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1953-02-06 第15回国会 参議院 農林委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月六日(金曜日)    午後二時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山崎  恒君    理事            瀧井治三郎君            徳川 宗敬君            三橋八次郎君    委員            石原幹市郎君            小串 清一君            西山 龜七君            宮本 邦彦君            楠見 義男君            羽生 三七君            岩崎正三郎君   衆議院議員    野原 正勝君   政府委員    調達庁不動産部    長       川田 三郎君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農業改良    局長      清井  正君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○本委員会の運営に関する件 ○海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案  (衆議院送付) ○農林政策に関する調査の件   (いも切干価格安定に関する件)  (昭和二十八年度農林省関係予算に  関する件) ○日本国に駐留するアメリカ合衆国軍  隊の行為による特別損失補償に関  する法律案に関する件 ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 山崎恒

    委員長山崎恒君) それでは只今から農林委員会開会いたします。  先刻委員長及び理事打合会でお手許にお配りしました日程の御承認を得たいのであります。その日程に基いて議事を進行する予定でありますから、御了承願います。それは十一日、十三日となつておりまするが、十一日と十二日と、十三日は削りましたから、繰上げましたので御了承願います。  それから、かねて委員長の許で取りまとめておりました食糧増産第一次五カ年計画及び食糧自給促進法案内容とする食糧増産に関する資料を先般文書函にお配りいたしておきました。食糧増産の件につきましては極めて重要な問題でありますので、政府計画のその後の様子を連絡しておりますから、それらの回答をも待つてこれが取扱いについて後日御協議を煩わしたいと考えております。   —————————————
  3. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 次に、海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案が去る一月十六日予備付託になりましたので、これを議題に供します。なお本案につきましては、本日は提案者から提案理由説明のみを伺うことにいたします。提案理由説明を願います。
  4. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 只今議題となりました野原正勝ほか九十九名提出、海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案につきまして提案理由を御説明申上げます。  四面海に囲まれたわが国約四万キロの随所に海岸砂地地帯が発達しておりまして、その面積は実に十五万余町歩に達するのであります。海岸砂地地帯海岸に特有な潮を含んだ強風が四季を通じて常時吹き荒び、日本海岸の冬季においては風速十メートルの日が一カ月のうち二十日以上に及ぶという実情であります。この潮風が沿岸一帯農作物に常習的な被害を与え、又河川から放出される土砂を海岸に堆積し、飛散して、家屋、農作物を埋没する等、この地帯農業並びに住民の生活に多大の害悪を及ぼしておりますことはすでに周知の通りであります。これが対策として、古くから海岸防災林の整備が先覚者の努力によつて行われ、現在海岸防災林面積は約四万町歩に上つておりますが、未だ不備のところが多く、ために五万六千町歩に及ぶ広大な不毛地が全く放任されているという状態にあります。特に戦時中軍用施設として或いは軍需関係用材として伐採し、戦後においては無計画開墾等のために荒廃に帰した海岸防災林面積は実に七千余町歩に上り、各地においてその被害は由々しき問題を提起しております。従つてこれらの不備乃至は荒廃した海岸防災林を急速に整備することが焦眉の急務として要請されているのであります。  次に海岸砂地地帯農業経営実情を見ますと、相当面積に上る砂耕地が不完全な開発状態のままに放任されているということができるのであります。このことは、一面において生産力が極めて弱小な砂地であるということと潮害旱害等災害が常時発生することに起因しているのであります。従つてこのような原因を一掃して砂耕地完全開発を図ることは、食糧増産の上からも又この地帯農業経営を確立する上からも、寸刻もゆるがせにできないことであります。特に旱害防止のため一部地方にありましては酷暑灼熱の候において二ヶ月有半の間殆んど欠くことなく水汲み灌水をして辛うじて収穫を挙げているという実情にあります。この苛酷な水汲み労働の合理化農民生活改善上急速に解決を要する事項であります。  以上海岸砂地地帯防災林農業経営の実状の一端を述べたのでありますが、戦後における諸情勢の推移に伴いまして海岸砂地地帯開発の要請は急激に高まつて来たのであります。即ち、近時沿岸漁業の不振により多数の漁民は農業への移行を迫られており、又内陸農村においては、戦後特に人口問題が重大化しつつありまして、海岸砂地地帯増反開墾、乃至は二、三男の入植の対象として着目せられ、開発促進が漁村と内陸農村の双方から具体的な日程に上つて来たのであります。これを要するに、海岸防災林を整備して沿岸一帯に亙る農作物常習災害を未然に防止すると共に、新たに農地を造成し、或いは畑地灌漑等施設を講じて農業生産を安定する等、海岸砂地地帯を急速に開発し、日本農業が当面する最大の課題とも申すべき食糧の問題並びに農村人口問題の解決一端に資すると共に、低水準に置かれているこの地帯農家経済の確立並びに農民生活改善向上を図らんとすることを主眼といたしまして、ここに本法案提案いたした次第であります。  次に法案内容、条文につきましては、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法その他の既往の特殊法とほぼ同様でありますので、詳細な説明は省略いたしますが、その骨子とするところは、国の財政、金融の両面から援助を与えて災害防止のための海岸防災林の造成並びに畑地灌漑等土地改良事業営農改善基幹施設を総合的且つ重点的に実施することを規定いたしておるのであります。  以上が本法案の概要でありますが、何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願い申上げる次第であります。
  5. 山崎恒

