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1953-03-06 第15回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月六日(金曜日)    午後一時五十五分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り    委員長     竹下 豐次君    理事            松原 一彦君    委員            中川 幸平君            河井 彌八君            村上 義一君            上條 愛一君            吉田 法晴君            村尾 重雄君   衆議院議員            佐藤洋之助君   政府委員    内閣官房長官 江口見登留君    引揚援護庁長官 木村忠二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    総理府恩給局審    議室次長    中島 忠次君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○厚生省設置法の一部を改正する法律  等の一部を改正する法律案衆議院  送付) ○恩給法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○連合委員会開会の件   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 只今から内閣委員会開会いたします。  厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案議題に供します。  先ず提案者から提案理由説明をお願いします。
  3. 佐藤洋之助

    衆議院議員佐藤洋之助君) 只今議題となりました衆議院海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会に所属する全議員二十五名の共同提案厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  ソ連、中共地域からの集団引揚は、昭和二十四年十月以降途絶しておつたのでありますが、今回漸く中共地域からの引揚が実現せんとする事態を迎えましたことは、深く慶びとするところであります。  もともと未帰者帰還促進と消息の究明は、ただに留守家族関心事たるに止まりませず、全国民的課題として、これが解決には、朝野を挙げ、且つ、国際社会にまで訴えてきたところであり、本院におきましても、毎国会毎に特別委員会を設けて未帰還問題の終局的解決を期して参つたのであります。  引揚援護庁は、在外同胞受入援護と未帰還者調査究明並びに未帰還者留守家族援護を本来の職務とし、これに昨年四月より施行されました戦傷病者戦没者遺族等援護法業務を併せて行つているのであります。即ち引揚援護庁は、未帰還問題の直接の衝に当る責任官庁であります。ところが、同庁は、昭和二十七年第十三国会において成立いたしました厚生省設置法の一部を改正する法律によりまして、本年四月一日からは従来の外局組織から厚生省の一内局に改編吸収されることになつているのであります。  引揚援護庁が、集団引揚の中絶中も、あえて、今日の如き組織の下に存置されて参りましたことは、この未帰還者の問題が、太平洋戦争の後始末の未解決な問題のうち、同胞の生死にかかわる深刻な問題であり、この問題解決の念願には、人道と正義を確立し、国際平和をもたらさんとするわが国の決意がこめられていると解するのであります。  然るに国民多年の要望たる中共地域からの引揚がまさに実現せんとするとき、この受入処理に当るべき引揚援護庁が廃止され、その業務厚生省内の一内局に縮少転移いたそうとしているのでありますことは、単に一行政部局の改編に過ぎないように見えますが、申すまでもなく、外局内局に転移いたしますとすれば、内部機構の大幅の改革、これに伴う広汎な人事の異動によりまして関係職員の心理に少からぬ動揺を与えまするほか、引揚第一船の入港前後に広汎多岐に亘る物品の保管替や、諸書類の引継等を行なわなければならないため引揚者の受入援護相当の混乱と支障が生ずるであろうことは容易に想像されるところであります。又今日あるに備えて存続して参りました引揚援護責任官庁を、この際縮少改編いたしますことは、全国留守家族はもとより、国外に対しましても好ましからぬ影響を与えるであろうことを憂慮いたすのであります。  又消息不明の未帰還者調査究明については、今次の帰還者から今後有力な資料の得られることを期待し、引揚援護庁が一段とこの方面について積極的な活動を促す必要があろうと存ずるのであります。  なお、国会が多年に亘つて要望して参りました留守家族援護の法案が整い、明年度より実施の運びに至らんとしておりますほか、戦傷病者戦没者遺族等援護法改正による複雑な業務があり、更に軍人恩給の復活に伴う厖大な施行業務等引揚援護庁の任務として明年度より新たに加わらんとしておるような状況であります。  このような情勢を勘案いたしますとき、引揚問題のおおむねの処理が終り、その他の業務も軌道に乗ると思料されます時期、これを明年度末と見込みまして、昭和二十九年度三月末日まで、引揚援護庁は、現行機構のままにいたし、全機能を挙げて、叙上の業務の完遂に当らせるのが時宜に適した措置と存ずるのであります。  以上の理由により、厚生省設置法の一部を改正する法律により昭和二十八年三月末日までとされている引揚援護庁の従来の組織機構を更に一年延長いたすため厚生省設置法の一部を改正する法律を一部改正し、これに関連照応する国家行政組織法の一部を改正する法律及び行政機関職員定員法の一部を改正する法律をそれぞれ改正いたそうとするのであります。これら三法律案改正点は、いずれも昭和二十八年三月三十一日とありますのを、昭和二十九年三月三十一日とする一点のみでありまして、実体規定改正には何ら触れるところはないのであります。  何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  4. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 本案に対する政府当局のお考えをこの際参考のために伺つておきます。
  5. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 中共地域からの引揚げ再開に伴いまして、この機会に引揚援護庁内局になりますることが、その援護業務につきまして著しく支障のございますることは、只今提案者の御説明になりました通りであります。政府といたしましては、この際に援護庁外局のままに、この仕事に相当の目鼻がつくまで延長するということにつきましては、全然同じ気持を持つておるのであります。この同じような考えであるにかかわらず、何が故に政府がこの提案をしなかつたかということにつきましては、中共地域からの引揚げ再開が問題になりましたのが昨年の十二月の一日の北京放送によるものでございまして、その放送がありまして、いろいろの経緯がございまして、大体その見通しがはつきりと付いて参りましたのが、予算を編成しましたあとということに相成りました。その結果、政府といたしまして、これを提案いたしますということには、いろいろと支障もございまするので、政府としましては、その提案をいたさなかつた次第であります。このたびその提案議員の側にありましたことにつきましては、政府といたしましては、先ほど申しましたように、全然同じ意見を持つておるわけでございます。
  6. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) この際御質問願います。
  7. 上條愛一

    上條愛一君 これは予算関係はどうなるのですか。
  8. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 予算関係は、従来の引揚援護庁定員から、来年度は七名だけ減員することに相成つて予算が組まれております。なお予算といたしまして、組替をいたさなければならないことになるのでございまするけれども、これは予算総則におきまして、法律がそういうふうになりました場合には、それができるように相成つておりまするので、一応別の措置を今講ずる必要はないと考えております。
  9. 上條愛一

    上條愛一君 そうすると、今の御説明によると、予算措置は現状のままでいいというのですか。
  10. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) あとでその予算総則によりまして、これを、予算総則に、そういうふうに法律が変りました場合には、その法律に合せて組替えるということになつておりますので、法律になりましたなら、予算のほうがきまりましたものと御了承願います。大蔵大臣の権限で以てできるように相成つております。   ━━━━━━━━━━━━━
