでありますし、いろいろの方法論が考えられるかと私は考えておるわけであります。それから余裕金があるようなことは、ドツジの落し子で、けしからんという趣旨のお話がございます。これもいろいろ御議論のあるところだと思うのでありますが、併し例えば第一次大戦のあとの好景気の時代などには自然増収がやはり相当多かつた。それは経済活動が情勢によつて違いますので、これといろいろ考え合せて見まするならば、必らずしもこれは悪いことだとは私は言えないのじやないかというふうに考えておりますことを併せて申上げておきます。
  61. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 ちよつと今の大蔵次官の言葉に言うところがある。この間大蔵委員会でもその問題がちよつと出たのですが、攻府側は今あなたの言われたことと同じことだ。欧洲大戦のあとどうだつたとか、不景気あとどうだつたとか、国庫不足金が大きく殖えた時代もあつたとか、過剰金がうんと出た時代もあつたとか、それはその通りだ。そんなことは聞かなくてもわかつておるのだ。去年の十一月から見て、それほど大きな激変が日本の経済にあつたとは思わないのです。まあそのことは又別の機会にやりますが、今年のこの大きな国庫余裕金というものについて、私は初めから二十七年度予算の編成のときから指摘しておつた点なんだから、必ずこれは黒字が出るということは、この予算委員会でもいろいろな人が指摘した点だ、それはそれでいい、それだけ私は言うておきたい。
  62. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の大蔵次官のお話にもあつたように、年末の預託をするかどうかという問題は、資金源があるかどうか、供給源があるかどうかという点だけでなくて、需要なり或いは更には一般的な金融情勢なりと睨み合わして判断をしなければならんというお話で、これは尤だと思います。それならばもう一遍お尋ねしたいのですが、供給源としての国庫にどれくらいの余裕金或いは不足が出るかという問題も、理財局長が改めて説明をされるから、そつちの場合に譲りますが、需要のほうは、今の大蔵次官のお話では、そういうものをちやんと調べたものは持合せがないとおつしやるけれども、時期的に言つて、もう年末の預託を、需要の面から見て必要であるか必要でないかというような判断の資料としての数字なり、見当はもうすでにおつけになつていなければならないはずだ。それをおやりにならないで、ただわんわん騒ぐからとか、少しあつちこつちに恐慌状態ができたから、まあつかみ金を適当にやつておくというようなことでは、いまわしい問題その他が出て来るので、そういうことのないように、少くとも事務当局あたりはもつとはつきりした計数的な見当を立てておかれて然るべきだと思うのですが、従つて私は繰返してお聞きしたいのですが、一体資金の需要額というようなものをどういうふうに見当をつけておられるか、特に中小企業その他はどれくらい必要だと、少くとも称しておるかどうか。それから最近においては繊維恐慌その他であつちこつちいろいろな問題が起きておると思いますが、これらに対しても資金の対策をやらなければならないでしようが、それに関連をして、中小の企業がどういうふうな資金需要を持つておるか。それらのことを一つこれは大蔵次官でなくて事務当局に計数的に御説明を願いたい。
  63. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答え申上げます。私どもといたしましては大まかな資金需要の数字は一応持つております。これは非常に大まかな数字で、ありまして、大体産業資金として第三四半期に大体どの程度出るか、又どの程度が適当であるかという見当はつけております。併しながらそのうちで中小金融のほうへどの程度の金額を予定するかというような数字はなかなか実は困難で、御承知のように只今いろいろ説明がありました金融機関数字は、主として政府機関乃至は準政府機関的な中小金融機関数字についての問題が多かつたと思うのです。御案内のように普通の銀行でも中小金融、殊に地方銀行はそうでありますが、相当大きな分量を占める中小金融をいたしております。相互銀行信用金庫も又然り、これらはただ今お話のありましたような指定預金だけを資金源として中小金融をやつておるわけではございませんので、そのほかの非常に大きな部分は、預金を集め或いは積金を集め、無尽の掛金を集め、そういつたことで中小金融全体の資金を取扱つてつておるわけであります。その上にこれらの金融機関で賄い切れないものを国民金融公庫なり、或いは商工中金は若干違いますけれども開発銀行なり、そういつた金融機関が、何と申しますか、政府財政資金を流す機関として中小金融をなしておる、こういうことに相成つておるわけであります。その全体の数字としては、大体の数字は持つておりますけれども、補完的な政府機関としての国民金融公庫なり或いは商工中金、準政府機関でありますが、こういつたものの資金の、これらに対する資金の需要がどの程度が適当であるかという点につきましては的確な数字は持ち合せておりません。
  64. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私がお聞きしたいのは、その資金の総額の需給の問題等々は別の機会にお聞きするので、それは必要ないのです。ただ問題は、今お話のように中小商工業のために預託金制度をやるとすれば、問題はもう限られて来るので、相互銀行であるとか或いは信用金庫であるとか、商工中金であるとか、国民金融公庫であるとか或いは信用組合、こういうところに預託の問題が具体的の問題になる。これらのところは必らず年末の資金繰りの問題を数字を挙げてちやんと計画を立てていると思う。そしてその計画の中には、今銀行局長がお話のようにそれ以外の資金源もあるでしよう。それら全部を引つくるめて一体中小商工業をそうひどい破綻に追い込まないで越年をさせるためにはどういう資金繰りをしなければならんとか、従つて更に預託金をもう少し要求をしなければならんとか、或いはもう預託金は必要でないんだとかいうような見込はほぼ立てていると思うのです。従つて本当に計数的に科学的に、預託金の必要か否かというような問題を本当に計数的に科学的に御判断になろうとすれば、それらの機関についての金繰りから、大蔵省としては大蔵省一つの見通しを持つておらるべきはずだと思う。それを私はお聞きしているのですが、それを是非出して御説明を願いたい。
