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1952-12-10 第15回国会 参議院 農林委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十日(水曜日)    午後一時四十八分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     山崎  恒君    理事            瀧井治三郎君            徳川 宗敬君            三橋八次郎君            東   隆君    委員           池田宇右衞門君            小串 清一君            西山 龜七君            宮本 邦彦君            島村 軍次君            藤野 繁雄君            羽生 三七君            岩崎正三郎君            岡村文四郎君   衆議院議員            平野 三郎君   政府委員    調達庁不動産部    長       川田 三郎君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    外務省国際協力    局第三課長   田中 弘人君    大蔵省主計局主    計官      佐竹  浩君    農林省農地局    管理部部長   谷垣 專一君    農林省農地局建    設部災害復旧課    長       堀  直治君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○狩猟法の一部を改正する法律案(衆  議院送付) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案衆議院送付) ○農林政策に関する調査の件  (急傾斜地帯農業振興対策の件に関  する件)  (接収地被害対策に関する件)  (農業共済組合連合会事業不足金及  び農業共済基金に関する件)   ―――――――――――――
  2. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では只今から委員会を開きます。去る八日予備審査のため、飼料需給調整法案及び狩猟法の一部を改正する法律案が当委員会に付託されましたから、今日提案者から提案理由説明を求めます。  先ず飼料需給調整法案のほうにつきましては、提案者の都合によりまして延期することにいたしまして、狩猟法の一部を改正する法律案提案理由につきまして、衆議院平野ざんから説明願うことにいたします。
  3. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) 只今議題となりました狩猟法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、提案理由を御説明申上げます。戦前狩猟鳥として認められておりました、つぐみ、あとり、かしらだかは、占領期間捕獲を禁止されていたのでありますが、これらの鳥は農産物に対する益害いずれが大であるか判定しがたい点は、他の一般狩猟鳥と同一でありまするので、この際我が国永年の慣習に従つて捕獲を復活することが適当と存ずるのでございます。  これがこの法律案提案する理由でありまして、何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことをお願い申上げます。   ―――――――――――――
  4. 山崎恒

    委員長山崎恒君) ついで農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案議題に供します。本法律案については一昨日の委員会で御了解を得ておきましたように、衆議院を通過して参りますればその後の最も早い機会委員会において残余の質疑終つて採決いたしたいと存じます。その点を御承知の上なお本日質疑がありますれば質疑を願いたいと存じます。
  5. 堀直治

    説明員堀直治君) 先般法案附属書類といたしましてお渡しいたしました経費の中には二十七年度災害の分が入つておりませんので、只今お配りいたしましたようなものに訂正さして頂きたいと思います。農林水産業施設災害復旧暫定法の一部改正によりまして、この差額農地関係は三億五千三百四十八万二千円、林道関係が二千四百十三万九千円、漁港関係九十四万一千円、合計三億七千八百五十六万二千円でございます。これだけが二十七年度災害といたしまして只今現行法で算定いたしますものよりも増加いたすわけであります。従いまして前お渡しいたしまして表の十万円から十五万円までの分はそのまま、超過廃止差額という欄がお手許にお出ししたような数字に変更に相成るわけであります。従いましてその合計額も十六億何がしが二十億六千九百七十四万四千円、こういうふうに変更になるわけでございます。
  6. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 この間の御答弁によりますると十五万円を十万円に下げることによりまして、個所数が随分増加するようなことになるのでありますが、これまでの工事状態を見ましても先般宮本委員からもお話のありましたように工事監督などが十分に行届いておらんように思うのでございますが、工事の分量が殖え、併し事務のほうの監督その他の方面費用一つも殖えないといたしますれば、従つて悪い工事がたくさんできるというような懸念がないでもないのでございますが、その監督その他事務費につきまして増額するような御計画はあるかどうかということを一つお伺いしたい。
  7. 堀直治

    説明員堀直治君) 一件当り十万円に切下げるために九千カ所近く、大体八千二盲カ所程度のものが増加いたすわけでございます。従いましてこれに要する事務費もそれに相当するだけは見なければならんわけでございますが、只今までのところでは工事費に対しまして平均五・五%の事務費を見ておるわけでございます。従いまして十万円が十五万円に増額になりましたので、本年度では六億一千万円程度のものにつきまして、それに相当する事業費の五・五%約六千万円程度のものが事務費として認められるということになるわけでございますが、ただ個所数が増加いたします割合に金額が少いものでございますから、これだけの五・五%の同じ比率ではやや足りないのではないかという心配は実はあるわけでございます。従いまして今後はこの不足の分につきましてはできるだけ一つ当局と交渉いたしまして指導に遺憾のはいようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  8. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 経費のほうはそれでわかりましたけれども、この人を増すというようなことにつきまして、この所員などが取れるかどうか、県庁などにおいて増員することができるかどうかというようなことなどにつきまして伺いたいと思います。
  9. 堀直治

    説明員堀直治君) この事業は大体におきまして地方県庁の職員が災害復旧に対する事務を実際には担当いたしておるわけでございまして、府県定員が増加できるかどうかという点につきましては地方庁の取扱如何に実はかかるわけでございますが、最近いろいろ会計検査その他で只今三橋委員から御指摘になつたようなこともございまして、府県におきましても人手不足のために指導監督の不行届を痛感いたしまして、最近災害復旧のため或る程度各県とも増員をやつておられるように聞いております。従いまして定員の増加につきましては府県が必要を認ればでき得るのだと考えております。
