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1952-12-23 第15回国会 参議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十三日(火曜 日)    午前十一時二十二分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岡部  常君    理事            長谷山行毅君            伊藤  修君            鬼丸 義齊君    委員            小野 義夫君            加藤 武徳君            宮城タマヨ君            金子 洋文君   国務大臣    法 務 大 臣 犬養  健君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    法制局次長   林  修三君    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    法務政務次官  押谷 富三君    法務大臣官房経    理部長     天野 武一君    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君    法務省保護局長 斎藤 三郎君    外務省条約局長 下田 武三君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  眞道君   説明員    最高裁判所長官    代理者    (事務総局人事    局長)     鈴木 忠一君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局人事    局給与課長)  守田  直君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局家庭    局長)    宇田川潤四郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○検察裁判及び行刑の運営等に関する  調査の件(日本国とアメリカ合衆国  との協定による貸与船舶法的概念  等に関する件)  (更生保護事業等に関する件) ○検察官の俸給等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣送付) ○裁判官の報酬等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 岡部常

    委員長岡部常君) 只今より委員会を開きます。  本日は先ず前々回に引続きまして法務大臣に対する質疑を行います。
  3. 伊藤修

    伊藤修君 私はこの際お伺いしておきたいのは、現在船舶に関する条約の承認を外務委員会において審議しておられるに際しまして、法務委員会といたしましてもこれに対して関心を持たなくちやならないと思う一点は、問題の船舶が果して軍艦なりやという点であるのでありますが、一体法務大臣といたされては、国際法上の軍艦国内法上の軍艦と、且つ国内法上においての軍艦については実質上の軍艦法律上の軍艦、この点について先ず定義をお伺いしたいと思います。
  4. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答え申上げますが、法制についての二点は法制局長官から御説明したほうが穏当だと思いますので、そのように御了承願いたいと思います。
  5. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 只今お尋ねに対しまして少し私のほうで勝手に調節したことになるかも知れませんが、実質上の軍艦というものと国際法上の軍艦というふうに分けて、そういう分け方でお答えさして頂きたいと存じます。実態上から申しましての軍艦と申しますれば結局軍事目的のために使われる船ということに尽きると思います。国際法上の軍艦定義ということにつきましては、これは大体国際法の教科書におきましても一定基準が上つておりますが、それによりますと、先ず公船の一種である、そして国の海軍組織に属しておる、その海軍に属する将校の指揮の下にあつて、勿論その職員は軍紀に服する、そうしてその船についてそれが軍艦であることを示す特別の標識と申しますか、特別な旗を掲げる、そういうものが軍艦だと一般に言われておるわけであります。それは正しい標準であろうと考えております。
  6. 伊藤修

    伊藤修君 国際法上の定義は大体従来の通説をお述べになつたに過ぎない。国内法上の問題については余り漠として把握しがたい。もう少し明確にお答え願いたいと思います。而も軍艦に対してはいわゆる法律上の軍艦というものと、実質上の軍艦というものと二つあるということでありますが、それを承わりたいと思います。
  7. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) そこは少しむずかしい問題でありますためによけたのでありましたけれども、お尋ねでございますからお答え申上げます。これは昔の旧憲法時代日本海軍を持つてつた頃のことを頭において一応申上げたいと思いますが、その当時においては、国内法軍艦とは、たしか軍艦とはという定義でありましたか或いは海軍艦船という定義でありましたか、これはいずれにせよ同じことであろうと思いますが、それらについて海軍旗を掲げているものを海軍艦船或いは軍艦というような定義ではなかつたかと私は覚えております。従いまして形式から来ているものである。軍用に用いられ而も一定の旗を掲げるというものは軍艦或いは艦船だということでありまして、実質とは私は必然的のつながりはないと思います。例えば何ら武装をしておらない船でも海軍旗を掲げたために海軍艦艇というように定義ずけられ、海軍関係艦艇に関する条文が適用になるというようなものであつたと私は承知しておるわけであります。従いましてこの法制上から申しますと、法制の建前からは、海軍というものを仮に持つておるとすれば、どの範囲のものが艦船であるということは法律技術によつてそれが区別されるというようなものではないかと思います。  お尋ね趣旨はむしろそういうことではなくて、そこに一つ船がある、その船自体をとらえて相当程度武装をしているじやないか、その国に海軍があろうとなかろうとこれは一体軍艦じやないのかというような疑問から来るお尋ねではなかろうかと思います。私の考えではそういう点からの実は答えができないので、大変卑近なことを申しますけれども、捕鯨船などがやはり大砲を積んでおると申しましても、それが軍艦であるとは考えない。その実質というものよりも、むしろ結局尽きるところは何の目的にそれが使われるのか、即ち戦争目的のためにということで区別せざるを得ないのじやないか。これは卒直に申しまして尽きるところはその一点になるのじやないかと考えておる次第でございます。
  8. 伊藤修

    伊藤修君 どうも明快な頭を持たれる佐藤君のお答えとは思えない。ことさらに何らか含んでそれを避けてお答えしているように拝聴するのです。およそ軍艦定義は私が申すまでもなく、国内法上においては或る一定船体一定吏員とそうしてそれが主権によつて作用されておる機関であれば、それを軍艦ということは異論のない今日までの通説だと思つております。それをことさら今のお答えによつて軍艦旗を掲げることによつて軍艦である、軍用に供することによつて軍艦であるというふうにお答えになることは、法律家としてのあなたのお答えとしては甚だ不満に堪えない。それを明確にお答えになつても差支えないと思いますが如何でしようか。
  9. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) あらゆる観点を総合して最も明確にということになれば、私が今まで縷々申上げたところを御総合願えれば当然出て来るところだろうと思いますけれども、結局その目的ということによつて判断するほかはないのでなかろうかと、私は本当にそう思つております。何か別に手がかりのようにお気付きのことがございましたら、その手がかりを教えて頂けば又それによつてお答えいたしたいと思います。
  10. 伊藤修

    伊藤修君 目的軍用に供せられればすべて軍艦であるのだということは言えるのですか。そういうことは言えないのでしよう。それが常に主権の下に服していない以上は軍艦じやあり得ない。主権の下に服していない船体が交戦の目的に供せられましても、それは必ずしも軍艦とは言い切れない。だから民間人が船を操作して中共と戦うというような場合にそれは軍艦と言えますか。そういうようなことは言えないでしよう。目的のみによつて軍艦定義をするということは不可能です。又軍艦旗を掲げておることによつて軍艦であるという考え方も私はとれないと思うのです。即ち実質的には一定船体を持ち、そうしてそれに一定吏員、私はあえて吏員と言いますが、人員を持ち、それが主権によつて操作されておるものでなくてはならないと思いますが、如何ですか。
  11. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは私の言葉が少し足りませんでした。確かに私が軍事目的とか或いは戦争目的と申しておるのは、結局戦争というのは国の主権によつて行われるものだということを頭において呑んで申上げておりましたためにあいまいでありました。その点はまさに先生のおつしやる通り主権の下になければならんということは当然のことであります。
  12. 伊藤修

    伊藤修君 そうしてみますと、一応軍艦概念ははつきりしたと思うのです。そういたしますと、現在問題となつておるあのフリゲート艦が、千四百三十トンですか、小さいほうが二百五十トンですか、これらの船にはそれぞれの大砲、爆雷、いわゆる戦闘に供し得るところの武器というものが備え付けられておる。而もそれには一定人員が乗せられておる。その人員はあえて海軍であると否とを問わない。およそ軍艦に乗るところの吏員というものは教師であろうが、僧侶であろうが或いは他の者であろうが、それが主権の命令によつてつておる場合においては、私は海軍たるの資格を有すると思う。これは今日までの通説だと思う。その場合においてフリゲート艦に乗つておる乗員が艦員と称せられようが、警備員と称せられようが、その名称の如何にかかわらず、少くともそうした一定吏員によつて操作され、而もそれが主権の下に服しておる、そうして掲げるところの旗はあえて軍艦旗と言わなくとも一定標識であれば軍艦を表示し得るものである、取りも面さずこれが軍艦旗であることは言うまでもない。軍艦旗と言わなくても軍艦を表示し得る旗種である以上はそれが軍艦旗である。これは申すまでもない。こうした形態を備えているものがなぜ軍艦と言えないのでしようか。いわゆる船舶であるというあなたたちの御説明が私には納得できない。この点如何です。
  13. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それはおつしやる通りでございますが、ただ今の一定武装をしておるということは、結局その海上警備隊というものの任務即ち海上における治安維持ということから必要なものであり、又その限度のものであるということからいつて、それが治安目的のために使われる船であるということは又これはつきり申上げ得るところであろうと思います。従いまして結局はやはり目的のほうの問題になつて来るので、それが仮に或る国で、例えばタイ国にそれが貸されて、その船が向う海軍組織の中に入つて、それが戦争のために一つの役割を果すという目的をつけられるということになれば、これは又軍艦であると申上げざるを得ない。いずれも私はそういう考え方は正しいことと思います。我が国でこれを借りて使おうと申しますのは、先ほど申しましたように、あくまでも治安目的のために使われるのでありますから、たまたまそれが或る種の武装をしておつたからといつて軍艦であるとは直ちにならないと考えております。
  14. 伊藤修

