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1952-12-15 第15回国会 参議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十五日(月曜日)    午前十時三十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十号   昭和二十七年十二月十五日    午前十時開議  第一 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第二 漁船乗組員給与保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 名古屋市に労災病院設置請願(二件)(委員長報告)  第四 福島県に労災病院設置請願委員長報告)  第五 北海道美唄市に労災病院設置請願委員長報告)  第六 広島県呉市に中国四国労災病院設置請願委員長報告)  第七 失業対策日雇労務者最低生活確保に関する請願委員長報告)  第八 電産争議早期解決に関する陳情(二件)(委員長報告)  第九 停電ストライキ即時中止に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一〇 日雇労働者失業対策に関する陳情委員長報告)  第一一 電産、炭労争議早期解決に関する陳情委員長報告)  第一二 炭労ストライキ早期解決に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。金子洋文君及び羽仁五郎君から海外旅行のため、森崎隆君から病気のため、それぞれ会期中請暇の申出が、ございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決しました。      ——————————
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、中小企業金融促進に関する決議案結城安次君外六十六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては、結城安次君ほか六十六名より委員会審査省略要求書提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。結城安次君。    〔結城安次登壇拍手
  8. 結城安次

    結城安次君 只今議題となりました中小企業金融促進に関する決議案趣旨を御説明いたします。  先ず決議案全文を朗読いたします。    中小企業金融促進に関する決議案   政府は常に中小企業対策重要性を唱えつつあるにもかかわらず、その実行は遅々として進まず、殊にそれは金融対策において著しきものあるをもつて、大部分中小企業休業倒産の運命にあり、年末を控えその様相は愈々深刻の度を加えている。従つて政府は速やかに中小企業金融対策を確立し、危殆に瀕する中小企業窮状打開努力すべきである。よつて本院は、政府に対し左の諸方策を急速に実施すべきことを要求する。  一、中小企業融資のための特別会計設置し、五百億円を目途に差当り百億円の政府出資を行い、もつて長期安定資金の供給を図ること  二、中小企業金融機関低利資金源を増強するため、政府出資貸付並びに預託増加し、特に資金運用部資金中小企業資金に大幅に活用するの途を開くこと  三、中小企業信用保険法施行以来の実績にかんがみ、保険料の軽減、保険限度の引上等、弱小企業融資受入体制強化するため有効なる改正を行うこと  四、下請代金決済円滑化を図るため紐付融資その他適切なる方法を講ずること  右決議する。  以上が決議案全文でありまするが、以下、私どもがこの決議案提出するに至つた動機決議案内容について御説明申上げます。  御承知通り中小企業我が国産業構成の中で非常に重要な地位を占めているのであります。全国事業所調査が昨年七月一日現在で行われましたが、その結果を見ますると、従業員二百人未満中小規模事業所が、全事業所数の九九・八%を占めているということであります。ここで働いている者の数はその割ほどではありませんが、それでも八一・五%が中小事業所に働いているのであります。これを工業統計で見ますると、従業員二百人未満規模のものが、数においては九九%、従業員数においては六五%ということになつております。更に同じく工業出荷額について見ますると、この割台は少しく低くなりますが、それでも四八・二七%が中小規模によつてできているのであります。このように我が国中小企業は非常に広汎に存在し、国内経済重要部分がこれを中心として動いているのであります。然るに中小企業は非常に困つており、殊に金融において苦しんでいるのであります。最近におきましては、輸出の減退、内需の不振が重なり合いまして、而も年末を控え、その様相はますます深刻化している現状であります。借金苦税金苦のため、失踪したり自殺したりする者が頻々としており、社会不安の重大な原因をなしていることは、新聞などですでに御承知通りであります。  一体、中小企業は何故に金融に苦しまねばならないかと申しますならば、金融そのものが持つ一般的特質が然らしめております上に、更に政府施策そのものが大企業偏重に陥り易い結果によるものと考えるのであります。即ち第一には、中小金融は、大口融資に比べまして手続や調査が煩瑣で、勢い銀行からすれば採算ベースに乗りにくいということ、第二に、中小企業は、信用力担保力に欠くるところがございまして、専ら対人信用によらねばならないのでありまするが、それを大銀行はあまり歓迎しておらないということであります。第三に、金融機関整理統合で大銀行主義となりまして、地方銀行が未だ一県一行主義の影響を脱しておりません。中小企業をよく知つている銀行が少いということであります。殊に預金は大銀行並びに国家金融機関たる郵便局を通じて資金運用部資金へ吸収される額が非常に大きい。而も銀行只今も申しました通り中小企業の面倒をあまり見ておりません。地方銀行又は信用金庫等は比較的よく面倒を見ますが、そこは常に資金が不足しているというのが現状であります。  従つて中小企業重要性を考えるならば、政府中小企業のために特別の金融措置を考えなければならないのであります。そこで政府只今審議中の補正予算にも、若干その施策を盛り込んでおりまするが、小笠原通産大臣も過般申されました通り焼石に水という程度でございまして、その実効は頗る疑わしいものがございます。そこで私どもはこれが打開策といたしまして、政府に積極的な努力を要請する必要があると存じまして、ここに決議案提出した次第であります。  そこで私どもは第一に、中小企業融資特別会計とも称すべきものを設置し、差当り百億の政府出資を要望するのでございます。中小企業合理化が遅れていると申されますが、その合理化のできないのは、金融の途が開かれていないということが重大な原因となつております。この種の資金は、大企業に対しましては民間の金融機関によりましても相当調達できているのでありますが、中小企業に対しましては到底望み得ない現状でございます。殊に大企業に対しましては、開発銀行を通じて大量の長期安定資金が供給されておりまするが、見返資金を見ましても、中小企業に対しましては、開発銀行貸出残の僅かに百分の二・四しか貸出していないという現状であります。そこで特別会計を通じまして政府資金貸出すような方策をとつてもらいたい。そうしてこれが代理貸その他の方法を通じまして、横流れせず、確実に長期安定資金として中小企業に流れる道を開きますならば、中小企業の立直りは期して待つべきものがあると存ずるのであります。五百億円を目標といたしておりまするが、差当り二十八年度の予算におきましては百億を盛り込んでもらいたい。次年度よりは漸次増額いたして、所期の目標に達したいと存ずるのであります。  次に、中小企業を専門とする金融機関資金源は常に枯渇して不足しております。これは先ほど申上げました通り預金の絶対額が少いというためであります。昨年暮に商工中金法を一部改正いたしまして、組合員個人から直接預金を受入れられるような態勢にすれば非常によろしいということから、その改正をいたしたのでありまするが、その後の経過を見ますると、本年二月末に三億六千万円、十月末に六億二百万円になつただけで、思つたほどの進展はいたしておりません。勢い中小金融機関は、他に何らかの資金源ができない限り貸出に応じられないのが目下の状態で、自然、貸出は極度に制限されておる現状でございます。それらの金融機関に対しまして、政府資金源を直ちに増強いたすべきであります。