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1952-12-04 第15回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月四日(木曜日)    午前十時五十五分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     油井賢太郎君    理事            堀  末治君            西郷吉之助君            中田 吉雄君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文君            原  虎一君            吉川末次郎君            岩間 仁藏君            岩木 哲夫君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    自治庁税務部長 後藤  博君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁財政課長 奧野 誠亮君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方財政に関する件) ○本委員会運営に関する件   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) これより委員会開きます。ちよつと速記をとめて下さい。    午前十時五十六分速記中止    ——————————    午前十一時十七分速記開始
  3. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 速記を始めて下さい。  この前の委員会から引続き今回の補正予算に関する地方財政の問題について、政府側に対して御質疑を願います。  なお今日は政府側から三種の資料が提出されておりますが、若し説明を要する点がありますなら政府側説明を求ます。
  4. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 人事院勧告通り給与を実施すればどれだけ地方財源所要額増加するかという問題について、二枚紙の資料を提出しております。総額覧に書いてありますように、人事院勧告通り実施いたしますと、三百八十四億四千万円の財源を必要とするのでありますが、要とするのでありますが、現在地方財政計画に考えておりまする数字は、備考覧に記載しておりますように二百七十五億八千二百万円でありますので、差引いたしまして百八億五千八百万円の不足額を生ずるわけであります。本俸等につきまして政府原案では二〇%程度増加になつておりますのに対しまして人事院勧告案では三一%程度増加になつておりますことと、年末手当におきまして更に五割の増給が勧告されておりまのすで、両者を合せましてこういう数字増加になるわけであります。  なお資料が間に合いましてこちらに出ておりますのに、どういう資料がありますか、記憶しておりませんけれども……。
  5. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは例の大蔵省とあなたのほうとのベースの三百八十何円というやつは、どちらを基点としての計算ですか。
  6. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 国家公務員に比して高過ぎるというだけを引下げたうえでベース・アツプされるということに必要な財源所要額計算してあります。
  7. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうすると地方自治庁は、府県及び市町村の現在のベースが、大蔵省言つておるように高くはないということに対して、どういう説得があなたのところはできておりますか。
  8. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) この前の委員会でもこの問題が議題になつたわけでありまして、従前大蔵省が単独で調査いたしましたことに対しまして、更に大蔵省自治庁文部省、三者共同調査いたしまして、その結果先に高すぎると言われておりました額を若干修正したわけであります。これらの調査方法なり或いは修正額なりは地方団体にも連絡いたしております。修正いたしました額を基礎にして今度の財源総額算定し、又修正いたしました結果、財源の組み足りない部分も今回の地方財政計画修正に当りまして補正をするという措置とつたわけであります。
  9. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 その措置はそれじやわかりましたが、この間から知事会議からも私たち呼ばれて詳しい意見説明を聞きましたし、市町村側からも聞いておるのですが、依然として大蔵省の見方に誤りがあると主張して、それに基く財源不足を強調してやまないのです。そうすると地方自治体に対してあなたのほうと大蔵省とだけ納得して、あなたのほうと府県市町村側との納得という点はできておらないのですか。その点をお聞きしたい。
  10. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) お話のように地方団体側ではいろいろ意見もあるようであります。ただ国として財源措置をいたします場合には、あるべき給与額として財源措置をするようにしなければならない。地方団体がどんどん昇給をした場合はあとからから追つかけて財源措置をして行くということは、必ずしも穏当な措置ではないのではないか、こういう建前をとつておるわけであります。併しながら地方団体で主張しております問題は、あるべき給与額につきまして地方団体給与額は高過ぎる、そういう議論は一応わかる。勿論あるべき給与額についてのものさしについても若干意見があるかも知れませんけれども、我々は別段異議はないだろうと思います。問題はあるべき給与額について国家公務員も高過ぎるのじやないか、こういう議論であります。従いまして県側が特に言つております問題は、国家公務員についても給与実態調査すべきであるかように申しておるわけなのであります。これにつきましては先の委員会でも申し上げたのでありますが、地方事務官につきましてはすでに調査いたしまして、あるべき給与額とはそれほど大きな差はない、こういう結論に達しておるわけであります。他の各省所管になりまする国家公務員につきましては、自治庁調査すべき筋合のものでもございませんし、大蔵省なり人事院なりが調査すべきものだろうと思うのであります。大蔵省としては一応いろいろな機会に調査をしておるのであつて、正しいあるべき給与額とは大きな差はないのだ、こういうふうなことを言つておるわけであります。併しながらそういう言に対して地方団体側は必ずしも納得していないのでありまして、共同調査をるとかいろいろな問題になるのかも知れませんけれども、若し仮に給与額が違つておりまする場合には、あるべき給与額に近付けるような措置をとつて行く、あるべき給与が低過ぎればこれを高めるような措置を講じて行かなければならない。併しながらいずれにしましても財源措固基礎になるべきものはあるべき給与額であつて現実に然るべく昇給されたそのものあとから追つかけかけ措置して行くべきものではなかろうというような考え方を持つているわけであります。
  11. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 私のお聞きしておる数字を婉曲に外して技術的な方面の延々たる御説明を聞きました。私がお聞きするのはその前提の問題であつて、そういたしますと自治庁は、大蔵省の三百八十五円か七十五円かの地方公務員のほうが給与ベースが高いのだということに対しては、大蔵省算定が正しい、そのようにまあ計数を出しておると思うのでありますが、地方自治体の言うておるのは間違いである、こういう判定をあなたのほうはしておるのかどうか。しておるのであつたならば地方自治体大蔵省とのけんかを岡で見ておるような姿でなくしてみずから解決されなければならん。併し今の説明からみますと、あなたのほうは大蔵省意見基礎として計数算定しておることは大蔵省意見を認めておるのであつて地方体意見を否定しておる、こういう解釈でよろしうございますか。
  12. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 大蔵省言つておりました高過ぎるという額につきましては、府県一般職員については百十四円、教育職員につきましては二十六円だけ間違つているということで修正を求め、そういうことに一致をいたしたわけであります。ただ府県自治庁言つておりまする考え方につきましては前提が異なつているわけであります。自治庁で高過ぎると言うておりますのは、従来から法律によつて定められておりまする給与改訂方法に従いまして、国家公務員のあるべき給与額を求めます、それを基礎にして地方公務員現実給与額計算いたしました場合には若干高過ぎるという結論が出て参るわけであります。この点に関しまする限りさほど地方団体側におきましても異議はないのだろうと思うのであります。問題はあるべき給与額と比較するのか、現実国家公務員給与額と比較するのかということでありまして、あるべき給与額現実国家公務員給与額との間における差があるか差がないか、地方団体側では差があるということを前提にして議論しているわけであります。自治庁では差がないだろうと考えているわけであります。差がないだろうと考えておりますが、自治庁側が勿論進んで……進んでと言いますか、自分の所管でもございませんので別段共同調査はしておりません。ただ地方事務官については調査をいたしております。その結果大体考えておりますることについては、それほど差はないだろうというふうな結論を得ているわけであります。  そこで仮にあるべき給与額国家公務員現実給与額とが違つている場合どう考えるべきであるか、これが一つ問題になるだろうと思うのであります。その際にもやはり国法によつて定められておりますところに従いまして国家公務員給与を考えて行くべきものなのでありますから、間違つた昇給が行われているのならば、やはりあるべき給与額に戻すという方法において考えて行かなければならないのではないか。併しそれは現実に即しているのだから、あるべき給与額を或る程度高めて行くというような作業もしなければならんのではないか。こういう議論も起きると思うのでありますけれども財源措置の面といたしましては国法に定められたるあるべき給与額に従つて考えて行かなければならないだろう、こういうような結論を持つているわけであります。
