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1952-11-25 第15回国会 参議院 農林委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月二十五日(火曜 日)    午後一時五十三分開会  出席者は左の通り。    委員長     山崎  恒君    理事            西山 龜七君            加賀  操君            三橋八次郎君            東   隆君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            飯島連次郎君            片柳 眞吉君            島村 軍次君            羽生 三七君   委員外議員            楠見 義男君   国務大臣   農 林 大 臣 小笠原九郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    食糧庁長官   東畑 四郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (農林行政に対する施策に関する件  (超過供出奨励金等免税に関する  件)   —————————————
  2. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では只今から農林委員会を開会いたします。  昨日の総理大臣施政演説の中にも、農林政策につきまして多少触れられておつたようでありまするが、本日は小笠原農林大臣の御出席を得ましたので、更に新しい内閣の農林政策の内容の詳細について御説明を承わり、これが実行に対するところの御決意を伺うごとにいたしたいと存じます。  なお農林大臣の御説明中にも恐らく述べられることと存じまするが、又昨日の委員会等でも触れられておりましたが、質疑において必ずこの問題が取上げられることと存じまするが、この機会に供米に関するところの免税の問題について政府所見を伺い、その善処を煩わしたいと存じまして農林省食糧庁長官及び大蔵省主税局長出席を求めておるのであります。まだ大蔵省主税局長はお見えになりませんが、後刻お見えになると存じます。  経済自立と民生の安定を期して、低米価によるところの米の供出が強行せられておるのでありまして従つて供米に関する課税については、特別の措置が講ぜられるのは当然であります。米の課税につきましては、義務供出米の代金、超過供出奨励金特別集荷制度によるところの超過供出奨励金等加算額及び早期供出奨励金等市得税を全免すべきであるとの要望が強いのでありまして、これらはいずれも尤もな理由があるのでありまするが、その中でも超過供出奨励金に対する所得税の免除は、すでに昭和二十六年産米について実施せられておることでありまして、昭和二十七年産米についても実施せられるのが当然であり、又これを前提として、目下供出が行われておるのでありまするが、これに即応して、昭和二十六年産米超過供出等についての奨励金に対する所得税臨時特例に関する法律を改正する必要がありまするが、これに関する政府におけるところの準備の状況等についても、この際伺うことにいたしたいと存じます。さような点でありますので、昨日の農林委員会皆さまがた要望に応えまして特に本日は農林大臣がお見えになりましたので、これから農林大臣政策、その他只今申上げましたような問題につきましてお伺いいたしたいと存じます。
  3. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 昨日お伺いすべきでありましたが、本会議との関係上、やむを得ず失礼いたしました。  農林漁業に関する施策基本は、日本経済自立基盤として総合的な食糧日給度強化促進と、農林漁業経営安定向上を図ることにあると考えます。この目的を達成いたしますためには、農林漁業生産力を急速に高めなければならないのでありますが、我が国農林漁業現状に鑑みまするとき、相当な国の財政投資及び資金融通を必要とするのでございます。私はこれを実現するために全力を挙げて邁進する所存でありましてその具体的な重要施策はおおむね次のごときものでございます。  第一に、食糧自給促進であります。我が国が現在四億ドル以上の外貨を費やしまして、外国食糧を輸入しておるのでございまするが、現在のまま推移いたしますれば、この不足食糧は更に将来におきまして人口の膨脹に伴う消費の増加と、農地の潰廃、施設老朽化による生産減等によりましてますく増大の一途を辿らざるを得ないであろうと存じます。而も国際情勢の不安と国際貸借為替関係等に鑑みまするとき、食糧自給の達成こそ、まさに経済自立基盤であり、日本の独立と安定の基礎條件であつて我が国農政に課せられた最大の責務と申さなければならんと存じます。ここに食糧長期的且つ計画的な増産に関する拔本的な施策を強力に講ずる必要があるのでありまして、そのために次期国会におきましても、食糧自給促進法案を提出いたしたいと考えております。その食糧自給促進法案大綱といたしますところは、今後十カ年間の間に、おおむね食糧自給を達成することを目途といたしまして、差当り昭和二十八年度から三十二年度までの第一次の五カ年計画期間におきまして、農地拡張及び改良によつて千三百十万石、耕種改善等によつて四百四十五万石、合せまして千七百五十五万石の米麦増産しようとするものでありまして、その結果は、今後の食糧不足増加量をカバーするのみに止まらず、輸入食糧を現在よりも五百五十万石減ずることに相成るのであげます。この計画遂行いたしますために必要な資金、即ち国家支出三千二百七十六億円、融資一千七十二億円につきましては、予算上毎年度これを確保する措置を講じまするとともに、その効率的な運用を図り、又国営及び県営の大規模な土地改良事業に対しましては、継続費予算制度を適用し、事業の円滑、且つ迅速な遂行を期したいと存ずるものでございます。  第二に、畜産振興についてであります。農業経営を高度化する方途といたしまして経営多角化地方培養による生産力増強の観点から、有畜営農普及推進が極めて重要な意義を持つておりまするし、国民栄養の上からも、従来澱粉質中心の食生活の偏向、片寄つているのを打破いたしまして、特に動物蛋白質、及び脂肪の摂取量増大しますことが強く望まれるのでありまして、この面からも畜産物増産が要請せられるのでございます。以上の見地から、今後畜産振興を積極的に推進して参りますために、その長期計画につきましても目下検討中でございまするが、具体的な方策重点といたしましては、先ず家畜の増殖改良に関する施設拡充については、特に乳牛に重点を置くとともに、現在の有畜農家創設事業強化いたしましてその融資制度整備いたしたい方針でございます。次に、自給飼料増産確保のために、草生の改良飼料作物普及に十分に努力を拂いまするとともに、有畜営農基盤である施設強化いたしますために、サイロ、堆肥舎等創設を大いに奨励いたしたいと思つております。  第三に農水産物及び農業用資材価格の安定を図ることについてであります。重要な農水産物或いは農業用資材価格の変動が甚だしいと、結局増産の意慾を阻害することに相成りまするので、この際農漁業経営の安定を期しまするために、それらの価格の安定を図る措置制度的に確立いたしたいものと考えております。即ち米麦以外の農産物及び水産物につきまして、農水産物価格安定制度創設いたし、必要に応じて政府買入を行う等の措置を講ずるのでございます。差当り先般澱粉については、これを実行いたしましたが、なおその他の品目といたしまして、菜種、甜菜糖、鯨油なども考えております。次に化学肥料につきましては、その価格の安定をはかり、併せて輸出を円滑化するために、需給調整上、必要な数量を不需要期に全購連等肥料購買業者に買取り貯蔵させることとし、これに必要な資金融通を行いまするとともに、この保管が長期に亘る場合には、金利、倉敷料の一部を助成する制度を設けたいとも考えております。又飼料につきましては、その国内増産を図りまするほか、その需給及び価格の安定を図るために、飼料輸入の便宜を図る等、畜産振興に寄與いたしたい所存であります。  零細な経営且つ収益の低い農林漁業につきましては、その振興のために国の助成に待つところ大なるものがありますが、国家財政投資には一定の限界が存する以上、農林漁業者に対する長期低利資金融通制度は、農林漁業生産力向上のために、今後ますます整備拡充を必要といたすのでございます。これに伴う資金量及び貸付件数の急増、回収事務増加に対処いたしますためには、現行特別会計制度を以てしては不十分な点がありますので、現行制度を廃止して新たにこの資金を扱う恒久的な特別の政府機関として農林漁業金融公庫を設置するごとにいたしたく、すでに成案を得ておるのでございます。なおこの公庫による融通資金につきましては、食糧増産計画遂行等のために、多額の増加を必要といたしまする関係上、来年度予算におきまして、本年度当初予算の約倍額を要求いたしておる次第であります。  第五に、林業基本施策について申上げます。洪水災害が頻繁に起りますことと、森林資源荒廃及び林産物需給の逼迫の現状に鑑みまして、林業については長期に亘る総合的且つ計画的な施策が必要であると存じます。即ち治山につきましては、保安林整備強化を図ると共に、八十三万町歩荒廃山地等に対する事業を強力に実施いたしまして造林事業につきましては、現に存する造林未済地を速かに解消し、今後の伐採跡地伐採の翌年度必ず造林をして五百五十八万町歩につき急速に植伐の均衡を図かりますと共に、粗悪薪炭林生産性の高い人工林への転換を図つて参りたいわけであります。  なお今度の補正予算で、造林につきましては二億円、金が補正予算に盛り込んでございます。林道事業につきましては、奥地未利用林中心といたしまして、六百四十一万町歩について八方八千キロの林道を開設し、二十六億石の未利用蓄積開発を図るのでございます、かくして永遠に繁茂する森林維持して行きたいと考えております。  第六に、水産業振興につきましては、講和に伴いまして漁区制限が廃止されましたので、それにつれて沿岸より沖合へ、更に遠洋へ進出いたしまして海洋漁業を積極的に振興いたしますと共に、国内水産資源維持培養漁業経営の安定を図りたい所存でございます。先ず基地としての漁港施設並びに製氷、冷凍、冷蔵施設整備を図りまするほか、海洋漁業振興を図りますために、漁船及びその装備の近代化について融資拡充いたしますると共に、対馬暖流漁場等につき総合的な調査を実施いたしまして中小漁業振興するために、新たに漁業権証券を活用して、中小漁業者運転資金及び経営合理化資金融通に対する債務保証を行うと共に、この債務保証を保険する制度を設けたいと考えております。なお国内水産資源維持培養を図るために、底引網漁業転換整備を行いますると共に、瀬戸内海漁場等につきまして科学的調査に立脚した増殖施設強化して行きたい所存でございます。  只今委員長からお話のあつた昨日の御質問供米に関する超過供出奨励金に対する所得税の問題でございまするが、この問題につきましては、昭和二十六年産米の実例もございますので、二十七年産米についても、ちよつと私の品から言いにくいのですが、同様なお取り計らいを願えることにいたしたいと存じます。
