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説明員(
大野勝三君)
只今山田委員から今回の
アルゼンチンにおきます
国際電気通信会議の我がほうの活動振り、その他につきまして大変御理解のある又非常に御
同情のある御
意見と同時に、
郵政省としての考え方についてのお尋ねがあ
つたのでございますが、
山田委員も申されておりました
通りこの
国際電気通信会議は
独立後初めての
会議でもございまして、非常に我々といたしましてもこれを重視いたしておるものでございます。そのために
全権といたしましては高木、
花岡二人の
全権をこの
会議に出てもら
つておりまして、そのほかに
全権代理といたしまして徳久、
吉嶋の両氏及び
専門の
随員といたしまして更に二名のかたが
行つて都合六名の
代表団ということでいろいろお骨折りを願
つておる次第でございます。いつもの例でございますというと、この
国際電気通信会議の際に必ず並行的に
無線主管庁会議というのがある例だそうでございますが、今年はどういうわけでございましたか、どういうわけというよりはこの主
官庁会議のほうは引続き一昨々年から毎年
相当真剣な
会議検討を重ねて来てお
つて、昨年その
結論を、つまり
周波数の
割当その他の重大問題について或る
結論を得たという
事情によるものでありましよう、この長い間の例を破りまして
国際電気通信の
全権会議だけで、
通常は並行的に開催されます主
官庁会議のほうはないのでございます。ないのではございますけれども、
全権団といたしましては
従前の
全権或いは
代表団を送
つたのに比べまして、必ずしも
劣つてはいないという
陣容で
向うに
行つて頂いたつもりでおるわけでございます。
国際通信の非常に重要なことにつきましては
只今いろいろと
お話にありました
通り誠にこれは
日本としては一番大事な無形の資産、資源とも言うべきものでございますので、極力この
国際電波戦において負けをとらないように
努力をいたして行かなければならないのでございますが、たまたま
占領下におきましてもすでに一昨々年に
国際電気通信の
条約に復帰を許されましてから
只今申しましたような一昨々年以来のこの
関係の
国際会議は総計我がほうから正式の
代表団を送りましたものでも恐らく五回か六回にな
つているのじやないかと思いますが、毎年この
代表団を送
つております。そうしてこの
周波数の
割当ということが当面非常に大きな関心の問題でございましたので、これは三年に亘りまして三回同じ問題を討議し非常に、中には五ケ月の長きに
亘つてその問題を主にして討議をしたというような
経過もございますが、それは一昨年のイタリーのフローレンス及びパロスにおける
会議でございまして、その当時は勿論
電波監理委員会でございましたが、その
電波監理委員会から
正式代表を
相当数派遣しまして十分に我がほうの
主張を述べておりましたが、その
会議においてもついに
結論が得られないでお
つたのでありますが、いよいよ昨年の秋の
会議で大体
結論が得られ、その
最終決定が暮に効力を発生いたしております。それに基きまして各国ともその
割当てられました
周波数で
国内の
無線の
割当その他の
行政面で
只今それぞれ実行の段階に入
つておるというのが
実情でございます。そういつた
関係で恐らくこの
国際会議におきまして、これほど
日本の各
方面を通じまして
代表がしばしば海外に出てその国の利益を
主張するために
努力を続けて来たという
分野はほかの面では少いのじやないかと存じております。それは仕事の性質上どうしてもそうならざるを得ないということはこれ又当然でございましようが、そういういきさつで今回のこの
アルゼンチンにおける
会議は、これは
全権会議には今当然慣例的に、並行的に行われてお
つた無線主管庁会議のほうがないということが
従前とは異な
つておるのであります。異な
つてはおりますが、
全権団といたしましては
従前と劣らないものを送
つてあると、こういう
状況でございます。ただ実際の
会議の
議題等は、そういう
意味でありますから重要な
部面が除かれてはおりますけれども、
お話にもありましたような、例えばアジアにおける
無線の指導的な
地位を実力的にも持
つている
日本が、五年に一回のこの
会議に出て、顔を出すだけでなくて毎年中間の間においても事実上の
執行機関の
メンバーとして活躍し得る
機構である
管理理事会の
メンバーにも入る絶好の