    伊藤修君 そういたしますと、従来の学説によるところの軍艦定義からもう一つ佐藤定義というものが現われて、目的を加えることによつて初めて軍艦なりや否やということが区別できると、こういう結論になるのですか。目的によつて軍艦か否かの区別をつけようという御見解ですか。
  15. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほど伊藤先生のお話にもありましたように、国際法で旗をあげろとか、海軍職員を乗せたものであるとかいうことは、これは人間のやることでございまして、旗だつて今仰せの通り海上保安庁或いは海上警備隊の旗がある。それを向う軍艦旗であると見られればそれきりのものじやないかというこの程度のものであると私は思う。従いまして国際法の原則とか定義とかいうものは、むしろ何が軍艦であるかというそれぞれの国における使用目的その他によつて一応実質がきまつて、それから先に国際法でどういう特権を与えるかとか何とかの見分けの基準がそこに出て来るのではないかと思いますので、非常につきつめたところを申上げれば、佐藤説だとおつしやいましたけれども、私はどなたがお考えになつてもそういう結論にならざるを得ないと思いますのは、結局治安目的のためであるか、戦争目的のためであるかということにならざるを得ないのじやなかろうか、私は心からそういうふうに考えております。
  16. 伊藤修

    伊藤修君 そうならざるを得ないということは便宜論です。便宜論便宜論政治論としてこれは又後に考えるベきことである。少くとも我々は立法府のあり方としては、そのものが果して軍艦なりや否やという法律的な見解を定めて来るのでありますから、而うして後においてそれがそうならざる場合においてそういう便宜論考えて頂きたい。今のようなお説であるといたしますれば、憲法第九条のいわゆる第二項の「その他の戦力」ということに対してそれがどういう御見解でありますか。あなたのお説でもつてすれば、およそ国内治安目的のためにということになりまして、そのためには一万トンの船、武装したところの船舶を持ち得る、何千機、何万機の飛行機も持ち得る、何百箇師団も持ち得るということになり、それが果して憲法の第九条の第二項に上るところの「その他の戦力」ということに当てはまらないでしようか。およそ憲法を作るときの考え方というものは、一定装備せられたところの人的構成というものが蓄えられ、それが一朝事ある場合においてこれが戦時用に供せられ得るようなものを作らしめないために「その他の戦力」と言つておる。又一朝事ある場合において戦争用途にこれを転換し得るような軍艦を造らせないよう第二項いうものがあると思う。現在の目的国内治安だから幾らでも造つていいということになれば、これはもう憲法有名無実ですよ。それは成るほど陸海空軍という顕著な標識を持つた組織体を作るということは免れるでしよう。併しその他の戦力を蓄えることを我々は否定しておるにもかかわらず、そうした形式論によつてこれらのものを蓄え得るということでは、憲法の第二章というものは全く空にひとしい。憲法制定当時の考え方というものは、そうした潜在的戦力というものを否定しようとしてこそ初めてあの精神が貫かれると思うつ今のようなお説を以て現に戦争のために作つたものじやないということになれば、どんなに作つてもいいという議論に到達せざるを得ない。さような不合理な、あなたの法律家としての考えとしては全く政治家議論に堕していると思う。政治論伺つているのじやない。法律論伺つているのである。学者としてのもう少し良心を卒直に述べて頂きたいと思います。
  17. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) だんだんと適切な御質問を得て私どもの考えておるところもこれからはつきりすることと思います。この蓄え方、非常に適切なお言葉つたと思いますが、武器のようなものの蓄え方の問題には私は二通りあると思います。即ち憲法制定帝国議会の御審議の際にも出ておりましたが、例えばこの武装を放棄して大きな内乱騒擾が出たら一体どうするかという御質問が、貴衆両院を通じて深刻に出た。それに対してはもとより軍隊は持てませんけれども警察力等によつて処置いたしますというお答えをしております。又その場合に機関銃のようなものは持てますか。機関銃のごときものは持てませんというお答えまで、これはたしか幣原さんだつたと思いますかやつておるのであります。従いまして蓄え方の問題としては、例えば今の治安目的のために必要な機関銃というようなものは当時から予想されておつた。併しこれが用い方如何によつて戦争目的にも確かに機関銃というものは使われると思いますが、併しこの場合におきましては、機関銃治安目的のためならば使える、そういう意味で或る種の武器を或る種の目的のために蓄えるということは憲法が容認していると申さざるを得ないと思います。ところがその心配は蓄え方がだんだんだんだんと組織化され、強力になつて来て天井を知らんというようなことが憲法上許されるかどうかという問題に私はなると思う。それは憲法上明確に限界をおいておる。この憲法のそもそもの第九条というものは第一項に明らかでありますように、侵略戦争を実は禁止しているので、自衛権は否定しておりませんし、自衛戦争そのものも実は憲法九条第一項では否定しておらないわけでおります。併しながらこの過去における自衛戦争の名の下に侵略が行われたというようなことから、万全を期する意味で第二項が設けられまして、その戦争に使い得るような手段をそこで保持を禁止したということであるのであります。その場合に「陸海空軍その他の戦力」の「その他の戦力」というものは一体どうなるかという問題が残るわけです。一体実力組織というものは、先ほど来の話にも出ておりますように、治安目的のためにはどうしてもやはり実力組織というものがなければこれは目的が達し得られないものであります。治安目的との交錯関係に結局その限界線が出て来ると思うのであります。我々といたしましては、文字上から申しまして「陸海空軍その他の戦力」とありまして、軍艦大砲、その他の戦力とは書いてない。でありますから、その他の戦力というものも結局組織化された装備編成を持つた総合体、それは戦争に役立つ一その戦争というのはたびたび木村大臣が言つておるように近代戦争遂行を有効適切に成し得るような、そういう遂行能力というふうに言つておるのであります。これは治安目的のために許されるというところから睨み合せて考えましてもこれは当然の限界線だろうと言えると思います。従いましてその上の限界線というものは一つ一つ軍艦とか、機関銃とかいうようなものを抑えるのではなくて、勿論それらは戦力構成要素にはなりますけれども、戦力そのものとはそれを以て直ちに言うことはできない。人的に物的に装備編成されたものが近代戦争に役立つものであるかどうかということで天井を抑えて、外から見て仮に治安目的と言いつつ非常な武力が蓄えられる、組織編成がなされるという場合に、これを客観的に眺めて如何に名はそうであろうとも、実は戦争を狙つているのじやないか、或いは又その組織編成程度からいつて近代戦争を有効に遂行し得る実質を持つておるということになつて来ると、第一項の違反にそれが問われる虞れがありますから憲法はそれを禁止している。私は言葉が下手でありますから御了解願えないかも知れませんが、そういうふうに考えておるわけでございます。
  18. 伊藤修

    伊藤修君 それは戦力というものを装備編成というふうに拡大してお考えになることも、それもよろしいでしよう。仮にあなたのお説を肯定いたしましても、今の大砲を持ちその他の装備を持つたところの一定の形を持つた船舶が多数これを用意されますれば、それ即ち戦力の雄たるものです。ただそれがいわゆる国内治安維持目的限界点を超えているか、超えてないか、その標準近代戦争に役立ち得るものという新発明の定義木村さんはしておりますが、私はこの木村さんの考え方というものは、あなたの示唆に基いて述べたかどうか存じませんが、非常な迷案だと思うのです。およそ近代戦争に役立ち得るところの兵力というものがアメリカ及びソヴイエト、英国、フランスを除いて他のいずれの国にあるか。いわゆる近代戦争に役立ち得るというものは原子爆弾水素爆弾ジエツト機等を総合して言われることだと思うのです。恐らくはあの人も素人だからそこまでは考えていないでしようが、その程度のことを考えての御答弁だと思います。併しそれ以外の装備であればそれはいわゆる軍隊じやない、戦力でないというならば、他の六十有カ国の持つておるところの軍備というものはすべて軍隊でないということになると思う。さようなばかげた議論はないと思う。スイスにおけるところのあの防備の態勢を整えるところの自衛力木村さんの説を以てすれば軍隊じやない、いわゆる戦力じやないということになるが、私はさよう愚な解釈はあり得ないと思うのです。少くとも戦争し、それが非常な懸隔があろうと敵の戦力を傷つけ得るところの能力を持つたものであれば、これはすべて戦力であるというのは当然でしよう。而もあなたの説を以てすればそれが組織ある統制されたところのものであるということになるのです。一つ一つ大砲を私は戦力とは申しておりません。殊に問題のフリゲート艦の艦上には高射砲を持つておる。一体国内治安維持するのに、我々が法務に関係しておつて空中より今日国内治安を乱すということが考えられるかどうか。将来はあり得るかもわかりません。併し今日としてあのことごとくの船が高射砲を以てしなければ日本国内国内治安は保たれんというふうに御想像になつておるのですか。法務総裁如何です。共産党が飛行機を持つておるでしようか。或いは強盗団飛行機を持つておるでしようか。空中賊があるとお考えになつておりますか。何のために高射砲を持つておるのですか。これが戦力でなく而もこれが一定組織の上におかれておる。一つ高射砲を指して言うのじやない。六十八隻というものにことごとく備え付けられているとすればそれが取りも直さず戦力でないのですか。如何ですか。
  19. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 何が戦力であるかということで私見はございますが、恐らく迷う私見でございましよう。併しどうもこれは政府法制に関する意見ということになりますと、私は国務大臣ではありますが立派な法制局長官がおりますので、それに答弁させることが最も円満であり又穏当であると考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  20. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 結局先ほど触れましたところにも関係しますが、内乱或いは騒擾、而もこれは例のスペインの内乱その他の最近の傾向から申しましても、外国の教唆或いは援助というようなことによつて大きな規模のものが起り得るということが想定できるわけてあります。さような場合に処して国として腕をこまねいておれるかどうか。腕をこまねいておれば又憲法違反たと私は思います。国民の生活を守つて行くことが憲法上の国の義務となつている以上は、その点に対する手当はどろなわではいけないので、万全のできるだけの準備はしておかなければならないというふうに考えております。そういう点から申しましても、只今御指摘の或る種の装備はどうであろうかということは、これは或いは保安庁のほうから詳しく御説明するとは思いますけれども、私が考えましても決してその任務を逸脱したものではないというふうに考えておるわけでございます。
  21. 伊藤修

