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1953-03-13 第15回国会 参議院 大蔵委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十三日(金曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            菊川 孝夫君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            平沼彌太郎君            小林 政夫君            杉山 昌作君            野溝  勝君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵省主計局次    長       正示敬次郎君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    大蔵省主計局法    規課長     白石 正雄君    大蔵省為替局長 東條 猛猪君    通商産業省企業    局長      中野 哲夫君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     福田 久男君    大蔵省管財局国   有財産第一課長  木村 三男君    厚生大臣官房国    立公園部管理課    長       甲賀 春一君    通商産業省企業   局通商経理課長  影山 衞司君    通商産業事務官    (通商産業省企    業局援助物資課    勤務)     池田 俊夫君    運輸省鉄道管理    局国有鉄道部財    政課長     鈴木  滋君   参考人    東京証券業協会    会長      遠山 元一君    東京証券取引所    理事長     小林 光次君    東京証券取引所    理事      田口 眞二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○証券取引法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○証券投資信託法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○有価証券取引税法案内閣送付) ○国有財産法第十二条の規定に基き、  国会の議決を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○設備輸出為替損失補償法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○外国為替資金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○米国対日援助物資等処理特別会計法  を廃止する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○一般会計歳出財源に充てるため  の緊要物資輸入基金からする一般会  計への繰入金に関する法律案内閣  提出衆議院送付) ○旧令による共済組合等からの年金受  給者のための特別措置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○造幣局特別会計法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和二十八年度における特定道路整  備事業特別会計歳出財源特例  に関する法律案内閣提出衆議院  送付) ○昭和二十八年度における国債整理基  金に充てるべき資金の繰入の特例に  関する法律案内閣提出衆議院送  付) ○昭和二十一年度における一般会計、  帝国鉄道会計及び通信事業特別会計  の借入金の償還期限の延期に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○地方公共団体負担金の納付の特例  に関する法律案内閣提出衆議院  送付) ○鉄道債券及び電信電話債券等に対す  る政府元利払の保証に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) これより第三十四回の大蔵委員会を開会いたします。  証券取引法の一部を改正する法律案証券投資信託法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法案の三案を議題といたします。  本日はこの三法案につきまして参考人として東京証券業協会会長遠山元一君、東京証券取引所理事長小林光次君、同じく理事田口眞二君の三君がお見えになつております。御多忙のところ参考人かたがたには特に繰合せて御出席下さいまして誠にありがとうございました。それで先ず参考人かたがたから証券取引に関する最近の重要な問題なり又は三法案に対する御意見若しくは御希望なりをお述べ願いまして、その後に各委員からの御質疑にお答え願いたいと存じます。先ず小林さんにお願いいたします。
  3. 小林光次

    参考人小林光次君) 私証券取引所小林でございます。最近の証券界情勢につきまして簡単に申上げたいと思います。  第一に申上げたいのは、昨二月の、先月の九日の日に取引所が、公共性を持つところの取引所が僅か一日でございまするが、休止をいたしましたことにつきましては各方面に対して誠に申訳のない遺憾の次第であつたのであります。この点につきましてさだめし新聞紙上におきまして御承知のことと存じておりまするけれども証券取引所昭和二十四年開所いたしました当時取引所上場物件が五百六十種類ほどであつたのでありまするが、売買対象になるところの株式の総数は約十二微弱であつたのであります。売買高も従いまして百五十万程度、多いときで二百五十万株くらいの程度であつたのであります。その後朝鮮事変の勃発によりまして証券界も漸次好転をいたして参りまして出来高も増強して参つたのであります。昨年来急速に証券界が賑つて参りまして、大体昨年の下半期で六百五十万株平均というような工合なつておつたのであります。本年に入りましてからは一日の売買出来高にいたしまして平均千万株を突破いたして参つたのであります。従いまして本月の一月は約六百種類でありまして、そのうちの二百二十五種類というものが代表銘柄でございますが、これのいわゆるダウ式といつておりますが、この平均価格が本年の一月五日に三百六十四円という数字なつております。然るに僅か一カ月間の二月の二日の日には四百七十五円という百十円以上の暴騰をいたしました。その原因といたしましては、いろいろの点がございまするけれども、第一の点はどうしても自分のことは自分で守らなければならん、要するに再軍備というようなことが一般対象なつておつたかと思われますので、軍需工業関係株券が相当高くなつている。それからなお予算関係か何か存じませんが、多少インフレの傾向がありはせんかというような見方が大衆に浸透して参つたのでありまして、そういう点と私ども考えております。殊に一昨年以来投資信託が非常な力を以て活躍をいたして参りまして、昨年末で投資信託は約四百億を突破いたしております。最近では五百億程度なつておると思いますが、まあネットといたしましては勿論解約もありますのでそうなつておりません、かような情勢で急速に売買高増加いたしまして東京証券取引所といたしますと、上場株数が約四十七億八千万株というような工合取引所開所当時から約四倍近いものに増加いたして参つたのであります。かような次第で証券界といたしましては受入態勢がまだできていなかつた、なぜ受入態勢ができていなかつたかといいますと、これは本館を接収されておりまして、いろいろな点において検討をいたしておつたのでありまするが、廊下で事務をとつておるというような状態であつたために、ついに受入態勢を困難に陥れた、そこに労働基準法というような関係がございまして、売買を整理しなければなりません、かような関係で一日休業いたした。これは誠に遺憾な次第であつたのであります。  なおかような事態で、最近になりましてから場外取引売買が非常に増加をいたしております。これは場外東京証券取引所売買以外の問題ではありまするが、これは多少資本金の小さい株で取引所上場ができなかつたという点がございましたので、こういう点で多少過当な騰貴に陥りやすい傾向もあつたかと思いまするが、こういう点も多少暴騰に拍車をかけたというようなこともあつたのであります。  多少取引所が休止いたしましたというような関係から、一般人気が冷却をいたしました関係の点もあつたのではないかしらと思いますが、丁度四百七十五円が高値となりまして、そこに非会員でありますところの龍ケ崎証券大光証券という一社がちよつと不始末をいたしまして、こういう関係が動機となりましたところに、先般スターリン元帥の死去によりまして約百三十円ほどの暴落があつたわけであります。即ち三百四十円まで暴落をいたしまして、最近では三百七十円くらいまで引戻したような状態に相成つておるわけであります。かような点がございましたが、最近漸く人気も落着きを取戻しまして、現在では五百万株乃至八百万株の売買なつておるような状態であります。  最近新聞紙上におきまして大変賑わしておりました株数が非常に増加をいたしましたので、この機会におきまして五百株以上の単価引上げたらどうかというような点も相当強かつたようでありまするが、これは戦前におきましては私ども記憶によりますと約四百五、六十億の有価証券と思つておりまするが、その中で財閥とか、或いは財閥に類したものが二百五、六十億であつたと思います。従いまして証券大衆化というものが極めて少なかつた。然るに戦後におきまして証券民主化を行いました結果、昨年三月三十一日のこれは大蔵省の発表でございますから正確な数字でございまするが、大体におきまして個人の所有しておるところの株式数は九五%になつたようであります。法人が約五%、この個人の所有しておる九五%が株数にいたしまして五七%持つておるというようなふうに証券民主化が図られております。  それから東京証券取引所上場証券が六百種類のうちで株式の点においてどのくらいの、五百株以上と五百以下に分かれておるかということを調査いたしましたところ、八五%が五百株以下になつておる。一五%が五百株以上になつておる。それから売買にいたしまして二千万株できましたときに約七五%が五百株以下の売買であり、全売買平均いたしますと三百七、八十株というような状態なつておるのであります。従いまして五百株以上の売買単位引上ということにつきましてはなかなか困難でございまして、丁度三等列車には乗つていかん、一、二等列車に乗れという形になりますので、これは取引所といたしましては、現在五百株以上の単価引上をいたしませんで、ただ売買の実質におきましてはなるべく五百株以上になるような自主的の方針はとつておるというような状態に相成つております。かようなわけで現在は売買の点におきましても極めて平穏に行つておるような状態であります。  この今回の法案につきまして、証券界ではいろいろお願いして参つたのでありまするが、多分この証券取引法のうちの一番の要点につきましては、信用供与が七〇”ということが一番問題になつておることと思うのでございます。取引所開設当時におきましては五五%の信用供与なつておつたのであります。従いまして信用取引売買が極めて不円滑になつておつたよう状態でして、信用取引は大体証券取引所売買の多いときで約四割、少いときに一割、大体平均において二割程度信用取引に相成つておるのであります。信用取引の一番の増加をいたしましたときには約三十五億万になつております。現在では約十五億万円に減つておりますが、これも余り投機的にはなつておりません。信用取引が非常に窮屈でありまして、これは金の面が、証券金融の面が非常に円滑に行つておりません関係上、大体多いときでマージンが一〇〇%乃至は一二〇%くらいにまで引上げたというようなことで、非常にまずい点もございました。これは大蔵当局にもお願いいたしまして、これを一般の現状に、現実に照らしまして七〇%が誠に適当だというふうに考えまして、大蔵省にお願いを申上げておる次第でございます。この点は是非とも一つ御賛成をお願いいたしたいと思うわけであります。  その次に先ほど委員長からお話がございました取引税法の問題でございますが、取引税の問題につきまして、これは私の記憶では、昭和十二年にこの取引税が、いわゆるその当時は移転税と申しておりましたが、移転税が創設されたと思つております。その当時は万分の二と、万分の四、万分の八という三種類なつておつた。ところが戦時中におきまして、臨時措置法というように記憶しておりますが、そういう関係からこれは十倍に相成つたようなわけであります。私どものほうの考えといたしましては、これは戦時中の臨時措置法でありまするから、できる限りできたら元の状態にそれを移して頂きたいというようなことで、大蔵当局にお願い申上げておるようなわけでございます。    〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕  先般新聞紙上によりまして、閣議の決定によりますると、業者が万分の八、それから顧客様のほうが万分の二〇ということに相成つておるようでございます。この率はどういうふうな意味か私にはわかりませんが、我々のお願い申上げたいのは臨時措置法であつたのでありますから、元の状態にこれを返して頂けば非常に結構だろうというようなことを我々としてはお願い申上げております。これは然らばどうしてそういうことをお願い申上げますかというと、やはり証券民主化ということを強力に進めて参りまして、先般譲渡利得税廃止もお願いいたしておつたのでありますが、その譲渡利得税くらい証券民主化を阻害したものはございません。これは今度廃止をして頂くようにこれをお願いするわけでございます。これに変えるということは、税の体系から申しますと大分違つておるように見えますけれども、併し国家といたしましては、やはり予算関係もあると思いますので、これは新たに取引税を創設されることは止むを得ないと考えておりますけれども、最近殆んど先ほど申しましたような工合に九〇汚も証券大衆化されたということを考えますときには、取引税というものもやはり成るべく安くして頂くということが産業資金の調達或いは資金の蓄積ということが盛んに提唱されているようでありますから、我々も戦後におきましてはこの点につきまして、最善の努力をして参つたようなわけでございますので、是非ともこの点につきまして若しでき得る限り御修正が願えますれば、我々誠に諒とするところでございます。そういう点について本日お願いする次第であります。あとは何か御質問があつたらお答えするということに一つお願いいたしたいと思います。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) ありがとうございました。それでは只今小林理事長お話に対して、質問がございましたら、どうぞ御発言願います。
  5. 小林政夫

    小林政夫君 今の取引税を下げろというお話と同様の趣旨で、委託手数料は今一体どういうふうになつているか、戦前と対比してお話願いたいと思います。
  6. 小林光次

    参考人小林光次君) 大体戦前の十倍になつております。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 いろいろ区分があるでしよう、取引株数等によつて
  8. 小林光次

    参考人小林光次君) 株数ではございませんで、値段によつて五十円以下百円未満或いは百五十円、二百円未満、こういうような形になつております。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 それをちよつとおつしやつて頂きたいのです。それと戦前の……。
  10. 小林光次

    参考人小林光次君) 現在では五十円未満が一円五十銭、五十円以上が二円、百円が二円五十銭、百五十円、三円、二百円、三円五十銭、二百五十円、四円、三百円、四円五十銭、五十円増す毎に五十銭ずつ増すということになつております。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 それは一応そういう取りきめであつて、これは大体こうなつておるようでありますが、実際の取引において株数がまとまるということによつて割引等が行われて、これは一円五十銭とか二円五十銭、未満というわけですから実際はどうなつておるかということを聞きたい。
  12. 小林光次

    参考人小林光次君) これは御承知通り証券界が非常に不況であつたときに競争が非常に激しかつたというような関係からいたしまして、大量の株式は成る程度実際問題といたしましては割引をしておるということは認めております。これは併し証券会社によつてつておると思いますからわかりませんが、一つのサービス的ではなかつたかと思うのです。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると個々の業者によつて違うわけですね、協会のほうでは別にこの程度株数が、何株以上のものは同じ二百円なら二百円でもどうするというような取りきめはないのですね。
  14. 小林光次

    参考人小林光次君) ございません。なお信用取引指定銘柄と申しましても十六銘柄だけは三割の割引をいたしております。これは取引所理事会において決定した問題です。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 今お述べになつ手数料が決定したのはいつですか。それと最近の非常に取引高が殖えた状態と比べて、こういう情勢の変化を織込んでこの手数料等について御考慮になるおつもりがあるのかどうか。
  16. 小林光次

    参考人小林光次君) この手数料を決定いたしましたのは取引所を設立いたしました昭和二十四年と私は記憶いたしておりますが、御承知通り戦前取引は約八〇%が長期清算取引或いは短期清算取引という清算取引のほうになつておりまして、実物取引というものは実は名目だけであつた。御承知かも知れませんが、仕切売買と称しまして、お客様から売りに来たものはどんどんその場で仕切つてしまう、又買いに来られた場合にはその場でこれをお客様のお手取りで幾らということでお渡しするというふうになつておりましたので、実物手数料というものを本当に実行いたしましたのは戦後のこの手数料から始めたわけでございます。なお只今の今後手数料の問題についてどうするかというお尋ねでございますが、これは最近手数料のほうにつきましては取引所といたしまして十分検討いたしまして、いろいろその委員会を作りまして協議をいたしているのでありますが、現在の手数料大分凸凹がございまして、この凸凹を調整いたしたいと考えております。その上にでき得る限り一つ役員会と相談をいたしまして、先刻申しましたような工合手数料のほうによつて、或いは五百株或いは千株、一万株というような工合に漸次大量のものには多少なりサービスをしなければいかんというような考え手数料を改正する準備を進めておるような次第であります
  17. 小林政夫

    小林政夫君 今度譲渡利得税廃止して取引税を作るということになるわけですが、必らずしもこれは見返り財源というものでもなさそうでありますが、見返り財源というようなことで、税を審議するほうから言うと考えたくないのですが、例の入場税を引下げたが、実際には入場券の代金は下らないというような状態、今御要望の、ここに政府から提案しておる取引税でも高いということであり、そういつた気持があるならば、二十四年に一応きめられたこの手数料等についても証券民主化見地或いはまあそういう先ほどこの取引税を下げると言われた趣旨に合致して御考慮になる、先ずそつちのほうから考えて、俺のほうもこうするから君のほうもこう考えて欲しいというようなお気持はございませんか。
  18. 小林光次

    参考人小林光次君) 誠に御尤もな御意見だと存じておりますので、この手数料の問題につきましては、根本的にこれを他の物価と比較いたしますると、決してこの手数料は高いと私は考えて実はおりません、と申しますのは、戦前におきましての証券業者の立場というものは大体仕切売買、この仕切売買と申しますのは、或る程度証券業者の株が非常な持ちになつたり、或いは売上げになつたりするような関係がございまして、投機的に多少証券界が流れておつた。併しながら今度はこの取引所開設当時、非常な三原則という厳重なるものに制約をされました結果、どこまでも証券業者経営手数料本位経営をして行かなければならんというような関係でありますので、決して手数料経営する上には高く百ないと信じておりますが、只今小林委員からのお話のごとく、証券民主化というような線を推し進めて参つたことと、それから売買が百五十万株程度ぐらいのものが一千万株に増大したというような点におきましては、勿論この取引所といたしましても、或いは証券業者といたしましても人件費が非常に増加をいたしておりまして、この点を考慮しなければならんと思つておりますが、ともかくも約十倍以上にも増加いたしておりますので、この点或る程度考慮しなければならんという考えを持ちましたので、先般申上げました通り手数料委員会を組織して研究をいたしておるというような次第であります。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 もう一点でやめますが、証券民主化見地から手数料について再検討をされるということであると、まあ或る程度大量取引については割引をし、率から言うと安くするというようなことになつておりますが、併しこの株を或る程度極端に言えば零細取引に対して緩和して行く、大きい取引については大量取引なるが故にデイスカウントするということであると、そのほうは非常に負担がかかるわけで、併し証券民主化という点から言えば少額投資者に対して投資しやすくするということが必要なんで、そういう考慮を以て御研究なつておるかどうか。
  20. 小林光次

    参考人小林光次君) 少額と申しましても、最近では各会社とも百株以下の売買ということになると、なかなかもうその手紙一本出しましても非常に大変なことでございますので、少額にも程度がございまするが、五百株単位ぐらいは必しずも大量とも限りませんでございます。成るべくその辺につきましては民主化の線からできるだけ優遇したい希望を持つております。
  21. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今お話になりました信用取引の問題についてちよつとお伺いしたいのですが、清算取引を復活せい、こういう議論も盛んに新聞経済雑誌で吐いておる人もあります。この問題は取引所改正法律案と密接な関係があると思いますので、一つ理事長から清算取引の復活と、それから信用取引をこのまま据置くのと経済界に及ぼす影響、この点について一つあなたの御見解を承わりたいと思います。
  22. 小林光次

    参考人小林光次君) 清算取引と申しましても、現在私どものほうで売買いたしておりまするのは、いわゆる清算取引でございまするが、一般新聞紙上やその他の方面で言われております清算取引は、さだめし長期限月取引の問題だと私は解釈いたしております。この長期限月という取引につきましては、私も長く証券界におりましたので、この点についての経験を持つておるつもりでおりまするが、限月取引と申しまするのは今月末、来月末或いは再来月末という契約で取引するのが三限月取引従つて空売り空買いという空売買がここに行われるということに相成ります。従いまして戦前におきましてはこの空売り空買いの結果といたしまして、暴騰暴落のときには証券取引所が一時売買を停止するとかというような問題も盛んにありました。又例えば一つの例でいたしまするが、一万円の株を買いますのに千円の頭金を以て買付けができたというような関係からいたしまして、千円の頭金がなくなつてしまつた場合には、これはどんどん証券業者から追求をいたしますから、今度は田畑を売らなければならん、山林或いはほかのものを売らなければならんというようなことで、大衆層に非常に迷惑をかけることに相成つておりました。現行法といたしましてはこの三限月取引というものは一切禁止されておりまして、四日目取引というのが原則なつております。四日目には全部受渡を実行いたしております。従いまして信用取引のほうは多少清算取引のような観点もございますが、昔の清算取引とは違いまして、現在では例えば百万円買いますれば、このうちで五五%の信用供与を受けて、そうして頭金を持つてつて買うという実際の取引、昔の取引にいたしますると、一千万円二十万株のものが、売買の食合いが五十万株も六十万株も出てしまうということがございます。現在では買つたものは必ず品がございます。売つたものが空売りを仮りにその中でした場合にはどこからか、これは日本証券金融で斡旋いたしてくれますが、この十六銘柄につきましては品借りをいたしまして、いわゆる貸株市場から品を借りましてそうして品を渡すという本当の取引、従いまして最近では一般大衆株式で損をして娘を売つてしまつたというようなこどは全然ございません、いたしますから、証券民主化という点については飽くまでもこの方針で私は進めて参つたのでございます。或いはここで長期限月取引というようなものを実行するといたしますると、昔の取引に返つてしまうというようなことで、信用取引はそういうふうなまじめな取引でございまするから、この信用取引のほうについては多少現在不円滑の点がございまするが、大蔵当局にいろいろお願いいたし、又日本銀行総裁にもお願いいたしまして、金融の面も或る程度円滑にやつて行きたいと考えております。こんなことを申上げると失礼でございますが、やはり投資と申しましても多少は投機的な面もございませんと、やはり刺身のわさびのようなもので、そういう意味でこれをやつているようなわけでございますので、飽くまでこの方針で私は堅持する考えでございます。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから、今のお話で、今度は信用供与の率が殖えるということになると、最近の株式相場の動きはどうも投資から投機に流れているのじやないかという、学者と言いますか、経済評論家、学者等のこの間、税法の公聴会を開きました際にも、そういう意見が述べられたのでございますが、そうしますると信用供与を殖やすということになりますと、勢い昔の清算取引に似通つて、ますます投機を助長するという、こういう傾向に走ると思うのでありますが、この点はどうですか。
  24. 小林光次

    参考人小林光次君) 現在信用取引は過当的な形にはなつていないと私は考えております、と申しますのは、先般先ほども申しました通り三十五億万円ぐらいしか、日本証券金融で、東京にいたしまして貸しておりません。現在では約十五億万円から二十億万円に減つてしまつております状態であります。全売買の一割や二割では、決してこれは過当には移つていないと私は考えております。ただ各方面の学者方面からおつしやられるという点は、多分場外株式ではなかつたかと思います。今度法案にもお願いいたしておりまするが、取引所上場は五千万円以上ということになつておりますが、取引所開設当時は一千万円ということになつておりまして、従いまして取引所上場の株には極めて小資本の株式が非常に多い、こういう点につきまして、多少なり好ましからざる売買があつた。まあ何かこれは新聞紙上のことでございまするけれども、藤綱一派というものが買占めをしたというような点が、何とかいう点があつたようでありますが、こういう点が多少なり過当になつたということは、私は認めておりますが、証券市場全体の問題といたしましては必ずしもそういう点は考えられらないのであります。ただ、倉庫株の問題につきましては、倉庫の算盤をはずして買つておりまするから、見方によりましては、過当投機になつていはせんかということも考えられると思いまするが、昔から損害補償の株とか、或いは生命保険は最近相互会社なつておりますからありませんが、いつも算盤をはずして買つておるような状態で、これは見方の相違だと思います。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に最近四大証券ということを盛んに言われまして、これは証券界を支配するというようなことを言われておるのですが、売買高の比率と申しますのは、四大証券とその他の比率は今どのくらいになつておりますか。
  26. 小林光次

    参考人小林光次君) 四大証券と申しますと、ここに遠山さんがおられますが。
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 盛んに新聞とか経済雑誌で言われているのですが、それを平気で兜町あたりへ行けば四大証券、四大証券と言つておりますが。
  28. 小林光次

    参考人小林光次君) そうでございますか。それは御承知通り証券取引所の構成は会員組織でございまして百十五軒でございます。このうちで、四大証券は日興証券さん、野村証券さん、山一証券さん、大和証券さん、これを四大証券と称しておりますが、この四大証券取引は大体におきまして全売買の約四割強を占めております。
  29. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは買占めという問題でございますがね。今もちよつとお話になりました買占め問題は白木屋、渋沢倉庫、野田醤油とか日本印刷でしたか、あそこら大分問題が発展しているらしいのですが、これはあなたのほうで証券取引所法によりまして、取引法によつてああいつた不健全な投資、会社の乗取り、こういうのは法律的に牽制する方法はないか、又取引所としてこれらについて或る程度の牽制を加えるという方法はないものかどうか、あれはどうも話を聞いて見ますと株を買占めて声いて、そこへ行つて商法の規定によつて株主総会の開会を要求して重役の更迭を求める、極端になりますと、値段を上げておいて、そうしてそれを会社に向つて買取りを要求する、こういうことを言われておるのでございますが、実際問題としてこれは行われておるのですか、その点をお伺いしたいのですが、それはどうも証券取引法の精神に反すると思うのですがね。
  30. 小林光次

