○
説明員(
中島忠次君)
委員長、
先生方のお許しを得まして私から御
説明いたします。
この
法律案の
提案の
理由及びその内容の
趣旨の根幹につきましては、先日副
長官から、この
提案の
理由及び概略として申上げたところで尽きておるのでございます。従いまして私は各条につきまして専ら技術的な面から御
説明申上げたいと思います。
先ず第一に、
恩給法の本則の
改正に関する
部分でございますが、第二条の
改正規定は昨日御
説明申上げましたように、
傷病年金程度の
傷病者に対して一時金たる
傷病賜金を給することに改めましたことに伴いますところの
字句整理でございます。
第六条は同じく
年金たる
傷病恩給の中から
傷病年金がなく
なつたことに伴う
字句整理でございます。
第八条の
改正規定も同じく
傷病年金を受ける者の、
傷病年金につけられるところの
扶養家族加給に関する
規定での、
扶養部分を削除した
改正でございます。
第十一条は
恩給の処分に関する
規定でございまして、従来は「
恩給ヲ
受クルノ権利ハ之
ヲ譲渡シ又
ハ担保二
供スルコトヲ得ス」と
規定してございましたのでございますが、昨日御
説明申上げました
通り、これに対して国民金融公庫と、別に
法律で定める
金融機関には担保にすることが許されるということにいたそうといたしまして、その
規定を第一項の但書としてその
通りに掲げたのでございます。
次に第三十一条から第四十条までの
改正規定は、三十一条はこれは
昭和八年のときに削除されておるので実質的には
関係ございませんが、三十二条から四十条までが
恩給法の
加算に関する
規定でございます。そのうち三十二条から三十七条まではすでに
昭和二十一年の
法律三十一号の
恩給法の一部
改正によりまして、この
加算が戦争又は
軍人の勤務を前提とした
加算でございましたので、この
加算をすでに削除してございます。従いましてそれは実質的にはかか
つておりません。実質的には三十八条と、三十八条
ノニと、三十八条ノ三と、それから三十八条ノ四、三十九条、三十九条
ノニ及び四十条の
規定を削
つたのが今回の……、これは昨日申上げましたように、現在認められておる
加算につきましても、今後の
在職年につきましては
加算年をつけないことにいたしましたことに伴う
改正でございます。今回新たに削除されました
加算について申上げまするというと、種類から申しますと、
辺陬又は
不健康の
地域に勤務した場合に付せられる
加算、それから
不健康の
業務に服した場合に付せられる
加算と、それからいわゆる
遠洋航海の
加算、その
加算に関する
規定が実質的に削られたことになります。そういたしまして、四十条の
規定はその
加算年の
計算方法に関する
規定でございますが、これも今のに伴いまして削除することといたしたのでございます。
次に四十六条
ノニの
改正規定でございますが、
現行法の四十六条の
ニノ規定は
傷病年金に関する
規定でございます。この
規定をそのまま
傷病賜金に関する
規定に変えたのであります。
軍人恩給廃止前の
恩給法におきましては、
傷病年金もありましたし、それから
下士官以下の
軍人に限りまして
傷病賜金というのが認められてお
つたのでございます。
下士官以下の
傷病賜金で、
只今申上げました
軍人恩給廃止前の
恩給法によ
つて認められたもののうち、勅令四十八号によ
つてもなお認められておる、現在認められておるところの
傷病賜金につきましては、後ほど附則のところで関連がございますから御
説明申上げまするが、今回の四十六条
ノニの
傷病賜金の
規定は、従来の
傷病年金、それから後ほど申上げますが、
増加恩給の七項症が一時金になることに伴いまして、それを併せました
傷病賜金に関する
規定でございます。従いまして
只今申上げました
下士官以下の
軍人にのみ給せられたところの
傷病賜金に関する
規定をそのまま持
つて来たような恰好にいたしませずに、現在の
傷病年金に関する
給与条件はそのまま踏襲いたしまして、
年金を一時金に変えるだけの
改正のような恰好をと
つております。従いまして今回の
改正につきましては、例えば二項のところで、
退職後五年以内に
傷病が重くな
つて傷病賜金の給せられる
程度に
なつた場合には、
傷病賜金を給するというような
規定とか、或いは
相当古くなりました場合には、
相当経
つてから
傷病賜金が給せられるような
程度に
なつた場合においては、
恩給審査会において、その
傷病関係を顕著であると認めた場合にはやるというような、従来の
傷病賜金、
下士官以下にのみ給せられてお
つた傷病賜金にはなかつたような
規定を置いておるのであります。それから次にここに新らしい
国家公務員災害補償法十三条若しくは
労働基準法第七十七条の
規定による
障害補償又はこれに
相当する給付を受けた者には、
原則として
傷病賜金を給さないというのは、これは曾ての
傷病賜金はこういう
事態は起りませんでしたが、現在は
国家公務員に対しては、
国家公務員災害補償法の
規定によりまして、一時金たる
傷害補償が給せられることに
なつておりますので、同じく
国家として一時金たる
傷害に対する
補償を二重にするのも如何かと思われますので、
原則として
傷害補償を受けた者につきましては、重ねて一時金たる
傷病賜金を給さないようにいたそう。併しながら
傷害補償は
傷病にかかつたときの
条件を基にして給せられますし、
恩給は
退職後の
条件によ
つて給せられることに
なつておりますので、その間の
条件の変更によりまして、
傷病賜金の
金額が多くなるという場合におきましては、
傷病賜金を給することにいたしております。後ほど御
説明申上げますが、そういう場合の
傷病賜金の
金額は大体
傷害補償として受けた
金額を差引いたような
金額にいたそうとしたのでございます。その他は大体
現行法と同じようにしてございます。
次に四十八条の
改正規定は、これは
只今申上げました
加算の、
辺陬又は
不健康の
地域というのは
恩給法の
別表の第一
号表に掲げてあるのでございますが、これが不要になりまするので、これを削りまして、そして次の「一
