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1952-12-03 第15回国会 参議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月三日(水曜日)    午前十時四十七分開議     —————————————  議事日程 第七号   昭和二十七年十二月三日    午前十時開議  第一 在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第二 昭和二十六年度参議院予備金支出の件(委員長報告)     —————————————
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。     —————————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。川上嘉市君から病気のため会期中請暇の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。外務委員長徳川頼貞君。    〔徳川頼貞登壇拍手
  6. 徳川頼貞

    徳川頼貞君 只今議題となりました在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  本案政府側説明によりますと、すでに第十三回国会におきまして、在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律が制定せられ、昭和二十七年度におきまして大体において設置する見込があると考えられました在外公館限つて法律として制定せられたのであります。その後相手国との交渉により七在外公館即ち在中華民国日本国大使館、在ジャカルタ、在ラングーン、在ヘルシンキ、在ロンドン、在プレトリアの各日本国総領事館及び在りマ日本国領事館増置する必要が生じましたので、外務省設置法第二十四条第二項の規定により、在外公館増置令を以て、これら在外公館増置せられました。これに伴い、これら在外公館に勤務する外務公務員に支給する在勤俸支給領を定めるため、在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律第九条の規定に基き、在外公館増置に伴う在勤俸の額の設定に関する政令が制定せ基ぎ、最近の国会たる本特別国会において、在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する必要があるわけであります。  今次増置されました七在外公館のうち、実質的に新設と見られるものは、在ヘルシンキ総領事館のみでありまして、在中華民国大使館既設在外事務所大使館に発展せしめたものであり、在ジャカルタ、在ラングーン、在プレトリアの三総領事館は、法律上すでに設置された大公使館を、外交関係総領事館として発足せしめたものであり、又在リマ領事館も法制上設置するにとどまるものであります。又これら在外公館に勤務する外務公務員に支給する在勤俸に関しましては、在ヘルシンキ総領事館については、既設在外公館分について算定したと同じ方法で算定いたし、それ以外の六在外公館については、在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律制定の際、すでに審議いたしたものと同一内容のものであります。  外務委員会は、十一月二十七日及び十二月二日の両日に亘りて審議を行い、討論の際、社会党第四控室岡田宗司委員より、原案中、在中華民国日本国大使館に関する項目を削除する趣旨の修正案提出されましたが、採決を行いましたところ賛成者少数にてこれを否決いたし、次いで原案について採決を行いましたところ、多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。     —————————————
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、昭和二十六年度参議院予備金支出の件を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。議院運営委員長寺尾豊君。    〔寺尾豊登壇拍手
  10. 寺尾豊

    寺尾豊君 只今議題となりました参議院予備金支出の件について御報告いたします。  ここに御報告いたします参議院予備金支出額は、昭和二十六年度に属する分百三十五万一千九百九十二円でありまして、昭和二十七年度に属する分につきましては、未だ支出いたしておりません。而して昭和二十六年度予備金予算領は五百万円でありまして、このうちすでに第十三回国会において五十一万六千円の支出につき、御報告の上承諾を得ておりますから、それを合せて百八十六万七千九百九十二円が支出済となり、従つて差引三百十三万二千八円が予算残額なつたわけであります。  前回御報告の後、支出済なつた金額の内容を申上げますと、在職中死亡せられました議員の遺族に対する弔慰金として八十五万二千円及び特別委員会等に対する一般経費不足補填のための食糧費として四十九万九千九百九十二円の以上二件であります。  なお、以上の支出については、いずれも議院運営委員会の承認を経たものでありまして、国会予備金に関する法律第三条の規定によりますと、常会の初めに議院報告して承諾を求めることになつておりますが、先般の常会におきましては、衆議院解散等のためその機会を得ることができませんでしたので、今日ここに御報告申上げる次第であります。  御審議の上、御承諾あらんことを希望いたします。(拍手
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本件採決をいたします。  本件を問題に供します。本件は、委員長報告通り承諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて本件は、承諾することに決しました。      ——————————    〔吉川末次郎発言許可を求む〕
  13. 佐藤尚武

  14. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私はこの際、情報機関設置に関する緊急質問動議提出いたします。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は只今吉川君の動議賛成いたします。
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 吉川君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。吉川末次郎君。
  18. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は緊急質問をいたしますのにつきまして、吉田内閣総理大臣並びに緒方官房長官木村保安庁長官及び岡崎外務大臣答弁をして頂きたいのでありますが、かねてそのような申入れをいたしておいたはずでありますが、本日この議場には、内閣総理大臣外務大臣も御出席がないのでありますが、議長はそうした私の申入れの御処置を、かねて願つたのでありよしようか。そういう御処置を是非この際おとりを願いたいのでありますが、御答弁を先に得たいと思います。
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) お答えいたします。  要求大臣のことについては、議長は承知いたしておりました。が併し、その問題につきまして、首相並びに外務大臣は或る時間を限つて、登院ができないということにつきましては、今朝の議院運営委員会において説明を申上げまして、了解を得ております。従つて只今は、吉川末次郎君の発言を求めるわけであります。
  20. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 後日更に、内閣総理大臣及び外務大臣等答弁を促すとこころ機会を得たいということを申上げまして、それでは議長の命によつて登壇さして頂きまして、発言をいたしたいと思います。    〔吉川末次郎登壇拍手
