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1953-02-24 第15回国会 参議院 農林委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十四日(火曜日)    午後二時二十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山崎  恒君    理事            瀧井治三郎君            徳川 宗敬君            三橋八次郎君    委員           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西山 龜七君            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            小林 亦治君            清澤 俊英君            岡村文四郎君   政府委員    農林大臣官房長 渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農地局管    理部管理課長  河井大治郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案  (衆議院提出) ○海岸保全法案に関する件 ○農林政策に関する調査に関する件  (食糧増産に関する件)   —————————————
  2. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では只今から農林委員会を開きます。  先ず海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案を議題といたします。直ちに質疑に入りたいと存じます。
  3. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 昨日からいろいろなことをお聞きいたしておりますが、何と申しましても非常に重要な仕事であり、この仕事政府が上げようとするには、予算が一番大事なことでありますが、どうも食糧増産計画を立てられて、いろいろお考えになつてつて予算が取れないために変えなければならん、こういうふうな状態でありますから、まだ大蔵省と何の打合せもろくにできていないようでありますが、今までやつて来たことを見ると、いろいろ御心配願つて質疑応答をして通した法律が全く効果がないというような感じがいたします。今までのように若しこれも終るのなら、非常に期待をせられております地方かたがたには非常な御迷惑をかけることになると思いますので、これは議員提出案でありますが、農林省のほうで、第一年度半端でありますから恐らく本事業にかかられるのは二十九年度からになると思いますが、予備費のうちから多少は取れましても大したことはなかろう、そうなりますと、何というてもどんどん予算が取れないとものにならんが、およそ何ぼくらいは一体予算が取れなければこの法案を通した効果がないということにお考えになつておるか、一応その肚はあると思いますからお聞きしたい。
  4. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) この法律を出すときに各府県からデータをとりますと、約八十億内外の国の財政支出が要る、こういうことになつております。併しそれにしましても、この法律に基いて振興計画を立て、それをもう一遍県で検討を加えましてどれだけになるかはつきりしませんが、従来この方面農林省で組んでいる予算が、二十八年度に予定しておるのは海岸砂防林で約七千万円ばかりになつていると思います。それから農地改良関係で二千万円余りになつております。従いまして法律を出してやる以上、従来でも問題になつておるのを更に促進するというのでありますから、最高限は今府県から出ておるものであり、最低限はこの法律が出て総合的な振興計画ができない前にでもこの程度出ておりますので、これの最低限の何倍かというふうに考えるのであります。具体的な数字はもう少し現地事情調査し直さないとはつきり申上げかねると思います。
  5. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今官房長お話は御尤もであります。私に言わせますると、一刻も早く農林省技術屋自体現地を十分に調査をして、そうして地方要望も大事でございますが、現地を見るということが一番大事で、実際に金が少しかかりましても、専門技術者がその地方農業試験場と協力して、これを本当に軌道に乗せるように、法案を通す以上は、そういう我々がただ単に法案さえ通せばよいというのじやなくて、事業が実際にできるように是非しなければならんと思いますから、それには調査が十分できてないと肚のある仕事ができないと思いますから、その面に大いに努力してもらいたいと思います。ところがどうも農林省に当つて見ると、技術部と言いますか、どうもちよつともの足らん点があつて残念ですが、これは今更どうのこの言つても仕方がないが、勉強になりますし、これが通ると同時に又雪になります、もう少ししたら雪が少くなりますから、即時この予算予備費の要求前に現地を見せて、そうして進まれる肚があるかどうか。
  6. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) お話の点は是非そういうふうにしたいと思つております。
  7. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この年限最終年限三十五年になつておりまして、今までのこういう単行法が、最初は五年のものがございましたが、最近は七年、こういうふうになつて出ておりますが、これはどうせ二十八年度は本事業が行われんと思いますから六年になる、ですから一つそれを記録に残しておいて、七年のつもりでやつたのが最初の年度がおかしいから、そうじやないかということを私が言つたことを一つ記録に残しておいて、そのつもりでやつて頂きたいと思います。
  8. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは今のお話のように単作法、急傾斜法はやはり特殊の地帯で特殊の調査なり、特殊の対策があるので、五年でやると一年、二年すぐたつてしまうものですから、七年にしてやつと五年計画というぐらいに考えておるのであります。いろいろ特殊立法について我々も苦慮しておるところがありますので、お話の点は十分慎重にやりたいと思つております。
  9. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これも大体今と同じような問題ですが、最近特殊地帯関係立法が非常に出て来ておりますが、最初計画されたのは積寒法であつたと思うのであります。僕らこのときやはり関係者の一人として大いに期待もし、将来に大きな希望を持つてつたわけでありますが、その後いろいろ各種のこういうものができまして、俗な言葉で言えばピンぼけのような形になつておるような感じがするのでありますが、それでこの特殊地帯振興法一つ食糧増産を狙うのと、それから特殊地帯農業経営改善というか、救済というか、そういう二つ考え方があるようにも思うのであります。殊にこの頃食糧増産というような考え方からいたしまして、いろいろ出て来まする特殊地帯振興法にもおのずから軽重が私はあると思うのであります。で農林省のほうで議員立法でいろいろ出て参りますが、こういう特殊立法に対してどういう基本的な考えを持つておるのかということ、それから私は積寒法のようなものは食糧増産見地からいえば、これはうまく活用したならば非常に大きな増産効果を挙げることができると思うのでありますが、今までの一、二年の経過を見てみると、本当におざなりの形にしか運営されておらん、こういう感じがするのでありますが、一体こういう法律に対してどういう考え方、又経済効果などというようなものをよく考え予算研究、或いは折衝というようなことをやつておられるかどうか、参考に聞いて見たいと思います。