  11. 上條愛一

    上條愛一君 そうすると、今年度の予算のままで組替を何もやらずに措置ができる、こういうわけですね。
  12. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) さようでございます。
  13. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 本案予備審査でありますので、又あとで若し御質問がございましたら継続してもらいますが、本日はこれで……。
  14. 佐藤洋之助

    衆議院議員佐藤洋之助君) 昨年やはり参議院から修正案が出まして、一年延期を衆議院が賛成してこの前は存続したのであります。昨日衆議院のほうの内閣委員会におきましては可決いたしております。明日の本会議に上程される予定になつておりますから御了承願います。   ━━━━━━━━━━━━━
  15. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 次に恩給法の一部を改正する法律案議題に供します。本日は政府当局にこの本案逐条説明をお願いいたします。
  16. 江口見登留

    政府委員(江口見登留君) 説明員のほうから逐条につきまして御説明申上げます。
  17. 中島忠次

    説明員中島忠次君) 委員長先生方のお許しを得まして私から御説明いたします。  この法律案提案理由及びその内容の趣旨の根幹につきましては、先日副長官から、この提案理由及び概略として申上げたところで尽きておるのでございます。従いまして私は各条につきまして専ら技術的な面から御説明申上げたいと思います。  先ず第一に、恩給法の本則の改正に関する部分でございますが、第二条の改正規定は昨日御説明申上げましたように、傷病年金程度傷病者に対して一時金たる傷病賜金を給することに改めましたことに伴いますところの字句整理でございます。  第六条は同じく年金たる傷病恩給の中から傷病年金がなくなつたことに伴う字句整理でございます。  第八条の改正規定も同じく傷病年金を受ける者の、傷病年金につけられるところの扶養家族加給に関する規定での、扶養部分を削除した改正でございます。  第十一条は恩給の処分に関する規定でございまして、従来は「恩給受クルノ権利ハヲ譲渡シハ担保供スルコトヲ得ス」と規定してございましたのでございますが、昨日御説明申上げました通り、これに対して国民金融公庫と、別に法律で定める金融機関には担保にすることが許されるということにいたそうといたしまして、その規定を第一項の但書としてその通りに掲げたのでございます。  次に第三十一条から第四十条までの改正規定は、三十一条はこれは昭和八年のときに削除されておるので実質的には関係ございませんが、三十二条から四十条までが恩給法加算に関する規定でございます。そのうち三十二条から三十七条まではすでに昭和二十一年の法律三十一号の恩給法の一部改正によりまして、この加算が戦争又は軍人の勤務を前提とした加算でございましたので、この加算をすでに削除してございます。従いましてそれは実質的にはかかつておりません。実質的には三十八条と、三十八条ノニと、三十八条ノ三と、それから三十八条ノ四、三十九条、三十九条ノニ及び四十条の規定を削つたのが今回の……、これは昨日申上げましたように、現在認められておる加算につきましても、今後の在職年につきましては加算年をつけないことにいたしましたことに伴う改正でございます。今回新たに削除されました加算について申上げまするというと、種類から申しますと、辺陬又は不健康地域に勤務した場合に付せられる加算、それから不健康業務に服した場合に付せられる加算と、それからいわゆる遠洋航海加算、その加算に関する規定が実質的に削られたことになります。そういたしまして、四十条の規定はその加算年計算方法に関する規定でございますが、これも今のに伴いまして削除することといたしたのでございます。  次に四十六条ノニ改正規定でございますが、現行法の四十六条のニノ規定傷病年金に関する規定でございます。この規定をそのまま傷病賜金に関する規定に変えたのであります。軍人恩給廃止前の恩給法におきましては、傷病年金もありましたし、それから下士官以下の軍人に限りまして傷病賜金というのが認められておつたのでございます。下士官以下の傷病賜金で、只今申上げました軍人恩給廃止前の恩給法によつて認められたもののうち、勅令四十八号によつてもなお認められておる、現在認められておるところの傷病賜金につきましては、後ほど附則のところで関連がございますから御説明申上げまするが、今回の四十六条ノニ傷病賜金規定は、従来の傷病年金、それから後ほど申上げますが、増加恩給の七項症が一時金になることに伴いまして、それを併せました傷病賜金に関する規定でございます。従いまして只今申上げました下士官以下の軍人にのみ給せられたところの傷病賜金に関する規定をそのまま持つて来たような恰好にいたしませずに、現在の傷病年金に関する給与条件はそのまま踏襲いたしまして、年金を一時金に変えるだけの改正のような恰好をとつております。従いまして今回の改正につきましては、例えば二項のところで、退職後五年以内に傷病が重くなつて傷病賜金の給せられる程度なつた場合には、傷病賜金を給するというような規定とか、或いは相当古くなりました場合には、相当つてから傷病賜金が給せられるような程度なつた場合においては、恩給審査会において、その傷病関係を顕著であると認めた場合にはやるというような、従来の傷病賜金下士官以下にのみ給せられておつた傷病賜金にはなかつたような規定を置いておるのであります。それから次にここに新らしい国家公務員災害補償法十三条若しくは労働基準法第七十七条の規定による障害補償又はこれに相当する給付を受けた者には、原則として傷病賜金を給さないというのは、これは曾ての傷病賜金はこういう事態は起りませんでしたが、現在は国家公務員に対しては、国家公務員災害補償法規定によりまして、一時金たる傷害補償が給せられることになつておりますので、同じく国家として一時金たる傷害に対する補償を二重にするのも如何かと思われますので、原則として傷害補償を受けた者につきましては、重ねて一時金たる傷病賜金を給さないようにいたそう。併しながら傷害補償傷病にかかつたときの条件を基にして給せられますし、恩給は退職後の条件によつて給せられることになつておりますので、その間の条件の変更によりまして、傷病賜金金額が多くなるという場合におきましては、傷病賜金を給することにいたしております。後ほど御説明申上げますが、そういう場合の傷病賜金金額は大体傷害補償として受けた金額を差引いたような金額にいたそうとしたのでございます。その他は大体現行法と同じようにしてございます。  次に四十八条の改正規定は、これは只今申上げました加算の、辺陬又は不健康地域というのは恩給法別表の第一号表に掲げてあるのでございますが、これが不要になりまするので、これを削りまして、そして次の「一号表ノ二」を「一号表」に繰上げて来る関係上の整理だけでございます。  次に四十九条の改正規定は、昨日申上げました公務傷病原因即ち増加恩給とか、傷病年金、従来から申しますと増加恩給傷病年金、それから公務扶助料につきましては、その傷病原因特殊公務普通公務とに分けまして、若干金額に差違を設けておるのでございまするが、この差違を昨日申上げましたような理由によりまして、この差別を廃すことにいたしましたので、この差別を設ける規定を削除しようとするのでございます。  それから第四十九条ノ二は、別表において増加恩給を受ける傷病程度は、特別項症及び第一項症から第七項症までの合計八項になつておるのでございますが、今回七項症を増加恩給から落すことにいたしましたので、特別項症及び第一項症から第六項症までの計七項になりますので、それに伴う字句の整理でございます。  次に四十九条ノ三、現行恩給法におきましては、傷病年金傷病程度恩給法別表規定してございまするところの四款、第一款から第四款までの四款となつておるのでございまするが、只今申上げました従来の増加恩給第七項が一つ加わりますのですから五款、一つ款が殖えまして五款にしよう、それが四十九条ノ三の改正規定でございます。  次に五十条の第三項の規定は、傷病年金に関する規定でございまするが、傷病年金がなくなりましたので不要となりますから、これを削除しようとするのでございます。  五十五条の第二項の規定は、増加恩給につきまして、原因特殊公務普通公務の区別がありました時代に、これはややこしい規定でございまするが、例えば前に特殊公務によりまして増加恩給を受けた者が再就職いたしまして、再就職期間中に普通公務に起因する傷病によりまして、両方の傷病を挙げますと、傷病程度が上つておるというような場合に、特殊公務としての額を給するか、或いは普通公務としての額を給するかという調節に関する規定でございます。