  65. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お話の点につきましては、先ほど政務次官からも申上げました通り、現在のところでは私どもは今般の補正予算及びそれに関連する中小金融対策として一応計上いたしておりますもの、及び先ほど申上げました十月に実施した指定預金、これらの特別措置と申しますか、そういつた応急の、応急と申しますか、年末へかけての対策で以てまあ何とかやつて行けるのではないか、かように考えております。併し今後の情勢でそれじやどうしてもいかんという場合に、国庫の余裕のある限りにおきましては……、どうしてもいかんという場合には、指定預金の問題も考えなければならんのじやないか、こういう意味であります。
  66. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、今の判断からはもう預託金、指定預金の必要はないのだから、資料の準備もしていないのだ、情勢が変つて来れば違うのだというようなことにしか結論が出ないのですか、そういう意味で準備をしておられないのかどうか。
  67. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 中小金融全体についての数字につきましては、只今申上げましたように的確な数字は実は持つておりません。それから何と申しますか、一般の根になる民間の中小金融以外の、政府の何らかのバツクによつた、特別のバツクによつた金融機関の資金繰りにつきましては、国民金融公庫につきましては大体資金需要に対して何%程度の貸付ができるようなところで先ず先ず何とかやつて行けるのではないか、そういつた数字はここに持つております。国民金融公庫につきましては三十五億程度でこの年末にかけて融資をして行きたいといつたような数字はここには持つておりますが、中小金融全体についてのそういつた数字は持ち合せておりません。
  68. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ちよつと、理財局長が見えておりますから、先ほどの質問に一つ関連させてお答え頂きたいと思います。
  69. 石田正

    政府委員(石田正君) 私御質問のときにおりませんので、或いは的外れな数字を申上げるかも知れませんが、そのときは適当に御是正願いますれば又申上げたいと思います。  国庫の状況でございますが、大体本年度におけるところの国庫の対民間収支の実績を一応申上げたほうが御理解に資するところが多いかと思いますので申上げますが、大体今年の会計年度で申しまして、第一四半期中におけるところの実績は、大体国庫が二百六十億ぐらい民間から引揚超過に相成つております。それから第二四半期におきましては三百八十八億の引揚超過でございました。結局第一四半期と第二四半期とを通じまして六百四十八億、こういうふうな数字に相成つておる次第でございます。その後第三四半期に入りましてから、十月だけの、今度は民間に対しまして散超に転じまして、その数字は五百五十七億に相成つております。又十一月につきましては二百四十九億でございます。この十月、十一月におけるところの散布超過の数字を合せますと八百六億に相成るのでございます。従いまして第一四半期、第二四半期におきましては揚超、十月、十一月に至りまして散超になり、その数字は第一四半期、第二四半期におけるところの引揚超過をオーバーいたしまして、結局四月以来十一月までの実績は約百五十八億ばかりの散布超過に相成つておる次第でございます。それから私たちの手許におきましては、毎月毎月の散布或いは引揚の状況というものを予測いたしております。この予測は非常にむずかしいのでございまして、的確に当らんことのほうがむしろ通常でございますが、大体の大勢は間違つておらんつもりでおります。只今のところ、この十二月中におきますところの見込を的確な数字で申上げることは、却つて誤解を招く虞れがあるかと思いますが、大体事務当局といたしましては七百億乃至八百億ぐらいの散布超過に相成るのではないか、かように考えておる次第でございます。  今問題になつておりまするところの指定預金の関係でございまするが、この関係は元来指定預金というものは、国庫が民間から金を揚げ過ぎたというような場合に、それを緩和するところの一つの便法のような形でスタートいたしておるのであります。又国庫が散布超過に転じまする場合には、その指定預金を引揚げることによつて調整をするというような大体の方向で参つておるのでございまして、その点から申しますると、この年中におきましては、以上のような政府の対民間の散超が多いのでございますから、私たちの指定預金の筋だけから申上げますならば、これはむしろ引揚げる時期に入つておる、こういうことが言えるのではないかと思うのでございます。ただ産業界の実態を勘案いたしまして、その事業上どうしても止むを得ないという場合におきまして、指定預金をする余地が全然ないかどうかという問題に相成りますると、これは今のような状況でございまするので、だんだんと金繰りは苦しくなつてつております。従いまして手持の短期証券を日本銀行に肩替りするというような形において資金を調達しなければならんという面も起りつつあるわけでございますが、併し短期証券の額というものは相当ございまするので、全然資金的に不可能かということになれば必ずしも不可能ではない、適当であるかどうかという問題にむしろなるのではないかと、かように考えておる次第でございます。
  70. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると今のところ、ただ政策を離れれば国庫には余裕が全然ないというふうに考えておいていいのですか。預託すべき資金源としての余裕はないと。
  71. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体の方向としては散超のときには指定預金というものは引揚げるべきだということを申上げたのでありまして、併し資金を捻出するのに然らば全然資金に事欠いておるかと申しますと、短期証券を仮に日本銀行に売払うということによつて資金を調達する途は皆無ではない、こういうことでございます。
  72. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは国債を肩替りするというようなものはありますか。
  73. 石田正

    政府委員(石田正君) 私が考えておりまするのは食糧証券及び外国為替証券、要するに短期証券だけでございまして、国債を申上げておるのではありません。これは国庫といたしましては国庫一般の問題指定預金は一般部の問題でございまして、一般部というのは国債を持つものではないのであります。
  74. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 佐多君、いいですか。