商工中金には補正予算で二十億円の政府貸付が予定されておりまするが、更にこれを政府出資の形に切換えてもらいたい。そうしまするならば、商工中金といたしましては利子を払わなくてもよい資金が殖えますし、更にこれを基礎といたしまして債券を発行し、資金源充実することができまするのであります。中小企業育成基本方針協同組合強化にあると申しながら、組合強化するための商工中金資金源が貧弱なことは誠に遺憾とするところでございます。この解決を強く政府に要望するところであります。  次に、国民金融公庫への出資を更に相当額を追加いたしまして、できまするならば百億円くらいの増加をすることが必要と存じます。これは現在全国公庫の窓口に山積しておりまする借入申込のうち、適格者の約五割くらいを満たすための必要量であります。又公庫定員が少く、僅かに千五百名余りでありまして、貸付口数三十五万件に亘る事務を処理いたしておりまするが、全国銀行貸付口数約七十万件に比べまして余りにも無理であり、それに加えて遺族公債担保貸付及び母子家族事業資金貸付事務もこのたび加えられましたので、いよいよ公庫の急激な増強が要請されておるにもかかわらず、公庫に従事する人の少いのは遺憾と存ずるところでありますので、この際、定員を三割ぐらいも増加し、更に待遇を改善しまして内容充実強化をいたしたいと存ずるのであります。その他、相互銀行信用金庫信用組合等に対しましても、国庫余裕金預託金その他の方法資金相当に廻してほしいという希望をするのであります。  この際、特に申添えたいのは、これらの預託金がその目的に副わず、ややもすれば中小企業へ向わずに大銀行へのコール・ローン等となり、これらの金融機関利鞘稼ぎ終つた実例が多多あるやに聞いております。中小企業金融の熱心な機関へ多く預託することを是非この際政府努力して頂きたいと思います。又年末等の一時的金融対策といたしましては、預託が最も効果ある方策でありますので、特に御配慮を望みたいのであります。  資金運用部資金につきましては、これが零細業者預金の集積したものであることに鑑み、特に中小企業資金として活用すること、それは商工債券引受増加及び商工金庫への低利貸付を実施したいのであります。最初に申しました通り国家信用資金を吸収し、これを中小企業向けに廻すためには、この資金運用部資金の活用が最も適切であると存じまして、これを特に希望する次第であります。  更にこれらの資金源充実について特に附け加えたいのは、政府資金低利に流してもらいたいということであります。従来政府資金と申しますれば、低利資金の別名であつたように存じますが、最近では著しく高利になつております。政府利鞘稼ぎをする必要はないはずでありますから、この点について特に御配慮を願いたいと存じます。  中小企業信用保険法につきましては、しばしば検討せられ参つたところでありますが、担保力の少い且つ小額の融資でありまするため、営利本位の大銀行より閉め出されて金繰りに目下非常に苦しんでおる中小企業への金融につきましては、政府社会政策の一端として、特にその保険制度特別配慮の要、切なるものがあると存じます。必要な改正につきましてはしばしば論ぜられておりまするが、保険料現行三分を大きく引下げること、七割五分の保証を九割に引上げること、都道府県の信用保証協会の再保険五割を七割五分に引上げること、保険金支払事故発生後三カ月に短縮する等の措置は、政府として当然打たるべき措置でありまして、信用保険制度利用に更に一段の容易さを増すことと存じますので、この点も強く要望したいと存じます。  最後下請代金支払不円滑に対する方策でありまするが、下請企業に対する親企業支払は最近非常に遅延いたしております。過去におきましては親企業或いは問屋等中小企業育成し、更に金融いたしたのでありまするが、近来においては逆になつております。この親会社、下請会社関係は、商取引とは申しますものの、親企業相当の利益を上げ、配当をなし、役員賞与等もたくさん出しながら、下請企業に対しましては支払を渋り、或いは減額を要求し、或いは割引困難な長期手形を振出し、ために下請企業では賃金の支払にすら困難し、遂に休業、倒産するというような状態になつておりますることはしばしば見受けられるところであります。これらは経済道徳上無視し得ざる問題であります。よつて政府親企業紐付融資を行い、これが円滑に下請に廻るよう、金融機関に強く要望すべきであると存じます。例えば大企業取引銀行融資する場合、下請企業取引銀行へ振込んで、大企業への融資に代える等の方法によつて支払を促進する等も一方法でありまして、現に実行して効果を挙げている所もあるのでございます。私は下請代金支払を不当に遅延するような親企業に対しましては、適当な制裁の方法を講じてもよいのじやないかとまで考えるのであります。本問題に関しては、特に政府の特段の努力を要請したいと存じます。  以上が決議案の要旨でございますが、中小企業金融問題は、毎年、年末の年中行事になつておりまするようでありまするが、誠に遺憾に堪えないところであります。この際、特に政府善処を要望するため本決議案提出いたした次第でございまするので、皆様の御賛成を願いたいと存ずる次第であります。(拍手
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通知がございます。順次発言を許します。松本昇君。    〔松本昇登壇拍手
  10. 松本昇

    松本昇君 私は自由党を代表いたしまして、只今議題となりました中小企業金融促進に関する決議案賛成をするものであります。提案理由説明にもありました通り中小企業重要性は非常に大なるものがあります。それと同時に、本決議案が今回提出をされるに至つた動機が奈辺にあつたかを考えてみたいと思うのであります。在来の中小企業に対する考え方と施策をこの際一新し、中小企業の窮乏を救うと同時に、その育成を図り、以て日本産業の基盤を確立したい希望が、たまたま衆参両院において本件が超党派的に意見の一致を見たためであると存ずるのであります。そうして趣旨を同じうする決議案が、両院時を同じくして提出されるに至つた次第も又ここにあると存ずるのであります。この一事を以てしても、如何に現下の中小企業者の深刻なる金融難打開が必要であるかを物語つて余りあると思うのであります。中小企業を如何に育成するかについては種々なる方策がありまするが、なかんずく特に急を要するものは、金融と税の面であります。この二つはいずれも相当大きな問題でありまするから、その関係上、一つずつ処置することが適当と考え、今回はそのうち取りあえず金融の面を取上げた次第であります。我が党としては、特にこの際、中小企業特別会計設置して、五百億円を目標に、差当り百億円の融資の途を講ずることを要望するものであります。  今日までは歴代の政府は、中小企業重要性を認識しながら、とかく重点産業にウエイトが置かれがちであつたために、中小企業は常に取り残されがちであつたことは事実であります。アメリカのごとく、資金も、資材も、技術も、設備も、至れり尽せりという好条件の下においてすら、中小企業重要性に関し、大統領の名において、重点産業と同じウェイト、即ちイクオール・チャンスを持つようにとのステートメントが繰返し発表されておることは、各位の御承知通りであります。私どもも決して重要産業を軽視するものではありません。否、むしろその発展をこそ、国家のために希望すること切なるものがあるのでありますが、それと同時に、その重要産業発展の手となり足となるところのいわゆる中小企業も、共に重要性を同じくする点において、国家として適正なる施策を講ずることの必要性を強く感ずるものであります。特に我が国においては、今後貿易に依存しなければならぬ立場上、なお更中小企業ウェイト相当重く見る必要を感ずる次第であります。今日までは占領治下にあつたために、政府としても思うだけの施策が講じ得られなかつた点も多かつたと察せられまするが、今後は従来の考えを一擲して、中小企業育成こそ、我が国産業の健全なる発展のための基礎であるという点を深く認識せられ、特にこの面に重点を置くような措置を熱望してやまないのであります。  中小企業特別会計設置し、中小企業者のために資金をここから流すことは私の年来の宿望でありました。そしてこの設置に当り、特に次の二点に御留意願いたいのであります。その一、低利であること。その二、長期設備資金と共に運転資金にも特に重点を置いて頂きたいのであります。今日まで政府融資方法は、中小企業に対しては短期のものが多かつたため、折角融資もその効果が十分発揮し得なかつた憾みが多いからであります。  次に、中小企業者に対する融資政府保証率引揚げであります。折角資金源ができても、金融業者中小企業に対する融資の危険を恐れまして、その目的が達せられない場合も多々あることでありまするから、この点をできるだけ最高率改正願いたいのであります。  最後に、下請業者への支払遅延が、終戦後は戦前に比して著しく増加し、ために中小企業者中には非常なる苦境にある者もありまするから、親工場に対して融資する場合には、紐付融資その他の方法によつてこれが緩和を図る処置を講ぜられたいのであります。  以上は本決議案の骨子であり、我が党としては、これが単に決議文だけに終ることなく、確実に実施することを要望し、本決議案賛成するものであります。(拍手