  10. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私はこの間いなかつたので、誰かお聞きになつたかもわかりませんが、予算措置がどのようにできておるか、十五万円が十万円になつて個所数が殖える、おのずから件数が殖えれば殖えるほど補助金増額することになりましようが、今度の予算にはどういうふうになつておるか承わりたい。
  11. 堀直治

    説明員堀直治君) この法律改正には本年度、二十七年度災害から適用いたされます一件十万円に下げるために殖えるものと、それから過年度災害二十四年度、二十五年度以降の災害のうちまだ補助金を出していない分に対しまする超過事業費五割を六割五分に変える、つまり一割五分だけの増額のための予算と二つに分れておるわけでございます。新年度災害につきましては、これは各省とも合せまして八十億を予備費の中から出しておるわけでございます。今までに大半を出し尽しまして残りはたしか二億数千万円であつたと記憶しております。これだけでは足りませんので更に二十億の補正予算を今議会に提出中でございます。この予算がお認め頂けますれば本年度災害分の十万円切下げた分につきましては措置できることになつております。超過事業費廃止につきましてはこれは過年度災害予算になりますので実はまだこの分については予算の要求をいたしておらんわけでございまして、本年度補正予算には間に合いかねるのでありますので、来年度二十八年度以降において要求することに大蔵当局と交渉中でございます。
  12. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 当局お話によりますと大体二十七年度分は二億ほどだ、過年度分に対しては要求いたしておらんが大体できるだろう、こういうお話でございますが、どうも予算の伴わない法律を通すと全く困つてしまうので、本筋は予算がちやんと確定した後に法律を通すことが建前で、そうやつて来ましたが、最近議員提案がむやみに殖えて来た、そうすると議員提案大半予算が通る通らんにかかわらず、予算というものは、まあそつちのけじやありませんが、大体不成立のままに通すようなことになつておるのが多いので、非常に我々は、本来の予算裏付のない法律は通さない、こういう原則は殆んど破られつつあるのでありますが、今後はそれを堅持して行くようにしなければならんと思いますが、今の法律に対しまする予算過年度分が何ぼくらいの金額になりますか。
  13. 堀直治

    説明員堀直治君) 過年度分増額は大略十四億五千万円程度でございます。この分につきましては予算措置といたしましてはまだやつてはありませんけれども、いわゆる工事残事業量ということで義務のような形で予算を支出して参りますので財務当局とは打合せが済んでおります。
  14. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 別にほかに質疑がなければ次の議題に移りたいと存じますが、如何でございますか、お諮りいたします。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 御異議ないようでございますから、次の問題に入りたいと思います。   ―――――――――――――
  16. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 次に急傾斜地帯農業振興対策の件を議題に供します。この件については岡村委員及び三橋委員から発言を求められております。なおこの機会に福岡県芦屋飛行場防風林伐採に伴う農作物被害補償の件について三橋委員から発言を求められておりますが、急傾斜地帯農業振興の件が終つてから発言を願うことにいたしまして、急傾斜地帯の件について岡村委員、三橋委員の御両名から逐次御発言を願いたいと思います。
  17. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 この急傾斜地帯農業振興法案につきましては各方面から御理解を願いまして通過したのでございますが、あの採決の際における各委員の討論というものを十分御考慮になりまして、予算措置を講じておるのかどうかということは、誠に今になつて疑わしい点がたくさんあるのでございます。私は各委員の最も心配いたしました点につきまして討論されましたことが現実となつて今現われておるということにつきまして甚だ遺憾の意を表するものでございます。特殊地帯、急傾斜地帯と申しましても、これは本当に実情を御覧になりました人にはよく納得行くのでございますが、ただ通り一遍急傾斜地帯農業というようなふうの文句では実情をつかみ得ないと思うのでございます。而もこれは期限を限つて、あの地帯農業を振興させようと、こういうようなことであるのでございまして、従つて集中的に予算措置を講じて頂かなければ法案第十条の四項目目的完遂ということはできないことだと思うのでございます。従いまして重複になりますけれども一応愛媛県を中心といたします急傾斜地帯実情をいろいろお話申上げまして御考慮をお願いしたいと思つておる次第であります。  もともと愛媛県の急傾斜地帯は、古い歴史を調べて見ますると農業目的で土着したのではないのであります。漁業目的と称して漁獲物を売つて食糧を買つてつておる。もともとこれはずつと前から存在しておつたのでございますが、こういう法案を以前から作つて頂きまして振興して頂かなければなりませんのは当然のことであつたのでございまするけれども、そういうような漁業目的として土着をした、ところが戦争に入りまして食糧というものに非常に重点を置いて来まして、食糧をわきから買つて来ることができなくなつて自分で作らなければならない、従つて農業方面に非常にたくさんの労力がとられまして水産のほうには手が廻らんので漁獲物が非常に少くなり、農業も人一倍狭い耕地を相手にしてやらなければならんというので、もともとああいうところで農業をやるということそれ自体が私は一つ災害だと思うのでございます。今農業状態を見まするに、一世帯当り耕地を見ましても、全国では八反二畝でございます、愛媛県下におきましては五反一畝でありますが、急傾斜地帯におきましては二反一畝、一人当り耕地面積全国では一反四畝、愛媛県下では八畝二十歩、ところが急傾斜地帯におきましては僅かに三畝二十一歩でございます。こういうような所を……、急傾斜地と申しましても耕地は別に傾斜しておるわけではございません。段を作つておりますから耕作面は平らでございます。併し一反歩の耕地が多いものは四十枚以上に達しておりまして、麦一畝作りますのに体を廻しようもないという所が非常に多い。そういうような所を耕作しなければならないということは、最初申上げました食糧の行詰りと、どうしても食糧というものはよそから入つて来ない以上は、漁業の収入を犠牲にいたしましてもそのほうをやらなければならんという天然条件によりまして余儀なくざれたような事情があるのでございます。もともとこういう所で農業をやつておるよりも、もつと広い所に行つたらいいじやないかという捨てばちな議論が出るほど窮迫をしておる状態農業経営をやつておるということをよく知つて頂かなければならんと思うのでございます。ここにはおよそ世帯は三万六千戸、人口は二十一万七千、総耕地面積は一万余町歩でございます。