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1952-12-16 第15回国会 参議院 電気通信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十六日(火曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     溝淵 春次君    理事            尾崎 行輝君            山田 節男君    委員            楠瀬 常猪君            鈴木 恭一君            新谷寅三郎君            佐多 忠隆君            水橋 藤作君   国務大臣    郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君   政府委員    郵政政務次官  平井 義一君    郵政省電気通信    監理官     金光  昭君    郵政省電波監理    局長      長谷 愼一君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   説明員    郵政省電波監理    局次長     莊   宏君    郵政省電波監理    局次長     西崎 太郎君   参考人    日本放送協会会    長       古垣 鐵郎君    日本放送協会理    事       岡部 重信君      ハワード・バン・ザント君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会承認を求めるの件(内閣  提出、衆議院送付) ○電気通信事業運営状況に関する調査  の件(電気通信事業に関する件)   —————————————
  2. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それでは只今より委員会を開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。すでに公報で以て御承知のことと存じますが、本件は昨十五日当委員会に本付託となりましたので御報告申上げます。それでは前回に引続き本件について質疑を続けて頂きます。
  3. 山田節男

    山田節男君 今日は郵政大臣がお見えになりませんから、事務的な方面だけ二、三御質問申上げたいと思います。先ず第一に、この事業計画によりますと、テレビジヨン視聴料月額二百円と、過日郵政大臣からも、これは世界各国の情勢、日本の現在の物価指数からラジオ聴取料の四倍にして二百円、この点は妥当だという郵政大臣の御説明があつたわけですが、NHK責任者にお聞きしたいことは、この二百円というものは、ただテレビジヨンだけの視聴料であるか、或いはラジオも聞き、テレビジヨンも聞くという、併用ですね。ラジオと併用してこれを視聴し、或いは聞く場合にも月額二百円なのか、この御方針を第一に伺いたいと思います。
  4. 岡部重信

    参考人岡部重信君) テレビ受信料二百円の根拠については、過日も今お話のように政府当局から御答弁があつたと存じますが、この二百円はテレビジヨンだけの料金でございまして、ラジオを更に附加すればラジオが五十円、別々の計算にして算出いたしておる次第でございます。
  5. 山田節男

    山田節男君 これは将来テレビジヨンもやるが、ラジオも備えておるという、こういうなには必ずあるだろうと思います。これはまあフランスの例ですが、日本も大体このテレビジヨン発達過程を見れば、そう早急に普及するものじやない、今年度のうち二千百というものを計上しているが、二年度、三年度、四年度、五年度と見て大体見込が、極めて私は下目に見積つてあるだろうと思いますが、併しそれにしても日本テレビジヨン大衆化ということはこれは容易なことじやない。それよりも勢いやはりフランスのやつておるような、何と申しますか、大きなスクリーンで、いわゆるマス・コミニユケーシヨンと申しますか、大勢のものが拡大をして見るというものが殖えるのじやないか。例えば映画館、或いは映画館じやないけれども、例えば公民館とか、市民館とか、そういう集会場でこれを見せる、こういうようなことが日本では比較的多いんじやないか、現にフランスはそういうことのために標準方式も、殊更に走査線も八百十九本、メガが十四メガというスクリーン本位政策をとつておる。ところが今回の日本テレビアメリカ式標準方式である。アメリカ標準方式というものは今日の段階では、いわゆるスクリーンで見るというフランス標準方式から見れば画の質がよくない、拡大ということについては非常に不利な実情にある。こういつた技術的のこと、今の日本の経済的な実情からいつても勢いフランス式のようにスクリーンで見せるということが多いのではないか、かように私は考えるのですが、若しそうだとすれば、この視聴料につきましても、公衆のたくさんおる所、例えば公民館一般社会教育のために見せる、或いは映画館、劇場などで現にアメリカがやつておるように有料でやる、こういうようなものに対してやはり同じように月額二百円で済ませるのか、或いはフランスがやつておるように、フランスの例を取りますと、個人の場合は年間三千フラン、それから公民館とか或いはその他公共的な場所で行う場合のものについては六千フラン、それから有料でやるのは一万二千フランというふうに、ちやんと視聴料段階がつけてあるわけです。NHKは将来そういうようなことも考えておられるか、この点を伺います。
  6. 岡部重信

    参考人岡部重信君) お説の通りこのスクリーンといいますか、大衆に一度にたくさん見せるという施設でございますが、私のほうもこのスクリーンについては研究しておりますが、なかなか画質などにつきましてもまだ完成という域に達しておりませんので、大体私のほうで見ておりますと、御承知かと思いますが、三フィート、四フイート程度の大きさのもの、それから十八フィート、二十四フィートの大きさのものとになつております。三フィート、四フィートのものは価格は大体二百万円程度、それから十八フィート、二十四フィートのものは三千万円程度を要するのではないかというふうに見ております。それから過日技術研究かたわらテレビの視察に欧米に職員を派遣いたしまして、特にその点についても調査をいたさせましたが、聞くところによりますと、まだこのスクリーンについていい成績が余りないというような話でございまして、差向き私のほうで考えておりますのは比較的大型受像機で、何といいますかラジオの初期におきまして一家庭でなく、数家庭も、或いは客の参集する所で大型受像機でこのテレビを成るべく多数の人にたくさん見せる、いい例は学校などでございます。一応そういう考え方只今のところ受信料につきまして格差を設けるという段階に至つておらんのではなかろうか。技術の進歩もございますから、一応御指摘のような点も近い将来起り得ると思います。その点は又国会において御審議を願い、一番いい方法受信料というものをきめて頂きたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 山田節男

    山田節男君 スクリーンでやらない場合でも、例えば今標準の型の受信機といいますか、これを無料で見せるクラブとか或いはバー、レストラン、そういうようなものが又非常に早く敷設されるのではないか。殊に東京の場合を考えて見ても、これはアメリカでも一昨昨年のごときはそういう傾向が非常に濃くて、テレビジヨンあり、そういうようなことで客を寄せ付けておつた。これは一つ営業政策としていいと思う。ただ日本の場合はアメリカとは富の程度も違いますから、例えば楽な椅子に腰かけて五円出していいニユースとか、いい放送を見る、こういうようなことを商売にするものが出て来るのではないかと思う。こういうようなものもやはり月額二百円でいいということは、普通の通念から見て正しいかどうか、私は営業をやる場合、これは今フランスが現在やつておるやり方、これは勿論フランス公共放送でやつておるわけなのですが、料金を定める場合において、やはりそういうようなことを考えて、収入という面においては、これを当然企業体として考うべき問題ではないか、かように思うのですが、今の岡部理事お話では、そういうことは考えておられない、こういうお答えですが、これはやはり将来考えなければいけないじやないか、少くとも数年間かなりこれを商売にするというものが出るという見込が出れば、これは私お考えにならなければならんのじやないかと思う。第二は、これはこの間郵政大臣からも御説明もあつたのですが、まあNHKテレビジヨンを開始するとすれば、従来のラジオのごとく、テレビジヨンという一つの大きな部門が出て来る。これはイギリスのBBCのごときはこれはやつぱり共通アカウントでやつておる。これはビヴアリツジのコミツシヨンによると飽くまで経理を分けておる。そして独立部門としてやつておる。こういうことの勧告案を強く出しておるわけですね。いよいよNHK公共放送としてテレビジヨンラジオに加えて開始するという場合、成るほどラジオテレビジヨン放送とは共通部面が多いのです。テレビジヨン放送が今度サウンドだけでラジオ放送されるということは、これは聴取者にとつても従来のスタジオで行われるよりももつと実感が伴うと思う。逆にテレビジヨン放送には相当金がかかる。だからラジオのほうの経理テレビジヨンのほうの会計に流用するということは、ラジオ聴取者は毎月五十円の聴取料を払つておる。年額六百円というものを払つておる。テレビジヨンを見ない人は殊に初めは非常に数が多いだろと思う。そうするとテレビジヨン放送ラジオ収入ラジオ聴取者犠牲においてテレビジヨン放送される。これは細かく言えばそういう不平が出るのじやないかと私は思う。こういう点はどういうふうにお考えになつておられるか、お聞きしたい。
  8. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) お話になりましたような点確かに御尤もな点があると考えます。従つて経理はまあはつきり分けるべきであろうと思つております。そうしてラジオ聴取者が必ずしもテレビを見たり聴取するわけでもありませんので、ラジオ聴取者犠牲テレビジヨン聴取者のほうが助けられるというようなことはできるだけ避けなければならんと考えております。
  9. 水橋藤作

    水橋藤作君 先日衆議院委員会において淺沼さんがその問題を質問されて、その当時の回答では、ラジオ聴取収入テレビのほうへ使うことができるというふうに淺沼さんが解釈して、「いつの日か」という見出し新聞に出ておつたのですが、先刻の当委員会大臣はその問題が出ましたときに、独立採算で行くのだという回答があつたので我々納得しておつたのですが、衆議院回答と食い違いがあるので私びつくりしたわけなんですが、衆議院ではそういうふうに解釈しておつたのですが、この点どうなんですか。
  10. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 私の説明の仕方が悪かつたのかも知れません。それでそういうふうに解釈されたのでありましようが、それについて再び質問がありまして、それに対して丁度今お答えしたと同じようなお答えをしてございます。
  11. 水橋藤作

    水橋藤作君 そうすると、あの新聞は誤解であると解釈してよろしいのですか。
  12. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 私の説明が悪かつたのかも知れませんが、そういうふうに解釈されたのは私の本意ではなかつたということは申上げられます。
  13. 水橋藤作

    水橋藤作君 そこでお伺いしたいことは、成るほど聴取料としての予算面とか、そういう面は独立採算制別個収入で賄つて行くということは納得いたしましたが、これに関連いたしまして、東京とか或いは大阪、名古屋のごときは独立建物或いは独立設備によつてテレビラジオは運営されることと存じますが、あまねくあらゆる所にこのテレビが普及した場合、三年か五年後にそれの実現を目指して運営されるからには必ずそうした時期が来ると思います。その時代にやはり地方に行つては今のNHK建物とか或いは設備テレビが使用するということがあり得ると思う。そうした場合にやはり形の上では別問題といたしましても、やはりラジオ設備その他を食い込んで行くと申しますか、利用するということになりますが、こういう面の経理方法とか、或いは例を挙げますならば、仮に家賃としてラジオのほうに入れるとか、或いは手数料としてラジオ収入に入れるとかいうような方法をとられる見込かどうか、その点を一つ事務当局からでも結構ですから、回答願いたいと思います。
  14. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 先ほど大筋の点については大臣が御答弁なさいました通りでございますが、今具体的に将来起り得る問題についての御質問でございますが、先ほどもお話がありましたように、このテレビジヨンラジオというものは非常に密接になつておりまして、将来におきましてはテレビジヨンの番組をラジオに何といいましようか、共用すると申しましようか、ラジオにも使うという場合も当然考えられますし、又テレビジヨンの人員がラジオのほうを手伝うというようなことも十分予想されると存じます。大体そんなことで非常に細かくやつて来ますといろいろある思いますが、これをおのおの独立採算的にやつて行つて、そうしてラジオのほうの聴取者のかたがたにテレビジヨンをやることによつて御迷惑をかけるということのないように善処して行きたい、かように考えておるわけでございます。
  15. 水橋藤作