ただ併しながら、只今申上げましたように、特殊公務普通公務の区別を撤回しますと、再就職しました場合にも、かようなことを考えずに、単に傷病程度を合せまして新らしい恩給の額を給すればよろしいことになりますので、これを削除しようとすることになるのであります。  次は五十五条ノ二の規定は、只今申上げましたような規定その他増加恩給の、算入した場合の増加恩給の算定に関する規定傷病年金の改定について準用する規定でございまするが、傷病年金年金として認められないことになりましたから、この規定も不要になりますので、これを削除しようとするのでございます。  次に五十六条は、従いまして只今規定を削除した結果、前の条項の数が一つ減りますから「前三条」を「前二条」に改めるという字句整理でございます。  次に五十八条ノ二の規定は、これは年金たる恩給受給者が刑に処せられまして、つまり三年以下の懲役若しくは禁錮の刑に処せられた場合には、その処刑中恩給の支給を停止するという規定でございますが、傷病年金年金として今後給せられないことになりまするので、その傷病年金受給者についてかような規定がなくなるものですから、その傷病年金を削ろうとするのでございます。  次に五十八条ノ三の規定は、先日申上げましたように、普通恩給受給者一定年齢以下の場合は、普通恩給の全額を停止し、それから一定年齢から一定年齢の者につきましては、普通恩給の一部を停止する規定でございますが、これを五年引上げることにしましたので、その改定と、それからこの若年による普通恩給停止につきましては、従来増加恩給傷病年金を併給される普通恩給受給若につきましては、この普通恩給停止を行なつておらないのです。増加恩給につきましては従来通りといたしましても、傷病年金を併給される場合というのは今後は生じ得ないことになるのでございますが、さりとてそういうふうな人たちは今後傷病賜金たる一時金を給せられることになるのでございますが、その一時金を給せられる人たち傷病の実情におきましては何ら変りがないのに、普通恩給停止されるのも酷であると考えられまするので、この傷病賜金を受ける場合におきましても、この若年停止を先ず五年間は行わないということにいたそうとするのがそのあとのほうの改正部分でございます。何故に五年間といたしましたかと申しますと、現行法におきましては、傷病年金を併給する場合といたしまして、傷病年金が併給されている間、いわゆる若年停止をしないということになつておりますので、従いましてこれは細かくなりますが、増加恩給とか傷病年金につきましては、将来傷病が恢復する見込みがある者につきましては、五年間を限つていわゆる前記の傷病恩給を給するのでございます。従いまして増加恩給傷病年金につきましてその五年間だけは若年停止排除を受けるけれども、五年たてばその傷病が恢復しました結果、若年停止を受けるというような事態が従来はあるわけでございますが、増加恩給にはあるようになつているわけでございます。従いましてこれを傷病賜金にいたしますといたしましても、一応五年で抑えておきまして、従来でありましたらなお傷病年金を続けてもらえますように、言い換えますと、傷病が五年たつても恢復しておらない者につきましては、現行のその次の項におきましてなお若年停止排除を延長しようとする規定がございまするので、一応傷病賜金につきましては五年間を限つて先ず若年停止排除をいたしておきます。そしてその傷病賜金を得た者の傷病がまだ癒らなかつた場合には、なおその期間を延長しようという趣旨で、かようにいたしたのでございます。  次は五十八条ノ四は、恩給年額一定額以上ありまして、そして恩給以外の所得一定額以上に達するものにつきましては、その恩給額恩給外所得との年額の合算額に応じまして、現行法にありますように四段階の区分を設けまして、その区分毎に定めた率を恩給年額に乗じたところの恩給年額の一部を停止することになつておるのでございまするが、先日申上げました理由に基きまして、この恩給年額現行六万五千であるのを八万円に、それから恩給外所得年額三十三万円を四十六万円に改めることに伴いまして、その内部の区分けのところの合算額に関する金額をもそれぞれの割合に、従来通りの割合に応じましてかように改めようとするのでございます。その五十八条ノ四の改正点はそういう趣旨でございます。  次に五十八条ノ五の規定は、これは現行法におきまして増加恩給傷病年金を受けるものにつきまして、先ほどもちよつと触れました国家公務員災害補償法とか労働基準法規定とかによりまして、傷害補償を一時金として受けますものですから、その一時金として傷害補償を受けました場合には、大体それを六年間の年金のような考え方をいたしまして、六年間は大体においてその増加恩給、若しくは傷病年金の額を停止しようという規定でございます。で、先ほど申上げましたよりに、このうちで傷病年金年金として今後は支給されないことになりまするので、その傷病年金に関する部分を削ると同時に、あとは最近の立法例におきまして、他の法律を書いて来る場合には、その下へ法律番号を付して法律の出所をはつきりさせておるのでございまするが、同一法律の中におきまして、一度この法律番号が付せられておりますと、次に出て来るときにはこの番号を付する必要がないということになつておりますので、先ほど申上げました傷病賜金に関する四十六条ノニ改正規定におきまして、すでにこの労働基準法国家公務員災害補償法法律番号規定したことにいたしましたから、今回はこの五十八条ノ五の中から法律番号を削ろう、こういう全く技術的な改正でございます。  次に六十条の改正でございまするが、先ず第三項を削つたのは、昨日も申上げました外国実勤続在職年が十七年以上ある場合には、それにつきまして十七年を超えると百五十分の一ずつを通例の場合に加えて行きますが、それのみでなく、なお更に重ねてこの十七年を超える一年ごとに三百分の一の加給をするという規定でございまするが、昨日申上げましたような意味におきまして、これを今後の在職につきましては認めないことにいたしましたので、この三項の規定を削つたのでございます。次に同条の第六項中の改正規定は、傷病年金年金でなくなつたことに伴う字句整理でございます。  次に六十三条の第三項を削りましたのは、これは第三項と申しますのは、現行法におきまして警察監獄職員勤続在職年が十二年以上、即ち普通恩給所要最短年限を超えて勤続しておる、途中でやめなくて動続しておる場合におきましては、普通の最短在職年限を超える一年ごとに百五十分の一を加えるほかに、なおその動続在職年から最短年限の十二年を引いた残りの一年ごとに三百分の一ずつを加給するという規定でございまするが、これも今後の在職については認めないことといたしましたので、この三項を削ろうとするものでございます。次に同じ条の四項の改正規定は、これは傷病年金を削りましたことに伴う技術的な字句整理でございます。次に同じ条の五項の改正規定は、六十条から三項を削りました、つまり外国実勤続在職年から最短年限を引いた残りに加給する規定を削りまして、項が移動したことに伴うところの字句整理でございます。  次に六十五条は、増加恩給の年額を定めた規定でございまするが、その第一項によりまして、現行法では昨日も申上げました通り、退職当時の俸給年額に傷病原因とそれから傷病程度によつて定めましたところの、給与別表の率を乗じて計算することになつておりましたのでございまするが、今度これを改めまして、退職当時の俸給年額によつて数個の区分を設けまして、その区分は傷病程度によつて定めた一定の金額を給することになりましたので、かように改めたのでございます。  次に六十五条ノニは、現行におきましては傷病年金の年額に関する規定でございます。これも傷病年金をやめまして、傷病賜金を給することになりましたので、ここでこの傷病年金の年額に関する規定を、傷病賜金金額に関する規定に置き換えたのでございます。  で、ここで特に申上げておきますが、先ほど申上げましたところの傷病賜金は、本法の、あとで御説明申上げますが、本法の別表の第三にこの金額を掲げておるのでございまするが、国家公務員災害補償法による補償とか、労働基準法によるところの傷害補償、こういうふうなものを受けましたものにつきましては、原則としては給さない。併しながら傷病賜金金額を計算した場合に、その金額が多い場合におきましては傷病賜金を給するということを書いておきましたので、この改正規定の第三項によりまして、この多い場合には別表傷病賜金金額から、当該傷害補償又はこれに相当する給付の金額を差引きました残りの額とするということを新たに挿入したのでございます。  