チャンスでありますので、そういうことは実は非常に重要な問題であるわけであります。この点は
全権が
向うに参ります際にも特に重点を置いて、
相当いろいろと
外務省方面とも連絡をとりまして、
現地と、それから
国内と双方でいろいろの画策をして
努力をしておられる
模様でありまして、そのことは逐一我々も
報告を受けております。ところがこの問題が当初はもう殆んど
日本が
管理理事会に出る余地というものはないということで、その場に臨んだ
全権からの
最初の
報告では非常にこれは悲観的でありました。殊に、尤もこれは余計なことでありますが、この春から夏にかけましてブリユツセルで
万国郵便会議がありましたが、その際丁度同じような問題がございました際に、
日本に非常に
最初から
好意的に
援助をして下す
つたアメリカ側の
代表団の力なども大いにあずかりまして、
日本はその
万国郵便連合にもやはり丁度この
国際電気通信連合の
管理理事会に
相当するようなエギゼクテイブ・コミツテイーというのがありますが、それの
メンバーに出ることに成功いたしました。ところがこの
国際電気通信連合ではその最も頼りとしておる
アメリカの
代表のかたが初つぱなから私は実は……、この話は若し速記に載
つて都合の悪いことでございましたら、
あとで
一つよろしく削ることをお許しを願いたいのでありますが、或る国を支持することをすでに
約束をして来ておるので、今更その
約束を破
つて日本を支持するわけに行かないというようなわけで、一番力にしておるところから初つぱなにそういうことを言われるし、大変困つた
状況だということをいろいろ伺
つておりました、ところが
只今山田委員の仰せになりましたような
事情が恐らく
会議国の中に
相当に行き渡
つて来たものと見えまして、と申しますのはこの
会議の当初にやはり今
お話にも出ましたような
民主主義自由国家群と、そうでないほうの側との間に
会議の
出席或いは
代表を認める
問題等をめぐりまして、かなり深刻な論争が行われたようでありますが、そういう
一つのこの
国際外交の微妙な
空気が会を支配しておることは
郵便会議の場合でも同様でございましたが、そういう
関係でございましよう、だんだん
日本の
管理理事会に立候補すること、或いはそれに
選挙をされることについての
可能性が次々に出て参
つておるやに
只今では
承知をいたしております。殊にこの十一月三日の、
日本では文化の日でありましたので祭日でございましたが、その十一月三日の日に
現地で、
現地の大使館とタイアツプをいたしまして、
全権団が主要の
代表国の
代表団を招待をいたしまして、かなりまあ無理をして少し気前を見せたようでございますが、それなどもこれは
理窟以外の
理窟とでも申しますか、
相当好影響もあつたやに
報告が来ておりました。そういうことで漸次
空気が
好転しつつあるということで、多分
管理理事会に、まだ勿論
選挙されるということはこれは
選挙でございますから申上げるわけには勿論参りませんけれども、
空気は当初の非常に暗いところから
漸次好転をいたしつつあるというふうに聞いております。ただ
分科会が
八つもございまして、それに一々顔を出さなければならんということは
只今の、申上げましたような
代表団の構成ではそれは確かに不十分でございまして、
現地からもできることならば今少し
誰か人を殖やしてもらえないだろうかという
要請の参
つておることは、これは事実でございます。ただ併しながら、冒頭に申上げましたような
事情で、今回の
会議は
通常の場合の
会議と
違つて、一本建にな
つておるというこの重要な面が本当にもうすでに前年に解決されておる。而もその前年に解決されるまでの
国際会議に五名乃至六名の
正式代表団を
日本から送
つておるのでありますが、ずつと
努力をし続けて来た
あとでの
会議でありますために、まあいろいろの面でこれ以上更に追加して
代表団を強化するということがどうも何となくむずかしいような
状況にございます。それで、まあいろいろ
要請もございますが、併しそれで
絶体に困るというわけでもないようでございまして、今の非常に政治的な、そうして又これは実際
日本の
国際電波戦におきまして、最も大切なこの
管理理事国問題等がそういうふうに
好転をいたしておりますというようなことなどを考え併せまして、先ず先ず何となくこのたびの
会議は
只今の
代表団で十二分にその
使命を果して頂けるのじやないかと、かようにまあ考えておるような次第でございます。