号表ノ二」を「一
号表」に繰上げて来る
関係上の
整理だけでございます。
次に四十九条の
改正規定は、昨日申上げました
公務傷病の
原因即ち
増加恩給とか、
傷病年金、従来から申しますと
増加恩給、
傷病年金、それから
公務扶助料につきましては、その
傷病の
原因を
特殊公務と
普通公務とに分けまして、若干
金額に
差違を設けておるのでございまするが、この
差違を昨日申上げましたような
理由によりまして、この
差別を廃すことにいたしましたので、この
差別を設ける
規定を削除しようとするのでございます。
それから第四十九条ノ二は、
別表において
増加恩給を受ける
傷病の
程度は、
特別項症及び第一項症から第七項症までの合計八項に
なつておるのでございますが、今回七項症を
増加恩給から落すことにいたしましたので、
特別項症及び第一項症から第六項症までの計七項になりますので、それに伴う
字句の
整理でございます。
次に四十九条ノ三、
現行恩給法におきましては、
傷病年金の
傷病の
程度は
恩給法の
別表に
規定してございまするところの四款、第一款から第四款までの四款と
なつておるのでございまするが、
只今申上げました従来の
増加恩給第七項が一つ加わりますのですから五款、
一つ款が殖えまして五款にしよう、それが四十九条ノ三の
改正規定でございます。
次に五十条の第三項の
規定は、
傷病年金に関する
規定でございまするが、
傷病年金がなくなりましたので不要となりますから、これを削除しようとするのでございます。
五十五条の第二項の
規定は、
増加恩給につきまして、
原因に
特殊公務と
普通公務の
区別がありました時代に、これはややこしい
規定でございまするが、例えば前に
特殊公務によりまして
増加恩給を受けた者が再就職いたしまして、再
就職期間中に
普通公務に起因する
傷病によりまして、両方の
傷病を挙げますと、
傷病の
程度が上
つておるというような場合に、
特殊公務としての額を給するか、或いは
普通公務としての額を給するかという調節に関する
規定でございます。ただ併しながら、
只今申上げましたように、
特殊公務と
普通公務の
区別を撤回しますと、再就職しました場合にも、かようなことを
考えずに、単に
傷病の
程度を合せまして新らしい
恩給の額を給すればよろしいことになりますので、これを削除しようとすることになるのであります。
次は五十五条ノ二の
規定は、
只今申上げましたような
規定その他
増加恩給の、算入した場合の
増加恩給の算定に関する
規定を
傷病年金の
改定について準用する
規定でございまするが、
傷病年金は
年金として認められないことになりましたから、この
規定も不要になりますので、これを削除しようとするのでございます。
次に五十六条は、従いまして
只今の
規定を削除した結果、前の条項の数が一つ減りますから「前三条」を「前二条」に改めるという
字句整理でございます。
次に五十八条ノ二の
規定は、これは
年金たる
恩給受給者が刑に処せられまして、つまり三年以下の懲役若しくは禁錮の刑に処せられた場合には、その処刑中
恩給の支給を
停止するという
規定でございますが、
傷病年金は
年金として今後給せられないことになりまするので、その
傷病年金受給者についてかような
規定がなくなるものですから、その
傷病年金を削ろうとするのでございます。
次に五十八条ノ三の
規定は、先日申上げましたように、
普通恩給受給者が
一定年齢以下の場合は、
普通恩給の全額を
停止し、それから
一定年齢から
一定年齢の者につきましては、
普通恩給の一部を
停止する
規定でございますが、これを五年引上げることにしましたので、その
改定と、それからこの
若年による
普通恩給の
停止につきましては、従来
増加恩給と
傷病年金を併給される
普通恩給受給若につきましては、この
普通恩給の
停止を行
なつておらないのです。
増加恩給につきましては従来
通りといたしましても、
傷病年金を併給される場合というのは今後は生じ得ないことになるのでございますが、さりとてそういうふうな
人たちは今後
傷病賜金たる一時金を給せられることになるのでございますが、その一時金を給せられる
人たちも
傷病の実情におきましては何ら変りがないのに、
普通恩給を
停止されるのも酷であると
考えられまするので、この
傷病賜金を受ける場合におきましても、この
若年停止を先ず五年間は行わないということにいたそうとするのがその
あとのほうの
改正部分でございます。何故に五年間といたしましたかと申しますと、
現行法におきましては、
傷病年金を併給する場合といたしまして、
傷病年金が併給されている間、いわゆる
若年停止をしないということに
なつておりますので、従いましてこれは細かくなりますが、
増加恩給とか
傷病年金につきましては、将来
傷病が恢復する見込みがある者につきましては、五年間を
限つていわゆる前記の
傷病恩給を給するのでございます。従いまして
増加恩給、
傷病年金につきましてその五年間だけは
若年停止の
排除を受けるけれども、五年たてばその
傷病が恢復しました結果、
若年停止を受けるというような
事態が従来はあるわけでございますが、
増加恩給にはあるように
なつているわけでございます。従いましてこれを
傷病賜金にいたしますといたしましても、一応五年で抑えておきまして、従来でありましたらなお
傷病年金を続けてもらえますように、言い換えますと、
傷病が五年た
つても恢復しておらない者につきましては、
現行のその次の項におきましてなお
若年停止の
排除を延長しようとする
規定がございまするので、一応
傷病賜金につきましては五年間を
限つて先ず
若年停止の
排除をいたしておきます。そしてその
傷病賜金を得た者の
傷病がまだ癒らなかつた場合には、なおその期間を延長しようという
趣旨で、かようにいたしたのでございます。
次は五十八条ノ四は、
恩給年額が
一定額以上ありまして、そして
恩給以外の
所得が
一定額以上に達するものにつきましては、その
恩給額と
恩給外の
所得との
年額の
