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1953-03-11 第15回国会 参議院 大蔵委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十一日(水曜日)    午前十一時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            菊川 孝夫君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            平沼彌太郎君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            野溝  勝君            大野 幸一君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵省理財局長 石田  正君    大蔵省理財局総    務課長     吉田 信邦君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    中小企業庁長官 岡田 秀男君    中小企業庁振興    部長      石井由太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局特    殊金融課長   有吉  正君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○参考人出頭に関する件 ○小額通貨整理及び支払金端数計  算に関する法律案内閣提出) ○金融並びに租税一般に関する調査の  件  (中小企業金融公庫法案に関する  件) ○日本輸出入銀行法の一部を改正する  法律案内閣送付) ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より委員会を開きます。  本日は最初にお諮りをいたしたいと存じまするが、先般菊川松永委員から御要求がありました証券取引関係問題につきまして参考人出頭を求める件でございます。これに関しまして来たる十三日に証券取引法の一部を改正する法律案審査に関連いたしまして参考人出頭を求め意見を聴取することにいたしたいと存じまするが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  なお参考人の人選につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。御異議ないものと認めます。それではさように委員長において取計らいをいたします。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) 最初金管理法について質疑を行います。どうぞ御質疑を願います。  御質疑ございませんか。……それでは只今金管理法案につきましてはあと廻しにいたします。   —————————————
  7. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案についての質疑を行います。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。
  9. 黒田英雄

    黒田英雄君 小額紙幣通貨整理される御意思のようですが、今年の一月一日から出た十円の銅貨ですね、以前の一銭の銅貨と殆んど同じだろうと思います。どうもあれだというと一般の世人が如何にも十円が一銭になつたというような感じを与えるのですね。従つて政府は将来デヴアリュェーシヨンを行う準備じやないか、百分の一にしても、十円を一銭にすると百円が一円になるというような意図の下にやつておるのではないかというような疑惑を持つておる者もあるように思うのです。それで政府は果してデヴアリュェーシヨンを行おうとする意思があるのかないのか、若しないならばはつきり声明をされたほうがいいのだし、やられるのならば又やるで、又皆も用意しなければならんと思うのですが、大蔵大臣に実は御質問したいのですけれども、大臣が来られないので、政務次官も今日差支えるということだから……。
  10. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  11. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。
  12. 石田正

    政府委員石田正君) 私参りましたばかりで以てどういうふうな、或いは御質問の御趣旨に合わない点がありましたら又改めまして御答弁いたしたいと思いますが、この前十円貨を出しましたのについて、何か貨幣的な措置として考えておるかと、こういう御質問でございますか。
  13. 黒田英雄

    黒田英雄君 デヴアリュエーシヨンの計画があるのかないのか……。
  14. 石田正

    政府委員石田正君) これはいわゆるデヴアリュェーシヨンと申しますと、為替レートの切下げということに相成ろうかと思うのでございますが、これは大蔵大臣財政演説にもたしかあつたかと思いますが、一応基準尺度として一ドル三百六十円という相場を変えるという意思は毛頭ございません。これは堅持するということを言つております。これは現に国際通貨基金との間におきまして、国際通貨基金に加入をいたしましたが、日本平価というものは正式に決定いたしておりません。併しながら日本政府といたしましては、一ドル三百六十円というものをいわゆる平価というふうにいたしますために、すでにその申込を向うに発送されまして、その交渉が始まるというふうな段階に相成つております。従いましてデヴアリュェーシヨンということは目下全然考えておらないというのが実情でございます。
  15. 黒田英雄

    黒田英雄君 それじやそれに関連して又お尋ねしますが、或いは五円とか一円とかいうようなものですね、こういうものはいろいろな形のものが出ておるのですね。どうも以前私は御質問したことがあるのですが、大体今までの観念では、ぎざぎざの付いておるものは上、つまり何というか、価格の多いほうであつて、付かないものが低いほうである。穴のあいたほうが大体低いようになつておるように思う。とにかくまあ戦後の混乱した時代に、補助通貨のいろいろなものができたのだと思うのですが、これを一つ整理してはつきりぎざぎざの付いておるものが却つて安かつたり、ぎざぎざがないものが高かつたり、殊に今度十円の銅貨をこしらえられると、最も今まで低い補助貨思つてつたものが一番上になるようなことになつて、五円のほうがどうも見た目は立派に見えるのですが、それよりも非常に粗末なものが高くなるというようなことになつて、非常に混乱しておるように思えるのです。これは近く何か十円以下のものを整理されるお考えはありますか。
  16. 石田正

    政府委員石田正君) 何と申しますか、終戦後率直に申しまして遺憾ながらインフレーシヨン等状況もございまして、そうしてそういう混乱の時期におきましているくな通貨が出ましたことは、我々そういう補助貨或い硬貨を作つて行く立場から行きまして誠に遺憾だつたと思うのであります。幸いにいたしまして最近日本経済も漸く落ちついて参りまして、そうして平常化と申しますか、そういう段階に相成りましたので、大体何と申しますか、いわゆる種々雑多のものが出ておるということを整理いたしまする段階に来ておるのではないかと思うのであります。従つてこれからといたしましては、そういう方向考えたいと思つておるのであります。ただいつまでにどうするとかいうことになりますと、具体的な問題になりますので、いついつまでにどうするかということは、これは今ここで直ちに申上げることはできません。  それからなお十円銅貨を出しましたのは、これは前の通貨におきましては、相当不安定な状況の下に出しましたけれども、今度の十円銅貨というのは、これは大体こういう状況に相成つて参りましたので、まあそういう安定した下におきまして相当続くという考え方でこれは出したわけでございます。なお十円につきましても、現在は銅貨のほかに十円紙幣がございますのは御承知の通りだと思います。こういうような関係につきましても、一応の考え方といたしましては、大体十円というようなものは者流考えますならば、これは硬貨であるのがむしろ常識ではないかと、こう思いますので、今十円の日本銀行券というようなものもございますけれども、もう少し情勢を見て逐次整理するというような方向へ持つて参りたいと、こう考えております。
  17. 黒田英雄

    黒田英雄君 十円の銅貨ですね、あれを銅貨にされた理由は、何か原料の関係等もあるのですか。どういう理由で十円を銅貨にされたのですか。
  18. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 従来の貨幣で行くと、十円は白銅貨で出しておりましたが、現在の貨幣価値から申しますと、それでは素材価値を上廻るということも起つております。又価格変動の激しい金属類の値段でございますので、そういう価格ちよつとした変動によつて、名価を素材価値がオーバーするということになつてはいけないという点で、最も確実な点というところを狙つて作りましたのが現在の十円の銅貨でございます。大体現在の十円のコストは四円でございます。これ以上素材をよくいたしますと、銅の代りにニツケルというようなことに相成りますと、製造費とそれから素材価値を合せますと、十円以上になる形勢が多うございますので、そういう関係からいたしまして、そういう変動が起らんようにということを見込んでこういうようにいたした次第であります。
  19. 黒田英雄

    黒田英雄君 今度効力を、今年の七月三十一日ですかから通用を禁止するのは、一円未満補助貨だけのように思いますが、これをむしろ五円とか一円の今の補助貨のようなものも、十円が銅貨になると、銅貨以下のものになるだろうと思うのですが、早く整理されることが望ましいと思うのですけれども、どうですか。
  20. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 従来の貨幣のうち、今回提案いたします法律整理いたそうと思いますのは、一円未満通貨、これは紙幣補助貨も併せてでございます。それと現在流通しております一円補助貨幣というのを、今回の整理の対象にしております。一円補助貨幣は現在黄銅貨でやつておりますが、これはやはり素材価値が上廻つておりまして現実に潰しの状況が出て参りまして、そういうような状況でございますので、現在の一円硬貨整理するというようにいたしたような次第でございます。従つて将来の体系といたしましては、まだはつきりしたことは勿論きまつておりませんが、いずれにせよ一円、五円、十円、或いは五十円というような工合補助貨を以て当てるという方向で目下研究いたしておる次第でございますが、従つて現在の十円の銅貨というものを中心として、他の補助貨幣もそれに応じて行く、なお現在の五円のほうは素材価値の点から言いまして、多少現在の十円よりも率は名価に近くなつておりますが、併し現在として別に素材価値を上廻るというような情勢は出ておりませんので、これについては当分このままで行く。一円の分については現在の硬貨はやめてそうして将来適当な歩合で考えるというようにいたしたいというように考えておる次第であります。
  21. 黒田英雄

    黒田英雄君 現在出しておる五円とか一円とかのものと、今度の銅貨と、実際の価格ですね、つまり実価は一体どうなつておりますか。
  22. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 今実は現在残すことになつております五円、十円の正確な資料は持つておりませんが、現在の一円黄銅貨は、素材地金価値が七十八銭ということになりまして、これは製造費を加えますとマイナスになるというような状況でございます。五円、十円の詳しい資料は……。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 小額通貨整理法律案ですが、これはインフレーシヨンあと始末一つとして、こういう法案を出されたと思いますが、この法案自体は成るほど今の取引実態から見て、こういうことをせられる必要もあると思うのですが、これ以外にインフレーシヨンあと始末として通貨制度なり、或いは通貨制度なり、いろいろやらなければならないことがたくさんあると思うのですが、その一つとしてこれが出た。従いましてこれ以外にインフレーシヨンあと始末として、先ほど石田さんの答弁では、経済が安定して来た、それに対応するいろいろな制度を、殊に通貨関係をやらなければならんことはありますが、これはその一部になると思うのですが全体としてどういうことをお考えになつておるか、どういうことが問題ですか、その点一つ
  24. 石田正

    政府委員石田正君) 今木村さんのお話の点は、一体日本通貨なり或いは貨幣制度と申しますか、そういうものをどうするのか、それが根本にあつて、そうしてその関係する範囲においていろいろのことを考えるのが筋ではないか、これはその通り御尤もであると思います。我々といたしましても日本の将来の貨幣制度をどうするか、それからして通貨全体をどうするかという問題につきましては、これは考えなければならん段階に来ておると思つております。従いましてこの法案を出すにつきましてもそういう点につきまして慎重に研究の結果結論が得られましたならば、むしろ貨幣法改正を先ず行なつて、そうしてそれに伴うところの凡百の法律整理をする、これが一番正当であろうかと思うのでございます。そのために我々のほうはいろいろに研究いたしておるのでございますが、貨幣制度の根幹と相成りますれば、これは常識的に申しまして、一体日本通貨というものはいわゆる金本位制度で行くのかどうか、それから又為替本位制度というようなものもとるのかどうか、或いは管理通貨であるということを明らかにすべきではないかというふうないろいろな考え方があり得るわけであります。それから又取引状態等から考えまして、全体の通貨の問題について更に現状が妥当であるかどうかという実態面研究も又すべきではないか、かような大きな問題があるわけでございます。我々も今研究はいたしております。ただその結論につきましてはこれは慎重を要すると思うのでありまして、それについては我我研究いたしまして、成るべく早く結論を得ました上でいろいろ国会にお諮りするのが筋であろうかと思つておるのであります。ただ遺憾ながら本国会におきましてそういう結論を出しますまでの段階に至つておりません。  そこで今回の法案の提案の趣旨といたしますところは、そういう根本法はそれでは手が付かないといたしまして、何にもせずにおいておくかという問題になるわけでございますが、当面円未満通貨というものがありまするために、いろいろと経済実態にも即さんのみならず非常に手数をかけておる。経済的にも非常に能率を害しておる面がありまするので、先ずこの点を片付けておくということはそれ自体としても効果のあることであろうと思いまするし、又先ほど申しました根本の問題を考えるについても、要するに極めて雑多な問題まで併せて考えないで、根本的な問題にだけ取り組むということができる段階にもなろうかと、かように考えておる次第でございます。まだ研究がつかないからそういう根本問題について出さないにつきましては、何をしているのだというお叱りもあろうかと思いますが、これは余ほど慎重に考うべきものであろう、かように考えまして、その根本問題につきましてはこの次の段階において考えることにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはこれと同時に今審議しておる金管理法とも関連があるのです。こういう法律案を出して来るについても、やはり根本問題と取組んで、根本問題が出て来ないうちに何もしておかないのもいかんから一応やるというのですけれども、先ずそれをきめられて大体根本の問題をきめる条件が一応出て来ておると思います。国際通貨基金にも一応加入したし、そこで、ここで将来重要な問題ですからはつきり早くきめなければならんわけです、今研究中と言いますけれども。それから研究案を出す場合には重大な問題ですからこれは広くやはり一つ審議会審議会というのも妙ですが、広く民間の実際家或いは又学識経験者等にあれして、どうしても早くこれは結論を出さなければならん問題だと思います。  それからそれと同時に、今実際の取引面の不便、非能率をここで救済するために一番障りになつておるのは通貨単位実情に副わなくなつて来ておることがやはり一応非能率だと思います。これは私は前から言つておるのです。経理計算上零が非常にたくさんになつて来るでしよう。これは大蔵省つて予算を組むとき一番お困りになつておると思います。この点は新聞にもちよつと出ておりましたが、量というようなもの、通貨単位として。そういうものを持ち出すとか何とかいうことを聞きましたが、それはいい悪いは別として、私はどうしても通貨単位の切り下げというのですか、切り上げというのですか、とにかく昔のあれから言えば切り上げるというのですか、今の百円を百分の一の通貨単位にするとか、こういう措置こそ一番重要だと思うのです。この点やはり検討されたのですか。
  26. 石田正

