運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-03 第15回国会 参議院 通商産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月三日(水曜日)    午後三時五分開会   —————————————   委員の異動 十一月二十六日委員佐藤尚武君、高瀬 荘太郎君及び山内卓郎君辞任につき、 その補欠として奥むめお君、高橋龍太 郎君及び川上嘉市君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り    委員長     結城 安次君    理事            小林 英三君            松本  昇君            栗山 良夫君    委員            古池 信三君            小滝  彬君            左藤 義詮君            山本 米治君            小林 孝平君            小松 正雄君            西田 隆男君   国務大臣    農林大臣通商産    業大臣    小笠原九郎君   政府委員    通商産業政務次    官       小平 久雄君    通商産業大臣官    房長      永山 時雄君    通商産業省通商    局長      牛場 信彦君    通商産業省公益    事業局長    石原 武夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (通商産業政策基本方針に関する  件 ○電気及びガスに関する臨時措置に関  する法律案内閣送付)   —————————————
  2. 結城安次

    委員長結城安次君) それじや只今から委員会を開会いたします。  小笠原通産大臣から通産政策並びに行政一般方針お話し願います。
  3. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 通商及び産業政策について申上げます。  最近におきまする我が国貿易及び産業経済情勢並びにこれが対策につきまして簡単に御説明申上げますれば、先ず貿易の動向でございまするが、輸出につきましては、年初は主としてポンド地域オープンアカウント地域向けに大いに伸びまして、著しい輸出超過となり、手持外貨量が累増いたしました結果、ポンド地域向けにつきましては為替及び数量両面輸出制限措置を採用するという状況でありましたものが、その後各国輸入制限措置強化等によりまして、一月から六月までの上半期において七億一千万ドルに達しました輸出認証額も七月以降は月一億ドルを下廻るという停滞状態にございます。又輸入につきましても、一月六月の実績は九億ドルになつておりまするが、その内容においては、ドル地域輸入が多額に上つたのに比べまして、他の地域からの輸入は、価格の割高及び国内産業活動停滞等によりまして極めて不振となつております。かかる状況を以て推移いたしますときは、昭和二十七年度輸出は約十一億五千万ドル、輸入約十八億ドル程度と予想されまするので、昨年度は念のために申上げますると、輸出十四億五千万ドル、輸入二十億ドルに比べましていずれもかなりの減少となる傾向にあります。この間の貿易収支支払超過を補つておりまするのが特需でございまして、四月以降九月までに契約高一億七千万ドルとなつており、本年度の見通しといたしましては、駐留軍関係消費を合せ七億四千万ドルと推定いたしております。一方国内産業活動はかかる貿易停滞を端的に反映いたしまして、鉱工業生産指数の伸びは四月以降一三五から一四〇の水準で頭打ちとなつて物価水準も又動乱前を約五割上廻る線で弱含みの横這いを示しております。これは一面朝鮮動乱によつてもたらされました景気上昇の修正若くは正常化への過程とも見られるのでありますが、これを産業部門別に見ますると、綿糸布、鋼材の一部、ゴム製品ソーダ等の一部の工業におきましては輸出停滞、内需の不振による在庫の累増、価格の低落を来たし、長期旦つて操業短縮を余儀なくされ、特に繊維部門におきましては、最近米綿価格の下落によりまして綿糸一梱七万円を割る相場を呈しており、又硫安工業のごとき国際競争激化のためにトン当り十数ドルの出血を覚悟して輸出強化せざるを得ない産業も見られるのであります。  以上のごとき経済情勢に対しまして通商産業省といたしましては、我が国貿易及び産業規模拡大国内消費購買力の増大を促進し、雇用の拡大国民生活水準を向上せしむるために次のごとき対策を講じたいと考えております。  先ず第一に貿易振興対策でございまするが、貿易各国と広く円滑に行われまするためには国際経済関係を速かに正常に復帰せしむる必要があり、これがため米国を初めとする通商航海条約の締結の促進、ガツトヘの加入及び輸入制限の緩和を主眼とする日英一般支払協定改訂等通商外交上の諸懸案の解決を推進いたしまする一方、東南アジア中南米等新らしい市場に対しましてはプラント輸出振興資源開発積極化技術者経済使節の派遣、通商斡旋施設充実等経済協力の線を通じまして共存共栄の原則による市場の開拓を図つて参りたいと考えております。  