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1952-11-12 第15回国会 参議院 文部委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月十二日(水曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     若木 勝藏君    理事            川村 松助君            木村 守江君            梅原 眞隆君            堀越 儀郎君    委員            白波瀬米吉君            高良 とみ君            高橋 道男君            山本 勇造君            相馬 助治君            木内キヤウ君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 岡野 清豪君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部政務次官  廣瀬與兵衞君    文部事務次官  剱木 亨弘君    文部大臣官房会    計課長     小林 行雄君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君   —————————————   本日の会議に付した事件理事辞任及び補欠選任の件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (文部省関係予算に関する件)   —————————————
  2. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) これより本日の文部委員会を開きます。  理事木内キヤウ君、相馬助治君、白波瀬米吉君から、理事辞任いたしたい旨の願いが出ておりますので、それぞれ許可いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) それでは辞任を許可いたすことに決定いたしました。  次に只今辞任を許可いたしました木内キヤウ君、相馬助治君、白波瀬米吉君及び十月二十四日に理事高田なほ子辞任に伴う四名の理事補欠互選を行いたいと思います。互選の方法は如何いたしましようか。
  4. 木内キヤウ

    木内キヤウ君 成規の手続を省略して、理事指名委員長に一任したいということの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  5. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) それでは私から指名をいたします。川村松助君、木村守江君、梅原眞隆君、堀越儀郎君に理事をお願いいたします。
  6. 岩間正男

    岩間正男君 どうもここ三、四日の様子で私は感得するのだが、大臣委員会にもつと多く出てもらうこと、ところが大臣がいろいろな点で面会を制限したり拒否するような空気が多いと思う。天野文政時代にはそういうことがなかつた委員要求があれば、これは要求に応じて多く人に会うということは非常にいいことなんです。それが今度最近大臣になつて、いわゆる文部省側近というのがあるのかないのかわからないが、そういう者が会わせないようにしておられるのか、それが大臣の意図から出ているのかどうかわからないが、こういうことでは教育民主化もへちまもない。そういうことをはつきり打開するようにしてもらいたい。こういうことについて劔木次官はどういう見解を持つておられるか、我々の今感じた気持が僻みならいいけれども、もう少し努力して欲しい。そうでなければ文部行政民主化なんということは問題にならん。これは一応見解確めておきたい。
  7. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) 勿論委員会に対しましてはできるだけ大臣出席するように私どももお願いしておりますし、それからお会いになることも承わつておりまして、できるだけ大臣がお会いする時間を取るようにずつと心掛けておりましたが、御承知のように今丁度立太子式関係と、それに予算閣議を殆んど連日いたしておりまして、どうしても時間の都合が取れないというときがございます。今までも決してこの委員会に出ないとか、又会見に対しましてもお会いしないとかいう意思は全然ございません。できるだけお会いできる時間は取ろうと思いまして、私どもも努力して参つておるのであります。なおお会いする時間につきましては、今日も何とかして時間を作つて頂こうというふうに今いろいろやつておりますけれども、今日は宮中に参りましてからすぐ閣議を続行いたしまして、今日中に補正予算を決定するというのでございますので、閣議が何時に終了するかということが見当が付きませんので、何時というお約束ができないで実は非常に困つておるのであります。決して出席を差とめておるとか、本人が出ないとかいうことはございません。以後極力御注意いたしますから、今までのところは一つ了承をお願いいたします。
  8. 岩間正男

    岩間正男君 只今の次官の表明された意思を私は尊重したいと思うのですが、無論今忙がしい行事とかそれから予算編成期である。こういうことは私も知らないわけじやありませんが、併しそういう予算のための閣議に臨みます前にも、例えばこの委員会意向というようなものを大臣が持つているならば、そうした場合に発言権も強くなるだろうし、それから大衆要求するものはどういうものか、そういう裏付けがあれば、私は文政を進めるに都合がいいのじやないか。だからできるだけ今日などのこの委員会というものは、我々は事前に、閣議決定の前に、実は我々自身の意見というようなものを文相に対して聞いてもらいたい、こういうことにあるのです。だからそこのところを十分都合を付けて、そういう時間を是非工夫してもらいたい。こういうことも一つです。  それからもう一つ、我々議員が会うというだけについて今限定して話をされましたが、そのほかにも一般教育関係の父兄とか学生とか、そのほか各種団体があると思う。それらに全部会うということは、これは大臣の時間の制限からいつてできないと思うのですけれども、いろいろ重要な点で、これは大衆要求があるわけです。こういう要求についてはできるだけ門戸を開いて会う、こういう方針を基本的にこれは打立ててもらいたい。これは反対になる傾向が非常に強い、どうもそういう空気が感ぜられる、これはなぜですか。この点は我々は卒直に大臣が来たら大臣にも話しますけれども、あなたがたにも努力してもらいたい。側近側近という名前はこれはやめますが、あなたがた大臣補助される立場としてそういうふうに文部行政を進めてもらいたい。それでないとどうもなぜか秘密主義という空気が従来も多かつたのだが、又最近そういうように廻れ右しては困ると思う。こういう点お願いしたい。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本日委員会を開いて十時に御出席要求しておつたにかかわらず、御出席にならず、国会係長は勿論のこと、事務次官すら大臣は現在どういう業務に服されておるのかということすらわからない。で、できるだけ早い機会に、本日大臣はどういうわけで十時においでになることができなかつたかということをはつきりと解明して頂くこと。それから次の段階において、大臣はどういう時機に我々の委員会出席できるのか、この二点をできるだけ時間的に早い機会に明確にしてもらいたいと思うのです。我々は、委員会大臣出席要求すれば大臣は当然出席しなければならん義務がありますけれども、併し又大臣大臣としてのいろいろ御都合もあるでしようから、我々の要望大臣の御都合と両々相待つて、できるだけ能率的に円滑に委員会を運営しなくちやならんと思うのであります。我々もできるだけ大臣立場も尊重することにやぶさかではないのですが、大臣も誠意を以て委員会出席して頂きたい。特に岡野さんは文部大臣は二度の勤めですけれども委員会出席するという機会は今日が初めてであつたのです。而も前日から通告しておるにかかわらず、定刻十時においでにならない。而も何が故においでにならないかという理由すら秘書官を通じてでも、更に国会の係にも通じていないということは、本委員会文部大臣は私は軽視しておると言われてもいたし方ないと思います。従つて委員会終了までに、是非とも以上二点を委員長においてはつきりと本委員会に解明して頂きたいと思います。
  10. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 今の問題について……。
  11. 剱木亨弘