合算額に応じまして、
現行法にありますように四段階の
区分を設けまして、その
区分毎に定めた率を
恩給年額に乗じたところの
恩給年額の一部を
停止することに
なつておるのでございまするが、先日申上げました
理由に基きまして、この
恩給年額を
現行六万五千であるのを八万円に、それから
恩給外の
所得年額三十三万円を四十六万円に改めることに伴いまして、その内部の
区分けのところの
合算額に関する
金額をもそれぞれの
割合に、従来
通りの
割合に応じましてかように改めようとするのでございます。その五十八条ノ四の
改正点はそういう
趣旨でございます。
次に五十八条ノ五の
規定は、これは
現行法におきまして
増加恩給、
傷病年金を受けるものにつきまして、先ほどもちよつと触れました
国家公務員災害補償法とか
労働基準法の
規定とかによりまして、
傷害補償を一時金として受けますものですから、その一時金として
傷害補償を受けました場合には、大体それを六年間の
年金のような
考え方をいたしまして、六年間は大体においてその
増加恩給、若しくは
傷病年金の額を
停止しようという
規定でございます。で、先ほど申上げましたよりに、このうちで
傷病年金は
年金として今後は支給されないことになりまするので、その
傷病年金に関する
部分を削ると同時に、
あとは最近の
立法例におきまして、他の
法律を書いて来る場合には、その下へ
法律番号を付して
法律の出所を
はつきりさせておるのでございまするが、同一
法律の中におきまして、一度この
法律番号が付せられておりますと、次に出て来るときにはこの
番号を付する必要がないということに
なつておりますので、先ほど申上げました
傷病賜金に関する四十六条
ノニの
改正規定におきまして、すでにこの
労働基準法、
国家公務員災害補償法の
法律番号は
規定したことにいたしましたから、今回はこの五十八条ノ五の中から
法律番号を削ろう、こういう全く技術的な
改正でございます。
次に六十条の
改正でございまするが、先ず第三項を削
つたのは、昨日も申上げました外国実
勤続在職年が十七年以上ある場合には、それにつきまして十七年を超えると百五十分の一ずつを通例の場合に加えて行きますが、それのみでなく、なお更に重ねてこの十七年を超える一年
ごとに三百分の一の加給をするという
規定でございまするが、昨日申上げましたような意味におきまして、これを今後の
在職につきましては認めないことにいたしましたので、この三項の
規定を削
つたのでございます。次に同条の第六項中の
改正規定は、
傷病年金が
年金でなく
なつたことに伴う
字句整理でございます。
次に六十三条の第三項を削りましたのは、これは第三項と申しますのは、
現行法におきまして
警察監獄職員が
勤続在職年が十二年以上、即ち
普通恩給所要最短年限を超えて勤続しておる、途中でやめなくて動続しておる場合におきましては、普通の
最短在職年限を超える一年
ごとに百五十分の一を加えるほかに、なおその動続
在職年から
最短年限の十二年を引いた残りの一年
ごとに三百分の一ずつを加給するという
規定でございまするが、これも今後の
在職については認めないことといたしましたので、この三項を削ろうとするものでございます。次に同じ条の四項の
改正規定は、これは
傷病年金を削りましたことに伴う技術的な
字句整理でございます。次に同じ条の五項の
改正規定は、六十条から三項を削りました、つまり外国実
勤続在職年から
最短年限を引いた残りに加給する
規定を削りまして、項が移動したことに伴うところの
字句整理でございます。
次に六十五条は、
増加恩給の
年額を定めた
規定でございまするが、その第一項によりまして、
現行法では昨日も申上げました
通り、
退職当時の俸給
年額に
傷病の
原因とそれから
傷病の
程度によ
つて定めましたところの、給与
別表の率を乗じて計算することに
なつておりましたのでございまするが、今度これを改めまして、
退職当時の俸給
年額によ
つて数個の
区分を設けまして、その
区分は
傷病の
程度によ
つて定めた一定の
金額を給することになりましたので、かように改めたのでございます。
次に六十五条
ノニは、
現行におきましては
傷病年金の
年額に関する
規定でございます。これも
傷病年金をやめまして、
傷病賜金を給することになりましたので、ここでこの
傷病年金の
年額に関する
規定を、
傷病賜金の
金額に関する
規定に置き換えたのでございます。
で、ここで特に申上げておきますが、先ほど申上げましたところの
傷病賜金は、本法の、
あとで御
説明申上げますが、本法の
別表の第三にこの
金額を掲げておるのでございまするが、
国家公務員災害補償法による
補償とか、
労働基準法によるところの
傷害補償、こういうふうなものを受けましたものにつきましては、
原則としては給さない。併しながら
傷病賜金の
金額を計算した場合に、その
金額が多い場合におきましては
傷病賜金を給するということを書いておきましたので、この
改正規定の第三項によりまして、この多い場合には
別表の
傷病賜金の
金額から、当該
傷害補償又はこれに
相当する給付の
金額を差引きました残りの額とするということを新たに挿入したのでございます。
次に六十五条ノ三の
規定は新たに加わつた
規定でございまするが、従来は
下士官以下の
軍人が
傷病賜金を給される場合に、その
傷病が重傷に赴きまして、
増加恩給若しくは
傷病年金を受けるようになりました場合におきましては、同一
傷病に対する
恩給給与でございまするから、一定の期間の中におきまして
傷病賜金を受けて、すぐに
増加恩給若しくは
傷病年金を受けるようになる場合におきましては、若干
部分二重給与のような形になるのでございまするから、その
恩給的に
考えまして二重給与と認めるを
相当と
考えられる
部分につきましては、
傷病賜金の
金額を返還させることに
なつてお
つたのでございます。それと同じように今回も第七項症以下の
傷病賜金を受けるものが、その後病気が重くなりまして