  13. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 あるべき給与額というものは国家国務員に準じたことを意味しておることであり、それから実質賃金実質給与というものはいろいろ雑件費だとか旅費だとか食糧費だとかいうもののトータルをネツトしたものだろう、その意味だろうと思うのですが、いずれにしてもあるべき給与額という問題と実質給与という問題とにあなたは意見を分けておりますが、併しこれは非常なまあ意見の内容が食い違うものも出て来ると思うのですが、要するに地方団体が今度の補正予算に対して平衡交付金増額であるとか起債額増加であるとか、いろいろやかましく言つて、非常に悲壮なる陳情といろいろの政策、行動が現われておるのですが、そういつた問題に対して、こうした給与を定めるに当つて差引不足に対して、地自治体にあなたのほうがもつと説得をせなければいかん地方団体自治庁行つても何にもならんから大蔵省へ飛びこえて話に行ついておると、こういうようなことで私は地方自治庁の権威というものは全く失墜していると思う。まあそういうようなことを必ずしも責任を持つてやる庁でないと或いは言われるかも知れませんけれども、併しいやしくも自治庁の大所高所の政治的感覚から見ても十分これを納得せしめて行かなければならないのではないか。あなのほうを飛びこえて大蔵省のほうへ持つて行つておるというようなことはどうか。もつと財源がないからこれで辛抱せいという理論が、基準がもう根本的に違うておるのだからというので、なんぼしても自治庁行つて自治庁は話がわからんから大蔵省へ行くのだ、又大蔵省へ交渉してくれというようなことばかりが現われておるのですが、もつとこれは地方団体納得し得るような点を話をつけてもらわんと、私は当委員会においても非常に困ると思うのですね。恐らくあなたの御意見と、ここに知事側市町村側の代表を参考人に呼んで聞いたら必ず食い違います。あなたの御意見と食い違う。いわんや大蔵省と食い違う。そんなみつともない恰好の悪いことがあつては、私たちはこの問題はどこをポイントにしてやつていいのかわからなくなつて来ると思うのですが、その辺の大臣解決方法は如何ですか。
  14. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) お話通り大蔵省側地方団体からの非常な修正方陳情や運動があつたということは、これは当初計画の際に大蔵省計算に基いておりましたので、そこを再検討させなければならんということから大蔵省に当つたものと存じます。そうしたことから再検討の必要ということが政府部内においても決定されまして再検討をいたしまして、今回地方側が高いとされた額を引下げることに結論が出たわけでありますが、今度の補正予算でその高いとされた額を引下げた、その調査につきましては大蔵省、それから最も地方公務員をたくさん持つておるのは教育行政関係でございますので文部省、それに自治庁の三者が連絡協議会を組織しましてそこで如何なる方法地方公務員国家公務員との比較をすれば真相が把握できるかということにつきまして、可能な限りそのあらゆる角度からどういう方法でやるかということを協議いたしました結果、一つ方法を、これによるほかあるまい、それには勿論時間の制約調査の仕事の量からも制約は受けるわけでありますが、期間にも間に合うように完全にやるのにはこれによるほかはあるまいということで決定いたしましたのが今算出されておる方法でございます。その方法国家公務員給与増額につきましては、それぞれ法令に定むるところでございますから、この諸法令に基きまして国家公務員給与はかくあらねばならんというその理論上の給与を出しまして、それとこの連絡協議会関係いたしました各省関係の者が、自治庁自治庁調査し得る地方事務官等について、そのものさしが果して実体給与との間に開きのないものであるかどうかということを検討し、大蔵省文部省等におきましても、そのできあがつた基準給与について実体給与開きがないかどうかということを十分勘案いたしまして、これならばものさしとして実態給与とかけ離れたものではないというものを定めたわけでございます。  一方地方公務員につきましてはまちまちになつておりますために、どうしてもそのあるべき給与というようなものだけでは行きませんので、八県については全員についての実際の調査をするし、そのほかの県についても抽出調査をやりまして、そうして地方公務員実態がどの程度であるということを確かめ、そうして一方作りました基準給与ものさしとあてはめて今回の結論が出たのでございますから、今度のこの地方公務員給与額につきましては、大蔵省文部省自治庁共同結論でございますので、今回のこれについては地方のかたがたがどういう関係大蔵省のみに余計行かれるかわりませんけれども、これは自治庁にいたしましても、教育公務員については文部省にいたしましても責任を持つて結論を出したものでございます。併し平衡交付金増加についても、依然としてやはり地方にはなかなか納得して頂きにくい関係もございまして、この問題についてもなお不満であるという声はなかなかこれをとめることは困難だと思いますけれども、極力一つ理解して頂くように努力して行くつもりでございます。
  15. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の大臣の御答弁よくわかりますが、最近我々は各地へ出て地方財政を調べて歩きましたが、今回前国会の改正で地方財政委員会がなくなつて地方自治庁一本になりましたところ、今回の地方財政の御説明を聞くと、従来は政府に対して地方財政委員会があつたので、不足分はつきり数字に出して委員会にも提出いしましたから我々も非常にその点よくわかつたのですが、今回自治庁一本になると、昨日までの御説明により又詳細な資料を頂いてもすかりその政府案の三百二十億に割切つている。かようなことであつては非常に自治庁一本にしたために、地方団体にとつては非常な不利になつて政府の思うままに地方財政を料理されるというような結果になつたと思うのですが、今いろいろ給与の問題もお話伺いますが、前国会であつたかと思うのですが、全部ではないが地方団体給与を調べたときに、公家公務員にしてかなり低いところも私は多数あつたように思うのです。それでそういうふうな少い府県平均してかように高いということを了承させたものかどうか、この点を一点伺いたい。  次に今度出された補正予算数字徴税収入自然増というので総計三十六億、而もそのうちでは市町村が四十四億の自然増というようなことになつているのですね。かようなことを非常に意外に思うのですが、最近も静岡群馬を見ますと静岡市の意見なんかでも、自治庁平衡交付金算定される場合に、例えば住民税なんかを非常に多額に見積つている。而もその人頭割なんという分については、もう我々は半分も取れんと思うけれども、非常に過大に見積られるので非常に困るのだというようなことを現実に聞きましたが、今回の政府の提案を見ても、市町村自然増が四十四億、足りないというのは府県だけであるというふうな数字になつておりまするが、私はそれは最近に石炭のストライキ鉱業連合会ですか陳情を受けた際にも、その炭鉱施設だけの分でも炭労ストの結果合計地方税において二十数億の赤字を出す結果になつたから、その点についても特に国会特別平衡交付金の配付の際に考えてもらいたいということを私この前にも陳情受けたくらいであつて、それが二十数億もあります。然るに今度のこの数字を見ると特に市町村は四十四億の自然増があるというふうなことになつてつて、その他群馬にもこの間行きましたが、やはり自治庁側徴税収入を過大に見積つておられるために予算が足らないのだというよなことが実際にあるのですね。併し自治庁のほうはそう考えておられない。自然増ということで四十四億あり、一方には一方的に経費の節減というので六十数億も、打切つているというようなことをやられて、而も非常に割切つて考えられている点には我々納得行かないし、これではさつき奥野君が説明しましたが、大宗についても決して納得いかんと思う、そういう点について、今月は後藤税務部長も出ておりますから、殊に我々が非常に苦しいと思う市町村が四十四億の自然増というものは実際はどういうふうな結果から出たのか、今炭労スト一つを見ても二十数億減という際に、こういうところに非常に私は平衡交付金総額見積る場合の非常な欠陥があるのじやないかと思うのです。その点について伺いたいと思います。
  16. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 最前の国家公務員給与地方公務員給与との開きにつきましては、お話通り国家公務員よりも平均給与の安い地方団体はたくさんあるのでごいますから、その安い低い国体と高い団体とのその丁度平均をとらなきやならんという考えで府県の選定について、或いは市の中からの抽出調査につきましてそういう点も十分研究をいたしまして、低い所と高い所の平均を見たわけでございます。  それから更に第二の地方財政の問題につきまして税の自然増収というものが過大に見積つておりやせんかというお話でございますが、実は当初相当充実したつもりで見積つてつたのでありますけれどもその後だんだん実績が経過いたしますにつきまして確実化することができたのでございます。それは法人等決算がだんだん進行して来たこととそれから手数料その他の普通税等につきましても月々の収入額というようなものがだんだん確実なものがつかめるようになつて来たこと、こういうことから自然増を更に多く見積ることができることになつたわけでございます。なお詳細は事務当局説明いたさせますが、一方お話通りに、個々地方団体にとりましては、地方団体行政区域内における事業の盛衰の著しいものも、例えば炭労ストライキというようなことで二月、三月に亘つて鉱産税収入が全然無なくなつてしまつたというようなものもできるかも知れないのでございます。そうしたものにつきまもては個々の問題といたしまして、税の自然増収があつた所はまあ平衡交付金交付額を減少するということもできますから、そうしたものは今度は個々の非常な基準財政需要額不足を生ずるというような所へ廻すというような運営の仕方をして行かなければならんと思います。以上のような操作のほかに個々の問題につきましては特別平衡交付金の保留してあるものもございますから、こうしたものを活用するというようなことで総合的には不均衡に陥らないように努力して行きたいと考えております。なお自然増収等見積りの根拠につきましては、政府委員から説明申し上げます。
  17. 後藤博

