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1953-03-19 第15回国会 参議院 予算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十九日(木曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————    委員氏名    委員長     岩沢 忠恭君    理事      左藤 義詮君    理事      高橋進太郎君    理事      森 八三一君    理事      内村 清次君    理事      永井純一郎君    理事      岩木 哲夫君    理事      西田 隆男君    理事      木村禧八郎君    理事      岩間 正男君            石坂 豊一君            泉山 三六君           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            石川 榮一君            大矢半次郎君            川村 松助君            郡  祐一君            駒井 藤平君            白波瀬米吉君            杉原 荒太君            鈴木 恭一君            山本 米治君            石黒 忠篤君            岡本 愛祐君            片柳 眞吉君            加藤 正人君            新谷寅三郎君            田村 文吉君            館  哲二君            堀越 儀郎君            溝口 三郎君            成瀬 幡治君            中田 吉雄君            三輪 貞治君            羽生 三七君            矢嶋 三義君            加藤シヅエ君            曾祢  益君            棚橋 小虎君            堂森 芳夫君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君            鈴木 強平君            千田  正君   —————————————   委員の異動 三月十八日委員杉原荒太君、大矢半次 郎君、矢嶋三義君、羽生三七君及び成 瀬幡治君辞任につき、その補欠として 森崎隆君、藤原道子君、栗栖赳夫君、 青山正一君及び荒木正三郎君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            左藤 義詮君            高橋進太郎君            森 八三一君            内村 清次君            永井純一郎君            西田 隆男君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            青山 正一君            石川 榮一君            石坂 豊一君            石原幹市郎君           池田宇右衞門君            泉山 三六君            川村 松助君            栗栖 赳夫君            郡  祐一君            駒井 藤平君            白波瀬米吉君            鈴木 恭一君            山本 米治君            石黒 忠篤君            加藤 正人君            片柳 眞吉君            田村 文吉君            溝口 三郎君            堀越 儀郎君            荒木正三郎君            中田 吉雄君            藤原 道子君            森崎  隆君            加藤シヅエ君            館  哲二君            堂森 芳夫君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君            千田  正君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君    大 蔵 大 臣 向井 忠晴君    文 部 大 臣 岡野 清豪君    厚 生 大 臣 山縣 勝見君    通商産業大臣 小笠原三九郎君    運 輸 大 臣 石井光次郎君    労 働 大 臣    建 設 大 臣 戸塚九一郎君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   国 務 大 臣 大野木秀次郎君    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    法制局次長   林  修三君    法制局第一部長 高辻 正己君    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁財政部長 武岡 憲一君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    大蔵省理財局長 石田  正君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    厚生大臣官房会    計課長     太宰 博邦君    引揚援護庁長官 木村忠二郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度一般会計暫定予算  (内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計暫定予算  (内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関暫定予  算(内閣提出)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 只今より予算委員会を開会いたします。  先ず当委員会に付託せられました昭和二十八年度一般会計暫定予算昭和二十八年度特別会計暫定予算及び昭和二十八年度政府関係機関暫定予算につきまして、これから審議を開始いたします。  先ず政府側説明を願います。
  3. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 先に御審議をお願いいたしておりました昭和二十八年度一般会計特別会計及び政府関係機関の各予算は、三月十四日衆議院が解散せられました結果、不成立となりましたので、政府財政法第三十条等の規定によりまして、ここに昭和二十八年度のうち四月及び五月分にかかる暫定予算を提出し、御審議をお願いいたす次第であります。  この暫定予算は、年間予算が成立するまでの暫定的なものでありますので、新に成立した法律実施に伴うもののほか新規計画に伴う経費はこれを避けることといたしました。従つてここに提出した暫定予算におきましては、国政の運営上如何しても必要なもののみでありまして、いはば骨格予算であります。以下にその内容を簡単に御説明いたします。  一般会計暫定予算歳入千百四十五億円余、歳出千四百十七億円余でありまして、差引二百七十二億円余歳出超過なつております。この不足額は、国庫余裕金及び大蔵省証券の発行により支弁いたす予定であります。  歳入におきましては税制の改正案酒税法改正を除き審議未了となりましたので、所得税については給与所得者等負担軽減措置継続することを肝要と考え、本年一月乃至三月に採られた臨時措置を二カ月間延長することといたしました。その以外は原則として現行法によることといたしまして四月及び五月における収入額見積り租税及び印紙収入千三十四億円余、官業益金その他百十一億円余計千百四十五億円余を計上いたしております。専売納付金及び前年度剰余金歳入の時期的関係から計上いたしておりません。  次に歳出につきまして御説明いたします。先ず第一に防衛支出金に百五十億円、保安庁経費に五十八億円を計上いたしました。防衛支出金のうち駐留米軍に対する交付金行政協定に基く取極によりまして四半期ごとに交付する必要がありますので年間所要額の四分の一とし、施設提供等の諸費は二カ月分を計上いたしております。  保安庁経費施設装備の強化に要する経費は一切計上せず、最少限度の総持費のみにとどめております。なお、平和回復善後処理、及び連合国財産の補償に関する経費は、差当り必要がありませんので計上いたしておりません。  又先の国会において恩給法の一部を改正する法律案不成立に終りましたので、旧軍人等恩給の復活に要する経費は計上いたしておりません。但し戦歿者遺家族戦傷病者留守家族に対しましては、従前の援護措置を続行することとなるのでありますが、この暫定予算では支出時期の関係留守家族の分のみを計上いたしております。  第二に地方財政に関しましては、四月一日より実施せられる現行義務教育費国庫負担法規定により義務教育費国庫負担金の二カ月分の所要額八十九億円を計上いたし、なおこの制度における地方財政平衡交付金の二カ月分の所要百八十七億円を計上いたしました。  第三に公共事業食糧増産対策事業その他の建設事業につきましては、継続にかかるものについて最少限度事業実施することといたしまして所要額を計上いたしました。  第四に出資投資としては、さき国会において成立した農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律によつて公庫資本金が増額されましたので、これに対する出資として二〇億円を計上するにとどめました。なおこの期間における国民金融公庫住宅金融公庫等貸出業務を維持するためには資金運用部資金を活用いたす所存であります。  今回新規に計上した経費は、衆参両院議員選挙に必要な経費及び中共地域よりの引揚促進に必要な経費等現実に明白な最少限度に止めております。  次に、特別会計及び政府関係機関暫定予算におきましても、一般会計について申述べた方針に準じて四月及び五月に必要な金額を計上しております。さきに提出いたしました年間予算と異りました点は、産業投資特別会計法案その他の法律案審議未了となりましたために、廃止される予定米国対日援助見返資金特別会計及び米国日援助物資等処理特別会計が存続されることとなり、また新設される予定であつた産業投資特別会計等設置中小企業金融公庫の設立が取止めとなつた等の点であります。  以上を以ちまして昭和二十八年度暫定予算の概要の説明といたす次第でございます。
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に政府委員補足説明をお願いします。
  5. 河野一之

    政府委員河野一之君) 大蔵大臣の御説明で大体尽きておるのではございますが、編成要領につきまして補足的に御説明を申上げたいと存じます。  お手許に昭和二十八年度暫定予算四、五月分編成要領というのが参つておるのでございますが、先ず一般的方針といたしましては、歳入につきまして四月及び五月の間に収入を見込まれる額を計上することといたしております。歳出におきましては、四、五月の間に支出負担行為を行うことの予定歳出を計上いたしておるのであります。勿論国政運営のための必要な最小限度のものでありまして、新たに成立いたしました。例えば農林漁業金融公庫法等のすでに成立しておりまする法律実施に伴うもののほか、新規経費はこれを原則として計上いたしておらないのでございます。  具体的な編成要領といたしましては、歳入につきましては、先ほど大臣が申上げられましたように、租税臨時措置に関する法律が三月三十一日に日切れになるのでございますが、これは別途この緊急集会議案として提出いたしてございますように、五月まで延長されるという前提に立ちまして計算をいたしております。  それから揮発油税につきましても同様な問題がございますので、航空機用ガソリンは三月三十一日まで免税ということになつておりますので、これも議案を別途御提出申上げておるのでありますが、この免税措置を五月まで延長するということに計算をいたしております。  専売納付金でございますが、これは年度経過後納めることになつておりますので、昭和二十八年度の四、五月中には、会計の面から言いますと収入がないのでございます。勿論流用現金としての国庫現金はあるわけでございますが、会計整理上の納付金はございません。それから前年度剰余金は七月三十一日に確定いたしまして、そのときに昭和二十八年度歳入になるのでございまして、従いまして歳入時期の関係上この暫定予算には収入として上つて参らないのでございます。  それから日本銀行納付金の二十七年の下半期分は四、五月中に入りますので約五十億円を計上いたしております。  刑務所の収入でありますとか、或いは学校、病院の収入でありますとか、或いは国有財産の売払い等の収入につきましては、昨年の実績等をも勘案いたしまして、四、五月中に収入し得る金額見積つたのでございます。  歳出につきましては、防衛支出金につきましては五百五十八億円というのが年間一杯の一応の予定しておる金額でございますが、この金額は毎四半期十日までに向うに交付することになつておりまして、その四分の一の額、百三十九億円ほどでございますが、この四分の一の額を計上いたしております。施設等提供費としては約十一億円ということにいたしておるのであります。  保安庁経費につきましては、これは現状維持ということで、施設装備経費は全然計上いたしておらない次第であります。  次に公共事業費につきましては、前年度からの引継ぎの事業継続実施し得る金額にとどめたのでございまして、これは原則として前年度予算の四分の一、つまり公共事業等は四、五月中に相当、六分の一ということでなしに、事業が進捗するのでございまして、つまり春夏の暖い時期に工事を施行する関係上、六分の一よりは少し高い金額見積ることにいたしております。  継続費につきましてはすでに国会の議決を経て年度割がきまつておるところでございますので、その年度割によつて四分の一を計上いたしております。それから二十八年度不成立予算において二十七年度よりすでに事業量が減つているというものにつきましては、二十七年度の額によることなく、二十八年度予定事業費によつておるのでございます。  それから食糧増産対策費につきましては、公共事業と大体同様に考えておりますが、開拓等経費につきましては不成立予算ではたしか七千戸ということになつておつたのでございますが、前年度通りにいたしております。耕種改善とか植物防疫等の金は、これは年度の初めに相当出ることになつておりますので、そういつた関係を考慮しまして、前年度の状況を考慮しつつ計上いたしております。  文教施設費につきましても、公立、国立を通じまして、大体同様の計算をいたしております。  住宅についても同様でございます。  官庁営繕費は前年度からの継続的な、引続き実施しているものについて、同様の四分の一を計上いたしております。  政府出資につきましては農林漁業金融公庫出資が前国会で成立いたしましたので、その改正法律による増加資本額のうち、大体二十億を計上いたしたわけでございます。  生活保護費児童保護費につきましても、従来の実績を徴しまして、四、五月分に交付し得る見込額をたてたのでございます。但し単価等につきましては前回の補正予算のときの実施単価によつておるのでございます。  失業対策費につきましても同様でございます。この失業対策事業につきましては、昨年の十一月にプリベイリング・ウエイジが上つておりますので、それで計算をいたしております。失業保険金も最近の実績に基いて二カ月分を計上したわけでございます。  それから留守家族等援護費でございますが、これは未復員者給与法及び特別未帰還者給与法に基き現行法律で二カ月分を計上いたしておるのでございます。戦傷病者及び遺家族援護法でございますが、これは戦傷病者の分は七月に支給期が参ります。それから遺家族のほうは九月に支給期が参りますので、そういう関係で計上いたしておらないのでございます。  国立学校につきましては、昨年設置いたしました学部学科学年進行に伴う分は、これは当然の増加でございまして、一年生が二、三年生になるという関係でありますので、その分は計上いたしました。又大学院の設置は、これは従来の特別研修生の入れ代りという関係もございますので、学年進行に準じて取扱つております。この関係については別途法案を提出申上げておる次第でございます。  育英事業費につきましては、前年度単価及び奨学資金交付率によつて計算いたしております。但し学生の数が殖えておりますので、前年度予算そのままでは参らないのでございます。つまり平均単価、大学生につきましては千九百円、高等学校学生につきましては三百円、資金交付率につきましては大学が一〇%、高等学校が三%という従来の率をそのままに踏襲いたしております。  平衡交付金は二カ月分として百八十七億、義務教育費半額国庫負担が四月から実施せられます関係上、その間における教材費をも含め八十九億円を計上いたしておるわけであります。  租税払戻金は十五億ということに計上いたしたのでございますが、本予算の額の約二分の一に近い額でございますが、前年度この期間において約九億円を支出いたしております。それから最近に相当馬力をかけまして、その租税払戻を促進しようと考えておりまして、従来のそういつたたまつている分を一掃する考え方で十五億を計上いたした次第でございます。  国債費につきまして四、五月中に支払期の到来するもの、或いは利払の到来するものを現実に当りまして計算いたしたわけであります。  輸入食糧補給金でございますが、食糧現実輸入計画外米関係につきましてはすでに契約が来て、四、五月中に到着する見込みのものを拾いまして計上いたしておるのであります。内地産米につきましては二十万石、つまり二十七年産米超過供出分が遅れて四、五月に入つて来るものを二十万石と計算いたしております。外米につきましては、その間におきまして二十一万九千トン、それから大麦につきましては十四万七千トン、それから小麦につきましては三十万トンという計算をいたしております。この間におきまして、糧食証券歳出より歳入のほうが多い段階でございまして、五月末の食糧証券大体千二百億程度と考えております。  文官の恩給はこれは四回に、四月に一、二、三月の分を交付いたしますので、これは四分の一を計上する次第でございます。  その他の一般経費政府機構を維持運営するための人件費及び事務費でありまして、これは厳格に二カ月分を守つておるわけであります。ただ今回の衆議院及び参議院の総選挙経費を計上いたしております。選挙の直接の経費は二十八億八千万円、その取締の関係経費が一億二千九百万円合計いたしますと約三十億円を計上いたしております。  それから中共地区からの引揚の経費といたしましては二万人と計算をいたしておるのでありまして、厚生省関係、運輸省の船の傭船料を合せまして七億七千六百万円を計上いたしております。  特別会計におきましては、これは一般会計に準じて編成をいたしたのでありますが、御承知通り産業投資及び木船再保険の両特別会計設置が取りやめになりまして、一方見返資金援助物資の両特別会計が存続されることになりますので、この一カ月間は存続するという建前の下に組んであるのでございます。  見返資金につきましては、前年度剰余金が八十七億五千万繰越されて来る予定なつておりまして、そのうち五十億円を開発銀行に対する貸付金、二十五億円を電源開発、会社に対する出資にいたしておる次第であります。  政府関係機関につきましても右と同様の方針でございますが、特に中小企業金融公庫予算不成立のために設置が取りやめられましたので、その関係は計上いたしておらないのでございます。  以上大体編成要領を御説明申上げた次第であります。
  6. 岩沢忠恭