    政府委員石田正君) 先ず第一に早く研究すべきだということに関連いたしまして、広く有識なかたがたの御意見を承わつて案をきめべきである、これは御尤もだと思います。我々もそういう方向に持つて行きたいと個人的には考えておる次第でございます。  それからこの法案との関係でございますが、この法案との関係につきましては、いわゆるそういう仮に審議会を作るといたしまして、そういう場合にそこで論議をいたします場合に、こういう問題をどうするかということを、何と申しますか、或る意味におきましては技術的な問題、こういうふうな問題も合せて考えなければならんと言うよりも、根本の問題だけを取りきめれば大体いいというような態勢にしておつたほうが工合がいいのじやないか。  それからもう一つは、お話の点はいわゆるデノミネーシヨンの問題であろうかと思いますので、このデノミネーシヨンの問題がいい悪いは別問題といたしまして、デノミネーシヨンのことを考える場合におきましても、今回のような措置をやつておくことが便利ではないだろうか。かような点もいろいろ考えまして、勿論結論としてこうするのだということは申上げかねますけれども、そういう方向に行く上において、これは今のお話のように些々たる問題のようにお思いになりますけれども、それをやる上においても便利な手段なんだ、かように我々は考えましてこれを取りあえず出した、かように思つておる次第でございます。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、一応やはりデノミネーシヨンのことも研究されたわけですね、そうしてやはりそれが一応含みと言いますか、前提にそういうことは考慮におきつつこういうこともやられたというわけですか。
  28. 石田正

    政府委員石田正君) これはデノミネーシヨンのいい悪いということは、私この場においてやるべきであるとか、やらないほうがいいのだということは明確にお答えすることが遺憾ながらできないことを御了承願いたいと思います。併しながらいわゆるそういうことを仮に考えるといたしましても、こういう措置というものがありますることは、その方向において非常に処理がし易い段階へ行くものではないか。それから先ほどお話がございました主計局予算等を作る場合に、非常に数が多いということになりますが、これは民間におきましても又この下の数字まで計算しておるという場合におきましては、これを削つてしまうということは、それ自体としても意味がある、かように考えておる次第でございます。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは政府紙幣というものは今度はなくなるわけですか。今後政府紙幣というものは出さない、日本銀行券だけですか。
  30. 石田正

    政府委員石田正君) これは将来の長きに亙つて政府紙幣を出すことはないのだということを確言することは困難だと思います。差当り今回の措置によつて政府紙幣はなくなりますと同時に、今考えられる範囲におきましては、新らしく政府紙幣を出すという考え方はございません。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 デノミネーシヨンがいい悪いということは議論は一応別としまして、取引上やはり非常にこれが阻害になつている、経理上。ですから私はこういうものも出される時期に来るならば同時にこれはやることを考えるべきだと思うのですが、これは議論になりますからそれは又大蔵大臣にでも聞くことにいたします。  それからそういうような今先ほどお話がありましたが、根本的な日本インフレーシヨンの跡始末及び今後の国際経済に対して行くための貨幣制度なり通貨制度なりの根本的な改正について、これは至急おやりになるとすれば来年度あたりくらいにそういうものを提案して出すときに、どのくらいの程度でおやりになるのですか。
  32. 石田正

    政府委員石田正君) 私はこの問題は我々としても研究をずつと続けておるわけでありまして、成るべく早く結論に達したいと思つております。併しながらこれは先ほどお話がありましたように、いろいろ有識なかたの御意見等も拝聴すべき筋合いのものであろうと考えますし、又その結論等もどういう工合なのかわかりませんので、従つて今度の国会例えばこの次の今頃ですか、来年の今頃にはそういうふうなものが十分ここで以て論議されて然るべきではないかという御意見は私拝承いたしておきますが、必ずそうするという確約をいたしますることはこの際としては許さして頂きたいと思うのであります。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは金管理法についてお尋ねします。
  34. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつとそれはまだあとにして下さい。  よろしうございますか、今の法律案につきまして……。
  35. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと遅れて来たので、すでに質疑が済んでおればそれは結構です。簡単な問題です。第六条の執行はどういうふうにやるのですか。
  36. 石田正

    政府委員石田正君) これは大体五十銭以上のものにつきましては一円未満端数がありましても一円に換える、それからして四十九銭以下でありましたならばそれは切捨てよう、こういう趣旨からいたしまして、五十銭をとにかく超えたら換えよう、そこでここに「引換を請求する者一人につき一回に限り」、こういうことにいたしました趣旨は毎日々々やつてはおかしいではないか、こういうことも考えまして書いたわけであります。私たちの考えから申しますると、国民の良識から申しまして、そういうふうなことをやられるかたは非常に少数であろうと私は思います。それから又同時にこの郵便官署なり日本銀行なりへ五十銭を持つて行つて一円に換えてもらうということをするのも、これも実際の経費その他の関係から言いますれば、まあ実際問題としてその点からも殆んどないだろうということを予想しておるわけであります。ただ法文の体裁といたしまして無限にやるのだということを認めるということは如何かと思いまするし、又仮に若し非常に異常な例といたしまして、同じ子供が同じ郵便局へ何回も来るということがあつた場合に、これは一つまとめて来て下さい、それが法律趣旨ですということが言えるようにしておいたほうがよろしいのではないか、かような趣旨からいたしまして「一人につき一回に限り、」という規定を設けた次第でございます。
  37. 小林政夫

    小林政夫君 立法の趣旨はわかつておるのですが、良識によつてというのが非常に金融機関の、日本銀行の取扱いが郵政官署の変るごとに一人一回限りという判定がむずかしい、郵便局を変えてどこでも行けば幾らでもできるということになる。
  38. 石田正

    政府委員石田正君) 御心配のような点はそういうふうに考えれば誠に御尤もだと思うのであります。まあ下駄をすり減らしたり、靴をすり減らしたりして、ひもじい思いをしてあつちこつち歩き廻る、これは電車に乗るということもありますし、自転車に乗るということも考えられるかも知れませんけれども、そういうようなことはそんなに頻繁に行われるものではないのじやないか。かように考えまして、要するに一つ郵便局へ参りました場合は、一人に付き一回限りというような趣旨で参りたいと思つておる次第であります。
  39. 小林政夫

    小林政夫君 次に第七条で「小額通貨以外の通貨と引き換えられた場合において、当該小額通貨以外の通貨額面価格合計額がその引き換えられた小額通貨額面価格合計額を超過するときは、」とありますが、この「超過するときは、」というのは今の第六条関係で「五十銭以上一円未満」のものは一円とするという結果、そういうことが起きるということだけの事例を考えられておるのかどうか。
  40. 石田正

    政府委員石田正君) 御指摘の通りその場合だけを考えております。その場合におきましては、郵便官署から日本銀行のほうへ報告する、各代理店から報告が来る。その場合九十九銭を替えたという明細書が付いて来るわけでありますから、それを見た上で差額だけを補給することにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  41. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると額はそう大した金額ではありませんね。
  42. 石田正

    政府委員石田正君) これは大きな金額になることは我々は予測いたしておりません。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 法貨の必要限度の関係はどうなんですか。こういう小額紙幣を、補助貨をなくすと、結局法貨というものの限度との関係はどうなんですか。そういうことをお考えになつておられるのですか。
  44. 石田正

    政府委員石田正君) これは、貨幣法において法貨というものはどういうものかということは規定しておるわけであります。それはまあ、結局十円なら十円を単位として円未満は百分の一が銭であるというふうに書いてあります。それがそのまま残るわけであります。そこでそれを具体化するところのものといたしまして、個々の種類の通貨というものがあるわけであります。それが法貨たる資格を与えられるわけであります。今回はそういうふうなものについてそれを回収してしまいまして、それが残つておるとすれば、それは要するに法貨でない、通用を禁止するということをいたしますし、又発行もいたさないということになりますから、現在のところのものにつきましては法貨たることがなくなるわけであります。同時に発行のほうにつきまして、当分の間円未満を発行しないということになりますから、そういうふうなものは具体的なものとしてはなくなつてしまう。かような結論に相成るわけであります。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 十円の臨時補助貨というのは二百円まで、それから五円の臨時補助貨は百円までこれは法貨として通用があるのですね。
  46. 石田正

    政府委員石田正君) 御指摘のような点につきましては改正する意図はありません。変える意図はございません。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは理論的にやはり変えるのが当然じやないですか。こういう下を切つて行くのですから……。
  48. 石田正

    政府委員石田正君) これは今のような点をいじくるということになりますと、これは貨幣法全部をいじくらなければならんということになるわけであります。これは、このままであつても適用のある部分と適用のない部分とがあることでございますので、御指摘のような点は、貨幣法全般を変える場合にはいじるが、若しこれをいじくるとすれば貨幣法全般をいじくることになりますので、これはできかねます。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は一応差当りとしては取引の不便を除去するためにこういう法律を出されたのですから、だんだんインフレによつて、十円札だとたくさん勘定してたくさんそれを持つて支払いをするときに拒否し得る限度、相手方が不便だから、それは法貨の通用限度ですね、それをやはり当然にまあ小さくするというのですが、限度を縮めないと相手が迷惑する、併し、そうするとやはり不便が起るから、そういう点を考えると、結局デノミネーシヨンの問題も関連して来るのですが、補助貨幣のほうをそういうふうにもう取引に不便だからという意味で、そういうものをやめるのなら、やはり法貨としての通用限度のほうも、たくさん持つて来られては不便なのですから、そういう点はやはり併せて考慮しなければ、実際の取引の不便を除去することにはならない、こういう意味なのですか。
  50. 石田正

    政府委員石田正君) お話の点につきましては、たくさん持つて来られて不便だという円未満のものは、実際問題として整理してしまいますし、なくなります。それから又新らしく発行いたしません。従いまして、要するに、円未満のものにつきますところの不便な点はなくなつてしまうと、かように御了承願いたいと思うのです。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはわかつておるのですが、併し円未満じやなくたつて、不便さにおいては、それは程度の問題ですけれども、同じだと思うのです。
  52. 石田正

    政府委員石田正君) 御指摘の点は、円未満は片付いた、そうすると、ここのところで十円は二百円までと書いてあるではないか、五円は百円までと書いてある、これは一円はありませんが、大体その二つが大きなものとして残るだけですが、こういうものを持つて来られたら大変じやないか、だからこれは整理すべきじやないか、こういう意味だと思います。併し、これらの点につきましては、実際問題としてそういうふうなことが現に行われておりません。いわゆる現実の経済取引において、そういうことが頻繁に行われておりますならば、御指摘の点はあろうかと思いますけれども、まだそういう弊害があつて困るということは、余り切実なる要求になつておりませんので、かたがた以て貨幣法全般の改正の際に譲りたい、かように考える次第でございます。
  53. 中川以良

    委員長中川以良君) 御質問ございませんか。
  54. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この法律の第一条に、「最近における取引実情に即応し、」云々と調つてございますが、たしかに取引実情からしますと、小額通貨整理、支払いの端数計算整理することは、今の取引実情に即応することは一応認められるのでありますが、これは、この間も大蔵大臣との間に質疑応答が他の委員会において交されておつたのでございますが、韓国では紙幣の切換えをやつているのですが、こういうふうに整理をするということになりますると、一面において、紙幣の切換えということは相当流布されることになると思うのです。特に両を設けるというようなことまで巷間伝えられておるのでありますが、そういう計画を実際問題として考えているか、そういう必要性は認めているかどうか、その点を一つ伺いたい。
  55. 石田正

    政府委員石田正君) 韓国の例を御引用になつての御質問でございましたが、私たちは、韓国の事情については、向うに駐在員もおりませんしよくはわかりませんけれども、私たちの解釈といたしましては、丁度日本におきまして終戦直後新円措置というのを行ないましたが、その段階ではないかと考えておる次第でございます。従いまして今回いたしまするところの措置というものは、ああいう措置とは関係ないものと我々は考えておるわけでございます。  それから、なおこれは先ほど木村先生からお話がありまして、もう百円を一円にすべきではないか、こういう御意見がございました。それから今の菊川先生の御質問は、両にするというような話があつて、相当韓国の問題と関連いたして、不安を惹起する画もあるようではないか、そこらの点はどうなんだと、こういう御質問かと思いますが、これは、私の立場といたしましてはつきり申上げておきたいことは、通貨の問題は重要な問題でありますと同時に、今申しましたような工合に、心理的にいろいろな影響を伴います面もございますので、これは慎重に処理すべきが適当であろうと思つております。先ほど木村先生から御質疑がありましたけれども、私どもは、そう軽々に結論を下すべきではないと思いましたので、その意味において従来答弁をいたしておつたわけであります。御了承を得たいと思います。
  56. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは一つお尋ねしたいのですが、仮に木村君から質問されたように百円を新らしい一円と交換する、こういうふうなやり方をした場合に、一体どういうところに弊害があるか、実際問題として千円札を持つておるのも昔の十円と今の千円と殆んど一緒くらいな値打ちになつておると思うので、大してそう混乱は起らない。こういうふうに思うのですが、混乱が起るというのはどういう点に起つて来るのか。その重大な点を検討した上で慎重を期すと言われた、どういうような点に起つて来るか、御説明願いたい。
  57. 石田正