    政府委員後藤博君) 私から補正予算に伴うところの補正収入見込額算定基礎について申上げます。お手許に五枚ばかりの算定基礎における主なる相違点というものが行つていると思います。これで御説明いたします。  当初計画におきましては、二十五年度地方税実収及び本年度の経済上の予想を相当織込んで推定をいたしましたのでありますが、最近になりまして二十六年度の徴収実績はつきり分つて参りまするし、又二金七年度の四月以降大体九月頃までの徴収成績府県については大体全府県が集つておりますし、市町村についても或る程度推定がつくようになりましたので、又法人等の九月決算の状況もわかつて参りましたので補正計画を立てたわけであります。府県税におきましては、普通税において三十三億の減というものを立てております。法人事業税でありますが、これは昨年度は非常に伸びまして、我々の財政計画よりも百二十億ばかりの増収を得たわけでございます。ところが本年になりまして法人事業が非常に沈滞して参りましたので、又法人税等見込も最近になりまして相当見込総額を下げて参りましたので、それと殆んど大体歩調を一にしまして法人税の減を十二億と出しております。これは区分の欄のところにあります。先ず大きなものだけを申上げます。課税見込所得というのがありますが、これが四百四十億下つております。これは三月決算に比べて九月決算が大体一割くらい落ちておりますので、その一割落ち額に落したわけであります。これに伴いまして調定見込額を五十億ほど落しております。  それから徴収歩合を八五%から九五%に上げておりますが、これは昨年の実績が大体法人事業税につきましては九五%くらいの成績が上つておりますので、これは実績に合せたわけでございます。で第二の更正決定の分で、法人税のほうでは総額は当初計画と同じにきめております。で過年度所得で一割を落しておいて更正決定分で大体一割くらい加えております。併し私どものほうの法人事業税の立場から申しますとそのままそれをとつて参りますことは、地方団体における地方税の場合には大体ずれが相当ありまするので、私どもずれを相当見まして、見込額を七〇%に落しまして多少更正決定分の増を見ております。これは大体二百四十億、所得におきまして二百四十億ほどの増を立てております。それからもう一つ、大体法人事業税で大きなところはそれこれで大体十二億程度当初計画より落している。併し昨年度の実収から見ますると大体五十億ほど落しております。  次に個人事業税でありますが、これもやはり昨年の所得税基礎にしまして事業所得が大体五百億ばかり落ちておりまするので、これを落しまして計算をし直したのであります。大体三十四億程度の減収になつております。  それから特別所得税でありますが、これも所得税のほうの業務所得額が百七十億ばかり落ちましたのでそれに伴いまして落したわけであります。それから徴収歩合を七五%から八五%にしておりますが、これは大体実績が八四%くらいになつておりますので実績に合せたわけであります。  次に入場税でありますが。入場税補正で変えましたのは、当初計画におきましては大体二十六年の実績がわかりませんでしたので、二十五年の徴税額から当初はそれを基礎といたしまして二十七年度は五六%伸びる、こういう数字を出しておつたのであります。ところが二十六年度の調定及び収入額はつきりして参りましたので、二十六年度の調定実績基礎といたしまして大体現行法による場合、入場税を引下げしない場合でありますが、二割五分程度伸びる、二割五分と申しますと料金の引上げが大体一五%ぐらいある。それからその他徴税力の充実と待ちまして捕捉が大体強化して参りました。徴収成績が向上して参つておりますのでそれを一〇%見まして大体二五%ぐらいの増が見込んであるわけであります。ところが一月から入場税が半減されますのでそれに伴いましてその減額を立てたのでありますが、大体料金は現状と変らないという考え方に立ちまして捕捉強化を勘案して五〇%ぐらいの増を見ております。料金をそのままにいたしますと大体三三%ぐらい増になります。その他の捕捉強化によつて一六、七%あるというので五〇%増を見たわけであります。徴収成績は大体九五%ぐらいになつておりますのでそれをそのまま入れまして十二億の増を立てております。  それから遊興飲食税も入場税と同様な当初におきましては二十五年の調定実績基礎にしておつたのでありますが、二十六年度の実績がわかつて参りましたのでそれに伴つて補正をいたしたわけであります。現行法による場合は徴収強化を勘案いたしまして課税標準の捕捉を五五%しておつたのであります。一改正法によりまして大体捕捉率を六六%と見ましてつまり三分の一落ちるという計算をいたしまして補正いたしたわけであります。徴収歩合を併し八五%から八〇%に引下げております。  それから次に自動車税は、自動車が一万台ばかり殖えましたのと、それから行政協定に基く特別法によりまして駐留軍関係の自動車に課税することができるようになりましたので、それを合せまして約二億の増を立つております。  鉱区税の増は滞納繰越が多くなつてつておりますので、その滞納繰越額の徴収成績が上つて参ります計算になりますので、徴収歩合は同じでありますがその関係で約五千万円ばかり増になつております。  それから次の狩猟者税は減を立てましたのはこれは税率を引下げたためであります。それから次の旧法収入で九億ばかり殖やしております。これは現在旧法収入調定額が大体二十四億ばかりでありますので、その四〇%の徴収ができるということで九億立つたわけであります。昨年度は十三億ばかりこの実収があつたのであります。  それから市町村民税は均等割の増がありますが、これは納税義務者の数が増加して参りましたので、特に個人の分が増加して参りましたのでその分を見込んだわけであります。これも二十六年度の調定実績はつきりいたしましたので、これを基礎にいたしまして増を立てたわけであります。それから所得割の二十二億の減は所得を課税標準にいたしますといわゆるOPIIの推定を五%にしておつたのでありますが、これは少しきつ過ぎるので四・五%に落しましてそのために二十二億の減を立てております。それから法人税割は先ほど申しました法人事業税と同じような方式を以て調定見込額を三十一億ばかり落しております。それで大体五億七千万円の減を立てております。  次に固定資産税でありますが、固定資産税は当初は昭和二十五年の国税庁の調査基礎といたして土地、家屋の面積その他を出したのであります。その後昭和二十六年の課税台帳に登録されました面積がはつきりいたして参りましたので、それに基きまして家屋の面積は七百万坪の増加見込んでおります。それで土地で大体十八億程度増収があり、償却資産で約三億、家屋は大体十七億ばかり減収ではないかと見込を立てております。滞納が相当ありますので滞納のほうで十億ばかの増を立てております。  それから自転車税は大体これは課税標準の多くなつたためであります。荷車税はそのままであります。電気ガス税は御承知の通り電気につきましは今年の五月、ガスにつきましては十一月にそれぞれ改訂がございましたので、それを基礎にいたしまして更に二十六年度の実績基礎としてその値上率によつて補正をいたしたのであります。それから非課税による分を差引き、更に駐留軍使用の分で従来とつておりましたもので非課税にしたものを引いたわけであります。引いて十一億の増を立てたわけであります。  それから鉱産税でありますが、これは前年度そのまま、当初計画そのままにしております。実は鉱産税の課税標準でありますところの鉱産物の価格、特に石炭等につきましては市町村とそれから会社との間で昨年より相当課税標準そのものを上げておるようであります。併しストライキその他生産減等もありますので当初計画そのままにしたわけであります。