○
政府委員(小倉武一君) 災害
補償法の一部を改正する
法律案につきまして概略御説明をいたします。本案なり要綱を御覧にな
つて頂きまして順々に
お話をしたいと思います。
第一点でございまするが、この
法律の十二条の改正でございます。これはどういう
趣旨であるかと申しますると、現在の建前から御説明することになるわけでございますが、これまで共済掛金の農家負担と国庫負担の割合をここで示しておるわけであります。従来現行法によりますると、通常共済掛金標準率のうち、全国最低の府県のものを差引いた残りの二分の一を国庫負担と農家負担でやる、こういうことにな
つております。二分の一が国庫負担、二分の一が農家負担、かようにな
つておりまして、この全国最低
部分につきましては、全く農家負担ということに相成
つてお
つたのであります。そこでこのたびはその点を改正いたしまして、従来の全く農家負担にな
つておりました
部分につきましても、三分の一は国庫負担ということにいたしたのであります。それによりまして農家の負担が若干軽減される、こういうことに相成るのであります。お配りしたものに図表がございますと思いますが、これを御覧頂きますとよくおわかりになると思うのでありまするが、この図表について
只今申上げましたところを若干敷衍しながら申上げます。この図の一番左の方が現行に基くものであります。大体反当の共済
金額を六千円と、こうふみました場合の図でございます。現行制度によりますと、通常共済掛金標準率、異常共済掛金標準率、超異常共済掛金標準率、こう三つに分れておりまして、最低の
部分につきましては全然農家負担、残りの通常の
部分の半分が国、半分が農家、異常となりますと、同じように半分が国で半分が農家、超異常は全部国庫負担、こういうことにな
つておるのであります。改正
法案におきましてはその右の真中の図になるのでありまして、従来最低の全く農家の負担にされておりました
部分についても三分の一は国庫負担にする、こういうことであります。
そこでこの際もう一点補足しますと、昨年申上げましたように、水稲につきましては安全割増分というのを昨年の料率のときに削除いたしたのでありますけれ
ども、この際やはりそれを復活したほうが連合会の経営に安全性を増す、それからこの際復活いたしましても農家負担は増加しないということに
考えまして、安全割増分を復活いたしたのであります。この安全割増の
部分につきましても全然農家負担ということではありませんで、半分は国が負担する、半分は農家負担、さようにいたしたのであります。これが十二条の改正の
趣旨でございまして、従来のやり方と今回のやり方とを比較いたします場合に、両方とも六千円の反当の共済
金額でいたしますと、これも図表の線で書いてございまするが、従来の割合で申しますと、農家負担は四六・五%、国庫の負担は五三・五%、かようにな
つておるのでありまするが、今回の改正によりますと農家負担は四〇・四%、国庫負担が五九・六%、かようになりまして、農家負担が軽減されるということに相成るのであります。
次のページでございまするが、第二点といたしましては、組合の設立の認可の点が二十五条の改正
法律案にな
つております。従来の設立の認可につきましては、いわば準則主義の認可でございましたのでありまするが、そこに若干の自由裁量の余地を残す。と申しまするのは、共済組合の公共性と申しまするか公益性に鑑みまして、或る
程度のやはり若干の自由裁量の余地を残す必要がある、かような
趣旨で以てここに改正をいたしたのであります。
なお二十六条で、認可の
申請がありましてから行政庁が認可又は不認可の通知をするまでの
期間が、従来一カ月ということでありましたのが如何にも短いので、これは二カ月に直すことにいたしたのであります。
なお又細かくなりまするけれ
ども、認可の
申請がありましてこの設立の
状況につきまして設立の発起人等に照会をいたす、こういつた場合には、いわばこの
期間が中継されるといつたような
規定を念のために入れておいたのであります。
次に第三十二条以下の
規定でありまするがこれは共済組合の役員の責任についての
規定であります。従来ともこういう
趣旨で役員が組合なり連合会の運営をいたさなければならないことは言うまでもないのでありますけれ
ども、忠実の義務と申しますか、忠実に職務を遂行しなければならんという
趣旨を、三十二条の二という条文を追加いたしましてその旨を明かにしたのであります。その義務に伴いまして責任の
規定も又おのずから若干重くいたしておるのであります。
それから責任の
規定と関連いたしまするが、行政庁の監督の
規定につきましても、若干の強化を謳
つておるのでありまして、それが八十条の
規定でありまして、従来行政庁が団体を検査いたしましてそこに若干の違法のことがあるという場合には、必要な
措置を命ずることができることにな
つておりましたが、
措置を命じまして必要な
措置をとらない場合はいきなり団体の解散ということに相成
つてお
つたのでありますけれ
ども、そこに役員の改選命令或いは役員の解任というふうな処分ができるような
規定を入れたのであります。
次は蚕繭の
関係でありますが、御承知の
通り現在の建前で申しますると、春蚕繭と夏秋蚕繭が一本の
補償制度にな
つておりましたのを、それを春蚕繭と夏秋蚕繭に分けまして、
補償制度の
目的が更に十分行くようにいたしたのでありますが、これによりまして春蚕繭につきましては相当
程度農家負担が軽減されるということに相成ろうかと存じております。
その次は百六条の
関係でありますが、百六条の現行法は実は
附則で以て
施行がされておりませんのであります。そこで収量によ
つて若干共済
金額は違いますけれ
ども、画一的な共済
金額にな
つてお
つたのでありますけれ
ども、今回はそこに若干の弾力性を持たせまして、危険階級によりましてこの収量区分による共済
金額を定めることにいたしたのであります。この点につきましても先ほどの
資料を御覧頂きますと右のほうの枠の中に書いてありまするのが、これが説明に当るわけであります。例えば現行法で申しますると、二石以上のものは七千六百円とこういうふうに画一的にきま
