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1952-12-18 第15回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十八日(木曜日)    午前十時五十五分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     油井賢太郎君    理事            西郷吉之助君            中田 吉雄君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            岡本 愛祐君            館  哲二君           小笠原二三男君            原  虎一君            岩男 仁藏君            岩木 哲夫君   衆議院議員            鈴木 直人君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部次長     谷口  寛君    国家地方警察本    部総務部長   柴田 達夫君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   参考人    全国自治体警察    長連合協議会事    務局長     戸沢 盛男君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○町村警察維持に関する責任転移の  時期の特例に関する法律案衆議院  提出)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 只今から委員会を開会いたします。
  3. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 大変私勝手がましいことを申して恐縮でございますが、この警察法の一部を改正する法律案ですか、町村警察転移の問題については、私のほうは質問したい点がありますが省略いたしたいと思います。それから討論も今のところ省略いたしたい。採決する場合に、意思決定はしておるが、今意思をここで申しますと筋が違いますし、小笠原君やその他の人の態度に牽制的なことになつてもいかず、又一部の者に扇動的なことになつてはいかんから、いずれも慎みたい。従つて改党議員がこの重要な法案審議のときに欠席するのは大変恐縮ですが、それだけ申上げまして、ちよつと止むを得ないなにがありますので欠席いたします。採決のときは罷り出て採決に移るつもりでありますから。
  4. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 承知いたしました。  本日は町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案審議を続行いたしたいと思います。  なお皆様にお諮りしておきますが、本日の午後地方制度調査会が開催されるので、当委員会からも相当そのほうへ御出席がありますので、大体午前中にこの法案を継続いたしたいと思うのであります。そしてできましたならば大体法案性質上本日中に採決をいたしたいと思いますが、さよう取計らつてよろしうございますか。
  5. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 只今異議ありというお言葉ですが、大体午前中だけということだけはあらかじめ御了承おきを願いたいと思います。それは改めて又お諮りいたすことにいたします。  なお今日は国警長官斎藤昇君、国警次長谷口寛君、同じく総務部長柴田達夫君が出席しております。なお衆議院から提案者代表として鈴木直人君が見えております。更に田中警視総監只今出席要求中でありますから、あらかじめ御承知おきを願います。  質疑を続行いたしますが、質疑のあるかたは御発言願います。
  6. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 前回この問題については、主として谷口政府委員質疑を交わしたのですが、時間切れになつて問題を残しておいたのですが、谷口次長は再三国警側の考えていることを述べられていましたが、この国警側の考えというものはイコール政府法解釈であるのかどうか、政府委員である立場に立つて一応御答弁つておきたい。
  7. 谷口寛

    政府委員谷口寛君) お答え申上げます。前回四十条の三の規定によりまする住民投票に付する決議町村議会に諮る問題につきまして法律上の解釈質疑があつたのでありますが、その場合に私はこれは飽くまで警察を維持しないことを住民投票に付する議案を提出するものであつて廃止そのもの意思町村議会決定するものでない、かように申上げたのであります。この解釈は現在におきましても特別に変つていないのでございまして、この前のときにも申上げました通り住民投票に付する議決議案内容といたしましては、当該町村自治体警察を維持しないことを内容として、それを住民投票にかけるという決議でありまして、単に当該町村警察を維持しないか、するかというようなあいまいな聞き方を住民投票に付するのではなくて、飽くまで当該町村警察を維持しないということを内容とし、住民投票にかけるという点につきましては、前回も御説明申上げた通りであります。併しながらそれを以て直ちに当該町村議会自治体警察廃止する意思はつきり持つておるものというようには法律上は解釈できない、かように考えるのであります。勿論御意見にもありましたように、そういう議案を提出するのでございまするから、当該町村警察町村議会といたしましては、自治体警察廃止したというような意図が一応推測せられるというのは考える余地があろうかと思いまするけれども、法律上の解釈といたしましては、飽くまでこれを住民投票に付する決議の案を提出するわけであります。廃止されたものを当該町村議会が持つておるということはできなかろうかと考えておるのであります。その後いろいろ御質疑によりまして、従来からの通牒或いは自治庁解釈例等も調べたのでございまするが、今まで余りその点について明瞭な、而もずばりとその結論を示すような通牒も出ておらないのでございます。ただ自治庁から出たものといたしまして、自治体警察を維持するか或いは廃止するかということを住民投票に付する決議案が有効であるかどうかというような式の照会がありました場合において、この四十条の三の規定によれば、当該町村警察を維持しないことを内容として住民投票に付する議決をするのが普通の考え方であつて、維持するか、しないかということを聞くことは必ずしも適切ではない。併しながらそれによつて行われた住民投票は違法ではないというような程度照会通牒が出ておる程度であります。はつきりしたものがないのでございます。従いまして前回に申上げましたような趣旨において、自治警察を維持しないことを表明して、それを住民投票に付する議決案を出すのでありますけれども、法律上の解釈といたしましては、それを住民投票に聞いてみるという議決でありますけれども、当該町村そのものが、町村議会そのもの廃止意思を持つておるということを法律上の解釈としては議決するわけには参らない、かように考えております。