    参考人小林光次君) 実際行われておるということであるとすると、誠に遺憾と思いまするが、取引所のほうといたしましてはいわゆる操作という問題によつてこれを抑える以外に他の方法は今のところないのであります。例えば現在百円のものなら一日のうちに十円とか、一割とか或いは又三割とかというところまで無謀の値段を出しました場合には取引所はこれを全部抑えてしまう。又これ以上無理なことをいたしますれば上場廃止するということもできますのですが、普段普通の売買で各証券業者、いわゆる証券会社に注文して売買するということにおきましては、どこからどこまでが操作であるかないかということは私どものほうでわかりませんで、今のところその方法はございません。
  31. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に龍ケ崎証券というのですか、二つ証券会社がヘタ株事件という新聞問題を起しました。その後ほかの会員のうちでも取調べを受けたとかという新聞の記事があつたのでございますが、実際ああいう事件がほかにもまだ伏在しておる危険があるのかどうか、この点を一つお伺いしたい。あれはどうして起きた問題か、免許を受けて会員である人が、まあ昔はそんなものは平気であつたので、あそこは栄枯盛衰の烈しいところでして、倒れたり、興つたりするのは烈しいと言えばそれまででありますが、証券民主化で投機は成るべく避けて、成るべく健全な投資の状態にしなければ大衆に迷惑を及ぼすと思うのですが、特にこういう事件を起したものは大抵は大衆の犠牲において事件が起きると思うのですが、取引所法の改正を機会にそういうのを取締る方法について法律的に何か考えられるかどうか、これを一つ小林さんにお伺いしたいと思います。
  32. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  33. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。
  34. 小林光次

    参考人小林光次君) それではなおよく申上げますが、これは実は証券取引所としては決して私は責任回避ではないのでございますが、直接監督権もなし、何ら関係はないという、まあ、ことになるのでございます。併し証券界全体ということになりますれば、決して私は責任回避をいたしておるわけではございませんから。
  35. 遠山元一

    参考人遠山元一君) その点は私のほうの管轄になるので私からちよつとお害え申上げます。龍ケ崎、大光証券という二社が先般不始末をしたことは事実であります。又現在よく新聞に出ておりまする非会員四社というものが大蔵省の審問を受けたということも事実であります。ただ先ほどお話のように一社が会員間において不始末を起しましたけれども、幸か不幸か一般大衆のほうには何件か殆んど指を屈する程度の客筋はあつたようでありますけれども、殆んど一般大衆というほどの客筋を持つておらんのであります。殆んど業者間の取引でありましたので、その両者の不始末は業者負担したというような結果になつたわけです。
  36. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから理事長にもう一遍お伺いしたいのは、この間の閉鎖といいますか、一時休みましたですなあ、取引所を休むというのは経済界の大混乱が起きたときには休んだが、整理不能のために休んだ、これは一方において証券会社の従事員が労働強化で仕れるというようになつたらこれは人権問題だと思うのですが、併しだんだんと時間を縮めて行つて、そうして最後に一時休業というようなことになつた、ああいうようなことで却つてこれはもうこのくらい閉鎖しなければならんほど、休業しなければならんほど取引が嵩むのであるから、株の値段がこれからどんどん上がるだろうというようなことを、田舎の人たちには一応受取れるのではないか、大衆の買気を煽るためにやるということも悪く裏から解釈すればそういうことを言えないこともない、それで混乱させるとも私は思うのですが、今後又たびたび今の組織機構程度であつたならば、あの程度に盛んになつた場合にはだんだんと又取引時間の短縮、場合によつては休業ということも今後起り得るのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  37. 小林光次

    参考人小林光次君) 誠に御尤もな御質問でございます。これは先ほどもちよつと私はその片鱗を申上げましたのでありまするが、取引所が誠に困つて受渡しに困つて休業をいたしたのではございません。これは証券業者が受渡しが非常に困難になつた、金融関係ではなく、非常に錯綜いたしまして混乱になつたというような関係と、労働基準法の問題もありました。御承知のように証券取引所証券業者つて証券取引所であり、取引所つて証券業者でありますから、どちらにも手が不足になりまして非常に困る点がございまして、ああいう結果に相成つたのであります。併しながら今後におきましては実は四千七百坪ばかりあります取引所の本館が今まで接収をされておりまして、いろいろと準備を進めておつたのでありますが何もできなかつた。幸いにいたしまして斯く今回解除になりましたので、これを機会に急遽実はヨーロツパにも派遣いたしますし、今度取引所からも、或いは四大証券のほうもアメリカへ行つてもらうということになつたのでありますが、その目的はどういう目的でありますかというと、これはまだ実現をいたしませんから偉そうなことを申上げるわけに行きませんが、最近のような工合株式の数が非常に多くなりまして、例えば金融をつけるにいたしましても、大量の株数になりますと自動車かトラックでなければ持つて歩けないというような状態では非常に困りますので、証券小切手制ということを目標といたしまして、今ヨーロツパへ書記長と調査部長を派遣いたしておるようなわけであります。証券小切手と申しますのは大体概要を申上げますれば、例えばここに甲の株式の一万株を、証券会社を通じて証券取引所に預けるといたしますれば、証券取引所は小切手を発行いたしまして、このうちの千株なら千株売つた場合に、取引所は支払保証を付けてその千株が受渡所に廻る。又本当に株式が欲しいという人へその株を取引所から持つて行くというような方法も非常によろしいのじやないか。現に話はちよつとそれますが、最近信用取引におきまして東京と大阪で実行いたしておるのでありますが、証券取引所の預り証券証券金融会社の手形を付けまして、これがコール市場へ廻つた。こういうふうな工合に最近非常に預り証券信用をして頂くような状態なつておりますので、この小切手制度を急速に進めたいということを今研究をいたしております。  それからもう一つは名義の書替えの点でございますが、御承知通りアメリカではニューヨーク或いはワシントンにおきまして、全州の会社株式名義の書替えがどんどんできるそうであります。これは信託会社あたりでやつておるそうであります。日本におきましてもできればその方法をとりたいのでありまするが、これは相手のあることでございますから、相手の会社がそれに応じてくれなければそうも行きませんし、法律でこれをやるということについてはなかなかそう簡単には行かないのじやないかと思います。ただ名義の書替えの点についても一括して証券取引所がこれを行う方法はないかというような点も考えております。又一面におきましては清算会社を作りまして各方面の受渡しその他の点につきまして、株券が行つたり来たりしておる点についても、清算会社によつてこれは安易な方法をとりたいということも一つの課題として考えております。  なお大きな問題といたしましては機械化の問題でございます。今まで取引所並びに証券会社においては大体人がやつておりましたのは、菅のいわゆる長期限月というような清算取引が主であつて、計算をして額のみ取扱つてつたという関係がありましたから、機械化ということは何ら考えていなかつたのでありますが、今度は実物取引に移りました以上は、この機械化ということが必要でございます。今度マッカーサー元帥が会長なつているレミングトンという会社に機械を誂えまして、そうして五月にその機械が取引所に据え付けられるということになつておりますので、今後は只今質問のような点については、私も人間でございますから絶対にないと断言はできませんが、絶対にないように努力をいたす考えであります。
  38. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう二点だけお伺いしたい。遠山さんにお伺いしたいと思いますが、あの休業しなければならない前後におきましてもう徹夜作業をやる、ところが労働基準法から行くと違反の疑いのあるところがあるんじやないか、特に労働基準法に違反と、それからもう一つ問題は超過勤務手当等についても正しく払われてない、まああなたのところの会社のようなのは払われておられるかと思うのでございますが、    〔委員長退席、理事伊藤保平委員長席に着く〕  超過勤務手当も払われておらない、而も払つても、これを要求したものについてはやめてくれ、というところでもつて随分問題があつたようでありまするけれども協会会長として、やはり労働基準法法律としてある以上は、これはもう飽くまでも守るということと、それからこれに従つて超過勤務を行なつた場合には正しく超過勤務手当を出すべきであると考えておるのですが、あなたの指導方針を一つお伺いしたい。
  39. 遠山元一

    参考人遠山元一君) 一部にはそういう不平もあつたやに聞きましたが、具体的には別にどこからもそういうことは出ておらんのです。併しそういう噂が出た以上我々も看過できませんし、又それが表面化するというようなことは業界のためにも好ましくないものですから、それぞれ協力しまして証券会社のほうへは、若しもそういうことがあつた場合には適当に払つてもらうようにという注意をいたしたことはあります。事実そういう問題は具体的には起つておりません。又時間的には事実労働基準法に違反しておつた所もあるのですが、ああいう非常な場合でありまして、まあ甚だ遺憾なことでありますけれども、労働基準局のほうでも了解をされまして、今後はやらないということで一時凌いだのです。
  40. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一点だけお伺いしますが、証券会社の株券の上場という問題がときどき論議されておりますが、今のこの取引法によつてはこれは禁止されておるのですか、それから、それをやるべきであるというような意見がこれも経済雑誌等で盛んに論じられておるのですが。
  41. 遠山元一

    参考人遠山元一君) 禁止されてはおりません。禁止されてはおりませんけれども……。
  42. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 自発的に……。
  43. 遠山元一

    参考人遠山元一君) 自発的にやらない。
  44. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 なぜやらないのか、理由は遠山さんどうですか。
  45. 遠山元一

    参考人遠山元一君) アメリカでもやつておらんのです。これは私どもは初め上場しようとしたのですけれども、アメリカでもやつておらんしするから、まあこれはやめたほうがよかろうというような意見がありまして、それで上場をやめておるのです。
  46. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 占領軍があつたときにこれを禁じたんですか。
  47. 遠山元一

    参考人遠山元一君) 禁じやしません。
  48. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 将来やはり、当分はやるつもりはない、こういうお考えですかどうですか。
  49. 遠山元一

    参考人遠山元一君) まあどうも我我、殊に我々のほうが一番株数が多いものですから、我々は普通事業会社に対しては、もう五千万円以上の会社に対しては公開したほうがいい、市場性をつけたほうがいいということを慫慂しておる側なんですが、ところが自分のほうは十億になつております。相当株数が殖えておる。従つて株主としても市場性がない、市価がわからんということは非常に不便だ、その点はよくわかるんでありますけれども、店頭売買くらいはできるようにしたほうがいいんじやないかということを話合つております。今研究中であります。
  50. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それで店頭売買というやつをやめて、全部上場ということは不可能ですかどうですか。
  51. 遠山元一

    参考人遠山元一君) それは不可能です。
  52. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どういう点で不可能ですか。
  53. 遠山元一

    参考人遠山元一君) それは上場条件に合致しないものがあります。今のお話証券会社の株だけじやない。
  54. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 全部の問題について。
  55. 遠山元一

    参考人遠山元一君) それは必ずしも条件に合致しないものがありますから、例えば資本金の額が多くてもその内容が悪いとか、内容がよくても資本金の額が小さいとかいうような場合が多いのですね。
  56. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 場外取引の問題で、先ほどお話なつた龍ケ崎と大光の事件を起したのは、大体場外取引で起したのではないかと思いますが、やはり場外取引というものは弊害があるのじやないかと思う。この証券取引の知識の浅い者が場外取引上場株というものもよくわからずに、とにかく証券業者であれば不安ないものだと思つて取引をやつておるために怪我人も出るとか、犠牲者も出るということになるのではなかろうかと思うので、でき得る限り条件を緩和しても上場するということについて、別に取引所証券業者等では弊害はないと思うのでございますが、やはり何らかその条件に、今おつしやつた条件に合致しないという点は、若しもそういうのを上場するということになると、取引所としてもお困りになる点があるんでございましようか。
  57. 遠山元一

    参考人遠山元一君) 証券市場として。
  58. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ええ。
  59. 遠山元一

    参考人遠山元一君) つまり例えば相当な資本金を以て、相当な成績を挙げておるような会社でも、極く限られた範囲の株しか持つていないような会社でありますと、そういうような会社が、僅かばかりの株を証券業者に売渡すために、或いはだれかに譲渡す、それを市場の売買物件とするということになりますと、どうもそこに何と言いますか、いろいろ市場操作が非常にしやすくなる、従つてそこに不当な売買が起る、それは結局その犠牲は大衆が負うというようなことがありますから、やはり大衆を保護するという意味から言つて、やはり相当な条件をきめて上場するということになつておる。又上場証券というものに対しても、成る程度の権威と言いますか、信用と言いますか、そういうものを持たせたいというのが我々の考え方で、上場証券であるならば、一般投資家が安心して投資ができるというようなところに持つて行きたいと思つておるのであります。
  60. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ほかのかたもあると思いますので、あとで又お伺いします。
  61. 伊藤保平

    理事(伊藤保平君) ちよつと田口さんにこの機会にお尋ねしたい。有価証券取引税法案について何か御意見がありましたら、この機会にお述べを願いたいと思います。
  62. 田口眞二

    参考人田口眞二君) 私から有価証券取引税法につきまして、実は我々として非常にいろいろな希望あるのでございます。先ほど小林理事長からいろいろお話申上げましたが、この有価証券の従来の移転税は、これは昭和十二年に始まりまして、非常に軽微な税率の税でありますが、今回の閣議を通つた、今度法案に出る趣旨を見ますと、非常に軽微な税ということになつております。軽微というのは果してどこが軽微かということは非常に問題だと思うのであります。私どもとしますと税率が安いほど投資家としては結構じやないかと思うのでございます。この点について一つ御認識願いたいのは資本課税でありますからして、資本蓄積が今まで株式市場に対して非常に少かつた現状では、どうしてもこれが一年間に千億や何かの株式資本を調達しなければならん現状に差迫つている実情でありますから、税率は低くあるべきでありますが、もう一つは旧法の有価証券移転税では、この課税の客体になるものが非常に少かつたんであります。先にもお話がありました通り、昔は投機取引が非常に多かつたというところで現物の受渡しを行なう取引というものが非常に少なかつたのであります。現行の法律によると、有価証券取引というものは有価証券の受渡しを前提にしているのであります。その課税客体になる対象というものはすべてが対象になる。今までの取引は投機取引においては先に決済されたものはこの有価証券移転税対象にならなかつた。今後の取引は全部が有価証券取引税対象になるということを御認識願いたいのでございます。それからそういつた関係上、今後の有価証券取引税というものの税収入は相当莫大なものじやないかと私は推定いたすのでございます。それから今後の株式の増大につきましても、昨年度は千百億、今年度も千億以上の株式資本が増大すると思います。これは年次増大いたしますと、我々の算定いたします株式の、いわゆる回転率というものも大体一定しておりまするからして、年間におけるところの株式の移譲というものは、やはりこの全体のボリュームが殖えるに従つて殖えることは私は事実だろうと思つておりますからして、この税収は逐年増大して来るということを我々は考えられるのであります。    〔理事伊藤保平君退席、委員長着席〕 その点も一つ考慮願いたいと思うのであります。それからもう一つは、有価証券移転税が過去において課せられたときも証券業者の徴税の事務というものは非常に煩雑であつたのであります。これは今申上げました通り移転税対象になるものが僅かであつたにもかかわらず非常に手数がかかつてつたのであります。それが今度の取引市場におきましては、今申上げました通り、すべてがデリバリーされるという建前から行くと、全部が徴税の事務がそれに附随して参るのでありますからして、証券業者負担というものは非常に莫大な数字になると思うのであります。この点からも実はいろいろ我々としても事務当局にお願いしてありますが、この徴税事務の煩雑化ということは、一つ避けて頂きたい、これは税は必ず我々は義務として全部完全に徴収はいたしますが、その徴税事務については、事務的の簡素化、昔は省令か何かで非常に煩雑な規定がありましたが、これを課せられるにつきましては、人件費その他の高騰からしてえらい負担になり、延いては、手数料の問題にもかかるのでありまして、投資家に負担がかかるというようなことがあつては申訳ないというところから、この徴税の煩雑化ということについては極端に我々も心配しておるわけでございます。この点も一つ考慮願いたいと思うのであります。以上の点で税率の問題、それから事務の煩雑化、徴税技術の問題、この点は一つ考慮を願いまして、一つ御審議願いたいと思います。
  63. 野溝勝

    ○野溝勝君 業界のかたがたに二、三点お伺いしたいと思います。我々しろうとですが、日本の金を皆さんがこの頃代表的に集めておられるが、集めた金はどこに使うのか、その使途がわからんが、例えばその代表的なものは、まあそこに遠山氏初め三人の代表の方がおられるが最近投資信託の名のもとに非常に業界としてはなかなか巧妙なやり方なんですが、それは結構だと思います。何も強要するわけじやないから結構だと思います。併しその集めた金はどこに使うのですか、例えば全責任をその会社に一任するわけですが、そうするとその会社がどんな株を買おうとそれはよろしい、まあ、会社が信頼があると見れば見られる、そうなつて来ると、殆んどこの小さい株式市場というものは何と言いますか、不振になつて、発展性がない、これは生存競争だからと言えば仕方がない、その集めた金を、どういう一体株を買うのですか、どういう方面に一体その金を使途するのですか、そのことについて参考に聞いて見たいと思います。
  64. 遠山元一

    参考人遠山元一君) 投資信託は結成するときに投資信託の総額、金額を先ずきめまして、それからそれに投資する銘柄を何十種とか或いは何百種とか予定します。それを発表します。それから期限を発表します。そうしてその範囲内で投資をして行くということになつております。
  65. 松永義雄

    ○松永義雄君 関連して伺つておきたい。最初投資信託が買う株数銘柄、金額、総額がきまつておると、こういうのですか。
  66. 遠山元一

    参考人遠山元一君) はあ。
  67. 松永義雄

    ○松永義雄君 持株会社というような形までは進んで行かないように制限してある。
  68. 遠山元一

    参考人遠山元一君) 持株会社というものは、これも幾色もあると思うのですが、持株会社のうちにも、ただ単に投資を目的とする、つまり値が上つたら売つてしまうというような持株会社もありましようし、或いは昔の財閥式に事業経営のために株を持つ持株会社もありましよう。投資信託のほうは持株会社でもなければ事業経営のための財閥でもなし、全く受益者のために有利なものに投資をして行くということが投資信託のやり方ですから、いつまで持たなければならんとか、今日買つたものは明日売るかも知れない、或いは又それは見込みがあれば二年間、今大体二年間ですから、二年間は持ち続けるかも知れないし、それは必ずしもきまつておらんわけです。
  69. 松永義雄

    ○松永義雄君 それが目的でないことは、これは昔の持株会社と称する財閥会社とは性格が全然違うとは勿論ですが、ただ派生的に株主名義はどこになるのですか。
  70. 遠山元一

    参考人遠山元一君) 株主名義は信託会社の名義になります。
  71. 松永義雄

    ○松永義雄君 信託会社のほうで…。
  72. 野溝勝

    ○野溝勝君 松永君、発言を待て。俺がやつているからやめろよ。
  73. 中川以良

    委員長中川以良君) 松永委員ちよつとあとにして下さい。野溝君が発言中ですから。
  74. 野溝勝

    ○野溝勝君 そこで遠山君にお聞きするのですが、何といつても最近の投資信託で儲けたのは、山崎君と君のところだ。株主界では一番評判がいい、この二軒は。そこで短期にしろ長期にしろ一応投資信託として四大証券が中心でやつておるのですが、これで主に株を対象にしておるのですけれども、併し投資信託資金を寄託するというか、そういう場合もあり得るので、結局すぐ肩代りが株にできる場合と株にできない場合があつて、どうも今の株式の内容を見ると、大体四大証券などは相当の日本の大事業に対して大株主になつておるわけですが、だから私は場合によればマーケツト・オペレーシヨンを自由にすると思うのです。ただそれは経営者の考え方でそういうことは危険になるし、却つて事業界を混乱せしめるということからやらなければこれは別ですよ。併しやろうと思えばできるという私は内容になつておると思う。この点如何ですか。
  75. 遠山元一

    参考人遠山元一君) やろうと思えばできるということは、それは御想像の話で、併し過去投資信託を始めて一年半ですが、そういう御懸念はなかつたと思いますが。
  76. 野溝勝

    ○野溝勝君 私はこの株に対して、事業といいますか、事業に対して積極的に四大証券が操作したということは、あなたの言う通りまだ聞きません。その点私は結構だと思うんだ。併し現在のような状態で果していつまでおるかということに対しては、私は疑問を持つて来ておるのです、と申すのは、例えば先ほども問題になり、又各地においても相当問題になつておるのですが、何としたつて、いい悪いを言つてみたところで、事業界を操作するのはやはり株数ですから、掘久作が悪いだの横井英樹が悪いだの言つてみたところで、株を多く持つたやつはやはり支配権を持つことは仕様がないですよ。資本主義の一つの構造なんだから。だからそれは仕様がないとしても、そのやり口に対して、いかに言つても資本の暴力を露骨に出すようなやり方は我々としては最も嫌うべきことだ。その問題は後廻しにして、そういうような傾向が、最近の事業界の代表者的な資格のある堀久作君あたりがそういう動きをするのですから、いわんや私は他の事業界もそういう傾向なしとしないと思うのです。そのときに、特に四大証券を中心とする投資信託会社が、大衆から公募してはおりますが、その中にはやはりお得意というものがあると思うのですよ。有力なお得意というのもね。取引ですから。そうなつて来ると今のような資本の暴威を振うようなものと投資信託と必ずしも関係を持たんとは私は言えないと思うのですがね。今までみたいになければ幸いですよ。併し今後そういう危険がないとは保証できがたいので、特にそういう点に対する心配が一つ。更にもう一つは、私の仲間にも随分株式界の仲間がありますよ、株式界の仲間が。我々社会党であつても、とにかく資本主義の下にある以上は、やはり資本主義を根本的に理論的には否定しておつても、現実的には否定するわけには行かないのだからね。だから社会党は共産党だなんて言うやつもあるがね。そんなものは頭の悪いやつで、よほどどうかしている人間でなければそんなことは言わない、まあそれはそれでいいが、とにかく小さい業界がこの投資信託のできたために実際は心配をしておるのですね。
  77. 遠山元一

    参考人遠山元一君) 業界といいますと、それは証券協会ですか。
  78. 野溝勝

    ○野溝勝君 うん。それは表立つて言わないのだ。表立つて言うと、いわば昔の大所なんですから、業界の大所なんだから、業界の大所にはうつかり喙を容れられない。こうやつておる。余り言わなんでくれ。そういうような動きがあつて、実際はいわば四大証券証券界の大所で、あとは小走りをするというような状態なんだね。今のところ自分がぐつと君臨して行つていい気持なつて行くけれども、やがて私は業界全体の上から見て、更に先程田口君の言われるような将来徴税事務云々なんていうことになつて来て、更に問題が発展して取引高税が殖える見込なんで、これはまあ見通しの点において私は必ずしも田口君の見通しとは一致しておりませんが、今のような株式界が、何といいますか、盛況を極めて行くなんという見通しを私は立つておりません。こんな今の株なんていうものは実際でたらめですよ。実力以上のあれですよ。白木屋や倉庫みたいな含み資産のあるところは別ですがね。さもなければ含み資産のないところが多いのだ。わしも商売人だから経験あるから知つているんだよ。そういう点から見ると、これは頂点ですよ、もう。そろそろ皆さん警戒しなさいよ。(笑声)むしろ頂点ですよ。それは私は予断すべからざる事態が起る危険すらあると思う、むしろ。田口氏のような見通しの上に立つて必ずしも行けないと思うのだ。そういうことでこの際四大証券の諸君が、私共から見たら得意だ、皆さんから見たらそうじやないと、こういうんだ。そこでさような今のようなやり方が果して業界の運営上正しいか、日本の証券取引上これが妥当かどうか、ういう点に対してむしろ私はこの際一応証券取引の会員にこの業界の施策を敷衍するか。さもなければ四大証券ということだけでなくて、大きな規模において考える用意が皆さんのうちにありますか。さもなければそういうことを検討してみようという御意思がありますか、それを一つ参考に聞いておきたいと思うのです。
  79. 遠山元一

