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1952-12-22 第15回国会 参議院 通商産業・経済安定連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十二日(月曜 日)    午前十時五十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。   通商産業委員    委員長     結城 安次君    理事            松本  昇君            栗山 良夫君            竹中 七郎君    委員            石原幹市郎君            北村 一男君            古池 信三君            左藤 義詮君            高橋進太郎君            松平 勇雄君            奥 むめお君            島   清君            西田 隆男君            石川 清一君   経済安定委員    委員長     境野 清雄君    理事            田村 文吉君    委員            木村 守江君            清澤 俊英君            須藤 五郎君   委員外議員    地方行政委員長 油井賢太郎君   政府委員    通商産業公益事    業局長     石原 武夫君    建設省河川局長 米田 正文君   説明員    大蔵省理財局経    済課長     龜岡 康夫君   参考人    前建設大臣   野田 卯一君    福島県知事   大竹 作摩君    東京電力株式会    社会長     安藏 彌輔君    東北電力株式会    社社長    内ケ崎贇五郎君    元公益事業委員   会委員長代理  松永安左ヱ門君    日本開発銀行理    事       梅野 友夫君    前建設省河川局    長       目黒 清雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○本名上田地点水利権問題に関す  る件   —————————————
  2. 結城安次

    委員長結城安次君) 只今から通産、経済安定両委員会連合委員会を開会いたします。経済安定委員長協議の結果、私が連合委員会委員長の職を行うことに決定いたしました。  本日の議題本名上田水利権移転問題であります。本件に関しましては去る十二月十二日の連合委員会におきまして、建設省及び通産省の政府当局に対し質疑を行なつたのでありまするが、現職の人だけでは事態を明らかにすることができませんので、委員会決定に従い本日は多数の参考人の御出席をお願いいたしまして調査を続することに相成りました。  この際参考人皆様に一言御あいさつを申上げます。本日は御多忙のところをお繰合せ願いまして御出席頂きましたことを厚く御礼申上げます。本日の議題でありまする本名上田水利権問題は法律的に見ましても疑問とされる点があります。又行政上の取扱につきましても前例のない処分ではないかとの批判が多く起つておりまするため、新聞雑誌等にも広く取上げられ、国民に不明朗なる印象を与えておりまするので、当連合委員会といたしましてはその真相を明らかにし、国民の疑惑を解き、今後の電源開発に寄与せんとするものであります。参考人諸君におかれましては当委員会の意のあるところを御斟酌願いまして、率直明解に事実をお述べ下さるようお願いいたします。  参考人のうち小林開発銀行総裁は所要のため見返資金担当理事梅野君に替えられたいとの御申出がございます。松本参考人は病気のために出席できない旨の御申出がありましたので、いずれも承認いたしました。御報告申上げます。  なお本日の質疑を能率的に進行いたさせるため、委員長より重要事項と思われます点を一、二ずつ各参考人にお尋ねいたしまして、その趣旨を明らかにして委員各位質疑の御参考にいたしたいと思います。  なお委員長におきまして調査のため必要と認める次の資料を要求いたしておきました。本名上田水利使用認可申請書施設変更認可申請書、及びこれにつき建設通産省内にて認可に至るまでの手続稟議書類原本一式を提出すること、委員会配布資料として東北東京電力会社融通電力契約量を示す資料及び本名上田施設認可に関した条件、これも資料として要求いたしておきました。  それでは先ず第一に本日の参考人としての野田参考人にお尋ね申上げますが、本名上田水利権認可に至るまでの経過。それから本件に関し、公益事業委員会東京電力東北電力交渉された相手は誰か。それから非常に異例処分と存ずるのでありまするが、かくのごときは非常に慎重に取扱うべきものと心得ておりまするが、省議にも次官会議にもかけず、公益事業委員会にも協議しなかつた理由を御説明願いたいと思います。それから公益事業委員会は七月末まで存続し、公共事業令の規定により協議すべきであつたにもかかわらず、その措置をとらなかつた理由及び電源開発促進法案が七月七日に参議院にて修正議決され、同法の施行により只見川開発電源開発会社で行われることが明らかになつておりましたにもかかわらず、急遽本件閣議決定に持込んだ理由について御説明願います。それから第五といたしまして水利権取消理由として河川法第二十条三号及び六号により公益上の必要を挙げておりまするが、公益事業者相互間において、公益性に軽重をつけることは今後の需給バランスを第一と考え判断するのが当然と考えられますが、電力行政を担当する公益事業委員会との協議なしに行われた決定は、根本的に公益判断重要根拠をなくするものと考えますが、この点に関する参考人の御所見を伺いたいと思います。以上五点について。
  3. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 只今委員長の御質問の諸点を中心にお答えをいたしたいと思います。  本件のいきさつでありますが、私が直接関係しました部分に限定して申上げたいと思いますが、私がこの問題を建設大臣として検討を始め、いろいろと交渉をいたしましたのは本年の五月であります。あとから調べたところによりますと二月に福島県知事から稟議があつたのでありますが、私が建設大臣として直接この問題にいろいろと触れて来たのは五月と私は記憶しております。いろいろと事務当局と共に本件を取上げまして各種の観点から検討いたしたのでありますが、その結論といたしましては上田本名の両発電地点開発東北電力にやらせるほうが早期開発という点から申しましても、又でき上つたのちにおける管理運営の点からも適当であるという結論に到達したのであります。早期開発の点につきましては御承知のように現在、その当時としてでありますが、下流の柳津、片門におきましては昨年の秋以来発電工事が進められておるのであります。それがどんどん進んで参ります。その極く近所に上田本名があるのでありますから、あらゆる点におきまして極めて工事促進上都合がよろしいということがそこにあるわけであります。又地元民の態度といたしましても東北電力実施を非常に切望しており、これに対しまして非常に円滑な関係があり、又東北電力施行を切望する空気があつたのであります。又本地点調査資料等につきましてはこれを一切東北電力が保有をいたしており、又本地点に精通している全部の技術陣東北電力に属しておるというような点から申しまして、その他いろいろありましようが、早期開発という至上命令我が国電力界至上命令を達成するためには、東北電力にやらせるがよろしいということに相成り、又でき上つた後におきましても下流部に宮下以下すでに六つの発電所があり、又将来更に建設さるべき揚川、上野尻というような約十に亘る発電地点がありまして、これが全部東北電力が経営をいたしておるのでありまして、本名上田はその直上流といいますか、すぐ上のところに当つておるのであります。将来この十の発電所に接着したこの二つ発電所もやはり東北電力に一括経営させることが必要だと考えられる。又送電線との関係におきましても、それが国家的に見て適当であるというようないろいろな観点を総合いたしまして、東北電力にやらせることが最も適当であるということになりまして、これを実現する方法といたしましては、東京電力水利権を持つておりますのでこれを取消しまして、別途に東北電力に与えるという方法と、もう一つ東京電力から東北電力にそれを平穏裡に譲渡させるという二つ方法があるのであります。福島県知事からの申請東北電力に与えるために東京電力のを取消すという方法で、建設省といたしましては成るべく平穏裡にこの問題を処理したいというふうに考えまして、即ち東北電力東京電力から譲渡をするというようなことでやれないだろうかというように考えまして、それにはどうしても東京電力考えてもらわなければならんというわけで、私は五月の下旬に、当時の東京電力社長でありました安藏さんに来て頂きまして、たしか国会内の建設省政府委員室であつたと思いますが、そこに来て頂きましていろいろと我々の検討した結果を申上げ、建設省判断を申上げまして、是非その線に沿つて一つ話をつけてくれるように、その線に一つ協調してくれるようにということをお願いを申上げたのであります。  その後東京電力のほうも我々の趣旨賛同するような御返事が頂けるものと期待しておつたのでありますが、なかなか返事がありません。そのうちにいろいろと東京電力のほうでは、たしかあの頃だと思いますが、例の役員問題等で大分やかましい問題があつたのであります。そんなことで、私も返事の請求をその最中にするということも、向うもお困りだろうと思いまして、多少時期がずれましたが、その後落着きましても依然として御返事がなかつたのであります。そこで遂に待ち切れませんので、七月になりまして、七月の上旬に東京電力の重役のかたに来て頂きまして、督促といいますか、あれはどうなつた、早くしないと困るということを申上げまして、困るから何とか早く解決してもらいたいということを要請いたしたのであります。又中旬に更に来てもらいまして、事態が急迫して、急迫ということは即ち時期がずれますと工事が遅れまして、それがために工事実施が一年間延びるという結果に相成りまするので、できるだけ早くやりたい、この問題をきめて工事実施をしたいという点から七月中旬に又来て頂きまして、三度目でありますが、お願いいたしましたが、どうしても結論が出て参らない。我々の同調する結論が出て参りません。  併しながら時間は刻々と迫つて参りますので、我々といたしましてはいろいろと相談をいたしました結果、これはやはり河川法に基きまして東京電力水利権取消し、東北電力に新らしく与えるという方法をとる以外に途がないということに相成りまして、これは建設省限りでもできるのでありますが、事の重要性と言いますか、事の異例に亘る点から閣議最高判断を経てやるのがよろしかろうというわけになりまして、七月二十五日の閣議に諮りましたところ、皆さんの御賛同を得ましたのでそれでやろうということになり、その後書類手続調査調査というよりも調査書類の整備、或いは手続、いろいろなものをやりまして、八月の四日に至りまして、福島県知事申請認可を与えるということに相成つた次第であります。それが第一点であります。  それから第三点の東京電力東北電力、並びに公益事業委員会の誰と話合つたかという点でありますが、東京電力につきましては、只今申しましたように五月の下旬には安藏社長にお会いいたしました。それから七月には堀越取締役に二度会つております。それから東北電力はその間殆んど正式に会つたことは私の記憶には殆んでありません。それから公益事業委員会といたしましては公益事業委員会松本さんであると松永さんには私はお会いした記憶はあります。  それから第三点の省議次官会議でありますが、これは私たちのほうといたしましては省内におきましては、関係の者と十分に協議を遂げておるのでありまして、私は別に省議という固定的な形には別に考えておらないのであります。すべての問題を処理するに当りまして、関係のものと相談してやるという方法をとつておるのでありまして、それに従つてつたのでありますが、それから次官会議というものでありますが、これは今申しましたように建設省限りでやれるのでありますが、事が異例に亘りますので閣議最高判断を求める意味におきまして閣議に諮りまして、皆さん意見はどうであるかということを確かめたのであります。閣議結論を出しましてそうしてそれから皆さんの御賛同を得まして、あと次官会議に付議するという、事務的にはそういう措置をとつたのであります。  それからこの問題を申す場合に河川法の問題でありますが、河川法との関連において需給バランス考えたかということでありますが、需給バランスにつきましてはこの問題の処理は早く電源開発するというところが重点でありまして、先ほど申しましたようにいろんな点から申しまして早期開発をするためには東北電力だけにやらせるほうがよろしいという結論に到達いたしまして、とにかく早く電源開発しなければならないということが最も重視されておつたときでありますので、それに従つて処理したわけであります。電力需給につきましてはこれは通産大臣需給調整の権限を持つておりますのでそれによつてバランスをとつて行く。御承知のように工場の設置、或いは需給関係等時々の状況に応じて非常に違つて来ますので、そういうことはあと通産大臣が処理される、こういう建前で進んだのであります。  それからもう一つ電源開発会社ができると申しましても、御承知のように議会の審議が手間どりましてなかなかすぐにはできなかつたことは御承知通りであります。ところがこれが早く許可をいたしませんと一年延びてしまうというところに問題点がありますのでそれを待ち切れながつた、非常に事態が時間的な関係から申しまして、電源開発会社の設立を待つかということと、それから電源開発会社にやらせるかどうかということにつきましては、これは只見川のことは、文字は電源開発法につきまして参議院において入れられたのでありますが、我々の意思としては、実は経済安定本部長官である周東さんなんかが中心となつて電源開発法の原案というようなものまで相談しておつたのでありますが、その当時から電源開発会社開発対象として只見川を取上げるということはもう政府の中でも一致していた意見であります。併しどの地点を取上げるかということにつきましては、これは御承知のように現地の事情もいろいろあり、問題は大規模にして困難なということでありますから、御承知通りそういうものは主として私の申上げる限りにおきましてはこの上田本名ということは余り問題にしておらなかつたのであります。これは極めて容易にできる、非常に簡単な御承知のような発電所でありますので、大規模にして非常に困難という……、我々は特にこの会社を作つてやらなければならないという対象からは余り考えておらなかつたということはこれは申上げておきたいと思います。
  4. 結城安次

    委員長結城安次君) 大体私のなにはこれでございますが、もう一つ抜けておりますが、公益事業委員会電力需給、又電源開発会社担当者決定規則、法律的になつておるにかかわらずそれと協議しなかつたという理由……。
  5. 野田卯一

    参考人野田卯一君) これは申上げておきたいのでありますが、公益事業委員会知事が二月に建設大臣申請したと同時に、知事公益事業委員会に対しまして意見を求めなければならない。一方において建設大臣のほうに申請すると同時に公益事業委員会のほうに意見を求めなければならないというように法律で相成つておるのであります。それに従つて福島県知事公益事業委員会意見を求めた。それに対して公益事業委員会意思表示をしなければならないというときには、建設大臣相談しなければならないということになつておるのであります、規則で。その相談は私どもは受けておらないということであります。
  6. 結城安次

    委員長結城安次君) 続いて参考人に全部伺いますか。
  7. 清澤俊英

    清澤俊英君 議事進行について。途中で、配られた質疑の要項ですね、変更されちやかなわんです。私ら取扱がどうもかなわんので……、今、何か大分整理して……。
  8. 結城安次

    委員長結城安次君) これは前に、参考人皆さん質問する場合に重複するといけませんから、明らかにしておきたい点だけを今私が質問いたすと、こう私が申上げたので、これを全部私が質問するわけではありません。(「了承」と呼ぶ者あり〕
  9. 島清

    島清君 何かあと野田さんは本日御事情があつて何か……。
  10. 結城安次

    委員長結城安次君) それはこの前は野田さんは今日午前中だけだと申上げましたが、野田さんのほうの非常なお骨折で、つまり野田さんの御好意で今日午後も成るべく出る、併し余り遅くなるとちよつと用事がある……。
  11. 島清

    島清君 そうですが、それではよろしうございます。
  12. 結城安次

    委員長結城安次君) 大竹参考人にお伺いします。東北電力から本名上田水利権使用許可申請を受理した日付、建設大臣及び公益事業委員長認可申請を行なつた日時をお述べ願いたい。それから第二に、許可申請建設大臣及び公益事業委員長禀伺前当事者たる東電と協議した事実があるかないか、この二点だけお伺いします。
  13. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今の第一点の東北電力から本名及び上田水利使用に関する許可申請を受理いたしました日は昭和二十六年の五月一日であります。これを建設大臣及び公益事業委員会委員長認可申請をいたしました日は昭和二十七年二月十三日であります。  第二点の許可申請建設大臣及び公益事業委員会委員長禀伺前当事者たる東京電力協議した事実があるかどうかということでありますが、この上田本名水利権に関しましては、先に電力国家管理法発送電法が制定されまして二千キロワツト以上の既設発電所、これらが全部日本発送電株式会社に吸収されたのであります。又五千キロ以上の発電をなす際には、これを日本発送電株式会社開発命令を以て行なつて来た。すでにこうした社会情勢からして、既得の水利権というものは一応その場合に形はあつてもその意義というものは消滅しておるものである。私はかように考えて参つたのであります。又この問題に対しましても河川発電用所用水利認可申請に対しまして証拠金の納付を原則といたしておるのでありますが、昭和十八年にこの証拠金を返して欲しい、それが要はこの国家現状からして維持の必要がないという趣旨からその返納を要請されましたので、その水利使用証拠金を返しておる事実もあるのであります。かように考えまして、又建設省河川局長通牒によつて遊休水利権整理、そのほか弱小の水利権等整理を行う旨の通牒に接しましたので、只見川開発国家再建に対する重要性を痛惑いたしまして、私は先に申述べましたようにこの水利権というものがただ財産権のようなものではない、この水利権というものはいわゆる公益性によつて公益はこれを先行するものである、私はかように考えておつたのであります。  たまたま只見川開発我が国の逼迫したるところの電力事情に対して、この開発が最も理想的に科学的に技術的に検討して最良な方法で行われなければならんという考えに到達いたしましたので、この元与えておりました水利権に対して、一部新潟県の関係ある部分に対しましては、新潟県知事と連署の上この水利権取消に対しまして、主管省である建設大臣並びに公益事業委員会委員長に対して取消申請をいたしておつたのであります。かような実情から考えまして、この差迫つた電力事情を如何になすべきかということを考えました際に、河川管埋者として、この只見川開発に関して、特にこの上田本名に関しましては公益上どうしても現下の実情から観察いたしまして早期開発が一番要請される。この早期開発はいわゆる早期開発と、一河川、一水系、一運営であることが最も望ましい。これがこの公益事業委員会がこの電力編成に当りまして示されたるところの基本方針であろうと思うのであります。又開発に関しましては、一にこの地元民協力態勢がなかつたならば私は決して早期開発なんというものは実現し得ないものである、かように考えまして、この上田本名早期開発に当つては、東北電力株式会社になさしめることが早期開発の目的を達する上に一番望ましいものである、かように考えて参つたのであります。  ただここにお尋ねになられました、当事者であるところの東京電力に対して話合いがあつたかどうかということに対しましては、これは話合いをいたさなかつたのであります。私は今考えまして、その措置はそれらに対しては遺憾の意を表します。これに対して慎重に東京電力株式会社に対して話合いをしなかつたということに対しては今なお考えて遺憾の意を表します。ただ早期開発というものが非常に差迫つている現状に鑑みましてかような措置をとつたのであります。
  14. 結城安次

    委員長結城安次君) 続いて安藏参考人にお伺いしますが、今回の水利権取消に関して監督官庁から公式に又は非公式に交渉を受けた経過を御説明願います。  それから続いて東京電力地区東北電力地区に比べて未開発電源が非常に少いというようなことを言つておる人もありますが、これらに対するお考えのほどをお願いいたします。
  15. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 只今問題になりました本名上田発電所のことについて、官庁から直接、間接交渉があつたかという第一の御質問に対して御返事申し上げます。本名上田水利権を如何にするかということにつきましては、私が東京電力社長になる前に即ち去年、二十六年五月一日に私は社長になつたのですが、その以前に私は公益事業委員会技術顧問嘱託を命ぜられました。これは二十六年の一月の半ばから嘱託になつてくれと、私その希望によりまして嘱託になりました。いわゆる技術顧問ということでなつたのであります。早速集つたときにすでに水利権或いは発電所について各電力会社の所属が問題になつたのでございます。そのことをいろいろと議論したことはございます。例えば東京電力に属しておる阿賀野川とか或いは北陸にありまする成出とか或いは関西にありまする丸山、いろいろございます。その中に只見川の問題がございました。そのときにはこれは別会社でやるんである。これは今までのかかつた費用は一応東北に譲るが、これは別会社でやるんだと、到底一会社でできないから別会社でやるというふうにいろいろと話合いがありました。そういうことが私の頭にきつぱりと残つております。それからその後関係官庁といたしましては、公益事業委員会におきましても、只見川別会社でやるというような趣旨が終始一貫しておりました。  然るに先ほど野田さんもおつしやつた通り、五月の末項に当国会建設大臣のお部屋ですか、私は呼ばれましてお話を承わりました。そのときには本名上田東北電力にやらしたい、こういう御意向をお漏らしになりました。私は即座にそれに対して反対意思を申し上げました。従来の関係官庁……むしろあの辺は当然別の会社でやるべきである、話は細かくなりますが、阿賀野川発電所は帰属としては東京電力に行くべきである、あの発電所を作り、あの発電所送電線を作り、そうして東京へ送つたのはすべて当時の東京電燈がやつたのでありまして、あの電気は殆ど東京行つてつたのであります。これをその当時九電力会社ができるときに摩擦を少くするために、又別会社を作るというために一時的にあつちにやつたということを伺つております。そんなわけですから私は野田さんのお話に対しては全面的に反対いたしましてどうぞこれは考え直して下さいということで私はひきさがつたのであります。その後二回に亘りまして私ども常務堀越さんにお会いになつたときにもお話がございました。当時東京電力には重役問題でがたがたがあつたことは皆様承知通りであります。併しながら重役問題と会社の外部に対する問題とは全く違います。あくまで私はこれに反対意思を表示し、そうして会社内が一丸となりましてこれを研究し、そうして私どもがとかく開発意欲がないのだというような疑いを持つておるので、この際あえて進もうじやないかということでたしか六月三十日に改めて従来の設計を変更した実施認可申請を福島県に出したのでございます。  その後議会におけるところの開発促進法、或いは公益委員会の廃止等の声がおのおの進んでいるときに七月の二十四、五日かと思います。建設大臣に呼ばれましてこういうふうにきめたから、そう承知しろという最後のお話を承わりまして私は驚いたのでございます。たいがいそんなことはないだろうと思つてつたにかかわらず、そういうことの申入を受けまして早速ほうぼうにいろいろと陳情したわけでございます。お役所の関係はそれだけでございまして、福島県からも何にもお話がございません。又東北からも何にもお話はございません。  その前に東北電力と私どもが立会いまして別会社を作るという相談をたびたびやつております。これには公益委員のかたが無論立会つておりまして、その会社の定款をどうするとか、或いは金はどういうふうに出すとか、送電をやろうとかいうことを相談しておつたのでございます。その裏においてそういう動きがあつたので私どもは非常に驚いたわけでございます。お役所との関係は以上でございます。  第二の問題は電気の未開発でございますか。
  16. 結城安次

    委員長結城安次君) 未開発電源……。
  17. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私どの電気は非常にたくさん送つております。日本の恐らく四分の一か三分の一ぐらいの電気を私どもは扱つてこれを供給しておるのでございますが、この電気の需用というものはどんどん進んでおります。私どもこれに対する供給を十分にやる責任を持つておるのでございます。然るに先般九電力会社が成立した以後におきまして、私どもの管内には未開発水力というものは大きいものはございませんのです。すでに東京電力、或いはその傍系において開発し尽しております。只今は目ぼしいものは殆んどございません。一カ所一万キロ、二万キロ、せいぜい三万キロぐらいでございます。ただ残つておると言えば言えるのは利根川の上流だけでございます。折角私どもこれはやつております。そんなわけでして、私どもが供給の責任を持つておる関係上、どうしてもこの電源は私の地区以外、即ち只見川、これは私ども会社の前身である東京電燈時代から持つてつて、これは唯一の電源として私どもかあいがつてつたのでございます。その他信濃川にあつたものも今は開発してございます。私どもの唯一残つておる只見川に対しては十分なる関心を持ち、これを開発せんと努めたのでございます。先ほど福島県知事から日本発送電会社法、或いは配電会社法ができたからこの水利権は消滅したというような誠に妙なお話があつたようでございますが、私どもはこれは是非やるべきものという確信の下でやつておるのでございます。然るに日発ができました上は、五千キロ以上は日発がやるということはそのときの法律で明らかでございます。それでそのうちの一部は日発と話合ができまして只今運転しておる宮下、或いはその、下流の柳津、片門、これは話合ができて、向うはやつておるのでございます。そこで当然日発がやればこの電気は何も東北だとか関東だということは限つておりません、全国的に見て需用に応じてこれを供給するのでございます。その後私どもは九会社ができたときに水利権は一切東京電力に引受けたのでございます。  その前に只今福島県知事さんがおつしやつた通り、その前の年に水利権整理するためにこれは取消せということを建設大臣のほうに申請したようでございます。それを聞きましたために私どもは直ちにこれに反対意思を表示し、更に九会社が設立後においても私どもは県庁或いは各方面に、この取消の無法なることを陳情し私どもにやらしてもらいたいということを言つたのでございます。そんなわけでして只見川水利権のごときは、東京を預かる電力会社といたしましては最も大切なる電源であるということを言わざるを得ないのであります。私どもの持つておる未開発地点並びに将来の只見川の大切なることは以上のことでおわかりのことと思います。
  18. 結城安次