そのうちこういうような急傾斜地に属するものは約八千二百町歩余あるのでございます。でこういうような非常に窮迫をしておる、又いもを作りまするにも、麦を作りまするにも非常に手間がたくさんかかる、今仮に甘藷でこれを見ますと、これがよくわかるのでありますが、平坦部を百とした場合に甘藷に要する生産費は一七五であります。麦のほりは平坦部を一〇〇とした場合に一三八、このうちこの生産費内容を調べて見ますと、この地帯状態がよくわかるのでありますが、この総生産費甘藷の場合には二万二千百二十六円かかりますが、そのうちの労力費は一万一千六百二十四円であります。麦の場合におきましても、この生産費三千九百五十円、これは労力を含めない生産資材購入費でございます。それから平坦部のほうにおきましては、六千四百五十六円でありますから、この購入生産費のほうでは急傾斜地のほうは二千五百二十三円だけ少いのでございます。併しこれを今度労力のほうを見ますると、急傾斜地帯のほうでは一万二千五百六十五円、平坦部のほうでは六千五百九十円、即ち労力費としましては五千九百七十五円だけ平坦部より余計にかかつておる。労力だけにつきまして、更に抽出して見ますと、労力費は一万一千五百三十四円に対して平坦部は四千七百三円と、こういうような状態になつておるのでございます。なお又これはあの地帯主作であります甘藷麦類、裏表を作つておるのでありますが、所によりましては耕作山頂に及んで冬風が強いので麦が作れん地帯がたくさんあるのでありまして、全くいも一作の単作地帯面積も相当広汎に亘つておるわけでございます。なお又この労力内容を調べて見ますと非常によくわかるのでありますが、甘藷主要労力を調べて見ますと、急傾斜地帯におきましては総計三百九十人かかつております。このうちで男の労力は三百二人、女の労力は六十四人であります。普通畑のほうは今度は総合計は三百二人でございまして、総労力数におきましては八七。七人の差があります。ところが女のほうの労力は急傾斜地帯におきましては六四・七人でございますが、平坦部のほうは一五七・六、女の労力では耕作ができないということがよくわかるのでありまして、総労力数が多いのみならず、男の手間を食う、この人数が非常に多くなつているということも、この地帯特異性であります。こういうようなことから考えまして、この地帯は非常に困つた窮迫した農業経営をやつておるということがよくわかるのでございます。恐らく愛媛県以外の急傾斜地帯におきましても、或いは長野でありますとか、その他の山間地帯におきましても平坦部ではいわゆる経済力のない窮迫した農家が求めるに地がなくて人の捨てておりましたところを開墾したのに始まると私は思うのでございます。こういうようなことから考えました場合におきましては、いわゆる特殊法案の性質を活かして頂きまして、急速にこの地帯農業経営法律第十条に示しておるような目的を達するために予算裏付を十分にやつて頂かなければならんと思うのでございます。その一つといたしましてあの地帯労力調査によりまして、労力が二倍、三倍かかるということは農業が集約になるための労力ではないのでありまして、物を運搬するに非常に手間がかかつたり、いわゆる非生産的な労力が非常にかかるということが、この地帯農業経営窮迫した原因だと思うのであります。又この第十条に示しておる四項目目的を達するためにも、結局この地帯農業の特色であります過剰労力を要するという点を改善するにあらざれば、この四つの目的を達することはできないと思うのでございます。副業を入れまして農業経営合理化すると申しましても、今では手一ばいでございます。忙しいときには、ざあいもを植える、麦刈りと申しますれば猫の手も借りたいくらい忙しいけれども、ふだんはさほど忙しくない、併しその人口を間引いてよそへ移住をさせる、そうしますと忙しいとき困るというようなジレンマに陥りまして、どうしても或る程度労力を節減する施策がこの四項目改善中心になるものといわなければならんのでございます。農業経営合理化多角化するにしましても、今のような状態では、多角化合理化のために抜けます労力の余裕というものは一つもないのでございます。恐らく農道、索道などの整備ができまして、そうしてそれによりまして今までの三倍、四倍の労力を三分の一節減をいたしまして、これを手近な水産方面に向けるとしましたならば、水産業も振興して来るでございましよう。又海岸でない地帯はその手間によりまして特用作物栽培でありますとか、或いはもつと単価の高い作物栽培に集中することができるということになるのでございます。こういうような事柄から考えますると、やはりこの農道の設置ということが第一番であると思うのでございますが、これを農道補助はほかのほうと見合せなければ、ほかの補助率と同じようにしなければならんというようなことをいわれますのは、結局この地帯農業の構造などということを十分御認識ないためだと私は思うのでございます。先ずこの地帯農業状態農林省関係かたがたは大部分御視察願つておりまするが、恐らく大蔵省関係の人はまだ御視察願つておらんと思うのでありますが、速急に一つ視察を願うことが第一点でございますが、この農道補助率も今申上げましたようにこの地帯農業振興中心問題であるということを先ずお考えを頂く、平坦部農道とは農道構築費用というものの単価も違います。又その農道を作るために二割くらいの補助で作れるものならば、自分の骨身を削つて今まで恐らく苦しんでおらんと思うのでございますが、こういうような農業経営をやつておるものでございますから、従来の補助率では到底やつて行く能力は、経済力はないということは、これは当然のことでありまして、ここに初めて特殊法というものが必要になつて来るわけでございます。平坦部農道、あれは私東北のほうもよく知つておりますが、積雪単作地帯などは雪が降ることによつて堆肥の運搬が非常に楽になつて行く、雪が立派な農道の代りをしておるということもよく知つておるのであります。併しこの急傾斜地帯におきまする農道というものは、この地帯農業振興中心をなすものであるということを御考慮を願いたいことと、もう一つは、どうしてもこういう窮迫の事態にあります農業地帯におきましては、従来の補助率では十分その目的を達することはできない。まあ少くとも災害復旧助成率五割程度のものはこれは必要とすると思うのでございます。なぜ私はこういうことを言うかと申しますと、先ほど申上げましたように、こういう所で農業をやらなければならんということがすでにそれは一つ災害でございます。従いましてこういう地帯におきましては、災害復旧並み助成率をお考えを願いまして、この法律に本当に魂を入れ、この地帯農業経営合理化ができますれば非常に幸いだと思うのでございますが、補助率は今大蔵省ではどのくらいお考えになつておるのかお伺いしたいと思います。
  18. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) 急傾斜地帯農道補助率につきましては、当初の方針といたしまして、積雪寒冷単作地帯農道補助率との均衡も考えましで二割ということに考えておつたわけでございますが、その後農林省との間にいろいろ事務的に現在折衝をいたしておるわけでございますが、一応農林省に対しましては三割まで引上げるということで目下折衝を続けておる段階でございます。