    参考人遠山元一君) お答え申上げます。どうもちよつとお話がいろいろ広汎に亘つて、どこをつかんでいいかわからんのですけれども、まあ今のお話によると、つまり四大証券が余り事業界を操作することがいいか悪いかということのように承わるのですが、これは私どもは当事者だから、或いは私ども自分のしていることはわからんかも知れんが、決して我々は操作しておるとは思わない。殊に今の投資信託の事業のごときは、今度の改正法案によりまして認可事項になつておりますけれども、今までは届出てもやれたのです。だからやりたい人は、尤も資本金の五千万円以上の証券会社という制限はあつたのですけれども、それに合致すれば誰でもやれたのです。別に我々はそれを誰それはやつちやいけない、誰それはやつていい、やりなさいといつたことはないので、我々自体でも実際これについては非常な苦心をして、今日のような状況に開拓したわけですが、今後といえどもおやりになることについては我々は決してそれを邪魔しようとか、抑えようとか、そんな、そういう狭い了見は持つておらん。又それについて我々が援助する余地があるならば、幾らでも援助しようと思つておる。それから投資信託の今までの経過から見まするというと、投資信託をやつたがために小さい業者を圧迫したとは私は思つておりません。投資信託が今日のような非常に順調に行つたために正常な株価を構成したということ、この功績は非常に私はあると思う。従つて市場の今日の売買が非常に殖えたとか何とかいうようなことも、これは我々だけが利益したのじやなくて、中小証券会社もそれによつて非常な利益をしておると思う。ですから、私どもの聞いておる範囲においては、これはあなたに言わせると、それはお前のところへ行つちや口をつぐんでいるのだと言われるかも知れないが、我我の聞いておる範囲では、そういうものは投資信託のお蔭で非常によくなつたと、こう言つてお礼を言われておりますけれども投資信託はけしからんという攻撃は余り聞いておりません。少し自画自讃になるかと思いますが。
  80. 野溝勝

    ○野溝勝君 あの遠山君ね、又話がおかしいんで、大体投資信託だから株式の商いが多くなる。小さい証券業者が利益を得るといつたつて、これは投資信託じやないので、客観的な情勢がそうせしめたのです。銀行に行つてもなかなか利子はよくないし、お金を持つていればすぐなくなつてしまうし、金を引出そうというときにいつでも証券が現金に替わるし、こんないいことがないので飛びついたんで、あなたの商才がうまかつたとも言えるけれども、商才がうまくても少しこれを持つていなければできんよ、ところが退職手当をもらつたり、それから金を、何というか、銀行に預けておつたのでは利子も僅かなことだしということがそうあらしめたので、それはあなたたちのやり方にも幾分の大いに何というか、業界指導というか、産業界というか知らんが、金融界というか、その方面じや努力があつたかも知れないけれども、他の諸情勢の影響も考えてみなければならん。
  81. 遠山元一

    参考人遠山元一君) それはそうです。
  82. 野溝勝

    ○野溝勝君 そこでね、これはどうなんですか。これに関係していろいろの法律案が出て来ますけれども証券市場の実情に鑑みて監督規定を整備して行くというのですが、私は今のような商法の下においては、監督規定を設けるといつても、こういういろいろな法案が出ておりますが、これは右に置いてある手帳を左に置き換えるという目先きだけの問題であつて、私は余り効力を発生するわけにはいかんと思うのです。だから業界から見たら、先ほどの数々の御意見も聞きましたが、将来の小切手制度のことも聞いたし、いろいろ聞きましたが、本当に今証券界において一番問題になつているのは株式の有する暴威の点と、第二は不良株が上場されているという点ですよ、こういうような二つの点を何か自主的に業界のほうでそういう弊害を抑制するような考え方といいますか、そういうようなことの見解はないですか、それを一つお聞きしておけば私は細かいことは……。
  83. 遠山元一

    参考人遠山元一君) それは取引所としましても絶えず注意しております。併し上場する当時においては非常に状態がよかつた、非常に何年かは状態がよかつた、併しその後何らか経済界の変動によつてたしか悪くなるというようなことは、これはしよつちゆう経済界、事業界においてはあり得ることなのでありまして、それが或る限度に達するまでは取引所としては何ともこの会社は悪い会社だと折紙をつけるわけにも行かんのですね。ですから取引は注意はしております。又それを非常に上場さすことによつて大衆を害するというような事態が見えたときには、直ちに上場を禁止しますから……その点の処置はとつております。
  84. 野溝勝

    ○野溝勝君 そこで正会員ね、あれはどうとか考えるわけに行ないですかな。あの正会員のほうは良心的な点が少しあるのだ。少しと言つちや失礼だけれども(笑声)あるのだね。正会員でないほうはやけのやんばちのような傾向があるな、思惑が。
  85. 遠山元一

    参考人遠山元一君) それはやつぱりどうも味噌もくそも一緒に論じられては困るので、やつぱり多勢の中ですから、いい人もありましようし悪い人もあるかも知れない。今の制度はとにかく一定の資本金を集めて会社を作れば、それで届出をすれば、証券業界の会員になれるのですから、何とも抑えようがない。
  86. 野溝勝

    ○野溝勝君 そのときは法規にありますから、そういうことについて今のような三千万円などとか言つてますが、私は今の貨幣の価値から見て、いやしくも証券取引そのものがそのくらいの価格じやおかしいので、これは政府当局に見解を聞くのですがね、意見も申上げるのですが、あなたがたのほうとしてこのくらいにしたらば何というか、秩序がうまく、又取引も円滑に行くだろうという見解はあるだろうと思うのですが、今の大体のあの程度の許可額でいいですか。あなたの見解です。
  87. 遠山元一

    参考人遠山元一君) これは証券業者というものは大体が信用で立つてる商売ですから、人によつてはさほどの資本金も要らん人もあるのです。その人に非常な信用があれば。併しやはり今日のように大量取引なつてくると、全然資本金なしにやれるものじやありません。ですからして必ずしも幾らの資本金でなければならんという限度をきめることは困難だと思いますけれども、まあ今までくらいのところなら、地方において証券業を営む人であればさほど不安はないのですね。
  88. 野溝勝

    ○野溝勝君 最後に一つお聞きしておきますが、今、日本の株で外国人がどのくらいの株を所有していますか、乃至はその表現が悪いなら、関連を持つておりますか、それを一つ小林さんからでもお聞きしたい。
  89. 小林光次

    参考人小林光次君) この点につきましては正確なところはちよつとわかりかねます。なぜかと申しますと外国人の持つ場合には為替の関係がございますので。
  90. 野溝勝

    ○野溝勝君 大体で。
  91. 小林光次

    参考人小林光次君) いろんな名儀を使つておるように考えられますので、ちよつと私はその限度は今申上げかねます。
  92. 野溝勝

    ○野溝勝君 私は仲間から聞いて、噂、大体聞いているのですが、まあ速記をとめてでも……。
  93. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  94. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。
  95. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 ちよつと伺いますが、私いなかつたので。そういう御意見は承わつてつたかも知れないけれども取引法の百条ですか、取引所の役員の構成のことについて規定が改正されておりますのは御承知でございますね。前と少し改正されておるのですが、これについて何か御意見ございませんか。これは問題は理事理事長を選任し得る、理事以外から選任されるという規定があるのですね。
  96. 小林光次

    参考人小林光次君) それは前からありますよ。
  97. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 いや今度新らしいのですよ、変つておりますよ。それと、それからもう一つ、そのほかに今度は理事長理事を選任する、理事の過半数の同意を得て選任するという規定があるのですね、これは定款で前から掲げてありますね。そうするとこの理事長の問題があるのですね、これについてはこういうふうに新らしく改正せられたやつでも別に何か差支えありませんか、私がこういうことを伺うのは、今までの取引所の観念では会員というものでやつて行くのですけれども、今度は経験者とか何とか、常識的な、そういう一般によく言われるようなことの考え方というものがこの中に織込まれて来ているように思うのですが、今後の取引所をやつて行くというあなたがたの運営の下においてはこれのほうがいいのか、従来のほうがいいか、ということについての御意見を承わりたいのです。
  98. 小林光次

    参考人小林光次君) 今度の法案がよろしいという考え方を持つております、と申しますのは、実は今度定款に譲るような形になつておりますが、大体におきまして公益代表というものを考えております、と申しますのは、例えば今回の証券界におきましても、たとえ非会員でありましても、ちよつとした不祥事の問題が起つたとか或いは昔、旭硝子事件というようなものが起つた場合もありますので、そういう場合におきまして金融界の代表である、或いは又産業界の代表であるとかいうようなかたがたが、本当に中立のかたが公益代表になつてお出になつて頂いておりますと、非常に公平な御判断を願うということができますので、今度の法案で誠に適切だと考えております。
  99. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 実は私これを、つまりいろんなこの取引所といつたようなものが監督が非常にやかましい業務ですから、それに弾力性がありますから、そういう弾力性というものの欠陥が役員の中に現われることもあり得るのじやなかろうかということが考えられますので、取引の運営上支障を起すとお考えになるのか、却つてこのほうがよろしいか、といことを伺つてみたかつたのでございます。
  100. 中川以良

    委員長中川以良君) では本日は長時間に亘つて参考人のかたには有益なる御意見をお述べ頂きまして誠に有難うございました。厚く御礼申上げます。それでは午後一時半まで休憩をいたします。    午後零時二十七分休憩    —————・—————    午後二時七分開会
  101. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは休憩前に引続き開会をいたします。  先ず国有財産法第十三条の規定に基き、国会の議決を求めるの件につきまして内容の説明を聴取いたしたいと思います。
  102. 木村三男

    説明員木村三男君) 本件の内容は、現在農林省の国有林野の一部でありますところの奥日光湯元所在の国有財産と、上高地所在の国有財産を厚生省所管の公共福祉用財産として所管替をしたいという案件でございます。いずれも国立公園の中心部をなしておりまして、今後厚生省におきましては国立公園計画に基く集団施設地区といたしまして活用したいという方針をきめたわけであります。集団施設地区と申しますと、国立公園の中心をなす基地という考え方の施設でありまして、ここに公衆浴場、道路、キャビンなどを集約的に整備いたしまして、附近の国立公園の利用者の便を図るというようなことに今後整備して行くところの施設なんであります。国有財産法のほうで申しますと、公共福祉用財産として規定して行くのが一番適当なところであるしという意図を以ちまして、厚生省のほうから農林省のほうに話合いをいたしまして、両者異議なしというところで大体そういう計画で進むことにきまつたわけであります。これは念のため申上げますというと、現在両地区とも当該財産は国有林野特別会計の企業用財産でありますので、これを一般会計のほうに持つて参りますので、有償所管替、金を払つて所管を移すということで、本年度予算におきまして買収費といたしまして五百三万三千円計上してございます。この件につきましては、現行国有財産法第十三条の規定に基きまして、国会の議決を求めることになつておりますので、以上のような内容の案件の御審議をお願いいたす次第であります。
  103. 中川以良

    委員長中川以良君) 御質疑のあるかたはお願いいたします。
  104. 松永義雄

    ○松永義雄君 これは大蔵省へお尋ねすることか、厚生省へお尋ねすることか、どちらかわからないのですが、これは私個人の受けている印象なんですが……。
  105. 中川以良

    委員長中川以良君) 松永君に申上げますが、厚生省の国立公園部管理課長が見えております。
  106. 松永義雄

    ○松永義雄君 具体的に申上げますと、例えば日比谷公園に松本楼がある、こういうことですか。松本楼の出店があるということのその成り立ちの経過のごときは、ここで私はとかくを言うものではないのです。ただ若しああいうものを設ければ、公設的な、大衆的なものを設けたならばいいのではないだろうかという感じがする。上野公園に行つても、或いは里見公園に行きましても、どこでも敷地内にいろいろな建物が建つていて、折角の風致を害するといつたようなものが散在しておる、ああいうものがややもすれば事件的な噂が立てられたりするというようなことは遺憾で、又そうしたことでなくしても、そういうものが設けられること自体が、如何なる理由にもせよどうかと思うのですが、一体公園というものの施設からいつてどんなものでしようか。これはちよつと相談みたいな質問なんですけれども……。
  107. 木村三男

    説明員木村三男君) 公園につきましては、国営の公園とそれから地方公園と二通りありまして、国有財産法のほうでは、地方団体が公園を作りたいという場合には、国有財産を無償で貸付けることができる、で、無償貸付した土地の上に地方団体が公園を設置する、それで地方団体におきましては、それについて管理規則を設けまして公共の利益に合致するような運営をすることになつておりますが、国としてはよほどおかしい場合でないと余りやかましいことも言えませんので、その辺は地方公共団体の管理規則に任しております。  それから第二の国でやる公園、これは公共福祉用財産という分類に入るわけでありますが、これは大体新宿御苑、皇居前広場なんというのがその例なんでありますが、これもやはり厚生省のほうで管理規則を設けまして、一般公共利用のために間違いのないような規定を付けるわけなんであります。で、事柄の性質からしまして、一般公共の用に役立たせるための施設でありますので、それに合わないような施設は成るべくしないのが原則であります。たた一般公衆が公園を利用する上におきまして、どうしても施設などが必要でありますので、これにつきましては、用途、目的を妨げない限度で確実なものに或る種の施設を許すこともございますし、又国みずからやることもございます。なおそれにつきましての厚生省などの考え方もあるかと思いますが、私ども大蔵省の立場としては以上申上げた次第であります。
  108. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  109. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて……。
  110. 松永義雄

    ○松永義雄君 これは国立公園課長にお尋ねしたいのですが、フランスに関するみやげ話をいろいろ聞きますと、パリの公園は大したものだというが、武蔵野がだんだん潰れて行くのですね、それでどうして潰すのかと言つたら、あれは公園地でなくて私有地である、私有地だからどうもしようがない。それで松林がどんどん潰れて行つて、そこにいろいろな公共施設ができて来る、天下の大問題でないからどちらでもいいということなら仕方がないけれども、何となく心淋しく感ずる。東京の郊外だからといつて郊外の人ばかりが利用するのではなくて、東京の人が主として利用しているのですから、公園に対する興味というものは、むしろ東京の人に多いと思う。そういうような場合に公園に続いている私有地というものを公用徴収と言いますか、何とか公園のために相当の値段で買上げて、そうして保存するというようなことはできないものでしようか。
  111. 甲賀春一

    説明員(甲賀春一君) 只今の御質問の点は、これは私どもの所管でなくむしろ建設省に属することで、都市計画で一定の地域を公園なり或いは緑地として計画します。こつちで計画に基いてきまつたところは土地収用なり、その他の方法で公園化して行くということになろうかと思います。
  112. 松永義雄

    ○松永義雄君 それは法律の理窟はわかつているようなわかつていないようなものですが、事実上どんどんなくなつてしまうのですから、殊に公共施設ができて、或る所なんか検察庁なんかできてしまつて、どうかと思うけれども、地所がないから仕方がないからあそこへきめたのだ、作つたほうは作つたほうで理窟があるから、何とか緑地を維持して行くという方法を考えないと、どんどん押されて潰れて行つてしまいますね、まあ一つそういう点を留意せられて、建設省のほうと相談して成るたけ本当の緑地を確保するようにお願いいたします。
  113. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。    〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案について内容の説明を聴取いたします。
  115. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 只今御審議を頂いておりまする設備輸出為替損失補償法の改正の内容でございますが、私から今更申上げるまでもなく、今後の日本の輸出貿易の非常に大事な方向といたしまして、いわゆるブラント輸出に思い切つて力を傾注して参らなければならんということは御高評の通りであります。そのプラント輸出の場合に為替の変動に伴いまするところの危険のために、折角のプラント輸出の商談が実を結ばないということがございましては、これ又輸出促進の本義に即さないということに相成りまして、すでに設備輸出為替損失補償法の制定を見ておるわけでありまするが、従来の制度運用の実績と今後のプラント輸出の重要性に鑑みまして、今回の法律案、我々改正をお願いいたしました次第であります。その第一点は、現行法におきましては為替損失補償の対象になりますところの輸出の範囲、種類、重要物資の輸入の市場を国際収支上有利な地域に転換をし、又開拓をするということの認められる場合等に、現行法におきましては、その目的が限定されておるのでありますけれども、これでは最近の情勢に鑑みまして十分ではございませんので、輸出全体に今回為替損失補償法の適用を確立して頂きたい、こう申上げますのが、改正の第一点でございます。  それから第二の点では、プラント輸出に伴います代金回収時までの期間の問題でございますが、現行法では最長五年ということに相成つております。従来の実績を見てみますと、この期間が五年を超える商談である場合が、その数において多くはございませんが、ままございます。最近の事例、実績を見てみますと、印度向、インドネシア向或いは南米向というところで六年程度の期間が欲しいという事例がございまするので、現在の五年を七年に延長することをお願いいたしたいというのがこの第二の改正をお願いいたしております点でございます。  第三の点は、補償契約の締結をいたしますところの締結総額の限度の問題でございますが、現行法ではこれが百億円と相成つております。現在までの実績は実は遺憾ながらこの為替損失補償法の適用を見ました実績は一件もございません。その意味におきまして、この百億円の限度でも今までの実績をそのまま考えまするならば、十分ではないかという見解もあり得るわけでございますが、冒頭申上げました、又皆様御高評の通りのプラント輸出は何としても今年度あたり思い切つて伸ばして頂かなければならない時期にも相成つておりますし、通産省で提出しておりますところの昭和二十八年度のプラント輸出の計画を、これは一応の計画ではございますが、それを見てみますと、通産省といたしましては、できれば五百二十六億程度のプラント輸出をいたしたい、勿論この中にはドル向けの輸出計画の分がございまして、百四十七億程度はドル地域向に輸出を予定いたしております。又オープン地域向は三百四十四億という大きな金額を予定いたしておりますが、いずれにいたしましても、昭和二十八年度のこれらの輸出計画に、本当に。プラント輸出計画に即応いたしまして、法律の体制を整えるという意味におきましては、現在の百億円では或いは不十分ではなかろうかという観点から、この現行法の百億円を二百億円に、倍額に引上げることをお願いいたしたい、かような点が第三点になつております。  御審議を頂いております法律案の改正の点は右に申上げました三点でございます。簡単でございますが、御説明申上げます。
  116. 中川以良

    委員長中川以良君) 御質疑願います。
  117. 小林政夫

    小林政夫君 今のプラント輸出の補償法の補償事項はまだ発生しておらないということでございますが、補償契約を取結んだプラント輸出の実績を知らせてもらいたい。それから只今ちよつと簡単に御説明のあつた将来どういう見込みであるか、資料を出してもらいたいのですが……。
  118. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 後刻資料でも御提出申上げますが、一応計数を申上げます。昭和二十八年度中に成立いたしましたところのプラント輸出の契約の総額は約二十八億円になつております。ただその中で小林委員のお尋ねの現実のそれじや補償契約の結ばれたものは幾らかという点でありますが、これは遺憾ながら只今のところございません、補償契約自体がございます。それは今回お願いしておりますところのこのブラント輸出の範囲が、例えば市場の転換を図るという絞り方をいたしております。これが実は主な点でありますが、契約の実績は現在までのところ遺憾ながらないというのが只今の実績でございます。それから第二のお尋ねの点の昭和二十八年度の計画の内訳という、こういうお話でございますが、これは後刻資料としても御提出申上げますが、地域別に申上げますると、計画といたしましては、ポンド決済地域向が約四十四億円、オープン決済地域向が約三百三十五億、ドル地域向が約百四十七億、それで品目別の内訳といたしましては、御承知のようにプラント輸出の内容となつておりまするのは、鉄道車輌でありますとか、或いは各種の機械施設でありますとか、或いはそれらの機械を総合いたしましたところの一式の施設機械とか、或いは車輌でありますとか、或いは船舶でありますとか、そういうようなものが内容となつております。尤もこれらのものは通産省の立てました輸出計画で、できればここまで是非伸ばしたいという計画でございまして、具体的には商売の問題でございまして、如何相成りまするか、折角この辺まで漕ぎ付けたいものと思います。なお詳細は別途資料で御提出申上げます。
  119. 小林政夫

    小林政夫君 百億を二百億円に限度を拡大するというときには、只今私がしたような質問は当然起るのであります。審議促進ということならば当然そういつたような資料は添附して出すべきであつて、どうも甚だ不親切な提案の仕方だと思います。以後その点は審議促進の意味において、当然出さなければならない資料は、ただ簡単なこういう条文のものでなしに併せて出されることを希望いたしておきます。一言言つておきます。それから補償料、こういう法律は作つたけれども、一件も該当者がないということはどこに原因があるのか、補償料が少し高いんじやないかというような点が問題だろうと思うのですが、そういう点について局長としてはどういうふうにお考えになりますか。
  120. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) これは小林委員の、最初の資料添附の点は誠に申訳ないと思つております。以後資料につきましては直ちに提出いたしますと共に、以後十分注意をいたします。よろしく御了承頂きたいと思います。  何で実効が上らないかという点でありまするが、一つの点が先ほど申上げましたように範囲が現行法では少し絞り過ぎておる。そのプラント輸出いたしまして、それによつて従来ドル地域から輸入しておつたものの原料その他の資材を輸出した場合の、その市場から転換に役立つ場合乃至はプラント輸出をいたしました結果、初めてそこの開発が行われて材料、資材が入るというように、原料が入るというように対象を絞つたということが有力な原因の一つだと思つております。勿論御指摘のように現在年二分になつておりますが、年二分の補償料が高過ぎはせんかという点も誠に御尤もなお尋ねでございます。この点は実は法律の改正案でございましたので説明を省略させて頂きましたが、政令事項になつております。只今検討はいたしておりまするが、私ども通常の常識でございますれば、現在の年二分と申しますのは決してそう高率のものでもありませんけれども、何分にも国際競争も激しうございますし、日本といたしまして刻下の、現在の要請といたしまして是非ともプラント輸出を伸ばさなければならんという際でございますので、只今考えておりまして、近く関係省と相談し、実施に移したいと思つておりますものは、これを年一分に下げる、但しこれは御承知通りに為替の予約料のごときものでございますので、現行法の一年から五年までの部分は年一%に下げる、併しながら五年を超える部分につきましては一・五%ということにいたしたいと存じております。従いまして極く大ざつぱに申上げますれば、補償料が半分になるということに相成りまするので、御指摘のように、補償料率がまあ常識で言えばいいけれども、現在の情勢から見て高過ぎはせんか、それが延いてはプラント輸出を阻害しておりはせんかという御懸念は誠に御尤もでございます。そういう処置を講じますれば解消するのではなかろうかと、かように思つております。
  121. 小林政夫

