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1952-12-23 第15回国会 参議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十三日(火曜 日)    午前十一時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            菊川 孝夫君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            森 八三一君            松永 義雄君            菊田 七平君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君   衆議院議員    大蔵委員長   奧村又十郎君            佐藤觀次郎君   政府委員    外務政務次官  中村 幸八君    外務省国際協力    局長      伊關佑二郎君    大蔵政務次官  愛知 揆一君    日本専売公社監    理官      今泉 兼寛君    大蔵省主計局法    規課長     白石 正雄君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    水産庁長官   鹽見友之助君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    外務事務官    (外務省国際協    力局第一課勤    務)      庄司  宏君    国税庁長官官房    会計課長    羽柴 忠雄君    水産庁漁政部協    同組合課長   濱田  正君    日本専売公社副    総裁      勝田雄次郎君    日本専売公社総    裁部長     小川 潤一君   参考人    公共企業体等仲   裁委員会委員長  今井 一男君    全国専売公社労    働組合中央闘争    委員長     平林  剛君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告 ○元海軍文官退職賞与中未払促進に  関する請願(第五五九号)(第一〇  二四号) ○医療法人相続税に関する請願(第  七一三号) ○ガソリン税軽減に関する請願(第八  八三号)(第九六一号)(第一一一  五号)(第一一七五号)(第一一七  六号)(第一一九八号)(第一二六  六号)(第一二六七号) ○揮発油税軽減に関する請願(第一一  一四号)(第一一九九号)(第一二  ○〇号)(第一二六五号) ○税制改正に関する請願(第八八四  号) ○勤労所得税軽減等に関する請願(第  八九六号)(第一〇一九号) ○宮城県生出村に国立たばこ試験場設  置の請願(第九四九号) ○物品税軽減に関する請願(第一〇九  五号) ○貴石、半貴石類物品税免税点設定  等に関する請願(第二六〇号) ○酒税引下げに関する請願(第一一三  一号)(第一二六八号) ○C・P・O納入写真機等物品税免  除手続に関する請願(第一一七四  号) ○国民金融公庫に対する政府出資金増  額の陳情(第二二五号) ○ガソリン税軽減に関する陳情(第二  四二号) ○勤労所得税軽減に関する陳情(第二  七一号) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○税務職員超過勤務手当に関する件 ○中小漁業融資保証保険特別会計法案  (内閣送付) ○日本専売公社法の一部を改正する法  律案衆議院送付) ○日本国有鉄道に対する政府貸付金の  償還期限の延期に関する法律案(内  閣送付) ○国際連合の決議に基く民生事業のた  め必要な物品無償譲渡に関する法  律案内閣送付) ○造幣局特別会計法等の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) これより第十五回委員会を開会いたします。  先ず請願及び陳情に関する小委員長報告を聴取することにいたします。
  3. 伊藤保平

    伊藤保平君 請願及び陳情につきまして、小委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  昨日第二回の小委員会を開きまして、紹介議員より趣旨説明を受け、各委員意見及び政府の見解を十分に聴取いたしまして慎重に審議をいたしたのでありますが、その結果は次の通りであります。  請願第五百五十九号、第千二十四号は元海軍文官退職賞与中、連合軍最高司令官の指令により支払を停止された未払額を独立の今日支払を促進せられたいとの趣旨であり、請願第七百十三号は医療法人相続人相続税が新たに課せられることのないよう措置せられたいとの趣旨であり、請願第八百八十三号、第九百六十一号、第千百十四号、第千百十五号、第千百七十五号、第千百七十六号、第千百九十八号、第千百九十九号、第千二百号、第千二百六十五号、第千二百六十六号、第千二百六十七号の各件はいずれもガソリン税軽減せられたいとの趣旨であり、妥当と考えられます。請願第八百八十四号は中小企業に対する税制改正について種々の要望が述べられており、請願第八百九十六号、第千十九号は、所得月額一万五千円まで免税超過勤務手当社会保険料退職手当金免税措置を講ぜられたいとの趣旨であり、共にそのよう方向に適切な措置をするのが適当と考えられます。請願第九百四十九号は宮城主出村国立たばこ試験場を設置せられたいとの趣旨であり、請願第千九十五号は物品税全般について税率の軽減及び納税期限の延長を実施せられたいとの趣旨であり、妥当と考えられます。請願第千百六十号は物品税法中の貴石、半貴石類に適当な免税点を設置すると共に、室内装飾用品並びに身辺細貨類免税点を引上げられたいとの趣旨でありますが、免税点相当額引上げるのが妥当と考えられます。請願第千百三十一号、第千二百六十八号は酒税軽減せれたいとの趣旨でありますが、酒税についてはこの際相当額引下げることが適当と考えられます。請願第千百七十四号は、CPO納入写真機等物品税免税手続が煩雑なため、ドイツ製品の進出により非常な脅威を受けているから手続を簡素化せられたいとの趣旨であり、妥当と考えられます。よつて以上の二十四件はいずれも採択すべきものと決定いたしました。  陳情第二百二十五号は国民金融公庫に対する政府出資金を大巾に増資せられたいとの趣旨であり、陳情第二百四十二号はガソリン税軽減せられたいとの趣旨であり、陳情第二百七十一号は基礎控除十一万円、勤労控除三〇%、退職金基礎控除三十万円とし、残額の十分の二を課税対象とせられたいとの趣旨であり、そのよう方向に適切な措置を講ずるのが適当と考えられます。よつて以上三件はいずれも採択すべきものと決定いたした次第でおります。  なお今回の審議に当りまして出席委員の総意といたしまして、物品税については毎回多数の請願及び陳情があつて極めて問題が多いと考えられるので大蔵委員会といたしましては、適当の機会大蔵省当局及び業者その他関係者を招いてその意見を聞き、十分検討を加えるべきであるとの意見がありましたことを付加えて申上げておきます。以上御報告申上げます。
  4. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 只今報告のありました請願及び陳情につきましては小委員長報告通り決定することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。よつて小委員長報告通り決定いたしました。   —————————————
  6. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件を議題といたします。  本件につきましては去る十六日大蔵労働連合委員会におきましてすでに提案理由説明を聴取しておりますので、本日は提案理由説明を省略し、直ちに質疑に入ることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  次に本件につきましては、只今今井仲裁委員長及び平林専売委員長が出席されておりますが、いずれも参考人としてその発言を許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより質疑に入ります。
  9. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 政府側からどなたが見えておりますか。
  10. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 政府側からは今泉日本専売公社監理官が見えております。なお公社側からは勝田総裁及び小川総務部長……。
  11. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今泉監理官にお伺いしますが、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件というのは、第十六条の二項は、「国会に付議して、その承認を求めなければならない。」こういうふうな表現なつておるのでありますが、政府としては承認をして下さいと、こう言つて出して来たものですか、どうですか。この点をちよつとお伺いしたいと思います。
  12. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 法文建前承認という文字だけになつておりますが、承認不承認いずれか国会の御意思を表明して頂きたい、こういう意味であります。
  13. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この法文には、これを承認を求めなければならないと書いてあるので、不承認を求めなければならないというよう字句はないのでありまして、どつちでもいい……、これは承認をあなたのほうが求めようとして来た場合に、国会不承認になるのは、これは止むを得ない。ところが承認を求めなければならない。憲法の第七十三条にでも、或いはその他のどの法律でも、承認を求めるというときには必ずこれは承認して下さいと言つて出すと書いてある。それを不承認にして下さいと、例えば条約を結んでおいて、国会不承認して下さいと言つて出すというようなことはできない。これは協定を結んだ場合も同じですが、これは協定を結んでおいて、承認でも不承認でもあなたのほうの御随意にして下さいということはあり得ないと思うのですが、これは当然政府としては承認をして下さいと出しておることは了解して、その他のどの法律の条文を見ましても承認という字句はたくさん使われておりますけれども承認という字句のある以上は、どうしても承認をして下さいと言つて出して来るべきで、承認が要らんのなら出して来る必要はない、かように思うのですが、この点について一つあなたのほうでは統一した考えを持つているかどうかお伺いしたいと思います。
  14. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) いろいろ御意見はございますようでございまするが、政府といたしましては予算資金上現在認められている範囲内では不可能でありまするから、これを如何ように取扱計らいましようか、その文字の書き方がまあ承認を求めなくちやならんことになつておりますが、政府一存では決定いたしかねる。つまり予算上はこの前御説明申上げました通り、まあ九億何がしかの予算が足りないわけでありますから、これをどういうふうにいたしましようかということでこれをお伺い申上げるというのが筋であろうと考えます。初めから何かもう政府承認を求めるなら何か予算的な措置を講ずるというまできめてお伺いしなくちやならんはずでございまするが、    〔理事大矢半次郎君退席、理事伊   藤保平委員長席に着く〕 そこまで国会のあれを初めから何か拘束するようなつても如何かと、こういうふうに考えられますので、予算上こういつた事情になつておりますが、不可能な状況をどういうふうにいたしましようかというのをお伺い申上げる、こういうふうにまあ私ども考えております。
  15. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは国会伺つて、それから態度を決定しなければならないと、こういう表現なつておらないので、きまつた以上はこれはまあ承認を求めるように出して行くと、こういうふうに書いてあるのが法律建前だと思うのです。この協定なり裁定が下つた場合には、当然これは承認を求めるように努力するのが当然だと思う。それでは専売公社を監理されるあなたがたの立場としては、これは承認して欲しい、こういうつもりで出して来ておられるのですか。その点をはつきりしてもらいたい。
  16. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 私も公社監理官をやつておりますから、予算資金上できるものならば御承認して頂きたい、こういう感じは持つております。併し現在成立しておる予算、それから今度御審議を願つて頂いている補正予算にいたしましても、いずれも予算的に現在の計上されておる予算ではできませんから、まあ国会の御意思伺つた上であと政府としては善処いたしたい、こういう趣旨でございます。
  17. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、あなたのほうでははつきり申しまして承認してもらいたい、ところが予算がないので止むを得んからして承認なり、不承認なり先ず先にきめてくれ、で承認するという議決になつた予算のほうの処置はすると、こういうことでございますか。
  18. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 片方においては予算委員会のほうに補正予算として今国会議決、協賛を願うようにお願いしてあるわけでございまするから、やはりこちらの委員会の御意思とそれから予算委員会の御意思と私は結論においては同一になるべき筋合いのものであろうと考えるわけでございます。従つてこちらのほうが承認すると、こういうことになれば同時にやはり、本院の意思といたしまして二つあるわけじやございませんので、そういつた趣旨であれば、予算委員会のほうでそれに伴う予算的な議決もして頂くということになるのじやなかろうかと考えるのであります。
  19. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは私はもう一つお伺いしたいのは承認をするということが両院で仮に議決されるとするならば、それに伴うところの今予算委員会へ出ている補正予算範囲内ではできない、枠内ではできないとするならば更に第二次補正予算というものを出さなければならん、こういうふうにあなたは考えているのですか。
  20. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) きよう心得ております。
  21. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に仲裁委員長今井さんにお尋ねしたいと思うのですが、この承認を求めるという字句ですが、この前の労働委員会でも何回もこれを論議したのですが、それぞれ委員の間にもまだ統一した意見がないのですが、十六条の二項は私らの解釈としてはどうしても承認してもらいたい、こういうふうになつたけれども予算がないが諸般の情勢からこれは協定を結んだものであり、且つは裁定が下つたものであるから実施したいから承認をして下さいといつて国会に出して来るという建前の下にこの法律はできているのだ、こういうふうに解釈しているのでありますが、あなたは、仲裁委員長如何にお考えでございますか。その点一つ、十分にこの点については仲裁委員会としてもこの十六条の解釈問題は相当これはしつかりした一貫した解釈を持つてつて頂かんと、今後もいわゆる仲裁裁定を下されるたびに、或いは協定が締結されるたびにこの問題にぶつかるだろうと思うのですが、統一した仲裁委員会解釈というものはどういうふうになつているかお伺いいたしたいと思います。
  22. 今井一男

    参考人今井一男君) 御承知通り仲裁委員会は三人の委員から成つておりますので、而も委員のメンバーが御承知通り創立以来大分変りました。従いまして仲裁委員会として全部を通じまして全く文字通りただ一つ解釈というわけには参りかねておるのが実態でございますが、併し大体の方向は一致しておるというふうに申上げられると思います。先ずこれは立法論になりますが、我々が一番感じますことは、協定或いは仲裁そのもの国会に出す、そういうよう文字なつておること自体が実はおかしいと思うのです。若し仮に予算上の範囲内であるならば、率直に申して如何に高い賃金がきめられてもこれは国会政府も全然お口出しのできないケースになるわけであります。たまたま予算にひつかかつたような場合には国会の御審議となる、これはまあ予算上にひつかかる場合に国会の御審議になることは当然でありますが、併し仲裁々定なり協定なりというものを国会でもう一度この協定仲裁が妥当であるか、こういつた審議を願う形になることは、こういう制度を設けた趣旨からいたしましても、又この持つ法律的な意味からいたしましてもおかしいということはかねがね一同が申しておることでありますが、併しながら法文からいたしますと、どうしてもこれは仲裁々定そのもの或いは協定そのもの国会に出さなければならんような形にまあ読まざるを得ない。そこから非常にむずかしい法律論をしなければならんことになつて来る原因があろうかと思います。承認を求めるということは法律的な形式論をいたしますればその承認の中に不承認も入つておるというような議論もこれも一応できるだろうと思いますが、併しながら私どもは、特に私はつねづね政府というものはこの仲裁或いは協定という、特に公労法作つた精神からいたしまして、これの枠外に立つべきものが順序である。従いましてこれを単なるお取次的な役割に立つことが公労法精神に副うゆえんだろうと考えますので、そういつた意味をくつつけて解釈いたしますれば、そのままこれを国会に出して国会承認して下さい、こういう提出の仕方をなさることが順序である、かように存じます。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは重ねて今井さんにお伺いしたいと思うのですが、大分仲裁委員会が設置されましてから何回も仲裁々定をお下しになつたわけでありますが、お下しになる前には仲裁という字句そのもの或いは仲裁という制度というものの世界的な慣行というものについては相当資料をお集めになつて御検討なつておると思うのでありますが、大体世界の、アメリカイギリスで特にやつておると思うのでありますが、そこらで仲裁裁定が下つた場合には殆んどまあ日本ように国の財政に関係するものもあるだろうと思いますが、そういうものは外国では少いと思うのですが、仲裁裁定をやつて頂くということになつたら、必ずこれは労使双方労働者側にとつて不利な場合も又経営者側資本家側にとつて不利な場合においても双方我慢をして、これを必ず忠実に履行するというところに仲裁意義があるように思うのでありますが、この世界各国慣行というものについてお調べになつた例がありますか。それともこの点について御検討なつておるかどうか、一つお伺いしたいと思います。
  24. 今井一男

    参考人今井一男君) 御期待はなるほどの資料なり勉強なりは実は持ち合しておらないのでありますけれども、まあ私どもの聞いている範囲内ではそれほど仲裁という例は余り多くはないように思いますが、それにいたしましても例えば濠洲、ニユージーランド、或いはアメリカイギリス等におきましても、殆んどこのでき上つたものが実際上無視されるようなことは例がないようなふうに伺つておるのであります。ただイギリスあたりでやつております例の公務員に関するホイツトレー・カウンシルのような調停的な、団体交渉的な機関であつても、それがそつくりまとまればそのまま政府予算に組まれまして殆んど問題を起したことがない。我々といたしましても、この仲裁ように押付けるような形というのは決して労働問題の性質上うまい恰好じやございませんので、でき得ればその前の段階でそれがうまくまとまるような形になつて行くことが、そのためには勿論労使も、又その立場に立つ人間もいろいろ勉強なり考える必要もありましようが、とにかくそういう慣行に持つて行かないと、今回の電産炭労等争議考えましても、将来の労働運動のためにも面白くないのではないか、さよう感じは持つております。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私も今後の日本労働運動の行き方をずつと考えてみましても、今回の炭労争議よう双方どうしてもなかなか譲り得ないというような場合には、今後今の仲裁委員会ようなものが、而も相当権威ずけられて、そうして最後はそれではもうどうしてもこれだけストライキをやつて双方なかなか譲り得ないし、解決しき、止むを得ないから仲裁委員会にかけて、白と出ようが黒と出ようがその判定に任せて一応それに従うことにしてその局面を打開することにしようというふうに最後になつたら行くというのが、一番私は先ず問題解決の、将来は別といたしまして、当面そういう考え方といいますか、慣行をだんだんに樹立して行かん限りにおいては、最後まで力でぶつかり合うというようなことでは、これは力の強いものは勝つといえばそれまででもありますが、それではちよつと今の日本経済力段階において一は困難な場合が多いと思うのでありますが、その意味において法律で設けられたこの仲裁委員会、而も初めの仲裁委員会裁定というものはいつもどうも、占領されておつた当時には一応これは占領軍日本財政に対するいろいろのサゼツシヨンといいますか容喙等があつたために実現不可能な場合もあつたので、これは一応今から考えて止むを得ないとしても、今後まあ独立いたしまして日本財政についてそう今までのよう駐留軍から容喙もないのでありますから、この際に仲裁裁定が出たら完全に履行されるようにという一つ慣行を打立てるべき今回の裁定については絶好の機会ではないか。これがやがては日本労働運動全体の一つ慣行をだんだんと打立てて行くことになるのではないか、こういうふうに私たちは考えるのでありまするけれども、この点について今井さんにもう一度一つお伺いいたしたいと思います。今まで扱つた経験に基いて一つ
  26. 今井一男