  21. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は議長から御許可を得ましたので、情報機関設置の問題につきまして緊急、政府当局に御答弁を促したいのでありますが、かねてこの問題につきましては、衆議院の本会議におけるところ重光改党総裁質問に対するところ答弁において、又一昨日の衆議院予算委員会における星島二郎議員質問に対するところ緒方官房長官答弁。先の改進党総裁に対する答弁吉田内閣総理大臣。それらは、私は速記録で一応了承いたしているのであります。又緒方官房長官は、新聞記者との会見におきまして、いろいろそれについての内容ついても、或る程度までこれを御発表になつているのでありますが、一応それらのことはすべて了承いたしておりまする建前において、更に掘り下げて、それについての具体的な内容をば、我が参議院議場を通じて国民の前に一つ内閣総理大臣或いはその代理者であるかたから明らかにして頂きたいということが、質問の第一点であります。で、先に申しました、いろんな今まで明らかにされておりまする緒方さんの言うところによりまするというと、この情報機関というものは、来年の一月から発足するようにしたい。又我々の手許に提出されておりまするところのこの補正予算の中には、その費用が、もうつなぎ予算として一部繰入れられているということが言われているのでありまするが、その領は何ほど計上されているのであるか。又そういう処置をとられたところ法的基礎はどこにあるのであるかということ、及びこの来年度からのそれに対するところ経費というものは、年額三億六千万円であると言われているのでありまするが、そのように了解してよろしいかどうか。こういうことについて先ず御答弁が願いたい。  次に、こういう機関設置するということになりますれば、これは当然新らしいこの設置に関する法律が制定されなければならないと思われるのであります。政府もそうした考えがあるということをば発表しておいでになるのでありまするが、果してその通りでありかどうか。ここで新らしい設置に関するところの法案は、然らばいつ御提出になるのであるか。それは当然、私はこの国会に提案さるべきものであるし考えるのであります。その時期、それからこの提出さるべきところ情報機関設置に関する法律案内容というものが、どういう具体的なものであるかということを、今日まで決定したる事項について、この際明らかにして頂きたいということを申上げたいのであります。  第三番目に、先に引用しましたところのこの吉田総理大臣重光総裁に対するところ答弁の中におきまして、この情報機関というものは広報機関であつて国民国際情勢を広報するものであるということを言つておられるのでありますけれども、緒方官房長官の言によりまするというと、それは単なる国際ニュース収集、分析、整理の機関であつて、又外国に対するこころ宣伝だけは行うけれども、国内に対するところ宣伝広報機関ではないとおつしやつているのであります。そういたしますると、この吉田内閣総理大臣緒方総理大臣との間には、明らかに右の点の意見の食い違いが見られるのでありますが、これはどういうわけなのでありましよう。緒方総理の言によりまするというと、吉田総理は何故あんなことを言つたのか自分にはわからない。こういうように、まあ新聞記者に言つておられるのでありまするが、吉田総理重光総裁に答えられたことをぱ緒方さんは否認せられるのであるかどうかということを、この際明らかにして頂きたいと思うのであります。以上がその機関具体的内容を明示して頂きたいということに対するところの私の質問でありまするが、第二番目に、この機会にお尋ねいたしたいと思いますることは、これについて政府がこの各種のすでに存在しておりますところ機関との間の関係をどうお考えになつているかということであります。岡崎外務大臣から御答弁を願う事項が多いのでありまするが、大臣出席になつておらずに政務次官がいられるようでありますが、政務次官でも私は辛抱いたしますけれども、即ちこの政府が所期いたしているところ国際情勢についてのこの各国のラジオ放送そのほかの報道収集して、これを分析し必要な各方面に伝え、又我が国の真相をば海外に伝えるということが、この機関仕事であるとせられているのでありますが、こういう仕事は、総理庁調査室仕事であると同時に専ら外務省当局の担任をいたしておりますところの私は当然の重大な任務であらねばならんと考えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)軍事占領下におきましてのことは暫く私は今問いませんが、講和条約も効力が発生して、日本が独立国となりましたその後におきましても、こういう仕事外務省は果してやつておるのかおらないのか。外務省一つの局として情報文化局というものがあるのでありますが、(「予算がなくてやれないのだと呼ぶ者あり)その機構はどうなつておるか。現に何の仕事をそれはしておるのであるか。(「させないのだ]と呼ぶ者あり)今この議席から起りましたやじにありますように、今までの予算では十分でない。こういうようにいたしましたならば、我々は国会がこれを承認いたしまして、その経費額を増額いたしました場合において、緒方長官の言われるところ国際情報機関の役割というものは、その外務省情報文化局で果すことができるかどうかということを、これは外務当局から、一つ考えを承わりたいのであります。なお有力新聞報道するところによりますというと、岡崎外務大臣は剣もほろろ態度で、この総理官房長官の現に計画しておるところのこの国際情報機関設置については、反対であるということが伝えられておるのでありますが、果してそうであるのかどうか。これは外務大臣、おりませんけれども、外務当局としての、政府委員だけの考えだけでも言つてもらつて結構であると思います。又こういうような計画吉田首相緒方長官が構想せられておるということは、既存の機関、殊に外務省の職務怠慢の結果起つて来た問題であると。こういうように、外務省は批判を浴びておるのでありますが、これについての外務省当局見解はどうであるかということをぱ聞かして頂きたいのであります。(「側近政治だ」と呼ぶ者あり)なお外交上、この情報収集について一番必要なことは、いわゆる極秘の情報というものをばいち早くキャッチして、そうしてこれを利用するということでなければ私はならんと思うのであります。そのためには、当然にこの在外公館駐在員が敏腕なる手腕を発揮することに待つのほかはないと思うのでありまするが、然るにこの政府の本計画によりまするというと、短波によつて、ありきたりの誰でも知つているような一般ニュース収集するというだけにとどまつておるのでありますが、そんなことで、果して外務省は満足しておるのかどうかということも一つ答えて頂きたいのであります。次には、これは緒方さんから答弁をして頂いて結構でありますが、即ちNHKとの関係であります。NHKは毎日、今日でも海外放送を数回やつておるのでありますが、この情報機関でこしらえたところニュースを、緒方さんの言によるというと、海外に放送するときは、やはりNHKを通じて行う。こういうように言われておるのであります。ところNHK現行放送法によりまして、そのニュースを採択、利用するについての編集の自由というものを、法律上確保せられておるのであります。これによりまして、NHKがその政府が提供いたしましたところニュース、即ち御用ニュースであります。その御用ニュースを放送することをば、NHK言論機関としての権威を失墜するという建前において、政府に対してこれを拒絶いたしました場合においては、その場合政府はどういう処置をおとりになるのであるか。私は必ずや、NHKに対するところ政府圧迫の手が、そのときには伸びて来ると思うのであります。(「その通り」、「そんなことはない」と呼ぶ者あり)たとえ緒方長官が、言葉通りこれをやらんというようなことを言つていらつしやる、そのままを私たちは信用いたしましても、緒方長官以外の役人が、必ずそういう圧迫をば言論機関放送機関に対してするということは、私は十分考えられるのでありまして、これについての御処置を、この際一つ承わつておきたいと思うのであります。第三番目に伺いたいことは、世間に、これについて盛んに言われておりますが、これが言論統制になるということに対する、このことについて政府の御見解を承わつておきたいのであります。一昨日星島委員質問に対しまして、緒方長官は、速記録を見まするというと、「いわゆる情報機関の問題につきまして、政府が何か官製のニュースを流して、それによつて戦争中行われておつたような言論報道統制をやるかのごとき誤解があるようでありますが、政府といたしましては毛頭そういう考えは持つておりません」。と言つておられるのであります。それでそういう考えが、果して誤解であるか正解であるかというようなことは別問題といたしまして、こういう情報機関をこしらえようというところ計画発意者か、戦時中の情報局総裁同盟通信の社長である限りにおきましては、その顔触れからして、国民一般疑惑の目を以つてこれに対するということは、これは当然のことであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)戦時中、嘘八百のニュースを提供され、馬鹿々々しいあの言論統制によつて、どういうことがもたらされた、かという記憶は、まだ国民の間に生々しいのでありますが、(「そうだ」と呼ぶ者あり)その責任の当事者に対して、それを計画することに暗い危惧の念を持つということは、私は必然であると考えております。(「その通り」「国民を甘く見るな」と呼ぶ者あり)大体ニュースが作られるときには、その事実の取捨選択について、当然に、このニュースを作ります者の主観がそこに入つて来るということは必然であります。従つて緒方さんが言われるように、事実ありのままの無色のニュース、色のないニュースなんていうようなものは、これは科学的の考察の下においては存在し得ないはずであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)世間がこれを以て、吉田内閣党利党略のためにするものである。秘密警察復活である。戦時中の情報局同盟通信社復活である。