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1953-02-24 第15回国会 参議院 本会議 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十四日(火曜日)    午前十時四十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十四号   昭和二十八年二月二十四日    午前十時開議  第一 義務教育学校職員法案及び義務教育学校職員法施行に伴う関係法律整理に関する法律案趣旨説明)(前会の続)  第二 医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)     —————————————
  2. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、養務教育学校職員法案及び義務教育学校職員法施行に伴う関係法律整理に関する法律案。(趣旨説明)(前会の続)  昨日に引続き、これより順次質疑を許します。松原一彦君。    〔松原一彦登壇拍手
  4. 松原一彦

    松原一君 改進党を代表しまして、首相並びに文部大臣質問します。  今回御提案になりました義務教育学校職員法案は、その御説明通りに、義務教育に関する国の責任を明らかにするため、義務教育学校職員の地位及び待遇を保障し、その全額を国が負担して義務教育無償の実を挙げ、以て義務教育水準維持向上を図るということでありますから、それならば、私は教育界の出身でありますが、数十年来希望し通して参つたことであり、改進党も又かねてこのことをば標榜して参つておるものであります。異存のあろうはずがありません。結構至極であります。私どもはむしろ感謝を以てこの案が成立することを希望するものでありますが、併しながら世間輿論は、一つとしてこれを支持しない。一体これはどこに原因するのでありましようか。第一に、知事会がこれを否認いたしておる。市町村会は勿論、全国PTAの会合までも挙げてこれに反対の意を表して参つておることは、すでに御承知通りであります。どうしてこうまでも全国からかくのごとき立派な法案が嫌われるか。私は、内閣諸公が本当にこの案を文字通りにおやりになるというならば、私はかくまでに嫌われる理由はないと思う。私はその一端を申述べまして、本当におやりになるのであるならば、私はもつと練つて、練り直して出して頂きたいと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  第一に、この法案が出されました動機について、世間ではいろいろ臆測をいたしておる。今朝のラジオでも、岩手県の某氏が、「私たち言葉」の時間に、「昨年の秋に出されたところの地方教育委員会法は、誠に突然前内閣が放り出したものであつてこれは一種の落し子である。輿論の支持もなく、予算用意もなく放り出されたために、この混血児のような落し子が生れ、そうして六十余億の金が要るということになつておる。而も何をしていいやら殆んどわからない。それでもなお世間の風潮は、なりたい者が多いので、数万円の金を使つて、なつてはみたものの、実費の弁償は僅かに年額一万円足らずであつて、今では誠に困り果てている」というのが、今朝のラジオの「私たち言葉」の中にあつた。「どうか政治家諸公は、かようないい加減な粗末な案を今後どうか出さないで欲しい」ということを切々として訴えている。これは御承知通りに、何らの準備もなく、文部省自身、もう一カ年間の延期をば要求しておつたのにかかわらず、強引に自由党の側から政府を促して出されたのであつて、その目的日教組対策であつたことは、選挙を前にして世間周知通りであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この政策的な、いや、政策というよりも、むしろ政治的意図によつて、今日の政治が正しくあるべき途を、そのとき、そのときに歪められるということは、これは決して正しい政道ではないのであります。  今回のこの義務教育費全額国庫負担と銘を打つて天下に呼びかけられましたことは、これ又まさに不意打ちであります。現に立法の府は、昨年来、議を尽して半額国庫負担を漸くこしらえ上げ、而も議員提出として輿論結晶がここに現われておる。その輿論結晶である義務教育費国庫半額負担法案が、施行期日まできまつておるにかかわらず、一顧もせられないで、一月十七日の閣議で以て、突如として全額負担に変つたというのであります。何のそこに周到なる御用意があつたのか。世間が疑うのは全く私は無理はないと思う。大衆を欺くべからずであります。現に今年の二月の十八日の朝、文部省は、異例の、「私たち言葉」の時間を取つて、この法案に対する解説をいたしておられます。私はこれは非常に結構なことだと思う。未だ曾つてこの例はない。「私たち言葉」というあの時間を、つまり親しみやすい大衆の聞く時間を文部省が特に取られまして、ここで、この法案解説をせられましたことは、これは私は結構至極、今後他の省も倣つて欲しいと思う。法案趣旨大衆にわからない。この先例は誠に結構でありますが、その二月十八日の「私たち言葉」の時間に述べられた冒頭にも、多年懸案であつた義務教育費国庫全額負担が今回閣議において決定したという呼出しであります。これがその実を伴つていないことは、昨日来の質問において委細を尽しておる(「看板に偽わりあり」と呼ぶ者あり)決して全額国庫負担ではない。のみならず、昨日来、文部大臣は、定員定額によつて、決して首切りもなければ減俸もないということを切々として述べておられます。衆議院でも声を励まして述べておいでになりますが、果してそうであるかどうか現に文部省がこの予算要求せられたのは、小学校の側において一人一万五千四百三十五円であつたものが、今回の予算には一万三千六百八十三円となつておる。中学校の場合において一万六千四百九円の要求が、一万四千九百七十九円となり、ここでもすでに、小学校側において一千七百余円、中学校側において一千四百余円のマイナスとなつておる。文部省の最初の要求が山をかけておつたのかどうか。予算決定額が遙かにその下廻りとなつておることは、これは誰も知つておることである。それにもかかわらず、定員定額によつて一人の失職者も出さなければ解職者もないというようなことがあり得るものじやないのであります。  更に又文部大臣は、東京真中教員も、山田舎教員も、公務員とすることによつて定員定額によつて待遇は同じになるということを言われておる。一体そういうことが常識であり得ることかどうか。東京真中教員も、山田舎の分教場の教員も、待遇は同じである。勿論地域給は付きましようけれども、私はそういうことは考えられないと思う。それは頗る非常識である。今日までの事実、未だ曾つて八十年の義務教育沿革史の中に、そういうことはない。これこそ全く悪平等であつて共産党ならやるかも知れせんが、常識ある政党なら断じてやるべきでない。(笑声、「共産党はもつとよく考えるよ」と呼ぶ者あり)そういうことが夢のように説かれておることに、私は余りにも不用意があり過ぎると思う。わかりきつた事柄を、平然して、かく世間誤解を与えておりまするために、実は一月十八、九日から一月一ぱいには、私どもの所には、市町村長会の名を以て、或いはPTAの名を以て、これを支持することを要求する電報が幾通か参つております。だんだんその実がわかるにつれまして、義務教育全額国庫負担などということではないことがわかつたために、今日は取消しまで参つておる。政府諸公は、それは日教組の企らみと言われるかも知れませんけれどもが、まさか、あの中に全国知事会までをば日教組の企らみで引込むなどとは思わない。市町村長会が何故これに反対するか。日教組以外の町村長がどうしてこれに反対するか。