    参考人今井一男君) 特に専売裁定につきましてはこれで四回目でありますが、四回のうち一回は閣議決定限りで実施されまして、後の二回は国会提出されましたけれども政府が取下げまして実施されたのでありますが、今回はおつしやる通り独立後の第一号はまあ全部実現しないような空気にあることを伺つておるわけであります。只今御指摘の通り、今回のあの一歩誤れば殆んど回復すべからざる国民経済への影響を与えるような電産、炭労争議につきまして、若し中労委の中山氏の斡旋案等がまあ仮に、それは細かに申しましたならばいろいろの言い分があることは私どもも十分了解できますけれども、そういう理由をたてに若しけとばされるような形になりますと最終的に収拾のつかない場面が予想されまして、その意味では私も多少労働問題に関係しておるものの一人としてひそかに心配をしておつた次第でありますが、そういつた意味合におきましても、或る場合にはこれを尊重しよう、或る場合にはこれを尊重するなというような行き方をとりますと、あとあとに相当まずい影響が出て来ることは申上げるまでもなかろうと思うのであります。勿論私どもの過去の経験からいたしまして、こういつたものは如何に努力いたしまして、如何に公正、公平な立場をとりましても決して神様でない、而も僅かな時間に僅かなスタツフでやるのでありますからして、不行届きの点はいくらもあるかと思うのであります。私どもはその不行届きの点は決して否認はいたさないのであります。併しながらその言いたい理窟を或る程度引込めてそうしてそれをまとめて行く。そうしてその言いたい理窟は更にその次の段階における是正に待つ。労使間の問題は決して一回限りの勝負ではございませんで永久に続くものであります以上、そういつたことは長い期間には十分是正機会もございまするので、一旦そういつた段階になり、そういつた処置がとられたときには、極力あらゆる付けたい理窟を抑えて、これを尊重して行くような傾向がとられませんと、非常に困つた事態が起るだろうと思います。特に仲裁委員会立場から申しますれば、私どもが若干不満に思いますことは、社会的に仲裁と調停、或いは仲裁人事院勧告といつたようなものがどうもこんがらがつたような形で受取られるような向が多いように思うのであります。仲裁は申すまでもなく法律的に特殊な意義を持つておりますので、特殊な意義があるものは特殊な意義があるだけのお取扱を頂かないと、その影響する程度も将来一層大きいのじやなかろうか、かようなことも頭に浮んでおるのであります。
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に公社側の代表のかたにちよつとお伺いしたいと思うのですが、公社としてはこの裁定が下つたら監督官庁の大蔵省に対してこれに伴う財源の措置、即ち追加予算の要求を直ちにお出しになつたかどうか、それでいつどれだけの額をお出しになつて、それがどういう理由大蔵大臣からこれを却下され、削減されたか、この点を一つお伺いしたいと思います。申請書とそれからこれに対して向うのほうからどういう理由で断わられたかを。
  28. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) 仲裁々定が出されまして、専売公社といたしましては予算の枠がございませんから予算の増加をお願いしたのでありまするが、その財源といたしましてはピースの売行がかなり伸びておりまするので、年度末までには約二億本の増加を見越しましてこの金額七億三千六百万円、    〔理事伊藤保平君退席、委員長着席〕 それに予備費を一億三千万円流用を承認願うようにいたしまして、不足額の八億六千六百万円の予算の補正方を申請いたしました。それで大蔵省といたしましてはこれに対しまして、ピース二億本の売上増ということが不確定だということでお断りを受けた次第でございます。
  29. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうして二億本の売上増が不確定であるからという理由で削除をされて、それでは何本だけ売上増になつてどれだけ認められたのでございますか。
  30. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) それは全然不確定だということで……。
  31. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 一本も……売上増ということはまあ一応見込にしては不確定な財源であるから駄目だということでこの八億六千六百万円全部認められないことになつたのでございますか。
  32. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 大蔵省はこれに対しまして御承知よう仲裁々定の一項、つまり八月へ遡る点は国鉄並びに公務員との均衡があるからやはり駄目である。但しその他の裁定は認めようということになりました。なお裁定には書いてございませんが、裁定精神であるところの年末手当も含みまして結局四億九千八百万円というものは出してよろしいというふうに承認を得たわけでございます。これは財源といたしましてはもともと今回の補正予算に載つております一億七百万円の奨励手当とそれから予備金に十三億ありますうちの約三億を使つてよろしい、それから報奨金という項目で二千七百万円ばかり残つておりますので、それをかき集めろ、なお経費の節減等で六千五百万円浮かせる、そういうものをかき集めまして今申しました仲裁々定第一項を除いては実施してよろしい、而も世間並みの年末手当は今申しました財源で賄う、こういうことでお下げ渡しがありまして、私らは団体交渉もそのラインで進めまして、先々月円満に団体交渉だけはまとまつた次第でございます。
  33. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 仲裁々定が下つてからもう一遍又団体交渉をやる、それでそれがまとまつたというのはどうもおかしいので、又逆戻りして団体交渉、決裂、それから調停、仲裁々定が下つてからもう一遍団体交渉というのは、これはもうそれこそ今、今井さんも証言されたように成つておらんと私は思うのでありますが、裁定が下つたら両方とも黙つて見ておつてそのまますつと通つて行くというような、国会で国の最高機関が財政上或いは日本の経済全体から考えて駄目だということで削除された場合には、これは両方とも了承しなければならんと思いますが、そうでないとまだ国会のほうではこれを審議しているときに、而も団体交渉では一応妥結をしたというようなことになりますると、一体もう今後仲裁々定というものは一つの何と言いますかサゼツシヨン的なものになつてしまう、何ら法的な拘束力も持たないし、今国会議決を求めて来ておる最中にこれはもう妥結をしてしまつたのだというようなことはもうおかしいと思う。あなたがたは良心的に今後そういうふうな行き方を、団体交渉、調停、仲裁、もう一遍団体交渉、そういうふうにして今後問題を解決して行くつもりで公社側としてもおられるか、この点については組合側からも一遍御意見をお伺いしたいと思いますが。
  34. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 勿論今回の形式は非常に公社側といたしましても不満でございまして、裁定そのままを実行したく、団体交渉なんか勿論不必要だと考えておつたのでございますが、非常にいろいろな状態になりまして交渉は遺憾としております。今後は仲裁裁定が下ればそのまま万事解決するというよう一つお運びを願いたいと、公社側は思つております。
  35. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 副総裁にお尋ねしたいのですが、今後今のように賃金が上る段階、今の状態はこう上つて行く裁定が下るのですが、これはそういつもいつも上つてつたら限界がないのでありまして、一人二十万円も果してもらうということにならんとも限らぬと思うので、いつかはずつと平行線をたどるかやがては少しずつ落着くに従つて貨幣価値も上るに従つては名目的な金額というものは下る段階が必ずあると思う。その下げるようなときに、これを一割下げるとか、諸般の物価も落着いて来る、それから日本の貨幣価値も上つて来るということになると、金額だけは下るよう段階がこれは必ずあると思う。いつもどんどん毎年々々このように一割、二割と上げて行つたんじやきりがないのでありますから、結局は恐らくあなたがたのほうから逆に一割下げてもらいたい或いは二割下げてもらいたい、一般的に物価もどんどん将来下つて行くという時代が必ずあると思う。而もあなたのほうから、仲裁委の経営者側から仲裁裁定を求めなければならん段階があると思うのですが、そういう際にはこれは裁定が下つたら組合員は恐らくそのまま呑んでくれというふうに今後行かなければならんときが来ると思う。そういうときに、今まで四回とも裁定が下つてもすべつた転んだで必ず実行されていない。初めて下るそういう段階になつたときに、そんなことは呑めん、そんな馬鹿なことはできないと言われたときに、どうするつもりであるかと思うのでありますが、その点について一遍御意見を伺いたいと思うのであります。
  36. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) これは将来の問題でありましてなかなかまだそういう場面にあつたこともありませんし、又いつあうやらもわかりませんが、そういう場合にもやはり私たちのほうとしましては長年つき合つておる組合の諸君でありまするから、まあ適当に処置をしたいと思つております。
  37. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとそういう場合でも今のような工合で裁定が下つたら、もう一遍団体交渉をやつて裁定が一割下げることが適当だと下つても、又一割八分くらいに値引することがあり得るというふうに考えておるのですか。
  38. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) まあそういうふうなことには行くまいと思います。裁定通りやることになると思います。
  39. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最後にそれなら副総裁にもう一遍お伺いしたいのでございますが、あなたのほうではピースの二億本の売行増を見込まれてこれだけの計画書を出したというのでありますが、これは不確定だといつて大蔵省から拒否されてその結果完全実施ができなくなつたとおつしやるのでございますが、副総裁の見通しとしては、この大蔵省として不確定だといつても二億本の売上げ増加を必ず確信を持つて実現できる、こういう確信の下にこれは申請されたのでございますか。この不確定だというのはこれは結果を見てみなければわからんのでありますが、その結果若し年度末に参りまして、この二億本ができたということになつた、売上増加が実現した場合におきましては、更に、不確定であつたけれどもこれは確定したというので何らかの処置を講ずることができるのでありますか、その点についてお伺いしたい。
  40. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) 二億本の増加につきましては公社としましてはまあ確信を持つて申請したわけなんでありまして、或いは二億本はもう少し増すかもわかりませんが、とにかく二億本だけは必ず売上は増加する、こう考えました次第でありまして、年度末に行きまして二億本増加して金がそれだけ殖えたと申しましても、これは資金が殖えたのであつて予鈴がありませんから何ともいたし方がないのでありまして、それはすべて専売益金として国庫に納まるわけでございます。
  41. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その際にはこの裁定の、仮にですね、今の議決を求める際に国会におきましてそれでは二億本の不確定だと大蔵省のほうで判定したのが実現できた場合には、或いは年度末においてこれを報奨金その他の増額によつてやることができるというよう議決をしておいた場合には、更に第二次補正等について大蔵省に対しまして言質をとつてやる、第二次の補正をしてもらうように。これは不確定だと向うは言うけれども、こちらは確定だといつて必ず意見が対立して、結局監督官庁の判定で押えられることになるわけでありますが、今監理官も来ておられますけれども、その不確定が確定した場合におきましては、何らか年度末において措置を講じ得るのでありますかどうか。更に予算の第二次補正というような恰好でやらなければならんと思いますが、監理官それはできるのでございますか、その点についてお伺いしたい。その両者間の話合はどうなつておるのか、いま一遍お伺いしたいと思います。
  42. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 公社側としては、相当確信を持つてあと年度末までに補正予算で見積を立てた以上に、二億本くらいは売れるだろうということで、新らしい財源がこれでできるから再補正をしてもらいたいという要求があつたのでございまするが、今副総裁からもお話のありました通り大蔵当局といたしましては補正予算を組んでまだ間もないことでもあるし、十一月の実績だけを見てあと十二月もまだ残つておりますし、一、二、三と残つておる状況において更に二億本売れるということの確実性を以てこの予算を組むということはやはり危険であるという立場から、そういつた見込で予算を増額するわけには参らんということで、お断りしてあるわけでございまするが、あと実績として本当に現われた際はどうだろうかという問題は、これは又不確定なことをまだ言えないというようなことは通り一遍の御答弁になるかと思いまするが、その点の約束は何ら現在のところいたしておりません。
  43. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 総務部長にお伺いしますが、じや団体交渉といいますか、仲裁々定の具体的実施についていろいろ打合せされたと思いますが、団体交渉といいますか、仲裁々定の実施のために折衝されたと思うのですが、その折衝段階におきまして最初に大蔵省に申請したピース二億本その他の財源の見通しが立つた場合には、更に完全実施のために何らかの考慮をするというような両者間の申合せができたのでございますか、できないのですか。
  44. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 残念ながらそういう協定はできませんでした。といいますのは、不確定要素でございますし、私ども組合から相当要求がありました。財源ができたときには何とかしろという申入がありましたが、何せ歳出を予算で抑え付けられておりますので、公の立場としてそういう契約はできないと拒否いたしました。
  45. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは最後に、もう仲裁々定の意義については今まで何回もこれはやつておりまして、どうしても専売公社側並びに専売監理官、まあ久米さんが監理官をやつておられましたときにどうも我々と意見が一致しないで、これ以上原則論は抜きにいたしまして今度は組合側の平林君にお伺いしたいと思うのですが、当経営者側がお立てになつたピース二億本の財源八億六千六百万円、これはまだほかにそればかりではなく光その他のものもあるだろうと思いますが、組合側として見た場合にほかから捻出する余地があつたというような点があるのじやないか。その他経費の節約それから従事員の努力によつてこれだけくらいは必ずできるという余裕がある点が、経理面をいろいろ検討した場合にあつたかどうか。その点について折衝の際には組合側としては構想も持つて臨んだだろうと思いますが、この点を最後にお伺いしたい。
  46. 平林剛

    参考人平林剛君) 経営者でありませんから細かいことはわかりませんけれども、私は今度の現段階において裁定を実施するに必要な金は裁定二項における二億四千万円にしか過ぎない、こういうふうに考えられます。現段階におきましては裁定第二項にありますように、八月から十月までの分について一時金として支払う。こういう分だけが裁定が不可能になつておりますから二億四千万円が現段階における金額であります。私はこれは大専売公社でもありますし、この程度の命がないなどということは常識的に考えられないことであります。専門的なことを申上げるまでもなく、二億四千万円程度の金が専売公社に余裕がない、こういうことは常識から見て考えられぬことであります。仮に専門的に我々が団体交渉によりましたところにおきましても、予備費がなお十億円ほど余つております。現在でもなお予備費が十億円ほどあります。公社側がこれは葉たばこの購入のために必要であると言つておりますが、不確定なものでありまして、不確定なものについてこれだけ用意されておるのでありますから、更に二億四千万円程度の予備費を法律を尊重するために、紛争を起さないために使うという意思さえあれば、或いは国家において、政府においてそういう意思さえあれば流用ができるものであると考えておるものであります。そのほかにおきましても先ほど公社側がピースを今後売りさばくという二億本のことにつきましても、現在におきましては二億本が必要ではないのであります。遥かにこれより少い数字で、二億本というのは八億何千万円を導き出すための今後の売行増の見込でありますが、二億四千万円の現段階におきましてはこれほどのものも必要ない、こういうことになります。私は若しも国会において、裁定法律建前通り尊重するという決定がありますならば、専売の従業員は、こぞつて国会のおきめになりました今後の専売益金確保のために力を合せるであろうと、こう港えるものであります。従つてそういうことから考えましても、私は裁定実施に必要な金はどこからでも出て来る、こう考えております。参議院における審議に大きな期待を持つているものであります。
  47. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最後にそれでは副総裁にお伺いしたいのは、労働組合というのは大体最後の対抗手段としては同盟罷業、怠業等を以て資本家に当るというのは、これはもう世界の常識でございまして、労働組合でストライキやサボタージユをやらんというのは、これは丁度鳴かぬカナリヤと同じだと思うのでありますが、それは而もこれを目的としてやるのじやなくして手段として最悪の場合にやるというのは、これはもう世界的な、労働組合の歴史が始つて以来のあり方なんだと思うのでありますが、その一番最後の手段を一応法律で以て禁止をする、その反対の給付として仲裁裁定が下つたときには、双方ともこれを履行する、こういうことで一応憲法上の基本権だというようなことを言つておりますけれども、一応むずかしいことは、抜きにいたしましても労働組合としての展後の対抗手段を法律によつて禁止するということは、一応理論的にもまあ成立つて来ると思うのであります。従いましてその裁定が実施されないことによりまして、全専売労働組合は今そういうことをやるとは思いませんし、やらないだろうと思うのでありますが、将来において長い二年三年の間にはいろいろ問題も、又最近においても起り得ることはやはり考えなければならんと思うのであります。絶対にやらんということはない、裁定が実施されるといたしましたら、そんなことはないだろうと思いますが、実施されないためによつて起る紛争があるだろうということを一応考えなければならんと思うのでありますが、そういう場合に十六条実施といいますか、裁定なり調停なりが実施されないためによつて生ずる、十七条違反の疑いを生ずるような事件に対しましては、相当理解ある態度で以て臨んで行く方針を持つているか、それとも十七条は表面通り解釈して臨んで行くつもりであるか、将来の総合対策のあり方として重大な問題だと思いますので、この点について監理官並びに総裁のはつきりした御答弁をお伺いいたしまして、そうして私の質問を打切りたいと思います。
  48. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) 勿論理解ある態度で対処したいと思つております。
  49. 中川以良

    委員長(中川以良君) 今泉監理官からも御答弁を願います。
  50. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 私も、公共企業体としてこういつた同盟罷業権が禁止されているというその半面、仲裁裁定を尊重して、公共企業体組合側もこれを最終的結論に従えという、この精神政府といたしましても是非尊重いたしまして、菊川委員の御意見通り、あらゆる検討をし努力をして守れるものは是非守つて、そういう慣行を作つて行きたいという点については全く私も同じ考えを持つております。遺憾ながら現在の国家財政の状況、これも又率直な私の意見ですが、単に専売だけが公共企業体でございませんで、そのほかに国鉄も電通関係もあり、そういつた関連全般を見ます際に、専売だけ資金的に仮に可能であつたにいたしましても、関連を持つて来る関係もございまして、そういつた面から国家財政全般から考えて、財政の面だけでこの裁定を完全に呑むことができない。大部分が御案内の通り、呑んでいるわけでございますが、八月、十月の遡及の問題だけが呑めないということは非常に残念でございまするが、財政が許すなら将来こういつた仲裁々定というものは政府としても全面的に呑んで、そうした立派な慣行を残して行きたい、こう考えている次第であります。
  51. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どうも今の監理官の御答弁によると、八月から十月までの間はこの公務員関係、それから国鉄の関係、これに非常に気がねをして、まあ聞くところによると、八円かそこらのたばこを三十円にも四十円にも売つて国の収入をうんと上げている。従つてこういうふうなことをやつている場合にはどうしても余裕が生じて来る。そういう点からやればやれんことはないのだが、これはまあ税金として納めているわけでございますけれども、公務員や国鉄なんかは、そういうふうな企業的な余裕はないので、それが実現できないためにどうも遠慮して、即ち政府のほうから大方針として十一月から実施、これだけは崩しちや駄目だというような方針を強く支持をしているというふうに受取れるわけでございますけれども、そういう政府の方針に従つてあなたは監理官として公社側に臨んでいるような印象を特に強くするのでありますが、言葉の片鱗からちよちよい出て来るわけでありますが、どうもそういう点が、あると思いまするけれども、八月からそれがえらくべースが、公務員のほうは一万円台にかかわらず、専売が二万円、三万円というようなときには問題になると思うが、八月から、十一月からというようなことにはそう大して私は他のよく似たような労働組合に悪影響を及ぼすようなこともないと思うのでありますが、この点について重ねて御答弁願いたいと思う。  更に十七条の問題ですね。総裁は或る程度理解ある態度で、双方理解し合つて臨んで行きたい、こういう御答弁でございます。これは私は重要な答弁だと思います。というのは、ほかにもこれについてもう十七条については、毫末も譲らない峻厳な態度で、それは勿論程度の問題でありまして、何があつてもいいというのではない。ただ理解ある態度を以て臨むということを言われたのでありまして、非常に含みがあつていい態度だと私は思うのでありますが、監理官はこの点はどうお考えになりますか、この二点を伺いたい。
  52. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 第一点のほうにつきましては、私もまあ監理官としてだけの意見なら或いはいろいろな意味での個人的な意見も入りまして、或いは多少変つた意見も出るかと思いますが、やはり政府委員として立つておりまする関係上、国家財政全般のことを考えた上でやはり専売公社のことも考えなければならんという立場からさつきのよう意見が出たわけでございまして、その点は御賢察願いたいと考えております。  第二項の御質問につきましては、私どもはこういつた公労法建前でストライキのほうを禁止している建前からいつて、どんな場合になつてもこういつた争議行為が起きないように、あらゆる点でこれはもう政府側としても努力を重ねて来たと、こう考えておりますので、起きた場合に理解ある態度ということじやなくて、起きないようにあらゆる点で政府側もあらゆる努力を重ねて来た、こういうふうに考えております。
  53. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると起きないようにするには、やはり裁定を呑むというふうにしなければならない。それが一番起きない方法だと思うのですが、あらゆる手を通じてというのは一体裁定を守ることによつて起さんということが一番すつきりしていると思うのですが、ほかにあらゆる方法とおつしやつたが、どういう方法をお考えなつていますか。
  54. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 将来の問題としては、いろいろなあれもございますが、現段階におきましては、八—十以外は全部呑むということで、衆議院のほうの附帯決議等においても御決議願つた点を忠実に履行して参りたい、こう考えております。
  55. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは衆議院のほうの決議は公務員と年末手当は先ず同じようにしたいと、こういうことだと思うが、第一項は十一月実施をし、それからベース改訂は十一月から実施、それから年末手当については公務員と同じような方法、大体それと均衡を失しないようにしよう、こういう決議のよう承知しているのでございますが、これにつきましては、公務員のほうでは今超過勤務手当の前払とか何とかいつて相当問題になつているわけでありまするけれども、これを専売公社のほうではどういう処置によつて、即ち率直に言つて一・二五には少くともなるよう処置をさすことにあなたはお考えなつているのですか、その点をお伺いしたい。
  56. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 実はこれを交渉いたしますときには、まだ超勤の前払問題ははつきりいたしませんので、世間並と申しますか、どうしても一ヵ月ということが、標準だつたので止むなく組合との話合いは一ヵ月で折れてもらいましたが、仮にそれ以上のものが公務員に出るようになつたときには、又改めて何か考え直してみなければならないじやないかと思つておる段階でございます。
  57. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 止むなく一ヵ月ということで折れて、あとは予算的な処置を講じなくても、その程度は超過勤務手当の操作或いはその他の諸手当の操作等において世間並なことはと言いますか、それはできる自信がございますか。
  58. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 御承知ように大分争議ではありませんが、超勤拒否などの問題がありまして、若干支払わるべき超勤が残つたりしておりますし、あと〇・二ぐらいなら何とか予算を直さないでも、そういうものをかき集めますれば世間並のことはできる財源はございます。
  59. 松永義雄

    ○松永義雄君 今超勤にはやはり超勤の予算というものがあるのですか。
  60. 小川潤一

    説明員小川潤一君) はい。
  61. 松永義雄

    ○松永義雄君 それから、このことはもう大勢のかたお聞きになつて同じようなことを繰返すようで甚だ恐縮なんですが、結局二億四千万円というほうは、ただ予算の面だけではいけない、他の面において見ても困るのだ、こういう理由からだけではこの裁定を認められない。こういうわけですか。
  62. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 御意見通り大体考えております。
  63. 松永義雄

    ○松永義雄君 そういたしますと、裁定に現われている理論というかケースが出た筋道は正しかつたと、こう御覧になつておりますか。
  64. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 裁定の結論につきましては、実施の時期以外は政府といたしましても妥当公平な結論だというふうに承知しております。
  65. 松永義雄

    ○松永義雄君 十一月以降はよろしいというのですか。
  66. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) そうです。
  67. 松永義雄

    ○松永義雄君 そうしますと、先ほど聞いておりまして我々素人でよくわからないのですが、予算が不確定である、二億本のピースが売れるかどうか不確定である、こういうお話ですが、予算というものは大体不確定なものじやないですか、すべて国家の予算でも何にしても不確定じやありませんか、一つの議論なんですが。更に社会良識というのですか、一つの税制を取りきめる場合、来年度から所得税の一部が改正される、そうすると、これがどういうふうに調整ができるか、その見通しについては客観的妥当性の観念に基いて、これがいいのだというので責任を以て当事者がそういう案を作成されるものじやないかと思うが、この二億本が売れるかどうかということは、あなたがた自信を以て過去の経験なり良識を以てやつておるわけで、これを不確定であるとおつしやるのはどうかと思います。その点御意見を。
  68. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 実はこの裁定の出る前に補正予算としてはきまりまして、大体のたばこの売行見通しというものは、これは見通しでございますが相当一ぱい一ぱい見通して組んだわけでございます。推測は推測でございますが確実と思われる推定を下しまして、一ぱい一ぱい組んでおるわけでございます。その後に裁定が出まして財源が要るということで、十一月寺の実績がその補正予算を組んだ推定の数字にくらべて若干上廻つておる、そういう状況であれば、公社側としてはこの上昇のラインを引いて行けば、先ほど見込が立つたピースの二億本くらい更に売れるのじやなかろうか。これは公社側立場でございますが、大蔵省側としては、まだ十一月の実績だけを見て、若干補正予算に組んだのから上廻ると言つて、それを十二月から三月までその線で必ず行くという見通しを立てるということは危険じやないか。こういうことで推測は推測でございますが、そこの確実な見込が公社側大蔵省側とでは意見を異にしている。  それから更に仮に二億本が売れたといたしましても、その売上金額を以てこれをすべて、すべてとは申しませんが、その大部分を給与に充てることは如何か。それには必要経費もありますし、そのほかこれは税相当分として専売益金として納付しなければならないものもありますので、仮にそういつた売上があつたとしても、その使い方については給与だけに使うという問題と、それ以外のものに充てるという財源の問題もございまして、第一段階としてはそういう推測の問題から確実、不確実の見解の相違がある。仮にそういう推定が立てられるにしても、使い途によつて大蔵省と公社側との意見が必ずしも一致しないという現段階にあるわけであります。従つて、現段階において将来売れるであろうということで、その大部分を給与関係にすぐ廻すということは如何であるかということで、今日更に再補正するということは、大蔵省としては考えていない、こういう段階でございます。
  69. 松永義雄

