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1952-11-08 第15回国会 参議院 本会議 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月八日(土曜日)    午後二時三十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二号   昭和二十七年十一月八日    午後二時開議  第一 皇太子殿下立太子の礼及び成年式につき慶賀の意を表する件     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、皇太子殿下立太子の礼及び成年式につき慶賀の意を表する件。  来たる十一月十日、宮中において皇太子殿下立太子の礼及び成年式が行わせられます。つきましては、本院といたしましても、慶賀の意を表するため、天皇陛下並びに皇太子殿下賀詞を奉呈いたしたいと存じます。なお、その賀詞案起草するため、二十四名からなる特別委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて天皇陛下並びに皇太子殿下賀詞を奉呈いたすこととし、その賀詞案起草するため二十四名からなる特別委員会を設置することに決しました。  本院規則第三十条により議長が選定いたしました特別委員の氏名を参事朗読させます。    〔参事朗読〕   立太子の礼及び成年式につきたてまつる賀詞案起草特別委員    寺尾  豊君  石村 幸作君    加藤 武徳君  木村 守江君    草葉 隆圓君  長谷山行毅君    溝淵 春次君  安井  謙君    赤木 正雄君  加賀  操君    小林 政夫君  杉山 昌作君    高橋 道男君  相馬 助治君    田中  一君  松浦 清一君   小笠原二三男君  菊川 孝夫君    矢嶋 三義君  大隈 信幸君    境野 清雄君  石川 清一君    佐々木良作君  水橋 藤作
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより直ちに特別委員会を開かれんことを望みます。  賀詞案起草ができますまで、暫時休憩いたします。    午後二時三十五分休憩      ——————————    午後三時五分開議
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。   参事報告させます。    〔参事朗読〕 本日立太子の礼及び成年式につきたてまつる賀詞案起草特別委員会において当選した委員長は左の通りである。         委員長 赤木 正雄君 本日立太子の礼及び成年式につきたてまつる賀詞案起草特別委員長から左の報告書を提出した。  賀詞案起草報告書      ——————————
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより立太子の礼及び成年式につき奉る賀詞案起草特別委員長報告を求めます。賀詞案起草特別委員長赤木正雄君。    〔報告書は都合により第四号末尾に掲載〕    〔赤木正雄登壇拍手
  8. 赤木正雄

    赤木正雄君 只今議題になりました皇太子殿下立太子の礼及び成年式につき奉る賀詞案起草に関する特別委員会における賀詞文案起草経過並びに結果につきまして御報告を申上げます。   天皇陛下におかせられましては、来たる十日のよき日をお選びになり、我が国の昔からの礼式によつて皇太子殿下立太子の礼及び成年式宮中において挙げさせられることになりましたことは、畏き極みでございます。参議院といたしましても、先ほどの議決に基きまして、天皇陛下皇太子殿下賀詞を奉ることになりましたので、我々特別委員一同は、国民代表である本院にふさわしい賀詞を作成することに努めまして、慎重に協議いたしました結果、全員一致を以て次のような成案に到達いたしました。ここに案文を朗読いたします。    天皇陛下にたてまつる賀詞(案)  天皇陛下には、菊花かおるきようのよき日を選ばせられて、ここに皇太子殿下立太子の礼と成年の式とをあげさせられ、  殿下の地位を内外に宣明せられますことは、国民のひとしく歓喜にたえないところであります。  ここに参議院国民至情代表して、院議をもつて恭しく慶賀の誠を表したてまつります。    皇太子殿下にたてまつる賀詞(案)  皇太子殿下成年に達せられ、菊花かおるきようのよき日にあたり、立太子の礼と成年の式とをあげさせられますことは、国民のひとしく歓喜にたえないところであります。  資性英明にあらせられる殿下には、いよいよ学行を勤め仁徳を積ませられ、もつて内外の信望にこたえられんことを祈つてやみません。  ここに参議院国民至情代表して、院議をもつて恭しく慶祝の誠を表したてまつります。  以上謹んで御報告申上げます。
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより賀詞案の採決をいたします。特別委員会起草賀詞案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて賀詞案全会一致を以て可決せられました。  只今全会一致を以て可決せられました賀詞奉呈方は、議長において取計らいます。      ——————————
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、お諮りいたします。  岡崎真一君から二十日間、杉原荒太君から二十三日間、それぞれ海外旅行のため請暇の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決しました。      ——————————
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、皇室会議予備議員選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。徳川宗敬君の辞任に伴いまして、予備議員に欠員を生じましたので、その補欠選挙を行います。なお、選挙に当りましては、予備議員職務を行う順序を定めることになつております。
  15. 木村守江

    木村守江君 只今皇室会議予備議員補欠選挙は、成規手続を省略いたしまして議長において指名することといたし、その職務を行う順序議長に一任することの動議を提出いたします。
  16. 高橋道男

    高橋道男君 私は只今木村君の動議賛成いたします。
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 木村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長皇室会議予備議員に河井彌八君を指名いたします。 なお、その職務を行う順序は第二順位といたします。      ——————————
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 去る十月二十九日内閣総理大臣から、国土総合開発審議会委員大島定吉君から同審議会委員辞任方申出があつたので、後任者を指名せられたい旨の申出がございました。つきましては、この際、日程に追加して、国土総合開発審議会委員選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
  21. 高橋道男

    高橋道男君 只今国土総合開発審議会委員選挙は、成規手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  22. 木村守江

    木村守江君 私は只今高橋道男君の動議賛成いたします。
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 高橋君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長国土総合開発審議会委員高橋進太郎君を指名いたします。      ——————————
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、検査官任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。去る十月二十四日、内閣総理大臣から、会計検査院法第四条の規定により、加藤進君を検査官任命したことについて本院の承認を求めて参りました。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件全会一致を以て承認することに決しました。      ——————————
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、電波監理審議会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。去る十月二十四日、内閣総理大臣から、電波法第九十九条の三、第二項の規定により、尾高朝雄君、小林武治君、野村秀雄君、諸井貫一君、横山英太郎君を電波監理審議会委員任命したことについて、本院の承認を求めて参りました。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件全会一致を以て承認することに決しました。      ——————————
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、中央更生保護審査会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。去る十月二十四日、内閣総理大臣から、犯罪者予防更生法第五条第三項の規定により、白根松介君、土田豊君、横溝光暉君を中央更生保護審査会委員任命したことについて、本院の承認を求めて参りました。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件全会一致を以て承認することに決しました。      ——————————
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、地方財政審議会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。去る十月二十四日、内閣総理大臣から、自治庁設置法第十五条第六項の規定により、児玉政介君、木村清司君、上原六郎君、中根貞彦君、荻田保君を地方財政審議会委員任命したことについて、本院の同意を求めて参りました。本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は同意することに決しました。      ——————————    〔千葉信発言許可を求む〕
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 千葉信君。
  38. 千葉信