    政府委員石田正君) どういう弊害が起るか、まるつきり弊害がないかということも、これも研究いたしますところの重要な問題でございまして、いろいろ意見のわかれるところではないかと思うのであります。まあ何の影響もないのではないか、実態がそうなつておるので、余り数字が長過ぎて困るから、ただ簡単にするだけだと、こういうこともあり得ると思います。同時に、一面におきましては、いろいろ経済関係で、そういうものをそういうようにしてしまうと、端数が切上つてしまつて物価が上るのだ、だからそういう措置は実際問題としては物価に影響があるのだと、こういうような御議論もあります。これは曾つてつたところでございます。そういうところでございますので、そこらのところは、これはただ抽象的な問題でなくて、日本経済の全般の、そのときそのときにおける姿というようなものと、将来の見通し、そこらと関連いたしまして慎重に考うべきだと思うのであります。従つてどういう弊害があるのだという御質問に対しまして的確なお答えができませんことは恐縮でございますけれども、今申しましたようなところで一つ御勘弁を願いたいと思うわけでございます。
  58. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どうも今の御答弁では……、これは素人の論議ですが、将来これは議員の中から議員立法としてそういうふうなものが出て来んとも限らんと思う。従いまして、そういう論議を闘わされておる際でございますので、特に、今にももう千円札が又一万円札の発行というようなことまで行くんじやないか。千円札では面倒くさいから、余り数が多いから、今度は千円札は発行しないで一万円札の発行というようなことまで行くようになることも考えられるのでございますが、そういうことから考えると、この際一つ整理することも必要だというふうに考えるのですが、あなたの御答弁では、経済界に影響を及ぼすということは、それは影響を及ぼすでしよう、確かに心理的にも影響を及ぼすだろうけれども、具体的にどういうことがすぐ影響するのだということはわからんですかね。あなたがたはそういう点は相当検討は常にしておらなければならんと思ののだが、そういう点はないのでございますか。
  59. 石田正

    政府委員石田正君) これはいずれ将来の政策になりますことで、今ここで……今お話の点におきまして、私は千円札では、とても駄目だから一万円札を出したらいいという実情にはなつてはいないと思います。私は日本銀行券といたしましては、千円札で結構だというふうに思つております。それから又これは一般にいわゆる現金だけが通用する、そうして現金ですぐ物に換えるというような時代は又別でございますけれども、併しやはり経済が正常化いたしますならば、やはりだんだんと信用取引というものは殖えるべきものでございます。大額なものというのは信用取引の領分にある、これは常識だと思います。従いまして、今の実際の情勢から申しましても、そういう正常化に向うべき方向から申しましても、一万円札というものを出すことは考えておりません。それから逆に、それと関連して、それではそういう議論もあるくらいだから、今度逆に切下げてしまえ、こういうことは前提の点がどうかと思いますので、そちらから直ちに逆に下げてしまうのがいいということにはならんのではないかと思うのでございます。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは政策の問題ですから又他日大臣でも呼んで質問したらどうか。
  61. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  62. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは速記を始めて下さい。それではほかに御発言もないようでございますので、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はこの法案自体については賛成いたします。成るほど取引実情にそぐわなくなつているという点がございますが、応急当面措置としてこういう措置をとられることについては異議はないのです。併し、先ほど質疑いたしましたが、やはりこれと併せてあの激しいインフレーシヨンを経過して参りまして、この日本通貨制度がいろいろな面において実情に副わなくなつて来ているということは言うまでもないのです。従つて、だんだん経済が正常化するに当りましては、やはりあの激しい、アブノーマルな非常な不自然な経済を経過して来て、それで通貨制度も混乱して来た、混乱を経過して来た次第でありますから、今の経済実態と著しくそぐわない点があります。従つて先ほど理財局長からも御答弁がありましたから、その点はそれを諒といたしまして、又至急この際貨幣制度についてもいわゆる通貨制度についても実情にそうような根本的な基本的な検討を早くやられて、そうしてこの経済実態に合うような貨幣制度なり、通貨制度を確立するような方策を早く進めることを要望いたしまして賛成いたします。
  65. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御発言ございませんか。御発言もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。  小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案を原案の通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  67. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により本委員会質疑討論の要旨、表決の模様等報告することにしてあらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二条により委員長が議院に提出する報告書に対する多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     大矢半次郎  伊藤 保平     菊川 孝夫  岡崎 真一     黒田 英雄  西川甚五郎     平沼彌太郎  小林 政夫     小宮山常吉  杉山 昌作     野溝  勝  大野 幸一     松永 義雄  堀木 鎌三     木村禧八郎   —————————————
  69. 中川以良

    委員長中川以良君) 午後は二時より再開いたします。それまで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩    —————・—————    午後二時五十八分開会
  70. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは休憩前に引続き再開をいたします。  これより中小企業金融公庫法案に関しまして、先ず政府側より内容の説明を聴取いたしまするが、同法案は通産委員会に付託になつておりまするが、委員諸君の御希望によりまして、特に本委員会においてこれが説明を聴取することにいたしました。なお御質疑を願いまして、その結果によりまして、通産委員会との連合審査をいたすことをきめたいと考えておりますので、さよう御承知頂きたいと思います。
  71. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 私どもがこの法案を作成いたしました考え方なり、又法案の内容の中心をなしまするところを概略御説明申上げたいと存ずるのであります。  先ずこの法案の第一の狙いといたしますところは、我が国の経済の根幹をなしておりますところの中小企業振興のために、どうしても設備資金乃至これに伴いますところの長期運転資金等、長期であつて安定しておりまして、且つかなり低利な資金を供給するということが非常に大切なことである。非常に急いでこれをやらねばならないという点が第一の狙いでございまして、この公庫を設立いたしますことによりまして、一般会計乃至資金運用部、或いは産業投資特別会計、或いは開発銀行が持つておりますところの債券等をこの公庫に取り纏めまして、これより一括いたしまして、これらの金をいろいろの特徴を持つておりますところの既存の金融機関の機能を活用いたしまして、この公庫から金を中小企業者に流して行こうというのが第一の狙いであります。従いましてこの公庫のあり方といたしましては、先ず原則といたしまして、自分で貸付業務をみずからやらないということが一つであります。その結果、この公庫の人間数は五十七人という極く少数の職員を以てスタートをいたすのであります。法律上から申しますれば、この公庫が中小企業者に金を貸し、債権者は公庫であり、債務者は中小企業者でございまするけれども、その中小企業者が申込みをしますのは、既存の中小企業関係金融機関、具体的に申しますれば、商工中金でありますとか、一般銀行であるとか、相互銀行、信用金庫、信用組合等の既存の金融機関を通じて申込みをして頂く、これらの金融機関が公庫の代理機関の役をいたしまして、申込んで参りましたものを審査し、そうして自分で貸すか、貸さんかの決定をいたしまして、公庫に連絡する場合と、或いは決定は自分ではいたしませんで、決定を公庫に持込んで参ります場合と二色ございますが、要は公庫の役目は、大きなビルディングの屋上にありますところのタンクの作用をなすもので、そうしてこのタンクからいろいろのパイプを通じまして、それぞれの蛇口に水が流れるというのと同様の仕組かと考えておるのであります。そうしてこの公庫の代理を勤めますところの金融機関が金を貸す場合、いわゆる公庫は金融機関に預託という形で、あらかじめ資金を貸しておくというのではありませんで、この金融機関が大体法律できめますところの中小企業者に金を貸すということがはつきりいたしました上で、公庫が金を流すということになりますので、例えば一般銀行等を通じまして、公庫の金が流れます場合におきましても、いわゆる横流れ等の心配はないかと思つておるのであります。  それから公庫におきましては、先ずさような意味がございまするが、中小企業者に必要な長期資金を流すことを目的といたしまして公庫ができる。そうしてこの公庫の金を受け得る中小企業者の範囲は、資本金額、又は出資総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人、商業、又はサービス業におきましては三十人、鉱業を主たる業とするものについては千人以下の会社又は個人、そうして政令で定めるところの事業、これは現在の信用保険に定めております事業と大体同じものでございまするが、その特定の事業を行うものというものを主といたしておるのであります。従いまして従来開発銀行が見返資金から中小企業に貸出しておりまする場合におきます中小企業者の範囲と余り違わないのであります。ここで中小企業者の範囲におきまして多少問題がありましたのは、医療関係の法人をどう扱うかということにつきまして、厚生省方面から若干の問題はあつたのでありまするが、結局三百人以下の従業員を持つておりまする法人でありますれば、中小医療法人といたしまして、この公庫の対象になることにいたしておるのであります。  それから公庫が運用をいたしまする資金の額でございまするが、これは二十八年度の予算で組んでおりまする一般会計からの出資金が三十五億円、それから二十七年度の補正予算におきまして一般会計から商工中金に貸しました金を公庫の出資に振替えましたものが二十億円、これで五十五億円の出資金に相成るわけであります。それから資金運用部から五十億円を借りまして、これで合計百五億円、金額的にはつきりいたしておりますのは百五億円でございまするが、そのほかに開発銀行が持つておりまする債権で今度産業投資特別会計に振替るものがあるのでありまして、その産業投資特別会計に更に新しくできまする公庫に出資として出て参りまする債権が約二十四、五億円考えられるのであります。それからその次といたしましては、開発銀行が昨年の暮から業務を開始いたしましたいわゆる見返資金の中小企業向貸出をいたしました債権でありますとか、或いは開発銀行が先に停止をいたしました復興金融金庫から中小企業者に出しましたところの債権、こういうふうな開発銀行のふところにありまするところの、過去の債権がこの公庫への貸付として出て来ることに相成つておるのでありまするが、この範囲につきましては、今なお整理中でございます。それで公庫の出資金乃至貸付金に関しまする、つまり公庫の資金のことを申上げたのであります。これらの資金のうち先ほど来申しました貸付金から来年度どのくらいの回収金があるかということを考えて見ますと、おおむね十五、六億円乃至二十億円あるかと、これはまだ若干開発銀行からこの公庫へ出て参ります債権の額によりまして回収金の額も違いまするので、はつきりはいたしませんけれども、まあ十五億円程度に抑えて見ますれば大過ないかと思うのでありますが、そういたしますると、この公庫が来年度動かしまする資金は、出資金が五十五億円のうち、二十億はすでに中金に貸してございまするから、その二十億円を差引きますと、三十五億円であり、借入金の五十億を加えまして八十五億円、それに今の回収金の十五億円を加えますと、おおむね百億程度の金を二十八年度にこの公庫で動かせるということが現状のところでございます。  それから役職員といたしましては、先ほども申したのでありまするが、総裁一人、理事四人以内、監事二人以内、そうしてそういう任命であるとか任期等は他の公庫と大体同様でございます。  それから貸付の条件は設備資金乃至長期運転資金、これは設備資金だけに限定いたしますところの従来の開発銀行の方式は多少窮屈過ぎやしないかと思うのでありまするが、そこで設備資金及びこれに伴いまして、必要を生じて参りますところの長期運転資金というものにこの公庫の金を使いたい、何しろ百億程度のものでございまするから、運転資金単独の貸出をするというのには資金が足らないかと思うのであります。従つて設備資金及びそれに関連するところの運転資金ということにいたしたい、かように考えております。貸付金額は一企業者当り貸付累計一千万円、協同組合又は調整組合におきましては三千万円以下、利率は年一割余を大体の標準といたしまして、償還期限は一年据置の最長五年ということにいたしたいのであります。  それからこの業務の、先ほどちよつと触れたのでありまするが、金融機関に公庫が業務の委託をするという場合の委託の方法でございます。  第一は、金融機関が受付から審査、その他全部この金を幾らどういう期間で貸すかということまで金融機関が全部きめます。それを公庫に連絡して来るという場合、この場合におきましては、その仕事を請負つておりますところの金融機関は公庫に対しまして八〇%の支払保証、いざという場合には八割の支払を公庫に対して保証する、その代り手数料といたしまして公庫は金融機関に四分五厘を差上げる。  それから第二の方式といたしましては、受付から審査等、前の方式と同棲でございまするが、貸出の最後の決宗を公庫に持込んで参る場合であります。この場合におきましては金融機関はいざという場合三割支払保証をいたしまして、手数料は三分ということに相成るのであります。そしてこの中小企業金融公庫法と並行いたしまして、目下議会に提案いたしておりますところの中小企業の信用保険法の一部改正法案が出してあるのでございまするが、今度の改正によりまして、これらの保証債務も信用保険の対象にいたすことにいたしまして、そしてこの業務運転が、中小企業者が一層借りやすくするという方式をとつておるのであります。  なおこの法案に関連いたしまして、世上いろいろの議論奪われたのでございまするが、一番大きな意味で、この公庫に疑問を持つた意見が出ましたのは、この公庫の設立によりまして、協同組合を大いに助長、育成して行こうという従来の政府の方針が歪められるのではないかというふうな反対意見乃至疑問があつたのでございます。主としてその出所は中小企業団体連盟を中心とするものでありました。私どもその後いろいろと膝を突合わしまして議論をいたしました結果、双方に落度があり、我々が当然十分納得して頂いておくようにしなければならなかつたことが向うに徹底しておりませんで、誤解に基く不要な御心配をなさつてつたような点もございまするし、いろいろのことがあつたのでありますが、だんだん御理解を頂いて、最近におきましては公庫に反対するということではなく、公庫の運用と協同組合の維持育成乃至その協同組合に対する金融を唯一無二の使命としておりますところの商工中金が弱まつて行くようなことのないように運用してもらいたいという、運用上の希望に要約されることと相成つたのであります。その点につきましては、私どもといたしましても、何ら異存のあるところではございませんし、協同組合を維持育成して行くという方針に対しましては、今年度の予算におきましても、それ相応の別途予算もとつておるような次第でございます。この公庫の運用に当りましても、商工中金というものが自己の使命を達成して行くに困るようなことのないように、十分の留意をいたして参るということにつきましては、大蔵省銀行局方面とも意見の一致を見ておるところでございまして、そういう趣旨で一時公庫にかなり強い反対が出ておりましたことも、大体話合が付いた段階に参りましたことを非常に喜んでおりますと共に、ちよつと附加えて申上げた次第であります。概略申上げました。
  72. 中川以良

