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説明員(
宇田川潤四郎君) 少年鑑別所の問題は
法務省の所管でありますので、私から意見を申すのはどうかと思いますが、何分この家庭裁判所が少年の身柄を鑑別所にお預けしておくというような関係に立ちますので、私の意見、いやむしろ全国の家庭裁判所の判事、少年調査官の意向を述べまして御参考に供したいと存じます。身柄の拘束の時間が非常に長くなるじやないか、こういう御
質問につきましては、鑑別の方法によりまして、東京の少年鑑別所などにおきましては有名な臥蓐療法というような方法をと
つております関係上、宮城
委員の仰せられるように四時間、五時間というような時間では到底できないというようなことで相当時間が長くな
つておるようであります。併しながら裁判所の立場から申しますと、何と申しましても裁判所が人権擁護の
機関であるという建前から、一日も早く鑑別をして頂いて、そうして早く審判をして少年の身柄の処置をきめるということを常に念願してや
つておるのでありますが、何分にも鑑別所の意向もありまして、現に一週間、二週間、或いはそれ以上に延びて甚だ遺憾に思
つておるような次第であります。
なお建物の問題につきましても、家庭裁判所といたしまして刑務所的な建物で身柄の拘束ということが中心に
考えられて来ているようなきらいがあ
つて、鑑別のためにも余りにも建物が刑務所的である、何とかこの点について御考慮願えないかというようなことを
法務省御当局にお願いはしておるのでありますが、だんだんと各少年鑑別所の建物も明るいものにな
つて来つつあるようであります。併し未だしの感があることは宮城
委員の仰せられる
通りであります。
なお少年鑑別所を裁判所のほうにおいて分掌すべきじやなかろうかというような問題につきましては、これは各地の家庭裁判所の裁判官、少年調査官も異口同音に家庭裁判所のほうで扱うようにして欲しいという意見であります。と申しますのは何分何と申しましても鑑別は少年の素質を科学的に調査して、そうして審判の用に供するわけであります。と同時に環境の問題、社会的な問題につきましては少年調査官がこれを分掌しまして、そうして調査し、これを又審判の用に供するわけでありますが、少年調査官のほうは家庭裁判所に属しておる、少年鑑別所のほうは
法務省のほうに属しておるというような関係で、この連絡に非常に手間ど
つたり或いは円滑に行かないような面があるのでありますが、先ほどの観護期間が長期に亙るというような問題につきましても、仮に家庭裁判所のほうでこれを管理するならば、恐らく現在のようなことはなかろうというふうに家庭裁判所のほうでは
考えておるのであります。又その他人権擁護の問題につきましても、家庭裁判所のほうでは判事にいたしましても、少年調査官にいたしましても、多少うぬぼれかもわかりませんが、現在よりももう少し感覚の点において高いものを持
つておる、又人権擁護をする、こういうように申しております。さような次第でありますので、家庭裁判所全体の意向といたしましては、家庭裁判所のほうで少年鑑別所を分掌するということが適当だというふうに
考えております。併しながらこれは何分にも権限分掌の問題、場合によ
つては権限争いというような眼で見られる嫌いもありますので、私どもといたしましてはこれらの問題につきまして大乗的な見地から大いに今後研究して、関係庁と協議いたして、日本の少年保護の向上のために尽力して行きたい、こう
考えております。