  4. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では只今大臣から政策の一端を御説明願つたのでありまするが、この際大臣に対しまして質疑を願いたいと思います。
  5. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 只今小笠原農政につきましてその大綱説明伺つたのでありまして、これに関連いたしまして質問いたしたいことがたくさんあるのでありますが、これらの問題につきましては、同僚各位からの質問もあると思うのであります。従いまして私はここで農業上の基本的な問題であつて我が国農政が当面する極めて重要な課題であるにもかかわらず、事柄が極めて地味でありますために、とかく見逃されやすい、現に政府における考慮も比較的薄いと思われる二、三の問題につきまして、小笠原農林大臣所見を質し、その善処を促したいと考えるものでございます。  第一は耕土培養農産物種子改良及び植物防疫等増産施策の実態に関するものでございます。我が国農政の方向につきまして、その詳細に関しましては、幾多の議論があることと思われますが、その基本的な大筋は、国内における食糧自給度向上農家経済安定等にあることは、誰しも異論がないことと思われるのでございます。殊に農家経済の安定、生活の安定確保の上に立つた増産でなければいかんと思うのでございます。食糧増産方途としましては、誰しも第一に農地拡張及び改良を挙げるのでありまして、これは確しかに極めて重要なることであることは勿論であります。又これらの問題と関連いたしまして強く要望せられております問題は、農業金融の疏通でありましてこれ又ゆるがせにすることのできない重要な問題であります。従いまして参議院農林委員会におきましては、かねてこの政策確立につきまして大いに努力を拂い、又今後もその努力が続けられるごとと考えられます。ところがこれらの問題と並行し、而もこれらの政策をして有終の美をおさめさせるために欠くことのできない重要な問題は、営農確立し、増産成果を完遂することでございます。営農確立するためにも施さなければならない方策は、もとより数多いのでありますが、なかんずく差当り農耕地、土壌の生産力増強、即ち耕土培養でございます。農林大臣お話にもありましたように、施設老朽化ということがありましたけれども土地老朽ということ、これを直すということは、生産増強基本問題であるのでございます。耕土培養作物病虫害防除、即ち植物防疫並びに農産物種子改良を必要と認め、かねて参議院農林委員会の間におきましては、これら政策確立を期して努力が続けられ、すでに耕土培養法及び主要農作物種子法等の制定並びに植物防疫法の改正の実現を見るに至つたのでありまして農林省食糧増産五ヶ年計画におきましても、これらの問題が大きく取上げられていることは当を得たものと思うのであります。これらの施策所期目的を達するためには、これが施行に必要なだけの予算が確保せられなければならんのでございます。小笠原農林大臣はこれら予算を遺憾なく確保せられるものと確信しておりますが、ここで小笠原農林大臣決意を確認しておきたいと思うのであります。
  6. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今三橋委員の極めて適切なるお話を伺いまして誠に有難う存じました。耕土培養につきましては補正予算も若干とつてございまするが、今後これについては十分のことをやりたい。丁度お話のごときに、私ども土地の開墾或いは新規造成することも極めて必要でありまするが、何と申しましても、現在ある耕地の培養こそ、最も効果的に現われるものでございまするから、これは是非強力に進めて参りたいと考えております。更にお話農産物種子改良病虫害防除は、これは極めて必要な事柄でございまして、これに対しましては、今お話の趣意を体して力を盡したいと考えております。
  7. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 次に農業機械化推進について農林大臣所見を伺い、善処を促したいと思うのであります。農業生産増大農業経営改善とは、その歳果農業機械化に期待するところが甚だ大きいものがあります。農業機械化のためには耕耘整地機械化、或いは収穫調整機械化等多岐に亘ります。而もこれらのすべてがそれぞれ極めて重要な意義を持つておるのでありまして、その対策に前後を付けることは許されないものと思うのであります。併しながら今直ちにこれらのすべてについてその対策確立することは、却つて多岐亡羊の結果を招来する虞れがあると思うのでありまするので、差当つてその必要が特に痛感せられておりますところの耕耘機械化に対する対策を速やかに確立することが必要であると思うのであります。農業労働力が過剰であるという印象を與えられておるのでありますが、これは概念的且つ抽象的な印象に基くものでありまして、その実相はそうではないのであります。殊に農業労働生産性向上というような点から見ますると、徒らに人力に頼るということは却つて農業経営を貧弱化せしめるということになると思うのであります。特にこの農業の本質から由来するところの季節的な農業労働力需給は極めて不調を示しておりましてこの結果農業生産が抑制せられておるところが甚だ少くないと考えるのであります。即ち春、麦の収穫及び稻の作附、或いは秋、稻の収穫及び麦の蒔付等、いわゆる農繁期における労働力不足のために、自然的諸條件におきまして二毛作が可能であるにもかかわらず、この季節的労力不足のために二毛作を行うことのできない、一毛田として放棄せられておるものが十数万町歩に離すると言われております。又農耕集約化するごとによつて反収増大することができ得るにもかかわらず、労力不足のために農作業が粗暴に陷り、反収が抑制されておるものも少くない状況でございます。更に又農業経営多角化して、その改善を意図しながら、労力不足のために実施することが国難であるのであります。ここに機械力を導入することによりまして、所期目的を達することができると思うのでございます。我が国農業経営多角化するというようなことは、極めて重要な問題でございますけれども、その労力が徒らに主要食糧農作物生産に食われる場合におきましては、多角化しようとしましても、実際は多角化労力のない場合があるのでございます。従いまして機械化できる部分は、大いに機械化をいたしまして、そうしてその余剰労力集約化のほうに向けて行くということが、極めて重要な事柄であると思うのでございます。かくして最近耕耘機械化を企図し、動力耕耘機の導入が各方面から強く要望せられておるのでありますが、耕耘機械化対策について小笠原農林大臣所見を伺いたいのでございます。
  8. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今お話の点、誠に御尤もでございます。私ども耕耘機械化及び畜力、動力等事柄につきましては、農林漁業資金融通対象として現在おるのでございますが、これを今後更に推進して参つて、今お示しのような御期待に副いたいと考えております。
  9. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 次は都道府県農事試験場刷新拡充に関する問題でございます。農産物改良増殖の要諦一は、これがために必要な試験研究基礎といたしますところの、科学技術普及に待たなければならんことは申すまでもないのでございます。これを基盤とせざる増産計画におきましては、全く空念仏に終つてしまうというような結果になると思うのでありまして、試験研究成績普及、滲透を図るということは、これは普及事業におきまして、極めて重要な問題の一つであることは申すまでもないのでございます。試験研究を盛んにするためには、中央機関における基礎的な研究を充実することの必要があることは勿論でありますが、これと併行いたしまして、現在国で設けております地方地域的農業試験場拡充ということも、極めて重要であると思うのでございます。先般中国四国農業試験場が、中国地域四国地域との二つに分れたのでございますが、これらは今まで一つであつたものが二つに分れまして、予算裏付があつて独立して行くような予算がなかつたならば、全くこれは不具的な存在になつてしまうのでございます。こういう地域試験拡充し、その試験成績地方都道府県の」農事試験場に流しまして、それが、即ち地方農事試験場農家と密着し、普及事業とダィアップいたしまして、その増産確保ということはできて行くと思うのであります。即ち地方農事試験場におきましては、実地に応用のできるような試験研究拡充することが、極めて重要でありまして、特に農夫のように各地方気候風土と密接不引分の関係によりまして、実地的に発達しました産業につきましては、特にその必要が一段と濃厚のように思われるのでございます。更に又この都道府と県農事試験場は、農業改良普及事業の一軸でありまして、普及事業成果は、大いにこれら農事試験場の活動に期待しなければならんことは明らかでございます。かくして都道府県農事試験場の使命は、実にこの食糧自給度向上というようなこと、並びに地方農業開発ということに重大な関係があるのでございます。然るに最近都道府県農事試験場は、経費等関係かつ行詰つておるものが非常に多いのでのりまして、その発展はおろか、維持さえも非常に困難を極めておるような状況でございます。これに対して国の策は何ら見るべきものがなくて全く零に等しい状態なんであります。甚だ遺憾な次第でございましてかかる状態に置き、たとえ食糧増産を唱えましても、これは全く空念仏に終る結果を憂えるものでありますが、かかる状況及びその刷新対策につきまして、農林大臣の御所見を伺いたいのでございます。
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 甚だ迂闊でございますが、今お示しのような、地方試験に差支えておるという夫情を甚だ迂闊で、私存じませんでしたが、只今お話伺つて、これはすぐ直さなければならんと考えております。中央及びその各試験場が根本的な技術研究をすると共に、又地方実情に、農村実情に合うような技術をよく調べ、そうしてこれを普及せしむることは、これは日本食糧増産の上に是非とも必要と考えますので、最初申しておるように、甚だ迂闊で、予算措置十分とつていなかつたことについて、承知しなかつたことをお詫びすると共に、これは今後十分なことをして参りたいと思つております。