    千葉信君 私は、この際、人事院勧告給与ベース・アツプに関する緊急質問動議を提出いたします。
  39. 相馬助治

    相馬助治君 私は只今千葉信君の動議賛成いたします。
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 千葉君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。千葉信君。    〔千葉信登壇拍手
  42. 千葉信

    千葉信君 私は社会党第四控室を代表して、国及び地方公務員等給与改訂について総理並びに関係閣僚に対してお尋ねいたすものであります。  第十四国会解散が抜打ち且つ非民主的な手続において行われ、更に又総選挙終了後、解決を迫られている内政外交上の重要問題を外に、吉田鳩山首班争いと称する党内内紛に時を費し、ここに二カ月半に亘つて政治の空白を生ぜしめ、分けても政府が直接雇用者である全国二百万の公務員或いは準公務員諸君や、並びにその家族が解決を待ち望んだ給与改善が、遂に今日まで放置されたことについては、まさに党内内紛の醜状と共に、激しい批判対象なつたことは、至極当然と言わなければなりません。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)御承知通り現下我が国における生産力は、経済審議庁発表によりますると、すでに戦前を遥かに凌駕し、昭和九—十一年の一〇〇%に対し、本年八月一四四・六%の総合生産指数に達しておりますのに、消費生活水準はまだ戦前の七七%、この生産消費との極端な跛行状態は、如何に資本蓄積に急なりとはいえ、一部資本家のみに奉仕して、民生を犠牲にする態度と言わなければなりません。殊に問題となりますことは、今日この回復した生産力を持ちながら、この跛行状態を呈している低い国民生活水準の中でも、更に公務員の場合は不当に下廻る生活に喘いでいることであります。大蔵省主計局発表によりますれば、公務員諸君給与状態は、戦前に比べ、名目賃金においては一一九・七倍、実質賃金においては戦前の四八・一%であります。実質上、賃金戦前の五割にもまだ達しないのであります。勿論、公務員給与は、税を負担する国民の納得する水準でなければなりません。同時に又、国民生活戦前の七七%まで回復しているならば、公務員給与も又それを可能ならしめるものでなければならないし、又その限度においては、国民が納得しないはずはありません。この意味からは、人事院勧告は、何と言いましても、その勧告においても一日八十六円三十二銭あれば食えるという、そういう計算の上に立つておりまするから、国民生活の現在の水準にもまだまだ及ばないものであります。併しながら今の場合、私はこれに論及し、批判に終始して、問題の混乱を引き起す意思はございません。結局においては、労働者賃金は少くとも戦前に回復を急がなくてはなりませんが、この際はせめて人事院勧告実施を強く主張いたします。理論上からも実際上からも、これは全面的に実施さるべきだということを主張するものであります。  従来、政府は、事実上、仲裁裁定人事院勧告も共に蹂躙し続けて参りました。蹂躙すべからざるものを蹂躙して参りました。両当事者間の協約に基く団体協約同一効力を持つ仲裁裁定を、国民の名において否認し、又これと同一価値効力を有すべき勧告も、全体の奉仕者という名の下において公務員権利を拘束しながら、その  権利の代償とした勧告を、更に国民の名において抹殺して来たのであります。併しこれは、実際は占領政策の強圧を受けて、殊更に公労法第十六条や公務員法第二十八条を歪曲したりする態度に出るの余儀ない事情があつたかも知れませんが、今は少くともその事情は取除かれたのであります。幸い昨日、我が党代表大蔵大臣、同次官に会見し、国鉄仲裁裁定については、これを十一月から実施する方針であるということを言われたそうでありまするが、なぜ政府人事院勧告に対してはひとりこれと区別して、同様の態度に出ようとしないのか、了解に苦しまざるを得ません。若し今日の日本が、政府の言うがごとく独立国であるならば、そうして民主国家であるならば、公務員法立法の建前に照らし、国民の納得し得る民主性合理性を発揮されたいのであります。それが民主国家総理を以て自任される総理責任でもあるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)   如上の見地から私は総理にお尋ねするのでありまするが、総理は、東京都に生活する成年男子公務員が、一日八十六円三十二銭で以て食生活を賄つて行けるなどという人事院勧告を、これでも無理だと思うかどうか。公務員諸君の実情に照らし、公務員法の民主的、合理的理念の確立を併せて、人事院勧告全面的実施をなさるおつもりにはならないか。それとも、国内治安防衛力漸増に名をかり、厖大な財源を翌年度に繰越し、再軍備への強行をなさるつもりであるか、伺いたいのであります。(拍手)  次に大蔵大臣にお尋ねいたします。大蔵大臣公務員法は御存じであると思います。公務員法による人事院勧告も御承知と思います。それを実施できない理由が所管する財源にあるとしたら、而も本年度これを十分賄い得る財源が、例えば前年度税増収分四百五十六億、食管特別会計の三百億、安全保障諸費余剰分等があるのに、これに充当しない理由、並びにその内容が、国民には決して納得できないと思うのであります。それをこの際、明らかにされたいことを私は大蔵大臣に要求いたします。  次に人事院総裁にお伺いいたします。一体、人事院は、今次改訂と不可分の関係を持つはずの地域給勧告をいつ提出されようとしているのであるか。更に又、給与改訂に関する法第二十三条による法律意見書をなぜ今以て提出されないのか。その時期を明白にされたいと思うのであります。  次は自治庁長官にお尋ねいたします。長官も御承知のように、平均給与額なるものは金額だけでは比較はできません。職員構成内容、学歴、年齢、勤務年数等比較対象にならなければなりません。自治庁も、自治庁が主宰したいわゆる給与連絡協議会も、共にその平均給与額の調査は不完全、且つ完了しておりません。これは本院人事委員会の質疑にも明白であります。然るに今次給与改訂に当つて、不用意にもその不完全なる資料に基いて地方公務員が不利益な取扱を受けようとしているのでありまするが、自治庁長官はこれに対して如何なる対策を持つておられるか、お伺いしたいのであります。  最後に申上げておきたいことは、吉田首相は、本年六月十四日、日本銀行家協会総会の席上で、「日本は世界如何なる国に比べても遥かに労働賃金が安いから、だから自主経済の達成が可能である」と言われているのでありまするが、吉田首相のこの談話の意味するものが、極端なる低賃金、低米価、ダソビング、饑餓輸出政策であり、アメリカ辺倒の国策、傭兵再軍備への強行であるとして、公務員諸君を初め多数国民が深くこれを憂えているのであります。而も本年九月、メキシコシテイの通貨基金総会に出席した池田前蔵相が、ドツジ氏と会つて御説明申上げたという本年度補正予算編成方針は、来年度の再軍備費を前提として多額の繰越を行い、その犠牲がこの場合、直接的に、国、地方公務員にしわ寄せされようとしていることは、余りに不当であると言わなければなりません。公務員給与戦前の四割八分一厘、今日の物価高、今日の生産力、今日の国民生活水準の下においてこれでは余りにも許しがたい不合理であります。私は強く人事院勧告完全実施を主張して、この質問を終る次第でございます。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登星拍手
  43. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  給与改訂に関する人事院勧告につきましては、財政の許す限り極力尊重いたしたいと考えておりますが、その具案については只今検討中であります。又、私の談話について云々ということでございますが、新聞の報道については私は責任を負いません。(拍手、笑声)    〔国務大臣向井忠晴登壇拍手
  44. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) お答えをいたします。  人事院勧告につきましては政府におきましても十分尊重いたす所存でおりまして、国家公務員給与改善につきましても、民間賃金等の動向、財源関係を勘案しまして、慎重に検討を加えて参りました結果、人事院勧告の趣旨を尊重しまして二割の引上げを行う方針といたしております。まだきまつてはおりませんが、これはお話ができると思つております。  なお御質問の本年度における租税の自然増収見込額につきましては、補正予算編成の際にこれを計上することに予定しておりまして、その一部を明年度に繰越すというようなことは全然考えておりません。  只今おつしやいました安全保障費のことでございますが、これはすでに一部その目的に使用しておりまして、今後又使用いたしますので、ほかに流用はできません。  人事院勧告をそのまま容れますと、中央地方を通じまして千六百五十億の費用が要りまして、只今財政ではこれは負担できません。(拍手)    〔国務大臣本多市郎登壇拍手
  45. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今地方公務員給与に関する御質問についてお答えをいたします。  地方公務員給与につきましては国家公務員に準ずることになつておりますので、平衡交付金算定地方財政計画としては、原則としてこれに準じて算定して行かなければならないと考えております。本年度平衡交付金算定の際に、地方公務員給与実額国家公務員平均給与比較して平均四百円余り高いというので、実額から控除したものを算定の基礎にしておつたのでございますが、この差額につきましては再検討の必要がありまして、これを再調査いたしましたところ、相当の差額があることがわかりましたので、この補填の財源については今回の補正予算に計上してこの決済を考えて、今検討中でございます。(拍手)    〔政府委員浅井清登壇
  46. 浅井清

