○
説明員(
小林行雄君) 一億五千八百四十九万六千円。但しそれが全部
補正ではございませんので、そのうち早急に
実施しなければならないものの予備費、それからこれは御
承知の
通り年度当初
予算から物件費、旅費等を節約いたしますが、この節約を解除してやるというようなお話もございます。
それから第二に国立
学校の
関係でございますが、その中の第一の外国学術雑誌、バツクナンバーの
購入、これは
戦争中或いは戦後の
購入不能な状態から欠号にな
つておるものが
学校、
研究所等に相当ございます。これも補充してやりたいというので、その
経費を
要求したのでございますが、これは実は相当早くから準備はいたしてお
つたのでございますが、
購入につきましては、大体五カ月乃至半年くらいの期間がどうしても必要でございます。当初この
補正予算を研究し始めました頃は、まだその余裕があると思
つてや
つてお
つたわけでございますが、現在の
状況では五カ月乃至半年ということになりますと、到底今
年度内には
購入できないということになりますので、
要求はいたしましたけれ
ども、来
年度廻しになることも止むを得ないというふうに私
どもは考えております。来
年度には
是非これは獲得したいというふうに考えております。
それから第二番目の九州
大学附属演習林の火災復旧でございますが、九州
大学附属演習林というのが、北海道にございます。これが五月の中旬時分にその地域以外の地域から発生いたしました火事で相当焼けました。大体六百ヘクタールと言
つておりますが、相当広い面積を消失いたしました。これにつきまして、いろいろ消火上
実施した作業もございますし、又焼けた材木が約二十万石くらいございますので、この焼けた材木の処理の
経費その他造林の
経費等も
要求いたしたのでございますが、取りあえずの
経費といたしまして消火の
経費と、それから焼けた木の処理の
経費だけを認められておる
状況でございます。
それから第三番目の九州地区の松の木喰虫駆除でございますが、これは御
承知の
通り松の木喰虫の駆除に関する
法律がございます。この
法律に基きまして、ここに九州地区と書いてありますのは九州
大学の演習林、それから富崎
大学の農学部附属の演習林、それから鹿児島
大学のこれも農学部附風の演習林でございますが、これらの演習林の松の木喰虫の駆除、予防に関する
補正要求でございます。
それから第四番目の日本第三紀海成貝類化石目録出版でございますが、これは東北
大学のそのほうの専門の先生が貝類の化石の貴重な目録と、それから化石産地の非常に高度の学問的な研究解説を完成されたというので、原稿ができておりますので、これを一刻も早く学界に発表して学界のために寄与したいというので、この目録出版費を
要求いたしました。私専門家ではございませんので、どの
程度貴重なものかはよくわかりませんですけど、学界としては非常に貴重なものだそうでございますが、特に出版費を
要求いたしたのでございますが、
大蔵当局の
見解は、これは来
年度にや
つてくれということでございます。
それから第五番目の集団赤痢発生に伴う処置の
経費、これは本年の六月下旬に三重
大学の農学部の寄宿舎で四十三人の集団赤痢の発生を見まして、それから七月の中旬には仙台の仙台電波
高等学校というのがございますが、その他台電波
高等学校の寄宿舎でも二十人の集団赤痢が発生いたしました。
学校といたしましては取りあえずの処置をいたしまして、それ以上の蔓延は見なか
つたのでございますが、この患者の治療費或いは消毒費その他の諸
経費を
要求いたしたわけでございます。
それから
一つ飛びまして、七番目の
大学補導
職員の緊急増員でございますが、これは、
大学につきましては
学生補導というものが非常に重要な問題にな
つておりまするので、補導
職員を
是非緊急に増員してもらいたいという
要望が
大学側からございますので、補導
職員の人件費を
補正要求いたしたのでございますが、これは全然認められておりません。
それから八番目の
石炭手当、
寒冷地手当不足額の
補正、これは
石炭手当につきましては
金額が改訂されまして、現在まで世帯主につきましては一万四千百円が一万八千三百円になり、非世帯主につきましては四千七百円が六千百円に増額されたわけでございます。それから
寒冷地手当につきましては、これは
寒冷地手当に関する細かい規定がございまして、支給地域の区分が改訂されまして、で、今までは平均四千七百円であ
つたものが、これも改訂で六千百円に増額されておるわけでございます。で、これに伴う
不足額をそれぞれ
要求いたしたのでございますが、これは他の給与問題等関連しておるので、
大蔵省で一括
各省関係を取りまとめるというので、まだ内示がございません。
それから九番目の
寒冷地の特殊
経費補足でございます。これは暖房用の
石炭費でございます。今まで四千七百円のものが六千百円になるというので、その増額に対する実績で千五百万円の査定額を
大蔵省としては示しております。
