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1953-03-12 第15回国会 参議院 法務・地方行政・厚生連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十二日(木曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————  委員氏名   法務委員    委員長     中山 福藏君    理事      長谷山行毅君    理事      伊藤  修君    理事      鬼丸 義齊君            小野 義夫君            加藤 武徳君            加納 金助君            鈴木 安孝君            山縣 勝見君            岡部  常君            宮城タマヨ君            高田なほ子君            齋  武雄君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   地方行政委員    委員長     菊田 七平君    理事      石村 幸作君    理事      館  哲二君    理事      中田 吉雄君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            堀  末治君            宮田 重文君            岡本 愛祐君            加賀  操君           小笠原二三男君            赤松 常子君            吉川末次郎君            岩男 仁藏君            岩木 哲夫君   厚生委員    委員長     藤森 眞治君    理事      大谷 瑩潤君    理事      藤原 道子君    理事      山下 義信君            草葉 隆圓君            小杉 繁安君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            井上なつゑ君            常岡 一郎君            河崎 ナツ君            堂森 芳夫君            谷口弥三郎君            一松 定吉君            西園寺公一君   —————————————  出席者は左の通り。   法務委員    委員長     中山 福藏君    理事            伊藤  修君    委員            小野 義夫君            加藤 武徳君            岡部  常君            宮城タマヨ君            高田なほ子君            須藤 五郎君   地方行政委員    委員長     菊田 七平君    理事            石村 幸作君            館  哲二君    委員            西郷吉之助君            加賀  操君           小笠原二三男君            岩男 仁藏君            岩木 哲夫君   厚生委員    理事            大谷 瑩潤君            藤原 道子君            山下 義信君    委員            常岡 一郎君            堂森 芳夫君            谷口弥三郎君            一松 定吉君    委員外議員            カニエ邦彦君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○売春等処罰法案伊藤修君外四名発  議)   —————————————    〔中山福藏委員長席に着く〕
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 只今より法務地方行政厚生連合委員会を開会いたします。  先例によりまして、法務委員長の私が委員長の席を汚すことにいたします。  本日の議事の運営方法といたしましては、先ず提案理由説明及び逐条説明を聴取いたし、ついで時間がございましたら質疑をお願いいたし、大体午前中で終り、残余の質疑は更に次回に譲りたいと思います。さよういたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。売春等処罰法案を議題に供します。先ず発議者提案理由説明をお願いいたします。
  4. 伊藤修

    伊藤修君 私が提案者一同の方々を代表いたしまして提案理由について一応御説明申上げたいと存じます。  只今上程されました売春等処罰法案提案理由を御説明申上げます。  売春行為が健全なる性道徳を破壊し、特に婦女基本的人権を傷つけ、善良な風俗紊乱し恐るべき性病の蔓延のもととなり、やがて社会秩序保持にも悪い影響を与えるものであることは論をまたないところでありますが、国民待望独立を獲得しました今日においてなお、一向にそのあとをたつ様子のないことは誠に遺憾のことと存じます。憲法基本的人権を確立し、個人の自由と尊厳とを宣言し、その奴隷的拘束を排除しているにかかわらず、現実には身体及び意思の自由を束縛され日夜不道徳的な稼業に従事する婦女の存在が認められ、他面このような女性に寄生して営利をはかる業者がおりますことは、民主主義国家の再建のため重大な障害を与えるものと思われます。更に又国際連合への加盟の暁において、世界人権宣言目的を実現し、国際社会に名誉ある地位を占め得るためには、同連合が採択した人身売買禁止及び売春により利益を受ける行為禁止等に関する条約の趣旨を尊重した法律を用意することも必要と思われる次第であります。  而してこれが対策といたしましては、もとより国民一般民主主義的自覚、道義の高揚、衛生観念の発達と共に民生の安定のために諸施策の要請されるのはもとよりでありますが、これと同時に売春行為及びこれを助長し、これに寄生する諸行為処罰する法令を整備強化する必要が痛感される次第であります。従来のこれに対する立法措置といたしましては、「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務関係命令措置に関する法律」による「婦女売淫をさせた者等処罰に関する勅令」、刑法労働基準法児童福祉法風俗営業取締法性病予防法等があり、地方自治体でもそれぞれ取締条例公布してこれに対処しつつありますが、未だ十分その実を挙げているとは申せない状態であります。殊に売春行為等処罰基本法とも申すべき「婦女売淫をさせた者等処罰に関する勅令」は全文僅かに三カ条でありまして、その効果を挙げる為に甚だ不備であり且つ片面的であります上に、前に申しました法務関係命令措置に関する法律に取入れられて、今日なおその法律的効力を与えられてはおりますが、いわゆるポツダム勅令と称せられるものの一環でありまして、当然能うべくんば国家独立と同時にその立法的改正措置が講ぜらるべきものでありまして、第十二回国会において右法律の制定に当りましても、参議院法務委員会といたしましては附帯決議としてこの勅令根本的改正法案の速かな提出を政府に要求しておいた次第であります。  なお、本法案とほぼ同様の内容をもつております売春等処罰法案が第二回国会政府より提案され、審議未了となつて居りますが、この際以上のような趣旨に基き新たな構想の下に各方面の御意見も斟酌し、他の関係法令条例等とその罰則等との権衡をも考慮しつつこの法律の立案を行なつた次第であります。詳細は逐条説明に譲ることとし、その要点を次に御説明申上げます。  第一に、先づ法案売春行為処罰に当つて売春相手方となつた者売春者と同様に処罰することにいたしました。この規定男女両性の本質的平等を基本といたしております新憲法建前上、女性の人格を軽視する封建的思想を一掃するために設けたものであります。  第二に、売春及び売春勧誘周旋売春を行う場所提供等助長行為の刑を、或いは新たに定め或いは従来の刑に比較して引上げることにいたしました。常習者に対しては、これを加重することによつて取締の実効を挙げるつもりであります。  第三に、婦女を欺き若しくは困惑させて売春させた者及び親族業務雇傭その他特殊関係による影響力を利用して売春させた者を処罰することといたしました。これは若し脅迫又は暴行によつて売春をさせた場合には刑法適用がありますが、それ以外の不法な手段を用いて婦女自由思意を束縛して売春に至らしめる者を処罰する為の規定であります。  第四に、売春をさせ、又は援助する目的で前貸その他の方法で人に金品その他財産上の利益を供与する者を処罰することにいたしました。これは婦女を所謂金しばりにすることにより売春行為に追込むことを防ぎ、又経済的重圧により、その業態から脱け出ることを困難ならしめることのないようにするための規定であります。  第五に、売春の対価としての報酬の全部又は一部を収受したり、これを要求し、又は約束したりする者を罰する規定を設けました。この種の行為婦女に最も身近く寄生し、これから搾取する悪性の行為だからであります。  第六に、婦女売春の業につかせることを内容とする一切の契約についてその申込又は承諾をした者について之を処罰することにいたしました。これは当然公序良俗に反する行為でありますから、かかる契約の無効であることは論を要しませんが、これに刑罰規定を設けることによつて人身奴隷的拘束を与えるがごとき関係成立を防止する考えであります。  第七に、売春施設を経営し又は管理する者を処罰することによつて、従来日本では売春が公認されていたような印象を払拭すること一にいたしました。  第八に、前二項の取締徹底を期するためいわゆる両罰規定により行為者を罰するほか、本人たる法人又は人に対しても罰金刑を科することにいたしました。  なお、本法案においては大部分規定につき情状により懲役及び罰金を併科することができることといたしました。  第九に、この法律施行については第六条から第九条までは公布の日から起算して三十日を経過した日からこれを施行し、その他の条文昭和三十年一月一日から施行することになつております。施行期日についてこのような区別を設けた趣旨は第六条乃至第九条はポツダム勅令第九号の内容と大体同じであり、或いはこれに直接関連を有する規定でありますから、同勅令廃止と同時に施行する必要があるのでありますが、その他の条文現実社会事情を無視することなく、この法律の円滑な運用を期し、その効果を挙げるためには、相当な猶予期間をおいて施行するのが適当であると認めるからであります。  以上立法趣旨及び規定要点を御説明いたしましたが、どうぞ慎重に御審議上速かに可決せられんことを希望する次第であります。  なお、逐条説明につきましては便宜専門員より御説明申上げることにいたします。
  5. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 逐条説明は、便宜上法務委員会専門員より聴取いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。
  7. 西村高兄