  75. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 もう理財局長はいいです。
  76. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これに関連しまして、国民金融公庫の総裁が見えておりますから、この説明一つ、櫛田国民金融公庫総裁。
  77. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) 国民金融公庫の年末対策中心といたしまして、大体今後来年の三月末までにどういうことを考えておるかということを先ず概略御説明申上げたいと存じます。  先般来各所からいろいろ報告その他を出しまして、又過去におきまする各月の申込状況等を勘案いたしました結果、大体十二月から来年の三月まで二百九十五億くらいの申込があるのではないか、大ざつぱに申しまして三百億ということに相成ります。年末、この十二月におきましては、そのうちで大体百十八億、大ざつぱに申上げまして百二十億見当の申込があるのではないか、かように存じます。他方資金といたしましては、只今政府のほうから御説明ございましたように、一般会計から出資三十億、又資金運用部から二十億の拝借をできるような工合にお取運びになつておるわけであります。そのうちでただ出資三十億のうちで十億は、軍人遺家族に対します国債を担保として貸付けるために留保いたしまして、又五億につきましては、母子家庭に対しまする特別な貸付のためにこれを留保することと予定いたされております。従いまして新らしく普通貸付、一般の貸付に当てます資金としては三十五億ということに相成るわけでございます。そのうちで、そのほかに回収金が大体現在毎月十億見当ございます。四カ月間で大体四十六億見当の回収金があるのではないかと見込まれます。他方又現在までのところ資金運用部からの借入残が八億残つております。これは十二月に入りまして、実は今日拝借をいたすことになつておりますが、八億であります。かれこれ合せまして、全体的に申しまして、大体三百億近い見当の申込があるといたしまして、過去の経験から申しまして、少くともその三割程度はどうしてもお貸付をしなければならない。そういたしますというと八十八億ということに相成るわけであります。その財源といたしまして先ほど申上げました三十五億、政府から新たに頂きまする資金のうちの三十五億、それから回収金四十六億、それから過去にまだ借残になつております八億というようなものを当てますと、大体とんとんになるわけであります。本月、年末におきましてはどういうことに相成るかと申しますと、大体百十八億のお申込に対しましてその三割見当の三十五億は是非お貸出しをしたい、そのほかに軍人遺家族関係におきまして四億見当、合計三十九億というものの貸付を予想いたしております。その資金の源泉は、本月の回収金が十億から十一億見当になろうかと思つております。それから資金運用部からの借残がまだ八億あります。それに加えまして、補正予算が成立いたしまする前におきまして、今お願いいたしております法律案が通りますれば、すぐさま資金運用部から一時借入金を二十億円いたします。大体これで以て三十九億の貸付が賄えるのではないか、かように考えて、現在いろいろな手筈を進めておるような状況でございます。簡単でございますが……。
  78. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうするとまあ御説明はつきりなつたのですが、借入金二十億は年末までに一応貸出予定に全部繰入れておるというふうに了解していいでしようか。
  79. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) 仰せの通りでございます。
  80. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから従来の実績からして申込の三割程度は出さなければならない、出していいだろうというお話でしたが、我々が今政府から聞いておるところは、これまでは国民金融公庫その他に余り出し方が足りなかつたので、今度は大いに奮発して、これだけ殖やしたのだ、大いに積極的になつたのだというような話、そうだとすると、今までは三十%であつても、これからは五〇%なり七〇%はお貸しにならなければならないはずだと思うのだが、そういう点が何ら見られていない。殊に申込のほうは今まで非常に皆落されておりますので、今に至つてなお申込んでおるのは、相当厳選された、或いはもう初めから見込のないものは辞退をして来ておる、辞退をしてしまつておるのが多いので、この申込というやつは相当固いものじやないか。そういう点から考えても、比率はもつと上げなければならない。にもかかわらず従来通りに三割見当しかおやりにならないというのはどういうことですか。
  81. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) これは一つは申込が累月、毎日殖えて参りました。例えば昨年の十二月におきましては四十九億八千万円、大体五十億の申込でございました。今度の見込では大体その倍以上の百二十億、大体申込が半期ごとに五割以上殖えて来るような状況でありますので、資金に見合せますると、只今おつしやいましたように、従来の実績が大体二割五分から三割近いところの貸付をいたしておりましたが、できれば四割、五割になりますれば結構かとも存ずるのでありますが、そういつた関係からいたしまして、現在の見込では少くとも三割はどうしても確保したいという程度にとどまらざるを得なかつたのであります。その点は何と申しますか、いたし方なかつた次第でございまして、御了承願いたいと思います。
  82. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の総裁のお話によると、今年になつてから非常に殖えて来ておるというようなお話ですが、これは国民金融公庫には申込んでもなかなか貸してもらえないのでもう諦めたというようなのが相当あるにもかかわらず、なお且つ非常に殖えておるので、これはやはり資金の需要が去年に比べて今年は非常に殖えた。それだけ中小企業なり庶民大衆は非常に苦しくなつて金融を必要としておるのだという実情をそのまま反映しておるものだと思うのですが、にもかかわらずそれに十分に応えられないで、過去の比率ぐらいしか応えられないというような状況であるとすれば、政府が非常に大振舞をやつたようなことは何ら充たされていないことになると思うのですが、これは一つ愛知さんに、その点をどうお考えになりますか。