輿論というものはただ一つ団体が動かし得るものではないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)この歴然たる輿論の反撥を顧みず、目の前の五月の参議院選挙に対て、選挙対策と思わるるごとき節のある、かような即製な、(「その通り」と呼ぶ者あり)お粗末千万な、穴だらけの案を平然として出されるところに、私は美名を以てその実のない、いわる羊頭を掲げて狗肉を売ると全国一斉に非難しているところの理由があると思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)本当に良心のある政治家ならば断じてかようなことをいたさない。私は念のために、義務教育八十年の沿革を、ほんの簡単に申述べてみたい。  明治五年に始まつた義務教育は、市町村負担によつて起り、それが明治二十年来から国庫補助要求し始め、二十九年に至つて初めて国庫補助が行われた。ほんの僅かばかりであるが国庫補助が行われ、それが大正七年に至つて初めて国庫負担の途が開かれ、昭和五年から昭和十五年までの間、十年かかつて、辛うじて低率の、実支払額の五割という負担が漸くにして確定いたしたのであります。而もそれが、昨日もお話があつたが、二十三年の芦田内閣のときに定員定額制なつた。これは必ずしも私は悪くはないと思う。けれども、併しそれではいけないという輿論があつて、これが全額実費負担に変らねばならないことに輿論が動きつつあつた際に、平衡交付金制度となり、従つて義務教育に関する枠が取れなくなつてしまつたことは、皆さん御承知通りであります。漸く昨年に至つて昭和二十七年の八月に義務教育費国庫負担法が成立し、実費給与額半額が支給せられるということになつて、今日どうやら地方負担に一定の用意することのできるものが与えられたのでありますが、今日までの八十年の歩みを顧みますると、すべて極めて合法的な、漸進的に参つておる。こういう問題は、幾らその名が美しくあろうとも、目的がきれいであろうとも、非常に複雑な問題であつて、あらかじめ諸種の用意が要るのであります。地方制度審議会にもかけなければなりますまいし、中央教育審議会にもかけなければならない。そうして、この十二分の、税制、自治制度地方制度等の改正が行われた後にできなくてはならないのでありまするにもかかわらず、何らの用意もなくして、あわてて急施した結果が今日のごとき失態をかもしたものである。美名の下にその実がない。私はお尋ねする。本当に良心的な義務教育の実を挙げようとおつしやるならば、どうかこの案は撤回して、もう一遍出し直す意思はおありにならんかどうか。これをお尋ねしたいのであります。  第二は、どうしても国家公務員にしなければならないかという点であります。国家公務員というのは地方公務員に相対しておる。戦争後一時これを官吏として扱つて文部教官地方教官といつたような変な名を付けた。一体判任官待遇よりも判任官が上だといつたような考え方地方官よりも中央国家公務員が上だといつたような考え方に私は無理があると思う。今回のでも国家公務員にして、実は文部大臣強権的に縛り付けて、その命令の下に日教組を動かそうとしたことは、これは明瞭な事実である。決して私の邪推じやないと思う。曾つて鳩山という文部大臣があつた。この鳩山文部大臣は文政の上に何か残したものがあるかどうか私は知りませんが、併し一つ残したものがある。それは小学校長から高等官待遇をたくさん作つたということであります。従つて鳩山文部大臣の時分に、給料は一向変らないけれどもが、待遇だけは金ピカの高等官の服を着ることができるというので、たくさんあの剣をさげた校長さんの写真が今でも学校に残つておる。これが鳩山文部大臣の残された唯一の事績である。今日民主主義を唱えらるる鳩山氏がこういう事績を残しておいでになりまするが、その当時政友会の多木久米次郎氏はパンフレツトを書いておる。「校長高等官にすることによつて教育の実績が挙がるならば、すべての校長に大勲位を与えよ」という有名はパンフレツトを出しておるのであります。(拍手)どうも保守党の諸君にはこういう考え方があり過ぎる。今回の栄典制度にも、位階制を設けて、十六階段に人間を区別しようとしておらるる。私は、末期になるというと、どうしてもこういうふうな怪訝なことをやると思う。(「その通り」「それしか手がない」と呼ぶ者あり、拍手)本当の政治が行われず、政治貧困になりますというと強権を弄する。そうしてかような一つの手段をとつて懐柔しようとする。今日の教育界はそれで懐柔せられるほど幼稚では断じてありません。(「そうです」と呼ぶ者あり)日教組にも非難すべき点はたくさんある。私も申したいことがたくさんにあります。併しながら、今の若い諸君は、型こそ違え、実に敬慶なる熱心なる創作的の教育に従事しておる者は、あにひとり山彦学校の無着先生のみならんやと私は申したい。立派な先生がたくさんおる。而も、今日の平和憲法、平和なる文化国家を作れという憲法の下に、平和なる文化国家教育教育基本法によつて規定して、教育者はこれに従つてつておる。平和教育を説き、文化国家を作るために専念しておる教育者を、何で非難する理由があるか。むしろ憲法趣旨を曲げて、そうして今日軍備に類するがごときことを平然としてやることに賛成する閣僚諸公こそ指弾するに値いするものではないか。(「その通り」と呼ぶ者あり)  私どもはこういうような意味におきまして、憲法法律にはどこまでも従わなければならないけれども、時の文部大臣強権などに従う必要はないと思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つてはならないのであります。現に、東条氏の威光に屈せず、牢に入つたの吉田さんではなかつたか。現在の吉田首相は敢然としてこれを排撃して牢に入つたが、今日堂々たる内閣総理大臣をお勤めになつておるのである。私はそこに吉田総理大臣の真骨頂があると思う。私どもは、いざとなるというと、直ぐに強権の下に文部大臣が牙を抜き角を取つて使いやすいものにして、これをば一号令の下に動かそうとし、或いは思想を統一しようとすることに非常に大きな危険を感ずるのであります。こういう意味におきまして、私は教育者待遇というものはもつと変えなければいけないと思う。これをば小役人にしてはならん。同時に観念工場の一労働者にしてはならない。一体教育者小役人にし、一労働者といつたふうな月給取りにしてしまつたのは誰か。この罪は民間においても負わなければならん。日教組も負わなければならん。同時に政治貧困かくのごとくならしめたということにつきまして、私は文相にも大きな責任があると思う。教育者待遇地方公務員でもよろしい、国家公務員でもよろしい、何でもよろしいが、併し、若し国家公務員にせなければならないならば、なぜ高等学校教員だけを取り残したか。又、いや、高等学校教員地方費であるからというならば、八地方府県教員に何故に国家公務員要求するのか。矛盾撞着ここに極まるものがある。私はかような末期的なものの考え方を否認します。従つて再考を促します。(「法案撤回」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇
  5. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 松原君にお答えをいたします。  御質問を伺つておりまして、こうも誤解があるものかと実は驚いたのでありますが、(「誤解じやないよ」と呼ぶ者あり)この法案を出しますにつきまして、五月の参議院選挙を目標に、それに使うために自由党に余儀なくされて強引にこの案が提出されたというようなことは毛頭ございませんし、(「その通り」と呼ぶ者あり)私どもは想像も及ばなかつたことであります。本来いわゆる義務教育費全額国庫負担というのは、岡野文部大臣の実は宿論でありまして、昨年の半額負担の案がきまつた時から熱心なる全額負担主張者であつたのであります。その後、阿野氏が文部大臣になられ、新たに今の内閣が組織されました初めから、岡野文部大臣は熱心に今日の法案を主張しておられまして、文教の主管大臣でもありまするので、内閣としてもこれを支持いたして、今回の義務教育学校職員法が立案の運びに至つたような次第であります。岡野文部大臣意見といたしましては、何としても半額負担では不徹底であるというので、熱心に検討して、各方面意見を十分に聽取された上に立案されたような次第でありまして、決して突然に出したものではないのであります。その意味におきまして極めて良心的に提案いたしておりますので、これを撤回するという意思はございません。(拍手)  なお、何故に教職員を公務員にするかということにつきましては、文部大臣からこの機会を以ちまして詳しくお答えいたすと思います。(「苦しい答弁だ」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣岡野清豪登壇