言論統制復活であると考えますることは、誠に当然の見解であると思うのでありますが、政府は、これらの疑惑に対して、どのように考えていられるかということの御所見を承わりたいのであります。  第四番目に又答弁を促したいと思いますることは、私は考えまするのに、この情報機関設置目的として政府が言つておられまするところの、政府の正しき意思を内外に知らしめるということは、これは政府当局者が、新聞記者言論機関と十分に提携協力されるということの実を示されること、特に内閣の首班であるところ総理大臣が、その先頭に立つて、こうした言論機関との協力を図られるということこそが、その効果を生むところの私ほ最大の道であると考えるのであります。ところが、吉田総理大臣平素言論機関に対するところの心がまえというものは、それに副つていない。むしろ総理大臣言論機関に対するところ態度をお改めを頂くということ、(「コップで水かけたよ」と呼ぶ者あり)改めて頂くということこそが、むしろこんな機関設置するよりも先に必要なことではないかと考えるのであります。(拍手、「その通り」「アメリカはどうだ、アメリカではにこにこと撮らしている」と呼ぶ者あり)首相は、常に新聞記者との会見を回避して、国会におきましても、今日のように私が出席を要求しても、ここに出て来ておらんではありませか。いつも議員質問に対して、木で鼻をくくつたような、訳のわからない短い答弁をわざとするところ態度に出たり、(「その通り」と呼ぶ者あり)そのような態度を持しながら、こういう特別の機関を作ろうということは、誠に奇怪千万なことであると私たち考えなければならんと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)なお、すべて省略いたしまして、もう一つお尋ねいたしたいことは、この広報機関、或いは情報機関設置というものは、憲法改正、再軍備のための準備工作として「そこそこ」と呼ぶ者あり)国民思想のいわゆる善導、否、我々から見まするならば、これは非常なる悪導をするための、言論統制として行われるものであるという見解についてであります。新聞もこれを憂えて言つております。(「デマのでつち上げだよ」と呼ぶ者あり)左派の社会党諸君も、このように見ておられる。我々も又同様の危惧の念を持つものでありまするが、これに対するところ見解を、この際明らかにして頂きたいと思うのであります。  で最後に、この機関設置目的というものは、共産主義諸国動きを十分に知りたいということであるということを政府当局も言つておられるのでありますが、私は閣僚諸君が、そのためには共産主義理論に対するところの十分な理解を持たないで、ただそれから派生して来るところ現象形態のみのニュースの捕捉に、どのように努力せられましても、本当の共産主義政治勢力動きというものを私は理解することは絶対にできないと考えるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)共産主義は、言うまでもなくマルクス主義基礎理論とするところのものであり、それは近世におけるところ一大フィロソフィーであり、又一大体系を持つているところの、又偉大なる社会理論であります。それに賛成するにもせよ。それに反対するにもせよ。これが理論的把握なくして、吉田さん一派の諸君のように、ただ反共々々と、それを一枚看板にいたしまして、無暗に共産主義者を弾圧しましても、(「政策じやないそれは」と呼ぶ者あり)それはバイブルの一節も読まないで、徳川幕府の無智なる役人どもがキリスト教徒をば迫害いたしましたところの、あのキリシタン・バテレンに対する徳川幕府弾圧策と同じような、吉田内閣の無智の表現そのもに私はほかならないと考えるのであります。(拍手)(「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり)共産主義諸国外交的、政治的動きを知りたいことが、この情報機関設置一つ目的となつておりしたならば、先ず何よりも吉田内閣総理大臣はじめ、ここにいらつしやるところの自由党の閣僚諸君が、マルクス主義理論のABCから勉強せられるということのほうが(拍手、「異議なし」と呼ぶ者あり)先に必要であるということを、失礼ながら思うのであります、これに対する緒方さんの御見解はどうであるか。(「そんなことは答弁無用」と呼ぶ者あり)総理大臣にも聞きたいのでありますが、緒方さん、そこに居並ぶ木村さん、そのほかの閣僚諸君から、これに対する見解を承わりたい。最後木村長官に対しましては、今申しましたことに対する答弁と共に、この情報機関設置については、木村さんは特に御熱心であつたということが、一報道せられておりますので、その御熱心なるところ設置に関する木村さんの御意見、これを併せてこの機会にお漏らしを願いたいと思います。私の質問は、一応これで打切ります。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  22. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えをいたします。最初に申上げまするが、政府では言論報道統制というようなことは、毛頭考えておりません。(「統制になるのだよ」「だんだんなるよ」「心配するな」と呼ぶ者あり)新らしいいわゆる情報機関と呼ばれておりまするものは、まだ実は政府考えが固まつていないのでありまして、(「固まつてないものをなぜ予算に出した」と呼ぶ者あり)今日のところは、私のいわば個人の考えであります。ただ私の構想といたしまして、これを現在総理府にありまする調査室の所属にいたしたいという考えを持つております。予算のことについてお話がありましたが、これは新らしい情報機関予算では、ございません。今の調査室予算、それを補正予算の中に六百五十万円盛つております。(「同じことじやないか」と呼ぶ者あり)従いまして、法律案を今立案するまでに行つておりません。又この問題につきましては、相当輿論も考え、練りに練らなければならないと考えております。(「情報局総裁の二の舞をやつちや駄目だ」と呼ぶ者あり)それからNHKが、若し政府意思に反対した場合に、NHK圧迫するのではないかというお話がありましたが、まだ今申上げましたように、すべて私だけの構想で、閣議に一度もかけていないような状態でありまするが、ただ仮説の話といたしまして、私は政府はそういうNHK圧迫しなければならんような情報を、そとに放送しようという意思は全然持つておりません。(「現にやつているじやないか」「日曜娯楽版はどうしてやめさせた」「嘘を言つているじやないか」と呼ぶ者あり)言論報道統制につきまして、私が過去におきまして情報局総裁をしておつたことを御引用になまして、それが将来更に言論統制をするのではないかという御心配をお縛ちになつたようでありまするが、私はそういう考えを毛頭持つておりません(「反省しようとしていない」「現にやつているじやないか」「又戦争犯罪やつちや駄目だよ」と呼ぶ者あり)それから憲法改正或いはいわゆる思想善導というようなものの指導を、この機関を通じてやろうとしておるのではないかと。私は政府国民思想を善導するということは、政治の面を通してする以外に、いわゆる言論を通してやるということは不可能であると考えております。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つて私は「そういうふうなうな意思を持つておりません。(「道義の高揚、あれは何だ」と呼ぶ者あり)  それから今私の構想として持つておりますのは、いわゆる国際ニュース、それを昨今は飛行機が縦横に飛んでおりまして、ヨーロツパの果ての発行物も、極めて短い時間に取寄せることができますし、又放送も世界中に非常に無数放送されておりまする、その情報を集めることも可能でありますので、その国際ニュースによりまして、世界の動きが現在どうであるかということを確かめまして、それを政府施策の参考としたいと思つておりますので、それび或いは憲法改正という予備工作になるというふうに私は考えておりません。(「そんなことは民間にやらせろ」と呼ぶ者あり)  以上お答え申上げます。(拍手)    〔国務大臣木村篤太郎君登壇拍手〕    〔「大本営発表」「保安庁発表」と呼ぶ者あり、笑声〕
  23. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 閣僚がマルキシズム理論の研究はなおざりにしておるのじやないかというような御講論であります。少なくとも私は、多少マルキシズムについては研究しておるつもりであります。更にマルキシズムの理論的発展としてのレーニズム、スターリニズムについては、我々はこれに力を入れて研究しておる次第であります。(「弁証法はどうだ」と呼ぶ者あり)  なお情報機関設置に関しましては、御承知の通り現下の国際情勢が非常に複雑になつております。従いまして、各種の国際、国内情報収集して、その正当なる情報国民に周知せしむるということが、私は必要であろうと考えております。その意味において、私は緒方構想については賛成しておるのであります。(拍手
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 内閣総理大臣及び外務大臣答弁は、留保されました。    〔「次官、答弁しないのか」「政務次官で我慢すると言つておるのだよ」と呼ぶ者あり〕     —————————————    〔栗山良夫君発言許可を求む〕