木材引取税は当初計画そのままにしております。その他雑税は大体昨年の実績によつて多少変えております。それから法定外、目的税、これも大体昨年度の実績基礎にして補正をいたしたわけであります。  以上の数字基礎にいたしまして道府県で三十一億の減、市町村で四十二億の増を立てたわけであります。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の後藤税務部長の御説明で詳細わかつたのですが、今頂いたばかりですから後日よく拝見して再質問したいと思いますが、昨日の奥野財政課長の説明を聞いてもその机上の上では誠に御尤ものように聞こえるのですけれども、実際にはこれはなかなかこのようには行かないと思うのですがこの点は又別の機会に質問するとして、もう一点ほかの点を聞きますが、この自治体警察廃止による減というのは大した金額ではないが一億七百万円ばかりありますが、この治安の費用について大体にも承わりたいのですが、従来とても国警と自警の一人当りの経費というものについてはかなりの差があつたわけです。併し今度その計算方法を変えて人口数によるというふうにしたのですが、そのうちの人口十万というものをとつてみると十八万何がしになる。併し国警のほうはその十万にプラスした二十九万円というふうなことで、大体人口十万の都市を比べると十万の差額があるわけです。併しそういう点で今非常に自治体の自警を持つておるところは困つておるんですが、政府のあれを見ると足りない分は上げないで廃止による減というものをここに上げておりますが、この問題はいつも委員会で問題になつておるのですが、どうもかなりの自警が廃止された今日といえども平衡交付金の自治体警察に対する費用が十分見込んでないために、残つた現在の自治体警察は東京の警視庁を初め費用に非常に因ておる。そうして治安の状況はどうかというと、本多さんの内閣が国内治安の態勢を整備するというので、保安隊並びに警備隊に多額の費用を出しておるわけですが、一方残り少くなつた自警は、その点において平衡交付金の起債の面において十分な装備費、警備費なりを出さぬがために国警その他保安隊に比べて非常に劣勢な地位におかれておる。而も本年を見てもメーデーの騒擾事件その他があつて自警は非常に力が弱いというので、非常に不利な立場におかれております。であるから我々としては残つた自警には国警同様な財政的な措置を十分にしないと、政府はどう考えられるか知らないけれども予算の面において自滅して行くような形勢にあると思う。最近にも従来財政上に割合よいと言われた京都を見ましても、定員に対しまして一千名も減、それは予算関係上定員よりも一千名を減ぜられた。それで警察本部長は、従来の京都市における治安状況から言うならば、どうしてもふやさなければならん、併しそれも予算がないために一千名の減をしなければならんというような京都の例をとつて見ても、そういうふうなことが随分あるのですが、そういう点を吉田内閣は治安は非常に重要問題に考えておるにかかわらず、保安隊その他は相当増強されておるが、自警のほうに対する予算措置というものは全く従来通り自滅するような予算しか与えていない。そうしておいて何か事件が起きると自警はなつておらない、国警一本にするのだということを直ぐ言われて、前回の警察法の改正で単に首のすげ替えだけに対して内閣総理大臣が容喙するような法案を出されたが、我々から見るならば治安増強というのはそういうのでなしに、実質的な十分な警備費なり装備費なりを与えて、自警を強化する点にあると思いますけれども、どうも自治庁なんかの考えを見ても廃止による減だけを挙げておるけれども、現下の治安状況に鑑みて保安隊なり国警なりが増強されておるのですから自警といえども治安機構の一端としては当然特別に増強されなければいかん。殊に予算面において見てやらなければ、これはもう今の吉田内閣の行き方で言えば、予算的に自滅してしまうというような現状であると思うのですが、そういう点を本多大臣は前回も大臣をされて、自警がそういう予算面において非常に弱い、従つて国警その他に比べると機動力の点においても装備の点においても劣るために、何か事件が起きると非常に窮地に追込まれておる現状をよく御承知なんですが、そういう点においては今回はどういうような措置をされたのか、現在のままでよいのか、その点をはつきり伺いたい。
  19. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 今回自治警察費を減額いたしておりますのは、昨年六月から廃止になつたものに交付する分だけを落しておるわけでありまして、この点ははつきりしておるのでありますけれども、自治警察の充実のためにもう少しく自治警の単位費用を増加すべきではないかという御意見は、これは全般的な問題として検討しなければならないと考えております。更に又お話通り治安関係から考えましても、重点は大都市その他重要な都市ということになつて来ると思いますが、そうした所では自分の行政区画内の治安ということと共に国家的な治安ということに特に注意を払つてやらなければならん場合が多いと思いますので、場合によつては国家的な要請から特に装備を、そうした地点については強化しなければならんという問題も起つて来ておるのであります。そうしたことにつきまして具体的に若しも国家的要請を以て装備を強化しなければならんというようなことになりました際には、私はやはり中央から特別に交付金等で援助すべきではないかとも考えております。一般的な自治警察の単位というような問題につきましては更に今後充実できますように研究いたしたいと思います。取りあえず只今どういうような程度のことを目標に計上されておるかということを説明員から御説明申上げたいと存じます。
  20. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 基準財政需要額見込まれております警察吏員一人当りの経費が少な過ぎるということのお叱りを伺つたのであります。そういう意見が各都市の間にかなり強いのであります。できるならば所要額を充たすようにいたしたいのでありますが、現在でも基準財政需要額全体の中で大都市では、警察費に三五・九%を向けております。保健所を設置しておりますような都市にあつては一九・一%、その他の都市にあつては一五・七%を向けておるわけであります。警察費としての市町村の財政需要額の中に占める割合として考えましたならば、相当警察費の財政需要額を見ておるのだというふうに御理解頂けるのじやないだろうかというふうに私は思います。警察勢力の配置の仕方において多少将来考究して行かなければならない問題があるのじやないかということを地方財政の面からは強く感じております。只今大臣からもお話がありましたように、若し給与改訂でも行われましたならば、警察費に見込んでおりまするうちで給与に関しまする部分は、国家国務員給与改訂増額して参りたい。従つてそれだけ基準財政需要額が更に増加いたして参るわけでありまして、これらの点についてはいずれ単位費用の改正法律案を出しまして御審議を得たいというふうに考えております。