    専門員西村高兄君) 御命令によりまして只今から売春等処罰法案逐条説明を申上げます。  第一条は、この法律目的規定したものであります。この法律は、売春及び売春をさせる行為等処罰することを規定いたしておるものでありますが、これを処罰しようとすることは、売春等行為を放任することが、社会における風紀紊乱を招き、他面において婦女をして売春という醜業に従事することを余儀なくさせるような結果に陥る慮れがあることに鑑みまして、風紀紊乱を防止し、また婦女基本的人権保護することによつて社会の健全な秩序維持に寄与しようとすることに目的を置くのでありまして、本条は、この目的を明らかにしたのであります。  第二条は、本法中にしばしば規定されている売春という用語について、その意義を明瞭にするために規定したものであります。この定義については、風紀紊乱婦女保護という観点から売春定義を考慮したものであつて売春とは婦女報酬を受け又は受ける約束で不特定男子と性交することをいうものであるといたしたのであります。従つて報酬を受け又は報酬を受ける約束のないものはこれに該当しませんし、また報酬を受け又は報酬を受ける約束があつても、特定相手方であれば、これ又売春に該当しないわけであつて報酬又は報酬約束があれば、相手は誰でもよいという建前の下に性交する行為がこれに該当するのであります。  第三条は、売春をした者又はその相手方となつた者処罰するための規定であります。第一項は、売春をした者とその相手方となつた者処罰規定し、第二項は、常習として売春をした者の処罰規定であります。売春をした者とは、売春行為の主体となつ婦女をいい、その相手方となつた者とは、相手方なつ男子をいうのであります。本条処罰対象となるには、いづれも行為既遂となつていることを必要とするものでありまして、既遂にならなければ本条処罰対象とはならないのであります。第二項の常習とは、売春の習癖のある者をいうのでありまして、この常習者については特に重く処罰する必要がありますので、第二項を設けた次第であります。  なお、本条の罰は、第四条から第十条までの罪の罰に比べまして極めて軽くなつているのでありますが、これは売春の罪を犯した者については各種事情を考慮すれば、概して同情すべき点が多いのでありますのでこの罪については罰を軽くすることにし、売春に対する特殊の幇助又はこれを強いるような罪等については重い罰を以つて臨むことといたしこの法律の罪について罰の均衡を考慮いたしているのであります。  第四条は、売春をする目的売春相手方となるように勧誘した者を処罰するための規定であります。元来この勧誘行為は、通常の場合において、第三条の売春罪の予備の行為に該当するものと解されるのでありますが、社会風紀上これを放任することのできない行為でありますので、特にこの規定を設けたのであります。本条行為は、本人売春をする目的のために勧誘することであつて売春目的を欠く行為とか、又は単に立ち止り、又はぶらぶら歩くというにとどまり、勧誘のない行為は、いづれもこれに該当しないものであります。  第五条は、売春行為幇助する売春周旋周旋目的とする勧誘及び売春場所を提供する行為処罰するための規定であります。第一項は、売春周旋、その周旋目的とする勧誘行為処罰し、第二項は、売春場所を提供する行為処罰し、また第三項は、これらの常習者処罰規定しているものであります。売春周旋は、売春契約成立目的とし、その中間に介在して契約成立のためにする行為であり、売春周旋目的とする勧誘は、この周旋のために人を誘う行為であつて、これらの行為は、売春を行う場所を提供する行為と共に、第四条に規定する売春罪共犯に該当するものと解されるのでありますが、これらは放任することのできない行為でありますので、本条において、これを規定したものであります。なお、常習として売春周旋若しくは売春周旋目的とする勧誘行為をした者又は常習として売春を行う場所を提供する行為をした者には、罰を加重する必要がありますので、第三項において罰の加重をした規定を設けたのであります。  第六条は、婦女を欺き若しくは困らせ又は特殊関係による影響力を利用して婦女をして売春をさせるような行為処罰するための規定であります。  右のような行為は、第四条に規定する売春罪の教唆又は幇助に該当する場合が多いと考えられるのでありますが、必ずしもこれに該当しない場合もあり、又これに該当するといたしましても、売春罪共犯として扱うことは罰が軽きに失する虞れがあると考えられますので、特に本条においてこれを規定したものであります。現行婦女売淫をさせた者等処罰に関する勅令第一条は、本条と同趣旨規定でありますが、同勅令第一条では、困惑させて婦女売春をさせた場合だけに限つており、その範囲が極めて狭いので、本条ではこれを拡げて「欺き又は特殊関係による影響力を利用した」場合をも加えたものであります。本条において特殊関係による影響力を利用するということは、婦女意思決定影響を与えることのできるような特殊の関係にある者が、その影響力を利用することをいうのでありまして、親族業務雇傭等はその例示であつて、必ずしもこれに限定される趣旨ではないのであります。  第七条は、婦女売春をさせる目的で又は婦女売春を援助する目的で前貸その他財産上の利益を与える行為処罰するための規定であります。婦女財産上の利益を与える行為は、それ自体処罰する理由がないのでありますが、売春をさせるため又は売春を援助するために財産上の利益を供与することは、その婦女に借金の返済その他の法律上の義務を負わせ、又は情誼による義理を感じさせて婦女意思を不当に拘束し、これに基いて売春を行わせる場合が多いので、このような売春の根源となる利益を供与する行為処罰しようとするものであります。本条行為は、人に財産上の利益を供与することでありまして、この場合の利益を供与される「人」とは、売春をすることを目的とされている当該婦女に限るものではなくて、婦女の父、母等をも包含し、又利益供与行為は、法律上有効か無効かをも問わない趣旨であります。併しながら右に述べました目的を欠く場合におきましては、本条に該当しないことは当然でありまして、婦女利益を供与して処罰されるというようなことにはならないのであります。  第八条は、売春報酬であります。花代から各種の名目によつて不当に搾取することを処罰するための規定であります。本条対象となります行為は、他人の売春報酬の全部又は一部を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束することでありまして、ここにいう報酬とは、売春報酬である花代をいい、婦女が持つている金銭を必ずしも指すものではないのであります。なお、売春をした婦女相手かたから売春報酬を受けることは、ここにいう報酬の収受に含まれない趣旨であります。  第九条は、婦女売春という醜業につかせることを内容に含む契約申込又は承諾をした者を処罰するための規定であります。元来婦女をして売春をさせるような内容を含んだ契約は、公序良俗に反する契約として無効のものでありますが、本条では、そのような契約成立に至らない契約申込承諾の段階におきましてすでに危険がありますので、これを処罰しようとするものであります。本条では、右のような契約申込又は承諾をした者が処罰されるのでありますが、ただ婦女が自分みずから売春の業につくことを内容とする契約申込をした場合及び自己が売春の業につくことを内容とする契約申込を受けたときに婦女自身承諾した場合において、その婦女は、本条処罰対象には含まれないことといたしております。なお現行婦女売淫をさせた者等処罰に関する勅令第二条は、本条と同趣旨規定でありまして本条はこの規定を取入れたものであります。  第十条は、売春を業とする婦女に対し、売春を行う場所を提供するための施設を経営し又は管理した者を処罰するための規定であります。これは、右のような施設を経営し又は管理することが売春行為を促進し又は助長するものであるばかりでなく、このような行為を業とすることは悪質のものでありますので、これらの行為をする者を処罰しようとするものであります。本罪は、本来第五条に規定する売春場所提供罪に該当するのでありますが、売春を業とする婦女場所を提供することを主たる目的としている点におきまして特に悪質のものと認められますので、第五条とは別個の罪として特に重く処罰するものとし、この処罰は、本法中最も重いものといたしているのであります。  第十一条は、両罰規定でありまして、第九条、第十条の犯罪についてその行為者処罰すると共に、その監督的立場にある法人又は人をも処罰するための規定であります。第九条、第十条の犯罪については、その性質上特に行為者処罰すると共に、その監督的立場にある法人又は人をも処罰しなければ行為を防止することの徹底が期せられないと考えられるので、特に本条を設けたものでありまして、第九条、第十条の行為の悪質な点を考慮いたしまして免責規定をも設けないこととしたのであります。  第十二条は、第三条第二項又は第五条から第十条までの犯罪がいずれも懲役刑及び罰金刑規定しておりますので、これらの犯罪につきましては、情状によりまして懲役刑罰金刑を併科することができることを規定したものであります。これは、これらの犯罪が場合によりましては体刑と財産刑の両方を科することが一層処罰目的を達することができるものと考えられるからであります。  次は附則でございますが、附則の第一項は、この法律施行に関する規定でありまして、この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から実施するものといたしております。但し、第三条から第五条まで及び第十条の規定並びに第十一条及び第十二条の規定中、第三条第二項、第五条又は第十条の規定に関する部分は、昭和三十年一月一日から施行することとしております。右の施行を延期されます規定は、社会の善良な風紀維持保護法益としているものでありまして、これらに関しましては、現に多くの地方公共団体条例において処罰することを規定しているものであります。然るにこれらの条例は、売春処罰風紀一般取締とを一括して規定するものが多い実情でありまして、この法律によつてこれらの条例を一律に失効させることは、これらの条例運用及び解釈を困難にする虞れがあります。よつてこの法律では、条例中に規定の多い処罰規定につきましては、その施行昭和三十年一月一日からすることとし、その期日までに地方公共団体において将来に残す必要のある条例とない条例とを区別いたしまして、この整理をされることを期待すると共に他面におきまして、今直ちに売春に従事する者等をこの法律によつて処罰することはこれを猶予して、条例による従前の通り取締及び処罰を続け、その間において転向の機会を与えようとする含みを持つものであります。  附則第二項は、勅令第九号の廃止及びこれに伴う経過措置規定したものであります。本法案は、勅令第九号の内容を全部吸収して規定いたしましたため、その必要がなくなりましたのでこれを廃止することにしたものであります。従つて勅令第九号の廃止に伴いまして同令の廃止前の行為罰則適用につきまして但書で経過措置規定したものであります。
  8. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本案に対して御質疑のおありのかたは御発言を願います。
  9. 須藤五郎

    須藤五郎君 只今提案者説明及び専門員逐条説明を承わりまして、私はこの法案に対しまして基本的な点に対しましては賛意を持つているものでありますが、なお幾多の個所に関しまして不満な点もあり、疑問を持つ点もありますので、質問をいたしたいと存じます。大体提案者はこの法案によつて、果して今日行われているところの売淫行為社会悪が是正できるものという確信を持つていらつしやるか。この点の確信を伺いたいと存じます、
  10. 伊藤修

