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1952-12-09 第15回国会 参議院 電気通信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月九日(火曜日)    午前十一時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     溝淵 春次君    理事            山田 節男君            楠瀬 常猪君    委員            鈴木 恭一君            新谷寅三郎君            稻垣平太郎君            水橋 藤作君           池田七郎兵衞君   国務大臣    郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君   政府委員    郵政政務次官  平井 義一君    郵政省電気通信    監理官     金光  昭君    郵政省電波監理    局長      長谷 愼一君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会承認を求めるの件(内閣  送付)   —————————————
  2. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それでは只今より委員会を開会いたします。前回に引続きまして、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題に供します、引続き質疑を行なつて頂きます。
  3. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 日本放送協会テレビジヨンに関する承認要求の問題につきまして、二、三根本的な方針だけを郵政省の当局からお伺いしておきたいのでありますが、テレビの問題については一昨年以来、この委員会でも随分議論を重ねたのであります。この点は組織も変り、大臣も送られましたが、大体の経過は御承知のことと思います。更にこれをここで繰返しては申上げませんけれども郵政大臣はこの前の電波監理委員会がここで述べておつたテレビに関する政策を、そのまま踏襲されるおつもりでありますかどうか。これにはいろいろな問題が含まれておりますが、テレビ実施について政府として考えなければならん問題がたくさんあるのでありますが、それを一々挙げませんで、全般の問題として、電波監理委員会が本委員会で述べたテレビに関する政策を、大体においてそのまま踏襲されるかどうかということを、先ず前提としてお伺いいたします。
  4. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 個々の具体的な問題になりますと、その問題ごとに又いろいろ意見があると思いますが、根本の方針としましては、今までの方針を堅持して行くというつもりでおります。
  5. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体わかりましたが、それでは個々の問題については更に個々にお伺いして行くことにいたします。  今度日本放送協会テレビ実用化試験局というものを作つて、本放送に至る前提として実用化試験を本格的に行う、それに伴つて必要な経費を殖やしたいということで来ておるのでありますが、テレビ実施に当つて郵政大臣日本の現状から見て公共的なNHK事業と、それから民間会社をしてやらしめるいわゆる民間放送と、この両建で行くのが適当であるとお考えになりますか、どうですか、その点をお伺いしておきます。
  6. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) その点はやはり根本的な問題だと思います。放送法によりまして、純民間放送というものと、有料による公共放送というものが併立するということになつているわけであります。ですから私はそれを尊重して行きたいという考え方であります。
  7. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 放送法がそうなつているからこれを尊重して行こうということでありますが、政策上それが不適当だと考えられるならば、放送法改正案をお出しになればいいわけでありますが、放送法の現在の建前を尊重しようということは、大臣としては将来に対しても現在の放送法建前が妥当である、適当であるとお考えになつているものと考えてよろしいですか。
  8. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) その通りであります。
  9. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それではその次の問題でありますが、その場合に公共事業体としてテレビジヨンをやる機関としては現在のNHKが適当であるとお考えになつたのですか。或いはテレビジヨンはよほど従来の放送とはその趣きを異にしているから、他の公共事業体を作るとか、何か他の公共事業体について考慮に入れなかつたのでありますか。その点お聞きいたします。
  10. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 今回NHK補正予算を提出いたしましたのは、やはりNHKのこれからの事業計画関連しまして出したわけで、私の意見を附して委員会承認を求めておりますのは、NHK計画予算両方関連があります。従つて現在の状態では公共放送としてNHKがやろうとしておるそれは適当であろう、こういう見解を持つているわけであります。
  11. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それからこれも一つ前提の問題なんですが、従来電波監理委員会は、テレビジヨン実施に当つては、若干の放送法その他の法律改正を必要とするのじやないかと思うということをしばしばこの委員会で発言しておつたのであります。場合によつては或いは違つて法律改正はしないでもいいようにも思いますというようなことも言つたこともあるのですが、実はこの委員会では大体において必要なる法規の整備をしなければならんという前提に立つて考えておつたのであります。、電波監理委員会も大体そういう空気であつたと思うのですが、これはまだ多少の時間はありますけれどもテレビジヨン放送開始までに放送法その他関係法律改正を提案せられる御意向ですか。今又そういう研究でも進めておられるのですか。その点をお伺いいたします。
  12. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) その点今までの経過をよく知りませんから、電波監理局長からお答えさせたいと思います。