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 栗山良夫君。    〔栗山良夫登壇拍手
  12. 栗山良夫

    栗山良夫君 日本社会党第四控室を代表いたしまして、私は只今上程せられましたる決議案に全面的に賛成をいたします。但し中小企業が年末を控えて今日の苦境に追い込められましたのは、従来、政府中小企業に対する国家決議等を軽視いたしましてその実行を怠つた結果でありまするので、この際、従来の非を改めて、本決議案を尊重して迅速に実行に移されんことを強く要望いたしまして、賛成をいたすものでございます。  参議院におきましては、第十二国会以来、連続して通商産業委員会の中に中小企業小委員会を設けまして、熱心に専門的な研究調査を続けております。又金融難打開に関しましては、特に昨年三月三十一日及び十二月十五日の二回に亘つて満場一致会議決議を以て政府に要請をいたしておるのであります。又昭和二十五年の第七国会以来、第八、第十二並びに今第十五国会を通じまして、中小企業の安定に関する緊急質問が五名の同僚諸君の手によつて行われておるのであります。一つの問題に関しまして毎国会こういう工合に問題化されている案件は少いのでございます。これこそ困り抜いて行く中小企業苦境打開のために、参議院が真に国民の代表といたしまして、その務めを果しておる証拠でございます。然るに政府施策は、この要望と隔るところ甚だ遠いものがございまして、一向に問題点解決がなされないのでございます。而も一昨年、中小企業に加えました池田大蔵大臣放言が、実は放言ではなくて、政府の真意であつたことが再び今国会において明らかとなり、(拍手国民の意思と相反するというので、衆議院の院議を以て池田通商産業大臣は不信任と決定をいたしたのであります。従いまして、政府中小企業対策に対しまして、強い国民的批判の下された直後に上程せられましたこの決議案に対しましては、提案いたしまする私どもも、又従来にない強い真剣な態度で臨んでおるのでありまするから、政府も又これを受けて誠実に善処すべきであると信ずるのでございます。ここに及んで、なおこの決議案を軽視せられるようなことがあるといたしまするならば、よろしく政府中小企業育成などという施政方針は、再び口に出されないほうがよかろうと思うのであります。(拍手)  決議案に対する具体的な点は、提案説明で明らかでありまするので、特に私は次の二点を強調いたしまして、政府の格別の理解善処を要求いたすものでございます。  第一は、中小企業に対する融資受入体制強化の点でございます。申すまでもなく、大企業企業そのもの信用度が高いために、企業自体の力で資金調達を行い得ますると共に、一般金融機関を通じても、他に先んじて優遇されておるのでありまするが、更にこれに加えまするのに、国の産業助成政策中核体として、常に産業育成のあらゆる恩恵に浴しておるのであります。然るに中小企業は、みずからの力が、資金調達でも、又技術の水準、企業組織力など、いずれを見ましても弱体そのものでありますのに、国の助成政策はいずれも見るべきものが少いのでございます。中小企業金融を受ける機会に恵まれないのはこのためでございます。要するに、大企業に比較いたしまして極めて劣悪な経済的条件下にある中小企業が、本来的な金融以外の方法によつて賄われる部分、即ち政策によつて解決すべき部分を含めて、すべての資金需要金融機関から充足しようとするところに難点があるのでございます。従いましてこの信用度の薄い中小企業信用度を高めまするためには、その欠けている部分を、政策として国が高度の補強をする必要があるのでございます。本決議案において、信用保険法の一部を改正いたしまして、保険料の低減と保険限度の引上など、弱小企業融資受入態勢強化を強く要望されているのも、この理由にほかなりません。政府理解と英断によりまして決議趣旨が迅速に実行に移されるよう、緊急措置を要望するものでございます。  第二には、中小企業に対する資金源に関する点でございます。本決議案は、特別会計を設けて、財政資金を大幅に中小企業紐付融資を要求いたしておりまするが、至極当然のことと信ずるのでございます。試みに資金運用部資金運用実情を見まするのに、昭和二十七年六月末現在におきまして総額四千九十七億円のうちで、金融債引受の形を以ちまして産業向けに放出されておりまする部分は僅かに六百九億円でございまして、総額の約一五%に過ぎないのでございます。資金運用部資金は、元来勤労者とか或いは零細中小商工業者預金の結晶でございますから、社会公共施設或いは又このような中小企業向け資金重点を置いて活用すべきものであると考えるのでございます。特別会計の設定は本決議案中心をなしておるものでございます。政府のこれ又英断的な処置を強く要請いたすものでございます。  第三は、中小企業金融難に食い込んで、幾何級数的に中小企業を圧迫しておりますところの闇金融の取締についてでございます。現在、銀行七十五行と五百余り相互銀行信用金庫信用組合等がございまするが、これらに対しまして、近年中小企業の金詰りに付け込み、金融機関類似行為を行う夥しい高利貸的金融会社が無制限に六千八百余も続出いたしまして、金融に喘ぐ中小企業高利で苦しめ、最後の命取りをいたしておる事実があるのでございます。この実情を知りながら放置する大蔵省の無責任極まる態度を私どもは指摘せざるを得ないのであります。前国会で高金利取締に関する法律案提出いたしましたが、これらの闇金融会社を退治する方針を示しました政府は、抜打解散でこれを廃案といたしたまま、闇から闇に葬つておるのであります。政府態度は甚だ奇々怪々であります。聞くところによりますると、この高利貸的闇金融会社の社長或いは顧問等には、大蔵省出身の元公務員の人々が多数おられるという話であります。法案提出さえ遮られておるところの事柄等も、これに関係があるというような噂さえ飛んでおるのでありますが、これが事実であるといたしますならば誠に重大な問題であると考えるのであります。又曾つて池田前大蔵大臣は、ドツジ氏の勧告によりまして銀行法を改正をし、資金の公共性を発揮させるために、大口融資の規制を行い、中小企業金融の円滑を期すると発表いたしましたが、大銀行の反対に会いまして、銀行局で改正案を準備いたしながら、遂に流れてしまつた事実を考え合せまするというと、池田財政が展開して参りました方策は如何に中小企業に無情であつたかを痛感すると共に、政府の責任ある処置を要請してやまないものであります。  最後に一言申上げます。政府は、今国会において、中小企業の年末金融に関しましては、若干の配慮を公約せられましたが、中小企業金融難実情からいたしますればまさに焼石に水でございましよう。一歩を譲りまして、若しこの公約の実行において機動性を欠くようなことがありまするならば、全く名目的金融対策に終ることとなるのでございます。政府全国津々浦々に至る末端の中小企業に対しましても公平着実に効果の及びまするように、格段の努力を要請いたす次第であります。  年末いよいよあと十五日でございまするので、政府折角努力を要求いたしまして、私の賛成の言葉といたします。(拍手
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 相馬助治君。    〔相馬助治君登壇拍手