  7. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 大蔵大臣及び主計局長説明を補足いたしまして、今回提案されました。暫定予算における租税及び印紙收入見込額算定につきまして御説明申上げたいと思います。  全体といたしましては、過般提案され不成立になりました予算算定のときの考え方基礎といたしまして、それに四月、五月という二カ月間の性格も考えまして、最近における収入実績、それから或いは過去における四、五月の季節的な変動としての、その特殊な性格、それから同時に御承知通り四月が丁度決算の締括りの月に当りまして四月に入つて参ります国庫歳入の中には、二十七年度歳入になります收入と二十八年度歳入にたります収入とその二つがあるわけでございますので、その点も考慮いたしまして、見積りを作つた次第でございます。以下各税につきまして簡単に御説明申上げたいと思つております。  源泉所得税につきましては、一応二百五十億円の収入見積つてございます。これは最近における大体課税実績中心にしまして、四月、五月、各百二十五億という数字基礎にして見積つたわけでございます。四月、五月に入つて参りますのは、三月、四月に支払われる給与中心とした所得税でございますので、特にボーナス時期とかいつたような特殊な性格もございませんので、大体この辺の数字見積るのが適当であろうと思つて二百五十億計上いたしました。それから申告所得税につきましては、五十四億三千二百万円計上いたしましたが、申告所視税で、四、五月に入つて参ります税金で二十八年度歳入になりますのは、二十六年度以前に調定されておりました滞納額の分で、二十七年、二十八年の四月に入つて来る分及び二十七年の調定で五月に入つて来る分、それから年度を越しましてから更正決定等調定になりまして、その分が四、五月に入つて来る分、というのが主なものでございます。昨年度において四、五月に入つた実績と、それから昨年度と本年度における滞納額或いは繰越し決定の分及び増減等を考慮いたしまして、一応五十四億三千二百万円を計上した次第でございます。この両者の合計としまして三百四億三千二百万円を所得税の額として見積りました。  次に法人税でございますが、法人税につきましては三月決算法人税は五月に納期が参ります。その点など考慮いたしまして、一応過去の実績及び二十八年度における歳入見積り中心としまして計算しました数字が、大体二百九十億三千五百万円というわけでございます。  それから相続税富裕税、これらはいずれも昨年の四、五月に入りました数を一応頭におきまして、同時に昨年と今年における収入見込額の脹らみを考えまして、相続税につきましては二億六千九百万円、富裕税につきましては、九千万円を計上したわけであります。再評価税につきましても考え方は大体同じでありまして、大体四、五月に納期が参ります分及び滞納等によりまして収入が延びておる分につきましての四、五月における歳入見積りまして二十五億計上いたしました。  次に酒税でございますが、酒税につきましては税率引下げ法案が三月一日から施行なつておりますので、この施行なつております新税法による収入基礎として見積りをしてございます。酒税見積りにおきまして多少特殊な性格を持つておりますのは、丁度三月一日に減税になりました機会におきまして、酒の戻入がありまして、三月一日に改めて庫出しされたといつたような措置がなされまして、そのための分が新らしい年度の分の歳入として入つて参りますので、この分を加算いたしまして、そうして二百五十億という数字見積つてございます。  以下砂糖消費税揮発油税物品税取引所税、これらにつきましては、それぞれ各月の、まあ季節的な多少の変動もありますが、大体四月、五月に毎月入つて参ります数字につきまして、それを見積りまして、ただ四月につきましては先ほども申上げましたように、その中の一部は二十七年度歳入に入りますので、この分は差引きまして、二十八年度歳入になる分だけを特に取上げまして見積りましたのが、そこにあります砂糖消費税で四十二億、揮発油税で二十五億、物品税で二十八億、ただ揮発油税につきましては、先ほど主計局長からも御説明がございましたが、航空機用の揮発油税免税措置は、取りあえず五月まで延長するというつもりで、その分は計上してございません。  それから通行税につきましても、大体過去の実績を目安に、一応季節的な変動も考えまして、三億九千三百万円計上してございます。  それから関税、屯税につきましては、最近の収入実績中心に、又木成立予算における見積り全体をも見まして、関税については三十四億一千八百万円、屯税については三千四百万円計上いたしました。  なお、主計局長説明にちよつと漏れておりますので、補足して申上げたいと思いますが、このプリントで差上げてあります編成要領の中の歳入の項で以て、Aの租税印紙収入についての説明の中の(イ)、(ロ)のあとに、関税につきましても、今度の期限延長の法律で、免税措置の期限を取りあえず二カ月延長して頂くという法案が出ておりますので、その分における免税措置はこのまま続くものということを前提といたしまして、関税収入見積つてございます。ここには揮発油税のことだけが書いてありまして、関税のことが書いてございませんが、関税につきましても、やはり同じように期限延長の法律による免税措置の延長が是認されるものという前提の下に、一応収入見積つてございます。  最後に、印紙収入でございますが、これにつきましても、最近の実績及び全体の見積りというものも一応見合いまして、現金収入と合せて二十五億三千五百万円、以上合計いたしまして千三十四億六千三百万円というものを、租税及び印紙収入として四月、五月分の収入として見積つた次第でございます。  非常に簡単でございますが、以上御説明申上げます。
  8. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これより政府説明に対する質疑を行いたいと思います。
  9. 内村清次

    内村清次君 大蔵大臣にちよつとお尋ねいたします。  政府は、今回の衆議院の解散は憲法七条で解散したようですが、この解散の憲法適用に対しましては、これは我我といたしましてもまだ意見があります。当然これは六十九条関係を適用すべきではないかという意見はありますが、この憲法の論議は別といたしまして、政府が今回緊急集会を求めて、暫定予算財政法三十条によつて提出をした、而もその期限を四月、五月二カ月間、こうやつて暫定予算が出て参つておりますが、この二カ月間にした理由、その見通しの問題からいたしまして、この理由を明確にして頂きたい。
  10. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) お答えいたします。国会が解散されましたのは三月の十四日、それで四十日後に選挙が行われ、それから三十日以内に国会を召集しなくちやならん。そうすると、遅くも五月の二十日とか二十三日とか、その頃に国会が召集される。そこで、四、五月までの暫定予算を作つておくのが正当と存じまして、それで四、五となつたわけでございます。その後に又必要が起つた場合には、又暫定予算を出さなければならんと思つております。四、五とすることを適当と思つたのであります。
  11. 内村清次

    内村清次君 只今の説明の中に、次の暫定予算も組まなくちやならんと、これはもう当然只今の政府といたしましては考慮の上でございますね。私が聞きたいのは、先ほどあなたは日取りの問題を明確にされましたが、これもやはり憲法によりまして、四十日で解散関係選挙がきまるのでありまして、同時に今回は、選挙日は四月の十九日ですか、それから三十日以内に国会を召集しなくちやならん。どの内閣ができるかわかりません。わかりませんが、併し予算審議というものは、そう五日や二日ではできないだろうと思う。内閣の性格を盛り込んだ予算が提出され、予算の準備も要るでありましよう。そうすると、五月を越してしまう。こうなつて来たならば、私は又暫定予算というものが必ず出るものであると予想しておる。そういうような暫定予算が出るとしましたならば、これは今の内閣では、次の内閣がどういう内閣ができるかわからないから、その内閣に対しての暫定予算を組むことを当然だと考えて、この二カ月間というものにされたのかどうか。
  12. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 五月の二十日頃に国会が開かれるとしまして、審議期間は十分でございませんが、今の内閣といたしましては、四、五月の暫定予算を作るのが正当と考えまして、それを作つたのでございます。必要が起れば、そのあとの暫定予算も又作らなくちやならないと、こう考えております。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連してお伺いしたい。そうしますと、大蔵大臣のお話ですと、四、五を組んでおけば、次に暫定予算を仮に又、組んでも支障がないと、いろいろ経済界にもその他にも支障がないと、四、五を組んでおけば、丈六、七と組んでも支障がないと、こういう意味で言われておるのですか、適当であるということはですね。
  14. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 暫定予算期間は最小にすべきものと考えた次第でございます。それで只今の御質問の、いろいろの方面一の影響、今おつしやるのは四、五で暫定予算が終つて又作らなくちやならんと、そういう場合に、ほかに支障が起らないかという、(木村禧八郎「その影響ですよ」と述ぶ)その影響は成るべく少なくなるように六、七ですか、いつですか知りませんが、あとの暫定予算は組めばよろしい、そう考えております。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう意味ではないのです。四、五の予算を組むときに、その組み方の中に、もう一度暫定予算も組まなきやならなくなる場合も、今内村君の質問で予想されておるのですよ、大体ですね。その予想も入つておるかというのです、四、五を組む場合に……。
  16. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは御承知のように、緊急集会にかけました案につきしては、国会召集後、新らしい国会におきまして十日以内に議決がありませんと、その効力を失なうわけであります。そういうような意味から行きまして、暫定予算というものは最小限度期間に限るべきものだと考えております。現在の法律の建前から、選挙法その他の建前から行きますと、五月の三十日乃至二十三日頃には国会が開かれるわけでありますので、その際の国会において決定をして頂くのが適当と考えまして、四、五月分としましては、先ほど申上げましたように、国政運営の最低限度の経費ということで組んでおるわけでございます。法案につきましても四、五月分といたしておりますので、それと辻棲をあわせておるわけでございます。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の聞いておるのはそうではないのです。そういう御答弁を要求しておるのではないのですよ。四、五の予算の中に、又暫定予算を組まなきやなきやならないであろう、そういう予想も織込まれてあるのかというのです。
  18. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 只今主計局長が申しましたように、最小限度において暫定予算を作るのだ、そういう意味でございますから、そのあとの暫定予算を作らなくちやならんという場合の考慮は払つておらないわけでござ
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、私はそれは政府の今の御答弁は間違つておると思うのです。間違つておるというより正しく答弁してないと思う。当然内村氏が指摘したように、又六、七ぐらいの二カ月ぐらいの暫定予算を組まなきやならないかも知れないと、或いは又少なくとも一カ月ぐらいの暫定予算を組まなきやならんというので、公共事業費その他については四分の一を計上しておる、本当の意味で、最低の二カ月というのなら、なぜ六月というものを計上しないか、この説明を伺いますといろいろ事情がありましようが、公共事業費については四分の一、それから住宅対策、これも四分の一、官庁営繕費も前年度の四分の一ですから、これは三カ月を組んでいるわけなんです。前年度のですね。そこでこの三カ月に相当するような予算もこの中に入つているのです。二カ月予算と言いながらですね。それはいろいろな事情があるかも知れませんが、その最低限度の二カ月予算というなら、なぜきちんと二カ月にしてないか。そこのところが私は疑問に思うので、今説明されましたけれども、結局又暫定予算を組まなきやならんから、そのときの大体の考慮も入つて、こういう二カ月であるがごとく、三カ月であるがごとき予算暫定予算として、二カ月と表面は謳つて出しているのじやないか。こういうことを私は質問しているのです。それならなぜ三カ月というのをはつきり三カ月として出さなかつたか、こういう意味なんです。
  20. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 只今おつしやつた三カ月組んでおりますものは、これは事業の性質上、どうしても三カ月にするほうがいい、そういう考えでございまして、別にほかに意味は何もないのです。
  21. 内村清次

    内村清次君 大蔵大臣は先ほど暫定予算は、又次の暫定予算も考慮しなくちやならないと、これは明言されたのでしよう。これはもう当然ですよ。あなたの言われた通りにですね。暫定予算というものは次にやはり六月か、まあ六月一杯か、七月にかかるような暫定予算を組むような時期が、これは審議の過程から来ます。次のそれも……、今回は二カ月と決定して、やはりまあ木村君から言われたような、そういうような不確定な日数の要素というのが、これに織込んであるのですね。私はこの点がどうも通じない。なぜやはり国会審議を、又内閣の変動がどういう性格になるにいたしましても、国会審議というものがやはり国民に迷惑をかけない、或いは又は影響が非常に少くなるというような方途で、その日にちを決定されなかつたかということを私は聞いておるのです。それで大蔵大臣は先ほど木村君には、いや、今度の暫定予算を組むことは一つも考えておらない、そんな話の違つたようなことは、これは筋を通してもらいたいとか言われずしてですね、その点を一つはつきりして下さい。
  22. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) お答えいたしますが、木村さんに対して暫定予算を組むことを考えておらないとは申さなかつたつもりでございます。それは申しておらんつもりでございます。若し申しておれば(「取消しなさいよ」と呼ぶものあり)それは取消します。  それからなぜ二カ月組んだ、もつと長い間組むべきだというような御意見ですが、これは今の内閣としては、こうやつて二カ月で以て暫定予算を組むのが正当と考えるわけです。これは何ですね。私が御返事をいたすのでなくて、又別の人が御返事をいたすべきものだと思いますが、むしろ二カ月にとどめるのは公正だということに私はなるかと思います。で、もつと或いは三カ月のほうがいいという意見が無論ありましようし、或いはそれが正しいかも知れませんが、私の見解ではやはり二月で、今の内閣は義務の最小限を行うというのがいいと考えております。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 そういう解釈であるのですが、見通しとしては、これはまあ次期政権の問題から考えて、相当混乱も予想されるように考えております。一カ月目に衆議院は召集される、こういう事態が起つたにいたしましても、五月の期限は、先ほど内村君が話をしたように、もう切れてしまう。こういう形になつて、而も政権が常に安定しない。こういうような点から考えて行くときに、非常な混乱が今から予想されるように思うのです。現実の問題として……。そういう点については、これは考慮が払われたかどうかですね。その点一つ答弁を伺いたいのです。
  24. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 混乱するしないはちよつとこれは予定ができない。これはあなたはそうお考えになりましよう。私も混乱しないとも申上げられませんけれども、併しながら混乱するからといつて、四、五月でない、もつと長い予算を組むことも如何かと、只今内村さんの申されたように、結果としては四、五で組むのが正当である、こう考えております。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 これはまあ現実の問題になるのですが、この前の第四次吉田内閣のできる際ですよ、とにかく過半数とつておつたわけですね。それでいても、相当、政権が発生するまでに二十日以上は生みの悩みを経過しているわけけです。今度も現実的な認識に立つというと、もつと混乱が起るのじやないか。そういう見解については、現内閣は、そうするというと、まあ暫定的なその選挙管理内閣、或いは善後処理のそういう責任を持つたものであるから、その見通しについては、混乱が、或いは予想されるとしても、全然責任を負わない、こういう立場で、この予算を組まれた、こう確認していいわけですね。
  26. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 責任を負わないというと甚だよろしくないわけですが、そう言いますよりは、義務を遂行する、そういうところでとめて、それ以上に現内閣の考えを打ち出すことは控えようという精神が先に立つている次第であります。
  27. 内村清次