次に輸出減少ボンド地域及びオープンアカウント諸国輸入制限に主として基因し、かかる地域への輸出の増進は我が国のかかる諸国よりの輸入促進することによつて初めてなし得ると認められまするので、別口外貨貸付制度拡充スウィツチ・トレード利用、食糧、鉱産品買付長期契約化、その他協定貿易上の大巾なクレジツトの供与等緒般輸入促進措置を講じて長期且つ拡大した規模において貿易拡大均衡を図りたいと存じております。  又最近におきまする西コーロツパ諸国との国際競争がとみに激しくなつておる現状に鑑みまして産業合理化を一段と推し進める一方、税制及び金融対策についても少くとも西欧諸国の行なつているところに劣らない程度には企業を援助する措置を講ずる必要が生じて来ておるのでございまするが、特に貿易業者強化しますることは最も緊要と認められまするので、これにつきましては次の諸施策を講じたいと思つております。  即ち戦後我が国商社資本力が脆弱であつて経済変動に対する抵抗力が極めて弱く、加うるに戦前海外支店網を殆んど失つておるというのが現状でありますので、税制上の諸準備金制度拡充短期負債長期化商社合併促進等によりましてその資本力強化を図りますると共に、海外支店開設援助のための低利長期外貨貸付ける等の方法によりましてその海外活動活発化を図りたい所存であります。  右のごとく貿易拡大につきまして種々対策を講ずるといたしましても最近の世界情勢におきましては貿易の前途は決して楽観を許さぬものがありまするので、この景気中だるみの間に将来の発展に備えまして日本経済基礎を強固にし、経済脆弱面を鍛錬しておく必要があると思われるのであります。従いましてこの際保有外貨を活用しまして産業合理化近代化促進いたしますると共に、特に財政投資についてこれを経済基礎的部門に集中し、電源開発基礎的資材価格国際価格への鞘寄せを図りたいと存じております、  電源開発につきましては、先ず既定計画明年度の総所要資金千六百十億円のうち千二十五億円の政府資金を投じて繰上げ促進を図ると共に、石炭業に対しましては明年以降竪坑開鑿等の本格的な若返り方法を講じさせ、石炭価格の引下げと可採炭量の増加を図る考えの下に、目下その具体策を作成中であります、又プラント類輸出促進のためにはもとよりあらゆる産業基礎として鉄鋼の価格国際水準まで引下げることが強く要望されますので、現に進行中の設備近代化三年計画の完遂に努力すると共に、東南アジア資源開発等による低廉で安定した鉱石の確保とその輸送の合理化図つて参りたいと存じます。  なお兵器産業につきましては、年度当初以来相当量特需発註量もあり、輸出産業に準じ、これを取扱いたいと思つておりますが、現在の段階におきましては差当り不健全な企業の濫立により適正ならざる競争の激化することを防がなければならんと考えられますので、今国会会にもこの趣旨による「兵器の製造及び販売に関する法律案」を提出いたす所存でありまして、目下最後の仕上げを行なつております。法律案といたしましていずれ近く上程せられました際に御説明を申上げたいと存じます。  日本経済の今一つの大きな欠陥といたしまして資本蓄積の過小な点が挙げられておりますが、これが対策といたしましては金融適正化金利負担の軽減を図りますると共に産業政策重点を置いた税制改正により企業内部蓄積を奨励助長し、企業経営健全化の図り、特に最近における経済不況が主として流通過程における弾力性の喪失によつて激化している。状況に鑑みまして、貿易商社対策と併行して商品流通面における円滑化について積極的な措置を講じたいと考えております。  最後中小企業に対する対策でございますが、最近の経済情勢においては不況の皺寄せが中小企業にますます集中される傾向が強くなつております、この際前国会において成立いたしました特定中小企業の安定に関する臨時措置法、これはすでに現実に運用され、綿織物業を初めといたしまして全国的に四十四の調整組合が設立され、そのほかに設立認可申請中のものが九組合あります。それぞれ生産調整を実施し、又はその準備を整えつつある状況であります。当省におきましては今後更にその運営の適切を期する一方、中小企業等協同組合法による組織化を一層強力に推進し、団結の強化現地診断及び指導の徹底による中小企業への圧力に対する抵抗力強化する方針であります。  特に中小企業問題において最も重点を占める金融対策につきましては、商工組合中央金庫の強化拡充のために取りあえず今度の補正予算一般会計におきまして二十億円の貸付を計上いたしましたが、なお中小企業に対する金融抜本策として明年度においては財政資金による長期且つ低利資金を融通する制度を設けるべくその具体案及び予算について検討中でございます。  又最近の多くの事例によりますと資金量の豊富を要することももとよりでありまするが、更に一層中小企業者信用の不足を補う制度充実することが緊要であると認められまするので、中小企業信用保険制度利用促進いたしまするために同制度所要改正を加えますると共に、信用保証制度強化改善を図り、先きの資金源充実と相待ちまして中小企業金融難解決に資する所存でございます。
  4. 結城安次