    委員長山崎恒君) ちよつと速記とめて。    〔速記中止〕   —————————————
  6. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 速記を始めて下さい。  次に、農産物価格支持政策の一環として、切干甘藷価格安定に関する件を議題に供します。本件につきましては、昨年十二月二十四日、当委員会から政府に申入れを行なつたのでありまして、本日はこの報告を聞き、今後の取扱いにつきまして協議することといたしたいと存じます。官房長から御説明を願います。
  7. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 切干甘藷の問題につきましては、かねてからでん粉の買上と一緒にすべきである、こういう要望が非常に強かつたのでありまして、二十八年度の予算にこれを織込むべく努めておるのであります。一方農産物価格安定に関する法律案只今準備いたしておりますので、その中に織込むという段取りになつております。それは来年度の問題になりますので、只今すぐの問題としましては、一貫目百円で全販連をして買上げしめる、一千万貫を買上けるだけの資金の手当をしておるのであります。政府が買うことにつきましては、一応二十八年度の予算では予備費の中から、予備費を百億計上しておりますので、そういつたものの用意にそれを計上しておるのであります。ただ政府が直接買うことにつきましては、まだ多少農産物価格支持価格安定法との関係において、大蔵省との話が最後的には結着しておりません。ただ今申上げましたように、全販連をして、一貫当り産地政府指定倉庫渡し百円、一千万貫までは買上げる、こういうことにしております。全販連をして買上げさせるということであります。
  8. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 何か只今切干甘藷についての御質疑がございましたら……。
  9. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の全販連買上げに関する措置なんですが、これは農林中金から全販連資金を融通をして、そうして全販連買つて、全販連に持たしておくこういう意味ですか。
  10. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) そうです。
  11. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、それは結局制度ができた場合には、若し要しますれば政府が買う、こういうことになるわけですか。
  12. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) その予定で経過的な措置として全販連をして買上げさして、あと最後の決は、更にできるだけ早い機会関係省内できめる、こういうことです。
  13. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると、問題は二つあるのですが、一つ買上げに関する制度法律的にできなかつた場合の対策、これは恐らくできるだろうと思いますから、この点はあまり大した心配はしないのですが、買上げる場合のその制度ができて要求量政府が買う場合の金額ですね、これはどうせ制度ができて、審議会等支持価格をきめると思いますが、現に全販連が一千万貫を自分が持つているという場合の金利、倉敷なんかは、どういうふうになりますか。
  14. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 今の段階では、一応全敗連の責任でやるということになつておるのであります。それをどういうふうに処置するかというようなことは、法律を出すときにきめる、こういうことであります。
  15. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の一貫目百円というのは、恐らく切干甘藷生産費等をも勘案しておきめになつたと思いますが、生換算で行きますと、一体どのくらいの金額になりますか。
  16. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 生甘藷三貫目で干甘藷一貫目というふうにお考え願つたらいいのじやないかと思います。従つて今のを換算しますと、三十円弱に……、一応我々の計算では一貫目二十八円を基準にして切干価格考えております。
  17. 楠見義男