  83. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 先ほどから佐多さんのお話で、今度の公庫の予算で政府としては大盤振舞をやつたように言つておるというようなお話でございましたが、実はそこまでは言つておりませんで、中小金融については先ほども申上げましたように、できるだけの力を入れなければならない。そこで公庫の増資や借入金の措置を講じたわけでありますが、私は先ほども申上げました通り、公庫の従来の実績等に鑑みて、この程度ならば先ず適当のところまで融資ができるであろうというところで以てこの数字といたしたわけでございます。決してこれならば十二分か、或いはそれ以上に融資をすることができるというふうには考えておらないわけでございます。
  84. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 申込の三割見当だけしか融資しない、その程度融資すればそれで金融公庫としてはいいんだ、というのは一つ問題がある点だが、それは抜きにして、七割落す場合ですな、七割落す場合に、金融の基礎に乗らんから落すというのもあろうし、乗るんだけれども、資金がないから落すんだという場合もあると思うんですがね、この金融に乗らないから落すんだというのはこれは別なんだが、乗るけれども資金源がなくて落すというのはどれくらいあるんですか。
  85. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) そのときどきによつて違うわけでありますが、まあ大体大雑把に見まして、資金源さえ都合がつけば何とか貸して上げなければならないであろうと思われる方が三割から四割乃至四割五分ぐらいの間だろうと思います。それでありますから先ほど申しましたように、この三割という最低ラインはともかくもこれを確保できそうだということだけ申上げたのでありまして、果してこれで以て十分であるかということは、私ども感じといたしましてはまだ若干の不足があるという工合に感じております。
  86. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 そうすると申込の一割乃至一割五分というのは企業の基礎が確かであり、貸しても間違いないと公庫のほうで判断しながら、而も財源がないから、資金源がないから貸さない、というのが一割から一割五分というんですね。
  87. 櫛田光男

    説明員(櫛田光男君) 大体そういう計算になつております。
  88. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 そこで大蔵次官に聞きたいんですが、その申込の一割か一割五分というのは、今総裁が言つておるように、貸しても間違いないというのが落されているという状態を救うことはできませんか、考えておらんですか。
  89. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 実は先ほど衆議院の大蔵委員会で国民金融公庫法の一部改正の法律案が審議されて、満場一致で可決をせられました。そのときに附帯決議がございまして、将来更に公庫の資金源を増加することについて十分の配意をせられたいという趣旨でございましたが、この点については昨日大蔵大臣からやはり同委員会におきまして、そういう趣旨については十分政府においても考えますということを申上げておりますようなわけでございます。私どもといたしましては、今総裁からお話のありましたようなことは十分公庫とも連絡を今後密にいたしまして、将来の問題としては、成るべくこれを殖やすように考えたいと思うのであります。ただ勿論申すまでもございませんが、財政計画全般の総合的な立場ということも忘れることはできないのでありまして、それと睨み合せまして、成るべく御趣旨に副うようにいたしたいと思つております。
  90. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 さつきの預託金の問題ですが、非常に小さく細かくなりますが、まあ預託金を全然やらないということになれば別ですが、私たちのところに陳情に来ておるのは、名古屋の市会あたりからですが、信用保証協会に対して預託をしてくれないかというような希望意見が出て来ておるんですが、これは一体今の制度ではできるのかできないのか、できるように改めるのにはどうすればいいのか、その点を一つ
  91. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) この点は銀行局長からお答え申したほうが正確かと思いますが、現状においては預託はできないと私は思つております。それから将来の問題といたしましても、信用を保証するということと、それから現実に貸出すということとは、これは分けて考えるべきではなかろうか、私はかように考えます。
  92. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 これに対しては各地方公共団体は出資の形か何かで出しておると思うのですが、これは政府から更に地方公共団体と並んで出資する等々のことは考えておりますか。
  93. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) これは懸案でございまして、何と申しますか、私といたしましては、政府の出資というようなことが一つの研究問題だと思います。で、若しそういうことができるようになれば、保証協会の存在価値というものは非常に大きくなるというふうに考えますが、但しそうなつたからと言つて全額保証するかどうかということは別問題でありますし、その程度であつて果して金融が円滑になるかどうかという点については、多少まだ研究の余地があろうかと考えております。
  94. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 更にこの点はさつき岡田長官から信用保証制度を拡充強化するというようなお話もあつたようですが、中小企業庁としてはこの問題をどういうふうにお考えになりますか。
  95. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 信用保証協会そのものに直接国がタツチするかせんかの問題につきましては、先ほど政務次官からお話があつたと同様でありますが一私どもといたしましては、信用保険のほうといたしまして、信用保証協会の保証債務は五〇%保険でとることにいたしております。それによりまして信用保証協会活動分野がかなり拡がつて行けることになつておりまして、現在の制度といたしましては、保険で保証協会の裏打をしている、この点を更にどういうふうにするかということもまだ研究すべき問題かと存じております。