  10. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 御承知のように、予算の建て方が土地改良或いは山林事業というようになつております。土地改良の中で灌漑排水とか開拓、干拓、それが国営、団体営、こういうふうに分れております。一方特殊立法のほうは特殊の地帯を取上げて特殊地帯の総合的の農業振興計画を基としてやるというのでありまして、一つ仕事を縦横に掴んでおるのであります。そこで予算の編成に当りましてはどうしても今までの考え方で行きますと、灌漑事業なら灌漑事業を全国的に見るというのと、或る地点を以て総合的に見るというのとなかなか調整がうまく行かなかつたのであります。その点農林省の中におきましては、機構的には土地改良関係については農地局、これを総合的に見るのは官房というふうにやつておるのであります。お話のようにその趣旨が十分徹底されておらないので苦労しておるのであります。その点は今後、こういうふうに特殊立法がたくさんできましたので、その趣旨が重点的にできるようにやりたいと考えております。ただ二十八年度の予算につきましては食糧増産をできるだけ早くやりたい、こういう見地から継続事業或いは効果の早く出る大規模なもの、継続事業の早期繰上げ完成、或いは大規模のものをやるというので、そういう地点がある地方につきましては相当効果は出ると思いますが、そういう地点がない地方につきましては、例えば団体営に廻す金が予算の総額が伸びた比率ほど伸びない、こういうような場合もできるかと思いますが、これは今後あらゆる機会に予算を伸ばす際に是正して行きたい、こういうふうに考えております。
  11. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 どうもいろいろ特殊地帯関係立法についてここ一、二年非常にたくさん出て来たのでありまするから、そろそろ農林省ではこういうものに対する総合的な立場からの考え方を固めて行かれていいのじやないかと私は思うのでありますが、筋としては非常に増産を狙うことが中心になつておる特殊地帯関係のものと、それからどちらかというと零細農業、或いは貧窮農業救済的な性質を帯びたものと二筋あるように思うのでありまして、よその地帯のことをいろいろとやかく言うことはちよつとどうかと自分でも思うのでありますけれども、例えば急傾斜地帯などという関係のやつは、これは食糧増産を大いに狙うというような筋のものよりも、むしろ特殊経営救済するというような性格が強いのじやないかと思うのでありまして、特殊地帯関係法律に大きく二筋あるように私は思うのでありまして、そこで食糧自給増産計画などが今大いに考究されているときでありますから、まあ議員立法とは言え、又特殊地帯立法とは言え、増産計画に大いに活用できるものは遠慮なくその法律を活用してやつてもらいたいと思うので、その例として私は積寒法などというものは活用、運営の如何によつては非常に大きな効果を挙げるし、而も日本の大体半分くらいの地帯がそれに包含される。この運用によつては非常な増産効果期待できるのでありまして、そういうところをやはりもう少し同じ特殊地帯対策法というような考え比率的に、これにこのくらい出したからこれにはこのくらい出さなければならんというようなことでなしに、筋を入れた対策というふうな考え方を私は持つてもらいたいと思うのであります。重ねてもう一回、大臣からでも聞きたいことでありますけれども、官房長の所見を伺いたい。
  12. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) お話の点御尤もでありまするが、農林省としますと、食糧自給は是非やらなければいかん、併し零細農救済の施設もやらなければいかん、その両方満足さすのにはどうしても予算の枠を殖やさなければいかん、こういうので努力したのであります。十分に努力の効果が出て来なかつたので甚だ遺憾なのであります。なかなかむずかしいと思うのでありますけれども、食糧増産もやらなければいかん農家救済もやらなければならん、二兎を追わなければならんところに苦しいところがありますので、きちつと割切つてないところがあるのでありまして、どうしてもこれは今後予算を増して、その問題を解決する以外に方法はないのではないか、こういうふうに考えております。
  13. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 特殊地帯関係立法はたくさん出て来ましたから、ここらで一つ今まであるいろいろのこういう法をまとめて研究して見て、増産に使えるような法律、或いはこの農業特殊経営救済になるようなもの、こういうものを分けて、何かこうまとめたものにして見たいというような考えを持つておられるかどうか、或いはそういうことを研究して見るかどうか聞きたい。
  14. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 食糧増産の問題は、今食糧自給促進法を準備しております。それによりまして、もう少し具体的に、個処別に、この事業量増産量、それに要する費用、それから増産効果というものを掘下げて行つて増産の実を挙げる方向では食糧自給促進法のほうを相当重視して効果あらしめたい、そういうふうに考えておるのであります。この特殊立法を一本にまとめてしまえば、特殊立法として必要性が出た趣旨が没却されますので、特殊立法特殊立法として、与えられたる期間に、最善の効果を出したい、やはり並立的に考える、そうして増産のほうは財政支出の増加によつて、その財政支出の増加されたものを効果的に使うやり方をもう少し念入りにやつて行く、そういうふうなやり方で行くより方法はないじやないかと思います。すぐこれらの特殊立法を合せたような法律を作るという考えはまだ持つておりません。
  15. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 只今段階では大体そういうことだろうと思いますが、こういう特殊立法がたくさんできて、而も最初鳴物入りで宣伝されて、一向中身がなんにも付いて来ないということで、非常にこの頃議員立法と言いますか、こういう立法威信が失われかけております。それで却つて計算して見りや若干特殊立法のために殖えておるとは思うのですけれどもね、却つて減つたとか、いろいろ地方で騒いだりする所もあるので、非常に法の威信に私は関係すると思う。だからそういうような意味も含めて、議員立法でどんどん通過して来るのですから、これは仕方のないことですけれども、或る段階では、やはり農林省としては、殊に食糧自給促進法案などを考えられておるということでありますから、増産効果の大いに狙えるものはその中に吸収して見る、そういう面の研究をしてもらいたい、こういうことを希望しておきます。
  16. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 特殊立法効果が議論になりましたが、私どものほうでは特殊立法狙い二つまあ持つておるのです。それは、特殊立法によつて財政支出を余計確保するというのと、特殊立法によつて特殊立法の対象の地帯農家の、何というか、計画的な、総合的な食糧増産なり、或いは経営改善を進めて行こう、こういう二つ狙いがあるのであります。特殊立法ができたから、すぐ全町村に、それから問題になる地点にすぐ全部金が付くと期待されるのは、まあざつくばらんに申上げますれば、少し虫がよ過ぎるので、やはりこの法律に基きまして、振興計画を立てて見ると、やはり村の中でやらなければいかんということが相当はつきりしたので、例えば裏作の伸び方、そういうものは歴然として相当出て来ておるのじやないかと思います。それから、これはもう少し出て来なければいけませんが、我々のほうの係員が出て行つた調べによりますと、例えば協同組合内容が非常によくなつたとか、そういうふうな効果は相当出ておるのじやないかと思うのであります。従つて特殊立法の価値というものも、我々としましては相当あつたと、こういうふうに考えておるのであります。とにかく今までの法律は、五カ年の時限法であります。今度の砂地のやつは、七年でありますが、その間にできるだけのことはやつてあと更に特殊法でできなかつた部分はお説のようなやり方で推進して行く、こうするのが一番いいじやないかと考えておるのであります。
  17. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは私も特殊立法効果というものはあつたと思いますし、又我々が当初こういう特殊立法考えたときにはそれが非常に狙いであつたのでありまするけれども、次から次へだんだんできてしまつて特殊地帯でない所は殆んどないようなほどではありませんが、この間湿田単作ができて、殆んど全部が特殊地帯になつてしまつて、それにはもうこういう特殊地帯振興法律のあるのもないのも同じようなことになりつつあるので、そこはやはり経済効果その他を十分検討して、重点的に育ててもらわなければならんというのが私の希望であります。重ねて言いまするが、殊に積雪寒冷単作地帯振興法、これは私は今でもこの法律運用の仕方によつては非常にいい内容を持つておるものだと僕は思いまするので、そういう点を今後更に研究をしてもらいたいということを要望して、もうよろしうございます。