    伊藤修君 これは政府の今日の考え方としては極力憲法違反にならざるように強弁しておられるのですから、これ以上おし進むことは役に立たんと思いますけれども、私は良心あるところの、尊敬してやまない佐藤さんまでがこの政府間違つたあれをこじつけて法律的に説明しようとは考えなかつたのです。私は何も政府の政策を云々というのじやなくして、少くとも我々としては国民に対しまして、立法府の責任ある地位として、これが戦力であるか否かということを法的に説明する場合においては、こういうものを戦力でないという説明は不可能だと思います。故にあなたにこれを重ねて伺つてつたのです。あなたの説を以てすればいま一つの場合を想像いたしましても、先ほどお言葉にありました自衛権範囲内においては差支えないというけれども、これはその自衛権というものは積極的な自衛権及び消極的な自衛権、いずれを指しておるのですか。
  22. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 大事なことでございますから、自衛権範囲内では差支えないというのは誤解を生じますからはつきり申上げておきたいと思いますが、芦田法学博士、或いは佐々木惣一博士の言われておるような意味で私は言つておるのではありません。あれらのかたがたのお説では自衛のためには戦力も持ち得るという、第二章は侵略のための戦争の禁止であつて自衛のための戦争は禁止しておらないという説を強く唱えておられるわけであります。政府はそうは考えておりません。そこを一つはつきり申上げておきたいと思います。  そこで消極的、積極的というのはどういう御趣旨か。恐らく積極的というのは、昔大陸に自衛の名において出て行つたというような場面を想像されて、それを積極的と仰せられるのではないかと思いますが、そういうような意味で申しますならば、ここに憲法の認めておる自衛権というものは、これは消極的な自衛権に違いないと考えております。
  23. 伊藤修

    伊藤修君 そうしますと、例えばこのフリゲート艦において保安庁説明を私が伝聞することによりますれば、海賊等が来た場合にこれを撃退する、警備するというためにもしなくちやならん。相手方がたまたま海賊であればよろしいし、而も韓国の軍艦が、李ライン若しくはマッカーサーライン等の沿岸線において争いが起つて、たまたま発砲して参つた場合において、発砲されればこちらが自衛権範囲内において行動するという訓令が出ておるらしい。こちらからは打たない、向うから打つた場合においては、これに応戦するというような考え方は正しいですか。その場合に少くとも応戦いたしますれば、いずれからでもこちらから積極的に自衛権の発動として発砲いたしますればこれは問題でしよう。併し受けてたつて発砲いたしましても少くとも発砲と同時に交戦状態は成立すると思う。いわゆる国際法上の交戦状態になるか、ならんかはこれは第二の問題として、例えば第一次大戦の場合におきまして、ドイツがベルギーを侵略した、通過しようとした場合にベルギーの国境を越えると同時にベルギーがこれを受けて立つてこれを阻止しようとした瞬間において、ベルギーとドイツの間は交戦状態に入つてつた。これは疑いない。そうした場合に陸戦法規の交戦に関する規定がここに適用されることは申すまでもない。そうした場合において自衛権の発動の結果、その状態がかもし出された瞬間の状態において、果してこれが国内の船舶の行為であるといつてこれを処理するのか或いはその他の国際法上のどういう法規によつてこれを処理するのであるか。
  24. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 国際間においての実力行使の場面というものは私はいろんな場面があると思います。平時国際法の本をひもといてみましても、平時国際法の場面における自衛行動、その他の実力行使の場合はきめてあります。従いまして国際間に実力衝突があつたからといつて直ちに戦時国際法の分野に入つて来ることはいけないと思います。ただ御指摘の今の御設例で言われます場合には、今まで保安庁説明しておりますところでは、今のお話とは多少違つて来るようにも思うのでありますが、要するに極力こちらの実力発動というものはしない。むしろ傍からそれを見守つておるという態度で収拾すべきで、ただ仮定の問題として急迫不正の侵害がよそから加えられるという場合には、当然自衛権というよりも、むしろ正当防衛、緊急避難の形、そういう形からその権力の行使として実力によるある種の措置がこれは仮定のものとしてあり得るのでありましよう。こういうところまでを御答弁しておる次第であります。
  25. 伊藤修

    伊藤修君 でありますから平時或いは戦時いずれの場合を適用するかは別問題といたしまして、国内的にこれをどういうような法的見解を以て処理されるかと聞いております。勿論今は自衛権の場合において、急迫不正の侵害に対してこれを阻止するために、みずから本来持つておるところの自衛権を行使するための消極的自衛権である。その範囲内においてこそ初めて我が国の憲法は認めておると、かように私は前提をおいておる。その場合においてどう処理なさるか、こういうことを聞いております。
  26. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 全く先生のおつしやるところと私の考えとは一致しております。消極的の自衛権とはそういう意味であると私は考えて申上げておるわけであります。その場合は結局この具体的の場合々々によつて違うとは思いますけれども、例えば水上警察というものは結局実力行使をしなければならんいろんな場合が想像されます。正当防衛或いは緊急避難の形における場合もある。その場合々々を考えるとすればこれは統一した、一貫したらの問題である。たまたまこのフリゲート艦がどうのこうのというところを言われますが、そういうところから区別が出て来るような性質の問題ではないと私は信じております。
  27. 伊藤修

    伊藤修君 いや私の憂えるのは、若しその場合においてこちらが不幸にして敗けたといつちや言葉の語弊がございますが、敗けてだ捕されてしまつたという場合においては、それは平時国際法によるところの船舶のだ捕として取扱われるのか、或いは公船に関する規定が適用されてどうするか、捕虜ということになるのか、恐らく後者ではあり得ないと思います。前者の措置を受けると思うのでございますが、前者の措置を受ける場合において、それが国の主権に基くところの船舶であり、而もそれが敵対行為をしたという場合において、通常船舶のだ捕の規定が適用されるかどうか、そうして収容された船舶並びに人員というものはどういうことになるか、それを伺つております。
  28. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) おつしやる通りに、私は平時国際法の部面の問題であると思います。その場合に向うにこつちの船が捕まつたという場合は、これは常識論で大変申訳ございませんが、併し常識論以外に私はないと思いますから、お答えするわけでありますが、我がほうとしてはこれは正当防衛の処置としてやつたことで、決してお前のほうにだ捕されるいわれはないといつて、外交交渉によつて強硬なる申入れをするというのが当然の成行であろうと考えております。
  29. 伊藤修

    伊藤修君 少くともそういう場合において向うが日本の軍艦でもない、日本の民間船舶でもない、こういつた主体の作用に基くところの船舶かそうした装備を持ち、そうした一定人員を持つて行動されておるものが敵対行為をした場合において、通常船舶のだ捕としてそういうものを海賊とみなしてやるか、これはその場合々々によつて違いましようが、そういう取扱を受けるのでしようか。そういうことを一体御想像になつてお作りになつておるのですかどうでしようか。あらゆる場合を想像されておられますか、若し想像されておるとするならば、そういう場合におけるところのこれら乗組員に対するところの手当とか、処置方法とか、そういうものをお考えになつておりますか。立法化されておりますか。
  30. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それは普通の海難の場合と理窟は同じだろうと思いますけれども、船が行方不明になつた場合の海難であります。そういう場合と同じだろうと思いますけれども、一々そこまで仮想と申しますか、仮定と申しますか、そういう場合まで洩れなく規定した条文というものはこれは私はないと思います。そういう場合というのは、向うにだ捕された場合と思いますけれども、繰返しになりしますが、例えば長い間その船が行方不明になつたというような場合に対する処置とそれは同じ処置ですむと思います。  たた問題は先生が御心配になつておるのは、相手国との関係で一いろいろな国際紛争のもとになるのではないかということじやないかと思いますが、それは外交交渉の問題であると申上げるわけです。
  31. 伊藤修

    伊藤修君 私は一番恐れるのはそこです。最後の問題です。その場合においてあなたは自分が外務大臣でないから今そういうことをおつしやつていらつしやるが、一国の立場に立つて考えれば、そうした問題が起つた場合に、日本の国内においてこれを憲法がまさに指摘しておりまする戦力を持たないと言つておるにもかかわらず、お前のところはその憲法の第二章にいうところの戦力に相応するところのものを以て我々を攻撃して来たじやないか。まさにそれは戦争状態で、捕虜の取扱をすることが交戦状態だ、それに関するところの、取扱をするとかいう問題に遭遇した場合において、我々とあなたと議論しておるようなわけにはいかない。それを慮つてあなたに明らかにしておいて、政府の腹をきちつときめておいて頂かなければならないと思うからこういう質問を申上げる次第です。どうもそのときには、外交によつて片ずけるからいいじやないかというのじや無責任極まる。
  32. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはそのこと自体仮定の問題で終始するわけでございますが、そういう場合が国際紛争のきつかけになる可能性はそれはあります。勿論憲法の第九条一項から申しますと、国際紛争が起つてそれの解決のために武力を使うことはいけないと書いてありますから、憲法九条の第一項の問題にはならないのですけれども、併し国際紛争が起り得るきつかけを作るということは日本としては当然避くべきことであるわけであります。従いまして今のような御設例のような場合は、いろいろ相手国の話合になり、そうすると国際紛争にだんだんと導かれる可能性があるということは想像できることでありますから、保安庁におきましてはそういうきつかけを作らないように極力厳に戒めて行動をせよという態度でずつと一貫しておるところであり、又そのことはたびたびあらゆる機会において国会において保安庁長官から御説明申上げておるわけであります。慎重にその点は考えておるわけでございます。
  33. 伊藤修