    小林政夫君 特に日本の金利水準が諸外国に比べて高いのだから、こういうような配慮は当然されるべきだと思います。併し考えておられるということでありますから結構であります。  次に先ほどの御説明を聞くと、大体このような状態でできるのですが、設備輸出についてはポンド地域或いはオープン・アカウント地域、ドル地域、その区別なく商談がまとまればどんどんやらせる、こういう趣旨ですが、そうすると、ポンドの問題も大分最近は解決したので、これは設備輸出ですが、ほかのほうの輸出についてはどういうふうに最近はやられておりますか。
  122. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 只今の御質問の御趣旨は、単にプラント輸出のみならず、現在の輸出の決済方法におきまして、ドル決済或いはポンド決済の場合にどういう扱いをしておるか、最近の為替の状況或いは外貨資金の状況から見て特にポンド決済をどう考えておるか、こういう御質問の骨子と拝聴いたしましたが、現在のいろいろの情勢におきまして、ドルとポンドとを全然同じ外貨と申しますか、というふうに考うべきかどうか、つまり国際決済通貨として同じ取扱をすべきかどうか、この問題は私は今暫く時日の経過を見てみませんと、ドルとポンドを同じ国際決済通貨としての機能なり、ウェイトを持つておるという扱いをいたすことは、いささかいま少し時期を待たねばならんのじやなかろうか、そういう意味におきまして、いわゆる標準決済規則なり或いは国際貿易決済の面におきまして、ドルとポンドとの決済を同等に扱うということまでは現在の段階におきましてはとるのは如何なものであろうか。ここ暫らくの間はやはりドルとポンドとの間には若干の隔たりがあるという考え方を持つて、ここ暫らくの情勢の推移を見るべきであろう、かように存じております。尤もかように申上げましても、決してポンド決済の商談がありました場合に、ポンド決済であるが故にその面談を見送るのが適当であるということを申上げておるわけではございません。例えば近東地区でありまするとか、或いは二部欧洲でありまするとか、或いは一部中南米でありまするとか、これらの地域につきまして、個々の商談の場合に折角貿易の実務に当つておられるかた、が、この場合においてはポンドでなければならん、ポンドでないと商売がうまく成立たないという場合におきましては、特別の事情がない限り、その決済する商談を尊重すべきであるという考え方で参つております。特に最近これもすでに御承知通りに、ポンド資金の状況は先行き相当日本の手持ちは窮屈になります。従いましてその観点からいたしましても、従来とりておりました決済に関するドルとポンドとの決済を多少の手心を、区別を付けるというやり方は相当大切ではなかろうかということで、最近におきましては、ポンド決済の場合におきましても、十分に認められております。かような状況であります。
  123. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかにございませんか……。それでは本法律案に対する質疑は一応打切つておきます。
  124. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案の内容の説明を聴取いたします。
  125. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして御説明を申上げます。  外国為替資金特別会計法におきましては、現行法におきましては決算上の剰余金がありましたときにおきましては、これを一般会計の歳入に繰入れるものとするということに相成つておるわけであります。併しながら外国為替資金特別会計のごときにおきましては、毎年度一般会計との間において清算をして行くということは必ずしも適当なものと考えられないということと、更にこの決算上の剰余金を生じまするのは、為替売買の予約手数料等の収入もその益金の原因となるわけでありまするが、その為替売買の予約手数料のようなものは、為替相場の変動に伴いまして特別会計に生ずる損失を補填することも必要であると考えられまするので、こういつたものは特別会計に留保して置くということが必要であろうかと考えられまするので、今回特別会計法を改正いたしまして、特に必要である場合におきましては、予算において一般会計への繰入を規定するということにいたしまして、原則的には特別会計に積立金として残すように改正をしようとするものであります。外国為替特別会計におきましては、昭和二十六年度以来本会計が設置されておるのでありますが、二十六年度の決算といたしましては十三億八千四芹万円程度の益金を生じております。これは現行法の規定に従つて一般会計に納付することになつております。三十七年度の予定損益計算書におきましては十四億九千万円程度の益金が生ずるものと予定せられますが、これは本改正案が成立いたしました暁におきましては、本会計に積立金として留保するという処置をとる予定でありまして、二十八年度の予定貸借対照表におきましては十四億九千七百万円程度の積立金を計上しておるわけであります。本文の改正といたしましては、只今申上げたことが主たる内容をなしておりまして、あとは各条文の整理を行なつておるわけであります。  次に附則におきまして、日本開発銀行法の一部を改正しようとしておるわけでありますが、これは日本開発銀行は、同法によりますと、通常の銀行法の適用は受けないところの特別法人となつておりまするので、従いまして、    〔委員長退席、理事大矢半次郎委員長に着く〕 外国為替銀行とはならないわけであります。併しながら外国為替及び外国貿易管理法の適用につきましては、特に銀行とみなしまして、外国為替及び外国貿易管理法上の取扱いをなす必要があると考えられまするので、附則におきまして銀行とみなす規定を挿入しようとしておるわけであります。差当り日本開発銀行が外国為替業務を営む範囲といたしましては、通常の市中為替銀行のような広汎なものは考えておりません。差当りといたしましては、外国為替銀行から外貨の貸付を受けることができるようにいたしまして、別品外貨貸付を行い得る程度のことを予定しておるわけであります。  以上が本法律の改正の内容であります。
  126. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 質疑を願います。
  127. 小林政夫

    小林政夫君 開発銀行についてこう  いうふうにする必要がどうしてあるのか、具体的に福田課長から伺いたい。
  128. 福田久男

    説明員(福田久男君) 開発銀行が外国為替をどうしてやる必要があるかという御質問でございますが、現在御承知のように別口外貨貸付というものを日本銀行を通じてやつておるわけでありますが、その内容は原材料、例えば粘結炭とか或いは鉄鉱石とかいつたような原材料に対して特に輸入を容易ならしめ、国内のコストを安くするという趣旨から、昨年二、三月頃から始められたものでありますが、そのほかに合理化を促進するという立場から、合理化のために必要な機械等につきまして、いわゆる設備的なものにつきましても、別品外貨貸付制度の適用を併せてすることになつております。言換えますと、原材料と設備、機械両面に亘りまして別口外貨貸付制度が行われております。ところが現実に企業の立場で合理化機械等を輸入する場合におきまして、市中の為替銀行が融資いたしました場合には、別口外貨貸付に対する危険の負担は市中為替銀行がこれを負わなければならないということに相成るわけでありますが、或る程度以上の融資が市中の為替銀行では困難であるという事態が往々にしてあるわけでありますが、而もなお且つその設備を輸入することが日本の立場からは非常に必要であるというような場合におきましては、市中の為替銀行のやり得ない部面を開発銀行において行うということがどうしても必要なことになる場合があるのであります。そういつた場合には、開発銀行においてこういつた原材料は扱いませんので、開発銀行の性格上設備に限りますけれども、そういつた機械類の輸入について開発銀行においてこの制度を実施したならば最も適当ではないかという趣旨でございます。開発銀行は御承知のように政府又は外国の金融機関からの借入はできることになつておりますが、日本銀行とか、或いは市中銀行からの借入は法律上禁止されておりますので、今まで市中の為替銀行が行なつております別品外貨貸付をそのまま導入するわけに参りませんので、政府の外国為替特別会計から借入れるという途をどうしても開かなければならんというのが今回の改正の趣旨でございます。
  129. 小林政夫

    小林政夫君 この法案には直接関係はないんですけれども、今国会においては開発銀行関係はこれ以外に出ないので、この際お尋ねしておきますが、この融資対象が閣議決定できめられ、二十七年度はこういうふうにするということがきまつておるわけでありますが、    〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕 その融資、例えば鉄鋼、石炭等に合わした開発銀行の融資実績を知らしてもらいたい。それから二十八年度の融資対象となる業種はいつ頃決定するのか、又決定はどういうふうにやつてやるつもりであるか。
  130. 福田久男

    説明員(福田久男君) 業種別の開発銀行の貸付実績はどうなつておるかという御質問でございますが、手許に持つております資料は、先ほどお示しのありました政府の基本計画の非常に細かいものにまで入つた資料を手許に持合せておりませんので、主な業種を一応申上げておきたいと思います。
  131. 小林政夫

    小林政夫君 一応今説明してもらつて、あとで資料で出して下さい。
  132. 福田久男

    説明員(福田久男君) ちよつと今間に合いませんので、あとで資料でお答え申上げます。開発銀行の個有の貸付につきましてま、昨年の四月から今年の二月までの期間の十一カ月につきまして、石炭に対して三十三億三千八百万円、金属工業が五十一億五千八百万円、鉱業が十二億七千三百万円、自家発電が四十四億七千二百万円、化学工業が三十三億四千九百万円、繊維に対して十億四千万円、機械工業に対して三十四億二千五百万円、港湾に対して五億二千二百万円、農林水産業に対して十四億三千八百万円、海運に対して九億二千五百万円、電力に対して五十三億一千万円、そのほか返済資金の貸付といたしまして、電力に二十六億三千五百万円、海運に十四億三百万円というような状況になつております。  第二の御質問の開発銀行の融資対象となすべき業種等につきまして、政府が閣議決定によつて基本計画というものを毎年度予算計画と対応いたしましてきめておることは御承知通りでありますが、来年度の分につきましては、只今経済審議庁を中心といたしまして関係各省と協議中でございますが、成るべく早く決定することが望ましいのでありますが、何分来年度は資金量そのものが割合に乏しいために、電力或いは船舶、自家発等に相当大きな部分を要するために、その他のいわゆる一般産業に対する金額がかなり圧縮されております関係上、経済審議庁においても慎重に検討をしておるところでございまして、成るべく早くこれを決定して新らしい年度が始まりますまでに間に合うように決定しなければならないと思いますが、折角只今そういう観点から準備を進めておる次第でございます。
  133. 小林政夫

    小林政夫君 経済審議庁の調整部が主体となつてやつておるのでございましようが、その関係各省の……一体関係各省というのはどことどこであつて、その省の何局の何課と一体話をするのかということをはつきりさしてもらいたいと思います。
  134. 福田久男

    説明員(福田久男君) やや抽象的になつて恐縮でございますが、経済審議庁は調整部においてその取りまとめ並びに全体の均衡等を主として考えて、経済審議庁から閣議に提出されるわけでありますが、関係各省といたしましては、通産省、農林省、運輸省、厚生省等、それぞれ所管の産業に対して各省としての意見を経済審議庁に出されるわけであります。窓口といたしましては、通産省では或る統括をやる部局において、具体的な名前をちよつと私はつきり存じませんが、統括する部局には各原局からそれぞれの意見が出され、その統括される局において経済審議庁に出されるということになると思います。例えば農林省でありますと、農林金融課というのがございまして、農林金融課に、例えば水産関係でありますと水産庁から意見を出す。で、各局からの意見を農林金融課でまとめて、それを経済審議庁のほうに提出するということになるのであります。通産省では企業局が取りまとめをやつておるように思います。
  135. 小林政夫

    小林政夫君 まあ今福田君も余り末端まで知らないようですから、あとで経済審議庁調整部、それから各省、通産省でありますと、企業局とその下に何課とありますから、課までちやんと一覧表にして出して下さい。
  136. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。
  137. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 先ほどの御説明だと、会計の利益金が二十六年度は十三億余円、二十七年度に十四億円ばかりあるということですが、これは何か為替売買の差益のようなものなんですか、或いは予約の手数料というものなんですか。
  138. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 為替売買をいたしますときの差益が大部分であります。それから先物取引につきましては予約手数料を取つておりますから、それも収入となつて益金の原因をなしております。
  139. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 それはわかつておるのですが、予約手数料というのはこの金額の中では極く僅かなんですが、大部分のものは差益ということになりますか。
  140. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) この予定計算書に載つておりますように、収入といたしましては運用収入、それから外国為替等の売買差益というものがあるわけでありまして、運用収入のほうが五十一億、金額としては相当多額に達しております。併しながら他面支払利子といたしまして五十四億程度のものが出ておりますので、益金の原因をなしておりますのは、大体におきまして外国為替の売買差益の十四億円であります。
  141. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどの資料で、二十七年度の実績ですが、一般会計を特に詳しくやつて下さい。その中の農林漁業金融公庫及び中小企業金融公庫、これに移るもの、そういうのをはつきりさして下さい。この実績の中でこれこれは農林漁業金融公庫、それから中小企業金融公庫に移ると、これはやはり業種別に線を引いてもらいたい。
  142. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて……。    〔速記中止〕
  143. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記始めて……。
  144. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 二十六年度はこの利益金を一般会計に繰入れるのだが、二十七年度からは今度積立になるのですか、この法律が通つたら……。そうしてそれはどういう理由で積立てて行くのかということをお聞かせ願いたい。
  145. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 只今申上げましたように、外国為替資金特別会計といたしましては、本来一般会計から相当の資金を出しておりまして、その資金を運用いたしておるわけでありますので、そこに益が出ましたならば、やはり一般会計がこれをもらうというのが一つ原則であろうかと考えるわけであります。従いまして今まではそういつたことで運用制度を作つて来ておつたわけであります。併しながら外国為替資金というのは相場の変動等によりまして相当の損失を生ずるということも考えられますし、又相当多額の借入金をやつて運用もいたしておりますので、こういつたものの借入金等の増減によりまして、又その経費その他の点も増減するということも考えられますので、一応一般会計と引離しまして、そうして特別会計として長期的に運用しておくということが必要ではなかろうか、毎年度損益、利益という永のを決算するよりも、或る程度長期的にこれを考えて行くということが便宜ではなかろうかということで、まあ一応一般会計との関係を切離すように改正したいというふうに考えたわけであります。なお、その関係におきましては、先物取引によりまして売買の予約手数料を取つておるのでありますが、このようなものは将来例えばポンドの切下が行われたというような場合においては相当多額の損失が特別会計として生じて来る、こういつたものに或る程度充てるというために売買手数料というものも積立てておく必要も考えられるわけであります。こういつた点も併せ考えまして、一応この際といたしましては、一般会計と切離しまして、積立として残そうという改正をしようとしておるわけであります。
  146. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今のお話で、一例を挙げられたポンドの切下等が行われた場合に損失が生ずるということ、若しもそういう事態が生じたということになれば、これはとても積立金では賄えないんじやないですか。欠損が生じまして今度一般会計から補填しなければならないことになるのですか。
  147. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) ポンドが切下げになつたという場合におきましては、勿論外国為替資金として資金に相当大きい損失が生ずると思います。これは資金の評価損となりまして資金自体として整理せられますので、これは又別の問題になろうかと思います。外国為替資金特別会計といたしましては、先物取引に買予約をする、或いは売予約しておるというもののみにつきまして損或いは益というものが考えられるのです。勿論その数字は相当多額になるということも考えられまするので、十四億程度の積立金で賄えるかどうかということは一応問題であろうかと思います。ただ最近の実情を申上げますと、最近はポンドあたりの売予約につきましては相当強制をやつておりますので、最近の実情は売予約のほうが多くありまして、そういう関係から切下げになつたということであれば、損失よりも逆に利益を生ずるということが考えられるわけでありまして、その売予約、買予約の数字的な関係におきましてはいろいろ数字が出て来ますが、尤も買予約のほうが多かつた昨年の二十六、七年でありましたか、丁度その頃の数字をとりましても、例えば一割切下げになれば二、三十億というような数字は一応考えられるわけでありますので、或る程度、数年間の積立でもしておけば或る程度の損失はカバーできるのじやないかということで一応積立をしようといたしておるわけであります。勿論情勢の如何によりまするので、この程度の積立でカバーできないというような場合におきましては、勿論一般会計からこれを埋めるというわけで、法律制度といたしましても、なお不足がある場合においては一般会計よりこれを補填するものとする、こういうふうにしておるわけであります。
  148. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御発言もないようでございますので、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  151. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたします。  なお諸般の手続は前例によつて委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     大矢半次郎  西川甚五郎     伊藤 保平  堀木 鎌三     岡崎 真一  黒田 英雄     菊川 孝夫  杉山 昌作     木村禧八郎  小林 政夫   —————————————
  153. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に、先ほど一応質疑を打切つておりました設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  156. 中川以良

    委員長中川以良君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたします。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     杉山 昌作  小林 政夫     西川甚五郎  伊藤 保平     堀木 鎌三  岡崎 真一     菊川 孝夫  大矢半次郎     黒田 英雄   —————————————
  158. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に、これも先ほど一応質疑を打切つておりました国有財産法第十三条の規定に基き、国会の議決を求めるの件につきまして質疑を続行いたします。  別に御発言もないようでございますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 中川以良

    委員正(中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。国有財産法第十三条の規定に基き、国会の議決を求めるの件を原案通り異議ないものと議決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  161. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り異議ないものと議決することに決定をいたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     木村禧八郎  杉山 昌作     菊川 孝夫  小林 政夫     大矢半次郎  西川甚五郎     伊藤 保平  堀木 鎌三     岡崎 真一  黒田 英雄   —————————————
  163. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に、米国対日援助物資等処理特別会計法廃止する法律案について内容の説明を聴取いたします。
  164. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 米国対日援助物資等処理特別会計法は、昭和二十五年以来米国対日援助物資及び政府が連合国軍から払下を受けた物資の収得及び処分並びに米国対日援助として提供された役務の処理に関する政府の経理を特別に取扱つて来たわけでありまするが、すでにこれらの援助物資につきましては、もう打切られておりまして、現在はその処理のみにつきましてやつてつたわけでありまするが、その事務も大分終了したものと考えられまするので、二十八年度におきましては本特別会計を廃止しようというものであります。  本会計が設置せられましてから今日まで、本会計の歳入として計上せられましたものは、昭和二十七年度末の予定まで含めまして、三千三百二十六億円程度に達します。このうち見返資金といたしまして積み立てられました額が三千六十五億円ほどに達しまして、援助物資等輸入諸掛とか、事務費とか、それから一般会計へ組入れました金額等を差引きまして心二十七年度末におきましては十億程度の剰余が生ずる見込みであります。以上が本法律案の内容であります。
  165. 中川以良

    委員長中川以良君) 御質疑を願います。
  166. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは対日援助費の返済の目的と関連して来るのですが、計算の仕方、三千三百二十六億となつておりますのは、返済するときのドル計算はどうなるのか。それから頂いた資料、主として物資別のがあります。この中で綿花、主食、油脂、肥料、鉄鋼その他がありますが、こういう価格算定はどういうふうになつておるのですか。こういう物資別の価格の算定はどういうふうになつておりますか。
  167. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは対日援助の目下問題になつておりまする債務との関係とは一応切離して考えていいのではないかと考えるわけであります。と申しますのは、この特別会計の歳入として上つておりまする三千三百二十六億は、物資を、物としてもらいまして、それを国内において売払つた。その売払つた歳入が三千三百二十六億というように上つたわけであります。従いまして、このもらつた物をどういう価格どういう計算で返済をするかという問題は、又別個にこれは協議せらるべきものではなかろうかと考えるわけであります。更にこの三千三百二十六億は本特別会計の歳入でありますが、これをその物資を向うのドル価格でこれだけのものだということでもらいましたその物資を三自大十円で換算いたしまして、その三百六十円として積立てた額、これが見返資金積立金として計上せられております三千六十五億円というようになつておるわけであります。
  168. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三千六十五億円の今の算定の仕方、もう一回話して下さい。
  169. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 三千三百二十六億は、これは本特別会計が援助としてもらいましたものを、これを国内において売払いまして、そうして特別会計として上つた額であります。それから見返資金積立金として三千六十五億円として計上せられておりますのは、向うからもらいましたときのものを、それを三百六十円で円計算をいたしまして、そうして積立てた額であります。
  170. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、もらつたときの例えば綿花なんか幾らという計算で来るわけですね。単価幾ら、それから主食は幾ら、こういう案ですね、それでそのドル計算ができて積み上げて三百六十円掛けるんですか。
  171. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) さようであります。
  172. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうですか。そうしますと、この差額ですね、この対日援助見返資金特別会計の三千六十五億と三千三百二十六億との差額は、向うから援助してもらつたものを政府が売るときにそれだけ政府の利益になつている。返すときには三千六十五億返せばいいんだ、この仮に三百六十円の計算がいいか悪いか、これは又別ですが、そういうことになるわけですか。
  173. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは歳入に上つておりまする三千三百二十六億は、これは国内において売払つた価格でありますけれども、それはそのときどきのいわば国内におきまする時価で売払つておるわけであります。売払いにつきましてはいろいろ諸掛りが入つておるわけであります。従いまして、その価格と只今申上げました見返資金の積立金の差額が利益だというようには考えられないわけであります。この歳入の三千三百二十六億の中には、例えば補給金あたりも出したものがあるわけです。こういつたものが一般会計負担において、補給金を出して、そうして今まで安く売払つてつたというようなものもあるわけでありまするので、そういつた関係もいろいろ錯雑しておるわけであります。それからここで御覧になつておわかりになりまするように、歳出の中には輸入援助物資と輸入諸掛りというようなものもありますし、いろいろその他の諸掛りがありますので、こういつたものも歳入のほうとの関連を持つておるわけであります。
  174. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この返済するときの金額の見積りというのはどうなんですかね。結局向うで物資の形で援助を受けたが、その物資について個々に価格があつて、その価格に物資の数量を掛けたもの、これを総計して二十億ドルとかなるのですか、そういうものが返済の額になるわけですか。
  175. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは極めて困難な問題でありますので、まだどういうふうにお答えを申上げていいか、ちよつと私として困る問題でありますのですが、一応私の考えとして申上げますれば一見返資金の積立金として積立てたもの三千六十五億という数字が、この数字の中では最も返済については関係の深い数字ではなかろうかというふうに考えるわけであります。勿論御承知のように、援助物資はここに積立てられる以前のものも相当ありまするので、そういつた問題とも関連いたしまして、いよいよ最後に協定をするときにどうなるかということは十分検討しなければならんだろうと思います。
  176. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから大体でいいのですが、第二の綿花、主食、油脂、肥料、こういうものを向うから援助を受けたときの価格ですね、これは何か表か何かでわかりませんか。例えば綿花ならば一ポンド幾らの計算で来ておるか。
  177. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは三百六十円で計算しておりますので、そのときの数字をずつと検討して行けばドル価格は幾らかというのはわかるはずであります。ちよつと手許に資料を持合しておりません。
  178. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三百六十円で計算しておるというのはおかしいと思います。ドル価格幾らというので、それに三百六十円掛けておるのでしよう。
  179. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) そうです。
  180. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですからその基本があるわけですね。
  181. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) あります。
  182. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あるにはあるのですね。
  183. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) あります。
  184. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは今直ぐじやなくていいのですが、成るべく早いほうがいいのですけれども、わかつたら、例えば綿花なんか一ポンド幾らくらいの計算で援助というものを受けておるのか。それから主食、これは小麦その他いろいろあると思いますが、主食も、物資別に油脂、肥料品目について、受取るときのあれがあるわけですね。
  185. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 至急取調べましてお答えいたします。
  186. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それと、資産及び負債を一般会計へ引継ぐというのですけれども、その資産、負債の関係はどうなんですか、引継ぐときの、これは資料として頂いたこれですか。
  187. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 附則の問題でございましようか。
  188. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 資産、負債でしよう。
  189. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 附則の第三項で、その資産、角債を引継ぐというように規定しておる関係だと思いますが、これは一応本会計が廃止になる場合におきまして、一般会計に一応帰属するというのが原則としてされておるわけであります。ただこの会計の制度上、例えば廃止を四月一日と一応予定しておるわけでありますが、そのときまでに決済が全部済むものと、出納整理期間中に一応整理があとに残るものがありますので、その関係を三項と四項で一応出納期間中の整理の問題をも含めまして規定しておるわけでありまして、規定がやや複雑になつておりますが、原則としては四月一日に引継ぐと、併し出納期間中になお整理を要するものは、その間中に整理をしておいて、そして残つたものを引継ぐと、こういう規定をしておるわけであります。
  190. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この未収金というのはまだあるのですか。
  191. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 未収金は現在なお六億程度のものを持つております。これは年度内にできる限り整理をするというておりますが、なお整理できないものは一般会計のほうに引継ぐわけであります。
  192. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この六億残つておるというものはどういう内容のものですか。
  193. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは売払いました未収金でありまして、皮革だとか、油というようなものがなお未収金として残つておるのがあるわけであります。
  194. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから、その皮革とか、油を売つた未収金がどういう関係で未収金になつているか、その関係が明らかにならないと困るのです。その点一つ明らかにしてもらいたいですね。どういうところで未収金になつているのか、それは一般会計に引継ぐとき問題になります。それから残存物資というのはどういうのが残存しているか。
  195. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 未収金の詳細につきましては、本特別会計は通産省の所管になつておりますので、後ほど通産省のほうから資料を提出したいと思います。
  196. 池田俊夫

    説明員(池田俊夫君) 只今一般会計へ引継を予想されますところの物資の内容についてちよつと御説明申上げます。援助物資として残つておりますのは、マニラ麻、これは金額にいたしまして約八千八百万円、それからアンチピオール、これは通称チビオンと申しまして薬品でありますが、これが約簿価にいたしまして九十八万三千円……。
  197. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どういう薬品なんです。
  198. 池田俊夫

    説明員(池田俊夫君) 薬品ヒドラジツドの前にできましたところの薬品なんですが。
  199. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 何に使うのですか。素人なもんですからわからないのですが。
  200. 池田俊夫

