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1952-12-15 第15回国会 参議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十五日(月曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君    委員            黒川 英雄君            西川甚五郎君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            森 八三一君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主計局法    規課長     白石 正雄君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    国税庁長官   高橋  衛君    水産庁長官   塩見友之助君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局税    制第一課長   泉 美之松君    大蔵省主税局税    制第二課長   塩崎  潤君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国有鉄道に対する政府貸付金の  償還期限延期に関する法律案(内  閣送付) ○中小漁業融資保証保険特別会計法案  (内閣送付) ○造幣局特別会計法等の一部を改正す  る法律案内閣嘩付) ○連合委員会開会の件 ○派遣議員報告駐留軍納付写真機物品税に関する  件 ○小委員補欠選任の件   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より委員会開会いたします。本日は日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律案並びに中小漁業融資保証保険特別会計法案及び造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案議題に供します。先ず政府側より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今議題となりました日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律案について、提案理由を御説明申上げます。  政府は、昭和二十五年三月三十日におきまして、日本国有鉄道に対して収入財源の不足を補うため三十億五千二百三十六万三千円を貸付金として貸し付けたのでありますが、その償還期限につきましては、当初昭和二十八年三月一日と定められていたのでありますが、その後の日本国有鉄道財政状況より見ますと、これを、当初の償還期限までに回収し得る見込が立たないこととなりましたので、その償還期限昭和三十一年三月一日まで延期しようとするものであります。  第二に、中小漁業融資保証保険特別会計法案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  今回、政府は、中小漁業者漁業経営に必要な資金融通を円滑にするため、中小漁業者金融機関から貸付をうける場合において漁業信用基金協会がその債務保証し、且つ、その保証債務について政府保険を行う制度を確立することを目的といたしまして、別途、今国会中小漁業融資保証法案提出いたしまして御審議を願つているのでありますが、この中小漁業融資保証法を実施することとなる場合には、保険経理状況を明確にするため一般会計と区分して新たに中小漁業融資保証保険特別会計を設けることが適当と考え、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律条の内容概略について申上げますと、この会計におきましては、一般会計からの繰入金に相当する金額を以てその基金とし、保険料政府保険金の支払により漁業信用基金協会に代位した求償権に基く回収金一般会計からの繰入金及び附属雑収入等をもつて歳入とし、保険金委託業務についての委託手数料過誤納保険料返還金事務取扱費その他の諸費を以て歳出とすることとし、その他、この会計予算及び決算作成並びにその提出に関する手続等特別会計に必要な事項規定しようとするものであります。  第三に、造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案提出理由を御説明申上げます。  第十三回国会において公共企業体等労働関係法改正され、国の経営する造幣印刷その他の企業についても、政令の定める日の翌日以降同法が適用されることになりますが、その結果これらの企業に従事する一般職職員については、国家公務員法の大部分規定一般職職員給与に関する法律規定等適用が排除されることとなり、給与支給に関する法律規定を欠くことになりますので、これらの職員に対する給与支給について、各特別会計法の一部を改正して所要の規定を設けようとするものであります。  即ち、造幣局印刷局国有林野事業アルコール専売事業及び郵政事業の各特別会計におきましては、これらの特別会計を管理する各省大臣又はその委任を受けた特定の機関が、当該企業に従事する職員に対して給与支給するために、給与準則を定めることとし、この場合においては一般職職員給与に関する法律適用を受ける職員給与民間事業従業員給与その他の事情を考慮するとともに、特に行政機関職員定員法に定められる常勤の職員給与準則については、予算に定められる給与総額を超えないように定めなければならないこととしようとするものであります。  なにとぞ御審議の上、速やかに御賛成下さるよう御願いいたします。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは中小漁業融資保証法案内容についての説明を聴取いたします。
  5. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 中小漁業融資保証法案内容について御説明申上げます。  国民食糧のうちで蛋白質の給源としまして、漁業が戎が国の産業中重要な地位を占めていることは、今夏申上げるまでもございません。この漁業のうちで水揚高におい三二分の二くらいを占めておりまするし、又漁業経営体中九割を占めておるところの中小漁業につきましては、漁業の豊凶が天然現象に左右され勝ちであることと、その経営零細性のために、従来からその金融難が叫ばれて参つておるのでございますが、これは各位の十分御承知のところでございます。  そこで、この中小漁業金融難を打開するためには、先ず漁業者みずからの信用力を高めるということが必要であると考えられます。このために漁業者漁業権証券又は現金による出資地方公共団体出資基金といたしまして、原則として各都道府県区域とする漁業信用基金協会を設立いたしまして、この協会中小漁業に対する金融機関融資保証し、且つ国が協会事業支援する意味でその保証につき保険を行うことといたしまして、それで中小漁業への融資を円滑にし、その振興を図ろうとするのが趣旨でございます。  この法案の主要なる点について御説明いたしますると、第一に漁業信用基金協会法人といたします。原則として都道府県ごとに設立するものといたします。第二に協会会員たる資格を有する者は漁業協同組合漁業生産組合漁業協同組合連合会、一年を通じて九十日以上漁業を営む個人漁業を営む法人でありまして、一定規模以下の者及び地方公共団体であります。第三に、協会会員たる中小漁業者漁業経営に必要な資金及び会員たる漁業協同組合等事業に必要な資金の借入れによる金融機関に対する債務を負担いたします。第四に、協会税法上、民法上の公益法人と同様に法人税法所得税法等について免除されることになつております。第五に、政府の行う保険事業については別に提案しておりますこの中小漁業融資保証保険特別会計法による特別会計を設けて行うということにいたしております。  なお、この融資保証制制度の実体的な関係について二、三御説明を附加えますると、この基金協会に対する出資の予想でございまするが、これは今年夏に閣議決定を見ましてから地方と連絡をして内容の順次かたまるのと同時に、地方のほうへ照会しておりまするが、現在までのところ府県の方から回答の参つておりまする点では、大体漁民出資が十六億、それから地方公共団体の分が約八億余りで、合わせまして大体二十五億くらいが出資されるという見込で来ておりますけれども、この中にはなお府県においてその計画が十分熟さないで報告の未着のもございまするので、大体の見当はまあ二十億から三十億前後のものが大体総額としては出資されるんではないかと見込んでおるような状態でございます。  それから、これに出資します漁業者のほうの資金でございまするが、それは幸いに、御存知の通り漁業権証券漁業表のほうは持つております。それで百八十一億ほど証券が一昨年交付されまして、昨年大体六十五億ほどが資金化されております。それはいろいろな共同施設であるとか、必要な組合に対する出費であるとかいうふうなものを優先的に資金化政府のほうで図つておりまするが、本年度も又前年度と大体同額くらいのものは資金化してもらいたいというふうなことで、年度当初から大蔵省のほうに交渉しております。大体その程度のものは貸金化できるんではないか、こう思つております。この委員会にかけまするまでに、その大体の枠をきめたかつたのでございまするが、まだ大蔵省のほうでもう暫く貧血化の枠は待つてもらいたいと、こういうことになつております。大体そのうちで以て漁業権証券基金のほうに出したいという漁民の分は、これは現在までのところこの府県からの報告にありまするくらいの額は要求があると思われますので、我々のほうでは大蔵省とも打ち合せました上で、この基金に出すものは優先的にその証券資金化を図りたい、こう考えて進めている状態でございます。  それから、この融資によります資金源手当についてでございますが、運転資金につきましては、前に漁手制度というものがございます。漁業手形制度でございますが、これは農業手形制度と似たような形で行われておりまするが、その基礎が幾らか薄弱でございます。今般新たにしつかりした制度として中小漁業の融貸保証法というようなものを考えたわけでございまするが、大体運転資金につきましては、あれと同様に日銀のほうにおいて再割をしてもらうというような考え方で日銀と折衝しております。大体各種の農業手形その他と同じような優遇措置を講じてもらうというふうなことに話合はついております。細目については一、二なお話合いを進めておる部分もございまするが、大体運転資金についてはそういう方法で賄つて参りたい、こう考えております。  それから設備改修資金のほうでございまするが、これは三—五年くらいのものが大体火半になるので、それにつきましては、長期信用銀行なり或いは農林中金なりというようなものの金融債を引受けてもらう、こういう話合いで進めておるわけでございます。  なおこの基金協会及び特別会計において処理いたしまするものと、開銀であるとか、農林漁業資金融通特別会計法による金融であるとかというところとの関係を申上げますると、開銀は非常に額の大きいところの、中小漁業とは言われないところの、普通の市中で賄い得るような大きな資金の取扱いをやつてもらつております。犬体は捕鯨であるとか、或いはかつお、まぐろの非常に大型の遠洋漁業とかいうようなものが現在行われております。  それから農林漁業資金融通特別会計のほうは、これは過去にありましたところの漁港であるとか、その他の公共事業、及びその漁業協同組合等が行いまするところの、共同施設に限られておりまして、個人融資については、これは現在制度は開かれておりません。そういうふうな関係で、こういうふうな部分の補充が必要になつて参るわけでございます。  それから、この制度中小企業金融保険と別に出て参りましたところの理由の一つといたしましては、これは中小企業金融保険のほうでは、漁業は中へ入つておりません。これは農業と同様でございまするが、こういう原始産業は入つておりませんので、どうしてもその漁業のほうを同様な制度で考えるために必要を生じたわけでございまするし、又漁業は先ほどもちよつと申上げましたように、非常に天然現象に左右されがちであつて金融の点では可なりほかの金融よりも困難性を伴う程度が大きいものでございまするので、そういう点で別途の形を取つたわけでございまして、中小企業信用保証協会等と違いまする点は、この漁業の場合には、地方公共団体主体なつて、それでその信用保証協会基金みたいなものを作るのではなくて、むしろ漁業者主体になつて基金を構成する。それに対して地方公共団体支援をしてやるし、又国も特別会計による保険によつて支援をしてやる。飽くまで当業者が自分で信用力を高めるための受入態勢の強化というふうなことを骨子といたしまして、それでやつて行くという精神によつておりまして、その意味において幾らかの差違を生じておるわけでございまするが、或る程度借り手側のほうの内部におけるいろいろな共詮議と申しまするか、そういうふうな制度というものをこれに附加えまして、それで不当な金融が行われないように持つて行くというふうなことが、漁業のためには特に大切ではないか、こういうふうに考えてかかる形態を取つたわけでございます。  大体実態的な関係についての御説明を大略いたしますればそういう点でございます。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつとお諮りを申上げます。水産庁側からの内容説明聴取は、本日はこれだけにしておきまして、質疑は次回にいたしたいと思います。なお資料の御要求がございまするならば、この際お申出頂きたいと思います。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 只今お話の、銀行で言えば業務方法、この会計による信用保証業務をどういうふうにやつて……、例えば保証料は何ぼかというような業務運営細則というものをどうせ作られると思いますけれども、それを文書にして出してもらいたいと思います。それからこの今の保証業務動き方ですね。
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) よろしゆうございますか。わかりましたか。
  9. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 只今業務運営細則につきましては、これは各都道府県別に大体できるであろうと思いまするところの、その基金協会のほうで作るわけでございます。それから細目についてはかなり弾力性を持たせまして、その県その県の実情などよりまして、又信用状態も違つて参ると思いまするので、かなりの幅を持たせたいと思つておりまするが、大体その粗い線としましてこのくらいの線で行つてはどうかというふうな、政府指導方針と申しますか、そういうくらいのものでよろしければ御提示できると思いますが、その程度のものでよろしゆうございますか。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 ええ、まあ大体それでいいです。
  11. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 金利等見込みとかその他……。承知いたしました。
  12. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかにございませんか……。速記をやめて。    〔速記中止
  13. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  それでは只今より日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律案並びに中小漁業融資保証保険特別会計法案及び造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案につきまして、政府側より内容説明を聴取いたします。白石主計局法規課長
  14. 白石正雄