  11. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 私ほちよつと遅く来まして、最初から聞きませんでしたが大体、大臣は就任以来日浅いのにもかかわらず、よく勉強しておるということについては敬意を表します。併しながら新らしい日本の出発には、国民の四割以上を占める農民安定化、もつと申上げますならば、国内態勢強化から見て、農民が本当に勤労意欲を増進させるということでなかつたならば、如何なる計画を立てても、計画倒れに終る。そこで農民勤労意欲を如何なる方法を以て昂揚させるかということに、私はここに一つ決意を置いて欲しい。その次において、五カ年計画をお立てになつて予算裏付けをなすという計画に対しては、これ又敬意を表す。併しこれだけ予算がとれるお見込があるかどうか。それから予算の行使に当りまして、今の日本農業経営中において、肥培管理適正化、いわゆる反当り増収耕土培養、或いは指導陣強化によりまして増収をする、いわゆる反当り増加計画に結合しておるか、この点はどういうふうに立案されるか。この点を一つ。次に金融につきましては、それぞれの手は打ち、更に農林金融公庫によりまして、直接農民組合、いわゆる農事組合、その他の組合にも、又個人の団体にも、今後円滑なる融資方途を開くというような御計画をお持ちになつておられるというが、これが徹底をいたさなければ、お知りの通り農村は次第に金融の梗塞に遭つて、今日、農業経営上困憊を来たし、又地方税増額等によりまして非常な困難の中に追い込まれつつある現状であります。この点を十分にお考えになつておるかどうか。それから治山治水の件で申されましたが、災害復旧費、いわゆる水田にしろ、或いは畑地にしろ、或いは原野にしろ、耕作地農民が金を借りて復旧実現をなしたにもかかわらず、未だ三ヵ年もその復旧費助成すらない今日、これを先ず早期に片附け、次に災害復旧には十分なる方途を講じなければ、治山治水の実は上らない。この点についてもよくお考えおきを願いたい。それから何と申しても、日本農業中心をなすのは農村であり、農村をなすところの農業団体、御覧の通り再建整備の続出をしておるアメリカの指導によつた農業協同組合の中には、真の農村のかたく、の農村必要性によつて生れた強力なる力の団体ではないといううらみがないとはいえない。そこでこの団体にみずから一つの強力態勢を確立する方法と、一つ政府助成によつて指導陣はこれにならつて都道府県、市町村の指導強化は、やはり助成を以てしなかつたならば、零細化された我が国農家経営及び農産物増収はなかなか困難であると同時に、これとにらみ合つて農産物価格適正化ということを十分に、車の両輪のごとく考えておかなければならん、この点について如何。それからその次は比較的最近よく農業経営の中に織込み、畜産は勿論でございますが、曾つて外貨獲得の王座をなし、農家の現金収入によつて経営の円滑を図り下さるところの蚕糸業対策に対しては、遺憾ながら一言もなかつた。これは十分に今後考えなければならん。それから次に動物蛋白質及び脂肪を取入れて、日本国民の粉食による食生活の改善を図るという大計画は、これは日本国民の生活の向上改善の上から考うべきことであるが、単り動物のみではございません。お互いの食膳に必要なものは野菜と果実である。果実は申上げるまでもなく、日本において十億万貫以上を産出し、みかんやりんごのごときは三億万貫も今年は収獲ができて店舗に余つておりますが、これに加工をいたしまして、将来これが加工によつて食生活の上に、栄養向上の上に、もたらす大きな役割を果すことでありますが、この点についても考えおく御方針がございますかどうか。又細かいことはいずれ委員会において順次聞きまするが、大綱、先ずこの点について簡明に大臣の御答弁を願いたいと思います。
  12. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今お話の諸点、いずれ御尤もでございますが、第一にお尋ねのありました勤労意欲の増進は、これこそは魂の入らんことでは農産物増産はできませんので、これについては是非ともそういつたことに努めたいと考えております。まあ、いわゆる農魂というもの十分に一つつてもらうようにということで、実は昨日も篤農家などのかたをお招きして、私はいろいろお話し申上げたのでありますが、これは機会ある毎に皆さんの御協力を得てやり、更に昔ありましたようないろいろな道場式な、何と申しますか、青少年を農村流に鍛えるようなことも、漸次やつて参りたいものだと考えております。それから予算がとれるかどうか、こういうお話でございまして、この点は、いわゆる日本食糧自給の問題ほ、池田さんもよく御存じの通りに、これは三つの点で、どうしても大きい予算をとつてもやらなければならんのです。第一はそれは民生安定の点であります。第二はさつき私ちよつと申しました通り、年々四億ドルずつも入れておりまして、この損が恐らく一年に三百億くらいは補填しなければならん大きな問題でありまするし、それからこれがひいて、例えば、これは私の聞き違いでなければ、十月の月などは日本の輸出は六千万ドル、それに八千万ドル輸入した。これは大体食糧だ、こういう工合に言われておるような次第でありまして、こういつた点等からも、国際貸借改善の上からも、是非これはやらなければならんことでありまして、今度の首相の演説にも相当強く、而も予算の点まで触れて出ておりますから、是非私はこの予算は皆さんの御協力を得てとりたい、かように考えております。それから反当収穫増加の点についてお話がございまして、誠に御尤もでございます。仮に一反歩から今までよりも一割か二割余計に穫れば、これは食糧問題は解決されるわけでございまするが、これにつきましては、さつきお話のようないわゆる耕土培養その他の問題がありますが、なかんずく畜産問題とよく結び付けて、そうして現在地方が枯れておるのは、いわば金肥のみによつた点が多いのじやないかと思われますので、厩肥、堆肥等を十分に入れることにいたしますれば、それくらいの増産はできるのじやないか、かように考えて、今年の補正予算で初めてでありますが、サイロ及び堆肥舎等に対することを、少し予算化いたしてございますので、そういつたことを今後ますます進めて参つて、お示しのような反当収穫増加に努めたいと考えております。金融の点については、これは現在のところ、私どものほうは農林漁業金融公庫を作りまして、これは相当利用を願いますれば、又私どもも或いは財政支出等なり政府資金等をこれに入れてもらうことにしまして、相当大きくやれるのじやないか、又補償その他のこともやりますと、相当行けるのじやないかと考えておりますので、この点は私もまだどの程度できるかということは、率直に申上げますと、三十分な確信を持ちませんが、私も以前金融業に携わつておりまして、こういう問題は一つ十分働きのあるような工合に持つて参りたい所存でおります。それから治山、治水の関係は、これもお示し通りでございまして、これに対しましても、これはいつも災害が起ると、すぐあとから、いや治山治水だと言われますので、これは平素からやつてゆかなければならん。さつきちよつと申しましたように、本年は二億円植林の費用などももらいましたのは、これは植林として初めてのことでございますが、漸次にそんな工合で、根本的な治山治水事業へ持つてゆきたい。なお今度の総理の演説の重要政策にも、特に治山治水ということを語つてありますので、この点は建設省あたりとも相携えて、漸次に効果あるものに持つて参りたい、かように考えております。それから次に農業団体お話がございましたが、今お示し通り農業団体組合等再建にまだ相当な資金が要るのじやないか、けれども又これはどこといつていいのかわかりませんが、占領中、占領行政下に行われた問題で、日本向きでないように思われる点もありまするので、世間に今農業団体再編成という問題が言われているのは、その点でございますが、併し農業団体再編成につきましては、農林省にも一案はあるようでありますが、私の考え方を率直に申上げますと、かくある今の団体が、できればその団体同志で民主的に話し合われまして、それで或る結論を得られたら、それは一番望ましい。併し若しその結論が得られませんでしたときには、余り遅れても農業者全体のために、どうかと思われまするので、少し脇のほうからお手伝いでも申上げてみようか、かように実は考えておりますが、俗にいいます。天降り的にこれをおやりなさいという考え方は毛頭持つておりません。
  13. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 指導陣強化ですね、政府助成についてもう一点。
  14. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 政府助成も極めて必要のことと思います。それからその次に農村経済農産物価格適正化、これはまあできるだけ実は努めておる次第でございまして、先般もどうも甘藷がだんだん下るから、いろ、「やつてくれというお話でございまして、澱粉の買上げを実行いたしました。そういうようなことで、それからさつきちよつと申上げましたように、もう少しできれば菜種というようなものも、或いは水産物等、国際的の商品でもありまするので、鯨油のようなものにも及ぼしたらどうかと考えている次第であります。  それから蚕糸業の対策について一言もせんじやないかというお叱りを受けて恐縮しておるのでありますが、これは実は蚕糸業は大変工合がいいものですから、好況にあるものですから、ここに実は書き上げんでもいいと思つたのであります。(笑声)併し今お話のように、よいときに備えておくことが必要でございますから、この点については御趣意はよくわかつておりまするので、(笑声)今後十分に蚕糸、これはお示し通りに、日本では何といつてもアメリカへ行きますものでは最も大きな輸出品でございまするから、輸出がとまらんようにするためには全力を盡して行きたいと考えております。  野菜と果実の問題を食生活に取入れるということにつきましては、誠に御尤もでございまするから、皆さんと共にそういうふうに進めたいとかように考えておるのであります。  どうも有難うございます。
  15. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 只今楠見義男さんから委員外発言を求められておりますが、許可することにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 御異議ないようでございまするので、楠見さんの発言を許可いたします。