  13. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 私から代つてお答えさせて頂きます。  只今質問の点につきましては、お話のございましたように、電波監理委員会におきまして、この問題をいろいろ検討されておられました時分に、放送法改正等につきましても研究を進めておるというようなことを発言されておつたと思うのでございますが、確かにテレビジヨンを実際に放送する放送を本式な業務として行われます場合に、一般社会に及ぼす影響も非常に大きいものでございますから、放送法において或いは所要の改正を行わなければならない点もあるかも存じませんが、それらの点につきまして、郵政省として電波監理委員会から、この本件につきまして引継ぎを受けました後も、現在研究を進めておる状態で、或いは法律改正まで行わなくとも、実際の運用如何によつてこの問題は解決できるかも知れないという状態でございまして、まだいずれとも申上げる段階にまで至つておらない状態でございまして、研究は進めておる状態でございます。
  14. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 まだどちらともきまつていないということですが、それは各国のテレビジヨンに関する取締法規なりその他の例を斟酌されても、現在のように日本放送協会に関する分は相当規定がありますし、又これについては直接に日本放送協会に対していろいろ監督規定がなくとも、実行上行政措置によつていろいろ指導し、又注意を喚起する方法もあるかと思います。民間放送に関しましては、僅かに二、三カ条に過ぎない、それで番組編成について特に問題が起ると思いますが、そういうことに関して、事業発足早々で、公共的な放送民間放送もまだここで自発的にテレビジヨンに関する放送コードを作るような段階に至つておりませんが、そこでテレビジヨンのこの受ける影響が非常に大きいという点から考えて、何らかのそこに措置が必要じやないかということを前々から言われていることなんですが、まだこれについても結論は得ないのですか。
  15. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 只今の点は、特にテレビジヨン番組についてのお話だと思いますが、実は法律改正というような点を考える場合に、この番組規律の問題以外に、受信料徴収の問題があるのではないか、そういう点で研究ということで申上げたのでありますが、特に番組規律の点を御参考までに申上げますと、これは一般的に申上げまして、言論機関に対する考え方と同じような考え方も或いは関連もあると申上げたほうが適当かと思いますが、そういう点からできるだけ規律というようなことは最小限に止めるべきであろうと思われますし、一方お話もございましたように、このテレビジヨンというものは、ラジオ等よりも一層社会に、或いは国民生活に及ぼす影響が大きいわけでありますから、よい番組編成されるように何らかの措置を講じなければならないことは当然だと思われますが、これをいわゆる統制的な方向にならないようにしなくてはならないと存じておるわけであります。お話にございましたように、ラジオコード或いはテレビジヨンコードというようなものを作らなければならないと存じますが、ほかの国におきましても、こういう問題は何と申しましようか、自律的な規制としてお互いがそういうようなコードを作り上げている、そういうような実情でございまして。できるならば私は法律上統制的な規定ということ、そういう行き方というものはできるならば避けるべきで、自律的な行き方でこの問題を解決するのが、図り得るならばそれが一番いいのではないかという考え方を持つておる次第であります。
  16. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 まだはつきりわかりませんが、御研究中ならば、成るべく早くそれは研究の結果をこの委員会にも御報告して頂きたいと思うのです。この委員会自体としてもそれについては非常に関心を持つてつて前々から研究を進めておるわけですから、政府のほうでもその研究の結果を成るべく早く委員会に御報告願いたいと思います。  そこでもう一つお尋ねしますが、こういうふうな新らしい分野に進んで行きます場合にはどこの国でも、まあアメリカのような例外はありますけれども、どこの国でもそうであつたと思うのですが、技術面相当にいろいろの研究をしないと、事業経営者に任しているだけでは、国民に対しては例えば非常に惡い受像機を押付けたり、値段の高い受像機を押付けるという結果になつて、これはどうしても国が相当経費負担もして、そうして研究を進めて、その結果を受信者関係者に使わせるという措置が大局的から見るとどうしても私は必要になつて来ると思う。殊に今特許の問題などがやはりあちらこちらに起つているようですが、これなんかも政府がよほどバツクして援助をしてやらないと、ただ業者間の両方の契約によつてきめればいいじやないかというような單純な考えでは、結果は皆国民に響いて来るわけですから、特に技術研究方面、或いは特許問題等に対して、政府自身が誰を代表するというのでなく、国民のために経費出して、国が自分でやらなくとも、国民のためにこれはおやりになるべきだと思うのですけれども、これらの点について見ると、予算等によりましても、政府のまだ努力が非常に足りないと思うのです。来年度予算もあることですから、今年の予算だけで律するわけには行きませんけれども、いよいよ来年から実用化して行くということになつて来ると、あれもこれもあらゆるものについて精密な研究をし、試験もして、いい性能のものが安くできるように措置される必要があるのじやないか。それについては前々から申上げていますから繰返して言いませんが、郵政大臣はその問題について特に関心を持つて頂きたいと思うのです。来年度予算なんかの編成に当りましても、研究費なんかについては特別に交渉せられる必要があるのじやないか、それらの点はどうなつていますか。
  17. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 来年度予算につきましては、只今事務的折衝をやつている段階で、どうなるかはつきりした結論はわかりませんが、私も新谷委員と同じような見解を持つておりますから、そういう研究費予算方面は特に重要視して行きたいという考えを持つております。
  18. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 なお細かい点でたくさん質問がありますけれども、他の委員が大分見えましたから、一応大きな方針だけは今郵政大臣伺つて、私の質問は留保しておきます。ただ希望しておきますですが、これは委員長にお願いしたいのですが、第十三回国会でしたか、殆んど終末に近い頃にテレビジヨンに関する免許措置がとられて、その後我々の手許には……今度NHK予算事業計画等承認要求があつたわけですが、その間の経過について所管省から報告してもらつたほうがわかりいいと思うのです。一々資料要求するよりも郵政省自体から自発的に報告すべき筋合じやないかと思うのですが、その後の、免許をされ、それからどういうふうになつて、どういうふうになつたという経過を、今日に至るまでのテレビジヨンに関する経過を御報告願つたらと思います。
  19. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 今の新谷さんのテレビジヨンに関する今日までの経過を概括的に報告されたいということについて(「賛成」と呼ぶ者あり)御異議ございませんか。