  8. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は警察を再び維持する或いは廃止するということを決定する最終的な意思決定住民投票によつて行われる。その場合に方法が二つ規定されておる。住民みずからの数によつてその意思を発議して住民投票に付する場合と、町村議会において発議して住民投票に付する場合と二つある、こういふうに一般的に考えると、廃止したいと思う住民がこの住民の数を固めて、住民投票に直接持つて行くことになるから、これと同様な考え方を以てすれば、町村議会廃止することを決定してこれを住民投票に付するという手続議決して、そうして第二段階の最終的な住民投票に付する、こういうほうが地方自治というものの運用においては正当ではないだろうかと考えるのであります。何もないのに、廃止することを住民投票に問うことを議決するという議案町村議会に出して、町村議会議員は、廃止したいと思うので住民投票に問うことに賛成するかたもあれば、廃止するしないはもう自分たち意思は明らかにしたくない、けれども、住民投票に問う意味で、住民側がやるというのなら、やるというそういう手続だけは私は賛成してよろしい、そういうような者が二重に賛成の札等を入れて、そして手続として住民投票に付する手続だけをして、町村議会がこうした議決をするということは、私は実際の運用の上から行つてむずかしい形ではないのじやないか、そういうように思つております。自分意思責任を明らかにしないでおいて、そして選ばれた代表者である議員が自己の意思を明らかにせず、町村議会議決によつて意思を明らかにしないで、あいまいにしておいて、そしてその結果だけは住民決定に問うのだという、そういう行き方は、私は自治体運用から言えばむずかしいことではないのじやないかと思われるし、もう一つは、この法が悪用される場合がある。先ほど申しましたうちにあるように、町村議会廃止するという意思を表明すると、反対側地方住民から反撃せられるのであります。或いは又はつきり維持するのだという意思をきめると又反対側住民から排撃せられる。従つて一応内容としては廃止するかしないか、一応住民投票にかけてみて、全国の今行われている廃止投票の例に倣おうと、こういう空気をただ単に助長して行くだけではないか。こういうあいまいなことであつてはいかん、私はそう思う。再三申上げるが、谷口次長は未だ残存する町村警察何がしなどという表現を用いておつたが、そういう考え方が澎湃として地方に滲透して、この警察法の前文にあるような地方自治の本義に徹した町村警察固有の、その町村民固有の権利である組織である警察国警側転移させる、こういうようなことをただ単にそういう軽々しい町村議会手続議決を以てだけで住民投票を行うということは、これは望ましいことではないのじやないか。警察法というものの精神にいわゆる望ましいとか、望ましくないということは別な問題でございますが、この法が示す通り自治体警察国家地方警察という二本建である、この建前そのものを一般的に論じて行つた場合には、そういう風潮を引起すことは望ましいことではない。ところがその法解釈によつてあいまいな町村議会議決が行われているのが全国のこれは通弊である。これは過去のことでありますが、某県において、某県の警察隊長が副知事に申入れて、市町村を指導してもらおうということで話合つたことで、これでいいのだというので、副知事町村長を呼んで、県下町村長を呼んで、これは議会においては廃止するという意思を何らきめる必要はないのだ、廃止するか、しないかを、この際、法改正になつた機会に住民投票に付するという意味合を以て、ただ単に手続だけをそういうふうにしておつて県下一せいにやつてみたらどうだ、それでなお住民投票によつて決したならば、如何ように決してもいい、かように指導した所があるのであります。そこで町村議会においてはただ手続をして、全県下ずうつとやる、やつた結果は今度は、そう言うと斎藤長官はおもしろくないかも知れないけれども、県警察国家地方警察課長級というかたがたは選挙期間中一ケ月県内出張所で、各町村長から、町村議会の議長から有力者を集めて廃止投票をさせるべくずつと運動して廻つた事実があるのです。そこで今度は自治体警察のほうは又それに反対して乗込んで行つて公安委員を中心にして維持する方向投票を求めようとして様々な文書が選挙中に自治体警察並びに国家地方警察側から出たという事例がある。こういう方向は私はフエアでない、望ましくないと思う。これは時代の風潮町村警察国家地方警察に移管して欲しいという住民意思がみずからの意思として盛上つて来て住民投票が行われる、そういうことになるのは私は法のある限り否定するものではない。けれどもどうしてもこの法の解釈を以てすると、町村警察そのもの廃止されるほうが望ましいことなんで、そういうことのための住民投票を再三繰返すことによつて町村警察というものは一切事実としてはなくなつて行くのだ、こういうことを狙つた法であるかのように考えられておる。そういうことであつては我々立法携つた者としては誠に不本意なことである。それでその点は私再三念晴らしにお伺いしておるわけなんですが、地方自治という建前から行つて町村議会内容として維持しないことを、警察廃止することを住民投票に付するという議決なんだ、それで町村議会は何ら意思はないのだ、こういうようなことは私は解釈としては正しくないのじやないか、こう思うのです。例えばここにありますように十二月なり、十月なり、時でもないのに住民投票が行われるということは、何のために行われるのか、いわゆるこれを発議する町村議会議員廃止しなければならんという意思があつて、こういう案を議会に出して来るということが私には正しい考え方である、又理事者がこれを出して来るとなればその理事者はつきりそれを意思しているのだということを表明するものと規定しなければならんと思います。そうでなければ何ら問題がないところにこういうことがひよこひよこと起つて来るわけはないと思います。