  19. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 急傾斜地の問題は、これは議員立法でございまして、私は初めから今度の選挙目当てに、人気とりにやるのではないかという目で見ておりました。それはなぜかと申しますると、日本の急傾斜地というものは如何なるものであるかということがよくおわかりであるならば、国は相当の覚悟がなければできないことでございます。ですから非常に困難なできないだろうと思うものを立法化して、それを通そうというのですから、それには相当の覚悟が必要でございますが、予算措置ができておりませんので、そこで前の大蔵大臣を当席に来てもらいまして、そうして予算措置は必ず講じますと、こういう約束をさせて通過をいたしましたが、そこで我々が手落ちを非常にいたしておりまして、それはこのことだけはほかの補助金違つて補助率まできめてそうして通すのが妥当であつたのでございますが、それをきめないで通したようなわけでございます。そこで補正予算に必ず組むという言明を頂きましたが、今の補正予算には僅かに一億四千万、それは日本の急傾斜地から見れば蜂の涙のような予算であります。そこで三橋さんからいろいろお話がございましたので、そういうことは成るたけ繰返さんようにしようと考えますが、現在の日本の急傾斜地農業を営んでおります者は、国の救護法による救護を受けておる者よりずつと下にございます。算盤をすればすぐ出ます。これは徳川時代から今日まで一銭の国の助成も受けたことのないかたがたでございます。そこで私は非常な急傾斜地に生れて二十三まで育つておりまして、よく肚の底までしみておりますからわかつておりますが、今北海道におりまして、そういう所は駄目で、北海道に行つたのでございますから、そのあとの残つておる姿を何とかしてこの際みれるならみてやろうと思いまして、本当にこの委員会において火花を散らして激論をやつたのでございます。ところで予算が僅かに補正予算でございますから一億四千万というものを、今頃とやこう申上げましてもこれは止むを得ません。そこでせめて補助率ということになりますが、私の地元のほうから陳情者が参りまして聞きますと、大体大蔵省のほうでも二割ということになつておるので、これならもうやめますということを言つておられましたが、農林省のほうにお話を申上げましても、これは誠に残念なことには、本当に急傾斜地に我々が国の援助によつて幾分でも、何百年来何がしの助成も受けたことのない農業者を少しでも明るみに出るようにしてやろうとすると、実地をよく御存じないからなかなか話が通らない。先だつて大蔵省へ参りまして、丁度佐竹主計官が工合悪くて休んでお席にいなかつたからほかのかたに申しておきましたが、国の保護を受けておるより悪い生活をしておる百姓たち、私も積雪寒冷地帯におりまして、そのほうもやつておりますが、それと全然趣きが違います。ですからそういう非常に面倒な法律はできたが、その補助金を受けられないという現状になることが火を見るより明らかでございましたから、私たち非常に激論をいたしたのでございます。ところがあにはからんや現在の法律はそこまで行つておりませんために、現実は大蔵省農林省でおきめになるのでございますが、大蔵省のほうでは大体二割、農林省へ行つて見ますと三割五分とか四割、そういう農林省自体の原局の人も実地を十分御存じにならないから、そういう補助率が出されるので、私は最小限度五割、それからそれ以上は事業の種類によつてそれを変えて行くことは適当であろうが、いかない。併しそこで十五度という角度が明記してありますが、これは政府が民有林を買上げます時分に十五度という角度を指定したために、それが十五度になつておりますが、私は全部十五度なら何も二割でもやれると思います。ところが四十五度、五十度という所では、私が生れた所では大体家を建てるのがやつとでございまして、今の三橋さんのお話では海岸を主としてお考えになつておりますが、海岸ではございません。全然これは山奥のどうにもならん所で、人間が住んでおることすら不思議であります。併しながら私の先祖が入りましてから九百三十六年になつておりまして、それを今出て行けというわけはに参りません。そこらを助けるにはあの法律がものをいうのでございますが、現在のような大蔵省農林省の係のかたの御認識では非常に不可能でございます。ですからこの際現在の一億四千万を相手にしてその補助率を当てにしますと、事業面積は減つて参ります。これは本年のことでありますから止むを得ないが、併しながら補助率はどんなことがあつても最低限度五割、それ以上は必ず事業の種類によつて変ることにせなければならんということにしてもらわなければ困ると思いますから、どうしても佐竹主計官はこの際そういう点をおわかりにならなかつたらこの附近にはちよつとないかも知れんけれども、実際今泣いております日本の、本当の急傾斜地はたくさんございますが、長野にはこの附近で一番多いと思いますが、そのほかにたくさんございますから、実地を見られて、そうしてこれらは先ほどの救護法によつて救護を受けておる者よりまだ悪い生活をいたしております。それは年間十四、五万とるのが普通であります。ですからその足らん分は稗を食つたり、或いは余業でやつておりますが、そういう国民のいることを十分御認識になつてあの補助金を五割を最低限度にしてもらわないと我々が国会で口角泡を飛ばして作りました法律がまるで死んでしまうことになります。それこそ国民を欺満することになりますから、そういう点は是非当局は十分お考えになり、御研究になつて、今申しますような五割以上に補助金をおきめになることをどうしてもお願いしたいと思いますが、どうお考えになつておるか、お聞きしたい。
  20. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) 只今岡村委員お話誠に御尤もと拝聴しておるのでございますが、補助率の問題につきましては、御承知のように案は先般の積雪寒冷単作地帯法律が制定されましたときに、この農道でありますとか、客土でありますとか、暗渠排水区画整理といいました一連の小規模な土地改良関係補助率をどうするかという議論をいたしたわけでございますが、その結果これらの比較的小規模の土地改良事業につきましては自家労力の部分が相当見込まれるわけでございますので一般の大規模の灌漑用水事業というものに比べましては補助率が若干低くなつても止むを得ないという点では農林省とも事務的に十分話がついて参つたわけでございます。そこで積雪寒冷単作地帯の場合におきましては農道は二割、客土、暗渠排水につきましては三割というところで今日実行されておるわけでございます。只今お話のように急傾斜地帯農業経営状態が非常に窮迫をいたしておりますことは御指摘の通りと思いますが、片や単作地帯積雪寒冷単作地帯の場合におきましても、ほかの地域に比べましてなかなか経営が苦しいというところで、その間にいずれも経営条件の悪さにおきましては、積雪寒冷地も急傾斜もいずれも悪い条件にさらされておるわけでございます。そこで急傾斜地帯のみの補助率を引上げまして、単作地帯は据置くということも均衡上如何でございましようという点も十分検討をいたしたわけでございますが、自家労力の部分を何ほど見込むかという点で、実は補助率の算定がいろいろ違つて参ると思います。で、只今の御指摘のように五割が、いきなり五割まで持つて行くつもりはないかというお話でございますが、この点は五割が妥当でありますか、或いは三割が妥当でありますか、その点自家労力の算定の問題と、更に金融の問題がもう一つ別にあるわけでございますが、自己資金で十分賄い得ないところを金融で繋いで参ります。金融で繋ぎます場合に全く補助金が出ない場合に比べて補助金が出ます場合には金融がつきやすいという事情も確かにあるわけでございます。