    ○楠見義男君 私の伺つているのは、生甘藷三貫から干甘藷一貫で、それを三で割るということでなしに、恐らくその切干生産費が入つておると思うのでございまして、その切干生産費というものを引いて、そして例のでん粉買上げのときに生甘藷を二十五円前後見当ですか、或いは二十七、八円程度とかそういう目安がありましたね。それと比較してこの切干がどういうふうになつておるか。大体このでん粉買上げのときに目安なつた生甘藷二十七、八円なら二十七、八円というものがこの場合にも大体同様に取扱われておるかどうか、こういうことなんです。
  18. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) でん粉買上げのときは、大体生甘藷二十八円を基準に置いてやつたんです。それと同じ基準で干甘藷を作つた場合に、生甘藷生産者手取りがあるようにする、こういう考え方で計算したんです。
  19. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは具体的な問題になるからむしろ官房長よりも説明員のほうがいいと思うのですけれどもね、でん粉の問題でこういう問題があるのですが、それは政府買上げる場合の検査基準というものがありますね、そこででん粉を持つて行つて検査をしてもらつたときに、その検査に合格しない場合にはこれは買上げてもらえない。それで例えば基準一等という場合に検査の結果二等であつた、そこでその等級格差に応じて値引してでもいいから買つてもらえるならこれはいいのですが、ところがそうじやない、そうするとそのわざわざ持つてつたものを又持ち帰らにやならん。それの労力なり、或いは経費なりがまあ相当農民から見れば大きな負担になつておるわけです。それともう一つは、九州あたりは、どうせそういうようなことのほかに、金額、数量的なことも頭に入れて大して政府買上げについては効果が期待できないということで、事実いも価格というものは維持されなくなつている。折角あれだけ農林委員会のほうも騒ぎ、又政府も決断を以ておやりになつたことが実は効果が上つておらない。そして農民は不平をかこち、そして又一方例えばアルコール業者ですか、焼酎業者というものは不当……、不当とは言い過ぎかもわからんが、随分原料を安く手に入れられて利益を得ておられるわけです。折角のいい案が実はどこに利するためにやつたかというようなことになつて、我々も実は非常に遺憾に思うふしがまああるわけです。切干の場合もそういうことが、同じようなことがありはせんかということで、実は心配しておるのですが、そこでお伺いしたいことは、そういうふうに検査の結果等級基準に合わずに、例えば一等級なら一等級下の場合に格差を付けてでもお買上げになることができないものかどうか、そして同じようなことが切干甘藷にも起る心配がないかどうか。これはむしろ実務担当のほうのかたがいいと思うのですがどうですか。
  20. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) ちよつとその点は食糧庁にもう一遍よく話して、農産課長でもわからんそうですから、常識上ちよつと考えられないと思うのですけれども、お話通りであればどういうわけでそういうふうに格下げて買上げないのか確めますから……。
  21. 楠見義男