それから十番目に国立
大学附属
学校教官研究費等でございますが、これは国立
学校の附属小
学校、
中学校の教員の給与が、平均いたしまして
地方の教員に比べて低い実情にございます。そのために国立
学校の附属教官と
地方教員との間の人事の交流というものがだんだんむずかしくな
つて来ている。或いは附属
学校の教官が
地方教官になりたがるのをとめるのが困難になるというようないろいろなことが生じておりますので、これにつきましてこの給与の改訂というのが国立
学校の附属教官も国家公務員でございますので、全体との関連がございますからこれだけを上げるということはできませんけれ
ども、せめてその補いの
一つといたしまして、研究費とか或いは
教育研究の旅費等を見てやりたいというのでその
経費を
補正要求いたしましたが、これは
年度途中からそういうことはむずかしいというので、これも来
年度には何とかしたいという気持で、
大蔵省もそのつもりで研究いたしております。
それから第十一番目の
大学附属病院の医療費でございますが、医療費と申しますのは、御
承知の
通り薬品費とか或いは縄帯その他の治療材料費、それからX線、レントゲン・フィルム、それからその他の医療器材の
経費でございますが、現在
予算単価では入院が一日一人百十三円、外来は七十三円ということで
予算が編成されております。併しこの百十三円、七十三円という
数字は二十五
年度の実績を基礎にいたしておりますので、現在では相当上廻
つて、どうしてもこれ以上の
経費がかかるわけでございますので、
文部省といたしましていろいろ
調査をいたしまして、その増額を
要求いたしましたのでございますが、大体百十三円が百五十円、それから七十三円が八十七円の線まで今回の
補正要求で認められたわけでございます。本筋といたしましては必ずしもこの線で満足はいたしておりませんけれ
ども、現状といたしましては又止むを得ない点がございますので、一応これで本
年度は
実施をいたして参りたいと考えております。
それから第十二番目の
大学附属病院の患者の食糧費でございますが、これは現在の
予算の単価では一人一日賄費が百十三円でございますが、主食はともかくと己たしまして、副食費或いは調味料その他の値上りが相当ございますので、これにつきましても
是非値上り分を
補正予算で見てもらいたいという
要求をいたしまして、百四十二円の線まで認められております。こういう点につきましても今回の
補正では止むを得ないと思
つておりますが、将来は更に増額さしてもらいたいと思
つております。
それから
石炭費につきましては、これは先ほ
ども申しました
石炭手当等と関連いたす問題でありますが、暖房用の
石炭経費の値上り分に対しまして実績分を掛けたものを大体認められたわけでございます。
それから第十四番目の新潟
大学の
附属病院備品火災復旧でございますが、本年の二月に新潟
大学の
附属病院が一部焼失いたしまして、相当備品類を火災で失
つたわけであります。現在までに
文部省の
予算を相当やり繰りいたしまして、二千四百万円
程度は出しておるのでございますが、なおできるだけ早く復旧する必要があるものと計算いたしますと、九億五千万という
数字になりますので、これを
補正予算として
要求いたしたのでございますが、これは来
年度年度当初に
一つ考えたいという
大蔵省の
意向でございます。
それから第十五番目と十六番目の非常勤講師の
手当及び旅費の
不足額の
補正でございますが、これは御
承知の
通り新制
大学になりまして、
学生の
教育が選択科目制度にな
つて、細かい科目
がたくさんございます。これにつきまして
大学自体の教授、助教授或いは講師というものですべてを補うことはなかなか困難でありますので、外からそのほうの専門家を招聘いたしまして、選択科目の講義を行うわけでございますが、
大学のほうの
要求といたしましては、相当手広く且つ高度のものを
実施したいというので、手妻の
不足並びに旅費の
不足を訴えて参りますので、これを
補正要求いたしました。併し
年度途中のことであるから、これも
一つ明
年度から考えるからということで現在は認めておらない
状況でございます。
それから第十七番目の日本脳炎研究費、これは岡山
大学の医学部でこの
方面の研究をしておられるかたがございまして、聞くところによりますと、日本脳炎のバイラスを発見されたということでございますが、なおこれについても研究して、純粋培養をしたい。そうしてこの日本脳炎の研究を一層促進されたいというので、この研究
施設費を
要求いたしまして、五十万円だけ認められておるわけでございます。
それから第十八番目の三重、鹿児島
大学設備火災復旧でございますが、三重
大学につきましては、三重
大学の
学芸学部の亀山分校というのが本年の五月に火災で消失いたしました。それから鹿児島
大学は文理学部の中の
一般教養
関係の
校舎が本年の四月にそれぞれ消失いたしました。この鹿児島