増加恩給を受けるようなことになりまするというと、同じような問題が生じまするので、その場合にはここに書いてあるような、先ず四年た
つてから
増加恩給を受けるように
なつた場合には、これは返還しなくてもよろしい、つまり四年間は
傷病賜金で、何と言いますか生活して頂くというふうな
趣旨でございまして、四年以内、例えば二年とか一年とかいう間に
増加恩給を受けるようになりました場合には、その
傷病賜金の
金額の六十四分の一に、その四年と
増加恩給を受けるまでに至つた期間との差月数を乗じて得た
金額、それだけ返させる、こういうことにいたしたのでございます。で、この
規定は
軍人恩給廃止制限当時の
下士官以下の
傷病賜金の返還に関する
規定とちよつと趣を異にいたしまするのは、
下士官以下の
軍人の
恩給というのは、これは全部国庫負担でございます。従いまして常にその返還先は国庫ということになるのでございまして、簡単にただ単に返還させるというだけで、
増加恩給を支給する際に控除するというだけに
なつてお
つたのでございまするが、今回も返還は
増加恩給を支給する際に、その額に達するまで返還させるという、その点は同じでございまするが、その返還を受けた場合に、その返還を受けた額の処分の
規定を一項加えたのでございます。これは例えば神奈川県におきまして、
傷病賜金を受けた
人たちが東京都或いは国に再就職をいたしまして、そうして国若しくは東京都から
増加恩給を受けるというふうな場合におきましては、その神奈川県からもらつたところの
傷病賜金を国とか東京都で返してもらう形になりますものですから、その返した金を神奈川県の方へ戻してやるという
趣旨の
規定を入れたのでございます。これは
現行の
恩給法の六十四条の二におきまして、一時
恩給の返還に対してそういうふうな返還先、負担した所に返還するという
趣旨が出ておりますが、その
趣旨を踏襲したのでございます。
次に七十五条の
改正規定でございますが、七十五条の第一項は、扶助料の
年額の
計算方法を
規定した
規定でございます。で先ほども申上げましたように、先ず特殊の公務による傷痍疾病によ
つて死亡した場合と、
普通公務による傷痍疾病のために死亡した場合との
区分を廃止いたしましたために、その算出率は同じになりまするから、それを合せますと号数が一つ減ります、それで号を一つ減らすこと。それから
現行規定によりますると、普通扶助料の
金額に、
退職当時の俸給
年額の如何にかかわらず、
特殊公務の場合におきましては四十割、それから
普通公務の場合は三十三割、
増加恩給を併給されるものが、平常で亡くなりました場合には二十四割というふうの率を乗じて計算することに
なつてお
つたのでございまするが、今回
退職当時の俸給
年額によ
つて数個の
区分を設けまして、それぞれの
区分ごとに設けられましたところの率を
退職当時の普通扶助料の
年額に乗じて計算することに改めましたので、
字句がその点変
つておるのでございます。次の七十五条の二項の
規定につきましては、第一項におきまして項を一つ減らしましたことに伴う当然の
字句整理でございます。
次に七十九条ノ三は、先ほど申上げましたように
増加恩給傷病資金を受ける者につきましては、
国家公務員災害補償法又は
労働基準法によるところの
障害補償というものが給せられることに
なつておるのでありまするが、
公務扶助料を給せられるような
人たちにつきましては、同じく
国家公務員災害補償法又は
労働基準法によりまして遺族
補償というものが給せられるのでございます。この遺族
補償も一時金でございまするが、その一時金を受けた場合におきましては、やはりその六年間は大体この普通扶助料を超えるところの
部分の
公務扶助料を
停止するということに
なつておりまして、
現行の七十九条ノ三にそのことが
規定してあるのでございまするが、今回は
特殊公務による場合と
普通公務による場合の
区別を撤廃したことによりまして一つの項が減りまするのでこの際一本にまとめまして、
現行法では一号から三号までに分けましてどれだけの
金額を
停止するかということを書いておいたのでございまするが、内容は変りましたが、一本にまとめまして普通扶助料の
金額を超える
部分を
停止するというふうに書き改めたのでございます。
次に第四章に一条を加えました八十二条ノ三は、従来
恩給の支給
予算は郵政省の所管に計上されてお
つたのでございます。従いまして郵政省の郵政官吏が
恩給を支払いする場合には、自分の
予算で
恩給の支払ができたのでございまするが、今回からこの
恩給の支給
予算をも総理府の所管の中に計上することにいたしましたので、この
予算をいわゆる郵政省所管に廻してやる
趣旨の
規定を置いた方が適当ではないかと
考えられまして、かような
規定をおいたのでございます。
次に
別表の
改正規定でございますが、先ほど申しましたように
現行の
別表第一
号表の
規定は、これは僻陬又は
不健康の
地域として指定されている
地域に在勤する者につきましては当該
加算がつけられるということに
なつてお
つたのでございまするが、この
加算を廃止することにいたしましたので、この表も不要になりましたからこれを削ろうとするのでございます。
次に第一
号表ノニというのは、公務執行中とか或いは公務旅行中にこういう病気にかかりました場合には公務のための疾病とみなすという
規定があるわけでありますが、その流行病を
恩給的に
規定した
規定がこの第一
号表ノニの
規定でございます。これは内容は変りませんが、
只今第一
号表を削りました結果、これを繰上げまして一
号表としようとするのでございます。
次に第一
号表ノ三の
規定は、先ほど申上げました
特殊公務と
普通公務に
区分がしてある場合に、
特殊公務による
傷病とは如何なる
傷病を言うかということを
はつきり明示してお
つたのでございますが、
只今申上げましたように
特殊公務と
普通公務に
区別をすることにいたしましたので、この表も不要になりますからこれも削ろうとするのでございます。
次に
現行の第一
号表ノ四の
規定は
増加恩給の
傷病の有様、それを
規定したのでございますが、この中に第七項症というのが入