    内村清次君 それから大蔵大臣にちよつとお尋ねしたいのですが、これは審議の前提になりますが、この安全保障費ですね、それから防衛分担金の問題……
  28. 岩間正男

    岩間正男君 その前に今の問題をちよつと片附けるから……
  29. 内村清次

    内村清次君 どうしますか。ちよつと私伺いたい。未使用分ですね。一体どれくらいあるか。防衛関係費の未使用分が年度末にどれくらいになつているか、その点一つ明確にしておいて頂きたい。
  30. 河野一之

    政府委員河野一之君) 私からお答え申上げます。安全保障費は二月末現在でたしか二百五十億程度予算を使つたと思つております。それから三月一杯にどれだけ出るか、これは現在つけておりますので、ちよつと何でございますがたしかこの委員会にお出ししました資料では百八十億程度というふうに申上げたかと思つております。それから保安庁経費につきましては、大体八十億程度、契約未済で繰越されるものが大体八十億というようなことで御説明申上げたと存じております。
  31. 内村清次

    内村清次君 これは資料にして出して下さい。どうも答弁だけでは不確定だ。
  32. 岩間正男

    岩間正男君 さつきの問題もう少し伺いたいのですが、暫定予算で全然政策を織込んでいない事務的なものだ、こういう解釈を出しておられる。そうだつたら、これは三月組まれなかつたということの理由ですね。それは政治的に成るたけ長い間先の見通しまで追うことはこれはいかんのだ、こういう解釈で現内閣はそういう何を組まれたのですれども、併し非常に現実的な見通しからいうと、技術的に非常に困難なことが先に起るのではないか、従つて三月分で、それで以て事務的のものとして、それは承認されるということが可能であるのではないか、そういう点は非常に現実的の見通しが足らないということ、而も今内村君の質問によりますと、次の暫定も予想されるような暫定予算を組んでおるわけですね。その点はどういうことになるか。飽くまで私たちは事務的のものの範囲内にとどめるというので、この暫定予算を検討しておるわけです。その点から言いますと、その点はまあ問題にならないのではないかというふうに考えられるのですが、それよりも現実的の考慮のほうが重要でないかと考えるのですが、その点は如何ですか。
  33. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 一応御尤もではございますけれども、やはり暫定予算というものは最小限度にやるべきものである。そのほかの点については現内閣が今のやり方が良心的であると、こう考えております。
  34. 岩間正男

    岩間正男君 先に行つてのそのような混乱については、非常に見通しが不十分だという責任は、これは現内閣が負うのですね。私は予想されると思うのです。どうです。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつとそれに関連しまして……。暫定予算というものは非常にしばしば組むべき性質のものですか。その原則を伺いたいのです。やはり暫定予算というものは、そんなにしばしば組むべきものではない、原則としてはですよ。そういうことになつて、その原則と照し合せて、成るべく暫定予算はしばしばないように、大体見通しがあつたならばやるべきじやないと思うのですが……。
  36. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) それは只今予算を立てる立場において非常に苦しいところではありますが、やはりしばしば組むべきものとも存じません。併し事情やむを得ない、それで只今のところでは一応二月の暫定予算でもつて現内閣の急場をしのぐというところに止めたいと、こう考えております。
  37. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) ほかに御質疑はございませんか。
  38. 内村清次

    内村清次君 最後に資料関係を要求したいのですが、最後にね。
  39. 左藤義詮

    左藤義詮君 議事進行。いろいろまだ質疑の点もございましようが、この際一応休憩いたしまして、各派のそれぞれの又御行動がございましよう。この際休憩の動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  40. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 只今左藤君からこの際休憩をいたしまして、各党のこの暫定予算に対する態度の検討に要したいと、こういうことでありますが、一時休憩いたして差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それではこれで暫時休憩いたします。つきましては再開は二時にいたします。    午前十一時二十六分休憩    —————・—————    午後三時二十二分開会
  42. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これより委員会を開きます。午前に引続き質疑を続行いたします。
  43. 永井純一郎

    永井純一郎君 この予算案、暫定予算の質疑に入る前提で、私は少し法制局長官に伺いたいのですが、この緊急集会というものがすでに非常にあいまいであると考えます。で、私が一番先に聞きたいことは、財政法の三十条に基いて出された暫定予算を参議院においては、この緊急集会で否決、或いは修正ということができるかどうかです。これは法律論として先ず聞きたいと思います。
  44. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 暫定予算の本質の問題に亘ると存じます。暫定予算と申しますと、いわゆる新政策を盛り込んだり、その他新らしい政治的の要素というものを盛り込むものとは考えておりませんので、極めて事務的な国のその日その日が過せるに必要な最少限度給与、その他を盛り込んだものであると考えるわけであります。従いまして国政運営の最低限度の予算というものは、これは一日たりともなくては困るということは当然のことでございますからして、何ら憲法その他財政法には暫定予算を否決してはならないというような条文は勿論ございませんけれども、予算としての本質からおのずからさような結論になるものと考えておるわけであります。
  45. 永井純一郎

    永井純一郎君 そういうふうな議論が普通に行われておるようであります。そこで私が考えますには、給与だとか、事務費だとかいう極く普通のそういつた給与事務費等だけならば、財政法三十条の解釈から行つてそういうふうに解釈して、やはり否決したり修正することがまずいというよりも、やはり許せないし、そういうことになると工合が悪くなつて来ると思うのです。今の法制局の意見をとつて行くと、暫定予算というものには一切の政策的なものを含めては私はならないと思う。法律的にそういう解釈をとつて行きますると……。今度の予算を見ると最も政策の根本に亙る経費がやはり入つて来ておるわけです、防衛費初め……。そして、この緊急集会予算委員会における大蔵大臣説明の中にも、国政の運用上必要なるものであつて、而も国政運用のこれは骨格予算であるという説明大蔵大臣はしたのであります。国政運営の骨格的な予算という説明をしておいて、防衛費関係、それから我が国の民主化のために最も重要な義務教育関係の費用、特に防衛費関係、こういうものを私は三十条の解釈を今の法制局長官の言うように解釈するならば組むことができないのだ。若しそういうものを組むならば当然否決なり修正というものが含まれて来なければならん。ですから政府の言う法律のこの三十条の解釈と現実に出して来たこの予算案の内容とはちぐはぐに私はなつておると、こういうふうに考えるのですが、先ず法制局の意見を更に聞きたいと思います。
  46. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 先ほど最初のお答えでございましたから言葉は足りませんでありましたかも存じませんが、新らしい政策を盛り込んだり、ということを申しましたその点に私は重点を置いておつたわけでございます。とにかく今まで続けておつた国の生活と申しますか、言葉は適切でないと思いますが、国の生活を続けて行く上においての必要な最小限度というふうに申上げるのが一番正確であると存じます。従いまして、例えば防衛費の問題、防衛費というものは今まで組まれてずうつと今日まで来ておつたということになりますれば、その意味での現状を存続するということは当然なされなければならないことであると思いますので、仮に防衛費を削るということになると、削るという新らしい政策的な意味が入つて来る、それは差控える、今までのを存続するという点に重点を置いて考えなければならない、そういう意味で申上げたわけでございます。
  47. 永井純一郎

    永井純一郎君 それは政治の運用に関係なしにこの法文を見る場合にはそういう一通りの理窟は私は言えると思うが、予算編成をきめておる財政法の私は解釈はそういうふうに言えないと思うのです。一応政府が考えておるのは、恐らく二十七年度予算において審議をされてきまつたものの中には防衛費も入つておる、その月割程度のものだからまあ当然だ、いわゆる新政策ではない、こういうような意味を今法制局は言つておると思いますけれども、ところが今日の実際のこの議会を動かし予算審議するこの内閣というものは、国会によつて不信任の決議をされておるわけなんです。その不信任の決議によつて町民から不信任をされておるところの内閣が、全然新らしい政策でなくとも、その内閣が作つて来た二十七年度予算でありまするから、私はその尾を引いたところの政策を盛り込むことは、やはり三十条からいつて私はあなたが一番先に解釈するような建前の、否決なり修正を認められないのだという立場に立つならば、やはり私が言うような解釈にならなければいかんと思うのですが、その不信任をくらつている政府でありますから、又もう一つには全くの責任を持たないのであつて、全く事務費であるとか給与のみしか当然これは提案ができない。たとえ二十七年度審議されてきまつたものの、きまつておるものでも、その尾を引いて来るところのものは、私は提案をする権限を……内閣が提案すると書いておりますが、暫定予算はその権限をこの三十条に言う今の内閣は私は持つておらないのだ。これは当然議会主義を認める上から法律論をやると私はそうなると思う。で、そういう意味からも今日の内閣が、たとえ二十七年度審議されてきまつておるものといえども、国の基本的な政策に関係する政策を私は盛込むことができないというふうに私はこれを解釈しなければならん。で、三十条は全く事務的な経費給与だけが計上さるべきであつてですね、こういうふうに二十七年度の尾を引いておるところの政策、全くの新らしい政策でなくても不信任を食つた内閣が提案して来たものに対して、国会がこれを審議するということがすでに今日おかしいということになつて、その辺は法律的にはですね、はつきりと法制局が言うようなふうに私は理窟がなつて来ない。いずれから言つても政策に関係のあるものは一切提案することが、権限が私はないとこう思うのですが、それがそうでないんだということを、更に不信任を受けておる内閣、こういう点も、こういう要素も入れての説明を少しして頂きたい。
  48. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 不信任という言葉がございますけれども、私どもの立場から申しますると、不信任であると否とを問わず、解散というものがあつたわけであります。およそ解散というものがありますれば、新らしい解散後の国会が召集されるその最初の召集の際に、現内閣は総辞職をしなければならんということは、憲法ではつきり書いておる。その意味では一種の選挙管理内閣というような常識的な呼び名が当てはまつて来る。その現在において特に緊急集会をお願いして、どうしても必要な措置をとつて頂くという場合に、今の暫定予算の問題が出ておるわけです。従いまして先ほど申上げましたように、その暫定予算の中に新らしい政策を盛込んだということはいたしておりません。又いたすべきではないということで、現状を維持して、現在の国の生活というものを、少くともそのままの形で暫時生かして行けるようにという措置を盛込んでおりますという趣旨で申上げておるのであります。  防衛費その他、解散をしたと申しますが、解散にかかるその内閣のやつたことは、全部この際暫定予算から落さねばならんということになつて参りますと、これは又別の角度から申しますと一種の大きな新政策に、とにかく現状を変更しようという意味においては、私は新政策であろうと思います。防衛費を落そうということも新政策でありますが、結局地道な点から申しましても、現内閣の間にできたいろいろなたくさんの役所もありますし、増員された人間もございます。それらのものも全部元に戻して行くということになりますると、少くとも又現状維持ということから逆なものになるということで考えておるのであります。
  49. 永井純一郎

    永井純一郎君 更に一歩進めて、それではですね、今までの二十七年度審議されておるものであるから、新政策ではないのだ。併しあなたが言うように落すことは非常に新らしい新政策だというようなことを言つておる。もう一歩進んで言えば、それでは新政策であるかないか、これは新政策であるというようには、三十条は何も書いてないんで、そういうふうな解釈をあなたのほうでして来たのだと思いまするが、それでは一歩進んで、新政策であるかないかということをきめるのは、何も政府がきめる、全くの便宜的な裁量でも何でもないのです。あなたの立論の基礎がむしろおかしいのです。それはやはり今日の情勢から言えば、なぜ今日の内閣が不信任を食つたかというようなことをも考え合せて、条理の上に立ち、十人が十人納得するところのものであつて政府が勝手に、これはいわゆる新政策でないのだから、事務的なものなんだ、この暫定予算に組んである防衛費は事務的なものだ。こういうふうなことを勝手にきめることはどこも許されておらないはずなんだ、そういうふうに言つて行くならば、これはやはり条理の上から言つて、今日の国会が、不信任等を国会がした建前から言つても、私は国会がむしろそういうことはきめるべきであつて、これは明らかに新政策だというふうに、或いはそうでないのだということは国会がきめるべきもんであると考えています。そうすると当然これは否決も修正も私は可能だ。こういうふうに私はなると思うのですが、その点をもう少し明らかにしてもらいたい。
  50. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) お話の通りでありまして、新政策を暫定予算に盛込んではならないというような条文は、憲法にも財政法にもございません。従いまして暫定予算とはどういうものであるべきかという普通の常識、或いは暫定予算を組む側の一つの態度としておのずから生れて来る基準でございますからして、その判定はどこでするかということにつきましては、先ず第一次には、暫定予算の原案を作りまする内閣において判定をいたして、この限度は暫定予算にふさわしいであろうという案を作るわけであります。それをこの緊急集会において御審議を願います。緊急集会としては、参議院において、これは暫定予算としては適当でない、或いは行過ぎであるという部分がありますならば、私は否決することは到底考えられないことと思いますけれども、観念上の問題としてはそこに見解の相違が出て参りますから、或る種のものについて修正という御見解が出て来ることは、これは当然であろうと思います。まさか否決なさることは、これは先ほど申上げました通りあり得ないことでありますけれども、修正は観念上はあり得る。併し又参議院で一応修正なり何なりそのまま可決されますならば、成立いたしましたものが、今度は、次に再開後の国会において、衆議院の同意を求めるためにそれが出るわけであります。衆議院衆議院として又そこで独自の、暫定予算とは何ぞやという見解をお持ちになつているわけでありますから、そこで同意をするなり不同意をするなりという、当然衆議院の判定があります。でありますからこれらの判定が総合されて立派な暫定予算が成立するというふうなことになろうかと考えております。
  51. 永井純一郎