    委員長中川以良君) 質疑を願います。
  73. 小林政夫

    小林政夫君 最初にこういう公庫を立案、提案されたことについてですね。先般この休会前の国会において開発銀行法の改正と関連をして、銀行局長並びに特に問題が重要であるので大蔵大臣の出席を求めて、私の質疑によつて大蔵当局として責任ある言明がなされた。それはこの中小企業金融については商工中金を改組をする、大体ここに提案されておるような業務を行わせる、こういう言明があつたわけであります。中小企業金融について、当時特に私が問題にとり上げたのは、長期運転資金を考えなければならん、そういうような面については、一応この提案によつて約束がなされておるということになりますが、商工中金を改組して飽くまでこの法案で狙つておられるような業務をやるのだという点は、言明の趣旨と違つておるわけであつて、その辺の経過が如何ような経過を経て言明と反した提案となつたか、明らかにして頂きたい。
  74. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答え申上げます。今御指摘の通り、去年より当委員会で向井大蔵大臣及び私から、この問題につきましては、商工中金を改組して、これを半公共的な機関として、今ここに提案されておるような意味合の金融をやらして行くのが適当であろうと考える、こういうことをはつきり小林さんの御質問に対して申上げたのであります。その後この問題につきましては、いろいろ検討いたしましたのでありますが、今御提案申上げておりますような中小企業金融公庫の構想に、これを切換えた理由について申上げてみたいと思います。  第一点は、その後衆議院及び参議院の両院におきまして、中小企業対策についていろいろ御決議が出ております。その御決議の趣旨はまあいろいろございましたが、中小企業の金融を円滑にするために商工中金と並んで、例えば特別会計を作るとか、何か新らしい一つの柱を立てることが適当であると思う、こういうふうな御意見が衆参両院共に出ておりました。これは各党御一致の御決議として承わつておるのであります。その点につきまして、私どもといたしましても、できるだけ御決議の趣旨は尊重して考えて参りたいということを政府当局といたしまして御答弁申上げたのであります。この点がいろいろ当初はつきり申上げました商工中金の改組という形で行くことについて、もう一度考え直して入ようということになりました一つの大きな原因であります。  それから実態的には商工中金を改組して行くということにつきましては、その後いろいろ考えてみますと、いろいろな点で必ずしも適当でないという点が出て参りました。具体的に申上げますと、第一には商工中金という制度はやはり組合を育成して行く、俗な言葉で言ういわゆる組合金融を専門にやつて行く機関として、やはり育てていつたほうがいい。それに組合金融以外の個人金融がこれを取扱うということになりますと、どうもやはり商工中金というものの性格、特に組合金融というものに対する考え方がどうもぼけるのじやないかというような点、これは商工中金改組案を考えるときにも、実は議論があつたのでありますが、そういう点をやはり考えなおしてみる必要があるのではなかろうかという意見が出て参りました。もう一点は極く技術的な問題になりますが、商工中金を改組いたしまして今の構成員である組合から出資されているものと、政府からの出資が入つて、ここで一つの半官半民的な機関とする。その場合にこの商工中金が、新らしく個人に、個人貸しを始めて、その個人貸しで損失が仮に出たとした場合に、その損失を組合員から、構成員から出資されておるその出資金にその損出を負担させることがいいか悪いか、これらの問題についてなかなかむずかしい問題がある。そうすれば若しそういうことを防ぐといたしますれば、直接貸しの分は別勘定で、特別勘定でやつて、その損失の結果が組合出資に及ばないようにするかという問題が出てくる。そういたししすと、同じ機関の中で別勘定にやる永のならば、やはりはつきりした別の機構のほうがいいじやないかという議論も、その後出て参りましたので、いろいろ検討いたしたのでありますが、やはり今申上げましたようないろんな理由から、これはやはり別の機構を作つたほうがいいではないかという結論に実はなつたわけであります。  大蔵大臣から申上げましたところと実は結論が違つたことに相成りまして、この点につきましては甚だ小林さんに対しては申しわけないのでありますが、いろいろ考えました結果、今申上げましたような理由によりまして、やはり別のものを作つたほうがいい、こういう結論なつたわけであります。  なお特別会計を作るのがいいか、ここに出ておりますような特別な公庫制度を作るほうがいいかというような点につきましても、これらの点につきましていろいろ研究いたしましたが、結論といたしましては、公庫の形にするのがいいという結論になりました。その理由等につきましては、御質問ございましたら、又お答え申上げます。
  75. 小林政夫

    小林政夫君 まあ銀行局長との友情に免じて、これ以上言明に対する食い違いは追及せんことにいたしますが、我々の要求によつて出席をして、いや違つてつたというような話しでなしに、可なりこういう構想の変化があつたときには、直ちにいろいろ一応ああいうふうに考えたが、違うというふうな、念の届いた措置をとられることを今後要望いたします。  それから今のお話ですが、一応並べられた理由で、別にこの中小企業金融公庫を作るということは、すでに農林中金と農林漁業金融公庫という二つのまあ型がございますが、あれでも多少問題があるので、少くとも役員等においても、その俸給等から考えて、それに伴なう諸経費等から考えても、こういつたわざわざ頭を一つこしらえてやるという点が、費用の節減等から考えても、考えられる余地があるのじやないか。成るほど職員は五十七名ですけれども、大体この職員というのは、やり方でみると、上層階級であつて、そう下つぱの者はいないわけで、俸給等についても役職員がふえる、役員がふえるだけでも経費の点から言つて、相当問題だと思う。そういう経費の面、特にそれから組合金融というのだから、中小企業をできるだけ組織化して、協同組合化して、その強化を図つて行くということが望ましい、併し何としても現状は未組織の中小企業者が多いのだから、この協同組合員にあらざれば、或いは協同組合員でなくては融資をしないということは、これは問題ですけれども、できるだけ協同組合を組織化するという趣旨から言つて、商工中金であわせ扱つて、逐次組織化できるものは組織化する、こういう方向に行くべきではないか。出資の点について、加盟組合の出資金と政府出資金というようなものがあると言つても、それは又工夫をすれば技術的に解決のつく問題であろうと思うし、そういう点について今述べられた理由だけで、直ちに別機関を作るということには結論が早過ぎるのじやないかと思いますが、まだほかに理由はありませんか。
  76. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 理由先ほど申し上げましたような点が主な理由であります。私どもの考えといたしましては、今例も引かれましたように、現在政府金融機関の会計と申しますか、といたしましては、御承知のように開発銀行なり、輸出入銀行という、一つの、まあ言葉は非常に悪いですが、基幹的な産業、或いは輸出入という一つの特別の対象を相手にした政府機関というものがある。それから極く零細な対象のために、国民金融公庫という政府機関がある。その間に、そのほかに今お話のありました農林関係の特殊の金融を掌つて参りますために、農林公庫というものがあります。一般の産業金融の中で、国民金融公庫の対象とするほど小さくもない、が開発銀行なり、輸出入銀行が対象といたすような基幹産業的なものでもない、間のところに、いわゆる政府機関としての、機構は実は整つていないが、この機構をやはり何と言いますか、その溝を埋めるということが、金融制度として、政府金融機構の体系としてやはり必要であるということも基本的に考えられるのであります。  然らば今お話のように、商工中金で以てこれを改組して、それを埋めるということもいいではないかという議論も確かにあり得ると思いますし、私どももこれは別に弁解申上げる意味じやありませんが、或る時期において、それがいいと考えたことはあります。併しながら、今の農林公廊の間、或いは開発銀行なり、輸出銀行、或いは国民金融公庫と同じような体系で、一つ政府金融機関というものが、純然たる政府機関というものの融通金融を専門とする金融機関というものが、あることが適当である。それと別に、商工中金本来の組合金融を掌る、民間金融機構としては農林中金に並んだような商工中金という機構が、それ自体として存立することができるであろう、こういうことが私どもが二の案を御提案申上げた根本考え方であります。  今御指摘もありましたように、新らしい公庫を作るならば、やはりそれでいろいろ経費もかかる。政府の金を最も有効に使うためには、経費の余りかからん既存の金融機関だけでやつて行こう、或いは特別会計だけでやつて行くほうがいいじやないかという御議論も確かにあると思います。これについては弊害をなくするために、できるだけこの公庫の機構とか、或いは人員というものを簡素にして行く、経費をできるだけ節減して行くように努めますと共に、特別会計が持ち、或いはその他の機構が持ちまするいろいろな弊害をなくするという一つの点に対しましては、両者を噛み合せて考えました場合に、簡素な機構を置くならば、やはりこういう金融公庫といつたような制度を作ることが適当である。特別会計にすれば、お話のように或いは経費はもつと少くて足りるかも知れない。足りるかも知れないが、それではいろいろな点で、非常に金融機関としての本来の姿から行く能率的な運営ということに、いろいろな点で支障を来たす。責任のある運営がなかなかむずかしいといつたような弊害がありますために、できるだけ経費を節減することによつて、この公庫を作つて行くことが国全体としてはプラスであるという結論に到達したのであります。何も農林中金と農林公庫との関係を、そのまま商工中金と中小公庫との間が同じような関係と私ども考えておりませんが、大体そういつた組合系統の金融に専念する民間の機関として商工中金というものがあり、これとこの新らしい公庫とは必ず両立するし、又これを一本にしなければならんという理由は必ずしもないというふうな結論に到達した次第であります。今小林さんが申されたような点につきましても、政府として実はこの結論の出ますまでの過程におきましては、いろいろな議論があつたのでありますが、それは、現在におきましては、只今申上げましたように割切つて考えておるのであります。
  77. 小林政夫

    小林政夫君 その点についての中小企業庁長官意見をお聞きしたいのですが。
  78. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 私、まさに今銀行局長の仰せられた通りでありまして、私どものほうにも異論はないのであります。私どものほうは、ただもともと最初は特別会計を作つてやりたいという主張で、補正予算を組みますときから、私どもは特別会計を作つて、補正予算の当時に、まあこれは私どものはじいた算盤でございますが、百億の予算と、二十八年度の本予算では二百億円をもらつて、まあ三百億円ぐらいの金で特別会計を作つてスタートしようじやないかという構想で、予算の要求をいたすようにいたしたわけであります。そして途中、補正予算の査定のときにおきましては、やはり私どもの構想は一時やまりまして、そして補正予算に二十億の一般会計からの商工中金への貸付という形になつたわけであります。その後、先ほど銀行局長が申しましたように、議会におきまする決議その他いろいろの関係から、私どものほうはまあ特別会計で行くといろいろ申しました。大蔵省のほうは又いろいろの見地から御検討を願いました上で、双方が結局まあ公庫で行こうということに話がついたわけなんでありまして、その間のいきさつは先ほど銀行局長の申した通りでございます。
  79. 小林政夫

    小林政夫君 それでは一応逐条的にお尋ねしますが、第二条の、先ず、この「鉱業を主たる事業とする事業者については千人」と、こういう点はどういうことで千人が標準になつておりますかどうかという点。
  80. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 鉱業におきましては、大体投下資本との割合から行きまして、人間の数が多いのが通常でございますし、総売上金等から比べてみましても、鉱業と通常産業の、特に工業と比べてみますと、大体三倍程度になつておるような数字が出て参るのでありまして、公正取引委員会におきましても、協同組合を作る単位といたしまして、例えば石炭鉱業については千人までのものが協同組合の組合員になりましても公正取引委員会としては、これを認めるというような線をすでに出しておるような例もございまするので、この際鉱業につきましては人数の上で若干の例外を認めてやるのが実情に合うんじやなかろうか、こう考えたわけでございます。
  81. 小林政夫