次に六十五条ノ三の規定は新たに加わつた規定でございまするが、従来は下士官以下の軍人傷病賜金を給される場合に、その傷病が重傷に赴きまして、増加恩給若しくは傷病年金を受けるようになりました場合におきましては、同一傷病に対する恩給給与でございまするから、一定の期間の中におきまして傷病賜金を受けて、すぐに増加恩給若しくは傷病年金を受けるようになる場合におきましては、若干部分二重給与のような形になるのでございまするから、その恩給的に考えまして二重給与と認めるを相当と考えられる部分につきましては、傷病賜金金額を返還させることになつておつたのでございます。それと同じように今回も第七項症以下の傷病賜金を受けるものが、その後病気が重くなりまして増加恩給を受けるようなことになりまするというと、同じような問題が生じまするので、その場合にはここに書いてあるような、先ず四年たつてから増加恩給を受けるようになつた場合には、これは返還しなくてもよろしい、つまり四年間は傷病賜金で、何と言いますか生活して頂くというふうな趣旨でございまして、四年以内、例えば二年とか一年とかいう間に増加恩給を受けるようになりました場合には、その傷病賜金金額の六十四分の一に、その四年と増加恩給を受けるまでに至つた期間との差月数を乗じて得た金額、それだけ返させる、こういうことにいたしたのでございます。で、この規定軍人恩給廃止制限当時の下士官以下の傷病賜金の返還に関する規定とちよつと趣を異にいたしまするのは、下士官以下の軍人恩給というのは、これは全部国庫負担でございます。従いまして常にその返還先は国庫ということになるのでございまして、簡単にただ単に返還させるというだけで、増加恩給を支給する際に控除するというだけになつておつたのでございまするが、今回も返還は増加恩給を支給する際に、その額に達するまで返還させるという、その点は同じでございまするが、その返還を受けた場合に、その返還を受けた額の処分の規定を一項加えたのでございます。これは例えば神奈川県におきまして、傷病賜金を受けた人たちが東京都或いは国に再就職をいたしまして、そうして国若しくは東京都から増加恩給を受けるというふうな場合におきましては、その神奈川県からもらつたところの傷病賜金を国とか東京都で返してもらう形になりますものですから、その返した金を神奈川県の方へ戻してやるという趣旨規定を入れたのでございます。これは現行恩給法の六十四条の二におきまして、一時恩給の返還に対してそういうふうな返還先、負担した所に返還するという趣旨が出ておりますが、その趣旨を踏襲したのでございます。  次に七十五条の改正規定でございますが、七十五条の第一項は、扶助料の年額の計算方法規定した規定でございます。で先ほども申上げましたように、先ず特殊の公務による傷痍疾病によつて死亡した場合と、普通公務による傷痍疾病のために死亡した場合との区分を廃止いたしましたために、その算出率は同じになりまするから、それを合せますと号数が一つ減ります、それで号を一つ減らすこと。それから現行規定によりますると、普通扶助料の金額に、退職当時の俸給年額の如何にかかわらず、特殊公務の場合におきましては四十割、それから普通公務の場合は三十三割、増加恩給を併給されるものが、平常で亡くなりました場合には二十四割というふうの率を乗じて計算することになつておつたのでございまするが、今回退職当時の俸給年額によつて数個の区分を設けまして、それぞれの区分ごとに設けられましたところの率を退職当時の普通扶助料の年額に乗じて計算することに改めましたので、字句がその点変つておるのでございます。次の七十五条の二項の規定につきましては、第一項におきまして項を一つ減らしましたことに伴う当然の字句整理でございます。  次に七十九条ノ三は、先ほど申上げましたように増加恩給傷病資金を受ける者につきましては、国家公務員災害補償法又は労働基準法によるところの障害補償というものが給せられることになつておるのでありまするが、公務扶助料を給せられるような人たちにつきましては、同じく国家公務員災害補償法又は労働基準法によりまして遺族補償というものが給せられるのでございます。この遺族補償も一時金でございまするが、その一時金を受けた場合におきましては、やはりその六年間は大体この普通扶助料を超えるところの部分公務扶助料停止するということになつておりまして、現行の七十九条ノ三にそのことが規定してあるのでございまするが、今回は特殊公務による場合と普通公務による場合の区別を撤廃したことによりまして一つの項が減りまするのでこの際一本にまとめまして、現行法では一号から三号までに分けましてどれだけの金額停止するかということを書いておいたのでございまするが、内容は変りましたが、一本にまとめまして普通扶助料の金額を超える部分停止するというふうに書き改めたのでございます。  次に第四章に一条を加えました八十二条ノ三は、従来恩給の支給予算は郵政省の所管に計上されておつたのでございます。従いまして郵政省の郵政官吏が恩給を支払いする場合には、自分の予算恩給の支払ができたのでございまするが、今回からこの恩給の支給予算をも総理府の所管の中に計上することにいたしましたので、この予算をいわゆる郵政省所管に廻してやる趣旨規定を置いた方が適当ではないかと考えられまして、かような規定をおいたのでございます。  次に別表改正規定でございますが、先ほど申しましたように現行別表第一号表規定は、これは僻陬又は不健康地域として指定されている地域に在勤する者につきましては当該加算がつけられるということになつておつたのでございまするが、この加算を廃止することにいたしましたので、この表も不要になりましたからこれを削ろうとするのでございます。  次に第一号表ノニというのは、公務執行中とか或いは公務旅行中にこういう病気にかかりました場合には公務のための疾病とみなすという規定があるわけでありますが、その流行病を恩給的に規定した規定がこの第一号表ノニ規定でございます。これは内容は変りませんが、只今第一号表を削りました結果、これを繰上げまして一号表としようとするのでございます。  次に第一号表ノ三の規定は、先ほど申上げました特殊公務普通公務に区分がしてある場合に、特殊公務による傷病とは如何なる傷病を言うかということをはつきり明示しておつたのでございますが、只今申上げましたように特殊公務普通公務に区別をすることにいたしましたので、この表も不要になりますからこれも削ろうとするのでございます。  次に現行の第一号表ノ四の規定増加恩給傷病の有様、それを規定したのでございますが、この中に第七項症というのが入つておりますが、これを傷病賜金に変えますことになりますので、第七項症の部分をそのまま取外して、そしてこの表を一号表ノニに繰上げることといたそうとするものであります。  次に現行の第一号表ノ五の規定は、これは傷病年金を給する傷病程度をきめた表でございますが、この中に只今増加恩給の中から外したところの第七項症の欄をそのまま第一款症として持つて参りまして、現行の第一款症から第四款症までを一款ずつ繰下げまして第五款症として、そうして削除した表順に埋めて行きますと、この表が第一号表ノ三となりますからさようにいたそうとするのでございます。  次に別表第二号表改正規定は、これは増加恩給金額表でございます。現行の第二号表増加恩給の算出率、即ち退職当時の俸給の額に乗ずべき率を規定した表でございますが、先ほど申上げましたように退職当時の俸給年額によつて数個の区分と申しましたけれども、第二号表で御覧になるとわかりますように六項の区分を設けます。その区分ごと傷病別の定額の恩給を給することになりましたので、かようにいたしたのであります。この増加恩給金額は大体昭和八年十月一日に恩給法改正されましたが、それから昭和十三年に至りまして公務扶助料及び増加恩給が大幅に増額されたのでございますが、その増額される前のことを大体中心にいたしまして、そうしてその当時の俸給に対して大体どのくらいの割合が給せられておつたかというようなところを検討いたしまして、なお増加恩給につきましては少くとも特別項症のような或る程度介護を要する人たちにつきましては、如何に退職当時の俸給年額が低くつても月額一万円を超えるくらいのものは差上げた方がいいのじやないかというふうないろいろなことを考慮いたしまして定めました金額がかようになつたのでございます。  次に第三号表改正規定でございまするが、これは現行法によりますと、只今増加恩給について申上げました通り、退職当時の俸給年額に乗ずべき率が表示してあるのでありますが、増加恩給と全く同じような趣旨によりまして、退職当時の俸給年額によりまして四個の区分を設けまして、その区分ごとに定めた一定額を給することにいたしましたのでかようにいたそうとするのでございます。そういたしましてこの傷病賜金金額は、只今申上げましたような趣旨によりまして定めましたところの増加恩給金額の第一款症即ち従来の第七項症につきましては、第六項症の金額の大体五年分、それから第二款症につきましては四年分、第三款症につきましては三・五年分、第四款症につきましては三年分、第五款症につきましては二・五年分くらいの金額を差上げるのが適当だということから計算いたしまして作つた表でございます。  