    ○楠見義男君 どうぞお調べ下さい。
  22. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 今発表されました貫百円というのは、これは農家の純手取りになるのでございますか。集荷手数料などは別でございますか、どうなつておりますか。
  23. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 農家手取りであります。
  24. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 百円という価格は実際の生産費から見ますると実は少し安いのでありまして、愛媛県の生産費調査によりますると、百二十一円七十八銭というような計算になるのでありまして、これで買上げて頂きましても農家の一日の労賃は五十五円八十銭というような非常に安い労賃になつておるのでございます。これを買上げるにはいろいろな関係があつて百円ということがきまつたわけでありますけれども、農家は百円に売りましても、なおこれまでのことを考えますると何の手数料、かんの手数料と非常に差引かれまして、実際きめた値段農家手取りにならないというような実情が多いのであります。是非とも百円が完全に農家手取りになつて行くように御配慮頂きたいと思います。  なお、一つ考え願つておきたいことは、いも作育成についてでありますが、いもならすぐやれそうだ、でん粉買上げねばならんし、切干買上げねばならんというような場当り的のことでは、本当にいも作育成ということはできないと思うのでございます。戦争中におけるいも食糧需給上の重要なことを考えて見ますると、統制が撤廃になりまして、いもに対しましては殆んど見るべき策が一つもない。併し今全国で十六億万貫の生産があるのでございますが、恐らくこの生産というものは毎年あると思うのでございます。そういうような実情にあるのに、この食糧上重要ないも作というものを場当り的に処理するということは非常に遺憾なことだと思うのでございます。一面考えますると食糧は不足で輸入しなければならん。同じ食糧いもが余つて政府買上げなければ値段維持さえもできないというような非常な矛盾があるように思われるのでございまして、利用方面におきましても勿論まだ研究しなければならん点がたくさんあると思うのでございます。何かいも作育成ということに対しまして、確保の方面は勿論のこと、生産処理のほうに亙りまして政府のほうで今後この甘藷作というものを育成拡充すべき御計画がありますかどうかお伺いしたいと思います。
  25. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) いも作維持奨励に関するお話でございます。我々も全く同じように考えておるのであります。品種改良その他につきましては琉球がなくなつてからいろいろ気候等関係でうまくできませんで、併しこれもメキシコ等とFAOを通じて或いはインドネシア等との品種の交換というようなことも議題になつております。そういう方面は更に進めて行きたい。それから消費の合理化の面では、これは芋協会という財団法人が三年ほど前にできまして新らしい用途の開拓ということについて相当進んで来ておるのであります。併し最近ではアメリカコーン・シユガーの製造で、いも澱粉を使いたいというようなお話もありましたが、砂糖価格にすると、今の澱粉価格では一般の砂糖に太刀打ちがむずかしいというような関係等があつて、なかなかそういう方面も進行しておらないようであります。どうしましても安全作物ということそれから一朝有事の際の予備的な食糧ということのために、どうしても維持し、或いは増加して行かなければならんので、今後ともいろいろな施策を考えて行きたい、こういうふうに考えております。只今のところ予算的に政府施設をしておるものはないのでありますが、なお今後検討を重ねて行きたい、こういうふうに考えております。
  26. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 この問題は日本食糧問題解決の上からしましても極めて重要でありますし、又日本農業経営実情から見ましても、いもが安くなつたからいもをやめまして、ほかの作物によつて農業経営をやつて行くということのできない地帯がたくさんあるのでございますので、十分一つ政府のほうとしましても、いも作育成奨励ということにつきましては注意を払つて頂くと同時に、本当に恒久作物としましていもの重要な役目を果させるような制度を作つて頂きたいと思うのであります。なお委員長一つお願いいたしたいのでありますが、これは非常に重要な問題でありますので後日改めて具体的に研究するような機会を作つて頂きたいと思うのでございます。
  27. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 了承しました。
  28. 楠見義男

    ○楠見義男君 今三橋さんから御要求なつたこと御尤もだと思いますが、同時にそういう研究機会をお作り頂くときに、先ほど官房長からお話があつたコーン・プロダクトの関係は、コーン・シユガーとの関係からいつて引合わんような御説明がありましたが、これは物によつては、而も今度は輸入関税も課せられることになる砂糖と比較して、必ずしも私はそうではないように聞いておるのです。而もその場合にはいも価格は、これは正確ではありませんが、少くとも現在の価格よりも高く買つて原料としては引合う、こういうふうにも実は平壌穀産でやつてつた人から聞いておるのですが、その辺よく一遍お調べをお聞き頂いて次の機会の三橋さんの御提唱になつ研究をするときには、そういうことも一つ併せて御披露頂きたいということをお願いしておきます。
  29. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 新らしいいもの工業、今のコーン・シユガーの問題もあるし、それから人造ゴムでん粉からアルコールを作つてやりたいと、こういうのもいろいろあるのです。結局ほかのものでは採算ベースの問題で、これは我々のところでも本当にどれくらいまで下げられる、或いは地方的に、或いは品種的に、今の二十八円の価格は平均的な価格であるから、安いものは二十円くらいのものがある。それをどの程度まで確保できるか、それをもう少し検討する必要がある。今農林省の中でも検討しておりますので、是非そういう機会にはいろいろな関係者からも出し、私のほうから今まで調べているものは全部出す、そういうふうにしたいと思つております。
  30. 羽生三七