大学のほうは元の七高でございます。これが消失いたしましたので、その消失いたしましたそれぞれの
大学の
設備のうち、取りあえずの必要なものを復旧したいということで
設備の復旧を認められたわけでございます。
それから第十九番目の東北
大学の川渡農場の緊急造林、これは東北
大学の川渡農場と申しますのは元の軍馬補充部でございますが、これを終戦後所管変えを受けまして、東北
大学の農学部の農場といたしております。ところがその相当部分が、これは農場と申しますけれ
ども、山地も相当ございますが、その相当部分が現在木が伐採されたまま放置されておりますので、その附近の河川の氾濫の原因となるということと、それからその附近の町村等ではしきりに緑化
計画、造林
計画を立てて
実施いたしておりますので、川渡農場といたしましても、
是非その地元の緑化造林運動に協力したいというので、緊急造林費を
要求いたしたわけでございますが、これも現在までは認められておりません。なお本件につきましては、
文部省といたしましても、取あえずの
経費について六十万円
程度をこの緊急造林のために支出いたしております。
それから第二十番目の演習林収入増加に伴う
経費不足、これは従来演習林の
予算と申しますのは、伐木或いは炭焼その他のいろいろな
事業によ
つて収入を挙げまして、その収入に見合
つて予算を組むというような方式をと
つております。本
年度も
予算に比べてかなりの収益が増加いたしておりますので、それに伴う
経費を
補正予算として認めてもらいたいというので
要求いたしたわけでございますが、これも現在のところでは直ちにその収入に伴
つて歳出を増加するという決定には至
つておりません。いろいろ
折衝は継続いたしておりますが、まだ決定はいたしておりません。
それから所轄機関に移りまして、日本ユネスコ国内
委員会の
事務局処理でございますが、これはユネスコ国内
委員会が発足いたしましたのでございますが、現在ではこの
事務局は
文部省の一角にお
つて、まだ機構的にも不完全でございますので、実はその機構を充実
整備する
経費と、まあ現状では自動車一台持
つていないような
状況でございまするので、自動車の
購入費とか、そうい
つた経費をいろいろと実は
要求したのでございますが、
大蔵省で認められましたのは僅かにこのユネスコ国内
委員会事務局といたしまして、
調査委員の
謝金並びに
委員の
手当、旅費等が増額を認められた
程度でございます。
事務局の機構等については、
補正予算では定員増加はない。自動車については来
年度は必らずこれは認めるからというような話もございますが、現状では僅かに四十万円を認められた
程度でございます。
次に文化財保護
委員会関係の
補正要求でございますが、第一のアメリカ日本古美術展覧会の開催、これは明年の一月から一カ年間に亘りまして、アメリカのシカゴとかボストン、シヤトルその他の博物館で、日本の古美術を展覧する展覧会を開きたいということで
計画を立てまして、明年の一月からでございますので、これは十二月の初めには船積みしなければなりませんので、
計画を促進いたしまして、現在持
つて行くべき古
美術品の選定も終
つておるような
状況でございます。但し二十八年の一月から一年間でございますが、この
補正要求といたしましては本
年度分だけを計上いたしておるわけでございます。
それから第二番目の国宝及び重要文化財買上費の追加でございますが、これはゼロにな
つておりますが、現在、昨日の夜にな
つて話がございまして、三千五十万のうち一千万だけは認めてやるという連絡がございました。落ちておりますが一千万でございます。それは文化財保護
委員会といたしまして、海外流出の虞れのある文化財、それから海外流出はいたしませんけれ
ども、ちりぢりばらばらにな
つて散逸してしまうというような虞れのある文化財については買取りをすることができる。それから文化財の所有者が他に転売をするような場合には、前以
つて買取りの請求を保護
委員会にすることができるというような規定にな
つております。現在までに相当点数がございますが、いろいろ
調査いたしまして、特に必要なものを四点、三千五十万円だけ
要求いたしたのでございますが、そのうち更に枠を絞られまして、最緊要のものだけということで一千万円を認められたのでございます。
それから第三番目の姫路城の石垣災害復旧、これは姫路城につきましては御
承知の
通りすでに継続して
修理を行な
つているわけでございますが、本年の七月の中旬にこれも豪雨がございまして、その一部の石垣が二十坪ばかり崩壊いたしましたので、これを取りあえず復旧いたしたいというので、その
修理費を
補正要求いたしたわけでございます。
それから第四番目の福山城の工事促進でございますが、これは福山城の櫓、それから門等につきまして、これも今まで二十六
年度から引続いてこの
修理工事をや
つておるのでございますが、工事にかかりましたところ、当初の
計画に比較いたしまして石垣の石積みが非常に弛緩しておる。それから