    水橋藤作君 事業形態から行きまして、企画通りテレビが発展いたしました場合、テレビラジオが今独立採算であつても五年か十年後には一つになる可能性があると見てよろしいかどうか、この点を一つ……。又それに対してお考えをお持ちになつておられるか、最後まで独立でやるお考えか。それとも少しも早く一つ日本放送協会事業として一本になつてやるという計画をお立てになつておられるかどうか。
  16. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 細かいことは事務当局から申上げていいと思いますが、大体の考え方といたしましては、やはり同じNHKで経営いたしましても二つ違つた事業になりますから、経理面はやはり分けておくほうがいいと考えております。
  17. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この前にお尋ねしたときには経理上は明確にして行くという御答弁があつたのでありますが、それは例えば聴取料或いは聴視料計算をする場合のいわば減価計算式根拠になつていると私は了承していいと思うのですが、今のように会計上明瞭に区分して、一般の現在のラジオ聴取料のほうではテレビのほうの経費は一切賄わないようにするのだという厳格な意味での独立採算制をおとりになること、これは私は不可能だと思うのです。そういう建て方も勿論考え方としてはあるでしようが、NHKテレビをやられる場合に、これは適当であろうということをお考えなつた理由の一つは、恐らく技術面でも、設備面でも、共通部分があつて相当にこれは経費の節減になるということを十分念頭に置かれての政府の御決意があつたものと私は考えるのです。従つて例えばスタジオの問題が出ましたが、スタジオでも全然別個にやる、或いは現在のスタジオ使つた場合には、その使用料相当する部分ラジオのほうの会計テレビのほうの会計から繰入れるなどということを一々おやりになることは、これはその本来の趣旨からいつて私はおかしいと思うのです。のみならず研究費のごときは、従来長い間におきまして一般聴取料からの経費を以て研究費に充てておられた。今度テレビをおやりになるとすれば、そういう研究費というものは、この二百円の、つまり聴視料のほうからお出しになるということに厳格にされると、これは恐らく大変な経費テレビのほうに負担させることになつて研究も殆んどできないのじやないか。若し仮にこれをやろうとすれば、政府が何か特別の資金でも出して、長期の金融でもしてやらない限りはテレビ発達は阻害されるという結果にしかならないと私は思うのです。大臣のさつきのお話は少し行き過ぎじやないですか。
  18. 山田節男

    山田節男君 今新谷君の質問に関連して私の質問で申上げたのは、第一に、NHKにもお聞きしたようにラジオだけの場合は月五十円、それからテレビジヨンは二百円としてあるのですね。ところが今新谷君の言われるような疑問が起きて来るのは、やはりイギリス式に現在ラジオテレビジヨンと併用すれば、二本で二百円ということになれば、これは私はアカウント経理の問題が次に起きて来ると思う。これは私は先ほど申上げているようにテレビジヨンサウンド放送標準放送とはこれは不可分の問題です。今テレビジヨンだけやるという危険性アメリカの例を見ましても、どこを見てもラジオと兼営しているのです。それを日本テレビのように単独にテレビジヨンをやる、こういう大胆なことを政府が許すというところに我々は非常に危惧の念を持つておる。NHKが兼営でやるということも経済的に非常に何といいますか、費用が少くて済む、これは今新谷君の言われたように当然のことなんです。殊に日本のような場合、これはラジオと兼営するのが一番いいのです。そこで私は今アカウントのことを申上げましたが、ラジオテレビジヨンとは不可分の問題……、テレビジヨンのみをサウンド化してやつた場合には、ラジオの場合がもつと質のいいものになると思う。現にアメリカの例がそうです。テレビジヨンのほうはサウンド放送をやつておるわけです。ですから私が申上げましたように、勿論テレビジヨンラジオというものは、放送経営に関しては不可分な形になつておる。併し過日淺沼君が衆議院において質問されたように、ラジオにおける流用権はこれは勿論経営当事者が持つべきものだと思う。そこに別なアカウントというけれども、今大臣がおつしやるようにテレビジヨンテレビジヨンだけの収支でやるのだ、こうやれば今新谷君の質問されるような実に奇妙なことになる。私が申上げるのは、別個アカウントというのはそういう意味じやない。その事業の性質から見て不可分である、併しながらテレビジヨンラジオというものは、不可分の中においても、一つテレビジヨンテレビジヨンとしての独立採算的な経理面は置いておかないと、今のビヴアリツジ報告書を見ると、視聴者が多くなれば、非常に聴取料の問題とかいろいろな問題が起きて来る。ですからその建前というものをNHKは一応お定めおきにならんと、これはラジオ聴取者も千万から千五百万になり、テレビジヨンが百万になつたという場合に、その経理面に非常な複雑な面を持つて来るから、最初からそういう意味一つ別個アカウント経理組織を持たせるということが非常にいいのであります。これはイギリスの例を見ましても、日本もこういう制度をとるべきだ、かように感じたから私は質問申上げたのです。新谷君が今質問されたのを肯定されるようなものだつたら、私は質問申上げる心要はないのです。その意味一つ新谷君の今の御質問お答え願いたい。
  19. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 御承知のようにNHKというものは一つ企業体ですから、二つ企業体のような会計処理というものはこれはできないわけです。で、同じ企業体の中でも、ほかの事業にもよく例のあることですが、いろいろま部面がありまして、経理を別にやつておるということもあるのですから、それと同じようにやはりテレビ収支、それからラジオ収支というものを経理面で明らかにすることはこれはできるわけです。その意味で私は申上げたわけです。併し今山田さんの言われたように、やはり共通部分不可分部分もありましようし、そういう点はなかなかはつきりできないところもありましよう。それから又仮にテレビのほうが長期資金が要るというような場合に、ラジオのほうの資金としては、やはり一つ企業体として持つているのですから、これを融通するということもありましよう。併しテレビのほうで赤字が出るというようなときは、ラジオのほうで心ずそれを埋めなければならんと、こうは考えておりませんので、いずれテレビのほうの収支ができるようになつて、そうしてそういうものも埋まつて来る、こういうふうに私考えるわけでございます。
  20. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この経理の問題についてもうちよつと確かめておきたいことがあるのです。その前に大臣に伺いたいのですが、これはこの特別国会にお出しになつて、非常に審査も急いでおられるわけです。その事情はよくわかりますが、そこで仮に本委員会でこの承認要求の件を今週のうちに参議院のほうで処理をしました場合に、郵政大臣としてはこれに基いて電波監理審議会を更に年内に開いて、そうしてその諮問をされる御意向を持つておられるかどうか。聞くところによると、これは多分噂だと思いますが、本年はもう審議会はやらないのだというようなことを言つておる人もあるということです。そうしますと非常にこれは時期が遅れてしまうし、この際我々は慌ててこれをやる心要はないということになりますが、両院の決定があれば、それに基いて処理をすぐやるかどうか、審議会に対して諮問されるかどうか、この御意向を伺いたい。
  21. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 今度御承認を求めておるのは事業計画予算、両方でありまして、事業計画によりますと、二月から放送を始めたいと言つているのですから、これに間に合うようにできるだけ早く免許の問題も処理して行きたいと私は考えているのです。
  22. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 間に合うようにですが、年内まだ相当日があるのです。年内審議会をおやりになるかどうかを伺いたい。
  23. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 審議会は多分やることになるのじやないかと思います。併し年内に必ずそれで決定をしてどうということを私ここでお約束はできないのです。
  24. 山田節男

    山田節男君 これは新谷個人の意見じやないのです。我々電通委員会としての質問ですが、これは大臣は最近大臣に就任されたばかりで、或いは御存じないかも知れないが、我々が昨年来テレビジヨンの問題に関して標準方式決定経営形態決定、これは電波監理委員会がやつたわけです。その間我々、私などは極めて素人、無知に等しい素人が見てもその標準方式の問題、特に経営形態の問題については、電波監理委員会が実に何と申しますか、欧米の、殊にヨーロツパ諸国の極めて慎重な態度をとつた標準方式或いは経営形態に対する慎重な審議をやつたものとは思いません。殊にもう十三国会の末期においてああいう無理なことをして免許を与えた。これはなぜかといえば、我々が外部から見ておつても、この申請をしておつた五社を廻つて実に醜悪な、醜劣な運動が行われておるということを私たちはつきり見てとつておる。そうして電波監理委員会が七月三十一日、十三国会最終日にああいう決定をしている。こういう過去の、非常にいやな経験を我々嘗めさせられておる。今回こういうNHK補正予算テレビジヨン事業計画をお出しになつて、その御説明によると、この審議を経ればこれは当然NHKにも予備免許を与えるものだ、これを前提としておりますということを大臣はつきりおつしやつた。そうして現に衆議院では昨日本会議を通過して本審査になつて来ておる。今新谷君の御質問のように、審議会がどうも年内に開かれんのじやないかという風聞を我々も聞くわけです。すでに衆議院を通つて来たものを、参議院において本審査過程にある、これを我々がこの十五国会において審査して、審査決定したものが、これが来年の二月だから今年一ぱいに無理にやらんでもいいじやないか、こういうようなことでは、私は過失の経験から見てこれは安心ならないのですね。今新谷君の口を通じて我々が申上げておることは、これは再びこういうようなことを電通委員会として繰返したくないという皆の共通した気持があるのです。ですから少くとも大臣責任を以てこうしてお出しになつて説明をされて、我々の審議に付託された以上は、ここに我々が最終決定をすればこの国会を通過するわけですから、このNHK計画書を見ましても、二月に開設するには即刻、一日を争つて準備しなければなりません。又本会議が二十二日、二十三日、二十四日になるかも知れないというのに、それを大臣の御説明によれば、これは電波監理審議会は当然活動を開始しなければならない、行動を起さなくちやならない。それにもかかわらず今のような御回答では私はどうも国会行政政府が余りに無視と申しますか、誠意が足りないのじやないかと思うのです。この点今の新谷君の御質問に対してもつとはつきりと責任を以てやるということをおつしやらんと、何のために我々急いで審議しなければならないのか、意味がわからなくなるのです。もう一遍はつきり……。
  25. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 私はもう前から言う通り、これを出す以上は、NHK免許をしようという方針で出しておるわけであります。そうして事業計画もこの通りにやるということを認めて出しておるのでありますから、その点は一つ御信頼を頂きまして、できるだけ早く処理をいたします。
  26. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それで大体わかります。わかりますが、審議会がどういう審議をするか、いつまでかかるか、これは大臣としては拘束するわけに行かんでしようから、それを言つておるのじやないのです。ただ大臣としては両院に承認を求められた以上は、前の国会でも我々は政府の肚がきまつてつて来るならば予算についても十分審議をしよう、それまでは審議をしないということを前の放送法の改正をいたしました場合にも参議院としては委員会で申合せをしておるのです。それを尊重されここにこういう承認要求を持つて来られた、而も意見書には資金計画予算事業計画、いずれもおおむね妥当と認めるという意見を付けて来ておられる。政府の意思は大体きまつておるものと思うのです。国会審議が済んだならば、政府の意思もきまつておるのだから、これは当然国会審議が済み次第電波審議会に諮問を発せられて然るべきだと私は思うのです。ですから私の申上げておるのは、結論がいつ出るか、それは審議会の問題でしようが、すぐに諮問をされるかどうかということをお聞きしておるのですが、それをすぐおやりになるんでしようか。
  27. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) できるだけ早く処理いたします。
  28. 山田節男