    委員長結城安次君) 続いて内ケ崎参考人にお尋ねいたしますが、上田本名認可申請手続経過及びこれに要する資金特に見返資金手配の経過を御説明願いたい。  それから第二番目はこの只見川公益事業委員会のほうから東京電力東北電力両社で別個の会社或いは両社以外でも別個の会社を作つて共同してやるべきものだというお話があつたと伝えられておりますが、若しそういうお話があつたとすれば、そのときに拒絶のその意思表示をしておりますかどうか。若し拒絶の意思表示をしなかつたとすれば、その理由は何でありましようか。  それから第三番目に水利権電力会社にとつて最も重大なるものであり、殊に生命と申すべきものでありましようが、その担当者たる東北電力社長として十分これは御納得の行き、又御体験もなすつたろうと思いますが、こういう重大な事項を東京電力に御相談しなかつたというのは何か特殊の事情がおありかどうか。それを御説明願いたいと存じます。
  19. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 私東北電力社長内ケ崎贇五郎でございます。  只今の御質問の第一点、上田本名に関する官庁関係の許認可手続をどうしておつたかということに対してお答えいたします。水利使用の出願は昭和二十六年五月一日でございます。これは電力再編成によりまして、新会社が発足いたしましたその当日と相成つております。と申しますのは、日本発送電会社から、再編成に際しましてこの両地点並びにほかの出願関係の権利義務を一切東北電力が引継いだという関係で、私はそれを継承いたしまして、それに東北電力といたしましての意思を加えまして、当然東北電力がこれをやるべきものであるという考えの下にそれを継承するためにその手続をとつたのであります。そうして許可昭和二十七年の八月六日に頂戴いたしました。それから工事実施認可申請はその許可を頂戴いたした後、即ち昭和二十七年の八月十五日に申請をいたしましてその認可を二十七年の九月十五日に頂戴いたしております。そういたしまして工事着手の届を九月の二十九日に提出いたしております。  第二点の公益事業委員会から只見川開発について相談を受けておつたろうというお話でありまするが、そのお話を確かに受けております。そのために東北電力といたしましては、東京電力の安藏社長と高井副社長と二人、私のほうからは私のほかに二名出まして両三回に亘りましていろいろ御相談をいたしまして、その際に私のほうから定款の案等も出しましていろいろ相談をいたしました。併しその際には最初からこんな本名上田に対してはこれは東北電がやりますよ、いろいろなものを我々のほうが引継いでいるのであつて、あなたのほうはただ単に水利権というようなものを一応引継いだ、これはあとからもう一度申上げますが、一応引継いだに過ぎないのであるから引継いで、我々がやつて然るべきものであるから我々のほうがこれをやりますよと、こういうことを主張いたしたわけであります。併し東京電力におきましてはそれは困るということで話が到頭妥結いたさずに済んだのであります。爾来ほかのほうの問題がいろいろ起りまして、東京電力のほうからも何らの話もありませんので、私のほうといたしましては自分らのほうの立場上、即ち電力事業者としては一日も速かに電源開発をいたしまして、日本の再建を図らなければいかんという義務を我々負わされている関係上、これをどうしても速かに即発すべきであるという見解の下にすべての手続只今申上げましたように取り進めたわけであります。  第三点の水利権は電気事業者としては非常に重大なものであるが、この点に対して同業者の水利権を自分のほうへ持つて来るということはどう考えるか、こういう御賛同でありまするが、その点につきましては第二問の際にちよつとお答えいたしましたように、実は電力の再編成に当りまして工事中及び未開発水利権帰属の決定に対して公益事業委員会としまして、これは企業再編成計画に関する指令書、決定指令書でありますが、その中に基本方針というのがありますが、その中に工事中の発電所、未開発水利権等の帰属決定方針という中に第五番目になつておりまするが、配電会社が現在所有する水利権は一応新会社に引継がせる、こういうことになつております。これが決定指令の方針ございます。一応引継いだのでありまするからして、我々としては我々のほうの立場の必要上相談をいたしましてそれで私のほうで開発をしたい。そのほかのいろいろな調査資料或いはそれの関連しておつた技術者等は全部私のほうが引継いでいるのでありますから、当然我々が開発すべきである。こういう観点から先ほど申上げましたように、再三御相談をしたのでありまするが、どうしてもそれは困るということで意見の一致を見なかつたために第二問にお答えしたようにとり進めた、こういうわけであります。
  20. 結城安次

    委員長結城安次君) 松永参考人にお尋ねいたしますが、東電側は公益事業委員会の指示に従い共同開発の線に沿うて単独開発を企てなかつたと言う。東北側は再編成に当り只見川調査資料を引継いだのだから、引継いだ東北電力開発すべきものであつて水利権は一応東電に残したに過ぎないと申しておりますが、スタートから重大な食い違いを両者間に生じているわけであります。両者を指導しておりました公益事業委員会といたしまして、これらの間の事情が若し何かおありなら御説明願いたいと思います。
  21. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 大変今日になつてみますと、えらい天下の大きな問題となつて、両者の間に大変な食い違いがあるように結果として現われておりまするが、その食い違いになつた点は、今安藏君からお話になつたように、東京電燈は自分は水利権を余り持たない。阿賀野川あたりも実はもらいたいんだつたけれども公益委員会の御指示に従つていさぎよく阿賀野川方面は放棄したのである、だからせめてこの宮下から上の地点は多大なる、大きなる水力を包蔵しているところである。東京電燈は自分のほうの水利権は別に利根川方面に僅か持つているだけであるからこれを大いに開発して、そうして関東の大事業地に対して供給を図らなければならん一つの義務を持つている。建設大臣からお話があつても、内ケ崎君から御相談があつてもこれは是非自分のほうでやりたい。併しながら公益委員会只見川のごとき大きなものは、単に東京電燈水利権を持つている、又需要が或る程度あるからといつて会社でやつていいか悪いかということは相当考慮しなければならん。これは只見川に限りません。その頃天竜川のことも考えられておりました。それから北上川のことも考えられました。又少し遅れましたなれども、四国の吉野川の大河川開発についてもやはり共同開発ということがその当時論議され、研究され、又外国の調査団或いは視察の示唆等も、かかることはどうしても利害関係のある方面で資本的にも技術的にも協力されるほうが日本のためにいいんだろうというような注意もあります。私どもその方針で進んでおつたのでありまするから、東京電燈が自分の水利権をそのまま生かし、自分だけでやろうということには同意しかねたのであります。同時に東北電力からは、只今のいろいろ内ケ崎君から事情を述べられたように、さようなお話がたびたびあつたかと思いますけれどもまあお待ちなさいと、小さい地点で簡単に事の済むのは、大きな東京電力話合いさえつけばどうでも解決のできる問題である。これは両者の話合いである。大体において一つ只見川を協力されるという線に沿うておやりになるほうがよかろうというので、二十五年の十二月、丁度私ども公益委員会ができたばかりであつたと思います。十五日に公益委員会ができたのであります、その頃からお話して、二十六年に続いてそのお話東北電力さんにも申上げ、東京電力さんにもさようなことを申上げて、開発方式を両者でおやり下さい。で地点の大体は、柳沢、片門はすでに着手しておる。それから宮下の増設工事というのはすでに公益委員会においても実施を認めております。でそれ以上の地点の小なるものは、お話中に又何とか解決方法もあるから、大体においてこの解決を、大きな方面に取上げておやり下さいということをお勧めしたに過ぎませんのですが、その間東北電力のほうでは水利権に向つてもやはり熱心な御努力があつたかのごとく思われるのでありますが、そういうことが多少今日の食い違いになつておるかと思いまするのと、それから建設方面及びその他の本名上田に関する水利権官庁間の事務的の連絡は、比較的私どものほうにどうするかという意見のお問い合せが少かつたのであります。又ありましても大体の東京電力と、東北との共同開発の線で水利権なるものがそれに含まれて、共に解決するという考えを持つておりましたのでありましたから、御相談があつても或いはさような気持で御返事したかと思いまするが、それが余り御相談がなかつた。それで一方的にそのほうは進んでおる。それから東北も又、その一方的にそれをお進めになつておるというのが、多少今日の行違いを大きくしたようにまあ考えるのであります。そのことがよかつた悪かつたということは別といたしまして、成行きはさように……。事実を申上げたのであります。
  22. 結城安次

    委員長結城安次君) 次に梅野参考人にお伺いしますが、電源開発法見返資金の貸付に至るまでの手続は、通常の場合と今度の場合と少し違つておるかのようにも伝えられておりますが、若し違つておるとすればどういうふうに違つておるかということの、つまり見返資金放出の手続についてちよつと御説明願います。
  23. 梅野友夫

    参考人梅野友夫君) 開発銀行が見返資金を引継ぎましたのは本年の九月の十四日でございます。従いまして同日以降見返資金による電力融資というものは、開発銀行がその事務を取扱うことになつた次第でございますが、今お尋ねの見返資金による貸付が、本件に関しましては通常の場合と違つたかどうかということに関しましてお答えいたしますが、これは結論を先に申上げますたば何ら普通の場合と違つた手続はいたしておりませんのでございます。即ち東北電力株式会社から本名上田開発に要する資金として融資申込を正式に受理いたしましたのは本年の十月一日でございます。尤も先ほども申上げましたように、九月の十四日以降見返資金を引継ぎます関係上、その前からしてすでに事務の手続を円滑にするために、引継ぎ前後において問題になつておる、或いは宿題になつておる案件はどういうものがあるのかということは、お役所からもかねがね説明に来ておられましたし、又東北電力としても、こういう計画を以つて役所に目下手続をしているのであるという話をして来ておられたのでございますが、併しながらそれはまだ私どもが正式に聞く段階でなく、ただ参考として聞くという恰好で役所並びに会社から話を聞いておつたのはかねがねあつたわけでございますが、併しながら正式に受理をいたしましたのは十月一日でございます。尤もその前に九月の二十五日付で大蔵省から通牒を受けておりまして、只見川本名上田発電地点開発に要する見返資金の融資について通牒は受けておつたのでございます。それで先ほど申上げましたように、十月一日に正式に申込の受理をいたしました。それから内部的な審査をいたし、融資の決定をいたしまして十一月の一日に第一の融資を実行いたした次第でございまして、正式受理から融資の実行に至るまでの間、普通の手続と何ら変ることなく、審査をいたしまして融資の実行をした次第でございます。  以上でございます。
  24. 結城安次

    委員長結城安次君) これで参考人から今陳述を伺いましたが、質疑に入りたいと存じます。    〔清澤俊英君発言の許可を求む〕
  25. 結城安次

    委員長結城安次君) 清澤君、ちよつと待つて下さい。これから質疑に入つて、あなたから先に……。質疑じやないのですか。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 いや、先に、質疑じやないのです。只今本名上田のことについて、資金面のことについて大蔵大臣からの通牒があつたというのはその日付はいつなのですか。
  27. 梅野友夫

    参考人梅野友夫君) 大蔵省から通牒を受けましたのは、今申上げましたように九月の二十五日でございます。
  28. 結城安次

    委員長結城安次君) よろしうございますか。じやこれから質疑に入りたいと存じます。
  29. 島清

    島清君 ちよつと本格的な質疑に入る前に、福島大竹知事に補足的な質問を、委員長質問に対する補足的な点を質しておきたいと思いますが、本名上田申請を、東北電力からする場合に、それを確かに奥只見、前沢、田子倉、滝、大津岐の五件の使用許可申請を同時になされておるはずでございまするが、これはそうであつたかどうか。それからそれに対しましては、どういうようなお取扱をなさるつもりであるかをちよつと御説明頂きたいと思います。    〔委員長退席、通商産業委員理事栗山良夫君委員長席に着く〕
  30. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今のお尋ねでございますが、奥只見、田子倉そのほか上流地点水利権に対しましては、先に国会で通過いたしました電源開発法によつて、最も只見川の使命に合致するところの開発がなさるべきものが適当です。
  31. 栗山良夫

    委員長代理(栗山良夫君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  32. 栗山良夫

    委員長代理(栗山良夫君) 速記を始めて下さい。  それでは休憩いたします。午後一時から再開いたします。    午後零時一分休憩    —————・—————    午後一時十九分開会
  33. 結城安次

    委員長結城安次君) それでは午前に引続き開会いたします。
  34. 西田隆男

    ○西田隆男君 それでは私は先ず第一に福島県知事にお尋ねしたいのですが、あなたはさつきの御意見を述べられておる過程において、東京電力に福島県側として相談しなかつたことは、非常に遺憾であるという、遺憾の意を表しておられたようですが、それはこの問題に関連して、我々はデマだと考えておりますが、いろいろな批判が行われて来ている実情に鑑みて、遺憾の意を表されているのか。或いは東北電力只見川二つ発電所許可申請を指定、決定される上においては遺憾とは考えなかつたが、その後の情勢において遺憾と考えられたのが、その点をもう一遍一つはつきり……。
  35. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今のお尋ねでありますが、東京電力に対して事前にこの上田本名の問題に対して交渉をしなかつたことに対して、私は先刻その問題に対しては率直に遺憾の意を表する、こう申上げたのであります。それがこの上田本名の要地点は先にも申述べましたように、現下の電力事情に鑑みて、公益上どうしても早期開発を成すという観点から、今まで調査の点或いは開発意慾に燃えている点或いは地方沿岸住民との関係考えまして、東化電力に対して許可を与えたのであります。このことに対しまして、事前に話をしなかつたことが遺憾であると申上げましたのは、私は東京電力からはこの問題に対してまだ曾つて一応の話もなかつたのであります。繰つて、今度東北電力は今申上げましたように、調査の点、又県とも密接に連繋を保つてつたのであります。かような観点から私はこの問題を、早急に解決するためには、どうしても東北電力でなければならんという結論に達したので、今申上げました措置をとつたのであります。その間に東京電力に対して事前に交渉しなかつた遺憾の意というものは、その要は非常にこの問題が何と申上げますか、混ぐらかるという表現が適当かも知れませんが、かようなことを考えまして、やはりこれは私の処置は、始まりに考えた信念に基いて行なつたのでありまして、その間に話をしなかつたということに対しての遺憾の意を表したものであります。
  36. 西田隆男

    ○西田隆男君 今の御答弁聞いて、大体わかつたような感じもいたしますが、あなたが福島県知事として、以前この只見川水利権東京電力が持つてつたということはすでに御承知のはずであり、あなた自身はさつきの御意見の中にも、日本発送電の例を引かれて共同で開発したいのだという御意見を述べておられる点から見ても、東京電力水利権を持つてつたということは御承知のはずです。従つて許可したことの良し悪しは別問題として、そういう関連において東北電力が若し福島県知事宛に認可申請をしたならば、当然これは両当事者である東京電力に一応儀礼的にもお話をお進めになつて東京電力側の意向を聞かれて、いずれが正しいかという判断福島県知事としては、判所を下されるのは、これは当然であると思います。その結果がいい悪いということを私は申上げているのではなく、あなたが遺憾の意を表されたという遺憾の意の表し方が、許可した後のいろんな批判に対して遺憾の意を表しておつたのか。最初からそういう意思を持つてつたけれども、理窟の如何にかかわらず、相談をしなかつたという点に対して遺憾の意を表しておられるか。こういうことを私はお聞きしているのですが、御答弁はもう再度要求はいたしませんけれども福島県知事として東京電力東北電力との間の只見川電源開発の問題については、多少手落があつたということだけは、あなたもお認めになりますかどうですか。
  37. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 私はただ関係を持つておりまする東京電力会社に対しての情の上からの遺憾の意であります。東北電力にこの水利権を与えることが公益上最も適当と信ずるのであります。
  38. 西田隆男

    ○西田隆男君 情の上からの遺憾の意だということですが、さつきも私が申上げましたように、東京電力が過去においては水利権を持つてつたという事実はあなたも御承知でおられる。従つて若し福島知事としてお裁きになるなら、どちらに許可されるかは別問題として、当然東京電力側に一応の形式的にでも意見を聞かれるということが行われなければならんと思う。それが今日のあなたの御意見を聞いていると、行われていないように考えられるので、従つてこれは遺憾の意を表されている意味合が、そういう手続、形式的であつても、実質的であつても、そういう手続きを経てなかつたということに対して、遺憾の意を表されているのかということをお聞きしているのですが、もう御答弁は要りません。大体あなたの午前中のお話と、今の御答弁で大体の判断はつきますから……。別にそれは法律でどうということではありませんから、御答弁は要りません。  それから安藏さんにお尋ねしますが、あなたの今日の午前中のお話を聞いておりますと、東北電力との間に、只見川開発についていろいろお話合をしておつた最中に、こういうことをされたという御見解の表明があつたのであります。ところが内ケ崎さんのお話を聞いておりますというと、二つ発電所東北電力としては東電側の申立を拒否したのだというお話があつたようであります。従つて私の、あなたに御意見を聞きたいのは、安藏さんが、東北電力側と協議をされておつた間において、あなたがたはこの本名上田二つ発電所を含めて両方で会社でも作つて只見川開発を総合的にしようじやないかというお話合を、協議を進めておられたのかどうか。それともただ漠然として只見川というだけの意思表示で話を進めておつたのかどうか。この点をもう一遍お聞きいたしたい。
  39. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私どもは私どもの持つている水利権、即ち宮下以上の水利権を含めて共同の会社を作つてやろうということをはつきり申上げておりました。又私もそういう考えでおりました。然るにそのときに内ケ崎さんから一応は先ほどの御意見もございましたが、これについて十分闘つて、そういう意見もまとまらなければ、これはこれで裁定する方法があつたと思います。そこへ行かないうちに、片方のほうの行動に出られたことは私非常に遺憾と思つております。
  40. 西田隆男

    ○西田隆男君 そこで最後に野田さんにお尋ねしたいのですが、あなたが建設大臣になられて、この只見川の両発電所開発の問題を決裁される上において、午前中参考人各位から御意見を述べられたようなことは、十分に御承知の上で、あなたは処置なすつたのかどうか。これを一点……。
  41. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 只見川開発の問題については、事後的にいろいろと調査してわかつて来たことがたくさんあるのでありまして、只今参考人諸氏の述べられたことのうちでも、知つていることもあるし、知らんこともある、こういうことになると思います。
  42. 西田隆男

    ○西田隆男君 あなた非常に上手に逃げられますが、今日のあなたの参考人としての御意見を聞いておりますと、ただ早く電源開発をしなければならんというのが一番ウエイトを持つた理由であつて、そのほかには、今少し東京電力と話を進めた上で、許可してもよろしいというような点が多々見受けられる。そこでまあ世間ではいろんな批判をし、いろんな疑惑の眼を以てこの問題を考えている。今日参考人諸君の御意見を聞いておりながら世間でいろいろ疑惑の眼を以てこれを見ることは尤もだ、どうも余りに個所が多過ぎる、許可する過程において。皆さんが本当に誠心誠意、野田さんが言われるようなことを重大問題としてお考えになつているならば、当然まだ手を尽さなければならんことがたくさん残つておる。そういう方面のことを手をお尽しにならないで許可をされたというところに、この問題の何かこんがらかつた面があるように私は考える。こういう問題は国会を通じて国民諸君にはつきりわかりやすくすることが非常にいいと思う。つまりその点はこう考えたからこうだつた、こういう点を全然知らなかつたということを、若しお話になれるならもう一度御意見を伺いたい。
  43. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 只今申しましたように、先ほどから参考人お話は、非常に多岐に亘つておるのでありまして、私は建設大臣としては建設大臣の立場から判断を下すに必要な範囲を事務当局相談をしてやつた程度であります。先ほど申上げましたように、電源開発を早くやらなければならない。こういう事情もありまして、御承知のように電源開発法を出したいきさつも、どうしても日本の電源開発を早くやらなければならんという趣旨から出したのであります。只見川開発でも、今度の両発電所の噂というようなものが出たのも、電源開発を促進する、一刻も早くやるという趣旨から出たのでありまして、若し御疑問の点があつたら、こういうことをしたらどうかというお尋ねであつたら……並べてたくさんおつしやつたので、その点を……。
  44. 西田隆男

    ○西田隆男君 では具体的に伺いましよう。先ず第一にお伺いしたいのは、あなたが福島県側から申請をされたことに対して、福島県側に対して東京電力との間に何らか話合いをしたかどうかということをお聞きになつたことがあるかどうか、それを一つお願いいたします。
  45. 野田卯一

    参考人野田卯一君) これは話合いがなかなかうまく行かない。二人の話合いでうまく行かないというようなことを聞いております。
  46. 西田隆男

    ○西田隆男君 話合いがうまく行かないかどうかということを聞いておるのじやなくて、福島県側から、東京電力とは、何らこの問題に対して話合つていないということをあなたはお聞きになつたことがあるかどうかという、こういう問題です。
  47. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 私は別に福島県側からそういうことを聞いておりません。
  48. 西田隆男

    ○西田隆男君 そうすると、あなたは福島県側の意見書類が出たまま、何ら福島県側に対しては意見は聞かれなかつた、こう解釈してよろしゆうございますか。
  49. 野田卯一

    参考人野田卯一君) それは役所の仕事が忙がしいときでありましたから、事務当局はそういう点で連絡したかも知れませんが、私はそういうことがあつたかなかつたか、よく記憶いたしません。
  50. 西田隆男

    ○西田隆男君 それでは河川局長、あなたお聞きになりましたか。
  51. 目黒清雄

    参考人(目黒清雄君) 福島県知事から書類が出ましてから、いろいろ直接ではありませんが、その辺の様子は承わつております。なかなかこの問題はむずかしいという感じを抱いておりました。
  52. 西田隆男

    ○西田隆男君 私はこういうことをお伺いしておるのでなく、今野田さんに聞いたら、自分は知つてないが、事務局が知つておるかも知らんというお話なんで、河川局長としては福島県知事から申請があれば、当然問題になるというように思つてつたということは、御承知のはずで、それはぎりぎりあれから言つても当然なんで、福島県から話をするのが筋道だと思う。従つてあなた方が、福島県側の認可申請書を御覧になつて、福島県側と折衝されたときには、そういうことがあつたかなかつたか。先ず建設省側として東京電力に当る前に、福島県側の知つたことについてお聞きになるのが筋道だと思う。そういうことをお聞きになつたかどうか、こういうことをお尋ねしておる。
  53. 目黒清雄

    参考人(目黒清雄君) 福島県と当局の間の交渉は、まだ交渉がついておらんということを承知しております。
  54. 西田隆男

    ○西田隆男君 それはあなたはいつ頃お聞きになりましたか。
  55. 目黒清雄

    参考人(目黒清雄君) はつきり時期はわかりませんが、大体私のほうでこの問題の方針をきめましたのが五月ですから、その以前と考えております。
  56. 西田隆男

    ○西田隆男君 方針をきめるというのが五月でなくて、認可申請書が出たのが五月一日ではありませんか。そうじやないですか。
  57. 目黒清雄

    参考人(目黒清雄君) 認可申請書は二月に出ておりますので、二月から五月までの間に我々のほうでは相当研究しております。
  58. 西田隆男

    ○西田隆男君 それでは本省側としては、結局福島県の認可申請につきまして、以前の水利権者であつた東京電力との間には何ら話合つていないということを知りながら、この問題をこういうような筋書に運ばれたと、こういうふうに解釈してよろしうございますか。
  59. 目黒清雄

    参考人(目黒清雄君) その通りだと思います。
  60. 西田隆男

    ○西田隆男君 それでは、今度は野田さんに一つ聞きますが、五月一日に安藏氏に話をした。これはまあ東京電力側の御意見を聞かれたのですか。或いは建設省として東京電力側に処置をせいと言われたのですか。いずれか知りませんけれども建設大臣として五月一日に安藏氏に意見を聞かれたということを言つておるのですが、この点は建設大臣は今安藏さんが言つたように、東京電力側から福島県側に何ら話合つていないということを御承知の上で伝えたものとすれば、東京電力側から水利問題について意見表示がなかつたという単なる事実に基いて、東京電力側ともう少し納得の行くような段階に至るまで話合いをされずして、七月二十五日の閣議にかけられたということは、少し手落ちだと思うのですが、建設大臣としてどうお考えになりますか。
  61. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 私はその点は余り建設省としては要点でないと考えておりますので、建設省としては、福島県知事から出て来たものがいいかどうか、又それをすることがいいかどうかという点に重点を置いて研究したわけです。
  62. 西田隆男

    ○西田隆男君 それは非常に誤つた考えです。建設省というものは、県から来たから福島県のものを審査すればいいということは表面の理由であつて、それを審査するのは、ああいう問題をスムースに解決する意味においてしなければならん。従つて建設省側としては、福島県のほうから申請をしたものが適当であるから、これは認可すべしということは、意思があればできますので、東京電力側に対しては、もつと丁寧に親切に、納得の行くように話をされることが、これが民主政治の根本原理である。それをあなたは午前中の参考人としての御意見の折でも、審査一点張りでやつておられる。それは委員会当時において、もう少し何とか話合いをなさるときに余地があるようなふうに話合いをなさつたほうがいいと思うのですが、これ以上あなたの御答弁は求めません。  それからもう一点石原さんにお伺いしますが、あなたは公益事業委員会から事務引継をされる過程において、この両発電所開発の問題について、これをお聞きになつたと思うのですが、その後通産省が閣議決定したのか、建設省許可したのか知りませんが、相当に開きがあるにかかわらず、通産省がずつと遅れて認可されたような形になつておりますが、この間のいきさつについて伺つておきます。この間の経過の話を一つお聞かせ願いたい。
  63. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 御質問の第一点の事務引継という点は、公益事業委員会からという御趣旨だと思いますが……。
  64. 西田隆男

    ○西田隆男君 そうです。
  65. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 公益事業委員会から電力行政の全般的な事務引継をいたしましたが、その際にこの問題は特に御説明なり何なりでは知りませんでしたし、又こういう問題が起つておるということもお話は受けません。ただ申請書は二月当時公益事業委員会に出ておりました。そのまま未処理になつておりますが、これは事務の移管と共にそのまま書類は当然事務上引継を行なつたということになつております。それからその後、八月一日以後、電気行政通産省に廻りましてからのこの点に関する取扱いについて御説明いたしますが、本件につきまして、私が承知をいたしましたのは八月四日でございます。これは当日次官会議の報告と申しまするか、出ておるようでありますし、その当時建設省のほうからも、事務的にお話があつたことがございまして、これを承知いたしまして、私といたしましては大至急上司に御相談をいたしまして、すでにそのときに、七月二十五日の閣議決定という事項も私は上司から伺いました。それで従つて上司と御相談いたしまして、通産省といたしましても建設省と同意見の趣きを回答するという態度をきめまして、すぐさような処置をとるようにいたしたわけでございます。ところが、非常に遅れております理由只今お尋ねがございましたが、丁度当時機構改革で、新らしく電力行政が変つたということで、人事も動き、多少ごたごたいたしておりましたのと、もう一つはこれは事務的に事務所が引越したりいたしましたので、さような関係で事務処理が遅れまして、十二日に至りまして起案をいたしました。今日はそれを持つて来ておりますので、御覧頂けばはつきりいたしますが、十二日にそれを起案をいたしまして、これは政務次官の御決裁を得ておりますが、大臣の御決裁を得たのは十九日でございます。さようなことで非常に遅れたのでありますが、ただこの公共事業令に基きます許可をいたします、その日付を四日に実は遡つて施行いたしました。これは事務的に異例ではございましたが、すでに福島県のほうからも、建設省から許可を得ており、できるだけ早く通産省の意見を回答してくれという御希望もございましたし、たまたま通産省の事務的な関係で遅れましたのと、すでに四日には上司の指示を受けておりましたので、上司の御決裁を得ます際に日付を四日まで遡ることの御決裁を得て、四日付で施行しております。
  66. 西田隆男