    政府委員白石正雄君) 日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律案につきまして内容の御説明を申上げます。  本貸付金昭和二十四年度一般会計予算補正において計上せられました貸付金であります。御承知のように昭和二十四年度におきましては日本国有鉄道が設立せられたのでありますが、この年度におきましては、当初特別会計予算におきまして五月から旅客運賃を六〇%程度引上げるということで以て計画せられておつたのであります。ところが旅客運賃引上げに伴いまして業務量が減少いたしましたために、六月一日に日本国有鉄道が設立せられました以後におきまして、予定運賃収入が確保できないということになりまして、貨物運賃引上げによつてその減収の分を補うという措置が取られたのでありますが、この貨物運賃引上げのほうも又諸般の事情のためにその引上げの時期が延期せられまして、二十五年の一月から引上げるというように決定せられたのであります。このような事情のために、二十四年度といたしましては三十億円程度運賃収入の不定が生ずるということが予想せられましたので、同年度補正予算におきまして三十億五千二百三十六万三千円の貸付金が計上されたわけであります。当時の貸付条件といたしましては三ヵ年ということに償環期限が相成つておりまして、二十八年の三月一日に償還してもらうということになつておつたのでありまするが、二十七年度国有鉄道予算におきましては別途御審議をお願いしておりまするような状況で、旅客運賃一割引上げその他の措置を取つておるのでありまするが、職員給与ベース引上げ等に伴いまする経費の増加等のために、二十七年度補正におきましてもなお損益勘定資金におきまして三十億程度の借入金をしなければ収支償わないというような状況なつておりまするので、到底本年度におきましては償還ができないという状況であります。従いましてこの償還期限を当初の条件と同程度の三ヵ年程度延期をいたしまして、将来の収入増加によつて償還してもらうというように変更する必要があるのであります。然るところ本件は財政法規定によりまして政府の債権の条件変更と相成りまするので、法律を要する事項なつておりまするから、従いまして本法律によりましてその条件変更をやろうということになつておるわけであります。  次は、中小漁業融資保証保険特別会計法案につきまして内容の御説明を申上げます。本法案は先ほど水産庁のほうから御説明になりました中小漁業融資保証法に伴いまするところの政府経理を、特別会計を以て処置しようというものであります。中小漁業融資保証法によりますと、政府都道府県区域区域として設立せられます漁業信用基金協会との間におきまして保証契約を締結することができるようになつておるわけであります。従いまして、この保証に関しまする保険契約政府としまして特別に経理する必要があるわけであります。このような理由によりまして、先ずその第一条において、この特別会計を設置する旨を規定しておるわけであります。第二条におきましては、この特別会計農林大臣が管理する旨を定めております。第三条におきましては、この特別会計につきましては一般会計から繰入金を繰入れることになつておるのでありまするが、この繰入金はこの特別会計基金として保有する旨を規定しておるわけであります。第四条におきましては、その歳入歳出規定しておるわけでありまするが、先ず歳入といたしましては、保険契約に基くところの保険料、それから政府保険金を支払いました場合におきましては、協会が持つておりましたところの求償権に代位することができるようになつておりまするので、その代位したことによりまして回収することのできたところの回収金、これが歳入に上ることになつております。又先ほど申上げました一般会計からの繰入金及びその他の附属雑収入を以て歳入といたすわけであります。歳出といたしましては保険金、それから業務を他の機関に委託することができるようになつておりまするので、その委託した場合におきまする委託手数料過誤納等がありました場合の保険料返還金事務取扱費その他の諸費を以て歳出ということになつておるのであります。それから中小漁業融資保証法規定によりますと、都道府県の単位において設立せられました協会が解散をいたしました場合におきましては、その残余財産国庫に帰属するということに相成つておるわけであります。その国庫に帰属する収入金につきましては、これを特別会計収入金といたしまして、そうして本会計歳入に受入れるということが五条の規定であります。六条以下の規定特別会計に関しまする例文的なものでありまして、六条は歳入歳出予定計算書作製及び還付。七条は歳入歳出予算の区分。八条は予算作成及び提出。九条は損益の処理。それから十条は剰余金の繰入というものを規定しております。この場合に第十条の規定でありまするが、この会計一般会計から募金といたしまして数億のものを繰入れるというようになつておりまするので、剰余金が生じた場合におきましては、これを翌年度歳入に繰入れまして、順次使用して行くというような規定なつておるわけであります。なおこれだけではその損益計算が明らかでありませんので、九条におきまして特にその損益計算を明らかにいたしまして、利益が生じた場合におきましては積立金として整理する。なお損金が、損失が生じた場合におきましては積立金を減額して整理するし、なお積立金を超過するというような場合におきましては、損失の繰越として整理するという規定を設けた次第であります。十一条以下は、やはり例文的な規定なつておりまして、十一条は歳入歳出決定計算書作製及び送付。十二条は歳入歳出決算作成及び提出。十三条は余裕金がある場合におきましては貸金運用部に預託することができるという規定。十四条は支出未済額一定の場合において繰越すことができるという規定一と設けておるわけであります。以上がこの法律案概略の御説明でございます。  次に、造幣局特別会計法等の一部を改正する法律案につきまして、内容の御説明を申上げます。  去る十三国会におきまして、公共企業体等労働関係法改正になりまして、国が特別会計経営しておりまする郵政事業国有林野事業造幣事業印刷事業アルコール専売事業、こういう事業に従事しておりまする職員に対しましても、公共企業体等労働関係法適用になるというように相成つたわけであります。この規定附則の第一項の但書によりまして、「改正後の公共企業体等労働関係法規定は、同法第二条第一項第二号の企業及び同条第二項第二号の職員には、昭和二十八年三月三十一日以前の日であつて政令で定める日までは、適用しない。」 こういう規定がありまして、政令施行の期日を定めるというように相成つておるわけであります。只今政府といたしましては、二十八年の一月一日を目途といたしまして、この政令施行の日を定めるという予定でおるわけでありますが、結果はこれらの職員につきまして同法の規定適用に相成ることになるわけであります。その結果は、同法の第四十条によりまして、国家公務員法規定その他の規定が、これらの職員につきましては適用が排除せられるというように相成つておるのであります。同法第四十条によりますと、「左に掲げる法律規定は、第二条第二項第二号の職員については、適用しない。」こう相成つております。その第一号では、国家公務員法の当相大部分規定が掲げられておるのであります。第二号には、国家公務員法の一部を改正する法律附則第三条の規定、第三号は、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支給に関する法律規定、四号は一般職職員給与に関する法律規定、五号はは国家公務員職階制に関する法律規定、六号は国家公務員に対する年末手当支給に関する法律規定、これらの規定が全部適用が排除せられる、こういうことに相成るわけであります。そういたしますと、これらの特別会計に従事する職員は、国家公務員一般職に属するものではありまするけれども、給与に関しましては、国家公務員法その他の法律適用が全く排除せられるということになりまして、給与支給に関して何ら法律規定が存在しない、かような結果になるわけであります。従いまして、法律上何らかの給与支給に関する規定を設ける必要がある、こういう趣旨から特別会計法改正いたしまして、給与準則作成に関する規定を設けた次第であります。  法文の内容といたしましては、各特別会計法とも殆ど同様の規定でありまするので、便宜上造幣局特別会計法の一部を改正する法律の法条につきまして御説明をさせて頂きますると、第三十六条の次に第三十六条の二を設けることにいたしまして、大蔵大臣、又その委任を受けた場合におきましては造幣局長が給与準則を定めなければならない、こういう規定を設けようとするものであります。これは、公共企業体等労働関係法をこれらの職員適用いたしました趣旨は、団体交渉その他同法の定める手続によりましてこれらの職員給与内容を定めようという趣旨に出ているわけでありまするが、国といたしましては、これらの職員給与支給するに当りましては、一定の内部的な手続を必要とするわけでありまするので、そういう意味から特別会計を管理しているところの主管の大臣がこの給与準則を定めることが適当であろうという趣旨におきまして、大蔵大臣給与準則を定めなければならないというように規定したわけであります。ただ造幣局長は、附属機関の長といたしまして人事の任免権その他の人事に関する一定の権限を法律上附与せられておりますので、大蔵大臣が委任した場合におきましては、造幣局長が定めるということにいたしても妨げなかろうということで、括弧書きを挿入しているわけであります。なおこの第二項におきましては、この給与準則を定める場合の一定条件規定しているわけであります。この場合におきましては、一般職職員給与に関する法律適用を受ける職員及び民間事業の従事員の給与その他の条件を考慮して定めるということが、その条件の第一点と相成つておるわけであります。  第二は、これらの国家公務員の中には行政機関職員定員法において規定せられておりまする常勤的な職員と、そのほかの非常勤的な職員とがあるわけでありまするが、この常勤的な職員につきましては、給与準則の定め方如何では予算に影響するところが非常に大きくありまするし、且つ又その定員は特に法律において規定けられておるというような趣旨に鑑みまして、その給与準則によつて定められるところの当該会計年度において支出を要するところの給与の額は、予算において定められた給与総額を超えないようにしなければならないという規定を置こうとしておるわけであります。以上がこの法律案内容概略であります。
  15. 中川以良