    伊藤修君 須藤さんのお尋ねに対してお答えいたします。基本的な問題といたしまして御指摘の点は御尤もだと存じます。およそ社会悪に対しまして法律がこれに対して臨む場合におきましては、社会生活基準法律がこれを定め、以て国民にこれを示すということにあつて、少くともそうした規範に対しまして国民がこれを尊重し、これを守り、それによつて生活をするというあり方が正しいと思うのです。従つてこの法律ができることによつて直ちにそうした現在行われつつあるところのこの種の行為が絶滅するとは考えられません。絶滅することを私は期待し、又理想といたします。併しこれはただこの法律のみではありません。例えば窃盗を我々は忌避いたします。刑法において窃盗を禁ずることはすでに久しきに亘つております。でも窃盗罪は絶えない。窃盗罪は一人もなくなることを私たちは理想とし、期待もするのです。この法律施行されることによつて、少くともこうした自然事実が自然犯として否定される。これに覊束されて我々の社会秩序が保たれて行くというあり方を私たちは求めたいと思うのです。
  11. 須藤五郎

    須藤五郎君 窃盗罪とこの性的行為売淫行為とは僕は本質的に違うと思うのです。窃盗することは不道徳なことです。併し売春行為も道徳的な行為だとは思いませんが、これは本能的な問題です。青年が今日生活の困窮から結婚適令期になつても結婚することができない。それでは青年たちの性的解決をどこに求めるか。従つてこのいわゆる売春行為に行かざるを得ないような、人間の持つている本能の欲望をそこで満足させよう、果そうという結果がこういう行為をとらすのであつて、人の物を盗んで来る行為というものとは本質的に僕は違うと思うのですが、それが提案者はそういうふうにお考えになつていらつしやるのですか。
  12. 伊藤修

    伊藤修君 これは私は失礼ですけれども、わかりいいように一つの例を以て申上げただけであつて、今須藤さんのお説のごとく本能論を以てこの法案に対して対処されるということなら、これは別問題でありますが、およそ我我の本能といえども、或る一定の秩序の下に規制されたものでなくてはならんと思うのです。本能の放逸なる自由というのは許されないと思うのです。憲法の予想するところもまた我々はそうした下において性の自由が認められているものと思います。
  13. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは伺いますが、勿論本能を放縦にさせてはいけないということは確かです。ところがそれならば私は伺いたいのですが、この法案処罰対象となつているものは貧しい青年たちが対象になつている。ところが金をたくさん持つてそうして結婚をしているいわゆるブルジヨアたちが自分の妾を置くことはこれは処罰対象になつていない。そこにおいて私はこの法案に大きな不満を持つのです。なぜ青年が本能的な欲望を、自分でいいとは思わない、恥しいとは思いながらその本能を満たすためにこういう行為をやつた。これを法は罰する。ところが金を持つた人間が自分のおかみさんを持ちながら、なおその上で満足せずに特定な婦人を抱える蓄妾、いわゆる妾を持つということがこの法案対象にならないということは、この法案が死物であるというふうに私は思うのです。その点に私は非常に不満を持つのですが、伊藤提案者はそういうことは道徳的に何ら恥しくないことだというふうなお考えですか。
  14. 伊藤修

    伊藤修君 お答えいたします。先ず第一の一体青年が青年がとおつしやいますが、今日の実情を御調査になつての御質問かどうか存じませんが、この種の業界若しくはこの種の現象を利用する人は妻帯者が大部分なんです。青年は僅かであるのです。これはよく御調査になるとそれは十分認識されることと思います。勿論青年が経済的に貧しいために、止むを得ず性の解決を求めるためにこの種のものを利用するというあり方もありましよう。併し私は青年諸君に対しまして、第二の日本を背負つて頂く場合において、そうしたことによつて身体障害を受ける、いわゆる悪性な病毒を感染し、延いては国民保健というものが傷付けられるということは寒心に堪えないと思うのです。我々は青年諸君に修養道場のごとき社会生活を求めるものではございません。併し少くとも為政者としてはそうした面においても考慮をめぐらす必要があろうと存じます。  第二の問題、これは勿論道徳的におきましては悪いことであります。併し法律が自然犯として認める場合におきましては、その本来持つところの性の自由を金銭に換えて非社会的な行為としてそこでは現実化させる、それが道徳の面においても、社会秩序の面においても、延いて以て国民保健の面においても、又犯罪誘発というものの温床となるという、こういう点を勘案いたしまして、性を代価に換えるという考え方に対しましては、少くとも否定しなくちやならん。それで今の御質問の焦点たるところのいわゆる蓄妾の問題に対しましては、御承知の通りこれは好ましくないことでありますが、金銭に換えるという考え以上に、蓄妾の場合におきましては愛情の問題が大部分を占めているのです。愛情まで取締るということはどういうことか、法律はそこまで行くべきかどうか、これは一つの政策の問題であります。お説のごとくそこまで取締ることがいいというお考えならば、私たちは異議がありません。
  15. 須藤五郎

    須藤五郎君 妾が果して愛情の問題であるか、金銭の問題であるか、これは恐らく観点の相違であるかもわかりませんが、私は妾が必ずしも愛情の対象でない、愛情の対象とのみ妾を解釈することはこれはおかしい。やはり成熟した男性が金ができた結果、道楽心から或る婦人をもてあそぶという気持から蓄妾はやられていると思うんです。決して愛情のみではないと私はそういうふうに解釈いたします。それならば青年の性の満足を、いわゆる青年と言つて私は参りましたから、伊藤先生は決して青年が多いのじやない、妻帯者が多いということであります。それは数の上でそうかもわかりません。併し貧しい給料で働いている職場の青年たちがやはり大部分を占めているんです。その大部分を占めている青年たちをこの罰則において処罰する。それに重点が置かれて一もう一方のほうの私が申しました蓄妾関係のそういう問題に対しましてこの法案が余り寛大だ、問題にしていないというところに、私はこの法案の道徳的な立場から見た価値がこの法案にないのではないか。いわゆる法案に一つの精神が入つていないのじやないか。ただ現われたものを罰するということだけであつて、もう一つ前のことがこの法案で抜けているのではないか。そういう心配があるわけであります。この法案を作る前に我々政治家として考えなければならんことは、こういう行為が何のためになされているか、だからその行為禁止するのには抜本的にそういう行為をしなくちやならん、社会制度を変えなくちやいかん。何も革命を起せというのではないのですよ。そういうふうに誤解をされては困るのです。社会保障制度の下においてもつと立派にこういうことをしないでいいように社会保障をして行かなければならん、そういうことを私は思うのです。ところが今日日本の国会でそういうことは少しも論議これてない。そうして突如としてこういう法案が出て来る。私は前から申しましたように、この法案の精神には賛成なんですから、どうぞ誤解をなさらないで頂きたい。ただこの法案に欠けている面があるのではないか。そうしてこの法案が出ると同時に、もう一つ前に国会として取上げなければならない重大な問題があるのではないか。この悲しい人たちをどういうふうにして救うかということを我々は考えなければならない。それは中国に、ここに参考資料としてありますが、中国がこの売淫制度を禁止したその様子をお読みになつたらよくわかつて頂けるのではないかと思います。だから売春法を禁止する、それでは今売春をやつている女たちをどういうふうにして救うのか、その救う途が一つも考えられていない。青年に対する十分な生活保障もされていない。そういうことが私は心配なので、基本的な問題としてこの点をお伺いしました。私まだくたくさん伺いたい点があるのでありますが、ほかにもたくさん委員が見えておりますし、今日は連合委員会ですから法務委員会で詳しく質問いたしまして、私は今日はこれで遠慮しておきます。
  16. 中山福藏

    委員長中山福藏君) カニエ邦彦君より委員外議員として質疑の御要求がございましたが、この際同君の質疑を許可いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. カニエ邦彦

    委員外議員カニエ邦彦君) 只今須藤君の説に大体同感なんですが、提案者がこの法案によつて結局縛られるのは、対象となるのは売春行為をやつておるものである。ところが片一方売春行為を現在やつておるものが果して好きこのんでやつておるかどうかという問題、決して私は好きこのんでかようないやなことをやつておるという人はそれこそ数字の上で見て極く僅かでないかと思う。或いは何といいますか少し変態的な色気狂いというか、そういうような部類の人は別として、大多数の人は今日やはり通常の収入では食つて行けない。だから従つてこういういやなことでもやらなければ傷ついた夫を養うこともできないし、又夫を亡くして子供を食わして行くことができない、こういうのが大多数の現実である。こういう者に対して一体この法案を実施すると、そういうものの救済はどういうことでなされるかということ。これを先ず一つ伺つておきたい。  それからもう一つは、日本の、これは甚だ遺憾なことですが、実態からいたしまして経済的にも今日本のドル収入、いわゆる輸出ですか、この輸出を助けておるところの部分は殆んどまあ俗に悪い言葉で言いまするとパンパン収入、このパンパン収入が相当なパーセンテージを占めておる。聞くところによれば大体これが年間約二億ドル乃至三億ドルになるのではなかろうかというようなことも言われておる、こういうような実態からして、この売春法と我が国経済とのいわゆる関連はどういう工合にお考えになつておるか。  それからもう一つは、全国のこういつたような業者が、これは随分長い間に亘つて作り上げられたものですが、全国至るところにやはりあると思うのですね、こういうものが果して今すぐに他に職を求めて転向することが果して実際問題としてできるのかどうか。而もこれが昭和三十年ということになつておりまするが、併し昭和三十年まで僅か二年や三年の間において徳川の封建時代から営々として築いて来たところの、殆んどまあ何といいまするか城郭に等しいようなものが全国津々浦々にある、こういつたものを一体どういう工合に転向せしめるかという点、これらについて何かやはりこの法案が実施されるとすれば、従つて裏付けとなり得るあらゆる関連において検討がされていなければならないと思います。この点について先ず提案者のお考えをお聞きいたしたい。かように思います。
  18. 伊藤修