  18. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 他に御質疑ございませんか。ほかに発言もないようでありますから質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 御異議ないようでありますから、それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛成を明らかにしてお述べを願います。
  20. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 私は本法律案賛成をするものでございます。ただ二、三この運営につきまして希望條件を述べたいと思います。  先ず第一番目には、先ほどから質疑もありましたように、予算の問題でございます。特殊立法は、日本農業事情から考慮いたしまして、環境的に非常に困難を生じておる地帯を振興するという意味におきまして、極めて重要な点であるのでありますが、法律だけできまして、本当にそういうような貧弱地帯救済するだけの裏付がなかつたならば、到底法律効果を挙げることはできないと思うのであります。かような意味合におきまして、今後予算裏付を十分にして頂きまして、所定の期間内に十分法目的を達するように第一に配慮願いたいと思います。  第二番目には、防潮或いは防災林は、ただ砂地地帯農業ばかりでなくして、防潮林効果というものは内部農業にも重大な関係があるのでございまして、これの保護育成というものは極めて重要であるのであります。ただ心配になりますのは、今後進駐軍の基地といたしまして、折角重要な役目をつとめておりますこの防風林が伐採されますと、そのために被害をこうむるというようなことのないように、特に一つこの方面にも十分な対策を講じて頂きたいと思うのでございます。  それから第三番目は、こういう地域の農業というものは、ただ経済第一主義経済合理主義によつて政策が立てられてはいかんと思うのでございまして、どこまでも社会政策的な観点に立ちまして、総合的にその地帯農業開発を図るようなふうに考えて行かなければならんと思うのでございます。いろいろなこの法律政策を見ましても、その方面の注意に欠けておるように思うのでございますが、今後におきましては、やはり先ほどからお話にありましたように、貧弱農業経営合理化という意味におきまして、社会政策的の事柄も十分に取入れて頂きたいと思うのでございます。  その次に問題は、この砂地の分布はかなり広汎にあるようでございましの、気候的に立地的にいろいろ違つた條件があるのでありますが、そこに合理的な農業経営を樹立するためには、単にその地方習慣農業的の習慣だけではとてもできないと思うのでありまして、十分に試験研究方面にも力を入れまして、それぞれの立地的に極めて合理的な構想を以ちまして、画一的に農業経営を指導するということでなくして、地方的の條件に適合した構想を以て臨んで頂きたいと思うのでございます。  その次に問題は、やはり砂地農業改善開発というものにつきましても、それぞれの地帯におきまして重点事項というものは勿論あると思うのでございます。例えて申しますると、客土をして土地改良をする、或いは灌水をする場合に、機械灌水をやるというような、それぞれの重点事項があると思うのでございます。それにつきまして、国で補助をする場合の補助率が、客土に対してはこういう前例があるから、この地帯に対しても客土補助比率はこれで行くのだ、又水揚げの灌水の設備に対しましてはこういう補助率前例があるからというのでやられたのでは、本当の目的を達することはできないと思うのでありまして、それぞれの地帯につきましての重点事項につきましては、本当に特殊法律であるというような観点に立ちまして、重点的に助成をして頂きまして、早急に開発農業合理化というものができるように特に御配慮願いたいと思うのでございます。  以上二、三、この地帯特殊性というものから考慮いたしまして、気付いた点の要望を述べまして、本案に賛成の意を表するものでございます。
  21. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私はこの法案には双手を挙げて賛成するものであります。ここで、前々もいろいろお話を申上げておりましたし、又今いろいろと他の委員からもお話がございましたが、これは今までの特殊立法の中で、昨年の十二月の二十四日に成立をいたしました湿田単作とはまるつきり打つてつた法律でございます。そこで風を防ぎ、土地改良をし、両々相待つてやならなければ成立たないのでございますが、私一番心配をする点は政府補助でございます。受益者負担を相当しなければならん部分があると思います。全部見たわけではありませんから、全部とは申上げませんが、私見た地方砂地帯におられまする農家かたがたは、見たところ、内容はわかりませんが、実に貧弱でございます。ですから、これをどうして軽くしてやらせるかということでございますが、それには、今後の農業経営が十分に成立つように仕向けてやりませんと補助金とその他に融資を受けて工事を行なうということになりますと、変つた観点から見て、育て上げる方針がなければ成立たないと思います。湿田地帯におります農家かたがたは、湿田だから非常に貧弱で悪い農家かと思うと、そうではありません、非常にいい農家がたくさんおられまするが、海岸の、今のやかましく言つておられます地方農家は、見るところでは実に貧弱でございまするから、受益負担の面には十分にあとから……、そのときは到底できますまいから、改良資金によつて補うなり、或いは政府補助率を相当に考えながらしてやらなければならんと思いまするから、その点を十分に御考慮になつてやりませんと、あれが全部平坦でございますと、砂漠開拓で丁度いいと思います。ところがほうぼう山があつたり……、平らな所もございますが、そういうわけで、外国の砂漠改良をするようには行かんと思います。平らな所では、水を流して、その水によつて大いに改良もできると思いますが、我が国の海岸砂地に限りましてそういう操作は困難でございまするが、これはその土地農業試験場にお聞きせんとわかりませんが、私の考えたところ、見たところでは、非常に特殊にいい作物を技術者かたがたが選択をされると、非常にいいものがとれる地帯になることがあると実は考えておりまするから、どうぞこの法律が十分に意義あるように、特殊立法ではあるが、当局のほうで御配慮を願なければならん。先ほど石原さんからいろいろとお話がございましたが、特殊立法がだんだんと出て来て、どうも国の援助が少くて甚だおかしい。積寒法などは最もいいというようなお話がございましたが、積寒法であの法律通りに全部国が援助をいたしますると、相当な成果も挙がりますが、それでも一番早かつた関係かどうかわかりませんが、現在の特殊立法の中では、早くからやつておりまするから、あれが一番ましになつており、区域も広いから、予算額も非常に大きい、こういうわけでございますが、ただ我々が議員立法を通したその面目も非常に恐れるのでございます。地方行つて見ますというと、この法律さえ通れば、もうすぐにでも立上れる、まるで生き返れる、こういうふうに思つておる所が多いのですから心配いたしておりまするから、官房長お話を承わりますると、なかなか急にはうまく行かないが、徐々に何とか行くようにしたい、こういうような御答弁がございましたが、食糧増産についてはこの法律は最も適当であり、これを真直に、まじめに行なつてさえもらえれば、相当な増産もできると思いますから、是非今まで出て来た特殊立法は全部でございますが、もうあんまり特殊立法を出されて、そうしてあとの面目が立たないようでは実は困りますから、本当はこれから出る特殊立法はよほど考えてから通さんならんと考えておりましたが、これはどうもその余裕のない法律でございますから、各員に御賛成願つて軽く通るのでございますが、軽く通つたということは、重要性があるから軽く通つた、こういう考え方当局のほうで十分今後一大馬力をかけてもらいたい。ということは、予算をたくさん取つてもらいたいということでございます。そのおつもりで是非効果があるようにしてもらいますことを申上げまして、本案に賛成をいたします。
  22. 山崎恒