    小林政夫君 開発銀行においても、まあおおむねこの特定事業……特定事業というものは一体どういうものを予定されておりますか。
  82. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 特定事業といたしましては現在中小企業信用保険の中に同様の文句がございまして、信用保険におきましては現在製造業、鉱業、土石採取業、建設業、物品販売業等、その他運送業でありまするとか、通運事業、電気供給業、ガス供給業、医業、歯科医業、印刷業、出版、写真、旅館等掲げておるのでございまして、こういうふうな仕事をしておるものを対象とする。どうしてこういうものにやるかと申しますと、これは例えば農林でありまするとか、漁業でありまするとか、農林関係独特のものには、これはやらないという意味も含めまして、今申上げましたような業態を特定いたしまして、こういう仕事をしておるもの、中小企業に貸すという仕組にいたすわけであります。
  83. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、開発銀行における融資対象として取上げられておる業種は当然特定事業に含むし、むしろ、それよりも今おつしやつたような農林、漁業以外は全部含むと、こういうふうなわけですね。
  84. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) さようでございまして、あの対象に全部入つて来ると存じます。
  85. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、例えば石炭等は開銀の融資の最たるものですが、そういうものについて千人までの鉱業として、今度作ろうとされるこの中小金融公庫の対象とするというような場合に、開銀融資との関係は、この千人でびしやつと線を引いて、千人未満のところは中小企業金融公庫に行つて下さいと、そういう要領に行くのですか。
  86. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 開発銀行との関係でございますから私からお答え申上げます。  今後のこの開銀と中小公庫との分野は、原則は今お話のような線で石炭鉱業等は引いて行く。ただ従来からの融資の関係等もございますし、又同じく一様に千人以下の従業員の炭鉱におきましても、やはり開発銀行で取扱つたほうがいいというものもないとは言えないと思います。そういつた関係で、原則はここで千人ということを考えますけれども、千人以下の者は絶対開発銀行では取扱わない、そこまで固い線を引く必要はないと思いますので、原則としてはそういう取扱をしますが、個々の問題につきましては、従来の融資の繋り、その他を見て考えて参りたい、かような考えでおります。
  87. 小林政夫

    小林政夫君 私の質問した趣意は、できるだけ開発銀行で扱つてもらいたい、こういう趣意です。ここへ折角本年、二十八年度百億ばかりの金が出せるということになつても、従来開発銀行で中小企業という、この本来開発銀行資金で賄つてつた石炭等がこちらへやつて来て、なけなしの百億の中に食込んで、ほかのほうへ行く領分が少くなるのではないか、それでは困る。そういうわけでお尋ねしておるのです。その点のあれは十分やつてもらえますか。
  88. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) その点の苦心をいたしました一つの例は、入口のほうでは千人というつまり原則、三百人から申しますれば約三倍の入口をつくつたわけでございます。貸出の累計にいたしましては例外を設けませんで一千万円に切つておるのでございます。資金源の大きさ等を勘考いたしまして、その辺のところに苦心の跡があるのでございまして御了解を願いたいと思います。
  89. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどの特定事業の説明でわかつたのでありますが、第二条の第四号「調整組合及び調整組合連合会」こういうような項目があるので、私は例の中小企業安定法に盛られた業種のようなものに、もう少し特定事業をしぼられるかと思つて聞いたのでありますが、先ほどの御説明によつてもう一回念を押して置きますが、農林漁業以外の全産業はこの融資の対象となる、こう考えてよろしうございますね。
  90. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 農林漁業を除いた全部というわけではございませんので、例えば料理屋に金を貸すとか何とかいうようなことになりますと、国家資金の流れる先としては不適当でございますので、先ず妥当と思われる業種を吟味してみまして、それ以外のものは除くわけでございます。特に大体サービス業の類は余り適当でないと考えております。
  91. 小林政夫

    小林政夫君 第五条の規定によつて「第三十三条第六項の規定により政府の産業投資特別会計から出資があつたものとされた金額」この金額は先ほどの御説明によつてまだ多少確定しない点があるということでありますが、大体どのくらいに見込まれますか。
  92. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 二十四、五億と大体踏んでおるのでございます。この金は開発銀行が先に見返資金特別会計から継承いたしましたところの中小企業に対する貸付財源でございまして、これが産業投資特別会計を廻りまして本公庫に対する出資となるのであります。これを大体今のところではおおむね二十四億円と踏んでおるのでございます。
  93. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、第三十三条の第六項に移りますが、「第二項の規定による政府の貸付金は、政令で定めるものを除く外、」とありますが、政令で定めるものを除くと、こういうのはどういうものを除く予定ですか。
  94. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 政令で定めるものを除くと申しまするのは、百万円未満端数を資本金に繰入れることは面倒でございますので、その端数を除くわけでございます。それから「政令で定めるところにより、」と申しまするのほ、法定出資の手続を規定する考えでございまするし、「政令で定める時期において」と申しまするのは、法定出資の時期をはつきりさそう、こういうわけでございます。
  95. 小林政夫

    小林政夫君 業務の方法ですが、一応この提案理由の説明に、先ほど御説明になつたような運用の方法が書いてありまするが、大体直接まあ委託金融機関が決定をして公庫へ持込むか、或いは公庫において最終決定をするかして、はつきり用途の、貸出しのきまつたものに対して金を渡す、こういうことで漠然と金を渡さないのだというふうに言われましたね。ところが例の商工中金に対しては二十億、一応これはまあ今までの例からいつて漠然と渡さざるを得ない、渡す結果になるわけで、これは二カ年以内に回収するということであると思いますが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
  96. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) これは今年の初めに五カ年間の契約で二十億無条件で貸してあるのでございます。これをこの公庫ができるに際しまして出資に振替えることにいたしましたのでありまするが、中金といたしましては、無条件に短期でも中期でも長期でも自由に使えた金が、公庫の出資に振替えられたとたんに、公庫の金の運用枠としての形に変更いたしますと、中金としても非常に迷惑な次第であろうと思うのであります。そこで双方の立場を折半いたしまして、二年間は中金としては今まで通りつてもらつてもよろしいけれども、二年たつたならば公庫のほうへ吸上げて、中金の扱う枠の形を変形するというふうな考えを持つておるのでありまして、その点を特にこの法律で書いておるわけであります。
  97. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、先ほど最初に戻つて、商工中金を積極的に、これは公庫は公庫で作るけれども、商工中金は中金で相当伸びるように助成をする、こういうことでありますが、二年後においては二十億を吸上げられてしまうが、一応今度は二年後においては、先ほどの話で、公庫において決定をする、或いは商工中金において決定をして公庫へ持込んで来る、具体的にこのケース・バイ・ケースで金を渡して行くといつたような方向に進まざるを得ないと思う。そうなつて来ると、今までのように一般会計等から商工中金べ金を貸して行く、自由裁量で貸して行くということとは大分違つて来ると思うのですが、商工中金に対しては、積極的に商工中金に対する助成も従来通りやるんだということは、どういうふうにやろうというお考えなんですか、将来。
  98. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) これは二十億、形の上では引上げることになりますけれども、結局中金に対しまする資金、中金で取扱つてもらいまする公庫の金の枠という面から考えますれば、すでにありました二十億を全然召上げつ放しにしまして、これは新規にどう分けるか考えるのだというふうには参らんと思うのであります。従つてこの二十億というものは、私の考えでは形はどう変りましても、中金の資金枠と言いますか、そういうものからは逃げないものと考えております。それから又二十億とは別に今度は公庫の、公庫本来の金の配分に際しまして、中金に対してどれだけのハイプの太さを与えるかという問題が今後の大きな問題であろうかと思います。この点につきましては、仮に貸付残高というようなものだけをとつて行きますれば、百分の三か四くらいのものでよろしいのでありますけれども、それでは預託金が非常にとりにくい関係もあるとか、業務の運用上いろいろ制限もいたしておりまして、苦しい面もございますので、過去におきましても例えば預託金の配分その他についてもいろいろの考慮を加えて、中金には可なりの親心をもつて運用されて来ておるのであります。従いまして公庫の二十億を外しました残りの公庫の資金の運用に際しましても、中金というもののいろいろな立場を考慮いたしまして、相当親切味のある重点的と言いますかどうか、相当考慮いたしました配分をいたしたい、かように考えておるのでありまして、今日新聞で発表されました新しい政府の預託金にいたしましても、中金に十債という金が出ております。これらも大蔵省とされても可なりの親切心を持つた配分計画をされたものと考えておるのであります。かような意味合で、今後とも大蔵省と協力してやつて行きますれば、中金が非常な弱目に追い込まれるというようなことのないように、過去において或る程度ずつと伸びて来ておりますから、そのカーブくらいのところは、今後とも行けるように大蔵当局とも御相談をいたして参りたい、かように考えております。
  99. 小林政夫

    小林政夫君 それでは委託金融機関はどの範囲考えておられるか、そうして各委託金融機関に対する資金配分はどういう基準でやろうと考えておられますか。
  100. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 委託金融機関範囲は、現在開発銀行が見返り資金の代理貸制度を運用いたしておるのに準じまして、更にあの開発銀行が代理店を選定いたしましたとき以後の経済状況の変化も加味いたしまして、取扱店の選定をいたしたいと思うのでありまするが、これはいわゆる市中銀行、地方銀行等のいわゆる銀行筋、商工中金或いは相互銀行、信用金庫等、皆それぞれ持味を持つた金融活動をいたしておるわけでございますから、それから又信用組合につきましては、信用組合独自の形で行きますか、商工中金の下部機構としての形で参りますか、この点は十分研究を要すると思いますが、これらにつきましても、或る一定の標準に達するものについては代理店として選定して然るべきものと思います。
  101. 小林政夫

    小林政夫君 もう一点、今の選定は、そういうふうなことでやられるにしても、それで資金配分はどういうふうにやられるか、この公庫の配分の基準は……。
  102. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 資金配分につきましては、今後いろいろな観点から研究いたさなければなりませんが、先ほど岡田長官から申上げました通り、商工中金については相当ウエイトを置いて行きたいと思います。必ずしも開発銀行によつて取扱われました中小向けの融資の取扱の実績などに促われないで、できるだけ商工中金にウエイトを置いて、その他の金融機関につきましては、指定預金をいたします場合のように、銀行には幾ら或いは信用金庫には幾らといつたような大まかな枠と申しますか、大体の頭の考え方は必要であるかと思いますけれども、個々にそうリミットな金額を具体的に決めて割り振るという必要は私はないと思います。  なおこの点につきましては、今後この公庫ができました暁におきまして、今後この公庫の責任者と政府当局とは十分にその点の意見の交換をいたしまして、今後の運用の衝に当られる総裁の意見もよく聞いた上できめて参らなければならんと思います。今ここで銀行に大体幾ら考えているか、或いは相互銀行には何億程度考えているということは、まだ申上げる段階ではないと考えております。ただ商工中金だけにはできるだけウェイトを置いて考えたい、従来からの経過もありますし、組合を育成するということが非常に大切だ、中小企業対策ということから考えて必要だということを考えております。
  103. 小林政夫

    小林政夫君 今響くということは言えないでしようが、すでに開発銀行等において一応実績もあるわけですから、割当はまあ今のケース・バイ・ケースで考えるのに、必ずしも割当はコンクリートなものじやなくて、一応割当をしても、枠を超えて出す場合があるということがありますが、その中小企業金融公庫の狙いとする融資に対して、積極的に協力する動きと、そうでない動きとが出て来ると思います。すでに開発銀行の見返資金融資についてそういうことは現れておると私は思うのですが、そういうようなものを、熱心なものはますます助長し、余り熱のないものは放つて置けという腹を以てやられるのかどうか。
  104. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 今お話のありました通り考えております。ただ例えば同じ銀行の中でも、個々の銀行について、やはりそういつた中小金融に対して熱心なものと、熱心でないものとございますので、一概に銀行は大体熱心でないから、これは削るというようなことをする必要はない。従来の開発銀行なり見返資金の中小金融の取扱振り、その他の点は十分に参酌いたしますが、ただ実績があるから出すということだけでは、これは判断できないということを申上げたのであります。
  105. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 補足いたします。これは二十二条を御覧になりますと、公庫が四半期ごとに事業計画及び資金計画を作成いたしまして、主務大臣の認可を受けるということになつておるのであります。この資金計画というものが、大体銀行種類別の枠と申しますか、ひいてはそれが個々の金融機関の枠まで行きますか、そういうことになるものだと思うのでございますが、これを四半期ごとに決めて参ります過程におきまして、今の銀行の熱意の問題等は十分織り込んで行けるかと思うのであります。
  106. 小林政夫

    小林政夫君 もうすでに三月、今日は十一日で、一応この公庫が四月一日から発足した場合において、第一四半期の資金計画は予定されておると思うのです。あとでお出し願いたいのであります。  それから先ほどお話で気にかかるのは設備資金に伴う運転資金と、非常に企業庁長官は設備資金に伴う運転資金ということを強調されたようでありますが、それはどういう意味でありますか。
  107. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 設備資金を出しまして、まあ設備の増設というほうは余り私ども考えるというよりは、設備の更新改善のほうを狙いたいとは考えておりますが、さような意味から設備資金が出ますれば、やはり生産量の関係等から運転資金が伴つて増加いたすわけであろうと思うのであります。従いまして従来開発銀行では代理貸の制度によりまして、開発銀行は設備資金だけ出す、それに伴つて必要とする運転資金は当該代理店で賄うはずであるというのが代理店制度をとられました一つの狙いであつたかと思うのであります。その場合運転資金は本質上短いものが常でございまするが、中小企業者の実情を聞いて見ますると、どうしても或る程度安定した運転資金がないと、もう不安でしようがない、何とか少し長い運転資金が欲しいということでございます。そこでその設備資金に関連して必要となつて来た運転資金のうち、或る部分を長期のものとして貸付けることができますれば、本当の短期の運転資金というものは代理店のほうでも十分面倒が見られ得るわけでございましようから、そこでいろいろ相待つて中小企業者が都合よく仕事がして行けるんじやなかろうか、長期運転資金を単独に貸すというようなことになりますると、今の資全量その他ではなかなか賄い切れないのではないか、かように考えております。
  108. 小林政夫