    ○松永義雄君 今の答弁ではどうも売れるような気がすると、その抜道を今説明されているような気がするのですが、どうも私は性が悪いせいかそういうような気がする。現段階において非常にデパートなんか売行がいい、購買力が案外ある、こういうことを言つておるのですが、そういう点について大蔵省としてはただ単に新聞記事ということでなくいろいろの経験から補正予算も立てられ、勤労所得税についても考えるというので、一応の目途がちやんと肚の中にあるのじやないかと思いますがその肚から見て二億本が売れるかどうかという目途は現段階としてついておると思いますが、どうでしようか。
  70. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) その点は補正予算を組む際に、当初予算に比べまして二百十七億の増ということで見込んでおります。その二百十七億からの専売益金の増といたしまして、これも今度の補正で専売益金の中に計上している、こういう状況でありまして、その点につきましては三月末にならなければわかりませんが、現段階においては補正で組んだ見通しのほうが確実じやないか、こういう見解を持つたわけであります。
  71. 松永義雄

    ○松永義雄君 それであなたのおつしやるのは、補正予算を組んだ時期、片方のほうじやそれだけの売行はある、あなたのほうは或いはないかも知れないというが、今はどうなんです。
  72. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 十一月の実績は補正に組んだのと比べて芳干上廻つておりますから、そのカーヴそのまま持つて行けば公社側の言う通りになるかも知れませんが、大蔵省側としてはそのカーヴが必ずしも十一月、十二月、一月、二月、三月に向つてつて行くかということについては非常に消極的な考えを持つております。
  73. 松永義雄

    ○松永義雄君 別なことを伺いますが、予備費をこういう方面に使つても違法にならないのですか。
  74. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 給与総額は予算総則できまつておりますから、いわゆる給与には予備金のほうから廻しません。併しながら報奨金その他に若し予備金の余裕があつて廻す分には、その点は法制上許されております。
  75. 松永義雄

    ○松永義雄君 くどいようですけれども、超勤手当の手配がすでにしてあるというのですが、仮に臨時に特別な需要が起きて、超勤を要した場合、当初予算にはそういう事実は見ておらないといつたようなことで超勤が起きた場合に、予算にはないのだけれども予備費から廻わすというようなことはできるのですか。
  76. 小川潤一

    説明員小川潤一君) ちよつと私から。公社予算には今度予算総則に弾力条項というのを書いて頂きまして、非常に売行が上つて増産をして行かなければならんときは超勤もふえる。併し今御質問のような超勤は一定額しか入つていない、そういうときには売上の増収が起きるときに、それに直接必要とする経費だけは給与総額の枠があつても予備費から廻してよいといういわゆる弾力条項が上つておりますので、それによつて増産の場合はできます。ただ増産もしないで超勤をふやすということは禁じられております。
  77. 松永義雄

    ○松永義雄君 とにかく大蔵委員会で調査、視察する場合に、労組の人たちがおれたちはこんなに一生懸命に働いてこんなに儲けているにかかわらず、我々の待遇の悪いのは何事だと、丁度あなたがたに申上げるように、我々もそういう説明を受けているということを一つ御記憶を願いたい。
  78. 中川以良

    委員長(中川以良君) それではちよつとお諮り申上げます。午前中の質疑はこれで打切りまして休憩に入りまして、午後引続き又御質疑願いたいと思いますが、それで御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 中川以良

    委員長(中川以良君) それではさようなことに取計らいます。  そこで先ほど菊川委員から御質問のございました、国税庁の超過勤務手当の問題に関しまして、国税庁の会計課長が見えておられますので、御答弁をお願いいたします。
  80. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 会計課長の羽柴さんにちよつとお伺いしたいのですが、今問題になつておりますのは、衆議院の予算委員会におきまして、公務員の年末手当の支給に関連いたしまして、超過勤務手当の繰上支給によつて操作をするというようなことを盛んに新聞でも書いているわけですが、大体私は超過勤務の繰上支給などということは、私らも勤務しておつた関係上、旅費の前払というようなことはあり得ないので、一体どういうことをやろうとしておるのかはつきりわからないのでありますが、これは事務上から行きましても、超過勤務の繰上支給などということは私は絶対にあり得ない。給料の繰上支給ならこれはありましようが、超過勤務の繰上支給など、これは月々きまつて行くと思うのでありますが、非常に超過勤務問題がやかましくなつているので、特にお伺いしたいのは、徴税関係の事務におきまし三最近たびたびまあ臨時特例というので、所得税にいたしましても、税率も変れば基礎控除勤労控除等もその都度変つて行く、年末調整で。当面二十七年の所得税の臨時特例に関する法案が両院を通過して、今日成立することになるのでありますが、従つて今日これを又徴税当局におきましてその調整なり、整理をするには非常に繁忙を極めると思うのです。それは、税法というのは大体簡単で処理し易くて、又皆に理解されるのが一番いいと思うのでありますが、それでは公平を失するということからだんだん複雑になりまして、なかなかその途に携わつておる者でも、これを理解するまでには非常に骨が折れるのじやないかと思うのですね。僕も法案と取組む場合にも非常に夜遅くまでいろいろ関係法を引張り出して調べてみましても、なかなか頭に入りにくい。ましてこれは有能な税務官吏でございましたら、我々のようなことはない。もつと早く入ると思いますが、それでも私は間違いであるとか、いろいろの陳情とかを受けなきやならん、或いは是正をしなきやならんというようないろいろ問題が起きまして、非常に事務も、繁忙を極めると思います。で過般の定員法の改正の際におきましても、国税庁の減員につきましては私たちもそういう点を心配しまして、実は大蔵委員会としましては、国税庁の関係の人員削減につきましては、当委員会の満場一致の決議で内閣委員会に対して重大な申入をしたこともあります。然る後に或る程度の人員削減も行われたわけでありますが、その際に国税庁長官が事務に支障は絶対に来さないからというお話がございましたが、最近私のところへ来る陳情、或いは我々がときどき外へ参りました際に、自分の関係している委員会の関係上、税務関係或いは財務関係を訪問いたしまして実情を聞くわけでありますが、その際にやかましく徴税関係の諸君から言われるのは、超過勤務手当につきまして予算がないという理由で以て、相当正規の勤務時間中は外来客であるとか電話等で細かい仕事はできないので、四時五時の退庁後に細かい仕事をどうしてもやることになる、やらないと予定の仕事は捗らんのでやむを得ず超過勤務をやる。ところが超過勤務をやつた予算がないという理由で以て超過勤務手当が支給されない。而ももう超過勤務手当というものは、    〔委員長退席、理事大矢半次郎君  委員長席に着く〕 今も私の申上げました繰上支給そのものがおかしいと思うのですが、ところが税務署あたりへ参りますると、頭割に超過勤務手当というものを頭で割つてしまつて一人当り幾ら、これだけで以て一月の超過勤務は賄え、あとはそれ以上やつてもこれは超過勤務は出ない、こういう処置を講じているというようなことを聞いているわけですが、この点について会計課長として一つ御答弁願いたいのは、超過勤務を実際にやつた場合には正しく支払われておるか。それともそういう実情があるのではないか、税務署長のほうからも申請があるのではないか。或いは職員のほうからそういう陳情と申しますか、あなたに対する請願等があるのじやないかと私は思うのですが、この実情を一遍お伺いしたいと思います。
  81. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) 御答弁申上げます。現在の超過勤務手当につきまして非常に足らんというお説でありますが、これは組合を通じまして特に最近いろいろ聞いておるような状況でございますが、国税庁といたしましては一応超過勤務命令を出しました分につきましては全部支払はいたしておるのでありますが、命令した分以外にまあ自発的に協力するというような形で若干の不足分があるわけであるというようなことになつているのじやないかと思います。特に現在も今お話のように年末になりましていろいろ繁忙を極めますので、特にこの十二月につきましてはそういつたような不足分が出て来ておるというふうに私は考えます。で、これにつきましては、補正予算措置を待ちまして今度四千五百万というものを一応確保いたしまして、それによつて支給するのでありますが、まだこれだけでは十分じやない、こういうことで、更に四半期までの要するに今年度の全部の超過勤務手当というものの若干繰上をいたしまして、そうしてそれによつてその不足分を補つて行く、要するに大体中心は補正予算で補つて行くわけでありまするが、補正予算も私どもの要求しただけのものは全部が全部通つてはおりませんので、それに対する補いといたしまして、不足分を若干繰上げた形でやつて行きたい。そういうことにしまして、とにかく十二月までの線につきましての超過勤務手当については一応のものを確保して行く、こういうような方針で進んでおるのであります。それに伴つて当然四半期においては超勤が食われておりまするのでやがて不足して来ると思いますが、これにつきましては流用一その他の措置によりまして何とか確保してか行きたい、こういうふうに思つておるわけでございます。まあこの超勤の問題につきましては特に今月の下半期になりまして組合からもいろいろ聞いております。実情は尤もよくわかるのでありまして、できるだけ予算的な措置を確保して行くということが狙いでありますが、まあ来年度につきましても更に本年度以上の超勤の要求をいたしまして、今持込んだような次第でありますが、大体実情につきましては今申し上げましたような次第でございます。
  82. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 無論この超過勤務をさせる場合には、所属長と申しますか各機関の長が、やはり人事院規則の定めるところに従つて、超過勤務命令簿ですか、出張命令簿と同じようなもので命令をして、それから超過勤務をさせる、その命令簿によつて超過勤務手当支払う、こういう処置を講じておられることだと思うのでありますが、各税務署はそういう措置を講じて超過勤務をさしておるのでございますか、その点お伺いしたいと思います。
  83. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) 私のほうからは超過勤務命令簿というものを各局、各税務署に備えまして、それによつて命令をした分について支払う、こういうことにはつきり言渡しておるわけでありまして、全部が全部の税務署について全部それが徹底しておるというふうには、まあ私のほうからは考えておりますけれども或いは若干それに従つておらんという点があるかも知れませんけれども、私のほうではそういうように通達をしております。
  84. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私らの行なつて調査したり或いは陳情を受けたところによりますと、それではとても税務署長は職員の要求に応じ切れない。ところが仕事はある、止むを得んで協議してといいますか相談をして、先ず一人頭に割当ててしまつてこれだけでそれに合うように命令簿をこしらえてやろう、あとは仕事を一つうまくやるようにしてもらいたいといつてやらしている税務署は数が多いのでありますが、この点は御調査になつたことがありますか、そういう超過勤務の今やり方をしている。
  85. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) これにつきまして全般につきまして全部の税務署を廻るということはとてもできませんけれども、いろいろ私のほうで手を廻しまして調べておるわけでありますが、若しそういうような署がございましたら一ついろいろお聞かせを願いたい、こういうふうに思つております。
  86. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それからもう一つは、いろいろの五、三〇日だとかとにかく共産党の記念日にはどうも税務署は危いから守れということで超過勤務をして守つておる。ところが守つた場合に若しも不測の事態が発生した場合にはこれは負傷することになるわけだからして、はつきりと超過勤務の命令簿で超過勤務をさしておつた場合には公務上の負傷として認められるけれども、ただ居残つてぶらぶらと遊んでおつたかもわからないということになると、将来災害補償の問題に非常に問題を残すことになるので、皆署員が心配して超過勤務命令簿に是非してもらいたいというが、それさえもできないという事実があつたように聞いておるのでありますが、その点について今まであなたのほうへそういう報告があつたかどうか、要求があつたかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  87. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) 特に記念日につきましての超過勤務につきましては、私どもは正式な何らの報告は受けておりません。ただまあ多少最近は緩和されて参つたのでありますが、昔のような事態でありますればできるだけそういう日には超勤をはつきりつける、特別の日でございますので超勤をつけて守らせるということもあつたと思いますけれども、最近はそういうような例は私はない、こういうふうに思つております。何ら報告は受けておりません。
  88. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 具体的にいいますと、そうすると今の超過勤務の予算内におきましては、実情にそつた実績通り超過勤務手当支払えないというのは実情だとお認めになるのか。あなたは実情通りにと申しますか、実績にそつた超過勤務を払い得るだけの手配はしておると、こう見ているのか。それともこれでは実際に超過勤務をした分に対する超過勤務手当支払うことが不可能であるから、半ば自分の担当している業務を遅滞さしては国家にも迷惑かけるし、又納税者にも迷惑をかけるから、止むを得ず良心的に税務第一線に働いている職員が超過勤務手当のつかない超過勤務を相当していることであるということは、あなたもお認めになつておるかどうか、この点をはつきりお伺いしたい。
  89. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) これについては二つ問題がございまして、一つ超過勤務手当自体の増額の問題であります。それから第二は超過勤務自体の問題でありますが、先ず手当の増額の問題につきましては、超過勤務命令を出しておる場合につきましては、全部命令を出した分についてはもらつておるわけであります。形式的ではございますが。ただ命令を出していない分について自発的協力というような形、何と申しますか、そういうもやもやとした実際の超勤があるかも知れない。こういうことは私は恐らくあるのじやないかと思いますが、これははつきりと全部調べたわけじやございませんからわかりません。そういうものについて例えば特に問題になりますのは十二月が一番多いと思います。特にそういう分につきましては主計局のほうへ話しまして補正予算その他繰上げ支給というようないいろな形をとりましてできるだけ補つて行く、これが第一の問題であります。これは完全に一〇〇%補えるかどうかということにつきましての見通しは、これはわかりませんが、まあ国税庁といたしましてはできるだけの努力をして、そういう超勤命令を出していない分について補う、こういうことも考えて今やつておるわけであります。ところがその問題だけではこれはかたがつかんのでありまして、  もう一つは超勤自体の問題といたしまして、これはかねがね長官が申しておられるのでありますが、できるだけ超過勤務自体を少くして行く。というのはこれは超過勤務手当が御承知通り非常に予算が縛られておりますので、むしろ超過勤務自体を少くして行く方向に進むべきじやないか、こういう努力ですが、これは勿論理想でございまして、現実問題としてはどうしても残らなければならん問題があるわけであります。併しできるならば朝ぴたつと八時半から夜五時まで働く。完全に働けば必ずしも整理が遅れるというわけでもないのじやないかとも思われる節があるのです。というのは朝いろいろ役所によつては非常に遅い所がありまして、九時半に来たり或いは十時過ぎに来たりする。ところが税務署関係は八時半に出て来て超勤のよう意味で実際仕事をする。そういうようなことでみつちり作業時間中にやつてできるだけ実際の超過勤務を減らして行く、こういうふうにしてできるだけ職員の健康を守つて行きたい、こういうことが理想でありますが、これはなかなか言うは易くして行うはかたいのでありますが、その努力と、もう一つ超過勤務手当自体を多く確保して行く。この二つを今並行して行く、矛盾するような話でありますけれどもなつておるのが現在の実情でございます。
  90. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最近私らの調べたところによりますと、先ず国税長官も認めておられるそうでありますが、大体一人当り九十時間くらいの未払があるというようなことを盛んに言つておるのですが、会計課長この点お認めになりますか、それともこれはどういうふうに……。今度の年末の超過勤務の繰上支給との場合、未だ九十時間も未払があつて、これから繰上支給をやつたらその繰上支給のほうへすぐ響いて来ることだと思うのでありますが、繰上支給よりも九十時間の未払を整理するということが一番先決問題だと思うのですが、この点お伺いしたいと思います。
  91. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) 九十時間の未払ということについてはいろいろ話は未払があるとかないとか聞いておりますが、はつきり全国的に平均しまして九十時間というような数字は全然ございません。ただ飽くまで未払という分は超過勤務命令を出さない分の問題でございまして、実質的にそういうような数字をとつておるところもあるかも知れませんけれども、やはりこれは命令の範囲外だ、こういうふうに御了解を願いたいのです。未払が恐らく実質問題としてはそうぴしやつと命令通りに行つておるか、実情は若干違うかも知れません。その違う差額につきまして現在いろいろな努力をしてできるだけ十二月中に措置をしたい、こういうふうに思つておるわけでありますが、必ず九十時間という問題が事実かどうかということは確認できないと思います。
  92. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私が先ほども申上げましたように、今はもう実際実情にそつたような超過勤務の命令簿を書いてそれから超勤をやるというようなことではとても仕事はやれないので、止むを得ず殆んど残つて、こういうのは特に税務署では窓口なんかにおる人は昼は窓口における納税者との応待が非常に忙しい、そのときには細かい大事な仕事はできんと思う。だからしてそれらの折衝を勤務時間中にやつておいて、玄関が閉つてからそれらを詳しく整理をしたり或いは検算をしたりする必要はどうしても生ずる。又事務の性質上そういう面が私は第一線の税務署には多いと思います。我々まあ多少勤務の経験をもつている者からいたしますと、我々のときにはそういう超勤というものがないものですから、ただ居残弁当だけもらつてつたものですが、税務署なんかでは昼のうちはお客の相手になる面が多い。特に実に税法というか税制が猫の眼のように毎年々々変つているわけで、所得税にいたしましてもそうすると方々から問合せも来るだろうし、或いは苦情も申込まれるだろう、それを一々納得の行くよう説明している。それから自分の担当事務は担当事務としてある。それから変れば変つたで自分の手許に持つているところの法規類書も直さなければならんということになりますと、非常に税務署仕事の性質上やむを得ないことじやないか、超勤のふえることは。そうするとこれも私は完全な公平な徴税ができることを念願する故にあなたがたにお尋ねするので、決して悪意のお尋ねじやないわけであります。  そこで重ねて最後にお伺いしたいのは、今までの未払になつている分等についてもでき得る限りこの補正予算で以て一つ処置をし、又今言われているところの年末手当に繰上支給をいうのはどういう措置をするのか知りませんけれども、官吏というのは非常に上手に理窟をつけられるからうまく理窟をつけて法律に合わせるような処理をされると思いますから、その際には少くとも今までそういう不利益な取扱といいますか非常に無理な超勤をしておつた連中については、温い気持で以て措置をするだけの折衝をあなたは会計課長として或いは長官に陳情し、直接主計局当局に折衝をしておられるかどうか、この点。それからそういう善処をやられる心構えであるか、この点を最後にお伺いしたい。
  93. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) 特にこの超勤の問題につきましては只今も私長官とお話をして参つたような次第でありまして、又主計局とはこの超勤の問題だけにつきまして私は二週間ばかりこの問題で陳情を繰返しております。これは組合の意向でもありますし、又当然長官としてはなすべきことである、こう思いましてできるだけの措置をやつているわけです。それで年末には今までの補いをするというふうな形で努力を続けて参つたのでありまして、大体繰上支給はできるという見通しは得ております。ただ繰上支給というのは要するに十二月に超過勤務を実際したと、従つて今までの超過勤務だけでは足らない、だからどうしても四・四半期の超過勤務を繰上げてもらわんと足らない、こういうようなわけで繰上支給を頼んでおるようなわけでありまして、できるだけ実情に即した超過勤務の支払をやつて行きたいと思います。ただここで問題になるのは補正予算にしても来年度の予算にいたしましても、私のほうの要求通り結論としては通つてはいない。非常に査定されて参つておる、私どもの要求は決してやまをかけておるものではない、きちんといろいろ実情に応じた要求をいたしておるのでありますが、結果においては非常に少い超過勤務しか与えられておらない。これは最も根本的な問題でございまして補正予算につきましては終つたのでありますが、更に次の補正なり或いは来年度の超過勤務につきましてはできるだけ我々の要求通り一つ国会においてもお認めを願いたい。かように私どもお願いをいたしまして私の答弁といたします。
  94. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私のほうは、今後職務の性質上徴税については間違いがあつた場合には納税者に非常な迷惑をかけるし、多くとつた場合は納税者に不利益を与えるし、又少くとつた場合には国家に不利益を与えるということになるので、これはそういう間違いのないようにしなければならないということと、それから納税者に対する接し方については、私も税金の際にやかましく当局に質問もしたのでありますが、忙しいだろうけれども親切に接してもらいたい、金をとる際にけんけんとつつけんどんな扱いを受けるということになると、納税者は非常に面白くなくなつて来て、徴税の能率を挙げる上におきましても非常にむずかしいことだと思いますので、その際には今申上げましたようにでき得る限り勤務時間中来客があつたときにはゆつくり応対してそうして残つた仕事は超過勤務を行なつて処理する、こういうことも又やむを得ないと思います。仕事の性質上。従いまして超過勤務の手当、予算の増額について今後委員会としても何らかの議決なり、申合を行なつ予算委員会に対しても申入れをいたしたいと思いますが、当面しておる問題の今までの処置、今問題になつております年末における繰上支給等については、そういう実情が長い間繰返されて来た、国税庁の第一線に働いておる諸君の今まで無理をして来た点については、でき得る限りの処置を講ぜられるようにお願いいたしまして私の質問を切りたいと思います。
  95. 羽柴忠雄

    説明員(羽柴忠雄君) 国税庁も今いろいろ、特に第一線の税務署の方針といたしまして特に長官から税務署の民主化という問題については強く叫ばれまして納得のできる納税、納税者の立場に立つたところの納税ということを絶えず繰返して、そのため最近の税務署はそういう態度になつて来た、こういうふうに私は思うのであります。特に最近まで非常にやかましくこういうことを主張いたしまして、できるだけ納税者の身になつてやつてくれ、親切なる納税態度をとるように、納税の仕事をやるように、こういうふうにつとめて参つたのでありまして、非常に結果は良好と私は思つておりますが、それにつきまして先ほどお話のように超勤手当は、特に私のほうで要求する程度の手当は必要なのでございますので、議員さんにおかれましても更に特別に国税庁、税務関係に従事するものの超過勤務につきましては更に御努力をお願いいたしたい。私のほうでもその線にそいましてできるだけ財源を確保するように努力を続けて参りたい、かように思つております。
  96. 中川以良