    伊藤修君 まあくどくなりますけれども、いわゆる巡査が拳銃を持つておる、みだりに打つべからずということになつておりますが、併し打たない拳銃なら持つ必要はない。軍艦といえども船舶といえども使わない砲なら何も載せておく必要はない。こけおどしじやないのですから相手方が打つて参りますれば、こつちは沈められるまで砲門を開かずしてただ逃げ廻る軍備であれば初めから砲など持つ必要はない。或る場合においては、その急迫不正の侵害に対してこれを駆逐する、拒否し得るところの用意を持とうとしてこそ初めてああした大砲を載せる、打ちうるということは想像されるわけです。如何木村さんが頑張つたつて打つなということは言えないと思います。これは無理だと思います。初めから持たんほうがいいと思います。打ち得ることは想像されます。そうしますれば結局我々の憂えるところの結果は必ずや近い日に現実として現われます。現にそうした面の警備に当られるという船じやないのですが、朝鮮海峡のあの複雑な水域において幾つかのラインをめぐつて紛争が今日解決されていない。そうした場面にこれらの船が遊よくした場合においてそういうような結果をもたらすことは近い日です。その場合において一発も打たずして逃げ廻るということならば初めから持たんほうがいい。用意しなければならないということはそういう場合においては、そういうような急迫不正の場合に対して抵抗しようという少くとも最後の場合においては、そうした考え方があればこそそれを打つな、という極力打たんように訓示している、それでは賄い切れないと思います。
  34. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは常識論で申訳ございませんが、こけおどしとおつしやいますが、こけおどしということは無意味なことではないように考えます。急迫不正の侵害をし上うというものの立場に立つて考えますというと、こん棒を持つているお巡りさんしかいない場合と、ピストルを持つておるお巡りさんがいるという場合とは違うと思います。無用の用という言葉が当りますかどうか知れませんけれども、それだけの実益は少くともあるじやないか。大変常識論で申訳ございませんけれども、そういう気持を持つております。
  35. 伊藤修

    伊藤修君 それでは問題を進めまして、これらの船が外国沿岸を航行する場合におきまして、普通船舶の場合は沿岸航行ができるわけでありますが、軍艦の場合においては黙認はされて、おりますけれども、沿岸航路を航海するという権利は持つていないわけですが、国際法上はこれは一体可能かどうか。
  36. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは専門家がおりますから条約局長から答えて頂きたいと思いますが、第一この警備隊の船は外国の領海の中を歩き廻るということは実は考えておらないわけであります。そういう意味の御質問でございましたら、そういうことは考えておらないと申上げていいと思います。
  37. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 只今の御質問の日本の海上警備隊の船が外国の沿岸を航海し得るかという点でございますが、これは一国に属する公船国際法上の地位でございまして、公船が外国の沿岸に若し入る必要がございましたら、事前に相手国の許可を得た上で、許可なしで仕入れないということに国際法上なつております。
  38. 伊藤修

    伊藤修君 だからこの船の使用目的が国内の沿岸に限られておるということは申すまでもない。たまたまこれを公海に持出した場合において、その沿岸を航海するに当つて公船としての取扱を受けることは必然だと思います。その公船の場合においてこれを軍艦とみなして取扱うのか、普通船舶として取扱うのか、普通船舶ならば無害通行は国際法上認められておる、公船の場合におきましては認められない。黙許はされることがあるでしよう。そうした場合に、これは今出ておるわけではないが将来出るかもわからない。出た場合にはどうするかと、こういうことなんです。
  39. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 先ほど伊藤先生のお話を伺つておりますと吏員ということを申されました。国際法上の軍艦公船との区別、公船にも定義がございまして、公船は国家の直接の管理下にある、つまり所有権は国家に属するかどうかは別であります。軍艦の場合は所有も国家のものである。公船は国家の直接の管理下にあり、国家の吏員、官吏が指揮し、その官吏の指揮下にあるということ、三番目の要件としてもつぱら国家の用に供せられる、つまり商売をしたらいかんということ、その国家の用という中に税関監視のため、或いは海上治安、水上警察というような国家のため、或いは海底電線を敷設するために使う、或いは航海練習用に使う、或いは学術研究用、気象水産用、そういうふうに国家の分けの目的に供せられることが必要であります。そうしてまさに今般のアメリカから借ります船舶海上治安という国家の目的に使われるわけであります。そうして軍艦公船の一種でありまするが、国際法軍艦だという以上は一定の特権、礼譲を受くるものであります。従いまして特に公船の中でも軍艦につきましては、厳格な要件を必要といたします。先ほど法制局長官が申されましたように、所属は一国の海軍に所属するものであり、海軍の将校の指揮下にあり、乗員は海軍の軍紀に服さなければならない。外部に対して軍艦たることを示す特別の標式を掲げなければならない。そういうような特別の要件が必要でございます。従いましてこの要件を備えてないものにかかわらず、日本がたとえこれを軍艦だと称しようと欲しましても、これは国際法軍艦の名の不当使用になるわけであります。でありますから、日本は無論これを軍艦と欲する気持もございませんし、国際法軍艦を認められるだけの要件も備えていないものでありますから、先ほど申しました第一の公船の一種として、従いまして只今問題となつております軍艦につきましては、外国の沿岸航海につきまして、一定のこれはまだ規則というよりは、黙認程度の権利でございますが、軍艦が外国の沿岸に入つた場合には黙つておる。併し今回の船は公船でございますから、仮に外国の領海に入ります場合はその都度あらかじめ相手国の許可を得なければならない。このように軍艦たると公船たるとによりまして、外国の沿岸海域に入るについての待遇の違いがある次第でございます。
  40. 伊藤修

    伊藤修君 ながながと御説明を頂きましたが、私の聞こうとするのは、航海において公船として認められるか軍艦として認められるかということをお尋ねするのですが、今の御答弁によりますと、結局公船である、従つてそうした取扱を受けるものだ、軍艦でないのだとおつしやつたけれども、あなたの軍艦定義には服しかねる。それは形式論です。然らばその公船の場合におきまして、いわゆる不可侵権、治外法権というものはどうなるか。公海において、若しくは外国の沿岸において。
  41. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 公船の外国領水における地位におきましては、国際法軍艦の場合と異なりまして定説がございません。軍艦と同じ特権を認むるという学者は一人もおりませんが、例えば警察権の免除と或いは一定の課税権の免除とを認めるのは、船舶が外国の国家の目的に供せられるという特別の地位に鑑み至当であるという説をなす学者もあるようであります。併しながらこれはまだ国際法一定基準がないと申すのは、実情に適しておると存じます。
  42. 伊藤修

    伊藤修君 そうすると結局軍艦に準じた取扱を受けるという意味か、船舶としての取扱を受けるという意味か、どつちですか。
  43. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 軍艦と商船との中間にあると存じます。そうして中間のどの辺で待遇されるかということは、国際法上の一定の原則がございませんために各国の取扱によつて定まると、そういう実情でございます。
  44. 伊藤修

    伊藤修君 そうすると通行、衛生、検疫、碇泊の所定、関税、そういうものはどうなるのですか。
  45. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 只今御指摘の関税とか、検疫とかそういうものは自国の沿岸に近い所で仕事をいたします。例えば国家の水産学校の所属の航海練習船でございますとか、或いは……
  46. 伊藤修

    伊藤修君 いや私のお伺いしておるのは、フリゲート艦が若し公海において、外国の沿岸に出た場合においてどういう取扱を受けるかということを聞いております。碇泊の所定の場合においても軍艦として碇泊所定を受けるのか、検疫を受けるのか、船舶として受けるのか、公船として受けるのか、それを伺つているのです。
  47. 下田武三

    政府委員(下田武三君) その点は先ほど申上げましたように、どうなるかということを日本が一方的にきめることはできません。すべて相手国の態度如何によります。
  48. 伊藤修

    伊藤修君 するとあなたが自分で作つた船が何に待遇されるか、未知数のまま公海に放り出されるわけですが、結局信念がないわけですか。
  49. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 国際法というものは一国の一方的の信念でできるものではございませんで、若し或る国に送るという場合にはあらかじめ許可を求めますとともに、一体この船がお前の国の領水に入つた、港に入つた場合はどういう待遇を受けるかということはあらかじめ確かめる外交的措置が当然とられなければならないと思います。
  50. 伊藤修

    伊藤修君 私のお伺いしておるのは、日本国を代表いたしましてあなたが外務省の一員として、この船をこの種の公船だといつて相手国に同意を求めるのか、あなたたちの思召のままに取扱つて下さいというのか、軍艦としてこれを待遇しろと、いわゆる不可侵権があるのだ、治外法権があるのだということを相手国に主張し得るのか、その点を伺つております。
  51. 下田武三

    政府委員(下田武三君) これは公船であるということは先方にも明らかに了解できると思います。従いまして我がほうは権利として治外法権を要求するわけには参らないと思います。併しながら日本国家に属する船でありますから、乗員がみな検疫されるとか或いは課税されるとかいう点について、相手国の好意的措置を求めることはできると思います。
  52. 伊藤修