    小林政夫君 その点はそれはまあ資金量にも制約されるでしようが、新しくこの公庫から設備資金を出したものに対してのみ、長期運転資金を出すのだということであると、少くとも私が問題にしておるいわゆる長期運転資金という問題は解決をしないので、中小企業者では設備だけはどうにか自分で作つた、或いはどこからか、まあ親類等から調達したいわゆる自己資本で作つた。併し運転資金がそう面倒を見てもらえない、而もその運転資金は常時固定する運転資金だ、本来自己資金でやるべき運転資金が調達不能だという業種が多いのです。それを取上げないということであると、大分これは中小企業者の期待に遠ざかると思うのですが、この点如何でしようか。
  109. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) それは私どもは一番代表的な点を取上げて申上げたんでありまするが、資金量の関係等ももう少し公庫ができまして、詳細な資金計画を立てて見まして、そう本筋ばかりやらんでも、先ほど御指摘になりましたように長期運転資金だけでも或る程度やれるということになりますれば、敢えて固執する必要はないと思います。設備資金も出た、それに関連して運転資金が必要だという場合なんかが一番標準的な形じやなかろうかと思つておるのです。その点は敢えて固執はいたしませんのでありまして、公庫のほうで具体的な計画を立てて見まして、或る程度の仕事ができそうだということでありますれば、その範囲において長期運転資金等を切り離すと、今御指摘になつたような場合、流すということがあえてできないとか、反対とかというほどの意味はございません。
  110. 小林政夫

    小林政夫君 設備資金も見るわ、長期資金も見るわということになつたら、全く額面通り行けば、素手でも事業が始められるということになる。で少くとも設備資金だけは自分の力でどうにかやつたが、あとが続かないし、又普通の金融機関等でやつたのでは、急がしくてとても中小企業がそう一々銀行等に行つて六十日或いはせいぞれ九十日ぐらいの手形でぐるぐる廻すということは不可能な人がおります。どうしても公庫の金に頼らざるを得ないというようなことで、企業的に非常にペイするにもかかわらず日歩十銭とか、或いは三十銭というような金を使つて、而もどうにかやつて来ると、こういう状態を救うのには、それは設備資金も出してやろう、それに伴う長期運転資金も出してやろうということならよいが、事のあと先から言うならば、それは当然一応設備は自分の力でやつたが、そういつたことで苦しんでおるというものに長期運転資金を先に付けるべきじやないか。損益よりは設備の改善に重点を置くということであれば、合理化して行くということであるならば、その合理化資金ならば、その企業は一応の運転資金は持つておるわけですから、今の考え方は、どうもあなたの言われる原則を反対にしてもらいたいと私は思う。
  111. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 私どもの考えておりますのは、例えば防衛生産の問題か起きたにいたしましても、従来のように砲兵工廠で何から何まで全部やるという方式、特に大星方式は歓迎しない。優秀な専門的な下請が作りました完全なる部品を集めて作るということにならなければいかんと思うが、さような一防衛生産の分野を眺めただけでも、如何にも中小企業者の機械設備が古くて、而も専門的でなくて、これはどうにもならんという気持が私どもといたしましては非常に強いのであります。そこで折角こういう公庫ができますれば、金額の十分、不十分は別といたしまして、早く中小企業の内部が一応恰好がつくように持つて行きたいということを念願いたしますが故に、設備の改善合理化という点を特に強調し勝ちなのでありまして、お説のような場合に長期運転資金は出さないのだというのではありませんけれども、私どもとしては公庫の金で中小企業の設備改善乃至仕事がもう少しうまく、きるというときになりましても国際競争が或る程度できるぐらいまでに一日も早く力を付けたいというようなことを念願いたすものでありますが、私が先ほど原則はこういうふうにしておきたいというように申上げた趣旨はさような点にあるわけであります。
  112. 小林政夫

    小林政夫君 設備増設をしよう、或いは更新もしよう、金でも借りて、例えばこの公庫の年一割の金利でも付けて金でも借りて設備を新たにし、或いは進ん、増設をするというのは、中小企業の業者においてはむしろ最上のクラスであつて、勿論必要ですよ。おつしやるように設備の更新をしなければ国際競争にたつて行かないということは認めますが、併し当面それを一応今のままの業態を維持して行くのに金が急がしくていけないという業態のほうが救済されるべき業態としては焦眉の急を要するのであつて、そういうほうにむしろ相当ウェイトを置いて考えてもらわなければならない。中小企業金融のやかましく言われておるというのはそこにあるのだと私は思う。大体私の考え方はわかつでもらつておると思いますが、あなたの考えのほうをもう少し私のほうに近寄つてもらわないと、実際問題として、折角できたものをやはり開発銀行が見返資金融資をやつてつて、当てがわれた資金をそれだけ使わずに、かなりな余裕というか、非常に資金がだぶついておつたというような事例もあつたわけで、公庫としては積極的に私の言うような方向に向つてもらいたいと思います。これは意見ですから、答弁は要りませんが、それに関連して思い出したのです。が、この前、例の中小企業金融問題を年末にここでやつたとき、あなたが御出席になつて例の中小企業信用保険の問題で商工中金のほう等において高利貸からの金を借換する、いわゆる借換えは認めないということで、あなたの意図はそうではなかつたが、実際の担当者においてはそういう例がある。それは直ちに改めるということであつたが、それはその後どうなりましたか。
  113. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) あの問題は解釈といたしましても当然できることであつたのでありまして、帰りまして話をいたしました。つまり高利貸から借りた金が事業の運営に必要でなかつた金ならこれは問題になりません。中小企業の事業に投入された高利貸の金であれば、その高利貸というものはあの保険法で言うておりますところの金融機関でありませんので、それはあたかも問屋から仕入れるときの代金を金融機関と肩替りすると同様の事例でありますから、よろしうございますけれども、商工中金のような誤解があるといたしますれば、約款の書き方にも欠陥があるかも知れませんので、約款の書き方そのものも変えまして、全然誤解の起らないようにいたしておるのであります。あの問題は解決いたしました。
  114. 小林政夫

    小林政夫君 それではこの公庫が金を貸す場合において、まあ今中小企業者は相当高利に依存しております。併しどうにかやはり潰れずにやるということには、日歩十銭とか、或いは二十銭とかというような金を、こういうような金利に借換えてやれば、設備の改善もみずからの力によつてでき、相当安定した事業となり得るのにという企業が中小企業の中にはたくさんあるわけでありますが、最近の銀行局長の言明で経済保全会とか、或いは株主相互金融というものは一応不正金融機関でないということになつたわけでありますが、二十銭とか、三十銭とかというものの貸付業をやつておるものから……、この公庫或いは一般金融機関で借りたならばせいぜい一割か一割二分ぐらいの金利であるにもかかわらず、それを不当に儲けて、その借りた金を自分で使つておるというものも借換えということは認められますか、これは運用上……。
  115. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) お説のような事例……、借換をしてやれば業者は非常に喜ぶと思うのであります。私どもの考えといたしましては公庫発足早早でありまして、資金量が非常に限定されております。そこでこれを逃げるわけではありませんが、公庫の職員も揃いまして、資金計画も具体的に作つてみまして、それをいよいよ運用するという段階になりますときに、借換えを余り大きな声で叫びますと、資金量の関係から多少無理が出て来るのではないか、これは実際の運用に当つてごく激しいようなものを若干考えるということは考えられるでしよう。まあ運用に当つての優先順位と申しますか、そのときぞれの適切な運用と申しますか、絶対にいかんとも申しませんのでありますが、資金量と見合つてそういう点も頭において運用してもらいたいと考えるのであります。
  116. 小林政夫

    小林政夫君 これ又その重点の置きどころが多少違つて来るのですが、私はもうそういつた金を使つてつてつて、この公庫の貸出対象となるというものならば、先ず第一にこの金をこの公庫の金融ベースに戻してやらなければならない。一応そういうような金を使つて、やはり潰せずにやつておるということは、或る程度企業自体の力はあるので、ただ高利のために資金の留保ができない、或いは実際に設備改善もできない、生活が安定しない、こういうようなことになるので、事業自体としては存立の条件を持ちながら、金利のためにやつて行けない、こういうことでありますから、そういうものこそ一番に採上げてもらいたい。そうして銀行局等においていろいろ苦心して高利の不正な金貸しを防ぎたい、こう言つてもやはりこれは酒の密造と同じことで、経済的に解決をしなければならん問題である。アブノーマルな金利が発生するのは、恐らくアブノーマルな金利を使うというのは極く稀だと思う。まあ大部分の中小業者がこの高利の金を使つて、そのためにああいう特殊な金貸しが繁栄しておるのであつて、これを潰すのにはこういうものを以て借換えで行つてどんどんやつて行くならば、あの金貸業が成立つ余地がなかろうと思う。そういうような方法で経済的に解決を付ける、こういう意味からいつて、私はそういう高利の資金を借りて事業をやつておるものの借換えは相当ウェイトを置いて採上げてもらいたいのであります。
  117. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) ウエイトを置くとか置かん、こう申されるのでありまするが、結局先ほど申上げましたように、この公庫の金は金融機関の窓口を通じて出て行くわけでありますが、先ず第一に金融機関が扱います場合に、八割乃至三割の支払保証を公庫が持つわけであります。そういう範囲内で金融機関が呑む。これをやつて行く場合には、金融機関自体がよく審査してこれをやらなければならんので、公庫に持つて来た場合に公庫では特にこれを蹴とばす必要はない。そこで先ほども申しましたように、この保証債務は保険にもかかることになつておりますから、そして今の高利の借換えの仕組は保険がとれるということは先ほど申上げました通りでありますから、さような仕組において金融機関が認め、公庫に連絡して来るという場合において、公庫として、それは駄目だというふうにやる必要はないと思います。
  118. 小林政夫

    小林政夫君 私の言うのは、それはあなたのは、積極的に一つそういうものを探し出してやつてやれというような指導方針になつて行けという意味なんです。借換えは原則としていけないのだというようなことだと、そういうふうに誤解しますから……。
  119. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 岡田長官の御答弁に補足して申上げたいと思います。やはり私どもの考え方といたしましては、財政資金の資金量が非常に限られておりますので、どうしてもやはりプライベイトリイということで考えてもらわなければならん。それで非常に資金量が足りません場合に、今高利で借りておるということは、これは個人的に見れば非常に気の毒なことでありますけれども、とにかく金が付いておる、何らかの形で金が付いておるものを優先させるのか、或いは今金が付いていない、而も何らかの設備の合理化が必要である、或いは高利の命が必要であるといつたものを先に考えなければいかんか、どつちを先に考えなければならんのかという優先順位の問題だと思います。資金量が非常に豊富でありますならば、これは両方ともこれをカバーして行くというのが一番適当だと思いますけれども、何と申しましても一応高利であるけれども資金が付いておる、ところが資金が全然付いてないものが現にあつてそのために合理化資金を補足しなければならんというものを優先するのがいいかどうかという問題になるのでありまして、高利貸から……、高利貸というと言葉が悪いのですが、貸金業者から借りておるものを優先して肩代りしてやるようにしろというお示しでありますけれども、そういう原則は私は成立ちがたいのじやないか、ものによつてやはり判断して行かなければならんのであつて、やはり資金量が非常に制限されております場合におきましては、高利貸からさえも金を借りてない、而も設備の合理化をしなければならんということの場合を先に、優先しなければならん場合が確かにあると思う。個々にやはり判断して行かなければならない、かように考えております。
  120. 小林政夫