    委員長結城安次君) 只今大臣一般方針の御説明があつて続いて質疑でございますが、予備審査で廻つております電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案、この提案理由だけを御説明願つてその上で……、予算委員会から呼びに来るまでよろしいそうでございますから、それで異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 結城安次

    委員長結城安次君) それではどうぞ。
  6. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それでは、電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案を提案いたしておりますのでその理由について御説明申上げます。  電気事業ガス事業その他電気及びガスに関しましては、これらの物資がわが国経済上重要な地位を占め、且つ、国民生活上欠くべからざる要素となつております関係から、すでに戦前から電気事業法瓦期事業法等により、又最近におきましては、昭和二十五年十二月以降、御承知通り、「ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件」に基きます公共事業令および電気事業編成今の制定により、電気及びガス供給度の向上と電気事業及びガス事業運営調整中心といたしまして、電気及びガス使用者の利益を確保し、且つ、それらの供給事業の健全な発進を図つて参つたわけであります。  併しながら、今年四月二十八日講和条約が発効し、我が国の独立が回復された結果、「ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件」は、新憲法下においては、存続することができなくなり、第十三回国会におきまして同令の廃止措置がとられたわけであります。  ただ、この命令に基いて発せられた諸命令については、これを直ちに廃止するときは、却つて社会秩序を乱し、国政の混乱を招く慮れがありますために、廃止法律施行の日から百八十日間、即ち昭和二十七年十月二十四日までは法律として有効とされ、これを存続する必要があるときは、別に法律による措置を講ずることとされたのは、すでに御承知のことと存じます。  その趣旨に沿い、政府は、電気およびガス産業及び民生に対する影響の重大性に鑑みまして、とりあえず、公共事業令及び電気事業編成令につき、この二政令を法律としてなお存続させることとし、第十三回国会に対し、「ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に基く公益事業委員会関係命令措置に関する法律案」を提出し、御審議を仰いだのでありますが、諸般の事情から可決成立を見るに至らず、次国会への継続審議を決定された次第であります。然るに同法律案は、第十四回国会の解散に伴い、審議を経るに至らずして廃案となり、ここに公共事業令および電気事業編成令昭和二十七年十月二十四日を限つて、失効し、電気及びガスに関する法規制の根拠が消滅するに至つたわけであります。勿論、現在のところにおきましては、行政指導により電気ガス事業界を初め国民一般協力によりまして、その秩序はおおむね順調に守られてはおりますが、法の空白期間長期化に伴い、予想される不測の混乱又は無用の摩擦の発生を防止するため、政府といたしましては、ここに恒久法の立法に至るまでの暫定措置として、「電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案」を至急本国会に提出し、御審議を仰がんとするものであります。  この法律内容につきましては、御審議に際し、十分御説明申上げる所存でありますが、簡単にその概要を述べますならば、この法律は、本則一カ条附則九項より成つておりまして、本則におきましては、電気及びガスに関しまして、とりあえず、失効前の旧公共事業令の全部及び電気事業編成令必要部分内容と同一の法規制を行う旨を明らかにしたものであります。附則におきましては、旧公共事業令に基いて許可認可等の処分を受けた者については、この法律に基いて許可認可を受けたものとみなす等、この法律施行に伴う必要な経過規定を置いたほか、今後の恒久法たる新電気事業法、新ガス事業法等制定を慎重にするため、通商産業省に「電気及びガス関係法令改正審議会」を設置する旨を定めておる次第であります。  以上が簡単ではありますが、この法律提案理由でありまして、政府といたしましては、勿論この法律を以て、電気及びガスについて恒久的に規制しようとする意図ではなく、この法律附則において示しました通り、今後、通商産業省法令改正審議会を設け、広く各界の学識経験者の参加を求め、慎重に審議を加えました上、新たな構想によりまして電気及びガスに関する恒久法律を立案し、できるだけ速かに国会に提出し、十分な御審議、御検討を願う所存でありまして、なにとぞこの意を諒せられ、この法律につきましては、御審議上速かに御可決あらんことを切にお願いたす次第であります。
  7. 結城安次