    説明員剱木亨弘君) ちよつと速記をとめて頂きまして申上げたいことがあります。
  12. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) それでは速記をとめて下さい。    〔速記中止
  13. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 速記を始めて下さい。それでは文部省関係予算につきまして文部当局から説明を聴取することにいたします。
  14. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 本年度補正予算要求並びに来年度概算要求につきまして、私会計課長でございますが、現在までの折衝経過の概略につきまして御説明を申上げます。  御承知のことと思いますが、補正予算につきましては現在まだ折衝中でございまして、従つて事項につきましても、金額につきましても、時々刻々動いて参ります点がございますので、その辺は前以て御了承を願いたいと思います。  最初に補正予算について申上げますが、文部本省関係で、一、義務教育費国庫負担法実施準備、これは前々国会におきまして成立いたしました義務教育費国庫負担法を明年から実施いたしますのでございますが、その実施準備といたしまして教職員の給与並びに教材費につきまして、二十八年度の資料を得ますために実態調査を速急に行いたいと存じまして、その経費要求いたしたのでございます。現在では、二十八年度数字がまだ得られておりませんので、その数字を得るための実態調査でございます。  それから第二番目に産業教育振興費、これは御承知通り二十七年度の当初予算で六億六千六百万の予算をお認め頂いたわけでございますが、その藤これを実施いたしますと、なお高等学校設備その他の不足を生じます。不足を生ずるというより地方のほうで非常にこの高校設備等につきまして熱意を持ちまして、是非とも高校設備の増額を本年度内に実施してもらいたいという要望が強いので、この設備費補助三億一千三百万と、それから高等学校関係実習船建造費といたしまして二千三百万、それから共同実習所設備といたしまして百万、これはまあ大まかな数字でございますが、その程度要求いたしております。実習船建造、それから共同実習所等につきましても、いずれも具体的な計画がそれぞれ地方にでき上つておるものだけでございます。  それから第三番目の大学入学試験実施でございますが、本年度の予想といたしましては、進学適性検査並びに大学入学を志願する者が前年度に比べまして相当数増加する見込でございまするので、この増加に対処いたしまして常勤職員手当或いは委員謝金であるとか、或いは職員の旅費であるとか、或いは会議費等を合せまして千五百万の要求をいたしました。現在認められておりますのは百八十五万でございますが、まあ非常に窮屈でございますが、一応これはこの程度でやれる見込でございます。  それから第四番目に教育長講習がございますが、これはすでに御承知通り教育委員会制度全国に全面的に実施になりましたのでございますが、その教育委員会事務局を主宰して参ります教育長養成をしなければなりませんので、養成講習経費といたしまして補正予算要求いたしました。この計画といたしましては、大体市の関係で五十人、それから町村の関係で三千九百人の教育長をそれぞれ十二週間乃至八週間で養成する予定にいたしております。明年の三月末までにこれを実施いたす予定でございます。  それから第五番目の学生就職対策でございますが、明年三月には新制並びに旧制は例年より相当多数の学生卒業生がございます。この就職問題につきましては社会問題といたしまして問題となつておりますので、この就職斡旋事業文部省としても極力推進したいと思いまして予算要求いたしました。この内訳は、大体地域別就職対策協議会を行い、大学のこの方面関係者、それから地方産業界関係者、それから職業安定所その他の方面並びに文部省その他の関係官庁集つて就職対策の具体的な方針を打合せて、できるだけ学生就職の便宜を図りたい。それから大学の内情をよく採用者に知らせる意味で、大学案内というようなものも作りたい。それから卒業生の具体的な受入れ分野、例えば大学学生は主として大きい会社、事業場等に入りたがるのでありますが、中小企業等にも入つてもらわなければなりませんので、そういつた方面受入れ分野調査等実施したいということでこの予算要求いたしたわけでございます。  それから第六番目の買上美術作品保存修理でございますが、これは文部省が院展以来約二千五百点の美術品を現在まで買上げておりますが、相当長い年数の間に多少いたんだものもございますので、これの修理をいたしまして、近く発足予定でございます国立近代美術館のほうに引継ぎたいと思つて予算要求いたしたのでございますが、現在まだ認められておりません。この点につきましては、併しどうしても実施いたさなければなりませんので、文部省既定予算を流用いたしましてもこれは実施するつもりでございます。  それから第七番目の輸入機械購入でございますが、輸入機械につきましては、各省を通じまして大体五千万円の予算が二十七年度当初に取れておるのでございます。そうして各省からそれぞれ管下の研究所試験所その他の希望輸入機械を申請いたしまして、文部省からは大学関係希望輸入機械を申請いたしまして、科学技術行政協議会でこれを取りまとめて検討いたしまして、順位をきめて輸入すべき機械を決定いたしましたわけでございますが、このうちで東北大学金属材料研究所というものがございまして、そこで金属の薄い板でございます。極めて薄い板を作る精密仕上げロールという機械是非とも輸入してもらいたいという希望で、スタックの関係では最優先順位として認められたものでございますが、ただ五千万円のうちから四千万円を出すということが、到底各省関係もありますのでできないというので、若し補正予算が取れたならばというようなことで参つておる現状でございますので、この精密仕上げロールを輸入する金額補正予算として要求いたしました。併し現在までの折衝経過におきましては、本年度補正予算としてはこれは認めがたいのであるが、来年度については必ず何とか善処したいという大蔵当局意向を承わつております。  それから第八番員の私立学校振興会でございます。私立学校振興会につきましては本年三月末に私立学校振興会法国会を通過いたしました。四月の初めに振興会が発足いたしたのでございます。で、私立学校振興会資本加金は旧戦災復旧費貸付金十七億五千一万円と、それから新たに現金出資といたしまして三億九千万円、合計二十一億四千万円がその資本金でございます。ところが本年七月末に私立学校関係設備費借入れ希望額調査いたしましたところ、約三十億九千万円の借入れ希望額がございました。現在の出資金では、殊に現金出資では全然問題になりませんので、三十億九千万円に対応するような出資を得たいと存じまして、いろいろ研究いたしました結果、三十億九千万円は大体年間を通じての設備費借入金希望額でございますが、これは補正の時期等からも考えまして、大体三分の一程度でよかろうというので、大体十億でございます。その十億を、私立学校振興会といたしましては借入希望額の大体七五%を貸付けるというのが原則になつておりますので、十億の百分の七十五として七億七千三百万というのを補正予算として要求いたしました。これにつきましては現在まだ大蔵当局折衝中で、最後的な折衝を続けておりますが、まだ確答は得られておりません。  次に公立文教施設整備でございますが、そのうちの第一の公立小中学校校舎整備費補助、これは皆さん御承知通り国補、いわゆる国補の問題でございますが、〇・七坪に達しない、即ち応急最低基準に達しない分についての国庫補助要求でございます。本年度補正予算といたしましては、そのうち中学校分だけを取りあえず要求する方針を立てまして、文部省調査によりますと、中学校の分の〇・七坪に達しない分は十六万八千坪でございます。これを補正予算として要求したい。この金額が三十二億二千百万円ということでございます。これは補助率は二分の一でございます。  それから第二番目の公立小中学校屋内運動場整備費補助でございますが、この屋内運動場整備につきましては前前国会におきまして、本院におかれましても特に御決議を頂きまして、積雪地帯、或いは湿潤地帯屋内運動場は、義務教育上極めて重要なものであるから、その整備を促進するようにという強い御決議でございました。衆議院のほうも御同様な御決議がございましたことから考えまして、是非ともこれに関する予算補正予算として要求したいというので、いろいろ大蔵省折衝いたしましたのでございますが、これにつきましても現場の段階におきましてはまだ確定いたしません。この屋内運動場につきましては、二十七年度の当初の予算では九千八百万円で、この九千八百万円で予定する坪数は七千七百坪余でございます。併し大体全体計画といたしましては、この屋内運動場に関する基準がございますので、その基準によつて文部省として計算いたしております数字は、全体計画といたしまして二十七万五千坪でございますので、そのうち七千七百坪を実施いたしますと、約二十六万七千坪不足するということになりますので、この二十六万七千坪を五年間で解消するというような一応の計画を立てて、五万三千四百坪の補正を当為要求いたしたのでございますが、いろいろ折衝の結果、これを多少改訂いたしまして、現在ではこの屋内運動場につきましては、この九千八百万円の補助金を当てにして実際にすでに建築にかかり、或いは建築をし始めておる地方学校もございますので、少くともそういうものだけは拾つて国庫補助の対象にいたしたいというので、その坪数を計算いたしましたところ、この坪数は二万七千二百坪になりますので、その金額五億1千八百万円を補正予算として要求いたしておる次第でございます。この補助率も第一の六三と同じように二分の一でございます。  それから第三番目の公立学校給食施設整備費補助でございますが、これは学校給食教育上極めて重要でございますので、この給食を促進するためにモデル的な給食施設を一部に一カ所くらい設置して行くということで、昭和二十五年及び二十六年度にはこれに関する経費が出たのでございますが、二十七年度には当初予算でこれが削られたのでございます。併し学校給食重要性というのは決して減退するどころか、ますく増加しておるような状況でございますので、是非ともこれを前前年度並びに前年度に引続きまして実施いたしたいというので、先に実施いたしました坪数を差引きまして、その差引いた坪数を大体三年くらいで実施したいというので、その経費を二千八百万円要求いたしておるような状況でございます。  それから第四番目の領土復帰に伴う義務教育施設整備費補助でございますが、これは占領行政下にありました鹿児島県下の十島村が、我が国の自立と共に占領行政を解かれまして日本の行政下に戻つて参りましたのでございますが、戦争中並びに戦後のそういつた状況から、この十島村下にありまする小、中学校義務教育施設が非常に傷んでおりますと共に、又一面非常に不足をいたしておりますので、これに国から補助をいたしまして、その義務教育施設を改善してやりたいということでございます。でこれにつきましては現在の折衝段階では十分の八の補助を一応出すというような一計画でございます。そうしてその義務教育施設の主なものにつきましては、木造でなしにブロック建築を認めるという一応の計画になつております。  それから第五番目の公立学校危険校舎改築費補助でございますが、これはすでに前から問題になつておりました老朽校舎のうち、特に建築基準法の規定によりまして使用禁止又は使用制限をされておる施設が四十八万坪ございます。これは全国を通じての話でございますが四十八万坪ございます。尤も使用禁止又は使用制限ということは必ずしも校舎老朽腐敗ということのみではございませんで、或いは衛生上或いは環境上どうも面白くないというようなことで使用禁止又は制限になつておる所もあるようでございますが、大体は危険校舎でございます。この四十八万坪のうち、文部省推定ではその三分の一の十六万坪が使用禁止であり、制限でなくて使用禁止というふうに推定いたしております。この十六万坪のうち、これは十六万坪というのは高等学校も入つております、幼稚園も入つておりますので、特にこの義務制の小、中学校だけを拾い出しますと、大体十五万坪でございます。この十五万坪を早急に国の援助で改築してやりたいので、それに要する国庫補助経費二十六億五千百万円をこの補正予算として要求しておるのでございます。で文部省といたしましては、この点については極力現在大蔵省を押しまして、折衝を続けておるような状況でございます。  それから第六番目の公立学校鉱害復旧費補助でございますが、これは前々国会で成立いたしました臨時石炭鉱害復旧法という法律がございまして、戦後の国家経済再建ということのために、石炭増産を極力奨励なさいましたが、その石炭増産の結果公共施設にいろいろな被害を及ぼすとい場合には、国からその石炭事業団に援助いたしまして、その石炭事業団が、これはいわば加害者でございますが、加害者石炭事業団に援助いたしまして、事業団の力でその鉱害復旧をさせることを促進するという法律の趣旨でございます。この石炭鉱害のうち、学校関係被害が大体文部省推定によりますると二億七千五百万円でございますが、これは臨時石炭鉱害復旧法というのは大体臨時的の立法でございまして、十カ年だけの期限附きのものでございますので、その十分の一を今年度に復旧するということで、その二分の一が千四百二十二万五千円を要求いたしたのでありますが、大蔵省推定で、一応ここに数字が入つておりませんけれども、昨日連絡をいたしまして、取りあえずの分として五百万円だけ認めるから、本年度からこの事業を発足してもらいたいということでございます。  それから第七番目、公立文教施設事務処理、これは以上列んでおります公立文教施設整備関係につきまして、予算を割当てたり、或いは認承いたしましたり、或いは監査をいたしましたり、或いは工事実施上の指導上必要な経費要求しておるわけでございます。  次に十番目の長崎大学学芸学部移転でございますが、これは長崎大学学芸学部は御承知通り大牟田にございます。ところが地方の事情その他からここに予備隊が入ることになりまして、本年の七月から長崎大学学芸学部大牟田市内に分散して教育研究実施しておるような状況でございますので、取急ぎこれを長崎市内に移転させまして、他の学部同様に長崎市内教育を行うようにしたい、これに必要な校舎なり寄宿舎なり、職員宿舎を建てる経費要求いたしたわけでございます。土地につきましてはすでに長崎大学学芸学部を移転すべく土地購入が済んでおりますので、土地購入費は入つておりませんので、建築費だけでございます。建築費が九千二百九十万円認められております。  それから大阪大学附属病院建物補修でございますが、これは大阪大学附属病院コンクリート造り病院でございますが、戦争中並びに戦後の物資統制等のいろいろな条件から、現在まで余りその建物の維持或いは補修というものが行われておりませんで、不完全でございます。先年その一部分が破損をいたしたようなこともございますので、文部省のほうから相当な経費を出して、これを一部補修をいたしておりますが、なお不足分をこれで要求いたしたわけでございますが、現在の段階ではまだ認められておりません。  それから石炭手当不足でございますが、これは極めて小さい数字でございます。これは文部省関係建築関係の、工事事務所寒冷地にもございますので、これに対する経費要求いたしたわけでございます。  それから十三番目の人事院提訴弁護士謝金、これも経費は二十一万円と極めて小さいのでございますが、東京大学原田助教授懲戒処分に対する審査請求事件に対する弁護士謝金でございます。これは大蔵当局の御意向によりますと、文部省経費を流用してやつてくれということでございますので、そのつもりでおります。  それから第十四番目の学術文献総合目録案作成、これは大学学術局におきまして従来学術文献の総合目録というものを作成いたしまして、すでに本年度途中で原稿が完成しておりますものがございます。これを早急に印刷して、できるだけ早く学界にこれを発表いたしまして、学界の利益を図りたいというので印刷をいたしておるのでございますが、これは来年度予算で相談するということになつております。  それから第十五番甘の東京科学博物館理工学都と書いてございますが、これは理工学館でございます。理工学館の整備拡充の準備委員会運営二十九万六千円でございますが、これは御承知通り上野にあります科学博物館は戦前から余りその列品等の改修が行われておりません。殊に理学関係、工学関係の器具器材等は貧弱でございますので、これを何とか充実したいというので、いろいろ科学博物館及び文部省と連絡いたしまして、この整備拡充の計画を立てまして、できるならば一つ建物を建てて理工学館を造りたいというので、準備委員会を組織して研究いたして、大体今日成案を得ております。この準備委員会を運営し、開催して行く経費として、これも金額は極めて少いのでございますが、二十九万六千円を要求いたしましたが、これも本省内の経費の流用でやつてくれということで、そのつもりでおります。  それから第十六番目の国立文教施設豪雨等災害復旧でございますが、これは本年の七月に関西並びに中国地方に相当な豪雨がございました。又七月の中旬には御承知の吉野地震がございまして、大学並びに附属施設等に相当な被害がございました。それにつきまして復旧予算要求いたしましたのでございます。  それから第十七番目の国立初等中等学校教育費の調査報告書印刷、これも極めて小さいものでございます。国立の附属学校教育費の状況がどうなつておるかということを実態調査をいたしましたのでございますが、印刷費が不足しておりますので、その印刷費の要求をいたしました。  第十八番目の理科器械修理技術講習会、これは例年実施しております講習会でございまして、各高等学校或いは中学校等で理科器械が現在破損されたものが修理されないで放置されておるものが相当ございますので、その修理の技術を先生がたにお教えいたしまして、できるだけ現在の教材教具を活用して頂くということのために講習会を開いておるのでございますが、地方からの希望がございまして、なお数県この講習会を実施してくれという要望がございますので、その経費要求いたしたのでございますが、この二つは何れも大体明年度までという現在折衝の結果になつております。  それから一枚めくつて頂きまして、第十九番目の昭和二十五会計年度地方教育費の調査報告書印刷、これは教育委員会全国的に発足いましましたので、現在文部省で持つております地方教育費の実態調査をぬき刷りいたしまして、これを配分いたしたいという希望を持ちまして補正予算要求をいたしたのでございますが、これは現在ではまだ認められておりません。  それから一つ飛びまして、二十一の学制八十年記念出版でございますが、実は本年が学制八十年になるのでございますが、いろいろな事情から本年この学制八十年記念行事を行うことができませんで、来年度早々この八十年の記念事業実施したいということで只今計画をいたしておりますが、その中の一つ事業といたしまして、学制八十年史というものを記念出版いたしたいということで、現在からだんだん準備をいたさなければなりません。この九十二万六千円は八十年史を編纂するために必要な原稿執筆謝金その他でございます。  次に文部本省から国立学校のほうへ移りまして……。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 これは査定額は幾らです。
  16. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 一億五千三百四十九万六千です。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さつきの五百万は入つておりますか。
  18. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 入つておりません。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だから幾らになる。