    委員長(中川以良君) これにて休憩いたします。    午後零時五十七分休憩    —————・—————    午後二時五十二分開会
  97. 中川以良

    委員長(中川以良君) それでは休憩前に引続いて委員会を再開いたします。  中小漁業融資保証保険特別会計法案を議題に供します。これに対する御質疑をお願いいたします。
  98. 木内四郎

    ○木内四郎君 本法案の母胎をなす中小漁業融資保証法はこちらの委員会にかかつておらないのですけれども、その概略をちよつと説明してもらいたいのですが。
  99. 濱田正

    説明員(濱田正君) 概略につきましては要綱で差上げてあるのでありますが、大きな骨組を申上げますと、都道府県ごとに基金をこしらえて、これを本法では基金協会というふうな名前で呼んでおります。その基金は漁業権証券の出資がまあ大部分七割ぐらい漁業権証券の出資になろうと思います。それから都道府県の出資がまあ全体の三割ぐらい、それで全国的に見ますと約全体でまあ二十億というふうに考えております。これが各都道府県別にできまして、この基金協会がこの融資を保証する、農林中金なり又市中銀行なりが、中小漁業者又はそれらで以て組織している協同組合というような団体に対して融資するのをこの基金が保証する、そしてその保証したものについて政府が七割又は五割の保険をする、こういう構成によりまして、中小漁業者の設備改良資金とか漁業に着手するところの着業の資金というものを賄つて行きたい、かよう考えておるものであります。先ほど言いましたように二十億といいますのは全国的に集計したらそのくらいになるという見当でありまして、現実には各都道府県別にこの基金ができると、こういうことであります。
  100. 木内四郎

    ○木内四郎君 保険はどういう料率でやるのですか。
  101. 濱田正

    説明員(濱田正君) この保険につきましては、その前に基金は大部分が漁業権証券等による中小漁業者みずからの出資によるわけでありますが、更に公共団体にも出資をしてもらうことによつて、積極的に応援と責任の分担をしらもらいたいというつもりでありまして、この本法によりますとその保険率は政令で定めるということになつておりますが、それは七〇と五〇でありまして、公共団体が全体の出資額のうちの三分の一以上を占めるものについては七割の保険を政府がする、それからその他のものについては五割の保険、こういうことになつて極力公共団体の応援というものを期待しておる、こういうわけであります。
  102. 木内四郎

    ○木内四郎君 保険料率は保険金額の百分の三ということですね。これで十分にカバーできるというお見込ですか。
  103. 濱田正

    説明員(濱田正君) 大体これでカバーでき得るという計算になつております。
  104. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうするとこの会計の見通しの計算というものはないのですか。資料を出してあればいいのですが。
  105. 濱田正

    説明員(濱田正君) 大体この会計につきましては補正予算に計上してありますように、五億円が出資されて基金として一般会計から繰入れられておるのでありますが、これは初年度としてはそういう形で十分でありますが、だんだんとさつきも言いましたように二十億の基金をフルに活用するということになりますれば、更に逐次中小漁業信用保険と同じような形で基金を入れてもらうということにして、その基金の利息と各県の協会から払つて来る保険料とによりまして、保険料と特別会計が保険を払うと同時にその割合に応じて求償権を持つということになります。その求償権の回収と相手方の遅滞した場合の遅延損害金も若干考え更に求償権の償却も考えますと、大体三%でこの会計が成立つような計算になつております。
  106. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これと直接に関係していないのですが、東京湾その他の防潜網による中小漁業者の損害の補償の問題はどうでございますか。今度の国会に何か補償法を別に出さなきやならんということになつているのですが、何か農林省と大蔵省で意見が対立してまだきまらんというのですけれども、これはあなたに質問したらいいかどうか知りませんがおわかりになつたらその点伺いたいと思います。
  107. 濱田正

    説明員(濱田正君) 私それを担当しておりませんので、はつきりしたことは申上げられないのですが。
  108. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじや後刻でいいのですが、どなたかおわかりになるかたがそのいきさつを御説明願いたい。あなたからでも御連絡願いたいと思います。後でいいのです。
  109. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつとお尋ねしたいのですが、この中小漁業というのはどの範囲を指して中小漁業者というのですか、その点を一つ説明願いたい。
  110. 濱田正

    説明員(濱田正君) 水産におきましては漁業協同組合というのがありまして、この協同組合が大体中小漁業者で構成した団体ということになつておりましてそれを原則的に中核にしております。で少し範囲を広めまして、漁船の所有につきましては法人については千トン以下というところを大体目標にしております。それは融資保証法のほうの二条の関係で「漁業を営む個人」それから「漁業を営む漁業協同組合」それから「漁業生産組合」「漁業を営む法人」で三百人以下千トン以下のもの、この程度を中小漁業者ということに規定しております。
  111. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 中小漁業に融資をした場合にそれを保証保険をすると、こういうわけですか。この中小漁業に融資をするのは一体誰が主として融資をすることになるのですか。
  112. 濱田正

    説明員(濱田正君) 従来の金融の実績によりますれば、農林中央金庫による系統金融といいますかこれが大体半分、それから一般の市中銀行が大体半分くらいの融資の実績を示しておりました。従いましてこの保証によりましても大体農中と市中銀行が半々くらいの形を呈して来るのではないだろうかと考えております。これは農中なり市中銀行のプロパーの金で融資したい、これを保証する、こういう形になつております。
  113. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この漁業協同組合そのものが組合員に融資するというような場合もあり得ると思うのですが、それはどういうふうになつておりますか。
  114. 濱田正

    説明員(濱田正君) 農中の系統金融と申しますか、その点につきましては農中は直接個人に貸すということはありませんので、その系統につきましては単協が転貸をするといいますか融資をする、こういう形になるわけであります。
  115. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、農中なり市中銀行が、市中銀行でございましたら、これは個人に貸す場合もあり得るわけでございますね。その場合に損害を受け回収不能になる場合には、これで保険するわけでございますね。どういうときに……。
  116. 濱田正

    説明員(濱田正君) これは回収不能の保険というのではないのであります。漁業につきましては漁不漁がありまして約束通り払えない、結局は払うのだけれども約束通りは払えない。漁のないときは払えないしあるときは払えると、こういう形が大きな要素を占めておるのであります。それを市中銀行或いは農中にしますと、その点が金融機関からすればいやがつておるのであります。そこでこれは約束の期間に払えなかつたらこれが保証しておるのでありますからして代つて払うのだ、代つて払います。そうすると市中銀行或いは銀行と協同組合なら協同組合、或いは漁業者との間の関係はそれで切れるのであります。銀行との間は問題は基金と漁業者との間になるのであります、代つてつてつたのだから。そうすると代つてつてつた分について政府が七割の保険金を払うということになる、そうすると政府も払いつ放しじやない、債務を免除してやつたわけじやないのでありますからして、政府も求償権は持つのだ、つまり一〇○基金を代つてつてつた、そうすると暫くして政府から七〇だけ保険金が来る、そうするとその一〇〇について三は基金、それから七が政府というふうに、七三の割合で求償権を持つのだと、それは逐次かかつて来るのだと、こういう形になるわけであります。併しそれが最後にこげついたということになればやはり七三の割合でそれぞれ危険を負担すると、こういうことになるのです。そうするとそのこげつきのものを償却しなくちやならんという、償却する必要がある。或る程度求償権を持てば最後はこげつき得ると、それだけ償却してもらわなければならんわけであります。その償却も考えて先ず政府においては保険料を勘案し、基金については被保証人からとる保証料を計算する、こういう形になるわけであります。
  117. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この委員会に中小漁業融資保証法というやつはないものですから、どうもそいつの特別会計法だけはこちらへ廻つているのではつきりしないのですが、そうすると保証する場合には、今あなたの仰せによると、漁不漁等漁業にはいろいろのでこぼこがありますが、その場合に保証するのであつて、例えば中小漁業者が津波におそわれて船舶だとか、その他の設備をさらわれた、こういうようなことによつてそういう損害はどうなるのですか。
  118. 濱田正

    説明員(濱田正君) そういう災害につきましては、今までルース台風とか十勝沖災害とか今回成立しましたカムチヤツカ沖災害とか、そういう災害による国からの損失補償、それから利子補給そういう形での復興を策しておるわけであります。
  119. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういうことになりますると、どうしても一番困るのは国から補助等は、現有設備をとられたことを元の形に戻すということについて補助はあるわけでありまして、更に漁をするということについてはなかなか補助までないと思うのですが、どうですか。
  120. 濱田正

    説明員(濱田正君) その通りであります。現有の設備について災害が起つたものを融資を促進させて、若し金融機関に損失が起つた政府は従来は三割、今回の法律の場合は五割まで保証するということもあります。あと漁をする、魚をとるという、その何といいますか網を仕込む金、或いは油を仕込む金とか、こういうものはこの法律によつて融資を保証して、その金融機関からの融資を促進する、こういう建前から出て来るわけであります。
  121. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これによつてそれではどのくらい農中と市中銀行から融資を受けてそれを保証できるか、その融資額というものはどのくらいに上る見込ですか。
  122. 濱田正

    説明員(濱田正君) これは各都道府県別の基金の信用力によるわけでありますからして、正確には申上げるわけには行きませんが、大体私たちの見当として考えておりますのは、先ほど申上げましたように、固くふんで二十億の基金が構成されるだろうと、各県別に集計してみると、この基金の保証能力如何という点はやつたことがないのですからわかりませんが、従来のいわゆる中小漁業の延滞率というものから日銀の統計をひねり廻して計算しますと、延滞率が約二割になつております、二割につまり保証をすれば、理論的に言いますれば、保証をすれば延滞をする、延滞をしたら保証をした以上は、代弁済するということになつております。そうすると二割になつておりますれば、五倍までの融資の保証はできるという理窟になるわけであります。従つて百億までは融資の保証ができる、こういう理窟になるわけであります。その百億が二回転して二百億というふうな形になるわけであります。我々の計算としてはそういう二百億くらいで資金が賄えるという計算を一応したのであります。ところがそれは計算であります。そういうふうにうまくまだやつたことがないものに対して動くかどうか、統計だけで問題が残るのであります。そこで即ち何といいますか、段階としまして融資は大いに促進はさせたいが、そうかというて余り放漫な保証をすることによつては基金そのものがつぶれてしまうということになつても、これは制度として永続性がないということになりますので、初めのうちは今言いましたように統計の数字による理論数字にこだわることなく、漸進的に二倍なり三倍の辺から、逐次体験を積みながら拡大して行きたい、かよう考えておるわけであります。
  123. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つお尋ねしたいのですが、二十億とおつしやつたのですが、そのうちで主としてどこが一番中小企業金融の対象になるか、府県別に申しまして北海道とかそれとも千葉県あたりになるのですか、県別のものの見当を聞きたいのです。
  124. 濱田正

    説明員(濱田正君) 今の御質問は、大体大きなつまり出資額に亘る県と、こういう……。
  125. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういうわけです。どういう漁業のうちで例えばにしん、さけ、ます等の漁業者がこれを利用することになるか。私の見るところでは、にしん業とか、さけ、ますというところが多いのだと思うのですが、これを将来どこの漁業が利用するのか。単なる小さい漁業者は本当にこれを利用することは少いと思うのですが。
  126. 濱田正

    説明員(濱田正君) これは、この法律にありますように会員制度でありまして、出資した者が保証される対象になる、こういうことになるので会員によりけりということに一応言えるわけであります。  ところが次の問題は、然らばその出資の内容は大体何かといえば、先ほど言いましたように大体七割が民間の出資になる。その出資の内容は、漁業者は現在現金はなかなかないのです、で、丁度ありますというのは、漁業制度改革によりまして百八十一億の漁業権証券というものが沿岸漁業に対して交付された、つまりこの百八十一億の漁業権証券の出資というものが大体大部分だと、こういうふうに考えるのが妥当だと考えます。そこで漁業権証券をもらつた人というのは、ごく沿岸のいわゆる専業の漁業権、つまり漁業権の中で何といいますか、漁業をやつてつた人という大体そういうことであります。従つて、融資されるのは先ほど言いましたように、出資した人に保証されるということになりますから、そういうごく沿岸の人たちが保証を受けて融資を受ける。こういう形になるだろうと考えておる次第であります。  そこで先ほどの御質問のもう一つの点の大きな点は、いま北海道、まあ大体我々考えておるところでは、二十億のうち八億くらいの見当は占めそうな状況でありますが、あれは漁業権関係と言いますかにしんとかそういう形が多いので、そういうものが出るのではないか、かよう考えます。大きいのは北海道、それから三重県とか、鹿児島県とか、青森県、千葉県、こういうところが一億近くの基金になるのであります。かよう考えます。
  127. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 将来一般会計から繰入れるところの金はだんだんとこれは増加をして行くことに私はなつたほうがいいと思うのですが、それは融資もできるのでありますが、どのくらいまでは、あなたのほうで今のところ二回転して二百億という話でしたけれども、将来どのくらいが大体限度として考えておられるか、特別会計の設定については。
  128. 濱田正

    説明員(濱田正君) 今までの日銀の統計から推算しますと、そのくらいが限度じやなかろうかと考えております。ただこれは基金の運用によりまして、堅実に堅実にとうまく運用しておればその信用力は加算されるかもわかりませんが、今までの数字から言えば二百億が限度じやないかと考えられます。ただ併し、その基金そのものがもう少し殖えて来るならば、それに応じていわゆる融資の絶対額というものは殖えておると、こういう理窟なつて来るわけであります。今二十億とふんでおりますのは、現実の出資としてもう少し漁業権証券などが入つて来て、ヴオリウムが殖えて来るということになれば、融資の絶対額が殖える、こういうことになるわけであります。
  129. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 従来北海道のにしん業者あたりは、今頃東京へ出て参りまして、来年のにしんがとれたら金を返すからというので出資者を求めに参つておる。その代りみがきにしんにしたら、金が入つたら返すからというので金を借りて、帰つてからぼつぼつ網を仕込むことになつておつたのですが、そういうのが殆んど、殆んどというわけには参りませんけれども今度の保証法によつて農中とか、市中銀行から融資を受けずに、個人の旦那衆から金を借りたというふうな封建的なものは払拭される、こういうことになるわけですか、そういうのは。
  130. 濱田正

    説明員(濱田正君) 払拭されるというまでに勇敢に断言はいたしかねるのでありますが、我々の考え方の一つといたしましては、そういういわゆる問屋融資といいますかそれによつて不当に金利が高いとか、或いは魚を安く叩いて買われるとかいう点は、こういう近代的といいますか近代金融の線の上に逐次乗せて行きたい、かよう考えております。ただこれがにしんのそれについて全ヴオリウムを賄えるかどうかという点は、北海道の今の八億で賄えるかどうかという点と関連しますので、今それが賄い切れるかどうかは申上げにくいのでありますが、方向としましてはそういう問屋融資、不合理金融の打開という方向へ持つて行きたい、かよう考えておるわけであります。
  131. 中川以良

    委員長(中川以良君) 木村君に申上げます。水産庁長官が見えましたので先ほどの御質問を願います。
  132. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 防潜網ですね、このための漁業者の損害補償の問題ですが、今どの程度に起つておりますか。それから特に東京湾なんかについては御承知よう大蔵省と水産庁とは違うようですし、それから今法律によつて防潜網、いわゆる間接損害ですか、駐留軍による損害を補償するという規定はないようですが、その点法律を出されるようなことも聞いておりますが、その間のいきさつを一つこの際お伺いしておきたいと思います。
  133. 鹽見友之助

    政府委員(鹽見友之助君) この演習による補償の問題は実は水産庁のほうは所管ではございませんで、特別調達庁になつております。私のほうは漁民の立場からして受ける損害その他に対して十分補償してもらいたいという見地からその推計や何かのほうを手伝うというふうな形態でタツチしております。只今御質問のありました防潜網につきましては、これは行政協定の欠陥と申しますか、当然私たちから申せば漁民のために補償してやるべき筋のものがちよつと乗つかりにくい。こういう状態で前々国会のときこの六月でございます、からの問題になつておつたのです。これは私のほうから持出しまして法務府、大蔵省、外務省と協議をしてもらいまして、法律的には非常にむつかしい状態にあつたわけなんです。それでこれと類似なような防風或いは防砂施設というものがなくなつたために、農地のほうへ損害が起るというような問題等もございます。一つだけはできないというので、水産庁のほうではちよつとそういう点で水産庁が出案するということになり得なかつたのですけれども、なかなか進みませんので結局私のほうで案を何か作りまして何回か折衝しましたが、直接所管でないのでその点のあれに非常に骨を折りましたのですけれどもやつと大体話がつきまして、これは特別調達庁の所管として提案になります。本日の閣議で日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失補償に関する法律案という何で今日閣議決定を見まして、これが特調のほうから提案された、こういう形になつておるわけでございます。  それでこれの被害は一番大きいものは防潜網としましてはやはり東京湾でございますが、それと同時に佐世保のほうにも一部ございます。でそれの補償の方法、損失の査定等はなかなか技術的に申しますると因果関係というふうなものがしつかりつかめませんので、それをきちつと万人誰でもがこの計算しかないというふうな数字がなかなかつかみにくいわけでございます。私のほうからは長い間これを検討しましてそれで一案を作りまして大蔵省と折衝しておるわけです。大蔵省のほうでもそれを今検討中でございまするが、一部意見が合わないというふうなお話がありましたのは恐らくこの法案がなかなか出ないというふう関係からで、又時期的にいうとこの年末に是非やはり歳を越す金が漁民としてはほしいというふうな要望が非常に強いわけです。そういう点が折衝がはつきりと最後的に結着しておらないのですが、成るべく早く出したいと、法律のほうはまだこれから提案されるわけですから、それができないならばまあ見舞金という形ならば、これは正式な補償という形でなければ出せる、こういうふうな形で見舞金としてでも出そうというふうなので折衝しておるわけです。その見舞金はやはりこういう法律案が出るということになりますれば補償の額と相当な関係もございますが、私のほうはやはり歳を越す金としても漁民のほうとしてはできるだけ先にたくさんほしいだろうというふうな考え方からして、できるだけ補償に近いような金まで出してもらつたほうが漁民のためにもいいし、大蔵省のほうとしてはまだその算定のほうの基礎や何かにもうちよつと検討を加えたいというふうな意味で、特調その他のほうからはもうちよつと検討させてほしい、それで内渡しとしてもう少し控え目に渡してほしいというふうな点があるわけです。それらの点で意見が合わないというような或いは風評があるかも知れませんが、その点はこれは、どうせあらゆる予算と同じように我々のほうは漁民の立場で見るので余計出してもらいたい、こういうわけでありますから、もう少し検討いたさなければならん。これは私のほうとしては今週中に何らかの形で、我々のほうの要望として、年を越す金ではあるけれどもやはり補償に近い金をできるだけ先にたくさん渡してもらいたいという話合を昨日、一昨日向うと寄りまして大体付けまして、その線で至急査定するというような形で進んでおります。長い間行政協定の不備もあり又立法のほうも遅れまして我々のほうはやきもきしておつたのでありますが、直接所管をしていない関係から非常にあちらこちらと連絡をとりまして遅れたことは申訳ないと思います。これはできるだけ本年中にそういう趣旨で解決する方針で、大体できるのではないかとこう思つております。
  134. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ簡単にお伺いしたいのですが、このいわゆる間接被害というのですか、行政協定によつてきめられて補償することがはつきりしておる区域以外において、演習によつて魚が区域以外に逃げてしまつた、そのための被害、防潜網のほうははつきりしておるでしようが、そういうものも今度の補償の範囲の中に入るのかどうか、その範囲を伺いたい。  それから一体どのくらいの損害を見込まれておるのか、厳格な意味でなく、大体の見当としておるところ、どの程度の間接被害というものがあるのか、又今問題になつておる東京湾それから佐世保の大村湾、それ以外にあるのかどうか。それから見舞金についてはこれは今朝ラジオでちよつと聞いたのですが、大蔵省は年末二千円を一人当り見舞金に出すというようなお話で、ところが農林省側ではそれは余り少な過ぎるというので、何か対立しておるようなお話がありましたが、今大体は折衝の過程ですからはつきりした御答弁を願えないでしようけれども、年末に何らかの形で出るか出ないのか、金額の如何は別としてその見通しを承わりたい。
  135. 鹽見友之助

    政府委員(鹽見友之助君) この法案では第一条でこういうことが書いてあるのでございます。   日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き日本国内及びその附近に配備されたアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍の左に掲げる行為により、従来適法に農業、林業、漁業又は政令で定めるその他の事業を営んでいた者がその事業の経営上損失をこうむつたときは、国がその損失を補償する。  一 防潜網その他の水中工作物の設置又は維持  二 防風施設又は防砂施設の除去又は損壊  三 その他政令で定める行為 というふうにございます。  最後に三でその類似したようなものは適用されるというようなわけになつております。その類似したものはどれどれのケースかということは現在まで我々のほうに参つておりますのは、明瞭になつておりますのは防潜網その他水中工作物、千葉県等にございます聴音機を設置しておるために操漁上いろいろ不便がある、こういうものがございます。それらの具体的の事例、これは地方庁その他とも連絡をとつてこういうものがあれば類似のものは補償するというよう建前で法案を提出されることになつております。  それから額でございますが、大蔵省の二千円という見当でございますると、これは総額としましては恐らく五、六千万円くらいのことになります。大半は東京湾でございまして、大村湾のほうは被害額にいたしますと、これに比べると何分の一というものでございます。我々のほうとしては二千円で総額五、六千万円ではそれはほんの内渡程度になるので、これはやはりできるだけ年末に漁民に余計、補償に近いところまでということでそれに対する数倍のものを要求しておるわけです。これは先ほど申しましたように一昨日、昨日と続けてこういう考えで交渉しておりまして、この線できめよう、できるだけ余計なほうがいいだろう、こういう線できめようというので主計局のほうと話はついております。今計算を両方で意見を述べ合つて最後的なあれをきめることになつております。恐らくこれが提案される前後ぐらいまでには何とか額をきめたいと思つております。とにかく年末に差上げることが一番漁民の要望にもかなうわけでございますからその線でやりたい、こう思つておりますが、これは逃げ口上を言うのではありませんが、やるということを私限りで断定できないのであります。直接の所管は特別調達庁でございますので、私のほうはやれると見込んでおりますし、どうしてもやりたい、こういうわけで今かかつております。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その支出は防衛分担金の中の九十二億というあの中から出すのですか。
  137. 鹽見友之助