    委員長結城安次君) 只今提案理由の御説明がありました電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案に関する質疑は次回に譲りまして、前のお話があつた通産行政一般に関する御方針に関する質疑を継続したいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 結城安次

    委員長結城安次君) 御異議ないと認めます。さよう取計らいます。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 今新大臣から通産行政全般に関する御所見を伺つたんでありまするが、私は今国を挙げて注目をしておりますのは炭労と電産の争議がどのように解決されるだろうかということであると思います。これは労使の間において問題であるばかりでなく、国民挙げてその推移と、それから如何にして解決されるかということについてこれは重大なる関心を寄せておると思うのであります。而も中小企業の年末金融等の問題にはお触れになりましたが、これにも増して重要なこの二つの問題について通商産業大臣が一言も抱負所信についてお触れにならなかつたということは、何か御意図が別にあるのか、一つ伺いたいと思います。
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 別段何らの意図はございません。実はこの起案をいたしました当時相当解決の曙光を認められるやにも聞いておりましたので、或は御説明申上げるときにそういつた問題がもう解決しておるのかというふうにも、これは或いは多小甘かつたかも知れませんが、そういう考えからこれを起案されておるように承知いたしております。なおこの問題はお話のごとく極めて通商産業としては重大なる関係もありまするので、一日も早い解決を希望いたしまして、目下労働大臣のほうで相当な措置をいろいろやつておるように承知しております。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 私が見るところでは労働大臣が自分の所管の労働問題として解決努力を払われることは、これは当然過ぎるほど当然だと思うのであります。併し炭労の場合にしましても電産の争議にしましても、そのよつて来たるところの根源は、やはり石炭或いは電気事業行政指導をどのように将来行なつて行くかという根本の問題が明らかにせられなければ、この争議解決只今起きておる労使の対立の実態を見ましても私は結論は出ないのではないかと、こういう工合に考えられる。従つてやはり通商産業大臣としましてはそういつたような御所管の重要なるポイントをやはりはつきりと開陳せられて、そううして労働大臣と協議してこの争議解決に御努力相成るということが私は問題の解決を一刻も早めるゆえんであろうと考えるわけであります。従つてこの際この二つの重要なる問題について通商産業大臣としてどういうような態度を以つて臨まれようとしておるのか、いま少しくだけて率直に御所信の表明を願いたい。こう思います。
  12. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 率直に申上げますが、実はこの問題につきましては、前大臣当時からも骨を折つておることと信じております。なお閣議の席上、或いは私どもが労働大臣等と会つたときにも、いろいろ話はしておりますが、まだ私がここでその解決について、どういう方針を持ち、どういう政策の下にこの争議解決に導かれるであろうかということについては、実はまだ調査が十分でございませんので、甚だ遺憾でありますが、お答えはいたしかねるのであります。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 もう新聞紙上でも御承知のように、労使とも殆んど行きつく所まで行きついておるわけであります。そうして前大臣努力したと、こうおつしやるのでありますが、私の今まで見たところでは、少くとも前大臣は両争議について努力はしておられなかつたと思います。これは私は具体的に述べろとおつしやれば努力しておられなかつた事例を述べてもいいと思いますが、しておられなかつた。