    山田節男君 それじやいかんと思うのです、大臣……。私は高瀬大臣の政治力を決して疑うわけではない。少くともあなたは郵政大臣としてこういう重要な問題をお出しになつて説明されて、我々に一日も早く審議決定してくれということをおつしやつておる。そうであるからには、それは私はできるだけというようなお言葉でなく、必ずやるという御確認を願わなくちやいけないと思う。なぜ私はこういうことを申上げるかというと、我々委員に対しまして現在、具体的に申上げれば現在仮免許を受けておるものが、NHK公共放送で而も早くやるということによつて非常に困るというようなことで、いろいろな策動があるわけなんです。こういう不純な策動が高瀬大臣を、私は吉田内閣を動かすとは毛頭信じませんけれども、そういうことを我々の身辺にすら感じておるという状況下では、少くとも大臣責任を以てお出しなつた以上は、これを審議会に付託する、諮問するということだけ御確認願わなければ、できるできんというのは大臣責任上私は言えないと思うのです。ですから審議会に諮問なさるということを御確認願わなければ審議できないと思います。
  29. 水橋藤作

    水橋藤作君 山田委員新谷委員も言つておられるのですが、私はおかしいと思う。山田委員の言われるように、諮問しなければ困ると思うのですけれども、もうこれは政府としては諮問するしないは、当然やるべきことであつて、私のお伺いしたいことは、二月から発足するのだから今年中に委員会が開けないという噂もあるから、二月から発足するのであるから年内のうちに諮問される意思があるかどうかということを聞いておられるのであつて、諮問するしないは問題ではないと思います。そこで大臣としてはやはり近いうちに諮問するということを言つておられるのですが、ただその近いうちがはつきりしないので、仮に今年中にやらないとすれば来年はやはり正月であつて、十日過ぎ或いは十五日になるということでは、日本放送協会としてのやはり企画される面が狂うと思います。先ほどから新谷委員山田委員の言われておることは年内に諮問なさる意思があるかどうかということを聞いておられるのだと思うし、私もそう思うのです。年内に諮問なさるかどうか、今年中に委員会が開けないということになると我々はこれは急いでやつても要するに中身がないので、年内のうちに諮問されるかどうか、諮問するしないは問題じやないのですが、なさることは当然でもあるし、なすべきであると思いますが、年内に諮問なさるかどうかという点だけをはつきり、近いうちにというだけではちよつと漠としておりますので、その点だけをはつきりお伺いしたい。
  30. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 諮問は無論今お話通りで当然しなければならないことであります。それで先ほどから申しておりますように、これはもう計画の御承認を求めておるのでありますから、二月放送開始ということに間に合わないようなことはしたくないと無論私も考えております。ですから御趣旨は無論よく了承いたしまして間に合うようにできるだけ早く処理する、こう御了承願いたいと思います。
  31. 水橋藤作

    水橋藤作君 そうしますと、できるだけ早くということは、年内に開くか開かないかわからないということになるわけですね。
  32. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) それは審議会……
  33. 水橋藤作

    水橋藤作君 あなたが御注文なすつて審議会のほうで必要ないと言われればどうするか知りませんが、大臣として委員会のほうに諮問されるかどうかということです。
  34. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 大体そういう方針で参ります。
  35. 水橋藤作

    水橋藤作君 年内に諮問するという方針ですね。
  36. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 一、二まだ伺いたいことが残つておりますが、先ほどの特別会計かどうかという問題ですが、これは午後でも委員会が開かれれば詳しく伺いますが、先ほど大臣お話では、経理上は明確にして行くけれども、その間彼此流用することも勿論考えるのだという答弁ですね。結構だと思うのですが、そこでですね、設備とか或いは或る種の技術とかいうものの共用の場合に、共用される場合に、それから又研究費なんというものは恐らくテレビジヨンのほうの収入から出るはずはないのです。そういつたものは、この放送法の建前から言いましても、放送というものの中には、耳で聴くだけの放送もあるし、テレビジヨンも入つているという解釈でしよう。ですから当然国民のために、一般公衆のためになることであれば、テレビジヨンも含んだ広い放送のためには研究もしなければならんという義務をむしろ放送協会は負つているだろうと思うのです。そういう点から言つて設備とか、技術の共用問題、研究費の問題等は当然今の聴取料収入で当分は賄つて行かなければならん、この方針は大臣も了解されたものと考えてよろしいですか。
  37. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 流用の意味でそういうものはどうしても必要になつて来ると思います。ただ研究費なんかで非常に余計かかるという場合に、一時借入れでやるというようなこともありましようから、必ずしもそうしなければならんということもないかも知れません。併しラジオ聴取者を非常に犠牲にするというようなことは、これはよつぽど考えて行かなければならんと思つております。
  38. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) ちよつと伺いますが、大臣のほうとなには午後二時から続行しても差支えありませんか。
  39. 長谷愼一

    政府委員(長谷愼一君) 電波監理審議会が先ほど申上げましたように午後……。
  40. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 大臣の御都合は。これはNHKのほうではいけませんか。
  41. 山田節男

    山田節男君 これは私はこの間もう大臣からこの提案理由の説明に附帯して、根本的なものはお聞きしておるわけです。ただ最後に御質問申上げたことが、これは我々が審議を継続するか否かに重大な意味を持つておるということと、少くとも我が党から言えば、この問題は一時も早くこれを片付けたい、こういう実は意思があるものですから、御確認願つた以上は、午後でも、一時でも早く参議院は本会議にかけて公共放送を一日も早く始めてもらう、これが少くとも党としての立場ですから、個人の意見を申上げておるのではない。ですからさつきの大臣の御確認があつた以上は、午後我々も予算委員会がありますけれども、併し明日の本会議の定例日を控えて、我々は午後これを続行したい、かように私は今委員長にお願いしておる。ほかの委員のかたも御異議がなければ私はそうして一項、きたいと思う。
  42. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  43. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それでは速記を始めて。ではこれより電気通信事業運営状況に関する調査事件を議題といたします。  只今アメリカのケロツグ・スイツチボード・サプライ会社の、ハワード・バン・ザントさんがおいでになりまして、本日参考人として御出席願いましたバン・ザントさんは、日本の電話制度のことについて、非常な経験と知識をお持ちになつておられて、アメリカにおかれても幾多の論文を著わされて、電話制度に関しての御立派な御意見を持つておられ、私どもの最も尊敬しておるかたでございまして、日本の電話制度のことについて、いろいろ今後の運営の上にも、施設の上にも参考になることにつきまして御意見を伺うために御出席を願つたのであります。どうぞ御質問を適当にお願いいたしたいと思います。最初全般的な御意見を伺われれば結構であります。
  44. ハワード・バン・ザント