  6. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 先ず副総理と同じように、私といたしましては、これを撤回する意思は持つておりませんから、どうか皆様方よく御審議を願いたいと存じます。国家公務員にすることにつきましては非常に誤解があることも、すでにたびたび皆様方言葉のうちから拝見しましたが、私が国家公務員にするということの考えを起しましたことは、これは幾度も申上げましたけれども、もう一度詳しく申上げます。と申しますことは、昨年突如として教育委員会落し子のようにできたと仰せになりますけれども、これは御承知でもございましようが昨年できた法律ではございませんで、長い前にできておつて、そうして実行しなければならない責任を持つておる政府といたしましては、これは実行することに結論を出さざるを得ないのであります。ただ問題は、私といたしましては、極く率直に申上げますれば、この地方の一万何百の地方団体にこれを施行しすることにつきしては、まだ地方の村とか町とかの規模がそう大して大きくございませんから、これに検討を加えなければならんという意味において、ある法律を一年間延期して研究したいということを私は考えたのでございますが、これは私の要望でございます。現に皆様方の協賛を経て立派にできておる法律を、而も施行期日まできまつておるものを延ばすというのですから、まあ横車を押すことになるかも知れませんけれども、併し私はこの教育委員会というものを検討したいと考えて一年延期を主張したのでございますが、併し、事、志と違つて、どうしてもこれを法律規定通りに実行しなければならなくなつて、昨年十一月から実施したのでございます。ところが教育委員会と申しますものは、民主政治のあり方といたしまして、私は根本的にはいいことと思うのでございます。そこで昨年一万有余の団体に民意を代表したところの教育委員会ができて、その地方々々の住民の意思従つて教育が運営されて行くということになりましたのは、これは一つの利点でございます。ところが、私が考えますのには、この法律が実施せられますというと、一つの村、一つの町において、その人事が固定してしまいます。それから非常に富裕な団体、都道府県におきましては、それに対する昇給とか昇格というものの財源が多うございますから、非常にたくさんやれる。併し貧弱な府県になりますというと、これは財政の都合上十分な処置はできませんで、東京とか大阪というようなものと比べまして、山間僻地におきますところの府県におきましては待遇に差がございます。そこで、その待遇の差があるということと、恩給が続かない、即ち連続しないということ、即ち、或る村から隣りの村に転任するには、先ず一つの村から辞職して新らしい村に新規採用の形をとらなければならない。その間には恩給の継続もない。同時に又昇給に必要なるところの勤続月数というものが新らしく出発しますから、過去の村におきまして、八カ月おればともかく昇給ができるとか、六カ月おれば昇給ができる、それだけ勤めたものが、新らしい方面へ行けば勘定に入れてもらえないで、昇給昇格もできない、こういうことになるわけです。又退職慰労金にいたしましても、貧弱県富裕県とは非常に差がございます。そこで私の考えましたことは、義務教育というものは国家で一番大事な根幹であり、日本の将来というものを背負うところの教育をする大事な重要な職務を持つておる教員でございますから、こういう人の身分の安定をして、又どこでも、いい先生が雇えるように、即ち最低水準は必ず国が確保しなければいかん。こういう意味から、東京真中で勤めていらつしやる国立学校小学校教員と同じレベルにおいて山間僻地におけるところの教員待遇を受ける、こうしなければならない。これが即ち国家公務員にしたという理由でございまして、国家公務員にして何か政治的な選挙対策であるということは、私の良心的に非常に反対するところでありましてそういう意味は毛頭持つており ません。併しながら、私自身といたしましては、もう一つ申上げますが、地方教員のお方は誠に純朴で、純粋で、よく働いて下さるのだけれども、ただ日教組と称するところの教員組合の一番上の指導者が、我々の眼から見れば誠に秩序がなくて、政治活動においては私は顰蹙すべきものであるということを考えておりますから、(拍手)その意味におきまして、その指導者の連中にああいう政治活動はしてもらいくないということは、私は、はつきり申上げていいと思います。  それから全額国庫負担につきましていろいろ仰せがございましたが、成るほど半額国庫負担のことでございますが、昨年できました半額国庫負担というものは、これは義務教育費国庫負担法という名前が付いておる。義務教育費国庫負担法と言うのに、教員給料半額国庫が負担するということと、教材費の一部を負担するということでございます。そこで、今回私の宿論であるところの全額、即ち半額では不徹底であるから、全額ともかく差上げなければならん。どういうわけで全額を出さなければならんかと申しますと、今地方財政というものが非常に困つておりますから、たとえ半額出しましても、あと半額を十分に確保できるかどうかということには私は疑問を持つております。極く通俗な例を申上げますれば、平衡交付金で百円、ともかく地方給与費として出して勘定しておりましても、その地方財政が非常に困つておるものですから、ときによればその平衡交付金をほかの方面に流用する、流用されるから国庫負担という理由が出て来た。即ち、平衡交付金のように地方自治団体中央政府から勘定して呉れるところの金ではあるけれども、勝手に流用はできる。それでは教員給料が確保できないから、紐付きにして、国家が出した金は必ず給与に使うというように国庫負担にしてくれ、こういうものが国庫負担法のできたゆえんでございます。そこで、この国庫負担法で行きますというと、百円を勘定して出してあるのを、半額五十円を出しましても、今まで二十円しか出しておらない所でありますというと、半額国負担するから、あとの五十円を出すという保証はどこにもない。七十円しか今まで出していない所でありますというと、百円に対する半額を国が出しましても、あとの五十円は出さないで、今まで通りやつぱり二十円しか出さないで、半額国庫負担意味が何ら徹底しない。そこで私は、百円出したならば、百円を紐付きにして出したほうが、給与費というものが地方教員としては確保できる。こういう意味から私は考えておる次第でございます。併し全額と言うが、ただ給与だけしたのじやないか。こういう御非難がございますが、併しこれはもともと昨年度の義務教育費国庫負担法というものの内容は給与費なんです。教材費が一部含んでおりますが。今回もやはり全額にしまして給与費を入れますが、併し私はこの全額国庫負担法と俗に称せられているものがこの際実現しましても、又そのほかに考えなければならないことは、義務教育教科書、即ち今無償法律が出ておりますけれども、一年生の教科書しか与えておりません。これは、やはり義務教育に関する限りは、全学年を通じて無償配付すべきものであろうと思いまして、これに向つて努力したいと思います。又学校給食にも相当な準備をしまして、むしろこれを法制化し得るならば法制化して、そうして立派に予算を取つて差上げたい。こういう考えでおります。又従来もそうでありますが、将来も学校施設費なんかについても国庫で非常に負担して行きたい。いろいろ考えます。同時に、今回の予算におきまして、今までは危険校舎に対して国庫補助はなかつたのでございます。