つておりますが、これを
傷病賜金に変えますことになりますので、第七項症の
部分をそのまま取外して、そしてこの表を一
号表ノニに繰上げることといたそうとするものであります。
次に
現行の第一
号表ノ五の
規定は、これは
傷病年金を給する
傷病の
程度をきめた表でございますが、この中に
只今増加恩給の中から外したところの第七項症の欄をそのまま第一款症として持
つて参りまして、
現行の第一款症から第四款症までを一款ずつ繰下げまして第五款症として、そうして削除した表順に埋めて行きますと、この表が第一
号表ノ三となりますからさようにいたそうとするのでございます。
次に
別表第二
号表の
改正規定は、これは
増加恩給金額表でございます。
現行の第二
号表は
増加恩給の算出率、即ち
退職当時の俸給の額に乗ずべき率を
規定した表でございますが、先ほど申上げましたように
退職当時の俸給
年額によ
つて数個の
区分と申しましたけれども、第二
号表で御覧になるとわかりますように六項の
区分を設けます。その
区分ごとに
傷病別の定額の
恩給を給することになりましたので、かようにいたしたのであります。この
増加恩給の
金額は大体
昭和八年十月一日に
恩給法が
改正されましたが、それから
昭和十三年に至りまして
公務扶助料及び
増加恩給が大幅に増額されたのでございますが、その増額される前のことを大体中心にいたしまして、そうしてその当時の俸給に対して大体どのくらいの
割合が給せられておつたかというようなところを検討いたしまして、なお
増加恩給につきましては少くとも
特別項症のような或る
程度介護を要する
人たちにつきましては、如何に
退職当時の俸給
年額が低く
つても月額一万円を超えるくらいのものは差上げた方がいいのじやないかというふうないろいろなことを考慮いたしまして定めました
金額がかようにな
つたのでございます。
次に第三
号表の
改正規定でございまするが、これは
現行法によりますと、
只今増加恩給について申上げました
通り、
退職当時の俸給
年額に乗ずべき率が表示してあるのでありますが、
増加恩給と全く同じような
趣旨によりまして、
退職当時の俸給
年額によりまして四個の
区分を設けまして、その
区分ごとに定めた
一定額を給することにいたしましたのでかようにいたそうとするのでございます。そういたしましてこの
傷病賜金の
金額は、
只今申上げましたような
趣旨によりまして定めましたところの
増加恩給の
金額の第一款症即ち従来の第七項症につきましては、第六項症の
金額の大体五年分、それから第二款症につきましては四年分、第三款症につきましては三・五年分、第四款症につきましては三年分、第五款症につきましては二・五年分くらいの
金額を差上げるのが適当だということから計算いたしまして作つた表でございます。
次に
現行恩給法の
別表は第三
号表で切れておりますが、今回第四
号表と第五
号表の二つの表を附加えまして、これは従来も
改正法におきましても、普通扶助料に一定の率を乗じて
公務扶助料金額を計算することに変りございませんが、
現行におきましては
退職当時の俸給
年額の如何にかかわらず一率の
割合に
なつておりますのですから、本文へ簡単に書けたのでございますが、今回は
退職当時の俸給
年額によりまして、十三の
区分を設けまして、その
区分ごとに定めたところの
割合を乗ずることになりましたので、
別表として掲げることといたしたのでございます。第四
号表が公務による死亡の場合の表でございますし、第五
号表が
増加恩給を受ける者が公務によらない
傷病によ
つて死亡した場合の表でございます。この表は大分ややこしく書いてありますが、この表は御覧になりますように、先ず四
号表で申しますというと、率の一番低いところが十七割、一番高いところが二十七割に
なつております。この
割合の中にかような
区分を設けまするのは、俸給
年額が低い者ほど
割合をよくしようということはこれで御覧になればおわかりになると思いますが、と同時に、絶対額の俸給
年額が低い者より俸給
年額の高い者が減るようになるのもちよつと工合が悪いものですから、それは減らないようにする限度においてかようにややこしい
区分をせざるを得なくな
つたのであります。そうして例えばこの第四
号表の数字のところの第二番目の欄のところの下のところにあるような、何割に何円と
退職当時の俸給
年額との差額これこれ
ごとに〇・五割を加えた
割合という表示がところどころにございますが、これは極く大まかに申しますと、一般職の公務員の俸給号俸の一号を超える
ごとに大体〇・五割ずつ俸給の高い者ほど率が減
つて行くというふうにお
考えに
なつて頂きたいと思います。そうしてその間に上のほうの幅を御覧になりますとわかりますように、或る
程度は俸給何円から何円までは
割合が同じでございまして、それから一号を超える
ごとに〇・五割ずつ減
つて行きまして、それから或るところへ行きましたら又或る期間とどまるというふうな形に
なつておるのであります。第五表につきましても同じでございまして、大体従来の公務によ
つて死亡した場合の扶助料と、
増加恩給を受ける者が公務に基因する
傷病によらないで死亡した場合の従来の率とを勘案いたしまして、第四
号表に掲げたところの
割合から定めて来まして、一二・八割乃至二〇・三割というものを出しまして、その間のものにつきましては
只今申上げました大体〇・五割が〇・四割に変つた
程度に
なつておるのでございます。
次に附則の方へ参ります。附則の第一条はこの
法律の施行について
規定しておるのでございます。全部一般に「四月一日から施行する。」こういうことに
なつておるのでありますが、但書のところの「附則第二十九条の
規定は、
昭和二十七年六月十日から、
恩給法第五十八条ノ四の
改正規定は、
昭和二十八年七月分の
恩給から適用する。」こういうふうに但書に例外を設けましたのは、第二十九条の
規定は、これは地方公務員法の
改正に基くところの
字句整理の
規定でございます。実質は何も変えてございません、
字句整理でございますから。後ほど御