    説明員(池田俊夫君) 結核の特効薬であります。これは一時使用禁止になつておりまして、最近解除されたのですが、なかなか売れずに残つてつおるということであります。援助物資といたしましては、只今申上げましたように、この二種類のものが残存いたしておるわけであります。それから同じ援助関係の中でも、いわゆる軍払下物資と申すものがあるわけでありますが、通称SIM、QM物資と申しておりますが、この内容を申上げますと、冷蔵庫、これが簿価にいたしまして六十三万九千円、それから薬品でありますが、この薬品はやはり注射薬でありますが、枸櫞酸ソーダとそれからダイヤジンです。これが約九十二万円、それから屑材、これは鋼板の屑材でありますが、これが五万六千円ばかり。それから屑ゴム、簿価にいたしまして四万円、これはタイヤ等の屑ゴムであります。合計百六十五万五千円。現在残存いたしておりますところの物資は以上の通りであります。なお未収金の点につきましては、先ほど申上げました六億一百万円、これにつきましては非常に対象業者が多いのでありますので、只今ここですぐ資料を御提出するわけに参りませんので、後ほど提出したいと思います。
  201. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからそれと併せてその未収の理由ですね。どういうわけで未収になつているか、そのことも……。
  202. 池田俊夫

    説明員(池田俊夫君) 最初の表に、当初鉱工品貿易公団及び繊維貿易公団等からこの援助物資特別会計に引継ぎましたところの、いわゆる未収債権というものが百三十八億六千二百万ほどあつたわけでありますが、これをこの特別会計におきまして逐次回収して参りました結果、現在六億一百万円ほど残つておるわけでありますが、この未収の主たる原因、これは引継いだ当時こうした厖大な債権があつたわけでありますが、この未収の原因を、勿論いろいろありまするが、特に大きく現在残つておりますところの債権といたしましては、先ほどちよつと申上げましたいわゆる鉱油、石油の未収代金、これは約五千五百万円ほど残つております。それから更に現在裁判所の和解に持つてつておる案件が相当あるわけでありますが、結局この代金徴収の措置が十分でなかつたということが大きな原因になつておると思います。
  203. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その代金徴収の措置というのは、これは不十分であることはどういう意味ですか。
  204. 池田俊夫

    説明員(池田俊夫君) これは主として大きく残りました大半のものは、いわゆる引継ぎの未収債権ということでありまして、これは直接この特別会計でやつたものではありませんが、この会計でやつておりましたように、金を徴収してから物を渡すというふうな原則を、いわゆるCODの原則を確立しておれば問題は起らなかつたと思うのでありますが、この原則が確実に守られていなかつたというところに大きな原因があつたと思います。
  205. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはどうなんですか、大体焦付きみたいな形なんですが。
  206. 池田俊夫

    説明員(池田俊夫君) 現在極力回収に努めておりまするが、勿論現在残つております六億そのもの全部が焦げ付くということを申上げることはできないと思いますが、そのうち大部分はどうしても止むを得ないのが出て来るのじやないかというふうに考えております。
  207. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 今の焦げ付きの問題なのですが、どうもお役所の仕事というものはそういうことになるのですね。貿易公団から引継ぐときにはごつそりと百何十億か引継いで、この会計の担任者はそれをやつて、又六億幾らのあれをこの会計が潰れると一般会計の中に引つくるめる。だんだん引継ぐ間に責任上では昔の人がなつたということになる。だからこういうことは、会計の引継ぎなんかのときには、これは担当の当事者もそうでしようが、特に主計局なんかが十分そういうところは念を入れてやつて頂かないと、引継ぎ引継ぎということで結局責任はどこかわからんが損をしたのは国民だ、こういうことになるので、こういう点は一つ御注意を願います。
  208. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 木村君の御質問に関連してなのですがね、貸借対照表のもつと細かいものを出してもらいたい。これを出してもらわないとわからない。それから資産の負債の内訳表ですね、歳入と歳出だけ出してもらつても実際これではわからん。だからそれを出して頂かなければならん、資産、負債の内訳の中で主なるものを提示して頂き、そうしてその理由も明らかにして頂きたい。大体こういうものを引継ぐ際には、本来特別会計でいろいろ清算をしてはつきりして引継ぐものだと思うのですけれども、資産、負債そのまま一般会計に帰属するものとするというのは、一体どういうふうに国家財政上は引継ぐのですか、形式は……。
  209. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは清算をいたしまして、そうしてそのときの償権、債務というようなものが明らかになりますので、この債権、債務関係を引継ぐということになるわけであります。
  210. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 一般会計に引継ぐということとは債権、債務をどういうふうに一般会計の形じやなつて来るのです、会計の形としては……。
  211. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 特別会計といたしまして清算をいたしますと、そうしてそのときなお資産なら資産がどれだけあるということを明らかにいたしまして、そうしてその資産は、例えば物ならば物がこれだけだ、それから債権はこれだけだ、いわゆる現金はこれだけだというように残つた残余の財産を引継ぐ。それからその場合に主たる債務としまして未払金というようなもので債務が残つておりますれば、又その債務を引継ぐということにいたしたわけであります。
  212. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 いや大体そうだろうと思いますが、一般会計の資産勘定というものがあるのですか。
  213. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは一般会計に帰属しますので、あとはそのものを一般会計に売払いまして、そうして歳入に又立てるということになるわけであります。
  214. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 だから今のお話だと、率直に言えば全部整理してしまつて、雑収入に立つとか或いは雑損に立てる、そういうふうになるのには、完結するまでには大体先のことになりますね。それまでの暫定処理はどうなるのですか。
  215. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 一応特別会計が廃止になるときまでのものといたしましては、特別会計においてやりまして、そうして残りましたものは今度一般会計が引継いで行く、例えば物なら物を引継ぎまして、そうして物を売つて、それが歳入に入ればその歳入として整理をしますし、それからその後におきまして、例えば未収金なんかになつて、その一般会計で又焦げ付くというようなことがあれば、これは一般会計の整理として残るということになるわけであります。
  216. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも僕の言つていることと食違つているようなんですが、資産関係の整理があるはずだと思うのです。一般会計に引継いだときに資産関係の引継があるべきであつて、それを歳入歳出関係として引継ぐわけじやないはずです。そういう整理になれば、やつぱり国有財産とか、そういう財産は国有財産に引継がれる。それからおのおのに整理されるのだろう、こういうふうに思うのですがね。まあ余り……、どつちでもそう大したことではないのですが、要するにこの問題については、将来のためにも、率直に言えばどういうような資産の整理がなされておつて、実際どうなつておるかということだけははつきりさしておかなければならない。それでないと、この会計を廃止したあとわからなくなつてしまう傾向がある、こう思いますので、ほかの場合と違つて、そういう内訳、今申上げた貸借対照表と資産、負債の内訳表だけはつきりしたものを参考資料として御提出願わなければならない、こう思います。委員長から御要求を願います。
  217. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  218. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて……。それでは一応只今の質疑はあとで継続することといたしまして、次に、一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案について内容の説明を聴取いたします。
  219. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 緊要物資輸入基金特別会計法におきましては、国際的に稀少物資等で我が国に割当になりました物資その他の輸入を取扱つておるわけでありますが、本会計の基金といたしまして二十五億円を一般会計から繰入れておつたわけであります。然るところ本会計の実施の状況を見て参りますと、現在までのところ輸入資金として使用いたしました額は、最も多い年度におきまして十億程度にしか達しなかつたわけでありまして、二十五億円の基金は一応現在までの支出から考えますと多かつた考えられます。他面今後の見通しといたしましても、本会計において取扱う輸入が多額になるということは目下のところ予想せられませんので、一般会計財源といたしまして、この際十五億円をこの基金から繰戻すということが適当であろうかと考えまして、二十八年度におきまして基金を十五億だけ減少しようとするものであります。なお万一の場合を予想いたしまして、十億円の基金においては賄えないという事態に備えるために、本会計において借入金もできるという規定を挿入しようとしておるわけであります。  以上が本法律案の内容であります。
  220. 中川以良

    委員長中川以良君) 質疑をお願いします。
  221. 小林政夫

    小林政夫君 今の十五億、この基金でどんなものを今までに買つていますか。
  222. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 今まで買いました物資といたしましては、ニッケル、コバルト、タングステン、モリブデン、石綿、合成ゴム、亜麻仁油、ダイナマイト、グリセリン、皮革、そういうものを買つております。
  223. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに関連してちよつとその資料を……、幾らで買つて、幾らで売つたか、その数量、金額、単価、それから売つた場合の売先とか、それから今物資がどのくらい残つているか。
  224. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 配付資料用として作つておるのがあると思いますから、すぐ後ほどお届けします。
  225. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは非常にいろいろ問題があると思いますが、資料を要求してそれを研究してから質問いたしたいと思います。
  226. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  227. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて……。それでは御質疑はございませんか。
  228. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 初めは大体基金が二十五億、四回転くらいということじやなかつたかと思うのですが、そういう想定で二十五億というものがきまつたのじやなかつたかと思いますが、(「そうじやない」と呼ぶ者あり)そうじやなかつたのですか。それはどちらでもいいのですが、ともかくも二十五億を想定しながら大体十億程度あればいいのだというふうに変つて来た事情はどういう理由があるのですか。
  229. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 本会計の今までの実績を見てみますと、二十六年で買入れました金額二億五千九百万円余、それから二十七年度におきまして四月から十二月までに買入れましたのが十二億一千九百万円、それから同期間に売払いましたというのが三億五千八百万円、十二月末の在庫が十一億円ということに相成るわけであります。従いまして一応今後の見通しといたしましても、これ以上に増加するということは先ず現在のところ考えられない。従いまして基金といたしましては十億程度あれば先ずまず無難ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  230. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 大体何回転くらいしていますか、一年に基金が。
  231. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 基金といたしましては回転していないのです。
  232. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 基金といたしましては回転していないのですね。だから今まで基金のほうが多いのだから回転しようがないのだ。
  233. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この基金で今お話のいろいろな緊急物資を輸入しましたが、その後いろいろな価格の変動があつたわけですね。価格変動によつて相当値下りがあり、買つたときよりも非常に安く売らざるを得ない、そういう関係が出て来ていると思うのです相当。そういう関係はどうなつておりますか。
  234. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 当初買いました価格よりも国際価格が値下りして、その物資だけでは損失をこうむりそうだというものは合成ゴムだけでございます。それで三月末現在の損失は、これが約二千万円程度損失をしております。だけれども、その他の物資、特にニッケル等は国際価格と、それから時価が或る程度開きがございますので、それで埋合せをいたしまして、買上げ物資全体といたしましては、二十七年度の三月末で約一億七千万円から一億五千万円くらいの益金が出るというような運用の予想になつております。合成ゴムあたりで少し損失はこうむりまするけれども、基金の全体の経理の上ではむしろ益金が出るような運用をするということでございます。
  235. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 全体として、結果としてその後又値上りがあつたりなんかしてトータルとしては損失しない、こういうことになつているというのですが、一時非常に下つて著しく安く売つたということはないのですか。その後その値上りで又カバーをした、こういうような関係はないのですか。
  236. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) そういうものは別にございません。合成ゴムがちよつとそういう事例に当るかとも思いますけれども
  237. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじや又資料で、買入価格、販売価格ですね……
  238. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今二十七年度一億七千万円くらいの益金が出るというのですが、在庫が十一億なんですね。そうすると在庫がどういうふうに処理されるかによつてもいろいろ変動が出て来るのだと思うのですけれども、だからさつき基金の回転率を聞いたのですが、大体この会計ができてから長く持ち越しておるようなものはありませんか。一番在庫の期限の長いのは何年くらいですか。
  239. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと今の、二十七年に一億七千万円の益金が出るというのは、予算書にはそういうふうになつていないのですよ。本年度益金はゼロだ。
  240. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 先ほどの御質問にあれしますと、ちよつとニツケル等はIMCの割当がありましたときに、一度に割当分を買つておかなければいけないというような事情がございますので、そういうものを買うためにこの特別会計ができておりますので、ニツケル等はずつと在庫期間が長いということになつております。その他の物資については、この本質が元来国際的稀少物資でございますから、そういうふうにたくさん一遍に買わなかつたなら、大体右から左にはけるというふうな建前でございます。
  241. 小林政夫

    小林政夫君 益金が違うじやないか。
  242. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) この予算書に上つております本年度利益金ゼロと申しますのは、特別会計の利益金でございまして、特別会計のほうへ基金として利益金を組入れまして、その結果特別会計の収支を作りました結果がゼロになるわけでございます。
  243. 小林政夫

    小林政夫君 そんなことはおかしいじやないか。当然売買差益を収入に上げ、そうして諸経費を引いたものが利益金になるわけだから。
  244. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) そうでございます。基金特別会計と申しますのは、別な会計になつておるわけでございます。基金特別会計のうち、その基金の収支は一つの基金としての会計をやりましてその結果、運用益が出ましたならば特別緊要物資基金特別会計のほうへ繰入れる。それで今度特別会計の経費を賄つて、その上更に益金が出れば一般会計へ繰入れる。損失が出れば一般会計から損失を繰入れるというふうな仕組になつておりまして、普通の特別会計と、基金特別会計でありますから仕組が違うわけでございます。
  245. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  246. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記始めて。それでは只今法律案に対する質疑は後ほど更に継続することにいたしまして、一応打切ります。
  247. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは次に造幣局特別会計法の一部を改正する法律案について、内容の説明を聴取いたします。
  248. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 造幣局特別会計法におきましては、補助貨幣回収準備資金というものを設けておりまして、補助貨幣を発行いたしました場合におきましては、その発行代り金を資金として積立てまして、補助貨幣を回収いたしましたときには、その回収額を資金から出すということで、準備資金というものを積立てておるわけであります。他面におきまして、補助貨幣は造幣局特別会計におきまして製造しておるわけでありますが、その製造経費は、一般会計から製造経費をそのまま繰入れまして、そしていわば特別会計自身といたしましては無償で製造、補助貨幣を造つておるという関係なつておるわけであります。できましたところの補助貨幣を発行しますと、只今申したように準備資金として積立てられると、こういう関係なつておりまして、そして只今のところ回収準備資金が二十七年の十二月末現在で、補助貨幣回収準備資金といたしまして六十七億三千八百万円ほどに達しておるわけでありますが、その当時の補助貨幣の発行現在高、これが八十二億五千百万円ほどに達しておるわけであります。それで八割以上の、発行現在高に対しまして八割以上の準備資金を積立てておると、こういうような状況になつておるわけであります。ところが補助貨幣の回収準備資金といたしましては、回収する場合に支障がないだけの額が資金として一応積立てられておりますれば十分であるわけでありまして、一般的に補助貨幣の名目価値と実質価値というものの割合を見てみますと、通常の場合におきましては、補助貨幣の名目価値に対しまして実質価値は大体二割程度のものと考えられるわけであります。従いまして約八割程度のものは準備資金としてずつと積立てが増加なつて行くということが先ず考えられるわけであります。  それからもう一点は、補助貨幣を全部回収してしまうということは、先ず通常の状態においては予想せられないわけであります。こういう点を考慮いたしますと、今までのように製造経費は全部一般会計から繰入れると、それから準備資金として発行しただけのものは全部積立てると、こういう方法をとることは必ずしも必要ではないのではないかという点が考えられまするので、この際この点を改正いたしまして、今まで一般会計から繰入れておりました製造経費の繰入れをやめまして、回収準備資金から製造経費を繰入れると、このように改正をしたいというのがこの改正案の主眼点であります。これは戦前におきまして、旧法時代におきましては、やはり大体この改正案のような方法において行われておつたわけでありますが、昭和二十五年に現在のような回収準備資金の制度が打ち立てられたわけでありまするが、併し一般会計財源等の関連をも考えまして、必ずしもこれだけの準備資金を保有する必要はないという見地から、今回戦前のような回収準備資金を使つて製造経費を賄うというように改正しようとするものであります。  なお、改正案の中におきましては、固定費産の増加等をなす場合におきましても準備資金から繰入れることができるということを規定しておるわけであります。これも現行法におきましては、固定資産の増加一般会計から繰入れるということになつておるわけでありまするが、回収準備資金に相当の余裕があつて差当り回収に支障がないという状況の下におきましては、固定資産の増加に充てるために回収準備資金を使うということも適当だろうかと考えまして、回収準備資金から固定資産の増加の経費を繰入れることができるようにしようとするものでありますが、この点につきましては、回収準備資金の本来の性質から考えまして固定盗難に使うということは万一回収準備資金に不足するということは当然予想せられることでありますので、それを限定といたしまして一般会計から繰入れをすることができるということによりまして、回収準備資金の不足を補おう、こういうように考えておるわけであります。  以上がこの改正案の内容であります。
  249. 中川以良

    委員長中川以良君) 御質疑を願います。
  250. 小林政夫

    小林政夫君 その回収準備資金というのは予算の貸借対照表のどこにあるのですか。
  251. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 特別会計の予算書の五十二頁に造幣局特別会計、資金増減額計画表というのが載つておりまして、二十八年度の初めには百三億程度のものが資金として予定されております。これが只今申上げました昭和二十七年の十二月末現在六十七億三千八百万円と申上げましたのが、本年度中に補助貨幣が更に発行になりまして二十八年度の初めには百三億円程度になる、こういうように予定されておるわけであります。
  252. 小林政夫

    小林政夫君 どうも経理の関係がわからないのだけれども、これは資金増減額計画表であつて、その準備資金というものがどういう経理になるのか、貸借対照表にはないのですよ。貸借対照表に載せるべき性質のものじやないかと思うのですが、その点お伺いいたします。
  253. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 造幣局特別会計といたしましては、補助貨幣の製造その他の製造をやつておりまして、その事業会計だけを特別会計として取扱つておるわけであります。その特別会計に別個に資金というものが置かれておりまして、そうしてその特別会計の経理と別に賃金がその中に置いてあるわけであります。従いまして資金の増減と特別会計自体の計算とは一応別個に行われておるわけであります。
  254. 小林政夫

    小林政夫君 それをもう一回説明して頂きたいのですが、その特別会計のほうとは全然別個に資金だけの会計がある、そうすると……。
  255. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) もう一度、どうも説明不十分で誠に申訳ないのですが、造幣局の事業といたしまして、貨幣とか賞盃とか記章とかそういつた作業をやつておりまして、その作業に関しまする歳入歳出損益計算というものを造幣局の特別会計で経理しておるわけであります。それと別個に補助貨幣が製造せられますというと、その補助貨幣を日本銀行に渡しまして、そうして日本銀行の勘定で、例えば十億なら十億というものを発行しますと、十億といういわば政府の預金ができるわけであります。そのできましたところの政府預金は、造幣局特別会計とは別個な資金に計上しまして、資金が十億そこに殖えるということで経理しておるわけであります。それから補助貨幣を回収いたしますと、その回収しましたものが今度は政府預金がそれだけ減つたわけでございますので、減つた場合には資金が五億なら五億減る。そういうことで補助貨幣の発行と回収だけを資金として置いてあるわけであります。そうしますと一応その関係におきまして、造幣局の作業に関する経理とそれから補助貨幣の発行、回収に関する資金というものが一応別個に行われておるというようにも考えられるわけであります。
  256. 小林政夫

    小林政夫君 それで大体資金関係はわかりましたが、そうすると回収準備資金はどうなんですか。
  257. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) そういうことで、只今申上げましたのが回収準備資金でありまして……
  258. 小林政夫

    小林政夫君 い知れ今の資金と回収準備資金とはどういう……。
  259. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 資金と申しますのは、実は回収準備資金のことでありまして、補助貨幣を発行いたしましたときには、回収準備資金として積立てるということになつておるわけでありまして、それ以外には資金はないわけであります。今まで申上げました資金というのは、回収準備資金のことであります。
  260. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、先ほどの補助貨幣発行総額は、昨年度末で八十二億五千百万円、資金は六十七億三千八百万円、その差はどうなつておるのですか。
  261. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 二十七年度の十二月末で補助貨幣発行現在高は八十二億で、そのときの補助貨幣回収準備資金は六十七億と、こう申上げた関係だと承知いたしますが、その関係は補助貨幣といたしまして、現在まで政府が発行した現在高が八十二億になつておるわけでありますが、本制度、このような只今申上げたような補助貨幣回収準備資金という制度ができましたのは二十五年でありますので、それ以前はこのような資金の制度を持つていなかつたわけであります。で、戦前等におきましては、資金は発行しただけを全部積立てるという状態でなかつたのでありますので、従つて回収準備資金の額が発行現在高に達していないわけであります。
  262. 小林政夫

    小林政夫君 その点はわかりました。そうすると第八条で「政府において、引き換え、又は回収した補助貨幣は、この会計の資産に帰属するものとする。」、これと先ほどの話とはどうなんですか。
  263. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 補助貨を例えば五億なら五億回収いたしますと、五億だけ政府の預金が減りますから、従つてつたものはそれだけ資金の減少ということに整理する。ところが現実に回収いたしますと、その地金が手に入るわけでありますから、これは政府の所有になるわけでありますが、それは今度そのまま無償で特別会計の帰属にしてしまう。そうすると特別会計としては、これを使つて次の補助貨幣の製造等に充てられる、こういうことに使われるわけであります。で、資金のほうは、先に補助貨幣を回収したところの回収の代金、代金と申してはちよつとおかしいのですが、回収の金、そのほうの経理だけをいたしまして、回収した地金自体のほうは、無償で特別会計のほうのものになる、と同時に、でき上つたものは、これはいわば無償で、ちよつとその言葉は足りないかと思いますが、無償で資金のほうのものになるということも考えられるかと思うわけでありますが、具体的に申上げればそういうことになるわけであります。
  264. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、この補助貨幣は、この会計の資産に帰属するということは、地金代分だけが、地金の評価をしたそれだけが資産に計上される、こういうことですね。
  265. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) さようでございます。
  266. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、この場合においては、この補助貨幣は物品なんですね、貨幣じやなくて。
  267. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) さように考えます。
  268. 小林政夫

    小林政夫君 わかりました。
  269. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。
  270. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 簡単に質問しますが、今黄銅貨の十円はもう発行しませんか。今度十円の青銅貨かできたでしよう。黄銅のほうはもう鋳造はしないのですか。
  271. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 実際のほうは私よく存じておりませんですが、只今発行しておりますような種類のものを今後相当発行するわけであります。
  272. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 それでは今まで発行されていろいろんな補助貨がありますね、そのうちで今後実際鋳造して出すものと、それから鋳造を廃止するものについて、あとでようございますから調べて知らせて下さい。
  273. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 後ほど調べてお届けいたします。
  274. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。他に御発言もないようでございますから質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  275. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを頂きます。別に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。造幣局特別会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  277. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は、前例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     西川甚五郎  松永 義雄     伊藤 保平  杉山 昌作     堀木 鎌三  菊川 孝夫     岡崎 真一  小林 政夫     黒田英雄
  279. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは次に、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の一部を改正する法律案について、内容の説明を聴取いたします。
  280. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由を申上げますと、現在の旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措農法は、昔の旧陸海軍共済組合、それから外地の関係の四共済組合の組合員でありましたもので、終戦当時におきましてすでにその当該組合から年金をもらえる資格のあつた者、いわば既給権者だけを対象といたしまして、これに国庫負担で年金を支給するという措置をとつているわけでございます。ところが、この昔の共済組合において年金の受給資格があつたという点で線を区切りましたために、実際にはちよつとアンバランスを生じて参つたのでございます。その最も大きい例といたしまして、昔の海軍の共済組合におきましては、勤続二十年以上であれば年金は支給できるという規定でございましたが、陸軍共済組合及び外地関係の四共済組合におきましては、勤続二十年以上のほかに、例えば年齢は四十五歳以上であるとか、或いは四十歳以上でなければならない、こういう要件が更に附加されておつたわけでございます。従いまして終戦時におきまして、例えば海軍共済組合で二十年以上勤めていた者は当然既給権者としてこの法律に拾い上げられているわけでございますが、先ほどの年齢の制限のある組合につきましては、たとえ勤続二十年以上でありましても、若かつた者は年金の受給権は発生していなかつた。従いましてこの特別措置法で拾つていなかつたということに相成つてつたわけでございます。このアンバランスを是正いたしますために、今回、先ほど申上げました旧陸軍共済組合と外地関係四共済組合の組合員で、終戦時までに勤続二十年以上であつたという者はすべて拾い上げ、特別措置法の適用範囲に入れるということにいたしたわけでございます。  それともう一つは、昔旧陸軍兵器廠職工扶助令という特例がございまして、これは二十五年以上兵器廠に勤めた職工には、定期年金を賦与するという勅令でございまして、この職員もやはり同じ雇用人といたしまして、この共済組合の職員と同じ立場にあるものといたしまして、やはり同じような条件で終戦時において勤続二十年以上であれば、すべてこの法律の適用範囲に入れるということを措置をいたしたわけでございます。  以上が今回の一部改正法案の内容でございます。
  281. 中川以良