    ○西田隆男君 そうすると、七月二十五日の閣議決定する前には、あなたは何も御承知なかつたわけですか。
  67. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) あの当時は全く聞いておりません。尤も所管も全然違う仕事をいたしておりました。
  68. 西田隆男

    ○西田隆男君 そうすると、あなたが公益事業委員会の仕事を引継いで、公益業局長としての仕事をお始めになつたのはいつ頃ですか。
  69. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) これは一日付けで発令になつておりますので、形式的には一日と申しても結構だと思います。私も一日に従来の公益事業委員会の事務所へ参つて、一部の者と話をして多少仕事の問題の点等を聞いたりいたしましたので、実質的に落ちついて仕事をいたしたのは四日頃かと思いますが、一日、二日と従来の公益事業委員会がありました事務所に参りまして、一部民間のかたのお話を伺いましたので、一応一日というふうにお考えつて結構であります。
  70. 西田隆男

    ○西田隆男君 そうすると、二十五日の閣議決定したことに対して、あなたは公益業局長として八月一日からお仕事を始められた。従つて八月四日までの間に、当時の通産大臣から当然事情をお聞きにならねばならんはずのものだと思うのですが、これも八月四日まであなたは何ら通産大臣からは話をお聞きになつておりませんか。
  71. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お話通り、四日までは私は承知いたしておおりません。
  72. 西田隆男

    ○西田隆男君 そうすると、四日にあなたは勿論内容を知られて、あなた自身の御意見というか、公益業局長としての御意見通産大臣か若しくは省議等において検討をされたであろうと思われるのですが、その際に述べらたたことがありますか。
  73. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今のお尋ねは、四日に事務的にも建設省から御連絡を受けまして、これは担当の課長その他から説明を聞きまして、閣議決定趣旨も聞きまして、私といたしましては、すでに閣議決定をし、次官会議の御報告があつたので、その趣旨従つて処置すべきものと考えまして、上司の御相談を受けて、そのようにきめたわけであります。
  74. 西田隆男

    ○西田隆男君 そこで石原さんによくお考え願いたいのですがね。私は七月二十五日に閣議決定して八月の四日までは知らなかつたということ自体が大体問題だ。少くとも通産大臣閣議に出ておるんですから、閣議決定したということですから、こういう重大な問題については、公益業局長であられるあなたに、すべてのものが決定するまでに当然お話にならねばならんことであり、お話になれば、とにかく公益事務局長は局長としての立場から御意見の開陳があるべきであり、そのいずれもなんにもなさらないで、八月四日に初めて建設省からの連絡があつて、八月の十九日に通産省できめたものを八月四日に遡及して施行する。ところが、さつき「異例だけれども」と言われた。異例であるけれどもというこの異例が特な異例である、特別な異例である、やつてはならない異例であるというふうに私どもにはどうも受取れるのです。少くとも電源開発に関して建設省は、野田さんが全責任を持つておられるかおられないかは知りませんが、機構改革のあとには通産省が監督権を持つておる。それを建設省が、閣議決定をしたからというので、八月四日にまで遡及して許可申請の免許をしたということは、これは事務的の手続きの上にも我々はどうも妥当とは考えられないのです。もう少し何か我々の納得するような御説明が事業局長からあつて然るべきだと思うのですが、どうですか。
  75. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 重ねての御質問でございますが、我々といたしましては、閣議決定後、次官会議でも相談をいたしまして、至急に措置するようにいたしたのでありますが、たまたま事務所を引越すとか、いろいろなことがございましたので遅れましたので、普通ならば、一両日くらい遅れることは何ら差支えないと思いますが、非常に遅れた関係もございまして、福島県に対しても非常にお気の毒だと思いましたので、それは当時すでにきまつたことでもございますし、意見を今申し述べるという程度の問題でございますので、実際的に問題なかつたので、一応日付を遡ることを考えまして、これは上司にも起案のときにはつきりさような趣旨を聞きまして、御決裁を得たわけであります。特段の意図はなかつたのであります。
  76. 西田隆男

    ○西田隆男君 この当時の通産大臣閣議でこの話を聞いたということを言つておりましたかどうか。
  77. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) これは閣議で二十五日、かような事案がかかつたことは後に承わりました。
  78. 西田隆男

    ○西田隆男君 いや、通産大臣出席をしておつたのですか。
  79. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 御出席つたと思います。私は。
  80. 西田隆男

    ○西田隆男君 だつたと思いますなんて、あなたは御承知のはずですよ。
  81. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 二十五日にかようなものが閣議にかかつたということは承わりました。
  82. 西田隆男

    ○西田隆男君 もう私はいいです。
  83. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私野田さんにちよつと伺いますが、先ほどの御証言の中で大体わかつておるのですけれども、もう一遍確認をしておきたいのは、あなたがこの水利権東北電力に移すことによつて、その水利権が直ちに東北電力の手によつて行使せられまして、水力発電所工事が着工されると、こういう見通しの下に許可をせられたかどうか。ただ昔のように、いつ着工するかわからないような地点について、一応既得権としての水利権を与えることがありましたが、そういう考え方でなくして、水利権許可すれば直ちに工事東北電力が着手するとこういう見通しの下におやりになつたかどうか。
  84. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 急いでこの決定をすれば、御承知のように冬になりますと、只見川は渇水いたします。その渇水期に締切工事をやる、その締切工事を渇水期にやるために、その締切工事に先立つ諸般の工事をやらなければならん、それに間に合う、こういうような確信がありました。
  85. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、そういう前提で御質問をいたしますが、さような工合に直接工事に結び付いておる水利権であるといたしますと、一遍許可を与えました以上は、その工事に対する役所の許認可等の責任も当然生じて来るわけであります。従つて私はもう一度そういうような立場で、当時の公益事業委員会只今公益事業局が相当監督をしなければならんような点までも含めておやりになつたかどうかが、これが問題になるわけでありますが、もう一度、そういう前提であるといたしまするならば、東北電力に移すことによつて東京電力に移すよりもより以上の効果を挙げると、こういう工合に認定をせられた理由というものを一つ明らかに聞かして頂きたい。
  86. 野田卯一

    参考人野田卯一君) それは冒頭に述べましたように五月私がこの問題に触れ出しましてから、いろいろと事務当局と研究、検討いたしました結果、東北電力にやらせるほうが電力早期開発というような目的から適当である、そういう結論に到達して、先ほど申しましたように、東京電力に対しまして、その線で一つ問題を解決するように同調を求めて、それが再三の交渉でも見通しがつきませんので、荏苒として日を送つたらば工事はできなくなるという視点から、ああいう措置をとつた、こういう次第なのであります。
  87. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 あなたは公共事業令を大体よく御承知だと思いますが、公共事業令の第二十八条は、発電所の施設をいたしたい場合には、事業主が届出をするわけでありますが、そのときに通商産業大臣は、その申請書について次の三つの点が適合しておるかどうかということを審査しなければならんということになつております。その一は、「その公益事業の開始が一般の需用に適合するものであること。」二は、「その公益事業の開始が公共の利益を増進するものであること。」、第三が、「その公益事業を適確に遂行するに足る財政的基礎があること。」この三条件が満されるかどうかということを審査しなければならんということになつております。ところが今までの証言によりますと、あなたはこの公共事業令行政監督をしておる当時の公益事業委員会には何ら御相談になつていない。又その後発足いたしました公益事業局に対しても発言権のない状態において決定をされておるわけでありますから、従つて今あなたが言われたような立場で申しまするならば、先ほど来建設大臣として建設大臣の権限を行使したに過ぎない。こうおつしやつておりますけれども、おやりになつたことはもつと広汎な公共事業令にも触れるようなことをおやりになつたわけでありますから、従つて只今のこの三つの公共事業令第二十八条が定めておりまする内容について、具体的にどのような審査をせられたか。その点を一つ承わつておきたいと思います。
  88. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 只今公共事業令の規定は我々直接関係のない時だと思います。それから本件に関しましては御承知のように福島県知事が第一線といたしまして、許可をしたり許可取消したりするわけで、そこで許可を与える、又許可取消すことを福島県知事がやる際に、私のところへこうやつてよろしいですかということを聞きに来るわけであります。従つてそのときに同時に福島県知事公益事業委員会に対して、こうしたいと思うが、公益事業委員会意見はどうであるかということを聞くわけです。私のほうに来たものは、私のほうで私の意見福島県知事に言つてやる。公益事業委員会福島県知事から意見を求められると、自分の意見を発表する前に、建設大臣のところへ来て相談をされることになつている。その相談された結果によつて、今度は公益事業委員会福島県知事に応答される。こういう建前になつております。その線で私は進んでおります。
  89. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは私聞かなくても、そういう形式的な手続きの問題はよく承知しておるのです。そういうことでなくて、今あなたがおつしやるようなことをやるならば、今日の問題になつているような方法で払下が起きたり、或いは了解をしないためにいろいろ異議が出るようなことはないわけであります。それが行われていないということは、当時の建設大臣が或る意味においては独断でこういうことを遂行されたということになるのであつて従つて問題はあなたが先ほど早期開発のために一番よろしいと、又電力運営の面からいつてもよろしいということによつて許可をしたと、こうおつしやるのでありますから、そういうことであるならば、具体的にそういうような条件を満すか満さないかということは、公共事業令の二十八条がその審査すべき内容をきめておるわけであります。そういつたような点から検討しなければならない、こういうことに結論はなるわけであります。従つて更にそれじや私もう一つ突込んで聞きますが、当時は電源開発促進法が国会において非常に審議をせられておりました。あなたも答弁に立たれたわけですが、それはその開発審議会の条文の中に、電源開発調整審議会というものは、促進会社の行うもの、事業者の行うもの、その他地方公共団体の行うものまで含めて、誰が担当すべきかということを最終的に決定する機関である、こういう工合に私了承しておりますが、その点を御存じであるかどうか。
  90. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 電源開発促進法の中で、電源開発調整審議会が重要な役割をして、そうして電源開発会社がどの地点やるということの決定は、この電源開発調整審議会できめられたということは了承しております。
  91. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしてその中には当時の電力行政を司つてつた公益事業委員会委員長がメンバーに入つてつたことは御承知でございますか。
  92. 野田卯一

    参考人野田卯一君) もう一遍ちよつと……。
  93. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その審議会のメンバーに電力行政の最高責任者である公益事業委員会委員長が入つてつたことは御承知ですか。
  94. 野田卯一

    参考人野田卯一君) よく今はその時にそういうことを知つてつたかどうかということは、ちよつと記憶いたしません。
  95. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 御記憶にないということであれば、ここに印刷物がありますから、お目にかけてよろしいわけです。その点先ず明かにして頂きたいと思います。これは現物を今持つて来ますが、公益事業委員会委員長というのは、確実に入つておるわけですけれども、それはお認めになりませんか。
  96. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 私はこう言つたのです。その当時に、五月か六月に論議しておつたときに、それが入つてつたということを君が知つてつたかというお尋ねだと思うのです。その知つてつたかどうかということは、その時は知つてつたか知りませんが、その時の知つてつたかどうかということの記憶は今ないということを言つておるのであります。
  97. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういう言葉の言い廻しを言つておるのじやなくて、電源開発調整審議会の中に、それでは国会を通過した瞬間でもよろしうございますが、公益事業委員会委員長というものがメンバーとして入つていたかいないか、この点をお聞きしておるわけです。
  98. 野田卯一

    参考人野田卯一君) それは条文見せて頂けばよくわかると思います。
  99. 島清

    島清君 関連して野田さんにちよつとお伺いしたいのですが、野田さんは東北電力のほうに電源開発をやらしたほうがよろしいという先入主で、その前提の下に、東京電力側のほうの責任者にお会いをしたのが五月の幾日かでございまするが、その席上で安藏さんに東北電力に譲る意思はないかと、相談よりもむしろ職権を以て勧告みたように聞えるようなことをやつておられるんですが、その東京電力にさように表現をされる前に、東北電力にやらさなければならないという、この根拠を、どこに求めておられるかをお答えをお願いしたい。
  100. 野田卯一

    参考人野田卯一君) それは先ほど申上げましたように、この問題を建設省の中でとり上げまして、事務当局といろんな観点から検討した結果、東北電力にやらせるほうが、早期開発の上において非常に好都合で、そのほうがベターである。それから又でき上つたのちの運営管理上もそのほうがいいのだという結論に到達したわけであります。その判断に到達したわけであります。その線に従つて問題を処理するには先ほど申しましたように、片方を取消して、片方に与えるという行き方もあれば、東北電力東京電力と話合で、東京電力東北電力に譲渡される。普通の話合いで譲渡まで行けば問題はないわけです。穏やかに行かれる線で極力行かないかということで相談を申込んで、君たちのほうで調べた研究の結果はこういう判断になつた、そういう話合いに持つて行つてもらう。そうして我々の意見に同調してやつて頂くようにお話したということです。
  101. 島清

    島清君 あなたが東北電力のほうにやらしたほうが総合開発ができるんだというこの一人でおきめになつたことは、私は問わないといたしまするが、併し今栗山議員の質問からいたしまして、水利権許可するについては、大体公益事業委員等のそれぞれの関係者の意見も十分に尊重して、そうして建設大臣としての許可というものを与えるべきじやないかというようなことが質問にあつたわけでございまするが、栗山君に対する御答弁の中には、何かその自分は河川行政を与かる建設大臣として、そうしてその線から単に行政的な処置をしたんだというように解されるような御答弁があつたのでございまするが、あなたは併し建設行政を離れて、むしろ通産行政、むしろ公益事業のほうに入られて、そうして許可行政的な措置をされているような答弁でございまするが、少しそこらの説明が足りないようですが……。
  102. 野田卯一

    参考人野田卯一君) それは私もわからないのでありますが、制度の建前が水利権建設省のほうで許す、それから電気事業のほうは公益事業委員会でやられる。それが県知事のところへ行つて総合されるというような建前になつているわけであります。御承知のようにそういう関係から問題が出て来て、水利権の問題を取扱う者としてベストを尽した、こういうことです。
  103. 島清

    島清君 あなたはあなた自信でベストを尽されたかも知れませんが、あなたのベストの尽し方によつて天下がこういう工合に非常に批判的な目を向け、東京電力としては非常に迷惑をしているわけなんで、そういうところに出発いたしまして、今日の委員会が開かれているわけでございまするが、あなたのベストを尽される、あなたの御認定をなさる前に、あなたはそのあなたの部下のそれぞれの責任者の意見を徴し、更に省議等も決定をしてあなたの一体ベストを尽したのだという最後的結論に到達されたかどうか。それともあなたは省外でいろいろのことを聞かれたり、見られたりして、そうしてそういうような結論に到達されたかどうかを御説明願いたい。
  104. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 私はこの問題につきまして、只見川の問題につきましては、大臣就任以来非常に関心と、又一面責任がありますので、自分としては相当検討をして参つたのでありますが、私は、私というよりむしろ建設省全体が只見川問題は熱心に研究しております。それから御承知のように只見川につきましては、この前に柳津、片門というような問題があり、そういうような点を現地に行つて見るとか、各方面から検討いたしております。又その過程におきまして、私大臣就任以来各方面から只見川の問題についてはいろいろ話を聞いたり、省内でいろいろ問題を聞かされている。そういうものの全部が集つた総合的な判断の結果、東北電力にやらせたほうがよろしいという判断になつた、こういうことであります。
  105. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この官報を見て下さい。七月七日の本会議、七月七日の本会議で可決になつた電源開発促進法の第九条には、審議会には公益事業委員会委員長が参加することになつております。
  106. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 知らないとは言つておりません。速記を見て下さい。
  107. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 知らないと言つたから……。
  108. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 覚えがないと言つたんで、知らないと覚えがないのとは違う。
  109. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は覚えがあると思つて見せているのだ。そこでですね。こういう促進法ですら電源開発については水利地点だけの問題でなしに、そこで起された電気の運用の問題、工事を進めて行くための資金の問題等がありますから、従つて電力行政の最高の監督権を持つている責任者を参画せしめることになつているのでありますから、当然先ほどあなたが言われたように、この工事水利権許可すれば直ちに工事に着工するのだと、そういう前提の下に許可されているとするならば、当時の公益事業委員会相談せられるのが当然じやないか。こういうことを私はお聞きしているわけです。あなたは相談がなかつたからする必要はないとおつしやつたんだが、それは普通の場合の水利権許可の状態とは違う。従つてその点は私は手落ちはなかつたかということをお尋ねしているわけであります。
  110. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 私はこの点は余り手落ちはなかつたというふうに自分では思つているのであります。それは何故かと言いますと、公益事業委員会というのはございます。ございますが、建設省で検討いたしまして、大体肚は片方を取消して、東京電力取消して東北電力に与えようという肚をきめた。肚を本当に本ぎめするまでにはやはり閣議最高判断を求める必要がある。閣議に諮つて閣議のほうで御賛成を得ましてからいろんな手続書類などを整備しまして、それから公益事業委員会に諮るという手続をとつたのであります。ところが公益事業委員会がなくなつて、その後身は通産省であるから、通産省に諮つたということになつております。
  111. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 どうも話が堂々めぐりしますが、それじやもう一点だけ聞きます。先ほどのように工事が緊急に着手されるという見通しを立てられた場合には、資金の問題が私はあつたと思いますが、その資金の点はお考えになりましたか。
  112. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 資金の点は、御承知のように数百億の枠でありますが、この枠の中でこの問題が緊急のものであるということになれば、これは最後に閣議決定になつているんですが、その枠内でできるものと考えております。
  113. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは大体見返資金のことをおつしやつておると思いますが、見返資金というのは年度計画がありまして、そうして全部個別に積上げておつたわけですが、その中に上田本名地点はなかつたはずであります。若しあなたが今そういう工合にできる予定であつたと、こうおつしやつた場合に、大蔵省等々と或いは折衝された結果そういう工合に見通しを立てられたのかどうか。
  114. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 今入つているとか、入つておらんということをおつしやいましたが、その入つている、入つていないということについては私聞いたことはありませんし、建設省としても聞いておらない。
  115. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それでは上田本名地点に必要な資金が大蔵省として出せるかどうかということについて見通しを持つておやりになつたのかどうか。
  116. 野田卯一

    参考人野田卯一君) そういう数百億の金があるわけですが、或る程度のものは賄えるという考えでいたわけです。
  117. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大蔵省のほうとは御折衝にならなかつたわけですか。
  118. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 大蔵省に折衝はずつと後のいつも段階になるんです。
  119. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは許可された後ですか。
  120. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 御承知のように許可する前に今の閣議決定でやつているわけです。大蔵大臣も当然出席されております。
  121. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 わかりました。そのときにはその閣議の中で必要な資金は出してやろうということが決定されたわけですか。
  122. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 別に閣議で幾ら金を出すということは決定したのじやなしに、出す場合は出すという別に閣議が持たれるわけなんです。御承知通り大蔵大臣は肚にそういうことを含んで賛成なさつたかどうか知りませんが、恐らくそれは常識でおわかりになることだと思います。
  123. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、次に福島県の知事にお尋ねしますが、福島県の知事は、両方から競願になつてつたわけですけれども、この場合にやはり今前建設大臣が言われる通りに、工事早期に着手されるものと、そういう見通しの下に許可になつたのですか。
  124. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 東北電力工事をなさしめることが最も早期開発になると存じます。
  125. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると重ねて同様な質問を申上げますが、その場合に早期開発の大前提は開発資金の問題ですけれども、この開発資金のことについてはあなたはどういう工合にお聞きになつておりますか。
  126. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) この問題に対しましては、開発に対するところの諸準備、殊に資金の面などもよく質して大丈夫だということに到達したのであります。
  127. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 資金の面を質されたわけですか。
  128. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 質しました。
  129. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは、大変失礼なようですけれど、いつどこえ質されたか。
  130. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 東北電力より本県に対してかねて申請中の上田本名の両地点認可に対して、主管建設省に対してこの促進方を要請された、その際に若し認可になつた場合は、それらの準備のことをよく質しておこう……。
  131. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ちよつとよくわかりませんが、質された場合、どこへ交渉になつたわけですか、大蔵省でございますか。
  132. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 私はこうした資金に対して、大蔵省でありません、東北電力許可を与えるために、東北電力から主管省申請中のものに対する促進方に参つた際に、これらの問題、殊に資金の問題に対してはどうだ、これは十分の見通しがついている、つく、こういうことであります。
  133. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それじや東北電力の内ケ崎社長にちよつとお伺いいたしますが、その資金の用意はどんな工合に交渉されたのでしようか。
  134. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 資金は確信を持つて集め得る、こういうことを福島県知事に対して、私は直接申しませんけれども会社のほうからそういうことを申しております、はつきりと。それで私のほうは、金は十分に集め得るという確信を持つてつた仕事でありますが、こういう重大な立派な発電所ですから、どうしても日本の再建にはこの発電所は責任を持つて我々はやる、こういう覚悟で来たのですが、金くらいはどこからか集め得るという確信を持つてつたわけであります。
  135. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは大変結構な御意思ですけれども、私が承知しておる限りにおいては、今日少くとも大発電所と言われる発電所開発資金というものは見返資金等を中心にして依存しておることはあなたも御承知だろうと思います。従つて確信と申しましても野放しの確信ではないだろうと思いますが、どの程度具体性を持つた確信を当時持つておられたか、どの程度交渉しておられたか、その点を詳しく一つお伺いいたします。
  136. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) その手続をいたしましたのは、申請書として正式に出ましたのは、公益事業局に対しては二十七年の九月八日、経済審議庁に対しても九月八日、大蔵省に対しましては九月の九日、そのほか開発銀行に対しましても九月十日にお願いをしたのですが、そのときにはまだ開発銀行は正式に事務をとつておられませんでしたから、事前にそういうお願いをするという申出をしております。それで正式にそれを受理されたのが先ほど梅野さんからお話のありました十月一日に正式に受理された。そういうふうに手続は進めましたけれども、そういうふうに許可のないうちからそういう正式の書類を差出すわけには行きませんから、正式の手続をとつておりませんけれども、各方面に対しては是非我我のほうとしてはこの仕事をやるのだから、一つ見返資金においても或いは一般の市中融資にしても是非我々のほうに融資をしてもらいたい、こういう運動をしまして、必ずや我々のほうにはそういうものの御融資を願える、こういうように確信をしてやつたわけであります。
  137. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 もう少し掘下げて伺いますと、形式的な申請書の問題は別としまして、いわゆる事前交渉と申しますか、そういうものは大蔵省なり、或いは当時の経済安定本部なり、或いは通産省なりに前以ておやりになつておりますか。
  138. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 各方面にお願いをいたしました。我々のほうはこの発電所を是非やりたい、そうしてそのほうの金は一つ出してもらいたいということは、ひとりこの発電所のみならず、ほかのものについてもお願いいたしております。
  139. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると、各方面とおつしやつたことは、私が今挙げたような所も当然含まつておると解釈してよろしうございますか。
  140. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 今おつしやつたのは……。
  141. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大蔵省、経済安定本部、通産省。
  142. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 先ほど私申上げましたように、正式の手続をいたしました所、その方面には各方面にいろいろお願いをいたしております。もう一遍はつきり申しますというと、大蔵省も無論入つております。今はつきり申上げた通りに、公益事業局はあとですが、その前には公益事業委員会にもお願いし、それからあの頃の経済安定本部、それから大蔵省、日本銀行等、只今申した権限を持つておられる所、そういう方面にはひとりこの二つ発電所のみならず、ほかの地点開発、或いは送電線、変電所であるとか、そういうものに対する資金の融資については皆お願いに上つております。
  143. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは余り話が漠然としておるのですが、(「それは腕がいいんだよ」と呼ぶ者あり、笑声)
  144. 結城安次

    委員長結城安次君) どうぞ発言者以外の人は黙つていて頂きます。(「異議なし」「退場を命じて下さい」「余りくどいよ」「くどいとは何だ」と呼ぶ者あり)木村君、黙つていてくれ給え。
  145. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 退場を命じて下さい。うるさくてしようがない。
  146. 結城安次

    委員長結城安次君) 栗山委員質問を続行して下さい。
  147. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それでは内ケ崎さんにもう一度お尋ねしますが、今のはほかの社でおやりになるような一般的な資金運動をおやりになつたように私は思うのですけれども、今日は上田本名の問題を取上げてお聞きしておるわけです。従つて上田本名の問題について特に具体的な、事前に中央官庁等へ御交渉になつたことがあれば、その日時、内容等を承わりたい、こういうことをお聞きしているわけです。
  148. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 何日にやつたということは覚えておりません。私直接参つたということは殆んどありません。みな係の者が、経理の関係の者、或いは技術の説明が入用であれば技術の担当者、みな手分けをいたして参つておりますから、何日にどこへ参つたというようなことはちよつとここで御答弁いたしかねます。
  149. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、そういう運動をなさつていわゆる確信をつかんだとおつしやつたわけですが、その確信、この程度の金が要るという確信をはつきりとおつかみになつたのはこれはやはり水利権許可が下りてからでございますか。
  150. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) はつきりと確信を得たのは、確信をつかんだというのは、私が確信をしたという意味でございます。その確信をしたのは、水利使用許可をもらつたんだから、八月六日にもらいましたから、そうなれば必ずや資金は見返資金のほうも出して頂けるだろう、そのほかの市中の金融も確実に行くだろうと考えましたのは八月六日に水理使用の許可をもらつた以後であります。併しその前からもこういつたような地点に対しては必ずや私は資金は、必ず私の予期しておるような方面からは金を出して頂ける、かように前からも考えておりましたが、はつきり確信を得たのは只今申した通りでございます。
  151. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは何ですか、その確信を得られた、相手から貸してやろう、出してやろうという話がなければ、確信に私はならないと思いますけれども、そういうことがあつたのでありましようか。
  152. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) そういうことはこれは貸すほうのかたの立場でありまして、私にはわかりませんけれども、私はいやしくも水利使用許可を出した以上は、必ずや金を出して頂ける、かように確信したということであります。
  153. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ここに通産省の、あなたの所からお出しになりました、東北電力株式会社に対する上田本名発電所の新設許可についてという設備認可ですね、これを御申請になる、これを通産省と公益事業委員会がお取扱になりました書類がございます。その中にいわゆる大臣宛の禀伺をしておるわけです。この禀伺の中にいわゆる伺いというのを書いてございます。許可をしたらいいといういろんな条件があります。その中に工事資金との調達関係としまして、二十七年度分の工事資金二十億二千六百万円の調達については七月二十七日、今年の七月二十七日です。大蔵省から見返資金十二億円の貸付承認があり、残顔八億二千六百万円については市中銀行からの借入れが決定した。地点別の区分は次の通り上田九億九千五百六十一万円、それから本名十億三千五十六万円、こういう額になつております。これは役所の証拠書類でございます。
  154. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) それは私のほうから……。
  155. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 若しそれが……非常に食い違うんですが、七月二十七日ですからね。通産省のほうで御答弁願つてもいいし、或いは大蔵省に伺つてもいいですが、この点明らかにしておいて頂きたい。
  156. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) これは東北電力から申請した書類という意味ですか、あなたのおつしやるのは。
  157. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 いやいやそうではありませんが……。
  158. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) それでは私の答弁の限りではございません。
  159. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大蔵省が貸付承認したというのですが、従つてあなたのほうは熱心に先ほどおつしやつたように運動をせられているわけだから、大蔵省もこういうことをお聞きになつたかどうかということを私は尋ねたいものだから、いろいろ聞いておつたのであります。
  160. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) そういうことは聞いておりません。
  161. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 わかりました。そうしますと、只今のことでありますが、重ねて伺いますが、野田建設大臣は御承知になつておりますか。
  162. 野田卯一