    委員長中川以良君) お諮りいたします。本日は一応内容説明を聴取しただけにいたしておきまして、質疑は次回よりいたしたいと思いまするが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 中川以良

    委員長中川以良君) なお資料の御要求がございましたら、この際お願いをいたします。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 国有鉄道関係の分ですが、これに関連して一般会計からの公共企業に対する貸付金或いはインベントリー・フアイナンス、こういうようなもの、いわゆる政府の組入れ資金ですか蓄積資金の明細が、いろいろ予算等で問題になつておるようだけれども、書き出して資料としてもらいたいのです。
  18. 白石正雄

    政府委員白石正雄君) 承知しました。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 それから中小漁業融資保証保険特別会計のほうの予算、ここに歳出のほうで過誤納保険料というのがありますが、これの補正予算歳出額を見たのですけれども、収入保険料に比べて少し過大じやないかという気もするのです。これは少さい問題だけれども……。全部の、この政府の運営しておる保険特別会計を調べて、その中では必ずしも過誤納保険料のみが計上してあるとも限らない、賠償償還及び払戻金という項目で出ておる。それから簡易生命保険及び郵便年金については諸払戻及び補填金という名目で……、そこで大体大きく分けると保険事業に属する特別会計が十ありますが、この中の賠償償還及び払戻金又は諸払戻及び補填金の内訳、これを細かく、例えば今予算決算及び会計法第六十三条の規定による償還金とか、或いは特に厚生保険なんかについては、特別に保険法の定めるところによる債務の弁償というようなものから過誤納保険料というものがどう見積られておるか、過誤納保険料の払戻しというものがどう見積られておるかということの内訳をずつと出してもらいたい。非常に漁業関係過誤納ということが多いというふうに思われるわけです。
  20. 白石正雄

    政府委員白石正雄君) 過誤納の内訳でございまするが、これは大体各特別会計とも過去の実績その他のようなものを参照いたしまして、そして大体積算しておる状態であります。本件の場合におきましては実績その他がございませんので、全く客観的に計上されておるというようなことでありまして、或いはお説のように幾分大き目になつておるかとも思いまするが、こういう積算でこうやつたのだというような詳しい積算の根拠は、ちよつと御提出が困難かと思いまするが、只今申上げたような過去におきまする実績その他で大体客観的に計上になつておるという状況でございます。なおできる限り詳細に検討いたしまして資料として御説明申上げるようにいたします。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 今週誤納の算出の基礎ということよりは、取りあえずその過誤納保険料の払戻額が政府経営しておる保険特別会計で一体どういうふうになつておるかということが知りたいわけですが、その過誤納保険料の払戻額というものを、どう見積つておるかということがわかればいいわけです。それが単独の項目でないから、今のような賠償償還及び払戻金という項目で、一応我々がもらつておる資料にはそうなつておるわけだが、その内訳がいろいろあるの、だから、その内訳を示してもらいたい。それで意見は次の機会に述べます。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 小林君の要求しました蓄積の資金ですね、これはインベントリー関係は一応予算委員会に出ておるのです。併しそれ以外に開発銀行関係、見返資金関係、ああいうものを引継いだでしよう。それから資金運用部関係、ありますね、そういうものを全部一応含めて、いわゆる蓄積政府資金ですね、一般会計だけでなく、全部を一つお願いいたします。
  23. 中川以良