私はだから堂々と町村警察廃止しなければならんと考える向は廃止するということを議会責任においてきめ、理事者もそういう意思をきめて住民投票に付するということのほうが正しい、そういうふうに思つておるわけなんです。これは私の意見でありますけれども、今後も地方で起つて来る問題については議会側速記録、その他を調査して見て、どういう形で町村警察廃止ということが行われて行くのか、どういう動機で行われて行くのか調査した上で、谷口政府委員の言う解釈そのものが法の精神を過ちなく伝えているものかどうかということは改めてお尋ねしてみたいと思うのであります。私だけ時間をとつてはなんでありますから、この点はこれだけにしますから、そこでなぜ私はこういうことを聞いておるかと申しますと、今後残存自治体警察陸続として、今回鈴木直人君以下の議員立法として提案されておるものが通過する曉には又こういう問題が起つて来る、安易に、便宜的に起つて来るということが予見されるから、私はこの問題をしつつこく聞いておつたのであります。そこで鈴木議員にお尋ねしますが、この法が通れば又陸続住民投票による町村警察廃止動きが現われて来ると考えるか、考えないか。これはそうして第二、第三と又国会はそれを裏付けて五月までの部分は六月一日から転移を有効にするとか、八月までのものは、というふうに国会が開会されるたびにこういう法案を新らたなほうから提出して来るような結果になるのではないかというのが私の意見なのです。この見通しについてお伺いしたい。
  9. 鈴木直人

    衆議院議員鈴木直人君) 今後自治体警察が百四十九残つておるそうでありますが、これらの町村警察を維持しておるところの町村自治体警察をだんだんと廃止するという見通しがあるかないかということでありますが、これにつきましては、実のところそれらの残つておる町村について調査をいたしたことはございません。そういう関係で、全く正直のところ見通ははつきりいたしません。そのまま残るものであるか、或いは又廃止されるのであるかということについては、この際見通しはつきりいたしておらないのであります。私の知つておる範囲内において、例えば福島県内には二つ町村自治体警察を維持しておるのでありますが、現在のその二つ町村情勢を見ますというと、維持しておることが非常にいいという考え方を持つておるようでありますが、現在のところこういうような法律が出たために、それらの町村が影響を受けて廃止をしようという考え方に移るということがないように、私の知つておる範囲内における町村警察維持の実情はそういうふうに考えておるわけであります。併しながら今後の推移によつて或いは又廃止するという気持になるかも知れませんが、そういうことをみますと、現在のところは全く私には見通しがつかない。ただこの法律を、特例法を作ります場合に、発案者のうちにもう一つの案があつたのでありまして、多くの発案者から二つの案が出まして、そのうちのどれでもよろしい、その一つ一つを立案するようにということでありました。で私は提案者の一人でもありましたし、衆議院におけるところの地方行政委員会理事でもありますので、いろいろ相談の結果もう一つの案、いわゆるそれは提出しないことになりましたのでありますが、この案はこういうのです。いつも翌月の一日に当該町村警察維持に関する責任転移が行われるという、その警察法の根本的な解釈の案であつたのです。それでこれは警察法を変えまして今後どんどん来るかも知れない。そうすると、例えば今月廃止したならば、来月の一月一日からもう当然転移が行われる、こういうことになる。その月に廃止投票があつたならばその月の翌月の一日から当然廃止される、転移されるというような警察法の四十条の三の第八項に但書を加えておく、こういうような案があつたのでありますが、これは根本的な改正でもありまするので、これはとりませんで、取りあえず住民投票が行われておるところのものに対して臨時特例的に来年一月一日から実行するというような、全く暫定的な、特例的な法律にして提案したような次第であります。それには先般我々の衆議院地方行政委員会本多国務大臣或いは犬養法務大臣から、次の国会には警察法の根本的な改正をするということについて提案をしたいと考えておりますが、今のところは法案内容については、全く研究中でございまして、只今は案がないという説明がありましたのでありますが、果して次の国会において提案するかどうか知りませんが、そういう意向なんかありましたら、この次の国会において根本的な改正というものが仮にあるというならば、そういう点も十分研究されるのであろうからというので、今回は全く住民投票の終つたものについてそれだけを一月一日に転移せしめるという極めて一時的な法律にいたしたのですが、将来のことについては、私全く見通しがつかないという正直な現在の心境でございます。
  10. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 政府警察法を根本的に改正するということはしばしば表明せられておるところでありまするが、その内容のわかつておる話題ということについて、町村警察が全面的に廃止されるものやら、廃止されるものやら一般論としては何ら言えないことであろうと思います。我々の今日における段階として論ずることは、次回に警察法改正になることがあろうとも、その内容が確定していない限りにおいては、これは二、三年を見通した長い計画の下における特例法を考えていかなければならんだろうと思う。次次とおつかけつこいたしてこういう法が出て来るのではないかという危惧を私は持つ。あなたには見通しがないというのでありまするが、見通しのないとなれば、こういう法案はなおのこと我々としては重要に審議しなければならない。即ち十月三十一日までのものが来年の四月一日から現行法律転移できる。従つて十月三十一日以降のものは、十一月三十日以降来年の十月三十一日までのものは再来年の四月一日からそれは転移せざるを得ないようになる。そこをもつと打割つて話をしますと、再来年の四月一日から転移するというだけ長い時間をとるもののうち、十一月、十二月部分のものだけは来年の四月一日からになつて、そうして一月一日以降三月三十一日まで、或いはそれ以降のものはずつと繰越して、再来年の四月一日からしか救済できない、こういう法律は誠に便宜的な法律、だからきつともう前日までに申請のあつた、十二月三十一日までに申請のあつたものは、直ちに一月一日から転移できるように、それほど救済的な措置を講ずる法律が、逆に一月一日から以降のものは、一年もやはり据置かれる、こういう状態における特例法というものは私は完璧でない、余りにも便宜主義だと思います。それでその場合には少くとも一月一日以降三月三十一日までに警察転移確定申請のあつたものは、四月一日から転移せしめるというような法律が必ずやあなたの救済したいという立場から、推論からいえば出て来なければならない。それをそれが出て来るかどうかわからんという話はおかしい。だから私は具体的にお伺いしますが、一月一日以降少くとも三月三十一日までの間に住民投票をして、申請のあつたものは再来年の四月一日までそれを黙つてつたらかしておくのか、又法を以て救済するという考え方を前提にしておいて、この法を出しておるのか、その点をお伺いいたします。