    永井純一郎君 大分政策的なというか、解釈にだんだんなつて来たと思うのですが、それで更にもう一点私は伺いたいのは、憲法の五十四条で、参議院の緊急集会が開かれて、これによつてきめた事柄は、次の国会の開会の後十日以内に衆議院の同意がないい場合にはその効力を失うと書いてある。これはこの暫定予算についても私はそうだと思うのですね。この緊急集会暫定予算をからみ合せて考えると、憲法の五十四条は、明らかにその効力を失わしめることができる効力を持つているんです。若し重要な基本的な政策をそれがあなたの言ういわゆる新政策でないからといつて盛込んでおいて野党が多数を今度取つて、これを否決するということはあり得るのです。これは事実上もあり得るし、この解釈上もあり得るのです。そういうことがあつたのでは国政の運行は全く紊れるのですね。政権が変るごとに……。そういう危険はあらかじめ愼重なる審議をしなければならない、この参議院において私は十分予見してかからなければいけない。それからいつても便宜的な、新政策でないからいいということは非常に私は不用意だと思う、政府の法規の解釈の研究の仕方が、……。だから全くそういうこともあり得るのだから、法律上は全くの、給与、旅費、手当だとか、そういつた事務費だけしか私は組むことは許されないと思う。そういうものは、多過ぎたから少くするとかいうようなことで効力を失つてもかまわない程度のものでない場合は、全く国政が混乱に陥るという事態もあり得るわけなんですね。これは理窟としては……。そういう点は五十四条との関連から言つても、私は先ほどの法制局の解釈は非常にまずいと思う。その点もう少し関係を明らかにして頂きたい。
  52. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 解釈があいまいと申しますか、政治的と申しますか、とにかくあいまいだというふうなお言葉でございますけれども、これは先ほど触れましたように条文はないので、暫定予算には何々しか組めないというはつきりした条文があれば、これはまあその条文をそのままお読み申上げればはつきりわかるのですが、そういう条文がございませんから、一般の条理で考えた場合には、これが最も妥当な結論だというようなことで推定をして行かなければならないので、我々法律をいじくつておるところの立場からして得たところの結論としては、先ほど申したようなところであろうとお答えしたわけであります。ただ、それについて又参議院なら参議院、衆議院なら衆議院の御批判があるということに対しては、これは我々の一見解を押付けようというようなことは考えておりませんが、併し普通の解釈から考えれば、かような結論だろうということを申上げておるのでございます。
  53. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでこの五十四条の緊急集会規定と関連せずにこの財政法の三十条を解釈するわけには行かんと思う。これと関連して、理窟を合せて、又今日の政情を考えて、不信任案を食つた実情、そういう要素も取入れて条理の上から言つて法律的に総合的に考えると、私は政策的な、特に国政の基本を動すような政策は私は盛ることはできない、盛ることは法律上許されないのだと私は考える。そうであるにもかかわらず、防衛費というような、非常に根本的な経費をここに組んだことは私は間違いなんだという答えを引き出すために今論議をしておるわけなんです。私の考えで言うならば、憲法の五十四条と財政法の三十条から言つて、ここに提案して来た現内閣、特に不信任案を食つておる現内閣が提出して来た暫定予算の内容は越権の行為のものを多数に含んでおる、私はこういうふうに法律上言わざるを得ない。だから私はこれをそういう政策的なものは、折角提案して来たのであるから、参議院ではこれを少くとも修正しなければならない。この憲法の五十四条と財政法の三十条から言つてそうなる。だから私が法制局に聞くことは、法律的にただ答えてもらえばいいのであつて、憲法五十四条と財政法の三十条との関連から言つて、私の言うようなことになるのではないか。併しそうでなく、法律的にはこうこうだという法律論ができれば、それをこの際はつきりしておかないと、今後も参議院として緊急集会というようなことにぶつかるわけでありますから、明らかに私はしておく必要がある、こう考えるわけであります。
  54. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 法律的に申しますれば、先ほど来のように、要するに現状というものをそのまま維持するという……、逆に言葉を換えて申上げますれば、既成の秩序というものをそのまま維持するということはどうしても必要であろうと思います。仮に既成の事業及び役所、その他先ほど申したようなものをここで潰してしまう、予算から落してしまうということになると、これに基いての大混乱というものは限り知られないところであろうと思いますので、要するに既成秩序の維持という程度において現状を維持するという予算、これが暫定予算の内容になるというふうに考えます。
  55. 永井純一郎

    永井純一郎君 どうも法制局長官の答弁はそういうふうに答弁しなくてもいいと思う。あなたは法律上のことだけ答弁してくれたらいいと思う。ところがそうでなしに言うから話がわからなくなるのだと思います。私は更にこれをでは大蔵大臣に伺いたいと思いますが、私は法律的に私の言うことは正しいと思う。政府法律の研究が足らなくてこの予算を組んだということは、今の答弁から言つてもわかる。これは政府が困つているのは、防衛費というものを入れざるを得なかつたのは、駐留軍との約束があつたからだと思う。四半期分を十日までに交付しなければならないという約束があつたわけですね。ところが日本の憲法と財政法から言つて私もそういうことはできないと思いますから、この四半期分の交付を新らしい国会ができてから組むからというような折衝をされたのかどうか。或いは全然しないで、ただ駐留軍に気がねばかりして、これは何よりも先に組むものだという非常に従属的な頭があると思う、閣僚諸君以下特に事務当局も……。なにか一番先に組まなければならんというふうに錯覚を起しておると思う。国民の感覚と非常に離れておると思う、その点は……恐らくこれは折衝されておらないのだと思う。その経緯をお伺いしたい。
  56. 河野一之

    政府委員河野一之君) 駐留軍の交付金を毎四半期に十日までに交付することは、行政協定による取極めできまつておることでありまして、これを約束をそのまま履行するという建前で予算を組んでおるのでありまして、特にこの金を減らすという交渉は別にいたしたわけではございません。
  57. 永井純一郎

    永井純一郎君 減らすとか、減らさんとかいうことではなしに、行政協定でたとえ約束しておつても、日本の憲法の上から、或いは財政法等の法律の上からできないことを私はすることは許されないのです、これは……。ですからそれを国会が新らしくできてそこできまつてからやればよいことであつて、そういう意味からあらかじめ進駐軍の当局と折衝をしたかどうかということなんです、遅らすことについて……。併し遅らさないということが初めから頭の中にあつてこれを一番先に組んだということになるのか、その経緯をただ聞けばよいのです。
  58. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは米国駐留軍との取極めによりましてそういう約束でやつてつておるわけで、行政協定にもあることでありますので、それをそのまま履行するというのが現在の秩序を維持するゆえんであると考えましてやつた次第であります。
  59. 内村清次

    内村清次君 関連して……。先ほど法制局長官の答弁がどうも少し最後になつてあいまいになつた。そこで少し明確にしてもらいたいことは、緊急集会暫定予算性格緊急集会に対する暫定予算というものは政策的な予算の組み方ということはいかないかどうか。又今度は一暫定予算という性格、即ち財政法によるところの暫定予算という性格というものは、これはこれ文政策的な予算を計上することはいかないかどうか、この二つの点に対して明確にしてもらいたいと思う。
  60. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 先ほど来は現在の問題として申上げたのでありますけれども、そもそも暫定予算とは何ぞやということが只今お話しの通りきまつて来なければならんことだと思います。併しそもそもということと、結局この解散中における緊急集会にお出しする暫定予算というものの本質に偉いがあるか。こういうことになりますると、私は大きく言つてそれは違わないと思います。違わないと思いますけれども、先ほど来、解散後に新国会が召集されれば総辞職しなければならんという条文がございますからしてというようなことを申したのは、その実際の気持は、これは法律的でないと言つて叱られると思いますが、気持としては極力自粛した気持であるべきであろうというニユアンスをまじえたので、ひらきなおつて法律的にどうだと言われれば、暫定予算の定義は一つしかないので、緊急集会暫定予算であろうと普通の国会に出される暫定予算であろうと、これは法律的には同じものだ。私の立場としてはそうお答えすればそれで足りることと考えております。
  61. 内村清次

    内村清次君 これは私たちは性質が違う、こういうような断定の上に立つてあなたに法律的に質問しているわけです。これは当然緊急集会性格からしまして、而も先ほどから言われたように国民から不信任をされた内閣が政策を加えて出すというようなことはこれは許さない。緊急集会性格からしてこれは許さない。但しこれは暫定予算というのはもう直ちに、先ほどの大蔵大臣の答弁にもありましたように暫定予算は組まなければならん場合があるでしよう。そのときの内閣がどう性格が変るかわかりませんが、それはその内閣の性格なりにやはり政策を盛り込んだ暫定予算というものは組んでこれは差支えない問題である。併しながらこの緊急集会に対して政策を盛り込んだものはこれは組むべきではない。こういう原則緊急集会という性格の法理論からして正しいのじやないかと私たちは考えているのですが、どうもあなたのおつしやることはただ暫定予算だけとお考えになつて、どちらでもとられるようなお考え方を言つていらつしやるのですが、それでは私は非常に混迷して来はしないかと思う。この点は法律家として明確にしておいてもらいたい。
  62. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) たびたび申しますように、暫定予算とは何ぞやという定義が法律にありませんものですから、割切つたお答えができないわけです。従いましてそういうふうにはつきりした定義付けの立法上の明文のない事柄については、条理を以て推して解釈するほかはないと思うのですが、条理解釈というものもやはり法律屋の一つの職分だと思いますから、私はその意味で条理解釈として先ほど申上げたような結論になろうということを申上げたのです。そこで今お話を承わつておりますと、私は先ほど一つのニユアンスというようなことを申しました。これは条理解釈という問題ではないかも知れませんけれども、普通の国会の場合でありますれば、多少新政策めいたものが加わつてもそれは恐らく国会でお通しになるだろう、両院でそれをお通しになるならばそれは成立してしまうのですから……。そこで今度のような解散中の参議院の場合と普通の国会中における場合とには実際上はそういう差異があるだろう。従いまして今度は逆に考えれば、緊急集会の場合にお出しする暫定予算というものは相当自粛したものでなければならんと我々考えているのもそこから来るのだろう、そういうふうに申上げるよりほかは、とにかく条文にないのでありますから、そう思うのでありますが。
  63. 内村清次

    内村清次君 ただあなたは自粛の点でこれをかばつて行こうという考え方ですけれども、これは私はもう断定していい。緊急集会はやはり国の継続的な問題、これが空白になつてはだめですからして継続的なものを事務的にこれを了承されるような形でもつて来る。こういうふうなことであつて、いやしくも二十八年度からの予算関係に対して又その性格が内閣の性格が加わるような経費を持ち込むということはこれはいかないのじやないか。私たちはこういうふうに法理論から考えておりますが、この点はただ自粛というようなことで濁さずに明確にしてもらいたい。
  64. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 先ほどもお答えしたのでございますが、逆に言いますと、今まで続けて来たというもの、これをやめるということは私はそれは一つの新政策だろうと思います。今まで現状を続けて来たものは一応現状のまま一月分くらいのものをそのまま残すということがむしろ自然な行き方であつてそれを落すということになりますと、先ほど申し触れましたように、それは又路頭に迷う者がたくさん出て来る。事業費などがなくなりましてこれは又混乱を生じて一つの責任をそこに生ずるような事態をもたらすわけでありますから、又法律改正等も必要になつて来る、いろいろ関連した事柄が出て来るわけです。これは又これで非常に過ぎたことになりますから、今まで通りのものをじつとそのまま暫くの間、来年度に持ち越すというようなことが、あらゆる方面から考えて一番自然な無難なものである。暫定予算というものもそういうものであろうと思つております。
  65. 内村清次

    内村清次君 そこで先ほど私も審議の前提になるということで大蔵大臣にお尋ねいたしました防衛関係費の二十七年度の使用残りがあるのです。二十八年度にこれを持つて来るということ、これは内閣の性格からやつている使用残りというものがありますからこの使用残りの分、或いは保安隊経費の使用残りの分これを以てそうしてその現状の維持を先ずするというような最小限度の問題を解決して来れば、これは私たちはその考え方によつて審議もして来ますが、併しながら又更にこれは使用残り分はありながら、こういうような防衛関係費の経費を更に組んで来るというところに、政策が盛込んであるというふうに私たちは考えるわけですが、この点に対してはどういう……。
  66. 河野一之

    政府委員河野一之君) 二十七年度防衛支出金のうちいわゆる駐留軍への交付金は五百七億でありまして、これは全額交付済みであります。従つて残りはないのでございます。保安隊の経費につきましても、契約未済の繰越しが七十六億ほど、これは当委員会に解散前の国会に提出いたしたのでありますが、いずれも施設関係経費でありまして、これは人件費その他の経費はないのでございます。
  67. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私は細い点でございますが食管特別会計のことについて御質問したいと思います。先ほどの主計局長の御説明で四月、五月内地米が大体二十万石、それから外地食糧が総計六十六万トンぐらいになると思いますが、実は相当の数量が予定されていますが、それにもかかわらず食管の予備費が二十億六千百万というようなものを組んであるわけであります。多少何かバランスを失しているような感じを持つのであります。特にこの予備費が二十億六千百三万六千円というような細い数字が出ておりますので、先ずその関係を一つお伺いしたいと思います。
  68. 河野一之

    政府委員河野一之君) お答え申上げます。食管の予備費これは不成立予算では百億程度であつたかと思いますが、一応の内地米の買入れ予定といたしましては二十万石というようなことに相成つているのでございますが、これが場合によつては殖えるかも存じないのでございます。それから外米につきましては、その四、五月分の入船予定のものを見たのでございますが、これが更に繰上つてつて来るというようなものもございますし、一応の積込み数量というものは推定が付くのでございますが、そういつた関係がございます。それから飼料の買入れにつきましても、これは今回法律通りましてそれを入れたのでございますが、その買入数量等については未定の分がございます。その関係で一応二十億としたのでございますが、この端数が付いておりますのは、実は歳入歳出の差額をここに持つて来た関係なつております。
  69. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 予備費を内地米の二十万石以上に買うという引当でありますれば、大体了解をいたすのであります。  そこでこれ又細い点ですが、農産物等買入代金のところでこれは落ちていると思いますが、でん粉と飼料の買入れということになつておりますが、これは恐らくてんさい糖が落ちていると思いますが、てんさい糖と飼料の方はすでに法律ができておりまするから、これは買うことは当然であると思いまするが、やや細かいことでありまするが、でん粉のほうはこれは問題の農産物価格安定法との関係もあるのではないかと思いますが、先ほど御議論が出ておりました政策というほどのものではないと思いますが、てんさい糖と飼料と同一にここに書くことについては、若干の問題があると思いますが、その点を一つ……。
  70. 河野一之