    参考人(ハワード・バン・ザント君) 私はあなたの会合に御招待を受けたことを感謝いたします。これは私の光栄とするところでありまして、感謝のほかはありません。国会の電気通信委員会の中には、長い間私の知つておるたくさんのかたがおりまして、山田先生、新谷先生、長谷川先生及び鈴木先生からは、あなたがた委員日本のよい電話サービスを与えるためのいろいろな賢明なる事柄を学びました。私が招待されて皆様にお会いしたとき、私は二十カ月日本を留守にしている間にいろいろなことが起こりました。いずれにしろ私はあなたがたの国の電話サービスに非常に関心を持つておりますので、考えをあなたがたにお話いたしたいと思います。あなたがたにお話するのに私は腹蔵なく、そうしてあけつ放しでいたしたいと思います。でありますから私の話は個人的なもので、私の会社の公式のものでないことを御承知下さい。  二年前私の妻と二人の子供は東京における楽しい数年を過してアメリカに帰りました。私の娘たちが三日間サンフランシスコに滞在しているとき、私の妻が彼女らに何が一番印象的であつたかを尋ねました。六つになつた私の末の娘が先に答えました。その娘は少しも彼女の故郷の思い出を持つておりませんでした。彼女の生涯の殆んどを日本の子供たちと遊んで来たので、英語は少ししか話せませんでした。彼女は答えました。ママさん、アメリカにはまるで人がいないんですもの。そのとき十四になつた姉娘が言うには、その通りよ、併しサンフランシスコの下町でならば一時間歩いて道で十二、三人の人に会えるかも知れないわ……。この間の夜衆議院の四郎・長谷川先生がアメリカ旅行でとつた天然色スライド、幻燈を見せてくれました。その一つはサンフランシスコの住宅地の通りの写真でしたが、そこには一人も人が映つていないということです。サンフランシスコは最も人口の多い都の一つです。横浜と平方マイルにして殆んど同じくらいの人口があります。サンフランシスコの人たちはどこにいるのでしよう。その答えは、電話に関係しているのです。サンフランシスコには八十万人の人口があつた、而も本電話が四十万あるのです。日本の同じくらいの都ではたつた二万か三万の電話しかないでしよう。サンフランシスコの人たちは家庭に、事務所に、店に、電話を持つて事業を富み又生活をしているのです。日本ではこれと反対にお互いが足で歩いて事業を営み、又社会生活をしているのです。日本事業人はタクシー又は社用の自動車で用をたすのです。ところがサンフランシスコの事業人は事務所を離れないで事業を営むからです。日本の主婦たちは生活に必要な買出しをするのにも、用事をたすにも街に出て来るのですが、サンフランシスコの主婦たちは電話で雑貨や百貨店の買物をするのです。日本の商人は仕事をしようとする市内電車、バス又は鉄道に乗らなければなりませんが、サンフランシスコの商人は店から一歩も出ないで電話で物を買い、売り又は注文いたします。数カ月前私は友だちの経営するアメリカの工場へ検査に行つたことがありました。方々の部屋を見て廻るうちに、私は心で思いました。この工場は私が見た日本の工場に非常によく似ている。併しながら日本の工場では高い値段で信頼できない物をこしらえる。このアメリカの工場では安い値段で良い物を作るので有名で、ある。どこが違うのだろうか。そこで私は考え付きました。私のノートを取り出して、各部屋を廻る時に或る数字を丹念に書きとめました。検査が終つた時、私の友だちが尋ねました。何を書きとめたのかね。私は答えました。私の書きとめたのは各部屋の従業員の数とその人たちの使う電話の数をさ。と言いました。このアメリカの会社では事務員の三分の一と工場労務者の八分の一が私が検査をしている時電話を使つたということがわかつたんです。あの会社は例外じやないのですよ。アメリカのごときは工場における電話は経営の最も重要な道具であります。電話は連絡と協力の道具なのです。これがなければ、労務者は仕事のため連絡し、ようとして工場を歩き廻らねばならないでしよう。彼らが供給者やお得意や事務所を廻れば、たくさんの人がタクシーや会社の自動車や電車や自転車や省線などに乗つて街に出なければなりません。私は十年を日本で過し、生涯の残りをアメリカで暮らして、結論としてアメリカの工業能率が上つているのは電話サービスのお蔭であるという非常な理由を確信するものであります。日本は製造し且つ輸入によつて長生きしなければなりません。日本が新らしい能率のいい且つ適当な市内及び市外電話方式を持たなければ、よい品を豊富に且つ低廉に生産することは困難でしよう。何故にアメリカの電話方式が世界で最もよくて能率的と言われるのでしようか。私は二十四年間電話事業に関係し、各国の電話事業を見て来ています。私の意見として、アメリカの能率は次のようであると思います。第一、アメリカはモダンな高速度の且つ寿命の長い機械を持つていること、第二、市内、市外電話サービスの料金が会社の利益を生むよう十分高いこと、利益のある会社は投下資本ができて、この資本で必要なるサービスの需要に急速に応じられる。第三、二或いは四加入共同都市に、八加入共同村落に使つて電話を最大限に利用できる、第四には、アメリカの電話会社はほかの国の電話事業のように法律や政府の規則に縛られないです。  私は、日本が現在使つている電話の機械の型を改善する必要があると信じます。貴国の交換機製造会社は大きいので、欲しいものは何でもできるでしよう。併しながら貴国はモダンな高速で信頼すべき自動交換機を採用する必要があるのではないでしようか。アメリカでは多年の実験と研究等によつてそんな交換機が設計されております。製造会社及び日本電信電話公社のために役立つだけの少しはかりを輸入すれば事足りるのです。特許料はアメリカの製造会社が研究に使つている経費をカバ一するために払わなければならないでしよう。研究費の大部分はもうすでにアメリカの電話会社が払つているのです。日本人は優れた交換機を得るために、研究及び調査費を僅かばかり支払えばよいのです。あなたがたの欲しい交換機の名はプロスパーと呼ばれております。このプロスパーについては、二週間前に皆さんに英文の説明書を差上げてあります。或る人は私にこう言います。君の交換機を買うためには、為替が要るし、特許料を支払わなければならないと。私の答はこうです。即ち、あなたの自動車、バス、タクシーなどを動かすには、油やガソリンを買うために多額の外国為替が必要ではありませんか。いつかあなたは油やガソリンや自動車などを輸入するための為替を節約しなければならないでしよう。あなたは適当な電話方式があれば、日本で十分な工業が持てるのです。適当な電話方式によつて能率的な工業を持てるばかりでなく、又外国の油や自動車を買わなくても済むことになるでしよう。あなたがたは若し良い電話サービスを持つておるならば、自動車バスに代つてこれを使うことができるでしよう。あなたは電話局が拡張し、且つ質において改善されるに十分な高い料金を課する必要があります。アメリカの都市では設備利用は大ダラー五十セント、そうして毎月の電話料は六ダラー、一通話ごとに四セント半です。この数はアメリカのシカゴのような大都市です。場合によつて違いますが、これは平均と思います。公衆電話は特別です。公衆電話の料金は、大都市は今十セントです。三十六円でしよう。日本においては装置料その他で二百五十ダラーでしよう。月額は一ダラー二十、五セント、一通話ごとに一セント三分の一、五円払わなければなりません。あなたがたのわかるように、日本月額料金と度数料金は安過ぎる。そうして装置料は高過ぎる。若しもあなたがたの月額及び通話料を相当上げれば、電話局は利益が上り、日本の国民は喜んでこれに投資をするでしよう。これらの投資は拡張と増設に十分な経費を使うことになり、あなたがたは拡張のための経費を生むために装置料を上げる必要はなくなる。利益を上げるまで装置料は高い必要があるわけです。近郊市外通話料金も又安過ぎます。これらの料金相当値上げの必要があります。利益を増加してモダンな高速度な市外電話装置を買うに十分な経費が得られるでしよう。あなたがたの市外交換機は大部分古くてなつていません。これらの大部分アメリカでは四十五年前に使わなくなつています。四十五年前です。ですから近郊市外通話料金を上げなければ、新らしい装置を買うことができないでしよう。共同加入サービスに関しては、私は個人的な経験から、日本の小さい事業家は、アメリカにおります共同加入者ほど電話を使わないことを知つています。日本における小事業家及び住宅電話の使用者は共同サービスで十分だと思われます。丸の内、茅場町、ああいう所は違いますが、小事業家、盗難予防の一助として、或いは医者を呼ぶ途を持つために家庭又は農家における電話の必要があります。アメリカにおいては同一回線に数名の使用者を接続することによつてこのサービスが与えられているのです。  これは経済的であり、能率的であります。日本の電話は過去六十年間いろいろな制限を受けて、ハンデイキヤツプが与えられています。アメリカには如何なる電話会社にも全く政府の干与しない州すらあります。これらの電話会社は、希望する料金を課していますが、それでもこれらの自由な州の料金政府の最も厳しい干渉のある州より高くないのです。アメリカにおける電話事業発達の進歩の大部分は公社監理委員会、それは何でしようか、レギユラトリ・コミティー、公社監理委員会が誕生する前に起つております。日本電信電話公社の運営が監督及び規則から解放されたときに初めて、日本の適当にして使用のよい電話サービスを与えるような政策を形作ることができると信じます。私は日本の電信電話公社の幹部に永年関係いたしました。彼らは正直で努力家で能力のあるかたがたばかりです。彼らは現在規則と監督で厳しいハンデイキヤツプを持たされております。私はこれらが解放されて、日本にとつてそんなに悪かつた電話事業をあなたがたが望んでいるようないいサービスに変ることを望んでやみません。  以上私が拙い意見を申述べましたが、日本の皆様がたは電話事業の発展と進歩についてよくこれを研究されるよう、成功がもたらされるよう祈つております。御清聴を感謝いたします。
  45. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) どうも有難うござました。それでは水橋委員からお尋ねがあるそうですからちよつと……。
  46. 水橋藤作

    水橋藤作君 一つお伺いいたしたいことは、アメリカ日本と比較いたしまして、機械設備その他の面はお話でよくわかりました。私も想像した通りで、今仰せの通りのことと想像いたしておりました。ただほかの面でアメリカの機械を運営し、又事業を運営する人員と、日本の現場で働いておる人の数とを比較いたしましてどうであるかということを一つお伺いいたします。
  47. ハワード・バン・ザント

    参考人(ハワード・バン・ザント君) 私の拙い日本語で説明し足りないで大変失礼いたしました。或るアメリカのインデペンデント電話会社は、現在百、五十万の電話機があります。あの会社の事務員は、日本電信電話公社と比べると多分アメリカのは日本の三分の一と思いますが、比べるのはちよつとむずかしいです。アメリカの会社は自動式の交換機をたくさん持つております。日本電信電話公社は手動式の交換機をたくさん持つております。私の経験で、日本の交換手は能率の高い人でございます。私はあの問題を長い間研究いたしました。日本の交換手とアメリカの交換手を比べると、日本の交換手の能率は同じでしようが、人の能率と機械の能率はとても違います。日本の機械の能率とアメリカのを比べると、日本のは五分の一でしよう。人は同じで機械は五分の一です。それが日本の大切な問題でございます。若し日本はいい機械があつたら……、日本人は勤勉です。日本人はいいサービスをしたいと思つていますが、機械が悪いですからいいサービスをすることができないのです。日本の女の人は自然で丁寧です。ですが日本の交換手は泣言を毎日たくさん受けていますね。若し私は五時間仕事をしたら、加入者が泣言をたくさん話したら、私はすぐ気が短くなります。日本の交換手は違います。日本の交換手は気の短いものじやないのですが、本当にかわいそうですよ。(笑声)議会にこんなにつたない日本語はめつたに聞こえませんでしよう。
  48. 水橋藤作

    水橋藤作君 よくわかります。
  49. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それではバン・ザントさんの電話制度等に対しての非常な立派なる御意見、日本の今後の電話制度の改善、徹底の上に非常によき参考になつたと思います。殊に非常な流暢な日本語でお話を願つたのでよく徹底いたしました。山田さんから伺つてつたのでありますが、本日その御造詣の深いことに接しまして、誠に電気通信委員会といたしましては心より感謝いたします。有難うございました。  それでは午前の委員会はこれを以て一応終了いたしまして、午後二時から引続き開会いたします。    午後零時十二分休憩    —————・—————    午後二時五十五分開会
  50. 山田節男

    理事山田節男君) それでは休憩前に引続きまして電気通信委員会を開会いたします。  先ず議案に出ておりまするNHK補正予算並びに事業計画、これについて質問の続行をお願いいたします。
  51. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 午前中に少しお聞きした会計の問題の続きを少しお聞きしたいのですが、経理を明確にして行くと、但し受信料で得た収入で以て或る程度テレビジヨンの所要経費を賄つて行くことについては、これは実際上必要であるし、避け難いだろう、こういう御答弁つたように思うのでありますが、テレビジヨンを実施せられて、数年の間はやはり相当赤字が出ると思うのです。その赤字を今後だんだんに受信者が殖えて、収入が殖えた場合には、漸次補填して行かれると思うのですが、このテレビジヨン実施のために生じた赤字は、今後どういうふうにしてこれを補填して行くか、或いはどういうふうにして償却して行くかということを一応お聞きしておきたいと思います。
  52. 岡部重信