  17. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) 私は久しぶりに又この農林委員会に戻つて来ることになりました。同僚の農林委員の皆様がたの御指導をこの機会にお願いいたしておきます。  農林大臣から詳細な御説明を伺つたわけでありまするが、私は、実は今までの自由党の農林政策というものに対しては、非常に不満を持つておつた一人であります。その理由は省略いたしますけれども、今回小笠原農林大臣が重任を帶びて御登場になつたわけでございますが、今までのような、いい加減な農林大臣の轍を踏まないようにしつかりと、御説明の中にもありましたように、日本経済復興、或いは祖国再建の基盤である農政の問題については、特に御留意下されまして御盡瘁賜わらんことを切にお願いいたします。いろいろ御説明を伺いました各項目については、実は例えば食糧自給促進の問題につきましても、或いは農産物価及び資材の価格安定の問題にいたしましても、実は我々かねて非常に要望してあつた事柄でありましてそれらの事柄をお心得になつておることに対して敬意を表するわけでありますが、問題は、これらの事柄が実行できるかどうかということにかかつておるわけであります。逐次各項目についてお伺いいたしたいのでありますが、最初に先ほど御説明頂いた農林施策説明は、農林大臣の御希望になつておられる点であるのか、将来こういうことをしたいというのであるか、すでにこれは新内閣の方針として御決定になつたのをお述べになつておるのか、その点を先ず最初に伺いたいと思います。
  18. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは新内閣の方針としてきめておりますものを、私は書き出した次第で、但しこれが一度に全部、即時実行ができるものでないことは、楠見さんもよく御承知の通りでありますから、実行の緩急については多少の前後がありましようが、これは実行して行くという考えでございます。
  19. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) そうしますと、これらの項目の中で、どれを先ず最初にお取上げになり、次いでどれをやるかという順序の問題が先ず第一点。  第二点としては、今お述べになつたよう事柄をやるとすれば、所要予算額というものは一体どのくらいになるのだろうか、そのうちで、これを例えば食糧のごとく、まあその他年度計画をお立てになつておると思いますが、初年度予算額はどのくらいを予定しておるのか、それが第二点。  第三点としては明年度予算のうちで、初年度予算として、今大臣が御希望になつておられる点というよりも、むしろ内閣が御決定になつておられる政策遂行するのに、どのくらいの金額を予定されておるか、この点をお伺いいたしたい。
  20. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今お尋ねの点でありますが、この順序と申せば、何と申しましても、第一に食糧自給の問題を取上げたいと存じますが、同時に並行的にやれる問題も相当ございますので、並行的にやつて参れる問題については、これは並行的にやつて参りたいと考えております。なお予算につきましては、先般の補正予算、今度、今御提案を申上げておる補正予算以外には、まだ実は先方と交渉中でありまして私どもが出しておる予算は、これは一口に申しますると、昨年度より相当増額いたしておりますが、どの程度これが認めてもらえるかということについては、歳入関係と、あれにありまするように、均衡財政を維持しつつ、幾らか弾力性を持たせるというのでありますから、この弾力性をどの程度持たせてもらえるかということで、金額が分れて参りますので、まだ実は二十八年度予算は向うと交渉中でありますから、補正予算以外は、ちよつとここで楠見さんに金額は申上げられないのであります。
  21. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) そうしますと、その点はなお各項目に亘つてお伺いすることにいたしまして、全般的の問題でその次にお伺いしたいのは、これらの重要な施策を、特に例えば食糧増産であるとか、そういうようなものを実行する上において一番大事なことは、先ほど池田さんからもお述べになつたように、団体の問題、及び指導の問題だと思うのでありますが、そこで団体統合の問題についても、今農林大臣のお考えの一端をお伺いすることができたのでありますが、これは私は希望になるかもわかりませんが、いやしくも農民のための団体農民自身の団体については、大臣も今お述べになつたように、天降り的なことは、つつかない棒でなく、実は止めて頂きたい。飽くまで下から盛り上つた団体統合、団体整備でなければ私は、真の農民のための、又農民自身の団体とは言えんと思います。従つてこれはまあ単なる希望でありますが、そういうことを申上げたいのでありますが、団体が十二分に活動すると共に、指導の、特に技術指導、或いは経営指導の問題が非常に重要だと思うのでありますが、こういうような農林大臣が非常な意気込みを以て、又我々としてはできるだけその政策実現できることについて、御協力を申上げたいと存じておりますが、その場合の指導拡充指導陣拡充といいますか、これは勿論玉橋さんからもお述べになつた調査研究試験研究というような部門にも亘つておると思いますが、それらを含めての指導陣拡充についてはどういうふうな考えを持つておりますか。特に改良普及員等の活躍には、今後大いに待たなければならんと思いますが、農業改良普及員の拡充計画、こういうものについてどういうような御構想を持つておられるか、この点を伺いたいと思います。
  22. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今楠兄さんから申されたが、私ども食糧増産を実行いたしますためには、各強力な農業団体の助けが、是非指導が必要であると考えておりますので、今団体編成に関する問題については、大体楠見さんも私と同じ考えのようでありまして、私どもも同様に考えておりますから、ここにも今お話のございました技術経営指導をやつてもらいますためにも、その点からも、実はできるだけ団体の再編成を早くやつて頂きたいと希望しておるわけです。率直に言いますと、そのほうが予算等をもらうのにも非常に楽でありまするし、それから又一番私どもつておる食糧増産の、これは眼目にもなつて参りますので、是非これは早くやつて頂きたいと思つておりますが、農業普及員の問題につきましては、只今のところ人を余り殖やさないという、増員しないというのが、政府一つの方針になつておるものですから、現在のところは、人を増員をしてという案はまだ出しておりません。出しておりませんが、普及員の仕事が相当増産計画に大きな影響を持つことはお話通りでございまするから、この普及員の働きについて何とかもう少し余計働けるような工夫をしてみたいものだと、かように考えております。
  23. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) 今増員の問題が出ましたから、ついでに申上げるのですが、実は私二年間内閣委員のほうをやつておりまして、特に自由党は何と申しましようか、一律一体的にものをお考えになつて、例えば機構改革についても人員整理をお考えになつておる。例えばこれだけの大きな食糧自給増産をやろうというときに、一人の人間を、或いは少々の人間どころでは足りないのですね。例えば現に地方で、これは大臣御出張になるとわかりますが、各地で国営事業をやつておられる。それらの国営事業でやつておられるところの人々は、随分遅くまでかかつて、晝間は現場監督をし、それから夜は帰つて図面を引くとかいうようなことを随分やつておられる。而もそれは非常勤職員というような恰好で、物件費扱いをしておる。例えば食糧関係でも、一方で政府施策に協力して早期供出、早場米供出に随分努力している。ところが例えば北海道あたりでは二百時間も超過勤務をしているけれども、実は九時間の予算の割当しかない。そういうようなところから食糧事務所にしましても、或いは統計調査事務所にしても、随分胸の病気をしている人が多い。それで政府は、一体、例えば百人なら百人の長期欠勤の人があつても、枠は二十人とか、或いは十五人とかいうようにしか、それぞれ枠を與えない。そういう一方では非常にいいようなことをおつしやるけれども、実は事務官以上に拙劣なる施策を政治家がおやりになつておる、従つて随分今病人が出ております。これはお調べになるとすぐわかります。従つて増員の問題についても、不必要なところは、これは削除されるのが結構だと思いますが、必要なところは、例えば増産の問題にしても、或いは食糧の問題にしても、特に科学技術調査研究農林省で言いますと試験場、或いは統計調査事務所、こういうようなところを、昔と同じように、知性のないことを自由党はよくおやりになる。併し知性に富んだ小笠原大臣でありますから、よく御了承頂いて、むしろ拡充のほうに御努力を頂きたいということを、これはもう余談でありますけれどもお願いしておきます。
  24. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今楠見さんの言われました問題は、誠に適切な問題と思います。ただ私は、この間の閣議で増員はせんという、欠員を補充せんということにきまつておりますから、そのことを申上げたのでありますが、併し実は私もこれだけの増産計画を行なつて行くとすれば、在来の人では、このままでは行えないだろうということは思つているのでありましてこの予算に伴つて必要な人間は、これはどうしても要求しなければならんと思つております。
  25. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) それから今の閣議でもそういうようにきまつたというお話ですが、むしろ私の希望は、そういうことをきめる際に、農林大臣としては閣内で知性ある発言並びに推進をして頂きたいということを申上げておきます。例えば改良普及員にしても、現在府県も随分金を出しております。併しながら山村を一人で受持つとか、こういうことでありますから徹底した指導もできないし、そして又中途半端なことになつている。改良普及員はアメリカから導入されたものでありますけれども普及員という、或いは普及事業という名前だけを導入して実態をちつともそのまま導入していない。従つて中途半端なことをやるから仕事もできないし、大した効果も挙らない。こういうようなことになるのでありますから、これはお願いでありますからお答えは要りませんが、お願いしておきます。  そこで途次各項目に入つてお伺いするのでありますが、先ほどの御説明を伺いますと、明年度予算の問題については、まだ全く見当がついておらないようなお話でありますが、そうしますと、政府でも方針として決定したという食糧自給の問題、特にこれは具体的に数字まで挙げて、千七百五十五万石を五カ年でやると、金額もこうだと、こういうふうになつておるのでありますが、これはまだ決定しておらないもので、こういう構想でやりたいのだと、こういうふうに我々は了解していいんですか。それともこの点だけは政府は、総理大臣も施政方針演説でお述べになり、本日又農林大臣が強調されたのでありますが、この点は決定していると見ていいのですか。それともまだ未決定でしようか。