  96. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから岡田長官にお尋ねしますが、先ほどのお話で、この中小企業共同施設についての補助金を五百万円出したというお話ですが、更に予算として二億だけあるんでというようなお話のようでしたが、ここのところがはつきりわからないので、もう少し詳しく御説明を願います。特にこの予算というのは、当初予算でこれだけ入つていたというお話なのか、或いは今後これを取ろうとしておられるというお話なのか。
  97. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 協同組合共同施設に対します補助金制度は二十二年度から開始されまして、本年度までに五億数千万円の予算がまあ成立して、それによつて運用いたしておるわけであります。本年度の成立しておりまする予算が二億円でございまして、来年度といたしましては、中小企業庁といたしましては、これを相当に増額いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  98. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 共同施設としてはどういうものをお作りになつているか。
  99. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 一番数の多いのは、例えば商業協同組合等におきまして、運搬機関でありますところのトラツクでありますとか、或いは倉庫を作りますとか、これは倉庫は工業関係においてもございます。或いは又繊維の関係で共同の仕上加工の工場を作るとか、或いは醤油の組合で糟を処理する共同の施設を作りますとか、いろいろございますが、従来補助金を出しました共同施設の一覧表でございますれば別途調製してお目にかけてよろしいかと思います。
  100. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それをあとで出して頂きたい。  それからこれは大蔵省のほうにお尋ねしたいのですが、銀行局長に。中小企業の特殊店舗をお作りになつたのですが、それによつて中小企業への融資というのが相当殖えたかどうか、その点は店舗の融資状況のところでちよつと出ておりますが、これは店舗だけの問題ですから、これをひつくるめて全体市中銀行貸出として、こういう特殊中小金融店舗を作つたために、それに資するところが非常に大であつたという実績が、すでに数学的に出ておるかどうかという点を数字によつて説明を願いたい。特に更にその点は、中小企業融資の割合が各金融機関別に、特に市中銀行、信託銀行等についてこの一両年の間に割合として殖えて来たのか、割合としては減つて来ておるのか、その辺の推移状況を詳しく御説明を願いたい。
  101. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 便宜私から申上げます。中小企業持別店舗が二十五年の四月二十日以降現在までに七十二店舗ございます。本年八月までの累計で申しますと、貸出金額が九百三十億八千万円、申込の九三%に相成つております。件数といたしまして三十一万一千六百八件貸出をいたしております。申込件数の九四%になつております。残高で申しますと預金残高三百十億六千万円、貸出残高百二十四億であります。この中小特別店舗は預金につきましては中小以外の預金も受入れておりますから、この比較だけでは貸出が悪いということには相成らんと存じます。  それから先ほどもちよつと申上げたのでありますが、全国銀行貸出状況は二十六年、七年と比較してみますると、全国銀行貸出総額が、昨年の六月をとつておりますが、一兆二千億程度であります。そのうち中小向けつまり資本金三百万円以下のものに対する貸出が三千三百九十五億円でございます。中小向け貸出の比率が二八%でございます。本年の、これは六月でございませんで七月で多少比較がむずかしいかと思いますが、大体比較できると思うのでありますが、一兆八千五百十七億、そのうち中小向けが四千五百五十三億でありまして二四%に相成つております。パーセントだけから申しますれば、昨年と今年とでは全国銀行では低下しておる状況であります。
  102. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、そこに非常に問題があるのです。中小企業の特殊店舗あたりを作つて非常に努力しておられるような恰好だけは見せられるけれども、実績においては今長官のお話のように、昨年は全国銀行で二八%の貸出があつたのに今年は二四・六%に下つておるというような状況なんですが、これはどういうことを意味するのか、これは大蔵省のほうに一つ
  103. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答えを申上げます。今のお示しのように数字の割合からいいますと、総貸出高の中に占める中小金融のパーセンテージは確かに下つております。尤もこの中小金融とは何ぞやという定義は非常にむずかしいと思いますけれども、一応従来からとつておりますところでやつておるのでありますが、ただ絶対額におきましては相当増加をいたしておりますことは間違いないのであります。先ほど岡田長官からのお話のように絶対額から申しますれば相当殖えております。併しながらややともすれば一般銀行が中小金融についてどうも熱意が足りないという声はたびたび聞いておりますし、私どももその点は承知をいたしておりますので、できるだけ中小金融に対して力を入れるように従来からもたびたびそういつた点で努力をいたして参りましたが、今後におきましてもこれらの点について一層努力をいたして参りたいと、かように考えておる次第であります。
  104. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 どうも今の御説明じやはつきりしないのですが、問題は絶対額ではおつしやる通りに若干殖えてはおりますけれども、併し総額の絶対額の増加は更に多いので、総額では非常に殖えておるにかかわらず中小企業に対してはその割合に殖えていない。従つて二四・六%というようなむしろ激減していると言つていいくらいに低率を示しているので、ここらから見ればこのことが中小企業を悪くしておる原因の一つでもあると思うのです。これらの点は特に一つ大蔵省としては配慮をして頂きたい。特に中小企業特別店舗が設けられたのだが、その実績を今岡田長官のお話によると三百十億の預金残高があるうちに貸出残高は百二十四億だ、半分以下しか貸出していない、この特殊店舗を設けられるときの話は、私の聞くところによると、新しい所に支店を開設することを許して、それからそれが同時に特殊店舗になつたんじやないかと思つておる。そこで銀行は特殊店舗を設けながら同時に預金を集める特権を得たことになつていて、特殊店舗の名の下に三百十億を集めながら百二十四億しか出していないというような状況になつておるので、中小金融の特殊店舗を設けたことは、中小企業に対する貸出を殖やす以上に預金を殖やさせておる。そういう意味では金融機関に対して特別に恩恵を与えておる結果にしかなつていない。これらの点は少くともその店舗で集めた程度のものは出せるように特別な配慮をされる必要があるのではないか、この点を大蔵省はどういうふうにお考えになつておるか。