  20. 山田節男

    山田節男君 これは詳しくやると長くなるだろうし、公聽会もあつたり、いろんないきさつがあつたろうと思う。若しできれば前の電波監理委員会での議事録があると思います。これは長谷長官のところで編纂されておられると思います。この点は報告を受けると同時に、そういう電波監理委員会の去る一月の例のスタンダードの、標準方式公聽会が済んでから以後の免許に関しての電波監理委員会の御質疑経過、我々は部分的なものはそれを聞いていますが、長谷長官としても当時は長官として電波監理委員会に参加されない部面もあるのじやないか、こういうものは勿論当時の長谷長官としても御存じないだろと思います。そういうものが記録があれば、当然議事録だから、電波監理委員会は持つていなくちやならんものです。そういうものを全部とは言いませんが、今新谷君の要求されたものに附随して、解明できるような議事録コピーは必ず我々に資料としてお配り願いたいと思います。ですからこの口述の御報告と同時に後ほどそういう書類での参考資料を是非我々に配つて頂きたいと思います。それできますか。
  21. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 只今お話電波監理委員会議事録は確かにございますけれども、余部が現在非常に少くなつているらしいのでございますので、各委員皆さんがたに御配付申上げるということになりますと、印刷その他で若干の日数がかかると思うのでございますが、一応お日通しになるのに数部でよろしいという話でありますならば、明日にでもお届けできるかと思います。
  22. 山田節男

    山田節男君 今の新谷君の要求された経過報告重点の個所は一つと了解するのですが、例の第十三国会の末期八月三十日にそれができないで、九月一日午前零時二十分にこの日本テレビジヨン免許を与えることにきめた、この問題なんです。電通委員会としては大体委員会の支配的の議論としては、これは慎重にやるべしという議論であつたろうと思う。それをあえて電波監理委員会がかようなことをしたということは、これは一つテレビジヨン放送方針として、これが一つ重点だとも私は思うのです。私はそういうふうに信じているから、そのときの議事録というもののコピーを是非一つ頂きたい。
  23. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 只今お話電波監理委員会議事録は。相当長文の議事録になつておりますので、先ほど申上げましたように、印刷余部が少くなつておりますので、印刷等のために若干お時間を頂ければ提出できると思います。
  24. 山田節男

    山田節男君 今NHKの二十七年度の補正予算審議と、並びにNHK事業計画と併せて審議できる日にちにおいて御提供願えますか。これを審議する過程において拜見できれば、即ち三日とか四日の間に御提出できますか。
  25. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 大体三日くらいの日数を頂ければ用意いたします。
  26. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 補足しておきますが、私の要求している資料もこれに関する部分もあるのですけれども、私はこの委員会で、八月の二十八日か九日の最後の委員会を開いて、当時の委員長に対して最後的に忠告もしたつもりでおつたのですが、その政府のとつた措置がいい惡いという問題は、まあ経過報告を見てから私は意見を言うつもりなんですけれども、その後に、そういう措置をとられたその後に一体どういうことになつておるのかですね、系統だつた今日まで御報告はないのです。我々の手許には新聞に発表された、どこの放送局から申請があつたとか、それから公聽会をやるとかということだけは断片的に報告はありますけれども、それはどうでもいいので、我我は先ず政策の持つて行き方について議論をしたいと思いますので、あの措置があつてから後にテレビに関するどういうふうな措置をとられ、どういうところまで行つているかということを知りたいのであります。その後の今日に至るまでの経過がわかるような、これは簡単でいいのですから、そういう資料を付けて御提出願いたい。わかりましたか……。
  27. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) ほかに……。
  28. 水橋藤作

    水橋藤作君 ちよつとお伺いするのですが、昨日頂きましたこの予算、この前の委員会で頂きましたこの予算書によつて説明にもありましたが、月額二百円を徴収するということで、一日四時間放送する。それで大よその見積りとして二千百名ぐらいで、金額で六十四方だ、こういうことだけ見ますると、このテレビジヨン放送つまり経営相当不安の状態にあるのじやないかというふうに考えまするので、これに対して我々が、成るほどこうならば完全に黒字まで行かなくとも成り立つということがわかるように御説明願いたいということと、それからもう一つ、一方の広告放送収入と二百円徴収する収入とのバランスがどんな工合になる見通しを持つておられみかどうか。この点を二つだけ質問いたします。
  29. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) テレビジヨン放送についてのこれからの財政上の見通しの問題だと思います。細かいことは局長から御説明申上げます。
  30. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 私からお答え申上げます。只今質問受信料月額二百円というものの算出根拠についての御質問と、もう一点は、民間によつてテレビジヨンが行われる場合の広告料と申しましようか、それとの関係でございますが、只今お話がございましたが、受信料の二百円というものの算定根拠民間放送広告料とは、直接的には関係御存じのごとくないわけでございます。最初にNHK考えております月額二百円というものにつきまして、私ども考えておりますところを述べさして頂きます。この二百円と申しますのは、できるだけ低額で済むならば、公共企業体が行うということもございますし、テレビジヨンのようなものができるだけ国民に広く享受されるという点から考えましても、低額であるほどよいわけでありますが、一方お話のように、協会の経済的な見通しというようなことにも関係があるわけでございます。大体二百円という数字は、実際に放送協会テレビジヨンを行なつて行く場合の経費から算定して参りますのと、諸外国が大体テレビジヨンというようなものに料金をとる場合にどんな料金をとつておるか、その料金一般ラジオとの関係、或いは国民の所得のその関係等からの比較、それからラジオとか新聞とか雑誌とかいうものの値段との比較、そういう点からいろいろ検討してあるのでございますが、実はテレビジヨン放送運営費は、日本において現在までの経験もさようでございまするし、アメリカヨーロツパ等においても同じでございますが、大体ラジオの四倍の経費がかかつております。なお議案として御審議を願うことになつておりますNHKの二十七年度の追加予算も、そのテレビジヨン番組費等いわゆる運営費は、一般ラジオの四倍を見込んでございます。