  11. 鈴木直人

    衆議院議員鈴木直人君) この特例法を立案する場合に、来年の一月というよりも、本年の十二月二十一日に住民投票が行われるところの町村がこの場合あるかどうかという点については、いろいろ検討したのですが、先ほど申上げました町村があるかどうか、今のところはつきり調査ができておりません。又私たちといたしましては、自治体警察というものは存続されるべきものであるという考え方を持つておりますから、この特例法を制定したために、存続しているところの自治体警察に、いわゆる成るたけ早く国家警察転移さしたいという考え方の刺戟を与えるということは、私たちとしていたしたくないというふうに考えておりまして、衆議院におきましてもこの法律案決議する場合に、附帯決議といたしまして、今後残つておるところの自治体警察に対しては、平衡交付金国家警察一人当りの単位なみに算定を引上げることとか、或いは大都市警察とか、駐留軍のいる町村自治体警察にするということに対しては、特別な国からの対策を講ずるようにというような附帯決議をいたしまして、往々にして財政的の不安のために自治体警察から国家警察に移るというような動きが見られているので、その原因を除去したいというような考え方から附帯決議をいたしましたような次第であります。従いましてこの法案のために、自治体警察が早急にそわそわとして早く国警に移つてしまうということは、感じが起らないように配慮しつつあるのでありまして、従つて私といたしましては、残つておるものが国警に移るということについては、現在のところ見通しがつかないのであります。ただ若しそういうものが本年の十二月二十一日以後続々として出まして、そうして再来年の四月一日から転移されることになるわけでありますから、それまではとても持たない。もう転移したのだから成るたけ早く国警に引取つてもらいたいというような町村が相当多くあつて、それらの町村の実態が本当に危機そのものであるというような場合においては、その時の情勢によつて参議院か、衆議院誰かが或いは議員立法によつてそれを提案することがあるかも知れない、或いはないかも知れないという、そういう情勢になるわけであります。従来の経過からみまするというと、そういうような町村がたくさんあつた場合には、或いは議員立法によつて出るかも知れないということは、今から推察はできないわけではないわけでございます。ただ今のところはそういうことを予想いたしておるわけではないということを申上げる以外に答弁はないわけであります。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 誠にどうも奇怪なお話を受けるわけで、そういう事態が起つて来た場合に、衆参両院議員のうちの誰かがそういうことをやるかも知れない、或いはやらないかも知れない、そんなあほらしいことを私は聞いておるのじやない。あなたの議員としての責任を問うておるのです。こういうことまでして十月一日以降、十二月二十一日までの部分のものは、来年の一月からもう警察転移できるようにまで、懇切丁寧な、救済手段をとろうとするこの特例法を出す限り、一月以降にそれだけ出て来たものを荏苒一年もほつたらかしておくというようなことをするのか、しないのか、このときになれば、又この特例法精神に照してあなた自身が責任を以て発議して来よう、こういうのであるかどうか、私はこれが正しいと思います。そういうことであれば、我々もこの法案について十分あなたの意見に副い得る途も出て来る。併し今度は今度切りなんで、あとのやつは出す人があれば出すし、出さない場合は一年もほつたらかされるのだ、こんないい加減な答弁で、誠に便宜的なこんな法を、国会として、自治体警察国家地方警察と両建である今日において、その点は、そうでありますかということで聞いておるわけにはいかん。而もあなたは再三申しておりましたが、こういう法規が得てしてやつぱりこういうふうにやつてもらえるものという予想の下に、やはり財政的に困るとか、その他の事情がある町村警察は多数あるのでありますから、調査しておろうともおるまいとも、一般論としては、やはり住民投票に付する町村自治団体が出て来るであろうということは、これは予想されるところなんです。而もここには出て来なかつたけれども、実は十月一日以降でも、もつともつとこういう救済手段が初めからわかつておれば、今年中にやりたかつたという町村も或いは今日においてあるかも知れない。ところがそういうことを予想することができなかつたから今廃止議決をしたところで、もう再来年の四月まで我々は持つて行かなくちやならんのだから、どうせ廃止議決をするにしても、もつとずらしてやつて行こうと考えておつた町村もあるかも知れない。さような情勢を考えて行つた場合に、少くとも議員立法するあなたの責任において、今後起つて来る諸問題については、確信を持つてつてもらわなければ、我々この委員会審議する者としてはえらい迷惑なことであります。誰かがやるだろうということでなく、あなたの意思を聞いておる、どういたしますか。
  13. 鈴木直人

    衆議院議員鈴木直人君) 私は実はこの法案を立案して、そうして成立を期待しておるものでありまして、今後又これに類した法案を出すということについては、そのときになつてみないとわかりませんので、今のところ返事するわけにはいきません。殊に今若しそれ現在の四十条の三において十月三十一日までにその転移決定があつた場合については、翌年の四月から国警に移管するのだという厳然たる法律がありまして、それによつてこれらの町村転移が行われたのでありまして、今後又住民投票というものになるならば、特例法を作つていつでも時期を早めて国警に移管するという意思を持つておるというようなことを将来について申上げることは、残存しておる町村に対して何らか成るたけ早く国警に移管したほうがよろしいというようなことでも勧誘しているように見られるかも知れませんし、そういうふうなことを考えますと、今そういうような将来のことについて申上げることもできませんし、現在は全然考えておらない。そのときによつて腹案が出る場合があるかも知れない。現在のところは、将来のことでありますので考えておらない次第であります。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたが将来のことを考えておらないということであれば、ただ単に五十数カ町の要望を入れるためだけの法律を出したのですが、そういうふうにしか聞き取れない。この陳情、請願等のあるものをそのまま受入れて、速かに転移できるようにだけ取計らつたのであるか。今後についてはこういうことはもうやりません、こういうことのように聞き取れる。あなたの意思としては、誰かがやるかもわからないけれども。それではもう一度お聞きしておきますが、これを発議したというのは、個人の無論名義による発議になつておりますが、これは自由党の党議を以て決定していることであるかどうか念のためにお伺いいたします。