説明を申上げますが、その
字句整理の必要の生じたのは、つまり地方公務員法の
規定が
改正されましたのは二十七年六月十日からなのでございますから、それと合わせてやつただけで実質的には何ら響いておりません。
次に
恩給法の五十八条の
改正規定と申しますのは、
只今申上げましたように、
恩給外の
所得が一定限度以上の
所得がある場合には
恩給の支給を一部
停止する
規定でございます。而もこの
規定は
恩給法によりまして、「其ノ年ノ七月ヨリ翌年六月二至ル期間分ノ
恩給二付之ヲ為ス」との
規定がございますから、この
法律が四月に施行されましても、その
停止年度と申上げますか、
停止する期間につきましては四月からするというようなことはいたしませずに、最初の
停止年度の始まる本年度の七月からの
恩給にするためにかようにしようとするものであります。
次に第二条は法令の廃止に関する
規定でございます。第一号は、
昭和二十一年勅令第六十八号、即ち連合国最高司令官からの覚書を実施するために制定されましたところのポツダム勅令、後のポツダム政令の
恩給法の特例に関する件でございます。
二号の方に書きましたのは、昨年
先生方の御審議を経まして
法律として公布されましたところの第一号の勅令を本年、二十八年三月三十一日まで効力を延長すると共に、若干
部分を
改正した
法律でございます。従いましてこの際
軍人軍属に
恩給を給することにいたしますために、これらの
規定を廃止しようとするものであります。
次に第三条は、この
改正規定が施行されまして、施行される前にすでに
恩給をもらつた人、或いはもらうべきであつた人、もらい始めて今もら
つておる人につきましての経過
措置でございまして、これから御
説明申上げるところのこの
法律の附則にところどころ例外の
規定が設けられておりますが、その例外
規定のないものにつきましては
改正前の
規定によ
つてやろうというのがこの
趣旨でございます。一例を申上げますと、例えばこの
法律施行前に
傷病年金を受ける権利が発生しておつたけれどもまだ裁定が経てなかつたというような場合におきましては、
原則としてはこの条文によりまして従来
通りの
傷病年金を給そうというふうなところにあるのでございます。大体第三条は概括的の
規定でございまするから、第四条以下の御
説明を聞いて頂きまして、そうでない
部分はすでに
退職したり死亡したりした者につきましては、この第三条が働いて従来
通りの取扱を受けるというふうにお
考えに
なつて頂ければ結構かと思います。
次に第四条の
規定は、現在
在職している
人たち、つまり一般公務員以外は現在
在職しておりませんが、現在
在職している
人たちにつきまして
加算を廃止したことに伴うところの経過
措置を
規定したのでございます。即ちこの
法律施行のときから六カ月を経過する日の属する月までの
在職年の計算については、即ちこの
法律施行から半年の猶予期間を置きまして、その期間までの
在職年に対する
加算年はこれは認めて行きましよう。この
法律施行後半年を経過したのちの
在職につきましては、同一勤務に服しておりましても、或いは同一
地域に在勤しておりましても、従来認めていたような
加算は認められなくなりますというふうな
趣旨を
規定したのがこの第四条でございます。
次に第五条の
規定は、先ほども申上げました
増加恩給の第七項症と、それから
傷病年金というのを今回廃止しまして、一時金たる
傷病賜金にすることに伴うところの経過
措置でございます。即ち第一項は、従来の
規定によりまして七項症の
増加恩給を受けている者及び
傷病年金を受けている者につきましては、この
改正規定ではそれが一時金になるのでございますが、
只今申上げました附則第三条の
規定によりまして「従前の例による。」ということになりまするので、従来
通りの
金額の
増加恩給の七項症、これにも
普通恩給が併給されているのでございますが、これを続けてもら
つてお
つてもよろしいし、或いは
傷病年金につきましては従前
通りの
傷病年金を続けてもら
つてお
つてもよろしい。これは第三条の
規定にそういうふうにすると書いてあります。今度は第五条では併しながら御本人がいろいろお
考えに
なつて、この際一時金にして一時に金をもらつたほうがいいというかたがございましたならば、その者から請求がありました場合におきましては、将来この
法律施行後
年金を給することを取りやめまして、そうしてそれに代えて
改正法によるところの
傷病賜金を給することができるようにいたそうとするものであります。
第二項の
規定は、即ちかようにして
傷病賜金を請求されたかたにつきましては、
只今申上げました従来の
年額の第七項症の
増加恩給及びそれに併給される
普通恩給或いは
傷病年金というふうなものは、この
法律施行のときから権利を失うというふうに
規定したのが、この第二項でございます。ただ
増加恩給の七項症を受けている
人たちが仮に
傷病賜金を選択して
傷病賜金を受けられることになりましても、もともとその人が
増加恩給を受けなくても
普通恩給年限に達している者、即ち
増加恩給を受けなくても
普通恩給だけは受けられるようなかたにつきましては、
普通恩給は権利を失わしめることはできませんから、従いまして
増加恩給七項症をもら
つていて、
普通恩給も
増加恩給も受けることがなくて、新らしい
傷病賜金だけを受けようとされるかたは、
傷病年金は
在職最短年限に達していないにもかかわらず、
増加恩給七項症
程度によ
つて増加恩給を受ける際に
普通恩給が併給されている人、かような人は
増加恩給と
普通恩給の両方の権利をなくして、そうして新らしい
規定によるところの
傷病賜金を選択してもらうことができる、かように
なつているのでございます。
それから次の第六条の
規定は、
普通恩給の
若年停止、これは通称でございまするが、
普通恩給の
若年停止、
普通恩給の
退職当時、先ほど申上げました年令によ
つてその
恩給の一部又は全部を
停止する。それから
恩給外の
所得が
一定額以上ある場合に
恩給を一部
停止する
規定、その
規定は