  21. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今パーセンテージ等の説明を聞きましたが、治安の問題はその何パーセントを出してあるから治安は確保できるというような簡単なものじやないと私は思うのです。今本多国務大臣は治安上自警を強化しなければならんような事態に立至つたときは考えなければならんというお話でしたが、これはども妙に聞えるのですが、御承知のように現内閣は国内治安に対応するためにフリゲート艦その他アメリカから武器を持つて来て相当装備を強化しておる。であるから現下の治安状況は重大なわけなんです。今の大臣お話だと必要がある場合は考えなければならんと言われるけれども、今日は必要があるからあれをやつておられるのでしよう。保安隊なりを増強しておられる。併しそれも一つ方法であるかも知れないけれども、現在終戦後置かれた地方団体に独自な自警がある以上は、それこそ先ず第一に国内治安の上から常に国民に接触しておるのですから、それを強化する必要があると私は思う。然るに今の大臣の御説明だと、地方自治体を強化する必要がないように受取れるのです。併し大臣も御承知だと思いますが、五大都市を初め自警の当面急を要する要求額が約五十億提出されております。その他本年度内に総計約七十億を要求して来ておるのです。これは今京都の例を申し上げましたが、五大都市のうち従来非常に財政的にもよいと言われた京都でさえも一千名も定員を割らなければならないという状態に、現下の治安状況から言うならば自警にとつては重大なことであつて、これはやはり早急に一千名減ずるようなことのないように平衡交付金なり起債なりにおいて見てやるべき問題だと私は思う。これは京都は一つの例で京都だけではなく全国的な問題です。併し今の大臣の御説明はまだ自警を強化する必要がないように伺いましたが、私はそうでないと思う。私は現下の治安上必要なことは保安隊を増強していることを見ても明らかだ。併しそうであるからそれと同様に今日残存の自警、殊に義務づけられている自警がたくさんある、市などは持たなくちやならん。そういうものをほつぽらかしておいて保安隊だけをやるというようなことは考えられないのですが、その点をもう一度伺いたい。
  22. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 治安に対応する施設の拡充ということは、これは今日の御指摘になりました保安隊、国警、自治警、総合的に考えなきやならんと思います。その保安隊が強化されたという面からすれば無論それで総合的には治安確保の対策は強化されたと見ることができますから、それだけ自治警察のほうは荷が軽くなつたと見ることができるのであります。併しやはり御指摘のような重要都市或いは重要地点というようなものにつきましては、更に一般的に治安対策を強化するという見地から特定の装備を国家として是非持つてもらいたいというような場合が具体的に生じたならば、その要請に基いて装備の強化というようなことには、特別に平衡交付金以外にその装備施設の費用として金を交付すべきものじやないかというふうに考えているのでございます。併し全国的な自治警察としての一般的な問題につきましては、この平衡交付金算定いたしました基準で先ずやつて行くことができると、今日では保安隊、国警等がだんだん強化されて来ましたので、更にその方面は総合的に強化されて来ていると、こう考えております。
  23. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の本多さんの国警なり保安隊が増強されているので自警は荷が軽くなつていると言われるけれども、それは警察の犯罪統計などを御承知ないからそういうことを言われる。今度の最近の統計を見ましても犯罪は決して減つておりません。而も国警なんかにおいても兇悪な計画的な犯罪がふえて来ているので非常に憂慮しているのであります。それが現状なんです。今そういうような保安隊や国警が増強したから荷が軽くなつたと言われるけれども私は決して思いません。一般の大衆に最も接触しているのは自治体警察であつて、而も都会その他のそういうふうな国警の範囲でない自警の範囲の犯罪も手薄のために非常にふえている。再三申上げますが、京都なんかには過去の実績からいつても相当大きな事件が多数起きているのにかかわらず、今の大臣の御意見だと、一千名定員を割つてつても保安隊なり、国警が増強されているからそれでいいんだというふうなお考えのようですけれども、そういうふうな保安隊なりがやる場合と自警がやる場合とは本質的に違うのであつて、決してあそこにフリゲート艦が何隻浮んでいるから犯罪が減るというような問題じやないのであります、犯罪の取締の対象が違うのだから。今日の文化が進めば進むほどやはり計画的な知能犯がふえるのであつてこれは警察の統計を見てもはつきりしているので、私は国家財政も苦しいし、地方財政も苦しいので無用な費用は一文も出すべきではないとさえ思つているのであつて、併し今回これを出しているのは、これは当面の五十億でも本年初めてポコツと出したわけじやない、数年来要求している。例えば本多さん御承知の通り自治体警察に関するこの起債の分でも二十四年来二十数億要求しているのに僅かに一億とか三億、そういうふうな程度が許されるに過ぎない。それでは全く自警は吉田内閣の政策によつて自滅せざるを得ないような状態に追込まれているのです。今日それは本多さんがあなたのお国のことをお考えになつてもわかると思うので、自衛力の漸増の問題は国会でも御存じのごとく常に根本的に問題がたくさんあるのであつて、そういうふうなことを増強するよりも、それは必要な場合は止むを得ませんが、現在国民が納得している自治体警察という問題のないものがあるのですから、それはやはりそれで併行して強化される必要が私はあると思う。それを私は大臣に特に御要望してもおり、又自治体警察としては数年来の要望が一向に完遂されないために常に委員会に対して強い要望をして来ておりますから、私は本日これを大臣に伺つたわけで、どうも本多さんの考え方は保安隊なり国警を強化すれば自治体の危険負担は軽くなるからまあこの程度でいいんじやないかというふうにも受取ますけれども、これは本多さんといえども内心はそうは思つてないと思う。今日は合計三百二十億しかとれませんから、その範囲においておつしやれば、そういうふうな御答弁になるかと思いますけれども、この今回の三百二十億では足りない、而も起債の百二十億というものもそのうちの五十億はすでに喰い込んだ分を含んでいるのですから、これでは足りない。而も各自治体の二十六年度決算を聞きますと、たいがい事業繰越をやつてつじつまを合せている現状であつて、そういうふうなことを数年続けて行きますと、私は自治体全体の事業一つもはかどらないで、財政的な基礎さえも結局できない、かように思いますので、今日の自治制度を発展強化する上には、やはり財源的に過渡的にも見てやりませんと、私は十分な自治体の今後のあり方がないのではないかと心配するので、その一環として治安の問題も伺つたわけで、勿論警察だけでなく消防の点もございまするが、取りあえず今日は警察のほうを伺つたわけでごいますが、警察の点についてもう一点伺いたいのは、御承知の通り国会で国警のほうにつきましては賞恤金の制度を法律を以てしいたので、自治体警察においてもそれに準ずることをやらなければならんわけでありますが、当然国警と同様に自治警におきましても或る場合には最高百万円を出すように法律に規定しておいででありますが、そういうそうな点について今回の補正において平衡交付金においてどの程度見込んでおられるのか伺いたい。
  24. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 全く最前の御意見につきましても私も同感でございまして、不可欠な他の費との釣合上予算制約を受けているために非常に窮屈につているのでございます。今後自治体警察を更にまあ充実すべきであるという御意見については同感でございますので、更に努力を続け研究も続けたいと存じます。更に又特別の事態に対応する予算という問題につきましては、それが全く不慮の特別のことでその地方が負担にとても堪えられないという問題でありましたならば、特別平衡交付金等でできるだけの措置を講じて行くべきであると考えております。
  25. 原虎一