そういう点から考えまして、いろいろの点から考えて約二百円というのが適当ではないかというような結論になつたのでございます。私どもといたしましても、いろいろな点から、この二百円という額を研究いたしました結果、一応妥当なものと認めたのでございます。  なお、この二百円という聽取料を取つて行きます場合に、日本放送協会が予想するような受信機普及がなされて行つた場合には、大体東京大阪名古屋、この三つ放送局一体として考えます場合には、大体昭和三十年でございますから、今から四年目には大体ペイして行くようになる、黒字になるような予定に一応なつております。然るに今お話広告による放送の場合でありますが、これは只今手許資料を持つておりませんので、的確な数字で申上げることはできないのを遺憾と思いますが、お話のように民門放送広告によります場合には、大体スポンサーがそれを利用するかどうかといういろいろお客のほうの関係がございますけれども、大体ラジオの場合も同様でありますが、かかつた経費ということから算定して行きまして、一時間幾らということに値段がつくというような恰好でございますので、勿論余り経費が高ければ時間数がたくさん売れません。安ければ相当の時間売れるようなことで、何時間売れる、つまりスポンサー、或いは広告主と申しましようか、そういう方面能力と申しましようか、負担能力、そういうものとの関連がございますので、時間と値段というような関連もございますので、はつきりは申上げかねますけれども、それぞれの民間放送の場合でも同様でございますが、会社々々でいろいろ見込みが違います。併し大体初年度は勿論赤字でありますけれども、二、三年たつならば黒字になるだろうというような見込みをいずれも立てておるのであります。又アメリカその他の例を見ましても、三年或いは四年ぐらいは赤字のようでもありますけれども、四年目、五年目からは相当黒字になつて来ておる、こういうような状態であります。
  31. 水橋藤作

    水橋藤作君 いろいろお話下すつて大分了解がついたのですが、この二百円という基準をお出しなつた場合に、やはりラジオの四倍とか、諸物価等比較して二百円というものが出た根拠はよくわかりましたが、先ほどの説明では、私のお伺いしたのは、二百円で、一日四時間費して二千百名の聽視者があつて、六十四万円の収入がある、年度内に……。然るに二億九千五百万円も金をかけて、これがバランスが取れるかどうか、従つて二百円を維持できるかどうかというふうに私は思つたからお伺いしたわけなんですが、今の説明では、この二百円というのは決定的なものであつて、ほかの諸物価とか、或いはラジオの四倍にしようとするということから、又赤字状態は続かないで、この二百円で経営が成り立つという見方から行きまするならば、二百円というこの数字が、当分維持できるものというふうな見通しの下にお立てになつたというふうに一応了解しますが、それと反対に広告放送のほうでありますが、従つて広告放送のほうもやはりこの二百円程度収入ですな、一人月額受信料が、広告料金が二百円程度でやれるものであるかどうかということがはつきり私まだわからなかつたので、広告放送料金の基盤となるところの受信料が、やはり相手は利潤を目的とするならば、赤字にならない経営状態の一日も早いほうを希望するわけなんで、従つて広告料金というものは、それから矛盾したものを広告料金に当てるようなことがないかどうかということが、つまりNHKの二百円と、受信料月額二百円払う人にとつては、二百円の額と、それから広告放送経営する一人受信料が、標準をやはり二百円程度のものに置いてやれるかどうかということなんです。それをちよつとはつきりわからなかつたので御説明願いたいと思います。
  32. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 御説明申上げます。先ほど申上げましたように、日本放送協会月額二百円を受信者から受信料として徴収をする場合には、勿論初年度は二千百名程度しか見込んでおりませんから、お話通り収入が六十四万円で、これでは勿論ペイいたしませんが、先ほど申上げましたように東京大阪名古屋一体になつて、本年度及び来年度で建設をする予定に一応しておりますが、その三つを組にして考えます場合には、昭和三十年度から二百円ずつ徴収をして行く考え方黒字になる予定になつております。従いましてこの二百円というのは、やはり先ほど申上げましたように、できるだけ低額であるほうが普及上よろしいわけであります。それが何年聞か、三年間なら三年間、或いは五年間なら五年間としての計画を通して見まして、収支上成り立つならば、経費の上から見た受信料としての算定根拠が出て来るわけであります。そういう面から見まして、一応二百円という数字出しておるわけであります。  それから広告料の問題でございますが、広告料は確かに、たくさんの人が見られるようにテレビジヨン普及して行くに従つて広告料は高くてもいいわけです。若しも初期において余りたくさんの人がテレビジヨンを見ないということならば、広告の効用というものも限定されるわけでありますから、テレビジヨン広告料というものもそう高くは要求できないかも知れません。併し又一方最初には、たくさんのテレビジヨンによつて広告を行うというような企業が新らしく出発をし、いわゆる新規なものであり、又そういう業者が少なければ、競争ということが余りだくさんない結果、相当高い広告料を坂つてもいいというような点もありましようし、一概に申上げかねますけれども、大体十五分間で十万円とか八万円とか、或いは安くても五万円というような程度になるのではないかと思います。
  33. 水橋藤作

    水橋藤作君 そういたしますと、広告放送は一日の使用時間をどのくらいの見積りで今までおいでになるのか、ちよつとお伺いしたい。
  34. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) これは例えばラジオ東京考えておる見込と、日本テレビジヨン放送網株式会社が見込まれておるのと、皆それぞれ会社によつて違いますので、一概に申上げかねますが、大体一日二時間程度は売れるのではないかというふうに見ておるのが大体一般でございます。
  35. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 関連して……。こういう資料要求したほうが却つて質問のような点はわかりいいと思います。私も要求しようと思つたのですが、NHKと言わず、民間放送と言わず、これはペイするようになるのには、一体受像機普及がどの程度まで行くかという根本問題ですね。これは勿論聽取料にも関係があるけれども、主として受像機値段というものにも関係するだろうと思います。そこで両面から見まして、あなたがたのほうで免許を与えられた日本テレビ網のほうで予定しておる受像機普及は、年度別に一体どういうことになつておるか。それからNHKで予想しておる受像機普及は、年度別にどういうことになつておるか、それをあなたがたのほうで御覧になつて、主務官庁としてはこういうように普及するだろうという予想、その三つを列べて出して頂ければ、それを基礎にして我々は判断しようと思うのです。受像機普及が年度別にどういうことになるかという予想を出して頂きたい。