  14. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今議題となりました中小企業年末金融促進に関する決議案に対しまして賛成趣旨を表明するものでございます。  私どもの党は常に中小企業育成に関しまして不断の努力を払つて参つたものでありまして、その立場に立つて、本件に関しまして、私どもはこの際、強く政府の誠意と注意とを喚起したい諸点があるのでございます。只今栗山君も縷々触れられておりまするように、戦後日本の地方の中小都市に特徴的に現われた新たなる事態というものは、巷にパチンコ屋と闇金融業者の氾濫しておるという事実でございます。これに対しまして中小企業者は重税と金融難の面から相次いで倒産にまで持込まれて、深刻な事態を露呈しておりますことは、何人もこれを認めるところであろうと存ずるのであります。先般池田君が放言をいたしまして大臣の職を追われたそのときに、挙げて、新聞論調、雑誌その他民間の声というものが、この池田君に対して痛烈なる批判を追打ち的にかけていたという事実は、一面、又今日、中小企業対策というものが各方面において深刻な現実の問題となつて取上げられておる証左であろうと私は考えるのであります。これに対しまして政府も、最近におきましては中小企業金融の重大さに気付かれまして、いささかではございますけれども、今国会に多少の誠意を示しておりますることに対しましては、一応これを私は諒といたすものでありまするけれども、その内容たるや、前の討論者において繰返されましたように、これは焼石に水であり、やかましい世論を抑えまするところの、糊塗するところの当面の弥縫策であるということは、これ又否み得ない事実であろうと存ずるのであります。従いましてこの際、政府は、真剣に熱意と誠意とを持ちまして、正確な認識の上に立つて中小企業の実態を眺め、これに対する根本的解決に向つて努力すべきことを、我々は国民の名において政府に対して要求せずにはいられないのでございます。  私はこの際、本決議案内容の一端に触れて具体的に注意を喚起したいと思うのでありまするが、  第一に、政府は今国会におきまして、国民金融公庫資金量の増加に関しましては、増資三十億円、借入金二十億円、計五十億円を増強する提案をしておるのでありまするが、中小企業者の夥しい借入申込額、即ち六百三十億余に比しまするというと、十三分の一という誠に実情とかけ離れた数字であるということを、この際、示さなければなりません。これは実に貸付適格者の二〇%を僅かに充たす額でありまするので、政府資金運用部からの借入の途を開くか、或いは増資による方法で、これに対して誠意を以て賄うべき義務があろうと私は存ずるのであります。  次に、公庫の職員の増員と待遇の問題でございます。この公庫に関しましては、非常によい組織であり、非常によい施設ではあるけれども、金を借りるまでに一カ月も、或いは長きは三カ月もかかるのでやり切れないということを我々は聞くのであります。中小企業者にとりましては、明日の五万よりも今日の三万が有難いという事態にあることは、諸君すでに知る通りでありまするが、何が故に、かかる貸付がスムースに行われないか、その根本原因を申しまするならば、幾つも挙げられるとは存じまするが、その一つとして、職員の数が絶対的に不足しておるという事実を我々はここに示さなければならないと思うのであります。而も又この数の問題と裏腹をなしまするところの、この公庫の役職員の待遇改善の問題でありまするが、これらの人々の賃金ベースというものにつきまして我々の調査したところによりまするというと、同じ政府出資の輸出銀行或いは開発銀行等の職員の賃金ベースに及ばぬこと甚だ遠きものがあるという事実でございます。政府はこの問題に関しまして、開発銀行等は大口貸付を主としておるのであり、公庫は小口貸付であるから、当然このような結果が生じたのであるという意味合いの見解を明らかにしているやに聞いたのでありまするが、これは事実といたしまするならば、実にとんでもない認識不足であると、我々はこれを指摘せざるを得ないのであります。若しもかくのごとき理由で差を付けるのであるといたしますならば、我々といたしましては、特殊な労働と技術、それから繁雑なる窓口行政を持つところの全国公庫職員の利益を代弁いたしまして待遇改善を力強く政府に要求せねばなりませんと共に、併せて中小企業者の名において、断然その措置の非なることをここに糾弾せざるを得ないのであります。  次に、商工組合中央金庫の拡充強化についてでありまするが、その内容的なるものについては、先の討論者とダブりまするので多く触れませんが、この問題に対しましても、是非ともこの際、誠意を以て至急に本決議案趣旨に副つて改正せられますることを強く要望いたします。  次に、中小企業信用保険法改正の問題でございまするが、政府はこの際、保険料の軽減を図るべきでございます。具体的に申しますならば、保険料現行三分を一分に引下げ、七五%の保証を九〇%に引上げる。都道府県の保証協会の再保険率五〇%を七五%に引上げることを我々は要請いたしますと共に、六カ月以上の貸付保険の対象にしている現行を三カ月に引下げ、保険事故を都道府県保証協会の場合と同じ三ヶ月に改める必要があるということを、この際、要請するものでございます。  次に、政府余裕金の預託の問題でありまするが、従前この預託が、資金量に基準を置いて預託されまする関係を以て、必然的に大都市に集中される嫌いがございました。従いましてこの際、預託の方針を根本的に改めまして、地域的に公平に行き渡るようにし、取扱機関中小企業金融に熱意があるかどうかを十分に考慮して、預託目的を十分に達せしめるよう留意せられたいと存ずるのであります。先ほども討論者によつて触れられましたが、この中小企業向け預託が、ともすると大企業向けに流れ、而も又取扱機関利鞘稼ぎに終つた遺憾な事例を我々は数多く知つているものでありまして、今後かかることの絶対に起らないよう、政府は真剣にこれを監督せられたいと存ずるのであります。  私は以上の諸点に亘りまして希望意見を述べて、本案に賛成の意を表するものでありまするが、最後に与党自由党の諸君に私は一言お願いいたしたい。それは、先ほど松本昇君の討論を聞きました。誠に名演説であり、その内容とするところ御尤もであります。少くとも自由党が、松本君の述べられた趣旨をそのまま忠実に体し、今日、中小企業者希望希望とし、中小企業者の悩みを悩みとして解決するといたしましたならば、事態は急速に本決議案趣旨に副つて行くであろうということを私は確信いたすものであります。どうぞ、先般中小企業者に対して無責任なる暴言が禍いいたしまして通産大臣を追われた池田勇人君の事例を、啓蒙的なる意味において自由党の諸君学びとられ、この中小企業に対まする年末金融問題の措置に対しましては、誠意ある態度を、政府に向つて先ず諸君が率先して要求せられんことを、私はこの際ここでお願いし、且つ要求するものでございます。  以上をもちまして、私は本決議案賛成趣旨を表明いたす次第であります。(拍手
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩木哲夫君。    〔岩木哲夫君登壇拍手
  16. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は改進党を代表いたしまして、只今議題となつておりまする問題に対して賛成の意を表するものであります。  が併し、ただこの決議案は、自由党の政策の尻拭いであつてはならない。池田通産大臣の後始末であつてはならないのであります。今日自由党第四次内閣を積み上げるまでの積年の中小企業対策に対する自由党政策は、その道義上、いわゆる誠意、良心の上において、基本的に冷淡な政策に終始しておつたことは御承知通りであります。今日中小企業がかくのごとく非常に困憊いたして、数度に亘る両院決議をしても、なお政府がこれを括然としてその取るべき態度に忠実でないということは、今私が申上げましたように、誠意、道義の点に、基本的に欠くる点があるのであります。今日、日本が経済上に幾分復興いたしましたゆえんのものは、国全体、国民全体の努力といえども、特に産業復興の基盤をなしまする、大企業の基盤をなしまする中小企業が、非常な犠牲と苦労を重ねて、今日のこの産業の実態を築き上げるまでには、政府も十分この中小企業を利用し、中小企業努力によつて得るところは認めておりながら、例えば金融部面におきましても、或いは保護助成政策におきましても、その他貿易政策の上におきましても、税制の上におきましても、その他諸法令におきましても、極めてこれと反対な、即ち反対給付を行わないことに終始いたして来たことは、世人又よく認めるところであります。先の議会において自由党は、この中小企業を足手まといだと思われたか、中小企業庁を縮小抹殺せんとして非常な非難を受けて、頬被りをして今日来ているのでありますが、この間におきまして、更に池田通産大臣、池田大蔵大臣の暴言は、その本心を露呈することでありまして、特に今日、対日援助資金が債務化しようという重大なこの見返資金融資の使い先につきましても、大企業に九割以上のものを融資して、中小企業には僅かに二%か四%以内の見返資金融資も行なつていないというようなことであります。若し見返資金が債務化する場合には、再び国民の税金でこれを賄わなくてはならないが、その税金の負担する率は、中小企業が前年度において七三%を負担をいたしている。