    政府委員浅井清君) 千葉さんにお答えを申上げます。  勤務地手当即ち地域給に関しましては、すでに一応の成案を得まして、目下最後検討中でございまするので、遠からずこれを提出できると思つておりまするが、この勧告におきましては当参議院修正案は最も尊重されることを申上げて差支えないと存じております。  次に、勧告を出しておきながら、なぜ公務員法二十三条の意見申出を至急にしないかとのお尋ねのように存じましたが、ところが、この意見申出は即ち給与法改正案を意味いたしまするが、その最も重要なる俸給表につきましてはすでに勧告に附加されております。なおこの給与法改正は、別表に盛られまするべき地域給支給地域の明細を含みまするので、なお検討中でございます。      ——————————    〔中村正雄発言許可を求む〕
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中村正雄君。
  48. 中村正雄

    中村正雄君 私はこの際、国鉄裁定問題に関する緊急質問動議を提出いたします。
  49. 松浦定義

    松浦定義君 私は中村正雄君の動議賛成をいたします。
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) ご異議ないものと認めます。よつてこれより発言を許します。中村正雄君。    〔中村正雄登壇拍手
  52. 中村正雄

    中村正雄君 私は、去る八月十三日、国鉄職員昭和二十七年度貸金改訂に関する紛争につきまして、公共企業体仲裁委員会が出しました裁定につきまして質問を試みたいと考えております。  公務員並びに公共企業体職員に対しましては、現在憲法で認められておりまする団体行動権が制限乃至剥奪されております。これら公務員公共企業体従事員に対しまして、これらの従事員が自己の生活を確保し、労働条件を向上さすために、公務員法並び公共企業体等労働関係法におきまして、それぞれ人事院並びに仲裁委員会という制度を設けまして、それによつてこれら従事員生活権を確保しようというのが現在の法律の主旨になつていることは、御承知通りであります。従いまして、問題になつておりまする国鉄従事員昭和二十七年度賃金紛争につきましても、このたび出されました仲裁委員会裁定がどう取扱われるかということは、従来人事院勧告国鉄裁定は尊重するという態度の下に蹂躙されておりましたこの問題が、新らしい内閣によつてどう取扱われるかということは、従事員はもとより労働組合関係全般の注視の的になつているわけであります。国鉄従事員賃金が、現在公労法その他におきまする団体交渉等によりまして円満に解決できない大きな原因というものは、現在の日本国有鉄道法並びに予算制度が大きな癌になつておることは御承知通りでございます。公共企業体等労働関係法によりまして、当事者間の団体交渉によつて従事員賃金ができるようになつておりまするけれども、現在の日鉄法なり予算総則はめられておりまする枠によつて経営者側には全然賃金に関しまする当事者能力がない。従つて団体交渉というものは賃金改訂に関しまする紛争の一つの段階にしか過ぎない。当事者間の団体交渉によつて解決いたしました例は未だ曾つて一回もない状態であります。そうして団体交渉から調停委員会へ、最後仲裁委員会におきまして解決を見なければならないというのが、現在の国鉄従事員賃金問題に関しまする紛争の過去の経過であるわけであります。従いまして公労法におきましては、仲裁委員会という制度によつて、一たび仲裁委員会従事員賃金はかくあるべきであるという裁定を出されました場合は、これは当事者双方を最終的に拘束するものとなつております。然るに現在の国鉄従事員賃金は、すべて予算制度という枠に縛られ、予算によつてきめられておりまするから、出されました賃金を実現するにつきまして、現在の予算で不可能な場合は、新たに予算を作つて国会の承認を求めなければいけない。これが公労法十六条の規定の趣旨でなければならないわけであります。従つて、国会に提案になりまするこれら裁定に関しまする案件は、国会におきまして裁定内容の当否を審議すべきものではなくして、裁定自体は仲裁委員会が出しましたときに確定いたしておるわけであります。ただ国鉄従事員賃金予算というものによつてきめられております関係上、予算は国会の権限になつておりますから、一応この予算について国会の承認を求めるというのが十六条の精神でありまして、今まで政府のとつて参りましたように、裁定自体の当否を国会で審議するという扱い方は、公労法の精神を根本から蹂躙する扱いであるわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)こういう前提に立ちまして、一応、主として主管大臣でありまする運輸大臣、その他これに関係いたしまする労働、大蔵の大臣に対しまして、四点について質問を試みたいと考えております。  第一回の国鉄裁定が出されましたときにおきまして、私たちは、この裁定は、当時の国鉄予算としては到底実行できない、予算をオーバーする裁定であつたわけでありますが、この裁定に対しましては、当然政府は新らしい予算を組んで、これを国会にかけまして国会の承認を求めるという扱い方をするということを当然予想いたしておつたわけであります。然るに第一回の裁定に対しましては、当時の吉田内閣は、現在の予算においては予算上不可能な裁定であるから、国会におきましては不承認してもらいたい、こういう邪道な扱い方をやつて参つたわけであります。第二回の国鉄裁定のときには、この裁定をどういうふうにするか、国会できめてもらいたい。国会が承認するのであれば、新らしい予算を作つて出しますると、すべてを国会に任すような扱い方をやつて参つたわけであります。これらの扱い方の底に流れておりまする今までの吉田内閣態度は、すべて国鉄裁定を尊重するという言葉に隠れて、これを蹂躙して参つたわけであります。若し国鉄裁定を尊重するというのでありますならば、裁定に示されておりまする僅かの或る一部を履行いたしましても尊重という枠に入るかもわかりません。併しながら労働法規は尊重すべき意思だけで足りるものではあ上りません。これを遵守しなければならないわけでありまして、従つて新らしくできました第四次吉田内閣は、今までと同じように裁定を尊重するという態度で労働行政に対処して行くのか、或いは裁定を遵守するという態度で労働行政に対処して行くのか、これを根本的にお聞きしたいと考えているわけであります。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり、拍手)  第二の問題は、出されておりまする法案には政府の意思が明示されておりません。出されておりまするこの裁定、国会の議決を求めますという法案につきましては、政府は一体この裁定承認してもらいたいという意思か、不承認してもらいたいという意思か、何ら意思が加えられておらないわけであります。御承知のように、公労法の十六条は国会の承認を求めるとなつております。今の日本法律制度におきまして、国会の承認を求める案件と、国会で議決を求めるという案件とは、はつきりと二分されております。御承知のように、国会の議員が行政府の委員その他を兼ねる場合は、国会法によりまして国会の議決となつております。これは立法府にある者が、立法府自体が解決すべき問題でありますから、議決という言葉を使つておるわけであります。然るに憲法に規定いたしておりまする条約の承認等から言いましても、法律の面において国会の承認を求めるという字句を使つておりまする制度は、政府が積極的に国会に対しまして承認をしてもらいたいという場合に使つておるわけでありまして、上の公労法十六条の規定の字句というものも、この裁定の実現を政府みずから積極的に国会に対して承認を願いたいということが十六条の趣旨であることは明瞭であるわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)従いまして、この案件に対しましては、何ら政府の意思が表示されておらない。従つて今の内閣は、この裁定を国会において積極的に承認してもらいたいと、こういう意思で出しておるものと解釈いたしますが、これでいいのかどうか。この点につきましてお伺いいたしたいと思います。  第三点は、裁定に示されております八月以降一万三千四百円という基準賃金の額であるわけでありますが、この基準賃金は、民間産業、特に同種産業に従事いたしまする労働賃金比較いたしまして、現在非常に低い賃金が示されております。而もなお、この裁定の基礎になる当時の生活状況と、現在におきます物価関係とは変つております。従つて政府はこの一万三千四百円という基準賃金が現段階におきます国鉄従事員賃金として妥当なものと考えておるか、或いは安いものと考えておるか、この点を明確にお伺いしたいと思うわけであります。  最後にお伺いいたしたいことは国鉄の経理状況に関してであります。国鉄財政状態を見るのに、特に注意すべきものは、戦災に伴いまする復旧復興、戦争中の酷使によります設備の朽廃に関しまする修繕費であるわけであります。これらは当然戦争によりまする被害であります関係上、国鉄自体の会計で賄うべきものでなくして、(「そうだ」と呼ぶ者あり)当然一般会計によつて賄わなければならん問題であります。然るに、昭和二十五年度以来、戦災によります復旧その他の修繕費も、すべて運輸収入を割いてこれに充てるという方針が、前の内閣以来とられておるわけであります。本年度におきましても、工事費全体の七四%に当る三百六億というものが運輸収入によつて賄われるような予算になつておるわけであります。かかる状態の下にこの裁定国鉄自体の収入によつて実施するといたしますれば、相当困難な情勢がありまして、我々の見るところによりますと、この裁定によります経費というものは、こういうふうに当然一般会計が負担すべきものを国鉄収入によつて負担いたしております関係上、現在の国鉄財政が非常に困窮の極度に達しておる。そういう関係から、これらのものは当然日本国有鉄道法による交付金によつて賄うべきものであると考えておりますが、これに対しまして、政府はどう考えておるか。  以上四点に関しまして政府の明快なる御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣石井光次郎君登壇拍手
  53. 石井光次郎