    委員長中川以良君) 私からちよつどお願いしたいのでありますが、先ほど御説明なつた中の関係法律の拔幸を一つ御提出を願いたい。
  24. 白石正雄

    政府委員白石正雄君) 承知しました。
  25. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかにございませんか……それでは内容説明の聴取はこれを以て終ります。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  26. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をつけて。労働金庫法案に関しまして、只今労働委員会にこれが提案をされておりまするが、本委員会より労働委員会に連合委員会を開くことを申込みいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように取計らうことに決定いたしました。速記をとめて。    〔速記中止
  28. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。  これより先般国税徴税状況に関する調査のために派遣をされました小林委員より、その報告を承わることにします。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 前以てお断りしておきますが、国税局に要求しておつた資料が数日前にやつと来たので、もつと早く御報告しなければならんことが遅れまして、甚だ失礼をいたしました。又先般参考人として全但商工業振興協議会代表長六郎君から今回私が行きました但馬地方の実情について縷々説明があり、多少重複するかも知れませんが、その点はあらかじめ御了承願いたいと思います。  私は去る十一月十八日から一週間の日程を以て大阪府、兵庫県、鳥取県の各地を歴訪して、それぞれの地方の県当局並びに業界代表者と懇談をしまして、国税、地方税の問題に関して傾聴すべき種々の参考意見を聞いて参つたのでありますが、只今は国税問題のみに限定して申述べたいと思います。……これは国税庁長官に是非聞いて頂きたいのですが……。
  30. 中川以良

    委員長中川以良君) まだ来ていないので……ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  31. 中川以良

    委員1(中川以良君) 速記を始めて。  お諮りを申上げまするが、物品税の問題に関しまして。先般般来いろいろ本委員会におきましても、審議検討を加えておつたのでありまするが、本日は特にこの物品税関係につきまして、写真機のメーカーにおきまして、駐留軍に納めております写真機が、物品税がございまするために、手続上非常に販売がしにくい、殊に駐留軍関係におきましては、最近はそういう煩瑣な手続をいたすよりも、簡単に入るドイツ製品を買うほうがいいというので、盛んにドイツ製品が只今輸入されておりまして、日本の写真機メーカーが非常な打撃を蒙つておりまする事実があるのであります。この点につきまして、業界のかたが今日見えまして、本委員会において篤と実情を聞いてもらいたいというお申出がございましたので、只今よりそれを聴取することにいたしたいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 中川以良

    委員長中川以良君) それではこれから業界より只今の問題に関しまする実情を承わることにいたしたいと存じます。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  33. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。
  34. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると今のは行政協定に基くあの租税特別措置法でしたか、あれによつて向う側にそういつた内部的な手続で相当面倒なことを要求をしている。業者が言われたことは間違いはない。どういう手続きを要求しているのですか。
  35. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 只今のCPO納入の写真機に対しましては、大体問題が二つあるように承わつております。只今小林委員からの御質問に対して第一点は、大体物品税の免税手続きはどうしているかという問題だろうと思います。第二点は、ドイツ品が入ることによりまして日本の写真機の売行きが悪い。こう問題が二つあると思うのであります。  第一の、現在行つておりますところの免税手続について御説明申上げます。占領直後、占領軍当局の要求によりまして、当初占領軍将兵の買う物品につきましては、現在行なつておりますところの物品税の免税手続に比べまして相当簡素な免税手続を行なつておつたわけでございます。簡単に申上げれば、単にCPOと申しますか、私どもは中央購買と言つておりますが、CPOの購入証明善があれば直ちに製造所から出るものに対して免税し、或いは小売業者から買うものにつきましては製造業者まで遡つて免税する、こういう制度を坂つておつたわけでございますが、これは御承知通りだと思いますが、暫らくは免税物品が非常に横流れいたしまして、内地の日本人間等におきまして相当消費されまして、税源が侵されたわけでございます。今般講和発効に伴いまし三行政協定に伴いまして、その手続きを少し厳格にいたしまして、そういう脱税の慮れのないような、税源の侵されないような措置を講ずるという意味におきまして、特殊な手続きを取ることにいたしたわけでございます。その手続きは、大体輸出免税というものが従来あつたわけでございます。御承知のように輸出振興内国消費税は内国消費だけに課税すべきだという議論から、輸出物品につきましては輸出証明が来れば免税するという建前を取つておるわけでありますが、それに準じましてCPOに納入されるものは、直ちに輸出されるものではないのでございますが、いずれは輸出されるであろうという建前から、輸出免税の手続きに準じて免税することになつております。併しCPOと民間輸出とは若干異なりますので、輸出免税の期間は、三月ぐらいの間に証明が来れば免除することにいたしておりますが、CPOの納入するものにつきまして、大体六ヵ月ぐらいの間に輸出したいという証明が来れば免税をする、こういう手続きを取つております。もう一点、進駐軍将兵の購入いたしますものにつきましては、進駐軍将兵が日本内地におる間は輸出にならないわけでございますが、いずれ帰国等に伴いまして日本を出る、こういうことになりますと、同じ輸出の効果がありますので、これらにつきましては、只今業界のかたからも申されました、各部隊長或いは人事係将校の証明書を二通取りまして、これを示してPX等で買う。一通は本人が持つている。一通は納入先を通じて税務署に示される。それによつて免税するということにいたしておるわけでございます。それともう一つ、免税されましたところの写真機等が内地におきまして横流れすることを防ぐ意味におきまして、写真機自体にEPという判を、判と申しますか、表示をなさしめて、これが内地におきまして頻繁に出るならば、その弊害を防止するというような措置を将来講じたいつもりで、EPという判をこれに押さしておるわけでございます。結局これら将兵が内地を出る際に、その写真機を持つてないということになりますれば、人事係将校のほうから、これは内地に転売したという意味で、その本人から税金を取るというような方法を講じておるわけであります。で、このEPの判を押しました理由はそういう意味もございます。又誰かがそれを持つていた際に、徴税上の取締りの見地から、どういう手続で買つたというような証明を取らす意味で購入証明書を本人にも持たせる。それからEPと写真機と照らし合せて取締りをやつて行きたい。そうして税源を侵されないようやつて行きたい。こういう意味でやつたわけでございます。その趣旨は先ほど申上げましたような終戦後の暫くの混乱期に物品税の税源が相当侵された、こういう弊害を防止するためのものでございます。  以上が写真機の物品税の免税手続の概要でございます。それと、もう一つドイツ品の問題はよろしうございますか。
  36. 小林政夫

    小林政夫君 やつて下さい。
  37. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) ドイツ品進出の問題。これは私どもも十分承知しておりまして、たびたび陳情を受けておるわけでございます。これは行政協定の建前から来ておるわけでございますが、進駐軍将兵の、進駐軍部隊の免税措置と申しますか、日本におきまして輸入する物品につきましては関税、消費税をがけない。こういう建前がとられて来ているわけでございます。この趣旨は大体進駐軍将兵というものは、進駐軍部隊というものは、アメリカから物資を持つて来て、それによつて生活乃至駐留軍経費を賄うというような面があつたわけでございます。それが若干この建前が、日本の写真機の生産が少いので、業界のおつしやる通り成るほど進駐軍将兵の日本の写真機に対する購買力は相当旺盛でありまして、累年私どもの持つております計数を見ますと、免税高も殖えているようでございますが、進駐軍将兵の言うことを聞きますと、生産高が少い、その旺盛な需要をカバーする意味でドイツの製品を輸入した、こういうことを言つておるわけでございます。私どもといたしましては、行政上の措置といたしまして、そういう趣旨で行政協定ができているのだから、ドイツ製品を大量に輸入してもらうことは、行政協定の建前にも反するのじやないかという申入れを進駐軍の将兵にしておるわけでございます。このあたりなお検討すべき点が多々あるわけでございますが、以上写真機の物品税の納税手続の問題点の第一点の免税手続、第二のドイツ品の進出の問題につきましては、私どもは今申上げましたように考え、大体の私どもの考えを進駐軍当局にも意思を表明しておるわけでございます。
  38. 小林政夫