この実態から見て、実際中小企業ほど日本の現在の産業社会の部面において馬鹿を見ている業種はないと思うのであります。こうした一貫せる自由党のこの誠意の欠くる点、良心、道義に欠くる点を、我々は是非当局に、政府に改めてもらわなくてはいかない。これが又本日の決議の根本精神であらねばならんと確信いたします。  又中小企業は、社会政策上におきましても、これは取扱わなくてはならん点を我々は強調したいのであります。今日の産業構造の部面におきましても、いわゆる社会経済のこの普遍的な実情から見ましても、中小企業が町を構成し、社会を構成している。住宅の問題にいたしましても、道路の問題にいたしましても、税金の問題にいたしましても、その他労働政策の問題におきましても、すべて今日の中小企業は、勤労経済の上に立つて社会経済の中枢をなしている。中小企業それ自体は日本の基本産業の下請土台であると共に、生活経済の普遍的な実態をなしているというこの部面から見ましても、私たちは中小企業に対しては、社会主義政策的な見地から保護助成政策を普遍的に行い、公共事業的に、この中小企業に対処する政策、財政金融すべての点に心を使わなくてはならんことを、この決議に対しまして私は要望するのであります。産業政策上におきましてはもとよりでありますが、今日中小企業に、今も私が触れましたる通り、見返資金融資の部面におきましても、その他財政投資の上におきましても、銀行金融の上におきましても、極めて冷淡な取扱をして、そうしてこの信用限度を低め、金利を高め、そうして少し弱りかけても、それを助けようという、財政金融上、産業構造上に、政府は温かい手を伸ばさない。最近大企業が金が不足だと言えば、政府は財政投資、国民の税金を以て財政投資をし、なお日本国の債務におきまして外国から借款をし、或いは対日援助資金国民的負債の総額に近いものを大企業に及ぼさんとし、或いは炭鉱住宅問題のごとく、炭鉱助成をしておつて、今日炭鉱大企業がかなりの成績を挙げているのに、更にその利子の歩戻しをしようという、返還をしようというような工合に、大企業に温かい手を常に政府はとつている。やめた池田通産大臣は、日本の貿易代表者に対し、現在の五十億乃至六十億の赤字を棚上げせんとすることを密約しているということを報じられているごとく、大企業に対する熱心な救済策は講ずるが、中小企業に対して極めて冷酷無情の態度を取るということは、私は基本的に政府のこれは産業政策の上におきまして大なる誤謬であるということを指摘せざるを得ないのであります。今後貿易政策の上におきましても、或いは指導助成の上におきましても、独禁法に関する将来の考え方におきましても、すべてこの中小企業相当の心を寄せた産業育成の基本的な態度政府は根本から改めてもらわなくてはならないのでありまして、(拍手)私たちは、今日積年の自由党のかかる悪政を、今この決議によつて帳消しをして肩替りをしようというのではありません。政府は飽くまで今日の中小企業の救済に対し、積年の悪弊に対する罪亡ぼしをして、温かい手を差伸べなくてはならないのでありまして、特に私は自由党の与党各位に申上げたいことは、この冷酷無情の中小企業対策に対しまして、殊に野党は今回の補正予算に対し、中小企業にせめての年末金融、保護助成政策の修正を、案を以て、今衆議院提出せんとしておりますが。(拍手)本日のこの決議に満腔の誠意と、誠に見事なお言葉を頂戴いたしましたが、どうぞその裏腹がないように、必ずこの補正予算の野党の修正案に対して両手を挙げて賛成して頂くようにお願いする次第であります。  この点を特に附言いたしまして私の賛成討論といたします。(拍手
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 竹中七郎君。    〔竹中七郎君登壇拍手
  18. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 私は民主クラブを代表いたしまして、只今議題となりました決議案賛成するものであります。  現在の中小企業は非常な企融難に悩んでおるのは御承知通りであります。これは現在の経済組織から来る必然的なるところの運命かも知れませんが、なお政府が積極的な努力を払うことによりまして、窮状打開の途がないわけではないのでありまして、この決議案が要請しておりますような諸政策を実施することによりまして、中小企業もかなりの多くの部分が起死回生の機会を与えられると思うのであります。  先般私が、施政演説に対する一般質疑の際に、文部大臣は、大学卒業生の就職問題に関しまして、中小企業に大学卒業者を採つて頂くように話を進めておるというようなことを答えられました。中小企業そのものが疲弊因憊の状態にあつては、文部大臣の希望にもかかわらず効果は甚だ薄いのではないかと思うのであります。文部大臣は中小企業者から四百五十名ばかりの求職の申込があつたと言つて手柄話をしているのでありますが、この冬には、恐らくそれ以上の数の中小企業者の倒産休業によつて、失業者が街頭に投げ出されるのではないかと私は心配するものであります。この質問の際、私も中小企業融資特別会計を設けて、中小企業長期安定資金を供給する必要があることを力説いたしました。向井大蔵大臣は、現在のところ特別会計を設けることは考えていないという御答弁があつたのであります。併し只今趣旨説明にもありましたように、現在の信用機構の下で、中小企業資金、特に安定した資金を確保することは甚だ困難であるのであります。で、特別会計による資金放出を我々は希望するものであります。特別会計の代りに国営の中小企業銀行を望む向きもありますが、国営の銀行でありますれば、国家信用を背景といたしまして預金の吸収もできるし、中小企業は大いに恩恵に浴すると思いますが、すでに国家におきましては、郵便貯金という預金吸上機関を持つておるのであります。従つてこれを統合するような機関を別に作る必要もないと思われますから、それら吸上げた資金を適当に運用する機関といたしまして特別会計を望む次第であります。  私は又下請代金支払を円滑にするために法律措置を考えていないかと質問したのでありますが、政府はこれに対しまして答弁の用意がなかつたのであります。本決議案がこれを紐付融資その他の方法解決することを要求しているのは当然のことであります。名古屋地区におきましても、大会社が下請業者に対する支払を渋り、その上、一割の値引を要求して、下請業者は泣く泣くこれを承認したという実例があるのであります。従つてこれを紐付でもよいから融資いたしますならば、順次に資金の流れが円滑になつて中小企業、特に中小機械工業は大いに救われるものと私は思うのであります。私は更に下請企業のみならず、問屋などの下に従属しておりまする中小企業も、問屋の支払が遅延するために困つております。戦前には、親企業や問屋が中小工業に前貸その他の方法融資しておつたのでありますが、現在は逆に、中小企業が問屋や親企業に事実上融資しているという逆の形をとつているものもあります。若し中小企業等が有力になり、融資する実力を備えておるものでありますれば、中小企業にとつて慶賀すべきでありますが、真相はこれと全く逆でありまして、強者から弱者へのしわ寄せをしておるのであります。従いまして、こういう支払遅延解決されるよう、政府の積極的努力を要望いたしたいのであります。  政府中小企業金融対策といたしまして、しばしば国庫余裕金を市中銀行その他に預託されましたが、それがいずれも短期でありまして、一、二カ月先には引上げるという約束を持つものでありますので、金融機関といたしましては安心して融資ができない。然るに国庫余裕金を預託しておくことは、始んど常態に現在ではなつております。これを短期にしなければならん理由はないのでありますから、前に申上げました特別会計に切換えるなり、出資金にすることによりまして、長期の安定した資金とすることが必要であります。先般も石川県の織物業者の諸君が見えまして、短期で借りておるのを長期に振替えてほしいという陳情がありました。金融機関といたしましては、短期の貸付として借換に借換を続けて、常に業者の首根つ子を押えて行こうとするのでありましようが、政府がそれを実行するのは余り感心したこととは思われないので、これが改善を是非して頂きたいと思うのであります。  又織物業者の諸君は、特定中小企業安定に関する法律の附帯決議、即ち調整資金低利融資実行されなければ、安定法は画に描いた餅に過ぎないと言つております。先般の私の質問に対しまして、政府は附帯決議を尊重するということだけで実行を延ばされておるのであります。甚だ怪しからん次第である。今回の決議案についても、やはり時期が問題であります。鉄は熱いうちに打たなければなりません。    〔議長退席、副議長着席〕  名医も、疾病の末期にありましては、如何によい薬を投薬し、或いは注射いたしましても、もはや命はないのでございます。私は五人や十人死んでも構わないといううちに、更に多くの犠牲者が出て来るということを政府の方々はよく胸に手を当ててお考え下さいまして、本決議案趣旨を早急に実現されんことを切に要望いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手