    ○原虎一君 先ほど国家公務員地方公務員との給与の差額について、本多大臣から関係各省連絡協議会を開いてその調整を図つたと言われております。そこで私は幸い文部省から田中局長が見えておりますから、今まで教育職員給与はたしか国家公務員よりか三百七十五円程度高い、こういうふうに大蔵当局は見て、この差額を差引いたものに対する平衡交付金が算出されるというふうに承わつております。そこで問題は今回の関係各省連絡協議会でこれが具体的にどう調整されて行つたのであるか、この点をお伺いしたいと思います。
  26. 田中義男

    政府委員(田中義男君) お話のように昨年の給与改訂の際に、一応大蔵当局等におきまして三百七十五円公立学校職員のほうが高いので、これを差引いて算定するということに相成りました。ところが文部省自体としてはその三百七十五円について非常な疑義を持つておりまして、その後私どものほうといたしましてもいろいろ実態調査もいたしまして、それに基いてなお関係方面とも協議をいたしまして、大体結論として三百四十九円というおよその線が出ましたわけでございます。
  27. 原虎一

    ○原虎一君 次に岡野国務大臣予算委員会等で御出席にならないのでちよつと困るのでありますが、事務当局にお伺いするよりほかに、大臣が出席しないと基本的なことをお伺いすることができないのでありますが、そこで問題は、市町村教育委員が選出されまして委員会ができました、この運営については運営に必要な経費が今回補正予算において計上されるわけでありますが、市町村側の要求から行きますといろいろありまするが、結論的に見ますると約二十七億、ところが大蔵省の査定はその三分の一強でありまして十億足らず、差額十七億円ほどの要求額に対する不足で少額に大蔵省は査定したわけである。これに対して文部省はこれで地方のいわゆる市町村の教育委員会の機能が発揮できるとお考えになる予算額であるか。それから自治庁自体はどういうふうにこの町村の教育委員会の要求額に対する査定を検討したのであるか。先般相当に詳細に項目的に資料がありますならば自治庁の査定した資料を提出願いたいと申しましたが、まだ出て参りませんようでありますので、自治庁側算定お話願いたい。先に文部省側の意見をお伺いしたい。
  28. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 文部省といたしましては当初いろいろ一定の機構その他の点についての基準を想定いたしまして予算の計上もいたし、そうしていろいろ関係当局とも折衝をいたして参つたのでございますが、一応協議の結果お示しのように本年度五カ月分といたしましては約十億八千余万を見込んだわけでございます。それで実は私ども当初の計画としては、例えば教育長につきましても全部の町村に置きまする計画を持ち、又指導主事等につきましても各市に二名乃至十名等に亘ります相当多数の十分な人の配置等を考えたのでございますが、併し何と申しましても発足早々でございますし、なお年度内三月末日までは教育長等も当然現在の教育部課長の職にある者等の横すべりの制度もございますので、必ずしも考えました通り専任教育長を全部の一万の教育委員会に置く必要もなく、又それも困難じやないかというような点等からしまして、相等当初の計画を実際に合いますように縮小をいたしまして、そうして教育長に関しましても全町村の教育委員会の二分の一に相当するものを考えましたり、又指導主事に関しましても各市に一人づつを確保するというような程度で一応の案を得まして、ここに申上げますような予算措置に相成つたのでございまして決してこれで十分とは思つておりませんけれども、年度内はいろいろな点を考慮いたしまして先ずこの程度でやれるのじやないか、又我慢をしてやるべきじやないかということになつたわけでございます。
  29. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 原さんの御要求の資料はお手許に配付されていると思います。それを御覧頂きますと、左の端に政府案、市長会案のほうは単価等を記載した資料が出ておりませんので、右の端に町村会案の細かい資料もございます。違つております点は左の端に項目を書いてございますので、その中頃に需要費というのがございます。需要費が町村の一委員会当り平均が二万円でありますが、右の端の町村会案の二万五千円と五千円の食い違いがございます。それから需要費の下の初度費が政府案では町村一委員会当り平均一万五千円であります。町村会案では五万円であります。それから負担金補助及び交付金のところでは一町村あたり五千円と見ているのでありますが、町村会案では三万円であります。それから次のページへ行きまして、事務局費として職員費の中に政府案では町村ごとの指導主事の財源は見ない、その代り県の指導主事はそのまま存置されるものと考えまして、町村のほうでは県の助言によつてこの関係の仕事はやつて行く、こういう考え方をとつているわけであります。ところが町村会案では指導主事を置きたいということで、職員費を計算して来ているわけであります。それから旅費の欄で町村の赴任旅費につきましては、国庫予算等を編成する場合の員数の見込方をしているのでありますが、町村会案では全員について赴任旅費が必要であるというふうな計算をしているわけであります。需要費の欄では町村会案では指導主事が多いわけでありますのでそれだけ余計になつているわけであります。初度費の欄ではやはり単価が政府案では六千円と見ておりますのを町村会案では一万五千円と見る。更に指導主事がふえて参つておりますためにそれだけ多くなるわけであります。こういう結果政府案では九億九千三百万円でありますか、町村ではそれが二十億を超えるような数字になつて参るわけです。
  30. 原虎一

