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1953-02-18 第15回国会 参議院 通商産業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十八日(水曜日)    午後一時五十八分開会   —————————————   委員の異動 二月五日委員松野鶴平君辞任につき、 その補欠として松平勇雄君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     結城 安次君    理事            栗山 良夫君    委員            古池 信三君            小滝  彬君            重宗 雄三君            松平 勇雄君            加藤 正人君            小松 正雄君            西田 隆男君            石川 清一君   国務大臣    通商産業大臣 小笠原九郎君   政府委員    通商産業大臣官    房長      石原 武夫君   説明員    通商産業省通商    局次長     松尾泰一郎君    通商産業省石炭    局炭政課長   佐橋  滋君    通商産業省石炭    局鉱害課長   大山  隆君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (通商産業政策基本方針に関する  件) ○輸出品取締法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○連合委員会開会の件 ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 結城安次

    委員長結城安次君) それでは只今から通商産業委員会開会いたします。  本日は通商産業大臣より通商産業政策一般に関して御説明を願い、更に今回提出されました法案について提案理由の御説明を承わりたいと思います。  通商産業大臣の御説明一般政策に関して質疑に入りますが、その質疑は先般衆議院におきましては、小笠原通産大臣から通商産業政策重点として貿易量拡大産業基盤強化占領政策の行過ぎ是正、中小企業の助長というような四点について御説明ありましたが、やはりこちらもそういうふうに分けて御質疑をいたしますか、これは皆様にお諮りいたしておきます。その後で参議院が先議になつておりまする織物消費税法廃止に伴う特別措置に関する法律案の取扱に関して御相談願うことにいたしたいと思います。  先ず大臣から通商産業一般政策に関する御説明を伺います。通産大臣
  3. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 我が国経済現状及び見通し等につきましては国会再開冒頭経済演説のうちに申述べましたので、ここには当面の問題について私の見解を申上げたいと存じます。  通商産業政策重点は、第一に貿易量拡大して生産水準向上し、国民所得の増大を図り、第二にこれがため産業基盤強化いたしますると共に産業合理化近代化を徹底し、科学技術振興して少くとも諸外国と同水準に到達させることにより、生産費切下げ商品品質向上を図り、第三に戦後の経済民主化精神はこれを尊重しつつも、その行過ぎが経済の円滑な発展を阻害しておる点を是正いたしますると共に、第四に景気変動のしわが寄せられがちな中小企業地位強化いたしまして、その健全な発達を助成するにあると存じます。米国は共和党政権貿易拡大方針を明らかにし、英連邦も又旧ろうの首相会議において世界貿易拡大を希望いたしております。我が国といたしましてはこのような情勢に対処し、通商航海条約通商協定の締結、ガツトヘの加入等経済外交を推進いたしまして、障害の除去に努めると共に、我が国受取超過となつておる諸外国からの輸入を促進するため、貿易管理上及び別口外貨貸付等方法によりまして、これが優遇措置を講じ、輸出市場の開拓につきましても特にドル地域及び東南アジア中南米等重点をおくこととし、相互の経済協力を推進し、貿易斡旋を円滑ならしむるため、来年度予算についても所要経費を計上いたしております。これらの諸施策と相まちまして輸出競争力を培養するため貿易金融を円滑化し、輸出信用保険制度改善し、対外信用強化するために輸出品取締法改正し、輸出組合育成強化を図りますと共に、貿易商社についても税制金融上の優遇措置をとることによりまして特にその強化育成を図りたいと存じます。  我が国商品、特に重化学工業製品が国際的に見て相当割高でありますることは、朝鮮動乱以後特にこの傾向が甚だしいのでありますが、これは我が国産業合理化近代化の立遅れに起因するところが大きいのであります。併しながら今後諸外国との輸出競争がますます激化いたしますることは必至であり、我が国価格水準国際価格さや寄せを余儀なくされることは明らかでありますから、政府といたしましては、これらの価格水準引下げを一つの重要施策として考えておるもので、資本蓄積のため必要な税制改正を行いますると共に、電力石炭鉄鋼等基盤産業に対しましては、特に重点的に政府資金を投じまして、資源の開発設備近代化及び原料入手条件改善を図る等の方針を更に強く推進いたしたいと存じます。石炭及び鉄鋼が国際的に割高でありますることは、重化学工業製品対外競争上、著しい不利を招く一大原因とも相成つておりまするので、先ずこれら主要原材料価格引下げることが必要であります。もとよりその根本には、我が国の置かれた自然条件の不利という要素もありまするので、このような引下げ策が一朝一夕には成功することは不可能で、相当の日時をかけ、官民が一致協力して漸次成果を上げて行かなければならないのでございますが、石炭につきましては根本的若返り工事を実施する必要がありますので、四百九十億円の資金を以て五ヵ年間に七十九本の竪坑を開さくし、約三割のコスト引下げを行う案を検討いたしており、その他中小炭鉱等機械化を推進する等の諸施策を実施し、五年後には平均炭価で三割程度切下げ目標として努力いたしたいと存じております。  鉄鋼につきましては、圧延部門を主とする機械設備合理化計画昭和二十八年度を以ておおむね完成いたしますが、原料の取得につきましても、東南アジア諸国開発を更に促進し、輸送設備改善を行うことによりまして、銑鉄四%、鋼材二七%のコスト切下げを第一次の目標といたしております。  企業経済力の弱化は景気変動に対しまして著しく抵抗力を失い無用な競争を招くこととなり、昨年春以来の貿易不振に伴う景気停滞の結果、綿糸布を主とせる糸価が不安定となり輸出を更に阻害することに相成つたので、昨年三月以来政府綿紡操短勧告を行い、漸く糸価の安定を得るに至つておりますが、今後の需給と価格変動を睨合せ方針を定めたいと思つております。  硫安につきましても昨年七月頃から滞貨が増大し、而も国際価格の下落によりまして輸出も困難と相成つたので、昨年秋インド朝鮮等に対し国内価格を下廻る価格を以て輸出することを余儀なくされたのであります。この困難な事情を打開いたしまするがために旧ろう経済審議庁肥料対策委員会を設けまして肥料に関する基本方針を確立することとし、民間有識者委員に委嘱してすでに審議を開始いたしておるので、至急に結論を得て実施に移る予定でございます。  これらの状況は多くの産業において多少の差はありましても存在するものであり、このような景気停滞或いは輸出不振の時期におきまする企業弾力性の欠如は、特に我が国においては独禁法等のいわゆる経済民主化立法によつて禁止されておるカルテル等の問題についての反省を必要として来ておるのであります。財閥等の支配を排除し公正自由な取引を促進することによつて国民経済の円滑な発展を期そうとする独占禁止法精神は、これは経済憲法として遵守すべきものでございますが、我が国経済現状先進資本主義国に比し構造的にも相違し、又資本蓄積を失い、更に細分化された各企業競争激化の趣くところは自立の力を失つて共倒れとなる危険もあり、法の行過ぎが却つて国民経済発展を阻害する虞れもございまするので、今国会に同法の改正案提案し、不公正な競争等予防的措置についてはこれを削除し、不況の切抜け、貿易振興産業合理化等に必要な場合にはカルテルを認める等の措置をとりたいと思つております。特に貿易につきましては、国際競争力強化のため輸出取引法拡大して、輸入につきましても適用するために輸出入取引法にこれを改め、貿易を阻害している事情を排除するためには、輸出入とも協定及び組合の結成を認める等の提案をいたしたいと存じております。そのような景気停滞期にありまして、とかくしわ寄せられがちの中小企業につきましては、年末金融については格段の措置をとり、相当成果を挙げましたが、更に組織化系列化等の指導を徹底いたしますと共に、金融面におきましても、新たに中小企業金融公庫を設け、中小企業の最も渇望しておる合理化設備資金及び長期に亙る運転資金の融通を円滑ならしめるようにいたすべく、法案及び予算案を提出することにいたします。このほか零細企業に対しましては、国民金融公庫に対し政府出資を三十億円増加し、資金運用部から五十億円を貸付ける等によつて資金を賄い、商工中金につきましても引続き商工債券資金運用部引受を推進し、その資金運用についても円滑に行うよう配慮し、又中小企業信用保険法改正し、対象範囲拡大担保金額引上げ等中小企業関係取引の円滑を図るよう努力いたしたいと存じます。  政府はこのような行詰り気味の現状の打開に対し、あらゆる努力をおしまないところでございまするが、本来政府の行いますることは、企業のおかれておる客観条件改善し、その障害を除去することにあるのでありまして、産業そのもの発展企業者各位の創意と責任とによつて解決さるべきものであるのであります。而も企業合理化し、生産コスト切下げて、戦後の変則的な企業経営を是正すべき要請の強いこと、今日にしくものはないのであります。経営者側は単に政府救済等に第一に依存することなく、労使協力し、将来の発展に備えて苦しい時期を乗切る覚悟を新たにしてもらいたいということを望んでおる次第でございます。   —————————————
  4. 結城安次