    伊藤修君 それは相手方が船舶と認めた場合と公船と認めた場合において、今御承知のような待遇を受けるということになりますと、日本の屈辱ではないか。せつかくそうしたものをお作りになつて税金をとられる、港湾におけるところの碇泊所定権もない、検疫の所定権もないということになつて参る、又治外法権もない、不可侵権もないということになればみだりに向うの官憲が入つて来て、艦内を捜査して、いろんなことがされることになつてしまつて、あなたたちの考えと現在の政府考えておるような秘密というものが保たれないことになるのではないか。殊にあの艦を拝見いたしますれば、近代兵器の中枢ともいうべき電波に関するところの装備というものは完備されておる。これらの装備のあり方、機能というものが手に取るごとく相手方に知悉されるということは好ましい状態でしようか、どうでしようか。公開して差支えないとおつしやられればそれまでですけれども。
  53. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 若し外国に参りました場合に艦内を勝手に検査するとかそういうようなことは大体各国とも公船に対してはやらないようになつております。従いまして御心配のようなことはないと存じまするが、たとえ何らの特権を公船としてのこれらの船舶に認めることがない場合があつたと仮定いたしますと、その場合に日本国公船だけがそういう待遇を受けるのだつたらば、これは不当な差別待遇でありますから、外交上の攻撃をなしたいと考えております。若し如何なる国の公船も同様の待遇を受けるものだつたらば、これは国際法上の原則がないのでありますから、その点が如何なる公船も同様に扱うということであつたならば、これは攻撃すべき筋合じやない、かと思います。
  54. 伊藤修

    伊藤修君 まあそれ以上想像論をたくましうして心配しても限りはないと思いますが、少くとも私は中共特に北鮮、ソヴイエツト、こうした面に接する日本といたしましては、必ず先に提示した問題は起ると思います。その場合に相手方の国家がそれを単純な船舶として認めるということはあり得ないと思います。必ず軍艦として取扱うだろうと思います。そうした場合におけるところの措置というものは今のような御答弁では議会では成立するかどうか知れませんが、相手国を持つた場合においては私は不可能だろう思います。だから国内法土におけるところのもう少し観念をはつきりなさつたほうがいいと思います。たまたま改進党から指摘されまして、急速保安庁法を改正しないかのごときはみつともない次第であります。一体船舶に関する国内法としてどれだけあるか、今は何と何でしようか。
  55. 林修三

    政府委員(林修三君) 実は私も今ここて直ぐお答えするだけの自信もございませんけれども、御承知のように船舶法或いは船舶安全法、或いは船舶職員法或いは船員法、或いは海上術中予防法或いは船舶積量測度法とか、まだほかにあると思いますが、今ちよつと思い出しただけお答えいたします。
  56. 伊藤修

    伊藤修君 そうした法律とこの船舶との調整というものはとられておるわけですか。私が何もあなたたちのことについて立入つて心配する必要はないかもわかりませんが。
  57. 林修三

    政府委員(林修三君) 保安庁法の上で船舶安全法或いは船舶職員法、船員法につきましては一部の適用除外をいたしております。そのほかの規定につきましては、当然これは警備隊の船舶にもおのおのの法律の規定で適用されるものは適用がある、こういう建前でやつております。この各種の船舶法規との関係は十分検討いたしまして、あの保安庁法ができておるわけでございます。
  58. 伊藤修

    伊藤修君 それらの各船舶に関する法律中にいうところの船舶というものにこのフリゲート艦が当るものという解釈をとつていらつしやいますか。
  59. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) その通りでございます。
  60. 伊藤修

    伊藤修君 すると海上衝突予防法においても、単なる船舶としてこの法律の適用を受けると解釈してもよろしいのですか。
  61. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) その通りでございます。
  62. 伊藤修

    伊藤修君 それではなおこれらの法律をもう一遍調べてから又お伺いすることにいたしましようか。
  63. 岡部常

    委員長岡部常君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  64. 岡部常

    委員長岡部常君) 速記を始めて下さい。   ―――――――――――――
  65. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それでは大臣が見えますまで保護局長お尋ねいたしたいのでございますが、昨日ちよつと申しておきましたのですが、保護者が施設に入れられておりますときの一人当り一年間の経費と、それから保護観察に付せられております一年間の経費とはどういう関係になつておりますか、ちよつと伺いたいと思います。
  66. 斎藤三郎

    政府委員(斎藤三郎君) 昭和二十六年度の実績で申上げますると、刑務所に対する総経費が七十一億八千五百万円、それから官業収入として国家にそのうちから入る金が十八億一千三百万円でございますので、差引五十三億七千一百万円、こういうのが全国の刑務所の昭和二十六年度の経費でございます。而して昭和二十六年度一日平均の在監者の数が九万五千人ありますので、刑務所の在監者一人当りの年間経費は五万六千五百十四円でございます。少年院のほうは教育施設がございますのでその費用が高くなりまして、細かい数字は省略させて頂きまするが、一年一人当りの経費が八万二百五十八円、こういうことになります。一方プロベーシヨン・パロールによりまして保護観察所で保護観察をいたしておりますが、その二十六年度の総経費が二億八千九百万円、而して昭和二十六年度の一日平均の保護観察所の保護観察を受けておる人員が七万五千人でございますので、一人当りの経費が三千九百四十四円、こういう数字に相成つております。
  67. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そういたしますと、少年のほうの八万幾らというものは、これはこの施設の創設なんかというようなことの費用は別にして、一人の本当の正味の食費、衣類、その他又人件費も入つているわけなんですね。そういたしますとこれは保護観察に付するということが非常に経費が節減されておるというようなわけなんでございますが、そこで自然に保護司の優遇問題ということを私は考えてみたいと思うのでございます。今保護司に対しましてはどういう優遇方法がされておりますか。
  68. 斎藤三郎

    政府委員(斎藤三郎君) 保護司一人に対しまして一年間にいろいろな経費がありますので、まあ謝金として一人五百円、そのほかに一件担当されると月に七、八十円くらいの実費を差上げることにいたしております。そのほか家庭環境などの調査等の場合に調査をお願いした場合には普通の職員並みの経費、旅費を出すということにいたしております。非常に僅かな予算で申訳ないと存じておる次第でございます。
  69. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 この七、八十円の実費というものは実際は保護司の手に渡らないような場合もあるのでございますね。殊に今度は何でございましよう、護送と申しますか、同行と申しますか、保護司のほうの手に移つたのであります。そういたしますと、その費用はまだ渡らないように聞いておりますけれども如何でしよう。
  70. 斎藤三郎

    政府委員(斎藤三郎君) 七、八十円の補導実費は差上げてはおるのでございますけれども、実はその保護司会の経費というものは、予算的に措置がされておりませんので、保護司さんが七、八十円のもらわれた金を全部保護司会に寄附をなさいまして、そうして毎月一回会合するその通信費やら諸雑費等にあてる、或いはこれは予算なしでいたしておるので、「更生保護」という機関雑誌を一つ二十五円で買つて頂いております。それらのために本当に手弁当でやつて頂くということになつております。  それから同行旅費の点でございますが、この点は現在大蔵省と矯正局と保護局と三者の間の話合で現在その手当をすべく折衝いたしております。現在までに恩赦の際に出獄した人或いは少年院から出た人をできるだけ家へ連れて行く、そうして親子仲よく笑つて迎えさせるというようなことで同行させまして、その費用が現在までに八百万円くらい不足になつておりまして、ほかの費用からやりくりをいたして、大蔵省と折衝いたしておる現在でございます。
  71. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 結局保護司が足代も出ないということになるので、何かここに一つ予算の面で措置ができませんようでございましたら、精神的の予防方法でもないかと考えるのでございますけれども、昔は奏任官待遇ということも考えられておりましたのでございますが、それでいいかわるいかは別問題といたしまして、何とか私は保護司に感謝の意味を現わしたいというような気持が十分あるのでございますけれども、一つその点について何か御腹案があれば伺つておきたいと思つております。
  72. 犬養健

    国務大臣犬養健君) これは政府委員に御質問中で恐れ入りますが、私は非常に深く感じておりますのでお許しを得て話させて頂きます。今度この勲章制度ができますのですが、私は勲章制度の問題が閣議に上りましたときに、すぐに頭に浮びましたのは保護司なんです。勲章の誠に国家が報いるという精神からいうと、私どもが頂くより保護司なんかにあげるのが本当の国の心持ちだと、こういうことで、それだけですむとは決して思つておりませんが、これも国家の保護司の実に立派な仕事で且つ報いられない仕事に対して国家の感謝の念の全部とは申しませんが、百分の一くらいにあたるのではないかと考えております。
  73. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 ありがとうございました。是非何かで一つ国家的に感謝して頂くような方法が頂きたいと考えております。それに関連して頂きますことでございますが、法務大臣がおいででございましたら、ちよつとお伺いしておきたいと思うのであります。実はこの間も福井のほうに参りましたら敦賀でもつて、大変手に余りました子供が誰も雇い手がおりませんので、或る一人のかたがおとこ気を出して雇つて下さいましたら、そのかたの不在中に奥さんをとつても残酷な、一部分は新聞に出ておりますが、ひどい方法によつて殺して、死体を隠す意味で焼きましたのでございますが、丸焼けにならんでその写真なんかみせて頂きましたが、何ともかとも申訳のないお気の毒な状態でございます。こういうことを一般の人が知りますたびに、もうとてもああいう種類の子供は、大人でもそうでございますが、世話はできんというふうにだんだん放り出される結果になりはしないかというように思つております。そういうひどいことはたまたまでありましようが、調べてみますと五千円程度、一、二万円程度或いは大きい程度は八万五千円以上は就職の保証人になつたために迷惑をしておるという保護司もございましたのですが、そういうことになりますと、どうしてもここに何とかの方法によつて国家的賠償とかいつたような、全部といわないまでもまあ一部分でございましても、国家が仕事をしているということでなしに、賠償の規定でも設けて何とか償つてもらう方法はないものかと考えております。この点如何でございましようか。
  74. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お話のことは私も実は考えておる点でございます。事務的に申すとそういう損害に対して国家が補償をするというのは、これは大蔵省との関係もありましてなかなかむずかしい。今までは結局協会のほうでお見舞金を出したというようなことはあります。宮城さんが御希望のようなことは行われておりません。私も実は被害者でありまして、不良少年を預かりまして写真機なんか持つて行かれてしまつた苦い経験の持主でありますが、併しなかなかお話のようにこうせちからい世の中だとそういう少年或いは刑余者を雇つてくれるという人はよくよく立派な人だ。或る程度被害も覚悟しなければならない。これはまだ私見範囲でありまして、どういう方法ということはちよつと公開の委員会で申上げにくいのでありますが、ここにおられます斎藤局長と或る一つの財源を私が話合つているわけで、これは結局大蔵省に相当おすがりしなければならない問題でありますが、是非私は最善の努力をしたい。又一人当り七千五百円とまではいかないかも知れませんけれども、或る程度の予算を組みまして、心ばかりでも国家がそういう奇特なことをして下さつたかたがたに心を向けている形をとりたい。財源の談判の作戦上ちよつと申しにくいのでありますが委員会でもすみましたらちよつと申上げたいと思います。
  75. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 本当にありがたいお言葉を伺いました。どういう方法でもよろしうございますが、国家がお礼心を何とか現わしたいとおつしやつて頂きましたことを非常に嬉しく思つております。  そこで斎藤局長に伺いたいのでございますが、保護司の後援会といいますか、助成協会とかいつたようないろいろな組織が所々にあるように伺つておりますが、実情はどのようでございますか。
  76. 斎藤三郎