    政府委員(鹽見友之助君) さようでございます。
  138. 小林政夫

    ○小林政夫君 大体の質問は済んだのでございますが、最後の第十一条の七項の「協会の出資の総額は、政令で定める金額を下つてはならない。」とありますね、融資保証法ですね、どういう金額にしようというのですか。
  139. 濱田正

    説明員(濱田正君) この金額は一千万円、かよう考えております。その理由は余り小さくては収容力が少いということと、それから最小限度これを運用するには人間が要るわけですから、その人件費も見込んで計算すればそういうふうになつた、こういうことであります。
  140. 小林政夫

    ○小林政夫君 次は十七条の会員の脱退の場合に、脱退してはいけないということが第一項に四号ありますね、一、二、三、四と。この第一項の三号の「協会が当該会員に対しその脱退を承認しない旨を通知したこと。」、この承認しないという、まあ正当な理由がなくて承認しないというようなことはやつていけない、こういうのが次にありますが、そういう場合はどういう場合に脱退を承認しないのか。
  141. 濱田正

    説明員(濱田正君) それは本法の十三ページの四項のところで、協会がこの人が脱退されることによつて協会の保証業務の遂行に著しい影響がある場合、そういう場合はまあ承認しない。それでなかつたら、逆に言えば承認しなければならない、こういうような押え方であります。
  142. 小林政夫

    ○小林政夫君 そこは僕も読んでいるんですが、業務に著しい影響を及ぼすという場合はどういう場合が予想されるわけですか。
  143. 濱田正

    説明員(濱田正君) 大体この協会によりまして四半期別或いは半期別にそれぞれの漁区に応じまして、どこにどういう融資を付けて行くか、次の漁区まではこつちのほうは暫く待つておれ、それから前半期はこちらのほうへ付ける、後半期はその逆だ、こういう業務の運営をやつておる場合、その保証をしておるその元は全体のフアンドを信用力として保証しておるのであつて、こつちのほうを重点使用しているときに、こつちのほうが今保証されていない場合に脱退される場合は前半期の計画は崩れて来る、こういう場合はこつちが脱退されては困る、こういうことを考えているわけです。まあ年度初めの、何といいますか、融資計画といいますか、その計画が崩れたら困る、こういう考え方であります。
  144. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると、次の第四号は今度はそれを組合側から見たほうでなしに、金融機関側から見て、そういう事例を見たときに異議を申出るということになるわけですね。
  145. 濱田正

    説明員(濱田正君) そうです。金融機関側も債務の弁済に支障を及ぼす場合は拒否しても何だが、そうでない場合は拒否してはならん……。
  146. 小林政夫

    ○小林政夫君 次のというのは今の十七条の第一項の第四号ですよ、さつきお尋ねしたのは第三号、第三号は組合側が考えて今脱退してはならん、四号はその裏というか、金融機関側から見て困るということですね。
  147. 濱田正

    説明員(濱田正君) その通りです。
  148. 小林政夫

    ○小林政夫君 それから二十一条の業務方法書に記載する事項で第五番目の「保証に係る借入の期間の最高限度」、これはこの前資料によつて説明された年二回転認めることというのは六ヵ月ということですか。
  149. 濱田正

    説明員(濱田正君) 年二回転といいますのは、全部の資金をぶち込んでの総平均を考えたのでありまして、この業務方法書によつては、ものによつて違えて行きたい、又当然違えるべきじやないか、かよう考えております。総平均としてはそのぐらいの程度で考えればいいじやないかと思います。
  150. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると最高のものは、あなたのほうは業種によつて保証の借入期間の最高限度を違える、これは当然ですが、最高のものはどういう業種でどのくらいというふうに考えておりますか。
  151. 濱田正

    説明員(濱田正君) 最高のものは設備資金でありまして、設備資金につきましても平均三年と考えておりますが、この中でも更に最高というものは、漁船の建造とかは勿論最高だと思います。これは大体三年又は五年、長くても正午以内というくらいなつもりでおります。
  152. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると運転資金、即ち魚網だとかロープだとかいうようなものについては、どうですか。
  153. 濱田正

    説明員(濱田正君) これは大体二・五回転といいますか、四ヵ月くらい程度になるつもりで考えております。
  154. 小林政夫

    ○小林政夫君 その一番長いものでもですか。
  155. 濱田正

    説明員(濱田正君) 魚網につきましてもいろいろありまして、最後の発明になりました合成繊維、こういうものは我々の考えとしてはむしろ設備資金考え方、相当金額も張るし、耐用年数も三年も四年もあるのだと考えるので、こういうものにつきましては設備資金なりの考え方を持つております。
  156. 小林政夫

    ○小林政夫君 それから第十一の「求償権の消却に関する事項」ということはどの程度のことを考えておりますか。
  157. 濱田正

    説明員(濱田正君) これはこの前御説明いたしましたように、全国的に見れば融資額の百分の二、代位弁済額の二割と、こう考えておるわけであります。これは具体的の資料は全然ないので、大蔵省の銀行局あたりと相談して、見当でできたということでありますので、これは各基金々々によつてそれぞれに研究してもらつた上でその代位弁済額の二割前後というものを基金基金の、言い換れば地方々々の実情による算定の仕方をしてもらうということであります。
  158. 小林政夫

    ○小林政夫君 次に今度は補正予算で五億基金として繰入れますね。これは来年度予算をもう少し殖やすということになるかどうか、そうすればどれだけ要求しておるのですか。
  159. 濱田正

    説明員(濱田正君) 来年度予算では九億の要求を今やつておるわけであります。
  160. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると、それでこの前出された資料の金額は十四億という計算ができて来るというわけですね。
  161. 濱田正

    説明員(濱田正君) その通りであります。
  162. 小林政夫

    ○小林政夫君 それは大蔵省主計局のほうは承諾しておりますか。
  163. 濱田正

    説明員(濱田正君) まだ二十八年度予算は内示もありませんから、何ともまだわかりません。
  164. 小林政夫

    ○小林政夫君 打合せの結果は……。
  165. 濱田正

    説明員(濱田正君) まだ杳としてわかりません。
  166. 中川以良

    委員長(中川以良君) 他に御発言もないようでありまするが、質疑は終了したものと認めまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  168. 小林政夫

    ○小林政夫君 本特別会計設定の基礎となる中小漁業融資保証法によるこの中小漁業者の融資保証保険ということは、私のかねてから念願しておつた構想とも一致しておりまするし賛成するものでありますが、質疑の過程におきましても私の意向を明らかにしたように、逐次当局においてもこの制度を運用して行かれるに従つて保証期間、或いは保証率、或いは回収期間等についても巾のある運用をするように要望をしておきます。  更に質疑でも一応補正予算については五億の基金を設定されることになつておりますが、これでは足らないので、来年度二十八年度においては最小限度九億を要するということでありますので、大蔵当局においても是非九億を二十八年度において繰入れることを要望して賛成いたします。
  169. 中川以良

    委員長(中川以良君) 別に御発言もないようでありまするから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。中小漁業融資保証保険特別会計法案衆議院送付通り可決することに賛成のおかたの御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  171. 中川以良

    委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四条により本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨、表決の結果を報告することにして、あらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二条により委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     伊藤 保平  木内 四郎     菊田 七平  黒田 英雄     松永 義雄  西川甚五郎     木村禧八郎  岡崎 真一     小林 政夫  堀木 鎌三     大矢半次郎   —————————————
  173. 中川以良

    委員長(中川以良君) 次に日本専売公社法の一部を改正する法律案を議題に供します。最初に提案者より提案理由説明を伺います。
  174. 佐藤觀次郎

    衆議院議員佐藤觀次郎君) 只今議題になりました日本専売公社法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明申上げます。  現在日本専売公社における休職者の給与は日本専売公社法第二十三条第五項より第九項の定めるところによりまして、支給されております。即ち公務傷病により長期の休養を要する場合は、休職期間中、給与の全額を支給することとし、結核性疾患による場合は満二ヵ年に達するまで、俸給、扶養手当及勤務地手当の百分の八十を、その他の心身の故障による場合は、満一年に達するまで同じく百分の八十を支給することが出来ることとし、刑事事件に関し起訴された場合は、その休職期間中百分の六十以内を支給することができることとし、その他の給与はこれを支給しない旨定められております。  今回改正しようとするところは、これらの規定を削除し、休職者の給与も現職者と同じく給与準則の定めるところによらしめようというのであります。  現在日本専売公社役職員に対する給与につきましては日本専売公社法第四十三条の二十一の定めるところによつて給与準則によつて支給することとなつておりまして、ひとり休職者のみ、あえて法文中に明示することは弾力性を欠くと共に法文構成の体裁上からも妥当とはいえないのでありますが、又現在同じく公共企業体である日本電信電話公社法ではすでに休職者の給与も給与準則によることになつており、又国鉄に関しても目下改正の手続が進行しおるのみならず、造幣、印刷、郵便等の政府の現業関係についても、公共企業体労働関係法の改正の実施に伴い一般職の給与に関する法律規定等の適用が排除され、給与は団体交渉の対象となることになり政府より提案せられ只今委員会審議中の「造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案」が成立しましたならば現職者、休職者共に給与準則の定めるところによることに改められるのであります。この改正はこれら公共企業体及び政府の現業職員等に対する取扱いと歩調を整えることともなるのであります。更に又現在休職者には法律に定める給与のほか支給されず、従つて年末手当等は支給し得ないのでありますが、今日年末手当はもはや賞与たる性格から、給与の一部という性格に変りつつあり、業務の性質上特に結核疾患者を生ぜしめることの多い専売事業の性質から見ても療養生活に多額の経費を要するこれらの休職者に対しても、これを支給し得ないことは誠に気の毒な事情にありまして、この改正を行うことによつてこれに解決の途を開こうというのであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上速かに可決あらんことをお願いいたします。
  175. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御質疑をお願いいたします。
  176. 木内四郎

    ○木内四郎君 只今提案理由を伺いましたが、他の特別会計との均衡を図るについては御尤もの点もありますが、一般公務員との関係はどうなつておりますか。
  177. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 一般職の公務員につきましては、その給与に関する法律がありまして、その法律規定によつて給与その他は全部規定せられておりますので、それによることになつております。それから今回提案しておりまする企業的な五特別会計に属する職員につきましては、今回の措置によりまして、給与準則で措置することができるというよう規定しておりまするので、法律によらずに給与準則できめるということに相成るわけであります。
  178. 木内四郎

    ○木内四郎君 一般公務員については今お話になつた通りのことはわかつておりますが、権衡下どういうことになりますか、権衡をとることがいいか悪いかは別問題として、休職者に対する内容はどうですか。
  179. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 現在電々公社に関しましては、法律によらずに全部給与準則によつて措置するとこの提案になつております改正案の通りなつておるわけであります。国有鉄道と日本専売公社が現在法律規定せられておつたわけでありまするが、電々公社等と権衡を保つという点におきましては、今回の改正が適当であろうかと考えられるわけであります。更に一般の公務員につきましては、これは給与自体が法律によつて縛られておりまするので、休職者につきましても法律によつて縛られるということは止むを得ない、ただ公社につきましては、給与巨体が給与準則によつておりまするから、その意味から行きまして、休職者給についても給与準則によつて自由にきめるということはその点から見ては止むを得ないことではなかろうかというよう考えます。
  180. 木内四郎

    ○木内四郎君 一般公務員は法律によつて縛られておるのは止むを得ないというのは、休職者に対しては制限があるということですか。法律上の制限があるが、それは止むを得ないということですね。
  181. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) さようでございます。
  182. 木内四郎

    ○木内四郎君 どのような制限があるのですか。
  183. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 法律によつて詳細な規定がありまして、はつきり記憶いたしておりませんが、この法律の改正によらなければ自由な支給はできないということになつておるわけであります。
  184. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると今の専売公社法の第二十三条の第五号から第九号までと大体同じような内容の制限があるのですね。
  185. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 大体さようでございます。
  186. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 今提案理由説明伺つているうちに、法文の構成の体裁上から妥当とはいえないから改正するということがあつたのですが、併しこれをお作りになつた当初においては、そういうことを考慮せられたのではなかつたかと思うのですが、このままで来たということについては、何か休職者に対する特別な考え方があつて、こういうよう規定をされたわけですか。それを今になつて改正なさるということについて、もつと詳しく説明して頂きたいと思うのです。
  187. 佐藤觀次郎

    衆議院議員佐藤觀次郎君) 実は国鉄の場合におきましても最近公共企業体になつた。電電公社法にはこの明文があるようございますが、全然専売公社や国鉄の場合にはそういう考慮がなかつたのかどうか知りませんが、非常に欠陥があるということで、今度こういうふうに直してくれという要求がありまして、そこで提案したわけであります。
  188. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 欠陥というのはどういうことですか。
  189. 佐藤觀次郎

    衆議院議員佐藤觀次郎君) 今のところ規則が、この法ができませんと、休職者の病気になつた人が全然年末給与がもらえないということになつております。明文がないのですから……。やはり団体交渉で、例えば国鉄或いは専売というよう公社に対して請求する一つの道をつけるわけであります。
  190. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 年末手当を休職者に出すためにという御説明があつたうちに、病気の人という特定のお話がありましたが、これは、この規定を改正すると、病傷者以外の人にも出せることになりますね。そうすると、そういうものも含めての意味ですか。そういう人全部に年末手当を出すという御趣旨なんですか。
  191. 佐藤觀次郎

    衆議院議員佐藤觀次郎君) これは休職者以外の人には出ないことでありまして、病気で休んでいる人だけに或る部分の年末給与、年末の支給をもらうということを意味しておるので、ほかのものに影響はございません。
  192. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 併し、休職者全般に亘つての改正ではないのですか。ここに書いてある意味ですね。病傷の場合もあるし、それから刑事問題で起訴されておる者という場合もありますが、それは全部入りませんか。
  193. 佐藤觀次郎

    衆議院議員佐藤觀次郎君) それは全部入ります。
  194. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 そうすると、今のお話と少し違いますな。今のあなたの御説明は、病気の者のためだけにこれを改正するというお話でしたでしよう
  195. 佐藤觀次郎

    衆議院議員佐藤觀次郎君) 病気その他一切を含めての提案でございます。
  196. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 要するに、そうすると年末手当を支給しようとするための改正なんですね。
  197. 佐藤觀次郎

    衆議院議員佐藤觀次郎君) さようでございます。
  198. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 そうしますと、法文の構成上の体裁云々ということは、これはつけ足しみたいなものですな。
  199. 佐藤觀次郎

    衆議院議員佐藤觀次郎君) まあ説明がまずいから御了解願えないと思うのですが、実ははつきりした明文を入れたらどうかという意見がございますが、実ははつきりいたしますと、専売公社の中でいろいろ問題が起きますので、そのときには、特に休職者である、一般の人の或いは二割とか三割というようなことを規定をしなければなりませんが、こうやつておけば団体交渉で再売公社総裁と労働組合のほうが折衝することになりますので、はつきりした明文を書かずに、団体交渉に譲ると、こういう意味でこれだけを削除するということになつて来たわけであります。
  200. 木内四郎

    ○木内四郎君 これは別に反対でも何でもないのですが、主税局長もおられるのだが、税務官吏なんかは、そう育つては悪いけれども、非常に激務に携わつておるし、待遇もそれほどいいとは思わないが、その結果、やはり病気になつて、休職になつたりした場合には、法律によつて一定の制限があるようですけれども専売公社その他がこういうふうになるというようなことであれば、税務官庁、その他のものについても何か考慮したいというよう考えは持つておられないのですか。
  201. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 私この問題は実は余りよく承知いたしておりませんでございまして、今突然のお尋ねでございますので、ちよつとお答えいたしかねるのでございますが、のちほどとり調べましてお答えいたしても結構でございます。税務官吏は、一般の公務員と同じ待遇を受けるということになりますので、そのほうに何かあれば別でございますが、なければやはり特別の措置を講ずるか、講ぜないか、こういう問題になろうと思いますが、私これは一般の公務員と同じようにするのが適当ではないかというふうに考えておるのであります。
  202. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 これは、やりますと、結局準則に従うということになれば、給与は、これは例の予算範囲内でやるわけですね、そうすると、それに関連して考えられることは、一体この御趣旨によつて、現在一つの具体的な問題を取上げて、この法案の企図されておる骨子であると思うのですが、病気で休んでおる人に対して、年末手当を出す、普通の人と同じように出すということになると、どれくらいの金額になるのですか。
  203. 佐藤觀次郎

    衆議院議員佐藤觀次郎君) 現在病人の休職者が六百二十五人あるそうであります。それで、これは必ずしも同じような年末手当を出すのではなくて、それは専売公社のほうの公社側と、労働組合との団体交渉によつてきまるのでありまして、幾ら出すか出さんかということは、私らのほうでは見当がつかないわけであります。
  204. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 私はそういう質問を申上げますのは、専売公社予算のことについて、又特別会計予算から繰込むとか、いろいろの措置の問題が起つて来るときに、我々にも関係があるので、それをあらかじめ考慮して伺つておいたわけです。結構です。
  205. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 佐藤さんの言われることを聞いておると、どこまで行つちやうのかわからないのですが、もつと私自分の考え方をまとめるためにお聞きしたいのだが、要するに何じやないですか、日本専売公社法で休職の場合を限定していろいろな規定がある。併し専売公社においては給与その他の労働条件に関することは団体交渉でやることが本筋である。ところが現在では二十三条の五項から九項までずつと書いてあるが、そういうふうに細かく法律できめなくて、給与準則によるのが、他の法令との均合いからも、均衡から見ても、こういうものは給与準則に譲るベきだ、だから特に専売公社についてこういう細かい規定があることは、それ以外のものは支給できないような欠陥があるから、この際給与準則にしよう。こういうことではないですか。だと思うような気がするのですが、そうでないかどうかということです。国家公務員についても休職の場合には給与準則による、今度国会に出されておるところの公共企業体の職員に対する造幣局等の特別会計ですか、これも大体そういうふうになつておるから、それと合して行くつもりだと、こういうことだと思うのですが、どうですか。
  206. 佐藤觀次郎

    衆議院議員佐藤觀次郎君) その通りです。
  207. 中川以良

    委員長(中川以良君) 他に御発言もないようでございますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。格別御発言もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。日本専売公社法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決すべきことに賛成の諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  210. 中川以良

    委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    伊藤 保平  大矢半次郎    松永 義雄  木内 四郎    菊田 七平  黒田 英雄    木村禧八郎  西川甚五郎    小林 政夫  岡崎 真一    堀木鎌三   ━━━━━━━━━━━━━
  212. 中川以良

    委員長(中川以良君) 次に日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限の延期に関する法律案を議題に供します。先ず御質疑をお願いいたします。
  213. 小林政夫

    ○小林政夫君 先般提出された政府財政資金の蓄積に関する資料ですか、只今資料が配付されて、入れ替えるというのですが、どれとどれと入れ替えるのですか。
  214. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) お手許に配布いたしました資料につきまして簡単に御説明を申上げます。  先ず最初の表でありますが、これは国が現在出資をしておるというような出資関係のものをまとめて計上しております。その総額は二千三百七十九億八千四百万円程度に相成つております。この中で金額の多額に上りまするのは(イ)の中の(b)の日銀等金融機関六行というのでありまして、その中では開発銀行、国民金融公庫、住宅公庫、輸出入銀行その他が入つておるわけであります。それから出資でなくして一般会計からの貸付金、提案しておりまするような国有鉄道に対する貸付金に類似しました貸付金でありますが、これが国鉄への貸付金が五百八十六億円程度、それから電電公社への貸付金が五百十七億程度になつております。このほかになお貸付金といたしましては、例えば育英会に対する貸付金とか或いは地方公共団体に対する貸付金というような金額のそれほど多額に上らないものが相当あるのでございまするが、これは実は整理が十分できませんでありましたのでここに省略させて頂いております。国鉄への貸付金はこれは旧鉄道特別会計時代に特別会計が借入金或いは公債を発行したというようなことで特別会計の債務になつておりましたものが、公社に変りましたときにその債務は一般会計が承継いたしまして、そうして同額を同条件で国有鉄道に対する貸付金として整理をしたとこういうことになつておりまして、その関係のものがここに五百三十五億円程度残つておるわけであります。電電公社の分も、大体金額の大部分はそれであります。なお国有鉄道に対しますものといたしましては、そのほかに只今問題になつておりまする三十億五千二百万円の貸付金、それから二十六年度におきまして緊急輸送のために特に一般会計から無期限で貸付けました二十億円というようなものがあります。なおそのほか預金部資金等よりの貸付金がありますが、それは一応一般会計の通常のものと異なりますので省略さして頂きます。電電公社に対する貸付金も、只今申上げましたよう公社に切り替つた時の貸付金というものがその大部分を占めておりまして、赤字補填の貸付金は二十九億九千八百万円程度にとどまつております。なおこのほかにいわゆるインベントリー・フアイナンスといたしまして一般会計から特別会計等に繰入れまして蓄積せられた資金がありまして、この資料予算委員会のほうに提出しておりまする資料をそのままここに提出した次第でございます。
  215. 小林政夫