    小林政夫君 それはまあ言い方の何だけれども、高利貸でもいいから金が付いておる、金が付いておると言つても何も好んで日歩十銭、二十銭や三十銭の金を借りておるものは誰もいないですよ。それだけの金を使つてどうにか不足ながらも仕事を継続しておるというのは事業的に見込みがあるのですよ。そういい加減な事業じやないと思う。これを補助さえすればやつて行ける、而もそれは相当長期に亙つてその金を使おうとして日歩十銭や二十銭の金を使つておるのじやない、止むを得ず使つておる。そういうものをこういうことに切り替えて行けば、余り海のものとも山のものともわからんというものに金を貸すよりは、それによつて金利の鞘だけでも資本蓄積ができるし、又願われている設備の合理化もできることになるので、金の経済効果、この効果が、出す資金の経済効果から言えばそのほうが早いと思う。旧債の借替はいけないのだということをはつきり請われると、そういうものまでいけないのだというこれまでの保険のときのような行過ぎが起るので、その点を私はむしろそつちへ頭を置いて考えてもらえるような含みで以て運用してもらいたいという趣旨なんで、実際にそこを先ず第一に優先するので、ほかのものはそれが済んでから後だというような意味で言つておるわけじやないけれども、心持ちとしてはそういうものがたくさんあるということを考えてもらわなければいかんと思うということを言つておる。
  121. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お説の通りだと思います。それで今申上げましたのは、高い金を借りておる人は借りたからいいじやないか、こういうことを申上げたのじや実はないのであります。国民経済上・全体として見ますると、設備を近代化しなければならん、合理化しなければならんという要請があるわけであります。ところがとにかく高い金を借りておつてその設備はとにかく合理化できておる。ところが更にその乏しい財政資金をもう一つ別のほうへ出せば、更に国民経済的には合理化できる、設備というものがプラスになる。ところが高利貸から金を借りて設備を合理化した人たちはまさに個人的には非常にお気の毒である。だけれどもできるだけそれも考えられる限り考えたらいいと思いますけれども、国民経済自体から見れば必ずしもそれを優先すればいいというわけじやないのでありまして、最初にやはり私は判断して、そういうものは全部オミットするということにする必要はない、併しこれを逆に必ずしも優先するということも言う必要はないのじやないかというということを申上げたのであります。
  122. 小林政夫

    小林政夫君 まあ特に今木村先生が忙しいのに来ておられますから質問を譲りますが、一応この点だけの結末を付けると、折角こういう中小企業金融公庫を作つても、その中小企業の上のクラスだけが恩典に浴して、実際に中小の困つておるものが恩典に浴せないというのでは困るので、まあ大体その他の金融機関では面倒見にくいものを見るということになつておるが、すでに開発銀行の例でも、或る程度長期信用銀行でやれるようなものでも開発銀行が取上げて行く、そこに競合が起つておる事例があるわけであります。この中小企業金融公庫がほかの金融機関でもやれるような、ただ貸付期限の問題がありますけれども、普通の一般金融機関でも取扱えるような分までこの貸出回収の安全を期するためにそういうようなことになつては困るので、その結論は、上の部だけ救つて、下のほうが救われないというようなことにならないように気を付けて運用願いたいという趣旨であります。
  123. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  124. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をつけて。
  125. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは又この次の機会にいろいろな点について質問したいのですが、この際この次に質問するときの参考にちよつと伺つておきたいのです。この公庫の融資対象となる中小企業者の範囲ですね。範囲で「政令で定める業種に属する事業」、特定事業と言いますのは、これはまあ質問したかも知れませんが、これはどういう事業ですか。
  126. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) これは先ほど申上げたのでありまするが、この中小企業信用保険法に特定事業というのが書いてあるのであります。信用保険法に書いておるやつよりは若干短くなりまするのであります。例えて申しますれば、製造業でありますとか、鉱業、土石採取業、物品販売業とか運送関係の事業、電気ガスの供給業、医療関係の事業、印刷出版というようなふうに考えておるのであります。要は特定のサービス業でありますとか、農林漁業の特有の仕事でありますとか、そういうようなものは除外する意味でございます。
  127. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからもう一点、代理貸を認めるというふうなのですね。この代理貸を認めるのはどういう金融機関の代理貸を認めるのか。
  128. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 法律は公庫が公庫の名において中小企業者に金を貸すのでありますけれども、その中間におきまして実際の仕事を金融機関に任す、その任しまする金融機関は、広く中小企業関係金融をやつておりまする一切の金融機関、具体的に申上げますれば一般銀行、いわゆる十一大銀行、地方銀行等を含めました銀行関係一つ、それから相互銀行でありますとか商工中金、信用金庫、信用組合等中小企業関係金融を担当いたしておりまする既存の金融機関をそれぞれの特色に応じて活用して参りたい、かように考えております。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その代理貸の程度はどのくらいなのですか。面接この公庫がやる分と代理貸する分と、その程度はどのくちい変るのですか。
  130. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) この公庫は人数は差当り五十七人ぐらいで出発する予定でございまして、直接中小企業者へ金を貸す業務をみずからやることはやらないつもりでおります。そうして金融公庫の窓口を通じてやる、その窓口を通じます場合の通じ方に二色考えておるのでございます。一つは受付から貸すと決定までの間を全部金融機関が担当いたしまして、そうして自分は何々へ幾らの金をどれだけの条件で貸すことにいたしたいということを公庫に通知することによつて公庫から金が流れるという場合におきましては、その金融機関は万一の場合に公庫に対して八割の責任を持もまして、公庫は四分五厘の手数料を差上げる。もう一つの方式は、金融機関は審査まではやりますが、貸すか貸さんかの決定はみずからやりませんで、公庫へそれを持ち上げて来る。そうして最終決定は公庫でやるという場合があるのであります。これはその当該金融機関が三割の保証をいたしまして、公庫はこれに三分の手数料を差上げる、この二つの方式を現在のところ考えておるのであります。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その中で、代理させる金融機関の中で、普通銀行のウエイトはどのくらいと見ておりますか。
  132. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 現在のところどの種類の金融機関にどのくらいの枠を上げるか、来年度この公庫が具体的に動します金がおおむね百億程度でありますが、その百億のもののうも何分を一般銀行筋に流す、何分を商工中金に流すかということは、これは法律の建前から申しましても、公庫ができまして四半期ごとの資金計画からきまつて行く問題だと思うのであります。ただ私どもといたしましては、先ほど来ここで申上げておりまするように、商工中金というものにつきましては、なかなか予算が取りにくいという問題もありましようし又協同組合はその組合員しか融貸の対象にし得ないという点もありまするし、又政府といたしまして組合化を大いに促進して参らねばならんという建前もございまするので、商工中金に関しましては、この資金の枠の考え方の上に特別の考慮を払つて行きたいということは具体的に申上げ得るのでありますが、数字を以てそれぞれの金融機関に対する資金の枠と申しまするか、取扱い枠を示すということになりますると、現段階といたしましてはちよつといたしかねるのであります。
  133. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは又あと質問いたしますが、普通銀行に代理貸をさせるということはナンセンスだと思うのですよ。普通銀行に中小企業の専門店を作りましたが、私九州へ行つて実情を調べてみましたが、みんな引揚超過なのです。大体中小企業専門店で集めた金の六割ぐらいは東京へ送つておるのですよ。多少違うところもありますが、半分ぐらいそういうような形です。ですから九州では引揚超過になつてしまうものだから、相互銀行とか無尽とかそういうものが非常に盛んなのですよ。そういうのが現実なのです。これはあとで申上げますけれども、私は普通銀行に代理貸をさせるということは全くナンセンスだと思います。その点についてこの次に十分に又お伺いしたいと思います。
  134. 中川以良

    委員長中川以良君) それではこの質疑は一応ここで打切りまして、次に日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案国民金融公庫法の一部を改正する法律案、右二案につきまして内容の説明を聴取いたします。
  135. 小林政夫

    小林政夫君 委員長確認して下さいよ、第一・四半期の資金計画の資料を……。
  136. 中川以良

    委員長中川以良君) 中小企業庁長官に申上げます。先ほど小林委員から申上げておりまする資料でありまするが、今度の新らしい公庫のできた場合の第一四半期の資金計画表が無論できておるはずと存じますので、それに関連する資料をお出しを願います。
  137. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) これは現在のところまだ何にもできておらんのであります。そして法案がまだ、私どもはもう通過するものと確信いたしておるのでございますけれども、法案ができる前からその資金計画を作るというのも如何かという点もございまするし、又公庫が資金計画を作つて来るのでございますから、先ず公庫を作つて頂きまして、それからやりませんとどうにも工合が悪いのでございます。(笑声)実のところ四月一日からの出発ということは公庫といたしましても困難だと思います。その第一回の資金計画はでき次第当委員会べお届けすることはお届けいたすのでございますけれども、今すぐということになりますと、ちよつと用意がないのでございます。
  138. 小林政夫

    小林政夫君 そういうことはちよつと考えられないし、今の木村委員質問もそういう資料が出ればおよその見当がつくのだし、まあコンクリートな話はこれは公庫が発足して、その役員が作つて政府が認可されるということになるのでしようが、一応これだけの案を提案して第一四半期どうやるかというぐらいの計画は政府当局にもあるわけです。まあ立つていなければならんわけなのです。ないとすれば至急に一両日中に作つて次の委員会までに出して下さい。
  139. 中川以良

    委員長中川以良君) そういたしますとまだ公庫が発足をしていないのでございますので、政府としては資金計画はお持ちにならんかも知れませんが、一応中小企業としては御構想ができておると思いますから、その構想に基いて今の小林君の御質問にお答えできるような資料を出して頂きたい、それでよろしうございますか。
  140. 小林政夫

    小林政夫君 そのときに、先ほどお話にあつた代理貸をする場合の枠ですね、商工中金には相当ウェイトを置くというお話があつた。そういうこともおおよそ金融機関別に大体のことがわからなければ、我々もちよつと審議するのに困る問題が相当あるのです。だから大体おおよその枠ですね、何%ぐらいでもかまわないのです。そういうものを併せてお願いいたします。
  141. 中川以良

    委員長中川以良君) それから委員長から一つ資料を要求いたしまするが、中小炭鉱等の鉱業に従来中小企業としてどのくらい出していらつしやるか、それの資料一つ出して頂きたい。
  142. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 中小企業として出しておると申しますと……。
  143. 中川以良

    委員長中川以良君) つまり商工中金その他中小企業の今の融資の枠内からどのくらいが鉱業方面に流れておるか。なぜかと申しますと、今度の公庫法の融資の対象に千人以下の中小鉱業が入つておりますので、これは先ほど小林委員の御質問のごとく開発銀行なり長期信用銀行から鉱業関係、殊に石炭関係は出るんじやないか。むしろそちらから資金をつけてやつたほうがいいんじやないか、折角中小企業の金融のためにこういう公庫ができて資金量も獲得しておりまするのに、本当に従来の中小企業関係の実績のほうに向けられるべきじやないかということはこれは考えられるわけで、殊に今回は中小炭鉱等を目標にいたしましての鉱業というものが謳われておりますので、これに従来中小企業金融としてどのくらいできておるかということを一応知りたいわけであります。
  144. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 今の中小企業金融としてマイニングのほうへどれだけ出ておるかということでございますれば、開発銀行が昨年から見返資金の中小企業向けの貸出しをやつておるのでありますが、その中へ何ぼ入つておるかという趣旨でありますればおわかりになるかと思います。恐らく商工中金でありますれば、多分マイニング系統にどれくらい出しておる出しておらないという関係が、マイニングは甚だ作りにくい業種でございますので、極めて微々たるものであろうと思いますが、資料が出るかと思います。併し他の金融機関につきまして、例えば一般銀行は統計上から申しますと資本金三百万円以下の統計しか出ていませんし、その内訳でマイニングはどれだけという資料が殆んどないのじやないかと思うのでございます。従いましてさようなことを御了承の上、又従来はマイニングといえども中小企業関係は協同組合で三百人ということになつておりますから、仮に千人とした場合にどれだけ出るかという資料も合せて要するのでございましようか。かなり扱い方がむずかしいように思うのでございますが……。
  145. 中川以良

    委員長中川以良君) 私の申しますのは、只今小林委員からも大体の資金計画の資料の御要望があつたのでありますが、殊に今回マィニングが載つていればなお更そういう資料に基いてどれくらいマィニングのほうに出さなければならないか、こういうことを一応御構想になつてこういう法案ができたと思うのであります。それだから鉱業方面にどのくらい今まで流れておつたかということを知りたいわけです。
  146. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) できる範囲で……。
  147. 中川以良

