○原虎一君 これは
発案者の
鈴木代議士も
委員長も恐らく御存じないと思うんです。今
小笠原君が質問されておるところは非常に重要なんで、第十三
国会でこれと同じ
特例法が出ております。そして五月二十日と記憶いたしますが、本年の五月二十日までに
自治体警察を
廃止して、成規の
手続をとり得るものに対しては十月一日から
国警に移すという
特例法を、当時
衆議院議員の、ちよつと名前を忘れましたが、発案で出て来まして、そのときに逗子の
自治体警察廃止の問題が出てお
つたんです。而もその逗子の
自治警察廃止の問題が逗子町でかなり議論されて、
住民投票にするとかで、
住民投票を二、三日で行うというような事態のときに、本参議院にその
法案が廻
つて来まして、で、各
委員の同意を得てその
住民投票を終るまで
審議を延したことがあるんです。でありますから、
発案者の
鈴木代議士はそういうことを御存じなくて今の御
答弁をなさ
つていると思うのです。いわゆる本年五月二十日までに
廃止の
決議をし成規の
手続をと
つた町村を十月から
国警に移すということを
特例法でや
つているんです。そうしておいて、そのとき我々が懸念したのは、又その後に、
廃止をや
つた場合においてこういう
特例法が出て来るに違いないから、いわゆる
自治体警察廃止の奨励法はいかんという議論を僕らはいたしまして反対し
たけれども、これは
採決の結果通過したわけです。併しそのとき我々が心配したことが、再び今度は人が変
つて、
衆議院選挙もありましたが人が変
つて鈴木さんが出て来られた。併しこのことは
国警はよく知
つておるはずなんです。でありますから、私どもが必配したことがここで再び繰返されておりますが、今
小笠原君が質問していることは重要な点であ
つて、三たび繰返されるんです。そうするというと
法律の尊厳……、基本法というものは侵害されてしまうんですね、
自治体警察廃止の
決定をしたから、それを便宜上早く
国警に移したりするという、この思いやりも考えなければならんでありましよう。けれどもそうなれば基本法というものに対する法の尊厳というものはなくな
つてしまう、これは二度目です。恐らく今後一
警察であ
つても陳情があれば、それは一
警察であるから二十九年の四月からでなければ
国警に移さんということは、二度や
つた以上はできませんですよ。そこを
小笠原君が衝いておるわけです。このたび発案して来られる以上は、昨年の十月三十一日以後二月、三月頃
決定したものは
国会開会中でありました。それを放任できないではないか、そう考えるのが
発案者としては正しい考えじやないかということを衝くのは当然なんです。そういうことがおわかりにな
つていない。先ほどの御
答弁ではおわかりにな
つていない。初めて
鈴木さんはこれをお出しにな
つたようなお考えであるから、そこに食い違いがあるし、
委員長はこの問題を非常に軽く見られて、折角きめた五十カ
町村であるから、早く
決定してやればいいというようなお考えではないかというふうに、
決定を急がれていますけれども、問題はそういう大きな基本法というものの厖大な尊厳を傷つけるようなことが繰返されていることについて参議院はどうするかという大きな問題だと私は考える。そういう点から考えれば、
一つ質問と同時に希望を附けて
委員長にもお考え願いたいと思うのは、ここに請願書が参
つているんです。
国警編入に関する請願として、
代表者は東京都北多摩郡の昭和町の町長並びに北多摩郡の国立町町長その他からの五十カ
町村の連名にな
つておりますが、この理由として揚げているのを見ますと、「各
地方自治体の財政難とその他の理由により、」こう言
つて財政が主とな
つて、又その他の理由によりとありますが、これは法の
手続によ
つて、一応そういう理由で
法律上の
廃止手続は終
つているわけであります。併しながら我々は
発案者がそうした法の
手続を終
つた町村、これを救済してやればいいというだけでこの問題は議せられないで、第一は、先ほど申しまするような基本法の、法の尊厳を傷つけるような
特例法をやる場合においては、その請願の理由は、各
地方自治体の財政的並びにその他の理由、これを究明する
責任があると思うのです。でありますから基本法を侵害するような問題を、二度もやるという
特例法を作る場合においては、なぜそういう問題が起きて来るかということを、
国会として、
国会議員として究明する
責任がある。重大だと考える。そして
地方の
警察側、即ち
自治警の
警察吏員の士気にもかかわる。一旦
決定したものが早く
国警に移らなければ士気にかかわる。これも重大な問題であります。
警察吏員の士気にかかわる、
従つて治安の維持にも重大なる悪影響を及ぼすことを憂慮しておる次第であります。こういう治安上重大なる理由を付して陳情しておるものを、この際
発案者の
意見が正しいとして通しますると、次にこういう理由で陳情して参
つた場合において、一
町村といえどもこれを我が参議院は拒否するならば、今度は先の
決定と次の
決定が違うということにな
つて、一
町村であろうと、これを
決定すれば
特例法をもう一遍設けてくれということは当然起ることであります。こういう点から考えれば、これは私はもつと陳情者の理由を究明して、こういう
特例法を設けなければならんかどうかということを慎重に扱わなければならん。単に警視総監だけの
意見或いは事
務局長だけの
意見を聞いて
決定することは早計である、こう考えますので、先ほどから申上げるように前々からのいきさつを御存じない本
委員長と、
提案者の
鈴木さんとの御
意見は先ほどの
通りですが、我々が究明しなければならん問題であるということだけを十分に御了解願
つて御
審議願いたいと思います。それで問題は、私は質問よりか
意見になりますけれども、あえて質問をするということになれば、専門員のほうでこういう陳情を受けたときに、今私が申しました
二つの点、経済的理由その他の理由、それからこのまま放任しておけば治安上非常に悪影響があるということについての陳情者からの
意見を十分聴取されておるならばよろしいし、なければ私は
代表者を呼んで調べるべきだと、こう申上げるわけです。