  26. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この問題は或る程度決定しておるものと見てよく、全部決定したとも申上げにくいのであります。併し率直なことを申しますと、それは昨年度がたしか二百何十億でしたか、それを倍額以上にするくらいのことは、これはみんな了承しておりますが、併し五年にきちんと割切つた、その計画を全部決定しておるわけではございませんので、明年度の分については、この線で進めることは閣員皆了承されたところであります。従いましてちよつとあいまいなことを申上げて楠見さんに甚だ相済みませんが、私のことですから率直に申上げますが、或る程度は決定済みであり、又或る程度のことは未決定の分が残されておると、こう申上げてよかろうと思います。
  27. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) そうしますと、実は私は非常に重要視しておることは、今までこういう問題について、やかましく私どもつておつたことは、余りにもお先真暗じやないか。行当りばつたりじやないか。どうしても計画というものを持つて、そしてそれを国民示してその目標を明らかにし、そして又すべての人に協力を求めるということで有れば、なかなか問題はむずかしい、むずかしいだけに達成が困難である、こういうことを言つておる。そうして又、今回はこういうふうにはつきりと年度割区分までお示しになつたことに、非常に私は重要な意義を持つと同時に、又敬意を拂つておるわけなのであります。従つてこれが我々は五年計画だと思つておつたところが、知らん間に十年計画になつたりするのでは何にもならんので、これはこれ以上申上げませんが、非常に期待しておりますから、この点だけ申上げておきます。
  28. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 従つて、そこで私は食糧自然促進法案のようなものを作つて制度化してしまう、但し、年々の金の入れ方につきましては、時の財政状況もありますから、無理なことも言えんことも起つて参りましようけれども、この法案に基いた計画が立つて軌道に乗りますれば、これは私は実行ができると思いますので、まあ予算のことですから、楠見さんもよく御存じの通りですから……。
  29. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) 私もよく承知しておりますが、私が承知しておるような従来の行き方では、こういうことはなかなか達成できないから、特に頑張つて頂きたい、こういう意味でありますから……。  余り私のみ申上げますと、あれでありますが、極く簡単に、それでは次の問題に移りたいと思いますが、それは畜産の問題であります。畜産の問題は、私農林委員長をやつておる三年間の間でも、畜産計画というものは実に無計画で、私は農林省からお出しになる畜産計画というものは、これは畜産物の自然増加趨勢表であるということを批評したくらいであります。これは留守というか、離れておる間に、畜産計画というものが立てられてそうして有畜農家普及、無畜農家解消というようなことから、随分太鼓を叩かれておやりになつたと私承知しております。同時にそういうことを一方でやりながら、外国からバター、チーズが入つて一体、畜産農家を殖やすつもりか、或いは政府の言う通りに聞いて、そうして損をさせられた畜産農家を潰すつもりか、実はわからなかつたようなわけであります。併し一応今まで畜産計画というものがあつて、そうしてああいうふうに太鼓を叩かれ、そうして有畜計画をお立てになつたと思うのでありますが、ところが本日御説明を伺いますと、その長期計画については、目下愼重に検討中であります、こういう御説明で、実は非常に驚き、又唖然としたのでありますが、従来の計画というものはなかつたのですか、あつたのですか。若しあつたとすれば、どういう点が悪くて、そうしてそれをどういうふうに目下愼重に御検討中であるのか、この点をお伺いしたい。
  30. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私ども承知しておることは、畜産三カ年計画があつて実行されつつあることを承知しておるのでありますが、さつきもちよつと申しましたように、地方培養による点等を勘案いたしましてもう少し畜産を盛んにしたいというような考え方から、目下十カ年計画というものを立てておる。この詳細については、畜産局長、ちよつと説明して下さい。そのほうが……。
  31. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) 農林大臣、ほかの機会にお聞きしたいと思うから……。
  32. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) そういうようなことをして、このいわゆる長期計画についてもというのでありまして、今行なつておるのは、三カ年計画の分を行なつておるのです。
  33. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) それでは畜産のほうは、別の機会に畜産局長から今私お伺いしたような線でお伺いすることにいたします。  次は価格安定の問題なんですが、これは私はこの問題も非常に大事……この問題もというより、むしろこの問題が先ほど池田委員からもお述べになつた農家生産意欲を上げるという上から言つて、或いは農家経済の安定という上から言つて、或いは又国内の購買力といいますか、国内市場を維持して行くというような国民経済的な観点から言つても、非常に私はこれは重要だと思つておるのです。ところが総理大臣の施政方針演説、私、実は聞き損じたかもわかりませんが、このつつかい棒の価格安定施策というものを、実はお述べにならなかつたように思うのであります。そういう意味から言つて、先ほど大臣がお述べになつたように、これらの政策は何年の間にやるか、或いはこの一年間におやりになるのか、十年かかつておやりになるのか、その辺はわかりませんが、来年度はこれをおやりになるつもりかどうか、この点を一つ……。
  34. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 現在行なつておるものについては、来年度も行うつもりであります。但し、さつき申上げましたように、甜菜糖澱粉はもうすでにやつておりますが、あとの菜種のごときもの、鯨油のごときものについてやるかは、これはやりたいとは思つておりますが、一応事務的にも調査し、又予算等も伴う問題でありますので、これはまだやりたいと私は思つておるだけでございます。
  35. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) それでは、御趣旨はわかりました。ただ私は希望を申上げておきますが、先ほども申上げたように、これは農業施策としてはつつかい棒になる問題だと思うのです。従つて是非これはお取上げを頂きたい。特に希望いたしますことは、明年度からこれをと言うよりも、農林大臣としてはこの委員会でこういうふうにはつきりと御説明になり、又新政策……自由党の新政策要綱の中にも入つてつたように思うのでありますが、明年度からやろうというのであるならば、そしてそのものが現に非常に因つておる……、例えば先般非常に御盡力頂いた澱粉の問題、これはまあ一応解決がついたと思いますが、すでに御承知のように、菜種については非常な問題が起つておるのであります。例えば一番よく地理的にも御存じの愛知県、これは農業倉庫にもう菜種が入つていて、次の米が入れる場所がないぐらいに実は非常に困つておる。而もその菜種については、大体明年度以降やろうという御希望であるようでありますが、そういうものであればあるだけ、すでにその前に困つておるものがあれば、これは是非お取上げを頂いて指示をして頂きたい。これはまあ別の機会に又申上げたい。
  36. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) ちよつと、先ほど楠見さんの言われた菜種等の問題についても、どうせやるとすれば、食管特別会計でやるのですから、都合がつけば今お話しの来年度を待たずやりたいものと思つております。
  37. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) それでは第四の農林漁業金融金庫の問題でありますが、これも非常に要望された問題であります。御承知のように、例えばアメリカあたりでは、もうすでに随分前から年々一億五、六千万ドルの資金政府がこういうものに対して出しております。遅蒔きながら私はこの制度拡充は非常に結構だと思うのでありますが、この実施について農林中央金庫との関連をどういうふうにお考えになつておるのか、この点だけ簡単に伺つておきたいと思います。
  38. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは私ども考え方は、設立の当初はまだ機関を持ちませんから、農林中央金庫等を通していろいろやりたい、併しだんだん独立したものに持つて行きたい、こういうふうに考えております。
  39. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) それじや次の林業の問題ですが、この参議院農林委員会で発案をして、国有林野の整備の法案ができたことは大臣御承知の通りなんでございますが、なかなかこれが思うように行かない、というのはあれを非常に要望した側から言えば、是非国内食糧増産の観点から、或いは畜産経営の観点から、或いは自家用薪炭の問題、それからその他等等、いろいろの観点から非常に要望した。ところが一方手放すほうの国有林の側から見れば、林野経営の観点から、その立場から整備をやつておるということで、実は平仄がうまく合つていない。これについてもう少し徹底した整備計画という意味で、これを国有林に一緒にしたほうがいい、特に治山治水をお取上げになつておりますが、治山治水の観点から徹底して国有林に変えたほうがいい、或いは又逆に民有杯のほうに解放したほうがいいと、いろいろなそういう問題があろうと思うのでありますが、そういうことを中央の審議会で盛んに議を練つておられようでありますが、この審議会がどういうふうに動いておるのか、この点をちよつと伺いたい。
  40. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは林野庁長官が説明したほうが工合がいいと思います。
  41. 楠見義男