    委員長結城安次君) 只今大臣から御説明がありましたが、続いて二月九日附で政府より予備審査として提案されておる輸出品取締法の一部改正案がございますが、この提案理由の御説明をしてよろしうございますか。……続いてどうぞ。
  5. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 輸出品取締法の一部改正理由を御説明いたします。  現行輸出検査制度基本法でありますところの輸出品取締法は、昭和二十四年及び昭和二十六年の二回に亙り改正を加え今日に及んでいるのでありますが、その内容といたしますところは、(一)先ず、主務大臣輸出品品目を指定し、そのおのおのにつきまして等級輸出最低標準又は包装条件を公示いたします。そこで(二)一般検査品目につきましては、輸出業者又は生産業者が、表示責任者となり、公示されました標準又は包装条件に基き自家検査を行いまして、適正な等級等を一定の様式に従い輸出品表示いたしますれば自由に輸出することができるのであります。又(三)双眼鏡家庭用ミシン軸受及び鋼球のごとき特定検査品目につきましては、表示者を制限いたしまして、主務大臣登録を受けた者又は政府機関(現在通産省工業品検査所)のみが、適法の表示をなし得る民主的検査制度であります。もつともこれらの民間における表示の励行を確保いたしますために五種類政府機関が設けられており、日夜輸出検査官が、輸出品臨検検査行なつているのであります。  この制度は、終戦後経済民主化の一環として発足したものではありますが、我が国貿易実情に必ずしも適合したものとは言い難く、特に最近における本邦輸出品に対する海外批判、即ち輸出クレームの半分は、品質不良によるのでありますが、これを省みますれば、速かに現行法の一部に所要改正を加え、検査制度を確立し今後ますます競争熾烈化を予想せられます国際市場裡におきまして、輸出貿易飛躍的振興を図る一助といたしたい考えでございます。  改正の第一点は、品質に関する最低標準を設ける輸出品範囲を拡充いたしたことであります。  即ち、現在、最低標準を定める品目を指定いたしますには、保健、衛生、安全、純度又は機能のみの観点からこれを行なつておりますが、品目によりましては最低標準を定める必要がありながら、この条件によつては、指定し得ない憾みがあるのであります。よつて、この指定条件を「品質」という包括的観点に改め、検査を必要とする輸出品に対しては、すべて品質の面から輸出最低線を布き、粗悪品輸出を防止し得ることといたしたのであります。  改正の第二点は、仕向地別に異る最低標準又は包装条件を定めることができるようにいたしたことであります。これは、一般輸出最低標準(又は包装条件)を設けました品目につきまして、特定地域即ち例えば文化の高度に発達いたしました国におきましては、その国の需要に応じ、且つ競争品との対抗上、一般最低標準又は包装条件より高いものを定める必要が生じて来るのであります。かような意味よりいたしまして、一般最低標準と異る高い標準を定める規定を設けた次第であります。  改正の第三点は、輸出品に特例を設けたことであります。御承知のように現行法におきましては、輸出品に一切例外を認めておりませんが、本邦にある外国公館が送付する貨物引越荷物等にも本法等級表示を要求しており、これは実情に適合したものとは言い難いので、これを適用除外といたしたいのであります。  又、風水害等に遭遇した特定地域における難民救済用等に当てられる貨物その他輸出品の声価を害する虞れがないと認められるものにつきましては、主務大臣許可により本法による表示を行わず輸出し得ることといたした次第であります。  改正の第四点は、被登録者公共的性格強化し、民間検査機関としての地位を確立しようとすることであります。  現在、民間検査機関登録制度は、双眼鏡家庭用ミシン軸受及び鋼球について行なつておりまして、登録基準といたしましては、特別の検査機器種類と性能並びに検査人知識経験程度のみを掲げるにとどまり、申請に応じてこれらの基準に合致しました者を無制限に登録いたしておるのであります。従いまして、登録基準が極めて容易でありますことと関連いたしまして、被登録者の数は、現在(二月一日)九〇に達しておりますが、その大部分(八〇)は、一般の会社を登録しておるのであります。これらの被登録者実態につきましては、政府機関による臨検検査を絶えず行なつておりますが、その成績は遺憾な点が頗る多く、登録制度の将来を憂慮せざるを得ない次第であります。又、海外よりの批判におきましても権威ある第三者的検査機関の公正な活動を要望する向が多いのであります。  以上二つの理由に基きまして、この種の機関厳正化を図りますと共に、その充実した活動によりまして、検査の公正を期し、本邦輸出品に対する国際信用を急速に回復いたしたい所存であります。  以上の理由によりまして、被登録者登録基準を改め、その質的向上を図りたいのであります。これがため、現在の登録基準である検査設備検査人知識経験のほか、新たに検査人及び事業所の数を定め、被登録者の営む兼業の制限並びに人的構成の規正を通じて公正な検査を行い得る者を登録するよう配慮し、且つ、被登録者の数を或る程度制限して検査の無用な競争を避けることといたした次第であります。  改正の第五点は、被登録者監督強化することであります。  被登録者は、前に述べましたように、登録基準向上によりまして公益性を持つ検査機関とし誕生いたしますので、その監督も現在より強化する必要があるのであります。かような意味から被登録者業務規程認可制といたし、業務の休止又は廃止につきましては、一々主務大臣許可を要することとし、且つ、現在政府機関による立入検査は、被登録者検査設備と帳簿とを対象といたしておりますが、今回の改正によりましてその対象を拡げ、業務状況検査し得る等といたした次第であります。  改正の第六点は、被登録者のする処分に対しまして不服のある者にも聴聞会開催の請求に応ずる途を開いたことであります。  御承知のように、現在政府機関のする処分に対しまして不服のある場合は、聴聞会開催し得ることとなつておりますが、被登録者地位改善に伴いまして、被登録者の行なつた表示等処分につきまして不服のある場合も、新たに聴聞会開催を請求し得ることとし、輸出業者の利益を擁護いたしたいと考える次第であります。  以上が今回の改正の要点でありますが、何とぞ御審議上速かに御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。   —————————————
  6. 結城安次

    委員長結城安次君) 先ほど通産大臣から通商産業一般政策に関して御説明がありましたが、そのことに関して御質疑のあるかたは続いてお願いいたします。
  7. 西田隆男

    西田隆男君 今通産大臣から一般施策についての説明を聞きましたが、その中で特に基礎産業である電力鉄鍋石炭価格値下の問題についてもお述べになつておるが、なお最近の新聞紙上を見ますと、これら基礎産業生産原価切下という問題について、相当通産省としては御研究にもなつておるようだし、いろいろ活発に御意見もお述べになつておるようです。  そこで私が通産大臣にお伺いいたしたいのは、日本基礎産業電力とか鉄鋼とか石炭とかいうものの値下を論ずる場合に、ただ当該産業実態のみから判断して値下を論ずるということは、国全体の通産行政の面から誠に危である。何となれ険ば、当該産業内容如何だけで決して原価切下はできるものではない。これは総合的な生産計画値下方法とマツチした場合においてのみその効果を上げ得るという大きな観点からでありますが、今の御説明でも、電力鉄鋼石炭という三つのものを掲げながら、石炭についてのみ五年後には三割の値下をする、電力鉄鋼については五年の後にどうなるのかということについてはお触れになつておらない。それならば、石炭生産原価の中に電力とか鉄鋼というものが非常に少いかというとそうでもない、相当パーセンテージを占めておると同じように、労銀の問題にも触れておらない。その他の諸経費の問題にも触れないで、ただ五年後には三割下げるのだという御説明だけですし、なお五年後には石炭消費量幾らであるかという想定についても御説明がない。そして日本国内で生産される石炭数量計画も御説明になつておらない。こういうことは口では言いやすいが、果して通産省としては、五年後に原価の三〇%を下げるという具体的な成案があるかどうかという点になるといささか私も疑わしい。そこで通産大臣具体策があれば、現在お考えになつておる程度でよろしいからどういう方法でやるのか、石炭生産原価の占めておる各部門のトータルのパーセンテージはどうなつておる、これとこれとは次年度幾ら、三年度、四年度幾ら、結局五年後で三〇%下げるということについて、もつと具体的にお示し願いたい。
  8. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 西田さん仰せの点は誠に御尤もな点でありまして、実はすべての政策というものは総合的に立てなければならんということは、これはまさに仰せ通りであります。ところで日本の今の場合、各種産業について総合的にものをやりますことはなかなか容易のわざではありませんので、特にこの場合国際的に高いといわれておる石炭について、政府がなし得べきことをなして、そうして炭価切下に役立つなら政府のなし得べきことをなして、そうして、私のこの前の演説にもありましたように、業者協力を得てそこでもつて炭価切下目的を達したい、こういう点から石炭の問題を先ず取上げておる次第でございます。  そこで然らば政府はどういうことをするのかというふうに申されますると、これは政府のほうとしては税制の面で例えば今まで言われておる追加投資とか各種の問題が言われておりますが、こういうものについて今大蔵省と折衝中であり相当理解を得ておるのでありますが、その面でなし得ることはなして行こう、又資金面でお手伝いし得るものはこれをお手伝いして行こう、そこで二十二の企業体に対しまして七十九本の竪坑開さくをしてこれを近代化いたしますというと、これはやつておられるかたが計算をお出し下すつておるのでありますが、施行する地域についてだけ申上げますると、これが七十九本四百九十億円の金でございますので、完成いたしますると、現在のすべての条件を一切抜きにいたしまして考えると三割五分の引下げになるということが言われておるのであります。そこで更に中小炭鉱等に対しましては三十億円の今合理化その他に対する資金を用意いたしまして、そういつたことを進めて参りたいとかように考えておるのであります。政府が先ずやり得べき処置について、政府のほうとしてはなし得べきことをやろう。併し炭鉱の側におきましても、日本石炭が非常に割高であることはもう私が御説明するまでもなく御承知であります。例えば硫安原料になつておる西ドイツの石炭は九ドルであるのに日本でこれを使うと約二十ドルである。或いは最近持つて来た実例で申しますと、神戸に着くアメリカ炭の一カロリー当りは九十五銭でありますが、日本は一円十八銭にもついておるという実情でありまして、最も安易な考え方でいたしまするならば、外国炭輸入すれば非常に容易に目的をその一面から見れば達するわけでありますが、それでも私どもはこの日本で重要な産業である石炭業行政をおあずかりしておる者としては、そういつた措置に出でたくないから、どうしても必要な各種の年々きまつております製鉄用石炭ガス用石炭、こういう主要のものを大体本年でございますれば三百万トン内外ございましよう、それらを輸入することは当然でありますけれども一般のものは成るべく国内のものを合理的に外国品競争し得るようなところへ持つてつて頂くように努力してもらおう、こういうので政府としてなし得べきことをしようというのが、今の私どもの案になつております。
  9. 西田隆男

    西田隆男君 只今の進歩的な御意見はわかりましたが、今の竪坑数十本四百九十億、これをやれば三割下るのだということは、私にはちよつと納得行かんのですが、大体通産大臣は、日本国内石炭をどれくらい生産するおつもりでおられるのか、これを先ず伺いたい。
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 大体現在のところ五千万トン見当じやないかと見ております。或いは見方によつてはもうちよつと五千二百万トン出る、又四千八百万トンじやないかという見方もありますが、大体五千万トンを中心としたものと見ております。
  11. 西田隆男

    西田隆男君 五千万トン仮に出すとしまして、大臣が今言われた二十二社、俗に地方大手十八社とかいわれたのですが、地方大手の出す石炭数量でどのくらいにお考えになつておりますか。
  12. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 数字的に細かいものを持つておりますから、説明員からちよつと。
  13. 佐橋滋

    説明員佐橋滋君) 大手二十二社で大体六割五分ぐらいでございます。
  14. 西田隆男

    西田隆男君 なぜ私がこういうことを聞くかと申しますと、さつきの一般通産行政に関する御説明のあつた中で、常に経済界の何か問題が起きるとしわ寄せは中小企業に行くのだというふうに、非常にこれは緊密な連絡を持つておるわけであります。六割五分の出炭をする大手筋に四百数十億の竪坑開発資金がございますれば三割五分下がるのだ、中小炭鉱には只今大臣説明では大体三十億資金を出す。
  15. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 二十八年度は幾らか知りません。年々これは幾らぐらい与えるか知りませんが毎年恐らく三十億ぐらいになるでしよう。
  16. 西田隆男

    西田隆男君 三割五分出炭をしておる中小炭鉱大手の二十二社というものとは、すでに出炭において非常なハンデキヤツプがある。そうでなくてさえ生産資材が高いといわれておるので、この中小炭鉱といえばなんですけれども弱小炭鉱はつぶしてもよろしいという大体お考え方なんですか。これを伺いたい。
  17. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもはどの産業もつぶれていいとは少しも考えておりません。併しそれらの産業がこうやればコストを下げ得るということに対する立案が出て来ますれば、それに対してできるだけの政府の力を尽したいと考えております。ただ今の竪坑の場合でございますと、これは具体的な例が出て来ておりまするので、これを実行しておるのでございます。
  18. 西田隆男