    政府委員(斎藤三郎君) 保護司のお仕事がその地域の犯罪の予防、地域浄化ということでございますので、保護司が中心になられてその府県なら府県の有力者のかたなどを幹部にいたして、そして観察保護協会、こういつた名称で啓蒙宣伝と同時に物心両面から応援して頂く、こういうような会が各地方にできております。調べてみますと全国四十六府県のうち四十二ヶ所ほどそういうものができております。これは現在まだ作つたばかりでございますから、観察所のものが若干関与しておりますが、私の考えといたしましては、金銭の問題もございますから全部民間のかたにお委せして観察所が直接それに触れないということにだんだん持つて行きたい、かように存じております。  それからやつておられまするお仕事は、結局各地方のかたがた、にこの気の毒な少年或いは成人の保護について応援をして頂くという意味で、例えば先ほどの職場の開拓などということにつきましても、やはりそういつた協会みたいなものがあつて、そして非常に仕事の内容をわかつて頂くことが必要だ、そういう意味合で作つております。
  77. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 所によりましたら公共団体から義務的に出しておりまするような所もあるように伺つておりますが、如何でございましようか。
  78. 斎藤三郎

    政府委員(斎藤三郎君) 今日までそういう例がなかつたとは申上げられないと思います。併し今度自治法の改正もございまして、先般さよな強制的なことはやらないように通牒を出しております。
  79. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 法務大臣にちよつとお伺いしたいのでございますが、この十三国会で機構改革がございましたときに、今までの保護矯正局が保護局と矯正局とに分かれました。都合のいいこともございましようけれども、保護という面から申しますと、分かれましたことが、殊に少年の保護という点につきまして言うと、矯正局の手に少年院が移りましたことは如何なものでございましようかと思つておりますが、大臣のお考え如何でございましようか。
  80. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えいたします。私就任のときに同じ質問を当局にしたわけなんでございますが、そういうことは政府委員から詳しく申上げさせます、覚えたてで間違えるといけませんから。
  81. 斎藤三郎

    政府委員(斎藤三郎君) 少年院が矯正局に入りましたのは機構改革の前でございまして、犯罪者予防更生法ができましたあの頃に、少年院及び鑑別所、これと刑務所と一緒に管区の下に、そして管区の上に矯正保護局がある、こういうふうになつたのでございます。これにつきましてはいろいろ考えさせられる面が多々あると思います。宮城委員すでに御承知の通り非常に長い伝統がそれぞれ違つてありますので、いろいろ考えさせられる面があると思いますが、併しその後の、私虚心坦懐に申上げまして、矯正局のほうでも少年院が非常に大事にされ、前の古橋局長も現在の局長も非常に少年問題に熱心でありますからだんだんよくなるのではないかとかように考えております。併しこれについてはいろいろの面から考慮しなければならない点があると思います。ただ大きな行刑と一緒になつたために、予算その他のものにおいては非常に力強い、少年院の建築等も非常に見違えるような強力な完備したものになりつつあるというのが現状ではないかと思います。又その運営につきましても矯正局長と私非常にしたしくいろいろお話できるような間柄になつておりまして、少年院と刑務所と人事の交流等も盛んにやられております。
  82. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私が申しましたことは、矯正局と保護局とが分かれます前、どうしても保護局のほうに少年院をつけてもらいたかつたという意味をさつき申したのでございます。お話の通り全国の少年院を見てみますと、大分少年院がよくなつたようにも思つております。そのよくなつたという一つは非常に明るくなつたということで、それからだんだん中学校といつたような感じがするようになつたということは私は非常にいいと思つておりますけれども、又中には刑務所との人事の交流もございますような点もございましてでしようか、だんだん少年院が少年刑務所になりつつあるといつたような感じがいたします。そういうことは非常に大きな問題でこれはかかつて少年の取扱の問題から起つて来ていると思つておるのでありますが、そういう点について私はむしろ、矯正局に付きましたので人がないので刑務所との人事交流がございますのは密でいいかも知れませんけれども、刑務所らしい取扱がされて、教育的扱いがだんだん薄くなるのじやないか。そう見て参りましたときに何となしに非常にさびしい気がする場所があるのでありますが、その点はどうでしようか。
  83. 犬養健

    国務大臣犬養健君) これはあとで政府委員から詳しく答えがあると思いますが、それを私一番心配しておる。一例を申上げますならば、朝鮮のかたを本国へ送り還すために一時大村に固まつて頂いておる。これなんかも一例のことであります。あくまでも刑務所のような感じであつては断じてならないというのが私の方針で、建築の様式などにも立入つて私は監督しております。同様ケースが違いますが、あくまでも刑務一所的であつてはなりません。むしろ家庭の延長であります。若しもそういう暗い感じの所がありましたら即刻場所をお知らせ願いたいと思います。  もう一つ、これは逆に御協力を願いたいのでありますが、宮城委員はこの間地方少年院設立の問題で行つて頂いて感謝に堪えませんが、大体国民が少年院がおれの村へ作られちやかなわないという気分では、この気分が一番敏感な少年にうつるのでありまして、これはやはり親を持つた村や町の人たちが喜んで、うちの息子よりも不仕合せな息子が来るのだ、できるだけのことをしてやろうという国民の気分になつて頂かないと、この種の仕事は官庁だけではできません。官庁のやれる仕事というものはほんの表面のことである。国民の心が盛り上つてできる仕事なんだ。この点は少年院を作ろうとするたびにこうも反対を受けるということは誠に私は心外に思つておる。どうかこの点は御協力願いたいと思います。
  84. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 もう一点最高裁判所の家庭局長がお見えになつておりますからお伺い申したいのでございますが、又斎藤局長もどうぞ御答弁願いたいと思いますが、鑑別所でございますが、少年が検挙されまして児童福祉法、少年法によりましていろいろ手当を受けておりますが、その過程において少年が最も苦しんだと申しますか、思い出の悪い、そうして悪影響を受けたと思います所は鑑別所だということを子供たちが言つております。又私自身も見廻つておりまして、大体鑑別の時間が、平均して調べてみますとたいてい四時間、多くかかつております所で鑑別される時間は四時間くらいでございますが、そういたしますと二週間とか三週間というものをあの中に置かれております。あの大部分は本当にその身柄を拘束されておるという程度のものであろうと思つております。そこに子供たちが非常にせつかく、保護の法律によつて保護するのだ、家庭裁判所に行つたらここで大丈夫安心して、これからはよくなりさえすればというようなことを言われて行つてみる所が鑑別所であつて、それも又非常に拘束をされる。行つてみますと、ときに人権を一部侵されるというような、そういう扱いを受けておりますというこの鑑別所につきまして、何とか第一いつも私はここでくどくど申して相すまんのでございますが、建物から少し考えものだし、それから所遇の点についても大いに問題があろうと思つておりますが、殊にこれを決定機関に属さしておくがいいか、執行機関に属さしておくがいいか、最高裁判所の所属でいいか、法務省の所属にすべきかというような根本問題もここで十分考えて頂きたいというようなことを、実際に鑑別所を見て来ました子供たちの声を聞きまして憂えておるものなんでございますが、両政府委員の御意見を伺いたいと思つております。
  85. 宇田川潤四郎