    国務大臣(石井光次郎君) 只今中村君のお尋ねに対しましてお答えいたします。  裁定の線に沿つて、又裁定をそのままできれば承認し、その支出をすることが、私どもも望ましいと思いまするが、国の財政関係上、できない場合のために、公労法十六条第一項に明示されておるものがあるのであります。公共企業体等の予算上又は資金上不可能な資金の支出を内容とする如何なる協定又は裁定も、政府を拘束するものではないということが書いてあるのでありまするが、併し、公労法の精神からいたしまして、只今中村君からもお話がありましたような立場に国鉄の従業員は置かれておるのでありますから、仲裁裁定はできるだけ尊重いたすべきものであると私は考えております。  第二の問題でありまするが、政府公労法第十六条第二項の定めるところによりまして、国会の承認又は不承認を求めるために、仲裁裁定を国会に付議いたしておるのでありまして、政府の意思は提案そのものには入れるべきものではないと思つておるのであります。これは国会において御決定願うというのが法律の趣旨であると、私どもは解釈いたしております。  第三の一万三千四百円の基本給は民間賃金等に比べてどうだというお尋ねであります。特に民間の同種産業の従業員の賃金に比べまして、おおむね妥当なものであると、私は考えております。  第四番目にいろいろな支出の問題のお尋ねがありましたが、本年度国鉄の工事費のうち、自己資金によりまして約三百六億円というものが償却のほうに充てるようになつておりまするが、一兆円を超えまする国鉄の資産の減価償却といたしましては、これは余り適当なものとは私は思つておりません。それから裁定実施のための経費は本来経常的な経営費でありますので、これが財源はでき得る限りにおいて経営的な収入で賄うべきものであろうと考えておるのであります。以上お答え申上げます。(拍手)    〔国務大臣向井忠晴登壇拍手
  54. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) この国鉄裁定実施するために、この収入で賄い得ないものはどうするか、そういう御質問と思うのでございますが、仲裁裁定第一項の実施のみでも二十七年度は八十六億を要する次第でございます。更にそれに関連する経費を加えますと、およそ百十億を必要といたします。これに対しまして、現在のところ輸送量増加等により約六十億円の増収が見込まれてあるのでありますが、これは石炭経費の増加とか輸送力増加とか、経費の増加に充てなければなりませんので、従つて裁定ペースを尊重して給与の引上げを実施するためには、運賃を或る程度引上げなければなりません。目下補正予算の問題として慎重に検討しております。一体この企業体の経理は独立採算の制度になつておりまして、一般会計の租税負担にすべきものでない。従つてこれを般会計から繰入れるということはできませんのでございます。(拍手)    〔国務大臣戸塚九一郎君登壇拍手
  55. 戸塚九一郎

    国務大臣(戸塚九一郎君) 只今のお尋ねでございますが、先ほど運輸大臣から各項とも御答弁がありましたから、私から附加えるところはないのであります。(「あるのだよ」と呼ぶ者あり)ただ裁定賃金一万三千四百円が高いであろうか安いであろうかというお尋ねに、運輸大臣はおおむね妥当であるというお答えがございました。私どもはただ立場が違いますので、実は昨日衆議院のほうで、私からは何ともお答えは申上げかねる、かように答弁をいたしておりますので、その点を附加えて申上げます。(「何だそれは、そんなことじや政治はできない」と呼ぶ者あり)    〔中村正雄発言許可を求む〕
  56. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中村正雄君。
  57. 中村正雄

    中村正雄君 ここから再質問をお願いいたします。
  58. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 時間が余つておりますから再質問を許します。
  59. 中村正雄

    中村正雄君 答弁につきましてはすべて四項目に亘りまして不満足でありますが、あとは委員会等におきまして、十分質問いたしたいと思いますので、ただ一点だけ、はつきりと政府としての意思を表明願いたい点があるわけで あります。  それは第二項目に申上げました、この裁定政府が出しておりまする意思、言い換えれば、裁定承認を国会に求めているのか不承認を求めているのか、この政府の意向だけはつきりと答弁願います。    〔国務大臣石井光次郎君登壇拍手
  60. 石井光次郎

    国務大臣(石井光次郎君) 先ほど申上げましたように、この提案は事由を付して議会に提出いたしまして、皆様方の自由なる判断の下に討議してもらうというのが趣意でありまして、意思をこれによつて表示するものではないと思つております。これからの審議の途中において、私どもいろいろお尋ねがあれば、その間においているいろいろお答えすることにいたします。(拍手)    〔中村正雄発言許可を求む〕
  61. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中村正雄君。
  62. 中村正雄

    中村正雄君 只今の答弁では非常に不満足でありますが、提案者に対しまして、意思を表示する、しないは解釈の相違で、これはよろしい。ただ少くとも行政府責任ある政府が、この裁定を国会に出しておいて、国会が自由に判断願いたい、政府は何ら意思を持つておりませんということでは、責任ある政府とは言えないと思います。従いまして、裁定書に理由を書く、書かないは別として、この裁定を国会に出しておる内閣としての方針は、国会の承認を求める方針か或いは不承認を求める方針か、これはすでにきまつておると思います。委員会で答弁できることが本会でできない筈は断じてないと思いますので、明快な答弁を願います。    〔国務大臣石井光次郎君登壇拍手
  63. 石井光次郎