    委員長山崎恒君) ほかに御意見ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  他に御意見がないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案を原案通り可決することに賛成の方の御起立を願います。    〔賛成者起立〕
  24. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定されました。  なお本会議におけるところの委員長の口頭報告の内容等成規の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 御異議ないものと認めます。  次に本案を可とされた方は例によりまして順次御署名を願います。   多数意見者署名     瀧井治三郎  徳川 宗敬     三橋八次郎 池田宇右衞門     石原幹市郎  西山 龜七     宮本 邦彦  森田 豊壽     小林 亦治  清澤 俊英     岡村文四郎   —————————————
  26. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 続いてこの参議院議員深水六郎君ほか十一名の提出にかかりますところの海岸保全法案の件を議題といたしますが、本法案は、目下建設委員会に付託せられておりますが、農林業に深い関係を持つておりますので、農林当局から本法律案についての意見を聞き、これが取扱を打合せいたしたいと存じます。先ず本法律案について、一応これは建設委員会に合同審査を申込むかどうかというような問題でありますが、内容だけ河井管理課長からちよつとその前に提案されました点と変つた点がありますので、極く簡単でありますが、ちよつと御説明願いたいと思います。
  27. 河井大治郎

    説明員(河井大治郎君) 只今お話のございました海岸保全法案は、昨年の七月に提案をされまして、それが審議が未了のあと、今回御提案になつておるわけでございます。この法案に対しまする農林省の意見につきましては、曾つてこの委員会で全般的の御説明を申上げましたので、本日は昨年提案になりましたものと、今回御提案になりましておるものとの法案のうち、農林省関係のところで特に異なつておりまする点を御説明申上げることにいたしたいと思います。お手許のほうに海岸保金法案に対しまする経過並びに意見をプリントにして差上げましたが、一つの点は法案の第一條に湖沼というのがございます。「海岸(政令で定める湖沼の沿岸を含む。)」ということになつておるのであります。前回の法案におきましては、これが「海又は湖沼の沿岸を防護し、」というふうに書かれておつたわけであります。今回の修正の第一点は湖沼、湖沼の沿岸は政令で定めるもののみに限定をすると、こういうことになつておるわけであります。湖沼の沿岸はやはり干拓といたしまして非常に重要性を持つておるのでございまして、別に只今お手許に差上げました干拓事業の原水面別内訳というのがございますが、これは昭和二十年以降からやつておりまする農地局で取扱つておりまする事業をそこに表にいたして出しておるわけでございます。その実施中のものというところを御覧頂きますると、現在実施をいたしておりまするものが二万三千七百町歩ございまして、そのうち海面は一万四千町歩でございますが、湖面のほうが九千六百五十町歩でございまして、約一万町歩近くということであります。四割五分近くというものが湖面のほうに干拓を行われておるということでございまして、非常に湖面というものの干拓が重要な関係を持つておるのであります。又その表の裏側を御覧頂きますると干拓堤防の海、湖岸別の内訳というのがございますが、この区分で干拓の堤防の総延長の比を御覧頂きますると、二百五十万メーターのうち七十一万余メーターは湖岸にあるわけでありまして、これも三割くらいは湖面に関係をいたしておるということでございまして、湖面の干拓というものが極めて重要な意義を持つておるのでありまして、それを今回の修正で政令で定めるものということにされたわけでございますが、この点につきましては従来この法案の経過について申上げておきました通り農林、建設両省の間におきまして意見の相違があるわけでございまして、それを国会の皆様方の格別のお骨折りで案にまとめて頂いておるわけでございまして、この湖面を今回湖沼の沿岸を除かれますと、只今申上げましたような関係の点が甚だ不明確になるわけでございます。今度の案では政令で定めるということに一応規定をされておりますので、法律上の一応の体裁は備えるわけでございますけれども、従来のいきさつに鑑みましてこれが政令で定められますまではこの法律から適用が除かれるということになりまして、先ほどから申上げておりますような非常に重要性を持つておりまする湖沼の沿岸におきまする干拓に対しまして農林省のほうで補助をいたし、或いはいろいろな計画をいたして参りまする点がはつきりいたさなくなるという欠点を持つておるように思いますので、これは昨年七月提案になりましたようにされますことを私たちといたしましては事務的には希望いたしておる次第であります。申上げまするならば今回の法案でこれを政令で定めるということになりましてから今回の解決になりませんので、問題を残す、而もこの残されておることが相当実際面において大きな関係を持つておる、こういうことでございます。これは他の法律即ち河川法等によりまして河川法の準用ができる湖沼については河川法の準用ができるから法律海岸保全法と河川法と重複をする、そういうことを避ける意味において除くべきであるというふうな意見もあるやに承わるのでありまするけれども、その点は海面にいたしましても、湖面にいたしましても御案内の通りこれを埋立等をいたしまする場合には公有水面埋立法というのがすでにあるわけでありまして、やはりそういう地域にこの海岸保全法と二つ法律が適用されることになつて来るわけでありまして、これを本法案に入つておりましても法律的には支障のないものと私どもは考えるわけであります。それが修正されました一つの点に対しまする主な意見でございます。  それからその次には海岸保全区域から背後地を除くとなつております。これは前の法案におきましては「海又は湖沼の沿岸及びその背後地を防護し、」とこういうことになつてつたわけでございますが、今回この背後地を除かれるということになつたわけであります。背後地が特に入つておりましたのは農林省といたしましては、海岸或いは湖面に面しておりまする近傍地を保全することを主として参りたいということで臨時農地保全法案というものを持つてつたのでありますが、その法案と建設省のほうで立案されました海岸保全法案を一本に書き改めましたために、そういう背後地というふうな、前の案では用語が出ておつたわけでありまして、農林省といたしましては農地を保全する意味においてその農地の側から見ますると、農地を保全するための施設という意味において堤防その他の施設を防護するための法律を置きたい、こういうわけでございますので、これをやはり入れらるべきものであるというふうに考えておるわけであります。  それに関連をいたしまして第三の点は、元の第二條の二項のところでは、この海岸保全施設という定義の中に排水施設、密接な関係のある排水施設、例えば堤防の樋門のごときでございますが、排水樋門のごときでありますが、そういうものをはつきりと含めておつたわけでありますが、背後地まで除かれるということで、今回の法案におきましてはその排水施設も除かれておるわけであります。御承知下さいまするように、干拓地におきましては排水樋門というものは非常に重要な意義を持つておるのでございまして、内水面と外水面との関係につきまして、その干拓地の機能を左右いたすほどの重要性を持つておるわけであります。これは耕地のほうの側から検討されて、排水施設として施設をされなければならないというふうに農林省としては思つておるわけであります。この点が除かれておる、こういうわけであります。  以上のような三点が今回の修正におきまして大きく取上げられておる点でございまして、それに対しまする私ども事務的に考えておりまする意見は只今申上げましたような次第でございます。
  28. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 質疑ございますか。
  29. 小林亦治