    委員長中川以良君) できる範囲で結構です。
  148. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 日本輸出入銀行法を一部改正する法律案の要旨と国民金融公庫法の一部を改正する法律案趣旨について御説明申上げます。  先ず日本輸出入銀行法改正の要旨であります。今回の改正の要旨は数点あるのでございますが、これをかいつまんで申上げますと、第一は、海外投資のための必要の資金を新たに融資の対象に加えることといたした点であります。第二は、国内の製造業者の海外における生産事業のための設備資金を新たに融資の対象に加えることといたした点であります。第三は、現行の輸出金融の対象でなかつた入札保証金のための融資を対象に加えることといたした点であります。第四は、前払いをしなければ、重要な原材料の輸入が確保できない場合における前払金の融資を対象に加えることといたした点であります。第五は、現在行なつておりまする輸出入金融における融資の最長年限五年を七年程度に延長いたす点であります。それから第六は、現在行なつておりまする輸出入金融は、市中銀行との協調融資が建前になつておるのでありますが、例外的に単独融資の途をも開き得ることといたした点であります。第七は、輸出入銀行業務を行なつて行きますために必要があります範囲内で、大蔵大臣の認可を受けて外国為替業務を営むことができることといたした点であります。それから第八点は、日本輸出入銀行の業務を行い得る期間の制限が現在ございますが、これは撤廃いたしたい、この八点に尽きるわけであります。その一つ一つについて簡単に御説明をいたします。  先ず第一の海外投資のための金融であります。これは目的は、輸出又は輸入市場の開拓若しくはこの転換を促進いたしますために必要な場合に限ります。相手方は本邦の輸出入業者、本邦の製造業者その他政令で定める本邦法人又は本邦人であります。条件は償還の確実性があることは勿論でありますが、そのほかに当該出資によつて輸出又は輸入市場の開拓若しくは転換に確実に寄与すると認められる場合に限るのであります。次に期間は一年以上十年以内、先ほど申上げましたように一般のプラント輸出等におきましては期間五年に現在なつておりますが、これを改正案で七年に拡張いたすのでありますけれども、投資という性質からそれよりも若干長めな期間を要する場合がありますので、十年ということにいたしたのであります。ただ、この場合におきましても事業の収益の見込等に上りましては十五年まで延長できるようにして参りたいと考えております。  次に第二の改正点であります海外における生産事業のための設備資金の金融であります。これは具体的に申上げますと、日本におきます製鉄業者等が海外において製鉄事業を営むためにいろいろな設備をする、その設備のための資金の融資の途を開きたい、こういう工合であります。これは目的とか相手方とか条件、期間等につきましては先に申上げました海外投資の場合に準じて取扱いたい、かように考えております。  次に第三の入札保証金に対する金融でありますが、設備輸出契約に係わる海外における入札の場合の入札保証金は巨額で且つ長期に亙るものが相当ありますので、新たにこれをやはり融資の対象にすることが必要になつて参り、これを融資対象に加えることといたしたいと考えておるのであります。  第四の輸入前払金の範囲の拡張であります。現在日本輸出入銀行の融資対象となつておりまする重要原材料の輸入前払金は、その前払金によつて外国における当該物資生産事業の拡充に当てられる場合に限る旨の条件がついておるわけであります。つまり前払金をいたしますことによつて、その前払金を受けた先の地における事業の拡張が行われる、事業の拡充が行われるという場合に限つておるわけであります。これによつて東南アジア等における開発への協力をさせようという意図であつたのでありますが、具体的融資の実行案件は現在のところ一件もございません。一方最近の輸入契約が次第に長期化をして参る傾向があり、又例えば集荷のための費用、つまり事業自体の拡充には当てる必要がないけれども、集荷をいたしたりするための費用のために必要な前払金を支払わなければならない、そういつたふうなことが外国との競争上起つて参ります。そういつた関係で必ずしも事業の拡充に当てられる場合に限らないで、当該前払金をしなければ輸入がむずかしいといつたような場合には、その前払金についてはできる、必ずしもその資金が事業の拡充に当てられない場合におきましても、これを認めて参りたい、こういう趣旨であります。  それから第五の融資期限の延長は、先ほど申上げました通りでありますから省略させて頂きます。  第六の協調融資の制限の緩和の点でありますが、現在は協調融資を、必ず協調融資でなければならんということになつておりますが、いろいろ最近の状況を見ますと、非常に融資期限が外国との競争の関係から長くなつて参ります。金額等におきましてもどうも非常に多額なものがだんだん起つて参りまして、これらを市中の一般の商業銀行と協調融資をして行くということが困難な場合も予想できるのであります。そういつた例外的な場合におきましては、協調融資でなく輸出入銀行が単独で融資ができるようにいたしたい。併しこれは飽くまで例外でありまして、原則はできるだけ市中の金融も使つて行くという意味におきまして、協調を原則といたしますが、例外的に単独の場合も認めるということにしたいと考えております。  それから第七の為替業務でありますが、輸出入銀行は外国為替業務を営むことができませんために、例えば入札保証金に関する信用状などを開設することが実はできないという不便があるわけです。今後はこういつた保証金等についての信用状を開くということが、どうしても必要になつて参ります。そういつた関係からやはり外国為替業務を営み得ることにいたすことが必要になつて参ります。併しながらこの場合におきましても、市中の外国為替銀行と競争するという立場におきまして、無制限に輸出入銀行が為替業務を行うのではありませんので、そういつたどうしても必要止むを得ない場合におきまして、輸出入銀行は為替業務を行い、今後外国から輸出入銀行に外資が入つて来るという場合におきましては、おのずからそれに関連した外国為替業務というものも予想されるのでありますが、差当り現実に問題となりますのは、入札保証金に関する信用状の開設の問題であります。  それから第八の業務の期間の制限の撤廃でありますが、現行法では設立後五年を経過いたしますと、新規の貸付はできないことになつておるのでありますが、現在の状況では、もうあと三年した輸出入銀行の新規の貸付業務ができないことに相成るのであります。内外の情勢から見ますると、まだ当分の間輸出入銀行というものはその業務を続けて行くことが必要であり、今後ますます輸出入銀行の活動に期待いたさなければならん分野が多くなると考えられますので、この際設立後五年間に限つて新規貸付ができるという制限を撤廃いたしたい、かように考えておるのであります。  以上が日本輸出入銀行法改正の要旨であります。  次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案の要旨でありますが、これも幾つかの問題がございますが、第一は、事務所つまり支所であらますが、事務所の設置についての制限の規定を削除いたしたいと思うのであります。これは御承知のように現行法では、東京その他の地区を除きまして、各府県に一カ所という制限がございます。ところがその後の国民金融公庫の活動状況等から見まして、各府県に一カ所という制限では非常にやりにくいという点もございますので、この制限を撤廃いたしまして、更に必要な地域には支所が設置できるようにいたしたいというのが第一点であります。  第二点は、公庫の業務の一部を代理する金融機関の役職員の責任を強化するために、刑法その他の罰則の適用については、公務に従事する職員とみなすという点であります。実は本来ならば当然そういう規定が必要であつたのでありますが、条文の整理上、現在までほかのこれと同種の政府金融機関と実は歩調が合つておらんわけであります。その規定を補充いたしたいという趣旨であります。  第三は、公庫の資本金を百二十億円から三十億円増額いたしまして百六十億円といたしますために、資本金の規定を改正いたしたい、かように考えておる次第であります。この三十億円の問題につきましては、予算上更にできるだけ多額の出資金の増額ということを考えたのでありますが、財政上現在の状況ではやはり三十億円程度に抑えるより止むを得なかつた次第であります。なお、この三十億円の出資のほかに、新規の資金増加といたしまして、資金運用部から五十億円の借入金をいたすことに相成つております。  改正の第四点は、公庫の役職員の退職手当につきまして、国家公務員と現在同一の取扱が行われておるのでありますが、役職員の身分が国家公務員から外れましたのに伴いまして、この退職手当につきましても、国家公務員と別個の取扱いをいたすことにいたしたい。ただその退職手当につきましては、その基準について大蔵大臣の承認身受けることを要する、政府金融機関でありまする関係上、そういつた大蔵大臣の承認を受けることだけにいたしたい。国家公務員とは別の取扱いをいたしたいというのが第四点であります。  第五点は、公庫の借入金について弾力性を持たせますために、公庫法における予算上の制限を緩和いたしたいというのが第五点であります。  第六点は、公庫の役職員の退職手当について公務員と別個の取扱をいたすことに伴いまして、公庫に適用されていた国家公務員共済組合法の適用を除外するということにいたしたいと考えております。  第七点は、上記の改正に伴いまして、公庫に設けられました共済組合の解散及び浩算筆について所要の経過規定を設ける。これは極く技術的な点でありますが、そういつた経過規定を設けたいというのが第七点であります。  以上が両法案改正の要旨であります。
  149. 中川以良

    委員長中川以良君) 両法案につきましての質疑は次回にいたしたいと思いますが、御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 小林政夫

    小林政夫君 経過規定ですね、公庫の共済組合解散に伴う経過規定はなかなかむずかしいですよ。課長から逐条説明をやつてもらいたい。
  151. 有吉正

    説明員(有吉正君) 国家公務員共済組合法の規定が外されまして、国民金融公庫といたしましては、その後におきまして健康保険法或いは失業保険法、厚生年金法等が適用になることに相成ります。そこで先ず共済組合法の適用が外されまして国民金融公庫に設けられておりますところの共済組合を解散なり又清算いたすということに相成るわけでございますが、共済組合法自体におきましては、共済組合の解散なり清算なりにつきましての規定がございませんので、民法の規定を全面的に準用いたしたい、かように考えておるのでございます。即ち民法の清算人の規定なり、清算人の解任の規定、債権の申出の公告、催告及び期間後に申出た債権の処理、清算法人の監督、清算結了の届出の規定をそのまま準用いたしたい、かように考えておるわけでございます。  次に共済組合が解散した場合におきましては、残余財産がありました際に、残余財産の帰属の問題でございますが、これにつきましては政令によりまして帰属の方法をきめたいと思います。帰属の先でございますが、一つには共済組合が加入しておりますところの連合会、つまり共済組合連合会に対しまして帰属するものもございます。これはそれぞれの財産の性質によつてきまるわけでございますが、先ず連合会に対して帰属するものがございますし、又国民金融公庫に健康保険組合が設けられる予定になつておりますので、その健康保険組合に帰属するものもございます。ここに「国民金融公庫に係る健康保険の保険者」と書いてございますが、これは大体国民金融公庫に設けられましたところの健康保険組合を予定しておる次第でございますが、健康保険組合がそれまでに成立せられません場合におきましては、政府管掌の健康保険組合に相成るわけでございますので、そのいずれかに帰属する。大体は国民金融公庫に設けられますところの健康保険組合に帰属することに相成るかと思います。以上申しましたもののほか、共済組合の解散に関しまして必要な事項、例えば告示等の問題でございますが、それらの手続につきましては政令で定めたい、かように考えておるわけでございます。  それからこの国民金融公庫の共済組合の組合員でありますものが、かようにいたしまして法律が施行になりまして共済組合の適用が外されますが、そめ際におきまして一応共済組合法の退職給付の関係につきましては退職をしたものとみなしまして、共済組合法によりますところの退職の一時給付或いは退職年金というものを給付するということにいたしたいというわけでございまして、この退職の年金の負担というものは国民金融公庫がこれを負担するということにいたしたいと思つております。  次に、共済組合がこの共済組合法によりまして共済組合員に対して負担いたしましたところのいろいろな給付又は当然負担すべきでありました給付、これには保険の給付なり休業給付等でございます。例えて申しますならば分娩手当等があるわけでございますが、こういつたものは国民金融公庫にこれから設けられますところの健康保険組合というもののその保険者がこれを承継するということにいたしたいと思います。そこで従来におきましても共済組合の場合におきまして、その費用の半分は国民金融公庫が負つていたわけでございますので、これらに基きまして健康保険組合が承継するところの義務に基きますところの費用の半分は、同様に国民金融公庫が負担する、それから同時にこの共済組合の給付の額、或いは支給の条件というものにつきましては、以前と同様にいたさせたいということでございます。なお、かように共済組合の従来から受けておりましたこの負担を、この健康保険組合が引受けるにいたしまして、本来ならば健康保険組合に承継されますので、共済組合の給付は受けられないということに相成りますが、その関係におきましては従来の例によりますので、特に例外として共済組合の給付は受けられるということになりまして、他面健康保険のほうの保険給付は行わないということで、その間の調整を図りたいということでございます。  共済組合関係の経過措置につきましては以上の点でございますが、なお特に附則の十一項に御説明申上げる条項がございますが、国民金融公庫の職員が退職手当の臨時措置に関する法律の適用から排除されますと、失業保険法の適用に相成るわけでございます。その際に退職手当の臨時措置に関する法律におきましては、退職手当を支給する額が、特に失業保険の額よりも少ない場合におきましては、その差額を特に支給する規定があるわけでございます。退職手当の臨時措置に関する法律の適用を外されました公庫の職員が六カ月以内に退職いたしますと、その間におきましては失業保険法の適用も受けられない、退職手当も失業保険の適用も両者とも受けられないという建前に相成るわけでございますが、その点を救済いたしますために、退職手当臨時措置に関する法律の第十条を活かしまして、特にこの場合におきましては、退職手当の額が失業保険の額に充たない場合においては、その差額を支給する。つまり失業保険の日額の百八十日分でございますが、その額だけは確保するという規定を十一項に設けた次第でございます。
  152. 小林政夫

    小林政夫君 今のは十一項のほうは別として、前のほうの条文は読んだだけのような説明で、財産関係ですね、体どうしてそういうことをやるかという、共済組合の権利義務の関係ですが、どういう財産の分け方をするか、それで損はないのか、得はないのかということに、実態に重点を置いた説明をしてもらいたいと思います。今日は遅いからこの次にいたしましよう。
  153. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この次に説明を聞くことにしまして、特に私は今の輸出入銀行法の改正に伴う輸出入銀行の新らしい業務の内容を具体的に総裁からこの次にでもお伺いしたいと思います。その点委員長から一つあれしておいて下さいませんか。今総裁はお見えになつておりますから……。
  154. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記とめて。    〔速記中止
  155. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記つけて。  それでは本日は一応両法案質疑は打切りまして、続いて後日行うことにいたします。  なおお諮りをいたしますが、午前中に御承認を得ておきました証券取引法の一部を改正する法律案について参考人を喚ぶことにきめておりますが、これに関連をいたします証券投資信託法の一部を改正する法律案、有価証券取引法案、これも公述事項に加えまして証人を呼ぶことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 中川以良

    委員長中川以良君) ではさように取計います。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会