次に現行恩給法別表は第三号表で切れておりますが、今回第四号表と第五号表の二つの表を附加えまして、これは従来も改正法におきましても、普通扶助料に一定の率を乗じて公務扶助料金額を計算することに変りございませんが、現行におきましては退職当時の俸給年額の如何にかかわらず一率の割合になつておりますのですから、本文へ簡単に書けたのでございますが、今回は退職当時の俸給年額によりまして、十三の区分を設けまして、その区分ごとに定めたところの割合を乗ずることになりましたので、別表として掲げることといたしたのでございます。第四号表が公務による死亡の場合の表でございますし、第五号表増加恩給を受ける者が公務によらない傷病によつて死亡した場合の表でございます。この表は大分ややこしく書いてありますが、この表は御覧になりますように、先ず四号表で申しますというと、率の一番低いところが十七割、一番高いところが二十七割になつております。この割合の中にかような区分を設けまするのは、俸給年額が低い者ほど割合をよくしようということはこれで御覧になればおわかりになると思いますが、と同時に、絶対額の俸給年額が低い者より俸給年額の高い者が減るようになるのもちよつと工合が悪いものですから、それは減らないようにする限度においてかようにややこしい区分をせざるを得なくなつたのであります。そうして例えばこの第四号表の数字のところの第二番目の欄のところの下のところにあるような、何割に何円と退職当時の俸給年額との差額これこれごとに〇・五割を加えた割合という表示がところどころにございますが、これは極く大まかに申しますと、一般職の公務員の俸給号俸の一号を超えるごとに大体〇・五割ずつ俸給の高い者ほど率が減つて行くというふうにお考えになつて頂きたいと思います。そうしてその間に上のほうの幅を御覧になりますとわかりますように、或る程度は俸給何円から何円までは割合が同じでございまして、それから一号を超えるごとに〇・五割ずつ減つて行きまして、それから或るところへ行きましたら又或る期間とどまるというふうな形になつておるのであります。第五表につきましても同じでございまして、大体従来の公務によつて死亡した場合の扶助料と、増加恩給を受ける者が公務に基因する傷病によらないで死亡した場合の従来の率とを勘案いたしまして、第四号表に掲げたところの割合から定めて来まして、一二・八割乃至二〇・三割というものを出しまして、その間のものにつきましては只今申上げました大体〇・五割が〇・四割に変つた程度なつておるのでございます。  次に附則の方へ参ります。附則の第一条はこの法律の施行について規定しておるのでございます。全部一般に「四月一日から施行する。」こういうことになつておるのでありますが、但書のところの「附則第二十九条の規定は、昭和二十七年六月十日から、恩給法第五十八条ノ四の改正規定は、昭和二十八年七月分の恩給から適用する。」こういうふうに但書に例外を設けましたのは、第二十九条の規定は、これは地方公務員法の改正に基くところの字句整理規定でございます。実質は何も変えてございません、字句整理でございますから。後ほど御説明を申上げますが、その字句整理の必要の生じたのは、つまり地方公務員法の規定改正されましたのは二十七年六月十日からなのでございますから、それと合わせてやつただけで実質的には何ら響いておりません。  次に恩給法の五十八条の改正規定と申しますのは、只今申上げましたように、恩給外所得が一定限度以上の所得がある場合には恩給の支給を一部停止する規定でございます。而もこの規定恩給法によりまして、「其ノ年ノ七月ヨリ翌年六月二至ル期間分ノ恩給二付之ヲ為ス」との規定がございますから、この法律が四月に施行されましても、その停止年度と申上げますか、停止する期間につきましては四月からするというようなことはいたしませずに、最初の停止年度の始まる本年度の七月からの恩給にするためにかようにしようとするものであります。  次に第二条は法令の廃止に関する規定でございます。第一号は、昭和二十一年勅令第六十八号、即ち連合国最高司令官からの覚書を実施するために制定されましたところのポツダム勅令、後のポツダム政令の恩給法の特例に関する件でございます。  二号の方に書きましたのは、昨年先生方の御審議を経まして法律として公布されましたところの第一号の勅令を本年、二十八年三月三十一日まで効力を延長すると共に、若干部分改正した法律でございます。従いましてこの際軍人軍属に恩給を給することにいたしますために、これらの規定を廃止しようとするものであります。  次に第三条は、この改正規定が施行されまして、施行される前にすでに恩給をもらつた人、或いはもらうべきであつた人、もらい始めて今もらつておる人につきましての経過措置でございまして、これから御説明申上げるところのこの法律の附則にところどころ例外の規定が設けられておりますが、その例外規定のないものにつきましては改正前の規定によつてやろうというのがこの趣旨でございます。一例を申上げますと、例えばこの法律施行前に傷病年金を受ける権利が発生しておつたけれどもまだ裁定が経てなかつたというような場合におきましては、原則としてはこの条文によりまして従来通り傷病年金を給そうというふうなところにあるのでございます。大体第三条は概括的の規定でございまするから、第四条以下の御説明を聞いて頂きまして、そうでない部分はすでに退職したり死亡したりした者につきましては、この第三条が働いて従来通りの取扱を受けるというふうにお考えになつて頂ければ結構かと思います。  次に第四条の規定は、現在在職している人たち、つまり一般公務員以外は現在在職しておりませんが、現在在職している人たちにつきまして加算を廃止したことに伴うところの経過措置規定したのでございます。即ちこの法律施行のときから六カ月を経過する日の属する月までの在職年の計算については、即ちこの法律施行から半年の猶予期間を置きまして、その期間までの在職年に対する加算年はこれは認めて行きましよう。この法律施行後半年を経過したのちの在職につきましては、同一勤務に服しておりましても、或いは同一地域に在勤しておりましても、従来認めていたような加算は認められなくなりますというふうな趣旨規定したのがこの第四条でございます。  次に第五条の規定は、先ほども申上げました増加恩給の第七項症と、それから傷病年金というのを今回廃止しまして、一時金たる傷病賜金にすることに伴うところの経過措置でございます。即ち第一項は、従来の規定によりまして七項症の増加恩給を受けている者及び傷病年金を受けている者につきましては、この改正規定ではそれが一時金になるのでございますが、只今申上げました附則第三条の規定によりまして「従前の例による。」ということになりまするので、従来通り金額増加恩給の七項症、これにも普通恩給が併給されているのでございますが、これを続けてもらつてつてもよろしいし、或いは傷病年金につきましては従前通り傷病年金を続けてもらつてつてもよろしい。これは第三条の規定にそういうふうにすると書いてあります。今度は第五条では併しながら御本人がいろいろお考えになつて、この際一時金にして一時に金をもらつたほうがいいというかたがございましたならば、その者から請求がありました場合におきましては、将来この法律施行後年金を給することを取りやめまして、そうしてそれに代えて改正法によるところの傷病賜金を給することができるようにいたそうとするものであります。  第二項の規定は、即ちかようにして傷病賜金を請求されたかたにつきましては、只今申上げました従来の年額の第七項症の増加恩給及びそれに併給される普通恩給或いは傷病年金というふうなものは、この法律施行のときから権利を失うというふうに規定したのが、この第二項でございます。ただ増加恩給の七項症を受けている人たちが仮に傷病賜金を選択して傷病賜金を受けられることになりましても、もともとその人が増加恩給を受けなくても普通恩給年限に達している者、即ち増加恩給を受けなくても普通恩給だけは受けられるようなかたにつきましては、普通恩給は権利を失わしめることはできませんから、従いまして増加恩給七項症をもらつていて、普通恩給増加恩給も受けることがなくて、新らしい傷病賜金だけを受けようとされるかたは、傷病年金在職最短年限に達していないにもかかわらず、増加恩給七項症程度によつて増加恩給を受ける際に普通恩給が併給されている人、かような人は増加恩給普通恩給の両方の権利をなくして、そうして新らしい規定によるところの傷病賜金を選択してもらうことができる、かようになつているのでございます。  それから次の第六条の規定は、普通恩給若年停止、これは通称でございまするが、普通恩給若年停止普通恩給の退職当時、先ほど申上げました年令によつてその恩給の一部又は全部を停止する。それから恩給外所得一定額以上ある場合に恩給を一部停止する規定、その規定只今申上げました第三条では、従来から恩給を受けている者には「なお、従前の例による。」とあるにもかかわらず、第六条に反対の措置規定いたしまして、「この法律施行前に給与事由の生じた普通恩給についても適用する。」