従つて一つ小笠原大臣が今日まだ用意がないということでありますから、用意のないのに、たつてお答えを求めても無理かと思いますが、これは緊急に一つ方針をお立てになつて、私ども又別に次回にでも、或いはその余裕がないかも知れませんが、その所信を明らかに参して頂きたい、こう思うわけであります。  それからこの点は繰返して申して置きますが、純労働問題としては解決し得ない、やはり一つの癌を石炭並びに電気の両方面で剔出しなければこの問題は解決しない。終戦後今日までの両争議とは全然性格が違うのですから、そういうことはできないのではないか、こういうことを私痛感するから申上げておるわけであります。これは又いずれ大臣のところへ個人として御所信を伺いに上つても結構ですが……。
  14. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 御注意誠に有難うございます。御意見は十分承わりたいと思います。  昨日実は事務当局とはちよつと話をしたのでございますが、併し今お話のようにどうもここでこういうふうに持つて行つて、こういうふうにやつて行くというところまでは実は行つておりませんので、率直なる答弁はお許し願いたいと思います。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 実は大臣がお見えになる前に、中小企業の年末金融の問題について振興部長ちよつとお尋ねをしておるのでありますが、それは本当は大臣お尋ねをしたがつたのですが、おいでにならないのでお尋ねしたので続きをちよつと……。  実は私先ほど本会議で賛同を申上げましたときに、本年度の年末金融については補正予算措置並びにその他の預託等によつて一応心配なく過せる、こういうお話であつたわけであります。併しその話の限りにおきましては、例年いつも年末金融が問題になつたときに、いつも大体それと同じような状況答弁があり、そして正月が来て過ぎて来たというのが実情であるわけであります。併し今年度はなかなかそういうように簡単に参らん。実際に池田大臣が倒産しても止むを得ないと言われたが、止むを得ないのじやなくて、現実に倒産しているのがあるわけであります。従つてどうしてもそれを救済しなければならんのですが、その場合に、小笠原大臣のおつしやることを一〇〇%信頼するとしまして、そこにやはりまだ一つの欠けている条件があると思います。それはそういうような構想金融対策、金額においては我々の考えとはほど遠いのでありますが、仮にそれがいいとしても、年末金融に果して間に合うかどうか、スピードの問題になるわけです。それについて通産大臣として責任を以て廻して頂けるかどうか。どういう点が問題になるかと申しますと、先ず第一に、補正予算措置でありますが、これは国会審議状況は今御覧の通りであります。このままで行けば年末金融には間に合わないと思います。これは恐らく十二月大晦日までかかるかも知れない。これは間に合わない。それから更にその他の措置につきましては、今も名古屋の中小企業の代表のかたからも御発言がございましたが、今一番金に困つているのは中小企業の中でも小企業の部類に属するものが多かろうと思います。金融機関性格から言えば国民金融公庫から借りている。国民金融公庫を対象にしているものが多いと思う。そういうような国民金融公庫の今までの貸出しの事務的処理から言いましても、二カ月、三カ月と長期調査を行なつて初めて貸しておるとこういう状況です。十万円、二十万円という金をそうして貸しておるという状況でありますから、今ここで急に国民金融公庫に流しましてもなかなか年末金融には間に合わないのじやないかということを心配をするわけであります。従つて今申上げましたように、予算措置等を通じて間に合せるとおつしやいますが、予算措置が間に合わなかつたときはどうするか、でありますから私は国庫財政余裕金をこの際大幅に一つ中小企業金融に廻すべきである。法的措置を要しなくてもできるやつを中心にしてやりなければいかん、こういうことを申上げておるのでありますが、先ほどの答弁ではそこまでお触れにならなかつたわけです。これが一つ、これは資金源のほうであります。  それから実際に流し方として今までやつたようなあり来りの方法では年末に間に合わない。それをどうして間に合せるようになさるのか、これを一つはつきり伺いませんと、今年度は大丈夫であると大臣がおつしやつても、私のほうはどうも大丈夫であると信用はできないというわけであります。