    委員長中川以良君) 御質疑をお願いします。
  282. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これによりまして新たに適用される該当人員が、予想でどのくらいありますか。
  283. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 新たな該当人員は七百四十七名でございます。
  284. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それからこの七百数十名のうちで、今まで海軍のほうはすでに実施されておつたのですが、この新たに適用されることになりました場合に、その海軍との差につきましては考慮されるのでございますか。適用が遅れたということについて。
  285. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これは適用が遅れていたからということは、つまり過去に遡るかというような御趣旨であろうかと存じますが、海軍のほうはいわば既給権者をそのまま拾つてつた、今度は既給権者じやない、新らしく権利を形成するのでありまするから、やはり新らしく今度法案が通過いたしましたときからというふうに考えております。
  286. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、年齢については当然、これは終戦当時から大分たつておりますから、年齢の問題は、すでに今まで解消したものには、逐次それを実施しておつたのですか。この点について。
  287. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これは年齢の制限は、終戦時において省いていたわけでございます。例えば終戦当時に勤続年数二十年で年齢四十四歳であつて、四十五歳までに一歳足りないというものは、これは受給権が全然なかつたわけでございます。当時においてつまり権利がなかつた。従つて拾われなかつたというわけであります。
  288. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういう年齢に達しないために年金がもらえなかつたが、一時金等の処置はこれはできているかどうか、年金に代るものとして。
  289. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 陸軍共済組合、海軍共済組合では、退職一時金を支給いたしております。その支給されたものは、今回新たに年金を支給する際にこれを差引くという調整規定を設けておるわけであります。
  290. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その差引方は、どういうふうに差引かれるのですか。
  291. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これは終戦当時の貨幣価値によります退職一時金でございますから、非常に少額なものでございます。これを第一回目の、今、四月から実施いたすといたしまして、第一回の支払分から差引いて行くということに相成ります。
  292. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから問題は、その給料の算定だと思うのでございますが、その当時の給料と今とはころつと給与の形態そのものが変つてしまつていると思うのでございますが、その算定について、一体どういうふうに算定をされるか、これを一つお聞きしたい。
  293. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) この算定の基礎となります給料は、やはり終戦当時におきまして、組合解散当時において、その職員が現実に受けておりました俸給を基礎といたしまして、その後  一般の内地の共済組合におきましても、その基礎となる俸給のベース・アツプをいたしておりますので、それに対応したベース・アツブを行うということに相成つております。
  294. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとこのべース・アップの率というものは、一般の公務員の共済組合と同じような率で実施をする、こういうことでございますか。
  295. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) さようでございます。
  296. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから一つお伺いしたいのは、これの共済組合におきましては、年金受給者であつた場合に、その遺族について三分の一でしたか、大抵渡ることになつておるのでございますが、その点も考慮されているのですか、どうですか。
  297. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 勿論遺族年金も支給されることに相成ります。例えば今度終戦時において勤続二十年だつた、併し年齢制限で足りなかつたが、今回救われたという人は、今後例えばなくなりました場合に、その二分の一は当然遺族に参るわけであります。
  298. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その事務はどこでおやりになつたのですか。
  299. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 事務は、現在非現業共済組合会という法人がございますが、これは一般の内地の非現業の国家公務員の共済組合の年金の取扱をやつておりますが、そこに委託をしてやらしております。
  300. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。
  301. 小林政夫

    小林政夫君 もう菊川氏から質問があつたかも知れませんが、この不均衡是正というのは、この二十年以上の勤続者という勤続年限で調整をして、そうして年金等の支給額等は、大体この仮定俸給において同様のものは同様だということになるわけですか。
  302. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) さようでございます。
  303. 小林政夫

    小林政夫君 だから、そうすると海軍の共済組合とか、或いは陸軍のほうの共済組合の措置でやつてつたその他の外地関係の共済組合だとか、いろいろありましたが、それは全部国家公務員共済組合法に準じて直すと、こういうことですね。
  304. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) さようでございます。
  305. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つだけ伺いたい。今日まで遅れた理由ですね、これを一つお伺いしたいと思いますが、今やるようになつたということは、軍人恩給の復活、陸軍だと、こういうので我々はいわゆる再軍備にからみ合いしていると、こう思うのですが、今日までなぜやらなかつたか、その理由を一つ伺いたい。これは我々も大分陳情、請願をして、政府に取継いでおるのでございますが。
  306. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これは前々から問題のあつた点でございますが、御承知通り戦後におきます戦後措置というものは、大体において昔の既得権のあつた人は、やはり優先的に考えられている、昔権利がなかつた者に対して、あとになりまして新らしく権利を創設して行く、これは響きが非常に大きいのでございます。特に軍人恩給というような大きな問題も控えておりますし、こうした大きい、大きいと申しますか、事柄自体は小さいのでございますが、性質としては新たに権利を創設するというような大きな問題は、なかなか踏切りかねていたわけでございます。今回軍人恩給の措置もとりましたし、まあ何と言いますか、今までもらう権利があると思つていた人ももらえなかつたのに、全然権利がないとわかつている人に新たに権利を付けるという措置を先走つてやるのは如何かと、かように考えて遅れておつたわけでございます。
  307. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは軍人恩給は復活するので、これも放つておくわけに行かないということでやることになつたのか。前々からあなたの低うでは、この点については検討をされておつたのかどうか。我々のほうも大分この請願、陳情等は採沢して、大蔵省に何回もこを送つてあるのですけれども、遅れた理由はどうも納得できないのですが、漸く取上げられた。従いましてこれは一カ年くらいせめて遡及してでもやることはできないのかどうか、その点を一つ
  308. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これは今御説明の申上げ方が悪かつたと思うのでありますが、少くともこの方々は新たに今度権利を付けられるわけでございます。今までの過去の規則をそのまま適用いたしましたとすれば、権利も付かなかつた人に新たに権利を付ける、これはなかなか重大な問題でございます。ところが他面軍人恩給のほうは、厚生省はまあ一応昔の権利の完全な復活とは参りませんが、いずれにしましても昔の恩給法がそのままあつたならば受給資格があつたであろうそういうような人を取上げまして、而も審議会の意見に従いまして、その一部の受給者を切つておる、こういう形に相成つております。従つて片一方では新たに拾い上げられる、片一方では権利が相当侵害されておるというような形になつたと思うのです。そういう事態が出て来るとは我々もどうにもわからなかつたのでありますが、いずれにしても軍人恩給というのは、何と申しますか、自分に権利があると想像していた人にも支給してなかつた、にもかかわらず、片一方に新らしい権利を付けるということは、これは徳義上許されませんので、今まで遅延していたわけでございます。従いまして一年遡るということは考えられないわけでございます。
  309. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それではもう一つ念を押しておきたいと思いますが、遡ることが困難であるとするならば、すでに死亡しておる人の遺族、本人が生きておつたならば、生きておつてからだつたならば、遺族年金が下ることになるのですが、ところが終戦から今日までのうちに、これに該当したけれども、死亡してしまつておる、そういう人に対する取扱はどういうふうに考えますか。
  310. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) つまり二十年に権利があつた、終戦時に勤続二十年以上であつたものは拾い上げるという趣旨でございますから、その後における事態の変動に伴う、例えば先ほど申されました当人が死亡して遺族が発生したというような場合に、当然遺族年金はもらえるわけです。
  311. 小林政夫

    小林政夫君 附則の第三項ですね、それとその他にもありますが、「改正後の法第二十四条の規定」云々と、こうあるのですが、改正後の法第二十四条というのはどれですか。
  312. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) この点は旧陸軍兵器廠職工扶助令の適用を受けた職員につきましては、実は今回ここで新らしく支給されたような形になつておりますが、若干一部のものにつきましては、やはり陸軍共済組合にも足を突込んでおつた職員でありますので、そうした点からいたしまして、二十六年の一月、特別措置法のできました当時から実は支給いたしておつたわけであります。従いまして二十六年一月一日から同年九月三十日まで、この間は昔の八千円ベースでございますので、この八千円ペースの俸給を支給するという形にするという、こういうのであります。  別表第一は、この法律は今まで別表が一つだけございまして、これは八千円ベースの号級表でございます。それに該当する別表第二の一万円べースといたしまして、最近の新らしく入つて来たものに適用するという形になるわけであります。
  313. 小林政夫

    小林政夫君 改正後の法第二十四条は改正していないでしよう。
  314. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) これは改正後と申しますのは、第二項に書いてございますが、この法案によつて改正された後の法律という意味でございます。第二項の中ほどに「以下「改正後の法」という。」というふうに括弧書がしてあります。もともと特別措置法案の法案自体には別表が一つしかないわけであります。それに別表をもう一つ加えるという改正をいたしております。その改正された後の法律の別表第一という意味でございます。
  315. 中川以良

    委員長中川以良君) よろしゆうございますか。御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  316. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  317. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  318. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は、前例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  319. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     堀木 鎌三  西川甚五郎     伊藤 保平  岡崎 真一     黒田 英雄  松永 義雄     杉山 昌作  菊川 孝夫     小林政夫   —————————————
  320. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に、昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案について、内容の説明を聴取いたします。
  321. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 特定道路整備事業特別会計におきましては、特定道路整備法に基きます道路の整備事業、或いは地方団体に対しまする貸付ということを行なつておるわけでありますが、二十八年度におきましては、つまり財源として二十五億の繰入れを行おうとするものであります。なおこの金は、特定道路整備事業は御承知のように有料道路の整備をやつておるわけでありますので、工事を成るべく速かに一般会計のほうに償還をするということで繰戻すようにしなければならないというような意味の規定を設けておるわけであります。  なお、二十八年度におきまして特定道路の整備計画といたしましては、直轄で行いまするものが関門国道外十億円程度なつております。地方団体に貸付けまする分が濃尾大橋外十四億円程度に達しておりまして、合計二十四億八千八百万…程度の事業を行うという計画になつております。  以上がこの法律案の内容でございます。
  322. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の計画に載つておる特定道路、関門国道のほうはわかりましたが、関門国道のほかにどれだけあるか、具体的に御説明願いたい。
  323. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 特別会計の予算書の四百三頁を御覧頂きますと、そこに一覧表を計上しております。直轄の道路整備事業分といたしまして、関門国道、戸塚国道、伊ノ浦橋、三重国道、松江国道、この五カ所になつております。それから地方公共団体に貸付ける分といたしましては、濃美大橋以下十九カ所の建設を計画しております。
  324. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 このうちで関門国道は、我々も委員会において視察をしたが、戸塚国道、濃美、三重国道、松江国道は、大体これは完成には、どのくらいでできる見通しですか。
  325. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 関門国道は二十七年から五年の計画で、戸塚国道は、本年完成の予定でございます。伊ノ浦橋は二十九年度完成の予定でございます。三重国道は本年完成の予定でございます。松江国道は二十八年から三年かかる予定でございます。
  326. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 関門国道のほうは、性格、性質はよくわかるのでありますが、戸塚国道以下の四つは、どういう性格からこういう特定道路になつておるのか、その点を御説明願いたいと思います。それはなぜかというと、関門のほうは現地を見て参りまして、今後使用計画等を大体聞いて参りましたのでよくわかるのですが、あとは特定道路にしたが、どういうふうに使つて、これを今の法規課長の説明のように一般会計に繰戻しができるか、こういう点を御説明願いたい。
  327. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 戸塚国道は、横浜から藤沢のほうに向いまして、東海道でございますが、現在東海道線と平面交叉があり、汽車のほうも、自動車のほうも非常に数が多い、遮断時間が非常に長いので、全然新らしいルートを作りまして、この平面交叉をなくしようという仕事をやつておるのであります。で、立体交叉にした部分につきましては、料金を取つて行くというものでございます。伊ノ浦橋は、佐世保から西彼杵半島に出ます大村湾の入口にかける橋でございます。これはできますと東洋一の橋になるわけでございますが、非常に巨額の金が要るわけでございます。これを有料道路に取上げたわけであります。それから三重国道は、四日市から宇治山田にございます国道の仕事でございますが、これもすでに前に地方鉄道が使つておりました敷地を建設省が買いまして、土地が用意してあるそうでございますが、この部分につきまして、最近非常に交通量が増して来ておりますので、一挙に解決しようということで取上げたわけでございます。それから松江国道と申しますのは、松江から浜田のほうに向いまして、宍道湖の湖岸を通る道路でございますが、かたがた観光の意味もあり、又農林省で干拓の計画もございますので、これも一挙に解消いたしたいという考えで採択しておるわけであります。
  328. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 特定道路に指定するのはいいと思うのでありますが、特に戸塚国適のごときは、立体交叉にするために使用料、三重国道は使用料を取るような性質のものではない、一般国道と同じような性質のものだと思うのでありますが、なぜ使用料を取るようにしたのですか。
  329. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 三重国道につきましては、現在の国道と全然線が変つた所を改良する計画になつております。お話のように現在の国道を改良して料金を取るのはいけないという議論が相当あるわけでございますが、現在の国道はそのままおくこととし、今度ごしらえる道路につきましては、全然新らしい線を選ぶのであり、又自動車から取るということで地元も納得しておるというような点から取上げたわけでございます。
  330. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、これは単に料金を取るのは自動車だけであつて、その他のものは取らないとか、それからその管理は一々どういうふうに、切符制度にするのか、或いは関門を設けて、そこで切符を検査をして通らせるようにするのか、その管理はどういうふうに一体されるのですか。
  331. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 管理の方法は、まだ具体的に確定はいたしておりませんが、この有料道路の入口、出品に関門を挫きまして、そこで現金を受取る方法、或いは切符制度にいたしまして回数券のようなものを出す方法等を只今研究しておるわけであります。
  332. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、一旦その有料道路の入口では必ず停車をして切符なり、現金なり、検査を、改札のようなことをやつて、その上でこの道路区間を走る、こういうことになるわけでございますか。
  333. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) アメリカに相当こういう式の道路が発達いたしておりますが、この有料道路についても、そういつた方式をとりたいと思つておるわけであります。関門の所で一時停車いたしまして、そこでキヤッシユを払う、それから走るということになるわけでございますが、アメリカ等の例によりますと、そのために要する時間というものは昨常に僅かなもののようでございます。又この有料道路につきましては、いわゆる自動車から金を取るということを考えておりまして、その他、人間とか自転車等からは金を取らないという考え只今いたしております。
  334. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つお尋ねしたいのは、設計でございますが、自動車の道とそれからその他の人道或いは軽車鋪道という、それは区分するようにできておるのですか、この特定道路は。
  335. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これは自動車の通る道路とその他のものとは区分するように考えております。
  336. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 この特別会計は去年の一斉にできたんだし、そのできたときには、この道路建設の費用は、大体資金部から借りるつもりで法律はできておるわけですね。又できてからあとは、借入金なり或いは徴収料というものがその後の建設の財源になるんでしようが、初めはとにかく借入金でやつて行くつもりでできているのに、半年たつた今度、今になつたら資金部からの借入金でやらないことにして、こういう法律を作つて一般会計からの繰入金でやるんだと変えた理由はどこにあります。
  337. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは法律原則といたしましては、借入れでやるということが原則なつておるわけでございます。本年度も借入でやるのが或いは筋道かとも考えるのでありますが、まあ諸般の情勢上、道路の整備のための財源といたしまして、一般会計から本年度に限りましては特に繰入れをいたしまして、そしてその財源に当てたいというわけで、このような処置をとつたわけでありまして、将来は又大体借入金を原則としていたすという方向に持つて行きたいというふうに考えておるわけであります。
  338. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 まあ諸般の情勢ということなんですが、結局この繰入金も将来これは返すということで、まあ資金部から借りる場合に一般会計から借りるということですね。結局諸般の情勢といテのは、今の一般会計からのインベントリー・フアイナンスのほうがいいか、資金部からやるほうがいいかという金融の問題だと思うのですが、それはどういうふうなことでこうなつたのですか。
  339. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは特定道路の整備というのが相当年月もかかりますし、償還の関係というようなものもありますので、一応本年度に関しましては、一般会計から繰入れてその整備を図るというように考えた次第でありまして、本会計の原則には反しますけれども、本年度限りの特例といたしまして、特にこういう処置をとつたわけであります。
  340. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、今の一般会計からの借入金に対しては利子を払うのですか。
  341. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは考え方といたしましては、貸付という考え方でなくして、いわばインベントリーみたいに繰入れるという考え方をとつていますので、利子を取るということは考えておりません。併し、その利息に相当するものは、特別会計のいわば利益となつて特別会計自体に残ると考えられますので、特別会計が将来廃止されるというときに一般会計に引継ぐことになりますので、そういう関係においていわば利子相当分が一般会計に帰属するものと、こういうように考えておるわけであります。
  342. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、貸す場合にですね、地方自治体に貸すときに、こういう一般会計から無利子の金を繰入れても、或いは資金運用部資金から借りましても、当然金利を払う、これはそのために金利を安く貸してやろうという趣旨で入れるのじやないということになるね。
  343. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) その点は非常にむずかしい問題でありまして、本来から言うならば、有料道路の料金を算定いたします場合におきまして、そういつた貸付金の利子というものを、原価計算的に計算しなくちやならんわけであります。従いまして一般租税から成立ちました一般会計予算を繰入れた以上は利子が付きませんので、それだけこの当該道路の料金算定上安くしなければならんじやないか、こういう問題が起つて来ると思うわけでありますが、併しながらそういうことを考えますと、本年度限りの例外的な措置として利子を取つたわけでありますので、その二十八年度において建設されたものにつきましては、そういう計算が成立つにいたしましても、爾後の分についてはそういう計算が成立たんということになりまして、不公平を生ずるかと考えられるわけであります。従いまして一般会計のものにつきましては、一応昨年度とつたような預金部資金と同じような利子負担の下において行われるものと考えまして、そうして料金算定は一応行なつて、よつて生ずる利益は特別会計のいわば資金的なものとして保有いたしまして、将来特別会計が廃止される場合に一般会計にその利益は帰属する。よつてまあ一般国民の利益のほうに戻す、こういうように実際問題としては処理しなければ、計算上非常な困難を伴いますので、さように取計らいたいというように考えておるわけであります。
  344. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、杉山委員の尋ねられたことがどうも意味がわからなくなつて、諸般の情勢上、一般会計から繰入れるということは、一方にこの特別会計で国債まで発行するというようなときに、一般会計からこつちへ繰入れるというものこそ国債でやつたつて、場合によつてはその財源捻出に非常に苦労してああいつた無理な貯蓄国債まで出そうとしておる、その間においてこういうものへ一般会計から繰入れる、こういうことは如何なものかと思う。
  345. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは利子相当分だけが差当り特別会計でそれだけ利益を生ずることになりますので、それだけは特別会計としまして、更に財源として使える金額はそうたくさんにはならんかと思いますけれども、つまりそれだけ道路の整備が促進せられると、こういうことになるだろうと思いまするので、一応二十八年度においては、一般会計において、この程度繰入れて一応資本的に運営せしめるということが、道路の整備を促進する上において適当であろうかということを考えまして、本年における特例といたしまして処理いたした次第であります。
  346. 小林政夫

    小林政夫君 いろいろ理窟は付けるけれども、このくらいのことをするならば、ちやんと建設省へ公共事業費として二十五億くれてやつて、ただの道路を作つてもいいですが、いわば君のほうの出し惜しみという、踏ん切りの悪いところじやないかと思うのですが如何ですか。白石君ではちよつと無理だ、大蔵大臣に言わなければね。
  347. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 今の小林さんの話に関連して、一体どれくらいできる予定ですか。有料道路でしよう。それが長くなれば今の金とこういう金との関連性を恐らく考えておられるじやなかろうかと思うのですが、それはどうです。
  348. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これも償還は十五年の計画を予定しております。
  349. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 それはこういうふうな場合には長いですか、短いですか。普通の例から言つて、日本にない例だから。
  350. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これはアメリカの例などに比べますと大分長い期間でございます。
  351. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 そういう観念で今の特別会計とそれから資金というふうなことの見合いは考えられなかつたわけですか。
  352. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは昨年度は借入金でやられるし、又原則は借入金でやるということが原則でございまするが、今のお尋ねのような趣旨をも識込みまして、本年度特にこういう特例、特別の措置をとつたわけであります。
  353. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは念を押しますが、いろいろ優先的に早く突貫工事的にこの道路だけを早くやろう、そういうことになると、よその競争の路線がたくさんできて来るのだから、一応名目的に有料道路だと、特定道路ということにしてやると、こういう意味じやないですか。そういう政治的意味を含んだ特別会計ではないですか、実際問題としては。だから、よそから要求があつても、それは特定道路で、有料道路でやるんだからして、これだけは早くやるんだ、こういう意味でやつておるのではないのですか。自動車の使用料くらいで、借入れたり、それから特別会計に繰入れたものを又収支償うというか、どんどんそれが回収して行くとはちよつと考えられない。百年か二百年たてば別ですけれども、そういうことになれば、又時代が変つてしまうと思う。だから使用料金が取れるはずもないだろうし、アメリカのような長い距離を走つておるところの道路と、日本の道路とは観念が大体違うのですからね、無理じやないかと思うのですがね。そういうふうに私は思うのですが、実際の肚はどうですか。
  354. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これを選びますのに、実はそういう考えはないのでございまして、今の計画では、料金を大体道路で一キロ当り十円ぐらいと勘定いたしておりますが、三百台程度の交通量がありますと、十五年くらいで償還できる勘定になるわけでございます。そういつた点から、これは全部償還し得るものをやるということに考えて線を選んだわけであります。
  355. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、将来の道路計画といたしまして、成るべくこの種の道路計画として、今後は自動車の交通、或いは道路の利用者の交通ということは、これはだんだんと殖えて来るだろう、従つて、自動車道路の整備ということは緊要な一つの問題となつて来るだろうと思います。従いまして、今後はこういつた性質の道をどしどし建設して行くと、こういう方針であるか、その点をお伺いしたい。
  356. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) この特定道路整備事業がきまります際に、参議院では附帯決議をされまして、これは道路整備の上で止むを得ないことでもあつたら、成るべく公共事業費等では考えられないようなものを選びなさいということになつておるわけでございまして、我々といたしましては、こういう制度で相当道路の整備が進め得るものと考えまして、できるだけこの制度を活用して行きたいとは考えておりますが、そういう条件などもございまして、その条件に副うような道路を選んだという状態でございます。
  357. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質問ございませんか。他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  358. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  359. 小林政夫

    小林政夫君 一応賛成いたして置きますが、先ほど杉山委員並びに私から述べたような理由で、どうもこれは資金回収上余り、白石君、法規課長の説明では、十分説明できない点があるので、予算委員会等において相当論議してもらうという条件を附けて賛成いたします。
  360. 中川以良

    委員長中川以良君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  361. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  362. 中川以良