それからそれに関連いたしまして、若しそうなつた場合には、民間の場合には一体広告料というものをどのくらい取るか、又業者によつても違うだろうし、いろいろありましようが、大体NHKのほうではそうなる、収入はこうなるだろう、民間会社のほうではどうなるだろうという予想、それからそれと又別個に、今現在日本で例えばブラウン管なども日本でもできるというお話ですね。作つておるのを私も見ましたが、受像機値段一体どういうように落ちついて行くだろうかという予想を、又あなたがたとしては、これについては根本の方針なんですから、日本国民普及させるのには大体どのくらいなければならんという一つの目標があるだろうと思うのです。これは通産省の所管に属する部分が多いけれども、電波監理局としてはやはりこれについて一つ方針を持ち、目標を持つていなければならん筋合いだと思いますので、現在各社で作つておる受像機が市販になれば一体どのくらいになるだろうか、それがあなたがたの見通しで今後どういうふうになつて行くだろうかということを、やはりこれも予想に過ぎませんけれども、大体の見当を示して頂きたいと思います。こういう資料要求するのは、私は言うまでもないが、根本の問題なんです。NHKなんかも、一体何年先になつたらペイするのか、民間会社は折角許可されたのだから、これが成立つようにしてやらなければならんと思うのですが、それもいつ頃になつたら収支償つて事業体としてどうやらこうやらやつて行けるようになるのか、その見通し如何によりましては、やるという決心をした以上は、私は場合によつて相当に国の金を使つてでも早くそこに到達するようにしてやらなければならないと、やらせますやらせますとおつしやつても、実際そこへ行くまでにみんなが手を上げてしまう結果にならんとも限らない。今申上げたような予想について非常にむずかしいだろうと思いますけれども、あなたがたの考えておられるところを資料出して頂いて、それを基礎にして検討してみたいと思います。できますか。
  36. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 只今新谷委員からお話資料は、まだお手許に差上げてない部分もございますが、日本放送協会のいろいろ年度計画、それから受信者の予想等につきましては、お手許に差上げてあります「テレビジヨン放送事業計画要綱」というパンフレツトのようなものがございます。これの例えば七頁を御覧願いますと、「受信契約者見込数」が、これは東京大阪名古屋、これを考えた場合の受信者の見込数が出ております。これを申上げますと、二十七年度では二千百名、それから二十八年度では東京大阪名古屋で三ヵ所で初めて二方五千二百、二十九年度では十三万七千、こういう状態に殖えて参りまして、三十年度では約二十七万になるわけでありますが、これに対して下の所に「収支見込」が出ております。先ほど申上げましたように、三十年度になりますと、受信料で賄えて黒字が出るというような一応の見込を立てております。なお日本放送協会では事情が許すならば、全国普及ということを目標にいたしまして、東京大阪名古屋に次いで福岡、仙台、広島、その他全国で約三十二局を設けたい。その場合の年度計画が八頁以下にございます。尤もこの受信機普及見込は、只今お話がございましたように受信機値段に非常に影響があるわけであります。この値段の点は、現在私たち一口に概略のところを申上げまして、テレビジヨン受像機のブラウン管と申しまして、画の写る大きな真空管がございますが、これの大体直径をインチで現わした場合が、それを大体単価一万円と言う、十二インチであれば十二万円、十七インチであれば十七万円というようなところが大体の見当でありますけれども、まだ日本では一インチ一万円というところまではこれが最初から行き切れないかも知れません。大体二年乃至三年頃にはこれが順次下つてつて、大体その半額程度に落着かなくては普及がむずかしいのではないかと考えております。尤も日本の家庭でアメリカのような十七インチ或いは十九インチというような大型のものが必要であるか、或いは七インチ程度でも或る程度は我慢ができるのではないかというような点もございますので、この受信機値段というのは、画の大きさの点もございますが、一概には申上げかねますけれども、大体NHKがこの受信者の見込数等を検討いたします際は、初年度、つまり現在では大体平均して十六、七万円見当を見込んで、それが買えるような階級のかたのいわゆる所得の上から調べまして、或るパーセンテージでこういう数字を検討いたしているのでありますけれども、逐年それが減つてつて安くなつてつて、五年目にはたしか初期に十六、七万円しておつたものが五、六万円になると、こういうような考え方でおります。この考え方につきましては、私どもとしても関係省である通産省ともいろいろ連絡をとつているのでございますが……。大体実際の品物の程度にもよりますので、一概には申上げかねますけれども、大体こういうような考え方で大きな狂いはないものと私たちは考えている次第でございます。
  37. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 お話はわかるんですけれどもね。それが基礎になるわけですね。例えば今ブラウン管のことをお話になつたのですけれども、今ブラウン管を東芝なりほかの会社なりで造つているとして、それが例えば十二インチなら十二インチでもいいが、それでどのくらいしているか。従つて受像機というものは一体日本で市販に出すとすればこのくらいの値段になる。これはまあ東芝にしたつてそのほかの会社にしたつて一応の原価というものはあるわけなんだから市販にするという場合に値段というものは大体考えられるでしよう。その市販の値段が大体どのくらいになつておるか。あなた方として理想的にこうであればいいなあというのでは困るので、こうなりますとこういたしますという、政策としてここへ持つて行きたい。ここへ持つて行くべくこの最大の努力を払うのだというその値段ですね。それは受像機が七万円とか十万円になればこれはうんと普及します。そこまで今のあなたの簡単な御説明だけで、我々もうその信用してしまつていいのかどうか疑問ですから、さつき申上げましたような資料を成るべくあなたの手で揃えられる限り揃えてお出し願いたいというわけです。一例を挙げますと、どうもさつき水橋君の質問に対して御答弁になつた点で不審に思いますのは、例えばNHKのほうの見積によりますと、ここの事業計画要綱に書いてあるように、今お挙げになつた七頁、八頁に或る程度の見込が出ている。これもわかります。併しこれをNHK出したからその通り行くんだということは言えない。それは今申上げました受像機の製作とこれは裏表になるわけですから、そこで主管庁として果してこれこのままに受取つていいとお考えになるのか。受像機の製作はこれくらいだから、NHK計画はこうなつているけれども、恐らく実際にはこうなるだろうという、そこに違つた見通しが出て来るわけでしよう。それから民間放送会社免許を受けた放送会社見通しを聞きましても、我々の手許に、ずつと前に配付された資料によりますと、大分NHK普及見通しとは違う。あなた方は一方民間のほうに対しては非常に早く普及するであろうという見通しをもとにしてあなた方は根拠を与えておられる。一体どれを基本にして主管庁は考えておられるのか。これはNHKに対する受信料の問題にも関係いたしますし、又折角免許を与えられたのだからあなた方はやはり民間会社も育成して行かれる責任があるだろうと思う。その場合にそういうふうな非常に甘く見たり、受像機普及率を基礎にされておつたんじや非常に困るので、その両者はやはり考えてもらわなくちやならん。水橋君の御質問に対するお答えに対しても、私はそういうのを今聞いておつて民間のほうじや二、三年もすれば黒字になるだろうという予定でありますが、これは民間はそういう予定されているだろうが、実際はそう行かないでしよう。そこで計画としてどうするかということを我我考えたいので、今申上げたような資料をそれだけ完備されて、あなたがたの考えておられるところを率直に示すような資料として出して頂きたい。