    西田隆男君 そこで石炭行政をどうするかという基本的な問題に移つて行くわけですね。大手筋二十二社だけの出炭日本石炭を賄うのだ、だからこれに国家資金を注入するのだ、そうして中小炭鉱をつぶしてもいいのだというのならいいが、中小炭鉱をやはり生かして行くのだということになれば、いわゆる国が援助、助成する意味において大手筋中小炭鉱との間に自然条件の差異というものがあるでしよう。あればあるほどこの二つのものに差等をつけてはならないという原則をはつきりつけてもらわんといかん。同じように指導、援助、助成をやつてもなおできないという場合は、これは池田前通産大臣でなくても止むを得ないという結論が出るかも知れませんが、或いは最初から差等をつけて行くということは、一つ小笠原通産大臣通産省におられる間は慎んで頂きたいと思います。  それからもう一つ、生産原価の面で世間一般に知らされていない問題についてお伺いしたい。今の日本石炭生産原価通産省で調べておわかりだろうと思いますが、二十七年度の上期の調査を私持つておりますが、これによりますと非常に大きなパーセントの炭価の値下は、どんな施設をやつても当分は不可能ではないかと私には思われるのです。私が調べましたものによりますと、大手十八社の二十七年度上期の平均炭価ですが四千六百五十円になつております。この内訳を見ますと物品費が千百五十円、これは木材が二百四十円、金属が三百三十円、火薬が八十円、電気用品が八十円、工具機具が百九十円、その他が二百三十円、こういう内容になつております。それから労務費が二千二百三十円、経費というのが千百円、この内容を見ますと減価償却費がトン当り三百八十円、電力料が二百四十円、修繕費百五十円、租税公課が九十円、鉱害賠償費が七十円、その他百七十円、こういうふうに分れ、その他支払利子が百十円、一般産業と比較して高いか安いか知りませんが、本社費が六十円、これが石炭の現在の山元オン・レールの生産原価になつておるようです。そこで労務費は急速にこれを下げるということは出炭能率が急速に上らない限り不可能です。そうしますと、これは現に経費の節減の余地が当分はできないという結論になるわけです。物品費の内訳を見ましても木材の値段が下らん限り木材費の二百四十円というのは下らん。鉄鋼の値段が下らんとしますならば金属の三百三十円というものは下らない。火薬も勿論八十円より下げ得ない。こういうふうに見て参りますならば、これも今通産大臣説明されたようなことでは物品費の内容の何割という値下げはちよつと困難のように考えられるのです。次に経費の問題に移りまして、電力料金が下らんために電力料は下りません。修繕料、租税公課、鉱害賠償、これも勿論下げる余地がありません。減価償却費の三百八十円が適当かどうかという問題なんですが、これは四百九十億というものをかけて竪坑開発をやれば恐らく減価償却費はもつとふえることが考えられる、恐らく支払利子がその一部軽減されるだけで、あなたの言われるように値下をすることは不可能になります。物品費その他の若干の値下考えても、又本社費を切詰めてみてもこれは幾らか下るという程度で、大臣の言われるような莫大な生産原価を下げるということは考えられんわけです。而も市場に出ております石炭は、運賃、荷役その他の諸掛りがかかつております。これはそれらの値段が下らん限り絶対に下りません。従つて石炭企業として生産原価を切詰め得るものは、物品費千百五十円と経費の千百円、それから金利の百十円の若干で二千三、四百円、この全部の経費のうちから幾ら下げるかという問題ですが、仮に大臣が言われたように市場の販売価格が非常に高い、だから三割下げるというふうに言つておられますが、大阪市場着六千五、六百円しておりますが、その三割、千九百五十円の値下など到底でき得るものでないことは言うまでもないことです。今言う通り労銀を引いてしまうと大したものではない、二千三、四百円のうちから、市場販売の仮に本年度六千五百円のうちの一割下げるとしても六百五十円、三割下げると千九百五十円です。二千三百円のうちから千九百五十円は下りません。そうするとべらぼうに能率が挙げられなければならない。生産能率を挙げるということが可能であるか、竪坑開発等で仮に可能であれば、それはできるかも知れない。そうすれば結局大手筋中小炭鉱石炭生産原価のバランスがべらぼうに壊れてしまうということになります。そうすると政府としては当然弱小炭鉱への措置をどうするかという問題をも併せ考えられないと、石炭鉱業に対する政府の補助、援助、指導の本当の精神が活かされないという結論になる。こういう点ももう少し通産省としてはお考えなつた上で石炭に対する政府の対策をおきめにならないと弱小炭鉱はつぶれてしまうという結果に陥る。従つて日本石炭の生産を大手筋炭鉱だけに依存することの如何に危険であるかということは過去においてすでに実験済みのはずであります。若しこの際石炭対策を誤るなら又石炭危機が叫ばれるようなことになりかねないのです。通産大臣の基本的な考え方を一つ。
  19. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は私も今ここに表は持つておりませんが、いろいろ過去五ヵ年間くらいの経費の細かいものを調べて一番びつくりしたのは本社費が非常に多かつた、急速にふえているのは本社費なんです。余り急速にふえているから一体本社費は金利を含んでいるのかと聞いたら、金利は別になつてつて本社費には含んでおらない。そこでそういつた面等を見まして少しその辺に余地があるのじやないかということを考え、又ほかの例えば鋼材等についても、御承知のように二十八年度であの合理化近代化三カ年計画というものを完成すると値下りになつて来ましよう。ただ西田さんが言つたように個々の費目について見るとそう値下りになる余地のあるものは少いように考えられますが、そういうふうに私どものほうが出した数字だとまだ幾分余地があるようにも見られましたし、それから全体が、今いわゆる中小の炭鉱にお出ししようという分三十億につきましても、これはその山を合理化され近代化することについてお出しするような考え方になつておるのでありまして、現在のそのままお出しするわけではございませんから、丁度竪坑開発と同じような意味資金でございますからこれはもう少し活発に働いて行くのじやないか。  ただ御指摘になつたうち一番御尤もだと思つたのは労賃なんです。労賃は従来調べた通りどこの山も五割から五割五分占めておるのですね。この面が合理化されて若干機械力に代つて行くと、人の数が減つて行くという点で多少少くなつて行くということはこれはございましよう。だからこの点が割合に大部分を占めているような炭鉱状況では、そう多くを望めないような感じをその節に持つたような次第であつたのです。そこで今税なども余り減らんだろうとおつしやいましたけれども、一つそれにつきましても大いに減らすように努力はしております、私どものほうで。そういうことでそれぞれ交渉をいたしておりますが、大体これはまあ私ども根本の立て方としては、日本のような条件の下では、とてもアメリカなりドイツあたりのような有力な条件のところと違うので、そこまで持つて行けるとはゆめにも考えておりませんが、併し現在のごとくでもこれは何とかしてできるだけのことをした一応の目標をそこにおいて、これに対して努力をしよう、こういう考え方で、そのうち政府がなすべきことを政府として先ず進んでみずからやつて行こうという考え方が根本を支配しておるわけなんです。
  20. 西田隆男

    西田隆男君 大体大臣の言われることはわかるのですが、別にこれは石炭の統制をするわけでもないし、国が石炭鉱業を管理するという考え方でもないようですから大体わかるのですが、併し最近のように余り活発に石炭値下をするのだ、鉄鋼値下をするのだ、鉄鋼の値を下げなければ石炭の値が下らんというふうに放送されますと、誤つた解釈を国民が持つのです。石炭が高いのはこぞつて石炭業者が利益をむさぼつているから高いのだという誤つた考え方を国民に持たせて石炭に対する指導、援助、助成をするということは、これは何かくさいのだという感じを国民に持たせる、これは非常にまずい方法です。大臣も今おつしやつたように石炭というものは値段が国際的に高い、これは止むを得ない。止むを得ないけれどもこれではいけないから政府も援助するし、経営者も労働者も三位一体となつてそしてどうにかして石炭価格を下げようじやないかというような行き方ならば、私は悪いとは言わない。余り大げさといいますか余り活発に放送されますので、国民諸君に国会を通じて一つ石炭企業内容はこういうものなんだ、だから政府幾ら大きな声で叫び何百億という金を入れても、急速に値段が下るものじやないということを私は言いたい。誤りのないような方法で援助、指導をされるなら私は何も申しません。何も申しませんが、余りはなやかにやつてもらうとそういう点非常に弊を起す。そして日本石炭企業自然条件が悪いために世界のどこの炭鉱に比較してみても、とても同じような能率は上りつこない。そうすればおのずから日本石炭企業の生産賃当りの限界というものは当然あるはずなんです。その限界点を考えれば従つて石炭企業というものがどの程度値下できるかということも一応の議論はできるわけです。それじや他の産業に大きい影響があるからどうにもならないということになれば、これは栗山君も言われたように炭鉱は国有国営という段階に進んで行かなければ日本経済の自立はできない、貿易もできないという推論も成立つのです。そこでなおさら通産省あたりでそれを発表される場合にはそういう問題も慎重に考えて、石炭の値が幾ら下げられるであろうという予測に基いての政府の手段を一つ講じて頂きたい。これは業者も労働組合も一致して考えて行かなければならん問題だと思う。これは私は特にこの席で通産大臣に希望いたしておきます。
  21. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今西田さんの御要望の点はよくわかりました。私どもも最初に申上げましたように石炭行政を円満に遂行する、又私どもが所期しておる石炭値下を遂行するには、何としても業者のかたの協力が最も必要である、こういうふうに考えておりますので、政府においても施策についてなすべき分は全力を尽してやりますから、業者のかたも一つ心から御協力を願いまして、そして目的を達成いたしたい、こういうことを念願いたしておる次第でございます。
  22. 西田隆男

    西田隆男君 もう一つ関連してお願いしたいのですが、石炭企業合理化近代化をするためのいろいろな処置をお取りになるとさつきお述べになりました。これは法律案としてお出しにならなければならないものもあるかと思いますが、そういう石炭企業近代化合理化に対して政府のなさんとする諸施策についての出すべき法律案があつた場合には、今国会中にお出しになりますか。
  23. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今法律案については何も考えておりません。
  24. 西田隆男

    西田隆男君 併し税制その他においてどうとか、こうとかということはそれは必要ありませんか。
  25. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは大蔵省のほうで、石炭についてばかりじやありませんので。
  26. 西田隆男

    西田隆男君 私の言つているのは石炭についてのやつです。
  27. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 石炭についてのものは出す考えはございません。
  28. 西田隆男

    西田隆男君 そうすれば、これは大蔵省と通産省との間の話合で全体としての法律案を出されるわけですか。
  29. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 例えて申しますれば、今まで坑道などについての税について問題があつたやつをはつきりするというような事柄でありまして、或いは追加増資をどうするかという問題でありまして、これは向うのほうのいわゆる損金に算入するかせんかという問題でありますから、これは私のほうで特に単行法を出してどうこうという問題ではありません。
  30. 西田隆男

    西田隆男君 ただ通産大臣が言われたように、法律案を出す、出さない如何にかかわらず、お考えになつておることは早急に実現なさるお考えですね。
  31. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) その意図の下に大蔵省と今盛んに折衝いたしております。
  32. 西田隆男

    西田隆男君 いつ頃までに……、その結果ははつきりしないのですか。
  33. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは税制改革、税制改正案を出すまでですからもう直ぐだと思います。
  34. 石原武夫