    羽生三七君 今の切干甘藷のことと直接の関連はないかも知れませんですが、お尋ねしたいことは、この農産物価格安定政策ですね、これを今国会中か近い機会に具体化される意思があるかどうか。それともう一つは、その場合には単なる価格支持政策だから買入れということが中心になると思うが、何らかの予算財政支出予定されておるかどうか、この二点をお伺いしたい。
  31. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 価格安定法と仮に申上げますが、これはこの国会に出すつもりで準備を進めております。今問題になつておるのは、品目をどこまでにするかというので大蔵省とまだ話がつかないところがあるのです。大蔵省心配は余り品目を入れると、鉄鋼、石炭、そういうところまで波及する虞れがあるから、品目はできるだけ絞ろう、こういうのです。我々のほうとしましては少くともでん粉関係は勿論菜種くらいまでは入れなければおかしい、あとは今後の情勢において……。スタートのときにそのくらいやつておかないといかんというのが今の考えであります。  それから財政的な関係は今の買取資金のほうは、従来それぞれの農産物について品種改良でありますとか、いろんなことをやつております。それ以上の新らしい施設考えてそれに財政資金を出すというのは、今のところまだ考え付いておりません。従来のものを更に強化して行く、こういう考えであります。
  32. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 只今重要農産物価格安定制度の中で、これはやはり希望としては、今官房長のおつしやつた菜種甘藷でん粉馬鈴薯でん粉等今話題に上つておる干甘藷、それから大豆というものも、これは一つ考慮に入れてもらいたいと思うのですがね。
  33. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) そういう品目について、農林省はできるだけ広く入れたい。併し一応予算を組む上においては、できるだけ絞りたい、こういうので、法律の問題としては差当りすぐ問題が予想されるものは最低限入れたい、こういう考えであります。
  34. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 ちよつと一つお聞きしたいのですが、日本農地、或いは農地甘藷について、甘藷栽培に適当した土地、或いはいも栽培でなければまずい土地、そういう耕地面積の御調査がありますか。
  35. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) これは大体湿田でなければ、米麦作をやつている所でいもを作れば、ほかの今いもを作つている所よりも余計できるわけでありまして、まあ現在いもを作つておる所がどうしてもいもを作るのに一番適しておる所とこういうふうにお考え願うよりほかに方法がないのじやないかと思います。
  36. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 それはどのくらいですか。
  37. 渡部伍良