建物も予想外に腐朽をしているというようなこと七ございますので、今までの工事を
計画通り進めます必要上特にその
不足額を三千万だけ
要求いたしたのでございますが、これは現在のところではまだ認められておりません。
それから第五番目の国宝及び重要文化財建造物
修理促進、これは
修理促進とな
つておりますが、大体ここに認められておりますのは災害復旧
関係でございます。
文部省といたしましては、国宝及び文化財の建造物の
修理につきましては五カ年
計画で以て
計画的にその
修理を
実施して参
つておるのでございますが、二十七
年度では新規の建造物
修理が認められませんでしたために、この五ケ年
計画が
計画通り進行しないような
状況に立至
つております。で何とかしてこれを
計画通り実施したいというので
不足する
金額を
要求いたしたわけでございます。
今回認められました五千九百万は、そのうち特に災害によ
つて建造物の破損がひどく
なつたものだけを認められました。例えば北陸地震でひどく
なつた江沼神社の長流亭とか、或いは那谷寺、それから奈良
地方の地震で傷んだ十輪院、その他の
建物について災害復旧費だけを
補正として認められたわけでございます。
それから第六番目の国宝重要文化財(宝物類)地震
被害復旧でございますが、これは新聞等で最近非常に話題にな
つております薬師寺の金堂に安置しております日光菩薩、月光菩薩の
修理費でございます。これは金堂そのものは特に国宝というものではございませんが、その中にあります日光菩薩、月光菩薩はその時代の彫刻といたしましては一級品に腐する極めて重要な文化財でございます。これが地震のため傷みましたので、これを
修理する
経費を
要求いたしましたのでございます。当初の
要求といたしましては、併せて金堂の
修理も
要求いたしたのでございますが、ここに認められておる三百三十二万八千円は仏像、即ち彫刻だけの
修理費でございます。
それから第七番目の東京国立博物館列品
購入品追加、これよ実は本年の春頃に、現在香港におります支那の
美術品の収集家が日本に来て、相当有名にな
つております蒔絵でございますが、これを日本で売りたいという話が伝えられましたので、国立博物館で
是非ともそれを
購入したいというので一応の
補正予算を
要求いたしたのでございますが、その後この話が立消えになりましたので、一千万円の
要求はいたしましたが、これは現在では放棄いたしております。
それから第八番目の京都国立博物館出陳
謝金の追加でございますが、これは京都の博物館は御
承知のことと存じますが、博物館自体といたしましては余り列品は実は持
つておらない、京都周辺の社寺等からいろいろな文化財を寄託してもらいまして、展覧会を開催するというような
状況でございます。展覧会を開催するにつきましては相当多額の寄託出品に対する
謝金が必要でございますが、
年度当初の
予算ではこれが
不足いたしますので、展覧会を
実施いたしますために寄託出品
謝金を増加してもらいたいという
要求で、その一部分が認められたのでございます。
次に第九番目の奈良国立博物館
建物その他震災復旧でございますが、これは先ほどちよつと申上げました吉野
地方の地震のために博物館の
建物の一部が破損いたしました。なお博物館の中に出品中の寄託品が、これは仏像でございますが、これも一部分破損いたしましたので、これは止むを得ないことでございますので、その
修理費を
要求いたしました。これも大体半額
程度が認められたわけでございます。
それから第十番目の東京文化財
研究所機構改革、これは変な表現でございますが、これは東京国立博物館の附属機関といたしまして文化財
研究所というのがございます。本年の行政整理の際、この定員につきましてこれを整理するというような政府原案があ
つたのでございますが、
国会といたされましてこれはこの整理案に修正を加えられました。併し
予算のほうは定員のまま組まれておりましたので、
予算と定員との差額の
経費を
要求いたしたのでございますが、これは
文部省内の
経費の流用でやれということでございますので、現在その心組みでおる次第でございます。
それから第十一番目の石川門その他の復旧でございますが、石川門と申しますのは、これは金沢城の正門にな
つております。現在金沢城の中には金沢
大学があるわけでありますが、この金沢
大学の正門にもな
つておるわけでございます。ところが相当年数を経まして、破損をいたしてお
つたのでございますが、本年三月の北陸
地方の震災によりまして、その破壊の
程度が更にひどくなりましたので、これを
修理する
経費を
要求いたしまして、一部分が認められたわけでございます。
以上申上げましたのが、本
年度文部省といたしまして事務当局に対して
補正を
要求いたしておる事項の大要でございますが、初めに申上げました
通り、現在まだ
折衝が継続中でございまして、事項につきましても、
金額につきましてもだんだんと移動がございますので、その辺は御
了承頂きたいと思います。