    政府委員(石原武夫君) 只今問題になつております石炭関係の税の問題、例えば追加増資等の問題ですが、或いは坑道等の償却という問題があるわけですが、これは法律事項でございませんので、特に声明或いは一部大蔵省の通牒というような運用問題がございます。その辺の問題として今話を進めております。
  35. 西田隆男

    西田隆男君 これは今の問題ではありませんが、前国会通りました一般鉱害復旧に関する法律、あれに対する予算通産省所管なんですが、実は通産省予算を編成してもらいたかつたけれども法律案審議の過程でそういうことにならなくて、各省で予算を計上して通産省は主務官庁として整理するということになつておるのです。これは法律の趣旨からいいますと、大体一年間に七億数千万円予算に計上しなければ十カ年間では復旧ができないということなんです。ところが予算を見てみますと二億一千万円程度しか計上されていない。これはどういう理由で二億一千万円しか計上されなかつたか、その点について。
  36. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) ちよつと数字のことですから説明員から答弁いたさせます。
  37. 大山隆

    説明員(大山隆君) 私から申上げます。二十七、八年度の予算要求を各省から出しましたのは、附帯決議としては私のほうから予算要求書を出すということで各省に話しますと、各省はほかの公共事業費との関係があるので自分のほうから予算は要求したいということで、この予算要求数字は全部通産省のほうで弾き出して、各省においてはこの数字で予算要求をして欲しいというので、院議をその点においては尊重いたしまして、数字は私のほうから弾き出しましてこの数字で各省から要求いたしました。これは予算額が二億一千万円、非常に少くなつておりますが、当初要求しましたのは七億でございますが、これは補助率の関係などで非常に要求額が過大になつておりまして、今のきまりました補助率で行きますと大体十ヵ年で、一ヵ年でやるとすれば約五億の国庫補助が必要ということになつておりますので、それに対して二億一千万というのは非常に少いのでございますが、これは事業団が滑り出しまして二十七年度、二十八年度当初においてはなかなか事務も円滑に参りません。二十七年度の各工事の査定をやつておりますがなかなか事務が円滑に行かないので、ただ一応この二億一千万円で大体大丈夫ではないかというふうに考えております。農地と土木のほうは大体半額くらいで、学校と水道のほうは大体進行いたしておりますが、大体十ヵ年でやれるくらいのことだと考えております。
  38. 西田隆男

    西田隆男君 そうすると事業復興団の事務的な関係から、当初法律考えておつたような一年間の復旧ができないという結論に基いてこの予算がきまつたわけですか。
  39. 大山隆

    説明員(大山隆君) 予算がきまりましたときは、そういう諸般の情勢も或る程度事業団の発足が遅れているという点もありまして、その後私どものほうで復活要求をしようということで検討しましたところが、事業団の二十七年度の事務手続が遅れている、それから各省のほうの法律、政令関係のほうも遅れている関係で、農地関係あたりもなかなか手が付けられないという関係で二十七、八年度少し遅れるのじやないかという見通しで復活要求はこの程度でいいのじやないかと思います。
  40. 西田隆男

    西田隆男君 そうすると、事業復興団からの二十七年度、二十八年度の復旧計画につきまして書類が出ておりますか。
  41. 大山隆

    説明員(大山隆君) 二十七年度につきましては今一部近々のうちに出ます。
  42. 西田隆男

    西田隆男君 二十八年度のも。
  43. 大山隆

    説明員(大山隆君) 二十八年度は二十七年度の次に続いて出ます。
  44. 西田隆男

    西田隆男君 現在はまだ出ておらんわけですね。
  45. 大山隆

    説明員(大山隆君) 出ておりません。
  46. 西田隆男

    西田隆男君 事業復興団の責任であるかも知れませんが、強いて通産省責任は問いませんが、それでは今後事業復興団で復旧可能というような事業計画書かですか、それが出た場合は法律に盛られておる十ヵ年間で復旧できるように予算がとれますか。
  47. 大山隆

    説明員(大山隆君) そういうふうに努力するつもりでおります。
  48. 西田隆男

    西田隆男君 努力すると言つたつて今は出ていないから、できなかろうというのだから、金がとれなければ十カ年間で復旧できませんよ。特別鉱害と同じように年限を延長するとか、補助のもらう額をふやすとかいずれかしなければということが特別鉱害のほうでも現在論議されている。にもかかわらず現在何らの法律措置が講ぜられていないという実情から見ましても、一般鉱害のほうも又特別鉱害のほうと同じように考えられる。あなたがたのほうは官庁の人が変られるからでもあるかも知れませんが、この委員会で答弁するときははつきり答弁してもらいたい。それが証拠になつてどこまでも政府の内部に国民の代表として我々は追求のできるようなことにしてもらわないと、いいかげんな答弁をしてもらうと、その当座限りでは何にもならない。あなたの言われたことをたてにとつて言うわけじやありませんけれども大臣がおつて大臣の代りに答弁するのですから、そうしないとこれは非常にもめてもめてもみ抜いた法律案だから、而も一般の被害者は予算内容なんかわからないので、何だ、法律には十カ年でやることになつてつて実際計上したのを見ると二億一千万円となつておるのでは、現地で復旧工事をスムースにやろうと思つてもそれすらもできないという結果になつてしまう。私は少くとも初年度予算というものは法律を作つたら法律に規定されておる一年分を計上すべきだと思う。できなかつたら翌年からやらなくてもよい。できんことを予想して三分の一くらいの予算を計上されておるということは、今後も被害者から相当通産省に交渉に行くと思います。だから被害者の納得の行くような御説明をやつてもらわないと、折角スムースに行く事業がうまく行かない。法律を作つたのができないことになるので、特にお尋ねしたい。そのつもりで今後被害人が行きましたら一つ納得行くような御説明をして頂きたい。
  49. 大山隆