その点で金融としてどの程度の資金が調達できるか、又当家労力としてどの程度のものが見込まれるかというような点を実は十分検討をいたしまして、積雪寒冷単作地帯の場合は先ほど申上げましたよう二割という線を一応出したわけでございます。で、急傾斜につきましては積雪寒冷とやや条件が違いますのは、積雪寒冷地帯の場合には比較的平坦部が多いために単位面積当り農道の延長というものは急傾斜地帯に比べて比較的短い、急傾斜地帯のほうが単位面積当りに、乃至は単位農家当り農道延長というものが比較的長くならざるを得ない、そこに急傾斜の農道のほうが単作地帯よりも費用の負担において若干苦しくなる余地は出て参ると思います。その点で只今申上げましたように二割の補助率ということでは多少無理が出て来る、そこでこれを三割に改訂いたしますか四割にいたしますか、その点を実は現在農林省との間に事務的に実は折衝をしておる最中でありまして、只今の段階では一応三割ということで話を進めておるわけでございます。なおその点につきましては御趣旨の点を十分検討させて頂きまして、更に妥当な補助率を出しますように事務的な折衝を続けたいと思います。現在のところではほかの他種事業補助率との関係から申上げまして、一応現在の三割程度の線が考えられるのではなかろうかというふうに実は考えておるわけでございます。
  21. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 佐竹さんなかなか御熱心に農業関係のことをやつてもらつておりますので、観測を誤つておるとは申しません。ただ御存じないからそんなことを申すんだと思います。寒冷単作地帯のことにつきましては我々が主となつてでつち上げた法律でございますから、これはよくなつておりますが、今度の急傾斜地の問題はもとより他にこれに比べてやる何物もないと思います。そこで問題は、事業項目が入つておりますが、何一つ見ましても非常に困難でございまして、例えば農道を作るにいたしましても、先ほど三橋さんから十分こまい話をされていますのでおわかりだと存じますが、五歩、六歩、十歩、十五歩、こういつたような段の道路をつけますと、それは非常に小さい規模のところにおる百姓はいたしております、ただそんなことをしたらお前は損をする、こういうわけに参らんと思います。そこでこれらの道路を作るためには段間もろくにとれんようなところに人家がございます。そこでそれを道路にし又客土と申しますのは、客土を若しすれば、人間の肩において或いは人間の背において他から土をしよつて行くか、担いで行くよりほかにないところでございます。そこで排水事業というものはないと申しませんが、大体そうたくさんはないと思います。そこで客土が考えられますが、これは例年客土となると思います。それにいたしましてもなかなか容易ではないのでございます。現在大蔵省農林省が協議されて農業に対しまする補助を出しております。それを限度に比較考えをいたされますと、全く今度のような急傾斜地補助金は何にもならんということになつて仕事ができないと思います。で、私は時間がないのでそうたくさん言つても果てしがつかないと思いますから申しませんが、是非佐竹さん一応見てもらつて……、この間あなたのところにお邪魔をして次席にお話をいたしましたるところ、その次席は高知から愛媛に走つてお歩きになつたもので大分頭に入つておる、成るほどあなたのおつしやるところはそうかしら、それでも多少はわかります、そこでお話にならんのです。先ほど救護法を受けておる者の状態を悪いと申しましたが、それは何ぼでもお話して見ましよう。そういうところにおるものを何とかしてやろうという何ですから、私は不可能なことを私は最初から言明しております。ところが是非やらなければならんというならこれをでつち上げて本当に長い聞苦しんでおる彼らの労苦なり或いは生活が何ぼかよくなれば幸い今国会に議席を占めておるのが幸いで、この際一つつてやろうとこういう本当の肚の底をきめておつたもんですからきついごとを申上げますが、どうしても現地を御覧にならないと積雪寒冷地帯補助率を運用されるようなお考えでは、今度の急傾斜地の問題は解決はつかんと思います。そこでそんなら予算がもらえなければ補助金を出すことにいかんから仕事をしない、こうなつたのでは結局八億なり何なりもとれんことになりますから、是非早急に農林省にそう申上げておきます。で、農林省の局長にも是非現地に人をやつてもらつてそうして是非現地を見てもらうように話をいたしておきましたが、なかなかそこまでいかんと思います。これは我々の話を信じて結構ですが、若し信じられないというのならば、現地を見て成るほどこれはひどい、私はこれを補助金によつて事業を行うことすら土台それが無理だと思います。ですからその無理だと思つておるものを法律で出してやろうということで、是非そうならなければならんのであります。そこで池田さんがおいでになつて写真まで撮られた、そんなことが一遍だかございます。それは池田さんがおいでになつて、必ず予算を出しますと言つて写真を撮つて今でも残つておると思います。そこで衆議院愛媛県選出の薬師神先生が非常に熱心にやられておりましたが、今度の選挙で落選されておられません。当てにならないので三橋さんが熱心にやつておられますが、どうしてもこれは一度通した以上は我々の力でものにし、成るほど急傾斜地の問題が多少でも役に立つたということにしないと、今のお話のように二割や三割で黙つておりますとお前は何をした、私が申上げたように選挙政策の人気とり法律であつたということになりまして、ただ法律ができただけで事業は行えない、こうなつたのでは我々国会に議席を占めておる者として絶対に堪えられないことで、是非一つそうでなくて我々の希望通り五割以上の補助率を出すように佐竹主計官は絶大の御努力をして頂かなければならんと思います。これは東京の真中で議論をしてもわかりませんが、私は急傾斜の所へ行つては東京におる紙屑拾いよりお前らの生活は悪い、乞食よりまだ悪い、こう言つてけなしておる、それは行つて見たらわかる、そういうことまでしてそこにおらんならん、止むを得ないで行く先もなく、分別もつかんでおりますあの農民共を法律を作つて助けてやろうという意味で作つたのですから、遮二無二どんなことがあつてもこいつを五割以上出してもらうように御努力を願わんと、出さんということになれば出んのですからほかと比較はちつともしません。早い話が今農業手形という手形によつて農機具を買つておりますが、そんな手形なんかで恩典はあつても一銭も受けられない連中でございます。寒冷単作地帯の人はそれを受けようなら受けられます。又それを決して言うのじやございませんが、急傾斜の方面と比較したらお話にも何にもなりません。全然比較の問題ではございません。ですからこの法律議員提案にせよ政府が認めて、而も大蔵大臣がそこへやつて来て、そうして誰が代つて日本の政府でございます。必ずこの法律を作るように措置をいたします、是非通してくれ、こういうのですから私一人質問をし、一人答弁されてあれが通過したのでございますから、どうしても私は遮二無二どんなことがあつてもこれは五割以上にしてもらわなければ死んでも死に切れないし、急傾斜地の農家に対しても申訳ないという固い信念を持つておりますので、是非一つ大蔵省のほうでもそういうふうにお考え願いたいと思いますが、農林省が情けないことに原額が三割五分だとか四割だと行くから馬鹿なことをすると思つて……、そんなことをしてはどうにもならん。農林省が五割と言わずに、農林省自体が馬鹿だから三割五分とか四割などと持つて行くからあなたのほうは三割の主張をするのが当然だと思う。そうじやなくて、我々は農林省が五割以上と言つてつた大蔵省のほうでも佐竹主計官も見て下さると思う。そうでなく農林省の原案が三割五分と出すものですからこれは面倒になるのです。是非一つそういうことのないように、どんなことがあつても最小限度五割以上、但し十五度程度面積の広いところにそれを適用せよとは申しません。あとの四十五度、五十度に対しては五割以上の補助をするのでなければあれは駄目だ、あれはいかんことだ、こういうことにお考えを願つて是非その方面に御努力を願いたいと思いまするがどうですか、もう一遍お聞きしたい。