    ○小林亦治君 この政令で定める湖沼と、定めない湖沼とはどういう差があるのでしようか。つまり政令で定める湖沼の範囲というものはどういう……。
  30. 河井大治郎

    説明員(河井大治郎君) 今回の案でそういうふうに立案をされておるわけでございまして、その内容も私どもではよくわからないわけでございますが、私どもが申しますることは、海岸であろうと、湖面の沿岸であろうと、農地を保全いたしまする堤防なり、樋門なり、排水の施設は差異がないわけでございますが、こういう区別なく政令で定める沿岸というふうな除外例を設けずに扱つて頂くべきであるというふうに私たちは思つておるわけでございます。ただちよつと申上げましたように、河川法で準用されるものであるから、二つ法律がダブつて適用されるようなことのないようにというような趣旨であるかにもちよつと聞いたのでございますけれども、そうでありまするならば、あえて河川法に限りませずこの法律の中にも三十一條のところに出て来るわけでございますが、やはり湖面につきましても、海面につきましても、公有水面埋立法というものがあつて、同じように二つ法律が適用されて行くわけでございますから、そういうことが特段の理由にならないように私は思つておるわけでございます。で恐らくこれは河川法で準用を見る湖沼等については、両省の協議の上できめたらよろしかろうという御趣意だと思いまするが、霞ケ浦にいたしましても、琵琶湖にいたしましても、現在は湖沼として河川法の準用を見ておるようなわけであります。私どものほうから申しますれば、堤防という意味においては何ら差異がない。その又ウエイトもさつき申上げましたようなウエイトを持つておる、こういうことであります。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 この政令できめるというやつと、湖沼ですな、そのほかに除かれるというのは、大体比重でどれくらいになつておるか。あなたのほうでわかりませんか。政令できめられる湖沼というものは大体予定があるだろうと思いますが、それわかりませんですか。それとその比重ですね。きめられるのはこれだけで、大体あとに残るものはこれだけでこれだけあるというもの……。
  32. 河井大治郎