  19. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終結したものと認めます。  これより本決議案の採決をいたします。本決議案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  20. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて決議案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)  只今決議に対し、政府より発言を求められました。小笠原通商産業大臣。    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇拍手
  21. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 我が国中小企業の地位に鑑み、その安定と振興とが極めて重要なることは仰せの通りでございます。通商産業省といたしましては、只今決議趣旨を尊重し、その金融その他につき積極的に、且つ熱意を持つて、迅速にこれが実行に努め、以て御期待に副いたいと存じます。  すでに国民金融公庫商工中金等に対する出資及び貸出の増額、政府余裕金預託額の増加並びに中小企業信用保険制度の改善等に努めて参つておりまするが、更に能う限りその拡充強化を図りたい所存でございます。本決議の第一にお挙げになりました中小企業融資のための特別会計を創設することは有効適切なる措置と考えられまするので、財政及び中小企業対策全般の問題との関連において検討、速かに成案を得まするよう努力をいたしたい所存でございます。(拍手
  22. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 向井大蔵大臣。    〔国務大臣向井忠晴君登壇拍手
  23. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 只今本院において議決されました中小企業振興に関する決議に対しまして、政府を代表して所見を申上げます。  政府は従来とも、中小企業振興の重要性に鑑みまして、種々の施策を講じて参つたのでありますが、決議趣旨をできるだけ尊重いたしまして、今後は更に積極的に施策を講じて行きたいと考える次第でございます。このため中小企業金融に対しましては、財政の許す限り積極的に財政資金を導入したいと考えておりますが、その場合、原則として現在の中小金融に関する制度を極力活用することを第一義としまして、要すればこれに所要の整備改善を加える等の措置を講じまして、中小企業金融の疏通に遺憾なきを期したい所存でございます。  中小企業金融機関の増強について申上げますと、先ず国民金融公庫につきましては、かねてからその資力の充実確保を図り、その目的の達成を努めて参つたのでございまして、今般の補正予算におきましても、その措置をいたしました。又商工組合中央金庫に対しましても、その中小企業金融における特殊性を考慮しまして、これまで種々の施策を講じて参りましたが、今般の補正予算案におきまして、一般会計からの二十億円の貸付を計上いたしております。更に政府としましては、政府余裕金の活用を通じて、中小企業金融円滑化努力して参つておるのでありますが、特に年末を控えまして、今般政府指定預金七十億円の増額をいたしますと共に、商工組合中央金庫に対しましては、日本銀行より三十億円程度の援助を行い、年末中小企業金融疏通のため百億円程度の資金措置を講じたのでございます。今後におきましても財政事情の許す限り、できるだけ政府出資貸付等の増加努力いたします考えでございます。又、資金運用部資金中小企業向け資金への活用につきましても、できるだけ最善の努力を払いたいと考えております。  中小企業信用保険制度につきましては、漸次その利用度も向上しておりまして、中小企業者信用力の補強に役立つておりますですが、なお一層の活用を促進するため、保険対象となる中小企業者の範囲の拡大、保険を付し得る貸付金の額の引上げ等の諸点について、これが実現を図りますよう、目下検討中でございます。  なお、近時大企業がその資金繰りの都合等によつて下請企業に対する支払が遅延する傾向があるやに伺いますが、中小企業に対する支払を円滑にすることは必要でございまして、企業取引銀行を通じて、手形取引の励行、支払の促進等を督励して参りたいと考えております。(拍手)(「特別会計はどうした」と呼ぶ者あり)      ——————————    〔島清君発言の許可を求む〕
  24. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 島清君。
  25. 島清

    ○島清君 私はこの際、金山の休廃止と産金政策に関する緊急質問の動議を提出いたします。
  26. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は只今の島君の動議に賛成いたします。
  27. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 島君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。島清君。    〔島清君登壇拍手
  29. 島清

    ○島清君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、我が国の金鉱山に対する産金政策を質してみたいと思うのであります。  本問題に対しましては、第十二国会以来、通産委員会のほうでしばしば問題になりまして取上げられた問題なのでございまするが、政府の怠慢と申しましようか、それとも又無能と言いましようか、結論を見ずに今日に至つているのであります。従いまして、その政府の怠慢と言いまするか、更に無能と言いまするか、それから起つてつておりまするところの我が国の金鉱山は、今や閉鎖の寸前に追込まれているのであります。私はその根柢に頗る重大なる問題が伏在していると思いまするので、あえて今日緊急質問を行う次第でございます。  政府は、昭和二十五年二月二十四日の閣議で、金鉱業の健全な復興を図るという方針を出して、金の買上げ価格を一グラム四百一円に引上げる等の処置を講じ、又本年八月より産金量の三分の一を加工用金として五百十五円の公定価格で配給することを認めたのでございますが、本施策が決定いたしますると同時に、有名な佐渡金山の休止を始め、有名無名の多くの金山が、或いは休廃し、或いは採鉱の中止をするに至つているのであります。大蔵省の一部官僚の中には、産金を無視又は軽視する意見があるやに聞き及んでおりまするが、若しそれが事実であり、その意見によつて政府の産金政策が歪められ、鉱山の今日の窮状を招来したといたしまするならば、我が国自主的経済再建を誤まるものなりと指摘せざるを得ないのであります。私は経済の自主的再建上、産金政策はおろそかにすべきでないという観点より、左の諸点について、通産、大蔵両大臣にお尋ねするものでございます。  最近における金山の休廃止並びに整理縮小の状況を承わりたいのであるが、特に貴金属管理法の改正、金管理法の制定による加工用金の価格引上前後とを比較して説明を願い、これに伴う産金量の減少について伺いたいのであります。実際に休廃や操業短縮にまで立至らなくとも、高品位鉱石の抜掘りにより、金山全体の寿命が著しく短縮されていると伝えられておりまするが、抜掘りによる鉱山への影響を具体的にお示しを願いたい。かような状態で推移いたしました場合の我が国産金並びに産金業に対する見通し、これらの事態が如何なる原因に基くものであるか。かかる好ましからないところの事態の招来に対して、事態回避のため、如何なる対策を講じて来たか。その対策が如何なる効果をもたらしたか。併せて今後の対策をお示し願いたいのであります。  次に、政府は今以て、国内産業の強制買上げを引続いて行なつているのでありますが、如何なる意図の下に強制買上を行なつているのであるか。