    参考人野田卯一君) どういうことですか。
  163. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今私が読み上げた問題です。
  164. 野田卯一

    参考人野田卯一君) そういう細かい書類は私は見ておりません。
  165. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますと、これは大蔵省を一つお呼び願いたいと思うのです。政府委員でも……。
  166. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それに関連してちよつと……。今の栗山委員の読み上げられた公文書のようなんですが、その公文書の関係はどういう委員会としては形式で提出したのですか。その関係はどうなつておりますか。
  167. 結城安次

    委員長結城安次君) 委員長から申し上げます。正式に要求しておきました。
  168. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して内ケ崎さんにお伺いしますが、この問題になつております本名上田の両地点において許可前に、いろいろな工事の建築物などができておつた発電用の機械などが発注せられておるというようなことを聞いておるのでありますが、これはそういう事実があつたのでありますか。
  169. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 許可前に工事はやつておりません。調査をやりましたが、調査は非常に熱心にやつております。
  170. 結城安次

    委員長結城安次君) 機械の発注云云というのがありましたが、そのことも御答弁願います。
  171. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 機械の発注については、事前にいろいろこれは検討を要する問題でありますから、各メーカーに対しては大分前からいろいろな研究はやらしてあります。最後に決定いたしましたのは、いよいよ水利使用許可をもつたときに、その以後において、いよいよ話をきめまして、これは大分我々のほうの仕事ができることが確実となりましたから、それでその後において注文をいたしております。
  172. 清澤俊英

    清澤俊英君 工事調査とおつしやいますが、これは大竹知事にも、両方にお伺いしますが、大竹知事のほうでは本名地区ですか、上田地区ですかには工事の宿舎の事務所が、それから本名地区にはもう変電所の整地工事が行われているということを聞いておるのですが、それは事実行われているのですか。
  173. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 上田本名の両地点に対しまして河川調査、これらに対する或いは工事だとか、かようは問題に対しては、東北電力にその河川の利用を与えております。今御指摘になりましたようなことはちよつと私わかりません。
  174. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) もう一ぺんはつきり……何をやつたということをおつしやつたのですか。何を御質問りになつたのですか。
  175. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういうような工事ができておるか、それはおやりになつておるのかどうか。
  176. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 調査に必要なことだけをやつております。工事はやつておりません。
  177. 島清

    島清君 今の清澤君の質問に関連して、内ケ崎さんは機械等の発注はしなかつたが、研究はしてもらつた、こういうような御答弁でございましたが、上田本名電源開発をするために特別の機械が必要で、そうしてその特別の機械を或るメーカーに研究してもらわなければできないような特殊の機械でございますか。
  178. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 発電所建設をやりますときにはどこにでも非常に前から研究をするのです。私のほうは二十六年五月一日に会社ができまして、そういう書類を引継いで以来研究を続けております。機械を例えば何台にするとか、ヘツドを何本にするとかというようなことはいろいろその都度、その場所に最も適応したような設計をやる必要があるので、これは十分に研究を遂げて然る後にいたすものであります。
  179. 島清

    島清君 関連して……。それはまあ非常な天下の一大事になつております上田本名の問題でございまするから、東北のほうで慎重に研究をされるということは、これは当然でそういうようなことをお聞きしておるわけではございませんが、その御研究の結果、メーカーなどに対しても研究をしてもらつた結果、許可がおりて、発注をして、そして機械を入手されたのはいつからでございますか。さぞかし一年、二年ぐらい日にちがかかると思いますがどうなんですか。
  180. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 機械はまだ入つておりません。
  181. 島清

    島清君 何も入つておりませんか。
  182. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 上田本名の主要な機械は入つておりません。
  183. 島清

    島清君 今そうすると、私は技術的なことはよくわかりませんが、本名上田開発工事電源開発の点から言いますと、どの程度工事が進んでおるのですか。
  184. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 電源開発とおつしやいましたが、ただその発電所工事は約現在二〇%がた進歩いたしております。これは主として土木のほうの工事でございます。機械のほうはあなた大体今お考えになつた通りに、すぐにはできませんので、何カ月という期間がかかりますので、それを今詮索中でございます。
  185. 島清

    島清君 その土木に使うような機械も、許可以前に発注いたしたことはございませんか。
  186. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) そういう工事用の機械は本名上田の特定の地点に使う機械もありますし、共通に使う機械も幾らでもあるのです。私のほうは下の発電所で今柳津、片門、それから宮下、沼沢沼、四つの大発電所をやつております。その方面で使う機械を流用することもありますし、それが古くなれば、新たに新らしい注文をすることはありますが、そういう共通の工事用の機械というようなものは注文いたしております。それは我々は是非あの地点は必ず我々のほうに許可してもらえる、かように私は確信しておつたから、そういつたような手をまあ打つております。
  187. 清澤俊英

    清澤俊英君 野田さんにお伺いしますが、先ほど午前中に許可の条件のうちですが、東北電力はこういう開発に対する調査並びに施工上の条件も揃つてつて、直ちにこれに着手できるからということが、許可の要件の一つになつてつたと思うのです。間違いございませんか。
  188. 野田卯一

    参考人野田卯一君) これは御承知のように、あらゆる書類に載つておる事実であります。
  189. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで内ケ崎社長さんにお伺いしますが、それほど確実な資料が全部揃つております場合に、調査をせられるということは、只今水利の調査をやつているんだ、こうおつしやつておりますが、でなくして、実際工事に着手する下準備の調査をおやりになつたのではないか、こういう点をお伺いします。
  190. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 工事をやりますには長年の調査をいたす必要があります。その調査をやつてつたという意味であります。あらゆる調査をやつております。
  191. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、その点が只今栗山君によつて問題になつております大蔵省の正式の申請前に、大蔵省はすでにこれこれの金を廻すんだというような資金計画を公文書で出しておられる、公益事業局のほうに出しておられるということと関連して見ますと、何かしら我々から考えましたら、又ここへ集まつておられるすべての人が考えまする点が、これは何かそのうしろに、もつと前に、そういうような政府の意図がはつきり内ケ崎社長等にはつかまれているのではないか、ただ漠然とこれだけの工事をやれば国のためになるのだから、当然金が集まり得るというような漠然たる考えでなく、何かそういうものがあつたればこそ、たくさんの金をかけて、そうして継続工事として、自分の現実に水利権ではない場所にぐんぐんと進出して仕事をして行くという勇気が出て来たのじやないか、こう考えますので、私はその点をお伺いしたいのですが、私はどうしてもあなたがたは政府との間において或る期限前、許可前にまあ金は出してやるからというような御内諾があつたのだ、こう思いますので……。
  192. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 政府との了解は何もございません。ただ私は電源開発が、現在の日本においては至上命令であるということを考えておりますから、我々はあらゆる努力を払つて資金を獲得する、こういうふうに考えております。殊にこの二カ地点の資金は、ひとり見返資金だけではございません。市中銀行からも調達しなければできません。そういう方面に対しても皆手を打つております。
  193. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあそれは社長とここで幾ら議論しましても、そういう了解があつたと言われることはないと思いますから、その点は私は打切りますが……。
  194. 島清

    島清君 大竹知事にお伺いしますが、あなたは先ほど私がお伺いいたしましたときに、ほかの五地点東北電力のほうじやなくて、他に適当に電源開発したほうがいいと思うということでございましたが、その言葉の裏は、あとの五地点というものは、東北電力から申請は出ておるけれども東北電力には許可しないで、東北電力以外の開発会社といいますか、共同開発といいますか、そういつたような機関がなすべきである、こういうような結論の下にそうおつしやつたのでございますか。
  195. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今のお尋ねでありますが、私はこのあとに残されたる田子倉上流は、国会で法律で定められました開発会社開発させることが最も適当である、かように考えておるのであります。
  196. 島清

    島清君 そうすると、東北電力から如何なる要請があつて東北電力には許可しない、そういう決意であると了解してよろしうございますね。
  197. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 現在法令は今申上げましたように、而もその第何条かに只見川という指定もあるのでございまして、これは今申上げましたように、この国家の最高の機関で決定されたものに開発さすべきが当然であると考えております。
  198. 島清

    島清君 わかりました。あなたは東北電力のほうに上田本名地点許可する条件として住民の協力ということを非常に力説されましたが、その住民の協力というものはいろいろございましようが、電源開発について特に上田本名について住民の協力というものは具体的にはどういうことを意味するのでございますか。
  199. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 私は観念として電源開発というものは地方の沿岸住民の意思を最も尊重し、そうしてなさるべきものである、かように考えております。これは沿岸住民というものは長年の門河川のために或いは災害を蒙り、或いはその他にこれは辛酸を経て参つているのであります。従つて住民の意思というものはこれは尊重しなければならない。又今日この電力事情からして早期開発をなすところの第一の要素は住民の協力である、その住民の協力というものはどうか、これは御承知のように今計画されておりまする建設方式はダム式であります。殊に少いところの田畑或いは住家が水没してもこの開発に対して協力をするというのが現在の情勢であるのであります。御承知のように本名上田開発に対する認可主管省から得たのは今皆さん承知通りであります。従つてこの工事というものは、先にもとの建設大臣からも内ケ崎社長からも申述べましたように、その最も急を要するこの冬期の渇水期において開発をなさなければ、折角の早期開発の使命が果されない、こういうようなことでありまする関係からしてもこの地元が如何に大切か。現在の本名上田もこの認可を得ましてから地元の協力態勢がどうであるか、今申上げましたような或いは長年住み慣れた住家や田畑を失う地方住民というものは、明日から、この建設の命令が出たのだから、すぐに国家が着工する。そうするにはあなたがたの或いは田なり或いは畑なりに立入りをしなければならん。併しここで全部が満足するような補償の問題を決定するところの時日がないかも知れない。併しながら私は皆さんを決して困らせるようなところの補償の協定はしない。絶対私を信じて明日からこの開発に便宜を与え、そうしてこれらの補償に対して協力をして欲しい。その際に集まつた地点の各代表者は異議なくこれを了承してくれたのであります。かような観点からして地元の協力ということは最も大切であるということを私は申上げたのであります。
  200. 島清

    島清君 そうしますと、早い話が東北地方の住民、それから福島の住民というのではなくして、流域の住民の利害の調整ということで了解してよろしうございますね。
  201. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) これは今私の言い廻しが或いはどうであつたか知りませんが、私の申上げておりますことは、この電源開発というものはその縁故住民の意思を尊重しなければならん。現在或いは水没その他の犠牲になるところのその住民の協力を得なければならん。そういう点において今申上げました縁故住民というものは本工事に対して全面的の支援協力をいたしておるのであります。
  202. 島清

    島清君 それはくどいようでございますが、流域の住民はこれは大体損害補償のことだと思いまするが、損害補償は東京電力が仮に一段歩について十二万円の補償をするとする、東北電力が十万円の補償しかできないというようなことになると、いろいろな支障がありましようが、それには私は住民のほうは必ずしも東京電力を捨てて東北電力に走るとは思いませんが、どうなんでしようか、それらのことは。
  203. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) これは過般の電力再編成に当りまして、この沼沢沼、或いは今關東に送電されております猪苗代水系のうち秋元、小野川或いは沼上、戸ノ口、これらの発電所に対して我々東北に住んでおりますものとして非常な関心を持つてつたのであります。その際に一水系一運管が最も望ましいという基本的な原則からして猪苗代水系のうちの秋元、小野川、沼上ですが、これからの弱小な発電所まで東京電力に所属したのであります。こういう観点からして幸いに沼沢沼の発電所はこれは東北に帰属して頂いた、かようなる観点からして我々東北民としてこの現在の東北電力需給状況から考えまして、先に衆議院の参考人としても申述べましたように、私は一地区、一地方のものがこの逼迫したところの電気を専横するというような考えは毛頭持つておりません。国家の大局から見て最も公平に分配されなければならない、かように考えております。
  204. 島清

    島清君 私はそういうことを聞いておるのではない。
  205. 結城安次

    委員長結城安次君) 皆さんに申上げますが、まだ質疑のかたがたくさんございますので、できるだけ質問応答ともに簡潔にお願いします。
  206. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) かような現状からして我々東北民は少くとも上田本名地点東北の手によつて開発したい。私は福島県知事としてかような信念をもつてつた。従いまして、地方の協力もこれは一に東北電力に対してはただに金のことだけでないということを申上げたのであります。
  207. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 先ほど島委員質問に対して、福島の大竹知事あとの残つたのについてはこれは東北電力会社をしてやらせる、こういうようなお話がございましたけれども東北民の持つておる感情というのは、要するに例えば福島で発電された、猪苗代湖にしても、東京に持つて行つて東京ではどうか、こういうと我々の見たところでは東京ではネオンもつく、或いは各種の歓楽街においてはあかあかと電気がついておる。ところが東北のほうではその日の米摺りにも電力が停電停電といつて非常に不足している。こういう状態は東北民としては非常に感情的にも満足しない。而も水害なんかは、我々の手で治山治水というものをやつて、そうして水源を涵養していながら、それは全部都会地に持つて行かれる。或いは現在においてはいわゆる水火力調整金のような形で、而も何らのいわゆる恩恵を受けない、こういうような不合理が東北民の感情にあると思うのです。従つてそういうようなので、どうしても未開発東北については安い電力を似て、我々の手で開発してそうして……我々はこれを十分に考えているわけなのですが、大竹知事の今のお話だと、残余のものは電源開発会社、いわゆる東北と運命を共にする東北電力会社にやらせず、電源開発会社にやらせるという御見解は、どうも我々として納得行かないのですが、それはどういうお考えなのでございましようか。
  208. 結城安次

    委員長結城安次君) 簡単に御意見をお述べ願います。
  209. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今の高橋さんのお尋ねにお答えいたします。私は根本的には、この国家の最高の機関で定めた電源開発会社……。併しながら今申上げました東北実情から鑑みて、東北電力がこれに大いに参加することは私希望しております。
  210. 島清

    島清君 一人ばかりしやべつてもいけませんから、簡単に要点だけを質問いたします。野田さんに質問いたしまするが、野田さんは、水利権許可決定権は知事にある。知事が禀請した場合には、建設大臣建設大臣として行政的な処置をなされるわけでありまするが、これは閣議にかけて決定しなければならない事項なのでございますか。
  211. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 私はそれは閣議にかけなければならんと……、一般的な意味合いにおける水利権の問題は、特に閣議にかけなければならない事項だとは考えておりません。
  212. 島清

    島清君 ちよつと聞き取れませんでしたが……。
  213. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 一般的な問題として、閣議にかけなければならん問題ではないと思います。
  214. 島清

    島清君 この問題だけを省議にかけないで、閣議におかけになつたというのはどういう意味ですか。
  215. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 私は別に、省議にかけないということを断定されても困ります。省議というのはいろいろな形があります。それから閣議にかけたのは、只今申しましたように、水利権取消して、その水利権を移すということは今まで例のないことでありますから、最高判断を仰ぐために閣議に諮つた、こういうわけでございます。
  216. 島清

    島清君 今省議にかけなかつたということについて野田さんから随分抗議が出ましたが、実はこの前の委員会で、今の担当係官の人に来てもらいましたところが、大体省議にはかけておらんという証言を、答弁を頂いておるわけです。それだからあなたが省議にかけたとおつしやるならば、その経過を御説明願いたいと思います。
  217. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 私のほう、建設大臣としてのやり方は、省議というものはどういうものを指されるか、私にはわからないのでありますが、省の中で相談して、相談できめるということだけなのでございます。
  218. 島清

    島清君 そうすると何ですか。この係官を呼んで一々あなたの部屋で、あなたが指示をしてそうして動かしたと、こういうことなんですか。それとも又係担当官の人が一堂に集つて、あなたの部屋でもかまいません、どこでもかまいませんが、どこへでも集めて、省の重要事項としてそれを皆の意見を徴して決定した、こういう手続をとられたという意味なんですか、どうですか。
  219. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 島さんも役人を一遍おやりになつたかどうか知りませんが、各省々々でいろいろなやり方がありまして、いろんな大臣の中にはいろいろなやり方がある。そこで責任は大臣がとるのであります。その際に同じ時に人を集める場合もあるし、ときどき人を、違つた時間に会うこともあります。いろいろなやり方があるのでありますということを申上げたわけでございます。
  220. 島清

    島清君 私は勿論おつしやる通り社会運動を長いことやつておりまして、役人の飯を食つたことはありませんが、あなたはどういうふうにやられたかということであります。あなたはどういうことをやられたいか。
  221. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 私は相談をしたということを申上げております。
  222. 島清

    島清君 相談をしたのですか。
  223. 野田卯一

    参考人野田卯一君) そうです。
  224. 島清

    島清君 いや、だからその相談というものが如何なる相談をされたかというのです。
  225. 野田卯一

    参考人野田卯一君) もう私は答弁しません。
  226. 島清

    島清君 私のお聞きしているのは、現在の担当の建設省の役人を呼んで聞いたところが、省議にかけておりません、我々は関知しておりませんと、こういうような答弁を頂いているのです。併しあなたは相談をされたと言う。而もこれは非常に重要事項であつて、あなたは閣議にかけておる。併しあなたが閣議にかけたということは、大臣としての責任が負えるか負えないかというような十分の確信がなければこそ閣議にかけているのです。それじや閣議にかける前提としては省の係担当官の一人々々を或いは一堂に会しなくてもよろしいのか、省議として不当な決定と見なければならないはずだ。建設省においても係官がいつの間にそれがきまつたかわからないというような状態のうちに閣議決定をされた。そこに我々が知りたい点があるのです。その重要事項について御答弁なさらないというと、我々が想像するように、ここに不明朗なものがあつたと断定をして差支えありませんか。
  227. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 先ほでから繰返して申上げるように、私は大臣になりましてからのやり方は、先ほど申した通りなんです。どの係官の人が……、省議にかけたというのは、或いは場合によつては殆んど全部の人を集めてこういうようにやるようなこともあるかも知れません。併しそういうことは私はやらないのであります。これはやり方は大臣の方寸にあるものでして、責任はやはり大臣にある。で、どういうやり方をするということは、大臣大臣がきめて、大臣大臣によつてやり方が違います。私はこの問題はこういうふうに処理するがいい、この問題はこういうふうに処理するがいいということでありましようが、人に相談してきめるということだけであつたのです。
  228. 結城安次

    委員長結城安次君) 島委員、ちよつと申上げます。今あなたと野田前大臣との行き違いは、省議をやつたかやらんかという問題で、この前の速記にありますが、やらなかつた野田前大臣は、自分は自分の方針によつてやるのだから、それでやつたと、これじやもうこれ以上お話しても無駄かと思いますから、この点は一つここらでお引取りを願います。
  229. 島清

    島清君 承知いたしました。委員長の御忠告を待つまでもなく、私質問の要点を変えようと思つたのです。それで今度は……。
  230. 結城安次

    委員長結城安次君) 島さん、まだたくさんありますか。
  231. 島清

    島清君 いや、ありません。開発銀行について二点だけ聞かして下さい。
  232. 結城安次

    委員長結城安次君) よろしうございます。
  233. 島清

    島清君 開発銀行にちよつと聞きたいのですがね。大体先ほど栗山委員からも指摘された通り、見返資金の使途というものは年次計画が立てられて、上田本名というものはその計画の中にまあ入つてなかつたものを、早急に東京水利権取消東北電力にやうして、そして早々の間に見返資金が決定された。こういうことから疑問を世間から受けたわけですね。そこであなたはたしか普通の貸出の方法で、いささかも手加減を加えてはいない、こういう御答弁でございましたが、一体何ですか、あなたが八月の二十五日ですかに見返資金を扱われるようになつて、こういつたような多額の金額をこの東北電力決定をされる、同一のスピードで問題処理された事件の一つをお示しを願いたいと思います。
  234. 梅野友夫

    参考人梅野友夫君) 開発銀行といたしましては、勿論設立の趣旨に則りまして、特に電力及び海運の融資については重点的に考え、且つ事務の取扱いを迅速にやるということを以て事務の取扱いの根本方針としております。で、電力につきましては、先ほど申上げましたように、開発銀行に見返資金の承継を受けましたのは九月の十四日、それまでは扱つておりません。今回の東北電力の申込が、開発銀行になりましてからの電力事業者からの申込としては第一番目の案件であつたわけであります。従いまして当初の開発銀行の建前といたしまして、電力問題はできるだけ迅速に他の産業の申入れが仮にたくさんあるといたしましても、成るべく早くする、それが日本の経済再建の基礎工事であるという認識を持つております関係で、この申込を受理してからは、申請を受理しましてからは、その審査にも非常に重点的に優先的に事務の取扱をいたした次第でございます。従いまして開発銀行は他に一カ月程度で審査を終了した例があるかと言われると、私としましては今どういう会社にどのくらいの日数でやつたかという事実は、資料は今ここには現に持合しておりませんが、それは幾らもあります。他の例もあります。
  235. 島清

    島清君 わかりました。わかりましたが、大蔵省あたりから電源開発については最優先的に扱えと、こういつたような紐が附いた、こういうのですが、他にこれ以外のケースがあつたのですか。
  236. 梅野友夫

    参考人梅野友夫君) 御質問の要旨がちよつと私ぼやけておりますが、他の例というのは電力に関する例というのですか。
  237. 島清

    島清君 電力に関してこの東北電力のほうにお出しになつた枠以外に、更にもつとこういつたような例がたくさんあつたのですか。
  238. 梅野友夫

    参考人梅野友夫君) 今まで東北電力の申込を受理するまではこの件のみでございますが、その後におきまして他の電力会社も新らしく従来の計画以外に新規に着手する工事の計画がございまして、これについて政府としては政府資金を付けたいという希望があるものの交渉は受けております。それの審査は始めております。関係当局と連絡して調査をしてはおります。
  239. 島清

    島清君 ちよつと確認だけもう一点あるのです。そうすると東北電力のほうに御決定になるまでは、こういうケースというものは東北電力以外にはなかつたと、こういうふうに了解してよろしうございますね。
  240. 梅野友夫