    説明員(河井大治郎君) これは私どもさつきから申上げておりまするように、議員さんのかたがたのほうでこういう修正をされておるわけでございまして、私たちは湖沼は当然含んでこの法案に載るべきだと思つておるわけでございますので、今仰せになりました点について、只今資料を持つておりませんけれども、私どものほうから申しまするならば、湖沼として沿岸に農地のないものというものを特に取出されれば、例えば富士五湖のようなところで農地の全然ないものというふうなところで、或いは日光の中禅寺湖あたりでも沿岸に耕地がないものでありますから、これはまあ除かれるということはあり得ると思いますけれども、農林省の立場から申しまするならば、農地を保護して食糧の増産をして参るという立場からは差がないと、こういうふうに考えておるわけであります。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 私中座しますけれども私の意見だけ申しますれば、いろいろ建設省関係と話をしてみる必要があると思いますので、合同委員会をして頂くように、私だけの希望を申上げましてちよつと中座させて頂きます。
  34. 小林亦治

    ○小林亦治君 今清澤氏が質問された通りですね。つまりこの私の先ほどお聞きしたのは政令で定める湖沼の範囲に入らないものはどういう規模の湖沼か、それを伺いたかつたのです。沿岸に農地のある小さな湖沼がたくさんありましよう。つまりそこの場合ですね、そういう場合にどの程度のものがこの政令で定める湖沼に入るのか入らんのか、それだけでいいんです。ほかのほうはもう御説明を承わらんでも結構なんです。
  35. 河井大治郎

    説明員(河井大治郎君) 具体的にはこういう法案が急に出て参つたわけでありまして、私たちがそういうことを調査いたしまして立案したわけではないのでございます。簡略に申上げまするならば、只今例をお示しになりましたが、特に農地のために防護を必要としないというふうなものがありまするならば、これは別といたしまして、農地がございまして、その沿岸を農地の保全のために施設を必要とするものはやはり含めておくべきであるというふうに農林省として考えておるわけでございます。
  36. 小林亦治

    ○小林亦治君 それでは説明がわからないのです。運用のことをお聞きしているのではない。どういうものがこの政令に入るか入らんか、それをはつきり聞きたい。おわかりにならなければならないでいいんです。余計なことを言つてもらいたくない。
  37. 河井大治郎