  38. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 御要求資料が御満足行くようなものができるかどうか存じませんが、調製いたしまして提出いたします。なお私が先ほど申上げました受信機の一インチ一万円というのは、大体日本が近く売出しをする場合の大体の標準になるのではないかということでございます。現在外国品等が相当日本に入つておりますが、これは今申上げた率よりは高い値段になつておりますけれども、国内品は恐らくその近所に行くだろうということでございます。現在は日本のメーカーの作つたものは、特許等の問題が最後的に調整ができておりませんために、製品として売出しはされておりませんので、値段の点は何とも申上げかねますけれども、大体今申上げたのが関係者の間の一応の見当ということになつております。その点を御了承願いたいと思います。
  39. 山田節男

    山田節男君 これは大分各論に亘つて質問しておつたのでありますが、私は前回実は欠席いたしましたので、若し私の質問委員の前のかたが質問されたことに重複しておつたらこれは御返答に及びません。  私は郵政大臣から出されたNHKの二十七年度の補正予算、それから資金計画事業計画、この意見書によるテレビジヨンに対する吉田政府の根本的な態度を私は確かめた上で各論に入つたほうがいいんじやないか。その第一は、これは御承知のように日本テレビジヨンを開設するに当つて標準方式はどうするか、殊にいわゆる周波数の幅を六メガか七メガか、これは新谷君がおられるが、新谷、寺尾、私並びに衆議院の者が二名行つて、昨年いろいろとテレビジヨンの、我々技術家じやありませんが、ポリシーとしてのテレビジヨンを見て来て、先ず第一に標準方式で非常にもめた。これは我々が電通委員として、慎重にやらして昨年の十一月の末にきめようとしておつたものが、今年の一月に更に慎重な標準方式公聽会を開いて、そして大体この標準方式がきまつた。ところが果してテレビジヨン経営形態はどうするか、公共放送にするか民間放送にするか、これはもう申すまでもなく、イギリスのごときはこのためにもう八カ月も経営形態について、公共の放送民間放送かということについて慎重な審議をした。フランス然り。然るにこの問題については当時の電波監理委員会は、国会に対して慎重な議論をした経過についても我々に余りよく見せない。我々全くつんぼ桟敷で以て第十三国会の末期、而も国会が延期すれば、更に電波監理委員会のこの経営形態をどうするかということの審議結論も出さないで、いよいよ延期した国会の最後の日の、而も時間的には一日の午前零時十五分に民間放送に決定したという実はいきさつがある。これは大臣御承知の通りだと思う。ところが勝手に吉田内閣として、テレビジヨンに関しては民間放送を先ずやるのだという態度をきめておいて、そうして今回NHKテレビジヨンに、これはテレビジヨンの施設を目的とした補正予算事業計画、資金計画、これに対して郵政大臣意見書を見ると、あたかも公共放送もやる、こういうふうに見える。そこに僅か数ヵ月の間に吉田内閣としてテレビジヨン経営形態に対する根本的な変化を来している。で、そういうふうなことは、あなたの意見書を見るとそういうふうに感ぜざるを得ない。そこでこの一体こうしてNHKの資金計画事業計画、それからこの補正予算、これについての意見書を出されている趣旨は、これは若し今出されているNHKテレビジヨンに関する関係事項を国会承認をすれば、NHKテレビジヨン放送免許すると、こういうことなのかどうか。これはもう過日NHKに対して実用化の試験放送はこれは仮免許されたということは、私はこれは新聞では読んでいる。併しこういうものを出された意図は、もう政府が根本的に民間放送に行けないのだ、これはNHK免許した、この国会承認すれば直ちにテレビジヨン放送免許をするのだ、こういう前提であるかどうか、なぜそういうように吉田内閣として、第三次内閣においては民間放送オンリー、この四次内閣では公共放送もやるんだというふうに見えるのですが、この点は一つ大臣からはつきりして頂きたい。
  40. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 行政機構改革によつて廃止されました電波監理委員会というものが、郵政省関連するのでございますけれども、御承知のように非常に強い独立の権限を持つてつた委員会であります。そこでお話のような決定が行われたわけでありますが、当時の委員会の記録を見ましても、日本放送協会の申請に対して留保しておりますけれども、これはいずれ当然予備免許を与えるべきものだという意見が圧倒的なようであります。その点では当時の委員会意見とも決して矛盾はしておらないと私は解釈をしております。  それからこの予算承認されるように求めたということは、事業計画も同時に考え承認を求められているわけでありますから、これは求めることはいずれNHKに対しては認可をする方針の下に求めている、こう御解釈を願いたい。
  41. 山田節男

    山田節男君 これはさつきNHKにも免許を与えるべきだという意見が支配的だつた、こういうことを言われるのです。その点が私、先ほど資料電波監理局長長谷君にお願いしたのはそこなんです。これは必ずしもそうでなかつた、この点は大臣少し私はもう御意見が違うのじやないか。この点は出される資料によつてはつきりされたいと思います。  第二点は、そうしてこの民間放送日本テレビが先ず仮免許を与えられて。今やその準備をしつつある、この計画を見ますと、民間放送よりも早くこのNHKはもう放送ができるようなことになつている。一体この先ほど申上げたように外国、アメリカはまあこれは別ですが、北ヨーロツパの日本の国情とやや経済的に事情を同じくしているような国はもうすべて公共放送なんです。公共放送をもうすでに三年、四年、五年もやつて、殊にイギリスのごときはもう五年以上も公共放送で、極く最近民間放送を、極めて限られた範囲の民間放送を許すと言つている。フランスではそういう民間放送というのをやつていない。公共放送だけでやつている。そういうふうに国策からすれば、当然日本として公共放送でやるべきものだというものを、あえて吉田内閣の電波監理委員会はそういうように民間放送をやらしておいて……、逆になつている。ヨーロツパのイギリスあたりを見ると、先ほど新谷君も質問されたように、一体このテレビジヨンの聽視者、こういうものが、果してさつき長谷長官が言われるように、ここにちやんと認められているような工合に、而も有料の公共放送が先にできて、そうして今のような計画をされる聽視者というものの開拓が容易にできるかどうか、イギリスのような公共放送を長く四年も五年もやつてつて、そうして民間放送をやるというのならば、これは私は非常に危險性が少いと思う。