    政府委員渡部伍良君) 三十八万町歩です。それから馬鈴薯が二十万町歩です。
  38. 羽生三七

    羽生三七君 ちよつと速記をとめて頂きたい。
  39. 山崎恒

    委員長山崎恒君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕   —————————————
  40. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 速記を始めて。  次に、只今水産委員会予備付託になつておりまする、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案は、先般当委員会でも問題になりました福岡県芦屋飛行場問題等から見ましても、極めて関係深い法律案でありますので、先ず当局から提案理由及びその内容等につきまして説明を伺い、要すれば質疑を行い、その後この法律案取扱いにつきまして御協議を願いたいと存じます。提案理由説明を願います。調達庁不動産部長川田三郎君。
  41. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 只今提案になりました日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約に基きまして、日本国及びその附近に配備されておりますアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍によりまして、防潜網、水中聴音器その他の水中工作物を設置され、又はその維持を行なつておりましたために起こる各種事業への損害、或いは又防風林防風施設、又は防砂施設の除去乃至損壊等が行われました場合に、各種事業損害が生じました際、これを従来は補償する法制がございませんでした。そのために各地からその被害に対する補償要求があつたわけでありますが、政府といたしましては、その措置に窮した次第であります。従つて今回この法案提案することによりまして、公布を見ました暁には、従来適法に農業、林業、漁業を行なつておりましたものに対しまして、法律上定められたアメリカ軍行為原因とする損害につきましては、接収関係の契約の有無、又は漁業でありますならば、漁業制限関係の地区の指定がございませんでも、その損失補償することができるようにしよう。こういう措置をいたしましたのが、今回この法案提案いたしました理由でございます。  その内容につきまして成るべく簡略に一応の御説明を申上げます。この法律によりまして、損失対象となります原因と、その被害を受ける事業とが法律上限定されております。その被害原因となりますものにつきましては、第一条の一号、二号とございまして、一号は防潜網その他の水中工作物を軍が設置するか、又はその維持をしておるために起こる、これが原因たる行為とされております。第二号といたしましては、防風施設又は防砂施設がありましたものを、軍が除去し或いは損壊しました場合、そういう行為原因として起つた損害、又第三号といたしまして、今後の事態に即しまして、政令でその原因たる行為を取上げまして、政令に定められた行為によつて損害が起つた場合にこれを補償対象とする。  次は、補償を受け得る事業でございますが、これは法律上は第一条の本文に、従来適法に農業、林業、漁業を営んでおつた者ということが明らかにされております。そのほか「又は政令で定めるその他の事業を営んでいた者」、これも事態の推移に従いまして政令でその事業の範囲を農林漁業以外にも拡張して行くことができる、こういう法の建前になつております。  その損失とはどういうものであるかと申しますと、こうして法令上規定されました事業の経営上の損失、これが補償対象となることでございます。  その他は手続規定が法文の中に出ておりまして、全くこれは現在行なつております漁業制限の補償と同じ手続規定になりまして、簡略に申上げますならば、都道府県知事を通じまして損害を受けました者が補償申請をする。都道府県知事はこれを内閣総理大臣に送付する。内閣総理大臣は遅滞なくこの損害の有無を調査いたしまして、補償額を決定して知事を経由して申請者に通知をする。この通知額に対しまして、異議がございます場合は、第三条に規定してございますが、不服の申立をいたしまして、それによつて内閣総理大臣はその日から三十日以内にこの異議に対する決定をし、通知をしなければならないということになつております。又その他接収不動産に対しまする農地補償漁業制限地域における漁業補償、こういうふうに現在駐留軍関係につきましてはその他の法律によりまして損害賠償の途が開けておるものがございます。それらの法制によつて損害賠償が行われるものについては、この種の損害でありましても、既存の法律によつて救済できるものは、この法律は適用しないということが第一条の二項に規定してございます。  概略この法案提案いたしました動機並びに法の建前といたしまする原則を申上げた次第でございますが、その他この法案といたしましては、附則において当然施行期日をこの公布の日からということに提案してございます。又これに伴いまして、調達庁設置法の改正を行う必要があるわけであります。これはその事務を調達庁の如何なる部が所管するかということになりますので、この点は附則の第二項によりまして、調達庁不動産部が所管するという趣旨で、調達庁設置法の八条がそれに当るので、八条に六号を加えた次第であります。  その他は、この補償をいたします際の補償額等につきましても、ただ単に官庁側の決定だけでこれの結論をつけるということでは不十分でございますので、地方調達不動産審議会の議にこれをかけまして、その答申によつて調達局長がその損害額を決定する、こういう組織を作ります関係上不動産審議会に対しましても所要の改正を加える必要がございますので、その関係が附則の末尾のほうに現われております。地方不動産審議会の改正につきましてはこれは政令事項でございますので、政令にその所管を謳うように現在準備中でございますが、中央不動産審議会は直接損害額の算定には関与いたしませんけれども、これに対する基準等を定めますのは、中央不動産審議会の関係になるのが相当と考えましたので、この法案の附則の中に中央不動産審議会の権限事項を追加いたしまして掲げてございます。  以上が細部に亙りました点の説明でございました。この法案が一日も早く通りまして、従来駐留軍関係、又曾つての占領軍関係政府といたしまして、国民の被害はお察ししながらも、法の建前からその補償が行えなかつたというものを、少しでもこれを十分に洩れるところなくやつて行けることができるようにという念願でございます。ただこの法案は当然にその措置の結果といたしまして予算を伴うことになりますので、現在法律案に盛られております防風林関係、防潜網関係につきましては、予算上善処するという各省間の用意もございますが、政令で定めることにつきましての範囲は、今後の財政上乃至事態の緩急度によりまして各省間の協議を十分に遂げて、事実に即応した規定をいたしたいと存じております。一応説明をこれで終らせて頂きます。
  42. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 質疑がございましたら質疑をお願いいたします。
  43. 楠見義男