    説明員(河井大治郎君) わかりません。
  38. 小林亦治

    ○小林亦治君 そうするとこれはやはり政令で定めるというような委任立法でなく、やはり一方に法律ならこの法律の中に限定してもらいたい。運用するほうも困れば、解釈するほうも困る。従つて審議はそういうことではできないのです。
  39. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これはこういうことでは却つてこんがらがつて駄目だと思います。初めのほうはいいんで、こうやつていたら、今お話を聞くと中禅寺湖、あんなものは無論農地はございません。例えばあそこに国道が通つておるというと、やはりきつとやらなければならんのですよ。これはどうしてくれるのだということになる。だから非常にこんがらかつて、提案理由は提案者からお聞きになると思うが、非常にこんがらがつて説明ができなくなつて、問い詰められて駄目になるというので、むしろこんなことは書かないほうが僕はいいと思います。
  40. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では本法律案につきましてお諮りいたしますが、建設委員会に連合委員会を申入れることにいたしましようか、どうですか、お諮りいたします。
  41. 小林亦治

    ○小林亦治君 連合委員会は結構ですが、その前にこの農林委員会での考え方なり解釈なり、その法の内容というものを一応吟味して、全部頭に入れてかからないと、それはもう何遍開いてもきまりません。ですから説明者のほうももう少し資料を持つて来て頂いて、徹底さしてもらわんと我々も呑み込めないんです。
  42. 山崎恒

    委員長山崎恒君) ではこの問題は次回の委員会にゆるりと一つ御審議を願うということでよろしうございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  43. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  44. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 速記を始めて下さい。  それでは引続いて食糧増産に関する件を議題に供しますが、政府はかねて食糧増産第一次五カ年計画を策定し、今国会に食糧自給促進法案の提出を企図していたのでありますが、その後来年度予算編成の経緯から見まして、これが実施が危ぶまれておりますので、政府におけるところのこれが取扱に関する方針について一応説明を願つておきたいと思います。
  45. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 食糧増産五カ年計画の二十八年度の予算は、農地改良造成関係におきまして五百八十億要求したのが二百十二億、それから耕種改善のほうで約四十億要求したのが二十七億になつたのでありまして、耕種の改善のほうは補助率の低減というような点で大体所定の目的を達成することができるのでありますが、農地改良のほうにつきましては既着手分の繰上げ完成、その他先ほどちよつと申上げましたように、大規模なものに重点的に置くことにしましても、当初の増産数量はできないのであります。併し二十八年度はそういうふうに縮小されましたけれども、一応できるだけ早い機会、即ち十カ年を目標にしまして、十カ年以内に食糧の自給に到達せしめる努力をするという建前は、農林省としては捨てることはできない。従つてその第一着手である五カ年計画につきましても、二十八年度の分をそういうふうに既定の予算に修正しまして、やはり五カ年計画の目標は縮小しますけれども、五カ年計画として、今後の二十九年度以降の計画につきましては当初の計画を踏襲して行きたい、こういうふうな方針をきめまして、今度の国会に食糧自給促進法案を出したい、こういう考えなのであります。大体法律の案も省議できめましたので、明日顧問会議等に諮りまして、できれば今月中に成案を国会に出すようにしたい、こういうのであります。その内容につきましては、前々からお配りしておりましたのを多少簡略にしまして、趣旨を変えると同時に、前の案では米麦偏重というのがありましたので、それを更にいも、雑穀等についても考え、又油脂、蛋白の関係等も相当取入れて行きたい、こういうふうな考え方で、一方では法案を簡単にすると同時に、そういうふうななかなかむずかしい問題でありますが、含水炭素だけでなしに、油脂、蛋白も同時に考慮して、今後の食糧増産が総合的に推進できるような仕組を考えたい、こういうふうに考えておるのであります。具体的に申しますと、二十八年度の生産目標が三百万石余りだつたのが二百五十万石になると同時に、二十八年度の予算による二十九年度の増産効果の数量が減りますので、いも、雑穀等を合せましても、当初五カ年後に千七百五十万石の増産ができると予定しておつたのが、恐らくまだ仔細な検討をしておりますので、数字は法律案ができるまでに多少変るかも知れませんが、従来よりも七、八十万石内輪の数字を目標とせざるを得ないのじやないか、こういうふうに考えます。  第二点は、食糧増産審議会というものにつきまして、食糧増産審議会が食糧増産その他の農業経営改善につきまして政府に建議ができるような仕組にしたい。政府の諮問に応じて増産計画を審議するだけでなくして、積極的に建議のできるような仕組にしたい、こういう点多少従来と変えたのであります。それから継続費とか或いは新規開田の分の免税措置でありますとか、或いは増産効果を国会に報告するというようなのは従来と変りません。それから前回の法案では各事業別の増産目標というものを書いておりましたが、それは一応今度の案では予算の審議権を縛るとか、或いは又増産目標が必ずしもそう法律でぴちつときめるほど正確に算定ができないというような関係がありますので、五カ年の目標を一本で掲げる、こういう点を現わしております。なお運用等につきましては個所別に具体的にこの審議会で相当突つこんで計画を審議して頂く、こういうふうな内容にしたいと考えております。二十八年度の予算は、所期の額は認められなかつたけれども、とにかく農林省としましては当初の五カ年計画を修正しましても、とにかくこういつたものをはつきりと計画的に遂行したいという意図で進んでおります。
  46. 小林亦治