    説明員宇田川潤四郎君) 少年鑑別所の問題は法務省の所管でありますので、私から意見を申すのはどうかと思いますが、何分この家庭裁判所が少年の身柄を鑑別所にお預けしておくというような関係に立ちますので、私の意見、いやむしろ全国の家庭裁判所の判事、少年調査官の意向を述べまして御参考に供したいと存じます。身柄の拘束の時間が非常に長くなるじやないか、こういう御質問につきましては、鑑別の方法によりまして、東京の少年鑑別所などにおきましては有名な臥蓐療法というような方法をとつております関係上、宮城委員の仰せられるように四時間、五時間というような時間では到底できないというようなことで相当時間が長くなつておるようであります。併しながら裁判所の立場から申しますと、何と申しましても裁判所が人権擁護の機関であるという建前から、一日も早く鑑別をして頂いて、そうして早く審判をして少年の身柄の処置をきめるということを常に念願してやつておるのでありますが、何分にも鑑別所の意向もありまして、現に一週間、二週間、或いはそれ以上に延びて甚だ遺憾に思つておるような次第であります。  なお建物の問題につきましても、家庭裁判所といたしまして刑務所的な建物で身柄の拘束ということが中心に考えられて来ているようなきらいがあつて、鑑別のためにも余りにも建物が刑務所的である、何とかこの点について御考慮願えないかというようなことを法務省御当局にお願いはしておるのでありますが、だんだんと各少年鑑別所の建物も明るいものになつて来つつあるようであります。併し未だしの感があることは宮城委員の仰せられる通りであります。  なお少年鑑別所を裁判所のほうにおいて分掌すべきじやなかろうかというような問題につきましては、これは各地の家庭裁判所の裁判官、少年調査官も異口同音に家庭裁判所のほうで扱うようにして欲しいという意見であります。と申しますのは何分何と申しましても鑑別は少年の素質を科学的に調査して、そうして審判の用に供するわけであります。と同時に環境の問題、社会的な問題につきましては少年調査官がこれを分掌しまして、そうして調査し、これを又審判の用に供するわけでありますが、少年調査官のほうは家庭裁判所に属しておる、少年鑑別所のほうは法務省のほうに属しておるというような関係で、この連絡に非常に手間どつたり或いは円滑に行かないような面があるのでありますが、先ほどの観護期間が長期に亙るというような問題につきましても、仮に家庭裁判所のほうでこれを管理するならば、恐らく現在のようなことはなかろうというふうに家庭裁判所のほうでは考えておるのであります。又その他人権擁護の問題につきましても、家庭裁判所のほうでは判事にいたしましても、少年調査官にいたしましても、多少うぬぼれかもわかりませんが、現在よりももう少し感覚の点において高いものを持つておる、又人権擁護をする、こういうように申しております。さような次第でありますので、家庭裁判所全体の意向といたしましては、家庭裁判所のほうで少年鑑別所を分掌するということが適当だというふうに考えております。併しながらこれは何分にも権限分掌の問題、場合によつては権限争いというような眼で見られる嫌いもありますので、私どもといたしましてはこれらの問題につきまして大乗的な見地から大いに今後研究して、関係庁と協議いたして、日本の少年保護の向上のために尽力して行きたい、こう考えております。
  86. 斎藤三郎

    政府委員(斎藤三郎君) 鑑別所の問題につきましては、昭和二十三年の国会だつたと思いますが、その際これの立案に若干参画したことがあるので申上げますが、対象少年を鑑別するのは家庭裁判所の審判に当つても必要でございます。同時に又その少年が少年院に送致された場合にもやはり必要でございます。又保護観察に廻つた場合にもこれ又本人の資質を鑑別するということがやはり教育の基本になりますので、三者いずれも必要とする、それで少年院にも、保護観察所にも、家庭裁判所にもそれぞれ鑑別所を置くということになれば非常に国家的に無駄じやないかという考えで、一ヵ所にまとめてそうして少年院法の中に入れたことを記憶いたしております。発足以来三年余りになりますが、庁舎がようやく一応でき上つたというのが現状じやないかと私も居ております。いろいろまだ不十分な点もあろうかと存じておりますので、矯正局において適当に善処されることに私も協力いたしたいと思つております。  ただこの際に一言ちよつと申上げておきたいと思いますのは、昔の少年法の組織、十八かの少年審判所で僅かの人間でやつてつたときに比べますと、現在では家庭裁判所、或いは少年院、保護観察所、非常な何十倍かの人と何十倍かの予算を使つておるのじやないか、併しその割に成績が上つているかということになると、まだそういうところまでは至つていない、相当差があるのではないかと存じております。これは宮城先生はこの道の権威のかたでいらつしやるので、私のほうからお教えを願いたいと思つておるのですが、余りにいろいろな機関がそれぞれ持廻つておる。むしろ曾つての少年審判所が一本で、少年院と同じ機構の下で審判をして、すぐに又行つて子供の頭をなでてやるというような昔の素朴なシンプルな組織のほうが、却つて血が通つてつたのじやないか。そういう点で私は却つて昔のほうが、非常な僅かな人間でやつておりながら或る程度の成績を上げた、現在厖大な予算と厖大な人を使つておりながら余り成績が上らないのは、その辺にあるのじやないかということを私は痛感しておりますのでこの点申上げます。
  87. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 政府委員の仰せの通りで、殊にあの旧少年法のほうがいいようだというようなことは私もしみじみ思つておりますのでありますが、殊に事件観察制度などという法律上趣意としては非常にいいのでございますけれども、実際の今の実情は随分非難もございますし、この点についてもたくさんの問題があると思つております。その辺から考えましても昔の仮処分と本処分なんというようなことは非常に妙味があつて、いろいろあの以前の少年法時代のことがむしろ子供のためになつたのじやないかというようにさえ考えられております。  そこで今質問しておりました少年鑑別所のことでございますが、今おつしやるように保護観察の面からも、又収容中におきましても、それから少年審判のその材料を得るという点から申しましても、非常に必要な制度ではございますけれども、それをどこにくつつけるかということによつて一種の畑争いのような感じがいたしますが、おとなもそうでございますけれども、今日もう世界至るところ殊に文化国家においては少年の鑑別制度というものが非常に発達しておるように思つております。そこでもつともつと完全な鑑別をしなければならない、これは私は少年保護の根本であろうし、又おとなのいろいろな処遇につきましてもこのことが必要だと思つておりますので、むしろ私はもつともつと完備したものを国家直属にしまして、最高裁判所の管轄でもなし法務省でもなし完全なものを作つて、それを子供のためにもおとなのためにも、殊にこの児童福祉法にかかわり少年法にかかわるといつたようなすべての子供たち、つまり文部省も厚生省も法務省も家庭裁判所も最高裁判所もみなそこへ持つてつて、完全な鑑別をしてもらうといつたようなものを独立させたらどんなものだろうかという考えを実は持つておるのでございます。実際今日の鑑別所はもう皆さんよく御存じの通りに、行つて見ますと所によりますと実際何も鑑別してないのじやないかというような、少し言い過ぎかも知れませんけれども、そういう場所もなきにしもあらずだと思つておりますが、このことは非常に大事な施設でございますから、今皆さん最も経験家の、保護局長も、矯正局長、家庭局長も、皆さんその専門家でございますから、私はこの際一番よく研究して子供のためになるような、国家のためになるような一つ施策をして頂きたいということを願つておきまして私の質問はこれで打切ります。
  88. 岡部常

    委員長岡部常君) では午前はこの程度にして休憩いたします。午後は二時に開会いたします。    午後一時八分休憩    ―――――・―――――    午後二時五十分開会
  89. 岡部常

    委員長岡部常君) 委員会を再開いたします。  検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して議題に供します。御質疑のあるかたは御発言をお願いいたします。
  90. 伊藤修

    伊藤修君 両案についての関連といたしまして、その基本をなすところのこのたびの給与改正に関する政府の態度を先ず明らかにして頂きたいと思います。というのは衆議院におきまして予算案につきましての附帯決議を附しておるのでありますが、この附帯決議のうちの三つの中で、特にその一つは公務員の給与改善に関する附帯決議でありますが、この附帯決議の内容については、十九日の閣議で二十日の衆議院予算委員会説明を予定しておる補正予算案の附帯決議に対するところの政府の措置方針を決定しておるようであります。これによりましてもまだ明確でない点があるのであります。一体この附帯決議の中に盛られておるこの項目に対する公務員と称せられるその範囲について先ずお伺いしておきたいと思うのでございます。
  91. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 衆議院で附せられました附帯決議は、正確な解釈は私どもよく存じませんが、その文字通り公務員というのを受取りますると国家公務員とそれから地方公務員も入るのではないかとかように思います。
  92. 伊藤修

    伊藤修君 只今議題となつておる両案は、この公務員に対するところの俸給改正に関する案であることは御承知の通りです。政府考え方がはつきりわからずして本法に対するところの審議をするというわけにいかないのです。だからどこに公務員の範囲というものは、ただ文字解釈ではなくして、政府の意図しておるところの公務員という範囲をはつきり明確にして頂きたい。言い換えますれば、両法案に盛られるところの公務員も入るのかどうかということになるのですか。
  93. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 裁判官、検察官も入ると存じます。
  94. 伊藤修

    伊藤修君 今の御解釈は誤りないものと承知しておきます。そうすると給与改善に関する実行方法、これはこの閣議の了承事項によりますれば、すべての公務員に〇・二五ヵ月分を年末に支給するというのですが、これは真実かどうか。第二には〇・二五ヵ月分を支給するというのはその法的の形式、それから累率、これをどうするのか、この二点をお伺いしたい。
  95. 天野武一

    政府委員(天野武一君) その点につきましては、先般来私ども事務的に大蔵省といろいろ連絡をとつておりますが、大蔵省自身の考えもまだきまらないということで行き悩みのまま解決をまだ見ないでおります。
  96. 伊藤修

    伊藤修君 そうすると、政府はこの附帯決議を衆議院において求められ、それに対して政府の御決意のほどは閣議で決定しておるにかかわらず、その実行方法は未だきまらないというのに法案を施行してこの年末にどうするつもりなのですか。
  97. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 私どもの了解しておりますところでは、一般職それから裁判官、検察官、その給与関係、報酬関係の法案に盛られた額はそれはそれとして、又別に何か改善方法を考えるための附帯決議の実施があるものと、かように考えておるわけであります。
  98. 伊藤修

    伊藤修君 法案に盛られておる事項だけを実施し、この附帯決議の趣旨の実行についてはその後に考えると、こういう趣旨なのですか。
  99. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 多分政府全体の意思と申しますか、大蔵省などの解釈しておりますところではさようなものだろうと、かように受取つております。
  100. 伊藤修