    ○原虎一君 この只今頂きました自治庁資料は、政府案というのは大蔵省も含めた自治庁意見ですが、そう解釈してよろしうございますか。
  31. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 大蔵省文部省自治庁を含めました政府全体としてこういう話合になつている数字であります。
  32. 原虎一

    ○原虎一君 私のお伺いした点は自治庁独自の査定というものはないのであるかということであります。それはあつても発表できないとこういわれるのであるか、その点をお伺いしたい。
  33. 奧野誠亮

    説明員奧野誠亮君) 当初三者で話合をいたしましたときには違つた数字を持つておりました。併しいろいろと意見を交換し合ううちにこの案に結論が落ち着いたわけでありまして、考え違いをしておつた点もありますしいろいろございますが、総体的にこの案が今日では自治庁案であるとこういうふうに考えております。
  34. 原虎一

    ○原虎一君 只今頂いた資料をもつと詳しく研究する必要があると思いますが、今日は時間がありませんのでその程度にいたしますが、一点文部省にお伺いしておきたい点は、市町村側から要求しておりますところの教育委員会設置のための経費の中で非常に違つた点を見ますと、初度調弁費なんかはまあ大体の総額の上で三分の一削られておりますが、これが一番多く削られておるわけです。これなんかはいろいろ指導員を各町村に置くということもそう短期間にできないでありましようし、それの可否も議論があろうと思いますが、少くとも委員会が置かれた以上必要な調弁費というものが三分の一に削られたということで、それでやれるとなれば市町村側の要求というものはこれはべらぼうな山をかけているといいますか、正当を欠くものであるという結論になるわけです。これに対するところの見解はどう持つておられますか。
  35. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 町村側の細かい内容については私ども調査しておりませんが、大体考え方として私ども今回とりましたのは、ともかくまあ財政困難な諸般の事情等も考えまして成るべく現在各町村等で持つております調度等は利用できますものは委員会が新設されましてもそれを使つてもらうというような、万事あるもので済むなら成るべくそれでやつて行くようにしようというようなかなりまあ節約するような気持もございまして、そうして出ました案が私どものほうの数字にもなつたわけでありまして、これはいろいろ双方見方によつて、もう使えるとか使えないとか、新設を要するとか要しないとかいろいろ分れるところであろうと思いますけれども、私どものほうで比較的内輪になつておりますのはさようなことを考えて決定をいたしたわけでございます。
  36. 原虎一

    ○原虎一君 ちよつと文部省の教育担当者としての御答弁は解しかねるのでありますが、いわゆる今までの市町村が新らしく教育委員会を設置して従来のものを使つて間に合うということは、教育委員会を設置する趣旨に副うものではないと言わざるを得ないのであります。今までの市町村が、殊に先ほど大臣説明がありましたように、御承知のように非常な苦しい地方財政であつて、新設されるその教育委員会に調弁費が従来のものによつて補われて三分の一に削られれば、それで機能を発揮できるだけの設備ができるというお考えは我々は教育委員会というものを折角設置されたところの精神に副う御説明ではないと思うのです。そこで本年度の補正予算につきましてはいずれ次の機会にもつと詳しくお聞きしたいと思いますが、来年度の教育費に対する問題は今から我々は考えて補正予算の審議に当らなければならんと思いますが、問題は義務教育費国庫負担法によりまして来年度からは地方団体の教育費に必要なる大体の金額を国家が負担するということに相成つておるのでありますが、これらの扱い方に対して本多大臣はどういふうにお考えになつておりますか。殊に文部大臣が見えますならばその点をお伺いしたいと思いますが、本多大臣は御承知と思いますが、岡野現文部大臣はこの法安に対しては強い反対者であつたのであります。ところが何の因果かは存じませんが天野文部大臣に代られて岡野国務大臣が文部大臣になられた。そこで義務教育国庫負担をどういう形で今後計上されて行くのであるか。平衡交付金の形においてひもつきにするのであるか、或いは全然切離して行くのであるか、こういう点の本多大臣としての構想を一応伺つておきたいと思います。
  37. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 義務教育費半額国庫負担法におきましては、給与の実額の二分の一という言葉が謳われているのでございます。実額でありますから議論の余地はないところでありますけれども給与の実額ということになれば、一面地方団体間においても政府から出す金の不均衡を生ずるという点もあるのでございますが、法律が実額ということを規定しているのでありますから、この精神を没却することはできないと思います。併しその結果は富裕団体においては給与増額することができるので国庫負担をどんどん増加させて行くことができる。一面貧弱な所では自己負担部分の制約を受けるために国庫の補助もだんだん少くなるというような点もあつて不均衡を生じはしないか。全く自主的に行われる面に無条件について行くということがどうかと考えられる点もございますけれども、実額という法律でございますから実額ということを中心としてこれは算定すべきものであろうと考えております。その半額国庫負担になりますれば教育費についての単位費用が半額になつて平衡交付金においてはやはり丁度半額程度が財政需要額として計下されるということになると思います。そのあとの国庫負担分の半額につきましては私もまだ十分研究しておりませんが、これは平衡交付金の枠外において政府から直接交付されることになるものだと考えております。
  38. 原虎一