  16. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 本会議栗山さんにお答えしましたのを更に少し補足的に申上げますと、国庫余裕金のほうの預託は、これは四百六十億現在ございますが、これはまあ期限が来ましても本年度中に引揚げませんから、これも年末金融には大変潤いになると思います。  今お話のあつた国民金融金庫に対する貸付の分は、これは私はあのときには、これは御承知通り国民金融公庫法の一部を改正する法律案とかの関係もあります。これが通らんとすぐに金にならんという疑いを起されました。誠にこれは私の答弁がそうであつたのですから御尤もと思いますが、この点についてはこれは必ず通る。どの党派も一致されることと思うので、通るのじやないか。日銀からこれを繰入れてやらすような方法をやりまして、金の辺は廻したいと、かように考えております。  なお商工中金のほうにつきましては同様なふうにいたしたいと思いますが、これは商工中金はさつきもちよつと申上げたと思いますが、大体年末までに五十億円の貸出増加を見るようにいろいろ措置をとつております。なお念のために申上げますと、商工中金のほうは大体六月以降は毎月十億円ずつ貸出が殖えております。そんなこともありますので、十分とは私は毛頭申上げませんが、今までよりはよほど進んだやり方にはいたしておる、これを効果的にやれるようになつておると考えております。  それからなおお話のございました例の保険のやつは、これは実際問題としてやはり借りるほうの態勢がもう少し整いませんと、金融機関も多少……、又普通の貸付けもそうですが、どうしても企業者の信用という点も問題にされますので、これは今すぐここでというわけには行きませんが、やはり借りるほうのかたも態勢を整えて頂いて行くことが非常に肝要ではないかと、かように考えております。但し今この保険の額について申しますと、更に七十二億円増加いたすことにはなつております。  それから更に、若し必要がございますれば更に運用部から預託をしてもいいというような、情勢によつて追加を考慮するということを大蔵省も言つておりますので……。ただ栗原さん、これはあなたも御存じでしようが、金を貸すと言つてもなかなかすつすつと右から左に貸せるものではないので、又借りるものと貸すものとの立場は多少違いまするから、この点は年末の金融をよく考慮しましてできるだけ尽力して参りまするように注意をすることにいたします。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 今のお話の中で重要な点があつたのですが、要するに金融もカンマーシヤル・べースだからこれを度外視してはできない。従つて調査も時間がかかるということをおつしやつておるのですが、それは我々も万般承知いたしておるわけです。併しまあ、今までの例から行つて国が保険を掛け、或いは財政資金を投入するということにいたせば、金融機関の危険の負担も分散されるわけだから、そこでいよいよ年末金融を大いに流して事業の苦しいところを助けようというわけですから、これはやはり大蔵当局がその気になり、金融機関がその気になつてつて貰わなくちやいけないのじやないか、そういうようなやはり指導を行政面として強く一つつて頂きたいと思います。  それからどうしてもうまく行かないときには資金運用部の金をもう少し用意しようというお話でありますが、これはまあ、私が卒直に申しますと、大臣に言葉を返しては失礼ですけれども、もう今日は三日です。あともうクリスマスまでいくらもありません。従つてあちらこちらやつていれば当然間に合わないと思うのですから、従つて間に合えば結構ですけれども、間に合わん公算のほうが多いのですから、一つ預金部の金を緊急に大蔵省と折衝せられて、先ず使わなければ結構ですから流しておいて頂きたい。それくらいの一つ腹構えでおやりを願いたいと思います。
  18. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 承つておきます。
  19. 左藤義詮