    参考人梅野友夫君) その通りでございます。
  241. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は先ず松永さんに二、三点ちよつとお聞きしたいと思うのでありますが、この問題がこういうふうにいろいろ議論されるに至りましたもとは、私はやはり只見川の上流部の水利権の帰属が電力再編成に際しまして極めて不明確であつたということ、殊に私は本名上田地点については非常に問題があつたと思うのであります。こういうところから端をいろいろ発しておると思うのでありまするが、いろいろの機会に伺つたことで、大体はまあわかるのでありますが、あの再編成の際に水利権の帰属につきまして、調査東北にやらすと、それから水利権は一応東京電力に持たすというふうにきめられました。当時の再編成の中心でありました松永さんはどういう考えつたかということをもう一回私は聞かして頂きたいと思います。殊に一応ということを附けておられることについて聞いて置きたいと思います。
  242. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 水利権が旧来ありますものは無論これを尊重して、東京電燈で持つていたものは東京電燈において行うのは当然であります。再編成は単にこればかりじやなく、一般の九会社についても同じような方針をとつております。ただ調査云云につきましては、只見川は他の一部の河川と違つて下流本名上田といえども上流の大きな調査と関連するのでありまして、その調査はいろいろの機関で私ども調査をし、自分のほうでも調査をし、或いは顧問団の人にも研究をお願いしておりましたけれども、事実あの方面の関係技術者は多く日発から東北電力に引継いでありましたので、その部分的或いは実地的な調査をしまして、そうして大きな只見川開発の基礎的調査部分にせんならんのであります。本名上田の問題も調査東北電力のかたがたにお願いしたという次第でありまして、ほかに何も……。
  243. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そこでこういろいろ電源開発をやつて行きまする上においては、勿論その前は厳密なる調査が必要でありまするし、又これをやるについては、これをやり得る実力を持ち、技術陣といいまするか、いろいろの陣容が整備していなければこれはできないのでありまするが、只今お話によりますると、調査関係は一切東北電力のほうに任せる。而も大体従来調査をやつてつたような人であるとか、或いはこの只見川開発の実際技術陣容というものも東北に行く。これは我々その後の様子を見ましても、これは何人が見てもそう見えると思うのでありまするが、そこで電源早期開発が非常に叫ばれておりまするときに、調査は一方にやらせ、陣容をそつちへ置いておいて、そうして権利だけは一応こつちにあるというようなことにきめられたということについて、これは私は田子倉であるとか或いは奧只見であるとか、大きな開発の困難な、大規模なものについては或いは一応議論になるとか思いまするけれども本名上田のような、これはあとでも言いまするが、こういう地点についてこれを早期にやらにやならぬというようなことについては一体どういうお考えを持つておられたか、この点伺いたいと思います。
  244. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 私は本名上田のみを東北電力に急いで調査してくれと頼んだ覚えはありません。
  245. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ちよつと私の伺いましたことを取違えておられるようなのでありますが、それでは聞き方を変えまして、この再編成の際にいろいろのものが両方に引継がれたわけでありまするが、大体先ほどから見ておりますると、宮下から下がどうも東北であつて、それから上は一応東京であるというような漠然たる考えで安藏会長もそういうような意味に言われておりましたが、現に宮下と上の沼沢沼はこれは東北電力に帰属されたのでありまして、それで今回問題になつておりまする本名上田というのは極く近い距離の上流部でありまして、これは決して大電源或いは大規模……困難という地点でも何でもないのでありまして、それで今回の、先般の再編成の際における両者に分属した、帰属の決定方針の中にも、本名上田というものは一応どこにもないのでありまして、沼沢沼が東北に引継がれたということと実は関連いたしまして、極めて近接な地域である本名上田というものについては非常に水利権の帰属についてすら私は大いに論議の余地があると思うのでありまするが、これは私の考えが若し間違つておれば私は考え方を変えて行かなきやならんと思うのでありまするけれども、この点について如何でありますか。
  246. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 沼沢沼のお話も出ましたが、これらの問題は日本発送電のときにすでに着手して、あれはポンプで揚げて、最大ピークの計画でありまして、もとより只見川工事の一部ではありますけれども、上流に影響するほどのものではないのでありまして、これは石原さんが当時の知事としてよく御承知になつていることで、私に質問して頂くのがむしろ不思議に思うのです。  それから次に宮下云々のお話もありましたが、宮下も再編成のあつた当時はもう一台増加したいという御希望がありました。これは少し調査したいから待つてくれということを申上げたと思つております。それから柳津、片門はやれるような態勢にはなつておりましたけれども、いろいろな資金の関係そのほかで、記憶はいたしませんけれども、柳津、片門も早期開発するがよかろうということを承知いたしましたのは、大きな上の問題と余り関連しないという確信の下に許したのでありました。この本名上田の問題に上と下と引つかけていろいろの御質問がありますると、私ども実に迷惑いたしますから、どうぞその辺はあなたは万事御承知のことでありますから……。
  247. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そこで私が先ほどから言つておるように、電源開発の、殊に早期開発が非常に叫ばれておる。あなたはそのときの責任者として再編成に当り、帰属等もきめられたのでありまするが、そこで松永先生はこの只見川の上流、殊にこういう近接した下流をやつておるすぐ近くの電源でありまするから、東北電力がこれをやればすぐにも開発できるような地点がある場合には、一刻も早くこれは私はやるように、当時は公益事業委員会で、その後も非常に電源開発界の元老でありまするから、この問題は一刻も早く解決できるように努力といいまするか、いろいろ指導されるのが当然ではなかつたかと思うのでありまするが、そういう点について先生はどういうふうに、委員会自体ではその後はどうされたかということについて伺いたいと思います。
  248. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 只今お話は、只見川の全体の開発に関する考えと一緒になりまするために、止むを得ず御質問の範囲を少し拡げて申上げんといかんと思います。  只見川開発というものに対してすでに懸念されている問題が二つも三つもあります。その一つは、新潟の分流案であります。それから一つは、できるだけ大きなダムを造りたいという考え一つ、これも相当困難な問題であります。然るに東北電力或いはそのほかの御関係者では本流案というものをむやみに支持される。その奥にはだんだん一段ずつ積上げて行つて、遂に分流案を、或いは大きなダムの問題もなし崩しに困難ならしめるような慾望を起さしてはいかんということを公益委員会としては常に心配したのであります。これは地元或いはその関係者として当然な行き方でありますけれども国家の大局から考えますると、一段上りに上つて行つて、遂に優先的にその立場を採用することの止むなきに至らしめるということは、只見川のごとき大きな電源開発をする上でよほど注意しなければならない問題でありますために、本名上田のごとき上流に関係するものをいろいろな点においてやはり考慮しなければならないのであります。その当時いろいろ御希望もありましたけれども、これは何か只見川開発と関連しておやりになつて、そうして関係の町村、或いは両者の御関係においてもこれは急いでこのほうを先にやろうじやないかということに異議がなければやるべきであつて、この考え方を以て進んでおられるという疑いを世間に持たしてもいかん問題と思いまして、本名上田、そのほかについては非常に慎重な態度をとつたのであります。これだけお答えいたします。
  249. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ここで本流案、分流案の問題を議論すれば切りがありませんから、その問題については私は触れませんが、要するにあの当時から今日にかけて電源開発を早くして、日本のピンチを救わなければならんのではないかということが、電源開発促進法を生ましたゆえんでありまして、最も手近なところで相当大きな電力が出る、而も本名上田のごとき、一年か二年でこれは相当の電力が出せるという所があるのでありますから、どちらに優先的の何をやるとかどうとかいうようなことでなしに、早期開発を目指す日本としては、そういう場所があれば当然私は許して行かなければならんのではないかと思いまするし、又もう一つ、問題を変えまして、福島県知事は、昭和二十七年二月十三日にこの問題の意見を具しまして、公益事業委員会に出しておるのであります。ところが公益事業委員会からはその後何ら福島県知事に対して、どうしたらいいというようなことの指示もなければ、呼出しがあつたかどうか、これは私は存じませんが、少くとも書類上においては何らの指示もない。先ほど前建設大臣のいろいろ意見も聞いておりまするというと、建設省あたりに相談、或いはこういうものが来ておるが、建設省ではどう考えておるかというようなことについていろいろ相談されたことが更にあつたであろうか、ないであろうか、こういう点についても一応承わつておきたいのであります。
  250. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 公益事業委員会ができましたのは十二月十五日であります。只今お話は十二月十三日でありまして、私ども任命を受けたのは十五日であります。無論事務の引継ぎは事務当局がやつております。けれどもその十三日に受付けた、通産省は重大なる許可事項或いは変更事項として私どもお話があつておりません。或いは建設省あたりからも何らお話はありません。これは事実であります。
  251. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ちよつとお話が、何か少し日にちが何のようでありますが、福島県知事只見川本名上田発電所水利使用許可申請東北電力からこういうものが出ておる、こういうことにつきまして公益事業委員会意見を求めておるのでありまするが、それは昭和二十七年の二月の十三日頃ではないかと思うのでありまするが、でありまするからこれは当然公益委員会は勿論あつたわけでありまして、七月末に公益事業委員会がなくなつたのでありますが、その間相当の月日があつたのであります。この間に福島県知事に対して何か指導されたか、或いは又建設省相談されたか、或いは東京なり東北電力会社等に対しまして、この問題を早く何とかして、一刻も早く電源開発に進むようにというようなことについて指導されたかどうかという点についてもう一回伺います。
  252. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 先刻十二月十三日に出したことについて御返事を申上げてありますが、それは御了解になりましたか……、御了解になつたと仮定いたしまして、その翌年福島県知事から願書が建設省にもあり、私どものほうにも廻つたのであろうと思います。それについてお答えいたします。それは私どものほうでは許可しない考えでもありましたし、又福島県知事から十分な口頭を以て、そのほかを以て強い御申請がありません。単に何か事務当局書類をお出しになつたに過ぎないと思つておりました。深くこの問題について立入つておりません。
  253. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 公共事業令の五十九条によりますると、今通産省になりましたが、当時は委員会でありますが、「委員会は、前項の規定により意見を求められたときは、建設大臣協議するものとする。」という項があるのでありまして、その前年に何か書類を出されたそうでありまするが、更めてこの新らしい書類が来ました際には当然建設大臣のほうにも協議つて然るべきであり、或いは又こういう大問題でありまするから、知事なり或いは両電力会社等に対して何らかの措置を私は講じていなければならんのじやないかということが考えられるのでありまして、私はこれは松永先生を別に責めるとかどうとかいう意味ではありませんが、その間数ケ月に亘つて何らの措置がとられてないということは、公益事業委員会としても若干手抜かりといいますか、手落ちがあつたような感じがするのでありますが、如何でありますか。
  254. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 只今のを公益委員にお責めになるのは少し不思議に思う。お門違いと思いますから御返却いたします。ただその間公益事業委員会は何も手数をとらなかつたとか、或は只見川開発について無関心であつたかということに対しましては非常な関心を持ち、重大に考えましたので、かかる問題は若し建設省から御相談があれば、その理由を申上げて、これはおやめになつたほうがいい、知事に対してもそれはおやめになつたほうがいいと申上げるのです。一向相談がなければ如何にもいたし方がない次第でありますから、これは石原さんに御返却いたしておきます。
  255. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 松永さん、ちよつとその相談がないというのですけれども、立派な文書で書面を出しておるのですから、これほど大きな相談はないと思うのと、公共事業令によりますると、委員会は「建設大臣協議するものとする。」とあるのですから、これは建設大臣のほうから相談がないからおれのほうは何も言うことはないというふうに言われるのは、ちよつと公共事業令からいうとおかしいと思うのでありまするけれども、これはそれじや一応それにいたしまして、松永さんとそれから野田さんでも目黒さんでもいいのでありますが、本名上田水利権について私は根本論としてやや明確を欠いておるものがあると思うのであります。そこで本名上田はこれは東京電力に属したものと思うのかどうかということについて、これは極めて確然としてみるかどうかということについて右か左かということだけで結構ですからお答え願います。
  256. 目黒清雄

    参考人(目黒清雄君) 水利権につきましては確然と東京にあります。
  257. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それでは次に目黒前局長に伺つておきたいのでありまするが、河川局長名を以て遊休水利権整理したいという通牒が出ておるのでありまするが、これは電源開発を促進さしたいと、少しでも電力のある所はそれを開発して行きたいというところから出された通牒であるかどうか。
  258. 目黒清雄

    参考人(目黒清雄君) 遊休水利権整理をしてもらいたいというのは、昭和二十五年三月に出しております。この趣旨は、水利権取扱いが非常に重大であるにかかわらず、取扱いが疎漏であつたということ、その例を挙げますると、すでに水利権が期限が切れてもそのままにしてあるものもあります。それから水利権の期限延長をしましたときに、その期限延長に対して意見を付さないで、そのまま府県が握りつぶしておいて処理をしない問題もあり、更に工事着手をしましても、途中ずるずるべつたりになつてつて、完成の能力のないようなものさえもそのまま見逃してあるということがわかつたのであります。従つてそれらをこの際整理して、必要な所、開発意欲のある所へこの開発をせしむべきじやないかというふうに考えたのが、この趣旨でありまして、今のような現存する水利権、かかる理由のものはいたし方もありませんが、ほかのものまで強権を発動しようという趣旨でこれを出したのではなかつたのであります。ただそれを多少誤解を受けたというような点がありまするので弁明しておきます。
  259. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 安藏会長さんに承わつておきたいと思うのでありまするが、東京電力としては上田本名、あれを果して、出願はされたようでありまするが、自分で開発意思を持つてつたのかどうかということと、まあ非常に失礼な言い方でありまするが、実際それだけの力、能力があつたのかどうか、これは私のそういう意味は、こういう大事なときでありまするから、無駄なく能力を使わなければならんと思うので、その隣りで大工事をやつている東北電力が、その少し上をやればこれは簡単にできるのであります。東京電力がこれをやるということになつたならば、これは非常な時間も期間も要するし、そこに大きな無駄な重複した設備をいろいろやらなければならん、こういうことになるのでありまするが、そういう意味から電力界のいわゆる専門家の立場から、東京電力があそこに出願されたということは、東北がまあ出願してやろうとしているのだからそれを抑える意味、抑えるといいますか、言いがかりをつけるという意味でやつたんじやないかというふうにも見えるのでありまして、そういう意味から東京電力は当時どういうお考え、立場であつたかということを。
  260. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 先ほども申上げました通り本名上田上流はすべて別の会社でやろうということを私は確信を持つております。私どもはその線に沿うてこそ東北電力と私ども会社がいろいろ協議をしておつたのであります。たまたまそのときに、先ほど社長が言つた通り本名上田をおれにやらしてもらいたい、これはおのおのの会社がおのおのの会社で主張するのは当り前で、私どもも主張いたします。ここにおいて十分に協議して、元がなければ元がないでよし、それは返す方法があるのであります。それをやらないのでやつたことが私は非常に遺憾である、而も東北電力という東北における代表的の会社である、それが一方において手を握つてやりつつあるにかかわらず、一方においてそういうことをやるということは、不信極まるものであると私は言いたいのであります。ところで私は、あの水利権はやると、やる力はあると思います。決してないとは思いません。さればこれこそ私が六月三十日に更めて出頭したわけであります。決して嫌がらせとかそんなことを私たちは考えておりません。少くとも東京電力は日本の代表的会社であります。堂々とやりたいのであります。
  261. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そこで、私は非常に残念に思うのでございまするが、一刻も早くこういう所が開発できるなら開発したいと、殊に上田本名のごときは、少し期間がずれればもう一年延ばさなければならないのでありまするから、そういう問題が引つかかつているときでありまするから、これは当時の公益事業委員会なりいろいろの人がもう少し親切に意見を出したり主張をして何とかやつておけばよかつたのじやないか、それが何ら相談がないから、別にこつちから返事する必要もないというような、これは松永先生に、非常に心では失礼な言い分であると思いながら言うのでありまするが、そういうことでは、この早期開発を叫んでいるときに非常に残念であつたのでありまして、そこで大体準備も力もあるこの東北電力なり或いはこの水利権を持つておる福島県知事がそういう公益的の見地から私はこれを断固としてやつたということは、これはむしろ日本の電源開発促進の上からいつたならば賞揚すべきようなことで、こういうことがなければ、こういう思い切つたことがなければ私は思い切つた電源開発は進まないと思うのであります。私はそういうふうに考えるのであります。これを以て質疑を終ります。
  262. 結城安次

    委員長結城安次君) 石原委員質疑はこれを以て終りました。
  263. 左藤義詮

    左藤義詮君 先ほど大竹知事早期開発には東北でやらしたほうがいい、こういう御判断になつたのでありますが、いろいろ地元民の協力とかもございましようが、一番の重点は資金の問題だろうと思います。この資金につきましては、内ケ崎社長から各方面に努力した、こういうお話がございましたが、努力して金などはすぐにできるという確信をお持ちになつたと、こういうことでございますが、併し具体的には大蔵省なり、安本のほうからは何ら決定の指示は受けておいでにならない。ただ主観的にこの電源開発至上命令というところから必ずできるという非常な強い確信をお持ちになつた。それが知事を動かし、或いは県庁を動かした、かように伺つたのでございますが、それでは一点安藏さんに伺いますが、東京電力のほうは資金の見込みで東北と同様或いはそれ以上の確信をお持ちになつてつたかどうか、特に設計の変更の認可申請をなさる際に、こういう確信を以てせられたかどうか、その点を一つ伺いたいと思います。
  264. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私ども東京電力といたしまして、いろいろ拡張計画工事をやつております。総額年に百七十億の予算を以ていろいろやつております。私どもあれに着手する金をすぐ当座にどうということは心配しておりません。当座の金くらいはその百七十億において賄えるという自信は十分持つております。
  265. 左藤義詮

    左藤義詮君 東北のほうは、これからいろいろ開発銀行なり、市中銀行にも折衝をするが、併し自信はある、東京電力のほうは、おれのほうはすでに持つているのだから折衝も無論するが、それ以上に今自分の持つている金でもやれる、こういう御確信のようでございますが、こういう二つのそれぞれ確信を持つて申請をしておいでになる、その及落を決定なさる知事が、而も一方は取消しをする、こういう重要な問題でありますが、その決定をなさる場合に、ただこれは主観的に判断せられたのか、地元のひいきでやられたのか、それとも我々第三者に納得せしめられるだけの特に資金計画を主にしまして、成るほど東北のほうが東京よりは優れている、この通り早期にできるという公平な客観的な及落を御決定になつた基準をお示し頂きたい。
  266. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 今のお尋ねでありますが、この問題に対しましては、先に申上げておいたのでありますが、私の考えとして、水利権というものは絶対的の財産権でない、少くとも国家現状から考えまして公益上最も早期開発できることが一番大切である。殊に我々東北民がこの今の本名上田地点開発は、これは非常に大きな問題であります。先にも申上げましたように、我々一地域、一地方でこの電力を独占しようなどとは考えておりません。併しながら国家早期開発が非常に要請されておりまする際に、両者の間でいずれが早期開発が可能であるかということにつきましては、私は東北電力が最も早期開発できるものであるという大信念を持つておる。これは先に申上げましたように、第一に東北電力上田、柳津片門の両地点開発を今なしております。その進捗振りを見ましても、又先にも申上げましたように、やはり何と申上げましても地方民の協力、かような観点からしてこの両地点はどうしても東北電力がなすことが最も早期開発が一番可能なり、かように考えます。それからもう一つは、安藏社長からも申述べられたのでありますが、両者の協力に対しましては、東京電力さんとこれの合弁会社の御計画もあつたように記憶しております。併し如何なる観点からしても、我々地方のことをあずかつておりますものとして、この両地点だけは東北電力になさしめることが早期開発の線に一番副える、そうして日本の差迫つた電力事情に貢献できるものだ、かように考えましてしたのであります。
  267. 左藤義詮

    左藤義詮君 元ほど御決定になつた動機には、東京に任しておいては、非常に遅れてしまう。東北のほうが早い。今一番大事な問題は資金の問題でございますが、私はなぜ東北のほうが東京よりは早く資金が集まつて早く仕事ができるという判断をなすつたか、その客観的な基準をお尋ねしているのですが、言を他にしてお答えになりませんから、これはあなたの主観的な御判断であつて、我々が客観的に納得の行くような一つの基準は、この資金そのものに対してはお示しにならない、かように解釈いたします。なお安藏社長にお伺いいたしますが、東京電力の今後の発電計画、これは非常に日本全体からも大事な問題でありますが、我が国電力需給から見ましても、今後五百五十万キロの発電を必要とするのでありますが、石炭、石油の資源の劣つておる日本にとつて、水力によるダム式発電に主力を置かなければならんと思うのですが、これに対するお考え、次に又現に東京電力只見川上流の奥只見地点調査しておられるようですが、去る十九日衆議院の合同委員会松永先生から、この地点開発は分流による発電早期開発から見て最も妥当だ、只今もそういうような御陳述がございまいました。これに対して斯界の権威であり、且つ東電の会長としての安藏さんの所信を伺いたい。
  268. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 第一の問題の貯水池を有するダム式の発電所をやるべしという問題、これは議論の余地はありません。私は如何なる席においてもそれを広言しております。殊に日本の石炭事情等を考えましても、又現在のごとき日本の石炭が外国よりも倍以上もするというときにおいて、火力発電所を拡張するなんてことは以てのほかだと思つております。但し火力発電所は相当古いのであります。能率がばかに悪いのであります。最近のものはそれの能率が五割もよろしうございます。従いまして石炭の消費が非常に減ります。その関係上新たなる火力発電所の拡張も止むを得ないと思います。それで第一の質問御返事できたと思います。さてその次の分流案、本流案、これは天下ごうごうとした、まだまとまりのないものでございます。私もこれについては意見を持つております。併しながら従来の福島県並びに新潟県の主張を伺いますというと、福島県では水は一滴も流すのは御免だ、如何なることがあつても水を分流することは御免だということを言つております。新潟県では、いやそんなことはいかない。技術的、科学的、国家的見地から見て一番いい方法でやつてもらいたい、こう言つております。これでは壁に突当つております。ここにおきまして、私のような責任ある地位にある者がどちらがよいということを軽々しく言うことは避けたいと思います。私が会長を止めた第三者ならば、これはいいと思いますけれども、そういうことは言えないと思います。一方におきまして、又こういうことを言つています。この間、上田本名の訴訟をやりました。私どもあの行政の、県の処理というものは違法であるという確信のもとに、只今訴訟をいたしまして、裁判所にお願いをしております。このお願いしたことが東北方面の人の感情を非常に害しまして、たしかあの当時におきましては、私のところに東北の議員さんが四十名ほど押しかけて、東電はあんな不都合なことをしたのだから、猪苗代の水力の使用を取上げるということを決議し、或いは決議せんとし、それを私のところに交渉に持つて来るということでございました。誠にこれも暴論の甚だしいものと思います。それから又こういう投書も参つております。東電が新潟案を支持するならば、立ちどころに猪苗代を取上げる、殆んど恐喝的なことを言つております。これらの事情を勘案いたしまして、私はここでは意見を申上げることは控えたいと思います。(笑声)
  269. 左藤義詮

    左藤義詮君 只今の重要な御発言に対しては申上げたいことがございますけれども、大分時間を急がれているようですから、内ケ崎さんに……。すでに早期開発ということで許されて二〇%工事が進んでおるというお話でございましたが、これを請負つております業者の名前、金額、これを決定せられた方法等について伺いたいと思います。
  270. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 本名発電所の請負は間組であります。請負金額は四億三千万円、それから上田発電所、これは請負人は前田組、請負金額は約四億二千万円でございます。それから請負の決定方法でありまするが、我々のほうの会社といたしましては、従来特定見積りをとる場合、それから競争見積りをとる場合、尤も競争見積りと言いましても、請負業者の数は非常に多うございます。それでこの工事をやるには十分これは資力の点において、或いは技術の面において十分に達成し得るという見通しを付けたものの中から適当数、これは余り多く二十も三十もやつてもいたし方ないので、三、四軒の程度で競争見積りを徴するという二つの場合がございます。それを適当に判断するということは、最も安くそれを請負わせることができる方法、そのときの判断によつていろいろ違います。これはいろいろな物価の移り変りということもありましようし、そのほかその組がどこどこの工事を請負つて、全体的には能力があつても、現在は能力がないじやないか、いろいろな各方面のことを考慮に入れまして、特定見積りに決定するか、或いは競争見積りにするかということは社長判断に待つ、これが経営のこつでございます。それで今回の場合はどういたしましたかというと、二つ発電所は、上田本名発電所は特定見積りにいたしました。その前にやりました柳津、片門、これは競争見積りでやつております。その都度違います。最近いろいろな工事をやつておりますが、特定のときもあるし、それから競争見積りのときもいろいろございます。以上でございます。
  271. 左藤義詮

    左藤義詮君 本名上田は特定で見積せられた。特定にせられたのは前田、間だけでありましたか、そのほかの分は相当数は特定者に見積をお出させになりましたか。
  272. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 特定ということは一つの組だけ頼むという意味でございます。
  273. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうすると、間、前田に指定する前に他の組に対して交渉せられた、或いは見積を、大体内輪見積でもですが、相談をなすつたということはございませんか。
  274. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) それはございません。そうやることが競争見積ということでございます。それで最初に御説明申したわけであります。
  275. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうすると間、前田の両組だけを指定なすつて、それに見積をお出させなすつて、それでこれが一番いいというふうに社長の御判断でなすつた、かように解釈してよろしうございますか。
  276. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 会社のことをきめますときには最後に社長判断いたしますが、ひとり社長が独裁ではやつておりません。おのおの会社におきまして手続をとりまして、最もいい方法でやる、こういうわけでございます。
  277. 左藤義詮

    左藤義詮君 或いは社長御自身ではないかも知れないが、どなたか間、前田組に決定する前に、他にも渡りを付けてみられたということは全然ございませんか。
  278. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) そういうことはございません。それが特定見積でございます。
  279. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 委員長、先ほどの結果はどうなりましたか。
  280. 結城安次

    委員長結城安次君) 大蔵省から見えております。大蔵省理財局の龜岡康夫君にどうぞ御質問なすつて下さい。
  281. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは話が途中でちよつとおわかりにくいかと思いますが、実は只今係争中になつておりまする東京電力東北電力との水利権の委譲の問題に関連しまして、実は上田本名の二発電所地点に対して、七月二十四日閣議決定を以て東京電力から東北電力水利権が移されたのでありますが、その当時に水利権を渡すと同時に工事に着工するという建前から資金の措置がいろいろ政府筋でとられておつたようであります。そのとられておつた内容について一応御説明を頂きたい。特に私が先ほど申しましたのは、只今通産省のほうからの非公式な問題になりましてからのお話を承わつておりますと、若干行き違いがあるように承わつておりますので、この点を若し事態が明らかになつておりまするならば、通産省当局のほうから一つ発言を願いたいと、こう思います。実は閣議決定になつたのが七月二十四日、それから通産省のほうの施設変更認可申請書の中の禀伺の中には、七月二十七日見返資金十二億円の承認が大蔵省からあつた、こういう工合になつて資金措置の裏付が明記されておるのです。従つてそういう事実があつたかなかつたか、これを一つ承わりたい。
  282. 龜岡康夫

    説明員龜岡康夫君) 今の御質問につきましてお答えいたします。只見川本名上田地点電源開発資金につきましては、通産省から七月二十四日付で大蔵省に対して照会が参つております。それに対しまして、大蔵省からは八月二十三日付を以て、通産省においてこの地点許可を与えられる場合においては見返資金から所要額について検討の上融資する用意がある、こういう回答を出しております。それに対しまして、九月九日に至りまして、通産省から改めてこの地点開発工事許可を与える方針であるからという通知がございました。この結果、大蔵省におきましては、本件については九月の十四日付を以て見返資金の融資は開発銀行に引継がれるということになるから、その旨を御了承願いたい、こういうふうに回答いたしております。以上でございます。
  283. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は非常に不思議に思うのですけれども、見返資金の貸付の承諾が八月の二十二日に行われて、すぐ明る日の二十三日に回答が出る、こういうようなことは、私ども常識で、今までの見返資金の運用からいうと、ちよつと考えられないと思うのですがね。こういう工合に形式的の即座にものが運ぶような工合になつた内部のいきさつはどういうことになつておるのか。
  284. 龜岡康夫