    伊藤修君 政府全体の一部を構成しておるところの法務省といたしましても、それに対するところの処置方法というものは、もうすでに旬日に迫つたこの年末の際にあらかじめそれらの点について了承していなくちやならないと思います。又実施をされなければこれらに関与しているところの国家公務員というものはその恩恵にあずかることができない。その衝にあるあなたたちとしてすでにそれらの点について大蔵省と如何に実施するのかということを御決定になるべきじやないか。又如何にこれを運用すべきかということもすでにおきめになつていなくちやならないと思うのですが、如何でしようか。
  101. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 今のところ事務的にこうなるだろうということのわかつております点はただ一点でございまして、それはいわゆる超過勤務手当の支給を受けている国家公務員につきまして、新聞などに伝えられておりますような〇・二五、一ヵ月の二割五分の給与に相当する超過勤務手当を追加支給するということでございまして、その他のことはいろいろ私どもに希望がございますが、まだ大蔵省当局と事務的折衝は片ずいておらないのでございます。
  102. 伊藤修

    伊藤修君 そうすると超過勤務手当に関する予算をこれに充てようということは、これは確定的ですか。
  103. 天野武一

    政府委員(天野武一君) それにつきましては、各省いろいろ財源的に余裕のあるところ、或いは全くないところいろいろございますし、それから当面財源がございましてもそれを出してしまうとあと何も財源が残らないというようないろいろな空白の状態ができますので、それをどうするかということはまだきまつておりません。
  104. 伊藤修

    伊藤修君 まだきまつておらないと言うのですが、いつまでにきめるのですか。
  105. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 私もそれを早くきめたいのですが、多分補正予算の上る頃じやないかと、かように考えております。
  106. 伊藤修

    伊藤修君 補正予算を上げる上において、若しくは我々が法案を検討する上において必要じやないですか。事前において政府の意のあるところをお示しにならなければ我々としては承服しがたい。盲判を押すわけにいかない。一つ責任ある御答弁をお願いしたい。
  107. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 責任ある答弁を私できる立場でございませんけれども、補正予算に組まれておるもののほかに何か改善を考えよう、かようにまあ骨を折つておるという実情でございます。
  108. 伊藤修

    伊藤修君 骨を折られるにしたところが、今あなたがお洩らしになつたように、超過勤務手当の財源をこれに引当てるほかはないじやありませんか。それを実施する御意思はないのですか。
  109. 天野武一

    政府委員(天野武一君) その超過勤務手当と申しますのは、結局年度当初二十七年度概算で入つておりますが、第四四半期の分として持つております超過勤務としての財源をこの第三四半期に繰上げて支給するか、或いは第三四半期として入つておる他の財源を移、流用するか、そういうような方法で考えておりますので、補正予算にその金額が盛られておるということとは違つて参るわけであります。
  110. 伊藤修

    伊藤修君 それではあなたのあいまい模糊とした御答弁では承服しがたい。閣議ではすでにこの財源としては超過勤務手当をあてるというようなことを了承事項として定めておるじやないですか。又各省においてもその方針に基いて鋭意整備されているじやないですか。
  111. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 私どものほうでやつておりますのは、今も申上げたようにここで新らしい財源を補正予算として要求するというのでなくして、すでに入つておる財源をどういうふうに超過勤務手当に使うかということでございます。
  112. 伊藤修

    伊藤修君 超過勤務手当に使うかということを聞いておるのじやなくして一超過勤務手当を第三四半期若しくは第四四半期の分をこの年末手当の〇・二五に引当てるのかということを聞いておるのです。
  113. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 第四四半期の超過勤務手当を繰上げて支給するか、或いは他の財源例えば人件費、その他の財源を超過勤務手当のほうに移、流用するか、そのいずれかよりほかに方法はないわけでございます。
  114. 伊藤修

    伊藤修君 方法はないということじやなくて、どうするかということを聞いております。もう目前に迫つておるのじやないでしようか。
  115. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 結局今考えておりますことは、超過勤務手当ということで手当を支給したいということでございまして、他の名義或いは他の形による手当の追加支給ということではないのでありますので、財源としては超過勤務手当の財源を使うか、或いはその他の財源を超過勤務手当の財源ということに移、流用しまして超過勤務としてそれを出すか、その二つでありまして、その二つをやろうとしておるのが今まで進んでおりまする大蔵省当局との話合でございます。
  116. 伊藤修

    伊藤修君 当然得らるべき超過勤務手当をとることは、これは当り前のことであります。何もこれをいまさら論議する必要はない。そうではなくしてこのたびの衆議院の附帯決議に基いて各省において賄わなくてはならないところの年末手当〇・二五というものをどの財源によつて賄うか、それは閣議の了承事項としては、すでに超過勤務手当に引当てられておるところの財源を以て当面の年末手当を賄うのだ、こう決定をしておるのじやないでしようか。それを法務省だけが今まであいまい模糊にして意思が決定していないという理窟はない。していないということはあなたたちの職務の怠慢であります。
  117. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 法務省だけがきまらないのじやなくして、いろいろ数字を持寄つてここはこれだけ財源がある、ここはどれだけ財源が足りないということを今出し合つておるわけでございます。
  118. 伊藤修

    伊藤修君 出し合つているなら結局今の超過勤務手当を年末手当に引当てるのじやないかと、こう聞いておるのです。それともそれ以外の財源でやるという確信はおありになるのですか。
  119. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 年末手当と超過勤務手当と違うのでございまして、期末手当を出そうというのではなくて超過勤務手当を出そう、かように考えておるわけでございます。
  120. 伊藤修

    伊藤修君 そうすると年末手当の〇・二五というものは今後は出さないのですか。
  121. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 年末手当の〇・二五というのは今まで話にのつて来ておりませんで、超過勤務手当として〇・二五を支給しようと、こういうことでございます。
  122. 伊藤修

    伊藤修君 そうすると超過勤務手当という名前によつて年末にそれだけ出そう、こういう工合なんですか。
  123. 天野武一

    政府委員(天野武一君) さようでございます。
  124. 伊藤修

    伊藤修君 そうするとそれは第三四半期の分、第四四半期の分でもいずれでもかまいませんか、そのものを超過勤務手当として年末に〇・二五お払いになります。それは超過勤務してもせんでもお払いになるわけですね。
  125. 天野武一

    政府委員(天野武一君) それは超過勤務手当と申しますと、今伊藤委員のおつしやいましたように、実際超過勤務しておることがございましても、自発的に超過勤務した分などにつきましては手当の支給が欠けておつたわけでございまして、十二月ひと月考えましてもとても予算で賄い切れない超過勤務をしておりますので、〇・二五の形で超過勤務手当を追求すれば、その超過勤務手当の実体をオーバーした超過勤務があるということにはならないとかように考えております。
  126. 伊藤修

    伊藤修君 そうすると年末手当を超過勤務手当の内容を以てするということになりますが、私のお伺いしたいことは、超過勤務をして、それだけオーバーしておつても、それだけの〇・二五の範囲内において支給されることというのは、本来受くべきものを少く受けるという形になるのはこれは別といたしましても、そうではなく、本来超過勤務のない人もその恩恵に浴することになるのではないか、こういうことです。
  127. 天野武一

    政府委員(天野武一君) その細目はまだきまつておりません。
  128. 伊藤修

    伊藤修君 だから冒頭に公務員の細目は、すべての公務員かとこう聞いておるのです。そうするとこの附帯決議の公務員ということは、任意に縮小も拡大もできるということになるのではないか、その範囲を初めから聞いておるのです。ところがこれはすべての公務員だとこうあなたは前提においておつしやつておるのではないか。
  129. 天野武一

    政府委員(天野武一君) その附帯決議は政府がしたものでございますので、私のほうから解釈申上げるのはどうかと存じますが、素直に公務員というものを考えますれば今申した広い意味だろうと存じます。併しそれをどういうふうに具体的にだんだんに実現するかとなりますと、今考えられておりますることは、遺憾ながら超過勤務手当の追加支給ということが当面の問題になつておるわけでございます。
  130. 伊藤修

    伊藤修君 超過勤務手当の追加支給ということになりますれば、本来超過勤務手当を受ける人が追加支給を受けるのは、これは恩恵はありがたいわけであります。本来超過勤務手当を受けないのがその恩恵を受けるということになれば、一体超過勤務手当というものの本質はどういうことになるか、その累率はどうなるかということになるのですか。又他の面から申しますれば、一体超過勤務手当の財源がそうした面に流用されるということになりますれば、本来の超過勤務手当というものの財源をどう賄うのか。いわゆる四半期の分を使つてしまえば四半期の分は補正予算でやるのか。そういうことを法務省としてどうお考えになつておるか、それをお尋ねしたいのです。
  131. 天野武一

    政府委員(天野武一君) その個々に、例えばそれを在職年数で、或いは勤務の時間で、どういうふうに調整をとるかというようなことにつきましてはまだきまつておりませんで、もつぱら財源をどういうふうにして捻出しようとするか、大体の枠をきめまして、又捻出したあとの穴埋をどういうふうにしようか、そういうような目安をきめましてから細目がきまるということになつております。
  132. 伊藤修

    伊藤修君 これはもつと深く掘下げて質問いたしたい。今の御答弁ではまだ研究していらつしやいません。御研究になつた上でもつて本法の御審議を願いたい。それとも御答弁願えますでしようか。
  133. 岡部常

    委員長岡部常君) ちよつと速記をとめて下さい。    午後三時十一分速記中止    ―――――・―――――    午後三時二十六分速記開始
  134. 岡部常

    委員長岡部常君) 速記を始めて下さい。本日はこの程度にて散会いたします。    午後三時二十七分散会