    小林政夫君 ドイツ製のカメラは、アメリカではどうなつておりますか、アメリカに入る機械は関税がかかるのですか。
  39. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) アメリカでは当然関税がかかるはずでございます。
  40. 小林政夫

    小林政夫君 それを直接日本に進駐軍用として持つて来れば、関税が今までのようにごまかせる、こういうことですね。
  41. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 現在は行政協定に伴う臨時特例におきまして、第六条によつて免除する建前になつております。
  42. 小林政夫

    小林政夫君 進駐軍用のものだということで、免除になるわけですね。これはどこと交渉をしたらいいわけですか。そういうことをまああなたのほうは、今のお話だと、せいぜい、数量を少くしてくれ、こういう程度の交渉のように聞えるが、そんな、当然ドイツ……若しアメリカの国内においてドイツからカメラを買つてつて進駐軍に送るならば、ドイツから買つたものを、高い値段のものを持つて来るということは……その逃げ道をやつておるということは、これはカメラのみならず他の物についてもそういうことが言えるわけで、相当腰を入れてアメリカ当局と折衝すべき問題だと思うが、どういう折衝をしているか、折衝の具体的な経過を一つ知らせて頂きたい。
  43. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を止めて。    〔速記中止
  44. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記始め。只今の問題につきまして私からちよつと皆さんにお願いを申上げておきたいのでありまするが、行政協定そのものに私はやはり欠陥があるのじやないかと思うのでありまするが、これはまあやはり根本的に再検討しなければなりませんが、差当り終戦後写真機メーカーが急速に発展いたしまして、長足な進歩をしておりまする最中に、突如としてこういう問題が起きたことは非常に遺憾だと思うのでありまして、これは手続の点につきまして一つ何とか特別の便法を講じまして、この全く予想しな収いところの障害が除去されまして、日本の折角流出しているメーカーを育成のできますように、政府において御善処をお願いしたいと思います。
  45. 小林政夫