併しこれも最初の第一年度といたしましては十分なる予算がとれませんでございましたが、今後危険校舎を直すにつきましても、国が負担して、地方公共団体並びにPTAのお方の余り御迷惑にならよぬような方向に進んで行きたいと思います。  要するに、私が国家公務員にするということは、そういうふうにして、教育者というものの身分を安定して、そうして人事交流もできるし、その人事交流に対しては何ら恩給とか昇給とかいうものに対して不安なしに自由に動けると、こういうふうにしたいためにやつたわけでございます。  それから、国家公務員にするということは、これは先ほどもお説がございましたが、御承知通りに、まあ明治二十七年以来、やはり国家公務員であつたのでありますが、ただ平衡交付金ができましてから、地方公務員に、それ以前ですか、二十四年からできたわけでございますが、とにかく地方公務員になつたのは極く最近のことでございます。終戦後の新憲法下におきましても、二十一年から二十四年は国家公務員であつたのであります。そうして我々がこれを国家公務員にするのはおかしいじやないかと、こう思召すかも知ませんが、従来は、市町村が支弁しておるときとか又は都道府県が支弁しておる場合も、やはり国家公務員であつたのでありまして、国家公務員になるということに対して、私はそう御異論が出ようはずはない思います。ただ邪推されて、国家公務員にするために何か政治的な意図があるように思召すようでございますが、これは私は余りに思い過ぎに落ちていられるのじやないかと思います。高等学校教員を放つておいて、そうして、小学校中学校だけにするのはおかしいじやないかというお話でございますが、これは義務教育というものは国家的事業であつて国家責任を十分持たなければならない基本の教育でございます。その基本の教育に従事する人の先ず身分を安定して差上げて、そして落ちついて子弟の教育に従事して頂きたい、こういうふうな考えからとつた次第でございます。  これを以てお答えといたします。(拍手
  7. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 木内キヤウ君。    〔木内キヤウ君登壇拍手
  8. 木内キヤウ

    ○木内キヤウ君 文相も教育は立国の基礎だと言われております。平和文化国家を建設するためには第一に教育を尊重すべきものであることは、今、国民の常識になつております。どんないい施設ができましても、どんな立派な法律が発せられましても、ない袖は昔から振れないと言つております。教育財政の確立していないときには、いつも不平と不満と失望とが、そこに残るものでございます。今度も随分慎重審議なされたそうで、閣議において漸くにして文教予算が四百二十七億計上されて、二十七年度よりは五十二億弱の増加だということでございます。この立国の基礎であるところの大切な教育予算が、国家全体の予算の何パーセントに当つておるのでございましよう。毎年日本国民は文教予算を見て、子を持つ父、母、日本の将来を考えておるところの者は、いつも心を寒くするのでございます。東京でさえゆらゆらと揺れるところの老朽校舎、いつ倒れやしないかと思つてびくびくするような老朽校舎、震災、戦災によつて失われたところのそのままの仮校舎、これは国家が義務として考えなければならないことではなかろうかと思つております。教育と全く反対な競輪の利益で以て校舎が増築されたり、それに類似するところのものによつて校舎を造らなければならないという痛ましい予算を国民は悲しみます。義務教育憲法で定められたところのものであつて従つて義務教育国家財政上の責任を負わなければならないことは当然なことだろうと思います。職員の給与のみでなく、学校施設整備の補助費、教材費学校給食費、養護学級、特殊学級の拡充などなど、実に多くの経費を必要とすることは、私が申上げなくても、国民みんな考えておるところだと思つております。文相は安心して教育予算を確保するところの方法を考えて下さつておるでしようか。私は、教育のために使われるところの教育目的税とか或いは教育の独立を図るところの独立税とかいうものができたらというようなことを考えておりますが、熱意のある、力のある文相は、それに対して、又、国家予算を左右なさるところの大蔵大臣、世の中の父も母も、殊に日夜子供の教育に心労するところの母は、喜んで教育のための納税ならば滞納はしないだろうと思つております。文相、大蔵大臣の御意見を伺いたいと思つております。  次に伺いたいと思つておりましたが、これは昨日からいろいろな方から御質問がございまして、教育職員の身分のことについては、今も御丁寧な御説明もありましたので、私は省きたいと思つております。ただ、教育界というものは支配力が強くなればなるほど萎靡します。教育界というものは沈滞するということを、文教の皆様方がお考え頂きたいと思います。教職員は支配力が強くなつたときには卑屈になりますか、又反抗的になるものであります。世の教育者がびくびくとしてほがらかに、溌剌とした気風を持つて、独立人として愉快に教育に専念するように、文相には手を打つて頂きたいと思います。どういう御方針で指導して頂けるか、伺いたいものだと思います。  三として、もう一つ伺いたいことがあります。第十四条、第十五条です。己れの職賣の重大なることを考えておるところの良教職員は、この二カ条の研究修養の実現をどんなに期待し又喜んでおるかわかりません。文相はこの実現に努力して下さることだろうと思います。だが、あの個条の中に「職務に支障のない限り、」とあることがくせ者でございます。文相は、この「職務に支障のない限り」という、このくせ者の退治にはどんな御用意がございましようか。勤める場所を離れて研修とは国内を指すのでございましようか。海外までも発展することを考えていて下さるのでございましようか。又その数はどのくらいな程度を御予定なすつていらつしやるでありましようか。世界に知識を求め、世界の大勢を知るということの大切なことは、「あの」というより、この太平洋戦争が我々に嘗めさせた日本中のあの苦がい苦汁を得て初めて知つたことであります。実際に携わつているところの義務教育職員が、最も知識を世界に求め、又世界の大勢を知る必要があるのであると思います。義務教育者の多くとは望みません、三分の一ぐらいは海外に踏み出して、国の外から日本を眺め、日本の正しいところ、優れたところ、又日本の劣つたところ、誤まつたところを、ほかの国と比較して見る機会を与えて頂くことが、どんなに教育を立派にすることであるかということを私は信じて疑いません。これについての対策もどうぞ御指示願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪登壇
  9. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。  教育目的税のことでございますが、私は御趣旨には非常に同感でございまして、これは考えなければならんと考えますが、併し御承知通り教育予算というものは全国で非常に多うございまして、先ほど仰せになりました文教予算文部省で五十億くらいしか殖えていないと仰せになりましたが、併しこれは平衡交付金で従来ともやはり千億近く文教予算を出しておりますので、合せれば相当なものになつておると思いますけれども、御承知通りの国力でございまして、十分とは行きませんことは確かでございます。ただ、問題は、一つの項目につきまして、何千億というようなことを、それを目的税として如何に税を徴収するかということにつきましては、相当研究の余地もございますし、又、問題といたしましては、その目的税でありながら而もこれが弾力性がないようなことになりますと、却つて社会の進歩又は教育費の増加に適応できないのじやないかということも考えますので、これは関係当局と十分検討いたしまして、将来これを何とかできますならばやつてみたいと存じます。  それから、教育に従事する人の人格を尊重いたしますことは、これは勿論でございまして、私どもは今度義務教育学校職員法を出しますにつきましても、やはり教員のかたが安心して、そして教育に従事して頂く、そうして人格の立派なお方になつて教育をして頂きたい、こういう念願から出発したものであります。  それから研修のことでありますが、今までも研修は十分やつておりますけれども、来年度は一億ぐらいの予算を取りまして、そして国家が相当に補助いたしまして、研修、研究会、又いろいろなことをやりたいと、こう思つております。それから海外留学のことでございますが、これは又お説至極御尤もでございまして、世界は非常に只今のところ狭くなつておりますものですから、世界の情勢を知らないで本当の教育はできないと思います。そこで、国家公務員にでもなれば、海外留学がしやすくなり得るかと思いますが、只今のところでは、まだ小学校中学校教員のかたに留学して頂くことにはなつておりませんが、国家公務員にでもなられましたら、大学教授ばかりでなしに、小学校教員なんかにも一つ海外に出て行つて頂きたい、こう考えております。(拍手)    〔国務大臣向井忠晴君登壇拍手