    ○小林亦治君 官房長にお尋ねしたいのですが、今の問題について実は本会議で廣川農相に質したいと思つているんですが、今度の五カ年計画にせよ、非常にあなた方が努力せられて大蔵省に交渉されたその努力は買うが、たしかあれは五カ年計画が一番先にこの委員会に反映したのは補正予算の前の、昨年の頃だつたのです。あの当時すでに二十七年度も加えて五カ年計画というものは立つてつた。今国会になつて更にその二十七年度を切つて二十八年度と、まあ当初はそういうような仕組であつた。それが又この予算を取りかねて、おじやんになつて、今度は更に十カ年という理想を持つておるのだから、又やり出すということになると、理想を追う姿は結構だが、いつも画に書いた餅を掲げて空廻りさせられるんじや私どもはたまらない。それよりも先ず手近な緊急法といつたもの、緊急政策といつたようなものから先に具体的に取上げてもらわないと、我々の立場は政府にいつもごまかされる、編されるということになるんです。これはいささかも反対ではないのですが、そういうものに我々は一生懸命になる熱意をもう失いかけておるので、この点は本会議で一つ大いにアドバルーンを揚げて政府に迫ろうと私は思つております。信頼しないというわけではないんですが、そういうことは極めてどうも期待薄である。当てにならないことだと、こう申上げたい。従つてそういうことに暇をつぶすよりも、先ず今上つておるところの個々の案件を先に処理してもらいたい。如何にここできめても、あなた方が大蔵省に対する睨みというもの、力というものを持たなければこれは何にもならない。それから今の御説明の法案内容についてもたくさん私は意見を持つておる。この増産審議会なんというものは、あれほどの鉦と太鼓で宣伝せられて、それを諮問機関から建議機関に直しても、先ずその前に両国会に農林委員会があるということを忘れちやいかんのだ。そんな何というか、合の子みたいなものを作つたつて、それに権威を持たせる法律を作るほど私どもは間抜けていない。そんなものを作るくらいならば両院の委員会を重視して、これを真先にやらなければならない。あの審議会が考えた案を遥かに内廻つたのがあの五カ年計画なんでしよう。要するに機構いじりをしてビジネス的にものを考えて盥廻しをしているという国民の非難に応えられないのである。私どもはそういうものに本能的に反感を持つておるので考えたままを申上げるので、理想を追うということは結構ですが、そういうものをあと廻しにして、具体的に現在浮び上つている法案から先に料理してもらいたいというのが私の注文なんです。
  47. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 十カ年というのは前から申上げておつたので、法律で具体的にやるのは、十年先のことを言つたつてこれは理想でありまして、先ず最初の五カ年計画をやるというのは従来と変らないのであります。それから食糧増産をやるのにつきましては、農林省だけの力では、これはどんなに逆立ちしてもできないのでありまして、食糧増産をして自給を達成するのにはどういうふうな国民の総力の結集が必要であるかという一つの目安として我々はこの自給促進法を立てておるのでありまして、こんなものでは駄目で、ほかに方法があるとか、或いはこの中をどうやつたら更にいいということを更に御検討願いまして、要するに今の日本農業の状態では、農家独自でやれといつてもできない部面が非常に多い、国の財政支出期待しなければいかん部面が非常に多いのでありまして、それは国全体としてそれだけ重点的にやらなければいかんのである、やる以上は計画も従来と変つた、とにかく具体的な、不動の、不動と言つては少し語弊があるかも知れませんが、もつとしつかりした計画を立てなければいかん。一面では国民全体に食糧自給必要性を認識して頂くと同時に、一面では政府もやると言つた以上はこういう方法でその目標を完遂しろという義務付けをする、そういつた両面の意味を持たせたいというのがこの法律を出す狙いなのでありまして、従来毎年予算を取つてつて来ておるからその程度でいいじやないかという御意見も或いは出るかも知れない、併し静かに考えてみると、今の人口の伸び、それから災害等を考えると、このままで放置しておけば、食糧の輸入の重圧に日本の国民経済全体が堪えられないじやないかというのが、我々の農林省考えでありまして、これを国民全体がどういうふうに認識して、そのやり方についてはいろいろ我々の考えの及ばないところがたくさんありますが、先ずその前提をこの法律ではつきりきめて頂いて、更にこの実行面においてはこの法律のみならず、ほかの法律でも具体的に処置しなければいかん、それをどしどしお教えを願う、こういう考え方なのであります。
  48. 小林亦治

    ○小林亦治君 私の質問を官房長に誤解されたようなんですが、この自給法案は反対じやない、大いに賛成なんで、この自給法が前々国会あたりで若し通つてつたなら、この五カ年計画についてはあなた方がこれほど難儀をしなくてもよかつた。この自給法案を我々は求めておるゆえんは、今あなたがおつしやつたほかにもつと大きなものがある。それは何を言うかというと、予算の一年という原則をこの法で破つて、どうしても国会が義務的にも予算を作らにやならない、そのためにこそこの法律が必要なんで、今あなたがおつしやつたことはさまで法律が必要じやない。必要なものは農林省に対するところのもつと迫力のある力のある、大蔵省に対してもつと何というか睨みのある努力をしてもらいたいと、ここにあるので、自給法案は反対じやない。ただ五カ年計画、十カ年計画というものをかざされて、我々の主張するところの農地改革を抑えられたのでは、これはしようがないから、その手には乗らんと言つたまでのことで、自給法案は大いに結構だ、ただその内容については、従来私どもが主張しておつた注文はたくさんございます、そのことを申上げたので、自給法案はこれは一日も早く立法化したいと思つております。
  49. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では本日はこれにて閉会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 山崎恒

    委員長山崎恒君) なお明日は日本国に駐在するところのアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律案について水産委員会と連合委員会を開くことになつておりますので、御了承の上御出席願いたいと存じます。  本日はこれにて閉会いたします。    午後三時四十三分散会