  20. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 一億五千八百四十九万六千円。但しそれが全部補正ではございませんので、そのうち早急に実施しなければならないものの予備費、それからこれは御承知通り年度当初予算から物件費、旅費等を節約いたしますが、この節約を解除してやるというようなお話もございます。  それから第二に国立学校関係でございますが、その中の第一の外国学術雑誌、バツクナンバーの購入、これは戦争中或いは戦後の購入不能な状態から欠号になつておるものが学校研究所等に相当ございます。これも補充してやりたいというので、その経費要求したのでございますが、これは実は相当早くから準備はいたしておつたのでございますが、購入につきましては、大体五カ月乃至半年くらいの期間がどうしても必要でございます。当初この補正予算を研究し始めました頃は、まだその余裕があると思つてつてつたわけでございますが、現在の状況では五カ月乃至半年ということになりますと、到底今年度内には購入できないということになりますので、要求はいたしましたけれども、来年度廻しになることも止むを得ないというふうに私どもは考えております。来年度には是非これは獲得したいというふうに考えております。  それから第二番目の九州大学附属演習林の火災復旧でございますが、九州大学附属演習林というのが、北海道にございます。これが五月の中旬時分にその地域以外の地域から発生いたしました火事で相当焼けました。大体六百ヘクタールと言つておりますが、相当広い面積を消失いたしました。これにつきまして、いろいろ消火上実施した作業もございますし、又焼けた材木が約二十万石くらいございますので、この焼けた材木の処理の経費その他造林の経費等も要求いたしたのでございますが、取りあえずの経費といたしまして消火の経費と、それから焼けた木の処理の経費だけを認められておる状況でございます。  それから第三番目の九州地区の松の木喰虫駆除でございますが、これは御承知通り松の木喰虫の駆除に関する法律がございます。この法律に基きまして、ここに九州地区と書いてありますのは九州大学の演習林、それから富崎大学の農学部附属の演習林、それから鹿児島大学のこれも農学部附風の演習林でございますが、これらの演習林の松の木喰虫の駆除、予防に関する補正要求でございます。  それから第四番目の日本第三紀海成貝類化石目録出版でございますが、これは東北大学のそのほうの専門の先生が貝類の化石の貴重な目録と、それから化石産地の非常に高度の学問的な研究解説を完成されたというので、原稿ができておりますので、これを一刻も早く学界に発表して学界のために寄与したいというので、この目録出版費を要求いたしました。私専門家ではございませんので、どの程度貴重なものかはよくわかりませんですけど、学界としては非常に貴重なものだそうでございますが、特に出版費を要求いたしたのでございますが、大蔵当局見解は、これは来年度にやつてくれということでございます。  それから第五番目の集団赤痢発生に伴う処置の経費、これは本年の六月下旬に三重大学の農学部の寄宿舎で四十三人の集団赤痢の発生を見まして、それから七月の中旬には仙台の仙台電波高等学校というのがございますが、その他台電波高等学校の寄宿舎でも二十人の集団赤痢が発生いたしました。学校といたしましては取りあえずの処置をいたしまして、それ以上の蔓延は見なかつたのでございますが、この患者の治療費或いは消毒費その他の諸経費要求いたしたわけでございます。  それから一つ飛びまして、七番目の大学補導職員の緊急増員でございますが、これは、大学につきましては学生補導というものが非常に重要な問題になつておりまするので、補導職員是非緊急に増員してもらいたいという要望大学側からございますので、補導職員の人件費を補正要求いたしたのでございますが、これは全然認められておりません。  それから八番目の石炭手当寒冷地手当不足額の補正、これは石炭手当につきましては金額が改訂されまして、現在まで世帯主につきましては一万四千百円が一万八千三百円になり、非世帯主につきましては四千七百円が六千百円に増額されたわけでございます。それから寒冷地手当につきましては、これは寒冷地手当に関する細かい規定がございまして、支給地域の区分が改訂されまして、で、今までは平均四千七百円であつたものが、これも改訂で六千百円に増額されておるわけでございます。で、これに伴う不足額をそれぞれ要求いたしたのでございますが、これは他の給与問題等関連しておるので、大蔵省で一括各省関係を取りまとめるというので、まだ内示がございません。  それから九番目の寒冷地の特殊経費補足でございます。これは暖房用の石炭費でございます。今まで四千七百円のものが六千百円になるというので、その増額に対する実績で千五百万円の査定額を大蔵省としては示しております。  それから十番目に国立大学附属学校教官研究費等でございますが、これは国立学校の附属小学校中学校の教員の給与が、平均いたしまして地方の教員に比べて低い実情にございます。そのために国立学校の附属教官と地方教員との間の人事の交流というものがだんだんむずかしくなつて来ている。或いは附属学校の教官が地方教官になりたがるのをとめるのが困難になるというようないろいろなことが生じておりますので、これにつきましてこの給与の改訂というのが国立学校の附属教官も国家公務員でございますので、全体との関連がございますからこれだけを上げるということはできませんけれども、せめてその補いの一つといたしまして、研究費とか或いは教育研究の旅費等を見てやりたいというのでその経費補正要求いたしましたが、これは年度途中からそういうことはむずかしいというので、これも来年度には何とかしたいという気持で、大蔵省もそのつもりで研究いたしております。  それから第十一番目の大学附属病院の医療費でございますが、医療費と申しますのは、御承知通り薬品費とか或いは縄帯その他の治療材料費、それからX線、レントゲン・フィルム、それからその他の医療器材の経費でございますが、現在予算単価では入院が一日一人百十三円、外来は七十三円ということで予算が編成されております。併しこの百十三円、七十三円という数字は二十五年度の実績を基礎にいたしておりますので、現在では相当上廻つて、どうしてもこれ以上の経費がかかるわけでございますので、文部省といたしましていろいろ調査をいたしまして、その増額を要求いたしましたのでございますが、大体百十三円が百五十円、それから七十三円が八十七円の線まで今回の補正要求で認められたわけでございます。本筋といたしましては必ずしもこの線で満足はいたしておりませんけれども、現状といたしましては又止むを得ない点がございますので、一応これで本年度実施をいたして参りたいと考えております。  それから第十二番目の大学附属病院の患者の食糧費でございますが、これは現在の予算の単価では一人一日賄費が百十三円でございますが、主食はともかくと己たしまして、副食費或いは調味料その他の値上りが相当ございますので、これにつきましても是非値上り分を補正予算で見てもらいたいという要求をいたしまして、百四十二円の線まで認められております。こういう点につきましても今回の補正では止むを得ないと思つておりますが、将来は更に増額さしてもらいたいと思つております。  それから石炭費につきましては、これは先ほども申しました石炭手当等と関連いたす問題でありますが、暖房用の石炭経費の値上り分に対しまして実績分を掛けたものを大体認められたわけでございます。  それから第十四番目の新潟大学附属病院備品火災復旧でございますが、本年の二月に新潟大学附属病院が一部焼失いたしまして、相当備品類を火災で失つたわけであります。現在までに文部省予算を相当やり繰りいたしまして、二千四百万円程度は出しておるのでございますが、なおできるだけ早く復旧する必要があるものと計算いたしますと、九億五千万という数字になりますので、これを補正予算として要求いたしたのでございますが、これは来年度年度当初に一つ考えたいという大蔵省意向でございます。   それから第十五番目と十六番目の非常勤講師の手当及び旅費の不足額の補正でございますが、これは御承知通り新制大学になりまして、学生教育が選択科目制度になつて、細かい科目がたくさんございます。これにつきまして大学自体の教授、助教授或いは講師というものですべてを補うことはなかなか困難でありますので、外からそのほうの専門家を招聘いたしまして、選択科目の講義を行うわけでございますが、大学のほうの要求といたしましては、相当手広く且つ高度のものを実施したいというので、手妻の不足並びに旅費の不足を訴えて参りますので、これを補正要求いたしました。併し年度途中のことであるから、これも一つ年度から考えるからということで現在は認めておらない状況でございます。   それから第十七番目の日本脳炎研究費、これは岡山大学の医学部でこの方面の研究をしておられるかたがございまして、聞くところによりますと、日本脳炎のバイラスを発見されたということでございますが、なおこれについても研究して、純粋培養をしたい。そうしてこの日本脳炎の研究を一層促進されたいというので、この研究施設費を要求いたしまして、五十万円だけ認められておるわけでございます。  それから第十八番目の三重、鹿児島大学設備火災復旧でございますが、三重大学につきましては、三重大学学芸学部の亀山分校というのが本年の五月に火災で消失いたしました。それから鹿児島大学は文理学部の中の一般教養関係校舎が本年の四月にそれぞれ消失いたしました。この鹿児島大学のほうは元の七高でございます。これが消失いたしましたので、その消失いたしましたそれぞれの大学設備のうち、取りあえずの必要なものを復旧したいということで設備の復旧を認められたわけでございます。  それから第十九番目の東北大学の川渡農場の緊急造林、これは東北大学の川渡農場と申しますのは元の軍馬補充部でございますが、これを終戦後所管変えを受けまして、東北大学の農学部の農場といたしております。ところがその相当部分が、これは農場と申しますけれども、山地も相当ございますが、その相当部分が現在木が伐採されたまま放置されておりますので、その附近の河川の氾濫の原因となるということと、それからその附近の町村等ではしきりに緑化計画、造林計画を立てて実施いたしておりますので、川渡農場といたしましても、是非その地元の緑化造林運動に協力したいというので、緊急造林費を要求いたしたわけでございますが、これも現在までは認められておりません。なお本件につきましては、文部省といたしましても、取あえずの経費について六十万円程度をこの緊急造林のために支出いたしております。  それから第二十番目の演習林収入増加に伴う経費不足、これは従来演習林の予算と申しますのは、伐木或いは炭焼その他のいろいろな事業によつて収入を挙げまして、その収入に見合つて予算を組むというような方式をとつております。本年度予算に比べてかなりの収益が増加いたしておりますので、それに伴う経費補正予算として認めてもらいたいというので要求いたしたわけでございますが、これも現在のところでは直ちにその収入に伴つて歳出を増加するという決定には至つておりません。いろいろ折衝は継続いたしておりますが、まだ決定はいたしておりません。  それから所轄機関に移りまして、日本ユネスコ国内委員会事務局処理でございますが、これはユネスコ国内委員会が発足いたしましたのでございますが、現在ではこの事務局文部省の一角におつて、まだ機構的にも不完全でございますので、実はその機構を充実整備する経費と、まあ現状では自動車一台持つていないような状況でございまするので、自動車の購入費とか、そういつた経費をいろいろと実は要求したのでございますが、大蔵省で認められましたのは僅かにこのユネスコ国内委員会事務局といたしまして、調査委員謝金並びに委員手当、旅費等が増額を認められた程度でございます。事務局の機構等については、補正予算では定員増加はない。自動車については来年度は必らずこれは認めるからというような話もございますが、現状では僅かに四十万円を認められた程度でございます。  次に文化財保護委員会関係補正要求でございますが、第一のアメリカ日本古美術展覧会の開催、これは明年の一月から一カ年間に亘りまして、アメリカのシカゴとかボストン、シヤトルその他の博物館で、日本の古美術を展覧する展覧会を開きたいということで計画を立てまして、明年の一月からでございますので、これは十二月の初めには船積みしなければなりませんので、計画を促進いたしまして、現在持つて行くべき古美術品の選定も終つておるような状況でございます。但し二十八年の一月から一年間でございますが、この補正要求といたしましては本年度分だけを計上いたしておるわけでございます。  それから第二番目の国宝及び重要文化財買上費の追加でございますが、これはゼロになつておりますが、現在、昨日の夜になつて話がございまして、三千五十万のうち一千万だけは認めてやるという連絡がございました。落ちておりますが一千万でございます。それは文化財保護委員会といたしまして、海外流出の虞れのある文化財、それから海外流出はいたしませんけれども、ちりぢりばらばらになつて散逸してしまうというような虞れのある文化財については買取りをすることができる。それから文化財の所有者が他に転売をするような場合には、前以つて買取りの請求を保護委員会にすることができるというような規定になつております。現在までに相当点数がございますが、いろいろ調査いたしまして、特に必要なものを四点、三千五十万円だけ要求いたしたのでございますが、そのうち更に枠を絞られまして、最緊要のものだけということで一千万円を認められたのでございます。  それから第三番目の姫路城の石垣災害復旧、これは姫路城につきましては御承知通りすでに継続して修理を行なつているわけでございますが、本年の七月の中旬にこれも豪雨がございまして、その一部の石垣が二十坪ばかり崩壊いたしましたので、これを取りあえず復旧いたしたいというので、その修理費を補正要求いたしたわけでございます。  それから第四番目の福山城の工事促進でございますが、これは福山城の櫓、それから門等につきまして、これも今まで二十六年度から引続いてこの修理工事をやつておるのでございますが、工事にかかりましたところ、当初の計画に比較いたしまして石垣の石積みが非常に弛緩しておる。それから建物も予想外に腐朽をしているというようなこと七ございますので、今までの工事を計画通り進めます必要上特にその不足額を三千万だけ要求いたしたのでございますが、これは現在のところではまだ認められておりません。  それから第五番目の国宝及び重要文化財建造物修理促進、これは修理促進となつておりますが、大体ここに認められておりますのは災害復旧関係でございます。文部省といたしましては、国宝及び文化財の建造物の修理につきましては五カ年計画で以て計画的にその修理実施して参つておるのでございますが、二十七年度では新規の建造物修理が認められませんでしたために、この五ケ年計画計画通り進行しないような状況に立至つております。で何とかしてこれを計画通り実施したいというので不足する金額要求いたしたわけでございます。  今回認められました五千九百万は、そのうち特に災害によつて建造物の破損がひどくなつたものだけを認められました。例えば北陸地震でひどくなつた江沼神社の長流亭とか、或いは那谷寺、それから奈良地方の地震で傷んだ十輪院、その他の建物について災害復旧費だけを補正として認められたわけでございます。  それから第六番目の国宝重要文化財(宝物類)地震被害復旧でございますが、これは新聞等で最近非常に話題になつております薬師寺の金堂に安置しております日光菩薩、月光菩薩の修理費でございます。これは金堂そのものは特に国宝というものではございませんが、その中にあります日光菩薩、月光菩薩はその時代の彫刻といたしましては一級品に腐する極めて重要な文化財でございます。これが地震のため傷みましたので、これを修理する経費要求いたしましたのでございます。当初の要求といたしましては、併せて金堂の修理要求いたしたのでございますが、ここに認められておる三百三十二万八千円は仏像、即ち彫刻だけの修理費でございます。  それから第七番目の東京国立博物館列品購入品追加、これよ実は本年の春頃に、現在香港におります支那の美術品の収集家が日本に来て、相当有名になつております蒔絵でございますが、これを日本で売りたいという話が伝えられましたので、国立博物館で是非ともそれを購入したいというので一応の補正予算要求いたしたのでございますが、その後この話が立消えになりましたので、一千万円の要求はいたしましたが、これは現在では放棄いたしております。  それから第八番目の京都国立博物館出陳謝金の追加でございますが、これは京都の博物館は御承知のことと存じますが、博物館自体といたしましては余り列品は実は持つておらない、京都周辺の社寺等からいろいろな文化財を寄託してもらいまして、展覧会を開催するというような状況でございます。展覧会を開催するにつきましては相当多額の寄託出品に対する謝金が必要でございますが、年度当初の予算ではこれが不足いたしますので、展覧会を実施いたしますために寄託出品謝金を増加してもらいたいという要求で、その一部分が認められたのでございます。  次に第九番目の奈良国立博物館建物その他震災復旧でございますが、これは先ほどちよつと申上げました吉野地方の地震のために博物館の建物の一部が破損いたしました。なお博物館の中に出品中の寄託品が、これは仏像でございますが、これも一部分破損いたしましたので、これは止むを得ないことでございますので、その修理費を要求いたしました。これも大体半額程度が認められたわけでございます。  それから第十番目の東京文化財研究所機構改革、これは変な表現でございますが、これは東京国立博物館の附属機関といたしまして文化財研究所というのがございます。本年の行政整理の際、この定員につきましてこれを整理するというような政府原案があつたのでございますが、国会といたされましてこれはこの整理案に修正を加えられました。併し予算のほうは定員のまま組まれておりましたので、予算と定員との差額の経費要求いたしたのでございますが、これは文部省内の経費の流用でやれということでございますので、現在その心組みでおる次第でございます。  それから第十一番目の石川門その他の復旧でございますが、石川門と申しますのは、これは金沢城の正門になつております。現在金沢城の中には金沢大学があるわけでありますが、この金沢大学の正門にもなつておるわけでございます。ところが相当年数を経まして、破損をいたしておつたのでございますが、本年三月の北陸地方の震災によりまして、その破壊の程度が更にひどくなりましたので、これを修理する経費要求いたしまして、一部分が認められたわけでございます。  以上申上げましたのが、本年度文部省といたしまして事務当局に対して補正要求いたしておる事項の大要でございますが、初めに申上げました通り、現在まだ折衝が継続中でございまして、事項につきましても、金額につきましてもだんだんと移動がございますので、その辺は御了承頂きたいと思います。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行についてでありますが、只今それの説明を一応承わりました。そこで先ほど委員長において本委員会中に解明して頂きたい点を二点お願いいたしておつたわけでありますが、それをまああと廻しにして、説明を承わつたこの機会に極く事務的な質問だけ一応承わつたらどうかと、こう私は考えます。なお委員長のほうでそれ以外に議事進行でお考えがあることもありましようが……。
  22. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 今の矢嶋君の御発言がありましたが、如何でございましようか。
  23. 木村守江