    国務大臣(石井光次郎君) お答えします。提案は何度も申上げます通り承認承認を求めるのでありますから、承認承認は議会のおやりになることでございます。(「政府の意思を聞いているのだ」と呼ぶ者あり)      ——————————    〔岩木哲夫君発言許可を求む〕
  64. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩木哲夫君。
  65. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は電源スト対策に関する緊急質問動議を提出いたしたいと思います。
  66. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は只今の岩木君の動議賛成いたします。
  67. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩木君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。岩木哲夫君。    〔岩木哲夫君登壇拍手
  69. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は改進党を代表しまして、只今動議議題となつております電源スト対策に関する緊急質問をいたしたいと存じます。  先ず吉田首相にお尋ねいたしたい点は、この毎年行事のごとく又繰りひろげられましたこの電産ストは、日を逐うて激甚を極め、今や一大社会不安の様相を呈するに至つたことは、誠に遺憾至極でありまして、もはや国民の誰一人としてこれを放任するわけには行かないのであります。そこで私は事態をここまで追い込んで来た労使双方に対しても、いささか所見を述べたいのでありますが、それより先に政府の怠慢と無方策によつて、一層この争議が悪化拡大したことの責任について、特に(「それだけでよろしい」と呼ぶ者あり)総理大臣にお尋ねいたしたいのであります。(「それが問題だ」と呼ぶ者あり)それは、この国家産業の根幹であり、国民生活の中心である電気事業等の運営管理をなすべき公共事業令の効力がすでに去る十月二十四日で切れることのわかり切つているにかかわりませず、政は迂閥にもこれに対する何らの対策をも講ぜず、ただ漫然と無為無策のままに放任していた結果によりまして、この争議の悪化性が一層激甚深刻を極めて来たことは、まぎれもない事実であります。電産争議は常習的に毎年繰返されていることでもありまするし、又、毎国会におきましても常にこの問題で論議が重ねられているのでありまするから、政府はこの公共事業令失効を見越して、第十三国会でも、又第四次吉田首班指名後におきましても、この前法令失効に伴う爾後の対策は当然講ずべきであるのにかかわらず、これを忘失しておりましたのか、先般我が党北村政調会長らが政府に忠告したことによつて、初めてあわてて気付いて、急に間に合せの俄か作りの臨時措置法案を最近の国会に提出されましたが、時すでに遅く、争議はこの虚を衝いていよいよ拡大、難さを加増して参つているのであります。而もなおこの法案の審議並びに成案は、いつの日か見通しすら付かない今日の状態におきまして、この空白を衝いて活溌、悪化して来たこの争議の様相は、これを政治的争議行動と見るの余儀なきは別物にいたしましても、かくのごとく長期に亘る失態のブランクを生ぜしめて、この虚に乗せられたその失敗、手落ちと責任は、まさに吉田内閣の当然負わなければならない重大問題でありまして、これによつてこうむる国家国民の非常なる損害、犠牲に対しまして、総理は一体如何なる責任と対策を持つておられるのであるかどうか、明確にお答えを願いたいのであります。  次に私は、この我が国産業復興の基盤たるこのような公益事業体に対しまする労働争議行為のあり方に対し、政府は如何なる基本的態度をとらんとするのであるか、又この争議の前提となるべき賃金政策に対して如何なる方針を持つているのかを、重ねて吉田総理並びに池田通産、戸塚労相にお尋ねいたしたいのであります。それは、電気事業は特に首相も期待しておるごとく、外資導入の狙いどころでありまして、我が国の電源電力は国家産業の大動脉であり、又国民ひとしく享受すべき天与の一大資源でありまして、その企業体がたとえ営利私企業であると否とを問わず、又その従事員がただ単なる労務者たると否とを問わず、その経営運行者全体が一丸となつて国家社会に貢献をし、公共の福祉に副うべき義務があると考えるのでありまして、これがために国家はあらゆる特典便益を与えてこれを庇護育成しているのでありますが、然るに経営者のほうでは、この今回の争議に対しまして漫然たる経営支払能力主義をかざして、その負担増加が生じた場合、それを需要者の料金値上げによつてカバーして、これを他に転嫁するがごときの安きにつかんとするこの態度、殆んど企業合理化、能率増進、冗費節約等に思いを忠実に致さないというごときは、我々の最も 忌避するところでありますが、又さりとて一方労務者側におきましても、他の一般国民生活の実態を無視して、自分らのみが先ず文化生活賃金獲得の原則に立つて、この主張を固持し、遂にその自己の尊い職場を抛ち、職責を抛ち、特権手段を発動して送電ストを断行し、この間、国家産業と国民生活を暗黒不安に陥れて、甚大なる損害を与えつつあるこのあり方は、国民の全く遺憾に堪えないところであります。又特に我々が遺憾とするところは、今回の争議指導体が、日頃穏健労組として我々の最も信頼しておつた総評が、その一部の左翼的陣営や、又外部の左派的バツクによつて、根強く、而も政治的色彩濃厚に争議を展開しているこの事態は、我が国独立後の健全なる労働運動のあり方として、将来又総評のためにも誠に惜しむものでありますが、経営者側においても、労組側におきましても、共にこの際その態度改善して、この不安状態を一日も早く収拾せぬ限り、国民はことごとく、この争議に対し非常な反感と憎悪を抱くに至るであろうことを警告せんとするものでありますが、(「自由党に頼まれたな」と呼ぶ者あり)一方又政府におきましても、この国民の苦しみを荏苒放任して、成行き任せ的無為無策の冷淡なる態度は、国民と共に大いに不満とするところでありまして、一体、当該主管大臣である池田通産、戸塚労相は何かしておるのであるか、その存在を疑わしめるものがあるのでありまして、如何なる一体解決策をとらんとするのであるか。この際明確に答弁を求めたいのであります。  その次は、先に政府は米価審議会を棚上げして、米価決定に従来のパリテイ方式を一擲して、突如、廣川、池中両相の直取引によりまして政治米価を選挙対策用にでつち上げて、国民経済と物価賃金政策に重大なる悪例、暗影を投じたのでありますが、然るに今ここに電産が従来の賃金測定の方式を変えて、いわゆるマーケツト・、バスケツト方式による新たなる賃金原則を打立てんとしているのでありますが、政府は先のこの政治米価決定の先例に鑑み、一体このマーケット・バスケツト方式に対しまして如何なる考えと見解を有しておるのであるかどうか。これは今回の争議解決と特来の賃金経済の」におきましても重大なる問題となつて来るわけでありまするが故に、特に答弁を求めたいのであります。ただ我々の考えは、この電産の要求たる物量方式の基礎によるカロリー二四四〇、蛋白八五・二による、その文化生活総所経費の合計を要求していることは、現実の貧困なる日本経済全般と国民の耐乏生活の実態から見て、余りにもそ実情に副わない点が多いのでありまして、見方によりますれば、一種の欲望賃金の上に立つての考え方であると見られるのでありまして、大いに研究を要するものでありますが、(「駄目だ」と呼ぶ者あり)これが通らないから、多数の国民生活犠牲不安が如何ようにあろうとも、あえてストを強行するというやり方は、穏健なる社会連帯の国民協同の精神といたしましイは、いささか批判対象にならざるを得ないのであります。