    小林政夫君 先程の交渉ですがね、交渉はどの程度の段階でやつておられるか。泉君とGIとやつておられるのか。或いは合同委員会ですか、あそこまで持ち込むような段階に行つておるのですか。今カメラだけの問題だけれども、これで一つ手を覚えると次から次にこういう手を用いられる危険があるんじやないか。この際私は、そういう問題は今日初めて聞いたんだが、重要ではないかという気がするのですがね。
  46. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) この問題につきましては私が心得として交渉するのみならず、主税局長の名前を以ちまして合同委員会を通じまして先方のバーンズ少将に申入れてございます。
  47. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私はカメラの問題のみならず、行政協定のときに、こういう駐留軍についての免税、いろいろな免税があるのですが、それが行われると国内産業を圧迫する端緒を開くのではなかろうか、そういう点はカメラの問題のみならず非常に疑問があつたのです。で、その一例というか非常に適例としてこの問題が出て来ておるのです。そのほか請負工事その他についてもいろいろな問題があるのですが、この点については余ほど今後我々もこの問題について確めて行かなければならない。今中国陶器についてそういう問題がある。ほかの問題を一遍精査して頂いてこの問題についてはつきりしないと、日本産業を圧迫しちやつて、而も非常に輸出商品として日本として好適なもので、それが外国商品に荒されるというふうなことはちよつと我々としては見ていられない、こういうふうに思うのですがね。まあ、手続やその他の問題で解決するなら、これは行政府に委せて置いてもいいんだが、我々自身がやることは、行政協定そのものから来る欠陥をどうするかということに本来力を注ぐべきものであると、こう私は考えるので、そういう点について大蔵当局のほうでこの種の事例をずつと調査して出してもらいたい、こう思つているのです。
  48. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかにございませんか。
  49. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 委員会から要求して頂きたい。
  50. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今堀木委員から御発言がございました通りに、この種の問題につきまして、今日他にもいろいろあると思いますので、そういう点について只今政府当局において御調査になつておると思いまするが、それらの関連した事項について本委員会にそれらを御提出願うということを要望するという御発言がございまするが、さように取計らいましてよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように一つ政府側でお願いいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  52. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは先ほどに引続きまして小林委員の出張の御報告を承わることにいたします。
  53. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどのに続いて申上げます。今回の調査の主な目的は、但馬地方の課税が同じ局管轄にあつても瀬戸内海側と日本海側と比較して、又隣接地である鳥取地方は局が違うわけでありますが、この方面と比較して相当高い徴収が行われているという業界からの声に応えまして、本委員会としても初めて参る地方でもありますので、特に但馬地方における商工業の中心地である豊岡市と、漁業の小心地である香住町、更に鳥取市においてそれぞれ懇談会を開きまして、税制、税務行政等の諸問題に関する業界の要望を聴取し、その実情について調査したわけであります。丁度豊岡へ参りました際に、全但馬地方の商工業者が集りまして全但商工業振興協議会の大会が開かれ、その代表者のかたより但馬地方の特殊性と申しますか、自然的、経済的条件の不利な点について説明があり、又他地方に参りました際も同様な趣旨の陳情を受けたのでありますが、当地の特殊事情は単に但馬地方のみに限らず、裏日本を通じての一般的な問題であり、相当重要性を持つものと思われます。御承知のごとく但馬地方は日本の北海道とか、或いは日本のロンドンとか称せられますように、豊岡附近では快晴の目が一年を通じて七日しかないと言われ、冬季四ヵ月は積雪に覆われ、而も非常に湿気が多いわけであります。従つて交通の不便なことと併せて地元商工業の立地条件は極めて不利な立場に置かれ、現在経営されているものの殆んど大部分中小企業であり、而も零細企業経営である実情であります。由来当地は杞柳を特産物として繁栄し来つた所でありますが、海外市場を喪失した今日においては、もほや昔日の面影はなく、このほか寒冷多湿地帯特有の事情等によりまして、商工業者の不振を急速に打解し得ることは困難で、当地経済の発展はひとえに原始産業たる農業漁業に依存しなければならない現状でありまして、農漁村の景気の動向は直ちに但馬地方の盛衰に決定的な役割を演ずるものと言われており、本年度のごとく天候不順、或いは病虫害等による農漁村の不作は必然的に景気の沈滞を招来しておるのであります。かような諸事情下にある但馬地方の課税状況を実証的に観察いたします一つの材料としまして、昭和二十五年度及び昭和二十六年度の申告所得税の業種目別課税状況調によりまして、兵庫県下の税務署別資料を見ますと、日本海岸にある豊岡香住税務署と瀬戸内海沿岸にある神飾、龍野、上郡税務署と比較しますと、一人当りの所得は別表(1)の通りであります。お手許に表が配つてあると思います。この表によつて一応推測されます点は、瀬戸内海沿岸に比較して日本海沿岸の営業者の所得の伸びが急カーブを描いており、明らかに所得決定について但馬地方が過重に置かれていることが指摘され得ると思われるのであります。  次に、鳥取税務署管内のものと比較いたしますと、別表(1)の一番下の段にありますように、この表においては顕著な相違は、漁業面を除いては見当りませんが、鳥取税務署の算出方法がよそと興るために正確なる結論は控えたいと思います。ただ香住で一業者より薬局業者の立場を述べた意見として、別表(2)のごとく、鳥取の所得決定が香住よりも軽いとの発言がありましたので、これはほんの御参考までにお知らせいたしておきます。併し全体を通じまして漁業の面では顕著な増加を示しており、昭和二十六年度は前年に比し約倍増となつております。このことは昨年度は「いか」等の漁獲物が激増したことにもよりますが、税法の取扱いに不統一、不備なこととから招来されていると考えられる点もあるのであります。例えば漁船のエンジンのボーリング費を経費と見ている税務署もあり、又償却資産の価値の増大と見ている税務署がある。又香住では二十六年度に初めて手持資料の棚卸をやらせて、従来から常時固定して保持しておつて網、ロープ等の資材まで二十六年度の資産所得に計上して課税した等の不合理な措置によつて、苛酷な課税が行われておるのであります。一般的な考え方を二、三申上げますと、  第一に、地方は都会に比べて所得の把握度が高いため不利な立場に置かれていること、例えば香住のごときは交通の便が悪く、鉄道便に依存するほかなく、従つて漁獲物等物品の動きが漏れなく把握されること。  第二に、大企業なきため朝鮮事変による好景気の影響を受けることなく、所得の伸びは極めて低調であるに対して、経済実務を無視した全国画一の査定率を以つて決定するために、相対的に苛酷な課税を招来していること。  第三に、当地方では個人の青色申告に対する更正決定は表面皆無でありますが、申告指導と称して事前に納税者に対して税務当局の腹づもりの額まで所得額を引上げさせている。当地方の納税意識は良好であり、それだけに強い反対の意を表しないこと。  第四に、地方の特殊事情、例えば高い温度のため家屋、機械器具等の減耗度他地域より大なるにかかわらず、全国一率の耐用年数で算定されることが、当地方の課税を不適正なものであると痛感させていると思われます。これに対しまして徴税当局の話では、地方の経済実勢に応じて段階を設け課税所得を決定する等、十分考慮を払つており、豊岡市についても市制地の取扱ではなく郡部の取扱をなしており、決して無理な課税を行なつていないと否定的言辞を述べておりますが、両者の意見を総合して見まして、業界側の主張にも相当無理からん妥当な点も少なくないのですが、何分にも論拠とすべき適当な資料が作成されておらないので、端的に割切つた結論を得ることはできなかつたのであります。併し今回の派遣により、少くとも徴税当局と業者間に相互理解に達し得た事項もあり、又今後の円滑なる話合に端緒を開き得た効果は十分あるものと期待いたしますと同時に、地方の零細なる中小業者に対する徴税当局の温情ある取扱を要望して止まない次第であります。  次に、租税問題につきまして業界より聴取して参りました要望事項を御披露いたしたいと存じますが、結論を申上げますと、更に大幅の減税措置を実施されたいとの一語に尽きるものと思われます。実は各地方別に多少意見を異にしており、それぞれ具体的に申上げるのが妥当と思われますが、同様な趣旨もありますので、重複を避ける意味から一括して簡単に述べたいと思います。なお念のために申し添えますが、ここに紹介する具体的な個々の意見に私がすべて賛成であるというわけではありません。  第一に、所得税の問題であります。第一点は所得税の負担が過重であるから、基礎控除、扶養控除、勤労控除等の引上げ、税率の引下げを行うべきであるとの一般的意見は各地共通の声でありますが、豊岡では零細事業者は実質上一般勤労者と何ら異らない立場にあるから、その給与を経費と見るか、又は特別控除を設けてもらいたいとの要望もあり、又香住では漁業者の家族専従者の所得を世帯主たる事業主の所得より分離し、家族専従者に相応する使用人に支払うべき給与額に対する源泉課税にしてほしいとの意見があり、鳥取では農民に勤労控除を設けるか、或いは専従者控除を青色申告の農家以外にも適用して頂きたいとの要望がありました。  第二は、これは地方の経済力の相違から来る見解と思われますが、大阪では減税措置を講ずる場合、特に年所得百万円以下五十万円までの、いわゆる中堅所得者層に重点を置く必要があるとの主張に対しまして、豊岡、鳥取では一段と低い低額所得の階層の優遇を図り、例えば五万円以下の所得は百分の五の税率となし、漸次累進税を強化して、一千万円を超えるものに対しては百分の八十にすべきであるとの説を唱えていた団体もありました。第三点は、生命保険料控除限度額を現行四千円より一万円程度引上げられたい。  第四点は、医療費控除、雑損控除の一割超を改めて全額控除を認めることにしてほしい。  第五点は、預金利子に対する源泉選択課税の税率を二〇%に引下げ、貯蓄の増大を図ると共に、無記名定期預金の源泉課税を軽減せられたい。  第六点は、所得税法第十五条の六の規定、即ち配当所得に対する二五%の控除規定は是非存置されたいということ。  第七点は、有価証券移転和の設置に当つては、税率を極力低位にされたい。  それから第八点は、国家公務員には寒冷地手当というような特別な寒冷地に対する手当のあることでもあり、農民に対しても同様の趣旨で寒冷地控除を設けられたいという要望。  第九点は、必要経費の査定に際しては、地方の特殊事情又は営業の特殊事情を十分に勘案して、適用範囲の拡大と、適正なる査定を希望する。土地改良費等国の補助金に合せて農家が置担する改良費は必要経費に認めてくれとの要望もありました。  第二点は、法人税についてでありますが、どこへ参りましても、法人税四二%の課税は過重であり、速急に是正されたいとの強い要望を受けたのでありますが、特に中小企業においては大企業のような特別の方法で実質的な減税措置を講ずることが不可能であるから特に配慮を願いたい。例えば法人所得に一定の限界点を設けて、大企業と区分して四二%と三五%の二本建の課税をなすべきだとの意見がありました。このほか社内保留分と社外分配分を区別して、社内保留分に対しては軽減した税率を適用すべきであるとの意見もありました。このほか同族会社の積立金に対する課税を廃止若しくは軽減されたい。若し廃止乃至軽減が困難な場合には、現行の五十万円以下の制限を二百万円程度に上げてもらいたいという意見。第三点は、貸倒準備金の限度の引上げと、その認定範囲を明確化し、実情に即した判定を行われたい。  第四点は、価格変動準備金制度は、一一定金額、帳簿価格の三割程度に達するまでは毎期一定限度、帳簿価格の一割程度の積立を認める制度改正されたい。  第五点は、法人の市町村民税は事業税同様損金算入を認むべきこと及び損金認定を受け得る経費の範囲を拡大すべきこと。  第六点は、いつも問題になる点ですが、特別法人に対する課税を廃止されたいとの要望であります。  第三に、相続税は依然高率に過ぎるから基礎控除を引上げて少くとも百万円程度にしてもらいたい。このほか、農家の場合、相続する際の譲渡所得について、農業の用に供する資産は相続人自身の勤労の結果によるもので、単にその名義変更に過ぎん場合が多いから非課税とすベきであり、その他の資産についても臨時的なものであるから二分の一の控除を設けられたいとの要望がありました。  第四に、その他の事項としまして、先ず青色申告制度について各地でいろいろ強い意見を徴して参りましたが、春色申告者に対しては税務署側では指導奨励の立場から申告者の張簿は十分尊重しておると言われるが、ややもすれば、前年度の実績と全般的な景気の推移を以て一方的に決定される事例が今なお少くないと業界側では不満を漏らしており一本制度に対する評判は一般的に芳しからん様子でありました。従つて制度を積極的に利用させるためには、当局の善導、宣伝は勿論のこと、制度の簡素化を図ると共に、その特典を拡大すべきではないかと思われるのであります。  第二点は、納税貯蓄組合の強化、善導を図り、その助成策を推進させると共に、税務署側においても十分活用を図られたい。滞納処分の執行に当つては、事前に組合理事者と協議してほしい。或いは組合として組合員に納税資金融通し得る措置を講じてほしいというような積極的な意見がありました。  第三点は、従来行われていた所得税調査委員会制度を復活されたい。特に農業の場合は、税務当局の指示する農業所得標準率に納得の行かない場合が多いので、税務当局と納税者の代表者とによつて所得審議委員会を各税務署毎に構成し、その審議会の答申に基いて標準率を決定するよう希望する。但し個人ごとの所得決定には全然参与しなくてもいいが、その標準率を決定する審議会には与からしてもらいたいという要望であります。  第四点は、納税者は税法上異議申立の規定により保護されることとなつているが、実際面では次年度の報復行為を恐れる気持と、手続上の面倒なことにより、殆んど利用する者はおらず、単に形式的な保護規定に過ぎない。  第五点は、国税、地方税を通じた徴税機構の簡素化を図るため、事業税のごときは附加税となし、徴税事務の煩雑化と納税意識の低下を防止するほか、地方税と国税との納期の調整をできる限り考慮されたいという要望がありました。  なおこのほか各地の懇談会において強く要望されました点を申上げますと、大阪では、減税措置の前提として、国家財政の圧縮を図る見地から、国、地方を通じた行政機構の徹底的な整備を行うことと、貯蓄国債の発行については、関西業界はこぞつて反対であるとの強い意見がありました。その理由については、先般別途お手許に配付いたしました関経連の貯蓄国債に関する意見書を御覧願いたいと存じます。  又鳥取では本年大火を蒙りまして、中小企業者は塗炭の苦しみの中にも復興に努力を傾注している現状でありますが、これに対し税務署の取扱は、雑損控除の調査を短期間に、而も低率の標準歩合で決定し、甚だ適正を欠いており、総所得金から繰越差除が過小なため、当年限りの減免を受けるにとどまり、恐らく三年に亘り繰越控除を受ける該当者は皆無と思われる実情であるから、別途法律を制定するなり、何らかの方法で課税負担の適正なる是正を考慮されたいとの要望がありました。  又鳥取の農業団体代表者より、鳥取県は農林統計で反当収入が中国五県のうち毎年一位乃至二位に見られておるので、供出割当が苛酷であるのみならず、所得査定額も過高となつているとの陳情がありました。  併し又これは納税者側応も問題があるのでありまして、国家助成金をうんともらうというような意味で、経済効果がこの補助金によつても相当経済効果が上がるということで、だんだん反当収入を上げて行くということがあつて、実情に反して、農林統計上反当収入が非常に上つておるということになつておる、これは国税庁の問題ではなくて、農林省の基礎数字の問題であります。  以上簡単ではありますが、私の報告を終りたいと存じます。
  54. 中川以良