    木村守江君 何ですか、もう一遍。
  24. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 今の問題は、先ほど来大臣出席要求があつたわけです。まだ大臣が見えないので、それについては委員長がどういうふうに取計うかということについては後ほど伺うとして、取りあえず事務的な今の質問に移つたらどうかと、こういうような要求なんであります。さよう取扱つて差支えありませんか。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 大臣はどうなりますか。
  26. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) それは今連絡をさせておるのですが。
  27. 木村守江

    木村守江君 さつきいろいろ次官から話があつたと思いますが、大臣がここに来るよりも、今非常に大事なときだと思うんです。殊に午後から閣議があるので、その閣議前にいろいろな方面折衝して閣議に臨まなければ、この予算のよりよき効果を挙げることはできないと思うのです。そういう点からですね、大臣要求ということは、これは考えればわかることで、ちよつとあと廻しにして、若しも事務的に聞くことがあるのなら事務的に聞くような方法をとつて議事進行したらいいと思います。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の言つているのは、大臣を呼ぶことがいいか悪いかどうか、そういうふうなことは今ここで議題にしているのではなくして、私の議事進行を提案しているのは、今補正予算について説明を承わつたから、その説明でほんの事務的な点で解明したい点をこの際昼食に入る前に一応簡単にお伺いしたらどうか、質問したらどうかと、こういうことであります。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 その前の予定はどうなつておりますか、何時までやつて……、大体の今からの日程だね、大体こういう事務的なことを伺うのは私も賛成ですが、大臣から閣議決定前にこういう意見を聞いて、それに対する我々の要求点、そういう点を反映するということ、それができますか。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の議事進行のその中には次のような内容を含んでおるわけなんだ。というのは岩間君が今発言されたようにこれを質問して、又この次というと忘れてしまうので、大体事務的なことを一応聞いて、そこで岩間君が言われるように大臣は御多忙だろうけれども、我々としては大臣にも是非聞いてもらいたいことがあるわけなんです。だからそのあとで委員長は事務当局に今大臣はどこで何しているか、今日出席できるかできないかということを調査を命じておるだろうと思う、その返答を承わつて、そこで改めて本日の午後の委員会を如何に取運ぶかということを私は本委員会に諮つてもらいたい、こういう内容を含めての当面の議事進行を私は言つている。
  31. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) どうでしようか、矢嶋君の議事進行……。
  32. 木村守江

    木村守江君 どうですか、委員長はいろいろ折衝しているのでしようが、そんな議論をしていないで、事務的に聞くことがあつたら、それで進めて行つたら……。
  33. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 一応予定のことについても考えなければならないので、今大臣との連絡をさつきから催促しているのですが、その返答はまだ来ませんけれども……、なお今の問題は、大臣との折衝で出て来るように事務当局から連絡をとつておりますから、後刻返答があると思います。  それで今質疑に入る前に、前委員長並びに廣瀬政務次官から御挨拶を申上げたいというふうな申入れがありますので、ちよつとこの間懇談会に移りましてお聞きしたいと思いますが、如何ですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  34. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 速記をとめて。    〔速記中止
  35. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 速記を始めて下さい。それでは質疑に入りたいと思います。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ず御質問いたしたい点は、二枚目の第十番目に国立大学附属学校教官研究費というのが要求されて、大蔵の査定でゼロになつておるわけですな。あなたの御言葉では、国家公務員である教官は地方公務員の教官よりも給与が低い、その低いのをカバーするために研究費において予算化しようとするのだ、こういう御説明があつたわけですが、あなたがたの御調査では、国家公務員の教官は地方公務員の教官よりも幾ら安い、こういうふうな数字を出されおりますか、その数字を……。
  37. 小林行雄

    説明員小林行雄君) これは文部省のそのほうの担当の部局で調査いたしましたので、その調査も極めてサンプル的なものでございますので、必ずしも全体に通ずるかどうかわかりませんが、一応二号俸と申しますと、大体千円程度低いのだという見当になつております。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本日はただ質問するだけですから、あと突込んで質問は続けませんが、事務的なことだけ聞いておきますが、こういう重大な問題を大蔵省予算折衝をあなたがたがするに当つて、あなたが説明されたようなことで折衝されたのでは、これは極めて重大な問題だと思うのです。というのは地方公務員と国家公務員との給与がどのくらい高いか低いかということは、一年ぐらい前から検討してまだ結論が出ていないんです。それを約千円ぐらい高いから、だからその分を研究費でカバーするという不明確なことで言質を与えれば、現在平衡交付金を組むに当つても非常に問題になつておるのに、全然交渉ができないことになつてしまいますね。これらの点についてこの次にもう少しぐらいでなくして、こういう資料を出して大蔵当局折衝される以上は、あなたがたのほうで明確な資料を恐らく持たれてやられていると思いますので、極めて重大な問題だと思いますので、この次に資料として如何なる根拠に立つているかということを明解に答弁して頂きたいと、こういうように思います。  次に第二点としてお伺いいたしたい点は、先般初めての試みとして、全場国青年大会が催されて二百六十万円の国庫支出をやつているわけですね、それらは補正予算には出て来ないのか。更には昭和二十八年度概算要求なんかを見ますと、三十七年度予算額の中にはゼロとしてありますが、実際においてすでに二百六十万円の国費が先般の全国青年大会には使用されていると思いますが、そういう関係はどうなつていますか、それをお伺いしたい。
  39. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 全国青年大会につきましては只今矢嶋先生からお尋ねがありました通りこれはすでに実施いたしております。この話が始まりましてから急速に具体的に進行いたしましたので、国会の開会中予備金を要求して、その予備金が認められて実施されたわけでございます。このお手許に配付いたしました二十八年度概算要求額事項別表は、その上に数字がございますと思いますが、九月四日、年度概算要求調査をいたしました当時のものでございまして、その後この予備金が決定されたというような数字で、これはこの二十八年度概算要求につきましては相当まだ訂正いたさなければならん点もございますので、さよう御了承を頂きたいと思います。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 全国青年大会の二百六十万円というのは節約解除でやつたんではないですか、予備金ですか、私は節約解除でやられたと承わつておりますがね、もう一遍答弁して頂きたい。
  41. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 大変失礼でございますが、ちよつとはつきり覚えておりませんが、不正確なことを申上げると失礼になりますので、調べましてお答えいたしたいと思います。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に国立文教施設豪雨等災害復旧費として、本年の七月に中国、関西にあつた豪雨並びに吉野地震の復旧費としてここに要求されておりますが、国立大学文教施設関係は過年度の災害は全部終つておりますか。まだ残つておると記憶しておりますが、どの程度つて、それがどうなつておりますか、その点を承わりたいと思います。どういうわけで過年度災害復旧の分を載せないで、今年の七月にあつた中国、関西のだけをピックアップしたのか、こういう要求の仕方をするというと、過年度の災害復旧に今後予算折衝で困つて来るのではないかと思いますが、その関係ですが……。
  43. 小林行雄

    説明員小林行雄君) お答え申上げます。北海道地震或いは鳥取火災その他につきましては、まあ今年度分だけのものはこれは処理されて、これは来年に引続いて行われるというふうに承知いたしております。過年度の分から引続いて残つておるというものは現在ではないように私は承知いたしておりますが、一応ここに出ております十六番目の国立文教施設豪雨等災害復旧、本年度のものは、これは一応復旧されるというように考えております。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはその程度に開いておきましよう。  次にお伺いいたす点は、これは平衡交付金関係だから、あなたのところと直接関係ないから今日承われなかつたのですが、市町村の地方教育委員会の発足に伴つて教育長講習の不十分ながらの予算は一応承わつた。その内容は今伺いません。併しながら市町村教育委員会の発足に伴つて文部省としては三十九億八千万ほど弾いておつたわけですが、それが十億八千四百万程度に抑えられた、こういうことも聞いておるわけですが、それらについての資料に基いてプリントして、どういう内容でどういうふうに要求して、その結果が政府としてはこういう見解で十億八千四百万になつたのだと、そういうことはあなたの直接の問題でなくて、平衡交付金関係だと思いますが、この次に是非資料として出して頂きたいと思います。  次に承わりたい点は、ほんの事務的なことなんですが、二枚目の十七番目の、日本脳炎研究費などというものはこれは何ですか。科学研究費の補正と、こういう形において出されて行くのですか。これを拝見すると、出ておる出し方が、予算書において款項目がどういうふうに行くのか、ちよつと疑点があるので伺つておるのですが、こういうような具体的に或る先生の研究がまとまつたから云々とか、こういう本を出すとか、或いはこういう研究が行われておるので支出をしたい、こういうのは全部予算編成のときの款項目から言うと科学研究費の中に入つておりますか。それはどういうふうな形でなされておりますか。
  45. 小林行雄

    説明員小林行雄君) これは国立学校関係で全般を通じて特殊の研究費というものがございまして、それで事項並びに金額によつて査定いたしまして、各大学にそれぞれ配付しておるその特殊研究費という形でございます。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一、二点お伺いいたしますが、この内示はいつもらつて、それからあなたがた事務当局としては最終決定するのはいつ頃と踏んでおられるか、その点承わりたいと思います。
  47. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 大蔵省の第一次の査定内示は七日にございました。それから復活要求をし、再復活要求をし、現在でも継続しておるわけでございますが、その都度多少ずつ経費が入りまして、実はこのプリントを作りましたあとで入りましたものも、先ほど申上げましたように二件ばかりございますような状況でございます。大体私どもといたしましては、十三日頃には遅くもきまるというように見ておりますが、併しその辺のことはまあ閣議状況等で私ども確言はできないのであります。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは最後ですが、速記をとめて答弁願いたいと思いますが、と申しますのは事務当局として、この補正予算の大蔵の査定その他から考えてぎりぎり一ぱい、これだけはどうしても事務当局として確保しなければ困るという点ですね、その点は速記をとめて結構ですから、事務当局の見解を承わりたいと思います。
  49. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  50. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 速記を始めて下さい。
  51. 岩間正男