    説明員(大山隆君) よくわかりました。
  50. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 石炭のことで関連してちよつと一言だけ大臣にお聞きしたいのですが、それは昨年からいろいろと大臣政策を発表されておるのでありますが、特に石炭価格の引下については、各所で強く強調されておるわけであります。大幅引下というのでありますから、三割、非常に各方面で期待をしておるのでありますが、伺つてみますとその三割たるや今の御論議のように五年先であつて、而も本当に内容を個別に仔細に検討してみると、どうも幅がなさそうだというようなことがわかつて来ておるわけですが、実際に石炭を下げられて国際価格までそろえたいというのは、これは五年先のことでなく、できるならば緊急にという業界の私は希望だろうと思う。そこで大臣の所信発表としては甚だあれだと思いますけれども、実際に産業界に貢献せしめるためにはもう少し手つとり早い、効果のすぐあがる方法というようなものを考える必要が私はあるのじやないかと思います。そこで一番手つとり早い方法は、やはり石炭に対して補給金制度を設けるということが私は一番手つとり早い方法だと思う。これは計画的にできるわけであります。この補給金制度の問題は、そのほか今問題になつておる原資材生産のいろいろな割高が鉱業にも私は関係があると思う。そういうものを全然もう考慮する余地はない、こういう工合にお考えになつて、なお且つ引下のために、今のような非常に緩漫な政策で努力しておる。どういう工合にお考えになつておるのか、ちよつとお伺いします。
  51. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) まあ私どもといたしましては、今の大幅値下というのは、最初から申したように一朝一夕ではできるものではないので、三割引下を目標としてやるということを私は絶えず言つておるのであつて、題目はどう出ておるかわかりませんが、私の話した内容をよくお読み下さるならばいつもわかるように話しております。その点については誤解がないと思いまするが、然らば即効があるように一つ補給金政策でもとつたらどうかという今栗山さんのお話は、実はいわゆるドツジ氏が竹馬の足を切取つた時代からのまだ思想がそのまま少し残つておりまして、補給金政策というものは現吉田内閣としては一つもとらないというのが根本方針に相成つております。併しながら時世が移つて来ますればそう何もそれにこだわることはございますまいけれども、従つてども鉄鋼についても石炭につきましても、何も補給金政策を現在とつておりません。とつておらんが併し政府がやり得ることで何かその業者協力を求めてやれることで、その目的を達することなら最善を尽そうといつた考え方から、或いは資金の面で、或いはこの金利という面、金利のことも先ほどちよつと洩らしましたが、引下かたについては交渉中であります。或いは税制の面だとかいうような工合にいろいろと政府のほうとしてやり得べき点はあれこれと手を打つておるようですけれども、補給金そのものについては今までのところは考えておらなかつたのです。
  52. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ドツジ氏が否定をされたので自由党内閣としましては補給金制度というものは採用しないという一貫の方針をとつておるということは私ども理解しております。理解しておりますが、ドツジ氏の政策というのは朝鮮動乱前のことで、それから吉田内閣は必ずしもドツジ氏の政策を今日まで堅持しておられるとは私は感じない。特に占領政策の行過ぎ是正の名の下にマツカーサー司令官の政策すらどんどん今変えようとしておる、非常な勇気を持つてやられようとしておる場合に一ドツジ氏の、而も補給金制度の撤廃の思想ですね、そういうものを堅持しなくちやならんという理窟は私はどこにもない。やはり今の日本産業が、特に基盤産業が国際的に対抗できないということであるならば、やはりここに勇気を持つて断行すべきであると私は考えるのでありますが、通商産業大臣はそこまでの御勇気はございませんか。
  53. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今ちよつと言葉が足らなかつたかも知れませんが、その時分からのまあ何といいますか、一つの抜け切らん考えもあつてということで、別にそれを堅持しておるというわけではないと思います。同時に今年の予算を御覧下さつてもわかるように、石炭の補給金というのは相当巨額のものを要しますので、鉄鋼にしても巨額のものを要しますので、そこまでのところまでは閣議でも……これはほんの一例ですが、栗山さんお聞及びになつたでしようが、私ども輸出するだけの、例えば鉄鋼輸出する、プラントなどの……。或いは機械類などだけについても、それに使う原料になる鉄鋼だけでも補給したらどうかという話をしたのですが、それすら閣内に異論があつてなかなかまとまらなかつたというような次第でありまして、それは私の微力というか、そういうことでまとまらなかつたのですが、情勢がだんだん変つて参りますれば、今お話のようなことを私どもはあらゆる力を尽して、又業者のかたもあらゆる努力をされてみても、なお国際的に非常な開きがあつて、これはどうにもこれでは日本貿易振興は期せられないというようなことがありますれば、これは別個に今のような補給金制度考える必要があると思つております。併しまあ現在もう予算も提出したあとでありますし、又今のところ私どもできるだけのことはしてみます。業者のかたにもできるだけのことはやつてもらいます。そういうことで一つどれだけかかるかやつてみたいと思います。ただ現在の条件だけで見ますると、五年後にはこれは私は詳しい数字を出しておりますが、三割は大体下るという見込みを持つております。
  54. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その三割下る見込みを持つてつて五ヵ年やつてみようと、それでなお且ついけなければ、又別途のことを考えようと、補給金のことも又考えてみてもいいというお話ですけれども、五年も待つちやおられんですね、これは現実の問題として……。特に例えば造船の問題にしたつて硫安の問題にしても、鉄の問題にしても、やはり石炭に影響して来る問題が非常に多い。電力料金も勿論そうです。従つて、野放しにして補給金制度を立てることはどうかと思いますけれども重点的にでもして基盤産業の生産単価を下げるという意味においては、これはやはり大臣が腹中に納めておられるだけでなしに、やはり通産当局を通じて調査をされる必要があるのじやないですかね。竪坑七十五本を掘ると三〇%下がるというような計画をされると同時に、補給金制度についてももつと真剣に原局として研究せられるべきじやないですかね。
  55. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは研究はいたしております。例えて申しますると、石炭が二割下れば硫安のほうにどういうふうに響いて来て、硫安の国際競争力にどれだけ応じ得るか、そうするとどうなるかということは今でも研究いたしております。電力が例えば二十八年度百二十万キロワツト殖えるということになつておりますが、それが一部石炭その他のものに動力源として変る場合には、一部しか変りませんが、一部変る場合に、どれだけ変つてどうなるかというような計算等をも立てさせております。それから昨年から本年へかけて重油が安いので、少し石炭で重油に転換しておる部分があります。そういうものがどういう影響をしておるかというようなことも今調べさしておりますが、そのほかにもこれだけの補給金でこれだけということは、どうしてもこれだけの補給金を要するといつたようなもの等については調べてはおります。調べておりまして、今五年間はこうだということを申して、五年間も便々と待つてつて、五年後にそれではうまく行かなかつたから、それじや補給します、そんな呑気な考えは持つておりません。これは率直に申上げます。少し模様を見ますればわかつて参りますから……。
  56. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私はなぜそういうことを申上げるかと申しますと、石炭オンリーの考えだけでなくて、関係する重要産業の点も併せ考えて、そういうことを言つておるので、例えば電力の問題にしても、最近開発されて行く新らしいコストの高い新発電所の発生する電力、これの単価が高いために、一部にはまあ値上げではないでしようけれども、コスト高による料金の是正というようなことも考えられておるように私どもは伺つておる。更に大臣も御承知だと思いますけれども、今日電気事業者は競つてやはり火力設備の創設を計画しております。ますます私は料金単価というものは高くならざるを得ない必然的なものを持つておると思います。只今ですら一般料金はもうアメリカの料金よりちよつと高くなりました。大口のほうが若干安いけれども、もう少し火力発電量を殖やして行けばずつと又上つて来る。これは非常な上り方になる。従つて石炭の問題をこのまま放置しておくということは私は由由しいことであると思うので、新聞に非常に、まあトツプ活字で何回かお出しになりましたが、あれの裏付けを一つしつかりして頂きたい、これだけ希望しておきます。  それから第二の質問ですが、実は昨年の暮に名古屋の東亜合成が爆発をいたしまして、国会でも問題にして、又近くは府中の火薬工場の爆発があります。その他二、三まだこのほかにも同じようなことがあることは皆さん御承知だと思う。で、只今の情勢から言いますと、兵器製造法案、それから化学工場の発展も、相当ども今の情勢でも目覚しいものがあるのじやないかと予測せられるのですが、そういう場合に非常に爆発の危険を伴うような工場設備が現にあり、又将来も創設されて行くという場合に、その工場の保安ということについては、やはり格段の私は行政的な措置を講じなくちやいけないとこう思います。只今石炭関係は鉱山保安法がございまして、一応強い監督が行われておるわけであります。こういう石炭以外の危険物を扱う生産工場の保安について、どういうお考えをお持ちになつておるか、これを先ずお伺いいたしたい。
  57. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 東亜合成のときは、あれはちよつと何といいますか、法の盲点のような恰好になつておりまして、そういつた保安的な規定が、法的根拠がなかつたようでありまして、新らしい電気設備でありましたがために……。それから今度の府中の場合はこれは何か本当に花火工場のようなもので、実は通産省が関与するところまで行かなかつたということでありましたけれども、いずれにしても、あれだけの人命を傷付けたことは誠に申訳ないと思つて、御同情に堪えんと思つております。保安設備については、大体できるようになつておつたと私は承知しておるのだが、誰かおりませんかね。担当の者がおりませんから、この次にこれこれこういうものがあつてこうした、これが足らんという点がありましたら、御遠慮なく指摘して下さい。私ども率直に申上げます。大切な点ですから。
  58. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今まで起きた事故の真相を徹底的に究明されて、再び同じことを繰返さないように、大臣の手許において措置されることは、これは当然の義務だと思うのです。私の申上げておることは、今大臣のお言葉の中にも、例えて申上げるならば、東亜合成の爆発事故というものは、新らしい火薬を使つておつたのだ、技術的には至らない面があつて、止むを得なかつたのだというような意味の御発言であつたのですが、それではちよつと了承しかねるのです。例えば最近の新らしい工業を御覧になればわかりますが、米国或いは欧洲のパテントを生で日本に持つて来て、そうしてまだ技術的によくわからない程度においてどんどん企業化し、生産に入つておる。そういう実態があるのに、大臣の今のお話をそのまま理解して行けば、爆発はいくら起きてもしようがない、こういうことになる。それでは困るので、やはり当局として工場保安についてはつきりした一つの基本態度をおきめになつて、そうして然るべき措置をせられる義務があるのじやないかということを申上げておるのです。
  59. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どももその義務を痛感しております。今どういうふうに私の言葉をおとりになつたか知りませんが、私は止むを得なかつたとは申さなかつた。法の盲点であつた。法にはそういうものを取締るものがなかつたということを申上げたのであつて、法の盲点であつて、誠に申訳なかつたということを申上げたつもりでおります。府中の場合も、通産省監督するところまで行つておらなかつたものでございますけれども、これも私どもとしてあれだけの死傷者を出したことに対しては、誠に申訳ないと思つております。従いましてこうした取締りについて全力を尽すことは、これはまさに私どもの義務であると思つております。何か名古屋のあと、直ぐ措置をとるように言つておりましたので、どういうふうになつておりますか……。盲点があれば、その盲点を早くなおさなければならんじやないかと思つて、あの当時みんなそれぞれの責任者責任を痛感したから、だから何か措置をとつたことと私は思つております。
  60. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それでそれはやはり個別の問題について対策をあとから講ずるというのでは手遅れであるので、やはり工場保安に対する体系的な一つの立法措置が必要ならば、そういうものをやはり早目に、手遅れにならないようにとる必要が私はあると思うのです。そこで大臣の大体お考えはわかりましたが、もう一点重ねて伺つておきたいのは、只今の大体日本産業界の動向を見ますというと、こういつたような非常に危険を伴うような生産設備ですね。こういうものはやはり将来増加するように私は考えるのですが、それをお認めになるかどうかということなんです。そういうことをお認めになるならば、これは早急にやはり体系的な一つの御措置をとつておかれる必要があるのじやないか、こういうように考えるわけであります。
  61. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 栗山さんの言われる通り、この頃そういうことを耳にしますので、例えて言うと兵器産業などがちよつとはやつて来ると、何か紡績工場をなおして、そこでちよつと弾を造るとか何とか言つて、これは事実かどうか知りませんが、そういうことを言つて来た人があります。若し事実であれば、これは非常に危いことでありますので、従つて何としてもそういつた法的措置を何とか早くとる必要があると思います。当時、私はあの時分相当頭を悩ましましたから、何かそういう措置をとつたとは思いますが、根本的にそういう措置をとるように至急いたします。
  62. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 わかりました。それではここでこれは御註文を申上げおきますが、東亜合成、或いは府中の事故、その他ここ一年ぐらいいろいろな事故がありましたが、そういうものを一応御報告願うと同時に、只今企業化されつつあるようないろいろな企業の中で、大体その生産工程において爆発の危険を認められるような部門ですね。そういつたようなものを一応御調査を願つて、そうして一つ技術的な全貌を一つお知らせを願い、それから更にどういう態度で行くかというようなことも、成るべく早くこの委員会で一括してお願いしたいと思います。
  63. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 承知しました。
  64. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからその次に、先ほど大臣は御答弁の中で、いわゆる産業政策なるものをずつとお述べになつたのでありますが、本会議演説とまあ大体大同小異だと私は思いますが、その中で中小企業対策は、中小金融公庫法案を提出して財政投資を集中的に行うようにしたから御安心されたいというお話でございますが、これについては法案が出ましたときに、いずれ又意見を申上げることにしまして、ものの考え方を伺つておきたい。この委員会においては、中小企業に対するいろいろな施策が必要でありますが、その中で金融の問題については特別会計の制度を認められたい、こういうことを強く要請したわけであります。決して金融公庫を置いて、総裁理事を並べてもらいたいということを要請したわけではありません。特別会計制度を設けてもらいたい、そういう工合に申上げて、大臣もこれは強く賛成を頂きました。それから大蔵大臣がお見えにならなかつたものですから、愛知政務次官の出席を求めたときも、愛知政務次官も大臣代理として来られて、趣旨には賛成する、実現については努力する、こういう話でありました。ところが出て来たものは全く似て非なるものが出て来たわけでありますが、その似て非なるものについて、大臣は非常に拍手を送るようなお話を承わつたわけでありますが、どちらが御本心でありますか。
  65. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもとしては、ここで御決議を願つたような特別会計が最も希望であつたのでありまして、特別会計を最初から予算にも計上し、いろいろ要望しておつたのでありますが、どうしても最後の段階に至つて公庫案以外にまとまりがつかないということになつたので、それはもう止むを得ん、それなら一つこれでまとめようということになつて公庫案でまとめた次第で、私から言えば、不本意ながら次善をとつた、こういう正直な、率直な私の感じです。公庫案よりも勿論特別会計をとりたかつた。と申しますのは、特別会計であれば、その金がひとり無色の金であるばかりでなくて、どこの銀行、例えば商工中金等を初めとして、どこの銀行へもこれを廻すことができて、必要な部門にこれをやることができますので、非常に活発にこの金が使い得るという妙味があることを思つておつたのですけれども、併し時たまたま農林省にそういう公庫ができるときでもあつたので、まあ通産省のほうにも公庫を作るということなら同意しようということであつたので、特別会計では同意ができんということになつたので、それではどうも次善をとろうというので、止むを得ず公庫案に賛成をした次第です。これはその当時最後まで、何か新聞等にも出ておりましたが、通産省では飽くまでこの特別会計を主張した云々と出ておつたのは、それでありましたが、併しものを取りまとめなければなりませんので次善案をとつた次第です。
  66. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それだけ承わつておけばこの次の法律案審議のときに大体頭が固まりますから結構です。  それからもう一つは業界も、それから金融機関等も非常に熱望しておつた信用保険法の中の保険率の七五%から九〇%に引上げの問題です。これは全然出ていないんですが、これは又どういうわけですか。これもやはり愛知大蔵政務次官は大臣代理で実現に努力すると言つておる。別に今までの保険の実績から見て、国に損失をそんなにかけておるわけではない。これを業者もやつてくれ、金融機関もやつてくれ、これさえあればもつとうまく貸出しができるんだと言つておるのに、そうして国のほうもそう大して実損がないのにどうしてできないんですかね。
  67. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これはたしか金額を殖やすことは同意したんですけれども、この枠を九〇%に高めることにはどうも同意が得られなかつたということで、そうなつておるように承知しております。
  68. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 結果はそうなつたわけですけれども、なぜ同意が得られなかつたかということは、大臣はそれまで御承知はないわけですか。
  69. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 事務的に直接私が折衝したわけではありませんから、それまで承知しておりませんが、これでなければ根本的に同意が得られなかつたということであります。
  70. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それはわかりました。中小企業の一番問題点は組織力の問題で、組織を強くするということ、それから今の金融の問題、それと資金源の問題があります。それともう一つは中小企業の信用力の脆弱なものをこういうことでカバーしてやる、その三本建でなくちやならんと思いますが、その三本建をこの予算の編成期に当つて、言葉が過ぎるかも知れませんけれども大臣は、この経過はどこかで承知しなかつたから、できなかつたというような御認識よりないということは、僕は甚だどうも遺憾千万に堪えないと思うのですがね。そういうことでは中小企業対策としては、通産大臣はこれは落第です。
  71. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは私は中小商工業者に対する、企業者に対する考え方の根本としては、まあ私ども税制の面で改正し得るものについて大蔵省と話をすることが一つであり、その次は金融面である。金融画については、一番中小商工業者が欠けておる点はどこにあるかと言えば、これは何と言つて中小企業者の中に企業金融というものをつけることについての十分な何がないことである。従つて企業合理化でもしたいときに、企業金融をつける機関が一つ是非とも必要である。組合金融のことならば商工中金だけで事は足りる、これは二十倍もまだ債券発行の権限を持つてつて、まだ今後とも活躍すべき余地が十分ある。又ごく零細なものについていうと、これは国民金融公庫でやつてもらうということにすればよい。そこで先ず主たる点は企業金融ということについて考える。こうすれば、金融は十分とは言えませんけれども、一応こうやつてレールを造つて途を開いておけば、将来これでだんだんと途が拡がつてつて金融の方途は満たされるであろう。それであなたの言われる通り、それは信用の点はこれは極めて大切でありますか、それは私は七十を九十にしなかつた。そういうことは認識が足らん、通産大臣落第だと言われるなら、これは何をか言わんやです。
  72. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今の問題は私は別にそういうふうに強弁したわけではないので、特に事務的に申したわけですけれども、要するに中小企業対策としては、非常に欠けておる点があると思うのです。それは業界の非常に強い要望から出ているので、やはりこれは推進して頂きたい、大蔵省が今までいろいろ難点があつたようですから、通商産業省としてはやはり強く押してもらわなくちや困るというのが、この委員会の要望でもあつたと私は思うのです。従つて或いは私はこういう問題については、何も実害がないのだから、議員提出あたりで私は出すことに将来なるかもしれんと思うのです。それくらいの気持を私どもは持つておりますので、一つ更に善処を私要望しておきます。  それからその次は今の御報告の中でもう一つ遺憾に思いますことは、電力政策のことがちつとも細かく述べられなかつた点でありますが、一体今年の一月からの電力制限状態は、一体どういう工合にお考えになりますか。例えば非常に極端な制限をしておりまして、最近中小企業安定法による調整組合などは作らなくても、天然現象である水が出ないということで以て、操業短縮が自由自在にできておつて、一応こういうような点から生産調節ができておるように私は見ておるのですがね。このことは非常に悲しむべきことで、若し豊水期になつて水が順調に出て来るということになれば、更に又別の現象が私は生まれて来ると思いますが、従つてこういう渇水状態を通産省としてはこれはもつけの幸いだというようにお考えになつておるのか或いは非常に困つたことだとお考えになつておるのかその点一つ承わりたいと思います。
  73. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 中小企業金融について御鞭撻を頂いて私どもとして厚くお礼を申上げます。この上ともよろしく一つお願いを申上げます。  今の異常な渇水期のために、電力の需要者に御迷惑をかけておる点については、衷心より通産省として遺憾に存じております。けれどもどうもこれこそ人力の及ぶところにあらずで、今急いで電源開発を促進するという方面に努力を続けておる次第でございます。
  74. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そこで渇水状態のことを去年は随分国会のほうでも一生懸命調査をしましたけれども、今聞きますと、全然できていない。委員長から一つ相当ひどい渇水状態であるので、一応この委員会でもう少し細かくわかりますように御手配願いたいと思いますが、これはお願い申上げておきますが……。
  75. 結城安次