    伊藤修君 便宜第二点からお答えいたしますが、第二点のいわゆるドル収入に影響するから云々という御質問は、私はカニエ君としても意外だと思うのです。一体国の賄いをする国民経済の余裕を作るためにどんな屈辱的なことをしてもよろしいとか、日本国民の身体を犠牲に供しても、金をさえ儲ければいいという考え方には、私は納得できません。同意もできません。ドル収入が求めたければ国家はよろしく今日閉されておるところの海外貿易に対しまして専心意を用うべきである。又国内生産においても当然これに対処する方策を講ずべきである。政治の貧困がそれをなさないということは、なお一段の指導者の私は努力を待たなければならんと思うのです。若しこの法律によりましてそうした俗に言うこの種の業態に服していられる婦女子が、ドル獲得に役立つておるといたしまして、それが仮に失うといたしましても、私は日本経済において何ら影響はないものと考えます。又そうしたものによつて多少の影響はあり得ると考えても、それは明らかに佐世保であるとか、或いは呉であるとか、横須賀であるとか、今日の状態は舞鶴もそうかも存じませんが、少くともその地方におけるところの業界において、多少のそうした面はありましようが、それによつて全日本の女性の人権を犠牲に供するということには私は同意しがねるのであります。  それから次に第一の御質問でありますが、これは勿論提案者といたしましても考慮いたしておるのであります。もともと第二国会にこの法律案類似の法案政府から提案された場合におきましても、この点を重要視しまして、全国のこの種の業態に服しておられる婦女子のかたの実態を調査いたしたのです。その結果、好んでこの業態に入つて行く、いわゆる戦後派的な婦女子のかたが約三〇%、生活苦から入られる御婦人のかたが三〇%、戦争による犠牲に基く御婦人のかたが約三〇%、かような比例であるのであります。好んで入られるかたは、これは他の教育その他の面からこれを救済する以外に方法がないと思います。生活苦及び戦争の結果によるところのこうした途を辿らざるを得なかつた御婦人のかたに対しましては、よろしく国家は更生施設において、この種の婦人の将来の行き方を考えるべきである。取りあえず民間有志のかたがたのお力によつてもその先鞭をつけて行きたい、かように考えております。これは我々の責任でもあり、又国家の責任でもあり、速かにこの種の婦人に対するところの生活の途、即ち社会生活適格性を与えるべき施設を我々は考えるべきである、こう考えておるし、又それに実践いたしたいと存じます。  第三の御質問の点は、勿論業界のかたがたが多年事実的に、そういうことに携つていらつしやるところの事実に対しましては同情に堪えないと思います。併しそれが徳川時代からなされておつたといえども、その時代において適法でないという場合においては、速かにこれを解消して頂くということは当然であります。沿革が如何に久しいといえども、今日の時代においてその形態が好ましくないというならば、これは改むるに憚るなかれであり、改むべきであると思います。今日の世界の情勢をお考え併せ願いましても、この種の法律のない国は殆んどないのです。ゾビエト、須藤さんの敬愛されるところのソビエトにおいてすらあるのです。又中共においてすらあるのです。およそ文明の国民としては、この種の法律の効があるなしにかかわらず、少くとも施行されているのです。いわんや最近国際連合に加入する場合におきましては、連合国に加入する結果、人身売買及び売淫行為禁止に関するところの条約に日本も当然加入しなくちやならない。その条約の示すところによりますれば、本法に示す以上の強い規定が要求されておる。日ならずしてそうした条約を我々は頭に頂かなくちやならん。条約を頭に頂きますならば、憲法規定上、当然条約に基くところの法律施行しなくちやならん。そのときになつてあわてふためいて施行するか、今日実現すべきであるかということは、これは独立国家なつた我が日本といたしましては、当然世界各国の人々のある通常のあり方です。何も特段の日本に道徳的意義を求めようというのじやなぐて、通常のあり方というものを示すのに、私はやぶさかでないとかように存じまして、この法律案を提案するに至つたのです。勿論業界のかたがたが、お説のごとく二年、三年では転業はできんではないか。外国の立法例を見ますと、デンマーク、或いは西ドイツ、その他の国々においては三カ月乃至十カ月の猶予期間、イギリスにおいては三年の猶予期間と聞き及んでおります。その中間をとりまして、約二年という猶予期間を設けまして、その間において、このかたぞれにおいて適当な職業その他の方法をお考えあわせ願つて、転向して頂くか、又はその場合において社会的情勢がこれを認めるという時代となるか、それはそのときのこととし、国民の輿論によつて決せらるるべき問題だと思います。この法律の企図するところのものは、少くとも転向して頂く。御迷惑ですけれどもそういうふうにお願いしたい、こういう趣旨の下に立案いたしたのであります。
  19. カニエ邦彦

    委員外議員カニエ邦彦君) 只今の御答弁でパンパン収入に対しての日本経済のあり方というものについて、私は劈頭に甚だこういう形は遺憾であるということを前提として申上げておるのであつて、決してそれが健全なるあり方であるというようには私は思つておりません。これについては現実がまあそういう状態であるから、従つて現実をどうするかということなんであつて、決してこれが好ましいというようなことを言つておるのじやありません。それからもう一つは、この法案自体の全文に対して、私は理論的な立場においてこれ自体に反対しておるのじやないのです。ただこれを実行するためにどういう困難が伴うかということを心配して言つておるのであつて、むしろこの法案が行われることを喜んでおる。従つてこの法案が実施をされるのなれば、実施をするまでの段階において、やはりもつと我々が努力をしてなさねばならない多くの事柄があるのではなかろうか。今質問を申しました点で、要約いたしますると、この法案が実施されることにおいて相当日本の国の中で食えなくなる、生きて行くことができなくなるという人があるが、これらの人を食わすような方法としては、どういうことが具体的にあるのかということを一つお尋ねをしておるわけです。どうぞお答えを願います。
  20. 伊藤修

    伊藤修君 只今のこれらの人というのは、業者及びこれに携わるところの御婦人のかた、両者をお指しになることと存じます。両者に対しましては、先ほどのお問いによつてその大体の概念だけは申上げたのであります。具体的に、仮に婦女子に対するところの問題を取上げますならば、現在日本国内において十八の施設があります。この十八の施設によつてその一部分は賄われると存じますが、生活保護法の規定もあります。又児童福祉法、或いは未亡人に対する手当に関する法律もあります。又これらのいわゆる社会立法と相待ちまして、この種の御婦人に対するところの将来の生活岐路というものをつまり示唆し、誘導し、指導して行くというあり方を以て、これを解決いたしたいと存じます。なおそれのみによつては足らない、かように考えますから、これらの御婦人のかたがたの生活の基礎を与えるために、一つの新らしい施設国家的に作つて頂きたいと思います。国家的に作るべく我々は民間有志の人によつてこれを促すという形において、取りあえずそうした運動及びそうした形態を作つて、そして次に国家においてこれを経営して行くという方向に進んで、現実にこの種の御婦人の救済に当りたい、かように考えております。  それから業者に対しましては、先ほど申しました以上には出でません。この業者に対しまして、国家が補償するというような法律の観念は出て参りません。何となればこれは国家が公認して存続せしめたものじやないのです。で要するに沿革、惰性、習わしというようなあり方において存在するのでありますから、国家が補償して……、補償して差上げたいけれども、補償するというわけには参らんと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  21. 藤原道子