    ○楠見義男君 手許に法律案がございませんので、今の提案理由を伺つた限度で質問いたしまして、又別の機会内容に亙つて質問申上げたいと思うのですが、今お述べになつ補償関係予算というのは、二十八年度予算の上から行けば、どういうことになりましようか。平和回復処理費のほうからでも出るのでしようか、どこから予定されておりますか。
  44. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 防衛支出金の補償費から出ております。
  45. 楠見義男

    ○楠見義男君 それから経営上の損失補償の問題ですね、これはどういう基準になりましようか。例えば一時金で行くのか、或いは連年の補償になるのか。そういうまあ交付の限度の問題、又基準の問題はどういうふうになるのでしようか。
  46. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 軍の与えました行為が一時的なものである場合は、一時的の補償になると思います。併し一時的の行為の影響が継続する場合には、やはり定期的な補償額を算定して一四半期ぐらいずつに切りまして、補償いたしたいと思います。
  47. 楠見義男

    ○楠見義男君 具体的に言いますと例えば防風林が損壊されたり、防風施設が損壊されて、そのために耕作者として非常に損失を受けるわけですね、その場合に、今までは大体ここではこういうような収穫をあげておつた、ところが防風施設防風林の損壊除去等のために具体的にこういうふうに収穫が上らなくなつたという認定ですね。その認定は一体誰がするのか。これはもう少し努力すれば、もう少し収穫が上つたのじやないか。お前の努力が足りないからそういうことになるのだということになれば、認定を誰がするのかということが一つ。それからそういう場合にそこに駐留軍がおつて、そうして例えば試射場なんかそういう問題がよく出て来ると思いますけれども、連年農家としてはその土地にとどまつておる以上は、ほかに職がなければ連年、損失と言えば経営上の損失になるわけですが、従つて第二番目には、そういう場合には連年の補償になるのかということが第二点。第三点としては、もうこれはとてもかなわんからよそへ移ろう。こういう場合には、これはもう経営上の損失じやないのだから、移転をする補償だとか、そういうものは含まれないということになるのか。そういうような点はどうでございましようか。
  48. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 第一点の認定は、調達局長がいたしまして、地方不動産審議会に諮問をし、そこで決定をする。それから第二点の継続した被害の場合だと、これは現在農地の接収について従来占領下におきましては、例のマル公主義でやつておりましたが、現在は農業収入の八割を見る。そういう思想と対象いたしまして権衡をとりますならば防風林が伐られて、そのために収穫がどれだけ減つたかということをやはり平年収穫とその後の収穫状態とを比較いたしまして、一応そこで防風林による収穫減の、金額的な結論を出すと同時に、責任関係アメリカ軍が伐つた分がその損害の中にどれだけあるか、丁度この委員会で御質問も先にございました芦屋のケースなどでは、日本側が伐つた分もある。そういう場合に全く御心配になるような、この法律によつて補償さるべき部分と、従来からそういう事故がすでに起きておつたという部分とがございますので、それはもういわば認定の次第と考えますが、そういう関係を成るべく地方の都道府県及び農会等の実地の有力者、経験者、又ときには地元で大会のようなものを開きまして、地元民の納得の行くようにして認定をいたしたいと思つております。  第三点のもう営農意欲を失うほどの被害がある場合、これは農林省のほうの一つの移植計画、そういうものと協調いたしまして、その農地を放棄させて他に移すことがまあ農業政策上止むを得ないことであるかどうかということが一つ、その場合にその土地を買収することが当然元の耕作者からは要求されるわけでございます。併しこの買収も恐らく私は不可能であろうと存じます。従つて農林省のほうの政策に依存してこの解決を図らなければならない。この法律の範囲では営農意欲を失つたような場合の救済方法、処置方法としてはとても及ばない範囲ではないかと存じております。
  49. 楠見義男