    委員外議員(楠見義男君) 政府委員説明は別の機会に又時間が別にありますから、農林大臣は時間的に言つて駄目だと思いますから、それではまあ私は正式に農林委員になつてから、又別に詳しく御説明を伺うことにしまして、本日はまあ新入でありますから、この程度で……。
  42. 羽生三七

    ○羽生三七君 私もお尋ねしたいことがありますが、これは又他に適当な時間がゆつくりあるときにお尋ねしたいので、そのお尋ねしたい趣旨は、ずつともう大臣の御説明を承わつており、又は政府の施政方針なんかを聞いておつて、大体一方では、まあ食糧供出後自由販売ということを考えて、大体統制を外して行こう、一方においては、又楠見さんもお述べになつた価格主義政策をとつて行くわけです。どちらがいいか悪いかということは別問題で、価格主義政策が望ましいものであるし、アメリカのブラナンなんかだつて成功した例もありますから、これは結構だと思いますが、併し意識されてか、無意識か、それは知りませんが、政府が非常に経済技術の上に大きな変化を来たそうとしておる。だからもう一度繰返して申しますが、片方では、統制を外し一方では、価格主義政策をとつて行く、それを意識的にやつておるのか、意識なしにおやりになつて来たのか、この問題を中心に一度まあゆつくりお尋ねしたいと思います。ところが今日はそれはよろしいのですが、ほかに緊急なことで時間を頂いて、ほんの一分か二分で済むことですが、お尋ねしたいのです。農政の根本問題に関係のない当面の問題でありますが、これは大臣として御存じなければ、食糧庁長官でも結構ですが、先ほど楠見さんからお取上げになつた東北北海道の早場米地帶、ここでたくさんな職員が供米の事務促進のために非常な苦労をしておられる。それでまあ非常に長い時間やつたにもかかわらず、その認められておる手当も非常に僅かだということで、すでに農林省へ大勢詰めかけて来たということは御存じの通りであります。それでこの問題は未だはつきりした結末がついていないようでありますが、どういうお取扱いをなさるのか、この供米のために苦労をして働いている諸君の長い労に報いるために、この要求を相当お認めになるのかどうか、この点。こういう席を時間を割いて頂いて恐縮でありますが、大臣が御存じなければ、東畑長官からでも結構でありますけれどもちよつとお答えを願いたい。
  43. 東畑四郎