従いまして第三条の原則をこの六条の本文において一旦覆えしております。従いまして普通恩給恩給外所得がある場合のいわゆる多額停止につきましては、第三条の規定にかかわらず改正規定がそのまま働くということになるのでございます。若年停止についてはどうかと申しますると、この但書の規定がございまして、現在恩給法の新らしい、つまり現在は一例を申上げますると四十歳以下は金額停止することができますが、今度の改正は四十五歳以下は金額停止されることになるのであります。従いまして本文によりまして四十五歳以下であつたならば全額を停止するのを建前とするわけでございますが、この但書におきまして、現に普通恩給を受けている者につきましてこの四十五歳以下は全額停止というような規定を適用する場合におきましては、この法律施行の場合に、今受けている年額について四十五歳未満でも、つまり従前の規定の四十歳以下は全額停止、四十五歳以下は二分の一停止、それから五十歳以下は三割停止、この規定を適用した場合に支給することができるものだけは支給をする。そうすると、言い換えまするとどういうことになるかと言いますと、簡単に申上げますると、若し普通恩給が将来べース・アツプでもされました場合には、その人につきましてはべース・アツプされた普通恩給について五歳上つたところの年令によつて計算した支給額と、それからべース・アツプされる前の普通恩給について古い、五歳低いところの停止年令による停止額とを計算してみまして、どちらか本人に有利なほうを差上げようという趣旨がこの規定でございます。  二項の規定は、これもこの法律が四月一日から施行されますが、先ほど申上げましたように、六カ月を経過するというのは、先ほど申上げましたところについてと同じ理由でございますが、申上げませんでしたが、四月から施行せられると同時に、そんなんだつたらおれは知らなかつたということを感じさせるのも非常にお気の毒だと思いますので、いわば六カ月間の猶予期間を置く形にいたしました。この取扱はこの法律施行後六カ月以内に退職した場合におきましては、この法律施行後退職した場合にもこの取扱をいたそうというのであります。従いましてこの法律施行後、半年を経過してから後に退職されるかたにつきましては、最初から五歳上つたところの停止基準によつて停止が行われるのであります。  次に第七条に移ります。先ほど申上げましたように、第七条に普通恩給について外国実勤続在職年が十七年以上ある場合におきましては、その外国実勤続在職年から十七年を引いた残りの在職年について三百分の一ずつを通例の場合にして更に加給する。それから警察監獄職員普通恩給所要最短在職年限、つまり現在におきましては十二年でありますが、十二年以上勤続しておる場合におきましては、その勤続しておる期間から十二年を引いた残りの在職年につきまして、更に一般の場合に比して三百分の一ずつ加給して行く、こういう規定を削除したのでございますが、これに伴う経過規定がこの第七条でございます。即ち先ほど申上げました在職年停止につきましても、それからその前の四条のところで申上げました加算に関する経過規定でも同じでございますが、この法律施行の際現に在職する人たちにつきましても、六カ月間に退職するかたちにつきましては、今までのその退職までの期間に対するところのこの加給制度はそのまま認めて行くのは勿論のこと、それを経過してから今度はこれは加算のところや在職年停止の場合とはちよつと趣きを異にしますが、その後退職する人につきましても、この法律施行から六ヵ月を経過する日、つまり半年後までの間にかような条件に該当するような外国実勤続在職年とか或いは警察監獄職員勤続在職年とかいうふうなものがあります場合におきましては、ずつと将来になつて退職する場合におきましても、この法律施行から六ヵ月たつたときまでの勤続在職年につきましては、従来通りの率の加給を続けて行こうというのが七条の規定でございます。  次に第八条に移りますが、八条は文官の増加恩給、扶助料、つまり一般公務員の増加恩給、扶助料の年額の改定の規定でございます。これはこの法律施行の際に一般文官として増加恩給を受けておる人、それから公務扶助料を受けておる者につきましては、この法律施行の属する月からこの法律によつて計算したところの増加恩給又は公務扶助料を将来に向つて増額改定して支給しようとするものでございます。ただ増加恩給につきましても階級の上の者につきましては、現在もらつておる額のほうが改正後の額よりも多い者がございますし、それから公務扶助料につきましては大部分のものが率を下げました関係上現在受けておる公務扶助料の年額のほうが多いものでございますから、それを少くするような改定はいたさない、これが但書の規定でございます。この改定につきましては、言い換えますると、増加恩給等につきまして現在もらつておる額よりも改正法の規定が多くなるものにつきましては、裁定庁が職権を以て改定いたしまして、御本人の請求を煩わさないという趣旨がこの第二項でございます。  次に第九条以下が大体いわゆる旧軍人軍属、つまり先ほど申上げました旧恩給法の特例に関する件によりまして恩給を受ける権利又は資格を廃止され、又は制限された人たちに対する恩給給与に関する規定並びにこれに関する事項を規定したのでございます。で、先日副長官から趣旨の御説明を申上げましたように、ずつと各条について申上げるのでございまするが、わかりやすいためにこの軍人軍属の恩給につきましては先ず二十三条の規定を先に御覧願いたいと思います。これは三十四ページ、「旧軍人若しくは旧準軍人又はこれらの者の遺族に給する恩給についての恩給法規定の適用」という表題で二十三条を設けましたが、この趣旨は全体的に前に振り返つて九条以下を御説明申上げるときによくおわかりになると思いますが、大体において勅令六十八号によつて恩給を受ける権利を失い又は制限されているのであるけれども、今回はこの法律規定によつて新たに恩給を受ける権利又は資格を附与し、若しくは制限されておるところの金額を旧に復するという趣旨、即ち勅令六十八号が制定されなかつたならば、権利又は資格を持つておるものであろうと思われるようなものにつきまして、この法律の附則の規定によつて新たに権利又は資格を附与するという思想でこの附則の規定はでき上つておるのでございまするが、先ずそのためにこの二十三条におきまして「旧軍人若しくは旧準軍人又はこれらの者の遺族に給する恩給については、この法律の附則の規定によるものとし、」ですからこの附則で書いてあることに、先ず第一順位としてこの附則の規定に従うのでございます。この附則に規定のない事項についてはどうか。第二段といたしまして改正後の恩給法のここに掲げてあるところの条文に従つて恩給を給するのであります。更にこの改正規定にもないし、それからこの附則にも書いてないという事項につきましては、法律三十一号附則第二条の規定を適用する。この法律三十一号附則第二条というのはここにちよつと出ておりますけれども、前に出ておりますけれども昭和二十一年の法律第三十一号でございます。この附則二条に「従前の規定による公務員又は公務員に準ずべき者についてはなほ従前の例による。」という規定がございますが、その規定をここで活かして参りまして、そうしてこまごましいこの規定されていないことにつきましては、その規定によつて埋めて行こう、こういう趣旨でございます。従いましてその二項には、即ち附則二条の只今申上げました昭和二十一年法律第三十一号の附則の第二条の規定しておるところの「従前の例による。」という従前の例からは、その後恩給法は幾たびか変遷しておりますので、従いましてその当時のいわゆる従前の例によつた場合の規定と、それから改正後の恩給法のこの規定とが抵触することが考えられるわけでございます。その場合におきましては附則二条によつて「従前の例による」というその規定は、自然改正規定が働くのであるということをこの二項に念のために掲げたのであります。さような趣旨を以ちまして旧軍人若しくは旧準軍人又はこれらの者の遺族に恩給を給する、こういう構想の下にできておりますので、先ずその点を御了解願いまして、次に第九条に戻りまして、十九頁の第九条から御説明申上げます。  先ず第九条は、勅令六十八号の規定によりまして恩給を受ける権利又は資格を失つておる者に対しまして、新たにこの法律規定によつて権利又は資格を与えようとする規定でございます。この第九条にはつきり書いてありますように、旧軍人、旧準軍人又はこれらの遺族のうちで勅令六十八号の第一条の規定により恩給を受ける権利又は資格を失つた、即ち勅令第六十八号第一条の規定によつてどういう権利が失われるかと申しますと、勅令六十八号の規定によりまして失われる権利は、傷病恩給つまり公務傷病恩給年金につきましては、第七項症以下の公務傷病年金を受ける権利又は資格を失う、併し一時金を受ける権利又は資格は持つておる、併しその他の一時扶助料につきましてはすべて権利又は資格を失う。