    政府委員河野一之君) 農産物買人費のほうにでん粉及び飼料費買入費とございまするが、てんさい糖はこれは秋になつて買いまするので、四、五月分としては要らないわけでございます。それから農産物の管理等の諸費には、このほうには、てんさい糖が入つておりますが、これは昨年買いましたものの運搬費、保管費でございますので、買入費のほうとしては要らない。それからでん粉につきましては昭和二十七年度におきましてもいわゆる主要食糧として入つておりますので、現行法でもこれは買えるという建前にいたしておるわけでございます。
  71. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 その次は食糧飼料等の輸入の数量がここにも出ておりまするが、これに関連いたしまして、全体の輸入計画といいまするが、外貨の予算の計画が、私は暫定予算が四、五、二カ月に亘るものと了解いたすものでありまして、これに関連いたしまして、外貨予算はやはり二カ月分で大体予定されまするか、或いは六カ月ということになりますると、その間に齟齬が出るものにつきまして、どういうふうな方針になりますか。
  72. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 外貨予算は大体六カ月で組むことになつておるのでございます。それで、ついこの間通産省と打合せまして、大蔵省では外貨予算の大体の案ができ上つておるのでございますが、今暫定予算となりましてから、これを短く切るということは如何かと思うのですが、今研究中でございます。
  73. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 藤原君、外務大臣のほうを先に御質問願います。今厚生大臣つて来ますから……。
  74. 藤原道子

    藤原道子君 この際外務大臣にお伺いいたしますが、防衛費の使途についてでございますが、最近基地附近における衛生管理が非常によろしくない、水洗便所等が非常に粗雑なために、汚水が附近の民家の井戸に滲透して来まして、国民の衛生上よろしくない状況にあるのでございますが、これは防衛費のどういう費目でこれらを処理されて来ておるか。今後又これに対してどういう……、この予算の中にはそういう点も或いは入つているのかどうか、そういう点についてお伺いたしたいと思います。
  75. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 防衛費の中ではそういう……まあこれは具体的に当つて見なければわかりませんが、原則としてはそういう費用は含まれていないと考えます。併しながら駐留軍の移転に伴う施設としての部分なれば、或いはこの安全保障費のほうでそういうものを支弁する性質が出て来るかも知れませんけれども、これは具体的に大蔵省なり、或いは厚生省なりで研究いたしました上できめるので、私のほうでは原則論しか申上げられないのであります
  76. 藤原道子

    藤原道子君 どうもおかしいと思うのでございますが、これから起る問題でございましたら研究してきめるということも納得行くのでございますが、すでにこういう現実が各所に起きている。国民の衛生上殊に生命に関する重大な問題だと存じますが、今日までそうしたことを全然御存じなかつたのでございましようか。何にも処置をして来なかつたとおつしやるのでございましようか。その点をもう一度お伺いします。
  77. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは下水の設備であるとかという面は、厚生省なり、建設省なりで以てそれぞれ措置をいたしております。併しながら御質問の防衛費等でその費目が出るかという御質問に対しては、防衛費はちよつとむずかしいので、安全保障費のほうは、或いはそれに該当する項目が出るかも知れないけれども、これは研究してみなければわからない。こう申すのであります。
  78. 藤原道子

    藤原道子君 それでは今まで安全保障費でそれらを支出して来られた経緯がおありでございましようか。
  79. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 例えば駐留軍が都心から郊外へ参りましたときに、宿舎等を造ります。その造りますときには下水工事等もいたしまするから、そのときにそういう汚水が流れるとかいうような種類のことのないようには、当然いたすのでありまするけれども、何らかの理由で又そういう問題が出て来る。こういう場合に、これを更に安全保障費のほうでやるとか、或いは建設省のつまり、一般の国の下水が悪いために、そういうことになるのか、それはその性質によつて費目が分れるんじやないかと、こう考えております。
  80. 藤原道子

    藤原道子君 国の下水施設が悪いということでなくつて、新たにできております軍事基地において随所にこういう問題が起つております。例えて言えば埼玉県の基地におきましては川に生ままのようなものが出て来て、それが殆んど井戸水へ入つて来て、附近民家が実に迷惑をしておる。大騒ぎになつております。北海道の千歳のキヤンプにおきましてもやはり汚水のために鮭も上つて来ない。又それらによつて衛生上も非常によろしくないといつて大騒ぎをしておりますし、そういうことは各所に起つておるのでございますから、大臣がそれを御存じないというのは、私は納得ができないのでございますが、あつたか、ないかということをもう一遍くどいようでございますが、お伺いいたしたいと思います。
  81. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 今おつしやる点はちよつと私は正確に申上げられないのでありますが、例えば施設の中の設備が不十分なために汚水が流れるというようなこともありますし、又施設の附近にある例えば普通のガソリンスタンドであるとか、その他の施設以外だけれども、近所にあるそういう営業用のものが、それの設備が不完全なために汚水が流れて来る、こういうような事態もあるのでございまして、そのあとのほうは、それぞれの営業者がもつとちやんとしなければいかんわけであります。又それに流れる下水等は国で以て適当に処置しなければいかんわけであります。施設自体についての欠点から来るものは、これは又安全保障費等で適当に処理しなければいかん、こういうわけであります。
  82. 藤原道子

    藤原道子君 大臣の只今の御答弁は、施設の欠陥であるならば当然安全保障費で処理すべきであるというふうに解釈してよろしいのでございましようか。
  83. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) さよう考えております。
  84. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 厚生大臣見えました。
  85. 藤原道子

    藤原道子君 私は小さい問題でございますけれども、国立病院の地方移管に対しましてお伺いしたいのでございますが、政府は地方の自治体が喜んで受けるところだけを移管する、決して無理強いはしないということでございましたが、その後これが移管状況についてお伺いしたい。
  86. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) お答えを申上げます。国立病院の地方委譲につきましては、かねて委員会等においても申上げておるのでありますが、昭和二十七年度当初において七十九カ所ありましたうち、結核療食所に十五カ所、それから五カ所地方に移譲を決定いたしました。昭和二十八年度予算が御承知のような事情になりましたので、当初考えておりました通りに参りませんが、併しこれはかねて申上げておりまする通り、地方の事情に即しない無理な地方移譲はいたさない方針で従来参つておるのであります。今後ともその方針で参りまして、できるだけ地方ともよくお話合いをいたして無理のない委譲をいたしたいと、かように考えております。
  87. 藤原道子

    藤原道子君 そこでお伺いしたいのでございますが、政府は無理はしないと言うけれども、かなり無理をいたしております。例えて言えば、舞鶴の国立病院でございますが、これは政府が地元の恩恵を無視いたしまして結核療食所に転換いたしております。そうしてこの予算書にはすでにそういうふうに現われておる。ところが最近引揚問題が起りましたので、療養所で引揚の病人を扱うわけに行かないというので、あわててすでに療養所に転換しておる病院を取りあえず従来の国立病院として、ここでその病人を扱う、而も特別会計で計上されておりますものを一般会計からこの金を廻して便宜でこれをやつても差支えないという解釈をしておられるということを舞鶴の病院で聞きまして、私は国会審議を無視するも甚だしいと思つたのですが、この点につきまして大臣の御答弁を伺いたい。
  88. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) 只今数字を以てお答え申上げたのですが、昭和二十七年度当初七十九カ所の国立病院がございましたうち、十五カ所を結核療食所に転換をいたして、その中には舞鶴は入つておらんのであります。当初はいろいろ地方委譲或いは結核療養所の移管等も考えましたが、中共の引揚がかように急に起つて参りましたので、舞鶴病院につきましては当分の間従来通りに存置をいたして国立病院といたしてやることに方針をきめて、七十九ヵ所から十五カ所の結核療養所の転換、五ヵ所の国立病院の地方委譲でありまするから、残り七十九ヵ所に相成ります。いや、九十九ヵ所から十五ヵ所と五ヵ所を引くのでありますから、七十九ヵ所になります。先ほど七九ヵ所当初と申しましたのは間違いで、九十九ヵ所から十五ヵ所と五ヵ所を引きますと七十九ヵ所、予算書には七十三ヵ所と説明書に書いてありまするのはこれは間違いであります。恐らく、ミスプリントか何かだと思いますから、その点誤解のないようにお願いします。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して……、非常にはつきりと言われましたが、これは重大ですから、それじやこれを直して下さい。この特別会計暫定予算の六十八ページです。六十八ページにおいて病院経営費のうち説明書に「国立病院七十三ヶ所」とあるのをミスプリントでは済みません。(「その通り」と呼ぶ者あり)はつきりと訂正して出さなきやなりません。ミスプリントならミスプリントでなぜこれに正誤表を付けないか。
  90. 河野一之

    政府委員河野一之君) 当初の原稿がいろいろ間違つておりまして、七十九ヵ所で入つております。予算のほうは正誤表で一応出ることになつておりますので、甚だ申訳ないのですが…。
  91. 森崎隆

    森崎隆君 実はこれは私たち審議の上で今から言つても始まらない問題でございますが、三日間でこれを全部審議しろということ自体私は不可能に近いものだと思うのです。そこで今のようなミスプリントの問題も出て来るし、正誤表もまだ出ていない。それで正誤表はいつ出すか私わかりませんが、少くとも正誤表は明日本会議に上程する以前に或る程度の時間をおいて出してもらわなきや意味ないわけです。まあ数字が多少前後して間違いました、これは当然常識的に考えて前のほうが正しい、こういうような場合は、はつきりしている。故意じやない、悪意じやないと思うが、いろいろ重大な問題が表に掲げられて、裏で予算が落ちてしまつておるというような問題が出た場合、法律としてそれが通つた場合に一体どうなるかという問題を考えた場合に、その方面に利害関係を持つておるところの国民自体が非常な迷惑を受けるわけです。これについて特に大蔵大臣に確約を願いたいのですが、これ以上その他にミスプリント、まあこういうことはないと思いまするが、故意にカモフラージユしたようなところがあるかないか。あるといたしますれば、そういうことはないと思いますが、あるといたしますればいつまでに正誤表をはつきり出して訂正すべきものは全部出して頂けるか。これは我々がよく見付けましてむしろ大臣をおいじめ申上げる材料にしたいところなんですが、時間がないからできない。ただ提案者のあなたのほうに信頼するより手がない。ですからそれをいつまでに出してそれに対してどこまで責任を持つかということをはつきりこの席で御答弁を頂きたい。
  92. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 御質問の初めのほうの故意に何かしてありはしないかという点は、私は断然そういうことはないと御返事申上げます。それから正誤のことですが、訂正は明日出します。
  93. 藤原道子

    藤原道子君 只今ミスプリントだという御答弁でございますので、それは正誤表を直ちに出して頂くということで了承いたしますが、併しこの一般会計のほうの国立結核療養所、これも百八十四ヵ所となつておりますが、舞鶴病院を撤回されたならば百八十三ヵ所とならなければ理窟が合わないのでございまして、その点も併せ要求いたしておきますと同時に、この国立病院の地方移管は非常に無理がある。無理があるのを強行しようとするからこういうふうになるのでございまして、なお私どもの考えから参りますと、予算の面からもつと十ヵ所くらいは殖えてなければならないように理解いたすのでございまするが、予算がこのままで通つてそうしてもうあと僅か十日を余すだけでございますが、その間になお地方へ移管するお見込がおありなのでございましようか。今日まで的確に地方が引受けた県をどこの県、どこの県ということを伺わせて頂きたいと思います。
  94. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) 今後国立病院の委譲につきましては、先ほど申上げました通り方針で進みたいと思います。なお、現実にどの程度の交渉が進んでおるかは政府委員から御答弁申上げます。
  95. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) お答え申上げますが、二十七年度に委譲の予定の病院のうちで、秋田病院は御承知通り昨年の十二月一日に委譲済みでございます。あと現在までのうちで、県会に上程した併しながら国会解散などに伴つて少し延期になるであろうと思われますものが二ヵカ所ほど、それから委譲の肚はきまつたけれども県会の議決などが少し延びておりますものが一カ所ございます。それから財産の評価を完了した、併しながらまだ県会上程などの手続が残つておるというのが六カ所ほどございます。申し落しましたが、山形の病院は三月初旬の県議会で通過しでおりますので、確実にもう四月から移り得ると思われますものは、秋田のほかに山形が一つ追加になります。申し落しましたから申上げておきます。
  96. 藤原道子

    藤原道子君 それではなおお伺いいたしますが、このすでにきまつた秋田それから県会を通過した山形、ほかに県会を通過したものが一ヵカ所で、今きまつているのがこれだけだと理解いたしますが、その残る分はこの予算書にはつきり国立病院の予算が計上されておりますかどうか、若し計上されていないとするならばどういう方法でこれの解決をなさるおつもりであるかということをお伺いいたします。
  97. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) 先ほど御答弁しましたように、九十九ヵ所のうち十五ヵ所というものはすでに結核療養所に転換するように予算措置を完了しているのでございます。あと五カ所除きまして七十九ヵ所分の経営費を見ているのでございます。その五カ所のうちで秋田と山形、これはすでに確実でございます。それからあと先ほど申上げましたように、県会の上程或いはその手続が進めてありますが、解散などに伴つて、若干遅れているという、これは殆んど行くことが確実なものでありますので、さような点を含みますと七十九ヵ所分は現在計上しておりまする経営費でやつて行ける見込みでございます。
  98. 藤原道子

    藤原道子君 それでは僅かあと十日間にこの問題は全部解決するという確信を以てこの予算をお出しになつたと理解してよろしうございますか。
  99. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) 極力善処いたしまして、この暫定予算で処理に困らないように努力したいと思います。
  100. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと関連して。只今極力善処すると言われましたけれども、実情はもうできないことははつきりしているのです。さつき厚生大臣は強制しないと言いますけれども、この予算を組まないことによつてそれは強制になるのじやありませんか。この点私ははつきりして頂きたい。
  101. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) 別に組みませんために強制しているわけではなくて、大体その見通しで進んでいるのであります。今後とも善処したいと思います。
  102. 千田正