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 栗山良夫君。
  26. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私はこの際、中小企業年末金融に関する緊急質問動議提出いたします。
  27. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は只今の栗山良夫君の動機に賛成いたします。
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 栗山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。栗山良夫君。(「大蔵大臣はどうした」と呼ぶ者あり)大蔵大臣につきまし」は、今出席を促しております。栗山君の登壇を求めます。    〔栗山良夫君登壇拍手
  30. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は、いよいよ師走を控えまして苦悶をいたしておりまする中小企業者の立場を代表いたしまして、年末金融に対する政府の積極的且つ具体的な施策が奈辺にありやをお伺いたしたいと思うのであります。  私は一昨日名古屋へ旅行をいたしたのでありますが、そのときガラス工業を営む一中小商工業者の社長が、十一月三十日を以てどうしても炉の火を落さなければならん窮境に追い込められて、四十名の従業員諸君の一斉餓首を断行せざるを得ないという窮境に立つた場面を拝見いたしたのであります。幸いにいたしまして、この企業は、部分品を供給いたしまする殆んど同程度の相手の中小企業者の社長の心からなる同情と努力によりまして、三カ月に亘る賃金不払の金額のみをやつと緊急調達いたしまして、百万円を若干超すところの金額の調達をいたしまして、細々ながら炉の火を落さないで経営を続けることになつたのであります。こういうような誠に従業員諸君が涙を以て、その百数十万円の手当をしてくれました相手の社長を擁して泣いておりましたが、こういう事態が全国の随所に私は現われておるのではないかと思うのであります。実は昨日、全国商工団体連合会全国拡大理事会の代表の諸君三十名が、自由党の民主化同盟の諸君にお会いになられまして、池田通産大臣の首をよく切つてくれた。衷心感謝に堪えないという感謝状を出されたということであります。(拍手国会は最近陳情が甚だ多いのでありまするけれども、かような感謝状の意思表示せられた例は、私未だ曾つて耳にしないのであります。(拍手)池田通産大臣が、この中小企業者の意向と全く相反する言明を行いまして、みずから墓穴を掘つて退陣をせられたのでありまするが、このことは直ちに通商産業大臣の退陣と、私ども軽く見逃すわけには行かないのであります。これこそ、まさに自由党の中小企業政策の退陣でなければならんのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)吉田首相は施政方針演説におきまして、中小企業の金融制度を強化をいたし、更に財政資金の積極的な投下を行いまして、企業の育成に努めると。こう言明せられたのであります。又大蔵大臣は、更にこれを具体化せられまして、国民金融公庫或いは商工中金への資金の供給を確保いたします。更に中小企業信用保険制度り強化或いは又信用保証協会の育成強化等をいたしまして、中小企業を守ろうと施政演説をせられたのでありまするけれども、その施設演説の内容たる尺如何に貧困なものであつたかは、この池田通産大臣の言明によつて証明せられておるのであります。そしてかような考え方、かような状態を以ていたしましては、恐らく年末を控えまして、全国各地に中小企業の倒産相継ぐものと見なければならないのであります。私は間もなく本院におきましても、中小企業に対する相当具体的な、積極的な超党派の決議がなされるであろうことを想像いたすのでありますけれども、これを待つことができなくして、政府の所信を質すゆえんのものは、ここにあるわけであります。  大体中小企業という概念がはつきりいたさないのであります。特に私どもあ持つておる資料を以ちますると、昭和二十二年に一応完成されました資料によつて、中小企業のことをいろいろ論じて参つたのでありますが、最近の調査によりますと、昭和二十六年度におきましては、中小企業者といたしまして二百人に満たない百九十九人までの従業員を擁しておるところの中小事業は、八一・五%になつておるのでありまして、従つて大企業は一八・五%となつております。これは昭和二十二年の二百人以上の大企業が二五・二形であつたことを考えますというと、更に企業が零細化しておることを示すのであります。昭和二十二年には二五・二%が大企業でありましたのが、昭和二十六年になりますと、一八・五%に低下をいたしておるのであります。それだけ企業が零細化をいたし、そうして企業力が低下しておることを示すわけであります。  かような状況にありまして、更に私どもの一番心配いたしておりますることは、東京の手形交換所の不渡手形の実情を調べてみまするというと、今年十月におきまして、一万七千三百五十二枚、平均五百六十枚を数えておるのであります。昨年の十月は四百四十枚で、ございまし有昨年の十二月は一方六千四百八十六枚、一日平均五百三十枚でございましたから、昨年の十二月よりも、今年の十月のほうが不渡手形が多いということを示しておるのであります。更に月を越えまして、十一月になりますというと、一日平均七百七十五件、昨年は十一月五百六十六件でございましたから、まさに五割も増加をいたしておるのであります。十二月になりまして、果してどのようなことになりまするか。この一事を以ていたしましても、如何に中小企業の諸君が困難を極めておるかがわかるわけであります。  そこでかような困難な状態がどこから出ておるか。私は第一に挙げなければならんことは、貿易市場の減退であろうと思うのであります。本年度十一億ドルに及ばないであろうと言われておるところの輸出の状況を考えてみまするときに、如何に中小企業者が一生懸命に合理化に努め、そうして生産の増強をいたしましても、今日のような状況を以ていたしますならば、中小企業の前途は誠に暗港たるものであると言わなければならないのでございます。  従いまして、今日の年末金融の問題とは別個ございますから、いずれ又地日の機会に貿易政策につきましては、政府の所信を質して行かなければならんと思うのであります…  更に国内の方面に目を転じます場合には、賦質力の減退でございます。私は只今繊維品の小売市場が非常に混乱をいたしておりまするが、終戦後今日まで、まだ冬物の小売最盛期でありまする十一月の途中におきまして、その衣類の小売販売値段の価格札が、途中で投売りのようにして書き変えられた例を見たことがないのであります。今日関西方面の市場へおいでになればわかりますが、洋服の生地等はすでにヤールにおきまして二割、二割五分ぐらいの値引の正札に書き変えられておるのであります。こういう工合にいたしまして最盛期にもかかわらず換金運動が行われ、投売りが行われておるということは誠に由々しい例であります。こういうようなことを放置いたしまして、中小企業の安定はない。併しこれらの購買力の減退は、最も中小企業の購買力の源泉である勤労者の諸君の賃金の引上げを政府みずからが拒否し、そうして労働争議におきましても、電産、炭労を中心とする大企業の争議もいつ解決するかわからないのに、漫然としてこれを見送つておるところ政府の責任に帰さなければならんと思うのであります。  かようにいたしまして国内の購買力も一様に伸びていない。そうして而も企業を考えまするときには、大企業がどんどん中小企業を圧迫いたしおるのであります。その例を一つ挙げまするならば、今日軍需生産等を中心にいたしまして、大企業への注文が出されておるのでありまするが、試みに一つの例をとりまするならば、単価の切下げが強力に中小企業を圧迫いたしております。昭和十四年に十七銭ぐらいでできました品物が、今日八円十銭ぐらいの単価で下請をせられておるのでありまするが、これ適正に見まするならば、五十一円程度の価格でなければならないのであります。更に順送り生産と申しまするか、過日百五十五ミリの榴弾砲が二十四ドル程度で注文を受けておるのでありますけれども、かような出血受注をいたしまするために、その大企業がみずから引合わないような部分品の製造に当りましては、第一次の下請にこれを廻し、第一次の下請は、更にそのうちの引合わない部分を第二次の下請に廻す等々いたしましてここに漸次弱小企業に大企業の圧力が加わつてつておるのであります。従つて自由労働者は、一日二百四十円の単価になつておりまするけれども、中小企業の最も悪い部面に至りますると、十七歳で、弁当持ちで一カ月二千円程度の収入よりないことは、これは少い例では、ございません。かような工合に中小商工業というものは極めて圧迫をせられておるのであります。更にこれらの問題を解決いたしまするためには、畢竟するところ、金の問題に関係をいたして来るのでありますが、金融棲関は大企業中心であり、大企業に対しまして大銀行は快く融資に応じておるのでありまするけれども、中小企業に対しましては殆んど見向きもされないような状況にあるわけであります。