  10. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 文教の振興につきましては、実に大事なことということは私も考えております。従つて今後もできるだけ文教の充実拡充につきましては努力する考えでございます。ただ教育税というようなものを目的税として創設しますことは、本来、目的税の考え方財政上妥当でないというふうに私は思つております。それに加えますのに、文教費のように相当大きな経費の財源を目的税で調達することは、全体として予算の編成に著しく弾力性を失わせるという意味で、目的税ということにして教育費を出すということは、只今にわかに御同意はできないのでございますが、いろいろの方法で以て教育の振興ということは努力いたしたいと思つております。(拍手)     —————————————
  11. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 堀眞琴君。    〔堀眞琴君登壇拍手
  12. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私は労農党を代表いたしまして只今議題になつておりまする義務教育学校教職員に関する法案につきまして、以下述べるような若干の点について質問いたしたいのであります。  先ず第一に、教育行政の基本方針についてお尋ねいたしたいのであります。教育の仕事は国家百年の大計であります。従つて国家たると地方たるとを問わず、教育行政には常に一貫した基本方針がなければならないのであります。若しも徒らにこれを朝令暮改するというようなことがあるならば、教育そのものの目的を達成するゆえんでないことは勿論のこと、いわんやそれが一党一派の勢力によつて左右されるがごときことがあるとするならば、これは言語道断であると申さなければならんのであります。従つて教育基本法の第十条にも、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し責任を負うて行われなければならないこと、教育行政は、この自覚の下に、教育目的遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」ということが規定されておるのであります。  然るに今回政府が提出いたしましたところの義務教育学校職員給与に関する法案は、先に政府が提出いたしましたところの義務教育費国庫負担法の改正でありまして、先ほど岡野文部大臣の答弁にもありまするように、半額国庫負担では不十分である、これを全額国庫負担にすることにより、教員の地位を安定させ、その身分を保障するのだという御説明なんでありまするが、その説明だけを聞いていれば成るほどと思うのであります。併し、昨年成立いたしました義務教育費半額国庫負担法律が未だ実施もされないのに、これに代つて、更に改めて、今度、その全額国庫負担とする法案が出て参つているのであります。今回の法案は、従つて、前の法案をやめまして、改めて、それがまだ実施されないのに今度の法案を出すという形になつているのであります。この法案そのものが内容から申しまして非常な不備な点があることは、以下申上げるところでありまするが、その不備な法案を、前の法案が実施もされないのに、又ここで出しまして、前の法案を全く闇から闇に葬るというような形にしているということは、これこそ全く朝令暮改と申さなければならんのであります。  更に又、昨年地方教育委員会をすべての市町村に強制的に設置させました。これによつて教育の民主化、地方分権化の具現であると説明しておりまするのに、今回の法案によりまして教育の未曾有の中央集権化或いは官僚化が強行されようとしているのであります。これ又朝令暮改、而も地方分権、教育の民主化を謳つた教育委員会の設置に反して、教育行政の中央集権化を企図しようとする、全く矛盾した法案の提出の仕方だと申さなければならんのであります。  而も問題は単に制度や組織の問題ではありません。新憲法の制定と同時に、日本は平和国家として指向され、教育目的も、個人の尊厳を重んじなければならない。真理と平和を希求する人間の育成を期しなければならない。そうして普遍的で而も個性豊かなところの文化の創造を目指すのが教育目的である。こういう工合に規定されたのであります。ところが、最近の教育の実情を見まするというと、個人の尊厳も、真理と平和を希求する人間の育成も殆んど忘れられている。否、平和を説くことは、今日ではむしろは反社会的な、反国家的なことであるというような傾向をすら馴致するようにさえ見受けられるのであります。教育目的である平和を希求する人間の育成が、今やあべこべに、戦争を宣伝する人間を育成することが、何か国家的な仕事のように考えさせられるような教育の仕方が行われているとするならば、全く我々としては、あの平和憲法がどうなつたのだということを問わなければならんと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  更に、政府並びに与党諸君の注意を喚起しなければならんのは、教育環境の問題であります。パンパンが巷には横行している。エログロと呼ばれるものが氾濫している。子供たちはパンパンとの真似をするとか、或いは又エログロによつて非常な影響を受けるということが所在に存在している。これはいわゆる教育の植民地化ではないかと思うのでありまするが、ところがこれに対して、文部行政の責任者であるところの文部大臣は何ら積極的な措置を講じておらない。このような法律の朝令暮改、更に又平和教育に対するところの弾圧、或いは教育の植民地化的な環境をそのままにしておくというようなことに対して、一体吉田首相、岡野文相はどのような考えを持つているのか。教育行政の基本方針というものをどのように考えておられるのか。又今回の法案を提出するに至つたところの理由というものはどこにあるのか。昨年成立した国庫負担法をやめにして、そうしてここに改めて全額の、全額という名目において義務教育学校職員に関する法案を出したのはどういう意味なのか。それを先ず第一にお伺いしたいのであります。  次にお伺いしたいのは、この法案は結局名目的なものに過ぎない。何ら実質的な意味においていわゆる教職員の給与全額負担にはならないということであります。憲法第二十六条並びに教育基本法第三条、第四条の規定からするならば、義務教育は、すべての人にひとしく与えられ、而もそれが無償でなければならないことは申すまでもありません。従つて憲法趣旨教育基本法の規定から申しまするならば、義務教育費は一切全額国庫負担で賄うべきものであることは言うまでもありません。即ち、教職員の人件費は勿論のこと、学校の建築費にいたしましても、或いは又維持運営の費用にいたしましても、或いは必要なる教材の費用にいたしましても、学校児童の給食費にいたしましても、すべて十分な国庫負担において行われなければならないことは言うまでもないのであります。これは教育の意義に徴して当然過ぎるほど当然なことだと申さなければなりません。然るに、従来はこれらの教育に必要なるすべての経費が主として地方公共団体負担とされ、その一部を国庫負担するということになつておるのであります。