つておるのであります。今回改正いたそうとされております点は、その右のほうの危険階級別に書いてございますが、危険階級の第一階級に属するものは従来
通り七千六百円、併しながら第二階級に属するものは七千六百円か、七千二百円を選ぶことができる、第三階級に属するものは七千六百円か、七千二百円、それから六千八百円といつたような三段階を選ぶことができる、第四階級は更にもう一段加えまして六千四百円まで選ぶことができる。かようにいたしまして、この百六条の本来の
趣旨を若干活かしましたので、この際百六条を改正して
只今御説明いたしましたようなことにしたい、かように
考えたのであります。
それから百七条の
規定はそういう
措置に伴いまする技術的な
規定の改正であります。
次は百九条の
関係でありまするが、これは先ほど申しましたように、蚕繭共済につきまして春蚕繭と夏秋蚕繭の二つに分ける、こういうことと相伴いまして現在の
補償の限度は四割以上の
被害について
規定がされておるわけでありまするが、それを三割に下げまして
補償の限度を拡大すると、こういう
趣旨であります。
百十条の
規定は先ほど申しましたように春蚕と夏秋蚕につきましての
期間の
規定であります。
大体以上がこの一部改正の
法案の概要でございます。
次に
家畜共済の臨
時特例に関する
法律案の概要を御説明申上げます。
この特例の
目的は、
法律の第一条に書いてありますように、家畜の死亡廃用の共済と疾病傷害の共済とをいわゆる一元化いたしまして、死廃病傷共済ということにいたしまして、これを一部組合に当てはめまして実験をいたしまして、今後の
家畜共済制度の合理化に資しよう、こういうことであります。
対象となりますのは第二条以下に書いてありますが、大体この死亡廃用と傷害疾病の共済を一元化してやり得るようなすでに地盤ができておるような地帯を重点に選びまして、その組合の同意を得て
農林大臣が指定する、こういうことにいたしたいと思
つております。勿論この指定につきましては途中都合によりまして指定をやめるというようなこともありますので、農家単位の場合と同じように指定の取消もできるようにいたしてあります。
第三条の
規定は、これはこの特例による家畜の共済が死亡廃用と疾病傷害とを一元化した死廃病傷、それから従来あります生産共済、こういうことになりますのは申すまでもないことであります。
次に共済掛金率でありまするが、共済掛金標準率というものを定款できめまして、それによ
つてやるわけであります。この掛金率の範囲は二項に書いておりますように共済掛金標準率を下らないように定める。
次のこの但書をおいた意味といたしましては、死亡廃用と疾病傷害を一元化しまするために、共済
金額の非常に高い家畜におきます疾病傷害に当る
部分の共済掛金が非常に多くなるということになりますと、これは農家経済の上から申しましても困りますし、又さようなことがあ
つてはなりませんので、さような場合におきましては例外を
作つて、そういうことが起らないようにいたしたい、或いは疾病傷害
事故というものが殆んど起らない、こういうことが確実に認められるような場合には、同じようにやはり共済掛金率を引下げる、こういう
趣旨であります。
次にこの掛金標準率のきめ方でありますが、これは
法律には現われておりませんが、今
考えております点は二つに分けております。
一つはこの共済金の
目的である診療費の問題でありますが、このうちいわば技術料と申しますか、人件費
部分的なものを除いた
部分を
目的とするもの、もう
一つはこの診療費のうち技術料的なものを含んだもの、この二つをきめたい、かように
考えております。
従いましてこの次の五条の共済金につきましても、先ほど申しましたような技術料を含んだものと、又含まないものと二種があり得るわけであります。この選択は勿論組合が全部組合員の意思にかかわらずきめるのではございませんで、組合員の個人の自由選択というふうに
考えております。診療費のうち技術料を含んだ
部分を選ぶか、或いは技術料を含まない
部分を選ぶかということは組合員の自由意思にいたしたいと、かように存じております。第五条の
関係はさようなことでありますが、次の会計の区分は、こういう実験をいたしまするので、指定組合にかかる分につきましては経理を区分する、そういうことによりまして、実験の
一つの材料をよりよく得られるということ、なお又補助の
関係もございまするので、かような
措置をいたしておるのであります。
次に今申しました補助金の
関係は、第七条に別途今出て来ておるのでありまするが、この
趣旨とするところは、死亡廃用と疾病傷害を一元化することによりまして危険率が低下する、死亡特に死亡廃用の危険率が低下するということが期待できるのであります。これも従来の実績によりましても疾病傷害の共済が相当進むと、死亡廃用の危険率が若干低下するといつたような実績もございまするので、そういう低下を見込みまして、それをこの指定組合の補助金に
一つ充てよう、こういう
趣旨であります。これによりまして疾病傷害に加入することによりまする共済掛金の若干が実質的には軽減される、かようなことに相成るのであります。
次は第九条の審査会の
規定でありまするが、この
家畜共済の一元化の実験につきまして、いろいろ実施上の問題が生じて参ると存じまするので、この点につきましてはこの審査会にかけて、この
意見を十分尊重してこの試験の運営の十全を期したい、かよう
なつもりであります。
第十条は従来の
家畜共済に関する
規定の準用の
規定であります。なおこの試験は約二年間実施をいたすつもりであります。
附則におきまして三十年の十月というふうにな
つておりまするが、これはこの
法案が
通りましてもすぐに即日から新しくこの実験の一元化に切替わるということはできませんので、若干の
準備期間を見てございます
関係上、二年半余りに
期間を予定をいたしておるのであります。
附則の三項、四項、五項等は、従来の死亡廃用共済、疾病傷害共下洛が別々に行な
つておりましたのを、この制度に切換えますための経過的な必要な
措置であります。大体概略でございまするが。