    委員長結城安次君) これはちよつと申上げますが、明後日呼ぶことにしております。
  76. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それと同時に電源開発に非常な努力をしているというお話でありますけれども、その電源開発の努力の中心は去年発足した電源開発促進会社が責任相当重要な部面を負うことになつております。この会社の運営振りは、私は直接は知りませんけれども、業界の新聞或いはその他一般新聞で見ておりますと、どうも半身不随の傾向があるように私は見るのでありますが、この開発の直接運営監督責任は法によりますと、通商産業大臣にあつたように私は考えるのでありますが、そうですが。
  77. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 監督通産大臣にあります。
  78. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 通商産業大臣にこの開発促進会社のことはいろいろお聞きすれば全部わかるわけでありますね。
  79. 石原武夫

    政府委員(石原武夫君) お尋ねがございますれば、これは調べて御報告申上げます。
  80. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そこでこれも細かいことは今日は伺いませんが、概括的なことを……。
  81. 結城安次

    委員長結城安次君) ちよつと栗山さん、申上げますが、明後日はたしか高碕君が来てくれるはずだと思います。
  82. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 開発促進会社が、この前の法律案提案のときに、政府側が説明しましたいろいろなことによると、もうどんどん開発に着手されて行かなければならん状態にあるのですが、それが非常に遅れておる。例えば天龍の佐久間のごときは一年見送りだということが新聞に出ておりますが、そういうことで、あそこへ五十億かなんかの金を投資し、今年も又百五十億円、貸出が五十億、二百億です。それだけ投資をして銀行利子だけ出して、職員の給与を払つているということでは、これは電源開発にはならんと私は思うのですね。その辺はどういうふうになるのですか。
  83. 石原武夫

    政府委員(石原武夫君) 今のお尋ねの開発会社の進行状況は、一つ詳しく調べて御報告さして頂きたいと思いますが、お尋ねのございました天龍につきましては、新聞等に一時出ておりましたが、私の承知しておりますとこでは、あすこは地元の補償問題でちよつと問題になつております。それでまだ全部片付いたところまで行つておりませんが、私が聞いておりますところでは、これもそう長くは、近いうちに片付くというふうに聞いておりますので、あの地点につきましては、今月中ぐらいに施工者に請負わせて、三月になれば具体的な工事に着手したい、大体そういう予定でおるように聞いております。それからその他の地点につきましては、これは地点によつて違いますが、すでに公共事業で開発が進んでおつたものを受継いだものについては、その通り進んでおりますが、只今の天龍、三幌等はまだ具体的な着手の状況に至つておりませんが、なお詳しいことは、次の機会に調べて御報告をいたさして頂きたいと思います。
  84. 小松正雄

    ○小松正雄君 大臣石炭のことにつきましてお尋ねしたいと思いますが、さつき西田先輩よりいろいろお聞きになりましたので、私も大体にはわかつておりますが、二、三お伺いしたいと思います。さつきのお話の中でアメリカ炭神戸着で九十五銭とおつしやつて、又国内石炭は一円十五銭、こういうふうに聞いたのでありますが、間違いありませんか。
  85. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 一円十八銭です。
  86. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで私のお尋ねしたいことは、政府は四百九十何億という多額の金を大企業に融資をされ、差当り七十九坑竪坑を掘つて石炭のコストを下げるということが目的のように聞きましたが、そうですが。そうであるとするならば、私は中小炭鉱石炭が五ヵ年後に下るとは考えられない。というのは、さつきも西田委員より御指摘になりましたように、私が申すまでもなく、中小炭鉱というのは、大炭鉱の鉱区と比べまするときに、諸般の経費が多額に要るようになつていることは御承知だと思います。されば機械化されて、機械の近代化によつて大手のほうはどんどん炭価が安く出るようになつて来る。それにしわ寄せを受けまして、中小炭鉱は逆に高くなるという虞れがあると私は思うのですが、大臣はどういうようにお考えになりますか。
  87. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 二十八年度としましては、中小炭鉱に対しまして大体三十億の金を予定しておりまして、それらの金を中小炭鉱合理化等に使つて頂くように考えておるのであります。従いまして私どもはこれらの炭鉱もだんだん合理化されて行きまして、生産費が、その割合がどういうようになるか存じませんが、安くなつて行くものとこういうように思われます。
  88. 小松正雄

    ○小松正雄君 三十億の金を出して、中小炭鉱合理化によつて炭価が安くなると、こう仰せなつたようでありますが、私の考えでは、中小炭鉱でもその一部はそういつた機械の合理化によつて促進されるために、安く上るという所もできるかも知れませんが、おおよそこの三五%を占める中小炭鉱に、機械化合理化して、そうして炭価を下げようというような採掘計画炭鉱がないと言つてもいいような感じがするわけでありまして、そういうことから考えますると、恐らくこの三十億という金を借りて、そういう機械化合理化をしようという申出をするという炭鉱が全体的にあると思われておるかどうか。私は必ずしもこの三十億円の中の金を借りて、そして機械を以て合理化しようという炭鉱は、中小炭鉱にはないのじやないかというような感じがするわけでありますが、どういうふうにお考えになりますか。
  89. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私のところへおいでになるかたは、金さえ出して頂けば、こういうようになつて行くのだと、随分今までに御説明になつているのでありますが、それから更にもう一つ変つたかたの御説明としては、自分たちは機械を買うというのは困るが、むしろ機械を貸付けるような会社でも作つて、そこで自分たち一人一人が、自分々々の山を機械を買うのは負担に耐えないけれども、機械を貸付けて賃料を払えば、山が合理化されて行くという相談を受けております。
  90. 小松正雄

    ○小松正雄君 それは一部にとどまるのじやないかと思いまして、その要点はカロリー、要するに石炭品位が悪いという条件のある炭鉱といたしまして、機械化してまで石炭を増産して、そしてそれによつてコストを下げようということに相成らないと私は思うのでありまするが、そこでカロリーによつて炭価がきめられてある今日でありまするので、中小炭鉱石炭というものは、御承知のようにカロリーは五千か五千二、三百を中心としたものでありまして、このカロリーの炭価で売つて、将来五ヵ年後三割五分も下るという大臣の御見解のようには、大手はなつても、逆にこの中小はならないということに相成るために、五ヵ年後には、中小炭鉱のそういつた品位の低い炭鉱は、漸次五ヵ年の間にやめて行かなければならないということに相成るのじやないかということを私は憂うるものでありますが、これが若し中止して行かなければならない、ついて行けないために中止しなければならないという社会問題が起つて来ることについては、大臣はそういう炭鉱を一時閉鎖させるために、統合といいますか、整理といいますか、というような考えを持つておられるのであるかどうか。
  91. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) まだそこまで実は考えは全然持つたことはございません。私どもが三割五分と申したのは、竪坑を開鑿した所について、二十二の事業体に対して竪坑七十九本を開鑿します、四百九十億で……。そうしますと、その部分だけといいますか、その分だけは三割五分下る、こういうことであります。そのほかにつきましては、今のように二十八年度は中小の分に対して三十億でございますが、そのほかにもまだずつと片方の五ヵ年計画でありますから、そんな工合にいろいろ計画を立てて参りまして、又当業のかたから適切な一つ計画をお立て下さいまして、お申出がありますれば、十分これに対して石炭局として御相談に乗りまして、とにかく日本の炭業というものの繁栄といいますかを図るように努力いたしたいと考えております。従つて今先々のことを考えておるかという仰せでございますが、そこまでのことはまだ考えたことはございません。
  92. 小松正雄