    参考人岡部重信君) お尋ねの資金の調達、並びに償却でございますが、資金の調達につきましては、特に仮定される新たなる構想と申しますか、という問題はさておきまして、現在並びに過去におきまして調達した方法、言い換えますれば、放送債券並びに長期借入金を以て調達する放送債券につきましては、すでに御承知通り、据置期間が五カ年となつております。長期借入金につきましては二カ年となつておりますが、それらの条件の下に一応先ずこの只今議案として御審議つております東京、大阪、名古屋について算定いたし、更に放送協会の使命でございますあまねく全国に容易に聞けるという計画のために、五カ年計画を立てた次第でございます。それにつきまして若干申上げますと、資料としてお手許にございますテレビジヨン放送事業計画の七頁に挙げてございますが、(4)のほうには事業収入の基本となります受信料をどういうふうに受信者の算定からいたしたかということを掲示いたしまして、(5)のほうでは、東京、大阪、名古屋の三カ年に要しますところの経費を御参考までに掲げた次第でございます。これについて若干申上げますと、設備資金といたしまして、二十七年度、二十八年度、二十九年度の三カ年間にこれを合計いたしますと、五億五千三百万円ということに相成つております。それから受信料を以て賄い切れませんところの経費を借入れることにいたしまして、事業資金といたしまして、やはり二十七年、二十八印、二十九年度の三カ年間に各印度を合計いたしますと、五億七千、その設備資金事業資金の借入金を合計いたしますと、十一億二千万円ということに相成る次第でございます。それでこの赤字というものをいつから整理して行くかということを見ますと、三十年度におきまして、差引という欄に計上しましたが、一千二百万円ほどの黒字が出て来る。それで仮にこのまま継続して行くということになりますと、設備資金事業資金の借入金の只今申上げました十一億二千万円は、三十年度から返還を開始いたしまして、三十三年度に至りまして返還が終了するという計画を立てた次第でございます。併し御承知通り、あまねく全国に普及するという使命を持つておりますので、更に五カ年の計画といたしまして、三十二局を三十一年度までに建設する、これにつきましては、御承知通り、中継回線という問題もございますので、果してこの通り参るかどうかということは確実には申上げられませんが、一応こういうふうな計画でやり得るという考えの下に資料をお手許まで提出した次第でございとす。
  53. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の御説明でお考えになつておるということは一応わかるのですが、表に出ていないので、更に質問しますが、三十三年度になれば、こういう意味ですか、東京、大阪、名古屋で仮に始めるとして、それから生じた赤字というものは三十三年度になれば一応償却できる見込であるということを言つておられるのが一つと、なお東京、大阪、名古屋だけではなしにあまねく全国で国民が受信できるようにというのが協会の使命であるから、更に多くの設備をしなきやあならん、これには周波数帯の問題になつてまだ不確定な事実があるので今からはつきりと言えないけれども、そのほうの問題も仮に、例えば三十何局作つたとしても、三十三年度になれば赤字がなくなる見込だということをおつしやつておるのですか。そういう意味ですか。
  54. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 御質問の第一点のいつになつたら返還ができるかということにつきまして、只今申上げましたのは東京、大阪と名古屋三局分だけについて計算して参りますと、三十年度から三十三年度までの期間に返還するということでございまして、合計三十二局ということになりますと、三十六年度に返還が完了する、こういう次第でございます。
  55. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 わかりました。  それからこの赤字の出ているというまあ三十年度までの期間ですね、これは何か特別に短期資金でも借りようということになるのですか、それともこの運営費のほうの赤字にやはり放送債券か何かで賄つて行くような方法があるということなんですか。これは法律にも多少規定がありますから、長期放送債券を建設以外のほうに充てるわけに行かないと思うのです。そうすると勢い借入金とかどつかで足りない資金を賄つて行かなければなりません。そういうことについては先ほど問題にしましたが、一般放送事業収支のバランスをはつきりし、そして経理をはつきりしておけばそのほうの資金で一時賄うというようなことはお考えにならないのですか。
  56. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 只今お尋ねの放送債券で賄う範囲でございますが、    〔理事山田節男君退席、委員長着席〕 これにつきましては、二心私どものほうといたしましては放送法規定してございます放送設備放送債券の発行の条件になつておりますが、放送設備の件にのみ放送債券を使うことにいたしまして、その他のいわば操業費とも申すべき一部の事業資金につきましては借入金……私どもとしては一応できるだけ長期の借入金ということにいたしており、それによつて計画しております。なおこの追加予算につきましてどういうことになつておるかと申しますと、実は勧業銀行と協議いたしまして国会におきますこの予算承認になりましたならばこれだけ役立てるという約定を頂戴した次第でございます。
  57. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体わかりました。  それからこの建設費の関係ですがね。設備と言いますか建設費、これは只今つておられまする放送設備を完成するまでにまあ二十何年間、恐らくこれは逐次受信料を基礎にして建設せられた分も相当あると思うのですがね、今度のテレビジヨンに関しましても受信料収入で建設をするということはこれは理窟から言うと非常におかしなことになるのですが、お考えにならないだろうと思うのですが、そう考えていいでしようか。つまり新らしく設備するテレビジヨンのいろいろの設備費、或いは機械類の購入費というようなものはこれはすべて放送債券で賄つて行く、それを或る償却率で毎年事業収入、つまり受信料から得た収入によつて逐次償却して行くというような建前をおとりになるのだろうと思うのですが、そういう方針に考えてよろしいでしようか。
  58. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 只今お話のございましたような方針で進んで参るように考えております。
  59. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それに関連してもう一つつておきたいのは、従来放送協会は、私の見たところでは減価償却というものに対して非常に考え方が足りないのじやないかと思うのですが、今度のテレビジヨンのような場合がありますと、私から言うまでもなく機械類なんかがもう絶えず日進月歩で改良されておるわけです、殊にテレビジヨンの場合になるとカラー・テレビジヨンというようなことも近い将来に考えて行かなければならない、そういたしますと、只今設備されようとする白黒の機械類その他の設備について極めて短期間にこれを償却する方法をとらないと次の改良になかなか移れないというようなことになつて来ると思うのです。その点についてこれは今後の一番大きな問題になるかと思いますが、今度施設されようとするテレビジヨン関係の設備の償却をどういうふうな方針でおやりになるか、その方針だけでも伺つておきたいのです。
  60. 岡部重信

    参考人岡部重信君) このテレビジヨン関係の設備の償却につきましては、只今お話通りでございまして、どういうふうな償却率並びに年限を以てするかということにつきましては、只今私のほうでも検討しておりまして、今まで入りました一部の資料でございますが、アメリカにおきましてはだんだんラジオの償却に近付い来ておるという資料は只今一部手に入りましたですが、確かにこのテレビジヨンの機械については只今御指摘の通り非常に短期な宿命を持つておるものだと思います。十分検討して行きたいと存じております。
  61. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 もう一つお伺いしておきますが、放送法によりますと、日本放送協会は国民全体に放送が受信できるようにすることが目的だということを書いて、テレビジヨンに関してこれをそのままとりますとやはり全国にこのテレビジヨン放送の施設を整備して行かなければならんということになるわけですが、これは非常に経費もかかると思うのですけれども、併しこの放送法の建前から言うとどうしてもそれをやつて行かなければならん、その場合に放送協会としてはいろいろ資金の関係もあり、或いは経理上の都合もありましようが、始めに考えられた東京、大阪、名古屋というような大都市だけでとめてしまう、他のほうはこれは技術的に周波数帯の問題が出て来れば又別ですけれども、そうでない限りはやはり全国にどんどん普及して行くというような建前で当然お考えにならなければならんと思いますが、それについての監督官庁である郵政省の御意見はやはりこの放送法に書いてあるような建前で進ませるのだというお考えですか、その点もう一つつておきたい。
  62. 莊宏

    説明員(莊宏君) お答え申上げます。郵政省といたしましては法律の定めておるところに従いましてNHKが全国普及の義務を負うものであり、そのように役所としてもやつて行くべきものであると考えております。
  63. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) ほかに御質問ございませんか。
  64. 山田節男

    山田節男君 この今回出された事業計画で初年度二月、三月ですか、前の電波監理委員会に出された計画書を見ますと、これは勿論初年度の月の数が非常に少いわけで、勿論今回出された事業計画では少いのが当然だと思うのですが、前回の場合には約二万一千の初年度において受信契約者があるという見込ですが、今回出されたのは丁度十分の一の二千百と、こういうふうに見積られておる。それから第二年度、二十八年度、二十九年度、三十年度、この初年度の二月から始められる二千百というものが非常に私はこれは余りに何と言いますか控え目だと思うのですが、この数字的根拠を、何かはつきりしたものがありますか。と申上げるのは、例えば電波監理委員会出し日本テレビジヨン放送日本文化放送ラジオ東京、これを見ましても相当大きな見込をしているのです。これが今回NHKのを見ますと非常に又少くなつたように見るのですが、その見方がどうしてこんなに違うか、若し理由があれば一つ説明願いたいと思います。
  65. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 私どものほうの算出につきまして申上げます。只今御指摘の通り初年度におきまする二千百というのはこれは二月間の数字でございますが、それではこの二千百をどういうふうに出したかと申しますと、この受信者の数を二通りに分けて考えました。一つ個人の加入と申しますか、各家庭の加入でございますが、もう一つは特殊加入と仮に申上げますが、午前中お話がありましたようなレストランとか、或いはカフエーとか或いはホテルとかいうような多数の客の来集する場所、その二つに分けて考えた次第でございますが、先ず個人の加入につきましては国税庁その他の調査を本にいたしまして、国民の所得のどういう所得の範囲が最初には加入するであろうかということを考えまして、又需要力と言いますか、需要力というものが現在どういうふうかということ、そうしますと需要力というのは大体月収の二乃至二・五%くらいが需要力として現われる。そういう基礎の下に個人の加入を一千と算定いたした次第でございます。無論申落しましたが、国民の所得と二・乃至二・五の需要力と言いますか、そういうものは受像機の関係にも関係いたすことは申すまでもありませんが、それらの要素で一千と算定いたした次第であります。  それから特殊加入につきましては、この放送によつてカバーされるそれらの団体と言いましようか事業体がどれ、だけあるかということを本にいたしまして、それの二・五%が受信者として現われるであろうというので、個人の加入を一千、特殊の加入を一千百、確かに或る意味では固過ぎる数字だとも考えられましようが、固過ぎる数字でやつておけばそれに越したことはないということもありますから、それらのことを考えてこの数字を算出した次第であります。なお現在どのくらいの受像者があるかといいますと、これはいろいろ見方がありますが、私のほうでも鋭意現在数を調査中でございますが、およそ八百程度じやないかというようなふうにも考えておる次第でございます。
  66. 山田節男

    山田節男君 この将来の視聴者の数の見込について、大体イギリスのBBCと比較して第二年度からは幾何級数的に、算術級数じやなくて幾何級数的に殖えるというふうにダイヤグラムも出しておる。幾何級数的に殖えるというこういうダイヤグラムを出されたことは、実際調査上の根拠があるのかどうかお伺いしたい。
  67. 岡部重信