    岩間正男君 私時間がないから簡単に伺いたいと思います。  第一に、これは一体予算要求の技術の面からいろいろあるのだろうと思いますけれども文部省は一体本気でこういう予算要求を出しているのかどうか疑わしい。それは大体見ますと、本省関係で出ているのは、七十八億要求して一億五千万円に査定になつている。これは五十分の一足らず、それから全体から見ますというとこれは二十三分の一、全額合せまして九十二億の要求を出しているうちで四億しか取つていない。二十三分の一、これを私は今ちよつとそろばんをはじいて見たのだが、大体今度の補正予算は八百億というふうになるだろう。八百億の中で文部省は僅かにそのうちの四億を取つているのですから二百分の一だ。これは〇・五%にしか当らない。今度の補正においては〇・五%、こういうことになるわけであります。ところが各省要求額は全部合せて二千億だろう、私は二千億というふうに聞いております。ところが二千億で大体八百億の予算が決定されますと、四〇%だけ出ている。ところが文部省の場合には要求額の実にこれは二十三分の一というような査定を見ている。これは全体の各省要求から見ると甚だ劣悪である。劣悪というより問題にならんと思います。全体の予算要求額の約四〇%であり、このうち文部省は全体の要求の四%しか取つておらない。ですから平均の十分の一であります。これはどういうことですか、私はわからないのだが、ただもう来年の本予算要求なんかと関連して項目的に予備的な折衝の意味でやつているのか、それから項目をどんどん行き当りばつたり的に出しているのか、それとも飽くまで取る考えを以てこういうものを組んだのか。そういうことになると、五十分の一というような査定は問題にならんと思います。こういう点について技術的にはどういうふうに考えておられるか、一応承わつておきたいと思います。
  52. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 文部省補正予算要求額七十八億に対して、現在まで大蔵省から認められました額が一億五千万、極めて予算の獲得状況が悪い、劣悪であるということでございますが、確かに数字上から申しますと非常にパーセンテージは低いのでございますが、これは先ほど御説明申上げましたように、施設関係経費がこの七十八億のうち六十四億を占めておるわけでございます。この施設関係経費の大部分については現在までまだ折衝中のものでございまして、いずれとも決定いたしておりません関係上こういう数字になつておるわけでございます。私どもといたしましてはこの六十四億のうち或る程度のものが認められることを期待しておりますので、その暁にはかなりこの数字並びにパーセンテージもよくなつて来ることと思つております。私どもといたしましては決して予算技術上不必要な経費をやたらに要求いたしておるつもりではございませんので、最も緊要なもの、特に補正上何とかしてもらいたいという経費だけを要求しておるのでございますが、今後とも先生がたの御支援も頂きまして、何とかこの獲得に全力を傾けたいというふうに考えておる次第でございます。
  53. 岩間正男

    岩間正男君 非常に緊要なのつぴきならないものだけを要求されておる、こういうことになりますと、この査定というものは文部省を見くびつているというような査定です。五十分の一、総額で四%、こういうような恰好なんですが、さつきもお話を聞きますと、施設関係では幾分増額が予定される面もあるかも知れない、そういう話ですが、これは決定して見なければわからないのですが、これはもう少し揮を締めてかかつてもらわないとしようがないのでありますが、併しこれは大臣がここにおりませんが、実は大臣がおればこの点を言いたかつたのですが、年年歳々これは繰返すことですけれども、特に岡野新文相に対しては私は痛烈に言いたいことだつたが、廣瀬政務次官もいなくなつちやつたので言えないが、この点少し民主的に解決しないと、とにかく総額を見ますと四〇%出ておりますが、要求額のその十分の一、四%しか取れていない。ここに文部省のはつきりした性格があるのじやないか。この点我々も責任を感じますが、あなたたちもやつぱり政府委員に大いに督励してやつてもらいたいと思います。これは大臣が来てからなお詳しく申上げます。  その次細かいことで一つ二つ聞きたいのですが、五の学生就職対策というのですが、これは非常に数が殖えておるという話です。新制と旧制が今度一度に卒業するので相当数が殖えておる。この数はどのくらいか。それで大体このような対策を持たなければならないというような要請が起つておるのはどういうところから来ておるか。これは非常に就職難ということも聞いておるが、現状はどうなつているか、この点お伺いしたい。
  54. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 実は私この詳細なことについて存じませんので、その方面の専門家である担当官にお答えして頂くようにいたしたいと思います。
  55. 岩間正男

    岩間正男君 その点もこれはさつき矢嶋君が資料を請求されておりますから、資料として出して頂きたい。いいですね。  その次にお伺いしますが、国立学校のほうで大学補導職員緊急増員という項目がありますね。これは補導職員の緊急増員の必要というのはどういうところからこれは具体的に起つて来たか。それからこの増員はどの程度やるのであるか、この二点について……。
  56. 小林行雄

    説明員小林行雄君) お答えいたします。この補導職員につきましては、全国の主要な大学に二級の補導職員を置いて学生就職、生活補導その他に当らせたいということでございます。なおこれにつきまして、いろいろ前に問題を起した大学等につきましては、雇用人を置きまして、警備も非常に手薄でございますので、警備関係の雇用人も増置しておきたいということを考えたわけでございます。実際問題といたしまして、大学側で、問題を起しましたような大学では警備員が疲労いたしまして、その職に堪えられないというような状況も起つておりますので、最小限度の警備員についてはその増員を認めてやりたいという気持でこの要求をいたしたのでございますが、現在では大蔵省のほうでは全然これは認めておりません。
  57. 岩間正男

    岩間正男君 数は具体的にわからないのですか、若し面倒でしたらそれは又あとでも結構です。それじやそれはあとにしてもらいまして、今の御説明だというと、生活補導に当らせたいというために増強しなくちやならないというような話なんですが、これは併しいつでも、生活補導は今までも必要でやつて来たと思う。緊急にこれはやらなくちやならないというのは、今の説明では何か問題を起した学校、こういうところに必要だというのですか、それが一点と、もう一つは、今何か問題を起したところで警備員が非常に疲労して云々という話がありますが、そうすると警備員という者は補導職員ということになるのですか、補導職員と警備員の関係はどうなんです。補導職員、補導課でやるのですか、この警備は……、これはどうなんです。
  58. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 補導職員と言つておりますが、これは警備員のほうは雇用員でございまして、決して補導職員ではございません。ここでは補導職員等というような意味でございます。(「等を入れなくちや」と呼ぶ者あり)補導職員のうちには入りません。
  59. 岩間正男

    岩間正男君 併しこれは今は「等」という言葉を挿入されたのだが、どうもここの性格がおかしいですね。補導職員と警備員というのは密接な関係があるんですね、同じ項に入つておるのですが、これは議論になるから先に残して置きますが、私は補導職員というのは似ていると言つてよい。どうもこれは思想善導課じやないですか。実際は昔のスパイをやつておるのじやないですか。学生の補導員、こういう者を緊急に増置しなくちやならない理由について、これだけ伺つておきます。私は知つているんだ。具体的にぶつかつたんだ、今度の選挙活動の中で……、大学における補導課というようなものの正体、実に言語道断なことをやつておる、これは言えますよ。それだけ、今のところだけ聞いておきたい。(「会計課長に聞いたつてわからない」と呼ぶ者あり)
  60. 小林行雄

    説明員小林行雄君) 私ども考えております補導職員は、決して岩間先生の言われましたようなスパイというようなものとは考えておりません。大学学生補導職におりまして、学生の生活補導に当るというようなもののように考えております。
  61. 岩間正男

    岩間正男君 よく選んで下さい。ああいうのが補導員になると大変なことになる。(「それは出した課長に聞かなければわからない」と呼ぶ者あり)
  62. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) それでは先ほどの問題について今中間の報告をいたしたいと思いますが、とにかくこれは閣議に入る前に我々としては文部大臣にいろいろ質問を行うことが重要なことだと思いまして、大体宮中のほうは一時頃下るというふうな話であるから、下つたらすぐ委員会出席を求めて何としても出席を願いたい。こういうふうに連絡をしてあるのでありますけれども、どうも秘書官が向うのほうとの連絡が十分つきませんので、大臣意向がまだ聞きかねる、こういうふうな返答なのでありますが、如何が取計らつたらいいでしようか。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それともう一つ解明をお願いしておつたわけですね。今日十時に委員会は開かれて大臣出席要求しておつたのだが、大臣がどこに行つたかわからないで、姿をくらまして我々のほうへ出席しなかつたのですが、それに対しては秘書官から釈明か何かあつたのですか。
  64. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) その問題は先ほど僕は文部次官からの話があつたので、あれで了承されたものと思つております。何かそつちこつち折衝して廻つて歩いておると……。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは吉田総理の渉外折衝と同じで逃げ口上じやないか。
  66. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) なおそれについては後ほど大臣から釈明を聞くことにしたらどうですか。今の問題について如何が取計らつたらいいですか。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつと速記をとめて頂きたい。
  68. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 速記をとめて。    〔速記中止
  69. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) それでは速記を始めて下さい。  暫時休憩いたします。    午後零時四十六分休憩    —————・—————    午後一時十九分開会
  70. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) それでは午前に引続いて再開いたします。  それでは大臣から御挨拶申上げます。
  71. 岡野清豪

    ○国務大臣岡野清豪君) 大臣就任後の御挨拶より、先ず先にお詫びしなくてはなりませんが、今朝ほど委員会をお開きになりまして、私の出席要求がおありになつたようでございますが、実は両三日以前から予算閣議がございまして、それに対して大変形勢不利なものでございますから、今朝早くから実はいろいろこの工作をしつつあつた次第でございます。それからその次に読売新聞社主催の全国綴方コンクールがございますので、その文部大臣賞というものをやる約束をしておつたものでございますから、そのほうに行きまして、それから丁度時間を合せまして宮中に入ると、こういうことになりまして、どうも甚だ皆様がたに御迷惑をかけて誠に恐縮でございますけれども、そういう事情でございまして、只今まで出席することができなかつたことを特にお許しを願いたいと存じます。  なお、今回第四次吉田内閣に文部大臣として入りましたにつきましては、皆様がたの格別の御支援を蒙むりまして、日本文教行政の刷新のために私も無論努力いたしまするが、最高機関たる国会の御意思並びにその御鞭撻を蒙むりまして、万全の施策を講じ、渾身の力を尽して、そうして日本の文教行政に尽したいと、こう存じておりますから、どうか皆様、従来以上の格別の御支援を今後も切にお願いする次第でございます。これを以て私の御挨拶といたします。
  72. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) それでは……、矢嶋君。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣の初めての御出席で、大臣とされましても岡野文教政策というものは固まりつつあるかと存じます。従いまして、いろいろ基本的にお伺いいたしたいことがあるのでございますが、一時半から予算閣議が開かれるやに承わつておりますので、当面是非ともお伺いいたしたい点をしぼつて若干お伺いいたしたいと思います。  先ずこの予算の問題でございますが、午前中事務当局から一応の説明を承わりました。で、補正概算要求が九十二億に対して現在のところ大蔵省の査定が四億にとどまつておると、約四%ちよつとというような状況で実に驚き入つておる次第でございますが、大臣にお伺いいたしたい点は、補正予算はいつ最終決定する予定で覚悟をきめられておるかという点と、それから内容に触れますが、義務教育学校施設関係で、いわゆる一人当て〇・七坪の落ちこぼれとしての十六万八千坪、これの補正がゼロになつておる。更に戦争の犠牲として出て来たところの危険校舎、この使用禁止されておるものが十六万坪ある。これに対する補正予算要求が、これもゼロになつている。この二つに更に屋内教育施設の問題、この三つは各地方公共団体で血の出るような要望が続けられているわけでございますが、いずれも現在のところ芳ばしくない状況でございます。これは是非とも今度の補正予算に何らかの形で頭を出さなくちやならんと思うのでございますが、大臣としての御決意並びに現段階におけるところの見通しを是非承わりたいと思う次第でございます。  それから第三点といたしましては、大臣承知のように非常に複雑な経過を辿りまして、市町村教育委員会が発足いたしたわけでございますが、これらにつきましても、大臣の御所見を承わりたい点がたくさんあるのでございますけれども、現在この予算面についてのみお伺いいたしますが、文部事務当局としては、市町村教育委の発足に伴う本年度における予算要求を三十九億八千万円とはじいて要求されたのでございますが、現在のところ十億八千万程度、即ち給与費の一部だけが認められたという状況でございますが、こういうことで一体市町村教育委員会の運営というものができるのかどうか。それと、更には今度の補正予算の最終決定に至るまでに大臣は自由党出身の閣僚として、文部大臣として、如何にこれに対処されようとされているかということを、お伺いいたしたいのであります。  最後にお伺いしたい点は、政府の方針によつて大よそ二〇%程度のベースの引上げをなさんとしているようでございますが、この問題に関しまして、地方公務員のベースアップに当りまして、国家公務員が二〇%上がる場合に地方公務員は国家公務員と同等のベースの引上げがなされなければならないのでございますが、噂に聞きますというと、地方公務員は約三百五十円ばかり引下げてベースアップされるのではないか、そういう積算の下に平衡交付金百七十億が出されておるというようなことを承わつておるわけでございますが、平衡交付金百七十億そのものを多角度的に眺めるときには、これが不十分であるということは、全国知事会議でも政府並びに与党に陳情のあつたことで明白だと思いますけれども地方公務員のベースアップの一点にしぼりまして、大臣どういうふうにお考えになつているか。更には現在までの交渉段階、見通し、そういう点について承わりたいと思います。
  74. 岡野清豪