    ○小松正雄君 結論から申しますと、二十二社に対して七十九本の竪坑を掘らせる。それによつて三割五分は五ヵ年後には下るということですね。炭価が、大手機械化されるに連れて下るということについては、中小炭鉱というものはカロリーが低いということが一つと、それから機械を貸して機械合理化によつて炭価を下げるような施策のできない炭鉱が、中小炭鉱には相当あるということ、さすればそれらはコスト的にも石炭を出しても販売ができない。そこで販売できないから、いやでもそのしわ寄せを食つて中小炭鉱のそういう施策のできない炭鉱は漸次やめて行かなければならないということが起るということを、私は今申上げておるわけであります。そういう場合については、そういう炭鉱に関して政府が補助金を出すというか、或いは又政府で買上げて、その炭鉱を中止させるとかいうようなお考えがあるかということを聞きしておるわけであります。
  93. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今のところはそこまで問題をつきつめて考えたことはございません。今の目前高い炭価を見まして、何とかして炭価を引下げたいものだということでいろいろな計画を立てております次第で、非常に炭価が下つてしまつて、こうなつた場合についてどうするかということについてのところまでは、実は考え及んでおりません。
  94. 小松正雄

    ○小松正雄君 例えて申しますると、大臣はそういつたことで、五ヵ年後には、必ず石炭というものは安くさせるようにするというお考えでありまするが、今日の段階でも中小炭鉱の経営というものは相当苦しんでおるわけであります。というのは例えば坑木を買うにいたしましても、現在ここ二ヵ月ぐらい前から坑木等においては二割以上上つておりまするし、それから鉄鋼等も二割以上上つておりますが、一番必要である坑木がそんなに単価が上つて来るということは、パルプ工場に持つて行けば単価もよく買つてくれるのだ、炭鉱では曲り曲つておるやつははねるということもあるし、パルプ工場では何でも引受けてくれる、そうして金の支払も早い、こういう点から行きましても、この中小炭鉱というものは坑木が買えずに、修繕期が来ながらも、それに耐えて行くことにすら困りつつある今日でありますので、炭価は必ずしも下るということでなく、相手かたの大手のほうのいい石炭が出るようになつて来れば来るほど、国内需要に関して、中小のカロリーの悪い炭鉱の炭を買うということがなくなつて来るために、炭価は逆に上るという見解を私は持つものであります。そういう考え方から申しますればどうしても、繰返して申しますが、五ヵ年後には相当中小炭鉱はやめなければならん、自滅しなければならないということに相成ると思うのであります。そういうことになるに連れましては、是非とも私としてはこれを整理するか、或いは出て来る石炭がカロリーは低くても、政府で補償して買上げて、そうしてその炭鉱の経営ができて行くように補助するというような考えに持つてつてもらいたいということをお願い申上げておきたいと思うのであります。
  95. 小滝彬

    ○小滝彬君 今西田さんのお話にありましたが、炭価三割引下げということが新聞に出ると、却つて反対の方向の反響が出て来るということだつたのですが、私も貿易の面から見て、東南アジア開発ということは、大臣のお話にもありましたが、私もこれは往々にして対外的に誤つた印象を与え易いということを常々恐れているのです。政策の方向としてはそういうところにあるだろうと思うのですが、やつぱり提携と申しますか、経済協力というか、もう少し政府側の正式な声明では慎重に考えられる必要がありはしないか。その例をとりますと、先ほどのお話にも出て、高碕さんが非常に力を入れておられた日印合弁の製鉄事業というものも、一頓挫したやに新聞で見ておりますが、それは何も日本の侵略的な意図を恐れたというわけではないかも知れませんが、あの事情について大臣もすでによく御存じと思いますので、簡単で結構ですからお伺いしたいと思うのです。高碕さんは行かれる前にも再三声明せられまして、我々は日本で資源が必要だからこういう事業をやるのだという考え方ではもう駄目なんだ、これまでの大東亜共栄圏とかいうような考え方の奥にひそんでいた気持を捨てて、自分は本当に虚心担懐にインドのために尽すし、そうして我々が共存共栄のためにやるのだという非常に崇高な考えを披瀝されておつたのですが、あのいきさつについては西山大使からも電報が来たと思いますが、相当政府側も連絡があつたと思いますが、簡単で結構ですから真相をここでお伺いできたらお述べ願いたいと思います。
  96. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私も実は高碕氏に二回ほど会いましたが、たしか二月四日付のインド大使からの手紙で、本国のほうからこの五カ月以来話を進めておつた日印製鉄の問題については、これ以上話を進めないことにしたいということを言つて来たから、そういう電報を受取つたから承知してもらいたいという極めて簡単な手紙が高碕氏宛にインド大使から来たわけです。それで高碕氏もその後事情が少しわかりかねておつたわけです。それであれは小瀧さんはよく御承知かも知れませんが、例のインドの何の関係について世界銀行のほうで五千万ドルですか、日印共同でやるなら金を出そうといつたような考え方があつたものですから、世界銀行からも何とか言つて来るかと思いましたら、世界銀行から何とも言つて来ない。それで昨日でしたか、一遍インドのほうへ尋ねて見ようと思うがどうだろうと、総理の御意向を伺つておくというようなことで、新聞なんか、総理の御意向を伺つた結果、ネール首相に宛てて手紙を高碕氏が出すということが新聞にも出ておりますが、それくらいで、余り話を進めなくなつて来た、中止された事情がよくわかりかねておる。或いはどういつた点からそういうふうになつて来ておるのか、もう少しその返事が来ればわかると思います。いずれ飛行便か何かで詳しく高碕氏が手紙を出すことと思いますから、それに対する返事が来ればわかりましよう。或いは一部には、それは話を有利に持つて行くために一時こうしたのじやないかという、向う側の何から来ておるのじやないかというような見方をしている人もありますが、そんな見方はどうかといつて、私もこの間も実は話をしておつた次第であります。  それから小瀧さんがお話になつておつた一番最初の点、これは私どもは誠に御同感でありまして、東南アジア開発というような言葉がいろいろ今まで言われておるものですから、使われておる言葉をそのまま使つておるのでありますが、私どもはあらゆる機会に、とにかく向うのためになるということを第一義に考えて行かなくてはいかん、日本人がとかく向うへ行つて、まだ我々がアジアのうちでは先進民族だといつたような考え方を以て向うに臨んでは、何事もできやしない。だから向うのためになるということを考えて、向うのためになれば、延いてそれは日本経済発展を助けることになるし、又日本民族はやはり向うの者と本当に心から提携するという心持で、自分が少しでも優れておる民族だというような考え方を持つてはいかんということは、たびたび私は行かれる人ごとに申しておるのであります。その点から見ましてああいう不用意に、誰でも東南アジア開発というようなことを言つておるからあの言葉を使つてはおるのですけれども、何でしようね、向うが受けた印象はよくありますまいね。開発なんという言葉は……、これは何かいい言葉があれば変えることにいたしましよう。
  97. 小滝彬

    ○小滝彬君 ジヤーナリズムはいろいろ言いますけれども、一国の主管大臣でありますから、その点御考慮になる必要がありはしないかと思つて申上げているのです。だが併し先ほどの高碕さんの関係された問題については、私はいやしくも日本の大使館があすこにある以上、これだけの大きな事業をするという際に、十分大使館と連絡されて然るべきであり、結局政府の力を借りなければならんのですから、若しそういう形勢があれば、当然経済通である西山大使は前以てその情報を探るべきであり、又館員もおることでありますから、経済主任の大使館員あたりがもつと経済関係の情報を十分集めるという気持に、通産省からも外務省あたりを指導せられる必要があるのじやないか。一体インドというところはオブザーヴエーシヨン・ポストで、情報を巧みに手に入れるのに都合がいい。殊に竹のカーテンの向う側の関係もあすこではわかりはしないか。同様に経済についても非常に大きな関係があるところでありますから、もつと大使館を利用して頂いたらああいう咄嗟の問題が起らないで済んだのじやないかというふうに考えております。  それからお急ぎのようですから、それではもう少しお尋ねしたいこともありますけれども、それは離れて、一番緊急な問題として今のお話の中にも各国との通商条約を締結するというお話があつたのですが、最近業界からもいろいろ言われておるのですけれども、アルゼンチンとの通商条約の問題です。これは七、八ヶ月やつておりますが、依然として片付かない、最近では大体土壇場まで来たけれども、農林省のほうとの話が付かないで、小麦の輸入について結論を得ない。そこでこういうふうに遅れておる、一つは相手国が漫漫的の国であるということも言えるでありましようが、こうした交渉に、今通産当局は食管会計に依存しておるという関係もあろうかと思いますが、輸入の補給金も出せない。いろいろな関係で結局食管会計等と睨み合せて改良しなければならんというような困難があるので、私は相手のある仕事であるから何も通産省が悪いとか、外務省が悪いとかいうような意味のことを申上げるのではありませんが、この促進方について是非大臣に御努力をお願いしたいと思います。と申しますのはだんだん鋼材あたりの値段も下つて来る、今までいろいろやつていたけれども、なかなかきまらないというと、ヨーロツパ辺からもあの日本にとつて重要な市場であるアルゼンチンへいろいろな品物が入つて来る虞れもありますので、是非とも関係省で物を出す必要があれば出す、又小麦の品質について疑問があるならば、それについて早く手当をして見本を取るとか、或いは技術官を向うへ派遣するとかいうような措置をとるか、アルゼンチンとの条約は今一番問題になつておる条約ですから、これを是非急いでやつて頂きたいと思うのですが、極めて最近の状況は如何でございますか、大臣にお伺いいたしたい。
  98. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今農林省のほうでいろいろなことを相談しておるというようなことだけしか聞いておりません。何か特に聞いておりますか……。
  99. 松尾泰一郎