    参考人岡部重信君) いろいろ御承知通りのフアクターがございますが、この協会で只今申上げたような算出方法で算出いたして、これをBBCが只今百二十万ですか受信者がございますが、それと比べてみて果してBBCとどうかという調査をいたしましたのがこの計数でございます。
  68. 山田節男

    山田節男君 ということは、大体このBBCの増加率に準じた率で増加するという確実なお見通しが実際調査上あるというわけですか。
  69. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 只今二千百の根拠のときに若干触れましたのですが、だんだん受像機の価値が逓減して行く、それにおいて新らしい需要が起きて来るというようなことを詳細に検討いたしまして算出した数字でございます。
  70. 山田節男

    山田節男君 それから今度は小さい問題、これちよつと念のために確めておきたいと思うのですが、この放送法によれば、ラジオ聴取者が貧困者、或いは特殊の団体、個人の場合は聴取料を免除しておられるわけですが、テレビジヨン視聴料もこれに準じてやはり免除という制度は依然として適用されるわけですか。
  71. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 只今御指摘の線に沿いましてラジオとほぼ同様な線で免除して行くという考えで進んでおります。
  72. 山田節男

    山田節男君 それから次は借入金の問題ですが、今回のこの補正予算としての借入金が二億九千五百万、これは長期借入金となつておりますが、借入の形式ですね、これはどういう借入金になるわけですか。例えば政府資金運用部から出すのか、或いは放送債券じやないと了解するのですが、どういう方法で借入れなさるか。それから第二年度以降における工事費、この計画を見ても名古屋、大阪で更に約三億円要るように見えるのですが、そういうものはやはりこのたびと同じように長期の借入資金でおやりになるのか、又そういうことをやり得る将来見込があるのか、初年度の二億九千五百万円の借入金はどこからお借りになるか、これを伺つておきたい。
  73. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 初年度の借入金につきましては長期借入金といたしまして従来の取引先でございます勧業銀行から借入れることにいたしまして、その際二十八年度以降の大よその計画説明いたし、そうして只今のところは国会でこの予算が御承認願えた暁には、勧銀のほうで用立てるという約束になつております。
  74. 山田節男

    山田節男君 それからテレビジヨンがいよいよ本放送開始後においてやはり実施されるであろう民間のテレビジヨン放送と、これはもう現在ラジオにおいても同じように放送の番組というものがおのずから公共放送と民間放送との特殊性が出なければいかんと思います。この計画の中にも放送番組として(イ)(ロ)と書いてありますが、先ずこれだけでは公共放送としての番組の特殊性、著しい特色とは見えないのです。これは現在本放送開始前にこんなことを申しては何ですが、併しこれは公共放送として何か放送番組編成上の重点がなければいけないと思う。ここに(イ)(ロ)として列挙しておられますが、この中で最も公共放送としての重点をテレビジヨン放送上どの点に置くかということが若し今ここでお述べできれば、その重点をおつしやつて頂きたいと思います。
  75. 岡部重信

    参考人岡部重信君) この資料に一応ございますが、甚だ漠然としたものでございますが、報道、教養に全時間の五三%を当てる、教養には四三%当てるということになつておりますが、このうち「教育」と「社会、宗教、教養等」というふうにございますが、只今このテレビジヨンが聴視覚の教育ということに相当効用があるということは御承知通りでございますが、学校放送につきましては聴視覚教育研究委員会というような部外の委員を混ぜました委員会で着々研究いたしております。又モデル・スクールと申しますか、受像機を置きましてその受像機が学習上どういう結果を現わすかというので、学童から画面の鮮明一さといいますか、或いは、剛直の大きさというような点につきまして、調査いたしております。それで番組といたしましては、学校放送にも一定時間を必ず割当てるという考え方で進んでおります。なお、一般家庭に対しても、これは私から申すのもいささかどうかと思いますが、育児、衛生、料理というような家事的なことも重要な点であろうというので、そういう方向につきましてもいたしております。それから、すでに御承知通り、政治方面について、或いは実況によりこれを中継して、国民の政治の、何と申しましようか、政治知識の啓発にいささかでもお役に立てばと考えて、これを進めて行くつもりでやつておる次第でございます。
  76. 山田節男

    山田節男君 テレビジヨンは音のみならず、目に見えるということにおいて、この番組の編成ということは、殊に重大だと思うのです。殊にアメリカの例を見まして、テレビジヨンに関する編成に対して、編成員のほかに一つ審議機関のようなものを持つて、そしてこれは単に教育上、文化上の問題の上からプログラムの編成にいろいろな協議をするというのみならず、更に現在アメリカ標準方式でやつておるテレビジヨンの画面を長時間見ることによつて、いろいろ健康上の問題が起きているということを聞いております。これにはやはり生理学者といいますか、医者といいますか、こういう視覚ですね、眼で見るほうの、見る感覚、視覚的な部面においても、かなり権威者を集めて研究しておる。これは放送法によりますと、やはり番組については常に世論調査をやつて、そしてこの番組を編成しなくちやならんというように規定されておるわけです。テレビジヨンの場合は、更に視聴者のこういう生理的なトラブルといいますか、が起きて来る。こういう問題について、勿論当局としてテレビジヨン放送される場合に、本放送になる場合には、当然私は処置さるべきものじやないかと思うのですが、そういうことについても、相当注意をされておるのかどうか、この点をお伺いしたい。
  77. 古垣鐵郎

    参考人(古垣鐵郎君) 非常にいい御注意、又非常に有益な、貴重な御示唆を頂いて有難く御礼申上げます。私どももそういう点についてかねがね関心を持ちまして、そしてすでにテレビジヨンの番組の委員会テレビジヨンの番組について審議する委員会というようなものを考えております。そして、これは単にテレビジヨンばかりでなくて、かねてラジオの番組についても考えるように、そしてNHKの番組というものは、テレビジヨンのみならず、すべてにおいて正しくその使命に忠実であり得るようにというようなことを絶えず規制するために、外部の各方面の権威者にお願いして、そして積極的に只今お話のような衛生の点までも含めた、文化方面、政治力町、或いは実業方面、教育方面、芸術方面というものを併せて研究する広範囲な権威のある委員会考えております。それから又テレビジヨンにつきましては、ラジオのほかに画面ということから来るいろいろの専門の問題があります。そこで各専門の、演出とか画面とかその他の専門の部門に分れた委員会をこしらえて、ここには専門家を以て、そうしてその効果が十分目的に副うように、又悪い面が出ないように、悪い面はどういうふうにして防ぐかといつたようなことを研究させる委員会もすぐ作る考えを持つております。それから最後に、ラジオの場合にもいろいろの、ラジオは二面において非常に有益であると同時に、これを間違つて使えば非常に有害であるということは、テレビジヨンの場合にはそれに数倍して起るわけでありますから、ラジオ・コードというようなものよりももつと広汎なテレビ・コードというものを作つて、そのテレビ・コードに従いましてテレビ準則と申しましようか、それに従つて実質の番組の編成をやり、又番組の実施、放送をやるというようなことで、すでに委員会に対してその案を出して、そして外部の権威者側から十分検討して頂いて、そして本放送の最初から間違いがないように用意いたしております。
  78. 山田節男

    山田節男君 電波監理委員会の人、誰か来ていますか……現在NHKが実用化試験放送からいよいと本放送段階に入るということについて、これは監理委員会として、政府として考えなくちやならないことは、現在NHKの試験放送を見ましても、アメリカと同じ標準で、設備で以てやつてつても、我々の見る現在の試験放送の画質というものは非常に悪い。この根本は私はやはり日本の、殊こういう都市の電気雑音、これの非常に無政府的な状態に起因しているのじやないか。そこでこういつたように、いよいよテレビジヨンの本放送が来年の二月から開始されるということになれば、当然視聴者の利益のために、電気雑音の防止をどうするかという対策が政府として当然行わるべきだと思うのです。これに対して政府は一体どのような方策をとられるのか、それを承わりたい。
  79. 西崎太郎

    説明員(西崎太郎君) 只今御指摘になりました特にテレビジヨンの受像の場合の雑音の問題でございますが、この問題につきましては我々のほうとしましても、非常に重大な関心を払つております。御承知のようにテレビジヨンの受像に対する妨害雑音として一番大きい問題は、自動車の着火栓から出る雑音でございます。外国の自動車、殊にアメリカの自動車はそういつた点に十分考慮して、遮蔽その他に適当な措置を講じておりますので、比較的問題は少いそうでありますが、日本の国産自動車は特にそういつた点について問題があるわけでございます。その点につきまして、実は郵政省の技術関係の諮問機関でございます電波技術審議会というものがございますが、これに数年来諮問事項として諮問しております。これはなかなか問題が大きい関係もありまして、その結論、特にその技術基準をはつきりさせるのに手間取つておりますが、更にこの問題につきましては、最近できました電波技術協会というのがございますが、ここでも実は積極的にやつてもらつておりまして、自動車の生産方面のかたがたと一諸に協力して、目下これの対策を考究中でございまして、まあいずれ近いうちにその技術的な解決策ができると思います。ただまあこれの、今度は如何にしてこれを実施に移すかという問題即ちこれを法的にどういうふうに強制して行くか、或いは又リコメントして行くかといつたような問題もございまして、この点につきましては現在のところ御承知のように雑音問題といたしましては、高周波利用設備、御承知のように医療関係の機械から出る電気雑言、或いは工業用の加熱設備から出る音といつたものにつきましては許可制度を採用しております。それからその他のものにつきましては実際に通信に支障を、甚だしい支障を起した場合にこれに措置を命じ得るようになつておりますが、これだけでは不十分でありますので、これが法的な措置につきまして目下関係者間で研究いたしておりましてできるだけ早くこれを実現したい、こういうふうに存じております。
  80. 山田節男

    山田節男君 この雑音問題は私専門家でないからよくわかりませんけれども、すでに大阪地区における雑音といいますか、暴音について京都の或る大学教授が相当この根本的な調査をしたわけであります。今西崎次長が言われるようにこの研究の結果は東京にも当てはめることができると思いますが、もうすでに本放送が始まろうというときに、聴視者の立場からいつても当然、こういう法的措置をとらなければならない。特にこの問題は私は通産省あたりに関係するのではないかと思いますが、これは聴視者の保護という見地から成るべく早い時期において法的措置をとらなければいけない。さつき言われたようにこれは自動車ばかりでなく、木造建築の工場の多い日本におきましてそういう方面の影響が非常に強いやに私は伺つておるわけです。ですからこれは本放送の開始と同時に並行して電気雑音防止ということは、これは早急にとられなければならない、私はそういうように考えてお願いしておきます。  それからもう一つは、これは電波監理局にそんなことを聞いてもわからないかも知れませんが、前回新谷さんもちよつと質問されたのでありますが、とにかくこうして本放送になつて来れば規定標準方式による視聴機というかレシーバーが多量に生産されなくちやならない。多量に生産されるということは同時に価格が安いということを期待しておるが、殊に経済的に貧困な日本において成るべくこのテレビジヨン大衆化させなくてはいかない、そういう建前からこのテレビジヨンのレシーバーの製造というものについてこれは絶対に監理委員会乃至通産省がその価格を成るべく下げてそして質をよくするというこういうことについてどういう方策をとつておられるか、これを伺いたい。
  81. 西崎太郎