従いまして中小企業を専門とするところの金融機関に対しまして、政府は積極的な助成をしなければならないわけであります。銀行の中小金融を促進することが必要でありまして、なかなか困難でありまするけれども、どうしてもこれを行わなければならないわけであります。今日預金は、殆んど全部が大銀行に集中しておるのでありまして、而もそうして集められた大銀行の預金というものは、中小企業には信用が薄いためなかなか貸出されない。現在の預金の残高は、大体三百十億円ぐらいに達しておるのでありますか、これによる中小企業に対する貸出は、僅かに百二十三億円、預金の三分り二は、これを本店に移しまして、中小企業でなく、大企業へ流しておるというような実情にあるわけでありまし、従いましてこれらの問題等を考えましたときにも、どうしても中小企業に対するところの積極的な金融対策を講じなければならないと思うのであります。  そこで私は、以上の観点からいたしまして政府に対してお伺いをいたしますることは、年末資金といたしまして中小企業向けに、少くとも百億円程度の政府の指定預金をする必要があろうかと思うのであります。而もこの指定預金は、全国各地に公平に配分をせられ、又各業種に対しましても極めて厳正に配分をせられなければならない。従来の例によりますると、こういうような預託金は、ややもいたしますると末端の中小企業まで及ばずいたしまして、途中でトンネルをされて、鞘稼ぎに利用せられた例が多いのでありまするから、本年こそはさようなことのないように、具体的な政府意思を表明せられたいということであります。  更に第二といたしましては、先ほど申上げましたように、今日の中小企業の相当の部分が金融で困つておりますことは、大企業から中小企業への下請系統による支払が非常に悪いことでございます。注文を受けましてから、納品検査を終りまして納品をいたしますのに三カ月、更に百日以上の手形をもらいまするのでありまするから、決済をするまでに六カ月以上を要する。そういうような金のしわが、年末を控えて殺到して来るわけでありますから、ここで政府といたしましては、大企業の中小企業向けの支払を促進いたしまするために、日銀より低利の別枠資金を市中銀行に貸付ける必要があると思うのであります。これらにつきまして、政府はさような考えを持つておいでになるかどうか、又断行せられる用意があるかどうかを承わりたいのであります。  第三には、国民金融公庫の年末貸出しを促進いたしますために、同金庫の財政資金を大幅に放出せられたいということであります。私どもの聞くところによりますと、三十億円が一応補正予算に予定せられておるようでありますが、更に七十億円程度を増加いたしまして、この際、是非とも百億円程度の財政投資をせられたいのでありますが、これに対するお考えは如何でありますか。  第四といたしましては、商工中金に対しまして、これと同様に百五十億程度の私どもは出資を是非とも願わなければならん。今日の商工中金ば債券を主といたしておりますために、資金源が少いと同時に金利が非常に高いために、中小企業を真に救う途とはならない面があるのであります。従いまして政府みずから郵便貯金等によつて集めましたところの金を投入せられまして、そうして是非ともこれを行われたいと思うのであります。  第五には、地方自治体の財政余裕金等々を併せまして、是非とも各地方における信用保証協会を通じ、商工中金、国民金融公庫と同じように相当な資金を預託せられまして、各地方において県或いは市の信用保証協会の責任におきまして、地方の中小企業家が十分にその恩恵にあずかるような施策をせられたいと思うのでございます。  以上の点につきまして政府の所信を伺いたいのでありますが、最後に一言だけ申上げておきます。今日一番問題になつておる、私どもが財政資金を中小企業に投入しろというその考え方の根拠というものは、政府で集めましたところの金、即ち資金運用部資金を中小企業向けの資金といたしまして活用する必要があるのでありますが、これは現在金融債引受の形で産業に放出されておりますが、その領は本年六月末におきまして六百九億円、全資金の一五%に過ぎないのであります。これはもともと、個人又は零細企業の預金の集積であります郵便貯金でありまするから、もつと中小企業にこれは勇敢に振り向けてもいいということを私は信念として考えております。資金運用部資金は、是非とも中小企業にもつと大幅に洗さなければならんということを考えておるのであります。更に国家の強権を以て集めました資金の活用でありますが、強権を以て集めました資金というものは税金或いはこれに準ずるものでありまして、財政余裕金も、一時中小企業資金としてどうしても活用しなければならんものであります。然るに本年十月末現在の資料によりますると、商工中金へ五十三億、農林中金へ七十五億、信用金庫へ七十億、相互銀行無尽等へ百十億、銀行べ二百二十五億でありますが、信用金庫への額は極めて少いのであります。二百億に達しておりません。にもかかわらず相互銀行、銀行等へは三百三十億を超えておるのであります。こういうような中途半端な不公平な出し方ではいけない。特に信用協同組合に対しましては預託がされていないのであります。年末におきましては、民間資金が非常に苦しいのでありますから、今申上げましたような事情からいたしまして、どうしても政府は勇敢に、あと二十日ばかりしかないのでございますから、是非とも万般の手を講ぜられまして、緊急に中小企業の金融難を打開せられるようにお願いをすると共に、私の質問の要点について具体的にお答えを願いたいと思うのであります。(拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇拍手
  31. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) お答え申上げます。中小企業の育成振興については、自由党におきましても、心から心配いたしておるのでありまして(笑声)前大臣においても、昭和二十八年度予算に対しては、相当大きな計画を持つていたのでございます。ただここにはお尋ねの年末金融対策につきましてお答えを申上げることにいたします。  第一に……、少し具体的に申上げますが、第一に、国庫余裕金の預託の問題でございます。年末金融の繁忙を予想いたしまして、十月十一日に国庫余裕金の預託の増額を行いました。その総額は百二十億円、内訳は市中銀行七十億円、商工中金、信用金庫、相互銀行等の中小企業金融機関五十億円であります。なお政府は本年三月、五月、八月及び十月に、それぞれ百二十億円乃至百五十億円の預託を行い、その結果国庫余裕金の預託はおおむね四百六十億円と相成つております。なお右の預託金の中には、本年中に引揚げられるものは全然ございませんのみならず、原則としまして本年末まで預託を続けられる予定でございまするので、年末金融は大いに緩和されるものと期待いたしております。(拍手)  第二に、国民金融公庫に対する出資と貸付であります。補正予算案におきまして、年末金融対策をも考慮いたしまして国民金融公庫に対する一般会計からの出資増三十億円、資金運用部資金からの貸付増二十億円を計上いたしました。(「大変な額ですね」と呼ぶ者あり)補正予算の成立次第、即刻これらの資金を年末金融に有効に動員いたしたいと考えております。(拍手)  第三、商工中金に対する貸付であります。補正予算案において商工中金に対する一般会計からの貸付金二十億円を計上いたしました。なお商工中金の貸出残高は、本年六月以降毎月約十億円の伸びを示して参りましたが、十一月、十二月につきましては、日銀借入の増加、債券発行、コールの回収筆による資金源の充実によりまして歩留りを考えますと、合計五十億円の増加を見るものと予定せられまして、年末金融に対する所属組合の需要はおおむね充足する見込でございます。(「一桁間違つておる」と呼ぶ者あり)又日本開発銀行による中小企業貸付金も、年末に際しまして極力放出に努める見込でございます。(「読み間違えたな」と呼ぶ者あり)  第四に、中小企業の金融面におきましては、資金源の問題もございますが、中小企業者の信用の点も問題とたつておるのでございます。従つて中小企業者の信用力を補充すべき信用保険制度の持つ意義は極めて大きいものがあると思うのであります。現に本年面当初予算に定められた金融機関を相手方とする保険の保険価額七十二億円につきまして上半期の契約状況は極めて活溌でありまして、その枠の追加が必要と考えられますので、特別会計補正予算案におきまして、更に七十二倍円を追加いたした次第でございます。これらによりまして、年末金融にも相当の好影響をもたらすことを期待いたしております。(拍手)    〔政府委員愛知揆一君登壇拍手