  22. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) 御趣旨の点十分体しましてなお検討を続けさして頂きたいと思いますが、お話のように急傾斜地と一口に申しましてもその中にいろいろな段階があるということで、段階別にいろいろ実態を当る必要もあると思いますが、なお更に検討をさして頂きます。
  23. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 岡村委員からいろいろお話がありましたから十分御了解できるだろうと思うのですが、なお御研究の足しにもと思いまして、逆でございますけれども、こちらから資料を提出いたしますから十分一つ御研究を願いまして、どうぞ五割の線まで頑張つて頂くようにお願いいたします。
  24. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今三橋委員岡村委員から詳細に急傾斜地の問題は取上げて、又佐竹さんからもいろいろ御答弁があつたのでありますが、岡村さんがお話通りに、急傾斜地は全く農業をやるのに困つた所であるのでありますから、五割以上の補助金を出して頂くように私からもお願いしたいと思うのであります。又今佐竹さんのお話によるというと、金融の方面も何とか考慮中であるというようなことであるのでありますが、如何なる方法で金融のことをお考えになつているのであるか。この前の全国の会議においても金融問題はいろいろ取上げられたのでありますから、この際承わることができたらば幸いと思う次第であります。
  25. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 急傾斜地におきます補助につきましての金融につきましてはいろいろ考慮いたしておつたのでございますが、今回の補正予算の金融の枠といたしましては、一般会計から五億と、それから償還金三億、合せまして八億でございまして、この八億につきましてのまあ半分ということになるわけでございます。当初の大蔵省の要求といたしましては勿論ほかにもいろいろあつたのでございますが、八億となつて見ますといろいろ困難な問題もございまして、御承知の通り二百億本年度の枠がございましたときになかなか二百億にも収まり切れない、こういう実情もございまして、方的な計画案といたしまして二百七億の実は案を計画をいたしておつたわけでございます。そういうわけでございますので、それとの関連もございまして漁業の共同施設或いは酪農といつたような面、それから又サイロ、堆肥舎の補助問題がからみまして、これを利子で賄うといつたようなことになりましたので、今回の補正予算では漁業共同施設、酪農、それから今の堆肥舎、サイロということに重点を置いて計画をいたしたわけでございます。従いまして今年度補正予算には公共事業の部分は入つてございませんですが、勿論この事業の推進上、金融が必要であることは申すまでもございませんので、差当りは中金等の繋ぎに頼りながら来年度予算でこれを実行したい、かように考えております。
  26. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 次は先ほど開会前に陳情がございました芦屋飛行場防風林伐採被害補償の分に関しまして三橋委員から発言を求められておりますので許可いたします。
  27. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 接収農地の問題につきましては十三国会のときに本会議でそれぞれ関係大臣に質問しておるのでありますが、善処するというような答弁を頂いておるわけでございます。特にこの農業は御承知のように耕地だけでは農業のできない場合が多いのでございます。水田を開発いたしますには川のありますところは水路を先に作らなければなりませんし、又溜池のない所は溜池を築造して、初めてそこに耕地というもの、水田というものが開発できるということは申すまでもないことでございます。で、本会議における質問の際にも、水源涵養林とか、或いは防風林を伐採されたために及ぼす損害に対してはどうしてくれるのでございますかというようなことも申しておつたのでございます。この、先ほど陳情がありました芦屋飛行場の実態を考えて見ましても、遠く歴史を見ましても、先ず防風林というものができましてからそれに附随しまして農耕が可能になつたと、こういう歴史が厳として存在しておるのでございます。昭和十四年に飛行場ができ、一部分が伐採されまして、それから順次被害があつたのだそうでございますけれども、それを忍んで農耕をやつておられたような実情でございます。更に進駐軍が飛行場として使うようになりましてから、伐採を拡大し射撃場などを設けまして、その損害というものは非常に大きなものがあるのでございます。国のほうといたしましては、農耕の直接被害というようなことにつきましては補償する、間接ということにつきましてはその補償は考えておらんというようなことをよく聞くのでございますが、間接被害ということにつきましてば恐らくいろいろなことがありましよう。飛行場がありますために、飛行機の発着の爆音によつて鶏が卵を生まなくなつた、これも間接の被害には相違はございません。併し、先ほど申上げましたように、溜池があつて水田が経営できる。又、この芦屋飛行場の防風林というものは、耕地を作るために防風林を先ず作り、その防風林というものは部落の人々はむしろ耕地よりもかわいがつてそれを育てて来た。松葉を掻くことを遠慮したり、地方を増進して一寸でも松を太らせて寒い潮風を防ごうという努力は、過去の歴史にもはつきり現われておるのでありまして、この地区の農耕、いわゆる土地の生産力の維持ということにつきましては、これは欠くべからざる保安林であるということは申すまでもないのでございます。これを伐りまして、飛行場を作り、あまつさえ砂丘を均して海と直通の風が吹くというような状態になりました場合におきましては、当然その地帯の農家の人々は農業経営に支障を生ずることは当然でありましてこれは鶏が卵を生まなくなつたというようなことはおよそその緊切さが違うと私は思うのでございます。そればかりでなく、風の害ばかりでなくて、温度が低いために早作りの野菜がその時期に収穫ができなかつたり、或いは砂の吹き流しによつて芦屋川の川口がとまりまして水害を誘発したりするということは、これは積極的な被害であると言わなければならんのでございます。先ほどもお話のありましたように、水田八百七十町歩、畑地は百七、八十町歩、関係農家戸数は九百戸に及んでおるのでありまして、昭和二十三年から二十六年度までの損害額は正確な計算によりまして一億五千万円に達しておるということは、彼の地の実情を調べまするとすぐにこれは感得することができると思うのでございます。そこでこういう類の損害補償はどういう程度にして頂けるものであるかということが先ず第一点でございます。  第二点は、こういう損害の起ります地帯をこのままに放置しまして、毎年国家がこれに対して損害賠償をするか。それとも恒久的な施設を設けまして防災対策をして頂くかという問題になつて来るわけです。若し防災対策をするとすれば、どのようにこれをお考えになつておるかということ。  それから第三番目には、更に又あの三里も続いております松原を又伐り倒しまして演習場を拡大するとこういう計画があるそうでございますが、これこそ大変なことでございますが、果してこの拡大の計画というものはあるかどうかということを一応お尋ねしたいと思います。