(「岩木君、何カロリーだ」と呼ぶ者あり)併しなが我々は、国全般の経済状態が上昇しすれば、この建て方の要求を理想とするのにあえてやぶさかではありませんが、要するに現段階の日本の現状から見て、且つは殊に中小企業、農民多数のこの悲痛なる最低生活の実情から見まして、相当考慮さるべきであると思うのでありまして、近時の労働争議の賃金要求が、他の国民生活全般を顧慮することなく、団体交渉による階級的利益を獲得せんとする傾向にあることは、全般的国民感情から見て冷静なる批判を要するのであります。戸塚労相は、この労働争議に対処する方策と賃金政策の基本的な態度について明確な方策を立て、この争議解決に積極的に活躍すべきであると思いますが、どうであるか。殊にこの中労委の調停に対する政府態度、見解を明らかにしてもらいたいのであります。  次にもう一点戸塚労相にお尋ねいたしたいことは、一応中労委の調停案が出されておるのでありますから、現下の諸事情より推して労使双方とも互譲の精神を以て早急に解決に努力すべきでありますが、ただ労組側は事実困難な全国統一交渉と全国統一賃金要求を固持している点であります。併し我々は、労組側として、曾つての全国、企業一本時代の場合もあり、又組織力の全国的強化の念願もその立場上まんざら理解ができないわけではないのでありますが、古今の争議は飽くまでも経済条件の改善闘争が根本であるべきでありまして、これを現在全国九つの私企業体に分れておのおのその立地経済条件の異なるいわゆる経営格差のあるものに対し、全国一律一体の統一方式を執拗にとらんとすることは、経済闘争の本旨を越えた理不尽な政治的闘争の色彩を露呈いたしておると見られるべきでありまして、我々の又了承に苦しむところであります。即ち、現に東京、大阪のごときは中労委の調停案に近寄りやすい経済状態態度を持つているのに対し、東北、北陸、四国の電力会社のごときは、容易に賃上げ要求に応じ得る支払い能力が及びも付かない困難な経営内容を持つているものに対してまで、全国同様の統一交渉、統一貸金を強要せんとするそれ自体は、到底このままでは解決促進の善意ある態度とは言いがたいのでありまして、殊にその賃上げのはね返りが又電力料金の再引上げに転嫁きれるということに思いをいたしますれば、さなきだに経済状態弱体地区の東北、北陸、四国地方労働賃金と電力料金のみが著しくはね上つて、これが又地方産業と国民生活全般の上に重大なる影響を及ぼすであろうことは想像に難くないことでありまして、この実情から見て、労相当局も経営者側の誠意を求めて、相互の実情に合致した現地ごとにおける地方別交渉、地方賃金の折衝妥結に努力すべきであると信ずるのでありますが、戸塚労相はこれらに対し如何なる対策と所見を有しておられるかを明らかにして、この際、争議解決にもつと真剣に取り組むべきでありまして、手を拱いて成り行きを待つがごときは卑怯な態度でありまして、まさに責任回避と言わざるを得ないのであります。(「その通り」「まだか」と呼ぶ者あり)  次に池田通産大臣に追加いたしてお尋ねいたしたいことは、今回の争議が政府の失態、怠慢によつて、いつ解決するかわからないのであるが、いずれにいたしましても、現在切断ストを受けておりまする大口需用者はもとより、中小企業、農民或いは国民全般の生活に及ぼす被害、損害は甚大なるものと言わなければなりません。一体この争議によつてこうむりましたる損害は誰が負うのか。経営者が負うのか、労組側が負うのか、はた又政府が負うのか。その責任の所在を明らかにしてもらいたい。更にもう一点は、仮に中労委の調停に妥結が付くといたしましても、電力料金の引上げは余儀ないことと報ぜられておりますが、政府はこの場合この料金引上げは余儀ないこととして認める肚であるかどうか。併せてこの賃金問題と料金問題とをどう考えておられるかの所見を承わりたいのであります。  最後に犬養法相にお尋ねいたしたいことは、今後のスト行為の成り行き次第によつて全面的に更に悪化の虞れなしとはしないが、例えば昨日の亀戸変電所等におきまするがごとく、経営者が自衛運転を敢行してスイッチを入れましても、又それを労組側が切断するがごとき行為は、公共企業体の性格上当然刑法の適用があると考えられますが、法務大臣の御所見は如何。明確にお答え願いたいのであります。  以上をもちまして私の質問といたします。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇
  70. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。  公共事業令の存続につきましては、前々議会において審議を求めておつたのでありますが、審議未了に終つたために、政府においては今回改めて所要の法律案を提出いたしておるわけであります。  又公益事業の争議に対する政府態度如何という御質問でありますが、公益事業の争議は一般に与える影響の重大であることは申すまでもないのでありますが、労使双方の自主的解決が困難である場合には、公正なる第三者たる労働委員会の調停を期待し、これによつて事態の円満なる解決を図りたいというのが政府の考えであります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇
  71. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。  公益事業体のストに対しまする政府方針といたしましては、只今総理大臣よりお答え通りでございまして、我々といたしましては、折角中労委が労使の間に立つて斡旋をいたされておりまするので、中労委の斡旋により早く円満なる解決を期待いたしておるのであります。而して今後の問題におきましても、公共事業におきまして不定期に賃金改訂要求が行われまして、たびたびストが行われるということは産業或いは民生の安定に非常に弊害あることでございますので、中労委が只今考えておられるような賃金委員会というふうなものを設けまして、随時賃金その他のことにつきまして労使が協調して考えて行くことが適当ではいかという気持を持つておるのであります。  又マーケツト・バスケツトの方式につきましては、岩木さんのおつしやる通りでございまして、こうした理窟もないことはございませんが、今の状況から言つてこれを賃金裁定の基準にするということにつきましては、私は反対でございます。  次にストによりまするその被害は誰が負担するかという、こういう問題でございますが、正当な争議行為によりまする被害は、労働組合法の八条によりまして、使用者にも或いは組合側もその責任はないということになつておるのであります。而してストをした組合側が第三者に対する責任如何ということになりますると、組合側と第三者とは関係はございませんから、そこに損害賠償その他の権利義務関係は起らぬと思います。なお又、ストによりまして電気事業者と使用者との関係におきましては、これは不可抗力による場合におきましては、電気事業者はその被害の責を負わないということが電気供給規程に規定してあるのでありまして、電気供給規程による不可抗力というものが、正当な労働争議を不可抗力と見るか見ないかという問題につきましては、厄介な問題でございまするが、この点につきましては、以前に慣例として不可抗力と見るという解釈をとつておるようであります。  次に、中労委の裁定が労使協調で採択されたならば、直ちに電気料金の引上げをもたらすかという問題でございます。勿論、電気料金のフアクターとして賃金というものは相当なものでございますが、電気料金というものは労務者の賃金によつてのみきまるものではございません。その他いろいろな要素があるのでございます。従いまして、中労委の裁定が労使双方に採択せられましても、直ちに料金の引上げをなすということは考えておりません。私といたしましては、産業又国民生活に非常な影響がありますので、極力料金の引上げはいたさない方針で進んで行きたいと考えております。(「名答弁だ」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣戸塚九一郎君登壇拍手
  72. 戸塚九一郎