    ○原虎一君 そういたしますと、今後の平衡交付金を考えますときには、二十八年度の平衡交付金は義務教育費国庫負担法に基く政府負担額を除いた額、こういうことに結論はなつて来ると思いますが、そう解釈してよろしうございますか。
  39. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) そうなることと存じております。
  40. 原虎一

    ○原虎一君 そうなることといたしまして、文部当局の方針はこれに対して今日すでに来年度予算計上のために出していると思いますが、その点御説明願いたいと思います。
  41. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 制定されました義務教育費国庫負担法の精神によりまして、只今も御説明いたしましたように、その実支出額の二分の一を国庫で負担するということに相成つておりますので、その方針で来年度予算を組んで只今折衝いたしております。で、大体只今の見込でございますが、今回行われます給与改訂をまだ計算をいたしませんでおりますが、その計算をはじきましておよそ全国の公立学校の職員の義務教育に関します給与費は年額九百四十億程度に見ております。従つてその半額となりますと国庫負担四百七十億くらいになるという計算でございます。なおこれは給与費についての問題でございまして、更に御承知のように今回は教材費についても一部国が負担するということになつておるのでございます。それでこの教材費につきましては基準を設けまして、そうして法律できまつておるように学校の種類とか或いは生徒児童の数を基準にいたしまして、そうして、おおよそ一年間の教材費を計算をいたしまして、そうしてその二分の一を国庫負担ということに考えまして、おおよそ私ども予算としては一年間教材費約百億と見まして、その半額の約五十億見当を国庫補助に仰ぎたいと、かように考えまして来年度の予算を只今折衝中でございます。
  42. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 もう時間がありませんので、私は予算審議と呼応しましていろいろ詳しい質問をいたしたいと思いますので、奥野説明員にお願いしておきますが、先般の地方公務員給与調査資料ですね、これを一つ成るべく加工しない生のままで、私並びに他の委員がみずからの分析能力によつてやりますので、なかなか政府も巧妙な作戦で我々の窺知できないような恰好に資料を整備される場合が多いのですから一つできるだけそういうような形で詳しくお願いたしたいと思います。  それからもう一つお願いしておきたいのは、西郷委員も質問されたが、この警察費の平衡交付金計算単位、これはこれまでは警察職員一人幾らというのが自治体警察の人口一人幾らということになつたので、私まだ調査しておりませんが、小さい都市並びに町村警察ほど一人当り二百幾らですか、二百四十一円六十八銭というようなものは人口に掛けて警察職員で割ると、むしろ小さい所ほど一人当り逆算して行くと少くなつて一層自治体警察が置けないようになるのじやないかというふうに見るのですが、例えば人口五千とか或いは八千とか、三万、二十万、百万というふうにあるのですが、それを逆算すると警察職員一人に幾らになる結果になりますか。そういうような計算を出せたら一つ出してみて頂きたいと思います。いろいろありますがその資料をどうぞ出して頂きたい。
  43. 原虎一

    ○原虎一君 もう一点文部省の田中局長にお伺いしたいのですが、来年度、義務教育費国庫負担法に基く来年度の国が負担いたします額を算定いたしますについて、先ほどの御説明によりますと、教職員給与で九百四十億円の二分の一を持つと言われておりますが、これはその前に質問いたしました国家公務員と教職員給与の差額の、即ち三百四十九円というものを差引いて算定されたのであるか、実際に給与されておるものの半額をお持ちになるのか、これをお聞きしたいのであります。
  44. 田中義男

    政府委員(田中義男君) 文部省計算といたしましては、法文にございますように実支出額とございますので、文部省として実体調査をいたしました、その調査に基く実額を基本にして算定をいたしたわけでございます。
  45. 原虎一

    ○原虎一君 そういたしますと、もうその問題は自治庁との関係はなくなるのでありますか。大蔵当局は依然として差額を固執しておるという状態なんでありますか、この点をお伺いしたい。
  46. 田中義男

    政府委員(田中義男君) まだそういうふうな点についての詳細な打合をいたしておりませんが、私どもとしては私どもの考えに基く資料を出しましてそれで努力中なんでございまして、お話の点については具体的にはまだ承知いたしておりません。
  47. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 質疑はこの程度で本日は終りたいと思いますが、この際皆さんにちよつとお諮りしますが、十日の午後横浜市に出張視察に来てもらいたいというので同日午後参ります。御都合のいいかたは成るべく御参加願いたいと思います。  次回の開会はいつ頃にいたしますか、御希望があれば承わつておきたいと思います。
  48. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 かねて委員長に申しましたが、都下の武蔵野市を中心といたしまして保谷町、田無町等にもこの横浜の視察と同様、駐留軍と地元とのいろいろな風紀上の問題、或いは地方行政上の問題、そのほかのいろいろなこんがらかつた問題を是非一遍視察してくれ、そうして地元の言い分をいろいろ聞いてくれという申し出がありまして、参議院にも地元のそうした運動をしている団体から請願書も出ておるのでありますが、その請願書は或いは外務委員会に付議されておるかも知れませんが、ひとり外交だけの問題ではないのでありまして、同様のやり方において是非一つ視察をして頂きたい、そして地元の言い分を聞いて頂きたいということでありますから、同様に一つお取扱いを願うように委員長に申入れをして、委員長にも大体御承諾を得ておるわけでありますが、なおそれとひつくるめて附近にありまする駐留軍が非常にたくさんおります市町村、例えば立川であるとか或いは原町田であるとかというような所も合せてそうした目的に副うように一つ処置して頂く。で、委員長の手許にいろいろ御計画を今願つておるわけでありますが、どうぞ十五日以後くらいになるかということを向うから言つて来ておるわけでありますが、どうぞよろしく一つお願いしたい、如何でありましようか。
  49. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) では只今の吉川君からの問題は適当な期日を選んで、皆様方に申上げることといたします。  本日はこれを以て散会します。    午後零時五十五分散会