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説明員(河井大治郎君)
只今お話のございました
海岸保全法案は、昨年の七月に提案をされまして、それが審議が未了の
あと、今回御提案にな
つておるわけでございます。この
法案に対しまする
農林省の意見につきましては、曾
つてこの
委員会で全般的の御説明を申上げましたので、本日は昨年提案になりましたものと、今回御提案になりましておるものとの
法案のうち、
農林省関係のところで特に異な
つておりまする点を御説明申上げることにいたしたいと思います。お手許のほうに
海岸保金
法案に対しまする経過並びに意見をプリントにして差上げましたが、
一つの点は
法案の第一條に湖沼というのがございます。「
海岸(政令で定める湖沼の沿岸を含む。)」ということにな
つておるのであります。前回の
法案におきましては、これが「海又は湖沼の沿岸を防護し、」というふうに書かれてお
つたわけであります。今回の修正の第一点は湖沼、湖沼の沿岸は政令で定めるもののみに限定をすると、こういうことにな
つておるわけであります。湖沼の沿岸はやはり干拓といたしまして非常に
重要性を持
つておるのでございまして、別に
只今お手許に差上げました干拓
事業の原水面別内訳というのがございますが、これは昭和二十年以降からや
つておりまする
農地局で取扱
つておりまする
事業をそこに表にいたして出しておるわけでございます。その実施中のものというところを御覧頂きますると、現在実施をいたしておりまするものが二万三千七百町歩ございまして、そのうち海面は一万四千町歩でございますが、湖面のほうが九千六百五十町歩でございまして、約一万町歩近くということであります。四割五分近くというものが湖面のほうに干拓を行われておるということでございまして、非常に湖面というものの干拓が重要な
関係を持
つておるのであります。又その表の裏側を御覧頂きますると干拓堤防の海、湖岸別の内訳というのがございますが、この区分で干拓の堤防の総延長の比を御覧頂きますると、二百五十万メーターのうち七十一万余メーターは湖岸にあるわけでありまして、これも三割くらいは湖面に
関係をいたしておるということでございまして、湖面の干拓というものが極めて重要な意義を持
つておるのでありまして、それを今回の修正で政令で定めるものということにされたわけでございますが、この点につきましては従来この
法案の経過について申上げておきました
通り農林、建設両省の間におきまして意見の相違があるわけでございまして、それを国会の皆様方の格別のお骨折りで案にまとめて頂いておるわけでございまして、この湖面を今回湖沼の沿岸を除かれますと、
只今申上げましたような
関係の点が甚だ不明確になるわけでございます。今度の案では政令で定めるということに一応規定をされておりますので、
法律上の一応の体裁は備えるわけでございますけれども、従来のいきさつに鑑みましてこれが政令で定められますまではこの
法律から適用が除かれるということになりまして、
先ほどから申上げておりますような非常に
重要性を持
つておりまする湖沼の沿岸におきまする干拓に対しまして
農林省のほうで
補助をいたし、或いはいろいろな
計画をいたして参りまする点がはつきりいたさなくなるという欠点を持
つておるように思いますので、これは昨年七月提案になりましたようにされますことを私たちといたしましては事務的には
希望いたしておる次第であります。申上げまするならば今回の
法案でこれを政令で定めるということになりましてから今回の解決になりませんので、問題を残す、而もこの残されておることが相当実際面において大きな
関係を持
つておる、こういうことでございます。これは他の
法律即ち河川法等によりまして河川法の準用ができる湖沼については河川法の準用ができるから
法律が
海岸保全法と河川法と重複をする、そういうことを避ける
意味において除くべきであるというふうな意見もあるやに承わるのでありまするけれども、その点は海面にいたしましても、湖面にいたしましても御案内の
通りこれを埋立等をいたしまする場合には公有水面埋
立法というのがすでにあるわけでありまして、やはりそういう地域にこの
海岸保全法と
二つの
法律が適用されることにな
つて来るわけでありまして、これを本
法案に入
つておりましても
法律的には支障のないものと私どもは
考えるわけであります。それが修正されました
一つの点に対しまする主な意見でございます。
それからその次には
海岸保全区域から背後地を除くとな
つております。これは前の
法案におきましては「海又は湖沼の沿岸及びその背後地を防護し、」とこういうことにな
つてお
つたわけでございますが、今回この背後地を除かれるということにな
つたわけであります。背後地が特に入
つておりましたのは
農林省といたしましては、
海岸或いは湖面に面しておりまする近傍地を保全することを主として参りたいということで臨時
農地保全
法案というものを持
つてお
つたのでありますが、その
法案と建設省のほうで立案されました
海岸保全法案を一本に書き改めましたために、そういう背後地というふうな、前の案では用語が出てお
つたわけでありまして、
農林省といたしましては
農地を保全する
意味においてその
農地の側から見ますると、
農地を保全するための施設という
意味において堤防その他の施設を防護するための
法律を置きたい、こういうわけでございますので、これをやはり入れらるべきものであるというふうに
考えておるわけであります。
それに関連をいたしまして第三の点は、元の第二條の二項のところでは、この
海岸保全施設という定義の中に排水施設、密接な
関係のある排水施設、例えば堤防の樋門のごときでございますが、排水樋門のごときでありますが、そういうものをはつきりと含めてお
つたわけでありますが、背後地まで除かれるということで、今回の
法案におきましてはその排水施設も除かれておるわけであります。御承知下さいまするように、干拓地におきましては排水樋門というものは非常に重要な意義を持
つておるのでございまして、内水面と外水面との
関係につきまして、その干拓地の機能を左右いたすほどの
重要性を持
つておるわけであります。これは耕地のほうの側から検討されて、排水施設として施設をされなければならないというふうに
農林省としては思
つておるわけであります。この点が除かれておる、こういうわけであります。
以上のような三点が今回の修正におきまして大きく取上げられておる点でございまして、それに対しまする私ども事務的に
考えておりまする意見は
只今申上げましたような次第でございます。