    説明員(西崎太郎君) その点につきましては、先ほど協会のかたからも御説明がありましたし、又あとで協会のほうから補足されると思いますが、要するに利用が殖えるということがこういつた大量生産の機械のコストを下げる一番大きな原因になるわけでございますが、それと同時に今一面御承知のように、今の日本ラジオは並四球といつた非常に安い、日本的なと申しますか、日本の資力から見て最も適当した受信機といつたものがこの普及の一つの大きな原動力になつておると思いますが、これと必ずしも同じ考え方ではございませんが、日本のような所では将来は別といたしましても家庭において聴視する場合には必ずしも十七インチとか、或いは二十インチといつたような大きなブラウン管のセットを使わなくても十インチ以下のものでも相当役に立つ。大体先ほどもお話があつたように受像機の値段というものはブラウン管のサイズに大体において比例しておるようなことにもなつておりますので、そのブラウン管のサイズの小さいのを使いましてこれを普及することによりましても相当価格の低廉というものが期待できるのではないかということでその点につきましては放送協会の研究所のほうでもそういつた考えでいろいろ試作されているようでございます。我々のほうといたしましても勿論研究しますと同時にこの生産を担当しております通産省、ここと常に緊密な連絡をとつております。
  82. 山田節男

    山田節男君 今の言われたことは、これは現在NHKラジオ受信機に対して或る一つの規格の証明のようなことをやつていると私は思うが、テレビジヨンのこの受像機においてもNHKがやはり一つの規格というか標準規格というようなものを証明するような組織になるのかどうか。このNHK電波監理委員会でもどちらでもいいですから、お答えを……。
  83. 西崎太郎

    説明員(西崎太郎君) 実はこの規格の問題につきましてはこれの主管は御承知のように通産省が、JTI、日本標準規格でございますが、こういう名目で所管をいたしているわけでございます。そうして現在ラジオ受信機につきましてはそういつた規格というものはないようであります。そういうふうに思います。それでこのテレビの問題につきましては勿論この規格の問題が当然起つて参るわけでございますが、先ずこの規格で一番問題なのは部品の規格を統一するということ、あと統一された部品をそれぞれの業者の創意に基いていろいろなデザインをやつて行くという考え方一つ考え方ではないかと、こういうふうに考えているわけでございます。ただ、まだそのテレビの規格のJISにするかどうかといつたような点につきましてはまだ研究中でございまして、はつきりまとまつておりません。
  84. 山田節男

    山田節男君 今この標準規格ですね、これは受信機についてはNHKが規格の標準をきめられたことがあつたように私は記憶するのですが、これは事実に反するか、或いは若しありとすればテレビジヨン受像機に対しても将来行われるのかどうか。
  85. 岡部重信

    参考人岡部重信君) ラジオにつきましては只今お話通りつて日本放送協会におきまして、局型とか何か推奨したことがありますが、放送法のときに、そういう認定のようなものは一切いかんということになりましたものですから、それ以後放送協会としてはそういうことはできなくなつてしまつた。それからテレビジヨンにつきましては、これはもう申すまでもなく、規格を統一するということは、普及の上においても非常にいいことでございますし、又修理の面でも非常に役立つことでございますが、今申上げたように、放送法で認定制度というような、推奨制度をとることが禁ぜられておりますので、他の団体でいろいろ研究されるのにできるだけ協力して行きたいというような考え方でありますが、今実は制度としてではないのですが、技術研究所で設計を検討しまして発表した回路などが、自然関西方面で実はNHK型というような、ほかに長々しい文句になるせいかと思いますが、NHK型というふうに呼んでおりますが、私のほうでは別にそういうのをきめたわけでございませんので、研究所で研究したのを学界などはかりでなく、広く世間に公表したいというので、或る程度の何といいますか、標準回路として扱われていた例が今現実にあることはありますが、決して認定というようなことでやつているようなわけではないのでございます。又やれませんから……。
  86. 水橋藤作

    水橋藤作君 そうしますと、こういうことですか、我々心配するのは、今山田委員の聞かれた規格の問題ですが、我々の心配するのは、ラジオは今日本では仮にちよつと器用な人はどんどんこしらえておるわけなんです。従つて今度はテレビに対して素人と申しますか、規格にはまらないものを研究し、而もそれがほうぼうで出て来るというようなことがあつた場合に、やはり電波にいろいろ悪影響を及ぼすとか、いろいろな面が出る、支障があると思うのですが、そうした場合に放任しておくという結果になるのですか、そういうことなんですか。
  87. 西崎太郎

    説明員(西崎太郎君) 現在電波法で受信機につきましてしばつておる点は、その受信機から副次的に発する電波、これによつてほかの無線通信に妨害を及ぼすことがないように、そういう点だけを押えておるわけであります。いわゆる何と申しますか、再生妨害というような問題でございます。
  88. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 関連しまして……。これは郵政省の問題じやないと思いますが、通産省の問題だろうと思いますが、放送法制定のときに、尾崎委員からも非常に強い要望があつて、附帯条件として希望を述べられて通したのですが、或いは当時はラジオについては、日本受信機をスーパー化しなければいけないということで、我々も同感で、非常に強く、要望したのですが、その後政府のほうでもいろいろ骨を折られて、受信機をスーパー化するために、例えば月賦で購入できるような措置を講ぜられたことを記憶しておりますが、このテレビに関しましても、これはNHKテレビといわず、民間のテレビといわず、早く受像機が普及することが、而も良質の安い受像機が普及することが、何よりも重要な問題なんですが、そこで良質の安い受像機が仮にできたとしても、今の国民経済の水準から行きますと、なかなか普及は困難だろう、国民が買いやすいようにしなければならんというのが、問題として考えられるわけであります。その国民が買いやすいために、いろいろと援助の仕方はあるでしようが、例えば月賦購入の方法について特別にお考えになる必要があるかと思うのですが、この点については通産省方面と何らかお打合せをしておられますか。或いは日本放送協会でもこれに関しては何らかの協力をするように話合いが進んでおるのですか。その点をお伺いしたい。
  89. 西崎太郎

    説明員(西崎太郎君) 抑せの通りテレビ受像機につきましては、従来の月賦といいますか、或いは年賦といいますか、もつと長期間に分割するということは是非必要であると思います。そういつた点につきましては、これは実は今仰せのように通産省の所管でございますが、我々のほうは通産省と緊密な連絡をとりまして協力して、いろいろ考究しておるような状況でございます。
  90. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それはただ答弁のための答弁ではなしに、現実に真剣にこの問題について打合せが進んでおるのですか。
  91. 莊宏

    説明員(莊宏君) 通産省のほうで非常に真剣に考えておりまして、来年度の予算等におきましても、テレビ受像機の月賦販売のための調査費も、大蔵省に対して要求しておるということを聞いております。そのほかいろいろ月賦販売に必要な資金の面につきましても、開発銀行から金を引出すとかいうようなことについて、いろいろ研究しておるということを聞いております。
  92. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それでは本件につきましては他に質疑はございませんか。  御質疑がなければ、これにて質疑は終結したものと認め、討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それではこれより本件に関する討論を順次許可することにいたします。討論されるかたは先ず本件に対する賛否を明らかにせられてから発言を進められまするようお願いいたします。
  94. 鈴木恭一