    千田正君 関連して。厚生大臣に伺いたいのでありますが、新聞紙上に伝えられるところによると、今度舞鶴に上陸するところの帰国者に対する設備の問題について、本日の新聞でありましたか、三団体の諸君が受付事務をするところの設備がないから、中共から来るところの帰国者の上陸に対して支障を生ずるというようなことが新聞に出ているのであります。こういうことは甚だ我々としては、三団体の関係の事務所がないから上陸ができないというようなことがあるということは、誠に不穏当なことで遺憾に考えるし、それから支障を来たすということも我々は残念なことでございますので、この点はどういうふうな考えを持つておられて、或いはそうした方面にも設備万端を期しておられるかという点と、もう一つは、最近舞鶴の状況は引揚げて来る人たちを予想して、市内の宿屋という宿屋はプレミアムつきでなければ部屋を求められない。乗物も殆んどタクシーというようなものでも全部新聞社の諸君が買い切つてしまつている。恐らく迎えに行く人たちも到底乗物には乗れない。又上陸した帰国者の諸君も汽車に乗るのには相当のこれは足がなければ動きがとれないという状況でございますが、こうした方面に対するところの設備、保護対策が十分にこの暫定予算の中に盛られているかどうか、この点を一応はつきりして頂かなければ、もう二、三日中に迫つて来たところの帰国者の問題に対して大きな支障々生ずる虞れがありますので、厚生大臣から明確にその点のお答えを頂きたいと思うのであります。
  103. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) お答えを申上げます。中共の帰還者の舞鶴における問題でありますが、只今のお話の三団体の代表のかたがたの事務所といいますかこれを引揚援護局内に設けることについて何らか問題があるについての御質問でございましたが、この点については只今三団体と交渉いたしておりまして、事実どのような事務が舞鶴において三団体の人々によつて必要であるか、こういう点につきましても、只今よく打合せをいたしまして、支障のないようにいたして参りたい。一応のところは舞鶴におきまする帰還者の受入態勢は大体できておりまするのであります。従つて三団体の代表のかたがたが特に援護局内に事務所を持つてつて頂くということについては、従来政府としてはその必要なしと認めて参りましたが、現在或いは政府の予想しない事務もあるかも知れません。それによつて引揚の事務が、或いは引揚そのものが帰還そのものとも支障がありますようなことでも困りますので、その点よく打合せをいたしまして、支障のないようにいたしたいと思います。  なお又第二の点でありまするが、舞鶴におきましては、遺族のかたがた等が舞鶴において旅宿等の手配をされるについて遺憾のないように又輸送自動車等の手配につきましても、政府といたして万全を期して只今手配いたしておりまするから、何分にも四船が一度に舞鶴に帰るということになりますと、相当の混雑は免れないと思いますが、只今のところいろいろな場合に遺憾のないように最善の努力を払つている次第でございます。
  104. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 藤原君、ありませんか。
  105. 藤原道子

    藤原道子君 持時間が終つたそうですから、残念ながら……。
  106. 森崎隆

    森崎隆君 今の引揚の問題につきましてお願いたしたいと思います。二万人分ということで大体二カ月分の予算を組んでおりますが、これについてもう少し詳しく御説明を願いたい。特に私が心配しますのは、今度の引揚者の中には相当婦女子のかたがたも多いだろうと思う。病人も相当あるのじやないか。又聞くところによりますれば、船の乗組員の中には殆んど婦女子のかたが乗り込んでいないので、その場合に子供に対します保護の問題、或いは看護婦の問題、これは或る程度おりましようが、そういう女子に対して、又子供に対する処置について特に女子の人々を擁する場合、それについていろいろ細かい計画がどの程度までなされているか、そういう点に対して万遺漏がないかどうか、全体のもう少し具体的な説明と同時にそういう点に特に重点をおかれまして御説明を頂きたいと思います。
  107. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) お答え申上げます。今回の中共地区よりの帰還に対する手配、援護等につきましては、昭和二十八年度の当初予算を組みまする際に万全を期して組んでおります。今回解散になりまして暫定予算を組むごとに相成りましたのでありまするが、この中共地区よりの帰還者の受入態勢に対しては、特に遺憾のないようにいたしたいと考えまして、一応応急援護費は二万人分を組んでおります。併し例えば定着援護、一時収容所でありまするとか、或いは又住宅でありまするとか、これは一応至急に着手をいたしまする必要もございまするので、応急援護費は二万人分といたしておりまするけれども、定着援護を主にいたしました、例えば特に一時収容所或いは住宅等に対する予算は二万六千人分を組んでおるのであります。さようにいたして、巨細の点は若しも御質問ございますればお答えいたしますが、大体さような心組みで組んでおります。  なお婦女子が相当乗船しておるのではないかということでありまするが、これに対しましては舞鶴の援護局において、それらに対しても遺漏ないように手配をいたしております。なお又医療或いは治療、そういう点につきましては、先ほど藤原先生の御質問にお答え申しました通り、当初舞鶴国立病院を結核療養所に転換いたす予定でおりましたが、これも中共地区よりの帰還者に備えまして、国立病院として存置をいたして、なお又現に大体百べツドほど増設中であります。その他又帰還されたのちの医療等に対しましても、医師或いは看護婦等を増員いたすとか、或いは帰還されたのちの病気のかたに対しては入院をさして治療に万全を期するとか、それらの手配をいたしておるのであります。
  108. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 さつきの藤原議員の質問に関連しまして、国立病院の経営費は二十七年度も九カ月で組んでおります。それから三十八年度予算はまあ不成立になりましたが、九カ月予算で組んでおるようです。厚生当局は常に二十七年度中において、大部分は必ずこれは医療するという予定のものはできる、こういう声明でございます。併しさつきの説明を聞いておりますと、九十九カ所の国立病院の中十五カ所は療養所に転換する。そうしますると八十四カ所が残ります。その中の一カ所秋田は決定、山形も近く決定、そうしますとまだ四カ所の病院、七十九カ所のこの経営の事務に当るところの暫定予算にはまだ四カ所の病院が足りません。従つて現在の病院は非常な窮屈なひどい病院であることは御承知通りであります。あとの四カ所の病院はまだ交渉中であるというお話でございますが、具体的にどこどことおつしやつて頂きたいと思います。前からの厚生当局の声明は全然信用できません。
  109. 太宰博邦

    説明員(太宰博邦君) 秋田と山形はすでに県会を通過しておりまするのでこれは間違いなく明年度から向うに引継がれるものと考えます。それから県会に上程中のところ、本来ならすでに通ると思われておりましたのがたまたま国会解散のために影響を受けて若干遅れるであろうと思われまするものは、福島県の飯坂と同じく若松でございます。以上が決定しておりまするが、県会の議決が国会の解散という理由ではなしに、ほかの理由で若干遅れておりまするのが豊橋でございます。それから財産の評価はすでに完了しておる、あとは県会その他の手続だけであると申しますものは岐阜、下呂、それから福山、徳山、横浜、姫路、さうようなところでございます。これは財産の評価といいますか、一応事務的なお膳立がすでにでき上つて、あとは県会に対する関係だけが残つている、かように考えております。
  110. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 二三点だけ伺つておきますが。
  111. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 堀木君に申しますが、総理は明日見えますから、木村君も、それから岩間君も総理の質問は時間を一つ持ち時間にお残し願いたいと思います。
  112. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 ごく簡単に伺います。この歳入歳出相当しておりません分、即ち二百七十二億円については国庫余裕金及び大蔵省証券の発行によつて補填する予定なつておりますが、歳入について、この不足額は主として時期的な関係から現実歳入政府に入つて来ないという分だというふうに考えられますが、そういう風な点につきまして従来から見まして、この時期において常にこの程度の収支が合わない点があるのかどうか、又二百七十二億以上必ず歳入として財源はあるのかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  113. 河野一之

    政府委員河野一之君) 四月五月というのは過渡期でございまして、この期間におきましては二十七年度歳入歳出と二十八年度歳入歳出が重複するのでございます。二十八年度だけの姿で参りますと、四月五月に収入したものでございますので、その年だけの姿で申しますとそういうことに相成ります。併し国庫内の現金の関係で申しますと、前年度剰余金が持ち越されて来ますので、これは国庫余裕金として国庫にございますので、歳出支出します場合におきましては差支がない。但しその間のピークの問題もございまして、大蔵省証券で場合によつてはやるということにいたしておるわけでございます。
  114. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 大体この程度については恒常的な財源があつて、過渡的な、時期的な問題といたしまして一時こういうような資金の融通が行われるというふうに考えられますが、更に今度支出の面において考えられますことは、一体大体四分の一というふうなものを原則としておられるように考えられるのですが、実は予算書を詳しく調べている暇がございませんが、公共事業費及び関係機関等の財政資金の投融資の面においては、事実二十八年度から新らしくするものが全然ないと考えていいのか、率直に申しますと預金部資金の農林漁業公庫の分だけは一般会計でこの規定法律に基く歳出として上げられておるのですが、資金運用部を運用されました分につきましては、我々が今見ましたところでは新らしく二十八年度になされる事業と認定されるところが相当ある。つまり二十八年度予算に考えておつたうちの四分の一なり何なりを計上されたというふうな情勢が見えると思うのですのが、そういたしますとさつき法制局長官というのでありますか、ともかくも佐藤政府委員の言われたことと違つて、二十八年度の政策として織り込まれたものが計上されているように思われるのでありますが、その点を伺つておきたいと思います。
  115. 河野一之

    政府委員河野一之君) 農林漁業金融公庫につきましては先般国会法律通りましたので、その法律の執行の経費として出資をすることが法律上できることになつております。それから住宅公庫でありますとか、国民金融公庫、これは法律資本金を法定するので、法律を要するのでありまして、その資本金増額に関する法律不成立になりましたので出資ができないのであります。併し借入金によりましてその事業をやることができることになつておるのでありまして、それは予算で定めるというようになつております。而してその事業につきましては前から住宅公庫で申しますれば住宅をずつと続けておるわけでございまして、その分の追加融資ということはどうしてもいたさねばならんわけであります。又開発銀行にいたしましても造船、電力等の継続の追加資金をやりませんと、事業がストツプするという関係もございます。又電源開発につきましても同様な事情があるのでございますが、電源開発法律出資が千億円という資本金で、そのうち半分は政府出資するということになつておりまして、当然出資の権限は与えられております。つまりまあそういつた法律基礎といたしまして、この期間における最低限度の出資ということで、暫定期間における投資の計画を定めておるのでございます。
  116. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そういたしますと、開発銀行の五十億を見返資金から出す、輸出入銀行、電源開発に二十五億ありますが、大体開発銀行の五十億の内訳がどうしても止むを得ないものだと、継続上止むを得ない金額だという何らかの合理的な説明がなければならない。電源開発の二十五億にいつてもそうだと思うのであります。それから政府事業の建設投資のごときもの、私は相当疑問に思う。殊に国有鉄道の二十億というふうなものがこれは二十八年度予定としてされたものに恐らく出されるのではなかろうかというふうに考えるのでありますが、そういうふうなものにつきまして、資金部の運用で行けなかつた場合にどうなるかという問題は少くとも御説明なさる必要がある、こういうふうに考えられるのであります。で御説明を願いたいと思います。
  117. 河野一之

    政府委員河野一之君) 各機関の収支事業の計画を、従来からの継続を個個に検討いたしまして、この四、五月の期間において前年度からの繰越金もございますし、又回収貸付金もございますし、造船等で申しますれば現在の十万トンの計画が進行いたしておりますので、その追加融資が幾ら要るかというようなこともいろいろ勘案いたしまして、この期間内における投資の計画を立てたわけでございます。一般会計の投資といたしましては、農林漁業金融公庫のまあ二十億だけでございます。これはもう法律通りました。そのほかに見返資金開発銀行に五十億、電源開発会社に二十五億、合計七十五億、これは予算に盛つております。そのほか資金運用部の関係におきましては、電源開発に八億円程度、金融債の引受六十億、農林漁業公庫に十五億、国民金融公庫に十億、住宅公庫に二十億、それから地下鉄に二億、これは預金部の面は、政府関係機関を除きましては、予算関係ございませんが、資金運用部と国の予算とを総合いたしまして出資投資の計画を立てたわけであります。政府事業、国鉄関係につきましてはいずれも資金運用部から国鉄に二十億、電々公社に十億、郵政事業に一億、とこういう計画を立てておるわけであります。
  118. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 そういう克明は、頂戴した実は二十八年度暫定予算財政投資資金計画表にあるのです。見ないで質問しているわけじやない。このほかに、今おつしやつたように、造船問題にいたしましても、電源開発にいたしましても、その他の問題にしましても、これは資金運用部の金と見返資金のほかに民間資金も使うわけであります。この間に、一体金融面がどうなるかという問題もある。又これらが具体的にどうしても暫定予算としても緊急集会中にきめなければならんものかどうかという問題もある。例えば国有鉄道の二十億、こういう問題も大体たしか九十億くらいを予定されておるはずなんです。国有鉄道の営業勘定的なものに対しての特別な処理。ところがそういうものが、四分の一近いもので、いい加減に見積られておるのじやないかという感をこれだと深くする。と同時に民間の資金と合せてどれだけの事業が具体的にこの二カ月の間に進むのかということもわからないというふうな点から御質問いたしたわけであります。でありますから、私の質問に、今のは御答弁になつていないので、申上げた点について御答弁願いたい。  ついで最後にもう時間がないようですからもう一点お伺いしまておきす。若し暫定予算が先ほど佐藤氏から、言われましたような性質であるといたしますると、私は予備金その他について特別の考慮が払われなければ、行政運営上困る場合が生じて来るのじやないか、こういうことが考えられますが、それらの点について政府としてはどういうふうに、考慮されておるかという点、更に加えて御質問いたします。
  119. 河野一之