    ○国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。  閣議の決定は先週中にしてくれという大蔵省事務当局の非常な切なる要望であつたのでございますが、併し私は文部大臣として初めてでございますし、それから又ほかの大臣も皆入れ代りまして、十分検討をしなければ、そう速急に出て来たものをそのまま鵜呑みにできない、こういうことで、私も三カ月ほど前になりましたものですから、強く主張いたしました。決して決定を速急にやつてもらつては困るということを官房長官にも申して、そうして延び延びになつておるわけです。それで毎日閣議を開いておるわけでございます。と申しますのは、我々の要求が十分通りませんものですから、できる限りの努力をしまして、少しでも目的に副うような予算をとりたいとこう考えて、今日昼から決定するというような話もございましたが、併し我々として意に満たない場合には決定は保留にして行きたい、こういうような考えで臨んでおります。その点は御了承願いたい。  それから二点といたしまして、危険校舎とか屋内体操場というようなものにつきましては、事務当局からお聞き下すつたかとも思いますけれども、いろいろな事情で初めに要求したほどのことは無論補正予算にはできんということになりまして、屋内体操場は五億三千八百万円、危険校舎のほうは義務教育に関する最低線といたしまして二十六億、この二つは堅持いたしておるわけでございます。そうして実は今日皆様がたにお呼びつけを蒙つたにかかわらず、よう出ませんなんだことは、この二つ並びに実業教育の問題と、それからもう一つは私学振興ですか、七億七千三百万円のこの四つの項目について党の支持を得たいと思いまして、あちらこちら飛び廻つてつたような次第でありまして、できるだけこれは頑張りたいと思つております。  それから教育委員会の問題につきましては、実は私幾ら金が要るか、事務当局の考えを聞く以外に私としてはわからない立場に置かれたものでございますから、この解散前の閣議におきまして、いろいろ文部当局と交渉いたしました結果、初め三十九億というような話もございましたけれども、十六億で今年度は行けると、こういうような話を聞きましたものですから、閣議におきましては十六億確保しろというようなことを言いまして、ほかの閣僚も全部了承しておつたのでございます。ただ解散がございまして、その後選挙最中にいろいろなことが、私なんかおりませんものでしたから、ごたごたいたしましたが、自治庁のほうと文部省との間の話合で、十一億ぐらいならやつて行けるのじやないかというような話で以つて十一億にきまつたのじやないかというふうに私は了承しております。この十一億で果してやれるかやれんかということに対しましては、実は私事務のほうのことはよくわかつておりませんから、事務当局から一つお聞き取りを願いたいと存じます。   第四点の給与の問題でございます。これは本当は自治庁長官の職務でございますが、併し本多大臣は、私が長らく自治庁長官をしておりました関係上、是非応援を頼むということで、本多大臣と緊密なる連絡をとりまして、そして閣議に臨んでおりまして、本多大臣立場の苦しいこと、並びに地方財政のことなんかは、むしろ本多大臣よりは私のほうが余計に発言するほど、本多大臣の援護射撃をしております。これも今日もちよつと宮中で話ししたことでございますが、最後には私に是非一つ仲介の労をとつてもらわなければならんから、一つ数字を届けるからというようなお話がございました。私は十分これをやつてみたいと思います。それで今お話の給与ベースを国家公務員並みにいたしますと、本多大臣のお話しでは二百七十億でございます。併しこれを地方の事実上払つておるところの給与に換算しまして行きますというと、三百五十億要るというようなこともおつしやつております。併しどういうところにその換算の基礎があるか、まだ私は伺つておりません。詳しいことを本多大臣が私に通告するというお話がございましたから、それを待つてでなければ、只今申上げましたことははつきりと責任を持つて申上げた数字にはなりませんから、この点を一つ了承願いたいと思います。そういうふうになつておりますので、これは昨年の暮も給与ベースのことにつきまして、中央と地方との関係につきましては、大蔵省と自治庁との間に非常な問題が起きたのでございますから、私もその経験上本多大臣をお助けして、できるだけ地方公務員の給与に対しては十分なる給与のできるように、本多大臣をお助けいたしたいと、こういう考えでおります。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今のその給与の問題について、平衡交付金の中にはどういう積算の下に入れられているということで本多国務相は言つているのですか。
  76. 岡野清豪

    ○国務大臣岡野清豪君) わからないのです。それだから書いて出せと言つているのです。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあそれは本多国務相が検討して大臣に御返事になるでしようが、まあそれはそれでよろしいとして、じや大臣文部大臣としてどういう立場を堅持して要求なさつているわけでしようか。
  78. 岡野清豪

    ○国務大臣岡野清豪君) あれは実は私のほうの関係関係でございましようが、主として地方自治庁の地方財政の立場から予算を取るという立場におるものですから、それが地方の公務員、殊に文部省関係職員に関しては非常に利害関係が深いものでございますから、私のほうから進んでそれを本多大臣のほうの掩護射撃をしたい、こういうことになつております。けれども主として本多大臣のほうで要求なさるものでございます。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じや文部大臣としては、地方公務員、特に地方公務員の中でも教職員のベース上げについては国家公務員並みに引上げるという、こういう基本的立場を堅持している、これはそういうことに了承してよろしいわけですか。
  80. 岡野清豪

    ○国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これはちよつとまだ文部省でよく聞いておりませんから、事務当局の話を聞きましてお答え申上げますが、私がこの前の閣議におきましていろいろ問題がありましたときには、国家公務員と地方公務員というものはやはり同じ待遇をすべきものである。ですから国家公務員の給与のベースの引上についてはそれと同じに、それに準じて地方公務員の給与を上げるということになつておる。それが何か特例法か何かに出ておるのだと思いますが、そういうことになつておるので、あのときに地方の公務員が実質上非常に中央の公務員よりは高いので、それを法律にそれだけのものを換算してやれというようなことがありましたけれども、これは閣議の容れるところにならなかつたわけです。ですから文部当局として如何に立向うかはまだちよつと何しておりませんけれども、併し地方の公務員といううちにはたくさんありましようけれども文部省関係の教員の数は相当たくさんあるものですから、約半分くらいなものでございます。から、我々としても黙つては見ておれん、こういう形でおります。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣としては御多忙だから、一応了承できないわけでもありませんけれども、併しこの段階になつて、今度の補正予算の中に組まれているところの教職員のベース上げの予算はどういうふうになつているかというような、内容はつかんでおいて頂きたいと思います。でないというと、現在ですらも全国知事会議では、教職員のベース上げは困難だというような声さえ洩れて来ている状況でございます。これは百七十億の平衡交付金の内容から出て来ている問題でございますので、この点は私は更に十分研究して御善処頂きたいと思うのです。  それと更にこれとも関連いたしますが、教育委員会の発足に伴うところの予算、この内容はどんなものかということは、午前中承わることができないので、事務当局に私は資料として要求をいたしておるわけでございますが、十一億程度ではやれるのではないか、やれるかやれんかという点については、自分としてはまだ研究していないというような発言でございますけれども、私はこの十一億の内容は、若干研究してみました。具体的に言つて教育委員会教育長を置けないというような内容を持つているわけです。更に指導主事も置けない、そういう内容を以て出されたのが十一億なのです。で、そういうもので一体教育委員会というようなものが運営されて行くのかどうかということを、私は多大の疑念を持つているわけでございますが、その点事務当局に一つ承わりましよう。あなたがたとしては大臣に、市町村教育委員会が発足しても、十一億予算があれば十分やつて行ける、こういうことを大臣に報告しておるのですか、どうですか。先ほどの大臣の発言によりますと、自治庁と文部省の話合いでは、十一億程度あればできるということであつた。こういう答弁があつているわけなのですが、その点答弁をして下さい。
  82. 田中義男

    説明員(田中義男君) 本年度いろいろ計画を持ちまして、折衝を続けたのでございますけれども、一応約十一億ということで話がまとまつたわけなのでございます。それで大体十分とは申せませんけれども、ただ当初私どものほうの予算では、例えば教育長にいたしましても、年度内各市町村教育委員会に専任者を全部置くというような、まあ私ども机の上での十分な計画を以ちまして折衝を始めましたので、当初は三十数億にもなつたのでございますけれども、併しいろいろ実際問題を考えて参りますと、教育長にいたしましても、年度内に直ちに全員専任を置くというようなことも困難であるというような事情もございますし、いろいろ財政困難の場合でもございますので、できるだけ節約をいたしまして、そうして年度内に先ず一応十一億という予算で以てやつてみよう、まあ不十分ではございますけれども、それで年度内発足の、まあ不備なときには又何とかやれるのではないかと実は考えているわけなのでございます。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君  この教育委員会の問題については、いろいろ聞きたいのでございますが、時間がないから多く聞きませんけれども只今のこの予算面によるところの答弁によつても、まあこのくらいで何とかやつてみて、悪かつたならば何とかしよう、更に教育委員会制度そのものについても、まあともかくああいう不自然な姿で生れたが、何とか暗中摸索でやつてみて、悪かつたらそのときどうかすればいいんじやないかといつたような、非常に薄氷を踏むような態度が、私は責任者に非常に濃く現われている。こういう点私は非常に遺憾に思うのでございますが、私ここでこれとも関連して是非大臣にお伺いいたしたい点は、確かにですね、市町村教育委員会が生れるには生れたけれども予算面にも技術の面にも全く行き詰つて暗中摸索をやつているわけなんですね。いわば混乱の状況なんですが、一応十一月一日から発足して発動しているわけなんですけれども、私は大臣に次のごとくお伺いいたします。それは、あの教育委員会法の審議の過程並びにその後の結果から見ましても、私は日本に教育委員会制度というものが、どういう規模でどういう内容で持たれるのが最も適当かという結論が出るまで、発生が不自然であつただけに一応ここに教育委員会の発動をストップしておく、選挙はしたけれどもストツプしておく、そして十分結論が得られてから発動する。こういう処置を講ずることが、私は現段階においては最も適当な方法ではないか、(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)こう考えているんですが、それに対する見解と、それからそれと関連してもう一つお伺いいたしたい点は、天野文部大臣大臣でおられた当時、中央教育審議会というものを我々に設置するところの法律案を提案して、我々は国会でこれを通過成立させたわけです。そのときの提案理由の主なるものは、教育委員会制度その他もありますけれども教育委員会制度そのものの検討ということは最も重要な一つの狙いであつたように提案されているのでございます。ところが市町村教育委員会は御承知のような経過を辿り今日まで参つているわけですが、未だその中央教育審議会は発足してない。これは私は極めて遺憾極りないことだと思うのですが、一体これはいつ発足させて、あの立法精神に沿つたところの運営をされるつもりか、この二点について、予算にも関係がありますのでお伺いいたしておきたいと思います。
  84. 岡野清豪