    説明員龜岡康夫君) 只今申しました八月の二十二日に照会が参りまして、八月二十三日に回答を出しましたのは、見返資金を融資するという回答はいたしておりませんので、この両地点開発については具体的に計画を検討した結果、その前に通産省において工事許可その他か与えられた場合においては考慮いたしたい、こういう文面でございまして、融資するという回答はしていないのであります。
  285. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 通産省のほうから…。
  286. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 今栗山委員の御発言に関連して御返事を申上げますが、第一点は、先ほど栗山委員が朗読をされました七月二十二日に見返資金から両地点に対して融資がきまつておるという記載があるというお話でしたが、これは書類にはまさにその通り記載してございます。私ども実は甚だ申訳ない次第でありますが、その後取調べましたところ、これは八月二十二日の誤まりだと考えられます。と申しますのは、只今大蔵省からもお話がありましたように、我々はこの閣議決定許可をいたしますに際して、公共事業令の定むるところによりまして、資金が如何になつておるかということをどうしても確める必要がありますので、その関係通産大臣から大蔵大臣宛に八月二十二日に御照会申上げまして、翌日御回答を得たのであります。むしろあらかじめわかつておりますれば、かかる手続は必要なかつたのでございますが、そういうことが全然わかつておりませんので二十二日に御照会申上げたのであります。それではなぜ八月二十七日という数字を書いたかと申しますと、これは大蔵省が八月二十三日付で御回答頂きましたのが、通産省の文書の受付で八月二十七日になつております。それを七月二十七日と八月二十七日と書き違えたものと考えます。甚だ事務的に迂闊でございまして恐縮でございますが、我々としては七月中にかようなことがきまつたということは毛頭聞き及びもしておりませんし、さようなことは断じて事務的に間違いまして書き違えたという以外に了解はできませんので、その点は書類にはその通り書いてございますが、申訳ないと思いますが、事実はさようなわけであります。
  287. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 どうも間違いであつたというお話でありますから、私もそれ以上追及する証拠を持つておりませんので一応了承をして置きます。ところで通産省にもう少しお尋ねをしたいのは、実は私はこれを東京電力にやらせるべきであるとか、或いは東北電力にやらせるべきであるとか、そういうような意見は私何も持つておりません。ただ野田前大臣が言われたように、発電所は一刻も早く完成することがよいという考えを持つておるのであります。ただ問題はそういう結論を出す場合に、早く作りたいからというので、途中の道行きはどんな方法をとつてもいいということには私はならんと思う。そこはやはり或いは法律にも照らし、又利害関係人或いは官庁関係にも完全な連絡をとつて、そうしてなお且それで決定し得ないときに、最後に閣議決定によつて政治的な断を下すということが私は道順でなきやならんと思う。ところがそういうことが何ら行われないで、或るものは聾棧敷に置かれ、或る者は不服を持つたまま利害関係人同士も、或いは役所の中においてもそういうことが行われて、いきなり野田大臣が閣議に持込んで決定してしまつた。もうこれできまつたのだから全部やれといつたような恰好で押されたところに私は問題があると思う。従つてそういうことがあるから、私今日も実は驚いたのですが、今朝国会へ出て見ますと、私の文書函の中に吉田・白洲の陰謀という衆議院の栗田英男君が出したパンフレツトが入つている。ここの中を見て、これが若し事実であるとするなら、国民は何のために税金を納め、そうして何のために電源開発をするのか非常な疑惑を招くような赤裸裸な文字が綴られているわけです。更に私は見返資金というものはなかなか出にくいものであるということはよく言われているのでありますが、そういうものが文書の日付でも一日違いで出てしまう。或いは又電力行政電源開発の面において非常に重要な責任を果すべき通産省系統が、何ら意見を述べる余地もなかつたというような、こういう事実がある、或いは噂があるということになりますと、これは将来の電源開発の進め方に非常な問題を残す、これは決して東北電力なり、東京電力当事者が云々される、或いは非難されるということでなくて、これはこの裁断を下した当時の政府当局のやはり責任であり、失態である。こういうふうに断ぜざるを得ないわけであります。そこで通産省にお伺いしたいのは、七月二十四日に決定をされて、八月の四日でありますか、これが公表せられたときに、その後これをうまくとりなしをするための施設変更認可申請を処理するために、いわゆる聴聞会というものを開いて、いろいろ議論されておりますが、これは通産省として八月一日に新らしく出発をいたしました公益事業局が、その跡拭いをせられたわけでありますが、公益事業局としては、建設省がとりましたこういうような方式、いわゆる東京電力案、東北電力案、二つを検討することなしに、検討と申しますのは、私が申上げました公共事業令の第二十八条による検討をすることなしに、このまま鵜呑みにされたようでありますが、これで非常に結構であつたと、こういう工合に今でもお考えになつているかどうか、これは通産省の御意見を伺つておきたい。
  288. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今お尋ねがございましたうち、七月二十五日閣議決定がありました結果につきましては、通産省としては、その当時関係しておりませんでした。勿論従つて御指摘を頂くようなことは勿論なかつたのでありますが、その当時の行き筋は私のほうは直接関係がございませんので、それが果してよかつたかどうかという点は、ちよつと私としてお答えいたしかねますので、これは他の適当なかたからお答えを願いたいと思います。それからなお公共事業令の二十八条の許可は、その後私のほうでいたしておりまするが、その際には聴聞会等を開きまして十分検討をいたしまして、現在両地点東北電力開発することが適当だという結論に達して許可をいたしたのでございます。
  289. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そこで私は非常に疑問を持つておるのは、その聴聞会の意見書がここにあります。通産省審査官として森さんの判で通商産業大臣高橋龍太郎君宛の意見書がありますが、その意見書に、それを許可することの妥当性ということが反対論、賛成論を集約して結論として出されております。そこに、私が今ちよつと要点だけ読み上げますと、本件許可の妥当性についてというのが(一)と(二)と二点を挙げておる。その一つのほうはどういうことになつておるかと申しますと、閣議決定においては本流案、分流案の決定に触れないとされているが、少くとも本件許可に当つて電源開発調整審議会の了解を得ることが公明なる措置である、こういう工合に書いてあります。要するに通産省当局としましては、この決定については多分に不服がある、調整審議会の了解を得ることが公明なる措置である、疑惑を招かない措置であると書いてあります。これは聴聞会の意見書であります。それから(二)のほうはどういうことが書いてあるかと申しますと、水利権に絡み本件は各種の疑惑の的となつておるので、特に公明なる措置が必要である。従つて既定の閣議決定により本件許可は既定の事実であるとしても、上記各事項につき十分なる検討を行なつた上処理することとし、特に趨勢から判断するときは反対論者の妥当な点も相当あるので、両発電所完成後の需給の如何によつて電源帰属の経緯を加味した融通の余地を残す必要がある、こういう二つ意見が付けられています。この意見は少くとも私が第三者として見ますというと、本件許可の問題についての結論としては私は賛成論ではないと思う。どちらも一方は問題を保留し、一方はその結果がよくないというので保留のやはり条件が出ておる。こういうようなことが出ておるということは、如何にこの許可が役所の間の処理において円滑を欠き、そうして或る一人の人が強行されたかということを明白に私は物語つておると思う。この責任は私はこれ以上申しませんけれども、おやりになつたかたは、将来日本の電力事業の発展のためには私はおとりにならなければならん責任であろう、こう考えるのであります。私大体これで質疑を終ります。
  290. 木村守江

    ○木村守江君 私は安藏東電会長にお尋ねいたしますが、今更申上げるまでもなく、日本で最も大事なことは早期電源開発によつて産業の振興を図ることであると考えるのであります。今日いろいろな議論をされましたのも、要するにいずれへの方式をとつたほうが早期電源開発であるかということに帰着すると考えるのでありますが、東電といたしましては、一体上田本名地点開発に際して今までどういうような具体的な方法をとつておられましたか、又この開発に対しましては、どういうような方法をとろうと考えておられましたか、明白にお答えを願いたいと思います。
  291. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 先ほども申上げました通り、この地点は初めから東北東京共同でやる、或いは別会社でやるという方針でやつております。従いまして私ども技術陣も日発からも来ております。ここにおいて十分に設計し、用意はしておつたことですが、先ほども申します通り交渉半ば、東北と私ども交渉半ばです、機は熟しておりません。先ほども言う通り大いに議論をすべきなんです。おのおの会社の立場において議論をいたしますのは当然であります。私どものほうも議論もあります。東北さんもあります。これは当然十分やつておつつかせる、それにはいろいろ方法があります。恐らく公益委にもありましようし、建設大臣もありましようし、そうしてやるべきが私は常道であるという確信の下にやつた、それを裏をかいたり何かしてやる、成るほど先ほど言つた不信も甚だしいということで言い尽きると思います。
  292. 木村守江

    ○木村守江君 私はその東北電力と東電との間の感情的ないろいろな裏切りとか、そういう話を聞いておるのじやないのであります。一体早期電源開発をするという場合に、両社の折衝をしたということについては、すでに多数のかたがたから証言されたのでありまするが、先ほどもお話がありました通り上田本名開発については東北電力が自力で以てやりたいという明確な意見を発表いたしております。そういうようなことから考えまして、これは東京電力としては東京電力として開発する独自な具体的な方策があらなければならないと考えまして、その独自の具体的な方策について明白にお答え願いたいと思います。
  293. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私は特に上田本名が独自の技術を要するとは思つておりません。ありふれたダムであります。これが奥只見或いは田子倉というような所ならば或いは独自云々ということがあるかも知れませんが、最も普通のダムであります。一番問題とするところは先ほど言つた資金の問題、資金については私ども先ほど申しました通り毎年二百億近く使つております。資金的には私は東北よりも一層力があるという自信を持つております。従つてこれらの発電所のごときは殆んどこれという問題もなしに実現は可能と信じております。
  294. 木村守江

    ○木村守江君 只今の安藏会長の御答弁によりますと、その独自な技術は要らない、私は別にその独自な独特な技術ということを意味しておるのではないのであります。どういうような具体的な設計によつて電源開発をするかということを聞いておるのでありまして、少くともどういうような工事をなさるにも私は設計なくしては、具体的な設計なくしてはできない。どんな簡単なダムを造るにいたしましても、私はその設計を作るのにはすぐに一日や二日では、一カ月や二カ月ですぐにできるというようなことを言われるようでありまするが、私は専門的技術家ではありませんが、そういうものは到底でき得ないことではないかと考えるのでありまして、そういう点から考えまして、東電においてはこれはいわゆる技術的にどういうような具体的な設計があつたかということを聞いておるのです。
  295. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 設計のことについて申上げますというと、従来の水利権は水路式でありまして、只見川第二或いは沼沢という名目の下に水路式でございます。私どもはこれはかねてからダム式でやるべきだ、時勢の進展に伴いまして旧式の方法でやるのはよろしくない、これはダム式でやるべきだということで設計を変更し、その設計ができたために用意はしておつたのですが、従来は交渉中であるために私は遠慮しておつた、併しながら先ほども申しました通り建設大臣からいろいろ言われておる、これは東電が意欲がないからそういうことになるのだろうということで、私どもは改めて完全なるダム式の設計をしてやつたのでございます。決してそれは先ほど申しました通り嫌がらせだとか何だとか、はつたりだとか、そういうことは決してございません。飽くまでやるつもりでやつたのでございます。決してこれをやつたところで東電ができないだろうということでは、これは少し御心配し過ぎるのではなかろうかと思います。
  296. 木村守江

    ○木村守江君 どうも東電の会長のお話を聞いておりますと、非常に抽象的な答弁でございまするが、東電は上田本名地点開発に際しまして、本当に実地調査をしてそうして具体的な設計を作つたことがありますか。
  297. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) その当時においてはやつておりません。併しながらデーターを持つておりまして、これによつて設計をしております。
  298. 木村守江

    ○木村守江君 只今データーを持つておるから、それによつて施工すると申されましたが、少くとも先ほど来論議されておりまする通り、設計書を持つてつても、その上に地元民との特別なる協力なくしては到底早期工事の着工はでき得ないということは、あなたは商売人でありますから、よくおわかりだろうと思うのであります。こういう点をどういうふうに考えておられますか。
  299. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 無論工事をやるためには設計も完全にしなければなりません。又それに対して準備もあつたでしよう、又地元民との交渉、あらゆる懸案も解決しなければならないことは当然であります。だけれども、先ほど申しました通り、これは飽くまで東北でやるという信念の下でやつておりますから、東北と競争的にやろうなんということは甚だ混乱させてよろしくないということで私どもは差控えておりました。
  300. 木村守江

    ○木村守江君 どうも会長の話を聞いておりますと、東北電力では、もうあなたのほうと一緒にやらないということを初めから明瞭に断わつておるのです。この上田本名については東北電力が自力でやりたいということを言つておるのでありまして、東北電力と一緒にやろうと思わんから、おれのほうは何もしていなかつたというようなことを言つておられますことは、あなたがおれのほうには何も資料はないのだ、おれのほうには何の設計もないのだ、おれのほうには地元民たちの何の交渉もないのだ、東北電力と一緒になればできるのだというように、東北電力に縋るよりほかに何もないというふうに聞き取られますが、さように聞き取つて差支えないですか。
  301. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私は先ほども申上げました通り、飽くまで協力してやりましようと、その線で進んだのでありますが、先ほど建設大臣の言われた五月の幾日に初めて建設省ではこういうふうにしろと、これは絶対反対ですということを私はそのときに申上げた通りでございます。従いまして私どもは、これは東北はいわゆる不信の行為をしたということで憤然としたのでございます。それ以来私どもは過去の資料その他によつてしつかりまとめたものを出願し、これを実行せんとしたのであります。如何せん七月の末項になりますと、又々建設大臣からこういうお話がありまして、誠に遺憾であると常に思つておるのであります。
  302. 木村守江

    ○木村守江君 どうも話がわかりませんが、東北電力では御承知のように昭和二十七年の七月に河川水利使用計画を出しておるのです。あなたのほうではこれから大体五ケ月ほど遅れて出しておるのですが、それは一体どういうわけですか。
  303. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 先ほど申上げた初めの二月幾日に出したということは、私全然知つておりませんし、その当時盛んに折衝しておつたのであります。わかりましたか。
  304. 木村守江

    ○木村守江君 それではあなたのほうでは東北電力水利使用計画の申請を出したのが全然わからなくて、そのために遅れて出したのだ、そうしてその六月に出した申請には、あなたのほうのデータを添えて出したのだということに了解してよろしうございますか。
  305. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) その通りでございます。
  306. 木村守江

    ○木村守江君 そうしますと少くとも電力の再分割の際に、この只見川電源開発のいわゆる調査資料というものは財産として東北電力へ受け継がれたかのように聞いておりますが、その東北電力のデータを出したということになりますか。
  307. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私どもにも当時の日本発送電会社においてそれに関連した人がたくさん来ております。従いましてそこらのデータとしてはわかつてつて、特に東北電力に行つたデータ云々ということはございませんでございます。
  308. 木村守江

    ○木村守江君 そこに大きな問題があると思うのです。丁度水利権があなたのほうにある、それを東北電力が取つたかのように言う。ところがその調査資料は財産として東北電力にある。それをあなたのほうが東北電力からかつぱらつて、あなたのほうでやつたというような私は恰好になりはしないかというようなことを考えておりますが、この点東北電力相談をなさらなくてそういうことをしたあなたのほうに……、あなたのほうは東北電力を先ほど来不徳義極まるように口を極めて悪口を言つておりますが、自分のほうが悪口を言われる材料を提供しておるように思われますが、どうでありますか。
  309. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私どもはそのままのデータではなく、それは単なる参考でありまして、私どもの独自の設計資料を入れ、設計に考慮を払つておるのであります。私ども東北電力の持つてつた資料を云々したということは言いたくありませんが、私どもは私自身において資料を無論参考にいたしますが、私ども独自の立場において設計したものであります。
  310. 木村守江

    ○木村守江君 先ほどあなたは、私のほうでも東北が日発当時に調べた資料があるということを言われましたが、その日発当時に調べたいわゆる調査資料は財産として東北電力に継がれておるのであります。それを出したということは、明らかに東北電力のいわゆる財産をかつぱらつてそれを出したというような不徳義極まるところの行為だ(笑声起る)ということを言われても、何ら差支えなくなつてしまうのです。
  311. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 先ほど私が申上げました通り、それは参考としただけでありまして、私どもは独自の工夫、考案を入れて出したのであります。
  312. 結城安次

    委員長結城安次君) 木村君、まだ長いですか。
  313. 木村守江

    ○木村守江君 今始まつたばかりでしよう。先ほど来聞いておりますと、これは東電においても本名上田早期開発をしたいという意欲は非常にあつた。まあ安藏さんの本当の気持をそういうふうに善意に解釈いたしまして、早期開発をしたいという考えはあつたと私はこう解釈いたして判断して参りますが、六月三十日に水利権使用の申請を出しまして、そうしてそれから東北とのいろいろな問題があつて、それから許可になつて着工するまで一体幾らぐらいかかると思いますか。あなたがたいつでもこういうような書類取扱つて官庁関係をしておるのですが、どのくらいの日にちがあつた許可はもらえて着工できると思いますか。
  314. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私どもは新たに出願したものではございません。すでにあつたところの水利権の変更を出したのであります。従いましてこれは官庁内における手続のむずかしいものではなかろうと思つております。新たなるところの出願をいたしますと、地方を視察するとか随分ごたごたいたします。併しながらすでに許可のあつた水利権であります。その水路式をダム式に変更するということでありますから、私ども官庁関係においては好意さえあれば、而も先ほどのような非常な好意さえあれば、これは容易にできると思います。ただしあとは私どもの責任においてなすことが時間を短縮するか否かということにあると思います。
  315. 結城安次

    委員長結城安次君) 木村さんにちよつと御相談いたしますが、今資料云々の問題は当時公益事業委員長代理の松永さんが一番よく知つておると思いますから、ちよつと御説明を願いましようか。松永参考人から、東北只見川資料を渡したということが今かつぱらつたとか何とかいろいろ問題になつておりますが、どういう気持で東北電力に渡したかということを、若し当時の事情がおわかりでしたらお話下されば結構であります。
  316. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 只見川開発考えますのには、どうしても只見川全体に亘つて考えをせんなりません。で、日本発送電が旧来いろいろ調べております資料は十分なりとは言いがたいのであります。併し何しろ年数をかけてやつたものでありますから、これを相当慎重にするのは無論であります。私どもはそれで満足するわけには行きませんので、公益事業委員会の技術部において再検討する、それからそれだけでも足りないので、技術顧問団の渡来を求めました。それだけでは行きませんので、東北そのほかの新会社技術陣を又招集して、その一部として、殊に大きな一部として只見川の問題は考慮いたしました。併しそれと共にOCIの調査を願つて始めることとなりましたために、只見川全体に対しての資料というものは、前の日発の資料のみによることは無論できんのであります。又資料はあるはずだと、特に本名上田資料を渡したとか、或いはそれが一種の権利のごとく考えられているということは、そういう事情に徴しましてもないのであります。調査資料即ち財産であるということではないのであります。この資料公益委員会においでになれば東電でもどこでも御覧下さることができるのでありまして、当時只見川関係のある技術者はみんなこの資料を大体知つております。例えば雨がどのくらい降るとか、或いは地質はどうなつておるかということは全部わかつております。一番簡単なのは本名上田でありますから、これは技術者のほうに公開をしてみんなが知つておるのでありまするから、特にその点において論議を尽される必要はなかろうかと思つております。
  317. 結城安次

    委員長結城安次君) よくわかりました。
  318. 木村守江

    ○木村守江君 松永先生のお話よくわかりました。  続けて安藏会長にお尋ねいたしますが、会長はそんなに簡単に、その再出願、水路式をダム式に変更した申請であるから簡単に許可ができるというようなお考えを持つておられまするが、御承知のようにこの水利権は、日本発送電ができました当時に、あなたのほうの会社からすでに持つてつた水利権の保証金を返してくれと言つて、金を返してもらつて、そのときに恐らくはもうこの水利権は日本発送電という一種独特の力のある、法律の上の力のある権力を以て電源開発する会社に移つてしまつた。それがあなたのところに返つて来て、そうして今度それに対してあなたのところが、返つて来たのに対して、新らしくいわゆる保証金というものも積まないであるその権利の上に、今度は水路式をダム式に変更の許可申請を出したのだから、すぐ許可が下りるだろうというようなことは、あなたのほうの申請にも相当いわゆる手落ちの点がある。特にこの東北電力が前にダム式の申請を出しておるというときであるから、そう簡単には許可が下りないということを考えられなかつたのかどうか。
  319. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) どうも話がよくわかりませんが、これは水利の出願をするときに、従来は水利権の出願をいたしますときに、いい加減の人がやつちやあ困る。それでその水利権の、馬力数に応じまして保証金というものを積まれたのが従来の常道でございました。私ども如何なる河川においても、出願するときにそこの馬力が一万馬力ならば何万円というものを積立てておるのでございます。これは現金でなくてもよろしいので、公債でもよかつたのでございます。これは常道であります。私どももあらゆるところにそれを積立ててございますが、併しながら日本発送電会社ができるとか、或いは配電会社というものが国家の法律によつてできます。これは殆んど国家機関のようなものでございます。これが保証金を取るなんかというのは全く意味がないのであります。従いまして只今規則が出ましてそれは不要になつたのでございます。従いましてこれは取下げるのが当り前なんでございます。日本発送電が出願するときにそういう保証金は出さないのでございます。私どもが出す必要はないのでございます。従いましてこの保証金を下げたから水利権がなくなつたというような先ほど福島県知事からお話があつたようでございまするが、これはやはり間違いだと思います。
  320. 木村守江

    ○木村守江君 ちよつと今の話はわかつているのですよ。ところが日本発送電がなくなつて、そうして水利権があなたのほうに移つた場合には、あなたのほうではやつぱりその保証金を積まなくちやいけない。日本発送電というような特殊会社とは違うんだ。そういうようなこともせずに、そうして今度おれのほうで昔持つてつたのだから、その権利があるのだから計画の変更であるから簡単に下りるというような考え方は余り甘過ぎはしないか。
  321. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 少し食い違いがあるようでございます。今ある水利権は日本発送電に渡つておりません。    〔委員長退席、通商産業委員理事栗山良夫君着席〕 従来東京電力にあるそのままでございます。従いましてその水利権はそのままになつております。私どもが変更の出願こそすれ、水利権はそのままに私どもにあるのでございます。
  322. 木村守江

    ○木村守江君 それではこのことはそのくらいにしまして、先ほど来申上げました通り、こういうような状態で一体六月の三十日に申請を出しまして、いつ頃から工事が始まることになると考えられましたか。具体的にはつきり言つて下さい。
  323. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 先ほども申上場げました通り、出願の許認可はお役所側にございます。お役所側の動き如何によつてきまるのでございます。併しながら私どもは新規出願になりまするとこれは大変のことでございます。いろいろの条件をつけて、いろいろの関係意見を求めてそうしてやるのでございまするから、或いはこの許可認可に一年もかかることもございます。併しながら先ほど申上げました通り、これは変更に過ぎないのであります。現にある水利権の変更でございまするから、これは官庁のお手続如何によつては簡単に済むだろうと、こう申上げたのであります。併しその後の工事如何は私どもの努力如何できまります。
  324. 木村守江

    ○木村守江君 まあ会長の言われる通りですね。極めて簡単に申請が承認されたといたしましても、これは少くとも一、二カ月は要すると思うのであります。そうして一、二カ月を要しましたあと、地元との折衝並びに本当のその実地の細部の調査等を含めましたならば、どう考えましてもこれは九月の下旬、十月にならなければ着工できない。どんなに早くかかつても十月を越さなければ着工できないというのが常識的な観察ではないかと思うのであります。ところが御承知のように十月を過ぎましてあそこの工事を始めました場合に、果していわゆる冬期の渇水時に間に合せられるかどうか。これは全く不可能な問題でありまして。かように考えて参りますと、いわゆる東京電力の申されているところの早期開発は、少くとも東北電力がやつておりまするところの工事より一年はどうしても遅れるということになりまして、いわゆる電源早期開発ということは全く不可能なことになるということは明らかに事実が物語ることであろうと私は思うのでありまして、この点はどんなに自信ある会長であつても承認せざるを得ないと思うが如何でありますか。
  325. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 抽象論でございまして、私どもはそれには同意いたしかねます。
  326. 木村守江

    ○木村守江君 勿論これに対して答弁いたしましたならば、これは全く東京電力早期開発の意欲なしというふうな断定を下されることになりますから、会長としまして答弁でき得ないのは尤もでありましよう。了承いたします。(笑声)この東京電力会社が発行いたしました只見川水利権取消処分に至るまでの変遷の概要、二つのパンフレツトがありますが、この中を見ますと、只見川開発方針というような項目の中に、只見川開発方式は、東京電力はOCIの調査を依頼する等、慎重なる検討の上採用の方式を選定したいというように、OCIの調査を非常に重要視されておるように考えておられまするが、この上田本名開発につきましてもOCIの意見を非常に尊重されるお考えがあつたでありましようか、ちよつとお伺いいたします。
  327. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 只見川開発については、先ほど松永先生がおつしやつた通り、これは重大なものであるから、慎重にやるべきだ、それにはOCIも頼んでやろうということの議がございまして、それにきまりました。併しながらその際に私どもも、東京電力も、東北電力も、又電源調査会も一緒になつてやらうということでございまして、私どもの技術員もその一団に加わつて調査を進行しておつたのでございます。従いまして調査経過についても、私どもは十分にわかつておるところでございます。
  328. 木村守江

    ○木村守江君 只今私は、OCIの結論を非常に尊重してやるように書いてありまするが、その点につきまして、もう一度はつきり承わります。
  329. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私はOCIの意見そのものを全く容れる考えはございません。
  330. 島清