    国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げます。  賃金の問題でありますが、原則として賃金は労使が自由の立場で話合つて決定する、政府がこれらに介入するようなものではないと考えております。マーケット・バスケツト方式は一つの方式でございますが、その算定に当つての要素が不確定のものもある、又この方式は、大体基本的には生活費を中心とした性格を持つておるものでありまして、やはり今後におきましては、賃金は、生計費のみならず、生産技能、能率というような要素も取入れまして、高能率、高賃金という主義によることが肝要であると考えております。(「高賃金はどこの国か」と呼ぶ者あり)  電産の争議につきましては、現在、只今もお話がありましたように、中労委の調停案が提示を見ておるのでありまして、電気事業の公益性にも鑑みて、労使双方が成るべく早く互譲の精神で解決をしてくれることを衷心から望んでおるのでございます。争議行為が経済的な目的を逸脱するというようなことは、もとより避くべきでありますことは言うまでもございません。正当な範囲を逸脱せないように関係者の注意を促しまして、成るべく適宜の措置を講じたいと考えておるのでございまするが、私といたしましては、決して卑怯な意味ではなくして、余り先走つて政府がいろいろな点に先走ることは面白くない、かように考えておるのでございます。  それから、やはり電産争議について、統一交渉、統一賃金、或いは又地方別の交渉、地方賃金、どちらがいいか、どちらをとるべきかというようなお話がございましたが、この点につきましては、やはりその企業そのものの実情をも考え、又労務の実態についても考えまして、労使双方が自主的に検討せられ、その交渉によつて実情に合うようにきめられるものが最もいいと考えておるのでありまして、只今も申上げましたように、決して責任を回避しておるわけではございません。(拍手)    〔国務大臣犬養健君登壇拍手
  73. 犬養健