今回の法案は、教職員の給与のみの全額負担ということになつているのでありまするが、果して本当に給与全額国庫負担になつているか、恐らくこれについては、同僚議員からすでに質問も出ていることと思いますので、時間もありませんし、簡単に申上げますが、実際の学級数に応じて、そうして実質的な本当の意味で従来支給されておつたところの教職員の給与全額国庫負担にするならばまだしものこと、今回の法案は、いわゆる定員定額制によりまして単なる名目的給与のみでありまして、実情に副わないものをその中に持つていることを指摘しなければなりません。  若干これを実例で申上げますればいいのでありまするが、時間もありませんので、端折りまして、もう一つお尋ねいたしたいのは、国家公務員化の問題であります。只今岡野文相の御説明によりますというと、国家公務員とすることによつて教員の身分を保障するのだ、国家紐付き予算を与えることによつて教育予算の確保をするのである。こういうお話であります。併し給与国家において負担するということだけの理由で、果して教職員を国家公務員とする理由があるだろうか。国庫負担に属する事務について、それを行うところの職員が必ずしも全部が全部国家公務員ではありません。(「その通り」と呼ぶ者あり)又岡野文相のお話にもありましたように、地方公共団体において、即ち地方費においてこれを賄いながら国家公務員としている場合も考えられるわけであります。単にその経費が国庫から出ているというだけの理由でもつてこれを国家公務員とするということは、全く筋が通らないと申さなければなりません。教育は、それぞれ地方の特色を活かし、実情に即してこれを行うのでなければなりません。従つて、身分としましてはむしろ現在のままとし、ただ今日の地方財政の実情から、国がその給与の完全な総額を保障するということこそが、むしろ望ましいのではないかと思うのであります。  次に、国家公務員化することの狙いであります。これ又同僚議員によつてすでに述べられたことでありましようから簡単に申上げますが、その狙いは、恐らく教育中央集権化というところを狙いにしているだろうと思います。たとえ文部大臣が教職員の任免権の一部を地方教育委員会に委任するにいたしましても、教育中央集権化に伴うところの弊害は、これを除くことはできないのであります。最も恐れなければならないことは、文部大臣が任免権を握る結果、教育一つの政党に支配されるという危険がある。このことを私は一番恐れるのであります。教育は勿論、その時の情勢に応じた、つまり実情に応じたところの教育でなければならないことも勿論であります。又実際の生活に即した教育でなければならないことも事実であります。併し、それだからと言つて教育一つの勢力によつて支配されるということになりましたならば、どうなるでありましようか。私も教員生活の経験を持つているものであります。私のことを申上げては大変恐縮でありますが、三十年に近い教員生活を行いました。そうして、その間、政治権力というものがどのように教育を禍いし、教員の身分を拘束して来たかということを、私は身にしみて痛感しているのであります。このような事情が若しも中央集権化或いは教職員の国家公務員化によつて起るとするならば、これこそ由々しき大事であると申さなければならんのであります。  最後に、時間もありませんので、最後に申上げまするが、この法案につきましては、地方制度調査会は勿論であります。全国知事会全国市町村会、或いは都道府県教育委員会の委員の協議会や、或いは労働組合といたしましては日教組その他の組合が、すべてこれに反対をいたしております。民主政治輿論政治であると言われる。労働組合その他諸団体がこぞつてこれに反対しておる。こういう法案を、よしんば政府のほうにおいて参議院選挙対策ではないと言うことを、そのまま鵜呑みにしたといたしましても、果してこのような輿論の反対するところの法律を国会が若しも成立せしめるとするならば、国会は輿論に反した行為を行うということになるだろうと思います。果して政府は、飽くまでもこれをこの国会において強行しよう、その法案の成立を強行しようとする音思なのか。先ほど官房長官も岡野文部大臣も、撤回する意思はない、こう言明されておりますが、これでは輿論政治に反する結果になるのではないだろうかということを、私はお尋ねいたしたいのであります。  以上を以て私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  13. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えをいたします。  政府教育の基本方針をどんなふうに一体考えておるのかというような御質問と伺いましたが、教育の基本方針につきましては、教育基本法の明示するところでありまするが、これを一言に申しますれば、個人の人格の完成、文化の創造を月指しておるというところにあると考えております。堀さんの御意見を伺つておりますると、政府のこの提案には、何か政治的の、或いは、政略的の意図があるもののようにお考えのようでありまするが、私、政党生活はまだ日が浅いのであります。併しながらこの法案が最初に所管大臣によつて提案されまして以後今日に至るまで、巨細の経過を承知しておりまするが、今日のいわゆる議会民主主義におきまして、政府が政党の背景を持ちますることは、これは申すまでもありませんが、この法案のでき上るまでの過程におきまして、政略的な意図が含まれておつたということは絶対にないのでありまして私はこれをここで良心的に申上げることができるのであります。  もう一つの御心配は、この法案には何か中央集権的のものが隠されておるという御心配のようであります。この教育強権国家的な中央集権に導かれるということは、これは勿論警戒しなければならんのでありまして、このことにつきましては政府におきましても最初から十分に注意をいたして参りました。教職員の任免権を文部大臣が最終的に持つておりまするが、実際の任免はこれを市町村教育委員会に委任するというようなことも、その趣旨に出ておるのでございます。  今日この法案に対しまして輿論の反対が非常に強いではないか、この輿論の動向に鑑みて、政府は撤回すべきでないかという御意見でありますが、私は輿論もいろいろありまするが、結局その輿論を公的に代表いたすものは国会であると考えまして、国会の御批判に十分信頼いたしまして、(「自由党だけだよ」と呼ぶ者あり)それによつて、又国会の御判断に待ちたいと、かように考えておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪登壇拍手
  14. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。  只今大体副総理から御答弁申上げたので尽きておるようでございますが、ただ中央集権化の問題でございますが、私は地方教育委員会というものが地方分権のために作られて、そうして各地方々々で教育運営をやつておる。而も文部大臣は、国家公務員であるから、最終的の任免権は持つのでございますが、実質上は法律委任をいたしまして地方教育委員会に任しておるのでございますから、私は中央集権化じやないと考えます。(「教育長は文部官僚の姥捨山だよ」と呼ぶ者あり)  又いろいろ風紀が紊れておる、映画なんかも非常に悪い映画が出るというようなことを、ちよつと私の聞き違いかも知れませんが、これにつきましては、今までも、又将来とも、映画とか音楽とか又いろいろのことにつきまして、文部省といたしましては、その純潔化をするために非常に努力をしている次第でございます。  それから、駐留軍がおりまして、それが学校の近所でありますというと風紀が非常に紊れる、子供の教育によくないということにつきましては、これ又あらゆる手を打つてこれを阻止する方向に進めておるわけでございます。  それから半額全額にした理由、これは先ほども幾たびも申上げました通りに、一歩を進めて、私自身宿論でありましたところの経綸を行なつて行きたいと、こう考えた次第でございます。  それから、一党一派に支配されては困るということでありますが、ただ自由党内閣を組織しておりますのでそうお考えになるかも知れませんけれども自由党が百年天下の政権を握るということは私は考えられないことであります。お互い様、代り合つて政治をとつて行く次第でございますから、そういうことは私はなかろうと思います。  それから、法案を撤回する意思があるかないかというようなことは、先ほども申上げました通りに、私はこれを撤回する意思はございません。同時に、副総理が申しました通りに、輿論が正式のルートで反映するのは国会でございますから、どうぞ国会で十分御審議願いたいと存じます。