    ○鈴木恭一君 自由党を代表いたしまして放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件、即ち日本放送協会の昭和二十七年度追加予算等の承認の問題でありますが、以下述ぶることを理由といたしまして承認することに賛成いたします。  本件は前に電波監理委員会におきまして数個の企業体からテレビジヨンを実施したいという申請がありまして、その際に日本テレビ放送網株式会社に対して予備免許を与えました際に、その決定を留保せられたものであります。その理由といたしましては実施に心要な収支予算事業計画国会承認によつて初めて確立されるのである、その収入の財源となる聴視料、いわゆる受信料はその収支予算に対する国会承認によつて確定するのである、その前に予備免許を与えるということは適当でないというのが主たる理由のように拝承いたしております。そこで今回政府日本放送協会免許を与えるということは放送法の趣旨にもかなつておるし、我が国の放送政策から見ましても適当と認めまして、即ち予備免許を与えようとすることを前提として、今回この承認を求める件について賛成の意見書を付けて提案せられたものであります。即ちここに政府放送事業に対して民営形態と公共形態と申しまするか、公共放送とを併立して今後テレビジヨン政策というものを行うという政策が確立せられたと見られるのであります。なお私はこの公共放送、民間放送が確立せられたという放送法の趣旨並びに放送政策ということに対して賛成をいたすばかりでなく、特にこの日本放送協会が現在標準放送、いわゆるサウンド放送をしておるこの企業体に、新たにテレビを併せて行うというところに注目しなければならないと思つております。  御承知のようにテレビジヨン事業の開設並びにその運営に対しましては非常な巨額な経費を要するものであるばかりでなく、その受信機等につきましても、その普及発達に関しましては国民経済の点からも考えなければならない時に、この放送政策が確立せられたとは申しましても今後いろいろの問題が起つて来ることも予想せられるのであります。今後も民間テレビと公共テレビとが勿論経営上……料金徴収、運営資金のソースに対しては違つておりますが……相反するものではないのでありますから、いろいろの面からこの問題は今後論議せられて行くのではないかと存じておるのでありまするが、どうか政府といたしましてはこれらの問題についてよく将来の方針を誤またず、その経営の面から見ましても、内容の面からいいましても曽つて電波監理委員会が申しておりますように放送事業の経営を広く国民に開放して、これによつて旧来のように放送の独占による弊害を防ぎつつ、他面国民の創意と工夫とによる多彩な放送事業の開設と運営によつて放送を通じて国民の思想と文化、経済の上に限りなき恵沢を及ぼさんことを期しておるのであるというこの方針に対して力強く裏付のできるような政策を今後是非お考えを願いたいのであります。両者相待つてよき成果を挙げられまして、国民に対して極めて影響力のあるこのテレビジヨンが立派な将来を展開するよう、この上ともの努力を強く要望いたしまして賛成いたすものであります。
  95. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私は放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件に関しまして賛成の意を表したいと思うのであります。  この案件によりますと政府は電波法及び放送法の精神に則りまして先に予備免許を与えられた民営によるテレビジヨンと、今回提案せられました全国あまねく受信できるようにテレビジヨン事業を行わんとすることを使命とする日本放送協会によるテレビジヨンとを併立さして、そうしてテレビジヨン事業の発展と国民の福祉の増進を期しておるものと考えるのであります。これは電波法及び放送法の精神に全く合致するものでありますから、日本放送協会におきましてはこれによる政府処理がありました場合には、この精神に則つて公共的な見地からテレビジヨン事業の実施に邁進をして頂きたいのであります。  なおこの機会に申上げておきますが、この日本放送協会の行いまするテレビジヨン事業はどこまでも公共的な性格を持つておるものでありますから、政府と協力をして、良質で而も安価に国民大衆テレビジヨンの受信のできるような措置をとるために、あらゆる努力を払つて頂きたいのであります。特に政府においては、テレビジヨン発足当時は非常に研究その他の経費が要することは明瞭でありますから、国民全般のために国家的な援助を惜しまないようにあらゆる努力を払つて頂きたいのであります。又日本放送協会は先ほども申上げたように、公共機関としての使命に鑑みられまして、徒らに民間放送事業会社との対立の関係を避けて、むしろこれを助長育成するような建前で、その使命達成に尽されるように希望いたしまして、本案に賛成をするものであります。
  96. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 日本社会党第四控室を代表しまして、日本放送協会昭和二十七年度追加収支予算事業計画及び資金計画について、国会承認を求めるの件に対して賛成の意を表します。  日本社会党としましては、放送法の審理に当つてすでに態度を明瞭にいたしておりまするように、本来は公共放送ラジオテレビも実施すべきだという見解を持つておることは、すでに御承知通りであります。そういう見地から私たちは日本放送協会テレビ放送実施が早く第一に実現され、着手さるべきごとを強く主張をいたしていたのでございますが、過去におけるああいう経緯からして、残念ながら今まで実現がしていなかつた。で、今漸くその緒につき始めたのでありますが、従つてむしろ遅きに失するの憾みがあるくらいに考えておりますので、そういう点からもこの計画が早期に実現するように、あらゆる努力を払つて頂きたいということを特に希望をするものであります。同時にこの計画自身が早期に実現をするためには、事業免許その他の問題が関連をいたしておると思いますので、この点についてはすでに大臣も早期に実現するために、支障なからしめるように全力を挙げて努力するということを声明されましたので、それに信頼をいたして大臣としてもその促進方に全力を挙げられんことを特に切望をいたします。同時にこの計画が早期に実現するのみならず、公共放送公共放送としてしかできない、いわゆるテレビ放送の全国化の問題をこの計画通りに短期間のうちに実現をされるという点についても万全の配慮をして頂きたい。それがこのテレビ大衆化への第一歩であると考えるからであります。更にこのテレビ大衆化の問題が先ほどからいろいろ論議をされましたが、これは主としては受像機の値段の問題にも関連いたすかと思いますが、それらの問題も考慮しながら大衆化の問題にも、これは放送協会としても監督官庁としても特段の御配慮を願いたい。同時に日本放送協会は今持つておられる技術或いは設備をば、有効適切にフルに利用されることによつてテレビの実現を早くする、或いは良質なものにし、或いは低廉なものにするということにあらゆる努力をお払いになるであろうし、それは又日本放送協会でなければできないことであると思うので、その面は十分に活かして頂きたいことは先ほどからの議論にも現われておりまするように当然でありますが、同時に併し特に望みたいことは、テレビ大衆化すると言つても、例えば五カ年計画の最終年度においても漸く二十七万個程度のものでありますから、その程度では依然として特定の階層のものに限られる憾みがありますので、そういうものの経理的な負担をラジオに負わすというようなことは不当であるというふうな考え方を持ちますので、両者の経理の混淆がないように、飽くまでも大衆の負担においてテレビの特別の階層が恩恵をこうむるというようなことのないように経理上の注意は十分にやつて頂きたい。それらの点を強く希望いたしまして賛成の理由といたします。
  97. 山田節男

    山田節男君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、只今議題となつておりまする日本放送協会昭和二十七年度追加収支予算事業計画及び資金計画に対して承認を与えることに賛成いたします。  そもそも我が党といたしましてはこのテレビジヨンの性質からいたしまして、当然公共放送であるべきことを強く主張して参りました。然るに電波監理委員会におきましては、全く我々の期待に反した経営形態をとりまして、これがためにラジオ標準放送経験もないし、設備もない、最初からテレビジヨンのみで出発するというような異例な決定電波監理委員会が行なつたということにつきましては非常に遺憾に感じておつたのでありまするが、第四次吉田内閣におきまして、今回日本放送協会に対しましてもこの追加収支予算事業計画資金計画を本国会承認することによりまして、仮免許を与えるということに、大臣の御趣旨の説明がございました。時期甚だ失したとは言え、この公共放送が軌道に乗り得たということは我が党としましても誠にこれは幸いであり、又国民のために非常に私は慶賀せざるを得ないのであります。今朝高瀬郵政大臣からの御確認もありましたごとく、大臣の御説明通りに本国会承認いたしましたのちにおきましては、早速ここの計画の実施、着手できるようにお取計らい願えるものと確信いたしまして本案に賛成するものであります。  なおいよいよ来年の二月から本放送を実施するNHKとしましては、日本におけるテレビジヨン放送の最初のこれは団体であります。申すまでもなく、テレビジヨンは政治、経済、社会の分野に革命をもたらすべき重要な事業であります。殊に公共企業体として革命的なテレビジヨン放送事業を行うということにつきましては、先ほど來審議過程において質問し、意見も申述べましたごとく、放送法並びに電波法に基きまして一部の階級、一部の人々の利益を図るためではないのであります。すべての国民がこのテレビジヨンの利益を受けるというように私は特にお願いするのであります。従いまして従来のNHKの経営に際しましては、自主独立の建前がありましても、従来の公共企業体の弱点といたしまして、とかくイージー・ゴーイングに陥りやすいということが言われておるのであります。この点は企業の形態の性質から来たる危険であります。この点はNHKの当局者におきましては、飽くまで自主独立、又企業体に対しましては、常に技術部面、この改善に努力されまして、日本の文化、経済、政治に対する貢献をするの意気を常に堅持されて、本放送の将来の発展のために最善の努力をされんことを熱望する次第であります。従いまして、やがて開設するであろう民間のテレビジヨン放送とは、おのずから使命を異にするのであります、従いまして、NHKは飽くまで公共企業体として、公共放送の実態に鑑みまして、世に迎合することなく、飽くまで経済、文化、道義の高揚がNHKの使命であります。これは会長以下理事者、又数千に及ぶ技術者、従業員の諸君、この公共性を常に念頭に置かれまして、日本の最初のテレビジヨン放送に対しまして、多大な期待を持つ我々国民代表としまして、NHKにかような重大な課題を、今国会を通過することによつて課せられるものであるということを、十分御認識を願わんことをお願い申上げまして、私は本法案に全面的に賛成するものであります。
  98. 水橋藤作

    水橋藤作君 私は労働者農民党を代表いたしまして、日本放送協会二十七年度の追加予算提出に賛成いたしますが、二、三点要望を申上げて賛成するのであります。私は基本的には日本の経済から行きまして、日本テレビ放送を二本にするということは、経済的に大きな無駄であるというふうに考えますが、事今日ここに至つては、これは一歩を譲りまして、一日も早く日本放送協会テレビの実施に当られることを望むに当つて、三点だけ特に要望いたしたいのであります。  その先ず第一点は、一つ企業体二つの仕事をいたしますることからして、従業員の労働が非常に過重になるのじやないかというふうに考えるのであります。まあ多少の人員は考慮されるとは申しながら、やはり関連する仕事が多々あるのだと思いまするので、労務管理につきましては十分に御注意願つて、労働過重にならないようにして頂きたいということが一つお願い。次に先ほど佐多委員からも言われましたが、この先ほどの大臣回答ではつきりいたしましたが、ややもするとこのテレビの赤字はラジオのあれに食い込んで行きやせんかという国民の一応不審を持つ点でありまするが、我々素人考えまするときに、この事業計画なるものを見まして、或いは五年計画によつて赤字が黒字になるという計画は、我々鵜呑みにできないのでありまして、この二百円の聴視料で、五年間でこのテレビの赤字が解消するということもむずかしいと我々は一応考えまするが、一応こういう計画をお立てになつて、その計画通り行けば幸いと存じまするが、節等約に十分留意されまして、一日も早く平常の赤字を補填されるように努力されんこと。と同時に附加えてお願いしたいことは、一つ事業形態二つの仕事に分かれて行くということが、先へ行つてどうかと考えますので、私の希望といたしましては、赤字が解消した場合は、日本放送協会が両方一緒に一つの形態になつておやりになつて差支えないのじやないかというふうに考えまするが、先ほど大臣は最後まで二つで、別に会計はやらなきやならんというふうな御意見を持つておられたが、私としては赤字が補填されれば一つでいいのじやないかというふうに考えます。なお又先ほど岡部理事説明では、あまねく全国に及ぼす場合、NHKの地方の建物とか、或いは機械、或いは人の手、いろいろと必要とする場合が最初のうちはあると思います。併しながら又あべこべにテレビで使う資材とか、或いは人の力をラジオが借りる面もあると思いまするので、そうした場合は、その間のいきさつを円滑におやり願えれば、私は放送協会が一本でやられて、会計面だけはつきりされておけばいいのじやないか、かようにまあ一応考えたわけであります。  以上を以ちまして強くこの労働強化にならないようにお願いいたしまして、賛成いたす次第であります。
  99. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 大体先ほど新谷委員の述べられた通りで賛成なのでありますが、ただ一つ私としては、これは一つ日本の科学に対しての希望なのでありますが、こういうことを始めますると、非常に一番熱を持つて研究いたしますのは、学生諸君であろう。そういうのをとかく取締るほうに厳しくなつて、折角の創意工夫を枯らしてしまうということがよくあるのであります。これはできるだけ無暗に取締らないで、広く一般民間の創意工夫を助長し、育成するという方向に心がけて頂きたい。その点を一つ申上げて賛成いたします。
  100. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それではこれにて討論は終結いたしました。これより本件に関する採決をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 御異議ないと認めます。  これより本件の採決をいたします。放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件、全部を問題にいたします。本件承認を与えることに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  102. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 全会一致と認めます。よつて放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件は、全会一致を以て承認を与うべきものと決定いたしました。  本件に賛成されたかたは順次御署名をして頂きます。   多数意見者署名     尾崎 行輝  山田 節男     鈴木 恭一  新谷寅三郎     佐多 忠隆  水橋 藤作
  103. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) なお本件に関する事後の手続、及び本会議における委員長の口頭報告等は、慣例によりまして、委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 御異議ないと認めましてさように決します。  では本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十九分散会    —————・—————