    政府委員河野一之君) 出資投資事業計画の内容につきましては、銀行局長から御説明申上げます。予備費につきましては七億五千万ということで計上をいたしておるわけでございます。これは前年度予算が三十億でございまして、御承知のように暫定予算が只今堀木さんがおつしやいましたような非常に、スケリトンの感じでございますので、不測の事態で経費の不足を生ずることもございましようし、又更にお話の出ました中共引揚関係で、これが促進されるということになりますと、そういつた経費の追加支出を要する関係上、前年度の額から申しますと四分の一になりますが、七億五千万円を計上いたしております。
  120. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 どうもよく納得できませんが、明日に時間を残しておきます。
  121. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は法制局長官にお伺いいたします。これは又総理にも質問しなければなりませんが。実は議運でも言われましたが、この暫定予算は成立しないことはあり得ないということを非常に強調されておるのですよ。この点もう少し具体的に法理的に説明して頂きたい。
  122. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これも先ほど来の御質疑と共通なことでありますが、暫定予算を否決してはならないという条文はないわけであります。いわゆる法律の明文による結論とは申上げられません。併しながら、先ほど暫定予算性格について触れました通りに、国としての一日々々の生活をするについての必要なお金が盛り込んでありますからして、それが潰れれば国政の運用はひとしくストツプされるという性質のものであろうと思います。従いまして、そういうものが否決になるようなことは想像できないと申しますか、あり得ないと申しますか、そういう意味で申上げたわけであります。
  123. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは非常におかしいのであつて、要するに、他に予算が成立しなかつた場合に措置し得る方法があるならば、否決したつてかまわないのでしよう。
  124. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 予算によらなければお金が出せないという原則、これは鉄則であろうと思います。そういう点から申しまして、予算ができなければ国のお金は出せないという、大まかに申しましてそういう結果になりますからして、先ほど来のお答えに繋がるわけであります。
  125. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私も財政法の第一章から読んでおりますが、そんなことはわかつております。そんなことを聞いておるのではありません。大体この暫定予算年度開始前に不成立の場合が予想し得られるのか。その予想し得る場合は、大体私は三つあると思う。第一は国会暫定予算を成立せしめない場合、第二は衆参両院の召集も参議院の緊急集会も不可能な場合、第三は参議院の緊急集会暫定予算を成立せしめない場合です。こういう場合に処する方法については憲法でも財政法でも規定しておりません。何ら規定していない。そこに問題が起るのです。併しながら暫定予算不成立の場合は予想されるのです。そのときにどういう措置をとるかということについて、これは私の考えでは、結局財政を処理する最高の権限を有する国会において何らかの処理をすればよろしいのであつて従つて政府に対して、こういう暫定予算はいかん、例えば前年度予算を一応踏襲して組んで来い、こういうふうに国会が指示した場合、政府がそれに従えばいいのではないですか。従つて暫定予算は否決し得ないということは、憲法八十三条の規定から言つて私はおかしい、国会の権限を制約するものである、そう思いますが、如何ですか。
  126. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 法律上否決し得ないということは申上げられないと思います。併しながら、先ほど触れましたように、修正ということは勿論可能であると思います。それから今のお言葉で思いついたのですが、国会として、参議院として内容が気にくわないという場合に、組み直して持つて来いという決議をなさることは、私はそういう場合を否決とは考えておりませんから、組み直して来いという御意見の表明ということは、これは可能であるか、不可能であるかといえば、可能であると考えます。
  127. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今のお話によつて、憲法八十三条から言えば当然国会は否決できるのです。否決したあとの事態をどう収拾するかが問題であつて、それは何も混乱を好んで否決するのではない。国会が混乱をしないような措置を講じつつ否決すればいいのであつて、実際そのときのあれが具体的にきまつていないのです。そこに問題があるので、あとは国会が責任を負えばいいのです。法律上否決し得るのです。これを何か否決し得ないかのごとき政治的な答弁は必要ないのです。その点如何ですか、法理論から聞いておるのです、八十三条から言つて。  (「法を守りなさい」と呼ぶ者あり)
  128. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 法理的に考えて、而も条文がございませんから、条理解釈として申上げておるので、併し方法としては、今木村委員の御指摘のような方法もあるわけですから、それは参議院がその方法をお選びになるということは考えられるわけであります。何もその点まで私が反駁は申上げません。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に大蔵大臣に伺いたいのですが、この暫定予算は、憲法八十三条で言うところの予算である、憲法及び財政法に言うところの予算とお考えになつておるかどうか。
  130. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) その通りでございます。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、この暫定予算は、国会の議決によらなければならんことになつておる予算である以上は、憲法八十三条に違反しないかどうか。国会とは衆参両院を指すと私は思います。従つて国会の議決を経なければならんというのは、参議院だけの緊急集会できめて、これで国会の議決を経たということを八十三条に照して言えるかどうか。
  132. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは私の役割でございましようから、私からお答え申上げます。御指摘の通りに、この五十四条第三項には、予算のことも書いてなければ、法律のことも書いてない。何も書いてないのです。ただ「措置は」と書いてあつて、その措置とは何ぞやという問題に私はなると思います。これは少くとも和製の条文でございますが、立案のときの考え方といたしましては、旧憲法では、憲法八条で法律に代るべき勅令というものがあります。それから七十条で緊急財政処分と、法律、財政と条文がこう分れておつたわけでありますが、まあほぼそれに対応するものとして、その二つを含めたものとしてこの条文を私どもは置いたわけなのであります。従いまして、憲法の御審議の帝国議会におきましても、金森国務大臣が質疑に応じて、参議院緊急集会において法律審議できるか、できます、予算はどうか、できます、憲法改正はどうか、これは予想しておりません、これは将来の解釈問題でございましようということをお答えしておる。又学者の本を見ましても、予算がこの緊急集会審議できるということは、これは定説と申上げてよろしいと思います。
  133. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間はよろしうございますか、総理のために取つておかなければなりませんから。
  134. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) まあやつて下さい。
  135. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは伺います。私の解釈によれば、緊急集会国会というものの代りになるのであつて、一応ですね、ですから、一応衆議院も代理し得ると、こういうふうに解釈すれば、私はそれは成り立ち得ると思うのです。併しながら、八十三条の規定においては、国会、衆参両院において議決することが一番これは原則として正しい方法であるとこう思いますが、どうですか。
  136. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) もとより国会は両輪のごとくに御活動になるのが当然でございますから、それは普通の場合はそれでよいのでありますけれども、解散の場合等において必要が起つた場合にどうするか。昔のような天皇の勅令一本でやれればこれは又別でありますけれども、それは新憲法の精神に即しませんから、せめて参議院が存在するわけでありますから、参議院の御議決を経て民主的にやつて行こうという趣旨でできておるわけであります。従いまして、この参議院の機能はこの際においては国会の機能を行えると大きく申上げてよろしいと思います。
  137. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが問題なんですよ。成るべく、成るべくじやない原則として、八十三条によつて衆参両院においてこれを議決するのが正しいのです。併し、今お話のように解散をしてしまつたから、衆議院がないからと言いますが、政府は不信任案が通つたときにすぐ解放しなければならん理由はないのです。八十三条の原則を守ろうとすれば、総辞職するまでに十日間の期間があるのでございます。その十日間の期間になぜ暫定予算を組んで衆参両院の議決によつてこれを処理しなかつたか。法律案についでも同じなんです。そこが問題なんです。ですから、解散しちやつたから、衆議院がないから止むを得ず緊急集会によるというのですけれども、実際政府としても、この憲法八十三条を尊重するとすれば、当然即日解散ではなくて、先ず暫定予算を組んで、そうして又法律案も通して、そうして解散するのが立つ鳥、跡を濁さず。それでこの十日間の期間がなぜあるかというと、そういう善後措置を講ずるために、つまり余裕がとつてあると思うのです。即日解散しなければならんという法はないと思う。この点どうなんですか。原則としては、やはり八十三条の通りに、衆参両院において議決する余裕があつた場合においては、そういう方法がとり得る場合はこれによるべきではないか、その点を伺いたい。
  138. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 法律の理窟で申しますと、今の五十四条の緊急集会というものは、解散があつた場合の処置として、わざわざ憲法で解散中緊急集会の途を設けておるのでありますし、かたがた考えてみますと、解散は十日以内ということでありまして、即日やつて悪いというような条文もないわけであります。恐らくこの十日以内ということは、解散か総辞職かという途を選ぶ猶予期間であると私どもは考えておるのでありまして、それ以外の意味は法律的には出て来ないという意味に考えております。
  139. 永井純一郎

    永井純一郎君 今木村君の御質問に対して法制局長官が答弁されて来たことは又私のときとは少し変つて来ているんですね、ですからこれはやつぱり大体私の言つたことを消極的にあなたが認めるような立場をとつたものとして了承しておつたんだけれども、一番先に答えたのは否決も修正もできないというふうに答えて来た。私とだんだんやりとりをしておるうちに、否決はできないと思うが、又国会はやりもしないと思うが修正はできると思う、というふうに変つて来た。で今度は木村君の質問で、八十三条は、財政に関する私は一般的な国会の権限の規定であると思いますが、これがあるために否決も又法律論としてはできるというふうに答弁をして来られて、全くどういうふうな、統一した考えを持つておるかわからなくなると思います。で私は木村さんとも少し違うと思いますが、そこではつきりやはり政府はしておく必要があると思います。そこでもう一度かいつまんで申上げると、八十三条の規定は、これはまあ当然として、やはり五十四条なりにここで又、特別のこういう規定があるわけなんです。それから財政法の三十条というものがあるわけなんです。それともう一つやはり予算の先議権が衆議院にあるという別の規定が憲法にあるわけなんです。予算に対する特別の、参議院と変つた権限を衆議院に持たしておりますから、従つて五十四条では緊急集会等で予算審議ができることは当然でありましよう。そのきめた予算案なりについてはあとで衆議院の同意がない場合はその効力を失うということは、これは当然でしよう。私は予算衆議院が持つ先議権の裏付けとして当然だと思うんです。そこで三十条を解釈する場合はやはり否決をするということは私はやはり条理上許されないと思うんです。特別のはつきりした規定がございませんから、条理上から解釈して行くと否決は許されない。併し修正は私はやはり許されると思います。そこで否決が許されないものならば、五十四条と三十条との関係から考えて、否決にならないような性質の予算暫定予算だと思うんです。暫定予算性格というものを法律規定するとすれば否決をすることができないような性格を持つたもの、それはつまり如何なるものといえども国政の基本的な政策を盛込んではおらない予算だ、私はそういうふうになつて来ると思うんです。これを法理論的にだんだん縮めて行くとそういうふうに私はどうしてもなると思う。そういう意味から行くと、これは政府が、提出権がありますけれども、こういう内容を持つた権限は私は内閣にはない、これは間違つてこういうふうに重要な政策を盛込んでしまつた。私はそういうふうになると思うんですがね。さつきからの法制局長官の御意見はいろいろばらばらになつてみんなわからなくなつたと思うんです。これは重要なことだと思います。憲法の。若しはつきりしないならば相談をして統一ある解釈をしておく必要があると思うんですね。将来の問題もあるし、今までのあなたの答弁は全く支離滅裂というふうに私は言わなければならんと思いますね。
  140. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 非常に口ベたなもんでございますから支離滅裂にお聞えになつたかも存じません。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)要するに修正のことは最初私が申上げたつもりはなかつたんですが、修正はどうかと聞かれれば、修正はできますと、否決は今お話のように本質上できません。併しながら木村さんから組替えの要求というような新らしい技術についてのお話が入つて参りましたかりもう少し正確に言うためには、不成立ということはあり得ますまいと、こう申上げれば恐らく木村さんに対するお答えにもなると私は思うわけです。要するに暫定予算というものがなしに手ぶらの事態が生ずるということは想像できません、こういうふうに申上げるのが一番御両委員に対して当りさわりのないお答えになるのではないかと思います。
  141. 永井純一郎

    永井純一郎君 それはあなたの今の答弁は法理論ではないので逃口上になつてしまうのです、その理窟は。ですからもう少し一定した理論を立てた、筋の通つたものを私はやはりまとめておく必要があると思うのですね。それは僕なり木村君なりが、どつちも少しづつ満足すればいいという問題じやないのですよ。(「満足してない」と呼ぶ者あり)又満足もしていませんが、その場当りでなしに、なんだつたら相談して来てもらつて、今即答してもらわなくてもいいんだから。これは重要なんです。今衆議院がなくて、参議院でこれをやつてこういう政策を盛つた予算を通すということから言えば、これは別に考えて政治的責任から言つても次に出て来るところの予算は、もうとの数字がこの骨格予算に殖えるだけで、それもよろしいのだということを参議院が承認したと同じことになるのですから、そういうことは緊急集会じや許されないというのが五十四条の規定だと思うのです。そこで衆議院予算の先議権と併せて、その効力を失わしめるということも衆議院はできるということが書いてあるわけですから、参議院としてもそれだけの私は政策を持つたものに対する暫定予算審議することが許されていないとむしろ言いたいくらいです。その辺法制局長官の理論は、私が問うと又都合のいいように答弁し、木村君のに又都合のいいように、ということになりますと、はつきりして来ないから、少し時日を置いてもはつきりしたものをほしいと私は思います。
  142. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 木村君もういいですか。
  143. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう時間ございませんから簡単に一つ。あとは総理に時間を残しておきます。  最後にきわどいころですから、少し簡単に質問いたします。要するに私は憲法八十三条のこの規定の精神ですね、精神を問題にしているのですよ。旧憲法におけるあれと財政法における財政民主化の点で、どうしても国会にこの財政の処分権がある、そこに非常に重点があるのです、国民にあるのです。そこでそういう制限をするということはあり得ないのであつて、否決もできないということの議論がおかしいんだ、八十三条を非常に軽く考えていると思う。私は根本論から言つているのですから、もつと財政法を作つたときの事情をよくお考えになれば、緊急集会においてこれを否決することはあり得ないという、そういうことは法理論から言つておかしい、無理な政策論だと思う。この点少し関連しておりますからはつきりしておきたい。これ以上私は質問しますと総理に対する時間がなくなりますから、これで終りますから、できないのですから、そこは私の十分納得の行くように御説明願いたい。
  144. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 否決できないという言葉は、これはむしろ否決されることは想像できないという意味で申上げているのでありますからして、その趣旨で、法律上何ら否決してはならないという条文はないということもたびたび申上げた通りであります。この暫定予算性格から言つて、否決されるということは想像できないという趣旨で申上げているのであります。その点をお含みおき願いたいと思います。
  145. 岩間正男

    岩間正男君 吉田総理に対する質問は残しておきまして簡単に二、三点お伺いしたい。今度の中共から帰国する人たちの予算について暫定で組まれているわけです。約五、六の三ヵ月に亘つて、これが二万人、その予算が七億五十万というようなことになつているのですが、この内容を簡単に大体どういうようなことになつているか、いろいろな費目について簡単にその内容を説明してもらいたい。
  146. 山縣勝見

    国務大臣(山縣勝見君) 中共の今回の帰還に対する予算につきましては、大綱を先ほど申述べましたが、おな詳細の説明を求められましたに対しまして、只今援護庁長官から御説明申上げます。
  147. 木村忠二郎