  32. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 大蔵大臣代りまして、私から御答弁申上げます。  具体的な問題にお答えいたします計に、この年末に差しかかりまして財政と民間の資金の状態の関係でありますが、この第三四半期におきましては昨年度に比べまして、おおむね二、二百億円程度の撒布超過が昨年より多いのであります。それと最近の預金の流の状況が極めて円滑でございますので、昨年度に比べますれば、今年度の年末の金融に対しましては、やや円滑の度を加えておるものと私どもは見ております。  併しながら中小金融の問題につきましては、只今栗山君より御指摘の通り、我々も非常に重大な問題だと考えまして、又具体的には年末金融に対して更に指定預金の増加をしないかどうかということでございますが、これは只今小笠原大臣からお答えの通り、すでに四百億円の指定預金をいたしておりまするが、この引揚は年末にはいたしません。これは当然の措置と思いますが、更に状況によりまして、適切な措置を考えたいと思つております。  第二の大企業と中小企業との関係の支払を促進するために、日銀に別枠資金を作つてはどうかというお尋ねでございました。これも一案と思いますが、我々といたしましては、必ずしも別枠の資金を作りませんでも、この支払の促進につきましては、いろいろの方策がございますが、逐次適切な手を打ちつつあるつもりでございます。(「それを発表して下さい」と呼ぶ者あり)  第三は、国民金融公庫の問題でございます。年末までに約八十八億円の年末資金の貸付ができることに、現在補正予算案の御審議を願つておりまするが、更にそのほかに、遺族の関係或いは母子保護対策の一環といたしまして十五億円の資金の貸付ができる予定でございます。これは従来の国民金融公庫の営業の実績に徴しまして差当りこれだけ金があれば、先ずくやつて行けるという見込ででございますが、特にそのうちの二十億円は取りあえず借入が早くできるようにいたさなければなりませんので、その法律案の御審議を速かにお願いしたいと考えておるわけでございます。(拍手)  第四点は、商工中金の出資のお尋ねでございましたが、これは補正予算案におきまして、一般会計からの貸付金を二十億円させて頂きたいという提案をいたしておりますが、来年度におきましては、自由党におきましても、かねて少くとも百億円はこの関係に使いたいということを考えておりまして、政府におきましてもこれを取入れまして、成るべく御趣旨に副うようにいたしたいと思つております。  その次は、地方公共団体の資金の預託によつて金融を緩和しては如何かというお尋ねで、ございました。私ども趣旨において全然同感でございます。すでに地方公共団体と大蔵省の関係におきましては、直接に大蔵省から指示するということはできませんが、御承知の、ごとく各地方公共団体において適切な措置をとられておりまするし、又大蔵省といたしましても、引続きこの円滑な運用について要請をいたす考えでございます。  その次は、資金運用部資金の問題でございまするが、これも私は同感でございます。(「同感ばかりだね」と呼ぶ者あり)併しながら金融債の引受というものは、これは今後も拡がると思うのでありますが、その内容が大企業に偏重するということがお尋ねのうちにあつたかと思うのでありますが、さようなことはないわけでありまして、大企業と中小企業との関係が御指摘になりました通りの状態でもございまするので、この資金運用部資金は、実質的にも本当に末端に還元されるようにということにつきましては、御趣旨を体しまして措置いたしたいと考えます。(拍手)      ——————————
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 参事に報告させます。    〔参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  一般職の職員等の俸給の支給方法の臨時特例に関する法律案可決報告書      ——————————
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、一般職の職員等の俸給の支給方法の臨時特例に関する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  先ず委員長報告を求めます。人事委員長門田定藏君。    〔門田定藏君登壇拍手
  36. 門田定藏

    ○門田定藏君 只今議題となりました一般職の職員等の俸給の支給方法の臨時特例に関する法律案につきまして、本委員会における審議の経過並びにの結果について御報告申上げます。先ず本法律案の要旨について簡単に御説明申上げます。現在の国家公務員の給与は、昨年五月現在の物価並びに民間賃金などを基準とするものでありまして、今日その改訂に迫られていることはひとしく各方面より認められているところであります。去る八月、人事院よりも新たに本年五月を基準とすベース引上げの勧告が行われた次第でありますが、衆議院解散等のために今日までその実施が延び延びになつて来たのであります。本国会におきましては、政府より近く公務員給与の引上げが提案されるはずであり、これ要する経費補正予算としてすでに提出されておる次第でございます。併しながら給与法規の改正は目下政府において準備中であり、従つて改正法による給与の支給をみるには、まだ相当の日時を必要とするのでありますが、給与法の改正が実施されますならば、補正予に現われている政府案の内容そのままといたしましても、給与ペースの…上げのほか、十一月よりのその差領の支給、勤勉手当の新設による支給等があることになつておりますので、本月末において公務員には、通常の俸給のほかに相当額の特別の支給が確実に仁われるのであります。従つて取あえず現行法による給与の先払いをいたし“しても、実質上何らの支障をも来たさないだけでなく、法律改正の遅延によつて年末を控えた公務員の生活に、幾分の負担を減じ得るのであります。併しながら現行の一般職の職員の給与に関する法律では、俸給の支給方法は月二回払いとなつております。特別職の職員の場合におきましても、大体一般職の職員の例に倣い、又はこれを準用しているのであります。本法律案は右のような実情に鑑み、本年十二月分の俸給に限り、これを一回払いとし、十二月上旬に支給することとするものであり、その適用の範囲は、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける一般職の職員、保安庁職員給与法第十一条第一項に規定した次長、官房長等及び事務官寺の職員、裁判所職員臨時措置法の適用を受ける裁判所職員等を規定しているものであります。本法律案は十一月二十九日、衆議院議員有田二郎君外二十三名より提出せられ、衆議院においては委員会の審査を省略して、同日の本会議において可決せられ、同日本院に送付せられて参つたものであります。人事委員会といたしましては、本法律案について提案者有田二郎君より提案の理由を聴取し、質疑を行い、討論に入りましたところ、千葉委員より、「本法律案の趣旨とするところは、全体の公務員のひとしく待望するところであり、賛成であるが、法律案発案の事情については、参議院としての立場から、その間の経緯を明確にして国民の納得を得る必要がある」旨の討論があり、続いてカニエ委員より同じく賛成の討論があり、討論終局、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。なお本法律案衆議院議員提案によるものとなつておりまするが、事実は本院人事委員会において、本法律案と同一趣旨の改正法律案について打合せを行い、先月二十七日には千葉委員外四名の発議によつて提案されるに至つていましたものでありまするが、本会議開会の日時の関係等により、同一趣旨の法律案が、十一月二十九日衆議院において議員立法とし提案可決され、本院に送付されたものであります。附加えまして本報告として申上げる次第であります。(拍手
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。 本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————    〔三輪貞治君発言許可を求む〕 ○議長佐藤尚武君)三輪貞治君。
  39. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私はこの際、中国在留者引揚に関する緊急質問動議提出します。
  40. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 只今の三輪貞治君の動議賛成いたします。
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 三輪君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。三輪貞治君。    〔三輪貞治君登壇拍手