只今申上げました第三条では、従来から
恩給を受けている者には「なお、従前の例による。」とあるにもかかわらず、第六条に反対の
措置を
規定いたしまして、「この
法律施行前に給与事由の生じた
普通恩給についても適用する。」従いまして第三条の
原則をこの六条の本文において一旦覆えしております。従いまして
普通恩給の
恩給外の
所得がある場合のいわゆる多額
停止につきましては、第三条の
規定にかかわらず
改正規定がそのまま働くということになるのでございます。
若年停止についてはどうかと申しますると、この但書の
規定がございまして、現在
恩給法の新らしい、つまり現在は一例を申上げますると四十歳以下は
金額を
停止することができますが、今度の
改正は四十五歳以下は
金額を
停止されることになるのであります。従いまして本文によりまして四十五歳以下であつたならば全額を
停止するのを建前とするわけでございますが、この但書におきまして、現に
普通恩給を受けている者につきましてこの四十五歳以下は全額
停止というような
規定を適用する場合におきましては、この
法律施行の場合に、今受けている
年額について四十五歳未満でも、つまり従前の
規定の四十歳以下は全額
停止、四十五歳以下は二分の一
停止、それから五十歳以下は三割
停止、この
規定を適用した場合に支給することができるものだけは支給をする。そうすると、言い換えまするとどういうことになるかと言いますと、簡単に申上げますると、若し
普通恩給が将来べース・アツプでもされました場合には、その人につきましてはべース・アツプされた
普通恩給について五歳上つたところの年令によ
つて計算した支給額と、それからべース・アツプされる前の
普通恩給について古い、五歳低いところの
停止年令による
停止額とを計算してみまして、どちらか本人に有利なほうを差上げようという
趣旨がこの
規定でございます。
二項の
規定は、これもこの
法律が四月一日から施行されますが、先ほど申上げましたように、六カ月を経過するというのは、先ほど申上げましたところについてと同じ
理由でございますが、申上げませんでしたが、四月から施行せられると同時に、そんなんだつたらおれは知らなかつたということを感じさせるのも非常にお気の毒だと思いますので、いわば六カ月間の猶予期間を置く形にいたしました。この取扱はこの
法律施行後六カ月以内に
退職した場合におきましては、この
法律施行後
退職した場合にもこの取扱をいたそうというのであります。従いましてこの
法律施行後、半年を経過してから後に
退職されるかたにつきましては、最初から五歳上つたところの
停止基準によ
つて停止が行われるのであります。
次に第七条に移ります。先ほど申上げましたように、第七条に
普通恩給について外国実
勤続在職年が十七年以上ある場合におきましては、その外国実
勤続在職年から十七年を引いた残りの
在職年について三百分の一ずつを通例の場合にして更に加給する。それから
警察監獄職員が
普通恩給所要
最短在職年限、つまり現在におきましては十二年でありますが、十二年以上勤続しておる場合におきましては、その勤続しておる期間から十二年を引いた残りの
在職年につきまして、更に一般の場合に比して三百分の一ずつ加給して行く、こういう
規定を削除したのでございますが、これに伴う経過
規定がこの第七条でございます。即ち先ほど申上げました
在職年停止につきましても、それからその前の四条のところで申上げました
加算に関する経過
規定でも同じでございますが、この
法律施行の際現に
在職する
人たちにつきましても、六カ月間に
退職するかたちにつきましては、今までのその
退職までの期間に対するところのこの加給制度はそのまま認めて行くのは勿論のこと、それを経過してから今度はこれは
加算のところや
在職年停止の場合とはちよつと趣きを異にしますが、その後
退職する人につきましても、この
法律施行から六ヵ月を経過する日、つまり半年後までの間にかような
条件に該当するような外国実
勤続在職年とか或いは
警察監獄職員の
勤続在職年とかいうふうなものがあります場合におきましては、ずつと将来に
なつて
退職する場合におきましても、この
法律施行から六ヵ月たつたときまでの
勤続在職年につきましては、従来
通りの率の加給を続けて行こうというのが七条の
規定でございます。
次に第八条に移りますが、八条は文官の
増加恩給、扶助料、つまり一般公務員の
増加恩給、扶助料の
年額の
改定の
規定でございます。これはこの
法律施行の際に一般文官として
増加恩給を受けておる人、それから
公務扶助料を受けておる者につきましては、この
法律施行の属する月からこの
法律によ
つて計算したところの
増加恩給又は
公務扶助料を将来に向
つて増額
改定して支給しようとするものでございます。ただ
増加恩給につきましても階級の上の者につきましては、現在もら
つておる額のほうが
改正後の額よりも多い者がございますし、それから
公務扶助料につきましては大
部分のものが率を下げました
関係上現在受けておる
公務扶助料の
年額のほうが多いものでございますから、それを少くするような
改定はいたさない、これが但書の
規定でございます。この
改定につきましては、言い換えますると、
増加恩給等につきまして現在もら
つておる額よりも
改正法の
規定が多くなるものにつきましては、裁定庁が職権を以て
改定いたしまして、御本人の請求を煩わさないという
趣旨がこの第二項でございます。
次に第九条以下が大体いわゆる旧
軍人軍属、つまり先ほど申上げました旧
恩給法の特例に関する件によりまして
恩給を受ける権利又は資格を廃止され、又は制限された
人たちに対する
恩給給与に関する
規定並びにこれに関する事項を
規定したのでございます。で、先日副
長官から
趣旨の御
説明を申上げましたように、ずつと各条について申上げるのでございまするが、わかりやすいためにこの
軍人軍属の
恩給につきましては先ず二十三条の
規定を先に御覧願いたいと思います。これは三十四ページ、「旧
軍人若しくは旧準
軍人又はこれらの者の遺族に給する
恩給についての