    島清君 ちよつと今の質問に関連をいたしましてお聞きしたいのでございますが、この早期開発というものは、工事に着手することを意味するのですか。ちよつと大竹さんにお尋ねしたい。それとも又あそこの水を一滴でも多く余計に、早く電化するということを意味するのですか。どちらなのですか、ちよつと伺いたい。
  331. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 本名上田に関しては、早急に発電化したいというのが私の考えであります。
  332. 島清

    島清君 ああそうですが、わかりました。そういたしますと、非常にこの早期開発ということが、東北電力のほうに水利権許可したのだという理由の最も重要な部分になつております。ところが東北電力は、資金を見返資金、その他他の銀行等に仰がなければならない、こういうことだし、併し東京電力のほうは、自社においてその程度のものは賄える、こういうことなのですが、どうですか。その東京電力のほうが、我々から見ますると、資金のほうが、早期開発の最も適格性を持つておるように思えるのですが、東京電力側の資金のことについて検討されたことがあつたのですか。
  333. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) この東北電力許可を与うべく建設省に禀伺いたしました際から、これは早期開発観点から、先刻も事例を申上げましたように、この地点はどうしても東北電力にやらしたいという見地でありますので、東京電力に対しての資金の検討はいたしておりません。
  334. 島清

    島清君 そこで、それじや大竹さんの早期電源開発並びに早期電源開発の可能性の最も重要な部分は資金であるというようなことは、今日の只今の御意見によりまして、資金などはまあどうでもよろしい、とにかくあなたとしては東北電力さんにやらせるのだということを信念的にきめておつたという、こういうふうに了解して差支えありませんね。
  335. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 勿論電源開発に対しましては、資金が最も重要であります。併しながら私は先にも申上げましたように、東北電力の柳津、片門、或いは沼沢、宮下の増設、これらの図式から見まして、資金というものが、先に申上げましたように、係の者が来まして、促進方を要請されます際に、資金の面を質しましたところが、資金の面は決して御心配ないという答弁でありまするし、今申上げましたような今までの事例から見まして、資金の面も大丈夫であるという確信を私は得ておるのであります。
  336. 島清

    島清君 関連の質問はそれだけですから、あとで又質問します。
  337. 木村守江

    ○木村守江君 最後に一つ。もう一つ最後にお伺いしますが、先ほど安藏会長は、福島県は只見川の上流の開発については一滴もこの水を新潟に流さないと言明しておるというようなことを言つておりまするが、少くとも福島県の知事は、国家がこれが最も国家的に有利な開発方式であるならば、分流案であるといえども、決してこれに反抗するものではないというようなことを言つておるように考えておりまするが、この点改めて福島県知事にお伺いいたしたいと思います。
  338. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只見川開発方式に関してでありますが、これは私は科学者でもなければ電気の技術者でもありません。併しながら、この只見側の開発に関しましては、長年深い関心と研究を続けて参つているのでございます。我が国の大きい電源の宝庫としての只見川開発は、私は絶対に貯水方式でなければならないという固い信念を持つております。而して、一滴の水といえどもこれは最も有救に使わなければならないという考えは、今もいささかも変つておりません。併しながら、国家的大所の見地から立つて、このあらゆる……松永委員長さんが申されましたように、OCIなり、各科学者が研究調査されました結果、これは、福島県に水を流すよりも、新潟県にこの水を全部流したのが国家再建のためにこれがよいのであるという結論を得ました際には、私は釈然としてそれに賛意を表するものであります。
  339. 木村守江

    ○木村守江君 私は只今福島県知事お話を聞きまして、安藏会長の言明が間違つておるということを考えますので、この際取消しを願います。
  340. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私は一滴の水も流しちや困るということは、私が捏造したものでも何でもございません。ここにいる県知事さんからたびたび聞いたお言葉でございます。今日初めてこういうことを承わり、誠に県知事さんの頭の進歩したことに敬意を表するものであります。(笑声)
  341. 木村守江

    ○木村守江君 只今安藏会長から非常に奇怪な話を聞いたのですが、知事は先ほど来国家的見地から電源早期開発を主張しておるのでありまして、そういう点から私は真剣に話をいたしておると思うのであります。それは頭の進歩したとか、進歩しないとか、これはお互いにそういうことを言つたならば、もう意見があると思いまして、そういうような証人同士のお互いの言い合いはこの際やめてもらうべきであると私は考えます。而して最後にお聞きいたしますが、一体東電は、只見川上流の水利権を今でも持つておるそうでありまするが、これからどういうような開発計画を持つておられますか、具体的に御説明願いたいと思います。
  342. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 只今水を一滴も流さない、今度はこれはよろしいということになつたのですが、これはただOCIの結論を前提としてのように私は聞いております。そうじやなくて誰が見ても、誰がやつてもこういう結論であるということにおいての御承諾ならば非常に満足と思います。只今お話ではOCIの結論を条件としてのようでございます。私はOCIの結論も大いに参考となると思います。併しこれはいろいろと又議論する余地があると思います。従いましてOCIの結論をそのまま呑むことは私はいたしかねるということは先ほど申上げた通りであります。私どもはもう少し念を押したいのでございますが、    〔委員長代理栗山良夫君退席、委員長着席〕 もうOCIとか何とかいう条件なしに水はどうでもいいのだ、とにかく天下の一番いい方法でやるのだということがはつきりいたしまするとこの上ない幸いと思うのでございます。それから只今奥只見方面のことも御質問がございました。私どもはこれに対しては十分の準備をしてこれを開発せんとしておるのでございます。その方法につきましても、これは今日電源開発審議会というものができましたから、その審議を経なければできませんですが、少くともこれに対する用意は無駄ではない、如何なる方法であつても無駄ではないということをやり、進行せんとするのでございます。
  343. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほどからお話を伺つておりますが、大竹知事さんにお伺いしたい点で、明らかになつたのが大分ありますので、先ほどどなたか御質問になつてつたようでありますが、一点お伺いしたい点があります。東京電力から六月三十日に水路変更の申請がありました際に、知事さんはこれを七月の何日かに、この地点における開発東京電力がやることが至当だと、こう思うからと、こういうことで突つ返された、こういう事実があるのでありますが、この点につきまして私どもは余り法規に詳しいほうではありませんが、公共事業令等を見ますると、こういう申請がある場合には、知事さんとしては一応自分は反対であつても、反対意見を付してまだ生きておりました公益委員会にこれを取次がなければならない、こういうふうになつているのでありますが、そのことをしないで、すぐ自分はそういう開発東北電力にやらせるのだからそういうことは余計なことだ、こういう態度で突つ返されておりますが、これを突つ返されましたところの取扱上の法律的な根拠とでも申しましようか、それよりもなお進んで私は重要視しておりますのは、その心持がどういう気分が先行してこういう強硬な態度をとられたか、こういうことを一つお伺いしたい。まだ二、三点あります。
  344. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 六月三十日に東京電力から只見川上流に対するところの設計変更の申請があつたのであります。併しこれは先に申上げましたように、私は水利権というものが絶体的な財産ではない、地方の財産権ではない、この差迫つたところの電力事情の上から考えて最も早期開発をしなければならないという私は考えを持つておりましたので、この水利権に対しては、変更についてはお質しになりましたように、建設省にも公益事業委員会にもこれを禀議、打合せ等をいたさなかつたのであります。
  345. 清澤俊英

    清澤俊英君 公共事業令五十九条には「都道府県知事は、発電水力の利用について河川法第十七条から第十九条までの規定による許可又は認可申請があつたときは、意見を附して委員会に報告し、委員会意見を求めなければならない。」となつておるのでありまするから、あなたの意見が必要なしという意見ならば、それを附して意見を求めることが一応の手続じやないかと思うのでありまするが、その点を一つお伺いしたいと思います。この点につきましてなお公益事業委員長代理の松永さんに、こういう場合には知事の専断的な考え方でこれを中断していいのか悪いのか。やはり五十九条の手続だけは踏まなければならなかつたのではないかどうかという点を明らかにして頂きたいと思います。
  346. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 私は不許可にするという場合には、禀伺、協議の必要なしという見解を持つておるのであります。
  347. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) どうも知事さんのお扱い方がいいとか悪いとか今批評する立場でもありませんが、御相談があつたら穏当であつたろうかと思います。法律上の解釈はこれは別でありますが、まあ併しそうおきめになつたことであり、あえてそれを批判はいたしません。
  348. 清澤俊英

    清澤俊英君 松永委員長代理にお伺いするのはちよつと無理だろうと思いますので、政府委員の、石原さんにこの点がおわかりだつた一つ……。
  349. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 河川法関係ですか。
  350. 清澤俊英

    清澤俊英君 河川法じやないですよ。公共事業令五十九条はそのときに活きておるのですから、こういう申請があつた場合には、一応の手続として申請すべきであつたかどうか。
  351. 結城安次

    委員長結城安次君) こういうことだ、つまり許可認可申請が県にあつた場合には、建設大臣相談しなくちやならないが、それをやらなくていいかという……。
  352. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今の法律上の問題でちよつと御即答いたしかねますが、河川法関係で、先ず知事建設大臣に禀伺をしなければならんということに相成つております。それと併せて公益事業委員会或いは通産大臣意見を求めるということになつておりますので、河川法の解釈上、只今のような不許可処分の場合におきまして、建設大臣に禀伺をするのだということでございますれば、当然公益事業委員会或いは通産大臣も同様になると思います。或いは今知事の発言がございましたように、河川法上不許可処分の場合には、建設大臣に禀伺をせんのだということであれば、委員会或いは通産大臣には禀伺がないでいいのじやないかと思いますが、その辺の扱いを十分承知しておりませんので断定的なことはすぐちよつと即答いたしかねます。
  353. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次に大竹参考人にお伺いいたしたいのは、地元民の好意的な応援を得て……、こういうお話と同時に、島君の質問に対して、この点に関していろいろのことをおつしやつておりましたが、その中に一つ、大手沢でしたか、何か亜炭鉱山か何かあるのでありますが、これがなかなか面倒言うているので、僅かの滞納を理由としてこれを御処分なさつた、そうしてその処分あとで、その地元の村には若干の、六千円とか何とかというお話でありますが、若干の金をやつて、なおあと五百万円の金を醵出したとかしないとかいうようなことでごちやごちやしておりますが、これが訴訟となつて、そうして知事さんが敗けたというようなことが伝わつておるのでありますが、そういう事実ありますか。
  354. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今のお尋ねでありますが、大手沢の鉱区に対して、県税の徴収事務の条例によつて滞納金に対して地方事務所長にこの問題を委任しておつた、そのために所管所長は大手沢鉱山の滞納に対して滞納処分の送達をいたしたのであります。その際にその大手沢を大平沢というように誤記いたしたために、そのまま公売処分に付したのであります。その大手沢と大平沢とのために本人に送達ができなかつたということをそのあとで私はわかつたのです。従つてこの問題は出先機関の事務所長のなした行為ではありますが、少くともその送達が人の権利を公売にするという際に、その送達が少くとも本人の手に渡らなかつたということは違法でありまして、そうしてこれは訴訟に敗けたとか勝つたとか、その訴願を受けました際に、これは県に手落ちがあつたということでこれは取消した、かようなことになつておるのであります。
  355. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろ小さい問題を幾つもお伺いしますが、そこで一番知事さんにお伺いしたいのは、先ほど水利権の問題に対して、の諸観念がいろいろの経過を経て来ておるのですが、この水利権については財産権というようなもので考えるべきものでなくして、天下の大道を歩む大きな立場に立つた公益的な立場で水利権というものは決定せられるものである。だからすべてのものに対して、本来あるところの水利権等のものはすべて無視してよろしいとこういうような御態度を先ほど御表明になつております。それに関連して私は知事さんにお伺いしたいことは、これほど水利権公益性を持つた重要性を持つものだと、こうおつしやつておる半面において、今申しましたような鉱山の権利を過ぎてしまつたあとで、いろいろの問題ができてしまつたあとで、先端の係員が取扱を間違つたのだからすぐ取消した、或いは調査上の問題であるから、こういう名目の下に東北電力申請して参りますものには何かの含みを持つてずんずんと、現に誰が見ても変電所の整地工事であるというように見られるものを調査のための何かの準備だと言われればそれまででありますが、そうしたようなことを進められ、まあしばしば問題になつておりまするように、水利の権利の問題等に対しましても、東京電力が一応は自分の持ちまする権利の使用変更を出しておる。独断的な見地に立つてこれを不許可にしてしまうというようなことを、一つ一つ数えまするならば山積していると思う。あなたが一電源開発水利権そのものが公益性を持つた非常に誇らかなものだと、こうお考えになるならば、こういうものの一つ一つ取扱の上にそれが出て来なけりやならない。あなたはみずから御表明になつておる通り、おれは技術家でもない、電気の経営者でもない、一知事でしかないのだと、このように御表明になつて、最もその経験においてそういうものを反映する上には私と同様甚だ不適任な立場におられるそのかたが、如何なる理由を持つてすべてのものに強硬にやつて行かれるか。地元に問題を起し、地元民の抗議があつても、その抗議で又問題を起して、現に今の地点より先に参りまして、田子倉の、田子倉部落で大問題を起している。私のところにもしばしば来て何とかしてくれ何とかしてくれと言つている。他県へ来て頼んでいる、議会へ来て頼んでおるというような問題まで起きておる。それに対して島君が先ほども質問されておりまするような、非常な強権的なもののやり方をしておられる。これはあなたが水利権公益的なもので財産権等じやないと言われる。その公正な位場の判断と、やつておられることは全く矛盾した御行動をとられておるが、これに対して私は大竹知事はどうお考えになつているかということをお聞きすると同時に、いま一つ重要な問題としてお伺いをしようと思つておりましたことは、先ほどから問題になつておりまする動き、只見川開発に対して、今まで知事が辿られた通り一つの信念といいますか独断的な信念とでも申しましようか、只見川の水は一滴もほかへ流さん、一河川水利権によるところの開発が妥当であるから、それ以上は一歩も譲らんという御信念があるかないか、こうお伺いしようと思いましたが、幸いにしてそうでないのだ、天下の大道に立つてその公益性に従うと、こう言われまするから、非常にまあこの点に対しましては私は明朗性を探り出して来たのでありまするが、今までの過去においては私はそういうふうに考えておりまするが、あなたは今までそういう点について矛盾があつたとお考えになつておるかどうかということをお伺いしたい。  その次に関連質問としまして松本委員長にお伺いしますることは、(「松本委員長はいないよ」と呼ぶ者あり)先ほど御説明の中に、この上田本名開発は少くとも大した問題じやないのだ、併しながらそれを今すぐさま県知事などが強行せられることは、当然この二点を拠点として逐次上流へまでその拠点を延ばして行つて、そうして工事を貫徹しようという動きがあると、こういうふうに松本さんは見られておるが、今までの知事さん等の動きに対しましては、どういう点がそういうふうなことを松本委員長に感じさせた点でありますか。簡単でよろしうございますが、一つお伺したいと思います。
  356. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 別にそうむずかしいことじやありませんが、そういうふうな一歩一歩、本名上田というものを橋頭盤にして既成事実を作つて行くやの考え方を世間に持たすということは、只見川を大きく、早期に、又できるだけ安く完全に開発するのに種々の故障を起し得られるものである。その点について心配しておりましたので、この問題も地点は小さいけれども、問題の扱い方としては大きく考えまして、東京電力並びに東北において宮下以上のものは共同計画をおとりになるほうがよかろうと考えておつた  ついでに申上げたと思います。それだけ申上げます。
  357. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今のお尋ねでありますが、今私は率直に申上げましたように、大手沢の鉱山の処分に対する手続は出先機関である事務所長の、その手続上に対して遺憾がありましたが、これを取消しまして両者の間に円満な補償の問題を取決めるように取計らつてつたのであります。ただかようなるこの水利権取消し、東北電力に与えたということは非常な暴挙である。かようなお叱りのようでありますが、私は何といたしましても日本のこの差迫つた電力事情からして、この際上田本名開発東北電力にやらせるということが一番国家再建に寄与するものであるという固い信念から私はいたしたのでありまして、今後決して暴挙をするというようなことは考えておりません。
  358. 清澤俊英

    清澤俊英君 このことは私はあと大竹知事との問答は議論になりますからその問題はそれでやめます。  松永委員長代理にお伺いしたいのは、先ほどから大分お伺いをしたいと思う点が明らかになつておりますが、ただ一つつております点でお伺いしたいことは聞き洩らしたのじやないかと思いますが、石原委員からの質問になつておりました昭和二十七年の二月の十三日に福島県知事から東北電力に対する水利権の問題について原資の書類が来ているのであります。その書類を受取つたかどうか、こういう点をはつきりして頂きたいと思います。それが第一点。  第二点といたしましてお伺いしたいのは、聞きまするならば松永委員長代理は電力再編成の前後を通じて、前から、編成後も一貫したる考え方で、只今もこの場所で御説明になつた通り上田本名の両地点に対してはどうしてもこれを一会社開発させることは無理であるから、これを東北電力東京電力との合同によつて開発させることが妥当である、これが一番いい方法である、こういうことでいろいろ努力になつておられたということを聞いているのでありますが、それをどういう工合いにあなたは中心になつてその努力を進められて来たのかということと、それほど重要なものをなぜに通産省又は当時の経済安定本部長官又は建設大臣等に、その相談をされたかも知れませんが、今まで明らかになつたところではしておられないようでありますが、そういうふうな点にまでの力を借りてでもこれをやろうとなさらなかつたのであるか、その点と、今一つはこの両者が折衝する中に立たれて東北配電と東電とが話を進めるようにどれだけの尽力をせられ、どういう経過を以ておつたかという点を一つお伺いしたいと思います。
  359. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 二十七年の二月十七日の書類委員会のほうに出ているに間違いはないと思つておりますけれども、私はその書類の受理並びにその取扱いについては事務局の手にありましたので、五人の委員会においてはつきり事務局からその御相談はその当時あつておりません。  それからなおそのことについて公益局長が見えておりますからその日にちや、或いは受付けたということは今お聞き下さつてもよろしうございます。無論参つているに相違ないと思います。  それから第二の本名上田のかくのごとき大きなものは東京電力と共にやるべきであるような重大なものであつたというお話でありまするが、それはそれに相違ないのですが、私が先刻から申上げておつたのは、只見川を如何に有利に、申上げるまでもなく日本に残つた一番大きな発電地帯であります。これをダムにするがいいということは大体議論がないのであります。ところが本名上田はダムと言うほどのものじやなく、梯子段式のまあ一時的の貯水池であります。本当に一時間か二時間かのオーバーフロウのきくものであります。私どもの言う只見川のダムというものは、一年を通じて水を貯える本当のダム、このダムの高さ、或いは水量、降雨量、降雪量、それが根本でありまして、それからこれをやる場合には資本の関係からいつても或いは水利権を持つておられる東京電力との関係からいつても、又測量そのほかに親身になつて骨を折つてもらつている東北電力あたりの完全な協力を得てもらいたい、而も非常に大きな資本が要るから、出資するとしても何十億もの出資をしなければならない。これは一時にできないことである。政府にも相談し、いろいろせんならん思いまして二十六年頃から話を始めた。私の記憶によりますれば二十六年の十二月に何度目かのお寄合いを願つたときに、どなたか社長か何かが御不参であつたために一月の六日に二度目か三度目の集りを願つたのであります。一月の十四日と思います。そのときに只見川を大きく開発するのにはどういうふうに資本を出すか、誰がその工事の任にあたるかなどというようなこと、それから開発地点はどこからやるだろうかというような大体のお話合いが、両社長、副社長四人、そのほか技術参考者のかた、それから中立性の人として電源調査会の役員をしている鈴木鹿象君をそれに参加せしめまして、公益委員会直接に罷り出ていろいろなことを申上げるのもいけないと思いまして、大体のアイデアを鈴木君に申上げて両者にも申上げて十四日にお話があつたのであります。でありまするから、二月十七日の願書など及び福島県から来ております書面のごときも無論そういう大きな構想の邪魔にはなりましても決してプラスにならんことであります。この取扱いはついて無論慎重を期して許可するとか許可せんというわけには参りません。事務局にしてもよくそれは知つておりますから、書類委員会にすぐ出してどうしてくれぬかということを言わなかつたものだろうと想像するのであります。  もう一つお話に対して的確に申さなければなりませんが、さような意味におきまして本名上田というものは非常に大きな問題である、なぜこれをお前のほうはおろそかにするかということを言われることは丁度反対でありまして、大体只見川をきめるについて本名上田を持つているものは、先刻から申上げるように或いは下手にやるとこれが本流案の橋頭堡になる虞れがある。又分流案のほうから言いますとこれを徒らに蹴飛ばすというようなことになりますると東北その地元のいろいろ反抗も起ります。よほど慎重にせんければならんものでありまする。その点は重大でありますけれども只見川の大きな開発からいうと一小部分であります。両者の間で話合いがつきさえすればそれは東北でおやりになればいいだろう知事さんのほうからもそういうことを言うて来ておるのだから。只今から言うと本名上田は大変大きな問題で大只見川を上手に円満に開発することから言いますと、この問題はやはりその大きな問題の一部として包括して解決するほうが一番只見川全体の早期開発本名上田早期開発したためにあとの百何十万キロが遅れるということになりますると、何と申しますか、一を求めて十を失うというようなことになる、その点において本名上田は当時におきましては考慮すべき問題であります。資金関係、或いは技術関係、或いは早期開発に重点を置く問題ではなかつたことは御承知を願いたいと思います。
  360. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつと事務的なことをお伺いしたいと思いますが、その点まだ不安でありますが、後に別の機会に又事務的なものに対してはお聞きすることにいたします。  今度野田建設前大臣にちよつとお伺いしたいのは、大体この本名上田の両地点許可をいたしまする所要な点は時期が非常に切迫している、開発の時期を遅らせると一年長くなるから早くきめてやらなければならんという点、それから地元が非常に好意的であつて工事の連絡上非常に便利であるという点、既設の発電並びにこれから発電して行く下流発電との関連において非常な重要性を持つというような点と、只今問題になつております資金、技術等がたまたま東北電にある。これらにまあ自分は妥当なものとして閣議にかけて決定してしまつたのである、こういう御答弁が大体主だと、こう考えておりますが、只今松永委員長からお伺いしますれば、この許可をいたしましたことは将来の開発計画において非常な重大性を持つている、こういうことは明らかになつていのでありますし、それからでき上りましたところの電力の使用量に対しましても需給関係等については東北電力のほうで東京電力等が主張しております通り非常なこれも一つ考え方の中に入れなければならないのだと思う。又聞きまするならば、前に政府からの令命等によりまして東京電力では三十億有余の金をかけて群馬県から東京に通ずる二十七万数千キロの数千ボルトの高田線が完備しておるというような点が少しも考えられておらないで、ただ丁度先ほど大竹知事にお伺いするように、もう先人的に早期開発のためには何物を措いても今この両地点をやることが如何なる物をも犠牲にしても一番大切のことと、こういう福島県知事の独断的な考え方を丁度鵜呑みにしたようなお考えになつているのではないかと思います。而もこの水利権許可しますには水利権の第何条か、第十七条かによりますれば、これには公益性を十分認めた場合にこういう措置がとられるにかかわらず、あなたの許可を与える肚をきめられた理由の中には更に公益的なものを考えなければいけない、技術的な建設がうまく行くか行かんかそれだけの話でありますが、実際上の公益上の問題に幾多の疑義を残してこれを許された、本当に無理をして許されたという点に対しましては、現在野田さんはこれに対してどうお考えになつておるかどうかという、こういう点をお尋ねすると同時に、これはどうも無理な一つのコースをとられたのではないかと考えると同時に私はあなたの尊厳を害するようでありますが、現にこういう、先ほども栗山君によつて指摘せられましたが、吉田氏らの陰謀、その吉田氏の側近によつて圧力を加えられて、そうして賢明なる野田さんがこういう無理なことをやつたのではないか、こういうように考えられる点が非常にありますので、この点について一つ明確なあなたの御心境をお伺いしておきたいと思います。これが一つ。その次には現在この問題が結論的に見て、あなたは自分のやつて来たことがどうも出過ぎたというようなお感じはないのかどうか、私は少くともこれが巷間の無名氏がばら撒きまするパンフレツトなら別でありますが、少くとも衆議院の栗田英男氏が吉田氏らの只見川開発の声明を究明し、この中に盛つております事項を見ますならば殆んど戦慄するような事項があります。こういうものを議会に堂々と配られて、そうして今社会的にはこの電源開発を繞りまして、そうして実際の取扱い方は政治的な重大な問題として展開しておると同時に、国民がこれを議会のそとから眺めましたならば、今明らかにねつたいろいろな点が伝えられまするならば、ここには一大疑惑を持つであろう、こう私は考えるのであります。そうした場合に、民主主義の出発なお日が浅い今日、その国民感情が将来において、そうして国民の思想を非常に悪化させるところの重大な一つのポイントを今投げかけつつあるのではないか、こう私は考えまするとき、率直な一つ野田さんが、過去は問いません、今までやつたこの事実に対しましては、あなたの御信念が正しいと思つてつたであろうが、してしまつたあとでいろいろな不明朗な手続きを残したりいろいろな疑惑を残した、その結果から判断して今どういう御心境におられますかを附加えてお伺いしたい。
  361. 野田卯一