    説明員(東畑四郎君) 本年の早場米が実は予定以上に出荷がございまして、十一月十一日現在千四百万石というように実は出たのでありますが、これは我々の計画いたしました数量より四、五百万石実は多かつた。従いまして当初予定いたしておりました検査員の超過勤務手当が増加した、殖えるというような結果を来たした。その結果、超過勤務手当を増額してもらいたいという要求が熾烈に参つたのです。補正予算とからみまして政府としても確たる実は方針を立てることができなかつたのであります。いろいろ第四四半期分その値を詳細に検討いたしまして、今明日中に又何らかの解決ができ得るんではないかと、政府側では見ておる次第であります。
  44. 羽生三七

    ○羽生三七君 くどく申しますが、何らかの解決というのは、好ましき解決の方向でありますか、如何でございましようか。
  45. 東畑四郎

    説明員(東畑四郎君) 上京しております組合員の完全な満足を受けるだけの、なかなか財源もございませんので、若干の増額ということについて、やりくりをいたしまして考え得るのじやないかと、こういうふうに思つております。
  46. 羽生三七

    ○羽生三七君 これはできるだけ大臣もお含み願つて、長官と御努力の上、成るべく要求に近いようお取り計らいを一つ希望いたしておきます。私の質問はこれで終ります。
  47. 東隆

    ○東隆君 私は今北海道という話もありましたが、北海道のほうから考えますと、今農林大臣が御説明になつたいろいろな施政方針の中の項目が、どうも日本の国が東西に長いような考え方で施策をされておるように考えられる。日本の国は南北に長い、従つて気候の関係、その他に非常に影響を持つところの農業の方面は、非常に違つて来るわけであります。そのような関係で、第一の食糧自給促進の項においても、私は余りに米麦中心主義に、これが立てられておると思う。私はこれから農地拡張をやり、改良をやり、そうしてそこにできるものは、私は米麦ではない、それ以外のものができるので、これを主食の中に当然含めて考えることによつて自給態勢が確立する、こういうふうに私は考えざるを得ないのです。そういうような意味で、私はこの第一の食糧自給促進の項目においては、米麦中心を私はできるだけ避けて、含水炭素の生産、こういうような方面に重点を置くべきではないか。そうすれば私は裏作なんかも十分に利用される、こういうような考え方を持つわけであります。そういう点について、余りにこれは米麦中心主義のように考えますので、どんなふうにお考えになつているかお聞きいたします。
  48. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今お話の点は、北海道として馬鈴薯等を植えろというお話は、北海道としては誠に御尤もでございましようが、日本国内食糧需給状態から申しますると、これは米麦中心を置かざるを得ないのでありまして、現在の食生活の実情から見ますると、米麦というものを現在三百万トン以上入れておらなければなりませんような事情がありますから、そうしたのでありますが、併しいずれにしても、食糧として馬鈴薯等相当な役割をするのでありまするから、これはやはり食生活の改善と虚しまするか、ということと相待つてそういう方面にも努力したい、かように考えております。只今申上げたのは、現在米麦は輸入しておりまして、日本食糧需給状態から、この案を立てましたものですから、こういうことに相成つておるのです。
  49. 東隆