    委員長中川以良君) 今の御報告に対しまして御質疑がございましたらどうぞ御発言願います。
  55. 高橋衛

    政府委員(高橋衛君) 只今小林委員から但馬地方、鳥取地方等を主とする国税調査の結果について詳細な御報告がございました。私どもも御指摘の諸点をよく検討いたしまして、今後の事務改善に資して行きたいというふうに考えております。ただその中で、御指摘になりました事柄のうち、この席で感じましたことを一、二申上げておきたいと考えます。  先ず第一に、頂きました別表(1)の資料の一人当りの所得というものについてでありますが、この一人当りの所得は各税務署ごとにこういうような資料をよく頂いて、この税務署の負担が高いというような陳情をせられる場合が非常に多いのでございますが、実は最近営業者のうちで法人になるものの数が非常に多くなつて参りました。従つて仮に個人の営業者のみの一人当りの所得というものを比較して見ますると、非常に不同があるのでございます。これは同時に法人営業者のものを含めて比較するということがなければ本当の比較になり得ないのじやないか、そういうように考えます。ところが法人営業者を含めるといたしますると、これ又どの程度まで入れるかという点に非常に難点がございます。技術的にも把握が非常に困難な状況でございます。ただ私どもといたしましては、各地方ごとに負担の不公平がないということを目安といたしまして、局間におきましては、隣接地区におきましてそれぞれ立会調査をいたさせておりますが、又各署間におきましても、それぞれ立会の調査をして、相互に、例えば経費の見方でありますとか、すべて資料の収集の方法であるとかいうものについて調整をとつてつておるのであります。  なお、この豊岡、香住地方が一人当りの負担が多く、神飾、龍野、上郡が非常に少いという点については、これは私どもの見ますところにつきましては、今一つの理由があると存じます。神飾、龍野、上郡地方は姫路の郊外地でございまして、この地方に住んでおられるかたは、多くは姫路に買出しに行つております。従つてその近郊におけるところの営業者の営業規模は勢い小ならざるを得ない。これに反して、豊岡、香住地方におきましては、とにかく一つの隔絶した地域でございますので、その地区において、その土地のものをすべて購入するという大体の傾向になつておるという点が、或る程度の差が生ずるとすれば、そういうような点があるのじやないか、こういうように私どもは見ておる次第であります。  なお、御指摘になりました二十六年度なつて初めて棚卸を計上し、而もその棚卸の期末の棚卸を所得と計算しておるというお話でございますが、若し前期末の棚卸を差引かないで、その期末の棚卸を差引き、そのまま所得に計上するというような計算方法をいたしましたとすれば、これは明らかに誤まりでございまして、これは当然訂正を要する点でございます。私どもといたしましては、できるだけ精細に、正確に所得を把握するという方向に努力を傾注しております。従来棚卸の計算ができなかつたものについても、是非棚卸の計算をやつて、資産の増減を見る、それから所得の計算をして行くということを漸次励行さしておる次第であります。  なお、償却等について全国一様の耐用年数を用いておるという御指摘でございますが、これはできるだけ実情に合うように調整いたしておるのでありますが、全部のものについてそういう仔細なところまでこれを修正して行くということは、非常に困難な点でございますので、顕著なものがありまして、実情に副わない場合においては、これはどんどん修正して行くというように考えております。
  56. 小林政夫

    小林政夫君 今の決定所得額の一人当りの上下を問題にしておるよりも、伸びですね、対前年度の伸びが多少、これも今お説のようなことも我々十分考えて、ここに決定的に断定するわけではありませんけれども、大体において或る程度条件の悪い寒冷多湿地帯である方面と、そうでない条件のいい方面と比べて、条件の悪いほうが所得査定の伸びが、ガーブが高いのじやないかということを指摘したわけであります。それから現地でも国税局の人がついて来てはくれたのですが、その来た人だけでは解決がつかないのですが、漁船のエンジンの修繕費等が、或る税務署では経費と見、或る税務署ではこれを償却資産の価値増大というように見られておる、こういう点についてどいうようにお考えになるか。それから今の二十六年度の香住漁業協同組合における香住税務署管内における棚卸高を二十六年度の所得に入れたということは事実であつて税務当局のほうでも考えておるようですが、ところが幸いに二十六年度は香住の漁業会は非常に景気がよくて、特に異議を言いながら納めてしまつた。そうして二十七年度の所得の査定において何とか考慮してほしいということを頻りと言つておる。ところが二十七年度の所得査定において考慮しろと言つても、税法を曲げるわけには行かんではないかというふうなこともあつたわけですが、そういうような実情です。  それから今の青色申告については、成るべくこの青色申告が受入れられるようにできるだけやると言いながら、実際においては徴税当局においても青色申告者は一応数字的な根拠があるから、かなり数字に囚われるということが事実だと言われるんだが、実際に青色申告者であつて青色申告をしないものであつても、申告指導と称して事前にいろいろ話をして、大体徴税当局の腹づもりの線まで持つて行くということになると、これは更正決定をやると同じことで、ただ更正決定という表面的な形を取らないだけで、その実はかなり不本意ながら税務署のおつしやる線でやる。更に一方異議申立の方法があるではないかといつても、異議を申立てた場合はその翌年度とか、或いは直ちに今まで一人で調べに来たのが、四、五人かかつて家宅捜索までやつてじやんじやんやる。田舎では家宅捜索をやられることを自体が非常な不名誉であつて、そういうことをやられるなら黙つて泣寝入りしようというようなことがあるわけであります。で、相当その点については徴税方法について考慮して行く点があるんじやないかと、こう思うわけであります。
  57. 高橋衛

    政府委員(高橋衛君) 只今小林さんの御指摘になりましたように、今年度と、二十五年度と二十六年度との伸びの状況については、実は豊岡地方におきましては、城崎温泉がこの期間において非常に好況であつたということが一つの理由として挙げられております。又香住につきましては、只今御指摘のありました通り漁業が非常に好況であつた、漁業が非常によかつたということが各方面にいい影響を与えておるというふうに見ておる次第であります。  なお、青色申告につきましては私ども非常に注意をいたしまして、勿論事前に調査をする場合もありますけれども、納税者のお宅へ伺つた場合においても、調査をするという態度ではなしに、記帳の指導その他経理方法等について指導を申上げるという建前でやつて頂くようにいたしておるのであります。勿論中には我々の趣旨が十分徹底しないで、御指摘のような場合もあり得るかと思いますが、従つて申告指導の際においても具体的な数字をお示しして、これで以て申告して頂きたいというふうな態度でなしに、むしろあらかじめ指導申上げた記帳方法によるところの結論となつた数字を是非正直に出して頂きたいというふうな式の申吉の懲悪をいたすことにいたしておるのであります。なお青色申告につきましては、何と申しましても信頼され得るところの納税者を漸次殖やして行くという点で非常に重要な点であると考えるのでありまして、最近伸びがそれほど数字において顕著ではありませんが、現実に少しずつでも伸ばして行きたいというふうに考えまして特に力を入れておる次第であります。従つて今後におきましては青色申告の点につきましては特に鄭重に取扱いまして、これが収入の増大を図ると同時に、内容の改善という面にも非常に努力をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  58. 小林政夫