  43. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、吉田首相並びに岡崎外相に対しまして、中国在住の日本居留民の引揚問題に関して質問を試みたいと存じます。諸君御承知のように、去る一日の夜の北京放送は、新華社通信の記者と中国政府当局との一問一答の形で、中国地区内の残留邦人の現状と、これが引揚問題について、初めて中国側の態度を明らかにいたしたのであります。この放送で明らかになつた点は、中国におよそ三万人の日本人居留民がいるということ若干の戦犯がいること。中国に居留する日本人の帰国、引揚の匿路は、日本側、特にその差廻すべき船の欠乏にあつたこと。捕虜の送還は新中国政府成立前に終了しておること。粉の問題が解決されるならば、中国政府とその人民は引揚、帰国を援助するという意思がはつきりといたしておること。最福にこの具体的交渉には、日本側の適当な機関又は人民団体の代表を派遣されたいということ等々でおります。終戦後すでに八年を過ぎました今日において、なおこのような問題について私は質問をしなければならならいことを非常に遺憾に存ずるのであります。大東亜戦争が始まりまして以来の、戦争年数の約二倍をすでにこれらの居留民の人々は、外地において送つておるのであります。支那事変の始まつて以来戦争終結までの年数と、ほぼ同じくらいの年数がすでに終戦後たつておるのであります。このような事態に今日まで放任をいたして参りましたその原因の大きなものが、吉田内閣外交政策の貧困にあつたということは否めない事実であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)国民周知のごとく、政府は終始一貫、向米一辺倒の外交政策を掲げまして、地理的にも歴史的にも、又社会的にも経済的にも、切つても切れない深い関係にある中国の問題をば、実に簡単に、一口にそれは竹のカーテンの中のことであり、ソ連の圏内のことであるから、どうにもならかいのだという言葉で簡単に割切りまして、(「誠にけしからん」と呼ぶ者あり〕 非常に冷淡に取扱つて来たことは、本議場においても我々がたびたびこれを見せつけられて参りたところであります。(「あなたの親戚だからな」と呼ぶ者あり)国交の回復、友好善隣関係の樹立ということについて何ら努力するところがなかつたのみならず、事ご一とに、中国を不必要に刺激する言辞を弄し、(「その通り」と呼ぶ者あり)政策を実行して来たことにあるのではななかということでございます。吉田総理並びに岡崎外務大臣は、本議場においてもしばしばこの問題につきましてそれは実に好ましいことだができないと、不機嫌に而も吐き出すように、数回の答弁をされております。(「その通り」と呼ぶ者あり)又サンフランシスコ講和会議では首席全権の演説の中で、これは最も私は不必要なことであつたと思うのでありまするが、ことさらに中国が日本にとつて重要ではないことを強調して、米国に対する媚態を示しまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)世界の心ある人々の擁壁を買つた事実も、皆さまがた御承知の通りであります。殊に中国政府並びに中国民衆に与えたこの悪影響というものは、想像にかたくないものがあるのであります。  殊に最近無理押しに強行をいたしました多数講和と申しますか。本質的には単独講和、又これと裏腹で実施されております日米経済協力。こういつたような政策から、必然的に日本の経済状態というものに一つの病的な、私は半身不随の中風経済と申したいので去りますが、そういうような状態が現われておる。而も国民の世論としては、これは貿易の振興により、特に中国貿易の打開によつて自立経済方式で、この経済の症状を治さなければならんという世論があるにもかかわらず、政府は、口には戸締り論をば勿体らしく唱えながら、実際は再軍備というカンフル注射によつてこの症状を治そうとする一時の糊塗策を掲げておるのであります。而かいたしまして、ますます中国問題をこの経済諸施策の上からも等閑に付し、徒らに東南アジア貿易をこれに振り替えて強調をいたしておるのであります。  然るにことほどさように東南アジアの貿易は、決して簡単に参るものではないことは皆さんがよく御承知のところであります。私も本年の春幸いにして東南アジアの諸国を廻る機会を得ましたが、我々の非常に貧弱な見聞、又その後のいろいろな情報収集いたしておるところから参りましても、必ずしも中国を度外視した東南アジアの貿易というものは容易でないということがはつきりいたしておるのであります。特にイギリスのコロンボ計画アメリカのポイント・フォアの政策等は、むしろ日本を締め出すような政策に実際的には相成つておるのであります。ところが最近も、国民政府代表張群氏が参りまして、これに対しては華僑を通じてのこの方面の開拓をすることが適切であるというような意見を述べて、政府もこれに賛意を表しておる。併しながら又この問題が、中国を度外視してそう簡単に運ぶとは思えないのであります。特に東南アジアは華僑が非常な勢力を経済的に占めておりまするが、華僑は歴史的に見ましても非常に高度な民族意識を持つているように窺えるのであります。特に長く外国に居住いたしまして、その居住国から受けた差別待遇に対する民族苦、或いは海外で受けた進歩的な思想のために、彼らは常に国内の革命勢力に同調いたしまして、その豊かな経済的な力量を注いで国家統一の達成を望み、又その運動をして来ておるのであります。現に中国のいわゆる国会に相当する政治協商会議には、この華僑からも代表が七名ほど出されておる事情が、その間の消息を物語つておるのであります。又これは非常に余談になりまするが、(「本論々う「余談は不必要」と呼ぶ者あり)中国がいわゆる銀本位を採用し、その海外において働いておる地が金本位であるために、その金と銀との差額で商売しておる状態を見て、この華僑は、中国を離れては存在しないのだという感じを深くしたのであります。  こういうような状態でありますから最も喫緊なことは、又非常に関心を示すべきことは、経済的に言つても中国である。かような状態であるにかかわらず前に申しましたようにことさらにこれを阻隔する政策をとり続けて来たのであります。かくして相提携すべき隣国を徒らに隔離いたしまして、その結果引揚問題等に対しましても思わしくない交渉の経過を辿り、つまりこれを遅延せしめた大きな原因になつたことは否めない事実であるのでありまするが、政府は過去又は現在踏襲しつつある、かような対中国政策に猛反省をする必要があると思われる次第でございまするが、総理の対中国政策に対する見解をお伺いいたしたいと存ずる次第であります。  次に岡崎外務大臣に、時間がありませんから簡単に箇条的にお尋ねをいたしまするが、政府が中国居留日本人の数を五万九千二十八名と発表いたしております。然るに今回の中国政府発表の数字は三万名でありまして相当の相違があるのでありまするが、政府発表の数字の科学的根拠をお伺いいたしたいと存じます。特に当初より数回に亘りこの数字は変更がなされており、その都度手加減が加えられておるのでありまするし、政略的な数字は、問題の解決に百害あつて一利ないものと思う次第でございまするが、この政府発表の内訳、例えば軍人、軍属、看護婦或いは徴用技術者その他市民等を明らかにされたいのであります。  次に、引揚遅延の険路が、特に日本から差廻すべき給の不足にあつたと言つておるのでありまするが、これを政府は率直にお認めになりまするか、どうか。又今日の新たな事態に対処いたしまして、その配給計画を如何ように樹立されつつあるか。その具体的な計画をお伺いいたしたいのであります。  次に、最も重大な問題でありますが、具体的な交渉に差遣すべき代表の問題であります。これは政府は過去と同じように、中国を認めておる外国の公館等を通じて間接的にその交渉を進めようというのか。又は今度の放送で要求をいたしておりまするように、中国政府の言つておる民主団体の代表を送る意思があるのかどうか。過去引揚促進の団体等におきましても、ややもすれば非常に政治的な、与党的な動きがありました。一番中国側の嫌つておる吉田総理大臣或いは岡崎外務大臣又は札付きの保守反動政治家たちの檜舞台に、この引揚団体等が利用せられまして、ことさら問題を混乱さして来た事実に思い合せまして、この轍を踏むがごとき方法を再び採用するならば、その効果は著しく減殺されるであろうということを憂慮するが故に、私はこの関頭について、特に具体的な計画をお伺いいたしたいのであります。(「共産党が喜ぶぞ」と呼ぶ者あり)  次に、居留民の生活が非常に豊かであるということの証左として、日本留守家族への送金が、非常に大きな額に上つておるということを挙げておるのでありますが、政府はこの問題に対し、如何に調査し、その実態を把握されておるかをお伺いいたしたいのであります。又昨日の本院の外務委員会で、我が党の岡田宗司議員質問に対しまして、政府は、従来この問題の対中国交渉は、中国を承認している国を通じて話合いを進めて来たことを明らかにいたしておるのであります。勿論中国を承認していない以上は止むを得ない措置であつたと思いますけれども、お隣りの国との交渉を、よその国を介して隔靴掻痒の交渉をしなければならない。こんなばかげた愚かさに対して岡崎外務大臣は如何に反省され、将来においてどのようにこの問題を解決されようとするか。このことについての御所見をお伺いいたしたいと存ずる次第でございます。  以上をもつて私の質問を終りまするが、これに対する御答弁は率直に明快に、お願いを申上げたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇拍手