    ○東隆君 私は今お話になつた点はわかるのですが、これからの開拓をして行く土地というのは、恐らく傾斜のある土地、そういうような点が非常に多いと思う。そんなことから考えて、私は非常にむずかしいことを計画されておるのではないかと、こう思う。裏作を十全に利用すれば、私は南のほうでも、これは相当の食糧増産ができる、こういう観点に立つて耕地の拡張、それから土地改良、これは当然なさるべきものだと、こういう考え方を持ちますし、それから米麦中心考え方で行けば、私は将来においても、日本米麦の輸入を私はどうしても仰がなければならんような状態に進んで行くんじやないか、こういう考え方を持たざるを得ないわけです。それでお伺いをしたわけでありますが、第二番目の畜産振興の項目においても、やはり先ほど画一というようなことがありましたが、ここでは乳牛中心考え方になつております。私は畜産の奨励は乳牛を勿論頂点に置くことはいいと思いますが、その基底には相当各種類の動物が中に入らなければ、乳牛というものは健全に発達をしないと思う。そういうような意味で、私はこの中に掲げてあります農林省施策は一面において非常に乳牛を増加する点において、いいような点もあるように思いますけれども考え方は、私は食糧の輸入をするよりも飼料の輸入をする、そしてできるだけ飼料の面において安い補給をして、安い飼料を與える。それから乳牛が生産したところの乳は、これは当然工場において処理されなければなりませんから、そつちの方面における大きな国からの助成、その他のことによつてはじめて落付いて行く。単に資金融通してそして牛を入れる一とか、こんなようなことを、やつてみて、も、これはなかなか目的を達成しないと、こういう考え方を持つております。そんなような意味で、大きな広汎な意味における畜産、それから初めと終りとをよく考えた乳牛の増殖、こういうことを考えなければ、畜産振興にはならない。こういう考え方と同時に、この畜産振興と前の食糧自給促進、これは当然二つが一緒になつて行かなければ、これは食糧自給態勢はできない、こういう考え方なんです。御馳走を食べれば、主食である米麦は減るのですから、そういうような意味からでも、私はこの二つが相まつて食糧自給態勢の項目だと、こういうふうに考えておるのですが、その点ほどういうふうにお考えですか。
  50. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今東さんの仰せられたように、私は説明のうちにも申上げたと思いますが、第一と第二は最も強く結びつけて、今の畜産の奨励はできるだけ食糧増産と結ひつけた考え方をいたしておるのであります。  それから開墾といいましても、最初は甘藷、馬鈴薯等を作る以外にないところがございまして、私どもも甘藷、馬鈴薯等が相当大きな役目をしておりますから、食糧としても増産その他については相当重点をおいて参りたいと、かように考えております。
  51. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 大臣は三時半からちよつとよんどころない用事があるそうですから……。
  52. 東隆

    ○東隆君 甚だ時間のないところを何ですが、先ほど申上げましたように、私は日本においては、耕地の裏作としてじやがいもを作ることが、非常に食糧自給態勢上から必要だと、こう考えますが、そういうような点から考えるか、第三の農産物価格の安定上、私は当然、さつまいもと馬鈴薯でできたところの澱粉の間に価格差を持つべきである、こういう考え方を持つわけであります。先般決定されたことについては感謝をいたしておるものでありますが、北海道においては、時期のずれとして、八月からもう澱粉価格、じやがいもは今やつておる、こんなような関係で、今回決定されたところの価格に対して北海道としては余り好感を持つておらんわけであります。どうしても時期のずれとして、決定をされた時が違つておりますので、私はこの機会に、十一月から十二月までの価格、これは十貫目で千八百五十円ですが、北海道は十二貫ですから、二千二百二十円ぐらいな所であるが、それに百円加算をされておりますものに、倉敷の六十円を加算されたものが、これが北海道の価格として適当したものである、こういうふうに決定をされることによつて、北海道のじやがいもの生産農家は非常に助かり、又喜んで生産するようになる、こういうことを考えるわけであります。これは最初に申上げました日本が南北に長いというために、そうして時期のずれが……農林省が麦の収穫予想がどれくらいあるか、こう聞きに来たときに、北海道ではまだ芽が出たばかりだ、こういうようなずれがあるのですから、それを一つ十分にお考え下さいまして、澱粉の買入れ価格等についても、今申上げた点を、お考えを急速にお願い申上げたいと思います。
  53. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 東さんに申上げますが、今ちようどお示しのように、若干価格差がつけてございます。その価格差が不十分だという仰せでございまして、この点は更に検討することにいたします。
  54. 山崎恒

    委員長山崎恒君) それでは島村さん簡単に願います。
  55. 島村軍次

    ○島村軍次君 基本的な問題で、この第一の「食糧自給促進」、「日本経済自立基盤として」と書いてございますが、日本農業の特質というものが、これは森農林大臣のときに、私は質問したことがあるのですが、他の諸国の農業と違つて、こういうような重要さが増して来ると、一つの公企業的性格を持つておるものだと思うのでありますが、新大臣日本農業に対しては公企業的性格を持つものとして今後の諸施策推進をやられるという基本的な考えをお持ちになるかどうかということを一つ承わりたい。
  56. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お示しの公企業的という意味がちよつと私に了解いたしかねますが、非常に国民に関連の深い、又国家的に処理解決されなければならない問題であるという御意味でありますならば、同様に考えます。
  57. 島村軍次

    ○島村軍次君 それでは次に、この復旧計画の年次計画ということは、新聞紙の伝うるところによると、特別会計を設定しようというお考えのようでありますが、これに対しては閣内においてどういう御協議ができております
  58. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) あれは重要政策を出します際に、特に年次計画という文字が入れてある点が非常に重要な点でありまして、これは総理のお話にもそれが出ております。それはさつきちよつと申上げましたように、財政支出ばかりでは足りませんので、融資をしなければなりません。従つて現在融資が大体一千七十二億か三億ありますので、この融資はあとで四割くらい返してもらうものもございますので、そんな関係上、特別会計を作つて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  59. 島村軍次

    ○島村軍次君 差当りの問題として、昨日問題になりました供米免税については、又後ほどよく当委員会で協議することにいたしまして、電産争議に関する問題が、昨日も強く取上げられたのでありますが、これが農業用電力の確保に非常な影響があり、早場米の出荷に東北地方は別として関西では大きな影響を持つて来たわけです。そこでこの問題を真剣に取扱つて頂くのには、早場米の供出時期がこのために延びたのでありますから、やはり供出時期も延ばすというような施策がとられることが望ましいと思うのでありますが、それに対しては食糧庁長官のほうからでも結構ですが。
  60. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 前回、私のほうでも調査をいたしまして、相当影響のあることを認めております。従つてその点をどうするかということは目下研究中でございます。
  61. 東畑四郎

    説明員(東畑四郎君) 実情調査いたしまして善処いたしたい、こう考えております。
  62. 山崎恒

    委員長山崎恒君) それでは大臣はよんどころない用事があるそうでありますので、大臣に対する御質疑はその程度にいたしまして大臣から先ほど力強い言葉が施政の説明の中にありまして、二十六年度産米の超過供出等に倣いまして、二十七年度の超過供出奨励金措置については、力強いお言葉があつたのでありますが、何かこの点について簡単に御意見がございましたら……。
  63. 島村軍次

    ○島村軍次君 私はこの問題は、大臣只今の答弁によつて同様の取扱いを願うようにいたしたい、こういう御答弁であつたように思うのでありますが、願うという意味は非常に含みのあるお言葉であつたと思うのでありましてこの際本委員会といたしましては、強くこれを推進するために、ここに私は提案をいたしたいと思うのでありまして、一応読み上げますから、委員長においてお諮りを願いたい。   供米免税につきましては、義務供出米の代金及び特別集荷制度超過供出奨励金等加算額に対する所得税の減免については、更に検討を加えることとし、差当り超過供出奨励金及び早期供出奨励金に対する所得税を全免することとなし、今国会中にこれが実現を期して速かに衆議院側にも打合せて必要な法律の改正に努力すること、この交渉については委員長及び理事が当つてもらう。これを提案いたしまして早急に実現するように、本委員会として推進をして頂きたいことを提案いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  64. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 只今の島村委員からの問題については、大臣から力強い御言葉がありましたが、なおこの問題を強く貫徹するように取上げて衆議院側と打合せする、呼びかけるというようなことで、委員長並びに理事にその交渉方を一任するという発言がありましたが、これについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では御異議ないと認めます。さよう取り計らいたいと思います。  ほかに何か……。本日は各長官がおいでになつておりますが、御質疑がございませんか……。  本日はこの程度でよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 御異議ないようでありますので、本日の委員会はこれで閉会いたします。    午後三時三十一分散会