これが六十八号第一条の規定でございますが、これによつて権利又は資格を失つた者のうち左の各号に掲げる者についてはそれぞれ当該各号に掲げる恩給を受ける権利又は資格を取得する。かように柱に書いております。そうして先ず各号について申しますと、第一号は、普通恩給を受ける権利を取得するのはどういう人であつてどういう場合であるかということを書いてあります。次に第二号には、扶助料を受ける権利又は資格を取得するのはどういう人であつてどういう条件の下に取得するかが書いてございます。次に三号は、一時恩給はどういう人にどういう条件によつて与えるかということを書いてございます。四号は、一時扶助料はどういう人にどういう条件によつて与えるかということを書いたのでございます。  で、又元に戻りまして一号の普通恩給からやや細かく御説明申上げます。この「左に掲げる者の一に該当する旧軍人又は旧準軍人」即ち「イ」から「へ」までに書いてある人たちにつきましては、恩給法の特例に関する件の旧勅令六十八号の制定がなかつたならば、ずつと普通恩給を受ける権利を持つてつて現在でもなお且つ普通恩給を受ける権利を持つであろうと想像される人につきましては、その普通恩給を受ける権利を取得させよう、これが第一号であります。その第一号の中にはいろいろな人たちがありますが、先ずイ号は旧勅令六十八号施行前、言い換えますと軍人恩給廃止制限前に普通恩給を受ける権利の裁定を受けた者、つまり既裁定者につきましては、その者が勅令六十八号の制定がなかつたとするならば、現在引続いてもらつておるであろうと思われる人につきましては、その人にその恩給を与えよう。併し第七項症の増加恩給を受けておつて、そうして在職年普通恩給年限未満であるけれども、増加恩給を受けるがためにこの普通恩給をもらつておつたという人につきましては、第七項症の増加恩給は文官についても一時金に替えております。従つて将来は、そういう人は第七項症にかかる普通恩給を受けていないのでありますから、かような人たちにはこれは今度は旧軍人につきましては普通恩給をこれに取得させる、これが但書でございます。  で、次はロからへまではいわゆる軍人恩給廃止制限のときまでに恩給の裁定を受けていなかつた人たちの場合でございます。先ず第一のロは、軍人又は準軍人として引続いておる実在職年、つまり加算年をはずしましたところの実在職年だけで普通恩給の最短恩給年限になる人たち、これは普通恩給をこの法律施行の日から取得させる……。
  18. 松原一彦

    ○松原一彦君 ちよつとお伺いいたしますが、よろしうございますか。そこの「引き続く」ということ軍人として引き続くということですか。在職年限が途中で例えば一遍応召して一年切れて又応召するといつたようなのも引き続くのですか。どうですか。
  19. 中島忠次

    説明員中島忠次君) いや、それは引き続いておりません。「引き続く」というのは……。
  20. 松原一彦

    ○松原一彦君 引き続くというのは一貫して現職におる。
  21. 中島忠次

    説明員中島忠次君) そうです。現職におるとも言えますが、在職在職との間に一時的に恩給の切れ目のないことを恩給法では言つております。従いまして観念的には、例えばよく軍人のときにありましたのですが、現役満期翌日臨時召集というのがよくありました。こういうのは実際上は引き続いておりませんが、恩給法的には引き続きのように思います。で、かような只今申上げましたような引き続く実在職年限が普通恩給年限以上になつておりますれば、そのまま普通恩給権を取得するのでございます。  その次のハ号は、軍人又は準軍人としての実在職年だけでは普通恩給年限に足らない。併しながら軍人又は準軍人としての引き続く実在職年は七年以上はとにかくある。それに軍人軍属以外の在職年を加えて来ると軍人普通恩給年限に達するというふうな者につきましても、軍人としての普通恩給年限を取得させよう、これがハ号の規定でございます。  次にニ号は更にややこしい規定でございまするが、そのハ号のところで申上げました軍人だけで七年以上というものの中の多少緩和して来たのがニ号でございまして、陸海軍部内の公務員として引き続く実在職年に、引き続く旧軍人又は旧準軍人としての在職年を加えたものが七年以上である。即ちニ号の場合におきましては、例えば陸軍技師として四年おつた、そうして引き続きまして技術将校としまして三年おつた、そうすると軍人だけでは三年ですからハ号のほうには入らない。ニ号のほうではそれを加えたものが七年以上であればいいのだということだけが、ハ号よりもニ号のほうが条件が緩和されているわけです。そういう条件人たち軍人以外の公務員の在職年を通算したならば軍人としての普通恩給年限になる。そうしてニ号のほうでは今軍人だけでなくてもいいと言つておるけれども、その加えられる在職年限は陸軍又は海軍部内の公務員だけに限つておるわけなんですが、今度は次のホ号のほうでは、今度は部外の職員でもいい場合であります。併しながら部内の職員の場合には即ちニ号で、後が軍人で前が陸海軍部内の職員だということになつておりますが、ホ号では陸海軍部外の職員でもいいけれども、軍人としての在職年の両側に一般の公務員がなければいけない。通俗な言葉を以て申上げますならば、軍人在職年が一般公務員の在職年にサンドウイツチになつておる場合、これがホ号に書いてあるのです。そのサンドウイツチになつておる在職年、例えば巡査として在職しておつた人たちが引き続いて召集されて軍人として三年応召しておつてつて来て、二年又公務員として在職した。その前に巡査としての在職年が二年あつたという場合には続いて七年であります。軍人としては三年だけですが、続いて七年。でそういうふうな条件に該当する場合におきましては、その軍人の三年の在職年軍人以外の公務員の在職年を入れれば、軍人としての普通恩給年限に達するというものがございます。  もう一度ロからホまでを重ねて申上げますと、ロ号は単に軍人だけでの実在職年普通恩給年限に達するもの、それからハからホまでは軍人だけの実在職年では達しない、それに公務員の在職年を加えて来なければ最短恩給年限に達しないもの、言い換えますと軍人以外の公務員の在職年を通算して初めて普通恩給年限に達するものがハからホまでに書いてある。そうしてその軍人以外の公務員としての在職年を通算して初めて普通恩給年限に達するものにつきましては、その通算される元になる軍人としての在職年条件が付いておる。その条件を三つに分けまして先ず引き続く在職年軍人だけである。これがハ号であります。それから陸海軍部内の職員と軍人とが引続いている場合がニ号。それから陸海軍部内の職員は勿論、部外の職員であつてもサンドウイツチになつておればいいというのがホ号。そしてハ号におきましても、ニ号におきましても、ホ号におきましても、とにかくその引き続く在職年が七年以上でなければならない。七年以上あればそのほかの一般公務員の通算される在職年は切れておつてもよい。(「むずかしい、むずかしい」と呼ぶ者あり)次にへ号は今まで申上げましたところに該当しない人たちでありましても、六項症以上の増加恩給を受けられるかたにつきましては、在職年限の如何にかかわらず普通恩給を受ける権利又は資格を取得する、これがへ号であります。  で、次に第ニ号のほうへ移ります。第ニ号は先ほど申上げましたように扶助料を受ける権利又は資格を取得させる見地からでございます。若し勅令六十八号の制定がなかつたならば、扶助料を受ける権利又は資格を持つている者でなければ取得させないというのは、これは先ほどの内容と同じことであります。この規定は或る程度わかりやすく書いてございますが、イ号は旧勅令六十八号の施行前に扶助料を受ける権利の裁定を受けておつた者、即ち概裁定の扶助料受給者及びその後順位着たる遺族、というのは例えば軍人恩給廃止当時に妻が扶助料裁定を受けておつて、それに未成年の子があり、そうして現在でも妻が生存しているというふうな場合におきましては、妻は権利を取得しその子供は資格を取得する、こういう意味で「及びその後順位着たる遺族」ということにしたわけでございます。或いは軍人恩給廃止前に妻が扶助料を受ける裁定を受けておつた。ところが六十八号施行後現在までに妻が亡くなつた、子供が請求しようと思うが六十八号があるために請求ができないという子供につきましては、この法律の施行の日からその子供は権利を取得することになる。  次にロ号はいわゆる扶助料の裁定を受けなかつたものでございます。ロ号もハ号も同じでございますが、ロ号のほうはいわゆる公務傷病によつて死亡した者の遺族でございます。これは在職年も何も影響ございませんから公務傷病によつて死亡した旧軍人又は旧準軍人の遺族は、若しその死亡した時から六十八号の制定がなかつたならば現在でも続いてもらつていたであろうという人には、扶助料を受ける権利又は資格を取得させる。  ハ号は今度は公務によらないで死亡した者につきましては、若しその軍人が今まで生きておつたとするならば、先ほど申しました第一号のいずれかに該当して普通恩給を受けられたであろうそのものの遺族につきましては、扶助料を受ける権利又は資格を取得する、こういうことをきめたのでございます。  