    ○国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。教育委員会につきましては、私実に痛し痒しでございまして、御答弁申上げるのに矛盾が出て来ると思いますが、併しその点よく一つ了承願いたいと存じます。と申しますことは、お説のように現行法の教育委員会というものを今即座に実施していいか悪いかということについては、私の個人の立場といたしましては実は検討を要するものであると、これは天野前文部大臣と同感でございまして、この教育委員会法を一年延期するということにつきましては、当時の文部大臣、私は自治庁の長官でございましたが、それに対して賛意を表しておつたのでございます。ところが教育委員会というものについていろいろないきさつがございまして、どうしてもあれを実施するというような方向にまあ進んで来たのでございますが、併し私といたしましては、もとの考えがどうしても頭にしみこんでおりまして、文部大臣を、八月十二日に拝命いたしまして以来というものは、やはり一年延期、一年延期ができなければ六カ月でもいいから延期してもらいたい、こういうような考えでいろいろ策動したわけでございます。で、それと申しますのは、結局この教育委員会というものをよく検討をして、それから実施に移したほうがいいという私の主義主張から出て闘かつたのでごつざいますが、解散もありましたし、いろいろな事情でどうしてもこれができないので実行に移つたわけでございます。そこで、それじや十分検討もしないで行われたものであるから、発足はしたのだけれども、これをストップしたらどうかと、こういう思召しもございますようですが、只今事務当局からいろいろ伺つおりますところによりますれば、まあ出発はとにかく、初め非常に難航だろうと、まあできるかできんかわからんというような臆測があつたにもかかわらず、全国、一、二の例外を除きまして、とにかく出発がし得たのであります。それから又文部省としましても、それに対する指導をいたしまして、只今のところではどうやら無論完全なものは初めから行こうとは思いませんが、徐々に緒につかんとしつつある次第でございますから、一応かすに時日を以てして、どういうふうになつて行くかということを私は見守るのが適当じやないかと自分で考えております。併し国会のほうであんなべらぼうなことをしては相成らんから一つストップしろと、こういうことの御命令があれば、これは又我々は国会の御意思に反するものじやございませんけれども文部当局といたしまして考えますならば、まあこのままとにかくあちらからこちらからと指導しまして、これが完全に運営のできるように推進して行きたい気持で以て只今臨んでおります。  それから中央教育審議会のことでございますが、これはこの前の文部大臣就任のときに、すぐ発足しようと思いまして人選に取りかかりましたが、この人選にはいろいろな条件がございまして、又いろいろ考えなければならんことがございますし、又教育委員会も出発することになつたものでございますから、ゆつくりとよくその人柄並びに委員の顔触れを見当いたしまして、早急に開こうと、こう考えております。只今補正予算なんかのことで飛び廻つておりますので、そのほうに十分な手を割くことができないで延引いたしている次第でございます。
  85. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つ……。
  86. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 時間がないから簡単に一つお願いします。
  87. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つそれじやお伺いして私今日は打切りますが、これから閣議も持たれるようですが、〇・七坪未満の中学校分だけの十六万八千坪、これについては更に努力しているという発言は先ほど大臣からなかつたわけでございますが、この落ちこぼれは曾つて池田さんが大蔵大臣のときに、次の機会に考慮するということを本会議場でも発言された問題でございますので、このたびの補正予算に必ず頭を出すように、本日の閣議において大臣是非とも強く善処してもらいたい、こういう私は要望を持つているわけでございますが、大臣の所見如何ですか。
  88. 岡野清豪

    ○国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これもやはり私は今努力している項目の一つでございます。
  89. 岩間正男

    岩間正男君 時間がございませんので、まあ閣議に臨まれる前に我々の要望点というようなことを中心にして質問したいと思う。  先ほど説明を聞いたのでありますが、矢嶋君からも話がありましたように、当初の文部省のこの要求額を見ますというと、本省分は七十八億、これは非常にどの項目を見ましても緊急必要な項目だ、文部行政の現状から見るというと、むしろこれは低きに過ぎるもの、たと思うのです。ところがそれが中間的な報告ではありますが、査定を見ますと、大体四億程度ぐらいに過ぎない。これが文部本省の分は殊に一億五千万円、こういうふうなことで五十分の一にも満たないような形で打切られる、若しこういうふうなことが起つたならば、非常に大きなこれは先に行つて支障が来ると思う。こういう点から考えまして、もう少く全体を今度の補正予算との関連において、やはりこれは今までも主張をされて来たと思うのですけれども、この大きな枠の面からも一つ検討してもらいたい。そういうことをちよつとまあここで簡単な計算をしてみたのでありますが、大体今度の各省要求額が二千億と聞いております。その二千億のうちに大体今度決定を見ようとしておるのが八百億くらいの枠でありますが、そうしますと、大体要求額に対しましては全体の平均が四〇%程度のこれは要求が通ることになつておる。然るに文部省においての要求に関しましては、大体要求額の二%、本省分は全体の文化保護費なんか入れましてもこれは四%、こういう形になるので、全体の平均から見ますというと、非常にこれは問題にならない額だと思うのです。こういう点から考えて、現在現われている全体のこの補正予算の中に現われた性格というものは、どうしても文部予算というものは大きくここで削減されておるということが疑うことのできない形で出て来ておる。こういう点をどういうふうにこれははね返されて要求を貫徹されるか、これは大臣の決意を伺いたいと思う。先ほどから無論この要求額の大きな問題になつていますところのこの文教設備費七十八億のうちの六十四億、殊にまあ〇・七坪の問題、老朽校舎の問題、屋内体操場の問題、こういう問題については一応頑張るというような話はあつたのでありますけれども、これが若し貫徹されないということになりますというと、これは文部行政そのものが非常に崩れるだけじやなく、やはり国家の文教軽視というものが、歴然と今度の予算に現われて来る。こういうことは今までの予算補正の中でも、私は今数字を持つておりませんが、昨年度要求額とそれからこれが獲得された額と比較して、今度これは本年度の現在の段階までにおいては非常に少いものになつておるのじやないか、こういうふうに思う。これは予算の獲得については練達の士であるところの岡野文相は大いにこの点を一つ頑張つて、そうして文部省における予算獲得の一つのこれは新らしい方針を開いてもらいたいとこう考えておる。この点如何でありますか。
  90. 岡野清豪

    ○国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。成るほど七十八億というようなことが出ておるはずでございますが、併し私まだ就任早々でございまして、十分中を検討する余裕がないのでございますが、一例を挙げますというと、こういうようなことがあるのです。私はなかなか引き下らんつもりでおりますけれども、屋内体操場の二十七年度予算が九千八百万円でございます。ところがそれに対して文部省といたしましては、最初は九億何した、併しながら大蔵省のほうでいろいろ問題があつたもので五億三千八百万に落しておりますけれども、併し補正予算というものは本予算というものが当然来年の三月まで行われるべきもので、併しながらその後情勢の変化があつたか、若しくは新法律によつて新らしく義務ずけられたかというようなこと以外には補正をせんというのがこれは補正予算の原則だそうです。そこで私が二、三日来頻りにこの屋内体操場というものに対して非常な馬力をかけてやりましても、本予算が九千八百万円に対してその五倍以上になる、五億三千何百万円を補正でとるというのはこれは補正予算の性質に合わんのじやないか、こういうようなとにかく思想が閣内に横溢しまして、これには理論上私は立ち打ちできません。併しながら屋内体操場が必要である、こういうことについて非常に我々も関心を持つておりますものですから、これは是非そういうような理論にとらわれずに是非何とかしたいと頑張つておるわけでございます。又もう一つ例を申上げますれば、老朽校舎危険校舎というようなものに対して補助金を与える。これも私頑張つておりまして、是非何とかしたいとこう考えて今まで引続きやつておりますが、これはもともと一体それを補助金でやるべき性質のものであるかということが閣議で決定をしていないのです。と申しますことは、地方学校の建設というものは地方公共団体がやるべきものである、こういうような理論に立つて来ておるのです。けれども併し私はその老朽になり又腐朽した校舎は何でできたかといえば、国家というものがそれに相当の責任を負わなければならないような情勢に置かれたためにそういう腐朽が出て来たという意味から、これは是非国家が面倒を見なければならないから、この際先例を開いてもいいから、それは中央の財政から支出すべきものだ、こういう立論の基礎に立つて奮闘しておる次第でございます。でございますから、普通に考えますれば、七十八億出ておりますけれども、それが理論はまだ確立しておらないとか、補正予算の性質に合わないとかいうような筋でやつておるのでございます。そういうことでございますから、十分意思を貫徹するのに私は非常に困難を感じておる。併し私は党に頼みまして、党から十分なる圧力を加えてもらつて、そうして両々相待つて何とかしたい、こういう決意を持つておる。実は二時から始まりますから、御猶予願いたいと思います。
  91. 岩間正男

    岩間正男君 今お話の点、これは一応立論の頑張つておられる基礎については我々も同感であります。やはり補正は本予算補正であるというのは、これは形式論に過ぎない。本予算のときに十分に取れなかつたので、そのしわが現在ここに出ておる。そうしてそのしわをどういうふうに解決するかというところに、これは生きた政治の方法があるのでありまして、そういうふうに抽象論でなくして、現実において老朽校舎の問題、〇・七坪不足校舎の問題、こういう点が非常に大きな地方財政の負担になつておることは言うまでもないことでありますから、この点は大きく今までの文部予算というものが縮小されたことによつて起る欠点がここに来たので、この点を十分にこれは力説されることを切望したいと思う。  それからやはり全体の、先ほで申上げましたように要求額と査定額を見ますときに四〇%くらい通つておる。それなのに文部省予算の枠が非常に少い。これは全体の平均の十分の一にも足らない。こういう形というものは、これは明らかに文部予算の軽視という形で出て来る。これが国民大衆に及ぼす影響というものははつきりしておると思うのです。そういうような点から考えて、抜かりないと思うのですが、これは理論的に補正して欲しいと思う。  もう一つはやはり各省要求額が出されておつて、査定がどうなつておる、これは各省との関連において文部省一つの性格というものをはつきり出すことが必要じやないかと思う。こういう点についても事務当局は用意おさおさ怠りないことだと思うのです。各省要求額について検討をして、文部省においてはこうだ、こういうような点について十分にこれは私はやはり予算獲得の方法なり技術的な点から考えまして、十分なる準備をされる必要があると思うが、そういう準備についてはすでにこれはお持ちでございましようか、如何でございましようか。こういう点はやはり数学的にこれは抜かりないことと思いますが、これはぐんぐんやはり押してもらいたいと思いますが、如何でしよう。そういう準備がなされておりましようか。簡単でいいです、あるかないか……。
  92. 田中義男

    説明員(田中義男君) 各省全体を通じましての要求並びに査定の状況というお話でございますが、これについてはまだ先ほど来お話のありました通り、具体的な折衝の継続中でございますので、そういうような資料は現在までのところできておりませんです。
  93. 岩間正男

    岩間正男君 どうもそれだけのお話では頼りないと思う。一つのきめられた枠内の予算でそれをぶん取るというようなことはこれは問題以外としましても、やはり自分たちの今当面しておる問題を大きく推進して行くためには、それだけの副査と情勢の把握ということは必要だと思う。そういう形で事務当局も大臣もやはり数字的な根拠を与えるということにこれはもう少し文部の予算獲得の上から考えてもはつきりした準備をする必要がある。この点は今後の技術の面でこれは文相のほうで善処して頂きたいと思う。  最後にもう一つ申上げておきますが、教育委員会予算は十一億です。これを大体市町村の約一万五千くらいありますか、これで大体割つてみますと、一町村十万円ということになる。一年間の経費が十万円、これでやつて行けますか、どうですか。一体どういう教育委員会を作ろうと考えておりますか。この点から私は最も端的に考えてみればいいと思う。どうなんですか、四人の委員、そうして指導主事は二人、そうして教育長は一人、最低七人はなければ、法を完全に実施しているということにはならない。この人たちの人件費その他の調査費、いろいろな雑費、事務局を置くのにこれだけのものがなければ、教育委員会の名前は有名無実なんです。幽霊です。然るにそれが一町村平均十万円ということになつたらどうですか。十一億でできるかできないかという議論は滑稽なんです。こういう点から考えまして、先ほどから伺つてますと、問題にならない議論であると思う。これは全く予算的な面において法令を施行する気持はないのじやないか、こういうことがはつきり言えるのでありますが、この点は十一億というような予算全国の一万一千の教育委員会の事務が遂行されるとは絶対考えられない。数字的な根拠から論じなければならんのでありまして、こういう点は一体文相はどう考えておられますか。十万円で七人の定員を置いて、そうして一切の事務の費用を賄う。そうして教育委員会法に規定しているところの法の精神を最低限度に活かすことができると考えておられますか、この点はどうですか。
  94. 岡野清豪

    ○国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。遺憾の点があるかとも思いますが、併し本年度分は、これは十一月以降の、来年三月までの期間でございますので、少くていいわけなんです。ただ十一億でやつて行けるか行けんかということについては、実際まだ十分検討を要することと思いますが、併し事務当局といたしましてはこれでやつて行ける、こういうふうな結論を得ているようでありますから、私はこれに対して承服しているわけであります。なお、教育委員会のことにつきましては、暫く時日をかして頂きたいと、こう思います。
  95. 岩間正男

    岩間正男君 今半年の予算だから間に合うと言われるのですが、これは創設の時期なんです。今のように五カ月と言われるが、ただの五カ月じやない。創設です。いろいろ創設の時代というものはかかるのです。だからここで私は、五カ月だからこれでいいというような議論は問題にならん。今は創設なんです。だからどういうところにどういうふうに設置して行くのですか、そういう点を考えますと、十一億という根拠は我々は承服できない。これは頑張つてもらわなければならん。こんなことでは問題になりません。我々そういう事柄はどうも了承できないのですが、文相はどうですか、この点は……。それは初年度というものは大体非常に要るのです。
  96. 岡野清豪