  105. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 佐多さんのおつしやることは私御尤もだと思うのであります。ただ統計の取り方、或いは中小企業定義等の関係で、必ずしもこの数字実態を現わしておるかどうかわからん点もあろうかと思うのであります。  それからなおこれは事務当局から正確に答えてもらうことにいたしますが、必ずしも中小専門の店舗で集めた預金の中の僅かの比率だけしか貸出に行つていないというのではなくて、これは当該店舗とその本店との関係において、審査等の関係において実際は貸出されておりますが、その当該店舗の貸出分として計上されていないというような点もあろうかと思いますけれども、御趣旨は誠に御尤もでございますから、今後におきましてもますます十分の配慮を加えて参りたいと思います。
  106. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そういう技術的な計数の整理だとか何とかいうような問題もあろうと思いますが、少くとも特殊店舗を設けられた趣旨からいつて、今後は預金残高貸出残高が同じ程度になるくらいにその特別店舗は特別なサービスをするように特段の一つ督励をおやり下さるように、而もこれは数字的にはつきり現われて来るのですから、この次の報告の場合には必ず数字的にその問題が解決されているように、特別な施策なり配慮をされることを強く希望しておきます。
  107. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 これは大蔵省に聞いたらよいかと思いますが、中小金融一つの問題として、親会社といいますか親工場とそれから下請工場との関係親工場下請工場に代金を払うという場合に随分長い期限の手形で払う。受取つた下請工場金融の枠がない。何日も手形が割れない。原料が買えない。しようがないから高利貸に走つてつて原料を買つて親工場に御奉公をすると、こういうようなことが中小金融一つの大きな「がん」になつているということは、大蔵省よく知つていることと思うのでありますが、そうであればこれを矯正する何らかの方法というものが一つ考えられなければならないと思うのだが、そういう点については何か考えるところがあるのですか。例えばこういうことですよ、指定預掛金、余りこんなものにこだわるのはおかしいと思うのでありますが、とにかく指定預金が出て来ないと……政府が民間から吸上げ過ぎたから民間に返すのは当然なんだから、指定預金というものにこだわりますが、例えば普通の銀行に指定預金をする場合に、その銀行が大企業にこれを貸付ける、そのとき何か下請工場から買入代金というものを優先的に払えとか、何とかいつたような条件でも付けて貸してやるというひも付で、指定預金をするというようなことも一つ方法だと思いますけれども、そういつたことを考えたことがありますか、どうですか。銀行局のほうから……。
  108. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 親工場といいますか、大企業下請企業との間の金融の問題につきましては、お話のように非常にうまく行つていないところがあることは事実であります。殊に大企業におきましては、極端な場合には手形さえ書かないという例さえ実はあるわけです。そういうような状態は非常に是正しなければならないことで、少くともちやんとした手形を書かせるように指導はいたして参つております。  それから、手形の期限でありますが、どうしても金融状況から申しましても長くなつて参るということも多いのであります。これらを法律的に、何か例えば六十日をこえるような手形を禁止するといつたようなことを考えたらどうかという御議論もすでに一部には出ておつたのでありますが、これは御承知のようにそういうことをすれば却つて更に手形さえ書かない事態さえ起るだけでありまして、そういうことを法律的に一律に禁止するということは結局却つて金融難を助長する結果にもなるという点も考慮しなければなりませんので、私どもはできるだけこれを内面的に指導と申しますか、誘導をいたしましてできるだけ手形は必ず書く、而もその手形の期限をできるだけ短期間のものにして行くという方向に導いて参りたいと考えているのであります。今御指摘の指定預金に何かひも付をしてそういうふうなことができないだろうかというお話でありますが、これもなかなか金融全体の問題として指定預金をそのままひもをつけてそういつたほうの金融に必ず廻すようにということもなかなかむずかしいのでありまして、趣旨といたしましては、指定預金の制度等がこれらの金融の円滑化に資するように使つてもらうことを望むのでありますけれども、そういつた技術的にちやんとひもをつけて指定預金を流すということは現在のところではなかなか困難だというふうに考えております。
  109. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 親工業下請工業との関係で、今局長が言われたように手形を書かないところさえある。実にこの頃の大企業というものの横暴は極まりなく、そのために中小企業は泣いている。手形を書いても九十日というのは当り前、百何十日というのが一ぱい出ている。而もそれを現金化してくれと言えば親工場のほうで値引をしてくれ、値引をすれば現金化してやる、実に強制的な叩き買をしようというので金融の面から圧迫して強制的に値段を引下げて買込むという、そういう横暴なことをやつている。その大企業に対して国家的な、而も資金の援助というものをやつておる。まるで国の政治のやりかたは中小企業を泣かせるように結果においてはなつている。そういうつもりはないのでしようがどこか手が抜けていると思う。そういう点をもう少し政府当局において考えてもらえないでしようか。これはこのままで置けば中小企業は参る。仕事があつたつて儲かりはしないからどんどん赤字になつてしまう。その点での手抜りが何かどつかにありはせんか。お互いに考えてそういう大企業の横暴を防ぐ途を、而もこれは金融面にかかつている問題だから金融面で防ぐ途を考えなければならん。  それからもう一つ中小企業の中で中小の商業者の問題ですが、この頃デパートの進出が非常に激しいということから小さな店はぐんぐん圧迫されている。こういうことを申すのはどうかと思うのだが、例えば戦争前項に百貨店法というものができ百貨店の営業というものに或る程度の規制を加えて中小の商店が生きる途を開いてやる、それだけの政治をやつたものです。この頃じやそれがない。どんどん百貨店というものは燎原の火のごとくに手を伸ばして小さな商店はたまらないですね、この大きな競争力を前にしては。こういう点については何か考えたことがありますか。