    委員長中川以良君) 多数であります。よつて法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は、先例により委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  363. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     西川甚五郎  杉山 昌作     伊藤 保平  堀木 鎌三     岡崎 真一  菊川 孝夫     黒田 英雄  小林 政夫     松永 義雄   —————————————
  364. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案について、内容の説明を聴取いたします。
  365. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 本法律案は二つの事項を規定しております。先ず第一は、国債整理基金特別会計に対する繰入れに関する事項を規定しております。今更申すまでもないことでございますが、国債に関しましては、国債整理基金特別会計を設けて、その整理を行なつておるのでありますが、この国債整理基金特別会計に繰入れる繰入額といたしましては、二つの事項が法律的に規定せられておるわけであります。その第一は、特別会計法におきまして、その第二条の第二項に、繰入額は国債の元金償還に充つべき繰入金額は前年度首における国債総額の万分の百十六以上ということが規定せられております。現在におきましては、これに関する更に特例がありまして、万分の百十六の三分の一以上ということに相成つておるわけであります。更に第二には、財政法の六条におきまして、各年度の剰余金の二分の一以上は、翌々年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならないと、かような二つのことが規定されております。これに基きまして、毎年度国債償還の財源を繰入れをやつて来たわけであります。御承知通り、国債償還の財源といたしましては、そのほかの、今申上げました法律以外のものも含めまして、昭和二十四年度において四十九億円余、二十五年度におきまして七百七十一億円余、二十六年度におきまして百八億円余、二十七年度におきまして百五十一億円余の繰入れをやつて来たわけでありまするが、二十八年度におきましては、昭和二十六年度の剰余金が相当多額になりました関係上、財政法第六条の繰入額のみにおきましても二百二十七億円余に達したわけであります。この金額は、二十六年度、二十七年度の繰入額に対しましても相当多額になつておりまするし、且つ又国債整理基金特別会計法に規定しておりまするところの、前年度初めにおける国債総額の万分の百十六の三分の一の金額は、これらの剰余金に比較いたしますというと極めて少額でございまして、大体十数億円程度にしか達しませんので、それは現実の繰入額といたしましては、実際的益は非常に少くなつたものと考えられるのであります。従いまして二十八年度以降におきましては、殊に産業投資特別会計等において新たに三百億円の公債を発行するというような状況とも関連いたしまして、今後国債償還をどのようにするかということについては十分検討すべき段階に来たのではなかろうかと考えるわけであります。併しながら、このことにつきましてはなお十分議を練りまして検討すべきことでありまするので、差当り二十八年度といたしましては、財政法第六条に基くところの繰入額二百二十七億円という金額が前年度並びに前々年度に対しましても相当多額になつておりまするので、差当りこの繰入額のみにとどめようということが第一条の趣旨であります。当  次に、第二条及び第三条の内容でございまするが、これは日本国有鉄道法施行法及び日本電信電話公社法施行法によりまして、従来これらの公社が特別会計自体におきまして負担しておりましたところの公債、借入金というものは公社が設立せられました際に一般会計負担となりまして、同時に一般会計はこれらの公社に対しまして同額の貸付金を有するということに規定せられておつたわけであります。従いまして、公社といたしましては、これらの貸付金の償還のために元金及び利子を一般会計に支払わなければならないということになつておるわけでありまして、二十八年度といたしましては、日本国有鉄道よりその利子支払い二十七億円余、それから日本電信電話公社からその利子の支払い二十六億円余を一般会計に納付することになつておるわけであります。一般会計はその引継ぎました公債及び借入金の償還のために国債整理基金特別会計に同額を又繰入れなければならんと、こういう関係になりますので、この整理関係を簡単にいたしまするために、公社を丁度特別会計と同じように取扱いまして、公社からその利子支払いを直接国債整理基金特別会計のほうに入れると、こういうふうにしたほうが整理上簡単であるという関係考慮いたしまして、二条、三条におきましてその旨の法律改正を行いたいということを提案しておる次第であります。  以上がこの法律案の内容でございます。
  366. 中川以良

    委員長中川以良君) 御質疑を願います。
  367. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 今聞き洩らして甚だ恐縮なんですが、今年は三百億円の公債が発行されるようになつたので、公債の償還方法等については考慮しなければならんような事態もあるから、差当り本年度はと、こういうふうにさつきおつしやつたように聞いたのですが、それはどういうことなんですか。将来はそういう公債がどんどん発行されるようになるから、償還のための繰入金をもつと増して行こう、そのための法律改正を要するという趣旨なんですか。或いはもつと、一方に公債を発行するくらいなんだから、繰入れが少くては一般会計ではやれないから考慮するということなんですか、どういうことなんですか。
  368. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 説明不十分で誠に申訳ないのでありますが、現在国債整理基金に繰入れる額といたしまして、国債整理基金特別会計法に規定しておりますような万分の百十六の三分の一というような額は、現在の実際のここ数年やつて参りましたような繰入額に比較いたしますと、殆んど実際的意義を失つたような額であります。即ち百億、或いは百五十億程度繰入れておるわけでありますが、国際整理基金特別会計法の繰入額は十億程度の問題でありましてこれは現在の実情からいたしますれば、その繰入れをやるかどうかというものは、殆んど実際的意義を失つておるのじやないかとかように考えられますので、こういつた点をもつと実情に即応するように、何らか比較検討することが必要ではなかろうかということが一方に考えられるわけであります。他面におきまして、二十八年度といたしましては、剰余金のほうが相当多額になりました関係上、二百二十七億にも達した。この額は前年度の百五十億円、前々年度の百億円程度に比べたら相当多額でありますので、一応二十八年度としては、もう二百二十七億程度も繰入れれば十分ではなかろうか、従いまして僅かでありますので、まあ言葉といたしましてはちよつと何でありますが、どちらでも結構かと思いますけれども、まあこの際その程度のものはやめておつても差支えなかろうかと思つて、二十八年度中に国債整理をどの程度にするかということにつきましては、制度的に十分検討いたしまして、そうして万分の百十六というようなものを改正すべき段階ではなかろうか、こういうような点を併せ考えまして、まあ二十八年度に関しましては、特例といたしまして、財政法第六条のみにとどめた、こういう実情であります。
  369. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 今の二十八年度中において万分の百十六というようなのを改正せにやならんかと考えているというその点なんですが、その改正は万分の百十六よりも殖やそうという肚で考えておるのか、減らそうという肚で考えておるのかということです。
  370. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 若し剰余金というものが、今後まあ一つの仮定といたしまして、全くなくなりまして、国債整理基金特別会計法に基く繰入れだけということになりますれば、これは僅か十数億円程度では到底実際に適当ではないと考えられますので、そういう点を考えれば、相当これは改正して殖やさにやならんだろうというふうに考えられますし、又今後剰余金は非常に多額に上つて、そうして二十八年度以上に又繰入れをやらなければならんということになりますれば、これは別に国債整理基金のほうの十数億というものはもう要らんという問題もありますので、そういつた関係をも併せ考えまして、いずれにいたしましても、万分の百十六の三分の一というような、十億円程度のものは、何らか改正する必要があるんじやなかろうかということが考えられるわけであります。
  371. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 それから第二条、第三条は、二十八年度だけの特例のようになつておりますけれども、これは無論恒久的になるのでしようね。
  372. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは恒久的にやりたいと考えておりまするが、差当り本年度といたしましては、第一条関係を臨時的なものといたしましたので、併せて臨時的な措置として考えたわけでありますが、第一条の関係を恒久的なものといたします際に、又第二条以下は恒久的なものとして存続したいというように考えておるわけであります。
  373. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この今の剰余金については、別に問題にしていないわけですね。将来の問題にしようとしているわけでもないのですね。剰余金は二分の一ですね。そつちのほうは別に繰入れようとしておるわけじやないのですね。
  374. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 本年度につきましては、そちらのほうに何ら触れておりませずに、ただ国債整理基金特別会計法の繰入れだけをやめるということにいたしましたので、その通りでありまするが、その財政法第六条と国債整理基金特別会計法による繰入とを合せ考えまして、そうして国債整理基金の繰入を将来どうするかということは検討しなければならんのじやなかろうかというように考えておるわけでありますが、別に剰余金のほうを廃止するとかどうということは只今のところはまだ考えていないわけであります。
  375. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう意味でなく、この剰余金のほうの国債整理に対する繰入の限度ですね、二分の一というそれも合せて将来検討するという意味なんですか。
  376. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) ちよつと何でありますが、まあ国債償還自体をどのようにするかということの全体をやはり全般として考えなければならんと考えております。併しその際にそれでは前々年度の剰余地の繰入をやめるかという御質問のようでありますが、やめるというようなことはまだ今のところ考えていないわけであります。そういつたものも合せて国債償還全体の制度としてどのように考えるかということを検討しなくちやならんだろうと思います。
  377. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の言つているのは、それは剰余金の繰入というものをやめるという意味じやなく、繰入の率ですよ、二分の一という、それについてのやはりまあこれを変えるというような含みを以ての再検討なのかどうかという意味です。
  378. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 只今これは御承知通り、ずつと、戦前におきましては剰余金の四分の一を繰入れるというような制度があつたわけであります。従いまして二分の一を今後続けて行くか、或いはその率を切下げるかというようなことも一応検討はしなくちやならんと考えております。併し只今のところ二分の一をどうするというようなことはまだ何ら結論を得ていないわけでありますので、そういう点も合せて将来の国債償還制度といたしまして検討すべきものじやなかろうかというように考えておるわけであります。
  379. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは相当大きい問題だと思うのです。それでやはり将来の国債の発行の方針に関して関連する問題ですから、それに関連してこういう法案が出て来ているわけです。これはやはり将来の公債政策について一応聞いておかないといけないのであつて、今あなたにお伺いしてもその程度の技術的な御答弁しかできないのですから、これはやつぱり公債政策についてて政府から聞く必要があるんじやないでしようか。
  380. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 誠に御説の通りでありまして、これは各方面意見を聞いた上に慎重に考慮して、将来の国債償還をどうするかという方針を立てなければならんと、かように考えるわけであります。従いまして二十八年度の予算におきましては、そういつたことは到底時間的にもできないという意味で、特に特例を設けたわけでありまして、二十八年度におきましては、できたら審議会その他を設けて、十分各方面意見を聞いた上におきましてその政策を立てなければならんと、かように考えておるわけであります。
  381. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはもうあなたのおつしやることはよくわかりました。そこで各方面意見を徴するについて、国債発行ということが非常に重大な問題になつて来ておるのですよ。それと関連してのあれですから、そこでやはり政府の今後の国債発行政策に対する意見というものが政策として必要なんです。これはやはり二十九年度の予算と関連してどうしても大きな問題になるのです。ですからこれと関連して、今の御説明はそれでよくわかりました。ですからこれは大臣あたりからやはり聞く必要があると思うのです。私はそう思うのです。
  382. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  383. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  ほかにございませんか。
  384. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 只今お話は御尤もと思いますが、これは過渡的処置であつて、これが前例になるのじやないというようなことをはつきりと言つてもらえばいいんでしよう。そうすればそれだけは通ります。
  385. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは二十八年度におきまして、只今申上げましたように、僅か十数億円程度の僅かの金額でありますので、これだけのものをこの際やめたいという特別の措置でありまして、特にそのために二十八年度における特例と断わつておりますので、二十九年度以降につきましては慎重に各方面意見を聞いた上で検討いたしたいというように考えております。
  386. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それにしても僅かならばやめなくてもいいんじやないですか。そこのところなんですがね。(笑声)
  387. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは誠に御尤もな御意見でありまして、僅かならばやめなくてもいいじやないかという御意見でございますが、先ほど申上げましたように、二十六年度の国債繰入は百億円程度、二十七年度は百五十億円程度、それが二十八年度におきましては、財政法の第六条に基きますものだけが二百二十七億円にも達しておりますので、そういつた関係考えれば、十億円程度のものはまあ二十八年度は一応やめても差支えなかろうということで、取りあえずやめるという臨時的の措置をとつたわけであります。
  388. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは二十八年度予算全体がそういう建前になつているのです。あらゆる面から財源を見付けるために、先ずそれを今まで一般会計から繰入れたものをやめて借入金のほうに振替えてみたり、そういうふうにして私は非常に弾力性のない予算を組んだために、もうあつちこつちから財源を漁つて剰余金も使う、こういう状態なつているんですから、こればかりじやないんですよ。ほかでもいろいろやつているんですが、非常にまあ小さいように見えますけれども、全体として非常な弾力性のない予算を組んだためにこういうことが起きて来ていると思うんです。今おつしやるように僅かならば、今のお話から言うと別に存置してもそう差支えないようなお話です。わざわざ十何億なら大したことはないというが、これは政府にとつては歳入として大したものがあるんです。そうしなければ財源の捻出ができないからやつているのであつて、その意味では決してこの法案に単に過渡的と言つておりますけれども、手続としてはそうかも知れないけれども、僕はそうじやないと思うんです。それはどつちにでもとれるようではおかしい、どうしてもこうしてもらわなければ財政上困るという形にして出すのが本当です。今大したことじやないというなり、どつちがいいかというなら、こんな法律は出す必要はない。
  389. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 誠に御説は例尤もでございまするが、昭和二十五年度におきましては特殊の財政的な理由に基きまして、債務償還費として五百億円も一般会計で計上いたしまして、同年度において七百億円以上の債務償還をやつたわけであります。従いまして爾後は又諸般の情勢の変化に基ざまして、そのような債務償還の必要は一応消滅したものと考えられまして、二十六年度以降は法律の規定に基く償還をやつて来たわけでありますが、それが繰返し申上げておりますように百億、或いは五十億程度でありましたので、二十八年度におきましてもその額以上に相当多額のものを繰入れるという必要は先ずなかろう。従いまして債務償還という見地から考えまするならば、先ず財政法のその規定程度のものでとどめることが適当であろう、こういうことから考えられたわけでありまして、勿論十五億円程度財源は、二十八年度予算の諸般の財源の調整上捻出したということに結果的に相成つておるわけであります。
  390. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじややはり公債政策に関する問題は減税国債に譲りまして……。要するに政府の公債政策というのは、全くでたらめだというところから来ておるので、私は一応言つておかなければならない。先ほど債務償還したということで、前に六百億借入償還して非常に国債を少くした。それで債務償還の減債基金の繰入れも多くなつているということになつたのですけれども、あの頃安い金利の公債を借入償還の期限がこないのにわざわざやつていて、今度一割何分もする減税国債を発行するのはでたらめ極まる。こういう点については減税国債について触れます。これについては私は一応質疑は終ることにいたします。
  391. 中川以良

    委員長中川以良君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  392. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  393. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は今までのお話はよくわかりました。成るほど国債も非常に減りましたし、絶対額も、そうして繰入れ額も減つているようにも見えますが、併し今申上げましたような政府の公債政策が殆んど一定しておりませんし、更にでたらめにも近いようなものでありますから、そういう意味におきまして反省を促す意味において反対いたします。
  394. 中川以良

    委員長中川以良君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  395. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  396. 中川以良

    委員長中川以良君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  397. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     西川甚五郎  松永 義雄     伊藤 保平  杉山 昌作     堀木 鎌三  小林 政夫     岡崎 真一  菊川 孝夫     黒田 英雄   —————————————
  398. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計の借入金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案について先ず内容の御説明を聴取いたします。
  399. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 昭和二十一年度におきまして一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計におきまして借入金を行なつたわけであります。この借入金は一般会計におきまして百億円行なつておるのでありまして、これは連合国軍の宿舎の建設に充てるために至急を要するということで、一般会計が日本銀行から借入を行なつたわけであります。この宿舎を建設いたしましたのでございまするが、これは昭和二十五年の法律におきましては、昭和二十七年度末までに償還しなければならないということに相成つてつたわけでありますが、現在の財政、状況上その償還が困難でありまするので、三カ年程度延期をいたしまして、将来において償還をするというようにいたしたいというものであります。更に帝国鉄道会計及び通信事業特別会計におきましては、給与改善その他の経費に充てるためにやはり当時におきまして借入を行なつたわけであります。その金額は一般会計が引継ぎましたものが五十一億七千万円余、郵政事業特別会計に残つておりますものが五億六千万余でありますが、これも諸般の財政状況上なお償還が困難でありますので、三カ年程度延期いたしたい、かように処置いたしたいと考えておるわけであります。なお成るべく速かにこれを償還すべきではありまするが、なお財政状況その他を考えまして、その償還ができないという場合におきましては、借入金のままこれを存続するということは不適当であると考えられますので、公債に借換えることもできるようにして頂きまして、万一三カ年の間に償還ができないというような場合におきましては、公債に借換えて一応借入金をしての償還をいたしたい、かように考えておる次第であります。これがこの法律案の内容であります。
  400. 小林政夫

    小林政夫君 今の帝国鉄道会計の借入金が五十一億幾らということですが、この昭和二十一年法律第五十五号を見ると、帝国鉄道会計にあつては四十二億七千四百七十万円を超過することができないということになつてお出る。どういうわけで超過したわけですか。
  401. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 帝国鉄道会計におきましては、四十二億七千万円余でありまするが通信事業特別会計になおほかのものがありまして、合計いたしましてこういう金額になつておるわけであります。
  402. 小林政夫

    小林政夫君 君の先ほどからの説明は進駐軍の宿舎を造るために百億が一般会計で、あとの五十一億七千八十六万円は帝国鉄道会計のものを借入れたということであつた。この提案理由の説明を見ると、郵政事業特別会計において五億六千三百七十余万円である。ところが先ほどの昭和二十一年法律第五十五号によると、通信事業特別会計にあつては十五億三千四十万円の借入ができることになつておる。そこで通信関係においては余裕があるのだが、鉄道関係においてはない。そこで先ほどの説明が誤りなのか、提案理由説明書に書いてある金額との食い違いをよく説明して頂きたい。
  403. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 先ほど或いは言い誤りがあつたかわからないのでございまするが、帝国鉄道会計と、それから通信事業特別会計と合せて借入れておつたわけでありますが、そのうち帝国鉄道会計の分は一般会計が引継いだわけであります。通信事業会計のうち電々公社の分、これがやはり一般会計に引継いだわけであります。残りが郵政事業特別会計に五億円ほど残つておるわけであります。従いまして通信事業特別会計と、それから帝国鉄道会計との合計額から五億円程度を除いたものがこれが一般会計に引継いでいることになりまして、これが五十一億円程度のことに相成つておるわけであります。
  404. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、この一般会計が引継いだものは、もう一遍念を押しますと、本来の一般会計帝国鉄道会計、それから電々公社分、こういうことですね。
  405. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) さようでございます。
  406. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、債務償還、国債償還については、今まで相当財政法或いは国債整理基金特別会計法に定める金額を超えて過去の年度において償還をしておる、こういうようないわゆる普通の借入金について先ずこれを先に返して、そうしてあとで又今度は国債に振替えて借換をするというような措置もしないというのでありますか、こういうことをするよりは法定限度を超えた国債の償還をするに当つてはこういう借入金の返済から始めたらよかつたと思うのですが、そういう点についてはどういうふうに考えるわけですか。
  407. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 誠に御尤もな御質問でありまして、今まであれほど多額な償還をやりながらなぜごの借入金のみを償還しなかつたかという御質問でございますが、この借入金は先ほど申上げましたように、先ず一般会計が本来借入れたものは連合国軍の宿舎を建築したわけでありますので、この連合国軍の宿舎が実は我が国のほうに返還になりましたときにこれは売払つて、そうしてそこに財源を求めてこれを償還をしようということを考えて年々延期して参つたような次第であります。  それから帝国鉄道会計及び通信事業の分は、これは本来特別会計が借入れておつたわけでありますので、その特別会計が償還をした場合において一般会計もこれを償還するというような関係で、やはり特別会計の償還を期待しておつたわけであります。ところが日本国有鉄道にいたしましても、それから電々その他にいたしましても、料金その他の関係でこの償還が延び延びになつて参りましたので、それとやはり関連いたしまして一般会計のほうの償還も延びて今日に至つたという次第でありますので、その点の関係を今後調節いたしまして、成るべく速かにその償還を実施いたしたい、かように考えておるわけであります。
  408. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 進駐軍の百億の建設ですね、これはどういう形なのですか。終戦処理費との関係はどうなるのですか。どういう形でその借入金で宿舎を造つたのですか。
  409. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは進駐当初におきまして至急宿舎を造れということでありまして、二十一年におきまして、年度末であつたと思いますが、その至急の事情に充てるために借入をして一般会計から支出したわけであります。
  410. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこのところもう少しその経緯を話して下さい。何だかよくわからないのです。
  411. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  412. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。それでは今どうしますか。ほかの問題を一つ質問願いたいと思います。
  413. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そのうち帝国鉄道会計の分ですが、三年たつたつてとても返せないと思うのですが、そうしますとこれは公債に切換えるということになるのだが、公債は政府の発行する公債になつて、その債務は政府の負債になる、こういうわけですか。
  414. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) さようでございます。一般会計が公債を発行いたしまして、一般会計負担においてその公債を発行する。で、別途日本国有鉄道に対しましては貸付金という形で残つておるわけであります。帝国鉄道会計の益金その他によりまして、この貸付金を成るべく速かに償還してもらうという関係に相成るわけであります。
  415. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと国有鉄道のほうで貸付金に対する利子その他を負担してやつて行くと、こういうことになるのですか。
  416. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 日本国有鉄道が設立せられましたときにその施行法にその旨が規定せられておりまして、一般会計が従来の特別会計の負担に属しておつた公債、借入金を引継ぐ、その同額を貸付金とする、その償還の期限或いはその条件そういつたものは一般会計負担のものが変更を受けた場合においては日本国有鉄道に対する貸付金の条件も変更することができると、こういう規定がありますので、条件の変更に応じまして貸付金の条件も変更すると、こういうことに相成るわけでございます。
  417. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは鉄道のほうも通信のほうも戦争によつて荒廃に帰した施設を復興することが一つと、もう一つはインフレの高進によつて給与改善その他に充てる財源がない、一方においては収入のほうは殆んど赤字……歳入は歳出に比較して少いためにやつて行けないので、政府から借入金をして当面を糊塗して来たんだろうと思うのです。ところが復興いたしましたとしても、最近の国有鉄道の経理状態を見てみますると、依然として赤字続きであります。従いまして三年間延ばしましたところで到底これは償還は見込がないというふうに見なければならんと思うのですが、はつきり申上げまして。而もこれは戦争の被害を受けましてやるというので、一般会計から繰入をしてやるべきじやないか、こういう主張を我々したわけですが、従つて公債に切換えた場合には、もう政府の公債にはつきり切換えなければいつまで残しておつても整理ができないのではないか、未だに毎年々々借入金を多少でもして行かなければならん財政状態ですが、この点を考え鉄道債券、電信電話債券も関連しましてこの両方もう一遍総裁、経理担当者を出席させる必要があると思うのです。見通しについて。私はこれは大きな問題だと思うのです。当面だけ糊塗して行つてあと公債でやつてしまうのだと言つても、そのときでは整理ができないと思うのです。従いまして両当事者が出て、どのくらいの見通しで整理ができるか、できないものならば、ただ当面をごまかして行く方法では私はおかしいと思うのです。単に主計局の法規課長が来て技術的な答弁をするだけではこの法律を通しておいてもこれはちよつとおかしいと私は思います。この点についてはあなたが国有鉄道或いは電通公社との見解はお聞きになつておると思うが、大蔵省としてはどういうふうに折衝しておるか、おわかりですか。
  418. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  419. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。それでは只今法律案に対する質疑は一応打切りまして、後ほど又続行することにいたします。   —————————————
  420. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に地方公共団体負担金の納付の特例に関する法律案について、内容の説明を聴取いたします。
  421. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 地方公共団体は道路法その他の法律に基きまして、国が直轄工事として行いました事業費の分担金を国に納めることに相成つておるわけであります。この分担金の納付が、誠に恐縮なことでございまするが、現在でのところなかなか思わしくないわけでありまして、二十八年度初めにおきまして、過去の納付の残が、八十四億円程度に未納付の分がなるものと考えられております。これらは地方財政の問題とも関連するわけでありまするが、最近地方の財政も相当窮迫しておるものとも考えられておりますので、この納付を地方債の証券を以て納付させるということにいたしまして、地方財政の改善に資したい、かように考えまして、この法律案提出した次第であります。なお未納付のものにつきましては、できるだけ速かにこれを納付せしめるというような措置をとる必要がありまするので、二十七年度以前のものにつきましても、成るべく速かに納付せしめるという意味で償還計画その他を立てさせまして、至急その納付の促進方を図ると共に、一定の時期までになお納付ができないというようなものにつきましては、利息をとることにいたしまして、その納付の促進を図ろうということで、第二項の規定を設けておる次第であります。以上がこの法律案の内容であります。
  422. 中川以良