  28. 川田三郎

    政府委員(川田三郎君) 只今芦屋の防風林を軍の行為によりまして、飛行場の保安上伐つたという点についての被害のお話がございました。これについて私どももその被害の実況に応じて何らかの補償をするという点につきましては研先をいたしたわけでございますが、現在の建前と申すと大体国の契約に基いて借りた土地、海面でありまして、そういうものについての補償が直ちに法律上出ることになつておるのでありますが、アメリカ駐留軍の行為に基いたものを日本政府が責任を負つて補償するという直接の繋がりが発見できない。これは全く冷い議論でございます。こういうことを言つてつたのでは私ども調達をやつている者としては不十分であると思いますが、一応考え方のプロセスとして申上げます。そこで現在日本政府が行政上又は契約上責任を負つていないもので、補償乃至見舞をしておるものがあるかと申しますと、これはあるのでございます。例えば軍が交通事故によつて人を傷害又は殺傷いたしました場合に、日本政府は曾つては見舞金を払つております。それとの権衡上いわゆる接収地区外にあるものが軍の行動によつて損害を受けた場合に補償をしてはならんという行政上の原則は貫かれていない。政府に直接責任がなくとも駐留軍が存在している国であれば、国民の損害は何とかして緩和しなけりやならん、これは私どもの念願であります。従つて現在とつておりますやり方といたしましては、次第にこの軍による国民の被害を補償又は見舞をして行くという態度で、芦屋につきましては現にこの類似の場合を取上げまして、全国的の予算必要額等を調査いたしまして現在概算もできることになつております。それによつて行政協定の今日におきましては、行政協定上必要とする予算額以外にいわば協定から派生して来る財政負担、これがどのくらいになるかという点で若し大蔵当局との間に話がつきますれば、差当り見舞金の形でこれを補償するという計画でございます。現に大蔵当局とその事項を上げまして概算予算額を出すことを前提として折衝中でございます。
  29. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 次に外務省の国際協力局の第三課長の田中さんから御説明願います。
  30. 田中弘人

    説明員(田中弘人君) 只今の第一の点につきましては、在日米軍関係の補償の問題の主管省であります調達庁の方針と同様に考えておりますので、その方向に努力をいたしたいと思います。  第二の点につきましてはお話のありましたように芦屋は現在飛行場と射撃場とがありますが、飛行場そのものは戦争中に作られたものでございまして、それが占領軍によつて使用され、更に講和後におきまして日本政府からの提供によつて現に米軍が使用をいたしております。米軍関係の施設の提供に当りましては国民生活への影響というものを十分に考慮するということを前提にいたしまして十分に調査の上これが提供を決定しているわけでございますが、同時に軍事的な必要ということも重要な考慮になるわけでございまして、芦屋の飛行場は現在在日米軍にとりまして極めて重要な施設でございますので、これは引続き使用させるほかはないかと考えます。但し射撃場につきましては、現在演習場、射撃場関係の専任官が現地へ参つておりますが、まだ確定的なことを申上げる段階ではございませんが、でき得れば芦屋の射撃場はやめたいというふうに考えております。いずれ係官が今週末には帰つて参りますが、その上で米軍と協議の上芦屋の射撃場の問題についての結論を出したいと、かように考えております。それからこれらの施設が存在するがために今後も引続いて起る被害防止という点につきましては、射撃場関係の問題についての結論が出ました上で米軍とも協議したしできるだけの措置をいたしたいというふうに考えております。
  31. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 第三番目の今後拡張するというような計画がありますか。
  32. 田中弘人

    説明員(田中弘人君) 只今申上げましたように現在外務省、農林省の演習場関係につきましての合同委員会の小委員会委員が米軍係官と現地へ参つておりますが、現在使つておりまするのは高射砲の射撃演習、これは陸から海上に向けて射つております。それから飛行機の爆撃演習、これは海面が使用されておるわけです。この二つの点がございますが、少くとも前者即ち陸上から海上へ向けての高射砲の射撃演習につきましては他の地区をもう少し能率的に使うことによりまして、でき得ればやめさせたいというふうに考えまして、現地視察と同時に米軍と交渉中でございます。あと爆撃の演習でございますが、これは陸上の農地には直接の関係はございませんが、これも最小限度の水域に限るという方針でこれ又交渉中でございます。いずれにいたしましても近く結論が出せるというふうに考えております。
  33. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 次に農地局の谷垣管理部長。
  34. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 芦屋の飛行場或いは射撃場に使つておりまする問題の重点は恐らく防風林の伐採による被害がお尋ねの当面の問題であろうと思います。その他のことは今外務省からお答えになつ通りでありますが、いわゆる防風林の伐採によりまする砂の移動或いは又非常に寒風が吹きすさんで来るための影響というような問題、いわゆる間接被害と申しますか、そういうようなものの中に入る問題だと思います。これは実は非常に大きな問題でありまするが、非常に又判定の限度がむずかしい性格を持つております。併し実際問題としましてそのために被害が起きておることは事実でありますので、それに対して例えば防風林を新らしく植栽をするとかいうような手を打ちまするほかに、いわゆる間接被害に対する対策、間接被害に対する補償の問題が重要な問題になろうかと思います。で、これは東京湾その他にありまする防潜網の問題であるとか、或いは又非常な爆音のために方々の影響があるという問題と同様のケースであろうかと思いますので、いわゆる無過失責任の原則がどういうふうに認められるか、むずかしい法律的な問題があろうと思いますけれども、農林省といたしましては現実にそういう問題から起きておる被害が大きいということに着目いたしまして関係方面と御相談をいたしながら、間接被害に対しても何らかの対策、或いは補償が行われるような措置を講じたい、かように考えております。