自由経済を謳歌して、それを政策目標としておられますところの自由党政府が、依然、金に対する統制経済的施策を行なつている以上は、十分な根拠がなければならないと考えられるのでございまするが、その根拠をお示し頂きたいのであります。  政府の金に対する施策の故に生じた金山の赤字に対しては、政府が当然補償の責任に任じなければならないと思われるのでございまするが、それに対して如何ような対策を、お考えを持つておられるか、承わつておきたいのであります。加工用金価格の引上げによつて、産金業者の平均販売価格は幾らになつているのであるか。又現在の金山における平均生産原価は幾らぐらいと査定しているのであるか。この際はつきりして頂きたいと思うのであります。通産省の査定によりますと、金一グラム当りの平均生産価格は六百四十円、産金に従事する関係者としては、努力目標として六百円まで販売価格が引上げられなければ採算がとれないとしているのであります。現在の平均販売価格とのギャップをどうするおつもりであるのか。御答弁によつては、政府が業者の損失を補償しなければならないという結論が生れるのか、或いは金の全面的統制を解除をすべきであるとの結論が生れるものと思われまするので、ここは非常に重点でございまするから、慎重に御答弁を煩わしたいと思います。  次に、政府の産金対策は、産金業者の財産権の侵害というような憲法違反の疑いがあると言うて指摘をされておるのでございまするが、これに対して如何なる見解を持つておられるのであるか、承わつておきたい。  次に、現在の政府保有金並びにその他貴金属について、戦前戦後別に、数量と金額、これは帳簿価格若しくは、入手価格で結構でございまするが、その概数で結構でございまするからお示し頂きたい。  次に、戦前において百トンを越す金が貯蓄され、これが現在に引継がれていることは、大きな国家的資産であり、戦前の産金奨励のたまものとして感謝しなければならないと思います。この資産は恐らく時価に換算すると五百億円前後の再評価益が出るものと推定をされております。かかる資産は全国民に潤おうよう、特に勤労大衆の生活向上のために使用すべきであると私は信じておりまするが、今行き悩んでいる社会保障の増進とか勤労所得税の軽減などにこれを活用すべきであると思いまするが、政府はどう考えておられるのであるか承わつておきたいのであります。私が最も恐れますることは、この含み利益を温存しておいて、客観的な情勢の成熟を待つて、これを再軍備費とか軍需産業などの国民の好まない方向に使用される懸念があるので、この際、政府保有金に関する政府の意図を明確に表明されたいと思うのであります。  次に、最近の英連邦首相会議においては、一オンス三十五米ドルのアメリカ公定相場を五十二ドル台に引上げるようアメリカに働きかけるとの決定を行なつた旨、新聞は報じておるのであります。英連邦諸国を初め、フランス、ベルギーなどは強力に金価格の引上げをアメリカに迫つておるのでありまするが、日本政府態度は、民族産業を犠牲にして顧みないという隷属外交のように見受けられるのであります。この際、各国と同調いたしまして、金価格の値上を要求する意図はないかどうかを承わつておきたいのでございまするが、昨日の日本経済新聞の報ずるところによりますると、「カナダ・モントリオール、十三日発UP共同」といたしまして、「スウェーデンの元供給相で現在アトラス・ディーゼル会社社長、ストックホルム商業会議所の理事を勤めているワルター・ウエーチェ氏は、十三日、金価格の引上を予想して次のように語つた」と報じておるのであります。その要点は、「国際通貨基金が来年初め、苦境にある世界の産金業を助けるため、金価格を一フアイン・一オンス当り五十米ドルに引上げることは確実だ。私は英連邦首相会議が米国および国際通貨基金に対し、金価格引上を要請するある種の方針をたてたものと信じている」と、こういう工合に報じておるのでございまして、今や金政策重要性は、十三日の朝日新聞の社説にもそれを取上げておるのでございまして、これを要約いたしまするならば、自由党内閣はいわゆる金の強制買上をやつておりながら、而も生産コストを割るようなことで統制をしておる。池田さんは、只今中小企業金融対策決議案にもございました通り、いわゆる中小企業に冷淡にして、死ぬなら死ねと、こういう表現をいたしたのでございまするけれども、金政策に関しまする限り、政府は自由放任じやなくして、首を押えておいて、これでもまだお前生きておるのかというような態度をとつておるのでございます。従いまして只今申上げたような金山の休廃止というような結果になりまして、まさに労働問題といたしましても重大な様相を呈しておるのでございまして、どうか一つ政府はこの際、私の緊急質問に対しまして、誠意あるところの御答弁を願いまして、関係するところ非常に広汎でございまするので、政府の温かい誠意をこの壇上より明示を願いたいということをお願い申上げまして、私の緊急質問を終ることにいたします。(拍手)    〔国務大臣向井忠晴君登壇拍手
  30. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 政府といたしましては、産金量の増加を図るために、従来からも租税面等におきまして種々の対策を講じて来たのでございますが、加工用金につきましては、金融業者の採算の改善を図る意味で、貴金属管理法の一部を改正しまして、加工用金のプレミアム付き販売を行うことを認めましたが、まだそれでも足りないという声がございますので、目下研究中でございます。なお今後は、加工用金の割当量を相当増加いたす考えでございますが、又探鉱奨励金—鉱石を探るための奨励金というふうなものも、慎重研究検討をいたしたいと思つております。  それから剰余金の金の保有に対しまして、値上りがある。それの用途について御心配がございましたが、そういうことは、用途などはいずれ慎重に考えることでありまして、只今御指摘のようなことに使おうというふうな考えは持つておりません。  それから外国が値上をしました場合にどうするかということでございますが、やはり金の統制ということは当分やつていませんと、いろいろの目的に、金は商業上に使われるばかりでなく、用途の大切なものでございますので、にわかにこれを統制をはずすということはできないのでございます。値段の点につきましては十分考慮ができることと存じております。(拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇拍手
  31. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) お答え申上げます。金鉱業は国際決済手段としての重要性を今なお持つておりまするが、これが助成につきましては、諸種の税法上その他優遇措置を講じて参つたのであります。国際通貨基金の規定によりまして、価格が一オンス三十五ドル、一グラム四百五円となつて、抑制されておるにもかかわらず、最近の物価騰貴によりまして世界的に金の生産費が高勝いたしておりまするので、英連邦諸国が三十五ドルから五十二ドルに上げてもらいたいというようなことの申出で等もあり、金価格の引上を各方面で希望しておるのでございますが、未だにこれが実現しない状況にあることを遺憾とするものであります。日本におきましては、生産費は大体グラム当り六百円を超えておるのでありまして、平均六百四十円見当ではないかと存じます。なお金山は高品位鉱石の抜掘りをしておるということの御指摘がございましたが、終戦前では大体トン当り五グラムのものが、最近では七グラム、極く最近では七グラム、極く最近になりますと、十一グラムくらいでないと引合わないというようなことに相成つておりまするので、将来の金資源対策上非常に問題を起しておるのみならず、本年に入りましてからは金鉱山の休廃するものすら現われておる実情でございます。具体的に言えというお話でございましたから御参考のために申上げますると、本年六月貴金属管理法が改正されて、金管理法が制定されましたあと、休山数は佐渡の金山などを初め四つの従業員の減少は一千三百人、このまま縮小して参りますと生産減は一年一トンくらいに達するかと思うのであります。で、各国間に現在のような通貨管理が行われておりまするときに、貨幣準備としての金の価値は減少しておるとは申しながら、我が国も又国際通貨基金に加入した以上、或る程度の産金の維持と政府買上の継続は必要と言わざるを得ないのでありますが、業界の実情にも鑑みまして、政府買上値段をできる限り引上げ、且つ来年度におきましては探鉱奨励金の増額を目下打合せいたしておるのでありまするし、それと相待つて、加工用金につきましては、その放出量を増加し、でき得ればその自由販売及び価格統制の廃止を行うことが望ましいと思われまするので、目下検討中でございまして、経営の安定を通じての産金業の振興につきましては格段の努力をいたす所存でございます。  なお数字等、ここにちよつと持合せぬ分がございまするから、御必要に応じましてあとから提出することにいたします。(拍手)      ——————————