九条の一号と二号についてちよつと具体的に御説明申上げますると、勅令六十八号の制定がなかつたならば、この法律施行の際何々の受ける権利を有すべきであつた者というのはどういうことか。その他の条件につきましては、本条若しくはその後の各条にいろいろな条件がついておりますが、各条項にないことにつきまして申上げますと、若しこの六十八号の制定がなかつたならば、施行の際権利又は資格を有すべき者というのは、どういうことを条件にしておるかと申しますと、例えば普通恩給につきましては、六十八号の施行からこの法律施行のときまでに三年以上の禁錮の刑に処せられたということのないことを言つておるので、若し禁錮の刑に処せられていれば、仮に六十八号の制定がなかつたといたしましても、現在は普通恩給を受ける権利を有しておらない、かような人たちには遠慮して頂く、こういう趣旨が強く出ておるわけであります。  又扶助料について申上げますというと、六十八号の施行のときに扶助料を受ける権利を妻として持つておりましたけれども、その後この法律が施行されるまでに他家に縁ずいて、婚姻をしておるというような人たちにつきましては、仮に六十八号の制定がなかつたといたしましても、その婚姻をしたことによつて扶助料の権利を失つておりますから、そういうふうな人たちにはこの法律施行の際に扶助料を受ける権利は消滅する、かような趣旨条件とするのがこの「六十八号の制定がなかつたならばこの法律施行の際扶助料を受ける権利又は資格を有すべきであつたもの」という条項でございます。  次に三号でありますが、一時恩給を受ける権利を有すべきであつたものに一時恩給を受ける権利を取得させるものにつきましては、ここに書いてある条件に該当しなければならぬのでございます。それは先ず第一には、旧軍人若しくは旧準軍人としての在職年が七年以上であり、且つ普通恩給についての最短恩給年限に達しないもの、このときには一時恩給をやる。それからもう一つは軍人若しくは準軍人としての在職年だけでは七年以上はないという人に二つのものがありまして、いわゆる軍属から軍人に転じたもの、この軍属と申しまするのは、これは旧勅令六十八号第一条に規定する軍人軍属の中の軍属でございまして、即ち若し勅令六十八号が制定されなければ恩給を受けられたであつたような職員でありながら、六十八号の規定によつて恩給を受けられなくなつたところの軍属でございます。その軍属から軍人に転じたもの、例えば昭和十六年か十七、八年頃かと思いましたが、その頃まではいわゆる法務将校というのがありまして、法務官というのは文官の取扱いを受けておりました、これが法務将校になつた場合はこれは転任になつておるのじやないかという気がいたしますので、そういうふうな場合にはこの法務官と法務将校との在職年を加えて七年以上であればいい。それから……。
  22. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ちよつと御説明中甚だ失礼ですけれども、皆さんにお諮りいたします。まだ大分説明される点が残つておるようでありまするし、もう今まで相当長い時間御説明なつておるのでありますが、この際の御説明は一応これでとめて頂いて残つておる部分あとの機会に又お願いする。そうして次に行う委員会で内談いたしまして、旧軍人軍属の恩給関係についていろいろ御希望なども書類等で出ておるし、又陳情にお出になつたかたもあるし、委員はそれぞれ個々別々に一応承知しておるのでありますけれども、皆集つたところで又代表者のほうから重ねて御希望を承つたり、こちらから又わからないところは承わるというふうにして懇談したらどうかという話が出たのであります。幸い今日は数名代表者のかたが傍聴にお出になつておりますので、この機会にこれから懇談会に移るということにしたら如何と思いますが。
  23. 村上義一

    ○村上義一君 御趣旨は結構ですが、第九条だけ終えてもらつたらどうですか。
  24. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それじや九条だけすませて下さい。
  25. 中島忠次

    説明員中島忠次君) 先ほど申上げました法務官から法務将校に転任したような場合、それから旧軍属から旧軍人に、これは退職してその同日に軍人なつたような場合、即ち実際は転任と同じようなのでありますけれども、官制の関係上一応軍属の本官を免ずるという辞令が出て、そうして同日付で例えば法務中尉に任命するとか、或いは造船大佐に任命するとかいうような辞令が出た場合、これがあとのほうです。ここに恩給法五十二条第一項の規定に該当するもの、こういうのはむずかしい表現でありまするが、先ほど申上げましたように引続き在職年と申しますのは、一日以上の軍籍がない場合と申上げましたので、結局軍属をやめたその日に軍人に任命された者“それから軍属をやめて明くる日に軍人に任命された者が、引き続き旧軍属から旧軍人なつた者、こういう場合に該当するのであります。恩給法第五十二条の規定によりますと、その同日に任命された場合は、その前の退職については恩給を給しない、こういう規定があります。即ち恩給給与の面から見ますると、転任と同視するという規定があるのであります。そういう条件に該当したものにあつては、とこういう意味であります。ですから先ほど申しましたように、後段のほうは五十二条第一項の規定云々に該当するものというふうに読んでしまえば、結局軍属を免ぜられました同日付に軍人なつた場合、その場合には軍属について免官の辞令がなくてそのまま軍人に任命された場合、その両方の場合にはその軍属と軍人との在職年を合わせたものが七年以上である場合、その場合には一時恩給をやる。こういうことでありまして、四号のほうの一時扶助料と申しますのはこの一時恩給に見合うものでありまして、一時恩給というものはこういう条件に基いて退職した者に給せられるのでありますが、こういう年限、つまり軍人若しくは準軍人としてだけで七年とか、或いは今申上げましたように軍属から転任して軍人なつた場合、軍属を退職の同日軍人に任命された場合、そういうふうな両者を足した在職年限七年以上である場合とあるけれども、軍人としての在職中死亡された人たち、つまり在職中公務に準ずる仕事によらないで死亡した、先ほど申上げましたこういう条件に当るところの軍人の遺族で、そうして「旧勅令第六十八号の制定がなかつたならば一時扶助料を受ける権利を有すべきであつたものについては、当該一時扶助料を受ける権利」を与えよう、こういうことでございます。  次に第二項の規定は、「退職後この法律施行前に死亡した」これこれの旧軍人については、即ち退職はしてしまつているのですから、いわゆる在職中死亡したのではない、併しながらこの法律施行の際には現在は亡くなつているというふうな人たちにつきましては、退職後現在まで生きておつたものとしますというと、三号の規定によりまして一時恩給を受けられる、或いは先ほど申しました一号の規定によつて、一号の場合には扶助料がありますから殆んど必要ありませんが、三号の一時恩給退職してしまつたのですから四号の規定は該当せず、在職中死亡したものは該当しない、併しながらこの法律施行のときには亡くなつておつたというふうな場合には、その亡くなつたの退職してずつと現在まで生きておつたもの、こうみなしまして三号の規定によつて一時恩給を与えられる。従いましてこれは現在までその人が一時恩給の権利を取得いたしましても亡くなつておりますから、遺族が代つて受ける、恩給法で申しますれば未払金受取の遺族が代理者のような形になるのでございます。以上九条であります。
  26. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それでは本日の御説明はこの程度でとめることにいたします。  それからちよつと散会いたします前にお諮りいたしたいのですが、厚生委員会から申入れがありまして、恩給法の一部を改正する法律案と青少年問題協議会設置法案について、内閣厚生の合同委員会を開いてもらいたい、こういうわけであります。向うの予定は七日朝小委員会が十時から開会され、九日月曜日には本委員会が十時に開会され、それから十日火曜日が本委員会を十時開会する、十一日水曜日は本委員会を一時から開会する、十二日木曜日は法務、厚生連合委員会があることになるだろう、こういう一応の予定ができているそうでありまするが、月曜日の朝の十時から開会というのは、これを変更することができるということであります。どういうことに取計らいますか。九日の予定が変更されるというのでありますから、月曜日に開いてもいいのじやないかと思うのであります。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それじや異議ないと認めます。  では本日はこれで散会いたします。    午後三時四十九分散会