民間放送もまだ始らないうちに而も有料な公共放送を先にやる。そこに将来の見通しというこの根本問題になつて来ると思うのですが、NHKの事案に対して根本的な私は一つ見通しというものについて大きな錯誤を来たすのじやないか。これは新谷君の言われた通りじやないか。そこで一体政府として民間放送を許し、更に公共放送を、これが通れば、国会承認を経れば公共放送も許す。ヨーロツパから比べれば逆の状態です。そうすると一体政府として民間放送公共放送とを併用して行かれるという御意思のようですが、そういうような場合に先ほど御指摘があつたように放送法、現行の放送法はもう五十九条のうちで民間放送はたつた一カ条しかない。放送法の主体は日本放送協会です。こういうところに今後政府としてテレビジヨンに関する限り民間放送公共放送と併用されるということになれば、これはもう国策として放送法改正だけじや済まない。何か確固たる政府方針がきまつていないと非常な混乱を来たす。公共放送をやつてみたけれども金は儲からない。民間放送は而もラジオ経営をしていない、テレビジヨンだけ経営するという極めて異例なものを先へ免許しておいて、一体そういうような混乱を来たすようなことにならんかどうか。混乱を来たすということを予想して、こういうテレビジヨンに関して民間、公共との両方をやる、政府は何かそういうことについて調整するのですか。公共放送もペイし民間放送もペイするというような大胆極まる民間、公共両放送を併用してやる。どういう一体見通しがあつてこういうことをされるのか。この点について大臣の明確な所見を一つお伺いしておきたい。
  42. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 御承知のように電波法によりますと公共放送民間放送は併立できるということになつておるわけであります。それで民間放送一つについてはお話がありましたように、電波監理審議会においてこれが予備免許が与えられておる。そこへ今度はNHKテレビジヨン放送についての免許があとから来たわけでありますが、電波法によりまして、やはりNHK公共放送としてテレビジヨン放送を始めたいという申請がありました場合には、それの計画予算等を十分勘案いたしまして、これは適当であるとすればやはり免許を与えるのが適当である。こういう見解の下に今回は事業計画予算の御承認を求めておるわけであります。
  43. 山田節男

    山田節男君 このテレビジヨンの、先ほど申上げたように例えば民間放送を二年も三年もやつておいて、或る程度の視聽者の開拓ができておつて公共放送をやるなら、困難だけれども大体目安がつく。ところが民間放送を許しておく、それが開局しないのに公共放送がいわゆる日本における処女放送をやる。而もこれは有料ですから、サービスではありますけれども一つの企業形態として考えなくちやならん。そういうことについて今長谷局長が言われるように、これが四年ぐらいたつたらば大体収支償うだろうということを言つておりましたが、若しこれがペイしない場合、幸いにして実際においては一千万の聽取者をおいてどうにかやつておるようですけれども、併し従業員の給与べース・アツプについても、こういう公共企業体予算を以てやる場合に非常に困つておる。こういう場合に更にテレビジヨンというものをプラスしてやつた場合に、少くとも今の予算で三年間絶対赤字だ、企業体である以上は政府として、NHKが今そういう一つの大きなテレビジヨンをやることは大きな冒險だと思う。非常なリスクを以てやるという場合においては、政府公共放送免許するということになれば、NHKに対して単なる資金計画という以外に何か特殊の、特殊というのじやないが、そういうものに対して助成金なり或いはその他の助成方法をとる、そういう覚悟で公共放送をお許しになるのかどうか、この点明確にして頂きたい。
  44. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 現在別にNHKに対して特別な補助というようなことは考えておりません。NHK出しました予算につきまして、長谷局長からお話がありましたように、三年間は赤字だ、四年先からはまあ収支償つて行く、こういう計画資料について検討いたしまして、大体その通り行けるのじやないか、こういう見通しの下に意見書を作つたわけであります。
  45. 山田節男

    山田節男君 これは又今出されておる、承認を求められておりまする事案の質疑の過程において質問したいと思いますが、もう一つ質問して置きたいことは、このNHKによりましても東京名古屋大阪テレビジヨン放送を開始する事業計画を立てておるのでありますが、テレビジヨンの中継というもの、これは今はどうか知りませんが、すでに免許を得ておる日本テレビはマイクロ・ウエーブで以て中継の事業をやるということを言つておる。このNHKがやがて全国のネツト・ワーク計画を作るということになれば、当然中継回線ということが問題になる。これは郵政省の電気通信関係で以て、この中継につきましては或いは電電公社や何かによつてマイクロ・ウエーブの中継、或いは何と言いますか、コアシアル・ケーブルですね、こういうテレビジヨンの中継を政府でやるというおつもりなのかどうか、この点を一つお聞きしておきたい。
  46. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) ちよつと技術的な問題がありましたから、局長から御説明いたします。
  47. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 只今の御質問についてお答え申上げます。このテレビジヨンを全国的に行おうという場合には、御指摘のように中継という問題が起つて来るわけであります。いろいろ技術的にも或いは経費の点からも、今度はコアシアル・ケーブルでなしにマイクロ・ウエーブであるのが大体最近の傾向であり、実際的のようでありますが、電々公社がこのマイクロ・ウエーブ施設を施設いたしまして、若しもNHK或いはその他のところでもテレビジヨンの中継の要求があれば電々公社が施設を提供する、こういうことで準備を進められております。聞くところによりますと、来年の末には東京大阪間にマイクロ・ウエーブの中継回線ができ上る予定だということを聞いております。
  48. 山田節男