    藤原道子君 私は根本的にはこの法案には賛成でございます。なお従来も法律が幾多ありながら、これが運営されていないというようなところに、こうした行為が非常に彌漫して来たということにも相成つておりますので、この法律を作りまする以上は、飽くまでもこの法の精神を十分に活かして、どうぞして、腐敗いたしました日本の性道徳を回復させて行きたいと、私は強く念願いたすものでございます。につきましては、二、三の点について、なおこの施行の上において幾多の又見解の相違等によつてごまかされても困りますので、この点二、三明らかにいたしておきたい、かように考えるものでございます。  先ず第一に、「この法律で「売春」とは、婦女報酬を受け又は受ける約束で不特定相手方と性交することをいう。」先ほどの提案の御説明のときにも、何やら特定の者ならば罰せられないというような御説明であつたように伺つたのでございますが、若しさようであるとするならば、たとえ三日間でも約束しておれば、不特定でないと言い逃れもできると思いますが、この特定、不特定についての立案者の御見解を先ず一つお伺いいたしたい。  それから性の道徳の腐敗は、悲しいことに同性間にすらそういう行為が行われておるということになりますると、いわゆる男と男の性交です。これについてはどういう見解であるか。これも聞くところによると、かなり殖えているやに私は聞いておる。このことについての一つ御見解を伺いたい。  それから今一つは、私過日本会議で緊急質問をいたしました。ところが、そのときの質問に対しまして、アメリカの東京イブニング・ニュースとかいう英字新聞で私の質問を非常に反駁しておりまするが、その際において、売春行為が行われる、それによつて本人利益をこうむつているではないかというようなこともありまするので、この際、明らかにいたしておきたいのは、成るほどこの法律を作ることによつて、国内では日本人は罰することができるでしよう。併し米兵、その他国連軍等に対しましては、この法の適用は如何に相成るか一私は当然対象になると思うのでございますけれども、立案者はどのようにお考えになるかという点を伺いたいのでございます。今日基地附近における性道徳の腐敗はもう極に達しておりまして、このことはひとり性道徳の問題のみならず、教育の面、或いは勤労意欲の頽廃に、日本の青少年をむしばむことは、もう私ども心を暗くする状態にあるのでございますが、これらについてどのようにお考えであるか。殊にアメリカでは、昨年の七月の二十三日に、日本は数百年来の売春の歴史のある国であるというようなことを、国会で国防長官が放言しておいでになる。従いまして、それと同時に、これらに対して、我々は何ら取締る権利がないのだということを言つておいでになりまするのに、日本におきましては、司令官から各基地のある県知事に対しまして手紙を以て強くその対策を要望いたしております。クラーク大将が強くこれに対しての関心を払つておられるというようなことで、手紙が来ておりまするが、これは私ども、個人の手紙とは解釈するわけに行かない。一つの命令だというふうに私は解釈をいたしております。それによりまして、基地では司令官及び県の役人等が合同会議を軍の示唆によつて開きまして、それによつて、このような対策要綱ができて、売春パスポートまで発行されて、売春が殆んど公認になつているというような点に対しまして、果してこの法律で、それらに対しても拘束するだけの権威を持つて行かなければならんと思うけれども、行く意思で立案されたのかどうかということを、私はこの際お伺いいたして置きたいと思います。それからいま一つ大臣の過日の答弁の中に、赤線区域を廃止しようという場合には、土地の有力者や、或いは業者たちが殺到して、これが存置を要望しておるようなことであるから、つまり藤原さんの言われるようなことには相成るまいというような意味の答弁があつたのでございます。これは許し難きことだと存じますけれども、従つてなかなか容易なことでは、米兵に対しての法の適用ということは困難ではないかと思いますので、これに対しての提案者の御見解を先ずお伺いをいたしたいと思います。
  22. 伊藤修

    伊藤修君 藤原さんの御質問にお答えいたします。  第一の特定の問題でありますが、これは御設例のような場合におきましても、三日間限り、若しくは一週間限り、一月限りといつて、他に又それが転向して行くということが予想される場合、客観的事実において予想される場合、それは不特定になる。だからこの特定とこの場合いうことは、その人のみ、みずからの将来のハズバンドになるというような考え方がある場合、或いはそう認められる場合において特定と称せられる。いわゆる一人々々渡り歩くということは、ときによつて三日になるか、一週間になるとかいう場合もありますが、渡り歩くという客観的事実、又はそういう意思がありと認められるような行為がある場合には、それは不特定になる。この場合には御設例のような場合は不特定とみなして差支えないと思います。  それから第二の問題でございますが、いわゆる陰間まで罰するかどうかということは問題であるのです。勿論、その行為自体は非社会的な行為であり、我々の風俗を棄すものであることは申すまでもない。これは刑法にいうところのものによつても賄い得ると存じます。この法律におきましては、性交とせられているのですから、性交ということは、言うまでもなく男女ということが前提になるのです。男と男との場合には性交という意味をなさないのです。これは結局風紀に関する問題でありまして、この対象にはならんと考えておるのです。他の法律においてこれを賄う。許すのじやありません。他の法律において賄えば差支えない。そこまで入れるかどうかということは、立法政策の問題でありますから、若し入れることがよいという御説ならば入れてもやぶさかではありません。要するに、この法律の建て方としては、徹底的にそうしたものをすべてここに拾い込むかどうかということですが、先ほど須藤さんのお考えのように、極端までここに取込むかどうかということも、一つの立法政策の問題でありまして、これは皆様のお考えによつて、そういうことがよいというおぼしめしでありますれば、それに拡大することに私は毛頭異議は持ちません。  それから第三の問題でありますが、この外国人に対するところの本法適用でありますが、これは勿論すべての人に適用されることであります。従つて外国人であろうと本法適用から除外されるものじやありません。但し駐留軍に対しましては御承知の通り安全保障条約、それに基くところの行政協定、行政協定に基くところの刑事特別法、こうした一連の条約及び法律効果といたしまして、駐留軍に対しますところの日本の刑罰規定適用にならないのです。だからこの種の行為が若し行われますれば、この駐留軍に対しましては所轄の司令官の軍法会議において処罰することになる。即ち安全保障条約及び行政協定にありまするごとく、日本の国内法を尊重するということは、そこから出でておりますから、とつてつてかの国においてこの法律適用して処罰するという結果になろうと存じます。但し一応は我々は逮捕権を持ちますから、逮捕いたしまして取調べて、向うへ身柄の引渡しの要求がありますれば引渡すということになると存じます。その意味において、この法律のいわゆる反射効力を持つと存じますが、だから放任する形にはなりません。この法律でその条約を変更するわけには参りませんから、現在の法律体制の下においては、その程度において外国人に対するところも賄い得ると、かように信じております。
  23. 藤原道子

    藤原道子君 私はアメリカ人に及ばなければ大半は売春の問題の意義を失うと思いますので、国内法を飽くまでも向うも守つてもらえるように厳重な申入れをする。それと同時に条約の改正へ持つて行かなければならないというふうに理解してよろしいのですね。  それからいま一つは業者の面でございますが、業者を罰するということになりましても、その業者に背後から資金を提供して、それによつて不当の利得を得ておるというような場合、これをも罰しなければ、私は目的を達成することはできないのじやないか、こういうふうに考えますが、それについての御見解を伺いたい。  それからいま一つは提案者におかれまして、更生面、更生政策等におきまして、何か具体的な案をお持ちのように伺つておりますが、若しお差支えなかつたらばお漏しを願いたい、かように存じます。
  24. 伊藤修

    伊藤修君 藤原さんの御質問にお答えいたします。第一の駐留軍が現在の日本のこうした事態を醸し出しておる、又それを維持しておることに大きな支え柱をなしておるということは現実でありまして、お説のごとくこの種のものに適用しなかつたならば、大半その目的を失うというように存じます。併し先ほども申しましたごとく、一応は現在の刑罰の規定の運営と同様に逮捕し、これに対しまして身柄を一応保留するということによつて、彼らに対するところの反省も、又そうした行為を進んでやるという機会を少からしむるということに役立つと思います。又それが隊へ帰りまして、日本の法律尊重という意味において処罰されるというに至りましては、彼らとしても相当この問題に対しましては自制することとなると存じます。お説のごとく進んでこの種の法律を彼らが尊重すべく、条約改正まで持つて行くということには私は賛成いたします。  業者の資金問題でありますが、これはお説のごとく条約、いわゆる国際条約中にそれが取入れられておるのです。でありますから、本法においても、その面を取入れるということが或いは正しいかと存じます。併し一応これを具体的に施行する場合においてどうするかという問題が起つて来ます。例えば業者が奥座敷を建てる、或いは業者が家を修理するというような資金関係と、業そのものに使用する場所を建設する資金関係と区別できるかどうかということになつて、その他の事例もありますが、実際において金融機関から、若しくは金貸しから業者に対しまして融資をする場合において、その融資の本質がどこにあるかということを実際上区別するに非常に困難ではないかと存じます。理想としてはそこまで条約の示すが如く規定するのがいいと存じます。若し本法において濫りにそれを規定いたしますると、この種業者の人が明日から金融機関から隔離されることになりまして、それこそ又他の由々しい問題も起つてくると存じますが、そういう意味からいたしまして、本法においてはこれを規定していなかつたのであります。若しそれに対して幸いにいいお考えがあるといたしますれば、規定することにもやぶさかではありません。  それから第三に更生施設に対する具体的な考え方如何というお尋ねでありますが、これは現在この種の業態に携わる方が相当あるわけでありまして、実際の数の把握は非常に困難であります。併し現在おられる方が直ちにことごとく転向するとは考えられません。むしろこの種の業態に落ち込んで行かなくてはならんというような御婦人を未然に今後救う、そこで阻止するというような面に重点がおかれることが、なるべくいいのではないかと思います。この両面を対象として考えなければならん。落ち込んで行く人を救済する、現におられる方を救済する、この二つを対象にして、できるならば私は全国の県下に一つ一つその施設を持つて頂きたい。次に考えられることは、少くとも八ブロツクに一つ一つ持つて頂きたい。それを作るには、まず一つテスト・ケースとしてその施設を作る。その施設によつて、その種の施設が必要だということを、各県に認められるようにいたしたいと思います。その施設の構想と申しますのは、大体御婦人の方の職業、仕事というのは、そう重労働には堪えられないのです。又御婦人が軽労働の、家において繩ないとか、封筒はりとか、手袋のつくろいとかというようなものは、その仕事をしつかり習得いたしましても、社会生活における適格性ということは永久にできないことであります。併し一応考えられることは、御婦人の繊維に関する仕事ではないかと思います。従つて繊維に関するところの技術を身につけるとか、手袋を作るとか乃至は洋裁を教えるとか、洋裁工場を作つて、そこで就業せしめるとか、若しくは防績をやらせるとか、織をやらしめるとか、こういうような繊維というものを重点において、これが将来の日本の経済ともマッチして、永久性もあるのではないか、かように考えます。又そうした仕事を選ぶことが、一番その仕事を習熟して頂く上においても、又習熟した結果においても、十分男子と均衡して生活を営むことができると、かように考えます。その選ぶ仕事といたしましては、そういう仕事を選ぶ、選ぶまでになにがしかの習得期間がかかりますが、これは現行の生活保護法の六カ月というものがあるのでありますが、その期間を利用いたしまして、六カ月間国家がその生活だけは見る。だからその間にそういうような仕事を習得して頂く。然らば国家なり或いは民間有志団体なりによつて、その六カ月間習得する間の生活の基礎を与えてやる。いわゆる家を与えてやるということと、将来働く場所を与えてやる。これは既設の企業会社に委託するということでは、今日まで失敗を繰返しておるのであります。というのはこの種の業界に入つた御婦人が、こういう既設の工場へ行つても白眼視せられて、そこにいたたまれないのが事実で、又ぞろ舞い戻つて古巣に帰るということが今日繰返されておる。そうでなくて朗かに、誰にも気兼ねなく自由に働き得る場所を作つて上げる。こういうようにいたしまして、それを一つの場所に集中いたしまして、例えば何々の街というような形体において、それを経営して頂こう。経営は勿論その婦人の方々に自主的に経営して頂く。国家なり或いは我我なりがそれを支えてやる。こういう方向に行つたならば、その人たちの得るところの収入も、挙げて以てその婦人たちの労力の対価となつて参ると存じます。そこには何ら事業家もなければ、それを経営する人もいないのですから、収入をその人たちが持つて行くということは毫末もないのですから、そうなれば収入のほうも殖えて行くじやないかという、そういうふうな考えの下に、一つそういうものを作つて、将来は八ブロック全部にこれを施設をして頂くというように進めたい。かように概略考えている次第であります。
  25. 藤原道子