    左藤義詮君 只今貿易の問題でポンド及びオープン・アカウント地域への外貨貸付けをやる、これは非常に業者の期待しておるところでありますが、低利且つ長期のこれはいわゆる貸付、こういうお話でございますが、これがどれくらいの枠でどれくらいの時期に実施になりますか、いろいろ向うでもオツフアー等の関係もありますので、その構想がおできになつておりましたらこの機会に承わりたい。
  20. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 政府委員のほうから説明いたさせます。
  21. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 只今のポンド及びオープン・アカウントからの機械類につきましては、大体において自動承認制をとつておりまして、特に審査を必要とするものだけにつきまして審査を行なつておる状況であります。従つてどの程度ということは、総額は大体においてたしか今度の予算では、ちよつと今数字を持合せておりませんが、必要なものは大体全部買えるようになつておると思います。
  22. 左藤義詮

    左藤義詮君 大体どれくらいの枠でございますか、手持のポンドがあるわけですからどれくらいのものをお出しになるか。
  23. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 予算に載つておりましたのはたしか五百万トン程度じやなかつたかと思います。そのほかに自動車が二百五十万トンございますし、併せて千万トン近いものが補正予算に組んでございますが、これは一応の目安でございまして、それ以上の入用があれば更に増して行くことは差支えないことになつております。利息は大体業者に対して三分ということになつておりまして、期間は三年まで貸すということになつております。
  24. 左藤義詮

    左藤義詮君 大体これをおやりになればどれくらいの、今幾らでもという、幾らでもとは言わないが、だんだん殖やして行くとおつしやいましたが、どれくらいまではこれで殖えるお見込ですかポンド地域への……。
  25. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 総額は今のところちよつとはつきり見通しがつきかねるのでございますが、機械類は大体におきまして延払いのような場合が多いのでございまして、バランスを減らすという点から申しますと、そう急激に一遍に減るということにならないと思います。併し向うから輸入をするにつれてこつちもその程度まではこつちも殖えるということは外交交渉も並行いたしまして促進して行きたいと思つております。
  26. 左藤義詮

    左藤義詮君 クレジツトの話が出ましたが、クレジツトに対してはどういういうような御構想をお持ちですか。
  27. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 只今日本は手持のポンドをたくさん持つておるものでございますから、外国から特にクレジツトをもらうということはポンドにつきましては考えておりません。日本の持つております外貨利用しまして、日本の金で業者に金融をしてやる、これは実は円の金融と同じことなんでございますが、外貨の形をとることによりまして安い利率を出す、長い期間を貸すということになつておるわけでございます。
  28. 小林英三