  15. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      —————・—————    〔小泉秀吉君発言の許可を求む〕
  16. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 小泉秀吉君。
  17. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 私はこの際、航空事業の自主性確保に関する緊急質問の動議を提出いたします。
  18. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は只今の小泉君の動議に賛成いたします。
  19. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 小泉君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。小泉秀吉君。    〔小泉秀吉君登壇拍手
  21. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 私は去る十二月十九日の本会議におきまして、総理大臣並びに運輸、通産両大臣に対し、航空政策に関して緊急質問をいたし、それぞれ一応の御答弁を得たのでありまするが、その後、情勢の推移に鑑みまして、ここに再びこの問題について質問をいたす次第であります。  私は前回質問のうちにおきまして、日本と外国との合弁会社を作る場合に、航空法の定めるところによつて資本の三分の一以内の外国資本を入れ、形式的には適法の形をとつていても、その会社の使用する飛行機はことごとく外国のものをチャーターしたり、又外国人の飛行士のみを使つたり、その他経営の実権は事実上外国の支配下に置かれ、日本側の自主性を失う虞れのあるような新規の会社の出願がある場合には如何なる措置をとるのか。又このような会社が出現すれば、我が国の将来に対し重要なる使命を有する航空機工業の育成発達は期しがたいと思うが、これに対する所見を質したのでありましたが、これに対しまして、総理大臣に代つて緒方国務大臣、又石井運輸大臣、小笠原通産大臣から、それぞれ私の質問趣旨は尤もであり、今後の航空会社の免許に際しては、実質的に、我が国の自主性を守り得るよう処置いたしたいし、又航空工業の育成についても自主性を確立して、使用機の国産化に努力したい旨の御答弁がありましたので、私は一応これに満足しておつたのであります。  然るにその後諸般の情報を総合いたしますると、必ずしも安心を許さざるものがあり、我が国航空事業の将来に対し、好ましからぬ暗影を投ずることになるのではないかを憂うるものであります。即ち、目下運輸省に対して国内定期航空事業の免許を申請中のものは六、七社に及び、その事業を許すべきか否かの断を下す時期もすでに切迫しているようでありますが、その中に日米航空株式会社というのがあります。この会社は日米合弁の会社で、日本側としては、一流実業家が表面に立ち、二、三有力な事業家がこれに協力され、アメリカ側はパン・アメリカン航空会社のダラス・B・シヤーマン氏が免許申請者になつておるであります。その事業計画は、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡というようないわゆる幹線航空路と、金沢、新潟、高松、大分、鹿児島というようなローカル線と、殆んど日本の全土に亘つておりまして資本金は御多分に漏れず三分の一だけがアメリカ側になつており、形式上は一応適法のもののごとくに組立てられておりますが、設立関係者間の内部の事情は、この会社の使用する飛行機はことごとくパン・アメリカンの関係あるアメリカ飛行機を使用するため、この資産の総比率は実に九対一となり、あまつさえその経営については、主としてアメリカ側がその衝に当り、日本側はただ単に資本金を三分の二負担しておるに過ぎないものらしいとさえ噂されておるのであります。若しこれが事実といたしますれば、運輸大臣の先般の御答弁にいわゆる形式だけは整つているが、実質は全く自主的性格の失われた会社というのに該当するように思われるのであります。  更に私の申上げたいのは、パン・アメリカン航空会社の性格であり、その歴史であります。私の知る限りにおきましては、パン・アメリカン航空会社は、御承知のごとく一九二七年ジュリアン・テリー・トリツプという人によつて創立されて以来、第二次大戦の直前まで米国の国際航空の事実上独占会社として南米、太平洋、大西洋の航空路を開拓し、今日の国際航空における世界の王座を占める基礎を築いたのでありますが、この間、アメリカ政府の絶大なる支持と援助のもとに競争者を斥け、その前進を阻む者は巨大なる資本の力と政治力を含む権謀とを以てこれを屈服し、あたかも燎原の火のごとく世界航空網の支配力を拡大したのであります。特に後進国の航空事業を支配して、その自主性ある発展を阻んで来たのであります。例えば中南米においては、コロンビア航空会社を初めとしてブラジル、ドミニカ、ホンジニラス、メキシコ、コスタリカ、ヴエネズエラ、パナマ等、各国の航空会社は、その資本構成は形式上ことごとく二分の一以下の株式をパン・アメリカンが所有しておるに過ぎないのに、実質的には全くパン・アメリカンの支配下にあり、かくして中南米諸国の航空は大部分がパンの支配下に隷属して、その自主性を失つている現状と存じます。  第二次大戦中及び終戦後には、更にその歩武を進めまして、今やその航空路線は、北はアラスカ、東は欧州並びに中東に延び、西は南太平洋よりフイリピン、インド、パキスタンに進み、更に中国航空公司を支配して、シビル・エア・トランスポート会社を創設して極東地区に活躍中であり、次に狙われているのが即ち我が日本であります。尤もパン・アメリカンの世界航空の支配力は、その極限に近ずきつつあるもののごとく、アメリカ政府も、パン・アメリカン独占的横暴を許さざる情勢になりつつあると承わつております。アメリカ政府がこうした態度をとるに至つた理由としては、第一に、パン・アメリカンがしばしば競争者を欺瞞したため、相手方の反感を買つたこと、第二に、権利獲得のために政治的策謀が目に余るものがあり、アメリカの民間航空局が憤激するに至つたこと、第三に、航空機のメーカーがパンのために巧みに操縦されて苦汁を嘗めさせられたこと、第四に、諸外国の航空会社はパンを国際航空運賃の撹乱者とみなして排斥していることなどによると言われております。それにもかかわらず、今やパンは日本に対して頻りに食指を動かしているというのが現在の段階であると申されております。仄聞するところによりますれば、この日米航空会社においては日本全土に航空網をめぐらして、その巨大なる資本力をバツクにして、極めて低廉なる料金を以てサービスをする計画であるとか聞いておりまするが、低廉なる料金と行き届いたサービスとは誰しも望むところであり、今後飛行機を利用する国民はさだめし喜ぶことでありましよう。併し、たとえ目先は喜ぶといたしましても、この目前の利益のために我が国の航空事業が半永久的にパンのために支配せられ、自主性ある我が国航空事業が遂に芽を出すことも成長することもできず、又我が国の産業上極めて重要なる航空工業も発育することができないということになりますれば、由々しいことであります。