    ○小林政夫君 今イソベントリー・フアイナンス等による財政蓄積資金についてという資料をもらいましたね。それと、前のやはり二十三年以降の一般会計より各特別会計への出資額調、これとはどうなるのですか。
  216. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 誠に申訳ないのでございまするが、前の資料は実は予算書の上から整理をしようといたしまして検討しておつたのでありまするが、これはいろいろ問題もありまして整理が十分にできておらないわけであります。従いましてこれは間違いの点も二、三ありまするので、あとで提出いたしました資料のほうに訂正させて頂きたいというよう考えるわけでございます。
  217. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうするとあとのほうの資料は、貴金属特別会計と食管特別会計と外為特別会計、これだけですね。
  218. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) はあ。
  219. 小林政夫

    ○小林政夫君 併し今の農業共済だとか開拓者だとかいろいろありますが、これも又一つの広い意味のインベントリーに違いないのです。やはりこつちに書いてある数字に多少間違いがあるというのですか。それともこの貴金属と食管と外為だけを入替えればいいということなのか。
  220. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 通常インベントリーとして言われておりますその主たるものは、後に提出いたしました資料に計上になつておるようなものでありまするので、一応これを以て代表させて頂きたいということで後の資料提出させて頂いたわけであります。厳密な意味におきまして、一般会計から特別会計等に繰入れておりまして財政資金の蓄積になつておるという意味検討をいたしますれば、なお前に提出いたしました資料に計上になつておりまするような、例えば農業共済再保険費として二十五億二十六年度に繰入れ、或いは二十七年度に三億更に繰入れておるというようなものも考えなくてはならんのではなかろうかということは十分考えられるわけでありまするが、実はこれがこのまま蓄積されておるかどうかという点になりますと、いろいろその特別会計の内部で検討しなければにわかに判断ができないのであります。農業共済のときには、すでに相当これは損失の補填等に充てられまして、現在においてはなくなつておるのであります。二十八億も繰入れておりまするけれども、現在基金といたしましてはもう殆んどなくなつておるというような現状でありまして、又造幣局の特別会計等に繰入れておりますものなどにつきましても、これは製造経費を繰入れておるわけでありまして、それは製造に要する人件費、或いは原材料代というようなものとしてなくなつておりまするので、これを財政資金の蓄積というように入れるかどうかという点については問題があるわけであります。成るほど財政資金の蓄積になつておるものもこの中にはあると思うのでありまするが、以上申上げましたよう理由によりまして、なお相当検討の余地がありまするので、一応金額も多額に上り、且つ間違いのないというものだけを提出をするというように訂正させて頂いたわけです。
  221. 小林政夫

    ○小林政夫君 まあ私の要求したのは、いわゆるインベントリー・フアイナンスと言われておるものだけでなしに、こういつたものがあるかどうかそれを明細に調べて出してもらいたい、こういう気持ちであつたので、今日は時間もありませんから後刻一応、今の御趣旨通りで結構です、精査の上出してもらいたい。私これを見てもう一つ落ちておると思つたのは、進駐軍労務者に対する基金がありますね、七十五億……。これも落ちておるのじやないか。併しあれは退職資金に引充てるのだと言つてもう使い切つちやつたのかどうかというような点もこれを見て質問したいと思つていたわけです。  それから次に見返資金のなにが付いております。ちよつとこれはわからないのだけれども説明してもらえないでしようかね、一応……。見返資金の運用資産明細表というのが付いておりますね。
  222. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 見返資金のことにつきまして実は私ちよつと何しておりませんので、至急係りの者を呼びまして、あとで説明させて頂きたいと思います。
  223. 中川以良

    委員長(中川以良君) ほかに御質問ございませんか。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  224. 中川以良

    委員長(中川以良君) 速記を始めて。他に御発言もないようでございますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限の延期に関する法律案衆議院送付通り可決するに賛成の諸君は御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  227. 中川以良

    委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は前例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから多数意見者の御署名をお願い申上げます。   多数意見者署名     伊藤 保平  木内 四郎     松永 義雄  黒田 英雄     菊田 七平  西川甚五郎     木村禧八郎  岡崎 真一     小林 政夫  堀木 鎌三     大矢半次郎   ━━━━━━━━━━━━━
  229. 中川以良

    委員長(中川以良君) 次に、国際連合の決議に基く民生事業のため必要な物品無償譲渡に関する法律案を議題に供します。先ず質疑をお願いいたします。
  230. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法律案の内容ですね、これは何だかはつきりこれではよくわからないのです。もう少し具体的に説明して頂きたいのです。
  231. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 法案を作りました具体的な事案から申上げたいと思います。  二十七年度の一般会計予算の補正の外務本省のところに特殊物資取扱費といたしまして千八百万円が計上せられておるのであります。それから同じく通商産業省の所管のところで特殊物資取扱費といたしまして、三千六百万円が計上せられております。前の千八百万円は昭和二十五年の六月二十七日の安全保障理事会の決議に基きまして国際連合朝鮮市民緊急救済計画がなされたのでありますが、これで朝鮮の難民の救済をやろうということになつておりまするので、国際連合の決議に基いて行われております。こういう難民救済事業に対しまして、国際連合に協力するという立場から日本といたしましては千八百万円の経費を支出いたしまして必要な物資の醵出を行う、こういうことになつておるわけであります。それから三千六百万円の通商産業省のほうに計上になつておりますものは、いわゆるユニセフ、国際連合、国際児童緊急基金というのが同じく国際連合の機関として設けられておりまして、そうして児童福祉関係の諸施設を設備するというようなことが行われておるわけであります。今回の分につきましては、特に東南アジア諸国の児童福祉施設等の援助が行われることになつておりまするので、これも又国際連合の事業に協力するという意味から今回我が国といたしまして三千六百万円の金額を支出いたしまして、国内で必要な物資を買つてこれを東南アジアその他に送る、こういうことをなそうとしているわけであります。以上御審議を願つておりまする予算処置と並行いたしまして、これらは金額で出すのでなくして、国内の物資を購入いたしまして、それを送付するということになつておりまするので、財政法の第九条によりますと、物品は、国の財産は適正な対価なくして譲渡することは通常の場合はできない、法律の根拠があることを要するということになつておりまするので、特別の立法措置を必要とする、こういう意味で本法律を提案しておる次第であります。その内容は従いまして国際連合の決議に基きまして設けられたところの公的機関に対しまして、その実施するところの民生事業、これは広く福利増進のための事業、又消極的に救済事業というようなものを広く含む意味におきまして、民生事業のためには広く人道上の立場から醵出してもよろしいという意味規定なつておるわけであります。
  232. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは国連の決議に基くのですが、別に日本としては義務はないわけですね。
  233. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 日本は未だ国際連合に加入しておりませんので、義務はないわけであります。自発的に国際連合の人道的な事業に協力するという意味で自発的な醵出であります。ただ現在までユニセフからは過去におきまして日本といたしましても相当の援助を受けたというような事実もございまするので、そういつたものに報いるということも併せて考慮しておるわけであります。
  234. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあユニセフのほうは多少わかるのですが、この朝鮮のほうの難民救済ですね。難民救済すること自体は何も我々もこれは人道的立場から結構なことだと思います。併しこれに物資を以て充てるということになつておりますが、提案理由をみますと物資の中に医薬品とか、何とかいろいろ出ております。ああいうものは使いようによつてはこれは戦略物資になるのですから、使い用によつては間接的になりますから、そこでそういう難民救済とは言いますけれども、朝鮮動乱がもうやんでればいいのですよ、これがもうやんでれば問題はない。併しまだ動乱の解決はしていないそういう場合に難民救済という名において国連協力でありましようがこれはやはり間接には国連の警察的行為に対する日本の援助ということになると思うのですよ、結果において……。これは重大な問題だと思うのです。朝鮮動乱がやんでればいいのですけれども日本はこういうような形で、これは金額は現在のところ僅かでありますが、併しはつきりと朝鮮動乱にこの何が関係して行くようなことが、ここにきつかけが出て来るよう感じを与えるのですよ。この点はどういうように、まあよほど慎重に考えられたでしようけれども、どういうふうに考えられてこの難民に対して医薬品とか、あの提案理由に記載されているような品目をまあ送ることになつたのか。その点と一応ここには千八百万円というのが出ておりますが、これは今後もつと殖えるのかどうか。それから又来年度もこういう問題が出て来るのかどうか、際限なくこういうものを拡大して行けば、こういう法律を通して行けば、これで又今後難民救済と称して無償で向うにいろいろなものを送るようなことが出て来ると思うのです、その点……。
  235. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 醵出する物資が戦略的にも使われる可能性があるから問題があるという御質問の趣旨ように拝聴いたしましたが、私どもは国連が難民の求済計画として、その方面に使用するということで、国際連合の人道的な趣旨から特に決議が行われて、実施せられておりまする計画でありまするので、その意味において醵出しました物資は、難民求済のみに使用せられるものでありまして、決して戦略的なものには使用せられないものだというよう承知しておるわけであります。なお物資は我が国におきまして国内で調達をして送付することになりますので、成るべくそういつた可能性のない品物を醵出するというように、具体的の場合におきましても取計らうよう考えております。
  236. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その戦略物資でないということはあなたどうして判定できますか。そういうふうに承知しておりますというけれども、どうして承知できますか。それから難民といつても、例えば地震とか、風水害とか、そういうことによつて生ずる難民と、朝鮮における難民とは違いますよ。あれは戦争の結果生ずる難民であつて、その難民を救済するということは、それ自体やはり戦争に対して協力することに間接的になつて来るのです。その点を簡単に考えることはできないと思うのですよ。その点どうなんですか、国際法上いろいろこれは問題があるのじやないかと思うのです。私は国際法は詳しくないから、常識で質問しているのですけれども、こういう点は国際法上何か相当いろいろあるのじやないかと思うのです。例えば或る敵国の戦争被害者に何か援助を与えるということは、間接的にその国に援助を与えるということになり得ることが何かあるんじやないかと思うんですが、そういう点は研究されたのですか。
  237. 庄司宏

    説明員(庄司宏君) 只今の点は日本からの醵出がそういうふうに戦略物資に該当しやせんかというような御質問でありますが、我々といたしましては、これは飽くまでも人道的な立場から出すというよう承知しております。そうしてこれはそういうふうに間接的に或いはなりはしないかと非常に広く考えました場合には、これはすべて現代の戦争においてはあらゆるものが、そういう関係を持つということになりやしないかと思うのでありますが、この場合朝鮮の救済計画に対しましては、例えばインドとか、そういう極めて中立的な立場をとつておる国では、安全保障理事会の決議に対しましても兵力による援助その他については断つておるビルマとかインド、そういう国もこの救済計画のほうには、いずれも喜んで醵出しておる、相当多額の金を醵出し、又物資その他で醵出をしております。そういう場合に或いはスイスとかスエーデンとか、そういう国もこの計画には醵出しておるのであります。一般的には国際的な常識からいたしまして、こういう方面の醵出が、いわゆる戦争、何といいますか、国連の警察行動に、殊に軍事の方面に関係するというふうには見られておらないのじやないかと私ら考えております。  それから国際法の点につきまして非常に詳しく研究したと申上げるわけにも行かないかも知れませんが、大体戦争による傷病者、傷病兵はこの際入つておりません。難民に対する救済というものは、赤十字その他の機関が当つております。そうしてそういうものに対してはいずれの国も、両国も協力するよう建前なつておりまして、そういう場合に対しましてこれが特に中立、この場合戦争ではございませんから、中立の問題は全然考える必要はないのでございますけれども、いわゆる戦争の場合でありましたら、中立の違反になるということは一般に考えられていないというふうに承知しております。
  238. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは赤十字の活動としてどうしてしないのですか。
  239. 庄司宏

    説明員(庄司宏君) この問題は赤十半も協力しておりますが、一応安全保障理事会の決議によりまして、国際連合として救済計画をやることになります。そうして国際経済社会理事会その他の機関、諸専門機関、WHOといいますか、世界保健機関、それから赤十字その他がその下に協力して行うようなつております。で赤十字自身は直接にはこれに当つておらないが、これに協力して、朝鮮の救済事業には国連の機関と協力してやるようなつております。
  240. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はその難民自体に対してはお気の毒だと思つているのです。それは南の朝鮮の人でも北の朝鮮の人でも、朝鮮の人たちがあの戦争のためにいろいろな被害をこうむつて危険になつているということは、これは実に気の毒に堪えません。従つてそういうことを救済するという趣旨は非常にいいのですけれども、併しこれは実際的には一方的に南鮮のほうですよ、それじや北鮮のほうの人はそういうように救済しないのか。それで一方の難民は救済している、他方の難民は救済しないということになると、日本はそういう点について人道的立場、人道的といいますけれども、これは風水害その他の天災地変と違うのでありますから、どうしてもそこにかたよつた傾向が私は出て来ると思うのです。で医薬品は戦略物資ではないと言われるけれども、それは今中共貿易なんかでも医薬品の輸出は認められていない、それは使いようによつては戦略物資にもなるのです。だから問題は程度の問題になつて来ると思うのですが、そこでこれは期限も程度も何も書いていないのです。これは予算には一応本年度は千八百万円となつておりますが、法律案自体としては何らそこに限度もない、そこでこれは一時的に今度限りの措置なのか、今後も又ずつと続けるのかどうか、そういう点は、どうですか。
  241. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 法律案としては御承知ように今回限りということではなくして、次にも問題が起りましたときには、適用し得られるような内容を有しておるわけでございます。事実問題といたしまして将来起り得るかどうかということは、現在のところはまだ予想しておりませんが、その後の事態によりまして、そういう必要が生じた場合におきましては、予算審議を通じて御決定を願うというよう考えております。
  242. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この千八百万円とか三千六百万円という金額はどういうところから出て来たのですか。
  243. 庄司宏

    説明員(庄司宏君) これは先ほど申上げましたように自発的な醵金なのでございまして、向うから割当てられたりそうした性質のものではない。で結局一つの国がどの程度の思し召しとでも申しますか、そういうどの程度の醵金をやるかという根本的な基準というものはございません。例えばよその国が大体どの程度にやつているというようなことも考慮の一つになりましようし、それから日本では特にこの問題と関係が深いか深くないかというようなことも考慮の一つになります。一番根本的には財政的ないろんな余力というものも考慮の一つになるのじやないかと思いますが、そういうような大体国際的な仲間入りをする意味において、又国連への協力を表示する、本当の協力の表示という程度のものでありますけれども、できるだけやりたいんだが、この程度にしかできないからこの程度にやりましようという程度のものなのでありまして、特にはつきりとこれこれによつて算出するというような基準のあるものではないのであります。だから例えばユニセフのほうは十万ドルになつております。それから朝鮮のほうは五万ドルになつておりますが、ユニセフのほうはすでに日本といたしましては、五十七万ドルばかりの援助をユニセフから受けております。日本のほうとしてはそれに対して昨年度において二十二万ドルばかり、これは向うの計算でありますが醵出したことになつております。今度も求められて全体の計画とかそういう規模を参考として、大体この程度というふうな、お祭りのときの寄附みたいな程度で全部同じ両隣やなんかを見まして、大体この程度で協力の意思が表示できるのじやないかというような工合なんです。
  244. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 何とかこのユニセフのほうについてはそんなに疑問も生じませんし、又無理がないと思うのです。これは常識上御承知ようにそれは国連協力ということですけれども、南鮮のほうに対して難民救済することはいいです。難民諸君に罪があるのじやないのですけれども、李承晩政府は非常な反日的なんです。李承晩ラインというようなことも起つておるのです。日本の漁業権についても非常に国際法上から考えて、不当な干渉をしておるわけです。向うが非常に紛糾を起しておることは御承知通りですね。漁船なんか拿捕されて裁判にかかつておる。それもなかなか解決がつかない。我我は決して朝鮮の民衆のかたがたが戦争によつて被害をこうむつて困窮しておる、これに対しては本当に我々としてもできるだけ援助をすべきでしよう。併しそこに何か割切れないものがあるのです。国連協力、協力と言つても、そんなら朝鮮も国連協力の精神で李承晩政府はやはり日本に対して日本もそういう国連協力をするというなら、李承晩政府はなぜやはり国連協力の精神に基いて……、反日的な最近の外交方針をとるのか、こういうところについて、やはりこういう問題ともからめて外務省は何か手を打つて然るべきじやないかと思うのです。併し金額も小さいからこれで向うに反省を求めるというきつかけにはなり得ないかも知れませんが、何かそこに私たちはあんなに排日的態度をとり、最近は実害が起つて、それで実際予算上もそのために今度は船員に対する給与支払いの措置もとつておるのです。損害は出て来ておる。現実の漁船拿捕が、そういうのに私はこういうことをするのに対して何だか割切れない。そこで千八百万円というのは一体どういう算定に基いて出て来たのかとお伺いしておるのですけれども、そういう関係はどうなんです。朝鮮の……、あなたに聞いても無理かも知れませんけれども、どういうふうに政府としては見ておるのかですね。
  245. 庄司宏

    説明員(庄司宏君) 大変むずかしい根本的な問題なので、御説の通り私から言うのは少し問題が大き過ぎるかと存じますが、この計画はやはり朝鮮に対してではなくて、国連に対する協力であることが第一点の考慮にされたことなんでございます。それから只今の朝鮮の李承晩政権の日本に対する態度というようなものにつきましても、確かに御説の通りと存じます。日本といたしましては、一方こういう現在の朝鮮の李承晩政権がこういうことをやつておるからといつて、それをすぐむきになつてあらゆる方面に対してこれを反映さして、こつちがかんかんになるという態度は、少し大国と申しましてもちよつと語弊があるかも知れませんが、我々としてはとりたくない。(笑声)なすべきものはなしてから又交渉すべきものは交渉するという態度を以て臨みたい。これはやはり一つの国際社会における名誉ある会員としての義務と心得まして極めて些少なんでありますが、お心ざし程度にやるということを考えたわけなんであります。
  246. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは問題によりけりで、如何に大国であろうと問題の筋は通さなければいけないのです。筋を通さないからそういうようになめられておるのですよ。あなたはそんなような気持ちだか向うではなかなかやわらかくならないのです。やはり筋というものは通すべきで、今あなたから大国の衿度云々というお気持ちを聞きました。それは御尤ものところがあります、外交上……。併しやはり筋というものは問題が小さくても通さなければならないのであります。これは意見になりますからこの程度でやめます。併しどうも我々としては割切れない。併し最後に聞きたいのは、今後もこういうことがやはり続くのか。法律上の建前では、今の御説明ですとあり得ることになるのですが、それも今後こういう形で相当国連協力、国連協力とどんどんやつて行くと、日本でさえ更に難民が救われていないのです。ただ国内で毎日のラジオをお聞きになればわります。NHKでも今の年末に際して困つた人を救えというので、非常に気の毒な状況を放送しております。それでもやはり我々は国際的にそういう協力をすることも必要だと思いますけれども、自分の国でさえまだできていない。自分の頭の蝿さえ追えないのです。そこでこういうことを坂上げることになるのですが、問題は今後こういうことがもつと大きな規模で起つて来るのかどうか。大体常識から言つて、これは今回限りくらいでやめるのかどうか、それに千八百万円くらいなら、今あなたが言われた大国の衿度として目をつぶつてもいいのです。甚だ割切れないところがあるのですけれども、今後の見通しをちよつと伺いたい。
  247. 庄司宏

    説明員(庄司宏君) このたびの醵出は、今年の十月頃でしたか、国際連合のほうから醵出してくれと、戦後独立いたしましてから初めて申込みがありましたので、そうしてこれを一応受けて醵出することになつたのです。この計画は名前の通り緊急計画となつております。いわゆる計画、一定の何年にこれだけ使用するというふうな計画があつて、それに基いて実行する、そのために基金としてこれだけでいいと算定できるものではないのでありまして、一応戦争の規模その他によつて難民に対する救済の費用その他もしよつ中変つて来るのであります。ですから向うから提示されましたものについてどれだけの提示今後あるかどうかということは、余りはつきりいたしません。いずれも戦況に支配されるということになります。そしてこれは休戦協力ができますと、或いは敵対行為がやみますと、これは緊急救済計画というのは一応なくなります。そしてむしろ朝鮮の復興、再建計画、これは北鮮も南鮮も一応含めておる。救済計画も現実においては確かに韓国側のほうになりますけれども、実際問題として北鮮の難民に対しても地域に入つて来れば、収容できるとろにあれば、いずれも与えることになつておる。日本人にでも差支えない。一般難民に対しても与えられる、休戦協定乃至は敵対行為がやみますと、正規のレギユラーの大きな計画で救済されまして、いわゆる緊急的なものがなくなる。ですから現在のところは将来どの程度まで続くかは予測できませんが、大体戦争の規模が現在のように続けば、やはり一時一応の救済計画というものは今後もあり、或いは今後もこういう要求が来ることは考えられるわけでありす。併しこれに対して応ずるか応じないかということは、全く自発的なものでありますから、そのときには前後いろいろな諸般の事情を考慮に入れまして、若し応ずべきものは応ずる、そのときのということにいたしたいと思うのであります。大体しよつ中或いはこれに対して応ずるというようなものでもないし、又将来非常に金額が大きくなるということは現在の情勢では考えられておらない。むしろ漸次縮小するような形のほうに向いて行くのではないかというよう考えられます。
  248. 松永義雄