    ○楠見義男君 営農意欲を失うというのは、勝手に失うのじやなしに、そういう状態になつて失うのですね。その場合にむしろそれじやほかに行かずにそこにおつたほうが、そして又遊んだほうが、さつきのまあ補償基準従つて平年作に比較して、これだけの収入が得られるという、補償が得られるということになればそこにおつたほうがむしろ本人は遊んでいて補償をもらつたほうがいいというそろばんになることは、これは私は望ましいことじやないと思うのですね。そういうことじやなしに、やはりその人が客観的に不能になつて来て、これはとてもかなわんということに、本人は勿論のこと、客観的にもそういう状態になつて来た場合に、その人がほかへ移つて、そして勿論新らしく農舎も作らなければいかんでしようし、住居も作らなければいかん。それがまあ大体得てしてこういう問題は、ここまでは調達庁の権限だ、あと農林省でとか、ここまでは農林省あとは調達庁だとかボール投げされて一番困るのは、具体的に被害を受けた農民だ。従つてそういうような場合にはむしろそういう人に新らしい土地を与えるときのことは、これは勿論農林省としてやらなければいかんでしようが、その引越費用だとか、或いは家をたたむ費用だとか、或いは土地を放棄する費用だとか、こういうものは補償に現在入つておらないのですが、そこまで拡張して然るべきじやないかと思うのですが、どうですかね。
  50. 川田三郎

    政府委員川田三郎君) 誠に私も今まで各種の陳情を受けまして、その耕作者などの意見を聞きましても同感なんでございます。ただ、この法律がそうした線をどの辺で引くかというわけで、その事業の経営上の損失と、こういうふうに限定したわけでございます。そうすると、その経営が失われるための移転費というものは、この法律からは直接に出て来ないわけでございますが、考えようによりまして、ここの経営を打切つて、次の経営に移る、そのための必要経費も経営の損失ではないか、こういう議論も成立ちますが、実際そういう場合には、私どもは成るべく好意的に取上げたいと思つております。又比較され得る接収地の場合でございますと、接収されて他のほうへ移つて行く場合には、当然閣議了解要項ができておりまして、これには今おつしやるような移転費等が皆補償されることになつております。それとの権衡もございますので、これは事務的には全然その処置のできない問題ではないと存じます。
  51. 楠見義男

    ○楠見義男君 今おつしやつた広義の経営上の損失ということに包含されれば、これは問題ないと思うわけなんですが、従つてその点はよく御善処頂きたいと思う。
  52. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 他に御質疑ございませんか。他に御質疑ございませんでしたらば、本法律案について水産委員会に連合審査を申入れるか、或いは代表質問を申入れるか、又は本日の審議程度でとどめても差支えないか、その取扱いについてお諮りいたしたいと存じます。
  53. 小串清一

    ○小串清一君 この防潜網その他の水中工作物の設置又は維持は、非常に関係が深いようですから、どうしてもこれは連合審査をする必要があるだろうと思います。
  54. 山崎恒

    委員長山崎恒君) お諮りいたしますが、只今小串さんからも連合審査という点を御発議になりましたが、さよう取計らつて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 山崎恒

    委員長山崎恒君) それでは御異議ないようでございますので、連合審査の形で水産委員会に申入れるように取計らいたいと存じます。  それでは只今提案されまして御審議願いましたこの日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案質疑は、一応本日はこの程度で打切りまして、次回水産委員会のほうに連合審査を申入れることにいたしたいと存じます。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕   —————————————
  56. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 速記を始めて下さい。昭和二十八年度農林省関係予算について、本日はその概要の説明を伺うことにいたします。渡部官房長から説明を願います。  速記をやめて下さい。    午後三時二十七分速記中止    —————・—————    午後四時四分速記開始
  57. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 速記を始めて下さい。本日はこれで散会いたします。    午後四時五分散会    —————・—————