  15. 鈴木直人

    衆議院議員鈴木直人君) 自由党員の中で法案を発議する場合においては、自由党のそれぞれの機関にかけまして、党議として決定いたしたものについて発議をするということになつておりまするので、発議する場合においては発議者の人たちの意向によつて発議したのでありますが、それを党議にかけまして、そうして正式に党議を経まして提案されたものであります。
  16. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) ちよつと申上げます。田中警視総監がちよつと都議会のほうへ出席中で出られませんので、自警側を代表して、自警連合協議会の事務局長戸澤盛男君が出席しておりますから、御了承願います。
  17. 原虎一

    ○原虎一君 これは発案者鈴木代議士も委員長も恐らく御存じないと思うんです。今小笠原君が質問されておるところは非常に重要なんで、第十三国会でこれと同じ特例法が出ております。そして五月二十日と記憶いたしますが、本年の五月二十日までに自治体警察廃止して、成規の手続をとり得るものに対しては十月一日から国警に移すという特例法を、当時衆議院議員の、ちよつと名前を忘れましたが、発案で出て来まして、そのときに逗子の自治体警察廃止の問題が出ておつたんです。而もその逗子の自治警察廃止の問題が逗子町でかなり議論されて、住民投票にするとかで、住民投票を二、三日で行うというような事態のときに、本参議院にその法案が廻つて来まして、で、各委員の同意を得てその住民投票を終るまで審議を延したことがあるんです。でありますから、発案者鈴木代議士はそういうことを御存じなくて今の御答弁をなさつていると思うのです。いわゆる本年五月二十日までに廃止決議をし成規の手続をとつた町村を十月から国警に移すということを特例法でやつているんです。そうしておいて、そのとき我々が懸念したのは、又その後に、廃止をやつた場合においてこういう特例法が出て来るに違いないから、いわゆる自治体警察廃止の奨励法はいかんという議論を僕らはいたしまして反対したけれども、これは採決の結果通過したわけです。併しそのとき我々が心配したことが、再び今度は人が変つて衆議院選挙もありましたが人が変つて鈴木さんが出て来られた。併しこのことは国警はよく知つておるはずなんです。でありますから、私どもが必配したことがここで再び繰返されておりますが、今小笠原君が質問していることは重要な点であつて、三たび繰返されるんです。そうするというと法律の尊厳……、基本法というものは侵害されてしまうんですね、自治体警察廃止決定をしたから、それを便宜上早く国警に移したりするという、この思いやりも考えなければならんでありましよう。けれどもそうなれば基本法というものに対する法の尊厳というものはなくなつてしまう、これは二度目です。恐らく今後一警察であつても陳情があれば、それは一警察であるから二十九年の四月からでなければ国警に移さんということは、二度やつた以上はできませんですよ。そこを小笠原君が衝いておるわけです。このたび発案して来られる以上は、昨年の十月三十一日以後二月、三月頃決定したものは国会開会中でありました。それを放任できないではないか、そう考えるのが発案者としては正しい考えじやないかということを衝くのは当然なんです。そういうことがおわかりになつていない。先ほどの御答弁ではおわかりになつていない。初めて鈴木さんはこれをお出しになつたようなお考えであるから、そこに食い違いがあるし、委員長はこの問題を非常に軽く見られて、折角きめた五十カ町村であるから、早く決定してやればいいというようなお考えではないかというふうに、決定を急がれていますけれども、問題はそういう大きな基本法というものの厖大な尊厳を傷つけるようなことが繰返されていることについて参議院はどうするかという大きな問題だと私は考える。そういう点から考えれば、一つ質問と同時に希望を附けて委員長にもお考え願いたいと思うのは、ここに請願書が参つているんです。国警編入に関する請願として、代表者は東京都北多摩郡の昭和町の町長並びに北多摩郡の国立町町長その他からの五十カ町村の連名になつておりますが、この理由として揚げているのを見ますと、「各地方自治体の財政難とその他の理由により、」こう言つて財政が主となつて、又その他の理由によりとありますが、これは法の手続によつて、一応そういう理由で法律上の廃止手続は終つているわけであります。併しながら我々は発案者がそうした法の手続を終つた町村、これを救済してやればいいというだけでこの問題は議せられないで、第一は、先ほど申しまするような基本法の、法の尊厳を傷つけるような特例法をやる場合においては、その請願の理由は、各地方自治体の財政的並びにその他の理由、これを究明する責任があると思うのです。でありますから基本法を侵害するような問題を、二度もやるという特例法を作る場合においては、なぜそういう問題が起きて来るかということを、国会として、国会議員として究明する責任がある。重大だと考える。そして地方警察側、即ち自治警の警察吏員の士気にもかかわる。一旦決定したものが早く国警に移らなければ士気にかかわる。これも重大な問題であります。警察吏員の士気にかかわる、従つて治安の維持にも重大なる悪影響を及ぼすことを憂慮しておる次第であります。こういう治安上重大なる理由を付して陳情しておるものを、この際発案者意見が正しいとして通しますると、次にこういう理由で陳情して参つた場合において、一町村といえどもこれを我が参議院は拒否するならば、今度は先の決定と次の決定が違うということになつて、一町村であろうと、これを決定すれば特例法をもう一遍設けてくれということは当然起ることであります。こういう点から考えれば、これは私はもつと陳情者の理由を究明して、こういう特例法を設けなければならんかどうかということを慎重に扱わなければならん。