    国務大臣(犬養健君) 岩木君にお答えいたします。  経営者側が業務の引継ぎを要求いたしまして、業務の入れ替りを済ませました後に、争議団が電源スイッチを切りました場合は、多くの場合、御承知のように刑法に規定せられました威力業務妨害に当てはまるのであります。多くの場合と申しまして、全部と申しませんことについて、或いは御不審があるかも知れませんが、当局といたしましては、一つ一つのさような場合に、その状況を勘案いたしまして、労働組合法の第一条第二項に当てはまるかどうか、一つ一つ現に慎重に、起りつつある場合を検討しておるのであります。併し多くの場合、威力業務妨害に当てはまると解釈いたしております。(拍手)      ——————————
  74. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、お諮りして決定いたしたいことがございます。  地方行政委員長から、都市自治の確立方策及び治安問題に関する実地調査のため、大阪府に石村幸作君、西郷吉之助君、小笠原二三男君、吉川末次郎君を本月中五日間。  今次総選挙実施状況等に関する実地調査のため、北海道に油井賢太郎君、宮田重文君を本月中十一日間、福岡県山口県及び島根県に岡本愛祐君、中田吉雄君を本月中十日間、群馬県、静岡県及び山梨県に岩男仁藏君及び原虎一君を本月中七日間。  法務委員長から、第六海上保安本部職員の汚職事件に関する実地調査のため、広島県に大野幸一君、長谷山行毅君を本月中五日間。  大蔵委員長から、国税の徴収状況に関する実地調査のため、京都府、兵庫県、鳥取県及び大阪府に小林政夫君、大矢半次郎君を本月十日より二十五日までの内ち七日間。  文部委員長から、教育環境整備、教育施設確保及び文化財保護の諸問題に関する実地調査のため、奈良県及び京都府に相馬助治君、木村守江君、木内キヤウ君を、山梨県及び静岡県に矢嶋三義君、岩間正男君、川村松助君を、本月九日より二十五日までのうち五日間。  労働委員長から、改正労働法の施行状況、賃金問題等に関する実地調査のため、秋田県及び栃木県に吉田法晴君を、愛知県及び岐阜県に堀木鎌三君、片岡文重君を、島根県及び山口県に安井謙君、村尾重雄君を本月中五日間。  建設委員長から、木曾川及び天龍川の実態と各種建設諸事業に関する実地調査のため、静岡県、長野県、岐阜県及び愛知県に石川榮一君、小川久義君を本月十四日より二十四日までのうち六日間。岩木川及び阿仁田沢特定地域における総合開発計画並びに建設諸事業に関する実地調査のため、青森県及び秋田県に田中一君、松浦定義君を本月十四日より二十四日までのうち六日間。  予算委員長から、景気沈滞傾向の生産流通部面に現われた実情等に関する実地調査のため、茨城県、群馬県及び栃木県に松永義雄君、千田正君、池田宇右衞門君を、新潟県、富山県及び福井県に駒井康甲君、山田節男君、中川幸平君を、三重県及び和歌山県に山本米治君、内村清次君、中山福藏君を、本月中七日間の日程を以て、それぞれ派遣いたしたい旨の要求書が提出されております。  各委員長要求の通り議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて委員長要求の通り議員を派遣することに決しました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 皇太子殿下立太子の礼及び成年式につき慶賀の意を表する件  一、議員の請暇  一、皇室会議予備議員選挙  一、国土総合開発審議会委員選挙  一、検査官任命に関する件  一、電波監理審議会委員任命に関する件  一、中央更生保護審査会委員任命に関する件  一、地方財政審議会委員任命に関する件  一、人事院勧告公務員給与ベースアツプに関する緊急質問  一、国鉄裁定問題に関する緊急質問  一、電源スト対策に関する緊急質問  一、議員派遣の件