  32. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第一、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。農林委員会理事三橋八次郎君。    〔三橋八次郎君登壇拍手
  33. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 只今議題となりました衆議院議員中馬辰猪君外二十六名の提出にかかる農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案の農林委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  本改正法律案は、現行法に次のような改正を加えんとするものであります。即ち第一は、現行法におきましては、国庫補助の対象となるべき災害復旧事業は一カ所の工事費が十五万円以上のものということになつているのでありますが、これを引下げて一カ所の工事費が十万円以上のものを対象とすることとし、補助の対象を拡大して復旧の促進を図らんとするものであり、第二は、現行法におきましては、災害復旧に対する国庫の補助は、原形復旧に要する費用のみを対象としておりまして、原形復旧をなすに必要な経費を超える金額、即ち超過事業費につきましては、補助率を引下げて一般改良事業と同率の補助を行うこととなし、原形復旧と超過工事とを区分しておるのであります。併し、かような措置は理論的にも問題があり、又復旧工事の円滑な施工の障害ともなるというので、これを改めて、超過事業費に関する規定を削除し、これをすべて災害復旧事業に含めて災害復旧としての補助を行うこととなさんとするものであります。而してこの改正規定は、昭和二十七年一月一日以降発生した災害に遡つて適用することとなし、但し超過事業の取扱の廃止は、昭和二十六年以前に発生した災害によるもののうち、昭和二十七年三月三十一日現在において国の補助金の交付の未済のものに適用しようとするものであります。  委員会におきましては、提案者代表及び農林省当局との間に、災害復旧工事の促進と、これに関連して工事の指導監督の現状及びこれが刷新拡充、災害復旧に対する国庫補助の拡大、一ヵ所の工事費を十万円以下に引下げるについて、十万円と決定したその基礎、農業経営の規模と災害復旧補助率との調整、本改正法律案の実施に必要なる経費及びこれが予算措置について質疑が行われたのでありまして、これが詳細は会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、藤野繁雄君及び池田宇右衞門両君から、補助金に必要な経費予算を遺憾なく確保し、補助金の交付を簡易迅速にして復旧の促進を図るべきであるとの趣旨希望を付して賛成があり、続いて採決の決果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  34. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  35. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  36. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第二、漁船乗組員給与保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。水産委員長秋山俊一郎君。    〔秋山俊一郎君登壇拍手
  37. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一郎君 只今議題となりました漁船乗組員給与保険法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず提案理由について御説明いたします。漁船乗組員給与保険法は、第十三国会において成立し、本年六月二十五日公布になり、施行の期日は、公布の日から起算して六カ月を超えない期間において定めることになつており、その実施も目前に迫つておる次第でありますが、この際、保険金の支払期間を限定しようとするものでありまして、現在第十七条の規定では、乗組員が抑留された場合、保険金の支払は本人が帰還した日まで行われることになつておりますが、これを改正して、抑留された日から起算して六年四カ月を経過したら、それまでで打切り、その翌月からは組合保険金の支払責任を負わない旨の規定をいたそうとするものであります。これは、建前が保険でありますので、保険金の支払責任を抑留が終るまでとすることが、危険率算定に若干問題がございますのと、労働者災害補償保険法等、一般の社会保険立法におきまして保険給付に一定の期限を定めておりますこととの均衡上、漁船乗組員給与保険におきまして、保険金の支払責任について期限を定めようとするものであります。なお、この六年四カ月という期限でありますが、労働者災害補償保険法等では、保険給付を受けます者が療養開始後三年を経過してもなお負傷又は疾病が治らない場合は、打切り補償費として平均給与額の千二百日分を支給して保険給付を打切るということになつておりますので、これと均衡をとりまして、三年に千二百日を加算いたしまして六年四ヶ月という期間をとつた次第であります。  次に、その内容について説明申上げます。その第一点は、只今申上げました通り第十七条第一項に但書を加えまして、抑留された日から起算して六年四カ月を経過しても抑留が終らない場合においては、当該期間を経過した日の属する月の翌月以後は、保険金を支払わないことにしたのであります。第二点は、第十九条第一項但書中「日割計算して得た額」とありまするのを、「日割計算して得た額とし、抑留された日から起算して六年四箇月を経過した日の属する月に支払うべき保険金の額は、当該内訳保険金額をその月における当該期間を経過した日までの日数に応じて日割計算して得た額とする。」ことに改めたのであります。以上がその内容の大要であります。  本法案は本月十二日の委員会におきまして慎重審議を重ねましたものでございまして、その質疑応答の内容の詳細につきましては速記録を御覧願いたいのでありますが、その主なものを申上げますると、この漁船乗組員給与保険法の実施は、必要経費として補正予算の成立を待たなければならない関係上、若しこの法律の施行期日の最終日である来る二十四日が参つても仮に予算が通らないような場合にはどうなるかということに対しまして、やはり予算が通らない場合には施行の期日を変えて行かなければならないというような答弁がありました。  次いで質疑を終り、討論に入りましたところ、松浦、千田、木下辰雄の各委員から、拿捕抑留の危険が多い現在の情勢にあつて漁船乗組員給与保険法の実施が遅れていることは極めて遺憾である、急速な実施を要するこの際、一日も速かに安心して漁業者が操業出来るよう、その実施を急がれたいとの要請があり、なおこの先、拿捕が頻頻として起つた場合、その施行が遅れているためにこの保険の適用を受けられないというようなときには、政府は他の方法で救済するというような措置を講ぜられたいとの希望を述べて賛成の意を表されました。  かくて討論を終結し、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  38. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  39. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。  議事の都合により、本日はこれにて延会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、中小企業金融促進に関する決議案  一、金山の休廃止と産金政策に関する緊急質問  一、日程第一 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第二 漁船乗組員給与保険法の一部を改正する法律案