    ○松永義雄君 ただ一点ですが、ちよつと伺いたい。もう一度、先ほど国際連合安全保障理事会の決議に基いた。こういうお話でしたが、安全保障理事会の決議に関して理事国ですか、出席者の満場一致できめたのですか。出席者は安全保障理事会の理事国全部でございますか、主な大圏ですか、出席しておられた……。
  249. 庄司宏

    説明員(庄司宏君) これは昭和二十五年の七月三十一日の決議でありますが、このときは全会一致を以てこの決議が通過しております。ただこの際ソビエト連邦は丁度その前の、その年の一月から七月中までは欠席しておりましたので、ソビエト連邦は加わつておりませんが、出席した全部の国はこれに賛成いたしております。
  250. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつと委員長にお尋ねしたいと思つておりますが、本法律案について、政府提案理由並びに質問は本日が初めてでございますが、質問等は外務大臣とか何か出て答弁せられてやつておるのですか。
  251. 中川以良

    委員長(中川以良君) 大臣はおりませんが、ほかの者が参りました。
  252. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大臣なり、或いは政務次官なりが来て、答弁になつておつたというなら、私は速記録を後で調べてもよいと思いますが、これは金額にしては今のお話の通り千八百万円だと思いますが、非常にこれは重大な問題だと思いますので、従いまして、私は今日お出でになつた、別に庄司さんでは資格がない云々というのではないのですが、外務省の政府委員、正式に任命しておる政府委員なり或いは外務大臣なりが参りまして、実は御質問申上げたいと思つたのですが、余りにその今日は急がれ過ぎるので、これを庄司事務官だけの見解を聞いてやるというのは、私は国会議員として思慮がなさ過ぎるのではないかと思うのです。従いまして少くとも外務大臣が都合が悪ければ、政務次官、そうでなければ正式に任命された政府委員の御出席を願いたいと思います。
  253. 中川以良

    委員長(中川以良君) 先刻来大臣或いは政府委員いずれか出席するように申入れをいたしましたが、もう間もなく参ると思いますが、菊川委員の仰せもございますので、この質疑は一応ここで一つ打切つておきまして、政府委員が来て又再開ということで如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 中川以良

    委員長(中川以良君) それではさように取計います。   ━━━━━━━━━━━━━
  255. 中川以良

    委員長(中川以良君) それでは次に、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑をお願いいたします。
  256. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 この法律を出さなかつた場合にはどうなりますか。
  257. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) この前御説明申上げましたように、これらの五会計に属する国家公務員につきましては、給与に関する何の法律規定も存在しないということになります。従いまして、造幣局特別会計に従事しておる職員の管理者たる人が給与を支給するについて、何らかの法律的な根拠を必要とするであろうという意味からこのような準則を定めなければならないという規定を設けようとしておるわけであります。
  258. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 給与準則そのものは、本来団体交渉の対象になるものである。そうすれば、それを団体交渉で管理者と組合との間にきめればいいものであるか。
  259. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 公共企業体等労働関係法によりますれば、給与の内容につきましては、団体交渉その他同法の定める手続によつて定まるということになると考えます。併し定まりましたその実体的な内容、給与の実体的な内容は、団体交渉等によつて定まつたにいたしましても、これを国家公務員に対して支給するにつきましては、政府内部の手続的なやはり規定が必要ではないか、そういう意味におきまして手続的な規定を特別会計のほうに設けようと、かようにしておるわけでございます。
  260. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そういう特別手続的なものであるならば、何も法律による授権がなくたつて一向に差支えない、こういうふうに考えられますが、どうですか。
  261. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 何らの法律規定もないということは、やはり規定として不備ではなかろうか。従いまして法律においてその手続をこういうことによつてやるのだというふうに規定いたしまして、やはり整備する必要があるというよう考えるわけであります。
  262. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 お聞きしますが、不備なと言われるが、本来こういうものが団体交渉に委ねられておる以上は、それによつてつて行くので、準則というものがそれによつて常に変つて行く本質的なものだというふうに考えられるのです。と同時に沿革的に見ても、日本鉄道特別会計法、日本専売特別会計法が最初できたときには、準則をきめろというふうな法律上の規定がなくて、むしろそれでおきめになるなら、私はもつと沿革的に見ても、そういう規定が最初にはなかつたと記憶しておるのですが、ありましたでしようか。
  263. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 公共企業体法の沿革的な点をちよつと私承知しておりませんですが……。
  264. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 最初の日本国有鉄道が公共企業体になりましたときの日本国有鉄道法、それから日本専売公社法というものの初めにはそういう規定がなかつたはずだと思います。その点のお調べはどうですか。
  265. 中川以良

    委員長(中川以良君) 今の答弁はどうですか。
  266. 松永義雄

    ○松永義雄君 ちよつとお尋ねしますが、給与準則を定める際に、民間従業員の給与を考慮すること等も当然のことでしようが、そのほかに特に生計費というものを考慮してという文字を加えて置いたほうがいいじやないかと思うのですが、どうですか。
  267. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 給与準則を定める場合におきまして、考慮すべき条件といたしましては、本法律案におきましては、一般職の職員の給与に関する法律、それから民間事業の従事員の給与、その他というように三条件を兼ねておるのでありまするが、生計費の問題につきましては、実は一般職の職員の給与の法律の中に、これは生計費その他を考慮して定めるというようにこの中に文句が謳われておりますので、従つて一般職の職員の給与に関する法律というものから見れば、その内容について入つておるものも当然考慮になるというというよう意味と、それからその他との事情という点において、そういつた事情も又考慮できるのではないかという点から特に揚げなかつたわけであります。
  268. 松永義雄

    ○松永義雄君 それからもう一点お尋ねしますが、当該年度の給与総額の範囲内で給与準則をまあ定めるということになるにしましても、経済事情の変動だとか、国営企業内の緊急、特別、その他予測のできない事態に応ずるために、国会議決を経た金額の範囲内で臨時に給与を支給する途を開いたほうがいいのではないかというのですが、それに対して御意見は……。
  269. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 御承知よう只今のお尋ねのような文句が実は電電公社のほうの中には挿入せられておるわけであります。併し国有鉄道法並びに日本専売公社法の中には挿入されておりません。従いまして公社法全体から見ましても、そういう点におきまして未だ法律ができていないという点が一点と、それから公社法と特別会計法とはやはりいささか趣きを異にするという点を考慮しなくてはならんのではなかろうか、特別会計には国の財政法並びに会計法の適用がありまして、これらにつきましては特に予備費を置くことができるということが憲法の根拠に基いて設けられておるわけでありますが、その予備費につきましては、特に国会の事後承諾というような要件も掲上せられまして、予備費の使用につきましては、制限的に現在考えられておるわけであります。お尋ねのような但し書は、給与に関しまして一種の予備費的な規定を設けるということになると考えるわけでありまして、給与のように非常に問題の多いものにつきましては、やはり具体的に国会の御審議を願つて、その議決に基いて支給をするということが権衡を保つ等、その他の見地から考えましても適当であろうかと考えまして、一定の範囲内で予備費的な支出を実施するということは適当ではないのではなかろうかというよう意味考えまして、そうして特に掲上しなかつたわけであります。
  270. 松永義雄

    ○松永義雄君 結論だけを申上げまして私の質問、意見を終りたいと思うのですが、私は大体この法案に賛成ですけれども只今も申上げたような修正をしたいのは本意でありますけれども、この際そうした修正は困難でありますから、一つ来年にでもなりましたら、そういう修正点を今後明らかにして頂きたいと希望する次第であります。最初から意見を述べてしまつたが……。
  271. 中川以良

    委員長(中川以良君) 他に御発言もないようでございますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
  272. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 ちよつと待つて下さい。私の御答弁がないのに勝手に質疑を打切られては困ると思いますが…。
  273. 中川以良

    委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  274. 中川以良

    委員長(中川以良君) 速記を始めて。それでは本法案の質疑は一応打切りまして、のちほど政府の答弁を聴取することにいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  275. 中川以良

    委員長(中川以良君) 次に租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題に供します。本件につきましては衆議院の修正がございましたので、衆議院の大蔵委員長よりこの修正につきまして説明を伺います。
  276. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) この修正案の内容は第三条の二、第一項の改正規定中、昭和二十七年十二月三十一日を二十八年三月三十一日に、同年四月一日を二十七年四月一日に改める。及び、修正案、お手許に参つておりますか。……それじや次読み上げます。第三条の第二項の改正に関する部分中「第五条第一項に規定する事業の用に直接供する工業所有権その他の技術に関する権利又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)で所得税法の施行地外において取得したもの」に、括弧の下に「一月一日」を「四月一日」に改める。誠にわかりにくく書いてありますが、要点を申上げますと、この政府提案の法律案規定は、この十二月三十一日までに外国技術の使用権の使用の契約成立した分については、租税協定の発効後六ヵ月までは免税すると、こういうのでありますが、そこで現に今外国商社とこの技術の使用について交渉中のもので、この十二月三十一日に交渉の妥結しない部分があり、せめて交渉中の分だけはこれは交渉妥結したならば免税措置をしてやりたい、こういうことで来年の三月三十一日まで三月間この期日を延長したならば、現在交渉中の分もこの免税規定を受ける、こういうことになろうと思いまするので、折角のこの規定でありますから、さようにいたしたならばよかろうと考えまして修正案を提出した次第であります。
  277. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御質疑をお願いします。
  278. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の衆議院の大蔵委員長の改正案なんですが、私も実は十二月三十一日という日を限定し、既得権を尊重するようなことは相当問題が起るだろうと、そういうことを質疑の過程において主計局長に話したのですが、衆議院の改正が三ヵ月延ばされたということは、その意味においては私の危惧しておつたところに副われたわけですが、その趣旨を敷衍して行くと交渉中のものはそうだが、併し日米租税協定すらまだできないので、今後各国と技術契約をやつておりますが、その各国と一々二重課税防止を排除する特例を結ぶには相当の年限がかかるわけです。その間において今衆議院側の修正される意図を貫くとすれば、何もこういつた何日現在までに云々という契約が成立したものというような観念でなしに、協定当該国との間にそういつた二重課税防止の条約が締結後六ヵ月とこうなつておるのですから、その間のものには適用するという広い観念ではいけないのですか。
  279. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その問題は大問題でありまするが、お答え申上げますが、ここに特例を設けましたのは、今お話のすでに締結済みのものと申しますか、つまり今年から新らしくこのような課税を始めたわけでございますが、今までのものにつきましては、税金が日本でかかる場合は日本側の負担にすると、こういう条項が入つておるのがございまして、従いましてこれは二重課税の条約等が結ばれまするとその関係がはつきりしまするので、その際には契約の更改等ができ得るのではないか。それまでは暫く待つておこう、こういう筋合いのものでございます。従いまして今後結びますものにつきましては、最初から契約を結びます際におきましてそのような条項を入れないようにして頂くということになりますれば、事実上うまく動きますので私どもとしましては考慮する必要がないのではないか。まあ実際問題としましては場合によりますとなかなかそう行かん場合もあると思いますが、併し政府建前といたしましてはすでに今まであるものにつきまして救済をすれば無理がなくなるということでいいのじやないか、こういう考え方でございます。従いまして今年四月から一応課税することといたしましたが、条約等の関係がありましたので今年一ぱいはとにかく課税しないでおくと、この前は非常に荒つぼいやり方で実は課税しない規定を設けておる、それが十二月三十一日に来るわけであります。併し現行法の下におきましても来年の一月一日以後はかかるぞと、而もそれはもう半年前に予告期間をおいてあるわけでございます。従つてその後に結ぶものにつきましては今までの筋途から見ますと考慮するのはどうであるか、考慮すればお話のように又その後のものをどうするかというようなことに関連して余りけじめが付かないのじやないかと理論的には私ども考えたわけでございます。ただ併し衆議院の修正は今お話中のもので、救われるか、救われないか境目ができておるのはどうも気の毒だ、やはり三ヵ月延ばしてやりたい。少くともそういうものを救済する意味でやつたらどうか。こういうことでございますれば、これは一つ考え方であろうかと思いますが、従いまして私どもこの衆議院の修正に強いて無理に反対をするものではないのでございますが、私ども考えました筋は今申上げました筋途で考えております。併しこれは余りやはり無制限に野放図に延ばすことは考えものじやないかと考えております。
  280. 小林政夫

    ○小林政夫君 平田さんの御趣意はよくわかつておりますが、そうすると衆議院側では現在交渉中だと、こういう案件が具体的にはつきりわかつておるわけですか。
  281. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) たしか現在交渉中の案件は四つばかりあるよう承知しております。
  282. 小林政夫

    ○小林政夫君 それがはつきりこれとこれということがわかつておらないと、どうもやはり又来年の三月三十一日に行くと不公平なことが起つて来るということになりますから、具体的につかんでおれば結構ですが、あなたのほうと主税局のほうと一緒にわかつておりますか、平田さんどうですか。
  283. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 私どもそういう話を法律を作ります際に聞いたのでありますが、政府はこれをきめておかないとけじめが困難であろうという考えで、実は原案を作成したわけでありますが、併し今話中のものはせめていろいろの関係で若干遅れたために、現行法にありますような関係に行かなかつたというようなことになりますれば、これを考えるというのをむげに強く反対するほどのことでもない、こういう意味で、できれば契約の際に日本側で日本の税金を負担するというようなことは避けてもらいたいということでやつて頂きたい。又今年もすでに四月以来大分結んでおりまして、そういうものも中にはあるようでございます。今後としましてもできるのではないか。併しここでやります場合におきましてうまく成功したやつだけ課税して、成功しないでやはり日本の業者側の負担にするということにしたやつを救つてやる。これは如何にも不公平でございますので、やはり一定の期限をきめ、すでに締結されておるというものを基準にして一律に同じ扱いにしたほうがいい、こういう考えをとつております。従いまして今の衆議院の修正に対しましては今申上げましたように私ども強く反対するものではないが、これ以上延ばすことにつきましては、これは反対申上げるわけであります。
  284. 中川以良

    委員長(中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  285. 中川以良

    委員長(中川以良君) 速記をつけて下さい。本案の質疑は一先ず打切つておきまして、後刻続けて行うことにいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  286. 中川以良

    委員長(中川以良君) 次に国際連合の決議に基く民生事業のため必要な物品無償譲渡に関する法律につきまして御質疑をお願いいたします。
  287. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 本法案は条文そのものは非常に簡潔でございまして、わかりやすく、趣旨もよくわかるのでございますが、併し国際的な反響ということについて相当慎重に考慮しなければならん。これが遠いスイスであるとか或いは南米の奥のようなところの問題とは違いまして、目と鼻の先で而も戦禍の真只中にある。もう何んと申しますか、今の二つの勢力が揉み合つておる。そこに向つて日本国の名で以て難民救済というものをやるのでございますからして心理的影響というものは極めて大きいと思います。従いまして今日は一つこれは直接これの担当者である外務大臣に御出席願いまして御答弁を是非お願いしたいと思います。本委員会として外務大臣の御出席は今までちつともなかつたので、今日は外務大臣の出席を要求して、さもなくば政務次官、それでなければ政府委員、こういつたところにおいでを願つたところ、幸い伊關さんがおいでになつたのですが、外務大臣が御出席になれない理由一つ説明願いたいと思います。なお大体この委員会では主としてこれは参議院として申合せをしておるのでございますが、大臣が出席して答弁に当る、重要な問題については……。而もそれが出席されないときには緊急質問として本会議で堂々とやる、これはもう一貫してそうして院の何を保とう。ところが僕は今見えました庄司さんをとやかく申上げるのではなく、これは外務省の官吏として優秀なかたですが、やはり責任というものがある。国会へ来て若いかたは御質問申上げてよくおわかりになつているかも知れないけれども、肝心なところになりますと、責任を以て御答弁願えないと思うのですが、一体外務省がこういう法案を出されて今審議されておるのに、而も又他の委員会で呼ばれていると言つてせかれる理由は一体どういうふうに考えておられるか、一つ伊關さん御答弁願いたいと思います。
  288. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 大臣が出て参りません理由は、私大臣に会つておりませんのでお答えできませんですが、事務官を出しました点は誠に申訳ないと存じますが、たまたま主管の課長が、これは非常に専門家なのでございますけれども、たまたまこれが病気で休んでおります。その下の事務官はおります。私は鹿地問題で法務委員会のほうで私を是非と申しますので、私があの事件につきましては私だけでやつておりまして、代りの者がおりませんでしたので、あちらのほうに廻つております。誠に申訳ないと思います。
  289. 中川以良

    委員長(中川以良君) 菊川君に申上げます。委員長といたしましても外務大臣の出席を強く要求をいたしておりますが、只今丁度本院の外務委員会に出席中でございまして、どうしても行けないような状態にございますので、一応御報告を申上げておきます。
  290. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは政務次官はどうですか。
  291. 中川以良

    委員長(中川以良君) 政務次官も只今外務委員会のほうに出席をいたしておるようであります。
  292. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 非常に固苦しいことを申上げるようでございますけれども、私は議院運営委員会で、あなたもときどき傍聴せられたが、緊急質問が問題になつたときも、各委員会において十分論議をしてもらいたい。その代りに政府のほうでも常任委員会尊重主義で、従つてできるだけ出席してその質問に応じますから、これは与党である自由党としても責任を持つてやるから、こういうことで我々もそれでそれでは協力しよう、そういうことでしたが、今お聞きしましたところが、この法律案については一回もまだ大臣が来て説明していない。これは私先ほども申上げましたように、そういう意味から極めて案件としてはわかり易い。技術的な質問よりも政治的な質問が私は多いのじやないかと思います。従いまして今日は折角伊關さんがおいでになつて下さいましたから、伊關さんに御質問申上げますけれども、改めて私は大臣なり政務次官が御出席になることを一つ是非お諮り願いたいと思いますが、あとで……。伊關さんよくおわかりと思いますから、伊關さんにお聞きする点だけをお聞きします。
  293. 中川以良