    説明員松尾泰一郎君) 御承知通りアルゼンチンは非常に南米におきまして大きな市場でありまして、できるだけ早くいい協定ができますように、御指摘がありましたように大分前からいろいろやつておるわけでありますが、非常に問題がいろいろたくさんありました関係で、遺憾ながら今日まで遅れて参つたのであります。今もちよつとお触れになりましたように、大体大きな問題の見通しもつきまして、我我は想像しておりましたよりも、何と申しますか、有利に展開しつつあるわけであります。それで大体協定の枠、それからスウイングの問題等も大体話がつきまして結局今ひつかかつております問題は、先ほど御指摘のありましたような小麦の長期契約と申しますか、これにつきましてはまあ今お話のありましたように、農林省が買上機関でありますので、農林省と十分相談しておるのでありますが、農林省の言い分によりますと、何分これまで余り輸入し、又使つた小麦がない関係上、少し不安を持つておるようなわけでありますし、それと小麦の質がハードである、ハードウイートになりますと、カナダからかなり買つておるというような関係、それから日本における小麦のハードとソフトの比率というような問題から若干量が多過ぎるという問題がありまして、現在のところまだ農林省と完全に意見の一致はいたしておらん。従つて最終の返事がブエノスアイレスの日本の大使館に、日本の小麦の問題についてはまだ遅れておるわけであります。併しながらこれも今お話のありましたような事情でありまするし、小麦を買うほうとしましては遅々としておりますが、併し小麦を買わなければ結局アルゼンチンの市場は維持できないというような関係から、なお農林省と十分に話しまして、いい結論に達するだろうと私は思つております。実はまあ変な言い方でありますが、こちらも非常にいろいろの関係で忙しくしておりまするし、向うも部長が海外に出張しておるというような関係で甚だあれでありますが、皆寄り合つて会う機会がちよつとここ四、五日遅れておるわけで甚だ申しわけないのでありますが、早急に外務省経済局長の所で関係局長集まりましてすぐに結論を出そうとしております。今日、明日と言つておりますが、その点甚だ遅れております。見通しとしては、私は問題なく農林省の御了解を得てうまく行くだろう、こういうふうに思つております。それから担当官の派遣の問題も、去年の暮からその交渉を促進するために派遣しようと思つたのでありますが、まあ問題が大よそ解決の方向に来ましたので、もう今後派遣する必要もないのではないかという気もいたしておりますが、なおこれから先でも細かい問題もありますので……。
  100. 小滝彬

    ○小滝彬君 発言中ですが、今担当の次長からも話がありましたが、一つ大臣のほうでも促進するように、是非事務当局を御鞭撻願いたいと思います。
  101. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 承知しました。
  102. 小滝彬

    ○小滝彬君 あとは直接担当官にお尋ねいたします。今貿易の話が出ましたので、栗山さん、すみませんが、簡単に一つ、二つお許し頂きたい。
  103. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 どうぞ。
  104. 小滝彬

    ○小滝彬君 優先外貨の問題がよく新聞に出ておる。あれは本当にパーセンテージを引上げるとか、或いは適用範囲を又広めて、スターリング地域も適用するようにするとかというような、本当に当局の構想があるのですか。新聞がゲスワークで書いておるのか、その点をお伺いしたい。  それともう一つは、ドイツの制度相当ガツトあたりで叩かれておるようだが、日本制度は少し違うので、私自身の考え方から言うと、もう少し引上げて輸出促進の役に利用したほうがいいのじやないかと思うのですが、併しそうした対外関係殊にガツトに入ろうとしておる日本として、事務当局のほうでもあの優先外貨を今後どういうふうに持つて行こうという方針を持つておられるか。その辺を簡単で結構ですから、一つ松尾君にお伺いしたい。
  105. 松尾泰一郎

    説明員松尾泰一郎君) 先ず現在の優先外貨は御存じのように、ドル地域にだけ適用いたしておるわけであります。従いまして現在やつておりますドル地域に関係する優先外貨につきましては今御指摘のように、もつと輸出振興の効果を挙げますためには率を引上げる問題、現在最高一割五分になつておりますが、これを例えば二割とか或いは二割五分乃至三割、最高限のほうを引上げるという問題が一つあるわけであります。それからスターリング地域、オープン・アカウント地域につきましては昨年の春頃だつたと思いますが、一応支払関係が非常に日本側に有利になりました関係上停止をして今日まで来ておる。廃止じやなく、停止をして今日まで来ておる。このスターリング地域、オープン・アカウント地域についての優先外貨については、これを復活することはどうかという問題を目下研究いたしておるのでありますが、今ちよつとお話のありましたように、確かに日本の優先外貨制度は、ドイツのごとき為替の自由処分を認めるのと違いまして、かなり違つておるのではありますが、やはり輸出振興になるといいますか、輸入による利益で以て輸出についてかなり強いプレツシヤーをかけるということについては、効果においては同じような効果になるわけです。従いまして先般メキシコでありましたIMFの会議においても日本のこの制度が調査の対象になりまして、これがダンピングの輸出ではないかと問題になつたのでありますが、いろいろ調査の結果、かなりドイツの制度と違うということで悪いという判決は受けなかつたんでありますが、若干そのややいい制度であるということは言われなかつたわけであります。ドイツの制度自身はIMFにおきましても、その後海外におきましても、非常にダンピング促進措置であるという非難をこうむつておる。こういうことでありまして、従いまして輸出振興だけの観点から行きますれば、ドル地域については率の引上げ、或いはポンド・オープン・アカウント地域については制度の復活ということを早急にやりたいのでありますが、その辺の海外に対する反響問題、それから外貨予算においてかなりの割合を占める恰好になりますので、いわゆる予算の金額上の問題が実はありまして、今直ちにこれを実施するという結論にまでは至つておりませんが、我々事務当局としては、できればそういう方向で早く解決をしたいというふうに考えております。
  106. 小滝彬

    ○小滝彬君 対外関係を考慮しておるというのはどうですか。海外のいろいろな機関、スイスとかイギリスとかいうような存外公館へいろいろ照会を出して検討しておるというのですか、それともま国内で、各省でいろいろ意見の交換をしておるという程度ですか。私はこの点は若しやられるものなら、今は輸出沈滞の時代だから思い切つてやらせる。できないものなら別個の措置を強力に推進しなければならんと思うので、新聞などに出ているのを見て、はつきりどつちにきめられる方向に動いているかを伺いたい。それと調査の方法、対外関係、どういうことをやつておるか。
  107. 松尾泰一郎

    説明員松尾泰一郎君) 海外に対する影響でありますが、何も公文書を以て何があつたとか何とかということではございませんが、その新聞でも日本はこういう制度をやつているが、これは注目すべき事柄であるとかいうようなことを書かれたことが一時ございますし、又国際機関のいろいろな集まり、特に何といいますか、ECAFE等の集まりにおいて、日本輸出振興策としてこういう制度をとつておるが、それは問題ではないかというふうなことが議論をされて、一、二の国を代表する委員からはやや批判的な意見があつた、そういう程度であります。従いまして心臓強くやればそれまでということでございますが、ガツト加入を控えての問題でありますので暫くちよつと信用を得るというような感じもして少し暇取つておるところであります。やがて近く結論を出したいというふうに考えております。丁度四—九月の新らしい輸入予算の編成期でありますので、そのときに合せて問題にしなければいかんわけでありますから、早急に結論を出したいと思います。
  108. 小滝彬

    ○小滝彬君 大体わかりましたが至急これを考えて頂いて、若しできるとすればこの際早急に実施して頂きたい。それから条約関係は、アルゼンチンは特に緊急を要するので、至急事務当局のほうで馬力をかけて頂きたいということ。それからもう一つは、インドの関係を大臣に質問しましたけれども、あれに関連して、インドはなかなかほかの国とも条約を作つてないからできないのだというような外務当局の託もあるのだけれども、丁度アメリカとの条約のような固苦しいものを作ろうとしないで、個々の問題、例えば日本人の技術者の移住に対するいろいろな保障をとりきめるとか、又は投資関係のことについての取極めをするというような限定された個々の問題をとらえての取極めでもいいから、一つ早いうちに作られる必要がありやしないか。それは勿論外務当局のやるべきことだけれども通産省としては最も重大なる関心のあることですから、是非そうした面を早く進めて行かないというと、先ほど大臣貿易についてのいろいろ豊富なる御意見を述べられましたけれども、この本年度の貿易というのは非常に困難な問題が存すると思いますので、その点を特にお願いしておくわけであります。  それからもう一つ、これは大臣が帰られたので松尾君に質問するのは如何かと思うのですが、今の原稿を読まれたところを私が聞き取つたところによると、特に貿易ドル地域東南アジア、中南米を相手とするというように言われたのですが、これは又スターリング地域のほうについては手を緩める、それほど重要性を認めないという趣旨なのか。特にこの三地域が重要だという意味なのか、この辺について貿易担当の松尾君に最後にお伺いしておきたいと思うのです。一体バランスが少し崩れるというと、すぐさあ輸出振興だという、少しバランスがよくなるというと、制限するというような貿易政策が正しいか正しくないかということについて、はたから見てすでに疑問を感じておるので、今の大臣の述べられたあの地域に対する点は、事務当局はどういうふうに見ているか。それだけを伺つて私の質問を打切ります。
  109. 松尾泰一郎

    説明員松尾泰一郎君) 甚だあれでありますが、我々事務当局としては、地域に対しましてはそういう差別をつけずに現在の段階としては考えております。確かにドル地域輸出振興ということを強調いたしますのは、ドル地域との収支の関係が非常にアンバランスになりまして、輸入超過である。従つてドル地域向けの輸出振興に努力しなければならない。これも又当然のことではありますが、昨年度と、或いは昨年の今頃と情勢が変りまして、現在の段階におきましてはポンド地域にしても、オープン・アカウント地域にしても、あらゆる地域についてそれに尽力をいたさなければならん段階であります。ただ大臣の言われましたのは、まあ中近東にしましても、中南米市場にしましても、それらがどちらかと言いますと、日本輸出市場として新らしい市場なるがために、特にいろいろな施策を要する必要があるのではないかという意味で、特に特定して言われたのじやないかと思いますが、輸出振興地域といたしましては、まあ殆んど最近は同列に考えて然るべきかと考えております。   —————————————
  110. 結城安次

    委員長結城安次君) 皆さん、ちよつとお諮りいたしておきますが、先ほど申上げました通り、織物消費税の廃止に伴う特別措置に関する法律案、これは前に大蔵委員会と連合委員会を開くことに決定いたしまして、その方針で進んで参りましたが、十二月に会期が終りに近付き、大蔵委員会のほうでも連合委員会を開く余裕がないということで、十二月二十三日に一応連合の件は打切つておいたのでありますが、その後会期も大幅に延長されましたので、更に連合委員会を申込もうかと存じますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 結城安次

    委員長結城安次君) それではさようにいたします。   —————————————
  112. 結城安次

    委員長結城安次君) それから更に今度衆議院議員提出として、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、これは至急やつてもらいたいということで提案されておりまするが、明日あたり提案者の説明を聞きたいと思います。明日伺うことにいたします。
  113. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それに異議ありませんが、参考人を適当に選んで、各界の一つ意見を聞くようにしてもらいたいと思います。
  114. 結城安次

    委員長結城安次君) 明日ですから、とにかく明日伺いまして、それから御相談するなりいたしたいと思います。  それから先ほど問題になりました電源開発株式会社設立後の業務の運営状況、これは電源開発会社から聞きたいと思います。  それから今冬、つまり今年の渇水及びその電力制限状況並びに火力用炭の消費地負担状況、これは公益事業局長から、それらのほかにまだ陳情請願もございますから、時間があつたらそれもいたしたいというので、二十日に午後一時からやりたいと存じますが、電源開発に関して総裁、副総裁又理事等を呼ぶには委員会の同意を要しますから、一つこれは御承認願いたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 結城安次

    委員長結城安次君) よろしうございますか。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後四時八分散会