    藤原道子君 皆様の御質問もございますので、私は極く簡単に最後にお伺いをしておきたいと思いますが、資金の提供の点でございますが、奥座敷を建てたりなんかも一つの例でございますけれども、業者を撲滅するということが目的でございますので、そういう斟酌はないと思うのです。私は従いまして資金の提供者を罰するということを、皆さん御研究願いたい。それは私基地方面を、赤線区域等視察いたしますと、非常に資金の提供者がある。それでうまい汁を吸つているという人がたくさんある。而もそれが某団体方面の運動資金に流れている。或いは第三国人の金が流れている幾多の例もございますので、この資金の面をもつと掘下げて御研究を願いたい。かように感じます。  それから何というのですか、男子同志の性交とは言えぬといわれましたけれども、これらの点も私は罰するような方向を考えて頂きたい。  それから今一つ不特定の問題、これは誠に限界がはつきりいたしませんので、今少しこの点は研究したいと思いますので、以上申上げまして一応私の質問は留保いたします。
  26. 高田なほ子

    高田なほ子君 私法務委員の立場でございますが、今日は連合委員会で、法務委員としての質問はちよつと常識に外れているかとも思いますが、本日この問題がかかりますために、一日だけさし変えてもらつたような次第でございます。そういう立場でございますから、極く概略的な問題を二、三点だけ伺わして頂きたいと思うわけであります。  私はこの法案の立案者に対して衷心から敬意を払うものです。従つてこの法律が空文にならずして実際に行われなければならない。而も売春というこの厳粛の定義の前に、むしろ一網打尽というか、まで行かなければならない。こういう考え方を持つているのでありますが、さて今日まで売春というものが公けに許されておらず、国としても性病予防法或いは軽犯罪法、地方においては売春処罰する条例等々が、すでに実施せられておるわけであります。併し現実においては、これらの法律は殆んど空文に等しく、特に地方条例を設けておりましても、それは単なる名目だけにしか過ぎない。これは統計を示す時間もありませんが、その法律によつて売春取締まられておるという現実というものは、誠にお話にならない状態であることは、すでに立案者も十分に御承知だろうと思うのであります。従いまして立案者といたしましては、この現在の法の空文の状態、つまり性道徳の無政府状態が現出しているということについて、法の抜穴というものを、法の盲点というものを相当に御研究になつたかと思うわけであります。これらの抜け道は一体どこにあるのか、この点の把握をどのようになされたかということについて、概略御説明を願いたい。このように思うわけであります。
  27. 伊藤修

    伊藤修君 高田さんにお答え申上げます。お説の通りでありまして、現在日本の国内法規として行われておるところの勅令、旧法においても、又各都道府県において地方条例として賄われておる条例効果といたしましても、全く高田さんのお説の通りでありまして、有名無実的な存在であることは、今日我々として遺憾に堪えない。従つてこのたびは国家基本的な規範、即ちこの種の行為は行政罰ではない、秩序罰ではない、自然犯として刑罰に相当するものだという強い観念を打ち出すことによつて国民に性の無政府状態にあらざるゆえんのものを示したいと、かように考えて、この法律の立案に当つた次第であります。  次にお尋ねの抜穴を、如何にしてこれを賄うか、その点に対するところの立案者の考え方は如何、こういうようなお尋ねでありましたが、我々といたしましては、飽くまでこの種の行為に対しまして徹底的にこれを賄いたいと、法律の中で全部賄いたいと、かように考えて鋭意研究いたした次第であります。併しその対象の範囲は、先ほど須藤さんのお説のごとく、およそ一夫一婦以外の性の交渉のあらゆるものを、そこに取入れるかどうかということが一つ、大きな課題であります。それから又性と名のつかなくとも、性に類似行為、即ち陰間の行為をも取入れるかどうかということも大きな問題であります。又今日におきましては、女性でなくして、この場合は女性対象としておりますが、男性が女性に対して性を売るのがあるのです。これも事実ある。だからこういうものをもここで対象にするかどうか。併しそれが今日の社会秩序保持のためにおいて、どれだけの欠陥をなしておるかという点はいろいろ検討いたしましたが、あらゆる面を賄うという考え方に立ちますれば、非常に理想的であります。併し現実の面におきまして、幾多の障害を我我は考えざるを得ないのです。例えばこの法案、端的な問題からいたしますれば、この法案自体の成立ということにも又考えを及ぼさなくちやならんと思います。それで理想は飽くまで、私どもはそこまで考えてはおりましたが、現実社会に最小限度この程度のものは賄わなくちやならんという意味において、この法律の持つところの狙いは、現在の性行為の世界の中の最小限度の部分にとどめた次第であります。それで高田さんあたりの考え方によつて、それをもつと幅を広くしろというお考えでありますれば、我々としては毛頭異議はないと思います。それに同調いたす次第であります。
  28. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体そうした把握の上に立たれておるということは了承できるわけであります。ただ私が特にここで御指摘申上げたい点は、売春等処罰法案は、第二国会でございましたか、かかりましたが、闇から闇に葬られて、遂にこれは日の目を見ることができなかつた。この舞台裏における私どもの把握というものが非常に大事なのではないか。もつと明らかに言えば、この法案を握り潰すために誰が最も大きな暗躍をしたか。誰がその手先になつて、というのは失礼ですが、誰がこの法案を闇から闇に葬るための原動力をして来たか。私はこれは非常に大きな問題であろうと思うのです。先ほど藤原議員からもこれに関連する御質問があつたようでありますが、業者の裏に踊るところのこの一部資本家たちの悪辣な投資の業態、而もこれに繋がるところの悪徳な地方議員、或いはそれに類似するところの人たちが、この法案の阻止にやはり相当な力をなしておるのではないかということを私は考えるのでございますが、これは端的に指摘すると、今日の地方財政の中に占めるところの遊興飲食税というものの割合、而もその遊興飲食税の中に占めているこれら特殊飲食店に働いておるものから吸い上げるところの財政というものは、今日の地方財政の上に大きな幅を持つて来ているということは、見逃せない点ではないかと思うのです。従いまして法の抜道は、伊藤議員から国民がこれに対する罪悪感というものが非常に欠けているから、これらの点を強く強調する、或いは蓄妾制度に対し、或いはこの対象を広範に拡げることによつて、という御説明でありましたけれども、地方財政の今日の貧困と、そうして遊興飲食税が占める幅、この遊興飲食税を吸い上げるところの社会機構という面に目をお向けにならなければ、この抜道は防ぎ得ないのではないか、こういう考え方を実は私持つておるわけであります。これらに対する御研究は、大変失礼な申しようでございますが、どのように目をお向けにおなりになつたかという点と、第二国会における法案が未了に終つたというこの舞台裏の把握をどのようにされておるか、この二点だけお伺いしたい。
  29. 伊藤修