単に警視総監だけの意見或いは事務局長だけの意見を聞いて決定することは早計である、こう考えますので、先ほどから申上げるように前々からのいきさつを御存じない本委員長と、提案者鈴木さんとの御意見は先ほどの通りですが、我々が究明しなければならん問題であるということだけを十分に御了解願つて審議願いたいと思います。それで問題は、私は質問よりか意見になりますけれども、あえて質問をするということになれば、専門員のほうでこういう陳情を受けたときに、今私が申しました二つの点、経済的理由その他の理由、それからこのまま放任しておけば治安上非常に悪影響があるということについての陳情者からの意見を十分聴取されておるならばよろしいし、なければ私は代表者を呼んで調べるべきだと、こう申上げるわけです。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今委員のお話は、我々の意向としても十分そうあつて欲しいと願つておるところですから、これは本委員会でも終了した適当な時期に相談して頂くことにして、原委員の御了解を願つておいて、質問を続行したいと思います。そこで前回鈴木議員提案理由の説明の中にも、これら住民投票を経た町村警察の志気が沈滞し、治安の確保上由々しき問題であるというのも一点の理由として言われたのに対して、私はそういうことが理由となるようなら我々が過去に作つた法そのものが悪法であつた見通しがきかなかつたという結果になるので、重要なこれは問題である。従つて今回特例として提案されているような法案審議するという場合に、この特例によつて又次々と治安確保できないというような状態が、今後の住民投票に付せらるる町村警察において起つて来るならばこれは重要である。重大なことである。従つて抜本的にこれらの問題は解決しなければいかんと、こういうふうなことを前回申上げておつたのですが、ところが只今鈴木議員答弁では、五十幾つかの町村を救済するというだけのところに今本意があるので、今後のことは別だ、必要があると認めたものは何とかするだろうし、認めないものは何とかもしないだろう、私もどうするかということはなにしていない、これだけのことではこの法を私は納得して通過させて行つていいかどうか非常に迷う。いわゆるこの法を通すことによつて又治安確保できないような事態が起つて来るような町村警察転移住民投票を奨励するという結果になるならば、これは重要であります。重大であります。従つてもつと鈴木議員からお尋ねしたいわけなんだけれども、鈴木議員衆議院のほうへ参りましたら、今度は衆議院側になつたのか、なかなか口を開いて大胆率直に御答弁がないから少し時間をおいて、又よく考えておいて頂いて質問することにして、国警側に今度は二、三技術的な質問をしたいと思います。第一、私は専門員並びに委員長は誠に手廻しがいいと思つたことなんですが、この法案提案される日に当つて鈴木直人議員出席されることはいいが、誰がどう要請して国警側のかたがたが出て来たものか、誠にこれは手廻しがいい。国警側を呼ぶのなら当事者である自治体側も呼んで、両者呼んでありますからということで審議に便利なような取扱をすべきだろうと思う。ところが引受けるほうの側だけを呼んでおいて、そうして引受ける側のほうは予算上何ら差支えありませんという裏判を押すような答弁をしておる。これはどうも私はおかしいと思う。それは予算上の問題等が質疑の過程で鈴木直人議員の間から起つて来たとき、初めて国警側を呼んでそれで事情を質してもよいのだが、両方ちやんとおいでになつて、そうしてこの法案審議されるということは、事前に何か発議者と国警との間で十分に緊密な連絡提携があつて、この法案は出て来たのではないかというふうに小会派である我々は邪推したくもなる。どういう事情であつたかは、これは委員長並びに専門員に当時のことを私は質してみたいと思つておりますけれども、それでどうも私まだ納得できない点がある。あとでこれは委員長におかれても経過を御説明願つておきたいと思います。  そこで、谷口さんにお伺いしますが、今国警は千名からの欠員があるんだということですが、それはどういう事情で欠員になつており、それは全国的にどういう場所で欠員に、各府県警察でなつているものであるか。そのことがこの五十幾つかの町村警察廃止警察官を、他県等に居住を兼ねてというか、全国的な異動を行うことは不可能なのですが、非常に北海道と、局部的にこういう問題が現れているのですが、その居住区域内で賄い、各府県警察の定員を超えないというような措置でバランスがとれるようにうまく偶然に町村警察が訓練されて来るような事情になつて来たのかどうか、この二点をお伺いしておきたい。
  19. 谷口寛

    政府委員谷口寛君) お答え申上げます。第一の欠員の問題でございますが、これは前回も申上げましたように、治安の維持を担当いたしまする警察といたしましては、極力ありまする定員を最大限に活用することが最も大事なことでございまするので、極力欠員のありませんように努力をいたしているのであります。併しながら御承知のように警察官の充実をいたしまする場合においては、一般の公募から合格をいたしました者を一定の教養計画によつて最小限度六カ月の教養訓練をする、その上で欠員のある所、その他必要な場所に配置いたしまして勤務につけるということに相成りまするので、この計画の上におきましては六カ月の先を見越しましていろいろと募集並びに訓練の計画を立てるのでございます。その結果は現実の、当初に予定をいたしましたものよりも実際の需要のほうが若干上廻るというような場合、或いは若干それが下廻つて引続いて募集計画を立てなければならん場合、そういうことがしばしば起つて参るのであります。さようにいたしまして足らない場合を考えてみますというと、又それを補充する計画については、六カ月の先にその警察官の補充ができる、それから余りました場合におきましては一応その余つたものを全国的に配置につけるわけでありますが、今申上げましたような技術上止むを得ざる充員のズレから若干の欠員が出て参つておるのでございます。それを前回のときにも申上げましたように、約全国を平均いたしまして一%弱の欠員が出て参ると申上げた次第でございます。勿論この一%弱の欠員の状況というものは、今御指摘もございましたように各地域によりまして必ずしも一定をいたしておりません。所によりましてそれを若干上廻る所もございまするし、或いは下廻つておる所もございます。平均いたしまして一%弱というような状況に相成つておるのでございます。で、それを予算の上で計算をいたしました結果、今回の法案が成立いたしました場合においても、一月から三月までの一応の俸給給与はぎりぎり賄えるという点を申上げた次第でございます。  