    小林政夫君 で、償却の問題ですが、多湿地帯ではやはり家屋にしても器具にしても機械にしても錆びるというようなことで、相当減粍度はそうでない地方に比べては激しいわけで、これも技術的には相当お説の通りむずかしいかと思いますが、或る程度考慮を要する面があるんじやないかと思いますが、その点について今言われましたけれども重ねてお伺いします。  それから土地改良費等国の補助金と合せて農家が負担する、これは平田さんのほうでしようが、農家が負担する改良費はこれも必要経費に見てくれと、こういう要望がありますが、この点についてはどういうふうにお考えですか。確かに価値増加にはなるんですが、一方国の補助金によつて、それにつけて自分が負担して出す、それを一応資産増に見ないで経費に上げてもらえないでしようか。
  59. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 事実の問題としましては、果して改良費であるか、或いは維持費であるか、これはなかなか認定がむずかしい場合がございますが、改良費であるということを認める以上は、これを差引きますと、その所得の計算が根本から覆つて来る。で、まあ直接自分が預金しないで投資に充てた分を引くということになるわけでございまして、その一線はなかなか簡単にこれは壊すことはむずかしいんじやなかろうか、併し特に奨励的意味において特別に何か控除するようなことを考えるかどうか、これは又少し別の問題でございますが、そのような問題を勘案いたしましても改良費となりますと相当大きな価額を投資するということになりますので、なかなか簡単な問題でない。殊に土地の改良費となりますので、一旦改良費を投下して、ずつと土地がよくなりますれば、償却という問題もないので、更にそれを引くということは如何であろうかというふうに考える次第でございますが、これはなかなか大きな問題ございまして、簡単にはどうもどうということは申上げにくい重要問題だと考える次第でございます。
  60. 小林政夫

    小林政夫君 まあ私も大体そういうふうに答弁しておきましたが、これをやるとすれば別途農業政策的に考えなければならんということだろうと思います。  私はこれについてはもう終りですが、丁度国税長官が来ておられますから質問したい点が二、三ありますが……。
  61. 中川以良

    委員長中川以良君) どうぞ。
  62. 小林政夫

    小林政夫君 酒の販売の免許ですね、これは一々あなたのところまで卸については行くし、それから小売については国税局長ですか、あの法律によれば大体税務署長限りで認可ができる。行政組織の簡素化というような点から言つて、一々あなたの手許のほうまで行き、本庁で審査する必要がありますかどうか。
  63. 高橋衛

    政府委員(高橋衛君) 酒の販売の免許につきましては、実は以前は国税局長に任せておつたのでありますが、どうも非常に激増する傾向にありまして、卸なら卸としての一つの範囲がきめてない、言換えますると、競争のために現在公定価格できめられたマージンではやつて行けないというふうな事態を時々ところによりましては散見いたしましたので、特に愼重を期するという意味を以もまして国税庁まで引上げて稟議を進めて参つたのであります。併しながら最近漸次これも軌道に乗つて参りましたので、本庁においてこれが許否を決定するということをやめまして、先月一定の基準を設けまして国税局長に委任をいたした次第でございます。小売につきましてはなお国税局長に稟議をせしめておりますが、これも相当詳細な一定の基準を設けまして、大体税務署長において実質的には決定できるというふうに現在改めておる次第でございます。
  64. 小林政夫

    小林政夫君 少くとも小売については税務署長でやれるように……行政整理しようと言つても口先だけなわけですね。そういう面から大いに御考慮願いたいと思います。  それからもう一点は、これも相当有力な納税者について起つた問題ですが、滞納制度、あなたはこれだけ滞納があるという通知が行つたところが実際は納めておつた、そこで税務署長に文句を言つた、ところがその通知書の上を見て下さい、そうしたら、これは行き違いで或いは問違いがあるかも知れない、その時には悪しからずという文句が上に書いてあるから問題ないじやないかというような応答で非常に気分を害した。併しそれも明らかに何か内部的な手違いとか何とかいうなら別として、相当はつきり納めておつて明らかに事務処理の間違いなんですから……。そういうケースは別として、そういう間違いがあるかも知れませんから云々と響いてあれば、でたらめにどんどん出してもいいというようなルーズな気持で滞納催促をされることは甚だ面白いくないのではないか、そこで若しそういう気持があるということであるならば別問題であると思うのですけれども、それにつきましては全国一定のフオームのような気持もいたしますが、どうでございますか。
  65. 高橋衛

    政府委員(高橋衛君) 滞納のありました場合にこれが督促をいたしておるのでありますが、御承知通り金融機関等に税をお払込になりましてから納税済通知書が税務署に参りまして、帳簿の整理ができるまでにはどうしても一週間乃至十日程度の時間を要するのでございます。そういう関係でその間の食い違いによつてその日現在においては税務署の帳簿にはまだ滞納者になつておる、併しながら金融機関には払込まれておるというような場合におきましては、これは止むを得ず督促を申上げるという場合もあり得るかと思います。併しながら若しもそれが税務署の内部の整理によつて生ずるというようなことがあるとすれば、これは非常に私ども不本意とするところでございますので、先年来その点の内部の連絡を緊密にする帳簿組織を完全にするという面については非常な努力を傾倒いたして参りましたので、最近はそういう誤りが極めて少くなつたというように私どもは見ておるのであります。併しながら只今御指摘のような具体的な実例の場合におきましては、ただ単に御通知申上げた中に若しも間違いがあつたならばという文句があればよいじやないかという物の考え方は、これは甚だ面白くないのでありまして、そういう場合においてはどうしてもその納税者に御迷惑をかけたという面において当然税務署としては誠に相済まないことでございますという態度をとるのが、これは当然の態度であると、そういうふうに私ども考えまして、税務署に対してはそういうような指導のやり方をいたしておるのであります。何分多数の税務官吏のことでございますので、なかなか私どもの心持が十分に徹底しないというふうがありまして、そういうような点がまだ残つておる点を非常に遺憾に考えるのでありますが、今後ともそういうような面にあらゆる努力を傾倒して努力して行きたいと考えております。
  66. 小林政夫

    小林政夫君 それは一税務官吏が言つたならばともかくとして、いやしくも署長で、相当大きな税務署長がそういう受け答えをするということは、今のあなたのお気持は全然徹底していないということです。本来なら直ちにああそうですが、済みませんでしたと、こういうふうに言うべきである。そういう指導をよろしくやるべきだと思います。
  67. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは政府に対する本日の質疑はこれで打切りたいと思いますが如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように決定をいたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  69. 中川以良

    委員長中川以良君) それではお諮りを申上げますが、本日松永委員より請願並びに陳情に関する小委員を辞任したい旨の申出がございましたが、これを許可いたしますことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  つきましては、これより補欠の選定をいたしたいと存じますが、前例によりまして委員長より指名をいたしますことに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。それでは請願及び陳情に関する小委員に大野委員を指名をいたします。  それから明日の委員会は午前中請願及び陳情に関する小委員会をいたしまして、午後より労働委員会との連合委員会をいたしたいと思います。これは専売裁定に関する法案は当委員会が主宰することになります。それから先ほどここで御決定を願いました労働金庫法案は労働委員会が主宰してやるということになりますので、さよう御了承願います。  それでは本日はこれにて散会いたします。  午後四時三十人分散会    —————・—————