    委員長(中川以良君) よくわかりました。
  294. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつと一番一問題点はこれは送られる品物が一体どういう名前で以て、日本国とこういう名前で以て送られるのか、それとも国際連合へ一旦供出してそれを国際連合として出すようになるのでありますか、その点についてお伺いいたします。
  295. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 国際連合の名において行うわけであります。
  296. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に公的機関が国際連合の決議に基いて実施するというわけでありますが、この公的機関というのは一体どういうのを指して言つているのでございますか。将来いろいろ、一つですか、幾つもあるのでございますか、その点について……。
  297. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 只今私のほうで考えておりますのは、ユニセフと朝鮮救済委員会、この二つの委員会です、将来殖えることもございますが
  298. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 よくわからんのでございますが、ユニセフというのはどういうものでございますか。
  299. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) ユニセフと申しますのは国際児童緊急救済済金です。
  300. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つは。
  301. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) もう一つは朝鮮再建……朝鮮救済委員会
  302. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その朝鮮救済委員会というのは、これは南鮮も北鮮も含める……、そういうことは問わないでただ救済するという趣旨なつておるのでございますか。
  303. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 只今のところは南鮮だけになつておりますけれども、それは南鮮に限つておるわけではございませんので、将来休戦が行われますと北鮮のほうにも及んで行こうと思いますが、現在は事実問題としてそこまで手が伸びておらん、まあ行けないということになるかと思います。
  304. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それじや思想関係によつてつているのじやなしに、戦争中であるから不可能なるためにやれないのであつて、その目的とするところは、両方の難民を救済したいというのが目的で設置せられておるのでございますか。
  305. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) その通りでございます。
  306. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これが向うの直接難民なり或いは児童なりに渡りまする場合には当然どこから送られたものであるか、どこの国から来たものであるかということはちやんとわかるようなつておるのでございますか。
  307. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) その点の明示は希望すれば、どこの国から来たということを付けることができるそうであります。ただ普通は国際連合の名において出るわけであります。多くの国が出しておりますから、皆それが混つております。
  308. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 将来の問題としてでございますけれども、決議に基いてというのですが、この国際連合の決議というのは、将来総会で決議した場合も、或いは安全保障理事会でやつた場合もすべてこれは決議という意味ですか、国際連合の決議というのは私は国際連合の総会の決議ですか、それから例の拒否権、日本が入れてもらえない拒否権、ああいうのとどういう関係があるのか。拒否権があつた場合にはどういうことになるのか。例えば南鮮のほうを救済しようと思つたつて、ソヴイエトが拒否権を発動したら恐らくやれないと思うのですが、それはどういうふうになつているか。
  309. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 主として国際連合総会の決議に基くものが多いのであります。ほかの委員会の決議でもかまわない。それから拒否権が発動しますと、これは決議が成立いたしません。
  310. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、今回具体的にこの法律を定めなければならんようになつた理由としまして、いつどういう会議におきまして、どういう決議がなされたのでございますか。
  311. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 朝鮮のほうは昭和二十五年の七月三十一日、安全保障理事会の決議に基いてきめられたのであります。
  312. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どういう決議になつているのですか、決議文は。
  313. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) ユニセフのほうは昭和二十四年十二月一日の総会の決議でございます。決議文はちよつと今ここに持合せておりません。
  314. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 提出を願えませんか。こんな法律を出すときに、その資料を出さんというのは私はおかしいと思うのですが、それから今二十四年、或いは二十五年に出されたのは、恐らく講和条約の発効に伴つて講和条約の定めるところによつて新たに日本を出そう、こういうふうにしていると思うのですが、今のお話ですと、もう具体的にやる場合には、金で全部を出してしまうのでありますか。これで見ますというと、物品無償譲渡ということになつておりますが、二十四年から二十五年という決議でございましたら、殆んど継続的に今後ずつと毎年々々やつて行くものであるか、半期々々にやつて行くものであるか。別にこれでは金額はどれだけにするということは制限はしておりませんので、恐らくこれはあとで予算で以てどんどん承認されて行くことになるだろうと思いますが、ただ譲ることができるというふうに法律できめておりまして、あとは予算できめるのだと思います。そこで申上げたいのは、第一は二十四年なり二十流年におきまして、よそはどんどん出してしまつているということになりますと、今後これをして行くのに日本で品物を作つてメイド・イン・ジヤパンという印の付いたものが現地に渡る、こういうことになるのですか。
  315. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) それは物でも金でもいいのですが、国連のほうではむしろ物を希望いたしております。我々といたしましてもドルで出すよりも物に代るほうがいいと、こういうふうに考えております。物を以て出そうということでありますが、それから将来続くかという点でありますが、これは私は続いて行くというふうに考えております。朝鮮の場合には朝鮮の戦場にも及びますが、併し毎年一回ずつ各国はこういうふうなものを出すことを希望いたしております。
  316. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今まではまだ現品がこの予算が通るまでは出しておらないのだ。今後現品を出すにいたしましたらばこれは日本で品物を調達して、それを国際連合の手を通じてこの南鮮へ送り込む、こういうことになるのですか。
  317. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 日本で買いましてそれを国際連合の機関に無償譲渡する、向うの機関の名において向うの機関が渡す。
  318. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にお尋ねをしたいのでございますが、今回少くともこれによつて渡そうとしているものは一千八百万円ぐらいだという、こういう庄司さんの御説明でございましたが、それによりますと主としてどういう品物を買つて、どこへこれが行渡るということになるかということについては、日本がそれによつてつた品物は先ほど木村さんも質問しておられましたが、今のところはどうも南鮮のほうへ行くことになるだろう。その結果見方によりましては、北鮮系から見まするならば、どうも日本が南鮮のほうに加担をして、而もその結果南鮮軍を勇気ずけて北鮮を叩こうとしているのじやないかというような印象を与えて、この戦争に介入するというような結果になる虞れがあるのじやないかと思うのでございますが、その点については全然そういう虞れはないと考えておられますか。
  319. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 品物のリストがございまして、その中から日本が選択できることになつておりますが、まあ向うの希望もございましよう。将来この法律通りまして予算がきまりましたならば、相談しながら、成るべく日本の希望する物をこのリストの中から選んで出すということになると思います。  それから南鮮、北鮮の関係でございますが、これは戦争に介入するというふうには考えておりません。これは専ら人道主義的な事業である。こういうふうに考えております。
  320. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これと直接昔からある赤十字との関連でございますけれども、赤十字のほうを通じてやるというほうがどうもいいような、昔から長い間歴史を持つておるために、赤十字を通じてやるのが一番当らず触らずでいいと思うのでございますが、これはどうしても外交政策上やらなければならぬものでございますか。それともこれを若しも、今のところとしてはこれを実現するには余りに近くて、曾ての同胞が血みどろの戦いをしている、どうもどちらかへ片寄るということで苦しいから、赤十字のほうへ渡すということにして、実質上は赤十字へ渡して、向うへ行くというような方法をとれないものかどうか。
  321. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) これは国連のほうで、特にこういう機関を作つてやるということになつておりまして、又各国がそれに協力いたしております。日本が今出そうと考えております額は非常に僅少な額でありまして、まあ国際間のお付合いとしましても、どうしてもそのくらいのものは独立国ともなつた手前、出さなければなるまいというふうな額を考えております。ですから赤十字の事業と申しますよりは、国際連合がこういう機関を作つてやる、そうして協力を求められまして、各国が協力いたしております関係で、出すということになつております。
  322. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これに対して各国の協力模様でございますが、うちは千八百万円出すということになつているのですが、大体千八百万円とはじき出すに当つての、隣近所の付合いということを先ほど庄司さんが、お祭りの金の氏子としての出し合いのようなものである、こういう御説明でありましたが、これによりましても氏子が金を出すにいたしましても、家の格に応じて出しておるわけでありますが、これを千八百万円に算定されましたイギリスアメリカ、或いはインドであるとかパキスタンであるとか、こういうような諸国との関連を一つ説明願いたいと思います。
  323. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 例えばアメリカの場合は一億六千八百万ドルアメリカは出しております。民間のほうからは七百八十万ドル出しております。英国の場合が約百十万ドルでございます。タイが四百三十万ドル出しております。フイリピンが二百万ドル、パキスタンが三十七万九千ドルになつております。ウルガイが一万ドル、ペルーが一万五千ドル、アルゼンチンが五十万ドル、オーストラリアが三十七万ドル、ベルギーが六万ドル、ブラジルが二百七十万ドル、こういうふうにたくさん数字が出ております。
  324. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大体わかりましたが、そうすると国連加盟国は全部出していることになつて、漏れているところはないのでございますか。
  325. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) ソ連圏のほうは出しておりませんが、ソ連圏以外の国が約四十カ国出しております。
  326. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは将来、これは相当長く、仮に休戦会談がうまく運びまして、こういう線が実現いたしましたとしても、相当長い間朝鮮戦争で傷めつけられたために、立ち上るまでには相当期間を要すると思うのであります。或いは建築資材等につきましても出したほうがいいというようなことにもなつて来ると思うのでありますが、今後この法律によつて、まあまあ政府は隣り近所の付合いと睨み合して、そうして予算を組んで出して行く、こういうふうなおつもりでございますか。
  327. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 外務省といたしましては、恐らく毎年々々要求いたすことになろうと思います。こうした規定がございますから……。
  328. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今言われました二つの機関につきましては、これは政府が直接、政府といいますか国が、これは政府なつておりますが、政府の名前で出す場合と、それから民間から一般に募集をする法と二つ、今でもアメリカでは民間も出すということでありますが、今までの日本では、民間にこれが出し方をやられたことがあるか、将来もやるつもりであるか。
  329. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) ユニセフのほうは共同募金で二度一万ドルずつ出しております。そういう例はございます。今後ともそれを続けるだろうと思つております。
  330. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、南鮮のほうの難民にこういう物資を将来毎年送るということにつきましては、僕らも南鮮、北鮮を問わず、困つておる隣りの人に品物を多少でも送るというその趣旨については決して反対するものではないのでございますが、要するに日本の今置かれている立場というのは微妙なものがありまして、というのは賠償問題がまだ全然解決してないので、賠償をほうぼうから吹つかけられておるのでございますが、その賠償というのはお前のほうはそういう慈善事業にまで金を出す力がついて来たのだから賠償のほうをと、こういうふうな関連があるんじやないかということもあるのでございますが、その点についてはこれは普通の民間で、庄司さんが一般の家庭生活を例に引いて言われましたので、私も家庭生活を例に引いてお尋ねするのでございますが、寄附を出せるような力があつたら借金を返せというのはこれはもう昔からの常例なんでございまして、寄附ができるような力がありながら借金を返さないというのは、どうもその町内では通りが悪い、お祭の醵出にいたしましても……。従いましてこういうものは非常に影響するところがないかどうか。特にフイリピンだとかそれからその他の国の出し方と比べまして、大体俺の所と同じようなつき合いができるのじやないかというようなことにもなると思いますが、その点どうですか。
  331. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) この点は国連側からこういう寄附をしてくれんかという交渉がございますときにいつでも問題になるのでありまして、日本はほかにもいろいろ賠償その他の問題があるので、大きな額は出せない。ですから結局非常に金額は少くなるわけでありまして、特にフイリピンと賠償問題が一番尖鋭化しておりますので、この朝鮮救済の問題で交渉がありましたときも、フイリピンの感情はどうだというふうな点も随分懸念いたしまして、国連側とも交渉いたしまして、フイリピンはこの事業には非常に大きな寄与をいたしておりまして、日本がこの程度出したということによつて賠償はどうだというふうな意思はフイリピン側には全然なかつた。むしろこれくらいのことは、フイリピンはこの事業に非常に協力しておりますので、出したほうがいいんじやないかというふうな、大所高所からいたしたのであります。
  332. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これと直接関連するかどうかわかりませんけれども、フイリピンにおけるモンテンルパですか、あそこの監獄に戦犯を繋いでいるのも、日本が賠償を果さんからその人質的な意味を含んでおるというふうなことまで言われておる。ところが内地におきましては戦犯を早く返してもらいたいという家族の要求も強いし、又今月号の文芸春秋に発表されておりました巣鴨に拘置されておる死刑囚の手記ですか、日記というようなもの、あれはまあどの程度あの人の本当の何かどうかわかりませんが、少くとも文芸春秋に発表されているのですから、まさか偽筆でもなかろうと思うのですが、ああいうようなものを読んでみましたときに誠にどうも日本人として情ない何があると思うのですが、国連が言うて来たからすぐこういうのにも応ずるのも結構でございますが、こういうことに応ずることによつてああいう悲しいひどい目に会つている人たちが一日も早く自由に釈放されるということについて効果はあるものかどうか。そういうものについてどういうふうに響いて来るかということを一つ説明願いたいと思います。
  333. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 直接にこれに寄附いたしますことによつて戦犯の扱いが変るかどうか、こういうことになりますと、私も何とも申上げようがないのでございますが、ただやはり国際社会におきまして日本は新らしい日本なつてこうした人道的な仕事にも協力する、今までの日本とは変つて来たという印象を与えますことは、全般的に考えていい結果が来るだろうと、こう考えております。
  334. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最後に、今度ソビエトのこちらにおる連中には帰つて行けということに政府が、申入れをするということが新聞に載りました。一方におきましてソビエトについてはそういう態度をとり、又一方今度は如何に国際連合の決議に基いてこれは出すということになりましても、実際的には今の場合ソビエトとしては好ましくないほうへ品物が流れる。こういうことになつて、だんだんと離れて行く結果になるのでございますが、日本政府としては今の外交方針は飽くまでもそういう方針で進んで行こう、こういう考え方の上に立つてこういうのにはまあ及ばずながら隣り近所から考え一つ恥かしくない程度は醵出しようというのでこれは出すことになつたのですか。そういうところまで深く考えずにただ向うから言つて来たから出すのだ、こういうわけで出すのですか。これを私申上げるのはなぜそういうことを言うかというと、朝鮮が北と南に分れておるのは、曾ては両方とも同じ日本人だつた、それが目と鼻の先で戦争している。而も日本から今出す品物は、仮に国連の手を通じたとしましても、いずれも日本政府ということはちやんと銘打つて出て行くことになるだろう、日本から送られた品物だということ、又それは公表されるだろう、そうして向う側にすぐ知れてしまう。盛んにそういうことでやつておるということになりますると、やつておる当事者の身になつてみますると、非常に何か割切れないものがあるだろう。こういう点から将来どういうきつかけで南北朝鮮の問題が解決されるにいたしたとしましても、日本がこの渦の中に捲き込まれて却つて非常に危険な状態になる、こういう心配は全然なしにやられるものであるかどうか。これを一つ一番心配になる点をお伺いしたいと思います。
  335. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 私はこのことによつて只今ような御心配はあるとは私はそれほど懸念いたしません。と申しますのは、日本は国連軍に対しましてはもつとずつと大きなはつきりした協力をいたしております。現に朝鮮で作戦いたしております国連軍に日本から兵站補給などもいたしております。戦争そのものに非常に大きな協力をいたしております。この問題はそれと比べましたら、殆んど注意を惹かないのじやないか、こういうふうに考えております。
  336. 中川以良

    委員長(中川以良君) ほかにございませんか。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  337. 中川以良

    委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。  お諮りを申上げます。只今聞きまするところによると、道路整備費の財源等に関する臨時措置法案が衆議院で提出されまして、これが衆議院を通過をいたし、参議院に送付して参つたとのことであります。本案につきましては衆議院においては建設委員会に付託してこれを審議いたしたのでありまするが、このガソリン税に関係を持つたところの法案は、当然大蔵委員会において審議すべきものと考えられますので、本院においては大蔵委員会にこれを付託するように、大蔵委員会の総意として申込みたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  338. 中川以良

    委員長(中川以良君) それではさように決定し、早速委員長はさよう手続をとることにいたします。    〔委員長退席、理事大矢半次郎君   委員長席に着く〕
  339. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  340. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 速記を始めて。  国際連合の決議に基く民生事業のため必要な物品無償譲渡に関する法律案はこれにて中止いたしまして、次に租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑を願います。(「質疑打切り」と呼ぶ者あり)  別に御発言もないようでありますので、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  341. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。  別に御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  342. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。租税特別措置法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  343. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は衆議院送付通り可決すベきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、あらかじめ御承認を願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  344. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それから本院規則第七十二条により委員長が議院に提出する報告書に付する多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     伊藤 保平  菊川 孝夫     森 八三一  木内 四郎     小林 政夫  黒田 英雄     松永 義雄  岡崎 真一     西川甚五郎  堀木 鎌三   ━━━━━━━━━━━━━
  345. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 次に造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑を願います。
  346. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 先ほどのお尋ねに関しまして、御答弁いたします。日本国有鉄道法につきましては、同法は昭和二十四年の四月一日から施行になつておるのでありますが、その当時においてはお説の通り只今提案いたしておりまするよう規定は存在しなかつたのであります。同年の十二月八日に同様の規定が挿入になつております。従いまして現行法といたしましては公社法を通じていずれにも同様の規定が存在いたしますので、従つて特別会計法もこれにならつて規定を挿入したと、こういうことに相成つておるわけであります。
  347. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつと一言だけ…。この法案が衆議院を通過するに当りまして各派大体賛成して通つたように聞いておるのですが、その際に政府側として責任ある答弁として先ほど松永委員から質問いたしました点について、電通公社法の中には「経済事情の変動その他予測することのできない」云々という表現がある。国鉄にも専売にもない。ところが今度この団体交渉をやつて今までにその公務員法によつて制限を受けておつたそれぞれ現業官庁におきましては一月一日から公共企業体等労働関係法の効力の発生によりまして団体交渉権を賦与される、こういうことになつてその処置としてこれは改正がなされたと思うんです。そうしますと或る程度団体交渉をやつたら幅を持たしておきませんと、午前中の裁定問題に対する論議の過程に対してももう予算ですべて引括めてしまつて、どんな場合にも一々国会でやらなければならんということになりますと、開会中であつたら又別でございますが、而も一事不再議というよう国会の原則もありまして、なかなかむずかしい点が多いと思いますので、その意味から電通公社法に定められてあると同じような例で以て、これらの造幣局の特別会計法以下の各法律の改正案については更に政府では十分検討して、そうして今私が申上げましたよう趣旨の改正案を再開明けの国会提出をする用意があるということを言明して、それに衆議院の各常任委員会においても了解を得て、一月一日から効力を発生させる。ところが今これは衆議院がそういうことを了解して通したのでありますが、ここで参議院で修正するということになりまして、両院協議会等でやつてもなかなか一月一日からの効力発生も明日一日だけしか殆んど本会議も開かれないような情勢でありますので困難だと思います。我々は修正を考えるのでありますが、これは衆議院と十分連絡をとつてやりませんと、両院協議会になつてそれが明日中に議決されないということになりますと、一月一日ですから困りますので、衆議院において言明されたようなことを我々も信頼して一応原案通り通すことにいたしたい、こういうふうに考えるわけでありますが、その言明をしたのであるかどうか、そういうことをあなた承知しているかどうか。この点を一つお伺いしたいと思います。
  348. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 衆議院におきましては私の発言といたしましては、何の言明もしなかつたのであります。ただ討論の節にそういう意味の討論が行われたことを承知しております。で、本問題につきましては公社法の三法律につきまして現在お説のように統一されておりませんので、公社法を統一的に整備する必要があるということを考えまして、休会明けに、来年になりましてこの点について統一的な規定を提案いたしたいというよう考えております。従いまして特別会計法につきましても、それと関連いたしましてどのようにするか検討の上措置いたしたい、かよう考えておるわけであります。なお、本法におきましてこのような但書を設けなかつた理由は、只今申したよう公社法自体がまだ統一されていない、従つて憲法上考慮を要するという点、そういうた点を考慮して、予算上の処置が何らなされておりませんので、法律だけこのよう規定を設けることは、予算との統一も保たれないというような見地から、但書は挿入しなかつたわけであります。
  349. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、それらの点を十分考慮しまして、そうして更に政府提案として公社法との関連を考えて、団体交渉権の賦与に伴う何らかの処置については、十分検討して、休会明けには提案することにいたしたい。こういう政府としてはお考えでございますか。一応これは政府として、一法規課長意見ではなしに、一応政府としてそういうふうにやるように、大体まあ思想統一と申しますか、意見統一ができておるのかどうか、その点を……。
  350. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 公社法との関連をもよく検討いたしまして、検討の結果、何らかの措置をいたしたいというよう考えております。
  351. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  352. 大矢半次郎

    理事大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明かにしてお述べを願います。
  353. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は本案に反対するものであります。実はこの規定は、率直に申して日本国有鉄道法、日本専売公社法等に類似の規定があるのでありまするから、新たに公共企業体等労働関係法に、国の経営しております企業について、これらの事業が入つたからといつて、強いて反対すべきものでないというふうに考えられることは、これは一つ考え方であります。併し今質疑を通じても明かになりましたように、率直に申して、この規定は沿革的に見ますと、実は日本国有鉄道法においても日本専売公社法におきましても初めはなかつた規定であります。と申すのは、公共企業体の労使の関係は、団体交渉を待つて規制さるべきものであるというのが法の本旨であります。然るに沿革から見ますと、これが仲裁々定が出ましたときに、公労法の十六条の予算上、資金上の問題となりまして挿入された沿革的なものがあります。それは裁定に対して強いて十六条の規定を適用しようとする政府の意図から挿入されて参つたものであります。それは公労法を作る本旨から見れば、全く違つた方向に行つておる。然るにそれができ上りまして、今申上げたように沿革的にはそういう事情にあり、そうして事実こういう規定が挿入される根本の問題はどこにあるかと申しますと、予算総則で実は縛りたいということが基本になつておる。先ほどの、管理者側に法律によつて給与準則をきめろということを、法律できめてやらなければならないという理由一つもないので、この法規の義務がありますれば、予算総則できめてあるところの給与準則による団体交渉を骨抜きにしよう、率直に言えば、これによつて公社の経営者が団体交渉能力をなくなしちまうという重大なる結果を含んでおるものであります。この規定がなくとも何ら支障のないことは、これはもう沿革的にも了承できるし、法の本旨からもそうであるべきである。    〔理事大矢半次郎君退席、委員長   着席〕  私が特に反対するのは、今度労働法が改正になりまして、公共企業体等労働関係法に、国の経営する企業については、新らしく民主的な方向に行くんだと言つて、これらの事業が加えられた。その際に、本来そういう方向に全部直すべきものであつて、従来、当初あつたが、爾後労働者の団体交渉を骨抜きにしようという規定があつたのを、今度新らしく公共事業について起つたのについて、同じように右に傚へということは、私どもとしては賛成いたしかねる次第であります。この問題について理由を述べますれば、実は私どもとしてはきりがないほど理由がございますが、併し時間も迫つていて、もう賢明なる委員の諸君は、強いてここで私がいろんなことを申述べなくとも御承知だと思う。従いまして私はこういう経営者側、管理者側に関して団体交渉能力をなくしちまうような法規の制定に対しましては、反対の意思を表明する者であります。
  354. 中川以良

    委員長(中川以良君) 他に御発言ございませんか。
  355. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私は本法律案に、一応先ほどの質問に答えられました政府の答弁を参酌いたしまして、当面賛成いたしたいと思います。というのは、我我といたしましても堀木委員が指摘されましたごとく、これは団体交渉能力を予算総則で以て抑えてしまおう、こういう意図で設けられた法律案だと思います。併しながら休会明けの国会におきまして、公社法との関係と睨み合せて、政府のほうでは経済事情の変動その他予測することができない事態に応ずる必要があつて国会議決を経た金額の範囲内で臨時に給与を支給する場合においてはこの限りでないというよう趣旨、即ち電電公社のほうに定められてある規定精神をこれに盛つて、更に改正案を提案する用意がある、必ずやるということを言明されましたので、若しもそれが休会明けに提案されないとするならば、これは議員提案ででも出して我々は修正する必要はあると思いますが、もう明日から一応当分の間本会議も開かれないような申合せが大体できたようでありますので、今これをここで修正案を仮にこしらえて衆議院に送りましても、一月一日からの団体交渉の効力発生と間に合わないというような結果になつても困ると思いますので、先ほど申上げました休会明けには速かに政府が、政府提案として改正案を出すものであるという了解の下に、本法律案に賛成いたしたいと思います。
  356. 松永義雄

    ○松永義雄君 私も本案に対して賛成する者であります。先ほど希望並に早まつた意見を申しましたけれども、その趣旨によつて但書付きで賛成いたします。
  357. 中川以良

    委員長(中川以良君) 別に御発言もないようでありまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  358. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案を、衆議院送付通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  359. 中川以良

    委員長(中川以良君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は先例により、委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  360. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから多数意見書の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     伊藤 保平  松永 義雄     西川甚五郎  大矢半次郎     黒田 英雄  菊川 孝夫     森 八三一  木内 四郎     小林 政夫  岡崎 真一   ━━━━━━━━━━━━━
  361. 中川以良

    委員長(中川以良君) 次回は明日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後六時十一分散会