それから第二の点は、今度の転移に関係する町村警察が今の各地域の欠員の状態と丁度バランスがとれておるようにうまく行つておるかどうかというような意味の御質疑であつたと思うのでありまするが、これは全然バランスがとれておりません。この点は編入をいたしました以上は、国警の附加定員となりまして、国警の定員に組入れられまするから、その俸給給与といたしましては、全体としてその賄いをつけることができるのでございます。従いまして先ほども申上げましたような全国を通じての欠員に基きまするところの俸給給与の残額を運用いたしまする結果といたしましては、各地域が数字としてはアンバランスでありまするけれども、俸給給与の賄いといたしましてはシートする、かようなことに相成つておる次第でございます。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今の御説明を聞くと、国警側は日常やはり装備とか或いは警察官の待遇とか、非常に財政的にお困りになつておるようにお伺いしておつたのですが、この問題に関しての限りにおいては、一月から三月までの三カ月分とはいいながら、大犠牲を払つておやりになるということで、誠に殊勝なお心掛けなようですが、普通だつたらこれはそれはそれだけ附加定員になるのだから、附加定員分の金をくれと、こういうことになるのが筋だろうと思うのですね。それをなお狭められておる給与費の中で、欠員のための浮いて来る金を以て、附加定員で当然予算上要求できる給与費でありながら、従来のもので賄つて行くというお考えなんでございますが、これは政府との間にもそういう了解がついておるわけでございますか。
  21. 谷口寛

    政府委員谷口寛君) お答え申上げます。国警予算を効率的に使用いたしますることは我々の絶えず念願いたしておるところでございまして、決して余裕のある経理、運営をいたしておることではございません。ただ今回の法案議員提案として出ました場合において、これについて予算の裏付けの関係については、国警当局として一応の見通しがあるかどうかという御連絡並びに御照会がございましたので、それに関連いたしましては、先ほども御答弁申上げましたように、最小限度この附加定員に対する俸給給与のやりくりの程度はかたがたつけ得るから、運用の点から見て財政上の理由でこの法案が成立しないというようなことに関しましては我々としても期待するところじやない、我々としても財政上の理由でこれが成立しないというようには考えたくないというように申上げたのでございます。ただ御指摘の通り本来そういう附加定員が加わりました場合には、当然それに基いて予算を要求するのが建前でございます。ただ御承知の通り現在は補正予算というものにつきましては、いろいろな事情によりまして、今回の法案が成立いたしました後に補正予算を要求することができがたい事情になつておりますので、一—三月のつなぎにつきましては、今のような運用によつてつて参りたい、かように考えておるのであります。勿論この法案通りました以上は、来年度の予算に関連いたしましては、全体の要求をいたしますことはこれは当然のことでございます。その点につきましては一応大蔵当局と事務的な連絡はいたしております。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それだけの大犠牲を払つておる点から。国警側意思というものを忖度する場合に、この法が成立して速かに意思決定をみた町村警察は吸収して国警側の配備につかせたい、これが国警側の意向であるというふうに了解してよろしうございますか。
  23. 谷口寛

    政府委員谷口寛君) この法案が成立いたしますることは、国警側としても賛成いたすところでございます。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 賛成しておるわけですね。そうすると国警側としましては、先ほどから論議のあつたような問題が来年早々起つて来る場合に、やはりそれも再来年の四月まででなくて、いつかの近い機会に逐次吸収できるような特例を出してもらわなければならんということも演繹されて国警側の結論であると聞き取らなければならんと思う。この点は如何ですか。
  25. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 只今谷口政府委員から賛成しておると申しましたが、誤解があるといけませんから申上げますが、賛成しておると申すのは、この法案議決せられまして成立いたしますることについて、政府といたしましても又国警側といたしましても異存はないということに御了解を頂きたいと存じます。只今の御質問でありますが、今後こういう場合が起つた場合に、そのときの国警側の意向はどうか、或いは政府側の意向はどうかというお尋ねのように存じまするが、それはそのときの事情によりまして、やはり予算面でやりくりがつくということであれば、同じく異存がないというお答えになると存じます。併しながら予算その他の状態ではやりくりがつかんということであれば、予算の裏打ちができない限りは、政府側としましても或いは国警側といたしましても、これは御賛成を申上げるというわけにはいかない、異存がないということもできないということに相成ると思います。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 長官が立つて、鄭重な御答弁がありましたから、まあこれ以上はお聞きいたしませんが、ただそういう長官のお考えであつて、問題は別ですが、この特例法が出た場合に、次々とそういう機会が当然起つて来るような、町村警察廃止住民投票が行われる趨勢を作り上げて行くんじやないかという疑念が我々にありますが、長官としてはどういうふうに、この特例法を、この町村警察維持に関して、現実が動いて行くと把握しておられるのか、念のためにお伺いします。