    山田節男君 それからもう時間がありませんから別個の問題を一つ。私はこれは質問というよりか、まあ質問もかねておりますが、非常に遺憾であることは、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われた国際電気通信会議、聞くところによると理事国になることが逐に失敗したということを私は聞いたのですが、このことに関しては電通委員会は非常に心配しまして、先月の中旬だつたと思いますが、衆参両院の電通委員会は、電通委員長の名前でアメリカの首席全権であるド・ウルラに電報まで打つておる。私個人としてもアメリカの首席全権に手紙を以て航空郵便で理事国に選出されることをお願い申上げた。ところが遂にこれは落選したということを聞いておる。そうしてこのことは、これは私は郵政大臣に申上げたかどうか知れませんが、私が郵政次官に聞いたときに、極めて楽観的なことを言つておる。併しこれは単なる希望的観測に過ぎなくて、次点のレバノンの次であるという無惨な敗北を喫しておる。これは私はこういう電波行政という極めて重要な国策が郵政省の一部局として置かれて、如何にも継手扱いになつたというか、私はやはり大臣なり次官の努力が非常に足りない、これはもとより大蔵省がやはり一文惜しみの金失いというようなことも、これは同情すべき点があると思いますが、とにかくかような事態になつたということは非常に残念である。このことは将来の日本の電気通信行政というものが非常に不安を持たざるを得ない。この点につきましては、これは一国際会議の理事国の問題でなく、只今出ておる電通の従業員の給与の問題にいたしましても、郵政省に合併したがために、郵政大臣としても非常に御苦労なさる。従業員は非常に不満である。又電々公社もこれによつてますます困るという事態が起りますと、非常に残念だと思う。これはこういうような現われが今後他の方面に起るということが、非常に私は日本のために不安でもありまするし、非常な損害であると思います。十分一つ大臣に気を附けて頂きたい。  それからなお、この前に長谷長官から伺つたのですが、日本が東洋において、アジヤにおきましてこの無線の交通量から申しましても、当然これは一流の国である。従つて占領軍政下においてはこのITU、即ち国際電気通信会議に対して八等と言いますか、エイス・クラスの負担金を持つておる。今度は一等の負担金をするということを申入れてあるということを長谷長官から承わつておる。而も我々情報を聞くと、このITUの予算は、従来の四百万フランから六百万フランにきまつておる。約六百億円、一スイス・フランが約百円であります。そうするとこの一等負担金をしておりながら理事国でない、こういう極めて不細工な状態になつておるわけであります。政府としては、理事国としての資格を得られなかつたけれども、やはり負担金において一等国としての態度を堅持して行かれるのかどうか。それで一等国というと、邦貨にして幾らぐらいの金が要るのか、これがわかつておれば一つお伺いしたいと思います。
  49. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 前回の委員会只今お話の点は政府から御報告申上げまして、努力の足りなかつたことにつきまして陳謝の意を表したのでございますが、只今の理事国選挙の点は遺憾ながら落選をいたしましたけれども、約三十二国の支持を得てもう少しで当選というところまで行つたのでありますけれども、残念ながらお話のような結果になつて、現地におる者も非常に努力いたしたようでありますけれども、今のような結果を涙をのんで報告して来たというような状態でございます。  なお只今お話の分担金の負担の等級につきましては、選挙の前に各国が通告をすることになつておりまして、私の記憶違いがなければ、たしか十二月の二日を最後の期限として各国から通告をされております。そのときに日本が一等国になるように通告がなされております。その後に選挙が行われましたのでありますが、先ほど申上げましたような結果になつたのでございます。  なお一等ということで分担をいたしますと、邦貨にいたしまして、来年度のITUの予算がまだ本ぎまりになりませんので、はつきりしたことはわかりませんが、約千数百万円ぐらいになるのではないかと思います。
  50. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 簡單に質問をいたしますが、この議案を審議するときに前提になりますから……。簡單なことですが、只今出ております日本放送協会の追加、補正ですが、追加収支予算、これはテンビジヨンに関するものでありますが、日本放送協会では一般放送と分離して、テレビジヨンというのは特別会計にしてやろうというおつもりですか。内部規程で特別会計のようなものをこしらえてやるのか。耳で聽いておる放送のほうの予算がありますね、それとはどういう関係を持たせるのですか。一本の会計で行くのか、特別会計のようにして行くのか、この点ははつきり出ておらんが、どちらですか、それだけ伺つておきます。
  51. 長谷愼一

    政府委員長谷愼一君) 只今質問の点につきましては、経理上はこれを明確にして行くというのが基本的な考え方になつております。この点はこの大臣意見書の点にも申述べられておりますし、電波監理審議会がこの意見書の諮問を受けて、いろいろ審議をなされたときにも、特に審議会から大臣宛の答申書の中にもこの点に言及されておりまして、今お話の特別会計というようなものができなくても、経理上ははつきり区分をするのが適当である、こういうような意見もありまして、放送協会自身もそういう考え方でやりまして、今、議案の収支予算の一番最初にございます追加予算総則の第四条にもその気持を現わした事項がございます。つまりこの経理の金額は事業計画に定められた事項以外に使用することはできないという流用禁止の事項等を入れてありまして、はつきりして行こう、こういう考え方でございます。
  52. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 その点は又次の機会に讓りますけれども、そういう流用禁止の規定一般予算総則の四条にも書いてある。別にテレビジヨンに関することにおいて特別の規定じやない。すべての項目について一応国会の議決を経たものは流用を禁止しておる、原則として……、これは当然なことと思います。併し私の聞きたいことは、そういう技術的な細かいことでなくて、この放送収入で、受信料収入で得たものをテレビジヨンのほうに相当使つてもいいかどうか、それは予算の立て方にもよるでしよう。来年度予算等考えた場合には、研究費、技術費、これは両方に共有の部分も出て来ると思いますが、それはテレビジヨン普及しない間は、放送のほうで或る程度つて行くのだというような考え方をして行つていいのかどうか、あなたがたはそれをどう考えておられるかということを聞きたかつたのですが、この点については時間がありませんから、次の機会にもう少し詳しくお聞きしたいと思います。
  53. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それでは新谷さんの先ほどおつしやつてつた点、電々の五ヵ年計画とか三ヵ年計画資料、あれは……。
  54. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 資料要求をしたいのですが、電々公社の将来の計画について、電々公社では電通省時代から五ヵ年計画とか三ヵ年計画を立てられるということを言つておられる。公社になつてから将来の基本的な計画を一応作成する場合に、五ヵ年計画を作られたということを聞いておりますが、その五ヵ年計画の概要と、それに伴う資金計画を次の委員会に御提出願いたいと思います。
  55. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) よろしうございますか。  それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後零時三十分散会