    参考人野田卯一君) この問題につきまして私もしばしば私の意見を申上げて、又従来の経過等を御説明する機会を与えられておるわけであります。私は今はおきましても自分がとりました措置は現在の与えられたる条件の下においては決して悪くない、正しかつたと思つております。それからこの問題につきまして栗田君が文書を作つて配られました。私のところに参りましたので私も拝見いたしましたが、それと同じ、或いは恐らくそれよりもつと激越な、もつと細かいいろいろな質問が実は本月十九日の衆議院のやはりこういう会合において直接栗田君から私に向けられた。それに対しまして私は詳細に答弁してございますので、速記録によつて承知願いたいと思います。で、私はこの問題がどうしてこう大きくなつたかと申しますと、これはやはり只見川が日本の最大の電力資源である、三百万キロを包蔵する大なる資源である。これにつきまして、この開発方式につきまして、例の福島県の本流案と新潟県の分流案というものがいろいろとくすぶつてつた、これは御承知通りであります。これにこの問題が巻込まれたと私は思うのであります。先ほども松永さんが言われましたが、我々は全然そういう気持で取扱つたのではない。ところがこの問題が起りました発端というのは、御承知のように確か読売新聞かどこかの新聞だつたと思いますが、福島県からの電報といたしまして、この決定がわかつたときに、これは福島のほうでわかつたらしいのですが、本流案が勝つたというようなことを見出しででかでかと書かれたことを私は記憶しておる、そういうことがいたく新潟県を刺戟いたしまして、これは大変だ、やられちまうぞ、こういうふうになつて、この問題に本名上田決定によつて本流案が強引にきめつけられでしまうのだ、こういう間違つた印象を新潟側に与えましたために、新潟県の人々がわつと沸き上つて、そうして猛烈に運動した。それに対してそんなことはないというので、福県のほうも又わつと沸き上つた、こういうことで一犬虚に吠えれば万犬これに応ずというようなことになつてしまつた。私はそう思う。ところがよく当つて見ますと、今日の会談でもわかるように、この間の衆議院でも同じでしたが、何もこれで本流案、分流案をこれで決定しようというような考えは私は持つておりません。事務当局も持つておりません。それから質問を御覧になればそれでわかるように、その問題については全然触れていなくて、閣議決定におきましても全然それには触れておらない。非常に事務当局はその点に戒心をいたしましてあの決定がなされておる。それはよく調べればよくわかるのでありますから、今日に至りましては本流案、分流案をこれによつて決定するのではなかろうか、そういう肚を野田は持つてつたのではないか、こういうような御疑問は解消しておると思う。併しながら一遍盛り上つたものは、やはりそれが静まるまでに一定の時期を要する。でありますから、こうして皆さんがお寄り下さつて問題を裁いて公の前に知らせて、そうしてどこにポイントがあつたかということをお尋ね下さつたことは、私は民主主義の建前から結構であると思います。でありますから私はできるだけ詳細に御説明申上げ、そういうことはない、こうであるということをはつきり申上げて御了解を求めている次第であります。
  362. 清澤俊英

    清澤俊英君 非常に不満足な御答弁で、私のお伺いしていることとちよつと別な御答弁になつていますけれども、非常に早期開発ということをしたために、こういう点で非常な無理が出ているのでありますが、少くとも野田さんとしては、当時の責任大臣として、今日本の電源開発の方式等に対して、どういう問題が起きているかということぐらいはよくおわかりになつていると思う。それがただ早期開発のためにはこれこれこれの点が非常に有利だからというので、非常にそれ以上に重要な、只今公益委員長の言われるような開発の方式とか、或いは資料の問題とかいうような重要な問題を抜きにしてこれをおきめになつたか。一体日本の国にここ以外に電気の開発すべき地点はなかつたのかどうか。聞きますればOCIの設計課、調査課などによりますと、本名七万五千キロ、それから上田が六万キロ、今度お寄せになつたの本名において五万五千キロ、上田において四万二千五百キロ、六百キロですか、こうした差額が約四万キロ以上できた。非常に電源開発の拠点とでも申しましようか、その資源が非常に枯渇して、一滴の水といえども最も有効に使いたい、それを活かして行きたい、日本の国の現実に副うようにして行きたいということは誰しも考えている問題だと思いますのに、そういう点などを全部無視して、そうしてこれをどうしてもせんければならんというところに私はどうしても納得が行かない。このくらいの十万キロ足らずのものならば、ほかに電源開発をすべき場所は幾らもあつたと思う。大臣としてはこういう重要なものは一月ぐらいあとへ延ばしても、一年ぐらいあとへ残しても、こいは一つ徹底的な調査の上で開発するということが考えられなければならない、私はそう思います。  そういうことをやらないで、日本の国においてこれだけ電源開発しなければ、これをしなければ明日の電燈がつかないというお考えの上に立つておられるように、どうも福島県の知事さんでも、早期開発早期開発……、早期開発をして悪いとは誰も言わないが、そういう態度の上においては更に考慮が払われておるかどうか。これは東北電力に対しましても福島県知事に対しましてもお伺いしたいのである。大体東北電力が持つている水源地というものはたくさんあると思う。それをなぜやらないか。何も紛糾したところへ、それを或いはいろいろ人の感情を壊して、そうしてだんだん電源開発を圧迫するようなところに問題を起すことに拍車をかけるようなことをなぜみんなやつておるのか、それをなぜ大臣は許したか、こういうことが私はお伺いしたいのであります。一体その点が私には了解できない。
  363. 野田卯一

    参考人野田卯一君) 私の率直な気持を申上げますと、今回の措置によりまして本省、上田にとにかく一年遅れないで開発ができまして、非常に日本の国に貢献すると思いますが、同時に私はこれが只見川開発の全体の速度を促進こそすれ、決して遅らせないと思つております。これは結果が証明しております。  それから、これだけしかなかつたかと言いますと、これだけでは困るのであつて、幾ら狭い日本でも、相当なる地点はあると思うのでありますけれども一つ一つとりますと……。やはりできるだけ能率を上げるものからとり上げて開発するということが重要じやないかと思いまして、ここはそういう点から見て最も適格な地点であつたと思います。
  364. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ちよつと関連して。私はさつき清潔君の質問に対して野田君の御回答をじつと静かに聞いておつたのでありますが、その中で本名上田地点決定したことは只見川の今問題になつておる本流案、分流案の将来の決定に対して何ら影響力を与えようというような気持は毛頭なかつた、今もそういう信念でおるということをおつしやつておりますが、これはあなたの御意見でありますが、その当時の建設大臣意見と違つた意見が同じ役所の中にあるということは私は事実を以て指摘いたします。而もそれは当時の公益事業委員会ではございません。この決定がなされたあと、いよいよ実行に移すために施設認可をする必要がありまするから公共事業令の定めるところによつて聴聞会を開かれ、その聴聞会を主催しました通産当局のいわゆる聴聞調書の意見書の中にそのことがはつきり結論として書かれておる。私が只今通産当局からもらいました先ほど読上げましたものの中には二十七年九月十六日のものでありまして、通商産業省審査官森哲夫から高橋龍太郎宛のものでありまして、それで而もこの中の先ほど読上げました結論は略したのでありますが、もう一遍重要でありますから読上げます。一つ本件許可の妥当性についてということであります。その一のほうでありますが、それは最初のところで途中略した所がありますから、それが問題になるところでありまするからもう一遍読上げたいと思います。閣議決定案においては本流案、分流案の決定に触れないとされているが、反対論三、四の指摘するごとく、又現に本名上田以下の工事により本流案のための既成事実ができつつあることは事実であつて、この点につき只見川開発方式を至急に決定する必要がある、少くとも本件許可に当つて電源開発調整審議会の了解を得ることが公明なる措置である。この途中のところは先ほど読上げることを略したのでありまして、野田さんの言われるように完全に影響力を与えないとはこれは書いてない、影響力を与えることは事実である、従つて将来放つておき、上流の決定に又いろいろな紛争をまき起すような虞れがあるからして、只見川開発方式というものは本名上田決定された以上至急に決定されなければいかんというのが意見書になつておるわけであります。従つてこれだけ重要な問題で、而も国民から関心を持たれている問題が今日においてもなおまだ建設省通産省との間において意見の相違があるということは、これは重要であろうと私は思うわけであります。この点は委員長に私は意見の一致が両省の間でできるように更にこの調査を進められるようにお願いしておきたいと思う。又若し将来そういう機会がないとするならば、本日ここで通産省並びに建設省のほうからもう一遍、時間が遅くなりましたが寄つて頂いて、そうしてこの点を明らかにして頂きたいと思います。
  365. 結城安次

    委員長結城安次君) 栗山委員の申出了承いたしました。
  366. 清澤俊英

    清澤俊英君 極く小さい問題ですが、この本名上田の両地点閣議決定あとで、目黒当時の河川局長はこの決定に対しては非常に反対しておられる、こういうことが確実なところから入つておるのでありますが、それに間違いないでしようか。
  367. 目黒清雄

    参考人(目黒清雄君) 我々は上司を補佐する義務がありますのでいろいろいきさつを申上げましたり、勿論いろいろの資料を提供し、大臣の御判断を願い、而もそれが五月頃には大体今の交渉の段階に入つたわけであります。それからあとでありますから閣議決定後我々が反対するというようなことはありません。又我々としてそういう閣議決定反対する理由は何も持つておりません。
  368. 清澤俊英

    清澤俊英君 あなたはそういうふうに言われるに違いないと私は考えておりますが、これは確実にたくさん証人もおりますが、事務当局では全部反対しておつた、こういうことを言うておるのでありますが、今の場合河川局長はそういうふうに言われると思いますので、この質問は止めますが、もう一つつておきたいのは、従来こういう閣議決定というような重要問題を決定される場合には野田さんの場合を除いて建設省の習慣として俗にいう省議とでもいいましようか、重要な関係者を集めて一応の意見を取りまとめてそれ持を出すというようなことが行われておつたのかどうか、この点をお伺いしておきたい。
  369. 目黒清雄

    参考人(目黒清雄君) 役所の行き方は必ずしも一つの形式でやつておる場合ばかりではありません。いろいろ仕事の重要性というようなことから、下からいろいろやつて上に持つて行く場合も、上から決定されて下つて来る場合もあります。要するに今のような形式はそう我々のところでは固く考えておりません。御承知通り水利権に関する関係河川局が大部分でありまして、ほかの局に関係するようなことがないのでありますから、大臣と河川局長或いは我々の下僚と相談いたしますれば、それが省議の形と考えていいだろうと思います。形式は我々は重要に考えておりません。
  370. 島清

    島清君 時間がございませんから要点だけをお聞きいたします。内ヶ崎さんにお聞きしたいのは只見川調査費用の額、更にその費用の額のうちに日発時代に出したものと、東北電力時代になつてからのものと、更にあなたのほうはこれを一つの財産として秘密に保管されておりまして審議庁あたりからのその資料の提出を拒んでおられまして、国家的見地から総合的の開発をする資料を求めるのに目下非常に困難を来たしておりますが、その三点について御答弁願いたいと思います。
  371. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 第一の調査費用が日発から幾ら引継いだかという御質問でありますが、只今そういう数字は頭に覚えておりませんが、大体のところは五、六千万円程度のことと考えております。
  372. 島清

    島清君 八千万円じやないですか。
  373. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) 正確な数字はお入りようなら、前以てそういう話があれば覚えて来ますが、社長は一々そういう細かい数字は暗記しておりませんから、或いはあなたがおつしやいましたように八千万円かも知れません。それから第二点は東北電力になりましてからは一ヵ年に五、六千万円程度の予算で調査費用というものを計上しまして、これは独り只見川だけではありません。東北電力全体の計画にそういう程度の金を毎年使うつもりでやつております。それから第三点、調査資料お話でありまするが、これは先ほど松永先輩からもお話ありましたように、私のほうはそういうものを握つてどこへも出さないということはありません。正式に私のほうへ申出を頂けば、そのぼうには御提出いたしております。現に公益事業委員会からもそういう資料を出せというお話がありまして、それを出してあります。ただ黙つてつて行かれることは、これは自分らの財産権を犯されるのですから、そういうことは慎んで頂かなければいけませんが、正式にお前のほうはあれを引継いだのだから、一つ天下国家のためであるから出せというお話であれば、いつでも欣然喜んで出します。
  374. 島清

    島清君 大竹さんと野田さんに要点だけをお聞きします。只今松永さんが御指摘になりました通り只見川開発というものは、中間において橋頭堡というようなものを作られると、非常に開発に支障を来たすのじやないかというような意味の御意見が述べられましたが、私なんかも只見川調査をいたしましてよく知つている者の一人といたしまして、決して上田本名のこの水利権争いというものは、国家の資源でありまするところの只見川を有効的に早期開発に有益になつたとはいささかも考えておりませんし、将来は非常に災いをなすであろうということを非常に心配をして憂えております。そこで大竹さんはその扱いについて遺憾の意を表されましたが、若し仮に何かあなた以外乃至第三者的な権威ある機関と言いましようか、そういつたようなものが、あなたに対して国家的な総合的な開発の面から遺憾の意を、更に裏付けをいたしまして東北電力とか或いは東京電力とかいうようなものに囚われないで、そうして早朝に電気化するというような話合いの勧告等がなされた場合には、それに応ずるだけの御意思があるかどうかということをお聞きしたい。  更に野田さんに対しては、或いは今日この委員会に出られる前までは、あなたはあなたが大臣として扱われた点については遺憾はなかつたのだとそうお考えになつてつたかも知れませんが、併しながらあなたの行政的な事務を扱われまするところの基礎的な条件を出しまするところの知事さんからは若干遺憾があつたということを表明された、そのことについてあなたが今日清澤君から指摘されました通り遺憾の意を表さないということは、どうも私たちは良心的に了解しにくいです。もう一遍今日只今の気持を一つお聞きしたい。その二点……。
  375. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今のお呼ねでありますが、上田本名の両地点に対しましては、これは絶対的に東北電力がなすことが当然であるという考えを今以て持つております。従つて第三者なり権威筋から御交渉があつたとしても、この地点だけはやはり東北電力開発なさしめ、現在非常にこの東北発電状態が悪い、こういう点にも大いに寄与してもらう、ただ一地区、一地方に専念すべきものでないということを望む次第であります。
  376. 野田卯一

    参考人野田卯一君) お話を承わりましたが、別段遺憾の意を表したいと思いません。
  377. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 大分遅くなりましたので、簡単に二、三の点を御質問いたします。  松永参考人にお伺いまするのでありますが、先ほどの御答弁の中に、この本名上田開発東北電力にやらせると、一つ開発を完成するために十の開発を遅らせるというようなお話があつて、非常にこれが只見川の全体の電源開発に邪魔になるというようなお話がありましたが、これは分流案というものを賛成されての御議論でありますか、それとも本流案を賛成されての御議論でありますか、それを一つ伺わして頂きたいと思います。
  378. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 本流案を元とし、或いは分流案を元として申上げたものでありません。全体の只見川開発から申上げたのであります。それから本名上田東北電力開発すれば、全体の只見川開発を遅らす虞れがあるというようなことは私の見解で申上げたのじやありません。御承知通り技術的に亘りますから省略いたしますが、段階式の発電というものは或る限度がありまして、もうだんだん勾配が高くなつて参りますと、むしろ或る大きなダムから水路にすぐに直結するのが工費の上からも、或いは能率の上からもいい場合があります。本名上田はよほど勾配が急になつておりますので、貯水量も従つて或る限度がありますからたくさんすることができません。そういう観念からOCIも私のほうも調べておつたのでありますけれども、だんだんその問題が今日のように紛糾しておることを考えますると、その当時からみんなが心配しておつたように、この段階式というものをどこまでも持つて行くということになると、自然全体の計画もそれに囚われる虞れがあるのであります。のみならず東京電力並びに東北のごときこの大きな開発に力を合せるという場合に、この本名上田のごときは、殆んどかれこれ九万キロと考えましても、十分の一或いは十五分の一にしか当らないもののために、種々の面倒を起さないことを念願としまして、よく話合いをして、お話合いがついたならば、この本名上田は或る程度の設定はきまつておるのだから、これを根本的に直す必要はないのだからどなたか早くおやりになるように心掛けたらよかろう、大体はこの僅かの問題のために将来の開発を面倒にせんように、その分流案がよければ分流案に潔く話ができるように、或いは本流案と申しますか、大きなダム式と言いますか、それがいいというなら又そのほうに話が行くように、要するに行掛りを成るべく作らんようになすつたほうがいいというので、話を十二月から一月にかけ専らしておつた次第であります。折柄議会では電源促進法案が出、それから電源開発会社案というのがそろそろ頭を出して参りました。まだこれは決定していないものであります。ともかくかかる大きな開発は、一会社があわてて急いでやるということは、却つて早期開発にならない。世間はいろいろな誤解を起すから、いわゆる橋頭堡を作るとか、或いは既成事実を作り上げて行くというようなことは、世間は往々にして考える事柄であつて、それのないようにおやりになるのがよかろうという注意をその当時したというわけで、私はそれは橋頭堡であるというそういう非難がましいことを申上げているわけじやありません。
  379. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 もう一つお聞きしますが、安藏参考人から先ほどまあOCIの調査は余り重視しない、それにこだわらずにやつて行くというようなお話があつたのですが、私の聞いておりますところによりますと、OCIというのは世界的に権威のある調査団で、従つて何億という国費を使つて調査を依頼したのでありまして、私は相当これは権威のあるものであるというふうに思つておるのであります。従つてこの調査の結果というものはよほど重視しなければいけない。かように考えておるのでありまするが、今安藏参考人は余りこれに重点を置かないというようなお話でしたが、松永委員長代理は如何お考えになつておられますか。
  380. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 今の御質問に私の答弁が関係しておるようですから申上げます。私はOCIの調査を軽々しくしてはおりません。無論あれは重要視しております。ただ私は先ほど申上げたのは、あのままは受け入れません、こういうふうに申上げたのであります。誤解のないように願います。
  381. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 松平さんは安藏君の答弁について私の考えをお聞きになつたのでありますが、まあ大体安藏君もそのつもりで、今返事された通りの意味でおつしやつたと思うので、一つあれで差支えない。ただ一言……国の金を使つてOCIに調査をしてもらいました。無論これは尊敬せにやなりませんが、OCIの考え方につきましては技術家でありますからできるだけ一キロワツトでも安く作つてやりたい、これは当然のことであります。ところが只見川のごとき雪が非常に多い、或いは伊南川方面のごとき非常に太平洋の雨が多い、かかるものを合流して作ります場合は必ずしも安く作らなければならんということはない。やはりできるだけ積る雪も降る雨もできるだけ大きなものをキヤツチしてこれを流すということが必要であります。その点においてOCIの議論は少くとも私の議論とは違つております。OCIはよく記憶しませんけれど、あれを上手に作るためには余りに雨、雪を溜めるということに囚われずに安く作つてそして火力発電所を以て補給するがいいということが議論になつております。それから新潟の分流案は結構でありますけれども、どうも地質調査がまだ十分できておらんのに軽卒に新潟案に賛成することはできないと言つておる。然らば地質調査というものは全くしてないか、或いは全く見込がないものであるかというとOCIはそうは言うていない。自分のほうは調査する時間が誠に少い、先ずよく調査のできなかつたものはまあまあそれはそうとしておくほうがよかろうというようなまあ常識的な議論でありました。これは電源調査会或いはそのほかの調査においては、地質の調査においてはなすべきものは、まだそれはいい、疑いの存するがために設計を途中半端にきめるということは甚だ遺憾であると思つております。まあそれくらいのこと、そのほか詳しいことをみんな申しますれども、私の感じから言うとそんなことでありますから、OCIは……それから大変な何億とおつしやられましたが、私の記憶では六千何百万円だと思いますから、そう大したことはありません。
  382. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 最後にもう一遍安藏東電会長にお尋ねいたしますが、さつき木村委員からお尋ねした問題でありますが、大変どうも私はつきり呑込めないもので、もう一遍重復するかも知れませんけれどもお尋ねいたしますが、日発から東京電力上田本名水利権を譲受けた、そのとき福島の知事の話では、当然証拠金といいますか、それが納めらるべきであつたのが納められていない、従つて知事としては水利権が確保されていないというふうに考えた、というようなお話でしたが、これはどうして証拠金をすぐ日発から継承されたときにお納めにならなかつたのでありますか。
  383. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 上田本名を日発から引受けたものではございません。従来とも私どもが持つた水利権なんでございます、ということを再三申上りげたのであります。
  384. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 そうしますと、これは昭和十八年前に納めた証拠金を取返してあるのでありまするが、その後日発が直ちに取返されたわけなんでありまして、その後日発がなくなつたなら、その証拠金というものが必要であると思うのでありますが、その点に関しましては……。
  385. 安藏彌輔

    参考人(安藏彌輔君) 私もそうだと思いました。併しながら一度返されてそれをどこの県でも何とも言つて参りません。私は納むべきだと思いました。金額なんか問題じやありませんが、返された水利権がなくなつたとかいう問題ではございませんので、そういう事実があつて然るべきだと思いますが、何らの指令もございません。
  386. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは東北蔵力の社長さんと大竹福島県知事にお伺いいたしますが、この「吉田、白洲の陰謀」というパンフレツトを見ますと非常に重大なことが書いてあります。「私の調査によれば、東北電力は総選挙に際して、大竹福島県知事、蓮沼県会議長を通じ、五千万円を自由党に非公式に献金し、福島県知事に対しても三千万円を献金しておる。其の他についても調査中であるが……」こういうのが一項。もう一つは福島県におきまするところのこの電源開発のいわゆる本名上田等を買受けました開発相談のすべては東北配電のほうから係員が来て金が支払われておる、こういうようなことが明らかになつておるのでありますが、これをこの通りかどうかをお伺いすることは実は野暮過ぎる、こう思いますので、そういうことはないとおつしやるのじやないかとこう思いますので、それでお伺いいたしませんが、先ほど野田建設大臣にお尋ねしまして満足な答弁を得ておりません。で、非常に遺憾には思つておりますが、それと関連して、結局今問題になつておるのは何かしら吉田、白洲の、いわゆる吉田側近が無理押しをやつて、そうしてその陰には東北電力並びに福島県と密接な関係の下に何かしら無理をやつたのじやないか、これが世間一般で考えられており、又我々もそうではないかと思つて、一生懸命そうでないという線を出すために実は努力しておるのでありますが、なかなか明朗性がはつきりして参らんというようなとき、こういうものが仮に出たとしますならば、先ほども申上げました通りこのパンフレツトはただ単なる巷間のパンフレツトではなく、衆議院議員の栗田英男という銘を謳つて相当信憑性に足るとでも申しましようか、責任のあるパンフレットが出ているのでありますが、この点についてこういう問題をそのまま闇に葬つておかれるつもりか、何らかの処置を以て身の明しを立てられる御決心を持つておられるのかどうかということを一つ御回答頂きたいと思います。
  387. 結城安次

    委員長結城安次君) 簡単にお願いします。
  388. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今のお尋ねでありますが、これはかような事実は全然ありません。この問題に対してはよく研究して適当な処置を講じたいと思つております。
  389. 内ケ崎贇五郎

    参考人内ケ崎贇五郎君) さような事実はございません。  それからもう一つは我々は無理なことをやつたとは考えておりません。当然やるべきことをやつて成功しておると、さように考えております。従つて何らの弁明や何かの必要は毛頭ないと考えております。
  390. 結城安次

    委員長結城安次君) お諮りいたしますが、地方行政委員長油井賢太郎君より委員外発言をしたいという申出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  391. 結城安次

    委員長結城安次君) それでは簡単にお願いいたします。
  392. 油井賢太郎

    委員外議員油井賢太郎君) ちよつと松永さん並びに大竹さんに一点だけお伺いしておきたいのですが、電力開発というものは資金と技術さえあればこれはいつでも簡単にできるような考えを持つている人が相当あるようですけれども、我々考えますというと、地方自治体或いは地方住民というようなものの協力ということは相当大きな問題になると思うのであります。松永さんは全国各地に亘つて電源開発に経験の深いかたであられますけれども、今日までにおいて住民の協力がなかつたというようなことによつて非常に支障を来たした電源開発の経験がおありであるかどうかという点と、大竹さんにお伺いしておきたいのは、福島県下おいて若し地方民の意思に反するような、いわゆる地方住民の考え方と違うような開発が行われる場合に、たとえ如何なる資金を厖大につぎ込んでも円満に行かれるということが私は困難だと思いますが、福島県の場合に当つてはどのような事態になつておりますか、この一点を伺いたいと思います。
  393. 松永安左ヱ門

    参考人松永安左ヱ門君) 今のお尋ねは御尤もでありまして、どうしても電源開発、殊に最近の傾向でありま下る埋没地を多く出すがごとき問題は、つまりダム式建設に移りまする場合は最も地方の協力を得なければなりません。旧来これに対して弁償金を払えばいいとか、或いは地方官憲がその他と協力して高圧的に行くというような古い歴史を顧みましても、それはことごとく失敗しております。今後その問題が大誉なりますれば、ますます地方民の協力を得なければなりません。併しその協力を得るというのは、ただ金を出すとか或いは強権でどうするとかという協力ではなくして、そのダムを作ることそれ自身がその地方のために大きな利益になる、その利益のあり方について地方のほうによく申上げる、それから具体的にどういうことが他方の利益になるかということを示すことそれから又換地がないと言えば換地を世話することについて万全な努力をしなければならんということ、私はその方面に鉱山そのほかの浸水没地があるという場合におきましては、技術的に金をかけて万全な操作をして、僅かな鉱山の権利といえどもやはりこれを保護して行くという大きな雅量と力を以てこの開発に当らなければいかんと思います。世の中にはよく政府事業であると開発は楽だ、こういうことを言いますが、或いは民間ではなかなか大きな仕事はやりにくいと言いますが、私は今日地方のかたは政府の命令だからといつてへえと言つて権利を投げ出す時勢ではない、やはり民間でも政府でも地方人とよくお話になつて、第一は利害得失の点について明らかにお話になつて、次にはできるだけ感情を弄しないようにしてお話になることが必要だと今日といえども信じております。
  394. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今の油井さんのお尋ねでありまする、早期開発には資金と技術さえあればできるか、これは地方民の協力がなければできないと思うがどうかというお質しでありますが、これは資金と技術のみで決してその目的を達成されるものではありません。絶対的に地方民の理解と協力がなければこれは事を運ぶことはできないということを銘参記して頂きたいと思うのであります。
  395. 結城安次

    委員長結城安次君) 本日は参考人のかたがたには長い間誠に有難うございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時七分散会