    委員長中川以良君) 質疑を願います。
  423. 松永義雄

    ○松永義雄君 地方財政の苦しい結果であるという御説明があつたのですが、具体的にどうしてこう地方が納められなくなつたという事情を一つ、大体でいいですけれどもお話願えればいいと思います。例えば平衡交付金がちやんちやん期限通りに廻つておらない、それでつい金を流用するとか、或いはこの直轄事業の、これは地方団体の仕事に任せた、やはり金は地方団体に廻つて行くのじやないかと思いますが、そういつた場合に借入金というか、借金してそうして地方団体がやりくりして行く。あれやこれやで地方団体がやりくりがつかないためについこう負担金が払えなくなる。この前も申上げたように来るものが来ないから払うものが払えないのだ、こういつたような、地方へ行きますと地方団体の理事者がやけくそみたいなことを言つておる。別にどこに罪があるわけじやないのでしようが、何か実際問題として円滑を欠いておるからこういうことになつておるのだと思うのですが……。
  424. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 地方の納むべき納付金がなぜ滞納になつておるかという御質疑でありますが、これは国がやるべきものを十分適当に、適宜にやつていないという関係から来たものであるとは考えられないわけであります。平衡交付金の交付その他につきましては、適時法律上の時期を繰上げて交付するというような措置もまま講じておるわけでありまして、それらにつきましては、平衡交付金の交付が遅れたためにこういう事態になつておるということは考えられないわけであります。平衡交付金の財源計算といたしましても、地方団体の納付すべき分担金の額は財源計算にも十分織込んでおるわけでありまして、地方団体としては当然納むべき、又納めることのできる額と考えられておるわけであります。併しながら地方団体といたしましては、各般の財政需要が御承知通りいろいろありまするので、私どもの推測するところによりますれば、これらの納付すべき納付金を他の財源に充当して、その結果これが遅れておるというような事情もあろうかと考えられるわけでありまするが、その具体的な原因の詳細につきましては、奥のところ的確な御答弁はいたしかねるような次第であります。
  425. 松永義雄

    ○松永義雄君 例えば直轄事業を政府が行う、ところが金がどうも思うように廻つて来ない、で地方団体はさればといつて仕事をやめるわけに行かない、どうしても仕事を続けて行くというと、地方団体は一時その金を立替えて行かなければならないといつたようなことで、地方はそうでなくても非常に苦しい地方財政でありますが、それがますく苦しくなりはせんか、そういうようなことはないのでしようか。
  426. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 只今の御質問趣旨が、ちよつと私に不明確な点があつたわけでありまするが、直轄工事は、これは国が直轄として行うわけでありまするので、従つて国が建設省、農林省その他におきまして、国の歳出予算において事業をやるわけであります。やつた直轄事業の分担金といたしまして、三分の一とか或いは二分の一とかいうものを別途地方団体が納付することになつておりまするので、直轄事業の関係からはこの問題は発生しては来ないというように了承しております。
  427. 松永義雄

    ○松永義雄君 それは、法律の思想はそうでしようけれども、ちやんちやんと政府のほうから金が廻つて、請負者なんかのほうに金が廻つて行くはずのものが、それが廻つて行かないので、それじや仕事をやめてしまうかといつたら、やめるわけに行かん、地方としては続けて行かなければならん。そうすると、地方団体は一時政府の払うべき金を立替えて行く、そうして仕事を続けて行く、そうして完成する。そういう経過を辿つて行くと、地方は利息でも払わなければならんでしよう。いろいろな金のやりくりはどういうふうにするかは別にしまして、地方団体の苦しいのはますますやりくりをやつて行かなければならん。来るものが来ないのだからおれのほうは払えないのだ。江戸の仇を長崎で討つようないろいろな関係があつて、そればかりでなく、ほかの点でも、そういうふうになつているから、来るものが来ないからおれは払うものを払えない、払いたくても払えないじやないか。こういつたような文句が出て来るのじやないかと思うのです。理窟は政府予算があつて、そうして金を払うということになつていても、それは法律であつて、金が実際に行かなければ駄目なんです。その金が本当に円滑に廻つているかどうかということなんですが、その点どうですか。
  428. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 国の行います直轄工事は、国と事業を請負う請負者との関係でありますので、その関係は、支払は適宜に行われていると思いますが、万一それが遅れるというような事態がありましても、それは飽くまで国と事業者との関係でありまして、一応地方団体との関係はないものだと考えるのでありますが、地方団体は直轄工事と別に補助工事その他の事業を行なつておりますので、いわば分担金として納付すべき財源を地方団体が適宜自分の固有の仕事のほうに充てられる結果、分担金の納付が遅れておる、こういうような事態が或いは生じておることがあるかと考えられるわけであります。併しこれは飽くまでも地方団体の関係でありまして、国の支払が遅れたとか、国の交付が悪かつたという関係から、地方団体の納付が遅れておるという関係にはなつていないだろうというように考えております。
  429. 松永義雄

    ○松永義雄君 簡単に伺いますが、災害復旧事業なら災害復旧事業を途中でやめるわけに行かん、政府のほうから請負者のほうに来るべき金が来ないので、仕方がないから地方団体が立替える、或いは先ほどおつしやつたように、補助金なら補助金が来ない、それでどんそれ地方団体は仕事を進めて行かなければならん、そうするとどこからか金を才覚するというようなことがあつて、つまり一口に言えば、政府のほうにも金の出し入れが円滑に行かないという結果、地方がこうした証文で借入れなければならん、これは地方だけに責任を負わせるのはどうかと思うので、政府のほうにそういうことがありはしないか、こういうことなんです。
  430. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 国の直轄工事の支払が悪いということは、或いはそういうものもあるかとも想像されるわけでありますが、少くとも年度内には予算といたしましてでき上つたものは使うということで、予算の範囲内で直轄工事もやつておりますので、年度内にはその支払は行われておるものというふうに考えておるわけであります。然るところ地方団体の納むべき分担金の納付状況は、相当年度を越して未納付の状態なつておるわけでありまして、従いましてその関係に直ちに因果関係があるということは、私どもとして考えられないというように承知しておるわけであります。
  431. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 議事進行について……殆んど法規課長一人にこうやつて質問しているのですが、非常に重要な法案を、一体これでいいかどうか、今松永さんが質問されたけれども、もとは、今直接国の支払とは関係ないことなんですが、実は公共事業費を計上するときに、道路計画なりそれ自体に問題があるわけです。地方の財政負担考えないでどんどん公共事業費を組んでしまうでしよう、そこで、あとで直轄事業をやれば、地方の三分の一は負担しなければならんということになつている。これは建設省などでも関係が大きい問題なんです。これは非常に大きな重要問題です。こういう問題について法規課長ただ一人で答弁しているというのは、これは無理でもありますし、こういうときには少くとも、これに関係の各省の局長くらい来てあれしなければならんと思う、無理じやないか、ですから折角松永さんが質問されても適切な答弁ができない、ちよつとうやむやで、いい加減な審議で終つちやうのはいかんですから、大臣全部来いと言うのは無理でしようが、少くとも局長くらいは関連した法律案について一つ……。
  432. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  433. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  只今法律案に対する質疑は続行することにいたしまして、一応他日に延ばしまして今打切ります。
  434. 中川以良

    委員長中川以良君) 続いて鉄道債券及び電信電話債券等に対する政府元利払の保証に関する法律案について内容の説明を聴取いたします。
  435. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 御承知のように本年度国有鉄道及び日本電信電話公社におきましては、公社債を発行することを別途予算のほうにおきましてお願いしておるわけでありますが、この公社債を発行するにつきましては、その消化を容易ならしめるために政府保証の規定を挿入することが必要であろうかと考えまして、特にこの法律案をお願いしておる次第であります。
  436. 中川以良

    委員長中川以良君) 質疑をお願いします。
  437. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 使用の、これらの債券の用途、鉄道においてはどういうふうに金を使うためにこの債券を発行するか、これは何も給与ベース改訂とかそういうものには使わないと思う、恐らくはかの、いわゆる企業の合理化、近代化のために使われるだろうと思うのですが、どういう方面に使われるか。それから電信電話のものはどの方面に使われるか、それから電信電話のほうは、消化を容易にするというのは、新たに電話を架設するものが六万円ずつ持てと、こういうふうなことになつたらしいのですが、そうするとこの額で大体巨億は賄えるのかどうか、その二点をお伺いいたしたい。  その次にお伺いいたしたいのは、大体償還期限、それから利率、これだけを御説明願いたいと思います。
  438. 鈴木滋

    説明員(鈴木滋君) 只今の御質問のうち国鉄の分についてお答え申上げます。御承知通り只今お話のありました百二十億の予算鉄道債券を発行するということになつておりますが、御承知鉄道債券は、一般政府から借入れる場合に比較いたしまして、利率その他の点で若干高くなるかというふうに考えられますので、国有鉄道といたしまして充当いたします工事は、相当りターンのあるものでなければならん、かように考えております。昭和二十八年度に考えております百二十億円を充当する工事といたしましては、東海道線の電化でございます。御承知通り電化は相当従来の既設線を電化するわけでございますから、ペイしてなお余りがあるというふうに考えられますので、現在浜松から更に西のほうに延ばしておりますところの電化工事を名古屋、その附近の稲沢、これは貨物のほうでありますが、そこまで延ばしまして、更にそれを西のほうに延ばすという計画に充当いたしますのと、それから山手線の貨物線と申しまして、東京周辺の貨物線でございます、ここを電化いたします。そういたしますと電化の費用が大体五十億円程度、それから次はディーゼル化でございます。いわゆる内燃動車でございますが、この内燃動車を地方線区に入れますると相当増収になりますので、これは経営上から見ますれば増収になりますし、サービスの改善にもなりますし、この点を考えまして大体三百両、四十億円程度考えております。これが一番大きなものでございますが、そのほかに信濃川の発電所の設備を更に増す、そういつたものを考えておりまして、いずれも利子を支払いました上で十分リターンがあるものと考えられる工事に限定いたしたい、かように考えております。  それからお話の利率でございますが、これは国債或いはその他の債券等と睨み合せましてきめなければならないものだと考えております。私どもといたしましてはできるだけ勿論低利のほうがいいというふうに考えておりまするが、現在考えられますところでは、これは大蔵省或いは日銀、それから同時に債券を発行いたしますところの電々公社、そういつた方面と打合せをいたしておりまして、現在どの程度という段階に立ち至つておりませんが、只今のところ大体予想されまするところでは七分から七分五厘、その程度ではなかろうかと思われます。それから期限でございますが、これは単に国有鉄道の経営という面から見ますればできるだけ長期がいい、十年以上十五年程度が望ましいというふうに考えておりまするが、これも諸般の状況によりまして或いはもう少し短かくなるのではなかろうか、大体十年程度というふうに考えております。期限と利率の問題につきましてはそういつたわけでございまして、まだ確定的なところまで到達いたしておりませんが、現在検討中でございます。
  439. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 鉄道債券を発行して、それに東海道線の電化、山手線の電化という何か事業目的を限定するわけには行かないはずです。やはり日本国有鉄道として出すんでしよう。
  440. 鈴木滋

    説明員(鈴木滋君) 充当する工事といたしましては、現在日本国有鉄道の施行令にその発行の手続が定められております。法律によれば国有鉄道が債券を発行いたします場合は、運輸大臣の認可を受けることになつております。現在施行令におきまして国有鉄道から運輸大臣に申請をいたしまするときには、どういう工事に充当するかということを添附いたしまして申請をいたすことに相成つております。
  441. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 それは品ではそうおつしやるけれども、金というものはつつくるみなんです。だから工事勘定で幾らということになるので、そんな工事に限定されるわけではないのです。財源としてはつつくるみで出て来るので、私としてはそういう説明では満足しない。だから建設線も入つている、何も入つている、それは帳簿上のあなたがたの整備かも知らん。併しそれじやあなたのほうの帳簿で東海道線電化特別会計として持つておられればあれですが、特別会計を持つていないで工事勘定一本で、そんな説明じや誰も満足しない。だから東海道線電化特別会計、山手線電化特別会計、ディーゼル自動車購入特別会計、みんなそういう特別会計なら今のような御説明でもいい。併し鉄道の会計というものはそういうものじやない。だから工事勘定には財源としては一本になつているはずで、その間に建設線もあれば線路改良もあればその他も全都入つておる。だからそういう官庁の事務の内容、事務分担でこの問題はきまらない。それはもう幾らおつしやつたつてそうなる。(「その通り」と呼ぶ者あり)(笑声)だからこれも大臣が御出席にならなければできない。(笑声)そういう理窟を付ければそうなるかも知らんが、絶対そういうことにはなりません。
  442. 鈴木滋

    説明員(鈴木滋君) 只今の誠に御尤もでございますが、一応国有鉄道なり或いは運輸省といたしまして私ども検討いたします場合には、特別会計を作つておりませんわけでありますけれども、個々の路線につきまして十分に原価計算をいたしまして検討しております。
  443. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 幾ら御説明になつてもそれはあなたのほうが運輸大臣の認可をもらうためになさるのです。鉄道の財政として一本に、それは財源は……、そういうきちつと特別な目的が頭に書いてあるわけじや絶対にない。
  444. 中川以良

    委員長中川以良君) 何かさつき資料の御要求があつたようですけれども……。
  445. 松永義雄

    ○松永義雄君 今まで政府の終戦後出しておる交付公債或いはその他の公債ですね、短期のものは除いて、一年春りその年内に償還するものは除いてその他の交付公債、電話公債はあつたと思うのですが、その銘柄というか種類及び金額、それを若し資料として、これは貯蓄国債の問題のときに請求すべきかも知れませんが——こでお願いいたします。
  446. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今の堀木さんにつきましてはいずれ日を改めまして質疑を続行することにいたします。
  447. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから逓信関係も来なければいかんぜ、加入者に六万円買わすというのは、ああいうのと関連するの、だから……。
  448. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは次回には鉄道公社総裁、電々公社総裁、大蔵大臣、地方財政委員会委員長というような人を一応来るように……。(笑声)  それから誠にお疲れのところ御迷惑ですが、是非本日はもう少し真剣に御審議を願いたいと思います。先ほど政府側の御答弁は誠にあいまいでございましたが、只今通産省の企業局長が参つておりますので、一応質疑を続行して頂きたいと思います。  先ず最初に米国対日援助物資等処理特別会計法廃止する法律案についてお願いいたします。政府側からさつきの御答弁がございますが、それを先に……。
  449. 中野哲夫

    政府委員(中野哲夫君) この対日援助特別会計法を廃止する法律案の附則によりまして、通商産業省設置法の当該事業をいたしております規定を削り放しにいたしたのでは爾後物品もまだ残つておる、未収金も残つておるというような残務整理をやる部署がなくなるのじやないか、こういう御質問でございますが、この点に対しましては、現行設置法第九条の第二号に、通商産業省の所掌事項といたしまして、「通商産業省の所掌に係る事業に要する資金の融通をあつ旋をすること」ということと並びまして、「その他事業の経理に関する事務を総括すること。」こういう規定がございますので、この条項の解釈によつて依然として残務は通産省でいたす、こういうことにいたしております。なお通商産業省組織令をこの法律が可決されますならば改正をいたしまして、旧対日援助特別会計の清算事務を掌るというような規定を組織令に入れまして、一応企業局の所管事項といたし、責任を以て残務を完了いたしたいと、かように考えております。
  450. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから今のそういうふうに改正をしなければならんというようなことを言われておるなら、なぜ組織令の改正を同時に出さないのか。
  451. 中野哲夫

    政府委員(中野哲夫君) 組織令は政令で改正いたします。設置令には現行法の設置法の解釈で変え得ますので、設置法は今回提案いたしたのは差支えない、政令に一項を加える。かように考えております。
  452. 小林政夫

    小林政夫君 恐らくあれから考えて工夫をされた案だと思いますが、それで動くならまあ了承いたしておきます。(笑声)
  453. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さつき参の要求したこの未収金と緊要物資、その資料ですね。
  454. 中野哲夫

    政府委員(中野哲夫君) この法律によつて一般会計に引継ぎできる予想をいたしております。約六億の未収金の明細資料は相当厖大なものになりまするが、要求に従いまして数日の時間を貸して頂きまして成るべく早い機会に提出いたしたいと、かように考えております。
  455. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  456. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  それでは本法律案に対しまする質疑は、政府側より只今皆さんの要求の資料を出してもらつて、その上において質疑を続行することにいたします。
  457. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案について、先ほど残つておりまする政府側の答弁を求めます。
  458. 中野哲夫

    政府委員(中野哲夫君) この緊要物資輸入基金一般会計法律案改正に要する計数を盛りました資料を提出せよという御要求でございまして、前々から用意いたしておりましたが、多少私どもの手違いで提出が遅れましたが、先ほど御提出申上げたはずでございます。
  459. 中川以良

    委員長中川以良君) 御質疑はございませんか。
  460. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この中で在庫というやつですね。在庫というものは、結局在庫の現在額はどこで見るわけですか。
  461. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 第一項の見出しの次の第二頁目のところには(一)、(二)、(三)の在庫八億何がしと書いてございますが、この在庫八億何がしが二十七年三月末の在庫ということになります。予想在庫でございます。それから別紙というのがございますが、昭和二十七年一月から三月までの基金運用実績及び予想と書いてございます。別紙五のところの十二月末在庫計のところが約十一億何がし、これが十二月末在庫でございます。それからその次の頁にございます三月末在庫予想というところが八億一千一百万円、これが先ほど一番初めに申上げました(一)、(二)、(三)の在庫八億一千一百万円というものに該当するわけでございます。
  462. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、要するにこれは二十七年三月末現在ですね。
  463. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 二十八年です。
  464. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二十八年ですね。この費目はどこで見たらいいのですか。
  465. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 別紙五の一番最初に書いてございます。
  466. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この在庫は、この純益ですか。全体としての純益、一億幾らの利益になつておりますね。この在庫というのは、これは三月末の価格で算定したものですか。
  467. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 在庫は買入れた金額で算定したのでございます。
  468. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これを今度処分する場合には、どうなるんですか。
  469. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) これから売つて行きますときに、今度は売払の価格を立てまして、その売払価格と買入原価との差額が、これから益金になつて行くということなのです。
  470. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、これからの売払の場合、買入れたときよりも利益が出るか、損が出るかの見通しですね、これはどうなんですか。
  471. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 本年三月末までの予想といたしましては、この別紙第五の一番最後の項に、三月末現在純損益予想のところで、一億六千九百万円というものが出るというふうになつておりますが、これはこの表を作りましたのが二月の終り頃の状態で作つておりますので、大体これはほぼ確実の数字考えております。で来年度以降においてどうなりますかということでございますが、これは今の国際情勢が続いて行きます限り、そう大きい損失が出る方向には向かつて行かないであろうというふうに考えております。
  472. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この品目によつて非常に処分に困難を感ずる……、さつき何ですか、ゴムですか、そういうものはどうなんですか、さつきのお話の……。
  473. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 合成ゴムにつきましては、買入れましたときは昨年の更頃でございました。買入れましたときの国際価格がポンド当りアメリカの工場渡しで二十六セントということだつたのでありますが、それが昨年末頃になりまして、二十三セントというふうな価格に下りましたので、若干の損失が出るようなバランスになつておりますが、これが最近、各工場のほうでこれを試作用に非常に使いたいという希望が出て来ておりまして、割合売行きもよろしうございますので、今のところ、国際価格としてもそう下る見通しもないし、今の状況で進んで行くならば、余りひどい損失をこうむるということはないというふうに考えております。
  474. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからこの皮革ですね。革はどうなんですか。
  475. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) 革は元来これは保安隊の靴を作るために、アメリカから原皮を買入れまして、それを委託加工に出しましたものを保安隊用に出すということになつておりますので、保安隊用に作りますので、或る程度、まあ余り儲けてもしようがございませんので、若干損失が出るような恰好にはなつておりますけれども、今後も保安隊と話合つて妥当な価格で払下げて、参りますから、そう大きい損失は出ないというふうに考えております。
  476. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こういうニッケル、コバルト、タングステン、モリブデン、こういうようなものは多くやはり特需会社なんかにこれは払下げるものだとかいうものですか。
  477. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) ニツケルにつきましては別紙の五を御覧願いますと、別紙の五の昭和二十七年度一月——三月基金運用実績及予想と書いてございます。ニツケルの欄が二段になつております。でそのうち二段になつております上のほうのTと書いてございますが、これは二百十六トン、Cと書いてございますのが百七十一トンというのがございます。このTの二百十六トンと申しますのは、占領中には、これは特需用の特殊鋼とか、機械用に使つてくれということで、占領軍の米国側が、自分のほうの割当を割いて、金特会計のほうへ廻してくれたというものでございますので、これは原価四十八万円くらいのものを約五十万円乃至五十五万円で、特需用に売つております。それからCのほうの、これは百七十一トンと申しますのは、日本の国が、日本の民需用としてIMCから割当を受けたものを買つておりますので、これは普通の時価で払下げております。それからコバルト、タングステン、モリブデンといいますのは、そのほうは特に特需という意味では払下げておりません。一般民需用として特需用と一般用とを、こちらでは、区別なしに売つております。
  478. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ニッケルについて、まあ民需用と言つても、民需というのは国内向け用というのでして、この輸入は民需用として輸入したのでしようけれども、やはりこれは特需会社にも払下げるというわけじやないのですね。
  479. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) ニツクルのTのほうは駐留軍及び保安隊のほうで証明書を附けたものに売つております。それで直接特需用に行くわけでございますが、このCのほうは通産省のほうで割当証明書を一般物資として出しておりますので、それで出しますので、或いは間接的には特需のほうへ行つておるかもわかりませんが、直接に特需ということはわからないと思います。それから間接には特需に行つておるかもわかりません。併しそれは駐留軍のほうで証明を出して、特需用のニッケルとは、タブらないようにはなつております。で先ほどの御質問の特需用の……、だから間接特需というものについては、一般用のものからも行つておるはずでございます。
  480. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ああそうですか。それじやコバルトとか、タングステン、モリブデンについてもやはり同じようなことですね。
  481. 影山衞司

    説明員(影山衞司君) そうでございます。
  482. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この金特会計は、こういうものを処分しちやえばもうこれはやめてしまうのですか。
  483. 中野哲夫

    政府委員(中野哲夫君) 今回法律案の改正案におきましては、基金の額を十五億減らし、十五億借入金の途を開いておりまするが、昨年頃から国際緊要物資もやや各国の軍拡競争の緩和化等によりまして値段も下り、又この国際割当物資の品目も減らすという傾向なつておりまするので、新年度におきましては十億程度で運用いたして参りたい。どうしても不足の場合は借入金によりたいということでございまして、ニッケル、コバルト、タングステン、モリブデン等については、やはり国際的緊要物資としてなかなか民間輸入業者だけでは金融その他の面から融資の困難なものについては、やはり政府買入の制度を存続して参りたい。只今の手持物資を処分すればやめてもいいというような状況にはちよつと立ち至らないかと思います。
  484. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御発言もないようでございまするので、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  485. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言もないようでございますから討論ぱ終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  486. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  487. 中川以良

    委員長中川以良君) 多数でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は先例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  488. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     松永 義雄  西川甚五郎     杉山 昌作  黒田 英雄     小林 政夫  岡崎 真一     堀木 鎌三  平沼彌太郎
  489. 中川以良

    委員長中川以良君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後六時五十二分散会