恩給法の
規定の適用」という表題で二十三条を設けましたが、この
趣旨は全体的に前に振り返
つて九条以下を御
説明申上げるときによくおわかりになると思いますが、大体において勅令六十八号によ
つて恩給を受ける権利を失い又は制限されているのであるけれども、今回はこの
法律の
規定によ
つて新たに
恩給を受ける権利又は資格を附与し、若しくは制限されておるところの
金額を旧に復するという
趣旨、即ち勅令六十八号が制定されなかつたならば、権利又は資格を持
つておるものであろうと思われるようなものにつきまして、この
法律の附則の
規定によ
つて新たに権利又は資格を附与するという思想でこの附則の
規定はでき上
つておるのでございまするが、先ずそのためにこの二十三条におきまして「旧
軍人若しくは旧準
軍人又はこれらの者の遺族に給する
恩給については、この
法律の附則の
規定によるものとし、」ですからこの附則で書いてあることに、先ず第一順位としてこの附則の
規定に従うのでございます。この附則に
規定のない事項についてはどうか。第二段といたしまして
改正後の
恩給法のここに掲げてあるところの条文に従
つて恩給を給するのであります。更にこの
改正規定にもないし、それからこの附則にも書いてないという事項につきましては、
法律三十一号附則第二条の
規定を適用する。この
法律三十一号附則第二条というのはここにちよつと出ておりますけれども、前に出ておりますけれども
昭和二十一年の
法律第三十一号でございます。この附則二条に「従前の
規定による公務員又は公務員に準ずべき者についてはなほ従前の例による。」という
規定がございますが、その
規定をここで活かして参りまして、そうしてこまごましいこの
規定されていないことにつきましては、その
規定によ
つて埋めて行こう、こういう
趣旨でございます。従いましてその二項には、即ち附則二条の
只今申上げました
昭和二十一年
法律第三十一号の附則の第二条の
規定しておるところの「従前の例による。」という従前の例からは、その後
恩給法は幾たびか変遷しておりますので、従いましてその当時のいわゆる従前の例によつた場合の
規定と、それから
改正後の
恩給法のこの
規定とが抵触することが
考えられるわけでございます。その場合におきましては附則二条によ
つて「従前の例による」というその
規定は、自然
改正規定が働くのであるということをこの二項に念のために掲げたのであります。さような
趣旨を以ちまして旧
軍人若しくは旧準
軍人又はこれらの者の遺族に
恩給を給する、こういう構想の下にできておりますので、先ずその点を御了解願いまして、次に第九条に戻りまして、十九頁の第九条から御
説明申上げます。
先ず第九条は、勅令六十八号の
規定によりまして
恩給を受ける権利又は資格を失
つておる者に対しまして、新たにこの
法律の
規定によ
つて権利又は資格を与えようとする
規定でございます。この第九条に
はつきり書いてありますように、旧
軍人、旧準
軍人又はこれらの遺族のうちで勅令六十八号の第一条の
規定により
恩給を受ける権利又は資格を失つた、即ち勅令第六十八号第一条の
規定によ
つてどういう権利が失われるかと申しますと、勅令六十八号の
規定によりまして失われる権利は、
傷病恩給つまり公務
傷病恩給の
年金につきましては、第七項症以下の
公務傷病は
年金を受ける権利又は資格を失う、併し一時金を受ける権利又は資格は持
つておる、併しその他の一時扶助料につきましてはすべて権利又は資格を失う。これが六十八号第一条の
規定でございますが、これによ
つて権利又は資格を失つた者のうち左の各号に掲げる者についてはそれぞれ当該各号に掲げる
恩給を受ける権利又は資格を取得する。かように柱に書いております。そうして先ず各号について申しますと、第一号は、
普通恩給を受ける権利を取得するのはどういう人であ
つてどういう場合であるかということを書いてあります。次に第二号には、扶助料を受ける権利又は資格を取得するのはどういう人であ
つてどういう
条件の下に取得するかが書いてございます。次に三号は、一時
恩給はどういう人にどういう
条件によ
つて与えるかということを書いてございます。四号は、一時扶助料はどういう人にどういう
条件によ
つて与えるかということを書いたのでございます。
で、又元に戻りまして一号の
普通恩給からやや細かく御
説明申上げます。この「左に掲げる者の一に該当する旧
軍人又は旧準
軍人」即ち「イ」から「へ」までに書いてある
人たちにつきましては、
恩給法の特例に関する件の旧勅令六十八号の制定がなかつたならば、ずつと
普通恩給を受ける権利を持
つてお
つて現在でもなお且つ
普通恩給を受ける権利を持つであろうと想像される人につきましては、その
普通恩給を受ける権利を取得させよう、これが第一号であります。その第一号の中にはいろいろな
人たちがありますが、先ずイ号は旧勅令六十八号施行前、言い換えますと
軍人恩給廃止制限前に
普通恩給を受ける権利の裁定を受けた者、つまり既裁定者につきましては、その者が勅令六十八号の制定がなかつたとするならば、現在引続いてもら
つておるであろうと思われる人につきましては、その人にその
恩給を与えよう。併し第七項症の
増加恩給を受けてお
つて、そうして
在職年は
普通恩給年限未満であるけれども、
増加恩給を受けるがためにこの
普通恩給をもら
つておつたという人につきましては、第七項症の
増加恩給は文官についても一時金に替えております。従
つて将来は、そういう人は第七項症にかかる
普通恩給を受けていないのでありますから、かような
人たちにはこれは今度は旧
軍人につきましては
普通恩給をこれに取得させる、これが但書でございます。
で、次はロからへまではいわゆる
軍人恩給廃止制限のときまでに
恩給の裁定を受けていなかつた
人たちの場合でございます。先ず第一のロは、
軍人又は準
軍人として引続いておる実
在職年、つまり
加算年をはずしましたところの実
在職年だけで
普通恩給の最短
恩給年限になる
人たち、これは
普通恩給をこの
法律施行の日から取得させる……。