    小林英三君 新通産大臣に対しましてお伺いしたい。
  29. 結城安次

    委員長結城安次君) ちよつと今呼びに来ておりますから。
  30. 小林英三

    小林英三君 向うを待たせればいい、折角質問をするんだから。
  31. 結城安次

    委員長結城安次君) では簡単に。
  32. 小林英三

    小林英三君 従来いずれの内閣でもそうでありますが、産業合理化という言葉、産業合理化という意味におきまして、新通産大臣産業合理化ということはどういうことかという……。
  33. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 産業合理化と申しますれば何と言いましてもその品物が安くできる、こういうことでなければならん、コストが安くなることでなければならんと思います。従いましてコストが安くなるということは機械が陳腐化しておるものであれば機械を替えるということが必要であり、機械の能率が低ければ高能率に取替えるということが必要であり、人間が多過ぎて機械力に替えなければならんというものには、機械力に替える必要がある。金利が高いために行われないものならば金利の問題を考えなけりやなりませんし、設備が不十分のためであればその点について考えなければなりません。或いは又非常に規模が大き過ぎて操業しておる分が少いと思われておるものに対しては、それについて考えなければなりませんので、御承知通り個々につきまして一番その工場でできます品物が、どうやればコストが安くできるかという点を考えなければならんと思つております。
  34. 小林英三

    小林英三君 大体通産大臣の今の御答弁において私が考えておるようなことを御答弁を得られたと思つております。ただ従来ややもいたしますと産業合理化ということは、通産省のお役人諸君はどうお考えになつておるか知りませんが、何でもかんでも機械力で新式の機械を入れ替えるということが産業合理化という考えであつては私は間違いであろうと思います。幸いに通産大臣は簡単なお言葉で言われましたけれども、その意味におきまして私の考え中小企業というものは、今日日本のすべての産業中心になつておると思うのです。今日の経済界におきましては、而も中小企業の中では、大企業の存在しない中小企業がいる。これらの中小企業がないとしますれば日本の産業はびつこになる。従来の通産大臣のお考え方は、あなたはそうではありませんが、従来の歴代の内閣のお考えがややもいたしますと大企業偏重というお考えが随分あつた、そうでなくて殊に日本のような、勿論従来の産業組織におきましては、少くとも中小企業というものは大きな役割を持つておりますし、殊に私も昨年アメリカに行つて参りましたけれども、アメリカ等においても厖大な組織でやつておりますことを見ております。併しアメリカ人は機械力のみに頼つておりますから、手の器用さが欠除しておる、日本人には手の器用さがたくさんある、優秀なんです。ですから向うの十なら十の立派な機械があつて、日本は八なら八の旧式の機械しか持つていなくとも、日本人の技術の優秀性、器用さを以てやれば決して私は外国のそれに劣るものはなかろうと考えておる。それでありますから大企業に比べて中小企業という考え方でなしに、中小企業そのものの産業が大きな役割を持つておると思いますから、救済とかそういうものでなくて、これは並行してやつて行かなければならん、こういう考えを新通産大臣に持つて頂きたいと思います。
  35. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 誠に御尤もなことでございます。お話通り考えております。特に関西へでも参りますと中小企業でなければできない部分が沢山ありまして、而もそれが相当、雑貨類等では大きな輸出分を占めております。従いまして日本の中小企業は他所の国における中小企業とは性質が全く異つておりまして、ややもすれば中小企業の救済とか、そんなような考えでなくて、これは中小企業を育成するということが、日本の産業強化の上には、大産業の大企業が健全に育つて呉れるということを望むと同様に、それより強くこの中小企業の育成強化が私は望まれるということは全く同感であります。
  36. 小林英三

    小林英三君 今の大臣のお言葉で了解いたします。先ほどから栗山君が中小企業の年末金融、平時の金融等について御質問があつたようであります、ただそういう意味で今の大臣のおつしやつたような中小企業を救済するというのでなく、政府の手において日本の今の状態においては、これを育成して、そうして大企業と並行して行くということの施策に注視して頂きたいのであります。
  37. 結城安次

    委員長結城安次君) それから前回に委員長に御一任になりました中小企業に関する小委員会委員を委嘱するかたを申上げます。松本昇君、小林英三君、左藤義詮君、古池信三君、加藤正人君、奥むめお君、竹中七郎君、栗山良夫君、小松正雄君、石川清一君、このかたにお願いいたします。それじやこれにて本日の委員会はこれで閉じます。    午後三時五十分散会