    伊藤修君 お答えいたします。第一の舞台裏の問題につきましては、すでに第二国会当時においてその兆が強かつたのでありまして、衆議院におけるところのいろいろな舞台裏の活動というものは我々は聞かんわけではありません。当時も聞いておりました。併し参議院におきましては、少くともこの業界に携わるところの婦女子の処置及び業者に対する処置、これを如何に考慮すべきかということは、当時厚生大臣及び法務大臣、関係大臣に質疑をいたしましたところが、それに対するところの何らの考え方も持つていない。又それに対するところの研究も遂げていないというのでありましたので、参議院といたしましては、参議院みずから全国の実態というものを把握して、然るのちにこの法案に対して対処しようではないか、こういうような決定の下において審議未了といたした次第であります。勿論衆議院において審議未了なつたのですから、参議院は形の上においては従属的な形において審議未了になつておるのであります。以来この問題に対しましては、お説のごとくいわゆる舞台裏の操作というものは相当強く根ざしておりまして、政府みずからこの法案を出すということの勇気に欠けておる。又或いは政府みずからこれを出すということができないような状態にあつたかも存じません。又その後におけるところのこうした問題に対するところの舞台裏の動きというものは、我々の想像する以上のものでありまして、それはつぶさによく存じております。それによつてこの法律に対しますところの成立について、相当の影響を持つことも私は認識しておるのです。併し、さるが故に参議院は、この問題に対しまして未解決のまま放置しておくということは、参議院の立場からいたしましても、過去のこの問題に対するところの参議院の努力、沿革から申しましても、一応これに対するところの参議院の考え方というものを打ち出すべき必要があると、かように考えまして、この法案を提出するに至つたのでありまして、その問いろいろな苦心もあります。迫害もあります。みずからに対しましても、いろいろなそうした影響を受けることも、不利益なことも多々あるのです。それをも敢えて出したゆえんのものは、そうした考え方の下にこれを出すに至つたので、その点の認識は十分遂げておりまして、いろいろな面はこうした公式な場所においては申上げかねますが、必要とあればいつ何時でも申上げたいと存じます。  第二の地方財政の問題は、勿論高田さんの御指摘の通りであります。これがこの種の法律成立に至らしめない最大原因と申してもいいかも存じません。遊興飲食税に対しますところの、税対象としてこれを有力なものとしてとり上げておる税制制度の点については、まあ高田さんはどうお考えか存じませんが、私は異議ないのでありまして、もつと多くとることすら私は考えておるものであります。この遊興飲食税の税額が地方及び国家の財政の上に大きな力を持つておる。それが故に業界が相当の力を政治的に持つ。そうした面がこうした業種を制約できない、規制できないという私はあり方ではいけないと思うのです。税は税、これは国民が均分に負担すべきものであつて、又税政策の上から申しましても、その種の税源に対しましては課税を重くとることも一つの社会政策の一環のあり方だと存じます。ですから私は税とこの問題とを切り離して考えたいと存じます。勿論それが最大原因であることはお説の通りであります。併し少くとも国家がよきことを示すということならば、そうした税の問題を顧慮することなく、やはりよき手本を示して行くという行き方でいいのではないかと、かように考えております。
  30. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは最後にもう一つ。道徳的な制約をここに設ける、こういうところにこの法案の狙いがあるということが、只今の御答弁ではつきりいたしました。従いまして私はこの法律はお出しになつた以上は、少くとも良識ある参議院においては必ず通過するという、これはやはり見通しの下に立たなければならんと思う。併しながら今伊藤議員の言外に拝承いたします国会内におけるこの法案を通過さす勢力というものは、悲しいかな、甚だ私は脆弱のように見受けられる。つまり政界の醜悪な裏面史というものとこの法案とは、密接不可分の関連を持つものと私は断定せざるを得ないのです。甚だ悲しいことであります。伊藤議員におかれましては、この法律は少くとも良識ある参議院において、多数を以て通過せられる、こういうお見通しをお持ちになつているのかどうか、甚だきわどい質問でございますが、概略お見通しをお示し願いたいと思います。
  31. 伊藤修

    伊藤修君 高田議員の御懇切なるお気持に対しましては心から敬意を表します。この法案をそうした困難のうちに提案するに至りましたその道程において、そうした一々各議員諸氏にお渡りして御意見を伺つたことはありませんが、私は参議院の各位が良識を持つてこの種の法案に対しましては恐らく賛意を表して頂く、さような固い確信の下にこの法案を提出したものであります。参議院は政党政派を超越して国会の第二院としての役目を十分果すべきところの重要な機関であるのですから、それを構成するところの各議員は、いずれも私は良識の持主であると考えます。この法案に盛り込むところの各字句、或いは足らざる点、表現の不備等が若しありますれば、それを修正することにはやぶさかではありません。併し法律そのものに対するところの考え方をここに規定するということについては、私は一部の方を除いた以外は、十分賛成して頂けるという確信の下に出しました。従つて参議院におきましては、この法案が修正若しくは原案通りに可決して頂けるものと、かような信念の下に今日提案しておる次第であります。
  32. 高田なほ子

    高田なほ子君 有難うございまし  た。
  33. 一松定吉

    一松定吉君 こういうような法案をお出しになることについて、私は提案者の諸君に深甚の敬意を表しますが、ただ問題は今提案者伊藤君の御発言のように、これが通過すれば、本当に我が国においてこれだけの取締ができなければ、ただ法そのものが存置するというだけで、何らの効果がなければ、その法は死文に属するということは最も憂慮に堪えないのでありますが、この点について腹蔵なき一つ御意見の御発表を願いたいし、場合によれば傍聴を禁止して祕密会にして頂いても結構ですが、須藤君の言う、いわゆる性の問題だ、だからして幾ら法律を以てこういうことを禁じても、人間が生きておる間はこれを禁ずることができないんだということは、これは私真理だと思う。そこで問題は例の公娼、私娼の問題になるわけです。東京で吉原だとか、京都では島原だとかいうように、それぞれ公娼を一つの区域をきめて区域の中に入れて、そうして今須藤君の言う必要に迫られる人々が、そのいわゆる区域内に進出して、そうしてその欲望を満足するというような制度があれば、これは必ずしも須藤君の言うような非難は起らんで済むと思うのでありますが、(須藤五郎君「ノー・ノー」と述ぶ)併し公娼制度に対して随分非難がありまして、そういうようなことを認めることによつて、文明国である諸外国から、日本にはこういう地域を設けて淫売をさせておるというようなことで、日本の体面にも関するのではないかという議論が盛んに行われたものです。現に当時における尾島二郎君などは非常にそういう主張をして、そうして公娼廃止論の急先峰であつた方が、昭和十一年に万国会議に出席して、出張で行つて、ドイツの或る町を視察して驚いて、それから後は星島君も公娼廃止ということを言わないようになつた。こういうようなことで、この性の問題を解決するということについて、ただ取締一方であつて、解決の方法はどつかに一つはけ口をこしらえなければ、到底ただ法律が存在するだけであつては、目的を達しないと私は思うのです。このはけ品は考えないで、ただこれを取締るというだけではどうであろうか、取締ること結構ですよ。現に麗質を尊んでおるかの英国のロンドンにおいて、御承知のハイド・パーク、即ちバッキンガム宮殿の前にあるハイド・パーク、あそこでさえあの辺を視察した人はよくおわかりでしようが、夜になつて、夜の十二時の、あのハイド・パークを閉めるまでは至る所に男女が密会をして重なり合つている。私どもは現場を見て実はびつくりしたのである。丁度これが議会の問題になつて、そうして内務大臣は一体この取締を何と考えているのだという質問に対して、内務大臣は、我が英国にはそういうような醜行為は行われていないということを議会で答弁した。それじや行つてみたらどうだ。じや行つてみようということで、その翌日見て面を覆うて内務大臣は家に帰つて来た。そうして議場に帰つて、どうであつたかというと、英国人はゼントルマンだからして、そういうものを見るべきものではないと答弁して、そのことはそれなりお流れになつたことは有名な事実です。ですからこういうことは、何とかやはりはけ品をこしらえてやらなければいかんのであるが、公娼制度というものを廃止したがために今では至るところにそういうような悪い風潮が漲つて、学校の正門の前には売春婦がうじうじしている。教会の隣にはパンパンが盛んに出入りしておるというようなふうで、これでは本当にこういう売春取締りなどということをしなければならぬということは痛切に感じるのです。私も、伊藤君や宮城君などと一緒に、佐世保等を視察してみて、実はびつくりしたのです。まるで公然と許されておる。それで而もその町の理事者、市長あたりでも、若しくは警察あたりでも、これはもう取締ることはどうも困る。どうもこれを取締ると、この町は衰微してしまうのだというように、警察署長や市長などが我我に哀訴歎願をするというような実情であつたのを見て、我々は驚いたのであります。それは進駐軍等が、何とかしていわゆるはけ口を担えなければならんというようなことで、はけ口というものが公然となつているから、従つて売春婦というものが至るところに横行跋扈するに至つたのだということであります。本法を制定してこれを取締るということは非常に結構でありますが、取締るについては飛躍的の効果の上るようにしなければなりません。で、その点をもう少し掘下げて研究してみる必要はないでしようか。  それから私はこの法案を見て実は驚いたのですが、これは須藤君と同じですが、特定の人とこれこれすることは、それは売春にはならないのだと。こういうことをすると或る一人の女が五人なら五人の特定の人を相手にして、これら五人だけから生活費をもらうておるという場合に、売春法の取締り外におかれるというようなことはどうだろうか。それから例の二号、即ち妾のことですが、いわゆる有婦の夫が独身の女と関係して、これを囲い、或いは家を持たせて家庭をそとにして風紀を紊し、家族間に風波の絶えまがないというふうなことをして、人の指弾を受けるというような者がたくさんありますことは、皆さん御承知の通りですが、(「その通り」と呼ぶ者あり)そういうような者に対する取締りを何らか設ける必要がありませんか。尤もさような乱行な男子のあることは、今に始まつたことではありませんから、これを取締るということは、言うべくして行われがたいことと思われます。果して然らば、あなた方の提案の理由にあるように、風紀紊乱取締るという点のみに重点をおくことは如何でしようか。風紀取締りと同時に花柳病の取締りをも兼ねて、本法案を考える必要はないでしようか。私はかような点をも考うべきだと思います。  次にいま一つ、本法案についてどうかと思う点は、私が法律家だから言うのではないが、売春行為既遂と未遂との区分をどこにおくかという問題です。既遂でないと罰せん乏いうことになると、既遂と未遂との間で……こういう席上で言うのは何だから言わないが、こういうことは取締れぬ。私が未遂だと言つたら、そうですか、既遂だと言つたら、そうですかですよ。結局或る一部の、局部の検査をしなければ、既遂か未遂かわからんことになる結果になつてしまう。そうすると既遂とまでは行かないけれども、貝原益軒の言うように淫して漏らさずということでやるというようなことになつて来れば、これは又問題が別になつて来る。これはなかなか取締るのにむずかしいのです。そういうような点も、もう一遍これは練り直す必要はありませんか、立法趣旨はいいけれども、実際これを実務の上に行うについて、そういうような非常な欠陥が多い法文だと思いますので、もう一つこれを練り直して頂くか、或いは私が今申上げたようなことについては、こういう対案を持つておるのだということであれば、それを一つ聞かして頂きたい。私どもは一番困る問題は、例の病毒の感染という問題であると思うのですが、それについてはいろいろな対策を厚生省方面で持つておると思うのですけれども、本法案だけで取締るということについては、少しどうかと思いますので、もう少し実際の上でこれを適用して、これならば取締りができるし、これならば性の満足もできるし、これならば余り行きすぎでもないというようなことを今少し御検討なさる必要はないのだろうかということについて、伊藤君に伺つてみたい。
  34. 伊藤修