    説明員木村忠二郎君) 詳細な点を御説明申上げます。大体二万人に対しまして、海上におきまする輸送中における援護の費用、これは船内の食糧及びそれに関連する若干の経費というものをこの中に入れております。大体船内におきまして食事を出し及び船内におきまする面倒をみまする医療関係等の費用でございます。  それから船が着きましてから、引揚援護局の中におきまして帰還の各種の手続をいたすわけでございますが、その手続をいたしまする間におきまする食糧費、その他のそこにおきまする援護の各種の経費、それから帰りました人々の中で相当の金を持つてつていない人、これにつきましては当座の生活に直ちに困ることになりまするので、これに対しまする帰還手当といたしまして、一人大人では一万円、子供五千円という金額予算に新たに組んでございます。それから援護局から地方に帰りましてそれぞれ落着先まで行きまする陸上の輸送費、つまり汽車賃及び車中におきまする諸手当、それから車中の弁当といつたようなもの、これを帰郷地までのものを組んでございます。それから更に帰りまする人々の中で荷物を持つてつて来る人等もございますので、それらの輸送費等も同時に組んでございます。それから身廻品の全然ないという人に対しましては、これを調達する必要がございますので、全然ない人に対しまするその世帯に対しまする身廻品等を調達する経費、これは八千世帯分ばかりのものを組んでございます。それから一時収容所、その他落着きます先におきまして、直ちに行先のない人々に対しまする一時収容所の経費、それから一時収容所に入所いたしまするまで無縁故者等のたき出し等、これらの費用を応急援護の委託として各地方にやらせるようにして組んでございます。又、主要な各駅におきまして接待等をいたしまする経費、例えば湯茶を供するとか、或いは味噌汁を供するとかいうような点、それらを組んでおります。それから国民全般に対しまして、引傷者に対しまする援護の思想が高揚されまするようにいたしまするための各府県に対しまする補助費というものを組んでございます。それからそのほかに、帰りましたあと引揚者の住宅の設置、これは引揚者の中で落着きまする留守宅等のありまする者、その他住宅の得られます者以外の者で住宅を得られないものが相当あると考えられまするので、これらに対しまする三千戸分の引揚者住宅の設置、これらのものを組んでおるわけでざいます。厚生省関係といたしましては、引揚につきましては以上のような諸経費を組んでございます。
  148. 岩間正男

    岩間正男君 大体大ざつぱに言いまして、まあ七億五千万円というような予算ですから平均宛みますというと一人三万七千円と、こういうことになるのでありますが、こういうような費用で帰国者の要件は満されると考えておられますか、どうですか。この点厚生大臣から。
  149. 木村忠二郎

    説明員木村忠二郎君) これで以て十分である、これはどの程度十分であるかという点が問題になるわけでありまするけれども、従来から帰つて来ました人々に対しまする援護等に比較しますれば、格段の処遇が今度できるということは明らかだろうと思つております。
  150. 岩間正男

    岩間正男君 この前代表が参つたのでありますが、その時の帰国団についての交渉は聞いておられますかどうか、こつちに帰つて来て、いろいろ向うの実情を話しておるわけです。こういう点如何ですか。
  151. 木村忠二郎

    説明員木村忠二郎君) 代表団がお帰りになりましてから、代表団のお話は承わつております。
  152. 岩間正男

    岩間正男君 例えば向うは、引揚げて来る人々に対して向うでいろいろ餞別を出す、こういうような話を私は随員で参りました平垣君から実は承わつたのでありますが、そういうような内容については、これは調べておりますか。
  153. 木村忠二郎

    説明員木村忠二郎君) そういう細かい詳細の内容につきましては、代表団のかたがたからは詳細なる説明をいたしておられません。ただ概括的に向うにおきまして、帰国に際しましての旅費を全部持つとか、或いはこれに必要な貨物の運搬賃のうちの一部を持つ、或いは引揚げる港まで来ます間の食糧を持つというような話、それから或る者に対しましては、これらに対して、餞別その他を出すというようなことは聞いておりますが、それらの具体的な、どういうふうになつているかという点につきましては、まだ説明を聞いておりません。
  154. 岩間正男

    岩間正男君 この点が非常に向うとしては念のいつた取扱いをしておる。昨日聞いたところでは、八十万、六十万、子供でも十八万円くらいの餞別を持たしてよこす、こういうことが随員から言われている。これに比べて日本の帰国者に対する予算というものを比較してみると、甚だそこにものすごい差がある。こういうふうに思うのですが、帰国者がこういう日本の国の土地に着いてどういうふうな感じを持たれるか、こういう点についてはどういうふうに考えておりますか。(「八年も使つたんだよ」と呼ぶ者あり)
  155. 木村忠二郎

    説明員木村忠二郎君) 只今の詳細につきましては、私のほうではどういうような処遇を全部のかたにされたということはまだ伺つておりませんので、細かいことはよくわかりませんけれども、日本政府といたしましては、従来の引揚者のかたがたよりは特に手厚い処遇がされているということは、今申上げました内容で以て皆様おわかりだと思います。さようでありまするので、これらに我々といたしましては、大体できることを現在ではやられているというふうに考えております。
  156. 岩間正男

    岩間正男君 その点はそれでは保留いたしまして、文部大臣に伺いたい点は、この前政府は義務教育負担法を当然四月一日から実施しなければならない、義務教育職員法があのような形で以て流れますと、当然これは現行法が生きるわけなのです。ところがそのことを避けて、そうして実はこれを六月一日まで延期する、こういうような態度に出られて、そうしてそのために実際我々としましては、組替のために一日空費されて、そうして三日間の緊急集会の時間をこんなに委員長から一々時間を計られるようなことに追い込まれたわけです。そういうことになつているのですが、あのときこの延期の目的というものは、一体どういうところにあつたか、これは非常に我々としましては、流れました義務教育職員法案と関連して目下非常に重要な点なのであります。この点どういう態度で以てああいうようなことを最初考えられたか伺つておきたい。
  157. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。国庫負担金は大体四半期に分つて出すものでございますから、そういたしますると、四、五、六と合せて一回に払うということになりまして、新内閣にお払いを願つたほうが妥当じやないかというような考えから、我々といたしましては六月一日からという、ここまで延期しておこう、こういうことになつたのであります。
  158. 岩間正男

    岩間正男君 現行法については最初はどう考えられたのですか。現行法は生きると……。
  159. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 現行法は当然生きるということを腹においておつたわけであります。
  160. 岩間正男

    岩間正男君 その点の考慮は最初なしに、今のただ延期のそういう従属的な問題だけとは考えられない。どうしてもやはり義務教育職員法案との関連性がある。そういう点が大きくこれは問題になるわけでありますが、現在すでに組替えもありましてはつきりと義務教育負担法を行う、こういう建前をとつておるところの政府としては、当然これをずつと先まで持続する、こういう考えの上に立つてこの暫定予算を組んでおられるのでありますかどうですか。
  161. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。我々といたしましては、法律はあるものでございますから、その法律実施に移しそうして無論将来も、これで行くことになりましよう。併しこれは新内閣の御方針によつて定むることでございまするから、我々といたしましては、現行法に忠実に従つたと、こいうことであります。
  162. 岩間正男

    岩間正男君 なぜ最初から従わなかつたということが問題になる、そういう答弁をされますと、ぬけぬけと。そのために私たち一日空費をしたわけであります。この点はすでに咎めてみても少し気の毒なところがありますが、これは今の答弁と食違いがあります。最初はそうでない建前で組んでおる。そうしてその結果非常に予算審議に差支えが来ておる。今や現行法を飽くまでも尊重する、こういう建前をとつておられたということなんでありますが、大体事務的にいろいろ処理して考えましても、現行法をすでに着手したと、そうしてその建前から暫定予算を組まれておる。こういう建前からしまして、新内閣においていろいろ考えるというようなことを言うのでありますけれども、そんなに文相の政策というものは朝令暮改であつてはならん。従つてすでに現行法が生きると、その精神を尊重するという建前から予算を組んだ。政府としては飽くまでもこれはそういうような混乱を避ける。そうして現行法従つてやるという建前を貫かれるべきだと思うのでありますが、こういう点は如何でありますか。なお次の内閣ができたらそれによつてどうするかというようなことを言われているのでありますが、そういう場合の技術的混乱として文相は現在考えておられるのはどういう点でありますか、二点。
  163. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは私の言葉が足りなかつたと思います。私どもといたしましては、現行法を忠実に実行して行くという点において、四月、五月の暫定予算を組んだわけでございます。併しながらあとの内閣にということは、私はあとの内閣にまで指図はしませんけれども、現内閣は現行法に忠実にありたい。そしてこれがあとの内閣が、ほかの考えを起さない以上は当然これが実行されて行くものと期待します。
  164. 岩間正男

    岩間正男君 まあ忠実だというのですが、この点は余り忠実と言わないほうがいいのじやないかと思います。実際我々そのことはまあいいとしまして、若しも現行法を又変更するというようなことになると、そこに起るいろいろな混乱があると思います。そういうものを予想されておるのはどういうことかということをお聞きしておるのです、技術的に。
  165. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) でございますから、これはあとの内閣のことまでも私から申上げる筋合はない、あとの内閣はどういうお考えを持たれるかわかりません。併しあれをスタートしまして、而もそれが現行法である以上は、とにかくこの現行法で行くことは当然であります。そしてそのあとの内閣というものがそれを変えるとか何とかいうことに対しては、我々はくちばしを差入れる筋合のものでないということを申上げたわけであります。
  166. 岩間正男

    岩間正男君 何もそういう政治的な判断を私はお聞きしているのじやない、実際技術的に困難な問題が起つて来る、非常に混乱します。そこで若しもこれは大臣が答えられなければ、事務当局でもいいが、そこで先へ行つて、間際になつて態度を変えるということが予想される、研究されておいていいことです。研究しないためにひどい目に会つた。実際、事実先の予算審議会の最後の段階では、がちやんこ喰つて審議を不能に陥らせた。こういう問題、これは技術的研究が足らない。従つて事前のことを事務的にお聞きしておる。政治的にどう判断するという問題でなくて、技術的にどういう混乱が起ると予想されるか、その点お伺いする。
  167. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 事務当局といたしましては四月一日から施行されます国庫負担法に則りまして、そのことをそのまま忠実に実行するように努力するつもりでございます。
  168. 岩間正男

    岩間正男君 少し注意してもらいたいですね。こういうことに私は時間をお使いになるのは実に……理事会で問題になつた……、答弁になつておりませんよ。もう一回答弁を求めます。答弁になつていませんよ。
  169. 田中義男

    政府委員(田中義男君) どういう困難が起るかというお話でございますけれども、これは私どもとしては、現在のこの状態でそのまま突き進むことを期待いたしておるのでございまして、従つて別な情勢が起りますなら、そのほうに従つて新たな検討をするよりしようがないと考えておるのでございます。
  170. 岩間正男

    岩間正男君 非常にこういう考え方というのは私は問題だと思うのです。事務当局というのは、あらゆる万般の立場について検討しておくということが必要なのである。ところが、やらないで、そのときの、浮草や今日は向うの岸に咲くというやり方でやつておる、そのためにああいうことが現に起つた。だから政府としては今すぐに、もう現行法をやるという決意をして、予算まで組んだ、そうしてこれが先に行つて又途中で変更されるということでは、非常にいろいろな困難が予想される。私の頭にぽかつと浮んで来るのでも平衡交付金との関連の問題があります。べースのいろいろな問題がこの前からの関連であります。相関的には地方財政並びに国家財政との関係があります。更には税制改革との関連が非常にこれは起つて来る。従つてこういうような問題というものは早急に解決つかないことはこの前の質問戦でわかつたことだ。事務当局としては、大臣の考えとしては少くとも管理内閣の大臣でございますから余りそれはいろいろな点まで、先までの責任ということは当然考えられないのは、これは当然だと思います。併し少くとも今この席にいられるわけです。そこを埋めておられるわけです。その責任者として、当然これはその点まで考えなければ、先に行つてどうなるか。それは政治的判断だから仕方がないということは、これは非常におぼつかない答弁だと思う。やはり現行法をはつきりとつた建前から行きますと、これが朝令暮改的にすぐ三カ月や四カ月で又変るというようなことを仮に想定すると非常に大きな混乱が起ると思う。この点はだから我々としては飽くまでも少くとも今年度ぐらいはこのような法案実施によつてどこまでもやつてみる、こういう態度を少くとも今の大臣の肚ずもりでは考えておられるのでなければ、先の困難はどうでもいい、政権はどこに行くのかわからないので、そういう点から先までの点は考えられない、こういう答弁は私は非常に危険だと思うので、少くとも今文相としてはどういうふうに考えておられるか、この点非常に重大です。
  171. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) そういうふうにおつしやれば、私も一つ一言いたしますが、五月二十日で一切は、我々はもう幾らおそくても五月二十日で終るわけです。而もその五月一杯の予算は組んでございますから、私のやめた先までちやんと実質的の何を実行して行くということにきめておるのです。私が申上げましたことは、先で混乱が起るのか起きないのかわかりませんが、併しその先の内閣がどうするかということを私の口から言えとおつしやることは、これは甚だ私としては言い得ないことは事実であります。併し五月三十日で私の職務というものはなくなつてしまう。然るにもかかわらず五月三十一日までの予算が組んでございますから、私の考えといたしましては、法律従つて、そしてこれがずつと行くものであろうと、こう考えております。
  172. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 岩間君もういいでしよう。
  173. 岩間正男

    岩間正男君 私はこの暫定予算の中ではつきり現行法をとつた建前としては、相当先の見通しを持たないで、そうしてやるということは非常に政治的責任としてはおかしいと思います。そこでそういう点は、これは水掛論になるかもわからないのでありますけれども、今少くともこれを組んだ、そういう立場から考えますときに、これに対する現在におけるところの見通しというものはこれはあり得るだろうと思うのです。これは避けておられるようでありますから、この点は追及しませんけれども、少くともこの法案を建前としてとつた限りは、これは先ほど申しましたようにいろいろな混乱がある、こういう点からこの法案を軽々しくこれは途中で変更するなどということは文教政策の大混乱だということを我々確認しておきたいと思う。  もう一つ、時間がありませんから最後にお聞きしますが、今度の予算措置におきまして、当然これは東京、大阪の富裕県に対しまして、これは実支出の半額負担という建前をとつたのでありますから、これは今までの平衡交付金を通じて出していなかつた予算が組まれているわけであります。そのためにまあ十数億の超過になつておるわけです。これはどういうふうに先に行つて財政的に処理されるというようなことを考えておられるか、それから現行法の建前を飽くまで貫いて、これは現行法の精神通りつて行くのか、こういう点は地方財政との関連におきましてどういうふうになつておりますか、伺つておきたい。
  174. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。この国庫負担法が昨年できましたときは、これは地方と中央との財政の調整を図らなければならんということを前提においてできたのであります。ところがその調整ができませんものですからいろいろ混乱が起きた。併しながら我々といたしましては、現行法通りこれを実行するということにしまして実行することになりました以上は、誠に御迷惑な話かも知れませんが、新内閣においてこれは調整をされる処置をとられるだろう、こう考えております。
  175. 左藤義詮

    左藤義詮君 本日の質疑はこの程度にいたしまして、明日に延期いたしまして、本日はこれにて散会せられんことの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  176. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 左藤君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後五時三十三分散会