  35. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では次に農業共済組合連合会事業不足金及び農業共済基金の件を議題に供します。本問題については去る六月六日の当委員会において政府提出にかかる農業共済基金法案を採決するに当りまして、当委員会の名を以て政府に対しまして第一に今後農業共済基金の資本金の増加に努め、而して増資は政府の出資の増加を以てこれに充て、会員の出資の増加はこれは避けること。なお資本金の増額に至る過程における連合会の事業不足金に対しては、政府において遺憾なく融資の措置を講ずること。第二に会員出資金の払込み並びに農業共済組合及び組合員の醵出金の徴収については、農家の経済及び災害の状況等を勘案して、払込み又は醵出の時期及び金額を斟酌し、農家経済に困難を強いる結果を招来しないよう適当の処置を講ずることの二つの事項を申入れ、当日出席せられておりました廣川農林大臣から、今後増資する場合、これは必ず政府の増資を待つようにして、会員の出資の低額を図るようにしたい。なお資本金の増加に至るまでの過程における連合会の基金の運営については別途考慮いたしたい。又農家経済に対して困難を来たさないようにすることについては、御趣旨の通りの運用に努力し、本委員会の期待に副うよう努力したい旨の答弁がされておるのであります。然るに農林省における昭和二十八年度予算要求においては、基金の増額については要求がないようであります。そこで今日農業共済組合連合会の事業不足金及び農業共済基金の現在、並びに先の当委員会の申入れに対し、政府においてとられた措置等について説明を求めることにいたしたいと存じます。
  36. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 先の国会におきまして、この委員会から農林大臣に申入れのございました只今委員長からお話なつた点につきまして、大体の御説明をいたしたいと思います。  初め申入れの点でございますが、二点に分れておつたかと思います。先ずあとのほうの農家の基金の出資十五億についての農家経済の考慮につきましての点でございますが、    〔委員長退席、理事三橋八次郎委員長席に着く〕 この点につきまいては、いろいろ御意見のあつたところも十分考慮いたしまして、できるだけ御希望と申しますか、御意見に副うように努めた次第であります。具体的に申しますと、払込につきましては、基金の定款できめることに相成つておるわけでございますが、当初予定を、大体払込の時期を五年というふうに実は考えておつたのでありますが、御意見によりまして期間を七年にいたした次第であります。七年と申しましても、これ必ずしもなお十分にその点を考慮したことは相成らんかとも思いますが、先ず大体七年ということにいたしまして、そうしてなお且つ止むを得ない事情を以ちまして払込ができないというふうな場合におきましては、払込の延長もできるように実はいたしておるのでございます。この点は払込といつたような制度の下においては非常に例外的でございますが、御趣旨の点を実現するためさようにいたしたのでございます。  それから出資の増加の点でございますが、この点につきましても、基金の資本が充実いたしておりまして、連合会の不足金にいつ何時でも、又如何ような不足金にも対処できるということにしておくことがよろしいことは、これは申すまでもないことで、御意見の通りと存ずるのであります。ただ連合会の不足金の融資につきましては、なかなか予測がしにくいという点と、それからもう一つ基金が本年漸く発足したばかりでございますので、そういう点も考慮いたしまして、今後の必要な分は、御趣旨の通り政府の出資で行きたいというようなこともございますので、そういう点を実は慎重に考慮したのでございます。御趣旨の通り二十七年度末の不足金は二十八億になつておるのであります。今年の不足金、これはまだ被害が確定いたしませんので、はつきりしたことは申せませんが、約八億くらいになるのじやないか、かように存じておるのであります。さようにいたしますと、不足金の累計は三十六億に相成ることになります。そこでこの不足金につきましては、これを融資ということを考えなければ、水稲の保険金の支払に事欠くことになりますので、その点につきまして増資ということも勿論考えられますが、差当りは増資ということでなくてもやつて行けるのじやないかと考えておるのであります。どういうふうにいたしますかと申しますと、基金の今の政府出資の十五億は、これは発足と同時に払込が了しております。それから連合会の増資の第一回分といたしまして八千万円余りできておりますので、概略申しましてそれが十六億、そこでこの出資金の資本でその点賄いますというと、差引き足りません分は、二十億ということになるのであります。そこでこの二十億をこれはやはり基金が他から、国庫余裕金といつたようなものの財政資金を借りまして、そうして本年度はやつて行けるというふうな見通しを持つておるのであります。そこで本年度といたしまして対処するものとしては、増資は必要ないのでございますが、それならば二十八年度の被害を考えますとどうかということになりますと、これはさように簡単には恐らく参りかねるということに相成ると思います。尤もこれは二十八年度と申しましても、二十八年度末近くなつてからの事態に相成るかと思いますが、二十八年度の被害がどうなるかということにつきましては、今から予測することもなかなか困難でございます。二十八年度の被害の状況如何によりましては、これはその次の議会で増資をうんとやるか、或いは連合会の不足金について然るべき措置を講ずるということが、これが是非必要になつて来る、かように考えておる次第でございます。従いまして政府が相当の増資を恐らくお願いしなければならんと思いますが、そういうのがそういう段階になつてからやつたほうがより効果的にできるのじやないか、かように考えておりまして、先ほど委員長からの御質問になりましたように、来年度予算には取りあえず増資は要求していないことになつておるのであります。
  37. 三橋八次郎

    ○理事(三橋八次郎君) 只今の御説明に対して質疑がございましたら……。
  38. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) なおちよつと補足的に御説明足りなかつた点を申上げておきますが、本年度約八億というふうに水稲等のために不足金が出るというふうに申上げましたのですが、本年度の水稲、まあ主なるものは水稲でございますが、につきましては、さほどの戦後著しいような被害がなかつたから、なお本年八億の不足が出るのはおかしいじやないかというふうな或いは御懸念がおありかと思うのであります。その点につきましては、これは成るほど超異常、或いは保険で申します異常といつたような面に相当するような被害は余り広汎ではなかつたのでございますので、例年とは違つておるのでございます。併しながら連合会の不足金は御承知の通り超異常というよりはむしろ通常の分でございまして、通常の標準被害率までは、これは連合会の責任になるわけであります。ところが保険料というものがその以下のところの被害を平均した通常の被害率できまつておりますので、必ずしも被害が異常或いは超異常にならなくても連合会の不足金は出得る性質のものでございますので、その点をちよつと附加えておきます。
  39. 三橋八次郎

    ○理事(三橋八次郎君) 質問はございませんか。  なおこの点につきましては、先に当委員会における農業共済基金法案審議の際の経過に鑑み、遺憾のないような御処置をお願いしたいと思います。  続いてお諮りいたします。それは今国会中当委員会に付託せられます請願及び陳情につきまして、前回の例によつてあらかじめ委員長の手許におきまして予備審査をいたし、その結果について随時委員会において審議の上決定を願いたいと存じますが、如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 三橋八次郎

    ○理事(三橋八次郎君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後三時二十一分散会