  44. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。  抑留者の帰国ということにつきましては、これは当然帰国せしむべきものでありまして(「その通りだ」と呼ぶ者あり)これは、不当に抑留するのは間違いであります。従つて抑留者の属する国の主義とか、政策とか、イデオロギーとか、そういう政治問題によつて左右さるべきものではないのであります。(「その通り」と呼ぶ者ありいわんや貿易ができるとか、できないとか、そういうこととは全然関係がないのであります。従つて元来抑留者の帰国ということにつきましては、本来は外交交渉等は要さないのであります。併し余りに不当に抑留されておりまするから、従つて我々としては国連を通じ、或いは国際赤十字を通じ、或いはその他の第三国を通じまして、あらゆる方法でこの引揚の促進を図つて来たのであります。今回の中国の声明が、この努力の結果であるとすれば、遅きに失しておりまするが、甚だ結構なことと考えまして、(「何を言うか」と呼ぶ者あり)政府としては、できるだけ引揚促進に努力するつもりであります。  なお数字の五万九千と三万との違い如何ということでありまするが、我々としては、氏名の判明している者が五万九千あるのでありまするから、(拍手)少くとも五万九千ある。こう申しているのであります。なお私の聞くところによりますれば、中国の中にも、満州地区におりまする邦人につきましては、留用と称しまして、これは帰国させることは困難であるというような意味のことを間接に聞いておりまして、或いは三万と申す数字は、満州を含んでいないのではないかという疑いもありまするが、これは他の機会に、更に詳細に取調べた上ではつきりしたことがわかると考えております。(「具体的方法」と呼ぶ者あり)  それから引揚に関する船の問題でありまするが、船につきましては、前の国会でも、その前にも、又その前の前にも、国会におきましてしばしば政府は、配船については常に用意がある。そうして政府の費用で、いつでも如何なる場所へでも船を出すということを声明しております。これにつきまして、日本のほうで船給の用意がないなんぞということは、全くの誤まりでありまして、いつでも、すでにもう船の中に食糧まで用意してそうして待つておるのであります。(「腐りはせんか」と呼ぶ者あり)  なおこの交渉に当る者につきまして、今民主団体の代表を出せというようなお話がありましたが、これは先ほど申しました通り、引揚の問題については、イデオロギー等には全然関係がないのでありまして、(「大ありだよ」と呼ぶ者あり)政治的な問題にこれを利用すべきでないのであります。従いまして如何なる者を出すか。或る一定の思想を持つた者でなければ引揚の交渉ができないというようなことは、これは到底あり得ざることと考えております。(拍手)併しながら、こういうことで以て従らに我がほうの主張を頑張つて、引揚が遅れるようなことがあつてもなりませんからして、この方法につきましては、できるだけ抑留者の便宜になるように、主義の問題は別としまして、引揚促進に資するような方法を今、関係方面と話合いをいたしております。  送金の問題につきましては、送金のあつたことは事実でありまするが、私の承知しておる範囲では、今までのものは、そう多額のものと考えておりません。併しながらこれは、只今正確な資料の持合わせがありませんからして、更に委員会等におきまして、詳しい資料について申上げようと考えております。  なお、何故中国との間に直接交渉をいたさないのか。こういうお話でありまするが、これはもう中国が、サンフランシスコ平和条約を認めて調印さえしてくれれば、これで当然、直接の交渉はできるのであります。併しながら現在の中国におきましては、例えば北京放送をお聞きになれば、もうよくおわかりになりますが、決してこれは、友好的な放送ではありません。その他すべて中ソ同盟にいたしましても、或いは抑留船舶の問題もありまして我々はこういう問題が解決されることが、中国との間の問題の先ず第一点であると考えております。サンフランシスコの条約の話もありまするけれども、只今ところ政府態度は、こういうようなところに来ております。(拍手
  45. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 内閣総理大臣答弁は他日に留保されました。    〔三輪貞治君発言許可を求む〕
  46. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 三輪貞治君、何ですか。再質問ですか。よく聞こえませんが。
  47. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 議運の決定として、総理予算委員会の都合で出席できないので、副総理を代理として出席せしめるということであつて、最前まで副総理はおられたのでありますが、私の質問が始まる頃から、いつの間にか姿を消されて出席がないようですが、副総理答弁で満足するように、私はちやんと了解を与えておつたつもりであります。(「違う違う」と呼ぶ者あり)
  48. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 三輪貞治君、今朝の議院運営委員会におきまする了解は、それとは違つておりました。というのは、総理外務大臣のうち一人が出席すれば、三輪君は本日緊急質問をするということであつたのであります。而して外務大臣が繰合わして出席されましたが故に、三輪君に緊急質問をお許ししたのであります。それで内閣総理大臣答弁は今申上げましたように、他日に留保をされたわけであります。    〔三輪貞治君発言許可を求む〕
  49. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 三輪君、再質問ですか。
  50. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうです。
  51. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 許します。    〔三軸貞治君登壇拍手
  52. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 外務大臣は、こと引揚の問題は、イデオロギーを抜きにした問題であるという御発言がありました。ところが実際にはイデオロギー外交を推し進めておるのが我が吉田内閣であります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)(拍手)特に我々は先般国連における引揚委員会の、三人委員会の一人で、るアイソカイソ博士に会いまして、この問題についての援助方を要請した場合に、博士は、日本が中国との間の正常なる交渉関係にないことが非常な支障であるということをば述べられて、遺憾の意を表せられておつたのであります。私は必ずしも講和条約に中国が調印をしてないとか、これは勿論、招請してないのだから調印をする方法もないわけなのであります。私はこの前にです。政府が今まで、さように隔掻痒、遠くのほうでお隣りの問題遠廻りに交渉をしていたということ、又向うの出方を待つてこれに応ずるというような怠慢を重ねて来たこが、この引揚遅延の大きな原因であたことを、率直に私は国民の前に謝罪すべきであると思うのであります。時間、時間」と呼ぶ者あり)特に船の問題が隘路であるということをば、昨日外務委員会で聞かれたアジア局長でありましたかの言によると、船の問題が隘路であるならば、私たちのほうは何とかこれをするというようなことを答弁をしておる。船の問題が隘路であるということは、今日初めて知つたというような顔付きなのであります。私ここにも現外交政策の非常な怠慢が反省されなければならぬかのように旛ずるのであります。どうぞ一つ面子を捨てて、率直に御答弁を願いたいと思います。(拍手)「何丸が食糧を積んでいるか、これをはつきり聞こうじやないか」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇拍手
  53. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 中国につきましては、サンフランシスコに招請きてないのだから仕方がないというお話でありまするが、併しサンフランシスコに招請されていない国だつて、あとから参加して講和条約に加つた国電あるのであります。我々としては、中国も速かにサンフランシスコの平和条約に参加されんことを望んでおるのであります。  又我々は我々の考えを持つておるのでありまして、たとえ引揚の関係の人でも、外国の人がこう言つた、ああ言つたという意見に、左右される必要は必ずしもないと考えております。  なお船の問題をお話になりましたが、船ははつきり申します。いつでも用意をいたしまして、必ず必要なところへ必要な日に出すことにいたす。これは政府は完全に待つておるのであります。どうぞさよう御承知を願います。(拍手
  54. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会のいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、日程第一在外公館名称及び位置を定めろ法律等の一部を改正する法律案  一、日程第二昭和二十六年度参議院予備金支出の件  一、情報機関設置に関する緊急質問  一、中小企業年末金融に関する緊急質問  一、一般職の職員等の俸給の支給方法の臨時特例に関する法律案  一、中国在留者引揚に関する緊急質問