  110. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 前の下請関係でございますが、私どものほうもこの問題につきましては非常に頭を悩ましておりまして、先ず第一に下請関係の中小業者に協同組合を作らせまして、これによつて幾分なりとも話合が個々にやるよりはうまく行くようになりました実例がありますので、さような方法を先ず第一段として進めて参つております。  もう一つ下請関係の処理といたしまして、下請の名前を出しまして事の処理を図るということは実際問題といたしまして不可能な状態にあるわけであります。何々下請工場に対してお前のほうでこういう不都合なことがあるじやないかということになりますと、その下請工場に注文を出さないということがどうも現在の日本の下請工場の技術のレベル等から考えまして、大体はさような状態であります。そこで我々といたしましては、中小企業庁なり或いは公正取引委員会なり或いは若干の金融機関等の応援を得まして、何か協議会なり何かの組織を作りまして、そこに例えば各会社のバランス・シートを調べてみまして、どうもこの親会社はかなり下請をいじめているのではなかろうかというところから調査を進めて行つて、或る程度資料ができたらその親会社に対して適当な方法で何とかしたらどうかというような、技術上の勧告でもやるというようなことでもやつてみたら多少とも効果があるのではなかろうかというふうなことも考えまして、今公取委ともいろいろ相談をしているようなことなんです。先ほど銀行局長が申されましたように、法律によりまして一つ何かやれというような要求は私どものほうにもかなりあるのですが、必ずしもその方法がよろしいかどうかにつきましては多大の疑問がございますので、何かそういうふうな柔い形ではありますが、案外そういうところで効果がなかろうかというふうなところから研究いたしておるのであります。  なお商店と百貨店との問題につきましては誠にこれは御同感でございますけれども、目下のところでは差当り直接これをどうかするという手がないわけでございます。商店に対しましては、極力専門店としての魅力乃至力を発揮する、或いは商店街を結成するとか、さような方向で別の持味を発揮するように指導をするというところを現在のところはやつておるわけであります。
  111. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それでは、百貨店がどんなふうな営業をやつているか私はよくは知りませんが、例えばべらぼうな催物をやつてみたり、いろいろなことをしてお客を引いてしまう。商店のほうではそんな資力はないのだから指をくわえて見ているというようなことで、一種の不正な競争を百貨店がいどんで来ておるのではないか、不当競争の形にまで行きつつあるのではないかという感じを持つのですが、そうだとすれば公正取引委員会あたりを通じて、この百貨店の行過ぎた行為に対しては規制を加えることは当然だと思う。そういう点などについてもつと一つ調査をして下さつて商店を何か擁護してやるような方法を講ずべきだと思う。私も実はよく知らんものだからはつきりしたことは申せないのですが、どうも新聞あたりの広告を見ているだけで百貨店の競争力というものは少し度を過ぎているのではないかという感じがしてしようがない。
  112. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 御趣意の通り調査もいたしてみたいと存じます。なお一つの例でございますが、東京の郊外に布地専門の某商業協同組合がございまして、これが共同仕入なり簡単な共同加工場等も設けましてやつているのでありますが、これは大資本力を持つておりますデパートよりもまだ安いものを提供しておるということで、かなり繁昌をしまして店舗の数もどんどんふやしているというような稀な例かも知れませんがございますので、一面百貨店の競争が不当な競争にまで来ておるかどうかというところにつきましては、私どももともとと研究いたしますと同時に、商店といたしましても協同組合の組織を利用するなり、又我々のほうでもかなり専門家も備えておりますので、そのほうの指導によります更生策を講ずるなり、今後とも努力をして行きたいと思います。
  113. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 百貨店の問題、あまり取上げても妙だと思うけれども、もう一つ申上げたいのは、百貨店が中小企業から品物を買う場合、製品ですね、あの場合の買入条件というものは苛烈ですね、苛酷極まるですね。例えば酪農製品、農林省あたりで酪農奨励などをやつていますが、酪農製品というものは百貨店で叩かれてしまう。持つて行きようがない。農林省の政策というものは百貨店でこわされて行く。そういつたような例はいろいろな商品についてある。こういう営業の仕方というものは私はどうも横暴極まると思う。こういうものに対してもやはり調査してもらいたい。
  114. 松永義雄

    ○松永義雄君 それに関連しまして、新聞に出ていたのですがメーカー自身デパートに出張して、繊維業者かと思うのですが、それは非常に安いには安いということになるでしようが、問屋を通さないために問屋その他の商店から非常な不平が起きているということが掲載されているのですけれども、あれは一体デパートが部屋貸をしているのか、デパートの計算においてメーカーを招いてああいうことをやつているのですか、どつちなんですか。
  115. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 甚だ申訳ないのですがその点につきましては私どもも調査不十分であります。
  116. 千田正