  27. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) その点につきましては、今までの、今回を加えまして二回の例に鑑みてこれは考えてみますると、先般の場合には十月末日までに住民投票を終るべかりし町村が、住民投票手続の関係でそれが十一月以降に廻つた。実は十月末までにやりたいと言つてつたのが十一月以降に廻つて、そうなると転移が再来年の四月ということになり、こういうものがあつては非常に当初の町村の意向と余りに反し過ぎるから、若し予算のやりくりがつくならば、繰り上げて転移を行うようにして欲しいという陳情、請願が出まして、それに国会側がお応えになつたと私は思うのであります。今回の場合は十月末日までに決議をした、併し来年の四月まで法律によつてしなければならない。そこで先ほど陳情、請願の理由をお述べになりましたような次第で、又陳情、請願が出て来て、それにお応えになろうとしておられるのだと私は思います。で、これが通りましても、やはり来年の十月前後になるまでは私は一応こういう問題は起らないのじやなかろうか、来年の十月末日に決議及び住民投票が終つたというときには、私は又同じ陳情、請願が出て来るのかも知れません。これはわかりません。併しそれまでの間に年が明けてから、一月から続々と決議をして、そうして陳情、請願をして来るという機運には私はならないのじやなかろうかと、こういう見通しを持つております。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 自治体警察側のほうでは、こういうことから、どういう趨勢になつて来ると御判断になつているのかお伺いしたい。それが第一点。次には岐阜県妻木町が十二月の十五日の住民投票でございます。香川県琴平町が十二月十四日の住民投票でございます。而もこれの町村議会議決請求せられた日は妻木町で十二月の四日、琴平町で十一月二十四日、どちらもこれは十月三十一日までの現行規定とは何ら技術的にも事務的にも関係なく、その後に行われたものであるが、この二町はもう法律国会で最近出て来るだろうことを予想して、或いはそういうことを議員なりその他から情報を得て、と申しまするか指導を受けて、こういうことが行われて来たのかどうか。内容としてこの二つの町は再来年の四月一日までも、議決はしているが、現行通り警察は維持して行くということを覚悟の前で、こういう住民投票を行なつたのであるか。事情がわかつているならば、この第二点もお伺いしたい。それで若しも私が邪推するように、この二町が国会で早晩そういうことをやるのだというような情報を得て、それに便乗せんがために住民投票に付するまでのことを行なつたとするならば、その事態こそは、こういう特例法国会が出すということが悪例になるということをもう明らかに証明することなんでありますから、私はこの点は重要だと思つているのであります。それでどういう状況下にこの二町の住民投票が執行されたのか、おわかりになつておられるならば御答弁が願いたい。
  29. 戸沢盛男

    参考人(戸沢盛男君) 只今の御質問の第二点のほうから先にお答えいたしますと、岐阜県並びに香川県の二町において手続がとられたということは、私ども報告を受けておりません。又そういう事情になりました関係につきましてもわかつておりませんので、只今お尋ねのような事情があつたかどうかということはわかりません。かような傾向が全般的にあつたかどうか、将来あるかどうかという意味の御質問が第一点であつたと思いますが、果してどちらの状況が出て来るかということは、自警連といたしましても、はつきり見通しを付けることができないと存じます。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はこの妻木町、琴平町に関しては、委員会として住民投票の執行の動機については、或いは町村議会における論議の過程については、十分客観的に調べなければ、この特例法を仮に通す場合においても、いわゆる差迫つた十二月にこういうことが行われて来た点を、ただ事実として見ても、次の機会に譲るように割愛すべきであろうと私は思うのであります。而もこれが、そのことを申しますのは、若しもこれが、この国会において法が成立するのだということを事前に予知し、予測し、予見してこういうことを強行したという事実が起つて来るならばなお我々はそれをも許容してこの特例を認めて行つたという結果を来たすのであつて、私は議員としてはこの二町に関しては調査の上でないと、この特例の中に入れてよいかということについては判然と結論を持つことはできない。材料がございませんから、何とかこれはできるならば調査をしてもらつたあとでとつくり考えてこの法律案の成立なり、或いは否決なりが考えられて然るべきだ、そうでないと我々議員としてですね、何と申しますか、結果としては、便宜的に同調させられたという結果を来たすので、私はこの採決については躊躇するものがあるわけであります。それで今お伺いしたけれども、その事情は判明しておりません。従つてこれは国警側に聞く筋合いのことでもないし、国警側としてもそういうことは答えたくないと思いますので、鈴木直人議員に念のためにお伺いいたしますが、そういうことがないならないとあれば、私は鈴木直人議員の発言を信頼してこの問題について態度を決したいと思います。
  31. 鈴木直人

    衆議院議員鈴木直人君) この二つ町村でありますが、このうちの香川県の琴平町については先般もちよつと申上げたと思いますが、十月三十一日までに住民投票を終りたいという意図の下に町会において議決をしようとして町会を開いた結果、可否同数になりまして、議長が採決した結果、それを否決したという報告を聞いております。そこで結局住民投票にはならなかつたのでありますが、町民の中から三分の一の署名請求によりまして住民投票をするということの手続が合法的に行われたために、十一月三十日以後の十二月一日でしたかに住民投票が行われるようになつた、こういうふうに衆議院委員会において調査を命ぜられた後に、調査した結果それがわかつたのであります。岐阜県の点につきましては問題もありませんでしたし、それから調査もいたしておりませんが、私は先ほど小笠原さんから言われましたように、この前の国会に問題になつたことがあるということでありますが、いわゆる或る議員が今こういう法案国会に出されておる、だから早くやれば間に合うというようなことがあつたとかで相当問題があつたそうですが、そういうことはないと私はそう信じております。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 長崎県のほうに十二月七日、八日議決請求がありまして、住民投票が今月の十七、十八、明日の十九日という順序で行われる町があるようですが、これについては如何ですか。
  33. 鈴木直人

    衆議院議員鈴木直人君) それらの町村につきましても、特別にいわゆる住民投票のほうを速急にやるようにというようなことが国会側から行われておるという、事実はないということが調査の結果判明いたしております。
  34. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) では散会いたします。    午後零時二十六分散会