    ○国務大臣岡野清豪君) 誠に恐縮ですが、閣議でございますから……。(「一つがんばつて下さい」と呼ぶ者あり)
  97. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) それではお諮りしますが、大臣はこれで閣議で以て去つたわけですけれども、なお続いて政府委員にでも継続して御質問がありますか……。
  98. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 田中局長に伺いますがね、大臣は急がれてたからあそこで切つたのですが、一体大臣は十一億でできると思つているんですか。それでいいと……。文部省と自治庁で話合つた結果、十一億くらいでできると思つてあの人は閣議で発言をしているだろうし、又大蔵大臣とも予算折衝をしている。こういうふうに考えられるのですが、どうして大臣にあなたがたはそういうような観念を打ち込むような説明をしたのですか。それで私はここであなたに一、二お伺いいたしますがね。この十億八千万の算出基礎を見ますと、教育長は町村に半数しか置かないということになつておる。こんな教育委員会があるかということですね。先ずそれを伺いましよう。  それから、このあなたがたの最初の計画では、指導主事が足らないから都市だけでも千三百人から増員するという計画の下に、三十何億円と弾いておつたのに、これも棚下ししてしまつて、一体指導主事というものがない教育委員会があるかどうか。これは教育委員会を見たらはつきりすると思う。一体どういうふうにして考え、大臣にどういうふうに説明をしているものか。  それからもう一つそれに関連して聞きたいことは、教育長の月給を一万四千円にしてあるが、それで一体人が得られるのか。指導主事も一万四千円で計算してありますが、一万四千円なんかということになつたら、とても校長或いは教頭という、そういうところを指導するような私は見識経験のある人は得られないと思うのですね。一体一万四千円をどこから引張り出したのか。而もそういうことであるから、教育長は町村の半数にしか置かない、指導主事も置かない、こういう形で出されたのが十億八千万円となつておる。殆んど給与費だけでしよう。岩間君が言つたところの他の経営費、施設費なんていうものは全然入つてない。それで教育委員会の立法の趣旨に副つた教育委員会が一体運営できるのかできないのか。一体大臣にどういう説明をしてああいうような考え方を持たせるに至つたのか。この点私は極めて重大だと思いますが、その質問と、それからそれと関連いたしますが、そういう実情から実際町村の教育委員会が動かない。動かないところから或いは給与権、或いは人事権、或いは指導権、こういうものを自分の教育委員会ではやれないから、都道府県の教育委員会に委託したいという声が澎湃として起つているわけなんですね。これに対して文部当局としてはどういう見解を持ち、どうい助言、指導をされているのか、それらの点について承わつて見たいと思います。
  99. 田中義男

    説明員(田中義男君) 来年度は本年度より相当充実をするまで要求するつもりでおりますが、年度内の計画として、およそ十一億に落着いたわけなんでございますが、その内容等について、例えば教育長を町村については半数という要求をいたしましたのでございますが、その理由は、先ほどもちよつと申上げましたように、来年の三月までは臨時措置も相当これは可能なんでございまして、発足当時から全町村にまで専任の教育長を得るということは、相当実際問題として困難じやないか。せめて町村について考えますならば、先ず三月までの間には半数くらいが専任として得られるのではないか、これが実際問題として妥当な数ではないかという結論に相成りました。それから市につきましては、特に御承知のように臨時の措置によりまして、教育課長がそのまま教育長を暫らくやることができるという便法もございますので、従つて大体それに則るであろうというようなことから、実は特に町村については半数という結論に相成つたのでございます。  それから給与の単価でございますが、これも大体、いわゆる教育長とすればおよそこの町村の助役級を標準にするのが妥当じやないか、こういうふうな意見に相成りまして、そうして一万四千円というものに一応基準を取らざるを得なかつたのでございます。指導主事につきましても、結局教育長を考えました場合に、およそこの程度が妥当じやないかというので、一万四千円ということに相成りましたようなわけで、まあともかくできるだけ金をかけないように工夫ができますなら、それによることが財政上適当なのでございまして、例えば事務職員等におきましても、現在町村役場なり、或いは特にまあ都市等におきましては、専任のそれぞれ学問をやつた者もあるわけでございますから、そういつたふうなものは、そのまま教育委員会のほうに行つてもらうというようなことを考えまして、誠に不十分ではございますけれども一応給与、人件費を中心に予算がまとまりまして、なお他の例によります場合と同様にやはり一応の初度調弁費、或いは需要費等を不十分ではございますけれども見込んであるのでございまして、全然ゼロというわけではないのでございます。そういうふうなことからいたしまして、一応いろいろな要求にもかかわらず妥結をいたしたのが十一億ばかりになるのでございます。  それからその次の御質問でございますが、お話のように確かに町村それぞれ委員会を置きまして、そうして人事権、給与権或いは指導権等をそのまま完全に執行できるか、どうかについては誠に疑問がございまして、従いまして、それらの点からいたしましても、町村教育委員会義務設置について相番議論があつたのでございますが、従いまして委員会の運営をいたして行きます場合に、特に人事権等につきましても相当これは各市町村委員会の間に、ないしは府県の委員会との間に十分連繋調整を図りませんというと、うまく参りませんということも考えまして、例えば具体的な問題としては、改正自治法にも、或いは協議会を設けますとか、或いは機関の共同設置ないしは事務委任等の方法も講ぜられないのではないのでございまして、そういつたふうな点でできるだけ連絡調整を図りたい。特にそれらの問題に併せまして、教科指導の問題になりますと、特に都道府県の教育委員会というものの指導権と申しますか、いろいろ補完作用が必要であると考えるのでございまして、そういつたふうな意味から今回の予算措置におきましても、又来年度予算等においても、都道府県の財政需要額については教育委員会に関する限り変更しない、従来都道府県の教育委員会が町村の学校行政について指導援助をいたしておりましたように、やはりそれらの点については府県の立場というものを十分考えたい、かように考えておるのでございます。更にそれらの人事権、給与権或いは指導権等について直ちに府県に委託することを否定しておるのじやないかというお話でございますが、併しこれも先ほど申しましたような連絡調整の方法を先ず勧誘したいと思つておるのでございまして、一応ともかく市町村の教育委員会ができまして、そうしてそれらにともかく人事権等が移りましたにもかかわらず、全然それを骨抜きにするように直ちに全部府県に委託してしまうというようなことも法の建前から言つてもどうか、それらについては更に先ほど来大臣のお話もございましたが、できるだけ一つ実績をただ漫然と調査するのでなしに、直ちに計画的に実態調査を進めまして、そうして是正を図りたい、かように実は考えておるわけなんでございます。
  100. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の御説明に関連して少し細かくなるですけれども、助役は教育長をやつて勤まるのかどうか。今の先生方でさえ七年間かかつて教育がやつと理解できかかつたような実情から、一体それで勤まるのかどうか。それから今まで数回に亘つて約千人余りの教育長講習というものを文部省主催で東京初め各地でやられたと思うのですが、今度ここに予算を見ますと、九百三万円ですか、補正予算に認められているようですが、あの教育長講習というのは三カ月講習を受けなければ免許法において教育の免許状を与えられないようになつていたと思う。こういう予算でできるのか。そういう点承わりたいと思う。だから実際問題として町村で立法精神に従つてやろうといつてもやれないところに、委託したい、こういう私は機運が醸成されて来ていると思う。  そこで今の質問に答えて頂くと同時に、もう一つお伺いいたしたい点は、あなたがさつき連絡協議会とかいうような言葉で表現されたと思うのですけれども、実際県によりますと、若干の町村、それはおおむね郡単位くらいになりそうですが、その郡単位くらいで町村の教育委員会一つのグループができて、これが給与権、人事権、更に指導権、そういうものについてあたかも一つのまとまつた行政権といいますか、そういうものを持つた形で固まりつつある、そういう発生過程を私は辿りつつあるように見受けるのですが、そういうものは立法精神から言つて正しいのかどうか、その二点について伺いたい。
  101. 田中義男

    説明員(田中義男君) 助役を教育長に一時横すべりいたしますことについては、これは決してこれが好ましいと思つておるわけではございませんが、ただ法の特例から申しますと、事実教育事務について或る程度責任ある職務をなしておるというようなことからいたしまして、臨時に止むを得ざる創設当時の措置なのでございまして、従いまして、助役につきましてもそれぞれ従来一応所管の教育事務等についても責任のある職務をおつてつたと、こういうふうに認められる場合に、それらが一時臨時措置として暫定的に教育長の事務をとる、かようにまあ考えられるのでございまして、そういう意味に私どもはこれを措置いたしたのでございます。  それから郡単位にだんだんまとまりつつあるというお話でございますが、これは確かにやはり町村それぞれに細分いたしました結果、人事権或いは指導権等について事実上町村自体ではもてあましますので、従つてもつと大きく固まるような傾向があることは、これはまあ当然だとも考えます。ただ先ほど申しますように、初めからもう設置そのものの趣旨をなくしてしまうような、どうかしますと骨抜きにでもするようなことになりますことは、これは改正しません限り甚だ穏当でなくなるわけなんでございますので法の許されました協議会なりその他の便法もあることでございますから、一応それらの便法によつてつてみる、その間になお検討したい、こういう実は私ども考え方をいたしておるのでございます。
  102. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点についての質問は、ここで私打切りますが、あなたが今御説明なつた助役の仕事の内容と教育長の仕事の内容に関する説明は大体でたらめだと思うのですね。絶対私は了承できません。教育委員会法の立法精神から言つて、今の説明は私は了承できない、そういう考え方から助役を教育長に横すべりした、兼任さしたというような説明であつたら、もつてのほかで、了承できません。  私はそれは意見ですが、お伺いしたい点は、今もあなたから若干の答弁を頂いたのでありますが、現段階において一番大事なことは、日本の教育民主化、その躍進を遂げるためにああいう無理な過程を辿つて、十分審議し、結論を得ることなく発足した教育委員会によつてもたらされる日本の教育面におけるところのマイナスを少しでも食い止めるというのには如何にすればいいかということが、当面私は一番大きな問題で、我々真剣に考えなくちやならん問題だと思う。で、マイナス面をできるだけ食い止めて、そしてプラスの面が出て来るところの方策を現実的に具体的に我々は考えなくちやならん、こういう私は段階だと思うのでございます。従つて実際まあ予算が十分か十分でないかということは今ここで解れませんが、実際運営をやるに当つて全く混乱昏迷を続けておるわけですから、はつきりこういうふうにやつてつたらいいんだ、日本の実情に副うのだという結論が得られるまで、私は今の給与権とか、或いは人事権とか、指導権とか、こういう教育委員会法に盛られているところの最も根本的な大事な仕事を暫らく従来通り都道府県教育委員会でこれを取扱つてつて、結論が出たあとに初めて混乱がないように移譲して行くという工作を私はとるべきじやないか、あなたがたそういうことを考えたことがあるかないか。そういうような単独立法をするところの用意はないか、私はあつて然るべきだと思うのですが、その点どう思われるか。でないと、今解散の落し子として生まれたが、お金がどのくらいあればいいかわからない、これがうまく行くか行かんかわからない、まあ一つ歩かせてみて、歩かせた結果によつて考えてみると言われますが、教育のことは、生きた人間だから丁度植物が成長するようなもので、一度途中で曲つたらそれを真直ぐに元に戻せない。その植物を育てることができないと同様に、生きた人間はこれは時間的に逆戻りできない、教育の仕事ですから、薄氷を踏むように、先の見通しがわからないような暗中摸索でやつて行くことは、これは無責任だと思うのですが、その点どういうふうにお考えになつていらつしやるか、答弁頂きたい。
  103. 田中義男

    説明員(田中義男君) 私ども事務当局といたしましては、只今単独立法をしようというような考え方は実は只今のところは持つておりません。ただ御承知のように、ともかく教育委員会そのものの狙いと申しますか、本旨というものはどこまでもこれを活かして行きたい、こういうふうに実は考えておるのでございまして、従つて、そういつたふうな立場から教育委員会のあり方なり運営というものを一つ考えて、そうしてこれを指導或いは援助もして行きたい。かように考えておるのでございます。従いまして、ともかく一応発足をいたしまして、それもまあ私どもが当初心配いたしたほどのこともなくて、ともかくお蔭様で発足できましたので、従つて今後その運営その他についてできるだけ、又許された範囲において、ともかく調整、助言をして行きますなら、やれるのではないかというような実は当面希望を持つておるのでございまして、さようなことで只今はその推移について見守るばかりでなく、その結果等についても慎重な検討を加えたいと、かように思つておるものでございます。
  104. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) 矢嶋君にちよつと伺いますが、この問題は極めて重要な問題で、今の御説明を聞いておると、文部省でも十分わかつておられんようだし、文部大臣出席を願つて、徹底的に御質問したらどうでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 若木勝藏

    委員長若木勝藏君) では今日の委員会はこの辺にいたしまして、ただ山本委員のほうから、この委員会を閉じましたらすぐ懇談会にいたしまして、文化財の保護について御懇談申上げたいというお話でございますから、そういうふうに取扱いたいと思います。ではこの委員会を閉じましすと同時に懇談会に移りたいと思います。委員会はこれにて散会いたします。    午後二時二十五分散会