    伊藤修君 造詣の深い一松先生の質問にお答えいたします。  第一の問題ですが、結局まあ過去数十年来、議論を繰返されて今日に至つてもなおその結論が得られないという、即ち性の問題に対しまして、どうするかということですが、私は基本的にこういうことを考えているのです。我が憲法が男女平等を打出しておる。男だけが性に対しまして自由であつて、女だけがこの面に対して制約されるというようなありかたは、私は平等ではないと思うのですよ。又男として性に対するところの戒心、自制ということが必要ではないか。それによつて男は自己の性の満足を得るために、金を持つて婦人の好まざるところのものをあがなう。婦人の関心をあがなうという考え方は、依然として男の独裁という考え方が残つているんじやないか。男万能の考え方がまだ男の中から払拭されないのじやないか。憲法が男女平等を打出している以上は、やはりそうした面において経済的、社会的又肉体的に優越したる男子は、自己の欲する欲望を婦人の前においてはやはり自制するところの義務があるのじやないか、かように考えるのです。でありますから、性の問題はなかなか一朝一夕に解決はいたしません。だからこの点に対しましては、お説のごとくこれを最大限に取締つてつて、善良の風俗の完璧を期するというあり方も一つの考え方です。又星島君の仰せになるように、或る一定地域を限つて、そこにおいて男性のオアシスを作るという一つの考え方も、一つの政策としては私は考えらるべき筋合だと思います。併し若しそうして、男性の欲望のはけ品を或る一定の地域において、国家公認の下に認めるということは、現在の時代においては、私は到底容認されん形だと思います。然らば全部を放任するか。放任することによつて第二の国民の保健ということは全く壊滅に期する。如何に性病予防を取締る法がありましても、それのみによつて目的を達しません。それを助長し、それを培養するところの売春行為そのものを先ず規制しない限りは、性病予防取締法は仏作つて魂を入れない形だと思うのです。その意味において、こうした法律が必要ではないかと存じます。勿論、先に先進国たる英国その他の国々が法律を出しております。併し事実は、只今御引例になりましたように、ハイド・パークにおいて、そうした性行為が行われている。私が現にパリに参りましたときにも、パリの飛行場の前にはうよくとそうした婦人が横行している現実を眺め、西ドイツにおいても眺めました。だからそれによつて必ず絶滅を期せられるとは考えられませんが、併し国民生活として、民族生活として、そういうものは否定するものだというあり方の下に行われている。たまたまその法を犯してそうした行為をなされるものがあるといたしますれば、それは法秩序を紊す一つの異分子であるという考え方でよいのじやないかと存じます。それを飽くまで徹底的に一人残らず、そうしたことを行わしめないという考え方は、考えとして同感です。だからと言つて、又許すという考え方はどうかと思います。それならば一つの調節と、その時代の社会実情というものを勘案いたしまして、社会にマッチするところの立法を考えなくてはならんと、かように考えてこの立案をいたしました。それが故に、この法案におきましては、いわゆる広範囲にもならず、それかと言つて公認もしないという真中を行つた考え方であるのです。  第二の不特定の問題でありますが、先ほど藤原さんに御説明申しました通りでありますが、只今御引例になりましたように、五人の男を輪番制を以て(笑声)行わしめるというのは、これは不特定でありまして、特定とは申せません。いわゆる五人に特定しているというだけであつて、五人の特定ということは、いわゆる特定ということには入りません。不特定というものであります。  第三の、これが取締れるかどうかということは、これは従来の条例とは多少趣きを異にしております。殊に勅令九号を法文化しまして精細にここに六条、七条、八条、九条と規定いたしました。それから条例に賄なわれている部分は三条、四条、五条及び十条という形において、これを集約して賄つているんです。今の既遂の場合、未遂の場合の問題でありますが、これはまあ私が一松さんに御説明申上げることは釈迦に説法でありますけれども、没入主義であろうが、拙速主義であろうが、この性行為を営み、接触いたしますれば、既遂になることは当然だと思います。それは一々それを検証いたしまして云々ということになりますれば、これはおだやかでありませんが、少なくともそうした外見的の事実がありますれば、私は既遂として取扱うものと考えている。殊に本法は事前行為です。いわゆる予備、陰謀の程度においてすべて賄つている。即ち第四条は予備であるし、第五条、第六条こういうふうに予備、陰謀、幇助というものを悉く処罰しておりまして、それによつて既遂行為に到らざる前提において、すでにこれを取締つて行こうというような体制を整えているんです。殊に警察官の取締の問題につきましては、第四条におきましてこれを罰金刑に引上げている。これによつて容易に警察官の実務行為を助長し得る。この問題に対しましては、そうすると、しばしば臨検が行なわれて善良な紳士が迷惑するというようなことでありますが、さような疑いを受けるような場所に出入する紳士は善良じやないと思うんです。その意味において、この法律を私は実効あらしめるように一応規定したつもりであります。なお足らざる点は御指摘によつて補正、修正することもやぶさかでありません。
  35. 一松定吉

    一松定吉君 伊藤君と議論をするのじやありません。もうこの問題はこれ以上我々が言わなくても、誰も何とかしてこれを取締り、是正し、矯正しなければならんという考えは皆持つているが、要は目的を達成することができるかどうか。はけ口をどういうようなはけ品を以て人生の目的を達成せしめるかという問題が一番大切な問題ですから、これ以上議論はいたしません。ただ或る場所を限つて今までの公娼みたような形のものを整えて、併し公娼におけるような、いろいろな弊害のあつたことを是正して、そうしてやらせるというようなことがいいのか、或いはやはり散娼にしておいて、今の取締りというようなことをやつて、そうすると、結局地下に潜つてしまうんです。丁度共産党の人々が表においていろいろなことをしておつたのが、段々地下に潜つてわからんようにやつているのと同じことになつてしまつて、益々深刻な違反をやるというようなことになる。そういうことでは折角のこのいい法律効果がないということになるので、これはもう私どもも非常に頭を痛めておるんです。これ以上は議論はいたしませんが、この法案審議なさる上において、委員諸君も十分にそれらの点を検討して頂いて、本当に効果あらしめるように持つて行くということが、提案者の御趣旨でもあろうと思います。ただ法律を拵えて、日本にはこういう法律があるのだというて見本を拵えるだけなら、何でもいいけれども、そのできた法律が本当に効果を発揮して、立派な取締りができるようにするのには、これだけでは不十分だと思う。一応私の考えを申上げて御参考に供して質問を打切つておきます。
  36. 須藤五郎

    須藤五郎君 今一松先輩の発言なさつた中に、公娼制度のほうがいいというような、(「そうじやない」と呼ぶ者あり)そうじやないですけれども、聞いているとそういうふうに解釈されましたが、私は公娼に反対です。公娼のほうがもつと反対です。この売春法には絶対私は賛成したいと思つているのですが、この法案が餓死寸前にある人間が、店頭のパンを喰べて、それが罰せられるようなことになつてはいけない。ですからそれを餓死させないような状態におくことを、まず我々政治家として考えなければいけないんじやないかという、そこを私は強調しましたので、どうぞ誤解ないようにして頂きたいと存じます。
  37. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本日はこの程度で散会いたします。次回は地方行政、厚生の両委員長と協議の上公報を以て御通知申上げます。散会いたします。    午後零時四十五分散会