目前の小利と国家百年の大計と、事の軽重先後を勘案して、高邁なる識見を以て断を下すことこそ、政治家のまさになさねばならぬ責務の一つであると存ずるのであります。  尤も現在の日本の国内定期航空はおおむね日本航空会社一社で只今やつておりまするが、これに対し多くの非難があるではないか、それだから有力なる競争会社を作ることは望ましいことであるという説も出て参ります。この説は一応尤もであり、又日本航空に対するいろいろの非難があることは事実であります。果して然らば、監督官庁としての運輸大臣は、これが刷新改善のために断々乎として有効適切なる手を打つべきではないでしようか。又競争会社を作らせることも結構ではあるが、それも相手によりけりであります。先ほど申述べたような、いわば狼のような相手を、発達幼稚な段階にある我が国の航空界におびき入れる必要はなかろうと思うのであります。日本の航空界は微力である、だから外国の有力会社に見ず転でおんぶするのだというイージーゴーイングな考え方をとる前に、自力を以て起ち上る工夫をとるべきであると信ずるのであります。  最近新聞紙の報ずるところによりますると、日米航空会社の発起人の一人である某氏は、インドに呼びかけて日印合弁の製鉄会社の計画を進めて来られたらしいが、その計画は、丁度この日米航空とは逆に、日本側が事業経営の実権を握るものであつたために、インドの民族感情の反撃に会つてその計画は挫折しかかつているとのことであります。これは、いやしくもインド民族にして、渇すれども盗泉の水を飲まざるていの自主独立の志ある限り当然のことでありまして、私は心ひそかにインドの国民に対し敬意を表しているのであります。然るに、日米航空の日本側の発起人は、かくのごとく我が日本民族の感情を理解せざると同様、他国の民族感情に対しても無感覚であり、ひとえに損得収支の商業主義によつて行動しているもののごとくに見受けられるのであります。私は、日露戦争直後にアメリカの鉄道王ハリマン氏が南満株道の買収を計画したときに、時の外務大臣小村寿太郎氏が決然起つてこの計画を破棄せしめた歴史を今想い起すのであります。小村氏の功罪を今ここで論じようとは思いませんが、彼の憂国の至情と耿々たる一片の志とは、今日の日本人に対し深い反省と又示唆とを与えるものと信ずるのであります。この意味におきまして、日本民族将来の運命に対し何らの愛情も持たないように見ゆる日米航空会社の発起人は、アメリカ側の会社も日本側の人たちも遺憾ながら適当なものではないと断ぜざるを得ないのであります。  私は前回の質問に対する三大臣の御答弁から見まして、よもや、かような会社に免許を与えることはあるまいとは存じまするが、その後の情勢の推移に鑑みまして、国の将来を憂うるの余り、あえて再びこの問題について関係大臣の御所見を質したいのであります。即ち、総理大臣並びに運輸大臣から、左の二点について明確なる御所見をお伺いいたしたのいであります。  第一は、目下国内定期航空免許の申請を出している日米航空会社の事業経営計画並びにその資産比率等の内容は、おおむね私が述べたところに間違いないと思うが、若し著しい相違があるとすればどうい点が違つているのか。第二は、日米航空会社の申請に対して免許を与えるつもりかどうか。以上二点であります。  而して若しパン・アメリカンの性格なり歴史なりが、おおむね私の述べたようなものであり、且つ日米航空会社の事業経営内容も又私が述べたところにおおむね間違いないにもかかわらず、これに免許を与える御方針であるとすれば、前回の私の質問に対する御答弁とは明白に相違するものと信じまするので、前言を覆してまでその認可をしなければならない理由はどこにあるのか。はつきりと御説明願いたいのであります。又、若し私が今日申述べたようなことを知らなかつたために、又はそこまで深く考えずに免許しようと思つておられたものならば、願わくは翻然と且つ淡々と過ちを改められんことを切望してやみません。  以上で私の質問は終りますが、私の質問は国の将来を憂うる以外に何ら他意はありませんので、私の心配が単なる相愛であることを信じたいのでありますから、何とぞ虚心坦懐に御答弁を願いたいのであります。以上。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  22. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えをいたします。  第一問の日米航空会社の計画内容等につきましては、私まだ十分に承知しておりませんので、今のお話と相違しておるかどうかということ等につきましては、主管大臣からお答えするようにいたしたいと思います。  航空事業の運営を国が自主的にやらなければならんということは申すまでもないことでありまして、この点につきましては、前に本院におきましてお答えいたした通り考えを持つております。今日はいわゆる航空時代とも申すべき時代でありまして、日本は遅れてその国際競争の中に入つて参りますので、申すまでもなく、諸般の事情を十分に検討した上、すべての諸施設を慎重に考えて行かなければならぬ。この点につきましては主管省におきまして十分注意を払つていることと存じます。以上。    〔国務大臣石井光次郎君登壇拍手
  23. 石井光次郎

    国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします。この前のとき小泉さんからお尋ねがありましてお答え申しました心持に、一つも変更はございません。飛行機の航空の問題、特に日米航空が出願されている、それが許可されはせぬか、それが許可されたならば、日本の航空の自主性を失うことになりはせぬかという御心配でございますが、その第一番目にお尋ねになりました、日米航空がどういう出願の内容であるかということは、大体お話に近いのであります。貸本金は航空法の定める範囲でありまするが、航空機は初めの間パン・アメリカンから借りる、将来はその間に自分のほう、日本の会社で、日米航空で新らしく飛行機を買うことにして、だんだん自分のものにして行くというようなこととなつています。それに乗りまする賃金は、大体私どもに出ておりますのによりますると、そうひどいダンピング的なものではありません。日本航空がやつてもできる程度のものであります。現在日本航空が冬期営業として大阪との間にやつておりまする大体二割引程度くらいのものが日米航空の事業計画に出ているようでございます。で、これを許すか許さぬかという問題でございますが、その問題は、只今ここで許す許さぬと、まだはつきりと申上げるところには至つておりませんが、この前から続けてずつと小泉さんが申しておられまする日本の航空の自主性を失わないようにせよというお話、これは私どもも絶えず頭に置いておる問題でございます。この日米航空が、果してその線から考えて、日本の航空の自主性を失うか失わないかということが、先ず事業内容に入つて許可をする、せぬの問題として当然考えられる問題であり、私どもはその問題を頭に入れながら今考えておるのであります。恐らく今小泉さんのお考えのような、日本の航空界のこれからの発達ということ考えますと、日本の自主的な航空会社でなければ、いつまでも飛行機そのものも外国から買うとか外国から借りるということをしなければならないし、これは日本の航空機製造という問題にも大きな影響を及ぼすというようなことも当然に考えられることであります。これらの点を考えまして、日本の航空界の発達が正常な線に沿うて行くように私どもは運んで行きたいと思つております。
  24. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 議事の都合により、本日はこれにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて延会いたします。    午後零時二十四分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 義務教育学校職員法案及び義務教育学校職員法施行に伴う関係法律整理に関する法律案趣旨説明)  一、航空事業の自主性確保に関する緊急質問