    ○千田正君 大蔵当局に特に伺いたいのは、最近の東京都の周辺のみならず各東北地方或いは信越地方において闇金融が非常に盛んなことです。而もこの金融のために多くの健全な農家であるとか或いは中小企業のうちの特に小企業がばたばた倒れている。こういう点を方々で我々は感じ又見て来ておるのですが、この闇金融はどういうわけで発生して来てそうしてこんなに蔓延して来たか、こういう点を研究した場合において、恐らく我々の感じは皆さんと一緒だろうと思うのですが、この中小企業の人たちが銀行或いはその他の金融機関を通じて借入金をしたいけれどもその方法について技術的に非常にむずかしい。手取早いところから借りてそうしてやつて行こうという結果がいろいろな破局を生んで来ておる。而も最近の状況を見ると年末を控えましてこの周辺の各県におけるところの闇金融で動いている金は大体十億を超しておる。各県共にこういうような状況の中で非常な不健全な金融状況が続いて来て、又この年末に際して破産が相次いで来ておる。こういう状況なのでありますが、この闇金融その他に対して大蔵省においてはどういうふうに考えておられるか。この点について愛知大蔵次官にお伺いしたいと思うのであります。
  117. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 最近のいわゆる闇金融機関の問題は、大蔵省当局或いはその他の検察関係の当局におきましても非常に頭を悩ましておる問題でございます。結論から先に申しますと、政府としてはつきりした態度がまだとれていないわけでございます。これは沿革から申上げましても非常に長くなるのでありますが、只今千田さんの御指摘の通り、一つには最近数年来の非常な金融梗塞ということもその自然発生的な原因の一つに挙げられると思います。それからいま一つは極めて最近になりますると、これを利用しておる人たちが最近までのところでは相当巨額な利益が得られておるようでございまして、普通の金融機関を利用いたしまするよりは相当有利な利廻りがとれるというようなことも又最近の話題になつてつて、相当の資金量が動いておるその原因の一つになつておるかと思うのであります。銀行局長が非常に苦労されて鋭意この対策に没頭されておりますから、詳細は銀行局長から答弁をしてもらうようにいたしますが、大蔵当局或いは政府全体としてできるだけ速かにこれに対しては対策を講じたい。  ただ一つだけはつきり申上げておきたいと思いますのは、現在のところかくのごとき金融機関或いはその他の類似の団体は政府において何ら責任をとり得ないものである。現在のところではこのことだけははつきり申上げておかなければならないと思うのでございます。
  118. 千田正

    ○千田正君 もう一点大蔵政務次官にお尋ねしますが、今の後段の御答弁にありました政府としては何ら責任をとり得ない立場にあるということは、早く言えばそういう不正金融その他に対しては法的根拠がないからでき得ないという意味の御答弁でありますか、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
  119. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 大体その通りでございますが、御承知のように貸金業としての届出を法規の手続によつてつておりまするものは、これは法律上の根拠からいえば、当局としても或る程度の責任を持たなければならないものでありますが、その他大部分のものにつきましては、法の不備を利用しておりまするところの実質的に言えば私は違法行為ではないかと思うのでありますが、併し今日のところは法律関係から申しますると、法の盲点に根拠をおいている存在でございます。従つて先ほど申上げましたように、現状においては政府としては責任がとり得ない、こういうことになるわけでございます。
  120. 松永義雄

    ○松永義雄君 今の次官のお言葉は、あれですか、取締上から責任が持てないという意味ですか、経済上からは何ら対策を持つことができないというのですか、どつちですか。
  121. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) これは法律論から申しましたのでありまして、従つて取締という点からいつて責任が持てない。或いは更に進んでその監督というようなところについても現状においてはなかなか責任がとり得ないのであります。従つて何とかして一日も早くこれに対するはつきりした態度を明確にしなければならない、そういう段階に入つておると思います。
  122. 松永義雄

    ○松永義雄君 そのことでよく言われるのですが、酒の密造は酒を安くすれば密造がなくなる、こういつたことがしばしば繰返えされているのですが、それと同じようにそういつた金を借りたいというような人たちに、適当な金融の途を開いて頂いたら、自然高利貸のお世話にならんで済むのじやないかということが考えられるのですが、そういうものに対して何か方法をとりたいという考えはないでしようか。
  123. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) これはご尤もでございまして、正常な金融機関がより多く発展すればこういうことは大体その根拠がなくなるであろう、こういうふうに一般論としては考えるのであります。併し先ほど申しましたように、そういうところを利用したのであつては面白味がないというような、率直に申しますると多少投機的な人間の欲望というものもここに関係を持つて来ておるというような点で、必ずしも酒の造石高を殖やせば密造は経済的になくなるということと大体は似ているかも知れませんが、これは様相を異にしているのではなかろうかと思います。
  124. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 現在の闇金融については政府としては責任を持てないのだというようなお話だつたのですが、これはちよつと言葉が不穏当だと思うのです。というのは、銀行局長としては法律の不備なり或いは盲点をつかれたものだから、現状としては何ともいたし方ないという御返事であれば、我々了承するのですけれども大蔵政務次官が政府としてはとおつしやると、どうも了承ができかねるので、殊に金融政策その他に関して今まで十分な対策を講じなかつた結果のあだ花がそういうところに咲いている問題もあるでしようし、若し法律に盲点、欠陥があるならば速かに法律の改正をする責任もあるのだし、そういう意味では先ほどのお言葉は少し不穏当と思います。
  125. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 佐多さんから誠に適切な御注意を頂きまして誠に有難うございました。非常に私は率直に法律論から申上げたのでありまして、不穏当な点は一つ勘弁して頂きたいと思います。
  126. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後四時六分散会